令和5年12月14日(木曜日)10時00分~12時00分
文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)
【貞広部会長】 定刻となりましたので、ただいまから第7回中央教育審議会初等中等教育分科会質の高い教師の確保特別部会を開催いたします。本日も皆様、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会議もウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただきます。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。
また、本日は報道関係者と一般の方向けに本特別部会をYouTubeにて配信しており、YouTubeでの傍聴者から録音及び録画の御希望がございましたので、御承知おきいただければと存じます。
それでは、事務局より、まず配付資料の確認をお願いいたします。
【鈴木企画官】 失礼いたします。本日の配付資料でございますが、お手元の議事次第4ポツの配付資料にありますとおり、資料1から資料3及び参考資料1から参考資料4となっております。御確認いただき、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
【貞広部会長】 ありがとうございました。
それではまず、議題(1)といたしまして、学校の指導・運営体制の充実の在り方について(教育職員配置の在り方等)に入ります。本特別部会では、5月の文部科学大臣からの諮問を受け、審議を進めておりますけれども、本日配付していただいております参考資料3にありますように、同諮問に先立ちまして、本会議の円滑な検討に資するよう、調査研究会においてあらかじめ論点が整理されたところでございます。5つの論点から整理をされています。
前回の会議からは、5つの論点のうち、(4)の学級編制や教職員配置の在り方等、そして(5)の支援スタッフ配置の在り方等として、学校の指導・運営体制の充実の在り方について御議論いただいております。前回の会議では、教師が教師でなければできない業務に集中できるようにするとともに、子供たちへの教育の質を向上させるための支援スタッフの配置の在り方等について、委員の皆様から様々な御意見を頂戴いたしました。本日の会議では、この5つの論点のうちの(4)、4番目の論点、学級編制や教職員配置の在り方等として、学習指導要領等の趣旨の実現等を直接担う、教師を中心とした教職員配置の在り方を取り扱いたいと存じます。
まず、教職員配置の在り方に関し、制度の現状等について事務局より御説明をいただきます。続きまして、山形県教育委員会から、小学校における大卒新採教員の採用年度の負担を軽減しながら育成していく取組についてお話を伺いたいと思います。本日は、オンラインで、山形県の加藤教育局教育次長に御出席いただいております。加藤教育次長、お忙しい中、大変ありがとうございます。
山形県の御報告の後に、山形県教育委員会の御説明内容に関する質疑応答を行った後、会議の後半では、委員の皆様による意見交換を行いたいと思います。
それでは、資料1に基づきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【安井財務課長】 財務課長でございます。よろしくお願いいたします。私から、資料1に基づきまして、教職員配置あるいは学級編制の在り方に関しまして、制度的な状況の御説明をさせていただきたいと思います。
資料をおめくりいただきまして、2ページを御覧いただければと思います。教職員配置の制度・状況に関する御説明の前に、学校教職員をめぐる状況につきまして、簡単に確認をさせていただきたいと考えております。学習指導要領が掲げております主体的・対話的で深い学び、こういった趣旨の実現のために、現在、学校現場におきまして、個別最適な学び、協働的な学びの充実等にも取り組んでいただいているところですが、同時に、学校が対応しなければいけない教育課題も様々に複雑化、困難化している状況がございます。2ページにおきまして、その代表的なものにつきまして、数量的に整理させていただいたところでございますが、例えば不登校の児童生徒数も、ここ30年で4倍以上に増加をしているというような状況もございます。また、日本語指導の必要な児童生徒数の増加でございますとか、障害のある児童生徒に対するきめ細かな特別支援教育が必要ということも大きくなってきているという状況が、全国的な状況としても確認をいただけるかと思います。
3ページは、先ほど御覧いただきました全国的な状況を、実際に学校で各教室で指導いただいている先生方の勤務の関係の中でイメージを持っていただくために、小学校35人、中学校40人というような規模で、全国的な状況、平均的な状況を整理したものでございます。こちらは全国的な状況を児童生徒数で割り戻しているというところでありますので、実際の各教室における状況というのは、当然、個々様々であろうかと思いますけれども、様々な学習面、行動面での困難がある児童生徒でございますとか、不登校の児童生徒、また、学習指導のみならず、日本語の指導ということの必要性ということも、各学級の中で一般的に対応していかないといけない課題となっているというところのイメージを共有させていただければというものでございます。
また、4ページに進んでいただきますと、先ほど御覧いただきました様々な教育課題に加えまして、健康や食に関する課題でも多様化・複雑化しているところでございます。肥満、痩身、生活習慣の乱れ、アレルギー疾患、メンタルヘルスの問題でございますとか、そういった健康課題もございますし、また、食に関する正しい理解、望ましい食習慣の形成等、食育の推進の重要性ということも指摘をされているところでございます。
以上、概括的ではございますが、このような様々な学校における教育課題の対応ということで、どのような教職員配置が必要になってくるかということの御議論をいただければと思います。
また、5ページでございますが、学校における教師の構成ということについても、近年、変化も大きくなってきているところでございます。退職者と新規の採用者数が最近大きくなってきているところですが、これに伴いまして、学校の教師の年齢別の構成割合ということも、かなり大きな変化が出ておりまして、若年層の教員が増えているという状況が確認をいただけるかと思います。本特別部会におきましても、こういった経験年数の短い教師のほうが全体的な傾向として在校等時間が長くなる傾向にあるということもこれまで指摘をいただいてきたところでございますし、また、教育の質の向上という観点で見ましても、こういった方々にこれまで日本の学校が取り組んできた様々な質の高い指導方法の継承も行いながら、どのように学校教育の質の向上を高めていくのかというところも考慮していかなければいけない課題と考えてございます。
資料を進ませていただきまして、7ページを御覧いただければと思います。学校の教職員配置の仕組みについて、教職員定数等の制度概要を御説明させていただきたいと思います。いわゆる義務標準法と呼んでございますけれども、公立学校におけます教職員定数につきましては、国が法律に基づきまして、都道府県、政令指定都市ごとの教職員定数の標準を定めています。
そしてまた、この教職員定数の標準ということで算定された教職員の数につきましては、義務教育費国庫負担制度によりまして、国がしっかりとした財源措置を行って、確実に学校現場で教職員配置を行うことができるようにという制度になっているところでございます。
義務標準法におきましては、都道府県・指定都市ごとの教職員定数の標準を算定するということになっていますが、実際の教職員の配置につきましては、この算定された教職員定数を踏まえまして、弾力的な配置ということを自治体の中で検討いただけるという仕組みになってございます。
小中学校等を合わせまして、そのようなところで算定されている教職員定数が全国で約70万人ほどございますが、この義務標準法の仕組みとして、まず、基礎定数と加配定数という大きな2つの枠組みで算定をしているところでございます。基礎定数につきましては、学校数あるいは学級数等に応じまして機械的に算定をされるということでございまして、小学校35人、中学校40人という学級編制の標準に基づいて計算をされました学級数等が主な算定の基礎として計算されていくところでございます。学級編制につきましては、現在、小学校35人の学級編制標準、法改正によって学年進行中で改善を図っているところでございまして、令和7年度の完成予定ということでございます。
また、この基礎定数におきまして、校長、副校長・教頭、それから学級担任あるいは学級担任外教員等につきましても算定をしているところでございまして、最近でいきますと、平成29年の法改正によりまして、通級指導、日本語指導を行うための教員定数の基礎定数化の法改正もされているところでございます。
また、加配定数につきましては、法律に基づいた加配事由を行っていくということのために、学校ごとの課題の状況に沿ってきめ細かく教職員配置を行っていくということができるようにという仕組みでございます。全体で5万人弱の加配定数が現在ございますけれども、指導方法の工夫改善ということで、少人数指導でございますとか、あるいは小学校の教科担任制等も、こういった加配定数も活用しながら進めているところでございます。また、児童生徒支援ということで、いじめ、不登校対応といった課題を抱えている学校に対する支援も、このような枠組みの中で行っているところでございます。
資料進んで8ページでございます。今申し上げました義務標準法に基づきます小中学校の教職員定数の算定でございます。学校ごとの定数標準ではなくて、都道府県・政令市ごとの教職員定数の標準を算定していくというものでございますが、一定の学校規模ごとに、標準法の中で教職員定数の算定の基礎ということを定めまして、それに基づいて算定をされているところでございます。小学校、中学校の例を掲げてございますが、左側の小学校、校長、副校長、それから教諭につきましては、学級担任はもちろんのこと、担任外の専科指導でございますとか少人数指導を行っていくための教諭の算定というのも、この基礎定数の中でもされています。また、養護教諭、栄養教諭、事務職員の算定ということもございます。また、基礎定数以外に、加配の教職員も、担任外ということになりますが、学校ごとによって状況が変わりますが、一、二人程度が配置をされているところでございます。
資料9ページ、10ページにつきましては、先ほど12学級規模の学校の例でイメージを御説明いたしましたが、それぞれの学校規模ごとの標準法上の算定の例でございます。
また、資料11ページのほうを御覧いただきますと、今申し上げました標準法の教職員定数の規定をより詳しく整理をしたものでございます。②の教諭等のところは、各県の学校規模ごとの学級数を基礎に算定をされておりますし、また、③のところで申し上げますと、一定の大規模学校におきましては、教頭(副校長)の複数配置ですとか、生徒指導担当の教員の配置の規定もございます。また、平成29年の法改正で、少人数指導、障害に応じた特別の通級指導、日本語指導担当教員の配置、初任研の担当教員、こういったことの基礎定数化ということもされているところでございます。
資料12ページは、養護教諭、栄養教諭・学校栄養職員、事務職員についての算定の基準でございます。それぞれ学校の規模をベースといたしまして、一定の大きな大規模校への複数配置ということの規定もしているところでございます。
資料13ページは、特別支援学校の同様の規定でございます。
資料14ページを御覧いただきますと、こちらについては、先ほど簡単に触れさせていただきました加配定数の加配事由ということで、法律に基づく加配の類型について整理をさせていただいております。少人数指導ですとか教科担任制のための指導方法工夫改善、いじめ、不登校、問題行動への対応のための児童生徒支援、あるいは学校の組織マネジメントの推進という点でいきますと、主幹教諭のマネジメント機能強化の加配でございます。また、養護教諭、栄養教諭・学校栄養職員、事務職員につきましても、それぞれ学校の取組強化のための加配事由ということを定めているところでございます。
15ページ以降が高等学校についての高校標準法の同種の規定について整理をさせていただいたものでございます。高等学校の制度の違いも踏まえつつも、基本的には同様の制度の枠組みとなっているところでございます。
資料を少し進ませていただきまして、20ページを御覧いただきますと、小学校における高学年の教科担任制の推進に現在取り組んでいるところでございます。期待される効果といたしまして、教科担任制の推進によりまして、教材研究の深化ということで、授業の質の向上でございますとか、また、複数の教師による多面的な児童理解といったことも期待をされますし、また、教師の持ちコマ数の減ということでの負担の軽減ということも効果を期待されるということで、現在、文部科学省におきまして、この教科担任制の推進のための必要な人員ということも、予算要求を含めて取り組んでいるところでございます。
21ページを御覧いただきますと、小学校の教科担任制の現在の取組状況ということでございまして、学年別、教科別に取り組まれている状況を掲げております。また、下段におきましては、小学校、中学校、高等学校それぞれの教師の週当たりの平均の持ち授業時数についての調査データを掲載しております。小学校におきましては、約24コマ弱、中学校18コマ程度、高等学校15.5コマ程度というところが直近のデータでございます。
また、22ページを御覧いただきますと、こういったどれくらいの授業を教師が担当いただくかということについては、実際の各学校における教育課程の編成に大きく影響してくるわけでございます。国において標準授業時数の定めがございますけれども、最終的には各学校で教育課程が編成されていくということになります。この問題につきましては、8月に本特別部会の緊急の御提言をいただいた中でも、標準授業時数を大幅に上回って年間1,086単位時間以上の教育課程が編成されている学校につきましては、それぞれの学校の教育活動の状況を踏まえて見直しが必要ということで御提案をいただいたところでございました。
一方で、直近の令和4年度の調査でございますが、全国の学校の中で、4割弱の学校が、この1,086単位時間以上の授業時数の設定をされています。
また、23ページにつきましては、学級編制についての資料でございます。小学校、中学校と、御覧いただいているような学級編制の標準を国が定めてございますけれども、都道府県教育委員会におきましては、児童生徒の実態を考慮して、特に必要があると認める場合は、この標準法に定める数を下回る数をそれぞれの県の学級編制の基準として定めるということが可能でございます。また、実際の学級編制につきましては、標準法で掲げられております国の学級編制の標準を踏まえて都道府県教育委員会が定められた基準、これを標準として、学校の設置者である市町村教育委員会が、児童生徒の実態を考慮して柔軟に学級を編制していただくということで、届出制ということになっているところでございます。
24ページにおきましては、このような制度を背景といたしまして、実際に国が定めている標準よりも小さな規模での学級、少人数学級の取組も、各自治体で、加配定数の活用ですとか、あるいは自治体独自の財源による教員配置も活用しながら行われている状況がございます。
また、25ページでは、このような結果、現在の小学校、中学校の実際の学級の規模ということについての状況でございます。
また少し資料を進ませていただきまして、33ページを御覧いただければと思います。以降、参考資料でございますけれども、33ページで、本日の山形県さんに御発表いただく新規採用教員に対する支援、あるいは、先ほど御説明いたしました教科担任制に関連して、グループ担任制という取組をいただいている例があるということで御紹介をさせていただきます。小学校におきまして、学級担任制ということで、学級ごとに1人の担任ということが多く取り組まれてきているところでございますけれども、こちらの事例におきましては、学年で学年担任制、グループ担任制ということを導入しながら、複数の先生によりまして、担任の児童生徒の支援、進路指導をやっていただいているという中で、経験の長い先生が経験の短い先生に対するいろんな御指導とか御支援などもできているという御報告もいただいておりますし、また、そういった中で、教科担任制の推進もやりやすくなっているという御報告もいただいているところでございます。
それから、最後に参考資料1を一言御紹介させていただきます。今後の教職員定数の在り方等に関する国と地方の協議の場ということでございまして、11月9日に、地方3団体、全国知事会、全国市長会、全国町村会の代表の方々が文部科学省にお越しをいただきまして、今後の教職員定数の在り方を含めた学校の指導運営体制の整備に関しまして御協議をいただいたところでございます。知事会からは大村知事、全国市長会からは吉田市長、全国町村会からは田島町長の御出席を賜りまして、文部科学省からは盛山大臣以下、政務三役、また、総務省からも馬場副大臣の御臨席を賜りまして、2ページにございますような、学校における働き方改革の推進、教師の処遇改善、学校の指導運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めるべきという御提言をいただいて、協議をいただいたところでございます。
事務局からの御説明は以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございました。
続きまして、山形県教育委員会の加藤教育次長より、小学校における大卒新採教員の採用年度の負担を軽減しながら育成していく取組についてお話を伺います。御報告をいただいた後、質疑応答のお時間を10分程度取らせていただく予定です。
それでは、加藤教育次長、よろしくお願いいたします。
【加藤教育次長】 それでは、山形県教育委員会教育次長の加藤でございます。本日はどうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、本県が今年度より実施しております新採教員育成支援事業について御説明をいたしますが、スライド資料を基に御説明いたします。事前にお配りしました資料がございますけれども、若干の表記等が変わっている部分がございますので、御了承いただければと思います。
初めに、この事業の目的になりますけれども、学校全体で若手教員をサポートしていくという中で、特に小学校における大卒新採教員の採用年度の負担を軽減して、守りながら育てるというふうなことになります。活気にあふれた学校づくりを進めていくためには、若手教員が生き生きと働くということがとても重要でございます。しかし、近年、若手教員の早期退職が増加傾向にあるということになります。特に小学校で、精神疾患による特別休暇を取得したり、退職したりするというふうな新採教員が増えているという実態がございまして、このことにつきましては、県議会でも話題になるなど、喫緊の課題と捉えているところでございます。また、教育課題が多様化・複雑化している中で、小学校の新採教員が採用当初から学級担任を担うということは、とても負担が大きいという指摘がございます。小学校の学級担任は、基本的に自分の学級の全ての授業を受け持つというケースがほとんどであります。教材研究に多くの時間を必要としますし、その学級で何か問題が生じたならば、子供の対応のみならず、保護者を含めた、その解決に向けて対応が必要になってくるということになります。こういったことが、大学を卒業したばかりの経験の浅い学級担任にとって、肉体的、精神的にも大きな負担となっているところです。
どの学校におきましても、学校全体で若手教員をサポートしているという中ではありますが、こういったことが高い課題認識とつながっていることから、県教育委員会としましては、特に小学校における大卒新採教員の負担軽減を図る、そういった仕組みがつくれないかということで、この事業を実施することにしたわけでございます。
具体的な方策、仕組みは2つでございまして、1つ目は(1)に示したものでございますが、大学を卒業したばかりの小学校新採教員、以下、「大卒新採」と申しますけれども、これを学級担任とせずに、教科担任兼学級副担任、以下、「教科担任」といたしますけれども、とするというふうなものでございます。大卒新採が特定の教科を受け持ちながら、学級副担任として先輩教員のそばで学級経営や保護者対応などを学べるようにするというふうな仕組みでございます。この場合、大卒新採が教科担任として受け持つ、ある程度まとまった授業時数を確保するという必要がございますので、高学年の5年生または6年生が3学級以上の、本県では比較的規模の大きい学校、以下、「大規模校」と申し上げますが、それを対象にしたところでございます。対象となる学校には、国の小学校専科指導加配のうち、教科担任推進分と、英語以外の発展的見直し分という部分と、従来分という部分を活用した加配によって、定数1名を増やす形にしているということでございます。なお、この国の専科指導加配を大卒新採に充てるというふうなことについては、昨年度、あらかじめ文科省に本県の配置方針として示させていただいているところでございます。
次に2つ目として、(2)に記しておりますが、大卒新採を、学年1から2のクラス、規模の小さい学校、以下、「小規模校」と申し上げますが、そこに配置した場合のことでございます。その場合には、学級担任をするというふうなこととなりますけれども、新採教員支援員、以下、「支援員」と申しますが、これを配置するというものです。支援員が教員免許を保有しているような、例えば再任用短時間勤務職員でありますとか、あるいは非常勤の職員の場合には、週当たり5から8コマ程度、大卒新採の特定の授業を担うことになります。支援員が教員免許を保有していない場合には、担任業務のサポートを行っていくということになりまして、そうしたことで、大卒新採が教材研究や学級の事務、あるいは保護者対応などの時間を確保でき、負担軽減につなげていくというものでございます。
令和5年度の対象者についてでございますけれども、本年度の新採小学校教員は、県全体になりますが、167名おりますけれども、この事業の対象となった大卒新採は106名であります。そのうち、大規模校に赴任した24名が教科担任となり、そこに専科指導加配を配当したということでございます。小規模校に赴任した82名は、学級担任ということになりますが、そこに先ほど申し上げた支援員を配置するということにしておるところでございます。
次に、配置の具体につきまして、イメージしやすいようにイラストで御説明いたします。これは、大卒新採を教科担任とするための考え方でございますけれども、大卒新採が配置された大規模校には、専科指導加配を活用して定数1名を増やす形にしているわけですけれども、定数1名が増えた分、大卒新採とは別の教員、黒の矢印で示しておりますけれども、この教員が学級担任となって、大卒新採を教科担任にできるという仕組みでございます。教科担任となった大卒教員は、週17コマ程度の特定の教科の授業を受け持つことになりますので、つまり、空き時間が確保できるという形になります。
次に、教科担任の配置の具体でございますけれども、先ほど説明しましたとおり、大規模校での加配活用となるわけですが、本年度の実際の配置あるいは運用につきましては、大規模校には新規採用教員を2名配置する形で運用を実際のところはしておりまして、その際、基本的には、このスライドに示しますように、大卒新採と、それから、新採ではありますけれども、講師経験でありますとか、あるいは派遣の経験のある者が配置されるというふうな形にしているところでございます。
また、次のスライドに示しますが、配置上の関係から、大卒新採が2名配置されるというふうな場合がございます。まず、ここで示す配置の例について、さきに申し上げた部分でございますけども、説明いたします。この場合、加配活用による定数増によって配置された教員、黒矢印になりますけれども、それと、それから経験者が学級担任となって、大卒新採が教科担任となります。大卒新採は、所有免許等の関係などから、例えば理科でありますとか外国語などの授業を受け持つということになります。
次に、ここで示すように、大卒新採が2名配置された学校の場合ですけれども、加配の数には限りがあるために、大卒新採が2名配置されたとしても、このような学校に配置する加配は1名分としているところです。そのため、大卒新採1名が教科担任となって、もう1名の大卒新採は学級担任となる形を取っているということです。ただ、学級担任になる大卒新採には、支援員として免許を保有している非常勤講師を配置するという形にしているところです。なお、この新採2人のうち、どちらを教科担任にして、どちらを学級担任するかにつきましては、所有する免許の関係でありますとか、あるいは学校長による年度始めの面談、意思の確認といいましょうか、そういったことによって、最終的には校長が判断することとしているところでございます。
次に、大卒新採が学級担任をする場合の支援員の配置についてになりますけれども、これは小規模校での配置を例にするわけでございますけれども、担任をする大卒新採に対して、支援員として再任用の短時間勤務職員または非常勤講師などを配置することになります。支援員が教員免許を持っているという場合には、大卒新採の授業を5から8コマ程度受け持つことで負担軽減を図っているということになります。したがって、大卒新採の学級担任は、週当たり14から17コマ程度ぐらいになるんでしょうか、の授業を行うことになって、空き時間を確保できることから、計画的に教材研究でありますとか学級事務などができるということになります。
支援員が教員免許を持っていないという場合もございますが、その場合には、大卒新採の学級事務の補助などを行うことで負担軽減を図っているということになります。具体的にイメージするならば、教員業務支援員、スクール・サポート・スタッフのような業務内容を担っているとイメージしていただければと思います。配置の具体は以上のようになります。
ここからは、今年度、新しい仕組みで実施して約8か月たちましたので、学校現場の声を拾うために、先月、アンケート調査を実施した、その結果などにつきまして触れたいと思っています。
大卒新採に空き時間ができているわけでございますけれども、その活用について、どのように活用しているかということを聞いてみた結果でございます。教科担任をしている大卒新採は、教材研究に多くの時間をかけられるというふうな実態。そして、学級担任をしている大卒新採は、教材研究と学級事務とか、そういったものに空き時間を役立てているというふうな実態が見えております。また、どちらも多くの新採が、ほかの先生方、先輩の先生方の授業を参観する時間に使って研修を重ねているというふうな実態も見えてきたところでございます。
では、実際に大卒新採がこの制度、仕組みにどのような実感を持っているのかということを聞いた、その評価についてでございますけれども、このような結果となっており、教科担任となった新採は、教科担任として過ごしていることについて、プラス面の実感を持っている割合がおよそ73%ほどあったというようなことです。その理由としましては、様々な先生方から授業や学級経営を学ぶことができているとか、空き時間による時間と心のゆとりができた、あるいは深い教材研究ができたなどの声がある一方で、物足りないなというふうな実感を持っているという声もございまして、その理由としては、不安はあるものの、学級担任をしたかった、というような声も実際にはあったということでございます。
続いて、では、支援員配置のある学級担任はということでございますけれども、プラス面の実感を持っているという割合が9割以上あったということでございます。その理由としましては、やはり授業の準備や授業参観ができたということから、アドバイスをもらいながら学級経営を進めることができた、学級事務をしてもらって助かったなどの声がありました。
次に、現時点における県教育委員会としての評価についてでございます。成果、効果としましては、この事業を行うことによって、大卒新採に平均すると週6コマ程度の空き時間を確保することができたということです。空き時間ができたことで時間的な余裕が生まれまして、教材研究をしたり、先輩方の授業を参観したりと、授業づくりについて学ぶ時間が確保されております。また、この事業を始める前は、小学校において、大卒新採の精神疾患による特別休暇取得者数が増加傾向にございましたけれども、今現在、今年度の大卒新採が精神疾患によって特別休暇を取得しているというケースはございません。各学校では、校長先生がこの事業の趣旨を全職員に説明して取り組んでいるために、どの学校も新採教員をバックアップしようと協力的でございます。大卒新採に自分の授業を参観させたり、空き時間に新採の授業を見に行って、気づいたことを教えてあげたり、相談に乗ったりと、周りの先生方も守りながら育てようとしてくれているとのことでございます。
さらに、今年度は、本県の教員採用試験で、本県のこの事業の中身を知って、山形県は新採教諭を守ってくれる県だと感じて、他県から本県の採用試験を受けたというふうな人がございました。山形県は新採を守りながら育ててくれているんだというふうなことが全国的に広まって、本県を受験してくれる人が増えることなども期待しているところでございます。
また、制度の質を高めるための視点としましては、教科担任をしている大卒新採には担任をしたかったという思いもあるために、各学校に新採を配置する前に、学級担任を希望するのか、教科担任を希望するのかということを確認する方法について、現在検討しているところであります。
また、採用2年目から学級担任となる場合に、2年目を見据えた計画的な研修を行う必要があると思っております。実際にその部分を見据えて工夫しているという学校もございますので、好事例を紹介しながら、その部分がさらに充実して、切れ目のない支援体制をつくっていく必要があると感じているところです。
また、専科指導加配をこの事業に充てたことによりまして、大卒新採が配置されない学校につきましては、希望する専科加配を配当することができずに、学校長が思い描いていた専門性の高いベテラン教員による教科担任制を推進することができなかったという声などもございました。そういった意味からも、まだまだ検討すべきところはございますが、本事業が、若手を守りながら育てることにつながっているのではないかと自負しているところでございます。
最後になりますが、加配の数には限りがございます。本県の政府の施策等に対する提案などでも要望いたしておりますけれども、より多くの学校で教科担任制が充実するという意味においても、専科指導加配に加えて、新採教員支援に充てることができるような加配につきまして御検討いただきたいと切に願うところでございます。高い志を持って教員になった若い人たちを大事にする方法、働き方の改善も含めてになりますが、そういったことを早急に実現することを今後も重要なテーマとして考えていく必要があると思っています。
以上、要望なども加えて御説明させていただきました。以上で説明を終わります。御清聴いただきました。ありがとうございます。
【貞広部会長】 加藤教育次長、貴重な御報告をいただきました。ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から、ただいまの山形県の取組に対して御意見や御質問等を頂戴したいと存じます。御意見等のある方は、「手を挙げる」のボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから順次指名をさせていただきますので、指名後、ミュートを解除いただいて御発言をお願いいたします。
山形県教育委員会への質疑応答は、今後、10分程度で一度区切らせていただきますが、加藤教育次長はその後も御出席いただけるとのことでございますので、議論に関連して山形県の取組への御質問等があれば、後半の意見交換の際にも御発言いただければと存じます。
なお、大変恐縮ではございますけれども、できるだけ多くの委員の皆様から御発言をいただくため、御発言はできる限り簡潔にしていただきますようよろしくお願いいたします。
では順番に、荒瀬委員、妹尾委員、植村委員、青木委員の順番で御質問をお願いいたします。
では、荒瀬委員お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】 ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。
大変すばらしいお取組だと思いました。1点だけ質問いたします。資料の最初のページの下で、支援員のことについてお書きで、これが非常に効果的であるということかと思うんですけれども、その研修をどのような形でやっていらっしゃるのか、あるいはそういうことが必要のないような方をそもそも選んでいらっしゃるのか、その辺りについてお聞きしたいと思います。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。支援員の方の研修ということでございます。御質問をまとめて、次長にお返ししたいと思います。
それでは、妹尾委員どうぞ。
【妹尾委員】 ありがとうございます。とても応援したい取組だと思います。
3点質問したいと思います。
1点目は、欠員の状況についてで、講師の先生がなかなか見つからないというのが全国各地ありますけれども、本来副担任からスタートさせるつもりだったんだけれどもそれができないとか、年度途中にやっぱり担任にせざるを得ないんだとか、あるいは支援員さんを配置していて授業を軽減していたんだけれども軽減できないだとか、そういう事態になっているかどうか、そういう学校があるかどうかを教えてください。これが1点目です。
あと2点目は、1年目だとか、授業準備をしっかりしてもらうために、4月の新学期のスタートを遅らせるという自治体もあると思うんですけど、その辺りの施策についてもどうお考えかということを教えてください。これが2点目です。
3点目、山形県は、特別支援学級をたしか8人の標準から6名に引き下げていたと思うんですけれども、その辺りの感触とか手応えも教えてください。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
ではこの後、植村委員、青木委員、川田委員、橋本委員の順番でお願いいたします。
植村委員どうぞ。
【植村委員】 ありがとうございます。全連小の植村でございます。貴重な御発表ありがとうございました。特に、負担を軽減しながら育成するということ、改めて大事だと思いました。
2つ質問させてください。
1点目は、持ちコマ数についてなんですが、週17とか、14から17、11から14という数字が示されていますが、何か設定の根拠とか、理由とか、意図があれば教えてください。
2点目です。新採教員支援員約100名を確保するということで、大変なことかなと思ったんですが、そういった数の確保のための工夫など、もしあれば教えてください。
併せて、これは可能な範囲で結構なんですけれども、やはり質というか、適任かどうかということも大事だなと思うのですが、その辺りのことも併せて教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では続きまして、青木委員お願いいたします。
【青木委員】 青木でございます。すばらしいお取組を勉強させていただきまして、ありがとうございました。
2つございます。
1つは、単独事業分の支援員の雇用についての、財源捻出方法を教えてください。
それから2つ目は、資料7ページを見ますと、教科担任をされている方のほうが、初任研に関する選択肢もありませんが、これは確認ですけども、実際には初任研の対象になっているのでしょうかというお尋ねです。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、川田委員お願いいたします。
【川田委員】 筑波大学の川田と申します。貴重なお話どうもありがとうございました。
1つは、簡単なコメントといたしまして、今回、この新しい制度の下で1年目を過ごされた方が、来年度以降、どのような形で先生としてのスキルとか経験を積んで学校の職場に定着していくのかということについては、ぜひ追跡的な調査を行って情報を発信していただくと、とても貴重な情報になると思いますので、ぜひお願いしたいということです。
御質問といたしまして、先生を支援する際に、教員の免許を持たない方がどのように関わるのかという観点からの関心に基づく質問でございまして、この資料2の2ページによりますと、新採教員支援員、82名おられる方の中に教員の免許を持っている方と持っていない方がいるということかと思いますので、可能であれば、その内訳であるとか、あるいは支援した方が免許を持っている方であるのか、持っていない方であるのかによって、その支援を受けた先生の側の受け止め方に違いがあるのか。あるいは、免許を持っていない方の募集の仕方として、例えば一般的な事務職の、例えば非常勤職員と同じような募集の仕方であるのか、あるいはもうちょっと教育に関する経験とか、あるいは意欲、例えば今は免許がないけれども免許の取得を目指しているとか、そのような方を対象とした募集などをされているのかという点を伺いたいと思います。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
この後、橋本委員、齊藤委員まで御質問いただきまして、一度区切らせていただきます。では、橋本委員どうぞ。
【橋本委員】 橋本です。大変丁寧で効果的な取組をされていることを理解いたしました。始められたばかりだと思いますので、データはまだそろっていないのかと思いますが、この取組が早期離職の減少、あるいは残業時間の削減にどの程度効果があったかということについて、現時点で何か分かることがあれば教えていただきたい。まだデータがそろっていないということであれば、ぜひ、引き続き取組を続けていただく中で、計数面のデータも収集の上、御教示いただければと思います。こういう取組をもう少し全国的に展開していくに当たっては、計数データが極めて有効だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、齊藤委員どうぞ。
【齊藤委員】 全日本中学校長会の齊藤でございます。大変貴重な説明ありがとうございました。私は中学校の立場ですので、要望として申し上げさせていただきます。山形県の取組は、実際に採用された教員はもちろん、同じ職場の先生方からも好評をいただいていますし、県の教育委員会の評価も高いというところから、クリアする課題があることは認識しているのですが、中学校でもこの制度をぜひ導入していただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございました。
では、加藤教育次長、重なり合うような御質問もあったかと思いますので、一問一答という形に限らず、御応答いただければと思います。お願いいたします。
【加藤教育次長】 それでは、順不同になるかもしれませんけども、御理解いただきたいと思っております。
では最初の、サポートにつくような支援員の研修というふうなことがございましたけれども、もちろん、免許を保有している、例えば再任用短時間の方でありますとか、非常勤講師でありますとかは、経験などもございますので、その中での、これまでの積み重ねてきた研修というような部分はもちろんございます。ただ、免許を持っていないというふうな支援員の研修について、十分できているのかということであれば、それは十分ということは言えないかもしれません。ただし、これは、各学校の校長先生の指導の下で、教員として、学校の職員としてその仕事をするという部分においては、校内での研修あるいは指導ということがその支えになっていると思っているところでございます。
そして、欠員の状況でありますとか、大変講師不足等々の問題がある中で、我々が意図している構想がそのとおりにいかないのではないかという部分も含めての御質問だったと思いますが、やはり本県でも、全てこの構想が当初のとおりの活用になっているという状況ではございません。と申しますのは、新採を配置して、専科の加配なども配置し、この仕組みを活用しようと思っている学校の実態を見ますと、先生方の中に、例えば産育休でお休みになるという方、または病気休暇によってお休みになるという状況によって、経験の浅い、まさに大学を卒業したばかりの講師の方を代替者として複数名配置しなければいけないなんという学校の実態もあったときに、そういった方と、では、この大卒新採の方のどちらを担任にすべきかなんというようなことを考えると、これは、校長の判断の中で、先ほど申し上げた大卒新採を担任にせざるを得ないという学校判断も、これは生じているという実態はございます。ただ、その際には、こういった事情なのでということを市町村の教育委員会を通して、こういった事情を理解していただければということの協議書のようなものを我々と共有させていただいて、ならば、学校が困っている状況であれば、そして校長判断であればということは、もちろん認めているという実態はあるということでございます。本県でも、その講師等の欠員状況というのは実際にございますので、人材の確保というところは課題の一つであるなと感じております。
新学期、4月を遅らせるということについては、実際には本県ではしている実態はございませんけれども、そういった今後の好事例などがあれば、我々も検討していくとか、市町村教委のほうでどういうふうにしていくかなんということについては、情報を交換していきたいなと思っているところでございます。
あと、本県の特別支援学級における少人数学級編制、8人を6人という基準にして少人数化しているということについてでございますが、これについては、もともと本県は、国に先駆けた形で「さんさん」プランを導入して少人数学級を導入し、それが効果を生んできたという背景がございました。イメージしていただくと分かるんですが、特別支援学級に例えば8人の情緒障害のお子さんがいらっしゃったときの1人担任が、適切に対応して丁寧に対応し切れるのかというようなことになると、非常にこれは大きな負担になっている実情がイメージできるかと思います。それを6名ということにしたことで、学校にとってはありがたいという声がたくさん出ておりまして、もうちょっと言うと、その6名をさらに少人数化できないのかなという声も実際にはある。あるいはその6名にしたとしても、3学年が例えば知的の学級の中で混在しているなんていうことになる、あるいは情緒の中でも3学年が混在しているというようなことになれば、本当に担任の先生の負担などもございますので、6名にすることで負担は軽減したり、丁寧な教育活動が展開できているというふうには思っているものの、やはりそれでも学校現場においては負担は大きいということはあるかと思っています。
あと、新採教員の持ちコマの部分についてでございますが、教科担任制の加配を活用していただくというようなことになれば、およそ国でも示していますように、20コマ程度の授業などを受け持つような部分での加配ということが根底にはあるかと思っています。
そんな中で、初任者研修を実施する校内の、あるいは、先ほど申し上げたような教材研究の空きコマの時間などをつくるという意図などから、その20よりも少し少ないような形での、17時間程度の持ちコマにしてもらっているというところが現状にはございます。
あとあわせて、サポートに入る方が授業を受け持てるというとき、例えば再任用短時間の週当たり19.5時間のような方が授業を受け持つときに、5時間ないし8時間受け持っていただくことが可能だろうと考えたときには、17あたりの時間が浮き出てくるというか、適当な時間になってくるのではないかという判断もございます。
あと、人材の確保として、100名の支援員を確保するのは非常に難しいんではないかということは、本当にそのとおりでございますが、ただ免許を持っている方の部分においては、実は再任用の短時間勤務を希望する方々が、本当にたくさん実は本県でもおりまして、そういった方をどう有効活用できるのかということを考えたときに、この制度がぴたっとはまっているようなところも実はございまして、その部分のたくさん希望する方をこういったところに充てられているというところも実はございます。
あと、さらにその支援員の方で免許を持っていない方もやっぱりいるわけなんですけれども、それについては会計年度の職員という形で任用しているわけですが、実際声としては、その形のほう、この任用だとありがたいんだという方もおりまして、あるいはこちらとしてはペーパーティーチャー、こういう人は免許は持っているんですけど、そういった方の説明会を開くとか、様々な中で声がけをさせていただいて、学校と全く関係のない方ではなくて、例えば地域の方でこの方ならばという信頼を置けるような方、例えば市の中で図書館司書の仕事などをしておられた方、あるいは市役所の職員であった方であるとか、そういった方などにピンポイントでお声かけをして、信頼がおける方をできるだけ任用しているということがございます。
あと財源ということがございましたけれども、これにつきましては、国の加配と県の単独の部分を活用しているということで、県単独におきましても、2億円以上の、この県にとっては高額な財源を何とか確保して。これは実は、教育長をはじめとした本県の教育局の大きな課題という捉えと、それから知事も含めた、何とかして違った仕組みを立ち上げて、本県の志の高い若者を守る仕組みをつくる必要があるんではないかと。県議会でもということを先ほど申し上げましたが、そういった部分も含めて必要感がありまして、何とか予算のほうも確保させていただいたということがございます。
あと、順序どおりであちこちに行って申し訳ございませんけれども、アンケート結果の声は、初任研などの対象者かというようなこともございましたが、これはいずれも初任研の対象者の声でございます。
それから2年目の研修の充実ということなどもあったわけですけれども、やはり本県では若手育成のための、そもそも2年目、3年目のフォローアップ研修なんていうことを充実させるようなことから、県の教育センターというところがございますが、そことタイアップして、その研修はこれまでも大事にしてきたところでございます。
先ほどちょっと触れましたけれども、特定の教科を受け持った大卒新採は、少し年度の後半なってきて余裕が出てくるなんていう場合もございまして、今受け持っているのが例えば理科だとすると、その状況によっては、国語のこの1単元を担当してみましょうかとか、学級担任のこういうところを担ってみましょうかなんていうことで少しシフトチェンジして、校内での工夫といいますか、研修機能というのも高めながら、2年目につなげていこうじゃないかななんて、これは新採の精神的ないろんなゆとりとか状況によっては違うと思うんですが、各学校ではそういった工夫もしているようなこともあるところでございます。
あと、支援員のところに戻って申し訳ないんですが、免許がある人とない人との内訳というところなどがあったかと思いますけれども、実は免許を持っていない会計年度任用職員が、2名ほどという少数になっているのが実態でございます。それ以外は再任用の短時間勤務の方でありますとか非常勤講師という内訳になっている。しかも会計年度任用職員の方は、先ほど申し上げたような、この方ならばというところにお願いしているという部分がございます。
時間外の若手教員の在校等時間などのアンケートデータみたいなところがあったかと思いますけれども、確かにそういった部分も、今しっかりと調査をしている状況でございますので、その辺のデータにつきましては、こういった実態であったということを、また情報共有などができればというふうに思っています。
ただ、負担軽減を図ったものですので、実はいろんな学校からも声を、我々は足を運びながら拾っているんですが、その中ではやはり、一番遅くまで残っているんだということでなくて、割と早く帰れるような若手の先生が増えてきているんですよなんていう声もいただいているところでございます。
あと最後に、中学校の教員にもということがございました。まさにそういったところもできればというふうに思っております。ただ、空き時間、空きコマがないという小学校の先生の学級担任の実態、やはり負担感の大きさ、そして先ほど申し上げたような精神面で悩んでしまうという小学校の新採の先生が、ちょっと割合として、離職なども含めて多かったという実態がありましたものですから、まずはというところから進めさせていただいたところでございます。
繰り返しになりますが、こういった部分へのさらなる加配などがあって、小学校にも中学校にも行き渡るような形であれば、今後さらに若手が生き生きと教員生活を送れるんではないか、そう感じているところでございます。
飛び飛びになって大変恐縮ですが、長くなりました。よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】 加藤教育次長、大変丁寧にお答えいただきましてありがとうございます。質問にお答えいただいて、かなり我々もリアリティーを持って、どういう制度運用されているのかということを理解することができました。どうもありがとうございます。
それでは、まだ御質問がある方は後半でお出しいただけますので、一度こちらで少し区切らせていただきまして、教職員配置の在り方に関する論点について、事務局より御説明をいただいた上で、全体的な議論に進んでいきたいと思います。
では、事務局からお願いいたします。
【安井財務課長】 資料3、教職員配置の在り方等に関する論点でございます。
まず総論といたしまして、持続可能な教職員指導体制、働き方改革という観点と、また同時に学校教育の質を高めていくということ、これを両立させていくような観点で、今後の教職員の配置の在り方について検討していく必要があるのではないかということでございます。
さらに、各論でございますが、まず最初のパラグラフにおきましては、学習指導要領の趣旨の実現ということで、新たな学びの展開に向けた教職員配置、また指導の質の向上という点では、小学校でまいりますと教科担任制の在り方、こういったところについて掲げてございます。
また、次の段落におきましては、今ほど山形県さんからいろんな御紹介をいただきました、若年者層の増加に対応した、若手の先生方に対する支援の考え方でございます。
また、次のパラグラフは、学習指導と併せまして重要な生徒指導等の観点で、不登校、あるいはまた、特別な支援を必要とする児童生徒の増加という中で対応する教職員配置でございます。
また、その次のパラグラフにつきましては、学級編制ということで、35人学級等についての小学校における多面的な効果検証等も踏まえつつ、中学校を含め、学校の望ましい教育環境、指導体制の構築についてどのように考えるかということでございます。
資料をおめくりいただきまして、様々な働き方改革の推進、多様化・複雑化する教育課題への対応の中で、前回御議論もいただいた、様々な支援スタッフも参画いただきながら、学校の組織的な教育力の向上を行っていく上でのマネジメントの重要性、また連携の必要性ということでの教職員配置の問題でございますし、また学校における行政系職員としての事務職員の役割でございますとか配置の在り方ということについても論点であろうかと存じます。
また、最後のパラグラフ、健康や食に関する課題に対応するための養護教諭、栄養教諭等の配置の在り方というところでございます。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございました。
それでは、先ほど御発表いただきました山形県のお取組も踏まえつつ、ただいま事務局より御提示いただきました資料3の論点を中心として、委員の皆様から御意見等をいただきたいと思います。御意見のある方は、先ほどと同じ段取りでお願いできればと思います。
なお、大変論点が多岐にわたっておりますけれども、時間的にかなり押しておりますので、伏してお願い申し上げますが、お一人当たり3分以内で御発言を、申し訳ありませんがお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
では、この後、戸ヶ﨑委員、金子委員の順番でお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 現場の声と教育委員会の立場の課題を踏まえて、先ほどの資料3の各論について、丸1から裏側が丸5、丸6と私の方で番号を振らせていただきまして、申し上げていきます。
まず、丸1の論点について、教師の持ち時数の改善は重要な課題と認識をしています。この持ち時数は、教師によってかなりの差があります。特に中学校では、教科間の標準授業時数の違いによって、倍以上の差となることがあります。1日の間にいわゆる「空き時間」がない日が出てくると、子供が学校にいる間は、教材研究や事務作業等ができずに、その結果在校等時間が増加したり、家庭へ持ち帰る業務が増えたりする傾向があります。
また、小学校の教科担任制については、組織力全体としては上がっても、一部の教師への負担が大きくならないように留意が必要だと思います。小学校高学年の教科担任制の加配措置による成果も出ていますが、持ち時数の改善を要するのは、高学年の担任のみではありません。教科担任制や専科の充実を、今後は中学年以下にも展開していくなど、「持ち時数緩和」に向けた加配の検討が必要になると思います。
なお、ここで少し強調したいのは、各教師の持ち時数に一律で上限を課すべきという意見についてです。たまに耳にすることがありますが、校長は平時において持ち時数や校務分掌など、様々な状況を踏まえてマネジメントを行っています。欠員が生じるなど緊急時においては、全教職員で校務分掌のことも含めながら、機動的に持ち時数の調整をせざるを得ません。国として一律での持ち時数の上限設定をするということは、ある意味、このような校長の裁量を縛ることになります。上限設定が目的化することで、教育活動に影響を及ぼしかねないことを危惧しています。つまり、教職員定数を改善していくことで、持ち時数の改善を実現すべきであると考えています。
次に、丸3番の論点について、いじめ・不登校、外国人児童生徒、特別支援・通級、貧困などの状況は、学校によって大きく異なります。また、現場は対応に苦慮していても、我慢をしてしまっている実態があります。そうした課題や「学校の困り度」を教育委員会等との間で明確にした上で、学校ごとの課題に応じた具体的支援体制整備を、重点的に行っていく必要があると思います。課題によっては、教育委員会だけではなく、当然のことながら自治体全体での部局横断という支援も必要です。
次に、丸4の課題について、これは小学校だけでなく、中学校の35人学級についても進めてほしいという現場の声が多くあります。本年2月に本市は岸田内閣総理大臣との車座において、本市の若手教師からもそうした声を伝えていました。
学級担任は、かつては取り合いをしていましたが、近年、若い教師を中心に、学級担任を避けたいという傾向があること、また、定年延長や再任用教師が増加して、短時間勤務の教師が増加することなどにより、学級担任の確保が難しい現状があります。いじめ問題等では、マスコミから学級担任の対応を責められることも散見されます。厳しい言い方をすると、現在、リスクのある業務になってきていると感じています。
最後に、丸5の論点について、副校長・教頭・主幹教諭云々の配置の充実は、いずれも極めて重要と考えています。まず、鍋蓋のつまみの部分である副校長や教頭の業務は、年々肥大化してきています。学校規模の大小にかかわらず、総務、教育指導、人事、顧客管理、渉外、苦情処理といった業務を1人で行っており、副校長・教頭の複数配置の基準は、そろそろ見直しを図る必要があると思います。
また、前回も申し上げましたが、様々な支援スタッフが学校に配置されている中、多様な専門性と役割を担う教職員同士、これをつなぐものが必要であり、コーディネーター的な役割を担う教師の配置充実も図っていく必要があります。
3つ目のテーマとも被りますが、学校固有の課題を考慮して、養護教諭の複数配置なども考えられると思います。養護教諭や事務職員については、今、非常にこれらの出身の管理職が足りていません。本市は皆無に近いこともあり、この辺りの育成も重要なのではないかと考えています。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、金子委員、お願いいたします。
【金子委員】 労働組合連合副会長の金子です。
1点目の教職員配置の件ですが、私どもが聞いている現場の声からしますと、子供の学びの定着や、教員の負荷軽減に非常に大変効果があるとのことですので、ぜひ全国全ての学校で完全実施できるよう基礎定数化を進めていただきたいと思います。
そして2点目の若手の支援の件は、先ほどの山形の大変良い事例をお聞かせいただきました。我々も山形の現場から、こうしたことで保護者に対する具体的なアドバイスがもらえたとか、空いた時間に自分の学習や教材の準備等を行って、授業に自信を持って臨めたとか、非常に好意的な声を聞いております。ぜひ全ての全国の学校に、この専科加配といったものを展開いただければなと思っております。あわせて新たな定数改善計画の策定も必要と思っています。
3点目の特別な支援を必要とする児童への対応について、これも全ての子供にきめ細かく対応することが社会からの要請と認識していますので、義務標準法の改正による教員の定数の改善、引上げと併せて、新たな定数改善計画の策定の、両面をしていく必要があるのではないかと思っています。
そして4点目の35人学級についても、これは先ほどの44ページの参考データを見ると、欧米諸国と比較しても、まだまだ日本は人数が多いと見て取れます。まずはその35人学級による効果検証をしっかりした上で、さらなる少人数化というものも追求していただければと思っています。
そして組織的なマネジメント体制について、これも、要は単なる業務の付け替えではなく、十分な人的配置がまず必要であろうと思っています。あわせて、今いる事務職員の位置づけをもう少し高めていくとか、各校に事務長の配置を進めていただくとかも検討いただければと思っています。同時に養護教諭、栄養教諭についても、全ての学校に配置していく必要があると考えております。
なお、今申し上げたことは、各論としてどうかと聞かれると、それは必要ですと答えがちなので、これはどんどん現実と理想の乖離が大きくなっても詮ない話です。ぜひ現場の裁量権を拡大することによって、マッチングも含めて、最適な人員配置とリソースの配分といったことを検討できるように、それも併せて検討いただければと思っております。
以上になります。
【貞広部会長】 ありがとうございます。この後8名の方が御希望されているんですが、お一人3分で御発言いただいてももうぎりぎりということですので、本当に申し訳ないんですけれども、時間を守っていただければと思います。
では、藤原委員、どうぞ。
【藤原委員】 ありがとうございます。質の高い教師の確保において、定数改善は極めて重要だと認識しております。そういう立場から、時間の関係で2点だけ申し上げます。
まず1点目、35人学級についてでございます。現在小学校においては、段階的に少人数学級化が進行中でございますけれども、一方中学校は40人学級のままということでございますので、進級の際に学級規模が大きくなることによる否定的な影響というものが懸念されているところでございます。
そういった点に関して、国立教育政策研究所の山森光陽研究官が行った研究におきましては、示唆を得られるような結果が出ております。この調査というのは、山形県内の児童4,000人以上を小学校4年から中学校2年まで追跡して、学力偏差値の推移というものを分析しまして、学会誌「教育心理学研究」にも掲載されたものでございますけれども、社会や理科などにおいては、小学校から中学校に移行する際にクラスサイズが大きくなった生徒のほうが、中学校において学力偏差値が低く推移するという結果が出ています。
繰り返しになりますけれども、小中移行時にクラスサイズが大きくなってしまった、そういうような生徒のほうが、中学校において学力偏差値が低く推移していく結果というのが出ております。進級の際の大人数学級化によって否定的な影響を生徒に与えないように御配慮いただきたいというのが1点目でございます。
2つ目が事務職員でございますけれども、諸外国ではリソースマネジャーというふうに言われたりしております。これは学校教育を進める上では、やっぱりリソースが必要でございます。そのリソースの最適活用を図るのが事務職員でございます。2017年の法改正で、事務職員の職務が、従事するから、より責任の重い、つかさどるに変更されて、校務運営に参画することが期待されるようになったわけでございます。
こういう法改正を受けて、業務改善や新型コロナ対応ですとか、GIGAスクール構想の実現ですとか、新たな学校課題に寄与する取組も行われてきたことも事実であります。しかしながら、義務教育の場合、学校に1人配置でございますし業務、成長支援が限られている現状において、全国全てでこの法改正の趣旨を実現する上では、さらなる工夫が必要だというふうに認識しております。そうした工夫の一番やるべきことというのが、組織化であると認識しております。
権限を有した室長の下で共同して事務を処理する共同学校事務室の設置というのを、さらに積極的に推奨いただきたい。さらに、室長が共同学校事務室のマネジメントに、より力を注げるように、共同学校事務室においては原則として加配を行うなど、将来を見据えて定数改善というのをぜひ進めていただきたい。この組織化というのが、やっぱり学校事務体制を確実に変えていくだろうということを私は確信しております。
最後に、今まで義務教育のほうを申し上げましたけれども、実は県立学校の事務体制もかなり弱体化してきております。県立学校のほうの事務体制についても目配りしながら、ぜひ御支援をいただければというふうに思っております。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、露口委員、お願いいたします。
【露口委員】 失礼いたします。2点ほど簡潔にお話をさせていただきます。
各論の1と3になります。各論1は持ちコマの箇所でございまして、標準法の乗ずる数に切り込んでいく必要があると思っております。現在の乗ずる数では実態に合っていないということが分かってきておりまして、私の理解なのですが、多分6日制の時代の基準ですよね。それが完全学校週5日になっておりますので、5日制基準で乗ずる数をもう一度検討するという、そもそものところに切り込んでいく必要があるのかなということを意見として申し述べさせていただきます。
もう1点が各論3の箇所でございまして、特に不登校支援でございます。今、小学校の低学年児童の不登校の増加状況が顕著であり、重要な課題となっております。そこに対する手当てが必要であると思われます。特に教諭と養護教諭の配置、やはり予防と初動の対応をしっかりしておかないと、事後からの適切なフォローというのは難しいと思います。カウンセラーさん、ソーシャルワーカーさんの動きというのは、予防と初動の後の話であると思いますので、予防機能と初動対応の機能を強化する意味で、教諭の増員及び養護教諭の複数配置をお願いできたと思っております。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】 よろしくお願いします。ちょっと言い切れない分もあると思うので、参考資料4のペーパーに落としてきましたので、ポイントのみお伝えしたいと思います。
1つは、こちらの1ページ目にも書きましたように、ほとんど授業とその準備と成績処理で、もう勤務時間が終わってしまっているんです。つまりそれだけ、授業等だけでも重たいということを、まず認識しておく必要があるだろうと思います。
この部会なり中教審でどこまで目指しているのかということが問われていると思うんですけれども、少々残業があっても当たり前だとか、45時間以内だったらいいよねという目線ではなくて、定時で帰れるのが当たり前というような学校にもっとしていくためには、やはりこの授業負担をもっと減らしていくという観点にもっと立つ必要があるだろうということを申し上げたいと思います。もちろん各学校とか教育委員会で工夫できるところもありますけれども、標準法を含めて、しっかり考えていかないといけないということです。
1ページ目の下の図を見ていただくと、やはり小学校の持ちコマ数がめちゃくちゃ多いということで、26コマ以上の方が約4割です。この表を見ると、普通、海外の先生であればもうストライキものだなと思うぐらい、小学校と高校の格差があるということであります。やはりここの、ほとんど出ずっぱりで、授業準備が勤務時間の中でなかなかできないという現実を変えていく必要があるというふうに思います。
次、2ページ目です。そことも関係するんですけれども、小学校の先生は、1日、休憩時間が5分程度しかない。中学校も少ないんですけれども。これは正直申し上げて、労働基準法違反と言われても仕方がないような状況です。これはずっと前からあります。ここも変えていく必要があるということを申し上げたいと思います。
それから、41%の小学校教諭は不眠症だというデータもありまして、つまり先ほど課長からもありましたように、働き方改革の観点のみならず、教育の質を上げていくという観点からも、眠たいままではいい授業にならないし、いらいらして子供たちに不適切指導してしまうというようなこともありますので、やはりこういった、先生方にゆとり、余裕を取り戻すということを考えていく必要があると思います。
実際、先日も聞いたんですけれども、今インフルも流行っていますが、体調が悪くても休めないようなぎりぎりの人数で、綱渡りで現場は維持されているという状況ですので、しっかり考えていく必要があるということです。
3ページ目です。そういった以上のファクトを踏まえながら、何が必要かということを申し上げたいと思います。露口先生はじめ、ほかの委員の方もおっしゃっていましたけれども、教員定数、基礎定数の部分では学級数掛ける乗ずる数という計算式になっております。この係数、乗ずる数のほうをやはり改善していかないと、この持ちコマ数なり勤務時間の中で無理なく仕事が終わる体制にはならないので、ぜひここをお願いしたいと思います。
ちなみに義務教育標準法が制定された当初は、小学校でも1日4コマ程度ということを文部省は考えていたようです。ここが週休2日制になった後もあまりほとんど顧みられることなく、いつの間にかこの辺の趣旨が無視されている実態でありますので、加配定数による教科担任制だけではなくて、基礎定数の部分をやはり変えていく必要があると思います。標準法とかその施行規則等で、上限の持ちコマ数はこれぐらいにしてくださいよというようなことも定めるべきじゃないかと思います。
戸ヶ﨑さんのほうから、それは校長の裁量とバッティングするんじゃないかというお話がありましたけれども、国なり各都道府県の予算確保、人材確保の基準と校長の判断とか現場の柔軟な配置というのは、これは矛盾する話ではないので、あくまでも法律で枠を決めて、きっちりそこの予算は確保していくというような制度は、しっかり考えていただきたいと思っております。
最後、支援学級の話は山形県の質疑応答でも確認したとおりですけれども、やはり8人だと多過ぎるというところはありますので、ここもぜひ御検討いただきたいと思います。
以上です。
【貞広部会長】 どうもありがとうございます。
この後も7名の方ですか、御発言を御希望されていますが、恐らくちょっと12時を過ぎてしまうかと思いますので、申し訳ありませんが、ちょっと進め方が悪くて恐縮ですけれども、若干の延長を御了解いただければと思います。
また、澤田委員が途中で退席されるということですので、澤田委員からまず先に御発言をいただければと思います。澤田委員、いかがでしょうか。
【澤田委員】 ありがとうございます。じゃ、先に発言させていただきます。そうですね、ちょっと時数についての話が、すみません、今日の論点ではないかもしれないんですが、お伝えしておきたいなと思うので発言いたします。
余剰時数を見直すということを緊急提言でも入れていただいたので、今年度、途中からでも午後の授業カットとか時程の見直しに取り組むという学校が増えてきましたので、様子をお伝えします。
放課後の時間が増えるので、残業でやっていたことが勤務時間内にできるようになって、単純に早く帰れるようになったという声が上がるのはもちろんなんですけれども、ほかにも、ゆとりがあるので先生同士で子供や授業についての情報交換ができるようになって、授業の工夫につながったとか、それが教材共有につながってさらに早く帰れるようになったとか、子供の作品をじっくり見られるようになったら、子供の成長や感性に感動することが増えて、子供に向けるまなざしが優しくなったとか、放課後のゆとりが教育者にとって必要な創造性や豊かな感性を取り戻すようなことになっていくという傾向が、働き方改革に取り組んでいる学校では確かに見られますし、私も教員時代を振り返って強く思い当たりますので、国としてますます力強く旗を振っていただけたらと思っています。
弊社の支援先の全国の学校のこの次の取組の傾向としては、次は授業の1コマの時間を柔軟に見直し始めていっています。小学校通常1コマ45分を40分にするといったことです。そうすると、6校時までの場合は放課後の時間が30分生み出せます。小学校も中学校もこういう取組をする前は、時間に指導内容が収まりきらないのではという心配もありながらなんですが、やってみれば、時間が限られればそれはそれで、その中でやるべきことができるというふうになっていきます。
先生の放課後のゆとりというだけではなくて、1コマが短くなったら、何と子供の集中力が保たれてよかったなんていう声もあったのも面白い点だと思っています。授業の工夫とか教師の役割の転換ということも併せてやることによって、子供が自立的な学び手になっていったということが起こっていったときには、大人の予想以上に、子供の学びへの意欲も学ぶペースも上がっていくということが起こることもあります。
学びの時間の長さもスタイルもいろいろと試してみれば、学び方にも働き方にももっと可能性があるかもしれないと思っているところです。弾力的な授業時間やモジュールといったことを柔軟に各学校が選択するというのは、既に制度内で可能ではありますが、さらに力強く国が旗を振っていただけたら、現場は心強いはずだと思います。
ただ、その際気になることが1点あるので、これは提案です。例えば40分授業にした場合、足りない5分をどこかで取り直さなければいけないというのが現行制度での厳密な運用だったと思いますが、これを柔軟にすべきだと考えています。子供の実態を身近で一番よく知って、学びの保障を最も考えているプロである先生たちが十分だと判断したならば、その5分の帳尻を合わせることにとらわれ過ぎず、柔軟に創意工夫ができるようになればと思っています。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。緊急提言と現場との応答についてもお話をいただきました。お礼申し上げます。ありがとうございます。
では、会場から齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】 全日中の齊藤でございます。ありがとうございます。
私は、35人学級について1点に絞って申し上げます。まずこれを行うことによって、教員の負担軽減、あるいはやりがいや充実感が創出されることが間違いないと思います。そして小学校ではすでに段階的に制度を導入しておりまして、中学校への導入は、検証を待って判断するとされておりますが、検証を待っていては、中学校の教員の負担軽減とやりがいや充実感の創出は困難になるという気持ちが率直にございます。
先日、PISAの調査の結果も出まして、現在の高校2年生、コロナ禍で一斉休校が行われた時点で中1だった子供たちが検査の対象になったわけですけれども、当時は中2に進級したばかりでした。まだ、教員によるタブレット端末を活用した指導が手探りだった中で施策が打ち出され、タブレットを導入して教育活動を進めることになりました。学校現場では、休校期間で生徒が登校しない時間をやりくりして、教員が日々相当な時間を費やして研修を行いました。そしてオンラインで生徒と映像を通じて健康観察、学級活動を実施したり、授業を実施したりして、端末の活用を進めたことが、CBT方式で行われた今回の結果に多少貢献していると思います。
その意味で、やはり教員がに自ら学ぶ時間を確保させるためには、教員の業務の負担軽減を意図した定数の改善が絶対に必要なことは明らかであり、ぜひ検証の結果を待たずに、中学校でも積極的に35人学級の導入を進めていただきたいと思います。そのことによって、学校現場にいる一人一人の教員が成果を高める意欲をもち、一層の授業改善、一層の生徒理解に邁進できると強く思います。
あと、資料1の3ページに、小学校と中学校の様々な課題の実態について資料を載せていただきありがとうございます。この中で、「学習面又は行動面で著しい困難を示す」「不登校傾向」にかかる1学級当たりの割合について、中学校が若干数値的には改善されているとも読み取れるような数値が示されている部分があります。小学校でも同様の課題の改善を図ってはいただいておりますが、残念ながら中学校まで課題をもち越してしまっている子供たちがおり、この子たちの状況は小学校在籍時と比較して深刻化しています。
ですからその深刻化している中学生に対して、改善解消に向けた適切に対応していかなければならない中学校の教員の負担は決して小さくないこともぜひご理解いただきながら、この部会の中で発言してまいりたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、オンラインから善積委員、お願いいたします。
【善積委員】 ありがとうございます。人材配置に関しては、その研究をしているわけではありませんので、現場を見てきたコンサルタントとしての意見でお伝えしたいと思います。
学校という組織が非常にぎりぎりの人材配置で回されているということを我々は認識しておりまして、何かあったときのリスクが非常に大きくて、その影響がいろいろなところに波及し、悪循環を生んでいるという実態があるのは、もう自明の理かなと思います。我々が今拝見している学校現場においても、6年生の担任の方が休職された事案が出てきました。そのため、校長と管理職の方が人材の補塡をするために探し回って、結果1人確保したんですけれども、その方の経験が浅いということと、問題があった学級を担当するのが結構厳しいだろうということで、結果的に、校長、教頭、それから教務主任がずっと回って授業を行っている。
管理職がそういう状況になっているので、学校運営がいくぶん滞ってしまっている実態になっているということがあります。それがいつ終わるのかというめども立ちにくい中で、非常に不安定な中で仕事をされているというのは、精神的にもよろしくない状況になっているのかなと。それが子供たちにどういう影響を与えているのかというところは、少し懸念事項になるのではないかというふうに思っています。
そういう意味でも、誰が抜けても何とか動ける状況を日常的に確保していくということは、かなり大事な学校現場での課題であろうと思うんですけれども、皆さんがおっしゃる乗数、係数のところの問題だと思うんですが、何か0.5とか4分の1とか、その設定の根拠が私どもはよく分からなくて、その辺りは時代の流れにという皆様の御意見があったので、見直しを絶対したほうがいいんだろうなというふうに思っているのと、加配の基準もよく分からないんです。学校によって加配されている先生の数が違っていたりする。
誰が決めているのか、どういう実態からそういう判断をされているのかというところもあるんですが、突然起きるような事態に対応できるような状況での加配ではないなというふうには感じています。ですから、代替教員の確保の責任が誰にあるのかというところ、これは学校にその確保を委ねているような実態もあると思われますので、山形県さんの事例のように、ピンポイントで声もかけたというようなことをお聞きしましたが、そういう上部組織のほうで必ず確保するという意識を持たれるのは非常に重要かなと思います。
あと、専科教員の配置というのは、サポートの確保として非常に緊急事態の対応に役立つのかなということもあるんですけれども、その辺り、規模だとかそういったところではなく、余裕のある組織運営ができるために配置をどう考えるかというところの観点が要るかなというふうに思いました。
また専科教員が加配されていくことによって、チーム運営、チーム対応という学校運営もできるということを事例で御紹介いただいたんですが、実際そういうチーム対応を専科教員を交えてやられた学校の先生からお聞きしたところ、時間割の調整とかが非常に大変だったというふうにお聞きしています。この辺りの時間のつくり方とか年間のスケジューリングというところは、もう少しシステム的に行うことができないのかなというふうに考えておりまして、この辺りもぜひ文科省さんのほうで、何か案を提示いただけないかなと思いました。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、オンラインから熊平委員、お願いいたします。
【熊平委員】 ありがとうございます。私から3点ございます。
まず、総論についてですが、持続可能な教職員指導体制の構築と多様化・複雑化する教育課題への対応やきめ細かい指導体制、その上で新たな学びを実装するということに対しては大賛成ですが、それと同時に私たちは、教員の働く時間と負担を軽減していくという、もう一つの目標を合わせて、教職員の配置の在り方を考えなければならないということを、より明確にしたほうがよいのではないかと思いました。
といいますのも、我々が業務の高度化と、業務の時間削減という2つの矛盾している大きなテーマに向き合わなければならないからこそ、我々が、前例の延長線ではない解決策を生み出さなければならない使命を持っていることが、より明確になるのではないかと思ったからです。
2番目に、教職員の配置の在り方につきまして、山形県のお話を伺い、また、資料1の5ページの情報に触れ、改めて人数という視点で捉えるだけでよいのかということを、問題提起させていただきたいと思います。教員の負担は、人数と能力の掛け合わせできまるのだと思います。先生方とお話をしていると、「今度の学校は結構楽でありがたい、ベテランがいっぱいいるから」という話を聞くことがありますが、山形県のお話と資料1の教員の年齢別構成割合を見て、なるほどと思いました。
資料1、5ページの資料を見ていただくと、平成13年では小学校の20代の教員が8%です。そして今、20%になっているということで、明らかに新人の割合が非常に高いということになります。新任の教員を本当に1人とカウントしてよいのかということも、今日のお話を聞きながら疑問に思いました。
同時に、新任教員の能力をとても早く高めていく体制を構築していく、それが山形県の事例だと思うのですが、そういったことを全国で本気で取り組む必要があると思いました。また、本来であれば教員養成の段階で、オランダのように、学生が長期に渡り、学校に入ることができて、そこで学んで、本当に即戦力として新任教員になるということができれば、新任教員を1人としてカウントすることもできますので、こういう教員養成の在り方をしっかりと考えていくべきではないかと思います。
さらに、働き方改革の中では話題になりませんが、、既存の先生方の学び直しも、新しい教育を実現するのであれば、業務の新たな追加事項となります。そういうことも踏まえて、全体を捉えながら考えていくべきではないかと思いました。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
では、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】 ありがとうございます。総論のところでのお話、御説明を聞いていまして、働き方改革と教育力向上と、これは2つながらやっていくということなんですけれども、今までの御議論の中でもそうですが、これは必ずしも2つではなくて、全く一体のものではないかなということを思っています。
そのような考え方で進めていくということが、具体的に先ほどお聞きしました山形県などの取組ではないかなと思いました。山形県は守りながら育てるということで、若手の教員に対して大変配慮していこうとしていらっしゃるわけですけれども、守りながら育てるのは、必ずしも若手だけではないということも言えるように思います。中堅の先生たちも大変困っていらっしゃる方がいらっしゃるので、そういった方に対する、守りながら育てるという発想が必要だと思います。
その際、山形県は財源も大変厳しい中で、2億とおっしゃったようにお聞きしていましたけれども、支援員を確保していらっしゃるということです。やっぱりここはもう本当に数の確保というのが非常に重要で、一方で教師になっていただくというか、教職に目を向けていただくことも大事なんですけれども、もう一方で定数ということについても、これもほかの方もおっしゃっていましたが、考えなければならないし、そういった大きな動きというものをつくっていく必要があると思います。
現場に近いところがいろいろと気づいていらっしゃることはあると思いますので、重ね合わせていって大きな動きになることを、心から願っています。
以上です。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございました。
では、オンラインから西村委員、お願いいたします。
【西村委員】 成蹊大学の西村です。私は教育行政の専門家ではないので、総論について3点申し上げます。
1つ目ですけれども、基礎定数と加配定数、こうした細かな算定基準をさらに精緻化していくことで増員することがよいのかについて考えるべきではないかと思います。私は総務省の研究会で長らく地方公務員の定員管理に関わってきましたが、行政のニーズを反映できるよう、いろんな複雑な計算を工夫しても、結局一律基準では限界があるという実感を持っています。
特に行政ニーズにまつわる人数を基準にすると、少子高齢化では定員削減の圧力が強まるばかりで、現場の人手不足は各種の効率化努力で何とかしろとなりがちです。日本では予算の根拠として、定数の計算式なんかがあって当たり前、厳格な定数管理が必要だと考えられがちですが、これは世界標準というわけではないです。教育分野はどうか分かりませんが、一般行政においては、ある程度の予算枠内で柔軟に決定している例もあります。
現状では配置は弾力的にできるということですが、定数自体に弾力性を持たせる、少なくとも今後増加を求める部分については、学校予算として一定の予算を確保して、その枠内で実情に応じて人員を柔軟に手配できるような、現場に定数決定にもっと裁量のある人員確保の在り方も検討してよいのではないかと思います。
2点目ですが、今日の議題においては数の不足にどう対応するかが中心課題になっていますけれども、校長、教頭などのマネジメント能力も併せて強化することが極めて重要だと思います。なぜなら人手不足は数が少ないだけでなく、管理職のマネジメント力不足によっても生じるからです。教員配置や教科編成、学級編制など、適切なマネジメントが行われなければ、定数を増やしてもうまくチームワークが組めなかったり、あるいは余計な負担が生じたりで、十分な増員効果が期待できないと思います。
マネジメントが適切でなく、職場が停滞した雰囲気になっていたら、新たに採用しても定着してもらえず、人材確保もできなくなります。教育現場に適したマネジメントの在り方は、まだ十分開拓されていないように見えます。マネジメントは職域や組織によって大きく異なりますので、教育現場のマネジメントは教育現場で作っていくしかないと思います。時間はかかるかもしれませんが、今いろんなことが学校に求められていますので、一つ一つやるべきことや理想的な体制など、マネジメントに当たって重要なことについて、マニュアルなどをつくっていくべき時期に来ていると思います。
3点目ですけれども、教員をもっと採用しようということになると、当然人件費は膨らむわけですが、そうしたことに国民、住民の理解を得られるよう、その意義を繰り返し説明することも大切だと思います。公立学校には私立以上に様々なサポートを必要とする多様な子供たちがいますが、これを放置しておくと、子供が卒業して10年後、20年後、こうした問題がそのまま、あるいはもっと悪化した形で、社会問題となるわけです。公立の学校はある意味、将来の社会の縮図になっていると思います。
子供のうちに適切な教育を受けられるよう必要なサポートをすることで、将来の社会問題を未然に防ぎ、日本の将来を担う人材を育てることの意義は非常に大きいです。教育は将来どんな社会になるかを左右する、とても重要な社会的な投資であること、目先の人件費云々といった財政上の節約をしたことで、将来的に別の支出を招き、トータルな財政負担が増えることになりかねないという長期的な視点で考えるべきことを広く訴えて、文科省におかれましては、引き続き教育予算をしっかり確保していただきたいと思っています。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。1つ目の御意見は、金子委員が一番最後におっしゃったことと重なるところかと思います。もう少しその裁量を高めていくということも考えるべきなのではないかということでした。3点目にいただいた社会の納得性の調達というのは、私も全くそのように思います。貴重な御意見ありがとうございました。
では、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】 青木でございます。各論の5について申し上げます。資料で言うと、9ページから10ページにかけてを参照します。結論的には、私が今日申し上げるテーマは、副校長、教頭の定数の改善ということです。西村委員のおっしゃることには賛同をすることを前提に、既存の制度をベースにした場合ということで考え方を申し上げます。
9ページですと、副校長・教頭、6学級、3学級がハイフンか0.75になっていますが、これを1にする、それから10ページについても、副校長・教頭、3学級0.5というのを1にするのはどうかというアイデアです。すなわち、教頭は勤務実態調査を見ましても超長時間労働ですが、他方でティーチングの技能もあり、だからこそ授業をしたり担任を持つというケースまであるわけです。
マネジメントとティーチングの人的リソースのバランスが崩れるような状態が今あるわけですので、それを考えますと、やはり教頭、副校長の定数の改善、あるいは複数配置ということは、十分考慮していい選択肢ではないかと思います。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。この後、植村委員に御発言いただいた後、一度事務局のほうで応答があればお返しいたしますので、まず、では植村委員、お願いいたします。
【植村委員】 時間のないところ、ありがとうございます。全連小、植村でございます。資料3について2点。
1点は、持ちコマ数の軽減は必要であるということです。全国都道府県によって持ちコマ数について大きな差があります。ある地区では、ほとんど28時間近くという持ちコマ数もありますし、あるところでは、加配等、専科等によって、21時間とか20時間に近いところもあります。全国どの地区でも持ちコマ数が一定程度担保されることが大事だと考えています。
2点目です。定数改善が必要であるということです。そのためには、例えば専科教員の定数の確保であるとか、現場の声としては、欲を言えばなんですけれども、プラス1の教員がいると大変助かると。急な対応でお休みだったり等、学校では様々なことがあります。そんな声も届けていきたいと考えております。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。プラスアルファというのは、先ほどの善積委員の御意見等も恐らく重なるところだと思います。ありがとうございました。
事務局から何かありますでしょうか。
【安井財務課長】 御指摘様々頂戴いたしましてありがとうございました。本日いただいた御意見も踏まえまして、さらに御審議を深めていただきたいと思ってございます。
若干だけ補足で申し上げますと、様々な教育課題や、それに対応した教職員配置の改善の必要性の御指摘をいただいたことと同時に、また、いろいろな学校現場の課題の実態に応じた柔軟な配置の必要性などについても御指摘をいただいたところでございます。非常にいろいろな柔軟な取組というのが、自治体、学校との協力関係の中で行えるような制度設計がされているところでございますので、御審議を深めていただけるような御説明もさせていただきたいというふうに考えてございます。
また、いろいろと定数配置の国の標準を考えていく上で、基礎定数と加配定数の2つの枠組みの中で進めているというところを御説明申し上げました。基礎定数につきまして、外形的な学校の学級数等の状況で算定をしておりますけれども、加配定数につきましては、まさに今日いろいろと御指摘をいただいた各学校の課題の状況の個別差ということに、さらにきめ細かく対応していくことのために、学校現場と自治体の御相談の中で配置の必要性の御申請をいただいて、国のほうで追加的に定数配置をさせていただくという仕組みでございます。
また、そういった中で学校の取組をしっかりと支えていけるような制度設計を、しっかりと考えていきたいというふうに考えております。ありがとうございます。
【貞広部会長】 ありがとうございました。私の時短ハラスメントで、発言自体を御遠慮された方だけではなく、発言された方も言い足りなさをお感じになっているかと思います。足りない部分については、事務局のほうにメール等でお伝えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。会議の運営に無理矢理協力させてしまいまして、申し訳ありませんでした。
また、本日御発表いただきました山形県教育委員会の加藤教育次長、大変貴重な御報告をいただきましてありがとうございました。御報告があってこその今日の活発な議論につながったかと思います。改めて御礼申し上げます。
最後に、次回の予定について事務局からお願いいたします。
【菅谷財務課長補佐】 本特別部会の次回の日程につきましては、来年1月中旬から下旬頃の開催を調整しております。詳細については、追って事務局から御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】 ありがとうございます。
それでは、本日予定した議事は終了とさせていただきます。これで閉会いたします。ありがとうございました。
―― 了 ――