質の高い教師の確保特別部会(第9回) 議事録

1.日時

令和6年2月14日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 教師の処遇改善の在り方について
  2. その他

4.議事録

【貞広部会長】  定刻となりましたので、ただいまから第9回中央教育審議会初等中等教育分科会質の高い教師の確保特別部会を開催いたします。
 皆様、お忙しい中、本日も御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の会議もウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただきます。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願い申し上げます。また、本日も報道関係者と一般の方向けに、本特別部会をYouTubeにて配信しており、YouTubeでの傍聴者から録音及び録画の希望がございましたので、この点、御承知おきください。
 それでは、事務局より配付資料の御確認をお願いいたします。
【菅谷財務課長補佐】  本日の配付資料は、お手元の議事次第の4、配付資料にありますとおり、資料1、資料2及び参考資料1、参考資料2となっております。御確認いただき、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、早速でございますが、議題1といたしまして、教師の処遇改善の在り方についてに入らせていただきます。
 本特別部会では、5月の文部科学大臣からの諮問を受けて審議を進めております。何度も確認させていただいておりますけれども、本日の参考資料2にありますように、諮問に先立ちまして、円滑な検討に資するよう、調査研究会において、こちらの部会にも研究会のメンバーでいらした方、複数いらっしゃいますけれども、論点が整理されています。5つの観点から論点が整理されたわけですけれども、こちらの会議について、本日からは、1、教員給与等の在り方について取り上げたいと思っております。
 それでは、まず、教師の給与制度や勤務実態等の現状、教師の処遇改善に関する論点につきまして、資料1、資料2に基づきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【安井財務課長】  失礼いたします。財務課長でございます。
 それでは、事務局から資料1、2の御説明をまずさせていただきます。
 資料1、教師の処遇改善の在り方に関する関連資料ということで、今回、処遇改善の議論、初回でございますので、教師の給与制度でございますとか、支給の実態のデータなどについて、まず御説明をさせていただきたいと思います。
 資料2ページを御覧ください。こちら、教師を含みます地方公務員の給与の仕組みということで、その基本的な事項についてまず御説明を申し上げます。地方公務員の給与決定の諸原則ということでありますが、まず第1に、職務給の原則でございますけれども、職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならないということで、それに応じた給料表の設定などもされておるというところでございます。
 また、2つ目に均衡の原則でございますが、職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員、民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならないというものでございます。
 また、3つ目の条例主義でございますが、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定めるということでございます。
 また、以上は地方公務員全体について、教員も含めた原則でございますが、教員の給与に関する特別な法律もございます。4番のところでありますが、いわゆる人材確保法でございます。義務教育諸学校の教育職員の給与については、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならないというものでございます。
 また、教育公務員特例法におきましては、教師につきまして、これらの者の職務と責任の特殊性に基づいて給与は条例で定めるという規定がなされてございます。
 また、6つ目、いわゆる給特法でございますけれども、教育職員には、本給の4%に相当する額の教職調整額を支給いたしまして、時間外勤務手当、休日勤務手当は支給しないという定めがなされております。
 続いて、資料3ページを御覧ください。公立学校教員の給与決定の特例等でございます。公立学校教員につきましては、平成15年度以前は、給与の種類及び額は、国立学校教員の給与の種類及び額を基準として各都道府県が決定するということで、いわゆる国立学校準拠制という仕組みでございました。
 これが平成16年度以降につきましては、国立学校、国立大学が法人化されましたので、この国立学校準拠制を改めまして、各都道府県等が教員の職務と責任の特殊性に基づき条例で決定するということで、制度が変更されているところでございます。
 また、教員給与費につきまして、国の財源保障ということでございますが、人材確保法の趣旨を踏まえた教職員給与費が確実に支給されますよう、義務教育費国庫負担制度により必要な財源を保障しております。
 続いて、4ページを御覧いただきますと、給与改定の手順というところでございますが、国家公務員におきましては人事院、地方公務員につきましては人事委員会の勧告が毎年ございますけれども、民間の給与実態調査等に基づきまして、人事院、人事委員会の勧告がなされまして、その後、必要な法律、条例の改正が、国会、議会のほうで御審議をいただくという流れで給与改定ということがされているというところでございます。
 続いて、5ページを御覧いただきますと、地方公務員の本給の給料表の仕組みでございます。職種によります給料表が作成をされまして、ここで御覧いただいている一般行政職給料表、また、教育職については、別途、教育職給料表ということが設定をされているわけでありますけれども、給料表の構成につきましては、まず、職務の級に分かれるということで、職務の複雑、困難、責任の度に応じて級が区分をされてございます。
 また、同一の級につきましても、さらに号給ということで細分化をされておりまして、職務経験年数によります職務の習熟等を、この号給というもので給与に反映をしていくという形で、本給の決定が給料表に基づいてなされていくという仕組みでございます。
 6ページを御覧いただきますと、この給料表につきまして、一般行政職の給料表につきましては、職務の複雑・困難度、責任度に応じて10段階の級が設定をされているというところでございます。
 一方、7ページを御覧いただきますと、教育職の給料表におきましては、現在、一般的に5段階の級が設定をされているというところでございます。従前、長らくは教育職給料表は、4級制が一般的でございました。校長、教頭、教諭、講師ということで、4段階の級の設定というところでございましたが、平成19年の学校教育法改正で、主幹教諭、指導教諭が制度化されたことに伴いまして、新たに特2級の級が設けられておりまして、現在、5級制が一般的となってございます。
 一方、先ほど御覧いただきました行政職の10級の仕組みと比べると、級の区分というのは約半分程度となっているという状況であります。
 8ページを御覧いただきますと、公立学校の教員に支給される給料及び諸手当の内容でございます。先ほど給料表の仕組みについて御覧をいただきましたが、本給以外に、諸手当も含めて全体の給与が構成されてございますが、教員以外の職員にも支給されるものもございますが、青く網かけがされているものが教員に特有のものでございます。
 本給の下にございます給料の調整額、こちらは特別支援教育に直接従事をされる教員に対して支給されているもの、また、教職調整額、こちらもございます。
 また、手当の関係で申し上げますと、特殊勤務手当ということで、例えば、複式学級を担当される教員に支給される多学年学級担当手当でございますとか、災害時の緊急業務、部活動指導等の教員特殊業務手当、また、いわゆる主任手当と言われております、学年主任、教務主任等に支給される手当ということで、教育業務連絡指導手当がございます。
 また、人材確保法を踏まえて、教員のみに支給される義務教育等教員特別手当、また、高等学校の教員でございますけれども、定時制通信教育手当、産業教育手当、こういった手当も設定されているところでございます。
 続いて、9ページの資料につきましては、今申し上げました教員に特有の手当等につきまして、その支給の水準、額等について整理をしたものでございます。
 また、資料10ページに進んでいただきまして、公立学校教職員の給与負担の制度についての御説明でございます。いわゆる県費負担教職員制度と呼んでございますけれども、指定都市を除きます市町村立小・中学校の教職員の給与負担につきましては、都道府県の給与負担とされております。市町村立小・中学校教職員は、市町村の職員であるという身分でございまして、その服務監督につきましては、設置者である市町村教育委員会の権限ということでございますけれども、給与負担につきましては、給与水準の確保、一定水準の教職員の確保ということを目的といたしまして、都道府県の負担とされており、また、この制度の下、広域の市町村を越えた人材配置も実施されているところでございます。
 続いて、資料11ページでございます。教職員給与費についての財源保障の仕組みということで、義務教育費国庫負担制度でございます。憲法の要請に基づいて、義務教育の根幹であります教育の機会均等、水準確保、無償制を国が責任を持って支えるための重要な制度でございます。先ほど県費負担教職員制度の御説明を申し上げて、給与負担の仕組みについて申し上げましたけれども、国が、都道府県、指定都市における教職員給与費の3分の1を国庫負担をして、その財源の保障を確実に行うというものでございます。
 資料12ページに移らせていただきまして、こちらは、今後の教職員の処遇の改善についての議論をいただくに当たりまして、教師に対してどのような役割が期待されているかということの御議論の題材といたしまして、まず、中央教育審議会における御議論を御用意させていただきました。
 令和3年の「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して」ということでいただきました答申の記述でございますけれども、まず、今後の子供の学びにつきましては、子供が個別最適な学びを進められるよう、教師が専門職としての知見を活用して、子供の実態に応じて、これまで以上に子供の成長やつまずき、悩みなどの理解に努めて、個々の興味・関心・意欲を踏まえた、きめ細かく指導・支援することが求められるという御指摘をいただいております。
 また、こういった子供の学びの充実に対応いたしまして、教職員の姿ということでも、教師が学校教育を取り巻く環境変化を受け止め、教職生涯を通じて、探究心を持って、自律的かつ継続的に新しい知識・技能を学び続けて、子供一人一人の学びを最大限に引き出す教師としての役割を果たすという方向が求められてございます。
 また、個々の教職員がチームの一員として組織的・協働的に取り組む力を発揮しつつ、校長のリーダーシップの下、家庭や地域社会と連携しながら、共通の学校教育目標に向かって学校が運営されているというような、教職員の今後の活躍の姿ということも御指摘をいただいているところでございました。
 13ページに進ませていただきまして、教育基本法における教員に関する規定でございます。第1条で、教育は人格の完成を目指しということで、全体の目的の規定が置かれた上で、9条でございますけれども、学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。また、その使命と職責の重要性に鑑み、身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならないと定められているところでございます。
 また、14ページを御覧いただきまして、いわゆる給特法でございますけれども、教員の職務と勤務態様の特殊性から、勤務時間の内外を切り分けることは適当ではないということから、時間外勤務手当は支給せず、教職調整額、給与月額の4%を本給として支給するということでございます。
 また、教員については、原則、時間外勤務を命じないこととし、時間外勤務を命ずる場合は、政令で定める特定の業務、いわゆる超勤4項目でございますが、これに従事する場合に限るということで定められているところでございます。
 資料15ページは、人材確保法、教員の給与水準の推移についてということでございます。いわゆる人材確保法の制定によりまして、教育職員に優れた人材を確保するために、教員の給与を一般の公務員よりも優遇するということが昭和49年の人材確保法で定められてございます。これに基づきまして、3次にわたる給与改善が行われたところでございまして、下の欄が、実際の一般行政職と比べた際の教育職員の給与水準でございまして、昭和55年度では7.42%の優遇措置という水準でございましたが、その後、一般公務員における職務の級の増加等々がございまして、相対的に優遇分が低下をしてございまして、直近では0.35%の状況ということで、僅かとなっているというものでございます。
 16ページのデータにつきましては、現在の教育職員の給与の実際の平均的な数値でございます。
 また、資料17ページでございますが、教師の給与水準を改善することに関する国民の意識ということで、文部科学省において行いました義務教育に関する意識調査の中で、公立学校の教師の給与水準を改善すべきかどうかという調査を行いましたところ、6割程度の回答が肯定的な回答であったというところでございます。
 続きまして、教師の勤務実態等についてということでございます。19ページは、こちら、教職員の配置の問題の御議論をいただいたときに御覧いただきました、学校が対応すべき教育課題が複雑、困難化しているという状況のデータでございます。
 また、20ページは、学校が抱える様々な教育課題につきましても、公立学校の状況というのが、国立学校、私立学校と比べましても、困難な状況がより高いというような状況がございます。
 また、21ページ以降でございますけれども、こちら、従前から御報告をさせていただいております教員勤務実態調査の結果でございますので、説明は少し簡略にさせていただきますけれども、23ページを御覧いただきますと、業務内容別の在校等時間ということでございます。小学校では、授業準備、学校行事において差が大きいという状況もございました。中学校では、部活動、授業準備、学年・学級経営において差が大きいというような状況もございます。
 また、25ページを御覧いただきますと、先ほどは通常期のデータでございましたが、長期休業中、8月の夏休み時期の勤務状況ということでございますけれども、平日のうち所定の勤務時間を勤務した日数は、小学校で5.6日、中学校は8.4日ということで、それ以外は年休等を取得されている状況もございます。
 また、資料進みまして、27ページを御覧いただきますと、時間帯別の業務ということでございます。こちら、27ページは通常期のデータでございますけれども、ブルーの、青い帯のところが、授業、学習指導、生徒指導等の活動でございますが、児童が在校している時間につきましては、こういった活動の割合が高く、また、児童が下校した後の時間につきましては、授業準備、成績処理、事務等の業務を実施する割合が高いというところでございます。
 28ページは、こちら、8月、長期休業中の状況でございまして、先ほどのデータと比べまして、多くの時間帯におきまして、授業準備、成績処理や事務等の業務を実施する割合が高いという状況でございます。
 また、29ページでありますけれども、教師の時間の活用に関する意識ということでありまして、今よりも業務時間が短縮された場合に、空いた時間をどのように使いたいかという問いに関しまして、業務外のプライベートの時間を充実させたいという回答が、小学校、中学校で5割程度いらっしゃる一方で、また、さらなる授業準備や教材研究等に充てたいということで、業務の質向上に向けた意識ということも、全体で4割から5割いらっしゃるという状況でございます。
 以上、資料1、御説明させていただきまして、続いて、資料2の論点を御覧いただければと思います。教師の処遇改善の在り方に関する論点でございます。
 まず、1番の総論でございますけれども、全国的に教師不足の課題が指摘されている状況等がある中で、教師に質の高い人材を確保することが必須であり、抜本的に教職の魅力を向上させることが求められているというところでございます。
 本特別部会におきましても、これまで緊急提言のおまとめもいただきましたし、学校における働き方改革のさらなる推進、また、学校の指導・運営体制の充実等につきまして精力的な御議論をいただきましたが、こういった課題に取り組むことに加えまして、教職の魅力を向上させるために、人材確保法の趣旨も踏まえて、教師の給与に関する制度の枠組みの見直しを含めて処遇改善を図っていくことについてどのように考えるかということでございます。
 2番の各論でございますが、まず、(1)教師の職務の重要性等を踏まえた処遇改善の必要性についてでございますけれども、教師が子供たちの人格の完成と我が国の未来を切り開く人材を育成するという極めて複雑、困難な職務を担っているという中で、今後さらに学校教育に求められている社会的な期待があるということに対応して、専門的な知識、技能等が求められる高度専門職である教師の職務の重要性を踏まえた処遇改善の必要についてどのように考えるかということでございます。
 また、さらに、教師の給与を一般の公務員よりも優遇することを定めた人材確保法の優遇分が現在は僅かになっている状況ですとか、近年の教師不足への対応としての教職の魅力向上の必要性等を踏まえ、教師の処遇改善についてどのように考えるかということでございます。
 さらに、(2)の教師の職務、勤務態様についてでございます。学校が対応すべき教育課題が多様化・複雑化しているという状況がございますし、また、個別最適な学びをはじめとして、新たな学びの実装化、社会変化に伴う新たな教育課題への対応等の中で、教師が専門性を最大限に発揮して、これらの状況に対応していくための職務の在り方、とりわけ業務遂行の在り方についてどのように考えるかということでございます。
 その際に、教師は、一人一人がそれぞれ異なるとともに、成長過程にあり、日々変化する目の前の子供たちに臨機応変に対応しなければならないことについてどのように考えるかということで、効果的な指導を可能とするような教師の業務遂行の在り方についてということの論点でございます。
 また、2つ目のパラグラフですが、高度専門職であるということに加えまして、必要となる知識、技能も変化し続ける教師に学び続けることが求められるわけでございますけれども、授業準備、教材研究等の教師の業務が、どこまでが職務で、どこからが職務ではないのかということを精緻に切り分けて考えることができるかどうかなど、その業務の性質についてどのように考えるかということでございます。
 また、3つ目に、子供たちが在校している時間と、長期休業期間等の子供たちが在校していない時間が教師の勤務時間内にございますけれども、後者の時間においては、どのような業務をどのようにどの程度まで行うかについて、個々の教師の裁量、判断の余地がより大きいという中で、その勤務態様についてどのように考えるかということでございます。
 また、多様な児童・生徒を対象とする公立学校の教師の職務の在り方、処遇の在り方についてどのように考えるかということであります。
 最後に、学校の中でも、教師によって学級担任、不登校、いじめ、特別支援教育、GIGAスクール構想の推進等々、業務の内容、また、負荷が様々でございます。こういったことについて、どのように処遇としても考えていくのかという論点でございます。
 事務局からは以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局より御提示いただきました資料2の論点を中心といたしまして、委員の皆様から御意見等をいただきたいと存じます。御意見等ある方は、対面で御参加の方も含めまして、手を挙げるボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから順次指名をさせていただきますので、ミュートを解除いただいて、御発言をお願いいたします。
 なお、本日はこれまでの会よりも意見交換の時間を長く取ることができる予定です。ですから、なおのことできるだけ多くの委員の皆様から、可能であれば、複数回の御発言の時間も取れるようにしたいと存じます。引き続き恐縮でございますが、1回の御発言はお一人当たり3分程度としていただきますようお願いいたします。また、御発言の際は、大きな声で明瞭にお話しいただけますようお願いいたします。御発言が終わりましたら、手を下げるボタンを押して、挙手を取り下げていただきますよう、御協力をお願いいたします。
 では、こちらから御指名いたします。まず、戸ヶ﨑委員、そして秋田委員の順番でお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  まず、教師の職務の重要性や困難性を踏まえ、処遇改善が必要であることは当然ですが、教職は崇高な仕事であるという人材確保法や給特法の精神は、今後もしっかりと維持していく必要があると考えております。教師の仕事は、労働条件や給与面の改善だけでなく、子供の幸福を実現し、よりよい社会のために貢献する、その生きがいと使命感などが教師たちを支えているはずです。人の一生を左右する影響力や人格形成、成長に関わる喜びといった、教職に伴う意義、特性は他の職業には見られないと思います。
 私は、毎年、新任教師に対して、「教員の専門家としての知識や指導力を備えた優秀な教師になってほしいのだけど、ときには少しくらい荒削りであっても、積極的に子供たちとふれあう中で、人間愛に満ちた心の広さ、温かさ、そして厳しさをも合わせもった魅力ある教師を目指してほしい」と伝えています。
 そもそも教職の性質は全人格的なものであって、日々変化する目の前の子供たちの状況に応じて臨機応変に対応する、「教育的タクト」とも言える能力が求められています。したがって、一般の行政職等とは異なり、教師自身の自発性・創造性に委ねるべき部分が大きいと思います。そうした職務の特殊性のもと、誇りを持って生き生きと働く姿にこそ、学生たちが魅力に感じ、教職を志す大きな動機となり得るものと考えます。
 また、高度専門職業人である教師は、時代の変化に応じて学び続けなければならないことは言うまでもありません。このため、日々の教師の業務が、どこまでが職務で、どこからが職務ではないなどと精緻に切り分けて考えることは極めて難しい、というより、そもそもすべきではないのではないかなとも思います。
 さらに、教師には、時期によっても業務内容に大きな差があります。特に長期休業期間等の子供たちが在校していない時間においては、個々の裁量によって判断する余地が大きい等の勤務態様の特殊性があります。こうした点が、先程の職務の特殊性と相まって、高度専門職業人としての教師の業務の在り方を形作っているわけで、その点は今後も尊重されてしかるべきと考えます。
 また、私立や国立の学校は入学者選抜等により、その学校を希望した子供たちが入学してきます。特に私学には建学の精神があり、子供たちも教師もその前提のもと選択をして所属しています。一方で、全ての子供たちを受け入れるという公立の小中学校等の果たす役割は極めて大きいものがあります。学力はもちろん多様な子供たちがおり、定期的な人事異動の際は、その地域や人に触れながら背景等の異なる子供たちへの理解を深め、臨機応変に対応していく必要があります。地域に根差していることから、地域活性化や防災の拠点としての役割に加え、ときには福祉的な役割を担うこともあり、私立や国立と同じ勤務制度を適用することは、その性質上は馴染まないのではないかと思います。
 次回以降の議論に向けて、教師によって業務の内容や負荷が様々であることについては、負担を均一化する努力をしなければなりませんが、それぞれの専門性を生かすという観点も重要です。これまで申し上げてきましたが、ミドル以上の層が、様々な課題に組織的に対応したり、また、若手教師のサポートを行ったりする取組を位置づけるとともに、その業務に見合った処遇とすることが必要と考えます。また、特に、いじめ問題の解決や悩み相談、多岐にわたる保護者の要望対応など、いわゆる3分類に現れない業務が、ときとして教科指導等の教師の本来業務よりも質的にも量的にも負担が大きくなる場合があります。このように、学級担任の負担は大きなものであり、かつてのように担任を希望する教師がこのところ減少していることを危惧しています。こうした学級担任に特化した処遇改善についても、しっかりと考えていく必要があると思います。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 では、秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】  ありがとうございます。今の戸ヶ﨑委員のお話にもございましたが、やはり教職員が日本社会を創る子供たちを育成していく要である、そういう意味での職務と責任の特殊性というものを、きちんと報酬、給与の中に反映すべきであるというふうに考えます。
 例えば、給特法の4%の調整額が決まった昭和41年は、勤務実態調査に基づいてこの4%が決められています。現在、先ほどのグラフ等でも、朝7時から夜19時までの教員の時間が自明のようにグラフで問われているというのは、明らかに8時間労働の発想を超えているわけであります。
 そうした勤務実態の調査が今回も行われているものなどを参考にしながら、明確にそうしたものから現在の給特法の調整額が4%が妥当であるのかというものをきちんと検討し、そして、昭和55年に人材確保法で7.4%上がったのが、いわゆる1980年、高度経済成長のときでありまして、それから既に40年余りこれが確保されていないわけであります。
 今本当に教員の確保が必要になっているということを考えますと、7.4%どころではなく、もっと最低9%とか、8%9%の人材確保のために処遇を改善するような具体的な数値を出して今後検討していくということが、この45年の中でどれだけ教師の負担が、ICTをはじめ、また、子供の多様性、家庭の多様性などで生じているのかということを社会に明確に訴えかけ、そして、再度、給与の処遇の改善ということを具体的に示していくということが必要ではないかと思います。
 私は私立大学で初等を中心にしながら教員養成に今関わっておりますが、残念なことに、初任給の安さや給料という面で教員を諦めていく学生もいます。それから、ブラックだということで、せっかく資格を持ちながら諦めていく学生をたくさん見ております。
 そうしたところを考えますと、やはり高度専門職である、例えば、医師の初任給、それから、弁護士の初任給なども、私は、俸給表で見ましたが、医師等では、教員の4級5段階ではなく、よりもっと具体的に10段階とかになっているわけです。もっと職務を具体的に合わせて考えていくということが必要であります。
 また、もう1点だけ、最後に、特別支援の学級を担任しますと調整額がつきますけれども、今現在、通常級の中に特別な配慮を要する子供たちがどれだけたくさん増えてきているのかということを考えましても、この調整の在り方ということに関しても、やはり処遇にそれを反映していくということが全般に、どこの学級というだけではなく、必要だと考えております。
 また、夏季は、教員は固有の研修の権利というのを持ってございますので、それをきちんと保障していくためにどうしたらいいのかというようなところの時間としても、学校の裁量や個人の裁量という教師の自律性というものを生かしていくべきであろうと考えます。
 少し長くなりましたが、以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 この後何名かの方に御意見をいただいた後に、事務局のほうで何かコメントがあればということで、安井課長に必要に応じてお返ししますので。
 では、続きまして、金子委員、お願いいたします。
【金子委員】  金子です。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。私から、各論の2つの点についてそれぞれ意見を申し上げたいと思います。
 まず、1点目の教師の処遇改善の必要性についてですが、今日の頂いた資料1の13ページに教育基本法の記載がありましたけれども、この9条2項にあるとおり、「その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに」云々と記載があります。まさにこの考え方を堅持して、教師の目指す姿と、それに合う処遇を考えていくということが必要だと思います。
 また、15ページには人材確保法が触れられておりました。この法の、優れた人材を確保するため、といった趣旨に鑑みて、学校の教職員の給与について特別の処置を定めるということが、結果的に学校教育の水準の維持、向上につながるのではないかと考えております。
 これらの法的な趣旨の観点から、給与月額、また、義務教育等教員手当の引上げなど、高度専門職にふさわしい労働条件の改善を検討すべきではないかと考えております。
 そして、2点目の観点、教師の職務と勤務態様について、先ほどの説明でもありましたが、長期休業期間とか、子供たちが在校しない時間については、個々の教師の裁量によって判断する余地が大きい。このようなことだったと思いますが、実際には、年間を通じた業務量というのは現状では縮減されておりませんので、長期休業期間に裁量を発揮する機会はほとんどないと現場からは聞いております。
 民間企業でも、裁量労働で働く職種というのは多々ありますが、その対象者というのは、業務の性質上、その遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるものに限定されております。
 また、労使協定や、労使検討委員会などで決められた労働時間という定義においては、相応の時間外労働時間をあらかじめ組み込んで裁量労働手当を支払うケースが大半です。
 さらに言えば、民間企業では、自己研鑽であっても、全員参加、また、会社の指示・命令によって実施されているような職場での活動においては、労働時間と認定されるケースが増えております。
 こうしたことに照らし合わせて給特法を見てみると、超勤4項目以外を教員の自発的行為だとか、自己研鑽の時間と整理しておりますが、民間企業の裁量労働との整合を図る上でも、これは少し見直す必要があるのではないかなと考えます。
 さらに、国立大学法人の附属学校や私立では、既に労基法が適用されています。時間外勤務手当が支給されているということを踏まえますと、上限指針の遵守及び在校等時間の削減について、教員に労基法の37条を適用して、所定勤務時間を超えた労働時間を時間外労働とカウントした上で、現状の教職調整額との整合性を検証するなど、給特法を抜本的に見直すことも検討すべきではないかというふうに考えております。
 もう1点、後段に、教師によって業務の内容や負荷が様々であることへの対応ということがありましたが、これも、教師が本来業務に専念できる環境整備が重要ではないかと思っています。
 これは、ここまでの議論でもあったように、単なる業務の付け替えではなくて、養護教員や事務職員等の定数改善はもとより、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、また、教員業務支援員など、スタッフ職の配置、拡充なども行いながら、まさにチーム学校が十分に機能していくための方策を考えていくべきではないかと考えております。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 この後御発言いただく順番を確認させていただきます。今の金子委員に続きまして、荒瀬委員、橋本委員、川田委員、善積委員、妹尾委員の順番で御発言をいただきたいと思います。
 では、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】  ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。
 論点の各論にもあるんですけれども、私、処遇改善というときには、少なくともお金の改善というのはもちろんとても大事ですし、もう一つ、時間の確保という、この両方が非常に重要ではないかと思っております。
 給与の改善が図られることは、これは本当に必要なことかと思いますし、それを確認した上であえて申し上げたいんですけれども、現場の先生たちと、私が話す範囲ではありますが、話をしておりますと、時間が欲しいという声がとても強くあります。責任を持って誇り高く働くという上では、学び、学び合うための時間が必要になってきます。
 これは令和3年答申が先ほど御紹介ありましたけれども、令和4年答申にも、あるいはその前の審議まとめにも、中教審の議論の中では全てそういったことが示されています。課題探究型の授業であるとか、あるいは、子供一人一人を主語にする学びの充実、そのほか様々な教育課題がある中で、それらに向けて教職員自身が学び、学び合うということが非常に重要です。
 これまでの議論の中では、令和4年答申に向けた中で、例えば、サバティカルについての御発言もありました。また、夏休みの使い方も考える必要があるという御指摘もありました。現にプール開放をやめた小学校では、落ち着いた研修が可能になっています。給与、これは本当に大事ですので、しっかりと考えていく必要がありますが、それとともに、教職員が学び、学び合う時間の確保を含めた議論が重要であると思っております。それが教職員のウェルビーイングにもつながり、その教職員のウェルビーイングが多様な子供一人一人のウェルビーイングに具体的に反映していくと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。時間というリソースも処遇改善の重要な一翼であるという御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 では、続きまして、橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】  ありがとうございます。橋本です。
 各論点というよりは、総括的な意見になりますが、これまでの議論を通じて、教師の処遇改善に向けて何らかの対応が必要であるということにつきましては、ほぼ共通理解があるのではないかと思っています。また資料にもありましたとおり、国民の意識としてもそのような理解があると想定されると思います。
 現場を取り巻く課題が複雑化して、確かに給特法が定められた1971年と比べますと、教師の業務量というのは明らかに増えておりますし、これはDXなどによる働き方改革の徹底を前提にして、処遇の改善も何らかの形で図っていく必要があるというふうに思います。
 もちろん処遇を改善したからといって、働きがいや教師の魅力向上に直結するというわけではないかもしれませんが、教育現場に質の高い教師たる高度な専門人材を増やすためには、特にこれから教師を目指そうとする層を意識しますと、一般の公務員はもとより、一般の企業と比べても魅力ある水準、遜色ない水準へ改善していくことが不可欠ではないかと思います。
 ただ、具体的にどう制度設計をするかということになりますと、かなり困難が伴うと私は思います。例えば、先ほどから出ておりますが、時間外勤務は我々のような一般企業の世界であれば、管理職がそれぞれ部下の業務の状況を把握して、指示・命令をした残業に対して残業代を払いながら、生産性向上と労働時間の短縮に向けた働き方改革の進捗状況でその管理職を評価するという仕組みがありまして、これはこれである意味、単純なのかもしれません。
 また、先ほどから議題にあった社員の自己研鑽につきましても、基本的に給与は払いませんが、一方で、自己研鑽による個人の努力は、その個人の能力アップにつながり、それが職務上の成果につながっていくことで、昇格などの人事面で評価ができますので、一定のインセンティブがあると思います。
 一方、教師の場合は、先ほどからありますように、子供ごと、教師ごとに課題が異なっている。また、その対応も千差万別であって、なおかつ、迅速な対応が必要とされる場面も多い。また、専門職としての自律性、専門性が求められると同時に、尊重されなければなりませんので、管理職による厳密な時間管理にはなじまないというふうに私は思います。我々民間の会社とはちょっと違った議論が必要なのかなと考えています。
 授業をはじめとして、教師としての専門性を発揮する、いわゆる本来業務につきましては、例えば手当の支給なり、何らかの方法で水準の底上げを図っていくということが必要と思う一方で、ちょっと言葉が適切か分かりませんけれども、雑用的なものについては、教師の負担感が強い様々な業務を減らしていくための業務改善のインセンティブ、そして、教師の心と体の健康や心理的安全性を確保して、学校現場のウェルビーイングを高めていくインセンティブというのは、何らかの形で内在しなければいけないと思います。それは管理職であるマネジメント層に持っていただくということになるかと思いますけれども、そういう仕組みづくりが必要だと思います。
 民間で働き方改革をやってきた経験からいいますと、この業務は必要ないな、あるいは、この業務はもっと効率化できるなと仮に社員が思ったとしても、それを社員が自分から申し出るというケースはほとんどありません。基本的には、与えられた業務を、こんなの要らないかなと思いながらも黙々とやっている。あるいは、過去から引き継いだ業務を、何の改善もなくそのまま続けてやっていくというケースがほとんどだと思います。
 私は上からの改革といって働き方改革を進めたんですけれども、管理職がこれは必要ないという判断をしない限り、非効率な、あるいは時代が変わって、不必要になった業務が減っていくということはなかったという経験があります。
 したがって、働き方改革を進めていくためには、管理職のインセンティブ、あるいは、その管理職が進める業務の効率化に対する評価というものがどうしても必要かなと思います。
 なおかつ、勤務実態調査でいろいろな実態が見えてきましたけれども、これは全国平均の姿であり、個別の市町村や学校ではどうなっているかということについては、なかなか可視化できておらず、透明化するのは難しいと思いますので、共通の促進剤みたいものを制度の中にビルトインさせて進めていくことが必要じゃないかと思います。
 ただ給与を上げて、雑用が減らないということになりますと、今までと全く同じで、給与だけが増えて、財政負担が増えるというだけになりますので、やはりセットで進めていくためには、教師の専門性、自律性を担保しながら、何らかの形で給与を上げていくということと併せて、いわゆる勤務環境の改善といったものを進めないと、なかなか処遇の改善につながらない。それはひいては教師の魅力、あるいはこれから教師を目指そうとしている人たちの、教師を目指す気持ちの改善にもつながらないと思います。
 ちょっと大ざっぱな意見ですけれども、以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。処遇改善ももちろんのことながら、主体的に判断できるようなインセンティブの仕掛けをしっかりとつくっていかなきゃいけないんじゃないかという重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 では、川田委員、お願いいたします。
【川田委員】  ありがとうございます。まず、資料の2で上げられている論点に関しましては、論点としてどう考えるかというような形を取っておりますが、この特別部会、あるいはそれ以前から関連する、あるいは類似性のあるテーマについての検討の過程で論じられてきた主要な論点であって、基本的には、このような論点で検討を進めていくということで良いのではないかと考えております。
 その上で、若干補う形で2点ほど述べたいと思いますが、1つは、この処遇のうち、給与に関しても、関連する法制度という観点からいうと、基本になる地方自治法、地方公務員法のほかに、人確法、給特法など、様々な関連する法律がある中で、法律的な観点からの制度も踏まえながら、処遇改善を必要とする状況について、今の時点でどうだということを改めて検討するということは重要だと思います。
 既に資料の1の中でそのようなものがかなり出ておりますが、制度的な観点を中心に付け加えると、例えば、人確法に関して、資料1の15ページの右下のあたりで、行革推進法制定、平成18年というのを一つの節目として、優遇の比率が2.76%から下がっているというようなことが書かれています。
 この平成18年のタイミングで教職員給料の在り方に関するワーキンググループというものが設けられて、検討がされたというような経緯がありますが、このときには、審議の中で出てきた資料として、例えば、人確法制定当時と、この検討の直近の状況を比べると、教員の採用試験の競争倍率がむしろ上がってきているというようなデータが示されたりしたような状況もあり、明らかにこうした点は今日とは状況が違っているわけです。
 そのほか、ちょっと簡単に言いますと、例えば、制度的な観点からは、かねてから教員の給与は、給料表の級の数が少ない。いわゆる鍋蓋型というようなことが言われており、それが長く働いたときに給料が上がりにくい要因の一つとされてきているわけですが、この点については、地方公務員法も含めた給与制度の改善の中で、例えば、初任給とか若手の給与を手厚く上げていくことに重点を置くなど、勤続年数で単純に右肩上がりで給料が上がっていくということをどちらかというと抑制するような制度の運用が近年あるように思われ、その中で相対的に職務の級が上がることで給料が上がるという点の重要性が高くなっていく中で、先ほど述べた、教員の場合には、級が上がることでの給料上昇が見込みにくいという問題が近年大きくなってきているのではないかとか、人確法の場合には、一般の公務員との比較であるわけですが、例えば、教員と一般の公務員の間の学歴というのも、一般の公務員のほうが相対的に学歴の上昇寄与の度合いが大きく、これが教員の給与が優遇されている状況を打ち消すような方向に働いているのではないかなど、幾つか考えられると思いますので、そういったことを踏まえながらさらに検討していく必要があるかと思います。
 もう1点挙げようと思っていたのは、一言で言うと、処遇改善というのを、給与と、それから、既に議論の中で出てきていますが、働き方をより魅力的なものにしていくということと併せて見ていく必要があるだろうということですが、ちょっと大分時間もたってしまっていますので、今日この後か、また次回以降、適切なときにより詳しく述べられたらと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  会議の運営に御配慮いただきまして、ありがとうございます。
 では、オンラインから善積委員、お願いいたします。
【善積委員】  ありがとうございます。
 荒瀬委員の御意見にとても賛成いたします。みなしの割合なども時代に応じて見直すべきだとは思うんですけれども、給与だけで民間企業などなどと勝負するのは難しいと思います。教員の仕事のやりがいを感じてもらうということに力を入れて取り組むということはとても大事だと思っています。私自身も裁量労働の立場で、給与体系も教職員の方と似たようなところがあります。自分を振り返ってみると、何よりやりがいだったり、仕事に対しての外部からの評価、あるいは学びの時間、自分の力を高めるための時間が確保できるかどうかというのは非常に重要でして、そういうことがしやすい業務環境を考えるということはもう絶対的に必要かなと思っています。
 でも一方で、今日、今回文部科学省の方からいろいろ資料説明を受けまして、優遇措置が設定されている、それも法律に基づいてということなので、その比率には何らかの根拠があってのことだと思いますし、その割合が減っているということであれば、現状に即しながら原因も分析するという、先ほどの御意見も踏まえてですけれども、適切に確保できるようにするのが法に基づく趣旨だと思っています。
 ただ、優遇措置がそれだけされているということは、12ページに書かれていたそれだけの職員の姿を満たすということが求められていくということで、実は非常に大きなテーマが投げかけられていることにもなると思っています。今、現場を見ていますと、正規の教職員、教員の方であったり、正規雇用の講師の方であったり、若手の方であったり、様々な方がいらっしゃるんですけれども、現場ごとに切り取ったときに、教えることや指導することで現場が大きく差が出てしまうということはよろしくないわけです。アウトカムとしてある程度の水準を必ず確保するということが学校としては求められる質だと思うのですけれども、これが例えば給与が異なる方たちにも同じレベルのものを一遍にできるようにすることが果たして求められているのかどうか、経験年数でもどうしても差が出てしまうのはしようがないかもしれないと思うわけです。
 そうすると、正規雇用の職員の方というのは、講師の方や若い方への指導なども含めて、現場が同じ水準で業務遂行されるように取り組むことを評価するべきだと思うんです。とすると、その辺りの評価が今は曖昧でして、育成とか、あるいは教える技術とか、生徒指導も含めた指導力とか、保護者の信頼を得る対応力だったり、あるいは組織貢献とかも、本来は学校で組織を同じ水準、アウトカムまで持っていくためのものとしていろいろやることがあると思うんです、減らすことも含めてですけれど。そういったものがなかなか評価されていないので、結果的に校長先生の負担も大きくなってしまっているのもありますし、教頭先生もそうですけど、そこもきちんと給与とセットで考えていく時期に入ってきているのかなと思いました。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 では、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。私からは、3点か4点ほど申し上げたいと思います。
 1点目は、今回、論点の総論だとか各論の1番に全般に関わることですけれども、この部会全体ですけれども、処遇改善が必要というためには少なくとも2つのロジックというか、現状認識がしっかりしていないと駄目だと思います。一つは、そもそも今質の高い教師を確保できていない、あるいは今後確保する上で障害があるという事実認識が一つ。2つ目は、その主たる要因の一つとして給与の水準あるいは給与制度というのが影響しているんじゃないかという前提があると。この2つが本当に正しいのかどうかということについては、ちょっと検証が難しいところは多々ありますけれども非常にぐらぐらしているというか、今回も合わせて9回あるんですけれども、その辺りがはっきりしていないというところが非常にずっともやもやしております。
 関連して申し上げますと、御案内のとおり公立小学校の新卒の受験者は、近年はそれほど減っていないという現実があって、ですから、そんなにそっぽを向かれているわけではないということがあります。ただし中学校と高校はまた別で、高校なんかはずっとダウントレンドですので民間等に逃げている可能性があるということです。
 あるいは、龍谷大学の松岡先生が令和4年10月に中教審の部会でも報告されていましたが、小学校教員の出身大学が比較的入りやすいほうが増えているということで、大学のそういうランクとかだけで判断するのは危険ではありますけれども、優秀な人材が逃げている可能性は確かにあるかもしれないけれども、その辺も確たるとしてないというところはもうちょっと理論武装しないと財務省等で蹴られる可能性が高いと思っておりますので、これは難しいですけども今後考えていかないといけないと思います。
 ただ、とはいえ、今採用者に占める民間の経験者が小学校・中学校で3%前後しかないということで、民間からもあまり転職する上で魅力的な職場だと思われていない可能性があるということです。もちろんこれは免許制度というハードルも高いとかいろいろな要因があると思うのですけれども、その点もありますし、あと、大学生向けの調査を……。
【貞広部会長】  妹尾委員、聞こえますか。ちょっと安定していないようなんですけれども。
【妹尾委員】  すみません。聞こえますか、聞こえてないですか。ちょっとネット環境が悪いんですかね、ごめんなさい。大丈夫そうですか。
【秋田委員】  恐らくネット同士では聞こえているのですけれども、文部科学省と聞こえていないのだと思います。
【貞広部会長】  どうしましょうか。ネット同士では大丈夫なのですが。
 大丈夫そうですか。では、いいですか、続けておいて。
【貞広部会長】  すみません、妹尾委員、こちらが一瞬切れてしまって、民間企業の出身者が3%から4%ぐらいしかないという辺りからもう一度お話しいただけますでしょうか。
【妹尾委員】  すみません、時間が超過している中、なるべく短く申し上げます。
 採用試験で採用者に占める民間経験者というのが、小学校と中学校で3%前後しかないということは、民間の経験者にとっては小学校なり中学校の教員というのがそれほど魅力的じゃないという可能性もあります。もちろん免許制度のハードルが高いというのもあると思いますので、そういったことからも、もっと処遇のことも含めて考えていくというのはもちろん大事かもしれません。あるいは大学生向けに調査をしても処遇が心配だという声はあるので、そういったこともひっくるめてきちんと事実確認をもっとしっかりしていこうというのが1点目で申し上げたいことです。
 2点目は、そことも関係しますが、魅力向上といったときに、処遇の問題もあるし、仕事の内容だとか成長実感という問題もあるし、今日もありますように自由度とか裁量とか、あるいは学びの時間がしっかり取れるかどうかといったようなこともあると思うので、その辺もしっかり整理しながら話をしていく必要があると思います。
 3点目に、以上のこととも関係するんですけれども、本当に最重点課題というのが正規の教員の処遇改善なのかどうかというところはぜひ議論していただきたいです。今、教師不足と言っているのはほとんど講師不足ですので、非正規雇用教員の処遇の問題のほうが私は深刻ではないかと思ったり、あるいは、以前も報告しましたように教員以外のスタッフ、スクールソーシャルワーカー等の処遇も非常に低いというような問題もありますので。もちろんどれも全部できれば一番いいですけれども、そんなお金はどこにあるんだという話を考えますと、より重要視するべきところはどこなのか、あるいは正規職の中でも特に若手のほうにもっと配分しないといけないとか重点の置き方をもっと考えないと、理想だけ言っていても駄目だろうとは思います。
 4点目です。もう皆さんおっしゃっているとおりですけれども、絶えず研究と修養に励みという教育基本法の理念が十分実現していないというような、OECDのTALISの調査でも職能開発は日本の教員は非常に低いところもありますので、授業準備もなかなか十分にできないという現実がありますので、その辺りも含めて処遇改善とともにしっかりしていきたいなと思っております。
 以上です。すみません。
【貞広部会長】  途中、申し訳ありませんでした。発言を繰り返させてしまって申し訳ありません。
 では、会場から吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  吉田でございます。私は、皆様方がおっしゃっていることは本当にもっともだなと思いながら伺っておりました。
 自治体の長として見ているところの視点からお話をさせていただきますと、例えば私のところの市役所ですと教育委員会は4階にあるのですが、4階はいつも夜遅くまで電気がついて、ほかが消えても4階だけはずっと電気がついています。結局それは何かというと、各学校の様々な課題があるという中で、教育委員会がどうしても遅くまで仕事をということは、現場でも同じように遅くまで学校に明かりがついているという現状がございます。
 それは様々な問題があって、先ほどの資料、これは本当によくできている資料で、いろいろ改めて勉強させていただいたなと思ったのですが、お子さんを取り巻く環境が複雑化し、多様化し、そういったことに先生方がいろいろといつも直面しているわけなんですが、ただ私は、日本の教員、先生方のすばらしさというのは、まさに教育基本法にも「自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み」と書いてあるのですが、教員として教科を教えるというだけでなく、子供たちに向かう全人的な人間としての一つのあるべき姿みたいなものを子供たちに示しているのではないか。つまり、学校でいろいろな問題が起きる、その問題に対して保護者のことも含めて教員が対応しているということは、実はそれがまさに教員の崇高な使命であり、研究と修養でもあるのかなと、私は見ていて感じるところなのでございます。
 そういう観点からいうと、私もこの資料で給与水準を拝見させていただきましたけども、巷間言われているのは、いや、地方公務員より教員のほうが給料は高いんだよ、高いんだよと言われてはいたものの、この数字を見てこれが実態かと、やっぱり低過ぎるんじゃないかなと思います。しっかりとこういったところから処遇改善をしていかないと、本当にますます人材確保は難しくなってくるのではないかということを実感いたします。
 地域社会は、学校に対する期待というのが非常に大きいんです。地域の人々にとって公的施設のどこがよりどころかというと、役所じゃないんですね、学校なんです。学校がまさに地域にとって、おじいちゃん、おばあちゃんから小さなお子さんまで含めて、そこが一つの公的なよりどころになっている、そこに働く先生方は非常に信頼されている、昨今いろいろな問題がありますけど、ベースは、学校の先生に対する信頼というのは、非常に地域社会は高いものがあると私は感じております。
 ぜひこれは給与水準等も含めてしっかり見直しを図っていただきたいですし、まさに教育基本法の9条に「絶えず」という言葉がありますけど、絶えず研究と修養に励むんですから、私は、当然勤務というのは切り分けて考えることができないものだろうなと思うところでございます。個人個人の処遇改善と同時に、先ほどから出ているように学校環境を充実させないと先生方の負担というのはなかなか減らない、そのためにはスクールソーシャルワーカーであるとか学習指導員、部活動の支援員等も含めて環境をしっかり整えると、そのためには予算をしっかり獲得して、引き続き地域にとって学校がよりどころであると、その学校にしっかりと予算をつけていくということは国として必要なことであるということですので、これは市長会としても大いに訴えていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。首長のお立場から、地域のよりどころとしての学校に、教員の給与も含めてしっかりとお金をつけていくべきだという御意見をいただきました。ありがとうございます。
 この後でございますけれども、吉田委員の後に鍵本委員、青木委員、露口委員、植村委員、齊藤委員、藤原委員、澤田委員の順番で御意見を頂戴したいと存じます。
 それでは、オンラインから鍵本委員、お願いいたします。
【鍵本委員】  岡山県教委の鍵本でございます。お時間もありますので、私からは2点申し上げたいと存じます。
 まず、昨年度の調査研究会の際にも申し上げたことではあるのですが、教職員の長時間勤務の状況は、全国的に学校の先生方の工夫と努力によって改善の方向にはあるとはいいましても、依然厳しい状況がございます。当然さらなる働き方改革に取り組んでいかなければならないことは、これはもう言うまでもないことでありますけれども、教員の処遇に関連しまして給特法について申し上げるならば、学校現場の状況が大きく変わっていく中で、給特法の教職調整額の率が、先ほどの秋田委員のお話にもございましたが法の成立当時のままでありますことには、学校現場の不満は大変大きいものがございます。
 現在、私どもは任命権者としまして教員採用試験を実施し、優秀な人材の確保に向けて努力しているところでありますが、教員不足の状況や教員採用試験の倍率低下は、先ほど来お話がありますように年々大変厳しいものがございます。給与だけで人が集まるわけではございませんが、子供たちの人格の完成と我が国の未来を切り開く人材を育成するという極めて重要な職務を担う教員に対しまして、その職務の重要性がしっかりと評価されることは教職へのリスペクトにもつながり、教職を希望する人材の増加にもつながっていくものと強く考えているところでございます。教員の処遇がその職務の重要性に応じたものとなりますよう、人材確保法の趣旨を踏まえた処遇改善をぜひとも図るべきだと私も考えているところでございます。
 次に、2点目でございます。教員の職務は、先ほど来お話がありましたように教員の自発性、創造性によるところが大変大きく、どこまでが教員の勤務であるかということを判断することが大変難しい状況にあることは、これは給特法成立以来、何ら変わっていない点であると考えております。むしろ、不登校傾向にある子供たちや様々な支援を必要とする子供たちなどが1つの教室の中に多様な子供たちがいる状況の中で、授業準備のみならず、生徒指導等においても教師が気を配らなくてはならない事柄は格段に増えてきております。こうした一人一人の子供をどこまでどのように指導するかについては、それぞれの教員の考えによるところでありまして、教員の職務の勤務時間の内と外を切り分けることは極めて難しいと考えております。現状の学校で管理職がこうした教員の時間外勤務命令や、あるいはその管理を行うことはかなり困難なことでありまして、勤務時間の内外を切り分けることが難しい中で、あえてそれを行うようなことがありましたら教職員間に無用なあつれきを生じさせることになりまして、学校現場に混乱を起こすことになるのではないかと心配しているところでございます。したがいまして、今後は教職の魅力向上に向けて、給特法の枠組みの中で人材確保法の趣旨を踏まえたメリハリのある処遇改善を進め、同時にさらなる働き方改革の推進や定数改善、支援スタッフの充実に一体的に取り組んでいくことが重要であると考えるところでございます。
 私からは以上でございます。
【貞広部会長  ありがとうございます。人材確保法に基づいたメリハリのある処遇改善が重要ということ、またはそれらの、その他の要求にも目配りをしながら総合的に進める必要があるということを改めて御確認いただきました。ありがとうございます。
 では、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  東北大学の青木でございます。
 今回、処遇改善というのが論点ですけれども、給与、それからそれ以外の自由度や裁量、時間に関わる論点、この2つに分けられるということと理解しました。この分け方は非常に良いことであると思います。
 その上で、まず、給料表に関わることを少し申し上げたいと思います。妹尾委員も先ほどおっしゃったことと重なりますが、優秀な人材をどこから得るかということを考えますと、昨今の情勢を考えますと官民の間の給与制度の接続を意識するというのが大事だと思います。言い換えますと、フルタイム、新卒採用、終身雇用を前提としないような給料表の在り方、給与制度の在り方というのを考えればいいと思います。
 ただし、抜本的に給料表を変えるというよりは、現行の教員の給料表を少しアレンジすれば対応できるのではないかと私は考えています。具体的に申し上げますと、中途採用者にもマッチできるように現2級では対応できていないことがあると思います。昇給カーブが緩やかになるタイミングが現行は早いのではないかと思いますので、その辺りを工夫する余地があるのではと思います。
 また、ミドルリーダーの役割を給料表上もより表現するためには、特2級に加えて主任層を別の給料にするということも一つのアイデアではないかなと思います。
 他方、短時間勤務、非常勤にもトレーニング、研修の機会を与えることは言うまでもありませんが、こちらも短時間だからこそ働いていただける方がおられるとすれば、それを別の給料表で少し率を上げるとか、そういうようなこともあり得るのではないかなと思います。
 さらに、資料を出していただきましたので、そこに関わって幾つか申し上げたいと思います。先ほど金子委員が民間セクターの発想からすれば当然だとおっしゃっていたことが非常に印象に残っていますが、企業の都合でトレーニングの必要が出たときには、それは責任を持って遇しなければいけないというのは非常に重要だと思いました。その点からしますと、授業準備というもの他律性がどのぐらいあるのかというのを考えますと、日常的なものは個々の事情によって変わると思いますが、他律性の高い授業準備、言わば業務としての授業準備として、学習指導要領の改訂時のことを想定できると思います。これは言い換えると全国的にトレーニングが必要な一大イベントが発生するわけですので、教育内容の革新だけではなく、指導要領の改訂というのは教員の業務時間についても大きく変容する一大イベントであると考えればいいと思います。すなわち、全員にトレーニングが必要な期間というのが一定期間あるはずで、その期間に関しては一時的にでも非常勤講師を増やすというようなこともあっていいのではないかなと思います。
 時間が来ましたので、一旦止めたいと思います。
【貞広部会長】  会議運営に御配慮いただきましてありがとうございます。
 では、オンラインから露口委員、お願いいたします。
【露口委員】  失礼いたします。露口でございます。私からは3点ほど意見を申し述べさせていただきます。
 1点目が各論1に相当します処遇改善の必要性についてです。令和の日本型学校ビジョンには、学校の役割として、学習機会と学力の保障、社会の形成者としての全人的な発達・成長の保障、安全安心な居場所・セーフティネットとしての身体的、精神的な健康の保障と、つまり子供たちの立場や権利などを保護し守ること、学力保障、成長保障、健康保障を学校のビジョンとして掲げています。これらの保障というのは、社会保障であったり安全保障であったり、国家の基幹をなす事業でありますので、それに従事する職員への処遇というのは優先順位を上げて取り組むべきことではないでしょうか。
 2点目は、教職イコール高度専門職に対する処遇という視点です。荒瀬委員等から御意見いただきましたが、教職が高度専門職で高度な専門的自律性、裁量性、倫理性を基盤とする職として確立され、教職としての魅力が高まることで多くの希望者が増えてくると考えられます。高度専門職は、専門的自律性、裁量性、倫理性、そして、自発性や創造性等の価値の実現がウェルビーイングの根源にあるといえます。逆に管理強化であるとか、瑣末な管理事務が多いというのは高度専門職のウェルビーイングを下げることにもなりかねないということになります。高度専門職の働き方というところにポイントを置いての職務の改善と処遇を考えていく必要があるのではないかなと思います。ただし、教職が高度専門職に相当するかといえば、十分ではない点もございます。高度専門職というゴールに向けて今は一歩一歩進んでいる段階であり、研修制度や資格制度等の整備も併せて必要になってくると思っております。
 3点目は処遇改善に関する意見です。教員の処遇においては、公正性という視点が重要であると思われます。学校現場での話を聞いておりますと、学級担任を受け持つことで大幅に業務量が増えるのですがこれが十分に処遇されていません。また、いわゆる主任手当についても、特別支援学級の担任の方が、例えば教務主任よりも、日額で5倍ほど高い実態がございます。こうした処遇に関する不平等感や不公正さ、この辺りの解消というのも今回の議論の中で扱う重要なテーマであると考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 では、植村委員、会場からお願いいたします。
【植村委員】  ありがとうございます。全連小の植村でございます。資料2の論点のペーパーに従って、3点ほどお話をさせていただきます。
 まず、1点目は総論の部分に関わってでございますけれども、別途資料1の15ページにもありましたが、一般公務員との差が昭和55年で7.42%、直近では0.35%という実態を踏まえて、人材確保法を堅持するとともに、速やかな改善が急務ではないかと考えております。
 2点目です。資料2の各論の(2)教師の職務と勤務態様についての、まず、1つ目の丸についてです。現在、学校では教育課題がまさに多様化、複雑化しているという状況でございます。例えば、資料にもありました不登校、それから、資料にはありませんでしたけれども児童虐待等、学校としては家庭とのデリケートな連携であるとか、関係機関とのケース会議といったものが年々増加しているという状況があります。つまり、量的にも質的にも教師に求められるものが増大していると捉えております。
 また、日々の職務という視点からですが、目の前にいる35人の子供たちの指導ということについても、小学校では1年生から6年生まで発達段階に応じて様々な課題がありまして、それに日々向き合っていると、またそれに伴う保護者対応も増大しているというところがございます。こういった学校の実情を踏まえて、これから検討を進めていきたいなと考えております。
 3点目です。2つ目の丸に関わってでございます。教師の職務の特殊性という視点から、ここにもありますとおりどこまでが職務で、どこからが職務でないのかを精緻に切り分けて考えることは大変難しいと、まず考えております。例えば、教師にとっては児童理解と教材研究というのは大変大きな職務、要と言ってもいいと思いますが、これを精緻に追求していくと奥が深く、これで良いということはないというのが現場でございます。したがいまして、先ほど時間というお話もありましたが、幾ら時間があっても足りないということが起こるわけでございます。つまり、職務を果たすことと自己研鑽というのが現場では表裏一体でありまして、この辺りが教師の職務の特殊性という面ではないかなと思います。
 あともう一つは、大事なお子様をお預かりしているという責任感、それから使命感というのも教師にとっては大きな原動力であるとともに、常にプレッシャーを感じながら職務に当たっているという側面もあるかと思います。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 では、続きまして、同じく会場から齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】  全日中の齊藤でございます。ここまで委員の皆様の発言を伺いまして、学校現場と教員に寄り添っていただいているということを感じられて本当に感謝したいと思います。
 その中で、まず、資料1で確認されたところについてです。17ページにございますように、給与の水準を改善することについての国民の意識という資料がございます。これについては、肯定的な回答を寄せていただいた方が5割から6割程度いらっしゃる一方で、「どちらでもない」は資料では否定的な回答に入れられていないですけども、これを肯定されていない考えに含めますと否定的な回答は4割近くになります。この値をもっと肯定的な割合を増やしていくように取り組む必要があると思います。この点で報道機関等にもしっかりと役割を果たしていただきたいと申し上げます。
 それから、29ページにある時間の活用に関する意識、これは教員の意識ですけども、「業務外のプライベートの時間を充実させたい」という回答が小学校で5割、中学校でも6割近くになります。一方で、授業準備等、自己研鑽等といった回答の数値はそれよりも低くなっている、これはどう捉えればよいかということですけども、それだけ教員というのは公私の区別がつけられない仕事であると認識を強くしていただきたいのです。ですから、現場の教員としてはオンとオフがしっかりとできるような勤務体系、働く環境を整えてほしいという教員の思いがこの回答に込められているとお考えください。その上で、先ほど植村委員からもございましたが、教員の職務について精緻に区分けをすることについて、私も中学校の校長の立場ですけども、これはとても困難な課題であると考えます。
 また、各論のほうに入っていきますが、教員、教職の魅力とか、あるいは高度な専門職であるという言葉を用いて、この中でも述べられておりますが、教職の魅力については、私は多くの方々に十分伝わっていると思っています。つまりは、それだけ高度な専門職であり、子供たちに常にしっかりと向き合っているのが教師なのだという魅力は思っていたとおりなのだけれど、果たして自分は魅力的な仕事に関わりながら、しっかりと責務が果たせるかどうかというところで、現場の教員は、自分がその高度な専門職を持った教員としてふさわしいのかということを絶えず考えています。その中で、もっとスキルを身につけたい、子供たちに寄り添ってもっと関わりたい、あるいはこの仕事をほかの先生にお願いして自分は別の仕事をやりたいと言っても、ほかの先生方も忙しそうに見えるから、自分で最後までやりきるしかないと考えがちになり、どんどん時間が超過していくというスパイラルに陥ってしまうというところがあります。
 また、私も校長として、こういうことをやればもっと学校がよくなる、生徒がよくなると思っていることを教員に示そうとしても、負担の小さくないことを考えてしまうとちょっとちゅうちょしてしまうということも実はあります。その意味で、教師として自分がふさわしいと実感できるためには、一人一人の教師が学び続けられる環境を整えなければいけないということで、処遇の改善というのは報酬面が大切であると皆さんもおっしゃっていますけども、報酬面とともに、教師が学ぶ時間の確保が確実にできることも併せて大切なことです。この意味では人材を確保すると同時に、確保した人材をきちんと育成しなければいけない、そのための研修時間の確保という意味では定数の改善、これについても踏み込んで考えていかなければいけない課題なのではないかなと思います。その上で教職の魅力をさらに高めて、現場の教員のやりがいを大きくするということがこの部会に課せられている一つのテーマだと思いますので、引き続き発言してまいりたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 では、藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】  ありがとうございます。国立教育政策研究所の藤原です。私からは、高度専門職という観点からお話ししたいと思います。
 これまで、高度専門職とは何かという議論というのは、これまでも長い歴史というのを持っています。そういう中で、おおむね3つの要素で議論されてきました。1つ目が、生涯にわたり専門性を担保する仕組みというものが整備されていることです。2つ目に、その専門性を、個人や専門職のためではなくて社会公共のために使用するということを職として保障すること、これは公共性という原理であります。そして、その見返りとして恵まれた処遇や、あるいは自律性というものが信頼に基づいて付与されるということでございます。この3要素として専門職というものはおおむね捉えられてまいりました。今回議論する上で、高度専門職というものを議論の中心に据えて議論していくべきだろうと思っております。この3要素というものは極めて重要だと思っています。
 そういう意味で、露口委員の御発言にも重なるんですけれども、まず、教員が高度専門職であるということの社会的認知を高める仕組み、それを可視化する仕組み、キャリアパスというものをしっかりつくっていったりとか、そういうような仕組みをつくるということと、さらに非常な不確実性の中で仕事をするという、なかなか外には分かりづらい専門職であることは確かです。教員がそういう専門職であるということをしっかりと周知しておくということが社会的な処遇、恵まれた処遇や自律性の容認につながっていくんだろうと思います。
 さらに、現在、PISA調査の国際調査においては、日本の学校教育というのは良好なパフォーマンスを発揮しております。専門職というのは、高度な専門性を発揮する代わりにリスペクトされるというものがワンセットの職でございますので、日本の教員、そして子供たちも国際的に良好なパフォーマンスの状態にあるということはぜひ社会にお伝えいただいて、そういう情報というものを失することは国益に反するということですので、そういうことをぜひお伝えいただきたいというのが2つ目でございます。
 さらに、日本の教員は、教員というか、同じ仕事、皆さんの発言にも重なりますけども、全て同じレベルをしているわけではなくて、クラスレベルから学年レベル、分掌レベル、学校レベル、さらには学校という枠を超えて地域の質を高めるようなリーダーシップを発揮する教員もおります。こういうような学校という枠を超えてリーダーシップを発揮する教員という者はシステムリーダーとか言われますけれども、非常に今はOECDの国でも重視されているところなんです。そういう教員の働きによって地域が全てのいい学校になっていく、こういうリーダーシップでございます。このように教員というものが一口に同じ教員とは語れないような機能を担っている、そういうことを認めた上でキャリアパスと処遇というものを整備していく、そういうことが必要だというふうに考えます。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 では、オンラインから澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】  澤田です。4点お伝えします。
 まず、命と健康を絶対に守るということについてです。働き方改革について、この数年で民間の法整備がどんどん進んでいる中で学校が取り残されていて、特に職員の命と健康を守る責任者である校長と民間管理職の意識の差が相対的に広がったと言わざるを得ないと思います。ですが、教育が啐啄同時(そったくどうじ)に大切にするべきということを考えると、管理職にも線引きできないような業務が多いのも事実です。とはいえ、さすがに命の危険なラインを越えて働く職員を止められない管理職というのをそのままにするわけにはいかないと思います。民間では、特別な事情がある場合であっても時間外労働と休日労働の合計が複数月の平均80時間以内などといったことが罰則付きの上限として法律に規定されています。命と健康を守るためには、民間の水準を参考に学校にも何らか同様の措置が必要ではないでしょうか。
 2点目です。給与についてです。そのためだけに働く人は教員には比較的少ないほうだとは思いますが、現場では薄給を嘆く声は聞こえてきます。教員で崇高な使命があって優遇されるべき職種だからこそ人材確保法があるわけですので、そのことを教師が実感できるように、目に見えて分かる給与という形でも示すように改善が必要だと思います。
 3点目です。息の長い改革にできないかということです。世の流れも、教員の環境も目まぐるしく変わっていますので、給特法や上限規制や給与については、今回何らか決めた案をまた3年後など数年後に振り返り、再検討することも必要だと思っています。
 そして最後、4点目です。持ちコマ数についてです。先ほど管理職にも線引きできないような業務が多いというようなことを申しましたが、中には定量的な業務もあります。それが授業の持ちコマ数です。勤務間インターバルや時間外の上限を積極的に進めるべきではありますが、それだけでは勤務時間に蓋をしているだけに過ぎません。労務管理の面から1人当たり1日の持ちコマ数、あるいは週の持ちコマ数について適切なコマ数、あるいは上限といったものを国として示すべきだと考えます。持ちコマ数が適切になれば、今の学校に圧倒的に足りていない子供と離れて集中できる時間、教員同士の創造的な議論の時間、そうしたことが確保できるという面もありますので、教育の質の向上にもつながることだと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 これで本日御出席いただいている全ての委員の方々に御意見をいただいたのですが、先ほど川田委員と青木委員が会議の運営に配慮して途中で発言を切ってくださいましたので、それぞれ、短くて申し訳ないんですけれども順に御発言いただければと思います。
 川田委員、お願いいたします。
【川田委員】  どうもありがとうございました。
 先ほど述べたかった点といたしましては、処遇の改善というときに、これまでも議論の中で出てきたように給与面での改善と、あと働き方について負担軽減とか、充実感が感じられるような働き方を進めていくというような両面から見ていく必要があるということは、私もそのとおりに考えており、その観点から具体的に2点ほど、できるだけ簡潔に述べたいと思います。
 一つは、これまでの議論の中にも出てきましたが、働き方あるいは働き方を反映した給料、両方との関係性で、教員の働き方の高度専門職という観点からどのようなことが言えるのかということを整理する必要があると考えられ、ほかの委員の皆様からも参考になるお話が多くありました。個人的には教員自身の判断で動く必要がある部分、また他人からの指示というものがそもそもできないとか、あまり適切ではないというような観点などが、法的な観点からの例えば勤務時間とか給与の制度を考える上では、働き方の自由度とか他律性といった観点から整理していくというのが一つの重要な切り口になるのではないかということです。
 それからもう一つ述べたいのは、同じく高度専門職という点にも関わりますが、教員自身の、一人一人の先生方の能力というものを評価して、例えば給料にできるだけ反映していくということなども考えられると思いますが、今の制度を前提とすると、資料で言いますと資料1の2ページの一番最初に出てくる職務給の原則との関係を考える必要があるのだろうと思っています。
 職務給というのは、すごく厳密に考えると、実際に個々の教員というか公務員にやってもらう仕事を先に決めてしまって、それに就く人について、個々の人の属人的な能力はあまり考えずに処遇するという制度になるわけですが、実際のところ、日本の国家公務員法、地方公務員法の運用状況というのは、少なくとも機能的にはある程度経験を積んで能力を身につけていくことに処遇の面でも対応するというようなことができるような制度の運用になっている面もあると思います。その辺りをどう見ていくのかということ。
 あと、そうはいっても職務給との関係があるということで、そうなってくると給料、本給と諸手当、それを合わせて給与という言い方をするわけですが、給料、手当全体を視野に入れながら検討していくということも必要。
 あと最後に、個々の教員の経験に応じた処遇ということになると、経験の度合いがいろいろ違う先生がいらっしゃるということになるので、そういう中で全体として教育の質をどう確保していくのかということが重要になってくると思いますので、個々の先生のスキルに着目した議論をする際には、併せてスキル、経験の少ない先生をサポートするような仕組みなども、かなり一体のものとして議論する必要があるのではないかと思っています。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。仕組みをつくるに当たって配慮するべき複数の観点を御指摘いただきました。ありがとうございます。
 では、青木委員、いかがでしょうか。
【青木委員】  お時間をいただき、ありがとうございます。
 私の発言のベースにあることをまず申し上げておきたいんですけれども、今回の論点は、基本的には給与負担の主体の都道府県や政令市がかなり頑張れる余地はあると思うんですが、なお国の場で議論する必要や意義があるかなと思います。例えば主幹教諭を特2級という表現をしたというのは非常に大きな意味があったと思いますし、そういう意味で発言をしております。
 細かい話なんですけど、今日の資料1の8ページに諸手当が御紹介されているんですが、私は実務に詳しくないので例えばということで申し上げたいんですが、管理職員特別勤務手当は休日等に臨時または緊急の場合と書いてあるんですけど、業務の3分類で、深夜に例えば生徒指導上の必要があって警察対応するみたいな業務、これは先生の仕事だろうかという議論があったわけですが、例えばこういう業務が今は手当の対象になっていないのであれば、一旦それを手当にしてみるというのもいい手ではないかなと思いました。業務に見合った金銭的処遇をするという当然の意味合いと、もう一つは、支出することによって財政的には痛みになるわけですから、業務の見直しのインセンティブになるのではないかなと思いました。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございます。お二方には、突然振りまして申し訳ありません。
 それでは、最後5分ぐらい残したところで、事務局のほうに一度お戻ししたいと思いますので、あとお一方かお二方ぐらい御発言できるかと思いますけれども、我こそはという方は挙手のボタンを。
 戸ヶ﨑委員が我こそはと挙手のボタンを押していらっしゃいますので、戸ヶ﨑委員、よろしくお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  教材研究などが「自主的・自発的」と言われることに落胆している、との意見は聞こえてきますが、よりよい授業に向けた教材研究や授業準備は際限がなく、仮に職務命令などによってその範囲や進め方を制限される方が、責任感のある教師ほど違和感、抵抗感を覚えるのではないかと思います。
 また、教師の職務の特殊性等を重視することは、教師へのリスペクトにも繋がります。こうした理念は大事にしつつ、働き方改革や定数改善により負担を減らすとともに、重要な仕事に見合うだけの処遇改善を図るべきと考えます。
 例えば、長期休業期間等の子供たちが在校していない時間について、今後は、こうした裁量の余地をこれまで以上に広げ、時代の変化に応じて学び続けることができるような環境を整えることも考えられるのではないかと思います。その際には、教師の側にも自らの意思で自らの働き方を決める力も必要になりますし、管理職も、一人一人の働き方の自由度を認める能力が求められてくるものと思います。
現状の教育現場は、教職員には従来以上に高度な教育的タクトが要求されています。これは、見える情報だけでなく、見えづらい情報も含めた幅広い教育データを収集・分析し、それに基づいて適切な対応や指導を行う能力です。このようなアセスメントに基づく実行能力は、今後ロボット化や自動化技術では代替不可能な、人間特有の専門性を示しています。この高度専門職業人である教職に対しては、相応のインセンティブを設けることが必要と考えます。
 さらに、特別支援教育や不登校、貧困等の様々なニーズにも光が当たるようになってきましたが、一人一人への丁寧な見届けと指導、日々成長する子供への臨機応変な対応を行うには、何より時間が必要であり、処遇面の見直しに加えて、これまでも議論してきたように、まずは時間の確保に向け、3分類を踏まえた学校・教師の業務の適正化の強力な推進が必須であると考えます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 では、妹尾委員が手を挙げていらっしゃいますので、申し訳ありませんが本日は妹尾委員までとさせていただきたいと思います。
 では、妹尾委員、どうぞ。
【妹尾委員】  すみません、ありがとうございます。
 今日の議論で、高度専門職である教員の処遇改善ということを多くの方が指摘されました。そこの方向性は賛成なんですけれども、ただこれは理想論と現実というのが非常に乖離していることの一つじゃないかなと思います。例えば出勤時間を5分、10分遅らせるといったようなフレックスタイム制を導入している自治体は増えてきましたけれども、保育園の送り迎えだとかがある教員にとっては非常に助かるという声がある一方で、5分、10分遅らせるだけでもなかなか大変だったりとか調整が大変だったりして、高度専門職といいながらも自律性とか裁量とかいう意味ではまだまだ全然なってないというような状況があります。
 あるいは、皆さんも御存じのとおりかもしれませんが、日中の小学校の職員室に行かれると分かりますけれども、もう空です、出ずっぱりです、ほとんどの先生方が。校長ぐらいしかいないみたいな感じで、処遇の話とはちょっと離れますけれども、それだけぎりぎりの人数で運営していて、2人、3人欠けたら教頭先生とか教務主任が担任を代行するような今の実態になっているという状況で、自律性とか裁量が全然制度的にも担保されていないのではないかということも併せて考える必要があると思います。
 また、育児短時間勤務の先生方もいらっしゃいますけれども、実態としては、学級担任等を持つと非常にハードワークなので短時間にならないといったことで、育短を取るのをやめたというような声も私のところにはたくさんありますので、そういった部分を含めて実態も見ながら考えていく必要がありますし、例えば育短の先生は定数1としてカウントするのではなくて、プラスもっと別の定数、正規教員を充てていくみたいなことも含めて考えていく必要があると思います。
 以上です。
【貞広部会長】  どうもありがとうございました。
 では、この後、事務局、安井財務課長にお返しした後に、最後に、今日御出席いただいています矢野初等中等局長にお話をいただきたいと思います。
 ではまず、安井課長、お願いいたします。
【安井財務課長】  ありがとうございます。本日も様々な御指摘、御意見を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
 事務局から、今日の御議論で出てきた御指摘の中で事実関係の部分について、何点か補足させていただきたいと思います。
 まず、今日、資料1の15ページのところで御覧いただきました人材確保法に基づいた優遇措置の実際の状況、一般行政職との比較のデータを御覧いただきました。こちらは全体的に昭和55年度以降、こういった行政職の職務の級の増加等の状況で優遇措置分が減っている状況にあるということでございましたけれども、こちらのデータの比較をさせていただくときに学歴の御指摘がございましたが、学歴については同じ学歴で給与水準を比較できるようにということでデータを精査いたしまして、こちらのデータで確認しているという状況でございます。
 また、初任給については、こういう人確法の給与改善というようなところも影響したところでありまして、初任給のスタートの時点で一般行政職と教育職を比べますと、これは平均的な値でありますけれども、一般行政職、国家公務員の数字でいくと給料月額が19万6,200円という数字に対して、小・中学校教諭で21万9,700円というようなデータもございまして、ただ、職歴を重ねていくに従いまして、先ほどいろいろ御指摘いただきましたように昇格という給与が上がっていくという段階が行政職と教育職の間で違うという部分が、給与構造も大きく相違もございまして、そういったことも含めてこういった状況というのが出てくるということかと存じます。
 以上、補足でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 では、矢野局長、お願いいたします。
【矢野初等中等教育局長】  今日は、本当に非常に真摯かつ的確な御議論を頂戴したと思っております。厚く御礼を申し上げたいと思います。
 私からは、先般、中教審におけるこういう議論を、省幹部と称する人が本部会での議論をやややゆするかのようなコメントが載せられていたような報道が出ておりましたので、一言、私のほうからそのことについてお話し申し上げたいと思います。
 今回、次回と御議論いただく給与、教員の処遇の改善については、まさにある意味では関ヶ原というか、平成29年以来、働き方改革の議論を進めてきた中での集大成とも言えるような非常に重要な議論だというふうに認識しています。ということで、いろいろなところから、いろいろな立場から、いろいろな見方が示されてくると思いますけれども、我々としてはここで御議論いただいたことを力に変えて、しっかりと世の中に問うていくというように考えております。こういう真摯な議論を力に変えるつもりはあっても、ないがしろにするというつもりは一切ございませんので、そこをとにかく今日は強調したいと考えておりました。
 ということで、理想と現実というお話もさっきございましたけれども理想的な御議論をぜひ頂戴して、もちろん予算要求と予算というのは、これまた別のルールと別の力関係が働いてまいりますので、ただそれも知恵と、我々のこれまで積み上げてきたもので何とかやっていきたいと思います。最後は学校の関係者が一致団結するということが一番大事だというふうに考えておりますので、文部科学省は残念ながらあまり腕っぷしは強くないのですけれども、ぜひ御支援を頂戴できればと思います。
 私からは以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。矢野局長からも力強いお言葉を頂戴しました。ありがとうございます。
 それでは、時間が参りましたのでこの辺りにさせていただきます。本日も大変活発な御議論をいただきまして、様々な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 最後に、次回の予定について、事務局からお願いいたします。
【菅谷財務課長補佐】  本日もどうもありがとうございました。
 本特別部会の次回の日程につきましては、3月中旬頃の開催を調整しております。詳細につきましては追って事務局から御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。
 
── 了 ──