デジタル教科書推進ワーキンググループ(第7回)議事録

1.日時

令和7年4月28日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省
※対面・WEB会議の併用(傍聴はWEB上のみ)

3.議題

  1. デジタル教科書に係る今後の検討について
  2. その他

4.議事録

【西田教科書課課長補佐】  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会デジタル教科書推進ワーキンググループ(第7回)を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、第13期中央教育審議会における本ワーキンググループ第1回目の会合でございますので、冒頭の議事進行は、私、教科書課課長補佐の西田が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の会議開催方式及び資料について御説明申し上げます。本会議は対面とオンラインのハイブリッド形式での開催でございます。オンラインで参加されている委員もいらっしゃいますので、会議を円滑に行う観点から、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時も含めて会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。
 委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、御理解のほどよろしくお願いいたします。
 次に、資料の確認をさせていただきます。本日の資料ですけれども、議事次第にございますとおり、資料1から6、加えて参考資料が1から7となっております。対面で御参加の委員には紙でもお配りしておりますけれども、お手元の端末でも御覧いただけます。御不明な点がございましたらお申しつけください。
 開催に先立ちまして、事務局側に異動がありますので、御紹介させていただきます。4月1日付で着任しております今村文部科学戦略官でございます。
【今村文部科学戦略官】  今村です。よろしくお願いいたします。
【西田教科書課課長補佐】  続きまして、資料1及び資料2を用いまして、まず本ワーキンググループの趣旨等について御説明をさせていただきます。その上で、資料3に基づいて本ワーキンググループの委員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。
 まず、資料1、ワーキングの設置紙でございますけども、そちらを御覧ください。本ワーキングは、先週の木曜、4月24日のデジタル学習基盤特別委員会で改めて設置が決定されました。
 設置の目的は、前期の第12期と同様でございますけれども、次期学習指導要領の検討などを見据えつつ、デジタル教科書の効果・影響を検証し、児童生徒の学びの充実の観点からその在り方と推進方策について検討審議することとなっております。
 本年2月に中間まとめを取りまとめたこと、及び、さらに具体的な検討を行うことがこの目的に付け加わっております。それ以外の点はこれまでと同様となっております。
 続きまして、資料2でございます。本ワーキンググループは、初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会運営規則にのっとって運営をしていくことになります。本規則第2条第2項に基づきまして、堀田委員長の御指名により、本ワーキンググループの委員は資料3のとおりとなっております。
 お名前の御紹介だけで失礼いたします。阿部千鶴委員、岡本章宏委員、坂本雅彦委員、中川一史委員、中村めぐみ委員、奈須正裕委員、細田眞由美委員、堀田龍也委員、松下妙子委員、松谷茂委員です。松下委員は今期のワーキングから御参画いただいております。
 本日は10名全員御出席で、坂本委員と松下委員はオンライン出席でございます。
 また、本運営規則第2条第3項に基づきまして、本ワーキンググループに主査及び主査代理を置き、特別委員会の委員長はこれを指名することとなっておりますが、その御指名により、前期と同様、本ワーキンググループ主査には堀田委員に、それから、主査代理には中川委員に御就任いただくことになっております。
 続きまして、本ワーキンググループにおける会議の公開について御説明させていただきます。
 運営規則の第3条によりまして、本ワーキンググループについては公開を原則としております。
 また、会議の傍聴につきましては、規則の第4条によりまして、会議を撮影・録画・録音する場合には、事務局が定める手続により申請をするとともに、主査の許可を受ける必要がございます。傍聴の皆様におかれましては、あらかじめ御了承いただきたく存じます。
 それでは、ここからの議事進行につきましては、堀田主査にお願いしたいと思います。堀田主査、よろしくお願いいたします。
【堀田主査】  改めまして、堀田でございます。よろしくお願いいたします。主査を務めさせていただくに当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 まず、第13期の最初のワーキングとなりますので、少し経緯も含めてお話を差し上げたいと思います。このワーキングは中教審の中にあり、一つ上にデジタル学習基盤特別委員会というのがあって、これが先般4月24日に行われ、そこでこのワーキングの設置が認められたということになります。
 デジタル学習基盤特別委員会というのは、デジタル学習基盤、その一つにデジタル教科書があるわけですけども、のみならず、ほかの様々な端末から学習ログの利活用まで、様々な形でデジタル学習環境が子供たちの多様性を包摂していくために、今後、学びやすくしていくためにデジタル学習基盤がどのように用いられるべきか、あるいは用いられるためのデジタル学習基盤はどのようにあるべきか、そのことと、例えば学習指導要領の弾力性等、子供たちを包摂していくためのカリキュラムとどのように関係させていくかということを検討するものでございます。
 また、今カリキュラムと申し上げましたが、その部分は、中教審の中に今、教育課程企画特別部会というのができておりまして、そちらでかなりのスピードでどんどん検討が進んでおりまして、これが次の学習指導要領につながっていくものとなります。
 ですので、デジタルどうあるべきかという話は、次の学習指導要領がどういう方向に向かっていくか、私たちの国は今後どのように学校教育を施していくべきかという大きな話の中にある話でございまして、そこでは、求められる学力、今日でいう資質・能力も大きく変わってきますし、今まで必要だと言われていた学力のみならず、もう少し広めに子供たちに身に付けさせる力を付けていくということを考えなきゃいけない。そのための学習環境、教師のみならず学習環境に非常に大きな役割があるという認識の下で進んでいる話でございまして、基本的には、大臣からの諮問にもありましたが、デジタルも使ってリアルな学びを支えていくんだと。従来のことにデジタルも加えていくことによって、より個別的に、より包摂的に学習指導をしていくことができる環境を子供たちに提供するんだという、こういうことかと思います。
 また、新たに求められるようになる資質・能力が、例えば自己調整のようなこと、学びに向かい、学びに向かい続け、学び続けるスキルとか意欲のようなことと関係するとなりますと、子供たちが自分で選び自分で決めるみたいなこと自体が、それがちゃんとできるということが広い意味で資質・能力の一部になっていくわけで、学校教育の役割というのがさらに重視、大事になる。そういう認識の下で教育環境をどうするかという話になります。
 これの一部にデジタル教科書の在り方があるわけで、これも今デジタル教科書と申し上げているのは、「紙の教科書があってそれをデジタルにしたものをデジタル教科書という」という定義が、今までの流れがそうだからそういうふうに申し上げていますけども、そもそも学びに必要な学習環境はデジタルだけでいいはずもなく、もちろん紙だけでいいはずもありませんから、そもそも考え方としてはハイブリッドな方向でいくべきだと思いますし、ならば今までの制度のどこをどのように変更していく必要が中長期的にはあるのか、あるいは今日、今、現段階において学校現場に提供されているデジタル教科書を紙の教科書とどのようにうまく使えば子供たちに資質・能力が身に付くのか、あるいはこれがいずれどのように融合されていくべきなのか、これを教科書業界のようなところが専門性を保ちながらお力を発揮していただくための制度はどうあっていくべきなのかと、先生方の指導法はどうなのかみたいなことが様々に検討されていくということになります。
 ですので、簡単にこれはこっちがいいとか、あっちがいいとか決められる話でもなく、また私たちの審議もこれからもまだ長く続けていかなければならないものだと認識しておりますが、この大きな流れの中にこのワーキングがあるということをまず最初に押さえておきたいと思いまして、少し長い御挨拶になりましたが、ここで御確認しておきたいと思います。
 それでは、これから議事に入らせていただきます。本日は、まず、第13期の1回目ということになりますので、第12期の中教審の段階の頃にまとめられた本ワーキングの中間まとめ、これと、これに対して関係団体や一般からの意見募集をしましたので、その結果について事務局から御報告をいただきます。その後に皆さんにいろいろ御意見をいただくということになります。
 なお、先ほど西田補佐からおっしゃいましたが、本日は、これ公開になっておりますので、報道関係者と一般の方々向けに本会議の模様をユーチューブにて配信しておりますことを御承知おきください。
 それでは、議題1のデジタル教科書に係る今後の検討についてでございます。まずは、これは参考資料7のデジタル教科書をめぐる状況について、事務局において更新作業が進んでおりますので、事務局から御説明をいただければと思います。お願いします。
【黄地教科書課長】  教科書課長でございます。具体の御議論いただく前に、参考資料の7の修正部分につきまして、修正箇所のみ御説明させていただければと思います。
 まず、一部、速報値として昨年の時点で更新しておりました文科省が行った実証事業におきますアンケート調査の結果につきまして確定値が出てまいりましたので、これに合わせて更新をしてございます。
 具体的には、今御覧いただいていますとおり、8ページの機能別使用頻度、下に書いている表の部分、こちらの数値を更新しております。続いて14ページのデジタル教科書の使用頻度、15ページの使用頻度の経年変化、16ページの使用歴別使用頻度、18ページの児童生徒による教科別使用頻度、19ページの児童生徒による紙とデジタルの使用感の比較、21ページ目から23ページ目の使用頻度と学びとの関連、35ページ目の課題感につきまして、それぞれデータを更新したところでございます。
 全体的な傾向としては大きな変化はございませんが、最後の課題感につきましては、課題が特にないと回答した教師の割合は年々増加してございます。一方で、設定作業やフリーズ、エラーへの対処などにつきましては、引き続き5割程度の教師が課題と感じている状況でございます。
 また、少しページ戻っていただきまして、11ページ目、こちらデジタル教科書の発行状況についてでございますが、これも8年度の情報を追加しています。
 また、12ページ目、デジタル教科書の国による提供状況について、令和7年度も引き続き、英語100%、算数・数学約55%となっておりますので、更新してございます。
 次に、39ページ目、諸外国の状況についてでございます。これにつきましては、これまでのワーキングでも以前報告させていただいたところでございますが、こうした情報を1枚にまとめて追加しております。
 なお、この後に説明させていただきます中間まとめに対する関係団体などからの意見におきましても、諸外国の状況に関する内容ございますので、その際に改めて御説明させていただきます。
 最後に、41ページでございますが、第5回ワーキングでこれまで論点整理としてお示ししてございました教科書採択のプロセスにおけますQRコードの取扱いにつきまして、こちらの資料にも追加させていただきました。
 参考資料の更新については以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 それでは、今、こういうふうにバージョンアップをちゃんとしていただいているということを確認できましたので、続いて本題に入りますが、まず、資料4の今後の検討事項案についてと資料5、資料6の中間まとめに対する関係団体や一般からの意見募集のパブリックコメント、これの結果について御報告をお願いしたいと思います。大部になると思いますが、よろしくお願いします。
【黄地教科書課長】  まず資料4から御説明させていただきます。こちらは中間まとめを受けまして、さらに御議論いただきたい検討事項の案を整理したものでございます。大きく3点ございます。一つ目は本日の主な議題でございます、パブリックコメントや関係団体からの意見を受けての議論、2点目として、当面の間の推進方策、特にそれぞれの現場が教科書を選択できるようにするための環境整備についての方策でございます。こちらにございますように、段階的な導入の在り方として、現状は英語、算数・数学を中心に順次進めているところでございますが、この辺りをどう取り扱うか。続いて、効果的な活用方法の発信、教員の指導力向上、また、アカウント管理についての負担軽減、健康影響への対応、通信環境の改善ということでございます。
 これらにつきましては、後ほど紹介する、提出された御意見にもかなりいろいろ御指摘がございますので、その都度紹介させていただきます。
 3点目として、制度面の検討事項ということでございます。一つは検定の在り方ということで、デジタル教科書が検定の対象となった場合に、その範囲と機能をどう取り扱っていくか、具体的にどういう形で検定をしていくかといった内容でございます。
 そのほかにも、採択、発行・供給、著作権の権利制限との関係、教科用特定図書等との関係、こうした点につきましても、次々回以降、さらに御検討いただければと考えてございます。
 続いて資料5の説明をさせていただきます。先ほど主査からも御紹介いただきましたが、今回、関係団体から御意見を頂戴しましたので、それを取りまとめたのがこちらの資料でございます。1枚目にございますように、今年の3月から4月の初旬にかけまして御意見を頂戴いたしまして、合わせて24の団体の皆様から書面による意見の提出をいただいたところでございます。
 こちらに書いているとおりでございますけれども、参考資料の6のほうで実際に御提出いただきました御意見をつけさせていただいております。こちらの資料は、2ページ御覧いただければと思いますが、2ページの目次にございますように、各団体からいただいた意見をこちらの項目ごとに整理させていただいてございます。さらにそれぞれの項目ごとに御議論いただきたい点を論点として整理したものでございます。
 まず一つ目の項目でございます。3ページを御覧ください。基本的な方向性や制度的位置付けについてでございます。各団体からかなり様々な御意見を頂戴してございます。時間の関係もございますので、全てを細かく紹介することはなかなか難しいところではございますが、おおむね各団体からは御賛同の御意見をいただいているところでございます。
 例えば3ページにございますように、3ページの二つ目の箱にございますように、デジタル教科書に関する議論は、デジタル学習基盤を前提とした新たな時代にふさわしい学びや教師の指導性の核となる部分、あるいは教科書の形態としてデジタルも認められることを制度上明確化することはより質の高い教科書の開発につながる、こうした御意見などが寄せられているところでございます。
 他方で、少しページ飛びますが、6ページを御覧ください。6ページは、中間まとめの基本的な方向性に対して、そうではないのではないかといったような御意見を頂戴してございます。6ページの三つ箱ございますが、いずれも一つの団体から提出された御意見でございます。
 一つ目は、デジタル教科書のデメリット、紙の教科書のメリットが十分に検討されないまま、デジタル教科書推進ありきで一方的に議論が進められているのではないか。
 2点目として、デジタル全盛の時代こそ、情報の真偽を見分ける力、自ら学び、自ら考える力を養う必要があるということで、それは紙の教科書こそ適しているのではないか。したがって、教科書は紙を基本とすべきであるという意見でございます。
 3点目としましては、教科書の選択を各教育委員会に丸投げすることは国の責任放棄に等しい。紙に比べてデジタルのほうが学習効果が高いという根拠は乏しく、デジタルの教科書から紙の教科書に回帰した海外の事例は実際に起きたことであるので重く捉えるべき。したがって、全学年全ての教科で紙の教科書を主たる教材として、デジタルはこれまでどおり補助教材の扱いにすべきという御意見を頂戴してございます。
 なお、補助教材の扱いということにつきまして少し補足させていただきますと、現状、配布してございますデジタル教材は、代替教材として紙に代えて使用できるということになってございます。また、授業時間の2分の1という、2分の1未満しか使えないという制約がございましたが、4年ほど前にその制約も撤廃してございます。
 したがって、現行のデジタル教科書も、代替教材として主たる教材として活用することが可能となっているところでございます。
 こうした様々な御意見を踏まえて、黄色の枠囲いでございますが、論点を整理させていただきました。
 1点目、基本的な方向性につきましては、多くの団体から賛同の見解が出されていることを踏まえて、さらに各論点の検討を深めることとしてよいか。
 2点目、一方で、デジタル推進ありき、紙を基本とすべき、教育委員会に丸投げすることは国の責任放棄、紙に回帰している海外の事例を重く捉えるべきという反対意見につきましてはどのように考えるべきかということでございます。こちらにつきましては、それぞれ、後ほど御説明する各項目に連動してございますので、そちらのほうでも説明させていただきます。
 3点目といたしまして、デジタル教科書をめぐって様々な懸念が指摘される中、本ワーキンググループでの検討は、紙のよさを否定するものでなく、先ほど座長からも御挨拶でいただいていましたとおり、デジタル一辺倒の教育環境を目指しているものでないということをより分かりやすく伝える必要があるかどうか。さらに、教育政策の実施に当たり、社会の変化に対応しながら、デジタルか紙かの二項対立に陥ることなく、課題を常に検証し解決しつつ、学びがよりよいものになるよう取り組んでいくということでよいかという形で整理させていただきました。
 もちろんこれ以外にも様々な論点あり得るかもしれませんので、御意見いただければ幸いでございます。
 2点目の項目、諸外国の状況についてでございます。こちらにつきましても、特にスウェーデンなどをはじめ、デジタルから紙の教科書への回帰の動きが見られる中、こういった動きも踏まえて慎重に対応すべきでないかという御意見が幾つかの団体からいただいております。
 7ページでございますが、これを踏まえた論点として整理させていただきましたのが、特に広く取り上げられているスウェーデンにつきましては、2010年度に入ってデジタル教育が推進された経緯がございますが、2022年に政権交代によって紙への回帰が図られた動きがあるということと承知してございます。
 一方で、こちらに書いてございますように、2010年頃からデジタル教育が推進された以降も、国際学力調査でありますTIMSSでは過去3回とも成績が向上して、また、別の調査でございますPISAでは、2015年、18年と向上して、直近の22年でのみ低下しているという状況でございますが、こうした学力調査の傾向とデジタル教科書の影響をどのように評価すべきかと。
 さらに、その際御留意いただくべき点として、米印でございますけれども、我が国と異なる状況として、スウェーデンの国際学力調査のスコア・順位は我が国よりも水準が少し低いということ。また、2点目として、教科書検定制度がないなど、質保証の仕組みがない中で、デジタル化の動きが進んでいったこと。3点目として、人口が約1,000万人であるということで、我が国と比較して約10分の1以下であるということ。こうした点も踏まえてどのように評価すべきかというのが一つの論点でございます。
 また、さらにその際、指摘されている学力低下の原因というのが、よく指摘される点でございますが、スマートフォンの使い過ぎなど、日常生活によるものなのか、あるいはそうではなくてデジタル教科書の使用自体によるものなのかどうか。こうした点については、今後の先ほど紹介したPISAやTIMSSをはじめとする学力調査の動向、推移などをさらに注視が必要ではないかというのが一つ目の論点でございます。
 二つ目としまして、一方で、デジタル教科書を推進している国としてはこちらにございます韓国やエストニアなどがございますが、こうした国はいずれも国際学力調査でトップクラスの成績を上げておりますので、こうした点もどのように評価すべきかということで整理させていただきました。
 3点目の項目は、紙とデジタルのよさ、デジタル教科書の効果などに関する御意見でございます。これも各団体から様々な御意見を頂戴したところでございますので、一つ一つは御紹介できませんが、例えば7ページの3ポツの二つ目の箱、上から二つ目の箱を御覧いただきますと、空間認識の面では、紙の教科書のページめくりが優れている、あるいは物理的な厚みにより教科書の中での位置を直感的に把握できて、ページをめくる感触や紙の香りを楽しむなど、触覚や嗅覚など複数の感覚を刺激するから記憶の定着に効果的だと。特に小学校段階では紙のよさを重視したいという御意見の一方で、例えば英語の音声の読み上げ、算数・数学のシミュレーション、国語の書き込み機能など、デジタルの強みもあるであろうという御意見もいただいてございます。
 また、こうした御意見がほかの団体からも様々ございまして、8ページから9ページにかけて整理させていただいています。
 一方で、9ページの下から二つ目の箱書きを御覧いただければと思いますが、紙の教科書のメリットとしまして、書かれた言葉の情報だけではなく、紙の上の場所と書き込みの位置関係といった視覚情報などを同時に関連付けて脳に記憶する学習が生じているが、電子機器ではそういった学習効果はないのではないかという御意見、さらには同じ箱の後段部分にございますとおり、授業を聞いて書き留める際に、丸1、丸2、丸3という過程をたどるわけでございますが、キーボードでの入力の場合は、丸2の構造化を素通りすることが多いということで、その分思考力を伴わない危険があるという御意見でございます。
 さらにその下の箱書きでございますが、ワーキンググループでおまとめいただいた中間まとめでは、学校の子供たちや教員からの感想や印象を集計してデジタル教科書の有効性の裏付けをしていると。この点については、同じ内容の学習でデジタル教科書を使用しなかった場合との比較がなされていないので、科学的なデータとは言えないのではないだろうかと。
 さらに、その下でございますが、事務局から紹介させていただいた研究の一つに、紙の教科書と同等程度の記憶力調査や理解力調査がありましたということを御報告させていただきましたが、その際に、対象になった記憶テストはデジタル優位だった一方で、理解テストは紙優位の結果となっているということを踏まえると、紙の教科書と同等程度の学習効果がデジタル教科書にあると結論付けるには例数が少ないのではないかと。逆にそれと逆の意見はたくさんあるんじゃないだろうかといったような御指摘でございます。
 続いて10ページを御覧ください。10ページの上の箱でございますが、学習者用端末を使うと集中力がそれがち、あるいは自分の好みに偏った情報の吸収を続ける偏食の問題、さらには端末の故障や紛失、盗難、災害時の対応など、様々な課題が多いという御意見でございます。
 一方で、その下の箱にございますとおり、デジタル教科書は、障害を持つ児童生徒に対しては大きな教育成果を上げる可能性があるのではないかということで、デジタル教科書の利用拡大の議論とは切り離してアクセシビリティの確保について専門的な検討を進めるべきという御意見もいただいてございます。
 こうした御意見を踏まえた論点が下の黄色の箱でございます。1点目、中間まとめにも紙とデジタルのよさを取り入れた教育環境の重要性が指摘されているところでございますが、こうした今回いただいた指摘も踏まえて、紙・デジタルのそれぞれのメリット・デメリットを踏まえながら、様々な視点を考慮して、メリットを組み合わせた教育のイメージを具体的に示していくことが必要ではないかという点でございます。
 この辺りの具体的なイメージをワーキンググループの最終まとめまでに整理いただくか、それとも、その後、文科省として考え方を示すのか、様々なやり方があろうかとは思いますが、いずれにしても具体的に示すことが必要かどうかといったことが一つ目の論点でございます。
 また、2点目として、先ほどいただいた御意見の中には、デジタルのデメリットとして、電子機器では空間的な情報を関連付けて記憶することが困難ではないか。また、キーボード入力は言語野の寄与が下がり思考力を伴わないのではないかなどの意見についてどのように考えるかということでございます。
 なお、こちらについて補足させていただきますと、米印1にございますように、現行のデジタル教材の中にも紙と同じように画面と文字情報の位置関係が一定で必要な箇所に画面上直接書き込める仕様の媒体があるということは補足させていただければと思います。
 もう1点の補足としては、実際の授業では、例えば漢字練習など書く作業については、教科書紙面へ直接書き込むことを中心に行っているものではございません。もちろん教科書の種類によってはそういったことが可能なものも増えてございますが、実際多くは教科書の題材や問題を基にしながら、あるいは黒板の板書を見ながら、副教材やノートを活用して紙に書いている場合も多いのではないかと想定されるところでございますが、こうした点についてどういうふうに考えるかということでございます。
 特に、先ほど主査から御紹介いただきましたように、次期の学習指導要領において、新たな学びについても今御議論いただいている最中でございますので、こうした議論にも照らして、こうした御意見についてどう評価すべきかについて御意見いただければ幸いでございます。
 3点目の論点といたしましては、デジタル教科書の授業実践を行った学校の子供たちの印象の集計は、同じ内容の学習でデジタルを使用しなかった場合の比較がなされていない。したがって科学的なデータとは言えないのではないか。さらに、紙の教科書と同等以上であるという研究以外に同等程度でないという研究が多いといった意見についてどのように考えるかが三つ目の論点でございます。
 1点補足させていただきますと、これも米印でございますが、これはいただいた御意見は文科省で行っている実証研究事業の調査についての御意見かと存じますが、こちらの調査は、学識経験者の先生方にも御参画いただきながらデジタル教科書の使用頻度と授業の理解度の相関性を調べたものでございます。したがって、デジタル教科書の使用頻度が低い子供たちは、他方でそれとデジタル教科書を使用せずにデジタル教科書と同じ内容の紙の教科書をよく使用しているものでございますので、同じ内容の学習でデジタル教科書を使用しなかった場合との比較等がなされていないということで評価されるべきものなのかどうかという点については補足させていただきたいと思います。
 さらに、学力調査における学力の向上も一定程度見られる中でということでございますが、この点につきましては、先ほど紹介した参考資料の7で28ページから34ページにかけまして、記憶力・理解力の調査以外にも実際に学力が向上したというデータを掲載させていただいております。そうした資料にもございますとおり、学力調査などにおける学力向上も一定程度見られる中で、中間まとめにございますように、一律にデジタル教科書の使用を進めるのではなく、デジタル教科書を使用したいという希望のある現場に対しては使用を認めるということについてどう考えるかというのが3点目の論点でございます。
 4点目としまして、デジタルを使うと集中力がそがれる、あるいは偏った情報の吸収になる、端末の故障、紛失、盗難など様々な課題が多いという意見についてどのように考えるか。また、教科書のアクセシビリティに関する意見については、後ほど御紹介しますが、21の論点と連動するのではないかということでございます。
 続いて4点目の項目でございます。ハイブリッドな形態の教科書についてでございますが、こちらについてはおおむね御賛同いただいている意見をいただいている中で、例えば三つ目の箱書きにございますように、高学年はデジタル媒体中心のハイブリッド、低学年は紙媒体中心のハイブリッドのイメージであるという御意見も頂戴しています。
 この具体的なイメージにつきましては、先ほど3ポツで御紹介した具体の教育のイメージの論点とも連動するのではないかと考えてございます。
 5点目の項目でございますが、こちらは教科書の範囲や内容についてでございます。これまでもワーキングで御議論として出てまいりましたが、やはり各団体からも、分量を精選してほしい、あるいはQRコード先の中身を整理しながら充実してほしいという御意見を頂戴してございます。
 12ページに論点を整理させていただいております。まず、教科書の内容や分量につきましては、学習指導要領の在り方と密接に関連するものでございますので、次期指導要領の議論も踏まえて対応するということでよいかということでございます。
 2点目として、二次元コード先のコンテンツについては、教科書相当の部分に限るということが中間まとめで示されてきたところでございますが、その範囲や基準については、検定の在り方と非常に連動するものでございますので、検定の在り方のときに併せて検討することとしてよいかという点でございます。
 6点目の項目、教材との連携の関係でございます。こちらもいろんな御意見いただいていますが、多いのが、やはり現在、文科省でも検討してございます学習eポータルなどをプラットフォームにしながら、様々なデジタル教材とうまく連携するような仕組みが必要ではないかといった趣旨の御意見を頂戴してございます。
 これを踏まえた論点として、13ページにございますように、こうした連携の重要性は中間まとめでも示されているところでございますが、具体的には、国、教科書発行者、教材会社が連携して進めていくということでよいか。さらに、プラットフォームやデータの取扱いについては、デジタル教科書だけの話ではなく、デジタル学習基盤全体の議論を踏まえて対応するということでよいかという点でございます。
 7点目の項目は、具体に対象となり得る学年や教科についての御意見でございます。これも様々な御意見を頂戴しているところでございますが、おおむね発達段階については、低学年は紙を中心にしながら、学年が上がるに応じてデジタルの活用を拡大すべきでないかという御意見が幾つか出てきてございます。
 さらに教科別に見てみますと、例えば、13ページの二つ目の箱を御覧いただければと思いますが、数学や理科など視覚的な理解が求められる教科ではデジタルの動的な特性が有効。一方で、国語や社会では読解力や思考力を養うために紙の教科書の活用も重要。実技教科では実践的な活動とデジタル教材の補助的な役割を両立させるべきである。英語ではデジタルの有効性が高いといったような御意見を頂戴してございます。
 それと同様の御意見が幾つかほかの団体からもいただいていまして、14ページに上の一つ目の箱、二つ目の箱でそれぞれ学年段階ごとの考え方、あるいは、教科に即したデジタル活用の例を具体的に挙げてきていただいております。
 こうした点を踏まえて論点として整理させていただいていますのが、今申し上げましたように、各団体からは、低学年は紙媒体を中心としながら発達段階に従ってデジタル活用を拡大すべきといったような意見ですとか、教科ごとの活用事例が挙げられたところでございますが、こうした発達段階や教科特性などを踏まえた活用の在り方についてはさらに検討して基本的な考え方を示していくことが必要かどうか。
 さらに、その際、指導要領の在り方と密接に関連するものでございますので、指導要領の議論を踏まえて対応することでよいかということでございます。この点につきましても、先ほど御説明した3ポツ一つ目の教育の具体的なイメージの論点とも連動してくる課題ではないかと考えてございます。
 8番の項目でございます。段階的な導入の在り方についてでございます。当面の間の併用を継続することについては賛成としつつも、英語、算数・数学以外のデジタル教科書も配付してほしいといったような御要望もいただいてございます。
 これを踏まえた論点としては、必要な予算は当然確実に確保しながら、さらに段階的な導入について検討することが必要かどうかということでございます。こちらについてはまた次回以降の検討いただければ幸いでございます。
 9点目の項目でございます。指針の提示ということでございます。上から五つ目までの箱は、教科書を採択して実際に使用する現場の側からの御意見でございます。一方で、下から二つ目と三つ目は、教科書の発行側、供給側からいただいた意見でございます。いずれの側からも、具体的なデジタルが向く部分、デジタルが向くような発達段階ですとか教科などなどについて国の方向性を示してもらえないだろうかといったような御意見をいただいてございます。
 これを踏まえる論点としては、こうした指摘も受け止めながら、採択や教科書編集、現場での活用を円滑にするためにも、先ほど来紹介しました紙とデジタルのよさやデジタル教科書の効果を踏まえた教育の具体的なイメージ、あるいは14ページで御紹介しましたような学年や教科に即したイメージ、さらには、後ほどまた紹介しますが、事前の意向調査をしてほしいという御要望もいただいてございますので、こうした論点も連動しながら、さらにこうした指針のようなものが必要かどうかについて御意見をいただければ幸いでございます。
 10点目の項目でございます。効果的な活用方法の発信・教員の指導力の向上につきましてでございます。やはりデジタル教科書をどういう場面でどういうふうに使えば効果的に発信できるのか、さらにそういったことも踏まえて、研修を含めて教員の指導力向上を図るべきでないか、そのための環境整備を国として図るべきでないかといったもろもろの点につきまして、各団体から御意見を頂戴しているところでございます。
 18ページに論点を書いてございますが、こうした様々な御指摘を踏まえてさらに検討を進めるべきでないかということで、こちらについてもまた次回以降御議論いただきたいところでございます。
 11点目の項目、デジタル教科書の改善方策ということで、具体的な仕様については、やはり操作方法の統一ですとか、統一化、あるいはアカウント管理の簡便化など、具体的に実装すべき機能などについて幾つか提案をいただいたところでございます。これについては19ページの論点にございますように、さらにこうした現場のニーズをうまく吸い上げる形で、改善を図るためにどうすればよいかということでございます。
 12点目の項目はアカウント管理などの負担軽減でございます。やはりアカウント管理なども含めて、こうした操作が非常に現場の負担になっているということも踏まえて、さらに負担軽減をすべきでないかといったような御意見を頂戴してございます。
 これについては、これまでのワーキングでも少し現状を御説明させていただいたところでございますが、さらに課題の改善に向けた取組を図ることが必要ではないかということでございます。
 続いて20ページ、13番目の項目、健康への影響についてでございます。これまでもデジタルの活用による健康への影響については様々な御懸念をいただいていたところでございまして、今回も御意見を頂戴いたしました。これまでも専門家の意見を踏まえてガイドラインを作成してまいったところでございますが、さらに見直すべき点があるかどうかにつきましては、また次回以降御検討いただければと思います。
 14点目の項目、ICT環境の整備についてでございます。これもICT端末の配布ですとか、情報通信環境の整備につきまして、様々御要望をいただいているところでございます。
 論点としては、21ページに書いてございますが、これまでもGIGAスクール構想によって端末や通信ネットワークの整備が進められてきたところではございますが、こうした取組をさらに進めていくということでどうかということで、これについても次回以降、検討いただければと存じます。
 15点目の項目、検定の在り方についてでございます。こちらについても、やはり現行の検定は紙の教科書を前提とした検定でございますので、デジタル教科書が検定の対象になった場合の留意点について様々御指摘をいただいているところでございます。特に教科書を発行してさらに検定を申請する側の教科書協会様からはさらに丁寧に議論を進めてほしい、あるいは動画については、こちらはデジタル技術の進展に伴って常に様々なコンテンツが生み出されて更新されるものであるので、検定の対象にすることは適当ではないのではないか、あるいは十分な準備時間を確保するようにするためにもできるだけ方針を早めに示してほしいなどの御意見も頂戴しているところでございます。
 こうした点を踏まえて論点といたしましては、デジタルの特性を踏まえるとともに、申請側・検定側双方にとっても過度な負担とならないように、教科書のデジタル部分の検定の範囲や方法についてどのように考えるべきかが論点でございます。ただ一方で、こうした具体のやり方につきましては、別途、教科用図書検定調査審議会で専門的に検討してはどうかということでございます。また、この点についても次回以降御検討いただければと存じます。
 16番目の項目、23ページでございますが、採択の在り方についてでございます。これもまた現場の各団体から御意見を様々いただいてございます。多くは、やはりデジタル教科書を採択するに当たってできるだけ負担が生じないようにしてほしいという内容でございます。
 こうした点も踏まえて、論点としましては、今後は教科書の形態として紙だけでなくデジタルも認められるということになった場合に、負担軽減の観点も含めて採択事務をどう整理していくかという点でございます。これも次回以降御検討お願いします。
 17番目の項目、事前調査でございます。教科書の発行者あるいは供給側、それぞれの団体から具体的な規模感、ニーズを知りたいということで、事前調査を行ってはどうかという要望をいただいてございます。これを国として行うべきかどうかが論点でございます。これについても御意見、今回いただければ幸いでございます。
 25ページ、18番目の項目、発行・供給の在り方についてでございます。こちらについても、現場の団体様からは、できるだけデジタルと紙とでも手続が変わらないように、一元化、簡素化すべきだといったような御意見を頂戴してございます。一方で、教科書協会、供給協会のほうからは、よりそうした手続を円滑に図るためにさらに協議することも含めて整理してほしいといったような要望をいただいているところでございます。
 ちょっと時間の関係もあって一つ一つは御紹介はできませんが、こうした点については、論点にも整理してございますように、一定の実務ルールをしっかり定めることが必要であると。そのためにも、発行・供給の実態を踏まえた関係者間の協議が必要ではないか。
 もう一つの点としては、デジタルな形態の教科書に関する発行・供給義務の範囲、どこからどこで発行したのか、どこまでやれば供給を果たしたと言えるのかなどについても整理する方向でよいかということで、これらにつきましてはまた次回以降御検討いただければと思います。
 19番目の項目、価格設定や無償給与についてでございます。例えば、26ページでございますけれども、三つ目の箱にございますように、保護者負担が前提となる高校段階では可能な限り低廉な価格にしてほしいという御要望ですとか、あと27ページにございますが、紙であろうが、デジタルであろうが、いずれも無償給与してほしい。また、価格は紙の教科書と同じにすべきではないかといったような御意見を頂戴してございます。
 これを踏まえた論点としては、義務教育の教科書については、デジタルの形態であっても無償給与の対象とする方向でよいかどうか。
 また、価格については、デジタルな形態の教科書も含めて適正な価格設定となるよう、国において検討することが必要ではないかという点でございます。
 20番目の項目、使用可能期間でございます。現行のデジタル教科書はライセンスは1年間でございますが、今後、教科用図書として位置付ける場合には、過年度も利用できるようにするためにもう少しライセンス期間を延ばすべきでないかという御意見でございますが、論点としては、こうした御意見を踏まえて対応する方向でよいかということでございます。
 21番目の項目は、教科用特定図書等との関係・アクセシビリティについてでございます。こちらについても、特にデジタル教科書と教科用特定図書、特に、例えばデイジー教科書みたいなものもございますし、そのほか、点字教科書、拡大教科書、様々あるところでございますが、その辺りの役割分担をしっかり整理すべきといったような観点からの御意見を頂戴してございます。こちらにつきましても、次回以降検討いただければ幸いです。
 最後に、著作権や個人情報保護につきましても、しっかり個人情報などのセキュリティを担保した上で、著作権については、権利制限も含めて、教科用図書にふさわしい内容にすべきだという趣旨の御意見を頂戴してございますが、著作権につきましては、デジタル教科書の制度的な位置付けなどを踏まえながらも、具体的には文化審議会において専門的な観点から御審議いただくべきかどうか。
 2点目の論点としては、個人情報保護や情報セキュリティにつきましては、法令等に基付き適切な対応が取られるよう、具体的な制度設計と併せて検討すべきかという点でございます。
 駆け足でございましたが、以上が資料5の説明でございます。
 資料6につきましては、こちらは一般からの御意見を資料5と同じように項目ごとに整理したものでございます。2ページを御覧いただければと思いますが、基本的な方向性や制度的な位置付けについては、賛成論もあれば反対論もございます。賛成論は上の箱に書いてございますが、左から二つ目の箱の上段に書いてございます。下段が反対論でございます。反対論の内容については、先ほど団体からの御意見で紹介したものとほぼ同じ内容の御意見を頂戴してございます。
 それを踏まえて、右の欄に今回のパブリックコメントに対して回答する考え方の案を整理させていただいてございます。
 1点目は、これまでの実証研究を通じて様々なデータや分析、見解が示されてと。
 2点目の黒ポチにございますように、中間まとめにおいては、デジタルのよさを取り入れられるように希望する現場に使用を認めようとする方向性が示されているところ、その場合であっても、紙・デジタル・リアルのよさを適切に組み合わせた教育が前提となるものであって、教育全体において紙のよさを否定するものではないということ。
 3点目として、いただいた御意見の中で端末が壊れた場合などどうするんだという御意見に対しては、紙の教科書についても何らかの理由によって使用できなくなるケースが想定されることと同様に、デジタル教科書の場合でも、端末の故障などによって使用できなくなるということはもちろん否定されるものではございませんが、そうした場合でも学びが止められないように検討を進めてまいりたいという形で整理してございます。
 3ページを御覧ください。選択制についての賛成の御意見、反対の御意見でございます。特に反対の御意見を紹介しますと、先ほど団体から出てきた意見とほぼ一緒でございますが、現場の自由度を尊重するかに見えて、その実態は責任回避であり、かえってその判断を教育委員会や教師に任せては教育格差が広がると。したがって、文科省において、全国統一かつ適切な結論を出すべきと。要すれば、全国統一で紙を基本とすべきだという御趣旨かと考えられるところでございます。
 これを受けた方向性としては、1点目、中間まとめの方向性は、例えば学力などの教育格差が出ないようにするためにも、全国一律の対応ではなくて、現場の関係者が自分事として、納得感ある形で主体的取組を促して、現場の実態を踏まえた多様な対応を可能にするための選択肢を設けようとするという形で中間まとめが整理されているところと理解してございます。
 一方で、具体的にどういう教育を実施するのか、その方法をどういうふうに選択するのかは、地方自治や建学の自主性が当然尊重されるものではございますが、主体的な対応が可能となる機会が確保されるよう、必要な教育条件に向けて、条件整備に向けて国としてもしっかり取り組んでまいりたいということで整理してございます。
 3点目の検討プロセスについてでございます。ワーキングのメンバー全て推進派であって、それと異なる方々がメンバーに入っていないのではないか、あるいはヒアリングで意見を聞いてないので聞くべきではないか、デジタルありきで方向性を決めるべきでないといったような御意見でございます。
 これについては、まず、デジタルありきかどうかという点については、ワーキンググループでは、当初よりデジタル教科書の活用を自己目的化するのではなくて、あくまで子供たちの学びを充実するためにどのような教科書がよいのかという観点を大事にして議論が行われてきたものと認識しております。この辺りは中間まとめの冒頭でも記載されているところかと思います。
 その上で、ワーキンググループ、また、ワーキンググループが立ち上がる前にも様々な会議体で御議論いただいてございましたが、そうした場において、現場の教員をはじめとする学校関係者の方、また健康面や学習環境、言語教育学の専門家など、様々な形からヒアリングを実施してきたところ、また、今回の意見募集も実施しておりまして、その際に様々なこうした御批判的な御意見も含めて、いただいた意見を踏まえて検討を進めるということで整理してございます。
 4番目、4ページでございます。諸外国の動向につきましてでございます。こちらにつきましては、先ほど団体の御意見を紹介していたときに、同じような御意見頂戴していましたので、その際論点で書かせていただいたこととほぼ同じことを書かせていただいているものでございますので、詳細は省略させていただきます。
 5ページ、紙とデジタルのよさを取り入れた学習環境についてということでございます。一つ目の箱は、まず、柔軟な制度設計を期待すると。
 二つ目の箱は、ハイブリッドのうち、特に紙の部分とかデジタル部分それぞれで推奨される範囲をより具体的に示してほしいと。その際に文科省が一定の基準を定めるべきでないかといったような御意見でございます。
 また、三つ目としては、当面の間以降も紙とデジタルの両方を給与してほしいという御意見でございます。
 四つ目の箱は、それとは逆に、今のデジタル端末でも拡大・縮小機能を使って紙の利点である俯瞰性を補うことができるので、併用を主張する根拠がないという御意見もあります。
 これを踏まえた対応の方向性として、まず、ハイブリッドの紙部分・デジタル部分のイメージについては、先ほど資料5でも紹介しましたように、さらに検討を進めていってはどうかと。
 2点目の黒ポチにございますが、両方配ってほしいという御意見については、現行は義務教育段階で無償給与される紙の教科書に加えて、その代替教材であるデジタル教科書については、当面の間の措置として、一部の学年あるいは教科で実証的研究の観点も含めて行われてきたところであるわけでございますが、その両方を提供した場合であっても、紙かデジタルのいずれか一方だけを使用する学校も多くあるというのが実態でございます。
 したがいまして、こうした状況に照らすと、主たる教材である教科書を国の措置として複数提供することを恒久的に続けるのは難しいところではございますが、中間まとめにおいては、紙とデジタル両方のよさを取り入れたハイブリッドな形態の教科書を認められるということでございます。いただいた御意見も踏まえてさらに検討を進めてまいりたいということで整理してございます。
 6点目の学習効果についてでございます。こちらについては、デジタルがいいよねという意見もある一方で、まだまだ十分な実証研究が検証が進んでいないんじゃないか。特に三つ目の箱にございますように、これも先ほどの団体からいただいた意見とほぼ同じでございますが、言語脳科学の観点から、手書きのほうが記憶の定着に有利ですとか、令和3年度の実証事業において、これは紙とデジタルそれぞれを使って記憶力テスト、理解テストを行った事業でございますが、理解テストは紙優位の結果となっておるので、中間まとめは恣意的な記述となっているのではないかという御意見でございます。
 その下の箱は、先ほどの団体に出てきた意見と一緒でございます。
 これを踏まえた対応として、右の欄でございますが、一つ目は、令和元年度から実証研究をずっと続けてきて、今、令和7年でございますので、7年目に入ってございますが、その中でも様々な活用事例、効果が上がってきているところでございます。
 一方で、今回の中間まとめの方向性というのは、こうした知見を踏まえながらも、一律にデジタルにするものではなく、これまでの活用によって効果を感じていただいている地域や学校で希望に応じてデジタルのよさを生かした教科書を使用できるようにするということでございます。というのが1点。
 2点目として、先ほど実証事業は恣意的な記述となっているのではないかという御意見に対してでございますが、令和3年度の実証研究というのが、記憶定着や理解度について紙とデジタルとで統計的に有意な差はないという結果が得られてございます。
 さらにそのほか、適度にデジタル端末を使用するほうがPISAのスコアが高いという結果も併せて紹介させていただいています。
 3点目として、中間まとめにおいても紙のよさは否定しておらず、教育課程、授業全体における紙・デジタル・リアルを適切に組み合わせた学習環境の重要性やハイブリッドな教科書について示されているところでございます。したがって、記憶を定着させる際に紙を用いることを否定するものでは一切ないという整理でございます。
 いずれにせよ、最後でございますが、科学的知見を含めた検討を進めていくとともに活用事例の創出に取り組んでいきたいということで整理してございます。
 7番目が教科書の範囲についてということで、動画や発展などの内容は教材として位置付けるべきでないか。あるいは教科書以外の機能は無償で提供しないで有償で表示するといったようなルールづくりも必要ではないかという御意見でございます。
 8番目の対象学年や教科については、指導要領の内容を踏まえて検討する必要があるが、特に、小学校低学年ではデジタル媒体は効果的とは限らないという御意見、あるいはその下にありますように、全教科一律の実施ではなくて、英語、算数・数学はいいけれども、それ以外の教科は実証研究が不足しているので段階的に進めるべきでないかといったような内容でございます。
 いずれにいたしましても、いただいた意見を踏まえてさらに検討を進めてまいりたいという形の整理でございます。
 (2)が今後さらに検討を進める事項ということで、9ポツにございますように、教育の指導力向上について、国も体制を整えるべきでないか。
 10番目のアカウント管理の軽減を図るべきでないかという御意見をいただいていますので、これも踏まえて対応してまいりたいと思ってございます。
 11番目の健康影響への対応についてでございます。これも先ほど団体様からいただいた意見とほぼ同様でございます。ただ一方で、若干もしかしたら先ほど御紹介し切れてない点として、一番上の箱にございますように、デジタル媒体のみの教科書の想定される活用方法というのがガイドラインで示される内容と矛盾して健康上の問題があるのではないかという点でございますが、これを踏まえた対応として、右の欄でございますが、現行でもデジタル教科書のみの使用は制度上認められておりまして、それを踏まえたガイドラインになっているところではございますが、さらにいただいた意見も踏まえて検討を進めてまいりたいというのが1点。
 2点目としては、デジタル教科書を使用する場合であっても、授業中ずっと端末を見続けるのではなくて、ガイドラインでは、やはり主体的・対話的で深い学びを行う観点から、それを踏まえた使い方をしてくださいということが書かれていますので、そうした適切な使用が前提になるということで考えていますということでございます。
 12番目の環境整備については、先ほどの情報通信の環境の話、端末の話とほぼ共通しますが、引き続き検討を進めていきますという対応でございます。
 9ページ、13番の検定についてでございますが、まず検定の体制とかスケジュールをちゃんと検討すべきでないかという一方で、二つ目の箱にございますように、検定制度の中身がまだ整理されてない中でデジタル教科書の位置付けを固めようとするのは拙速ではないか。あるいは、紙と同じ中身のデジタル教科書がある場合には、検定済みとみなすことによって負担軽減を図ってほしいといったような御意見でございます。いずれにしても、さらに検定審での議論も含めて検討を進めてまいりますということでございます。
 また、14番目につきましても、幾つか御意見をいただいてございます。これも踏まえてさらに検討を進めてまいりたいということでございます。
 10ページ、発行・供給についてでございます。一つ目の箱にございますが、紙、デジタル、ハイブリッドの三つの種類を全て制作するというのは大変難しいのではないか。また、供給は地域の書店が支えているので、それが廃業すると供給が困難になるのではないか。あるいは、少し下でございますが、年度をまたいで使えるようにすべきでないかなど様々な御意見をいただいているところでございます。
 いずれにしても、右の欄でございますが、教科書の安定的な発行・供給が極めて重要であるという視点に立ってさらに検討を進めていくと。
 なお、今回の中間まとめの方向性というのは、三つの形態全てを作ってほしいということを求めるものではないという点については念のため触れさせていただいております。
 16番目、次のページです。教科用特定図書との関係についてということで、上の箱は、デジタル教科書やデイジー化は学びを支える不可欠なツールであるということではございますが、現状では、教室全体が紙の教科書を使っていく中で、ニーズがある子供はデイジー教科書を使うと教室の中で目立ってしまってそれを気にして利用できないという声も多く存在するということでございます。したがって、支援が必要な子供だけが特別に使うものでなく、全ての子供が日常的に使えるものとすべきではないかという御意見でございます。
 一方で、その下の箱でございますが、そういったデジタル教科書利用拡大の議論とは切り離して、特にニーズのある子供たちのアクセシビリティの確保については、切り離した上で、先ほどの利用拡大と切り離した上で専門的な検討を進めるべきではないかという意見です。
 いずれにしましても、いただいた意見も踏まえて、教科用特定図書等の関係については検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 17番が価格設定ということで適正な価格設定にしてほしいという御意見。また、18番は、故障、紛失、災害時の対応が、災害時においてしっかり対応するためにも、対応策を明示すべきだという御意見でございますが、いずれにしても検討を進めてまいりたいと考えております。
 19番目、教科書の分量の精選についてということで、やはり精選してほしいという意見もあれば、ただ、その場合にデジタル教科書にするとかえって情報量が増えて負担感が増えてしまうんじゃないかという御意見もありますし、二つ目の箱にございますが、現場のニーズがあるから情報量が増えてきたんじゃないだろうかといったような御意見もございます。いずれにしてもこの論点は指導要領の議論と連動しながらさらに検討を進めてまいりたいという整理でございます。
 20番目がスケジュール感でございます。十分な準備期間や試行錯誤を重ねながら検討すべきという点ですとか、あるいは、1年遅らせるなどのスケジュールの見直しや政策コストへの補助金の導入など支援や調整が不可欠といったような御意見も頂戴したところでございます。
 これを踏まえた対応としては、中間まとめではデジタルも取り入れた教科書が使用できることが示されているところでございますが、具体的な教科や学年については指導要領の議論を踏まえながら教科特性や発達段階に応じて検討していくことが重要であるということを記載してございます。
 一方で、さらに中間まとめの方向性は、全ての教科で全ての形態を求めるものではありませんということを補足的に書いてございます。
 最後、その他でございます。生成AIの時代だからこそ、デジタル全盛の時代だからこそ、活字の学びが不可欠で、紙の教科書に親しむことが必要だといったような趣旨でございます。これは先ほどの団体からいただいた御意見とほぼ一緒でございます。こちらについては、生成AIなどデジタル技術が発展して負の側面も顕在化する中で、情報活用能力の育成の重要性が高まっているということは当然ではございますが、その上で中間まとめでは紙のよさを取り入れた学びの重要性は否定していないということと、いただいた御意見も踏まえて検討を進めてまいりますという内容でございます。
 その他の意見としては、デジタルの利点として、更新が可能である、やりやすいですとか、AIの技術を積極的に導入したらどうかなど、デジタルの利点を生かすような御意見を頂戴してございます。
 これについては、御指摘も踏まえながら、紙かデジタルかの二項対立にならないように留意しながら、デジタルのよさを生かせるよう検討を進めてまいりますということで整理してございます。
 一番下の御意見は、子供たちだけではなくて、市民の皆さんもデジタル教科書にアクセスできるようにするような環境整備が大事ではないかということでございます。これもいただいた意見を踏まえて検討を進めてまいりたいということでございます。
 最後でございます。14ページです。総論でございますが、一時の世論や政治力学に左右されない理論構築や分かりやすい広報活動をお願いしたいと。
 もう一つが、デジタル教科書を選択する学校は最初はそれほど多くないかもしれないが、それは制度変更の失敗ではないと。テクノロジーの急速な変化に教育が取り残されないようにするために事前に措置すべき必要な制度変更であるという理解が得られるように取り組むべきではないかということでございます。
 これを受けた対応として、まず、中間まとめの趣旨を多くの人々に、多くの方に理解していただくために、さらに様々な機会でしっかり取り組んでいきたいと。
 2点目としては、教育政策の実施に当たって社会の変化に対応しながら二項対立に陥ることなく、課題を常に検証し、解決しながら、学びがよりよいものとなるよう、取組を前に進めていくことが重要であると考えているということで整理したところでございます。
 すいません、かなり時間が長くかかってしまいましたが、説明は以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。大変大部になっているもので、論点を整理いただきましたが、整理してもたくさんの論点があるということがお分かりかと思います。これ、国民の声も含めて、あと、関係団体の丁寧なリアクションに対する私どものリアクションということで、そういう意味で丁寧に御説明くださいと私のほうから事務局にお願いしたものでございます。少し長くて大変申し訳ございませんでしたが、この後、委員の皆様の御意見をいただきたく思います。
 特に、これはもはや教科書のデジタル化をどのようにすればいいかみたいな話を超えた話がいっぱいここにはございますし、スマホの長時間利用の話とか、いろんなところに飛び火しているところもありますので、私どものワーキングで片付く話だけではないと思いますけども、この分野の御専門の知見をお持ちの皆さんにお集まりいただいておりますので、皆さんからこの後、御意見をいただきたいと思います。
 オンラインの方もいらっしゃいますので、会場の方も挙手ボタンを押していただいて、意見のある方は表明していただければと思います。と同時に、御発言時には、資料5の何ページのこの項番だとか、資料6の何ページのここなんだみたいなことをお示しいただいた上で御発言いただくようにしていただくと事務局がこの後整理する上でも大変助かるということでございます。論点は様々ありますので、いろんな角度からの御意見をいただければと思う次第でございます。時間は大体30分ちょっとでございますので、よろしくお願いいたします。
 では、発言のある方からお願いいたします。
 岡本委員から行きましょう。お願いします。
【岡本委員】  教科書協会の岡本でございます。後半もよろしくお願いいたします。
 本日はいろいろ御意見を事務局のほうでまとめていただいて、分かりやすく整理していただいて本当にありがとうございました。教科書協会としても意見を出しておりますけれども、私からは本日、ほかの関係団体の方からの御意見がまとめられているのが資料5だと思いますので、こちらについて中心に5点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず項目1、3ページのところですね。項目1のところで、全学年、全教科で紙の教科書を主たる教材とするという御意見などもありましたけれども、教科書発行者としましては、これまでの実証研究でデジタルの効果は認められてきているという認識でございますし、このワーキングでも、紙、デジタルそれぞれの特性をうまく生かした学びの重要性というものが議論されてきたと思っています。
 ですので、これからの学びにおいてデジタルの活用というのは避けられないんじゃないかなと思っていまして、それは主たる教材という教科書にも当てはまることでして、どのようにデジタルを効果的に取り入れていくかと議論をすることが重要なのではないかなと考えております。
 まず項目1にいただいた御意見に関して意見を述べました。それから、項目3、7ページの項目3で、紙とデジタルのよさについて御意見いただいていて、様々な御意見がありまして、今、事務局に示していただいているような10ページの論点のところにも分量を割いて整理していただいていると思うんですけども、個別の御意見を見ますと、論点の中にはちょっと言葉が見られなかったんですけれども、併用が望ましいと書かれている団体様が結構いるなというふうな印象です。それで、ほかにも現実的であるとか妥当であるという言葉を用いていらっしゃる、これがちょっと印象的でした。
 併用が望ましいという御意見の中には、将来的にはハイブリッド教科書という内容もあるので、ここでいう併用というのはハイブリッドではなくて、今の義務教育の英語の教科書で導入されているような紙100%とデジタル100%を一緒に使うというようなことが想定されているのかなと感じて読ませていただきましたけれども、そういったことの要望が結構あるなと感じました。
 紙とデジタル両方提供する際には予算措置などの課題もありますし、先ほど御説明を、事務局からいただいたように、資料6の5ページで、御意見に対する考え方としては、国の措置として複数提供することを恒久的に続けるのは難しいと考えるというようなお考えも示されてはいますけれども、今後こうした併用の御意見というのは一定数あることも踏まえた検討も何か必要なのかなとちょっと感じましたので、2点目として申し上げます。
 そして3点目としては、項目7、学年教科とまとめていただいている13ページのところですね。教科とか学年に関してまとめられている中で、同じ小学校でも低学年と中学年、高学年では発達段階が異なるので、紙が適していたり、デジタルが適していたりという、こんな御意見があったと思うんですね。
 しかし、これは例えば小学校の国語の教科書などを考えますと、現在、1年生から6年生までがセットになって発行者が申請をして、検定をして、見本ができているというような、そういう仕組みになっていますので、例えばある発行者が紙のセットというのとデジタルのセットという2種類を例えば出したと仮定した場合でも、これらのセットは別々に本来検定されて別々の見本になっていくのかなと考えますと、低学年は紙、それから中学年以降はデジタルと選べるのかなというのはよく分からなかったところでして、発行者側としてどういう仕組みになるのかがよく分からないなという部分でした。それが別々のセットとして、選び取りみたいなものをできるような仕組みが今ないので、そういう仕組みにするのかとか、そうではなくて、1、2年生だけ紙で3、4年生からデジタルにするという、そういったバリエーションを発行者が何種類も用意するのかとか、考えていくと、かなり複雑な形になっていくなと思われますので、そうしたところの制度設計を早めに決めておかないといけないなと感じました。
 その制度設計をするに当たっては、この項目の論点のところで整理していただいていますけれども、発達段階とか教科特性などを踏まえて国として一定の考え方、基本的な考え方を示していただけると大変ありがたいなと感じております。
 国としての考え方を示すことについては、項目の9番とも関連すると思いますし、項目9が指針の提示と書かれているところ、15ページですね。それから24ページに項目17で書かれています事前調査とも関係してくるとも考えておりまして、こうした事前調査を行った上で国として指針を示していただくのがよいのではないかなと思いました。
 すいません。それから4点目です。項目の11と12、18ページから19ページにかけて、これはデジタル教科書の改善ですとかアカウント管理などの負担軽減、こちらについては業界に求められている声でもあるなと感じておりまして、ここについては、操作性の向上ですとか、アカウント管理の負担軽減、これは引き続き、業界として検討してまいりたいと思っております。
 ただ、中身を見ますと、これらの御意見の中には、ネットワーク環境に関する要因も含まれているように読めまして、こちらにつきましては、別の項目でICT環境のさらなる整備というところが求められる重要な観点ではないかなと思いました。
 すいません、それから最後になりますが、27ページの使用可能期間に関しまして、項目20に関しましては、論点でまとめていただいているように、御指摘を踏まえた検討ということで構わないと思うんですけれども、これに関しましては、項目19の価格ともちょっと直結する問題としまして、クラウド配信で今、デジタル教科書を提供しておりますので、使用可能期間が長くなればなるほど、クラウドの利用料、配信するために必要な利用料、アマゾンのウェブサービスとかマイクロソフトのクラウドサービスなどに支払うお金ですけども、こういうものが使用可能な期間中かかってきますので、これがランニングコストとしてどんどん積み上がっていくということにもなります。
 ですので、そうした可能な期間を検討する際には価格とセットで検討していく必要があると思っております。
 すいません、長くなりましたが、私からは以上になります。
【堀田主査】  ありがとうございました。具体的な御指摘をいただきました。
 ほかに。中村委員、お願いいたします。
【中村委員】  みどりの学園義務教育学校、中村でございます。よろしくお願いいたします。私からは学校の教育現場を見ながら感じたことを想起しながらパブリックコメントを読ませていただきました。
 まず、大きく印象としましては、もちろんいろんな意見があって当然だと思っていますし、私ももちろんデジタルのよさを非常に発信する側の人間のように捉えられているかとは思うんですが、実はその対極にある意見というものがあるからこそ、自分がデジタルをなぜ使うのかとか、学校がなぜデジタルを導入して、それを子供たちの学びに取り入れるのかということをよく考え直す機会をいただいております。
 ですので、こういったパブリックコメントの中で、対極にある、反対という言葉を私は使いたくないんですが、自分の考えとは少し違った側面からの意見を見ることによってより今自分がどういう立場で推進をする必要があるのかというところにすごく思いをはせたパブリックコメントを読ませていただきました。
 その上でちょっと3点ほど具体的なところについてお話しさせていただきます。まず資料6の6ページ、6、学習効果についてというところと資料11ページの16ですかね、ちょっと似ているところがあるんですが、これについては実はアクセシビリティに近いお話なんですけれども、もし理解度に有意差というものが紙とデジタルにないとした場合には、この有意差ない中で、実はデイジー教科書が必要な子、必要じゃない子と明確に分けられないんですね。特別な配慮が必要な子にはデイジー教科書、じゃあ、それ以外の子には紙の教科書となった場合に、そこのグラデーションのあるお子さんたちというのは選べない環境がある、デジタルを選びたくても選べない、もしくはグラデーションの中にいるお子さんたちにとっては、デジタルの機能が学びに向かう、よりよい方策になるということの権利が奪われてしまっているという状況があるというのも、今、私はすごく懸念するところです。
 ですので、理解度に差がないとかいう統計的な有意差ないということの結果は逆に言うと、デジタルを選ぶことによって学びが進む子にとってはぜひデジタルを選ばせていただける環境があるといいなと思うところが一つです。
 二つ目は、資料5の10ページのところですね。デジタルには情報過多になってしまうのではないかというところなんですけども、逆に言うと、実は今紙面のほうでも情報過多と感じる場面があります。どういうことかというと、問いに対して同じページの中に答えがもう既に掲載されてしまっております。そうすると子供たちは、1個の回答に対して推論で問題解決はできるんですが、多様な回答を自分の中で考え出すということが少なくなってしまう。できにくくなってしまう。これは紙でももう既に起きていることなんです。
 これを解消するのに私がハイブリッドで提案したのは、問いの部分だけは紙に残しておき、問題解決をするプロセスはデジタルなどを使いながら、自分の興味のある視点からアプローチをして解決方法を生み出していくということがデジタルが介在することでできるんじゃないかと考えました。そうなると、デジタルだから情報過多だということは少し言いにくいのではないかと考えました。
 三つ目です。三つ目、四つ目、これ危機的なところになってしまいます。すいません、資料がちょっと出てこなかったんですが。アカウント管理については、本校、義務教育学校なんですね。実は、岡本さんも御存じかと思うんですが、小学校、中学校という区分でアカウントを管理すると、本校では2回アカウントをつくらなくちゃいけないんですね。そうすると担当者は小学校の教科書が見られるようにまず設定して、今度は中学校のほうをやってというふうに非常に今、苦労しているということが現状としてあります。
 最後です。代替機について、故障したとき、本校でも故障の問題非常に多くあるんですけれども、今は違ったワーキンググループなんですけども、次期ICT整備の在り方ワーキンググループのところでは15%の代替機というものの措置を予算の中の支援として盛り込んで、また別のところでもしっかりと検討されているということも一つお伝えしたいなというところです。
 以上、すいません、長くなりました。
【堀田主査】  ありがとうございました。それでは、ほかの方、残り時間だんだん減っていますので、お願いいたします。
 奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】  よろしくお願いいたします。いろんな団体あるいは個人の方から御意見お寄せいただいて本当に勉強になりますし、この多様な意見を足場に慎重に議論しながら、多様な皆さんのお考え、あるいはお立場に対してお答えできるような制度設計が大事かなと思いました。
 資料の5の7ページですかね、その効果という、3の効果、教育効果というのはとても難しくて、ある政策を決定するときに教育効果はどうなんだという話になると思うんですけど、全体としてどっちがいいんだというふうに効果を見ていっていいのかという話は以前からあります。1960年代になりますが、ATIという概念がクローンバックという人によって出されました。適性処遇交互作用といいますが、当時、ある教育方法やある環境がいいのか悪いのかという議論をしていたんですけど、多くの研究で差が出ないということがあって、子供の状況ですよね、そのお子さんの、今回多様性と言っていますけど、そのお子さんの持っている特性とか状況で分類していくと差が出てくるということがわかってきた。つまり、ある教育方法があるお子さんにとってはとても効果があるけれども、別なお子さんにとってはそうでもないということがあって、一つの方法が全ての子供にとって全体としていいか悪いかという議論自体がナンセンスなのではないかということです。
 今年、多様性が大事となっているのはまさにそういうことで、選択肢を増やそうとか、あるいは地方分権にしていこうとか、学校や地域に応じてしていこうということは全てそういうことだと思うんですね。
 だから、方針を示さないということは非常に無責任な在り方で、国としてはよくないんですが、1億を超える大きな国で、国があまり細かいことを一々決めて、全部それでやりなさいという政策がうまくいくとはあまり思えないということがまず一つです。
 効果ということでいうと、これまでの紙の教科書、日本の教科書はとても質が高くて、多くの子供にとっていいことがあったと思うんですけども、いろんな状況で、それではうまく学べなかった子供もいた。識字障害のお子さんとかありますよね。縦書きの文字がうまく読めないとかってあるわけですから、そういう子がデジタルの読み上げ機能とか、いろんなサポート機能によって救われるというようなことがよく言われます。
 だから、これまでも、とても優れた紙の教科書だけれども、つらい思いしたお子さんも一定数いた。多数派ではないけど、一定数いた。そういったお子さんのことをしっかりやっていこうというのが、多様性の公正な包摂ということだと思います。
 逆に、デジタルだとちょっとうまくいかないというお子さんもいるということがいろんなことで報告されています。北欧の話がいろいろ出ていますが、多分世界で一番多様性の公正な包摂を丁寧にやろうという地域だと思いますけど、なので、デジタルでいろいろ進めてきて、多くの子供にとっては利益があるんだけども、あるお子さんはかえって少ししんどい思いしているという事実が確認されてきたんだということは聞いたことございます。
 なので、その選択肢を当然増やす。そういう少数のお子さんに対しても手厚い対応をしていくということで、全体としてどっちに行くということが大きく動いたというふうには私は伺っていないんですが、この辺りどういうことなのかなあと思いますし、その意味では、デジタルをぐんぐん一辺倒に推進していくということだけではなくて、紙についても、ただ紙がいいかどうかというよりも、どんなお子さんにとって紙がどんなふうにいいのかということの確認作業がとっても大事かなというのが1点でございます。
 それからもう一つすいません、ちょっと全体の話と違ってくるんですけど、デジタル教科書の議論とデジタル学習基盤の議論をデジタルという言葉1つで言ってしまうとちょっと分からなくなるなと思っています。つまり、デジタル学習基盤のさらなる拡充ということ、あるいは整備ということは、これは進めていることですけれども、そうなってきたときに、デジタル、1人1台端末の一番の強みは、子供が自由に情報にアクセスをするということが可能になる。つまり、教材や学習情報全体において教師が提供するということの比率が下がる可能性があるということだろうと思うんですね。教師が提供する情報の中心になるものが教科書だろうと思いますけど、それと教室での学びの場面において、教科書が果たす、これデジタルであろうが、紙であろうが、教科書が果たす位置付けが何らかの意味で質的・量的に変わるのかということがあった上で、デジタルや紙ということをどう考えるのかということがあるのかなあと。これはデジタル教科書であれ、紙の教科書であれ、そこにある情報をもちろん基盤として、あるいはそれによって質的保証がなされるわけですけども、子供の学び全体が、子供が個別最適に、あるいは学習を自己調整しながら学ぶということを考えると、先生が教科書を中心にして投げかけてくれた情報を基盤にしながらも、子供がその場その場でその子に必要な情報を引き寄せてさらに組み合わせて学んでいく。もちろんそれは教師の適切な指導の下でですけれども、そう考えていくと、教科書にいろんな機能を盛り込んでいく、記述を盛り込んでいくということで、また全体を考えていくと、デジタル学習基盤全体のさらなる整備拡充ということとの関係がちょっと何か違ってくるかななんていうことも思っておりました。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 それでは、この後、細田委員、阿部委員の順番で参ります。残り時間少ないので、皆さん、挙手とあと時間配慮をお願いいたします。
 細田委員、お願いいたします。
【細田委員】  時間ないのでちょっと短めに行きたいと思います。まず項目で申しますと、2の諸外国の状況のところからお話を少しさせてください。今、奈須委員さんからもお話があったことと少し重なるかもしれないんですけれども、デジタル教科書のことについて、例えば保護者の方とお話をしたりする中で、最近報道でこのようにデジタルから紙への回帰というようなことが盛んに報道される中で、その内容についてしっかり御理解をいただかないと少し残念な思いを皆様が持ってしまうなというのを痛感しております。そもそも、こちらにも書いてありますとおり、教科書といっても、諸外国と日本の教科書の扱いについては随分違っているということ、それから、ここで学力が下がっている状況であるという短絡的な表現の中には、実はもっともっと掘り下げていろいろなことをお知らせするべきである内容、奈須先生の意見にもありましたとおり、そういうことが隠されているんですけれども、それが一般の方、とりわけ保護者の方にはうまく伝わっていないというようなことを実感しております。
 ですから、このワーキンググループなどでもその辺のところを正確にできる限り分かりやすくお伝えをする必要があるんじゃないかと感じていることが一つです。
 それから、先ほど岡本委員さんもお話があったんですけれども、これ全体を通して読んでみますと、併用という言葉が結構出てきているわけですけれども、併用をこちらで御意見いただいている様々な団体がどう捉えているのかということがいま一歩はっきりしていないわけです。でも、併用という言葉そのものを辞書的に取れば二つのものを併用するというような感じですので、紙とデジタルというものを併用するというふうに捉えがちなんですけれども、ただ、やはりこの議論というのはこれまでよりよい学びのためのよりよい教科書という考え方にのっとって議論をしてきているので、デジタルと紙が全く同じものが二つあってそれを併用していくということは、本来私どもが議論してきたこと、求めているものとはやや方向が違ってしまうのではないかと懸念されます。
 ですから、ここのところも整理が必要だし、分かりやすいアナウンスみたいなものが必要ではないかということを感じた次第です。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。阿部委員、お願いいたします。
【阿部委員】  ありがとうございます。まず、子供の発達段階の辺りと、項番でいうと3番、7番の辺り、それから、障害のある子の話、6番、21番の辺りをちょっとお話しさせていただきたいと思います。どちらがいいかって、二項対立ではないのですが、例えばただ本文を読むみたいなときは、私も紙のほうが長文を読むのは好きです。ですが、試行するとか、デジタルのほうが効率がいいことがとてもある。
 なので、制度の位置付けにも関わりますが、紙のよさとデジタルのよさのメリットを積み上げていく。積み上げていったり組み合わせていくということが本当に最もここでは大事になるのかなあと思います。
 例えば、低学年の子供たちには紙の割合が多くなるとよいというお話がたくさんありましたけれども、私もそのとおりだなと思っていて、紙と鉛筆みたいなのを十分にした後でデジタルに移行していくのがいいのではないかなと思いますが、実際に、例えば漢字の練習ですとか平仮名の練習をするようなとき、書くのは紙でいいんですけれど、筆順なんかは、紙に表す、紙の教科書に筆順を表すのはとても無理があるんですね。ですが、そこをデジタルでやると、1、2、3みたいな感じですごく分かりやすい。そういうところは低学年であってもデジタルでいくべきだなあと思いますので、それぞれのよさを生かせるというところで、やっぱりデジタルを使うことを可能にするというのがまずは大切なのではないかなと思っています。
 また障害のある子、また学習に困難を抱える子供たちにとって、やっぱりデジタルはとっても有効です。こちらの意見のほうにもありましたけれども、実際今は併用していますよね。デジタルと紙を併用していますが、その段階では、デジタルのものを勝手にピンチアウトして大きくしたり、ラインを引いたりという、子供たちが必要に応じてやっています。そういうことができるという意味でもデジタルはとてもとても有効。
 ですので、そういう可能性を将来に向かって担保していくという意味で、デジタルを使えるという状況に早くしてほしいなあと願っているところです。
 17番の事前調査のところにも関わりますけれども、今はまさに併用している。紙と全く同じものをデジタルで用意しているわけですから、まさに併用していますよね。今が、当面の間の今こそが、どちらがデジタルで有効で、どちらが紙が有効かというのを検証するチャンスかなと思います。実際に使っている学校は、多くは得意な学校が使っていると思いますけれども、そうでない人たちも使えばとても便利なわけですから、要するに先生たちに使ったらどうでしたかって、デジタルは有効でしたか、デジタルのほうがよかったですかみたいなことを質問していくことで、この単元や、この学年のこの単元はデジタルに譲ろうか、これはやっぱり紙のままがいいのではないかみたいなことが明らかになっていくのではないかなあと思います。
 実際に本校でもデジタル教科書を使いながら、担任が言っていたのは、回答の履歴は残したいとか、実際に画面上に書き込みたいなんていうことを言っていました。そうすることで、もっともっと利便性が高まるし、即時、評価ができますよね。マルだ、バツだみたいな、そういうことも負担の軽減になったりします。ちょっとここはライセンスの問題とも関わっていきますけれども、そのように履歴を残していくなんていうこともこれからは大切なのかなと思いました。
 というわけですので、本当に学習でも生活でも社会でもデジタル化が進んで、利活用が進んでいるわけですので、ぜひまずはデジタルの教科書を教科書と位置付ける、当然無償で給与していただくということは望んでいるところです。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 それでは、松下委員、その次、松谷委員行きます。松下委員お願いします。
【松下委員】  PTAの立場で参加させていただいております松下です。よろしくお願いいたします。御専門の皆様の御議論をお聞きして大変学ばせていただいております。その中で、内容やら、どっちがいいかとか、そういうところで何か意見をというところで私はちょっと役割としてはできないところもあるので、保護者として少し感じたことをお伝えいたします。
 まず、資料の6の一般の方のパブリックコメントの最後のページですね、まさにこの部分なんですけども、国民と書いてありますが、具体的に保護者対象の広報活動が必要だと感じます。やはり子供の成長を支える第一義的責任を負う保護者が、学校教育に関して意識を寄せなくてはいけないと思います。でも、制度が始まる前に正しい情報が保護者に届かず、制度が始まってから、あわてて保護者が是非を唱えるということが往々にしてあります。せっかくこれだけの御専門の方の多大なる時間をかけた御議論の中での教科書、どういうふうにしていくかという話なので、どういうふうになっていくにしても、保護者が一緒に活用していけるように、子供の学びを支えられるような周知の仕方というのを、私も含め、ぜひ今後深められたらなと思いました。
もう1点、家庭と学校で、端末を使うことの意義の違いという点で、ぜひ学校だからこそのデジタルの活かし方について、保護者も学べたらいいのではないかと思いました。現状では、ほとんどの保護者がスマホを日常的に使っており、子供に「これ何?」と聞かれて分からないときはスマホで検索する、ということが当たり前になっています。保護者も子供と共に学びを深めるということが、スマホの誕生でハードルが低くなっているように感じます。これはとても良いことですが、保護者との学びと学校での学びの違いというのを保護者が認識できるといいなと感じています。
 今、国のほうで掲げられている主体的で対話的で深い学びというものが、家庭ではそこはちょっとなかなか難しい。でも、学校でだからこそできるという。友達がいて、いろんな仲間といろんな媒体を使って学んでいけるということのよさが、デジタルだったり、紙だったりという教科書で実現されると、保護者も教育に対しての向き合い方みたいなものも学べるんじゃないかなと思ってお聞きしていました。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。松谷委員、その後、最後に中川主査代理にお願いしたいと思います。松谷委員、お願いします。
【松谷委員】  私立中高の松谷です。実は3月に、文科省の課長さん、課長補佐の方に来ていただいて、都道府県、47県の方に説明をしていただきました。その後、4月になって私から会議のところを説明をしたんですが、やはりデメリットとメリットというところがあって、特に私学は建学の精神で各校、特徴があるんですね。大学受験を目指すような学校とか、それから、これからのグローバルな国際社会で活躍できるような教育をするとか、いろいろ特徴があるんですが、1点はやはり受験で文献が必要だという先生方はまだ多くいるので、紙が必要だという先生もいらっしゃるし、国際社会の中ではやはり探究学習を中心とした授業を進めている学校もかなり多くなってきました。
 そういう中では、授業の中で、タブレットの中でも10分ぐらいで終わって、意見交換をしたり、生徒がどんどん調べたりする。そういったやはり、特に高等学校ではどんどん生徒が進んで、そして自分から関心を持って、そして学んで議論する。そういった力が、新たに今までと違った力が出てきたのではないかというふうな感じを得ております。
 それぞれの各県の先生方からも幾つか御意見をいただいてきておりますが、やはりこのことについてはぜひ進めてくださいというような私学としての意見です。
 そういう中でどういうものができてくるかというので、いろいろなパブコメが出てきておりますけれども、進めていくのは私学としても賛成だということでお話ししたいと思います。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。では、中川主査代理、お願いいたします。
【中川主査代理】  事務局のおまとめありがとうございます。特に一般の方々や関係団体からの御意見、多岐にわたって大変示唆に富んでいると思います。そのことに関連して私からも一委員として幾つかコメントさせていただきたいと思いますが、まずデジタル教科書の調査についても御意見いただいておりますけども、どの部分をどのようにピックアップしてデータを解釈するかについては判断が分かれるところですけども、調査自体、教育工学とか、情報教育、認知科学、教科教育からなども各分野の専門家が入って検討チームが構成されて丁寧に分析されていると思います。
 一方で今後の調査方法などについては、さらに精査しながら進めていくものと思っています。
 また、少しもしかすると誤解があるかもしれませんが、本ワーキングでは何から何まで全てデジタルが現状においてベストと言っているわけでは決してないわけで、でも、しかし一方で、様々な子供の実態に対応できるデジタルのメリットなどの好事例が事例としてこれまでたくさん見られているのは事実だと思います。
 ですので、先ほどの事務局からの問いかけの一つかと思いますけども、デジタル教科書を使いたいとしている学校や自治体に対して使用を認めないという理由にはならないと思います。
 それからハイブリッドに関してですけども、中間まとめではハイブリッドな形態の教科書を認めることも選択肢として制度上排除すべきではないと言っているだけで、現時点で紙とデジタルに加え三つ目の教科書としてハイブリッドを制作しなければならないという短絡的な結論を出しているわけではないと理解しています。むしろここでは、デジタル教科書の使用を選択する場合であっても、内容や子供の実態によっては、教科書をプリントアウトしたものや副教材、紙のノートを使用することも示している、いわゆる活用のハイブリッドとでもいいましょうか、そこも押さえておくべきかと思います。
 いずれにしてもこれからの子供の学びにとって、子供自らが自己調整する力を育みつつ、少しでも有益だとするものを保証して選択できるようにしていくことが重要に思いますので、例えばメリットを組み合わせた授業イメージを具体的に示していくガイドラインのようなものも個人的には必要と思っています。
 検討すべきことはたくさんある中で、限られた時間ではありますけども、今後の方向性について知恵を絞っていきたいと考えています。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 皆さんから大体挙手いただいた分につきましては御意見いただいたかと思います。
 まず最初に、私、座長としても御挨拶を申し上げましたが、今日皆さんの御意見をいただいて、とにかく包摂性を高めること、子供たちが学びやすくなること、安心して学べるようにすること、そういう大目標の下で今議論しているんだということを確認できたと思います。
 触れられてないところで私が大事だと思っていることを押さえておくと、情報の真偽を見極める話が出ていましたけど、これ僕は大変重要だと思います。これデジタルだからこそより一層そういうことが子供たちの資質・能力として身に付く必要があるわけで、となれば、そのことの指導が、教育課程上もですけども、教材としても、教科書、教材としてもこれはあるべきだと思っていまして、そのことを指導するときに、これデジタル環境でよく起こることだとすれば、デジタルでこういうことを指導する機会をたくさん保証していくということだと思いますが、その初期指導に紙のほうが有効である場合は、それは当然それは紙でやるわけです。こういうようなことが学習内容として話題になっているということは僕は大変意味があることだと思っております。
 もう一つ、紙とデジタルの併用の話ですけども、これ併用という言い方、現行、当面の間ということでそれをやっているわけですけど、これが恒久的に続く、我が国の教育制度として続くべきかどうかというのは、このワーキングの議論だけでなく、もっと上流でしっかりと議論されるべきだと思っていますが、現行では紙の教科書しか教科書はなかった。それの代替教材としてデジタル教科書というものも選ぶことができるようになったということで今二つあるので、これが二項対立の議論を生みがちになるんだけど、いやそうじゃなくて第3の形があるんじゃないのというのが、ハイブリッドとして、それが今後検討される余地をしっかりとこの議論の中には残すべきだというのが中間まとめに書いてあることです。
 子供の目線で考えれば、自分の学びやすい形態を学習内容に応じて、常にデジタルとか常に紙じゃなくて、あるいはどっちも使ってみてみたいなことを学習内容ごとに経験し、だんだん自分の学び方に合って自分で選べるようになるんだと思うんですね。教科書というのはそういう学びの環境を主たる教材として、紙でも、デジタルであっても、より望ましい、学習にとってより望ましいほうを見せながら前に進めていく、そういうものであるべきではないか。つまり、教科書観が変わっていくべきではないかという中でこの議論をしているんだと思います。
 したがって、現在の段階の制度との接続がある意味難しくなる、難しくなっているところですけども、これは当面の間の課題として次回以降しっかり議論していくし、その先の在り方みたいなことについては、このワーキングでの意見交換を含めて、もっと上の委員会や、そういうところでも盛んに議論していただいて、方向感を定めていくし、そして、意見の中にもありましたが、最初からそれに全て新しい形に現場が対応するかといったらそうでもなくて、これは時間をかけて先生方も慣れていくということだと思いますので、そこに一定の時間的な猶予をもって私たちは進めていく必要があるだろうと思っております。
 発行者側からは、そんなこととにかく早く決めてください、そうじゃないと作れませんよという御意見を今日いただきましたが、これもまたごもっともな話です。
 一方で、制度を拙速に決めてしまうことの難しさみたいなことがやっぱりありますので、段階を追ってやっていくということなのかなと思いますし、現行ではどうしても紙中心の学習基盤の中にデジタルを入れていくということの推進、教科書においてもそういうことを推進していくというということで、このワーキングには「推進」という言葉が付いていますけど、これはデジタルしかやらないという意味ではないと。これは中川先生もおっしゃいましたが、デジタルに限るという意味ではありませんので、子供たちにとって学びやすくするための環境をどうしていくかということかと思っております。
 たくさん御意見いただきましたし、これからの課題、論点もはっきりしてきたところかと思います。その論点ですから、これから論じていくということかと思っておりますので、今後も御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、最後になりますが、次回の予定について事務局から御説明をお願いいたします。
【西田教科書課課長補佐】  次回のワーキンググループの日程につきましては、追って事務局のほうから皆様に御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 それでは、2分オーバーしてすいません。本日予定した議事はここまでといたします。
 それでは閉会いたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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