令和7年12月15日(月曜日)16時00分~18時30分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【貞広主査】 皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第4回総則・評価特別部会を開催いたします。
本日は議題2つでございます。1つ目が「『個に応じた指導』の今後の在り方について」、そして2つ目が「学習の基盤となる資質・能力について」、こちらを議題として御審議をいただきます。
なお、本日は、さらに我々委員に加えてお二方の委員、犬塚委員と黒上委員に御参加をいただいています。
犬塚委員は、国語ワーキンググループに御所属されており、言語能力についての御議論に参加されています。特に、「学習の基盤となる資質・能力」に関して御意見をいただくことになろうかと思います。
同様に、黒上委員でいらっしゃいますけれども、生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループの主査でいらっしゃり、小学校における情報活用能力の育成についての御議論をいただいていることからお願いをして出席をしていただいているところでございます。よろしくお願いいたします。
まずは、議題(1)につきまして事務局の説明と意見交換を行った後、5分間の休憩を挟みまして、議題(2)について事務局説明と皆様との意見交換を行うという形で進めさせていただきたいと思います。
それでは、議事に入ります前に、事務局より配付資料の補足をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 失礼いたします。教育課程企画室長の栗山でございます。
まず、補足説明の1点目でございますけれども、こちらは現在、国会にて審議中の補正予算案に計上をされておりますデジタル学習指導要領の実現に向けた調査研究についてでございます。前回の総則・評価特別部会で御議論いただいた内容等をよくよく踏まえまして、令和9年度にはデジタル学習指導要領の提供を開始する必要があるというふうに考えておりますので、一刻も早くこの調査研究を進めたいということでこのように計上しているわけでございます。
事業内容の部分でございますように、デジタル学習指導要領に関する、まさに今日の特別部会をはじめとした御議論、これを技術的に実現し、それらの着実な実践を図るために必要な機能や具体的な表示方法等の検討を専門的知見を有する事業者に委託するものでございますので、1点、御紹介でございます。こちらが1点目でございます。
また、2点目の補足事項でございます。こちらは、学習指導要領等の改訂に関するスケジュールのイメージとして整理をしたものでございます。これまでも口頭では、前回の改訂と同様のスケジュールと仮定した場合のものとして言及することが多くございましたが、その仮定を維持しつつ、それを図示したものでございます。
こちらを御覧いただきますと、まず左側、現在、中央教育審議会における審議を続けているわけでございますけれども、御審議をいただきながら論点整理をはじめとした様々な方策を通じて段階的・継続的な周知・浸透を図り、また、先取り研究校、現在、国公私立において御申請をいただいているところでございますけれども、実験校等を活用した先進的取組を推進しながら審議を進めていくということが記載されてございます。
その上で、令和8年度中、これも論点整理でお示しをしているスケジュールでございますが、答申をいただきまして、その上で令和8年度中に幼小中についての改訂を行い、翌年度、9年度末に高等学校についての改訂を配置しているところでございます。
そうなりますと、幼稚園については令和10年度から全面実施、小学校については令和12年度から全面実施、中学校については令和13年度から全面実施、高等学校については令和14年度の入学生から順次実施し、令和16年度から全面実施というスケジュールになるという旨、記載をしております。
また、それぞれございますが、周知・移行期間という矢印もございます。この米印の2、一番下の部分に小さく書いておりますけれども、この移行期間の具体的な時期、あるいは先行的に実施する内容については、今後、内容を検討するものでございますので、現時点においては未定ということでございます。
また、その下の米印3にございますように、特別支援学校学習指導要領(幼稚部及び小学校部・中学校部)については、幼稚園・小学校・中学校と同様のスケジュール、また、高等部については高等学校と同様のスケジュールを想定しているということも記載をさせていただいております。
繰り返しになりますが、今後の変更の可能性があり得るものではございますが、今後、こうしたスケジュールで、前提として検討を進めていければと改めてお示しをしております。
補足資料は以上でございます。
【貞広主査】 ありがとうございます。調査研究の予算計上についてと今後の学習指導要領改訂に関するスケジュールのイメージについてお示しいただきました。どうもありがとうございます。
それでは、早速でございます。議題(1)に参ります。議題(1)の検討事項につきまして、まずは事務局よりの御説明をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 失礼いたします。それでは、議題に入らせていただきます。
本日は、個に応じた学習過程の充実ということで事務局資料を御説明させていただきます。
まず、この議題に関連いたしまして、現行の学習指導要領の関連の記載とこれまでの蓄積について確認をさせていただきたいと思います。左上から参ります。
現行の学習指導要領におきましては、これからの社会で求められる資質・能力の育成に向けまして、学習過程の質的改善を図るため、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を提起したわけでございます。また、これまでと同様に、学習内容の確実な定着に向けた「個に応じた指導」の充実の必要性、あるいは見通しを持ったり振り返ったりすることの重要性など、学習指導に当たりまして共通的に取り組むべきことを総則に記載をしております。
その後、現行の学習指導要領を順次実施していく中で、多様な子供たちが学校に在籍している実態が一層顕在化してきたり、また、GIGAスクール構想によるデジタル学習基盤の整備等が進みまして、令和答申、いわゆる「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」の考え方についても、この令和3年の答申で考え方が新たに示されたというところでございます。
3つ目のポツでございますけれども、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実」の考え方は、子供一人一人に合わせて「主体的・対話的で深い学び」を実現していくに当たり、教師が個別の指導を行うだけではなく、子供たちが主体的に学習を調整できる環境を整え、子供自身がその実現を図っていくことが重要であり、デジタル学習基盤はそのための重要な基盤であるとの認識に基づいているものでございます。
こうした展開が現行の学習指導要領移行、後のほうでございますけれども、右上に行きますと、「一方で」とございます。学習指導要領の実施と、このいわゆる令和答申の周知が重なる中で、学校現場からは「主体的・対話的で深い学び」と「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」の関係性がつかみにくいという御指摘もいただいておりました。また、具体の実践のイメージが湧きにくいという声も頂戴しておりました。こうした学校現場の悩みに応えるために、令和7年4月に、文部科学省として『みるみる』という名称で、考え方の整理、あるいは事例の紹介を内容とするサポートマガジンを作成いたしまして、一人一人の教師にとって分かりやすいよう、全体の考え方を整理しつつ、具体的な実践事例をお示ししてきたところでございます。
このように、文部科学省としても一定の整理を進めてきたわけでございますが、他方、こうした現行学習指導要領施行後に行われた考え方の整理やこれまでの実践の蓄積から得られた知見につきましては、学習指導要領の総則に現状では反映をされていない、現行の学習指導要領の後に出てきた展開を踏まえて、全ての学校で共通理解は図られているとは言い難い現状もあるのも事実でございます。
以上のように、「主体的・対話的で深い学び」を、多様な特性等を有する子供たち一人一人の個に応じて実現していくために、デジタル学習基盤の活用も含めて、どのような基本的な考え方に立って進めていくべきかということについて、これまでの、今、御紹介いたしました政策的、あるいは学校現場での実践、あるいは科学的な蓄積を踏まえて、どのように分かりやすく整理して総則に位置付けていくかということを検討していく必要があるわけでございます。
こうした現状に立って、次期学習指導要領に向けたこれまでの検討、主に教育課程企画特別部会において御検討いただきました内容についてでございます。
マル1、次期学習指導要領に向けた中央教育審議会に対する諮問におきましては、「人生100年時代」の到来や労働市場の流動化等に伴いマルチステージの人生モデルへの転換が進む中、不確実な社会を生きる子供たちが、生涯にわたって主体的に学び続け、自らの人生を舵取りする力を身に付けていくことが不可欠であり、デジタル学習基盤を前提に、学びを自己調整できる指導計画や学習環境のデザイン、その際の教師の指導性の在り方等を検討していく必要性を示しました。
マル2、9月におまとめいただきました論点整理は、多様な子供たち一人一人が、教科等の概念を深く理解し身体化(記号接地)したり、創造的な考え方を生み出していくためには、自ら初発の思考や行動を起こし、他者との関わりやメタ認知により思考や行動を修正(自己調整)していくといった学びのプロセスが重要との視点に立って、学びに向かう力・人間性等の概念を再整理するという方向性もお示しをいただきました。こうした学習の自己調整を促すための共通的な記載を検討する必要があるというふうに考えております。
また、マル3、論点整理は、デジタル学習基盤について、多様な子供たちにとっての包摂性を高めながら、「主体的・対話的で深い学び」を通じた資質・能力の育成に資する学習環境を整えるものであることなど、その役割を明確にする方向性を示したところであり、このことを踏まえた記載を検討する必要がございます。
こうしたことを踏まえて、総則・評価特別部会におきましては、下のポツでは、総則の構成に係る議論におきまして、前回、児童生徒の学習の自己調整に係るものや、教師の個に応じた指導に係るもの、これらは第3の「教育課程の実施と学習評価」の部分、現状では第4の「児童生徒の発達の支援」と分かれて記載があるわけでございますが、この第3にまとめて、前回は、「児童生徒が主体的に学ぶことができる学習環境の構築」を仮称としてお示しをしていく、それによって項目を設けるという方向性について御議論をいただいたところでございます。
このため、先ほど述べました現行の学習指導要領関連の蓄積に加えまして、これまでの改訂の議論、主に今、御紹介しましたマル1、マル2、マル3を総合いたしまして、この第3に示す新しい項目等においてどのように記載を設けていくかということを検討する必要があるというふうに考えております。
その上で、右上、ここからが新たな議論の部分でございますけれども、まず、新たな項目における記載内容についてでございます。まず、項目の名称についてでございますけれども、前回の総則・評価特別部会におきまして、「主体的・対話的で深い学び」を、多様な特性等を有する子供たち一人一人に個に応じて実現していくための留意事項に係る項目の名称につきまして、先ほど申し上げたように、「児童生徒が主体的に学ぶことができる学習環境の構築について」という、仮称の案、これをお示しして御議論を賜りましたが、その中では、例えば「主体的・対話的で深い学び」の一部分だけを切り取っているようにも見える。また、「学習環境」だけだと教師の指導というものが見えにくいといったような御指摘も賜ったというふうに認識をしております。
こうしたことを踏まえまして、項目の名称につきましては、現行でも用いられている「個に応じた指導の充実」を発展させる形で、「個に応じた学習過程の充実」という、本日の議題の名称にもしておりますが、この「個に応じた学習過程の充実」としてはどうかと考えております。このような示し方によって、「主体的・対話的で深い学び」を実現するための学習過程は必ずしも一様ではないという趣旨が学校現場にも伝わりやすいのではないかと考えております。
また、項目に対する内容についてでございます。個に応じた学習過程を充実させていくに当たっては、教師の指導・支援が重要となることから、その点に十分に留意をして具体的な記載を検討してはどうかと考えております。
また、第3回では、可能な限り総則の記述の精選を図り、理解しやすくスリムなものにしていく方向で御議論をいただきましたことも踏まえまして、総則本体では踏まえるべき基本的な趣旨や方針を端的に示すこととし、具体的な留意事項等は解説で記載することとしてはどうかと考えているところでございます。
こうした、ここまでの前提を踏まえまして、総則本体に盛り込む要素と解説で記載する要素の例についてお示しをしたのがこの別紙でございます。左上にございますように、本資料はあくまで盛り込むべき要素の案をお示ししたもので、実際の総則及び解説の文章は議論を踏まえて引き続き検討するということが前提でございますので、本日の議論を踏まえてまた検討を深めていくという性質のものでございます。
まず、総則に盛り込む要素(案)、左側のオレンジの部分でございます。先ほど申し上げたように、この第3の「教育課程の実施と学習評価」の部分、その中で1、「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」、現在もある項目でございますけれども、その中で、まず、「個に応じた学習過程の充実」という部分を設けて、大きく3つのパラグラフをお示ししております。
まず、総則に盛り込む要素の1つ目、趣旨の明確化でございます。これについては、多様な特性等を有する児童生徒に主体的・対話的で深い学びを実現できるよう、個に応じて学習過程の工夫を図ると記載しております。
これに対応する解説の記載が右上の部分でございます。4点、大きくお示ししております。児童生徒の多様な特性や発達段階等の実態を踏まえて、全ての児童生徒に主体的・対話的で深い学びが実現できているかという視点を持つことの重要性。そして2点目、そうした視点から個に応じた学習過程の工夫を行っていく上で、個別最適に学ぶ場面と協働的に学ぶ場面それぞれのよさを生かし、一斉・協働・個別といった学習場面を効果的に配置するなど、教師が必要な指導性を発揮しつつ、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実するということの重要性、これが2点目。そして3点目、その際、孤立した学びに陥ったり、集団の中で個が埋没することのいずれも避けるとともに、教師が必要な支援や指導を行わないといったことに繋がらないよう留意することの必要性について、3点目として記載しています。最後、4点目、「深い学び」を実現する上で、教師の一斉による指導も効果的に実施するとともに、児童生徒自身が自ら考え知識等を構成することができるようにしていくことの重要性についても言及をしております。これが1つ目の趣旨の明確化に対応する解説の記載でございました。
左側、オレンジの部分に戻りまして、2つ目でございます。児童生徒による自己調整の関連の記載でございます。「その際」から始まる部分でございますが、その際、単元や題材などの内容や時間のまとまりの中で、児童生徒が学習の見通しを持ち、よりよく学ぶことができるよう方略を工夫したり、振り返ったりしながら、自らに適した学習過程となるよう調整できる機会を計画的に取り入れるよう工夫するといった記載になっております。
これに対応する解説の要素例が右側であります。1点目、1コマで学習を完結させるのではなく、単元・題材等のまとまりで学習過程を工夫することの重要性。2点目が「学びに向かう力、人間性等」を企画特別部会では4つの要素で再整理をいただきましたが、そのこととの関係。3点目、児童生徒の学習過程において、見通しを持つ(学習前)・方略を工夫しながら学習を進める(学習中)・学習の成果を外化し振り返って次の学習に繋げる(学習後)といったプロセスを児童生徒が円滑に行うことができるような教師の指導や支援の重要性。4点目、よりよく学習するための方略を、教師や他者の取組から学びながら自ら工夫し、徐々に高度化する視点。最後に、こうした学校での学習を経て、家庭学習の内容を自律的に決定できるようにしていくことなど、家庭学習を含めて学習習慣を形成し、学びを広げ深めていく視点等でございます。これが2つ目でございました。
3つ目、また左側に戻りまして、教師による指導・学習環境構築についてであります。また、知識及び技能を生きて働くものとして確実に習得していくことも含め、児童生徒が個に応じて資質・能力を身に付けることができるよう、教師による学習環境の設定、指導方法、指導体制上の工夫改善を行うなど、個に応じた指導の充実を図るという記載でございます。
これに対応した解説の記載が右側であります。1点目、児童生徒の学習の調整を含めて、児童生徒理解に基づく教師による単元全体の構想の必要性。2点目、児童生徒が学習に前向きな見通しを持つことができるよう、単元計画を児童生徒にあらかじめ分かりやすく共有することや、学習意欲を高める工夫等の重要性。3点目、児童生徒が学習を工夫しながら進められるよう、子供の学習過程を見越した適切な課題や多様な学習活動の展開を可能とする学習材の準備、つまずきを予想した足場かけ、相互に学び合いながら安心して学習ができる環境構築、効果的な学習に関する科学的な知見も踏まえた学習方略の指導、年間指導計画の作成等の重要性。4点目、学習前に分かりやすい評価計画・評価規準を示すことや、学習中・学習後等に学習状況をメタ認知して振り返る機会を設けること等の重要性。次に5点目、児童生徒の興味・関心を生かした自主的、自発的な学習が促されるよう、児童生徒が自ら学習課題や学習活動を選択する機会を設けるなどの工夫を行うことの重要性。6点目、学習内容の習熟の程度に応じた学習等、現行の「個に応じた指導」で示している工夫例。7点目、小学校の専科指導や交換授業、ティーム・ティーチング等の指導体制の工夫例等をお示ししております。
以上が「個に応じた学習過程の充実」の部分でございます。
続きまして、左側、その直下に「デジタル学習基盤等の効果的な活用」ということを示しております。コンピューターや情報通信ネットワークなどで構成されるデジタル学習基盤は、多様な特性等を有する児童生徒に主体的・対話的で深い学びを実現する基礎となるものであり、これらを児童生徒が日々の学習や学校生活において活用するのに必要な環境を整えるとともに、適切に活用した学習活動の充実を図るとしております。
その直下に点線で囲んで書いておりますが、現行の学習指導要領におきましては、情報機器の基本的操作やプログラミング活動について記載がございますが、各教科等における充実に伴いまして、総則における扱い、記載については整理をする必要があると考えているところでございます。
その下、「また」として、各種の図書資料・統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図る。現在も記載がある内容について図書資料を特に加えたものでございますけれども、こうした記載もさせていただいているところでございます。
これに対応する解説で記載する要素例が右側にお示しをしている右下の部分でございます。この部分は、1点目、論点整理でお示ししたデジタル学習基盤の役割とも対応した内容でございます。まず、マル1、多様な児童生徒にとっての包摂性を高めながら、教師に持続可能な形で主体的・対話的で深い学びを通じた資質・能力の育成に資する学習環境を実現できること。マル2、教師の指導のツールとしての側面に加え、学習者の学習ツールとしての側面を有しており、児童生徒にとっての学びやすさの向上や合理的配慮の基盤としても働くこと。マル3、デジタルかリアルかの二項対立に陥らず、デジタルも最大限活用して一人一人の豊かな学びを充実させる視点が重要であること。そして2点目として、デジタル学習基盤の環境整備における設置者の積極的役割ということも記載が必要であるというふうに考えております。
以上が総則や解説の要素例としてお示しをしたものでございまして、全体として、左下にございますように、趣旨や方針を端的に総則本体には示し、具体的な留意事項等は可能な限り解説に記載するという方針でお示しをしているものでございます。
ここまでが本体でございますけれども、ここから、こうした総則の記載や解説の記載の要素例について、少しイメージをお持ちいただきやすいように、幾つか参考資料を御用意していましたので、そちらについて御説明させていただきます。
まず、1点目、自己調整学習のサイクルや、それを促進する要素等に関する研究上の知見から、全体を俯瞰できるような在り方で文部科学省のほうで作成をした資料がこちらでございます。
まず、一番上、自己調整学習のサイクルとして青い部分でありますけれども、先ほどの解説に書き込む要素の部分では、学習前、学習中、学習後というふうに記載をしておりましたけれども、研究上の知見ではこれが予見、遂行、内省という形で、予見は、目標の設定や、効果的に進める工夫(方略)などの計画を行い、興味や自信を持つということ。そして遂行、自己の学習状況を把握(メタ認知)しながら方略を工夫して学習を進めること。そして内省、学習結果の原因・理由や方略の効果等について振り返り、次の学習に繋げること。真ん中にありますように、この3つのサイクルを自律的に循環させ、学びを深めるという全体のイメージをお示ししております。
このサイクルを、左側のオレンジ色の字でございますように、自己調整学習の効果を高め、学習成果に繋がりやすくするという意味で、オレンジ色の部分、自己調整学習の効果を高める方略の例をお示ししております。動機づけ方略、学習方略、メタ認知的方略の3つをお示しし、動機づけ方略は、質の高い学習を開始・継続することができるよう、自らの動機づけや感情を整えるもの。学習方略は、学習内容をよりよく理解し、定着させることができるよう学習中の情報処理の方法等を工夫するもの。メタ認知的方略は、学習方略がうまく働きよりよい学習成果に結びつくよう、自身の学習過程の計画・把握・調整・振り返り等を適切に行うもの。
さらに、それを緑色の部分、子供たちの方略の工夫・発揮を支えるとして、緑色が方略の指導に関する類型でありますけれども、「~しましょう」等の形で発揮させたい方略を直接的に指導するということ。また、「~したいときはどうすればいいんでしょうか」といったような形で方略を間接的に気づかせるといったこと。また、教師による指導は行わず、子供自身が自然と方略を工夫するような学習環境設定の工夫をするといったことをお示ししております。
こうしたことについて、一番下の部分、子供が自ら学習を調整しながら学びを進めるための学校現場の実践例も記載をしております。一つに、単元や題材の設計として幾つかの例をお示ししておりますし、また、真ん中、多様な学習材料の提供や足場かけの準備として幾つかの例をお示ししております。また、学習環境の整備として、安心して学習に取り組める空間、あるいはデジタル学習基盤の活用もしながらの環境づくりといったものについて例示としてお示しをしております。こうした全体像をお示ししております。
その上で、オレンジ色にした、この3つの方略について、よりイメージをお持ちいただきやすいように、教師による自己調整学習の促進の例について、研究の成果を踏まえて文科省のほうでイメージを作成しています。
例えば、この動機づけ方略については、意義づけ・価値づけや学習環境の調整というものであります。上から3つ目の部分、他者との協働や支援の活用といったことで、友達に聞く、協働する、教師や保護者の支援を求めるなど、学習を進める上で必要な社会的リソースを整える。また、その下、自己肯定感の維持ということで、学習成果の要因を、変えられない又は外部的な要因に求めず、自分で変えられる又は内部的な要因(学習方略等)で捉え、自己肯定感を支えるといったこと。また、意思や注意のコントロールといったこともお示しをしております。こういったイメージが動機づけ方略であります。
また、右側に飛びまして、メタ認知的方略についてでありますけれども、右側の上から、計画方略、例えば学習過程の計画や目標設定、学習方略の選択等を学習活動に先んじて行う。また、モニタリング方略として、理解度等を自分に確認することで、学習の進捗を確認する。また、評価方略、学習の進捗を当初の学習目標と照らし合わせて終了後にやってみること。また、調整方略として、進捗状況に応じて学習方略等を自身で調整をするといったこと。こういったイメージをお示ししております。
そして、学習方略につきましては、次のページでより分かりやすく、認知心理学の知見に基づく効果的な学習攻略の例をお示ししております。1点目は、分散学習として、時間の間隔をあけて復習をすることで、長期的に学習内容を定着しやすくする。あるいは右側、検索練習として、学習内容を積極的に思い出す練習をすることで、記憶の定着と新しい状況での応用に繋がる。また、右側、交互配置(インターリーブ)として、同じような問題を解き続けるのではなくて、トピックを切り替えながら学習するといったこと。また、左下、精緻化、理由や意味など、学習している内容に情報を加えて深く、多角的に理解する。また、具体化、抽象的な概念を学習する際、具体的な例を用いて説明する。そして、一番右下、二重符号化(デュアルコーディング)、言語的な情報と視覚的な情報を組み合わせることで、情報を思い出しやすくし、学習効果を高めるといった例をお示ししております。
そして先ほど、予見、遂行、内省、先ほどの資料の本体でいうと学習前、学習中、学習後でお示しをした部分でございますけれども、ここで初歩の自己調整学習者と上達した自己調整学習者の比較ということで、これも研究成果を基に文部科学省のほうでなるべく分かりやすいように作成をしてみたものでございますので、イメージをつかむためにぜひまた見比べて御覧をいただくことができればありがたく思っているところでございます。
また、先ほど前半の議論で『みるみる』という、事例や考え方を整理したサポートマガジンを文部科学省で作成したということを申し上げました。その『みるみる』から、本日御説明した内容をイメージしやすい実践事例について2点ほど簡単に御紹介をしたいと思います。
こちらは、まず、戸田市の小学校の実践の事例でございます。授業の流れ、学習過程に応じまして、学習前、学習中、学習後というふうにお示しをしておりますけれども、例えば上のほう、学習前であれば、単元を通じた魅力ある学習課題の計画や学習計画の子供たちとの共有、あるいは子供たちへのルーブリックの提示をしていくといったこと。また、学習中の中段の部分では、学習課題の工夫として4つの選択肢、自らの興味・関心に応じた選択肢を設けるといった工夫。また、右側、学習を自ら調整できる場面を計画的に取り入れる工夫をしているといったことをお示ししております。また、学習後も、右下、互いの考えの共有・関連付けをお示しをしております。現場の実践もどんどん積み上がってきているという状況でございます。
また、加賀市の例、中学校の例でございますけれども、例えば、こちらも中段、左側を御覧いただきますと、学習前であれば、「単元マップ」による単元の学びの共有ということで、ここに図示されているようなイメージで取組をしておりますし、また、学習中については、個々のペースでアクセスできるデジタル教材を活用したり、選択できる課題レベルの設定をしております。また、右下、学習後については、振り返りの実施と蓄積として、最初に共有している「単元マップ」と一体化した振り返りシートを用意して、学習活動ごとに「学習への取り組み方」「次に取り組みたいこと」などの視点を提示して振り返りを実施している。こうした工夫が進められているところでございます。
以上、個に応じた学習過程の充実について御提案と、また、参考資料について御説明させていただきました。事務局からは以上でございます。
【貞広主査】 ありがとうございます。私など、この時点でもう情報過多で今、パンク中でございますけれども。
では、早速でございますけれども、議題(1)「個に応じた指導」の今後の在り方につきまして、皆様の御質問、御意見を伺いたいと思いますけれども、ちょっとそれに先立ちまして、委員の皆様の中から中谷委員から、10分程度で御知見を踏まえた御発表をいただきたいと思っております。
中谷委員は、自己調整学習を御専門に研究をされているわけですけれども、それだけではなくて、名古屋市の教育委員として学校現場の取組もよく御存じだということでございますので、それらについて我々に御知見を御提供いただきたいと思います。中谷先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【中谷委員】 御紹介ありがとうございます。名古屋大学の名古屋市教育委員会、中谷と申します。よろしくお願いいたします。
お時間いただきまして、少しお話をさせていただきます。こういう機会をいただきまして大変ありがとうございます。このような内容でお話をさせていただきたいと思います。まず、今、室長のほうから御説明がありましたところと重なるところもございますが、私の学識の立場から少し言葉を足しながら、また、名古屋、愛知の例なども、あるいは研究で関わったところの例なども加えながら御説明させていただければというふうに思います。
まず、御存じのとおり、教育課程企画特別部会論点整理のほうではこちらの図が提案されまして、学びを方向付ける人間性、初発の思考や行動を起こす力・好奇心、他者との対話や協働、それらの真ん中に、学びの主体的な調整という1つのキーワードが挙げられたところでございます。
そして、令和答申のほうでは、今、御説明がありましたように、個別最適な学びの文脈の中で、自ら学びを調整するということも述べられております。そして、9月の総則・評価特別部会の中で参考資料2として、こちらの資料ですね、挙げられております。そして、キーワードとしましては、子供が自ら関心に気づき、適切な方法で行動し、強みにする、そのようなことが求められているということとなると思うんですが、子供自身が考え、選択・決定し、行動できるということが求められているという一方で、現在の学びはそのようになっているだろうかということの問題提起が今、一貫して言葉として挙げられてきました、この学びにおける「自己調整」という、子供自身に一定の裁量、自分自身の思考過程、試行錯誤を許容するような学びということを強調し、続けていくことが必要だということに位置づいてきているのだと理解しております。
この中で、人生を舵取りする力ということ、そして、その具体の一つの柱として、「好き」を育み、「得意」を伸ばすということが挙げられています。そして、その前段には、多様な子供たちということがうたわれておりまして、多様性の包摂という点でも、やはり今まで一般的に考えられがちであった一斉での指導ということだけではなく、指導と学びを個に応じて最適なものにしていくという、そういうことが強調されるに至ったのだというふうに考えております。
教室にいる多様な子供たちということが文科省の資料のほうでも、様々注目されているところと思いますが、個に応じた深い学びを実現していくということ、そのためには教師による充実した指導がある前提の下で、子供の個性や特性に配慮、考慮した、子供が主体となる学びの実現、すなわち学びを自己調整する機会を提供するということが重要になると思います。
そして、2番目の柱に移りますが、自己調整学習という視点というところです。こちら、自己調整学習というのは、教育心理学、習科学の中のキーワードですけれども、それが今般の指導要領に関わる議論の中で学びの自己調整という実践性を持ったワーディングとしてあると。理論的な背景として御理解いただければというふうに自分は捉えております。
学習者は「主体的・自律的な存在」であるというコンセプトがまず第一にあるものです。学びというのは、受容するだけのものではなくて主体的、自律的な取組であるということ。そして、目標設定や学習の取組や方法の選択、そして自身の学習プロセスや結果を振り返って、自らそれを取捨選択したり、いいところに注目したり、そうでないところを振り返ったりするということで、その背景としては、もうちょっと踏み込めば、「教え込まなければならない」ということがどうしても教える側にはあるかというふうに思いますので、その前提だけではなくて、学習者自身が興味関心を持っていて、学習者自身が学びの権利というものを持っているんだという理論的な基盤ということがあるのかなというふうに考えています。
硬い定義というのはこちらのほうで、こちらはこんなものがありますということになります。我々は、一連の研究や書物や実践等でこちらのほうに基づいて様々な活動を行ってきたというところが私の専門性の一つであります。
予見、遂行・コントロール、省察ということで、先ほど室長のほうからは、学習前、学習中、学習後というふうにまとめていただきましたけれども、少し硬い言葉ですとこういうことですね。理解や思考に注目されがちだと思うのですが、どういうことを理解しようとか、どういう目標に今、自分は向かっているのかという、そういう過程が大事で、結果を得たときに自分自身がそれを振り返るという、それが循環的にサイクルをなしているということがこの考え方の一つの特徴かというふうに思います。そして、それは授業内だけではなく、よりまとまった時間として理解することも可能です。
そして、教師による指導との関係では、一部で(言われる)、ここはちょっと強調しておきたいんですけれども、いわゆる教えないとか放任ということとは全く違うというふうに言えます。つまりは、先生や学ぶ支援や環境がなければ、子供は当然ながら学ぶことはできないし、ややもすると怠けるし、できる子、できない子、主体的な子、自ら取り組む子、そうでない子の差が生じると。そうでなくて、やはり子供が動くような仕組みづくりをするということになります。もちろん簡単なことではありませんが、子供の主体性ということを尊重している視点があるかどうかというあたりが非常に重要で、そのために教師が適切な指導、環境を与えていくということになるかと思います。
そして方略のこと、こちらも御説明いただいたところですので、この動機づけ方略、学習の方略というのは、心理学ですと認知方略、こちらのメタ認知方略という、これらの例を先ほど詳しく述べていただきました。そして、様々な研究が多くありますので、こちらで香川大学岡田先生のメタ分析の紹介をしている例がありましたので、このような形で実証も様々、かなり多数行われているということはあるかと思います。1分野ではありますが。そういうことがあります。
そして授業実践例としては、愛知県の例ですけれども、東浦町立緒川小学校の例は個性化教育の伝統校ということが言えるところで、「週プロ」といいますか、週間プログラムの実践などは個別あるいは学びの自己調整ということで大変興味深いものかと。
そして、名古屋市立山吹小学校では、教育委員会の指導の下に、具体的に授業改善をされて、一つの取組として「山吹セレクトタイム」という授業時間の自己設定ということで、いろいろな地域から注目をされているというところです。
そして、サポートマガジン『みるみる』の実践事例として、先ほど挙げていただいた事例がまさにその内容になるかと思います。そして一般的にはプロジェクト学習とか探究学習などにも自己調整の余地というのが、あるいは総合の中にもそういうものがあるだろうと。一方で、それを各教科に展開する往還の可能性ということも当然あるし、それはむしろ積極的に教科の中で探究的な取組などを考えることもこれから重要になってくるのではないかと考えます。
そして、この授業前と授業中と授業後というふうに分けて、そしてデジタル学習基盤も活用しながら、学びの共有であるとか、学びの相互参照なども踏まえながら進めていくということは、子供にとって自分の機会、自分の意見や自分の発想ということが可視化され、子供たち同士で刺激になる。そして、自分の意見に対する価値付けも自ら気づくことができるし、じゃあ次の課題をどういうふうに行っていったらいいかという推進力にもなるということだと思います。こちらは戸田市立戸田東小学校の例。
そして、加賀市立山代中学校の例では、英語の国際理解ということだったと思いますが、こちらのほうでも単に発音をするとかということだけではなくて、単元マップと単元の振り返りシートということを一体化しているというのは室長からも説明があったところですけれども、このような循環的かつデジタルや協働を活用した学びが可能になっているということだと思います。
つまり、「委ねる」実践ということが昨今言われると思うんですが、全てを委ねるわけではなく、むしろ指導の中で子供に委ねる場面を提供するということになるかと思います。子供たち自身の思考や理解を基盤にした学習過程ということが非常に重要になってくるのではないかと。そして、それを念頭に置いたような単元設定であるとか指導性ということが力量形成の中で重要になってくるのではないかというふうに考えます。
最後ですけれども、今般の議論の中で、資質・能力の一層の「構造化」、そして教育過程の「柔軟化」という議論が、結果として教師と子供の学びに「余白」を生み出すということが強調されているかと思います。その余白をどう生かすかということで、多様な子供たちにとっては、学ぶことが大変な子供もいると思いますし、もっと進んで学びたいという子もいると思います。つまり、一律の基準、一定の枠組みの中だけだと、子供の視点、自身の視点がないとなかなか対応が難しいというふうに考えます。先ほどの方略というのは一つの例ですけれども、子供自身の思考であるとか、考えであるとか、興味関心ということを重視したような指導ということが今後ますます重要になってくる。今回の議論でも重要になってくる、それが一体的な議論としてなされることが必要ではないかというふうに考えます。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。時間も守っていただきまして恐縮です。ちょうど事務局の資料を解説いただくような知見の御提供をいただきましたので、とても私にとっても分かりやすく、理解できました。どうもありがとうございます。
それでは、ほかの委員の方々から御意見や御質問を承る時間とさせていただきたいと思います。恐縮ですけれども、挙手ボタンを押していただけますでしょうか。御意見のある方は挙手ボタンを押してください。私から順次御指名をさせていただきます。毎度恐縮ですけれども、全ての方に御発言の機会があるよう、御発言は3分以内でおまとめください。
では、まず戸ヶ﨑委員、どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】
まず、今回の個に応じた学習過程とデジタル学習基盤の記載は、現行の指導要領から令和答申、そして、その後の中教審の議論を反映したものであると認識しています。これらは重要な提起であって、教育委員会や学校はこれらをしっかりと具現化するべきであるからこそ、あえて厳しめの意見を申し上げていきたいと思います。
令和答申後、学習者一人一人の学びを豊かにする優れた実践が行われていく一方で、個別最適・自己調整・自由進度という名前の下、放任に近い実践や、デジタル学習基盤にはこだわっているけれども学びが深くなってない授業も見られます。
「実践上の蓄積を踏まえて」記載していくということであれば、こうした陰の現実も踏まえていく必要があると思っています。よい点ばかりではなく、考え得る負の側面もしっかりと見据えて議論して、それなりの覚悟を持って書き込む必要があると思っています。
次に、「個に応じた学習過程の充実」という言葉の、現場への影響についてです。この点について、私は従来の「個に応じた指導」のままでもよいと思うほど、教師たちはこれまで長年にわたってその指導を追求してきました。「指導」という言葉が「学習過程」に変わったことで、これまでの実践が安易に上書きされていくことを危惧しています。特に、教師はもう教えなくてよい、指導しなくてもよいと誤解されないように、細心の注意を払うべきだろうと思っています。
子供自身が自ら知識を構成することと、教師の指導は必ずしも対置されて語られるべきではなく、子供が自らの知識を構成できるようになるためにこそ、教師は必要な指導をシャープに躊躇せず行う必要があると思います。これができていない現状は極めて深刻であり、「個に応じた学習過程の充実」という言葉が、教師が適切な指導をしない後ろ盾として使われてはなりません。言葉のバランス感覚が重要であり、そこに留意しながら、実際の総則及び解説の記載を徹底してほしいと思っています。
その意味でも、「知識及び技能を生きて働くものとして確実に習得していくことということも含め」という記載は、しっかり強調していただきたいと思っています。
最後に、学校責任への拡大の懸念についてです。学校には、学びに向かうことが困難な子供もいます。そうした子供にも何とか学習に取り組んでもらおうと、教室から飛び出してしまう子供の対応をしながらも、日々懸命に授業を回している学校も少なくありません。こうした子供も含めて、「深い学び」の実現を目指すことは、理念としては大変重要ですが、極めて困難なことへの挑戦を現場に求めていることを前提にしていく必要があると思っています。
したがって、教育課程の基準性を有する総則の下では、全ての子供に主体的・対話的で深い学びを実現すること自体を求めるのではなく、その実現に向けて、指導上の工夫改善を行うことを求めることが適切だと考えています。今案もそのような書きぶりになっていると信じますが、引き続き意識していただいて、過度な責任を学校現場に生じさせるような誤解を避けるように今後も努めていただきたいと思っています。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、堀田委員、どうぞ。
【堀田委員】 堀田でございます。
私は、3ページをちょっとお願いしたいんですけれども、今の3ページのところに、総則に盛り込む要素の案として左側にいろいろ書かれていまして、左の下のほうにデジタル学習基盤等の効果的な活用というところがあります。今、戸ヶ﨑委員が御指摘されたように、例えばデジタル学習基盤の活用で言えば、デジタル学習基盤の活用さえすればいいのだみたいな、そういう実践が黎明期の一時期には随分あったように思います。まだ残っているところもあるかもしれませんが。
そういう意味では、デジタル学習基盤の活用を通して子供たち一人一人に学びやすさを提供し、それを基に学習過程をできるだけ個別化していくんだという、この話がここに記載され、これをどういうふうに総則に具体的に書くかは難しいところですけども、そういう趣旨のことが書かれるということが、今回も候補に挙がっているということは非常に重要なことだと思います。
指摘したいのはその下の2つ目の丸でございまして、この「各種の図書資料・統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの」というこのくだりなんですけど、これ、ずっと見たことあるなと思っていろいろ調べてみたら、この後段ですね、視聴覚教材や教育機器などの教材教具の適切な活用を図るというのは、昭和52年告示からずっとあります。これは重要なことだと私は思いますが、今で言えば視聴覚教材というのは恐らく多くの場合、大型提示装置で先生が何か提示するとか、NHK for Schoolの動画を一斉で見るとか、そういうことが多いのかなと思います。教育機器というのも、実物投影機なのか、大型提示装置ですか、何かそういうものかなと思うので、今や結構デジタル教材になっているのかなと思う部分がありますので、そう読めるように書くといいのかなと思います。視聴覚教材って言って、今、若い人ぴんとくるのかなということですね。これが一つ。
あと、もう一つは、この前段の「各種の図書資料・統計資料や新聞」というところは、これ、平成29年のときに明確に入ってきた言葉で、これはインターネット中心の調べ学習が場合によっては適切でない場合もあるので、複数の種類の伝達経路からの情報に当たる重要性というか、そういうことを踏まえて書き加えられたものだと承知しております。このことは今日、相変わらず重要、さらに言えばもっと重要になっているかもしれません。
ですので、この記述は、僕は消さないでほしいと思うと同時に、何なら、別のところにも書いてある学校図書館とかとうまく関連づけて、デジタルとリアルといいましょうか、アナログといいましょうか、そういうものとの、どっちも大事だよということのアピールにうまくここが記載できないかなというふうに思う次第でございます。
私からの意見は以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
今、大変多くの方に、10人の方に手を挙げていただいているんですが、議題(1)は17時15分には終了してくださいと御指示をいただいております。大変申し訳ありませんが、その事務局の指令のとおり1回切らせていただきますが、(1)についての御意見は議題(2)の御意見と併せて頂戴できればと思います。ちょっと頂戴できるところまで行きたいと思いますが、恐らくお三方ぐらいなんじゃないかなと思います。順番を申し上げます。松原委員、秋田委員、石井委員までかもしれないです。もし行けても内田委員までかもしれません。申し訳ありません。では、松原委員、よろしくお願いいたします。
【松原委員】 ありがとうございます。
個に応じた学習過程の充実というのは、今回の改訂で大変重要なポイントになると捉えております。名称については、指導のままのよさもあるでしょうし、学習過程とするよさもあるのかなというふうに思いますけれども、いずれにしても趣旨を明確に示す必要があると思います。
項目に記載する内容についてですが、分かりやすく使いやすい学習指導要領という視点からも、総則本体はスリム化し、解説のほうで留意事項等を示すのがよい方向だというふうに思いました。さらに、全部の項目ではないと思いますけれども、各教科等の解説のほうにも、必要に応じてその教科等のさらに具体的な例等を示していただいて、デジタルでは総則と行き来して相互に参照できるようになるとよいと考えました。
盛り込む要素については、まだ例ということですけれども、学習指導要領の改訂があるとどうしてもキーワードが独り歩きするようなところがありますので、目的、対象や内容、手段、方法、そして留意点を明確にし、これらの関係が見やすく整理されると現場の理解が進むのではないかというふうに考えます。
例えばですけれども、個に応じた学習過程の充実も、この「個に応じた」というところに目が行きますが、孤立的な学びに陥ったり、集団の中で個が埋没してしまうこともいずれも避けながらという点が大変重要となりますので、その辺りの方策も示していただきつつ、現場でも考えていく必要があるというふうに感じました。
また、ICTの活用でいえば、教師による指導体制、指導方法の工夫のために活用するのと、学習者の学習ツールとして活用するのとでは、これは目的が違いますので、手段、方法はもちろん、留意点も変わってくるところです。個に応じた学習過程という視点で分かりやすく整理されることを期待いたします。
それから、家庭学習を含めた学習習慣の形成についてですが、大前提として学校と家庭の役割分担があるわけですけれども、「こうした学校での学習を経て」とあるように、家庭学習について直接管理・指導するというよりは、学校の役割としては、学びの主体的な調整というところに大きく関わってくると捉えているところです。
最後に、小学校の専科指導や交換授業、ティーム・ティーチング等の指導体制の工夫例というのがございましたが、学校規模や体制によってこれは負担が変わってくるところがありますので、実践例とかになるのかなというふうに思いますけれども、その辺りも加味しながら示していただけるとありがたいというふうに感じました。
私からは以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
この後の順番を申し上げます。もう一度すみません。秋田委員、石井委員、内田委員、そしてもし入りましたらという、時間的に許されましたらですけれども、順番的には犬塚委員が手を挙げていらっしゃったと思いますので、その順番でお願いいたします。では、秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】 ありがとうございます。学習院大学の秋田でございます。
まず、今回、「個に応じた指導」から「個に応じた学習過程の充実」というワーディングになったところが、私は、指導を教師がしたつもりだけではなく、その指導が子供の学習過程にどのように反映されているかを丁寧に見取るという視点までが含まれて、「個に応じた学習過程の充実」という言葉になっていると理解をいたしました。よりそれが子供にとって望ましいことではないかということで、このワーディングに私自身は意味を持って賛成をするところでございます。
その中で、2点目としてなんですけれども、個に応じた指導と教師の間には、学級であったり、子供同士という関係が出てまいりますので、例えば、資料の3ページの1つ目の四角のところであれば、自ら考え知識を構成するというのは、個人内で構成をすることを指すわけですけれども、例えば、自らの考え等をともに構成するとか知識の協働構築ということが学習科学では重視されているところでございますので、そうした視点が加わるとよいと思います。またこの同じ囲みの2つ目ですが、教師が一斉・協働・個別ということを当初は配置していくんですけれども、やはり子供自身が、これを判断できるように育てていく、自分の学び方を子供が選択していくということが、指導と同時に、子供の学び方の自己判断が育つようにしていくことが重要ではないかと考えるところでございます。2つ目のところでも、「学習の成果を外化し」とか「他者の取組から」ということが、つまり、仲間とともにとか、児童生徒同士ということを指しているのだということがより伝わるとよいのではないかということが2点目のことでございます。
そして最後に3点目でございます。この四角の3つ目のところに、「児童生徒の興味・関心を生かした、自主的、自発的な学習が促されるよう」というところがございます。どちらかというとそれまでのところというのは、もともと現行の学習指導要領で、学力として確かな知識が獲得、定着するようにというところがございましたが、本資料の11ページにありますように、令和の答申では、「個に応じた」ということを、いわゆる個人の、左側を見ていただくといいんですけれども、指導の個別化とそれから学習の個性化という二面性から出しています。その個性化というのが今回の論点整理の中でも、ポンチ絵の「好きを育み、得意を生かす」というところの言葉になっているわけで、やはりその好きを育むということが、興味・関心ということで入れられているところが大事でありまして、それをより生かしていくんだというような、そういう発展的な学習であったり、子供の考え方を生かしていくというところがもう少し厚く書かれることが、あれだけ言葉に入っているので、含まれるといいのではないかと考えるところでございます。
確かに、教師にとっては難しいところですけれども、方略のところにつきましても、「仲間と」というところで、一番困っている子供が最初にできるのは、「分からないよ、助けて」という、確かに調整学習の動機づけ方略の一つには入っているんですけれども、それがもうちょっと、これだけだと、1人でちゃんとできる子はこの3つのプロセスができますが、その前には仲間に助けてもらったり、足場をかけてもらうというプロセスが極めて重要ですので、そこも教師に伝わるようにしていくが、分からない子が声を上げられて、参加していく、そうした学習が個に応じた学習として生かされていくことが重要ではないかと思いましたので。
以上でございます。ありがとうございます。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、石井委員、お願いいたします。
【石井委員】
まず、基本的には、今回の方針は、結局、個別最適な学びに関わるような部分というか、そういった一連のものを適切な位置づけに落とし込んだことかと思います。その理解がとても重要で、つまり、主体的・対話的で深い学びといったものが主であって、ある種、個別最適な学びというのは個に応じた指導というふうなことで、主と従の部分ですね。そこの部分を間違ってはいけないというところです。
さらに言うと、これ、学習指導要領の本体のほうはそのような形、適切な形で、言ったら刺身のつまではないですけども、配慮事項ぐらいの形に位置づける。その上で解説のほうで物すごく手厚くなり過ぎてしまうと、いろいろと新しい学びは何ぞやというふうに探っている向きはありますので、そうすると、また新しいこういった学びをしていけばいいんじゃないかみたいな、そういうふうな形になってしまうと、かなりまた厳しいことになるんじゃないかなと思います。
ですから、この位置づけが非常に重要であって、あまりこの解説に全部持っていくという形で、そこをまた手厚くし過ぎてしまって、それで何とかな学びを増やしたことに結果としてなるということには注意が必要かなと思いました。
その上でなぜそういうことを言うかと申しますと、結局、先ほど戸ヶ﨑先生がおっしゃったこととも関係するんですが、かなり現場の状況を見ますと危機感があります。本当に自由、自己、個別、この言葉が強く効き過ぎてしまって、本当に積極的自由放任みたいな、それにお墨付きを与えるような事態が生まれていないかということがあります。ですから、そこは今回、全体の趣旨のところで、「全ての児童生徒に」という文言が入っていることが重要で、それぞれにじゃないわけですね。全ての子供たちをちゃんと包摂していく、多様性の包摂、公正、エクイティー、ここが大事であるという理念を改めてしっかりと確認しておくことが重要かなと思います。主は、主体的・対話的で深い学び、ここ1本。
もう一つは、結局この間、やっぱり授業づくりの幅が狭まっているんじゃないかと思います。要は、一斉ではなければ個別化みたいな。だから先ほど秋田先生がおっしゃったこと、多分同じ問題意識を持っていると思うんですが、見事に対話的、協働的がすこんと抜けているんですね。それの背景に何があるかといいますと教具の構造があると。つまり、板書かあるいはタブレットかみたいな。何が抜けているかというと、実はホワイトボードが捨てられてしまっているんですね。優れた形で個別最適な学びとか自由進度学習を豊かにやっておられるところは、絶対ホワイトボードがうまく使われているんですね。いろんな形で。
だから、教具の彩りが非常に重要でありまして、だから、まさに個別、協働、一斉というふうに3つ多分入っていると思うんですが、協働とか、やっぱり学級づくりの意味というんですかね。環境構成ということは、この学級づくりが入ってくると安心のね。こういう協働性といったものを改めて再確認することが必要かと思います。
もう一つ、自己調整学習の捉え方に関してもそうなんですけれども、あるいは学習方略の指導といったときに、個人主義、それからサイクル重視、それからデジタル、これに傾斜してはいないかと。自己調整学習も学習方略の指導も実は、協働的なというのが大事。メタ認知を言ったアン・ブラウンが、相互教授法というふうな、読み合うというような協働的な学びを提起したことの意味は大きいわけですね。だから、協働する中でメタ認知が育っていくと。ですから、それで実は自己調整学習の中でも相互調整みたいな話は入っていると思います。そこら辺の知見をしっかりと組み入れるということが大事かと思います。協働性という中でむしろ自己調整が育つ。
もう一つ、サイクルということも、それこそ探究的な学びにおいては圧倒的に学びたいものとか、対象があるからサイクルが回るということですね。学びの自己ばかりじゃなくて、対象を非常に大事にする。だから、学習課題とか教材とかそういったものをやっぱり工夫。それでおのずと没入しているときに自己調整は起こるわけです。だから、おのずとそうなるというふうなことがまずあって、だからそれを無理からサイクル回しなさいよなんていうふうなことになってくるととっても大変だと思います。ですから、やっぱり授業づくりの基本といったものにもう一遍立ち返る。
もう一つはアナログ。デジタルだけじゃなくてアナログ。つまり、学習方略の指導は、市川伸一先生の研究を見ていてもそうです。もともとノート指導ですよね。やはりそのノート指導みたいな形で現場の先生方は実は学習方略の指導を行ってきたというところがあります。自主勉ノートとかもそうですし、ノートのとり方とか作り方みたいなところですね。だから、そういう形で、アナログな自己調整とかあるいは学習方略の指導みたいな、そういった部分もちゃんと踏まえながら、それこそ戸ヶ﨑先生もおっしゃった、これまでの現場の実践の蓄積、学び方の指導とかという、優れた実践家は授業論だけじゃなくて、学習論を持っているんですね。だから自習論。だから子供たちがちゃんと自習できるように育てていくということをちゃんと持っているわけで、そこにしっかりと光を当てていくということが大事かなと思います。
すみません、以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、内田委員、どうぞ。
【内田委員】 ありがとうございます。
本日、個に応じた学習過程の充実ということで素案をお示しいただきましてありがとうございました。本校においても先日、2学期の期末考査が行われて、そのテスト勉強のために残っている生徒がスマートフォンを片手に、AIに質問している様子が見られました。学校においてもデジタル学習基盤が充実してきたとともに、様々な形の学びというのが生徒それぞれに進んでいるなというふうな実感を覚えております。
今回の素案の中に指導という文言をしっかり入れていただいたということは非常に重要だというふうに思います。ともすると、戸ヶ﨑先生も言われていらっしゃいましたけれども、放任ということに繋がりかねない誤った理解が進むおそれのある中、教員がしっかりと生徒の状況を把握して、カバーアップ、受けをしていくことが、今以上に重要になるというふうに考えております。そのためには、教員指導のための時間や、あるいは、それに関わる様々な手だてというのが必要になりますので、それをしっかり記述していただいているこの素案は、非常に意味のあるものだなと思っております。
一方で、家庭学習の部分がこのところ非常に減っているというところが小学校、中学校、高校、統計上、気になるところであります。そういったところも含めまして、あるいは、生徒がモチベーション高くポジティブに学び続けるためにはどうしたらいいのか、生徒、それから教員ともに学び続ける環境をどうつくっていくのかというところが一番大きな課題になるかと思いますので、そちらについても何らかの形で盛り込んでいただくというところでよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、犬塚委員、どうぞ。
【犬塚委員】 ありがとうございます。後でもいいかなと思いましたし、ほかの先生方が御指摘の内容とかなり重なるところもあるかなと思うんですけれども、お話を伺っていて考えたことを申し上げたいと思います。
個人的には、学習過程という言葉が入ったことは大変重要だと思っています。これは秋田先生に大変同感です。また、キーワードが独り歩きしているということに対する危機感は私も持っています。自己調整とか個別最適ということが、言葉の響きだけで、子供に任せるとか、全員違うというような感じで取り上げられていないか。この点、石井先生が御指摘になったことが、「全ての」というところが重要なんだということは本当にそのとおりだなと思うところです。
一方で、学習過程ということに注目するということが、個に応じたということと、主体的・対話的で深い学びということ両方について大変重要な意味を持っていると思います。どちらもより効果的な学習過程をちゃんと教えるということだというふうに私は受け取りました。ですので、個に応じたというときも、主体的、対話的というときも、根幹にあるのはより効果的な子供の学習過程というのを促進していくというアイデアの下に、指導であるとか学習デザインをしていくということが重要だということではないかなと思いました。
そのときに、戸ヶ﨑先生から、多様な子供たちの中で先生たちが大変苦労されているというお話があったのですけれども、外から見ていますと、いきなり個別最適ということを目指しているために大変になっているのではないかというふうに思うところがあります。教育心理学ですとか特別支援の中では、一次支援、二次支援というような言葉を使いますけれども、まずは多くの子供にとって有効な学習方略、学習の進め方ということについての明示的な教授であるとか、その教授されたものを協働で練習していくというような一斉の授業の場というのがどのくらい持たれているか。私はここは結構手薄な部分ではないかなと思います。そこを飛ばして個別をやろうとするためにすべての児童生徒に個別に対応しなくてはならなくなってしまうのではないかというふうに思っています。
秋田先生が、自己判断が育つというふうにおっしゃっていましたし、中谷先生のお話の中でも、自己調整というのが最終的なゴールとして設定をされているというところは大変重要です。上達した学習者になれるように教えること、つまり、みんなに教えられることはみんなに教えるし、それではうまくいかない部分については、個別取り出しという形が必要になってくるというような、一次支援、二次支援というような層化された指導のアイデアということも重要ではないかというふうに思いました。
関連して、『みるみる』とかすごく面白いなと思って拝見したんですけれども、これまで出てきました資料の中では、どんな教材を使うかとか、どういうワークシートをつくるかというところではいろいろな事例が出ているんですけれども、上達した自己調整学習の学び手になるためにはどんなふうな一斉の指導ができるのかとか、そこでうまくいかない子たちに対してどんなふうなフォローアップが有効なのかというようなことに関する実践例ですとか具体例というのはあまりないのではないかという印象を受けました。自己調整というのをどんなふうに指導していくか。既にこれまでにも学び方の実践というのはあるというお話で、それもそうなんですけれども、ともすると非常に表面的なやり方ですとか、問題の選択の仕方みたいな特定の指導方法に表面的なものに矮小化されてしまうという問題もありそうです。
ですので、学習過程に注目をしたときに、どういうふうにやり方というのを指導するのか、一次支援としてどんなことができるのかといったあたりについての充実した情報提供がなされるということが、今般の話題になっている自己調整ですとか、個に応じたというところを生かした学習を先生方にイメージしていただきやすくなるためには重要でないかなというふうに考えました。
ちょっと長くなっちゃいました。以上です。
【貞広主査】 ありがとうございました。
御協力いただきまして感謝申し上げます。ちょっと朝令暮改で申し訳ないんですけれども、事務局から黒上委員と奈須委員が途中で退席をされると伺いました。もしこの時点で御発言を御希望されるようでしたら御指名申し上げますが、黒上委員、いかがでしょうか。
【黒上委員】 ありがとうございます。
自己調整に関してはちょっと2つのことを考えています。自己調整というのは全学年、全子供一様ではありません。一つは領域についてで、教科と総合での自己調整というのは恐らく大分違うというふうに思うので、そのことをちょっとイメージしてほしいということです。あと、令和答申にも自己調整は徐々に育つという趣旨のことを書いてありましたが、発達、成長に応じてだんだんできるようになっていく、しかもそれは成人までというイメージが、結構重要ですよね。先生方は真面目だから小学校低学年でも自己調整できるのではないかととらえて、仕組みつくって、「はい、どうぞ」というような実践をやるのですけど、それはあまり良いことではありません。だから、何をどういうふうに自己調整させて、どうやってだんだんそれを伸ばしていくかということが大事ということが、どこかで書かれるとありがたいなというふうに思っています。
【貞広主査】 短く、ぴりりと辛い御指摘をいただきましてありがとうございます。
奈須先生、いかがですか。
【奈須委員】 では、少しだけお願いします。
学習過程という表現は、子供の学びの質ということをターゲットにしたことでとても大事だと思います。どうしてもこういうのは方法の議論になって、先生が何をするかっていう議論になるんだけど、それをやっぱり学習指導要領であまり細かく書くべきではなくて、子供にどんな学びの質を実現するかということを指導要領では書いて、それをどういう方法で実現するかは現場に委ねたほうがいいと思うんですね。その意味で学習過程で議論するということはまずいいなと思いました。
それから、先ほどの中谷先生のプレゼンの中で、教えなければ学ばないという前提への疑義という指摘がとても大事だと思います。幼児教育のほうでは、それに対応するものですけど、全ての子供は有能な学び手だという子供観に立つということがよく言われますけど、小学校以降ではこれは共有しないのかというのは僕は大問題だと思います。幼児が有能な学び手なのに、小学生は有能な学び手ではないはずはないと僕は思っていますけど、このことをどう考えるか。
また、そのことで言うと、教える、教えないという議論もありましたけど、中谷先生が、子供が自ら動くような支援、そして環境という言葉をおっしゃられたのが大事で、幼児教育でやはり言う環境を通して行う教育という考え方ですよね。つまり、教えるのか教えないのかじゃなくて、子供が動けるような環境、特に個に応じたという場合には、一人一人に必要な豊かな環境をオーダーメードで提供するという考え方が昔からあって、その辺りの整理がまず大事かなと思いました。
それから、孤立した学びという言葉があったと思うんですけど、あれ、アメリカでかつてアイソレイテッドっていったんですよね。それを孤立化と私などは呼んできたわけです。ところが、孤立化した学びではなくということが、このところしばしば誤解されて、一人で、まさに自分で考えて自律的に学んでいる姿も、孤立だ、あれじゃいけない、協働させようというふうに最近言う方がいて、非常に困っています。そうじゃなくて、それこそ1980年代のことですから、コンピュータブースに一人一人を入れて、完全に機械的に最適化されたような学びというのが初期のCIAなんかにありましたけど、そういうものに対して批判する言葉としてアイソレイテッドという表現が1980年代に、主に協働学習を主張する人、典型的にはエイムズという人がそうですけど、使われたんですね。だから、今、個別最適とか自己調整で自律的に個別的に学ぶというような実践は、およそアイソレイテッド、孤立化ではないので、ちょっとこの辺の言葉の整理というか、誤解がないようにお進めいただきたいなと思いました。
以上です。ありがとうございます。
【貞広主査】 ありがとうございます。
ちょっと私の仕切りが悪くて、突然御指名申し上げまして申し訳ありませんでした。どうもありがとうございます。また、一部の委員の先生方には意見を後半に送っていただくことになりまして申し訳ありません。
では、今、17時19分でございますので、5分ほど休憩をとりまして、17時25分からの再開、そして議題(2)に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。
( 休 憩 )
【貞広主査】 それでは、時間になりましたので、議事を再開いたします。
議題(2)学習の基盤となる資質・能力について、この検討事項につきまして、まず事務局より御説明をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 失礼いたします。それでは、「学習の基盤となる資質・能力」について御説明をさせていただきます。
まず、「学習の基盤となる資質・能力」について、先立つ企画特別部会におきましては、このような議論がございました。1ポツでございます。「学習の基盤となる資質・能力」について各教科等の日々の学習や生涯にわたる学びを基盤として支える資質・能力。一方で、その重要性に比しまして、具体的な実践に落とし込みにくいでありますとか、育成の方向性が捉えづらいといった課題も御指摘をいただいておりました。
企画特別部会では「分かりやすく、使いやすい」学習指導要領を目指すために、各教科等の学習の基盤として、発揮可能な資質・能力を明確にでき、教育実践に落とし込める具体性を有したものに整理するという考え方の下、学習の基盤となる資質・能力として示すものは「言語能力・情報活用能力」の2つに絞るとともに、そのうち「情報活用能力」については「情報技術の活用」に係るものに限って示すという方針を示しまして、「学習の基盤となる資質・能力」の全体についてさらに総則・評価特別部会で議論を深めることといたしました。これが経緯でございます。
また、2ポツでございますが、現在、並行して各教科等ワーキンググループにおきまして議論をお進めいただいております。
まず、情報活用能力について、情報・技術ワーキンググループにおける議論の状況でございます。情報活用能力につきましては、小学校では具体的な内容を扱う教科等の定めがなく、中学校・高校におきましても内容が十分ではないと。これからの社会で求められる資質・能力の育成に課題があるといった現状を論点整理も含め御指摘をいただいておりました。
こうした課題に対応するために、小学校の総合的な学習の時間に「情報の領域」(仮称)を付加するとともに、中学校においては現行の技術・家庭科を再編して「情報・技術科」(仮称)を創設するなど、情報活用能力の核となる教科等を明確にした上で、そこで育成する資質・能力を具体的に整理する議論が行われてきております。
また、言語能力について、国語ワーキンググループにおける議論でございます。言語能力につきましては、国語科を中心に、各教科等における言語活動が積極的に行われるなど、情報活用能力と異なり指導する教科・場面等は教師にとって明確となっておりますけれども、子供たちを取り巻く言語環境の変化も相まって、以下のような課題も指摘されております。
1つ目、言葉で思考を整理したり深めたりすることに課題があるということ。2つ目に、思いや考えが相手に伝わるよう工夫したり、対話による合意形成・相互理解を図るなど、目的や場面に応じたコミュニケーションに課題がある。3つ目に、目的に応じて文章を読んで理解することや、多様な情報や意見の妥当性・信頼性を確かめるといったことに課題があるといったことでございます。
こうした課題はいずれも、AIによる大量の言語生成が可能となり、それをSNS等で容易に発信可能な時代において必須となる力でもありますので、国語ワーキンググループでは、言語能力育成の要となる国語科と他教科の役割分担を明確にしつつも、各教科等を通じて育成すべき言語能力の軸となる考え方を一層明確にしていくという議論をお進めいただいているところでございます。
こうした状況を踏まえての本部会、総則・評価特別部会における検討事項でございます。情報活用能力・言語能力として育成すべき資質・能力の在り方につきましては、専門性を有する委員によって構成される各ワーキンググループにおける議論も踏まえて総則に位置付けることとしてはどうかと考えておりますが、その際、総則の肥大化を防ぐために、学習指導要領本体においては「学習の基盤となる資質・能力」の内容について具体の記載はせず、総則解説において具体的な記載を行うという、現行学習指導要領もそうなっておりますけれども、その形式を引き続き維持してはどうかと考えております。
その上で、総則・評価特別部会におきましては、「学習の基盤となる資質・能力」が教育課程全体に果たす役割や、言語能力・情報活用能力の性質と関係性のシンプルで分かりやすい示し方を検討してはどうかというふうに考えているところでございます。
その検討事項は大きく2点ございまして、(1)「各教科等で育む資質・能力」と「学習の基盤となる資質・能力」の関係についてでございます。まず、「学習の基盤となる資質・能力」は、日々の学習や生涯にわたる学びを基盤として支える資質・能力でありますが、各教科等の文脈の中で、目的に応じて文章を読んだり書いたりする、端末を用いて学習に必要な情報をまとめるといった具体的な文脈を伴わないで身に付けることには限界があると考えています。
米印(※)で注記しておりますが、例えば情報活用能力の育成の充実に関する議論におきましても、小学校段階では探究的な学習の過程の中で情報技術の活用を学び、中学校段階においても、情報・技術科(仮称)という形で生産技術との関連を持たせながら情報について学習を進めるという方向で議論が進められているところでございます。
また、各教科等とは別にこれらの資質・能力のみを育む時間を設けていくということは多くの学校にとって現実的ではございません。このため、国語科や総合の情報の領域等を中心としつつも、各教科等の学習内容全体を通じて育成しつつ、相互の連携を図ることが基本である旨を総則解説等において明確にしてはどうかと考えております。
その上で、系統的に内容が組織・配列されており学習内容の体系的な習得を図りやすい各教科等の資質・能力とは異なり、「学習の基盤となる資質・能力」は各教科等に学習内容が散在していることで、学習内容を相互に結びつけて一体的に理解することが難しい側面がございます。
このため、散在する学習内容を通じて育成を目指す資質・能力の全体像を教科等を超えて整理し、各学校がカリキュラム・マネジメントを通じて教育課程全体での体系的な育成を図ることができるようにすることが重要であり、このことを「学習の基盤となる資質・能力」を総則に示すことの意義として改めて整理してはどうかと考えているところでございます。
そして、2つ目の検討事項でございます。言語能力と情報活用能力の関係性についてでございます。さきに述べた情報活用能力・言語能力のそれぞれの資質・能力の全体像については、参考資料マル2でもお示ししているように、各ワーキンググループで議論が行われているところでございますけども、現行の学習指導要領の下でも、例えば「言語能力だけ」とか「情報活用能力だけ」に力を入れて研究に取り組まれる学校もあられるなど、「学習の基盤となる資質・能力」としての一体的理解が進まない実態もございます。
言語能力と情報活用能力が相補的にお互いを補って働くことで効果的に育成・発揮できるものと捉えることができて、その関係性を示すことで学校現場にとって趣旨が伝わりやすく、取り組みやすいものになるのではないかというふうに考え、以下のようにその関係性の整理の御提案をさせていただいているところでございます。
まず、言語能力についてでございます。言語による情報は、字面が同じであれば誰にでも同じように受信・発信されるわけではなくて、人間による認知の過程で初めて意味が形成されるもので、それを利用して言語による情報の背景にある人間の経験や感情も伝えられる一方で、誤解して受け止められるということもある。そういったものが言語による情報と考えております。
このような基本的な認識に立ちますと、言語能力は、言語を介して他者を理解し、知識を得つつ自分の考えを形成・表現する能力であり、人間ならではの思考やコミュニケーション等を生み出す基盤となるものと言えるのではないかと考えております。自他の諸感覚を通じた経験、これを身体性というふうに言っておりまして、これは特別部会でも情報活用能力との関係で御議論があった言葉でございますが、こうした自他の諸感覚を通じた経験(身体性)に根差した意見の形成や対話・合意のために不可欠な資質・能力とも言えるのではないかというふうに考えています。
今後、個別の資質・能力のレベルでは、生成AIによる代替も可能になるものもあるということも想定されるからこそ、現在「知識及び技能に関する統合的な理解」、個別の知識や技能が関連付けられて一般化された統合的な理解の姿、そして「思考力、判断力、表現力等の総合的な発揮」、個別の思考力、判断力、表現力を選んだり組み合わせたりして、複雑な課題を解決するために総合的に発揮をするということ、そして、その両者を一体的に育成をすることを可能とする、単元ベースの「深い学び」を実現すべく、こうした作業を各ワーキンググループ等でお進めいただいているわけでございますけれども、その実現に向けた学習の過程では、言語により「外化」をする。外化というのは、(注)でございますように、書く・話すなどの活動を通じて、知識の理解や頭の中で思考したことを表現することとしておりますが、自分なりの意味を構築していくということが不可欠とも言えるのではないかと考えております。
言い換えれば、米印(※)でございますように、今次改訂で進める単元のまとまりごとの授業づくりを助け、「深い学び」の実現に繋げるためにも、言語能力の発揮による「外化」が鍵を握るのではないかと考えております。
こうした言語能力の整備を踏まえて、情報活用能力との関係でございますが、言語能力の基礎の上に情報技術を活用すれば、言語と言語以外の情報を組み合わせたり、情報を効果的・効率的に再構築したり、あるいは自らの身体では難しい創作などを行ったり、情報を地理的・時間的制約を超えて広く発信したりするといった人間の思考やコミュニケーション、身体活動等を強化・拡張して探究的な学びや課題解決繋げていくことが可能であるというふうに考えております。
一方で、情報技術の活用が「外化」をはじめとする言語能力の発揮を促す活動を欠いて行われた場合には、身体性に根差した人間ならではの価値の創造や意味理解を欠いた、空疎な情報の集積・共有となる恐れもある。例を申し上げれば、言語による外化なしに生成AIが生成したものをそのまま使うといったようなこと、そういった危惧もあると考えております。
換言いたしますれば、1つ目の米印(※)でございますように、思考・判断・表現の過程で、言語能力を発揮するに当たりましても、情報技術を活用して思考やコミュニケーション、身体活動等を強化・拡張することで、より質の高い「外化」が可能となるとも考えております。
2つ目の米印(※)にございますように、空疎な情報の集積・共有と申し上げましたが、これが誤情報の拡散やそれによる誤った認識の拡大という負の側面の顕在化も招いているといったことがあろうかと思います。
縷々申し上げましたが、以上のような言語能力と情報活用能力のそれぞれの特質やお互いに補う相補的な性質、これを踏まえながら、いずれも学習の基盤として着実な育成を図ることの重要性ということを総則、解説併せて示していくということで整理をしたらどうかというふうに考えているところでございます。
そして、今申し上げたことをイメージとして整理をしたものがこちらでございます。左側に各教科等において育む資質・能力についての整理、そして右側に、今ほど御説明を申し上げた「学習の基盤となる資質・能力」についてオレンジ色でお示しをしているものでございます。両者の間で矢印が回転をしておりますけれども、各教科等の内容を通じて、言語能力や情報活用能力の育成を図っていくという、右側に向けっていく矢印、そして、言語能力や情報活用能力が日々の学習や生涯にわたる学びを基盤として支えていくという、左側に向かっていく矢印、これらがサイクルを描いているイメージをお示ししているわけでございます。
その上で、「学習の基盤となる資質・能力」について、それぞれ言語能力と情報活用能力については、先ほど御説明した内容を記載しておりますけれども、これが相補的に働くイメージ、まず、この右側で言語能力が思考やコミュニケーション等の基礎となって働いていく。その上で、左側にありますように、情報活用能力が思考やコミュニケーション等の強化・拡張をしていく。そしてぐるぐるとサイクルを描いているようなイメージ。こうした全体像を先ほど御説明したものとして描かせていただいているところでございます。
以下、参考資料でございますけれども、補足として企画特別部会や各教科等ワーキンググループでお示しをしている資料でございますけども、1点だけ、こちらの資料についてでございます。こちらは11月28日の国語ワーキンググループでお示しをした資料でございます。教育過程全体で育む言語能力が働くイメージとして、AIによる多様な言語生成が可能となり、SNS等で容易に発信可能な時代だからこそ、自分の意思や考えの形成・表現や他者の経験・感情の理解といった人間ならではの言語能力を重視するという考えの下に、上側のオレンジ色で示している部分を受信としておりますけれども、構造と内容の理解・解釈、考えの形成を往還していくようなイメージ、それがまた下側ブルーで示している部分、表現・推考、考えの形成が往還しつつ、全体としてサイクルを描いている、こうしたイメージを御議論いただきましたけれども、この絵についても、もちろん議論の過程のものでございます。国語ワーキンググループでの御議論、そして本総則・評価特別部会における今日の御議論、こちらを往還してさらに精査をしていく前提のものでございますので、また御指摘等いただければというふうに考えているところでございます。
「学習の基盤となる資質・能力」について事務局からは以上でございます。
【貞広主査】 ありがとうございました。
続きまして、議題(2)に関連して皆様の御質問、御意見を承る前に、お三方の出席者の方からあらかじめ御意見、御発言をいただきたいと思います。情報活用能力の観点やデジタル学習基盤の観点から黒上委員と堀田委員より、そして言語能力の観点から犬塚委員より御発言をいただきたいと思います。私から御指名をさせていただきます。まず、黒上委員よりお願いいたします。
【黒上委員】 今回、情報活用能力から「情報及び」という文言が取れたことのそれなりの背景は非常によく分かります。1人1台端末が配られて、ただそれの使い方等についてのことを学ぶ時間が特に小学校では全くどこにもないということもあり、それをしっかりやっていただくためにというので、そこ(情報技術に関する学習)に焦点が当たるということですね。
そこでやっぱり気になるのが「情報及び」、すなわちいわゆるどんな形式であれ提供されていた情報,についてより深く考える場面がどこに行くかです。これが恐らくその言語能力のところとカップリングされていくというふうに理解しないといけないということなんですね。
そのときに、「情報を自分なりに処理して考える」ということを期待するわけですけど、一般に先生方は、考えるということを指導しようと思うと、正しく考えるということをすぐ目指そうとするんですよね。そうすると、正しい「考えた結果」の表現を覚えるというようなことになってしまいます。それは恐らく間違っていると考えられます。
今のお話の中に「質の高い外化」っていう言葉が出たんですけど、いきなり質の高い外化を目指してもしようがないと思います。つまり、一人一人が自分の思考をちゃんと形成する、その時点で別に質の高さは要求しなくてもよい。自分の考えをしっかりつくれるということが、いわゆる主体的な学びであるというふうに思っていまして、それがほかの子供たちとか先生とのやり取りの中で質が高くなっていくというイメージを持ちながら書いてほしいなと思っています。そうでないと、情報機器などを使うといきなり質の高い学びをできるというような話になってしまいます。しかし、そこはちょっと違うかなという感じをもちます。
それと、8ページに「思考の形成」という言葉が書いてあって、これは非常にいいなと思っています。考えるということは非常に頭に依存することのように思いがちですが、一旦頭の中にあるものを,いわゆる「可視化」して、それを基に自分の考えをつくっていくということをずっと推奨してきたわけで、その点から考えると、「思考を形成する」という言葉は非常にしっくりくるんですね。
そういう意味では、この図をうまく使って書いてくれると良いと思っていますが、そのときに、もし可能であれば、これまでもずっと答申とか前回の指導要領の中でも使ってきた「考えるための技法」という言葉をうまくはめていただいて、考えるための技法を使うなどして、「発信者の経験・感情を踏まえて考えを形成する」というような文言が入ってくると、より考えるということが手順として見えてくると思います。そうすると、何を教えればいいかということがはっきりしてきます。考える場面を提供して、「はい、考えなさい」と言うだけではなくて、その途中のプロセスに少し手が入っていくかなと思います。そんなことを期待をしています。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございました。
では、堀田委員、どうぞ。
【堀田委員】 堀田でございます。
言語能力と情報活用能力の相互の関係につきまして、3ページで整理いただき、4ページに図式化していただいてありがとうございます。今、黒上委員もおっしゃったように、教育課程企画特別部会において情報活用能力というのは、今般より情報技術の活用に係るものに限って示すんだというふうに方針が変更されたわけです。変更されたというのは、これは従来までは情報及び情報手段、情報技術じゃなくて情報手段って言っていましたけど、そういうふうに言われていて、つまり、どんな情報手段を使うかだけでなく、情報そのものをどう取り扱うかって、これは非常に重要なことだと思うんですけど、これも情報活用能力と言っていたわけです。
これが今回の整理において、情報そのものの活用は情報活用能力の定義からは外れるけれども、相変わらず重要なことであり、人が情報を操作し、理解し、そのためには言語能力が非常に重要であるということから、言語との関係で再整理いただいたんだというふうに思います。
このことは3ページの中に、言語能力のところに「言語による情報は字面が同じであれば誰でも同じように受信・発信されるわけでなく」云々って書いてありますけれども、つまり、人間の認知とか、経験とか、自分の考えとか、それがどう伝えればいいかとか、それを伝えたら相手にちゃんと100%伝わるわけでもないとかいうことが、こういう言語能力のところにしっかりと書き加えていただいたということを私はありがたいことだと思います。かつてより情報活用能力として大事にしていた、機器の操作ではなくて、そこからやってくる情報をどう判断し、解釈するのかという部分、 加えてその解釈は人によって異なるのだという部分、これが言語能力のところに、言語としてもこれは非常に重要なことだというふうに書かれているというふうに理解しております。
ですので、私はこの整理については賛成しておりますし、この情報技術ワーキングにおいては特に新しい情報活用能力の育成の部分について、学習の基盤としては言語能力と上手にタイアップしながら、探究的な学びともうまく繋げながら、情報技術の体系的な学び、中学校や高校でそういうことをやっていきますけど、こういうことと繋げて、ワーキングとして検討してまいりたいと思います。
私からは以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、次に、犬塚委員お願いいたします。
【犬塚委員】 ありがとうございます。
私も、先ほど御説明いただいた整理におおむね賛同するところです。少し言い方を変えさせていただけるのであれば、言語能力と言ったときには、基本的には自分自身の知識を構築するための力ということが、焦点が当たっている部分かなというふうに思います。一方の情報活用能力というと、そうして構築した知識を使って、新たな情報の判断をするとか評価をするといったところに焦点が当たっているというふうに見るとよいかなと考えているところです。
このように考えますと、AIが一部代替するというような議論もありましたけれども、AIは情報を出力してはくれるけれども、それはそのまま知識になるわけではないですよね。それは一つのテキストであって、それを私たちは言語能力を使って解釈して、自らの知識とする。先ほど堀田先生が注目されていた、その文字があるからといってすぐに何かになるわけじゃなくて、それが人間によって処理をされて知識になるんだというところがやっぱりとっても大切です。そういうふうに考えますと、AIは我々の言語能力を助けてくれるかもしれないけれども、それを代替するものというふうには位置づけられないだろうというふうに考えています。
言語能力のほうについて考えますと、言語能力というのが自分の知識を構築するための力だというふうに考えると、先ほどお話に上がったようなことの中には、読むとか聞くとかということについての記述があまりないかなというのは少し気になったところです。
国語科のワーキングの議論の経緯なども踏まえてお話しいただいたんですけれども、その中にも言語情報を正確に把握するということがすごく重要であるということですね。これは、私は本日の前半の議論「個に応じた」であるとか「自己調整的な学び」というところにも関わってくる重要なポイントだというふうに思っています。
具体例を申し上げれば、教科書があったときに、各教科の中で教科書をどういうふうに読むのか。それを子供たちはちゃんと知っているかということですね。もちろんボキャブラリーも全然違うし、書き方も全然違うし、いろいろな特徴のある題材というのを各教科の中で教科書として子供たちは学習教材として持っているわけですが、それを自らが学ぶときの学習教材としてちゃんと使えるんだろうかと。教科書の読み方を学校で教わっているんだろうか、使う練習をしているんだろうかというあたりも、自ら学んでいくための言語能力として大変重要な力だろうというふうに思いますので、読んで理解するとか聞いて理解するということも含めて、教科の中でその言語をどのように指導していくかということを考えてもらう必要があるのではないかなと思っています。
これは総則じゃないかもしれませんが、そういった各教科の中で学ぶために必要な言語能力ということに注目をしていくと。それは発表するということだけじゃなくて、教科書をどのように読むかというところにも関わってくると思ってもらえるといいなと考えています。
また、資料の8枚目とかを拝見していますと、先ほどの黒上先生の御指摘にも繋がるかなと思うんですが、いきなり、理解します、考えます、表現します、ぴしっ、みたいな感じで書かれているんだけれども、恐らくそういうふうにはなっていなくて、理解するために人からの情報をインプットしたり、自分なりにアウトプットしたり、また考えたりしながら理解が構築されていって、その後で、じゃあこうじゃないかなと考えたことをアウトプットして、またほかの人の考えを入れてアウトプットしてという感じではないでしょうか。必ずしもインプットの段階、そして発信の段階、発信の段階では相手を想定してきれいに整えて出しますというふうな、そういうフォーマルな発信だけが言語能力ではなくて、自分の知識を構築するための力としての言語能力ということを考えるべきでしょう。理解の段階での外化という側面もお話の中にあったかと思うんですけれども、自分の理解を高めていくため、構築していくために人と協働するというようなときの外化、発信というのもあるのではないかなというふうに思います。
ここで出てくる発信というのが、フォーマルなほうに寄り過ぎという感じがちょっとしていて、理解するための外化であるとか、理解を構築していく過程の中で外化をしていくとか、外に発信するというようなステップもあるんだよというようなことが入るとよいかなというふうに思いました。
後半はちょっと細かいことですけれども、言語能力ということについてコメントいたしました。ありがとうございました。
【貞広主査】 ありがとうございます。
それぞれお三方の委員、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
では、ほかの委員の方々から質問、御意見を承ります。挙手ボタンを押していただければ順次、御指名を申し上げますので、手を挙げていただければと思います。
【秋田委員】 すみません、二度目になりまして申し訳ありません。
私は、まず、3ページの定義というのが、大変に身体性を考えていただいたり、大変よくできているものだと思います。その冒頭に、言語による情報は字面で同じであればという、受信・発信されるわけではないということが書かれているんですけれども、それが実は先ほどの8ページの図のほうでは、受信・発信というモデルになっております。これは、いわゆる情報の導管モデルという、「導く」に「管」と書いてあって、コミュニケーションを導管モデルで考える発想の図になっています。要するに、同じものを筒の中で言葉が行き来するという導管のメタファーというものに対して、他者とともに協働構築するというモデルが、対話やコミュニケーションのモデルとしては出されてきているわけであります。
そのときに、導管のメタファーでいくのか、他者や文脈とともに身体性をもって協働構築していくんだという、そういう対話モデルをつくるのかというところです。私はこの内側の図はとてもよくできていると思うんですけど、この受信・発信という言葉に対して、もう少し受容であるとか、表現を伝えるとか、もう少し考え、外側にやはり身体があり他者や文脈があって語られるモデルというものが考えられることが、特に教室における子供のコミュニケーションを考えたときに重要なのではないかということが1点目です。
あと、2点目としましては、先ほど犬塚委員も言われましたけれども、私は今回、外化ということで、書くとか話すということが、インプットだけじゃなくてアウトプット大事だよということと連動して言われているんだと思いますが、言葉をつくっていくためには、聞くことと読むことが十分に行われることによって、内化があって、自己の中での言葉が生まれて、外化していくわけでありまして、その部分がもう少し強調されていくということが、外化だけを言っていくモデルではなくて、むしろ、うるさいほど表現をするんじゃなくて、時には沈黙して、思考の言葉をつくるには、沈黙して考えて、言葉にしていく間とか時間というものやよどみとか、そういうものが極めて重要であります。そういう言葉がいかに生まれるかということを考えて、もう少し、犬塚委員も言われた、外化だけではなくて、むしろそれが最終的には内化になって、自己内対話ができるようになっていくことが自己調整というようなこととも繋がっていきますので、重要ではないかということが2点目です。
主なところは2点なんですが、もう1点、気になるところがあります。それは国語と言語力の関係は語られているんですが、私は、外国語というものも、国語、要するに日本語としての国語と外国語というものが、やはり両方が関連づけられることによって、例えばメタ認知的に文法を捉えるとか、文章構造を考えるということが重要でありまして、それは各教科のほかの算数や理科とか社会で言葉を使うということとは別に、外国語は国語とやはり並列して本来考えられるべきだと思います。だからこそ、小学校から外国語が入ってきているんだと私は理解していますし、外国ルーツの子供たちにとっては、国語こそ、逆に言えば外国語的なものにもなりますし、この辺りの扱いをどう表現するのかという図の描き方等をもう少し工夫していただけるとよろしいのではないかと考えました。
以上3点でございます。ありがとうございます。
【貞広主査】 ありがとうございます。かなり犬塚委員の御意見と重なるところを、また別の言葉で強調していただいてという御意見でした。なるほどと、私も勉強になりました。ありがとうございます。
では、前川委員、どうぞ。
【前川委員】 よろしくお願いします。今回、非常に重要な会議だと思っておりまして、ちょっと総則部会を超えたことを申し上げるかもしれませんが、お許しください。
まず、今の議題(2)につきましては、基本的に今、秋田委員から外化・内化ということがございましたが、言葉の重要性ということをここでしっかり言っていくということは重要だと思います。
資料の2ページの(1)の1つ目のポツの「また」の後ろの文章なんですけど、「このため」の後、「各教科等の学習内容を通じて育成しつつ、相互の連携を図ることが基本である旨を総則解説等において明確にしてはどうか」というふうに書いてあります。大賛成なんですが、言葉を通して相互理解をするとか、自分の意見を発表するとか、あるいは自分の中でその言葉を通して考えていくということは、学習だけではなくて、社会に出ていく上で、生きていく上で非常に重要なことだと思うんです。
今、なぜこんな議論をしているかというと、教育を通して幸せな社会の創り手を育てようと我々はしているわけでして、そのためには、今、教育界の中で少し薄くなってきている集団づくりということをもう一度しっかり考える必要があると思うんですね。ですから、この言語能力のところで書かれている、「また」の後、「このため」の後ですね、この考え方をぜひ特別活動のほうでも取り入れて、ともに考えていきたいなというふうに切に思います。
ちょっと議題(1)のほうに行かせていただきますけれども、4ページのサイクルの図がありましたね。循環するという視点が今、現場の課題だと思うんです。予見から遂行へ、遂行から内省に行って終わり。1回だけで終わりじゃなくて、そこで内省されたことを次のまた予見に持っていくというサイクルを回すことは非常に重要だと思うんですが、これは個人内だけで行われるわけではなくて、集団の中で、あるいは友人たちとグループで協働することによって生まれる部分も非常に多くあると思います。ですから、これが個人内のものではないというふうに受け取っていただくことは非常に重要だと思います。
そういった意味で、先ほど中谷委員の御発表の中で、子供が動くような仕組みづくりが重要だという御発言がありました。戸ヶ﨑委員が危惧されているような、子供に任せきりではないというような視点を取り入れるためにも、中谷委員がおっしゃったようなことをしっかりと受け止めていく必要があろうかというふうに思います。
その上で、ここに書いていただいているこの資料は非常によくできていると思っていまして、すごく工夫していただいたことに感謝します。例えば、方略という言葉は、現場の教員にとって耳新しい言葉ですけれども、その方略というのをどういうふうに捉えていったらいいのかということを図を基に説明していただいています。特に、3段目の方略の指導に関する類型に、「何々しましょう」とか、「何々したいときはどうすればよいか」とか、こういう言葉まで入れていただいているというのは画期的なことだというふうに思います。
最後に1つだけお願いですが、3ページ右側の点線囲みの3つ目の中の一番上のポツです。児童生徒の学習の調整を含めた教師による単元全体の構想の必要性というふうに書かれています。これは当然大事なことなんですが、説明のときに栗山室長は「児童生徒像を基にした」というふうに言葉を足しておっしゃいました。私、ぜひこの言葉を足していただきたいなというふうに思いますので、御検討いただければというふうに思います。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。最後のは、邪推するに、枠に入らなかっただけなのではないかという気がしますので、きっと足してくださると思います。ありがとうございます。
では、戸ヶ﨑、どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】
今回、言語能力が人間ならではの思考やコミュニケーションの基盤として位置付け直されていることを評価したいと思います。この統合的な理解や総合的な発揮の記載に向けた検討が、各教科等ワーキンググループで進む中にあって、その獲得のために言語能力の発揮による外化が不可欠という形で、構造化と有機的に結びついたことも重要な意義を持っていると思っています。
情報活用能力に焦点が当たる中で、平成20年以降に力を入れて取り組んできた言語活動が、あたかも古風な実践であるかのように捉えられている実態もあります。しかし、まさに検討資料に記載があるように、自らの経験や体験に根差した身体性の宿った言葉を紡ぐ力は、この生成AI時代にあって極めて重要なことです。私自身の自戒を込めて、現代を生きる大人たちにとっても十分に身についているとはなかなか言えない力ではないかと思っています。
こういった視点から、今回の整理の下に、言語を含む情報を正しく把握するなど、「情報リテラシー」も含めて、言語能力の役割を今一度捉え直して、各教科等における言語活動の在り方を見つめ直す契機とされることを期待してやみません。
一方で、3ページの言語能力と情報活用能力との関係性の記述は理解できる人には大変よくできているのだろうと思いますが、大変抽象的であって、恐らく、現場の教師や教育委員会の指導主事にとっても、難解なのではないかと感じています。極めて重要な課題提起であるからこそ、今後、総則の解説に記載するにあたっては、分かりやすい言葉を用いて、学校現場に浸透できるように書き方を工夫していただければと思っています。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、青海委員お願いいたします。前半、失礼いたしました。どうぞ足して御発言をいただければと思います。
【青海委員】 ありがとうございます。
項目の名称を「個に応じた学習過程の充実」にすること、項目に記載する内容について総則本体では踏まえるべき基本的な趣旨や方針を端的に示すこととし、具体的な留意事項等は解説で記載することに賛同いたします。その上で、学習指導要領の総則や、その解説への記載について、教師が正しく理解するという視点からお話しします。
まず、生徒一人一人に個別に学ぶ場面や協働する場面が準備されていても、「生徒の主体的・対話的で深い学び」に繋がっていなければ、手段の目的化になってしまう。令和答申で示された「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」自体が目的化している場合には、多様な特性を有する全ての生徒に対する「主体的・対話的で深い学び」を通じた資質・能力の育成というスタートラインに立ち戻って考えてもらっています。趣旨の明確化、ここを強調する記述が必要です。
また、学習前には見通しを持つ。学習中は計画や手だて、方策を工夫しながら学習を進める。学習後は学習の成果を書く・話す・発表するなどの活動を通して外部に表現し、振り返って次の学習に繋げる。といった、過程や手順、方法など、先ほどの中谷委員のお話なども踏まえ、学習の自己調整に係る誤解のない、分かりやすい記述も必要だと思います。
さらに、「学習の基盤となる資質・能力」においては、各教科等の日々の学習や生涯にわたる学びを支える重要な資質・能力であるにもかかわらず、具体的な実践に落とし込みにくいこと。また、その育成の方向性が捉えづらい現状を踏まえ、教科等を超えて育成を目指す全体像を整理し、各学校が教育課程全体で体系的な育成を図ることができるようにすることは大切です。現行学習指導要領、その解説には、言語能力、情報活用能力が分けて記述されています。「学習の基盤となる資質・能力」としての一体的理解を進めるため、双方の関係性について記述すること、そして再整理されることは、学校現場にとって趣旨が伝わりやすく、取り組みやすいものになると思います。
最後に、要望として3点です。
1つ目、参考資料にある様々なイメージ図は、文字による説明を端的に示し、とても分かりやすいため、学習指導要領の解説などに提示、活用できないか。
2点目です。サポートマガジン『みるみる』などのすばらしい文科省の資料が、どの程度、学校現場に届いて活用されているのか。現状把握、周知方法の工夫・改善が必要ではないか。
3番目として、学習指導要領の記述に小見出しがあると内容が理解しやすく、構造的に把握しやすくなるため、読みやすい。学習指導要領の解説の目次のタイトルのようなイメージです。
私からは以上です。1分超過しました。
【貞広主査】 大丈夫です。ありがとうございました。
では、石井委員お願いいたします。
【石井委員】 すみません、2回目で。
国語のワーキングでも申し上げたんですけれども、やはり今回の方針は非常に重要かなと思います。プロンプトエンジニアリングもそうですけれども、現実、あるいは考え、これを言葉でかたどるということが非常に重要になってきているのが現代かなと思います。ですから、言葉でこのどろどろしたものをかたどれるかどうか、これが最高の言語能力だろうというふうなことですよね。
さらに言うと、まさに受信の解像度みたいなことで申しますと、結局、今、読解の問題とかも言われるんですが、やっぱり聞く力というか、そもそも聞けていますかと。だから、それでいいますと、この「書く」というふうなことでかたどっていく。だから、ある種そういった表現の力ということもそうなんですけれども、それとともに、受動的な「書く」ということもとても大事かなと思います。それは「第三の書く」なんていうふうなことが国語教育の中でもあるわけですけれども、つまり、作文、それから習字に加えて、聞き書きとかメモをとるとかもそうですね。つまり、受信のために書くわけなんですね。その辺りは、先ほど秋田委員もおっしゃったこととちょっと関連するんですけれども、基本的に言葉、思考というのは対人間コミュニケーションが個人内において自己内対話に転化することによって、これはヴィゴツキー的にはそういうふうに解釈されるわけですね。
それで言うと、話し言葉は消えてなくなる。しかし、それを書き留めるというふうな聞き書きの力、これは現実を捉える解像度を上げていくということに繋がってくるかと思います。ですから、今、音声言語で話していますけど、そこで漢字の言葉がちゃんと頭に浮かんで意味が分かっているかどうか。この辺りが結構今、怪しいんじゃないかというふうなところですね。ちゃんと本当に聞けているだろうか。ちゃんとメモをとるというふうに言ったときに、全部分からなかったら平仮名になっちゃいますからね。そういったところとかもそうですが、やっぱり受信の解像度を上げていくと。
そういうふうなことで申しますと、対人間コミュニケーションから個人内のコミュニケーションになっていく。学び方の基本として、一つ、学び方というふうなことに関しても、そういった受動的な書く力ってとっても重要だと思うんですね。ですから、そういうことも含めて、今回の学習の基盤となる資質・能力の話というふうなことと、先ほど学び方とか自己調整の話というのは極めて連結すると。まさに自己内対話が起こるということが、これが実はメタ認知の発生というふうなことになってくるわけですね。ですから、実は非常に関連するところであるというふうなことが一つポイントかと思います。
それともう一つですが、今回の統合的な理解とか総合的な発揮みたいなこととの関係で言いますと、今回改めて総合的な言語活動の充実みたいな。教科横断的に様々思考したこと、総合的に思考したことを、それを言葉とかいろんなものでまとめていく。そのときにやっぱりデジタルがあることによって、がっつりとまとめ、表現できるというふうなところですね。ここがポイントかと思うんですけれども、そういう形で一つ、今回もこの基盤となる、基礎のところの言葉の力、それを増幅・拡張という形で、一つ大きな学習活動のイメージが提供されたと。
でも、先ほどの話、『みるみる』もそうですけれども、個別最適な学びみたいなものをどういうふうに生かしていくのかということで、それでも一つ大きな学習のまとまりがある。イメージがある。さらに、主体的に学びに向かう力、人間性等というところに関しましても、粘り強く継続的に思考・行動するという、そういう学習活動のまとまりがある。いろんな学習活動のイメージがたくさん出てきているんですけれども、これ、一遍にどうするんですかということなんですね。
改めてそこを、主体的・対話的で深い学びなんていうふうな言葉があるわけですけど、そういったところを肉付けする形で、今、いろいろな形で学習活動のイメージが出てきているものをどう統合していくのかということが次の課題として出てくるんじゃないかなと思っています。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、続きまして、中村めぐみ委員、お願いいたします。先ほど議題(1)では大変失礼いたしました。併せて御発言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【中村めぐみ委員】 ありがとうございます。みどりの学園義務教育学校教頭の中村でございます。御発言の機会いただきましてありがとうございます。先ほどの議題(1)にちょっとなぞらえましてお話をさせていただきたいと思います。
まず、私たち一般教員、私も教員なんですけれども、教員が、先ほど出てきたような、身体性に基づく言語能力がまだまだこの資料を読み取るまでに至っていない場合にはどのように資料を読み取っていくかとなった場合に、どうしても印象や表層的な理解を手がかりとして捉えがちになります。つまり、特に資料1-1、資料2というのは、この資料の意図とは異なるような印象というフィルターが働く可能性があると考えております。そこを踏まえた伝え方というのを、現場に下ろすときにぜひ大切にしていただきたいなと思うところです。
今、現場ではどのようなことが起きているかといいますと、先ほどの個別最適な学びの充実のところにおかれまして、私たち個別最適な学びが非常に強く印象にあることから、現場では協働的な学びがやや少なくなってきている、または弱くなってきている印象にあります。子供たちが、グループをなして、または人と人が相互にやり取りをしながら考えを深めていくという学びが以前よりも少なくなってきてしまっている印象が本校においてはあります。それは個別最適な学びを非常に優先しているところもあるからです。
そういったところから、やはり協働的な学びというものをもう少し前面に伝わるような印象というか、イメージの書きぶり、または、協働的な学びの重要さというものが強く感じられるような資料になるといいなということを考えております。
なぜなら、4ページの資料にもありましたように、自己調整のサイクルの中に、考えを深めていくといったところがあるんですけれども、深めるに当たっては、やはり他者との言語能力を使ったやり取りがあって、自分の知見から他者の多角的な知見を得て、学びやそれから理解が深まっていくということをここで示しているのであれば、より個別最適な学びの充実だけではなくて、その先にある協働的な学びというものが、その深さを醸し出すのではないかというところに少し私の意見というか、ぜひお願いを伝えたいなと思っております。
さらに、過程というものが先にあるのではなく、そもそも、教師がこの学習指導要領で目指す資質・能力を見据えて仕掛けた学びの場というものが先にあり、どういう子供の姿やゴールというものを見通して、その中でどういった過程を予測し、そして、その中に子供たちが自ら理解するためにデジタルを使ったり、合理的配慮のためのツールをうまく駆使して理解しようとして進んでいくかというような姿があるわけで、まずは、誰でも好きなようにいってもいいよというようなとらえられ方がないような工夫と、そこはあくまでも教師が子供にどんな力をつけたいのかというようなゴールの姿があってこそ、その仕掛けの中で、自由に自分たちが理解しやすいようなツールを選択していける、そういった学びであってほしいと思います。それが印象として残るように、ぜひ、その部分をどこに表すかはまた御検討いただければと思います。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、この後、本間委員、小見委員に御発言いただいて、全体の御質問を承るのは以上とさせていただきます。では、本間委員、どうぞ。
【本間委員】 ありがとうございます。もう時間が限られていますので、1点目の議題について1つだけお願いを申し上げたいと思います。
恐らく大事なことは、子供たちが与えられたものではなくて、自分の力で目標設定をして、自分の力で学びを未来である社会に繋げていく、その歩き方が一人一人違うならば、教員は個に応じた支援を本気で考えましょうということなんだと思います。
2017年改訂から、これだけ社会状況が大きく変化をして、1人1台の端末が提供されたことで、学びの選択肢が拡大をされ、結果として、学校はみんなに同じことを求める場所から、みんなが違うことに価値を持つ場所に変わりました。この変化は、現場にいる人間として、現場がなかなか追いついていけないという側面があります。でも一方で、多くの先生方は、今の学校の画一的な学びでは社会に通用しないんじゃないかって、もっとリアルの学びで子供と社会を繋げなければ子供の未来はないのではないかといった課題意識を持っていることもまた事実です。でも、教育課程の弾力化、柔軟化がこれから求められる中で、正直に申し上げれば、現場の先生方は悩み、迷っています。
そういった意味で、1点だけお願いというのは、『みるみる』の実践例、あるいは解説の要素例、これに、授業の指導例だけではなくて、授業展開についても触れていただけると非常に助かります。具体的に言えば、例えば、個別最適な学びが、教師が整えるのではなく、子供が自分に最も適した学び方を自己選択できることであるならば、どういった授業展開の方法があるのか。あるいは多様性の包摂のためには、柔軟な教育課程の二階建て部分が大切になってくると思いますが、日本語指導が必要な生徒、なかなか学校に気持ちが向かない生徒、特定分野に特定の才能を持つ生徒、彼らを支えるためにどういった授業展開の方法があるのか。そういったことを具体に示していただけると現場は非常に助かります。
今回の議論は、教員にとっても、自らの授業を見つめ直す大きなきっかけになると思います。自分の教科が、子供が社会を生き抜く上でどういった意味を持つのか。そして、子供が社会で意思決定をするときにどういった意味を持つのか。そういった教科の本質と生徒の学びたいというベクトルが同じ方向を向くといいなと思っています。
そのためには、教師の時間に余白をつくることはとっても大事で、現場はこれから比較的短いスパンで、高次な教育課程の編成と働き方改革の両方をつくっていかなくてはなりません。来年度に答申が出るということを考えれば、実はそんなに余裕はないんですね。本校は働き方改革で2年、教育課程の編成で2年、合わせて4年かかっていますので。できれば具体例と整理について、なるべく早い段階から国と現場が共有できるといいなと思っております。
私からは以上です。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、小見委員、どうぞ。
【小見委員】 ありがとうございます。みらいずworksの小見まいこです。
学習の基盤となる資質・能力については、先ほど青海委員や石井委員もおっしゃられていましたが、既にある思考力、判断力、表現力ですとか、学びに向かう力、自己調整など、ワードがたくさん並ぶと、横並びに感じてしまって、前回の学習指導要領以上にワードが増えるので混乱が生じてしまうのではないかと感じました。全体的な構造ですとか関連の整理があると理解が現場の方々にも進むというふうに感じました。
次に、個に応じた学習過程について2点あります。
まず、1点目は個に応じた学びとは、学習方法の個別化にとどまるのではなくて、子供の人権や学習する権利というのを基盤に据えるということが不可欠ではないかと考えています。子供たちは一人一人、興味・関心や理解のペース、学び方が異なります。その違いを出発点として、子供自身が何を学びたいのか、どのように学びたいのかというのを選択して、自己決定できる環境を整えることが大事です。
実際に個に応じた学びに取り組んだある先生は、これまでいかに自分が子供一人一人の学びのニーズや実態を把握し切れてなかったかということに気づいたというふうにおっしゃられていました。この気づきは、子供を学びの主体として捉え直す意識の転換が必要であるということを示していると考えています。
先ほど奈須委員もおっしゃっていたような子供観の転換というのが現場に広がれば、学習活動はより子供主導へと移行し、結果として、先生方が一方的に支援したり管理する機会が減り、先生方の業務負担も中長期的に軽減されるのではないかと考えています。ぜひ子供の権利や子供の目線に立脚し、子供が何を望み、どう学びたいのかという声を丁寧に受け止めて、その意思を尊重する姿勢と関わりというのをぜひ何か盛り込んでいただけたらと思っています。
2点目は家庭学習との目線合わせについてです。家庭学習も本来、子供自身の自己選択に基づく学びであり、子供が自分の目標や進め方を考えるプロセスというのを尊重する必要があると思います。しかし、個に応じた学習の趣旨が家庭に十分に共有されていない場合、保護者からは、宿題がなくて不安だとか、家で何をさせればよいか分からない、だから塾に行くといったような声が上がる可能性があると思います。したがって、学校は何のために個に応じた学習をするのか、家庭学習で大切にしてほしい姿勢は何かを家庭に説明し、家庭と認識を共有することが不可欠だと思います。
その上で家庭と役割分担をし、保護者が必要に応じてガイド役となり、また、見守り役となれるように、家庭と学校が協働する体制を整えていくということが求められると思いました。
以上です。ありがとうございます。
【貞広主査】 ありがとうございます。
先ほど中谷先生、手を挙げていらっしゃったかと思います。どうぞよろしければ御発言ください。
【中谷委員】 申し訳ありません。一言だけ。
第1の議論のほう、意見、いろいろ勉強になりました。他者との協調性という言葉が研究のほうでもございますし、実際にもやっぱり学校は他者がいてこそ学びを振り返ることができると思うので、その点はまさに必要なところですし、今回のこちらの言語力と情報活用のほうで、言語のほうで外化が強調されているんですが、やっぱりここは外に出すだけじゃなくて、考えて出すということで、そのダイナミズムをちょっと反映していただくようなことが必要で、学校こそ身体性を経験できる数少ない場なのかなと。
今の中高生なんかはほとんどやっぱりデジタルな場面の中に埋没している状態なので、言葉という、自分を振り返るということを担保できる場が学校なのかなというふうにも思うので、その身体性ということと、協働性というか、他者性ということを強調するというのは賛成して強調したいなというふうに思いまして、すみません、発言しました。
【貞広主査】 ありがとうございます。
では、望月委員、どうぞ。
【望月委員】 手短に1点だけお伝えします。
資料2のスライド3で、情報活用能力との関係が示されています。委員の方々には、大学で日頃学生と関わっている方もいらっしゃると思いますけれども、私も大学で学生の学びや生活に関わる者として、学生が知識や思いのようなものを持っていなくても、「空疎な情報の集積・共有」が可能である現状に強い危機感を持っています。理解していなくてもレポートを出すことができたり、字面だけ共有して生活をしているような状況に危機感を持っています。
先ほど前川委員が御指摘されていた点と重なると思いますが、言語能力とか情報活用能力の実践の場として、特別活動の役割は、総則の中でも特記してよいのではないかと思います。スライド3の記述や、スライド4の補足イメージなどで、工夫をしていただけるとありがたいと思いました。
以上です。
【貞広主査】 ありがとうございました。
皆様から本日も大変貴重な御意見をいただきましたことを改めてお礼を申し上げます。
それでは、時間も参りましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。
最後に、次回以降の予定につきまして、事務局よりお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 次回は1月19日、月曜日、12時半から15時を予定しておりますが、また後日御連絡を差し上げます。
【貞広主査】 以上をもちまして閉会といたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
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