令和5年7月24日(月曜日)13時00分~15時00分
文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)
【貞広部会長】 皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第2回中央教育審議会初等中等教育分科会質の高い教師の確保特別部会を開催いたします。
本日は、皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会議につきましては、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただきます。
会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言事以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあろうかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
また、本日は報道関係者と一般の方向けに本特別部会をYoutubeにて配信しており、Youtubeでの傍聴者から録音及び録画の希望がございましたので、御承知おきいただければと存じます。
それでは、初めに、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【菅谷財務課課長補佐】 本日の配付資料はお手元の議事次第の「4.配付資料」にありますとおり、資料1から資料3及び参考資料1から参考資料5となっております。
また、御参考までに、本特別部会の委員名簿、運営規則及び諮問文の関係資料を対面で御出席の方には机上に置かせていただいておりますとともに、オンラインで御出席の方には事前に電子媒体でお送りしております。
御確認いただき、過不足等ございましたら事務局までお申しつけください。
【貞広部会長】 ありがとうございました。
では、まず、議題に入る前に、前回御欠席だった委員の方々を御紹介させていただきます。お名前をこちらでお呼びいたしますので、適宜ミュートを解除いただき簡単に御挨拶を頂戴できればと存じます。
まず、露口健司委員でいらっしゃいます。
【露口委員】 よろしくお願いします。
【貞広部会長】 続きまして、橋本雅博委員でいらっしゃいます。
【橋本委員】 橋本です。よろしくお願いします。
【貞広部会長】 それでは、早速でございますが、本日の議題に入ります。
本日は、さらなる働き方改革の取組などを中心として直ちに取り組むべき施策に関わる論点について議論をしたいと存じます。
前回の会議における委員の皆様からの御意見等を踏まえ、事務局と御相談の上、現状の取組の進捗状況や課題も含めて整理いたしました。まずは、事務局より資料1から資料3までを一括して御説明いただきまして、その後、委員の皆様から御意見や御質問いただく形にしたいと思います。
それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
【村尾財務課長】 財務課長の村尾でございます。よろしくお願いいたします。
まず、資料1でございますが、前回、川田委員から、在校等時間の長さによってどのような業務に使っている時間が違うのかといった追加的な分析について御指摘がございました。今回、それを整理したものが資料1でございます。
まず、2ページを御覧いただきたいと思います。教諭について、在校等時間、1週間当たりですが、週50時間未満、週50時間以上60時間未満、週60時間以上ということで整理をしております。教諭については、専科指導あるいは担任外といった教師も含まれますので、同じ傾向ではございますが、よりそこが分かりやすくなっている資料として4ページを御覧いただきたいと思います。
こちらについては、学級担任をしている教諭について整理しておりますが、小学校につきましては、「授業準備」、「学校行事」について差が大きくなっており、中学校については、「授業準備」に加えて「部活動・クラブ活動」、「学年・学級経営」において差が大きくなっています。赤枠になっているところが大きな差が見られるところでございますが、そういったような傾向が出ているということでございます。
続きまして、5ページですが、先ほどのものは平日について見たものですが、こちらについては土日について見たものでございます。小学校では、「授業準備」、「学校行事」、中学校では、「部活動・クラブ活動」、「成績処理」、「授業準備」といったところについて差が大きいという傾向が出ているところでございます。
続きまして、6ページでございますが、こちらは副校長・教頭について整理をしたものでございますが、小学校では、「学校経営」、「事務(その他)」で差が大きくなっています。「事務(その他)」というのは、一番後ろのページにそれぞれの分類の内容について書いていますが、資料とか文書の作成など、こういったものが分類をされております。それから、「保護者・PTA対応」において差が大きくなっています。中学校では、「学校経営」、「事務(その他)」に大きな差がございます。
7ページ、こちらは副校長・教頭の土日についてでございますが、小学校では「事務(その他)」、中学校ではそれに加えて、「部活動・クラブ活動」、「学校経営」、そういったところについて差が大きいということでございます。
なお、これらについては、いずれも学期中の10月、11月についての調査でございます。
次に8ページでございますが、学校ごとに平均の在校等時間で比較をするということを試みたものですが、一番上の箱のところにありますように、教諭によって在校等時間の長い人と短い人がいますので、それらの中で影響を打ち消し合い、全体の傾向としては、特有の傾向というのは出てこなくなってしまうわけです。一方でこの表で御覧いただきますと、例えば小学校で学校の平均在校等時間が週60時間以上の学校、マル3を御覧いただきますと、週60時間以上の教諭が65%ですが、週50時間未満の教諭は5.8%です。逆に、小学校のマル1を御覧いただきますと、週50時間未満の学校で週50時間未満の教諭が62.9%ですが、一方で長い先生も(3)のところにあるようにいるという状況です。
したがいまして、当然ですが、時間外勤務が長い学校については、時間外勤務が長い先生が多いと、そういう傾向が出ているということでございます。
続きまして、資料2でございますが、本日、御議論いただくメインの資料ということになろうかと思っております。これは前回会議における議論を踏まえまして、更なる働き方改革を中心に、その他の検討事項に先立ちまして直ちに取り組むべき施策に関する論点を整理したものでございます。
まず、(1)として、学校・教師が担う業務の適正化ということで、学校・教師が担う業務に係る3分類というもの、前回の中教審の答申で提言されたものがございますが、この実効性を高めるための取組ということがマル1でございまして、これらにつきましては、一定程度浸透はしてきているものの、自治体、学校ごとに取組状況に差があるということで、国、都道府県、市町村、各学校それぞれの主体がその権限と責任に応じて役割を果たすことができるよう、3分類の実効性を高めるための取組についてどう考えるかということが1つでございます。
なお、こちらにつきましては、別途、後ほど説明する資料3を準備しているところでございます。
マル2として、学校における授業時数や学校行事の在り方の見直しについてということでございますが、1つ目の丸で書いておりますのは、標準授業時数を大きく上回って教育課程が編成・実施されている状況を見直していくということについて、そして、マル2の2つ目ですが、こちらは学校行事についてでございますが、負担軽減の取組状況、これは少しずつよくはなっているということでございます。そして、それに加えて、行事の精選などについても、勤務実態調査において、個々の教員の先生方からも前向きな回答も多いわけですが、コロナの5類感染症移行後、単にコロナ禍以前の姿に戻るのではなくて、教育的意義を改めて捉え直した上で、精選・重点化を図っていくと、そういったことについてどう考えるかということ。
それからマル3でございますが、ICTの活用による校務効率化ということで、教師の長時間勤務を解消し、働き方改革を実現する上でも大きな役割を果たすICTのさらなる活用の推進ということ。
そして、2つ目の丸、生成AIにつきまして、多くの学校での活用に向けた実践例を創出していくということを含めまして、業務の効率化や質の向上など、働き方改革の一環として活用を推進するといったようなこと。
そして(2)でございます。これは働き方改革を進める上での基盤づくりということで、実効性の向上等ということで整理をしております。
マル1、地域・保護者等との連携協働ということでございます。そして、働き方改革に係る取組を進めていくための方策ということで、特に、コミュニティ・スクールの活用を推進することについてどう考えるかということ。
そして併せてということで、次の2ページ目のほうにかかっていきますが、働き方改革を総合教育会議において各自治体が積極的に取り扱うべき協議・調整事項として例示することも視野に入れながら、首長部局とも連携を強化していくといったことについてどう考えるか。
次の丸でございますが、保護者等からの過剰な苦情や不当な要求等の学校のみでは解決が難しい学校・保護者間の事案につきまして、教育委員会等の行政による支援体制の構築、また、国の必要な取組の検討、そういったことについて整理をしております。
マル2、健康及び福祉の確保の徹底というところでございます。こちらにつきましては、直ちに取り組むべき施策を取りまとめた後に丁寧に議論を進めていくという必要はあると考えておりますが、その上で、いわゆる上限指針に規定されている客観的な勤務実態の把握、上限時間の範囲を超えた場合の業務や環境整備等の状況の検証、休憩時間の適切な設定、終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間の確保を徹底するための方策についてどのように考えるかということ。
次の丸は、メンタルヘルスの要因分析や対策の好事例の創出についてどのように考えていくかということ。
そして、マル3ですが、学校における取組状況の見える化に向けた基盤づくりということで、服務監督教育委員会・学校における勤務時間管理について、都道府県・市町村・学校において異なるシステムが運用されておりますが、その中で公平な見える化を実現していくために、在校等時間の把握に係る全国共通の考え方を改めて示すことについてどう考えるかということ。在校等時間については、上限指針において定義はされておりますが、把握の仕方が必ずしも同じではないのではないかということが前回の御議論でもあったわけでございますが、そういったことについて書いております。
(3)につきましては、持続可能な勤務環境整備等の支援の充実ということで、これは8月末に、来年度の概算要求がございますが、そういったことも念頭に置いて整理をしております。
マル1は教職員定数の改善ということで、骨太方針2023に小学校高学年教科担任制の強化、そういったことが提示をされておりますが、定数改善についてということ。
マル2は支援スタッフの配置充実ということで、教員業務支援員の小・中学校への配置拡大などの支援スタッフの充実を図るということ。
マル3は処遇改善ということで、骨太方針においては、職務の負荷に応じたメリハリある給与体系の改善を行うなど、給特法等の法制的な枠組みを含め具体的な制度設計の検討を進め、教師の処遇を抜本的に見直すと示されておりますが、今後議論を深めていくということを前提としつつ、その上でなお議論と切り離して速やかに措置すべき内容についてどう考えるかということ。
マル4は、教師のなり手の確保ということで、教師不足への対応として、教師のなり手を新たに発掘するための教育委員会、大学、民間企業等の連携協働による教職の魅力発信、学校における人材需要と入職希望者のマッチングの効率化、また、大学と教育委員会による教員養成課程の見直しや地域枠の設定、こういったことについてどう考えるかということを整理し、論点としたところでございます。
続きまして、資料3でございますが、3分類の推進に向けた取組についてという資料でございます。こちらにつきましては、かなり大部な資料でございますので、資料の構造と幾つか例としてピックアップをして御説明をさせていただきたいと思います。
まず、2ページでございますが、これまでの経緯として、中教審の答申、平成31年のもので、いわゆる学校・教師が担う業務に係る3分類につきまして整理をして、これに基づいて役割分担・適正化を進めてきたというところでございまして、「基本的には学校以外が担うべき業務」、「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」、「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」という、この3つに分けて整理をしたというものでございます。
そして資料としては、赤字の数字が入っておりますが、これは教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査というのを毎年度調査しておりますけども、その実施状況の数字を記載しているところでございます。
調査は毎年度実施しておりますので、おおむね全ての項目について改善傾向が見られるわけですが、項目によって改善度合いにばらつきがあったり、特に学校以外の主体の協力を得る必要がある取組については課題が見られると、そういったことが明らかになっているところでございます。
続きまして、3ページでございますが、前回の特別部会の御意見の中でも、3分類に基づく業務の見直しについては、自治体、学校ごとに取組状況に差が見られるのではないかといったこと。また、実効性の向上に注力すべき。そして、国、都道府県、市町村、各学校それぞれの主体がその権限・責任に応じて当事者意識を持って取り組むことが重要ではないか。そういった御意見もあったところでございます。
主な論点として、その下に書いておりますが、その上で、実効性を向上させていくための取組につきまして、2つ目の丸にありますように、国、都道府県、市町村、学校それぞれが取り組むことを項目ごとに具体的に示すといったようなこと。そして、国が取り組むことを明確なメッセージとともに示すということは当然としまして、特に服務監督教育委員会において、国のメッセージなども活用しながら、業務の優先順位を踏まえて思い切った廃止を打ち出すなど、主体的な役割が求められることについてどう考えるかということ。
そして3つ目の丸ですが、実効性向上のための取組については、直ちに取り組むべき施策の一環として整理をすることとして、各主体において、できるものは直ちに、準備が必要なものについては今年度後半から着手をし、来年度から具体的な改善を図ることができるよう促すことについてどう考えるかといったようなこと。また、最終的な取組内容等については、中教審での議論を受けて、必要に応じて柔軟に機動的に見直していくと、そういった形にしてはどうかということを書いているところでございます。
続きまして、4ページですが、構成の説明をさせていただきたいと思います。まず、登下校について、1つ目ですが、法的根拠とか関係通知とかを4ページに書いておりまして、その下には自治体での取組例、こういったものも書いているところでございます。登下校については、基本的には登下校時の見守り活動についてもともと念頭に置かれているものです。
そして、次の5ページでは、見開きになるわけですが、まず、教育委員会における取組状況調査、これは教育委員会に対して聞いておりますが、その結果を記載し、その下には、教師に対して聞いた項目について、勤務実態調査の速報値を上げております。こういったものを資料として使いつつ、それから、これは例えば、登下校に関する対応というところで見ますと、「削減すべきで削減可能」とか、「削減すべきだが削減は難しい」と書いてありまして、じゃあ、そもそも削減すべきでないといったものがどうなるんだと思われるかもしれませんが、これについては、調査上は、削減すべきでないという場合には無回答ということになっておりますので、無回答の中にそれらは含まれているというものでございます。
これらを見てみますと、「削減すべきと考えているものの、削減できないと考えるのはなぜですか」ということを聞いておりますが、例えばこの項目についていえば、地域の理解が必要となるとか、保護者の理解が必要となるとか、こういった項目について多く回答がされているというのが、この資料で見れば分かるということでございます。
業務の役割分担・適正化に関する現状・課題というところで、関連する事項として今回挙げておりますのは、左のほうの3つ目の黒丸ですが、学校によっては定められた登校時間よりも著しく早く、例示として1時間と書いていますが、児童生徒が登校してくる例も見られます。各校の状況に応じて、例えば開門は登校時間の直前とするなど、朝の時間帯の学校の業務負担の軽減を図る取組も必要ではないかということで、右のほうに対応策の例ということで、国のほうからは明確にメッセージを発信しつつ、市町村、服務監督教育委員会においては、総合教育会議においても取り扱うべき事項として、働き方改革を例示していくということも踏まえて、協力依頼を発信するとか、それぞれの主体がどのように関わっていくかということを書いて整理をしているというものでございます。
あと幾つか関連しまして、例えば12ページ、調査・統計等への回答というようなものがございますが、こちらについては、例示として右のほうに、神奈川県の横浜市では、発出前に留意すべきチェックリストを作成し、通知や調査・依頼の削減や統合、縮小、発信時期の変更など、見える化しながら取り組んでいるといったような事例も書いておりますし、次の13ページには、「削減すべきで削減可能」というのが勤務実態調査の速報値では結構多く回答いただいているわけですが、削減できない理由というのを見ると、今まで実施してきた取組・慣行はなかなか見直しづらい、所属する学校の文化等により難しい、こういったような項目が一番多くなっていると、そういうこともデータには出ているところでございます。
13ページの右のほうで考えられる対応策の例として、先ほど申し上げた横浜市のようなものもありますし、都道府県レベルでいえば、山梨県教育委員会で文書半減プロジェクトといったようなものを開始していますので、そういったことも考えられるということでございます。
続きまして、18ページ、8つ目の項目で部活動というのがあります。19ページに業務の役割分担・適正化の現状・課題というのがございますが、これにつきましては、部活動の週平均活動日数というのが大きく減少しているわけですが、部活動ガイドラインといった取組も効果的だったという可能性が高いと考えているところでございます。
引き続き、休日について、地域連携・地域クラブ活動への移行に向けた改革推進期間の取組をしっかりと進めていくといったようなこと、そして、部活動指導員などについて拡充すべきではないかといったことを考えられる対応策の例の中では書いているところでございます。
最後になりますが、22ページでございます。これは授業準備について取り上げております。23ページ、現状・課題の左下のところに、授業準備に加えて、一番下の4つ目の黒丸のところにありますように、標準授業時数を大きく上回って教育課程を編成・実施している学校については、対応を早急に検討し、令和6年度から改める必要があるのではないかということで書いているところでございます。標準授業時数1015単位時間に対して、約4割の学校が、週2コマ以上相当になりますが、1086単位時間以上の授業を計画しているといったようなデータがありますが、そういったものを踏まえて対応を考えてはどうかということで書いているところでございます。
24ページ、これはそれをもう少し詳しく書いておりますが、考えられる対応策の例として、国の右のほうのところですが、すべての学校に対して、各学校の総授業時数等について点検した上で、令和6年度以降の教育課程編成に臨むように求める。
そして、2つ目の丸ですが、特に令和5年度当初において標準授業時数を大幅に上回っていると認められる教育課程を編成している学校について、見直すことを前提に点検を求めるといったようなことを検討してはどうかということで書いているところでございます。
25ページに、先ほど約4割と申し上げたデータは、赤くなっている部分でございます。
こういったことをそれぞれ項目ごとに整理をして試みたものでございます。
私からの説明は以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見や御質問をいただきたいと思います。御意見、御質問がある方は、オンライン上の、対面で御参加の方も含めて「手を挙げる」ボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから指名をさせていただきますので、ミュートを解除していただいて御発言をお願いいたします。
なお、恐縮ではございますが、できるだけ多くの委員の皆様から御発言をいただくため、御発言はお一人当たり3分以内としていただきますようお願いいたします。また、御発言の際は、大きな声で明瞭にお話しいただきますようお願いいたします。御発言が終わりましたら、「手を下げる」のボタンを押し挙手を取り下げていただきますよう重ねてお願いいたします。御協力をお願いいたします。
では、手を挙げてくださった方から順番に御指名をさせていただきます。戸ヶ﨑委員、荒瀬委員、妹尾委員、橋本委員の順番で御発言をお願いいたします。
まず、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 まず前回の会議で、勤務実態の調査の結果から、いまだに厳しい状況に身を置いている教師が存在していることを踏まえて、緊急性がある課題も多く、できることは直ちに行うという姿勢で緊急提言のような形で、全国の教育者はじめ、社会的な課題として広く国民にも届くようなメッセージを発信すべきと私から申し上げましたところ、事務局において迅速に今回の論点案のような形で整理していただいたこと、ありがたく思っております。
いずれも大事な観点であると思いますが、特に重要だと感じることについて大きく4点ほど指摘をさせていただきます。
まず1点目は、教育課程の編成・実施についてです。改めて、全ての学校が、児童生徒の学習状況、教職員の勤務状況、授業時数の配当や運用の工夫の観点から点検をした上で、次年度の編成に臨むべきだと考えます。
その際、管理職だけではなく、教師一人一人が目の前の子供たちの実態を鑑みて、例年どおりではなく、カリキュラム・マネジメントを行うことが大事であり、「教科等横断的な学び」や「Less is more」などの視点から、時数と質の両面から見直していく必要があると思います。
また、先ほどのお話にありました、授業準備の効率化については、例えば授業準備をチームで支えることや補助教材としてのデジタル動画などの積極的な活用、優れた学習指導案の蓄積や共有化などの議論も深めていく必要があると思います。
一方で、どの学校でも次にできる見直しは、令和5年度当初において、標準授業時数を上回って年間1,085時間の単位を超えて教育課程を編成している学校は、早急に見直しを前提とすべきだと思います。また、できれば、総授業時数を確保した上での45分や40分の弾力的な運用などについても、見直しの視点としてもよいのではないかと思います。
2点目は、地域・保護者等の連携協働についてです。まず総合教育会議については、総合教育会議は法律上、「教育を行うための諸条件の整備」などについて協議・調整をすることとされており、条件整備の一環である学校における働き方改革は、保護者や住民等の理解・協力を得ていく視点からも、首長部局との連携が必須になってくるため、総合教育会議において積極的に取り扱うべきことを示していくべきではないかと思います。
ちょうど1週間ほど前の、今月18日に取りまとめられた今後の地方教育行政の在り方について整理した論点についても、総合教育会議のさらなる活用、保護者等における過剰な苦情や不当な要求等への対応の必要性などについては、しっかりと記載があるところです。ここに記された内容を全国の教育委員会等は周知・理解をすべきだろうと思います。
また、ここは文科省にお願いですが、保護者等からの過剰な苦情や不当な要求等の、学校のみではなかなか解決が難しい学校・保護者等間の事案については、教育委員会等の行政による支援体制の構築に向けて、国として、ぜひ全国にモデルとなる事例の創出を行うことなどを通じて、このような教育委員会の取組を支援していくことが必要だと思います。
3点目に、公平な「見える化」についてです。在校等時間を含めた働き方改革の取組状況の「見える化」は極めて重要であり、スピード感を持って進めていくべきだと思います。
その前提として、前回の会議で鍵本委員からもありましたように、在校等時間の把握や整理が全国共通の方法で適切に行われていること、言うなれば「データの標準化」が不可欠であると考えます。その前提がない中での「見える化」は、例えば、上限指針に定める対象等が網羅されていないところが少なく見えてしまう一方で、きちんと把握しているところに限って多く見える等の不公平な比較を惹起する可能性があります。ここも文科省にお願いですが、改めて国として「見える化」の算出基礎、把握方法等の趣旨徹底の上で、公平な「見える化」の基盤が整備されているかを確認すべきではないかと思います。
4点目に、持続可能な勤務環境等の支援充実についてです。処遇改善については、今後も骨太方針を踏まえて具体的な制度設計の検討を進めていくことになると思います。一方で文科省に、お願いばかりで恐縮ですが、手続等で時間のかかる制度改革にはあまり関連せず、現段階でもすぐにでも改善できる部分があるのであれば、こちらもスピード感を持って改善していく必要があるのではないかと思います。
以上が今回の取りまとめに当たって重要と考えている点ですが、最後に少し強調させていただきます。現在、全国の学校はどこも同じように「大変、多忙」というイメージに扱われているように思えてならないことに少々違和感があります。全国には、自律的な運営を目指して努力し、教育委員会と学校とが一体となって成果を上げているところもあります。本特別部会としてメッセージを出す際には、ぜひ取組次第で改善ができることもしっかりと発信していただきたいです。
緊急提言を出す以上、教育関係者以外に向けた強い訴求力こそが必要だと思います。例えば、文科大臣のメッセージのようなものもぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、続きまして、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】 ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。
2点申し上げたいと思っています。今戸ヶ﨑委員からいろいろありましたので、それに関連することにもなるんですけれども、私、この間、うちの研修に来られる方、今日もまた中堅教員研修の2回目がスタートしておりまして、来週は若手の先生方、リーダー育成研修の2回目がスタートするということなんですが、そういう先生方とお話をしている場面、あるいはまたあちらこちらに伺って、そこで先生方とお話しするところで、先生方のお気持ちの非常に大きなといいますか、重いところは、もっと学びたいとか、もっと学ぶことを通して専門職として成長したいという、そういうお気持ちです。ところが、それがちゃんと時間的な保障がないためにできないといった状況があります。これはとても残念なことかと思います。
令和3年答申を具体的に実現していくための教師の養成採用研修が令和4年答申に書かれ、それも受けつつ、今回のこの特別部会での議論だと思います。そういう意味では、学ぶ時間の確保、これは令和4年答申に書かれていますけれども、それがちゃんと取れるようにということをぜひとも強調して具体化していく必要があると思います。
その際、さっき戸ヶ﨑先生おっしゃっていましたけれども、総合教育会議なんかでもぜひ議論をしていただきたいと思っています。これ、子供たちの学びに直接関わっているので、保護者が聞かれても、先生が学ぶということはとても大事なことだとすぐ分かっていただけるはずだと思いますので、ぜひその点、よろしくお願いしたいと思っています。
もう一つは、緊急提言で、これも戸ヶ﨑委員がおっしゃったことですけれども、この緊急提言の中に戸ヶ﨑委員がおっしゃったような改善ができるんだという、そういったことも盛り込むのも大事だと思いますし、もう一方で、教師という仕事が傍らで子供の実際の成長を見ることのできる、実感することのできるすばらしい仕事なんだということをしっかりと強調していく必要があるのではないかなと。
それは逆に言うと、教師がしっかりじっくり子供たちと接することができなければ子供たちの成長に影響するんだということにもなるわけなんですけれども、子供の成長を傍らで実感できる魅力ある仕事である。それがそうであり続ける必要がある。これはAIにはできないんだ。そういったことも強く出していく必要があるのではないかということを思っております。
以上でございます。
私、大変申し訳ありませんが、言いっ放しで退室させていただきますが、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございました。
では、続きまして、妹尾委員、橋本委員、鍵本委員、金子委員、秋田委員の順番でお願いいたします。
では、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】 ありがとうございます。ちょっと私も途中で退席するので、取り急ぎ申し上げます。充実した資料、ありがとうございました。
今回の検討で、もちろん学校によっては随分働き方改革は進んでいるし、いろんな差はあるとは思いますけれども、まだ十分でないとすれば、なぜこれまでの取組では十分じゃないのかということをしっかり捉えないと適切な解決策にはならないだろうなと思います。順不同ですけれども、なるべくちょっと急いで5点ほど、なぜうまくいかなかったのか、なぜ取り組めてないのかについて、私が思うことを述べたいと思います。
1点目は、時短が目的化しているというところかなと思います。要は、在校等時間の、要は早く帰れ、早く帰れというプレッシャーが強くなっていて、教育委員会からも校長等からも、はっきり言って働き方改革は楽しくないということかなあというふうなところも思います。本来は時間を守るというのは健康管理のための手段の1つだったり、いろんな手段の1つが、そこが目的化しているので、過少申告だとか、いろんな手段の目的化みたいな変なことが起こっていることかなと思います。さっき荒瀬先生がおっしゃったように、学ぶ時間の確保だとかも含めて、働き方改革の趣旨だとか理由をもっとちゃんと共有しないと、手段の目的化がどんどん起こってしまうということを危惧しております。これが1点目です。
2点目は、やはり教員にとって、あるいは学校にとって複数の価値が衝突しているからというところはあると思います。登下校の話が典型例ですけれども、あれは見守りの話だけではなくて、要するに子供の登校時間が教職員の勤務時間よりも前にあるというのは、当然親として早く送り出したい、共働きも多くて大変だというような、居場所としての学校の機能と働き方改革が衝突しているという部分もございます。
そういった部分も含めて、そういったところを単に短くしようとか見直せだけ言っても、片方の価値も大事なので、どうしようかということでスタックしてしまうというところがあると思うので、そういうところもしっかり踏まえないとうまくいかない。あるいは授業準備なんかも典型的なものですよね。と思います。
次に3点目ですけれども、そういったことにも関係しますが、受皿がないだとか予算がないということがやっぱり大きいかなと思います。例えばさっきの勤務時間の前の子供の見守りの問題ですとかいうのは、自治体によっては朝の学童保育をやっているところもあるんですけれども、そういった予算を取っている自治体はすごく少ないです。あるいは掃除の時間は、県庁職員とか市役所職員、誰も掃除ほとんどしてないと思うんですけれども、学校はほとんど教職員と児童生徒の無償労働に支えられているのは、予算を節約しているからということだと思います。
そういった受皿とか予算を確保することなしに単に見直せとだけ号令してもうまくいくのかなと疑問なところがある。むしろ予算をもっともっと取っていってくださいという応援メッセージを出すべきかなと思います。これが3点目です。
4点目なんですけれども、教育委員会とか文科省さんだけを悪者扱いするつもりは毛頭ありませんが、コロナ禍で特に教育行政が文書とか事務を増やしてきたという反省をもっとしないといけないのではないかと思います。文科省の通知とかもたくさん出ましたし、なかなか文書半減とはいえ、なかなか本当に半減できない、むしろすごく増えていることじゃないかなと思います。
平成31年の中教審の働き方改革の答申で、学校の業務を増やす場合は、スクラップ・アンド・ビルドを基本として財務課とちゃんと調整せよとなっていたんですけれども、これが恐らくあまり機能していない可能性があると思っているので、文科省さん自身に反省せよと言ったって、なかなか自分たちの弱点だとか言うのは難しいと思いますけれども、そういったことも含めてしっかり振り返らないとうまくいかないだろうなと思います。これが4点目です。
5点目は、やっぱり個々の教員の意識改革だけのせいにし過ぎたかなという反省があるんじゃないかなと思います。例えば若手の先生にとっては、いくら意識改革云々ではなくて、当然若いので、授業準備もかかるし、文書だって不慣れなのでかかるって当たり前の話なので、さっきもチームでもっといろんな授業準備をしていくだとかの話もありましたように、個々の資質・能力とか意識だけのせいにはしない、仕組みだとか環境だとか教職員定数の問題も含めて、政策の問題、こういったものにもしっかり注目していく必要があると。
以上5点申し上げました。以上です。
【貞広部会長】 どうもありがとうございます。では、対面の会場から橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】 住友商事の橋本でございます。経団連で教育・大学改革推進委員長を務めております。
この部会は、教育分野の専門家の方々の部会ですけど、私は民間企業の経営者ということで、ちょっと門外漢でございますけども、場合によってはちょっと見当違いなことを申し上げるかもしれませんが御容赦いただきたいと思います。
働き方改革を民間企業でやってきた経験から、もし参考になればということでお話しさせていただきたいと思います。
いろんな資料を拝見いたしまして、この4年半の間に様々な改革ができたことはよく理解できました。改革の方向性も恐らく正しいものだと思いますし、一定の成果もあらわれていると考えます。
ただ、まだまだいわゆる在校時間が長いということは、これは事実ですので、我々の企業の感覚で言いますと、かなり長いなと思っています。このままではなかなか教師の方のウエルビーイングというのは実現は難しいだろうと思います。
ただ、これまで改革を進めてきましたので、恐らく残った項目というのは、これまでもかなりハードルの高いものが残っているなということが想像できます。そういう意味で、どうやってやっていったらいいかというのは非常に難しい問題なんですが、私、ちょっと2点ほど申し上げたいと思います。
1点目は、先ほどの説明ありました3分野についてのいろんな取組についての中に、最もできない理由として挙げておられるのが、よく出てくるのが、今まで実施してきた取組・慣行はなかなか見直しづらくて、所属する学校の文化に違いあるということをかなりの方が指摘されています。これは我々の企業なんかでもよくあったことでして、これまでやってきた慣れ親しんだやり方を変えるということについては大変勇気が要ると。仮に変えた場合に、何か弊害が起こって、問題起こったときに自分の責任になるんじゃないかということを恐れるあまり、できないというケースがいっぱいありました。
これは当たり前のことでして、その責任を誰が取るかということになってしまうわけですけども、その場合、どうしたかといいますと、やはりしっかりとマネジメントが指示をすると。改革自体が下からの改革ではなくて、上から指示をしてしっかり改革をさせていくという、この姿勢がないと下の方はなかなかできない。あらゆるレイヤーでこれが発生します。平社員と課長と部長と役員と社長と、このレイヤーが民間企業はあるわけですけども、恐らくここで国とそれから教育委員会とそれから校長ですか、そういった関係になると思うんですが、それで、自分がもしやった場合に、何か問題起こったときに困ったことにならないかということがまず頭をよぎって、なかなかやめないとか、あるいはほかのやり方に変えていけないという、こういう弊害が出ている。これは別に悪いことも何でもなくて、当然起こることなんですね。これかなり長く続いた慣行ほど根強いものがあって、これを変えるのは容易ではないと。やはり強力なリーダーシップといいますか、大義名分をしっかり定めて、やるべきだということのメッセージをそれぞれのレイヤーがし出していくことによって解決するしかないと思います。
この解決策の中にも強いメッセージというのは何か出てきているんですけども、今回は恐らくそういう強いメッセージが今までよりももっと強く出される、あるいは、国のいわゆる教育行政あるいは教育の百年の計のためにこれは必要なんだということをしっかりと訴えていくという、こういうやり方が必要なんじゃないかなと1つ思います。
もう一つ、参考資料2で拝見してすごく感心したんですけども、校務のDXについての資料が出てきています。専門家の方の資料ですけども、よく見て、すごく感心しました。実は私これを見てすごくよく思ったのは、学校の先生方がなかなか働き方改革できないのもそうですし、多様な働き方というものについていろんな制約があってできてないということがよく分かりました。
実は、先生のなり手がなかなかないということで困っているというのは私もよく知っているんですけども、もちろん教育というものに対して、理念というか、理想を持って教師になりたいという方はたくさんいらっしゃると思うんですが、一方で実際就職するとなると、ほかの企業とかほかの職業と比較をして、本当はそういう理念あるんだけども、やっぱり自分の家庭の環境とか、いろんな事情で学校の先生になるのをやめようという人が多分たくさんいるんじゃないかなと想像します。
やはり働き方改革は、もちろん給与面での整備というのは大事で、お金のことは大変大事なんですけども、今の若者というのは、御存じのように、経済的な問題よりも自分たちの人生をどんなに豊かにしようかということに大変関心を持っている方がたくさんいますので、多様な働き方ができないような職場には行きたくないと。こういう問題が恐らく根強くあるんじゃないかなと思います。
DXを進めることによってこの問題が解決される。この資料を見ますと、かなりまだ伸びしろがあるといいますか、改善の余地があると私は思いましたので、そういったことも含めて早くこの報告書を定めたほうが、いわゆるなり手不足ということに対する解決策の一助になるのかなと感じました。
すいません、ちょっと方法論ばっかりで申し訳ないんすけども、2点ほど申し上げました。以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。今まで4人の委員の方に御発言をいただいてきましたけれども、それぞれ多様な御意見いただいていますが、4人の方に共通する1つのものは、強いメッセージを出して、それぞれのアクターの方に実際に動いていただくだけの力を持たせると、それが非常に重要であるという御意見をいただいているように思います。ありがとうございます。
それでは、続きまして、鍵本委員、オンラインからお願いいたします。
それでは、続きまして、鍵本委員、オンラインからお願いいたします。
【鍵本委員】 岡山県教育委員会の鍵本でございます。本日の資料の中で学校現場の厳しい状況を考慮いただいて、直ちに取り組むべき施策に係る論点案というものを今回お示しいただきましたことは大変ありがたいと思っています。時間もございませんので、私からは、この論点案につきまして、特に3点申し上げたいと思います。
まず、この中の(2)のマル3、学校における取組状況の見える化に向けた基盤づくりについてでありますが、前回も働き方改革の進捗状況を見える化して、自己点検しながら進めていくことの必要性について申し上げました。その際も申し上げましたけども、本日も戸ヶ﨑委員もお話をいただきましたけれども、時間外在校等時間の正確な把握が現状認識の大切な基盤であると思っておりますので、そのための全国共通の整理の考え方についてぜひ示していただいて、徹底していく必要があると考えております。
そしてそれに基づきまして、各学校や服務監督を行います市町村教育委員会、さらには、都道府県教育委員会などの各主体が、徹底すべき取組につきまして、国として周知を図っていただきたいと思っております。
2点目でございますけれども、(3)の持続可能な勤務環境整備等の支援の充実についてでありますけれども、これは現在の学校現場の状況を考えれば、いろいろ取り組まなければいけないことありますけれども、最も早急に取り組んでいただきたいことであります。その中でも特にマル2の支援スタッフの配置の拡充につきましては、学校現場の忙しさに即応できる方策としては大変重要でありまして、学校や市町村教育委員会からも大変強い要望があるものでございます。
まずは、このたびの骨太の方針2023に示された教員業務支援員の小・中学校への配置拡大をはじめとします支援スタッフの拡充を図ることにつきましては、直ちに取り組むべき施策としてぜひ盛り込んでいただきたいと思っております。
最後に、同じく(3)のマル4、一番最後になりますけれども、教師のなり手の確保についてであります。教員の任命権者でございます県教委といたしましては、今年度の教員採用試験の状況はさらに厳しいものになっていると認識をしております。このことにつきましては、まずは教職の魅力発信は、これはもちろんでございますけれども、教職についていない免許保有者の掘り起こしでありますとか、あるいはそういった人に教職に就いてもらうための研修支援などにつきましても早急に進めていく必要があると考えております。
また、そこに書いてございます大学と教育委員会による教員養成課程の見直しや地域枠の設定につきましては、これは本県の状況を少し申し上げますと、人口の多い県南には大学も多くて、教員の数も県南に偏った状況がございますが、これは人事配置上、苦慮いたしますために、県北地域に地域枠を設けて教員採用を行っている現状がございます。
そうした中で、こういった状況に合わせまして、県内の大学の中には県北の市町村と連携をして学生のホームタウンというものを県北に設定をして、教育実習をはじめとした様々な体験的な学びをホームタウンで実施をしている大学もございます。
このような養成の課程では、学生と地域の結びつきが大変強く、教師になる率、今、全体的には下がりつつありますけれども、こういう課程におきましては、ほかに比べて大変高い状況にありますことから、教師のなり手確保のために、このような大学と教育委員会が連携した教員の養成課程の見直しにつきましても早急に検討を進めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、会場から金子委員、お願いいたします。
【金子委員】 連合の副会長をしております金子です。緊急提言の成文化の前の大事なタイミングですので、何点か発言させていただくことを御容赦いただきたいと思います。資料2の直ちに取り組むべき施策に係る論点案をベースに発言申し上げたいと思います。
まず、(1)のマル1のいわゆる3分類のところになりますが、学校の担うべき業務は授業をはじめとした子供の教育に直接的に関わる事項に特化するということを国として明確に示して、そしてその周知徹底を図るべきではないかと思っています。
あわせて、教員の担う必要のない業務を誰が担うのかというのを、教育委員会、保護者、地域社会などの役割分担を人材の確保を含めて明確にしていく必要もあるのではないかと考えています。
そしてマル2についてですが、指摘されているカリキュラム・オーバーロードを背景とした課題に対しては、これも国がつなぎ役として学習内容の再構築を行う必要があるのではないかと考えています。
また、学校現場において、子供のためと肥大化しがちな業務の縮減に向けては、時間管理意識の醸成に向けた取組を行う方策を当該労使で検討する必要もあるのではないかと思います。
そして、(2)のマル1については、より実効性を高めていくために、首長部局だけでなく、厚労省や総務省など省庁連携をこれまで以上に図っていく必要があるのではないかと思います。
そしてマル2のいわゆる健康・福祉の関係ですが、これは学校の働き方改革に向けては極めて重要な観点であろうと思っています。ただ、終業から始業まで一定時間以上の継続した休息時間の確保というのは、翌日の授業がある関係もあってなかなかやはり取りにくいというのが現場の意見でありますので、例えば、上限指針の在校等時間の上限45時間を超過した教職員については、代償休暇を暦日で付与することなども検討に加えてはどうかと思っています。
そしてマル3については、これは全国共通の考え方を示すということに賛同をするところであります。
そして、(3)のマル1の教職員支援について、これは制度導入の趣旨に沿って全国全ての学校で完全実施できるように基礎定数化を検討いただければと思います。
そしてマル2の支援スタッフの拡充についてですが、これも教員業務支援員というのは教員の負荷軽減には非常に効果があると聞いております。今後、チーム学校を機能させていくために、教員業務支援員と併せて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの全ての学校への常駐配置など、外部人材の配置拡充も検討していただければと思います。
そして、マル3の処遇改善ですが、これは、人材確保法の理念を堅持した上で、給与月額や義務教育など、教員特別手当の引上げなど、労働条件の改善を検討していく必要があるのではないかと思っています。
なお、メリハリのある給与体系の改善については、既に評価制度による昇給や主任業務への手当が導入されておりまして、既存の手当の組替えということであれば検討の必要性はないのではないかと考えています。
最後、マル4の教師のなり手の確保に向けてですが、連合には教職を目指す学生から、長時間労働だとか土日も休めないといった、学校現場、教育現場の厳しさを知れば知るほど躊躇するといった声が寄せられております。教職というのはやっぱり魅力ある働き方ができる職であるということをアピールしていかなければと思っていますので、まずは長時間労働の是正を確保するということが最優先ではないかと考えております。
以上、各項目について発言させていただきました。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございました。それでは、オンラインから秋田委員、澤田委員の順番でお願いいたします。
【秋田委員】 学習院大学の秋田でございます。先ほど何名かの委員も言われましたけれども、やはり直ちに取り組むべき施策というものが緊急提言としてなぜ今行うのかというところで、働き方改革ということと同時に、先ほど荒瀬委員が言われましたけれども、やはり令和の日本型の学校教育を生み出していくための専門家の集団として力点を置いて優先順位をつけてきているというようなメッセージを出していくということが必要だろうと考えております。
学校で教師が担う業務の3分類というところで、私はあの回答を見て、大変先生方のこの回答が真っ当だと思ったのは、授業準備、それから学習評価や成績処理、そして進路指導が、小中ともに無回答が高く、削減すべきものではないというか、削減すべきとは考えていないことがきちんと出されてきています。
何を削減し移行するのかということと同時に、こうしたところは、客観的な時計の時間出るクロノスの時間というのでしょうか、しっかり正確なデータを出すと同時に、カイロスの時間という主観的な時間として、教師が専門性を持って満足できる仕事のの時間の確保や学ぶ時間の確保を今回の方針として保障していくのだというメッセージを併せて出していただくことが重要なのではないかと考えます。
働き方改革というのが、どれも減らしていくイメージで、働き方改革疲れ的な、数値で時間を管理されるような印象を与えます。管理されていく教員像ではなく、教師自らが、自分たちで学校で、先ほど戸ヶ﨑委員が言われましたが、チームとして取り組んでいく、そのための今回の検討や政策であることが明確に出されていくということが重要ではないかと、3分類のところの数量結果を見ながら考えているところになります。
また、今回、3分類の中で、いろいろ出していただいた中で大事なところと思ったのは、例えば、全体として、国として、先ほど学校における取組状況の見える化に向けた基盤づくりなど、国が明確にメッセージを出してトップダウンに行っていくことによって意味を持つものと、それから、今回、自治体での取組例というようなそれぞれの事例が出ておりますけれども、実践的に学校や自治体がオリジナルに生み出したイノベーションがあることです。
教育のイノベーションは、トップダウンではうまくいきません。トップダウンと同時に、賢い小さな事例がイノベーションを引き起こし、それがいろいろなところで共有化され、ネットワーク化されていくことによって、実際の動きが生まれていくと考えられます。
その意味で、こうした事例の共有を学校や自治体により分かりやすい形でメッセージを出していただいて、そうした事例を共有しながら進めていくようなことが大事です。上からの必要な明確な指針というものと、それから、ボトムアップな、それぞれの自治体の独自性も同時に大事にしていきますというようなメッセージが私は重要なのではないかと思うところであります。
そして、この中で伺いたかったことがありますが、今回、直ちに取り組むべき施策に係る論点案が、1、2、3という形で、順序が学校教師が担う業務の適正化、学校における働き方改革実行の向上と、そして、持続可能な勤務環境整備の支援の充実という順序に今なっているわけなんです。けれども、持続可能な学校の働き方ということを考えていくという、3番の例えば教職員定数の改善であったり、先ほどもありました支援スタッフの充実、外部人材の充実が、大きく意味を持つので、これが3番目の記載でいいのかと疑問に思います。
この内容意をもっと前に置き、きちんとそうした働き方を国として支援していきます、その代わりに、各教員のこうしたところも専門性を生かしながらも、削るべきところはこのように削るとか、こういう知恵によってうまくやっていったらどうでしょうか。それを取り組んでいくためには、学校として、まず、取組状況の見える化の基盤づくりを行い、そして、それによって教師や健康及び福祉の確保を徹底します。その中で、地域保護者等との連携協働を行いますというような、並び順が、私は今回の論点案の順序の必然性というか、論理がより一般の方にインパクトを持つように思います。どういう順序で出していくことがよいのだろうかというところを考えた次第です。この辺りをぜひお考えいただけたらいいかと思っているところです。
例えば、清掃であったり給食であったりのような部分のように、必然的でないけれども教育的なところがあるところでの毎日ではない実施の形とか、様々な折衷的なところと、絶対的に残すべきところと、明らかに置き換えが可能なところ、この3分類の中のグレーのところ辺りをどう位置づけて表現していくのかというところも重要なところかなと思いました。
以上になります。
【貞広部会長】 どうもありがとうございます。同じ内容でも見え方の順番によってメッセージの強さというのは全く異なってくるかと思いますので、重要な御意見をいただいたと思います。ありがとうございます。
では、続きまして、澤田委員、その後、会場のほうから川田委員、藤原委員の順番でお願いいたします。
【澤田委員】 先生の幸せ研究所の澤田です。3点お伝えします。
まず、1つ目は、これまで学校や教育委員会の現場コンサルとして見てきたことでありますが、3分類の実現と学校の現在地というのの段差が大きいということです。3分類については知ってはいても、誰かが具体的に言い始めるのをお互い見合っているというような現状がまだまだ多くて、3分類の実効性向上のためには、誰がどこのテーブルに上げるべきことなのかというのを示してはいかがかなと思います。
これは実は3分類だけに限らず、文科省事例集に掲載されているような学校裁量のことについても同様です。事例集にあるということは、各学校で実行されているかどうか、点検し実行していけることも多くあると思います。例えば、先生たちに聞くと、もっと自律的にやりたいことをしたり、やめることを決めたりしたいという声は実際たくさん聞きますが、であるのに、検討以前にそもそも校内で話題に出しづらいとか、勇気を出して話題にしても否定的な誰かの一声で話が終わってしまったとか、検討以前の比較的初動でつまずいているという学校や校長先生もまだまだ多いです。
事例を具体的な形にするための方法や経験が足りていない状態と言えるかなと思っています。国や教育委員会には、校長の裁量だから、あとは学校頑張れではなくて、スーパー校長がいない学校でも段取りよく実行できるように支援してほしいなと思っています。
また、一方で、学校裁量であるはずの、例えば、通知表の所見を減らす、なくすと決めた学校に過度に介入して許さなかったような教育委員会や教育長も過去には何回も見てきています。所見さえも変えられないのが現場なんですよと、疲弊して諦め感を募らせる校長先生の本音はリアルかなと思います。ですので、学校に対して啐啄同時の教育委員会を増やす必要があると感じています。そういう教育委員会を国は横展開の後押しをしていってほしいなと思っています。
2点目です。具体的なことですが、朝の勤務開始前に学校が子供を見始めているという件についてです。これは朝残業に当たりますので、教員の善意に頼り切ったことであって、見直しを力強く推進することだと思います。
その際に、保護者の方々、これまでの生活習慣やスタイルを変えたり一緒に考えていっていただく必要があったり、自治体としても、予算を取ったりといろいろなことが必要になってくるとは思いますが、ぜひ保護者の方々には、これまでやってくれていたのにではなくて、先生が元気で教壇に立てることは我が子に必ず還元されるということですので、ぜひ子供を真ん中に置いて考えてほしいと思っています。
そして、標準時数については、そもそもを考えるべきではありますが、直ちにできることという点でいうと、週2コマ以上も上回っている学校が相当数あるというのは見直していくことですし、弊社の支援先でも年度途中でも見直すということは当たり前にやっていて、大きな時間が生まれることでもあります。
3つ目ですが、幾つか期待していることをお伝えします。まず、教員のメンタルヘルスについてです。私は今年度、メンタルヘルス対策に関する調査研究事業の委員も務めていますが、まだ始まったばかりですので、ぜひ好事例をつくるために、こちらも引き続けていけるといいと思っています。それから、ICT活用での効率化については、生成AIにも期待したいなと思っているところです。
以上です。
【貞広部会長】 どうもありがとうございます。それでは、続きまして、会場から川田委員、お願いいたします。
【川田委員】 ありがとうございます。筑波大学の川田でございます。私からは資料1の教員勤務実態調査の追加分析に関して、それから、それ以外の点について時間の許す範囲内で述べさせていただきたいと思います。
まず、資料の1につきましては、前回の会議の際には、私が発言したことに関わるということもあり、述べさせていただきたいと思いますが、まず、早急に資料を用意してくださいまして、ありがとうございました。
この内容については、大きく資料の2ページ以下で、先生方のうち勤務時間の比較的短い方、中ぐらいの方、長い方に分けて、いろいろな活動に要する時間を整理し直したものということで、このデータからどのようなことを読み取るか、あるいは、それに基づいて政策に反映させていくのかについては、これから、この部会の中で委員の皆様の専門的な知見等を踏まえて検討していくべきところかと思います。そういうことだと思いますが、検討の出発点になるデータとしては貴重なものが得られたのではないかと思っております。
また、同じように、8ページ以下の学校ごとの状況と先生方個々の在校等時間の長さをクロスで集計したものについても、どのようにデータを読み取り、どのように政策に反映させていくかはこれからの検討よると思いますが、出発点として貴重なデータではないかと思います。また、これからも、このようなデータに関して、必要に応じて御提供いただき、審議に反映させていただければと思います。
それから、それ以外の点ですが、資料の2に関するところが中心になるかと思いますが、個人的には、以前、同じようなテーマで、平成29年から31年にかけて、学校における働き方改革に関する特別部会というものに参加する機会を得まして、そのときにも審議の比較的早い段階で、緊急提言という早い段階での提言をまとめたということがありました。そのときに、このやり方は、部会が目指すというか、検討するミッションに対する取組の仕方を世間に対して知らせていく、あるいは、できるだけ早くできるものは早く政策に反映させていくというやり方で、非常にいいやり方だなというふうに思ったことがあり、今回も、資料の2は同じような早い段階での提言につなげていくということを意識しているんだと思います。これは基本的な考え方としては極めて適切だろうと思っております。
その上で、前回は、前回の時点での緊急の課題を取りまとめたということで、今回はまた、今の時点での緊急の課題を取りまとめるということになると思いますが、時間の関係で細かい点に十分には立ち入れませんが、まず、全体として、緊急ということで、早い段階で取り上げるということについて、どのような観点からどのようなことを目指してということは、ある程度、提言にまとめていく過程で明確する必要があるかなと思います。
一般的に言えば、課題自体が緊急に対応する必要性があるというのはもちろんですが、そのほかに例えば、方向が決まれば、文部科学省の権限の範囲内で対応ができるものとか、あるいは、予算との関係で、今だったら次年度令和6年度の予算編成に反映させることができれば、それが望ましいものとか、あと、テーマ自体は大きいけれども、考え方がまとまってから具体的な検討を始めるよりは、できるところからやっていったほうがいいものなんかがあるのかなと思っています。
例えば、今回の資料2で挙がっている中では、生成AIに関するものが挙がっていましたが、これはテーマ全体としてはすごく大きいけれども、できるところからやっていくことが考えられるものかなと思っています。
そういう中で、1つ1つはなかなか膨大で述べ切れませんが、大きく2つほど具体的な中身に関して考えるところを述べさせていただきたいと思います。
1つは、労働法を主たる専門としているという私の立場からすると、具体的な内容として、1つは資料の2の2ページ目と、(2)のマル2とかマル3に出てくるような健康・福祉の確保の観点から、とりわけ、今ある指針の徹底と指針の適用に関する考え方を統一的なものにするというあたりは重要だろうと思います。
特に、上限を大きく上回るような状況が生じてしまっているとか、あるいは、指針には明確には出てきていませんが、例えば、いわゆる勤務間インターバル、終業から始業までの時間が十分に確保できない状態がある程度続いてしまうというような業務による心身への負担が特に大きいようなところを洗い出して、改善を図るということなどが1つ大きなところだろうと思います。それから、もう一つは、3ページに出てくる(3)のマル4、教師の成り手の確保に関して、これも勤務負担にも関わるところだと思いますが、なかなか教員になってくれる方を確保することが難しい状況に対して何らかの対処をするというあたりが、内容としては大きいのかなと思っております。
これが内容に関する大きな1つ目ですが、2つ目としては、提言について、どういう観点からの緊急性かということと並んで、誰に対するメッセージというところをある程度明確に意識したほうがいいのかなと思っております。
先ほど少し触れました前回の緊急提言では大きな項目が3つあったのですが、それぞれに、例えば、校長及び教育委員会はとか、全ての教育関係者がとか、あるいは、国としてというような実施の主体がはっきり示されていて、これはいいことなのではないかと思います。
1点加えるとすると、前回の緊急提言の際には、今挙げたように取り組む主体を示していましたが、今回新しく出すとすると、メッセージの出し手として、何か政策的に取り組む主体以外の方に対するメッセージという視点もあるのかと思います。例えば、教育関係者ということで学校現場の教員の方は入ってくると思いますが、そのほかに就職先として教員を検討している方へのメッセージであるとか、あともう一つ重要かなと思うのは、学校以外の主体への協力を求めるような事柄について、協力を求める相手になる方へのメッセージというような視点もあるのではないかと思いました。
若干長くなってしまいましたが、以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、続きまして、オンラインから善積委員、そしてその後、会場より齊藤委員、青木委員、オンラインから西村委員の順番で御発言をいただければと思います。善積委員、お願いいたします。
【善積委員】 よろしくお願いいたします。
文科省の事務局のほうで作成された案は、さすが要点を得たものだなというふうに思って拝見をしておりました。例えば、資料の3の2ページに書いておられますけれども、資料3の3区分で取り組んでいる内容の達成状況などを見ていますと、やはり学校外との連携についての課題克服が難しいなというところがよく分かりました。
ただ、この学校外との連携というのは、コミュニティースクールという手段はありつつも、それがうまく稼働している場合と、なかなかうまく活用できていないケースに分かれるのではないかと思っております。むしろ、うまく活用できてないケースのほうが多いのかなという印象も持っています。
こういった辺りは、教育の分野で対処されるよりも、首長部局のほうに、地域活性化であったり、あるいは、福祉の分野での重層的支援体制という地域を軸に様々な福祉を連動させて動かそうという動きがあるんですが、そういったところとつながって意味づけをされていくとより動きやすくなるんじゃないかなというふうに考えますので、少しその辺り時間がかかるような気はしますが、首長部局との連動などを、国であれば総務省や厚生労働省ということかもしれないんですが、少しその辺りを掘り下げていく方法論、事例のようなものお示しされるといいかなというふうに思いました。
それから、あと2点なんですけれども、資料の1にデータで、学校によって先生の勤務傾向に大きな違いがある。早い時間で対応できる先生たちが多いところは、相対的に平均は早いというデータですね。それを見ますと、学校ごとの差異というのが大きいのかなと。自治体による差異というよりは、学校ごとの差異というところ、もしくは、地域性というところがあるのかもしれません。
そういうときに、一律の方法論で対応していただくということは、学校としては判断が難しかったりうまく動かせないことがあるかなという気がしますので、ある程度学校に応じた方法論について教育委員会なりがレクチャー、支援するということは前提としつつ、学校予算、こういったものをもう少し柔軟に配置、使いやすくされてはどうかと思っています。
多分、文科省さんのほうでも、学校予算の在り方については、別に検討、研究会をされていたかと思いますが、結構大きな意味合いがあり、いろいろなことに取り組む可能性を作りますので、ぜひそういう方向を早めに方法論として御提示されてはどうかと思っています。
それで、あと、同じ裁量の話で言いますと、校長先生の裁量というのが、例えば、教育課程であったり、授業の開始時間や下校という勤務時間の割り振りであったり、あるいは、清掃、昼休みの時間を設定するとか、週の授業時間数を工夫するといったことで、トータルは帳尻を合わせますけれども、細かいところの融通は学校長の裁量である程度できるというふうに理解しておりまして、その辺りもっと活用していくべきだと。これもどなたか委員がおっしゃっておられましたが、学校の先生方の御意見も反映しながら、今年度はこうやっていこうというふうに決めていくカルチャーをぜひやっていってくださいというメッセージを文部科学省からも出していただくと、動きやすくなるのではないかなというふうに考えております。
提言の中で言うと、標準授業時数の見直し、これも早急に対応いただければいいと思いますし、教職員定数、これも早めに答えをつくるべきだと思っておりますが、そこは皆様が御意見でおっしゃっておられたので、もう一点最後に私から申し上げたいと思っているのは、仮に時間的にある程度の枠に皆さんの仕事が整うような状況ができたとしても、日中の仕事を必死にこなしているような状況になっていると疲れてしまって、仕事が終わった後も、とにかく疲れた、寝るしかないとか休みたい、そういうところで終わってしまう傾向もあると思っています。
ですから、もう少し、私は先生というのは、終わった後、自分の時間を、家に戻ってもいいし、人とおしゃべりに行ってもいい、趣味を楽しんでもいい、何かそういう自分を啓発していける、そういう状況に目を向けていくということが必要なのではないかとずっと考えておりまして、そういう居場所をつくる、あるいは、機会を持ちましょうということをメッセージとして出していただくと、そういったことに関心のある先生も動きやすくなるんじゃないかなというふうに思ったりします。そして時間の考え方も、勤務時間内に仕事が終わったからよしというふうに評価するのではなくて、その内訳について無理がないのか、少し先生方にとってのゆとりが本当にできているかということの確認をする、それをもってして時間を考えるような、コマ数も含めてですけれども、体制を考えるということをしていく必要があるのではないかと考えました。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】 全日中の齊藤でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、はじめに資料3の3分類について今回提示していただいていることについて申し上げます。この中で、各項目ごとに「考えられる対応策の例(案)」として、教育委員会さらには、学校についてお示しいただきました。これについては、本来学校現場から要望としてあげさせていただかなければいけないことについて、ご提示いただき頭が下がる思いです。ぜひ、学校としてこれも参考にさせていただきながら、今後、できることを改めていきたいというふうに思います。
一方で、私も学校現場を預かっている校長の一人ですので、これまで質の高い教員を確保するために何をとりくんできたのかおさらいしてみたところ、個々の教員からのボトムアップが非常に鈍かったと考えております。
ですから、ここにある3分類について、夏休み中からになりますが、所属する教員にやらなくてもよいことは何があるかということを問いかけて、本当にやらなくてよいことかを検証したのちに、そのことをやらなくてよいと言ってあげられる体制を取って、少しでも教員に、ゆとりが持たせられるような、そういった体制を整えていきたいと考えております。
次に資料2に戻りますが、この資料2の実現につきましては、まず、働き方改革の根本が何かを考えています。そして働き方改革のゴールとは一体何かということを最近考えるようになりました。もちろん当初から考えてはいるのですが、具体的には超勤がゼロになるということもゴールの1つかもしれませんが、それだけではないと考えています。
そして、ゴールに到達するためには、国を含む行政のイニシアチブと併せて、働き手の教員自身が主体的に取り組むことがとても大事だと思います。例えば、標準時数については、私も教育課程を毎年度編成しますけれども、大体1,015時間の標準に対して、プラス20程度の時数の余剰設定をするようにしていました。これは感染症等で学年閉鎖、学級閉鎖等が起こった場合のことを考えてという点が主な理由ですが、これについて、学校が教育課程を提示する段階で、これでは多過ぎるということを教育委員会が学校に言えるような施策として実施していただけれよいと思います。
それから、校長のリーダーシップ、あるいは、校長のマネジメントをサポートする。先ほどもありましたが、ボトムアップによる働き方改革の推進という点で、ある学校がとても良い手立てを考えているけれども、それをぜひ実現できる体制というものがあればよいと思います。
そして、様々な施策を実施していく上で、できることをやりましょうと言われることがよくありますが、できることという主語となる誰がとか何がというところが非常にぼやけてしまうところがあります。これを明確にすることによって、対象になっている組織なり個人が取り組みやすくなるとも考えます。
さらには、様々な改革を進めていく上で、学校設置者として教育委員会はとても頑張っています。学校現場も頑張っています。もちろん、文部科学省をはじめとした関係諸機関も頑張ってくれているのですが、例えば、自治体において社会教育を担当する部局などの場合、非常に動きが鈍いところも感じられますので、その辺りを組織的に動かすためには、首長部局が主導的立場をとって体制を整える必要があると思います。
そして、私の学校はコミュニティースクールですけれども、地域、保護者との連携という点において、様々なしくみについて十分な周知ができていない。つまり、コミュニティースクールにおける学校運営協議会がどのような組織なのか。場合によっては、学校に意見を言うだけの人たちの集まりなんじゃないかという誤解を受けていることがあります。これがきちんと伝わることによって、地域学校協働本部をはじめ、それぞれ学校のために力を発揮してくださっている方々は、仕事をしやすくなりますし、また、学校も保護者も、そして生徒も地域の方々にいろいろなことを話しやすくなると考えます。
また、質の高い教員を確保するところで、私は中学校の校長ですので、小学校との連携、つまりは、中学校の教員を小学校で活用させることによって教科担任制をさらに充実できると考えていますし、あとは、部活動については、教員の兼業認定をできるだけ円滑にしていただきたいということを申し上げます。もちろん、部活動をやりたくない教員もいます。でも、やりたい教員もいます。やりたい教員については、兼業認定をすることによって、人材の確保につながると考えています。さらに学校業務の支援人材の確保については、予算の確保も大変重要ですが、人がいない中で予算をいただいても、これは非常に厳しい状況があります。やはり人の確保というところが大事と考えています。
そして、私もよく所属の教員に言っているのですが、多忙と多忙感は違うと。今は教員の実態について、真偽は別として様々な情報を得ることができます。それを聞いていると、とにかく忙しそうだと感じてしまい、多忙というよりは多忙感のほうが確実に膨らんでしまいます。このことについては我々がきちんと情報を受け止めて、いたずらに気忙しくなることなく正しい認識をもつことが大事だと思います。
最後になりますが、AIについて触れている論点案がありました。教員が行う業務にAIを活用することは悪いことでも間違ったことでもないと思います。ただ、活用の仕方については、様々言われていますけれども、人としての良心とか、あるいは、服務の厳正が当然ですので、服務規程などに照らし合わせた上で、適切に活用していくことが前提になると思います。
今回の論点案の整理について、学校現場のことの実態を網羅していただいておりますので、ぜひ学校としては具現化を図り、この期待に応えなければいけないと受け止めながら、本日は発言をさせていただきました。ありがとうございます。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】 ありがとうございます。東北大学の青木と申します。よろしくお願いいたします。
今回、資料の2についてお話ししますけれども、この論点案、おまとめありがとうございました。論点案を固めていく、そして、社会に訴えるわけですけれども、そこでの意義というのを考えますと、アジェンダセッティングにとにかくつながるようなものになる必要があると考えています。
今回、資料の2でお示しいただいているものは、どちらかというと改革の手段に関わるものが多いようですけれども、やはり打ち出す際には、改革の目的、前文かどうかは別として、改革の目的ですよね、専門職と言われる教員の働き方改革というのはこういうところに目的があるということを明確に打ち出した上で、手段を示していくという立てつけがいいのかなと思います。
その上で、手段として、もう既に資料の2でミドルレベルの手段は結構出ているので、もう一歩、メタレベルの手段をお書きいただければなと思います。
どうしてそういうことを言うかというと、前提条件として、前回の働き方改革がアジェンダに載ったのが2016年の教員の勤務実態調査の後ですから、これは新教育委員会制度がスタートした2015年から間もない時期です。言いたいことは、この論点案の名宛て人の1つとして、直接ではないにしても、首長あるいは首長部局は入れてしかるべきではないかなと思います。
例えば、メタレベルの手段としては、今回お示しになっている論点案、マネジメントについてかなり重視されているわけですが、どうも教育界を見ていますと、マネジメントと言うと、精神論とか既存の資源のやり繰りになっていってしまいがちだと思いますので、明確にとにかく資源を投入していくというようなことがメッセージとして打ち出せればいいなと思います。
具体的には、既存の支援スタッフとかあるわけですから、そういうものをどんどん拡充できるようにというようなことが書かれていけばいいなと思います。既に論点案にも出ていますように、総合教育会議という場があるわけですので、そういった政策ツールを生かせるようにということは明確に書いていただければなと思います。
残った時間で少し、例えばというようなことで資料の2に沿ってお話しすると、朝の業務に関わって、朝学童と言われるようなニーズがあるのかもしれません。仮にあるとすれば、それは中央政府レベルで言えばこども家庭庁の所管になるわけですので、文部科学省としては、こども家庭庁にどんどんアジェンダセッティングしてもらうように動いていただくということになると思うんですが、実は、地域によってはそうかもしれないけれども、全国的に言うとそこまでのニーズがないのであれば、例えば、早く教頭先生が出てきて門を開けなきゃいけない、子供がけがしたときどうするんだという細かい議論があるんだとしたら、施設管理の担当者を配置するとか、そういうスタッフの増員ということで議論すればいいかなと思います。今のが(1)のマル1です。
(1)のマル2については、学校単位で確かに持ちコマの平均値というのは議論になってくると思いますが、私はちょっと別の見方で、先生の中で20コマ台の後半を持っている先生がいらっしゃるとすれば、それはやっぱり極めてよくない。健康管理上、明らかによくない状態ですので、それはよくないんだということがメッセージとして伝わるようなことを書いていただければと思います。
あと、澤田委員がおっしゃっていましたけれども、学期単位で実施している授業時数を積み上げていって、あとどのぐらいやればいいんだというようなことを、棚卸しのようなことを学期ごとにやるというのは大事なことだと思います。こういう文書で大事なことというのは、教育界でよく使われている言葉と結びつけることだと思います。今私が申し上げた学期単位の棚卸しというのとカリキュラムマネジメントという言葉を結びつければ、納得いくことが増えるのではないかなと思いました。
それから、(2)のマル1ですが、コミュニティースクールに関わっては、これもどうも地域住民の無償の労務提供とともすれば転化していきやすい仕組みだと思いますので、これも必要があれば、地域団体の委託費用だとか、コーディネーターというのを学校職員で位置づけて、例えば、学校教育法の施行規則レベルで位置づけるとか、そういうようなことを考えていいのではないかなと思いました。
このコミュニティースクールに関しては学校評価と関わっていると思いますので、学校評価の項目に働き方改革がある地域、ある学校というのは、一部ですけれども、あるわけです。ないところというのは、働き方改革があることすら地域住民や保護者が分からないということですので、啓発効果を期待する意味でも、どんどん学校評価もツールとして使っていってはいいかなと思います。
最後です。(2)のマル1のところで、保護者等からの過剰な要求というようなことが書かれていますが、私は企業のお客様相談センターとかコールセンターのインタビュー調査に行ったことがあるんですが、企業のロジックからすると、そういうものが教育委員会単位で置かれていないというのは、人を相手にする業種としては、やはりよろしくないことではないかと思います。最前線で働いていらっしゃる先生方がずっと顧客対応しなきゃいけないということは、何かエスカレートした場合に、非常に脆弱な状態のまま、ストレスフルな状態が続くということを意味しますので、これは何としてでも、保護者、地域住民の対応窓口は、教育委員会レベルでしっかり責任を持てるような体制というのが必要ではないかなと思います。
以上です。
【貞広部会長】 どうもありがとうございます。この後、オンラインで西村委員、会場から藤原委員、露口委員、植村委員に御発言いただきます。恐縮ですが、会議終了時刻に若干目配せをしながら御発言をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。では、西村委員、お願いいたします。
【西村委員】 成蹊大学の西村です。幾つか気になった点についてお話しさせていただきます。
まず、役割分担の3分類について御説明がありましたが、3分類に基づいて業務を見直すには、意識を変える、とりわけ、校長以下管理職が前例にとらわれずに思い切って考え方を変えることが必要だと思います。もう一つは、教師が直接やらないのであれば、受皿をきちんと保護者や生徒に示すことが重要で、受皿をうまく機能させるためには、予算をつけること、そして、受皿における運営のルールを整備することが大切です。予算確保や全国レベルの最低限ルールは、文科省にリーダーシップを発揮していただきたいと思っています。
2つ目に、取組状況の可視化、出てきましたけれども、ぜひ幅広く進めていただきたいと思います。人は少ない、やるべきことは多いという八方塞がりの状況の中で、それでも絶対に取り組まなければならない最優先事項であると、全国の教育委員会や校長先生に受け止めていただくために、例えば、PDCAサイクルを回すことによって取組状況が可視化されると、自分たちの学校での取組がどのような状況にあるかということが簡単に分かりますし、学校外の方たちに協力を要請するための資料や根拠にもなると思います。
私は日頃は行政職の方たちの話を聞くことが多く、とりわけ自治体においては、何でも計画を立てろ、評価をしろと国から言われて疲弊しているということも存じております。それだけに、網羅的に全てくまなく取り組む計画を立てるとか、見栄えだけ立派な評価システムをつくるのではなく、シンプルで負担にならないレベルで、もし計画を立てることで学校の負担が重くなるのであれば、教育委員会単位で計画を立てて学校をサポートするほうがいいかもしれないですし、まずは、最優先事項からどんなふうにいつまでに実現するかという目標を立てていただき、それが実現できたかできなかったかチェックしていただく。
目標どおり実現するのは大変なことなので、最初のうちは、実現したという結果を出すことより、何で実現できないのか、障害になっていることを洗い出すことが重要だと思います。できなかった理由を考え、どういう工夫をすれば目標達成できるかの知恵を出していく。すぐに改善できなくても、着実に改善に向かって進んでいると実感できるよう、取組を可視化することが大切だと思っています。
前回、私は勤務間インターバルについて触れましたが、小中学校でこれを実施するには、行政職公務員とは異なる工夫が必要になってくると思っています。取り組もうとした場合に、何が障害になるのか、逆にどういうときなら実施できるのか、全く無理だと最初から諦めるのではなく、一度は真剣に検討し、検討結果がみんなで共有されることが必要だと思います。
取組状況を可視化すると、すぐに大きな改善ができなくても、改善されていくという希望を持つことができます。今の勤務条件を見て教員になることをためらっている人や、既に疲労こんぱいしている教員に対してよいメッセージになると思います。
それから、資料2で御説明いただいた勤務時間管理についての見える化などもぜひ進めていくべきであると思います。教育現場でとても気になるのが、労働時間の管理ができていないことです。目の前に生徒がいるのに休憩なんて取れないという強い責任感から、休憩を取れないまま働いていらっしゃるのでしょうが、先生はロボットではありません。変則的になっても、必ずどこかで強制的にでも休憩を取らせるくらいの取組、休憩時間の適切な設定が必要です。
そういう取組を現場で徹底していただくために、首長さんが頑張るのか、あるいは、教育委員会なのか、校長先生をはじめとした管理職なのか、私は教育行政について詳しくないので、どこにアプローチすれば一番徹底できるのか分かりませんが、いずれにせよ、休憩時間をきちんと確保するくらいのことは、強制的にでもやっていただく必要があると思います。
最後に、メンタルヘルスの要因分析や対策について挙げられていましたが、ぜひ取組を進めて、よい事例を共有していくべきだと思います。参考資料の4に、精神疾患による病気休職者数が増えているという統計があったと思いますが、こうした状況は2つの面で教育の危機を示していると思います。
1つは、教員としての資質が高い人が現場から去っている可能性があるということです。メンタルに支障を来す人の中には、恐らく責任感が強く、現場で奮闘している人が多いと推測されます。教員に向いていないのではなく、むしろ教員としての優れた資質を持っているだけに、あれもこれも非常に頑張ってしまい、その挙げ句、倒れている人が多いのではないかと思っています。本当にもったいない人材の損失です。
もう一つは、メンタルヘルスを損ねる方が増えているということは、勤務環境が破綻している証拠と言って間違いないということです。改革待ったなしということです。先生がメンタルヘルスを保てないでよい教育を子供たちに提供できません。メンタルヘルスは先生方だけの問題ではなくて、子供たちの将来を左右する問題であると捉えて、先生方がメンタルヘルスを保てるよう、専門家の意見も聞きながら、様々な手だてを講じるべきであると思います。
メンタルヘルスの改善に関しては、休憩時間の確保や勤務間インターバルの対策に一定の効果があると思います。メンタルヘルスを保つためにどういう対策がよいのか真剣に考えて、早急に取り組むべきであると思います。
私からは以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】 ありがとうございます。国立教育政策研究所の藤原です。手短に今回は3分類の実効化について3点お話ししたいというふうに思っております。
まず、1点目ですが、この3分類は平成31年答申で作られたわけでございますが、その際には諸外国の動向を見ながら、同時に法的な責任所在というものをきちっと整理して作成されたという点で画期的だったと思っております。そういう意味で、まず、3分類の実効化を進めていく上では、法的な責任所在、それをもっともっと保護者や地域に伝えていくということが1つ大事になってこようかというふうに思います。これが1点目です。
2点目に、責任所在という観点での学校の開門時間というお話をさせていただきたいというふうに思っております。学校というのは、当然、責任を持つ時間というのは無限ではなくて、限られているわけでございます。その学校の責任を持つ時間の明確化というものをシンボリックに表現したものとして、放課後の留守番電話の導入というものがあったわけですよね。これは学校が無尽蔵に責任を担うわけではないということを明確化するという意味で画期的だったというふうに思っております。その観点でもう一つ、朝の時間についての工夫が要るんだろうというふうに思っております。
諸外国におきましては、登下校についての責任は、基本的には保護者、あるいは、スクールバス等を配置するなど地方公共団体の責務であって、学校内についての責任というものは学校が厳しい責任を負うという、こういうような仕分というのがなされております。こういう仕分の下で、全ての国というわけではありませんが、学校が責任を持つ時間として明確化するという意味もあるんだと思いますが、開門する時間とか、あるいは、教室の鍵を開ける時間というものを決めており、それまでの時間はは子供が入れないという仕組みになっている国というのもございます。
そういった観点で見ますと、今の日本の学校では、教員の勤務時間の前に、かなり早い段階から、地域によっては、決められた登校時間のかなり前から子供がやってきている。それは教員の勤務時間開始前ということになります。そうなってきますと、実は責任体制というのは不明確なまま大切な子供を受け入れているということになります。これは非常に危険な状態ではないかというふうに考えられます。そういう観点から、教員の勤務時間に合わせて登校時間、子供を受け入れる時間というものを設定するということを考えていくべきだろうというふうに思っております。
特定の時間までは教室に児童が入室できないといった取組というのは国内でも実例がございまして、そういうような取組の下で行うことによって、教員の勤務負担が軽減される。朝ゆっくりできるとともに、もう一つ、教室で子供を迎えることができるというメリットが指摘されています。この朝の開門時間については、責任所在の明確化という点でシンボリックな意味も込めて御検討いただきたいというのが2点でございます。
手短に、3点目は皆さんの意見と重なっているのですけれども、これまで述べたように法的責任の所在を明確化する取組を進める際には,保護者の方にも御都合があるというようなことも踏まえますと、誰かのコスト負担が必要であり、リソースの投入をしないと問題解決が難しいということは前提として共有しなきゃいけないと思います。それを誰が負担するのかということをしっかり議論する上では、1つは、コミュニティースクールのレベルでも議論する必要があるでしょうし、さらに、もう一つ、今までお話があったとおり、首長部局、福祉部局とか市民部局等々を含めて、コスト負担、どういうふうにリソースを投入するのかという議論というものをしっかりしていくというようなことが必要であろうと思っております。これが3点目でございます。
以上で今日は終わりたいと思います。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、露口委員、お願いいたします。
【露口委員】 失礼いたします。愛媛大学の露口でございます。教員養成の現場に携わっておりまして、その観点から2点ほど簡潔にお話をさせていただきます。教師の成り手の確保、3の4のところが中心になります。
資料1、本日御提示いただきましたが、長時間勤務者の特性としまして、授業準備、成績処理、学校行事等が挙がっておりました。これらの業務といいますのは、若年層、特に初任者の先生方が困難に直面しやすい仕事であるということが分かっております。
教員勤務実態調査でも、私が持っているデータでも、20代の教員が最も勤務時間が長いということが分かっておりますので、授業を初めて作る、成績処理も初めて、学校行事の運動会でダンスを指導する等、こうした業務は個人で頑張るのは難しい。同僚の支援、周りに支えてもらいながら実践する仕事だと思いますので、そこで時短を過度に強調するのは、非常に若い先生方にとっては気の毒な面があると思います。
仕事ができないから長くなっていくという視点が必要であると思います。また、若い先生方が窮地に追い込まれるというのは、現役学部生にとっても教員就職への決定にマイナスの影響があります。40代、50代の先生方の困難と違いまして、年齢の近い先輩方々が困難であるという情報は、学部生に直に伝わります。教員就職率を上昇させる、あるいは受験者数を増やしたいのであれば、若い先生方の働き方というところをまず考えていく必要があると考えております。
もう一つ、今回、先生方の実習指導業務があまり考慮されておりませんが、実は、学生が教員を目指すかどうか、本格的に教職に就くかどうかというのは、実習で決まってまいります。そこですばらしい先生方と出会い、働きやすくて働きがいが実現できているということを学生が実感すると、教職を選択するでしょう。しかし、働きにくい環境で働きがいも感じていないという姿が実習生に見えてしまうと、学生たちは別の進路を選択するかもしれません。
今回のこの論点案は、学生たちも目にいたします。論点案は、働きやすさという視点に、働きがいの視点をさらに加え、両面からデザインしていただくとありがたいと感じております。以上でございます。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、植村委員、お願いいたします。
【植村委員】 全連小の植村でございます。まず、様々な情報を整理して論点案という形で分かりやすく示していただきまして、誠にありがとうございます。例えば、その中で、保護者等からの過剰な苦情や不当な要求等への支援体制というようなことも具体的に盛り込んでいただいて、感謝申し上げます。
私からは、時間も限られていますので、資料2論点案に関連して、3点ほどお話をさせていただきます。
まず、1点目は、(3)のマル1に関連して、小学校高学年の教科担任制の強化という視点でございます。これはやはりしっかり進めていきたいというふうに思いますし、しっかり進めていただきたいなと考えております。現在、加配がなくても、学年体制等の工夫で成果上げていることもたくさんあるんですけれども、教科担任制の強化のためには加配の確実な担保が重要でありまして、それをぜひお願いしたい。将来的には、定数化の視野も含めて、この教科担任制についてはぜひ強化していきたいというふうに思います。
2点目です。支援スタッフの充実。(3)のマル2に当たるところかと思います。これは様々な形で学校を支援していく方を充実していただいて、ありがたく思っているところなんですが、校長としては、最も多忙を極めているのは副校長・教頭だと思います。ですので、支援スタッフと言うと広くなりますけれども、特に副校長・教頭を支援するような仕組みの構築という視点も入れていただけるとありがたいなというふうに思います。
そのためには、支援スタッフの数の担保というのもありますし、もう一つは、副校長・教頭を支援できる専門性というか経験を有する者というようなものもあるかなと思います。例えばですけれども、副校長・教頭経験者の活用ということも考えられるのかなと思います。もちろん、再任用という形になると、副校長・教頭の職務そのものを果たさなくては無理だと思いますけれども、例えば、非常勤教員というような立場でサポートしていくというようなことは考えられるのかなと思いますし、そういう工夫をしているところもあるようにも聞いております。
3点目です。学校及び教師が担う業務の3分類のブラッシュアップという視点でございます。これまで各委員からもお話あるとおり、この3分類については、実効性を高めるということが今大事かなと思います。そのためには、より具体的に示していく、より具体的に検証していくという、そういう具体的に考えていくということがこのブラッシュアップにつながるのではないかなというふうに考えております。
ちょっと口早で申し訳ありませんが、以上でございます。
【貞広部会長】 御配慮いただきまして、ありがとうございます。
全体、皆様から御意見いただきましたが、最後に、妹尾委員から御意見が出ました調査や文書について、事務局のほうから補足がございますので、よろしくお願いいたします。
【村尾財務課長】 委員からの御指摘で、調査あるいは文書について増えているという御指摘がございました。これは私どもの力不足の点もあろうかと思います。他方、まず、コロナ対応については、むしろ、状況が変わっていく中で、国の方針を速やかに示していかないといけなかったという、そういう事情もございます。
また、国が今示している調査の関係で言うと、例えば、悉皆調査を抽出化していくといったようなこと、あるいは、調査をオンライン化していくというようなことも進めていまして、例えば、先ほどの教育課程の編成・実施状況調査、これについては今回から抽出化しております。ですので、そういった見直しについては、これまでも図ってきているということがございます。
それから、資料3の13ページで、調査のことについて、国と都道府県、市町村、学校という各段階で対応策を書いておりますが、調査も国がやっている調査だけではなくて、都道府県とか市町村とか、あるいは、学校の欄の下のところ、一番下のところに書いておりますけれども、任意の調査というのがかなり多いと理解をしております。ですので、国だけが調査を減らしても、実際にはそれ以外の、学校現場に到達する調査だったり文書は減りませんので、その辺りをそれぞれが主体的にやっていく必要があります。もちろん、国も含めてということでございますが、少し補足をさせていただきました。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
本日御出席の委員の方々、全ての委員から御意見をいただきました。今日の議論はこの辺りにさせていただければと思います。
直ちに取り組むべき施策に関わる論点案に関しましては、多くの委員から様々な意見をいただきました。委員の皆様にお許しいただければ、本日いただきました御意見を踏まえまして、荒瀬部会長代理、事務局と相談の上、本特別部会としての緊急提言の案を作成し、次回お示ししたいと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
また、次回以降、御発言の際に資料を用いること御希望の委員がいらっしゃいましたら、事前に事務局までお送りください。参考資料として配付することを可能としていただけることになっております。詳細は事務局からの御連絡をお待ちいただければと思います。
最後に、次回の予定について、事務局からお願いいたします。
【菅谷財務課課長補佐】 本特別部会の次回の日程につきましては、8月下旬頃の開催を調整しております。詳細については、追って事務局から御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
また、ただいま部会長からお話のありました参考資料の配付につきましても、近日中に事務局より提出期限等についてお知らせさせていただきます。
【貞広部会長】 それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会いたします。ありがとうございました。
―― 了 ――