令和7年9月24日(水曜日)15時30分~17時30分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【栗山教育課程企画室長】 教育課程企画室長の栗山でございます。
定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会総則・評価特別部会を開催いたします。
本日は、大変御多忙の中、御参加いただきまして誠にありがとうございます。開会に当たりまして、文部科学戦略官の今村より御挨拶申し上げます。
【今村文部科学戦略官】 失礼いたします。文部科学戦略官の今村でございます。総則・評価特別部会の第1回の開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、このたび、大変御多用のところ、本特別部会の委員をお引き受けいただきまして誠にありがとうございます。御挨拶ということですけれども、簡単にこの会議の位置づけを御紹介させていただいて、御挨拶に代えさせていただきます。
まず、中央教育審議会におきまして、昨年12月に初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について諮問がなされまして、この諮問事項に関する基本的な方向性等を検討するため、教育課程部会の下に教育課程企画特別部会を設置いただきました。こちらで、13回にわたり大変精力的に御審議いただきまして、今般、論点整理案として基本的な方向性が暫定的に取りまとめとなった次第でございます。そこで、その次の段階といたしまして、各学校種別、教科等の専門的な検討に入るという、その段階でございます。
その段階に当たりまして、本特別部会におきましては、今回の学習指導要領改訂に向けた検討に当たりまして、各教科等にまたがる重要事項を位置づける学習指導要領の総則的な事項につきまして御議論をいただくということでございますが、それとともに、各ワーキンググループ、多数のワーキンググループを設置して並行して議論していただくことになっておりまして、それらの議論の状況を概観していただきまして、教育課程全体としてどのような資質・能力を育成していくのかということに関しまして、ぜひ積極的に調整といいますか、全体の統合といいますか、調和を図っていただく、そういうような役割も、今回、期待してのお願いということになってございます。こちらからのお願いで大変恐縮ですけれども、そういった観点も含めて、御議論をいただきたいというふうに考えているところでございます。
その後ですけれども、御検討いただきました内容につきましては、さらに教育課程部会等、あるいは初等中等教育分科会のほうでの御議論等も踏まえまして、最終的には中央教育審議会として令和8年度中にお取りまとめいただくと、そういうようなスケジュール感で進めていくということになっております。委員の皆様方におかれましては、ぜひそれぞれの御知見、御経験を踏まえた様々な観点から、率直な忌憚のない御意見を頂戴できれば大変幸いに存じます。
私のほうからは、若干の説明を挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 議事に先立ちまして、本特別部会の主査及び主査代理について御報告いたします。参考資料5の初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づきまして、本特別部会は教育課程部会の決定により設置をされており、主査及び主査代理につきましては、奈須教育課程部会長と御相談の上、貞広斎子委員に主査として、石井英真委員、奈須正裕委員に主査代理として御就任をいただいておりますので、御報告を申し上げます。
なお、総則・評価特別委員会の委員の皆様につきましては、参考資料4として委員名簿を配付させていただいておりますので御覧ください。
それでは、議事に入ります前に、貞広主査から一言御挨拶をお願い申し上げます。
【貞広主査】 千葉大学の貞広と申します。ただいま、本特別部会の主査を拝命することになりました。皆様の御尽力あってのことですので、どうぞよろしくお願いいたします。
先日、教育課程企画特別部会で論点整理案が暫定的に出されました。あらゆる方策を活用して三位一体で、深い学びの実装、多様性の包摂、実現可能性の確保によって、多様な子供たちの深い学びを確かなものにするという論点で御整理をいただいているところでございます。また、明日、教育課程部会に御報告を申し上げ御審議をいただくところですけれども、非常に多様な議論をかなり先駆けて行うという観点から、教育課程部会に先駆けてこうしたワーキングを走らせていただいているところでございます。
先ほど今村戦略官より令和8年度中に中教審の答申というお話がございまして、今、令和8年度中にとおっしゃるとかなり先のことのように聞こえるのですけれども、相当議事としてはタイトでございます。そうしたタイトな中、この特別部会ももちろんですけれども、それぞれ特別部会の委員の皆様、それぞれ別のワーキングにも所属してくださっている委員の方々いらっしゃいます。ぜひ、そちらのワーキングの議論もこちらに持ち帰っていただきまして、全体の議論の概観や調整ができる、そして基本的な物事について指し示すような方向性をしっかりと御提示できるような部会にさせていただきたいと思っておりますので、どうぞ皆様の御尽力、お力添えをいただければと思います。
整いませんが、私からの御挨拶とさせていただきます。
【栗山教育課程企画室長】 ありがとうございました。
それでは、本特別部会の進行は、これより貞広主査にお願いいたします。
【貞広主査】 では、これより議事に入ります。
本特別部会の審議等につきましては、参考資料5の教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただきます。また、第6条に基づきまして、議事録を作成し、こちらも原則公開するものとして取り扱います。
それでは、事務局より会議の留意事項を御説明いただきます。
【栗山教育課程企画室長】 本特別部会は、対面とウェブ会議を組み合わせた方式で開催をしております。対面参加の委員の皆様におかれましても、ヘッドセットから音声を配信いたしますので、御発言の際は挙手ボタンを押していただき、ミュートを解除してから御発言願います。また、御発言が終わりましたら、再度ミュートにしていただきますようによろしくお願い申し上げます。
事務局からは以上でございます。
【貞広主査】 ありがとうございました。
それでは、早速でございますが、議事1に移ります。総則・評価特別部会の設置趣旨及び主な検討事項につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 失礼いたします。
まず、検討事項に先立ちまして、総則・評価特別部会の設置趣旨等について、少し詳しめに御説明をさせていただきます。学習指導要領の改訂に向けましては、昨年12月の中教審諮問を受けまして、これまで教育課程企画特別部会を中心に全体の方向性等について議論が進められてまいりました。多くの委員の皆様が教育課程企画特別部会の委員でもあられますし、また、論点整理案の内容については事前に御説明の動画をお送りしたところでございますけれども、19日の企画特別部会におきまして、これまでの検討の結果を取りまとめた論点整理案が議論され、今後は論点整理案で示された事項を踏まえての各専門部会等での審議を進めていくことになっております。
その上で、総則・評価特別部会は各教科等に共通する重要な事項を位置づける学習指導要領の総則や学習評価について御議論を賜ります。多岐にわたる論点を扱うことから、幅広い御専門の委員の皆様に御参画をいただいております。また、参考資料4の委員名簿にも御記載がありますとおり、一部の委員の皆様には御専門に関連する議事を取り扱う会に御出席をいただく前提でというふうに考えているところでございます。
また、本特別部会は、各教科等別のワーキンググループの議論の状況を把握いただき、教育課程全体としてどのような資質・能力を育成するか、積極的に御調整をいただく役割を担っておりますので、次回以降は各ワーキンググループの審議の状況についても御報告をしていただきたいというふうに考えております。
また、各学校段階において資質・能力を調和的に育成できるよう総合調整を行う必要もあることから、各教科等の審議が進んだ審議の後半以降に、参考資料6の検討体制図にもございますが、義務教育検討チーム、高等学校検討チームとして、学校種固有の事項についても必要に応じて検討する場を設けまして、各学校段階の円滑な接続についても御検討いただけるようにというふうに考えております。詳細については、スケジュールが近づいた段階で調整の上、御連絡を差し上げます。
こうした観点から審議を進めていただきまして、遅くとも令和8年7月頃をめどに検討の結果をお取りまとめいただきたいというふうに考えております。
続きまして、今、お示ししている資料1に沿いまして、本特別部会の主な検討事項について御説明を申し上げます。
ここでは、総則・評価特別部会における検討事項、論点についてお示しをしておりまして、左側から、まず1つ目、「学習指導要領の基本的な理念や構造等に関すること」であります。申しそびれましたが、こちらの記載事項は全て先ほど申し上げた論点整理を踏まえて整理をいたしているものでございますので、あらかじめ御報告を申し上げます。
戻ります。1ポツ、「学習指導要領の基本的な理念や構造等に関すること」であります。丸1「各教科等に共通する重要な理念・概念の具体化」についてであります。各教科等の中核的な概念等の抽出とそれに基づく構造化、そして構造化に伴う必要に応じた内容の精選の基本的な方針についてであります。この際、教科書の重点化、精選との関連を含めてと考えております。
また、隣にページ数がございますけれども、このページ数については論点整理における参照するページでございますので、必要に応じて御参照いただければと思っております。
続きまして、各教科等の目標における見方・考え方の示し方について、各教科等の目標における学びに向かう力、人間性等の示し方について、カリキュラム・マネジメントの考え方の整理や具体化の在り方についてであります。
丸2「分かりやすく・使いやすい学習指導要領の形態」についてであります。教師による資質・能力の関係性の理解やそれらを一体的に育成する単元づくりを助け、深い学びを具現化しやすくする表形式の在り方について、また、教師の授業づくりの過程を効果的に支援することができるデジタル学習指導要領に求められる役割や機能の在り方について。こうした論点整理でも示された構造化、表形式化、デジタル化について、さらに御議論を具体的に進めていただくことを想定しております。
続きまして、右側にいきまして、2番目、「柔軟な教育課程の促進に関すること」についてでございます。
丸1として、論点整理でも示しました「調整授業時数制度の具体化」についてであります。1つ目に標準授業時数の調整を可能とする対象となる教科や領域、または調整可能な授業時数の上限についてであります。また、調整授業時数の活用方法として認められる具体的な内容について、論点整理ではほかの教科への調整授業時数の上乗せ、あるいは裁量的な時間、あるいは新しい教科にということを御議論いただいておりましたけれども、その中で、特に教職員の研究・研修も含めた裁量的な時間の類型または上限について御議論いただくことを想定しております。また、こうした調整授業時数制度が適切に運用されるようにするため、これを担保するための方策についても企画特別部会では御議論いただいておりましたので、この具体についても議論を想定しているところでございます。
この点に関連いたしまして、1点、補足でございます。19日の企画特別部会におきまして、ここにございますように、教育課程柔軟化サキドリ研究校事業というものについて御報告をさせていただきました。これについては、この調整授業時数制度を先取りするような形で、来年度から各都道府県、指定都市ごとに5校程度ずつ先取り的にこの調整授業時数制度を活用した取組をすることができるという趣旨の取組でございます。
この月曜日に、文部科学省から各都道府県、指定都市教育委員会に公募要領をお送りしておりまして、今後、事前説明会等を経て、各都道府県、指定都市に御検討を深めていただくということを想定しております。既に今年度から研究開発学校で、9都道府県46校において取組が進んでおりますが、そこに加えて、来年度からこの取組をさらに行うということを想定しているものでございます。
このように具体の事例も創出しながら、その知見も踏まえて、この総則・評価特別部会で具体的な制度設計の御議論をいただけるように工夫してまいりたいと考えているところでございます。
戻りまして、丸2「その他の柔軟な教育課程編成を促す方策」についてでございます。学校教育法施行規則での単位授業時間の標準、現在は小学校45分、中学校50分というふうに示されていますが、この示し方についてであります。また、学習指導要領総則における年間最低授業週数、現在、35週以上とされているこの示し方についても御検討いただきます。また、学習指導要領での学習内容の学年区分、この示し方についても検討事項でございます。
続いて丸3、「高等学校における単位制度の柔軟化」についてであります。必履修を含む科目の一部を、他の科目や学校設定科目等で取り扱うことを可能とする場合の具体的な要件と範囲についてであります。また、この組替えを行う場合に、一部内容を選択して扱うことや、履修単位数を標準から減らすといった場合に、具体的な要件と範囲をどのようにするかということも検討事項であります。
また、卒業に要する修得単位に含めることができる学校設定教科や科目の単位数の上限、現在、20とされているこの上限の在り方についても検討事項です。単位計算の細分化の具体的な設計、何時間の学習をもって1単位と認定するかといったことについても検討事項でございます。なお、単位計算の細分化と申しますのは、現在の単位数について、これを倍加して計算するという御提案を特別部会で論点整理として取りまとめていただいております。
加えて、一番最後のポツ、科目の履修免除の対象科目や具体的な要件、運用の在り方についても検討中であります。
丸4「その他の柔軟な教育課程編成を促す方策(高等学校)」の関係では、週30コマとされている週当たりの授業週数の標準の示し方についても、これを示さない方向で具体的にどのようにするか検討をいただく予定でございます。
次のページでございます。3番「総則全体の構成に関すること」でございます。丸1「総則構成の在り方」。前回の改訂におきましては、学習指導要領の改訂の趣旨を踏まえまして、教育課程の編成・実施が行われるよう、教育課程の編成の手順に沿って要点を示す形で構成の大幅な見直しを行いました。それを踏まえて、次期総則の構成の在り方について検討する必要がございます。
下にございますように、小中学校、高校の総則いずれにつきましても、前回のものから現行を御覧いただきますと、第1から第6について、教育の基本と教育課程の役割、教育課程の編成、実施と学習評価、児童生徒の発達の支援、学校運営上の留意事項、道徳教育における配慮事項という形で、その手順に沿って要点を示していたということを御覧いただけると思います。
丸2「総則の記載の在り方」についてであります。前回改訂でこの見直しによって、結果として大幅に総則の分量が増加しております。その趣旨について、教師が一層つかみ取りやすくし、授業づくりに生かしやすくする観点から、記述の簡素化や精選の在り方について御検討いただきます。
右に行きまして、4番「総則の具体的な記述」についてであります。教育課程の編成・実施の関係の部分でございます。丸1「学習の基盤となる資質・能力」についてであります。学習の基盤となる資質・能力については、次期指導要領におきましては、情報活用能力と言語能力の2つで構成する方向で論点整理をお示しいただいておりますが、この関係について整理をお願いしたいと思っています。加えて、情報・技術ワーキンググループや国語ワーキンググループにおきまして、情報活用能力や言語能力について議論を深めていただきますけれども、そこでの議論も踏まえまして、情報活用能力と言語能力を構成する資質・能力の再整理についても御検討いただきます。
丸2「デジタル学習基盤の位置付け」についてであります。次期学習指導要領は、デジタル学習基盤を初めてその中に取り込んでいく改訂にもなりますが、その意義や役割についての基本的な考え方の示し方についても検討事項でございます。
丸3「学習の自己調整の位置付け」であります。学びに向かう力、人間性等の新たな整理を踏まえまして、児童生徒の学習の自己調整を促す効果的な指導、児童生徒の学習方略に係る指導を含めてでありますが、これについての示し方について御検討いただきます。
丸4「個別最適・協働の位置付け」であります。主体的・対話的で深い学びと個別最適な学びと協働的な学びの間の類似した用語の並立を避けつつも、既に総則に記載がある個に応じた指導を個別最適な学びに発展的に置き換えて整理するための具体的な示し方についてです。また、対話や協働の基盤となる心理的安全性の重要性についての具体的な示し方についても検討事項であります。
引き続き具体的な記述について、児童生徒の発達の支援関連であります。丸1「多様な子供にとって学びやすい学習環境の構築」についてです。論点整理では、いわゆる社会モデルの考え方も踏まえつつ、多様な個性や特性を有する子供がいることを前提とした基礎的な環境の整備や、障害のある子供たちへの合理的配慮の在り方についての具体的な示し方についても言及をされており、これについて御検討事項となっております。
丸2「学級経営・生徒指導・キャリア教育」についてであります。生徒指導提要に示されている発達支持的生徒指導の考え方も踏まえた学級経営・生徒指導の在り方についての示し方、また、特別活動ワーキンググループの議論も踏まえまして、キャリア教育の示し方についても検討事項であります。
丸3「個に応じた指導の充実」。教師が子供たち一人一人に応じて指導方法・指導体制を工夫するという教師主語の視点のみならず、子供自ら自己の学習を主体的に調整できる学習環境を教師が整えるという学習者主語の視点も踏まえた記述の充実の在り方について御検討いただきます。
丸4「特別な配慮を要する児童への指導」についてであります。具体的には、日本語・不登校・特別支援を主に捉えておりますが、特別支援教育ワーキンググループや不登校児童生徒に関わる特別の教育課程ワーキンググループ、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議などでの議論における検討を踏まえまして、個別の児童生徒に係る教育課程の編成・実施などについての示し方についても検討事項であります。
右側に行きまして、6番、その他の事項でありますが、丸1「学校段階間の連携接続」について、学校段階間の一層円滑な連携接続を図るための示し方についてです。
丸2「学校・家庭・地域の連携」について。学校・家庭・地域の状況等を踏まえた柔軟な教育課程を編成・実施し、社会に開かれた教育課程を一層実現するための学校・家庭・地域の連携・協働の在り方についての示し方についてであります。
丸3「道徳教育に関する配慮事項」につきましても、道徳ワーキンググループにおける検討を踏まえた示し方について、検討事項でございます。
なお、部活動につきましては、スポーツ庁、文化庁が設置しました部活動改革に関する有識者会議における議論に基づきまして、地域展開等の進捗も踏まえた示し方について整理をするとしていただいているところでございます。
7番「学習評価に関すること」であります。丸1「学習評価の頻度・タイミングの在り方や「学習改善等に活かす評価」の充実方策」についてであります。評定の総括は学年末にのみ行うことが可能であるということを示しつつ、学習の改善に生かす評価を充実させていく具体的な運用の在り方について検討事項としております。
丸2「学びに向かう力、人間性等の評価」についてであります。学びに向かう力、人間性等について個人内評価としていくということを論点整理案でも言及されておりますけれども、いわゆる実施する際の具体的な評価方法についてであります。また、学びに向かう力、人間性等について、論点整理案におきまして、思考・判断・表現の過程で具体的に見取ることができる要素が特に表出した場合に「○」(丸)を付記するということを提案しておりましたが、その際の具体的な運用の在り方についても検討事項であります。そして、特に「○」(丸)を付記した場合の評定への影響と在り方について、検討事項としております。
丸3「「中核的な概念等」の学習評価における取扱い」であります。中核的な概念等に関する整理を踏まえた、学習評価の対象とすることの適否について、検討事項であります。
右、8番「義務教育に関する固有の検討事項」についてであります。この点につきましては、コメ(※)でございますように、各教科等の議論を踏まえた義務教育の教育課程全体の整合性を確保するため、各教科等ワーキンググループでの議論を踏まえまして、総則・評価特別部会として、義務教育全体で資質・能力を調和的に育成するための調整を図ることとしておりますので、適宜にこの点を進めてまいりたいと思っております。
その上で、丸1「義務教育段階の教科構成と標準授業時数の在り方」についてであります。申し上げたような調整も踏まえまして、義務教育段階の教科構成や標準授業時数の在り方について検討事項となっております。
9番「高等学校教育に関する固有の検討事項」であります。こちらも同様にコメ(※)にございますように、高等学校教育段階につきましても、総則・評価特別部会として、全体で資質・能力を調和的に育成するための調整を図っていくということ、同様でございます。
その上で、丸1「高等学校の教科・科目構成と標準単位数の在り方」についてであります。調整も踏まえた高等学校段階の教科・科目構成と標準単位数の在り方について、検討事項でございます。
丸2「産業教育の示し方」については、産業教育ワーキンググループが別途ございますので、そちらでの議論も踏まえた総則での示し方について、検討事項であります。
また、丸3「通信制課程の示し方」。教育の質の確保・向上を図る観点からの通信制課程の在り方についても検討事項であります。
最後に10番といたしまして、「「余白」の創出を通じた教育の質の向上に係る整理」についてでございますけれども、今回の検討全体でどのような余白、教育の質の向上のための時間的な余裕ということが可能となるかにつきまして、論点整理でも一定の議論をいただいたところでございますけれども、論点整理の内容も踏まえつつ、総則・評価特別部会での具体の検討を踏まえて、一定段階でさらに可視化して整理をしていきたいというふうに考えているところでございます。
また、最後でございますけれども、総則・評価に関する参考資料、別途参考資料1として御用意をしております。目次だけ御紹介をさせていただきますけれども、今、御紹介を申し上げました検討事項に沿って参考資料を御用意させていただいております。例えば企画特別部会で御議論をいただきました際に御用意をした資料もそうでございますし、また、その他必要に応じて既存の参考資料等、御用意をさせていただいておりますので、必要に応じて御参照をいただくことができればというふうに思っております。
御説明は以上でございます。
【貞広主査】 ありがとうございました。
もちろん分かってはいたんですけれども、改めてこうして俯瞰してみると、これほど広範で、そして、それぞれとても重要な事項を検討するのだと、改めて身が引き締まる思いがしているところでございます。ありがとうございました。
それでは、本日は第1回目で初めての顔合わせの会でもありますので、委員の皆様お一人ずつから、今後、特に検討を進めるべきと考えている事項等について御発言をいただきたいと思います。中には、遅参や移動中の御事情ある委員もいらっしゃいますけれども、基本的に名簿を基に順に私からお一人ずつ御指名をさせていただきます。恐縮でございますけれども、今後も審議の会がございますので、お一人3分以内で御意見をおまとめいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
では、初めに、青海委員、よろしくお願いいたします。
【青海委員】 全日本中学校校長会の青海でございます。よろしくお願いいたします。
教育課程の実施に必要な条件整備が諮問の柱の一つとされました。また、先日の論点整理の中の基本的な考え方、改訂論議を貫く3つの方向性という中に、実現可能性の確保というのが第3の方向性、これがとても重要だと思っているところです。今後、教育課程の実施に伴い、教師に過度な負担増とならないよう、教師と子供の双方に教育の質の向上のための時間的な余裕を生み出すことで、深い学び、豊かな学びにつなげていく、こういった検討を行う必要があるなと思っているのが一つです。
2つ目は、学校現場の私たちは、委員として、学校の現状を踏まえた意見や考えを伝えていく役割があると思いますけれども、委員の中には多くの研究者の皆様がいらっしゃいまして、予算確保とか政策にまでつなげていくには、そういった研究者の研究実績がとても大切になると思いますので、引き続きお力をお貸しいただきたいなと思っているところでございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】 では、秋田委員。御発言可能でしょうか。
【秋田委員】 可能でございます。ありがとうございます。学習院大学の秋田でございます。
私のほうも3点、お話をさせていただきたいと思います。今回の全体の方向が決まりましたけれども、その他で重要なことはやはりこの学習指導要領が分かりやすいものであるということが重要なことになります。特に、今回、深い学びということが柱の一つになってございますが、深い学びのためには中核的な概念というものをどのように理解したらいいのか、各教科の中で押さえられることが大事であろうと思います。まだその部分をどう表現するのかということについて、これから丁寧に考えていく必要があろうと思いますし、また、中核的な概念を押さえるためには、柔軟で弾力的な教育課程というものがつくられる必要があります。
それと連動して、例えば小学校の中では、教科によって複数学年で分けて書いている教科と、算数や社会科のように学年単位で書いている教科がございます。この辺り、今後、より柔軟で弾力的な教育課程をつくっていくためには、どういう表現で全体を書いていくことが必要なのか、もし分けるとしたら、分けるのは教科の本質とどう繋がるのかというような議論をしながら、もう一度、現行のものだけではなくて、今後の柔軟性を考えて捉えていくことが、1点目としてまず必要なのではないか考えています。
また、2点目としては、既に出ていることではございますけれども、デジタル学習基盤等を考えたときに、やはり生成AIとどう付き合うのかということと、その時代の言語力は何なのかということをもう一度確かめながら総則に書き込んでいく必要があると考えます。
そして最後に、3番目ですけれども、子供のより主体的な社会参画ということを考える上では、実は現行の学習指導要領のときにはなかったけれども、次の学習指導要領では、こども基本法がこの間に成立してございます。そして、子供の意見表明ということが国の全体の法律の中でも書かれておりますので、総則の中でも全ての子供の学ぶ権利や、それから子供の声を聞いた授業づくりや単元づくり、一緒に考えていくことの大切さということを示していくことが重要になるのではないかと思います。
これは、日本だけではなく、近年のカリキュラムでは、教師の知識の中に子供の権利に関する知識を教師が知っていなければならないというようなことがいろいろな国で言われています。そうしたことをこの学習指導要領の中でどのように書き込むのかということが、子供主体の、子供が主人公の学びをつくっていく上で必須ではないかと考えております。
以上、3点です。どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、石井委員、どうぞ。
【石井主査代理】 では、失礼します。このたび主査代理を拝命いたしました、京都大学の石井です。よろしくお願いします。
私も、今回は最初ということで、基本的にこういったスタンスで考えているということで言いますと、やはりポイントになってくるのは、次期学習指導要領に向けてということであるんですが、やはり現行学習指導要領の熟成といいますか、私は、周知徹底とか実装とかいう言葉ではなく、熟成ぐらいのニュアンスで捉えているところがありますけども、そういうものとして、現場サイドにも受け取られることが重要なのかなと思うんです。
具体的に申しますと、結局、目の前の子供たちとちゃんと向き合って、それで現行の学習指導要領の趣旨といったものをちゃんとつかんでやってきた、そういった先生方が、これまでやってきたことの延長線上にあるんだなというふうに感じてもらえる、そこが重要かと思います。新しいものがまた出てきたんだなというふうに捉えられてしまうと、あるいは今までやってきたことが御破算にされるんじゃないかということになってしまうと、これは違うのではないかなというところ、そういった受け止めを大事にしながらやっていくと。
そうしますと、この深い学びということもそうなんですが、結局、深めていこうと思ったときに、内容の重点化であるとか構造化、この辺が課題になっているからそこにメスを入れるんだというふうな、そういった捉えが重要かなと思いますし、先ほど秋田委員からもありましたように、生成AI時代もそうですし、やっぱり世の中が、今、大きく変わってきていると。さらに、その中で各教科の大元にある知の在り方といったものもいろいろと変わってきているところがあると思うんですよね。ですから、内容の重点化であるとか構造化といったものは、中核的な概念ということは、結局、何かというと、今、目の前の子供たちに必要な知というもの、それって何なのかという中身に即した議論が重要になってくるのではないかなというふうに思います。
そういったところも含めて、この総則・評価特別部会においては、内容の重点化であるとか、構造化のための大きな指針を提起しながら各教科において具体化していくということが大きな課題になってくるんじゃないかなというふうに思っております。
さらに、学びに向かう力・人間性等に関わるところでありますけども、この自己調整の話もそうですし、さらにこの評価の話もそうですけれども、それぞればらばらのところに出てきているんですが、全てこれ、学びに向かう力・人間性等を教育課程全体においてどのように育てていくのか、そういった形で統合的に見ていく必要があると思うんです。ですから、個別テーマのように見えてそうではないと。だから、それらを統合的に見ていきながら、その中で、それこそ学びの自己調整といったものをどう位置づけていくのか、さらに言うと、評価・評定の在り方といったものをどう考えるのかというふうに、トータルな大きな視野の中で考えていくことが重要かなと思います。
最後に、このカリキュラム・マネジメントということとも関係しますけども、柔軟な教育課程を実現していくといったときに、今、やはりSNS上の受け止めとかそういったものも見ておりますと、結局、それというのは余白の創出も現場任せにするんですかという、そういう論調も見えなくはないと。その辺りはやっぱり重要な指摘かというふうに思いますので、現行のカリマネもそうなんですけれども、むしろ現場裁量を拡大していくという施策のはずが、逆に現場をさらにコントロールされているような意識に追い込まないように、その辺りの実装のあり方、条件整備も含めて、どういうふうに柔軟な教育課程とか調整授業時数制度、そういった仕掛けをうまく現場において使っていって使いこなす、そういった新しいカリキュラムづくりの実践みたいなものがじわじわと根づいていくことが大事なのではないかなというふうに思っています。
以上になります。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、オンラインから内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 ありがとうございます。
いよいよ本格的な議論がスタートするのかなという感想を持っております。特に実現可能性の確保という点で、石井委員もおっしゃっていましたけれども、現場任せになっているというような意見もありますが、いろんなことが現場で可能になるという意味で非常に大切な議論がこれから展開していくのではないかなというふうに思っております。
中核的な概念ということで、教科書内容もある程度絞り込んでいくなど、こういった議論を中学校、高校、そして大学といった一連のつながりの中でどういうふうに捉えていくのかなというところが、今後、重要になっていくかなというふうに考えますし、教員についての様々基軸となる考え方をどういうふうに設定するのかなということも重要になっていくかなというふうに考えております。
ぜひ専門家の先生方の御意見も踏まえつつ、現場の考えであるとか現実をしっかり見据えた上での議論が進むことを願っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、小見委員、どうぞ。
【小見委員】 ありがとうございます。NPO法人みらいずworksの小見まいこと申します。
CSマイスターとして、コミュニティスクールの推進を通して、各地の学校や地域、家庭をつなぐ支援をしておりますが、それを前提になんですけど、1点目です。社会に開かれた教育課程の実現というところが、まだ道半ばだというふうに感じております。総則において、社会に開かれた教育課程を実現するための連携・協働の在り方については、カリキュラム・マネジメントも含めて具体的に方向性をさらに示していく必要があるというふうに考えております。また、社会に開かれたという点では、学校段階から社会につないでいくという視点も重要で、キャリア教育も同様に重要だと感じています。キャリア教育を時代に合わせてアップデート、より変化に応じた内容を充実させていくという部分も、特別活動ワーキンググループも踏まえながら議論していきたいと考えています。
2点目です。先ほど秋田委員もおっしゃいましたけれども、今回は民主的で持続可能な社会の創り手というところも論点のまとめで示されましたけれども、子供たちの目線で考えていくという点も大事にしたいと思っています。子供の権利として、学ぶ権利ですとか意見表明、社会参画といった部分も大事にしながら議論を重ねていきたいと思っています。
3点目としましては、調整授業時数制度というところが今回の学習指導要領においては余白を満たすという意味でも重要になってくると思うんですが、先生方も含め、子供、保護者、地域への理解促進というのは欠かせないと感じています。また、適切に運用していくためには、先生たちの協働性や風通しのよい関係性が重要だと感じております。それは、組織風土の改革でもあり、管理職も含めたチームづくりというのが必須だと思っています。対話や協働の基盤となる心理的安全性の重要性というところは、子供たちに対して示されていますが、同様に先生方にこそこの心理的安全性というところが重要になってくると感じています。
最後に、現行の学習指導要領の総則なんですけれども、行政文書のため、本文の一文が長くて理解がしづらいなというふうに感じております。率直で申し訳ありません。パッと見出しで分かるように工夫をしてみるなど、忙しい先生方や保護者、地域住民にも読みやすくなるような工夫というのをしていきたいというふうに考えております。
以上です。よろしくお願いいたします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、戸ヶ﨑委員、どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。最初ということもあり、具体的な話ではなくて、やや牧歌的な話になることを御容赦いただけたらと思います。
まず、現行の学習指導要領の総則について、各学校における教育課程編成の手順に従って大変分かりやすく整理されており、総則の構成自体がカリキュラム・マネジメントの枠組みとなっています。この枠組みを手がかりにしてカリキュラム・マネジメントを進めると、学校教育の改善や充実が実現されやすくなるように工夫されています。しかし、現実はどうかというと、学校現場でカリマネの進捗状況を鑑みると、それが浸透しているとは言い難い部分があるのではないかなと思っています。
学習指導要領は昔から「神棚に上げておく」と揶揄されることがありましたが、本屋で例えるなら、一番奥の一番上の段にほこりを被ってありがたく収まっているという状態もあるのかなと思っています。さらには、この総則編は、学校現場では管理職や教務主任が読むものという受け止めも少なくありません。いかにしてこの総則という一冊を、本屋で平積みにして、全ての教師に手に取ってもらって、ベストセラーにするか、さらに現在、幼稚園から高校までの教師の数を合わせるとおよそ約100万人と言われていますので、ミリオンセラーにするかが重要かと思っています。
そして、理想を掲げていくことは極めて大切なわけですけれども、この総則の内容が一人一人の教師に腹落ちをして、日々、授業展開の中に浸透することを念頭に、議論を進めることが大事かと思っています。
そのためには、発想を変えて、引き算の発想も大事かと思っています。総則には様々なことが盛りだくさん書いてあり、学校ではそれをさらに膨らませて受け止めがちです。国として押さえてほしいところと、学校の強みや課題に応じて焦点化してよいところを精査する、学習指導要領に書くべきことと、解説や現場の実践に委ねるところを腑分けするなど、丁寧な作業が必要なのではないかと思っています。
また、学習評価についても触れますと、教師の負担を過度に強調することに注意が必要なのではないかと思っています。学びに向かう力、人間性等の評価は、しなくてもよいというような声や、本時主義から単元主義に変わることによって、評価は軽くてよくなるという声まで聞こえています。
評価というのは指導と不可分であり、指導のない評価や評価のない指導はあり得ません。指導の評価化や評価の目的化は避けるべきだと思いますが、評価で教師が悩むことは本分であり、当然のことだと思っています。
評価は、子供への応援です。ぜひ今後はこの学びに向かう力・人間性等の評価で思考・判断・表現の評価に「○」(丸)を付するという運用の在り方を中心に、指導改善に生きる効果的な学習評価の在り方の議論が必要だと思っています。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
中村めぐみ委員、御発言可能でしょうか。
【中村めぐみ委員】 中村でございます。みどりの学園義務教育学校で教頭をしております中村めぐみと申します。
実は、このような場で私のほうが参画させていただけること、大変恐縮しておりまして今でも少し気後れをしているところではあります。ただ、恐らく私がここで果たせる役割というのは、分かりやすい学習指導要領といったときに、今、私の目の前にいる先生方が日々の授業をデザインするときに、もう体感的に、そして、もう感覚として学習指導要領を身につけて、そして、読まなくても自分の感覚で授業がデザインできるようになるために、私がここにいて分かりやすくできるようなことをしていく役目なのかなと思っています。
その中で、幾つか私が気になっているところというのは、1つ目はやはり学習評価です。今、現場はAIというものが入ってきまして、非常に評価に困惑しております。いろんなところで、読書感想文であったり、レポートであったり、それから成果物にも生成AIが活用されるようになってきました。私もデジタル学習基盤を有効に使う、推進する側におりますので、そこも整理もしつつなんですが、やはりそれは評価の在り方がしっかりと変わっていくというところを先生方にも理解していただけるような学習指導要領を私も一緒に考えていきたいなと思っています。
また、評価については、即時的なフィードバック、やってすぐにレスポンスがもらえる即時フィードバックと、また、分析的に、例えば取りためたデータをポートフォリオとして、フィードバックとしてデータを返していく、こういった2つの視点で考えていくことも必要なのかなと思うところもあったりします。ここについては、データ利活用という側面からも検討していけたらと思っています。
何よりも今回の学習指導要領は、学校と一緒に保護者の方にも大変分かりやすくあってほしいと願うところです。そういった意味では、私たち学校の職員というのは、難しいこと、平易な言葉にして、かみ砕いて分かりやすく伝えていくのが教員の役割となった場合に、少し難しい言葉で学習指導要領が全てまとまっていきますと、先生方はぱっと見たときにすぐに腹落ちするかというと、すごく時間がかかってしまうということもあったりします。ですので、先生方が一見してなるほどというふうな、分かるような学習指導要領の在り方、それの具体例の示し方というものが、私を通して、稚拙な言葉になってしまうんですけども、平易な言葉で伝わるような、そんな学習指導要領、人に優しい学習指導要領になってほしいなと思っているところです。
自分のできる役割を果たしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
少し順番を変えさせていただきまして、松原委員が今であれば御発言できるやに伺っておりますが、松原委員、いかがでしょうか。
【松原委員】 御配慮いただきまして、ありがとうございます。全国連合小学校長会の松原でございます。総則・評価特別委員会でも引き続きよろしくお願いいたします。ちょっと移動中で回線が不安定なため、画面はオフで失礼いたします。
まず、改めて現行の学習指導要領の総則の部分を読み直してみたんですが、全体として行政的というのでしょうか、そうした文体で書かれており、現場の教員からすると少し読みにくい部分があるように感じました。実際、教科の指導計画や指導案等を作成する際に、教科の解説を読み直す機会は多くありますが、総則まで併せて検討するということはそう頻繁にあるわけではないというふうに思います。そうした視点で資料1を見たときに、2ページ、検討事項論点丸2に書かれている、3の丸2「総則の記載の在り方」というのはとても大切だと考えます。文体という意味ではなく、総則に書かれていることが学校現場にしっかりと浸透することを検討していく必要があります。
次に、1ページ、検討事項論点丸1に戻りますけれども、1の丸1に書かれている「各教科等に共通する重要な理念・概念の具体化」で挙げられている4点、これは今回の改訂でポイントになるところだと認識しております。1の丸2で「分かりやすく・使いやすい学習指導要領の形態」ということで、表形式やデジタルのことが書かれておりますが、そもそも1の丸1の4点が整理され具体的に分かりやすく示されなければ、幾ら表やデジタルにしたとしても分かりにくさや誤解を招くおそれが残ってしまうのではないかと思います。
最後に3ページ、検討事項論点丸3にある6の丸1「学校段階間の連携接続」についてですが、これまでも連携接続についてはその重要性が繰り返し言われてきたわけですけれども、理念が先行している印象があります。スタートカリキュラムのように、より具体的な提案や示し方を期待しております。
私も、小学校現場の声をしっかりと届けてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
恐らくお待ちいただいていたであろうに、ちょっと予告なく順番を入れ替えてしまって申し訳ありませんでした。では、中村豊委員、お願いいたします。
【中村豊委員】 中村豊と申します。どうぞよろしくお願いいたします。専門は、初等・中等教育段階の学校教育です。特に特別活動、生徒指導、学校教育相談をフィールドとしています。
このことについて過去の学習指導要領、総則をたどっていきますと、年々、生徒指導に関わる記述が増加しているなというふうに思います。今回、論点整理においては、まだ完全には読み込んではおりませんけども、社会参画、または子供の意見表明権、これは特に生徒会活動等と関連するかと思っていますけれども、またキャリア教育の要の時間としまして、キャリア・パスポートの利活用等、非常に生徒指導と、それから特別活動に関するものがだんだん増えてきており、非常に興味深く見ておりました。
また、ローマ字表記でTOKKATSUとしまして、既に御存じの委員も多いかと思いますけれども、海外からも注目され、評価されている活動です。戦後、自由研究から教科以外の活動の時間という流れを通りながら、現在の学校教育の中で、特に係活動とかクラブ活動などは子供が真に主体となり活動することが保障されている非常に重要な活動だと思っています。しかし一方、生徒指導は、機能論であるために領域を持ちません。教育活動でありながら、なかなか学校の先生方と話をしていても十分理解していただくのには、まだまだ難しいところがあるように感じております。
しかし、学習指導要領の中で触れられているということは、生徒指導と学習指導の関係というものがますます重要になっていくんだろうということが分かりますけれども、生徒指導提要が2022年に改訂されました。そこでは新しく2軸3類4層構造という構造で示されておりますけど、そこでも発達支持的生徒指導、今回、ここも入っておりますけども、日常の学習活動が非常にやっぱり重要である。分かる授業、面白い授業と、そういうところに行くのかなと思いますが、そのような教育活動を支える生徒指導の機能をどのように発揮させていくのかということも、今後、求められていると理解しました。
ますます個別最適化が推進されていくということになろうかと思いますけれども、日本の学校は、やはり学級が基礎単位になりますし、そこでは人間関係とか、よりよい集団づくりが欠かせないと思います。教育の目的でございます社会の形成者として求められる社会的な資質・能力は、もちろん教育活動全体を通して育むものでございますけども、そこに学校文化とか学級風土と関わっていく中で、座学だけでは身につかない、「なすことによって学ぶ」という特質を持つ、戦後一貫してこれを中心にしてきた特別活動の側面から、今後の議論に関わらせていただければと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、中谷委員、お願いいたします。
【中谷委員】 名古屋大学教育発達科学研究科の中谷と申します。初めて参加させていただきます。大変光栄な機会をいただきまして、ありがたく存じます。専門は教育心理学で、学校教育、特に小中の生活面と学習意欲の関係などについて研究をしてきました。自己調整学習の研究も長く関わっております。
今回、教育課程企画特別部会の論点整理の中で、分かりやすい表現であるとか表形式化、そしてキーワードである構造化、柔軟化、余白といった論点は大変意味があるものだというふうに考えております。全体としてはそうなんですが、3つ、機会いただきましたので申し上げたいと思います。
1つ目が、項目の2番目にあります柔軟な教育課程の促進に関するところでありまして、柔軟な教育課程が何のためかということが分かるような示し方が必要なのかなと。一つは子供の学びやすさということ、もう一つは教師の工夫、焦点化も含む、そして教えやすさということだと思いますので、双方にとって意味がある、特に子供にとって余白がないと自己調整もできないと思いますので、これまでの詰め込みと思われるような、という印象にもなるようなカリキュラムということからチャレンジをしているという、そういうことが伝わるといいのではないかというふうに思いました。
余白、これまでにも議論がありましたけれども、余白がむしろ負担になるという論もあると思うので、実効性のある手だてというのを教育行政の側がしていくということ、仕組みづくりということもとても大事じゃないかなというふうに思いました。
2つ目は学びの自己調整についてですが、こちらは1の項目丸1のところですが、学びに向かう力がやや複雑に、別のものとして取り扱われるということをどういうふうに皆さんに理解していただくように示していくのかなと。今の形ですと、知識・技能と思考・判断・表現というのが学習の成果であって、学びに向かう力というのは促進要因という感じで、そういうふうにも読み取れるので、それが一体であるというようなことはどういうふうに示していけるかなということであります。評価の問題にももちろん関わるかなというふうに思います。ただ、ちょっと理解が十分であるかどうか分かりませんが、そういう視点もあるのかなと思いました。
これが最後ですけれども、日本型学校教育という面と学習指導要領の総則の関連ということです。こちらは、総則の具体的な記述の発達支援関連のところにも関わるかもしれませんが、子供の多様性というのが個別最適の中で含み入れるということだと思うんですが、子供の多様性を含み入れる学校教育というのが日本の強みであるというのは、恐らくPISAテストでのレジリエントな学力として日本の子供の評価がされた点からも示されているというふうに思います。その点で、生徒指導提要とのつながりということもやはり分かるような形で示せるといいのではないかというふうに思いました。
特に子供の多様性というのは、発達ニーズであるとか外国ルーツのお子さんももちろん爆発的に増えていますけれども、経済的な困難ということが隠れたニーズとしてあると思います。そのようなことは、やっぱり表に出にくいだけに、これまで施策というのが打たれていたのかなというのが、地方教育行政にも関わらせていただきますけども、感じているところなので、その辺りをちゃんと見ているという姿勢を示せるとすごく希望が持てるのではないかというふうに思いました。
まとまりませんが以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、奈須委員、お願いいたします。
【奈須主査代理】 上智大学の奈須です。よろしくお願いいたします。
総則というのが教育課程の中でどんな位置づけかということが、前回の改訂で明らかになったと思うんです。これは戸ヶ﨑委員がさっきおっしゃったように、各学校において教育課程を編成する。その編成の方針から手順、それから要件ということを構造的に示すということを、前回、天笠先生のリードの下、やっていただいて本当によかったし、それで、カリキュラムというのはどこかにあるものじゃなくて、カリキュラムというのは自分たちがつくるもので、さらにつくったものがうまくいっているかどうかを子供の事実で確認しながら修正したり改善したりしていくものだ、そういうカリキュラム・マネジメントの概念が入ってきたわけですよね。これ、とても画期的だったし、いい形で動き始めていると思うので、この動きをさらに後押しするようなものに、今回、していくということが大事なんだろうとまず思っています。
そう考えたときに、カリキュラムというのは、歴史的にはラルフ・タイラー以来、学力論を含めて目標論、それを実現するための内容論、そして、それを実践化するという意味での方法論、さらに、それがどんな成果を収めているかを子供の事実で確認し、必要に応じてカリキュラムや授業を改善する評価論、この4つを含むというふうに言われていると思いますし、総則というのはそこへの目くばせが必要なんだと思います。
そうなったときに、一つ一つをどう書いていくか。学力論は書くんだろうし、内容論は各教科等に分かれて、主にそちらで書かれますから、残るのはやっぱり方法論と評価論を総則の中で一般原則としてどう書くかということだと思うんです。というのは、このところのいろんな議論は、教育方法に関わることがとても多くなっています。ただ、あまり教育方法について事細かく書くと、学習指導要領は法的拘束力を持ちますので、これをしなければならない、逆に言えばそれをしさえすればよいということに陥ってしまって、現場の自立性とか創造性を減殺する、そして教師の力量形成を阻害するということにもなりかねないと、この辺がとても難しいと思います。
ただ、子供の学びの質ということについては、より一層示していかなければいけないだろうということが大事で、まず、そのために中核概念を中心に各教科でも内容編成をお願いしているわけですから、このこととの関係で、学びの質ということは明記しつつ、教育方法についてはできるだけ踏み込まない形でどうやって描くかは一つ大きな課題かと思っています。
もう一つ、評価論ですけど、これ、総則・評価特別部会という名称ですが、前回から実はそうなんです。ところが、前回、やはり時間的になかなか厳しくて、評価の集中的な議論ができないまま終わってしまって、以前と同様に、教育課程ができた後に評価をどうするんだということを、指導要録に関する議論を中心に、あのときは市川先生が座長で進めていただきましたけど、そうせざるを得なかったということです。今回はそういうことにならないように、総則の議論と評価の議論を一体のものとしてやっていくということでもう計画をしていただいていると思いますし、それが大事だと思います。
ただ、そうなったときに、前回も、教育課程の実施と学習評価というところで項目は立っているんですけども、総則を書いたときには、後の指導要録の会議のような詳細な議論は実はなされていなくて、今回はそこまで踏み込んできちんと議論ができるとすれば、評価というものをどう描いていくのか、これは結構重要なことになるんだろうなと思っています。
最後ですけど、現行の学習指導要領の非常に特徴的なものとして前文があります。学習指導要領の理念全体、学校とか教育は何を目指すのかを前文という形で書くというのはなかなか秀逸なアイデアで、また、あれは現場に大きな影響力を持ったし、幼小中高が共通した書きぶりであったというのも重要なことです。この前文を、今回、どうするのかも大事だろうと思います。これは、ここで議論するのか、教育課程部会あたりで議論するのか、ちょっと難しいかと思いますけれど、そういったことも含めて、総則というのは各教科等も含めた教育課程全体の要ですので、その要の位置で何を示していくかは、とても大事なことだと思います。
よろしくお願いします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、堀田委員、どうぞ。
【堀田委員】 東京学芸大学の堀田でございます。
私は教育課程企画特別部会での審議にも関わってまいりましたし、また、初中分科会の下に置かれておりますデジタル学習基盤特別委員会では委員長を拝命しております。そういう立場から、1点、情報活用能力の育成について申し述べたいと思います。
情報活用能力は、現行の学習指導要領において、総則に学習の基盤となる資質・能力の一つとして掲げられております。このことは大変先見の明があったのだと今さら思います。といいますのは、今はGIGA端末をはじめとするデジタル学習基盤が整っております。地域によって利活用がまだ十分でない地域や学校があったり、例えばネットワークの速度が十分でなかったり、あるいはせっかくのクラウドなのにやたらと制限をかけてしまって使いにくくしていたりするなど、地域によっては課題が見られますが、GIGAがスタートしてもう5年が経過し、全体としては随分浸透してきていると思います。実際、全国学力・学習状況調査の結果によれば、端末の活用の頻度はほぼ毎日というのが9割近くにもう既に及んでおります。
また、全国学力・学習状況調査では、ICTの操作に対する自信というのを子供たちに聞いているんですけども、これと各教科等ごとに望まれる典型的な学習場面で自律的に学んでいるということが強く相関しております。また、学力スコアにも正の相関があります。
このことは、つまりデジタル学習基盤があるだけではまだ十分ではなくて、そこに児童生徒が、ICTがちゃんと使えるよ、ちゃんといつでも学習に利用できるよという自信、つまり情報活用能力がしっかり子供たちに身についているということが自律的な学びに大きく寄与しているということがデータとして出ており、まさにこれは情報活用能力が各教科等において学習の基盤となる資質・能力として機能しているということなのかと思います。
今回の論点整理案においても、情報活用能力については着実に育成されるということが望まれると書かれております。特に小学校段階に情報の領域、仮称ですけど、というものが一定の時間を確保して設置されるということになっております。ここで、情報活用能力がしっかり身につくように、教育内容の明示とか、それをしっかり習得することを促すような取組、あるいは学習指導要領の記述、記載が非常に重要かと思います。
ただ、この情報の領域は、学習指導要領としては総合的な学習の時間に付加するという形になっておりますので、恐らく総合のところに書かれることになるのかと思いますが、学習の基盤となる資質・能力としても重要ですので、総則にも情報活用能力の着実な育成についてしっかりと明記すべきだというふうに考えております。
私からの意見は以上でございます。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、望月委員、どうぞ。
【望月委員】 日本大学文理学部におります望月由起と申します。今回、初めて参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、主に青年期のキャリア形成について、個人を取り巻くような環境、例えば社会環境や家庭環境であったり、学校等における教育や支援という観点から研究や実践に取り組んでまいりました。近年、この部会とも絡めて言うと、「自己実現」と「社会への貢献や参画」の両立と申しますか、そのバランスについてかなり懸念をしておりまして、学校現場の先生方の声を聞いたり、子供たちの様子を見ながら、学びを深めているところです。
今回、教育課程企画特別部会の論点整理にて、次期学習指導要領に向けた検討の基盤となる考えを示していただきましたが、その中に「生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育む」と示されております。「自らの人生の舵取り」と、「社会の創り手」の両立やバランスについて、改めて課題意識を持つとともに、今後、学習指導要領等を通してよりよい形で議論を進めていけることを期待しております。
自分の専門外のことも含めて勉強させていただくことも多くあるかと思うのですが、「教師が、AIではなくて人間である」ことの強みを生かせるような議論を、私も人間の1人として進めていきたいと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、山本委員、どうぞ。
【山本委員】 横浜国立大学の山本です。よろしくお願いします。
私のほうからも、今、考えていることを2つお話しさせていただければと思います。一つは、今回、総則をつくっていく上で、一番大事なのは現行の学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」、それの解像度を上げて、いかにたくさんの先生方に「深まっていく学び」のイメージを持ってもらうかというところが大事だと思っています。
昨年まで500校近くの学校を所管していた教育委員会にいると、やはり若い先生たちがどんどん増えていく中で、深い学びを具体的にどういうふうにイメージできるかということを考えたときに、例えば概念にしても、知識にしても、いろんな階層があって、それを具体から抽象にしていくのか、抽象から具体をしていくのか、そういったことを含めた学習指導要領の構造化というものが求められているかと思います。
また、主体性にしても、大人が望むことを進んでやる子供ではなくて、自分の意思で行動を選択する、そういう姿勢を育てていくとすると、当然、選択肢が必要になってきますし、そういうことを考えたときには、学年で扱う内容の柔軟化といったことも視野に入れていく必要もあると思います。そういうことがしっかりと解説の中で具体的にイメージできるような、そういうものが求められている。
その一方で、やはりカリキュラムを考えていく上では、学校でつくっていく、または考える余地というものを残していく必要があるので、学習指導要領本体と、また解説の役割分担、そのバランスをしっかり考えてつくっていくということが求められるかと思っています。
2点目としては、サキドリ研究校という話が今日もありましたけれども、この学習指導要領をつくっていく上で、開発と伴走支援といったことを同時にやっていけるということは非常に画期的だし、大事なことだと思っていまして、これはサキドリ研究校や研発の学校だけではなくて、全国の附属学校も含めて、ぜひいろんなトライアルをしていきながら、このワーキングの中でも開発と伴走支援といったものをしながら、全国の教員が具体的なイメージを持てるような学習指導要領にしていかれればというふうに思っています。
どうぞこれからもよろしくお願いします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、吾妻委員、お願いいたします。
【吾妻委員】 ありがとうございます。東海大学付属望星高等学校の吾妻と申します。よろしくお願いいたします。
本校は、1959年に開校した通信制の高等学校でございます。また、私は、全国私立通信制高等学校協会の会長も拝命させていただいておりますので、まず、通信制高校の状況について少しお話をさせていただければと思っております。
皆様も御存じのとおり、全国の通信制高校の生徒数は年々増加をしておりまして、今年度はついに30万5,000人を超えて、高校生の10人に1人が通信制高校に在籍している生徒というような時代になっております。通信制高校は、戦後間もない頃から、まずは勤労青少年を対象としてスタートしたシステムでございますが、現在は勤労青少年は少なくて、不登校傾向の生徒など、多様な背景を持つ生徒の受皿にもなっております。自学自習をベースにしながら、生徒個々の状況に応じて柔軟な支援を行っている学校が通信制高校の中には多くございます。特に私立は、いろいろなシステムを使いながら、いろいろな方法で教育活動を行っているというような状況がございます。
私は、30年ほど全日制高校に勤めたのち、今、10年ほど前に通信制高校に着任をいたしましたが、全日制に比べますと、教育の機会が非常に少ないという中で、私どもは少ない機会の中で何を学んでもらうかというようなことも非常に苦労しながら、むしろ学校での教育活動以外の機会で、生徒が自主的にどう学んで、興味を持ってその学びを深めていこうという、そういった動機づけができるかということを日夜、大事にしているということが、私も通信制に来て初めて認識を持った次第でございます。
なかなか通信制の生徒は、毎日、通学することが難しい、対人関係ですとか表現力などに課題がある、あるいは自己肯定感があまり高くないといったような生徒が多い反面、私はこのような通信制の仕組みの中で、自ら主体的に学ぶ、そういった姿勢のある者が、ひょっとしたら全日制の生徒よりも非常に多いのではないかという印象を持っております。そのような視点からも、ぜひ本部会の議論に参加させていただいて、いろいろと勉強させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
この後、奥住委員に御発言いただいた後に、前川委員を御指名申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、奥住委員、どうぞ。
【奥住委員】 東京学芸大学の奧住でございます。専門は特別支援教育ですので、それに関連させて一言申し述べさせていただきます。
現行の小学校等の学習指導要領の総則における特別支援教育に関わるところでは、例えば障害のある子供の指導内容や指導方法の工夫、特別支援学校のいわゆるセンター的機能の活用、特別支援学級や通級による指導における特別の教育課程、個別の教育支援計画と個別の指導計画の作成と活用、そして障害のある子供とない子供の交流及び共同学習などに関することが示されております。
今回の論点整理案でも、これらのことについてはおおむね網羅的に言及されていると見ることができますが、とりわけ通級による指導の在り方については、特に必要がある場合は、各教科の指導を行うことも可能とするという提案がなされています。また、合理的配慮の提供という視点についても、明確に記述する必要があると読める文言がございます。
別に進められる特別支援教育ワーキンググループでの検討状況に注意を払いつつ、本部会での特別支援教育関連の議題につきましては、少しでもお役に立てればと思っているところであります。微力ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】 こちらこそよろしくお願いいたします。
では、前川委員、お願いいたします。
【前川委員】 遅れて参加しまして申し訳ございません。京都府教育委員会の前川でございます。先週、まとめが提出されました教育課程企画特別部会からの引き続きの参加とさせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
議論されました論点の具体的な検討にこれから入っていくわけですが、特に総則と評価ということで、非常に重要な部分を担うことになろうかというふうに思います。私も勉強させていただきながら、しっかりと企画特別部会の内容が議論されるように努めていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
それでは、続きまして、黒沢委員、お願いいたします。
【黒沢委員】 黒沢です。豊島区教育委員会の黒沢です。昨年までは八王子にあります学びの多様化学校、八王子市立高尾山学園で12年間、校長を務めてまいりました。今年から豊島区教育委員会に軸足を移しまして、今までは多様化学校で教育課程を組む際も、なるべく地域の学校に近いような形ということでずっと12年間やってきたわけですけども、今、立場が教育委員会ということになりましたので、今度は教育委員会として、通常校にいる不登校の子供たちをどう支援していくかという視点で、毎日いろいろなことをやっているわけですけども、その中で、今回、こういう機会をいただきました。
恐らく不登校はいろいろな子供たちがいるので、画一的に教育課程を組むというのはなかなか難しいところはあると思うんですが、一人一人に合ったものとはどういうものにしていったらいいのかとか、いろいろ考えていきたいと思っていますし、それから、私は学びの多様化学校マイスターも拝命しておりまして、いろいろな自治体に行って学びの多様化学校の立ち上げを支援しているんですけども、その中で、皆さんから異口同音に出てくる質問が、教育課程をどう組んだらいいんでしょうかというものです。やっぱりどの自治体の皆さんも悩まれているんです。
そもそもどういう子供を育てたいんですかとか、いろいろとヒアリングする中で、こういうふうにしましょうか、ああいうふうにしましょうかなんていうことを助言しているところなんですけども、そういう新たに立ち上げようとしている自治体の指標にもなっていけばいいのかなと思っていますし、今は不登校の対策で、学びの多様化学校だけではなくて、校内の分教室型ですとか、あるいはSSRみたいなものを校外に置く、あるいは校内に置くなんていうことで、いろいろなところで勉強ができるような環境が整ってきて、それぞれの子供たちが自分に合った環境をチョイスしてそこで学ぶというスタイルが割と広がってきているかなと思います。
そのときに、ただ、居場所として子供たちをそういう場所でサポートするのではなくて、やっぱり教育課程もそれぞれに合ったものが組めればいいんじゃないかなと。ただ、学びの積み上がりがない子供とか、あるいは学びそのものが苦手な子供というのはたくさんいますので、そういう子供たちにどうフィットさせていくかというところも、いろいろとワーキングの中では議論を進めていきたいと思っております。
最終的には時数と教科のバランスをちょっと考えなきゃいけないし、これだけ学ぶんだよといっても簡単に学ばないという選択肢を選ぶ子供たちばかりですから、そういう子供たちが学びたいと思う意欲に繋がる、あるいは学んでよかったなということを、自己肯定感に繋がるようなことになっていったらいいという思いはありますので、ぜひその辺りもいろいろと皆さんとお話ししながら進めていきたいと思っております。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、古賀委員、お願いいたします。
【古賀委員】 ありがとうございます。京都教育大学の古賀と申します。専門は幼児教育、保育の質と保育者の専門性でございます。
私の立場は幼児教育の立場ですので、そこから総則、評価に関して、現在、考えていることについて少しお話をさせていただきます。学校段階間の連携・接続につきましては、特には幼保小の連携・接続に関して、低学年の不登校やいじめの問題が増加している現状や、また、その後の学びの基盤をしっかりと築いていく上で非常に重要なところだろうというふうに思っております。入学期や低学年の間に学校が好きになるとか、あした、授業でこれをやることが楽しみだと思って学校に行くことが楽しみになるといった学びの基盤を築くための仕組みの在り方ということを進めていくことが、その後の様々な学習の基盤になるだろうというふうに思います。
子供の主体的な学びを推進していくというときに、遊び性であるとか身体性、記号接地という考え方が企画特別部会でも議論されてきた中で、特に低学年教育の在り方をどのように示していくのかということは考えていくべき大きな課題ではないかというふうに思っています。
現行の学習指導要領におきまして、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえた指導を工夫するであるとか、教科等間の関連を積極的に図るであるとか、合科的、関連的な指導や弾力的な時間割の設定といったことが記載されていますが、いまだ学習規律が先に立ち、児童が主体的に自己を発揮しながら学びに向かうということが可能になるようにということも十分に理解されていないというような現状があります。
そして、企画特別部会のほうでも単元で考えるのだということが何度も出てきていましたが、単元で考えるということもなかなか難しい現場の実態があり、特に評価を、毎時間、何か書き物でチェックしなくてはならないと思っているような現場もあったりしますし、また、合科的、関連的な指導や弾力的な時間割を設定したときに、そこでの評価をどうするのかといったことも聞かれます。こういった低学年の評価の問題が、幼保小の連携・接続の取組を進めていくときにネックになるということが現場では起こっています。
つまり、学校段階間の連携・接続を進めていくときに、評価の問題は避けて通れないというふうに、そういう関係なのではないかなと思います。逆に言うと、何をどう見るのかという学びの見取りを幼児期から繋げていくことができれば、授業の在り方、評価の在り方も学校段階間を越えて連携・接続しやすくなるのではないかというふうにも思います。
先ほどの奈須委員の御発言によると、方法論と評価論の関連というところになろうかと思いますけれども、低学年の合科的、関連的で柔軟な授業の在り方ということとともに、そういった低学年の学習指導の改善に繋がる評価の在り方というものを考えていく必要があるのではないかというふうに思います。
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿は、資質・能力の育まれた具体的な姿として示されているものです。幼稚園の教師は、その姿を育ちのプロセスで立ち現れている具体的な姿として見取ります。それはもちろん学童期以降にもつながっていく資質・能力の育ちですので、当然、小学校以上でも育っていくものです。そうしたときに、この見方を生かしていくことはできないのかというふうに思うわけです。
今、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿は10あるのですが、そのうち教科横断的で学びを支えていくような自立心や協同性といった姿と、数量、図形、標識、文字などへの関心、感覚といった教科内容とのつながりの深い姿というのがあるので、その辺りのことを整理しながら、今後の低学年教育における評価の在り方ということを考えていくことができないだろうかということについて、今後、進めてまいりたいというふうに思っております。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、頼住委員、どうぞ。
【頼住委員】 駒澤大学の頼住と申します。よろしくお願いいたします。今回から初めての参加になります。私自身は、日本の伝統的な道徳思想、倫理思想を研究しております。
特に私の関係の深い道徳というところでございますが、前回から総則に第6ということで道徳教育推進上の配慮事項というものが入ったかと思います。その前までには、総則にはなかったということで、新しい一つの方針が打ち出されたということと思います。やはり道徳というのは、道徳の時間だけではなくて、学校教育全体で道徳性を高めていくということが必要になると思います。「主体的・対話的で深い学び」の主体性や、他者との対話などを支えていくものがやはり道徳性であるということを考えますと、総則の中で一定程度言及していく、そのバランスというのはあると思いますけれども、そういうことは、今後、必要になってくるのではないかと個人的には思っております。
先ほどから、今後、AIをはじめとする情報を使いこなす、そういう能力を推進していこうというお話がさかんにでております。これは、本当に必須だと思いますが、そういう能力をよりよく伸ばしていくためにも、背後にあるというか、基盤になっていくのは道徳性だと思いますので、その辺りをきちんと位置づけていくことが重要だと考えております。
それから、先ほど前文で理念をということがお話に出ていたかと思いますけれども、私もやはり理念をきちんと示していくということが、非常に重要だと思っておりますので、その辺りを、この場で今後、議論できればいいと思っております。
先ほど、余白という言葉が出ていました。これは、とても大事だと思います。できる子はもっと余白を使ってどんどん能力を伸ばしていくし、ちょっと遅れている子はそこでいろいろ補っていくということになります。余白という言葉はとても大切だなと思いました。ただし、以前の「ゆとり教育」と誤解される可能性が少しあるかなと思ったので、言葉を使うときには、「ゆとり教育」とは全然違う理念の下に出している言葉であるということを明確に言わないと、ゆとり的なものとして理解されてしまうと、言おうとしていることと全く反対のことを考えられてしまうので、その辺りのこちらからの情報の出し方もぜひ御検討いただければいいかなというふうに思いました。
以上でございます。今後とも御指導よろしくお願いいたします。
【貞広主査】 ありがとうございます。
目下、御出席いただいている委員の方々に、御意見を一通り頂戴したところでございます。
事務局のほうで何か追加で御意見を伺いたいこと、ありますでしょうか。
【栗山教育課程企画室長】 大丈夫です。
【貞広主査】 特にないということでございますけれども、ちょっと言い忘れたので追加をしたいという委員の方、いらっしゃいますか。もしよろしければ挙手をいただければ御指名申し上げますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ちょっと私も議題の冒頭で、検討事項があまりにも多岐にわたっていて身が引き締まる思いがしますというふうに申し上げたんですけれども、今回、委員の皆様にもここら辺に重点を置いてぜひ検討したいという御意見も多々いただきましたので、これを含めて事務局のほうで交通整理をしていただきまして、2回目以降の検討のプロセスについて精査をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
内田委員、手を挙げていらっしゃいました。内田委員、どうぞ。失礼いたしました。
【内田委員】 すみません、質問をさせていただいてもよろしいでしょうか。
【貞広主査】 どうぞ。
【内田委員】 今回の資料の中で、検討事項で、ちょっと細かいことについては次回以降になるかと思うんですけれども、柔軟な教育課程ということで、ここについては、学校設定科目の時間設定20時間を超えて実施をするというふうに書かれているんですけど、この方向性について、また今後、相談をさせていただければと思っております。
といいますのは、前、教育課程部会のところでお話をさせていただいたかと思うんですけれども、一部の通信制高校によっては、教員免許を有しない教員が授業を展開するというところで学校設定科目を利用されている部分もあったと聞いております。ここら辺がさらに進んでしまいますと、学習指導要領の中身に大きく関わってくるかと思いますし、逆にある程度、学校設定科目について柔軟に扱わないと、現行の通学制の学校においても苦しい部分があるので、教科・科目との関連性、教員免許との関連性というところが非常に重要かと思いますので、ここら辺について、今後、御相談させていただければと思うんですけどいかがでしょうか。
【貞広主査】 内田委員、これ、御質問というか御意見ということで承ってよろしいですか。何か具体的な応答があったほうがいいですか。
【内田委員】 そういったことも含めて御相談に乗っていただけるようであれば、ぜひお願いしたいということです。
【貞広主査】 今後ということですかね。では、事務局のほうで、ぜひ引き取っていただければと思います。貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
では、本日の議事は以上とさせていただきます。
最後に、次回以降の予定につきまして、事務局よりお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 次回につきましては、10月の14日火曜日16時半から18時半を予定しておりますが、また正式には、後日、御連絡を差し上げます。
【貞広主査】 それでは、以上をもちまして、本日の総則・評価特別部会を閉会といたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
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