令和8年1月19日(月曜日)12時30分~15時00分
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【貞広主査】 皆様、こんにちは。本年もよろしくお願いいたします。ただいまから、第5回総則・評価特別部会を開催いたします。
本日は、義務教育段階における柔軟な教育課程の在り方等を議題として、皆様に御審議をいただきます。
まず、議題1につきまして、事務局から御説明をいただいた後、5分間の休憩を挟みまして、意見交換の時間を取らせていただきます。
それでは、議題1の検討事項につきまして、事務局御担当者より御説明をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 失礼いたします。教育課程企画室長の栗山でございます。それでは、御説明をさせていただきます。資料等は少々お待ちください。
本日は、調整授業時数制度の具体化についてというテーマでございます。まず、前半については、これまでの議論の経過と、今回の検討事項でございます。ここまでの教育課程企画特別部会、あるいは論点整理で整理した内容について、ごく簡単に御説明を申し上げます。
まずこちらは、児童生徒の多様性を包摂する必要性についてでございます。現状の学級にどのような状況があるかということを整理したものでございます。
こちらは、現行の教育課程の主な特例でございます。本日の話題となります授業時数特例校や教育課程特例校等について、概要をお示ししているものでございます。
その上で、義務教育段階の柔軟な教育課程の方向性ということで、論点整理におきましては、この調整授業時数制度という、標準を下回って時数を生み出した上で、他教科等への上乗せ、あるいは、裁量的な時間、あるいは、新しい教科に充てていくことができるという方向性を、論点整理で9月の段階でお示しをいただいておりました。
またその上で、いわゆる「1階」、「2階」という議論でございます。「1階」に加えて「2階」という、個々の児童生徒に着目した特例の新設、拡充について併せて御議論、また、整理をいただきまして、この「1階」、「2階」を全体として包摂性を高める方向で制度設計をする必要性をお示しいただいておりました。
その上で、本総則・評価特別部会におきましては、この左下の部分にございますように、調整授業時数制度の具体化、そして、その他の柔軟な教育課程編成を促す方策について、本日、御議論をいただくこととしております。
右にございますように、高等学校段階については、また次回以降でございますし、また、2階部分については、それぞれ別途、ワーキング等で議論を進めていただいているところでございます。
それでは、本日の内容でございます。まず、調整授業時数制度に関して、本日、検討、御議論いただく事項の全体像についてでございます。まず、左側を御覧ください。
調整授業時数制度の具体的な在り方として、丸1、調整が可能な教科等をどのように考えるか。標準を下回って時数を設定可能な教科等をどう考えるかでございます。
その上で、丸2、調整が可能な時数の上限を、どのように考えるかという点でございます。
そして、中央少し下、緑の部分を御覧ください。裁量的な時間に関して、丸3の部分でございますが、この裁量的な時間の「学習枠」と「研究・研修等枠」について、それぞれ要件、時数の上限、あるいは類型をどのように設定するかということが論点でございます。
また、「既存教科等への上乗せ」、あるいは「教科新設」については、丸4の部分。裁量的な時間と区別しつつ、時数の上限の設定の必要性について、どのように考えるかということでございます。
そして丸5でございます。右側に目を転じていただきまして、この調整授業時数制度を導入する際に、現在の教育課程特例校制度の扱いをどのようにするかということが論点であると考えております。
最後に丸6、これの仕組みの不適切な運用を防ぎ、国・都道府県・市町村と各学校が必要に応じて改善を図り、質を確保する仕組みをどのように設けるかが、一番下の6番の部分でございます。
こうしたことを、以下、具体的に論点をお示ししていきたいと考えております。
まず、調整可能な教科等や、調整可能な時数の上限についてでございます。まず、検討の前提、左側でございます。調整授業時数制度の時数を調整可能とする教科等や、調整可能な時数の上限については、丸1、現在、既に教育課程特例校は1,900校程度ある。また、丸2、授業時数特例校も180校程度がある。そして丸3、研究開発学校等の現行制度や運用実態を踏まえて検討する必要があると考えております。
また別途、サキドリ研究校についても申請を相当数いただいており、現在、精査中でございますけれども、そういう取組が進む予定でございます。
このうち、現行の時数特例の概要は以下のとおりでございまして、下表の科目の時数を、多くの科目で減じた上で他教科等に充てることが可能、他教科への上乗せ幅に上限はないということで、学習指導要領に定める内容を全て取り扱う必要があることを踏まえて減ずることができる各教科の標準授業時数のそれぞれ1割が上限となっている。その上で、35コマ以下の教科等は、減ずることは不可であると。週1コマ程度の時数は確保すると。
その上で、この時数特例のほうは、教科横断的な教育課程編成や探究的な学びの充実に資するとの制度趣旨に鑑みて、総合的な学習の時間について減ずることは不可となっておりました。
その上で右側、本調整授業時数制度についてでございます。いずれの教科等についても、学習の継続性等の観点から、週1コマ程度の時数は確保が重要と考えております。このため、引き続き、標準授業時数が35コマ以下の教科等は、減ずることは不可としてはどうかと考えております。具体的には、小学校でいえば、道徳、外国語活動、特別活動を該当とし、中学校では、中二、三の音楽、美術、そして道徳、特別活動を該当とするということでございます。また、調整対象とする教科も調整後の時数が35未満になることに減ずることは不可としては、どうかと考えております。
また、時数特例では、先ほど申し上げたように、教科等横断・探究的な学びの推進が趣旨でございましたので、総合的な学習の時間は対象から除いておりましたが、この調整授業時数制度は、多様性を包摂する柔軟な教育課程の実現という、一層幅広い趣旨で創設いたしますので、総合も減ずることを可能としてはどうかと考えております。
なお小さい字でございますが、上乗せについては、時数の標準を定めている全ての教科等に対して当然可能。減らすと増やすということは、少し分けて考える必要があるということでございます。
そして時数の上限についてでございます。研究開発学校で先行的に取組を進めている自治体では、小学校において、112コマ程度の調整時数を目指し取組を進めていたり、また、現行の時数特例でも、調整可能な最大の調整幅、小6で85コマを活用する自治体というものが見られる中、今般の調整授業時数制度は、現行の時数特例で認めている教科等の調整に加えまして、裁量的な時間というものへの活用を認める方向で検討をしております。
こうしたことに加えて、企画特別部会等の議論を踏まえますと、引き続き各教科等の内容を全て取り扱うことを前提とした上で、調整可能な時数の上限は、現行の時数特例を上回る方向、すなわち、1割以上ということで検討することが必要ではないか。ただ、具体的な上限の数値につきましては、各教科等のワーキングで進んでいる検討状況や、研究開発学校の実践、サキドリ研究校の申請状況等も踏まえて、さらに精査していく必要があるのではないかと考えているところでございます。
次、裁量的な時間の上限と類型について、まずは基本的な考え方についてでございます。左側、論点整理で示された内容の復習的な内容でございますが、裁量的な時間については、企画特別部会の論点整理で、学習指導要領で定める教科等に該当しないものの、児童生徒の実態等を踏まえて、個性や特性、実態に応じた学習支援など、児童生徒の資質・能力の育成に特に資する効果的なプログラム等、これを「学習枠」と呼んでまいりますけれども、を想定しております。
加えて、その一部については、教育の質の向上を目的とした授業や指導の改善に直結する組織的な研究・研修等に充てるということも可能とする方向、これを「研究・研修等枠」と呼ばせていただきたいと思いますけれども、この方向が示されています。
さらに、年度途中に不測の事態等により、特定の教科等の標準を下回る見込みでありましても、他の教科や裁量的な時間から時数を充てることを可能にすることによって、年度当初の計画段階における真に必要な授業時数設定ということを可能にしやすいということも、論点整理で示されております。
これを踏まえて、右側でございます。この裁量的な時間については、児童生徒の多様性の包摂に資するために、まずもって、児童生徒の実態を最も把握している学校現場の創意工夫を生かすことを重視しつつ、同時に各教科等の時数を標準を下回って実施可能として、その分の調整授業時数を充てて実施するという性質に鑑みて、適切に資質・能力の育成に資する取組にするということの両方が大事であると考えております。
このため、各現場で質の高い実践が展開されるように、丁寧に制度を設計するとともに、研究開発学校やサキドリ研究校での取組や知見を蓄積・共有することを含めて、積極的な支援を展開する必要がございます。
こうしたことから、「学習枠」、「研究・研修等枠」について、法令等によって取組が備えるべき要件と実施可能な時数の上限を定めるとともに、実施可能な取組の類型を示してはどうかと考えております。その際、質を担保しつつも運用の柔軟性を可能な限り高めて、現場にとって使い勝手のよい仕組みとすることに十分留意する必要があると考えております。
なお、現在、研究開発学校やサキドリ研究校において事例の蓄積が図られつつあるところでございますので、その実施・申請状況などを踏まえて、具体的な制度の在り方についてさらに精査することを前提として、次ページ以降の方向で検討してはどうかということを考えております。
それでは、「学習枠」のほうを考えていきたいと思います。まず、取組が備えるべき要件例を、6つほどお示しをした上で、ほかに必要があればと考えております。
まず、1番、学習指導要領に定める各教科等の内容に該当しない、もしくは、1つの教科等に当てはめるのが困難なものであるということ。
あるいは、2番、各教科等の内容にも一部該当し得る学習活動である場合は、その内容について、各教科等の教育課程において適切に扱うこととした上で、児童生徒の興味・関心の高まり等を踏まえて、学習を拡充・発展させたり、試行的な取組を行ったり、学年区分を超えて縦割りで実施するといった付加的な学習活動として行うこと。
そして3番、児童生徒の実態を踏まえつつ、学校教育法に定める教育の目標の実現に特に資するということ。
そして4番、各学校の学校教育目標や教育課程編成に係る基本方針・年間指導計画等に基づく組織的な取組であること。
そして5番、発達の段階に即して適切なものであること。
そして6番、児童生徒の転出入に対する配慮等の教育上必要な配慮がされていること。
こうしたことが要件例としてあろうかと思っております。
その上で、上限設定の考え方でございますけれども、裁量的な時間に関しては、丸1から丸3を踏まえれば、上限は必要であるのではないかと考えております。
まず、丸1、各教科等の時数を標準を下回って生み出した授業時数を、各教科等以外の教育活動に充てるという性質に鑑みて、やはり適切に資質・能力の育成に資する制度設計とする必要があるということ。
そして丸2、丸1を勘案いたしますと、一定以上の調整授業時数を生み出した場合には、学習指導要領で目標・内容が定められている各教科等への上乗せや、体系的な内容により構成される新教科の実施にも活用できる設計とする必要があるのではないかということ。
そして、丸3、裁量的な時間の「学習枠」は、今後、全国の学校や教育委員会で、効果的な取組や知見の蓄積をお進めいただくものが見込まれているものでございますので、制度創設当初から過大な時数が充てられることは望ましくはないということだと考えております。
以上を踏まえた上で、右記の類型に示すように、各学校の創意工夫を生かした複数の教育プログラムを年間を通じて計画的に実施することも考えられる中で、全体として、どの程度の上限を設定することが適切かということを考える必要があろうかと考えております。
右側、実施可能な取組の類型でございます。これまでの研究開発学校等の実施の取組を踏まえつつ、以下のような実施可能な取組の類型を示して、制度施行後の取組の進展に応じて見直すこととしてはどうかと考えております。このほかに考えられる類型や、具体例、留意事項はあるかということでございます。
特に個人探究や地域の特色を生かした取組を実施する場合には、総合的な学習の時間との役割分担に特に配意しつつ、取組内容が重複したりせず、両者の連携が適切に図られるということ、そして、相乗効果が図られるということも必要だと考えております。
丸1、2、3、4の4つの主な類型をお示ししております。例示とともに御説明をしていきたいと思いますが、まず、丸1、個に応じた学習過程の充実に資する取組でございます。例として幾つか挙げております。総合で設定した個人探究課題の深掘りや、自ら選んだ教科等の学習課題に関して、自己調整しながら学ぶ取組。個々の児童生徒のニーズや認知の特性に応じた個別指導や学習カウンセリング。あるいは、下学年の未習得事項を効果的に学び直すプログラム。こういった例が挙げられると考えております。これが丸1です。
丸2、学習の素地を高める取組でございます。例として、個人探究を伴う体験活動の充実。企業・団体等とも連携して児童生徒の視野を広げ学習意欲を高める取組。言語能力・情報活用能力の重点的な育成のための取組。認知機能強化に着目した取組。学習方略やメタ認知等に関する体系的指導等。こういった例が挙げられると考えております。これが丸2。
そして丸3、関係性の質を高め、学習の一層の円滑化に特に資する取組といったことも考えられると思っております。例として、いじめ防止や安全に関する教育。対人関係の基礎となるソーシャルスキルの育成などの対話的な学習の基礎となる人間関係形成の円滑化に資する学習等が挙げられると思っております。
米(「※」)で書いてありますのは、こうした取組は、特に要する児童生徒を対象として行う場合も考えられますので、例えば、1や2の取組を実施する場合に、特に要する児童生徒については、丸3を実施することもあり得るのではないかと考えております。
そして最後、丸4、その他地域等の特色を生かした取組であります。特別支援学級・学校との交流及び共同学習。地域の多様な大人と探究的に関わる活動。現代的な諸課題に対応した教育活動をさらに深掘り・充実させる学習活動等といったことも例として想定されるのではないかと考えております。
これらが、まず、「学習枠」に関する要件、上限の考え方、そして、実施可能な取組の類型についてでございます。
次が、「研究・研修等枠」についてでございます。
まず、取組が備えるべき要件例でございます。3つ、主にお示しをしておりまして、1番、当該学校の教育課程の編成・実施に係る教師の資質・能力の向上や、学校の組織的な対応力の向上を通じ、児童生徒の学習改善や教師の指導改善に直結する取組であるということ。そして2番、各学校の学校教育目標や教育課程編成に係る基本方針、年間指導計画等に基づく組織的・計画的な取組であること。そして3番、研究・研修等の趣旨・目的や内容が事前に計画されるとともに、管理職等により実施状況が適切に把握されるものであることといったことでございます。
その上で、上限設定の考え方についてでございます。「研究・研修等枠」については、児童生徒の学習に充てる時間の一部を、教育の質の向上に直結する学校の研究・研修等の活動に充てるというものでございますので、その時数の在り方に関しては、知見やノウハウを蓄積しながら、適切な運用を担保することが特に重要であると考えております。このため、丁寧に要件や類型、上限の設定の検討・設定を行った上で、その効果や実施状況を踏まえまして、制度実施後にも、必要な見直しを図っていくということとしてはどうかと考えております。
また、調整授業時数にも限りがある中において、上限ができる中において、「研究・研修等枠」と「学習枠」、それぞれに独立した時数上限を設けるということも制度設計上は想定されますが、そのような場合は、硬直的な運用となる恐れもあると思います。下の部分、例とありますけれども、「研究・研修等枠」を活用しない学校が充てられる「学習枠」の時数が限られる。それぞれにアッパーがあると、相互互換ができないということ。
あるいは、年度途中の不測の事態の発生によって、「研究・研修等枠」で取っておいた時数を、学習活動に振り替える等の調整弁として活用する場合に困難を生じるのではないかといったこと。そうしたことも考えますと、「研究・研修等枠」の時数の上限について、「学習枠」の上限の内数として設定して、裁量的な時間全体を、各学校の思いに応じて柔軟に使えるように設計してはどうかと考えております。
少しイメージ的にいたしますと、戻りますが、このページの下の部分でございます。ここにもございますように、裁量的な時間、まず全体の枠があって、その上限があった上で、その内数として「研究・研修等枠」の枠があると。そうしますと、その枠全体を「学習枠」に使うこともできれば、「学習枠」と「研究・研修等枠」で割り振って時数を使うこともできる。そうした柔軟な使い方がしやすいほうがよいのではないかということを、ここで記載させていただいております。
その上で、一番下の部分でございます。以上を踏まえて、「研究・研修等枠」の時数の上限については、右記の類型を踏まえた取組を年間を通じて計画的に実施することも考えられることを踏まえながら、どの程度が適切と考えられるかということでございます。
実施可能な取組の類型でございます。丸1から丸4まで、4つの類型をお示ししております。
まず、丸1、質の高い授業を効果的に実施するための教材研究・授業研究でございます。学校の研究課題に即して行う研究授業・研究協議や、教科・学年等で計画的に行う教材研究等でございます。
そして、丸2が、教師の資質・能力の向上を図るための学校・教育委員会が企画する研修でございます。学校・学年等の課題に応じて企画する定期的な研修や、教育委員会主催研修等が該当すると考えております。
そして、裁量的な時間は、申し上げるまでもなく、当該学校の教育課程に係る教育の質の向上を図るものでございますので、学校として組織的に実施する研究・研修等はもちろん、学年や教科単位などもあり得ると思いますが、それ以外、学校として組織的に実施する研修以外の研究・研修活動は対象外となると考えております。
そして、丸3、児童生徒理解の向上など、学習・指導上の課題解決に資する情報共有・協議でございます。例えば、教科担任制やチーム学年制においては、教科担任の先生と学級担任の先生が、児童生徒の学習の状況等について情報交換することは教育の質の向上のために非常に重要であると考えておりますが、こうしたことにも使い得ると考えております。
ただし、米(「※」)でございますが、単なる事務的な打合せ、あるいは、突発的な児童生徒指導事案に関する会議、事務的な情報共有の時間にならないように、学習や指導の改善と密接に連携させることを前提とする方向性での検討が必要と考えております。
そして、丸4、学校と地域との連携体制の確保でございます。例として、企業・団体等と連携した探究学習の実施に向けた研究会や、地域の方々と連携したカリキュラム開発に向けた協議等が該当すると考えておりまして、あくまで各学校が、米(「※」)にございますように、実現を目指す特色ある教育活動を実現し、質を向上させるのに必要な取組を対象とする方向性で検討と考えております。
その他、「研究・研修等枠」に係る留意点でございます。各学校においては、まず、不断の業務改善や日課の見直し等を通じまして、勤務時間内に必要な研究・研修等の時間を確保できるよう取組を進める。これは、ある意味で大前提であると考えております。
その上で、今回の「研究・研修等枠」では、児童生徒の学習に充てる時間の一部を、教育の質の向上に直結する学校の研究・研修等に充てるという性質があり、それに相応しい質が確保された取組とする必要があると考えております。そのため、既に申し上げた要件例の2や3も踏まえまして、管理職等が、研究・研修等の内容を適切に把握して、組織的・計画的に実施することが不可欠でありますので、丸1、丸2のようなことをお示ししております。
丸1が、教育課程に係る時間を一部活用して行う組織的な研究・研修等の取組でありますので、各学校・学年で同一の時間帯に実施することを基本としてはどうかと。例えば、水曜の6限の時間帯で、一緒にやろうといったようなイメージでございます。
ただ、丸2にございますように、その上で、教師一人一人の課題解決や、学年のみならず教科や分掌等の役割を一層重視して、研究・研修等の内容を適切に把握し、勤務時間管理が適切に行える場合には、同一の時間帯で教師ごとに異なる取組を行ったり、あるいは、学年・教科・分掌等ごとに、例えば、理科のチームは違う曜日の違う時間とか、第3学年は違う曜日の違う時間とか、時間帯を分けて実施したりする取組を認めることとしてはどうかと考えているところでございます。
以上が、「研究・研修等枠」の考え方についてでございます。
次が、「既存教科等への上乗せ」や、「教科新設」の時数上限でございます。
まず、左上、検討の手順でございますが、論点整理におきましては、裁量的な時間のほか、教科等への上乗せや、各学校が独自に設定する新教科等の新設に充てることを可能にする方向性が示されておりました。
まず、「教科新設」につきましては、指導要領に定める教科等に該当しない取組を実施する点で裁量的な時間と同様ではあるが、どのように違うかということを整理しておきたいと思います。その上で教科への上乗せや、新教科について、上限が必要かどうかということを整理したいと考えております。
その下でございます。検討項目、丸3で整理いたしましたように、裁量的な時間は、各教科等の時数を標準を下回って生み出した調整授業時数を、各教科等以外に充てるという性質を持っており、それゆえ、いろいろ制度設計で配慮する必要がある。一方で、教育課程特例校制度等の下で設定されている学校独自の新教科等の中には、既にある特例でありますけれども、国立大学の附属学校などの先進的な取組に加えまして、教育委員会が主導的な役割も果たしたりしながら目標・内容・学習評価の在り方が体系的に整備されて、学校や地域の特色を踏まえた資質・能力の育成を担保されている設計があるものも見られるところでございます。
こうした取組について、仮に、裁量的な時間と区別せず、一緒の上限の範囲で取り組むというふうにしてしまった場合には、現行の特例校制度よりも実施可能な幅が狭まるわけになりますし、例えば、教育委員会の主導で行う新教科等の実施により、上限まで時数が活用されてしまって、各学校の創意工夫による裁量的な時間に取り組みにくくなることも懸念されるところです。
以上のことを踏まえまして、「教科新設」につきましては、裁量的な時間とは区別した上で、要件等を検討すべきではないかなと考えているところでございます。
それとは区別した上で、「教科新設」固有の要件とは何かということが、右上でございます。「教科新設」について、裁量的な時間と区別して別途上限を設けるに当たりましては、教科としてふさわしい児童生徒の資質・能力の育成を担保する、相応の措置が図られている必要があると考えております。そのため、「学習枠」の要件に加えて、以下の3つの要件を課することについて、どのように考えるかというふうにお示しをしております。
1番、新設教科の目標、そして、育成する資質・能力、指導と評価の計画が体系的・系統的に整理をされているということ。そして、2番、単年度のみの実践に終わらずに、教育課程の評価・改善を行いつつ、複数年度にわたって継続的に実施する取組であるということ。そして、3番、新設教科の学習状況が指導要録、具体的には各教科の学習の記録欄を想定しておりますが、に記録されるものであることといったことが考えられると思っております。
その上で、時数の上限を設けるかということなのですが、「教科新設」については、既に申し上げたような資質・能力の育成を担保する相応の措置を求めることとしていますし、また、「既存教科等への上乗せ」に関しては、学習指導要領に定める各教科等への充当であり、共に資質・能力の育成の観点から一定の担保が図られる仕組みとなっていると思います。
これらのことを踏まえますと、「既存教科等への上乗せ」や「教科新設」につきましては、裁量的な時間とは異なりまして、調整授業時数の中で活用可能な時数の上限を設定しない方向で検討してはどうか。すなわち、調整授業時数として生み出した時数のうち、裁量的な時間として活用する時数を除いた時数が、事実上、上限となる。すなわち、調整授業時数としての上限を全部充てることも可能であるということであります。
なお今後、調整授業時数の上限をさらに具体的に検討する中で、調整授業時数の全てを特定の教科等に充てた場合に、当該教科等の時数が肥大化する。例えばですけれども、特定の教科に300コマとかが上乗せされるようなことになれば、教育課程全体がバランスを欠くということもあり得るわけでございますけれども、そういったことを勘案して、そもそも調整授業時数の上限を検討するということであると考えております。
また括弧で、その際、特定の教科等の教師の持ち時数を著しく増加させないようにするということも、指導体制の観点からも留意しておく必要があると考えているところでございます。
こちらが、「既存教科等への上乗せ」や「教科新設」の時数の上限の部分でございます。
また、申し上げたように、制度導入後の教育課程特例校制度の取扱いについても論点かと思っております。少し技術的かもしれませんが、申し上げます。
まず、時数特例校制度でありますけれども、まずは授業時数特例制度につきましては、各教科等の内容を全て取り扱った上で、一定の範囲での調整を認めるというものでありますので、調整授業時数制度で全て飲み込める範囲内のものでありますので、この制度に統合していくということは、理解できるものであるかと考えております。
その上で、教育課程特例校制度でございますけれども、教育課程特例校制度は、該当する教科等の内容を全て取り扱った上で、総授業時数を確保すること等を要件とした上で、申請に基づく審査を経た文部科学大臣の指定によって、既存教科等や新教科等の内容の組み替えや、各教科等の内容の外国語での指導、いわゆるイマージョン教育などを認めているところでございます。
今回、調整授業時数制度によって各教科等の時数を標準を下回って実施可能とし、その分の調整授業時数を裁量的な時間に充てるといったことを各学校の判断で実施可能としているという、非常に柔軟な取組ができるということを踏まえれば、各教科等の内容を全て取り扱って総授業時数を確保した上で内容の組み替えを行うという現行の教育課程特例校制度の内容については、ある意味で総体的に、より既存の枠組みの中での取組でもございますので、各学校の判断により実施できないこととするのはバランスを欠くとも考えるところでございます。
そうしますと、教育課程特例校制度については、現に既に1,900校を超える学校が取り組んでいるといった制度の定着状況も踏まえまして、不適切な運用を防ぐ取組を講じた上で、調整授業時数制度にこれも統合して「既存教科等への上乗せ」、そして「教科新設」、そしてこれらに加えて、この教育課程特例校でできるパターン、これも調整授業時数制度の中でいずれも取り組めるといった方向で考えるべきではないかと考えているところでございます。
その上で、最後の論点でございますけれども、国・都道府県・市町村、各学校の質確保のための仕組みの在り方についてでございます。箱の中にございますように、調整授業時数の仕組みや多様性の包摂のために、児童生徒の実態を最も把握している学校現場の創意工夫を生かすことを重視しますが、一方で、繰り返し何度も申し上げておりますように、裁量的な時間の性質を踏まえれば、責任ある裁量の行使を求めていくということも必要であると考えております。
このため、国や都道府県・市町村教育委員会が積極的な役割を果たして、各校の挑戦や試行錯誤を励ます、応援していくということと併せて、単なる受験対策への傾倒や教育の質の向上と無関連な取組を防いで、仮にそうした取組が発生してしまった場合でも、速やかな改善を図って質を確保する仕組みを設ける必要があると考えております。
こうした観点から、透明性を高めて取組を常に改善していくことができるよう、以下のような役割を果たすこととしてはどうかとお示しをしております。
文科省、都道府県教育委員会、これは私立学校担当の首長部局を含めてであります。そして、市町村教育委員会、各学校として分けて考えております。
まず1番、文科省でございますけれども、研究開発学校やサキドリの事業を通じて、実践事例を幅広く創出して、各教育委員会に情報を提供する。そして、既に実施をしております調査によりまして、制度の活用状況や実践事例を定期的に把握・公表し、制度の改善も行う。
また、都道府県・指定都市の指導主事に向けた研究会・協議会を定期的に開催する中で、好事例・不適切な事例について周知を行う。そうした状況把握の中で、不適切な運用実態を把握した場合には、もちろん都道府県・指定都市教育委員会や私立学校担当部局に対して、地教行法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の略でございますけれども、等に基づく指導や助言を行い、速やかな改善を図るといったところでございます。
次は2番、都道府県教育委員会、私立学校担当の首長部局を含むものでございますけれども、研究開発学校やサキドリ研究校事業の成果、また、「教育課程編成・実施状況調査」の調査結果、あるいは、教育事務所を含めた市町村の取組状況に関する実態把握を通じて、活用状況について広域自治体として状況を把握して、質の高い実践が可能となるよう市町村教育委員会に対して積極的な知見の共有・情報提供を行うということ。
そして、文科省が開催する研究会・協議会等を踏まえて、市町村教育委員会の指導主事研修等を実施し、市町村の指導主事の調整授業時数制度に関する実務能力を上げていく。
そして、私立学校の担当部局を通じて、公立学校と同様の情報をしっかりと私立学校にも展開しつつ、私立学校が公表する教育課程編成の状況を収集・共有するとともに、調整授業時数制度を活用する私立学校には、公立学校担当向けの研修への参加を積極的に促すといった、域内の私立学校における実践の質の向上にも取り組んでいくということ。
そして、上記の状況把握の中で、不適切な運用があることを把握した場合には、都道府県は市町村教育委員会に対し、地教行法等に基づく指導や助言、そして、私立学校担当部局は、当該私立学校に対して所轄庁として助言等を行うなどの速やかな改善を図るものでございます。
そして3番、市町村教育委員会は、これは現行でも各学校に提出を求めている教育課程編成届がございます。こうした中で、調整授業時数制度等の活用の趣旨と内容、要件適合性について記載を求めていくことが考えられると思います。また、もちろん日々の指導や計画訪問を通じて、必要に応じ指導・助言を行い、必要があれば速やかに是正を図るということは当然でございます。
また4番、各学校におきましては、調整授業時数制度を活用した教育課程編成の状況等につきまして、学校運営の基本方針等とともにホームページへ公表するといった、しっかりと説明責任を地域や保護者に果たしていくという取組が必要となると考えております。また、現在、小中学校では、学校運営協議会は設置率は70%を超えている状況がございます。そうした中で、教育課程編成の基本的な方針についての承認を受ける際に、調整授業時数制度等の活用方針についても承認を受ける運用としてはどうかと考えているところでございます。
それを絵にしたものが、こちらのページでございます。分かりやすく整理をしております。下のほうに、各学校を中心として、活用状況のホームページでの公表、またはその右に児童生徒の実態を踏まえて、調整授業時数制度の活用を検討。そしてその中で、保護者や地域との理解を得ながら、進めていくイメージをお示ししているところでございます。その上で、行政的なコントロールということも適切に図っていくということをお示ししております。
ここまでが、調整授業時数制度でございました。
最後に、その他の柔軟な教育課程の促進方策についてでございます。
まず、(1)単位授業時間の標準の示し方についてでございます。各教科等の標準授業時数を定めた学校教育法施行規則別表第1の備考欄というところで、1単位時間について、小学校は45分、中学校は50分と示しておりますけれども、実際に各学校が教育課程を編成・実施する際の、それぞれの授業の1単位時間につきましては、これは、年間授業時数を確保した上で、各学校が適切に定めるというふうにして、現在でも変えられるわけでございます。
このように、単位授業時間は各学校で柔軟に設定可能でございますけども、そのような認識は広がりを欠いている一方、研究開発学校等では、単位授業時間の柔軟な設定で時数を生み出す取組も積極的に進められている。調整授業時数の仕組みの中でも、そういった取組を望むことが大いに考えられる中で、単位授業時間の設定が柔軟に実施可能であることを、一層分かりやすく示していくことが必要であると考えております。
したがいまして、学校教育法施行規則別表第1の備考欄の記載ぶりにつきまして、現行は、「この表の授業時数の一単位時間は四十五分とする」とされておりますけれども、各学校で単位時間を適切に定める旨を明確にしつつ、総則でさらに丁寧に趣旨を記載することを考えているところでございます。これが、1点目の単位授業時間でございます。
次、(2)年間最低授業週数の示し方でございます。現行の総則では、「年間35週以上にわたって行うよう計画し」とされているところでございます。しかしながら、令和6年度の調査におきましても、既に40週以上でやっている小学校が約99%、中学校は約98%でございますので、35週を下回らないという基準が、あまり意義を発揮していない実態もございます。
加えて、「年間35週以上」という表現が、多くの学校であるように総授業時数1,015を35で割り、週に29コマの授業をやるべきではないかという認識に繋がっている実態。現在、かなり週28コマなどへの自主的な見直しも進んでいる状況がございますけれども、そういった中にあって、「週当たりの授業時数が児童生徒の過重負担にならないようにとする」というそもそもの規定の趣旨に逆行しているという指摘もあるわけでございます。
こういったことを踏まえますと、より実態に即した規定としつつ、児童生徒の過重負担を避け、年間40週での授業時数の平準化、週28コマなどへの見直しといったことを後押しする観点から、年間の授業週数について、例えば、年間40週を標準として、週当たりの授業時数が児童生徒の過重負担とならないよう配慮して計画するという旨の示し方についても、必要ではないかと考えているところでございます。
最後、(3)学習内容の学年区分の示し方でございます。各教科等において、学習内容の学年区分を示している場合がございまして、このことは、教科の系統性や発達段階を踏まえた指導内容を確保して、教科書会社の教科書の作成・配布を円滑にするために重要でありますけれども、一方で、学年区分にとらわれない柔軟な教育課程の編成・実施を難しくしている点でもございます。
この点、総則・評価特別部会におきましては、既に表形式化による構造化におきまして、○学年相当と示すという形でありまして、学年区分を示す場合でも、児童生徒の実態に応じて必要があると学校が判断する場合には、学年区分にとらわれず柔軟に指導が可能であると明示するという議論をいただきました。
その上で、こうした学年区分にとらわれない柔軟な教育課程の編成・実施については、現在においても、実は義務教育学校や中等教育学校におきましては、一貫教育を行う場合に、学年区分や学校種を超えた内容の移行等を既に可能としているところでございまして、その際の運用を参考にしつつ、以下のような留意事項を示すことで考えております。
例えば、児童生徒の発達の段階、内容の系統性・体系性への配慮。あるいは、義務教育における機会均等の観点からの配慮。あるいは、児童生徒の転出入、それぞれの学校で少し異なってまいりますので、そういった配慮。必要に応じた補習、あるいは、指導要録の記載などでございます。そういったことを整理した上で、また調査の結果、もしも不適切な事例があれば、指導・助言等をしていくということを考えているところでございます。
最後に、御説明した調整授業時数の仕組みを全体としてまとめた1枚物が、こちらでございます。
以下、参考資料でございますので、説明を割愛させていただきます。
事務局からは、以上でございます。
【貞広主査】 ありがとうございます。大変情報量が多くて、私もちょっと再構成の時間をいただきたいと思いますので、5分ほど休憩を取りたいと思います。今13時6分ですので、13時11分まで休憩とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
( 休 憩 )
【貞広主査】 それでは議事を再開し、意見交換の時間とさせていただきます。
まず、本日御欠席の堀田委員より、事前に御意見を頂戴しています。事務局より、まず、御紹介をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 失礼いたします。それでは、代読をさせていただきます。
第5回総則・評価特別部会により、リーディングDXスクールに係る先約のため欠席をさせていただきます。そのため、以前に頂いた資料を拝見した上での意見を、以下に提出をいたします。
まず、調整授業時数制度に関して、必要な検討の全体像について、調整授業時数を「既存教科等に上乗せ」、「教科新設」、裁量的な時間に充当するなどとして運用する際に、学習の基盤となる資質・能力を重点化することも忘れないようにしたい。
論点整理において、学習の基盤となる資質・能力は、言語能力と情報活用能力の2つとされ、両者の関係についても整理されている。また、各ワーキンググループにおいて、それぞれとの関わりが整理されつつある。
この学習の基盤となる資質・能力は、各教科等を横断的に育成し、発揮されるということとなっていることから、「既存教科等に上乗せ」して当該教科等との関わりにおいて育成することや、学習の基盤となる資質・能力を中核に置いた「教科新設」によって育成すること。裁量的な時間において、学習の素地を高めるために、学習の基盤となる資質・能力を意識して育成するということも考えられる。
以上より、調整授業時数制度が、新規の教育内容の開発ばかりではなく、児童生徒が円滑な学習に繋がるためにも、いずれの運用方法によっても、学習の基盤となる資質・能力の育成が可能であり、重要であるということを確認しておきたい。
次に、調整授業時数制度に係る質確保のための仕組みの全体像について。調整授業時数制度は、学校現場の創意工夫を生かすことを重視するものであるが、これが適切に運用されるようにするための仕組みとして、国、都道府県、市町村教育委員会の役割が整理されることが重要である。
まず、各学校の実態を踏まえて、教育課程を弾力的に運用する際には、設置者による指導・助言や学習環境整備への協力等は不可欠である。義務教育段階では、多くの場合は、市区町村教育委員会が設置者であり、都道府県教育委員会や各地の教育事務所等との連携が求められる。
市区町村教育委員会と比較して、都道府県教育委員会は直接の設置者でないことから、学校現場に役立つ取組が行いにくい現状が存在しているが、学校の小規模化に加えて、市区町村教育委員会も限定的な人数で運営されている場合が増加していることや、指導主事未配置の場合も少なくないことに鑑みれば、都道府県教育委員会等が、各市区町村教育委員会の取組事例や課題を共有・可視化し、他の市区町村教育委員会が参考にできるようにすることや、市町村教育委員会の担当者を集めた連携、協議会等を編成することなどの積極的な取組が期待される。
以上です。
【貞広主査】 御紹介いただきまして、ありがとうございました。
続きまして、特に義務教育段階の学校現場や教育行政のお立場から本会議に御参画いただいている委員の皆様から、柔軟な教育課程を編成する上での留意点や、促進に当たって検討を要すると考えられる点などについて、御意見を頂戴したいと思います。
また、柔軟な教育課程を各学校が進めていくためには、保護者や地域住民の御理解を得ることが重要であり、そうした観点から、小見委員に資料を御提出いただいておりますので、資料に基づきまして、御発言をいただきたいと思います。
この後、青海委員、戸ヶ﨑委員、中村めぐみ委員、本間委員、前川委員、松原委員、山本委員、そして、小見委員の順番で御指名申し上げますので、御発言をお願いいたします。
それでは、青海委員より、お願いいたします。
【青海委員】 栗山室長、御説明ありがとうございました。室長の2倍速に、何とかついて行きました。
初めに、調整授業時数、裁量的な時間についてですけれども、9月に論点整理が出された後、全国の中学校の校長先生方の反応からは、調整授業時数、特に裁量的な時間について関心が高いという印象です。これは今後、生徒、保護者や一般の方からも注目されるところだと思います。
それは学校現場には、文部科学省や自治体から言われるのではなく、自分の学校での判断で意思決定できるという魅力があるという点。また、生徒・保護者等には、授業時数を教科以外に充てること。さらに、研究・研修等の枠については、生徒の時間を教師の時間に充てるということの重みから丁寧に説明し、十分な理解を得つつ進めていく必要があります。
このことを踏まえた上で、次に運用の柔軟性についてですけれども、裁量的な時間の「学習枠」と「研究・研修等枠」については、学習指導要領や、その解説等に取組が備えるべき要件、時数の上限、そして取組の類型を示すことは大切です。その際、取組の中身の質を担保することはもちろんですけれども、大切にしたいのは、運用の柔軟性を可能な限り高め、現場にとって使い勝手のよい制度となることです。新しい試みということで、心配のあまり、細部にわたる制限や枠を増やし過ぎないようにしてほしいと思います。
次に、裁量的な時間の上限と類型、「学習枠」と「研究・研修等枠」、おのおのについてです。
まず、生徒の取組、「学習枠」の類型には、授業や学年を越えた学習内容の補習や個別の指導、課題を設定した自主学習など、放課後等に時間を設けていた取組内容や、生活ですとか交通、それから災害時の安全に関する教育、個人探究を伴う体験の充実、それから、探究課題の深掘りなど、総合的な学習の深化にも活用の可能性を含んでいます。
また、学習の一層の円滑化に特に資する取組の部分では、成長を促す積極的な取組のイメージ、具体的には、他者との共感的な関係性やコミュニケーション能力、生徒の自己肯定感や自尊感情を高め、学習意欲や社会性を向上させる取組のような例の表記などもよいのではないかなと思っています。
次に教師の取組、「研究・研修枠」の類型です。類型では、その他、研究・研修等枠に係る留意点、丸1、丸2に記載のある最後の3行、研究・研修等の内容を適切に把握し、勤務時間の管理が適切に行われる場合には、同一の時間帯において、教師ごとに異なる取組を行ったり、学年や教科、分掌ごとのまとまりなどで、時間帯を分けて実施するなどの多様な取組を認めること。ここの記述は、教員個々の経験や課題も異なることから、学校現場から評価される内容だと思います。
最後になりますけども、細かい部分ですけども、教育委員会が企画する研修について、教育委員会が企画するのではありませんが、都道府県や市区町村などの自治体には、校長を部長にし、補助金などが割り振られる教育研究会認定団体があります。その研修が盛んな地域もあります。この辺りの研修も含めてよいのかなと思います。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。では、戸ヶ﨑委員お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 まだ考えがまとまっていないため、いつもより長くなってしまうかもしれませんが、御容赦いただけたらと思います。
まず、調整授業時数は、学校がこれまで漠然とその重要性を把握しつつも、具体的に何をどのように進めればよいのか掴みにくかったカリキュラム・マネジメントを実質化するものであります。多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の重要な鍵となっており、その具体化は、学校の裁量の在り方を考えていく上で極めて重要な制度設計になると思います。
今、御説明いただいた事務局案は、これまでの論点整理をしっかりと踏まえつつ、サキドリ研究校の制度設計や各都道府県・学校とのやり取りの過程で、実践知を生かすなどして、適切な制度設計がされていますが、制度の施行後に直面し得るであろう課題等を想定して、中長期的な視点から大きく2点ほど申し上げたいと思います。
まず、1点目は、この制度設計に当たっての基本的なスタンスについてであります。どの学校もその趣旨や裁量を生かした柔軟な運用をイメージすることができるように、制度の周知を行うことを前提として、最初から完璧を求めるのではなくて、学校が創意工夫を重ねていく中で、目の前の子供たちの実態を踏まえてカリキュラムを改善していく力自体を磨くということを重視していくべきではないかと思っています。
その際、箸の上げ下ろしまでを管理するのではなくて、現場のトライ・アンド・エラー、できればトライ・アンド・アプローチを認めて、トライ・アンド・ラーンを推奨していくことが大切だろうと思っています。
もちろん、公教育としての全国的な教育水準の確保に支障を来すことや、入試対策に邁進してしまうなどの制度趣旨に反するような取組を抑止するのは当然ですが、類型にこだわるあまり柔軟性を欠く硬直的な運用とならないようにすべきと思っています。つまり、学校現場の創造性と柔軟性を生かすという趣旨の実現に向けた、最小限かつポイントを絞ったバランス感覚ある見極めが肝要になると思います。
そうした観点から考えれば、研究開発学校やサキドリ研究校の知見を踏まえて、設定した要件や、実施可能な類型も制度の創設のスタートアップとしては妥当だと思いますが、こうした制度が、過度に硬直化した取組を生み出すことがないように、創造的な柔軟な教育課程編成に真に繋がるように、この制度創設後も随時見直していく、つまり、動的な制度にすることを前提として、検討することが重要かと思っています。
2点目は、地域間格差をいかに小さくしていくかという視点であります。この資料の16ページにあるような質の確保のための仕組みの中で、文科省の調査や学校から教育委員会への教育課程の届出、また、不適切な場合の指導・助言を通じた適切な管理体制の確保という、守りの手だてを通じて質を確保していく手段は、当然、抑止として必要であるとは思います。
一方で、それだけでは教育委員会・学校の教育課程編成の力はついていかずに、地域や学校側の教育課程編成の力量の格差が広がっていってしまうことも危惧されます。学校管理職をはじめとして、教職員のカリマネの力を高めて、市町村教育委員会の指導主事の指導・助言能力を高めるといった攻めの手だても、今後、非常に重要となると思います。
その際、先ほど堀田委員の話にありましたが、人口減少が進み体制が脆弱な市町村教育委員会も多い中で、特に都道府県教育委員会の義務教育段階の指導行政における積極的な役割が重要となると思っています。
資料においても、国からの事例の共有・周知や指導主事会の開催、県からの指導主事研修といったルートは描かれていますが、こうした従来の協議会・研修は、どうしても伝達事項が多くなり、一方通行の単発研修となりがちです。そのため、学校や指導主事にとって主体的・対話的で深い、そして継続的な学びの場となるような工夫が必要です。
例えば、NITSにおいて、管理職、教務主任、指導主事等に向けて、定期的に実践研修が提供されたり、伝達講習以外にも、都道府県教育委員会が積極的にその域内の事例を収集・共有・展開を図るような研修や協議会を提供したりすることも重要です。
加えて、今回、出された「みるみる」のように、各学校が自校研修で使いやすい研修材料を国が提供したりするなど、自治体や学校におけるカリマネの力が積極的に高まるような、攻めの手だてを検討していく必要があると思います。このことは、指導主事未配置の自治体も含めて、行政体制の弱い地域とそうでない地域における自治体間格差が広がることを防ぐことにも繋がっていくはずです。
総じて、各学校がそれぞれの実態に応じて、自分たちの学校の子供たちにどのような学びが求められるかを、主体的に考えて、それぞれの強みや良さを生かして教育課程を創造する。そうした前向きで主体的な学校の取組を、教育行政が支えていくという本来的な教育課程行政の機能を発揮する画期的な転換点として、調整授業時数制度の創設が位置づくよう強く要望したいと思います。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございました。では、続きまして、中村めぐみ委員、お願いいたします。
【中村めぐみ委員】 中村でございます。よろしくお願いいたします。本日は、本当に学校現場がわくわくして待っていた制度について、私の見方で発言させていただきます。
本校は、昨年度のJAETつくば大会や、それから特別研究指定校、そして、生成AIパイロット校など、たくさんの研究指定を受けて研究をしてまいりました。また、部活動の完全地域展開なども、新たな学びに積極的に取り組んでいる学校です。
本校は、約2,000人という学園生を擁しておりまして、本当に多様であり、また、可能性を秘めており、輝き方も実に様々だなというふうに感じているところです。ただ学校としても、その多様さを生かせる学びの場づくりということに取り組みたいと思っていても、その時数の不足といったところにも課題があるというふうに感じていたところです。
また、研究を進める中で子供たちが、例えば、探究的な活動の後にフィールドワークをしてみたいという要望があっても、なかなか時間が不足していたり、また、子供たちが地域の方と協力しながら会議を開いて、そこからまたテーマを決めていきたいなんていう場合の時間も確保できなかったり、また、それをコーディネートする教員の準備時間がなかったりというように、本当にこれから学ぼうとしている子供たちに提供できる時間がもう少しあったらなと思っているところです。
そういった背景から、今回の授業時数の制度については、私たちの学校では、多様な子供たちを包摂して、個人探究やPBLを柱として充実させていくための仕組みとしては強い必要性を感じているというふうに受け止めています。その中で2点ほど、将来的な論点として気になっている点を共有させていただきたいと思っています。
1つ目は、授業内容の確実な実施と可視化についてです。教科によっては、授業時数を減じた場合でも、学習指導要領に示された内容が確実に実施されていることを確認できる仕組みがあるということは、保護者への説明においても、学校にとっても、とても安心材料になると感じています。内容がきちんと示されている。それを減じた中でも、十分に授業としてやっているんだということが可視化できる仕組みです。
例えばなのですが、これはあくまでも例えばなのですが、デジタル学習指導要領にチェック機能を持たせたり、また例えば、デジタル学習指導要領のデジタルの部分をカスタマイズして、教師自身が、内容の実施状況を確認できるようにしたりすることで、可視化と、質の保証と、学校を管理する校長とか管理者だけではなく、保護者にもしっかりと質保証を提供できるのではないかと考えております。
また、転出入、学校移動といった部分においてもチェックシート等があれば、本校においては、こういったサキドリ研究指定をしてはいるけれども、きちんと内容についてはここまでやっておりますよというような提供もできると感じています。
また、2点目なのですが、実はこれは本校も非常に考えているところなんですけど、特別活動の関係についてです。前提として、現在のサキドリ研究校の要件においては、クラブ活動と委員会活動は標準授業時数が設定されていないため、裁量的な時間で実施することはできないというように整理していることは、私自身も正しく理解しているところです。
ただ、現場の実感としてお伝えしたいのは、クラブ活動や委員会活動は、探究性や協働性、それから社会参画といった資質・能力の育成に非常に大きく寄与している活動でもあります。現在、子供たちのクラブ活動なんですけれども、少し時間が不足しておりまして、もっとやりたいとか、違った面白い取組をやってみたいという声も上がってきております。また、委員会活動については、学校内の自治だけではなく、地域に広げていく自治というような観点もあった場合には、もっともっと時数を確保していきたいというようなことを考えております。
こうした状況を踏まえますと、教育課程全体として、個人探究的な学びが充実していく中で、特別活動、とりわけクラブ活動や委員会活動を、今後どのように位置づけていったらいいのか。また、本校としては、どういうふうに捉えていったらいいかというような整理が必要になってくるなと感じておりますので、ぜひこの辺の検討をしていただければと思っているところです。
現場の課題感となってしまいましたが、共有させていただきます。
私から以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。では、続きまして、本間委員、お願いいたします。
【本間委員】 本間です。よろしくお願いいたします。6点の検討事項のうち、特例校制度の扱い、それから質の確保のための仕組みの扱いについては、私自身がまだ認識が深まっていないので、それを除いた4点について述べたいと思います。
まず、この制度の全体像なのですが、教育課程全体を包括的な仕組みに改めるという、多様性の包摂の一環であるということ。それから、カリキュラム・オーバーロードの解消と、働き方改革の整合性を取るとした諮問を前提としているということ。この2点を、しっかりと押さえていく必要があると思っています。
つまり、従来の一律的な授業時数では、児童生徒の多様性に対応できないし、教員の働き方を変えることもできない。だから、子供たちが自分に最も適した学び方を自己選択できるために、そして、教員が持続可能な働き方を確保し、専門性を高めるために、この制度は不可欠なのだということを明確にしていく必要があると思います。
さらに、この制度に熱心に取り組む学校と、取り組まない学校の差異は、確実に生まれる可能性があります。そうならないように、それぞれの学校が、新しい教育課程をつくり上げるための第一歩を、スタートの時点で共有していく必要があるのではないかと思っています。
実は、先週の金曜日、本校で次期学習指導要領を一緒に考えようという視点で、オープンスクールを開いたのですが、北海道、沖縄から、300名集まったんですね。予想に反する数でした。教員だけではなく、自治体から議員さんまで、多くの方が集まってきた。その感想を率直に申し上げれば、これから学校は大きく変わるというわくわくがある一方で、何をしたらいいのだろうという不安も、現場にあることは事実です。
この制度は、特に中学校のカリキュラムに大きな可能性を与える一方で、この前も申し上げたように、現場には相当の労力が求められます。全ての学校が、無理なくこの制度に取り組めるよう、この前、貞広主査が言われたように、地域あるいは学校の格差が生まれないように、サキドリ校の実践を示す等の支援も不可欠であると考えています。
その点を踏まえて、4点についての見解を簡潔に述べたいと思います。
まず、1点目の調整が可能な教科については、これは、もう35コマ以下の教科を対象から外すという方向性については、賛成をいたします。現行でこれに該当するのは、先ほどあったように中学でいえば、音、美、技家、道徳、特別活動になると思いますが、これからは、そもそも主要5科という言い方自体がおかしいのであって、5科と4科の役割はひっくり返っていくんじゃないかと。これらの科目が、社会を生き抜く力を育てるためには基軸の科目であり、しかも、週1回しかないわけですから、この時数は削れないと思います。
その一方で、総合的な学習の時間については、この間の議論の経緯があるようですが、総合が5教科の視点で、自己課題と実社会を関連づけるという目標があるならば、それが十分に達成されていれば、これは高校の総探は、3単位から2単位の減単を認めていますので、同じように総合も調整対象に加えることは可能だと思います。
特に、これから議論になる新設教科の多くは、5教科の考え方が基軸になると思いますので、そういった意味でも、総合の目標を新教科に組み込むためにも、総合を調整の対象にしていくことはベターかなと思います。これが1点目です。
2点目は、時数の上限についてですが、私は、今回の制度は、もちろん裁量的な時間も、既存教科の上乗せも重要だと思っています。でも肝は、各学校が必要に応じて新教科をつくれるかどうかということにあると思うのです。新設の教科が各学校の特徴に繋がって、教育課程の柔軟化に繋がっていくということが理想です。
そう考えると、週35コマという枠がある以上、新設の教科の時間が、週35コマは標準授業時数です。週1コマが確保されていて、しかもそれが複数の新教科に渡っていく。それが可能な時数の幅ができるといいなと思っています。高校のほうも、学校設定の科目の修得単位数の上限、20単位を外す方向で議論されているかと思いますので、新設の教科ができる幅が広がる時数を考えていただけるとありがたいと思います。
最後に裁量的な時間の、特に「研究・研修等枠」については、今、申し上げた新設教科とセットで考えていくことが、いろんな議論あると思いますので、説明責任を果たしていく上では分かりやすいのではないかと思います。この研修・研究の時間の確保というのは、本来であるならば、働き方改革による余白全体の中で生み出されるものであって、この論拠を調整時間と組み合わせて説明することは、かなり難しいと思っています。働き方改革は差異がありますよね、その現場に。人が原因ではなく、仕事量が多い組織の問題なので、働き方改革の根本は、人を責めることなく、仕事量を減らすために組織改革や会議改革をしっかりやることが前提です。
次の指導要領に向けては、三位一体の順番が物すごく大事で、働き方改革をやって、教育課程改革をやって、その上で、学び方改革を順番にやっていく。その最初の働き方改革をしっかりとやった上で、調整時間によって生み出された新設の教科や既存教科の上乗せは、各学校の教育目標を達成するために不可欠であって、そのために、児童研究や研修、あるいは生徒理解の類型化が必要なのだという説明はできると思うのです。
つまり、調整時間による新設教科、既存教科の上乗せと、そして研修・研究がセットになっているということは、僕は不可欠だと思います。そのことで、子供の授業時数の縮減に繋がるのではないかという、一方の批判に対してもしっかりと対応し、教師の余白をつくることが子供の学びに必ず返ってくるということを言い続けていくことが必要かなと思っております。これが、3点目と4点目の見解です。
私からは、以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。かなり具体的に踏み込んで御発言いただきました。
続きまして、前川委員、お願いいたします。
【前川委員】 前川です。よろしくお願いいたします。まず冒頭、栗山室長から、裁量的な時間の創設に当たって、「責任ある」という言葉をつけて御発言がありました。この「責任ある」ということをつけていただいていることに、私は賛同したいと思います。
今回、実はどのような資料が出てくるか、どのような説明をしていただけるかということを非常に楽しみにしておりましたし、現場の多くの教員、特に管理職なんかは、今回の資料を楽しみにしていたのではないかなと思います。
柔軟化という前提の割に、今回の資料は制約が多いなと感じる現場の先生方もいらっしゃるかと思うのですが、私はあんまりそう思いませんで、カリキュラム・マネジメントを進めていただく上で、校内でしっかり議論をやはりしていただく。そのときに、こういう教科だったらやってもいいよという一部の例示をすることと、それから、いや、これはやはりよくないよねというほうを示すことで、どちらが校内の議論に繋がるかというと、私は後者じゃないかなと思っていまして、今回の、制約という言葉がいいかどうか分かりませんが、示していただいていることは妥当だと思います。
その上で、調整授業時数の適切な上限、これについて申し上げますと、当然、それには根拠が必要なわけですから、特例校等の実践に基づいて上限設定するということ。それから、子供たちの学びが貧しいものにならないという前提で、上限設定をするということ、これが当然、必要なことだと思います。
また、調整できない時間として、1単位物、35時間以下のものについて挙げられていますけども、これも当然だと思います。週1コマ、35時間でも、その時間が置かれているという教育的意義を考えたときに、ここについては、時数を削減すべきではないと思います。
3点目です。「教科新設」に関わってですが、これは高等学校でいいますと、学校設定教科・科目に当たるようなものだと思います。これを、どういうふうにつくっていくかというのは、本当に学校のカリキュラム・マネジメントに資するものですし、創意工夫を一番しなければならないところだと思うのですが、気をつけておかなければならないのは、学びの時間、学習の時間である以上は、主たる教材をどうするかということをしっかり検討する必要があろうかと思います。
例えば、高等学校で学校設定教科・科目の主たる教材は、京都府では、協議事項としています。ただしそれは、教科書以外で市販の教材等を使える場合には、事前協議が可能なんですけども、自主編成教材なんかを使う場合、例えば、今の方向性でいいますと民間や大学の方たちに、リレー形式で1年間授業をしていただく。それを、教員も一緒になってサポートしていくというような時間を創設するのであれば、学校外の講師の方たちに、半年前、1年前に教材を用意していただくというのは不可能だと思います。ですから、これをどういうふうに扱っていくのかということは、十分な検討が必要かと思います。一方で、全く管理せずに教材は自由だよとすることの危険性も、十分認知しておくべきだと思います。
それから次が、私立学校へ門戸を、研修等で開くというお話がありました。市区町村教育委員会の指導主事が非常に少なくなってきていて、特に生徒指導関係の指導主事というのは割とまだいますけども、教務関係に詳しい指導主事はあまり配置されていない。また、首長部局で、特に義務教育に関わって、教育課程の分かる方が配置されているというのは、本当に少ないと思います。
その中で、私立学校、あるいは小中学校に、どのように適切に創意工夫ある時間をつくっていただくかということでいいますと、都道府県教育委員会の研修、あるいは国の研修、こういったものに、やはり積極的に参加していただくような仕組みづくりが必要なのだろうなと思います。しっかりと目標を持って、意欲を持って、創意工夫しようとしているけども、情報がなかったがために適切でない事をやってしまう。こういうことは、やはり残念なことですので、しっかりと情報を持って取り組んでいただくような工夫が必要かと思います。
最後に学校運営協議会に、この新しい教科ですとか、裁量の時間の使い方を報告して協議するということについては、大いに賛成したいと思います。学校運営協議会が、なかなか具体的にどういうことについて、教育について話し合ったらいいのかというのが難しい中で、こういう調整授業時数とか裁量の時間とか、あるいは新教科とか、こういうことを話し合うというのは非常に意義があることですし、また、参画意識も高まるのではないかなと思います。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございました。では次に、松原委員、お願いいたします。
【松原委員】 全国連合小学校長会の松原です。どうぞよろしくお願いいたします。
調整授業時数制度については、各学校が児童生徒の実態を踏まえながら、柔軟な教育課程の編成が可能になるとともに、裁量的な時間として、児童生徒の資質・能力の育成に資する効果的な教育プログラム等の実施や、教育の質向上を目的とした授業や、指導の改善に直結する組織的な研究・研修等が推進できるようになるということで、現場としても大いに期待しているところです。ぜひ、使い勝手のよい制度となるように、制度設計をお願いしたいと思います。
私からは3点お話しいたします。
第1に、授業時数を調整する際の判断基準についてです。資料1の17ページには、各学校のところに、「児童生徒の実態を踏まえて調整授業時数制度の活用を検討」とあります。これまで学校現場では、教育課程の編成において、目の前の子供たちの実態を踏まえて、内容の充実のために時間を増やす方向での検討が主流だったと感じております。
そのため、時間を減らす方向で検討する際には、教育の質が担保されると判断するための基準のようなものや、参考となる資料の存在が不可欠となります。現在、準備されている教育課程柔軟化サキドリ研究校事業の成果が、各学校・各地区で参照しやすい形で共有されることで、この基準、あるいは参考資料の1つとなることを期待しております。
第2に、時間と内容、質の関係についてです。本日の議論は、時間や時数をもとに枠の上限であるとか、調整可能な時数の上限を議論しているわけですが、時間の増減が、必ずしも指導内容の増減や質に直結するわけではないと考えます。
ちょっといい例か分からないのですが、例えば、本を読むときに、同じ分量を40分で読むことも、50分で読むことも可能だと思いますが、必ずしも時間をかける、時間を長く取れば読書の質が高くなるというものではないと考えます。以前、教育課程企画特別部会で、デジタル学習基盤による授業運営の効率化が話題に上りましたが、時間、内容、そして質の3者の関係については、慎重かつ丁寧に精査していく必要があると考えます。
第3に、時間割編成、コマの運用についてです。先の話にはなるのですが、現場では、実際に時間割を組む必要があります。その場合、コマの単位で考える必要があります。例えば、年間の時数が同じ教科であっても、通常2時間続きで行われる教科と、週の中で分散して行われる教科では、事情が異なります。学習の継続性等から、週1コマ程度の時数を確保とする場合でも、教科特性への配慮が欠かせません。
また、1コマの時間ですけれども、40分と45分、あるいは、40分、45分、50分と混在させることは、学級担任のみが指導する分には可能ですが、教科担任制や専科教員、それから、非常勤講師の配置を考慮すると、時間割編成は事実上困難になります。運用の柔軟性には、ある程度、限界があるという点を制度設計において考慮いただきたいと考えております。
まとめといたしまして、調整授業時数制度をスムーズに導入するためには、学校現場が過度な負担や不安を感じることなく、いかに前向きに教育課程の改善へ踏み出せるかにかかっていると思います。今回お伝えした判断基準、それから、時数と教育内容、質の関係、そして実運用上での制約、この3点にぜひ配慮、考慮していただきまして、児童生徒のよりよい学びを実現できる実効性の高い制度となることを期待しております。
私からは、以上となります。
【貞広主査】 ありがとうございます。1つ目の御意見の判断基準に関しましては、中村めぐみ委員の定着を可視化できる仕組みとも重なる部分がある御意見だったかと思います。貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
続きまして、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】 よろしくお願いします。カリキュラム・マネジメントっていわれてから、しばらくたつわけですけども、まさに道半ばというところで、今回、それを後押しするために調整授業時数という視点を出したというのは、カリマネを進めていく上で非常に後押しになると思っています。その中で、ちょっと留意したい点について、3点ほどお話ししたいと思っています。
まず、1つが、こうした方向性や課題を、現場の課題感とこういった議論を合致して説明していく必要があると思っています。実践を伴う意味理解とか、実践レベルの例示、そういったことが、これから学校現場でこれを進めていく上では必要かなと考えています。いわゆる伴走者というのか、翻訳者というのか、解説者というのか、柔軟なカリキュラムをやってみようと言うだけでは、なかなか進んでいかない。じゃあ、単元づくりからというふうに具体的に落としたときに、それでもなかなか進んでいかないのです。
具体的には、例えば、子供一人一人をよく理解し、一人一人の学びの興味関心、学びの速さなどを考えて、そして学びのプランを考えていくと、おのずと計画というのは複線化していくのだと思います。そうした計画を何重にも複線化して立てておく中で、実際にはどの流れになったのかということを比べることで、カリキュラム開発の資質・能力を高めることに繋がっていくんじゃないかと思います。
そして、今回の議論にあるように、単元のどこにターゲットを置くのか、目標そして評価、それを焦点化していく、このようなステップを段階的に示してあげることで実際の実現に向かっていくのかなと。
この中で、単元づくりだけでは伝わらなかったときに、個性化であるとか、複線化であるとか、焦点化であるとか、こういったキーワードに落としていくということが求められます。そのための伴走者とか、解説者というのは、今までは指導主事がやっていたのかもしれませんけども、先ほど来、ずっと話題に出ているように、実は教育委員会も人手不足である中、これから真剣に、この伴走者の役割を自覚し、その育成をこの機会にしっかり考えていくことが必要かなと思っています。
戸ヶ﨑委員からも、この前の「みるみる」であるとか、または、一つ一つの教育委員会だけに閉じ籠もらずに、横断的に学んでいく機会が必要であるとか、そういった意見もあったと思うんですけども、まさにこの伴走者の役割と育成ということを、このカリマネの実現に合わせて考えていく必要があるかなというのが、1点目です。
そして2点目は、これを実際にやっていく上では、段階の例示というのが必要かなと思っています。今回の調整授業時数、調整時間の上限も1割となっているのですが、実際に4月から、全ての教科で1割を実現して進むというのは、なかなか非現実的かなと思っています。
学校の教育目標や学校の状況に合わせて、それぞれ少しずつ進んでいくんじゃないかと思うので、まさにそういった小さい段階、スモールステップを踏むことが、結局は大きなカリキュラム・マネジメントの柔軟化に繋がっていくのだというメッセージが必要かなと思います。
よく私たちも、試行錯誤が大事だと言うんですけども、なかなか試行錯誤の中の、やはりエラーはしたくないという思いが教育にはあって、でも、そうした一つ一つの小さなステップ、小さなところでの挑戦の積み重ねが、実は大きな、柔軟なカリキュラムの実現に繋がるのかなあと考えていますので、先ほど、柔軟なカリキュラムのためには単元づくりからやることが必要じゃないかというお話もしましたけども、この段階の例示ということも、2つ目としては必要になってくるかなと思っています。
最後、3点目ですが、3点目は、今回の資料の10ページにありました、裁量的な時間の「学習枠」と、「研究・研修等枠」についてですが、私は、ここでの図は、非常にバランスが取れたものにしていただいたなと考えています。大きなくくりとして「学習枠」があって、その内数として「研究・研修等枠」があると。
ただ、私が考える裁量的な時間の「研究・研修等枠」というのは、今は1人の担任だけではなかなか難しい。そして、チームで担任制なんかをやっている場合には、子供理解、または子供の様子の情報交換、そういったことを短い時間でいいんですけどもやっていくような時間というのが非常に大事になってきます。
こうした現在の施策に応じて、子供理解、または子供をしっかり見ていく、子供の様子を情報交換する、そういったところでこの「研究・研修等枠」なんかを考えていくと、実際に行う学校というのは、たくさん増えるんじゃないかと思うのです。なので、この「学習枠」の大きな中にこういった枠があって、非常にバランスを取っていただいたということについては、この提案の中では本当に画期的だと思っています。教師にとっての臨床というのは、大学の教員養成課程の中でも、何が臨床かというと、やはり実際の子供たちの様子を見て、理解して、さらにその子供たちの活動や、子供たちの思考の様子に、面白がったり、または興味関心を持ったり、それをさらに生かして伸ばしていきたいと思う気持ちが、柔軟なカリキュラムにも繋がっていくのかなと思いますので、ぜひ、裁量的な時間の中のこうした枠を大事にしながら、学校の余地を多く取れるような形での御提案をしていただければと思っています。
私からは、以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。一通り御発言をいただきました。
続きまして、資料の提出をいただいております、小見委員、お願いいたします。
【小見委員】 ありがとうございます。
NPO法人みらいずworksの小見まいこです。検討事項6つ目の調整授業時数の質を確保する仕組みについて、資料を準備しましたので、意見を述べさせていただきます。
まず、こちらの資料につきましては、教育課程企画特別部会において、柔軟な教育課程の編成における議論がなされた際に提出した資料です。
新潟県の2校の学校において、教育課程の編成において、学校運営協議会を活用している事例というのを紹介しました。その際に、柔軟な教育課程の編成実施のためには、保護者や地域住民に理解をしてもらい、承認や合意を得ることが大切であり、その際、コミュニティ・スクールの制度が有効であるということを提案しました。
その上で、本日改めて理解と合意に基づく柔軟な教育過程編成の実現に向けて提案をさせていただきます。
冒頭で、栗山室長もおっしゃっておりましたが、現在、学校運営協議会の設置は、義務教育段階で約7割の学校に設置されております。一方、私はCSマイスターという立場から各地の情報を見聞きしておりますが、教育課程の編成・実施・評価にまで踏み込んだ議論が、十分になされているとは言い切れない実態も生じています。
また、教育課程については、文面だけでは、保護者や地域に伝わりにくいものというふうにも感じています。大切なのは制度を説明する、一方的に説明するというものだけではなく、学校運営協議会などの場を活用しながら、実際の状況に即して、対話を通じ、合意や承認を積み重ねていくプロセスを踏んでいくことが大事だと考えています。だからこそ学校運営協議会に限らず、学校の参観日や行事など、日常的な場面なども通じて、一緒に考え、つくっていくということが求められていると感じています。
そのために、調整授業時数制度の活用を含め、教育課程編成の基本方針や考え方が、学校のホームページ等でいつでも確認できるということは、保護者や地域の理解を促進し、教育課程をよりよくしていくための重要な議論の基盤にもなると考えているので、賛成しております。このような理解促進と合意の積み重ねが、現行の学習指導要領から示されました、「社会に開かれた教育課程」を実質的に支えていく基盤になるとも考えています。
あわせて、こういった学校運営協議会の重要性が増していく中で、教育課程の議論を進めていく上でも、やはり委員構成ですとか運用の在り方を含めた質的改善も、併せて必要だと考えています。
2点目についてです。調整授業時数制度に関連して、総則における家庭や地域社会との連携、協働についての記載についても、併せて発言をさせてください。
上のところで、実際の現在の学習指導要領における総則での表記を抜粋しております。裁量的な時間を活用し、探究学習をより一層充実していく上でも、地域学校協働活動というのは、欠かせない基盤となる活動です。現場においては、地域の人々に加えて、大学や研究機関、企業、NPOなど、地域を超えた多様な組織や機関が関与しております。総則やその解説において、「地域の人々」という表記にとどまらず、こうした組織や機関との協働についても、明確に位置づけていくことを検討してはどうかと考えています。
また、重要なのは、単発的な協力やゲスト的な関与ではなくて、子供との間に承認関係が育まれる、継続的な関わりではないかと考えています。外部人材は、単発的な講師だけでなく、今回の学習指導要領でも目指される、子供たちが、自分の人生を主体的に舵取りしていく力、そして民主的で持続可能な社会の創り手として成長していくことを、学校とともに支えるパートナーとして、位置づけられるべきではないかと考えています。
柔軟な教育課程編成については、制度を導入すれば実現するものではないということを、皆さん、今まで再三議論してまいりましたが、地域や保護者との理解と合意、そして学校運営協議会や地域学校協働活動を通じた連携や協働があると、さらに実効性が増すと考えております。
以上です。ありがとうございました。
【貞広主査】 ありがとうございました。
それでは、今、御指名をこちらから申し上げた委員のほかの委員の方々から、御意見、御質問を承りたいと思います。挙手ボタンを押していただきまして、順次、私から指名をさせていただきたいと思います。できるだけ多くの委員に御発言の機会があるよう、恐縮ですが、御発言は3分程度でおまとめいただければと思います。
ではこの後、田村委員、秋田委員、石井委員の順番で御指名申し上げます。田村委員、どうぞ。
【田村委員】 ありがとうございます。まず、事務局におかれましては、調整可能な教科等や調整可能な時数の上限、裁量的な時間の上限やその類型、「学習枠」「研究・研修等枠」の整理、さらには、制度導入後の教育課程特例校制度の取扱いに至るまで、制度導入に伴って起こり得る課題を具体に想定しながら、制度の趣旨が損なわれないように、丁寧な制度設計を示していただいていることを、感謝申し上げます。
これらの方向性について、私自身、おおむね賛同しております。その上で、主に論点の6について2点意見を述べさせていただきます。
第1に、中村委員や前川委員の御発言と重なるところがあるのですが、短く実用的な点を述べさせてください。先ほど、青海委員により、調整授業時数制度について、過度に細かい決まりを決めないようにという御発言があったり、戸ヶ﨑委員の守りの視点だけではなく、攻めのカリマネをという御発言がありました。私も、大いに賛同いたします。
そして、学校現場が安心して、思い切った実践に取り組めるような前提条件を、ここでしっかり検討していく必要性があると改めて思いました。その1つとしまして、前川委員がおっしゃったように、やってはいけないことを明確にすることは、逆にやっていいことを開発する際の安心材料になると考えております。調整授業時数制度は新しい制度ですので、導入初期には、学校現場で迷いや疑問が多く生じることが、十分に想定されると思います。その際に、全てを教育委員会への照会で対応するのではなく、最低限やってはいけないことを、学校の先生方が事前に確認できるような仕組みがあると、現場にとっても、設置者にとっても有効ではないかと考えています。
例えば、デジタル化される学習指導要領の近くに、いわば簡易的なチェッカーなんですけれども、例えば、学校段階や学年を入力すると「どの教科の時数を調整しようとしているんですか」とか、「年間に何単位時間削減しようとしているのですか」といった簡単な質問が出てきて、それに答えていって、もし制度上、認められない場合にはその理由、例えば、「継続性の観点から週に1時間程度は確保するためです」といった理由が示される、そのような簡易的なチェッカー機能のようなものがあるといいのではないかなと思います。簡易的なチェックがウェブ上でできるのは、気軽だと思います。
こういったものがあれば、一々教育委員会に問い合わせたり、これまでの実践校に尋ねたり、中教審のたくさんある資料の中から捜し出して、自分でチェックする必要はなくなってくるわけです。事前に不要な心配をしたり、計画が完成した後で、やはりできなかったといったことにならないようにするというのが、趣旨でございます。これは、決して裁量を縛るためのものではなく、学校が安心して裁量を行使するための支援ツールとして、結果的に不適切な運用を未然に防ぎ、そして同時に、制度の趣旨を現場に着実に根づかせることに繋がるのではないかと考えます。
第2に、調整授業時数制度について、学校現場に大きな裁量が委ねられる制度であるからこそ、その裁量をどう責任ある形で使っていくかが重要だと考えています。同時に、その運用のために、学校現場に新たな負担を増やしてしまっては本末転倒ですので、既存の仕組みをうまく活用するという視点が、不可欠だと考えています。この点で、私は、各学校と設置者である市町村教育委員会が、学校評価制度を最大限に活用するべきだと考えております。
現行の学習指導要領では、既にカリキュラム・マネジメントと、学校評価との関連が明確に述べられています。教育課程の編成、実施、改善を一体的に進め、その成果や課題を学校評価を通して振り返り、次に繋げていくという考え方です。調整授業時数制度は、まさにこの枠組みの中で運用されるべきものだと考えます。
また、学校評価は、学校と保護者や地域との関係だけではなく、学校と教育委員会の間の重要なコミュニケーションツールでもあります。調整授業時数制度の活用についても、なぜその調整が必要だったのか、どのような学びを意図したのか、どのような成果や課題があったのかを学校評価の中で共有することで、教育委員会は各学校の挑戦を支え、必要な助言・改善に繋げることができます。ここで協調したいのは新たな評価や報告を追加して学校の負担を増やすということではないという点です。むしろ、学校評価が本来に担っている教育課程の改善と質保証、そして対話を通じた伴走的な支援という役割を、調整授業時数制度を契機に改めて活性化させていくことが重要だと考えています。学校の創意工夫を生かしながら教育の質を確保し、同時に現場に余白を生み出すためにも、調整授業時数制度と学校評価制度を一体的に運用するという視点を、制度設計の中で明確にしていくのはどうかと考え、御提案いたします。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、続きまして、秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】 ありがとうございます。学習院大学の秋田でございます。今回、事務局のほうが、調整授業時数に関して検討すべき全体像というのを、非常に論理的に示していただいたことによって明確になったと考えておりますが、私自身、やはりこの調整授業時数が何のために行われるのかという、多様性の包摂であったり、深い学びというようなところで、やはり資質・能力を保障していくためにこれが行われるのだというところが、広く皆さんに行き渡ることによって、単に、最初に堀田委員の御意見にもありましたけれども、何か目新しさに流れることなく、何のためにこれが各学校で求められるかということを、皆さんに理解をしていただく。
そのためには、これまでの議論の中でも、学校が独自性を発揮できるんだけれど、それを教育委員会であったり、教育委員会だけではなくて、地元の教員養成の大学や関係者が伴走していくことができるんですよというようなメッセージを、様々な情報の共有と共に行っていくことが必要だと考えます。
その上で、私はこの中で、既存の教科に上乗せをする、それから裁量的な時間に充当するというところに関しては、御指摘のとおりだと思っているんですけれども、新教科の設定、新設というところにつきましては、先ほど、前川委員も言われていましたけれども、例えば、教科書があるわけではありません。そこでの教材の検討を、いかに体系的に継続的に行っていき、それが本当に資質・能力の向上に資するのかというようなところで、やはり慎重な検討が、この新教科に関しては、新たなアイデアで独自の科目がつくられることは大事だと思う一方で、これが何のための調整授業時数かというところから、やはり一定の吟味、慎重さ、そして検証の見える化というようなことが必要なのではないかと私は考えるところです。
時間は非常に限られている中で、少しでも、それぞれの子供たちに応じた形をという願いの中で、裁量や上乗せではできない何を行うのかというところを、各学校が慎重に議論をしながら行っていくということが重要なのではないかということがまず、1点目です。
そして、2点目でございますが、特にこの内数として、裁量的な時間の中に「研究・研修等枠」というものを設定いただいて、それが、「学習指導要領に直結する内容を扱うのです」ということが明示されているということが、私は、とても重要なところであると考えております。
その中で1点だけ、この資料の中で気になったところが、12ページ目のところで、「教師の資質・能力の向上を図るための学校・教育委員会が企画する研修」というふうに書かれております。ただし、調整授業時数は、あくまでも学校の裁量というものを重視した時間でありまして、これまでも、教育委員会が企画するような研修というのは、別途の時間の中で取られてきたわけですので、むしろ学校とか、それから、今は幼小、小中というような学区でそういうもの等に使われるということは妥当だと思うんですけど、教育委員会が企画する研修にこうしたものの時間が使われるということは、学校裁量という思想とは少し違ってくるかもしれない。この辺りは、少し慎重に検討することで、やはり本当に学校に委ねて、よりその学校や児童生徒の実態に応じた教育課程編成のために、その時間が、研修・研究に充てられるという趣旨を一貫することが重要なのではないかと考えているところでございます。
あと細かな点で、3点目として、その他の柔軟な教育課程というところで、単位授業時間の標準時数の示し方というところで、従来からの別表的な書き方を行わないような形にするとか、最低授業週数を、やはり実態に即してここで40週に変えていくというところが重要であると考えています。
そしてもう一点、私が、特にこれが柔軟なためには大事だと思っているのが、学習内容の学年区分の示し方でございます。ここが教科によって、今、教科ワーキングで議論されているところだと思うんですけれども、学年区分の示し方が、複数学年にしたり、学年区分にとらわれないことで、一層柔軟に組替えや、カリキュラム・マネジメントということができるようになっているわけでありまして、そこのところについて、学年区分にとらわれないような形を、ぜひ考えていただきたい。ある種の、やはり複数学年区分的な発想が、柔軟性のために大事である。
ところが、それのネックになっているのが教科書でございます。教科書は、教育課程編成の部分が無償配布されるわけですけれども、その部分が柔軟な教育課程でも、特定学年分だけが配布され、違う学年のものは、教師たちは、自分たちでコピーをして使うというような教材の使い方が、現在行われています。
この辺について、例えば、複数学年であらかじめ配ってしまうのではなくても、学年で複数学年の教科書を使えるようにするとか、何らかの形で、今後、教科書の使用と、それからこの学習内容の学年区分の在り方との関係というものも、柔軟な教育課程を何が縛っているのかというようなところとともに考えていくというようなことが、必要になるのではないかと考えるところであります。
あくまでも、転出入をする子供たちが全国どこにおいても一定の資質・能力を育成できるということが日本の教育の質の高さ、散らばりの小ささということをこれまで支えてきました。今後、柔軟な教育課程においても、やはりその部分を支えていくためには、どういう歯止めが必要なのかということを併せて、格差が広がるのではなく、公教育として一定の質保証をどうしていくのかということが、大事かと考えております。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
この後、御指名申し上げる順番を少し先取りして申し上げます。秋田委員の後、石井委員、内田委員、望月委員、中村豊委員の順番で御指名申し上げたいと思います。
では、続きまして、石井委員にお願いいたします。
【石井主査代理】 それでは、まず、事務局の提案に関しては、非常に詳細に全体像にわたって提案いただきましたけれども、私のほうからは、先ほど秋田先生の話とも関連するわけですけども、そもそも今回のこの提案がどういう意味を持つのかというところです。大きくはやはり理念としては、多様な子供たちの深い学びを確かなものにというふうな、まさに次の学習指導要領改訂に向けた理念を、政策理念をぶらさないというふうなことがあると思います。
それとともに、多様性の包摂とこういう形で、今回、提案されているこの時数等の柔軟化が、どういう意味を持つのかということで申しますと、いつでもどこでも学べるというふうな学習環境整備においては、時間数による質の管理ではなくて、授業と学びの質を高めて、中身で管理する展望、すなわち習得主義へのシフトというのが、これが根本なわけですよね。
ですから、そう考えますと、結局、時間は減らしても、目標内容の達成がしっかり担保できるように、目標内の重点化とセットで考えていく。それは削減ということではなくて、様々な時間に対応できるような形で、幹と枝、葉をしっかりと整理するということがポイントかと思います。それで、単元で考えるなどして、せわしくこなすというふうなことにならないように、学びの中身といったところを考えていくことが大事かなと思います。
それと共に、先ほどからも出ていますように、やはりこれはオーナーシップの回復ということが、非常に重要になってくるかなと思います。現場が、自分たちで授業とかカリキュラムをつくっているのだというような、そういう感覚ですよね。それで申しますと、先ほどからも出ていますように小文字のカリキュラム開発、あるいはカリキュラム・マネジメントの実質化ということが重要になってくるかと思います。
このような形で、裁量の幅は制度的には広がっているということがあるのだけども、これまでも結構いろいろと裁量はあったわけなのですが、実質に使いこなせているかどうかということが、この辺が動き出すかどうかが非常に重要かなと思います。使おうとするかどうか、自由度を実質的に感じるかどうか。
そのためには、こういうこともやっていいんだなというような、ある種外し方といったらちょっと言葉は悪いかも分かりませんが、こういう形で、これだけ緩めてもというか、柔軟に運用しても、あるいは、こんな大胆なことをしても、ちゃんと枠内でやれているんだというふうな、そういった部分のノウハウといいますか、発想というものを共有していくことも大事かと思いますし、それこそ、類型などを示していくということは重要かと思うわけですけども、それも先ほど、どうも見直すというふうなことで、それを実績に照らして見直すということをおっしゃっていましたけど、それもとても重要で。
さらに、現行で言いますと、5分短縮がまずありきとか、午後に裁量の時間を全部入れたらいいのでしょうとか、そういう硬直化した理解を超えて、それを超える時間割いじり、あるいは教育課程いじりっていったものを励ますような、そういう打ち出し方が重要かなと思います。
それから、その研修の枠ということで申しますと、これは教師の余白と余裕のマネジメントが重要になってくると思います。それこそ、週1コマが常に研修枠として確保できるというふうな状況にもなってくると。
しかし、それを研修の計画を毎回立てなければいけないというふうなことになると、これは、なかなか余分なことがまた増えるということになっちゃうわけです。そこが、ちゃんと余白になるということもそうですし、さらに言いますと、余白があっても先生方が楽になるとは限らない。仕事を覚えるというか、やはり育たないと楽にならないところがあるんですね。だから、実質的な余裕に繋げるためにも、まさにこの余白をうまく生かしながら、人を育てていくと。つまり、学校として組織的な専門性開発を盛り込んだ戦略的な学校経営、これが重要になってくるかと思います。それを、余白と余裕のマネジメントというふうに申しました。
実は、子供に委ねるであるとか、あるいは自由なカリキュラムといった場合に必ず、これは米国などにおいては、そういったカリキュラムを展開する学校は、教師の専門性開発学校でもあるという点が非常に重要です。柔軟なカリキュラムは、これは教師の育ちとセットなわけなのです。これは、日本においては結構弱かったとこだと思います。ですから、柔軟なカリキュラムということは、教師の専門性開発、こことセットで考えていく、こういった文化が根づいていくといいのかなと思います。
最後になりますけども、それこそ責任というふうに言った場合、これが誰に対する責任なのかということになります。ここを整理しておく必要がある。つまり、責任説明の責任の宛名を、誰をメインで考えるかと。
これに関しまして結構重要かと思っているのは、自由度を高めるといったときに、文科省とか教育委員会が細かくチェックするというふうなことになってしまうのでは、これは本末転倒に陥るというこということです。むしろこれは、アカウンタビリティーにおいては、ある種匿名のアカウンタビリティーと、固有名のレスポンシビリティーというか、そういうふうに区分することもできる発想があるわけですけども、要は透明性の担保という発想は、専門職不信と実は関係しているところがあるのです。
先ほど、理解と合意、あるいは対話という言葉も出てきましたけども、固有名、つまり説明責任の根本は何かというと、目の前の子供たちだとか、保護者とか、地域の人たちへの応答責任であるというふうなことです。顔が見える関係における理解と合意と対話、ここが重要になってくるというところです。それは、専門職集団である学校現場、そういったものへの信頼をベースに、やはり学校運営協議会を起点とした共通理解、そこをベースに置くということが大事ではないかなと思います。
教育行政は、やはりその自由度をどう生かすのか。あるいは、カリキュラムをどうつくるのか。あるいは、研修をどういうふうに組織するのかといった面での、ある種の条件整備、あるいはその伴走支援、ここを起点に据えていくということ。伴走支援をやっていますと、おのずと現場の実態をつかむことになってきますので。ですから、そういう形で緩やかに運用していくということが重要ではないかなと思います。
以上です。
【貞広主査】 では、続きまして、内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 ありがとうございます。本日の御説明につきましては、児童生徒の実態に応じた柔軟なカリキュラム、そして教員の授業力、教育力の向上のための研修に資する時間を確保するためにも非常に有用で、しかもそれに対する基本的な考え方をお示しいただいたということで、非常にいいことではないかなと思っております。
それぞれの学校の実態といいますのは、規模も異なりますし、教員構成も異なっております。特に義務教育の小学校、中学校においては、その割合が地域によって顕著でありまして、それぞれの学校が、地域の特性・特色に応じてモチベーション高く、授業の時間を柔軟に確保していくためにも、制度設計というのは、非常に重要ではないかなと思います。
先ほど、田村委員のほうで、やっていいこと、やってはいけないことを明確にすることも必要ではないか。それを基に各学校が、柔軟で有用なカリキュラムを編成することができるのではないかというお話がありましたが、その意見に非常に賛成でございます。
実際に動き始めますと、各学校は何をやっていいのかというところが、一番迷うところでもありますし、特徴化をやっても、それに対して、なかなか縛りの部分で駄目ではないかというような指摘を受けることもあります。
そこで、学習指導要領がデジタル化されるというところもありますので、ぜひ、カリキュラム・マネジメントツールのような、まず、基本的なツールの開発を考えていただければと思っております。例えば、時数であるとか、単位であるとか、内容であるとか、そういったところを入力することで、例えば、私立学校、公立学校問わず柔軟に何が良くて何が悪いかというようなことが示されるというようなツールを活用することによって、方向性を明確に定めることができる、学校のポートフォリオにもなり得るのではないかなと思います。
それぞれの授業を必要に応じて減じて、有効に活用するために加えていくというようなことのツールが開発されると、学校のカリキュラム・マネジメントの助けになるかと思いますので、ぜひ、デジタル学習指導要領と一緒に御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
【貞広主査】 では、続きまして、望月委員、どうぞ。
【望月委員】 今回の議題につきましては、いつも以上に現場の委員の方々の声、特に懸念されていた声が幾つかあったかと思いますので、そちらに耳を傾けていただきたいと思います。
私のほうからは、スライド12にありました、「研究・研修等枠」についてのみ、ちょっと発言をさせていただきたいと思います。
裁量的な時間というものを検討する上で、今回、全体としての方向性として、やはり近年の社会情勢であったりとか、教育環境といったことなどを踏まえて、探究学習であるとか地域といった側面が色濃く反映されているなというのが率直な感想です。これらに加えて、生徒指導であったり、特別活動であったり、キャリア教育といった、日本型の学校教育といったものの強みというものも、やはり生かしていくことが必要でないかとも考えています。
そういった観点から考えると、児童生徒の発達とか、子供たちが抱えている課題のようなものをきちんと踏まえた上で、先ほどの秋田委員の御指摘とも重なるところがあるかと思うのですが、各学校が主体となりながら、同一の校種間であったり、他の校種間、いわゆる学校間の連携といったものを、臨機応変な協議も含めて、いわゆる余白の時間等を使いながらも協議を深めた連携体制といったものが、ますます求められるのではないかと考えます。
こうした点というのを、ここのスライド12で示されている、類型であったり、例示というところに明示するようなことができないかということを検討いただきたいと思います。
以上です。
【貞広主査】 続きまして、中村豊委員、お願いいたします。
【中村豊委員】 私のほうは、生徒指導及び教科外の立場から、今日の議論をいろいろと聞きながら考えました。
学習指導要領のちょっと前のものを振り返りますと、平成10年の学習指導要領では、波線教科という存在がありまして、当時、総合的な学習の時間と選択科目を各学校の裁量に任せてというのがあったかと思います。
平成20年は、それは全部、波線というのはなくなってしまいましたけども、そのときに起こっていたことで、日本の学校というのは学級が基礎集団で、学級というものをベースに教育活動が展開されてきたと思うんですけども、平成10年の学習指導要領において、波線科目、選択科目、または習熟度、いろんな形でクラスを解体するような流れがあって。そのときに、クラスというのは学習機能と、それから、生活機能の2つがあるというふうに理解しているんですけども、集団の機能が、若干下がってきたような気がしております。
学級集団をどのようにつくっていくのかといったときに、その視点で見たときに、今後、新しく提言されている調整時間の中で、ほかの委員の先生からもいろいろ意見が述べられておりましたけども、教員の研修とか研究に充てることができるというものが、非常に有効に作用するのではないかなと考えました。
具体的には、本日のスライドの中で11ページになろうかと思いますけども、それの右側のところの丸1番から丸4番、小さい字で書かれているところを丁寧に見ていきますと、例えば、個別指導に続いて学習カウンセリングという言葉が出てきております。恐らく「子供たちの個別の課題に対して」とありますけども、学習カウンセリングという言葉が使われたのは、これまでに多分、私の中で見たことないので初めて使われているのかなと思っています。
また、丸3番ですかね、ソーシャルスキルの育成と、具体的にいじめ防止、安心・安全ということで、このような例示がされておりますけども、ここに関しましては、平成20年に社会的スキルというものが1回使われていて、現行のものでは消えているんですけども、教育、学習活動の中でこういう、いわゆる認知的ではないものを取り上げているというものが、非常に今の困難を抱えている学校にとっては時間がない。その時間を、このカリキュラムの中でも先生たちの資質向上というところで、やることの可能性があるということは、非常に有意義だと思っております。
ただこれをよく読んでいきますと、「ソーシャルスキルの育成など」の下に米印(「※」)等がありますけども、そこの中で、特に、要する児童生徒という読み方ができてしまうんですけども、多分、学校教育の中にこういうソーシャルスキル的なものを入れていくのであれば、クラスとか全体を対象にして底上げをしていかないと、個別にやっていくのでは、十分な成果が上がらないのではないかなと思います。
具体的には、改訂されてしまいましたけども、旧版の生徒指導提要の中に「育てる教育相談」という考え方が示されていて、現行のものではこれは消えておりますけども、そこでまさにここに書かれているような、丸1番、丸3番のいわゆる子供たちの発達を促進させていく、開発的な視点で、教育相談の視点から具体的な方法が挙げられておりましたので、その辺のところが、またここで再評価されるといいなと思っています。
現行の学習指導要領等を見ますと、総則の中に、はっきりと生徒指導を学習指導と関連づけるということが出てきたのが現行のものになります。
その前の平成10年、20年の中では、「生徒理解」というキーワードとか、「ガイダンス」という言葉が使われてはいるんですけども、なかなか学校教育の中では、これを十分に理解するということも難しかったように思いますけども、今度は多様性の包摂の中で、様々な子供たちがクラスにいる。その中で、教育活動とか学習指導の中で、こういう子供たちの資質・能力を育成していくという視点が、まさに学習指導と生徒指導の関連が全面的に感じられるような、今日は提言だったと考えております。
ちょっとまとまりませんが、感想的なものになってしまいますけども、以上で意見のほうを述べさせていただきました。ありがとうございます。
【貞広主査】 ありがとうございました。
以上で、お申出いただいた委員の方々には、一通り御発言をいただいたのですけれども、非常に会議に協力的に、内容的には充実していながら、時間的に抑制的にそれぞれの委員の方が御発言くださいましたので、少し時間的に余裕があります。前半で御発言いただきました委員の方々も、後半の委員の方々の御意見を聞いた上で、再度追加でということを承れる余裕がございます。もし御希望される方がいらしたら、挙手ボタンを押していただければと思いますけれども、いかがでしょう。よろしいですか。
よろしいでしょうか、何かボーナスタイムで私も発言していいと事務局の方がおっしゃるので、あんまり準備していなかったんですけど、ありがとうございます。簡単に3点ほど、ちょっと細かいことにも入りますけれども、発言をさせていただきます。
すみません、私よりも中谷委員が手を挙げてくださいました。中谷委員、どうぞ。
【中谷委員】 本日は都合により途中からの参加になりまして、十分理解してないかもしれませんが、少しだけ申し上げたいと思います。
今回の指導要領改訂に当たって、中核的な内容の1つというふうに拝見しました。学校の努力とか、教育委員や指導主事の先生方の力ということが、これからまさに期待されるところかと思っております。
その中で11ページの、先ほど御指摘もありました、上限と類型のところで、例えば、学習教科等の自己調整的な枠組み。あるいは、個々の児童のニーズや認知の特性に合わせた個別指導や、下学年の未修得事項の効果的な学びという、幅広いニーズにということが挙げられております。
これまでに、サキドリ校や研究開発学校、教育課程及び授業時数の特例校のサイトを拝見しますと、そこには30ほどのキーワードがありまして、これらが実際に、今は試行的に行われていることと思われますが、内容としては、丸1とされていた言語活動の充実が多いと。教科でいいますと、総合的な学習の時間や特別活動が多いようです。
それ以上の内容のところは各学校の実態に合わせて、具体は分からないんですけれども、これが、子供に届くような効果になっているかということの検討ということが、丁寧な目配せが必要なのではないかと思いました。
といいますのは、スライドの2番目にあります、教室の中の多様性ということが、今回の柔軟化の一つの根拠であると、大きな根拠であるというふうにしますと、これらは、もちろん特異な才能のあるお子さんということもアドバンスドなことかもしれませんが、課題だと思うのです。標準的な進度になかなかついていきにくいということになるかと思うのですが。先ほど、私が挙げさせていただいたような例の、準備いただいた例の中のものが、これまでの実践の例としてマッチして実践されているだろうかということが、少し気になりました。
それを評価するべきかどうかはちょっと分からないのですが、少なくとも、随分御苦労されて生み出した時間というのを、何か新しい課題にするとか、教科的なものにするというのは、やはり自分の観点からも賛同しにくいように思いまして。それよりもやはり学校に、自分の学校の現状をよく理解していただく。それが子供たちのそれぞれの、例えば、国際化であるとか、あるいは、学校に行きにくいであるとか、あるいは、逆に過度に進学志向であるとか、自分の学習の理解を十分に振り返っていないとか、そういうことを見直した上での実践になっているだろうかということを、これまでのサキドリ校や研究開発学校などの例を見て、検討していただくのがいいんじゃないかと。
自分の関わっているところで見ていきますと、やはり総合的なとか、探究的な活動ということになって、その内容というのは、しばしば少し曖昧さを含んだような、キャリアのような将来を考えましょうとか、自分を見つめましょうというような形で、少し課題感があまり見えてこないような、子供に伝わりにくいようなところもあるかと思いましたので、その目的に合った実践になっているか、それをどうメッセージとして伝えていくかということが大事かと思いました。ありがとうございました。以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。ほかの委員の方々は、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、最後に少しだけお時間を頂戴して、私からも細かいことですけれども、意見を3点ほど、申し上げたいと思います。
まず、今日の御提案というのは、学校にカリキュラムに関わる自立性と柔軟性を取り戻していただき、これを、石井委員はオーナーシップの回復とおっしゃっていましたけれども、多様な子供たちの確かな学びを保障するための制度設計の御提案をいただいたものだと思っています。
カリキュラム開発ということではないデータで恐縮ですけれども、イギリスを中心としたワークロード改革に関わる、つまり、働きやすさと働きがいの充実ということに関わるデータを見ますと、先生方のメンタルヘルスや、やりがいのお気持ちというのは、確かに長時間労働にも左右されるのだけれども、それ以上に、自立性と柔軟性をいかに与えられているかというところに左右されるというデータがございます。
ピンポイントで教育課程ではありませんけれども、学びの専門職たる先生方が、もろもろのオーナーシップを手に入れて、目の前の特別な子供たちのカリキュラムを考えていただけるようになるというのは、非常に喜ばしい方向性であると考えています。
2点目です。その上で、ただしそういう経験を今まで持たなかった我が国においてでは、怖がらず、怒られずというような制度設計をする必要があるという御指摘を、何人かの委員の方から出していただいています。例えば、チェックシートを作るであるとか、やってはいけないことを明確化するであるとか、その支援ツールが必要だというような御提案もいただいていて、確かに、最初に新しいことをスタートするには、こういうものは必要だろうなと、私も同様の意見を持ちます。
その一方で、私は学校の先生方の能力を、すごく高く期待をしているということもあって、最初の突破口としては、そういう支援があってもいいと思うんですけれども、できれば独自でもっと多くのことができるように、できれば自転車の補助輪が取れるように、自走していっていただく、将来そういう世界線をちょっと諦めたくないなという気持ちも、一方で持ちます。ただ、最初の一歩というのは非常にハードルが高いので、そういうツールも必要なんだけれども、いやそういうのは要らないからやりたいのだという先生方のお気持ちにも、ぜひ応えていきたいというふうに、ちょっと夢物語のようなところかもしれませんけど、思ったりもします。
3点目です。これは、堀田委員の御意見のペーパーにもありましたけれども、非常に小規模化している自治体の中で、単独で教育委員会がもろもろの教育施策をつくり上げたり、展開することができない実態というのは、教育課程に限らずあります。例えば、学校の統廃合などについても、単独で、自走でというのは相当難しいような人員の状態にありますので、上位政府たる都道府県の教育委員会、そして何よりも都道府県と市町村の間の中間組織たる教育事務所等の関わりというのは、非常に重要だと思います。
ただそのときも、例えば、堀田委員のペーパーの中にも、取組事例や課題を共有、可視化して、お互いに参考にできるようにするというお示しがあって、まさに政策参照とか、政策学習といわれる取組を支援することだと思いますけれども、やはり最終的には、1つとして同じ学校はないので、それを参照した上で、各学校は自前にカスタマイズする必要があると思うんですよね。最後の一歩は、やはり学校でやらなきゃいけないと。
そのときに、やはり中間組織や上位政府たる都道府県の教育委員会は、決して指導というスタンスではなくて、支援というスタンスでもなく、もう一歩踏み込んで、共に考えてお互いに思い込みを再考するような、そういう場として、ぜひ新しいカリキュラムをつくっていただきたい。壁打ちのようなものですかね。そういうものをつくっていただきたいなと思ったりもします。
最後に、これは秋田委員がおっしゃっていたことです。資料の12ページの右側に、研修の中に教育委員会の主催する研修も含まれるという記載がありましたが、私もこれについては再考が必要だと思います。あくまでも、学校現場の協働的な学びによって、学びの専門職の力量をお互いに高めていくと、それを母体にする必要があるのではないかと思います。ですから、教育委員会が主催をする研修というのは、外づけである必要があるのかなと思います。
もちろん働き方改革などの文脈では、内数にしたほうがいいというような御意見もあり、それぞれの教育委員会でも、お考えになる余地があってもいいと思いますけれども、その一方で、やはり現場での協働的な学びにこだわっていきたいなという強い思いもございます。
以上、ちょっと雑駁でございますが、私から、何かボーナスをもらいましたので、意見を申し述べさせていただきました。ありがとうございました。
それでは、一通り皆さんから御意見もいただきましたので、本日の議事は以上とさせていただきたいのですけれども、事務局のほうから、何か応答はありますでしょうか。特によろしいですか。
それでは、議事は以上とさせていただきます。
最後に、次回以降の予定につきまして、事務局よりお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 次回は、2月19日木曜日16時半から19時を予定しておりますが、正式には、後日、御連絡を差し上げます。
【貞広主査】 ありがとうございました。
以上をもちまして閉会といたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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