質の高い教師の確保特別部会(第10回) 議事録

1.日時

令和6年3月13日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 教師の処遇改善の在り方について
  2. その他

4.議事録

【貞広部会長】  定刻となりましたので、ただいまから第10回中央教育審議会 初等中等教育分科会 質の高い教師の確保特別部会を開催いたします。
 皆様、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の会議もウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただきます。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願い申し上げます。また、本日は報道関係者と一般の方向けに、本特別部会をYouTubeにて配信しており、YouTubeでの傍聴者から録音及び録画の御希望がございましたので御承知おきください。
 それでは、事務局より配付資料の御確認をお願いいたします。
【菅谷財務課長補佐】  本日の配付資料は、お手元の議事次第の4、配付資料にありますとおり、資料1から資料3、参考資料1から参考資料4となっております。御確認いただき、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題1といたしまして、教師の処遇改善の在り方についてに入ります。
 本特別部会の諮問に先立ちまして、参考資料2にありますとおり、調査研究会において5つの論点が整理されています。前回の第9回会議から、この5つの観点のうち(1)教員給与等の在り方についての議論をいただいております。教師の職務の重要性等を踏まえた処遇改善の必要性、教師の職務と勤務対応等について様々な御意見をいただいております。本日の会議でも前回に引き続き、教員給与の在り方を取り上げたいと考えております。
 まず、制度の現状等に関し、前回会議からの追加資料を中心に、事務局より御説明をいただきます。続きまして、東京都教育庁より、東京都における主任教諭制度についてお話を伺いたいと思います。
 本日はオンラインにて、東京都教育庁の吉村美貴子人事部長に御出席をいただいております。吉村部長、お忙しい中、ありがとうございます。
 その後、東京都教育庁の御説明内容に関する質疑応答を短い時間で行った後に、後半は委員の皆様による意見交換を行う予定でございます。
 それでは、資料1に基づきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【安井財務課長】  財務課長でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、教師の処遇改善の在り方に関する御議論ということでございますが、本日はその中でも、職務や勤務の状況に応じた処遇の在り方について中心に御議論を賜りたいと考えてございまして、関連の追加資料を御用意させていただきました。
 資料9ページでございますけれども、前回、公立学校の教員に支給される給料及び諸手当の内容ということで全体の状況を御説明させていただきましたが、10ページでございます。
 その中でも義務教育等教員特別手当、こちらは補足の資料でございますが、昭和49年に制定をされました人材確保法に基づきまして、教育職員の給与改善という趣旨で制定された手当でございまして、高校段階等も含んだ教育職員に対して支給されているものでございます。現在本給の1.5%程度の定額ということで支給をされているというものでございます。
 また、次のページ、11ページをお開きいただきますと、給料の調整額というところでございます。同じ給料表の同じ職務の級に格づけられている職員の中でも、勤労条件等の面で他の職員と比べて著しい特殊性を有する場合がある際に、こちらを給与上対応するために、給料の調整額という制度が公務員の給与制度の中で設けられてございます。このうち教育関係におきましては、特別支援学校や特別支援学級の教師、通級指導の教師がこちらの給料の調整額の支給対象となっているというものでございます。
 資料、続きまして17ページでございます。こちらは前回の会議でも御覧をいただいた資料でございまして、人材確保法制定前後の教員の給与水準の推移についてということでございました。
 18ページの資料を追加させていただきました。こちらは人確法により給与改善が行われた前後に、教員採用試験の倍率、受験者数等につきまして、どういう変化があったかというものでございます。人確法制定後の給与改善後に、受験者数、倍率ともに向上をしているというデータが御確認をいただけると思います。
 続きまして、資料23ページでございます。本日の御審議で、職務、勤務の状況に応じた処遇ということでございますので、学校内の勤務、あるいは教育課題の状況についての参考資料を追加させていただいたところでございます。それぞれの教室の中にある教育課題の多様性、困難性の向上ということで、不登校等の課題も増えているという状況も各教室でございます。
 また、25ページでございますが、学校の教師の年齢構成の変化の推移ということでございます。従前から御指摘ありますように、若い20代の職員が近年増加をしているという状況でございまして、こういった教師の方々に対する学校内の支援サポートの在り方等も課題となっているという状況でございます。
 また、26ページでございますが、学校が対応すべき教育課題が複雑・多様化していくことに伴いまして、様々な学校業務を担う支援スタッフも増加しているところでございます。また、学校外の様々な関係者との連携・協力ということも重要性が増しているところでございまして、こういった職員、関係者との学校内外の連携・協力を、学校が組織としてしっかりと構築していく必要性も高まっているというところでございます。
 続きまして、資料36ページでございます。学校の業務の状況の中でも、学級担任をされている教師、担任外の教師ということで、在校等時間を比較したものでございます。全体的に学級担任をされている教師のほうが在校等時間が長いという状況がございます。また、校内の校務分掌として、主任の業務を担当している方については、主任でない者よりも在校等時間が長いという傾向も、また併せてございます。
 続きまして、資料37ページでございます。先ほどの担任の業務の有無ということの比較をさらに詳細に見ていただくデータでございますけれども、一番上のブルーの在校等時間のデータが単式学級の学級担任をしている教師の在校等時間、続いて複式学級の担任、特別支援学級の担任をしている方、また、学級担任をしておらず専科指導の担当、一番最後のデータが、学級担任をしておらず、通級指導または日本語指導を担当している方の在校等時間の平均というところでございまして、やはり学級担任をされている方の在校等時間が長いという状況でございます。
 また、38ページはこういった学級担任の業務内容のイメージでございますけれども、全ての教師が行っていくような授業の指導以外にも、児童生徒の指導関係、また保護者との調整など、学級担任に就任することに伴って発生する業務というのも、このようなものがあろうかということでございます。
 また、39ページからは、先ほど御覧いただきました様々な学校の組織全体としての業務のマネジメントの重要性ということを受けまして、学校内の体制整備ということでのこれまでの取組でございます。平成19年に学校教育法の改正が行われまして、新たな職として主幹教諭・指導教諭が創設をされたところでございます。こういった新しい職の創設によりまして、学校の組織運営体制の整備も行われてきたというところでございます。
 資料40ページは、主幹教諭の配置によりまして、学校の組織運営体制、指導体制の確立ということに向けまして、どのような効果が見られているかというところでございますが、学校の組織力向上、あるいは管理職や教諭の負担軽減、また人材育成等に効果が見られているというような評価もされているところでございます。
 また、41ページでございますけれども、こういった学校が対応すべき課題の複雑・多様化を受けまして、学校内でも様々な学校組織全体の連携・協力を担当する職務が増加しているという状況がございます。教務主任、学年主任、生徒指導主事といったような法令で規定をされております主任の業務のみならず、近年、例えば特別支援教育コーディネーターでありますとか、教育相談のコーディネーター、地域連携担当等々、学校組織全体として業務の有機的な連携推進を行う、このような業務の重要性が増していることで、様々な学校組織全体の取組の取りまとめ担当も増えているという状況が見ていただけるかと存じます。
 また、参考資料でございますけれども、資料51ページ以降で、特別支援教育の関係の取組についての状況の資料を追記させていただいております。
 また、最後55ページでございますが、教師の処遇改善ということで、諸外国の近年の処遇改善の動向ということについて、最近の状況をまとめさせていただいたものでございます。文科省の委託調査研究の結果でまとめさせていただいたものでございますけれども、近年諸外国におきましても、教師を魅力ある職業として人材を確保していくということのために、例えば、英国イングランドでは給与が6.5%引き上げられたというような報告もございますけれども、それぞれ各国で処遇改善が取り組まれているというところでございます。
 事務局からの御説明は以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明資料に関する御意見、御質問は、後半にまとめて伺いたいと思います。
 続きまして、吉村部長より、東京都における主任教諭制度についてお話を伺います。吉村部長より御発表いただいた後、質疑応答の時間を10分程度取らせていただきたいと思います。
 それでは、吉村部長、よろしくお願いいたします。
【吉村人事部長】  御紹介ありがとうございます。東京都教育庁人事部長の吉村と申します。東京都における主任教諭制度について御説明をさせていただきます。次のページをお願いします。
 こちらにございます、大きく5項目について説明をさせていただきます。まず、主任教諭制度導入の経緯についてでございます。左側は制度導入前、平成20年度までの教員の職層を示しております。御覧のように当時は教諭から校長まで4つの職層に分かれており、教員の85%が2級職の教諭の層に属しておりました。このため、若手からベテランまで同じ教諭層でも資質や能力、意欲等によって担っている職務の困難度や責任の度合いに大きな差がある一方で、処遇は年功的・一律的なものとなっておりました。当時、学校教育の課題が一層多様化・複雑化する中、教員一人一人の意欲と資質・能力を向上し、学校の教育力を高めていくことが不可欠な状況に鑑みまして、教諭の層を職責の能力に応じまして、主任層と一般層とに分化し、職責や能力、業績をより適切に評価し、処遇することとしたのが主任教諭制度でございます。平成20年度に主任教諭選考を実施し、平成21年度から任用を開始いたしました。
 主任教諭は、学校教育法上の位置づけでは教諭に当たります。また、学年主任等の校務分掌上の主任とは異なるものになります。現状、主任教諭が教員全体の約37%、教諭が約46%となっており、養護教諭、栄養教諭の上位職となる主任養護教諭、主任栄養教諭も設置しております。また、主任教諭の設置に伴いまして、職務の級を新設いたしまして、給与表の3級に位置づけるとともに、校務分掌上の主任を担う教員に支給しておりました主任手当を廃止しております。
 次に、主任教諭の職務と役割について御説明させていただきます。主任教諭は教諭の上位職として、特に高度の知識又は経験を必要とする教諭の層、職と位置づけられ、大きく3つの役割が期待されております。
 1つ目は、校務分掌などにおける学校運営上の重要な役割です。学年主任、研究主任等と校務分掌上の主任をはじめとして、委員会の取りまとめ役や分掌部の部長、特別支援教育コーディネーター等、校務運営面での重要な役割を担います。
 2つ目は指導・監督層である主幹教諭のサポートです。主任教諭は学校運営上必要な実態把握や課題分析、折衝等を行いまして、各分掌の中心的な存在として主幹教諭を補佐します。現場の情報や提案を主幹教諭を通じて管理職に上げ、学校経営に生かしていくのも主任教諭の重要な役割となっております。
 3つ目は、同僚や若手教員への助言・支援となります。分掌する校務の遂行や学習指導、生活指導、進路指導等、あらゆる場面で同僚や若手職員に対して助言や支援を行います。例えば、初任者研修の指導教員やOJT推進担当としての校内研修の企画・実施などは主任教諭の役割となっております。また、若手教員にとっての身近な先輩として、日常的な相談や助言を通じまして、若手の育成を積極的に進めております。
 次に、東京都における教員のキャリアパスについてお示ししております。図には各職層とそこに至る昇任選考と受験要件、最速の昇任年齢を示しております。東京都では、能力・業績に基づく公平公正な選考と任用の制度を設けることによって、教職員一人一人が意欲とライフステージに応じた多様なキャリアアップを図ることを可能にしております。その最初のステップとなるのが、赤枠で囲っております主任教諭選考になります。
 主任教諭選考の受験要件でございます。1、経験要件といたしましては、国公私立学校の正規任用教員又は臨時的任用教員としての教職経験年数が通算8年以上あること。また、東京都の正規任用教員の経験年数が継続して2年以上あることとしています。考え方ですが、教職経験年数が通算8年以上につきましては、教育公務員特例法に基づきます中堅教諭等資質向上研修の受講時期、東京都におきましては、教職経験が10年に達した時期までに、学校運営上重要な役割を担える職となれるよう設定しておるものです。また、東京都の正規任用教員の経験年数が継続して2年以上といいますのは、東京都における業績評価を反映できるよう設定しているものです。
 2、年齢要件につきましては、令和5年度実施選考では、30歳以上61歳未満としています。上限年齢につきましては、定年引上げに伴いまして、2年に1歳ずつ65歳まで引き上げていきます。考え方ですが、下限年齢につきましては、大学卒業後直ちに教職に就き8年経過する最短の年齢でございます30歳と設定し、上限年齢につきましては、定年退職前1年だけでも主任教諭として任用される機会を付与できるよう、定年年齢未満で設定しているものです。
 次に、主任教諭選考の内容でございますが、職務レポートという1,500字程度の手書き論文と勤務実績の2点を基に判定を行っております。職務レポートは、課題意識や課題解決能力、表現力等について評定いたします。職務の中で直面してきた課題につきまして、現状や問題点、原因などを整理し、主任教諭としてどのように課題を解決していくのか、具体的な方策を示しながら、自分の考えを分かりやすく述べることとしています。加えまして、日頃の業務の業績評価により、主任教諭としての能力と適性を評定します。
 右側に選考倍率をお示ししています。校種によってばらつきがありますが、小学校で3倍、全体で2.5倍となっています。また、有資格者における受験率は小学校で70%、全体で55%となっておりまして、若手30代を中心に、主任教諭選考は受験するものといった風土ができつつあるというふうに捉えております。
 次に、各職層の状況といたしまして、教員全体に占めます各職層の割合や、昇任時の平均年齢等をお示ししております。先ほどのキャリアアップと併せまして御参照いただければと思います。
 次に、年収の推移でございます。最短で大卒後、採用9年目に主任教諭に昇格し、11年目に主幹教諭に昇格した場合の制度値のケースを基に、教諭、主任、主幹の3つの職級を比較しております。33歳時点で主幹教諭と主任教諭の年収差は約39万円、主任教諭と教諭の年収差は約22万円、60歳時点で主幹教諭と主任教諭の年収差は約68万円、主任教諭と教諭の年収差は約77万円と、職責に応じた給与体系になってございます。
 最後に、主任教諭の活用による効果につきまして、大きく3点掲げさせていただいております。1点目は、組織的な学校運営になります。管理職や管理・監督者層の主幹教諭だけでは数も限られており、場合によっては教諭層と年代も離れている中で、彼らだけが中心となって学校運営を進めていくのは、実務面でもコミュケーションの面でも大きな負担があります。主任教諭という職層を設置して、30代以降のミドルリーダー層を学校運営の中心的な実働部隊に位置づけることで、校務における役割分担の明確化が図りやすく、より組織的・機能的な学校運営が可能になり、管理職や主幹教諭はマネジメント業務に専念することができております。
 2点目は、組織風土の活性化でございます。団塊の世代の大量退職後、若手教員が増加している中、若手教員の育成を主任教諭の役割としたことで、若手教員を育成する体制が強化されるとともに、30代以降のミドルリーダー層に組織的な活躍の機会が与えられることで、中堅やベテラン教員の力を一層活用することにもつながっております。また、主任教諭が主幹教諭の補佐、教諭への助言・支援という上下双方向のコミュニケーションの要となることで、組織内の意識伝達もスムーズに行われるようになっております。
 3点目は、自律的な人材育成になります。先ほどキャリアパスをお示しいたしましたが、教諭からいきなり主幹教諭になるのではなく、主任教諭というステップが刻まれることで、若手教員や意欲ある教員にとってキャリアプランが描きやすく、昇任選考への受験意欲が湧きやすいということがございます。若手教員にとって主任教諭は身近な先輩であり、ロールモデルとしやすいので、若手教員が主任教諭からの助言や支援を通じて、次のステップに向けて、自分が身につけるべきことを自覚して学ぶことができております。また、主任教諭は、主幹教諭の補佐や若手教員の育成を通じまして、学校運営におけるコア人材としての自覚を高めるとともに、実務経験を積むことができ、さらに次のキャリアのステップに進む意欲を醸成することにもつながっております。早期に主任教諭選考を経験することで、主幹教諭や管理職選考等、より上位の職への昇任選考に臨む心理的なハードルが下がる効果も期待をしておるところでございます。
 説明は以上となります。御清聴ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から、東京都のお取組に関しまして、御意見や御質問等いただきたいと存じます。御意見等のある方は手を挙げるボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから指名をさせていただきます。
 なお、東京都教育庁への質疑応答は10分程度で区切らせていただき、吉村部長は質疑応答後、御退席をされます。
 また、恐縮でございますが、できるだけ多くの委員の皆様から御意見をいただくため、御発言はできるだけ簡潔にお願いできればと思います。
 では、荒瀬委員、妹尾委員の順番でお願いいたします。
【荒瀬部会長代理】  教職員支援機構の荒瀬でございます。ありがとうございました、御説明どうも。
 吉村人事部長にお尋ねしたいのは、こういった取組、東京都は非常にいろんなことを新しくやっていかれているというふうに承っておりますけれども、具体的にこういったことをしていく上で、課題になるようなことというのを何か感じていらっしゃったら教えていただきたい。言い方を変えると、それは導入をしていくに当たっての留意事項、特にこういったところに気をつけなければ効果が期待できなくなってしまうのではないかといったようなことを教えていただけるとありがたいと思います。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 ではこの後、妹尾委員、善積委員、川田委員から御意見、御質問を伺った後に、東京都教育庁のほうにお返ししたいと思います。恐縮ですが、恐らく質問はあとお三方ということになろうかと思います。では妹尾委員、どうぞ。
【妹尾委員】  ありがとうございます。大変重要な報告ありがとうございました。2点質問したいと思います。
 確かにミドルリーダーの役割ですとか、それに応じた処遇をするというのはすごく大賛成なんですけれども、やっぱり気になっているのは、こういった制度を導入することのメリットとデメリット両方あるだろうなと思っていて、弊害だとか少し困った問題なんかが起こってないかということについてもお伺いしたいと思います。先ほど荒瀬さんがおっしゃったことにも重なる話です。
 例えば、主任教諭に昇格なかなかできない方のモチベーションが低下するだとか、学校運営等になかなか参画しないとか、そういったようなちょっと問題点など把握されていることがあれば教えてくださいというのが1点目です。
 2点目は、そこも荒瀬さんとも関係しますけれども、こういった制度がうまくいくためには、校長による人事評価のやっぱり妥当性だとか納得感が高くないとなかなか、むしろ全体によくないということだと思うんですけれども、校長による人事評価制度をよりよくするための何か担保する仕組みだとか取組についても教えてください。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 では善積委員、どうぞ。
【善積委員】  ありがとうございました。大変勉強になりました。私からも2点御質問させていただきたいと思います。
 資料の4ページ目だと思うんですけれども、主任が37.4%、教諭が45.9%というところ、これは1つの学校の中での平均も大体このぐらいの割合で配置ができているかどうかという辺りを教えていただきたいのが1点です。
 もう一つ、皆様の御質問とちょっと重なるところあるんですけれども、主任に昇任された後の評価ですね。主任としての仕事を続けているというふうにみなすことができる状態であるという、何かそういう評価が入っているのか、つまり降格などもあり得るのか、その辺りを教えていただけますでしょうか。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 では会場から、川田委員お願いします。
【川田委員】  ありがとうございました。筑波大学の川田でございます。本日は貴重なお話ありがとうございました。
 私からも他の委員から出ているメリット、デメリットという話と重なる可能性があるような気もしますが、2点ほど、いずれも分かればということでいいので。1つは、この制度を導入したことで、教員の人件費の全体総額についてどのような影響があったのかということです。
 それからもう一つは、制度を導入するとき、あるいはその後に個々の教員、あるいは教員の、例えば職員団体などを通じた意見であるとか、あるいは、保護者の方からの意見としてどのようなものがあったのかということを分かれば教えていただきたいです。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 川田委員、1つ目の受験率というのは教員採用試験の受験率ということですか。
【川田委員】  1点目で伺ったのは、人件費、給料に関わる費用です。
【貞広部会長】  費用で。すみません、申し訳ありません、ちょっと聞き間違えました。ありがとうございます。
 では吉村部長、順番はお任せいたしますので、お答えいただけますでしょうか。
【吉村人事部長】  御質問ありがとうございました。順番にお答えさせていただけたらと思います。
 まず、導入の課題ですが、多分何人かの委員の皆様から御質問いただきましたが、導入時にあった課題かなとは思うんですけれども、やはり導入時は職員団体等からは、それまで85%がみんな教諭だったということから、そういう教諭層を分割するのはいかがかというような反対の意見はあったようです。ただそこはすごく丁寧に説明をしていったというふうに聞いておりまして、今は平成21年から運用しておりますので、もう15年もたっておりまして、今は主な受験者層である若手30代を中心に、制度への理解は得られているという風に考えております。
 メリットといたしましては、先ほど申し上げたように、やはりすごく幅の広い、85%も教諭層がいるという中で、なかなか今の特に若い層というのは、ライフプラン・キャリアプランというのをすごく自分で考えるような方たちが多いですから、こういうふうにステップアップしていくんだよという先ほどのキャリアプラン、こういうものをいろいろお見せするというのがすごく重要だと思っておりますし、先ほど申し上げましたが、それぞれのライフステージに応じて、受けたいときにいろんな受け方があるんだよという、こういう図を示しているということが安心感につながっているというのがすごく大きなメリットだというふうに思っておりまして、私たち採用のPRの中でも、こういうキャリアプランというものが東京都はすごく充実しているんですよというのをPRポイントにしています。ですので、今の現時点でデメリットというのはあまり感じていないというのが実情でございます。これが1問目と2問目の問いに関するお答えかなというふうに考えております。
 ただ、主任教諭自体の配置等に関しましても御質問いただきましたけれども、例えば、先ほどありましたのは主任教諭が37%で教諭が45%という割合、全体でそういう割合だけれども、各学校でもそうかという御質問ございましたが、これはやはり各学校によって、主任選考を受けたらいいんじゃないというふうに、そういった働きかけを管理職とか主幹教諭の方がしてくださる学校と、個人の自由に任せている学校と、やっぱり学校によって色があるので、そういう意味では少し主任が多い学校、あるいはそれほど多くない学校という隔たりがあるというのが実情でございます。
 そういう意味で先ほどの現状の課題といたしましては、主任教諭がたくさんいる学校では校務分掌でもあまり活躍する場が、みんなに分掌を割り当てるとなかなか1人当たりの主任の活躍する場がなくなったりとか、あるいは主任教諭の数がたまたま少ない学校では、主任になっている人に校務分掌上の課題といいますか負担が大きくなるとか、そういう学校間のアンバランスがあるのかなというのがございます。そういうのぐらいかなというふうに、今課題としては思っております。
 それから、人事評価についてですね。人事評価について、やっぱり校長の人事評価をよりよくする、そういう仕組みが重要じゃないかという大変貴重な御意見だと思いますし、私どもも非常に課題だと思っておりまして、これにつきましては毎年人事評価制度に関する分かりやすい冊子を作っては、全校長向けに研修を毎年毎年して、そうして適切な評価ができるようにということを、これは本当に繰り返し繰り返し行っているところでございます。
 あと、もう一つ申し上げたいのは、この選考制度、先ほども公平公正な選考制度が東京都特徴ですと申し上げましたが、ほとんどのものは論文試験や面接等と組合せになっておりますので、業績評価だけでそういう昇任が図られているものではないという、そこで公平公平性を担保しているというところはございます。
 それから、人件費の問題ですよね。人件費につきましては、先ほど申し上げたように主任の手当を廃止するなど、全体のバランスを取りましたので、総額はそんなに増えたということはなかったというふうに聞いております。
 それから最後に、職員団体については、当初の頃はやはり新しい制度を導入するということで、すごくなかなか理解が、反対意見等もあったようですが、そこはうまく丁寧に御説明していく中で理解が得られているというのが現状です。
 保護者の方たちから何かというのは、特にはなかったというふうに聞いております。
 雑駁ですが、以上になります。
【貞広部会長】  ありがとうございます。吉村部長、主任の評価について、降格等あるのかという御質問もいただいていたかと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
【吉村人事部長】  ありがとうございます。失礼いたしました。
 主任教諭についても、降格ということは特には行っておりません。ただ業績評価につきましては、先ほども給与の職級自体も3級職ということで新たに定めているところですので、それぞれの評価のポイントにつきましても、主任教諭にふさわしいレベルというものを設定しておりますので、それについてどうであったかということをそうやって判定をして業績評価をつけていく、そういうふうな仕組みにしております。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 どうしてもという方がいらっしゃいましたら、お一人ぐらい御質問を受け付けられるかと思いますが、いかがですか。よろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。吉村部長はこちらで御退席をされます。御説明いただき、また委員の皆様の御質問に応答いただきましてありがとうございました。
【吉村人事部長】  ありがとうございます。
【貞広部会長】  それでは、一度ここで区切らせていただきます。ありがとうございます。
 教師の処遇改善の在り方に関する論点に関しまして、前回会議からの追加事項を中心に、事務局より、まず御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【安井財務課長】  失礼いたします。資料3、論点でございます。
 資料の1ページ目、2ページ目につきましては、前回の会議で御覧をいただいたものと同じでございまして、今回3ページ、4ページ目を追加させていただきました。本日は、3ページ以降、職務や勤務の状況に応じた処遇の在り方についてを中心に御審議を賜りたいというところでございます。
 まず第1段落でございますけれども、先ほど追加資料のほうでも御覧をいただきましたように、現在、学校現場におきまして、例えば教育相談、特別支援教育に関する連絡調整でございますとか、子供たちの抱える課題への対応ということ、また、校内研修、情報教育、防災・安全教育、道徳教育など学校横断的な取組ということも必要性が向上している中で、学校が組織的に対応すべき課題がさらに多様化・複雑化をしているという状況がございますし、また、こういった課題の対応を行っていく上で、学校内外との連携・調整の必要性ということも増しているという状況でございます。
 また、若手の教師の方々へのサポートということを校内でも充実させながら、ベテラン・中堅・若手層の教諭が専門性を発揮して、効果的な役割分担、知識や経験の共有・継承を行う校内体制の在り方について、どのように考えていくべきかというところでございます。
 またその際、こうした職務を主として教諭が校務分掌の1つとして担っている現状がございますけれども、その職責に応じた処遇の在り方ということについて、今後どのように考えていくかということが論点の1つでございます。
 続いて第2段落のところでございますけれども、こちらは学級担任の関係でございます。先ほど資料でも御覧いただきましたように、子供たちへのきめ細かな支援でございますとか保護者からの相談対応など、重要かつ負荷の高い業務を担っていただき、また、在校等時間も長い傾向にあるということが学級担任について御覧をいただきましたけれども、こういった学級担任の業務について、その職責等を踏まえた処遇ということについて、どのように考えるかということでございます。またその際、処遇の手だてをどのように考えるか、また、併せて教師に特有の手当として現在、義務教育等教員特別手当、一律に支給されているものの在り方についてどのように考えるかということでございます。
 3つ目の論点でございます。現在の学校の業務の実態に照らしまして、業務の負荷に応じた処遇を充実させていくという観点から、これまでの処遇の仕組みについてどのように考えるかということでございます。例えば、給与の調整額につきましては、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導を担当する教師のみに現在支給されてございますが、一方で、通常の学級にも特別支援教育の対象となる児童生徒が在籍をして指導を受けているという実態もございます。こういったところから、業務の負担に応じた処遇改善の手だてについてどのように考えるかということでございます。
 それから、最後の論点でございますが、学校教育の質の向上を図っていく上で、管理職による学校運営を適切に進めていくマネジメントの重要性ということについて、これまでも多々指摘をいただいてございました。学校の対応すべき課題の多様化・複雑化の中、支援スタッフ、若手教職員も、多様な教職員集団ということで増加をしていく中で、そのようなマネジメントを適切に行って責任を果たしていく職責を負った学校管理職の方々について、その職責の重要性を踏まえて、管理職手当も含めた処遇の在り方についてどのように考えるかということでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 それでは、先ほど御報告いただきました東京都のお取組も踏まえつつ、事務局より今、御提示いただきました資料3の論点を中心といたしまして、委員の皆様から御意見、御質問を頂戴したいと思います。
 御意見等のある方は手を挙げるボタンを押していただきますようお願いいたします。なお、毎回大変恐縮でございますが、できるだけ多くの委員の皆様から御発言をいただくため、御発言はお一人当たり3分以内としていただきますようお願いいたします。また、御発言の際は、大きな声で明瞭にお話しいただきますようお願いいたします。
 では戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  私は、教師の処遇改善等について、次の3点が重要であると考えており、繰り返し申し上げてきました。1つ目は、職務負荷に応じたメリハリある給与体系の構築、2つ目は、教師一人一人の専門性の発揮、3つ目は、組織力を高める教職員配置、の3点です。
 具体的に申し上げますと、1点目は、社会の変化に伴う様々な課題等に迅速に対応していく上で、学年主任、教務主任等の既存の主任はもとより、研修主事、特別支援教育コーディネーター等の特別な処遇のない新たな分掌も含め、その職務の重要性や負担が増しています。真にがんばっている教師が報われるための手立てとして、また、メリハリある給与体系を構築する観点から、こうした主任層に対する手当の改善などの処遇改善が必要と考えています。
 また、学級担任の負担は大変重く、かつてのように担任を希望する教師が近年は減少しているということも危惧しています。こうした学級担任の職責に応じた処遇改善が必要であり、論点には、義務教育等教員特別手当が一律支給されているとありますが、これを学級担任に手厚く処遇することが考えられると思います。
 2点目は、教師によって業務内容や負荷が様々であることについて、働き方改革の観点から負担を均一化する努力をしなければなりませんが、それぞれの専門性を生かす観点も重要です。今後は、ミドル級以上の層が、それぞれの専門性を生かして、新たな教育課題や地域課題等に機動的・組織的に対応していくことができる環境を整えていく必要があります。
 3点目は、教職員組織が多様化する中、副校長や教頭は鍋蓋組織の接合部分として、予算・物・人・渉外に関する業務が集中しており、最も激務の状況にあります。こうした副校長・教頭の「超・総合職」とも言える業務を様々な専門性のある教職員が、チームでブレインとなり支えることは、学校運営全体の改善からも極めて重要です。
 また、副校長・教頭を大規模校以外にも複数配置することや、職責に応じた処遇改善を図ることも、優れた管理職の成り手を確保していく観点から不可欠と考えます。
 さらに、若手層の教師に対する支援を講じて持続可能な勤務環境を構築していくことは、若手教師本人はもちろんのこと、組織全体の活性化を通じた教育の質の向上に重要であることは明白です。例えば、ミドル級以上の教師がマネジメントに参画するとともに、若手教師に助言することなどを、個人の自主性・主体性任せにすることなく、制度的に促進する必要があると考えます。
 以上、専門性の発揮と組織力向上に、1点目の様々な分掌に対する処遇改善の見直しの観点も踏まえ、結論として「新たな職、そして、その職に対応する新たな級」を創設してはどうかと考えます。
 そもそも、教師の給料表は、東京都は6段階ですが、一般的には5段階の級が定められており、一般企業等に比べてメリハリの乏しい職位構造となっています。繰り返しになりますが、真に頑張っている教師が報われるよう、また、メリハリある給与体系の構築のために、より多段階の新たな級を設定する必要性を強く感じています。
 学校組織は、主幹教諭や指導教諭以外は、単なる先輩と後輩のような関係で日々仕事をしており、一人一人が専門性を生かし、プロモーターとしてリーダーシップを発揮できる組織にはなっていません。今後は、ICT、外国語、心理などの社会人経験なども存分に生かすべきだと思います。また、主幹教諭・指導教諭と教諭の役割の違いや段差が極めて大きいという課題もあります。
このために、若手教師が一層力を発揮できるよう様々なサポートをしたり、教諭と主幹教諭のバッファー役を果たしたりする新たな職が必要と考えます。この新たな職が中心となり、既存の主任や新たな分掌も担っていくことで、若手の学校運営の参画など学校組織の活性化はもちろん、優れた管理職の育成のためにも好影響があると考えます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 では、続きまして、秋田委員お願いいたします。
【秋田委員】  ありがとうございます。学習院大学の秋田です。
 今の戸ヶ﨑委員の御意見にも全く賛成でありますけれども、教員は専門職であります。それなのに俸給表の級が、ほかの職種に比べて大変少ない。例えば、医師は10段階あるわけです。やっぱり専門家が専門家として生涯働いていくということを考えますと、今の東京都の取組のように、主任教諭のようなものを設定していくということに賛成であります。
 ただし、学校という組織は、民主的な組織でなければならない。だから、教壇に立っている各クラスの教員同士は民主的な関係にある。しかし、学校運営の担当として、そういう主任などが後輩を面倒を見ていくとか、管理職を支えていくというような学校組織運営の専門としての部分が加筆されるのだというようなところがとても重要だと思います。
 アメリカの教師教育で国際的に有名なアンディ・ハーグリーブスが、ミドルリーダーの教員を育成するということが、学校教育のイノベーションにつながると。4つのBということで、Before, Besides, Between, Beyondを挙げています。要するにBesides、若い人の傍らにいてくれる、そしてBetween、いろんな年齢層をつなぎ、そしてBefore、管理職のビジョンはよく理解できて、そしてビヨンド、どういう方向に規制の枠組みを超えてBeyondこれからこの学校を変えていくことができるのかというのをつないでいく、そういう学校組織の核の役割として、1つミドルリーダー層というものを中核に、そういった級をつくっていくということには賛成であります。
 ただし伺うと、東京や大阪にはこうした主任制度というものが根づいていますが、ほかの自治体では必ずしも十分にされていないということが財政の面であるとするならば、この辺りを国がきちっと支えて、全体として自治体の格差なくこれが行われるような検討が進むべきであろうということが1点目です。
 2点目としては、やはり担任の負担が、特別支援学級や通級とは別に、先ほども御説明がありましたように、学級そのものの中に多様な子供たちがおり、保護者も多様になっている。そういう意味で、担任の手当というものを手厚く、しかもそれは調整ではなくて本給で、やはり見直していくべきであろうというふうに考えるところでございます。
 ぜひそういうことを明示していくというようなところによって、義務教育の教員の特別手当というものがございますが、それによって、やっぱり応募率が上がったというようなことが過去にあるわけですから、今回もやはりきちっとした処遇の改善によって、量的な確保というものも保障していくというようなことが重要なのではないかと思います。
 しかも3つ目として、やはりキャリアプランというものを広く出していくことが非常に、上に上がっていくという専門職としてということだけではなくて、女性などが産育休を取っても自分のキャリアに合わせて働きやすい、そういう職場にしていくという意味でも意味があるのではないかと考えるところです。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 では、荒瀬委員お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】  ありがとうございます。戸ヶ﨑委員と秋田委員、大変考えるべき内容を御提示いただいたと思いました。勉強になりました。ありがとうございます。
 私、2つ申し上げたいと思っています。1つは、業務の負荷に応じた処遇の改善ということです。毎度申し上げていることで本当に申し訳ないんですが、手当はとても大事ですけれども、手当もらったらそれで済むという話ではないので、時間を同時に確保できるようにしていく。そういった配慮をするためには、教員数を増やさないとどうにもならないということになるんですけれども、ぜひそういった面も含めた処遇の改善をお願いしたいと思います。
 2点目としましては、学校内、あるいは学校外との様々な関係性を保っていくという上で、管理職のマネジメントについてです。それに関わって、まず処遇をしっかりとしていくことが重要です。教頭職とか校長職って多少給料が上がる程度で、本当にすずめの涙というんでしょうか、私も経験いたしましたけれども、管理職手当もまたしかりです。
 もう一つ、お金たくさんということはもちろんなんですけども、それで済む話じゃなくて、じゃあ管理職ってどういうマネジメントしていくのかというときに、マネジメントのノウハウを学ぶ機会というのも大事だと思うんですけれども、それ以上に、これは手前みそになりますが、私たちの教職員支援機構として今模索している、自ら課題を発見して、あるいは問いを立てて取り組む、そういったような時間のかかる研修なんですけれども、こういったことを日常的に重ねていくといったようなことも併せた上での管理職のマネジメント向上に向けた処遇の改善。管理職に対してもまた、お金の面と、学ぶ時間をちゃんと用意するという、この両方が処遇の改善として非常に重要だと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。処遇改善という側面に、時間の改善という面があるということをまた御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 では藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】  ありがとうございます。2点申し上げます。
 まず、1点目が、職責に応じた処分の在り方についてです。職責に応じたコストというものを設けて処遇を差別化することによる効果としては、ポストの保有者がリーダーシップというのを発揮しやすくなるという効果が見込まれます。さらに適切にリーダーシップを発揮することによって、最終的にはポスト保持者だけじゃなくて、みんなが意見を出したりリーダーシップを発揮する、学び合う学習組織というものをつくっていくことができることに通じていくんだろうと思います。やはり学校という組織というものは、みんなが臨機応変にリーダーシップを発揮しないと回らないという組織特性というのを持っております。そういった学習組織というものを創造する上で、そうした構造形成というのは有効に機能するんじゃないかと思っています。
 さらにキャリアの早い時期での良質なリーダーシップ経験における自信というのが、未来の管理職候補者の開発につながるんだろうと思います。そうした意味におきまして、みんなが学習する組織というものをつくっていくというゴールに向けて、上下関係というものも含みながら、機能的な差異化というものを図る構造形成をしていくということは有効であろうというふうに考えております。これが1点目です。
 2点目に、これまでの皆さん方の御意見とも重なる部分多いんですけれども、児童生徒及び教職員のウェルビーイングというのを高める校長先生方のリーダーシップ、マネジメント機能の重要性というものがますます高まってきておりまして、諸外国でもそうしたウェルビーイングに関する研究というのは物すごく今、蓄積されております。こうしたことを踏まえて、管理職手当というものを含めた処遇改善、これはもちろん重要だろうと思いますけれども、それに加えて、エビデンスに基づいた、校長志望者に対する事前または校長昇進後の研修の充実というのを、これまでの蓄積を踏まえながら図っていく必要というのがあるんだろうと思います。こうした校長の専門職化によって、もちろん教育組織のトップリーダーなので、人間性というのは物すごく大事で、そういう人格的な権威に加えて、知識と、そして知識を活用する力ですよね。そういう力というものに基づいた機能的・効率的なマネジメントというのが実現するならば、これまで以上に教職員のウェルビーイングを高めることにつながっていくんだろうというふうに思っております。これはこれまでの教職員支援機構の御努力の延長線上にあるものだというふうに考えておりますので、どうぞよろしく御検討いただければと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 この後の発言順をまず申し上げます。橋本委員、熊平委員、妹尾委員、露口委員、鍵本委員、善積委員、西村委員、そして青木委員の順番で御指名をさせていただきます。
 では、橋本委員お願いいたします。
【橋本委員】  ありがとうございます。橋本です。
 今回新たに追加された論点として、職責に応じた処遇の在り方、業務の負荷に応じた処遇、あるいはマネジメントの在り方がありますけれども、包括的に意見を申し上げたいと思います。
 私は一般民間企業の人間なので、教育職の級が5段階しかないというのはすごく少な過ぎるなというのが率直な印象です。もちろん、教職の世界が企業とは異なることは重々承知しておりますが、また、フラットな世界にもいい面はあると思いますが、ただ、組織である以上、頑張った人が報われる、あるいは頑張れば頑張った分だけ評価され新たな職責が付与される仕組みは、程度の差はあれ、必要なのかなと思います。
 それから、人事考課をする側としても5段階しかないとなると、評価の選択肢がなかなか限られることにつながりますので、メリハリの効いた考課の難易度が増すことになると思います。大部分、7割程度の先生が2級のまま定年を迎えられるということもお聞きしましたが、これまではそんなフラットな世界の中で、それぞれの先生にしっかりと学級運営を担っていただければ、学校全体が回っていく時代であったと思います。
 ただ、現状はこれまでも様々な議論ありましたとおり、現場を取り巻く課題が多様化、複雑化してする中で、誰にどういうミッションを与え、組織として取り組むことによって学校全体のパフォーマンスを上げていくかという課題がありますので、今までよりも高度なマネジメントが必要になってくる状況かと思います。
 そのためには、それぞれの先生の職位に応じたミッションを明確にして、それに応じた処遇を行う、また、能力のある先生にはより高い職責やミッションを与えて、組織としての力を高めていくことが必要であろうと思います。今のフラットな階層構造のままでは、なかなかそのようなミッションを与えたり、職責を積極的に付与していくことは難しいのではないかと思います。
 民間の会社であれば係長、課長、部長といった多重な階層の中で職責や職制に応じたミッションを与えて、その時々の課題解決を図っていっております。また、場合によっては課題に応じて特命事項の担当を置くなど、組織編成や人員の配置も柔軟に行っております。学校現場においては、それはなかなか難しいと思いますが、ただ、それぞれの学校において固有に課題があると思いますので、そこを校長先生あるいは教頭先生の裁量でミッションを与えて、職制と、またそれに応じた給与面の処遇をセットにすることを今後の組織の中で考えていく必要があるのではないかと思っています。
 そういう意味でも、先ほど御説明あった東京都の取組は非常に参考になるかなと思いました。先生方の給与面での処遇を何らかの形で上げていくことはもちろん重要ですが、一方で、財政負担が増えるだけということになっては困りますので、処遇改善と併せて学校全体の、あるいは教育レベル全体の向上、それから働いている方々の働きがい、やりがいの向上というものをセットで提示していかなければいけない。成果や効果につながる仕組みを講じていかないと、究極の目的であります教職の魅力の向上、あるいは優秀な人材の確保という根本的な問題の解決にはつながっていかないと思いますのでその面での体制整備、制度設計は大変重要かなと思います。
 職級の階層を増やし、増やした中で各レイヤーごとに与えられたミッションの達成度合い、あるいは問題解決の進捗度合い、あるいは働き方改革を通じた業務効率化の達成度合いといった多面的な角度で見た評価ができる仕組みをぜひこの機会につくって、それがうまく機能するようなオペレーションを行っていくことが大変重要かと思っています。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。職級を増やすことと連動してそれぞれのミッションを明確化することや、教育効果や働きがいを増進させていくこと、これらが同時に実現しないとという御意見をいただいたところです。ありがとうございます。
 では、続きましてオンラインにより、熊平委員をお願いいたします。
【熊平委員】  ありがとうございます。熊平でございます。私からは4点コメントさせていただきたいと思います。
 まず、1点目です。給与の改善は本当に待ったなしだと思いますが、その理由を明確にしておくことが重要であると考えます。これまでの議論を伺わせていただき教員の業務の多様化、複雑化、難易度の高まりにより教員に求められる能力が高まっていることが、大きな理由で給与が上がることを明確にしていただきたいと思います。
 教員という職務はAIに代替されない人間に残る重要な仕事と認識しております。そういう意味でも、この教員という職業が非常に重要なものであることも含めて、給与の改善の背景にあることを明確にしていただきたいです。また中長期的な議論としては、多様化する業務の中で、教員一人ひとりの役割や貢献が違うことを正しく認識し、給与や評価にメリハリをつける必要があることも、考えていく必要があると思います。
 2点目は、給与の改善が採用倍率にどう影響するかについてです。資料の中に過去の昭和50年の事例がございました。昭和50年は企業も24時間働いていい時代でしたが、現在は企業でも、ワーク・ライフ・バランスとか、ウェルビーイングという言葉が用いられるようになっております。給与の改善だけではなく引き続き時間の問題、働き方の問題を改善していくことが並行して行われないと採用倍率は増えないだろうと思います。
 3番目は、人員不足の現状を支える教員の現実についてです。今、人員不足の中で学校現場を支えている先生方が大変な状態になっている話を伺っております。例えば学級崩壊が起きたときに新たな先生を採用しても学級運営ができないので、既存のミドルリーダーや副校長が兼務で担任を任されているという話を教員向けのワークショップで伺いました。参加した先生方30名の中に、2名このような働き方をしている先生がいらっしゃいました。もしこの比率が世の中の比率に近いとすれば7%ぐらいの先生がもう既にそういう状態ではないかと思います。このような働き方を期待されている先生方に対しては、業務量に見合った給与や評価が必要ではないかと思いました。
 4番目に、ちょっと言い難いことですが、ワンチームをつくれないリーダーには御退場いただくような覚悟が必要ではないかと思います。報酬の問題もあると伺っておりますが今までは、一旦、校長になられると機能しない校長も異動させたり、教頭や副校長に優秀な人材を充てて最後まで校長をやっていただく慣習があると伺いました。しかし、学校は、もうそのようなやり方で回るような組織ではありません。先生たちが対話を職員室で行ったら「雑談だ」と怒るような校長もいるという話もよく耳にします。また、休職する先生方の多くが、医師の診断書を用意し、「明日から休みます」と休職に入ると伺いました。組織を管理するリーダーが、先生の状況を見ていないために、このようなことが起きているのだと思います。この時代の学校を運営する校長にはワンチームをつくっていただきたいと思います。
 学校現場には、支援スタッフもどんどん増えていますが、職員同士がワンチームでないのに支援スタッフと連携とれるはずがなく、そして地域との連携も必要になってきている今日において、ワンチームをつくれるリーダーを育て、そういう人たちに校長になっていただく状況をつくることが重要ではないかと思います。
 以上になります。
【貞広部会長】  ありがとうございます。4つ意見をいただきましたが、特に2番目の処遇改善というのは、給与だけではなく時間の余裕もであるという御意見は荒瀬委員がずっとおっしゃっている意見とも重なる部分でございます。ありがとうございます。
 では、続きまして妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。妹尾です。私からはペーパーをつくりましたので、参考資料4も御覧いただきながらお話させていただこうと思います。
 こちらで書いたのは改めて、なぜ処遇改善が必要なのかということで書きました。もちろん、これ以外の点もたくさんあるとは思いますけれども、処遇改善が必要だということで、この会議では盛り上がるんですけれども、当然、世間一般ではどうなのかとか、理解得られるのかとか、厳しい財政事情の中、そういったことに応援してくださる方を増やさないといけない中で、こういった理由づけというのをもっともっと強固にしていく必要があると思っています。もちろん妹尾の意見だけではなくて、ほかの方もどんどんまたおっしゃっていただきながら、ぜひ補強していただければと思っております。ここでは3点に整理したいと思います。これ以外もあると思います。現職の先生方のモラルだとかモチベーションの問題だとかもあるとは思いますけども、今日は時間の関係で3点になります。
 1点目は、ぶっちゃけ申し上げると教員の成り手不足の問題ですとか、優秀な方に来てもらいたい、あるいは辞めんといてほしいというところがあると思います。こちら、1-1で書きましたけれども、前回も申し上げましたが今、教員不足、欠員というのが各地で深刻でありますけれども、その多くは講師不足ということであります。であれば、講師の成り手をもっと増やすためにこの処遇の点ももっと考えないといけないということかと思います。
 真ん中の辺りに、あなたなら応募しようと思うだろうかということでちょっと挑発的に書いてはおりますけれども、現実的にはこういう状況でして、期間限定の雇用ですと、年度途中で切られる場合もあります、あるいは契約更新は約束できないだとか、仕事内容は正規と同じでハードワークですと。ただし、残業代も出ませんと、研修期間なし、即戦力募集みたいな感じで。結構、不合格通知を出すとともに、臨時的任用講師やりませんかという通知も同封されているような自治体もあると聞いていますけれども。かなり今までこういった講師の方を都合よく使ってきた教育行政の反省というか、限界というのが今、来ているということだと思います。
 この常勤講師につきましては雇用の不安定さとか雇用される時期だとか、こういった問題をどうしていくか、あるいは正規と比べて給与水準の問題をどうしていくか、あるいは正規も同じ問題ですけれどもハードワーク過ぎる問題をどうするか、こういった3点について、それぞれ改善をしていかないとなかなか講師の成り手がいないということだと思います。非常勤講師についても考えていかないといけないということだと思います。こういったことを正規の教員の処遇改善とともに、セットでしっかり立ち向かっていく必要があるということを申し上げたいと思います。
 次の2ページ目ですけれども、上に書きましたが中途半端な採用試験の前倒しと書きましたけれども、今、1か月程度の前倒しをしているところが多くなっていて、ちょうど学校忙しい時期で、採用試験対策の勉強がなかなか講師の先生、できないと非常に嘆いておられます。こういった問題も含めて、どこかではいいこともあるかもしれないけど、どこかにはめちゃくちゃしわ寄せが来ているような政策もありますので、この功罪をしっかり考えて、軌道修正を図るべきところは図らないといけないということを申し上げたいと思います。
 次に、大学生等の受験者をもっと増やしていく観点は必要だと思います。何が効くのかということはなかなか難しいですけれども、幾つか根拠を挙げながらお話したいと思います。少し見にくいかもしれませんが、右に紹介している愛知県の調査していただいた大学生向け調査によりますと、こちらは教職希望はしていたんだけれども、もうやめたと、教員にはならないというような、やめた方がどういう理由でやめたのかを調査したものです。休日出勤や長時間労働のイメージといったような長時間労働の問題だとか、ワーク・ライフ・バランスの問題に加えまして、職務に対して処遇が十分ではないという回答も多いんですね。ですから、この辺りも大学生等に響いている可能性があります。あるいは浜銀総研さんが調査したものを下の右下のグラフに載せておりますけれども、職場環境や勤務実態に不安を持ったからということで、そういうようなアンケート結果もあります。
 あるいは次のページ見ていただければと思いますけれども、同じ、これも大学生向けの調査ですけれども、中学校の先生のイメージについて聞いたものですけれども、楽しい仕事とか世の中のために、子供のためになる仕事っていった比較的、肯定的な答えはあるんですけれども、給料が高い仕事というのは3割ぐらいしか肯定的には言ってなくて、逆にいうとネガティブな回答が多いということであります。あるいは人気がある仕事とも思われてないということであります。この辺りも含めて考えていく必要があるということを申し上げたいと思います。
 つまり、3ページ目の下に書きましたけれども、社会人についても似たようなことかなと思いますけれども、しっかり大学生等に魅力的な職場にしていくためには処遇の問題もありますし、3ページ目の下に書きましたけれども、今、教員の受験者の女性の比率がどんどん、どんどん下がってきているというか、かつては相対的に企業と比べて女性にとって魅力的で、働く上では教員は人気職だったわけですけれども、その人気が企業も働き方改革もどんどんしていますし、処遇の改善もしていますので、相対的に女性にとっての魅力が下がってきた可能性も、そこも重く見る必要があると思います。
 次の4ページ目ですけれども、なるべく短く申し上げますけれども、以上のような理由から教職のそういった処遇の改善ということに加えて学生ら、特に女性の不安解消、本当にこれで働き続けられるのだろうかとか、私はやっていけるのだろうかといったような不安を減らしていく、なくしていくような施策も合わせ技でやっていく必要があると思っていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次は、もう時間の関係で短くやりますけれども、理由の2番目、高度専門職として処遇するというのはほかの方もたくさんおっしゃっているとおりです。ですが幾らぐらいだったら本当に専門職と言えるのかどうかといったことはまだまだ議論しないといけなくて、高度プロフェッショナル制度では1,000万円以上とかですけれども、教員の世界は当然そうはなってないわけですので、そこも含めて、どれぐらいだったらいいのかということも含めて考えていく必要があると思います。
 次の理由の3番目、これは先ほど来ありますけれども、仕事の重みとか役割と処遇が合ってない問題があると思います。皆さんおっしゃっているように、学級担任が大変なので処遇を上げるというのは私も賛成のところありますけれども、むしろ学級担任に任せ過ぎない制度づくりだとか、チーム担任制の在り方なんかも含めて考えていくことも含めて、処遇だけの問題では当然ありませんので考えていく。また、管理職の処遇も当然考えていくことも賛成です。
 すいません、長くなりましたが以上になります。
【貞広部会長】  ありがとうございます。処遇改善の問題だけではなく、総合的に考えていく必要を改めて御確認いただいたところです。ありがとうございます。
 では、露口委員お願いいたします。
【露口委員】 失礼いたします。2点ほど申し上げます。1つ目は論点3の2についてです。資料1の36から38ページにありましたように、学級担任を持つことでの勤務時間の量的増加が、大体30分から40分と示されております。また、保護者対応等の質的に困難な業務の付随も示されております。さらに、年度初めに担外配置であった主幹職、主任職等が年度途中から学級担任を持つというケースが全国で生じております。教頭が担当する場合もあります。学級担任業務への適切な処遇がなければ努力したものが報われない、公正性に欠ける状況というのが学校内に生まれ、先生方の大幅な士気の低下を招くおそれがあると思いますので、学級担任への処遇は早急に措置していく重要な課題だと思っております。学級担任手当分の純増がもちろん理想なのですが、仮にそれが難しいのであれば、一律支給の義務教育等教員特別手当の在り方の再検討というのも視野に入れる必要があるかなと思います。一律平等分配から必要性分配へと分配方式のかじを切り、学級担任等への手当を措置することが必要かであると思われます。
 2つ目は、論点3の4の管理職の処遇についてです。学校管理職につきましても教員と同様、職務遂行の困難さの面だけでなく、高度専門職化とセットで処遇改善が求められると思われます。これは各委員の皆様方が言及されたことでもあります。しかし教員に比べまして、学校管理職の高度専門職化の議論というのは相対的に少し弱いと思います。現実的にも教職員支援機構や一部教職大学院等で養成されている程度にとどまっていると思います。
 例えば欧米主要各国では、校長の高度専門職化を裏づける修士相当レベルの比率が60%以上の国が大半で、学び直しを経て校長に就任するキャリアコースというのが浸透、一般化してきております。学び直しを通して教育経営管理の高度専門職に近接したものを高く評価していくような、そういった仕組みというのも今後重要かなと考えております。
 また、最後にですが、年々増加しております現職教員の教職修士取得者、毎年のように現職派遣が教職大学院に来られております。となると、その方々が今度はさらにリーダーとして活躍していくためにはリーダー養成を目的とした、いわゆる教職博士の創設というのも視野に入れるべきと思われます。学校管理職の高度専門職化を支援する上で、ぜひとも検討すべき重要な事案だと考えられます。
 私からは以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、オンラインから鍵本委員、お願いいたします。
【鍵本委員】  岡山県教委の鍵本でございます。私からは2点申し上げます。
 まず、職責に応じた処遇の在り方についてでありますけども、平成20年度に主幹教諭が制度化されて以降、本県におきましても着実にその数を増やしてきたところでありますけども、学校が抱える様々な課題への対応でありますとか、あるいは学校横断的な取組を進めていきます際に大変効果的に機能してきたと任命権者として感じているところであります。主幹教諭は教育課程の編成でありますとか、あるいは生徒指導などの学校教育の中核になります最も重要な業務を担い、そしてほかの教員と連携しながらその業務を進めていく上で、職として指導的な立場を明確に示して、また、その職責にふさわしい処遇も与えられたことによりまして、学校が組織として一層機能しやすくなったと考えております。
 そういう面から考えましたら、今回の資料3の論点の各論の(3)の1つ目の丸に関わることでありますけども、学校の中で負荷のかかる業務として情報教育の担当でありますとか、あるいは特別支援教育コーディネーターなどの特に顕著なものが出てきているわけであります。こうした業務を担っている教員に対して、その職責に応じた処遇の在り方を考えます上で今回、御説明いただきました東京都教委の主任教諭のような制度は大きな示唆を与えてくださっていると私も思います。主幹教諭に加えまして知識や経験を持つ教員が主任教諭という職として、その立場を明確にして、ほかの教員とも連携を図りながらこれまで培ってきた専門性を発揮していけば、さらに学校の円滑な運営に対して効果的に働くのではないかと考えております。
 そして、このような負荷のかかる業務を担う、これを担当します教員に対しまして、新たな級を創設することで職責に応じた処遇の改善も可能になるのではないかと私も考えているところでございます。また、こうした若手教員と管理職をつなぐような存在は重要な課題になってきております。若手教員へのサポートについても効果的であると考えております。
 次に、義務教育等教員特別手当について申し上げます。同じく(3)の論点の丸の2つ目に関することでありますけれども、資料1の17ページのグラフにもありましたように、昭和55年度の一般行政職と比較しまして教員の給与水準が高かった状態から次第に低下してきておりまして、これは教員の給与を一般公務員よりも優遇することにより教員に優れた人材を確保し、義務教育水準の維持、向上を図るとしております人材確保法の趣旨は、残念ながら失われてきていると考えます。この給与の優遇策の目減りのみが教員希望者の減少の要因とまでは私も言いませんけれども、18ページの資料を見ましても、教員の希望者の増減がこの優遇策による処遇の上下と連動して変化していることが分かります。
 教員の確保が大変厳しい状況にあります現在のところで、もう一度人材確保法の趣旨に立ち返って教員の優れた人材を確保できるように、教師の処遇改善を図るべきと考えます。今回のこの論点に書いてありますことに関して言いますと、現在一律に支給されております義務教育等教員特別手当がこの中に挙げられておりますけれども、この仕組みや水準をやはり見直すべきだと私も考えます。
 その際、資料1の36ページにありますように、学級担任を持つかどうかが教員の職務の負荷に大変大きく影響を与え、在校時間も長くなる傾向にありますなど、同じ教員であっても担当する業務によってその負荷は異なりますことから、それをできるだけきめ細かく拾い上げて処遇に反映していく必要があるのではないでしょうか。
 例えば担任を持つ教員に対しては、この義務教育等教員特別手当の支給割合を増やすなどして、学級担任に対してその職責を踏まえた処遇内容にできないかと考えております。こうした処遇の改善は、教員が専門職として誇りを持って働く上でぜひとも必要であり、これまでも申し上げましたように、働き方改革の推進や定数改善・支援スタッフの充実と一体的に取り組んでいくことが極めて重要であると思っております。こうした動きをしっかりとアピールすることによって、教員に優秀な人材を確保することができると思っております。どうかよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。それでは、同じくオンラインから善積委員、お願いいたします。
【善積委員】  よろしくお願いします。東京都さんの資料を拝見して、やはりキャリアプランが見える状態をつくることの意味は大きいなと思いました。若手の方は特に成長意欲が高いというのはありますので、それが見える形で設計をされている制度であるので、教職を希望する方にとってはプラスの効果があるかなと。私もこれまで何回かを申し上げてまいりましたけれども、チューターとかメンターのような役割を担える人がいることは組織運用の中では非常に大事なところだと思っておりますが、そういう意味では主任制度という部分はその役割を担うということをお聞きしましたので、とても重要なものではないかなと思っています。
 今、東京都の御説明をお聞きしまして、少しだけどうなるんだろうと思ったのが、主任の配置が学校によって少し違っているという話ですよね。人事制度として管理構造がきちっとできているわけではないと、だから校務分掌によっては主任が配置されている場合と配置されていないものがあるのかとか、主任の数が限られている場合に分掌を全部担当すると数が多くなり過ぎないのかなとか、いろいろ確認したいことはありますが、むしろ今の東京都さんのこのやり方だったら人材育成の役割が大きいかなと思いました。ですので、キャリアプランとしての機能かなと思います。
 それでもとても意味があると思いますので、もし制度としてきちっと設計するんであれば人事配置ですよね。主任が学校の何割を占めるような形でその人たちがどういうミッションを持つか、その確保を学校の校長の方々だけに任せるよりは、もう少し人事的に関わった配置をされたほうが私は効果が高まるかなと感じております。主任制度については以上です。
 それと手当の件なんですが、担任の手当というところで、ちょっと私よく分かってないんですが、担任をしなくなったら、その手当は消える、なくなるということなんですかね。つまり給料が状況によって変わる可能性があるという、そういうふうにも読めないこともないなと思いました。ほとんどの方が担任をされるんであれば給与額は変わらずに済むのかもしれないんですけれども、担任の大変さも十分承知していますから、そこを支える経済的な根拠というのは必要といえば必要だと思いつつも、その辺りの、何と言うんでしょうね、給与の変動があまり大きくならないようにはしてあげないといけないかなと思ったのが1点です。
 もう1つは、妹尾委員もおっしゃっていたんですけど、むしろ担任にそれは仕事を頑張れよと言っているメッセージにも聞こえてきて、担任の一人一人にそういう負担が重くのしかからない方向での制度設計というのを強調したほうがよくないかなと思います。チーム担任制の話なんですが、その在り方についてもっと研究をして今、チーム担任を導入している学校の事例見られたり、文献研究されたりして方法論を考えて、学校に合ったものを、級数によっても違いますし、先生の経験でも違うようなので、こういうふうに制度設計するといいよって情報提供されることもセットで考えて、担任の1人当たりの負担感を減らしていく方向も大事なのかなと思いました。
 あとはもう人材育成という意味で、校長、管理職の役割が大事だということをこれまで皆さんおっしゃっておられました。私もこの質のいい教員の確保ということで関わらせていただいた中で、どんな人がいい人材なのかということをもうずっと考えていたんですけど、ジョブクラフティングの力のある方かなと思っています。
 つまり両立ができる、仕事を効率的に回しながら自分の、何て言うんですかね、持っている関心や家族や社会との関係をもっと高めていく、自分というものを高めていけるような考え方と、もう一つは仕事の質を高めていくためにいろんな研究をしていくような、そういうジョブクラフティング自体は3つの効果というか、3つの狙いがあるとかいろいろ言われていますので、そこは今、省略しますけれども、何かどっちかだけではなくいろんなことをバランスよく考えて両立していけるような人材というふうに、何か明確な目標というか、イメージを採用のところにも伝えていかれて、それに応じた面接や試験の組立てなどをされていくことが必要かなと感じております。
 私から以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。善積委員、1つ目の主任の人事配置の、もう少し詳細な実態については東京都さんに追加で伺いますか。
【善積委員】  先ほど質問させていただいたときには、全部の学校に同じようにはできてないそうですね。
【貞広部会長】  そうですね。それでよろしいですか。
【善積委員】  今の運用のところは知ったほうがいい気はします。
【貞広部会長】  ちょっと事務局と御相談させていただきます。また、2つ目の担任の手当の件は本給でやるのか、義務特手当でやるのかとか、制度の選択肢がもろもろあろうかと思いますので、最後に事務局にお返しした際にお考えなり、方向性なりをお話しいただければと思います。ありがとうございました。
 それでは続きまして、同じくオンラインより西村委員、お願いいたします。
【西村委員】  成蹊大学の西村です。前回欠席しているので話がちょっと戻ってしまうかもしれませんが、教員の業務が質量ともに増大している中、厳しい労働市場で人材を確保していくためには、先ほど人確法の効果も紹介されておりましたので、全体としての給与水準を上げる必要があると思います。その上で、給与の在り方としては手当よりまずは給料表の見直しから始め、各業種の給与の趨勢も踏まえて、できるだけシンプルで分かりやすい給与体系を維持するべきではないかと思っています。
 働き方改革のために教員の業務内容の見直しが必要であると繰り返しこの場で議論されてまいりましたが、そうした見直しの末に教員がやらなければならないとされた業務の遂行、恒常的に生じている業務負担に対しては、公務員法上の職務給の原則も踏まえて、できるだけ給料表で処遇するのが本筋ではないかと思います。給料表が学校内での様々な役割、異なる職務、職責に応じた級や号給になっているかどうか、格付基準が妥当かどうか、いま一度見直す必要があると思います。
 東京都の事例紹介や他の委員から級の増設の御提案もありましたが、私も調整額等ではなく職務給としての性格が強まるよう、級を増やしたほうがいいのではないかと思っていますし、給料表は基本給として諸手当の算定基礎にもなるので、その見直しによる処遇改善効果が大きいというのもメリットだと思います。そして給料表の見直しで対応し切れない業務負担について、手当の見直しを検討すればよいと思います。
 その際、給与体系における手当の位置づけを明確にして、煩雑にならないようにすることが重要です。職務、職責の多様化に合わせてきめ細かく対応しようと詳細な支給基準を設けたり手当を新設すると、かえって現実にマッチせず、新たな不公平を生む可能性がありますし、時代の変化に応じた見直しも大変です。シンプルな給与体系で報われない不公平と、中途半端に煩雑な手当によって生じる不公平とは、後者のほうが大きいのではないかと思います。
 手当について1点だけ付言いたしますと、一時的な業務増へのペイには勤勉手当の活用も考えられるということです。勤勉手当は人事評価を基に成績率を掛け合わせるようになっているのではないかと思うのですが、いじめ対応や行事等で特に過重労働になった教員の業績評価に反映させ、勤勉手当を増やすことで一時的な負担増にその都度対応することができ、昇給のような長期的効果を持ちません。現場での負担が恒常的なものか、一時的なものかに分けて、一時的なものについては勤勉手当の活用も考えてよいのではないかと思います。
 私からは以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。給与法を見直してシンプルで分かりやすいもので、手当てではない形でというのは、秋田委員がおっしゃった、ぜひ本給でという御発言ともつながるところかと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、会場から青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  東北大学の青木です。私も多くの委員と同じように新しい職として現時点での主任層を法的に位置づけ、それに対応した給与を設け、すなわち6級制の導入というものを提案したいと思います。ただし、主幹教諭や指導教諭と同様に任意設置の形がいいと思います。
 理由としてまず挙げられるのは、西村委員も言及されたように、職務給の考え方を考慮すれば主任の名称の有無を問わず現在、ミドルマネジャー的な役割を果たしている教諭が現実に多数、そして多様にいるわけですので、こういったことを踏まえれば、そして負荷も多い業務になっていますので、やはり新しい職・級として処遇する必要があると思います。
 もう一つの理由としましては、主任的な役割を果たしている教員に対する現時点での手当支給の有無というのがありますので、特別支援教育コーディネーターなどがそれだと思いますけれども、手当が支給されない例ですが、主任的な教諭の位置づけを国の仕組みとして一定のまとまりで示すことにはやはり意義があるのだろうと考えます。また、付随的な効果としましては、企業等からの中途採用者の給与を適切に位置づけやすくなるのではないかということで、人材不足にも対応できる効果も期待できるかと思います。
 ただ、こういった仮に新しい職として主任層を処遇するようになった場合の留意点というのも併せて考えておく必要があると思います。1つ目としては、やはり都道府県による判断を尊重しつつ移行を促すべきであるわけで、国としては例えば配置や評価や効果といった点について調査研究は行う必要があると思います。
 もう一つ、次の留意点としましてはフラットな組織のよさというのも依然としてあるわけで、学び合う教員集団という観点からは、例えば指導教諭の充実なども併せて国として支援をしながらやっていっていただきたいなと思います。
 さらに留意点の3つ目としては、今日御紹介いただいた東京都がかなり参考になると思いますが、その一方で、やはり国としては東京都そのままではなくて国の制度として改めて制度設計していっていただきたいなと思っております。私はこれまでの会でもミドルリーダー、ミドルマネジャーの重要性というのは申し上げてきました。荒瀬委員が理事長を務めていらっしゃる教職員支援機構ですとか各種の教職、教育委員会の研修でもそういったことを申し上げてきて、既に1,000人単位でお届けしているんですけれども、かなり納得感を持って受け止めてもらっていますが、やはりその場での質疑応答で、現時点で仕組みでないんですね。主任層というものを適切に級や職で処遇してないわけなので。
 やっぱり私としては運用でミドルリーダーとして頑張っていただく、そういう学校運営というのが学校管理職に求められていますという、ちょっともう一歩踏み込みたいなという気持ちを持ちながらこの間、管理職研修などをやってきましたので、そういったことを私の実体験も踏まえて、国として制度として対応していただきたいなと思います。この部会ももう10回目ということで、少し具体的な提案をさせていただきました。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。最後の実感は恐らく、何人かの委員が私も含めて共有するところかもしれません。
 では川田委員、お願いいたします。
【川田委員】  ありがとうございます。少し抽象的というか、総論的な話になりますが、3点ほど述べたいと思います。他の委員の発言ともかなり重複しますが、一つは教員の職責にふさわしい給与上の処遇というときに、東京都の例の紹介等でも示されたかと思いますが、ある程度1人の先生の職業キャリアを高めていく中でキャリアアップしたことに対する実感が制度的に得られる、あるいは制度的に将来の見通しが立ち、さらに一定程度は教員自身の判断による主体的なキャリア形成とも両立するような仕組みになっているというのは望ましい方向性かなと思っています。
 そのときに、このような点について、職務給の原則という枠組みを前提としている中で、制度設計上、どのような形で見ていくかというのは一つのポイントかなと思っています。東京都のケースは校務分掌であるとか、周辺、主幹教諭あるいは若手教員へのサポートといった、言わば組織の中での役割を一定程度、明確化することで、新しい級を設定しているということだと思います。
 これは一つの職務給のもとでの望ましい方向性だと思いますが、同時にこの部会の中でも出てきている高度専門職にふさわしい処遇という視点をどこに入れていくのか、組入れたほうがいいのではないか、その際にどう組入れていくのかということも重要なポイントになろうかと思います。
 高度専門職にふさわしい処遇というときに、これもいろんな考え方、そもそも高度専門職というものをどう捉えるかも含めていろいろあるのだろうと思いますが、最初から高度専門職にふさわしい水準の処遇を与えるのも一方では考えられますが、むしろ高度専門職にふさわしい能力を伸ばしていく、一旦教員になった後も伸ばしていくような動機づけを与えるような仕組みにして、その能力を伸ばしていくのにふさわしい処遇をするという視点がより適切であるように思います。こうした視点に基づいたやり方も、も能力が伸びたことを職責に反映させることができれば職務給の中で枠、制度化できるということだろうと思いますので、そういう視点もまた大事なのかというのが一つです。
 あとそれから学校の状況がいろいろ変わってきている、多様化、複雑化等が進んでいる中で、それにふさわしい処遇をというのももう一つの検討の重要な視点かと思いますが、この点については学校の職責の多様化、複雑化が個々の教員の職務にどういう影響を及ぼしているのかという点について、それが時間が長くなっているということなのか、あるいは、これまでよりも心理的な負荷が増えるような仕事なのか、あるいは求められるスキルとして何か今までの教員に求められてきたもの、あるいは教員が自分でやりたいと思っている、教員に向いているようなスキルとは異質なものが求められるようになってきているので、スキルの習得に時間がかかるとか、そこで心理的な負荷が生じるとか、いろいろあるように思いますし。また、もしかしたら時間に関するものであれば、勤務実態調査等からデータを導き出すことができるのかもしれません。
 そういったもの、それから先ほどの議論にも出てきた、一時的なものなのか、恒常的なものなのかという点なども含めて、それらを整理することで対応の仕方として職責が増えていると認められる部分について、給料で対応するのか、給与でも本給給料なのか、手当なのかとか、あるいは場合によっては教員に対してほかの人がサポートするような体制を整えて、必要に応じてサポートをしている職務に対して給料で処遇するということなのか、あるいは実際、負担が生じちゃったら給与で処遇するということはあるとしても、むしろ負担を減らす方向をより優先的に考えていくべきかというようなことが、より丁寧に議論できて議論としての説得力が高まるのではないかと思います。
 あと、ちょっと長くなっちゃっているのでもう1点は簡単に、他の委員の意見にもありましたが、教員の処遇改善というときに、正規教員だけではなく非正規教員の処遇改善も併せて見ていくことは私も重要だと思っています。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。処遇改善の制度設計の在り方について、組み合わせなければいけない重要な要素について改めて整理をいただきました。どうもありがとうございます。
 それでは続きまして、この後、植村委員、齊藤委員の順番でお話をいただきます。植村委員、よろしくお願いいたします。
【植村委員】  ありがとうございます。全連小の植村でございます。私は、資料でいうと論点についての追加部分について触れさせていただきます。
 まず、全体としてですけれども、職責に応じたメリハリのある処遇改善というのが必要だということをまず申し上げたいと思います。その上で、追加が4点ほどあるのでちょっと順番に少しずつということで失礼いたします。
 まず、1つ目の丸でございますけれども、各委員からもお話がありましたけれども、手当という形ではなく、私も新たな職及び級の創設ということが良いのではないかなと考えます。そしてその結果として、手当よりも高い水準の処遇改善することが大事じゃないかなと考えております。
 2点目の丸と3点目の丸にかかってお話をします。重要かつ負荷の高い業務を担う教員に対して、その職責等を踏まえた相応の処遇改善していく方向性は大変重要だと考えております。ただ、その対象を学級担任に限定するということであれば、それが本当に妥当かどうかということは慎重かつ丁寧に検討することが必要ではないかなと考えております。校長の立場で申し上げますと、学校組織の一員としてチームとして、学級担任ももちろんですけれども、それ以外の例えば専科の教員も含め様々な校務分掌を意図的に役割分担して、チームとして学校運営をし、それぞれが職務を果たしている面もあるという部分でございます。
 一方、特別な支援を要する子供たちは通常の学級にも多くおります。ですので、担任は家庭であるとか関係機関との連携を密にして様々な対応や指導をしている現状があります。ですので現在の特別支援学級等を担当する教師のみ支給されている部分については、改善の余地があるのではないかなと考えております。ただ、結果として全ての教員がプラスの処遇改善となるという部分については、確実に担保していただきたいなと考えているところでございます。
 最後、管理職に関わる部分、4つ目の丸になりますが、繰り返しになりますけれども、様々な教育課題が山積するとともに、それらが複合的に絡み合って学校経営が極めて難しくなってきていることを実感しておりますし、全国の校長からもそういうお声を多数伺っているところでございます。ですので学校経営を担う管理職に対しても、その職責等に応じた処遇改善は必要であると考えます。自分の立場のことを自分で言うのは大変恐縮なんですけれども、未来の管理職のためにぜひ進めていただきたいと考えております。
 その際の視点として、同じ校長といっても学校の例えば規模も違いますし、実態も違うわけで、その辺りもなかなか難しいかもしれませんがきめ細かに、その辺りの実態も踏まえながら、それぞれ管理職が一生懸命頑張れるような処遇の改善をしていただいているとありがたいなと考えているところでございます。よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  ありがとうございます。どのような制度設計をするにしても、とにかくメンバー全員の処遇が改善されるようにということを強く御意見いただきましてありがとうございます。この後、齊藤委員に御発言をいただいた後に、事務局より欠席委員の御意見を御紹介いただきまして、その後、安井財務課長に応答をお返ししたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 では齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】  全日中の齊藤でございます。ここまで各委員の皆様のお話を伺いまして、学校現場を預かる校長としてとてもありがたい気持ちを強く感じております。その一方で、様々議論がなされているところではありますが、申し上げたいことは、早く処遇改善してやってほしいということです。様々、法制度があることは当然ですけども、何かをやれば当然課題が出てくるというところで、その課題については改善策を講じていくという考えがあって、今も現場の教員は取り組んでいるところがあり、そこに報いるために、まず具体的に処遇改善を進めるというところを強くお願いしたいと申し上げます。
 そして、その処遇改善につきましては荒瀬委員をはじめ、多くの委員からもございましたが、いわゆる報酬の面併せて、時間を確保するために教員の数を増やすことがあります。報酬と併せて研修に取り組んだり、ライフワークバランスを保持するための時間を確保してあげたりすることによって教員が学びたいことを学べる時間、あるいは次の仕事に対する意欲を高める、モチベーションを上げる時間を確保していただくための制度設定をお願いする次第です。処遇改善を給与に限定せずに時間を確保するための方策を盛り込んでいただきたいと思います。
 その中で手当についても議論がありましたが、先ほどの植村委員からもございましたが、学校にスーパーティーチャーがいて学校が回っているということは今は全くないと言っていいです。つまり、組織として対応しているところから、この点を考えていただいた上で様々な手当については御検討いただきたいと思います。
 そして、この部会の名前にもなっていますが、質の高い教師を確保するためには、処遇改善、お金とそれから時間がとても大事だと述べましたが、質の高い教師を確保するためには任用前にその人物、人材を選考等で見極めることになると思います。一方で任用後、つまりは教師として勤めた後の育成を通じて質を高めていくことの方が重要だと考えます。任用後にその教師の質を高めていくためには研修に取り組むことが重要になってまいりますので、学び続けられる教員を実現することが重要だと考えます。
 人材は育ててから職や役目を与えるという考え方がある一方で、職が人を育てるという考え方もある。これについては、質の高い教師というのは正規、非正規に関わらず、子供たちと関わってもらうことになりますので、任用前の選考等による任用の判断、任用後の育成についても制度の充実を図っていくことが必須だと考えます。
 皆様の発言を伺いながら現場の校長として、意見を述べさせていただきました。引き続きよろしくお願いします。
【貞広部会長】  ありがとうございます。それでは、ここで本日御欠席の金子委員から資料が提出されていますので、事務局より御紹介をお願いいたします。
【菅谷財務課長補佐】  事務局でございます。本日、金子委員から御欠席の中で意見書を御提出いただいておりますので御紹介させていただきます。
 職務や勤務の状況に応じた処遇の在り方について、3点いただいてございます。まず、若手教師へのサポート体制の在り方について、若年層の教職員は実際の授業や現場での諸対応の中で成長するので、適時適切にサポートできるOJT型の体制が望ましいと考える。なお、体制を整えるには周囲の教職員が積極的にサポートに関われる時間を職場全体で生み出す環境整備が必要であり、全体の業務量削減と人員増の方策も考えていくことが必要であるとされております。
 2点目でございますが、学級担任の職責等を踏まえた処遇の在り方について、子供へのきめ細かな支援や保護者等からの相談対応等は、学級担任に限らず、学年等のチームで対応している。とりわけ小学校では教員の多くが学級担任を持っており、近年では複数担任制を採用する学校も出てきている。そのため、学級担任に特化した手当は必要ないと考えるが、職責を踏まえた処遇を検討するならば、一律に支給されている義務教育等教員特別手当を増額すべきと考える。
 業務の負荷に応じた処遇改善について、業務の負荷に応じた処遇改善は必要であるが、その前に長時間労働を是正する抜本的な取組が必要。まずは在校等時間ではなく労働時間を把握して、全体像を明らかにした上で、是正に向けた議論を深めることが重要。なお、例示にあった特別支援教育等の教職員に支給されている調整額については、通常学級において対象児童が在籍している場合はその担任にも支給すべきである。
 以上でございます。
【貞広部会長】  御紹介いただきましてありがとうございます。
 では最後に、担当の安井財務課長にお返ししたいと思いますがいかがでしょうか。
【安井財務課長】  本日も様々な御指摘、御議論いただきまして大変ありがとうございました。私から1点、補足の御説明をさせていただきたいと思いますが、本給とそれから手当の関係についての考え方でございます。教育職におきましても校長、教頭、主幹教諭、教諭といったような職が設定されているわけでございますけれども、公務員法制全体を通じましてこういった職に応じて一定の共通した職責、役割ということが想定、考えられているところかと思います。
 こういった共通した職責に対して、職務給の原則という考え方に基づいて、その役割、職責に応じた給与上の処遇ということをまず本給でやることがあろうかと思います。また一方、同じ級で同じ職位で業務を担っている方々の中にあっても、様々な勤務場所の状況でございますとか職務の状況、勤務環境ということはまた職員それぞれによって違ってくる状況も多々あるわけでございまして、こういった同じ級の中でも違う状況ということに給与上、どういうふうに対応していくかという際に、手当のような仕組みということもいろいろ活用されているところが一般的な状況かなと思います。
 教育職の中でも例えばこのような形で、具体的な例として申し上げますと今日、資料でも御説明させていただきました給料の調整額、特別支援教育の御担当の先生方に対して支給されているものでございますけれども、これも同じ級、2級の教諭の方であっても小学校、中学校、特別支援学校、勤務地でございますとか、あるいは小学校、中学校の中でも通常学級の御担任なのか、あるいは特別支援学級の御担当なのかという、そういう勤務の状況の違いがありまして、そこは特別支援教育に直接従事されている方が支給対象になっていると。それは勤務先の異動でございますとか分掌の変化によって、そういった支給対象じゃなくなった場合は支給の対象にならなくなるものでございます。
 また、あるいはもう一つ例といたしまして、へき地手当という手当が教育職についてはございます。へき地学校に勤務をされる教職員に対して手当が支給されておりますけれども、これもへき地学校から人事異動でへき地学校でない学校に異動されて以降は、支給の対象から外れていくということでございますので、こういった勤務の状況に応じた仕組みがされていると考えてございます。こういったところも踏まえて、今日いただいた御指摘についての御審議、御検討も深めていければと考えてございます。ありがとうございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。丁寧な御説明いただきましてありがとうございます。
 それでは活発な御議論いただきまして、個人的には2周目と行きたいところですけれども、残念ながら時間がまいりましたので、第10回の会議はこの辺りにさせていただきたいと思います。本日も貴重な御意見、御議論をいただきましてありがとうございました。
 最後に、次の予定について事務局からお願いいたします。
【菅谷財務課長補佐】  本特別部会の次回の日程につきましては、4月上旬頃の開催を調整しております。詳細については、追って事務局から御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  それでは、本日予定した議事は全て終了いたしました。これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
── 了 ──