質の高い教師の確保特別部会(第5回) 議事録

1.日時

令和5年10月20日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 関係団体の提出意見について
  2. 教育職員の健康及び福祉を確保する方策等及び教師集団の多様性の確保について
  3. その他

4.議事録

【貞広部会長】  ただいまから第5回中央教育審議会初等中等教育分科会質の高い教師の確保特別部会を開催いたします。
 冒頭、傍聴者の方々へのYouTube配信の接続が円滑にまいりませんで、会議の開始時刻が遅れておりますことをおわび申し上げます。傍聴してくださっている方々は、今ライブ配信でこれでもう見られるようになっているということですね。ありがとうございます。
 皆様、お忙しい中御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。お待たせいたしました。本日の会議につきましては、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただいております。
 会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外を含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあろうかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 また、本日は、報道関係者と一般の方向けに本特別部会をYouTubeにて配信しており、YouTubeでの傍聴者から録音及び録画の希望がございましたので、この点につきましても御承知おきください。
 それではまず、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【鈴木企画官】  ありがとうございます。本日の配付資料は、お手元の議事次第の4、配付資料にありますとおり、資料1から資料2-4及び参考資料1から参考資料8となっております。御確認等いただき、過不足等ございましたら事務局までお申しつけください。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題に入ります。本特別部会では、5月の文部科学大臣からの諮問を受けて審議を進めております。参考資料5にありますとおり、諮問に先立ちまして調査研究会が立ち上げられておりまして、こちらにおいて本部会での検討が円滑に行われるように論点の整理がなされたところでございます。さきのこちらの会議でも私のほうから確認させていただきましたが、論点は5つの点から整理されています。1、教員給与等の在り方、2、教師の勤務制度の在り方、3、さらなる学校の働き方改革の推進、4、学級編制や教職員配置の在り方、そして5として、支援スタッフ配置の在り方でございます。
 本日は、前回の特別部会に引き続きまして、この5つの論点のうち、主に2と3について御議論いただきたいと思っております。これは本特別部会ができることを直ちに行うという考え方の下、8月に取りまとめた緊急提言においても、今後丁寧に議論を進めていくとされた内容になります。
 なお、本日の進め方についてでございます。まず、議題1といたしまして、前回に引き続き、関係団体に御提出いただいた意見について事務局より御説明いただきます。次に、議題2といたしまして、教育職員の健康及び福祉を確保する方策等及び教師集団の多様性の確保について、事務局より制度の現状や調査結果等について御説明をいただきます。これら事務局からの御説明の後に、関連した取組として、市立学校において勤務間インターバル制度を導入していらっしゃる福岡市教育委員会からお話を伺いたいと思います。本日はオンラインで福岡市の福田教育次長に御出席をいただいています。福田教育次長、お忙しい中、大変ありがとうございます。その後、福岡市教育委員会の御説明内容に関する質疑応答を行った後、後半は、本日の議題全体について委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
 それではまず、関係団体からの御提出いただいた意見につきまして、資料1に基づきまして、事務局より御説明をお願いいたします。また、併せまして、参考資料1と参考資料2についても簡単に触れていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【安井財務課長】  失礼します。財務課の安井でございます。事務局のほうから御説明申し上げます。
 まず、資料1でございます。関係団体に意見の提出をお願いしてございましたけれども、前回に続き、今回は28団体から御意見を頂戴したところでございます。貴重な御意見を頂戴いたしまして、大変感謝を申し上げる次第でございます。時間の関係で頂戴した御意見の個々の御説明は控えさせていただきますけれども、今後の御審議に御活用いただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、参考資料につきましても簡潔に御説明をさせていただきます。
 参考資料1でございます。前回の会議におきましても、個々の教職員の方々の勤務の状況把握をいたしまして改善に取り組むことが重要という御議論がございました。その御議論の中で、どういう先生方が在校等時間が長い傾向にあるのかという分析が必要であるという御指摘もいただきました。そこで、勤務実態調査につきまして詳細分析を現在行っている途上でございますけれども、本日取り急ぎ確認できたデータを参考資料1で御報告をさせていただきます。
 今回、週当たり在校等時間が60時間未満の方と60時間以上の者の二グループに分けて比較をしたところでございます。週60時間というのは、月当たりにいたしますと時間外の在校等時間が80時間相当になろうかと思います。そういったところで分析いたしましたところ、まず年齢でございますが、年齢が若い方がやはり在校等時間が長い傾向にあるというところでございます。また、担任をしております児童数あるいは授業で担当している生徒数が多いという方のほうが在校等時間が長いということ。また、中学校でいきますと、部活動顧問のうち、担当部活動の活動日数が週6日以上、これはガイドラインで週5日以内ということの定めがございますけれども、6日以上をされているという方がやはり週60時間以上の時間が多いというところがこういった分析でも出てきているというところでございます。今後また御指導もいただきながら、勤務実態調査の分析についても引き続き行って、御報告をまた本会議でもさせていただきたいと考えてございます。
 続きまして、参考資料2-1と2-2でございます。先日財務省の財政制度等審議会におきまして、文教関係予算に関する御議論が行われたところでございます。参考資料2-2がその会議において配付された資料でございます。本特別部会の審議事項に関わる御議論がございましたので、参考資料2-1におきまして、文部科学省の考え方あるいは関連データをまとめさせていただきましたので、簡潔に御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1ページでございます。少子化と教職員定数との関係についてでございます。少子化によりまして、児童生徒数は減少しているわけでございますけれども、一方でこの資料でもデータを掲載させていただいたとおり、学校が抱えている教育課題自体は量的にも増えている、あるいは内容的にも困難化しているという状況が見てとれるところでございまして、現在の学校の教師の勤務環境の改善、また、教育の質の向上のために教職員定数の改善が重要であると考えてございます。
 また、2ページでございますが、教師人材の確保に向けてということで、こちらは教師の成り手発掘の強化、こういったことに今後さらにしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。
 また、3ページでございます。働き方改革の推進あるいは教育の質の向上を図っていく上で、支援スタッフの役割も重要でございます。教師が教師でなければできない仕事に注力していただくために、教員業務支援員は重要な役割を果たしていただいていると考えてございます。実際に配置されている学校の状況のデータを今回お示ししていますけれども、配置校におきまして、教師の勤務時間減少の効果も定量的に把握をされているというところでございます。また、右側のデータは、特に教師の事務的業務の軽減にも教員業務支援員の配置が有効であるということもデータを確認しているところでございまして、今後、配置の充実にも努めてまいりたいと考えてございます。
 また、最後、4ページ、教員給与の関係でございます。一般行政職よりも教員給与を優遇するべきことが人材確保法に定められているところでございますけれども、こちらの優遇分が近年減少しているという状況でございます。処遇の改善が重要な課題であるということで、本特別委員会の審議事項としても諮問をいただいているところでございますので、しっかりと今後の検討、議論、取組を進めてまいりたいというところでございます。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。それでは続きまして、議題2として、教育職員の健康及び福祉を確保する方策等及び教師集団の多様性確保についてに入りたいと思います。まず事務局から、教育職員の健康及び福祉の確保等や教師集団の多様性の確保に関する制度等を御説明いただきます。教育職員の健康及び福祉の確保は前回から継続の議題ですが、本日は上限指針に関する取組、終業から始業までの一定時間以上の休息時間の確保、いわゆる勤務間インターバル、テレワーク、変形労働時間制等について取り扱います。
 事務局の御説明の後、福岡市の福田教育次長より、福岡市教育委員会における勤務間インターバル制度に関わる取組についてお話を伺います。
 それではまず、事務局より御説明お願いいたします。
【千々岩企画官】  初等中等教育企画課でございます。資料の2-1に沿いまして、御説明をさせていただきたいと思います。お時間の関係から、主な点に絞って御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料の7ページを御覧いただければと存じます。7ページ目の下のグラフ、こちらは前回9月26日の会議でも御紹介させていただいているものと同じものになりますが、文部科学大臣が定めている上限指針に関して、在校等時間が上限時間を超えた場合に、各学校における業務や環境整備等の状況について事後的な検証を行っていますかといった問いでございました。こちらは、「実施している」という回答があったところが44.1%という回答でございました。
 その上で次のページ、8ページ目の内容でございます。こちら、事後的な検証を行っていると回答があった教育委員会に対して、では、具体的にどのような事後検証を行っていますかと尋ねた問いになります。ざっとした傾向としては、計画に基づいて取組の検証・フォローアップを行っているようなところ、あるいは上限時間を超えた全ての学校ごとに検証・フォローアップを行っているようなところ、ここが4割から5割程度という傾向。一方で、これらの結果を公表しているところは少なくなっているといった状況がありました。
 次に、10ページ目でございます。こちら、上限指針を踏まえた条例や規則等の整備状況についてのデータでございます。文部科学省においては各教育委員会に対して、上限指針の実効性を高めるための条例や上限方針を位置付けるための教育委員会規則等の整備を求めているところでございます。多くの自治体においては整備を行っていただいているところでございますが、一方、令和5年8月現在で調査をさせていただきましたところ、「令和5年度中の整備予定がない」と回答があった自治体数が43市町村ございました。文科省としてはこの結果も踏まえまして、必要な規則等の整備を求めてまいりたいと考えております。参考資料3で自治体名を記載しておりますが、本日はそちらは割愛させていただきます。
 次に、21ページ目でございます。終業から始業までの一定時間以上の休息時間の確保ということで、いわゆる勤務間インターバルと言われるものでございます。令和5年8月の人事院勧告において、国家公務員の勤務間インターバル確保に努める義務を法令上明確にすることが適当と示されました。教育公務員に関しましては、地方公務員と同様に法令上の規定はないわけでございますが、文科大臣が定めております上限指針においては、点線囲みの中にございますように終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保するように求めておるといったところがございます。
 これを受けた今の状況ということで、左側に教育委員会の状況を調べさせていただいたデータを入れております。一番上のところですが、「条例・規則等を整備する等、制度として導入し、実施している」と回答があったのが7.3%、それから、「検討中」と答えがあったのが36.3%となっております。右側が、御参考に民間企業の状況を入れております。30人以上の調査対象企業の合計値として、「導入している」と回答があったのが5.8%、「導入予定又は検討中」が12.7%といった状況でございます。勤務間インターバルの導入事例につきましては、追って福岡市のほうから御説明をいただくことになっております。
 次のページ、22ページ目でございます。テレワークについてでございます。こちらは自治体の判断で行うことができるものとなっておりまして、左下のほうに教育委員会におけるテレワークの導入状況の数字を入れております。平常時にも実施できるように条例・規則等の整備を実施していますかといった質問でございますが、「整備している」という回答が7.2%ございました。右側は、御参考に首長部局の状況でございますが、首長部局の導入は64.3%ということで、教育委員会より導入が進んでいるといった状況が見受けられます。
 次の23ページ目でございます。こちらは港区の教育委員会における取組状況の例という形で港区教育委員会から資料を頂いております。港区におきましては、令和5年7月からテレワークを導入したという形でございます。左側に導入概要という形で書かせていただいておりますが、実施時期については年間中としているが、実際には長期休業期間中に集中的な実施を想定しているとのことです。また、その下にありますように、在宅勤務は教員用タブレット端末を利用して行うといった形、そして、持ち帰り防止策として、テレワークで取り扱うことのできる業務範囲を決めていて、勤務時間については正規の勤務時間外の業務は行わないといった形で運用しているということでございます。右側、活用状況でございますが、令和5年度、これまでに小学校103名、中学校31名が、実施したと御報告をいただいているところでございます。
 次に、変形労働時間制について御説明申し上げたいと思います。27ページ目を御覧いただければと思います。こちらは変形労働時間制のイメージとして書かせていただいているものでございます。変形労働時間制は、令和元年の給特法改正によりまして、地方公共団体の判断により導入することができるようになっております。例えばということで事例①でございますが、繁忙期である4月や5月に通常の勤務時間を超えて勤務時間を割り振る。その代わりに、8月に休日を4日間まとめ取りするといった、例えばこういうふうな形を取ることもできるとなっております。なお、この制度を適用する場合には、時間外の在校等時間の上限が42時間等となっております。
 次の28ページ目でございますが、この変形労働時間制の状況でございます。問1、変形労働時間制に関する条例の整備状況を都道府県・指定都市教育委員会に聞いているところでございますが、「条例の整備を行った」と回答がございましたのは17.9%ございます。
 その上で、問2は、「条例の整備を行った」と回答いただいた都道府県教委の域内の服務監督教育委員会あるいは指定都市教育委員会に聞いた問いとして、では、条例は整備された上で、所管する学校でどの程度活用されていますかという割合を聞いた内容でございます。「半数以上が当該制度を活用している」という回答が1.4%、「一部の学校で当該制度を活用している」といった回答が4.0%といった状況です。
 その上で、次のページ29ページ目を御覧いただければと思います。下のグラフ、問4でございます。実際に学校でやっていると回答いただいた服務監督教育委員会にこの制度のメリットを聞かせていただいたところ、一番多かったのは、一番上の内容でございますが、「時間配分を考えながら職務をするようになるなど、時間管理やワークライフバランスへの意識が向上した」といった答えでございました。
 次のページを御覧いただければと思います。30ページ目でございます。一方で、「条例の整備を行う予定はない」と回答した都道府県・指定都市に質問をさせていただいた、導入していない理由でございますが、こちら一番多かったのは、一番上にございますが、時間外在校等時間が制度活用の前提条件を満たしておらず、時間外在校等時間の縮減が優先課題であるためといった回答をした教育委員会が一番多いといった状況がございました。
 次に、31ページ目でございます。こちらは客観的な在校等時間の把握についてでございます。夏に頂いております緊急提言、この中で、ICTの活用やタイムカードなどによる客観的な在校等時間の把握を徹底する必要があるという御提言をいただいているところでございます。これを受けて文科省としても通知を出して、客観的な在校等時間の把握を求めておるところでございます。現在、文科省のほうで実施している調査におきまして、客観的な在校等時間の把握の方法等の現状についてフォローアップを実施させていただいております。また、夏の緊急提言を受けて今どのような取組に着手・検討したかフォローアップする内容も併せて今調査をさせていただいております。年末頃に公表を想定しております。
 最後に、メンタルヘルス対策についてでございます。34ページ目を御覧いただければと思います。こちらはメンタルヘルスの関係でございますが、一番上の背景にございますように、令和3年度の精神疾患による病気休職者数は5,897人と過去最多の状況になっております。こういった状況も踏まえまして、今年度から文科省のほうでは、メンタルヘルス対策に関する調査研究を新たに実施しております。
 そして、来年度令和6年度もこの予算の要求をさせていただいております。具体的な内容としては、1ポツにございますように、教育委員会における病気休職の原因分析・モデル事業の実施に加えまして、来年度は新たに、このモデルの分析・助言や、横展開に向けた取組を行えるように予算要求をさせていただいているといった状況でございます。
 資料2-1については、企画課から以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、福田教育次長より、福岡市教育委員会における勤務間インターバル制度に関わる取組についてお話を伺います。
 申し訳ありません、飛ばしてしまいました。資料2-2の御説明を教育人材政策課からいただきます。申し訳ありませんでした。
【後藤教育人材政策課長】  失礼いたします。教育人材政策課長の後藤でございます。質の高い教師確保の観点ということで、教師集団の多様性の確保に関する資料2-2を準備いたしましたので、御説明いたします。
 まず、1ページ目は、近年の中教審におけます議論の確認でございます。令和3年1月の答申でも令和4年12月の答申でも、教師集団の多様性や柔軟性が必要いう旨が述べられておりまして、これからは多様な専門性を有する質の高い教師集団を目指すという方向性をお示しいただいております。
 次に2ページ目でございます。教師集団の多様性を確保する方策の一つとして考えられます民間企業等からの人材交流について、パターンを整理した資料でございます。中段にございますように、丸1、丸2、丸3とありますが、丸1のように、派遣元の民間企業に身分を残したまま公立学校教員として地方公務員になるパターンや、丸2のように、一旦派遣元の企業を退職した上で公立学校教員として地方公務員になって、一定期間後に再び民間企業に戻るパターンとか、丸3のように、民間企業からの研修派遣という形で公立学校で仕事をするパターンなどがございます。
 これらの中で、丸1のパターンのように任期付職員などの場合であれば、民間企業に身分を残したまま、公立学校教員になるということも可能であります。その際に、下段のほうにありますけれども、民間企業の側から給与その他の報酬を一部受け取ることも可能であるということ、また、民間企業におけます雇用保険、これに係る資格も継続する扱いであるというようなことが、下段のほうに記載のとおり、最近、総務省や厚生労働省からも文書で示されておりますので、教師人材の交流のハードルを下げるという観点からも、こうした点については文科省としても改めて周知が重要であると考えているところでございます。
 3ページ目でございます。公立学校教員の兼職・兼業の仕組みを示しております。一般に地方公務員は、営利企業等への従事は禁止されておりまして、従事するには人事委員会の定める基準によって任命権者の許可が必要というルールでございます。その上で公立学校教員については、教育公務員特例法によりまして、教育に関する他の職や事業に関する場合には、人事委員会の基準によらず、本務の遂行に支障がないと教育委員会が認めれば、兼職・兼業ができるという仕組みが設けられているというものでございます。
 4ページ目は、2ページ目でも触れました任期付任用の活用形態を整理したものでございます。専門的知識を持つ者を活用する場合や一定の期間に終わる業務に対応する場合とか複数のパターンがございますけれども、一番上にあります高度な専門的知識・経験を活用する特定任期付職員の場合には、固有の俸給表で高い処遇を適用するということも可能でございます。資料の下段のほうには、公立学校での活用事例として福岡県、川崎市の例を載せております。特に福岡県の事例の場合ですと、県立高校のネーティブ英語教員ということで6名を特定任期付職員として、そして、ここに特別免許状も併せて付与して、その上で一般行政職よりも高い俸給表で処遇するという取組がなされておりまして、こうした取組も他県で広がるように文部科学省としても周知をしてまいりたいと考えます。
 続きまして、5ページ目からは、多様な外部の専門人材を学校教育に活用するという方法の一つであります特別免許状の仕組みについての資料でございます。大学で必要単位をそろえれば付与される普通免許状とは異なりまして、特別免許状は学校での具体的な任用・雇用を前提として付与されるものでございますので、採用者からの推薦・申請が必要という、そういう仕組みになっているという資料でございます。
 次の6ページ目は、その特別免許状の授与指針でございます。直近では令和3年の5月に改訂を行っておりまして、この中で特にこの資料でいうと1ポツの(1)の辺りでございますが、教科に関する専門的な知識・技能についての基準ですが、教科に関する授業に携わった経験1学期以上という基準としておりますけれども、これについて、従前は600時間以上の経験を必要としていたものを実は撤廃しております。また、この授業経験には特別非常勤講師としての週何時間かの勤務という形も含むとしておりまして、大幅に緩和しているというものでございます。
 こうした基準の緩和を受けまして、次の7ページ目にありますように、近年、特別免許状の授与件数は伸びております。令和3年度までの累計で2,276件となっておりますけれども、文部科学省といたしましては、さらにこれは活用の拡大の余地があるのではないかとも考えておりまして、免許状の授与権者になる都道府県教育委員会による授与件数の差も実は大きいというような運用格差を是正するために、さらなる授与指針の改訂なども検討する必要があるのではないかと考えているところでございます。学校種では高校が最も多くて、科目では英語、看護などでの活用が多くなってございます。
 続きまして、8ページ目でございます。免許状主義の例外として、届出によりまして、免許状を持ってなくても教科の領域の一部を担当できる特別非常勤講師制度の資料でございます。こちらも年間約2万件の活用が全国でございます。学校種では高校、分野では外国語や看護、家庭科、芸術といった辺りが多いという状況でございます。
 最後に、9ページ目でございます。現在の教師不足と言われております状況と今後の対応をまとめた資料でございます。教師不足については依然、一番上にありますように厳しい状況が続いていると把握をしております。今後、全ての都道府県において、教育委員会だけでなく大学や経済団体と連携していただいて、教職の魅力の広報・発信と教師人材を発掘する取組の強化を進めたいと思います。そうした新たな外部人材に対して、学校へ入職するための事前研修などの取組、これも併せて支援をしていきたいと考えておりまして、現在関係予算を要求しているというところでございます。
 文部科学省としましては、こうした現在の教師不足に対する取組を進める中で、前のページまでで紹介させていただいたような、任期付任用とか特別免許状とか特別非常勤講師とか、こうしたものの活用も併せて促進したいと思っております。そうすることで、教師集団の多様性の確保にもつなげていきたいと考えているところでございます。
 以下のページは参考資料でございます。10ページ目にありますのは、外部人材が学校に参画する場合の多様な形態について整理した資料でございます。11ページ目にあるのは、私立学校の例ですが、民間企業や他職種との兼業により、多様な経歴を持つ教職員集団のイメージでございます。最後の12ページ目は、これは教員の養成段階からも多様な専門人材を教職に得ていくというための措置でございます。従来、4年制の大学では一種免許状の教職課程のみ認めていた取扱いを、例えば心理とか福祉とかこういった強み、専門性を修得する学科のほうで教職課程を行いたいというときには、取得単位数が少なくて済む二種免許状の教職課程の特例として認める取扱いについての資料を参考でつけさせていただいております。
 私からの説明は以上です。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございます。後藤課長、大変失礼いたしました。重要な御説明をスキップしてしまうところでした。申し訳ありませんでした。
 それでは今度こそですけれども、続きまして、福岡市の福田教育次長より、勤務間インターバル制度に関わる取組についてお話を伺いたいと思います。御発表いただいた後に、質疑応答の時間を10分程度取らせていただく予定でございます。それでは、福田教育次長、よろしくお願いいたします。
【福田教育次長】  皆さん、こんにちは。ただいま御紹介いただきました、福岡市教育委員会教育次長の福田でございます。本日は、福岡市立学校において導入しております勤務間インターバル制度についてお話をさせていただきます。時間も限られておりますので、早速、資料に沿って御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1ページ目をお願いします。本日このような流れでお話をさせていただきます。先に働き方改革の話を少しさせていただきまして、後に昨年9月に導入をいたしました勤務間インターバルの話をさせていただきたいと思います。
 2ページをお願いします。現在の福岡市立学校の概況でございます。赤のところを御覧いただければと思うんですが、まず学校数です。小学校、中学校、特別支援学校及び市立高等学校を含めまして、現在228校でございます。同様に児童生徒数につきましては、全市で12万7,214人でございます。学級数が5,149学級、教員数は総勢で8,636人でございます。児童生徒数につきましては、トータルでまだ僅かに増え続けている状況でございます。
 3ページをお願いいたします。まず、本市の学校の働き方改革について簡単にお話をさせていただきます。まず平成30年でございますが、全国的に働き方改革に関する取組が進められる中、福岡市立学校教職員の業務改善のための実施プログラムを策定いたしまして、教員の業務負担の軽減、また、教員の意識改革を2つの柱といたしまして、学校の働き方改革の取組を総合的に推進することといたしました。その後、令和2年に、時間外在校等時間の上限時間、月45時間を設定いたしまして、令和4年4月には平成30年のプログラムをリニューアルし、タイトルも「福岡市立学校における働き方改革推進プログラム」と改めまして取組を継続しており、同年の9月に市長のほうから福岡市の全ての職場を対象とした勤務間インターバル宣言を行いまして、学校におきましても11時間の勤務間インターバル制度を導入したところでございます。
 資料4ページをお願いいたします。これまでの働き方改革におきまして、教員の負担軽減を図るために具体的にはこのような対応を行っております。丸1は、支援スタッフの配置ということで、スクールカウンセラーあるいは部活動指導員などを段階的に増員いたしております。また、丸2として、業務の効率化などでは、例えば事務処理のためのシステムの導入とか、タブレットなどICT機器の活用、また、教員が行っていた事務を、共同学校事務室を市内に3か所設置いたしましたので、その際に、各学校の事務を共同学校事務室に集約する一方で、各学校におきまして先生が行っていた事務を学校事務職員が対応するようにするなどの取組を行っております。丸3は、その他の取組といたしまして、自動音声メッセージ機能付電話の整備をはじめ、学校閉庁日の設定などを行ってきております。
 5ページをお願いいたします。ここから勤務間インターバルについてお話をさせていただきます。まず、導入の経緯でございますが、ただいま御説明しましたとおり、働き方改革に取り組んでまいりましたが、令和4年4月から7月までの教員の時間外の状況といたしましては、月45時間を超えている教員が小学校で41%、中学校で56%、また、80時間超えも一定割合存在いたしまして、依然として長時間勤務の実態が見られておりました。
 次の6ページをお願いいたします。時間外に教員が行っている主な業務内容でございますが、先生方の申告によりますと、教材研究や授業準備の割合が高い状況がございまして、具体的に学校長などからヒアリングを行いますと、教材研究とか授業準備の作業を熱心に行われて多くの時間を費やされている先生方が一定数いるというふうなことでございました。一方で、先生方の中には、通勤の不便な学校に勤務する方や幼い子供を持つ先生などは、交通機関の時間など帰る時間を念頭に置いて計画的に仕事をしている実態もあり、業務負担の軽減もさることながら、意識の部分でまだ改善の余地があるのではないかと考えられました。
 7ページをお願いいたします。それまで時間外の在校等時間につきましては、月単位で上限時間45時間を定めまして、それにより長時間勤務の解消に取り組んでおりましたが、日々の勤務時間の管理においては必ずしも機能しない面もあるのではないかと考えておりましたところ、本市の市長のほうから、福岡市全体で勤務間インターバル制度を導入してはどうかというふうな考えが示されました。教育委員会といたしましても、日々の時間を意識した働き方にプラスになるのではないかと考えまして、平成4年9月、市長事務部局と合わせて11時間の勤務間インターバル制度を導入いたしました。
 次のページをお願いいたします。次に、勤務間インターバル制度の概要でございます。皆さん御存じかと存じますが、簡単に説明をさせていただきます。終業時刻から翌日の始業時刻までの間隔を11時間以上確保するものでございまして、具体的にイメージをしていただくために3つの例で御説明をさせていただきます。まずAでございますが、これは一般的な勤務時間帯を示しておりまして、これは時間外を全くしない、ゼロの場合のケースでございますが、このような場合はインターバルは15時間30分確保できることを示しております。また、Bでございますが、これはインターバルをぎりぎり11時間確保している例でございます。例えば中学校の教員が、授業の終了後、部活動の指導をして、翌日の授業の準備などを行って帰る場合、翌朝の勤務が午前7時30分の場合は、前日は逆算いたしまして午後8時30分まで仕事ができることを示しております。また、Cは、翌日の出勤時間を調整するケースでございます。保護者対応などで帰りが午後10時15分と遅くなったような場合は、翌日の出勤時間を調整して、例えば1時間遅らせて11時間を確保するというものでございます。これについては、行政職のような場合はこのような運用もまましておりますが、教員の場合はなかなか現実的には難しいのかなと考えております。
 次のページをお願いいたします。また、勤務間インターバル制度導入時の学校への対応でございます。導入の際、教育委員会から各学校に対して通知を行い、その趣旨を伝えますとともに、その確保に向けて、改めて業務や分担を見直すなどの取組を求めております。また、状況の把握といたしまして、月ごとにインターバルが11時間未満の者がいる場合には、学校から報告書を提出していただいてその理由などを把握し、必要に応じて助言や指導を行っているところでございます。
 次のページをお願いいたします。次に、本制度の導入を機に、教員の負担軽減の強化を図っております。左側が人的措置でございまして、学習指導員の配置を行っておるほか、部活動指導員、また、教員業務支援員などの増員ほか、スクールロイヤーの導入なども行っております。また、ハード面では、高速印刷のできる複合機を導入して印刷時間の短縮を図るとともに、デジタル採点システムを導入して採点時間の短縮を図っております。
 次のページをお願いいたします。これは本市の勤務間インターバルの実際の状況でございます。月ごとの達成割合を校種ごとあるいはトータルでグラフでお示ししております。赤の実線を御覧いただきたいのですが、これが小学校、中学校、特別支援学校を合わせた平均でございます。インターバル導入前の令和4年4月・5月・6月、左側の赤の点線で囲んだ部分でございます。それと右側の導入後の令和5年4月・5月・6月を比較いたしますと、いずれも前年同月と比べまして2%ないしは3%ほど向上いたしております。また、制度導入後は全ての校種において90%を超えているような状況でございます。
 次のページをお願いいたします。次に、制度の導入の成果と今後の課題でございます。現場の感想なども踏まえてここに掲げておりますが、まず、成果としまして、管理職の意識が変わり、教員が帰りやすくなるとともに、一方で管理職側としては、教員のほうに早く帰れるように促しやすくなったこと、また、教員が退勤時刻を意識して計画的に業務を処理するようになったこと、また、インターバルを確保するため、学校で業務の見直しや負担の平準化などを検討するようになったことなどがございます。
 次に、課題などでございますが、業務量をさらに軽減し、早く帰ることができる環境の整備に引き続き取り組む必要があること、また、業務の持ち帰りにつながらないよう、制度の趣旨の周知徹底を継続的に行うこと。また、適切な業務分担や協力体制の構築など、管理職の積極的なマネジメントをさらに行っていく必要があることなどが挙げられます。
 次のページをお願いいたします。最後になりますが、今後に向けてでございます。この制度をしっかり活用しながら、引き続き、学校現場の状況の把握、また、要因の分析を踏まえた対策の実施、そして、取組の周知や意義の周知徹底などを行いまして、教員の業務負担の軽減や管理職も含めた教員の意識改革をさらに推進することによりまして、教員が働きやすい勤務環境を整備し、教職の魅力を高め、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教員の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
 雑駁でしたが、発表は以上でございます。ありがとうございました。
【貞広部会長】  どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様から、福岡市教育委員会のお取組に対して御意見や御質問をいただきたいと存じます。御意見等がある方は、対面で御参加の方も含めまして、Zoomの「手を挙げる」ボタンを押していただければ幸いです。こちらから指名をさせていだきますので、その時点でミュートを解除いただいて御発言をお願いいたします。
 なお、福岡市教育委員会への質疑応答はおおむね10分程度で区切らせていただきますけれども、福田教育次長はその後も御出席いただけるということでございますので、議論に関連して福岡市の取組への御質問等があれば、後半の意見交換の際にも御発言いただければと思います。なお、恐縮でございますが、できるだけ多くの委員の皆様から御発言をいただくため、御発言はできる限り簡潔にしていただきますよう、お願いいたします。
 では、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。報告ありがとうございました。すごく取組を応援したいんですけれども、あえてちょっといじわるかもしれませんが、質問を2点させていただければと思います。
 1点目は、通常の市役所の職員であれば、勤務時間イコール労働基準法上の労働時間と原則一致すると思うんですけれども、教員の場合は給特法がありますので、労基法上の労働時間とはちょっと勤務時間は違うというところになると思います。そういった部分で、勤務間のインターバルといっても、本当は労働時間じゃないのになというところの難しさがあると思うんですけれども、そういう部分はどういうふうに整理、考えたらいいかというところについてお聞かせいただきたいというのが1点目です。
 2点目は、こういった制度の目的の一つは健康確保、特に睡眠時間の確保ということだと思うんですけれども、こういったインターバルをするようになって、教員の睡眠不足だとかそういった部分が改善しているかどうかみたいなモニタリングだとかフォローアップはしているかどうか、それについてもお聞かせください。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。一問一答というよりも、少し質問をまとめた上でお返ししたいと思いますけれども、ほかの委員の方々、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。では、今、妹尾委員からいただいた御質問ですけれども、教育次長、いかがでしょうか。
【福田教育次長】  御質問ありがとうございます。確かに妹尾委員のおっしゃったように、先生の場合、労働の質というのが法的にも少し性格が違うということになろうかと思います。いずれにしましても、働き方改革の趣旨は、先生たちが元気になっていただいて、子供たちに対する教育の質を上げていくというのが目的になろうかと思います。あと一方で、先生方もやっぱり真面目な方が多く、研究熱心な方も多いので、そういったモチベーションを下げないような形でしっかり勤務時間の管理をやっていく必要があると思いますので、そこは一方的にならないように、しっかり現場のほうで管理職と先生方が協議をしながらしっかり制度の趣旨を理解した上で勤務管理をしていただくことに心がけていただくということが重要なのかなと考えております。
 また、現状のモニタリングでございますが、まだ現在、より詳細な現場の実態を調査したりもしておりますが、毎月、出勤時間と退勤時間に関しましてはデータとしてお取りしまして、学校の先生方でインターバルがどの程度確保されているかは大体把握できるような状況になっておりますので、先ほど申しましたが、月々インターバルが守れていない方がいらっしゃる方は報告書をお取りしていまして、その報告の内容を見ながら、必要に応じて学校の管理職の先生といろいろ協議をしたりしておるような状況でございます。
 確かに、データを見ていますと、比較的守れていないような学校であったり、先生方が一定程度偏ったりしている実態などもございますので、その辺はしっかり個々の先生方がどういう事情でそういうふうな在校等時間が生じているのか、あるいはどういうふうな内容で学校にいらっしゃるのかというのをもう少し掘り下げていきながら、引き続きモニタリングに努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。先ほどの最後のスライドでも、しっかりと要因分析をした上で対応策を考えるとお話しいただいていましたけれども、ありがとうございます。
 妹尾委員、よろしいですか。ありがとうございます。
 ほかに、では、御質問をお持ちの方、いらっしゃいませんでしょうか。後半の議論の中でということでよろしいですか。それでは、一度ここで区切らせていただきます。
 後半、皆さんと意見交換をするに当たりまして、教育職員の健康及び福祉の確保等及び教師人材の流動性・多様性に関する論点について資料をお作りいただいていますので、事務局より資料2-4に基づきまして御説明、御確認をお願いいたします。
【千々岩企画官】  初等中等教育企画課でございます。資料2-4を御覧いただければと存じます。資料2-4、教育職員の健康及び福祉の確保等及び教師集団の多様性の確保に関する論点という形でおまとめさせていただきました。大きく3点掲げております。
 1点目、教師の健康及び福祉の確保についてという内容でございます。上限指針を踏まえて、各教育委員会は健康・福祉を確保するための取組を行っているわけですが、本日御紹介させていただいた調査結果等にもございますように、取組の程度には差が見られる状況がございます。全ての教育委員会・学校における取組を徹底し、実効性を高め、働き方改革をより加速させていくためにどのような方策を取ることが適切かといった点。
 それから、服務監督教育委員会による在校等時間の把握、それを踏まえた業務分担の見直しや適正化、環境整備等の、在校等時間の長時間化を防ぐための取組や事後的な検証等が、PDCAサイクルを踏まえながら、適切に実施されるようにするためにはどのような仕組みが有効かといった点。それから、服務監督教育委員会に対する都道府県教育委員会等による関与はどのようにあるべきかといった点。
 次に、先ほども御説明がありました、いわゆる勤務間インターバルのような考え方の有効性をどのように捉えるか。学校現場の実態に即しつつ、その取組を更に促していくことについてどのように考えるかといった点。
 2点目が、勤務の柔軟化について。テレワークの活用についてどのように考えるか。学校教育の特性を踏まえつつ、勤務時間管理や業務内容の把握、管理負担等についてどのように考えるかといった点。それから、変形労働時間制の実施状況等を踏まえ、今後の方策をどのように考えるかといった点。
 3点目は、教師集団の多様性の確保についてということで、教師集団の多様性の確保に資する仕組みについてどのように考えるかといった点。このような点をまとめさせていただきました。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。ただいま御説明いただきました論点と併せて、先ほど御発表いただきました福岡市教育委員会の取組も踏まえまして、委員の皆様から御意見等をいただきたいと存じます。また、議題1に関する御意見もあれば、併せてお願いいたします。御意見のある方は対面の方も含めまして、恐縮ですが、Zoomの「手を挙げる」ボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから指名させていただきます。
 なお、大変恐縮でございますが、できるだけ多くの委員の皆様から御発言をいただくため、御発言はお一人当たり3分以内程度としていただきますようお願いいたします。また、御発言の際には、大きな声で明瞭にお話しいただきますようお願いいたします。御発言が終わりましたら、「手を下げる」ボタンを押し、挙手を取り下げていただきますよう御協力をお願いいたします。
 では、いかがでしょうか。荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】  ありがとうございます。私、今日は途中からの出席で、少し前後のことが分からないまま申し上げます。福岡市教育委員会の御発表の途中から伺いました。最後の部分で課題としてお示しになっていたところで、要は、制度の趣旨を何度もやっぱり確認した上で、何でこれをしなければならないのか、これはどういう意味があるのかといったようなことを大切にしながら進めていくと伺いました。形骸化させないということが非常に重要かと思いますので、とても大事なことだと思いました。具体的にどういったようなことをしていかれるのかというのをさっきお尋ねしようかなと思ったんですけれども、もし何か補足して御説明いただけるのであればお話しいただければありがたいなと思っておりますというのが一つです。
 もう一つありまして、さっきの勤務間インターバルもそうですし、あるいはフレックスタイムといったようなこともそうだと思うんですけれども、現場の中にはいろいろなアイデアが実はあるんじゃないかなと思うんです。そういったアイデアが、これは多分できないだろうとか、こういったことはしてはいけないんだろうというので自己規制が働いて、結果的に誰も意見を言わないとか、あるいは一生懸命そういうことを言おうとしても、いやいや、それは無理だよと……。
【貞広部会長】  荒瀬先生、つながっていますか。画面が凍ってしまっているんですけれども。
 では、ちょっとお時間を置きたいと思います。今、制度の趣旨の再確認をどのように徹底しているかということと、もろもろの現場の……、荒瀬先生、出られましたか。
 荒瀬先生、途中、現場のアイデアに自己規制が働いて、それを実装に移せないんじゃないかというお話の後ぐらいから画面が凍ってしまったんですけれども。
 先生いらっしゃらなくなってしまったかな。
【荒瀬部会長代理】  すみません、切れましたので、ここまでにします。ごめんなさい。
【貞広部会長】  先生、音は聞こえていますか。福岡市さんから応答いただいてもよろしいですよね。
【荒瀬部会長代理】  ありがとうございます。音は聞こえています。
【貞広部会長】  もし安定しないようでしたら、画面をオフにしていただいて、音だけ聞いていただければ。福岡市さんのほうから2つ……、荒瀬先生、2点ですね。3点目はありますか。
【荒瀬部会長代理】  ありません。すみません。
【貞広部会長】  分かりました。ありがとうございます。
 では、福岡市の教育次長さん、申し話ないですが、制度の趣旨をいかに再確認して徹底しているかということと、アイデアに対する実装化の自己規制をどうやって断ち切っているか、何か工夫があればという御質問をいただいたように思いますけれども、お答えがあればお願いいたします。
【福田教育次長】  福田でございます。1点目でございますが、やはり私どもも趣旨を徹底していくのは非常に大事だと思っていますが、まずは現場の先生方に趣旨を理解していただくためには、校長先生など管理職の方にしっかり趣旨を理解していただくことがまずは重要だと思います。様々な校長先生方との協議の機会とか、あるいはシステム的には研修であったり、あるいはインターバル以外でも、在校等時間が多いような学校の校長先生はピックアップして面談をしたりしていますので、そういう様々な機会を通じまして、しっかり趣旨を理解した上で校長先生方から教員の先生方に趣旨を伝えていただくということがまず大事かなと思っておりまして、その辺に力を入れておるところでございます。
 2点目の御質問は、アイデアの実装化というふうなお話でございますか。
【貞広部会長】  そうですね。例えばこういうことをやったらいいんじゃないかといういろいろなアイデアが現場にあるんだけれども、どうせできないだろうとか、どうせ無理だろうと思ってしまって言い出せなかったりとか、実際にはやらなかったりするようなことがあるのではないかということを前提に、その辺り、断ち切る方法がないでしょうかという御質問だったように思います。
【福田教育次長】  確かに私どもも逆に、まさに現場の先生方のアイデアとか御提案みたいなものを積極的に拾いたいと思っております。特にやっぱり私ども教育委員会が机の上で考えていても、実際に実行できるかどうかというのは、やっぱり現場のほうの実態をよく踏まえないと実効性がありませんので、教員の方々に対してアンケートであったり、いろいろ意見をいただく機会をつくって、そういった考えを集約するような取組はいたしております。
【貞広部会長】  ありがとうございます。荒瀬委員からも、「ありがとうございました。福岡市教育委員会に感謝いたします。アイデアのことに関しては、必ずしも福岡市さんだけではなく、ほかの自治体でも留意するべきではないかということを思っているところです。」というコメントをいただいています。ありがとうございます。
 では続きまして、鍵本委員、橋本委員、戸ヶ﨑委員、妹尾委員の順番で御意見をお願いいたします。では、鍵本委員、お願いいたします。
【鍵本委員】  岡山県教委の鍵本でございます。福岡市教育委員会の御発表、大変参考になりました。ありがとうございました。
 私からは、県の教育委員会の立場からお話をさせていただきたいと思います。先ほど論点をお示しいただいておりますけれども、資料2-4の論点の資料でございますけれども、この(1)の「教師の健康および福祉の確保」についての2つ目の丸に関連することについて少しお話をさせていただければと思います。
 本日の福岡市教育委員会の御発表、また、前回の横浜市教育委員会の御発表もそうですけれども、いずれも政令指定都市のお取組でありまして、各学校の服務監督を行いつつ、私ども県教委と同様に持っております人事に関する権限もありますことから、各小中学校の時間外の在校等時間の実態も踏まえて、機動的、そしてタイムリーに効果のある施策や指導をしていらっしゃるんだなと感じたところでございます。
 これを政令指定都市以外の市町村教委と私ども県教委の関係で申し上げれば、少し難しい面も正直ございます。例えば私どもの県でございましたら、政令指定都市であります岡山市を除いて26の市町村があるわけでありますけれども、その各市町村立学校の時間外の勤務の状況は、本県では各市町村ごとに小中学校別で各月ごとの時間外在校等時間の平均値という形で、これを年度の前半と後半に分けてデータをいただいて、県教委として全部の市町村教委を把握しております。
 県教委が市町村教委からいただきます数字は大まかな数字にどうしてもなり、その把握でありますので、各学校への指導・支援は、服務監督を行っております市町村教委が行っております。県教委は、その状況を聞き取って市町村教委への支援や助言を行っておりますけれども、その状況は、働き方改革に向けての意識とか、あるいは取組の実態にかなり開きがあると感じております。これが県の直轄であります県立学校であれば、現在ではリアルタイムに各学校の先生方の勤務の状況は把握ができますので、担当課が直接、校長先生と相談をして、分掌上の配置を年度途中でも変更したり、場合によっては人事上の配置を行うということもありますけれども、市町村立学校に対しては県教委としてこういう対応はできないのが現実でございます。
 また、教育委員会が行う取組の面でも、例えば今日の福岡市の資料の10ページの図がございましたけれども、これもざっくり言いますと、右半分のハード面は、本県におきましても主に市町村教委で対応されておりますけれども、左半分のソフト面というような部分につきましては、もちろん市町村教委が独自でやられている部分はございますけれども、その多くは県教委として各市町村立学校に人を配置しているというのが実情でございます。本県でも規模の大きい市でありますと独自に人をつけるという施策を行っておりますけれども、小規模の町村であれば、教育事務所の支援を受けながら、県の配置を基に働き方改革を進めているというのが実情でございます。
 本県での働き方改革の取組は、これまでも県教委として市町村教委の意見を聞きつつ、目標数値や取組の例も具体に示しながら進めてまいりましたけれども、県教委が把握したデータに基づいて各市町村教委と個別に話をしてまいりますと、それぞれの事情がございまして、それぞれに言いたいことがあるというのはとてもよく分かってくるところでございます。
 それでどうするのかということでありますけれども、今、本県では、先般の緊急の提言を受けて文科省から出されました通知を基に、岡山県全体として、これまでよりもさらに踏み込んで、何をどこまでどうしようとしているのかという方向性を全ての市町村教委と共通理解を基に示せないかということに今取り組んでいるところでございます。県教委と市町村教委の役割分担があるわけでありますけれども、各学校の実態に対して取組がちぐはぐしたものにならないように、また、県内のどの地域においても着実に働き方改革の取組が進んでまいりますように、足並みをそろえるための話し合いによる連携がとても大切だと今痛感しているところでございます。
 県教委として人事面などでできることで市町村教委を支援しながら、その効果も共有をしっかりしつつ、意見も聞いて、一緒にPDCAを回していくしかないかなと思っております。都道府県の規模によりましては、市町村の数が大変多いところもございますし、教育事務所等を活用する必要があるのかもしれませんが、どの都道府県におきましても、県教委として県全体の状況をしっかりと把握しつつ、こうした話し合いなどの取組を果たしていく、役割を果たしていくことが必要であると考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。都道府県教育委員会さんと市町村教育委員会との関係性もそれぞれの地域で様々だと思いますけれども、新たに取り結んでいくという仕掛けが必要だという御指摘と実際の実践について御紹介いただきました。ありがとうございます。
 では、橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】  住友生命の橋本です。経団連で教育・大学改革推進委員長を務めております。教員集団の多様性確保について、経団連の意見も含めて申し上げたいと思います。
 経団連はかねてより教員の負担軽減と多様な人材の確保という観点から、民間企業の人材を含めた外部人材の活用を推進することを申し上げております。民間企業の人材が教師として活躍していく場合、一つは完全に教師に転職する、キャリア形成の一環として数年間学校に派遣をする、あるいは最近兼業・副業を認める会社も大分増えてきていますので、兼業・副業という形で、特別非常勤講師として活動する等いろいろな経路が考えられます。
 本日の資料2-2にも実際にそういうキャリアパスといいますか、ルートがしっかり示されており、一定の枠組みは出来ていると思います。ただ、そうはいっても進んでないというのが実態でありまして、どこにボトルネックがあるかということを認識して、解決策を一つひとつ考えていくことが大変重要かなと思います。
 これは学校側の問題だけではなくて、企業側にも従業員を企業に在籍したまま兼業・副業として派遣するということについて躊躇といいますか、慣れていないといいますか、まだまだそこに踏み込めている会社は少ないと思いますが、私の経験からも人に物を教えるということは人格形成や、その人の成長にとって非常に役に立つと思いますので、経団連としてもその辺の制度整備あるいは啓蒙について、今後とも努力をしていきたいと考えております。
 一つの方法として、例えば大学で教職課程を修了して免許を持っているが、たまたま民間企業に来たという人が教師に転職する、企業に在籍したまま一定期間教師として働くとか、あるいは特別免許状や臨時免許の活用というのもあるわけですから、それらを活用しながらどうやって進めていくかを考えていかないといけない。具体例として、教育に意欲を持つ人材を選考の上、研修を行って全国の公立学校に2年間派遣するNPOも存在しています。そういったところをもう少し支援をして活用していくということは非常に重要かなと思います。学校現場の特性が分からないままいきなり学校に派遣されても、なかなか活躍もできませんし、かえって戸惑ってしまうということもありますので、一定の準備期間を置くという意味ではこういうNPOを使っていくことも非常に有意義なことかなと思います。
 教師という枠組みから少し拡大をしますけれども、この間の緊急提言を受け支援スタッフ拡充に関し概算要求いただきましたが、一例でございますけれども、東京都教育委員会では、2019年に東京学校教育支援機構を立ち上げられまして、学校の支援を希望する個人・企業と学校のマッチングを行っておられます。今回資料1にありました団体の意見書の中にも、人探しがなかなかできない、それが学校の負担になっていて進まないといった意見もございました。この東京学校教育支援機構のような多様な人材を供給するための情報提供あるいはマッチングのプラットフォームみたいなものの枠組みを、もう少し全国に広げていくといったことも有効ではないかなと思います。
 企業から学校へ、あるいはまた企業へという柔軟な労働移動というのは、双方の活性化に資するだけではなくて、学校現場に民間人材が入ることで、新しい働き方改革の発想が生まれるのではないかと思いますので、そういった面でも大変有効なものだなと思います。ただ、さっき申し上げましたけれども、やはり民間企業と教師の現場というのは恐らく環境としては違いがかなりあると思いますので、その辺についてはしっかり意見を聞いて、お互いに理解をし合いながら進めていくということが肝要かなと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。企業の中にちゅうちょがということでしたけれども、恐らく経験していないものですから、お互いにちゅうちょがあり、なかなか新しい制度が進んでいかないというところであろうかと存じます。その上で、具体的に進めていくための幾つかのアイデアを御提案いただきました。ありがとうございます。
 それでは、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  8月の緊急提言の風化を危惧しています。僣越ですが、あえて本市の働き方改革の概要等について述べさせていただけたらと思います。
 大きく2枚のスライドがありますが、まず1枚目のスライドです。私は、学習指導要領が求める授業改善は働き方改革なしでは絶対実現できないという当初からの危機感から、働き方改革を平成27年度から本格的に進めてまいりました。振り返ってみると、これまで大きく3つの改革のステージがあったと捉えています。
 1つ目のステージでは、市教育委員会主導による学校の意識改革に着手してきました。平成28年度に文部科学省の委託を受けて、可視化、共有化、効率化という3Kワーキングで画面にあるような取組を進めてまいりました。
同時に中学校では、部活動が長時間勤務の一因であることから、部活動推進派や程々派の教師や保護者が何度も熱い議論を重ねて、部活動方針を策定いたしました。この議論などが意識改革と学校の自走を呼んで、80時間超えが大きく減ってきました。
 2つ目のステージは、校長会ピアレビュー等による全校への横展開です。各校が自走して独自の取組を考えるようになりました。とはいえ、成果の学校間格差が大きく、そこで改めて校長会ピアレビューでさらなる横展開を図りました。
 3つ目のステージは、個別の教職員支援です。この段階では、80時間越えの固定化が大きな課題となりました。そこで、その個別支援として、本人へのこれまでの校長面談だけではなく、本人及び管理職に対して市教育委員会の職員が面談を行って、個別に解決できることと組織対応が必要なことなどを整理してフィードバックをするなどして支援をしました。
これらの取組によって画面のような成果が出てきましたが、学校や市教育委員会だけではなかなか調整が困難な課題が現在も残っています。また、在校等時間が減ることで教材研究の時間が減り、このことによる授業の質の低下も現在危惧しています。
 2枚目のスライドは、8月の緊急提言以降の取組です。
1つ目に、こちらは参考資料の5ページにもありますが、第2回の総合教育会議を早速開催いたしました。その席上で、市長と教育委員から、市民や議会に対してこの「3分類」を周知すること、人的・物的な支援に係る予算措置を検討すること、保護者や市民からの要望等に対して、首長部局を含めてチーム戸田市で対応していくことなどの発言がございました。最後に、市長から、学校の働き方改革は、市としても全体で支援をしていくという力強いコメントもございました。
 2つ目として、同じく6ページにありますように校長会ピアレビューを開催いたしました。このときには校長全員が当事者意識を持って、各学校が主体でできること、小中学校ごと、中学校区ごと、さらには全ての小中学校で一斉に取り組むべきことなどをそれぞれ短期、中期、長期ごとに検討しました。当日はここにおられる澤田委員にも御指導いただきました。最後に校長会長から、「働き方改革の本丸は授業改善であることに校長会として実感を持ってやっとたどり着けた。働き方改革はそもそも楽しいものであると捉えて、教師のウェルビーイングの実現の視点で今後とも取り組んでいきたい」という会長の決意表明がなされました。
 3つ目は、同じく7ページにも資料あります、学校運営協議会の研修会の開催です。本来は学校を支えるこの協議会でさえも、時に管理職にとっては負担な存在になることもあります。本市では、この協議会を活性化させるために、運営等を学校任せにはしないで、市教育委員会主催で全ての協議委員と管理職が合同で集まって研修会を毎年行ってきました。来る11月9日開催予定の研修会では、この緊急提言及び3分類の周知と、互いに主体となる取組の検討、また、学校運営協議会を主体として学校の働き方改革を推進している事例の共有について扱う予定です。
 4つ目のその他として、画面にあるような啓発活動も進めていく予定です。
 以上、本市の取組を簡単に御紹介しましたが、特に申し上げたいことは、この資料の3ページにあるように、まずは、教育委員会が本気になって取り組んでいくということです。そして、学校や教職員の状況をつぶさに把握して、個に応じた支援を教育委員会が行っていくことが必要だと考えています。その際、客観的な在校時間の把握は、指針に基づいて全国共通の整理で行われるべきものであって、いまだにそれが適切にできてない自治体には、国が毅然とした対応を取っていっていただきたいと思います。
 そして、この取組状況を市民を含めて広く発信して、地域からも広く理解を得ていくこと、その上で、教育委員会自らの取組を改善していくことが重要だと考えています。また、全県的な立場から都道府県教育委員会による具体的な支援も不可欠です。こういった取組を全国どの自治体でも当たり前に実施していく仕組みづくりが今後重要になると考えています。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。大変優れた取組について御報告をいただきました。このように自分事にしていただくためのスイッチをどう入れるかというところが大きな課題の一つになっているかと思います。
 では続きまして、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。参考資料7ということでお出ししているので、それに基づきまして、なるべく端的に申し上げたいと思います。
 今回メインテーマが教師の健康・福祉ということなので、教師に限らずほかのスタッフも含めて教職員の健康・ウェルビーイングをいかに高めていくかということについて少し問題提起をしたいと思います。文科省さんの資料でもすごく分厚くて充実はしているんですけれども、あまり触れられてないこととか、正直、軽視されているんじゃないかと思うところがあるので、それを補足させていただきたいという趣旨で作りました。
 資料1ページ目をお開きください。これは直近の「過労死防止白書」、政府のものです。毎年20件前後の過労死等、脳・心臓疾患ですけれども起きています。精神疾患はまた別にありますけれども。今回この部会は質の高い教師の確保特別部会ということなんですが、正直申し上げて、熱心な、ある意味で質の高い教師が亡くなっているという現実がいまだあるということであります。もちろん教員数は全国で100万人いますので、その中から見ると僅かであると思います。ただ、それだけしんどい現場もあるということだったり、もちろん過労死までいかなくても、しんどくて病まれる方、あるいは休まれる方、あるいは教職を去る方もいっぱいいますので、やっぱりこういう過労死をゼロにしていかないといけないということをよく考えていただきたいなと思います。
 ちなみに、私は去年本を書いたときに、全国の都道府県と政令市の働き方改革絡みの計画を全部さらっと見ましたけれども、その中で過労死防止について触れているのは、僅か1県のみ、岐阜県のみでした。そういうことからも、こういった問題をまさに人ごとではなくて自分事として教育委員会、文科省さんに捉えていただかないと困るということは申し上げたいと思います。
 2ページ目です。こちらは私たちが調べたところ、やはり40代の先生が最も多く亡くなっている現実とか、あるいは5月、6月も結構起こっているんですね。もちろん変形労働時間制なりいろいろなインターバルなりというのも一つの工夫ではありますけれども、休みが比較的取りやすい夏休みまでもたない教員も多いということも踏まえて対策を取る必要があります。
 あと、今回最も不安なものの一つは、残業の見えない化についての対策がほとんど中教審で審議されてないというところはもっと考えないといけないと思います。つまり、自宅残業等で隠れてしまっている、モニタリングから除かれているという部分があります。今回テレワークの話もありましたけれども、在校等時間にはテレワークも含めてモニタリングしましょうというふうな指針になっておりますので、しっかりテレワークなんかも含めてモニタリングをして、まさに先生方の健康状態が大丈夫かどうかということを見ていかないといけない。民間の方も多いのでこれはもう釈迦に説法ですけれども、民間企業では、例えばパソコンの起動時間等で実際隠れ残業がないかどうかというのを人事部等がモニタリングしています。そういうことからも、教育委員会とか文科省の取組は正直かなり時代遅れであるということを言いたいので、そういうことをしっかり危機感を持っていただきたいなと思っております。勤務実態調査も10月、11月のデータがメインですので、そこだけ見てたら危ないということを申し上げたいと思います。
 3ページ、これはもう読んでいただければ。ある実例ですけれども、こんな学校現場での事故は私で終わらせてほしいという声ですね。こういうところを本当に重く受け止めないといけないのではないかということを申し上げたいと思います。
 次のページです。ここも読んでいただければお分かりいただけると思うので省きますけれども、やはり勤務間インターバル制度も含めて、むしろ子供たちと離れる時間を確保する、教職員がしっかり寝られて、あるいはプライベート等もある程度は充実できるとしないと、質の高い教師の確保にもなりませんし、健康確保にもなりませんしということなので、こういうことも含めて考えていく必要があります。
 ただし、インターバルなんかしなくても、本当は45時間以内であれば、あるいは給特法の趣旨のように、時間外が原則、超勤4項目以外ないのであれば、インターバルなんてやらなくても全然大丈夫なわけですね。現実的にはそうなってないからそういうふうな議論がもちろんあるというのはよく承知はしておりますけれども、しっかり考えないといけないということです。
 次のページ、5ページ目をお開きください。こちらはある公立中学校ですけれども、結構面白くて、教頭先生がこういったバランスボールでボヨンボヨンとしながら仕事しているんです。何が言いたいかというと、学校は施設設計の思想的にも、子供のためにどうするかというのはある程度は重視されているし、耐震化とかもちろん安全は確保されています。しかし、教職員が気持ちよく仕事をするとか、能率よく仕事をするとか、リフレッシュできるとか、教職員のための施設設計とか環境整備は弱かったのではないかという話をしたいわけです。例えば休憩室がないというのは、病院とか一般のサービス業からいうと考えられない話でありますので、教職員の福祉や能率アップの視点を持って、もっと教育委員会さんは予算を取っていただかないといけないし、文科省さんももっと応援をしていただかないといけないということは申し上げたいと思います。
 次のページです。そういうところも含めて、これはかなりざっくり書いていますけれども、一つの視点として、教職員のウェルビーイングが悪い状態をゼロにしていくぞと、問題解決型の部分。ブルシットジョブと呼ばれるような、くそどうでもいい仕事と訳されてされていますけれども、そういうものをなくして負担感、ストレスを減らしていくだとか、先ほどの過労死防止だとかハラスメント防止、これはもちろん大事です。だけど、これだけでは多分教職の人気は上がらないですよね。もちろんこういうのもやりながらプラスをプラスにしていくということ、この両方をしっかり考えていかないといけないし、そのための具体策を中教審でも打ち出していかないといけないのではないかと思っているところです。
 次の7ページは、読んでいただければいいので飛ばします。
 8ページ目も飛ばします。8ページ目で付言しますけれども、今日の資料にありますが、全国の小中学校の教頭会の調査によると、昨年度約2割の小中学校で欠員・未配置が発生しています。恐らく文科省さんのデータよりもよっぽど深刻な今の現場の実態があるし、正直、文科省さんもデータを持っていない段階では財務省に対抗できないと思いますので、こういった実態把握も含めて、むげに調査すればいいという話じゃないですけれども、しっかり考えないと、どんどん悪循環になっていって、残されている人がカバーして、またその人が病休になるという感じになっていますので、連鎖不足とかと言われますけれども、そういう状況であるということを申し上げたいと思います。
 すみません、長くなりますが、9ページ。短く言います。これは総務省の研究会で言われているメンタルヘルス対策の5つの柱というか方向性ということです。こういったものも勉強しながら、正直足りてないところは何かということを考えないといけないんじゃないかという例示として申し上げました。
 次の10ページを御覧ください。これもあくまでも例示ですけれども、例えばトップのリーダーシップという意味では、教育長さんがどんなメッセージを発信しているか、過労死防止だとかメンタル不調の人を減らしていくということをどれだけ本当に趣旨を説明しているかと言われると、まだまだそういう方は少ないのではないでしょうか。あるいは、丸2、段階に応じた4つのケアなんですけれども、これはセルフケアの問題もありますが、それ以上に問題なのは、ラインケアがもうほとんど学校では機能していないのではないか。教頭先生も主任の先生方も忙し過ぎますので、そういった部分も含めて考えていかないといけない。それから、学校は、そもそも産業医すら任命されてない学校はまだ小中学校は多いですし、任命されていても、正直学校のことよく分からへんという産業医も多い状況ですので、しっかりある程度学校のことが分かってしっかり助言ができる人、これをアサインしないといけない。これは基礎自治体だけではリソースが少なくて無理ということであれば、都道府県もしっかり支援しないといけないということだと思いますので、この辺りも含めて、しっかりチェックをしていただきたいなと思います。3、4、5もまた読んでいただければと思います。
 次のページです。これで最後です。文科省さんは10年前にメンタルヘルスの報告書を出しています。ただ、ここからもっとアップデートしないといけないところとか不足しているところとかはあるはずですし、これだけ休職者とか病休の方が一向に減らないという現実からすると、恐らく今までの従来の延長線上の施策だけでは、失敗とまでは言わないけれども十分ではないということになるのではないか。PDCAと言うのだったら、僕は文科省行政もPDCAをしっかり回さないといけないということを申し上げたいので、例えばこういった報告書もアップデートしていくだとか、必要なところをちゃんと対処していく。例えば、休職中の方に対して校長がフォローをするということになっているんですけれども、正直、校長のせいでハラスメントでしんどい方もたくさんいらっしゃるわけで、そんなときに校長が出てくると正直しんどいということがあるんです。こんなことも民間ではあり得ない話ですので、こういうところも含めてしっかり考えていってほしいなと思います。
 すみません、長くなりましたが、以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。それぞれ皆さん委員の方々、お気持ちは分かりますし、とても貴重な御意見なんですが、皆さんに御意見いただきたいので、申し訳ありませんが、手短にエッセンスをお話いただけるようによろしくお願いいたします。
 事務局に確認ですけれども、開始が15分遅れましたので、15分延びてもよろしいですか、委員の皆様さえ許してくだされば。よろしいでしょうか。これから手を挙げてくださっている方の数を考えると定刻に終わりそうにないんですけれども、定時で出なければいけないという方いらっしゃいますか。声を上げていただければと。今手を挙げていらっしゃる方で、15分延ばすと私いなくなりますという方、いらっしゃらないでしょうか。
 では、申し訳ありません。では、手を挙げていただきました順番で御指名させていただきたいと思います。この後、西村委員、藤原委員、善積委員、澤田委員、齊藤委員、植村委員、露口委員、青木委員の順番で、恐らくこれでも15分過ぎてしまうかなという感じかもしれませんけれども、手短にお願いいたします。では、西村委員、お願いいたします。
【西村委員】  成蹊大学の西村です。私は3点、感想と意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目。今日の福岡市の事例やこれまでの御意見で、新しい取組を進めるにはその意義を理解しておくことが重要という御指摘があったと思います。勤務間インターバルや変形労働時間制、テレワークなど新しい試みは、既に行われている事例を基に、抽象的ではなく、具体的なメリットをたくさん共有していくことが必要だと思います。
 2点目は、多様な人材ということで、民間からもいろいろな方に来ていただこうという話が出ていますが、子供たちの安全を守るのはもちろんのこと、官民癒着と疑われるようなことがないよう一定のルールが必要であると思います。国家公務員の官民人事交流はまさに官民癒着を避けるという厳しいルールから出発し、徐々にルールを見直しながら交流を広げてきましたので、そうした事例も参考になるのではないかと思います。また、多様な人材が教育現場に入ってきて、それが教育としての効果を上げるには受入れ態勢の整備も必要です。いろいろな人が入ってくると、子供への接し方を説明したり、連携したりが難しくて、結局教員の負担が増えるといった最悪の事態にならないように、先進事例やノウハウの共有が文科省や教育委員会中心に行われたほうがよいと思います。
 3点目は、人件費を十分確保してほしいということです。民間との交流でも幾つかのパターンが紹介されておりましたが、間違っても民間の手弁当に依存することがないよう、手弁当での協力は民間癒着の原因にもなりかねませんので、教育現場での仕事に見合った支払いをしていただきたいと思います。人材の多様化に伴う任用の多様化でいわゆる非正規が増えると予想されますが、公務員の非正規は、官製ワーキングプアという言葉があるほど待遇が問題視されてきました。教育現場でも同様の問題を抱えているのではないかと思います。このような状態で、民間で活躍している多様な人材が、たとえ限られた時間でも学校に来てくれるとは思えません。先ほど特定任期付なら高い給与が払えるという話がありましたが、ぜひ他の任用形態でも適切な勤務条件になるよう、財政的な裏づけをお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。ぎゅっとエッセンスにしていただきまして、ありがとうございます。
 では、藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】  ありがとうございます。国際的な観点からお話ししたいと思います。まず、勤務の柔軟化についてでございますけれども、ほかの国でも、例えばイギリスでもフレックス制とかテレワークとか柔軟な勤務というのは、一つは優れた教員の確保、ウェルビーイング確保に良好な影響を与えるものとして推奨されてきております。その中でテレワークについては、対人関係の仕事なので全てに導入できるわけでは当然ないんですけれども、授業準備とか会議とかそういう時間について上司の許可を得ながら行われているというのが実態でございます。今、成果についても検証が進められているんですけれども、その中で一つ利点としては、教師からは、自分で働き方を選べるのがありがたいという意見が極めて印象的……。
【貞広部会長】  藤原委員、ちょっと顔が見えなくなっていますが。
【藤原委員】  すみません。声は聞こえていましたよね。その中で、自分の働き方を選択できるのがありがたいという声があったのが、極めて印象的でございました。これは非常に大事な点だと思いまして、自分の働き方を選んで、その配慮についてリクエストできるというようなそういうような余地をつくっていくことは、これから自分の豊かな人生と、そして持続可能な社会のつくり手としての子供たちを育むという教育界において、教師自身がそういう主体性を持つような自立した教師であるということを明示していく意味で非常に重要なんだろうと思います。フレックスワーキングというのはもろもろの課題もございますけれども、ぜひそういう意義に立って実現していただければと思います。これが1点目です。
 2つ目に、先ほど橋本委員からも話がありましたけれども、制度と実際の入職行動までの隘路をどう埋めるのかということ、これは非常に大事だと思います。そういう意味で、一つは文部科学省のウェブサイトもどんどん充実されているんですけれども、やはりこれまで以上に潜在的な教職希望者が入職に向けてアクションを起こす、誘発するようなウェブサイトというのはどういうものなのか。例えばプロフィールを入れたら、どんどんいろいろなリコメンドが出るようなプロフィールというのも、もっとより教員確保に苦労していた国においてはそういうウェブサイトが充実しております。ですから、そういうような誘発するような、フレンドリーで歓迎しているような、そういうようなウェブサイトもぜひ御検討いただけたら、その隘路を埋める一つの道になるんじゃないかなと思っております。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、善積委員、お願いいたします。
【善積委員】  ありがとうございます。先ほど藤原委員からもフレックスというお話がありましたが、私もフレックスなどの制度導入のように、学校の先生がそれぞれのライフスタイルに応じて選択できる制度が導入しやすくなるといいなと考えています。それを実現していくという意味ではやはり、例えば朝ゆっくり来るときに代わりに朝の会をやっていただく先生がいらっしゃるといいというようなことであったり、あと、自習時間の監督をできる方、そういう方がいらっしゃるといいという御意見も学校現場からよく聞くんですが、そういった人手の確保というところ、あるいは事情があって早く退校したい先生がいたり、休日出勤の振替えを担当する先生がいたり、生徒児童等での対応に時間がかかる場合にその代わりに授業など、あるいは自習時間を対応するというように、非常に学校現場というのは多様な業務に柔軟に対応できる代替的な人材のニーズがとても高い職場なので、資料2-2にあるような社会人人材の活用は非常に有効だと思いますので、これまでいろいろな委員から出たハードルの部分をしっかりクリアして、実現にぜひつなげていただきたいなと思います。
 それと、若い人が教職を選ぶことをちゅうちょせずできるようにする環境づくりとして、人を育てるというメッセージをしっかり伝えていくことが必要だと思っています。初任者に学びの期間を位置づけるというふうなメッセージがあるといいなと思います。その期間においては、副担であり保護者対応を主としてはされずに、代わりに積極的に研修や研究授業を受けていただくというようなこと、あるいはその間に業務として地域のボランティアなどにも関わっていただくような枠組みをつくっておくと、地域との関係性が早期に出来て保護者などとの顔つなぎもできた場合に、後々の授業などでよりよく対応することができる可能性も高くなるかなと思ったりしします。自分の仕事の経験の中でもそういうことがありますので、そういったつながりづくりにもつながるようなそういう設計を、若い人に、特に初任の方たちに向けてされていってはいかがかなと思っています。
 もう一つ、学校長といった管理職の方に労働管理についての認識を高めていただくことは非常に重要だと思っています。先ほどから妹尾委員はじめいろいろな委員からも、労務管理について課題があるということを御指摘いただいていたと思うんですけれども、労務管理はある意味人権と同義でありまして、その人が健康を保ちながら質の高い仕事ができる状況であるように職場を管理するというのは非常に重要な管理職のミッションだと思いますが、教員の方が遅くなっている事情を十分に理解されていないケースや、「仕方がないんです」とお話しされるような管理職の方もまだおられるような状況もありますので、こういった方々への制度理解のためには研修しかないので、とにかくそれを徹底的に、横浜市さんの事例で2年目校長研修というのがあったかと思うんですが、しっかりと時間をかけてやっていくことが本当に必要かな、またそういうことの定期的な確認という作業も要るのかなと思っています。
 それから、福岡市のインターバル制度、インターバルの導入というのは、メッセージとしての効果が非常にあるかなと思っております。学校現場に結構運用を任せてしまう自治体、事例が多いかと思うんですけれども、ある程度教育委員会からの命令的なものでしっかりと意識づけをしていくということも必要かなと思います。その意味、役割を徹底的に理解していただきながら制度を定着させていくということは、プロセスとしては時間が少し要るかもしれませんし、力業かもしれないんですけれども、その辺りをセットにしてぜひそういう新しい制度導入は教育委員会からの目線でしっかりやっていただく必要があるかなと思います。
 最後に、若い方に対する育成という観点が非常に大事だということで、メンターのような形ですね。業務で必要なことのほかに、仕事への取組、モチベーションの維持向上あるいは将来に向けたキャリア形成といったところを一緒に話し合ったり相談したり、分掌や授業負担を軽減するような支援につながるとなると主幹教諭の方なのかなとか思ったりはするんですけれども、そういう役割の方にほかの授業や分掌の負担を減らしてしっかり対面でやっていただくような枠組みもきっちり位置づけていくのも一つの方法かなと思っています。ミドルリーダーのような方たちをもっと育成をされて、教える方の負担も結構大きいということは学校現場でよく聞きますので、そういう位置づけがはっきりした中で、ほかの役割を少し減らしてやっていただくというようなことを取り入れていただくといいかなと思いました。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】  先生の幸せ研究所の澤田です。3点お伝えします。
 1点目は、勤務間インターバルについてです。福岡市さん、ありがとうございました。睡眠時間の確保による健康確保という点でも、また、使える時間に蓋をすることは生産性を上げるという点でも有効な方策ですし、また、睡眠確保と心のゆとりは関連するとも言われていますので、教室での先生から子供たちに対する振る舞いの寛容さにもつながることかと思いますので、全国に広がればと思います。広まっていく際に、インターバル11時間というのがポイントだと思っていまして、7時間の睡眠と前後1時間の生活時間、そして、出退勤の移動時間各1時間ということで、インターバルが11時間の確保が保たれるということを推奨していければなと思いました。
 次に、働き方改革への誤解があることと目指す姿についてです。ただ削れること探しをすることという誤解がまだまだありまして、学校現場では肝心の教育活動や職員の関係性にひずみが出ているということも多いです。それが要らぬ改革アレルギーを引き起こして、取り組みにくさ、取組の進みにくさの一因になっているというのも実はよく見かけます。でも、本当の働き方改革は、幸せな学校づくりそのものですし、教育の質が上がるものですので、一例を御紹介したいと思います。
 昨年度弊社が支援したある学校からは、働き方改革は子供を真ん中に取り組むチーム学校づくりだったという声が上がりました。教頭先生が言うには、初めから職員が一丸となっていたわけではなかったけれども、取組を通して、挑戦の勇気、成し遂げる強さ話し合う楽しさなんかを知る学校になれたということがありました。この学校では、職員みんなであらゆる時間が本当に子供のためになっているか、大人のためになっていないかということを考えていきました。その中で、教師である自分たちが子供に心を寄せ切れていなかったという気づきになり、そして、子供を時間で追い立てるのではなくて、子供が活動しやすくするにはどうするべきかという観点で時間の使い方も指導の仕方も具体的に見直していきました。こうしたことで、ゆとりだけではなくて、発達に応じた支援・指導、先生の優しさ、子供たちの変化といったことが生まれていきました。今のは一例、ある学校の例ではありますが、働き方改革は、真に子供が主語の学校とはどんな学校かというのを実現することそのものかなと思います。
 最後に、地域、保護者についてです。私の仕事柄、学校を取り巻く大人たちとよく話しますが、地域、保護者の方々の中には、学校の働き方改革を後押ししたいんだけれど、二の足を踏んでいるという方もとても多いです。学校は学校で、地域の力を借りたいんだけど、ずうずうしくないだろうかということを気にして、お互い空気を読み合っているということがよくあります。地域、保護者も各主体のうちの一つだというようなことを国としてもし示せるのであれば、お互いに手を握りやすくなるのではないかなと思っています。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございました。具体的な取組も含めて御紹介いただいた御意見をいただきました。
 では、齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】  ありがとうございます。全日中の齊藤でございます。
 まず、福岡市の取組について貴重なお話をいただき、ありがとうございました。昨年の9月からということですので、まだ検証等は難しいと思われますが、今年度の選考の応募等に際して何か変化があったのかなと興味を持ちました。特に御回答いただく必要はないのですが、効果があれば大いに参考になるというように感じました。
 それから、今まで皆さんの意見を伺っていまいりましたが、その中で、やはり校長の役割というものがとても大きいなと感じました。全日中としては、これまでも取り組んでおりますが、全国の校長にはこの特別部会を含めて、各会議の協議内容について、その都度確実に伝えてまいります。
 そして、様々な制度改革が今進められているところではありますが、やはり何か新しいことを始めようとする、今までのことを変えようとすると、誰からか、それはできないとか、それをやってしまうとこんな問題が起こるということを言われるケースがあります。それに対しては、問題が起こるということが予想できるのであれば、先手を打つ。つまり、問題が起きないように、あるいは問題の影響が最小限に収まるように、方法を考えて改革を進めていくというふうにしていく。さらには、教員から校長、校長から地区の教育委員会へと意見を上げていくボトムアップを図って、それを地区の教育委員会、都道府県教育委員会あるいは文科省の方々に受け入れていただくという流れで進めていくということも大事だと思いますし、また、それが実際に行われていて、こういう成果につながっているという事例はどんどんとPRというか周知をしていくことも大事だと思います。
 教員の勤務時間についてもいろいろと考えがあるかと思いますが、やはり担任を今、固定しているのが一般的だと思われますけれども、果たして担任を固定することも、今後それにこだわらなければいけないのか、あるいは朝、連絡をしなければいけないのでなくて、朝から授業を始めて、午前中のどこか途中で連絡を子供たちにするというような取組など、柔軟な時程の設定も必要と考えます。
 最後になりますが、やはり教員のやりがいをこれからどんどん増やしていきたいと思っています。若い教員、経験の浅い教員に聞いてみますと、やりがいをどういうふうにしたら持つことができるか、具体的な策が言えません。これは、やはり経験が少ないからだと思います。逆に、経験の豊富な教員は、そんなこと言ってもとかやっても・・とかと思ってしまう。このことについては、やはり現場として一つ一つ成果を積み上げていって、どんどん意見を出して、それにみんなで取り組まなければいけないと考えました。皆様の貴重な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 福田次長、今年度の教員の志願状況に、そんな短期別に効果があったということは残念ながらないでしょうか。何かお答えがあれば。
【福田教育次長】  福岡市でございます。おっしゃるとおり、まだ取り組み始めたばかりですし、直接募集にプラスに影響になったという実感は正直ございませんけれども、今委員のほうからおっしゃっていただいたように、今後やっぱり志願する人を増やしていくためには、勤務間インターバルもそうですが、安心して働ける職場であるということをもっと私どもが大学生や高校生にPRして、しっかり理解した上で選択していただけるようにすることが重要だと思いますので、今後しっかりもっとPRをしていきたいと思っています。まだまだ不十分ですので。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では続きまして、植村委員、お願いいたします。
【植村委員】  ありがとうございます。全連小の植村でございます。私からは、資料2-4、論点のペーパーから少しお話をさせていただきます。(1)の3つ目の丸、勤務間インターバル、(2)の1つ目の丸、在宅勤務型テレワーク、2つ目の丸、1年単位の変形労働時間制、この辺りについて少しお話をさせていただきます。
 まず、勤務間インターバルについてですが、福岡市教育委員会さんの御発表ありがとうございました。大変参考になりました。やはり毎日の生活リズムを確立することにつながるなということを感じました。ただ、やはり朝になれば子供たちは定時に登校するわけなので、柔軟な仕組みの構築という工夫が必要かなと思います。
 2点目、在宅勤務型テレワークについてです。これは港区の例が載っていましたけれども、長期休業中の会議については自宅等からオンラインで参加するようなことで活用している学校もあると伺っています。ただ、日常的に教員が自宅で、子供が学校の環境という中で進めるとなると、それはなかなか難しいのかなということで、やはり子供に支障がない範囲で活用するということが大事な視点ではないかと考えます。
 最後に1年単位の変形労働時間制についてです。まだ制度理解が私自身も十分でないところはあるんですが、現状、休日のまとめ取りということについては活用していますけれども、資料にあるとおり、勤務時間を大きく変動させるような活用の仕方についてはまだ取組がないかなと思っています。今現状でいうと、例えば時差勤務の活用とか、そもそも年休の積極的な取得を意識改革するとか、そういったところが学校の現状であります。年休についても、やはり取得しやすい環境づくりとか、雰囲気づくりが大事だというところで、学校の現状としてはその辺りを今取り組んでいるところでございます。いずれにしてもこの変形労働時間制については、制度理解を進めるということが大事だと思いますので、メリットを整理して明確化するということが必要かと思います。
 最後に、今挙げた3つは一つの例かと思いますけれども、学校現場の立場からしますと、学校現場の状況とか学校の特殊性とかそういったことを踏まえて、教員一人一人が働きやすさにつながるように柔軟な仕組みの構築を工夫できるとありがたいなと考えているところです。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。では、露口委員、お願いいたします。
【露口委員】  失礼いたします。1点だけ簡単にお話しさせていただきます。論点1の教師の健康及び福祉の確保についての2つ目の丸の箇所です。今回私が注目いたしますのが、働き方改革のPDCAサイクルの箇所でございます。このPDCAサイクルを回していく際に、目標と評価指標の設定が必要になると思うのですが、これまでの様々な議論を聞いておりますと、目標と評価指標のところが在校等時間に特化されていると感じます。このことが様々なリスクを生んでいると思われます。
 働き方改革の目標は前回の会議でも出たのですが、時短だけではなくて、今回の妹尾委員、戸ヶ﨑委員も言及されておりましたが、過労死ゼロとか、メンタルヘルスとか、ストレスや抑うつを減らすとか、専門性を高める、そして授業改善、働きがいを高める、満足度、ウェルビーイングを上げる等、教員の働き方改革の目標は多様なはずです。成果指標が時短だけの場合、在校等時間が減っていないと事業全体が否定される可能性があります。財務省の資料にもありましたけれども、やはり在校等時間が減少してない場合、「教員を増やそうが、外部人材を増やそうが駄目だったじゃないか」と言われかねないので、この働き方改革の成果指標はもう少し広めに見ていく必要があると思います。メンタルヘルスは休職を説明する重要な予測変数ですし、働きがいは離職を予測する大変重要な変数です。働き方改革の目標の再確認と時短以外の成果指標の設定をPDCAサイクルの中に組み込んでいく必要があるということを意見として申し述べさせていただきます。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。ステージ0では在校等時間で検証してきたわけですけれども、今後ステージ2へと進んでいく時に、目標と評価指標を再検討、再構築する必要があるという御指摘でした。ありがとうございます。
 では、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  青木です。よろしくお願いいたします。資料2-4の(1)の前半2つについてお話ししたいと思います。多分キーワードはトップダウンということになると思うんですけれども、1番目ですが、資料2-1の13ページにありますように、産業医は50人未満の事業所は努力義務ですけれども、やはり緊急提言が出るような業界のわけですから、やはり一旦一時的にでも全校に産業医が面談に行くみたいなことをやってしかるべき動きがあるといいなと思いながら、緊急提言の受け止めがどうなっているのかなと思っていました。これが1点目です。
 2つ目なんですが、参考資料3にも関わるんですが、やはり小規模自治体がどうも働き方改革においても動きが取りにくいということはあるんだと思います。指導主事のいない町村もあるということですので、やはりこういった小規模町村に関してはちゅうちょなく都道府県教委が支援、関与をするというようなことで腹をくくっていただく。垂直補完ということを県教委がどんどんやっていただくというのに尽きるのではないかなと思います。
 関連してトップダウンということでいいますと、やはり文科省にも当てはまって、ぜひそういうマインドでこの案件について動いていただきたいなと思います。参考資料2-1の3枚目ですけれども、財務省財政制度等審議会との政策の対話がこういうタイミングで素早くなされるという意味においてもすばらしいんですけれども、全体的にスクールサポートスタッフの政策目的に沿った効果が確認できているわけですので、今後もちろん校長がどうそういったスタッフを使うのかというマネジメントスキルとか、スタッフ自身の研修スキルアップというのも課題だとは思いますが、文科省におかれましては、ぜひ働き方改革とこういうサポートスタッフの補助事業をうまく組み合わせて、条件付でもしてトップダウンでこういった施策がより効果があるようにどんどん手段として使っていただければなと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。皆様から御意見いただいたところでございますが、本日御欠席の金子委員からも資料の御提出をいただいていますので、事務局より御紹介いただけますでしょうか。
【千々岩企画官】  事務局のほうから金子委員に代わりまして、金子委員から御提出いただいている意見につきまして、御紹介させていただきます。参考資料6として金子委員からいただいております。いただいているところについて述べます。
 1点目、上限指針の遵守及び在校等時間の削減に向けて、教員への労基法37条の適用など給特法を抜本的見直す必要がある。代償休暇、代替休暇の付与を検討すべきである。各学校における教職員に対するメンタルヘルス対策を強化する。国が、各教育委員会と、健康・福祉確保の取組が進んでいる自治体の取組を共有化するなど見える化を進めることが必要。在校等時間を適切に管理する必要があり、労務管理研修の充実も合わせて行うべき。勤務間インターバルを導入する場合にあらかじめ対策を検討する必要がある。
 2点目、勤務の柔軟化ということで、変形労働時間制について、まずは変形労働時間制の必要性について2017から2018年の中教審の議論を再検証することも必要と考える。
 それから、3点目、多様性の確保については、教職の魅力を高めないと志望者は増加しない。学校に関わる人材の労働環境の改善を図る必要がある。そして、学校の長時間労働の是正が急務であるといった御意見をいただいております。
 以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。それでは、本日は冒頭、YouTubeの配信が円滑にいかなかったということで開始時刻が15分遅くなりましたこともありまして、5時を過ぎての会議の終了となりますが、本日はこの辺りの会議を終了したいと思います。時間に御配慮いただいて十分に御発言いただけなかったという委員におかれましては、事務局宛てにメールをいただければと思います。会議を延長しまして、申し訳ありませんでした。
 最後に、次回の予定について事務局からお願いいたします。
【菅谷財務課課長補佐】  本日は機器トラブルにより開始時刻が遅れまして、誠に申し訳ございませんでした。
 本特別部会の次回の日程につきましては、11月中旬頃の開催を調整しております。詳細につきましては、追って事務局から御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――