デジタル教科書推進ワーキンググループ(第5回)議事録

1.日時

令和7年1月21日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省
※対面・WEB会議の併用(傍聴はWEB上のみ)

3.議題

  1. これまでの議論を踏まえた論点の整理について
  2. その他

4.議事録

【堀田主査】  皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会デジタル教科書推進ワーキンググループの第5回を開催いたします。本日もまた御多忙な中、御出席いただきまして、皆さん、どうもありがとうございます。
 本日は、坂本委員と奈須委員がオンライン出席となっております。
 それでは、本日の会議開催の方式及び資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【西田教科書課課長補佐】  説明させていただきます。本会議は、前回と同様、対面とオンラインのハイブリッド形式での開催でございます。オンラインで参加されている方もいらっしゃいますので、会議を円滑に行う観点から、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時も含めて、会議中はオンにしていただくようお願いいたします。御理解のほどよろしくお願いします。
 次に、資料の確認をさせていただきます。本日の資料でございますけれども、議事次第に記載のとおり、資料1と参考資料が1から4となっております。対面で御参加の委員には紙でもお配りしております。御不明な点がございましたら、お申しつけください。
 以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 それでは、早速議題に入りたいと思います。本日は、これまで4回の議論を踏まえた論点の整理について議論をしてまいりたいと思います。
 また、本日は、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 では、議題に入ります。議題1ですが、これまでの議論を踏まえた論点の整理についてということになります。
 一応、確認しておきますと、このワーキングは昨年7月に設置されました。上位には中教審、総会、初等中等教育分科会、あとデジタル学習基盤特別委員会があって、その下の、デジタル教科書のことを検討するワーキングということになります。これまで4回、様々な方面からのヒアリングや討議を重ねてきたところです。
 特に会議期間の前半のほうでは、紙の教科書とデジタル教科書を併用しているこの現状において、このことを私たちは政策上は「当面の間」と言っているわけですけど、この「当面の間」の推進方策、デジタルと紙の上手な使い分けも含めた、そういう推進方策について議論をしてきたということになります。
 だんだん後半になるに従って、この「当面の間」がいつ終わるか分からないですけど、この「当面の間」以降のデジタル教科書の制度的な在り方について、これをもうちょっとちゃんと議論しておくべきではないかという意見が出て、それについていろいろ議論してきたと。だんだん深まってきたところだと思っております。
 特に多くの委員の方々から、この「当面の間」以降の制度面の見通しというのは、少し早めにしっかり提示しておかないと、いろいろな対応が難しくなるのではないかという御意見もいただいているところですので、この「当面の間」以降というのをしっかりと論点として整理しておく必要があるだろうと。
 また、今はまだ「当面の間」の中ですけれども、この「当面の間」の中の推進をどういうふうに進めていくのかということについても、この「当面の間」以降をどうしていくのかということが大体見えてくることを踏まえて、見通しを踏まえて検討していく必要もあるだろうと。
 したがって、一旦「当面の間」とそれ以降というふうに分けているわけですけど、この二つは連続的であるということを私たちは認識して、意見を区別しながら検討しているということになります。
 今回は、事務局にお願いしまして、この「当面の間」以降の制度面のことについて、皆さんからいろいろと御議論いただいた、その御意見を基本的な論点として整理してもらいました。今日、この後、そのことを説明いただいた上で、次回には中間的な大まかな方向性を、こういう議論が出てきました、こういうことがこれから議論しなきゃいけない論点ですということを示していけるように、次回には整理できるように、今日、たたきの議論をしたいというふうに思います。
 では、事務局より資料1の説明をお願いいたします。
【黄地教科書課長】  事務局でございます。資料1を御覧ください。
 1枚おめくりいただきまして、2ページでございますが、こちらは今後のスケジュール感を仮定のものとして御提示させていただいておるところでございます。本ワーキングの立ち上げの趣旨の一つに、新しい学習指導要領も見据えということでございますので、仮に新しい学習指導要領に間に合わせるのであれば、こういったスケジュール感ではなかろうかということで整理したものでございます。
 まさに新しい学習指導要領の検討が今後進んでいくところでございますが、前回の学習指導要領の例を取りまして、あくまで仮定ということでこちらに掲げさせていただいております。仮に2030年度に新しい学習指導要領が進むとした場合に、その時点でそれに対応した教科書が使用できることを念頭に置く場合は、それに先立ちまして、こちらにございますように、著作・編集、検定、採択・供給、またはそれに先立って、まさにこれからの議論次第ではございますが、制度改正が必要な場合には、あらかじめしておく必要があるということでございます。
 次のページを御覧ください。本ワーキングのかなり早い段階で、新しい学びの姿を念頭に置きながら、その実現のためにデジタル教科書の在り方を検討すべきではないかといった御意見も頂戴したところでございますので、御参考までに、これまでの中教審の答申ですとかワーキングの報告をはじめ、各種の資料を御参考までにつけさせていただいております。
 4ページ、5ページにございますように、これも過去の資料の一部でございますが、時間の関係もありますので細かい点は省略させていただきますが、一言で言うなれば、個別最適な学び、あるいは協働的な学びを一体的に推進することによって、主体的・対話的で深い学びを実現していこうというのが大きな流れになっているところかと存じます。
 そういった中で、次の6ページを御覧いただければと思いますが、こちらは今後の教育課程などの在り方に関する有識者検討会の論点整理、昨年の9月に文科省から出させていただいたもののうち、教科書についても幾つか触れられている箇所がございましたので、それの抜粋をさせていただいております。
 特に赤印のところを御覧いただきますと、教科書の厚さの問題が触れられている点ですとか、あるいはデジタル教科書も含め、デジタル学習基盤は今後の学びを支える重要なインフラである点ですとか、随所に触れられているところでございます。
 こういった流れを受けまして、7ページにございますように、教育課程の基準等の在り方についてということで、新しい学習指導要領の諮問が昨年の12月になされたところでございます。
 また、9ページを御覧いただきますと、そういった流れの中でデジタル教科書の在り方はどうあるべきかということで、これは令和5年の特別部会で配付された資料の一部でございますけれども、デジタル教科書はシンプルで軽いものであるということをベースに、多様なデジタル教材、多様な学習支援ソフトウェアと連携することが期待されるというものでございます。
 また、次のページを御覧いただければと思います。これまで4回のワーキングを重ねていただいている中で、事務局としても、実証研究による成果などを随時参考資料としてつけさせていただいておりますが、それを1枚にまとめたものでございます。左の欄にございますように、様々な形で学びの姿が大きく変わって、右にございますように、例えば、学力調査が向上したなどをはじめ、実際の学習効果が見られているという内容をまとめさせていただいております。
 次の11ページでございます。まさに本日御議論いただきたい論点がこちらでございます。左に書いてございますものが、これまでの議論を踏まえた検討の視点ということでございますが、いずれもこれまでのワーキングで出てきた意見をできるだけ簡潔にまとめたものでございます。
 まず、1つ目が、新たな学びの実現に向けては、設置者、教育現場、学習者本人の創意工夫や主体性が最大限生み出されるような環境の実現が極めて重要ではないか。
 2点目として、その際、納得や共感を得ながら、社会状況の急速な変化や様々な教育ニーズに適時・適切に対応していくためには、どのような制度設計とすべきか。
 3点目といたしまして、全国的な教育水準の向上や機会均等の観点から、義務教育教科書の無償や質の保証など大原則の堅持は前提とすべきではないか。
 4点目として、DX化が進む中であっても、紙、デジタル、リアルそれぞれの利点が指摘され、活用度合いも学年、教科、学習場面によって異なる中、紙かデジタルかといった二項対立の議論に陥ることなく、望ましい学習環境はどうあるべきかという観点が大事ではないか。
 5点目といたしまして、デジタルのみ、紙のみを使用する現場が存在し、どちらか選べるようにしてほしいとの意見もある中で、先日のワーキングでも御意見を頂戴いたしましたが、教科書としてデジタルのみを使いたいという意向がある場合に、こうした声にどう応えるか。
 6点目といたしまして、ページ数、QRコードが大幅に増大し、現場への負担も指摘される中でどう対応すべきか。その際、教科書を網羅的に教えないといけないという現場の認識があり、それによって採択が行われているとすれば、やはり新しい学びに対する現場の意識の変革も併せて必要ではないか。
 この関連で、QRコード先のコンテンツの位置付けも整理すべきでないかということが、これまでの議論でおおむねいただいた点ではないかなと思います。
 こうした視点を踏まえまして、本日また御議論いただければと思いますのが、右の欄にございます6点でございます。
 1つが、現行のデジタル教科書は紙の教科書と同一内容である教科書代替教材でございますが、この取扱いから、さらに検定・採択・無償給与などの対象となる教科書として取り扱うことを可能とすべきか否か。仮に可能とする場合に、教科書の一部が紙媒体またはデジタル媒体であるハイブリッドな形態の教科書も認めるべきか否かというのが1つ目でございます。
 2点目の論点として、論点1を認める場合に、教科書と教材の線引きを改めて明確にすべきではないか。その際、QRコード先のコンテンツは、教科書相当の内容に限り教科書として認めてよいかどうか。
 3点目の論点として、これはほかの会議でも御指摘いただいているところでございますが、紙、デジタル共に分量の精選、あるいは創意工夫を促す新たな学びにふさわしい内容・構成が必要ではないか。
 4点目の論点として、デジタル教科書の使用は全国一律の対応とすべきか、それとも選択肢の拡大による採択権者の主体的な対応とすべきかどうか。
 5点目として、デジタル教科書を認める対象となる学年や教科などについて、法令で規定すべきか、実態に応じて柔軟に運用できるようにすべきか。
 6点目として、並行して行うべき推進方策は何か。
 7点目として、先ほど1ページ目で御説明いたしましたが、こうした今後のスケジュール感をあらかじめ明確化すべきでないか。
 以上、7点を事務局として御準備させていただいたところでございます。
 また、12ページ以降は、こうした7つの論点に対応する資料を、御参考までに御準備させていただきました。
 まず、論点1として、先ほど申し上げたとおり、デジタル教科書を教科書とすべきかどうかという点で申し上げますと、現行は、先ほど申し上げましたとおり、代替教材でございますので、教科用図書として仮に認める場合には、この中ほどに書いてございますような、使用義務、検定、採択、無償給与、こういった法令が適用されることになりますが、こうした点をどう捉えていくかということでございます。
 また、次のページ、13ページを御覧ください。論点丸1に関連しまして、ハイブリッドな形態も認めるべきかどうかということで、このハイブリッドな形態のイメージについては、前回のワーキングでも御意見を頂戴したところでございますが、そのイメージを簡潔に記載したのがこちらの資料でございます。
 中ほどにございますように、全て紙、あるいは全てデジタルではなくて、一定の部分、特にデジタルがなじむ部分はデジタル化して、それ以外の部分は紙にしたようなハイブリッドな教科書を制度上許容するかどうかという論点でございます。
 続いて、14ページを御覧ください。具体的にその紙部分はどうなのか、デジタル部分はどうなのかというものを、前回のワーキングでの御発表や御意見に基づいて整理させていただきました。
 これを全て紹介させていただくと時間が過ぎてしまいますので、上の二つのみ御紹介させていただきますと、例えば、紙部分には中核的な概念の習得に関する内容ですとか、最低限の要素的知識を述べた上で、デジタル部分としては、それ以外の詳細な説明や個別の知識などといった役割分担があるのではなかろうか。
 あるいは、その下にございますように、本文部分は紙部分でありながら、発展的な内容やコラム、あるいは学び方の例などはデジタル部分として記載したほうがよいのではないか。
 あるいは、その下にございますように、例えば、英語の音声ですとか、算数・数学のシミュレーションですとか、デジタルの特性が生かせる部分についてはデジタルにして、それ以外の部分は紙にしたほうがいいのではないかといったようなイメージ例を、御参考までに記載させていただきました。
 これもあくまで一例ということで、前回も御発表いただきましたので、新しい学習指導要領の議論ですとか、現場のニーズも踏まえてさらに検討されるものではないかなというふうに認識してございます。
 次の15ページを御覧ください。こちらは、教科書と教材の区分けについてまとめたものでございます。デジタル教科書の場合、こちらの中ほど枠囲いの白丸にもございますように、様々なデジタル教材とつながり得るわけでございますが、その場合にどこからどこまでが教科用図書なのかを改めて明確にする必要があるのではないかということでございます。
 教科用図書は、学習指導要領に基づき指導する内容が組織排列された主たる教材ということでございますので、これはそういった性格が変わるものではないかなと考えられます。したがって、学習指導要領に基づく必須の内容については引き続き記載されることが必要ではないかなということで、その下に教科用図書と教材の例を改めて書かせていただきました。右にございますように、副教材としては、ドリル、ワーク、プリント、様々なものがございますが、これらはいずれも学習指導要領の指導事項を組織排列したものというよりは、特定の学習場面に特化したものを分かりやすくまとめたものではないかなというところで、大きく教科用図書と異なる点ではなかろうかと考えられます。
 次の16ページを御覧ください。こちらは、QRコードと教科書の関係性を整理したものでございます。一つ目の白丸にございますように、QRコードで教科書と一体的に現在提供されているものでございますが、このQRコードの先のデジタル教材というのは、教科用図書ではなくて、あくまで教材という位置付けでございます。
 一方で、二つ目の白丸にございますように、増加するQRコードについても、全て扱わなくてはならないのではないかといった現場の負担感、あるいは、採択のプロセスで教育委員会などが確認する負担感など、さらには発行者の負担、もろもろございますが、こうした在り方を見直す必要があるのではないだろうかということでございます。
 そうした点を踏まえて、その下に書いてございますように、図示してございますように、現行では、一体的に紙の教科書とQR先のデジタル教材が提供されることになります。これが、先ほど御紹介したとおり、様々なところで負担感があるということでございます。
 一方で、「当面の間」の以降としては、先ほど論点の丸2で御説明申し上げましたように、一つの考え方としては、一体的な使用そのものを否定する必要性はないにせよ、検定あるいは採択で適用される部分としては、QRコード先は教科書相当の内容に限り認めてよいのではないかといったような論点でございます。
 続きまして、17ページでございます。同じくQRコードに関する論点でございますが、先ほど採択での負担感ということを申し上げましたが、本来でいえば、教科書採択というのは、教科書の内容を審査して、適切な教科書を採択していただくのが制度の趣旨でございますが、実際、下の円グラフにございますように、多くの採択の場では、QRコードの部分についても採択の一つの材料として取り扱われているところでございますので、言わば教科書以外の部分で採択に影響が出ているとすれば、それは適切な状態ではないのではないかということでございます。
 さらに、教材の場合は、基本的に学校が適切に判断して選択すべきものでございますが、一方で、その下の円グラフにあるような状況からすると、教育委員会が採択のときに確認する負担が生じておるということで、これが適切かどうかという問題。
 さらには、発行者が作成するということで、それ自体、負担の要因になっているのではないかという点をどう捉まえていくかということでございます。
 また、一方で、次のページでございますが、こちらはQRコードに限らず、教科書の分量が大幅に増加しているというグラフを下につけさせていただいております。折れ線グラフの部分が標準時間数の推移でございますが、標準時間数がそれほど変わらない、あるいは、減少している中にあっても教科書のページ数は大きく増大しているということが見てとれるかと思います。
 こうした中、一つ目の白丸にもございますように、現場で教科書の内容を網羅的に教えなくてはならないという考え方が依然として根強く、負担感を生んでいるという実態も指摘されているところでございます。
 一方で、次の白丸にございますように、多様な学習材に、1人1台端末を活用してアクセスできるようになっているということからすれば、教科書を網羅的に教えるという点に縛られるのではなく、様々な学習場面に応じて適切な学習材を選択して使用するといった意識改革も必要ではないか。あわせて、教科書もそうした多様な学習材と組み合わせて使用するという中において、内容や分量の精選が必要ではないかという問題意識でございます。
 続いて、19ページでございます。先ほど申し上げたものをもう少し詳しく文章化したものでございます。一つ目の白丸にございますように、従来型の教科書観の転換については、平成20年の教科用図書検定調査審議会の中でも触れられてきたところでございます。
 一方で、二つ目の白丸にございますように、入試が必ずしも十分変わっていない中で、やはり教科書の内容を全て教えなくてはいけないという考え方も依然として根強く残り、また、採択にもそうした傾向が表れている中で、負担感を生んでいる実態も指摘されているという中で、どう今後取り扱っていくかという点でございます。
 そうした中で、三つ目の白丸でございますが、前回のワーキングでも御意見を頂戴しましたとおり、また、最近の教育課程等の在り方の有識者検討会の論点整理や中教審の諮問でも取り上げていただいてございますとおり、各教科の中核的な概念を用いた学習指導要領のさらなる構造化の必要性も指摘されている中で、教科の主たる教材である教科書の内容・構成はどのように考えられるかという点でございます。
 例えばということでその下に書いてございますけれども、教科書は教科などの中核的な概念に関する理解をつかみやすいものとしながら、多様な学習材を組み合わせるための基盤を向上させ、教科書で得た理解をさらに広げていくために、様々なデジタル教材を活用していくといったような役割分担なども考えられるのではなかろうか。そうした検討の中で、教科書記述の量の精選も必要になるのではないかという論点でございます。
 次のページを御覧ください。これに連動して、QRコードの数も大幅に増えてございますので、おのずから教科書の内容の精選の議論の中で、こちらのQRコードのこうした増大傾向にどうやって歯止めをかけていくのかという点も論点としてあろうかと考えております。
 以上が大きな論点でございますが、さらに、引き続き検討が必要となる論点につきまして、21ページに整理させていただいております。いずれにしても、先ほど特に11ページで御紹介したような大きな方向性を踏まえて、こちらに書いているような様々な論点をさらに検討する必要があるのではないかということで、その例を書かせていただいております。
 こちらにございますように、一つ目は、「当面の間」の推進方策としてどういったものがあり得るだろうか。あるいは、その下にございますように、検定の在り方、採択の在り方、発行・供給の在り方、著作権、さらに音声教材などの特定図書などの関係、様々な論点がございますので、こちらにつきましてはまた引き続き御議論いただければと考えております。
 説明は以上でございます。
【堀田主査】  丁寧な説明、ありがとうございました。
 今回は事務局にお願いして、「当面の間」の話も、私たちがやってきたことが整理された上で、「当面の間」以降をどうするかということの、これ、すぐ決められる話ではないんですけど、論点というか、こういう議論が必要だということの洗い出しをしていくために、こういうふうに資料を整理していただきました。
 今日はこの11ページ、「当面の間」以降のデジタル教科書の在り方について、これまでの議論を踏まえた視点と、右側の論点、こういうようなことについて、委員の皆様からの御意見を今日頂戴したいと思っております。今日の議題はこれだけですから、これについて、何番のところなんですけどとかいう形で御意見をいただければ幸いでございます。委員によっては、もしかしたら2回とか3回とか発言したい人がいらっしゃるかもしれませんが、そういう時間を担保するためにも、一つ一つの発言は一旦短めにしていただいて、いろいろな意見が出てきてかみ合っていくといいなと思っているところでございます。
 それでは、御発言ある方は画面上で挙手いただいて、そして、私のほうで御指名さしあげたいと思います。
 早速、坂本委員、オンラインですけど、挙手いただいておりますので、坂本委員、恐縮ですが、まず最初によろしくお願いいたします。
【坂本委員】  東京都の教育長の坂本でございます。ちょっと冒頭、私のほうから三つほど申し上げたいことがあるということで、今から発言させていただきたいと思うんですが、まず一つ目、説明の中でも、「当面の間」ということで、これのいろいろなことを、何をどう考えていくかという話だったんですけど、その「当面」がいつ終わるかよく分からない中でというようなニュアンスも出てきていたんですけれども、やっぱりこういうデジタルに関する内容というのは、スキームもスタイルもツール自体も移り変わりが非常に急速なので、そういう中にあって、あまりこの「当面」がだらだらと続いて、いつまでも何も決まらない状態というのは、できるだけ早めに解消したほうがいいんじゃないのか。端的に言うと、早期に対応の方向性というものをしっかりと打ち出す、そういうスピード感が必要なんじゃないのかなというふうには思っております。当然、内容が多岐にわたるので、いろいろと縦横を合わせながらしっかりやらないといけないというところは分かるんですけれども、やっぱりデジタル化って速いですよね、全般として。そういう中で、やっぱりスピードアップというような、そういう心構えといいますかね、心持ちというものが必要なんじゃないかと。ちょっとこれは総論に係るところで一つ申し上げておきたいと思っています。
 それと、論点の中でも、やはりリアルとどう組み合わせるのかという、そういった部分についての議論というのは当然これは出てくるんですけれども、全てデジタルとか、全てリアルというのは、これは現実的な話ではないと思うので、それぞれの利点を十分に生かす最適解をどうやってつくり上げるかというのは、これ、議論のフレームにしておいたほうが私はいいんではないのかなというふうに思います。
 逆に、デジタルに寄せ込むためにはどういうふうにしていったらいいのかとか、できるだけリアルをメインにしながら、デジタルを少しだけ入れていくような方向性にしようとかという、そういうちょっとバイアスのかかった議論というよりは、どうやって両立をさせていくのが適切なのかという考え方に基づいて様々な論点を検討していったほうがいいのではないかと思っております。
 あと、三つ目なんですけれども、デジタルというのは実は普遍的なものであるかのように見えて、我が国全体で見た場合には、これは私、全国の教育長会連合会の会長という立場も踏まえて申し上げるんですけれども、決してノベタンで全部同じ基盤が整っているわけではないということは、デジタルについてはこれは共通して言えると思うんですね。
 それと、地域地域によって、デジタルをどうやって使ったら、その地域において最適な形で教育を展開することができるか。これはかなり、やはり、違い、温度差というものがあると思います。
 そういう中で、この議論の中でも、一律のフォーマットをつくることは大切なんですけれども、フォーマットからどれだけそれぞれが地域に応じてバイアスをかけて少し違うことを展開する余地があるのか。そういうフリーハンドを地域の実情に応じて展開できるように、そういう仕組みづくりを考えていただけたらいいなと。
 標準フォーマットをどうしますかという話には絶対なるんですけれども、そのフォーマットを踏まえた上で、地域の実態に応じてそれぞれが柔軟に対応できるような仕組みづくり、これは地域の意見をよく、さらには地方の意見を聞くということは非常に重要になると思うので、そういうものをしっかりと聞いた上で実施方法を検討していただければと思っております。
 一つ一つの論点にということではあったんですけれども、一つ一つの論点の前提として、ちょっと私のほうからこの三つほど申し上げておきたいと思います。そういうような形で御議論を進めていただけたらと、冒頭申し上げておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【堀田主査】  御発言ありがとうございました。
 今、「当面の間」の話もありましたので、事務局から御説明をもう一度いただければと思うんですが、いかがでしょうか。
【黄地教科書課長】  まさに今日もその御議論をいただければ幸いでございますが、先ほど資料1の1ページにございましたとおり、これもあくまで仮の姿として書かせていただいたものでございますが、新しい学習指導要領で、それに対応した教科書が使用できるようにするという意味で制度改正を行うということに仮になるのであれば、ここでは仮定として2030年度と書いてございますが、2030年度が「当面の間」以降ではないかなと。逆にそれまで、本年度2025年でございますので、あと5年ございますが、この5年間は「当面の間」という位置付けであろうかと考えられます。この辺りにつきましても御検討いただければ幸いでございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 今、坂本委員から非常に大きな枠組みのお話をいただきました。これまで4回の議論の中でも、子供たちの学びからリアルがなくなるなんていうことはあり得ないし、そんなデジタルの使い方はよくないというのは前提となっていたように思います。それは当然のことですし、デジタル教科書を使っている場合も、紙の教科書やノートや資料などを使っていないわけでもないし、そういう意味では、様々な学習活動の中でちょうどいい具合というのを、これというのは校種によっても教科によっても、恐らく先生の指導法によっても変わってくるわけですけど、そのあんばいを先生や子供たちの実態に合わせてしっかりと選択できるように、そういう選択可能性を高めていこうという方向で私どもは議論しているということでございます。
 また、そのためには、マストとして標準的にどうしなきゃいけないかという、これは制度の問題、法律になりますから、その話と、それを踏まえてどのように実態に合わせて適用できるかという運用の話をうまく区別しながらやっていかないといけないという議論はこれまでも出てきているところでございまして、まさに坂本委員のおっしゃったとおりで、そういう枠組みで進めてきているところでございます。
 第一義的に重要なのは、紙にするか、デジタルにするかということを決めることよりも、子供たちにとって、本来これからあるべき学びはどうあるべきか、そのために様々な主たる教材やデジタルの利点を生かした、そういう学びの支援をどのように提供するのが私たちとしては望ましいことなのか、そのために制度をどのようにしていくかという話でありまして、となると、これは「当面の間」以降の場合は、次の学習指導要領がどういう方向になっていくのかという検討、これはこれから始まるんですけど、その検討と歩みをそろえながら、しかし、制度であれば、先に検討して法律をかけないといけないようなこともありますので。そういうようなことで、今日何かを決めるわけじゃなくて、論点を洗い出しておきましょうということになっているということでございます。多少説明的になってすみません。そういう状況でございます。
 それでは、ほかの委員の方もぜひ御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 皆さん今いろいろ考えていらっしゃるので、僕、少しつなぎますが、「当面の間」の話というのは、現行の学習指導要領の下でということです。現行の学習指導要領と現行の法令では、紙の教科書が主たる教材であり、それをデジタルの教科書を使った場合も、それとみなしてよいというふうに現行はなっているわけですね。あくまで補完のためということになっています。
 そのために、デジタルの教科書は紙の教科書と同等であるということがついており、検定は紙の教科書でやるけれども、それと同等なものはデジタル教科書としてみなし、それを使って学んだ場合は紙の教科書で学んだのと同等だというふうにみなすということになっているわけですけど、「当面の間」はそれで仕方がないんですけど、その後はどうするかという。結構これ、大きな話になりますので、どうやってデジタルで有効に学習指導するかみたいな話と、今後のことを考えると、どういうふうに制度を大きく変えていかなきゃいけないか。簡単にはいきませんので、論点の洗い出しからまずやろうというのが今日の会議でございます。
 とつないだところで、岡本委員から行きましょう。岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】  教科書協会の岡本でございます。よろしくお願いいたします。
 今回は事務局の方々に論点を整理していただいたので、検討する必要のある項目が明確になって、発行者としてはすごく意見を述べやすくなったと思っております。大変感謝しております。ありがとうございます。
 それと、先ほど坂本委員のほうからありましたことに対応する形で、まず意見を二つほど述べさせていただきたいと思います。一つは、スピード感のある点というところ、主にスケジュールのお話になろうかと思います。それと、もう一つは、全てデジタル、全てリアルではない最適解というようなお話がありましたので、そのハイブリッドな形の在り方、この2点についてまず意見を述べさせていただきます。
 スケジュールに関しましては、先ほど御説明いただいた資料のp2のところに、2030年までの仮定でスケジュールを引いていただいて、作り手側としては、前回を思い出しながら見ておったところです。今回、学習指導要領の改訂と併せまして、教科書のデジタル化が重なってきますと、前回以上に作業的には過密になってくることは容易に想定ができまして、前回も学習指導要領の改訂時期は内容が大きく変わりますので、教科書の中身をそろえていくのが非常に大変なわけですけれども、そこにデジタル化ということになりますと、さらなる作業が加わるということで、前回よりも早め早めに制度改正、必要なものをしていただく。とりわけ発行者にとりましては、検定基準というのを基に教科書を作成して検定が行われるので、どういったものであれば教科書として認められるのかという基準づくり、これを早めに進めていただいて、デジタル化されたものも発行できるような体制を整えていただきたいというのが1点目です。
 それから、ハイブリッドな教科書に関しましては、事務局のほうから分かりやすい図が示されておりました。ページ数でいうと13ページ目の資料ということになろうかと思いますが、これを発行者側の視点で見ると、「当面の間」以降、紙の教科書があって、デジタル教科書があって、ハイブリッドな教科書があって、これを3種類出さなくちゃいけないというようにも見えてしまうんですけれども、これはこの三つをラインナップとしてそろえなくてはいけないということではなくて、発行者の自由といいますか、裁量の中で行われるということで捉えてよろしいかというのを確認させていただきたいと思っております。今申しましたように、デジタル化が重なって、かなり制作日程が過密になる上に、今まで1種類出していたものを今度3種類出せと言われると、ちょっと対応できる発行者はいないかもしれないなというところで、その辺りの捉え方、この辺りを確認させていただきたいと思いました。
 それから、これも念のための確認ですが、続いて14ページのほうに、詳細の御説明は省略されておりましたけれども、社会科、理科、技術、家庭、音楽などが下のほうに示されておりまして、この部分を見ますと、紙部分に何も書かれていないということで、これがフルデジタルの教科になるかと見てしまうと、何か誤解が生じるおそれもありますので、念のための確認ということで、あくまでも一例であって、ここに紙部分がないからといって、紙部分が不要だと規定しているわけではないということを確認していただければと思いました。
 一旦、以上でございます。
【堀田主査】  発行者側の貴重な意見をいつもありがとうございます。
 事務局、何か答えますか。
【黄地教科書課長】  事務局からお答えするとすれば、先ほどの14ページの空欄の部分でございますけれども、ここはどちらかといいますと、デジタル部分になじむものを特に主眼として書いたほうがよいかということで整理させていただいたものでございますので、それ以外の部分についてをどうするかというところまでも意識してまとめたものではございません。おっしゃるとおり、あくまで一例ではないかなと思ってございます。
【堀田主査】  今日出た資料は何かを決めた資料ではありませんので、いろいろな例を出して皆さんに御意見をいただいて、これから中間的に少し整理をし、さらにその後、いろいろな方面からまたさらに御意見をいただいて、ようやくこのワーキングとして、こういうことが議論が必要だ、方向付けとしてはこういう感じじゃないかということを出すための、本当に一番最初の段階です。
 ですので、ここに書いてあるからそうしなきゃいけないということを言っているわけではありません。3種類出したい教科書会社があるからそうするべきだという御意見もあり得ると思うし、いや、真ん中だけでも全部やろうとか、それのハイブリッドの割合は各教科書会社が自由に決められるようにすべきだみたいなこともあろうと思うし、14ページで言えば、どこまでデジタルでやるかを国が決めてほしいという話なのか、そここそ教科書会社の取り柄の部分なんじゃないかとか、そういうようなことをいろいろな角度から御意見をいただければと思うところでございます。ありがとうございました。
 それでは、中村委員、阿部委員の順番で参りましょう。お願いいたします。
【中村委員】  中村でございます。よろしくお願いいたします。
 今回の論点整理につきましては、前回、私のほうでちょっと勝手言ったハイブリッドというようなことの想定をした上で、どんなところに課題があって、どこを乗り越えていくことが必要なのかといったことを本当に分かりやすく整理していただきまして、自分がここについてきちっと考えていけばいいんだなということがよく自分でも理解できたところです。ありがたいなと思っております。
 その上で、今日の11ページの資料の論点2と3について少し確認のお伺いをさせていただきたいなと思います。
 まず、丸2のQRコードについてです。まず、QRコード先について教科書相当と認めるかどうかについての一つの視点かと思うんですが、このQRコード先は公なのか、民間なのか。例えば、作成は誰がしたものなのか。もしくは、ウェブ上のものを参照するといったものの場合、ウェブ上のものというものは本当にたくさんあると思うんですけれども、それが教科書相当のものというものに考えるとしたら、それは民間が作ったものでも教科書相当として考えるのか、それとも、公のものとして考えるんだとしたら、それは誰かが作り直すのかというような、QRコード先のところ、その部分が教科書相当というのがどこまで、民間まで入っていいのか、公なのかというところが少し、どのようにお考えなのか伺いたいという部分です。
 さらに言うと、QRコードというのは、参照の先がまた深掘りされてしまう可能性があるかと思います。どこまでを深掘りするのか。例えば、参照した先にまたリンクが張ってあったりとかという部分が出てきた場合にはどう考えたらいいのかという部分、二つ目です。
 あとは、三つ目です。子供たちが自らアクセスして、自分の視点または興味関心によって学びを広げるという趣旨がもしあるとしたら、その部分を担保するとしたら、あまり安心というフィルターバブルの中だけで子供たちが学ぶことというものも少し懸念されるというふうに私もちょっと考える部分があるんですが、そこについてはどのように考えたらいいのか。
 この三つ、QRコードというキーワードに対して確認したい部分であります。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田主査】  一応事務局に振りますが、それは決まっていないことなので、事務局が整理したときどういうふうな形で整理されたかということをお答えいただければと思いますが。
【黄地教科書課長】  現状で申し上げますと、QRコード先のデジタルコンテンツも、基本的には教科書を作成した会社で必ず作っていただいて、管理できるようにしているというのが前提でございます。
 他方で、先ほど論点で御紹介いたしましたとおり、教科用図書ではございませんので、そこの教科書以外の部分でもって採択に影響が出たり、あるいは、QRコードも含めて、全体の分量として多過ぎるのではないかという様々な論点をどうクリアしていくかということが大事になるのかなと考えられます。
 したがって、どこまで深掘りするのかという点については、こちらで書かせていただいておりますのは、先ほどハイブリッドの教科書の御議論、お話も少しございましたが、ハイブリッドの教科書というのも、まさにこれからどういったものかというのを検討いただく点も出てまいりますが、一方で、その際に、ハイブリッドのデジタル部分というものがあった場合に、そこの部分は当然教科書でございますので、そういたしますと、QRコードの先のコンテンツというのは、教科書として位置付けたほうがいいのではないかと。したがって、今まで教材だった部分が教科書になるというものではございませんが、一方で、今ある教科書の中でもデジタルになじむ部分、あるいは、デジタル教科書で機能としてよく使われている部分についてあった場合には、教科書相当の内容になり得るという点があり得るかと思います。
 逆に言うと、それ以外の部分はデジタルコンテンツということになりますが、一方で、それが採択の場で一体的に提供されるものとしてみなされてしまうことになりますと、今の採択で教科書以外の部分も含めて採択の材料になるとすれば、それは今まで指摘された課題がクリアできないということになりますので、その辺りをどう整理すべきかというところが今回の論点の一つにあり得るのかなと思っております。
 その辺りの問題意識として、先ほど御用意した資料の中の16ページあるいは17ページに、御参考となるよう資料を御用意させていただいているところでございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 というわけで、QRコード先のコンテンツをどうするかをちゃんと議論しなきゃいけないということが論点として上がっているわけですけど、委員の皆さんには、こうしておいたほうがいいんじゃないかみたいなことも、もし御意見あれば、ぜひ重ねていただければと思うところです。
 これは、簡単な話ではありません。特に動画みたいなものは検定可能なのかとか、あるいは、検定意見をつけたら、期間内に修正可能なのかとか、現実性みたいなこともありますし、様々なことがここには後ろ側にありますので、教科書と教材の線引きみたいな話だと思うんですけど、デジタルになると、そこのところの難しさというのは今以上に多少出てくるよねと。今の紙の教科書からQRコードで飛ぶというのだけでも、いろいろ考えなきゃいけないことがある。これは「当面の間」の話ですけど、「当面の間」以降となると、デジタル部分を教科書の一部とみなすとなった場合に、そこの検定の話につながるということかと思います。皆さん、ぜひ御意見もいただければと思います。
 挙手いただいているので、阿部委員、参りたいと思います。お願いします。
【阿部委員】  阿部でございます。論点のまず1番からですけど、このワーキングで何回も話していて、恐らく全会一致で、ハイブリッドな教科書、もしくはデジタルの教科書は教科書と呼ぶべきということは皆さん思っているところと思います。
 その内容や割合や、そういうものについては、ちょうど13ページの真ん中にデジタルと紙が半分半分なのがハイブリッドで示されていますけれども、この割合は左に寄ってもいいし、右に寄ってもいいしという出来上がりになるのではないかなということが予想できています。
 今後を見据えて、今後というのは、この改訂のさらに10年後を見据えたときに、より望ましいものということで考えていく必要があろうかなというふうに思います。ですので、デジタルのほうが望ましいだろうと思うものはデジタルで、紙のほうが望ましいと思うものも必ずあると思いますので、それは紙でというこの割合は、ちょうどいいところに着地させてほしいなというふうに思っています。
 それから、論点の3、4、5、6に関わりますけれども、対象となる教科や学年や、それぞれが柔軟に決められるようにしてほしい。実態に応じて柔軟に運用できるようにしてほしいなと思っています。やっぱり小学校1年生、2年生は紙のほうの分量が多くなるんじゃないかと思いますし、上の学年になればなるほど、デジタル部分が多くても対応ができると思っていますので、そのようなつくりは、法令で規定するのではなくて、慣れが進んでいけば、その年齢は下がっていくだろうしということがありますので、法令で規定することではないのではないかなというふうに思っています。
 それから、推進方法に少し関わりますけれども、一番大切なのは新しく求められる学びの姿だと思います。これまでも何度も学習指導要領は改訂されてきていますが、従前と授業はあまり変わらないんですね。それはなぜかというと、先生たちは、自分の授業のモデルは、どうしても自分が受けてきた教育なんです。小学校だったら自分の小学校のときの授業、それがモデルとなっているので変わりようがないというのがあると思います。そこを覆すような研修なりモデルを示していかなければいけないので、そこにちょっと熱量をかけていく必要があるかなと思っています。
 やっぱり現場の意識を新しい学びの姿に寄せる。そして、望ましい授業ってこんなのだよというモデルを見せるということを、各学校で、自治体でということを繰り返し行う中で、そういう授業をできる人が増えていけば、おのずと全体がそのようになっていくのではないかなと思います。
 ひとまず以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。現場目線のお話をいつもありがとうございます。
 だからこそ、まずは現行の状況の中で普及して、それを利活用をたくさんしていただいて、利活用した人ほど可能性を感じるというデータは出ていますので、そういうことを取り組んでいただく必要があるんだというふうに思います。ありがとうございました。
 次、奈須委員、お願いしたいと思います。
【奈須委員】  よろしくお願いいたします。まず、考えているのは、デジタル学習基盤になってきて、教科書だけじゃなくて、いろいろな意味のデジタル機器が日常的に子供によって使われる。それで何が起こるかというと、子供がアクセスして持ち込むことのできる情報量が膨大に増える。そして、それが多様化する。ある意味で個別最適化するということですね。
 すると、教室に持ち込んで子供が扱う情報量は原則増える方向にあるんだと私は思います。それを、まさに情報活用能力を身につけて、的確に処理しながら、最適解や納得解を協働的に議論しながら深い学びに結びつけていく。また、そういうふうな授業になるように、教師が指導性や意図性を発揮するということだと思いますけど、そうなったときに、教材とか学習環境全体における教科書の割合は、今と同じぐらいでいくイメージなのか、下がるイメージなのか、逆に増えるイメージなのかというのが僕は大事だと思います。
 今、デジタル教科書、教科書の議論をしていますけど、教科書というのは、子供が使う教材や学習環境の主たるものではありますけど、一部ですよね。一部です。そして、これまでは教科書がかなりの比率、割合を占めてきたと思いますし、日本の教科書は質が高いので、日本の子供の学力も高い位置にあるということだと思いますが、デジタル化するということは、もっといろいろな情報量を持ち込むことが可能になる。これは個別最適とか協働においても意味があると私は思いますけれども、これからの時代に子供が学び、思考するということを考えても大事だと思います。そうなったときに、教材の割合は私は下がるんじゃないかと、そういうふうに思うんですが、この辺が皆さんどうお考えになっているのか。
 つまり、デジタル教科書の中に情報量をどんどんまた増やしていくと、それが教科書部分になるという話ですよね、今日の話はね。今のデジタル教科書は代替教材なので、今後、デジタル教科書を教科書にしたり、あるいはハイブリッド型のものも教科書にしていくとすると、そこは全部検定対象になるという話。それでいいと思いますけれども、すると、結局、授業で取り扱わなければいけない情報は、むしろ現行より下手をすると増えるということになりかねないんじゃないかと思っていて、それはデジタル学習基盤の授業の創造に対していいほうに働くんだろうかと、ちょっと私は懸念しています。だから、デジタル学習基盤の授業づくりのイメージの中で、教科書やデジタル教科書がどうなるかということをどこかで考えていかないといけなくて、まずそれが一つですね。
 そう考えたときに、私は、結局、いろいろなもの、これはデジタル教科書に限りませんが、今後いろいろな教育に関する制度は緩めていく方向が望ましいと思います。緩めていくということは、現場の裁量を増やす。あるいは、子供一人一人の、どんな情報にアクセスして、何を持ち込んで、どう学ぼうかということの自由度を上げる。これは個別最適という意味でも大事だと思います。
 つまり、みんなが同じように同じものをきちんとやるというのは減らしていかなきゃいけないんだと思うんですね。それは今回の大臣諮問の中でも、中核的な概念を中心に構造化しようというのは、まさにそういう方向だと思うんですね。
 そういうイメージの中で考えたときに、デジタル教科書の話に入っていきますが、紙とデジタルで考えた場合に、紙でこれまでできなくて、デジタルでできるようになることは幾らでもありますけど、一つは、そこに掲載する情報の分量に制限がないということだと思うんですね。私も教科書を作っていますけど、この紙面にどうやってこれとこれとこれをうまく入れようか。どうレイアウトして、どう入れればいいか。いや、でも、文字数が多くなっちゃった、これじゃ低学年には難しいよねなんて言いながら、どうやって精選して減らすかという話をやっているわけですね。
 減らしても全体は増えているし、また、減らし方が不適切な場合は、かえって使いにくい教科書になってしまって、これは紙の教科書の現状における厳しさかな、なんて個人的に思っていますが、そうなったときに、これはハイブリッドであろうが、フルデジタルだろうが、デジタルが使えるとなったときに、そこに盛り込む情報の制限がなくなるということは大きなことで、それは望ましいことだと思います。教師にとっても、子供にとっても、使うことが可能な情報量が増える。そんなことを一つ考えていて。ただ、ここに大きな問題があって、それを全部これまでの、さっき事務局からもありましたが、網羅的に扱わなければいけないというイメージの中でやると、先ほどの話と逆で、教材や学習環境における教科書の割合が増えるということになるんですよね。それは、デジタルの授業づくりが目指す方向には逆行するという、とても厄介な問題が私はここにあるなと思っていました。
 それともう一つは、デジタル化した場合、ハイブリッドであろうが、フルデジタルだろうが、教科書部分と教材部分の整理をすべきだという事務局からのお話は、そのとおりだと思います。
 そう考えたときに、ちょっと私が思うのは、結局、デジタルで表していく部分、QRコードで飛ぶとかということも全部含めてですが、教材部分と教科書部分の区分けを明確にして、全体としては、教科書部分の記述は少し少なくなるようなイメージのほうが、そして、教材部分が、教科書会社が提供する部分も豊かになるというのが一つ面白いかなとは思っています。ちょっと現場の使われ方、現場の皆さんからのお考えもお聞きしたいんですが、この辺りの具体のイメージをつくっていく必要があるかなと。
 ただ、原理論的に言うと、冒頭申し上げた二つなんですが、学習環境全体における教科書の比率は下がったほうが私はいいんじゃないかと思っています。この辺、皆さんどうお考えになるか、またいろいろ教えていただければと思いますし、そう考えたときに、これはこのことに限りませんが、全体として法令的な制度的な基準は緩んでいったほうがいい。これは大原則のような気がしています。デジタルというのはそれが端的に表れることで、そういうことが進んでいかないと、デジタル学習基盤に基づく自由濶達で創造的な授業づくりというのは難しいだろうなと。
 ただ、自由濶達で創造的なというのは、逆に言うと、うまくやれる人とうまくやれない人、やる気のある人とやる気のない人の間に差が生じるという話ですけど、その差が生じるということを結局怖がって、どんどんどんどんいろいろなことを固めていくと、前申し上げたティーチャープルーフになるのでということですね。つまり、ティーチャープルーフからの離脱ということが、今、全体で求められていると。それは、短期的にはいろいろ難しい問題を生み出しますけれども、そこを一遍勇気を持って抜けていかないと、この国の教育はいつまでも護送船団方式から離れないし、すると、デジタル学習基盤は闊達には使われない。何のためのGIGA端末だという話に私はなるような気がしていて、教員研修も含めて難しい問題がありますけれども、このデジタル教科書の議論が、そういったデジタル学習基盤全体の議論の一つのブレークスルーを生み出す契機にもなるような気がして、この辺の意思決定はとても大事だと思います。
 すみません。あまり具体的なことになりませんが。以上です。
【堀田主査】  大変クリティカルで、そして、本質的な議論をいただいていると思います。私どもの、今日もたくさんの方が傍聴されていますけれども、デジタル教科書の在り方というのは、今後の次の学習指導要領における、そもそも学校教育の在り方みたいなことが大きく反映されて決められていくべきことだと思いますので、現状は制度的な論点を議論、出し合いましょうということなんですけど、その論点の一つに、先ほど阿部委員がおっしゃった、先生たちの授業がなかなか変わらない現実みたいな話と、あと、9月18日の論点整理、6ページで言えば、教科書の分量みたいなことが先生たちを忙しくしている一つの理由になっちゃっているんじゃないかというようなこと。せっかくデジタル部分を加えてうまくやっていくのであれば、その機会に分量が増えて、授業がもっときつきつになるみたいなことは避けなきゃいけないということをしっかりと考えるべきだということの御提案をいただいたんだというふうに私は理解しました。ありがとうございました。
 では、続いて細田委員、お願いいたします。
【細田委員】  細田でございます。よろしくお願いいたします。
 多岐にわたる議論で、ちょっと拡散してしまって、なかなか自分自身がついていけない部分もあるんですけれども、論点の7つのところにもう1回帰結していくと、やっぱり論点1の、デジタル教科書を現行の教科書代替教材の扱いから、いわゆる教科書として取り扱うことを可能にすべきか否かという辺りのところが、ここで大きく方向性をこの場でしていくということが何よりも大切で、これについて言いますと、やはり150年以上も紙で、私どもは紙が教科書だったという、そこから、いや、デジタルも教科書にしましょうというこの議論をこの場で重ねてやってきたわけなので、まず、ここに皆さん、これまでの議論であまり反対をされる方はこのメンバーの中にはいなかったので、これがそれぞれのいろいろな場面からの、いろいろな場所からの代表の部分もありますので、大きくはそういう思いが世の中にもあるんじゃないかなというふうに思いまして、まずはここを皆さんできちんと整理をしていきたいなというふうに思います。多分、皆さんそういう思いだというふうに思います。
 そして、その際に、現場の声として、現場の校長先生や教頭先生、私自身も実務家で長いことやってきましたので、そこの現場の様子も考えますと、とはいえ、やはり子供たちを見ていても、紙優位な、紙が非常に子供にとって合っているという子供もいますし、先生方もそういう方もいらっしゃるので、行く行くはAIが社会インフラとしてしっかり我々の生活の中に根づくのもこの辺まで来ていると思いますので、行く行くはまたデジタルのみという時代も来るかもしれませんけれども、「当面の間」以降のところの近い未来については、ハイブリッドな形態の教科書という辺りのところに御意見が帰結しているなということ、これはこの会議に参加していて、皆さんの御意見だというふうに思いますので、まずはこの1が方向性として明確になるということが大変重要だというふうに思います。
 その上で、じゃ、紙はといいますと、この資料にも非常にうまくまとめていただいているように、紙が中核的な内容、本当に絶対に押さえていくべき内容ということで押さえていき、それ以外の部分については、デジタルを教科書として扱うということは、検定なども経ていくということが大変重要になっていくので、ここはやはりテクニカルな問題も出てくると思います。どこまでが可能なのか。デジタルの海は際限がないので、それを教科書にするためには、ある一定のテクニカルな線引きが必要だということもここで申し上げたいと思いますし、そして、そのことが逆に、先ほど奈須先生がおっしゃったように、網羅的に扱わなくちゃならないという教師の呪縛からも解き放つことができるんじゃないかという側面も感じているわけでございます。
 長い話になって大変恐縮ですが、まず私どもが押さえていくところ、そして、そこがここで明確に議論でき、方向性が決まっていくといいなというふうに思っております。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 それを決めるためにはいろいろ考えなきゃいけない悩ましいところがあるんですけど、私たちのこのワーキングの委員の意見は、おおむねそういう方向で落ち着きつつあるということは事実だと思います。
 だとしても、今後こういうことを定めていくために、恐らく世の中の意見とかをもっと取り入れていかなきゃいけないというのは、それはもちろんあるのかなと思っております。
 岡本委員、挙手されていますので、2回目ですけど、どうぞ岡本委員、お願いします。
【岡本委員】  度々すみません。先ほど奈須先生のほうから、教科書の分量に関するお話がありましたので、発行者の立場から少し補足といいますか、させていただきたいと思って挙手いたしました。
 論点としては3に相当するかと思いますが、事務局のほうで整理していただいた資料では19ページに、教科書の分量が増えているというようなところを資料として御提示いただいているかと思います。これは平成20年の検定審議会の報告のところのお話ですけれども、長年、教科書を作っている立場で振り返りますと、例えば、平成14年度から、学習指導要領が実施されているタイミングですけれども、このときは、授業時数の縮減とか教育内容の厳選、こういったことがうたわれて、これで平成14年度版の小学校の教科書はかなりページ数が減ったという経緯も御紹介させていただきたいと思います。
 その14年度版の小学校を受けまして、揺り戻しといいますか、平成15年に学習指導要領の一部改訂があって、ここで学習指導要領には示されていない発展的な内容を加えて指導できるということが新たに定まりましたので、これによって、次の平成17年度版の小学校は、発展的な内容というのが教科書にも盛り込まれて、ここでページ数が増えるというような状況にありました。
 このように、何が申したいかといいますと、教科書のページ数というのは、国の政策、教育行政の政策を反映しているものでありますので、もし教科書の分量が多いということが課題として挙げられているのであれば、平成14年版の学習指導要領で行われたようなメッセージを、次の学習指導要領で明確に発信するというところが重要であると発行者側としては考えております。
 以上、補足となりますが、発言させていただきました。
【堀田主査】  ありがとうございます。
 次の学習指導要領がどうなるかはこれから議論なのでなかなか難しいんですけど、そういうメッセージが出てくるかどうかも分かりませんが、少なくとも諮問と諮問より前の教育課程の検討ではそのことを指摘されていますので、もしデジタルもうまく利用するんであれば、その機会にうまく中核的な内容と、それぞれデジタルでうまく対応すればいいこととをうまく区分けするという、内容の精選と区別、区分けみたいなことは必要になろうかと思いますし、それがデジタル学習基盤における学びというのを、あるいは学びの支援とは何かという奈須先生の御指摘とも関係するのかと思いますし、その区分けは教科書会社の皆さんといろいろ議論して決めていく部分もあるかと思いますし、最後は会社ごとの御努力のところにお願いすることにもなるのかなと思っておりますが、非常に大事な指摘をいただいたと思います。
 続いて、松谷委員、太田委員の順番で御発言いただきたいと思います。お願いします。
【松谷委員】  お願いします。この論点のところで、私は3、4、5についてちょっと気になるところでお話ししたいと思っています。
 これからの教育の中で、新たな学びの実現というか、学習指導要領がどう変わるかというのはまだ結論は出ていないというお話でしたけれども、やはり個別最適な学び、協働的な学びというのは、学習指導も随分変化している状況ではないかと思っています。
 そういう変化している中で、やはり設置者とか教育現場で主体的にそういう内容を選べるような、そういった自由度があっていいのではないかというところから、やはり紙とデジタルの分量の精選というのは絶対必要ではないかと思います。特に紙によっての教育というのは必要だというところも私も理解しています。それを精選してポイントをしっかり押さえながら、幅広くデジタル、あるいはハイブリッドでできるような、そういったデジタル教科書を使っていくというような部分が私は大事ではないかと思っています。
 さらに、文科省でもDX化でいろいろな部分で働きかけていただいたり、予算なども出していただいていますので、さらにそれの教育が進むような状況にはなっていると思うんですね。この4年間、5年間の中でさらに進んでいくのではないかと思うし、教育内容も変わってきている。それが私どもも実践している中では、生徒が主体的な学びがどんどん成長すると、やはり学力が上がっているというのは学校現場では感じておりますので、やはりそういった教育内容に変換をしていくというのが大事だと思っています。
 そういった意味で、二つ、紙とデジタルをうまく精選して、教科書の関係の方が大変御苦労だと思うんですが、集約したり、教科によっても違うと思いますし、そういったところをこの4年間か5年間で徐々に進めていただければというふうに思っています。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 では、太田委員、お願いします。
【太田委員】  太田です。この会議に出て、いろいろな議論に参加をさせていただいてきましたけれども、本当に紙か、デジタルかという表面的な議論ではなくて、そもそもの教科書というのはどうあるべきか、つまり、そもそも教育の在り方というのはどうあるべきかという、非常に大きなテーマに向き合っているなというところをすごく感じています。
 そういう中で、デジタルができることは何なのかというのを考えていけば、一斉的な学びではなく、個別に応じた、個に応じた学びということがデジタルというところでは可能性としては非常に大きいと思いますので、今までの教科書を中心とした一斉的な学びというところについてはごくごくシンプルなものになっていき、その上で、学びというものが、教える側主体から学ぶ側主体に変わってきているというところを考えると、そこから発展的に個が自分の中で問いを立てて、それに向き合っていくというところの、そういう学ぶ形になっていくのか。その中で紙がどうあるべきか、デジタルがどうあるべきかというところは、ちょっと言うばっかりで分からないんですけど、ただ、そういうふうな教育にどんどんシフトしていく中での教科書の在り方だし、デジタルにできることは何か。これまで教科書というのが全て担ってきて、教科書に全部書いてあって、先生は全ての答えを知っていてという教育ではなくて、そもそも答えのない問いというのもたくさん世の中にはありますし、そういうことを子供たちが主体的に向き合っていくという教育スタイルになっていく中での教科書というものになるのかなというふうに思いました。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 保護者の方々になかなかそういう部分が伝わらないという現実がある中で、こういう議論に加わっていただいて、かなり根本的なところを御理解いただいて、またこれからも御意見をいろいろいただければと思うところでございます。ありがとうございました。
 中川主査代理、お待たせしました。すみません。
【中川主査代理】  よろしくお願いします。事務局のまとめ、本当にありがとうございました。これまでの議論を踏まえて、事務局のほうで非常に分かりやすくまとめてくださったなというふうにまず感じています。
 ちょっと総論的になるかもしれませんけども、教師差配の授業とか教科書から、子供差配の学び、教科書へと、学びそのものへの変革をベースに考えたときに、これまで本ワーキングで議論してきたように、デジタル教科書というのは、まさに児童生徒自らの学びのための教科書になっていくということだと思うんですね。
 つまり、このワーキングの議論で大事なことは、デジタル教科書を検討することで、教科書そのものの捉えの変容をやっぱりかなり吟味してきたと思いますし、そこが一丁目一番地なのかなと思います。これは教科書紙面の量だけの問題ではなくて、いずれにしても、教科書を学ぶのではなくて、教科書で学ぶことをいかに共有していくのかということが前提なのかなというふうに私は思います。
 一方で、児童生徒個々の実態に合わせて教科書をカスタマイズできるということは、デジタル教科書では、子供差配の学びに大きく有効に働くことは事実で、これまで調査研究で何年も見てきた者としての実感です。
 その中で、基本的方向性としては、教科書の形態として、紙だけではなくて、デジタルによるものも認められることを制度上明確にすること、それに伴う検定や無償給与の対象にすることが適当だと改めて考えます。本ワーキングではもうその流れになっているかと思いますけれども、ここで改めて言いたいと思いますし、これを進めていただきたいというふうに思います。
 ICTが学習基盤となる中で、どういう部分においてデジタルがより子供の学びを促進するのか、ずっと活用していくとどこに落ち着くのか、それぞれの立場で追求していくのが「当面の間」だと思います。それがこの案に盛り込まれているハイブリッドという考え方に私はつながると思っています。むしろこのハイブリッドの最適解をさらに詰めていく必要がある。これが推進方策ということになりましょうか。検討の軸はたくさんあると思うんですね、ハイブリッドの。例えば、慣れている場合、慣れていない場合。小学校低学年の場合、高学年の場合。英語の場合、算数・数学の場合。テクノロジーの進み具合が、生成AIもありますけれども、どう変わったのか。それから、児童生徒個々の実態がどうなのか。まだまだあるかもしれませんけども、でも、この整理が必要だと思います。
 その際に、今日出ました教科書相当の検討をさらに進めていく必要があると思います。大変だとは思いますけれども、ここは踏み込んで検討しなくてはならないと思います。
 そして、改めて何度も申し上げますけれども、紙か、デジタルかといった二項対立の議論はもうやめたいです。個別最適な活用を推進する選択や組合せを保障していくことがますます重要になっていくと思いますので、どんどん活用が進み、慣れが成熟し、運用面で可能になるに従って、一部は制度面へ適用されていくことを期待しています。そのためには、1科目でも多くのデジタル教科書が学校で使える環境になっていくことを強く望んでいます。
 「当面の間」ということでは、特に教科の特性との相性は、もっと広く検証、推進していくべきかというふうに思います。より子供の学びによいものを使う。当たり前のことだと思います。課題があったときに、何で補うのか。機能の追加なのか、ハイブリッドの仕方なのか、さらなる活用の慣れなのか、制度の問題なのか。ここは最終まとめに向かう中で、今後も活用の状況を見据える中で議論すべきところだと感じます。
 いずれにしても、この中間まとめが少し先を示しつつも、「当面の間」の姿を共有する、そういうものとして機能してくれることを願っています。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。随分整理していただいたところでございます。
 時間は今日は珍しくまだありますので、皆さんまだこれは論点を確定しようとしている段階にすぎませんけれども、その論点について私はこういう意見だというのも発言いただいて構わないと思っておりますので、せっかくですので、皆さん、お伝えされたいことがあればお伝えいただければと思いますし、そうは言っても、文部科学省側としてはこういうところに課題があるよみたいなことも、事務局からもちろん御発言いただいても構わないと思っておりますので、2周目、もう2回目発言した人がいますけど、3周目でもいいですので、もう少しお時間を取って議論をさらに深めたいと思います。
 一応、11ページの論点の丸1から丸7で言えば、一通りいろいろな意見はそれぞれに出たと思いますけど、薄いかなと思っているところがもしあれば、そこも付け足していただければと思う次第でございます。
 早速、阿部委員、お願いいたします。
【阿部委員】  推進方策のところに関わりますけれど、今は5、6年生に限って、英語が100%、算数・数学50%ですけれども、この先、いろいろな先生たちがデジタルに慣れてほしいし、子供たちも使う中で使ったよさも実感してほしいし、こういうところには大変有効なんだなという事例だってたくさん集まると思いますので、ぜひ算数と英語と言わないで、時間数の多い国語だったり、あとは最近、音楽で音作りみたいなところに大変有効だというのは先生たちがものすごく言っています。企業の方が採択していなくても使っていいよと言ってくれたりしていて、使わせてもらったりもしているんですけど、そういうのをもっと多くの方が使ってみるということがこの先の推進に大きく寄与すると思うので、それをお願いしたいなと思います。
 ここの1から7にちょっとないんですけれども、デジタルのよさの中に、ここにいない人ともつながれるよさがあります。コロナ禍以降、不登校がものすごく増えていますので、そういう人たちを取りこぼさない。本当に誰一人取りこぼさないでいけるという意味でもデジタルが有効です。それぞれがそれぞれのペースで進めていける、個別最適という意味でもいいかと思います。教室にいる子供たちだけじゃない。学校には来ているけど、教室に入れない子も結構いるんですね。そういう子たちが離れた教室と自分の教室をつないだりすることもやっていますが、そういうときにもデジタルはいいですね。課題をすぐにぽんと提出できますので、そういう意味からも進めていったらいいと思っています。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございます。
 今の最後の話は、デジタル教科書そのものではないかもしれないけれども、デジタル学習基盤として、端末があって、ネットワークがあって、クラウドがあってということの利便性をおっしゃっているんだと思いますし、あと、いろいろな教科で体験していただく必要があるというのは、私もそういうふうに思います。教科によっては、もしかしたら紙と同等のものではあまり効果が出ないけど、デジタル教材とうまく組み合わせることで効果が出るという割合が、教科によっても発達によっても違うかもしれないので、本来はそこも検討しないと、どの部分を教科書として組み込めるかということも答えは出ないのかなと思いますので、次なる作業課題としては今のようなことも、これは予算も伴うので、そう簡単には難しいところもあるんですけど、そういう検討も必要だという御指摘かと思いました。ありがとうございます。
 岡本委員、お願いします。
【岡本委員】  何度も申し訳ございません。私からは、今回事務局の方々にまとめていただいた中でも、QRコードの問題について触れていただいておりますので、教科書の発行者として考えを述べさせていただければと思っております。
 第1回目のワーキンググループでも申し上げましたように、QRコードにつきましては、各社、数が急増しているというところが、今回お示しいただいたように、やはり採択での参考情報として使われるというような実態があるというところで、各社が持ち出しのある意味過当競争を生んでいる実態もございますので、業界としても何らかの制度の改善、こちらのほうをお願いしたいと考えておりましたので、今回整理していただいたように、これまではQRコードによる教材提供という形を取ってまいりましたけれども、それに代えて、多様な教材と連携する仕組み、こうしたもので対応できるのであれば、その方向で議論を進めていただきたいと考えております。
 ここにお示しいただいている資料の中に、基盤性の向上の必要性について触れられておりますけれども、これにつきましては、文部科学省さんのDX推進室の委託を受けて今進めている教育データの相互運用に関する専門家会議でも、私は委員として出ておりまして、似たような議論をしていることもありますので、今後、どのようなメタデータによって教科書と教材を相互に連携していくのかというところについては、そうした会議も併せて具体化をしていくことで進められればと思っております。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 実際、実務的に解決しないといけないようなこともありますし、現実性を伴わない理想的な案だけでは現場がまた困りますので、この辺りをどうしていくかというのは、業界代表としての岡本委員の意見は非常に重要だと思っております。
 中村委員、挙手されましたね。中村委員、お願いします。
【中村委員】  ありがとうございます。中村でございます。
 先ほど少し回答しにくい各論の部分まで触れたところだったんですが、実はそこの真意の部分を少しお話しさせていただければと思うんですけれども、実はハイブリッド形態の教科書というものに関して、前回の私が提案したハイブリッド教科書というのは、紙面にあるものが問いであり、その問いに対して解答とかが一覧化されないような形で子供が深く考えられるというような構成という意味では、QRコードの先に解答があったり、ここにもお示ししていただいたように、その先に学び方があったりとかというように、子供がより思考活動を活発にするようなつくりであってほしい。それが、紙とQRコードの先にあるものが一体となって、これまで紙で全部網羅してきた、学習指導要領で網羅すべき内容であったりとか、狙いだったりというものが、ハイブリッドになることで、それがその中で全て網羅できるというようなイメージであったんですね。
 そう考えると、QRコードの先に、今度、先ほど言った公か、民かみたいな、どこまでが教科書相当なのかといったところにもちょっとかかってくるんですけれども、教科書相当の内容が含まれることで、紙と一体化したものが一つの完結した教科書という形であるものがハイブリッドであれば、やっぱりこれは教科書なのかなというふうに現場としては思います。
 それは、合理的配慮の観点からも、紙だけだと読み取れない部分であったり、また、紙から問いが生まれた先にもっと探求できるような個別最適な学びに発展するといったところで言えば、やっぱりデジタルしかない部分、紙しかない部分だと、どちらも不足している。だから、両方、QRコードの先である部分までも含めたもので一体化してほしい。だから、そこが私が先ほど言った、実は奈須先生がおっしゃっているティーチャープルーフでいいと思っているんですね。そこまでは先生がある一定の知っておいてほしい知識であったりとか、学習指導要領が求めている内容、項目だったりとか、そこまでは先生が、ここはちょっと見てごらん、ここはQRコードでちょっと読んでごらんというところで、その先に行く。今度はそこは教材部分になるのかなと思うんですけど、その先に行くのは、自分の興味関心である、自分がウェブ上で好きなコンテンツを探しに行くという世界観というのが、前回のハイブリッドの私の提案の意図でもあったというところもあるので、先ほどの御質問だけだと、随分端的になってしまいがちだったので、そこは補足させていただければと思っているところです。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 前回も中村委員にはハイブリッド教科書のイメージの御報告をいただいたわけですけども、そういう意味で、もう少し具体的なところを今日はお示しいただいたのかなと思います。
 細田委員、お願いいたします。
【細田委員】  よろしくお願いいたします。論点の丸5と丸6について少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、丸5のところなんですけれども、これは実態に応じて柔軟に運用できるようにするべきだというふうに思っているというお話でございます。と申しますのは、教室のDX化といいますか、この分野について言いますと、自治体間格差とか、学校間格差とか、もっと言えば、教師間格差が非常に大きな現状でございます。ですから、やはり実態に応じて柔軟に運用できるようにしていただくことが現状に合っていくのかなというふうに思っているところです。
 6番目について言いますと、そこと少し関連があるんですけれども、制度的対応と並行して行うべき推進方策ということですが、「当面の間」の以降に、丸1の論点である、デジタルが教科書として取り扱われ、そして、ハイブリッドな形態の教科書の形で実現したとします。そうしますと、そういった教科書を使い、教師一人一人が子供たちを主語とした授業デザインができるかどうかという辺りのところが、この「間」、今、2025年になりましたが、「当面の間」以降に今議論していることが実現したときに、それが本当に子供たちを主語とした授業実践ができるような教師たちの力を、この「間」、「当面の間」にしっかりつけていかないと、せっかくそうなっても、なかなか教室の風景が変わり切らないという現状があるので、そこも大変重要になってきて、それが大変重要な推進方策の一つになるかなというふうに思っております。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 挙手は止まりましたが、ほかに何か御意見ある方いらっしゃったら、挙手いただければと思いますが、いかがでしょうか。オンラインの方も。
 じゃ、奈須委員お願いいたします。
【奈須委員】  恐れ入ります。紙で今あって、デジタルになったり、ハイブリッドになったり、そして、教科書部分となる部分があって、それではない教材部分のデジタルもあってという、この辺をどう整理するかということだと思うんですが、これに関わってくるのが、検定ということですよね。教科書部分ということは、検定対象になるということ、あるいは無償配布の対象になるということだと思うんですけど、検定というのは現状どうやられているかということとの関係で、私が承知しているところだと、検定というのは、今日の教科書というのは何かのところにもありますけれども、指導する内容が組織配列された主たる教材だから、あくまでも検定の対象は内容ですよね。つまり、教科書というのは教材ですので、教材というのは、その内容が必ず方法化されているわけです。ですよね。こういう発問で、こんな活動で、こんな話し合いをしてとか、場合によっては、板書計画の例があったり、先生の発問例があったり、子供とのやり取りの吹き出しがあったり、教科書というのはそういうふうに紙面が構成されているので、僕ら使う側にすると、教育方法もかなり含んでいるんですよね。
 でも、そこは検定対象ではないと私は了解しています。つまり、この発問の例が優れているとか、この子供とのやり取りの例が優れているなんていうことの検定はしていないんだと私は理解しています。何が言いたいかというと、デジタル化してくると、一つ大きく出てくることに、今日の14ページにもありますが、かなり教育の方法を含むわけですよね。紙として出されているものだと、先生が教室でこういうことをやってくださいねという指示だったり、提案だったり、例だったりするわけですけど、デジタルになってくると、これが前の数学の御報告なんかもありましたけど、実際にそれでコンピューターが起動して問題演習ができたり、それに基づいて誤答判断をAIがやって、次の出題する問題を変えたりとかということが当然可能になりますよね。つまり、かなり高度な方法をビルトインすることが可能になります。
 実験のシミュレーションとか3Dのモデル操作とか、これ、操作教材とかですよね。シミュレーション教材とか。紙ではそういうことができなくて、デジタルだとこういうことができて、これがとても有効だという話はずっとあると思いますけど、それがデジタル化された部分にビルトインされるという。現状の代替教材としてのデジタル教科書にもかなりビルトインされていて、それがとても使い勝手がいい。先ほどお話があった音楽作りなんていうのも、そういうことですよね。音楽作りのソフトウェアがそこにビルトインされているわけですよ、実を言うとね。これまでは、音楽作りをこうやってみましょうって、楽譜しかなかったわけですよ。そこに実際に起動して動くアプリケーションがビルトインされているわけですよね。
 でも、その部分は検定対象ではないと私は了解していますが、つまり、この音楽の自動演奏ソフトが優れているとか、あるいは不適切であるとかという話は、多分、検定のときに議論になるものではなくて、音楽科でいえば、こういう音楽作りをこの学年ではこんなふうにやりましょうというのはあると思いますけど、それが満たされていれば、あとはどんな教育方法でも基本的にオーケーという話だと思うんですね。
 ちょっとこの辺の確認といいますか。そうしないと、結局、デジタルになってきたときに、そういうことがいろいろ御提案として、教科書会社の皆さんが御工夫なさってビルトインしてくださっている。でも、必ずしもその方法を使わなくてもいいわけですよね。何を言いたいかというと、別にそこにビルトインされたソフトを一から十まで使わなくてもいい。それはお役立ち機能の部分であって、内容そのものではない。つまり、指導要領の縛りというのはそういう話ではないのでというか、学習指導要領というのは、基本的に内容であって方法ではないので、だから、検定もそうなされていると思いますけれど。
その辺りが現場の受け取り方も含めて、この方法でやらなければいけないとか、もっと言えば、この教科書に出てくるこの先生の発問をしなければいけないとか、この発問をしたのに、ここに出てくるようにうちのクラスの子供は答えないんですって悩んでいる若い先生とかがいたりして、それは例だからそうだろうと思うんだけど。それは方法じゃないですか、全部。方法なんですよ。方法は検定対象ではないのでというふうに考えれば、今後、それを教科書部分にするかどうかという議論が整理できるんじゃないか。教科書部分にするかどうかで、一番大きいのは検定ですよ。もちろん無償配布とかもあるけれども、だから、その辺をみんなで整理して了解する必要があるのかなというふうに思っていましたということです。すみません。
 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
 ほかに御意見ある方いらっしゃいませんか。よろしいですかね。
 私も主査としてお話をしておきたいんですけど、おおむね委員の皆さんの御意見は、論点というレベルではそろってきたかと。その論点を、このあとどのように議論していくかということについては、まだまだいろいろな考えなきゃいけないことはあると思うんですけれども、論点自体はそろってきたかと。
 紙か、デジタルかみたいな単純な二項対立にあまり意味がないということは分かってきていて、子供たちのよりよい学び、この形は今後議論されていくわけですけど、よりよい学びのために私たちはどのように紙やデジタルを使って支援していくかという話なのかというふうに考えたときに、デジタルによる支援というのは、やっぱり分かりやすく提示できるとか、例えば動画で見せられるとか、それぞれのペースに合わせられるとか、あるいは、例えば翻訳ツールのようなもので、外国籍のお子さんでも学びやすくできるとか、そういうことはみんな多様性、包摂性のこと、あるいは合理的配慮のこととも関係するところがあるのかと思いますし、また、ほかの友達の考えを知るということや、あるいは協働で作業するということがクラウドによってやりやすくなっているという、これは教科書そのものの話じゃないですけど、デジタル学習基盤の利点というのがあります。
 こういうような強みをうまく学習の支援、学びの支援に生かしていこうとするときの今後の教科書なるものの在り方というのが、紙だけでなく、デジタルの強みをうまく生かしたものにしていきたいという願いの下、今日こうやって議論しているんだというふうに私は理解しています。
 問題になるのは、そうすると、どこからどこまでを教科書と呼ぶかという問いが出てきて、奈須先生もおっしゃいましたけど、それはイコール、検定範囲をどこまでにするかということと、次に本当は無償給与の範囲とか、使用義務の範囲とか、そういう話になってくるんですけど、この辺り、つまり、現行のかなり堅牢な教科書制度との関係で、どこまで私たちはそれを制度も変えていくべきかという議論につながるんだと思います。
 制度を変えるべきだと言うのは簡単なんだけど、制度を変えるのに国会を通す人たちはめっちゃ大変なわけで、そういう現実的な労力や展望も考えながら、これはやらなきゃいけない。なので、慎重な意見交換が必要だということです。
 私たちのワーキング、これは今日までの間で、大体今日、中間まとめになるもののたたき台のポンチ絵をこうやってお見せいただいて、そして、皆さんの御意見をいろいろ伺ってきたわけですけど、次回は事務局のほうにお願いして、またさらに文章化したような形で中間的な取りまとめを御用意いただいて、そして、皆さんにこういう形でいいか、付け足すべき、言い回しを変えるべきは何かみたいなことの御意見をいただいて、その共通認識が得られるようであれば、今度は外に、いろいろな人に見てもらって御意見をいただくというようなことに進めてまいりたいというふうに思います。
 ただ、私どものこの会議体は中教審の中に位置付づくものであり、デジタル教科書の今後の推進について検討を進めていく、そういう責任を持ったワーキングではありますが、ワーキンググループですので、ここで出された論点を基に、私たちも議論しますけど、もう一つ上位の会議体であるデジタル学習基盤特別委員会や、さらに上にある初等中等教育分科会とか、あるいは今後検討されていく、教育課程に関するいろいろな部会等で議論されていく学校教育の在り方の議論と上手にタイアップしながら検討を進めていくということになります。
 大臣諮問が出た直後でありますので、これから何か月か、あるいは何年かかけて丁寧な議論が必要になってくると思いますし、その結果、新しい教科書の在り方が、「当面の間」以降、このようにあるべきだという答えが出てきて、それから教科書会社が作るのでは大変なので、今のうちからこういうふうに議論に関わっていただいて、御意見もいただきながら、動きを業界に踏まえてお伝えしていただく、保護者にもそういう御理解をいただく、公立だけじゃなく、私学の皆さんにもそういうふうにしていただくというような形で委員が選ばれているということになります。そういう意味では、今日まさに細田委員おっしゃったように、いろいろなところの代表として皆さんにお越しいただいているということになります。
 学校現場の現実はいろいろ大変な中でございますが、教科書をどのようにすべきかということによって、先生たちが教えやすくなり、もちろん子供たちがさらに学びやすくなるということが大目標であり、そして、これからの教育の形にそれがそぐう形で、私たちはこれをデジタル学習基盤の一つとしてしっかりと整備していくように検討してまいりたいと思います。
 少し早いですが、御意見も大体一段落しましたので、今後の予定につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【西田教科書課課長補佐】  次回のデジタル教科書ワーキンググループの日程につきましては、追って事務局から御連絡させていただきます。
【堀田主査】  分かりました。
 というわけで、本日は予定した議事はここまででございます。これにて閉会といたしたいと思います。皆さん、御協力ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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