教育課程部会 総則・評価特別部会(第3回) 議事録

1.日時

令和7年11月12日(水曜日)9時30分~12時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. デジタル技術を活用した学習指導要領の活用の利便性の抜本的改善について
  2. 総則の構成・記載の在り方について
  3. その他

4.議事録

【貞広主査】  定刻となりましたので、ただいまから第3回総則・評価特別部会を開催いたします。
 「デジタル技術を活用した学習指導要領の活用の利便性の抜本的改善について」、そして「総則の構成・記載の在り方について」の2つを議題として御審議いただきます。
 まずは議題(1)について事務局説明と意見交換を行った後、5分間の休憩を挟みまして、議題(2)について事務局説明と意見交換を行う予定でございます。
 それでは、早速でございますが、議題(1)の検討事項につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  
失礼いたします。教育課程企画室長の栗山でございます。それでは、本日の最初の議題、「デジタル技術を活用した学習指導要領の活用の利便性の抜本的改善について」、事務局の資料を御説明させていただきます。
 このテーマは、質の高い、深い学びを実現する、分かりやすく、使いやすい学習指導要領に向けまして、論点整理におきましては、構造化・表形式化・デジタル化、これを一体的に進めるという方針をお示しいただいておりました。前回の総則・評価特別部会におきまして、構造化・表形式化について御議論いただいたところでございますが、本日はデジタル化に当たる部分について御議論をいただきたいと考えているところでございます。
 まず、教師の授業づくりに関わる基本的な文書・教材等についてでございます。学習指導要領、学習指導要領解説、これは現在、いずれも、紙の冊子版に加えて、インターネット上ではPDFを文部科学省ホームページで御提供しているものです。これに加えて、教科用図書、そして教科書発行者が作成されている教師用指導書、これが併せて販売されているところでございます。その他副教材として、教科書のほかに、有益適切な教材を活用可能とする。例えばNHK for Schoolのようなウェブサイト、こういうところで学習教材が提供されている。こうしたものを教師が授業づくりの中で御活用されているという状況があるわけでございます。
 そうした中にあって、現行の学習指導要領の利便性、これは言い換えれば、ユーザーインターフェースと言うこともできると思いますが、これに関して実際の教師の皆様のお声を文部科学省の事業の中でヒアリングさせていただきました。
 例えば、必要な情報の探しにくさについて御指摘をいただいています。具体的には、上から、担当学年だけを検索で絞り込めると本当は便利なのになといったこと。あるいは、現在は一つ一つ該当箇所を確認しなければいけないし、行がまたがっていると、PDFでうまく検索もできない。検索結果が分かりやすく表示されるようになるといいんだけれどもと。あるいは、紙の冊子かPDFで提供していますので、その中で、指導要領と解説の対応関係、これは今はそれぞれ見なければいけない。どちらかの冊子しか見ない教師もいる。一目で両方見ることができれば利便性が上がるんだけどなといったこと。あるいは、指導主事が研究授業の指導をするときに、「指導要領の何ページを見ましょう」といったような呼びかけをするときに、今は時間と手間がかかります。ウェブページ上で見たい箇所をリアルタイムですぐに見られるとありがたいんだけどなといった声。
 右側に行きまして、対応関係や関連性の分かりにくさについてであります。1つは、教科書・教材等との関連性。指導要領と教科書・教材等が紐づいていて、指導要領の該当箇所をすぐに辿れれば、指導要領ベースでどのように教科書・教材等を使えばいいのかが分かる。そんなことができたらいいのに。あるいは教科間の関連性。他教科の既習事項との関連が分かると子供の理解が早まる。例えば、理科の授業で「家庭科ではこれを習ってるよね?」と声がけすると、子供の反応がよく、理解も深まる。今もやっている先生はいらっしゃいますけれども、手間もありますので、属人的な取組になっているのではないか。学年間の関連性。担当学年以外の教科書を持っていないことが多いですので、学年ごとに指導内容の系統性が分かりやすく本当は整理されるといいのになといったこと。あるいは、前後の学年との繋がりが確認できると授業設計に役立つ。加えて、学校種間の関連性。小中連絡会議をやるときに、小学校で何を教えているのかなといったことを中学校の先生がお悩みになる。そのときに、小中、今現在、別冊でありますので、相手の学校種で何を教えているかということが把握できず、学校種間の接続が十分にできていないといった状況。
 左に戻ります。データの活用のしにくさ。指導要領に進度管理などの必要な情報を付加したり、個人で柔軟にカスタマイズする、こういったことが現在PDFでしにくいといったこと。また、現在のPDF形式では、ヘッダー・フッター等の情報もありますので、AIが読み込みにくいと。よって、生成AIを活用して壁打ち相手のように使うといったこともしにくいのではないか。そして、指導案を作る際に、指導要領の内容項目のコピー・アンド・ペーストが簡単にできるといいけれども、それもなかなか現在はしにくいので、活用しにくいといったことがあると伺っております。
 このような現状を整理いたしまして、1ポツの学習指導要領のユーザーインターフェースに関わる現状として、必要な情報の探しにくさ。見たい情報にたどり着くまでに時間がかかるといったこと。データ活用のしにくさ。指導案等を作成する際に、学習指導要領や解説を参照・引用するのに手間がかかる。AI等に読み込ませて活用するのに適したデータ形式となっておらず、活用に限界がある。あるいは、対応関係や関連性の分かりにくさ。レイアウトが固定されていて、教科内の系統性や教科間・校種間の関連性等を確認しにくく、体系的・構造的理解が難しい。学習指導要領と関連する情報源、例えば解説や教科書・指導書、外部の教材サイトとの一体的な確認や相互の参照に手間がかかり、対応関係が分かりにくいのではないかといったこと。こうした現状があると認識しております。
 そういったことから、課題として大きく2つ挙げております。1つは、先生方の授業づくりに関わる課題であります。学習指導要領・解説や関連資料の参照に手間がかかり、限られた授業準備の時間の中で育成したい資質・能力を確認することの負担が大きい。これは働き方改革の視点からも課題であると考えています。そういった中で、前後の学年で何を教えているか、異なる学校種で何を教えているか、他教科との関連などを把握しにくいといった状況。よって、学年・学校種間の系統性を踏まえた指導や教科等横断的な学習指導に繋がりにくいといった状況があるのではないかなと考えています。また、学習指導要領が、教師の授業づくりにおいて、日常的に参照・活用するものではなく、言わば遠い存在になってしまっている。こういった現状の結果として、身に付けるべき資質・能力を意識しづらく、教科書「で」ではなく、教科書「を」教える授業であり、また、単元ではなく、一コマ一コマの本時主義に繋がりやすい、そこから抜け出すことがしづらい状況があるのではないかと考えております。
 また、社会に開かれた教育課程に関わる課題もあろうと思っています。現状、学習指導要領の参照・活用が一部の先生方や教育委員会の指導主事などに限定されているような状況がございますので、育成したい資質・能力を社会全体で共有しながら育成を図っていく上では課題があるのではないかと考えています。また、学習指導要領の内容を媒介とした教材開発や教材間の連携も進みにくいのではないかと考えているところでございます。
 こうした現状・課題を踏まえたところから、対応の方向性についてこちらでお示ししております。
 まず、1ポツとして、デジタル技術を活用した学習指導要領のユーザーインターフェースの抜本的改善の在り方について。例えば、以下、このピンクの点線囲いのところにあるような機能を備えたデジタル学習指導要領を提供していくことで、「現状と課題」に挙げた課題を解決することができるのではないかと考えているところでございます。例えば、ウェブサイトベース、これは文部科学省のウェブサイトでというイメージですが、での提供によって、日々使用する教科書の指導書等から該当する学習指導要領・解説等の記載をリンク等によって一体的・即時的に確認できるといったこと。あるいは、多様なレイアウト変更やキーワードによる検索等によって教師が見たい情報を見たい形で閲覧できて、教科内、教科間、校種間の系統性・関連性をつかみやすいということ。さらに、学習指導要領のデータを多様なレイアウトやファイル形式で出力ができて、指導案の作成や学習進度の管理、アイデアのメモなど、教師の多様な利用、自由に活用できるような在り方を可能にするといったこと。また、生成AIが読みやすい形式で学習指導要領データを提供することによって、AIを活用して指導案・評価計画案・教材等を練るということが容易にしやすくなるといったこと。※(コメ)で注記がございますが、なお、当然のことながら、生成AIが生成したものをそのまま利用するのではなくて、育成したい資質・能力に関する教師自身の理解に基づきつつ、指導や評価の計画作成・改善等にAIを壁打ち相手として使ってやっていくということ、これはもう当然の前提でございます。最後に、学習指導要領コードをより使いやすい形でデジタル学習指導要領に埋め込みまして、コードを介して関連する多様な教材を探すことができるといったこと。こうした機能について、後ほど具体的にお示しします機能の要件の例等をたたき台としながら、技術的な実現可能性や先生方のニーズ等も踏まえて、実装すべき機能等について文科省で検討を進めることとしてはどうかと考えているところでございます。
 なお、ここで「デジタル学習指導要領」という言葉を使わせていただいておりますけれども、学習指導要領自体は引き続き文部科学大臣による告示をされた上で、ここで申し上げているデジタル学習指導要領というのは、その告示された学習指導要領について、デジタルの形式で文部科学省のウェブベースでこのような機能で自在に見られるというようなことを意味合いとして申し上げておりますので、念のため、補足でございます。
 その上で、2ポツ、3ポツでありますけれども、先ほど申し上げた課題が解消されていくイメージをお示ししています。
 以上のようなユーザーインターフェースの刷新によって、日々の授業づくりの中で学習指導要領・解説等を大きな負担なく参照・活用しやすくすることで、子供に育みたい資質・能力をベースとした単元や題材の構想と、その上で教科書や教材をどう使うか、というプロセスを意識した授業づくり、こうした目指すべき在り方を一層促進できる、今でも多くの先生、本当はそうしたいと思われていると思っていますけれども、それを後押しできるのではないかと考えております。また、複数の情報を簡単に比較・対応させたり関連づけて見られるようになることで、教科の系統性を踏まえた深い理解を促す指導や既習事項を振り返りながら確実な学習内容の定着を図る指導、教科横断的な授業づくり等を一層促進できるのではないかと考えております。
 また、3ポツ、社会に開かれた教育課程という観点からも、保護者や地域住民を含めて、学習指導要領が、誰もが容易にそれぞれのニーズに応じてアクセスできる環境を整備することで、教師や保護者等を介して子供自身も身に付けるべき力を自覚する契機になりやすいのではないか。そうした中で、保護者や地域住民・民間事業者等も含めて連携した取組をより一体的に進めやすくなるのではないか。そうした観点からも、社会に開かれた教育課程をより実現しやすくなるのではないかと考えております。
 こうした現状、課題、方向性について分かりやすくイメージ的にお示ししたものがこちらであります。こちらのページはビフォー・アフターのビフォーの部分、紙・PDF形式の課題とそれを踏まえた授業づくりの実態であります。まず、上の部分には、先ほど私が御説明させていただきました紙・PDFによる課題が改めて整理されております。これを踏まえると、授業づくりの例というところで、中段ございますけれども、紙・PDFの使いづらさから指導要領を見ない授業づくりとなった場合ということで、上のほうの帯に授業づくりと学習指導要領との関係というところ、下のほうの帯が授業づくりと教科書・指導書等との関係となっておりまして、真ん中の授業づくりの流れの例というところで、左側の「単元全体の計画を立てる」、そして真ん中に、「各時間の各一コマ一コマの授業の構成・内容を考える」、そして一番右側、「各時間の教材等を準備する」、こうした流れの中でどんなお悩みを先生が持っているかというところから、せりふのようにお示ししているわけでございます。ここにありますように、左上から見ていくと、まず「単元全体の計画を立てる」のところで、必要な情報も探しにくいし、他教科・学年等の関連の確認も大変だから、学習指導要領に手が伸びないなというせりふ。そして、下のほうに目を転じていただきますと、教科書・指導書との関係でも、単元全体で育む資質・能力のイメージが湧かない。数コマの授業の見通しは持つけれども、結局、教科書を全部網羅的に教える授業になってしまうなといったこと。そして、真ん中に行きますと、一コマ一コマのところですね。そこで、上のほうです。忙しいし、確認に時間がかかるから学習指導要領は見なくていいかなといったこと。そして、PDFの指導要領をコピペするだけでもなかなか難しいので、そこから指導案を作るのも大変なんだよなといったこと。その結果として、下の段になりますけれども、取りあえず指導書の指導案とか昔作ったプリントをベースに授業してしのごうかなといったようなコメント。結果として、今、単元計画と各一コマ一コマの授業の間、ここの矢印が点線になってしまうと。単元から出発できていないのではないかといったところもお示ししているわけでございます。右側に目を転じていただきますと、教材を見ても学習指導要領のどの資質・能力に対応しているか分からないなといったこと、教材と指導要領の往還も難しいといったこと。そもそも授業に関連する教材を探すこと自体が今なかなか大変なんだよなといったこと、こういったせりふでお示ししています。結果として、今くるくると矢印が回転しているものを4つほどお示ししていますけれども、3つが灰色になっていて、1つだけピンク色になっているように、灰色の部分の矢印は、ともすると十分に機能していない、指導要領と教科書との関係で授業づくりがうまく機能していない部分があり、右下の部分のところだけでくるくると回転してしまっているような実態もあるのではないか。結果として、一番下にございますように、資質・能力ベースの授業づくりになっておらず、教科書「を」教える授業や本時主義の授業になりやすいのではないかというイメージをお示ししております。
 これをアフターとして、こちらのポンチ絵でありますけれども、上、先ほど御説明いたしました改善のイメージであります。これがデジタル化してユーザーインターフェースを改善するということで、授業づくりで可能になることとして同じような構造でお示ししております。先ほど御説明したせりふと対比しながら、比べてお聞きいただけますと、まず左上、学習指導要領の系統表から次の単元の資質・能力を確認しよう。他教科や他学年・学校種との関連を学習指導要領で確認しよう。その下、資質・能力を踏まえて教科書・指導書を確認し、単元を計画していこう。指導書も参考にしつつ、学習指導要領を読ませた生成AIも使って単元計画や評価基準等を壁打ち相手にして練っていこうといったこと。また、真ん中の部分では、授業前にさっと資質・能力を確認しよう、すぐにできるからと。あるいは、項目ごとのコピペもしやすくなるので、指導案の作成もしやすくなるなといったこと。資質・能力を踏まえて、教科書や教材をどう使うか考えようといった下の部分。また、右上、学習指導要領のデータを表計算ソフトの形式で出力ができるようになったから、単元計画のファイルとリンクを張ったり、授業進度を自分で自由にメモしやすくなるなといったこと。一番右下、関連して使えそうな教材を学習指導要領コードでちょっと検索してみようかなといったこと。こういったことで、全ての授業づくりの流れの矢印が実線で繋がり、また、先ほどは3つが灰色になっていた矢印の回転部分も全てがピンクに、つまり、全てが機能していくような、全体として授業づくりを単元から出発できるような在り方にしていけるのではないか。こうしたイメージをお示ししています。こうしたことで、一番下にございますように、負担なく学習指導要領を確認・活用でき、資質・能力をベースにした単元や教材の構想を含めた授業づくりが行いやすくなるのではないかと考えております。
 そして、機能の例でございますけれども、こうしたことを実現する機能の例として、一番上にございますのは既に御説明した部分。これを実現するために、マル1、情報の探しやすさ、2、教科書や教材等との円滑なアクセス、3、教科等間や学年・学校種間の記載の俯瞰、4、学習指導要領データの活用しやすさの向上、こうした観点から、具体的にこうした機能が必要ではないかということをお示ししています。マル1の情報の探しやすさであれば、シンプルで直感的に操作できるというものになっているか。また、学年・教科での絞り込みや、キーワード等での検索、レスポンスよい表示。また、一体的な解説等の表示・参照ができる。そして、コードが附番され、検索できるようになっていることで、該当箇所をすぐに共通認識できるといったこと。マル2の教科書や教材等との円滑なアクセスであれば、コードも活用しながら、デジタル教科書・教材等との円滑な相互のアクセス、あるいはNHK for Schoolなどをはじめとした様々な教材等への円滑なアクセス。マル3の教科等間や学年・学校種間の記載の俯瞰であれば、複数の教科や学年・学校種を選択して絞り込んだ場合に、その結果が一覧的に表示できる。あるいは、単元等に関連するキーワードで検索した場合に、本体と解説の該当の記載を教科や学年・学校種にかかわらず、横断的に一覧表示できる。そして、学年・学校種間の指導内容や資質・能力等の系統性を俯瞰できるような、一覧的な内容の構成が表示できるといったこと。最後、マル4の学習指導要領データの活用しやすさの向上。指導要領のコードをワンクリックで簡単にコピーして検索しやすくする。あるいは、文書作成ソフト、表計算ソフトなど多様な形式で出力して、授業の進度管理のためにメモを残したり、指導案の作成などが簡単かつ柔軟に行えるようにする。そして、生成AI等にも読み込ませやすいような形式にするといったイメージ。こういった機能が必要ではないかと考えております。
 こうした、ここまでの議論を踏まえまして、今回、デジタル学習指導要領のイメージを作成させていただきました。留意点といたしましては、本資料は、今申し上げたような機能を実現することによって、ある程度のイメージを持っていただけるように参考として作成したものですので、このとおり開発するものではない。それはまさに今後の議論であるということ。そして、特に各教科等の内容の部分については、これまでの総則・評価特別部会における議論を踏まえた表形式のレイアウトを用いつつ、現行の記載を機械的に当てはめて作成したものでございます。ですので、今回の改訂におきましては、現在、各教科等のワーキングでも御尽力いただいておりますように、全体として分かりやすく使いやすい指導要領を目指しておりますので、実際の画面は一層シンプルで使いやすいものにしていくことを想定しているものでございます。その上で御覧いただければありがたく思っております。
 今回、8つの具体的な機能のイメージを作成してみました。これによって、デジタル技術を活用したユーザーインターフェースの抜本的な改善を通じて、日々の授業づくりに使いやすい指導要領を実現して、資質・能力の理解に基づく豊かな授業づくりに繋げていきたいと考えているところでございます。
 まず最初でありますけれども、最も基本的な機能のイメージであります。これは言わばホーム画面のようなイメージで御覧いただければと思います。教科や学年段階、キーワード、コードを選択、入力する部分が並んでいて、下のところには全文や系統表や関連サイト、こうしたものが並んでいるイメージであります。まず、検索、例えば理科の小学校3年生の部分を見たいといったようなイメージであります。「理科」を選択し、そして、学年として「小学校3年生」を選択する。そして検索すると、このようにぱっと理科の学習指導要領の該当部分が出てくる、こういったイメージ、これが基本的な機能のイメージであります。目標、見方・考え方、内容、そして下の部分、小学校3年生の該当部分がございます。そして、ここにとどまることなく、詳細という部分が右のところで、赤のところでございます。ここを押すと、「解説」でありますとか「内容のまとまりごとの評価規準(例)」、こうしたことも含めて表示できないかと考えておりまして、詳細の部分を選択いただくと、このようにぱっとそこが表示される。実際には今、「内容」と「内容の取扱い」だけではなくて、申し上げたように、「評価規準(例)」として、「解説」の該当部分が同時に、即時的に御覧いただけるイメージをお示ししております。
 次、ここから少し、応用編ではありませんけれども、いろいろな機能を試してみたいと思います。教科の理科と学年段階の小6と中1を選択して検索をすると、ぱっとこのように、今度は小6と中1を比較して並べて見ることができるイメージをお示ししています。先ほど申し上げたように、小6の先生が、あれっ、中1で何を教えるのかな、あるいは中学校の先生が、小6で何を教えてきたのかなといったことをすぐに確認できる。もちろんこれは学校種横断だけではなくて、それぞれの学校種間、小2が小3、中1が中2、高1が高2と比較して見る、こういったことも当然できるイメージを考えているところでございます。
 今度は同じ学年で複数教科、算数と理科を選択して、小学校の3年生を選択して検索をする。こうすると、今度は同じ学年の算数と理科、これが並んで表示されるイメージをお示ししているところでございます。これによって、教科横断的な取組を意欲的にされたい先生も非常に情報が見やすくなる、こうしたイメージをお示ししておりますし、加えて、「季節」といったようなキーワードを入れて検索をするといった機能もイメージしております。こうしますと、理科の第4学年でこういった部分で記載があるといったこと、理科以外にも生活や家庭でも「季節」というキーワードで横断的に検索ができる。同じく教科横断的な取組をするときに、キーワードを軸に単元の構成を練ってみたり、様々なアイデアをつくる。必要な情報を探すところにとどまらず、様々なアイデアを想起するというプロセスでもこうした機能が活用できるのではないかと考えているところでございます。
 加えて、ホーム画面に戻ってきまして、下の部分に系統表というところもございます。理科を選択して見てみると、このように、現在は学習指導要領の解説で掲載されている理科の系統表がすぐに見られるようなイメージをお示ししています。ここでいうと、理科のエネルギーの領域の小学校の例えば3年生の「風とゴムの力の働き」といった部分がございます。こういった内容の系統がすぐ見られて、具体の指導事項と往還して見ることができる、こうしたことも速やかにできるようにしていきたいと考えています。実際にこうやって押してみると、ここの具体的な学習指導要領の該当部分に飛べるようなイメージ、このようなイメージをお示しさせていただいております。
 加えて、それだけではなくて、これは教科書会社がつくられる指導書のイメージでありますけれども、その指導書にQRコードを貼り付けていただくようなイメージ。指導要領コードをお付けいただくと、そこからスマートフォンや業務用端末で読み取って飛べる、そういったイメージをお示ししています。こうしますと、指導書の中だけにとどまらず、このコードの検索部分を通過して、実際の学習指導要領の該当部分まで行けるというイメージをお示ししています。
 そして、ここにとどまることなく、この該当部分にはコードが貼られていますので、そのコードをコピーする。そして、貼り付けられるようにする。また、右上の関連サイトという部分では、公共性が非常に高い、NHK for Schoolのようなサイトのリンクが例えばあるとする。そうすると、そのリンクに飛ぶということができるとします。なお、この画面は、NHK for Schoolの検索窓からコードで動画を検索することは現在はできないんですけれども、将来NHK for Schoolでコードを通じた検索を行うことができるようにならないかについて現在NHKさんと交渉中でありますので、こういった前提で御覧いただければと思いますが、仮にこういうことがあったとすれば、そこに先ほどコピーしたコードを貼り付ける、そして検索する、そうすると、該当する部分の動画一覧を見られるということになります。今、私、流れで作業したように、指導書の該当部分から学習指導要領の該当部分に飛び、そして、そこからさらに教材の検索まで飛ぶ、こうしたことも開発の仕方によっては可能なのではないかと考えております。
 そして、文書作成ソフトや表計算ソフト、例えばエクセルのようなことが考えられるかもしれませんけれども、そういったファイル形式で、編集できる形で出力するということも可能にしていきたいと考えております。右上にこのようなボタンをつくって、そこを実際に押すと、対応部分がこのようにぱっと表計算ソフトの形式で出てくる。そして、ここからはもう自由にカスタマイズしてお使いいただくことができる。例えばE列とF列を自分でおつくりになって、カスタマイズの例として、指導要領の内容と、学校内のドライブに格納している単元の計画や教材フォルダと紐づけて御自由に使っていただく。あるいは、進捗と振り返り等を先生が御自由に記す。ここでは、何月何日にこういうことをやって、こういう質問があって、次の授業ではこういうふうにしていこうといったことが記載されているわけでございます。こういったイメージをお示ししているというものでございます。
 これが本日の御説明でございまして、最後に、一瞬だけでございますけれども、補足資料として、御説明は時間の関係でいたしませんけれども、研究の参考にいたしました諸外国のデジタル学習指導要領の関係、ここではカナダのブリティッシュコロンビア州とオーストラリアの関係の資料を掲載しておりますので、適宜御覧いただければと考えているところでございます。詳細に御説明できず、恐縮でございます。
 事務局からは以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございました。わくわくしながら御覧になっていた委員の方も多くいらっしゃったのではないかと思います。
 それでは、この議題(1)の意見交換に先立ちまして、あらかじめ何人かの委員の皆様より御発言を私からお願いしたいと存じます。
 まず、第3回教育課程企画特別部会において、デジタル技術を活用した分かりやすい学習指導要領の在り方の観点から御発表いただきました堀田委員から御発言をいただきたいと思います。堀田委員が企画特別部会でお使いになった資料は、本日も参考資料2としてお配りしておりますので、御参照いただければと存じます。それでは、堀田委員、よろしくお願いいたします。
【堀田委員】  東京学芸大学の堀田でございます。
 教育課程企画特別部会で学習指導要領のデジタル化について提案しました。その立場から一言申し上げます。提案の際に私が用いた資料は、先ほど御案内ありました参考資料2でありまして、そのスライド7を今提示いただきました。
 学習指導要領の分かりやすさのためには、人間にとって見やすいという観点と、コンピューターがデータとして扱いやすいという観点があります。人間にとって見やすく使いやすくするということのためには、前回までに議論されたように、表や図で表すなどのほか、何が中核で、何がそうでないかという論理的構造を示したり、ある学習内容と関連する内容がほかの校種やほかの教科、学年のどこに存在するかが分かるようにするなどの工夫が必要となります。そうなると、紙では限界があるので、ウェブサイト等の表現技術を活用したほうが便利になると。これによって、教師以外にも参照されやすくなったり、児童生徒が見ることもできるようになったりするということが想定されます。また、一方、コンピューターがデータとして扱いやすくするという観点では、先ほど栗山室長がデモで見せていただいたとおりですけれども、さらに、ある教科の学習指導要領の全体像を見たい場合とか、ある部分をクローズアップして見たい場合、だから、木を見たい場合と森を見たい場合と言ったらいいでしょうか。これが容易に行き来できるような、よりビジュアルなインターフェースが期待されるところでございます。また、あるキーワードを基に校種や教科を横断して示すような、そういう機能のデモも先ほどありましたが、キーワードだけじゃなくて、類語とか上位概念とかを、あるいは関連用語みたいな形でたどれるなど、そういう機能も搭載することが可能かと思います。どこまで文部科学省が機能を用意するかということは検討の余地がまだありますけれども、文部科学省によって告示された学習指導要領がウェブサイト、ウェブの形で表現された後には、このデータを用いた教師向けの外部サービスというのは十分に想定されます。例えば、デジタル教科書やデジタル教材の間を自由に行き来して教材研究ができるような、そういう教材研究アシスタントみたいなことも可能かもしれませんし、あるいは適したデジタル教材をリコメンドしてくるようなサービスが民間などによって開発されることも想定、期待されるところでございます。いずれにしても、教師にとって学習指導要領がより身近になり、教材研究が限られた時間でも深まりやすい、そういうことが期待されるということを私は考えております。
 私からの意見は以上でございます。
【貞広主査】  堀田委員、ありがとうございました。
 続きまして、本務等の関係で途中退出を御予定の委員の先生を御指名申し上げます。石井委員、お願いいたします。
【石井主査代理】  ありがとうございます。そうしましたら、私、後半、多分参加できないので、このデジタル学習指導要領の話と、その後の総則の構成・記載の在り方は少し軽くということで、お話しさせていただけたらと思います。
 まずは、今回の事務局からの提案、デジタル学習指導要領については、今、貞広先生もおっしゃったように、非常にわくわく感を持ってといいますか、まさにこれは授業づくりDXということなんだろうと。単なるデジタライゼーションとか、そういったものではないんだろうなと思いました。それは何かと申しますと、結局、日常的に授業をつくるときに何を手元に置いて授業をつくっているか、あるいは困ったときに何を見るのかというところですよね。ここが変わっていくことが重要で、ですから、授業づくりの頼り先改革というんですかね。頼る先をどこに持っていくのか、ここがポイントかと。それで、不易を踏まえた授業づくりのニューノーマルの確立といったあたりが1つコンセプトになってくるんじゃないかなと思いました。まさに今回の提案は、学習指導要領という存在のイメージが変わるような提案でありまして、ユーザーインターフェースもよく考えられた提案だと思いました。まず、いじってみたくなる。この辺、重要ですよね。まず、いじると。そこがポイントだと思うんですよね。いじっているうちに何か分かってくるというね。そのときにやっぱり、子供たちもそうですが、市民もということで、そうやって使って、いじっていくということで認知度を広げていくことが大事かなと思います。先生方もそうやってたくさん触れていくことで学習指導要領の理念であるとか内容についての理解をじわじわ深めていくということが重要ですし、さらに、子供もいじってみたくなるということからすれば、共に使うという実践の展開も生まれてくるんじゃないかなと思います。ですから、そういったものが生み出されてくるといいかなと思いました。
 一方で、多機能であれば、あれもこれもということになってしまって、逆に使われないということもあったりしますので、やはりそこのポイントですよね。なので、まさに授業づくりの頼り先改革とか授業づくりのニューノーマルということで申しますと、やはり不易を踏まえたニューノーマルということが大事かなと思います。教科書を教える、こなすではなくて、教科書で教えるというところを、これを改めて再確認すると。教材研究とか単元設計のプロセスのポイントを押さえて、そこをシンプルに追求するということが重要かなと思います。特に、縦で見るということもそうですが、玄人な先生方のそれをたどれるようにしていくということで、教科書単体でも、あるいは学習指導要領単体でも、それぞれではよく分からないけれども、それらを往復しながら教材解釈とか内容理解といったものを深めていけるということが大事だと思いますし、縦の系統性を常に意識するという形でやっていくと、使えば使うほど教科の内容理解が深まっていくと。そういった視点誘導であるとか、あるいは使い方ができるような、そういった教師の成長の機会とか上達といったものを念頭に置いておくことが重要かなと思いました。
 また、学年とか教科を超えてというあたりが、これが、デジタル学習指導要領もそうですし、デジタル教科書のメリットにも多分なってくると思うんですよね。ですから、今回のデジタル学習指導要領の問題は、デジタル教科書をどういうふうに考えるのかということとセットで考えていくべきものだろうと思います。そうしたとき、単に教科書で教える、学ぶというだけではなくて、教科書を資料にして学ぶというダイナミックな展開の可能性というのがその先にあるんだろうということです。手元にいろいろ広げて、社会科とかにしてもそうですけれども、地理と歴史、そういった異なる分野の教科書を往還しながらということもあり得ますし、学年とか教科超えてみたいな展開もあり得ますよね。そういう形で教科書を資料集のごとく使っていくというダイナミックな学びの可能性に気づくような、そういった触発性があるといいかなと思っておるところがありまして、その点で言いますと、まさに学校階梯、学年も超えてとか、あるいは単元とか教科を超えてとか、そういったところも今回実装されているということは非常に重要かなと思いました。いじっていく中で気づくこともありますよね。だから、クロスカリキュラム的展開もあり得るということですね。
 まさにそういった形で様々なリソースへのハブのようなものとしてデジタル学習指導要領が構築され、学習指導要領活用の利便性が高まることで、現状からしますと、そもそも目標・内容のポイントを押さえようとする癖がないとか、教材研究が、素材研究とかもすっ飛ばして、内容研究もないところでネタ研究になっていたり、その際、頼る先がネット上の玉石混交といった状況、これが現状かと思います。それに対して一定の底上げができる可能性はあると思うんです。ここがポイントだと思います。だから、今のちょっとしんどい状況というか、現状というのは、リアルなところからすると、一定の底上げができる可能性はあるんだけれども、しかし、あまりにも利便性が勝ち過ぎると、マニュアル化、パッケージ化が進むというところですね。さらに考えなくなる可能性もあったりするので、ここはやはり一定、教師の単元計画等を練る経験、まさに「練る」という言葉を使われていたと思うんですけれども、練る経験であるとか、あるいはそのための、練るための力量形成の機会の充実、この辺は様々、教育委員会等も含めて、研修の機会の充実が重要かと思います。例えば、現状においても朱書きの教科書、あるいは各自治体のスタンダード、標準指導案、そういったものをそのままということでコピペするだけじゃなくて、なぜこの素材で、なぜこの順序とか展開になっているのかということを、出来上がったものを一遍崩してみるというんですかね。いじってみるみたいな、分解してみるというふうな、それで、そこに埋め込まれている内容理解とか授業方法の定石などを読み解く。あるいは、全国学力・学習状況調査の問題などを分析して、なぜこれで算数の問題、国語の問題と言えるのかなということで、何を試しているのかななんてことを考えますと、これはかなり目標・内容理解には有効だったりするわけですね。だから、そういった意識的に分解してみる機会というんですかね。そういうことをもっともっと研修の中で大事にしていくことが必要かなと思います。
 さらに、究極楽をする場合にはどんな使用方法があるのかということをシミュレーションしつつ、便利でなければ見ない、ほかのものを見ちゃうということもあるわけですけれども、利便性は重要なんですが、しかし、常に全体を俯瞰する画面を経由しなければならないとか、ある種サブリミナル効果じゃないですけれども、力量形成のためのさりげない不便益をどう組み込むかということも大事かなと思います。
 もう一つ言いますと、とことん追求しようとする先生がどこまで、背景理論までたどれるかということも、この辺も大事になってくるかなと思いました。まさに、そういったことで言いますと、デジタル教科書という存在ともセットで、授業準備、教材研究、単元設計とはどんなものかというコンセプトの再確認と、その具体のニューノーマルをどうつくっていくのかということが大事かと思いますし、でも、一方で、フォーマット先行で、各教科等の特性とか中身の議論がおろそかになってはいけませんので、利便性の先に、各教科の内容とか学びの中身がどうかという、押さえどころの重点化がどうなされるのかというふうな、まさに各教科等のワーキングでされている議論というのが非常に重要になってくるかなと思いました。
 すみません、長くなっておりますが、最後にちょっとだけ。総則の構成・記載の在り方に関しましては、これはこの後、資料の御説明があると思うんですけれども、私、事前に読ませていただきまして、基本的に各学校の裁量拡大であるとか教育課程いじりを促す趣旨が明確であると思いました。
 あとは、学びということに関しましては、主体的・対話的で深い学びというのを軸にしながら、その下において、いわゆる主体性、個に応じるというふうな、個別最適な学びに相当するものが位置づけられていると。ある種、主と従というところ、この辺の位置づけといったものも明確であって、項目立ての整理としては妥当だと思いました。
 ただ、この教育課程いじりの部分の分量が大きくなってきますと、全体の分量が多くなると、ちょっとまた具合が悪いかなと。ですから、やはり全体の分量として多くしないということで、いかに全体としてスリム化していくのかということが重要かなと思います。改めて教育課程の基準ということでいいますと、目標、内容あるいは授業時数に係る教育課程レベルの手引きとしての位置づけを充実させるということをまず主として、その上で、どう学ぶかという授業方法とか学習方法レベルというのは既にいろいろ指針がありますから、その記述をあまり膨らませ過ぎないということが妥当ではないかなと思います。どう学ぶかということを書き込み過ぎると、学び方が内容化して、教科書が分厚くなりがちですし、あるいは学習の自己調整などといったものはあまり細かく規定するものではないのではないかなと思います。
 すみません、長くなりました。以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。お忙しい中、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、こうしたデジタル学習指導要領の実現に当たっては、学校現場にとって徹底的に使いやすいものである必要があるという観点から、委員の皆様の中でも、学校現場や教育行政のお立場から御参画いただいている委員の皆様全員からまずコメントを頂戴したいと存じます。順番を申し上げますと、青海委員、内田委員、戸ヶ﨑委員、中村めぐみ委員、前川委員、松原委員、そして山本委員の順番でこちらから御指名申し上げます。なお、本間委員にも御発言をお願いする予定でございましたけれども、本日、本務のため御欠席となってしまいました。事前に意見を頂戴していますので、これについては事務局より後ほど代読をいただきたいと思います。
 それでは、青海委員、お願いいたします。
【青海委員】  おはようございます。現場の教員目線で、感想も含めてお話ししようと思います。私ども公立中学校では、教師が日々追われていることは、頻繁に起こる突発的な生徒指導、保護者対応、学校行事や地域行事の準備、生徒会活動、部活動など、枚挙にいとまがありません。明日の教材研究の時間には際限があります。このような中、デジタル学習指導要領の実現は、僅かな授業準備の時間に教師の余白を生み、教材研究を効率化させ、授業改善が確実に推進されると思います。また、学習指導要領の利便性を根本から解決しようとしたとき、デジタル技術の活用なくしては成し得ないと思います。さらには、これまで学習指導要領の活用に当たり、当該箇所を探して読み込んでラインを引いたり付箋をつけたりという当たり前の作業が刷新され、一層構造化された次期学習指導要領が、短時間で検索されるようになり、「読む」ものから「使う」ものへと認識を転換する魅力も備えています。堀田先生が2月の企画特別部会でも、また本日もお話しされましたことは、実現を願うこと、願っていることばかりです。私どもが中学校現場で普段したいこと、したいけど端折ってしまいがちなことの一部をお話しすると、例えば学習指導要領の本体と該当する箇所の学習指導要領解説を確認すること、具体的に、例えば記述の意味や解釈を整理するなど、これは本体と解説の2冊を見比べています。また、学校種をまたいだ系統性、資質・能力の連続性を確認すること、例えば本時の内容を小学校ではどのように学び、生徒はどのようなことができるようになっているのか、また、高等学校ではこの内容がどのように発展していくのかなど、学習指導要領、その解説、教科書を手に入れて見比べています。他校種のものは基本的に職場にはありませんから、まず購入、検索することになります。さらには、教科書をまたいだ教科の系統性、資質・能力の連続性を確認すること、本時の内容を他教科のどのような単元で、どのように指導され、活用されるのかなど、中学校での他教科の学習指導要領、その解説、教科書を手に入れて見比べています。担当教科の教員に聞いてしまうこともよくやります。そのほか、毎日ではないですけれども、授業公開とか授業研究、指導訪問などで、学習指導要領に記載の学習内容を基に単元や指導計画を作成することや、学習指導要領で確認した内容に関連する外部の資料を確認することなどです。先ほど栗山室長の御説明にあった資料の5ページ「授業づくりの実態」という面白い資料があったんですけれども、これ、まさに私どもの職員室の中を見ているようで笑えました。言うのは簡単ですが、デジタル学習指導要領の実現には費用も労力もかかり、解決するべき課題もたくさんあると思います。様々な可能性が実現できれば、教員にとって日常的に活用できる、ドキドキ、わくわくする学習指導要領になると思います。語彙の検索などもできるとよいと思います。個人的には、授業づくりに教科書の指導書などは不要になると思います。最後に、キーワードでの検索でヒットした内容の抽出、手繰り寄せとか、見える粒の大きさを変えられるようなデジタル表示によって、全体と部分を行き来できるような見せ方、木を見たり森を見たりなど、全体と一部を容易に俯瞰できるなども大変期待したいところです。利便性が驚異的に増すと思います。ぜひとも予算取りを後押ししたいと思います。
 私から以上です。
【内田委員】  御説明ありがとうございました。先ほど貞広主査から御発言いただきましたけれども、今日の御説明を聞いて、また資料を拝見して、非常にわくわくするデジタル学習指導要領だと感じております。様々なところで教科横断であるとか、あるいは教科間連携とか、そういった意図も、非常に前向きに取り組める内容になっておりますし、現行の学習指導要領の紙ベースのものも非常に有効ではあるんですけれども、なかなか探しにくいところがありましたので、これをより活用できる、現場でも様々検索できるようなスタイルにするということは我々教員にとって非常に有用であると考えておりますし、一方で、つくる際に担当される方が非常に御苦労されるような内容ではないかなと思って、非常に頭が下がる思いです。つくり上げるというところはわくわくする部分でもあるので、よりユーザーにとって使いやすい、こうやったからさらに発展性があるのではないかという視点で構築していってほしいなと思います。
 石井先生が先ほど発言されていましたけれども、練る過程というのは教育にとって非常に重要なところだと思っておりまして、分かり過ぎても駄目、分からな過ぎても駄目というところが生徒、それから教員ともにあると思いますので、練る過程、物をつくり上げる過程を大切にしながら、面白い内容を追い求める学習指導要領であってほしいなと思いました。
 NHK for Schoolについての関連性も今回お示しいただいておりましたけれども、全国放送教育連盟、全放連のほうでも、様々な校種を超えた先生方が学習指導要領を基に、放送をどう教育活動に展開していくかという研究もやっております。今回の学習指導要領のデジタル化というのは、こういった教科研修団体や研究団体の活性化にも繋がると思っておりますし、例えば、つくった教材を系統立って整理、そして、そのデジタル学習指導要領に関連づけて収納していく、そして活用する未来も想像されますので、非常に有用だと思っております。
 紙ベースのものの学習指導要領については続くとお聞きしておりますけれども、ここに例えば単元ごとにQRコードをつけることによって、今後つくられていくデジタル学習指導要領との紐づけをしていったりするとよいのではないかなと思います。
 また、生徒、児童に向けてというところもあるかと思いますので、画面の中に、例えば生徒や児童に向けた画面の設定などもしていただくと、各学校でつくられるシラバスとの関連性も出てくるのではないか。また、子供たちにとって、この単元ではどんなことを学ぶかというところを子供たち独自で確認することができるのではないかなと思いました。
 さらには、入試の部分でいきますと、高校入試等においては学習指導要領を教科書とともにしっかり確認しながら作成しておりますけれども、大学入試においてはなかなか、お時間がない関係もあるのかもしれませんけれども、教科書や資料集ベースでの作問が大学の先生によってなされる部分があります。学習指導要領に立ち返ってという部分では、このデジタル化は非常に入試にとっても有用であるなと感じたところであります。
 私からは、こういった点について感想を交えてお話をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 では、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】肯定的な意見がたくさんある中で、違和感を大事にしたほうがいいというような視点から、あえて少し違和感がある部分について、申し上げたいと思います。
 まず、分かりやすく使いやすい学習指導要領の実現に向けた一環として、デジタル学習指導要領についての議論となっていますが、誰にとっての分かりやすさ、使いやすさなのかについて改めて考えていく必要があります。学習指導要領の一層の構造化と、今回のデジタル学習指導要領の開発ともに共通して言えることですが、この学習指導要領のユーザーのボリュームゾーンは、それなりの経験を積んだ教師だろうと思っています。初任者や経験の浅い教師でも理解可能なものを目指すのは決して現実的なことではありません。初任者や経験の浅い教師に向けて分かりやすく説明して理解してもらうという役割は、国ではなく、教育委員会や教員養成課程を持つ大学が担うべき役割なのではないかと私は思っています。経験を積んだ教師や学校の中核を担っている教師にこそ分かりやすく、深みがあるものにしていってほしいと思っています。
 それから、このスライド1に関わるもので、教育課程編成に関わる基礎的な資料が例示されていますが、これ以外にも国研の学習評価の参考資料や各教育委員会および自治体の教育センターが作成する指導資料や評価資料、その他民間の教材等、様々あることをぜひ意識したいと思います。
 また、この学習指導要領のデジタル化とコードを使った教材等の紐づけは大変重要なことで賛同しますが、例示されているNHK for Schoolなど、デジタル学習指導要領と関連づけられているものだけの参照という閉鎖的な見方になることを危惧しています。
 さらに、この学習指導要領と一体的に確認できる解説も、法的拘束力を持っているかのように捉えられることも非常に心配しているところであります。
言うまでもなく、教育課程の編成に当たっては、学校現場の多様な創意工夫を生かすことが重要です。僭越ながら申し上げますと、国の中心的な役割は、教育課程の基準を分かりやすく示すことであるという基本的な考え方に立っていただいて、厳しく申し上げますと、過度な口出しによって硬直的な理解や運用を生まないように留意していただきたいと思っています。
 また、活用のシーンを具体的に示していただき、デジタル学習指導要領によって何が具体的にできるようになるか明確にイメージされたことは本当によいことだと思います。これを機にして、こういうこともできたらよいのではないかというアイデアが教育委員会や学校現場からどんどん生まれることを期待してやみません。教科等横断的な教育課程編成に当たってこのデジタル学習指導要領がどのように使えるのかということについては、特に学校現場として期待値が高いと思いますので、開発にあたって意識していくとともに、その使い方を積極的に発信していく必要があると思っています。
 また、教育委員会の立場から申し上げますと、指導主事がどう使うのか、また教員研修でどう活用するかというような、学校以外でのユースケースもあり得ると思っています。実際の開発にあたっては、ぜひ学校現場だけではなく、教育委員会からも広く意見を聞いていっていただければと思っています。
 次に、今回、表形式をそのままデジタル化したイメージをお示ししていただいておりますが、項目ごとに細かく区切られていると、逆に、まとめてコピー・アンド・ペーストすることが難しいという課題もあります。教師がカスタマイズしていくときには、コピペのしやすさは極めて大事であって、テキストだけがひたすら並んでいるほうが使いやすい場面もありますので、ぜひ検討材料として今後考えていただければと思っています。
 これで最後になりますけれども、これまで私は、学習指導要領が授業づくりにあまり使われなかった理由を丁寧に分析すべきであると度々申し上げてきましたが、今回、学習指導要領の利便性という観点から課題を直視して、デジタル学習指導要領という形でその課題を解決する一端を示していただいたことは大変高く評価させていただきたいと思います。
このデジタル学習指導要領は、単に学習指導要領を見てくれるようになるという成果だけではなくて、教師の教育的タクトの感度を上げる役割を果たしてほしいと思っています。具体的に申し上げますと、ビッグアイデアにあたる、高次の資質・能力がより見やすくなることで、それを軸にして統合的に学んでいけるような授業展開というものを教師が意識しやすくなることをぜひ私は期待したいと思っています。これまで複数でばらばらにやっていたものを統合的にしっかり見ていくことによって、全く違った新たな学習活動が生まれ、新しい教材の創意工夫ができ、わくわく感に繋がっていく、そのような授業づくりの起点となるように開発を進めていただきたいと思っています。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 では、中村めぐみ委員、お願いいたします。
【中村めぐみ委員】  つくば市立みどりの学園義務教育学校教頭の中村でございます。現場の立場から少し感想を述べさせていただきます。
 今回の学習指導要領のデジタル化の提案を拝見させていただき、自分自身も推進委員として関わってきましたデジタル教科書の協議の内容のことを少し想起したところです。デジタルの機能によって学習指導要領そのものが教員にとって日常的に使える、今までは読むものだったんですが、それが使えるものになっていくなという可能性を強く感じたところです。これまでの紙の状態でしたら、この「遠い存在」という言葉、何が遠いかというと、私どもからすると、研究授業のときにしか見ない、もしくは計画訪問のときの指導のときにしか使わないというような、お恥ずかしながら、年に5本の指に入るかどうかの活用時であったものが、今回のデジタル化によって授業設計とか評価のプロセスの中に自然に入っていって、現場の教員が日常的に参照したり、ちょっとの隙間で参照したり、使ってみようとしたり、とにかく考えることを促す内容になっていくんだなというのがすごく大きな意義だと感じております。
 それから、また、今求められている探究的な学びの実現においても、系統性や構造性が整理されるということは、すごく視覚的に気づきを与えるものとして大きな後押しになるなと考えているところです。
 3点あるんですけれども、2つ目です。教科横断的な視点からだと、私が所属している保健体育のワーキンググループが先日行われたんですが、その保健体育のワーキングの中でこんな発言があったんです。中学校段階の専門性が高い、体育は非常に専門性が高いんですけれども、教科内の深化には取り組みやすい一方、実は他教科との関連に意識が向きにくいということが委員の発言からも出てまいりました。今回、このことが各教科においても課題視されているということは、この総則・評価特別部会で提案された系統性、横の繋がりということを可視化して、そしてそれを視点として与えるということは、教員の資質・能力の向上にも繋がるといったことを感じたところです。
 さらに、今、戸ヶ﨑委員からもありましたように、教員養成、教員の資質・能力向上といった部分においては、全ての教員、どういったタイプまたは経験年数の教員においても活用の仕方としては有効であるんじゃないかなと感じるところです。つまり、経験年数の浅い教員は使うプロセス、最初に何を見て、次にどこの部分を参照しようとしてというような思考の流れがある。また、探究をやりたいという熟年、熟達した教員の見方、指導要領をどういう順番で見ていくのかというのは多分違いがあるんだと思うんですけれども、それを包括して使えるような内容になっている。先生が自分の考えを深めるツールになるかなと感じているところです。
 今後お願いしたいなと、少しこれは希望的なところで感じたところなんですけれども、まず最初に、ビジュアライズされた概念マップみたいなものがあると、私たちみたく、テキストをじっくり読まないような時間の使い方をしている人間からすると、ありがたいなと。そこからリンクをどう掘り下げていくのか、解説だったり詳細だったりに深掘りされていくのかというのがあると、すごくありがたいなと思うこと。
 それから、先ほど、いろいろなリンクが貼られる中には、生成AI、私も活用しているんですが、ガイドラインだったり、または私たちも使っている著作権について、また、文科省のほうから出されていたりするような、ガイドラインだけでなくて、評価のいろいろな資料といったものもリンクされるとありがたいなと思うこと。
 あとは、デジタルノートとの連携をしていけばいいと思うんですけれども、今後、先生方が検索するログなんかが残っていくと、データ利活用の部分では学習指導要領においてどこの部分が検索されていて、どこがすごく少ないのかといった部分を見ていくと、もしかすると今後、柔軟な教育課程の編成において、どの教科のどの単元は割と時間数を短くしても大丈夫と考えているのかとか、そういったものも見えてくるのかなと感じたところです。
 最後となりますが、もし私が考えるとしたら、この活用事例集みたいなものをユーチューブで、例えば新採の先生だったらこんなふうに使っているよという好事例、あとは、探究だと、こんなふうにクリックして、こういうふうに流れていくと探究の授業がつくれるよみたいな事例集なんかもつくってみたり、ユーチューブ、公式チャンネルで載せてもらえるとうれしいなと思っているところです。
 感想となりました。以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 では、前川委員、お願いいたします。
【前川委員】  よろしくお願いします。今回のデジタル学習指導要領、特にウェブで提供されるということについては、熱心に授業づくりをしておられる先生、指導と評価の一体化について熱心に取り組んでおられる先生、こういった方たちへの大きな後押しになると思います。授業づくりのために必要な3つの要素として、学習指導要領、そして解説、もう一つ、先ほど戸ヶ﨑委員からもありましたが、指導と評価の一体化のための学習評価に関する資料、こういったものが一つのデジタル画面で見られるようになると、すごく役立つかなと思っています。また、教科間の横の繋がりと学年間の系統性という縦の繋がりを見ることが多いため、特に小学校では、どの学年に戻ればよいのかとか、一覧になっていて、クリックすれば、その学年の内容が見られるようになっていると、系統的、横断的な学習活動が展開できるのではないかなと思います。
 また、使用する教科用図書や指導書を選択すれば、先ほど申し上げた3点セットと関連づけて見ることができるようなカスタマイズもあれば非常に理想的かなという声もあります。小学校の場合、いかに指導するかということは、先生方がかなりよく考えてくれていると思うんです。ところが、評価の際に、教材会社が販売しています単元テストを活用することも多いです。そうすると、いかに指導するかじゃなくて、いかに評価するかという点では課題もあると思っています。したがって、先ほど申し上げました、学習評価に関する参考資料が加えて表示できるような仕組みになっていますと、指導と評価の一体化に繋がるのではないかなと思います。小学校では1人の担任の先生が全教科を担当するわけですから、学習指導要領に加えて、全教科の解説を本来は必要とします。さらに、教科間の横断の繋がりと学年間の系統性という縦の繋がりを見ようとすると、結果的には小学校の先生も中学校の学習指導要領が必要になります。紙であれば相当な量になりますが、デジタル化することで、様々な情報を関連づけてスムーズに把握することにも繋がり、これは働き方改革という点でも大きな進歩になるのではないかなと思います。
 次に、中学校と高校ですけれども、小学校とは違って教科担当が決まっているために、担当する教科の学習指導要領のみを見てしまうことが多いのが現状だと思います。次期学習指導要領に向けた検討の基盤となる3つの考え方を着実に実行していくためには、授業を教える側、教員のメタ認知、すなわち、教員が全体のどの部分を担っているのかを認識した上で教育活動を展開することが必要です。例えば、高校の理科を教える場合に、数学の既習事項がどうなっているのか、今この理科で扱う数学的要素は既に子供たちはどこまで習っているのか、学習しているのかということを当然のように知る必要があります。こういったことを調べる上でも、デジタル化されるということは非常にありがたいと思います。子供たちの学びにとって、各教科の学びは全体の学びの一部分であるということを認識して、全体として目指しているものを認識し、その上で、授業であれば、担当している教科として求められている役割を担っていくという認識を持つことが重要だと思います。
 資料にお示しいただいた方策はまさに利便性の向上に資するものだと思いますし、学習指導要領のデジタル化はその点からも非常に有効だと思います。ただ一方で、先ほど戸ヶ﨑委員も危惧をされていたようなことなんですけれども、欲しい情報にダイレクトにアクセスできるということは、学習指導要領の断片的あるいは硬直的な理解に繋がりかねないという危険性もあります。タブレットが普及したことによって随分利便性は高まりましたけれども、授業づくりにどこまで役立っているのか、活用されているのかということを見ると、利便性が高まることと、それから、教員の研修意欲というんですか、深めていく、そこの兼ね合いというのは非常に難しいものがあります。当然のことながら、学習指導要領側に問題があるわけではなくて、教員の取り組み方の問題ではあるんですけれども、その点はデジタル化をするときに念頭に入れておく必要はあろうかと思います。先ほど石井委員からありましたように、使えば使うほど教師の成長に繋がるような学習指導要領デジタル化というのは非常に大事な視点かなと思います。そういった観点から、学習指導要領の重層的な理解を促すためには、例えば総則との関連や各教科の指導内容だけではなくて、教科ごとの特徴や見方を感じることができる、つまり単眼にならないような仕掛け、工夫が必要だと思います。学びをデザインする高度専門職と言えるためのメタ的な認知を持ち合わせるような仕掛け、これが重要になってくるんだろうと思います。教員の意識改革が最も必要なわけですけれども、授業づくり、よい授業をつくるためのデジタル活用であって、デジタル依存にならないということは非常に重要なことで、そういう考え方からすると、デジタル化の作成段階で都道府県や市町村の総合教育センター、指導主事、教科研究会などの意見を求める、言わば現場あるいは現場に近い方たちとの往還をしっかりやっていくということをぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 次に、松原委員、お願いいたします。
【松原委員】  全国連合小学校長会の松原でございます。ここまで御説明、御発表いただいている内容と重なりもあるかと思いますが、私も教員に戻ったつもりで、どのようなものを期待するのかを考えてみましたので、大きく4点発言させていただきます。
 まず第1ですけれども、利便性を追求する上で、まず、誰が、どのような状況で、どのように利用するかを具体的に想定し、それに対応できる柔軟な設計が必要だと考えました。利用者については、これは教員には限りませんけれども、学習指導要領の理解度別に、必要な情報の探し方がまだよく分からないような初心者、特定の情報をレファレンス的に検索したい中堅、キーワード検索など最短手順で必要な情報にアクセスしたいベテランなどが想定されます。利用方法としては、スマートフォン、タブレット、パソコンなどが考えられますが、画面サイズの多様性を考慮する必要があります。図表のようなものがどうしても固定レイアウトになると思いますが、小さい画面でもある程度の視認性が確保されていると使い勝手がよくなります。また、目次やキーワード検索から特定のページを参照するレファレンス的な利用が主となるとは思いますけれども、読書のように、ある程度まとまった内容を端から読む通読的な利用も考えられます。これら全てのパターンに最初から対応するのはもちろん困難ですけれども、段階的につくり込んでいけるような柔軟な設計にしておくことが望まれます。
 第2に、紙では実現できないデジタルの特性を生かした機能により、利便性と理解度の向上を追求できればと思います。カラーで表示するというのは当然ですけれども、多様な検索機能、特に類義語であるとか曖昧検索などが有用かと思います。そうした基本機能の強化に加え、内容理解を向上させるために図表や関連資料、重要語句の解説等へのリンクまたはポップアップ表示、必要に応じて要約やダイジェスト表示などの機能も考えられます。検索機能については、御説明の中にもありましたが、教科や学校種を超えて容易に検索、参照できるようになることで、カリキュラム・マネジメントや学校段階間の連携・接続にもより活用しやすくなります。さらに、ホーム画面ですけれども、単なる表紙ということではなくて、ポータルサイトのような機能を持たせ、関連する情報や外部サイトへのアクセスなどを用意するということも提案されていましたけれども、それ以外に、例えば月ごとに表示を変えて、例えば総則のパートごとにコラムのようにして表示させることで継続的なアクセスを促すようなことも可能かなと考えました。親しみやすいデザインを工夫することでもぜひ検討いただければと思います。
 第3に、個人の利用履歴やニーズを反映させるパーソナライズの機能を導入することで利便性を高めることも考えられます。この場合、個人のIDでのアクセスを検討する必要があるかもしれません。例えば一度参照した箇所へのマーキング機能や自分のメモを追記できる機能、これは今まで紙でやっていたわけですけれども、そういったニーズも継続してあるのかなと思われます。また、利用者がアクセスしている情報に基づいて、関連した内容を提案し、新たな気づきや学びを促す仕組みなども考えられます。例えば、小学校の算数を見ているときに、関連する中学校数学のリンクが表示されたり、全国学力・学習状況調査の問題や結果が表示される、そのようなイメージになります。フィルターバブルのようになってはいけないと思いますけれども、求めている情報以外の周辺情報にもアクセスできる工夫があるといいのかなと思いました。
 最後に、想定した利用者の理解度に応じた使い方を少しまとめたいと思います。ベテランの利用者には、最短でのアクセスと情報の見やすさ、再利用のしやすさを確保することが求められます。それに加えて、多様な検索機能により、紙では気づきにくい関連情報であるとか、セレンディピティーというのか、思いもよらない発見ができるような仕組みを用意し、新たな視点を得られるようにしたいと考えます。また、初心者の利用には、必要な情報をどのように探せばよいか分からない場合でも、ガイド機能を持たせ、目次をたどったり、系統表からアクセスをしたり、時には通読したりすることで確実に活用できる動線を整備する必要があります。今回はウェブ上で提供されるデジタルの学習指導要領を想定していますけれども、これ以外にも、電子書籍あるいはPDFでの提供、従来の冊子、紙での提供、さらには、利用者が自由に編集したりAI等で加工したりできる生データのような提供も考えられます。また、自治体ごとに一部カスタマイズしたいというようなニーズも想定されるかと思います。最初から高度なものを実現することは難しいと思いますけれども、どんなにユーザーインターフェースを工夫しても、利用者の側にも少し慣れのようなものが必要になるかもしれません。また、先ほど、外部と連携して活用してもらうというような話もございました。ぜひ、多様な活用ができる、発展性のある、柔軟な設計をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 では、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】  よろしくお願いします。まずは、これだけの短い時間の中で、デジタル学習指導要領のイメージまで含めて御提案いただいたことはすごく事務局に対して、本当にいい御提案をいただいたなとつくづく思っているところです。特に、今まで学習指導要領の中で、やらなければいけなかったけど、できなかったこととして、学校種をまたいだ検索であるとか、また教科をまたいだ検索、特に小学校などは、自分の得意な教科ではなくて、全ての教科を比べたり、また共通点を見つけたり、そういったことが必要だったわけですけれども、なかなかそれが可能にならなかったというところについて、こういった技術を使えばそういったことが、今度は比較とか統合とかが可能になるといった面で、非常に意味があると思います。さらに、キーワード検索ということも考えていただいている中では、特に若い先生たちにとっては、このキーワードで検索できるということは使いやすさにも繋がっていくと思っているところです。
 そういう中で、私からも利便性について3点ほどお話しできればと思っているんですが、まず1つは、もう皆さんも言っていますけれども、これは今回、学習指導要領の改訂でつくって終わりではなくて、常にアップデートしていけるようなもの、または更新されることが前提となっているようなものにしていただきたいと思っています。特に、これから先、事例なんかとも連携ということも考えられますけれども、例えば学習指導要領がこれから進んでいく中で、「先取り研究校」などでどのような実践がされたのかということの事例との連携であるとか、特に私がぜひ知りたいなと今まで思っていたのは、他地域が同じ単元、同じねらいの中でどういう実践をしているのかという、地域ごとの比較ということが、できるようでなかなかできませんでした。地域ごとの比較をすることで自分の地域の特色が見えてくるということもあるかと思います。さらに、これからAIがすごい勢いで進んできたときに、AIによる検索というのがどこまで可能になるのかということなんかも考えたときには、ぜひ、今いろいろな検索エンジンが実装されようとしていますけれども、これから先、技術の進化によって更新されていくということを念頭に置いていただければと思います。
2点目は、ユーザーニーズに応じるというところでは、特に今、20代、30代の若い先生たちが学校の半分ぐらいを占めていくような中で、先ほども話にありましたけれども、まず手元に置いて、まずは使ってみる。学習指導要領がまず手元の近くにあって使われるということが大事なところだと考えます。使いやすさということもありますが、どこでも使える、または、いつも手元にあって、自分たちでどんどん検索している中でその理解が進んでいくということもあると考えています。さらには、堀田先生のほうからオーストラリアとかほかの国の学習指導要領の例も示されましたけれども、例えば色であるとかデザインであるとか、または写真であるとか動画であるとか、若い先生たちの興味・関心を喚起するような、そういったユーザーに応じた工夫というのも大切です。今まで紙の学習指導要領は白黒の印刷しかできなかったわけですけれども、そういったことも今後は可能になってくるのかなとも考えています。
 3点目は、意外とこの学習指導要領の中にはねらいとか、また学びの進め方とか具体的になっているのですけれども、実際に評価する段階になったときには、なかなか評価のテストというか、評価資料というものと関連づけがされていないような状況があると思っています。例えば全国学力・学習状況調査は学習指導要領のどこのねらいのどの内容なのか、示していくことが大切です。テストの問題というのは結局、その学び方の裏返しであり、どういう思考・判断の力をどういう視点で見取るのかという、実際の授業の裏返しになっている部分もあると思います。このように、学力・学習状況調査と学習指導要領の関連が見えることも大事かなと思っています。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 一通り現場や行政のお立場から御発言いただきましたけれども、本間委員から、あらかじめ申し上げましたとおり、資料を御提出いただいていますので、こちらについては事務局から代読をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  本間委員の御意見を代読させていただきます。
 デジタル技術を活用した学習指導要領の抜本的改善については、単元主義に向けた構想の題材、教科や学年を超えた横・縦の系統性の明確化、指導用図書や外部教材へのアクセスなど、学習指導要領を授業づくりに繋げる転換に大きな期待を寄せています。現行の学習指導要領が知識の体系から資質・能力の体系へと転換されたことはとても意義があったと思います。その反面、学習指導要領が複雑化し、現場の教師が、教育課程の改訂作業の時期を除けば、学習指導要領をほぼ手に取らないのが現状です。つまり、学習指導要領が学びの設計図として全国の学びの基準にはなっているが、現場における授業づくりの活用書にはなっていなかったことは否めません。そういった意味で、今回の提案が学習指導要領と学校の授業を繋ぐことに軸を置いている点に、現場にいる立場として感謝を申し上げます。単元ごとにどのような本質的な問い立てをするのか、あるいは5教科や学年を超えた教科の内容をどういった構造で関連付けるのか、各教科の見方・考え方という教科の本質を社会を生き抜く力とどのように結び付けるのか、こうしたことは次期学習指導要領の大切な軸だと思います。しかし、教科書や指導書に沿って授業を進めることにこだわってきた教師にとっては、その軸の見通しが立ちにくいのです。こうした課題についても提起をしていただいていることに感謝するとともに、学習指導要領の活用が、先生方にとって一番の負担である授業準備の軽減にも繋がっていくといいなと思っています。
 1人1台端末によって、子供たちは学び方を自分の意思で選択しています。学校が学び方を一元的に子供に指示する役割は終わりました。紙ベースにこだわる現場の声も一部あるように聞いておりますが、現場の先生方はデジタル化の進展をしっかり受容しています。コロナをきっかけとした学びの変革を元に戻すことなく、これからの流動的な社会を生き抜く子供たちに必要な力を育てるために、学習指導要領のデジタル化が20年後、30年後の子供の未来を支えるものであってほしいと願っています。
 以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございました。
 それでは、その他御意見や御質問のある方々にぜひ御発言をいただきたいのですけれども、議題(1)、事務局より11時10分までという指令を受けております。時間を考えますと、お二方か3人ぐらいの委員の方に御発言いただけるかなと思います。さらにという方におかれましては、議題(2)のときの御発言と併せて御発言いただくか、後日事務局のほうに御意見をお寄せいただければ、議事録に御反映いただけるということでございます。こう言うと、なかなか手を挙げにくいんですけれども、いかがでしょうか。
 では、秋田委員、どうぞ。
【秋田委員】  ありがとうございます。学習院大学の秋田です。
 学習指導要領というものが行政のものから教師や学校に手渡される瞬間が今これから生まれていくのではないか、学習指導要領の気づきと、それから一層の理解を深めるように機能し得るのではないかと本日のお話を伺いながら聞いておりました。まさに貞広委員がわくわくと言われた、わくわくは心のエンジンと言われますので、これが学びのエンジンになればいいなと思っております。ただ一方で、まず全体像を教員養成のほうで、教職課程等できちんと学生に伝えていくということも併せて重要になっていくのではないだろうか。それがベーシックになって、よりよく使う使い方を学んでいく。これは繋がりを学ぶためのものなんだという、欲しいキーワードを入れて、ちょっと見て、必要なときだけ便利で使うというような利便性というよりも、学習指導要領を、最初に石井委員がサブリミナルにと言われたんですけれども、やはり系統表とかがさっと出るとか、見るためにはそういう全体像も分かるようにするとか、繋がりを明確に理解するためのものなのであって、便利になるということが、単純な検索の機能が容易になるだけではないというところが、私は能動的に関わるために極めて重要だろうと思っています。その意味で、戸ヶ﨑委員が学習指導要領と学習指導要領解説の関係を話されましたが、デジタル学習指導要領におきましては、必須のものが構造化し、そして系統表から単元でデザインをし、そして、このいいところは、評価規準までが方向として見えるというようなことで、指導と評価の一体化にも繋がるんだというような強い構造化へのメッセージと併せて出されていくということが大事だと思います。便利というところや分かりやすいということは重要ではありますが、私たちが何のためにこのデジタル化をするのかというところをきちんとしていくことが大事ではないかと思います。それによって私は、ベテランの教師がちょっと検索という話が幾つかありましたが、私はベテランの教師にも新たにこれによって系統性を、これまでの知識だけではなく、きちんと気づいていただけるような形というのが必要ではないかと思うところです。
 また、2点目として、NHK for Schoolなど、先ほども公益性の高いものにと出ておりましたが、私はやはり文部科学省として担当するところでは、関連サイトには一定の基準を明確にしていただいて、文部科学省が出すものと、それから関連で自治体とか、それから外部サイトが担うべき役割というものは明確に分けて考え、どうしてもICT絡みのことというのはサービスとしていろいろな企業が関連してきますが、その中でやはりバランスとか公益性ということを考えていただきたいというのが2点目でございます。
 そして、3点目ですけれども、校種間の連携・接続がここでは大変大きなことになっています。今ここでは小・中・高が議論されていますけれども、幼児期からの幼・小・中・高ということをこれまで論点の中でも言ってまいっておりますので、幼児期に関しては3要領・指針というものがございまして、文科省管轄の幼稚園教育要領だけではございません。全ての子供が義務教育に上がっていきますので、保育所やこども園の人たちもまた見ることができるようにする。そして、子供たちもまた学習指導要領を自分の学習の手引として使えるような形になる。そして、大事なことは、教師が自律的に使える、表形式で取り出せるというような御説明がありましたが、それを自律的に、個人の教師だけではなくて、学校が学校研究としてさらに教育課程を開発していくときに使えるようになるといいなというふうに伺っていて思った次第であります。
 また、ぜひバリアフリー、ユニバーサルデザインにも配慮して、可能であれば読み上げ等も、必要に応じて誰もが読める、アクセスできるというようにしていただけたらと思う次第です。
 以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 もうお一方御発言いただけますが、では、中村豊委員、どうぞ。こちらで発言切らせていただきます。お願いいたします。
【中村豊委員】  では、お時間もないので、2点、ちょっと意見というか、感想を述べさせていただきます。
 聞き漏らしがあったかもしれませんけど、教科横断的と教科等横断的という言葉のところで、「等」という1文字が入りますと、教科外である特別活動とか総合的な学習の時間とかも含まれてくるわけですけれども、今回、教科の検索機能のところでお話があったときに、教科等の教科外のところが全く触れられていなかったので、その辺が今後どうなっていくのかなということで、ちょっと疑問というか、意見を持ちました。
 もう一点が、現行の学習指導要領で第4のところに、生徒の発達の支援ということで、さきに出ました生徒指導提要の中で、発達支持的生徒指導の考え方の中で、特に学習指導との関連づけというところがかなり大きな意味を持っていると考えています。生徒指導提要の具体的な中身で見ていきますと、発達支持的生徒指導の例示としまして、例えば、いじめの部分につきましては、人権教育とか市民性教育、または自殺のところでは「命の教育」とか、いわゆる〇〇教育と言われるものがいろいろと盛り込まれているんですけれども、その辺についても、既に生徒指導提要のほうはデジタルテキストでやっていますから、学習指導要領のこの部分が例えば関連してきますよとか、そういう何か、双方がデジタルの特性を生かして繋がっていくという可能性もあるのかなということを考えました。
 では、限られた時間ですので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
【貞広主査】  ありがとうございました。
 今、御質問も含めた御意見をいただいたかと思いますので、もし事務局、応答があれば、お願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  中村委員、ありがとうございます。今、教科以外の領域の点についてお尋ね、御意見を賜ったかと思います。今回のイメージにおきましては、教科のことについて、例として挙げさせていただきましたけれども、当然、今回、構造化・表形式化の中では、特別活動をはじめとする領域についても検討されていくことになっていくわけでございます。そもそも表形式化をどうしていくかということ自体も検討が並行して進んでおりますので、そうした検討とともに、デジタルの中でどのように表示していくかということについて、もちろん教科だけではなく、教科等横断的な取組がしやすくなるように、しっかりと検討を深めていきたいと思っております。御指摘ありがとうございました。
【貞広主査】  中村委員、そして事務局、ありがとうございました。
 それでは、11時15分まで休憩とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
( 休  憩 )
【貞広主査】  それでは、議事を再開させていただきます。
 議題(2)の検討事項につきまして、まず事務局より御説明をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  失礼します。
それでは、総則の構成・記載の在り方について御説明をさせていただきます。
 総則の構成・記載の在り方、今回、次回以降はさらにこの具体について検討していく前提として、総則の構成について御議論いただくわけでございますけれども、まず現行の学習指導要領における総則の構成の考え方についてでございます。前回の改訂におきましては、学習指導要領改訂の趣旨を踏まえた教育課程編成・実施が行われるように、教育課程の編成の手順に沿って要点を示す形で構成の大幅な見直しを行ったところでございます。具体的には、総則は従前、各教科等の指導に共通する留意事項や授業時間の取扱いを示すことにとどまっておりましたけれども、それを改めまして、マル1、何ができるようになるか、マル2、何を学ぶか、マル3、どのように学ぶか、マル4、子供一人一人の発達をどのように支援するか、マル5、何が身についたか、マル6、実施するために何が必要かの6点に沿った章立てとすることで、各学校における教育課程編成の手順を追って分かりやすく示すことといたしました。各学校における教育課程編成の手順に沿った現在の総則の示し方は、カリキュラム・マネジメントの基盤としても重要であると考えておりまして、このことについては基本的には引き続き踏襲すべきではないかと考えております。
 一方で、論点整理を踏まえた構成の在り方についてでございますけれども、総則の各項目の記載内容の改善につきましては、本部会第1回の資料1に示しました「総則・評価特別部会における検討事項・論点」を踏まえつつ今後順次検討していくことになりますけれども、その中でも特に、「多様な子供達を包摂する柔軟な教育課程」の在り方に関しては、各学校における教育課程の編成・実施の根幹に関わる部分でもあり、総則の構成の水準で見直す必要があるのではないかと考えております。具体的には、今後、論点整理を踏まえ、いずれの学校であっても多様な個性・特性を有する子供たちを包摂する教育課程を編成・実施できるよう、調整授業時数制度や、高校における単位制の弾力化など、学校が柔軟な教育課程を編成できる仕組みの具体化、不登校児童生徒や、特異な才能を有する児童生徒など、子供に応じた特別の教育課程を編成できる仕組みの具体化、デジタル学習基盤の位置付け、多様な子供たちにとって学びやすい学習環境の構築、学習の自己調整など学習者主語の視点も踏まえた「個に応じた指導」の記述の充実など、多様な子供たちがいることを前提とした学習指導に係る総則の記述の充実などを検討していくことになりますが、こうした前提を踏まえますと、現在の総則の構成には以下の改善を要する点があると考えております。まず、課題1、「第1 小(中)学校教育の基本と教育課程の役割」では多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程編成の必要性を位置付けるとともに、「第2 教育課程の編成」では、調整授業時数制度等を活用した創意工夫を生かした柔軟な教育課程について項目立てが必要ではないか。課題2、学習の自己調整など、多様な子供たちがいることを前提とした学習指導に係る記述が「第3 教育課程の実施と学習評価」に散在しているほか、「第4 児童の発達の支援」における個に応じた指導の充実と分かれており、一体的なものとして理解しにくいのではないか。課題3、「児童の発達の支援」のうち、「特別な配慮を必要とする児童への指導」が、教育課程の編成や実施と別の項目立てとなっていることによって、「一部の子供たちに対する特別のサポートを行うもの」という認識が生まれやすく、学校が編成する共通の教育課程(1階部分)と特別な配慮を要する子供たちを対象とした特別の教育課程(2階部分)を併せて、多様な子供たちを包摂する教育課程の編成・実施をしていくという認識を日常的なものにしていく上では課題があるのではないかと考えています。こうした課題を踏まえて、補足イメージ、以下御説明するとおり、総則の構成の見直しを検討していくことについてどのように考えるかという議論でございます。また、前半も御指摘ございましたけれども、併せて、一文が長く読みにくい、修飾語が多く趣旨が分かりにくいものについては可能な限り記述の見直しを図り、複数か所で重複している記述は精選を図る、小見出しをつけて内容を構造的に把握しやすくするといったことを通じ、全体として総則を理解しやすくスリムにしていくという工夫もしていくべきではないかと考えているところでございます。
 こちらが補足イメージでございます。これは小中学校の例でございますけど、先ほど御説明した課題1、2、3を具体的に当てはめております。
 まず課題1、柔軟な教育課程の位置付けに係る課題ですが、第1の3ポツの資質・能力の後に、例えば「児童生徒を包摂する教育課程の編成・実施」といった項目を設けて、柔軟な教育課程の編成・実施の必要性を位置付けることとしてはどうか。その上で、第2の教育課程の編成の3ポツのところで、現在、内容、授業時数、指導計画で構成されていますけれども、今回、調整授業時数制度を創設して、授業時数に関連する記載については充実することになることを踏まえまして、3ポツを例えば「内容・指導計画に関する共通事項」として、授業時数の部分を新たに4ポツとして「授業時数に関する共通的事項」の項目を設け、調整授業時数制度等の運用の具体を含めて、授業時数全体について記載するといったような構成上の工夫が必要かと考えています。また、これによって、具体的に何を柔軟に取り扱うことができて、何が逆にできないのかといった、それが分かりにくいという学校現場のお声にも応えることに繋がるのではないかと考えております。
 また、課題2、学習の自己調整等の位置付けに係る課題ですが、御覧いただけるように、現在は第3の1ポツの(4)や(6)、あるいは第4の発達の支援の1ポツの(4)といった形で、幾つか複数の場所に記載がまたがっておりますけれども、児童生徒の学習の自己調整に係るものや、教師の個に応じた指導に係るもの、これを第3に何らかの形でまとめて、例えば「児童(生徒)が主体的に学ぶことができる学習環境の構築」といった項目を設けて記載をまとめていくといったことについてどのように考えるか。なお、個別最適な学びについても、この部分に関わって整理を含めて考えていくということだと考えております。
 また、課題3でありますけれども、多様な子供たちを包摂する教育課程の編成・実施を日常にするための課題。現在、第4の発達の支援のところで、特別な配慮を必要とする児童生徒への指導について、今後子供一人一人に応じた教育課程の編成を新設・拡充する方向で議論していただいておりますけれども、これらが特別なことではなく日常の教育課程の編成として意識されていきますように、第2に内容を移行して項目を設け、1階・2階を一体的に捉えることができるようにしていくという記載上の工夫、こういったことが必要ではないかと考えております。これをどのように考えるかといったことでございます。
 こちら、高等学校のほうでございますけれども、考え方は基本的に同様でございます。
 まず、左側、課題1でございますけれども、第1に柔軟な教育課程編成・実施の必要性を位置付けてはどうか。また、第2の教育課程の編成における共通的事項についても、「内容・指導計画等」に関するものと、「単位・授業時数等」に関するものを項目を分けて示してはどうかと考えております。
 また、課題2にも同様な状況がございますので、第3にまとめて、項目を新たに設けていくということについてどのように考えていくかということを考えております。
 また、課題3も同様でございますが、「特別な配慮を必要とする生徒への指導」、これについては第2のほうで取り込んでいくということを考えているところでございます。義務教育と考え方自体は同様であるということでございます。
 最後に、記載のスリム化や工夫について、先ほど申し上げました、例えば小学校の例でございますけれども、あくまで部分的な例でございますけれども、児童の発達の支援であれば、1の(4)の部分、かなり、一文で全体が記述されておりまして、最後、「その際」だけは切れておりますけれども、一文が長く、なかなか読みにくいといった側面もあろうかと思います。また、この(1)、(2)、(3)、(4)、全体について各項目に小見出しがなく、見たい内容を探すのに少し手間がかかりますので、また、全体の構造も少し把握しにくい側面があろうかと思います。こうした点についても工夫を凝らしまして、全体として総則についてもスリム化していけるように工夫をしていきたいと考えているところでございます。
 事務局からは以上でございます。
【貞広主査】  御説明いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、意見交換の時間としたいと思いますけれども、こちらの議題(2)につきましても、本日御欠席の本間委員より事前に御意見を頂戴しております。こちらにつきまして、まずは事務局より代読をお願い申し上げます。
【栗山教育課程企画室長】  失礼いたします。本間委員の意見、代読させていただきます。
 総則の構成・記載の在り方については、多様性の包摂や学校の創意工夫を生かした柔軟な教育課程を編成するため、現場にとって分かりやすくシンプルな項目立てが必要になるかと思います。柔軟な教育課程の方向性は、これまでの改訂とは質的にかなり違うもので、現場には相当のトライと覚悟も求められます。現場が様々な選択肢を容易にトライできるためにも、教育課程編成を促す具体的な指針は今後できるだけスピーディーに示していく必要があると感じています。特に高校は、教科・科目の柔軟な組替えや単位制度の柔軟化など、仕組みの転換が示されました。その反面、ダイナミックな教育課程を編成したい、個々に対応した教育課程を編成したい、生徒にも余白を生み出す適正な教育課程を編成したい、そういった弾力的な教育課程を編成していくことは現場にとってはかなりの労力と時間を要します。柔軟に組み替えた場合に必履修科目をどう扱うのか、単位の細分化による増単・減単にはどのような方法があるのか、履修免除の基準はどう示されるのか、科目の履修順や系統性はどのように弾力化されるのか、そうした点について早い段階から具体的な指針を示していただけますと、今後、教育課程を先取りして編成する際にも現場はイメージを持ちやすいと思うのです。カリキュラム改革は、一握りの限られた教員の実践や技能だけで行えるものではなく、組織全体で進めていくものです。多くの先生方が柔軟な教育課程の編成に一歩踏み出すことができるように、分かりやすい指針が必要になろうかと思います。先生方それぞれが自分の価値を見つけ、それを社会や子供たちのために使い切る。学習指導要領の改訂が、先生方一人一人が新たな一歩を踏み出すきっかけになるような、易しく、使いやすい項目立てになることに大きな期待を寄せています。
 以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございました。
 それでは、御意見等ある方は挙手ボタンを押していただければと存じます。私から御指名させていただきます。できるだけ多くの委員に御発言の機会があるよう、御発言は3分以内でおまとめください。
 では、戸ヶ﨑委員、山本委員、内田委員の順番で御指名申し上げます。戸ヶ﨑委員、どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】  
 まず、この総則・評価特別部会については、隗より始めよという発想が大切だろうと思っています。今回示された資料の全体像についての異論はありませんが、これをそのまま書き込んでいくと分量が大幅に増えるのではないかと危惧しています。学校のカリマネを支えるという本来的な目標を実現するためにも、総則の記載内容は率先してスリム化するなど、躊躇なく決然と精選に臨むべきではないかと思っています。
言うなれば、総則は哲学や理念の村であって、あれもこれも入れてという声が今後も上がってくると思いますが、授業時数といった制限がない領域であるため、際限なく入ってきて青天井になってしまわないように十分留意すべきと思っています。
 具体的に、精選に臨むに当たっては、学習指導要領本体、解説、指導資料等の役割分担をしっかりと意識して、教育課程の展開に際して遵守すべき哲学や基本的な考え方は学習指導要領本体に引き続き位置づけつつも、手段の例示等の補足は可能な限り解説のほうに送っていくことも必要かと思っています。今回、デジタル学習指導要領によって、本体と解説を一体的に確認できるようになるため、具体を本体に置かないと見てもらえないといった事態は多分生じにくいと思います。また、検討資料でも既に記載がありますけれども、重複があるものを整理していくことも重要だと思っています。
 また、第6の道徳教育推進上の配慮事項については、道徳の教科化のための一部改訂の際に付け加えたものが引き続き残っていますが、第1の(2)も道徳教育について記載があるほか、特別の教科道徳の章においても同様の記載があるなど、かなり重複感があるため、今後整理が可能ではないかと思っています。
 最後に、課題のマル3について、第4のうちで「特別な配慮を必要とする児童への指導」については第2に移行していく方針が示されていますが、内容が分散して埋め込まれていくことで、「特別な配慮を必要とする児童への指導」が薄まってしまう危険性を感じています。したがって、第2に移行した場合であっても、共通的事項とは明確に項目を設けて記載すべきです。児童生徒に対する個別の指導計画について定着していない現実にも厳しく目を向けていくべきであって、児童生徒にとって包摂的な環境をつくっていくためにも、配慮すべきことはしっかり配慮すべきであって、その点がぜひ薄まらないようにしていただきたいと思っています。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 では、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】  ありがとうございます。まず、1ページの、教育課程の編成がカリキュラム・マネジメントの基盤として、カリキュラムの編成の手順に沿っていることを踏襲していくということについては賛成で、ぜひそうしていただきたいと思っているところです。その中で、課題1の第1のところに「児童生徒を包摂する教育課程の編成・実施」といったものを入れていくというところも非常に賛同しているところで、先ほどのデジタル化みたいなものがどんどん進んでいくと、ねらいとか教材とか時数とか、どうしてもそちら側に意識がどんどんシフトしていきがちなんですけれども、基本はやはり子供の成長に寄与する意識をもつことが大切だと考えています。さらに、今まで「個別最適な学び」について、指導の個別化みたいな手段はどんどん進んできたと思うんですが、学習の個性化のような目的についてはまだ道半ばかなと思っていまして、それぞれの子供の個性化ということを考えていく上でも、第1のところに「児童生徒を包摂する教育課程の編成・実施」という項目があるといいと思っています。
 2点目は、第3のところの教育課程の実施と評価のところですけれども、ピンクで示された(4)番と(6)番のところに自己調整といったところを位置づけるというようなお話があったと思うのですが、今までの議論の中で、協働的な学びの中で自己調整したりメタ認知したりするということや、対話の質を上げたり納得解を得ていく力の育成は非常に大事なところだと思いますし、今回の「主体的・対話的で深い学び」の中でも、主体性ということについても様々議論されてきたところだと思います。ぜひそこのところをしっかりと項立てしていただくとともに、それに対して深い学びということに関しては、「言語活動の充実」とか「体験活動の充実」といったものが実は人間の強みを育む学びに繋がっていくのではないかと思います。(3)のAIとかコンピューターみたいなものに対して、人間の強みを育む学びということで考えていくと、(2)番と(3)番と(5)番というのがまさに深い学びに繋がってくる部分かなとも思っています。内容については次回に議論されることかもしれませんけれども、この第3のところの自己調整とかメタ認知とか、今まで話し合われたことについてはしっかりと記述していく必要があるのかなと思っています。ただ、先ほど戸ヶ﨑委員が言われたみたいに、学習指導要領本体と解説の部分と、そこはしっかり役割分担していくべきだと思っていますので、何を解説のほうでしっかり説明していくのかといったところは、今後しっかり考えていく必要があると思っています。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 では、内田委員、どうぞ。
【内田委員】  ありがとうございます。今回、総則の構成・記載の在り方について課題をお示しいただき、その方向性をお示しいただいたことについては、非常にありがたく、かつ有効なことかと思っております。各学校において、柔軟性が高まる次期学習指導要領で、それぞれの学校でのカリキュラム・マネジメントがより進行する上で、課題と考えていることを1点申し上げます。今までも教育課程の柔軟化については、各学校でいろいろ工夫をしながら、一方で、こういったことについてはできるんだろうか、あるいはできないんだろうかということで、何ができて、何ができないかというところについて悩んで、問い合わせてもなかなか返答に至らないというところがございました。各学校でのカリキュラム・マネジメントがより柔軟に、かつ実効力あるものにするために、できるもの、できないものを明記するというところが今後必要になると思いますので、こちらについて引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 では、田村委員、どうぞ。
【田村委員】  ありがとうございます。総則全体の目次立てについては妥当ではないかと思いました。特に、第1の3の後に、「児童生徒を包摂する教育課程の編成・実施」等の項目を設け、柔軟な教育課程編成・実施の必要性を位置づけることというところは妥当だと思いました。といいますのも、まず、多様な目の前の子供たちの実態をしっかり見つめること、把握することというのが柔軟な教育課程の編成・実施の原点でありますし、ひいてはカリキュラム・マネジメントの基点でもあります。この、子供たちをしっかりと見つめていくというところをぜひともシンプルに、しかし強調していただきたいなと思います。
 それから、具体的な手だてとして、調整時数の話が別の節のほうに入れられるというのも妥当だと思いました。この件に関しましては、この調整時数の話についていろいろなところでお話ししていますと、いつも必ず受ける反応というのが、これは「できる」ということなのに、「しなければならないんですか」といったような受け止めも聞こえてきます。そういう受け取り方もされることがありますので、そこは誤解がないような書き方が必要だなと思いました。
 すみません、ちょっと、前のデジタル化のことについても一言だけ。
【貞広主査】  一言じゃなくても大丈夫です。田村委員、よろしくお願いいたします。
【田村委員】  ありがとうございます。ウェブ上に置かれるということで、本当に多様な使い方ができて、本当に私もわくわくいたします。一方で、Wi-Fi環境に左右されないということも大事かなと思いました。Wi-Fiが弱い施設もあるでしょうし、自然災害による停電あるいはインターネットの不具合といったようなこともあるかと思います。紙媒体も残るというようなことを先ほどお伺いしたので、ひとまず安心しましたが、例えば全体をダウンロードして使うこともできるとよいというようにも思いました。いろいろと手元でカスタマイズできるというのは面白いなと思う一方で、何か、本当の学習指導要領がどんどん形を変えていってしまうのもどうなんだろうという疑問も一方で持ちました。これ、本当に大切な、みんなが見ることができる財産としての学習指導要領に、今までもそうですが、これからさらにその意味合いが高まっていくというように思ったんですが、だからこそ、例えばサイバーアタックとか、あるいはフェイクのページをつくられるような、そういうことがないようなセキュリティーのほうもぜひとも整えていただきたいと思いました。
 以上です。
【貞広主査】  議題(1)と併せて貴重な御意見いただきました。ありがとうございます。
 では、奈須委員、お願いいたします。
【奈須主査代理】  よろしくお願いします。今、田村委員が言われたことが、まず大事だと思います。学習指導要領というのは、法的拘束力を持つ文書として長年やってきたので、書かれたことはやらなきゃいけないことだと思いがちで、今回そこをどうするかということですよね。学校現場や地域の判断で柔軟にもっとやっていいんだということを出すのであれば、何ができるか、何ができないのかということは、単なる上からのマストではなくて、各学校、各地域の主体的な判断でのカリキュラムづくりをサポートするような制度枠組みをきちんとつくることを、やはり分かりやすく示していくことがすごく大事だなと、田村先生が言われたことに賛同します。
 それから、この内容の具体なんですけど、今回、論点整理で、ExcellenceとEquity、それを両立すると。あと、もちろん条件整備としてのFeasibilityもあるんですけど、そのExcellenceとEquityが今回どこに出てくるのかということが大事だと思うんです。
 Excellenceの話は、もちろん第1のところにも出てきますし、それから、今、各教科等のワーキングでその具体をつくっているわけですけど、もう一つはこの第3のところに出てくるんだろうと思うんです。教育課程の実施と評価という言い方をしていますが、実施というのは、通常で言うと教育方法ですよね。書かれた内容をどういうふうなものとして実践化するかという教育方法の部分で、この教育方法をどう書くかというのは以前から議論になっていますし、今日も石井先生がおっしゃったけど、具体的な教育方法についてあまり書くのはいいことではないという話ですよね。現場の自律性や創造性を奪いかねない。それをしなければいけないと言うと、それさえすればいいんでしょうということになって、むしろ創造性を下げるんじゃないかという話、いつもあることだと思います。でも、何か書かなければいけなくて、やはり求める学びの質をここに記述するんだろうなと思うんです。現行でもそうなっていると思うんですけど、そういうふうに読んでくれないんですよね。何をすればいいんですかというお尋ねをやはり現場の先生は僕らにするので、そうじゃなくて、何をするかは先生方で御判断いただくんだけど、どんな学びの質を目指すかということは、やはり書く必要はあるんだろうなと。ただ、悩ましいなとは思っています。それを、先ほど戸ヶ﨑先生も言われましたけど、指導要領総則に書くのか、むしろ少し理念的なことにもなるので、解説とかほかのところに書いていくのか。この議論は大事かなと思っています。
 それとの関係で、Equityのほうもそうですけど、今回の課題2、課題3というのは、Equityをどう書いていくか。課題1もそうですよね。この考え方は以前からあったわけですけど、今回とても焦点化されて、重点化されたんだと思います。その特例に関するワーキングも立ち上げていただいたりということで、とても大事なことだと思っています。それをもう一度、構造化の中で変えなきゃいけないことはあるんだろうと思います。結局、通常の教育課程をつくって、それで利益を得られない子供についてどうしようかということが第4になっていたわけだと思うんですけど、それだけじゃなくて、子供はそもそも多様なんだと。どうでしょう。1階の部分で包摂できる子供にも多様性はあるわけで、普通の子供とそうじゃない子供がいるわけではない。全ての子供は多様で、それを2つのやり方、アプローチでやっていくし、1階と2階の間も点線にしようじゃないかという話になってきたのはそういうことだと思うんです。だから、その意味では、子供という存在をどう捉えるかということをどこかで書かなきゃいけないんじゃないかと私は思っています。子供というのは本来、各発達段階もありますけど、どんな存在なのかということ、いろいろな論がありますけど、何らかのことは書く必要があるんだと思います。その中で多様性をどう捉えるのか。これまで捉えてきた多様性に対して、さらにどんな多様性、例えば才能児に関することなんかは、本当にここ数年新たに注目して、しっかりやっていこうということになったわけで、それ以外にも配慮すべき多様性にはどんなものがあるのか、きちんと整理していくんだろうなと思うんですよね。そういったことが、ここに書かれるのか、むしろそれは外に出すのかということ。子供をどう捉えるかということは、本当に教育課程編成のむしろ前に来る話で、こういう子供たちにこういうExcellenceを保障する、そのEquityはこう考える必要がある、そこから調整授業時数の話とか2階建ての話も出てくるんじゃないのかなと思っているんです。その辺り、今回、実は大きく構えが変わっているような気もするので、また考えたいなと思っています。
 それから、ごめんなさい、前半のデジタル化で1つ思っていたことなんですけど、先生方の御議論にもありましたが、デジタル化された学習指導要領になることで、系統とか学校種を超えた動きとか、教科等横断の話とか、いろいろなことが見えてくるという話があって、逆にそういうツールがあることで授業づくりの研修の在り方を変えられるんじゃないかななんて思っていました。今はなかなか、授業づくりが実際にどういう作業手順というか、要件なのかが、必ずしも、特に若い人には入っていないなと思います。教材研究の前の内容研究が弱いんじゃないかとか、今日皆さんがお話しになった教科の系統が押さえられていないんじゃないかという話はよく言われてきたわけですけど、今回デジタル化することによって、先ほど、例えば教科の系統ということが見えるじゃないかとか、内容をちゃんと比較して確認できるんじゃないか。これはまさにそのツールを使って、石井先生が言われた、いじりながら、こういうことが大事だということに気づくようなことになってくると思うんですけど、これはやはり組織的な研修を生み出して、もちろん教員養成のほうもすごく変えられる可能性があるんだと思います。そう考えると、逆に、そういう研修とか教員養成で使われるということを想定したようなつくり込みも、誘い水としてやっていくということをどこかで考えられればいいな。注文が多いようですけど、お願いできればななんて思っていました。
 すみません。以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 ほかに御発言を御希望される委員の方はいらっしゃいますでしょうか。挙手ボタンを押していただければ、こちらから指名いたしますが。望月委員、どうぞ。
【望月委員】  ありがとうございます。望月でございます。先ほどの議題(1)と併せて意見を申し上げさせていただきます。
 まず、議題(1)に関してですが、この時期にデジタル学習指導要領のイメージをこの部会で示すことができたということは、これから各ワーキングで議論を進める際に非常に有益だと思います。前半でも御発言いただいたと思いますが、教科なのか教科“等”なのかですが、私は特別活動ワーキングにも入っていますので、このあたりをどのようにしていくのか、ワーキングにどのように落とし込んでいくのかについて、もう少し具体化していただけたらありがたいと思っています。
 その流れで、議題(2)ですが、内容に関してはまた今後ということでしたので、現時点では、これまでの委員の御発言と同様な意見を持っております。議題(1)と関連づけると、この総則という部分をデジタル化していくのか、いかにしていくのか。また、各教科、各教科等とリンクをさせていくということなのかどうか。スリム化という話もありましたが、内容のスリム化と同時に、総則というものが現場の先生方からすると少し距離のあるようにも感じますので、今後、デジタルである利点を生かして身近に感じていただけるように考えていくべきだと思いました。
 以上です。
【貞広主査】  事務局からはまとめて最後に応答いただきたいと思っています。
 では、次、中谷委員、どうぞ。
【中谷委員】  ありがとうございます。今日は2つの議題とも大変濃密な内容で、また委員の皆様の御意見も大変学びになります。ありがとうございます。
 先ほど奈須委員から御指摘のあった、この論点整理を踏まえた構成の在り方についての同じ箇所なんですが、ちょっと違う視点からということで、特に、多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程と、こういうふうにうたわれていて、今回のポイントの一つだとは思うんですが、これは戸ヶ﨑委員も御指摘いただいたかと思うんですが、このことをどう捉えるのかというのが非常に気になるなと考えました。と申しますのは、私、所在しているところと研究関心というのが、多様な子供たち、特に外国にルーツのあるお子さんたちということを1つ課題にして、そういう地域に関わることが結構あるんですけれども、やはり、そこにももちろん発達面でニーズのあるお子さんもいる、あるいは経済的に困難なお子さんもいるということで、国で出していただいた教育の多様性ということそのものなんですけれども、そこにあるニーズというのは、ニーズ自体が多様であって、どう解決したらいいかという課題感も、認識も、手の差し伸べ方、差し伸べられなさというのも非常にそれぞれ多様なのであって、それを包摂することが第一であるということであると、かなり福祉的な色が強くなるということになります。ですので、ちょっと僭越ながらですが、学習指導要領の今までうたってきた方針と印象として、どういったメッセージになるのかということをちょっと思いました。一方で、もちろんそれは大事なので、今まで議論のあった1階、2階という部分で、もちろん子供たちは一人一人、全て同じ、尊重されるべき存在なんですが、その課題感自体が違うということについても併せて含んでメッセージを出していかなければいけないのではないかということを考えました。
 それには、例えば特別な配慮を必要とするという、今まで言われてきたような、日本のユニバーサル教育システムということの整理であるとか、外国に繋がるお子さんとの対応の整理であるとか、スライドの4ページにあります高校の例では、これは現行のものだからだと思うんですが、障害のある児童であるとか、外国人の児童であるとか、そういった表現があって、この辺りも用語的にちょっと整理していくというか、修正が必要なことも多々ありそうですので、その辺りは検討が、当然ですが、必要だろうと考えました。
 あわせてですが、すみません、そうですね。課題3のあたりに特に関わるかもしれませんが、今指摘させていただいたところです。
 あわせて、前の3ページのところですが、課題の2と挙げていただいている学習の自己調整等の位置づけに関する課題のところで、ここもあくまで試案だとは思うんですけれども、学習の自己調整が、「主体的に学ぶことができる学習環境の構築」と書かれているんですが、まず第一に指導があって、それが環境にもなるというか、環境が支えるというか、そういうことだと思うので、ここの書きぶりをどうするのかというのは本部会の一つのテーマでもあると思いますし、個別最適な学びがこの中に含まれるということでしたが、これまでの個別最適な学びの議論の中で、学習の自己調整に含まれないというか、少し違った色合いもあると思うので、その辺りをどう反映させていくのかということも大事であろうかと思いました。
 加えてですが、すみません、先ほどの1つ目の議題のところについても少し触れさせていただければと思います。初めに栗山室長のほうから、構造化・表形式化・デジタル化のデジタル化であるという御説明をいただきました。大変分かりやすい御説明で、内容も非常に、長足の進歩というか、革新的な内容だなと思ったんですが、一方で、この中で何が重要か、何を目指すべきかと考えますと、やはりこの表形式やデジタルというのは方法であって、主であるのは構造化であって、柔軟化であって、余白の生み出しということになると思うので、デジタルが目的になってはいけないと考えます。デジタルの目的化というのは何かというと、デジタルにすると読みやすくなるということなんですが、一方で、やはり教育に関わっている人間からすると、デジタルにすることで見なくなったということがよく生じると思うんです。結局、いつでもそこにあるので見なくなるということが、これは指導要領に関してももしかしたらあるんじゃないかと。今、指導要領のデジタル版を見ながら思ったんですけれども、これを検索していくと、多分、非常に検索しにくい形なので、検索しやすいものに本体自体を変えていくんだろうなと。そうすると、キーワード化していくんだろうなと。そうすると、そのキーワードに即した指導案をコピペしてくるんだろうなと。こういうふうに、非常に単純化する、考えると。そうすると、指導要領がちょっと手の届かないところにあったからこそ、頑張る人はそれを読み込む、研究授業に当たるという、この一連の作業さえもなくなってしまいかねないと思いました。ですので、目指すべき山頂に向かって、麓を整えるだけじゃなくて、その中腹を、やはり足場をそろえるというか、足場をちゃんと道筋をつけるということが大事であって、目指すものと、それがどこにアクセスしているのかというのをちょっと区別して考えていく必要があるのではないか。委員から御指摘のあったような、断片的、硬直的なものという御指摘もその辺りにあるのではないかと思いました。
 スライドの6番目にありましたデジタル学習指導要領による授業改善についても、全くおっしゃるとおりだなと思ったんですが、授業づくりが直接学習指導要領によって規定されるという場面はなかなかやはりこれからもなくて、それを翻訳する段階として指導書や教科書があるとすると、ここの部分を三項関係として考えることが必要であって、つまり、上の段というか、学習指導要領と直接の授業づくりというだけでなくて、三項的に捉えるということを考えたようなメッセージ、概念化ということが大事なのではないかと。そう考えますと、学習指導要領というのはやはり、ビッグアイデアという言葉もございましたけれども、系統性や体系性、あるいは主要な概念という言葉も、以前というか、前のバージョンではありましたけれども、その辺りを伝えやすくするものであってほしいと。そうであれば、あまり具体に落とすことということを、もちろん考えるんですけれども、それだけにするというよりは、すみ分けなり、概念の位置づけなりということを考えて、ちゃんとその内容、何を大事にして、それはこういうものなんですということが伝わるようなデジタルであってほしい、そういうものではないのかなと考えました。
 以上です。ありがとうございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 今、小見委員の手が挙がっています。申し訳ありませんが、小見委員の御意見までとさせていただきます。小見委員、どうぞ。
【小見委員】  ありがとうございます。NPO法人みらいずworksの小見まいこです。
 1点だけ、簡単に申し上げます。資料1のほうにありました、「社会に開かれた教育課程の更なる推進」というところがあったんですけれども、それに向けて、総則の表現の仕方についてです。学習指導要領を誰もが容易にアクセスできるように整備するということは、学校、家庭、地域が共通言語で学びを語り合うための基盤づくりだと考えました。現場では、地域住民や企業、NPOなどが教育活動に関わる際に学習指導要領の内容や資質・能力の構造が非常に見えにくく、同じ目線で先生方と対話することが難しいという課題も生じています。例えば、学校側は資質・能力の育成について話したいのに、地域側は挨拶など行動レベルの話題にとどまってしまい、議論が深まりにくい場面などはしばしば見受けられます。そのため、教育課程の方向性や重要な視点を示す総則や前文については、学校運営協議会の委員や学習支援ボランティア、外部人材の方々にも理解していただくことが重要だと思っています。先ほど望月委員からも御発言ありましたが、総則のアクセスのしやすさというところもぜひ御検討いただきたいです。現行の総則の文字量では、読み進めるのにハードルが高いというのが実情だと考えています。シンプルに分かりやすくすることに加えて、先ほどのデジタル化されたシステムの中にも総則や前文を組み込んでアクセスしやすくすること。そして、前回の学習指導要領の改訂の際に、一般の方にも分かる3分程度の動画が作成されたんですけれども、さらに踏み込んで、教育課程の編成・実施・評価や児童生徒の発達支援などの項目についての概要も、分かりやすい動画の作成があるとよいと考えました。こうした動画や資料などを学習指導要領が改訂する際に学校運営協議会など関係者の方々に視聴いただくことで、社会に開かれた教育課程の一層の方向性の理解ですとか共通言語の形成というのが進むと考えました。
 以上です。ありがとうございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 もし事務局から何らかの応答があれば、お願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  ありがとうございます。
 まず、望月委員から、デジタル学習指導要領における総則の取扱いについてお尋ねがあったかと思います。もちろん総則についてもこのデジタル学習指導要領で見ることができるようにということは大前提だと思っておりまして、当然、教科等と同様に、解説との往還も必要だと思っております。その上で、教科との関係で、総則と教科でどのようなことが期待され、また実現できるかについても併せて今後検討していければと思っております。
 本日たくさんの御意見をいただきまして、今後、デジタル学習指導要領についてバランスや留意点を踏まえながら検討を進めてまいります。既に来年度、実際の必要な機能や具体的な表示方法を検討する調査研究事業を予定しており、本事業に係る省の概算要求も進めておりまして、まさに今日の御議論をしっかりと踏まえて今後検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 武藤教育課程課長からもコメントいただきます。お願いいたします。
【武藤教育課程課長】  すみません。教育課程課長の武藤でございます。
 先ほど奈須先生から、今回のこの学習指導要領の改訂に伴う学校現場の裁量の余地に関しての御発言があったかと思っております。このことについて若干、補足をさせていただこうと思います。学習指導要領の法的な性質というのは、全体として大綱的基準であるということと、それから一方で、一つ一つ示された教育内容については、これは必ず取り扱うということでありまして、こうした根幹部分を今回の改訂の中で変えるという話ではないのかなと思っています。一方で、まさに奈須先生がおっしゃったことの恐らく本質というか、御趣旨にも関わると思うんですけれども、じゃあ実質どうだったかということはあろうかと思います。実質としてやはり、あまり変えてはいけなくて、このままなんだというような捉えがあったのかどうかとか、あるいは、先ほど戸ヶ﨑委員からもありましたように、学習指導要領の本体と解説との関係で、解説もこれ全部やるんだみたいな、解説と本体がちょっとtoo muchに一体的に捉えられていた面があるんじゃないかとか、あるいは、そもそも教育の内容の量的なところに着目した場合に、どの程度裁量の余地があったのかとか、こういったところは課題なんだろうということで、これまでも企画特別部会を含めて御議論いただいた。その中で、例えば構造化に伴う精選であったり、あるいは調整授業時数制度であったり、さらには2階建ての2階のところで特別の教育課程をつくって、さらに1階と2階の中での行き来も含めて、様々御提案もいただき、議論を深めていただいたんだと思っています。全体として今回の議論を通じて、今日の資料の中にもございましたけれども、何ができて、何ができないのか、何を変えてよくて、何はやらなきゃいけないのかみたいなところがトータルでクリアになるように、私ども事務局としても、委員の先生方のお知恵をいただきながら、さらに深めていきたいと思った次第でございます。
【貞広主査】  しっかりと補足をいただきまして、ありがとうございます。
 ちょっと最後に、屋上屋を重ねますが、私からも少しだけ感想を言わせていただきますと、今回、石井委員が1つ目の議題については学習指導要領のDXとおっしゃっていましたけれども、こちらと後半の多様性の包摂や学校の創意工夫を生かした柔軟な教育課程も含めた教育課程改革、これを2つ併せますと、各学校、各先生方、できることがすごく広がって、どんな授業になるんだろう、どんな教育課程になるんだろうと期待が膨らむところでございます。その一方で、今日、本間委員が、それにはトライと覚悟が求められますとおっしゃっていました。恐らく、そうすると、トライと覚悟を持てる学校と何らかの事情で持てない学校と、そういう地域とそうじゃない地域というのが出てくる可能性があるわけですけれども、そうならないように、全ての学校、地域で新しい教育課程をつくり上げていっていただくために、改めてやはり先生方を支える条件整備をはじめとする指導・運営体制の充実が併せて非常に重要であるという感想を持ちました。蛇足でございますが、感想とさせていただきます。
 それでは、時間も参りましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。
 最後に、次回以降の予定につきまして、事務局よりお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  次回は12月15日月曜日、16時から18時半を予定しておりますが、正式には後日御連絡を差し上げます。
【貞広主査】  それでは、以上をもちまして閉会といたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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