令和8年2月5日(木曜日)10時00分~12時00分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【秋田委員長】 皆さま、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから「第4回幼児教育ワーキンググループ」と「第5回保育専門委員会」を合同で開催いたします。お忙しい中、ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、「幼児教育と小学校教育との円滑な接続について」を議題として、ご議論をいただく予定でございます。まず、事務局よりご説明いただいた後、意見交換を行います。それでは、まず初めに事務局よりご説明をお願いいたします。
【上遠野子育て支援指導官】 それでは、資料1について説明いたします。1ページをご覧ください。本日ご議論いただきます、幼児教育と小学校教育との接続の現状と課題についてお示ししております。まず、平成29年に公示された幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領や、小学校学習指導要領においては、育成を目指す資質・能力が系統的に示されるとともに、幼児教育と小学校教育との円滑な接続について明記されました。この推進を図るため、令和3年から中央教育審議会において「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」を設置し、調査審議を行い、令和5年2月に「審議まとめ」が取りまとめられました。この審議まとめでは、四角囲みの2つ目のポツにあるように、「5歳児から小学校1年生の2年間を「架け橋期」と称して焦点を当て、0歳から18歳までの学びの連続性に配慮しつつ、「架け橋期」の教育の充実を図り、生涯にわたる学びや生活の基盤を作ることが重要」とされたところです。ここで一旦、幼児教育と小学校教育の特徴について、2ページをご参照いただければと存じます。表にあるとおり、幼児教育と小学校教育とでは様々な視点で違いを有しておりますが、4段目の「育成を目指す資質・能力」については、幼児教育には「基礎」が付いているところもありますが、どちらも「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」で系統的に示されております。また、一番下の段の「教育の方法等」においては、「遊びを通した指導」と「各教科等の授業」といった違いはあるものの、現在、小学校以上で進められている授業改善の方向性は、子供それぞれの興味・関心や一人一人の個性に応じた多様で質の高い学びを引き出す観点から、幼児教育の「環境を通して行う教育」の考え方とつながっているということができると考えております。
1ページにお戻りください。このように違いを有しつつも、学びの連続性に配慮して、架け橋期の教育の充実を図ることを示した「審議まとめ」を踏まえて、国は各地域において、幼保小はもとより、全ての関係者が立場を超えて連携・協働し、架け橋期のカリキュラムの作成、実施、評価、改善等を通じて、全ての子供に学びや生活の基盤を育む「幼保小の架け橋プログラム」を推進してまいりました。こうした施策も含め、幼児教育と小学校教育との円滑な接続に向けては、各地域において一定の成果を上げている一方、全国的に見ると未だ十分とは言えない状況にあります。吹き出しの中に、それぞれの立場からの課題感を挙げておりますので、ご紹介いたします。まず、幼児教育施設等の課題感です。1つ目のポツ。スタートカリキュラムを編成し、合科的・関連的な指導や弾力的な時間割の設定など、指導の工夫や指導計画の作成を行うことが十分に行われていないこと。2つ目のポツ。一部の小学校では特に課題や困り感がなく、接続の必要性を感じていないこと。3つ目のポツ。一部の小学校からは、幼児教育が企図しない、例えば「私語をしない」「黒板を向いて一斉に座っておく」といったような“授業を受ける態度”を身に付けることや、各教科等の先取りを求められてしまうこと。4つ目のポツ。接続の取組が子供同士の交流活動や特別な配慮を必要とする幼児に関する引継ぎで終わってしまう場合があること、などが挙げられます。
次に、小学校の課題感です。1つ目のポツ。幼児教育施設によっては教育の質にばらつきを感じること。例えば、一部の幼児教育施設には、「学びに向かう力、人間性等」ばかりを重視していて、「知識及び技能の基礎」や「思考力、判断力、表現力等の基礎」を育む指導が不十分に感じる場合や、遊びを通した指導とはかけ離れた個別の知識や技能の習得のみを目的とした指導により、課題を感じる場合もあること。2つ目のポツ。幼児教育においてどのような資質・能力を育成しているのかが分からないこと。このため、小学校の先生にとって、自身の指導において具体的にどうすればよいかが分からないこと。3つ目のポツ。子供の交流活動が形式的なものとなってしまっており、小学生にとっての学びとなっていないこと、などが挙げられています。
また、両者の連携体制についても課題があります。1つ目のポツ。関係者間で接続の重要性や必要性に対する認識共有ができていないこと。2つ目のポツ。行政内の部局間での情報共有や調整が不十分であること。3つ目のポツ。複数の園・校と調整することが難しいこと。4つ目のポツ。担当者の異動や引継ぎ不足により、接続の取組が途切れがちであること、などが挙げられます。
4ページをご覧ください。こうした課題を踏まえて、幼児教育と小学校教育との接続の改善に向けた論点案をお示ししております。まず、上段の枠囲みに記載しているのは、小学校の課題感にもありましたが、そもそも接続の前に、全ての幼児教育施設が3要領・指針に基づいて、幼児教育の質の向上を図るべきという問題意識からの論点となっております。特に、「学びに向かう力、人間性等」のみならず、「知識及び技能の基礎」、「思考力、判断力、表現力等の基礎」を一体的に育む指導の改善・充実や、個別の知識や技能の習得のみを目的とした指導、特定の知育プログラム等に従った指導ではなく、自発的な活動としての遊びを通しての総合的な指導による資質・能力の育成に向けて、どのような方策が考えられるかについてご意見いただきたいと存じます。
また、下段の枠囲みをご覧ください。全ての幼児教育施設における幼児教育の質の向上を図った上での、小学校との接続を図る観点からの論点を示しております。各地域において、接続の重要性・必要性の理解が促進され、幼児教育施設と小学校とが連携し、幼児教育の学びと小学校教育の学びとが円滑に接続するために、どのような方策が考えられるかについてご意見いただきたいと存じます。この枠囲みの中には、これまで国が進めてきた「幼保小の架け橋プログラム」の実践などから分かったことなどを例示しております。
また、17ページをご覧ください。「幼保小の架け橋プログラム」の成果をご紹介いたします。左側のグラフでは、「幼保小の架け橋プログラム」事業の採択自治体を濃い緑色、その他の自治体を薄い緑色で示しております。ご覧のとおり、接続に取り組んでいる中で改善された小学校の課題のうち、赤線で囲まれている「主体性を発揮する児童の姿の増加」「友達と協働的に関わる児童の姿の増加」「登校渋りの児童の減少等」を選択する割合が、採択自治体のほうが多いことが分かります。右側は自由記述の分析です。幼児教育施設と小学校の管理職や学級担任等の記述から、1つ目の丸、接続の取組を通じて、幼児教育施設と小学校の双方において様々な点で改善が進み、子供たちの学習や生活の基盤の育成につながったこと。また、2つ目の丸、小学校との交流活動を通じて、5歳児の小学校入学に対する期待感が高まり、不安が軽減されたこと、小学校1年生になった後も幼児期の学びを生かした授業が展開されるようになったこと、などを通じて、幼小間の段差の解消が進み、小学校の学習や生活への円滑な移行が促されたことが明らかになりました。
続いて、18ページをご覧ください。ここでは、幼児教育施設と小学校の管理職や学級担任等に対して、接続の取組を通じて、子供への関わりや指導方法に変化があったかどうかを聞いた際の回答の割合を示しています。変化があったと回答した割合は全ての対象者で高く、学級担任等の割合で言えば、幼児教育施設で約70%、小学校で約76%でした。このように、接続の取組は幼児教育施設と小学校の双方の教育の質の向上によい効果を与えていると言えます。
4ページにお戻りください。こうした成果を挙げるための取組について、左側に、これまで各地域で進められた取組を例示しておりますのでご参照ください。特に、1つ目の丸、幼児教育の学びと小学校教育の学びの接続のための取組については、1つ目のポツ、互いの教育への共通理解の促進と、それに伴う専門性を発揮した教育の互恵的な充実。2つ目のポツ、園・校が育みたい資質・能力等を共有し、架け橋期のカリキュラムを協働して作成、を挙げております。この2点に関連して、より具体的にご議論いただけるよう論点を挙げておりますので、5ページをご覧ください。1つ目のひし形。幼児教育と小学校教育との円滑な接続を図る具体的方策の1つとして、全ての幼児教育施設と小学校において、育みたい資質・能力等を共有し、「架け橋期のカリキュラム」が協働して作成されるようにするため、どのような方策が考えられるか。2つ目のひし形。「架け橋期のカリキュラム」の作成に当たっては、幼児教育と小学校教育との学びの繋がりが、子供の資質・能力の一層の育成に資するよう、幼児教育と小学校教育のそれぞれの専門性を発揮した教育の互恵的な充実を図ることが重要ではないか。これに関連し、下半分に示している「学びの繋がりを踏まえた幼児教育と小学校教育の互恵的な充実を図る取組のイメージ」についてご説明いたします。
まず、丸1、幼児教育施設において、幼児の自発的な遊びを通してどのような資質・能力が育まれているか、幼児の姿を通して見取ること。イメージ例として9ページをご覧ください。この資料は、幼児教育施設において幼児の遊ぶ姿を記録したものです。ただ、子供が何をどう遊んだかといったような外形的な記録ではなく、各四角囲みのタイトルにあるように、「背景や教師の願い」、「数的な学びの芽生えの姿を取り出したエピソード」、「考察」、「環境構成のポイント」、「教師の援助のポイント」、「エピソードから見られた数的な学びの芽生えキーワード」について記録されており、すなわち、幼児教育施設の先生が幼児の姿からどのような資質・能力が育まれているのか、どういった学びが芽生えているのかを見取って記録しているものになります。
5ページにお戻りください。こうして見取った資質・能力について、丸2、小学校の各教科等の学習にどのように生かすことができるかという視点から、資料を作成・共有するなどし、対話を通じ共通理解を図ることとしております。イメージ例として6ページをご覧ください。スライドの真ん中に資料例を掲載しております。幼児教育施設において、園内共有のため、あるいは、保護者へのお知らせのために作成したドキュメンテーションをイメージしております。この資料例の中にも、子供の姿から見取った学びが書かれております。このスライドは、資料例を基に、幼児教育施設と小学校の先生が対話するイメージとして作成しておりますが、資料例の一番上に「本日の議題:遊びを通して育まれる資質・能力について」とあるように、まだ連携の初期段階に、小学校の先生たちに幼児教育のことを理解してもらおうとして開催された合同会議の一場面とお考えください。次に7ページは、同じ資料例を使っておりますが、連携がもっと進んだ時期に、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の1つである「言葉による伝え合い」を共通の視点として対話するイメージとして作成しております。こうした共通の教育的視点をもとに対話することを通じて、互いの教育を理解し、学びの繋がりについて共通理解を図った結果、8ページのような資料を作成するといった事例もございます。本資料は、幼児教育施設と小学校の先生が対話しながら、幼稚園の3歳児の砂遊びにおける気付きから、小学校6年生までの生活科や理科の学習への繋がりを可視化し、作成した資料です。
また、10ページをご覧ください。本資料は、9ページのような幼児の遊びのエピソードと考察の記録を積み重ねた上で、小学校の先生方に伝えるために、幼児の遊びの中にどのような数的な学びの姿が見られたかという結果として、小学校の算数の視点で表にまとめたものです。資料の左上の緑色の四角囲みが9ページのエピソードを掲載したものであり、その他の記載1つ1つに9ページのような遊びのエピソードと考察が紐付いております。このように、幼児教育と小学校教育の学びの繋がりについて、8ページのように対話を通して可視化していくということもあれば、幼児教育施設が作成した9ページ、10ページの資料を使って小学校と対話するということも考えられます。
5ページにお戻りください。こうした対話をする際の「共通の教育的視点」として考えられる例を、丸2の四角囲みの中に記載しておりますのでご参照ください。続いて、丸3、架け橋期のカリキュラムを幼児教育施設と小学校とで協働して作成、になります。四角囲みにあるとおり、幼児教育施設においては、遊びを通して一体的に育まれた資質・能力が小学校の各教科等の学習にどのように繋がるかを捉え直し、5歳児のカリキュラムの充実や環境構成の工夫を考え、また、小学校においては、幼児教育施設において育まれた資質・能力をどのように各教科の学習に生かせるかを捉え直し、スタートカリキュラムの工夫や各教科の指導の充実を考えながら、協働して架け橋期のカリキュラムを作成するということを示しています。10ページ、11ページをご覧ください。このような過程を経て、協働で作成された架け橋期のカリキュラムの例を掲載しております。11ページが幼児教育施設のカリキュラム、12ページが小学校のカリキュラムで、どちらも冒頭に共有する「目指すこども像、育てたい資質・能力」を記載しつつ、「育ってほしい子供の姿」を資質・能力の観点で記載したり、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」との関連を文末に括弧書きで記載したりするなど、学びの繋がりをカリキュラムで示しています。
5ページにお戻りください。こうして協働して作成した架け橋期のカリキュラムを基に、丸4、各園・校において具体的な指導計画を作成して実践を進めるということになります。以上が、「学びの繋がりを踏まえた幼児教育と小学校教育の互恵的な充実を図る取組のイメージ」になります。このイメージも参考に、2つ目のひし形にある、学びの繋がりが子供たちの資質・能力の一層の育成に資するよう、それぞれの専門性を発揮した教育の互恵的な充実を図ることが重要ではないかについてご意見いただければと存じます。
また、3つ目のひし形。幼児教育施設及び小学校に過度な負担を生じさせないよう留意する必要があるが、そうした観点を踏まえてどのような方策が考えられるか。また、複数の園と複数の小学校が関係する場合など、生じうる課題への対応についてどのように考えるかについてもご意見いただければと存じます。前者については、文中の括弧書きにもあるとおり、小学校の調整授業時数制度の活用も考えられます。28ページをご覧ください。現在、学習指導要領の次期改訂に向けて、総則・評価特別部会において議論されている調整授業時数制度の仕組みの方向性について補足いたします。非常に大雑把に申し上げると、小中学校において各教科等の授業時数の一部を減じ、その減じた時数を他教科等に上乗せしたり、教科の新設を行ったり、「裁量的な時間」に充当したりできる制度として検討されているものです。29ページをご覧ください。この「裁量的な時間」の類型として、「学習枠」と「研究・研修等枠」が検討されておりますのでご参照ください。5ページにお戻りください。こうした点も含めまして、幼児教育と小学校教育との接続の改善に向けてご議論いただければと存じます。事務局からの説明は以上です。
【秋田委員長】 説明をどうもありがとうございました。続きまして、国の幼保小の架け橋プログラム事業を受託し、幼児教育と小学校教育との接続を推進してこられました滋賀県の取り組みについて、村地委員よりご発表をお願いいたします。
【村地委員】 滋賀県湖南市立石部南小学校の村地和代です。私の前職は滋賀県教育委員会事務局幼小中教育課に所属しており、当時「幼保小架け橋プログラム事業」を担当しておりました。私からは、その実施状況と小学校現場に戻ってからの幼保小接続の取り組みについてご報告させていただきます。本県は平成27年度から幼保小接続事業「学びに向かう力(育み)推進事業」を実施し、令和2年度からは小学校の加配教員が保育に参画し、接続カリキュラムの検証改善に取り組んでいます。しかし、研究指定校は熱心ながらも終了後の継続が難しく、地域差も大きく、取り組みが「点」にとどまり、「面」として広がりにくい状況でした。また、研究指定は公立園のみを対象としており、現場の実態と乖離がありました。加えて、行政も施設類型ごとに担当課が分かれ、企画運営を協働で行う体制は整っていませんでした。幼児教育センターの設置もありません。一言で言うと、「広がらない、連携していない、ないないづくし」の状況でした。令和4年度に架け橋プログラム事業を受け、研究を進めることとなりました。これはチャンスだと思いました。国の委託事業を1つのモデル地域で終わるのはもったいない。この機会を生かして、まずは全県的に研究成果を波及できる仕組みや枠組みを整えることが行政の立場としての使命であると考え、画面に示しているような仕組みを考えました。県の指定校区は昨年度からの継続地域があります。架け橋プログラム事業と県の接続事業を連携させることで、継続地域からも研究の成果を共有できるので、ゼロからのスタートにならないと考えました。また、新規地域と継続地域の指定年度がずれていることから、令和5年、6年、7年と新規地域へ研究の成果を直接波及できるとも思いました。幼保小接続の研究が終了すると、継続しにくい理由の1つとして、県内で作成されている接続カリキュラムが考えられました。県内で作成されている接続カリキュラムは、年度途中でカリキュラムを見直しにくい。また、小学校のスタートカリキュラムは小学校単独で作られることが多く、校・園の連携が弱い傾向にありました。そこで、滋賀県版「架け橋期のカリキュラム枠」を開発することで、持続的、発展的な幼保小接続を目指すこととしました。県として完成されたモデルを示すのではなく、あくまでも「枠」を提供し、中身については校・園で検討してもらうというものです。開発したカリキュラム枠の特徴は、園と小学校が協働で作成する「共通シート」と、「実践記録」から構成されている点にあります。共通シートは、「期待する子ども像」「期待する子ども像に関連がある10の姿」「期待する子ども像に迫るために大切にしたいこと」の3つの共通視点で構成されています。この3つの視点を園と小学校が共に語り合うことで、互いの保育教育の理解につなげたいと考えました。しかし、共通シートだけではきっと作成して終わりになるとも思いました。そこで、保育授業を実施し、10の姿が見られた子供の姿を描き出す実践記録を作成しました。AARサイクルで実践を振り返ったり、カリキュラムを見直したりすることで、持続的、発展的な幼保小接続となるとも考えました。
しかし、事業計画はあくまでも計画です。理想と現実は大きく異なりました。実際に、モデル校・園の足並みが揃うまでには、いくつかの壁が立ちはだかっていました。壁の1つはリズムとペースの違いです。施設類型の違いがあれば、そこに所属している様々な立場の思いは異なります。県としてカリキュラム枠を作成すれば、施設類型の違いを超えた幼保小接続が実現するのではありませんでした。実際、様々な会議の場を設けるものの、なかなかうまく進みませんでした。研究の見通しを持ち、段取りよく進めたい校・園もあれば、どのように進めれば良いか分からない校・園もあります。リズムやペースが異なることが意見のぶつかり合いとなり、互いの保育教育の良さを見出しにくくする要因ともなりました。初めて校・園のベクトルが揃ったのは、期待する子ども像を校・園で話し合い、共通理解し、幼保小接続が自分ごととなった瞬間でした。壁の2つ目は理想とする保育授業の違いです。施設類型の違いがあれば、各々の文化や背景は異なります。そのことが校・園の方針や取り組み、保育授業の違いに現れます。細かく言えば、保育園指導案の書きぶりだって違うのです。そういった違いを受容できないことによるボタンのかけ違いが、心の壁を作る要因ともなってしまったことがありました。また、会議数が多くなったことも校・園の負担感になってしまいました。1年目の課題を踏まえ、2年目は会議数を精選するとともに、それぞれの校・園の状況に応じて、同じゴールを同じペースで目指すのではなく、それぞれの一歩を進めることで、持続可能な幼保小接続の体制づくりを目指しました。互いの個性と現状を受け入れて協働するためには、まずは互いを認め合い、取り組みの良さを取り入れる受容の姿勢が大切だということが分かった1年目でした。
限られた時間内でとにかく作ってみようと作成した架け橋期のカリキュラムは、いくつか課題を残したまま次年度へ引き継がれました。その課題の1つが、小学校へ複数の園から子供が入学する場合、カリキュラムが複数枚になるということです。そこで、研究2年目は複数の園のカリキュラムを1つにまとめることとしました。対話を通して、園の取り組みは異なりますが、大切にしたい共通の活動は同じであることや、園と小学校の活動のつながりを捉え直すことができました。架け橋期のカリキュラムは作成することがゴールではありません。園と小学校が心を合わせて協働して語り合うことで、互いの保育教育の違いを理解したり、共通点を見出したりすることにつながりました。完成を急ぐのではなく、対話を大切にしようと共通理解しました。
先ほどからカリキュラムの話を申し上げていますが、幼保小接続で目指したいことは保育授業改善です。しかし、現状はカリキュラム作成にとどまり、10の姿を意識した保育授業改善はなかなか進みませんでした。そこで、子供を主体とした保育授業を先生が計画段階から意識し、実践できるように、「滋賀県版学びのサイクルデザインシート(通称:ぐるぐるシート)」を開発しました。子供の学びは「やってみたい」と心が動き、「どうしたらいいかな」と自分なりに考え、「こういうふうにしてみよう」、実際にやってみたらうまくいった、うまくいかないとぐるぐる展開していきます。この子供の主体の学びのサイクルは、1年目の成果物であるガイドブックにも掲載しているものなんですけれども、幼児教育でも小学校教育でも意識することが保育授業改善の肝になると考えました。まずはやってみようと県内の指定校・園へ働きかけ、実践いただきました。実際に作成いただくと、「これはとても良い、子供の思考の流れがとても分かりやすい。」「保育園や小学校の指導案を読み解くことはなかなか難しいけれども、これだと視覚的に誰が見ても分かりやすい。」「他の先生方と子供の様子を共有できる。」「子供の気持ちを考えながら吹き出しを考えるのが面白い。」「予想した姿が出てくると「やった」と思う」と好評でした。
小学校の実践です。この実践が生まれる前に、夏期休業中に本シートを活用し、施設類型の違う先生方と保育園指導案検討を行いました。小学校の実践者は、園の先生から「秋見つけは、秋見つけをするよというところから始まるのではなく、日々の散歩の中から始まることや、秋の自然物を使った遊びも教師のほうから提示するのではなく、子供たちの発想から始まるということを教えていただいた」とおっしゃっていました。また、施設類型の違う先生方で保育計画を立てた際も、「いろんなアイデアが出てきて、2学期の保育が楽しみになりました」とおっしゃっていました。本シートを媒体とし、子供の思考を中心に据え、協働し語り合うことで、新たな視点や実践の手がかりを得られます。幼保小接続は決して大変なことではなく、幼保小の教職員が語り合うことで保育授業が変わる、そのことが子供の変容につながるということが実感できることが大切だと思います。実際に、校外の遊びが少ないなと感じた保育者が、他園の実践を積極的に取り入れ、カリキュラムを変えたということも見られました。
そして、いよいよ3年目となるのですが、私は行政の立場から小学校現場へ戻ることとなりました。着任した小学校はスタートカリキュラムすらないという状況でした。まずは「架け橋やってみませんか」と、近隣園へ声をかけて、1年をかけて少しずつカリキュラムを作っていきました。そして、今年度の4月の1年生の様子をご紹介させていただきます。1年生の隣のクラスは生活科室です。しかし、生活科室とは名ばかりで、ただ机と椅子が置かれている普通教室と変わりありませんでした。そこを園と同じように、子供たちが好きなことを選んで遊ぶことができるように環境から整えました。小学校入学直後から、登校した子から隣の生活科室で好きな遊びを始めていきます。先生に指示されるのではなく、園で育まれた力を生かすという視点を取り入れました。生活科室にとどまっている子供たちではありません。学校中を探検し、発見し、「はてな」が生まれてきます。いろんなお部屋にどうやって入るのという「はてな」、国語科の「なんて言おうかな」で学んでいきます。生活科としても学校探検の時間を取っています。1人1台端末がありますので、カメラ機能を伝えるとたちまち習得する子供たちの姿がありました。ここは家庭科室なんですけれども、同じものがたくさんある、「家と違うね」「きっとここで給食を作っているんだよ」なんていうつぶやきもありました。自然と掲示物にも着目し始めます。ここは地域ボランティアさんのコーナーです。場所だけではなく、人や活動にも「はてな」が生まれていきます。「はてな」が生まれたら、聞いてみたいと自然と自主的にインタビューに行く姿がありました。手にメモ帳らしき物を持っている姿が職員室でも見られました。子供たちは忘れないようにと自分たちで考えたようでした。インタビューに行った子は帰りの会で発表していきます。先生は生活科の時間に学校探検で見つけたものをメモできるようにプリントを準備してくれました。左側の図工室って書いてあると思うんですけれども、石膏像は白い顔と大人気でした。全部の教室の名前が分かったところで、子供たちから「園の先生に伝えたい」という希望が出てきました。「どうやって伝える?」と先生が尋ねると、新入生を迎える会に6年生が僕たちにクイズを出してくれた、自分たちもやってみたいという声が上がりました。左側のプリントの子ですが、1、1階にあります。2、ベッドがあります。3、目の検査ができます。ここはどこでしょうか。保健室なんですけれども、3つのクイズの出し方にも思考・判断・表現したことが伺えます。活動や体験を通して見つけたり、遊んだり、不思議だなと感じたり、やってみたいなと思ったりしたことが、話したい、伝えたいという気持ちにつながります。それは例えば国語科における「話す・聞く」の学習活動などの動機付けとなり、恰好の学習材料となります。1人1人がクイズを出した後は、タブレット画面を見せながら説明します。話型に当てはめて話すのではなく、自分なりに工夫しながら豊かに伝える姿がありました。生活科の後の国語科の「言葉を探そう」の時間です。今まで習ったひらがなを使って、学校探検で見つけたものを、言葉を見つけて発表していました。「理科室」「時計」なんて言葉が子供たちの中から発表されました。そして、子供たちが発表したことを「書くこと」へ転化しています。合科的・関連的な指導により、自らの思いや願いの実現に向けた活動を、ゆったりとした時間の中で進めていくことが可能となります。
さて、話が戻るのですが、自主的にインタビューに子供たちが行っていると先ほど申し上げました。黄色の吹き出しの部分は帰りの会で発表したこのものが記載されているのですが、まだまだ解決できていない疑問があるなということで、もっと解決したいと生活科の時間に先生たちや上級生に聞きに行くことになりました。「学校のはてなをいろんな人に聞いて答えをゲットしよう」と担任が投げかけると、子供たちからタブレットを持っていきたいという声が上がりました。そして、ビデオを撮りたいと。これまで写真しか撮っていなかった子供たちです。早速、先生がビデオ撮影の仕方を教えて、すぐに学校探検に出かけていきました。左下の写真は校長先生にインタビューをしている様子です。「校長先生のお仕事は何をしているんですか」っていう、なかなか難しい質問をしていました。音声言語は発すると消えてしまいます。タブレットの録画機能を使い、何度も映像を見返し、内容を理解しようとする姿がありました。この実践をしてくださった先生は、昨年度も1年生の担任でした。今まではガイド型の学校探検をしていました。園の保育を参観したり、カリキュラムを作成したりすることで、今年度は「~したい」をつなぐことを意識しました。すると、子供が見通しを持ったり、「次はこうしたい」が生まれたりする学習になりました。ゆったりとした時間で自分を無理なく進めることができました。ゆったり進めているのですが、昨年度と進度が変わりません。合科的・関連的に進めたのが良かったのだと思います。子供の声を聞きながら、ゆったりと計画的に進めようとする際に役に立ったのは、やはり「架け橋期のカリキュラム」です。
それでは、架け橋プログラム事業3年目についてお話しさせていただきます。1年目は成果物として「架け橋ガイドブック」、2年目はモデル校区の保育授業における子供の学びの姿と先生方の変容を映像で捉えたDVDを作成しました。3年目は研修の改善を図り、関係機関と連携した研修を実施することとなりました。また、幼児教育センターを設置することとなりました。こういった仕組みや基盤を整えることは、前年度からビジョンを持ち、計画的に進めていくことで実現します。行政の担当者は3年程度で変わることがほとんどです。前任者から引き継いだ事業や研修を踏襲するだけでは何も変わりません。つまり、担当者が思いや願いを持ち、常に一歩先を見通しながら、関係部局と連携・協働しなければ実現できないということです。また、幼保小接続事業を校・園へ取り組みを丸投げし、指導主事が保育授業公開後の指導助言を述べるだけでは進みません。架け橋期のカリキュラム作成段階や保育指導案検討段階から、共に考え、伴走者として先生方との関わりを紡いでいくことが、先生方の心を動かすということは実践を通して学んだことです。まずは園と小学校、そして行政の立場を超えてつながることが最初の一歩だと考えます。そして、互いの違いを受け入れ、地域の子供を育むという共通の目的を持ち、対話を通して協働し、共に汗を流すことで協働となります。子供の育ちと学びをつなぐために、それぞれの立場でつながり合い、子供の学びを楽しみながら共に頑張っていきたいと思っているところです。以上で私からの報告を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【秋田委員長】 村地委員、本当にワクワクするような具体的なお話を行政から小学校へという中でお話をいただきまして、ありがとうございます。それでは、ただいまのご説明、ご発表を踏まえまして、村地委員へのご質問も含め、ご議論をいただきたいと思います。ご意見、ご質問のある方は挙手ボタンを押していただき、私のほうから指名をさせていただきますので、発言時はミュートを解除してお話をいただきます。ご発言は3分程度におまとめください。発言の際には、事務局から説明のあった資料に触れる場合はですね、具体的に資料のページ番号を明示いただければ、事務局のほうで資料をご提示、投影いただけるということですので、ご協力をお願いいたしたいと思います。それでは、意見交換の時間としたいと思いますので、どうぞ皆様にご発言いただきたいので、挙手をお願いいたします。岸野委員、お願いいたします。
【岸野委員】 事務局の取りまとめ、また村地委員のご発表ありがとうございました。私のほうからは3点、意見を申し上げたいというふうに思います。1点目は、事務局スライドのスライド2についてです。幼児教育と小学校教育を接続しようというときに、例えば「小学校は各教科で目標があり、到達させなければならないから、幼児教育を生かすことはできない」というように、違いに目を向けるとちょっと対話が難しくなるという状況にも私自身は直面してきたことがあります。しかし、この表の下の段のように、どちらも「主体的・対話的で深い学び」を実現しようとしているということは変わりないと思いますし、また先ほどの村地委員の発表にもあったように、子供の学びのサイクルということは共通ではないかというふうに思います。そして、目標や内容、資質・能力のところも、実は低学年においては生活科がその最たるものですが、村地委員の発表にもあったように、国語科なども含めて、全ての教科において幼児教育と同様に身体的、具体的な体験を通して、知識・技能の基礎や思考力、判断力、表現力の基礎を培いながら進められていく連続的なものではないかなと思います。その意味で、このようにパキッと分けるというよりは、グラデーションのようなイメージが持てるように今後表していけると、より理解が進んでいくのではないかというふうに思っております。
2点目はスライド4についてです。これまでは要領上では「幼保小で集まって連携して円滑な接続を図る」ということが求められてきたと思いますが、さらに一歩を進めることが重要であるというふうに思います。その意味で、下段の例のように、「保育・授業の相互参観等を通じた互いの教育への共通理解の促進と、それに伴う専門性を発揮した教育の互恵的な充実」、また「園・校で架け橋期のカリキュラムを協働して作成」というふうに踏み込んでいくことに賛同したいと思います。これを踏まえて、スライド5の黒ポツの2つ目にあたりますが、「それぞれの専門性を発揮した教育の互恵的な充実」ということについて具体的な意義を申し上げたいと思います。例えば、園の先生は一人一人の子供の行動の背景や意味を丁寧に捉えて寄り添うという専門性が非常に高いと思いますし、一方で小学校の先生は教科の見方・考え方の切り口で子供の学びを捉える専門性が高いというふうに思います。ちょうど私自身は先日、光と影で遊ぶ子供たちの姿の場面を見たのですが、子供の姿をもとにその思いや考えを丁寧に捉えるということと同時に、そもそも光と影とは科学的にどういうふうに捉えられるのか、子供はどこでどういうふうに科学的なものの見方や考え方を働かせることにつながるのか、教科の専門性からも考えていく有効性を感じました。子供の姿をもとに、こうした対話を通して多角的に捉え直すことで、ただこうやって遊んでいるっていうことを超えて、その意味や方法を具体的に互恵的に学び合い、教育の質の充実を図るということが重要だというふうに思います。
最後、3つ目に取り組みを推進する連携体制づくりについてです。スライド4の下段の例の白丸2つ目のところが大変重要だというふうに思います。村地委員の発表にもありましたが、この架け橋は、相当に複雑な調整が必要となりますので、自治体として保育部局と教育部局をつなぎながら、架け橋プログラムの推進に向けた調整をしていくコーディネーターの配置、またその力量形成、そして園や学校での組織的な体制づくりというのが欠かせないと思います。こうした必要性が挙げられると、いつも同時に「時間がない」という時間の制限や「負担になる」という負担の問題が懸念されるかと思いますが、実際にはスライドに、先ほど調査報告でもありましたが、架け橋プログラムに取り組むことで登校渋りの減少や主体的、協働的な児童の姿につながるとなると、取り組むことでかえって先生方が楽になる、そういうふうに架け橋に組織的に取り組むことが回り回って業務改善になるのだというふうに考えられるかなというふうにも思います。また、現実的にはスライド5のひし形の3つ目にありますが、裁量的な時間の活用、こちらも先ほど事務局から紹介がありましたが、スライド28に詳細を出していただいていますが、特にスタートカリキュラムなどは、まさに先ほどの村地委員の発表のように、1つの教科に当てはめるというのが難しく、合科的で、また弾力的な時間割も必要となりますので、これを活用することがまさに最適、可能かなというふうに思います。また、架け橋期のカリキュラムに向けた幼保小での合同の研究というところは、教師の組織的な研究、研修の中で取り組むということで可能になってくるのではないかなと思いますので、こうした活用しながら各教科での学習の質の向上にもつなぎ、教育の充実に還元していくということが今後重要になってくるのではないかなというふうに思いました。長くなりましたが、以上です。
【秋田委員長】 岸野委員、どうもありがとうございます。3点のポイントを挙げていただきました。続きまして、小枝委員、小松委員、佐々木委員と順にお手を挙げていてくださっていますので、お願いしたいと思います。それではまず、小枝委員、お願いいたします。
【小枝委員】 はい、よろしくお願いします。鳥取県立総合療育センターの小枝と申します。よろしくお願いします。スライド6に「主体的・対話的で深い学び」という言葉があってですね、その「深い学び」というのがちょっと理解しにくいというか、イメージしにくかったんですけど、村地委員のぐるぐるシートが出てきて、私の中でイメージがちょっと明らかになったんですけど、いわゆる深い学びっていうのは次につながるような学び、あるいは次につながっていくような遊びという、もしイメージでよろしければ、この主体的・対話的で深い学びのところにちょっと分かりやすい、イメージしやすい言葉を付け加えていただけるといいのかなというようなことを思いました。それが1点です。それから、スライド2とスライド4を非常に密接につながっているかなというふうに思いました。幼児教育での重視するポイントと、小学校での教育で重視するポイントが表になって出ていますので、非常にこれが分かりやすいかなと思ったのですが、それが4のスライドにつながっているのが分かるようになるといいのかなと思いまして。上の囲みのところの4行目に、「自発的な活動としての遊びを通しての総合的な指導が大事だ」と書いてあるんですけども、それはやはり幼児教育で大事にしている体験を大事にした遊びだということを、ここでもう少し4と2のスライドとの対比的な書き方をしていただくと、より幼児教育、あるいは保育に携わる方が分かりやすいのかと思いました。その直前に「個別の知識や技能の習得のみ、あるいは特定の地域プログラムなどに従った指導ではなく」と書いてあって、いわゆる到達目標を重視した教育ではなくて、体験を重視した遊びっていうことが大事なのだということを言いたいのだろうと思うのです。そうすると、せっかく2で対比的なことが書いてありますので、ここもその後の「自発的な活動としての遊びを通した指導」っていうのは、体験を大事にするっていうことがポイントだというようなことが分かるような言葉を付け加えていただけると、大変良いのかなと思いました。今回いろいろ勉強させていただきまして、私自身の理解も深まりました。以上でございます。
【秋田委員長】 小枝委員、ありがとうございます。その深い学びというものの具体的なイメージをぐるぐるシートと付け加えていく、またスライド2と4の幼保小とのつながりというところとですね、遊びと総合的な指導というところをどうつなぐのかっていうところが見えるといいというご意見を賜りました。続きまして、小松委員、お願いいたします。
【小松委員】 はい、小松です。3分ということでちょっと早口になりまして申し訳ございません。今回のテーマなのですけれども、幼児期・児童期の教育・保育に関わって重要ということだけではなくてですね、大学も含めて教育全体のあり方に関する問いというような側面があるのかなと思って見ておりました。事務局の資料の2ページ目に幼児教育と小学校教育の対比がありますけれども、これ小学校教育というよりは小学校から高校まで、もちろん学校種による違いはありつつ共通のところがありまして、小学校の先生方が背負っているのは小学校で完結するものではなくて、中学・高校へと続いていくものだなというふうに感じております。こうした関係の中で、事務局1枚目のスライドにありますような連携体制の課題がある中で、相互の接続をうまく進めるためにどうするか。まず制度的な部分というのはとても大事なのかなというふうに思います。幼保小それぞれに引き継ぎではなくて、接続に関して継続的に関わる役割、5歳児クラスの担任だからとか、来年度1年生の担任だからというだけではない形で、主導的に理解を深めていく役割の先生がおられる必要がある。それをどんなお立場の先生が担当するのか、また負担についてどう考えるのかというのは、これはご紹介いただいたものも含めて、これまでの取り組みの中でどうだったのかということを精査しながら考える必要があるのかなというふうに思います。ただ、そうした制度上の課題というだけではなくて、今日お話もありましたのを聞きながらですね、連携というのはやはりある種の異文化間コミュニケーションのようなところがあるのかなと思いまして、それに関して必要と思われることを、ちょっと抽象的な言葉なのですが、2点を申し上げたく思っております。1つは「役に立つ」ということに対して、少し丁寧に考えていくべきなのだろうなということです。事務局の5ページ目のスライドですかね。丸2のところに、「どのように生かすことができるか」という言葉がありまして、「生かす」という言葉は、意図してもしなくても容易に「役に立つ」ということに言い換えられてしまうところがあって、一旦「役に立つ」となると、今度はその目標を設定してどう達成しますかって話になってきて、さらには得てして、「私の役に立つのですか」っていう話になっていくところがあって、ある意味どんどん視点が狭くなっていく可能性があります。そうなると時系列的には、幼児教育は小学校以降の教育の役に立つことをするのですかということになってくる。役に立つということを全く無視していいとは思わないのですけども、そういう枠組みが入ってきたところで、特定の方向性ができて、話の射程が少し狭くなりがちであるということ、多様性の持つ豊かさみたいなものが失われていくリスクというのは意識する必要があるかなと思います。もう一つというのは、これの逆で、そうしたコミュニケーションが成り立つために何が必要かということで、その次のスライドですけども、最初のところに、「楽しいがねらいになるのか」っていうことについてのやり取りというのがあります。こんなところもそうなのですけれども、もちろん「楽しい」は小学校でも大切だというのは分かるのですけれども、やはり「へえ、そうなのか」、「そうなんだ」という、そういう興味のようなものっていうのが、小学校の先生、ここでは小学校の先生が持っていただくっていうのは大事なのかなというふうに思いました。すぐに何かに役に立つというよりは、「そうなのか」と興味を持って、そこからその意味を少しずつ考えていくプロセスというのが必要なのかなと思ったりします。これは教員養成とも関連があるかなと思っておりまして、教員養成得てして現場の課題をどう解決するか、そのためにこれが必要ですよっていう学びが増えているようなことを感じるんですけれども、そうではなくて、一見何の役に立つか分からないかもしれないけど、興味を持って突き詰めて、最終的に教育のあり方につながるっていうようなことを、もっと学生に経験して見てもらうということも必要かなと。言い換えますと、その幼児教育とそれ以降の接続というのは、解決すべき課題として取り組むというのではなくて、個々の先生方が興味を持って探究する対象であると、そういう意味付け、位置付けというのも大事なのかなと思いました。
【秋田委員長】 小松委員、ありがとうございます。幼小だけではなく、幼小中高とつながっていく視点の中で、制度的な側面と同時に、それぞれが探究をしていくことの大切さをお話しいただきました。続きまして、佐々木委員、その後飯田委員、多田委員、高辻委員、堀委員、河合委員、松井委員、北野委員、岡本委員がお手を挙げてくださっていますので、その順でお願いします。それでは佐々木委員、お願いいたします。
【佐々木委員】 はい、よろしくお願いします。このスライドのままでお願いします。先ほどのご報告の17ページ等で、連携、接続の取り組みの中で、1年生や小学校の先生方が主体性がよく発揮できるようになったとか、協働性が高まったとか、学校への行き渋りが減少したとかいうようなことが出ていましたが、これってまさに幼児教育の力であります。遊びによる自己決定と自己有能感のその感覚が高まるというのが幼児教育でとっても大事なことなのですが、そういうことが如実に現れていると思います。今、私の喋ったように、なぜ架け橋をつないで連携していくのかというのは、子供たちの幸せのために、自分だけの持ち場の狭い知識とか経験や教育スキルではなく、それぞれの校種、異校種と関わることによって、それを広げていくということが大きな力になっています。今、この出ているこの画面で見ますと、これはかなりこの事例を取った人は保育の熟達者だということが分かるのですが、今よく出てきています環境構成でありますとか、幼児理解に基づいた評価や指導の改善ということがすごく現れてきています。5歳に進級して3か月経ちということは、4月、5月、6月、つまり梅雨の時期です。この梅雨の時期っていうのは湿度が高いので、シャボン玉が膨れやすくって壊れにくいということがまず考えられますよね。そして、子供がここの上の写真でモールのシャボン玉、ふうと吹いていますが、モールは毛が生えているので、水分が保ちやすく、大きなシャボン玉ができやすい、しかもストローで吹くのではなくって、シャボン玉液の美しいマーブルな動きが目に見えて観察できるというような、そんなことまで考えておられます。四角や三角、星型、ハート型、いろんな試し方をするけれども、できたシャボン玉はみんな丸になるなんていうような、そんなこともとっても面白いです。きっとこれは中学校の先生方から見たら、「あ、そりゃそうやろ、水は分子間張力で丸く保とうとするような力があるんやから」なんて言うと、幼児教育の先生もピキーンという感じです。つまり、僕たちはいろんな試行錯誤のうちに、すごく知的な、とってもすごいところに到達できます。でもそれは幼児教育だけの子供たちの楽しみの姿からは見えませんし、中学校の先生方も分子間張力知ってても、子供たちがこんなに意気盛んに楽しむ、そういう環境の構成のノウハウというのは難しいかと思います。そういう交流がとっても大事です。僕、教育委員会で指導主事やっていたのですが、僕の研修は、秋田先生にも来ていただいてありがとうございました。中学校や高校の理科とか物理の先生がやってくるのですけれども、幼児教育はすごく関心を持たれています。「いくら物理の難しい公式、化学式を知っていても、物が分子で構成されているというイメージがつかないのが問題や。でも幼稚園の子供たち見たら、雨が点々点々って降っているやないか、佐々木さん、あれは子供ってなんで直感で把握してるんや」。「先生、それは話盛りすぎです、大げさすぎです。それは分子間張力の結果、丸くはなっているでしょうけども、子供は分子書いてやろうと思って雨書いているのではないのですよ」みたいな感じ。つまり、お互いのことを知ってリスペクトすると、自分たちのその力が倍増していくというようなことです。それの1つに、今回先ほどのスライドにも出てきました「10の姿」というのがあります。時々、小学校の先生方と話していると、単元の評価基準、知識、技能、思考力、判断力、表現力、主体的に学習に取り組む態度ということで、その授業評価のことはできるということでありますが、この「10の姿」っていかにして使うのやとかいうようなことがよく言われます。でもそれは、子供たちをその授業という視点で見なくって、個で見て、個々の子供たちの様々なところを見るためにそれを使うと。特に幼児期っていうのは、子供たちが「できる・できん」じゃなくって、様々な可能性を持つ子供の姿を引き出していく。つまり、子供を評価するのではなくて、先生自身が自分の指導や幼児理解、児童理解を評価する、その手法になんていうようなことを見てください。この子は思考力が十分じゃないと思っても、なんか無駄に手は上げてやる気満々、「この子は最後まで諦めずにきっと言えんやろう」と思って見放している先生がいても、絶対手を下ろさない。もう本当に見上げた自立心なんていうように、物事を多面的に見ることで子供が幸福になる、そんなようにお使いくださいとかいうことなのですが、その教育方法やスキルがこの中できっと高められるということを期待して意見を申し上げました。
【秋田委員長】 佐々木委員、ありがとうございます。多面的に互いにリスペクトすることを具体的な事例からお話をいただきました。続きまして、多田委員、お願いいたします。
【多田委員】 はい、多田でございます。管理栄養士の立場から、幼児教育と小学校教育の接続について、食と栄養の観点で意見を申し上げます。幼保小接続を考える際に、小学校で習うことを早く教えるという発想ではないという点は、その通りだと思います。架け橋期に向かって、あるいは小学校に入ってから学ぶことが面白いと感じられる土台を、遊びや生活を通して幼児期にどう育てるかが重要だと考えております。その点で、食事の場面は非常に有効な生活の場と考えております。資料1の2枚目を映していただけますでしょうか。こちら「教育の方法等」で「遊び」だけが上位に出て目立っているのですけれども、もちろん遊びが中心だとは思うんですけれども、「生活」や「環境」が果たす役割も大きいのではないかと考えております。食事は養護と教育が同一の時間、空間で同時に成立する典型的な生活場面で、幼児教育における「環境を通して行う教育」を日常の中で自然に実現できます。安心して食べるという養護の基盤の上で、なぜこの味がするのか、どちらが多いのか、どう伝えればいいのかといった問いが生まれて、子供は自分なりに考えて言葉にしたり、お友達や先生と共有したりします。こういった経験は教育の内容のところにございます3つの視点や5つの領域とも関わっており、算数で言う数量感や比較、国語で言う言語化、生活科や社会につながる身近な事象への関心など、小学校で教科として学ぶ内容の原体験に当たります。つまり、食育は特定の教科の準備ではなく、日常生活の中に学びや科学があるという面白さに気付くための入り口であって、様々な教科に横断的につながる経験を提供します。小学校の食育も、給食を生きた教材としつつ、教科横断的な学びにつなげるといった位置付けになっているので、これとも通じると思います。また、食事の場面は幼稚園、保育所といった施設類型を問わず、全ての施設に共通する生活の時間です。そのため、幼児期の育ちを共有しやすく、小学校側につないでいく上でも重要な場面だと考えております。このように食事を健康管理や生活習慣を身につけていく機会として捉えるだけではなくて、家庭と施設が連携して幼児期の興味、関心を育てて、学びに向かう力の基盤を作る生活の場として位置づけることが、結果として最も自然で無理のない幼保小接続につながるのではないかと思います。それを受けてなのですが、スライド4の、こちらにも「遊びを通しての総合的な指導」というふうに書かれているのですけれども、遊びだけではなく生活や環境といった文言も盛り込まれると、より自然に保育所も含めた形でのアピールになるのではないかと考えております。
【秋田委員長】 多田委員、ありがとうございます。食という観点から遊びだけではない生活とか環境の大切さを書き加えてはというご意見賜りました。それでは続きまして、高辻委員、お願いいたします。
【高辻委員】 先ほどの村地委員からのご発表を伺いながら、やはりこの架け橋の取り組みは、着実に進展しながらも、まだいろいろと課題がある中で、継続することが本当にすごく大事だなと改めて感じました。また地域や園によって差があって、なかなか入っていきにくい、取り組みにくい状況にある園もあったりする中では、明確に架け橋、あるいは接続ということについての目的とか、ビジョン、見通しをしっかり持って伴走し、地域の体制を支えていくような立場の存在が、欠かせないなと思いながら発表を伺っておりました。資料の17ページで、小学校へのアンケート調査の結果が示されていたかと思うんですけれども、この中で特に接続の取り組みによって改善された課題というところで、登校渋りの児童の減少が挙げられているのが非常に興味深いなと思って拝見いたしました。ここからなぜ減ったのかっていうことまで言うのはちょっと難しいかなと思いますけれども、不登校の問題が誰にでも起こりうることとして、一次予防と言いますか、未然防止の観点も非常に大事だということが指摘されている中では、今回この架け橋期の事業に参加された地域で、実際に取り組まれた現場の先生方が登校渋りが減ったと実感されているという結果がこういう形で出てきたというのは、やはり意味が大きいことだなと思って見ておりました。この調査の報告書の方を読みますと、担任の先生の言葉として、遊びの中で子供たちの特性等を見ることができて、児童理解が深まったというようなことが紹介されていました。もしかすると、この登校渋りが減ったということの背景に、接続の取り組みによって、幼児教育における遊びの中での子供の育ちをどういう視点で捉えているのか、子供理解の視点といったものが小学校の先生とも共有されるようになったということもあるのではないかなというふうに感じたところです。村地委員のご発表の資料の中でも、保育者との信頼関係に支えられた生活、それからその後、教師との信頼関係に支えられた生活と、信頼関係に支えられながら生活が連続して幼小でつながっていくというような部分がありました。資料の2ページにも整理されていますように、幼児教育では到達目標的な見方ではなくて、子供の経験やプロセスを大事にするような見方をしていくということがあると思うんですけども、そこが幼児教育で何が育っているかを具体的に伝えることの難しさでもあると同時に、一方でその視点がうまく伝わって共有されていくと、一人一人の子供の良さや育ちがよく見えてきますし、またその先生自身も子供のそういった部分により意識を向けるようになるのではないかなと思います。そういったことが信頼関係、子供の心理的安全性を支えていくような関係の形成ということにつながるのではないかなというふうに思いました。その意味で、「互恵的な関係」という言葉、岸野委員や小松委員もこの互恵的という言葉、役に立つという言葉の意味について言及がありましたけれども、ここで言う互恵的っていうのは、信頼関係がしっかり作られることが、魅力のある学校ということにもつながっていくというような、そういう意味での「互恵」も含まれてくるのかなと思って聞いておりました。遊びには小学校以降の各教科につながる様々な学びが総合的に含まれているということを踏まえて、その中で子供の育ちをどう読み取っていくのかというところで、資料6ページのところで具体的な対話のイメージをお示しいただいて、これは素晴らしいな、よくわかるなと思って拝見しておりました。ただ、どの現場や先生も最初からこんなふうにうまく会話がトントンと発展するというのは、相当難しいことだなとも思いました。こういった幼保小の互いの気づきや学び合いを引き出していく、促していくというところでは、やはり両者をつなぐファシリテートの役割をするような幼児教育アドバイザーであったり、指導主事であったりですね、そういった立場の方の存在が非常に大きなものがあるのではないかなと思ったところです。以上となります。
【秋田委員長】 高辻委員、ありがとうございます。地域の様々な地域がありますので、地域の体制を整えることや、また子供理解の視点を共有していくこと、そしてファシリテーター等がつないでいくことによって深めていく必要性をお話しいただきました。続きまして、堀委員、お願いいたします。
【堀委員】 堀でございます。村地委員の御発表を伺いまして、本当にワクワクとした気持ちになりました。「ぐるぐるシート」には子供の育ちが螺旋状に現れる、示せると思うのですけれども、行きつ戻りつしながら育っていく、そういうことと探究的な学びや子供理解のありようが共通するんだという新しい発見もありました。先生方も子供の思いや取り組みながら子供の発見などに気付くというような、まさに「共に主体を持って、共主体を実現している」ことが窺がえました。という御発表を聞いてこの架け橋期の取り組みが幼保小、相互の理解のもとに進んでいる本事例は一つの目標となるのではないかというふうに思っています。
私の方からは課題を2点挙げさせていただきたいと思っています。スライド4をお示しいただけますでしょうか。この幼保小の接続ということで、今回おまとめいただいた内容、ぜひこのような形で実現したいという思いがございます。ただ、それにはいくつかの課題がありまして、「自発的な遊びを通した、総合的な指導」というところですけれども、それぞれ幼児教育施設では取り組みのありようというのが様々であるということ。先ほど村地委員の御発表の中にも様々な違いがあるということがございましたが、例えば保育所を代表とする長時間保育においては、長い時間の中で活動が細切れになるというような、子供の探究的な学びが意外と長い時間あるのだけれども、継続的に確保することが難しいという現状があります。また、子供の在園時間の違いですね、午前の短時間のお子さんと長時間のお子さんが共に生活する中で、その在園時間の違いによる経験の違いということも生じている中で、この遊びの充実というところや、この探究を環境的にどのように保障していくかということは、幼児教育の一つの課題として残されていると思います。2点目は、先ほどからお話の中にありましたけれど、フレーム作り、自治体の体制作りということがあると思います。幼児教育センターが多くの場合、都道府県は今、39の都道府県が設置されているというデータもありますが、市区町村レベルではまだ5%を超えた辺りだと思います。地域によって実情や環境が異なるという状況はありますので、市区町村の幼児教育センターが担うことが望ましいと考えますけれども、例えばそこと教育委員会との連携というのがなかなか難しいという話も聞いておりますので、そこの垣根をどのように各自治体の中で捉えていくかということ、それも課題として残っているように思っております。以上でございます。
【秋田委員長】 堀委員、ありがとうございます。進展しているものの課題2点として、幼児教育の施設の中での時間や取り組みの相違、またフレームというところで、今後市町村の中での所管等の違いをどう超えてつなぐのかという問題かと思います。河井委員、お願いいたします。
【河合主査代理】 村地委員の御発表ありがとうございました。子供たち、先生たちの変容に加えて、体制というところでも御発表いただきました。もしチャンスがあればお伺いしたいことが一つありまして、関係部局の連携が大事だけど難しいという声をたくさん聞きます。ぜひその辺りもチャンスがあれば教えていただきたいと思ったことでした。次からは大きく2点、資料では3点ぐらいを使いながらお話をさせてください。まず1点目なのですが、スライドの5をお願いいたします。ここの1つ目のところですが、「カリキュラムが協働して作成されるようにするために」というところで、今日の御発表等にもあったとおり、架け橋プログラムの取り組みがお互いにとって良いものであるという互恵性の実践の改善になるというところが非常にポイントだと感じております。カリキュラムの作成ということを三要領・指針に位置付けていくことも大切なのではないかと考えます。確実に進めていくという観点からです。ただし、その際、架け橋プログラムで大切にしている仕組み作り、制度ですね、それから対話などのプロセスが重要であるということをしっかり担保されて、カリキュラムの作成が行われるようにしていくことが重要だと考えます。そしてこのことは実はスライド4の1つ目の四角にも関係あると思っております。これは幼児教育施設と小学校という縦のところはもちろんなのですが、自治体が関与、リーダーシップ等を発揮された体制作りによって、地域の幼児教育施設の横のつながりが確実にできているように感じます。そしてさらに、接続、架け橋期のカリキュラムを作成するに向けて対話をする中で、それぞれが自園の実践を振り返ったり、先ほどの御発表にもあった「自分の園でも取り入れてやってみよう」ということが進んできております。こうした自園の実践を振り返ってより良いものにしていくという可能性が大変あると思います。このことが今お示ししていただいている資料の1つ目の課題、三要領・指針に基づいた環境として行う子供の自発的な遊びを通してというところの実践が全ての幼児教育施設で行われていく大きな一歩になると考えます。その際に幼児教育センターとかアドバイザーのサポート、また進んでいけば伴走していくということが非常に大きな意味を持つと考えます。カリキュラムに向けて対話する中で「やってみよう」と思っても、じゃあどうやってうちの園でやったらいいのだろうかというところで迷われるところもまだまだたくさんあると思います。その「やってみよう」という気持ちを支えるという意味で、大変重要な組織、それからお仕事だというふうに思っております。最後になりますが、今日お示しいただいた作成資料等に基づいてお話をさせていただきます。今もお話ししたとおり、地域、それから各施設によって大きく温度差があると考えます。プロセスを大切にしていくという点でも、スライド5のようにどうやって進めていくのかというイメージ、それから多様な資料があるということ、そしてその資料は多様な使い方ができるのだということを示すのは大変重要だと思います。スライド6以降になりますが、それまで園で持っている既存の資料、ドキュメンテーションだったり、日々の保育の記録だったり、様々あると思うのですが、こうしたものが教育的視点というものを持って対話をするときの有効な資料になるということはとても大事だと思います。いろいろ使えますよということが、指摘されている過重な負担を回避すること、それからむしろ日常の遊びの中に子供の学びがあるということを改めて再確認する良い機会にもなると思います。今示していただいているこの資料なのですが、私はこのニョロニョロという矢印がとっても「そうそう」と思うんです。子供の遊びは直線的ではなくて、試行錯誤したり、行きつ戻りつしたりしながら進んでいく。そして誰かのしていることはきっかけになって別のことも考えつく。これ、「モールがあることでアクセサリー屋さんができています」なんていう自然な姿でありますが、こうしたことは本当に日常に起きることです。大切なのはシャボン玉をするのか、させるのかではなくて、そこから生まれたアクセサリー屋さんをしている、「やってみたい」ということが行われている中でも、この日の狙いは共通であり、子供が「やってみたい」と始めた活動が大事にされながら、活動は違ってもそこでの学びをしっかり保障しているという幼児教育のあり方も説明するチャンスになるかなというふうに思います。
【秋田委員長】 縦と同時に横のつながり、円環でどういうふうに進めたらいいのかを示していくということの御質問もいただきました。それでは松井委員、お願いいたします。
【松井委員】 今回の資料や村地委員の御発表から、対話とか分かりやすさとか受容をキーワードとしてちょっと考えましたけれども、幼保小の対話の枠組みとして、既に「10の姿」や「3つの資質・能力」があって、その理念的なことと合わせて絶対に欠かせないのは、やはり資料6ページ以降にもありますように、具体的な事例との結びつきだろうと思いました。ある特定の活動に1つの姿が当てはまるようなものではなくて、1つの活動にいくつもの姿が重複するものですけれども、10の姿とか資質・能力などの各理念に対して、実際にはどういうことなのですか、何らかの具体例を思い浮かべることができないと、実質的な理解には至らないと思います。要領や指針の文言というのは、文章として理解するのはさほど難しくないですし、実は保育者を目指す初学者の学生であっても、要領や指針の用語を知れば、実は具体と結びついていなくても表面的には使えるようになったりします。また、保育者の方々で具体的な実践を通した理解はおありでも、その重要性を言語化して伝えることに少し苦手意識を持たれている場合もありますので、そういったときにやはり要領や指針の文言が共通言語のように用いて語り合えることは重要だろうと思います。そういうことを踏まえまして、今回提示されたこのような豊富な対話のイメージ例は、いずれも写真とか視覚的なイメージも併用されて大変分かりやすいですし、幼保小の立場のすり合わせのようなものも見られて、架け橋期の教育の充実に向けた貴重な参考資料になります。こういった資料を用いれば、教育関係者だけではなくて、園でよく行われるドキュメンテーションのように、保護者の方、ひいては社会全体への発信も含めて、分かりやすい説明と対話へつなげることも可能かと思います。それから、こういった対話資料の前提として必須なのは言うまでもなく、幼児教育、小学校教育双方の立場から相互に現場で様子を見ること、かつそこで見られる子供の姿、教育の意図や狙い、意義も合わせて理解がされる対話が生まれることだろうと思います。相互の保育参観や授業参観は少しずつ広がっているかもしれませんが、その後の協議までをセットとしてどこまでなされているのか。実際に目にした保育や授業について、現場の先生方が何をどのように見て、捉えて、振り返って、見通しておられるのかを知り、それぞれの立場からの見え方の意見交換まで含めた対話が必須だと思います。ですので、時間はかかりますけれども、参観の期間を作れるのであれば、可能な限り見るだけに終わらない研修とか連携体制を作って、イメージ例にもあるような実質的な対話が行われていく必要があると考えます。村地委員もおっしゃっていた、「作成して終わりにならないように」とか、「カリキュラムを作成することがゴールではない」ということをいかに実現していくかを改めて思いました。資料1ページ、現状と課題の下部にも書かれておりますように、幼児教育で行うことは授業を受ける態度を身につけることでもなく、小学校で勉強する教科の先取りといった小学校教育の前倒しではないこと。そうではなくて、幼児期にふさわしい生活全体における遊びを通した学びを改めて強調すべきですし、幼児期の多種多様な学びの芽生えを小学校でさらに伸ばしていくという連続性といったことなど、養成校教員としてはそういったことを保育を目指す学生にも分かりやすく、確実に伝えていきたいと思ったところでした。
【秋田委員長】 松井委員、ありがとうございます。具体的なイメージを持っていくためにも、写真やドキュメンテーションを用いた資料の有効性、また相互参観だけではなく、その協議や対話の重要性といったこともお話しいただきました。続きまして、北野久美委員、お願いいたします。
【北野(久)委員】 これまで私たち保育関係者は、やはり入学してから1年生の対応に少し違和感がありました。「小さい子」「何もできない」「助けが必要」という扱いに対してです。平成29年、新指針・要領になり、そこで幼保小接続が強調されてもなお、やはりそういう姿は見受けられました。長時間、長期間の園生活の中で、自分の思いを伝えたりとか、助け合う姿を知っているだけに、やはりこのモヤモヤ感は拭えませんでした。北九州市でも、平成24年から保幼小連携接続カリキュラムをたくさん作成しました。それから保幼小連携担当者の研修会、合同研修会、グループワークとかがとても熱心に行われていたが、接続カリキュラムができた時点で、そこがゴールになってしまったのか、少しトーンダウンしている事実もあります。そういった意味では、今日のご説明、それから村地先生のところのお取り組みを拝聴して、この取り組みが大きく変わり始めていると感じました。全国どこでも、どの地域でも実施可能になるような制度設計を望みます。5点についてお話します。まず4ページです。幼児教育センターという言葉がありますが、やはりここは乳児期からの育ち、養護の支え等がベースにあるということを意味するためにも、「乳幼児教育センター」、あるいは幼児教育アドバイザーではなく「乳幼児教育アドバイザー」というような多様な立場の方がここにいらっしゃるという意味合いが必要ではないかと思います。学びの接続に関して持続可能な取り組みというところで、まずは児童要録です。24ページからの資料を拝見して、児童要録を愛情を込めて1年生の先生にバトンタッチという意味で書かせていただいていますが、残念ながら24ページ以降の資料には、要録の活用は低い。とても個人情報で大事なものなので、扱いが難しいというのもありますが、説明をしたほうがつながったという数字が高いことを見ると、活用できる要録にならなければということ、大事にしてしまい込むことは避けたい。今後設定されるであろう裁量時間というのがすごくありがたい。小学校のその裁量時間が決して授業の補填になるだけではなくて、子供と向き合ったり、要録を見たり、それから子供と対話する時間、そういったものに使われるのが望ましい。また、持続可能のもう一つの点で、実際は指導者や校長先生が変わると、これまでできていた取り組みが途切れてしまうという現実はあります。模擬授業をしていただいたり、学校生活に興味が持てるようなお話を、小学校の先生が来てくださってお話をした年もありました。しかし、途絶えた時期もありました。毎年毎年依頼を続けた結果、今年度実は私の園の例では、校長先生が変わられたということが大きく違いがありましたが、模擬授業を15分間、国語、算数、そして英語等々をしていただいたり、あるいは学校に訪問する、学校探検もできるようになりました。ただ、私は子供のつまずきのもう一つの原因として、いわゆる勉強だけではなくて、先ほど多田委員のほうからもありましたが、「給食」ということもネックになっていることをずっと感じていましたので、学校の先生方に食べていただく時間、「何人行きます」とか、「何曜日に何人行けます」とか、そういったご連絡をいただいて、こちらでも用意をして、そして給食を共に食べる時間を作りました。そこでやはり先生方は喫食状況の把握、それから会話の中で育ちが見えるだけではなく、アレルギーの対応とか、体調の把握、外国籍のお子さん、そういった多様な現場の把握をすることができる。しかも、ご飯を食べるという同じ行動をすることで、子供たちもとても親和度が持てました。こういった小さな取り組みこそが、持続可能ではないかなと思っています。また、11ページ、12ページに架け橋期のカリキュラムが掲載しています。本当に分かりやすく、こういうことをしていけば本当に子供たちに段差がなく、5歳児と1年生がつながっていくなと思いはしましたが、これが穴埋めにならないような丁寧な説明が必要です。「ここを埋めなければ」とか、「ここをこのようにしなければ」というような姿も出てくるので、説明がかなり必要です。また、資料の10ページです。ここに3歳からの子供の育ちが書かれています。今回この補足や資料がとても丁寧で、本当に分かりやすくありがたい。一つ残念に感じたのは、この3歳からの育ちが抑えられているところです。幼児教育施設というよりは、乳幼児教育施設と捉えていただき、0、1、2歳からの学びの芽生えはあります。興味、関心の芽生えがあります。それこそ「100か月の育ちのビジョン」にもあるように、本当にいろいろな興味がどこの部分につながっていくのか、子供の一言が、子供の目線が、「先生」と柔らかく言って共にいようとするその姿勢が、どこの芽生えなのか、どういう育ちなのかというものを把握する意味でも、0、1、2からの小さな行動がここにつながりますよというような、そういう流れの資料になっていればありがたいです。以上5点含めましたが、今回本当に丁寧な資料でこのまま進めばいいなと思いました。村地先生がいるからできるのではなく、村地先生のような先生がたくさんのところでご活躍できるような仕掛け、この制度になればいいなという願いも込めてお話をさせていただきました。
【秋田委員長】 北野久美委員、ありがとうございます。全国どこでもということで5点を挙げていただきました。続きまして、岡本委員、その後、北野幸子委員、石山委員、大豆生田委員、飯田委員、柿沼委員、倉石委員、川越委員、奈須委員と続きますので、ぜひお一人3分ということでいけると時間内になりますのでお願いいたします。それでは、岡本委員お願いいたします。
【岡本委員】 まず村地先生の生き生きとしたこのご発表に、いろいろな困難があったとしても、それを超えて今の姿があることが想像されて、私どもの現場でも励まされた思いでございます。私どもの地域も幼保小の接続に関して、これまで毎年度会を重ねて、情報の交換から始まり、小学校の先生方が園を訪問していただいたり、またより具体的に子供の姿を見ていただくために、例えば年長組のお誕生日会の様子を見ていただいて、子供たちが具体的に自分たちで司会をしたり、「心のプレゼント」を考えたその内容を見ていただきながら、お伝えするように努めております。また、小さなことですけれども、年長組のクラスだよりを毎月小学校へお届けして、小学校の先生にも見ていただくことで、保育者の子供の捉え方を先生方に知っていただく、そういうことで小学校の先生方の研修にも使っていただいております。この数年、幼小のこの接続につきましても、本日のご発表のようにより具体的な事例も多く、当園の教員たちも研修に参加し、実りある研修だと喜びながら帰ってきております。私はこの事業につきましては、やはりファシリテーターの存在は欠かすことができないのではない思っております。村地先生がおそらくそのファシリテーター的な役割も担っていらしたのかなと想像しておりますけれども、やはりこの存在は大きく、参考資料でいただいておりました園長先生や小学校の先生方の調査にも書いてありますように、やはり視点を定めて話をしていくということが重要であろうと思います。地域の中でどのような子供を育てていくのか、そして子供像をどう描くのか、10の姿の共有などもこの視点を定めなければ、それぞれが大切にしていることを中心に話しがちでございますので、そのようなことを含め、ファシリテーターがいることによって、それが幼児教育アドバイザーなのか、それぞれ配置された教育委員会であるのか、それはまた地域によっても異なるかとは思いますけれども、そのような人がいるということは大変心強いことではないかな、そこから広がっていくのではないかというふうに感じております。また、皆様方がおっしゃっておりますように、この資料1の1は幼稚園の教員たちにも大変分かりやすく、幼児教育の重要性もしっかりと描かれておりますので、励みにもなりますし、資料となってまいりますので、今後活用しながらこの幼保小接続が進むようにと願っております。私からは以上でございます。
【秋田委員長】 岡本委員、ありがとうございます。視点を決めて協議すること等の大切さをお話しいただきました。続きまして、北野幸子委員、お願いいたします。
【北野(幸)委員】 滋賀の村地先生のお話に本当、勇気を得ました。地域で実践現場が本当に主体になって進めていくことが大切だと思いました。私も微力ながら地元の地域で本当に次世代育成の教育専門職の連携協働、互恵的な専門性発揮の支援、これを目指していきたい、もっと頑張らねばと思いました。まず、今日のことについて3つ三つほど話させていただきます。一つは課題についてです。資料1の1ページで挙げられている課題感、これが両者にしっかりと課題がそれぞれあるのだということ、この内容に共感します。ここで挙げられている内容は私自身がこれまで進めてきた、細々とですけが、研究の成果とも極めて重なっていると思います。私、2005年から分担、2007年からは代表で科研の研究で幼保小の接続の研究をこれまで進めてきましたけれども、地域の視察やインタビュー、それから先ほど通信の交換もありましたけど、5歳児クラスと小学校1年生の家庭の配布物を1園以外から全部研究室に共有していただいて分析しました。その結果、園と小学校による温度差が大きいということ、発達的な逆転があるということ、交流が中心であること、教材や社会見学の内容に重複があってもそれが幼保小で共有されていないことなどがわかりました。それから他にも5歳児の好きな遊び場面の映像を収集して、子供が先生に尋ねたり、互いに問いあったり、調べている内容を抽出して、小学校の学習指導要領の内容と照らし合わせて分析しました。そこでは園で個人のベースでは小学校の中学年・高学年で学ぶ内容について質問したり、調べたりする姿がありました。園での個々の豊かな経験が小学校以降で集団で学びながら確実に定着していくものだっていうことが分かりました。幼保小のつながりを強く認識することに調査の結果からなりました。私たちの調査からも教育の内容や方法の独自性への相互理解の浸透が図られることが大切であること、それからそれに基づいて架け橋期のカリキュラムの地域でのそれぞれの開発の必要性を認識したところです。ですのでここで挙げてくださった課題感に、極めて共感するところです。その課題解決について、この度の文科省が19の自治体で実施してくださったモデル事業で大きな発展が見られたなと思います。今日の御紹介いただいた内容もそうですが本当にありがたい成果が出ているなと思います。資料1の17ページからも成果が示されていますが、明らかに自分たちが地方で進めてきた20年前からやってきた研究と、この架け橋事業の後は異なるフェーズに至っていると自分は理解しています。その大きな五つの特徴を私の中では以下のとおり考えて整理しています。一つ目は、今まで皆さんもおっしゃってくださっていますが、誕生から大人になるまでの次世代育成を広く視野に入れていること。二つ目は5歳児と5年生中心というような限定的な対象ではなく、対象が広がって多様な組み合わせの連携となっていること。それから三つ目は今日の事例の中にもありましたが、エージェントとしての幼児と児童、子供たちが自分で企画していること。資料1の17ページで「主体性を発揮する児童の姿の増加」と示されていますが、本当にそうだと思います。それから四つ目はこれも大切ですけど、互恵性。それぞれの独自な専門性の認識が広がって、結果小学校教諭と保育者それぞれの専門性の向上につながっていること。五つ目はこれも他の方も御指摘の通りシステム化していること。リーダーの個人的資質に依拠してきた歴史があると思います。「スーパー園長」「カリスマ校長」等と言ってましたが、そうではなくシステム化して持続可能になってきた。これらの事業による成果を私たちは認識したいと思いました。資料の4ページにも指摘されていますが、やはり全ての幼児教育施設を対象に要領・指針に準じて、その公平性と中立性の担保がなされている。今後に向けて、この度の改訂でそれが広く各地に浸透していくことを強く希望し、期待を感じています。最後になりますが、特に資料1の4、5ページでも取り上げてくださっていますが、私は、保育専門職の研究を進めてきました。やはり専門職の互恵的な充実、次世代育成の専門職の互恵的な専門性の発揮が大切だと考えています。そこでは特に家庭教育とは異なる部分、園生活における学び、園生活全体における育ち、学びの質の維持向上を全ての園が要領・指針に準じて、小学校と他の次世代育成の教育機関と園が連携・協働を図っていくことが大切だと思います。最後に資料1の6ページ以降の資料、皆さんもおっしゃってますが、私もとても分かりやすく、言葉にそれぞれの特徴が表されていると思いました。児童要録が形骸化しているという話も先ほどありましたが、書類作成に限らずやはり協働が大切だと考えます。実践を共に公開し、見合って、共に振り返って、語り合うこと、こういうことが進められていく、その方針をこのように示していっていただけること、とても大切だと思いました。以上です。
【秋田委員長】 北野委員、ありがとうございます。時間の関係で私のリボイスはなく、ぜひお一人2、3分で、それでも5分くらい延びるかもしれませんが、ご容赦ください。それでは続きまして、石山委員お願いをいたします。
【石山委員】 事務局からの説明、それから村地委員の御発表と聞きまして、非常にこう参考となるものでした。特に村地委員からの、実際にこう行政側の立場であったところの実践であったり、学校現場での具体的な子供の姿、教師の方のいろいろな支援等も含めて非常に参考となるものでして、ありがとうございました。私から2点お話ししたいと思います。1点目は資料のページ4ページのところですけども、幼児教育の質の向上を図るためにという部分について最初お話ししたいと思います。質についてということはいろんな文言の方で明示されている部分はあるわけですが、その共通理解という部分ともう一つは実際の保育場面でどういったこう子供の姿として現れてきているかという両方必要、両方の理解が必要になると思います。現在こう各地区回っているところで質の高い保育が行われているなと感じるところは、やはり実際の子供の姿を見て共有する部分を必ず取り入れているということです。さらに横のつながりが非常に広く、いろんな施設類型を超えたところからの参観があり、さらに教員を含めて進めていくことでより良い保育のイメージというのが出来上がってきているなということを感じます。反対に少し市内から離れている部分の園についてはなかなか交流等もなく、また職員の異動も少ないというところもあると思いますけども、なかなか保育の良い、より良いイメージが持ちにくいのではないかなということを感じております。今回、事務局さんの方で明示していただいた対話のイメージということは非常に分かりやすい部分がありますので、そちらの部分と実際の子供の姿の部分、映像ですね、そこがあるとよりイメージがつきやすいのではないかなということを感じたところでした。もう1点は円滑な接続ということでページ5ページとなりますけども、これについては、何本かの矢が必要だなということを感じます。まず一つはコーディネーター等の配置ということも一つだと思います。その時も幼児教育側、それから小学校教育側、それぞれ理解のある方というのが非常に重要だなということを感じています。実際の話し合いに参加していると、幼児教育側の方がなかなか理解が進んでいないところもありますので、そういった点でその幼児教育のことについても説明したり、または小学校関係者にもわかるような例示をしたりということが非常に大事になるなということを感じました。最後にカリキュラムの作成が目的ではないということで、ただこう実際の地区ではそれぞれこう作成の方を先に進めている場合もあります。ただ話をしていく対話を通して、やはり子供の姿を見なければいけないなというところを感じている地域が非常に多くなってきました。そこを後押しするような行政側の体制であったり支援が必要だということを感じております。
【秋田委員長】 石山委員、ありがとうございます。それでは続きまして、大豆生田委員、お願いいたします。
【大豆生田委員長代理】 まず事務局作成案自体がこれまでの架け橋の議論を踏まえた、大切な視点を網羅しているものと思われます。またそのことを具現化するものとして、村地委員の今日の発表はとても素晴らしいものでした。実際の共通のカリキュラムの件に関しても、あれだけ見るとすごい作るの大変だなと思われるかもしれないけれども、ああいうふうなむしろそのプロセスがとても大事で、ああいうふうにやってきたことが結果的にああなるっていうことが大事なので、だとするとワクワクするようなことを具体的にどう始めるかが大事なのだと思いました。それを踏まえて私が今いくつかの自治体で関わっていることや、私が継続的に小学校に通っていることを視点も踏まえながら3点短くお話しします。1点目ですけれども、5ページの1つ目のところで、協働して作成するためにというふうな視点があります。この協働して作成するという上で、先ほどの村地委員の話も含めてとても大事だと思っているのは、一つは事前に作成してみるということ、それから後追いというか、結果的にこうなっちゃったという「後追い型の計画」と両面がとても大事だと思っています。それ通りにやるというよりは結果的に変わっていくので、そうだとするとそのことを通して実は幼児教育・保育側も学びがとても大きく、「あ、生活科のこの夏のこの時期に自然との触れ合いがあるんだ」とかというふうに、他者のことを具体的に理解しながら進めていくプロセスそのものがとても重要なのだということを1点目としてお話しいたします。それから2点目ですけども、ここに2つ目のところで専門的互恵性ということが出ています。互恵的な充実という視点がとても大事だということを私も本当にそう思います。そうした中で実際にはその交流活動まではどうにか行ったりするんだけれども、交流活動のその先がなかなか生まれにくいということがあると思います。そうした時に、先ほどのように、そこからどう互いの興味関心みたいな共通テーマを見出すかということがとても重要になってきます。そこでそのテーマだとか興味、子供の興味関心や単元などのところを具体的にどうできるかということを互恵的であると同時に継続的な取り組みを通して行うということがとても重要ではないかということが2点目です。それから3点目ですけれども、17ページに不登校や行き渋りのことがありました。私が今継続的に関わっている小学校では、それが劇的に減ったということが報告されています。これは幼児教育や保育のことから、その小学校のあり方を大きく見直したというふうな取り組みです。そのことで何がなぜこれほど変わったかということなんですけど、この間、その学校の映像で朝登校してくる時に全員がその門が開くとみんなが走っていくという映像が流されました。まさにその姿が何を物語っているかというと、そこで変えたことは子供一人一人の多分人権のことだと思います。一人一人が尊重され、そしてそれぞれの声が保障され、そして子供が環境に関わるということが保障され、そこではインクルーシブの視点が重要になっているということです。こうしたことがその幼保においても、小学校においても共通に保障されるような方向性がもう生み出されるということがとても大事なことだと思います。以上3点ありがとうございました。
【秋田委員長】 はい、大豆生田委員ありがとうございます。続きまして柿沼委員お願いいたします。
【柿沼委員】 まず1点目なんですけれども、最初のページにあったように、審議のまとめの主なポイントのところにあるように、「0から18歳までの学びの連続性に配慮しつつ、架け橋期の教育の充実を図り、生涯にわたる学びや生活の基盤を作ることが重要」というこの言葉は非常に重要かと思っています。というのは、今日村地委員のお話を伺っていて、素晴らしい取り組みだなと思うんですけれども、やはりこれが現場に広がっていった時に、やはりこう目的ではなくてその手段に広がりにつながっていくということが懸念されるかなと思っています。やはりここは目的がしっかりあって、その架け橋期はなぜこれをやっていくのかってことが重要になってくると思います。どうしても、その手段や手法みたいなものが重視されていって、その中身何を育てたいのか、なぜ架け橋をやるのかってことが共有されないことが多いのかなと考えますので、ここの部分というのは「なぜこの架け橋をやってどういう子供を育てていきたいのか」っていうような期待される子供の姿や育てたい子供の姿、そういったものの共有化が非常に必要かなと思います。そのためには、児童の発達や乳幼児の発達を双方が理解をする必要もありますし、また、義務教育、乳幼児教育側からすると義務教育の目的や義務教育の内容をしっかり理解をしていくこと、また学校側ももう一度義務教育ではどういう子供を育てる、なぜ今のカリキュラムをやっているのかってことを理解する必要もあるのかなというふうに考えています。2点目は、1ページ目にあったような課題のところも非常に重要かと思っています。これも、現場から考えると、その通りだなと思います。そして乳幼児施設を運営している側からすると、これは自分ごととしてしっかりと受け止めなくてはいけない課題かなと思います。特に幼児教育において、その能力や資質・能力はどのようなものを目指しているかわからないとような学校側の意見がありますけども、このことは、各地域、各施設においてその教育のあり方や教育の仕方、また考え方が整っていない、教育要領や指針に基づいていないということだと思うんです。なので今回この架け橋期は改めて重要だと思っていて、これをベースにして、我々側がナショナルカリキュラムのようなものを目指していって、そしてこの要領・指針がしっかりと乳幼児施設がしっかりと集団性を学んで、要領通りに行っていって、子供の育ち・発達をしっかりと学んでいくような機会になっていく必要があるかなと思っています。3点目はやはりこの架け橋期のところでは、この10年間の近年の課題、子供の課題、問題行動や多様化やSNSの問題だとか、そういったものも話し合う機会なのかなと思っています。なので例えばですけども、この4時間のコアタイムをしっかりと考えていって、そしてそこで接続の時には今社会課題がどこにあるのか、人と人の関わりであったりとか、そういったものをしっかりと学びましょう、お互いがそこの部分の2年間をしっかりと通じて、今の子供たち、未来の子供たちに必要な課題解決の場でもあるのかなというふうに考えています。そして最後に、例えばですけど5歳と小学校ということに限る必要はなくて、例えば離島や僻地では集団が保てない場所もあるので、乳幼児、例えば4歳だろうと3歳だろうと、そこと小学校の接続をしっかりと考えていくっていう、その5歳に限らない、「いないからやらない」ではなくて、しっかりとその施設と学校、義務教育課程のところがしっかりとつながっていって、将来その地域でどういう子供を育てていくのか、今後の課題をしっかりと共有していって、連携して多様な大人がしっかりと子供を育てていくような地域を作り上げていくというような方向性が必要かなと思います。以上になります。
【秋田委員長】 柿沼委員、ありがとうございます。私の方で順番をちょっと誤ってしまいまして、飯田委員が何回もお手を挙げてくださっているのに、なぜか指名できておらず、すみません。先に飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】 村地先生のご発表も大変参考になりました。私も今まさに架け橋プログラムに取り組んでいる行政の立場から何点かお伝えしたいと思います。まず、4ページ目の下段のところですが、やはり架け橋プログラムに取り組むことが必要だと感じています。やっぱりそれは各園・校にお任せするというよりも、教育委員会や自治体の担当課、乳幼児教育センターなどがまずは連携し体制を作る必要があると思っています。本市ではこれまでから乳幼児教育とそれから小学校教育をつなぐため、乳幼児教育センターと教育委員会が連携して取り組みを進めてきました。特に協力園・校というのを設定しまして、5歳児と1年生の連携活動、今は架け橋活動と呼んでいるのですが、単なる交流ではなくて、学びを深める、学びをつなぐ内容となるように、互恵性、連続性ということを意識してできるように、研修なども行ってきています。会議体がいいのか研修なのかは、地域の実情に応じて取り組む必要があると感じております。私の実感としては、保育を小学校の教師が参観し、子供の姿から遊びの中の学びを見取ったり、保育者の関わりを知ったりする公開保育や、小学校の授業を保育者が学びの視点を持って参観する公開授業というのは相互理解を深めるために効果があるというふうに感じています。もちろん、参観に終わらずに、対話をしたり、それぞれの教育・保育について丁寧にお伝えすることも大切にしております。また、架け橋コーディネーター等の配置も重要と感じております。本市では各協力園・校の架け橋活動やその事前事後の打ち合わせに架け橋コーディネーターや、それから指導主事が出向き、互恵性、連続性のある活動になるように、また保育者と教師が対話を通じて理解を深めることや、日々の保育実践、授業の充実につながるようにサポートをしております。ただ、複数園と1小学校の協力園・校の場合は調整の難しさやその活動内容についても課題は感じております。また、日々の保育や授業改善につながっているかというところも課題として感じております。こうした架け橋担当者や5歳児と1年生の担任を対象とした研修や架け橋活動を行う中で、担当者レベルの対話やつながりは深まってきているのですが、やはり園・校の管理職の理解やつながりはまだ持てていない状況もあります。架け橋期の2年間ではなく、0歳からの18歳の学びの連続性が重要であることからも、園・校全体の取り組みにしていく必要がありますし、そのためには園長・校長の理解は不可欠ではないかというふうに感じております。次、5ページ目のところなんですけれども、現在村地先生をはじめとするこの架け橋、幼保小の架け橋プログラムモデル地域のところを参考にしながら、本市でもモデル園・校で2年間かけてカリキュラム案というのを作成して、3年目には全園・校に広めようと進めております。その中で感じているのは、モデル園・校の保育者と教師が対話を重ねて協議することに意味があるなというふうに感じています。カリキュラムを作る過程、そのプロセスが重要であって、モデル園・校だからできるのではなくて、どの園・校でも作成できるようにしていくには、どうしたらいいのか、実は今模索中です。どのような方策がという点ではまだこれからなのですが、やはり教育委員会や乳幼児教育センターが中心になって一定の枠を作りますというか、カリキュラムの様式や書き方などの例を示す必要はあるのかなというふうに思っています。それは過度な負担感を生じさせないという点にもつながっているかと思います。前置きは長くなりましたが、これらのことを踏まえて今回の改訂では架け橋プログラムの推進、架け橋期のカリキュラムの策定や、また5歳児だけではなく0歳からの学びがつながっているということも示されることを期待しております。また小学校教育の先取りでもなく前倒しでもないということや、乳幼児期の学びをつなぐことの重要性についてもしっかりと明記していただきたいと思っています。こうした取り組みを進めていくためには、教育委員会をはじめとする自治体のサポートや園・校の管理職の理解も重要であるというふうに感じております。以上になります。
【秋田委員長】 飯田委員、どうもありがとうございます。それでは続きまして倉石委員、お願いいたします。
【倉石委員】 事務局の説明、それから村地先生からの説明もありがとうございました。大変学びになりました。私からは1点、子育て支援というか保護者の立場からの意見を述べさせていただきます。今回の議論とはちょっと外れるかもしれませんが、機会をいただきましたので、発言いたします。本日の資料の1枚目に、幼児教育の課題感、それから小学校の課題感の記載があるわけですけれども、特にこう幼児教育施設の課題感の中で、一部の小学校から幼児教育が意図しない授業を受ける態度を身につけることや、各教科などの先取りが求められてしまうという記述がありました。これ、私も大変気づきになりましたが、まさに保護者の方が抱いている不安や要望と一致するのではないかというふうに受け止めました。そう考えますと、次スライドの4枚目なんですが、左下に示していただいてる、その他の取り組みのところになりますので、非常に周辺的なところで失礼なんですけれども、そこに「保護者の小学校就学への不安解消」という言葉が書いてあります。まさにこの接続期のこの素晴らしいプログラムを社会的に共有するための意義っていうのがこの辺りに隠されて、包含されてるのかなというふうに思っております。またスライドの13枚目には非常に分かりやすく地域における体制イメージというものが示されているんですけれども、ここにも「家庭」という文字が左上に示されていますが、今後この体制にですね、家庭がどのように参画できるのかということは期待しておるところです。就学前の子育て支援の講座を10年来やっておりますけれども、保護者の方のやはり不安はですね、教科学習への意欲、それから家庭学習・宿題等がしっかりできるか、それから集団生活・人間関係、それから体力、学校生活ですね。この4点に集約されています。そういう点では実は大事なところは今日の資料であります「対話」「言葉による伝え合い」というものが資料7から4枚目までありますけれども、こういったところをいかに家庭との連携の中で落とし込んでいくことができるのかということも、今後の課題かなということで認識しておりましたので、お伝えさせていただきます。以上となります。
【秋田委員長】 倉石委員、ありがとうございます。続きまして川越委員、お願いいたします。
【川越委員】 本日のいろいろなお話、ご発表ありがとうございました。大変勉強になりました。現場からの視点ということで、簡単に3点お話をさせていただきたいと思います。まず、スライドの4の上の方です。全ての幼児教育施設における質の向上というところで、保幼小のつながりのことになるのかなというふうに思います。今、本区では区の教育委員会が主導となりまして、保幼小連携の会が「保幼小連携日」ということで、学校区ごとに保育所、幼稚園、小学校の先生たちが集って学び合う機会を年に2回やりなさいといわれています。先日本園でも保育公開をして、その後に協議会というものを設けたんですけど、特に公開保育を見た保育所の先生は、「あ、こういうふうにやるといいんですね」っていうお話をしながら、「ただうちでは施設がちょっとどうかな」とか、「あと企業でワークをしなさいっていうふうに言われてるので、なんかそういうことしなきゃいけないしな」とすごくこうジレンマを逆にお持ちになりながらお帰りになるような姿もありました。できるだけ地域としてこんな子を育てたいっていうところの話し合いから、じゃあ自園や自校でできることっていうところで協議会を進めていっているのではありますが、このような地道なことが園の自助努力に任せるだけでいいのかな、アドバイザーというようなお話もありましたが、何かその要領とかがきちんとできるというか、そういうふうな保幼小が一緒にできるっていうような枠組みであったり、それを支えるような仕組みがあるといいかなというふうに思いました。そして、2点目です。資料の5ページのところで、じゃあ具体的に幼児教育と小学校教育はどのようにつながっていくかっていうところなんですけども、その中で2点です。1つは、今5歳児と1、2年生という架け橋期のことが話し合われていますが、中学年、高学年の指導にどういうふうにつながっていくかなっていうところについてはどのように考えるかなというところです。協議に、先ほど申し上げた会の協議には中学年、高学年の先生方もたくさんご参加いただいたのですが、例えば今年度「規範意識」という協議の視点で話し合った時に、「幼稚園の子はちゃんと約束守ってるよね、あ、自分の5年生の学級はどうかな、全然話聞かないな」みたいな感じで終わってしまうというところがあります。それぞれの、例えば5年生なら5年生の発達段階で約束をきちんと守るというところを、どういうふうに5年生の先生が指導していけばいいかっていうところも、もう私も不勉強でわからないんですけども、幼児教育で培ったことが全て右肩上がりではなくて、その発達段階のいろいろな特徴に応じて指導していかなくてはならないということを考えた時に、中学年、高学年、ひいては中学生以降の教育の指導法にどういうふうにしていったらつながるのかっていうところも考えました。そこにつながるところに2つめですが、先ほどの村地先生のご発表にありましたように、架け橋期の中でも1年生の初めの生活科の持ち方が今いろいろな具体的なお話が出て、具体的な指導の様子がいろいろなところの資料を見るとわかるわけなんですけども、1年生の担任になって自分がそういうことができるのかなっていう研修などがあると、1年生の指導の方法などがすごく充実するのではないかなというふうに思いました。特に本区は今1年生の人数というのが35人学級になったこともありまして、学級数が増え、1年生の担任の先生の数が増えてきています。やはりその中で中には新規採用で1年生を持つ先生方もいらっしゃる中で、1年生ってどんな子供たちでどういうふうに指導していったらいいのかっていうカリキュラムにはなかなか書けないような具体的な指導の方法っていうところを伝えてくださる方がいるといいなというふうに感じております。以上でございます。
【秋田委員長】 川越委員、ありがとうございます。それではお待たせしました、奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】 スライドの2ですけど、幼児教育と小学校をこう比較してみた場合ですね、こういうことがあるわけですが、これは歴史的に考えても幼児教育と小学校では全く出自が違うというところをどっかでやっぱりイメージする必要があるかなと思いますね。幼児教育はフレーベルが源流ですから、一人一人の子供の発達の支援ということで来ていると思います。つまり「育ち」ということに向かってきていると思うんですね。小学校ももちろんそれを考えてるわけですけども、150年前に日本に小学校ができた時は近代国民国家の形成ですね、国民形成、国民統合ということがやはり大きな目標でしたよね。こういうことをしっかりと共通に学んでほしいということがあったわけです。その後150年の間に、いや一人一人の発達保障、その子ならではの可能性の実現ということが大事だということが出てきて、今この2つを両睨みで小学校以降の教育はやっていると思うんですけど、この辺り大きく違うとやはり思うんですね。幼児教育では遊びということが言われるわけですけども、この遊びを活動として捉えると、小学校以降は遊びを活動として主要にはやりませんので難しいなと思っていたんですが、無藤隆先生が最近のご著書で、遊びを活動として捉えるのではなくて、そこにある『遊び性』という特質で捉えてはどうだろうというご提案をされていて、とっても納得がいきました。例えば遊び性ということの特徴として、はみ出していくというようなことがあるんだろうと思うんですね。先ほどの村地先生のご発表にもありましたが、シャボン玉遊びをしていたのにアクセサリー屋さんになっていく。幼児教育では全然いいのだろうけど、小学校ではなかなか認められない。これはまさに、遊び性があるかないかという違いですよね。小学校は「決めたことをしっかりちゃんとやる」ということを大事にしてきた。この「しっかりちゃんと」というのが時に行き過ぎているというか狭くなりすぎていて、学びはしっかり実現できるかもしれないけれども、子供の育ちを実現できていないかもしれないということがあるんだと思います。学びは大事ですけれども、学びがただ個々に重なっていけば育ちが実現できるとは限らないということは注意しなければいけないことだと思います。逆に幼児教育では育ちということを一義的に追っていると思います。もちろん、しっかり育ってる時にはたくさんの学びがありますけども、このどちらを追っていくかが逆な気が私はずっとしてるんですね。小学校以降でも長期的な育ちをどっかで見据えながら今日の学びを実現していくと考えれば、幼児教育との整合性は出てくるのかなと思ってます。その意味では「しっかりちゃんとやる」ということが視野狭窄になって、行き過ぎないようにしていかなければいけないんだろうな、なんて思っています。不登校や登校渋りの問題もとっても大事な問題で、幼児教育の考え方を入れていくと、確かに改善されます。大豆生田先生がおっしゃった通りです。一つには、やはり幼児教育のようにやりたいことが存分にできるということを小学校で入れていく、例えば総合的な学習の時間を使って個人探究をすると、登校渋りが目に見えて減るということを実感しています。教科の学習は、やらなければいけないことですけども、それを自分らしいやり方で、あるいは自分のペースでやれる、いわゆる個別最適的な状況にすると、やはりこれは不登校が減るということを実感しています。また大事なこととして、先生と子供たち、あるいは子供たち同士が相談して、これから何をどういうふうにやっていくかを柔軟に決めていくというのが、一番効果があるように思います。これは幼児教育では当たり前なんですけど、小学校ではなかなかそうはしない。つまり先生が決めたことをどうやって子供にやってもらおうかと考えがちです。もちろん計画はあっていいんですけど、計画を持ってきた上で子供と相談してどうしようかと決めて進んでいくというやり方が広がるといいな、この辺が小学校教育が幼児教育から学ぶべきことであり、子供たちの発達の保障に有効に効いていくことかなと思っておりました。
【秋田委員長】 奈須委員、ありがとうございます。続いて古賀委員、大内委員とお願いしたいと思います。古賀委員、お願いします。
【古賀主査】 3点申し上げます。実践の交流を通してそれぞれの質向上が生まれる仕組みを作り、形骸化させないということが非常に重要かと思います。そのためには手応え感が支えになるんだなというふうに思っています。新たな挑戦の中で先生方としてはこう意欲的に取り組んだ時に、互いにその子供たちが生き生きしてくるような様子、今日まさに事例をご発表いただきましたけれども、そういったことを見取り、先生方同士が励まし合うような、そういった実践共同体になっていくという展開を生むことが重要であろうというふうに思います。2点目です。架け橋の取り組みを通してわかったこととして、小学校が本気になって取り組んだら変わるっていうインパクトはすごく大きかったなというふうに私は思っています。今回の改訂が大変重要な契機となるというふうに思っておりまして、調整授業時数であるとか、総則でどういうふうに扱うか、今日は「合科的な関連的なあり方」というのも示していただきましたけれども、そういったことを幼児教育ワーキングを超えた議論でありますけれども、そういった総合的な進め方というのも同時に大事だなというふうに思ったところです。今日、資料の中で「対話」がキーであることがすごく出てきていたかと思うんですけれども、全国に全てある小学校区で幼児教育施設との対話が生まれるようにするということをまずは実現させると、その先ですね、対話で終わらない、そこから学び合い、それぞれの実践に生かし合う仕組みをどういうふうに作るのかということがさらに重要になるというふうに思っています。3点目です。短期的な知識技能の習得に関わる教え込みや規律態度の叩き込みではないということはもう半世紀以上前にわかっていることで、そこに後戻りしないということで、生涯にわたり自立的な学び手となる教育のあり方を共に考えていくということです。それはその領域横断の資質・能力の育成と、それから領域固有の知識技能等の育成、この縦軸と横軸どちらもしっかりと捉え直しながら幼児教育本体の中身を見直して積み上げていくということが求められるだろうというふうに思っています。10の姿は幼児期に求められる資質・能力が絡み合いながら育つプロセスを示しているという大変複雑な内容ですけれども、それを育む5領域の保育内容がしっかりと実現されているか、それが環境を通した教育、自発的な活動としての遊びの中でどのように組み入れられ、さらに子供たちの遊びの発展の中で充実しているか、またその先の充実を図る手立てが打てているか。今日「ぐるぐるシート」というものが出てきましたけれども、そういった見直しというものをしっかりと行っていくこともまた重要であるというふうに思います。この先記録や評価などの議論へと展開していく中で、その仕組みというものをしっかり作っていくことが重要だと思います。今日は伏見住吉の記録の字がたくさん載っている記録が出ておりました。自発的な遊びの中でこれを見取っているということが非常に重要です。自発的な遊びの充実の姿から数的な学びを見出し、その記録から幼児期の学びと小学校の学びがつながりやすい枠組みで整理したということです。幼児期における「知識及び技能の基礎」とは何かということであったり、「思考力、判断力、表現力等の基礎」というものが前回の指針・要領で示されておりますけれども、その基礎というものは一体何なのかということを幼児教育施設自体も明示しながら、小学校の授業の改善に生かすということに一層進んでいくということを考えてまいりたいと思います。
【秋田委員長】 大内委員、お願いいたします。
【大内委員】 簡単に3点お伝えします。まず1点目が村地委員の発表のところから、実践を見させていただいて、やっぱりこうワクワクした気持ちとなりました。また、子供たちの「やってみたい」という気持ちを大事にしているところから、やっぱり5歳児さん、とてもこう小学校への期待と不安がとても多く感じるとは思うんですけど、そこの心のケアであったり、こう無理なくつなげていく素敵な取り組みだと感じました。2点目において、連携において5歳児クラスだけではなく、やはり乳幼児期からやっぱり様々な経験だったり、力が育まれているので、乳幼児期から基盤となる力を育んでいくように意識していきたいなと感じました。3点目です。保育現場で働く中でここ数年増えてきたのですが、子供たちの気づきや発見を写真に撮ってドキュメンテーションを用いて作成をしているところがあります。そのドキュメンテーションを使って職員同士でこう話し合ったり、保護者にもお伝えする時に活用させていただいております。それを日常の保育のところを例えば連携のところで小学校の先生に見てもらうことで、可視化することでわかりやすくまた対話が生まれると思います。なのでつなげていくところで、やっぱり対話であったり交流を大切にしていってほしいなと感じました。
【秋田委員長】 大内委員、ありがとうございます。私の方の不手際で本日はまだご発表いただけていない委員もおられるんですけれども、時間の関係で申し訳ございませんが、あと言い足りなかったことにつきましては事務局の方にメールでまたご発言できなかった委員の方はいただくということにさせていただければと思います。私も皆様のお話を伺いながら、やはり18年という生涯をつなげていくための架け橋であるというところを0歳から北野委員がまた小松委員が伝えられたように、18歳の間の2年間、この2年間という架け橋を作るのにこれまで大変苦労して幼児教育課の方だけではなくて、その1年フックをかけるために教育課程課の方に協力をいただいて、この架け橋というプログラムが生まれました。そこを大事にしながらも、今、多くは中学校区で小さいところでは学区で幼小中、あるいは保幼小中が一体になっていくというような発想もあります。私自身は必ず「架け橋のプログラムと授業改善は一体だ」と教育長が皆に明言をする自治体が成功する。そうでない限りはうまくいかないと行政にお伝えをしております。そうした一体感というものが極めて重要ではないかと今日伺いながら思ったというのが1点です。また2点目としては、ありがたいことに「互恵性」という言葉が本スライド資料繰り返し使われていますが、これは25年前に初めての研究開発学校である有馬幼稚園と小学校、川越先生もそこにおられたんですけれども、そこで「互恵性」という言葉を初めて私が幼小連携の原則として書き使わせていただきました。「レシプロシティ」という言葉が語源でありまして、これはアン・ブラウンという学びのコミュニティを作ろうという研究者の発想で、小グループ等が支え合ったり、違う人同士が支え合って学び合う関係をレシプロシティと呼びました。ラーニングやティーチングというふうに言うわけですけれども、そこからこの互恵性という言葉が生まれて、今もう20年ほど皆さんが使ってくださっています。お互いに異質だからこそ受け入れ合い、リスペクトし合うというのが、先ほど大豆生田委員が言われた「共生」とか「多文化共生」とか、いわゆる地域の文化だけではなくて校種をつないで、皆が支えあっていくことが重要かなと改めて伺って思った次第であります。ちょっと余計なことまでお話をしてしまいまして、すみませんでした。本日の会議はトピックが1つなので2時間でいけると思いましたが、2時間半ほど必要だったかなと思っているところであります。それでは時間も過ぎてしまいましたので、本日の議事は以上とさせていただきたいと思います。次回以降の予定について、事務局よりお願いをいたします。
【上遠野子育て支援指導官】 はい、次回の幼児教育ワーキンググループ及び保育専門委員会の開催は2月24日を予定しております。詳細が決まり次第、後日正式にご連絡いたします。
【秋田委員長】 それでは以上を持ちまして、閉会といたします。オンラインで時間が延びましたことをお詫び申し上げます。失礼いたしました。ありがとうございました。
―― 了 ――