質の高い教師の確保特別部会(第15回) 議事録

1.日時

令和7年1月24日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 教師を取り巻く環境整備について
  2. その他

4.議事録

【貞広部会長】  定刻となりましたので、ただいまから第15回中央教育審議会初等中等教育分科会質の高い教師の確保特別部会を開催いたします。皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議事に入ります前に、事務局に人事異動がありましたので、御報告をお願いいたします。
【堀家財務課長補佐】  事務局でございます。1月1日付の事務局の人事異動を報告させていただきます。
 大臣官房学習基盤審議官に日向が着任しております。
 また、文部科学戦略官に松坂が着任しております。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。本日の会議もウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただいております。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願い申し上げます。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願い申し上げます。
 また、本日は報道関係者と一般の方向けに本特別部会をユーチューブにて配信しており、ユーチューブでの傍聴者から録音及び録画の御希望がございましたので、御承知おきください。
 それでは、事務局より、まず配付資料の確認をお願いいたします。
【堀家財務課長補佐】  本日の配付資料につきましては、お手元の議事次第の4、配付資料にありますとおり、資料1から資料8及び参考資料1から参考資料7までとなっております。御確認いただきまして、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
【貞広部会長】  ありがとうございます。皆様、よろしいでしょうか。
 それでは、早速でございますが、議題1といたしまして、教師を取り巻く環境整備の今後の取組についてに入ります。
 教師を取り巻く環境整備につきましては、本特別部会において1年以上にわたって御議論をいただきました。令和5年8月には、できることを直ちに行うという考え方の下、緊急的に取り組むべき施策を取りまとめ、文部科学省に取組を進めるようにお願いしたとともに、令和6年8月には、学校における働き方改革のさらなる加速化、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実を一体的・総合的に推進する必要があるとした答申を取りまとめさせていただきました。
 答申等を踏まえ、文部科学省におかれましては概算要求を行っていただき、年末には令和7年度予算案が決定されたところです。その内容を含め、答申を踏まえてどのように取組を具体化していくのか、資料に基づきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【安井財務課長】  財務課長でございます。失礼いたします。
 まず、事務局のほうから、昨年末、政府予算案の閣議決定がなされましたので、予算編成の結果の報告をさせていただきまして、それから続いて、予算の状況も踏まえて、今後の制度改正、中教審の答申で様々な御指摘いただいていた取組事項の制度改正の方向性についても御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1のほうを御覧いただければと思います。教師を取り巻く環境整備につきまして、昨年8月に中央教育審議会の答申をいただきまして、文部科学省として概算要求をさせていただきました。文部科学省といたしましては、中教審での御議論を踏まえまして、働き方改革の加速化、指導・運営体制の充実、処遇改善、この3つの一体的な推進の実現に向けて予算折衝をさせていただいたところでございましたが、昨年12月24日、文部科学大臣と財務大臣との大臣折衝が行われまして、御覧の資料のような形で令和7年度以降の教師を取り巻く環境整備に関しまして政府内で合意を得たところでございます。
 合意事項のポイントにつきましては、次のとおりでございます。まず、教師の処遇改善につきましては、教職調整額の率を、条件をつけずに令和12年度までに10%に引き上げるというものでございます。このため給特法の改正案をこの通常国会に提出していくというものでございます。
 また、中間段階で働き方改革の状況なども確認しながら、さらなる推進方策も検討をしてまいります。
 また、教職調整額のみならず、職責や業務負担に応じた給与とする観点からは、学級担任への義務教育等教員特別手当の加算、あるいは新たな職に伴う新たな級を創設した処遇についても実施をしていくというものでございます。
 処遇改善と併せまして、教職員定数につきましては、今後4年間で計画的な改善を行うことといたしまして、令和7年度予算案におきましては、過去20年間で最も多い数となりますが、5,827人の定数改善を行うということでございます。また、来年度に小学校の35人学級は完成しますが、これに引き続いて令和8年度からは中学校の35人学級を導入していくという方針につきましても合意を得たというところでございます。
 また、働き方改革をさらに強力に進めていくため、教師の本来業務以外の時間を縮減していくこと、勤務時間管理を徹底していくこと、あるいは教育委員会ごとの働き方改革計画の策定、在校等時間の見える化等の推進にも取り組んでいくということでございます。
 こういった取組を総合的に行った上で、今後5年間でまずは時間外の在校等時間の平均を約3割縮減いたしまして、月30時間程度に縮減をしていくということも新たに目標として設定をさせていただいたところでございます。
 続きまして、資料2ページを御覧ください。こちらが今御説明を申し上げました大臣合意を踏まえて、令和7年度予算案に計上された、指導・運営体制の充実あるいは処遇改善等の具体的な内容でございます。
 まず、左側、赤で囲まれた部分が指導・運営体制の充実でございます。教職員定数の改善につきましては、まず小学校におきまして、これまで高学年で取り組んでまいりました教科担任制、こちらの対象を4年生にも拡大していくという方針でございます。この拡大を4年間で計画的に定数の充実を行って、指導の質の向上、それから、教師の持ちこま数の軽減を図っていきたいと考えております。このため4年間で全体として3,960人の改善の予定でありますが、来年度は990人の改善を行っていくというものであります。
 中学校につきましては、生徒指導担当の教師を専任で配置できるような定数措置を行っていくということで、4年間で2,640人の改善を計画しておりますが、初年度は1,000人の改善を計上したところでございます。さらに、先ほど大臣合意でも申し上げましたが、来年度、小学校の35人学級が完成いたしますので、中学校につきましては、令和8年度以降は中学校の35人学級ということも、生徒指導担当教師の配置と併せて導入されていくというものであります。
 また、多様化・複雑化する課題への対応というところでありますけれども、特別支援学校が小中学校の特別支援教育を支援するセンター的機能、こちらを強化していくということのために、来年度100人の改善を行っております。このほか貧困の問題への対応、また、離島・過疎地域など個々の学校が抱えている課題への対応や、チーム学校の推進に向けた体制整備のための加配定数の充実ということでトータル200人を計上してございます。
 また、小6の35人学級の実施、通級指導、日本語指導のための基礎定数の改善ということで3,637人ということで、合計5,827人が令和7年度予算で計上している定数改善でございます。
 右側、黄色いところが処遇改善でございます。答申を踏まえまして、教師の職責の高まりに対応した高度専門職としてふさわしい処遇を実現していくということで、教職調整額の率を制度創設以来50年ぶりに引上げということになりますが、令和12年度までに段階的に10%とするというものでございます。令和7年度はこのため、現行の率の4%から5%に改善をするということでございます。また、教職調整額の引上げと併せまして、調整額の対象ではない管理職につきましても、本給の改善を行っていくということとしております。
 こちらの給与関係の取組でございますが、法律改正が教職調整額の引上げには必要となってまいります。法律の改正を行った後も自治体における給与条例の改正などの手続がまた必要になってまいりますので、施行につきましては令和8年の1月からの引上げということで給与関係は予定をしてございまして、令和7年度につきましては、その結果、3か月分の経費の計上ということになっております。
 また、教職調整額に加えまして、職務や業務負担に応じた給与改善として、学級担任への手当の加算につきまして、小中学校の普通学級を対象として行っていく。また、答申でも御指摘いただいた新しい職の創設につきましては、こちら、制度改正を行った後、令和8年度、令和8年4月から実施を予定してございます。この創設も新しい職の職務に対応しまして、給料表に新しい級を設けて本給の改善という形を行っていく予定でございます。
 また、近年、若手の先生方が非常に増えているという状況が特別部会における御議論でもございました。こういった状況も踏まえまして、この新しい職につきましては、学校全体の業務の総合調整を行っていただきながら、若手教師の支援を行っていただくという業務の位置づけということを考えてございます。
 さらに、冒頭申し上げました小学校の教科担任制の拡充という点におきましても、小学校では持ちコマ数が多く、また、担任業務の負担も重いと指摘されておりますので、小学校の新規採用の先生方につきまして、持ちコマ数を軽減するための教科担任制の定数の充実ということも併せて取り組ませていただきたいと考えております。
 また、若手の先生方への支援という観点では、この2ページの資料の右側の3つ目の丸になりますが、産休・育休を取得される方が増えている中で、その後補充の代替教員の確保が学校現場で困難になって教師不足の原因ともなっている状況が指摘されております。こちらにつきましては、昨年12月に義務教育費国庫負担金の関係政令の改正を行いまして、令和7年度から産休・育休の後補充に正規の教員を充てていただいた場合も、給与費の国庫負担額の算定の対象とするという政令改正を行ったところでございます。
 こういった措置を各任命権者である教育委員会でも御活用いただくことによりまして、計画的に正規教員の採用配置も促進をしていただいて、代替教師の着実な配置の実現、また、講師の方々を現場で探していただく作業の軽減も行っていければと考えておりまして、職員の方々にも安心して産休・育休のお休みに入ってもらえるような環境も整備をしていきたいというふうに考えているところでございます。
 続きまして、資料3ページが、今申し上げました教職員の関係に続きまして、学校における、先生方を支援していただくスタッフの配置支援の関係予算の状況でございます。教員業務支援員につきましては、令和6年度予算で全公立小中学校に配置を行うために必要な経費の計上をさせていただいたところでございます。来年度は副校長・教頭マネジメント支援員、今年度創設されましたこの項目につきまして、300人の増員を図っているところであります。また、不登校の対応の関係で、現在校内の教育支援センターの設置の促進ということに取組が進んでおりますけれども、こちら、教育支援センターにおいて子供たちの支援に当たっていただく支援員の人的措置の補助につきまして、来年度新たに新規で特別に事業を創設していくということを予定してございます。
 続いて、資料4ページでございます。こちら、保護者・地域等からの学校、教師に対するいろいろな要求あるいは苦情というような対応につきまして、学校だけで解決が難しい事案が発生した場合に、行政において対応していく体制を構築していくという事業でございます。こちら、6年度の補正予算も措置をした上で、さらに事業の充実を図っていきたいと考えております。
 資料5ページでございます。こちらは地域の教員希望枠を活用して教員養成大学・学部の機能強化を行って、人材の確保をさらに進めていきたいという事業でございます。
 また、続いて資料6ページでございますが、こちらの答申の中でも御議論いただきました、働き方改革を学校現場でお進めいただく上でキーとなる学校管理職のマネジメント力の向上につきまして、働き方改革を含む形でのマネジメント力の向上に向けた支援事業を新しく創設したものでございます。
 続いて資料7ページが、支援スタッフの関係にもなりますが、不登校、いじめ対策等の関係で、先ほど御紹介した校内教育支援センターの支援員の配置が新規で2,000校ということでございます。また、従来から取組を進めておりますスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置の充実にも取り組んでいるところでございます。
 続いて、資料9ページであります。部活動の地域連携あるいは部活動指導員の配置ということで、こちらもさらに今年度より充実を図っているというところでございます。
 令和7年度の予算の状況につきましては、以上資料1で御紹介、御報告させていただきました。
 続いて、資料2を御覧いただきたいと思います。こちらにつきましては、令和7年度予算の編成も踏まえまして、今後、中教審答申でも御指摘いただいた事項も含めて、教師を取り巻く環境整備をさらに推進していくための制度の改正の方向性について、現在検討中の内容を報告させていただくものでございます。
 平成31年の中教審の働き方改革答申以降、様々な取組も行ってきている中で、働き方改革は一定の成果を上げておりますけれども、さらなる取組が必要な状況だというところでございます。それを行っていく上で、答申におきましても、全ての関係者が自分事として取り組むことの重要性が指摘されておりました。また、その中でも、やはり学校の設置者として各教育委員会が設置者としての責務を果たしていくことの重要性ということも言うまでもないところでございます。全ての教育委員会において、働き方改革のPDCAサイクルの構築、それからさらに、教育委員会から進んで首長部局、保護者・地域との連携・協働を進めていくための仕組みづくりということが必要になってきているところでございまして、先ほど御報告した教職員定数の改善などの予算措置と併せてこれから御報告申し上げる制度改正も一体的に講じていく中で、教師の働きやすさと働きがいの両立と子供たちへのよりよい教育の実現に向けてさらに取組を強めていきたいと考えております。
 まず、働き方改革のさらなる加速化の具体的な仕組みづくりという点であります。働き方改革の取組状況の見える化、これを推進することによるPDCAサイクルの構築の重要性の御指摘を頂戴しておりました。このために今後、各学校を設置されている各教育委員会におきまして、いわゆる働き方改革実施のための計画を策定・公表いただく。そしてまた、その計画の実施状況につきましてもフォローアップをして、その状況を公表する。こういったことの制度化に取り組む必要があるというふうに考えております。
 また、教育委員会内部にとどまるのではなくて、自治体の中で、首長部局と連携・協働を図っていく体制づくりも必要でありますので、現在各自治体に設置されております総合教育会議におきまして首長と教育委員との議論がなされる場がございますので、この総合教育会議に教育委員会が策定する計画を、またさらにその計画の実施状況も含めて報告をしていただくということであります。
 こうした自治体総がかりで学校の働き方改革をサポートする体制をつくった上で、やはり実際に取組が進められていくのが学校段階ということになってまいります。そのための措置といたしまして、3つ目の丸でございますけれども、現在公立学校におきまして、学校評価を行っていただいて、その結果に基づいて学校運営の改善を講ずる措置を行っていくということになっておりますけれども、この措置の内容が各教育委員会がおつくりになる働き方改革の計画に適合するものとなるようにという観点を、学校評価の仕組みの中に追加していくというものであります。
 さらに、地域住民・保護者の理解と御協力が働き方改革の推進に不可欠でございますので、学校運営協議会、いわゆるコミュニティスクールを設置されている場合に、毎年、校長が学校運営に関する基本的な方針を学校運営協議会にお諮りして承認を得ることとなっておりますが、この承認事項として、働き方改革の実施に関する内容を追加していくということを考えてございます。こういったことで地域・保護者の方々の理解と御協力、連携・協働を確保していくという仕組みを考えているところであります。
 また、学校の指導・運営体制の充実という点につきましては、新しい職を設置するという必要性の御指摘を頂戴しておりました。この新しい職を設置いたしまして、学校のマネジメント機能の強化ということ、そしてまた、学校の業務遂行を通じて若手の職員を支援していただくということを学校の組織的なミッションとして明確に位置づけた形での体制の充実を図っていくというものでございます。
 大きく3つ目が教師の処遇改善ということでございます。高度専門職にふさわしい処遇の確保ということで、教職調整額の率の10%への段階的引上げ、こちらは法律事項になってまいりますので、制度改正を行っていく必要がございます。
 1点、教職調整額の関係といたしまして、教職調整額につきましては、各校種が対象となってまいりますけれども、その中でも公立幼稚園の先生方につきましては、学校教育制度の体系とともに子ども・子育て新制度の対象にもなっているところでございます。この子ども・子育て新制度の下におきまして、既に保育士の方々、幼稚園の教員の方々の処遇改善が図られているという状況になってございまして、既に処遇改善に資する財政措置が公立幼稚園について講じられているところでございます。ここからさらに公立の幼稚園の方に教職調整額の引上げをやっていくということになりますと、保育士の方々あるいは私立の幼稚園の教員との給与水準の均衡ということもバランスを欠くことにもなるということでございますので、幼稚園の教員につきましては教職調整額の率は現状維持とするということでございます。
 また、職務・勤務の状況に応じた処遇の実現という点につきましては、学級担任への手当の加算を義務特手当の中で行っていく方向の根拠規定の整備を考えてございます。また、指導力に課題がありまして、学校を離れて特別な研修を受けている指導改善研修という制度がございます。こちらの受講者につきましては、教師の専門性の発揮が困難で、児童生徒への指導が行われていないという状況がございますので、今回教職調整額の支給の対象からは支給対象外とするという措置も併せて講じていくことを検討しているところでございます。
 この資料1と資料2で申し上げました予算措置、また制度改正の内容につきまして、全体像を分かりやすくお示しするためにつくりましたのが、資料3の教師の「働きやすさ」と「働きがい」実現プランでございます。内容につきましては、先ほどの御説明と重複する部分もございますので割愛させていただきますが、全体像もこちらでも御覧をいただければと思ってございます。
 続いて、資料4以降でございます。ちょっと説明が長くなって恐縮でございますが、昨年末に働き方改革に関係する様々な学校現場の状況につきまして、調査のデータ公表をさせていただいたものがございますので、そちらについて簡単に御報告をさせていただきたいと思います。
 資料4は、こちらは毎年度行っている調査でございますが、学校の働き方改革の取組状況調査でございます。この調査自体は毎年行っているものでございまして、例えば右下の「3分類」に係る取組状況なども経年でずっと行っているところでございますが、今年度は新しく、教諭の時間外在校等時間の分布につきまして、全国の教育委員会からデータの提供をいただきまして、職種別に教諭の状況を確認するデータをまとめさせていただいたところでございます。
 月45時間以下の時間外在校等時間の割合が、小学校で75%、中学校で58%、高等学校で72%であるという状況でございました。こちら、調査の手法等が違いますので、単純な比較は難しいところがございますけれども、令和4年の勤務実態調査で同じく月45時間以下の割合を参考までに申し上げますと、小学校ですと35%、中学校で23%ほどであったという状況でございます。一方で、やはり月80時間を超えている教諭もいらっしゃいますし、さらなる取組が全体としてこれは必要だと重く受け止めているところでございます。
 それから、概要資料の左下でありますけれども、中教審答申で御指摘いただいていた事項についての取組状況も調査をいたしました。例えば標準授業時数よりも多く上回って教育課程を編成されていることの見直しの御指摘を頂戴しておりましたが、そういった見直しを教育委員会として指導・助言している割合が昨年からかなり大きく上がっているという状況が確認されてございます。一方で、在校等時間の公表とか在校等時間の縮減に向けた取組状況の公表、こういったことについては、自治体間で実施の状況に差が見られるということも上がってきているところでございます。
 続いて資料5は、人事行政状況調査でございます。これは教育職員の精神疾患による病気休職者のデータでございます。令和5年度が7,119人ということで、令和4年度から580人増加して過去最多となっているというところであります。
 3ページは、こちら、精神疾患による病気休職の要因につきまして、教育委員会に対して調査をした結果でございます。一番多かったのが、業務内容、それから職場の対人関係、こういった報告となってございます。
 続いて資料6は、公立学校の教員採用選考試験の実施状況でございます。全体の競争率につきましてですけれども、3.2倍ということで、こちらも過去最低の結果となってございます。また、受験者数の絶対値自体も前年度から減少しているという結果でございます。
 資料7は、これはGIGAスクール構想の下での校務DXのチェックリストでありまして、2回目の調査ということでございます。いろいろな調査項目がございますけれども、例えば15ページですと、前回調査と比較して特に取組が進んだ項目として、保護者との連絡などの取組とかこういったところで大きく進展している事柄も確認をされているというところであります。
 それから、資料8が教育課程の編成・実施状況調査でございます。こちら、先ほど申し上げた標準授業時数を上回って教育課程編成をされている状況についてのデータもございますが、5ページを御覧いただきますと、実際の実績といたしまして、中教審でも御指摘いただきました1,086時間以上の年間授業時数ということがかなり少なくなってきているという傾向が確認できるかと思います。
 以上、ちょっと御説明が長くなってしまいまして、恐縮でございますが、事務局から報告でございます。よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。御意見のある方は「手を挙げる」ボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから指名をさせていただきますので、ミュートを解除いただいて御発言をお願いいたします。
 毎回大変恐縮でございますけれども、全ての御出席の委員の皆様から少なくとも1回は御発言をいただけますよう、それぞれの御発言はお一人当たり3分以内程度としていただきますようお願いいたします。また、御発言の際は、大きな声で明瞭にお話しいただけますようお願いいたします。御発言が終わりましたら、「手を下げる」のボタンを押し、挙手を取り下げていただけますようお願いいたします。御協力のほどお願い申し上げます。
 では、いかがでしょうか。戸ヶ﨑委員から手が挙がっています。戸ヶ﨑委員、どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】  
 まずは、財務課の皆様方をはじめとして、文科省の方々には予算折衝のいばらの道中、本当にお疲れさまでした。察するに、給与面をはじめ、結果には様々な思いがあろうと思います。しかし、先ほど御説明があったように、50年ぶりの教職調整額の引上げ、過去20年間で最多の定数改善、中学校の約40年ぶりの改善等、今後日本の教育史に残るであろう大きな前進があったと思っています。今回の結果は、文科省から学校現場へのリスペクトのメッセージでもあると私は受け止めています。また、勝手な私の解釈ですけれども、これは単なる目次とか序章にしかすぎないという強い意気込みも伝わってきています。まずはここに至るまでの関係者の方々の並々ならぬ御労苦、また御尽力に深く感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 大きく3点に絞って意見を述べさせていただきます。
まずは、計画策定・公表についてということです。これまでも私はこだわってきますけれども、服務監督権者である教育委員会や学校が、自分事として学校の働き方改革について取組を進めるためには、業務量や、働き方改革の取組状況等について公表をしっかりと進めて、あえて地域等の目に触れるように見える化を進めていくべきであろうと考えています。ただ、その際単に在校等時間の縮減それのみが目的となって過度な競争にならないように注意すべきだろうと思っています。また、公表のための調査や集約自体が業務量の増加にならないようにも注意しなくてはいけないのかなと思っています。
 ちなみに、本市においては、「学校における働き方改革の基本方針」を策定して、目標達成のための主な取組を掲げ、フォローアップを行うなど、時間をかけて働き方改革のPDCAサイクルを構築してきました。方針をつくって終わりではなくて、学校や地域と共有しながら具体の取組を進めて、進捗を確認しながら改善を図ることを一連で行うことによって時間外在校等時間の縮減や、教師の負担感の軽減など一定の成果が見られています。
 この働き方改革の加速化においては、PDCAサイクルの構築が制度的に担保されることが極めて重要だろうと思っています。今回示された計画の策定や計画の実施状況の公表等といった制度によって、全国全ての教育委員会でこのPDCAサイクルの構築に向けた土台が出来ることとなります。各教育委員会はこのスキームを最大限に活用して、オーナーシップを持って取り組んでいくことが必須になるのかなと思っています。
 続いて、指導改善研修関係についてです。教師はまさに学びに関する高度専門職であり、心身ともに発達段階にある子供たちに対して直接的かつ将来にわたって大きな影響を及ぼします。学校現場を預かる服務監督権者の教育委員会の立場としても、教師として求められる指導が不適切であるとされる者に、日常的に子供たちへの指導を行わせるということはできません。そうした指導が不適切である教師には、指導改善研修を受講してもらって、研修に専念して、その指導力を改善するということが狙いになっています。
 今般の教職調整額の引上げは、まさに教職の魅力を高めて、教師に優れた人材を確保することを目的としていて、高度専門職である教師にふさわしい処遇を実現していくという趣旨であると認識しています。その趣旨からすると、この指導改善研修を受講している者に教職調整額を支給しないという措置は私は妥当であると考えています。
 最後ですけれども、教師の「働きやすさ」と「働きがい」実現プランについてです。「働きやすさ」の改善は、有名なハーズバーグの二要因理論における衛生要因に当たりまして、働きにくさといった不満の解消に寄与していくものの、一般的には「働きがい」を生み出すものではないと思います。「働きがい」の向上ということには、教師が自己実現や達成感を得られる動機づけ要因を充実させる必要があるだろうと思います。働きがいにつながる動機づけ要因は、教師自身の内発的なモチベーションや、学校文化、地域の特性など、様々多くの要因が絡み合っていますので、文科省がイニシアチブを取って取り組むべきことと、教育委員会や学校現場に委ねていくべき部分を整理して、くれぐれも、余計な言葉ですが、「大きなお世話」と感じられないように進めていくことが重要だろうと思います。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では続きまして、秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】  ありがとうございます。先ほど戸ヶ﨑委員が歴史に残ると言われましたような、大幅な様々な改善があって、教員にとっては本当に大きな応援のメッセージを文部科学省や皆様の御尽力によって見える化して示していただけたということは大変ありがたいことだと考えております。
 その中でやはり大事なことが、働きやすさと同時に働きがいというものが、高度な専門職としての働きがいのための様々な工夫がなされているというところが社会にうまくメッセージとして届くかどうかというところが私は重要なところではないかと思っています。給与が上がるところは非常に光を、脚光を浴びやすいんですけれども、それだけではなくて、例えば定数改善によって若手がこれから多くなっていくときに、新任教員の負担が軽くなるということであったり、それから新しい職を創られることによって、さらに学校全体での調整や若手が学ぶ場が手厚くなっていくというメッセージがこの新たな職という職位が出来ることであったり、定数が、例えば専科教員の小学4年生でつくということが、これがまさに働きがいや専門職の学びを豊かにしていくことにつながっているのだということを、私どもは学校やそれから社会に向けてお話をしていくことが今後重要なことではないかと思っているところでございます。
 例えば、専科教員につきましても、今後、教育課程部会のほうでも学習指導要領改訂も進むと思うんですけれども、これまでの担任1人が例えば小学校では全ての教科を持っていたところでの学び方と、それから、専科になることで、同じ教材でも複数回デザインを試行錯誤し、工夫しながらよりよい授業を実践していく、そういう機会が増えるということなんだというところも、時数や担当が楽になるだけではなくて、教材研究が深められるというような、そういう学びの専門職を私どもは応援するためのこの定数の改善であるというところが伝わるといいと思っております。
 それから、表に出ている定数だけではなく、ぜひ今後の定数の改善で、教職大学院等でより中堅教員が学びやすくなるようなところが、これまでのデータによりますと、やはり大学院に出したくても、中堅が学校で大変忙しくて教職大学院に送ることができないという意見を伺います。しかしながら、生涯学び続けて、ある部分でそれがきっかけになってより大きく、学校のマネジメントなどを新たに学んでいただくために教職大学院等へ派遣するための定数改善というようなところにつきましても、ぜひお考えをいただきたいと思うところです。
 また、2点目としては、先ほどの御報告にもありましたけれども、校務DX等で働きやすさ、校務を合理化できているというお話がございました。それだけではなく、このDXというものが、より専門家としての学びで教育課程のほうの充実にもやはり教員皆がデジタルツール利用を学んでいくことが重要であり、そうしたことの支援のところにも改善がなされていくことが必要なのではないかと私自身は考えているところでございます。
 そして最後に、3点目です。大変私にとってうれしいのは、産休・育休代替があらかじめ正規で採れるというようなことは、女性のみならず、男性におきましても大きなメッセージでございます。一般企業と教員を比較しますと、産育休の取得期間が明らかに平均が教員は長いということが分かっております。それだけ子育てもできるし、その子育てをプラスにして、さらに教員として、親としての経験も膨らませてよりよい教員へ進んでいくというようなことができる。そこに大きなくさびを打っていただけたと思います。実際にこれが動くことによって、引継ぎ等が途中からの産育休でも、あらかじめ誰にどのように引き継げるのかが分かるので大変助かるという声を実際の県の教育委員会の方等からもお話を伺っております。
 そうした意味で、生涯、様々なキャリアのパスを通りながらも教師が学び続け、働き続けるために、こうした体制が組まれていくことは重要なことだと思いますし、今後さらにこれをきっかけにしながら、より魅力のある職業として、単に処遇の問題だけではなくて、学び続け、やりがいがあるというようなところを、今回のチラシとこの実現プランがとてもすばらしいと思うので、こういうものがより多くの教員をこれから目指す人たちにも発信をしていただけるとありがたいと考えるところでございます。
 私からは以上3点でございます。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。1点目の、政策目的が正しく伝わり、政策目的どおり活用していただくというのは、どうしましょうかね。我々みんなで手分けして辻説法をしてまいりましょうかとも思いますが、事務局から何かありますでしょうか。
【安井財務課長】  御指摘大変ありがとうございます。先ほどの御指摘もそうでございましたし、この特別部会の御審議を通じましても、やはり最終的な取組の目標・目的というようなことと、それからやはりそれを達成するための手段という点で、全体的・総合的な取組をしっかりやっていかなければいけないということをずっと御指摘を頂戴しておりましたので、そういった取組の趣旨とかあるいは取組の全体像をしっかりと、学校現場の先生方もそうでありますし、また、その先生方と一緒になって子供たちの教育に当たっていただける社会各層にもしっかりとお伝えする方策ということも、また文科省としてもしっかり考えていきたいと思います。ありがとうございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では続きまして、オンラインから金田委員、お願いいたします。
【金田委員】  ありがとうございます。金田です。私も15時までしか参加できないので、よろしくお願いします。
 まず、やっとここまでやっとたどり着いたなというのが感想です。しかし、定数改善だとか働き方改革の部分とかというのは基礎的なところでありまして、本当にやらねばいけなかったことなんだろうと思っています。
 かといって、今この給与が上がった、待遇が変わったからといって、これが直接質の高い教師がわんさか来るのかと言えば、正直すぐに反映するわけではないということです。入ってきた教師の方が待遇が悪かったために最初に思っていたのと違うといって辞めていかれるとか、休職するというようなことが当然少なくなってはくるのかなと思うので、これは今、最低限のことでよかったと思っています。
 大切なのはこの後でして、会社でいえば、企業PRではないですが、教師というのは本当にすばらしい職業なんだというところをきちんと世間に広めるということが大切です。社会的地位の向上というところは、給与だけの話ではなくて、社会全体の人たちの意識が変わる事が必要かと思っています。
 私的な話になりますが、うちの娘が今、高校生で、小学校の教員を目指しておりますけれども、実際に給与のこととかは正直全く分かっていなかった。ただ、やはりテレビでの報道や何やらで、何か先生って大変そうなんだなというようなイメージしかない状態です。周りの方に「教師を目指す」と言うと、今は、「えー、そうなんだ。先生目指すんだ。大変だね」と言われるそうなんです。そうではなく「先生を目指す」「えー、すばらしいね」と言われるように持っていくことが必要であって、やはり先生ってすばらしい職業なんだねというふうに社会全体がみんなで思っていける施策を今後やっていくべきであると思っています。
 逆に言うと、予算はそんなに必要ではないのです。先生ってすばらしい職業だねとちゃんと尊敬というか、すばらしいということを皆さんがお伝えしていけばそれで済む話なのかなと思っています。これは次の段階ではありますが、ぜひ、検討ください。まずは、新しい第一歩が踏み出せたということはすばらしいことだと思っていますので。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  金田委員、ありがとうございました。では続きまして、会場から金子委員、お願いいたします。
【金子委員】  自動車総連、金子です。私のほうからは、資料3について2点、意見を申し上げたいと思います。資料の中に、今後5年間で平均の時間外在校等時間を約3割縮減という記載がありますが、これは将来的な縮減目標の20時間に向けて、まずは月30時間を5年間でしっかりやっていこうと、こういうことだと思います。これは非常にいいことだなと理解をしております。
 一方で、これを実現するための工程表がこの中には示されていないわけでありまして、5年後の30時間に向けてもそうですし、さらには20時間に向けて、年度ごとの縮減目標や、協働による取組の進捗を測るいわゆるKPIとか、そういったものを設けるなど、具体的なロードマップもしっかり示して、着実に進めていくということが重要じゃないかと思っています。
 併せて申し上げると、時間外在校等時間の上限は設定されているんですけれども、これは規制がかかるようなものではないので、現場では必ずしも抑止力として働いていなくて、管理者側の意識改革がなかなか進んでいないというような実態があるというふうには認識をしております。教員の健康と福祉を確保するという観点からも、この在校等時間の位置づけを明確にして、安全配慮義務を課した上で、人事委員会とかが職権を行使できるような体制を構築することで、この時間外在校等時間縮減の実効性を確保していく必要があるのではないかと思っております。
 また、資料1の大臣合意も、これも総論としてはありがたい話なんですけれども、最後のところに、給特法については諸課題の整理を行うと一筆入っているんですけれども、この場でもう幾度となくこの給特法については議論してきたと思うんです。そういう意味ではもう課題もある程度明確になっていると思いますので、むしろ我々は労基法第37条を適用するなど抜本改革すべきだというふうな主張をさせていただいていますけれども、そういうことを含めて、どう見直していくかという道筋を、今後しっかり議論すべきじゃないかと思うところです。
 2点目は、この実現プランの実効性を担保するための、文科省の役割について一言申し上げたいと思います。この実現プランは、各地方自治体の教育委員会だとか、また、各学校現場の取り組む項目がいろいろ並んでいるわけでありますが、その実効性を担保するには、学校現場や教育委員会からの声をタイムリーに吸い上げて、施策に目詰まりがあった場合には早期に対策を講じていくことが重要だと思います。その対策の検討に当たっては、現場に任せるだけではなくて、文科省が積極的に参画して強いリーダーシップを発揮していただくということが実行につながる最短ではないかというふうに思っていますので、その点重ねてお願い申し上げたいと思います。
 以上になります。
【貞広部会長】  ありがとうございます。実装、実効性の確保のためにかなり踏み込んだ具体的な御提案もいただいたところでございます。どうもありがとうございます。事務局で引き取っていただいて御検討いただくということでよろしいですか。何かコメントありますか。よろしいですか。
【安井財務課長】  どうもありがとうございました。また、これもいろいろと取組の制度設計などを今まさにしっかりとやっている最中でございますので、また、このプランということにとどまらず、実効性ある形で進めていく方策ということも考えていきたいと思います。
 また、学校現場において、在校等時間の上限、これをどう実効あらしめるのかということの御指摘を改めて頂戴したというふうに思っております。今日御説明させていただきました制度改正事項としても、やはりこういった上限指針に示しております在校等時間の上限を、よりそれぞれの教育委員会、自治体の中で実効ある形で職員の勤務管理の中で意識をして、実際の業務の在り方、勤務の管理につなげていくということのために、見える化とかそういった仕組みもしっかりとつくっていきたいと思っております。使用者としての各教育委員会の服務監督権者としての法的な責任をしっかりと全うしていただけるような、そういう仕組みづくりを考えていきたいと思っております。
 また、今後、こういった取組は、もちろん自治体のほうでお願いをすることとともに、私ども文部科学省もしっかりと前に進めていく取組を今後も一緒になって先頭に立ってやっていかなければいけない課題だと強く認識して取り組んでいきたいと思います。ありがとうございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。では続きまして、オンラインから西村委員、お願いいたします。
【西村委員】  成蹊大学の西村です。予算折衝は、本日の御報告だけでなく、随時メールでも状況を報告していただき、文科省が答申実現のために奮闘してくださっていることがよく分かりました。その御苦労には頭の下がる思いです。要求どおりにならなかったのは残念ですが、大きな話題になりましたので、教員の待遇改善の必要性について世間にも広く認知していただくことになったと思います。
 教職調整額の引上げか、残業手当創設か、この部会では議論した末に、教職調整額引上げということで答申がまとまりました。その後のニュースを見ていると、ちまたでは、残業手当を出すべきという意見が相当多く見受けられましたが、残業手当にすれば、働いた分フルに手当がもらえるとか、働き方改革が進むといった解決になかなか繋がらないことは、民間企業を見ていてもよく分かるところなので、どちらにしてもなかなか難しいなと、複雑な気持ちでおりました。いずれにしましても、1人当たりの仕事量が減らない限り、教員が置かれている厳しい現状は変わらないので、答申にも盛り込まれておりました、働き方改革をこれまでの慣行や常識を打ち破るぐらいの勢いで取り組んでいく必要があると、改めて思いました。
 本日お示しの働き方改革に関する制度等については、まさにそうした視点で提案されているもので、私も概要は賛成です。ただし、新しいことを実施する際には、新たな負担が生じるリスクもあります。ここで御説明いただいた改正を実施していくに当たり、そうしたリスクを十分に認識して、文科省としてもサポートしていただけるようお願いしたいと思います。
 それと同時に、今やっている業務等について、どのようにすれば効率化が図れるかなど、現場の声も大切に拾っていただきたいと思います。一般行政職の業績評価制度の運用においては、今取り組んでいる業務の改善策を個々人が目標として設定することも奨励されており、まさに現場目線で働き方改革や業務改善に取り組む仕組みになりつつあります。文科省や教育委員会であれこれ改善策を考えても、それぞれの学校や教員でカスタマイズされなければ、新たな負担になりかねないと思いますので、そうした現場の知恵も十分に活用して、その声をさらなる改革に生かせるよう進めていっていただきたいと思っています。
 私からは以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。それでは続きまして、同じくオンラインから鍵本委員、お願いいたします。
【鍵本委員】  鍵本でございます。まず皆さんお話しですけれども、これまでの部会で議論した内容の多くが、財務省との厳しい折衝を経て、令和7年度予算案において盛り込まれましたことにつきまして、文部科学省の皆様の御尽力に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 そして、このように今後予算が確保されまして、「教師の処遇改善」や「学校の指導・運営体制の充実」が推進されるのと併せて、教師を取り巻く環境整備を一体的・総合的に進めていく上で、もう一つの欠かせない大切な柱であります、「学校における働き方改革のさらなる加速化」にも今後大いに力を入れて取り組んでいかなくてはならないと強く思っているところでございます。
 それは、教師に憧れて、教職を目指す若者たちにとって、「教師の処遇改善」も大いに関心のあるところでありますが、やはり彼らが多く口にいたしますのは、「教職は確かに魅力ある仕事だけれども、自分が本当に務め上げることができるだろうかという不安は、正直感じている。」という言葉であります。今後、教師を目指す有望な若者をたくさん確保していくためには、学校現場が働きやすさを感じるところであるとともに、働きがいを感じることのできる余裕ある職場環境を整備していかなくてはならないと私も思います。
 このことも併せて達成することができなければ、質の高い教師の確保は、言葉だけで終わってしまうと思います。そのためにも、小・中学校であれば、本日の資料2の中の「働き方改革の更なる加速化」というところの1つ目の項目にありますように、それぞれの学校自身や服務監督権者である市町村教育委員会が、任命権者であります都道府県教育委員会とも力を合わせてPDCAサイクルを回しながら、働き方改革に本気で取り組んで結果を出していくことが必要であります。
 そして、この仕組みを法律に位置づけていただくことは、大変重要であると考えます。本県では、県教委と県内の市町村教委が一緒に学校で働く教職員に向けて、働き方改革緊急宣言を出して、共通理解の下、全ての市町村が働き方改革を進めていこうとしていますが、計画とその達成状況を見える化しながら取り組むことはとても大切であると考えます。服務監督権を持つ市町村教委の学校への関わりが極めて重要であることは言うまでもありませんが、見える化された結果を受けて、都道府県教委が各市町村教委に対してきめ細かいサポートを行うことも併せて重要だと考えます。
 また、各学校においては、「働き方改革のさらなる加速化」の4つ目の項目にありますように、学校運営協議会の場で議題として取り上げ、学校の状況を保護者や地域の方々に十分に理解していただき、その改善方策を一緒に考えていただくことが重要だと思います。学校が目標とする教育を達成するためには、先生方が余裕を持って児童生徒と向き合える状況をつくることが必要であり、そのことはすなわち、子供たちの教育の質の向上に確実につながっていくということを御理解いただくことが何よりも大切だと考えています。
 最後に、同じく資料2の「教師の処遇改善」のところに記載がありますように、教職調整額の率を10%へと段階的に引き上げることや、学級担任をもつ教員に対して義務教育等教員特別手当の加算措置を講ずることは、これまで、この部会の中で申し上げてまいりましたが、複雑で困難な仕事を担っている高度専門職としての教師にふさわしい処遇に改善していく上で、必要であると考えます。その一方で、処遇の改善を広く国民の皆様の理解を得て進めていくためには、指導が不適切である教員の指導力を改善するための指導改善研修を受講している者に対して、その期間の教職調整額については、支給しないという対応も、制度の趣旨からすると必要かと考えます。
 私からは以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では次に、会場から妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。私からは、2点質問と、あと、意見出しをしたいと思います。
 質問の1点目は、資料の1番目の定数改善のところの2ページ目なんですけれども、過去20年間で最大の改善をしていただいているというのは非常にありがたいですし、今後も僕も応援したいなと思っているんですが、指導工夫改善のTTとか少人数学級の加配措置を一部削って35人学級に回しているんじゃないかというふうに述べる研究者もいて、この辺り、事実を少し丁寧に教えていただきたいなというのが1点目です。つまり、3,000人強増というのが純増なのか、減少も合わせた上でどれぐらいなのかということを教えていただきたいというのが質問の1点目です。
 あと、2点目は財務省との合意の1ページ目にもありますように、今後5年間かけて月30時間程度に減らしていくという目標なんですが、これをまた勤務実態調査をするのかしないのかということについて、現時点の考えを教えていただきたいと思います。資料4にありますように教育委員会のタイムカード等のデータも活用できると思いますし、有用ですけれども、御案内のとおり、結構各自治体でばらばらですし、休憩時間が勝手に控除されているような事例もありますし、教育委員会のデータを合計したものだけでは正直、事実が一部違うなというところもあると思いますので、よしあし両方ありますけれども、今後どのようにモニタリングするのかについて教えていただきたいというのが2点目です。
 そこはちょっとまた時間があればで結構ですが、意見出しにつきましては、参考資料7という最後のほうに資料をつけておりますので、なるべく具体的に書きましたので、ざっとまた見ていただければ御理解いただけると思いますけれども、一部、補足しながらかいつまんでお話ししたいと思っております。
 今後の取組は、強力に私も応援していますし、できるところはやりたいと思っていますが、3点、特にもっと意識していただきたいと思っております。
 1点目は、やっぱり先生方がやってよかったなと思えるような実感を伴うようなものをどんどん広げていただきたいなと思っております。これは子供も一緒だと思うんですけれども、自主的な学級経営等ができるようになってくると、子供たちもすごくよかったなという効力感が高まって学級もよくなっていくという話とほとんど相似形だと思いますが、先生方にとって、あれやれこれやればっかり言われるんじゃなくて、何か本当に具体的な成果をなるべく早めに出していくということが大事かなと思っております。
 取組例はこちらにもいろいろ書きましたので、また見ていただければと思いますけれども、1点、まだまだこの部会でも検討できていないのが生徒指導関連だと思っております。最後のほうにいじめ対策についてと書きましたけれども、1例ですけれども、8月にも公表された、いじめの重大事態の調査のガイドラインを拝読しましたけれども、教員あるいは教育委員会職員も疲弊しておりますが、負担軽減については記述はゼロだったと思います。子供の負担については配慮せよとは書いていますが、教職員の負担については何も考えてないかのような記述です。もちろん子供の命を守るというのは大賛成ですし、非常に大事ですけれども、かといって手間や時間やコストもかかるという当たり前の話をもっと文部科学省、教育委員会は認識していただきたいと思っております。
 次に2ページ目ですけれども、やはり保護者にどう呼びかけていくかというのは非常に今後も重要なので、この辺はまたぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。
 最後3点目ですけれども、文部科学省の役割として、今後、審議が始まりますし、皆様も参加される方もこの中にもいらっしゃると思いますけれども、学習指導要領については、より本当に子供と教職員の負担についてもよくよく考えていただきたいなと思います。現行以上に増やさないということを前提にみたいな話ではありますけれども、増やさないというようなそれぐらいの認識では正直甘いんじゃないかなと思っていて、やはり一部はもう我慢せざるを得ない、精選せざるを得ないんじゃないかなと思います。
 もちろん一概に減らすと教育格差が広がるだとかいろいろな功罪がございますので、慎重に考える必要ありますけれども、高度専門職と我々は持ち上げつつも、小学校や支援学校等の先生は休憩もほとんど取れておりませんし、勤務時間の中で授業準備すらなかなか取れてないような実態がある中で、どこが専門職やねんというところが正直実態としてあるわけです。やはり空きコマといいますか授業準備等が無理なくできる、あるいは教職員研修が生き生きと勤務時間の中でできるような適切な補給といいますか体制整備をしていくということが大事だと思います。先ほどの質問にも関わりますけれども、加配措置もありがたいんですけれども、やはり基礎定数の改善をもっとそのためにも進めていただきたいと思っております。
 次のページ以降はもう時間がないので飛ばしますけれども、末富さんたちと一緒に、教員不足をなくそう緊急アクションということで重要施策を我々のほうでちょっと考えてみたものがあります。あくまでもたたき台の一つであり、参考資料の一つにしていただければと思っておりますけれども、今後もぜひ御検討いただければと思っております。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。2点御質問をいただいていますので、事務局のほうにお返ししたいと思います。お願いいたします。
【安井財務課長】  ありがとうございます。まず、御質問を2ついただきまして、教職員定数の関係のところですけれども、今、標準法を改正して、基礎定数によって35人学級に必要な教職員定数を措置するということでやってまいりまして、来年度小学校が完成するということであります。こういった法改正を行う前から、加配定数を地方自治体独自の措置として使用して県独自の少人数学級に使われていた部分というのが既にございますので、そういった部分はそこの加配定数の分を基礎定数のほうに組み込んでいくという形でやっているというところでございますが、全体としてはそれを上回って、当然基礎定数の増ということをやっていくということでございます。
 全体、純計のお尋ねいただいた部分でいきますと、御覧いただいていた、資料1の2ページのところの上から4行目ぐらいのところで括弧書のところで教職員定数の改善が5,827人ということでありますけれども、全体の定数の減の部分は8,800人ということでありますので、これを差引きした純計でいきますと2,976人の減ということでありますが、教職員定数につきましては、こういった自然減等を踏まえたところが、そこをスタートにしてどれだけ改善をしていくかということでやっておりますので、5,827という数字も御説明させていただいたというところであります。
 もう一ついただいた御質問で、勤務実態調査の関係であります。これはやっぱり各年におきまして取組の進捗の状況を確認していく上で、当然在校等時間だけに依拠してはいけないという御指摘も頂戴しておりましたけれども、一方で在校等時間の変動の状況というのは、やはり検討しなければいけない、確認しなければいけないことでございます。それをどのように確認していくかという点でありますけれども、一方では、勤務実態調査、令和4年とかにやらせていただきました国の調査というのは、かなり現場のほうでも記入に時間と手間をかけてやっていただいている、ちょっとコストの高い調査でありますので、毎年の調査をやっていくという点におきましては、より簡便に、かつ全国の状況を確認できるような方策を考えていったほうがいいのかなと思っております。
 現在、中教審の部会からも御指摘いただいた、客観的な在校等時間の把握を各自治体でやっていくという取組について、文科省のほうからも各自治体にもお願いを申し上げまして、先ほど御紹介させていただいた、令和6年度の働き方改革取組状況調査によりますと、99.8%が客観把握の状態にまで達しているということで、見込みとしては、来年度になりますと、これが全ての自治体でやっていただける御予定になっているのかなと思います。そうしますと、各自治体のほうで、服務監督権者が各学校の勤務の状態も把握をしていただける体制が整うということになりますので、そういった情報を文科省のほうで集約をして、全国的な状況とを確認できる形が取れないかというふうに考えているところであります。そういったところで現場にもあまり負担をかけずに、かつこういった政策的な御議論に御覧いただけるようなそういったデータを来年度以降しっかりと作っていきたいなというふうに考えております。ありがとうございます。
【貞広部会長】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 早退されるお申出をされている委員がいらっしゃいますので、この後、善積委員に御発言いただいた後に、川田委員に御発言をお願いしたいと思います。善積委員、どうぞ。
【善積委員】  ありがとうございます。平成30年頃に審議に参加をさせていただいた当時とても想像ができなかったような果実を獲得されたことはすごいなと思っています。ここまで環境を変えていく努力と、いろいろな引出しをつくってこられて、教育委員会と学校がそれらをうまく組み合わせて現場を改善させていくということが具体的に考えやすくなってきたということだと思いますので、本当に文科省さんのこの間の御努力は頭が下がる思いを持っております。この改善をより有効に生かすための提案ができればと思っておりまして、4点ほど申し上げたいと思います。
 まず、学校評価との兼ね合いということで、先ほど来、委員の皆様がPDCAが大事だということをおっしゃっておられて、まさにそうなのですが、PDCAというのは、なかなか言葉で書いて具体的にイメージして動かすというのが難しい部分も実際はございますので、できれば働き方改革だったり働きがいというものがどういうふうにPDCAの中で回していくイメージとすればいいかというような事例を少し文科省さんとしてもお示しになっていただくといいかなと思っておりました。
 2点目ですけれども、主任という新しい職位が出来て、主幹、教頭、学校長というところで先生方の中に幾つかのステップが見えてきて、それぞれの教員の方々のキャリアプランというものを考えていくことができる状況なのかなというふうにも思いました。そのことを今、現役でいらっしゃる先生方も含めて1回考えてみるということを実施されてもいいかなというふうに思います。
 特にこれから教員を志される方々たちに教員という仕事を積極的に受け止めていただくためにも、自分のライフプランみたいなもの、こういうことをやっていくとこういう学びができて、自分はこういうタイミングでこんな職位になったら給料がどう変わっていくかとか、先ほど秋田先生もおっしゃっていましたけれども、自分が学びたいと思ったときに、サバティカルと私、前からちょっと申し上げていたんですが、そういう時間を取れるようになるともっと魅力的じゃないでしょうかと申し上げたんですが、要は、そういう体制、そういうことがしやすい体制が確保できるようになると、さらに、自分はこのタイミングでこういうことができるという魅力づけにもなります。
 先ほどどなたか委員もおっしゃっていた、お子さんが今から目指そうとするときに、自分の人生設計の中に学校の先生の仕事が位置づけられるんだろうということが分かりにくいということはそのとおりで、何かそういうライフプラン、キャリアアップみたいなところを考えられるようなそういう資料というか、そういうものをつくって、教職課程で高校生に向けてでもいいと思うんですけれども、お示しになると、先生というのは、ただ先生になって自分のやり方だけで教えていく、努力していろいろなことをたたかれ、つらい思いをするだけじゃなくて、自分のキャリアを考えて人生の中でこういう位置づけで成長していく、自分も成長し、仕事としてのやりがいとか、生活の安定みたいなことも考えられるというのが分かると、よりこの仕事の魅力がよく伝わるんじゃないかなというふうに思いました。
 そういう組み立て方、今つくられている制度を、うまくそういう目指す人たちの姿に合わせて、こういう組み立て方ができます、こういうふうに自分が成長できる、子供を出産したり、家庭で子育てをしたり、あるいは介護を考えた方にはこういうふうにやっていくこともできるんですというような何かイメージが具体的に伝わるものがあるといいのかなと思いました。
 もう一つ、3点目ですけれども、資料8にある授業時数の改変の取組はとてもいいと思います。これ、やっぱり学校ごとにいろいろな子供の特性、地域の特性、保護者の考え方などもあるので、工夫の仕方としてやはり授業時数や組み立て方をいろいろ考えるという、めり張りを持つということが大事だと思います。それをやろうとすると、子供の課題や学校としての教育の方向性みたいなものがはっきりと共有されないとできませんので、そういうところにやはりマネジメント力だったり、それを共有する先生方への指導というところの意味が高まってくるかなというふうに思います。
 私が現場を見ているときに、40分授業を取り入れたいと思われた校長がおられたんですが、検討する中でいろいろ分からないことが出てきて結局諦められました。それをお聞きしたときに、そういうものなんだと。グレーゾーンがあると、どうしても人はリスクを冒す前にやめてしまうことも多いので、できたら、そういう疑問が起きたときに、資料とかもありますが、ホットラインみたいな相談できるようなものがあると、先生方も、マネジメントの方は特に動きやすいんじゃないかなというふうに思いました。つまり、国の方針、制度設計とかでこうあるよと言っていても、現場に下りていけばいくほど、すごく不安があるんですね。本当にそれでいいんでしょうか、本当に削ってもいいんですかというふうに思われている方が多いので、何かそういうところの解消は実は改善に向けてすごく効果があるのかなというふうに思いました。
 最後、4点目ですけれども、メンタルヘルスの資料を見ましても、やっぱり職員室内の先生方の関係性がとても大事だなというふうに思います。私たち企業もそうなんですが、お互いの関係性がちょっとでもよくないと、やっぱり物も言いにくいし、仕事もしにくくなる。連携力が下がってきますから、職員室内のチーム力の向上というのは物すごく重要な鍵ではないかなというふうに思います。
 やはりこれも現場で見に行ったときに、休みがちだった先生が、この働き方改革に管理者が取り組まれて、「こういうことをやろうかと思う。皆さんどう思いますか」という巻き込み方でいろいろ工夫、話をされたときに、その先生が学校に出てくるようになられたんです。やっぱりメンタル的にちょっとしんどい方というのは、自分の居場所だったり、自分が受け入れてもらえるかどうかの不安感だったり、いろいろあると思うので、そういうところも含めて管理職の方の研修ということがあるんですが、学校の先生方個々人も実はもっと互いの関係性を意識していただきたいというふうに思っています。
 マネジメントの研修も併せて、学校の先生方にも同僚性みたいなところをもっと大事にする、言ってみればハラスメントの防止なんですけれども、そういう定義だけじゃなくて、もう少し同僚性みたいなものを高めることが大事だということが伝わるような、研修なんでしょうか、そういう働きかけなんでしょうか、そういうものがあるといいんじゃないかなというふうに思いました。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、齊藤委員、お願いいたします。すみません、間違えました。川田委員、お願いいたします。申し訳ありません。私が先ほど川田委員と申し上げました。すみません。
【川田委員】  ありがとうございます。今日は少し早めに退席しなければならないということでお話をさせていただきますが、実は自分が考えてきたことが大体既にほかの委員がおっしゃったことと重複しているという状況で、できるだけ手短にお話をしたいと思います。
 まず、この間の予算折衝におかれまして、文部科学省の方が多大な御尽力をしていただいたことに敬意を表したいということは他の委員も述べられたとおりです。
 また、ここで検討すべき内容としては、昨年の答申と、それを受けた形で本日資料2、資料3のような形で示されていることを基本的には着実にやっていくということでいいのではないかと思っております。
 その上で、意見として述べたいと思っていたことが3点ございます。一つは大元のところで、日本という国は人を育てることにお金をかけるということを大切にすべきであるということは基本的なところとしてずっとこれからも言い続けていく必要があるのだろうということです。よく言われているのですが、資源がないという日本の国の特徴であるとか、あるいはもともと昔から社会の広い範囲の方に手厚い教育がされてきたという歴史的な特徴などがあり、やはり日本という国として、人の教育を重視し、そこにお金をかけていくということが重要だということは言い続ける必要があるのかなと思います。これは教育政策でもあるし、私が専門としている労働法、労働政策とも恐らく共通の話としてあるのだろうということです。
 2点目ですが、具体的な政策との関係では、やはり労働法という観点からは、長時間勤務を減らしていくということが一番大事なところです。これはもうずっと言われてきていることですが、これからも重要なことで、特に時間数が基準として出てきますが、それを一つは仕事に落とし込んで仕事を減らすという形で表現していくということ。それからもう一つは、月何時間というのを、この部会の中でも事例の紹介があったように、例えば何時までに帰るといった現場で分かりやすい形に置き換えて実現を図っていくということなどが課題になるのかなと思います。
 これは教育行政に関わる文部科学省、それから各地の教育委員会、あと、学校の管理職、一人一人の先生方、職員の方、それぞれが意識すべきことだと思いますが、これまでの話でも出てきました、行政機関、とりわけ文部科学省が主導的に果たしていくべき役割というのは大きいのではないかと思っています。
 それから最後が、これも既に話としては他の委員からもありましたが、最終的にはやはり先生の仕事が魅力的なものになるということが大事だと思います。労働関係という観点からいうと、明確な職業キャリアが描けること、その職業キャリアの中で身につけた能力にふさわしい処遇が得られること、それから、特に若い人はワーク・ライフ・バランスというか、ライフイベントごとに的確に対応していけることなどが重要なのではないかと思い、その辺りということをこれから教員になろうとしている人にしっかり示していく、あるいは制度的な裏づけをしっかりつくった上で示していくということが、基本的には答申と今行われている政策の中で目指しているところだと思いますが、特に強調しておきたい点として挙げさせていただきました。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。川田委員、大変失礼いたしました。申し訳ありませんでした。では続きまして、齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】  ありがとうございます。本特別部会で協議された内容が、答申あるいは7年度の予算案に盛り込まれまして、とてもありがたいというふうに思っています。学校現場にそういった変化について伝えると、私が感謝されるところで、この部会の委員の皆様や文部科学省の方々と積み重ねてきたものを私だけがいただいてしまっているようで申し訳ない思いがあります。ただ、それぐらい現場の反響が小さくなかったというふうに御理解いただきたいと思います。
 一方で、処遇の改善や、定数も含めた制度改革については、今後、正確にかつ丁寧に周知をしていかなければいけないと考えます。これについては、文部科学省をはじめとした教育行政機関にお任せするだけでなく、全日本中学校長会としてその一端を担うことに努めなければならないと考えるところです。
 そして、今回示された様々な施策などについて、ここまで各委員の皆様もおっしゃっていましたけれども、ゴールではなくてあくまでも通過点であるということを改めて確認させていただきたいと考える次第です。
 今後はこの部会などを通じて様々な発言をしてきた責任を果たすために、私が考えやらなければいけないことは、今申し上げたとおり、どのような経緯で教職調整額が増額されたり、諸手当が支給されたり、定数改善を含むこれまでなかなか実現されなかった制度改革が示されたのかについてしっかりと伝えていく役割あるいは文書等を通じてお伝えする役割があります。
 さらに、現場で確実に通知等で示される施策を実践して、今回の様々な改善、制度改革が間違いではなかったということを実証していかなければいけないと考えます。また、私自身がこの部会に参加して議論してきた内容について、実践できているか振り返る機会をいただきました。また、それを校長会等で、「皆さんはどうですか」というふうに投げかけることができました。
 そして、学校現場は、働き方改革に向けて取り組んでいるところですが、当然外せない業務があります。今後、それらの業務にかかる時間を把握して、時間が削れるかなどを含めて精査していく取組も取り組まなくてはいけないということについて、管理職の責任を果たしたいと考えます。
 まずは、ここまでの教師の働き方改革についてお力添えをいただきました。さらに、委員の皆様から様々な貴重な意見もいただきまして、学校現場に携わる者として、心より感謝をしております。ありがとうございます。そして、引き続きご指導お願いいたします。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、こちらも会場から、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  東北大学の青木です。資料1に結実しました、文部科学省の皆様の御尽力によって、予算がこのような形で予算案としてまとまったことに敬意を表したいと思います。引き続きの御尽力を御期待申し上げております。
 私からは、教育の行政研究者の観点から、いわゆる3分類について、そのブラッシュアップの必要性について意見を申し上げたいと思います。具体的には資料3の3枚目、資料4の14枚目に関わるところになるかと思います。資料3の1番と3番にありますように、やはり見える化とか、それから地域や保護者とのコミュニケーションが必要になってくるわけです。これを目的とした場合に、資料4にありますように、手段としてこの3分類というのが非常に重要な役割を果たし得るというふうに私は考えています。
 振り返りますと、平成の特別部会で答申に込められた期待は、業務の精選をする、それから保護者・地域からの理解を得るためのコミュニケーションをしっかりするというようなツールとして3分類が示されたところです。この間、教育委員会や学校の取組に着実につながってきています。例えば県教委、それから市町村教委のホームページを見ますと、教育委員会がこの3分類について紹介をし、保護者に向けたメッセージなどにも使われていたり、独自の取組との関連づけもなされています。そういったことが、その結果の一つとしては、時間外在校等時間が、2022年の勤務実態調査によれば、2016年の勤務実態調査と比べて3割縮減されたということであります。平たく言うと、変化を促して結果につながった一つがこの3分類だと考えています。
 他方で幾つかやはりブラッシュアップが必要な情勢かなと思っています。1つ目は、学校や地域を取り巻く環境が変化しています。これはややネガティブな側面ですけれども、不登校が非常に増えているというのが一つの例です。他方でポジティブな側面としましては、制度や政策が充実してきています。例えば教員業務支援員が全校配置、それからICT化が着実に進展していると、こういったこともあります。
 また、この3分類の結果を見ましても、資料4の15枚目以降でも、項目別に見ると取組の差があるということもあります。そして何より、金子委員、それから齊藤委員が御指摘になったように、今回、縮減目標が設定されたわけです。そうすると、先ほど時間外在校等時間が縮減された一つのきっかけがこの3分類だということでありますので、やっぱりこの3分類が非常に大事になってくると思います。
 3分類の実効性をさらに高めるためには、地方の実態を踏まえながら、3分類14業務そのものの再検討、あるいは表現の見直しとか再検討、それから括弧の中に示されている委ねる相手方、こういったものも充実していっていますので、こういったものを包括的に検討しブラッシュアップしていく必要があろうかと思います。
 令和の特別部会の諮問でも3分類に触れられています。答申の工程表でも触れられています。非常に重要なポイントだと思いまして、とても具体的な発言になってしまいましたが、このような意見を申し上げてみました。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。では、オンラインから澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】  先生の幸せ研究所の澤田です。文科省の皆様の本当にこれまでの学校の現場のために御尽力いただいたことに感謝いたします。
 特に資料2のさらなる加速化の4点の制度化について大いに期待していまして、この点について少し感想と意見を述べさせていただきます。
 総合教育会議で報告が義務づけられるということは、私自身も基礎自治体で教育委員をしていますので、重要なことだと思いました。首長だけではなくて、教育委員や教育委員会事務局の意識を高めることにも寄与できるんじゃないかなと期待をしています。
 学校評価の結果に基づき云々のところについても、各学校単位で見れば、まだまだビルド・アンド・ビルドになりがちな学校もあるので、そうした学校や校長先生にも、効率化とか引き算の発想を持ってもらえるものになるかなと思いました。
 学校運営協議会についても、地域・保護者の理解を得たいんだけども、それを言い出すことすらしにくいという学校もまだまだ多いですので、方針として入れ込むというのが制度として決まっていれば、そこが進んでいくんじゃないかなと期待をしています。
 少し戻って、1個目なんですけれども、各教育委員会において、見える化とPDCAサイクルの構築については、うまくいかせるために留意が必要かなと思っています。つまり、サイクルを回すことそのものが目的になることがなく、実りあるものになるようにということです。恐らくPDCAサイクルを各自治体が回していく際には、同じ地域内の学校間の差を見ないわけにはいかなくなると思っています。
 実りを出すサイクルを回すということを私はコンサルタントとして10年間やってきた中でここでお伝えしたいのは、教育委員会から学校への過度なプレッシャーが、現場の教育活動にひずみを生むことがないようにという点です。成果を出せない学校があったときに、その学校が悪いんだという発想の下では、隠蔽が起きやすかったり、校長先生から教員への強過ぎる圧力になったりということが起こりかねないなと思っています。それが教員を通じて子供への悪影響になっては絶対にいけないなと思っています。
 特に管理職の成手も不足している中ですので、校長先生ですら困っている人も大勢いるかもしれないという前提で、成果のなかなか出せない学校というのは困っている学校であって、手を差し伸べるべき対象なんだという発想で教育委員会から対応していただけるように強くお願いしたいなと思いました。もしかしたらそうした発想に立ったときに、教育委員会の中には、自らの考え方の転換が必要だと気づくところもあるかもしれません。PDCAサイクルを回すこと自体が目的になるのではなくて、本当に学校が助かった、よかったと感じられるサイクルになるように、教育委員会と学校との関係性とか、教育委員会から学校へのまなざしみたいなものについても自覚的になることも含めて、しっかり示すとともに現場へ下りていくということに留意する必要があるかなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。では、オンラインで露口委員、お願いいたします。
【露口委員】  失礼いたします。予算案の御報告、誠にありがとうございました。
 私のほうからは、大学、教育委員会、学校の3つの視点から気づき、悩みを簡単に紹介させていただきます。
 まず、大学側なのですが、教員加配のほうが今回さらに提案されておりまして、大量採用がまだ続くと。この教員不足をどう解消していくかという悩みとともに、大量採用ですので、質が下がるという問題があるんですね。それを克服するためには、大学としてやはり教職大学院を出ていただいて、しっかり確実に力をつけて現場に出てほしいという思いがあるのですが、教育委員会さんのほうが、早く現場に出て欲しいと。そこまで待てないということですね。この辺の調整といいますか、大量採用を望む教育委員会と、丁寧に育てたい大学との関係、そんなところがちょっと特定自治体の話ではあるんですが、出てきております。なかなか大量採用の時代、いろいろな加配があるのですが、人が少ない地域では、万々歳でいかない点も、地方目線で見ていくと出てくるのかなという、一つの気づき、悩みがございます。
 2つ目が、これも教育委員会さんのほうからよくいただく話なんですが、働き方改革の見える化です。働きやすさの指標化は、これまでも五、六年前から進められておりますので、比較的簡単には設定できると思われます。問題は、これは戸ヶ﨑委員も御指摘されましたけれども、働きがいをどう視覚化するかという点だと思います。結構、先生方の認知的な側面を心理的尺度等で測定するという話になってくると思いますが、その辺りのノウハウが教育委員会にあるかどうか、大学と連携してできるかどうかなど、そのような議論になってくると思いますが、できましたら、好事例集とか、働きやすさ、働きがいの指標とか見える化の好事例が集まったところで、全国にフィードバックしていただけるとありがたいのかなということを思ったりしております。この辺りは、教育委員会も非常に期待している点であると思います。
 ただ、時間で表現できないこともなくて、例えば職能開発の機会とか職能開発の時間が増えたというのは、これは先生方にとったら働きがいアップの客観的な一つの指標だと思いますので、時間で表現できないこともないのかなと思います。時間と認知とで上手に示していく方法の開発がこれから、我々の宿題なのかも分かりませんが、進めていくとともに、好事例の集約をしていただけたらありがたいなと思ったりしております。
 あともう1点だけ、副校長・教頭マネジメント支援員のところにつきましてです。確かに教頭先生にサポートをつけて、そのサポートの方との協働、仕事の移行を計画されておりますが、現在、教頭先生への仕事の集中化が問題となっております。先生方を帰さなければならないので、結局教頭に仕事が集中しているような、そして、教頭先生の長時間労働化のような現象が出てきております。教頭のウェルビーイングはあまり語られないんですが、実は大変な思いをされている方も多々いらっしゃるようです。
 そこで、やはり教頭先生の支援員だけにとどまらず、マネジメント強化のために、外部人材の方とか地域人材とか、あるいは新しい職が出来ますので、教職員の皆さん、さらに校長先生に分散化していくというのも必要かなと思います。教頭職務の明確化と分散化をしっかり図って、教頭先生がかぶるのではなくて、真にマネジメント体制が強化できるような仕組みづくり、こういったところも今後進めていく必要があるのかなと思います。
 そのときにやはり一番大事かなと思ったのは、秋田委員、善積委員が言及されました学び直しですね。今やはり教頭先生が教頭業務を教師の延長でされていますよね。1回そこはやはり学び直して、知識・技能を身につけて、それからマネジメントをされるというのが、これは世界的なスタンダードになってきておりますので、管理職になる前の学び直しの辺りに特に補助とか、あるいは背中を押すような事業があるとありがたいと思います。
 以上3点でございます。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、オンラインから荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】  ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。
 3つ申し上げたいことがあります。まず、これはこれまでのこの特別部会の議論の中でもよく出ていましたけれども、質の高い教師確保と言うんだけれども、最初から質の高い教師を確保しにいくためのことを議論していたわけじゃなくて、どうすればみんな質が高くなって、誇りを持って仕事を続けることができるのかということをしっかり考えていきましょうということを議論してきたと思うんですね。
 ですから、そういう意味からも、先ほどから皆さんおっしゃっているように、定数の確保というのは、これはもう大前提だと思います。人が足りていないのに、学ぼうと思っても、その学ぶこと自体が何か悪いことをしているみたいな話になりかねない。だから、ここのところを本気で改善しない限りは、子供一人一人をしっかりとサポートして伴走していくというふうな、そういう教師の姿というのはあり得ないということで私たちは議論してきたわけであります。
 さっき秋田委員は、教職大学院へ行くようなそういう部分の人数確保もとおっしゃったし、善積委員はサバティカルとおっしゃった。かつて中教審の議論の中でもサバティカルの必要性を説いた教育長さんもいらっしゃいましたし、私もこれ、大賛成なんですけれども、こういったことは何か夢物語とか、とんでもないぜいたくみたいな話になってしまうかもしれませんが、そんなことは絶対ないと私は思っています。子供の豊かな学びを実現していくためには、こういったことをしていかないで、一体どうしっかりと教師が学ぶことができるのか。
 違うのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、教育というのは私はサービスだと思っていて、とりわけ公立学校というのは行政サービスを行っている一環だと思うんですけれども、その意味から、カスタマーサティスファクションを生むのは、エンプロイーサティスファクションであるはずだと思っています。そのエンプロイーサティスファクションなしにカスタマーサティスファクションがどうして生まれるのかということを考えていく必要があります。
 2つ目です。そこで、さっき青木委員がおっしゃったことにも関わるんですけれども、この3分類は非常にやっぱり重要だと思います。言葉をどう今後より改善していくのか、分かりやすくするのか、共有しやすくするのかということも大変重要だと思いますし、この制度改正のイメージで説明なさっていましたけれども、今後、各教育委員会が教員の業務量の適切な管理と、それから、健康・福祉を確保するための措置を実施するための計画の策定とこの3分類の取組がリンクした形で進められていくことが非常に重要だと思います。
 その中で、ちょっと分かりづらいのが、実際にないと困るんだけど、基本的には学校以外が担う業務。それらをもっとしっかりと、誰がするのかというのを、先ほどから出ていました総合教育会議とかで首長部局も含めて議論していくということが大事だと考えています。教育委員会か、あるいは首長部局か、あるいは保護者か地域かといったことも含めて考えていく。そんなふうにして考えていくと、部活動の地域展開というのが今検討されていて、進められているわけですけれども、これもやっぱりそういった流れの中で位置づけて見ていくということも必要なのかなということを思います。
 最後です。すみません。私、皆さんが今回の文科省のこの大変な御苦労、御努力について評価していらっしゃることと同時に、私もそのメンバーに入れていただいていることに大変誇りを感じているところです。貞広先生、ありがとうございます。それで、これ、私、やっぱり思い出しますのは、小川先生が初中分科会長としてこの働き方改革について随分と取り組んでいらっしゃったことがずっと続いていますよね。こういうふうに続いているということが非常に大事だと思います。継続は力なりという言葉もありますけれども、やっぱり途中でやめないで、続けているということは非常に大事なので、今後も考え続けていく必要があると思います。その意味で、この特別部会は答申を出しておしまいではなくて、今日もなぜやっているんだろうと私は、最初は、会議の案内があったときに、えっ、まだやるのかと思ったんですけれども、こういった取組を必要に応じて、一体今どうなっているのかとか、あそこで出した具体的なタイムテーブルが具体的にどう展開しているのかというのを確認しながら息長くやっていくということが必要だし、それがまさに社会の教育に対するリスペクトを生むことにもなるでしょうし、先生方への応援にもなるのではないかなと思います。
 すみません、長くなりました。以上です。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございます。今日はとても重要な会でして、どのような予算案になったのかということを具体的に我々に事務局の方が報告をしてくださるという会でございまして、あらかじめ予定をされていた会かと思います。ありがとうございます。
 では、オンラインから藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】  ありがとうございます。国立教育政策研究所の藤原です。まず、粘り強く予算措置や制度改正の企画をしていただいて、その実現に向けて御尽力いただいていますことに感謝申し上げたいと思います。その上で2点だけ申し上げたいと思います。
 まず、自治体、地域・保護者との協働による学校における働き方改革の取組強化というのは、これは極めて有効な手段であると私は思っております。ぜひ制度改正に踏み込んだ改革を実現していただければと思います。その上で、例えば学校運営協議会で働き方改革推進について検討する際には、教師も当事者として議論に参画して、教師の意見や、あるいは教師の思いが十分に反映するような運営を推奨していただきたいと思っております。こうした運営が、本答申の底流を流れる学びの専門職としてのやっぱり自覚やウェルビーイングを高め、最終的には子供のウェルビーイングにつながっていくものと考えております。そういうような運営をぜひ推奨していただきたいと思っております。
 次に、公立幼稚園の教職調整額の扱いについて申し上げたいと思っております。これは子供が初めて出会う学校である幼稚園の意義については指摘するまでもございません。したがって、幼稚園教諭の処遇改善が重要であることは論を待ちません。他方、よくよく考えると、幼稚園というのは、小中学校と違って私立学校が多数を占めております。また、教育と子ども・子育て支援という2つの仕組みの中に位置づけておりまして、全体的にはそのバランスの下で全体として成長していくということが重要な政策領域であると考えております。既に子ども・子育て新制度に関わる処遇改善が公立、私立学校問わず講じられているところですので、こうした施策動向を鑑みた際に、公立幼稚園の処遇改善のみを突出させることは、今まで申し上げました全体のバランスを損なうような危険性をはらんでいるということを踏まえておく必要があろうかなと思います。こうした観点から、公立幼稚園の教職調整額については現状維持という方針は妥当であろうとこういうことで考えておる次第でございます。
 以上でございます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  ありがとうございました。それぞれ委員の皆様から大変貴重な御意見をいただいているところでございますけれども、そろそろ終了を予定している時刻が近づいてまいりました。
 本日は、答申を踏まえた取組の具体化の方向性について、文部科学省から御説明をいただき、委員の皆様から多角的な観点からの御意見をいただいたところでございます。とりわけ現場の最前線にいらっしゃる先生方におかれましては、それぞれはごくごく小さく見えるかもしれませんけれども、それらが積み重なることで確実に前進していく、今後も含めて前進していくと考えております。
 今回大変粘り強い交渉していただいた文部科学省におかれましては、本日の意見も踏まえていただきながら、令和7年度予算案の成立や円滑な執行、今後の制度改正等の様々な取組を行いまして、皆様にお取りまとめいただきました答申に盛り込まれた施策の確実な実現に向けてお力添えをいただけますよう重ねてお願いを申し上げます。
 それでは、本日の特別部会を閉会いたします。委員の皆様におかれましては、貴重な御意見をいただき、御審議をいただき、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――