令和7年10月21日(火曜日)9時30分~12時00分
WEB会議
【清原主査】 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会特別支援教育ワーキンググループ、第2回の会議を開催いたします。
早朝からの御出席に感謝申し上げます。主査の私、清原と主査代理の奥住委員は、文部科学省の会議室から参加させていただきます。
本ワーキンググループでは、10月9日に開催した第1回会議において、事務局より主な検討事項について提案がありました。加えて、今年の1月から2月に実施した、こども家庭庁の「こども若者★いけんぷらす」との連携において聴取いたしました、特別支援学校等の子供たちの意見についても共有をしたところでございます。
そして、本日は、今後、本格的な検討に入るのに先立ちまして、第1に、様々な障害の当事者様や障害のある子供の保護者様の御意見をお聞きし、今後の審議に生かしていきたいと、このように考えました。
そこで、本日は9つの関係団体の皆様に御出席をいただいております。皆様におかれましては、御多用の中、早朝から御出席いただきまして心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
それでは、早速議題の1、関係団体からのヒアリングに移ります。本日の流れは、進行資料のとおりでございます。まず、前半の5団体様からの御発表をいただいた後に、委員との質疑応答の時間を設けます。その後、後半の4団体様から御発表をいただき、再度、委員の皆様との質疑応答の時間を設けます。
なお、資料1のとおり、日程の都合によりまして、本日は御意見の発表をいただくことができなかった4団体様には、次回会議において御発表をいただく予定となっております。
それでは、前半の5団体様の順番でございますが、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合会、一般財団法人全日本ろうあ連盟、一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会、一般社団法人日本発達障害ネットワーク、そして、場面緘黙親の会の皆様の順で、それぞれ十分程度で御発表をいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず最初に、日本視覚障害者団体連合より、吉松政春副会長、そして、三宅隆常務理事にお越しいただいております。御発表をお願いいたします。
【日本視覚障害者団体連合】 皆様、おはようございます。日視連の吉松です。私のほうからは、日視連としてまとめた大きな項目としては4つ挙げておりますが、それらについて御説明させていただきます。
まず1つ目ですが、盲学校及び視覚特別支援学校等でキャリア教育、特に職業教育に関しての提言です。現在、盲学校等では、主に「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」の養成課程、理療科及び保健理療科ですが、これ以外にも、理学療法科などの課程が行われていて、学習指導案にもその内容は記載されています。
これらに加えて、私たちが今回お願いしたいのは、柔道整復科、柔道整復師、この養成課程をぜひ盲学校等で設置していただきたいと思っています。現在、大阪にあります大阪南視覚支援学校では、柔道整復科のコースを設置しています。それなりの在職者もいて、実績を上げています。
柔道整復という技術は、あん摩・マッサージ・指圧などとともに、実際に患者に設置されることも多く、視覚障害がある生徒にとって十分対応できる課程だと考えています。これをぜひ学習指導要領に加えることによって、各地の盲学校にこの課程を設置すると、視覚障害者の職域がさらに広がると考えています。ぜひこの点を考慮していただきたいと思います。
2つ目は、広くインクルーシブ教育の普及といいますか、視覚特別支援学校に通う生徒だけではなく、視覚に障害を持つ児童生徒が地域の小中学校などで多く学んでいます。これらの地域で学ぶ生徒にとって、視覚障害教育に触れる機会が少ないのではないかと考えています。
例えばブラインドスポーツ、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、障害者スポーツというのは非常にマスコミでも取り上げられて、関心を持たれるようになりました。特にブラインドスポーツというのも、現在いろいろなものが行われています。かつては、グラウンドソフトボールと呼ばれる野球や、卓球、バレーといったものですが、今はブラインドサッカー、あるいはブラインドテニス等、多様な競技が行われています。
ぜひこれらのブラインドスポーツを、地域で学ぶ障害のある子供たちにも体験してほしいと思います。それは、1つには、盲学校との交流教育での経験だと思っています。地域の学校に在籍して学校生活を送ると、これらブラインドスポーツを経験する機会が少なくなってしまうと思います。
ブラインドスポーツというのは、障害があっても多様な経験ができる、あるいは達成感を持つといったような効果がありますので、ぜひ交流教育をさらに推進することで、障害のある子供たちが多様な経験をすることができるようになったらと思います。
3つ目は、広い教材の提供です。特に地域で学ぶ障害のある子供たちにとっては、点字の資料や、触覚による教材というのは、なかなか提供されないと思います。また、最近はタブレット端末等を使って、弱視の生徒に対して、いろいろな教材を提供できるアプリなども工夫されています。これらを利用することによって、授業の幅が広がりますし、内容も深くなると思われます。
併せて、ICT技術の進展によって、ロービジョンの子供たちがそれらの教材を使う機会も非常に増えていると思います。通常の学校教育の中でも、ICTを利用したデジタル教科書の普及等も、文科省のほうでは力を入れられるというようなことを伺っておりますが、ロービジョンの生徒にとってこれらの教材というのは非常に有効なものです。
ただ、視覚に障害を有するために、どうしても見る力というのに課題がありますので、少しでも見えるから、見せるというのでは、目にとって非常に負担になります。そういった視覚の管理も併せて行いながら、こういうデジタル教材、タブレット端末等を利用した学習ができるような環境を整えていただくことができれば、非常に幸いだと思っています。
最後に、専門性を有する教員の確保です。これは、視覚特別支援学校だけではなくて、地域で学ぶ障害のある子供たちにとっても、視覚障害教育の専門性というのは非常に重要になります。長い歴史の中で培われてきた指導法や教材というのは、とても重要なものであって、それらを使った指導ができる専門性のある教員というのは非常に大事な存在になります。
これらの教員を確保すること、あるいは、これらの教員が地域で学ぶ子供たちの指導に関わることができるような体制を、さらに整備していただければと思います。現在、教員の確保というのは非常に難しいと言われておりますが、視覚障害教育というのは、大学で学んで一朝一夕になかなか身につくものではありません。やっぱり現場の経験というのが非常に重要ですので、そういった経験を積んで、専門性をさらに深めた職員をどう確保、あるいはどう継承していくかというのが重要な課題だと思います。
これらの教員が視覚特別支援、盲学校だけではなくて、地域の学校でも、その指導力が発揮できるような環境づくりというのが非常に重要になると思います。
簡単ではございますが、私のほうからは以上です。
【清原主査】 日本視覚障害者団体連合の吉松政春副会長、三宅隆常務理事、御発表ありがとうございました。
ただいま、4点について問題提起がありました。1点目、職業教育の継続と、さらなる充実として、柔道整復科の検討についての御提案、2点目、共生社会の実現を促進するための取組として、ブラインドスポーツの重視の視点、そして3点目、教材としてICTの活用は大変重要であるが、健康上への配慮が必要という御提案がありました。そして、最後の4点目に、専門性を有する教員の確保と環境整備について御提案、ありがとうございます。
それでは、続きまして、全日本ろうあ連盟より、河原雅浩副理事長に御発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【全日本ろうあ連盟】 全日本ろうあ連盟の河原と申します。よろしくお願いいたします。
私どもが、今回、学習指導要領の改訂に対しまして強く要望したいことは、学習指導要領の中に手話言語という教科を盛り込んでいただくということです。こちらにつきまして、なぜかといいますと、皆さんも御存じのとおり、昔、ろう学校の中で手話を使うことが禁じられておりました。手話言語を使ってはいけないという教育が長く続いたわけです。
なぜかといいますと、昔の教育は、障害がある子供は障害のない人と同じようになるということが大きな目標だったわけです。ですので、きこえない・きこえにくい子供の場合は、きこえる人と同じようにならなければならないという強い考え方がありました。そのために手話言語を使わず、自分の声で発声をする、相手の言っていることを口を見て読み取る、そのような厳しい教育が長い間続いてまいりました。大体50年以上長く続きました。
ある言語を使わず、ほかの言語を使うように厳しく指導すれば、ある言語を使う人は減っていって、いなくなるのが通常ですが、きこえない人にとっての手話言語というのはなくなりませんでした。それはなぜかといいますと、手話言語がきこえない・きこえにくい人にとって一番自然な言語、つまり、自分の考えていること、思い、感情などを自然に表現できる言語であるからということになります。
また、相手の言っていることがすぐに分かる言語でもあります。だからこそ、手話言語がなくならなかったということになります。
実際、ろう学校で厳しく口話教育を受けて、手話言語を知らないまま卒業したきこえない人も、社会に出たら、いつの間にか手話言語を使うようになったという方がたくさんいらっしゃいます。やはり、手話は私たちとして一番必要な言語であるということの証拠になっているのだと思います。
そう考えると、今いるきこえない・きこえにくい子供たちもきちんと手話言語を獲得、または習得すること、手話言語を使って勉強する、また、たくさんの人とコミュニケーションし、交流経験を通して成長し、アイデンティティーを持って社会に出ていくということが必要になります。
学校教育というのは、やはり言語力と、その言語を使って様々に考え、思考する、いろいろな人と付き合い、交流をして、いろいろなことを学ぶ。そして、社会に出て、そういった力を生かして社会を変えていくというようなことができるようにしていくためにも、学校教育があると思っています。
これらを考えますと、きこえない・きこえにくい子供が社会に出て、社会を変えていく。また、一緒に生活をしていくことができるようにするためには、手話言語をきちんと身につけて、それを通して学ぶ、いろいろな人と交流ができる、そのような教育が必要だと考えています。
きこえない・きこえにくい子供にとっての言語権の問題であるとも言えると思います。また、現状を見ますと、ろう学校などでは「手話」を使っている教師がたくさんいらっしゃいますけれども、私たちから見ると、本当の手話言語とは言えない状況にあります。日本語に「手話」をつけた話し方をしているという状況が非常に多いです。本当の手話言語で教えるということについては、まだまだ遠い状況にあると思います。
やはり、自分の言語である手話言語でいろいろなことを学ぶことができる。そういった環境が必要であると考えます。つまり、学習権の保障が一番大事だと思っています。
また、勉強だけではなくて、いろいろな人と自由に、多様なコミュニケーションをとる、そういった経験も必要になってくると思います。人間というのは、時には、けんかをしたり、怒られたりするなど、いろいろなコミュニケーションを通して、成長していくことが必要だと思います。そのためには、自分が自由に使える言語が必要で、つまりは手話言語が必要ということになります。
そうした手話言語を小さいときからきちんと身につけて、それを通して学ぶことができる、ほかの人とコミュニケーションすることができる、そういった環境が日本はまだまだないというのが現状です。共生社会をつくっていくためには、みんながお互いに心を開いてコミュニケーションをとることが必要になります。
残念ながら、社会では手話言語が分かる人は非常に少ないので、きこえない・きこえにくい人が社会に出て、いろいろな人と心を開いてコミュニケーションして、共生社会をつくっていくというのが難しい現状にあります。手話通訳を通す方法もありますけれども、間接的なコミュニケーションであって、直接的なコミュニケーションではありません。心を開いて、お互いに共生社会を築いていくためには、直接的なコミュニケーションをすることが必要だと考えています。
そのためには、手話言語が分かる人を増やさなければなりません。小さいときからきこえる子供も、小・中・高で手話言語を学ぶことを考える必要があるのではないかと考えています。現在、小学校から英語を勉強しています。英語の勉強は悪いことではないと思いますが、その前に同じ日本人に、きこえない・きこえにくい子供たちがいるということを忘れないでほしいと思っています。
彼らと一緒に生活していくためには何が必要か考えると、お互いに心を開いてコミュニケーションができる手話言語を覚えていただくことが必要だと考えます。完璧に話せるようにならなくてもいいのです。とにかく手話言語で話すことができるという環境が必要だと思っています。
そのことを含めて、今年6月に新しく手話施策推進法ができました。その中の第6条、第7条にも、きこえない・きこえにくい子供の手話言語の獲得、習得の支援、学校での手話言語による教育の実施施策を進めることが記載されております。現状、人工内耳をつけている子供が増えていますけれども、人工内耳を挿入したからといって、きこえる人と同じになるわけではありませんよね。完全にきこえる人と同じようにきこえるというわけではありません。
それを考えますと、やはり手話言語というのは、全てのきこえない・きこえにくい子供たちが必ず必要とする言語であると考えます。もちろん、日本語も必要だと思っています。社会に出るためには、日本語の力も必要になってきます。ですが、昔、いろいろなところで言われているのが、ある言語の力がきちんと身についていないと、次の新しい言語を身につけることはできない。つまり、基礎言語の力がないと、次の新しい言語を身につけることはできないと言われています。
昔の子供たちは、手話言語を否定され、習得ができませんでした。日本語も十分に身につけられませんでした。どちらも十分に習得することができなかったのです。そういうすごく悲しい状況があったわけです。そういったことを繰り返さないためにも、きちんと手話言語を身につけて、次に日本語を学ぶ、そのような流れをつくらなければならないと考えます。
そういったことから、資料に記載の以下の6つを要望したいと思います。まず、学習指導要領の教科に「手話言語」を新設していただきたい。ろう学校に在籍か、きこえる学校に在籍かに関係なく、きこえない・きこえにくい子供が、また手話言語を必要とする子供全てが手話言語を身につけることができるようにすること。
2つ目が、手話言語を教えるためには、これを教える教師が必要になります。その教師を養成する。また、国語、算数、理科、社会を教える教師も手話言語を使ってきちんと教えられるようにする必要もあります。教育というのは、コミュニケーションが成り立たないとできません。きこえない・きこえにくい子供と、きちんとコミュニケーションすることができるレベルの手話言語の力が必要になります。そういったことができるような教師を養成することも必要になると考えます。
3つ目は、ろう学校に異動する先生のほとんどが手話言語を知りません。見よう見まねで手話言語を身につけて、それを使って教えるというのが現状です。これは、子供にとってはすごくかわいそうなことです。きこえない・きこえにくい子供の教育を担う先生については、きちんと手話言語の力を身につけていただきたいと考えます。
次は、教材。手話言語を教えるために必要なビデオなどの教材の作成をお願いしたいと思います。先ほどお話ししましたように、全ての小・中・高の学校で「手話言語」の授業を設けてほしいと思います。さまざまな学校に手話言語が必要な子供がいます。その子供たちを支援するために必要な人材の育成をお願いしたいというふうに思っております。
最後に、きこえない・きこえにくい子供の教育に関する施策を推進するときには、必ず私たち当事者団体の参画を基に進めていただきたいと思っております。
以上です。
【清原主査】 全日本ろうあ連盟の河原雅浩副理事長、そして手話通訳士の方、御丁寧にありがとうございます。手話言語の重要性について丁寧に説明していただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、全国手をつなぐ育成会連合会より、立原麻里子副会長、御発表をよろしくお願いいたします。
【全国手をつなぐ育成会連合会】 立原でございます。よろしくお願いいたします。それでは、始めさせていただきます。日頃より、障害のある子供たちの教育支援を推進していただきまして、厚くお礼を申し上げます。
私たち、全国手をつなぐ育成会連合会は、知的発達障害のある人と、その家族、支援者の会として、知的障害のある人たちが地域において障害の状況にかかわらず、ライフステージに応じた適切な支援の下に、安心で豊かな暮らしが実現できること、また、障害の有無にかかわらず、誰もが当たり前に暮らすことのできる共生社会を目指しております。
今回のヒアリングでは、国際障害者権利条約対日審査の総括所見を踏まえまして、知的障害をはじめとする障害のある児童生徒の自立と社会参加に向けた十分な教育環境の整備と、切れ目のない支援体制を構築し、地域の中で当たり前に学ぶことのできる教育環境を選び取ることができる特別支援教育の在り方の実現に向けて、教育課程の議論とは多少離れている事柄もございますけれども、資料に沿って説明をさせていただきます。
まず、インクルーシブ教育の実現に向けてですけれども、総括所見における勧告や要請は、教育分野を含む今後の障害者施策が目指すべき方向性を示すものであって、教育場面における分断が将来にわたっての分断に繋がる可能性が高いことを踏まえまして、学びの場を分けるのではなく、インクルーシブ教育の実現を目指す中で、個々の障害児の学びの保障を実現する方策を講じることが望まれています。
一方で、知的障害をはじめとする障害のある児童生徒が一人一人のニーズに応じた教育的支援を切れ目なく受けることができ、その地域の子供たちと共に学べることが重要であると考えております。
そこで、以下の5点について取組の推進、強化をお願い申し上げます。
まず、1、総括所見において、教員や学校関係職員に対する「障害の人権モデル」研修の受講を求める勧告がなされていることも踏まえまして、教職員が合理的配慮や障害の理解・啓発についてのさらなる促進などについての必要性が学べるように、全ての教職員に向けて、障害者の人権モデルについての意識を向上させていただきたいと思います。
2、特別支援学校免許状の取得のさらなる推進と、認定心理士や学校心理士などの資格取得や、専門的な支援技法の習得を奨励してください。また、全ての学校で特別支援教育が受けられるという前提を踏まえまして、通常の教育職員免許状取得の際にも、特別支援教育について学ぶ時数を増やしていただきたいと思っております。
次、3、知的障害児への合理的配慮については、適切なアセスメントに基づいて、本人が何に困っているのか、また、どういう方策なら分かるのかということを明確化することが不可欠です。適切なアセスメントを実施できるよう、教員の養成と専門性の向上を図ってください。
そして、4、インクルーシブ教育の実現に向けて、小・中高等学校と特別支援学校との一体運営に関するモデル事業へ着手していただいたことに、大変感謝しています。ぜひ、このモデル事業の実施状況を成果、課題も含めまして公表するとともに、さらに拡充し、事業を推進していただきたいと思っております。
5、次に、障害者に対する理解・啓発には幼少期からの教育が重要です。教育場面において、「障害」について当たり前に学ぶ環境設定を強化するために、交流及び共同学習をさらに推進していただきたいと思います。また、本会、私たち育成会においても、各地域で知的・発達障害の困りごとなどを親しみやすく啓発する体験を通して知っていただく、啓発キャラバン隊の活動を展開しております。
小中学校では、総合学習などの授業に取り入れていただいている学校も多くございます。通常学級の教員向けとしても研修を行ったこともございますし、十分活用できる内容となっておりますので、研修や、地域向けの公開講座などでぜひ御活用いただければと思っております。
次に、切れ目のない支援の実現に向けてのお願いを3点申し上げます。丸1、特別支援学校や特別支援学級においては、学習教科の指導のみならず、本人なりの自立に向けた指導が重要となっていると思います。一人一人に合わせた指導ができるよう、柔軟な教育課程の編成をお願いいたします。
丸2、地域における障害児教育に関する乳幼児期からの早期相談支援体制整備の推進については、着実に推進していただいているところですが、残念ながら、地域の児童発達支援との連携が十分とは言えない状況にあります。支援を必要とする子供の多くは児童発達支援を利用していますので、連携を強化できる体制づくり、とりわけ学校側からの呼びかけによる連携会議の開催ができるよう、お願いいたします。
次、丸3に行きます。平成30年には、家庭、教育、福祉の連携を推進する、いわゆる「トライアングル」プロジェクトが文部科学省、厚生労働省より示されましたが、現状でも学校と障害児相談や、放課後等デイサービスのような福祉事業所との情報共有、連携が進んでいるとは言いがたい状況です。個別の教育支援計画を作成する際には、必ず本人や家族の意思も反映し、家庭状況も含めたアセスメントを行い、障害児相談支援事業所や放課後等デイサービスといった福祉事業所とも連携を図り、一貫した支援ができるような時間の確保ができる体制づくりをお願いいたします。
次は、強度行動障害の状態にある児童生徒への教育についてのお願いです。現在、非常に重い行動上の障害(いわゆる強度行動障害)のある人への支援が全国各地で大きな課題となっています。強度行動障害は生まれつきのものではなく、主に児童期の生活環境、教育環境が本人の特性に合っていないことが、発現、悪化の主要因になっているとされています。
まずは強度行動障害の状態にしない取組ができる教育課程の編成と、強度行動障害の状態にある児童生徒にも対応可能な専門性を有する教職員を早急に育成、配置し、チームで支援できる体制を確立していただきたいと思います。
次に、高等部・高等学校教育段階における特別支援教育の推進について、3点お願いいたします。
丸1、知的障害部門の特別支援学校においても、高等部卒業後の学びの場として、専攻科の設置を望む声が聞かれています。私立では設置がありますが、国公立では全く設置が進んでいない状況です。まず、専攻科設置の必要性について御検討をいただきたいと思います。
丸2、知的障害が軽度、または知的障害を伴わない発達障害児が普通高校を希望するケースが増えている一方で、高校入試や、入学後の授業等における合理的配慮の取組が進んでおらず、中途退学やフリースクールなどへの進学を選択するケースも増えています。高等学校教育段階における合理的配慮の促進に向けて、それぞれの生徒に対する個別対応ができるよう、教育課程を柔軟に編成できるようにしてください。
丸3、高等学校における通級指導の制度化については、実現に向けて御尽力を賜り、厚く御礼を申し上げます。幼児期や義務教育課程におけるインクルーシブな教育の在り方を、高等学校でも展開していくことが重要と考えます。今後は、少なくとも全国の国公立高等学校において通級指導が実現できるよう、引き続き取組の推進をお願いします。
また、高等学校段階においても、生徒の学業の成績や偏差値だけに着目するのではなく、生徒の生活面にも目を向け、発達障害者の特性理解に基づいた指導ができるようにしてください。
最後に、生涯学習の充実についてです。障害者の多様な学びの場、あるいは生涯教育の充実・展開が、ライフステージに応じた潤いとなるように、生涯にわたる障害者への学習支援の充実を求めます。とりわけ多様な分野で支援者を伴った定期的・継続的な生涯学習を展開することが重要と考えています。
学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業により、全国で様々な取組が展開されていますが、地域によっては、知的障害のある人を対象とした生涯学習が行われておりません。重度の知的障害者を含め、文化的・芸術的な面での教育の充実とスポーツ分野の充実が実践されるよう、各自治体への周知もお願いしたいと思っております。
以上となります。お時間をいただき、ありがとうございました。
【清原主査】 全国手をつなぐ育成会連合会の立原麻里子副会長、御発表ありがとうございます。児童生徒の自立と社会参加に向けて、1点目、インクルーシブ教育の実現に向けてから、5点目、生涯学習の充実まで、5点の御提案をいただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、日本発達障害ネットワークより、大塚晃副理事長、河髙素子様、御発表をよろしくお願いいたします。
【日本発達障害ネットワーク】 日本発達障害ネットワークの大塚です。ヒアリングの機会、またプレゼンの機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
日本発達障害ネットワークは、当事者、家族、職能団体、関連学会及び研究会から成る団体で、今日は、私のほうから5つの検討課題について説明して、その後、当事者である河髙さんから発表をお願いいたします。
1番目といたしまして、合理的配慮に基づくインクルーシブ教育システムの充実です。発達障害のある児童生徒さんが通常の学級で学び続けることができるよう、合理的配慮は非常に重要なものだと思っております。そのために、全ての教職員に対し、特別支援教育における合理的配慮に関する理解を促進するとともに、保護者への合理的配慮に関する内容も周知することが重要だと考えております。
2番目といたしまして、基礎的環境整備の充実です。通常の学級における規模を小さくし、十分な教職員数を確保するとともに、特別支援教育支援員を増員することを考えております。また、個別最適な学びを保障するためにICT機器の活用、あるいは、それぞれの児童生徒に応じた有効な活用方法を確立することが必要だと考えております。
続きまして、3番目、ライフステージを通した、まさに切れ目ない支援体制を構築することが重要だと思っています。そのツールとして個別の教育支援計画や、個別の指導計画は非常に重要なものだと考えております。
通常の学級に在籍する障害のある児童生徒にも、幅広く個別の教育支援計画が活用できるよう、そのような方策をお願いいたします。
4番目といたしましては、教員の専門性の確保です。通常学級、通級指導教室等における発達障害のある児童生徒への個別最適な教育の専門性を確保する、そのための研修体制の充実も図っていただきたいと思います。教育の専門性については、教員養成、あるいは免許制度の改革を含むものと考えております。
5番目、最後といたしまして、通級指導教室の充実を挙げております。在籍校で通級指導が受けられるような体制を拡充すること、あるいは、高等学校における通級指導も始まったばかりですけれども、充実させていっていただきたいと思います。
また、障害の状態等を踏まえて、必要がある場合には、各教科の指導も可能とするということも考えております。
私のほうからは以上です。
続きまして、当事者である河髙素子さんに発表していただきます。お願いいたします。
【日本発達障害ネットワーク】 よろしくお願いいたします。初めまして、河髙素子と申します。小学生の頃、発達障害があることが明らかになり、中学以降、様々な支援を受け、合理的配慮を調整しながら、その調整に自分も参加しながら学び続けています。
どのような支援を受けてきたのか、どのように建設的対話に参画してきたのか、お話ししようと思います。ここに書いてあるDO-IT Japanというのは、東京大学先端科学技術研究センター主催の障害のある学生の進学や就職を支援し、社会のリーダーを育成することを目的としたプログラムで、私は中学3年生のときから参加しています。
私に診断のある障害や疾患は、発達障害では学習障害、自閉症スペクトラム障害、ADHD、発達性協調運動障害があります。また、発達障害ではないですが、起立性調節障害も持っており、自身の困難さや社会的障壁と折り合いをつけながら、学び続けています。
次、お願いします。私の学びと仕事の経歴です。約5年間、小学校5年生ぐらいから中学校3年生ぐらいまで、断続的不登校期間を挟んだ後、昼夜間定時制課程の4年制の高校で体調と折り合いをつけたり、一定の合理的配慮をしながら学び、夜間部の大学、昼夜間開講の大学院に進学し、今年度からは通信制の大学で学んでいます。大学在学時より、児童発達支援放課後等デイサービスにて働き始め、今に至ります。
次、お願いします。そんな私にとって、学校の教室という場所は、たくさんの音の中から先生の声を聞き分けなければならない場所でした。筆記の音、話し声、グラウンドの音、廊下の音、蛍光灯の音、それらたくさんの音の中から、先生の声や必要な音を聞き取るのにとても困っていました。高校・大学は合理的配慮として、ノイズキャンセリングイヤホンの着用を認めていただいていました。
次、お願いします。中学から大学にかけて、実際に受けている支援や合理的配慮を整理したものがこちらです。学習障害による困難さを低減し、学ぶことに集中するための各種機器の利用許可や、学校にオフラインのプリンターを設置してもらったことなど、読み書きのための合理的配慮や、感覚過敏や感覚鈍麻への配慮、その他の合理的配慮というものは、複数の障害が合わさって起こる困り事に対応するためのものです。
また、進学時の引継ぎは私にとってとても重要なものでした。このときの個別の教育支援計画を大学に引き継いでもらったこと、これを根拠資料として大学での支援が始まりました。個別の教育支援計画は、それまでの支援の試行錯誤の積み重ねが分かるものです。それを次の進路に引き継いでいただけたことが、学業において大きな混乱なく学び続けることができた大きな理由の1つだったと感じています。
次、お願いします。様々な合理的配慮を調整しながらここまで学び続けていますが、その調整は誰がするのでしょうか。今は本人、保護者となっていますよね。私は、最終的には本人だと考えています。私は図のように段階を追って、合理的配慮のための建設的対話の場面に参加し、保護者や学校と交渉していた1つ目のところから、徐々に私自身が交渉するように、段階を追って移行していきました。
具体的には、中学以降、支援会議の場に出席するようになったり、自分が発言していく機会を増やしたりしていき、最終的には、大学以降、多様な部分に1人で、あるいは外部の支援者に同席してもらいながら調整しています。
合理的配慮は、してもらうものではなく、調整するものです。本人が調整するためには、調整する力を育てる必要があります。私は12年前に学校の外でその機会を得ましたが、そのような教育の機会は一部の人ではなく、必要な人に届くことになることを願います。
以上です。ありがとうございました。
【清原主査】 ありがとうございます。日本発達障害ネットワークの大塚晃副理事長からは、特別支援教育に関する検討課題として、合理的配慮に基づくインクルーシブ教育システムの充実等、5点について御提案がありました。
また、当事者のお立場から、河髙素子さんからは、合理的配慮の具体的内容、個別の教育支援計画の意義、また、それを本人が決定して来るに至った御経験などを御報告いただきました。ありがとうございます。
続きまして、場面緘黙親の会より、辻田那月副会長、御発表をお願いいたします。
【場面緘黙親の会】 よろしくお願いします。場面緘黙親の会です。場面緘黙の子供たちへの教育課程・学習指導への改善・充実について、お話しさせていただければと思います。よろしくお願いします。
本日発表させていただきますのは、副会長を務めさせていただいております辻田那月です。場面緘黙、そして自閉スペクトラム症の娘を持つ保護者として発表いたします。所属は、大阪大学学際大学院機構にて特任助教をしておりまして、ほかに場面緘黙親の会の副会長、日本場面緘黙研究会理事などを務めております。
親の会の団体紹介を少しさせていただきます。本会は2020年に設立されておりまして、概要としては、場面緘黙の子供を持つ親や支援者のための任意団体となっております。交流の場としては、オンラインコミュニティーのLINEオープンチャットですとか、保護者交流会の「はぴもくcafé」、Webサイトでの親の体験談の記事配信などを、保護者主体で運営しております。
LINEオープンチャットのコミュニティーには、10月現在、1,700名の会員の方、保護者や支援者の方が参加しておられまして、対面での保護者交流会を年6回程度開催している会となります。詳細はホームページがございますので、そちらを御確認いただければと思います。
弊団体からの現状の課題、改善への意見につきまして、これまでのオープンチャットでの投稿ですとか、交流会での発言など、保護者様の声を基に構成したものとして整理したものとなります。
まず、初めに、場面緘黙というものは、アメリカ精神医学会の定義によりますと、ほかの状況では話しているにもかかわらず、特定の社会的な状況において話すことが一貫してできないというように決められております。
また、分類としましては、医学的には「不安症群」というものに分類されまして、精神疾患というふうに診断されるのですが、学校教育においては「情緒障害」に分類されますので、「特別支援教育」の対象となり、また、法律上は「発達障害者支援法」の対象となっています。
場面緘黙の社会的課題です。認知度が低く、「治療により改善が可能」であること、そして「支援が必要」という認識がされていないことですとか、海外では治療方法が確立されているにもかかわらず、国内ではそういった治療法がないということ。
そして、早期介入が有効であるが、そのうち自然に話せるようになるだろうというふうに捉えられてしまい、様子見のままとなることが多いということが挙げられます。
まず初めに、通常学級における現状の課題と改善への意見としましては、まず、教師が場面緘黙の子供に対する合理的配慮や指導方法を知らず、保護者から提案するしかないという現状に対しまして、教師が合理的配慮案や指導案を知り、保護者に提案しながら一緒に考えてほしいという意見があります。
また、2つ目、教師が全員話せるということを前提とした学級運営を進め、場面緘黙の子供に参加できるような配慮をしてくれないということがありますので、教師は、子供が話せなくても授業や活動に参加できるような配慮を学級全体で行い、学級内での障壁をなくしてほしいという要望がございます。
そして、教師が場面緘黙の子供への対応に理解がなく、保護者が相談しても、気にし過ぎというふうに捉え、様子見をしてしまうという課題につきましては、保護者と情報共有をしながら、一緒に指導方法を考えていってほしいと思います。
また、一部の友達と話せるなど、場面緘黙の症状が軽い場合ですと、指導が必要だと認識されにくいため、幾つか話せる場面があったとしても、教師が1対1で信頼関係をつくるなどの話せる場面が広がるように指導してほしいと思います。
個別指導の機会が学年を追うごとに少なくなり、中高ではほぼなくなってしまうという課題については、なるべく早いうちから指導を開始し、学年が上がった場合でも、教師と個別で関係性をつくることの重要性を理解していただきたいです。
そして、支援され過ぎて、逆に学級全体からも話せない子として扱われてしまい、話せるようになるための指導が行われないことについては、場面緘黙は改善させることができるという前提で、話せるようになるための指導というものをしてほしいと思います。
次に、通級につきましては、SSTのようなコミュニケーションの指導は可能だが、場面緘黙の不安という部分に注目した指導が受けられないという課題がありますので、コミュニケーションの指導が場面緘黙にも有効なケースがあるので、既存の指導に加えて、不安に対応する方法を知ってほしいという声がありました。
また、通級での指導においては、保護者から場面緘黙の対策を教師のほうに提案するということが多いというのが現状ですので、場面緘黙の指導方法を教師のほうから、保護者へ提案できるようにしていただければと思います。
そして、授業での発表が可能、友達ともお話ができるというような、場面緘黙の症状が軽い場合ですと、通級での指導を受ける機会がないということがありますので、場面緘黙の症状が少しでも見られるような場合は、通級の利用を可能にして、指導を受ける機会を提供していただきたいです。
特別支援学級につきまして、場面緘黙の子供を受け持った経験があっても、指導経験がある教師というのがほとんどいないというのが現状ですので、特別支援学級の教師が場面緘黙の指導方法を学ぶことができるような機会をつくってほしいです。
また、教師の経験や知識の差が大きく、教師の対応や指導方法によって子供が不安定になりやすいことについては、教師同士で引継ぎや情報共有を行い、教師によって対応方法が違うというようなことにならないようにしていただきたいです。
そして、情緒級で別の特性を持つほかの子供たちと一緒に学ぶと、場面緘黙の子供は影響を受けやすく、緊張して疲れてしまうということが多いですので、そこは教育課程を柔軟にしていただき、個別の関わりができるような時間をとれるようにしてほしいと考えます。
4つ目、自立活動については、個別指導を行うことができる自立活動のコマ数が少ないので、話せるようになるためには、まず安心できる環境が必要ということを理解していただき、個別指導の時間を確保してほしいと思います。
また、異学年、別の特性の子供たちと一律で行う活動において、個々に応じた指導というものがされていないことがありますので、合同活動、一律活動というものはやめて、個々に応じた指導ができるように方針を見直していただきたいです。
そして、個別指導が行えていたとしても、場面緘黙の不安の部分に対応するような指導が行われていないということに対しては、自立活動で声を出す練習や、話せる場面の拡大といった、場面緘黙の指導というものを行えるようにしてほしいと思います。
最後、まとめますと、場面緘黙は、「治療により改善が可能」で「支援が必要」にもかかわらず、学校現場では、「障害による困難の改善・克服を目的とする指導」が行われていないというのが実態です。そして、指導の対象として教師に知られていないというように、諦めざるをえないのが保護者の声からうかがえました。
よって、教育課程を柔軟に調整するなど、教師が個別で安心できる関係性というものをお子様と築いた上で、話せる場面を拡大させるような指導を行えるように改善を希望いたします。
発表は以上となります。ありがとうございました。
【清原主査】 場面緘黙親の会の辻田那月副会長、御発表ありがとうございます。通常級、通級、特別支援学級、自立活動、それぞれの課題と、改善に向けた御提案をいただきました。
それでは、ただいままで、5団体の皆様から御意見を伺うことができました。限られた時間の中で濃密な御発表をいただきまして、どうもありがとうございます。
それでは、これまでの5団体様からの御発表にあった内容について、10時50分頃までを目安といたしまして、委員の皆様との質疑応答の時間を設けたいと思います。各団体様から御発表いただいた内容について、御質問のある方がいらっしゃいましたら、Zoomの挙手ボタンを押していただくようにお願いいたします。私から順に指名をさせていただきます。時間が限られておりますので、できる限り簡潔な御発言をお願いいたします。
それでは、菊地委員、お願いいたします。
【菊地委員】 ありがとうございます。委員の菊地と申します。各団体の皆様、大変貴重な話題提供をいただき、ありがとうございます。
2点、お伺いできればと思います。1点目は、全国手をつなぐ育成会の立原様にお願いいたします。資料の中の、2番の切れ目のない支援の実現に向けての丸1に、学習教科の指導のみならず、本人なりの自立に向けた指導が重要とありました。知的障害は幅広い状態と実態があって、一概になかなか言えない難しさがあると思うんですが、より一人一人に応じた対応が求められる教育というふうに考えます。
この辺りについて、少し具体的にお話を伺えればと思います。例えば、話題提供の他の項目と重複するかもしれませんが、教科の指導においても、従前から知的障害教育が大切にしてきた、例えば具体的かつ実際的な活動を中心とした機能的な学び、本人参画や意思決定支援を中心とした学び、そして、社会的、職業的自立に向けたキャリア教育の視点が関係すると思うのですが、いかがでしょうかということが1つです。
そして、2点目は、今ではなくて、最後、全体でよろしいので、他の団体の方々にお伺いできればと思います。知的障害教育は、知的障害を重複するという形で、全ての障害種別に関わる教育であると考えます。それぞれの障害において、知的障害を重複する子供たちの教育という視点で、もし御意見があれば、お聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【清原主査】 菊地委員、ありがとうございます。まず、御質問をそれぞれから伺います。
是永委員、お願いいたします。
【是永委員】 ありがとうございます。後半も含めて全ての関係団体に質問です。個別の指導計画や個別の教育支援計画作成のグッドプラクティス、優れた実践について教えてください。関係団体からのヒアリングでは、特別支援教育に関わる教員の専門性の向上や、自立活動を含めた個に応じた教育を保障、そして支援の継続性の重要性が指摘されていると考えました。
そのためには、適切な個別の計画が作成される必要があるでしょう。当事者の発言もありましたが、本人、保護者の参画、学校内外の多職種との連携等が行われた個別の指導計画や、個別の教育支援計画作成の優れた実践があれば、教えてください。ちなみに、スウェーデンでは通常学校の子供も含めた全ての子供が個別の発達計画を持ち、より支援が必要な場合は、本人、保護者の参画及び学校内外の多職種との連携による対応プログラムが作成されることによって、特別な支援や予算が具体化されているので、そのような方向性が検討できないかという意図です。
以上です。
【清原主査】 ありがとうございます。
それでは、丹治委員、お願いいたします。
【丹治委員】 御発表、ありがとうございました。2点あります。
1点目は、全国手をつなぐ育成会連合会の皆さんに御質問です。強度行動障害の支援について御発表がありましたけども、福祉との連携、厚生労働省でも指摘されているように、行動の機能アセスメントですとか、あとは行動上の問題を環境との相互作用で捉える視点が重要だと考えています。教育の領域や、学校現場の現状がどのように映っているかというのをお聞きしたい。
それと、今後、特別支援学校の教員に対して求める専門性やチーム支援体制について、具体的にどのようなことを期待したいのかということをお尋ねしたいと思っております。
2点目ですが、日本発達障害ネットワークの皆さんへの御質問です。貴重な経験の御発表、ありがとうございました。論点整理でも指摘されているように、合理的配慮は、包摂性を高めるインクルージョンの実現においても重要だと考えています。合理的配慮においては、保護者と学校の建設的対話、そして、本人の参画が重要であり、そのときにキーワードになるのがセルフアドボカシーかと思います。私は、自立活動の内容区分や項目の中に、セルフアドボカシーというのを明確に位置づけるということが重要じゃないかなというふうに思っています。
そこで、御意見をお聞きしたいのは、建設的対話の段階的移行と、自立ができたのには何が重要だったでしょうか。そして、それを踏まえて、今後の学校に対してどのようなことを求めたいのかということの考えをお聞きしたいと思います。
以上になります。
【清原主査】 ありがとうございます。それでは、ここで手をつなぐ育成会の皆様への御質問を最初にお答えいただければと思います。
菊地委員から、本人の自立に関して具体的なことを伺いたいということと、それから、丹治委員からは、福祉との連携が重要になってきているけれども、特別支援学校の教員に求める専門性や支援体制について、さらに御意見をということです。
いかがでしょうか。手をつなぐ育成会から、どうぞ、お願いします。
【全国手をつなぐ育成会連合会】 では、立原のほうからお答えしたいと思います。自立活動、本当に幅広いニーズといいますか、一人一人、必要なものが違うと思います。生活の面での自立がすごく大切で、教科の学習も大事なんですけれども、身の回りのことを自分でできないことは、できないで、仕方ないんですけれども、少しでもできるようになって、社会参加ができるようにしていくということがすごく大事なので、その辺りの自立活動とかと併せた指導とかがすごく大事かなというふうに思っています。
私自身の子供はとても重度な子供でしたけれども、本当に学校時代に身につけたものが今とても役に立っておりますので、重度の子供でも、一人でできることがあると、社会で活躍までは行かなくても、活動することができますので、本人のニーズと、家庭のニーズとかもあると思うんですけれども、その辺りをしっかり把握していただいて、自立活動の授業を充実させていただけるととてもありがたいと思います。
また、反面、高等部になったときには、地域の中学校から上がってきたお子さんたちが、先生がぽろっとおっしゃっていたのが、移動教室に行って、この子たちはお風呂の入り方とかができていないんだよねと言っていたことが、私はとても印象に残っております。どうしても、そういうところが何となくおざなりになってしまう部分もございますので、家庭の教育力というところもあるんですけれども、その辺りにも目を向けていただいて、一人一人社会に出たときに、ちゃんとやっていけるような指導をしていただけたらなと思っているところです。
あと、何より大事なのは、知的障害の人にとってはコミュニケーションが難しいというところがございますので、その人なりに、何とかコミュニケーションをとれるように。言葉だけではなく、いろいろな方策でその人なりのコミュニケーションがとれるように、自分の意思が表出できるように、そういった指導をしっかりと、小さいうちからやっていただくことがとても重要かなと思っておりますので、そういった視点をぜひ生かしていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
強度行動障害については、事務局、又村のほうから申し上げます。
【清原主査】 それでは、よろしくお願いします。
【全国手をつなぐ育成会連合会】 全国手をつなぐ育成会連合会の常務理事事務局長をしております、又村と申します。丹治様から御質問いただきまして、ありがとうございました。
強度行動障害の状態にある児童生徒の支援につきましては、先ほど申し上げましたように、その発現時期が学齢期であることが多いということも含め、私どもとしても非常に重要視しております。
教員の皆様に求める専門性であるとか、支援体制についてですが、現在、福祉の分野では、国立のぞみの園において、強度行動障害の状態にある人への支援の専門的な研修プログラムを組んでおります。こちらでは、基礎的な研修、実践的な研修を通じて、標準的な支援、すなわち行動上のアセスメントに基づき、根拠のある対応ができるような人材の育成を進めているところでございます。
これに関して、教員の皆様の御参加ということがなかなか進んでいないのが実態ですけども、私どもが知り得る範囲では、長野県ではこの研修に教員の方が御参画いただける枠を設けているということを、情報としてつかんでおります。このように、福祉サイドでの取組、もちろん教育サイドでの取組も特総研はじめ、なさっていただいていると思うので、こういった福祉と教育のそれぞれの強度行動障害の状態の人に対する支援の研修を、相互乗り入れをすることで、お互いの立場を知り、そして相互に専門性が高まるような取組というものを期待するところです。
以上です。
【清原主査】 又村様、ありがとうございます。
それでは、続きまして、菊地委員からは、知的障害が通底する重複障害についての対応について、ほかに御発表いただいた4団体の方で御発言のある方がいらっしゃいましたら、お答えいただきますでしょうか。重複障害についてですが。視覚障害、あるいは聴覚障害等で、いかがでしょうか。
それでは、お願いいたします。
【全日本ろうあ連盟】 全日本ろうあ連盟の河原です。先ほど、重複障害のお話をいただきましたが、実際きこえない・きこえにくい子供たちの中にも、重複障害の子供たちは、たくさんいます。そういう子供たちの中には、知的障害の学校に通っている子供たちもたくさんいます。
ただ、先ほども言いましたように、きこえない・きこえにくい子供たちは、音声言語で十分なコミュニケーションはできません。視覚言語である手話言語、また、手話言語が無理な場合は、視覚的なコミュニケーションの方法が必要になります。そういう部分が、知的障害の学校のほうではまだまだ理解が足りないのではないか。その方法が分からないというところが多いのではないかと思っています。
全くコミュニケーションができないまま学校にいる、そういう話も聞いています。また、卒業した後、施設に入っても、コミュニケーションができないので、もうお手上げの状況になってしまい、本人も、自分の言っていることが伝わらないので、怒ってトラブルを起こしてしまう。そして、やめてしまうという例がたくさんあると聞いております。
こういったことを考えると、重複のきこえない子供たちに対する教育というのは、これから考えていかなければならないことがたくさんあると思います。知的障害などに対して、そしてきこえない・きこえにくい子供たちに対して、どういう言葉を身につけるのか、身につけさせるのか、どういうコミュニケーションをするのか、考える教育が必要だと思います。
以上です。
【清原主査】 ありがとうございます。先ほど、手をつなぐ育成会の立原副会長からも、その人なりのコミュニケーションが重要であるというふうにお答えがございました。
今、また全日本ろうあ連盟の河原様からも、その人なりのコミュニケーションを、重複障害の場合、しっかりとできるように支援していくことが重要と、御意見をいただきました。
今、手を挙げていただいているのは重複障害の関係でしょうか。ありがとうございます。
それでは、吉松様、どうぞ御発言ください。
【日本視覚障害者団体連合】 日視連の吉松です。知的障害を伴う子供、障害の重複児の割合というのは、視覚障害教育、盲学校とかでは、特に義務制、小中学部では在籍者の約半数に知的障害などの重複障害があると言われています。こういう状況になって非常に長くなりますので、盲学校等では重複の子供たちの指導というのをそれなりに実践してきています。
ただ、知的障害の特別支援学校などには、知的障害が主たる障害で入学して、その後、「みえない・みえにくい」という障害に気づくという例が非常に多いと思います。視覚障害教育の学校では、今や決して珍しい存在ではないんですが、他の障害の学校では、その子供が視覚障害を伴っているかどうかというのは非常に分かりにくい。あるいは、あまり重視されないというような状況にあるのではないかなと思っています。
そういった意味で、ぜひ他の特別支援学校でも、視覚の検査、視覚障害のある・なしというのを正しく判断していただいて、少しでも見えるのなら、見える教材を使う。あるいは、知的障害などがあっても、点字の学習というのはできますので、そういう点字指導などを導入するといった、視覚障害教育の実践を取り入れるような場面を増やしていただきたいと思います。
私の意見としては、以上です。
【清原主査】 ありがとうございます。JDDnetの田中様も重複障害の件でしょうか。
それでは、御発言をお願いします。
【日本発達障害ネットワーク】 失礼いたします。簡単にお話しします。重複、特に私たちの場合は自閉症と知的の重複ということになるんですけれども、難しいのは、人によって全然違いますので、しっかりと個に合わせたプログラム、教育課程なのか、個別の指導計画等でのアレンジなのか分かりませんが、しっかり個別につくっていくということを今でもしているんですが、その評価、つまり、振り返って、本当にそれが適切だったのかというところが非常に弱いという感じがしますので、ぜひ評価をすると。それで、そのときに、学校の先生だけではなくて、関係機関との連携というのは今言われていますので、しっかり関係機関も入って、一緒に評価していくということをしていただけたら、子供に合ったプログラムというのができるんじゃないかなというふうに思います。
以上です。
【清原主査】 ありがとうございます。「評価」というキーワードをいただきました。
それでは、場面緘黙親の会の辻田様、お願いします。
【場面緘黙親の会】 ありがとうございます。場面緘黙のお子さんの中にも、知的障害を併存するお子さんはいらっしゃいます。ただ、鑑別がすごく難しくて、知的障害のほうが早く見つかると、緘黙症状を見落とすということがよくあります。保護者さんに聞いていただくと、立原さんもおっしゃったように、コミュニケーションが難しいお子さんも多いと思うんですけども、実は家ではもう少しお話しができているという場合が多々ありますので、おうちでの御様子というのを確認いただけるとよいかということが1点。
あと一つは、逆に場面緘黙の子は検査場面で緊張してしまって、お話ができないとなってしまいますと、アセスメントの検査で通常よりもものすごい低く数値が出てしまって、障害であるというふうに、ある意味誤診といいますか、そういったようになってしまうというような現状もございますので、どちらのお子さんも適切な教育が受けられるように、緘黙というのがどういう状態かというのをもう一度周知したいなというふうに思っております。
以上です。
【清原主査】 辻田様、ありがとうございます。
それでは、先ほどの是永委員からの御質問がありましたことと、今までのお答え、重なっているようにも思います。すなわち個別支援計画のグッドプラクティスについてということでございます。当事者、保護者、あるいは多職種連携などで、グッドプラクティスがあれば、時間の関係で、まずお一人、御紹介いただく方、いらっしゃいますでしょうか。
じゃあ、ちょっとお待ちいただいて、先ほど丹治委員の御質問の2点目で、日本発達障害ネットワーク様で、セルフアドボカシーというのが円滑に行った要因について、どう考えていらっしゃるか。建設的対話がなされてきたということ、河髙様にもしお答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。
【日本発達障害ネットワーク】 河髙です。まずは、質問が2つありました。2つとも答えてもいいでしょうか。
【清原主査】 どうぞ。
【日本発達障害ネットワーク】 建設的対話の段階的移行ができたのに、何が重要だったか。まずは、段階的に移行したことが重要だったと感じています。時に受験の機会などでは、1つ前の段階に戻るみたいなことも柔軟に対応していったことが、私はよかったかなというふうに感じています。
また、障害者の権利条約であったりとか、障害者差別解消法に関する情報提供、合理的配慮や合理的調整であるという理解、私の場合は、発達障害に対する支援がまだ始まったばかりでしたので、私のほかの障害者の方々が受けている支援からヒントを得たりしていました。
あとは、障害者の権利や障害者の社会モデルについての知識、セルフアドボカシーという言葉を本人が知ること、それを発表するすべを学ぶ機会があったことが重要だったと感じています。1つ目が、まずはこの答えになります。
2つ目は、引継ぎについて、個別の教育支援計画の重要性についてで合っていますか。
【清原主査】 はい、どうぞ。
【日本発達障害ネットワーク】 高校から大学に教育支援計画を引き継いでもらったことの何が重要だったかというと、大学にもよるかと思いますが、大学で必要な合理的配慮を受けるまでには、数か月かかることがあります。配慮申請の手続に数か月かかることがあります。この前の段階として、高校までに受けた支援をまとめたもの、それを根拠資料として、合理的配慮の正式な手続の前に配慮がスタートするという意味でも、根拠資料として、とても有効でした。
すみません、うまく伝えられていないんですが、以上です。
【清原主査】 いや、ありがとうございます。丹治委員、いかがでしょうか、今のお答えで。
【丹治委員】 ありがとうございました。非常によく分かりました。
【清原主査】 今、河髙様にお答えいただいたことが、是永委員が御質問された個別支援計画のグッドプラクティスの1つではないかなと思いました。要するに、校種が変わっても、引継ぎが丁寧に行われていくこと、そのための根拠として個別支援計画が先行して合理的配慮をもたらす要因にもなったということ。
そして、様々な権利条約であるとか、あるいは法律的な整備といったものが、この個別支援計画の充実に向けてよい環境を促していったということも、確認させていただきました。
まだまだ、今後、ベストプラクティス等についても、後半の報告者から伺いたいところですが、ちょうど目安の時間に参りましたので、後半の報告をこれからお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、後半の4団体様、御発表をよろしくお願いいたします。順番といたしましては、特定非営利活動法人全国ことばを育む会、全国盲学校PTA連合会、全国ろう学校PTA連合会、そして、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワークの順番で、それぞれ10分程度で御発表をお願いいたします。
それでは、最初に、全国ことばを育む会より、古城和哉専務理事兼事務局長様、御発表をお願いいたします。
【全国ことばを育む会】 おはようございます。NPO法人全国ことばを育む会、古城と申します。よろしくお願いいたします。今日、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私たちは、言葉、聞こえ、そして、コミュニケーションに課題がある子供たち、主に特別支援学級と通級で指導を受ける子供たちの親で組織した団体です。主には、通級指導の子供たちが中心になっているところです。
通常、子供たちの教育関係予算に関する事柄についてのいろいろ、活動等々しておりますので、今日のように学習指導というような中身になってきますと、的が中心から外れている部分があるかもしれませんが、関連したこととして聞いてくださればありがたいと思っております。
今日は、4点ほど論点を考えてみたところでございました。まず1つは、障がいの特性の共有と、学校全体での意識改革推進の必要性。これは、意識の部分に関することでございます。
項目だけ先に申し上げますと、2番目が、先ほどからお話を伺っておりましたが、「個別の指導計画」の積み上げの徹底についてのお話でございます。3つ目が、先生方の専門性、これを確保するための研修への理解というのを、ぜひお願いしたいと思っているところです。
4つ目は、今まで3つ申し上げた中で、1つ目の意識の改革の部分に含まれるものかもしれません。ただ、最近、働き方改革において親たちの動き、それから親の会の動きについて、非常に影響を受けているところがございますので、ここを特出しして整理いたしました。
まず、(1)番からお話しさせていただきます。(1)番、意識改革でございます。当然ながら、特別支援学級ですとか、通級指導教室が開設されている学校におきましては、学内で特別支援教育に関する意識というのはかなり高くなってきてはおりますけれども、そこでも、まだまだ完璧とは言いづらいような状況にあると、私たちも日々肌で感じております。
ましてや、そういった開設がなされていないような学校等においては、それもまだまだというような状況だと感じています。具体的な状況でございますが、黒丸の1つ目でございます。特に通級に出ている子供たちがふだん生活しております通常学級におきましては、正しい理解が進んでいない。これは、誰によるものかといいますと、周りの児童たち、それから先生、そして、その児童たちの保護者、それから管理職もございます。
そういった通常学級側の意識がまだまだ進んでいないのではないだろうかということで、本人へのいじめですとか、本人が特別視されたり、疎外感を味わうことがまだまだ見受けられるというのは感じているところでございます。
黒丸の2つ目ですけれども、特に未設置校の場合には、先ほど申しましたとおり、管理職の意識等々もまだまだだと感じておりますので、他校へ通級する児童がいても、そこへの配慮というんでしょうか、意識がまだまだ届いていないところもあると考えられています。
黒丸の3つ目でございます。通級に関しまして、今度は、出ていく子供たちが、その間、留守にする教科に関しまして、学校教育というのは、学力をつけていくというのが主たる目的だと思いますけれども、この部分が、他の児童生徒に比べて、相対的に落ちていくというところで、ここの補償を何とかお願いできないだろうかということを考えるところでございます。
もちろん、先生方は非常に忙しいところもありますので、きっちりというわけではありませんが、本当にほんのちょっとだけでもいいんですけども、今日はこういうふうな授業をやったんだよというようなところを語りかけてくださるような、可能な範囲でもいいんですけれども、そういった意味で、子供たちへの学力の補償ができていければと思うところです。
4つ目なんですが、これ、ほかの全部の部分にかかってくるんですけれども、同じ指導要領に従っているはずなのに、地域によって、いろいろ認識はばらつきが見られる部分があったりして、当然その地域ごとの事情というのは認識できますものの、しかし、あまり大きく認識が外れているということであると、ちょっと大変だと思っているところでございます。
例えば、先ほど申し上げた働き方改革等におきましても、ある県のほうでは、子供たちの授業が大事だよということを考えているところもいらっしゃいますし、あるところでは、どちらかというと、働き方改革に名を借りた親との接触、あるいは親の会との接触をそこで薄めていくというようなことに使われている感じも受けるときがございます。
また、地域差で言いますと、認識の部分で、今進められております定数化という言葉に関しましても、定数化ということを、立場が不安定な加配の先生方をきちっとした立場に置き換えるというようなニュアンスで捉えられているところもあれば、13人に1人という、きちっとそこを埋めていかなきゃいけないというところで、定数化というふうに認識されている教育委員会もあるというようなことがありますものですから、この辺りの認識については、きっちりと御指導いただければありがたいと思うところでございます。
次に、(2)番目、「個別の指導計画」の積み上げの徹底というところでございます。先ほどの、お伺いしておりました団体さんの中にも、この指導計画について強調されていたところも幾つもございました。これは、非常に切れ目のないサポートに関しましては、大切なものだと考えておりますが、この策定について、今でもなかなか進んでいないところもあるやにお聞きしているところです。
この2枚目のポツの2つ目になりますけれども、個に合わせた一貫した支援計画の基礎でありますので、親もしっかりと計画づくりに参加したいと考えております。ですので、そういった親、担任、それから担当、3人一緒になって、この辺りをしっかりと子供に合ったものをつくっていけるように、徹底していただくようにお願いしたいと思っております。
また、高校進学ですとか高校入試等におきまして、進学先での合理的配慮につきましては、この指導計画が、どういうことに基づいて、彼が、あるいは彼女が指導を受けてきたかというような証左になりますので、これがきちっとそろっているということは、本人にとっても非常に有効であるということでございます。そのため、これをきちっとつくっていただくということをお願いしたいと思っているところでございます。
括弧の3つ目、教員の専門性を高める研修への理解でございます。もちろん、ベテランの先生方、非常に専門性の高い先生方が配置いただけるのが一番ありがたいんですけれども、各事情からなかなかそうはいかないというところにつきましては、ローテーションが非常に短くなったり、経験年数が浅い先生方が、この特別支援教育の場に配置される部分が多いというのが事実だと考えています。
ただ、それでしっかりとした専門性が身につくような研修ができていけばよろしいんですけども、なかなか機会が捉えにくいということで、現場の先生方も非常に困っていらっしゃるお話を、私どももよく耳にします。担当の先生が研修を受ける機会の確保を後押ししていただけるように、やる気がそがれないように、私たちは望んでいるところです。
聞くところによると、校長先生や管理職の方々が、先生方が校外に研修に行かれるのをいい顔をされないとか、お許しいただけないとか、そういった声も、先生方の間から聞こえてきます。私たち親は、結局それが子供の能力アップにつながってくるということでありますので、先生方が研修にいらっしゃる間に、例えば通級の時間が潰れるということに関しても十分我慢できていきます。ですので、そこにもきちっとした理解をお願いして、送り出していただきたいと思うところです。
先生方が自費で頑張っていきたいと言ったのが、県内にそういった場所がなかなかなくて、隣の県までいらっしゃるということも、よく聞くところがございます。また、全難言協さんが調査をされる回答の中にも、先生方の回答の中に研修の機会が非常に少ないと、それに行く機会がなかなかとれないという御意見も散見されます。
私どもが会員である都道府県の親の会に対して調査をいたしました結果でも、管理職によるストップがかかってしまうようなところもあったりして、自分たちにやる気があっても、それが成り立っていかないというようなところに、非常にじくじたる思いがあるというようなことも、回答が見られることが多々ございます。
次に、(4)番目でございます。「働き方改革」への誤った認識というふうにお書きしておりますが、親の会としましては、いろいろと活動していく中で、これは先生方の協力が不可欠になってきています。特に、通級教室におきましては、これは個別な対応になってくるものですから、親同士の接点というのをなかなか見いだすところがありません。
ですから、先生がここに協力をいただけないと、親同士というのはつるめない、一緒になっていろいろな活動ができないということにつながっていくわけなんです。これまで、いろいろ私たちも、先生方の教育の現場、学びの現場を何とかサポートできないかということで、古くから頑張ってまいりました。古くからの先生方は、それをよく御存じで、親たちとうまく付き合っていくことというのは非常に大事だとお考えになっているところなんですが、最近の先生方、管理職におかれては、その点の認識はまだまだ十分ではないのではなかろうかというところで、私たちも非常に残念に思っているところがございます。
というところで、私からの報告は終わらせていただきたいと思います。お時間ありがとうございました。
【清原主査】 全国ことばを育む会の古城和哉専務理事兼事務局長、御発表ありがとうございます。障害特性の共有と学校全体での意識改革推進の必要性から、教員の皆様との信頼関係の重要性を特に御指摘いただきました。
続きまして、全国盲学校PTA連合会より、伊林愛美会長、御発表をお願いいたします。
【全国盲学校PTA連合会】 全国盲学校PTA連合会会長の伊林愛美です。本日は、貴重な機会をありがとうございます。では、共有させていただきます。
文部科学省におかれましては、日頃より特別支援教育の推進に御尽力いただき、心より感謝申し上げます。私たち全国盲学校PTA連合会は、校長会、教職員の皆様とともに、視覚に障害のある子供たちが安心して学び、将来に希望を持ち、成長していく、よりよい社会の実現を願っております。
ここで全国の盲学校の現状について、簡単に御説明させていただきたいと思います。全国盲学校PTA連合会は、全国7地区のPTA連合会に加盟している学校67校から成り立ちます。全国盲学校の主な現状を申し上げますと、幼児児童生徒数は2,129名で過去最少となり、年々減少している状況です。半数以上の37校が県に盲学校が1校のみの設置です。これは、教師も児童生徒も、県をまたがないとほかの盲学校との交流ができないという状況になっております。
設置学部は、幼稚部、小学部、中学部、高等部普通科、高等部保健理療科、高等部専攻科等があり、多様です。全ての学部を有する学校では、3歳の幼児から、理療を学ぶ50代以上の成人生徒まで、幅広い年齢層の幼児児童生徒が在籍しています。
あん摩マッサージ師、指圧師、はり師、灸師を目指す生徒の減少が著しく、1学級、1生徒の学校が複数あります。
視覚障害の状況は一人一人異なります。例えば、教科書についてですが、拡大教科書を使用する弱視の方や、拡大鏡を使用する人、点字教科書、最近はデジタル端末を使用する人など、さまざまです。各学校では、幼児児童生徒一人一人の見え方や、習熟度に応じた学習環境の整備に努めてくれています。
ここで課題です。全国盲学校に共通する課題と要望について申し上げます。まず1つ目、教員の専門性の確保について。こちら、先ほども様々、議論されていたと思いますけれども、やはり視覚障害のほうでも深刻な問題です。視覚障害の教育の高い専門性を持った教員の絶対数が少ない中で、経験を積んだ教員が他校種や他障害種の学校への異動となることがあり、児童生徒の障害特性に応じた十分な指導が難しい場面が見受けられます。
盲学校で専門的な指導を期待して入学しても、他障害種から異動された視覚障害教育の経験のない先生と1年を過ごすようなことが多発しています。視覚障害教育は専門性の高い教育分野であり、児童生徒の特性に応じた支援は、経験を積み重ねた教員の存在が不可欠です。したがって、障害種別ごとに専門性を継続的に生かすことができる人事配置ガイドラインの整備や、長期的な勤務が可能となる柔軟な異動制度の検討、あるいは人事配置上の特例外措置を各設置者に働きかけてくださいますよう、お願い申し上げます。
2つ目、自立活動専任教員及び外部専門家の活用についてです。学校によっては、自立活動の専任教師がいない、または常勤できない現状があると承知しています。視覚障害のある子供たちが安心・安全に生活し、社会に旅立つまでには、自立活動での学びが極めて重要であり、専門的な指導を受けることは、命を守り、生活の向上を図るためにも必須です。
それこそ入ったところから、白杖の使い方、歩き方、安全な転び方、いろいろな多岐にわたった指導が行われますので、自立活動というのが、ほかの普通の学校に比べて、本当に命を守る大事な授業になっています。
そこで、自立活動の資格を有する教員の常勤配置及び、それが難しいのであれば、外部専門家として歩行訓練士や点字技能士、視能訓練士等の導入、または視覚障害と他障害を併せ有する児童生徒のために言語聴覚士、理学療法士、作業療法士などの専門家を盲学校に巡回指導できるようお願いします。外部専門家の活用は、現行学習指導要領でも触れられていますので、こちらに引き続きの明記をお願いします。
3つ目、職業教育の充実について。社会参加と自立に向けた職業教育の充実は、盲学校の重要な課題です。あん摩マッサージ指圧師、はり師、灸師の養成のための適切な指導者の配置と、ヘルスキーパー等について、行政関係機関や民間企業等への理解啓発を図り、より多くの雇用先が確保されるようにすることが大切です。
そこで、学習指導要領等において、職業教育の意義や重要性についての記載の充実、及び関係機関との連携推進をお願いいたします。
4つ目、交流及び共同学習について。盲学校では少人数の学級が多く、他者との学び合いの機会が多くはありません。また、幼稚部段階から盲学校で専門的な教育を受けている児童生徒も多く、地域の児童生徒と触れ合う機会も少ないことから、将来の社会参加、そして共生社会の構成員となっていくに当たって、不安視する保護者も少なくありません。
全国盲学校PTA連合会としても、地域の児童生徒との「交流及び共同学習」の充実に期待しております。現行の学習指導要領に明記されている「障害のない幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設け、共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすること」には、大いに賛同しているところです。
そこで、現行学習指導要領に記載されている「交流及び共同学習」の意義やねらいが引き続き明記され、各学校での実践がなされるよう御支援をお願いいたします。
最後に5番目、個々の状況に応じた学習環境の整備について。こちら、視野狭窄や中心暗点等の視覚障害がある児童生徒にとって、タブレット端末等によるデジタル教科書は、リフロー機能を活用し、拡大読書器で教科書を見るよりはるかに見やすく、使いやすくなっています。そして、タブレット端末を活用し、様々なアプリによる学習も可能になり、個々の児童生徒に合った学習ができるようになります。
また、高等部以上では、就職・進学に備えてパソコンが使えるようになることはとても重要ですが、デジタル端末の購入に対する支援は各自治体により金額が異なり、地域格差も生まれています。そこで、全ての子供たちに発達段階や障害の特性及び進路に合わせたデジタル端末を使うことができるようにお願いします。
また、障害特性によって使用が難しい場合には、それを支援する機器やソフト、例えば点字ディスプレイやPCトーカーなどの音声読み上げソフトなどを、同時に使用できるよう御支援をお願いいたします。さらに、児童生徒がデジタル端末を使いこなせるよう、教員がデジタル機器を使って指導できるように、ICT支援員を各学校に配置できるようにお願いいたします。
結びになりますが、点字教科書の点字データを使用できるように御支援くださり、感謝申し上げます。今後は、点字を使用する児童生徒がデジタルデータを効果的に活用すること、視覚障害と聴覚障害や知的障害などを併せ有する児童生徒が、情報機器の有効活用ができるよう、御支援をお願いいたします。
続きまして、こちらはPTAのほうの、今年度の全国盲学校PTA連合会理事会で話題に上がりました、「担任交代に伴う保護者の不安と学校側の対策」、こちらは67校にアンケートをいたしました。こちら、回答があって、それを分類したものです。担任交代に伴う保護者の不安ということで、引継ぎですとか、教員の異動の頻度です。毎年代わってしまうと、引継ぎが難しくなってしまうのではないかとか、保護者の連携不足、あと、子供が心理的に安心できないという状況が多発するとか。あと、専門性の低下です。
でも、一方で、不安はないとか、安定しているというのも10%近くはあるので、うまくいっている学校と、そうでない学校というのが散見されるのかなと思います。こちらのほうは、また資料は別で読んでいただけるとありがたいんですが。
学校と保護者の対策、こちらのほうも調べさせていただきました。こちら、一番大事なのは情報の文書化とか共有です。個別指導計画書とかも、もちろんそうですけれども、30%の学校とか保護者のほうで、こちらがコミュニケーションとか共有が大事ということを実感しているところです。
あとは、学校の担任の先生の引継ぎを、春休みのときや年度末にもう既にやってしまっていて、先生の間ではこういうのを引継ぎはしっかり行われているというところも、20%多くありますし、学部全体での情報共有の理解、こちらを学校のほうで積極的に推進してくださっているところもあります。
あとは、スクールカウンセラーを配置して、そこは子供たちだけではなく、親の意見を聞くということで活躍してくださっているような場合は、最近は見受けられます。
私どものほうからの発表は以上になります。貴重なお時間をありがとうございました。
【清原主査】 全国盲学校PTA連合会の伊林愛美会長、御発表ありがとうございます。全国で盲学校が減少傾向、また、幼児児童生徒が減少傾向にある中、教員の専門性の確保から、一人一人に応じた学習環境の整備、とりわけデジタル教材等の充実について御提案いただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、全国ろう学校PTA連合会より、鈴木茂樹事務局長に御発表をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
【全国ろう学校PTA連合会】 全国ろう学校PTA連合会です。本日、水上会長が所用で参加できないために、事務局長の鈴木が代理で報告させていただきます。
画面を共有させていただきます。全国ろう学校PTA連合会から見る聴覚障害教育の現状と課題等について、資料に沿って報告します。
まず、少子化による対象児の少人数化、学校の小規模化が挙げられます。全国聾学校長会の調査によると、各校の多くは、幼稚部、小学部、中学部、高等部を設置しています。幼稚部から中学部までの学校は26.2%、幼稚部から高等部本科までは44%、幼稚部から高等部専攻科までは11.2%。多くの学校がこのどれかの形になっています。聴覚障害特別支援学校は、本校、分校、分教室と合わせて107あるんですけれども、本校は93です。乳幼児を除く今年度の在籍者は4,364名で、内訳はグラフ下の表のとおりです。
また、この学級数なんですけれども、全体を見ると、普通学級が3、重複学級が1の割合です。それから、本校の在籍者数は定数どおり1学級6名とか8名の学校もまれにあるんですけれども、1校平均46.9名、学級で見ると、普通学級が2.8名、重複学級が2.1名です。
これらから分かることなんですけれども、やはり先ほどの報告にもありましたけれども、各学年とも人数が少なく、子供同士の教え合い、学び合いが弱いので、やっぱりより丁寧な指導の工夫が求められます。
少人数の改善に向けてですけれども、小規模校は条件が悪くていろいろなことができないんですけれども、できないの一言で片づけないで、例えばデジタル学習基盤を活用するだけではなくて、いろいろな工夫や配慮の働きかけをして、学校規模や地域による全国の教育格差をなくしてほしいです。
また、オンラインによる複数校の共同学習といいますか、そういうものを進めてほしいです。学習進度とか、個人差などがあって困難を伴うと思うんですけれども、やはりここにも切り込んでほしいなと思っています。
それから、AIアシスタントを補助的に授業に参加させて集団を確保し、いろいろな考え方や見方があることを指導する、そういった取組を研究するなど、できそうなことには取り組んでいってほしいなと思っています。
次は、2の働く保護者の支援についてです。新生児スクリーニング検査によって、早期に聴覚障害の疑いが発見された場合、保護者はその後の診断までの期間は非常に不安な時期を過ごします。この期間の保護者を支援するために、厚労省管轄なんですけれども、保健・医療・福祉・療育の中核機能を持った難聴児相談支援センターが全国各地につくられ、療育・教育につなぐ役割を果たしています。
療育機関が聴覚支援学校の乳幼児教育相談の場合であっても、保護者は生活のために働かざるを得ないということがあります。また、療育機関まで距離があって通えない場合が多数あって、療育や教育を受けるのに、非常に困難を伴っています。
現在は、家庭の事情にもよりますけれども、ほぼ100%の保護者が働いているので、先ほどの通えないケースを含めて、例えば交通費を支弁するなど、教育を等しく受けるために、誰一人取りこぼさないでほしいです。
一見、教育と関係ないことを報告したんですけれども、教育課程をつくっても、教育課程を受けられないケースがあることを伝えたくて書きましたので、よろしくお願いします。
3の準ずる教育と専門性についてです。これは、本を読める子、書く力のある子は伸びると言われています。改めて日本語を「話す・読む・書く」そして「考える、表現する」力、言葉を育てて教科指導できるようにすること、そして、学びに向かう力の育成は、資質・能力を育むための基盤であり、不易なものです。ただ、話す、書くだけで十分という意味ではないので、誤解のないようにお願いします。
幼稚部、小学部、中学部、高等部における教育課程の編成については、聴覚障害教育の専門性を生かして言葉を育て、教科指導に向かわせるために、発達段階に応じためり張りのあるものにしてほしいです。そして、聴覚障害教育のことが分かる先生に指導してもらいたいと思います。
専門性というのが出てくるんですけれども、専門性の定義は非常に難しいです。聴覚障害教育では、言葉や語彙を増やしたり、言葉、内容のレベルを上げたりしていくときに、きちんと押さえをしていかないと、曖昧なままになって、知識が積み上がらないので、指導者はこれらの専門性をきちんと理解していること、コミュニケーション能力を育てる力があること、さらに子供たちには障害認識や自己実現することが大切なので、保護者はこれらのことに目配りできる専門性のある先生に指導してもらいたいと思っているということです。
次に、4の職業教育についてです。いつの時代にあっても言えることなんですけれども、社会や産業構造の変化に対応した職業教育の教育課程を実施するに当たり、学んだことが生かされるようにしてほしいです。平たく言えば、就労先を確保してほしいということです。社会の変化で大きいのは、今AIの台頭に伴う変化だと思います。子供たちが将来を生き抜くための職業教育や人材育成の在り方についても考えてほしいです。
次の5、通常学校・学級に在籍する聴覚障害児への対応については、全ては指導者の力量にかかっています。聴覚障害教育の専門性のある教員が少ないので、指導の押さえが不十分だと感じています。先生方には、聴覚障害教育の基礎、基本を学びながら指導に当たってほしいと思います。
6の個に応じた指導については、当たり前のことなんですけれども、発達障害や重複障害に対応した指導をお願いしたいと思っています。
7のコミュニケーション手段、手話と日本語についてです。手話言語条例によって手話が広く認められ、普及することは歓迎しますが、やはり手話を母語とする場合でも、子供たちが生活する場は一般社会の中なので、日本語の読み書き能力と、学力向上を基本に置いて、健常者ときちんと交流できるようになってほしいと願っています。
また、AIによる手話表現等の研究も進めてほしいです。
最後になるんですけれども、8の科学・医学の進歩による人工内耳装用の普及についてです。全国聾学校長会の令和7年度調査によれば、人工内耳の装用状況は表のとおりです。人工内耳を装用して聞こえが改善したとしても、やっぱり聴覚障害教育の専門性を踏まえた教育がポイントで、基本をおろそかにすると、日本語を広げたり、深めたりすることが難ししくなるので、やはり専門性を踏まえて指導に当たってほしいと思っています。
また、教材のデジタル化、AIの活用による子供たちの思考力の伸長について研究して、聴覚障害教育ほか、いろいろに生かしてほしいです。
長くなりましたけれども、よろしくお願いいたします。
以上、ありがとうございました。
【清原主査】 全国ろう学校PTA連合会の鈴木茂樹事務局長、御発表ありがとうございます。対象児の少人数化や学校の小規模化を踏まえて、対応の必要性を提起されるとともに、働く保護者の支援ということについても触れていただきました。特にAIについて、各所で触れていただいたのが印象的でございます。御発表ありがとうございます。
続きまして、難病のこども支援全国ネットワークより、福島慎吾専務理事、御発表をお願いいたします。どうぞ。
【難病のこども支援全国ネットワーク】 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。本日は、このような貴重な機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
私からは、病気のある子供たち、それから病弱教育について、現状の報告等をさせていただきます。
初めに、病気のある子供たちの状況に関して、概論的なお話をしたいと思います。病気のある子供の学びの場はとても多様でございます。自治体の実態調査によりますと、小児慢性特定疾病という子供の慢性疾病に対する医療費の助成の制度がありますけれども、7割の子供が地域の学校の通常の学級に在籍していると言われております。
また、子供の病状によって学びの場が変動することに対する留意、あるいは配慮というものも重要だというふうに思います。
病弱教育においては、地域の学校と特別支援学校の綿密な連携が特に求められると考えております。
お手元の資料ですけれども、1の小中高等学校等と、それから2の特別支援学校の改善・充実については、今申し上げましたように、ほとんど共通しているということになりますので、丸1の箇条書に沿って、御説明をさせていただきます。
1点目が合理的配慮です。民間事業者に対する社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理的配慮の提供も法的義務になりました。しかし学校も含めて、均衡を失した、または過度の負担を課さないという文言が制約となっていて、必要な合理的配慮が提供されないケースをよく見聞きいたします。
私としては、公教育においては、社会通念と照らし合わせて、民間よりももう一段階上のレベルで、こういった均衡を失した、または過度の負担を課さないという辺りの評価というか、決定というのがなされるような形で進めていただけるとよいと思っております。
また、合理的配慮の提供というのは、本人、保護者からの意思の表明がスタートとなるわけです。しかし実際の現場では、配慮の押しつけと言ってはなんですけれども、こういった配慮が必要だと決めつけて、本人たちの意向も確認せずにそういったことが行われるというような例もあります。そのため、合理的配慮の提供については、合意形成のための建設的な対話というのが肝だというふうに強く思っているところです。
続きまして、いわゆる院内学級についてです。院内学級で教育を受ける場合には、学籍というものを異動する必要があるわけです。入院している病院に院内学級が設置されていて、主治医から許可が得られたとしても、学籍の異動がなければ、学びの場は原則として確保されないという状況になります。昨今、短期間で入退院を繰り返すケースも多くありますし、それから、高等学校に在籍する子供については、公立・私立を問わず、制度の限界から教育機会の保障がなされない場合も多くあります。
また、私立学校に在籍をしていると、一度退学をした形にしないと、学籍の移動ができないわけですから、退院後に前籍校への復学ができないとの理由から、院内学級において必要な教育が受けられないというような例もございます。
続いて、訪問教育です。入院中の子供のベッドサイドへの訪問、あるいは感染症対策が必要な子供たちへの訪問教育の需要が多いと思いますけれども、これは病弱教育に限らず、指導回数や、指導の時間に制約があって、実際の希望にはなかなか追いついていないところがあると思っております。
それから、復学支援です。退院して地域の学校に復学したとしても、体力的、メンタル的に従前の水準ですぐ臨めるわけではありませんので、復学支援は、非常に丁寧にフォローアップしていただく必要があると思っております。入院時に在籍していた院内学級から必要な支援が受けられないがゆえに、結果として不登校になってしまうとか、子供への支援が途切れてしまうというような例もよく聞くところです。
また、病気のある子供の学びの場が、変動するケースにおいて、先ほど申し上げましたとおり、丁寧かつシームレスな教育を保障するためには、一定の期間、複数の学籍を有するようなことを認めて、切れ目のない支援があると、とてもよいと思います。
また、通級による指導については、病気のある子供が利用できる通級による指導の学級数が極めて限定的という現状があります。仮に通級による指導を受けるに当たっても、教育の場が離れている場合には、保護者への付添いが求められるわけで、そういった部分も、保護者の就労機会の逸失とか、きょうだいへの配慮という部分で大きな問題になっているという相談も受けます。
続いて、ICTを利用した遠隔教育についてです。コロナ禍もあり、文科省からもいろいろな通知等も出していただいて、近年大きく進んだ部分ではあるとは思いますし、病気のある子供にとっては、感染症対策など、遠隔教育への需要は大変高いと思います。
ただ、実際は、地域あるいは学校長の意識や、理解度によって、具体的な対応にかなりの温度差があるというのが現状です。分身ロボットなどの最先端の機器を利用して、遠隔教育を行っている学校もある一方、授業の単なる中継を保護者に頼って行っている、あるいは、そういったことすら行われないというような相談も寄せられています。
続きまして、持っていただきたい新しい視点ということで、幾つか挙げさせていただきました。1点目は包括的な家族支援で、これは子供本人への支援だけではなくて、親支援、あるいはきょうだい支援といった視点を持っていただきたいということです。
それから、医療的ケア児への支援ですが、医療的ケア児だけではなくて、者への支援という部分も、とても大事だと思っております。
移行期支援として、学校卒後の進路であるとか居場所もぜひ視野に入れて施策を検討していただきたいと思います。また、成育基本法という、これは理念法で議員立法でできた法律ですけれども、そこに成育医療等という文言がございます。これは、成育過程における医療・保健・教育・福祉を包括的に捉えるというような視点でつくられた法律ですので、こういった新しい考え方なども、ぜひ取り入れていただければと思っているところです。
丸2の特別支援学校においては、先ほどお話し申し上げましたようにほとんどの部分は、丸1と重なっておりますが、一番上のセンターとしての役割、センター的機能という部分です。特別支援教育が始まったときから、このセンター的機能というのは謳われていたと記憶しておりますけれども、実際、機能しているというような話は、私はなかなか聞きませんし、そもそもあまり知られていないのではないかと思いますので、ぜひそういった啓発を進めていただきたいと思っております。
ただ、特別支援学校の病弱部門はどうしても学校の数が少なくて、自治体によってはかなり縮小の影響を受けているということもありますので、病弱拠点の確保であるとか、そういった措置もぜひとっていただきたいと思っているところです。
最後に、まとめで冒頭に申し上げましたことを、もう一度繰り返してお話しさせていただきます。病気のある子供たちの学びの場はとても多様だということであります。小児慢性特定疾病のある子供の7割は、地域の学校の通常の学級にいるという現状があります。子供の病状によって学びの場が変わるということに対する留意、配慮が必要です。病弱教育においては、地域の学校と特別支援学校の綿密な連携が特に求められるということを強調しておきたいと思います。
資料の2ページ目以降は、児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病の基本方針というものです。これは、厚労省の社会保障審議会でつくられたものです。第七の六と七という部分には、教育に関する大事な視点も盛り込まれておりますので、ぜひこういったものも御参考にしていただいて、今後の施策を決めていただければと思います。
以上でございます。どうもありがとうございました。
【清原主査】 難病のこども支援全国ネットワークの福島慎吾専務理事、御発表ありがとうございます。病気のある子供たちの多様性、そして、多くは通常学級にいるということ、また、病状によって学ぶ場の変更があるということを前提としながら、合理的配慮における合意形成のための建設的対話の重要性はじめ、多くの視点を御提案いただきました。ありがとうございます。
それでは、12時少し前までの限られた時間ではございますが、4団体様からの御発表のあった内容について、委員の皆様と質疑応答の時間を設けたいと思います。委員の皆様、Zoomの挙手ボタンを押していただき、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
それでは、川合委員、お願いいたします。
【川合委員】 お世話になります。川合と申します。よろしくお願いいたします。3つほど御質問させていただければと思うんですけども、1つは、特に全国ことばを育む会、古城様への質問になるかと思いますが、通級ということであれば、ほかの団体の皆様にも関わることかなと思うんですけども、特に早期支援の在り方です。
幼児段階から明確に困難が出てくる。例えば言語もそうですし、発達もそうですし、場面緘黙もそうかもしれませんけども、そういったお子さんたちの支援に関して、早い段階からの介入というものが重要かなというところがあります。それが遅れることによって、学習面とか、コミュニケーション、社会性、それから心理的な側面、そういったところも大きく影響してくるかなと思うんです。
こういったものが、どちらかというと小学校段階に上がってから支援が行われる傾向が強いのかなというところもあり、とはいえ十分になされていないという御意見もあったかと思うんです。教育課程上で、予防的な支援であるとか、その支援の早期化というところの在り方、この辺りについて、こういうふうにしたほうがいいんじゃないかとか、そういった御意見があれば教えていただきたいというのが、1点です。
もう一つが、特にこれは言葉の教室に関係すると思うんですけども、中高段階での支援というものがどうしても不足してしまっている現状があるかなということです。一方で、構音障害とかであれば、小学校で支援が完了することもあるかなということなんですけども、以前の調査では、特に中高段階では、例えば制服が違うとか、授業のほうや部活動が忙しいからということで、なかなか支援を受けたがらない人もいるんですよという御意見もある一方で、やはりその支援の充実も必要かなというところがあると思うんです。
こういった中高段階、特に高校なんかも距離が離れていたりとかもするかと思うんですけども、柔軟に支援が行われる仕組みを、どういうふうに教育課程の中で構築していくべきかということについて、何か御助言がありましたら教えていただきたいなというのが、2点目です。
最後に3点目なんですけども、先ほど丹治委員からもございました、いわゆる自己理解といいますか、セルフアドボカシーというのは非常に重要な観点かなと思っております。一方で、困難というのは誰しも人生に起こることであって、例えばレジリエンシーとか、ハーディネスという言葉も出てくるんですけども、そういったいわゆる2次障害。先ほども、支援が遅れると2次障害が出やすいと、そういった研究成果もあるわけなんですけども、そういった2次障害というところの予防や支援に関して、この辺りをどういうふうに、例えば自立活動の中で位置づけるべきかみたいなところで、もし何か御助言がありましたら、教えていただければと思います。
以上、3点についてよろしくお願いいたします。
【清原主査】 川合委員、ありがとうございます。そのほか、御質問のある方、いらっしゃいますか。
それでは、御質問が今すぐないようですので、今の御質問に、ことばを育む会の古城様、早期発見、早期支援の重要性と、遅れることの負の影響を踏まえて、予防的な措置、早期対応について御意見がありましたら、お話しいただけますでしょうか。
【全国ことばを育む会】 私どもの対象にしている児童の中には、言葉の障害もありますが、難聴の子供たちもいます。やはり、早期発見ということがその後のケアに非常に手厚くつながっていくということも、紛れもない事実だと考えています。3歳児健診というのはもちろんありますけども、その前に、新生児の検診もあるとお聞きしていますが、この辺りの体制をきちっとやっていくというのが、まず1つは予防的なものだと考えるところでございます。
それが早い動きにつながっていくということ。とにかく、早くこの子の状況がどうであるということを分かるということが大事だと思っていますけども、その具体的なやり方というところについては、まだ私どもも考え及ぶところはあまりないところです。
それと、2番目に中高における支援ということでお話しいただきました。先ほど、個別の指導計画が高校に行くに当たっての非常に重要なものであるというお話もいたしましたけれども、今の私たちの中で重要に考えておりますのが、中学校への通級指導教室のことばの教室の設置がまだまだ進んでいないというところを考えております。
ここがずっと進んでいって、そして、そこの場で、しかるべきこういった支援を受けてきたという事実が指導計画の中にきちっと記されることで、後の受験ですとか進学の中で、それがきちっと物を言ってくるというふうに、みんな親たちは話をしているところなんです。
そこのところに行くためには、中学校への通級指導教室の設置をきちっと進めていただくというのが、1つの環境的な整備かなと思っているところでございます。
申し訳ありません、3つ目のセルフアドボカシーにつきましては、ちょっと。
【清原主査】 ありがとうございます。ただいまの御質問について、全国ろう学校PTA連合会のお立場ではいかがでしょうか。早期発見の意義、そして中学校、高等学校段階への支援の不足が言われる中で、どのような支援が必要かということについて、もし御意見がありましたら、いかがでしょうか。
【全国ろう学校PTA連合会】 ろう学校の場合なんですけれども、途中で説明させていただきましたが、難聴児相談支援センターというものができました。それは、ゼロ歳のときに難聴の疑いがある、ないというのはすぐ分かります。分かれば、早期に対応することができます。
私が報告させていただいたのは、それが分かったときの保護者の気持ちがなんとも揺れてしまうので、そこを支援するために、相談支援センターがあるということです。センターが次の療育にきちっとつないでいく役割をする、そういう感じです。
【清原主査】 鈴木様、ありがとうございます。中学校、高等学校との関係については、何か御意見ございますか。切れ目のない支援についてですが。
【全国ろう学校PTA連合会】 中学校、高等学校のところでの話は、すみません、よく分からないです。
【清原主査】 分かりました。ごめんなさい、失礼いたしました。
それでは、川合委員、最後の3番目のセルフアドボカシー、2次障害からの予防については、どなたか、特に御指名はございますか。
【川合委員】 特にはないんですけど、例えば先ほどのJDDnetさんであるとか、場面緘黙親の会様であるとか、先ほどもその辺りの心理的な部分というのをいろいろとお話しいただけたかと思うんですが、さらなる御意見があればと思います。
【清原主査】 分かりました。それでは、まず、先ほどの4団体の皆様についての御質問を伺って、それがあまりないようでしたら、今のセルフアドボカシーについて、前半の団体の皆様にアドバイスをいただければと思います。
これまでの4団体について、御質問ございますか。いかがでしょうか。よろしいでしょうかね。
それでは、川合委員から御質問がございました、自己決定、そして自己理解、セルフアドボカシーについて、発達障害ネットワークの皆様、あるいは場面緘黙親の会の皆様で御意見のある方、いらっしゃいますか。いかがでしょうか。
それでは、まず是永委員、御発言お願いします。
【是永委員】 すみません、これは時間があればで構いません。先ほど発言していただいて、そのままだった部分も含めて、専門性に関しては、皆さん、関心が高いことがすごく分かりました。対象児数も具体的に出してくださったので、国レベルなのか、地方・県レベルなのか、市町村レベルなのかで、いかに専門性を担保するのか、また、その専門性って何なのかということも含めて。
大塚さんも指摘してくださったような新たな免許の設立は望ましいのですが、教員不足がかなり深刻な中、最低限の専門性をいかに保障するのか。福祉領域の研修についての言及がありましたが、オンライン研修なども含めて、よいアイデアがあれば教えてください。これは新たな質問なので、触れられなくても仕方ありませんけど、一応質問です。
【清原主査】 ありがとうございます。セルフアドボカシーのこととも関連して、ただいま是永委員から御質問いただきました、どのような専門性を特別支援教育に求めるかということについても含めて、それでは、大塚様、御発言をお願いいたします。
【日本発達障害ネットワーク】 ありがとうございます。まず、セルフアドボカシー、(自己決定を含む。)の件なんですけども、児童生徒のみならず、成人においても、あるいは知的障害、発達障害、あるいは精神障害の分野においても自己決定というのは大きな課題になっています。福祉分野では、各施設や事業所の最低基準に意思決定支援が位置づけられ、本人の意思、選好及び価値観を視した「支援付き意思決定」が行われています。また成年後見制度においても、後見人等による代理・代行決定から意思決定支援への変更が議論されています。
学校教育においても、ぜひ意思決定支援というのを明確に位置づけていただいて、本人をエンパワーメントすることによって、児童生徒などがさまざまなことを自分で決定するスキームを導入していただきたいと思います。ある学者さんのデータであると、丁寧な意思決定支援をした場合、特別支援学校卒業後の就労について、定着率がよいというデータを出されています。そういう意味で、ぜひ、学校教育に意思決定支援を位置づけていただきたいというふうに思っております。
それから、もう一つ、専門性の確保は、もちろん私たちも気になることです。ただ、専門性をどのように確保していくかは、今後の課題だと考えています。1つは、免許制度があります。例えば、国家資格は、専門性を担保するものです。そこには、標準的な知識・技術を獲得しているということがあるかもしれません。ただ、それによってそれぞれ個々の児童生徒への専門性が確保されるということでもないと考えています。発達障害の専門性とは何でしょうか?標準的な知識・技術の上に、個々の児童生徒に対応できる2階建ての専門性があると思っています。そのような専門性は、現場における研修などによって獲得していくものであるかもしれません。そういうことも含めて、専門性の全体を構築していく必要があるのではないかと考えています。以上です。
【清原主査】 ありがとうございます。免許制度のみならず、適切な研修の意義というのも、専門性の中でお答えいただきました。ありがとうございます。
それでは、場面緘黙親の会の辻田様、御発言をお願いいたします。
【場面緘黙親の会】 ありがとうございます。セルフアドボカシーについて、場面緘黙のお子さんですとか、当事者の方というのは、社会的な場面でも発話が難しいということで、本人から直接意思を確認するということは非常に難しいというふうに思います。
なので、やはり教員の方ですとかは、保護者の方に、お子さんはおうちでならお話ができますので、今日の取組はどうだったかみたいな話とかも、おうちで各本人の意思を、お母さんを通して確認していただくという方法をとっていただくのがよいかなと思います。
あと、緘黙のお子さんは表情とかも緊張して固まってしまうので、教員がやってあげて、実は喜んでいたとしても、教員にそれが伝わらなくて、保護者から聞かないと、あまりうれしくなかったのかなというふうに思ってしまって、同じような方向性に向いていないと。よかれと思ってやっていることが、本人様にとってあまりよくない。逆もまたございますので、本人の意思を確認するというのが難しいと決めつけるのではなくて、おうちで話せるということに注目していただけるとよいかなと思いますので、その意味では連携という視点が非常に重要だというふうに思います。
それは、前半のほうでいただいた是永委員からの質問にも関連していますので、個別に尋ねるときも、お子さんがしゃべらないから、意思がないというふうに思うのではなくて、おうちでは意思がちゃんと表現できるので、そちらを間接的に吸い出していただいて、反映させていくというような方法が望ましいかなというふうには。
【清原主査】 なるほど、ありがとうございます。
【場面緘黙親の会】 ありがとうございます。
【清原主査】 個別支援計画の内容についても、本人はもとより、保護者と連携することで、複眼で子供を中心とした計画を教員が策定していくという示唆をいただいたと思います。ありがとうございます。
そのほか、先ほど前半で是永委員から個別支援計画のベストプラクティスについてもということがございました。PTAの方で、あるいは後半、御報告いただいた方で、個別支援計画のベストプラクティスというようなもので、事例をお話しいただける方はいらっしゃいますか、いかがでしょうか。
全国盲学校PTA連合会の方、挙手ボタンでしょうか。よろしいですか。それでは、御遠慮なく御発言くださいませ。伊林様、どうぞ。
【全国盲学校PTA連合会】 私の経験も踏まえてなんですけれども、盲学校では、大体通級ではやっぱりうまくいかないということで、盲学校に来るお子さんというのは結構いらっしゃいます。通級においても、個別指導計画書みたいなものは一応作っていただいていますが、盲学校に来ると、本当に多岐にわたって細かく見ていただいているなと感じます。
それこそ準ずる課程の方とか、併せ有する課程の方、それぞれやり方は違いますけれども、ふだんの教科の評価だけではなくて、本当に生活のちょっとした発言が自分ができたとか、ちょっとしたことに関しても全部評価をしていただいて、それを踏まえて、次はこの問題に行こうというのを細かく計画していただいて、何ページにもわたるものを作っていただいているので、私は初めて見たとき、すばらしいなと思いました。
学校との連携をもっと密に、面談のときだけでなく、いろいろなところで先生とのコミュニケーションをとること。全盲Pでも申し上げましたけれども、コミュニケーションをいかにまめにとるかということが、そういう個別指導計画書の充実に繋がると思いますので、こちらのほうを細かくやっていただけると、本当にありがたいと思います。
【清原主査】 伊林様、ありがとうございます。子供を対象に、多元的視点で対話し、観察し、評価し、成長の連続性を培っていく上で、学校の教員、保護者、そして専門職等のコミュニケーションが大切であり、そのことが子供のコミュニケーションも豊かにしていくということに繋がるような御示唆をいただきました。ありがとうございます。
そろそろ予定の時間になっております。皆様、本日の御報告をいただいて、質問したいこと、あるいは意見交換したいこと、まだまだ多々あると思いますが、時は金なりでございます。皆様、本当に貴重なお時間を割いていただき、11時58分となっておりますので、そろそろまとめとさせていただきます。
本日、9団体の皆様から、実態に基づいた、しかも今後の教育課程を検討していくに当たって、大変重要な視点を多々提起していただきました。まさに皆様の思いを込めたお言葉、一つ一つ、私たち委員は真摯に傾聴させていただきました。これからの検討に、必ず皆様の御提案を反映していきたいと思います。
もちろん、全て反映できることは難しいかもしれませんけれども、皆様の問題意識を共有させていただきましたことに感謝をいたします。
それでは、早朝より御参加いただきましたヒアリングの対象団体の皆様、そして、委員の皆様に心から感謝いたします。それでは、時間も参りましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。
最後に、事務局から今後の次回以降の予定について、御報告をお願いいたします。
【酒井特別支援教育企画官】 事務局でございます。次回の開催日程につきましては、11月25日、火曜日、15時から17時を予定しております。詳細につきましては、改めて委員の皆様に御連絡いたします。
以上でございます。
【清原主査】 ありがとうございます。第1回で委員の皆様の問題意識を共有させていただきました。そして、私たちの取り組むべき課題も、もちろん共有させていただきました。そして、第2回の本日は、まさに特別支援教育の関係者でいらっしゃる各団体の皆様に、貴重な御提案をいただきました。
これらを、私たち、しっかりとそれぞれ委員が反芻し、検討させていただき、また第3回以降の審議に生かしていきたいと思います。
それでは、心から感謝して、本日の第2回のワーキンググループを閉会といたします。
皆様、季節の変わり目でございますので、どうぞくれぐれも御健康に留意されてください。本日はありがとうございました。
失礼します。
―― 了 ――