教育課程部会 幼児教育ワーキンググループ(第1回)議事録

1.日時

令和7年10月22日(水曜日)9時30分~12時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 主な検討事項について
  2. 関係団体ヒアリング

4.議事録

【石田幼児教育課長】  それでは、皆様、おはようございます。文部科学省初等中等教育局幼児教育課長の石田と申します。本日は朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育ワーキンググループ及びこども家庭審議会幼児期までのこどもの育ち部会保育専門委員会を合同で開催いたします。本日は大変御多忙の中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。改めて御礼申し上げます。
 開会に当たりまして、文部科学省、大臣官房文部科学戦略官の今村聡子、また、こども家庭庁長官官房審議官の水田功より御挨拶を申し上げます。
【今村文部科学戦略官】  皆様、おはようございます。文部科学省文部科学戦略官の今村です。本日は中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育ワーキンググループの第1回目と、そしてこども家庭審議会、幼児期までのこどもの育ち部会保育専門委員会を合同で開催させていただきますところ、委員の先生方には御多忙の中、御参加いただきまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
 御案内のとおり、平成29年3月に改訂いたしました幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、この3要領・指針に基づきまして、現在施設類型・設置者を問わずに、全国の幼稚園、保育所、認定こども園において、精力的に幼児教育を推進していただいているところでございます。本日はこれら3要領・指針の次期改訂に向けました御審議のスタートということで、皆様方お集まりいただいているというところでございます。
 この3要領・指針におきましては、これまでも内容の整合性を図ってまいったところでございます。今次の改訂におきましても、より一層の整合性を図るため、共通する事項につきまして、まず、幼児教育ワーキンググループ及び保育専門委員会を合同で開催させていただきまして、皆さんで共に御審議いただきたいと考えているところでございます。
 また、子供の発達や学びは生まれましてから、当然ですけども連続しておりまして、いろいろな教育機関、段階を経てはいくんですけれども、子供の学びが連続するという観点を捉えますと、そうした機関間の接続ということが大変重要だと考えております。つきましては、こうした幼児教育、そして小・中・高の教育の一貫性を図るという観点でも、この議論におきまして、小学校以上で現在進めております授業改善、そして次期学習指導要領の改訂に向けた議論につきましても、審議の御参考にしていただきたく御紹介させていただければと考えている次第でございます。
 学習指導要領全体の改訂に向けましては、先月、中央教育審議会の教育課程企画特別部会におきまして、論点整理をおまとめいただいたところでございます。この論点整理におきましては、多様な子供たちの深い学びを確かなものとし、生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育む、これが今後の検討の基盤として、方向性が示されております。幼・小・中・高を通じた検討の方向性を土台としつつ、今後、小学校就学前の子供たちが幼児教育を通じてどのような資質・能力を育むことを目指すのかなど、幼児教育の在り方に関する具体的な御検討を、皆様の御知見をいただきまして、議論を進めていければと考えております。
 つきましては、皆様、ぜひそれぞれの御知見、御経験を踏まえて、闊達な御意見を頂戴しながら、それぞれで培われた教育のよさを今後も存分に生かしていけるような、そうした3要領・指針を築けていければと考えておりますので、どうぞ忌憚ない御意見を頂戴できればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【水田長官官房審議官】  皆さん、おはようございます。こども家庭庁長官官房審議官の水田と申します。どうぞよろしくお願いします。
 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育ワーキンググループ及び、こども家庭審議会幼児期までのこどもの育ち部会保育専門委員会の合同開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
 今年4月に、内閣総理大臣から、こども家庭審議会に対しまして、保育所保育指針等の改定に向けた諮問があったところでございます。御承知のとおり、保育所保育指針等につきましては、これまでも約10年に一度改定が行われておりまして、前回の改定時にも、保育所、認定こども園、幼稚園、それぞれの基準の間で内容の整合性を図っているところでございます。前回の改定後、こども基本法の成立やこども家庭庁の発足、さらには「こども大綱」、「はじめの100か月の育ちビジョン」の策定等がございました。「はじめの100か月の育ちビジョン」におきましては、子供の誕生前から幼児期までを生涯にわたるウェルビーイングの向上にとって最も重要な時期としております。申し上げるまでもなく、全ての子供の育ちを支える上で、質の高い教育、保育を保障することは極めて重要でございます。
 委員の皆様におかれましては、それぞれの知見を十分に生かしていただきながら、乳幼児がいずれの施設に通っているかに関わらず、質の高い教育、保育が保障されますよう、幅広い議論をお願いできればと存じます。こども家庭庁といたしましても、皆様の知見を基に、文部科学省とこれまで以上に緊密に連携をいたしまして、改定に向けて一体的に検討を進めてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
【石田幼児教育課長】  それでは、議事に先立ちまして、両ワーキンググループ・委員会の主査及び委員長等について御報告を申し上げます。
 参考資料9、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づき、幼児教育ワーキンググループは教育課程部会の決定により設置されており、主査及び主査代理につきましては、教育課程部会長より古賀松香委員を主査に、また、河合優子委員を主査代理にそれぞれ指名いただいておりますので、御報告を申し上げます。
 また、参考資料10の幼児期までのこどもの育ち部会運営細則に基づきまして、保育専門委員会は、幼児期までのこどもの育ち部会の決定により設置されており、委員長及び委員長代理につきましては、幼児期までのこどもの育ち部会長より、秋田喜代美委員を委員長に、また、大豆生田啓友委員を委員長代理にそれぞれ指名いただいておりますので、御報告を申し上げます。
 なお、両ワーキンググループ・委員会の委員の皆様につきましては、参考資料7及び8の委員名簿を御覧いただければと存じます。
 それでは、議事に入ります前に、秋田委員長及び古賀主査から一言御挨拶をお願いいたします。
【秋田委員長】  皆様、こんにちは。ただいま御紹介がございました保育専門委員会の委員長を拝命いたしました、学習院大学の秋田喜代美でございます。一言、御挨拶させていただきます。
 本日の会議は文部科学省幼児教育ワーキンググループと、こども家庭庁の保育専門委員会の初めての合同開催の会議でございます。3要領・指針を共に検討していく最初の会ということで、大変画期的な一歩を踏み出したところと考えております。
 私はこれまで、個人的なことではございますが、要領・指針の改訂につきましては、1998年に幼稚園教育要領の改訂の委員を皮切りに、2008年、2017年に関わる経験をさせていただいてきておりまして、今回4回目の改訂に関わる委員をさせていただくことになりました。いつかは要領と指針が一緒に検討ができるといいと願ってまいりましたが、今回これが実現しましたのは、こども家庭庁、文部科学省両省の担当局長や各関係者、各課の皆様の御尽力のおかげでこのようなことができるようになったと考えており、これを大変嬉しく思っているところでございます。
 もちろん法令上は、3要領・指針は別でございますけれども、両委員の皆様の心を真に一つにいたしまして、これからの時代の自らの人生をしなやかに舵取りをし、そして民主的な持続社会の担い手を育んでいくという学習指導要領の方向とつなぎながら子供たちを育む、そうした3要領・指針の改訂になるように努めてまいりたいと考えております。幼児教育の無償化が2018年に、こども基本法が2023年に出され、そしてまた、来年からこども誰でも通園制度が全国で実施されるようになります。これらはいずれも、どの施設類型かということに関わらず、園に通う子供たちや、そして全国の子供たちに全て当てはまるものでございます。園の施設類型は子供たちには関係がございません。どの園でも質の高い保育・幼児教育が行われ、全ての子供の育つ権利や遊び学ぶ権利が守られ、そして、公教育としての幼児教育が真に豊かに行われ、先ほども御紹介がございました100か月の育ちビジョンの精神で、小学校へと架け橋をしっかりかけていけるようにと願っております。と同時に、少子化、地域の過疎化に直面し、園の統廃合や閉園が余儀なくされる事態に直面している厳しい現状の中で、各地域において乳幼児が育つ場、そして、子育てを支援する中核のセンターの役割を担っていくのがこれからの園であろうと考えております。その園の保育者の方々が自分たちの仕事に誇りと希望を持ち、そして実践の基準となり、そして羅針盤となるように、そして保育の振り返りを行うときに、常に原点に立ち戻るような3要領・指針を作ってまいりたいと考えているところでございます。
 恐らく、これから10年先になりますと、大きく社会が発展し、変化してまいりますけれども、AIが進む時代だからこそ、人が人として生きる原点となるリアルな体験、遊びを通した深い学びや探究が保障され、そして保育や幼児教育の質の向上につながり、子供たちのウェルビーイングに繋がる指針になって欲しいと願っています。そのために、両会議の委員の皆様とともに、また、保育界の皆様のお声や、それから保育者の声、子供たち、保護者の声など皆様の声を反映したものを作っていけるよう、微力ではございますが尽力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【古賀主査】  失礼いたします。このたび、幼児教育ワーキンググループの主査を拝命いたしました、京都教育大学の古賀松香と申します。このような大役は大変不慣れでございますが、皆様のお力をお借りしてしっかりと進めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 このワーキングに先立ちまして、先ほどもありましたけれども、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会企画特別部会の方では、学習指導要領改訂に向けた熱い議論がなされてきております。乳幼児期からの資質・能力の育ちや学びをその後の教育に繋げていくことはこれまでも様々取り組んできましたけれども、現在ある、現状の課題を捉えて、より良い在り方を考えていくことが必要かと思っております。また、私自身、乳幼児期の教育、保育現場と関わっておりますと、ここ数年、気持ちや行動の調整がつきにくい子供の増加だけでなく、その表現の激しさが増してきているような印象も持っております。また、多言語、多文化化の急速な広がり、そして様々な困難さを抱える家庭の増加など、日々現場の先生方が対応に迫られることの多さや深刻さというのが増してきていると感じております。ここにいらっしゃる皆様よく御存じのとおり、質の高い幼児教育、保育がそういった多様な発達のリスクを抱える子供たちにとって非常に重要です。乳幼児期のことに関わって、幼児教育ワーキングと保育専門委員会の合同開催という歴史の新たなページが開かれたこの機に、全ての園で、全ての子供が、まずはしっかりと受け止められ、そして次第にしっかりと遊び込み、そしてしっかりと育つ、そういったプロセスを生み出すことを考えてまいりたいと思います。幼児教育、保育の一層の質向上を実現するための3要領・指針の在り方を皆様と御一緒に考えていくことができますことを大変心強く思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【石田幼児教育課長】  ありがとうございました。それでは、今後、合同開催の際の進行は交互に御担当いただきたいと存じますけれども、本日はこれより秋田委員長にお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  ありがとうございます。それでは、これより議事に入りたいと思います。両ワーキンググループ・委員会の審議等については、参考資料9の教育課程部会運営規則第3条及び参考資料10の幼児期の子供の育ち部会運営規則第5条に基づきまして、原則公開により、議事を進めさせていただくとともに、両規則・細則の第6条に基づきまして議事録を作成し、原則公開するものとして取扱いを行います。
 それでは、事務局より会議の留意事項の御説明をお願いいたします。
【上遠野子育て支援指導官】  両ワーキンググループ・委員会は、対面とウェブ会議を組み合わせた方式で開催しております。御発言の際は挙手ボタンを押していただき、ミュートを解除してから御発言願います。また、御発言が終わりましたら、再度ミュートにしていただくようお願いいたします。
 事務局からの説明は以上です。
【秋田委員長】  御説明どうもありがとうございました。
 それでは、議題1でございます。これから議題1に移ります。幼児教育ワーキンググループ及び保育専門委員会における主な検討事項につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【横田成育基盤企画課長】  こども家庭庁成育基盤企画課長の横田と申します。まず、こども家庭庁より説明をさせていただきます。参考資料1を御覧ください。
 1ページから32ページまでは、幼稚園、認定こども園、保育所などの制度概要や施設数、在園者数などの近年のデータ、また、各園における様々な取組状況に関するデータを掲載しております。そして、34ページからは、3要領・指針に関する資料、48ページからは、近年の有識者会議の報告書などの概要資料、そして56ページからは、関連する最近の動向を掲載しております。
 私からは63ページ以降の資料を用いまして、こども基本法、こども大綱、100か月の育ちのビジョンについて御説明をさせていただきます。
 まず、63ページを御覧ください。こども基本法は目的のところに記載がございますとおり、全ての子供が自立した個人として、ひとしく健やかに成長することができ、その権利の擁護が図られて、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こども政策を総合的に推進することを目的として成立したものでございます。
 また、こども政策は次に掲げる事項を基本理念として行われなければならないとしておりまして、marから⑥まで掲げられております。全ての子供について、1点目が、個人として尊重され、基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること。2点目が適切に養育されること、生活を保障されること、愛され、保護されることなどの福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法の精神にのっとり、教育を受ける機会が等しく与えられること。3点目が、年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。4点目が、年齢及び発達の程度に応じ、意見が尊重され、最善の利益が優先して考慮されることなどでございます。そして、これらの目的や基本理念を具現化して、こども政策を総合的に推進するため、こども大綱を策定することとされております。
 64ページを御覧ください。こども大綱が令和5年12月22日に閣議決定をされております。こども大綱ではより具体的に、「第1 はじめに」にございますとおり、全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会」、「こどもまんなか社会」の実現を目指すということ、そして、第2では、「こども施策に関する基本的な方針」、第3では、「こども施策に関する重要事項」、第4では、「こども施策を推進するために必要な事項」などを示しております。これらの基本的考え方に立ちまして、こども家庭庁においては、さらにこどもまんなか実行計画を策定いたしまして、文部科学省をはじめとする関係省庁と連携を図りながら、こども施策を着実に進めてきているところでございます。
 そして70ページを御覧いただければと思います。「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」、「はじめの100か月の育ちビジョン」もこども大綱と同日に閣議決定がされております。この「はじめの100か月の育ちビジョン」では、幼児期までこそ生涯にわたるウェルビーイングの向上にとって最重要であるということが示されております。また、このことを踏まえまして、目的にございますとおり、全ての子供の誕生前から幼児期までの「はじめの100か月」から生涯にわたるウェルビーイングの向上を図っていくことを目指して、策定がなされたものでございます。「はじめの100か月の育ちビジョン」は、こども基本法の理念にのっとりまして、5つの柱に沿って内容を示してございます。丸1 こどもの権利と尊厳を守ること、丸2 安心と挑戦の循環を通してこどものウェルビーイングを高めること、乳幼児の育ちにはアタッチメントの形成と遊びと体験が不可欠であること。丸3「こどもの誕生前」から切れ目なく育ちを支えること、丸4 保護者、養育者のウェルビーイングと成長の支援・応援をすること。丸5 こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増していくこと、これらが重要であるということが示されているところでございます。
 資料変わりまして、参考資料4-2を御覧ください。令和7年4月25日のこども家庭審議会におきまして、内閣総理大臣より保育所、認定こども園における保育の内容の基準等の在り方について諮問がなされました。背景などにございますとおり、こども基本法、こども大綱、100か月の育ちビジョンなどが成立、作成された経緯などを踏まえまして、特に中心的に審議が必要な事項として、6つの視点が示されたところでございます。また、下の米印にありますとおり、中央教育審議会と緊密に連携をし、乳幼児がいずれの施設に通っているかに関わらず、質の高い保育が保障されますよう、幅広く検討することが求められております。幼児教育ワーキンググループと保育専門委員会の合同開催によりまして、3要領・指針について、共通の論点などに関しましては一体的に御審議をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
【上遠野子育て支援指導官】  文部科学省幼児教育課子育て支援指導官の上遠野です。私からは関連政策の動向と、今回の諮問事項、幼児教育から小・中・高等学校までの改訂に向けた論点整理の概要、本ワーキンググループ・委員会における主な検討事項について御説明いたします。参考資料1の57ページから62ページにかけて御覧ください。
 教育基本法を踏まえて定められる教育振興基本計画についてお示ししております。第4期計画は、令和5年度から9年度までの5年間を期間とし、コンセプトとして、「持続可能な社会の創り手の育成」及び「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を掲げ、5つの基本的方針と16の教育政策の目標、基本施策及び指標を示しております。
 60ページを御覧ください。特に60から62ページにあるように、ウェルビーイングの向上については、自己肯定感や自己実現などの獲得的要素と、人とのつながりや利他性、社会貢献意識などの協調的要素を調和的・一体的に育み、日本社会に根ざした「調和と協調」に基づくウェルビーイングを教育を通じて向上させていくことが求められています。このように、平成29年3月の3要領・指針の告示以降、先ほど御説明がありましたように、こども基本法の制定なども含め、様々な関連施策が進められてきたところです。
 続いて、資料3-2を御覧ください。昨年12月25日に文部科学大臣より「中央教育審議会に対して、初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」諮問がなされました。この中では、2ページにあるとおり、幼・小・中・高を通じて、第1に、より質の高い深い学びを実現し、資質・能力の育成につながると同時に、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方、第2に、多様な個性、特性、背景を有する子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方、第3に、これからの時代に育成すべき資質・能力を踏まえた各教科等やその目標・内容の在り方、第4に、教育課程の実施に伴う負担への指摘に真摯に向き合うことを含む学習指導要領の趣旨の着実な実施のための方策などを中心として、特に幼児教育に関しては、第3の最後の○にあるとおり、「幼児教育と小学校教育との円滑な接続の改善の在り方、設置者や施設類型を問わず、幼児教育の質の向上を図る共通的方策」について挙げられており、これらに関連する事項を含め、初等中等教育における教育課程の基準の在り方について幅広く検討することが求められています。
 続いて、参考資料2を御覧ください。先ほど御説明した諮問を受け、幼児教育から小・中・高を通じて教育課程の枠組みに関する事項や教科横断的な事項を中心として、中央教育審議会の教育課程企画特別部会において、本年1月以降、集中的な審議が行われ、先月、論点整理として取りまとめられました。論点整理の詳細な説明は割愛させていただきますが、特に本ワーキンググループ、委員会での検討に当たって重要な点に絞って紹介させていただきます。
 5ページを御覧ください。次期学習指導要領、幼稚園教育要領等に向けた検討の基盤となる考え方として、丸1 深い学びの実装、丸2 多様性の包摂、丸3 実現可能性の確保という3つの視点を一体的に具現化していくことによって、多様な子供たちの「深い学び」を確かなものとし、生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育むこととしております。
 6ページを御覧ください。先に述べた人材を育成していくために、幼・小・中・高を通じて検討することが示されておりますが、特に本ワーキンググループ・委員会においては、幼児教育の段階に示されているとおり、「言葉を用いて思考を深めていく指導」と、「他者と関わり協働する力の育成」といった視点に御留意いただきながら検討を進めていただければと存じます。こうした幼児教育を土台として、小・中・高においても各教科等の充実が図られるよう、各教科等のワーキンググループにおいても同時並行で検討が進められております。
 13ページを御覧ください。学習指導要領の内容については、資質・能力の関係性の理解や、それらを一体的に育成するための教師の指導を助けるため、前回改訂の構造化をさらに発展させ、表形式で示すことを表すことを検討していくこととされております。具体的なイメージとして、現行要領をベースとした中学校数学、国語の例が示されておりますが、先週14日に開催された総則・評価特別部会での検討を踏まえ、本ワーキンググループ・委員会においても、幼児教育の特性を踏まえてどのような示し方ができるか、今後議論を行っていただくこととなります。
 続いて、18ページを御覧ください。「学びに向かう力、人間性等」について、主要な要素や要素間の関係を構造化して分かりやすくする観点から、図のような内容・関係性の整理がなされております。本ワーキンググループ・委員会においてもこうした整理を踏まえた幼児教育における「学びに向かう力・人間性等」について御審議いただければと存じます。
 96ページから99ページにかけては、企画特別部会における幼児教育に関する議論を踏まえ、考えられる方向性と論点の大枠が示されております。
 97ページ、1つ目として、どの幼児教育施設においても、幼児の自発的な活動としての遊びを通して資質・能力が育まれるよう、直接的・具体的な体験を一層充実する方向で検討すべきこと、2つ目として、こうした幼児教育における遊びを通した学びが小学校以降の生活や学習の基盤となることから、幼児教育と小学校教育との円滑な接続を一層推進する方向性で検討すべきこと、3つ目として、設置者や施設類型を問わず、全ての幼児教育施設を支える都道府県教育委員会をはじめとする各地域の体制づくりの推進に向けて、幼児教育センターの全都道府県設置を目指していくべきこと、こうした方向性を踏まえ、本ワーキンググループ・委員会において具体的に審議いただければと存じます。なお、論点整理では、今御紹介した事項以外にも小学校以上で検討が進められている教育課程の変革の方向性が示されておりますので、幼保小接続の観点から、ぜひ御参考いただければと存じます。
 続いて、資料1の2ページ目を御覧ください。一番下に記載の※にあるとおり、幼児教育ワーキンググループは、幼稚園教育及び幼保連携型認定こども園における教育に関する審議を、保育専門委員会は保育所保育及び幼保連携型認定こども園における保育に関する審議をそれぞれ所掌しております。3要領・指針においては、これまでも一層の整合性を図ってきたことから、本資料は、今後の本ワーキンググループ・委員会において合同で検討いただきたい共通の検討事項を事務局にて整理し、お示ししたものでございます。
 こちら、枠にありますのが、本日、具体的に議論に入る時間がないので一つ一つの説明は割愛させていただきますが、大きく3点示しております。1、遊びの中での直接的・具体的な体系の一層の充実に向けた、指導と評価の改善・充実の在り方、2、育みたい資質・能力の在り方・示し方、3、子育て支援の充実、地域の体制づくりの推進、この3つを共通の検討事項として挙げております。先ほど論点整理において御紹介した論点についても、1から3について御検討いただく中で、具体的に御議論いただければと存じます。これらの共通の検討事項のほか、各ワーキンググループ・委員会に固有の検討事項も増え含め、これから来年度にかけて審議を深めていただき、令和8年夏頃までにワーキンググループ・委員会としてのまとめを出していただくべく御議論を頂戴することになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 資料の説明は以上です。
【秋田委員長】  御説明をどうもありがとうございました。
 それでは、本日は第1回目でございます。初めての顔合わせの会でございますので、委員の皆様お一人ずつ、御自分のこれまでの御経験や御専門性を踏まえて、今後に期待することなどについて、御発言をいただきたいと思います。私から名簿順にお一人ずつ指名をさせていただきますので、3分程度で御発言をお願いしたいと思います。
 まずは、幼児教育ワーキンググループの主査代理、保育専門委員会の委員長代理より御挨拶をいただきます。初めに、河合主査代理より御発言をお願いいたします。
【河合主査代理】  ありがとうございます。聖徳大学の河合と申します。幼児教育ワーキンググループの主査代理を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は現行の3要領・指針の改訂の際に、文部科学省で勤務をする機会をいただきました。これを皆様にお伝えするためにいろいろなところでお話をさせていただき、皆様方の取組を聞いてきたという体験がございます。そして現在、2つの点で、この改訂以降、進んできたなと思っております。一つは、小学校教育との縦のつながり、そして、2つは地域の幼児教育を行う園の横のつながり、これが途上ではありますが、大きく進んできている実感を持っております。それぞれの立場や方針に同じこと、違うことはございますが、子供の姿を真ん中にして一緒に語り、考える場面に多く接してまいりました。
 また、幼児教育に関する有識者検討会の議論にも参加させていただきました。そこでは各地域における工夫、それから意欲的な取組につきまして、お伺いしました。どこでも実践者の皆様、そして今回は行政の皆様が手を携えて子供たちのために進んでいこうということが実感として私の中に残っており、とても大切なことだと思いながら、ここに座っております。さらに、環境を通して行う教育という幼児教育が大切にしてきた理念、考え方、言葉、これが小学校以降の教育とのつながりの中でも、今後、一緒に考えていくワードになり得るということに大変大きな期待を持っています。子供の主体性を大切にした教育のありようをつなぎ、共に考えるワードとして、引き続き私も考えてまいりたいと思っております。幼児教育、幼児期の教育に対する熱い期待や関心の高まりをひしひしと感じてまいりました。
 今回、保育専門委員会との合同開催という好機に接しまして、0歳から18歳の発達、学びにおける幼児期の教育について改めて考えることができると思っております。この部会で皆様との意見交換、皆様のお声から学びながら、子供たちにとってよりよい幼児教育を目指して、主査代理として、古賀主査のお隣で皆様の意見が一つの方向に向かうようなお手伝いができればと微力ながら思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  河合主査代理、ありがとうございます。
 それでは、続きまして、大豆生田啓友委員長代理より御発言をお願いいたします。
【大豆生田委員長代理】  玉川大学の大豆生田です。よろしくお願いします。保育専門委員会の委員長代理を拝命いたしました。私はこれまでこども家庭庁の幼児期までの育ち部会の中で、秋田前会長を中心としながら、こども基本法を土台にした、はじめの100か月育ちビジョンの作成等に関わらせていただいてきました。その方向性は、先ほどからも説明があったとおりですけれども、子供が権利の主体者として全ての子供のウェルビーイングということは、とても大事な方向性を出せたのではないかなと思っています。
 そして、その重要な中核を担うのが、保育幼児教育を行う現場の役割が非常に大きいと考えていて、今そのことがあちこちの地方にも私、たくさん伺わせていただいていますけれども、あちこちで子供主体の質の高い保育、遊びを中心とした保育、環境を通した保育ということがなされております。そうした大切な方向性が模索される中で、様々な課題も見聞きさせていただいております。少子化の問題もとても大きくて、そうした中でどのように新たな方向性を模索していくか、質の高い保育を保障していくかという課題にたくさん直面しております。多様な家庭があり、多様なお子さんがいて、そしてこれから、ゼロ歳から18歳までという大きな見通しの中で、社会全体が子供のウェルビーイングを支える中での園の役割の重要性ということをひしひしと実感させていただいております。
 そうした中で、今回、文科省とこども家庭庁が合同でこの要領・指針のことを考えて進められるということに、とても画期的であると同時に、本当にこれからの議論がとても重要なことだと思っております。秋田委員長共々と、皆様と一緒に、これからの検討に尽力させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  大豆生田委員長代理、どうもありがとうございます。
 それでは、次に両ワーキンググループ、委員会を兼務いただいている委員より、まず、御挨拶をいただきたいと思います。初めに、柿沼平太郎委員、お願いをいたします。
【柿沼委員】  学校法人柿沼学園の柿沼と申します。このたびは両ワーキングの兼務ということで、非常に重要な重責をいただきまして、身が引き締まる思いでいます。また、貴重な機会をいただきましたこと、感謝しています。ありがとうございます。
 私は埼玉県の久喜市というところで、認定こども園、学童保育等を中心にして、産前産後ケアから6歳から18歳までの要保護家庭の子供たちを受けいれる児童育成支援拠点といった複数の事業を行い、産前産後から18歳の子供たちの一貫した切れ目のない支援を目指し運営をさせていただいている者でございます。昨年はまでは中央教育審議会の初等中等教育分科会でもお世話になりまして、また、現在はこどもの育ち部会の委員をさせていただいています。そのような背景から、声がかかったのかなと思っています。
 今回の改訂は、10年後、20年後といった社会をつくる非常に重要なものだと考えています。昨年の中教審の会議においても、問題行動の低学年化が報告されていたり、不登校や虐待、自殺率の増加など、かなり喫緊の課題があると考えています。特に問題行動の低学年化は我々、乳幼児の集団生活を担う者として、反省も含めて危機感をもって取り組まなくてはいけない課題かと考えています。そこで今回の改訂では、子供たちの個々の生活と、集団生活としてしっかりと考え、人間関係を含めて子供たちに優しい心を育ませたり、人とどう関わっていくかといったことも大きく求められるものかなと思っています。また、幼児教育は遊びを中心として、環境を通して、主体的な活動により学びを深めていくということですけれども、学習指導要領にありますように、主体的、対話的な活動というということと深くつながっていくものだと思いますので、遊びを通して子供たちがどのようにして主体的に考え、そして感じて、そして仲間と一緒に関わっていくかという生活が大切となります。そして、義務教育課程における普通教育と幼児期の育ってほしい姿といったものがかなり密接に関わっていくものだと思いますので、幼保小の連携というのはかなり重要かなと思っています。
 また、私どもがもっている地域課題、例えば不登校とか難病などを原因として、学校外で生活する子供たちと今回の指針・要領のつながりも重要かと思います。また、放課後の生活を担っている学童保育や放課後デイサービス、不登校の子供たちの生活する児童育成支援事業や学習支援の場等縦横斜めの関係も視野に入れた改訂になっていく必要もあるのかなと思っています。
 最後に、こども基本法においても全ての子供たちの権利が守られて、良質な生育環境で生活することが保障されています。今回の指針や要領の改訂される内容施設を超えて子供たちの保育を受ける権利とつながっていくような形になることを意識していくと、全ての子供たちの生活環境が変わって、全ての子供たちが安定した生活をして教育を受けて、しっかりとした10年、20年後を支えていく人間になっていくのではないかなと思っています。
 私は現場の人間なので、現場の声を基にして、現場から見える景色をここ発言する立場と思っていますので、そのような立場で協力させていただければと思っています。よろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  柿沼委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、久保山茂樹委員、お願いをいたします。
【久保山委員】  皆様、こんにちは。久保山茂樹でございます。所属と職名が長いものですから、名簿が2行にわたっておりまして、大変申し訳ありません。その所属名が示すとおり、特別支援教育を専らにしているものです。一貫して乳幼児期を学んでまいりました。初めの頃は療育センターでありますとか、1歳半健診でありますとか、そのフォローアップ教室でありますとか、そういったところで相談員をしたりしておりました。その頃は、特別支援教育とか療育の立場で、保育とか幼稚園教育を見ていたのかなと思います。しかし、保育所、認定こども園、幼稚園での学びをいただく機会が増えてまいりまして、例えば、特別な配慮が必要だと言われるお子さんが半数を超えるというような園で保育を拝見してまいりますと、本当に懸命に保育をなさっている先生方がいると。そういったあたりで学びを深めている中で、むしろ現在、保育や幼稚園教育の立場から特別支援教育や療育を見て考えている、そんな人間かなと思っております。そんな私がこの重要な会議に、末席に加えていただけたということを非常に驚き、また、感謝申し上げているところです。
 さて、これからの会議で大事にしたいと思っていること、たくさんあるんですけれども、今日は3つキーワードを申し上げたいと思っています。一つは多様性の包摂であります。この言葉が論点整理に明確に位置づけられたということは非常に重要だと考えます。この多様性の包摂ということが保育、あるいは幼稚園教育において、具体的にどのように言葉にしていくことができるのか、皆様と考えて議論してまいりたいと思っております。
 それから2つ目は、共生社会の担い手を育むということです。この言葉はかけ橋特別委員会のまとめの中にも出てまいります。子供たちが大人になる20年後、予測困難と言われています。しかし、予測はできないかもしれないけれども、願うことはできると思います。どんな社会を願うのか、それは、多様性を理解し尊重できる社会、一人一人が自分らしく生きられる社会、つまり共生社会だと思います。乳幼児期から共生社会を担う、そういう子供たちをどうやって育むのか、そういった議論ができたらなと思っています。
 それから3つ目は、障害の社会モデルということであります。障害があると言われているお子さんなど、今の社会では少数派になりがちなお子さんに対して、みんなとか多数派の子供たちに近づくことを求める傾向があると思います。しかし、みんなとか多数派の子供たちが、あるいは、その近くにいる保育者が意識や態度を改めることができたら、今の社会では障害があると言われるお子さんたち、少数派の子供たちも生きやすくなるのではないかと考えます。このような障害の社会モデルの考え方から、特別な配慮が必要な子供含む保育幼稚園教育について、皆様方と議論してまいりたいと思います。
 とにかく現場で懸命に保育をなさっている先生方の笑顔や子供たちの笑顔が増えることに繋がるよう、努力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。失礼いたしました。
【秋田委員長】  久保山委員、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、高辻千恵委員、お願いをいたします。
【高辻委員】  ありがとうございます。皆様、こんにちは。大妻女子大学の高辻と申します。私は保育士と幼稚園教諭の養成に携わっております。保育所保育指針には平成20年の改定の際に、告示化ということで解説書を作成することになりまして、そのワーキングの一員という形で当時お手伝いをさせていただきました。そのときは告示化ということで本文の大綱化が求められる中、例えば乳幼児期の発達というものを指針の中でどのように表すのかですとか、あるいは家庭養育の補完ではなくて成長の喜びを共有し合う、そういう関係の下での保護者支援の在り方、これらは今日改めてまた問われている内容かと思いますけれども、そういったことについて、当時座長をされていた大場幸夫先生の下で委員の先生方、皆様、熱い議論を交わしていらっしゃったのを覚えております。
 それまで指針は毎回、要領改訂の1年後に改定されておりましたけれども、このときから同時改訂になるということで、幼保で当時、お互いの議論を随時共有されながら検討を行われることになったかと思います。さらに前回の29年の改訂では、幼保連携型認定こども園教育・保育要領も加わって、告示後の解説作成ですとか周知といったことも3府省、密な連携の下で進められたかと思います。そうした経緯があっての今回、3つの指針・要領について、このように合同で検討する場が設けられることになったということに、幼稚園、保育所、それぞれの長い歴史の中での、この十数年の間の大きな変化ということを改めて実感しております。これまでも幼児教育を担う施設として、3施設の指針・要領は整合性が図られてはきましたけれども、今回のように施設の種別を超えて共に語り合うということの意味はとても大きいなと思っております。この場を実現してくださった関係者の皆様の御尽力に感謝申し上げたいと思います。
 今、それぞれの地域でも、世界全体でも本当に目まぐるしい動きがある中で、制度の違いはありますけれども、環境を通して、また、遊びを通してということ、そしてまた、安心できる関係の下で日々が送られるということ、そういったこれまで就学前の施設が共通して大事にしてきたことは、今より一層重要性を増していると思います。実践の場は元より、保護者をはじめ、質の向上というところでは、広く多くの方々に要領・指針が大事にしてきたことを知っていただくというのは非常に大事なことだと思いますので、中教審の特別部会での御議論にもありましたように、どのようにして分かりやすく示していくのかということも重要な課題だと思っております。今のこの時代だからこそ、日常の大切な居場所である園が子供たちにとってどんな場であってほしいのかということを改めて委員の皆様と御一緒に考えていけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  高辻委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、吉田伊津美委員、お願いをいたします。
【吉田委員】  よろしくお願いいたします。東京学芸大学の吉田伊津美と申します。私は現在、学部と教職大学院で保育士、それから幼稚園教諭等の保育者の養成に携わっております。専門は領域の健康で、乳幼児期の運動発達や遊び、生活習慣等が主な研究の領域です。前回は、教育・保育要領の解説作成協力者、それから要領等の改善に係る作業協力者として関わらせていただきましたが、今回いずれも初めての委員ですので、私自身も勉強できることを大変ありがたく思っております。
 幼児、乳幼児の体力、運動能力の低下ということが言われて久しいわけですけれども、20年以上前の中教審答申でも同じようなことが指摘されております。現場に行きましても、体の育ちや運動発達に課題を抱えていらっしゃる保育者の方も多くいらっしゃいます。特に「健康」の領域、それから関連の深い「健やかに伸び伸びと育つ」という乳児期の視点ですけれども、ゼロ歳から幼児期にかけての縦の関係、構造化というところで、よりその関連を明確にして、分かりやすい指針・要領というものを示していくことが必要かなと考えております。また、幼児期の運動的な遊びと小学校以降のいわゆる運動遊びが少し乖離しているような印象も持っております。
 今回、体育・保健体育、健康、安全ワーキングにも携わらせていただいておりますので、そちらの議論も参考にしながら取り組んでまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  吉田委員、ありがとうございます。
 それでは、続きまして、幼児教育ワーキンググループの岡本潤子委員より御発言をお願いいたします。
【岡本委員】  青森県八戸市にございます、千葉幼稚園の園長をしております岡本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。名簿に記載されておりますように、全日本私立幼稚園幼児教育研究機構では教育研究委員長を務めさせていただいております。幼児教育研究機構は、子供たちの豊かな育ちについての研究を深めることで、保育者を支え、幼児教育の発展と家庭や地域における教育力の向上に寄与するという目的を掲げておりますので、主に全国の園の質向上のための研修部分を担っております。具体的には、日々の保育実践を発表する場としての学会の運営や、公開保育を活用した幼児教育の質を向上させるシステムを開発いたしまして、全国の園が実施できるように、また、保育者が全国どこにいても学ぶ機会を保障するために、多様な内容の研修動画をオンデマンドで受講できるシステムを開発し、全国の園を対象に提供すること等を事業としております。
 私個人といたしましては、時代が変わろうとも子供には子供時間が流れているということ、その子供時間を大切に考えて園運営をいたしております。社会は子供を育てることに対して、ネガティブな言葉を用いて人の在り方や子供を育てること、そして働き方について議論をすることが多いのですけれども、親にとっての喜びや子供の成長する姿への喜びが、それが社会全体を豊かにするということを幼稚園として社会へ伝え続けることが大事であるということ。また、そのような子供とともに生きる教職員が、保育者が子供とともに生きる喜びを感じながら、環境を通して行う幼児教育の豊かさを軸に、この仕事に誇りを持って日々を務めることができるよう考えている1人でございます。
 このたびのワーキンググループでの議論は、子供たちの幼児教育の未来を開く重要な会議と認識しておりますので、子供を真ん中にした議論ができるようにと努めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
【秋田委員長】  岡本委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、川越裕子委員、お願いをいたします。
【川越委員】  東京都中央区立久松幼稚園の園長をしております、川越裕子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。このような場が初めてですので、大変緊張しております。私は幼稚園教諭になり、30年になります。30年間ずっと中央区内の公立幼稚園にて勤務してまいりました。園長としては9年目、そして園長になる前、3年間、中央区教育委員会で幼児教育担当専門幹という立場で、区内の教育行政にも携わらせていただいた経験がございます。
 私はこれまでの教育経験の中で、研究の機会に大変恵まれてまいりました。平成12年、13年度には、区内の有馬幼稚園で文部科学省の開発学校の研究、そしてまた、令和2年度には、晴海幼稚園で幼児教育の教育課題に対応した指導方法充実調査研究に携わらせていただきました。いずれの研究とも、幼小の接続、連携がテーマでありまして、これらの経験が、私のこれからのテーマというようにして高く関心を持っているところでございます。
 今も隣の廊下では子供たちが遊んでいるんですけども、日々この幼児教育の現場によりますと、子供たちの活動や、それによって揺り動かされる心情が、幼稚園教育要領で言うところの生涯にわたる人格形成の基礎であるということを日々実感しております。特に今、本園では、もうすぐ行われる運動会に向けての活動を取り進めているところなんですけども、例えばリレーで負けるとか自分の希望した係につけなかったというような、思うようにならないことということが日々現場の中ではあるんです。そこで、そういうことがあっても子供たちが折れることなく、様々な方法を考えて乗り越えていって、そして学級としてとか、チームとしてとか、つながりを持っていくといった5歳児の日々、姿を毎日見ているところです。そのような姿を見るにつけ、子供たちの幼児の成長はもちろんなんですけども、私たち大人が学び励まされる場面がたくさんあります。
 子供たちの成長を支え、よりよいものとなるように、私たち教員は園内の先生方と知恵を出し合いながら、今日の実践を振り返り、明日の援助の方向性を日々考えております。この日々の小さな小さな積み重ねが幼児の人格を形成するものになると思うと、その責任の重さを実感すると同時に、同じぐらいわくわくした気持ちで、日々仕事に取り組んでおります。このようなすばらしい幼児教育を今以上に社会と共有することができるよう、さらによい手だてが何かないかなと毎日感じております。不慣れな点も多々ございますが、現場の声をお届けすることができるよう、精いっぱい努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【秋田委員長】  川越委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、佐々木晃委員、お願いをいたします。
【佐々木委員】  鳴門教育大学の佐々木晃と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私は鳴門教育大学附属幼稚園に就職して20年間、現場で保育をやっておりました。若い頃はアンパンマンと呼ばれ、そして今はすっかりカレーパンになって、大学で教員をやっております。20年の保育者経験の後、徳島県教育委員会で指導主事をやり、その後、3年副園長、8年園長ということであります。4年前から大学院の遠隔プログラムのために大学に連れてこられて客寄せパンダをやっております。
 僕はずっと現場でおりまして、教育要領の解説の改訂20年、認定こども園教育・保育要領の27年の解説に関わってまいりました。ずっと現場でおりまして、現場の先生方が、この指針を基に、いかに質の高い保育が展開できるか、分かりやすさと、それと、やるごとに誇りと専門性が高まっていくような、そんな仕事に協力できたらと思って張り切っております。本当に僕は田舎者で、今も鳴門からお話ししておりますが、日本津々浦々まで保育の理念が届いて、実践の質が上がるためにベストを尽くそうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
【秋田委員長】  佐々木委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、奈須正裕委員、お願いをいたします。
【奈須委員】  よろしくお願いいたします。上智大学の奈須と申します。心理学を基盤に、小中学校の学習指導を主に研究をしてまいりました。そんな中で、幼小連携のことをめぐって、幼児教育のほうでもこのところずっと仕事をさせていただいております。ありがとうございます。
 小中学校のことを日常考えているわけですけども、考えれば考えるほど幼児教育に学ぶことが多いなあとひしと感じております。まず、子供は有能な学び手だという子供観に立って幼児教育というのはやられているということ、教育というのは文化との出会いを通して、そういう子供のもともとある有能さを顕在化し、洗練する働きだという認識だということ、これはまだまだ残念ながら小中学校以降とは大きく違っている部分があろうかと思います。そういう意味で、幼児教育に学んで小中学校以降の教育を改革するということが大事だなと思っています。
 それは具体的には幼児教育が基盤としてきた教育方法としての環境を通して行う教育に集約されるかと思います。環境を通して行う教育という考え方を小学校以降にも入れていこうという機運がこのところ高まっておりまして、特に個別最適な学び、協働的な学びというのは、この考え方に立たないと本格的には動かない。さらにはGIGA端末が入ってきましたけれども、GIGA端末を闊達に使うためにはデジタル一斉指導では駄目で、環境の一部として、環境を通して行う教育という考え方に立つことが有効だということが見えてきたかと思います。
 また、幼児教育が大事にしておられることとして、子供と相談しながら園の生活を進めるということがあろうかと思います。あなたはどうしたいの、今どう考えているのかなと丁寧に聞いて一緒に歩んでいくという、これも小学校以降、随分進んできました。例えば中学校でルールメーキングという形で、学校の在り方を一つずつ考えていくということが進んでまいりましたけれども、まだまだ学習指導には及んでいません。その辺り、幼児教育に学んで進めていくことが大事だと思いますし、こども家庭庁のほうで出された、先ほどのこども基本法の理念ですよね。子供の意見表明権とか参画権ということ、子供の権利ですが、これについても幼児教育は以前からしっかりとやってみえたように思うのですけれども、小学校以上にもそれをどうやって実装するか、この点において、幼児教育から学ぶことが非常に多いなと思っております。今回も議論を楽しみにしております。よろしくお願いします。
【秋田委員長】  奈須委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、藤原良美委員、お願いいたします。
【藤原委員】  皆様、こんにちは。四日市市幼児教育センター所長の藤原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 四日市市幼児教育センターは令和5年4月に開設されまして、初代の所長といたしまして赴任して今年で3年目となります。直近までは公立幼稚園の園長をしておりました。それ以前は、保育所の保育士であったり、特別支援学校の教員であったり、保育教育現場でゼロ歳から18歳の多様なお子さんたちと長く過ごしてまいりました。その経験者として、また、幼児教育センターの立ち上げから私立、公立、保育園、幼稚園、こども園、小規模事業所といろいろな施設類型ございますが、その種別に関わらずに、子供に関わる保育者の皆様と子供を真ん中にして、子供を大事にする保育って何だろうねと語り合えるように園を訪問して、信頼関係を丁寧に築いて手探りで進んでまいりました。センター立ち上げメンバーとともに、紆余曲折、行きつ戻りつしながら、どの園にとっても身近で頼りになる伴走者となれるように全力で歩んできたこの2年半の実践を基に、現場の生の声をお届けできたらと思っています。
 自分は今、教育委員会籍なんですけれども、福祉部局である幼児教育センターの所長を拝命しております。本日、文科省さんとこども家庭庁さんの合同開催という記念すべき日と先ほどお伺いして、とても心に染みまして、自分たちが目指している立場を超えてつながって次の一歩を目指そうというところを、また心に新たにして大変期待しております。何分不慣れではございますが、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  藤原委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、村地和代委員、お願いをいたします。
【村地委員】  失礼いたします。滋賀県湖南市立石部南小学校の村地和代と申します。このような場は初めてでして非常にどきどきしております。
 前職は滋賀県教育委員会事務局に勤務しており、そこでは幼児教育と、それから幼保小接続事業を担当しておりました。令和4年度から始まりました幼保小のかけ橋プログラム事業の委託を受け、担当者として進めてまいりました。その当時、滋賀県は、幼保小接続事業はあるものの、研究指定は公立園のみを対象としておりまして、現場との実態と乖離がありました。加えて、行政も施設類型ごとに担当課が分かれておりまして、企画運営を共同で行う体制は整っておりませんでした。さらに、幼児教育センターもないという、ないないづくしの状況で、本当に行政担当、私1人の力ではどこから切り込んでいけばいいのか、本当に悩んでいました。この委託を受けたことで、かけ橋期のカリキュラム枠の開発、持続可能な幼保小接続の仕組みづくり、そしてその成果の波及、さらには幼児教育センターの設置と大きく滋賀県の幼児教育や幼保小接続の取組を進めることができたのは本当にありがたかったです。
 そして、昨年度、小学校現場に教頭として戻りました。本校、お恥ずかしながらスタートカリキュラムすらないという、またないないづくしの現状でございまして、本当に小学校の現場の状況、そして、先生たちの意識をどう変えていくのかということについて、現在も目下奮闘中でございます。乳幼児期の、保育・教育で育まれた子供たちの育ちを生かして小学校の授業を変えていくこと、それが本当に子供たちをよりよく伸ばしていくということは私自身も実感しましたし、幼保小接続を進めてこられた校園、そして先生方も実感しております。ただ、なかなか本当に先生方の意識が変わらないということとか、それから小学校現場が動かないということに対しては、課題を感じています。幼児教育の知見を生かして幼保小接続をどのように進めていくのかについて、皆様と意見交換しながら、これまでの行政経験や小学校の立場として皆様と一緒に考えていけたらと思っております。微力ながら、どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  村地委員、どうもありがとうございます。
 続きまして、保育専門委員会の皆様に御挨拶いただきますが、一応11時をめどにしておりまして、あと10人で私は少しどきどきいたしております。ぜひ3分以内というのを御協力いただきましたら、ありがたく存じます。
 それでは、保育専門委員会、飯田美和委員、お願いをいたします。
【飯田委員】  よろしくお願いいたします。舞鶴市乳幼児教育センターの飯田美和です。よろしくお願いいたします。不慣れではございますが、ほかの委員の皆様と御一緒に、また、御指導いただきながら取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、私の現在の業務役割について簡単に紹介させていただきます。私が所属しております舞鶴市乳幼児教育センターは、市の健康・こども部こどもまんなか室乳幼児教育推進課に属しております。市長部局にある乳幼児教育に関する部署になります。センターでは、公私立の保育所、認定こども園、幼稚園の保育者を対象とした乳幼児教育の質の維持向上のための研修や公開保育、園訪問等を実施しており、市全体の保育の質の向上を目指して取り組んでいます。
 センターは地域の乳幼児教育の推進拠点でもありますし、自治体、行政の専門職である私たち保育指導職、私たちは乳児教育コーディネーターと名のっているのですが、配属されております。教育委員会や学校教育でいうと指導主事に当たると考えております。保育の専門職として、指針・要領について理解を深めて広めていく役割があると感じております。ですから、センターの研修については、例えばドキュメンテーションの研修などでは、遊びの中の子供の育ちや学びをドキュメンテーションに書く際には、指針・要領を開いて、5領域のねらい、内容、育みたい資質・能力、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を見ながら検討したり、園内研修において保育者の援助や関わりについてお伝えするときも、解説書から具体的な関わりを紹介したり、折に触れて、指針・要領を手に取る、開く、見る、知る機会をつくるようにしています。
 しかし、残念なことですが、私たちの力不足もあり、実際の保育の現場では指針・要領を十分理解して、保育実践が行われているかという点では課題も感じております。もちろん理解をして実践されている場合もあります。こうした現場に指針・要領の理解を推進していくために、保育所や認定こども園等を所管する部署に専門職を置き、周知を図る必要があり、今回の改訂においては、保育を実践する保育士、保育教諭、幼稚園教諭の理解をどのように進めていくのか、より実践に生かされる内容になることを期待しております。また、私たち行政に携わる保育の専門職が現場と指針・要領の橋渡しをしていくというような役割についても示されることを願っております。微力ではございますが、全ての子供のウェルビーイングを願ってお力添えできたらと思っておりますので、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  飯田委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、石山潤委員、お願いをいたします。
【石山委員】  こんにちは。秋田県教育長幼保推進課の石山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 秋田県では、始まりは乳幼児期からのコンセプトの下、子供の居場所がどこであっても全ての子供に質の高い教育・保育の機会を提供することができるように各種取組を進めております。また、現場の先生方においては、日々の多忙な業務の中、子供の姿を真剣に語り合い、よりよい保育実践に向けた取組を続けているところです。そういった中で指針・要領が目指すものを実現する上での課題などについて3点お伝えします。
 1点目です。育みたい資質・能力についてです。保育者の皆さんは子供一人一人の発達の特性に応じた指導を進めながら、遊びの中でどのような資質・能力が育まれているのかということを読み取ることに難しさを感じています。また、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿について、それぞれの時期にふさわしい指導を積み重ねていく必要があることは十分理解しているものの、5領域のねらいや内容、3つの資質・能力との関連性や実践的理解について悩んでいる状況です。
 2点目です。保育の質の向上と多忙化との関連についてです。子供たち一人一人の思いや願いを受け止め、保育を展開していくためには事前の準備、それから事後の記録と、また園内研修の内容の充実等、園全体として取り組んでいく必要があります。その一方で、各種資料や記録の作成等が業務の多忙化につながっているという捉えがあることが、令和6年度に本県で実施したアンケートにより明らかになっております。
 3点目は、本県で重点的に取り組んでいる評価についてです。保育における適切な評価を進めていくには、保育者の的確な子供の見取りや記録が重要になってきます。次の保育実践につなげることができるように、指導計画、それから記録シート等を各園で見直しているところではありますが、保育者の意図が不明確な場合があったり、子供の行動の記録のみになったりと、評価が次の保育実践に生かせていない部分もあります。
 以上3点について簡単にお伝えしましたが、現場のほうでは一人一人の子供の育ちを保障するため、質の高い保育の実現に向け、真摯に向き合っております。これらのことを受け止めながら、乳幼児期の教育保育の充実をさらに図っていくことができるように、微力ながら考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  石山委員どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、大内委員、よろしくお願いいたします。
【大内委員】  オンラインの参加で失礼いたします。小川西保育園の大内里菜と申します。
 このたび、この議会に私自身が参加させていただくことに驚きと責任感と同時に、保育の原点に携われることに感謝申し上げます。私は幼い頃から保育士になりたいという夢を抱き、大学を卒業して、今の職場で働いて今年で5年目になります。現場で働く中で子供たちの成長を見守っていき、喜びややりがいを多く、とても感じております。一方で、保育を行う中で、理想だけではなく現実の大変さや困難さを感じる部分も多くあります。また、保育所保育指針はすごく大事なことがたくさん書かれていますので、保育の中で活用しておりますが、さらに現場での必要性のあるバイブルとして、分かりやすく、読みやすいものに進めていけたらなと思っております。今の保育の現状と未来の保育、また、子供たちの育ちがより良いものになっていきますように、微力ではありますが尽力させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。
【秋田委員長】  大内委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、北野委員、お願いをいたします。
【北野委員】  北九州市にございます、保育所型認定こども園あけぼの愛育保育園の園長をしております北野久美でございます。
 園長というよりは遊びは学び、そして遊びは発達保障、人の育ちの根っこを育てる時期なんだということを意識しながら、長年、子供の傍らにいる保育現場一筋の私でございます。幼保と教育が一体化した子供の健全育成ですとか保護者の就労支援、そして地域を含めた子育て支援という大きな3本柱の役割のある私たち保育現場です。学び続ける専門職として、量より質というところが問われている今、指針にもございますように、子供にとって最もふさわしい生活の場であるのかというのを日々振り返りつつ実践しているところです。
 さらに、現行保育所保育指針から、これまで大きなコロナ禍がございました。そして無償化をはじめ、社会背景が本当に大きく変容する中で、子供たち、それから子供、子育て世代のそういう方々の戸惑い、お悩み、そういったことも実感している私たちの現場です。今回、こども家庭庁が発足されて初めての改定ということで、切れ目のないはじめの100か月の育ちのビジョンですとか、生まれてきてよかったと実感できる子供の人権ですとか、あるいは私たち保育士が大事にしている全ての子供、そして保護者の子育てを支えます、そして子供と子育てに優しい社会をつくりますと宣言している倫理綱領等を踏まえながら、こどもまんなかの乳幼児教育、保育の実現のために良い方向に向かえるいいタイミングだなあということを思っておりますし、さらに、こうした合同会議ということで一本化に進んでいくのか、子供の育ちが大きく捉えられるんだということで改めて認識しているところでございます。子供の代弁者としてだけではなくて、子供のみならず、保育者のウェルビーイングにとっても考えていきたいところでございますし、保護者、地域、その中で保育を展開している現場の声をお届けできるという、この役割、本当に感謝しております。いろいろなことを学びながら、そして私でできる現場からの発信をお届けできたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  北野久美委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きました、倉石哲也委員、お願いをいたします。
【倉石委員】  倉石でございます。よろしくお願いいたします。武庫川女子大学の社会福祉学科におります。委員に加えさせていただいてありがとうございます。
 専門は児童福祉で、養育に困難を抱える御家族への支援というのをテーマに、ソーシャルワーカー、社会福祉士、精神保健福祉士の養成に携わっております。令和3年に地域における保育所・保育士の在り方検討会に参画させていただき以降、幾つかの国の会議で大変勉強させていただいております。また、私、四半世紀、阪神間で、就学前から学齢期の子供さんを持つ親御さんの支援講座を大型児童館で主催しております。昨日も3回連続講座の最後の講座だったんですけども、親御さんたちが終了時に、最近子供と接する時間が少なくて、子供に習い事をさせることが入学後の子供の幸せに繋がると思っていたけれども、それよりも就学、小学校入学までが楽しくなるように、最後5か月を楽しく過ごしていくことがいかに大切かということが分かりましたと。これを父親にしゃべってくださいと私も言われまして、大変和やかな形で終わることができました。
 まさに私の専門は保護者支援でございまして、今後保育所、幼稚園において、もしくは先生方と、それから保護者の方が一体となって子供の育ちの支援がうまくいきますように強い関心を持っておりますし、このところに私、貢献させていただけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  倉石委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、小枝達也委員、お願いをいたします。
【小枝委員】  皆様、こんにちは。小枝と申します。鳥取県立総合療育センターにおります。
 10年前には幼稚園の教育要領の改訂の会に入れさせていただきました。そのときお世話になりました。私は特別な配慮が必要なお子さんを医療という立場で見ている者です。小児科医で、42年ほど小児科医をしております。そういった立場からいいまして、3つの要領と指針について、現場の保育士の先生、あるいは幼稚園教諭の先生方が読んで分かりやすいものになるといいなと思っていまして、すごくいいものができているんですが、現場で理解して使われていないんじゃないかなという気がしております。ですから、このたびの改訂に当たりましては、見て分かると、見て分かりやすいものになるといいなと思っております。特に具体的な中身になるといいなと思っておりまして、安全とか安全確保ということが随所に出てくるわけですけれども、安全って何と保育士の先生とか親御さんに言ってもよく分からないんですよね。それはもう言ってしまえば事故予防だと。事故予防が安全の確保になるんだという話をすると理解してもらえますし、事故予防って何となったときに、それは危険の回避なんだよと。危険を回避する力を子供たちに教えていくということが大事なんだよというと理解が深まっていきますので、より何か具体的なものになっていくといいなと思っております。
 それから、こども家庭庁が今、5歳児健診を進めてくださっているわけですけども、幼児期の後半から小学校のつながりを見ていきますと、過去と今、今と未来との関係、時間的な関係が把握できるようになると、非常に子供の行動がまとまって落ち着いてくるんです。どうもこれ、布置という力らしいです。布を置くと書くらしいんですけども、こういったものが幼児期後半から小学校にかけて身についていきますので、もし幼保小の連携ということを考える場合には、こういった子供を個体として、生物として見た発達の中でキーワードとなるものなんかも要領の改訂、あるいは指針の改定の中に盛り込んでいただけたらいいかななんてことを思っております。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【秋田委員長】  小枝委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、多田由紀委員、お願いをいたします。
【多田委員】  東京農業大学の多田と申します。このたびは貴重な機会を賜り感謝申し上げます。
 私自身は管理栄養士として、子供の栄養や食習慣に関する研究を行っております。現在、こども家庭庁の複数の科研に関わらせていただいておりまして、妊産婦栄養、乳幼児身体発育調査、乳幼児栄養調査、障害児の栄養管理に関する研究班の分担研究者を務めております。また、児童福祉施設における栄養管理に関する研究では、主任研究者として、保育所における食事提供及び食育の実施、評価の在り方について、科学的根拠に基づく提言をまとめる研究を行っております。
 平成29年の保育所保育指針、幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園、教育・保育要領の同時改訂では、食育に関する記述が相互に整合されて、食べ物への興味や関心ですとか食材の大切さへの気づきなど、幼児期における食体験の重要性が3法令で共通に位置づけられたと認識しております。ただ、その一方で、保育現場における具体的な食育の実施方法や評価指標に関しては依然として十分な整理がなされていないと感じています。幼児期の食習慣は生涯の健康行動の基盤となり、成人期の生活習慣病リスクとも関連することが国内外のコホート研究で示されています。ですので、保育所での食育は、教育や健康づくりと密接に関連する極めて専門性の高い領域であると考えています。
 私はこれまで栄養学や行動科学の両面から幼児の食行動や食環境分析してまいりましたが、食事は単なる栄養摂取ではなく、保育の中での生活体験そのものであって、生活習慣や社会性の形成とも深く結びついています。また、令和4年に策定された幼児期の健やかな発育のための栄養食生活支援ガイドにも関わらせていただいたんですけれども、そこでは保育計画の中に食育を位置づけて、栄養士や保育士、看護師など全ての職員が共通認識を持って子供に関わること、また、家庭から保育所、保育所から家庭の往復の中で食育を継続していくことが重視されています。
 今後はこうした考え方を踏まえて、保育所における栄養と食育の専門性を明確にして、エビデンスに基づく実践と評価の仕組みを整えるという観点から改定議論に貢献できたらと考えております。どうぞよろしくお願いします。
【秋田委員長】  多田委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、堀科委員、お願いをいたします。
【堀委員】  皆様、こんにちは。東京家政大学の堀でございます。このたびは委員を拝命いたしまして、身の引き締まる思いでおります。御期待に応えられるよう臨みたいと思います。よろしくお願いいたします。
 私は現在、幼稚園教諭、並びに保育士養成に携わっております。また、現在、本校の附属園の副園長も兼務しておりまして、子供たち、また保護者の子育て支援等にも常に関わらせていただいております。私の主たる専門領域は低年齢児保育でございまして、専門の立場からこれまで厚生労働省時代の地域における保育所・保育士の在り方検討会、また、現在も続いておりますが、こども誰でも通園制度における委員として努めてまいりました。関わらせていただいた検討会のニーズにも表れていますように、昨今の保育をめぐる社会状況は大きく変化してきております。そのような中、多大な、多様な課題が山積していることも実感しております。
 特に乳児保育という専門の立場からしますと、我が国の低年齢児の入所率は6割と、10年前の前回の改定からもますますニーズが高まっている状況だと言えます。これだけ多くの子供たちが乳児保育を受けるという状況は、私たちが経験したことがない状況でもあると考えています。乳児保育がスタンダードになった今、その質の保障が求められると考えております。もともと保育の標準時間は長時間ですけれども、ゼロ歳、一、二歳からの長期間を、長い期間を過ごす子供たちにとって、保育の場はその子供たちの人生の現風景となっていきます。人的環境の充実とともに、遊びを基盤とした園での暮らしの充実については、より具体的な考え方の整理が求められるものと考えております。こども誰でも通園制度の実施により、幼稚園でも低年齢児の受入れが始まりました。低年齢児保育、乳児保育の充実は、その後の幼児教育全体に関わるものと思っております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  堀委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、松井愛奈委員、お願いをいたします。
【松井委員】  甲南女子大学の松井愛奈と申します。私の専門は保育学発達心理学で、幼稚園教諭、保育士の保育者養成に携わっております。研究テーマといたしましては、子供の遊びや仲間関係、保育環境などですけれども、保育現場で保育を直接拝見して行う縦断的な観察調査を主として継続してまいりました。遊びの面白さとか力に魅了されてはいるんですけれども、それをいかに伝えていくといいのかなということを考えながら、学びをいただいております。
 主体的な活動とか環境を通して行う教育、保育という用語そのものは浸透してきているかもしれませんけれども、その実態として、実際にどのような保育が行われて、子供がどのように遊んでいるのかについて、その様相とか質には大きなばらつきがあるのが現実ではないかと思います。一斉保育か自由保育かという二項対立でもありませんし、また与えられた環境の中で単に子供が選んで活動しているとか、意欲的であるということを超えて、子供がエージェンシーを発揮しながら乳児から子供の声や意見が尊重される、いかに生き生きと心を動かして遊んでいるのか、学びを得ているのかということが求められるかと思います。そういった幼児期に培われる遊びを通した学びが幼稚園、保育所、こども園などの種別を超えて共通に担保されて、小学校の学習の基盤となるということ、それがひいては主体的な社会参画を行って、変化を実現していくことにつながっていくという発達の連続性を踏まえた道筋を明示していくことを改めて、重要性を改めて感じております。
 それから遊びを通して学ぶということは、知識レベルでは、一般的にも少しずつ知られてきているのかもしれませんけれども、子供たちがいかに身の回りの環境から選んで遊び込んで、直接的、具体的な体験を通して学ぶのか、そしてそこに先生方の細やかな関わりや援助ですとか環境構成があるわけですけれども、そういった具体的なイメージを伴う実質的な理解が、保育関係者はもちろんのこと、保護者とか、そして社会全体を巻き込んで広がっていく必要があるかと思います。そうしないと、小学校以上の学習の前倒し的な内容であるとか、できるかできないかで評価されやすい習い事的なものであるとか、いわゆる幼児期にふさわしいとは言い難い活動が主軸に置かれた保育が行われたり選ばれたりしてしまう状況が拭い去れないのではないかなと考えます。
 そのための表形式の提示なども今回挙げられておりますけれども、そういった分かりやすく確実に届く提示、発信の仕方にも工夫を凝らす必要があるのではないかと思います。微力ではございますが、これから私自身、学びつつ、携わってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  松井委員、ありがとうございます。
 それでは、最後に小松委員から御発言をいただければと思います。小松委員よろしくお願いいたします。
【小松委員】  小松です。途中から参加になりまして、失礼いたしました。小松孝至と申します。
 大阪教育大学の教員をしております。また、大阪教育大学附属幼稚園の園長を兼任しております。私の専門は心理学で、教育心理学、発達心理学という領域になります。幾つか研究テーマはございますが、幼児期から児童期にかけての子供たちの発達を専門にしておりまして、大学でもそういう観点からの教員養成に関わっておる者です。私は現在、幼稚園長には就いておりますけれども、実際に担任を持って保育をしたことがあるわけではございません。ただ、そういう子供の育ちに関わる研究をずっとしてきた者として、隣接する領域の仕事をしてきたということになります。これまでも学生時代から、もう30年以上そうした研究を通じて、現場にお伺いして子供たちと接したり、先生方とか保護者の皆様とお話しする機会というのをずっといただいてきました。
 その上で、私の立場というか専門性がこれからの議論にどう関連するかということについて、個人的に考えていることを申し上げますと、私の研究ですけども、例えば幼稚園や保育所等から帰ってきた子供たちとお母さんが、保育の中での経験をどんな話しているのかということを継続的に録音して御提供いただいて、それを書き起こして分析するようなことを例えばしたことがございます。その分析というのはもちろん語彙ですとか文法という観点というのも大事なんですけれども、私の場合にはそうではなくて、指針ですとか要領にもございます子供の自己、セルフ、そういうものが活動の中でどのように立ち現れてくるのかということを考えていたりします。同様に、自己とかセルフに関する関心を基にして、小学校で先生方が指導される日記の分析、子供たちが書く日記の分析などもしたことがございます。
 そういうわけで幼児から児童期にかけまして、言葉によるコミュニケーションから子供たちの自分づくりのようなものを考えるというのが私の専門性ということになるかと思います。これまで附属幼稚園のほうではずっと継続的に先生方の研究のお手伝いをしてきておりまして、その中で自分の中ではそこがうまくつながっているつもりではあるんですけれども、なかなかそれを現場にお返しできていないと。どのようにまとめていけば一番うまくお伝えできるのかということが悩みでもございます。今回、議論に参加させていただく中で、そうした言葉の役割とか自己の育ちといったことを改めて考えまして、少しでもお役に立つ形で貢献させていただければいいかなと願っております。どうかよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  小松孝至委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、議題の2に移りたいと思います。皆様の中には休憩を期待された方もおられるかもしれませんが、私の運営がうまくいっておりませんで申し訳ありません。早速議題2に入りたいと思います。これから幼児教育ワーキンググループ及び保育専門委員会において議論を進めるに当たり、関係団体の皆様から現行の幼稚園教育要領、保育所保育指針、認定こども園教育・保育要領の下で積み重ねてこられた実践の成果や、それから今後の3要領・指針の改訂に向けた期待について御意見をいただきたいと思います。
 まずは関係団体の皆様より御意見をいただいた後、皆様との御意見や意見交換の時間を設けたいと思いますが、もしかするとこれはできないかもしれません。関係団体の皆様には短い時間で恐縮でございますけれども、5分以内で御意見を、発言をいただけますようお願いを申し上げます。それでは、初めに、全国保育協議会より御発言をお願いいたします。
【全国保育協議会】  全国保育協議会副会長の伊藤でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 全国保育協議会は、公立私立を問わず保育所、認定こども園等を会員とする組織です。全国の認可保育所の約7割、保育所型幼保連携型認定こども園の約6割は本会の会員施設となっています。また、本会の下には保育士、保育教諭等の全国組織である全国保育士会があり、約18万人の保育士、保育教諭が会員として子供たちの育ちを日々支えております。今回の改訂に当たり、6点の意見を提出させていただきましたが、ここでは3点述べさせていただきます。
 まず、1点目です。こどもまんなかの理念に基づいた見直しを図っていただきたいという点でございます。幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン、いわゆる「はじめの100か月の育ちのビジョン」には、子供の誕生前から幼児期までは人の生涯にわたるウェルビーイングの基盤となる最も重要な時期であるこどもまんなかの発想に立ち返れば、年齢や学年の事情で引かれた線が子供の育ちの大きな切れ目にならないよう、環境の不断の改善を図っていく必要があると記載されております。つまり、切れ目のない取組が必要であるということが述べられています。しかし、一方、指針・要領等に目を向けますと、保育所や保育所型認定こども園は、保育所保育指針に、幼保連携型認定こども園は幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づくことが前提とされているなど、そこにはある意味切れ目ができています。もちろんある程度、整合性は図られてはいるんですけれども、やはり細かい点にはまだ相違があると感じています。いずれの類型にしても、2号、3号認定子供、1号認定子供が在園し、子育て支援等も展開していることなど、大きな区別はなくなりつつあります。乳幼児がいずれの施設に通っていても質の高い保育が等しく保障されるよう、また、全ての子供子育て家庭を同じ理念のもとに支えるためにも、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、幼稚園教育要領は施設種別で切れ目ができることないように一本化することを要望いたしております。
 また、これらに用いる用語などにもかなり違いがあり現場には混乱が見られます。法的な問題があることは承知しておりますが、こどもまんなかの理念で切れ目なく統一へ向け進んでいくことを望んでいます。こども基本法が制定されてから初めての新要領の改訂です。こどもまんなかの理念に基づいて見直ししていただきたいと思います。
 次、2点目です。子供の育ちには養護と教育の視点が必要だという点です。はじめの100か月の育ちのビジョンには、乳幼児期からウェルビーイングを高めていく上で、アタッチメントを基盤として、人や環境との出会いの中で豊かな遊びと体験を通して外の世界へ挑戦していくことが欠かせない要素であるという記載があり、いわゆる子供の育ちには安心と挑戦の循環が必要だということがうたわれております。その安心を支えているのは、保育実践の場で言えば、生命の保持と情緒の安定を担う養護で働きだと思います。指針・要領等の見直しに当たっても、現在の指針にあるよう、養護の働きをベースに、そこから教育を展開していくというように検討していただきたいと思っております。
 3点目です。子供の育ちを共に見通せる姿勢を盛り込んでいただきたいという点です。近年、自らの子供を出産するまで子供と関わったことのない保護者や、コロナ禍の中、実習経験の少ない保育士や保育教諭等が増えています。現行の指針では、乳児保育、1歳以上3歳未満児の保育、3歳以上の保育などとして、子供の育ちの基本的な事項を記載しています。こうした保護者や保育士、保育教諭等が子供の育ちを見通すことができるように、解説書でも結構ですので、何らかの形で育ちの過程を見えるようにすることが必要だと考えております。また、保護者の働き方によっては長時間保育、週6日登園してくる子供がいるのも現実です。保護者と保育士、保育教諭等がともに子供の育ちを喜び合うことができるよう、子育て家庭との連携を重視するような文言も強化してもらうとともに、保育所等の閉所時間の在り方、開所時間の在り方を検討することも必要だと考えております。このような視点からの見直しをお願いします。
 その他、子供の声を聞いていくことなど、権利擁護の視点の強化、施設長の研修の義務化など、質の向上に向けた組織的な取組について、指針等のねらいを達成するための環境整備についても書かせてもらっています。これらの点をよろしくお願いします。
 以上でございます。
【秋田委員長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、日本保育協会より御発表をお願いいたします。
【日本保育協会】  よろしくお願いします。資料は4ページからになりますが、4ページのところで、保育実践成果と課題ということですが、申し訳ありませんけど、成果については、効果測定をしていないのでエビデンスがあるわけではありません。ここに書かれていることは、先ほど鳥取療育センターの小枝さんが話されたことに尽きます。見て分かる。実は膨大な量なので、中に書いてあることは大変重要なことなんですが、現場の人間にとっては、これはどうだったっけと1個1個、ピンポイントで確認できるのがありがたいということになります。なので、見せ方の工夫として、そこも併せて考えていただけると大変ありがたい。
 4年ぐらい前になりますけれども、不適切保育の防止のためのマニュアルをつくっています。当時の厚労省は。そのマニュアルの一番最後のほうのページに、保育士の意識と職場環境の相関の絵があります。意識が高い低い、職場環境、組織的な取組、積極性があるかないかという相関を縦と横でつくった紙が1枚あります。実はこれ、大変評判がよくて現場で使っていました。なぜ最後、ここに書いてあるかというと、コピーで拡大して壁に貼れるんです。そうすると、自分の園とか自分の意識というのはどこの立ち位置にいるかとか分かるんです。実は現場にとってはそういうような資料があると大変ありがたい、現実にそういう電話を受けましたということが一つです。
 もう一つ、次期改定に向けた期待ということで6ページに書いてありますけども、これは今の指針が想定していないような状況変化というのは確認をする必要があると思っています。一つは、制度的な変化、括弧2に丸1から丸5まで書いてありますけれども、例えば、令和3年に医療的ケア児とか家族に対する制度がありました。法律ができています。こういったもの、それとか先ほど御説明があったこども基本法とか大綱、実行計画、育ちのビジョンというのは、今の指針はつくったときにはないわけです。こういったようなもの、こども大綱もそうですね。それから、今いろいろ具体的な議論をされているこども性暴力防止法の話も、これは想定していないということは、この内容に踏まえたものであるか、この内容に本当に沿っているのかという指針の見直しは、これは必要ではないかなと思います。これが一つです。
 もう1つですけれども、お話もありましたが、すごく今、日本自体が人口減少になっているわけです。そうすると、ピンポイント、事業所単位で何かをやっていくというよりは、エリアで圏域での構築、応援体制というのをもう考えざるを得ないのかなと思うんです。そこの点を踏まえて、多分現行の指針というのは、そこまで広域的なものは多分ないと思うので、少しお考えになっていただくとよろしいかなと思います。
 ここに書いていないんですけど、もう一つ問題があって、外国人問題があります。実は日本人の人口は減っているんですけど、外国人の人口は増えているんです。子供だけで見ても、出生数を見ても、日本人の出生は対前年4万人ぐらい減っているんです。でも外国人の出生は2万人増えている。これは新生児の話ですけど、例えば小学生、中学生の外国籍の日本にいる子供というのは、今16万人を超えているわけです。そうすると、これからもっと増えるという流れに多分なっていくということであれば、指針・要領においても、この点をもう少し意識したものを御議論されたほうがよろしいかなと思います。
 ということで、時間が押しているので、これで終わります。ありがとうございました。
【秋田委員長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、全国私立保育連盟よりお願いをいたします。
【全国私立保育連盟】  発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。全私保連からの意見書でございますけれども、全部でポイント10ありますが、3つに絞ってお伝えできればと思います。
 まず、1つ目です。次期指針におきましては、子供とともに自分たちの手で自分たちの暮らしをつくるという保育の重視をしていただきたいと思います。保育所は遊びや生活を通して子供たちが自らの手で暮らしを形づくる場でございます。子供の主体性を尊重し、保育者もまた子供の暮らしの競争者として、環境、関係を共に築いていく姿勢を明確に位置づけていただきたいと、そのように考えております。
 次に、次のページになりますが、5番目に記載されております、できない自分を安心してさらけ出せる場の保障、これをぜひ充実していただきたいと思います。日本の子供は自己肯定感が低いということがいろいろ言われておりますが、まずは、できるできないではなくて、できない自分を安心してさらけ出せる場であると。その保障をぜひ基本概念として、次期指針では位置づけていただきたいと、そのように考えております。
 最後に、3つ目のポイントでございます。意見書の中では9番目になりますが、保護者、家庭、社会と共に考え、保育の価値を共有する仕組みの明確化を目指していただきたいと思います。私たちは遊びが学びに直結しているんだと、そのように考えておりますが、なかなかそのように考えていただけない保護者の方々もいらっしゃいます。文字、数を教え込むということが教育であると考えていらっしゃる方々もまだまだたくさんいらっしゃいます。文科省さんのほうでは遊びや学びということで、とても大切なメッセージを発信していただいておりますが、それがなかなか社会、保護者の方々とは共有できていないのではないかと、そのように考えるところもありますので、ぜひ共有できる仕組みの明確化を考えていただきたいと思います。
 その点では、共通の検討事項の中で書かれております、育みたい資質・能力の在り方、示し方というところで、学びに向かう力という書かれ方があります。力という表現がありますと、力というものはトレーニングして身につけるのではないかと、そういう考え方にも結びつくのではないかと思います。また、能力という文言にも、どうしても後からつけていかなくてはいけないものだというイメージがどうしても付きまとってしまいますので、これらの文言の在り方につきましても、御検討いただければと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
【秋田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、全国認定こども園連絡協議会よりお願いをいたします。
【全国認定こども園連絡協議会】  ありがとうございます。全国認定こども園連絡協議会の戸巻です。お願いします。
 意見書のほうを出させいただいたんですけども、こちら、お手元参考にいただいて、時間も押しているということなので、縦断的にお話をさせていただけたらと思っております。まず、10年間を見据えて、見越して、この後これを皆さんと協議しながら進めていくと思うんですけども、この国として、どんな子供たちに育ってほしいのかという部分と、どんな形の社会を目指すのか、あとどんな環境で育てるのかというところを、大きなところがぶれないようにしていただきたいというのが1点目でございます。
 もう一つは、日本の子供たちを育む、こういう教育保育だったりとか、あとは支援の部分も含まれてくると思うんですけれども、この内容が3つあるというものについて、実は一本化をしていただきたいと私は願っております。子供たちを育てる環境の中で、法律が子供たちの壁になってはいけないと僕は思っております。そこを我々が、ここにいらっしゃる皆さんのような有識者の方々と協力しながらブレークスルーしていくことが実は大切なのではないかなと私は思っております。お願いします。
 あと3つ目ですが、こういった指針とか、こういった要綱の中では、実は少子化対策の一部を担うというニュアンスというのは、僕は含まれるべきなのではないかと思っております。少子化が進んでいく中で教育の在り方、保育の在り方はもちろん大事ですが、子供たちが例えば家族はうれしいものだな、楽しいものだなというものをしっかり伝えることで、その子たちが大きくなったときに自分たちで子供を育てたいとか、家庭を持ちたいと思えるような部分のニュアンスというのは今はない、ないというか、あまり含まれていないと僕は思っていますので、こういった部分もこの中に含めていかないと、10年後の日本の少子化の人数とかのグラフを見たときに危機感を感じているという部分ではございます。
 もう1点が、実は教育に関する指針等については、子育て、教育、保育とか、子育て支援は園や職員だけで行うものではないと僕は思っているんですが、実は保護者さんの理解度が低い。園の中に幼稚園、保育園、認定こども園の中でこういった指針というものがあって、先生たちがそれを見て、日本の国の子供たちをどう育てたいかというのを考えて指導計画を立てているということを保護者さんが御存じないということが一番、僕は懸念されます。もっと、例えばこれをつくったときに保護者の方にも見ていただける、理解していただけるような場所であったりとかツールを活用して、保護者さんたちにも、要は子育てをしている人たちにも分かるような形というのをしっかり検討いただきたいと私は思っております。よろしくお願いします。
 あと、さっきうちの要望の中に入れたんですけども、異常気象が進んでおります。特に暑い地方であると夏はもうほぼ外で遊べない。今年も去年もそうですが、日々が続いております。ただ、そんな中でも、何かどうにか子供たちが外の自然に触れたりとかできるようなもの、考え方というものも教育、保育に対する考え方も含めていく必要があるのではないかと思っておりますので、御検討いただけたらと思います。
 私からは以上となります。ありがとうございます。
【秋田委員長】  ありがとうございます。
 それでは、続いて、全国認定こども園協会より御発表をお願いいたします。
【全国認定こども園協会】  皆さん、全国認定こども園協会の王寺でございます。まず最初に、今回の改訂が合同検討会と、合同で検討されるということに対して、本当に深い感謝を申し上げたいと思っております。また、意見を述べさせていただく機会いただきましたこと、重ねてありがとうございます。
 ではまず、最初に、10年前の改訂からどのような現場は、どのような意識が変わったかということに関して申しますと、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿により、学びに向かう力が幅広く認識され、子供主体的な保育というようなことが現場では大いに議論されるようになってきたかと思っております。そしてもう一つは、指針や要領の改訂により、内容が共通化されたことにより、施設類型による保育内容の違いが是正されてきているのではないかと感じております。
 今回の改訂によって、こどもまんなか社会の実現のために、真に子供一人一人の育ちの姿に目を向けた改訂の議論がなされ、さらには、私どもは幼保連携型認定こども園教育・保育要領というものが幼児教育、並びに幼保も網羅しているものと思っておりますので、ぜひここを中心に共通化への言語化していただきたいということと、もう一つはこの改訂で新たに決められたものを、各施設が共通言語として取り入れていただくようにお願いしたいなと思うんです。というのは、要領や指針が網羅されているにもかかわらず、なかなか施設ではそれを取り入れた保育がなされているかというと、まだまだ疑問のようなところがあると感じております。
 そして、意見としては、幼保連携型認定こども園教育・保育要領への一本化をお願いしたいということ、これを基にして、10年前から私どもが言っています、指針と要領を一本化してほしいというような願いを込めながら、今回の改訂が教育・保育要領の改定を中心に幼児教育、また、保育指針まで網羅されていくことをお願いしたいということと、もう一つ、皆さんも御存じのように、こども園はいろいろな類型があります。その類型によって保育所指針、並びに幼稚園教育要領を使われているということに大変私どもは疑問を感じております。どのようなこども園においても、幼保連携型認定こども園の教育・保育要領の内容が必要でございます。そういう意味を込めて、どの類型においても、教育・保育要領でまとめていただきたいということ、一貫していただきたいということをまずは今回お願いしたいと思います。
 2点目が、現行の第3章、認定こども園としての特に配慮すべき事項については、もはや幼保連携型認定こども園のみに特記したものではなく、どの施設でも配慮すべき事項であるため、名称の変更や記載内容の修正が必要ではないかと考えております。
 3点目が、こども基本法、はじめの100か月育ちのビジョンを踏まえた記載をお願いしたいということです。この2つが、大前提として内容記載の必要性がある。さらに、はじめの100か月ビジョンを踏まえた幼児期までこそ、生涯にわたるウェルビーイングの向上の重要性については必ず記載されるべき項目であると考えております。
 4点目は、災害への備えでございます。もうこの夏も全国各地でいろいろな災害が起こっています。保護者との連携体制、引渡し方法にとどまらず、園児の安全が担保されるまでの一定の期間、園で過ごすことを想定する備えが必要ではないかと考えております。
 また、5点目、人間関係、コミュニケーションの重要性、5領域の中の人間関係に私は重きを置かなければいけないのではないかと考えております。それはコロナ禍の中で、なかなか人と交わることを禁止されて以来、いろいろな場面で、子供たちが不登校とかいじめなどの問題は、こういうコミュニティーの希薄から来ているのではないかなと考えております。それで、コミュニティーの重要性から特記する必要があるし、そして子育ての支援について、現行で同一年代の子供との保護者中心の子育ての支援の記載内容となっているんですが、産前産後や小学校以降の支援の重要性を明記することも必要ではないかと考えております。
 6点目は保育現場に即した評価の仕組みの実現をお願いしたいと思います。平成27年度の新制度移行以来、評価については、加算項目にありながら、認定こども園としての評価の実現には至っていないと思っております。保育現場においても、保育内容に関するPDCAサイクルを回しながら、保育の質の維持と向上を実現するためにも、評価項目及び評価体制の整備を整えていただきたいと考えております。
 最後は、改訂に伴いながら、制度とどのように整合性を合わせていただけるかということを少しお話しさせていただきます。また、どんなにすばらしい内容の指針や要領ができても、それを実現することが困難な環境や状況であれば、これはただ絵に描いたもちになってしまう。教育・保育要領の内容が実現されるためにどのような整備が必要かという視点で、周辺制度の修正を同時に行っていただく必要があると考えています。具体的にも配置基準の推進、保育者の処遇改善に加え、公定価格基本分単価に含まれる人件費についても実態に即したものとなるよう検討いただきたい。また、園運営を行う園長、副園長、主任等の管理職が常に学び続けるための研修の必須性、さらに、保育教諭の免許、資格の統一化、子育て支援員制度等についても併せて検討していただきたいと考えています。そして全ての子供の最善の利益を実現する保育環境整備に御尽力を併せてお願いしたいと思っております。
 私からは以上です。
【秋田委員長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、認定こども園連盟より御発表をお願いいたします。
【認定こども園連盟】  認定こども園連盟の説明をいたします、意見書を説明いたします、小笠原でございます。
 現在の指針・要領に対する難癖をつけるような感じになりますが、御容赦いただきたいと思いますが、まず、最初に保育目標の設定があります。これが認定こども園第9条というのに5領域がしっかり書いてあって、そして幼児期の終わりまでに育ってほしいという、いわゆる10の姿があるんですが、これ2つともさらさらっと読みますと2つの目標があって、どうも二重基準と、いわゆるダブルスタンダード的な考えではないかと思って、いつも職員とは、今でもそうなんですが、難しい。非常に難解な解釈をしなければならないと、このように感じているところでございます。
 例えば、第9条には、保育目標に達成するように、この目標を達成するように保育を行うものとすると明記されております。第9条に。しかし、第9条の5つの5領域を見ますと、例えば、健康の場では身体諸機能の調和的発達を図ることということがありますが、この身体的調和的発達が図られた、あるいは達成できたかどうかというのは、何をもって判断するのかという点は非常に難しい課題なんです。こういう課題がたくさんあります。認定こども園第9条は、規範意識の芽生えを養うこと。これを保育の目標として達成するように行えというんだったら、規制、規範意識の芽生えをどう養われたか、何をもってこれを判断するのかということは非常に難しくて、私どもとしては、よくこんなことをいって申し訳ないんですけど、哲学書だと私もよく言うわけです。
 例えば10の姿というのは、実は最後に、次に上がりますが、これに向かって、10の姿に向かっていきなさいということで、いわゆる二重基準だと思うんですけど、私は認定こども園第9条は、非常にこれは資質・能力であって目に見えにくい、可視化できないと思っております。さらに私たちは、言い換えれば、育ってほしい10の姿を一生懸命やることによって、保育目標の達成や実現が図られるんだと、あるいはその目標が生かされるのではないかというように、ここで我々は勉強させていただいたわけです。
 私は、この問題と、もう一つ、3歳以上の内容では、3歳以上の教育内容なんですが、ここに書いておりますように2番目、丸2、丸3、丸4にありまして、これを解釈するには非常に心情、意欲、態度というように順序よく並べていけばよく分かると思いますけども、その説明が、指針には当然なされていませんので非常に難しい。あるいは、3歳以上というのは、いろいろな遊びの中で十分に体を動かすことは5歳児でもあり得るんだと、3歳でもあり得るんだということで、非常に発達過程がないために、幅広く我々は子供たちを受容しなければならないと、これは非常に分かるんですけども、一見これを見ますと、全てトートロジーといいますか、同義語反復に見えてしまって、非常にこれ、職員が読むには高度なリテラシーが私は必要ではないかと、このように前から思っております。
 それから乳児保育については、非常に難しいところはねらいとか内容の取扱いというのは、これ書かれているんですが、ねらいと内容は乳児保育、私も20年、30年近くやってきまして、専門的にやってきたんですが、ねらいは内容であり、内容はねらいなんです。例えば子供がハイハイをするということは、ハイハイをするようになったからハイハイをさせるということは、ねらいなんですけど実は内容であり、離乳食を始めるということはねらいでもあり、実は内容で、この書き方は非常に御苦労されたと思います。非常に難しいんだろうなと思いますが、中には非常に長文で複雑な、16ページですが、センテンスが非常に長いために、伝えたい趣旨が曖昧になってきて、ここで区切ったらいいのになんて思います。大体、乳児保育、特に乳児保育は主語が保育士なのか、子供なのか、非常に面妖な記述がたくさんありまして、こんなことを言うといけないんですが、説明すると笑ってしまうような事例がたくさんあります。
 あと、時間がありませんから、これは一斉保育が必要だと、僕はどうも自然成長論に移るような気がしてならないと思っております。一斉保育というのは、何も子供の欲求とか興味を無視してやるんじゃなくて、今は保育の構造化、構造化保育というものをもう少し取り入れたらいいんじゃないかと思います。ただ、設定の中には、指針・要領の中には、確かにカリキュラムマネジメントとか全体的な計画とかという、保育を構造化するための環境はちゃんと書かれているんですが、それだけではなくて、10の中の姿を追い求めていくならば、一斉的な保育、すなわち構造化、教師の意図的な介入がもう少しあるべきではないかということが思います。
 公徳心でありますが、道徳の問題で、言葉の問題でありますとか、あるいは社会性の問題でありますとかというのは、自由保育の中では決して育っていかないと。私は、二項対立とか対立構造で、一斉保育と自由保育の対立構造ではなくて、一緒に適度にいつも組合せが重要なハイブリッドの構造でやるべきではないかと思っております。
 最後になりますが、私は保育構造という自由と構造化というのは非常に大事ではないかと思います。それは何を教えるべきかという教育内容に焦点を当てるのではなくて、保育目標である資質・能力をどう引き出すか、どう引き出してあげるかという教師の介入が必要ではないか。
 すみません。時間がオーバーしましたので、以上です。
【秋田委員長】  ありがとうございます。時間に御協力、感謝申し上げます。
 それでは、続いて、全国国公立幼稚園・こども園長会よりお願いいたします。
【全国国公立幼稚園・こども園長会】  全国国公立幼稚園・こども園長会の高橋でございます。本日はありがとうございます。
 お時間が限られておりますので、本日は私の資料の2ページ目、3、現行幼稚園教育要領等下における課題と改善充実の方向性に焦点を当てて現場の声としてお伝え申し上げたいと思います。なお、そのほかの視点につきましては、提言文書を御確認いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
 私たち国公立幼稚園、こども園では、環境を通して行う教育や遊びを通しての総合的な指導といった幼稚園教育要領等の理念を日々の実践において大切に守ってまいりました。こうした理念は幼児教育の本質であり、今後も維持継承されるべきものだと強く感じております。幼児の自発的な活動としての遊びにこそ主体性、創造性、協働性といったこれからの時代を生きる力の芽が宿っている、そのことを私たちは現場で常に見てきましたし、今も見ています。一方で、近年、本来の遊びとはかけ離れたものが導入されている例もあり、現状には強い危機感を抱いています。幼児の学びは遊び、その夢中になる過程にこそ生まれるものであり、子供の思いがあってこそ環境も意味を持つ、この点を改めて大切にしていきたいと考えています。
 今、社会は予測困難な時代を迎え、子供たちは自らの人生をかじ取りする力が一層求められるようになっています。幼児期だからこそ安心できる環境の中で、自分はここにいていい、自分を表現していいという感覚を積み重ねて、他者とともに関わりながら生きていく力を育むことがますます大切になっています。幼児が心を動かされる体験を通して感じたうれしい、一緒に遊んで楽しいといった意味のある感情が自分の資質・能力として形成されていく、その過程を丁寧に支えることこそ、幼児教育の本質だと考えております。
 そのために私たちは教育課程を長期的に見通しつつ、日々の指導計画と実践を丁寧に往還させながら、一人一人の幼児の姿を捉える努力を続けています。小学校以降のような明確な順序性がないからこそ、教員の力量が問われます。偶発的な自然現象や子供たちの発見を柔軟に取り入れて、予想される育ちと実際の姿を丁寧に照らし合わせながら次の計画へとつなげていく、この営みを日々日々行う力は、一人一人の教員が園内外での研究や研修、対話の機会を大切にして学び続ける姿勢を継続する努力によって育まれてきたものであります。このような幼児期の育ちをしっかりと踏まえた上で、環境を通して行う教育の理念を軸として、幼小中高等教育まで一貫性のある教育を行うことがますます重要になってくると思っています。今後もこの取組を推進することを望みます。
 また、特別な配慮や支援を要する子供たちが自分らしく安心して学び続けられるよう、柔軟で継続的な指導の充実も求められていると感じています。加えて、こうした実践を支える上で重要なのが幼児理解に基づく評価の改善、充実です。私たちは幼児の言葉、表情しぐさといった日々の姿を記録して、園全体で共有しながら、一人一人に合った援助を見いだす努力を続けています。評価とは成果を測るものではなく、成長の兆しを受け止め、学びを支える営みであるべきです。このような実践の積み重ねが、私たち教員中心の資質向上にもつながり、より深い専門性を生み出しています。そしてそれは子供たちの安心感へもつながっていること、私たちは日々実感しております。
 国公立幼稚園、こども園では、保護者や地域の皆様と力を合わせて、子育て文化と教育の土壌を丁寧に耕しながら、総合的な営みを着実に積み重ね、公教育の中核を今まで担ってまいりました。これからもです。そして、そこで培われた力量と知見は、行政や他園への人材輩出にもつながっており、地域全体の幼児教育を支える大きな力となっています。このような国公立園の教育実践の蓄積がまさに国と地域の貴重な財産であり、失うことのできない教育資源だと考えます。これからも私たちは幼児教育の本質を受け継ぐ実践者として歩みを重ねてまいりますので、この営みが持続可能な形で守られ、未来へとつながっていくことを心より願っております。とても大事な乳幼児教育、幼児教育だと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【秋田委員長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、全日本私立幼稚園連合会より御発表をお願いいたします。
【全日本私立幼稚園連合会】  全日本私立幼稚園連合会の会長の尾上でございます。このような機会を与えていただきまして、大変ありがたく存じます。
 御案内のように、平成19年の学校教育法改正によりまして、学校種の規定順序は、幼稚園が第1位に規定され、そのことにより、幼児期から小中学校、高等学校までの一貫した学力観が貫かれたということは大変意義深い重要なことだと考えておりますし、そのことはずっと大事にしていかなくちゃいけないと思っております。前回の改訂以来、特に特筆すべき問題、少子化が依然と止まっていないということ、それと不登校、いじめが相当増えているということ、また、支援を必要とするお子さんも増えておられるということ、アレルギー等々の問題、本当にこういったことを踏まえて、次の要領改訂にということで、委員の皆様には御苦心をかけますが、よろしくお願いしたいと存じます。
 具体的にはこの後、政策委員長の石田が申し述べますが、要望の中に私どもPTA連合会という組織もございまして、全国に、ただいま私立幼稚園に通わせている2万1,000余の保護者の方のアンケートも踏まえた上で、今回、御要望等も述べさせていただきたいと思っておりますので、どうぞ拝聴のほどよろしくお願い申し上げます。以上です。
【全日本私立幼稚園連合会】  同連合会の政策委員長の石田でございます。時間の都合上、1点、申し述べさせていただきたいと思います。
 私のほうから、直接的、具体的で多様な体験を保障する豊かな環境である園庭、園の庭でございます。今現在、本当に戸外遊びが減少しておりまして、リアルな体験が減ってきております。そんな中で豊かな環境を有している園庭遊びが、また役割が、非常にまた求められているところでございます。今、実は海外のデータがございまして、園庭を緑地化した結果、子供の皮膚の筋層の多様性が増加、また、血中の炎症マーカーが減少、腸内の筋の多様性が増加、そのエビデンスデータもございます。豊かな自然環境の中で多様な体験を生む環境としては教育的価値が今非常に高いと、改めてまた園庭の豊かな活動が、また求められているところでございます。ですので、ぜひ次期要領等におきましても、園庭等の環境を通して、直接的、具体的に多様な体験を保障した質の高い教育活動が展開されることをより一層重視した方向で御検討いただきますことを後押しいただけますようよろしくお願いするところでございます。
 以上でございます。
【秋田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、全国連合小学校長会よりお願いをいたします。
【全国連合小学校長会】  全国連合小学校長会の松原と申します。よろしくお願いいたします。
 今日、参考資料2といたしまして、教育課程企画特別部会における論点整理がございましたけれども、98ページに先ほど御説明をいただきました、幼児の自発的な活動としての遊びを通した学びが、小学校以降の生活や学習の基盤となることのイメージという図がございました。そこにあるとおり、幼児教育は小学校以降の生活や学びの土台であり、幼児期の教育が豊かになることは、子供たちのその後の学びや成長をより豊かにすることに繋がると考えております。そのような前提に立ちまして、3点、現状の課題や期待をお伝えしたいと思います。
 1点目は異校種間の連携についてです。とりわけ幼保小の連携は平成の終盤にかけて非常に活発になってきていたと認識をしております。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響や働き方改革の進行もあり、令和に入ってからは十分な連携が難しくなっている面もございます。教職員同士の交流の機会が現状では現場の努力に委ねられている部分が大きいのが実情です。自治体や教育委員会がもう一歩積極的に関与し、交流の仕組みを整えていただくことが望ましいと感じております。
 2点目は教育の内容面についてです。小学校としても、幼児教育との円滑な接続が重要であることは十分理解をしております。これまでも授業改善の積み重ねにより、教師中心の一方的な講義形式から、子供の主体性を大切にした学びへの転換が進められてきております。この方向性は幼児教育が大切にしている環境を通して行う教育等と理念を同じくするものです。学習指導要領においても、低学年では〇〇遊びなどの活動を多く取り入れるなど、内容面からも接続を意識した工夫が見られております。内容についても、現場の努力や工夫はもちろん大切なわけですが、そもそも学習指導要領と3要領・指針の記述において、発達の連続性がさらに意識されていくことが現場の実践を支える大きな力になると考えます。例えば、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿、これは到達目標ではないわけですが、小学校に入ると目標ということで示されます。両者の違いというのは、指導の面でも違いが生じやすい面がありますので、特に低学年などにおいては学習指導要領、あるいは3要領・指針の記述の中で、発達の連続性がより意識できる工夫があるとありがたいと考えております。さらにこれは小学校の立場からということになりますが、10の姿とは別に、小学校入学段階までに身につけておきたい基本的な行動や態度のようなものを少し想定していただくと、子供たちの小学校でのスタートがスムーズになるのではないかと思います。加えて、幼保小のかけ橋プログラムやスタートカリキュラムのように、小学校で具体的などういう取組をしたらいいのかということを示していただけると、現場ではより円滑な接続を図りやすくなるのではないかと考えております。
 3点目でございます。幼児教育施設は設置者や設置類型、規模、環境などが多様です。実際、本校でも20園くらいから子供たちが入学してまいりますし、中には、どの園にも所属していないということがございます。こうしたことから子供たちが入学までに経験してきていることも多様ということになります。どの施設においても一定の水準の学びが保障されるためには、論点整理にもありましたけれども、幼児教育センターの全都道府県設置が有効ではないかと考えます。さらに、これは将来的な展望、夢のような話ですが、幼児教育の例えば義務教育課のようなことも考えていっていいのではないでしょうか。
 少し余談ですけれども、私自身は、ある自治体で教育委員会の指導課長を3年間務めました。そこでは10の公立幼稚園、20の公立小学校、10の公立中学校があり、月に1回40名の校園長が一堂に会する機会がありました。教育委員会からの伝達事項に加え、校園長先生方からの現場の声を伺うこともでき、このことが異校種間の円滑な接続や連携を図る上で非常に有効だったと感じております。
 最後に、幼児教育と小学校教育には、それぞれのよさや特徴があります。その違いを尊重し合いながら、よさを生かし合うことが大切だと思います。そして、論点整理にある生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働し、自らの人生をかじ取りできる民主的で持続可能な社会の創り手、これをまさにみんなで育んでいけるよう、力を合わせていきたいと考えております。
 以上となります。
【秋田委員長】  御発表どうもありがとうございました。
 皆様、御協力ありがとうございました。それでは、ただいま9つの関係団体からいただいた御意見を踏まえつつ、これから9分間ほど質疑と応答を行いたいと思います。関係団体の皆さんにさらにお伺いしてみたいことでありましたり、御発表を踏まえましての御意見をいただければと思っております。できるだけ多くの皆様から御意見をいただきたいと思いますので、委員の皆様は1回に2分以内で御発言をいただければというところでございます。どうぞ、皆様、御意見をお願いいたします。
 御発言を希望される方は御発言の際は挙手ボタンを押していただきますよう、お願いをいたします。そして、その後、押していただいた順に指名をさせていただきますので、ミュートを解除してから御発言をいただきます。また、発言が終わりましたら、再度ミュートにしていただくようお願いをいたします。御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうぞ皆様ふるってと急に言われてもあれかもしれませんが、ぜひ団体からの御発言などを聞いてということで御意見、先ほどの時間では発言できなかったことなどもございましたら、お願いをいたします。
 それでは、岸野先生がお入りになられたので、質疑のほうはよろしいでしょうか。皆様からお手が挙がっているようではないので、岸野委員のほうから御挨拶のほうお願いをいたします。
【岸野委員】  失礼いたします。福井大学の岸野と申します。本日、自治体の公開保育研修のため、終わりがけしか参加できず、大変失礼いたします。本当ならば、さきの関係団体のことを絡めてお話しできればと思ったんですが、十分に参加できなかったこともあって、大変恐縮ですが、御挨拶だけ3分以内でさせていただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は主に福井県や滋賀県で幼児教育施設での保育の質の向上や幼保小接続の支援に携わりながら実践的な研究を進めております。検討事項について現段階の思いを3点ほど述べさせていただきたいと思います。
 第1にゼロ歳から18歳の学びの連続性に関してです。今回の論点整理においては好きを育み、得意を伸ばすということと、当事者意識を持って自分の意識を形成し、対話と合意ができるということが掲げられています。これは幼児教育においても重要なことではないかと思います。遊びの中での直接的、具体的な体験においては、子供が自分なりに環境に関わり、その対象を好きになり、また、他者と合意や対話を重ねていく中で、より環境への関わりが深くなっていくというような循環的なプロセスが起きてくるのではないかと思います。このように子供の中に起きてくるプロセスは活動の形態に関わらず、表れてくるものであり、また、小学校以降の学習でも表れてくるものと言え、共通したこうした基盤となるプロセスとして明らかにしていくことができるのではないかと思います。
 第2に、環境を通して行う教育についてです。特に小学校以降の授業改善に向けて単なる方法としてだけでなく、考え方を共有していくことが重要ではないかと思います。環境からの呼びかけに子供が応答して自ら働きかけ、そこで様々な相互作用が起き、学びが深まっていくということは小学校以降でも重要ではないかと思います。それはつまり、それぞれの教科の世界において子供が何にどのように出会い、それに対して自らどう関わり、様々な相互作用が起きていくことでどう学びが深まっていくのかということを問うことにもつながっていくと思います。こうした考え方を共有する上で、幼児教育における見方、考え方というのを拡張して、例えば特に幼保小接続を促すために、かけ橋期の教育における見方、考え方といったような提案も可能ではないかなと思っております。
 最後、3つ目に育みたい資質・能力の在り方、示し方についてです。これは前回の改訂の中で幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として、具体的な子供の姿の形で表したのは大変大きな意味があったと思います。しかしながら、先ほども出ておりましたが、依然として特に小学校以降の先生方にとっては分かりづらいという声もいまだに耳にします。この姿というのを生かした上で、論点整理での議論も踏まえて、例えばこれらを構造化して捉えられるなど、より表し方を工夫していくことが必要ではないかと思っております。
 以上、論点整理を踏まえて小学校以降の教育を見据えつつ、しかし、乳幼児期の教育として大事にすべきことを改めて言語化し、家庭や地域にも理解を図っていけるよう議論を深めていくことが重要だと思います。私は生活科、総合的な学習、探究の時間のワーキンググループにも参加しておりますので、特に幼保小接続については、2つのワーキングでの議論が相乗的になるよう努めてまいりたいと思っております。これからどうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【秋田委員長】  岸野委員、御発言ありがとうございました。
 それでは、時間が参りましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。本日、関係団体の皆様からいただいた御意見を参考に、今後、議論を深めてまいりたいと考えております。
 それでは、最後に、次回以降の予定につきまして、事務局よりお願いをいたします。
【上遠野子育て支援指導官】  次回の幼児教育ワーキンググループ及び保育専門委員会の開催は、それぞれ11月に予定しておりますが、正式には日程調整の上、後日連絡いたします。
【秋田委員長】  それでは、以上をもちまして、本日の幼児教育ワーキンググループ及び保育専門委員会を閉会といたします。
 あと2分残すところでありましたけれども、本当に皆様御協力をありがとうございました。オンラインでの御参加の方もありがとうございました。
 せっかく局長が来られたので、御挨拶をくださるということでございますので、よろしくお願いします。中村局長、お願いします。
【中村成育局長】  すみません。こども家庭庁の中村と申します。遅くなって申し訳ありません。今日ちょうど大臣が就任するということで、それに途中から参加ですけども、非常に活発な御意見ありがとうございました。
 ずっと公務員をやっていまして、こういう合同の審議会があるというのはすごく画期的で、非常にありがたいと思っていますし、こども家庭庁と文部科学省もかなり今いろんな会議を一緒にやったり意見交換をやっておりますけれども、審議会を一緒にやっていただいて、そこでの議論は我々非常に参考になると思いますし、また、同じ年代の子供たちを扱う指針をどうしていくのかということで、今日も言語化という言葉を何人かの先生おっしゃっていましたけれども、まさに子供たちの言語化に付き合う私たち、先生方も含めてですけれども、これからどのようにして共通の言語化を図っていくのかというところがすごく大事だと思っております。ぜひ御指導のほうよろしくお願いいたします。
【秋田委員長】  中村局長、ありがとうございました。
 それでは、これで閉会といたします。皆様ありがとうございました。お疲れさまでございます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――