令和7年7月9日(水曜日)16時00分~18時00分
文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)
【貞広部会長】 では、これより議事を公開いたします。
改めまして、教師を取り巻く環境整備特別部会の部会長に御推薦いただきまして部会長を務めることとなりました貞広でございます。よろしくお願いいたします。本特別部会の発足に当たり、着座にて大変恐縮でございますけれども、部会長として御挨拶を申し上げます。
教師を取り巻く環境整備特別部会でございますけれども、これに先立ちまして令和5年5月、文部科学大臣より中央教育審議会に対し、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策についての諮問が行われ、新たに設置されました質の高い教師の確保特別部会で私が座長を務めさせていただきました。この質の高い教師の確保特別部会では、学校における働き方改革のさらなる加速化、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実について一体的・総合的に審議を行い、令和6年8月に、「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」を答申として取りまとめ、答申後も合わせて全15回にわたる議論を重ねてきたところでございます。
御承知のとおり、本年6月には答申に盛り込みました制度改正を実現するための給特法等の一部改正法が成立いたしました。事務局の方々の御尽力によってということでございます。改めてお礼を申し上げます。ありがとうございます。この法改正は、教師の職務の重要性を踏まえた処遇改善を行うとともに、給特法を働き方改革を推進する法律として見直すものでもありました。そのため、今後は特に学校における働き方改革等の教師を取り巻く環境整備をさらに具体的に進めるための方策について審議を行う必要がございます。
本特別部会は、それを実現するための方策を議論していただくための会議でございます。具体的には、質の高い教師の確保特別部会という名称を、教師を取り巻く環境整備特別部会と改め、給特法等改正法の施行に向けて、文部科学大臣が定める教育委員会が教師の健康及び福祉の確保を図るために講ずるべき措置に関する指針の改訂など、学校現場における具体的な業務の見直し等を含めた、全ての教育委員会で漏れなく働き方改革の実効性が向上するための方策について議論をお願いしたいと考えております。
教育の質向上に向けて日々子供たちのために御尽力、御支援くださっている先生方の頑張りと言っていいんでしょうか、まさに献身してくださっている先生方の働きやすさと働きがいの実現のため、できるだけ、そしてむしろ最善の解決策を提案できるよう議論を進めていければと思っておりますので、改めて委員の皆様方の御協力をお願いさせていただきたいと思います。
以上、整いませんが、私からの御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
では続きまして、文部科学省初等中等教育局の望月局長より御挨拶をお願いしたいと思います。お願いいたします。
【望月初等中等教育局長】 初等中等教育局長、望月でございます。座って失礼いたします。
まず、本部会の委員として大変お忙しいにもかかわらず御就任いただきまして、誠にありがとうございます。
今、貞広部会長のほうからこれまでの審議の経過等につきまして御紹介をいただきましたけれども、昨年の8月に質の高い教師の確保特別部会答申を1年以上にわたる審議の上まとめていただきまして、その後、予算編成過程を経て、さきの国会では、いろいろな方に御支援を賜りまして何とか給特法の改正を行うことができました。
その中の3つの柱でございました教師の働き方改革の加速化、学校全体の指導・運営体制の充実、そして教師の処遇改善ということを通じまして、学校の今のありようを変えていきながら、それは首長部局や地域との連携もしっかり各地域の状況を踏まえて図っていただきながら、その状況をオープンにして、多くの方に今の教育の状況を理解していただき、御協力をいただく。その上で、教師に多くの人材を確保し、そして教育のそうした作用というものが非常に我が国というか、もうそれぞれ日本にとっても、そして地域にとっても非常に重要なものである、それを直接担っている教師の存在というものが、その意義、そしてその位置づけが非常に高いものであるということを改めて多くの方に知っていただく、そういうことが必要であったと思ってございます。
働き方を一層進め、教師にそうした人材を、そして最終的には子供たちの教育の充実や質の高い教育ということにこれを結びつけていかなければいけない。そのために、教育課程の検討も進めておりますし、また、定数改善等の条件整備については今後とも国としては努力をしていきたい。そして、まさに給特法の法案の中で出た審議の内容でもありましたけれども、これからはいかにそれを継続的に具体的に実行に移して、実感できる形で学校が変わった、少し変わったということ、あるいは教師の働きも変わったということを進めていく必要がございます。
そのためには、これまでの部会でも大変いろいろな形で御支援いただきました委員の皆様方、国会審議中も大変お世話になりました。ありがとうございました。そして新しく委員になっていただいた先生、そして多くのこの部会を御視聴いただいている先生方、そして教育関係者、経済界の皆様、ぜひお力をこれからも学校、そして教育、教師にぜひいただきまして、何とか学校をよりよいものに、そして教育をよりよいものにしていきたいと考えてございます。
本日後から少し具体的に審議事項については事務局から説明をさせていただきますけれども、働き方とかあるいは学校の環境整備という観点をより進めていくということの文科大臣の指針というものについて、少しやはり見直していく必要があるだろうと。それを具体的に各自治体が地域の状況も踏まえてまさに地域全体で考えていただくというまたムーブメントをぜひ起こしていかなくてはならない、起こしていく必要があるんじゃないかと考えてございます。
これは私が言わずもがなですけれども、教育というものは、我々も教育行政とか、あるいは皆様方有識者だけが進めるのではなく、みんなが進めていくものでございます。そういう意味では本当に多くの方々に関わっていただくことが本当に重要でございます。ぜひこうした審議を通じまして、今の学校の状況やこれからの教育についてのまた新しい、そうした充実の方向性が見えていくといいかなと思ってございます。
本日、そしてまた引き続く審議におきましても、部会長の下で審議が行われますようお願い申し上げまして、一言御挨拶にさせていただきます。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございました。大変力強い、私たちもちょっと物事がよくなるんじゃないかなと思えるような御挨拶をいただきました。どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に移ります。議題3、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律の成立についてに入ります。本改正法につきましては、6月11日に成立、6月18日に公布されました。本特別部会の大きなミッションの一つといたしまして、同改正法に盛り込まれました服務を監督する教育委員会が策定する計画の基となります文部科学大臣が定める指針の改訂がございます。
まずは、初等中等教育局財務課の安井課長より、今回の改正法の内容につきまして御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【安井財務課長】 財務課長の安井でございます。失礼いたします。私から、資料3に基づきまして、今回の給特法等の改正内容について御説明をさせていただきます。
中教審の答申を昨年8月にいただきまして、働き方改革の加速、教職員定数の改善などによります指導・運営体制の充実、また、教師の処遇改善、この3つを一体的に進めることが必要という答申をいただきました。給特法等の法制度改正、また、関連する予算措置についても、この答申を具現化するということのためにこれまで検討してまいったものでございます。
今回改正をいただきました給特法等の改正につきましても、給特法は、法律名に教育職員の給与等に関する特別措置法とございますけれども、今回、教職員の給与の改善のみならず、働き方改革を加速していくという性格をさらに強くしていく改正内容ということを実現いただいたところでございます。
具体的には、資料の内容のまず1番、学校における働き方改革の一層の推進というところでありますけれども、こちらにおきまして、まず文部科学大臣が定める指針に即して、全ての教員の服務監督をしている教育委員会が、働き方改革を推進していく計画、法律上は業務量管理・健康確保措置実施計画と定めておりますけれども、こちらを策定して公表していく。そしてさらに、毎年度、その計画の実施状況の公表ということを法律上の義務として規定させていただいたところでございます。
こういった仕組みによりまして、答申の中でも、働き方改革を進めていく課題として、これまで全体的に取組は進んできておる一方で、地域、学校ごとに取組状況の差があるという御指摘を頂戴していたところでございますけれども、こういった勤務時間管理に責務を負っている全ての服務監督教育委員会が、働き方改革の取組状況の見える化も行っていただきながらPDCAサイクルを構築していく。また、首長部局、保護者・地域の方々と連携・協働を進めていく。こういった仕組みづくりの必要性の御指摘を頂戴いたしておりましたので、まず、給特法等改正によりましてこのような仕組みづくりに取り組んでいくということでございます。
この改正によりまして、まず、国が働き方改革をさらに進めていく方策、この考え方を明確にお示しさせていただいて、それに基づいて、各地域の状況・課題を踏まえて、各教育委員会におきまして、設置者としての取組の方針を学校、さらには保護者・地域社会に明確にお示しをいただくという、仕組みづくりをしていきたいというところでございます。また、プランニングという計画の策定にとどまらずに、取組を実施していく結果、進捗状況を毎年度明らかにすることによりまして、地域ごとの学校の状況を地域で課題共有をしていただいて、その改善に向けた議論を行っていただく基盤をつくっていきたいという考え方に基づいたものでございます。
また、学校における働き方改革につきましては、教育委員会だけじゃなく、首長部局も含めて自治体総がかりでお取組をいただく必要がある課題であると考えてございます。こうしたことから、計画の内容、また実施状況につきまして総合教育会議に報告をいただくということを、これもまた各教育委員会に義務づけを行いまして、知事・市町村長さんと教育委員会の連携の促進をしていきたいと考えてございます。
また、こういった設置者としての取組に加えまして、具体的取組につきましては最後は学校現場で進めていく必要がございます。学校運営協議会、いわゆるコミュニティスクールの中で現在も校長が学校運営の基本的な方針をお諮りするという枠組みがございますが、そのお諮りする内容として働き方改革に向けた内容も含めていただくということも今回法律で規定させていただいているところでございまして、保護者・住民の方々との協働も図りながら取組をさらに強化していきたいと考えているものでございます。
資料概要の2番、2つ目に、組織的な学校運営に向けまして、教職員間の総合的な業務の調整を行う主務教諭という新しい職を創設するというものでございます。教師以外にも、多様な教職員、スタッフが現在学校の中でも増えてきている状況もございます。教職員の方々が一人一人ばらばらに取組を進めていく、課題対応をしていくということではなく、チームとして同僚性も発揮していただきながら、学校全体の組織的な対応力を高めていくということが求められている中でございますので、学校の中で教職員の間の活動を有機的につなげていただくとともに、また、学校の外の関係機関との連携も強めていく、こういった役割を学校の中で明確に位置づけをしていくということでこの新しい職務を創設するというものでございます。
また、3つ目に、教員の処遇の改善でございます。教師の職務の重要性を踏まえた処遇を実現するために、教育職員全体の処遇改善といたしまして、教職調整額を、現在本給の4%と法律上定められていることにつきまして、10%に段階的に引上げを行っていくということを法律上明定したものでございます。また、(2)のほうになりますけれども、職務や勤務の状況に応じた処遇の実現ということで、これまで一律に支給されておりました義務教育等教員特別手当を、公務の類型に応じて支給するという法改正も行ったところでございまして、今後、学級担任への手当の加算を省令で規定することとしてございます。
それから、資料の2ページ目は国会での法案審議の中で加えられた法案修正の概要でございます。昨年末の予算折衝で文部科学大臣と財務大臣との間で、教師を取り巻く環境整備についての中期的な取組についての合意もございました。その中で触れられてございます処遇改善、定数改善、働き方改革の推進について、この衆議院の御審議の中で、大臣合意に掲げられております在校等時間の縮減目標ということについても改正法に法律上明記をされたというところでございます。また、この縮減の目標を実現していくための教職員定数の改善をはじめとした方策についても、法律上規定されていったというところでございます。
また、3ページ、4ページにつきましては、国会での法律案の可決に際しまして附帯されました附帯決議の内容でございます。なお、給特法の改正によりまして、教師の処遇改善、また、働き方改革に向けた新たな仕組みづくりということを行ってまいりますが、指導・運営体制の充実、教職員配置の充実につきましては、給特法の改正のみでなく、予算あるいは標準法の改正により行っていく必要もございます。予算上も今年度から4年間で計画的な教職員定数の改善を行うこととしておりますけれども、参考資料3のほうに本年6月に閣議決定されたいわゆる骨太の方針もございますけれども、この中では、中学校35人学級を実現していくために、来年の通常国会に標準法の改正案を提出するということも閣議決定されたところでございますので、併せて御報告をさせていただきます。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございました。ただいまの御説明に対しましても御質問や御意見のある委員もいらっしゃるかと思いますけれども、次の議題4に関する意見交換の中で併せてお受けしたいと思いますので、いましばらくお待ちいただければと存じます。
それでは、議題4、教師を取り巻く環境整備をさらに推進するための今後の方策について、引き続き安井財務課長より、教師を取り巻く環境整備をさらに推進するための今後の方策の内容について御説明をお願いいたします。
【安井財務課長】 続きまして、事務局から御説明させていただきます。資料4-1を御覧いただければと思います。先ほど給特法改正の内容について御説明申し上げましたとおり、今後、働き方改革のさらなる推進のため、全ての服務監督を行う教育委員会におきましていわゆる働き方改革を推進していくための計画の策定を行っていただくわけでございますが、それにつきましては、教育委員会の計画策定に際して、文部科学大臣が定める指針に即してということで法律上規定されているところでございます。このため、本部会におきましても、今後、文部科学大臣の指針の改訂を文部科学省におきまして行ってまいりたいと思ってございますので、この内容につきまして御審議、御指摘を頂戴したいというところでございます。
本日は、資料4-1におきまして、その御議論のための論点の提示をさせていただくとともに、資料の中で全体の指針の改訂の構成ということのために骨子の案も5ページ以降で御用意させていただいたところでございます。
まず、指針の見直しの論点について御説明をさせていただきます。資料2ページを御覧ください。法律の中でも、指針の中で市町教育委員会が定める実施計画の内容に関しては、目標を設定すること、また、具体的な働き方改革を実行していく内容について定めるというようなことがございます。この措置の実施により達成しようとする目標について指針の中で示していくということが必要になってくるわけでございますが、やはりまず、時間外在校等時間に関する目標ということが必要だろうということを考えているところでございます。先ほども申し上げましたように、昨年、政府としても、令和11年度までに教育職員1人当たりの1か月の時間外在校等時間の平均を30時間程度に削減することを目標として掲げまして、国会におきましてもその目標について改正法の中で規定をされたところでございます。
この30時間程度の削減の目標の考え方でございますが、少し御説明をさせていただきます。令和4年に国におきまして実施いたしました勤務実態調査におきましては、全体の教育職員、教諭の時間外在校等時間の平均が47時間というような状況がございました。こちらは令和元年の給特法の改正によりまして策定を行いました指針におきまして、1か月の時間外在校等時間の上限を45時間と規定しているところでございますが、実態、これがまだ実現できていないという状況でございますので、この取組を強化しなければいけないという状況にございます。
その点で、月45時間の上限を超過している職員の方々が45時間以内に在校等時間が改善したということを踏まえて令和4年の調査に基づいて再度試算をいたしましたところ、月30時間程度に全体の平均値がなってくるということがございました。政府のほうにおきましても、そういった試算も踏まえながら、今回、全体の在校等時間の平均の目標値につきまして30時間程度への削減を目標とするということを規定させていただいたところでございます。こういったところで今後しっかりとこの上限を実行していく中で、時間外在校等時間の縮減につきましても実現を図ってまいりたいと考えているところでございます。
その上で、今回それぞれの教育委員会において策定をいただく計画の中で、時間外在校等時間の目標値につきましても、こういった国全体の目標も踏まえながら御検討いただきたいというところでございます。その際に、中教審の答申の中でも御指摘を頂戴しておりましたが、1か月の時間外在校等時間が80時間を超える教育職員については早急にゼロにする必要があるということを前提とした上で、1か月の時間外在校等時間が45時間以下の教育職員の割合を全ての教育職員において達成していくこと、あるいは1年間における1か月の時間外在校等時間の平均時間を30時間程度とすることを目指す、こういった考え方も踏まえながら、それぞれの自治体において目標設定についてもお考えいただいてはいかがかというところでございます。
また、中教審の答申におきましても、働きやすさと働きがいの両立ということを目標としてお示しいただいていたところでございます。時短のみの目標ということではなくて、働きがい、ワークエンゲージメントのような事柄に関する目標というような、そういった多面的な目標設定につきましても、地方公共団体の実情に応じて設定をしていくことが考えられるのではないかということでございます。
続いて(3)以降が、実際に取り組むべき取組の具体的な内容に関する論点でございます。まず、最初のパラグラフでございますが、学校現場におきまして働き方改革を進めていただく上で、校長等の管理職の役割の重要性ということについてはるる御指摘を頂戴していたところでありますけれども、やはり学校だけでなく、服務監督をする教育委員会御自身が、設置者として学校内の業務の改善について大きな責務を持っているというところでございます。在校等時間の客観的な把握ということも進められてきておりますので、設置されている各学校の職員の勤務の状況もモニタリングしながら、具体的な取組を教育委員会として実施していく必要があるということが前提として重要であろうかと考えております。
その上で学校業務の適正化を図っていく上で、国会における法律案の審議の中でも、これまで取り組まれてまいりました学校・教師が担う業務に係る3分類、こちらを今後、指針の中で明確に位置づけをして取組をさらに強化していく必要があるのではないかという御指摘を頂戴していたところでございます。こういったことで今回の指針改訂に当たって、いわゆる3分類、現行のものは参考資料5のほうでお配りしてございますけれども、こちらを明確に指針に位置づけしていく必要があるのではないかということであります。
その際に、この3つの分類につきましてさらに改善に向けた趣旨を明確化していくということも重要であろうと考えますので、この3つに分類をしていくということの枠組み自体は維持した上で、現在その考え方について、基本的には学校以外が担うべき業務、あるいは学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務ということで規定されてございますけれども、この趣旨を一層明確化する観点から、「基本的には」を取りまして、学校以外が担うべき業務、あるいはこの3分類の真ん中の類型につきましては、学校の業務だが、教師以外の担い手の積極的な参画を促すべき業務と規定をし直してはどうかという御提案でございます。
また、現在の3分類の中で14の具体的な業務が掲げられております。この3分類は平成31年の中教審答申において示されたものでございますので、それから6年以上の時間を経過しております。今回指針に3分類を位置づけをするに当たって、その内容自体のアップデートということについても必要ではないかと考えております。
例えばそこの見直しの観点といたしまして、登校時の安全確保についてはこれまでも3分類の1番のところで掲げられておりましたけれども、安全面の業務だけでなく、教師の勤務時間よりもかなり早く児童が登校してしまう。そのために、子供の見守りで教師が早く出勤しなければいけないというケースなんかも指摘されてございます。こういったことから、こういった勤務時間以外の児童の見守り・預かりということについて、役割分担として、学校業務ではなく、地域・保護者が担うというようなこと。
あるいは、保護者・地域住民から学校に対する過剰な苦情、不当要求について、行政の責任で対応できる体制を構築していこうというようなことも示されてございます。こういった新しい事柄についても、より明確に規定していってはどうかということでございます。
また、昨年の答申におきまして、学校プールの管理、学校施設の管理についても、必ずしも教師が担う必要のないところのお考えもいただいておりました。また、GIGAスクール構想が3分類の策定以降進む中で、ICT環境の施設・設備の維持管理ということも業務として増えてまいりましたけれども、ICT支援員などの制度化も行われてございます。こういった事柄、また、校務DXが進んでいる状況、こういったことも3分類の内容に反映をさせていくということも考えられるのではないかということでございます。
また、この3分類を進めていく上で、高等学校において特別に行われている業務について、そういった観点を加えていく必要があるのではないかということ、また、副校長、教頭も、学校管理職としてより企画・マネジメントに、高度な業務をしていただくための負担の軽減の観点ということも必要ではないかというところでございます。
また、4ページを御覧いただきまして、教育課程の編成につきましては、中教審からも、標準を大きく上回る授業時数の設定について見直しの必要性の御指摘を頂戴していたところでございます。こちらの内容についても、指針の中でしっかりと位置づけをしていくということも必要ではないかということでございます。
また、資料4-2を御覧いただきますと、その関係で少し事務局のほうで資料を用意させていただいてございます。まず、この1ページは、教育課程の編成に関しまして、6月に教育課程企画特別部会で配付された資料でございます。年間1,015コマの標準授業時数を年35週で実施しようといたしますと週当たり29コマということになりますが、実際には年間200日以上40週授業を行っているという学校が多い状況でございます。このため、年間40週で授業を行うということを前提にしますと、学校行事等の特別活動や欠課の時数を勘案しても、週当たり28コマでの編成が可能ではないかという例が示されたところでございます。また、中学校におきましては、学校行事等が小学校と比べれば比較的時数が少ない場合に、週当たり27コマの編成も可能ではないかという例でございました。
本日お配りしております2ページ以降の資料は、1ページ目の工夫の例を敷衍いたしまして、教育課程の編成における工夫に基づいて、放課後の部活動などを行う場合でも、教職員の勤務時間内に生徒の活動を終える日課表の編成が可能ではないかということを3つのパターンでシミュレーションさせていただいたものでございます。最初のパターンは、1年の前期と後期で週当たりのコマ数を弾力化して、5時間授業の日を増やしたもの。パターン2つ目は、週3日5時間授業の日を設定して、部活動の開始時間を早めながら下校時間を早めている例。また、パターン3は、夏休みを少し短縮して年間42週の授業日数を確保した上で、5時間授業を週4日設定している例でございます。こういったいろいろな様々な工夫も学校現場で行いながら、また、学校業務の見直しということも日課表の見直しと併せて行っていくことは可能ではないかというところでございます。
また、資料4-1の4ページに戻らせていただきまして、関係行政機関との連携、保護者・地域住民の理解・協力を得ていく方策についても論点として掲げさせていただいております。また、管理職の役割につきましても、部会で今まで様々な御指摘を頂戴しておりましたが、管理職の役割に加えて、また、それをどうやって行政として取組を支えていくのかということにつきましても、今後もいろいろな御指摘を頂戴したいと思っております。また、こうしたこと全体を通じまして、学校設置者としての責務ということについてどのように考えているかというところでございます。
5ページ以降を、こういった考え方も踏まえて骨子案として掲げさせていただきました。答申でお示しいただいた働き方改革の目的とか基本的観点ということを指針の中でも明確にしていきながら、具体的な措置についてお示しをしていく必要があるかというところでございます。
また、最後に、資料4-3でございます。こちらは指針自体とは異なってまいりますけれども、今後の教師を取り巻く環境整備に関して、国における制度改正とか、支援措置の取組について、どのような内容をどのようなスケジュールで進めていくのかということについて、分かりやすく自治体等にお示しをするために工程表を作成したものでございます。今後こういった資料も用いましてしっかりと御説明、周知を図りながら、自治体の皆様、関係者と共に取組を強化してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました事項につきまして、委員の皆様から御意見や御質問をいただきたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、議題3と4に関する御意見、御質問を一括してお受けしたいと思います。
御意見、御質問のある方は、「手を挙げる」のボタンを押していただきますようお願いいたします。会場の方も含めてお願いいたします。こちらから順次指名をさせていただきますので、指名の後、ミュートを解除していただいて御発言をお願いいたします。
なお、大変恐縮でございますけれども、できるだけ多くの委員の皆様から御発言をいただきたいと思いますので、御発言はお一人当たり3分以内程度としていただきますようお願いいたします。
また、御発言が終わりましたら、「手を下げる」のボタンを押し、挙手を取り下げていただきますようお願いいたします。御協力いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
それでは、いかがでしょうか。
では、戸ヶ﨑委員、どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】 御説明ありがとうございました。今回の教師を取り巻く環境整備の特別部会は、学校における働き方改革の推進法の性質をある意味色濃くして抜本的に改正された給特法の趣旨を実行たらしめるために、重要な議論を行うものであると認識しています。そうした観点から2点ほど意見を申し上げたいと思います。
1つ目は、先ほど御説明のあった3分類の見直しということです。この3分類自体は平成31年の働き方改革の答申で、「これまで学校・教師が担ってきた業務のうち、役割分担等について特に議論すべき代表的な業務」について、「中心となって担うべき主体を学校・教師以外に積極的にしていくという視点」から整理をされたものであることは御案内のとおりです。
今回、3つの柱のうち2つは、柱書きそのものを見直す案が示されており、一番左側を「学校以外が担うべき業務」と改めるなど、その趣旨が明確になる見通しであると考えています。
その際、私も当初思ったところになりますが、「学校が担うべきではない業務」と示すべきではないかという意見もあろうと思います。しかし、これまで学校や教師が担ってきた業務の主体を移行していくという趣旨に照らすと、「学校が担うべきではない」と表現すると、学校から手放すことができたとしても、担い手を欠いてしまう可能性があります。こういうことから、「学校以外が担うべき業務」とすることで、学校以外の誰かにやってもらう必要があるという前提で、では誰がそれを担っていくのかという議論を、総合教育会議や学校運営協議会なども積極的に活用しつつ進めていくことが重要であると考えます。
また、3つあるうちの一番右側の、「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」については、これは可能であれば、次のように修正したらどうかなと思っています。「可能」という消極的な表現ではなくて、より一層業務の精選を進めるという観点から、「教師の業務だが、負担軽減を促すべき業務」という踏み込んだ表現にして、積極的・主体的に負担軽減を見直すよう促すことが必要だろうと考えています。
それから2つ目は、昨年度の質の高い教師の確保特別部会においても繰り返し申し上げてきましたけれども、教育委員会、学校、教師、地域、保護者がそれぞれの立場で主体的にオーナーシップを持って働き方改革の取組を進める必要があるという点であります。先ほど事務局の説明にもあったとおり、学校における働き方改革は、子供たちによりよい教育を行うべく教師が教職生涯を通じて新しい知識・技能等を学び続けるためにも必要不可欠です。
「もうやり切った、これ以上は無理だ」と思考停止をするのではなく、各学校や教師も主体的・対話的にその権限と責任に基づいて取組を進めることを期待したいと思います。
誰々が何々をやってくれないという、「くれない族」になって佇立しているのではなく、それぞれの立場で自分たちが今できることは何かと常に考え続けること、つまり自分で問うて自分で動くことが、時間外在校等時間の月平均30時間という、現状で考えるとまだ高いであろう目標を実現するためには不可欠であるということを改めて認識すべきだと考えています。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。ほかの委員の方々いかがでしょうか。初回ということでなかなか最初のほうで発言しにくいというところがあるかもしれませんけれども。
妹尾委員、どうぞ。
【妹尾委員】 妹尾です。ありがとうございます。私からは3点ぐらい申し上げたいと思います。
1点目なんですけれども、持ち帰り業務の取扱いについてちょっと考えてみたいと思います。今回の国会でもさんざん議論になりましたけれども、御案内のとおり、このような月当たり30時間程度に時間外をするという目標が立つ中で、かなり時短プレッシャーが強くなるだろうということは容易に予想できるわけですね。それで安易に持ち帰りが増えてはいけないというのはそのとおりなんですけれども、一方で育児だとか介護だとかいろいろな事情のある方にとって持ち帰らざるを得ない実情もあるというのは、きっちり直視する必要があると思います。
今開けなくていいですけれども、後で御覧いただければと思いますけれども、参考資料6-1に校務のDXのチェックリストがございます。それによりますと、クラウド上で学校外で仕事ができる環境を整えている自治体は22.7%、あるいはクラウド上で勤務管理をやっているところは9.8%にとどまっております。ここをもう10割に近くやっていくということではないかなと思います。現行の指針においても、自治体が認めるセキュアな環境でのテレワークは、在校等時間に含めてモニタリングしていくという方針になっておりますので、そのようなことを積極的にもっと促していくということじゃないと、いつまでも昭和のままの学校では教員人気も下がる一方と思っておりますので、この辺りもより強化をしていくべきだと思います。これが1点目です。
次に2点目で、3分類のアップデートなり更新、保護者等の苦情等のことも入れていくといったようなことには大賛成です。一方で、今までの3分類で十分浸透しなかった、活用されなかった背景だとか原因もきちっと考えていく必要があると思います。単に指針に位置づければいいというような単純な話ではないと思います。私は一つは、これは中教審全体の問題かもしれませんけれども、教職員の意見表明だとか参画が薄いという問題もあるのかなと思っております。つまり、国等から押しつけられた感がかなりあるというようなところもあるかなという気がしていて、もう今のこの時代、意見募集とかはすぐネット上でできますので、教職員からこの3分類をアップデートするためのアイデアを頂戴というふうにどんどんアイデアを募集していってもいいぐらいだと思っております。
細かく言えば切りがないですけれども、例えば進路指導と一言で言ってもいろいろな業務がございまして、例えば模試だとか検定試験の監督なんかは学校外でやったらいいでしょうし、高校入試の願書の提出だとかは各家庭でやるとか、各論を言うといろいろもっとこの3分類以外にもあるんですね。そういったことも含めて、いろいろなアイデアをもらうといいんじゃないかなというふうには思っております。これが私からの2点目です。
3点目、自治体だとかの服務監督権者の役割だとか校長の役割についてです。今回の指針の案で少し弱いなとかあまり言及がないなと思うのは、伴走支援の在り方だとかの話です。スポーツで例えますと、なっとらんということで怒る、𠮟りつけるだけのコーチでは十分ではないと思います。つまり、どういうところでうまくいっていないのかといったような要因だとか背景をきちっと見てコーチができるような教育委員会であるべきだと思いますので、その辺りも含めて伴走支援の、具体的なやり方はいろいろあるでしょうけれども、もう少し強調して書くべきだと思っております。
あるいは、それは校長も同じでして、教員に「あなたは時間外が長いよ。早く帰りなさい」ばっかりではなくて、きちっと背景要因を見てききっちり寄り添えるようになる、あるいは働き方改革だからといって学校のチームワーキングだとか協働性というのはやっぱり大事にする校長であってほしいなと思っております。
私からは以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、会場から、橋本委員お願いいたします。
【橋本委員】 橋本です。まずは、今般の法改正に関しまして、文科省の皆さんの御尽力に感謝したいと思います。法律は成立しましたが、我々民間企業も同じですが、ルールを具体化し実装していく、あるいは実務に落とし込んでいくということが大変難しい場面です。引き続き皆さんと議論をさせていただきたいと思っています。
まず、今日は指針がテーマということですのでちょっと一言申し上げたいんですが、私は金融業界に属していまして、監督官庁は金融庁です。金融庁の認可と監督と検査というのはこの業界の前提になっているわけですけれども、先日別の部会でも申し上げましたが、かつてはルールベースのアプローチで適合性確認を重視してきたんですが、今は金融当局は金融機関に対してプリンシプルを示して、それを実現する手段については金融機関の創意工夫や状況に応じた判断を尊重する、一方で金融機関は説明責任をしっかり果たすという、プリンシプルベースアプローチに転換してきています。
学校の教職員の世界の中でこれがそのまま適用されるとは全然思っておりませんが、これから各教育委員会において指針に即した計画を立てられるにあたって、各教育委員会、学校が自主性を発揮する部分についてはそれに委ねて、一方で結果についてしっかり説明責任を求めていくようなそういう体制が大事なんじゃないかな、そういう制度設計をしないといけないんじゃないかなと思います。一番まずいのは、指針に従うことだけに汲々として実効性を伴わないということで、そうならないようにやっていただきたいなと思います。
そういう前提の下で2点ほどちょっと申し上げたいんですが、まず、1点目は例の3分類の件です。この明確化と見直しについては、私は異論はありません。教職員の方はもちろん保護者や地域の方にも正確に理解してもらうということが、働き方改革や勤務環境の改善には不可欠だと思います。
ただ一方で、例えば附帯決議の第10項に、3分類に基づく取組が確実に実施されるように必要な財政措置等の条件整備を講ずることということも記載されています。やはりこの3分類をしっかり前へ進めていくということが持続可能になるような財政面を含めた措置、つまり、専門の業者への外注や、デジタルの仕組みの構築など、そういった具体的な実行策をしっかり進めていけるような形にしていただきたいなというのが1点目です。
2点目は、資料の4-1の方向性で管理職の責務について記載されていますけれども、これも何回か申し上げたんですが、企業でも働き方改革をこの数年間進めてきました。私もそれを実際進めた立場の人間ですけれども、このまま放っておくと当社に入社してくれる社員がいなくなってしまうという危機感の下に進めたという経験があります。今、教職を目指す方がどんどん減っていっているという中では、働き方改革を進めなければ、本当に先生を目指していく優秀な人材がいなくなってしまうという危機感をもって進めていくべきかと思います。
その中で大事なことは、管理職の方がリスクを恐れずに、しっかりと、やらなくていい業務の廃止、あるいは、その結果生じる責任についてはしっかりと自分が対応するという決意で進めていただくことが大事かなと思います。部下からこの業務を削減すべきというボトムアップで改革が行われることは、私は経験上あり得ないなと思っています。
そのような意味では、リーダーシップを発揮できるような組織マネジメントについて、記載いただいているとおり、人事評価や研修などに組み込んでいくことが必要ですし、しっかりとそういうことを進めていく管理職を支援するという体制も必要だと思います。
管理職の方の義務や責任といった重い話と、リーダーシップを発揮してしっかり改革を進めていく管理職を高く評価するという前向きな話をいかにバランスよく盛り込んでいくか、非常に難しいんですけれども、これをしっかり備えていないと指針の効果もなくなるんじゃないかなと思います。ぜひその面も御検討いただければありがたいなと思います。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。以前より橋本委員は、働き方改革はボトムアップでは進まない、ただし、ボトムアップの組織はできるということを強調されています。本当に重要な御指摘だと思います。ありがとうございます。
では、島村委員、お願いいたします。
【島村委員】 失礼いたします。周南市立大川内小学校で教諭を務めております島村です。
まず、本特別部会開催に向け、これまでの御議論を踏まえた資料を作成してくださった文部科学省の事務局の皆様に感謝いたします。また、あわせて、中学校35人学級化や中級指導などのための教員の基礎定数化、小学校の持ち授業時数の軽減に資する専科指導のための定数の計画的な改善など、様々な定数改善、教職調整額の段階的な引上げ等の施策を力強く進めていただいていることに関しても、心よりお礼を申し上げます。
さて、指針の見直しの内容に係る論点が幾つか示されたわけですが、私からはその中の学校・教師の担う業務に係る3分類について述べさせていただきます。
内容のアップデート、これは非常に大切であり、具体的業務の例が増えることは、学校の業務改善に資するものであると考えます。私は全校児童数125名の小学校で教務主任を務めながら、学級担任として日々子供たちに向き合っております。業務改善が必要だということは十分承知をしておるところですが、なかなかじっくり考える時間がないのが現状であり、本校よりも児童・生徒数、教職員数が多い学校ではなおさらのことと推察いたします。このような中で3分類がアップデートされることは、学校における働き方改革の加速化の観点から大きな意義があると思います。
他方、表記の中に「事務職員」という文言が多数見受けられます。小中学校の場合、多くの事務職員は学校に1人の配置職であり、経験も様々でございます。チーム学校の観点からは、事務職員や教員用の支援員、副校長、教頭、マネジメント支援員等の支援スタッフの配置・拡充はもちろんのこと、資料4-1の7ページに記載がございますが、地方交付税措置がなされている職員等の配置・拡充等についても、それぞれの地方公共団体で取組を進めていくことが重要であると思っております。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございました。
では、都竹委員、お願いいたします。
【都竹委員】 岐阜県飛騨市長の都竹でございます。よろしくお願いいたします。
まず、今回のこの御議論、非常に重要だというふうに首長の立場からも思っております。市長の立場で学校の教育の現場を見ておりまして、これまで様々なことを学校の教師に委ね過ぎてきたんじゃないかということを非常に強く思っておりまして、市長部局からこの負担を軽減するということを私自身は大きなテーマにしてきました。
例えば、3分類の一番最後に、支援が必要な児童・生徒、家庭への対応というのがございます。これは教師の業務だが負担軽減が可能な業務、今の見直し案ですと、教師以外の担い手の積極的な参画を促すべき業務というふうにされておりますけれども、私の現場感覚からいくと、教師が自ら行うには無理がある業務じゃないか、福祉、医療の分野で関わることが必要だというふうに強く思ってまいりました。
それゆえに、私どもには、ここについては市長部局が入っていくべきだということで、今、学校作業療法という取組を進めております。特性の強いお子さんですとかコミュニケーションが難しい子供たちの支援のために、学校現場に作業療法士が入って、子供たちの課題解決の手助けをしたり、校内の環境調整とか、時には家族の関係にも立ち入って支援するというようなことをやっています。
これは私どもの総合福祉課というところの事業でスタートして、学校現場と擦り合わせながら形にしていって、今は予算は教育委員会につけていますけれども、運営は総合福祉課と各学校が連携するというような形でやっております。
こうした経験をしておりますと、これは教師、教育現場だけでは無理だったなということを非常に強く感じるわけです。その意味では、様々な学校以外の主体が支援できる体制を取るというのは非常に重要なことだし、これについては大いに賛成でございます。ただ、その際に、先ほど戸ヶ﨑委員のお話もございましたけれども、じゃあ誰がやるのかというお話になります。学校現場と教育委員会以外で担うということになれば、やっぱり一義的には首長部局が担当するということになってくるんだろうと思います。
そうすると、総合教育会議で課題を共有するということだけにとどまらず、まず、問題意識をしっかり全国の首長に共有して、その上で、首長部局に教育支援のセクションをつくる、例えば、教育支援課のようなものをつくって支援をするということが必要じゃないかなと思います。
例示の中でも、登下校時のボランティアの見守りとか地域ボランティアの連絡調整といった記載がございましたが、これは地域の人の動きが分かる基礎自治体の職員でないととてもできないことですし、子供の居場所づくり、これは朝も含めたことですが、これも、やっぱり首長部局の出番だろうと思います。
ただ、そうなってくると課題なのは財源でありまして、この点が必ずついて回る。誰かがやらなくてはいけないわけですから、人件費を国費で措置してほしいという意見が必ずセットで出てくると思います。いきなりの実施は難しくても、モデル的に例えば幾つかの自治体を募集して、どのぐらいの財源が必要なのか検証するようなことも検討していく必要があるのではないかなと思っております。
また、教育現場でできることについても、やっぱり財源が必要で、留守番電話の設置とか公会計化の実施、あるいは事務職員の配置も、これも必ず財源を伴うものでありますから、こうしたことがセットでついてくるということを念頭に置いていただきたいなと思います。
また、財源がついてきても、人材確保が難しいということがございます。ボランティアもそうですし、教育業務支援員のような方もそうであります。ですから、これは全国一律には進まない、地域の実情に応じて柔軟な対応が必要だということも念頭に置いていただきたいなと思います。
私から以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。具体的な実践も御紹介いただきながら、首長部局の役割の重要性と財源の問題がどうしても伴ってくるという大変重要な御指摘をいただきました。どうもありがとうございます。
では、髙瀬委員、お願いいたします。
【髙瀬委員】 よろしくお願いいたします。
3点ほどありますけれども、まず最初に、時間外在校等時間の表についてなのですが、令和11年までに1人当たりの、年間ですけれども、30時間程度に削減するということが掲げられて、この30時間というのは結構大きなことだなと思っているところです。
学校の現場で考えると、業務の効率化とか業務量を管理していくということは本当に大事なことだと思うのですけれども、繁忙の月とそうでない月がございます。学校行事であったり、例えば、教員によっては、資質・能力の向上のために校内研究の授業であったり提案者になったりすると、そのときは業務が増えるということが生じてきます。
ですので、そういった際に熱心に取り組みたいという教員の意欲をそがないように、30時間というのは年間の平均であるということで、きちんとマネジメントしていくということを考えていきたいというように思います。30時間というと、印象的に30時間必ずというような、そんな印象も出てきますけれども、年間通して平均30時間というところを確認したいなというところが1点ございます。
それから、2点目が3分類のことですけれども、まず、3分類をアップデートしていただくというのは本当に大事なことと思います。まだ教員が行っていることで教員以外の担い手が行っていただけるというものがあれば、それをきちんとアップデートしていくということは大事だと思います。
そして、名称ですけれども、今回、提案の中で、真ん中ですが、「学校の業務だが、教師以外の担い手の積極的な参加を促すべき業務」というところが出ていますが、こちらはこの提案というのがしっくりくると感じます。小学校で考えますと、こちら2のところには、児童・生徒の休み時間における対応ですとか校内清掃とあるのですけれども、小学校ですと児童理解であったり安全管理を含めて教師が関わることがありますので、教師以外の方に参画いただくという名称のほうが妥当であると考えました。
それと3点目ですけれども、これは質問ですが、放課後の児童の居場所づくりで地域・保護者との連携というのがすごく大事であるということは本当によく分かりますが、保護者も仕事を持っていたりとか忙しい状況があります。特に放課後の児童の居場所づくりで保護者が担うというのは、どういったことをイメージされているのかというところを教えていただけたらと思います。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。いただいた御質問はまとめて事務局のほうに後ほどお返ししますので、よろしくお願いいたします。
では、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】 青木でございます。まず、資料4-1について細かいことを含めて幾つかお話しして、その次に、また別のことをお話しします。
資料4-1の2ページです。3つ目の白丸ですが、こういったいわゆる上乗せ・横出し的な規定というか、メッセージを出す、その上でこの指針というものを位置付けていくというのはいいことだと思います。というのも、国会でも議論になりましたが、指針を義務付けるということでありますので、地方自治とのバランスを取るためにもそういった考え方が基軸になるのがいいと思います。
同様に、3ページに3分類が書かれていますが、先ほど戸ヶ﨑委員も御指摘になった担うべきでないと位置付ける自治体もあってもいいと思いますが、まずは、この場で国としてどういうふうに文言を整えるかということを考えた上で、やはり3分類についても上乗せ・横出し的なことを推奨するというような位置付けにするのがよろしいかと思います。
既に、実際幾つかの地方自治体を見ますと、3分類で項目が少し増えているようなところもございますので、そういったことも参照しながら、こちらでも議論をしていくとよろしいのではないかなと思います。
また、「教師以外の担い手の積極的な参画を促すべき業務」という御提案がありますが、先ほども御指摘がありましたけれども、財源問題があるわけですが、例えば、市町村の事務職員ですとか用務員の地財措置というのがあるわけですので、これからは、働き方改革を積極的に取り組んでいる自治体というのがあって、そういうところが先生にも選ばれるというふうになっていくはずですので、そういった事例を横展開するということも併せて考えていく必要があるかなと思います。
4枚目ですが、管理職の責務、こちらは育成指標というのがありますので、既存の制度との関連の中で育成指標とうまく管理職の責務を位置付けていくといいのではないかなと思います。
また、参考資料というんですかね、7枚目のところにありますが、留意事項がありまして、持ち帰り業務についての言及がありました。こちらは私、非常に肯定的に受け止めています。といいますのも、国会でこちらも議論になりましたが、労働法制一般と給特法は地続きなんだということをこちらでかなり意識している記述であると私は理解していますので、今後も、こういった理解を基本的なスタンスとして議論をしていくといいのではないかなと思いました。
資料については以上ですけれども、少しメタ的な論点として2つ申し上げます。
1つは、管理職の確保というのが大事なテーマになっていくと思います。今後、地方自治体にある意味ピン留めをしていく、次は管理職だというときに、管理職への期待が過剰になると、管理職になりたくないということになってはいけませんので、そこが大事な点だと思います。
もう一つは、文部科学省も地方自治体に対して伴走支援ということが期待されているわけですので、これも私、国会で言ったんですけれども、どう思われてもいいやと思って言ったんですが、文部科学省の機能強化というのもやはり大事で、ぜひここの場でも少し意識していただければと思います。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
露口委員、どうぞ。
【露口委員】 失礼いたします。私のほうも資料4-1の関係でございまして、指標の見直しの部分でございます。時短の指標だけではなく、働きがいであるとかワーク・ライフ・バランスを盛り込む必要があるという点に関して、1点だけ意見を申し述べさせていただけたらと思います。
本日、参考資料13で資料を添付させていただいております。既に多面的な指標を設定している都道府県が出てきております。令和6年の時点の資料です。御覧になっていただけておりますでしょうか。例えばなのですが、資料1の沖縄県では、働きやすさとして、同僚と管理職との人間関係であるとか、個人の裁量、ゆとりの時間の確保とか、働きがいとして子供・保護者との信頼づくり、資質・能力の向上、専門性の発揮、この辺りを多分アンケート調査ということになるとは思うんですが、設定し、県内のデータを取って、その変化を見ていこうというような計画をもっております。心身の健康というのが3つ目の軸でございまして、ここに勤務時間のことが入ってまいります。働きがい、働きやすさ、心身の健康、そして、このその中に長時間勤務の改善が入るという、作りになっております。
同じく京都府のほうも、資料2になりますが、時間外在校等時間の削減、働きがいのところでワークエンゲージメント、働きがいの科学的な指標を使用しています。自己研さんの機会が含まれております。働きやすさとして、気分障害・不安障害の抑止であるとか、不眠の改善とか、この辺りに踏み込んだつくりになっています。難しそうな指標も入っているのですが、教員勤務実態調査等で使用されておりますので、教育委員会の担当の方も十分に使用できる尺度です。
あと、資料3が東京都の分でございまして、こちらも似た感じで、時間外の在校等時間と、2番目の業務への負担支援とかライフワークバランスというのが働きやすさ系で、4番目の仕事に対するやりがいが働きがいの系統かなと思います。
最後、資料の4が愛媛県でございまして、まず、在校等時間の話が出て、2の学びの実践、3の教職のやりがいが働きがい関係で、最後、4と5が働きやすさに関する指標です。既に働きやすさだけではなく、時間だけでもなく、働きがいを指標に盛り込んで計画の中に落とし込んでいっている自治体も出てきているということで、またこの辺りは今後の議論で参考にしていただけたらありがたいかなと思います。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。多面的な観点から見ていくことの実践例も御紹介いただきました。ありがとうございます。
では、秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】 ありがとうございます。学習院大学の秋田でございます。この間、いろいろな御尽力によって、更に指針で推進されるということを、とても重要なことだと考えております。
指針の2ページでございますけれども、先ほど御意見にありました、教育職員の平均を30時間程度とするというところについて賛成でございますが、年間の平均としてというようなところと、それから、先ほど橋本委員からも、トップが示さなければならないということはあるんですけれども、教師が自立的に判断をしながら年間で平均が30時間というような、どこかに教師の自律的な見通しなり管理職との相談を持って取り組んでいくというようなところが大事ではないかと考えるというのがまず1点目でございます。
それから、2点目の3分類の表記でございますけれども、先ほど御提案いただいた、左側の「基本的に」のところを取るとか、2つ目のところの表現を、教師以外の担い手の積極的な参画を担うべきということが書かれておりますが、3つ目のところの「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」という表現ではなく、例えば、指針の5ページ目では、これからは個業型の業務遂行から協働型にシフトチェンジしていくというメッセージが出ておりますので、教師が協働型でチーム学校として担うことを推進すべき業務等の形という表現にできればと考えます。例えば、9から13とか、それから、先ほども出ておりましたICTの情報機器の管理等のところはそこに入るのだろうと思います。
それに対して、先ほど岐阜の都竹教育長からお話があった14のところ等のように、福祉部局との連携が必要なところ等については少し点線をするとか、首長部局との連携が一層必要なところと、それから学校内でチーム学校としてやっていくようなところで負担が軽減できる業務というような表現のニュアンスがあるとよろしいのではないかというふうに考えをいたしました。
それから、7ページ目のところでございますけれども、こちらのほうで、域内の学校における以下の取組の推進というところで、若手教師の支援体制の整備や教員の研修の受講等に関してはできるような形の整備を行うというようにとあります。若手のみではなくて現職教員も学びがいとか働きがいと同時に負担は軽減するというようなニュアンスのところが、若手だけではなくどの年代の教員の研修でもて入るとよろしいのかなと思いました。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 佐藤です。よろしくお願いいたします。
私から今回の説明を受けて何点かお話しさせていただきたいです。まず、資料3の趣旨や目的、こちらにつきましては、ぶれずに1回1回押さえていきたい内容と思っております。それを踏まえまして、資料4について少し触れさせていただきます。資料4に示されている計画・取組がどのように進んでいくのかということが私としてはやはり気になるところです。
資料4-1の2ページ目の中段ぐらいにあります、「地方公共団体の実情に応じて設定する」という言葉がありますが、今日に至るまで、各地方自治体による実践があり、それを生かしていくということもあるとは思いますが、やはり現状、地域間格差があるのではないかと思っています。それは予算だけではなく、人材をどう確保していくかということは、学校としても危惧されているところではないかと思います。
その中で、今回の資料の中に、「国が定める指針に則して」という文章が入っておりました。そこについては、とても私は期待しているところです。その中で、人材を確保していくに当たり、学校が独自に見つけていくということでは限界が来るので、行政として人材確保のシステムを構築していっていただけることを期待したいと考えております。
次に、資料の4-2ですが、日課表に触れているこの資料、これは学校としてはありがたい資料だと考えております。先ほど委員のほうからありましたように、学校が主体的にということがありましたけれども、この日課表の内容につきましては、学校が主体的に、そして自分事として考えていく1つの資料となっていると捉えております。この中で、学校がどのパターンが自分の学校に合うのか、また何が必要かと考えていけると思っています。
学校は授業だけではなくて、絶対に、学校が担う部分もあると私は考えております。例にはなりますが、特に今よく言われる、いじめの対応に関しては、そこは真剣に考えていかなければいけない。そのための時間をどう確保するかというところ。現状は時間外になることが多いですが、この日課表の見直しによって、勤務時間内に入ってくると考えます。
そういうことが、先ほども言いました、資料3の趣旨や目的の部分に必ず戻ってくると思っておりますので、日課表の検討を、ぜひ早く全校展開して、現実のものとしていきたいと考えております。
今後のことでございますけれども、実践したことをぜひ評価・検討できる場面や、学校がやってみて、実際こういうふうにしたほうがいいのではないか、という意見もぜひ聞いていただける機会があればと考えております。よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
今、資料4-2が映っていまして、佐藤委員からも言及いただきましたけれども、1枚目は教育課程企画特別部会で教育課程課さんから出していただいたんですが、それ以降のところは更に財務課さんが加えてくださって、それで、こうしろということではなくて、ぜひ、今、佐藤委員がおっしゃったように、学校で自分事として考えていただくときのきっかけにしていただければということでお作りいただいたんだと思います。まさにそういうことで受け止めていただければと思うところでございます。ありがとうございます。
では、今城委員、お願いいたします。
【今城委員】 今城です。私、高知県の教育長として参加させていただいているんですけれども、私は現場で校長もしておりましたので、まず、校長としての立場から少しお話しさせていただきたいというふうに考えています。
今、3分類の話が出ておりますけれども、私もこの3分類を使って校長時代に学校運営協議会で皆さんと一緒に協議をしました。そのときに、ここの中の①番にあるような登下校に関する対応については、地域の方がそれはやってくださっていました。先生たちは校門から先を見てくれたらいいからというような感じで。どういう場で協議をするのかという意味では、このコミュニティ・スクールというのは非常に重要な鍵なのではないかなというふうに考えています。
学校以外が担うべき業務というのは、なかなか校長としても言いづらいところがあるようには思います。この文言を変更したとしても、最初、戸ヶ﨑委員さんもおっしゃっていたように、誰がこれを担うのかというのを協議していくということ、納得の上で進めていっていただくということが大事だなということを校長時代を通しても考えていたことでした。それが1つです。
もう一つですけれども、4-1の資料の中でも、時短のみならずワーク・ライフ・バランス、働きがいというところ、ここは本当に私も大事だなというふうに考えています。それも校長時代にもよく話していたんですけれども、ワークもライフも楽しめるような、そういった学校にしていきたいよねというふうな話をしていましたので、ぜひこの2ページのところ、もっと明確に打ち出していければいいなということを考えました。それが2点目です。
3点目としましては、私は高知県の教育長という立場で申し上げますと、本県、昨年度も小も中も、それから県立学校も、どれだけ時間外の在校等の時間があるのかというのを調査いたしました。そうすると、中学校が一番のネックになっています。それは何かというと、やはり部活動のことでございます。
この部会では直接ではないのかもしれませんけれども、本県は小規模の自治体が大変多いです。中山間地域では、なかなか部活動の指導者の確保ですとか、それから財源の確保に苦慮している状況があります。市町村教育委員会だけではなかなか解消が難しいという状況にあるのが現実、事実でございます。
そういった意味で、各教育委員会に30時間という目標の設定を求めるのであれば、地域の実情に応じた取組ですとか、それから部活動の地域展開を進めるための財源的な支援とか、そういったことも同時に進めていくということが重要ではないかなというふうに考えています。それが3点目です。
もう一点ですけれども、県立高等学校を所管する立場から言いますと、今回、高等学校の業務もこの3分類の中に加えていただけるというのは、とてもありがたいというふうに考えています。例えば、高校ですと多様な教育課程を組んでいますので、時間割作成などもなかなか難しいところもあります。AIの活用なども考えられるのではないかなと思いますので、今回、資料の4-2に示していただいたようないろいろな具体例がありますけれども、そんな中にも高等学校の例なんかも加えることができればいいなということを考えています。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】 よろしくお願いいたします。私は、コミュニティ・スクールの推進を地域の立場で関わっていることで、この3分類のところについて少しお話をさせていただきたいと思っています。
まず、「基本的には学校が担うべき業務」、そして「学校の業務だが必ずしも」というところについて、④の地域ボランティアとの連携調整、これはコミュニティ・スクールにおける地域学校協働活動推進員の充実というところで大分強化されるのではないかとは思っています。しかし、そのほかの地域ボランティア等にという⑥、⑦、そして⑧も併せて、学校の中での活動になるものということを考えると、双方の連携というものが必要であろうと思います。変な言い方かもしれませんが、全て丸投げにということでは、地域としての戸惑いが聞こえてくるかなと思っております。
それから、地域ボランティアとしての関わりにおいての責任の所在という壁も、都度、どうやって乗り越えるかということが推進をしていても聞こえるところですので、コミュニティ・スクールでの協議の下で、双方向に問題解決のために協力し合うというような表現ができないものかなというふうに思います。
それから、もう一つは、「教師の業務だが、負担軽減が可能」というところですが、東京都でもこの数年で、スクール・サポート・スタッフや、今年度からはエデュケーション・アシスタントということでの協力人材が学校に入ってくるということを進めてきており、お金はかかりますけれどもそうした人材を強化していただいて、様々なサポート体制での推進というような考えを持っていくことができないかなと思います。今までも出ておりましたが、チームとして、みんなが協力し合い、協働し合って進めていくというということが大切であると思います。ありがとうございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】 ありがとうございます。今回初めて特別部会の委員になりました連合の清水でございます。この前の部会のときには、同じ連合から金子委員がお世話になったと思いますが、引き継いで清水でよろしくお願いいたします。
給特法の改正に関わっては、文科省の皆さま方に案をつくっていただき、国会での真摯な議論によって、与野党を挙げて修正をかけていただきながら、時間外在校等時間の具体的な削減につなげていこう、働き方改革を進めていこうということで、現場の声も非常に期待をするというところでございます。処遇改善だけではなく、このことは非常に大きなことであろうというふうに思っています。
そういった意味で、今回の指針の見直しに当たっては、参考資料12で、私も別途意見書を出しておりますから、そこを見ていただければと思うのですが、その中から4点に絞って発言をさせていただきます。
まず、1点目は学校業務の適正化に関してですが、着実に適正化を進めるには、教育委員会自らが進捗の管理をすることを明記しておく必要があるのではないのかなと思っています。計画をつくるだけではなくて、進捗をしっかりと管理するということであります。
2点目は、関係行政機関との連携ということが記載ありますけれども、人事院では国家公務員からの勤務条件や休暇等の苦情の対応を行っていますが、自治体の労働基準監督機関に当たるのは人事委員会です。地方公務員である教職員に対しても、教育委員会などと連携しながら苦情の対応や必要な助言を行う。人事委員会は知事部局には意見はかなり言ってもらえるのですが、教職員の場合にはあまり言ってもらえず、それは教育委員会の仕事だみたいな形になるものですから、その辺りはぜひ連携をお願いしたいと思います。
3点目は、学校設置者の責務ということであります。在校等時間の削減の実効性確保をするためには、教師の服務を監督する役割が教育委員会にあることを明示していただくということ。それから、教育委員会には事務局と、あと選出されている教育委員の方がいらっしゃいますよね。教育委員の方は何をするのか。この計画と進捗にどういうふうに関わるのか。ぜひ、全国の1,700に及ぶ市町村の教育委員会においても教育委員の方が3人とか5人とかいらっしゃいますが、その方たちが何をするのかというのもしっかりと明示していただくことが必要なのかなと思っております。
4点目は、業務の持ち帰りについてです。これは他の委員からも御意見がありましたが、時間外の在校等時間を削減するために業務の持ち帰りが増えてしまっては本末転倒だということで、まず、業務の持ち帰りの実態を見える化して、業務の持ち帰りは原則行わない、行っても実態はこういうことなんだというのを見える化、実態調査などをしっかりやって行っていくことが必要ではないかというふうに思っています。
連合でございますので働く者の立場で、私も教職員組合の出身ですので、先ほど今城委員のほうから学校の登下校に関してうまくいっている例などが御発言ありましたが、そのことで言うと、例えば、学校に登下校、通学路のことについて電話がかかってきます。カーブミラーのところにツタがいっぱい絡まっていて、見づらくて危ないので何とかしてくださいと。これを聞くと、教員が朝の登校の、登下校の指導を兼ねて、剪定ばさみを持っていってやったりするわけですが、これは本来学校の教員の仕事ではないのではないかなと思います。
このとき、じゃあ誰がやるのかというと、カーブミラーだから警察かと思うと、警察は道路標識はやりますけれども、カーブミラーはやりません。なので、これうちとは違いますと言われます。自治体かというと、自治会とか、あるいは教頭先生が「俺行ってくるよ」と言って、地域のシルバー協会、シルバーの人たちに声をかけると、じゃあシルバーのほうでやるよと言ってボランティアでやってくれたり、動く教頭先生がいたりするといいんですけれども、何も動かないと、結局は教員が対応せざるを得ないということになるんです。
登下校で高知のようにうまくいっている例もあれば、全く進んでいないというところあります。学区内で交通事故があったときには、これは徹底してすぐに動かなきゃいけない。このときに、学校警察連絡会、学警連なんて組織もありますけれども、私はこういったところで、生徒の生徒指導だけじゃなくて、誰がどういうふうにカーブミラーを守っていくのかとか、登下校を守るのかということも話し合うと良いのではないかと思います。
不審者メールを学校から発信されるのはありがたいというお話があるのですが、不審者メールを発信したら、どうして下校のときに見回らないのですかと、何で先生は帰っているのですかという反応もあります。こういったことについても、どういうふうに3分類を整理していくのかという検討が必要かと思っています。
学校現場で19年教員をやっていた立場から少し発言させていただきましたが、あと、妹尾先生や都竹飛彈市長がおっしゃっていたように、財源のことは非常に大事ですし、あるいは、教員の立場から、島村委員やまた青木委員からもありましたが、事務職員などが学校現場で市町村1人、同じように、養護教諭や栄養教諭などの配置基準なども見直していただいて、大規模の学校、児童・生徒数が多い学校には養護教諭が複数配置されるとか、栄養教諭も適切に配置されるような、そういった少数の職種についても定数改善を行っていくべきではないかと思います。
私からは以上でございます。
【貞広部会長】 どうもありがとうございます。カーブミラーに関わる一連のお話は、都竹委員が「そうそう」という感じでとても笑って聞いていらっしゃるのが大変印象的でございました。ありがとうございます。
では、川田委員、お願いいたします。
【川田委員】 ありがとうございます。資料の4-1をベースに幾つかお話ししたいと思いますが、前提というか総論的な話として、最初に2点ほどお話をしたいと思います。
まず、資料の4-1の内容は、指針の見直しに関するかなり具体的な内容であるわけですが、前提としては、昨年度の答申、それから、それを受けての給特法の改正という流れの中で、答申等で言われている学校における働き方改革の加速、学校の指導・運営体制の充実、教師の処遇改善等を一体的・総合的に行っていくという動きの中でこういう検討をしているんだという視点は重要なのだろうと思います。
この指針を見直すということになると、現状を変える部分というのが出てきますが、そのときに、なぜそういう検討しているのかということを説明する必要というのはいろいろな立場で出てくると思いますが、そのときに、そういういろいろな点についての一体的・総合的な改革が必要であるとされていて、そういう中でやっているんだという視点は大事だろうということです。
それから、もう一つは、私が専門にしている労働法との関係でいうと、このような具体的な検討の中で、例えば、上限指針の徹底というような話も出てきているわけですが、その根本にある点として、教員にも適用される労働基準法とか労働安全衛生法等の法令の遵守が徹底される必要があるという点は、より強調されてもよいのかなと思っています。
それを前提として、資料の4-1では、時間の許す限りで述べたいと思いますが、例えば、2ページのところに出てくる時間数等は、他の委員からも御発言がございましたが、時間だけが独り歩きするというよりは、具体的な業務との関連とか、あるいは、ワーク・ライフ・バランス、ウェルビーイングとの関係というような視点も含めて考えていく必要があることであろうと思います。
あるいは、2ページから3ページの3分類のところですが、これについては恐らく、具体的な中身あるいは表現の仕方等で、全体としては、教員の仕事を減らしていくという視点が重要になるだろう。例えば、学校の業務だというような表現が出てきますが、学校の業務であるかないかというだけの話ではなくて、学校の業務であるとしても教員の負担を減らす必要があるというような視点は必要なんだろうということです。
それから、ちょっと時間もありますので、先ほど前提として述べた2点目とも関係ある点ですが、例えば、5ページ目の下のほうで、学校における働き方改革の基本的指針の本文最初の行に「関係法令にのっとり」というような記述があるところなんかが、より具体的に守られるべき法令を意識する必要がある、もうちょっと強調されていいのかなというところです。
最後に、既に他の委員からも御発言があった点とも重なりますが、例えば、7ページの真ん中辺に、健康及び福祉の確保に関する措置として出てくる勤務間インターバル、年次有給休暇等々、この辺りは労働法制全般についても検討課題になっているところですし、それから、下のほう、第4の留意事項のところに出てくる業務の持ち帰り、これについても、労働法の観点からは、労働時間との関係を整理する一方で、在宅勤務という観点から、適切な時間管理等の下で行われれば、それが望ましい部分もあるのかもしれないので、労働法制における例えばテレワークに関する制度との関係等も意識しながら検討する必要があるのかなというふうに考えております。
以上です。
【貞広部会長】 かなりかいつまんでいただいたやに思います。申し訳ありません。ありがとうございます。
では、澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】 先生の幸せ研究所の澤田です。遅れまして申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。
改正法については、事務局の皆様の御尽力本当にありがとうございます。首長との連携だとか、地域・保護者の巻き込みなんかを見込める、まさに社会総がかりのために必要なことが盛り込まれたと思いました。これからは、より具体的な業務の削減や分担が更に進むことをこの部会で更に後押しできればと思います。その上で幾つかお伝えします。
まず、教職員の命を守るという点です。教育現場で子供の育ちのためには啐啄同時が大切にされるべきことを考えると、管理職であっても、安易に担任の業務に、残業を業務外だと線引きしにくいようなことが多いのはこれまでも話題になってきたことですし、私のところにも管理職からは管理しにくいという相談は多いです。
とはいえ、さすがに命の危険のラインを超えて働く職員を止めずにそのままにするわけにはいきませんので、管理職が超長時間勤務の教員に毎日の退勤を促しやすくするための一つとして、インターバルの確保を制度化するのが有効だと考えます。上限になったからここまでで帰らなきゃ違反になるというふうに言えるようになるからです。
その点を踏まえて、各自治体では制度化を含めて前向きに検討いただきたいと思いますし、国としては、特に背中を押していただくようお願いいたします。記載については、今、11時間が目安となっていますが、最低ラインとして記載してはどうかなと思いました。
次に、時数についてです。標準を上回って多く取った時数は、学びの時間的確保という視点では充実するとも言えますが、一方では、教員が子供から離れて学ぶ時間も、また、子供の放課後のゆとりも減らしているという負の側面があります。安易に上回って計画しにくくなるような抑止力としての何かがあればと思いました。
参考資料7の6ページを見れば、標準時数に上乗せされている時数に具体の使い方の想定がないという学校は、小中ともに4分の1程度あると分かっています。特に上回って計画を立てる学校には、使い道や理由を示すということを促すようなことも必要かと思います。
時数についてもう一つです。資料の4-2や参考資料の7では、すぐにできることが整理されています。中学校でも部活動をしても4時45分下校の例だとか、時間外在校等時間が17時間という例、教育委員会が週28コマを主導するという例も載せてもらっています。
私も、教育課程企画特別部会で示していただいたこれらの資料を教育委員会や校長先生方や教務の先生たちに講演などで示してみましたが、かなり関心が高いです。ただ、年度途中では変えられないという学校現場の根強い思い込みがブレーキになっているようですので、年度途中であっても柔軟に変更してもいいということも併せて国から改めて伝えてはいかがでしょうか。
次に、保護者・地域の理解・協力という点です。この会議体の前身の質の高い教師確保部会での資料では、3分類14項目について、削減すべきと考えているものが削減できないと考える理由として、保護者の理解が必要となるためというのが多くの項目で上位の理由だったと記憶しています。これは私が全国の学校回っていて聞く困り感とも一致します。
保護者の理解が得られれば相当進めやすくなるということの裏返しだとも言えますので、この点は、国からも自治体からも保護者の耳にもしっかり届くように積極的に発信していただければと考えます。
次に、管理職についてです。学校の業務の多くは最終校長判断で削減できるものですので、校長等の人事評価や研修内容を働き方改革について入れることについて賛同します。管理職の成り手不足でもあるので、教育委員会も悩みつつ昇格させ、また、昇格した校長自身も悩んでいるということも大変多いです。
働き方改革が進みにくい学校には、教育委員会の伴走をともありますが、今後はそれに加えて、例えば、チーム担任制のように、チーム校長制なんかを試す自治体もあってもいいのではと思っています。
次に、業務削減には時間投資が必要だという点です。校務DXチェックリスト、今回の資料では、学校において校務DXが進まない理由、取組の実施について学校内で検討する時間がないというのが42.2%で第1位です。そのほかにも上位に、環境面やルールの問題はないがICT活用に不安があるとか、活用が苦手な教職員、否定的な教職員も多いからというのが上位にあります。
これらの学校でのことは、ほかの誰かがやってくれることではないので、各校で検討するしかなく、自分たちの裁量における変化のためには適切な時間投資数が必要だということの表れだと思います。
これはDXに限ったことではなく、行事の精選や時程の見直しなど、私どもの学校支援でも、検討の時間投資をするたびに業務削減が進みますし、立ち止まって考えたらそれ以上の時間がつくれたという声が学校からよく上がり、そうした学校は改革自体の自走が始まります。ただ、それが想像できない管理職の学校は、いつまでも変化できないということもよく見かけます。業務削減や改善のために先行して時間を投資することの必要性についても校長が知っていることが重要かと思います。
最後に、教育DXロードマップについてです。やめることリストはとても分かりやすく、これを見ながら教員と保護者で検討したという話も既に聞いています。おまとめ、ありがとうございました。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、最後に、松永委員、どうぞ。
【松永委員】 もう時間があんまりないところで、一言だけ申し上げたいと思います。
前回、平成31年に出ているという3分類についてなんですけれども、高校の部分の視点ということで、先ほど今城委員がおっしゃっていたと思いますが、私も同感で、高校ならではの業務が非常に多いところですので、ぜひ入れていただきたいと思います。
すぐ思いつくところというのがあるわけではないですけれども、例えば、高体連とかそういうのの運営とかにしてもそうなんですが、どうしても教員が大会の事務局に出されて、その後を配置してもらわなければいけないとなると、それまで毎年継続してやってきたことというのがそこで止まってしまったりということで、学校としては困ってしまう現状があったりします。
一方で、それに出場する生徒を指導しているのも教員だったりするので、その辺りを考えていただくと、運営自体は外部の団体にやっていただけるというのがあると非常にありがたいなというふうに思いました。
30時間に目標で在校時間をできるだけ減らす――時間外在校時間ですかね。なっていくということがもちろん望ましいのは分かっているんですけれども、本校の若手の教員が、実は6月に100時間を超えているというのがおりました。その教員はやはり真面目なんですよね。生徒に向き合いたいという気持ちから、どうしてもそれが延長になってしまうという背景があって。私たちも声かけはしているんですけれども、なかなか難しかったというのはありました。
今後、例えば、減らさないと管理職のマネジメントがというふうに多分言ってこられるというのは分かっているんですけれども、それだとなかなか管理職の成り手がいなくなるかもねという本校の管理職候補なんかも話したりしたところでした。できるだけ教育委員会ですとか国とかが伴走していただけると、教員としては働きやすくなるのかな。私たちももちろん頑張りますけれども、そこの部分をお願いできればと思います。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
活発な御議論をいただきまして、ありがとうございます。この後、事務局からの御質問への応答と、もし何か応答があればということでお返しをいたします。大変恐縮ですけれども、数分会議を延長させていただければと思います。申し訳ありません。
では、事務局からお願いいたします。髙瀬委員から御質問が出ていました。放課後の児童の居場所づくりが、忙しい保護者がどう関わるようなイメージをお持ちなのかという御質問でございましたが。
【安井財務課長】 ありがとうございました。様々御指摘を頂戴しまして、ありがとうございました。
今いただいた御質問に関しては、資料4-1の3ページのところで、3分類のアップデートということの中で、勤務時間より前、あるいは下校時刻以降の児童の見守り・預かりという部分についてのお尋ねでございました。
ここで事務局のほうから御提案させていただいたところも、学校が教育機関としてその役割を徹底して高めていくという観点で見たときに、こういった学校の教育活動外の子供の関係の部分ということについては、学校ではなくて、保護者あるいは地域、あるいはまた、行政の部分で子供たちを支えていくという在り方を考えていく必要があるのではないかということで書かせていただいたところでございます。
全体は、ここで申し上げたかったのはそういう趣旨なのでございますけれども、保護者というのも、その子供の親というだけではなくて、保護者全体としての、自分の子供以外のお子さんのことも含めての取組ということも考えられるのではないかなという趣旨でこういう書き方をしておりましたが、当然、地域・保護者の方々だけじゃなくて、行政の福祉としての役割というようなことも議論の対象になってくるものだと考えております。
ありがとうございます。
【貞広部会長】 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
今日御議論いただいたことを踏まえまして、事務局におかれましては、次回の会議までに具体的な指針の改正案等を御準備いただき、改めて議論させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、一部委員の方の読み方を間違えてしまいました。大変申し訳ありませんでした。失礼いたしました。
最後に、次回の予定について、事務局よりお願いいたします。
【堀家補佐】 事務局でございます。
本特別部会の次回の日程につきましては、現在調整中でありまして、追って事務局から御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】 それでは、本日予定した議事は全て終了いたしました。これで閉会いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――