教育課程部会 教育課程企画特別部会(第14回) 議事録

1.日時

令和8年2月2日(月曜日)13時00分~16時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 各教科等の資質・能力の構造化等について
  2. その他

4.議事録

【貞広主査】  皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第14回教育課程企画特別部会を開催いたします。
 昨年9月に本特別部会におきまして論点整理を取りまとめて以降、論点整理の内容を踏まえつつ、各ワーキンググループ等において学習指導要領改訂に向けた専門的な御議論を進めていただいております。総則・評価特別部会では、「深い学び」を実現するための学習指導要領の構造化・表形式化・デジタル化の基本的な方向性や、柔軟な教育課程の具体化などについて検討を進めてまいりました。各教科ワーキングでは、学習指導要領の構造化に向け、各教科等の目標や見方・考え方、高次の資質・能力等について検討を進めていただいたところでございます。
 本日は、こうした議論の状況につきまして事務局から御報告を頂いた上で、論点整理の趣旨の実現の観点から意見交換を行いたいと思います。進行資料にありますとおり、総則・評価特別部会の検討状況及び各教科等における資質・能力の構造化等の検討状況について事務局より御説明を頂いた後、5分間の休憩を挟み、意見交換を行います。
 それでは実際の議事に入ります前に、まずは事務局より配付資料の補足をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  失礼いたします。事務局の配付資料でございますけれども、今画面に映されました資料でございます。
 まず、本特別部会におきまして昨年9月にお取りまとめいただきました論点整理の内容につきまして一定の期間が過ぎまして、いま一度全国の先生方をはじめ多くの教育関係者の皆様に知っていただくために、イラストやアイコン等を交えて分かりやすく整理したポイント資料を作成いたしました。概要版と詳細版の2種類を作成いたしまして、参考資料2-1と2-2としてお配りしております。ぜひ、学校や教育委員会での研修等に御活用いただきたいと考えているところでございます。これが1点目でございます。
 2点目でございますけれども、全国の小・中・高校を対象とする教育課程の編成・実施状況調査につきまして、令和7年度の最新の調査の結果を参考資料3-1、3-2でお配りしております。小・中学校段階につきましては、標準を大幅に上回る教育課程を編成している学校の割合が大幅に減少している状況、あるいはこの論点整理でも内容が含まれている週28コマ以下で設定する学校がかなり増加している状況を見取ることができ、全体的に大幅な改善が見られるところでございます。また、高校段階につきましては、各ワーキンググループの検討にも資するよう、科目の開設状況でありますとか、あるいは履修の状況についても今般調査を実施しておりますので、また御参照いただくことができればと考えております。
 配付資料については以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 それでは、総則・評価特別部会の検討状況について事務局よりお願いいたします。あらかじめ資料を御覧になっているかと思いますけれども、ほとんど情報の海に溺れそうなほどの情報量がございまして、事務局に30分ほど使って御説明することをお願いしております。私も頑張ってついていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  失礼いたします。教育課程企画室長の栗山でございます。
 まず総則・評価特別部会は、この企画特別部会でお取りまとめいただいた論点整理の内容を具体化するための特別部会でございますけれども、その総則・評価特別部会における検討状況についてまず御説明申し上げます。
 こちらは審議経過でございますので御参照いただければと思います。
 まず、目標・内容の構造化・表形式化等についてでございます。既に論点整理でおまとめいただきましたように、「資質・能力の深まり」と「資質・能力の一体的育成」を学習指導要領上で可視化することによりまして、資質・能力の関係性の理解やそれらを一体的に育成するための教師の単元づくりを助け、「深い学び」を授業で具現化していくために構造化を進めていくという方向性を頂いておりました。
 これについて総則・評価特別部会におきましてさらに議論を深めていただきまして、言葉の面など様々さらなる改善を進めていただいております。例えば「知識及び技能」について「中核的な概念等」としていた部分につきまして、「知識及び技能に関する統合的な理解」、その下の点線にございますように、「個別の知識や技能が相互に関連付けられて一般化され、統合的な理解となった姿」といったように、さらなる改善を図っております。
 また、右側に行きまして「思考力、判断力、表現力等」につきまして同様に「思考力、判断力、表現力等の総合的な発揮」、論点整理段階では「複雑な課題の解決」としておりましたが、言葉の面で改善を頂いております。これについては点線内にございますように、「複雑な課題の解決に向けて、個別の思考力、判断力、表現力等を組み合わせたり選んだりして総合的に働かせた姿」ということで整理を頂いております。
 この整理の後、各教科ワーキンググループ等で教科ごとに実際の文言の創出などを頂いて、本日横並びで御覧いただく機会ともなっているところでございます。
 また、表形式化につきましてもさらに具体化を総則・評価特別部会で進めていただきました。この並列パターンでお示ししましたのは、知識及び技能の系統性が明確な教科で、それと一体的に思考力、判断力、表現力等を育成するということで、内容のまとまりごとにそれを表記していくようなこの様式を整理いただいているところでございます。
 また次のページ、並行パターンとお示ししておりますけれども、こちらについては逆に思考力、判断力、表現力等の系統性が明確でありまして、知識及び技能がそれを全体として支えるような教科について適合的であろうということで、教科の特質に応じてこのような並行パターンもお示しいただいておりました。後ほど御説明いたしますが、国語や外国語等で採用の方向で進んでいるものでございます。
 また、表形式のみならず、具体の文言の記載ぶりについても、共通的な方針をお示しいただいておりました。上にございますように、統合的な理解、総合的な発揮をまとめて「高次の資質・能力」という言葉で呼んでおりますけれども、この「高次の資質・能力」を検討する上でのチェックポイントとして、A・B・C・Dのようなものをお示しいただいておりました。
 Aにございますような本質的意義の中核に照らした重要性の観点はもちろんのこと、Bにございますように、資質・能力の深まりを示す観点として、内容のまとまりを単に要約した見出しにとどまるのではなく、個別の資質・能力が児童生徒の中で相互に関連付けられて、統合的に獲得された姿を示すことができているかといった内容。
 またCにありますように、深い学びを実現する単元づくりを助ける観点ということで、1つ目にございますのは、単元を通じて児童生徒が追究する本質的な「問い」のようなものを構想する上で参考になるかといった視点。また次のポツにございますように、論述・レポート・発表・作品製作等、単元を通じて児童生徒が資質・能力を総合的に発揮しながら取り組む課題を構想する上で参考になるかといった視点。
 またD、分かりやすさ等の観点のように、一人一人の教師にとって分かりやすく使いやすいこと。さらには学校種・学年等、発達段階に即して妥当なものになっているかといったこと。こうした観点もお示しいただいて、各教科等のワーキンググループで御検討いただいてまいりました。
 また、このように今後の進め方についても議論を頂いたところでございます。この3ポツの(2)の部分でございますけれども、論点整理段階から各教科等ワーキンググループで検討を進めていただき、今回この(2)にありますように、教育課程企画特別部会における調整、2月中をめどと書いておりますけれども、まさに今日の御議論におきまして各教科等ワーキンググループで御議論いただいておりました「高次の資質・能力」の文言等について横並びで御議論いただき、また、その御指摘を踏まえて各教科等にフィードバックを頂いてさらに議論を深めていく、そのようなポイントに本日はなっているということでございます。
 その議論の後、(3)(4)(5)にございますように、個別の資質・能力の検討、そして「高次の資質・能力」の表現等を往還していくこと。また(4)にございますように、いま一度その検討を教育課程企画特別部会等に通して調整すること。それを往復していって練り上げていく、そのような往還の中で具体的に精査していきたいと考えている全体像をお示ししているものでございます。
 ここまでが簡単に学習指導要領の構造化や表形式化について総則・評価特別部会での御議論を御報告したものでございます。
 加えまして、学習指導要領につきましては、構造化・表形式化に加えましてデジタル化という方針についてもお示しいただいておりました。その具体化についても総則・評価特別部会で御議論が進みました。ここでお示ししたのは、デジタル技術を活用した学習指導要領の活用の利便性の抜本的な改善についてでございます。
 ここにございますように、現在、学習指導要領は紙とPDFで御提供しているものでございます。それゆえ、このページの上にございますように、必要な情報の探しにくさ、あるいは対応関係や関連性を探す上での分かりにくさ、あるいはデータを活用するときにもコピー・アンド・ペーストもしにくかったり、AIに読ませにくかったり、そうした課題の御指摘を頂いておりました。
 結果として、そのことが、このページの一番下にありますように、資質・能力ベースの授業づくりになりにくく、教科書「で」ではなく、教科書「を」教える授業や、本時主義の授業になりやすいのではないかという御議論を進めていただいておりました。
 そうしたことから、このページの一番上にありますけれども、教科書や教材等から学習指導要領の該当箇所がすぐにたどれる、あるいは教科・学年ですぐに絞り込める、系統図から見たい項目を選べる、担当外の教科や学年・学校種との関連性が俯瞰できる、すぐにキーワードで検索できる、マシンリーダブルでAIが読み込みやすいものになる、あるいは欲しいレイアウト・データ形式で出力してそれを自由に使うことができる、といったことについて御議論を頂いておりました。そのことによって、負担なく学習指導要領を確認・活用することができ、資質・能力をベースにした単元や題材の構想を含めた授業づくりがしやすくなることの方向性を頂いておりました。
 これを踏まえまして、私どもでこれから開発を進めていくにあたり、補正予算においてまずはその調査研究の予算を計上したところでございます。その意味で、今回お示しするイメージはあくまで参考として作成したものでございますし、今後の改訂においては実際の画面はもっとシンプルで使いやすいものにしていきたいと考えておりますが、現時点でのイメージということで御覧いただきたいと思っております。
 このように、幾つかのシーンでどのような改善ができるかをイメージでお示ししております。
 私ども文部科学省のホームページにおいて完成の暁には、このような検索画面から、教師はもちろん、地域住民の皆さんや保護者の皆さんにも御覧いただけるような画面にしていきたいと考えております。その上で、まず教科を選択する、例えば理科、その上で、小学校3年生といった学年を選ぶ。その上で検索すると、このようにぱっと具体的な目標、見方・考え方、内容といったものがすぐに見られるような在り方にしていく。その上で詳細という右下のタブを御覧いただくと、「学習指導要領解説」や「内容のまとまりごとの評価規準」、これは現在では別の冊子になっているわけでございますけれども、これもすぐに該当部分へこのように飛べるような機能にしていきたい。このことによって即時に見たい部分を見られるような在り方にしていきたいと思います。右側に評価規準や解説が表示されているのが分かるかと思います。
 また、こうした機能を応用いたしまして、理科と小学校6年生と中学校1年生、このように複数学年を選ぶことによって、同じ教科の違う学年を比較することもしやすくしていきたいと考えております。もちろん同じ学校種の中の違う学年も見られますし、このように学校種の違うところを見ることによって、小・中の連携なども進みやすくなると考えております。
 さらに申し上げれば、例えば算数そして理科、そして特定の学年ということで、同じ学年で違う教科を比較することもできると思います。校種とか教科横断的な取組を励ます、促すことがとてもしやすくなるのではないかと考えております。
 加えてキーワード、例えばここでは「季節」というキーワードがありますけれども、こうしたキーワードで検索することによりまして、いろんな教科で季節という言葉がどこに入っているのかが特定されてお示しできる。こうしたことによって、さらに先生方の授業づくりで独創的なアイデアが生まれやすく、実行しやすくなると考えております。
 さらに、ここにございますように系統表という部分が下にございます。そこから理科を選びますと、現在の系統表、例えば理科であれば現行こういったものが指導要領の解説に掲載されておりますけれども、その系統表から特定の部分、ここでいうと「風やゴムの力の働き」の部分を押すと該当部分に飛ぶことも可能にしていきたいと考えております。
 加えて、これは教師用の指導書でございますけれども、そこにQRコードの形でそれぞれの部分に振ってある学習指導要領コードをひもづけて、このように指導書のQRコードから端末やスマートフォンで読み込めるようにする。そうすると、今度はそこから検索画面の学習指導要領コードの部分にそのコードを転記して、そこから該当部分に飛べるようにすることも可能になってくると思っております。
 該当部分にはこのように赤で囲われているようにコードが実際に振ってある設計にしたいと思いまして、右上に関連サイトとありますけれども、そこでは公共性の高いサイトに飛べるようにし、例えばNHK for Schoolが掲載されているとすれば、そこに飛んで、先ほどコピー・アンド・ペーストした指導要領のコードをここに入れるとそこで探すこともできるようにしたいと思っています。なお、このような機能は現在NHK for Schoolではできませんけれども、将来こういったNHK for Schoolなどでコードを通じた検索ができるようにならないか、NHKさんと調整を進めていきたいと考えているところでございます。
 イメージとして、このようにコードを入れれば関連する動画が出てきて、先生方の授業づくりに使えるといったイメージを持っております。
 また、文書作成ソフトや表計算ソフトといった編集できる形で学習指導要領の内容をダウンロードできるようにしたいとも考えております。現在はPDFでございますので、コピー・アンド・ペーストも不便な場合があろうかと思っております。右上にそのようなボタンを置いて、そこを押すとこのように出てくるということです。
 これは表計算ソフトのイメージでありますけれども、CとDの列に内容があって、EとF列については自由にお使いいただけると。カスタマイズの例としてここにございますように、学習指導要領の内容と学校内のドライブに収納している単元計画とか教材フォルダーとのひもづけをしているようなイメージ。あるいはその右側の「進捗と振り返り」という部分、ここでは何月何日に何限でこういった授業をして、こういったことをやったので今後こうしていきたいと。次回は粘土等を使って置き方や形を変えてはかる実験をしたいとか、そういうことを書いたらいいのではないかと考えています。このような使い方でできるものと考えております。
 次に、「個に応じた学習過程の充実」についても御議論を進めていただきました。その中におきましては、このように学習指導要領の総則の中でどのような構成にしていくかといった技術的な議論についてもお進めいただいたところでございます。こちらは高校でございますけれども、詳細については割愛して、内容のほうに入らせていただきたいと思います。
 「個に応じた学習過程の充実」ということで、主体的・対話的で深い学びを中心としつつ、どのような内容について総則に盛り込んでいくべきか具体的な御議論を頂きました。ここでお示ししておりますのは、左側が総則に盛り込む要素でございまして、右側が総則の解説で記載する要素の例でございます。
 総則に盛り込む要素として上から少し見ていきたいと思います。ここは総則の中の「教育課程の実施と学習評価」の部分の、「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」の部分でございます。
 その中に、このように「個に応じた学習過程の充実」ということで、多様な特性等を有する児童生徒に主体的・対話的で深い学びを実現できるよう、個に応じて学習過程の工夫を図るといった記載を入れた上で、その際、単元や題材などの内容や時間のまとまりの中で、児童生徒が学習の見通しを持ち、よりよく学ぶことができるよう方略を工夫したり、振り返ったりしながら、自らに適した学習過程となるよう調整できる機会を計画的に取り入れるよう工夫すること。
 その上で、教師側からの指導や学習環境構築として、知識及び技能を生きて働くものとして確実に習得していくことも含めて、児童生徒が個に応じて資質・能力を身に付けることができるように、教師による学習環境の設定、指導方法、指導体制上の工夫改善を行うなど、個に応じた指導の充実を図るといった内容を記載しております。
 それについて解説で様々な敷衍する記載ぶりを入れておりますが、代表的なものを御紹介いたします。右側、まず一番上の趣旨の明確化に関連いたしまして、解説で記載する要素例の右側の上から2番目を御覧いただければと思います。主体的・対話的で深い学びが全ての子供たちに実現できているかという視点から、個に応じた学習過程の工夫を行っていく上で、個別最適に学ぶ場面と協働的に学ぶ場面、それぞれのよさを生かして、一斉・協働・個別といった学習場面を効果的に配置するなど、教師が必要な指導性を発揮しつつ、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実することの重要性といった記載も入れております。
 また、2番目、児童生徒による自己調整の観点からの記載の部分に関連して点線の部分を御覧いただきますと、3つ目のポツでありますけれども、例えば児童生徒の学習過程において、見通しを持つ(学習前)、方略を工夫しながら学習を進める(学習中)、学習の成果を外化し振り返って次の学習に繋げる(学習後)といったプロセスを児童生徒が円滑に行うことができるよう、教師の指導性や支援の重要性といった記載を入れたところでございます。
 このように、総則の記載を敷衍するような、内容を具体的に記載した総則の解説の例もお示ししております。
 その上で、総則の部分に戻りますと、オレンジの部分でございますが、下にございます。デジタル学習基盤等の効果的な活用についての記載をさらに加えていくことを追記しているところでございます。これについて、コンピューターや情報通信ネットワーク等で構成されるデジタル学習基盤は、多様な個性・特性等を有する児童生徒に主体的・対話的で深い学びを実現する基礎となるものであり、これらを児童生徒が日々の学習や学校生活において活用するのに必要な環境を整えるとともに、適切に活用した学習活動の充実を図るとしているものでございます。
 その上で、論点整理でお示しいただきましたデジタル学習基盤の役割について、右側の解説部分の丸1・2・3でお示ししているものでございます。丸1については、包摂性を高めながら、教師に持続可能な形で主体的・対話的で深い学びを通じた資質・能力の育成に資する学習環境を実現できること。また、丸2、教師の指導ツールとしての側面のみならず、学習者の学習ツールとしての側面について学びやすさの向上や合理的配慮の基盤についての記載。そして、丸3、デジタルかリアルかの二項対立に陥らず、デジタルも最大限活用して一人一人の豊かな学びを充実させる視点が重要であることについて記載しているところでございます。
 こうしたことについて学術的な知見も踏まえてまとめたのがこちらでございまして、自己調整学習のサイクルが、先ほど申し上げたように、学習前・学習中・学習後といった形でサイクルを描くようなイメージを一番上のブルーの部分でお示しした上で、その自己調整学習の効果を高め、学習成果に繋がりやすくする意味において、動機づけ、学習方略、メタ認知の在り方について例として示しているわけでございます。これらについて、緑の部分で子供たちの方略の工夫・発揮を支えるといったことで、直接的な指導、間接的な指導等について例としてお示ししております。さらにその具体的な例について次のページなどで、それぞれ動機づけや学習方略、メタ認知等についてお示ししているものでございます。
 特に認知心理学の知見に基づく効果的な学習方略の例についてもさらにお示ししておりまして、時間の間隔を空けて復習することで長期的に学習内容を定着する分散学習や、あるいは検索練習と呼ばれるような、学習内容を積極的に思い出して応用を図っていくこと。あるいは交互配置といった、同じような問題を解き続けるのではなく、トピックを切り替えながら学習すること。あるいは精緻化といった、学習している内容に情報・理由・意味などを加えて多角的に理解する、まさに深く学んでいくためのありよう、などについて具体例をお示ししているところでございます。
 こちらについては初歩の自己調整学習者と上達した自己調整学習者の比較のイメージを学術的な知見等から可視化したものでございますので、また御参照いただければと思っております。
 最後に、調整授業時数制度についてもお示しいただいておりましたけれども、具体化の議論を総則・評価特別部会で頂きました。これについても概要を御報告させていただきます。
 まず、調整授業時数制度の仕組みの方向性の全体像でございます。左上の1を御覧いただければと思います。調整が可能な対象の教科でございますけれども、これについては標準授業時数が35コマ以下の教科等は、週に1回といった観点からも調整が可能な教科等から対象外にしていくこと。一方で授業時数特例校制度では、現行は総合的な学習の時間は対象外になっておりましたが、調整授業時数制度では逆に調整の対象にするといった方向性などが示されております。
 また、2でございますけれども、標準を下回って設定可能な時数の幅の上限につきましては、時数調整対象の教科等の1割以上で検討するとしつつ、その具体的な定量的な上限については、引き続き適切な上限について各教科等のワーキンググループの議論なども踏まえながら、あるいはサキドリ研究校などの状況も踏まえながら検討を深めていくと議論を頂いたところでございます。
 また、右下、3でございます。「裁量的な時間」の在り方について、論点整理では児童生徒の資質・能力の育成に特に資する教育活動、そして教師の組織的な研究・研修等についてお示しいただきまして、それぞれ「学習枠」「研究・研修等枠」という名称について総則・評価特別部会で議論を頂きました。その上で、ここにございますように、要件また類型などについてお示しし御議論いただきましたが、それはまた次のページ等で御説明させていただきたいと思います。
 その上で、左に戻りまして、4でございます。既存教科等への調整授業時数の上乗せ、あるいは教科の新設の在り方についても御議論いただきました。これについて、既存教科等への上乗せについて要件は特段ない。一方で新設教科につきましては、「裁量的な時間」の要件に加えまして、新設教科の目標や育成する資質・能力、学習評価の方法が体系的・系統的に整理されていることについては一定必要だろうということ。その上で上限につきましては、調整授業時数制度の中で活用可能な時数の上限は設定せずに、生み出した時数のうち「裁量的な時間」として活用した時数以外の時間については充てることができる方向で御議論を頂いておりました。
 また、丸5として、右側の中段でございますけれども、既存の教育課程特例校制度あるいは授業時数特例校制度については、調整授業時数制度に全体として統合し、各学校の判断により実施可能としていく方向性をお示ししているところでございます。
 その上で、先ほど申し上げました「裁量的な時間」の要件と類型についてでございます。左側が学習枠、右側が研究・研修等枠についてでございます。
 左側、学習枠についての要件でございますが、6つお示ししております。幾つか御紹介いたしますと、例えば1番は、各教科等の内容に該当しない、もしくは1つの教科等に当てはめるのが困難な学習活動であったりすること。あるいは4番にあるような、各学校の学校教育目標や基本方針、年間指導計画等に基づく組織的な取組であること。あるいは5番、発達の段階に即して適切なもの。そして、転出入に対する配慮がなされること等を要件例としてお示ししております。
 その上で、実施可能な取組の類型を幅広くお示ししておりますけれども、丸1が個に応じた学習過程の充実に資する取組として、例えば総合で設定した個人探究課題の深掘り、あるいは自ら選んだ教科等の学習課題に対して自己調整しながら学ぶ取組。個々の児童生徒のニーズや認知の特性に応じた個別指導や学習カウンセリング。あるいは下学年の未習得事項を効果的に学び直すプログラムなどを例示させていただいております。
 また丸2、学習の素地を高める取組でございますが、個人探究を伴う体験活動の充実。企業・団体等とも連携して児童生徒の視野を広げ、学習意欲を高める取組。言語・情報活用能力の重点的な育成のための取組。認知機能強化に着目した取組。学習方略やメタ認知等に関する体系的指導といったことを挙げております。
 また丸3、関係性の質を高め、学習の一層の円滑化に特に資する取組でございます。いじめ防止や安全に関する教育。対人関係の基礎となるソーシャルスキルの育成などの対話的な学習の基礎となる人間関係形成の円滑化に資する学習等でございます。
 なお、これについてコメ(※)にございますように、特に要する児童生徒を対象として行う場合も考えられるものもございますので、1や2の取組を実施する場合に、特に要する児童生徒については3を実施することもあり得るといったことも議論を頂きました。
 また丸4、その他地域等の特色を生かした取組でありますが、特別支援学級・学校との交流及び共同学習。地域の多様な大人と探究的に関わる活動。さらには現代的な諸課題が様々ございますけれども、これに対応した教育活動をさらに深掘り・充実させることも御議論いただきました。
 右側、研究・研修等枠でございます。要件例につきましては、1番でございますが、児童生徒の学習改善や教師の指導改善に直結するといった論点整理でもお示しいただいたこと。その上で同様に、教育目標や教育課程編成の基本方針・年間指導計画等に基づく組織的・計画的な取組といったこと。そして3番、研究・研修等の趣旨・目的や内容が事前に計画され、管理職等により実施状況が適切に把握されていることについてお示しいただきました。
 その上で類型を幅広くお示ししております。例えば質の高い授業を効果的に実施するための教材研究・授業研究でございます。学校の研究課題に即して行う研究授業・研究協議や、教科・学年等で計画的に行う教材研究等。あるいは、資質・能力の向上を図るための学校・教育委員会が企画する研修。学校・学年等の課題に応じて企画する定期的な研修。教育委員会主催研修等についてでございます。
 なお、この部分については、学校の自主性・自立性も大事にしながら教育委員会との協力についてより議論をしたいということで御指摘も頂いたところでございますが、一方で、「裁量的な時間」は当該学校の教育課程に係る教育の質の向上を図るものでございますので、コメ(※)にございますように、学校として組織的に実施する研究・研修以外の研究・研修活動は対象外とすべきではないかといったことも御議論いただいたところでございます。
 また丸3でございます。丸1、丸2以外にも、児童生徒理解の向上など、学習・指導上の課題解決に資する情報共有・協議として、教科担任制などにおいては教科担任と学級担任が児童生徒の学習状況について情報共有することは非常に重要でございます。こうしたことについても時間を使えるようにという御議論を頂きました。なお、突発的な児童生徒指導事象等に関する会議等に使われることは趣旨として違うのではないかといった御指摘も頂いたところでございます。
 最後に丸4、学校と地域の連携体制の確保についてでございます。企業・団体等と連携した探究学習の実施に向けた研究会。地域の方々と連携したカリキュラム開発に向けた協議等。こういったことについても使うべきではないかということを御議論いただきました。
 こうしたことを様々御議論いただきまして、さらに検討を深めていくことが議論されたところでございます。
 その上で、学校の自主性・自立性が非常に重要でありながらも、調整授業時数制度に係る質確保のための仕組みも重要ではないかと御示唆いただいたところでございます。上にございますように、調整授業時数制度につきましては、児童生徒の多様性の包摂に資するために、児童生徒の実態を最も把握している学校現場の創意工夫を生かすことを重視するものである一方で、各教科等の時数が標準を下回って実施可能にして、その分の調整授業時数を教科等ではない「裁量的な時間」にも充てることを可能とする性質に鑑みて、適切に資質・能力の育成に資する取組となるようにすることが必要でございます。
 このために、各学校の挑戦や試行錯誤を応援しつつ、国や都道府県・市町村教育委員会が積極的な役割を果たして、効果的な取組となるように支援するとともに、単なる受験対策への傾倒や、教育の質の向上と関連のない教師の活動の実施など、適切ではない取組の実施を防ぎ、仮にそうした取組があった場合には改善を図ることができるようにする、そういったことも必要であるという御議論を頂きました。
 そうした中で、幾つか下の絵でお示ししておりますけれども、例えば一番下、まず学校から御説明したいと思いますが、下の箱にございますように、学校運営の基本方針とともに、制度の活用状況についてホームページ等で公表することをお願いする。行政的なコントロールだけではなく、説明責任を保護者や地域の皆様に果たしていただくことで、ある意味でローカルなコントロールも果たしていくことが大事ではないかという御議論を頂いておりました。
 その上で、今や小中学校については約7割の学校で学校運営協議会の設置が進んでおりますけれども、そうした場で制度の活用方針を含め、教育課程編成の方針について御承認を頂くことも御議論いただきました。
 また、右側にございますように、児童生徒の実態を踏まえて調整授業時数制度の活用を検討していくことも重要だということも御議論いただきました。
 その上で、市町村の教育委員会、緑の部分でございますが、当然、所管の教育委員会として教育課程編成届を適切にもらうこと。調整授業時数制度の活用状況も含めて届出を頂くこと。それを踏まえて必要な指導・助言。様々な取組を励ますことも含めて伴走支援。不適切な運用がもしあればそれを改善するといったことでございます。
 その上で、広域な自治体ということで、都道府県の教育委員会の重要性も指摘がございました。特に小規模な自治体においては様々な指導主事が十分に配置されていないような体制的な課題があるところもございます。そうしたところに対して都道府県教育委員会の役割が非常に重要である観点から、制度の活用状況の把握、知見の共有・情報提供、市町村教育委員会の指導主事や公立校等向けの研修の実施について御議論がございました。
 また、右上にございますように、都道府県は知事部局において私立学校の所管でもございます。そうした観点から、私立学校への情報共有・指導助言等、必要に応じて公立学校担当向け研修へ私立学校の皆様の研修参加を呼びかけて、しっかりと知見が共有されるようにしていくことも話がございました。
 また、当然、私ども文部科学省についても大きな役割を果たすべきでございます。教育課程の編成・実施状況調査などによってしっかりと状況を把握させていただいて、制度の改善に資することや先行事例について教育委員会に情報提供させていただくこと。各都道府県・指定都市教育委員会の指導主事等に向けた研究会・協議会を定期的に開催して、よい事例または課題のある事例について周知、指導助言をしていくこと。その上で、現在走っている研究開発学校、そして都道府県・指定都市で来年度からお願いしているサキドリ研究校。現在申請が集まっておりまして、約300校規模の指定をしていただく方向で最終調整を進めているところでございますが、こうしたことも含めてしっかりと事例創出をして、知見の共有をしていくことを果たしていきたいと考えております。
 総則・評価特別部会ではおおむね以下のような御議論を頂きました。事務局からは一旦以上でございます。
【貞広主査】  栗山室長、ありがとうございました。
 こんなに丁寧な御説明を頂いた後に蛇足ではございますけれども、総則・評価特別部会の主査として議論に関わっていた立場から、多少コメントをさせていただければと思います。
 これまでの総則・評価特別部会では、さきの論点整理で示された「多様な子供たちの深い学びを確かなものに」という次期学習指導要領の検討の基盤となる考え方を基に、今まさに後半部分でも御説明がありましたとおり、学校現場の創意工夫が最大限生かせるようにしつつ、かつ、現場の実践の質担保にも目配りをして、具体的な留意点や方向性等も明確にして具体化を進めてきたところでございます。
 また、そうした議論の中で、教育課程企画特別部会で議論した内容につきましても現場への伝わりやすさや浸透の観点から追加的な審議も行いまして、必要な場合は用語の見直しを行うなど、まさに我々も試行錯誤して議論してきています。例えば今日御報告がありました「知識及び技能に関する統合的な理解」と「思考力、判断力、表現力の総合的な発揮」などは、浸透ということを鑑みて用語の見直しを行った部分でございます。
 本日の企画特別部会でも、これまでの検討状況につきまして委員の皆様から様々な御意見を頂きながら、引き続き分かりやすく使いやすい学習指導要領となるよう、柔軟な検討を進めていきたいと思っております。皆様、もろもろ御意見はあろうかと思いますけれども、議論は後半にまとめてさせていただければと思います。
 それでは、さらに資料が厚めにあるもう一つの点でございます。事務局より、各教科における資質・能力の構造化等につきまして御説明、御報告をお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  引き続いての御説明、大変恐縮でございます。ここからは、各教科等のワーキンググループで、論点整理や先ほど御説明した総則・評価特別部会における方針を踏まえて、精力的な御検討・御議論をここまで頂いておりました。そのワーキンググループにおける資質・能力の構造化、統合的な理解や総合的な発揮等に関する検討状況など、概要について御説明申し上げます。全体の資料は300ページを超えるものでございますので、あくまで概括的な御説明になることを御容赦賜れればと思っているところでございます。
 目次はこちらにございます。各教科等でこの300ページを超える資料の中で非常に厚みのある御議論を頂戴していることを御覧いただけるかと思います。また、教育課程企画特別部会の委員の皆様も各教科等に分属いただいている先生方もいらっしゃいます。本日はそういった観点からも御指導いただけるものと思ってございます。
 それでは、各教科等ワーキンググループにおきます資質・能力の構造化等に関する主な検討のポイントでございます。構造化以外についても主要な検討事項については簡単に記載しておりますので、御紹介しておきたいと思います。
 まず国語ワーキンググループでございます。まず1番、目標・内容の構造化等のポイントでございますが、国語科につきましては、思考力・判断力・表現力等の系統性が明確、知識及び技能が全体として思考力・判断力・表現力等の深まりを助けるという、先ほど前半で御説明した表形式で申し上げますと、「並行」パターンで表形式化が好ましい、合うだろうということで、その方向で御検討いただいております。
 また次のポツ、短文でのやり取りが中心となるSNSなどに日常接する中で、まとまりのある思考を深めたり表現を工夫したりする経験が不足しており、目的や場面に応じて、自分の思いや考えに適した言葉を用いて表現することに課題がある。「何のために言葉を使うのか」という視点を明確にして、学習活動の目的を意識できるようにするために、思考力・判断力・表現力等の内容については、従来の「話す・聞く/書く/読む」といった領域ごとだけではなくて、「情報の伝達/他者の説得/情報の獲得・他者の主張の吟味/合意形成」といった「言葉を使う目的」を基に整理するといった方向性を御議論いただいております。
 その上で2番、その他の重要論点でございますけれども、学習の基盤となる資質・能力である「言語能力」の在り方について、論点整理でも御指摘いただいておりましたけれども、AIによる大量の言語生成が可能となり、それをSNS等で容易に発信可能な時代だからこそ、自らの意思や考えを形成・表現することや、他者の経験・感情を理解するといった人間ならではの言語能力を重視する観点からの再整理の御議論を頂いております。また、教育課程全体を通じた言語能力育成の一層の推進のために、国語科と各教科等での言語能力育成の役割分担も議論が深まっております。
 今後でございますが、ワーキンググループにおいては高校国語科の科目の在り方について検討を頂く予定でございます。なお、本日は構造化で選択科目が入っておりませんが、それについても今後示す予定でございます。
 次に外国語ワーキンググループでございます。まず、目標・内容の構造化等のポイントでございます。英語科についても国語科と同様に、知識及び技能よりも思考力・判断力・表現力等の系統性がやはり明確であろうと。その上で知識及び技能が全体としてその深まりを助けることを明確にするために、同じく「並行」パターンで表形式化を検討している状況がございます。
 その上で2個目、「外国語を使って何ができるようになるか」の段階的な高度化について、思考力・判断力・表現力等の深まりとして示して、観点別評価も行いやすくするために、領域別の目標の要素というものが現行ございます。この領域別は「聞く」「読む」「話す」は「やり取り」と「発表」、それから「書く」ことでございますけれども、これを「思考力・判断力・表現力等」の内容として移行していくべきではないかといった議論も頂いております。
 また、高次の資質・能力、統合的な理解と総合的な発揮のうち、「思考力、判断力、表現力等の総合的な発揮」については、CEFRという国際的な分類の中の「Reception・Production・Interaction」も踏まえまして、「理解する・表現する・伝え合う」に分けて記載するといった具体の議論もされました。
 その上で、その他の重要論点でございますが、AI時代に外国語を必修とする「本質的意義」について諮問でもあった部分について精力的に御議論を賜りました。「言葉、文化、コミュニケーションへの深い理解を育むこと」と「自分の考えが磨かれて思考が深まる、人間関係が豊かになること」を柱に要素を整理していこうといったことを御議論いただき、また見方・考え方にも反映すべきではないかといった議論を頂きました。
 高校の英語科目につきましては、英語によるコミュニケーションを中核とする科目趣旨を端的に示すために、5領域を総合的に扱う「英語コミュニケーション」は「英語コミュニケーション(総合)」に、その上で話すことや書くことを中心に扱う「論理・表現」という科目については、発信力の一層の強化を図るために「英語コミュニケーション(発信)」という名称に変更してはどうかといった御議論も頂いておりました。
 その上で、コミュニケーションに必要な重要な語彙に繰り返し触れて、様々な文脈で、あるいは場面で発信に活用できるようにするために、指導すべき語彙数の精選も含めて基盤語彙リスト、現在は具体的な語彙については指定がないわけでございますけれども、これを整備する方向での御議論も頂いておりました。
 次に社会・地理歴史・公民ワーキンググループであります。目標・内容の構造化等のポイントについては、まず1つ目のポツ、民主的で持続可能な社会の創り手を育成する観点から、社会的事象に関する概念の理解、確かな情報に基づき適切かつ効果的に調べまとめる技能、あるいは資料や概念に基づき自らの考えを批判的に捉え直す力を養うことを重視する方向で、目標について改善をすべきという御議論を頂いておりました。
 その上で2個目のポツでありますが、従来、「見方・考え方」で学びの深まりの鍵として示していた「位置や空間的な広がり、時期や時間の経過」といった着目すべき視点でありますとか、「比較・分類したり総合したり」といった対象を分析する方法については、一層授業改善に活かす観点から、「社会的な視点や方法等」として、「思考力・判断力・表現力等の総合的な発揮」において示すべきではないかという御議論を頂いております。
 その上で、社会科・地歴公民科につきましては、知識及び技能の系統性が明確であり、これは国語・外国語と違ってということで、個々の知識及び技能と一体的に育成する思考力・判断力・表現力等を具体的に示すことが授業改善に繋がることから、並行ではなく、「並列」パターンでの構造化を検討すべきではないかと頂いておりました。
 その上で、2ポツでございますが、今後「高次の資質・能力」と個別の内容の精査を往還する中で必要な内容の精選を進めつつ、グローバルな協調や競争に関する課題や自然災害、デジタル技術の発展、人口減少社会がもたらす社会構造の変化など、複雑化・多様化が進展する社会の状況を踏まえた内容の在り方等についても検討すべきではないかという御議論を頂いておりました。
 次に算数・数学ワーキンググループでございます。まず、目標・内容の構造化等のポイントでございますが、算数・数学の学習の本質を明確にしつつ、小・中・高を通じて一貫性・系統性を確保した指導を充実する観点から、小・中・高で教科の目標を統一しつつ、必履修部分に係る学習内容を共通する6つの「分野」で整理すべきではないかといった議論を頂きました。
 その上で、3つ目でありますけれども、現代社会の重要なインフラとなりつつあるAI技術やデータサイエンス等の仕組みを理解し、適切に利活用できるようにする観点から、それらの基盤となる学習(行列、微分・積分、確率、統計)を充実する必要について御議論いただきました。
 そうした観点から、例えば中学校以降で、数学と社会・職業との関係や数学全体の見取図を示すようなガイダンス的な学習を新設すべきではないかということ。その上で、高等学校の必修の「数学I」において、AI等の基盤となる内容を含めて高校卒業時に身につけるべき数学的素養の基礎を学ぶ内容を新設すべきではないかといった御議論を頂きました。
 その上で、算数・数学科につきましては、知識及び技能の系統性が明確で、個々の知識及び技能と一体的に育成する思考力・判断力・表現力等を示すことが授業改善に繋がることから、パターンとしては社会科と同様の「並列」パターンでの構造化を検討というふうに議論しております。
 なお、先ほど「数学I」等の改善について言及いたしましたが、コメ(※)でございますように、学習内容の実質的な増加に繋がらないよう、教科全体の学習内容については必要な精選を図ることを前提として議論を進めております。
 2ポツ、その他の重要論点でございますが、高等学校については、現行の「数学A・B・C」を、生徒が必要な学習内容を選択履修しやすく、各学校が柔軟にカリキュラムを編成・実施できるよう、ABCの区分けをなくして内容を選択できる一つの新科目として整理することを議論いただきました。また、メディアリテラシーの観点も意識して、「事象や言説を数理の視点から捉え、論理的、統合的・発展的、批判的に考察すること」を見方・考え方として検討しております。
 次に理科ワーキンググループでございます。理科学習の本質を明確にしつつ、小・中・高を通じて同じく一貫性・系統性を確保した指導を充実する観点、目標や、また「分野」についても4つで整理しております。目標は統一でございます。
 その上で3つ目でございますけれども、エネルギー問題、環境問題など、特定の分野・領域に限定できない科学的な社会課題が増加していることを踏まえて、分野横断的な課題について学ぶ学習内容を小学校にも新たに設定し、仮称として「理科と日常生活」を挙げております。なお、こちらも学習内容の実質的増加に繋がらないよう、教科全体の学習内容について必要な精選を図ることがございます。
 また、理科については、知識及び技能の系統性が明確で、個々の知識及び技能と一体的に育成するという同じような性質がありますから、「並列」パターンを検討しております。
 そして2番でございますが、学問分野にとらわれない科学的思考・方法の基本について学ぶ内容や、理科の学習と研究や社会との繋がりについて学ぶ内容が各学校段階で十分存在しないことへの対応について今後検討すべきだという議論を頂きました。また、メディアリテラシーの観点については、算数・数学と同様に、見方・考え方の中で議論して反映を頂いております。
 体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループでございます。目標・内容の構造化等につきましては、運動・スポーツの多様な楽しみ方や心身の健康の保持増進を通じて自他の人生を豊かにしていくという方向性、これをスポーツ基本法改正の趣旨なども踏まえて重視する方向で御検討いただいております。
 その上で、体育につきましては様々内容の御議論、内容の系統性の再整理も頂いておりますけれども、特に「学びに向かう力・人間性等」に位置づけていた体育における公正、協力、責任等の内容につきましては、指導・評価の具体化を図るため、「知識及び技能」に位置づけ直すといった整理も頂いております。また、最後のポツでございますが、体育及び保健については、知識及び技能の系統性が明確であり、個々の知識及び技能と一体的に育成する思考力・判断力・表現力等を具体的に示すことが授業改善に繋がることから、「並列」パターンでの構造化も同様に検討いただいております。
 次に芸術ワーキンググループでございます。目標・内容の構造化のポイントにつきましては、全ての教科等に通底する「創造」の土壌となる資質・能力を育むという芸術の特性を重視する観点から検討を深めていただいております。そうした視点から、2ポツでございますけれども、引き続き芸術活動の根幹となる「表現」及び「鑑賞」を共通領域とした上で、芸術の各教科・科目の特性や専門性・系統性を踏まえた内容区分の設定や高次の資質・能力の検討を頂いているところでございます。
 その上で3つ目、鑑賞に関する教育の充実を図るために、図画工作、美術、工芸、書道において、鑑賞の技能に関わる内容を新たに位置づけていく方向で検討を進めていただいております。
 最後に、芸術系各教科では個々の知識及び技能に対応して育成する思考力・判断力・表現力等を示すことがなかなか難しい。また、知識を基に思いや意図などを持って身体を用いながら技能を働かせて表現や鑑賞を行うこの往還を重視するという芸術の学習過程の特質を踏まえまして、知識及び技能が全体として思考力・判断力・表現力等の深まりを助ける構造を表現しやすい、国語科や外国語科と同様の「並行」パターンで構造化を検討いただいております。
 次に家庭でございます。家庭科につきましては、まず1ポツ、社会のDX化や生活環境の変化への対応と生活文化の継承等の必要性を両立しつつ、複雑化・多様化する社会や生活を多角的・総合的に捉え、主体的によりよい生活を創り出すために適切な判断をする力の育成を重視する、こういったことについて検討いただいているわけでございます。
 そうした中で、家庭科全体の系統性を一層分かりやすくする観点から、領域の構成の見直しについての御検討を頂いております。また、高等学校については「家庭基礎」「家庭総合」の選択で必履修と選択が組まれておりますけれども、その役割の明確化についても御議論いただいているところでございます。また、家庭についても「並列」のパターンでの構造化の検討を頂いております。
 生活科についてでございます。目標・内容の構造化等については、AI技術の進展によって情報の獲得・処理は容易かつ効率的になって、知識の量や正確さのみを求める学びの在り方はその意義を相対的に低下させつつある中で、身体を通して対象と直接関わる体験を通じて得た情報を自らの経験と結び付けて理解し意味付けていくことは、これまで以上に重要。そうした観点から、「実感を伴う知」を育み、「深い学び」を実装する人間的な学び方を体得する教科として、生活科の本質的意義を以下の4つで整理して教育課程を改善する方向で、1・2・3・4をお示しいただいております。
 そうした意義を踏まえると、生活科の「内容」につきましては、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」を一体として記載する方向で、分節的に書かないほうが適切ではないかといった趣旨の御議論も頂いている。現行と同じ書きぶりの方向性がいいのではないかという御議論を頂いております。
 また、総合ワーキンググループでございますけれども、目標・内容の構造化については、各学校において目標や内容を定めるという総合の特質は維持しつつ、2ポツにございますように探究の「質」を、課題の質、プロセスの質、成果の質の3つの視点で具体的に整理して、目標を見直していくという御議論を頂いております。
 加えて、小学校の総合については、論点整理でお示しいただいたように「探究の領域」と「情報の領域」の2領域で設定した上で、情報の領域を設定する。そしてその中で「情報技術の活用」「適切な取扱い」「特性の理解」の3つの視点で内容及び高次の資質・能力の検討をするということでございます。
 その上で重要論点として、「情報の領域」の中では、情報技術に関する基礎的な内容を学ぶ小さなまとまりである「情報ブロック」、そして情報活用能力の諸要素を学びながら探究のプロセスで活用する小単元である「ミニ探究ユニット」で構成して、探究の領域を基盤として支えることを具体的に議論いただいております。また、探究の「質」のうち、「課題設定の充実」につきましても、課題設定の質の向上に向けた具体的な方策の検討を進めております。また、探究テーマの偏り、あるいは探究の態様によって想定されるプロセスが異なるといった実態が見られる中で、多様な探究の在り方について「研究系」「行動系」「創作系」の要素のグラデーションからなる参考資料を示すといった議論も頂いております。
 次に特活ワーキンググループでございます。目標・内容の構造化のポイントにつきましては、ここにございますように「確かな民主主義の担い手の育成や共生社会の実現にむけた基盤」を提供する領域として、よりよい社会を主体的に形成しようとする力を育むことを明確にした上で、「学びに向かう力・人間性等」を実践的に育むことがとりわけ重視される特質、ここをしっかりと整理しているところでございます。それを踏まえて、3つの資質・能力の柱については分けて記載するのではなく、思考・判断・表現の学習過程を中心に記載する形式として整理を頂いているところでございます。
 道徳のワーキンググループでございます。目標・内容の構造化等については、1ポツにございますように、観点別の目標の定めは引き続きしないこと。その上で2ポツ、引き続き、目標とは別に見方・考え方を示すこともしないこと。そして3つ目にございますように、観点別の可視化には高次の資質・能力もなじまない。あるいは育成すべき資質・能力を直接的に記載したものではないこともあり、道徳科において高次の資質・能力は定めない方向で整理。全体構成を構造的に把握しやすくする観点からの表形式化をするということで、教科の特質を踏まえた検討を進めていただいております。
 その上で、今次改訂では、「『考え、議論する道徳』への転換」のフェーズから、「『考え、議論する道徳』の実装」のフェーズに移行することを検討の方向性として、「読み物教材の登場人物の心情理解に偏った授業になりがち」「教科書の発問例に頼った授業など、型にはまった予定調和的な授業になりがち」といった課題を踏まえた検討を頂いております。
 情報でございます。AI・ロボット等の活用を担う専門的・技術的人材の将来的な不足への対応や、地方経済の維持・担い手不足の解消に向けたアドバンスト・エッセンシャルワーカーの育成等の必要性から、我が国の持続的な成長を支えるために極めて重要という認識を確認しております。一方で、生成AI等による偽・誤情報の拡散やフィルターバブル等のデジタルの特性が社会の分断を誘引・拡大し、民主主義を危険にさらすおそれもある現状を踏まえた、デジタル時代の民主主義を担う力も必要であるといった御議論。
 そうした視点から、情報技術や生産技術の正負の側面に配慮しつつ、技術を使いこなして生活や社会をよりよくすることを重視した教育課程にすべきではないかといった議論がございます。その上で、パターンについては「並列」パターンといった形で構造化の検討を頂いております。
 その下、中学校の情報・技術につきましては、「情報技術」と「情報を基盤とした生産技術」、ここは従前の技術科の内容を大いに含むものでございますけれども、2領域で内容を構造化することについて議論が進んでおります。
 また、高等学校の情報科については、小・中の充実を踏まえまして、AIやデータの扱い等をはじめとした学習内容の充実を図るなど、高等教育の数理・データサイエンス・AI教育等との円滑な接続などを踏まえた内容項目の再整理。情報IIについても、AI・データ等の内容の一層の充実や探究的に解決する内容の充実、こういったことについて議論を進めていただいているところでございます。
 次に特別支援教育ワーキンググループについてでございます。目標・内容の構造化等のポイントについては、ここに記載がございますように、特別支援教育の特性に応じた方向性で技術的なポイントについて様々に整理を頂いているところでございます。その上で3つ目のポツにございますように、一部のものについては「並列」のパターンでの6年間の構造化を検討している内容について整理を頂いているところでございます。また、自立活動については、その特質もございますので、高次の資質・能力を基に構造化して示すことはなじみにくいものの、教師にとって分かりやすくなるように内容を表形式で示すことを検討いただいております。
 また、その他の重要論点を3つほどここでお示しいただいております。障害のある子供たちに対する「重層的な指導・支援」の考え方に基づく支援の実施など。また、通級における指導について自立活動を取り入れること、困難さの状態に応じて特に必要な場合には各教科の指導を行うことを可能とすることについての具体的な議論。また、高等学校についても、障害の状態に応じた教育課程の編成・実施を必要に応じて可能とする新たな特例校制度についても御議論いただいております。
 産業教育についてでございます。産業教育についても目標・内容の構造化のポイントについて、その特質に応じた御議論を頂いているところでございます。特に1ポツ目では、全体として資質・能力ベースに記載を改めていくこと。そして2番目にあるように、教科の各領域・分野における学びの体系の整理をしっかり各科目の整理をしながら進めていくといったことでございます。 
 見方・考え方の一覧でございますけれども、本質的意義に特化するというフェーズでの見方・考え方の一覧について、ここで並べてお示ししております。このように御覧いただきますと、各教科のそれぞれ専門的な見地からの検討が進みつつも、見比べてみると、一定の相違、長さや表現ぶり等についてまだ今後精査していくべき観点があるのではないかと考えているところでございます。
 その上で、高次の資質・能力の一覧についてでございます。こちらも高次の資質・能力のみ並べていますので、幾つか代表的なものだけを御紹介させていただきたいと思います。
 こちらは国語でございます。国語の中学校でございますけれども、総合的な発揮で、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」ごとに総合的な発揮が示されております。
 例えば「話すこと・聞くこと」について見ると、「目的などに応じて、社会生活に関わる課題や出来事などについて、自分の考えや感じたことなどを相手に伝わるように工夫して話すとともに、相手の話を聞いたり話し合ったりして考えを広げ深めることができる」。
 その直下で知識及び技能の統合的な理解で、「社会生活に必要となる言葉の様々な意味や働き、使い方等を身に付け、目的などに応じて使うことにより、理解や思考、表現の質が高まることを理解している」と記載がございます。
 その下に別途、各領域の学習を支え文化的な知識や態度、教養として深める側面ということで、そういった観点からの統合的な理解についても2段構えでお示ししている案を現在記載いただいております。
 また、外国語活動・外国語でございますけれども、これも中学校を御紹介したいと思います。総合的な発揮を御覧いただきますと、中段の緑の部分、「コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、様々な話題について、聞いたり読んだりして必要な情報や考えなどを捉え、整理したり、既存の知識や経験と関連付けたり比較したりして、考えを形成することができる。情報や自分の考え、気持ちなどを整理し、表現等を工夫して他者に伝えることができる。相手が話したり書いたりした内容を受け止めながら、情報や自分の考え、気持ちなどを、相手に分かりやすいように表現等を工夫して伝え合うことができ、相互理解を深めることができる」。こうした総合的な発揮をお示ししております。
 それを統合的な理解として全体で支えるのは、その下の部分、「音声、語彙、表現、文構造及び文法並びに言語の働きなどの知識を、場面や状況に応じて組み合わせて使うことにより、英語による理解や表現の質を高めることを理解している」という、こうした構造が見取れるようになっているところでございます。
 次に御紹介させていただきたいのは、42ページまで飛びまして、算数・数学の例でございます。算数・数学の右側、関数の部分でございますけれども、小・中・高で統合的な理解、そして総合的な発揮が縦に並んでいるのが御覧いただけるかと思います。小学校を御覧いただきますと、統合的な理解として関数については「伴って変わる二つの数量は、数量の変化と対応の関係によって特徴づけられ、事象の変化を把握したり予測したりして、判断できることを理解する」。それが小・中・高で発達段階に応じて記載ぶりが変わっていっていることも御覧いただけるかと思います。
 それに対応する形で、右側に緑で総合的な発揮として、「日常生活や社会の事象などについて、伴って変わる二つの数量の関係に着目し、表、式、グラフを活用して処理し、得られた結果を意味づけたり活用したりする」ことが表記され、それが発達段階に応じて、また縦に小・中・高で記載されていることも御覧いただけるかと思います。
 その上で、67ページまで飛びますと、先ほど私、幾つかの教科についてはこうした2つのパターンだけではなくて独自の様式を取ることもあり得ると申し上げました。それに該当するのが生活科でありましたり、あるいは特別活動でありましたり、統合的な理解と総合的な発揮に分けずに高次の資質・能力を記載する方向で検討が進んでいるものもございます。
 最後の例として御紹介いたしますのが情報・技術でございますけれども、情報・技術については、例えば高校の情報Iを御紹介したいと思います。例えば真ん中でございますが、(3)データ分析とモデル化・シミュレーションであれば、統合的な理解として「データを整理・分析して批判的に関係を見出したり、事柄の特徴を抽出して単純化したりすることが、未知の傾向や結果の予測に繋がることを理解する」。これに対して総合的な発揮が対応して、「情報技術の正負の側面に配慮しつつ、データから見いだした関係や単純化した事柄から傾向や結果を予測し、批判的に判断・表現できる」ことが示されているわけでございます。
 こういったものが事例でございまして、ここからは各教科等の補足イメージ、代表的なポンチ絵でありますとか、目標や資質・能力の全体の構造についてお示ししているものでございます。個別には御説明できませんが、今、私が御説明いたしました統合的な理解や総合的な発揮について、その部分だけではなくて、内容項目例をぶら下げてこのように記載しております。高校であれば、このように内容項目例と一体にあると、全体の教科の構造が非常に見やすく、統合的な理解や総合的な発揮の全体像が分かりやすく御覧いただけることが分かるかと存じます。
 また同様に、構造が違うもので申し上げますと、例えば外国語も国語と近い構造でございますけれども、総合的な発揮にぶら下がって具体的な内容項目例が示されているといったイメージ。統合的な理解も同様にということがお示しできるわけでございます。
 また、194ページまで進ませていただきますと、先ほど御紹介した数学の部分でございます。ここも内容項目例のぶら下がっている部分を御覧いただきますと、具体的な部分がどう往還するかというイメージが御覧いただきやすいかなと思っているところでございます。
 以上が各教科等のワーキングの検討状況として大変雑駁に御説明申し上げました。
 その上で、これまでございました資質・能力の構造化の状況を踏まえたさらなる検討の方向性について、事務局として最低限整理した方向性について御説明したいと思います。
 現状御報告申し上げたものは決して完成形ではございません。あくまで今後さらに、今日の御議論も含めて、各教科等ワーキンググループで検討していくものでございまして、その内容について事務局として御提示できる部分をここに御説明しております。1番から7番までございます。簡単に御説明申し上げます。
 まず1番、資質・能力の深まりの可視化の観点でございます。今般の構造化を通じて「深い学び」が実現したイメージを教師が具体的に持つことができるようにすることが重要でございます。高次の資質・能力のうち特に「統合的な理解」については、依然として残念ながら途上でございますので、「要約」にとどまっているものもございます。そうしたものについては、「指導を通じて学びが深まったときの児童生徒の姿を的確に示せているか」という観点から、各ワーキングで記載をさらに御検討賜りまして、相互に個別の知識や技能が関連付けられて一般化されて「統合的な理解」となった姿を描き出せるように検討すべきではないかと考えております。
 2番、分かりやすさ、シンプルさの一層の追究でございます。「深い学び」を実現する具体的なイメージを教師が持つことができるようにするためには、やはり教師にとって分かりやすいものである必要があろうかと思っております。こうした視点で見た際に、現在の「見方・考え方」や「高次の資質・能力」の中には依然としてなかなか記載が冗長だったり、理解が難しかったりする用語もございます。こうした観点からの見直しも必要ではないかと考えております。
 次に3番、右側、「高次の資質・能力」を踏まえた個別の資質・能力の精査でございますけれども、総則・評価特別部会ではその方針について、この色がかかっている部分のようにお示しいただいておりました。「各教科等ワーキンググループにおいて、整理した『高次の資質・能力』に基づき、より豊かな学習活動に繋がり、かつ、系統性等を損なわない範囲で、精選が可能な対象を慎重に特定しつつ、個別の資質・能力の整理を検討する。その際、表形式での示し方、『高次の資質・能力』の獲得に向けて『主体的・対話的で深い学び』の実現を図るための余白が十分にあるかといった視点からも検討」すべきと頂いておりました。
 今後、この方向性も踏まえまして、各教科等ワーキンググループで個別の資質・能力の整理と必要に応じた精選の検討を進めていきますが、以下のようなポイントに留意すべきかと思っております。あくまで今日お示ししたものは、暫定的に現行の指導要領の内容に基づいて整理したワーキングもございます。今後の検討に当たりましては、現行の指導内容が全てひとしく重要であると安易に判断しないように留意する必要がございます。また、往還が重要でありますので、「高次の資質・能力」の在り方についてもさらに往還の中で改善をしていくことが必要であろうかと思っております。
 次に4番目でございます。今般の構造化を単元・授業づくりに生かすプロセスの可視化についてでございます。「高次の資質・能力」を基にした今般の構造化・表形式化は、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」について学びの深まりを可視化するとともに、それらを一体的に育成する学習の在り方を示して、教師一人一人が「深い学び」を具現化するためのものでございます。
 一方で、整理・構造化された資質・能力について理解を深めることと、それを実際に活用して実際の単元・授業づくりに生かすこととの間には依然としてギャップがあるという御指摘も頂いたところがございます。「資質・能力」の深まりを捉えた後、それを実現する単元・授業をどのように実際に構想して実践に繋げていけばよいかを考えることは、特に経験の浅い教師にとっては難しい場合もございます。
 そのため、構造化・表形式化する学習指導要領について、単元・授業づくりのどういった場面でどのように活用することで授業改善に繋げていくことができるのか、教科等ごとに参考イメージを示すことも検討してはどうかと考えております。
 なお、コメ(※)で2つございます。このことに関わりまして、前回改訂時におきましても、「深い学び」を実現する学習過程を精緻に示すトライが行われました。結果としては複雑で実現が難しいものという指摘もございまして、また今回、「個に応じた学習過程」の充実を目指しております。そうした観点からは、単一の学習過程を整理するのではなく、専門職としての教師の多様な単元・授業づくりを支える視点から活用イメージを示すことが必要であると考えておりますし、また次にありますように、あくまで参考の一つとして留意し、実践者が子供の実態を踏まえて、多様で豊かな単元・授業づくりを行う際の足がかりの一つと位置付けるということでございますので、決して画一的な授業づくりの在り方を志向するものではないことは大前提として強調しておきたいと思います。
 その上で5番、用語の一層の整理・検討でございますけれども、企画特別部会におきましては、「中核的な概念等」という言葉で論点整理段階におきましてはお示しいただいておったところでございますけれども、これらの用語については、先ほど御報告申し上げましたように、総則・評価特別部会で「統合的な理解」あるいは「総合的な発揮」という言葉、そしてこれをまとめて「高次の資質・能力」といった言葉で整理いたしました。
 3つ目のポツでございますけれども、この2つの呼称について、すなわち「統合的な理解」と「総合的な発揮」につきましては、構造化の趣旨の理解を進める上で効果的に働いているという御示唆を頂いている一方で、「高次の資質・能力」という言葉につきましては、各教科等ワーキンググループでは、趣旨といたしましてはよりメタな、ハイヤーオーダーな資質・能力という意味で総則・評価特別部会で言葉を御議論いただいたわけでございますけれども、学校現場にとっては単に「レベルの高い高度な資質・能力」として受け取られる等の誤解、その結果として、個別の資質・能力との軽重を表しているのではないかといった御指摘を頂くこともございました。
 そういった懸念のあることも踏まえまして、「高次の資質・能力」という言葉につきましては、あくまでこれは今、各教科等ワーキンググループで構造化を頂くための「足場」、ある意味で建設工事のための足場として作った言葉という側面もございますので、この間は使うとしても、実際に指導要領に告示する段階に向けては、よりよい言葉があればそちらに、あるいは告示文では「高次の資質・能力」という言葉を使わない選択肢、「統合的な理解」「総合的な発揮」のみで表していくことも考えてはどうかと考えているところでございます。
 6番でございます。趣旨を実現するための教科書の在り方のさらなる検討でございます。論点整理におきましては、「統合的な理解」「総合的な発揮」をつかみ取りやすくするために、教科書の内容についても精選とともにその分量の在り方については、調整授業時数制度の下で、調整後の時数で十分に指導可能なものになるように検討すべきとの方針を示していただいておりました。
 一方で、教科書会社からはそうした「高次の資質・能力」のイメージのつかみ取りがしやすい教科書へのイメージが湧きにくいというお声も頂いておりまして、総則・評価特別部会におきましては、それをつかみやすい教科書の在り方について、各教科等ワーキンググループにおいて内容の精査の在り方も含めて検討を行うことも議論いただいておりました。
 それを踏まえつつ、各教科等ワーキンググループにおいては、個別の資質・能力の整理と必要に応じた精選の検討を着実に進めていくとともに、「高次の資質・能力」をつかみ取りやすい単元・授業づくりに資する観点から、教科書のどういった内容を精選対象とすることが考えられるか、またどういった構成上の工夫が考えられるかといったアイデア出しを行って、教科書会社における教科用図書の編さんの参考にしていただけるように検討を進めてはどうかと考えております。
 その上で、中教審における検討状況も踏まえつつ、調整授業時数制度を活用して標準を下回って時数を設定した後の授業時数でも教科用図書の内容を適切に取り扱った指導が可能となるような教科書編さんを促すための仕組みづくりなどについて、検定調査審議会において具体的に検討することとしてはどうかと考えております。
 最後でございます。7番でございますが、構造化・表形式化・デジタル化・調整授業時数・個に応じた学習過程の関係性の整理でございます。
 これまで、学習指導要領の構造化・表形式化と、デジタル化、調整授業時数制度をはじめとする柔軟な教育課程編成を促す仕組み、あるいは個に応じた学習過程の充実については、それぞれ御議論いただいておりました。これらはいずれも密接に関連しているものでございますので、トピックごとに一定の具体化が進んできた段階だからこそ、だんだんと相互の関係を改めてしっかりと可視化して、学校現場が一体的に理解できるように示すことが重要ではないかと考えられます。
 コメ(※)で3つほど示しておりますが、1つだけ御紹介させていただきますと、一番上にございますように、例えば「高次の資質・能力」に基づく構造化・表形式化は、各教科等の「深い学び」を実現しやすくするために重要であるだけではなく、当然このためではあるんですが、一方で各学校が子供の実態に応じた柔軟な教育課程を編成したり、個に応じた多様な学習過程を充実させたりする中にあっても、外してはならない教育課程の「軸」を明確化する役割を果たしています。
 構造化等、調整授業時数制度や個に応じた学習過程は相互に必要としている関係性にある。こうした大きな柱同士の関連付けについても、一番下のポツにございますように、今後総則・評価特別部会においてしっかりと明らかにしていく。そのことによって、結果としてどのような単元・授業づくりを目指そうとしているのかについて、取りまとめにおいて可能な限り示していくことが考えられるのではないかと考えてございます。
 最後に補足イメージとしてお示ししておりますのは、4番でお示ししました「高次の資質・能力」を生かした単元計画づくりの参考イメージでございます。これはあくまで萌芽的なものでございまして、これで完成形では全くございません。中学校理科について、先生の悩みから出発して、学習指導要領でとりわけ「高次の資質・能力」の「統合的な理解」や「総合的な発揮」の内容を確認しながら、右側にございますように、単元構成を具体的に進める。その上で、最終的に評価計画についてパフォーマンス課題の設定などにも繋げていくようなその流れのイメージをお示ししているものでございます。あくまで御参考で、ここからあくまで全教科で参考イメージを示すという議論をしていこうと思っていますので、全くの御参考でございます。
 長くなりました。事務局からは以上でございます。
【貞広主査】  栗山室長、ありがとうございました。
 それではこの後、休憩を5分ほど取りたいと思います。14時18分から再開とさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【貞広主査】  それでは時間になりましたので、これより意見交換の時間とさせていただきます。御意見等のある方は挙手ボタンを押していただければと思います。私から順次指名をさせていただきます。会場にいらっしゃる委員の方々もミュートを解除してお話しいただければと思います。なお、途中で退席される御予定の委員の方もいらっしゃるようですので、多少順番はこちらで調整させていただくことを御了解いただければと思います。また、委員の方々全員に御発言の機会があるよう、御発言は3分程度でおまとめください。御発言の際に事務局から説明のありました資料に触れていただく場合は、資料のページ番号等をお示しいただければと思います。事務局に資料を御投映いただきます。御協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは奈須委員、戸ヶ﨑委員、松原委員の順番で御発言を頂きます。奈須委員、どうぞ。
【奈須委員】  よろしくお願いいたします。まず、積極的で挑戦的な御議論を頂いていることをとてもありがたいと思っています。領域編成の問い直しも検討されていて、理科、家庭科で進んでいるようです。前回の算数・数学のようなお取組で、ありがたいと思っています。
 まず、今回の作業ですけれども、そもそも教育内容は階層構造をなしているという理解が大事かと思います。教育内容は単なる同レベルの内容事項の列挙ではなくて、現行指導要領でも目標、内容、内容の取扱いということになっていますし、さらにそれが学校に下りると単元、教材ということになっていくわけです。今回、内容の1つ上の桁というんでしょうか、それとして見方・考え方、高次の資質・能力を明示してはどうかということかと思います。
 様々な国や地域で既にやられていて、ビッグアイデアという、かつてのブルーナーの構造のような考え方で、新しいものではありません。ただ、諸外国のものを見ると記述や水準も様々で、どの程度の階層で記述・整理するのがよいのかに正解はないようです。海外の取組に学びつつ、各学校の教育課程編成、教科書も含めた実践創造に有用性の高いものをプラグマティックに選択することでいいのではないかと個人的には考えております。また、教科等によって、あるいは親学問の性格によって変わってくることが一定程度はあるんだろうと思います。
 その上で、まずシーケンスというか、段階ですけれども、今回、小・中・高で一つにまとめていただいている教科等と、各学年、2学年でまとめていただいている教科等があります。内容はほぼ同じで、発達段階等を意識した水準や深さの書き分けということだと思いますけれども、やはりできるだけ大きな桁で書いてはどうかと思うんです。難しいように思うかもしれませんが、例えば「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」は、見ようによってはめちゃくちゃ高度なんですよね。でも、5歳児でも見ていくと、あの方向性、あの質が表れているという話だと思うんです。そう考えれば、もう少し学年段階をまとめることも可能かなと思います。
 それから領域のほうも大分様々で、教科等の中の主要な領域ごとにまとめてくださっている教科と、もっと小さな、内容のまとまりを基盤にまとめてくださっている教科があって、どうしても内容に近い水準に落としていくと記述が細かく多くなってきますし、内容事項との差が少なくなってくるので、わざわざ設置する意味が少なくなるかなと思うんです。丁寧に正確に記述したいということはとても分かるんですけれども、ポイントが見えにくくなるのではあまり意味がないかなと思います。
 また、次に学習活動を記述に含めている場合があって、これも教科等によっては必然性があるんだと思いますけれども、あまりこれをするという活動をここの水準に書いてしまうと、学習活動は基本的に割と階層の下の桁の話ですから、どうかと気になりました。
 また、思考・判断・表現の総合的な発揮の記述、これはどうしても似たような記述が並んでしまうことがあります。現行でも思考・判断・表現のところは学習対象だけが違っていて、後は全部表現が同じ、あるいは似ているという場合があるんですけれども、とてももったいないので、何とかならないかなと。一段水準を上げればまとめた記述にできる可能性はあるんだろうと思いますので、またお考えいただければと思います。
 それから、作業の進め方、発想ですけれども、まず今の学習指導要領、現行の内容を整理して、そこに統合的なものを見つけていくボトムアップの方向性は当然あってしかるべきだと思います。ただ一方で、そもそもこの教科等の本質は何か、見方・考え方もそういうお話でしたし、私は教科の任務という言い方をしていますけれども、この教科等はどういうふうに子供の資質・能力、子供の有能さを高め、一生涯を支えていくことが独自に可能なのか。そちらをもう一度問い直す中でのトップダウンのようなことも併せて考えていただく。特に高次の資質・能力はどちらかというと上のほうの桁ですから、この教科等の本質、領域の本質は何かという議論から見直していく。またそうすることによって内容の精選も場合によっては可能となってくることがあるのかなと思います。
 またその際、今回割と進んでいますけれども、教科で親学問がはっきりとある場合、ない場合もありますけれども、単に教科は親学問そのものではありませんけれども、その親学問の在り方を改めて参照しながら考えることも、この見方・考え方や高次の資質・能力、統合という議論の中では大事かなと思っています。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  まずは本部会の論点整理から数えて4か月間という大変短い時間でこれまでの議論を積み上げてきた各ワーキングの事務局の方々、さらには委員の皆さんに敬意を表したいと思います。
 今回のこの構造化は、デジタル技術や生成AIの進展等にあたって人間に求められる能力の在り方が質的に変容する中で、学んだ内容が意味や目的といったメタな水準で相互に結びついて使いこなせるようにという強く熱い願いがあると思っています。加えて、深い学びの一層の可視化を図っていくことが重要であるという基本認識に基づいたものであると私は理解しているところであります。
 一方で、このように整理された高次の資質・能力が、単にそのまま学習指導要領に積み上がっていく形で示されるだけでは、現場の教師にとっては「指導上の配慮事項などがまた新たに増えた」というその負担感としての受け止めになりかねません。そのことでかえって授業づくりを難しいものとしてしまう恐れもあります。重要なのは、今回の構造化を、単に屋上屋を架すようなものだと捉えられることのないように、いかに深い学びの実装に使える形にしていくかということだろうと思っています。
 そうした観点からは、当然のことながら、高次の資質・能力を基に各教科等の内容を見直して、必要に応じて精選を図っていくことが重要になりますが、その際の鍵となるのは、今般の構造化を授業づくりにどう生かしていくのかというプロセスの可視化であると考えています。
 そのためには、今回、高次の資質・能力を基に構造化・表形式化された学習指導要領がデジタルで提供されるようになったときに、従来の教師の授業づくりを具体的にどのように支えて、どのように改善に導いていけるのかが分かりやすい形でイメージできる資料を、各教科等の学習過程に即して作っていくことが肝要ではないかと思っています。
 その際、高次の資質・能力を活用した単元構成・授業づくりの在り方として、特に重視してほしいと感じているのは次のことであります。それは、教科等の学習の中で一貫して問い続けられる本質的な問いや、その問いを追究する具体的な課題であり、多様な子供たちが意欲を持って取り組めるパフォーマンス課題を構想しやすくなる点です。
これまでも度々申し上げてきていますが、一見スマートであっても、教科の本質に関する教科観や、その本質に照らした教材の本質的なうまみを見抜く教材観に欠けた表面的な授業が増えてきていることに大変危惧しています。
 多様な子供たち一人一人が各教科の学習内容について自分なりの深い理解を得ていくためには、やはり当該教科の本質に根差した質の高い問いが示されること、そして、その問いに沿って習得した知識・技能を外化する中で、理解を深めて使いこなせる知恵に昇華していくためのパフォーマンス課題に取り組めるようになっていることが極めて重要な鍵を握っていると思っています。今後、各教科等ワーキンググループでイメージ資料を検討する場合は、この点にもぜひ御留意いただきたいと思っています。
 最後に、最終的には学校現場が、年間指導計画のレベルでこの高次の資質・能力はどこに位置づくのか。また、教科の目標、学年目標、分野目標、そういうものとの関係はどうなるか。単元計画の中で高次の資質・能力はどのように位置づくのか。単元目標との関係はどうなのか。
 観点別学習状況やその評価においてこの高次の資質・能力はどのように取り扱うのか。これらの内容について解像度高くイメージできるようになったときに、この高次の資質・能力に基づく授業改善は、言うなればその真価をしっかりと発揮して、今回の趣旨が一つ一つの教室まで届くようになっていくのではないかと考えています。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。続きまして、お時間がない中で申し訳ありません、松原委員、お願いいたします。
【松原委員】  ありがとうございます。膨大な資料を御説明いただきましてありがとうございました。各ワーキングで検討が進んでいることがよく分かりました。
 私からは小学校の視点から3点申し上げたいと思います。
 1点目は資質・能力の整理における分かりやすさと書きぶりの統一についてです。小学校という立場で今回の資料を教科横断的に拝見いたしましたが、教科等の特質の違いがあるとはいえ、記載の粒度や書きぶりにはまだばらつきがあると感じました。小学校の教員は全教科の授業づくりを行う可能性がありますので、これらの抽象的な概念を全ての教科で個別に読み解き、授業のデザインの中で活用していくことにはどうしても負担感もあります。諮問にある分かりやすく使いやすい学習指導要領という方向性を踏まえ、各教科を通底する軸が見えやすいよう、可能な範囲で書きぶりの整合性を確保いただくことをお願いいたします。
 このことは、授業デザインを効果的・効率的にするのみでなく、カリキュラムマネジメントや小中連携といった学校種間の接続を円滑にする上でも有効であると考えます。特に今後デジタル化された学習指導要領を活用する際にも横断的な検索や参照がしやすくなるメリットがあるはずですので、さらなるシンプル化を御検討いただけますと幸いです。
 2点目は構造化を単元・授業づくりに生かすプロセスの可視化についてです。1点目とも関連いたしますが、経験の浅い教師が増えている現在の学校現場において、構造化された学習指導要領の趣旨を実際の単元・授業づくりにどう落とし込むかという点には一定のギャップがあると感じております。このギャップを埋めるための資料提供は大いに歓迎いたしますが、一方で、提示されるものが唯一の正解や固定的な型として受け止められ、かえって現場を縛る結果にならないよう留意が必要です。
 資料にあるとおり、あくまで参考イメージとして提示し、教師が目の前の子供の実態に応じて、多様で柔軟な授業づくりを行うための足がかりとなるような、現場にとって使いやすい形での提供をお願いいたします。
 最後3点目ですけれども、教科書の在り方や精選についてです。主体的・対話的で深い学びを実現するためには、子供たちが探究的に学ぶための余白を確保することが重要です。そのためには高次の資質・能力を踏まえて、慎重ながらも個別の資質・能力を精査し、それに基づいて教科書の内容が精査・精選されることが重要だと考えています。特に調整授業時数制度を活用し、学校によっては標準を下回る時数で特定の教科を指導する場合であっても、無理なく指導が可能となる教科書の分量や構成になっているかという視点は重要だと考えます。教師にとっても、子供にとっても使いやすい教科書となるための検討をお願いいたします。
 私からは以上となります。よろしくお願いいたします。
【貞広主査】  ありがとうございます。では田村委員、どうぞ。
【田村委員】  ありがとうございます。
 まず、本日の発言の前提を共有させていただきます。昨日、一昨日と私、2つの現職教員の学びの場に立ち会いました。いずれも貴重な土日に研究会に参加されるほど熱心な先生方が集う場でした。その中で私が強く印象に残ったのは、深い学びをしている子供の姿が描けない、探究が大事なことは分かっているが、探究がどういう学びなのかが分からないといった声です。
 こうした声から見えてくる現場に共通する課題の一つは、先生方の不安や困り感、そして自信の持てなさだと感じています。これは先生方の勉強不足や意欲の問題ではありません。むしろ誠実で真摯に教育に向き合っているからこそ生じている不安だと受け止めています。その背景には、教育という営みが本来的に不確実性を伴うことに加え、求められる教育の高度化や社会からの高い期待、理念として掲げられる目標の抽象度の高さ、そして教師が判断や試行錯誤を一人で引き受けざるを得ない構造があると考えます。
 以上の前提を踏まえ、これから学習指導要領そのものの書きぶり、解説や指導資料の在り方、全国学力・学習状況調査、教員研修の4点について発言いたします。論点は複数ありますが、視点は1つです。それは今回検討されている学習指導要領や関連する施策が、現場の先生方にとって子供の具体的な姿を思い描けるものになっているかどうかという点です。
 まず、学習指導要領そのものの書きぶりについてです。各教科ワーキンググループの御尽力により、各教科等の目標は相当程度具体化されてきていると感じています。一方で、その解釈のしやすさには、教科の特性もあるかもしれませんが、差があるようにも思います。学習指導要領の本文が先生方にとって、事務局の御提案どおり、到達したときの子供の姿を具体的に思い描く助けとなる表現となっているかどうかという点について御留意いただきながら、引き続き検討していただきたいと考えます。
 特に思考力・判断力・表現力等については、到達目標として描かれるのは当然としても、授業をされる先生方にとっては、学習の結果としてだけではなく、学習の途中の過程においても子供たちの中で未熟な形で繰り返し発揮されるものだと受け止められることも大切かと考えます。授業中に見られる立ち止まりや迷い、考え直し、試行錯誤といった姿は、自己調整として捉えられる側面がある一方で、知識や考えが揺れ動きながら再構成されている過程であり、思考している途中の姿としても読み取れるのではないでしょうか。こうした学びの途中の姿が、思考力を発揮されている過程として先生方が想像できる書きぶりとなることを私は望みます。
 次に解説や指導資料です。学習指導要領本文には書き込み切れない、また書き込み過ぎてはならない内容があると考えます。だからこそ、事務局が単元に生かすプロセスの例示を提案されたように、解説や指導資料においてより具体的な子供の姿や、総合的な学習の時間ワーキンググループが多様な探究の在り方を示されたように、学びのプロセスを構想する手がかりをお示しいただきたいと思います。特に学習過程に見られる迷いや試行錯誤も思考・判断・表現力等が発揮される途中の姿ということも先生に伝わるとよいと考えます。
 3点目は全国学力・学習状況調査です。この調査は活用型の学力の姿を現場に伝える役割を果たしてきたと受け止めています。今後は統合的な理解や総合的な発揮といった資質・能力がどのような形で表れるのかを具体的に示し、現場の先生方が目指す学びのイメージを共有するための手がかりとなる調査問題の開発を引き続き積み重ねていただきたいと思います。
 4点目は教員研修についてです。現場の先生方には安心して対話できる場や機会が不可欠です。教師という専門職は子供や学級、学校の状況に応じて学びをつくり出していく存在であり、そのこと自体が教師の探究そのものであると考えられます。ある現職教員から、聞くばかりで対話がない研修が多いという声があることを聞きました。学習指導要領の理念を本気で実現していくためには、研修そのものが対話と試行錯誤を核にした探究の場になる必要があります。先生方自身が学習指導要領に示された内容を現場の言葉に翻訳し、子供の姿として描き出し、実践を通して確かめ合う研修を教職員支援機構や教育委員会には設計していただきたいですし、学校現場においても裁量の時間、特に教師の時間を有効活用し、専門職として対話するための時間・仕組み・環境づくりを進めていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【貞広主査】  ありがとうございました。大変関連する多面的な観点から御意見を頂きました。
 それでは溝上委員、お願いいたします。
【溝上委員】  溝上でございます。
 いいところはたくさんありますが、時間が限られていますのでそれは後で事務局へメールでお伝えします。具体的なところを3点コメントしたいと思います。
 まず1つ目は総則・評価のスライド45を見ながらですけれども、個に応じた学習過程の充実をご提案いただいて、自己調整学習、学習方略ということが示されてきたことを私はとてもいいご提案だったと思っております。主体的・対話的で深い学びや個別最適な学びもいろいろな場や機会は提供してきましたけれども、子供たちの学習方法とか技術が十分に教えられてはきませんでしたので、今回それを併せて個に応じた指導という、これはどちらかというと教師側の言葉に近いものですけれども、今回子供たちの学習者の立場でこういう側面が出てきたことはいいことと思います。
 この例示でもいいと思うんですけれども、メタ認知的方略のところで、メタ認知といえばモニタリングとコントロールとよく言われます。これは非常に大事な2側面ですけれども、コントロールの部分がこの例示にはないんですね。振り返りに近いところをまとめていくところが中心で、今の振り返り活動でコントロールの部分が十分ではないとよく言われてきたところで、やはりある時限の学習を通して、次に何を自分は考えていきたいのかとか取り組んでいきたいのかという、このコントロールと学術で言われる先々のことに繋げること、そのようなことが、最終的な資料でそういう側面が示されることを期待したいと思います。これが1つ目です。
 もう一つは、資質・能力の構造化で縦横のところですけれども、スライド6です。統合的な理解、総合的な発揮という大分この言葉はこなれて皆さんに伝わっています。
 強い意見ではないですけれども、中核的な概念による深い理解というものが最初あったわけですけれども、中核が分かりにくくてこれになったということで、それもいいんですけれども。中核といえば、個別の知識・理解・技能から、概念レベルをダイレクトに指して、そこからいわゆる単元を貫く問いとか、単元レベル、概念レベルで授業を進めていきながら、個別事象を拾いながら全体をまとめると。それが教科書を教えるのではなくて、教科書を使って教えていくと、こういうことだったとも思います。
 ところが、統合的な理解となると、結局は下の個別層(レイヤー)が最初にあってそこを上に上げていくという、旧来の習得・活用・探究の流れに戻っている印象も受けます。強い意見ではありませんけれども、そういったところの観点をちょっと鑑みながら今後のまとめに入っていかれてはどうかと思います。
 3つ目は、各教科等のワーキングで社会科のところだけ、社会科がどうだというわけではないですけれども、スライド30を見せていただけると一番分かりやすいですが。
 古代から中世、近世、近代、現代といろいろ歴史を通史的に見たときに、同じ事項が小学校、中学校、高校で何度も登場するのですよね。もちろん学校種が上がるごとで同じ事項でもその周りにある他の事項が加わって構造が変わりますので、十分内容的な理解はしているつもりですけれども。
 今回、先ほどの中核とか概念レベルで授業をしていくことを考えたときに、知識がずっと小・中・高と同じもの、例えば近代明治でいったら大日本帝国憲法とか条約改正とか日清・日露とか、もう同じ言葉がずっと挙がっていて、知識を書き出すとそういうことになるかもしれませんけれども。それは例えば小学校あるいは中学校で学んだことを、ただ高校で繰り返し取り上げ、より難しく、より深く学ぶということではなく、あくまで単元のレベルの大きな中核的な概念とか問いを基に、かつて習った言葉も拾いながら概念的に学ぶことが次期学習指導要領で求められる学びではないかと思います。
 教科書がこれからデジタル等々で繋がってきたり、資料集で広がってきたりとかしますので、そういうものを拾いながら、同じ言葉が、概念が、用語がですかね、上の学年になっても繰り返し繰り返し扱われるような問いとか、教科書とか、そういうものを考えていただいたらどうかと思います。
 以上です。長くなって申し訳ありません。
【貞広主査】  ありがとうございました。次ですが、参加できる時間が限られている委員の方がいらっしゃいますので、順序を入れ替えさせていただきます。植阪委員、どうぞ。お忙しいところありがとうございます。
【植阪委員】  すみません、学内の口述試験を抜け出している関係で、ちょっと順番を前後させていただきます。申し訳ありません。どうも御配慮ありがとうございます。東京大学の植阪です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、今回本当にいろいろな新しいことを盛り込んでいただきましたけれども、「学び方」ということが前面にかなり出てきたことは、教育心理学者としてとてもうれしく思っております。学習のサイクルですとか、それを支える要素、そして学習方略の具体例が示されてきたことは大きな前進だと思います。まだまだこれでも先生方には分かりにくい部分もあるかもしれませんけれども、こうした内容を国として保証していくのだということをはっきり打ち出し、それが総則に位置づけられたことは、特筆すべきことではないかと思っております。
これに関して小さく2点申し上げたいことがございます。まず、「個に応じた」という表現についてです。これは、一人一人を個別に別々に指導するという意味ではなく、最終的には自分に合った学び方を選んでいくということだと思います。ただ、その前提として、どういう学び方があるのか、何が効果的なのかについては、やはり先生がイメージを持たせてあげないと難しい部分もあります。したがって、ここで言う「個に応じた」とは、指導を個別に行うというわけではないという点が、うまく伝わっていけばよいのではないかと思っております。
それから資料1の45ページについてです。サイクルを支えるものとして3つの要素が挙げられています。心理学的に見ると少し気になる点がございます。ここでは「動機づけ方略」「学習方略」「メタ認知的方略」となっていますが、実際にはサイクルをうまく回している人を支えているのは、「動機づけ」「学習方略」「メタ認知」という構造です。つまり、動機づけやメタ認知そのものが重要なのであって、必ずしもすべてに「方略」を付す必要はありません。
例えば次のページにもありますが、学習に価値を感じられる環境設定や、溝上先生がおっしゃっていたコントロール感の重要性などは、「動機づけ方略」というよりは動機づけそのものに関わる話です。その意味では、「動機づけ」や「メタ認知」については必ずしも「方略」としないほうがよいのではないかと思います。
また、促進の例として示す場合も、「動機づけに関する要素」「メタ認知に関する要素」といった形に整理したほうが、心理学的な知見との整合性も取りやすく、分かりやすくなるのではないかと感じております。現在は「方略」が多用されているため、かえって分かりにくくなっている印象がありますので、御検討いただければと思います。これが大きな点の1点目です。
2点目です。冒頭資料の知識構造の図についてです。最終的に「知識・技能の統合的理解」「思考・判断・表現力の総合的な発揮」という形で整理されたことは、分かりやすくなった部分もあると感じます。ただ、「高次の資質・能力」という言い方が現場で混乱を招く可能性があるのではないかと少し懸念しております。
前回改訂では資質・能力を広く定義しておりましたので、ここで「高次の資質・能力」とすると、その広い概念との関係で混乱が生じるのではないかと思います。むしろ、深い学びの中身としてこの2つの要素を位置づけたほうが、現場には伝わりやすいのではないかと感じました。これが2点目です。
3点目です。これにも関わりますが、深い学びの中身についてです。決して探究の要素だけではないと思いますが、深い学びが探究と一足飛びに結びつけられてしまう傾向もあるのではないかと感じています。この点をどのように学校の先生方と共有していくかは、非常に重要だと思っております。
関連して、裁量の時間などでぜひ扱っていただきたい点がございます。それは、「統合的理解」や「思考・判断・表現の総合的な発揮」が、具体的にどのような課題を通して見取ることができるのかを考える時間が必要ではないかということです。
ここで言う課題とは、授業中に扱う問題であり、宿題で問う問題であり、定期考査や小テストで問う問題のことです。私が「課題」と申し上げているのは、実際に生徒に提示する問いのイメージです。
日本の教科書は非常に高いレベルにあることは社会的にも世界的にも認められておりますが、解説の後に続く問題が、どうしても「解く」ことに集約された浅い理解にとどまりがちな側面があります。統合的理解とはどういうことなのか、思考・判断・表現力を発揮するとはどういうことができることなのかを問う課題を、教科書や評価の中にも位置づけていく必要があるのではないかと思います。また、学校の先生方がそれを学ぶ機会を持っていただけると大変ありがたいと思っております。
これに関連して、授業の流れを文科省から示すことは非常に画期的だと感じております。これまで「どう教えるか」は議論の中心になってきませんでしたので、大きな転換だと思いますし、いくつかのオプションが提示されるとよいと思います。
その際、基本的な内容を分かりやすく教える部分と、高次の学びにつなげる部分の両方が一つの授業の中に入ってくるようなモデル例があるとよいのではないでしょうか。日本では発見的に進め過ぎて時間が足りなくなることもありますので、基本的な内容はある程度先生が明確に教え、そのうえで発展的な学びにつなげるような例が示されると、課題の在り方や授業への埋め込み方がより共有しやすくなるのではないかと感じました。
長くなりまして申し訳ありません。貴重な機会をいただきありがとうございました。事務局の皆様の御尽力に心より敬意を表します。ありがとうございました。
【貞広主査】  お忙しいところありがとうございました。では、順番を戻ります。堀田委員、お願いいたします。
【堀田主査代理】  堀田でございます。
 総則・評価特別部会や各教科等のワーキングで検討されていることを今回は横並びで整理いただきまして、大部になりましたけれども御説明いただきましてありがとうございました。
 私の理解では、各教科等には目標があり、身につけるべき様々な資質・能力はもちろんあるわけですけれども、そこには奈須委員もおっしゃったように階層構造があることが学校現場に広く理解・周知されるべきかと思います。
 目標のすぐ下に見方・考え方があるのが私の理解ですが、それとはまた少し別の次元で、個別の学習内容に対応した資質・能力等、これはいっぱいあります。それらを束ねる形で本質的な、つまりここで言う高次の資質・能力としての統合的な理解とか総合的な発揮とかというものがあるのかと思います。これらの階層を分かりやすくするために、様々な形で表にしたり、あるいは今回はデジタルによって階層ごとに見たり、階層を掘っていく形のような見方ができたりするということなのかなと思いますし、今日は階層ごとに並べていただいたんだと思います。
 そう見れば余計にそう思うんですけれども、内容の精選とか、整頓は当然必要とした上でですが、各教科等の見方・考え方、これは資料2-1でいうとスライド19とかスライド20、21辺りにありますが、提示できますかね。
 私は情報・技術ワーキングの主査を拝命していまして、算数・数学ワーキングにも出ていますし、またこの情報・技術ワーキングでいえば、この中でいったら次のページになりますけれども、中学校の情報・技術科、これはまだ仮称ですけれども、あと高等学校の情報科とか、総合的な学習や探究の時間の中の小学校でいえば情報の領域、ここには見えていませんけれども、そういうものに関わっていまして。そうすると、それぞれの見方・考え方みたいなことについて文言も含めて苦労して設定してきたわけですけれども、やっぱりこうやって各教科で並べてみると、1行半にわたっていてやっぱりまだ冗長なのかなと思った次第です。
 繰り返しになりますけれども、この見方・考え方は目標と一体化しているんですよね。個別の領域や指導内容、その高次の資質・能力などなどもどさっとあるわけですけれども。目標と見方・考え方は、この教科は何のためにあるのかなとか、目標は何でどういう見方をさせる、考え方をさせることがこの教科の本質なのかということが学校現場に浸透するためにも、この部分、見方・考え方の部分はできるだけシンプルにしたほうがいいのかなということを、自戒を込めて感じたという感想ですいませんが、私からは以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では神野委員、どうぞ。
【神野委員】  よろしくお願いします。先ほど田村先生がおっしゃられていた、授業を改革していくときに、先生がなかなか自信を持てないという話は私も学校現場で本当にリアルに感じるなと思っている次第です。
 特に今の授業のスタイルの中でどの辺に感じることが多いかというと、探究の授業をつくっているときとか、総合的な探究の時間とかでやられている授業自体、自分がやっている探究の授業がただの集団指導の探究っぽいものをやっているんじゃないかとか、調べもの学習をやっているだけなんじゃないかとか、そんなふうに先生方が迷っていくということですね。
 そんな時に結局どうしたらいいんですかと聞かれたときに、こういう伝え方をしたらすっと先生が落ち着いてくれたということが、子供と決めていますかという話だけさせてもらいました。子供がそのテーマを選べるだとか、一人一人じゃなくても集団ででもいいです、で決めて、子供自体が探究の仕方とかまで選べていって、このやり方も突き詰めていくと、どれだけ集団でできるか、もしくはどれだけ個に応じられるかというところにおけるスキルはまだまだ存在するんですけれども。でも、道なき道にコンパスを得たような気持ちで、先生方はああ分かりましたといって子供と相談しながらやっていきますねといって、自信を持ちながら探究の授業をつくっていけるようになったなと思っています。
 もしそれがそうなんだとしてみると、今回高次の資質・能力という形で書かれていることの一つ一つもまた、これを読み込んで先生が授業をつくっていくときに、先生一人でつくっていくと同じことが起こると思っていて、多分自信がなくて、本当にこれでいいんだろうかと思っちゃうんですけれども。もしこの高次の資質・能力みたいなものの獲得を子供たちと話し合って、ということは、こういう授業だったらいいよねとかこういう学び方をしたいと子供が言うような合意形成があったとしたら、先生方一人一人、めちゃめちゃ自信を持つと思うんです。
 もしそれを今回の学習指導要領の中でやろうとしたら、恐らくこの小学校・中学校・高校のそれぞれの書きぶりを、その学齢に合わせて理解できるような書きぶりにしなければいけないんじゃないかと、ちょっと想像したりしたんです。
 さらにもうちょっと付け加えてみると、ここで本当にすばらしいシステムだなと思ったのが学習指導要領を検索できるようになっていくシステム、これは本当にすばらしいなと思ったんですが。これをまた子供も使えるようになっていったほうがいいんじゃないのとか、何だったらデジタル教科書ってこういうことなのという気すらしたんですね。
 つまり、子供たちが学びたい内容をもし、ここにも書いていますが、総則で、子供たちとともに学習の目標みたいなものを決めていこうみたいなことが書かれていたと思うんですが、その目標を決めたときのこういう高次の機能みたいなものを例えばキーワードで入れたときに、各教科でこういう単元ではこういうことをやるよというものが瞬時に出てきて、例えば合体したり分解されたりするような中で、子供たち自体がちゃんと自分で何を学んでいるのかを意識しながら学ぶことができる。そんなシステムがあったりすると、実はここで書かれていることが実現していけるのか、さらに言えば、先生が一つ一つの自分の授業に対して自信を持ちながらできるようになるのではないかと想像したりしました。
 実現に向けては結構むちゃなことを言っている気もしていて、どんな書きぶりにそもそも学習指導要領はすべきなのかとか、このシステムをどうすべきなのかというところに関しては、私もできれば一緒になって考えたいなと思った次第です。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では山本委員、お願いいたします。
【山本委員】  よろしくお願いします。まずは論点整理で話し合われたことが、短い間にこれだけワーキングの中で具現化していくそのプロセスに立ち会わせていただいて、本当にすばらしいなと思いながら、敬意を表したいと思っているところです。
 その一方で、現在のこの議論が相当学校にも開かれていて、校長先生とかいろんな人たちの議論になっている。これは非常に良いことだと思いながらも、その人たちの話の中で、一つは例えば中核的な概念が統合的な理解になって、さらにまた高次の資質・能力と。ワードがどんどん新しく更新されていくことへの不安も聞かれます。でも、これについては先ほど事務局からあったみたいに、私は一つの論点整理で話し合われたことが具現化していくための工事現場であると。まさに足場の中でいろんな言葉が今たくさん出ていてこれからその足場を外していく作業を夏に向けてやっていかなければいけないと思います。その場合にどんな言葉が残って、どんな言葉が消えていくのかというところを、まさに学校現場の議論なんかを参考にしながら精選していっていただきたいと思っているところです。
 その中で2点目は、今こうやってワーキングの中で各教科の資質・能力を並べていくと、高度な資質・能力がどんどん並べられていくような。これを教員だけが理解して、そして実行に移すということではなくて、やはり一度、この高次の資質・能力を子供の姿でそれぞれの教科が表現してみたらどうかと思っているところです。実際、子供の姿で見たときに、ちょっとこれは盛り込み過ぎじゃないかとか、ちょっとここまで例えば12歳でいけるものなのか、もっと言えば、今まさに学びの個性化を実現しようとしている中では、子供によってその実現する幅が違ってくる。まさにそこにこの資質・能力の中にも余白があるのかないのか。こういうふうに示されたときに、やはり教員はここまで達成しなければという思いでいってしまうと思うんですね。
 そういう中で、学習方略とかそういうものを示すのもいいですけれども、学びのプロセスは可視化した上で、まさにプロセスは教員に考えさせたい。たくさんの材料は与えられたとしても、どういう選択・判断をしてどういうプロセスをたどるのかというところをまさに教員に考えさせることが、学校の創意工夫を最大限今回の指導要領は担保しているというメッセージにもなると思うので、そのプロセスを挑戦させることが大切。でも挑戦させたきりだと、それがどうだったのかは分からないわけですよね。
 まさにその挑戦した先の価値付けをやる人間を、これからはこの学習指導要領が実現するための、進めていくための組織づくりみたいなことも考えていく必要があるのではないか。今までは多分、管理職とか指導主事がその役割を担っていたと思いますが、今、市町村の指導主事はもう忙し過ぎて、とてもじゃないけれども人手不足。それこそ管理職もなかなかこういった価値付けができる人材がどのくらいいるのか。まさに今、足場をつくって、足場を外すこのプロセスから伴走者みたいな方たちに参加してもらって、そのプロセスを見てもらって、その上で現場の教員がチャレンジする、その価値付けをしっかりやってもらう、そういった組織づくりみたいなことも同時に考えていく必要があるのかなと思っています。
 先生方には、今回、学校の創意工夫を最大限生かせる、学習指導要領だということをメッセージとして出すなら、学びのプロセスを挑戦させて、そのプロセスを価値付けしていくのは学校の先生ではなく、(そこまでさせてしまってはなかなかやっぱり負担が大きいと思うので、)まさにそれをしていくのはもしかすると教員養成系の大学の役割かもしれませんし、各教育委員会の役割かもしれませんけれども、そういった価値付けをしっかりしていくことで、今やろうとしていることが実現するのかなと思うので、そこまで含めて今後は考えられていけるといいかなと思っています。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では続きまして秋田委員、お願いいたします。
【秋田主査代理】  ありがとうございます。皆様も言われましたけれども、横並びでお互いに各教科ワーキングの作業を進めてここに間に合わせるように各教科の担当の事務局や委員の皆様が御尽力くださったことによって、今回初めてこの学習指導要領全体を俯瞰して各教科がどう進んでいるかが見られたことは、とても貴重なことであり、その往還を繰り返すことによって、より全体として分かりやすくなっていく方向を目指すことができるのではないかと私自身は思いました。
 その中で先ほど例えば堀田委員が言ってくださったんですけれども、見方・考え方一つ見ても、行数が教科によって違う。でも、これが奈須委員の言葉を使えば、何の任務とか、この教科が教科としてなっているのは何なのかということが分かればいいんだよというシンプルなものになっていくこと、それから今回、生活科と特活が別に違う方向を選んだことが私はとてもよかったのではないかと思います。やっぱりそれぞれの本質を見抜いた議論が行われ、これがこの部会だけでなくて、各教科ワーキングでも例えば関連の近いワーキングが、この資料全体は大変だと思うんですけれども、お互いに見ることで相互に参考にして御議論を頂けると、またそれぞれいいのではないかと考えます。
 特に先ほども小学校の話が出ておりましたが、小学校の部分では特に学年別になっている教科と複数学年でまたいで書いている教科が前からあったわけですけれども、もう少し大くくり化していくためには何が必要かということもお考えいただけるといいのかなと思ったのが一点でございます。
 それから2点目としては、先ほどからお話が出ていますが、統合的な理解と総合的な発揮という言葉について、私は溝上委員のお言葉ではっとして、確かに理解だと知識だけだと思う一方で、総合的な発揮の中にはその技術のパフォーマンスも総合的な発揮に入るのかなという感じもいたします。並行パターンではないですけれども、それら全体を見ていくようなことが意味していると考えます。高次の資質・能力という言葉は、もともと資質・能力はコンピテンシーという言葉と対応しています。それはハイリー・コンピテンシーではないので、コンピテンシーベースのカリキュラムに切り替えたということであるので、ここではもう高次の資質・能力という言葉は仮の足場で、なくし、統合的な理解と総合的な発揮という言葉だけを残していくことで、何が出されるのかということが見えることが大事だろうと思いました。
 そして、最後に資料2-2ですけれども、今回いいなと思ったのは補足イメージを加えていただいて、終わりの4ページ目、5ページ目のあの図が、こういうものが現場の先生方に分かりやすいんだと思ったんです。ところがその時に、左側と対応したところを見たときに、もしかすると右側の思考はこれまでの学習指導要領や単元づくりと同じで、このデジタルになるからこそ、この単元、前時は、前学年は何なんだろう、次のどの学年に繋がるのかなという、そういうことを考えてみることと、それからこれがうちの学校とかうちのクラスの子供としてはどうデザインするのかなという、学びの姿を中心にという、プロセスを中心にということが、この単元計画づくりのイメージの中の矢印の中に書き込まれていくようなイメージが、デジタルだからこそ前時とかキーワードが見えますよというデジタル学習指導要領のお話を頂いたので、それとこれがうまく対応することが大事だと思います。
 そして5ページ目でも、パフォーマンス課題と書かれていますけれども、本来、単元を貫く問いが各教科で大事にされてきていますので、そうしたものとの対応を見ていくことが必要だろうと思います。
 また、学びに向かう力・人間性の評価についてはまだ議論が進んでおりませんが、こういう書き方でいいのかということも考えていくことが必要だと思います。
 これに対応して教科書についてもぜひ、教科書をどういう内容をどうするのかは各社の独創性が必要ですけれども、今、教科書が読めない子供たちがたくさんいるわけです。それは使っている語彙が分からないことだけではなくて、教科書というものが文章だけではなくて、様々な教科固有のパターンの文法というか、それで配列して作られている、その繋がりを子供が読めていないことがあるわけです。
 そういうものがより統合的な理解や総合的な発揮に繋がるためにはどうしたらいいのかというところは、各教科ワーキングでもう一度その方向性を示していただくことが、教科書まで含めてリソース全体の改革としてこの学習指導要領の改訂が動く。先生たちにとっても分かりやすく、子供にとっても分かりやすくなるためには大事かなと考えたところです。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では続きまして野口委員、どうぞ。
【野口委員】  野口です。よろしくお願いします。まず、事務局の皆さん、本当に大変な作業をありがとうございました。
 私は特別支援のワーキンググループと特定分野に特異な才能のある子供たちへの教育課程のワーキンググループ、また教育課程以外の論点も含めた議論をしている、外国人児童生徒等の有識者会議にも参加しています。踏まえて、多様性の包摂は果たして議論の柱になっているのかという観点で意見をお伝えしたいと思います。
 資料1で6ページに高次の資質・能力のチェックポイントがありました。私がこの高次の資質・能力をちゃんと理解していないのかもしれないですが、多様な子供がアクセスすることを目指すものになっているのかといった観点も必要なのではないかと思いました。以前の、最初のほうの中核的な概念についての説明があった部会で、私はすごく分かりやすいなと思ったのは、石井先生が中核的な概念の話をされたときに、要はこれをつかんでほしいというゴールテープを広く取ることだとおっしゃっていて、そうすることによって多様な子供たちがどこにアクセスしたらいいのかということがより明確になっていく、つかみやすくなることをおっしゃっていて、それはすごくいいなと思ったんです。
 今回、皆さんの各ワーキンググループの高次の資質・能力を見させてもらって、正直思ったよりも細かいなとすごく思ったんですね。やっぱり大まかにつかんでほしいシンプルなゴールテープ、コアなものが共通する、でも細かい目標はそれぞれで異なるという構造をつくっていかないと、多様性の包摂は難しいんじゃないかと私は思います。
 先ほど、高次は高度ではないというお話もあったんですが、細かく決め過ぎずにシンプルにすることによって、多様な子供たちがそこに共通してアクセスできるようにしていく視点が大事なのではないでしょうか。例えば知的障害のある子供について、現在は特別支援学校の指導要領において独自の教科が知的障害のある子供たちについては設定されていますが、現行の指導要領から小学校教科との連続性も示されています。
 先ほどの栗山室長からの特支のワーキンググループの報告にあったように、生活などについては独自性があるため、別途、特支ワーキンググループで議論したところですが、ほかの教科についてやっぱり知的障害のある子供もアクセスすることを踏まえて、今回の例えば高次の資質・能力というものを、知的障害教育の専門家だったり特別支援教育課の知的障害の調査官の方だったりが、各教科等のワーキンググループの中に参加していく必要があるのではないかと思います。あるいはレビューをするですとか。多様性な包摂を実現するためには、この高次の資質・能力の整理が良いのか、教科の専門性だけではなく、多様な子供たちの教育の専門性という視点でも見ていく必要があるのではないかと思っています。
 今の点に関連して、資料2-2の検討の方向性案の2ページでプロセスの可視化と書いていただいているところです。この高次の資質・能力が決まったとして、決まったら、じゃあそれにどうやって多様な子供たちがアクセスできるように単元をデザインするのかという話になっていくかと思います。具体的に目の前の子供たちの多様性に合わせて、その子たちがみんなここにアクセスできるためにどういうふうに単元や授業を設計したらいいのか、その時の留意点は何なのかということは、やっぱり各教科のワーキンググループで議論する必要性があると思います。
 繰り返しになりますが、その際には教科の専門性のみでなく、各種カテゴリーの専門家の専門性も必要だと思います。その時の共通言語が、私が何度もお伝えしている社会モデルの視点になってくるのではないかと思います。つまり、子供たちが高次の資質・能力にアクセスすることが難しい要因は、その子の内面だったり特性だったり、障害にあるのではなくて、単元や授業の設計の仕方とか環境の設計の仕方にあるという視点を持って、目の前の子供たちに合わせてどういうふうに設計ができるのか。もちろん具体については各現場の創意工夫が必要だと思いますが、それをするための材料は学習指導要領なり解説なりに必要なのではないでしょうか。
 やっぱり多様性の包摂を単なる付け足しではなくて柱とか土台にするためにも、ぜひ今後の議論の仕方やメンバーの検討も含めて御検討いただきたいと思います。この方向性が指導要領においてクリアになれば、じゃあこれをこの子たちに教えるためにどうしたらいいんだろう、次の単元はどうしたらよいだろう、という話合いが調整授業時数を使ってでき、結果的に多様な子どもの深い学びが実現できると私は考えました。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。今、野口委員のお話の中にも御氏名がありました、次に石井委員、お願いいたします。
【石井委員】  ちょうど名前を挙げていただきありがとうございます。
 限られた時間ではありますので、私から大きく3つになります。その前に、今、野口委員がおっしゃったこととの絡みで申しますと、結局、今回の学習指導要領の改訂は多様な子供たちの多様性に応じつつ、かつ、やっぱりその学びの深さ、中身がある学びをどうつくっていけばいいのか。ゆるくて深い学びということをかねてより申しておったりもしますけれども、それで言いますと、大きなゴールを設定しつつ中身のある授業をどうつくっていくのかということが一つポイントになってくると思うんです。
 ですから、その時に質ということで言いますと、本質的で大きな問いで、あるいは本質的な実践といいますか大きな課題、そういったものによって、それを軸にしながら個別の知識とか技能とかあるいはスキルが吸い上げられていく。ある種、活用しつつ習得に下りていくではないですが、そういった学びが展開されていくことが大事でしょうし、その時にゴールテープを広く取ることが大事です。それゆえに上り方はいろいろ。これは『みるみる』のほうで示されていることかと思います。そういうイメージで考えていくことが重要かなと思います。
 その上で3つということで申しますと、まず、授業づくりに生かすときに、指針といったものを学びであるとか授業の進め方を細かく示すということになりますと逆に窮屈になると。だから方法面をあまり縛り過ぎることは逆に現場を萎えさせると思います。
 先ほどの事務局説明で重要だと思ったのは、これは授業準備の手元がどう変わるのかということを示している点にポイントがあると思います。もともとこのデジタル学習指導要領の核心は授業準備DXであって、結局授業づくりとか教材研究で何を手元に広げてどう参照しながら授業をつくっていくんですかと。その授業準備のプロセスに切り込んでいく。ここが大事かと思います。
 そもそも学習指導要領を参照しないということは、授業準備の在り方に切り込まないと難しい。目標・内容がはっきりしないから教科書をなぞることになってしまって、活動とかあるいは素材と、それからそれを通して何をという目標・内容の、その区別がないので教材研究ができないということです。だからそこに切り込む。
 さらに言いますと、今回、各教科のワーキングで展開している議論は教科の在り方の提案だと思います。つまり、今回かなり教科観が揺さぶられることが非常に重要で、それゆえに今後恐らく、各教科に即して面白い学びの在り方、深くて興味深い学びの在り方が提案されるのではないかと思います。ですから、教科の観が問い直される。
 それは新しい教科書の提案とセットかと思います。先ほど申しましたように、大きな問いと大きな課題、これが知識を吸い上げていく。そういったことを想定するならば、さらに言うと、教科書は児童また生徒用図書ですが、教科書の在り方は今は若い先生用図書になっているところがありまして、改めて、子供たちがそれで学ぶということを考えたときに、その辺りの在り方が問い直されることがポイントかと思います。
 いずれにしても、このカリキュラムの問題と教師教育的観点といったもの、これをリンクさせて考えていくと。ですから、先ほど学習指導要領を理解して、活用と言われていたんですけれども、そうではなくて、使う中で理解していくと。そこがポイントかと思うんです。学習指導要領は読むものから使うものという、ここがポイントでありまして、だから使いながら先生がどう育っていくんですかということを想定しながらつくることが大事かと思います。
 もう一点は、自己調整学習等の扱いということで、これが独り歩きしてしまうと、今回結構扱いが大きいので、その辺は少し心配するところです。かつて総合的な学習の時間が出てきたときにその指針として探究のサイクルが示されたように、恐らく今回は裁量的な時間等において、ザ・授業でもなく、家庭学習の自学自習でもなく、その間の形態に相当する学習を支援する機会が拡大していると。それに対してそれがほったらかしにならないための指針と私は理解しています。
 ですから、これは授業と家庭学習の接点に位置するものであって、かつてであれば例えばノート指導がそうであったように、授業本体を食っていくものではないという扱いが重要かと思います。
 それで、聞き方・話し方の指導のように折に触れて指導し育てていくという、そのあたり、実際の授業本体にどういう形で組み込まれるかというあたり、ここら辺の部分を少し考えておかないと、授業本体が壊れてしまうと、これは教師の指導性の後退も含めてそうですけれども、いろいろ危ういところもあるかなと思います。
 それとともに本質的なことを申しますと、結局、○○な学びをこれ以上増やすとまた混乱するわけですから、やはり○○な学びに関しては「主体的・対話的で深い学び」、ここに戻ると。ですからこの間、学びに向かう力・人間性等に関しても、粘り強く継続的に思考・行動をする経験ということが言われたり、あるいは「みるみる」の中で多様性を包摂する単元のつくり方みたいなものがあったりするわけですけれども、そういったものとかも、あるいは情報活用能力、言語能力といったもの、これを統合することも含めて、主体的で対話的で深い学びがどうアップデートされるのか、そのイメージが最終的に示されることが重要かと思います。最終的にそこに戻って考えるということです。
 あともう一つですが、最後は、目標・内容のそれぞれの書きぶりが違うことがありまして、それはいわゆる教科の特性あるいは領域の特性ということで考えていくことが重要と基本的には思います。例えば生活は割と総合的な学習の時間とかと相性がいいところもあるので、その辺はああいう特殊な書き方になることも分かるんです。一方において、例えば並列、並行ということは、結局、内容知優勢の教科なのか、方法知優勢の教科なのかという、その辺の教科特性で決まってきていると思います。それぞれの内部においてある程度の書きぶりの共通性、お互いに参照し合いながらということは重要かと思います。
 例えばですが、技系といいますかそれで申しますと、これは並行パターンになりますかね。それでいうと、このポイントは何かといいますと、結局、学習のプロセスで申しますと、バスケットでいうとドリブルとかシュートの練習のドリルをやっても、試合でゲームをしないみたいなこと。そうではなくて、ゲームをしながらドリルとかそういったもの、ドリブルとかシュートの練習に当たる。ドリル的なものが吸い上げられていく。こういった学習活動が重要なわけです。実践的なコミュニケーションをしながら、いろんな英単語とか英文法が吸い上げられる。そういうプロセスが重要。
 ドリル的なDoとそれからゲーム的なDoの区別。それで言いますと、思考・判断・表現はゲーム的なDoに対応し、知識・技能はドリル的なDoに対応するという理解がポイントだと思うんです。ただ、思考・判断・表現という言葉に引きずられてしまいますと、例えば美術とかもそうですが、やっぱり抵抗感もあると思うんです。何か頭でっかちではないですかとか。だから美術というのはやっぱり手を使って自分たちで作っていくんだということで、技能という言葉にこだわりがあったりすることもあるかもしれませんが。
 そこは全体の整合性からしたときに、ある程度、先ほど申しました思考・判断・表現といったものの捉え方を技系の領域においては、ドリル的なDoが知識・技能であって、それからゲーム的なDoが思考・判断・表現で、それは評価の在り方としても、例えば免許の資格試験とかもそうですが、結局、知識・技能に相当するものはペーパーテストと個別のスキルテストで見ると。それだけで絶対資格は与えなくて、まさに本物の状況でやらせてみて評価の、パフォーマンス評価に当たるようなものを、実際にやらせていますよねと。そこは思考・判断・表現として見ると。
 だから、知識・技能はテクニック的なところで、それに対して思考・判断・表現はアート、創造的なアートと捉えるなどという形で、ある種他との横並びの整合性といったものを考えていくことは大事かなと思います。
 一方において、内容知優勢の教科に関しましては、やっぱり大きな単元とか問い、その設計に資するように、その下で思考を伴って個別の知識・技能とかを理解し。それから個別の知識・技能、思考・判断・表現が総合的に発揮されて、それによってさらに統合的な理解が深まるといった、そういう一連の学習活動を想定しながら構造化を進めていくことが重要かなと思います。
 すいません、長くなりましたが以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では小見委員、どうぞ。
【小見委員】  ありがとうございます。NPO法人みらいずworksの小見まいこです。
 学びに向かう力・人間性について1点だけ意見を述べさせていただきます。学びに向かう力・人間性は今回の議論では目標の中に位置付けられています。今後、学びに向かう力・人間性については議論において総則・評価特別部会で詳細な検討が進むと思いますが、私は、この学びに向かう力・人間性等は学校だけで完結するものではなく、特に家庭や地域も巻き込みながら社会全体で、みんなで育んでいく力だと考えています。学校の中だけの専門的な言葉として語られてしまうと家庭や地域との共有が難しくなり、結果として、今回示されたみんなで育てるという趣旨が広がりにくくなると感じました。
 例えば資料2-1の122ページ以降で示されている社会の中学校・高等学校における記述についてですが、やや分かりにくいという印象を受けました。表現が冗長になっている部分についてはよりシンプルに一文を短く整理して、一般的にあまり使われていない言葉についてはできるだけ平易な言葉に置き換えていただきたいと考えています。現場の先生はもちろん、保護者や地域の大人が読んだときにも、なるほど、こういう力を一緒に育てていきたいんだなと端的に理解できる表現になっているか。さらに言うと、神野委員からも御発言がありましたが、子供たちも理解できるかといった視点も含めて、いま一度御検討いただきたいです。
 次期学習指導要領では「みんなで育む」という言葉が盛り込まれています。社会全体で共有して支えていくためにも、分かりやすさという観点からさらなる整理をお願いしたいと考えました。
 以上です。ありがとうございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。御参加できる時間の関係で、申し訳ありませんが順番を入れ替えさせていただきます。内田委員、御準備はよろしいでしょうか。
【内田委員】  申し訳ありません。前にしていただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 本日頂いた資料2-1の見方・考え方の一覧をお示しいただいたことで、それぞれの教科の特性と違いがより明確になったかと思います。まだそれぞれ表現がばらばらという部分も場合によっては見られるかと思います。教科調査官の皆様もこういったそれぞれワーキングの中の議論に加わっていらっしゃると思いますので、そういった視点で担当の教科調査官が一堂に会して、文言の整理であるとか、あるいはそれぞれ教科特性に合わせた指導の重点であるとか、そういったことを共通化あるいは特色化を図っていくと、小学校とかの一人の教員が複数の教科・科目を教えるところがより整っていくかと思いますし、中学校・高校で専門の先生が教える際にもその特色化が明確になっていくのではないかと思います。
 見方・考え方の一覧を拝見して、教員が指導案をつくる際、例えば単元、素材、教材を通して、この見方・考え方を踏まえて、何々することができるというような最終的な目的がそれぞれの教科・科目で明確になっていくのではないかと思いますし、そしてそれぞれのワーキンググループが資質・能力の構造化等に関する検討のポイントをお示しいただいたことで、そちらのことについてもそれぞれの見方・考え方の素案を基に、よりブラッシュアップできるのではないかと思っている次第です。
 一方で、国語や外国語など言語に関わる教科・科目において、文字を書くという行為が単なる情報の記録や伝達手段にとどまらずに、文化の継承や自己表現、そして脳の活性化と深く結び付いていると言われている点から、手書きが脳の多くの部分を活性化し、集中力と記憶力を高める効果があり、ノートを取ることの習慣が様々携帯などの普及によって失われていく中、学校においての教育が重要だと思いますので、デジタル教科書がより本格化される今だからこそ、こういった語学を中心とした教科・科目については、そこの意味づけや指導に関する目的などを重点的に検討していただきたいと思いますし、その指導が最終的にはほかの教科・科目にも影響を与えると思いますので、今後どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上となります。
【貞広主査】  お忙しいところありがとうございました。
 それでは順番を戻らせていただきます。前川委員、御準備よろしいでしょうか。
【前川委員】  お願いします。この1年間の議論を振り返ってみまして私が重要だと思うのが、これから生成AI時代、また不確実と言われる時代において、子供たちが好きを見つけて、それを追究できるようにしていこうということが示されたと思うんですね。非常に大事なことだと思うんです。
 しかしながら、それを見つけるために必要なのは、ある種の知識であったり、体験であったり、教養と言われるものが必要だと思うんですが、以前よりもそれがはるかに多くなっていると思うんです。学ぶ内容はこれからもどんどん増えていくと思うんです。しかし、限られた授業時数の中や、さらに児童一人一人に着目しようとすれば、いかに精選を図りつつ、より高度な資質・能力を身に付けさせるかということが大事になってくるという議論だったと思うんです。また、各教科において身につけさせたい資質・能力は何なのかが現場に分かりやすく届くことも重要視されてきたと思います。
 そういった意味で中核的な概念の重要性が示されてきました。本日の各教科から出していただいた資料は第一段階ですので、当然のことですが、教科の特質はあるにしても、検討状況には大きな差があるように思います。例えば統合的な理解について、何か網羅的な知識的な扱いになっていないかとか、それから今日示された資料1、総則・評価特別部会の検討状況の3ページの図、出ますでしょうか。矢印が4つあると思うんですが、この4つの矢印の意味は非常に重要だと思うんです。
 特に統合的な理解と総合的な発揮の間の矢印が双方向に作用するものとなっているかとか、それから総合的な発揮の「総合的」とか「発揮」という言葉が何を表しているのかという解釈であったり、全ての教科等で主体的・対話的で深い学びが実現されることが前提になっていたりするかといった、こういう観点で各教科が出していただいたことをさらに深めていく必要があろうかと思います。
 第一段階ですので、まだ今日の段階では当然こういった段階だと思いますが、今日ここで全てのワーキングの検討状況が出されて、委員皆が見てそれぞれの意見が言えるようになったのは非常に重要なことですので、今後も総則・評価特別部会ですとか本部会と各教科ワーキングの議論の往還ができますようにお取り計らいいただいたらと思います。現段階で今日の提示は非常に意味があったものだと思います。ありがとうございました。
【貞広主査】  ありがとうございます。では髙島委員、お願いいたします。
【髙島委員】  こんにちは、芦屋市の髙島です。よろしくお願いします。外国語と特活のワーキングにも参加させていただきました。
 まず全体について、今日提示がありましたが、論点整理ポイント資料のビジュアルのまとめがめちゃくちゃよかったです。やっぱり今回、社会みんなで持続可能な社会の創り手を育んでいこうということで、いろんな人に伝わりやすいように、特に教育関係者以外に伝わるようにということをずっと言っていましたが、このまとめをみんなで広げることが大事かなと思います。
 今回、民主的で持続可能な社会の創り手を育むということで、民主主義と学びが繋がっているなと複数の教科のワーキングを見ていて思いました。学習内容に民主主義という言葉が入っていなくても、学び方など各教科が民主主義に繋がっている部分は大いにあると思います。今回の改訂を機に、学校が改めて民主主義を学ぶ場になることを期待したいと思います。
 細かいところを3つです。1つ目が調整授業時数についてです。今回、学校の主体性が大きく問われる学習指導要領になると思います。資料1の52ページを開いていただけますでしょうか。学校の主体性が問われるという話ですが、ただ、これは学校任せという話ではないと思います。ここにありますように市区町村の指導・助言、伴走支援が極めて重要かなと思います。つまり、市区町村の教育委員会も主体的に考えていかなければいけないということだと思います。
 今回、裁量的な時間には地域等の特色を生かした取組も含まれると例示されています。全国の教育委員会の方々にもぜひ自分たちの学校の学びをどう主体的に構築するか、ぜひ首長のつくる教育大綱にも鑑みながら、総合教育会議などで議論していただければと思います。
 1ページ戻っていただいて、研究・研修等枠についてありましたが、文言だけ読むと、学校や教育委員会の組織的な研究・研修が念頭に置かれているかなと思います。時数を使うので一定の制限が必要なことは理解できるのですが、これは学校や教育委員会が一方通行の聞くだけの研修をすればいいよねという話ではないと、当たり前ですが思います。これは田村委員の発言とも通じますが、学校や教育委員会の方々には、先生の主体的な探究を応援する姿勢もぜひ持ち続けていただければと思います。
 次、生成AIの話です。今回多く議論されていたのが生成AIかなと思います。私が入っていた外国語のワーキンググループでも、AI時代に外国語を必修とする本質的意義を再整理しました。資料2-1の95ページですかね。とても意義深い議論だったと思います。
 AIとの向き合い方ですが、AIにできない部分とか代替されない部分という話はよく出ますが、そこではなくて、AIに代替されたくないとか、AIに任せたくないというものを考えるべきなのではないかなと思います。AIの技術は本当にどんどん進んでいて、具体的に代替されない能力として想像される内容は数年後に代替されているかもしれないですし、そもそも代替されるなら不要というわけでもないかなと思います。代替されるかどうかではなくて、代替されたくないかという人間の意思みたいなものを大切にすべきではないかと思いますので、ぜひ今後の議論をする際は念頭に置いていただければと思います。
 3つ目、今後の期待ですが、科目を超えた議論が加速すればなと思います。既に一部は実施されているとも聞いているんですが、例えば外国語と国語など、科目を超えた議論がより起こることを期待したいと思います。この本質的意義でも、左側で「言葉、文化、コミュニケーションへの深い理解を育むこと」を掲げています。言葉ということであれば、例えば国語と一緒に考えてもいいんじゃないかなとか。カリキュラムマネジメントが大事だという方向性は議論されていると思うんですが、私たちも学習指導要領をつくる上で科目を超えた議論ができると、メッセージとしてより伝わりやすいかなと思いました。
 最後に、野口委員の先ほどおっしゃっていた高次の資質・能力が細過ぎる点ですが、統合とか総合という言葉が中核とかよりも、合体とか全部まとめみたいな印象があるからかなと思いました。これはただの文言の印象ですが、ぜひ現場の声も聞きつつ、よりよい文言を考えていただければと思います。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では次に澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】  こんにちは。先生の幸せ研究所の澤田です。今日まで議論を進めてきていただいて本当にありがとうございます。
 総則・評価特別部会の検討する上でのチェックポイントがすごくいいなと思って、深い学びにとって分かりやすくて使える学習指導要領になると、道しるべを持って話合いを進めてくださることだったと感謝しております。
 ほかの委員の方々の今日のお話にもおおむね賛同しています。その上で、今後への期待も込めて幾つかお伝えします。
 調整授業時数についてです。1割以上で、上限は今後検討とのことで、現場の先生たちが各学校で必要十分な時間ができたと実感できるように検討を進めていただけたらと思いました。特に研究・研修等枠については、その時間が子供と離れるからよくないのだというような先入観や誤解ではなくて、子供と離れるけれども、それは子供と過ごす時間の質をしっかり上げるための投資なんだという認識を持って、しっかり投資できたと現場が思えるような十分な時間を確保できるようにしてほしいと思いました。
 次に、個別の資質・能力の精査・精選についてですが、これは今後慎重に検討が始まると思います。先ほどから奈須委員やほかの委員の方々もおっしゃっていますが、教科の任務が定まってくると、それと往還しながら精選できるんだと思います。ただ、より桁の小さい具体的な話になった際には、足し算は出やすいですけれども、引き算することについては決めにくくなる可能性があるかなと思っています。それは私の専門である学校の業務改善でもよくあることで、ある意味普通の反応ですので、誰しもがそうなりがちだということを常に意識して、自分たちがそうなっていないかどうか、メタ認知しながら議論を進めていただくようにぜひお願いします。
 また、時数の配分についても今後話し合われると思いますが、現行の学習指導要領で何か所かに「年間何とか時間程度配当すること」という書きぶりがあります。現場の創意工夫や柔軟性のためという意味では、こうした縛りが本当に必要かどうかよく検討いただきたいと思います。
 次に、教育委員会の役割と姿勢ということです。次期学習指導要領は現行学習指導要領の成熟でありながらも、令和の大改革という声もワーキングの中では発言があったと思いますし、私もそういう側面もあると思っています。学校にも教育委員会にも初めてのことが多い学習指導要領になると言えると思うので、教育委員会には、学校にも、そして自分たち自身にも完璧さを初めから求め過ぎずに、学校にレールの上を走らせるのではなく、緩やかなガードレールの役割を担ってもらいたいと思います。まずはサキドリ研究校の実行の中でその練習ができるのではと思っています。
 現状、教育委員会ごとに学校への姿勢は様々ですが、指導・助言せねばとか、答えを持っていなくてはいけないというプレッシャーを持って、そう振る舞うことが過度な牽制となって学校を萎縮させている教育委員会も多いです。教育委員会はプレッシャーを一旦下ろして、現場に耳を傾けて、学校と一緒に困って、一緒に考えてほしいと思いますし、国としても教育委員会に根付いているようなプレッシャーが軽くなるような発信、そして社会からのプレッシャーも軽くなるように、このチャレンジを温かく見守って応援してもらえるように、積極的に分かりやすい発信を引き続きお願いします。 論点整理のポイント資料は本当にすごく、先ほど髙島委員もおっしゃっていたように、分かりやすくてよかったです。あんな感じで社会から学校の試行錯誤への理解が深まるような、応援したくなるような発信もあったらいいなと思った次第です。
 次に、好きを育み、得意を伸ばすという論点整理に出てきていたことですが、これまでのワーキング等で話題になったのか、また今後話題になっていくのかがちょっと分からなかったので、今日言うべきではなかったら申し訳ないのですが、好きや得意が次期学習指導要領でどう表されるようになっていくのか、非常に期待しています。一人一人が多様という中で、自己実現や人生をかじ取りする原動力となるのが好きや得意だと理解しています。論点整理について9月からこの間、学校や保護者にも伝えるたびに非常に感動され、歓迎されるのがこの好きや得意の部分です。涙を流して本当に希望が持てたという保護者の方もいらっしゃいましたし、国がこんなことを考えてくれるなんて驚いたとか意外だという教員の声もありました。
 期待が高い一方で、だからこそ期待し過ぎて失望したくないという声も聞いています。学習指導要領の中で好きや得意がどう表されるのか、繊細なお子さんを持つ保護者ほど気にしていらっしゃいますし、現場の注目も高いので、今後非常に期待しています。
 最後に、子供の姿や分かりやすさをということが先ほど多くの委員の方々から話題になっていて、それも賛同しています。元小学校の教員としては、資料1の後ろのほうに「初歩の学習者と上達した自己調整学習者の比較」という表がありましたが、学びの過程ごとに子供の姿で分かりやすいなと、こんな書きぶりもいいなと思いました。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では青海委員、どうぞ。
【青海委員】  事務局の皆様、事前の資料の準備、丁寧な御説明、それから各ワーキングの御担当の皆様、これまでの御検討に感謝申し上げます。今後もどうぞよろしくお願いします。
 学習指導要領を使うのは誰か、活用の当事者である教員にとって分かりやすくなるという視点から、検討の方向性について、本日の論点資料の資料2-2から3点お話ししたいと思います。
 まず、「1 資質・能力の深まりの可視化」についてですけれども、ここでは「深い学び」が実現したイメージを教師が具体的に持つことができるようにすることが重要で、個別の資質・能力が生徒の中で相互に関連付けられて統合的に獲得された際の姿を示すことができているのかです。「統合的に獲得された際の姿を示している」と思われるのはどのような書きぶり・表現であり、また、「内容のまとまりを単に要約した見出しにとどまってしまっている」とはどのような書きぶり・表現なのか、具体的に示すと分かりやすい、検討しやすいと思います。
 各ワーキングにおける検討途上の資料から、求めているイメージに近いもの、もう少し検討を要するものを具体的に例示し、それを踏まえて今後ワーキングで記載を見直していただけるとよりよく改善できるのではないかと思います。
 2点目は、「3 高次の資質・能力を踏まえた個別の資質・能力の精査」、併せまして「6 趣旨を実現するための教科書の在り方のさらなる検討」の部分ですけれども、ここは今回の大切な一つだと思っています。「高次の資質・能力」の獲得に向けて、主体的・対話的で深い学びの実現を図るための余白が十分にあるか、といった視点に立ち、精選が可能な対象を慎重に特定し、個別の資質・能力の整理を検討することですけれども、現行の指導内容が全てひとしく重要なのかと批判的な視点で本質を見極める必要があると思います。
 また、各教科書会社の皆様のこれまでの努力に敬意を表するとともに、「高次の資質・能力」を獲得しやすい単元・授業づくりを助ける観点から、現在の教科書における精選できる内容対象や、構成上の工夫について例示する、アイデアを出すなどして、教科書会社における教科書編さんの参考となるものができればよいと思います。
 3点目は、「5 の高次の資質・能力の用語の扱い」についてですが、「高次の資質・能力」について種々懸念があるということですので、最終的に統合的な理解、総合的な発揮のみで説明できるのであれば、あえて用いる必要はないとも思いましたが、先ほどの説明資料の高次の資質・能力の一覧の例えば生活科、特別活動などでは分けないで記述しているような例もありました。検討途上ですので、使う使わない、また言い方を換えるなど、もう少し様子を見てもいいのかなとも思いました。
 最後に一つ質問ですけれども、調整授業時数制度を活用して、標準を下回って時数を設定した後の授業時数でも教科書の内容を適切に取り扱った指導が可能となるような教科書編さんを促すための仕組みづくりなどについて、教科書調査審議会で具体的に検討するという提案についてです。教科書が学習指導要領や検定基準に適合しているか、専門的・学術的な観点から調査や審議をしていただいている、文科大臣に答申する諮問機関、当該のこの審議会に、そもそも教科書編さんを促すための仕組みづくりなどというような役割をお願いできるのか、検討してもらうことが可能なのか、これは確認です。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。青海委員の御質問につきましては、ほかの残りのお二方の委員の御意見を伺った後に事務局にお返ししたいと思いますので、お願いいたします。
 では今井委員、どうぞ。
【今井委員】  今井でございます。
 こちらのほかの委員もおっしゃっていたように、最初の概要、これは本当に見やすくてすばらしいと思います。学習指導要領は判じ物になっては駄目ですよねというようなことを、最初にこの企画特別委員をお引き受けするときに非常に強く申し上げて、それをしっかり反映させてくださって、本当にありがたいと思っております。
 この概要はとてもよいと思いますが、その次の、それをどういうふうに具体化するかという総則・評価特別部会のこれの一部も、概要みたいなものに組み入れていただけないかなと思いました。
 というのは、高次の資質・能力ということが打ち出されていてとてもいいと思うんですけれども、総合的、統合的とかということの解釈と具体的な内容が各教科によっては違うと思います。それは堀田先生もほかの委員の方もおっしゃっていた通りです。
 今の状況だと、それぞれのワーキンググループでそれぞれの教科がこの「高次の資質・能力」をどういうふうに反映させるかということを書かれているんですけれども。やっぱり「高次の」というのがちょっと抽象的過ぎて分かりづらいところがあります。私の解釈で、違うかもしれないですけれども、結局、高次の資質・能力って、深い学びをそれぞれ、各教科のメタなところ、一つ上のところで目指すものだと思うんです。今はその目指すものを各教科にどう落とし込むかという、ことしか見えていなくて、結局、それで高次の資質・能力が何かということが全体的に分かりづらくなってしまっている気がいたします。
 だから堀田先生がおっしゃっていた、要するに各教科の目指す目標をもっとコンパクトにして分かりやすくしたほうがよいというご指摘はそのとおりだと思います。結局、この高次の資質・能力を各教科でどう定義して、どういうふうに何を目指すのかということを本当にすごくコンパクトに、できればキャッチフレーズみたいな感じで端的にまとめて、それを一覧できるようにしていただけるとよいのではないでしょうか。そのうえで、各教科でそれをどういう形で、これは一緒じゃなくていいと思うのです。
 高次の資質・能力って、要するに全部の教科を全部串刺しにしたというか横断したような、よりメタなものだとは思うんですけれども、それが必ずしも同じような形で実現されなくても、同じような目標でなくても、もうちょっと具体的なところではいいんじゃないかなと思っています。
 各教科においてそれをどういうふうに捉えていて、どう実現するかということを、教科の特性においてすごくコンパクトにまとめて、教科ごとに高次の資質・能力をどう捉えて、どう定義しますというような一覧ができると、そこから見た人は、ああそういうものなのねと、すごく抽象的に一言で書かれるよりも分かりやすいんじゃないかなと思います。要するに、もう少し各教科の特性によって多面的にこの高次の資質・能力を示すことによって、具体的にはこういうことなんだなということを先生方が一覧で見ることができということは、この抽象的な概念の全体像を見せることにつながり、それは、具体的なイメージを得るためにも大事なところではないかと思うのです。言い換えれば、現在のわかりにくさは、全体像が見えないからではないかと思われます。
 高次の資質・能力という言葉の使い方についても、事務局でもちょっとこれからまた変えるかもしれないとか、そういうこともあったんですけれども、要するに全ての教科において目指すすごく共通の資質・能力ということですよね。そういう概念を少しコンパクトに一言で言えればいいのではないかと思っています。
 この高次の資質・能力がそれぞれの教科・単元が何をするかということが見えるのもすごく大事ですが、他方、その共通性もすごく大事だと思います。その共通性を見せるのは、例えばこの教科のこの単元とこの教科のこの単元は同じようなことを、すごく共通のことを目指していますよという、そこも見えるように、やっぱり教科ごとの関連性がもっと見えるような書きぶりというか、見せ方が大事なのではないでしょうか。
 例えば家庭科なんかは、家庭科の中でどういうふうに家庭の経済というか、お金の流れをどう考えていくかみたいなことがあるんですけれども、これって本当に社会科ともダイレクトに繋がりますよね。社会科とも繋がるし、算数・数学ともダイレクトに繋がっていて、それは情報とか統計の知識とか、そういうものとも繋がっていきます。そういうところを各教科の縦割りではなくて、教科ごとに教科を超えてこういうことがあるんですよというと、もう少し今の学校の縦割りが緩んで、例えば家庭科の先生と社会の先生がコラボレーションするとか、あるいは情報の先生がコラボレーションするとかそういうことができればよいなと思っています。
 数学は特に単元自体の知識の内容が物すごく抽象的なわけですよね。抽象的なものを抽象のまま扱うと、本当に全然子供たちはリアル感が持てない、記号接地ができない、そういう状況になっていると思います。それを社会の単元だったり家庭科の単元だったり、そういう単元と結びつけられたら、数学の非常に抽象的な内容について生活のどういう側面と結び付いてあるかが見えてきて、リアル感が持ちやすくなり、記号接地がしやすくなるのではないかなと思います。そういう見せ方というか、そういう観点を少し考えていただけるといいんじゃないかなと思いました。
 その中で一つ、今申し上げたことと関連するんですけれども、あることをいろいろな教科で違う面から多角的に学ぶのはすごく大事なことだと思うんです。例えば今日は関数の御説明がありましたけれども、数学の中だけで関数を学習したら、やっぱりなぜ「関数」という概念が必要なのかがすごく分かりにくい。私の感覚だと、大人でも非常に多くの人が、関数と相関を混同している。でもそれを、例えば社会の中のいろんな現象、あるいは契約、いろんなスマホの契約とか、そういうものと結び付けて学ぶと、関数の必要性がもっと見えやすくなるというか、リアル感が分かりやすくなるのかなと思うのです。
 一つのことを、この教科のこの単元ということだけではなくて、様々な教科、様々な単元でどう関連付けて学んでいけるかという、そういう全体像がもっと踏み込んで示せるといいなと思っているんです。
 その中で、この総則・評価特別部会の検討状況についてというところで46ページ、それからその次、47ページで、認知心理学の知見に基づく効果的な学習方略の例」と書いてくださり、これは認知心理学という言葉を入れてくださって、とてもありがたいのですが、ここでひとつ重要な要素が足りないと思っているんです。
 これはこの46ページの真ん中、学習方略のところですけれども、反復方略というものがあって、精緻化、組織化とあるんですけれども、反復方略をこれだけで示してしまうとドリルを推奨しているように読めてしまう、あるいは受け止められてしまう。認知心理学では、反復練習は大事なんですけれども、実は、同じ形式で同じことを繰り返すのではなくて、少しずつ少しずつ違う状況で、違う問題の出し方で、基本的には同じことを多面的に練習することこそがすごく大事だという知見があります。いわゆる「多様学習」です。ですので、ぜひここを修正していただきたいです。多様な状況で繰り返す、何度も練習するところが大事なので、ドリルとは違うことを明確にここに盛り込んでいただきたいし、多様というところは教科の中でというだけではなくて、教科をまたいで多様にいろんな一つのことをできるという、そこがあると思うので、そういう観点を盛り込むことが大事なんじゃないかと思っております。
 以上です。時間をたくさんいただいてしまい、申し訳ありませんでした。
【貞広主査】  全体像を俯瞰できるようにすることと、教科間がしっかり繋がるような形にしてくださいということ。まさに今日こういう形で資料を出してくださったからこそ頂戴できた御意見かなと思います。
 この後、オンラインから古賀委員、宮原委員の順番で御意見を頂きまして、事務局にお返しします。私が委員の方々の意見を聞き入っていたがゆえに、もう会議の終了時刻が来てしまいました。申し訳ありませんが10分から15分程度延長することをお許しいただければと思います。申し訳ありません。
 では古賀委員、お願いいたします。
【古賀委員】  失礼いたします。京都教育大学の古賀です。よろしくお願いいたします。大変なボリュームの御検討とおまとめを頂きましてありがとうございました。
 多様な子供たちを包摂しつつ、主体的・対話的で深い学びを実装することに向かう道筋は、子供たちにとっても、先生たちにとってもわくわくするものであってほしいと願いますけれども、授業観を大きく転換していくときに、その多様な道筋を現場に分かりやすく整理して示す必要があると今日は何人もの先生方からも御意見がありましたけれども、私もそのように考えます。今日の資料はまさにそのための大きな一歩だと思います。
 幼児教育のほうは教師主導の活動主義から、平成元年に環境を通した教育への転換をして、はや37年になりますけれども、平成元年直後は放任保育が広がったという批判もありました。その後、子供の主体的な遊びを中心に置くことの実践と研究が随分と進み、理解も広がってきた一方で、いまだ十分でない現場もあるという現実があります。
 今日の先生方の御意見の中にも具体的なイメージが持てるかという御意見が幾つかありました。どう実践をつくるのかということのイメージを持つときに、幼児教育の領域で重要なポイントとして一つ申し上げられるのが、教師の意図性と子供の主体性のバランスをどう取るかということです。子供が自由感の中で自発的に関心を寄せて学習を進めていくことと、教師が教科等の目標や内容を念頭に置きつつ、子供が自らの気づきを積み上げ、友達と考えを重ね合わせ、新たなアイデアを生み出すことを支えるという、そういった展開と環境が発達に応じてなされることが重要でありますので、今日お示しいただいた各教科での検討内容は、まさにこの教師の意図性の部分を支える構造物と理解できます。
 実際の授業において学校という場で子供自身が主体的な学び手であるという実感を持って学べるかは、教師の授業の構成や展開と環境によると感じています。先日も4年生の授業で直方体の展開図を学んだ後の算数でしたが、立方体の展開図を描いてみようという中で、何枚も何枚も書いているうちに、紙の大きさが足りないから2枚貼り付けてもいいかとか、はさみで切ってみてもいいですかみたいなことが、子供たちの中から「やってみたい」が出てきたわけですけれども。先生は「いや、足りなくならないはず」とおっしゃったり、「今日は切らずにやってみて」と返されたりしていました。
 先生は、子供がその道具を用いて何を考えようとしたのかではなく、時間的制御や身体的制御が気になったのかもしれません。環境にある選択肢を何のためにどう活用するのかということは、授業や単元の展開過程に応じて広く多様性を保証する場合もあれば、焦点化した環境の下で学びを集約させていく場合もあろうかと思いますが、教師の都合ややりやすさの点でその選択肢を狭めるといったことも見られるわけです。
 子供が十分に主体的に学ぶことを可能にするためには、今日示されたような、教師の中にある「べき」、あるべき狙いや内容の見通しや繋がりということと、目の前の子供が環境と対話しながら生み出していることとの間を繋げて、教師が意味付けて理解し、子供とともにその言葉や記号に置き換えて整理し、構造化していく学びのプロセスが重要であろうと思います。
 そうした時に、今回資料で示されている環境ということが、「教師による指導は行わず」と書かれているところもありましたが、直接的な指導ではないにせよ、例えば椅子と机をどういう向きで置くかとか、先ほどの話で言うと展開図のために何枚紙を用意するかとか、はさみを使えるようにするかとかも当てはまるわけです。その設定一つに教師の意図性があるわけで、教師が狙っている内容に応じて意図的に用いるものとして環境が示されることが非常に重要ではないかと思いました。
 つまり、子供が主体的な学び手となるための授業の構造を、教師の中にある狙いやその繋がりや系統性という道筋と、目の前の子供の中に生まれつつある気付きや考え、その間をつなぐ環境や言葉、概念という支えというふうに、教師の意図性と子供の主体性をどうバランスを取ってやれるのか、子供のつぶやきや思いや考えが生まれてくるところをどう生かすのかという、その在り方やその構造をうまく示す必要があるのではないかと思いました。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では宮原委員、お願いいたします。
【宮原委員】  宮原でございます。すいません、最後に非常に簡単に申し述べます。
 全体の資料の論点整理をありがとうございました。各ワーキンググループの資料を一生懸命フォローして頑張って追いつこうとしているんですけれども、なかなか全部追いついてはいないので、的外れになったら申し訳ありませんが、簡単に3点ほど申し上げます。
 委員の皆様からの御議論もありましたし、私も読んでいて思ったのは、総合ですとか統合あるいは高次という言葉の意味がばらつく可能性はあるだろうなとは思ったのですが、解釈がばらつくかもしれないなと思ったのですが、多様性という意味でそれをよしとするのか。そうでなくてもう少しちゃんとイメージをしてもらうのかということは2つのやり方があるかなと思いまして、一つは統合、総合、高次という言葉のイメージの解釈をどういうふうに読み手に解釈してもらうかというところは議論が少し必要なのかなと思いました。
 それから先ほども出ておりましたが、各教科のワーキンググループのそれぞれの、小学校から中学校、高校に至ってどういう形でそれぞれの教科を学んでいくかという道筋が示されているのは大変見通しがよくていいなと思ったのですが、一方で、教科間の相互の関連性みたいなところはやはり少し示されないと、特に経験の浅い先生方にはもう少し踏み込んだガイドが要るかもしれないなとは感じました。
 3つ目が、授業の設計に伴走することのできるような指導要領ということで、デジタルもお使いになるということで大変すばらしいと思いますが、教育そのものにAIをどう活用するかということの議論はありましたけれども、そもそもこの授業の設計にどれだけAIが今後入ってくるのかについては少し頭に入れながら、こちらのデジタル指導要領については御議論していただければいいかなと思いました。
 短いですけれども以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 では、委員の皆様から御質問や事務局への御要望などもありました。それも含めて事務局からコメントを頂ければと思います。栗山室長、お願いできますでしょうか。
【栗山教育課程企画室長】  本日は様々な御指摘を賜りまして本当にありがとうございました。
 一つ、青海委員からまず教科書の関係でお尋ねがございました。本日御提示しました事務局資料につきましては、私ども教育課程課のみではなく、担当の教科書課とも連携した上でお示ししているものでございます。したがいまして、何らかのやり方でこの文言にあることは具現化していくわけではございますけれども、その具体的なやり方については今後よく担当課とも相談いたしまして、またお示ししていけるように今後検討していきたいと考えているところでございます。
 その上で、今日、横並びに高次の資質・能力をはじめ御報告を致しまして、本当に個別具体の内容からまた大きな方向性について、先ほど後半にございました、統合的な理解や総合的な発揮というものを教師の皆様につかんでいただきやすいように、また子供に届くように、どのようにすべきか、俯瞰すべきか、あるいは教科を超えて関連づけるべきかということについて、委員の皆様から様々なお知恵や御意見を頂きました。
 こうしたことを私ども事務局でしっかりと受け止めさせていただいた上で、本日の御議論の内容をしっかりと各教科等ワーキンググループに伝達させていただきました上で、今後、各教科等ワーキンググループで作業をさらに進めることになってまいります。この教育課程企画特別部会とは、その各教科等ワーキンググループの御検討をまた御報告しながら往還して、よりよく全体がまとまっていくように私ども全力を尽くして作業していきたいと思っております。検討を加速させていきたいと思っておりますので、引き続きの御指導を頂ければと考えているところでございます。
 以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。こちらの企画特別部会では、当初より往還という形で各ワーキングとやり取りしながらしっかりと進めていくことで、基本的な考え方を通観させていきたいということで進めています。まさに今日、往還の醍醐味を感じたところで、一覧にお示しいただいたところで、今井先生のお話にありましたけれども、各教科のよりメタな能力が実は必要なのではないかとか、教科間の関連性だけではなく、一覧にするからこそ、もうちょっとぎゅっと凝縮した形で見方・考え方を精選してほしいであるとか、かなり言葉は違っても重なる御意見が出ていたかと思います。
 今後、これは少なくともこういう調整の往還の時間って2回あるんですよね。調整丸2というのと、最終調整があります。その間にも細やかなインフォーマルなものも含めて往還があろうかと思いますけれども、ぜひ、委員の方々から大変貴重な御意見を頂きましたので、各ワーキンググループでのさらなる検討に向けて、事務局を通じて、先ほど御説明がありましたようにしっかりとお伝えいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事は以上とさせていただきます。
 最後に、次回以降の予定につきまして事務局よりお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】  先ほど申し上げましたように、引き続き各教科等ワーキンググループの議論の状況につきまして、随時、本特別部会に御報告させていただき、また往還しながら進めてまいりたいと考えております。具体的な日程についてはまた後日改めて御連絡を差し上げます。
【貞広主査】  それでは、以上をもちまして本日は閉会と致します。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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