質の高い教師の確保特別部会(第3回) 議事録

1.日時

令和5年8月28日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)(案)について
  2. その他

4.議事録

【貞広部会長】  定刻となりましたので、ただいまから第3回中央教育審議会初等中等教育分科会質の高い教師の確保特別部会を開催いたします。皆様、本日もお忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、永岡桂子文部科学大臣にも御出席をいただいております。
【永岡大臣】  よろしくお願いします。
【貞広部会長】  よろしくお願いいたします。
 本日の議事に入る前に、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をお願いいたします。
【菅谷財務課課長補佐】  初等中等教育局財務課の菅谷でございます。
 事務局につきまして、順に紹介させていただきます。
 文部科学事務次官の藤原でございます。
 文部科学審議官の藤江でございます。
 初等中等教育局長の矢野でございます。
 大臣官房学習基盤審議官の浅野でございます。
 初等中等教育局財務課長の安井でございます。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 本日の会議につきましては、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式で開催させていただきます。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には、御不便をおかけすることもあろうかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 また、本日は報道関係者と一般の方向けに本特別部会をYoutubeにて配信しており、Youtubeでの傍聴者から録音及び録画の希望がございましたので、御承知おきいただければと存じます。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【菅谷財務課課長補佐】  本日の配付資料は、お手元の議事次第の4ポツ、配付資料にありますとおり、資料1から資料3及び参考資料1から参考資料4となっております。御確認いただき、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 それでは、本日の議題に入ります。前回お示しした、直ちに取り組むべき施策に関わる論点案を基に、会議で皆様からいただいた御意見を踏まえ、荒瀬部会長代理や事務局と相談の上、「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)(案)」を作成いたしました。本日の会議に先立ち、委員の皆様方にあらかじめお送りし、御意見を伺いました。いただいた意見を踏まえたものが資料1となっております。
 ではまず、報道関係者の皆様を御案内いたします。御入室をお願いいたします。
(報道関係者入室)
【貞広部会長】  それでは初めに、提言案の内容を私と事務局のほうから御説明いたしまして、本特別部会の提言として永岡大臣にお渡ししたいと思います。その後、次回以降の審議を見据え、委員の皆様から御意見や御質問をいただきたいと存じます。
 では、資料1を御覧ください。提言案について御説明いたします。まず、1ページ目でございますけれども、本特別部会における議論の中長期的ゴールを見据え、副題を「教師の専門性の向上と持続可能な教育環境の構築を目指して」としております。
 冒頭、二重線の枠内は、国、都道府県、市町村、各学校などそれぞれの主体がその権限と責任に基づき、直ちに取り組むべき施策として大きく3本の柱に整理しております。こちらのページでは具体的な取組の前に、施策を進めていく上での基本的な認識や理念をまとめております。教師は、子供たちの人生に大きな影響を与え、その成長を直接感じることのできるすばらしい職業であり、我が国の学校教育が世界に誇るべき成果を上げることができたのは、教師の方々の献身的な取組によるものです。一方、子供たちが抱える困難の複雑化・多様化や、学校や教師に対する期待の高まりなどによって業務が積み上がり、依然として長時間勤務の教師がたくさんいらっしゃいます。また、全国的な教師不足も憂慮すべき状況です。
 2ページ目に参ります。このような状況を改善していくためには、改めて教育に関わる者の総力を結集する必要があり、具体的には2点、丸1、それぞれの主体が自分事としてその権限と責任に基づき主体的に取り組むこと、丸2、保護者や地域住民、企業など社会全体が一丸となって課題に対応していくことが極めて重要です。その上で、国は、先頭に立って先生方を取り巻く環境整備を充実させること、各主体の取組を後押しするための強力なメッセージを発信することなどの役割を果たすことが必要です。
 今般の改革の目指すべき方向性は、長時間勤務の是正を図ることで教師の健康を守ることはもとより、働きやすさと働きがいを両立させ、教師のウェルビーイングを確保しつつ、高度専門職である教師が新しい知識・技能等を学び続け、子供たちに対してよりよい教育を行うことができるようにすることにあります。
 このような中、本年6月に閣議決定された骨太方針2023において、働き方改革のさらなる加速、処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援を一体的に進めることなどが盛り込まれたことは各施策の推進に当たり大きな意義があります。
 続いて、3ページ目に参ります。本特別部会としては、できることを直ちに行うという考え方の下でこの提言を取りまとめました。再度強調いたしますが、この提言は始まりです。今後、骨太方針を踏まえ、広範多岐にわたる検討事項について丁寧に議論を進めてまいります。国、都道府県、市町村、学校といった各主体は、取組のスクラップアンドビルドを徹底し、できることは直ちに速やかに着手していくことが重要です。若手教師や教職を志す学生等にとっても、学校が働きやすさと働きがいを両立する職場であることが重要です。教師を取り巻く状況は一律ではなく、全国には成果を出している地方自治体や学校もあります。好事例を積極的に取り入れ、各主体が施策に取り組むことも必要です。先生方を取り巻く環境をよりよいものにしていくことは待ったなしであり、各主体においてもまずは取り組むことを優先し、柔軟かつ機動的に見直しを重ねていくことを期待したいと思います。
 1以降の各取組の具体的な内容については、事務局より御説明をお願いいたします。
【矢野初等中等教育局長】  貞広部会長、ありがとうございました。続けて事務局より、各取組の具体的な内容について御説明申し上げたいと思います。
 3ページをお開きいただきたいと思います。まず、1の(1)でございますが、平成31年の中央教育審議会答申におきまして、学校・教師が担ってきた業務について、学校と家庭や地域との間や、教師と教師以外の支援スタッフ等との間の役割分担や連携を推進するため、いわゆる学校・教師が担う業務に係る3分類と、それに基づく14の取組が示されております。この実効性の向上のため、14の取組のそれぞれにつきまして、国、都道府県、市町村、各学校の主体ごとに対応策の例を別添として取りまとめましたので、これを基に取組の徹底を図ることが必要だと考えております。4ページ目をお開きいただきたいと思います。特に服務を監督する教育委員会につきましては、本提言等も活用しながら、業務の優先順位を踏まえて、思い切った廃止を打ち出すなど、主体的な役割を果たす必要があります。
 次に、1の(2)です。全ての学校におきまして、授業時数について点検した上で、令和6年度以降の教育課程の編成に臨む必要がございます。特に令和5年度当初において、標準授業時数を大幅に上回る年間1,086こま以上の教育課程を編成していた学校は、令和6年度以降の教育課程において見直すことを前提に点検を行い、指導体制に見合った計画とする必要がございます。5ページ目でございます。学校行事については、教育上真に必要とされるものに精選することや、行事間の関連や統合、準備の簡素化、省力化等を進めることなどが必要です。
 次に、1の(3)でございます。ICTは必須のツールであり、教育委員会は、学校のICT環境の整備を進めるとともに、学校は、1人1台端末の活用等による校務処理の負担軽減や、学校と保護者等との間の連絡手段の原則デジタル化などを進める必要がございます。
 6ページです。続いて、2の(1)でございます。保護者や地域住民等の理解・協力を得ながら取組を進めていくため、学校は、働き方改革について学校運営協議会等の場で積極的に議題として取り扱う必要がございます。また、国は、制度の導入の更なる加速化等に向け、教育委員会等の取組を支援する必要がございます。また、保護者等からの過剰な苦情等に対しては、行政による支援体制を構築していく必要があります。加えまして、国において、学校における働き方改革を含む教師を取り巻く環境整備について、各地方自治体が総合教育会議で積極的に取り上げるべき課題として例示する必要がございます。
 次に、2の(2)でございます。教師の健康及び福祉の確保について、在校等時間が上限方針で定める上限時間の範囲を超えている場合などにおける服務監督教育委員会による学校の業務の検証・見直しや、勤務間のインターバルの実施に向けた効果的な在り方の検討などに取り組む必要がございます。
 7ページをお開きいただきたいと思います。また、国は、服務監督教育委員会において、有効なメンタルヘルス対策を実施できるよう、好事例を創出する必要があります。
 次に、2の(3)です。教師の勤務時間管理について、都道府県、市町村、学校において異なるシステム等が運用されている中、公平な「見える化」に向け、国において、在校等時間の把握方法等を改めて周知・徹底する必要があります。
 8ページ目をお開きいただきたいと思います。続いて、3ポツの(1)でございます。学級編制や教職員配置の在り方等については、今後丁寧に議論を深めていく必要がありますが、まずは国において、小学校高学年の教科担任制の強化など教職員定数の改善を図る必要があります。
 次に、3ポツの(2)でございます。支援スタッフの配置の在り方等については、今後、丁寧に議論を深めていただく必要がございますが、まずは、国において、教員業務支援員を全小・中学校に配置していくことを目指すべきです。また、副校長、教頭の在校等時間が最も長いこと等を踏まえ、副校長、教頭を専門的に支援する人材の配置を支援する必要がございます。加えて、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学習指導員、部活動指導員の配置充実も図る必要があります。
 9ページ目をお開きいただきたいと思います。次に、3ポツの(3)でございます。教師の処遇改善については、今後議論を深めていくことを前提としつつも、職務の負荷や職責を踏まえ、国において、先行して主任手当や管理職手当の額の速やかな改善を図る必要があります。
 次に、3ポツの(4)です。国において、教師の成り手を新たに発掘するための教育委員会と大学・民間企業等との連携・協働による教職の魅力発信やマッチングの効率化、入職前研修等への支援、教員養成課程の見直しや地域枠の設定、奨学金の返還支援に係る速やかな検討を進める必要がございます。
 最後に、今回の御提言においては、学校のみならず、教育行政としての国や教育委員会の責務の重要性についても御指摘を頂戴したところでございまして、文部科学省としましてもこれを重く受け止めてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【貞広部会長】  矢野局長、ありがとうございました。
 本提言は、できることを直ちに行うという考え方の下、緊急的に取り組むべき施策を取りまとめたもので、これで終わりではありません。今後、制度的な対応が必要な施策を含め広範多岐にわたる諮問事項についてさらに議論を進める予定ではありますけれども、スピード感を持って本提言を大臣にお渡しすることが非常に重要であると考えます。
 それでは、皆様から御賛同いただけるようであれば、「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」を本部会の提言としたいと存じますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、永岡大臣に緊急提言をお渡しいたします。お渡しした後、大臣から御挨拶をいただきたいと思います。
(諮問文手交)
【貞広部会長】  では、大臣、御挨拶をお願いいたします。
【永岡大臣】  文部科学大臣の永岡桂子でございます。ただいま貞広部会長から、「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」についての御提言をいただきました。委員の皆様方におかれましては、本当に精力的に御議論をいただきまして提言を取りまとめていただきましたこと、改めて感謝を申し上げます。お世話になりました。ありがとうございます。
 提言にもございますように、教師は、子供たちの成長を直接感じることのできるすばらしい職業でございまして、我が国の学校教育は、やはり教師の献身的な取組に支えられてまいりました。一方、依然として長時間勤務の教師が多いなど、現在の教師を取り巻く環境につきましては、文部科学省として早急に改善する必要があると考えております。いただきました御提言の内容を速やかに実現し、そして、教師を取り巻く環境の整備を一歩でも更に前に進めることができますように、私自身しっかりと先頭に立ちまして、取り組ませていただきたいと思っております。
 御提言におきましては、持続可能な勤務環境整備等の支援の充実といたしまして、国による予算確保の必要性についてもお示しをいただきました。政府といたしましては、本年6月に閣議決定をいたしました骨太方針2023におきまして、働き方改革の更なる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、そして、育成支援を一体的に進めること、そして、2024年度から3年間を集中改革期間として、スピード感を持ちまして、2024年度から小学校高学年の教科担任制の強化や教員業務支援員の小中学校への速やかな配置拡大を進めることなどの取組の方向性を示したところでございます。いただきました御提言を概算要求に反映させ、そして、しっかりと対応してまいります。
 また、明日、私が本部長を務めます学校における働き方改革推進本部を開催予定でございます。早速、本提言を基に議論を行いたいと考えているところです。
 委員の皆様方におかれましては引き続き、本年5月に私のほうから諮問いたしました事項について、来年の春頃に一定の方向性を示すことを目途といたしまして、更に御議論を進めていただきますようにお願いを申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  永岡大臣、ありがとうございました。文部科学省におかれましては、この提言をしっかりと受け止めていただき、教師を取り巻く環境整備に向けた取組を一層進めていただけますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、報道関係者の皆様はこちらで御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
【貞広部会長】  また、大臣は次の御予定がありますので、ここで退席されます。本日は、お忙しいところ御出席をいただきまして、大変ありがとうございました。
【永岡大臣】  退出することをお許しいただければと思います。御議論まだまだございますので、ぜひよろしくお願いいたします。お世話になります。
(永岡大臣退室)
【貞広部会長】  それでは続きまして、委員の皆様から、先ほど取りまとめた提言を踏まえつつ、次回以降の審議を見据え、御意見や御質問をいただきたいと思います。
 ここで、本日は御欠席でございますけれども、齊藤委員より事前に御意見を承っておりますので、まず事務局から御紹介をお願いいたします。
【安井財務課長】  財務課長の安井でございます。齊藤委員の御意見を預かりしておりますので、私から代わりに読み上げをさせていただきます。
 本提言を実行していくに当たり、国や教育委員会が教師を取り巻く環境整備について取組を推進することはもちろんですが、一人一人の教師が働き方改革に主体的に関わることも大変重要であると考えております。教師からのボトムアップにより、管理職が一人一人の教師に一層寄り添って働き方改革を推し進めるべきであり、このことを具現することで在校在勤時間の更なる短縮を含めて、教師が働き方改革を実感できる展開につながると考えております。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、御意見や御質問のある方は、オンラインだけではなく、会場から御出席の方も含めまして、Zoomの手を挙げるボタンを押していただけますようお願いいたします。こちらから順次指名をさせていただきますので、ミュートを解除いただいて御発言をお願いいたします。
 なお、大変恐縮でございますが、できるだけ多くの委員の皆様から御発言をいただくために、御発言はお一人当たり3分以内としていただきますようお願いいたします。また、御発言の際は、大きな声で明瞭にお話しいただきますようお願いいたします。御発言が終わりましたら、手を下げるのボタンを押し、挙手を取り下げていただけますようお願いいたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 では、順番に御指名をさせていただきます。まず、戸ヶ﨑委員、金子委員、川田委員、吉田信解委員の順番で御発言をお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  
 今回取りまとめられた提言は、これまでの特別部会における議論を踏まえたもので、各主体が取り組むべき重要な事柄が盛り込まれていると認識しています。その中でも特に、「国、都道府県、市町村、各学校などそれぞれが権限と責任のもとで主体的に取り組むべきこと」の重要性が明記されている点が本提言の中核になると考えています。
 勤務実態調査の速報値にもこれまで現れているように、教師の勤務実態は甚だ厳しい状況に置かれています。こうした状況を真に改善していくためには、何かと理由をつけて「誰かのせい」にするのではなく、文部科学省はもちろんのこと、教育委員会や学校のそれぞれの主体が当事者意識を強く持って、時に批判されるリスクも取って、やるべきことを地道に進めていくしか道はないと思います。
 僣越ながら、あえてはっきり申し上げておきますが、まず文部科学省においては、教育委員会や学校にはやりたくてもできないことが多々ありますので、実態をしっかりと諦観していただき、覚悟を持って実行してほしいと思います。学校の体制強化は必須です。役割分担・適正化を進めるにも、役割を担う人員がいなければ始まりません。全国の学校で教師が職責を全うできる体制の整備を図ることは、国の責務だと思います。改めて、教科担任制の強化をはじめとする教職員定数の改善、教育業務支援員の全校配置等の支援スタッフの充実等の実現をぜひともお願い申し上げます。
 さらに、これまで何度か私からも申し上げていますが、保護者等からの過剰な苦情等に対しては、教育委員会等の行政による学校の支援体制の構築は不可欠です。とはいっても、教育委員会事務局もこの点は大変苦労をしています。国として、全国にモデルとなる事例の創出を行うことなどを通じて、このような教育委員会の取組の支援もぜひお願いをしたいと思います。
 加えて、提言では、行事の精選・削減、登校時間の見直し等についても触れられています。これらを実施する主体は、教育委員会や学校ではありますが、現実は、「先生が手抜きをしている」、「子供がかわいそう」など、地域や保護者から反対されるケースも少なくありません。単純に時間をかければよいものが出来るというものではなく、また、教師が疲弊するまで対応することはかえって子供のためにはならない、子供のために減らすこともあるということへの社会の理解と、そのための働きかけも必要であると考えています。これは教育委員会・学校では限界があるため、ぜひこの辺も文部科学省として、例えば大臣から強いメッセージを発信していただくなど、このことを強く期待を申し上げます。
 一方で、教育委員会や学校は、国の対応を待っているばかりではなくて、自らができることを主体的に真剣に行っていく必要があると思います。例えば本市においては、既に市内全ての小中学校の全ての学年で年間1,086時間を大幅に下回っております。また、地域や保護者の理解を得て、教職員の勤務開始時間に近づけるために、児童の登校時間を遅らせて、中には20分も遅らせた学校も複数ございます。行事のスリム化も図って、例えば運動会・体育祭は午前中開催としています。このことによって、教師の準備や児童生徒の練習にかかる時間や負担が以前よりも軽減されて、気持ちや時間的な余裕も生まれております。各学年の「学年だより」の内容も集約して「学校だより」と一本化したところもあり、メール配信をしています。また、市内全校の学校運営協議会を活性化させるために、全ての運営を学校任せにすることなく、教育委員会主催で市内全体で学校運営協議会の研修会を毎年行っております。
 これらは一例ですが、いずれも当然予算もかからないため、その気があれば全国どこの自治体でもすぐに取り組めるのではないかと思います。また、本日のこの提言を受けて、近日中に校長会議や総合教育会議も迅速に開催をして、市長部局とも連携をしながら、教育環境の整備に取り組んでいきたいと思います。
 最後に、今後は制度的な検討を要する事項について議論を深めていくことになると思いますが、改めて議論の前提を確認したいと思います。教職は、人を育て、その可能性を広げ、未来をつくる夢のある職業であると思っています。私としては、教職に優秀な人材が確保されて、一層やりがいのある職務内容となり、しっかり適切に評価され、士気が高まり、誇りを持って安心して教育活動に専念できるようにすることこそが、本特別部会における検討の目的であると強く思っています。この目的の実現に向けてさらに議論を進めていくことが必要であろうと思います。以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございました。では、金子委員、お願いいたします。
【金子委員】  発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。私からは簡潔に6点申し上げたいと思います。
 まず、この働き方改革については、以前の検討会から様々な取組が総合的に行われまして進展が見られていると思いますが、一方で教員の勤務時間は30分程度の時短にとどまっているということであります。したがって、今回のこの改革に向けてはしっかり取り組んでいく必要があると思っています。これまでの要因の一つとしては、やはり世論も含めた国民的な運動につながっていないといったところがあろうかと思っています。そういう意味では、ぜひ社会全体で取り組む必要性が国民に届くようなそういったメッセージを発していただきたいと思いますし、そうしたことから、教職現場から変わってきたなと感じられるような、ぜひ施行をお願いしたいと思います。
 その上で、実行に当たって3点申し上げたいと思います。1点目は、学校教師が担う業務の適正化の一層の推進についてです。これは教育委員会や学校、教員が課題意識を共有しながら取り組むということは重要ですが、とりわけ、既存業務の縮減の検討に当たっては、慣例的に行ってきた業務に関する時間等の必要性について現場労使による洗い出しを行うなど、個々の教員に時間管理意識の醸成が図れるような、こうした取組を推進していただきたいと思います。
 2点目は、6ページになりますけれども、地域、保護者、首長部局などとの連携協働についてです。これは前回も申し上げましたけれども、首長部局を所管する総務省だとか、子供の福祉を所管する厚労省はじめ、各省庁の持つ権限・知見を総動員した連携が必要でありますので、ぜひ省庁連携・協働をこれまで以上に密にお願いをしたいと思います。
 そして、3点目は、8ページにあります教員定数の改善についてです。定数増の方向性を示していただきましたが、実現には予算が必要であります。これは提言にもありますし、先ほど大臣からもありましたが、ぜひ十分な規模の予算の確保をお願いしたいと思います。併せて、部活動の地域移行に向けた環境整備に当たっては、拠点校の枠の増加や、総合型地域スポーツクラブ、文化クラブなどの設置推進などが必要であり、動きを加速していただきたいと思います。
 そして、今後の検討課題として3点申し上げたいと思います。1点目は処遇改善についてですが、時間外勤務手当の支給に関する考え方についてであります。長時間労働に歯止めがかかっていない状況だとか、国立学校や私立との均衡の観点から、超勤4項目の在り方の見直し、労基法第37条の適用など、あらゆる選択肢を排除せず、今後の議論をいただきたいと思います。
 2点目は、教職員定数の改善の観点ですが、小学校高学年における教科担任制の在り方についてです。制度導入の趣旨に沿って全国全ての学校で完全実施できるよう、基礎定数化を検討いただきたいと思います。
 そして、3点目は、健康確保措置としての代償休暇の創設についてです。指針で規定されたインターバル休息に加えて、代償休暇の暦日付与も検討の俎上に上げていただければと思います。
 以上6点、よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  どうもありがとうございます。ちょっと会場からの声が聞こえにくいようですけれども、申し訳ありません。皆さんのオンラインの声は明瞭に聞こえているんですけれども、すみませんでした。では、川田委員、吉田委員の順番でお願いいたします。川田委員、どうぞ。
【川田委員】  ありがとうございます。筑波大学の川田でございます。私からは、提言の資料1でいうと6ページから7ページのところ、大きな2番の学校における働き方改革の向上等の項目の中の(2)健康及び福祉の確保の徹底に関わる、今後の検討に向けての具体的な中身というよりは検討の際の基本的な視点というようなところになるかと思いますが、若干考えるところを述べたいと思います。
 まずここでは、教員の勤務の負担について、長時間の時間外勤務といったような時間の長さに重点を置いた形で緊急的な取組の提言を行っているということになっているかと思いますが、このような教員の勤務の負担については、今回の提言の中では、丁寧に議論を進めていくというふうにされている今後の検討の中では、勤務の中身について、例えばクレームの対応などといった精神面での負荷が大きいと考えられる業務について、そのような面から着目するとか、あるいは突発的な対応が求められることによる負荷、あるいは勤務する時間帯など、教員の働き方について時間の長さ以外の負荷の状況にも着目しながら検討を進めていくということが重要だろうと思います。
 それからもう1点、このような教員の健康及び福祉の確保という点に加えて、教育の質にも関わる重要な点なのではないかと思いますが、今後の検討における視点として、教員の働き方の自由度を確保するという視点が重要であろうということを意見として述べておきたいと思います。ここで自由度という場合の中身についてももう少し丁寧に検討していくことが必要ではあろうかとは思いますが、大まかに言えば、時間の面も含めた自分自身の働き方を自分自身の判断に基づいてどこまでコントロールできているかということ、やはりこうした自由度が適切に確保されるということが教員の働き方について望ましい働き方であるという視点の下で、現状や問題点の把握あるいは関連する制度や政策についての検討を深めていくということが重要だと考えております。私からは以上です。
【貞広部会長】  どうもありがとうございます。では、この後の御発言をお願いする順番を申し上げます。吉田委員、橋本委員、荒瀬委員、妹尾委員、西村委員、澤田委員、藤原委員、そして、善積委員の順番で御発言をお願いいたします。吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  ありがとうございます。私も少しそちらからのお声が聞こえなかったものですから、少しとんちんかんになるかもしれません。
 まずは提言の6ページ目でございます。地域、保護者、首長部局等との連携協働ということで、まさに2つ目の丸に書いてある保護者等からの過剰な苦情、不当な要求等、学校のみでは解決が難しい事案について云々と、これを市の市長部局、首長部局からの支援ということは当然だとは思うんですが、現場でやっている者からすると、やはり例えば県のほうで教育委員会向けの弁護士相談やスクールロイヤーも含めて支援しますよと言ってみても、事案があまりにも多いので、現実は基礎自治体の顧問弁護士等に相談をするというケースが非常に多くなっていますし、また、これからまだ多くなってくるであろうと考えます。
 そういったときにやっぱり大きな課題としては、基礎自治体の顧問弁護士の先生も非常に忙しいわけでございますので、市からの案件だけで手いっぱいのような状況があるということ。教育委員会の支援は当然やらなければならないんですけれども、現実それをしっかりやっていこうとすると、いろいろな面で人材不足、あるいは財政的にもいろいろ大変だという状況がある。これはぜひ国のほうとして考えていただきたいなと思うのと、弁護士の先生がやはり教育的な配慮のことも踏まえた上で対応していただけるような先生でないと、弁護士の先生はやっぱりたくさんいろいろな専門がありますので、特に教育的配慮等も考慮できるような弁護士先生の育成というのも、私は非常に国家的な課題としてはあるのではないかなと感じるところでございます。
 難しい課題がありますけれども、法律相談等が増えていけばそれだけ対応する方々の養成も必要ですし、教育の問題に特化するような弁護士、法的な支援ができるような方々の育成はこれから必要ではないかなということを一つ問題提起させていただくのと、自治体とすると、ただ単に首長部局が応援すればいいというふうに片づけられては大変だと。これは人の問題、財政の問題、非常に大変な状況がございますので、ぜひこの点は指摘をさせていただきたいと思います。
 もう1点、働き方改革という中で、一つこれは問題提起として申し上げたいんですが、一方で今、例えば不登校対策等を考えますと、中1ギャップ等をなくしていくためには小中一貫校、小中一貫校は別に不登校対策だけだけではないんですけれども、小中一貫校というのが非常に叫ばれている昨今、私も義務教育学校という形でやっていくのはこれからの方向性として非常に大事だと思っているんですけれども、それを進めていくと、実は現場で出てくる声というのは、中学生の教職免許、小学生の教職免許をそれぞれ持っている先生方が、なかなか小学校の免許を持っている先生が中学校の免許を取るのは難しい、中学校の免許を持っている人は小学校のものを取るのが難しいという声が聞こえてくるわけでございます。簡単に義務教育学校をつくればいいといっても、なかなか現場がその状況に追いついていかない状況をどうすればいいのかということ。これは教師の働き方改革にある意味逆行するようなことにもなりかねないし、しかし、子供たちや保護者のニーズを考えれば、義務教育学校化、小中一貫校というのは非常に大事でございますので、ここの矛盾をどういうふうに乗り越えていくかというのは大きな課題かなと考えています。
 もう1点、すみません、こちらの別添の対応策の例のことについても指摘をさせていただいてよろしゅうございますか。
【貞広部会長】  お願いいたします。
【吉田委員】  1ページ目です。例の3分類です。これは学校以外が担うべき業務、学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務云々とありますけれども、これはいろいろな先生や保護者等の意見等も、いろいろなというわけではないんですけれども、聞く中でちょっと感じていることを若干お話しさせていただきます。
 まず、一番左側の放課後から夜間などにおける見回り、児童生徒が補導されたときの対応とあるんですけれども、確かにこれは学校以外が担うべき業務ではありますが、教員が児童生徒にとって非常に、あるいは保護者からも信頼を受けている場合、子供に何かあったときに、担任の先生なら子供も言うことを聞いてくれるんじゃないかだとか、そういう気持ちが親御さんに働くケースが非常にあるわけでございますので、一律に教師をそこに派遣しないというふうにしてしまっていいのかと。さりとて、これは非常に教員にとっても負担になることは事実でございます。子供あるいは保護者との信頼関係にある教員をこういったところから外してしまっていいのかなということが一つ疑問点として私自身もございます。
 2点目、校内清掃です。真ん中の部分です。これは必ずしも先生方が毎日清掃活動をやる必要は確かに私もないと思いますけれども、子供たちにとっては、例えばですけれども、校長先生や教頭先生や、あるいは担任の先生が率先して清掃活動に取り組んでいる姿というのは、これは非常に教育的な意義は私はあるだろうと思いますし、何のために清掃するのか、子供たちだけに清掃させているのかというような疑問が湧いてくると、これはあまりいい結果にはならないわけでございます。もちろん先生方の輪番制は私は必要だと思います。今日は我々の担任の先生は忙しいから清掃に出てないんだとなれば、子供たちは納得するわけです。なので、子供たちに納得できるような仕組みはやっぱり大事ではないかなと私は感じております。
 最後になりますが、一番右の教師の業務だが、負担軽減可能な業務の授業準備と学習評価や成績処理、これはサポートスタッフは必要ですのでぜひお願いしたいところではございますけれども、これはやっぱりぜひ現場の声をよく聞いていただきたいなと思っております。サポートスタッフというのも、人によるというようなことも実は現場では出てきて、先生との相性の問題だとかいろいろなことが出てきている。これはなかなか難しい問題です。これは現場で考えていかなければいけない、現場も頑張らなければいけないと思うんですけれども、サポートスタッフを的確に活用できる制度設計はこれは非常に大事かなと思っているところでございます。
 いろいろと申し上げました。以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、オンラインから橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】  橋本です。まずは、提言を迅速に取りまとめていただきまして、ありがとうございました。一言申し上げます。この提言の中で私は、今回、改革の具体的な工程を示すということを国に求めているという点が大変画期的で重要な事柄だと思っています。様々な改革においては、数値目標を含めた工程づくりを行い、それに基づき進捗状況のトレースを行って、PDCAを回していくということはいわば常識であり、我々民間企業でも当然、計画を立てて、それを実行し、チェックしていく、ということをやっているわけですが、一方で学校現場においては、企業と違って個別・特別な事情がかなりあるのではないかと考えております。画一的に全ての学校が、あるいは教師の方々が同じように改革をしていけるかどうかについては、負担感の感じ方などにおいて現場の格差も結構あるのではないかと思っています。
 負担感が強い場合、我々民間企業でも、働き方改革自体が自己目的化してしまって、いわゆる改革疲れということになることがよく見られるわけです。現場の実情に応じた有効な対策を打つ前に、現場におけるいろいろなトレースが主目的になってしまう、トレースすること自体が目的化してしまうということはよく見られる現象ですので、ぜひ現場で改革する方たちとそれを政策として推進する側の双方向での十分な話合いが行われるような形で進める等、進め方に留意していただければと考えます。学校現場が前向きに改革を進めていけるような環境づくりが極めて重要でして、これがないと、せっかくプランをつくってもうまくいかないということはよくあります。
 例えば今回、提言の中でも触れられていました「働き方改革チェックシート」を拝見させていただきました。なかなかよく出来ているとは思うんですが、一方で、「チェックシート」を使う人たちにとっては本当に達成しようと思うとかなり負担感があるような内容かもしれず、チェックすることがゴールとなり形骸化してしまうということも考えられます。改革・改善のツールとして前向きに活用いただけるようなものを、それぞれの現場が置かれた状況に配慮しながら引き続き考えていただけたらと思います。肝腎なことはやっぱり教員の方々が、これから勤務環境がよくなっていくんだということを実感してもらうということだと思いますので、そういった点に留意した実行を進めていただければと思います。以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】  ありがとうございます。初めに、中身の話ではなくて、冒頭、貞広部会長から永岡大臣にこの緊急提言が手交される場面が、オンラインで参加している者からすると全く見えない状態でありまして、これは非常にもったいないのではないかなと思います。とても多くの方が大変関心を持ってくださっていらっしゃる中での部会長から大臣への手交ということですので、ぜひそういった点について今後は御配慮をよろしくお願いしたいと思います。余計なことを申し上げたかもしれません。
 私はこの件に関しまして4点申し上げたいと思いますが、ただ、先ほどから何人もの方がおっしゃっていますように、オンラインで参加している者には聞こえない部分が結構ありまして、したがいまして、私もちょっと外れたことを申し上げるかもしれません。
 まず一つ、3ページの「学校・教師が担う業務に係る3分類」を徹底するための取組ということですけれども、これは最近も学校現場の方と話をしていて、このことについての具体的な認識というのが必ずしも共有されていないということに少し驚いています。これはもっとしっかりと伝える必要があると思います。その中でどう解釈していくのかというのは、先ほど吉田委員からの御発言があったりもしましたけれども、ただ、具体的には、本当にこれは考えに考えてつくった3分類であるので、改善する必要があるならば、これを本当にしっかりとまずやってみるという中で改善を図っていくことが大事なのではないかなと思っています。
 続いて、7ページであります。7ページの真ん中辺りに、(3)番の上の部分ですけれども、丸があって、ここで「精神疾患による長期療養者数が過去最高となる中」という書き出しの文がございます。この部分なんですけれども、有効なメンタルヘルス対策という、ここを本当にしっかりとしていく必要があると思っています。これは学校に限らず、いろいろなところでメンタルヘルスが必要なケースはあるわけなんですけれども、とりわけ学校の場合は、そういう事案が出ますと、具体的に授業に当たれないとか、あるいは学校の運営に差し障るといったこともありますので、ぜひここをしっかりとやっていくということを考えていく必要があると思っています。
 続いて、3つ目といたしまして、8ページなんですが、教職員定数の改善。これはほかの方もおっしゃっていまして、屋上屋を重ねるようなことで申し訳ありませんが、働き方改革をしていくんだということでいろいろ言ってはいるんですけれども、やっぱりそのもとになるのは数をいかに確保するのかということであります。これは先日お会いした先生が、4月スタート時点では学校の中はちゃんと人は確保できていたんだけれども、途中からどんどん減っていって、その後充足できないという状態があると。それが常態化しているそうですので、ならば、あらかじめ余裕のある確保が必要なのではないか。その余裕は決して教師が楽をするための余裕ではなくて、子供たちの学びが豊かになっていく、しかもそれが最低限の状態で維持できるというための余裕であるので、ぜひそういったことも考える必要があるのではないかと思います。
 最後に、1ページ目でありますけれども、枠囲みの中に緊急提言ということでまとめて書かれているわけです。こういったことにそれぞれの主体が本当に主体的にやっていく、これは当然のことながら、保護者や市民を巻き込んでやっていくということが大事だと思うんですけれども、第12期の中教審総会のスタートに当たって、全国高等学校長協会の会長でいらっしゃる石崎先生から、「教育へのリスペクト」という御発言がありました。教師へのリスペクトではなくて教育へのリスペクト。この教育というものをどう考えていくのかというと、国家100年の計であるとかいった言葉もあるわけですけれども、ここを本気で考えないと駄目で、そういう点でいうと、これは優先順位の相当上位といいますか、私は第1番だと思っておりますけれども、そういうところでもって各主体が取り組んでいくということにこの提言がつながっていくことを心から期待しているものであります。
 以上です。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。今回の提言をまとめていただいて、ありがとうございます。特に全体を通じて、働きやすさと働きがいという2点を両立するという方向性はすごく大事だと思っているので、今後もぜひ各主体で私も含めて取り組んでいければと思っております。その上で幾つか気になったところを申し上げます。私のほうは、時間の都合もありますので、ポイントだけ申し上げますが、参考資料4というものが最後のほうについていると思います。そちらのペーパーも見ていただきながら、ポイントのみお話しさせていただこうと思います。
 一つは、現状認識とこれまでの反省が必要かなと思っております。これは前回も申し上げたとおりなんですけれども、まだまだ非常に過労死リスクの高い先生方も多いという認識を、危機感を持っています。こちらは教諭のデータをお示ししておりますけれども、御案内のとおり、副校長、教頭はもっとしんどいという状況ですので、本当に倒れない人がいないかということをすごく心配しております。政府の過労死防止の大綱がありますけれども、あれの目標はたしか週60時間以上の方を5%以下にするというものなんですけれども、学校は下手するとその10倍ぐらい過労死リスクの高い人が、非常に高い人がいるということでありますし、当然、指針の45時間をはるかに上回っている人も多いということでありますので、この辺りはさらに危機感を持つ必要があると思っております。
 1ページ目の下のほう、丸2ですけれども、非正規雇用の問題、それから、下線を引きましたけれども、教員を目指さない学生さんも増えているのではないかと。これははっきり分かるところではないので、今後も検証が必要です。
 次の2ページに行きまして、小学校の採用につきましては、新卒の学生さんはほぼ横ばいですけれども、中高はダウントレンドです。なので、直ちに人気が小学校では下がっているかどうかというのは分からないんですけれども、少なくとも中高についてはあまり目指されなくなっている。あるいは、小学校も含めて、わざわざ講師までして先生をやろうかという人がやっぱり減っているという状況がありますので、この辺りも危機感を持っています。
 あるいは、学生向けに、これは愛知県が聞いた調査、あるいは岐阜県でも同じような調査をしたということが先日報道されていますけれども、教師を目指さなくなった学生の理由として、トップは休日出勤や長時間労働です。やはりこの辺りも含めて、もちろん処遇の問題等もありますけれども、特に問題であろうというところです。
 続きまして、3ページ目です。教員定数を満たしたところでぎりぎりしんどい状況、特に小学校とか特別支援学校は定数を満たしても少ない人員ですけど、欠員が生じています。先ほど荒瀬さんもおっしゃったとおりですけれども、3ページの上は全国教頭会の方に協力いただいて我々のほうでも調査したところ、やはり年度途中になるほど欠員はたくさん生じていると。このパーセンテージが正しいかどうかはちょっと置いておいても、そういう明らかな状況です。もう年度当初に講師バンクが払底しているという状況ですので、当然年度途中に産育休だとか病休の代替はいない。お産を迎えた先生たちにおめでとうとなかなか言い切れないような現場があるというふうな、非常に憂慮するところかと思います。
 しかも、3ページ目の真ん中のほうに書きましたように、具体的な被害がもう子供たちに出ている。中3生で国語の先生がいなくて社会科の先生が国語の代わりをしているとか、そういったこともすごく多いわけではないかもしれませんが、決して少ないものでもなくて起こっていたり、小学校の先生が結構ころころ担任が替わることで相談しにくいだとか、支援学級の子たちが不安定になっているといった状況もすごく寄せられています。
 それから、今、学校現場は猫の手も借りたい状況ですので、正直、講師の先生について、とてもいい方もいらっしゃるのは確かですが、講師の質を選べない状況です。ですから、今回のこの部会は質の高い教師の確保ということですけれども、正直、講師の質を選んでいられない、正直、不安な方も講師にせざるを得ない、穴を空けるわけにいかないのでという事情です。その辺りが教頭調査でも分かっていますので、この辺りも憂慮し、審議していただきたいと思っております。
 加えまして、私のペーパーの4ページ目なんですけれども、これはかなりざっくり書いておりますけれども、これまでの働き方改革の反省点はどこにあるのか、あるいはそれを踏まえて、これからの働き方改革はどういう方向性であるべきなのかということはよくよく考えないといけないと思います。この提言にも書かれていますように、あるいは委員の方もおっしゃったように、やらされ感だとか手段が目的化するような働き方改革ではなくて、教職員の方が主体的に取り組んでいける、やってよかったねと思えるものにしていく必要があると思います。
 それから、この2段目に書きましたけれども、やっぱり先生方のウェルビーイングなり、リフレッシュできるというところも大事かなと思います。今回の提言で若干不満なのは、休憩を放課後に取ればいいみたいなところがあるんですけれども、それははっきり言って間違っていて、勤務の途中でしっかり取ってリフレッシュしていただいて、それで能率を上げていただくというのが休憩の趣旨なので、放課後に勤務開始してから6時間、7時間たった後で取ればいいという話ではもちろんないので、やむを得ずそういう場合もあるでしょうけれども、そういうところも含めて、今までの学校の休憩が取れないで当たり前、トイレに行く暇もないみたいな当たり前を改善していかないと、当然、学生さん等にも振り向かれないし、病休の方は出続けるし、欠員が埋まらないしという状況になると思います。
 それから、3段目に書きましたけれども、多忙の要因とか内訳、これをしっかり見ながら、メスを入れるべきところにメスを入れるということが大事だと思っております。
 そんなところも含めまして、提言したいことを3つほどまとめました。短く申し上げます。4ページ目の下ですけれども、5ページ目に、前回頂いた資料、単に、ほとんど再掲ですが、1日に占めるパーセンテージを示したものと、あと、あまり多いと大変なのでグルーピングしたものですけれども、これを見ていただきながら、ちょっとややこしい表かもしれませんが、聞いていただければと思います。
 一つは、やはり教科指導の比重というのは、当たり前なんですけれども、小学校の先生の大体6割前後ぐらいか5割ぐらい占めている。当たり前の話です。余剰時数の見直しは既に提言にも載っていますが、補習とか朝学習も含めて必要なものに絞っていくだとか、あるいは、余剰時数についても1,086以上はやめろみたいな話がありますけれども、別に余剰なしでも全然大丈夫なわけですし、そういう自治体も中にあるわけですから、思い切って、必要なものは取っていただいて結構ですが、本当に、学力向上だからということで、たくさん授業時数を取ればいいという話じゃないでしょうという、子供の負担軽減も含めてしっかり考えていく必要があるということです。
 あるいは、教科指導は、当然ながら、教職員定数の問題がありますので、これは義務教育標準法の在り方だとか乗ずる数の在り方も含めて、今後の審議にぜひ入れていただきたいと思っております。
 それから、教職員定数の在り方は、予算がすごくかかる大きな問題ですけれども、学習指導要領の内容を減らせないかとか、1,015というような標準時数をもっと下回ること、今、不登校特例校では下回れますが、そういったものももっとできるようにしないといけないんじゃないかなと思うので、これはこの部会のメインではないと思いますが、別の部会にしかるべきカリキュラム・オーバーロードを見直せということをぜひ伝えていただきたいなというふうに思っているところです。
 最後に、最後の6ページ目にも申し上げます。授業準備については、こちらに書いたのでいいかなと思いますけれども、さっき講師の先生が不安だという話も含めて、経験の浅い方とか不安な方でもある程度の授業とか学級運営ができるような仕組みとか制度づくり、環境づくりというのを教育行政は考えていかないといけないということを申し上げます。
 それから、3点目ですけれども、「生徒指導(集団)」と書かれているもので、給食、掃除、昼休みの時間、これは1時間ぐらいあります。先ほど市長から掃除は教育的に意義があるとおっしゃられましたけれども、多分、市役所の職員は誰もトイレ掃除なんかしていませんし、教育的意義があるんだったら、道徳の時間にたまにすればいいだけぐらいだと思いますので、教師がして当たり前だとか、子供がして当たり前だというこの発想自体がそもそももう古い。藤原先生のほうが詳しいですけれども、フランス等では教員以外のスタッフも見守ったり分担しているというところがありますので、そういった部分にもメスを入れていく。
 生徒について、学校の捉え方、教育行政の捉え方も広過ぎると思いますけれども、生徒指導に関する業務についても必要な精選をしていくぞという方向性を今後深めていければと思っております。あとは、読んでいただければと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、西村委員、お願いいたします。
【西村委員】  成蹊大学の西村です。今回、緊急提言が出されたことで、この問題の重要性や深刻さを世間にアピールするとともに、教育現場の方たちにも文科省の本気度が伝わって、その意義は小さくないと思います。
 しかし、第1回から今回の緊急提言までの資料を拝読していて、私、今回、病床で拝見したんですけれども、細かい字がぎっしり並んでいて、とても辛かったんです。教育行政に通じた方たちは読みやすいのかもしれませんが、私のように教育行政の専門外の者にとっては、体力があるときにしか精読しづらい資料なんです。恐らく、複雑な内容を正確にぎゅっと圧縮されたのかもしれないですけれども、概要版ですらしっかり理解するのは厳しいです。概要版が文字びっしりというのは文科省だけの問題ではないですけれども。
 ただ、今回の緊急提言を実現していくためには、保護者の皆さん、忙しい自治体の首長さんなど、関係各方面の方たちにも御理解をいただかなければならないわけで、そうした方たち、とりわけ保護者の方たちにも分かりやすいよう、表現も簡単、シンプルで、重要なところだけに絞り込んだものをぜひ作っていただければと思います。
 そうすることで多くの人たちに問題の深刻さや取り組むべき内容について知ってもらったほうがいいと思いますし、現場で保護者に説明する苦労が半減すると思います。その際とても重要なのは、これが先生を助けるための取組ではなく、教育の質を高めるため、子供たちがよりよい教育を受けるために必要不可欠な取組であるということを強調することだと思います。
 もう一つは、今回の緊急提言や今後具体化される改革について、各教育委員会に少なくとも1人、望ましくは複数人、生き字引みたいな人をつくってはどうでしょうかという御提案です。各学校現場からどうしたらよいのか疑問に思ったことを気軽に問い合わせられる人がいるようにしていただきたいと思います。
 この部会以外にもいろいろないきさつがあって、関連資料は膨大だと思います。自分たちの取組はこれでいいのかとか、いろいろな疑問が湧くわびに資料を読み直したりする手間暇がなくなるようにしていただきたい。できれば、電話やオンラインでつながるようにしていただきたいと思います。
 これは教員の特性だと思いますが、分からないことを簡単に人に聞かないで、まずは自分で調べたりしてしまうんです。でも、緊急提言に取り組むために書いたり読んだりする時間が増えて、さらに苦しくなるというのは本末転倒だと思いますので、簡単に相談できるような実施体制も、文科省が中心となって、教育委員会とよく連携して工夫していただきたいと思います。
 私からは以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。提言を生かすための具体的な御提案をいただきました。ありがとうございます。では、澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】  ありがとうございます。緊急提言の取りまとめ、まずは、ありがとうございます。私はこれまで現場で具体的な改革を多数してきていますので、改革の具体的な実効性を高めるためにということで、4点話します。これまでの方と同様に会場の声がよく聞き取れていないので、ずれていったら大変申し訳ありません。
 1点目です。こぼれ球になっていることがあるという点についてです。学校長の裁量というのは実に広いですが、実際は校長も進められずに困っているということが多いです。では行政はというと、学校を尊重して介入しないようにという配慮の場合もありますが、各学校の判断ということで結果的に放置になっているというのがよくある実態です。
 地域の多くの学校で途方に暮れていたり、地域内一律での方針が合ったりするようであれば、方向性を明確に示して教育委員会が大なたを振るうなり、必要に応じて予算をつくるなりしてほしいと思っています。そのために、行政は学校の声によく耳を傾ける必要があります。
 特に3分類については、平成31年から言われていることですし、緊急提言の別紙にもある強いメッセージですので、改めてよく見てこぼれ球を防いでほしいと思います。
 そして、2つ目は、保護者の巻き込みについてです。緊急提言の別紙にもありますが、削減すべきだが削減できないと考える理由では、保護者の理解が必要だからというのが全14項目の上位に圧倒的に多いです。しかも、支持率の高さもほかの理由より際立っています。であれば、学校も教育委員会も国も、保護者に当事者になってもらうということをもっと積極的にしていいと思いますし、今後は、各主体のうちの一つに保護者を入れることも考えていいのではないでしょうか。
 学校の働き方を何とかしないと我が子と国の未来に関わることだという重要性を市民に分かりやすく、社会総がかりだということを浸透させることだと思います。これは1回メッセージを出したからいいということではなくて、文科省や各自治体が持つ市民とのあらゆるチャネルを使っていっていいと思います。例えば、ホームページのトップやLINEのポップアップなど使えるものは何でも使って、なりふり構わずやるぐらいでいいんじゃないでしょうか。映画の上映前の動画広告でやったという自治体もあるほどです。
 また、知ってもらうというだけではなくて、具体的な行動のためのアプローチとして、例えば、弊社では地域や保護者と学校の対話会をすることがなどよくありますが、まだまだ保護者は学校の勤務の実態も疲弊具合も知らないこともあります。連絡帳の返事も当日に返せないほど時間に追われているという、一般の感覚では考えられないような様子を知れば驚きます。そして、本当に我が子のためにも解決が必要なんだと理解して、一緒に考え始めてくれます。
 学校も教育委員会も、学校でやり切らねばとか弱音を吐いてはいけないという思考を一旦手放して、保護者に困り感を丸ごと開示して頼ってみてほしいと思います。休み時間の見守りは保護者が担うというようなことが対話会の1回目から決まっていくなんていくこともありますので、一緒に考えるというのはとてもパワフルです。
 3分類については、今回の別添はそのまま地域保護者との対話の素材に使うことができると思います。特に登下校、そして放課後、夜間の対応については、保護者や地域が大きく関わりますが、「学校以外が担うべき」という言葉も使っているわけなので、基本的には学校以外が担うという前提で答えを探していっていいはずかと思います。
 3つ目です。大きな時間を生むことができる時程変更と予備時数のカットについてです。どちらも年度末まで待たずとも、年度途中でも踏み切ったという事例があります。時程変更についてのみ、昨年度支援した弊社事例を紹介したいと思います。
 その学校では、拘束時間の長さが子供目線になっていないということに先生たちが気がついて、11月から12月にかけて下校時刻を大幅に繰り上げました。バスの時間の変更も必要という大がかりなものでしたが、まずは、1か月程度試行期間とし、修正して本格実施としましたので、2か月間で2回の変更です。年度またぎじゃないとできないという意識の地域もあるようですが、年度途中でも変更する学校は珍しくないことです。できることは直ちにということで、教育委員会も国も後押しとバックアップをお願いします。
 最後、4点目に、今後考えていきたいことです。2つあります。現在抱えているものから引き算できるものについては3分類で示せましたが、では逆に、学校そして教師は何さえやっておけばいいのかということを示してはどうでしょうか。それ以外は自由なんだと、先生たちの高度な専門性を尊重するプラスのイメージで、先生の仕事が最低限何なのかについて示してはどうでしょうか。
【貞広部会長】  澤田委員、すみません。こちらのほうで声が途切れ途切れで聞こえないんですけれども。オンラインの方々は聞こえているんですか。のようですね。すみません。
【澤田委員】  続けてよろしいですか。
【貞広部会長】  はい。お願いいたします。
【澤田委員】  先生たちからは、もっと自由に工夫したいとか、そもそも考え直したい、けど、やっていいか分からないという相談をよく聞きます。教育委員会がよく使う法令遵守とか指示とかいうのが、与える側も受け取る側もどちらにも課題があって、どういうわけか、周辺の余分なことまでしておくようなことになっているのもよく見かけますので、立場の強い教育委員会がまずは指示の出し方に気をつけるといったことも必要だと思います。
 学校単位で学校内でこれさえやっておけばというのを示している例もあります。学習指導要領が仕事の根拠だから、学習指導要領さえやっていればいいんだよと明るく言える校長先生の下では、先生たちは学習指導要領に立ち返って、案外仕事はシンプルだと気がついたことがありました。それでクラブ活動の回数精選、多過ぎた授業時数削減、学校行事は子供を主体でじっくりできる回数に減らしたり、大人のお膳立てをやめたりしたということもありました。こういう改革を進めた学校では、改革自体が楽しいとか、意味を感じられる時間が増えたという声が上がります。
 また、先ほどの年度途中で時程変更した学校の事例で1つ追加紹介したいのは、落ち着いて過ごせるようになった子供たちを見た教頭先生の言葉です。これまで子供のためだと思っていたけれども、大人都合の時程だったと気づいたそうで、子供たちに対してごめんと思ったとおっしゃいました。現在の「子供のため」が本当に子供のためなのかを問い直すことも必要ではないでしょうか。
 以上となります。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、会場から藤原委員、お願いいたします。全体的に時間もありますので、3分できれば守っていただければ。お願いいたします。
【藤原委員】  ありがとうございます。それでは、2点申し上げたいと思います。
 1点目が、緊急提案の8ページに関連いたしますけれども、副校長、教頭先生の事務負担の軽減です。改善傾向にあるとはいえ、教頭先生の勤務負担軽減というのは喫緊の課題だと思います。これは私の知る限り、世界的に見てもナンバー2のスタッフが突出して長いというのは、相当珍しい異常な状態だというふうに私は認識しております。
 一方では、日本の学校は、教頭先生が非常に幅広い範囲を見ていただいて、そして対応していくことによって問題解決能力を高めてきたという側面がありまして、それについては極めてありがたいことであったというふうに感謝しております。しかし、このままで持続することが難しいことも事実なので、ぜひこれは改善をすべきだと思います。しかも、これは教頭職からは言いづらい部分もございますので、教育委員会が主導でこれは変えていかないと、変わらないんじゃないかと思っております。
 これまで、教頭職の事務負担の軽減というのは長らく議論されておりまして、1つの方向性としては、事務をほかのスタッフに移すという方向もありますが、もう一つの方向性として、教頭が担当するんだけれども、他の職に関わっていただいて見届けるといった事務の移行方法というものも検討されてまいりました。
 今回御提案中に入れていただける支援スタッフというのは、まさに後者の形で事務を移行できる可能性というのが大きいと思います。そういう意味で、今回の支援スタッフの配置というのは非常に可能性を持っていると思っていますので、ぜひ実現していただきたいと思います。
 ほかの国を見ましても、教頭の事務負担軽減の観点でパーソナルアシスタント、PAというのを配置している国というのも現にございます。ですので、ぜひ副校長・教頭のワーク・ライフ・バランスに配慮し、優れた管理職の確保に向けてお進めいただければと思います。
 2つ目が、事務負担の軽減です。教頭先生もそうなんですけれども、教員の場合、時間的には、教員勤務実態調査で学校経営、事務の時間というのは合わせて40分です。しかしながら、事務は、教員にとっては意義が感じづらく負担感のある業務であり、しかも担当者によって負担感はかなり違うと思われます。実は、この事務の領域というものが事務の効率化、適正化というのが極めて遅れているということは共通理解しておいたほうがいいと思います。
 これまで、各学校単位で、または地域単位で事務の効率化に取り組んでいただいているんですけれども、全国のレベルで改革を推進することが私は必要だというふうに思っております。これも放置したら、かなり、このままの状態で、例えば、学年の先生が学年で集金額を決めて、そして教員が集めて、しかも、振込口座も幾つもあって、ある保護者は現金で持ってくるとか、こういうような状態というのが続いてしまうんじゃないだろうかというふうに思います。
 ですので、例えばですけれども、学校徴収金については、公会計化というのを目指しつつも、当面取り組むべき事項をまとめたチェックリストというのを文部科学省で作成して、全国で取組を加速化するということもぜひやらないと、全国で事務の改善は行われないんじゃないか、改革が進まないんじゃないかと私は認識しております。
 ちなみに、これもほかの国では、事務改善支援ツールの提供というのは積極的にやっている国というのもございます。ぜひこの2点目も御検討いただければというふうに思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。3分守っていただきまして、ありがとうございました。では、オンラインから善積委員、お願いいたします。
【善積委員】  ありがとうございます。資料を拝見しまして、言葉1つ1つの中に非常に我々の伝えたい思いをうまく取り込んでいただいていることに大変感謝いたしました。特に、私も働きやすさと働きがいの両立というところをしっかり書いていただいていることはとてもすばらしいと思っております。その上で、この緊急提言を深めていくに際して、論点としてどうかなと考えていることについてお伝えをしたいと思っております。
 例えば4ページ、資料では5ページになりますか、標準授業時数のところになるんですけれども、私も現場の教育委員会の話をするときに、この時数の設定については、かなり問題意識をお持ちのところが多いという印象を持っています。ただ、災害であったり疫病であったり何かあったときのことを考えるとという言葉が出てきてしまうので、ケーススタディをしっかりされたほうがいいなと思っています。
 ですので、いろいろなパターンの中で、授業時数が標準以下に収まるために、どういうところが膨れてしまっている場合はこれを減らしてみる、あるいは、こういうふうな状況を想定してこういう形で組んでみるというようなパターンを幾つか作成をされていかれると参考にしやすいのではないかと思いましたので、そういうものの御検討いただければと思っています。
 それと、2点目なんですけれども、こちらは5ページになりますかね。ICTの活用に関してですが、やはりICTは非常に業務改善・効率化には重要なファクターでありますけれども、本当に学校、地域によって予算であったりセキュリティーの考え方によって使い方に差が出ているという実態を強く感じています。
 この辺り、まず、基盤整備において差が生じないようにというところは、行政の規模の差ではなく、そこは国として、確実に基盤整備できるような、そういう支援をするということがはっきりと打ち出されるといいなと思うのと、ICTというのはトラブルがつきものなので、この辺りのシューティングが学校でよくシステムが分かる人に任されているケースが結構多くて、そういう形ではなく、自治体単位できちっとシステム管理ができる委託先などを確保し、それを学校現場も使えるようにするとか、現実的に考えれば幾つか方法があると思うので、その辺りも事例をひもときながら、教育委員会以外の行政もちゃんと目にしていただけるように持っていく資料の整理の仕方があってもいいのかなと思っております。
 もう一つが、通級学級が最近非常に増えているということを学校現場でお聞きしています。この数年の中でも倍ぐらい教室が増えていて、その指導できる先生がなかなかいらっしゃらない。仮に先生の数が合っていたとしても、対応できる先生であるかどうかというところは課題があるということをお聞きしています。
 その辺りも含めて、いろいろな属性の子供たちに質の高い教育ということを考えると、単に数だけを確保するということではなかなかこれから先進んでまいりませんので、その辺りも意識した人の構成をまずは考えていく。その辺りをどう確保するかというところ、国と行政とである意味相談し合いながら、予算をきちっとつけて確保するという流れができていくといいかなと思っています。
 最後ですけれども、提言を拝見していて、改善するポイントというのはとてもたくさん上がっているんですが、先生方がこれを読んで何か期待をするというか、うれしく感じるような要素がもっと書けないかなということを感じています。
 その一つの大きな要素は、休みが取れるということかなと。自分の時間、自分の勉強もでき、家族とともに過ごせるその休みが、毎週必ず取れる。本来は土日取れないといけないし、そういう状況がつくれないといけないんですが、そのほかにも少しまとまって休みがちゃんと取れる状況というのもあってもいいのかなと。
 例えば、そういうものを1つのメルクマール、指標として国としても考えていく。それを達成させるために、上位の概念として人材の管理をしていただきたいということで、各学校現場で休んで、きちっと自分の時間も取れ、勉強もできる状況をつくるためにはどれだけの人が必要で、その人たちをどう確保するかという計画を立てていく。そういうことが徹底できるように、文科省さんのほうからもしっかりと指導していただくような、何かそういうものがこの文章の中に書かれていくといいなというふうに感じました。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。この後、オンラインから露口委員、会場から青木委員、秋田委員の順番で御発言をお願いいたします。では、露口委員、お願いいたします。
【露口委員】  よろしくお願いします。露口でございます。私のほうからは2点、申し上げたいと思います。
 1つが、前文にありました教員のウェルビーイングについてです。2点目が、p8にございます教頭の困難についてです。教頭の困難につきましては、藤原委員も言及されておりましたが、重要であると考えられますので、言及させていただきます。
 教員のウェルビーイングにつきましては、現在、世界的に教員離職や教員不足が進んでおりまして、日本だけではなく世界的な問題となっております。教員ウェルビーイングを検討課題として明確に打ち立てることは、とても重要なことであると思います。
 さらに、妹尾委員、善積委員が指摘しておりました「働きやすさ」と「働きがい」の両立ですが、この両立によって教員のウェルビーイングの実現という道筋が見えてきたと思います。
 それでは、この「働きやすさ」と「働きがい」をどのように両立していくのかという課題が次出て参ります。私たちが実施している調査研究では、先生方を取り巻く信頼関係がキーワードになることが確認できております。子供、保護者、同僚、上司との信頼関係が豊かな先生は働きやすいし、働きがいが高い確率で実感できています。幸せが実感できています。信頼関係に欠ける先生方が苦労されているということが分かってきております。
 では、その信頼関係なるものをどのように醸成していくのかというところが、教育委員会や学校管理職のマネジメント問題として提起されます。信頼づくりを対象にしたマネジメント研究というのも進んでおりまして、簡単に言いますと、日常的な対話・交流や共に汗を流すような協働活動の機会をどれだけ入れることができるか重要となります。働き方改革の推進過程で、時短との調和が難しい面もありますが、ここは学校管理職の皆様方には力を入れていただく必要があると思います。
 また、信頼の蓄積は在校年数とも関連していることが分かっております。1年、2年でどんどん先生が変わっている学校は、働きにくい学校になっています。先生方が一定の期間在校して、そこで人間関係、信頼関係を築いていく。その中でたくさんの児童生徒や保護者とも知り合いになり、一緒に対話、交流、協働活動の経験も蓄積できると思います。そういった信頼づくりのための手だてについて調査し学び続ける必要が、特にリーダー層の先生方にあるのかなというのが1つ目でございます。
 もう一つ、教頭先生の困難でして、P8にございますが、マネジメントを支援する専門員の配置が御提案されております。地方に行きますと、教頭先生が授業を持たれている学校とか、教頭先生が学級担任されている学校がありまして、まずはこうした実情の改善が必要かと思われます。専門的なマネジメントの支援もよいのですが、教頭先生が行うであろう業務を主任層に回していくという考え方もございます。その際に、地域連携推進主任であるとか、業務改善推進主任であるとか、できれば加配が望ましいのですが、ミドル層の先生方に教頭業務をより専門性高く、腰を据えて実践できるようなポストをつくり、もちろん手当もつけながらしていただくというのも1つの方向性であると考えております。愛媛大学教職大学院では、教頭を支援する地域連携推進主任や業務改善推進主任の配置効果についての実践研究を進めております。
 以上2点でございます。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、会場から青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  青木です。よろしくお願いいたします。まず、緊急提言お取りまとめ、ありがとうございました。私からは緊急提言の今後についてということで、中身ではなくて全体としての提言の扱いについてお話しできればと思います。
 まず、目的を最初部会長から御説明がありましたが、勤務実態調査の結果を虚心坦懐に見ますと、明らかに、現状、多忙によって疲弊しきった先生方を通じて提供されている教育サービスの質が必ずしも良好なものではないということが危惧されているわけです。それを改善するということは、ひいては教育サービスの質が向上することになりますし、さらに言えば、国益にもかなう施策であるということで、この辺は社会に対して訴えかけられると思います。
 平成の頃、特別部会での緊急提言が出されまして、今回の提言と比べてみますと、前回の平成の特別部会の提言の中から見ると、実現したものはかなり多いんです。このことは注目すべきで、例えば、タイムカードの配備状況というのは明らかに向上していますということで、実現した提言というのはどうして実現したのかというのも分析すべきですし、必ずしも十分に実現しないで今回の提言にも盛り込まれているものは、どうしてなのかということも分析すべきだと思います。例を挙げると、休憩時間というのは必ずしも実現していないという提言になるかと思います。
 その中で、今回のと前回の平成の緊急提言を比べますと、支援スタッフというものが非常にヒット商品のように今なっていて、非常にいい結果を生み出しつつあると思います。ヒット商品ですので、これを大事にしていくことは当然なんですが、配置にとどまらない研修などのプログラムの開発というのも、国としても、あるいは、地方に促すという意味でも、文科省の仕事になっていくかなと思いました。
 3分類、これは緊急提言とセットで運用されていくことになるわけですが、3分類の目的というのは、教員が本務である授業に取り組むべきという意味で運用されていくわけですので、授業というものについてちょっとお話ししますと、教員の持ちコマ数という問題と、学校が学校として提供している時数、これは分けて考えなければいけないと思います。教員数と持ちコマ数の問題です。
 最近、カリキュラム・オーバーロードというのが議論されています。確かにそうなんですが、標準時数を上回るケースであってもリソースさえ確保していれば、たくさん先生が配置されているような自治体であれば、それは必ずしも問題にならないのではないかということが1つと、逆に、ナショナルミニマムの実施すら危惧されるような学校があるとすると、それは一刻も早く必要なリソースを確保すべきだという議論になっていくかなと思います。
 私からは以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】  ありがとうございます。秋田でございます。まずは、この緊急提言が学校や教員と、それから教育委員会、自治体と国がそれぞれに主体的に行うんだということを明確にしているところがとても重要であろうと思っています。
 先ほど西村委員も言われましたが、このことが、例えば、授業時数が減っていくとか、行事が精選されるということの意味を保護者や一般の方がどれだけよく分かってくださるのか、今、教員の状況というものがどれだけ厳しいのかということが一般の方にどこまで届いているのか、そして、その強いメッセージを出すということが重要だろうと思います。
 ずっとですが、教員というのは公教育の中でスケープゴートとして批判されがちな、そういう職業として成り立ってきています。それを今、共に教職というものが、先ほど荒瀬委員もリスペクトという話をされましたが、しっかりと協働してやっていくのがそれが子供たちのために、これからを担う子供たちや公教育のために重要だというメッセージを分かりやすく簡潔に出していく、また、若い層に、例えばこの提言の資料3のようなものが、教育委員会や管理職に届くだけではなく、若い教師も、また、自分たちが何ができるのか、学校で自分たちはどこを改善したいのか、そうした主体的な対話の1つの資料になっていくような形で周知や徹底をしていくというようなことが重要なところではないかというふうにまず1点目として思うところであります。
 そして、2点目として、今、管理職が忙しい。先ほどもお話がありましたように、副校長や教頭がということの背景に、思うところが、日本は全国みんな平等機会ということで、転勤の制度というのが世界と違ってあるわけです。それが特に管理職において、二、三年で回っていく。そこにおいてさらに業務の負担がかかっているというところを、長期的には、今後、この人事の在り方ということを考えていかないと、地域との連携とか、それから、着任してすぐの教頭先生を見ていると本当に大変でありまして、そして、数年たつ間もなくまた次に変わっていき、教頭になられたり校長になっていく。
 そういう教頭の間に今後の教育の動きを学ぶ時間すらないというような状況が起こっている。そこのところを、専任の支援スタッフということも私は極めて重要だと思いますし、先ほどありましたように、主任に任せていくなどの方向もあると思うんですけれども、全体としてどういうローテーションを今後取っていくのかということを、教員の大量退職の後、かなりアンバランスも起こってきていますので、その中で今後考えていくということが必要なのではないかというふうに思っているところです。
 そして、3点目として、ほかの先生方のところであまりお話が出なかったことになりますけれども、教師になりたいという学生たちが、なっていけるために、最後のところになりますけれども、9ページのところになりますが、開放制の原則は保つべきでありますけれども、教職の教員養成課程の在り方というものをもっと中高面のところ辺りを、単位の在り方なども考えていくとか、採用の在り方を今後、時期の問題だけではなくて考えていくというようなことを組み立てていくことによって、また、奨学金の返還の制度もそうですけれども、今後、教師になりたい層に対して、教員に働きがいがあるかということを伝えていくことや、先ほどからあるリフレッシュ制度もそうですが、そういったものが整備されているのだと我々が胸を張って言えるような形に、今後、この緊急提言の中で何をすべきかということも議論をしていくことが大事だと思っています。
 長期的には、定数の問題は一番難しいので、これについて小学校の高学年がまずということが言われていますが、私は中学校の教員の勤務実態調査結果も考えたときに、その先にあるのは、中学校の定数の見直しということを考えていくことの議論も長期的に行っていく必要があるのではないかと考えているところです。
 以上になります。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、会場から植村委員、お願いいたします。
【植村委員】  全連小の植村でございます。ありがとうございます。まずは、これまでの議論の内容であるとか全連小として要望してきた事項などを上手に盛り込んでいただいて、心より感謝申し上げます。私のほうからは大きく3点お話をさせていただきます。
 まず、1点目でございますが、提言の本文の内容から、どれも重要だと思うのではありますけれども、特に大事だなと考えている点について、4点ほどお話をします。まず、1点目が、提言の副題にもあります「持続可能な」という視点でございます。この提言が先を見通した実効性のあるものにするということ、そのためには持続可能なという視点が提言の全てにおいて大事になってくるのかなというふうに思っております。
 2点目です。2ページ目だと思うんですが、今般の改革の目指すべき方向性という部分がありますが、これは大変重要な視点だなというふうに思います。目指すべき方向性をしっかりと提言の中に盛り込んでいる点を大事にしたいと思います。
 3点目です。これは2ページ目、3ページ辺りにあったと思うんですが、できることを直ちに行うという考え方。これは非常に大事にしたいと思います。こういった提言、スピード感が大事だと思いますし、先手先手で進めていくということを大事にしたいと思います。
 4点目です。7ページ、8ページにあります、3、持続可能な勤務環境整備等の支援の充実の部分でございます。(1)教職員定数の改善、(2)支援スタッフの配置充実、(3)処遇改善、(4)教師の成り手の確保、どれもしっかりと実現していくということが大事だと考えております。こういった要素を盛り込んでいただいて本当にありがたいなと思いますので、ぜひしっかりと実現していくということをお願いしたいと思います。
 大きな2点目です。どこが主体となるかということを明確にすることが大事だと考えます。文章でいうと主語は何かということになると思うんですけれども、例えば、4ページになると思うんですが、1の(2)で各学校における授業時数の見直し。
 これについては、先ほど来各委員の皆様からもお話をいただいて、そのとおりだなと思うのですが、標準授業時数を大幅に上回っている学校は見直す。じゃあ誰がやるのかという話のところで、確かに、最終的に教育課程を編成するのは校長の権限なので、校長がやるんですけれども、実際には、所管の地区教育委員会の方針を踏まえて教育課程を編成するわけなので、地区教育委員会がきちんと国の方針を受けて標準授業時数を大幅に上回らないようにしていくということが、学校の立場からすると大事にしていただきたいなというふうに思います。
 大きな3点目です。そもそものお話になりますけれども、働き方改革のさらなる推進というのが肝要、土台かなというふうに思います。その実効性を高めるというところで、別添の「3分類に基づく14の取組の実効性を確保するための各主体による『対応策の例』」というのをまとめていただきましたけれども、大変具体的に示されており、参考になると思います。ですので、これをしっかりと進めていく、実行していくということが大事だというふうに思います。
 以上ですが、最後になりましたけれども、毎回思うところなんですが、各委員の皆様から様々な視点をしていただいて、勉強になるなというふうに思います。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございます。これまで委員の方々から様々な御意見をいただきましたので、ここで事務局から、安井財務課長から応答があればいただけますでしょうか。
【安井財務課長】  財務課長でございます。先生方、様々な御指摘を頂戴いたしまして、ありがとうございました。本日提言をいただきましたので、今後、文部科学省としても、大臣以下、御指摘いただいた提言の趣旨が実現できるように、更にしっかりと取組を強化してまいりたいと思ってございます。
 その中で、提言を実行に移していく観点でも、本日もまた様々な御指摘をいただきました。地域の方々、保護者の方々を含めて、社会的な理解をいただきながら、こういった取組を進めていくということが何より大事だという御指摘をいただいてございます。
 また、学校の教職員の方々の主体的な取組をともに進めていくということも重要な事柄だという御指摘をいただいておりまして、提言について、その内容の趣旨を分かりやすく社会、学校の方々、教育委員会の方々に、私どもも更に御説明できるように努力をしてまいりたいと思っております。
 また、そういった改善を進めていく上で、いろいろな好事例、蓄積等々もございますけれども、実際の各学校現場の個別の状況の中で、どういう具体的な取組をしていくかというような、そこの支援ということをやっていくかということも大事な観点になるという御指摘をいただいてございますので、それを国、都道府県、市町村、それぞれの立場の中でどういったバックアップの体制をつくっていくのかということも、更に大事な取組の視点だというふうに感じているところでございます。
 また、国についての今後の責任ということでも大変いろいろな御指摘をいただいてございます。それぞれ非常に多岐にわたりますので、1つ1つしっかりと受け止めて取組を進めていきたいと思ってございますが、指導体制の人的な充実ということについても、本日も様々重要性を指摘いただいてございますので、そちらについても、私ども、しっかりとした取組をやっていきたいというふうに考えているところでございます。
 また、今日いろいろと御指摘いただいた中で、個別にもまた御指摘いただいている部分で御説明を補足でさせていただきますが、吉田委員のほうから、今日の資料3のほうで掲げてございます3分類の具体的な取組の資料についても御指摘をいただきました。夜間の見回りの関係のお話をいただいておりましたけれども、こちらも、この資料の趣旨は、原則としてどういう役割分担の中でこういった事柄について取り組んでいくのかということをはっきり社会の方々と一緒に共有認識を図ろうということで、中教審でも御議論いただいてまとめられたものであると理解してございます。
 個別のいろいろなケースの中では、当然、いろいろな対応を保護者の方々、学校と御相談しながら対応することももちろんあり得るということで、一律のものではないんだろうと思ってございますけれども、こういった形で基本的な、原則的な考え方ということを共有していくということかと思ってございます。
 また、校内の掃除につきましても、その教育的な意義というのは、日本の学校の指導のこれまでの実績でございますとかそういった中で様々評価、指摘されているところでございまして、そこは学校として大事にしつつも、ただ、これまでのこの3分類の御議論の中であったのは、必ず教師が毎日この業務についてやっていくということの必要性いかんということの御指摘でございますので、また、日常の清掃以外の特別なプール等々の清掃とか、そういったところの役割分担というのも御議論がこれまでございましたので、そこのアウトソースを含めての御議論になったかと思ってございます。
 また、スクールサポートスタッフの重要性が議論されている中で、どうやって校内でうまくそういう方々に御活躍いただくかということについても、運用面でいろいろな大事な部分があるという御指摘もいただいておりまして、これについては、文部科学省としても、そういった方々の学校内での御活躍の高めていく上での手引きのようなものを今後作成をしていく必要があろうかと考えてございますので、今日いただいた御指摘も踏まえて取組を進めていきたいと考えてございます。
 また、最後に、本日は回線のほうが不安定で、音声の関係でいろいろと御迷惑をした部分ございまして、大変失礼いたしました。おわび申し上げます。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。事務局のほうから応答いただきました。
 私が3分の圧をかけ過ぎて、珍しくこの会議で時間が若干余裕がございます。あとお一方かお二方か、言い足りないという方だけ特別枠で発言できる感じなんですけれども、どなたか御希望される方いらっしゃいますでしょうか。では、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  短く一言だけ申し上げます。善積さんが現場の先生たちが期待ができるような内容であってほしいというお話がありました。もうちょっと言うと、希望が持てるような内容なのかというところは、緊急提言のペーパーを作るだけじゃなくて、今後の運用次第というところもあると思うんですけれども、重く受け止めたいなと思います。
 そことも関わるんですけれども、別に文科省さんだけが悪いと言うつもりは全くないんですが、文部科学省さんも率先してスクラップをしていくという発想はもっと大事かなと思っていまして、私はこの夏休みもあちこちでも講演とか校内研修を手伝っておりますが、一例を挙げると、キャリアパスポートって要るのかねという話をすると、会場から拍手が湧き上がるんですよね。それだけ現場の先生方は、あんまりこれって本当に必要なのと思いながら、やれと言われるからやっているということで、別にこれは意義もあるんでしょうけれども、だったらうまく進める学校はやってもいいけど、すべての学校に義務づける必要はないんじゃないかとかですね。
 これはあくまでも一例です。これ以外にもいっぱいあると思うので、各委員の方あるいは文部科学省さんのほうからも、もっとこれは軽めでいいんじゃないかとか減らしていいんじゃないかとか、そういうスクラップできる内容を。引き算するという審議会はほとんどないんです。教員免許更新制の発展的解消が唯一の例外的な例で、ないので、ぜひ引き算する発想で、本当に重要なことに先生方の時間とエネルギーが向かうようにお願いしたいなと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。特に私が圧をかけた後半部分……。では、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】  すいません。圧のかからなかった前半でお話をした荒瀬ですが。今、妹尾委員がおっしゃったことも含めて2点あります。
 1つは、先ほど安井課長のほうが発言を受け止めてお話をいただきましたけれども、安井課長は限られた時間の中でお話になったので、それ以外にもいろいろと今後考えていただくということで、安井課長がお答えになったことだけが今後文科省としてやっていくとかこの特別部会で議論していくということではないということを思いながら聞いておりますが、それで間違いないですねということの確認がまず1つです。
【貞広部会長】  いかがでしょうか、安井課長。
【安井財務課長】  おっしゃるとおりでございまして、非常に幅広い御指摘をいただいておりますので、今日それぞれの御指摘いただいたことを全てお答えするということは時間の関係で難しかろうと思っておりますが、今日いただいている御指摘は、それぞれしっかりと今後の取組に考えていきたいと思ってございます。
 先ほど申し上げましたのは、今日いただいた提言の対外的な今後の御説明でございますとか、そこの提言の趣旨をどういうふうにお伝えしていくかという部分での御指摘いただいた部分に限って発言をさせていただいたというところでございます。
【貞広部会長】  荒瀬委員、御確認いただきましてありがとうございました。
【荒瀬部会長代理】  ありがとうございます。大変丁寧なお答えをありがとうございます。あえて申し上げたのは、こういったことについては、どういう言葉が出てくるかというのは、非常にナーバスになるぐらい困っていらっしゃる先生方は思われていると思うんです。ですから、さっき安井課長のほうがおっしゃった、例えば、3分類について言うと、ともかくこれをまずスタートにしましょうよということなので、これについてのいろいろな解釈はあると思いますけれども、まずこれをやらなければ駄目なんだということがしっかりとどの方からも同じように言われるということが、これは学校にとっては非常に大事なことだというふうに思っておりますので、その意味も含めて申し上げました。
 それから、妹尾委員がおっしゃったキャリアパスポートなんですけれども、私はキャリアパスポートの作成に関わった1人として申し上げますと、何のためにやるかということが重要であって、文部科学省が出したひな形をやることが重要でないと言うとちょっと語弊がありますけれども、それが大事なのではなくて、何のためかという意義のほうをお考えいただくと、いろいろなやり方があります。言ってみたら、いろいろなやり方が工夫できないぐらい現場が多忙なんだとなると、これはまさに多忙を取り除かないと先生たちの創意工夫ができなくなって、結果的には子供たちが困る。もちろん、先生たちのウェルビーイングにも関わるといったことですので、その辺も含めて、今後、また話合いができればと思っています。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、まだ恐らく御発言したい方いらっしゃるかと思いますけれども、時間が参りましたので、本日はこの辺りとさせていただければと思います。本日も活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。また、さらにやっぱり言い足りなかったとお考えの方がいらっしゃいましたら、事務局宛てにメールをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に、次回の予定について、事務局からお願いいたします。
【菅谷財務課課長補佐】  本特別部会の次回の日程につきましては、9月下旬頃の開催を調整しております。詳細については、追って事務局から御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  それでは、本日予定した議事は全て終了いたしました。これで閉会といたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――