次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ(第1回)議事録 

1.日時

令和5年6月8日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省
※対面・WEB会議の併用(傍聴はWEB上のみ)

3.議題

  1. 次期ICT環境整備方針の在り方について
  2. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

石井委員、小髙委員、片山委員、木田委員、柴田委員、高橋委員、中川委員、中村委員、堀田委員、水谷委員

文部科学省

寺門大臣官房学習基盤審議官、武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー、髙本GIGAスクール基盤チームリーダー、髙橋修学支援・教材課専門官、酒井学校デジタル化PTサブリーダー、藤原教育DX推進室長、野口教育DX推進室長補佐

6.議事録

【髙本GIGAスクール基盤チームリーダー】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ(第1回)を開催いたします。本日は、委員の皆様、御多忙の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は本ワーキンググループ第1回目の会合でございますので、冒頭の議事進行は、私、修学支援・教材課のGIGAスクール基盤チームリーダーの髙本が進めさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
 では続きまして、本日の会議開催方式及び資料について説明申し上げます。本会議は、対面とオンラインのハイブリッド式で開催でございます。オンラインで参加されている委員もいらっしゃいますので、会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時も含めて会議中はオンにしていただくようお願いいたします。委員の皆様には御不便をお掛けすることもあるかと存じますが、どうか御理解のほどよろしくお願いいたします。
 次に、資料の確認をさせていただきます。本日の資料ですけれども、議事次第にございますとおり、資料1から6で、加えて参考資料が1から3となっております。御不明な点がございましたらお申し付けください。
 第1回の会議でございますので、開催に先立ちまして、学習基盤審議官の寺門より委員の皆様に御挨拶申し上げます。

【寺門学習基盤審議官】  文科省学習基盤審議官の寺門でございます。本ワーキンググループのキックオフに当たりまして一言御挨拶をさせていただきます。本来であれば、藤原初等中等局長が来るべきところでございますが、公務のため出席できません。申し訳ございません。
 改めまして、委員各位におかれましては、大変御多用のところ御参画を賜りまして、心より感謝申し上げます。
 御案内のとおり、現行の学校におけるICT環境整備方針は平成29年度に取りまとめられまして、当該整備方針を踏まえて策定された教育のICT化に向けた環境整備5か年計画、これは教育現場におけるICT環境を整備するに当たりまして大きなよりどころとなってきたと認識してございます。この間、GIGAスクール構想の下で世界に先駆けて1人1台端末の整備が進められまして、全国の自治体や学校現場をはじめ、多くの関係者の皆様の大変な御尽力をいただきながら、世界に冠たるデジタル学習基盤が整いつつあるという状況だと思います。この学習基盤を更に発展的に継続していくことが目下の最重要課題の一つだと考えてございます。
 ICT環境整備5か年計画は、昨年12月有識者会議での御議論を経て、計画期間を令和6年度まで延長いたしましたけれども、GIGAスクール構想第2ステージとも重なる令和7年度以降のICT環境整備の在り方については、1人1台端末の下での授業改善や働き方改革を更に加速化させるためにも、これまでの成果や課題を整理し丁寧な議論を進めていくことが求められていると考えてございます。
 改めて申し上げるまでもなく、ICT環境整備の対象は大変多岐にわたりますので、是非とも今回御参画の先生方におかれましては、それぞれの専門性、また、学校現場等の実態を踏まえまして、忌憚のない御意見を賜れればと考えております。長丁場の2年となりますけれども、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

【髙本GIGAスクール基盤チームリーダー】  ありがとうございました。
 それでは引き続きまして、資料1及び資料2を用いまして、まず本ワーキンググループの趣旨等について御説明をさせていただきます。その上で、資料3に基づいて本ワーキンググループの委員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。
 まず、資料1を御覧ください。本ワーキンググループの設置についてでございます。本ワーキンググループですけれども、令和6年度まで延長されたICT環境整備方針に代わる新たなICT環境整備方針の策定を検討するために、先日5月16日に初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会の下に設置されました。
 これまでの学校におけるICT環境整備は、平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針に基づく教育のICT化に向けた環境整備5か年計画の下で進められ、その後GIGAスクール構想により、御承知のとおり、大幅に整備が推進されました。本整備方針は、昨年12月の有識者会議での議論を踏まえ令和6年度まで2年間延長されたところですが、引き続きICT環境整備を進めていくため、令和7年度以降の学校における新たなICT環境整備方針の策定に向けた検討審議が求められるところでございます。そこで、本ワーキンググループでは、次期ICT環境整備方針の策定に向けて専門的な事項を中心に御議論いただきたいと考えております。
 次に、資料2を御覧ください。本ワーキンググループは、初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会運営規則に則って運営をしていくことになります。本運営規則第2条第3項でございますけれども、こちらによりまして、本ワーキングに主査及び主査代理を置くとともに、特別委員会の委員長がこれを指名することとなっております。この点につきまして、特別委員会の堀田委員長の御指名により、本ワーキンググループ主査には高橋委員に、それから、主査代理には堀田委員に御就任いただくことになっております。
 続きまして、本ワーキンググループにおける会議の公開について御説明させていただきます。同規則の第3条によりまして、本ワーキンググループについては公開を原則としております。また、会議の傍聴につきましては、同規則の第4条によりまして、会議を撮影、録画、録音する場合には、事務局が定める手続により申請をするとともに、主査の許可を受ける必要がございます。傍聴の皆様におかれましては、あらかじめ御了承いただければと存じます。
 続きまして、資料3を御覧ください。こちらの資料に従いまして、ワーキンググループの委員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。
 高橋純主査、堀田龍也主査代理、石井一二三委員、小髙美惠子委員、片山敏郎委員、木田博委員、柴田功委員、中川哲委員、中村めぐみ委員、水谷年孝委員。お名前だけで失礼いたします。
 それでは、ここからの議事進行につきましては高橋主査にお願いしたいと思います。高橋主査、よろしくお願いいたします。

【高橋主査】  改めまして、高橋でございます。よろしくお願い申し上げます。主査を務めさせていただくに当たり、一言御挨拶させていただければと思います。
 先ほど寺門審議官からもお話がありましたとおり、世界に先駆けて我が国では子供に1人1台端末の環境が整いました。また、多くの地域では、それ以前から教員にも1人1台のコンピューターが整っておりますし、保護者もスマートフォン等で端末が整っている状況でございます。これらをつなげて効果的に使うと様々なことが得られると考えており、まさにデジタル学習基盤が整いつつあるところだなと思っております。
 一方で幾つか課題がございますが、これから我々が考えていかなければいけないのは、より使いやすく整備していくということかなと思っています。これまでの経験を踏まえて、更に世界をリードしていくようなICT環境が整えばなと思っております。その結果、子供一人一人の個性や関心に応じて子供一人一人が更にしっかり力を付けていく、そういうような学習空間が作れればと思っております。
 そういった質の高いICT環境をどうすべきかということを親委員会であるデジタル学習基盤特別委員会の議論の推移を見ながら、我々は専門的にICT環境整備方針について委員の皆様と議論をしていきたいと考えております。いろいろこの後お世話になりますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここから議題に移らせていただきます。本日は第1回目ですので、次期ICT環境整備方針の在り方の検討に向けて、当面の検討事項、GIGAスクール構想の現状や課題について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【髙本GIGAスクール基盤チームリーダー】  それでは、事務局より説明いたします。
まず、資料4でございでございます。先般開催されたデジタル学習基盤特別委員会において、今映っておりますけれども、当面の検討事項が示されたところであります。まず1ポツの背景に記載があるとおりですけれども、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末の本格的な活用が始まる一方で、その活用状況については地域間・学校間で格差が生じており、現状と課題を整理し、第2期に向けて必要な施策を検討する必要がございます。また、文部科学省では、GIGAスクール構想も含めた教育のデジタル化に関わる幅広い政策課題について、様々な会議体での検討を踏まえて取り組んでまいりました。今後はこれらの施策相互の関係について、これまで以上に整合性を持った形で検討実施していく必要がございます。このような状況を踏まえ、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図るために、令和の日本型学校教育におけるデジタル学習基盤について、以下の視点から総合的に検討を行うということになっております。
 次に、2ポツの検討の視点でございます。(1)の総論として、1人1台端末の導入による成果と課題、それから、丸2として、丸1の課題を踏まえ、今後の端末更新も見据え、目指すべき教室像や実現すべき新たな施策がどのようなものかというものです。
 続いて、(2)新たなICT環境整備方針の策定等についてでございます。現行のICT環境整備に係る地財措置の根拠である教育のICT化に向けた環境整備計画ですけれども、これは令和4年の検討を受けて令和6年度末まで延長されたところであります。令和7年度以降に向けて、新たなICT環境整備方針の策定について令和6年度中に結論を出す必要があるということでございますので、(1)の議論を深めつつ以下の点について速やかに議論を行う必要があるということで論点として提示しております。
 丸1、1人1台端末の導入の際の各自治体の調達方法とか内容、それから、コストについての評価。具体的には購入やリース、それから、単独・共同調達、保守契約、附属物品など。それから、丸1の評価を踏まえて、GIGAスクール構想第2期における環境整備の方向性についての基本的な考え方。特に留意すべき点として四つ挙げておりますけれども、1人1台端末について、故障リスク等も念頭に置いた標準的な整備の在り方。それから、二つ目、今後の通信負荷増を視野に入れたネットワーク整備の在り方。それから、三つ目として調達方法の考え方。例えば端末の買取りとリースの比較とか共同調達などであります。それから、四つ目として、地方自治体の責任において確実に実施すべき事柄を示しております。
 それからまた、(3)において、ほかの検討体での議論が進んでいる事項、それから、一定の方向性が示されている事柄のうちの必要な検討、それから、指摘を行うべき事項として五つ掲げております。丸1から丸5でございます。本ワーキンググループにおいては、次期ICT環境整備方針の在り方について議論をするものとなりますが、そこに関連して、(1)の総論を深めつつ、(2)の専門的な事柄について御議論をいただければと考えております。
 資料4は以上でございます。

【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】 文部科学省の学校デジタル化プロジェクトチームリーダーを務めております武藤と申します。続けて資料5について御説明します。「GIGAスクール構想の成果と課題について」という資料で、大部の資料になります。
 まず、(1)のGIGAスクールの成果。これは校長先生方に悉皆で取った成果認識でございます。1枚おめくりいただいて3ページになりますけれども、このような感じで例えば個別最適な学びとかこういう一つ一つのテーマごとに先生方に認識を聞いている。例えば一つ目の一人一人の学習状況の詳細な把握、これが可能になったということでいうと、大きく、現時点での積極的な変化と、それから、今後の更なる変化、まだまだ端末活用が十分でない中で活用が進んでいった場合の今後の変化への期待、この両面でデータを取っております。
 まず、上を見ると、現時点での積極的な変化は、「とてもそう思う」、それから、水色のところの「そう思う」を足していくと、御覧いただいたような感じになっていて、今後の期待というのは、濃い青のところがかなり増えていって、水色も含めればほぼ100%になっていくと、こういう期待感でございます。
 少しスピードを上げていきますが、例えばその次の児童生徒の関心あるいは課題に応じた学習材や課題の提供は、御覧いただいたような感じです。
 一人一人の学習状況の詳細な把握は、「とてもそう思う」、「そう思う」を足して6割ちょっとと、余り小学校と中学校で大きく変わらないところがあります。
 それから、児童生徒が自ら学習計画を立てて行う学習活動は、この辺りはほかよりも青いところ、水色のところが少し少なめでございますが、更なる変化への期待は非常に高いということでございました。
 次のテーマで、5ページ、6ページ、効率化による指導の改善というのがあります。ここから先、少しスピードアップしていきます。対話的な学びの時間の増加とか、実験・観察等に掛ける時間の増加とか、あるいは家庭学習の状況の容易な把握、さらには、長期休業中の宿題の効率化、こんなところが御覧いただいたような感じになっておりますが、見ると、下二つ、家庭学習の容易な把握や長休中の宿題の効率化は、もっと青いところが多くてもいいんじゃないかなとやや思ったりもするところであります。
 それから、次のページに参りまして、探究的な学びの充実ということです。情報の収集、整理・分析、まとめ、表現、そして最後に、相互参照、子供同士が相互に参照しながら学びを深める学習活動は、御覧いただいたとおりでございまして、これはいずれもほかの項目と比べると濃い青と水色が非常に多くなっているということが見てとれるかと思います。
 その一方で、9ページ、10ページのオンラインによる学習活動の充実という辺りは、例えば外部の専門家の活用とか、地域人材の活用、あるいは遠隔の学校との交流活動、この辺りは青と水色がまだ少ないなという感じがしております。社会に開かれた教育課程ということでいうと、GIGAスクール構想と非常に親和性が高いことだと思いますが、この辺りはまだ改善の余地がたくさんあるのかなと思っております。
 次に参りまして、働き方改革への寄与ということであります。教師間での教材・ワークシートの共有とか、授業展開の効率化、採点に掛かる時間の減少、授業準備時間あるいは負担の減少は、御覧いただいたような感じでございます。特に採点とか準備時間の減少とがまだ青いところがすごく少ないという状況があって、働き方改革という意味でいえば、まだかなりICTを使って今の現行のGIGAの環境でももっとこれは追求していけるところがあるんじゃないだろうかと思っております。後ほど出てきますけれども、クラウドの環境を本当に十全に活用しているのか、あるいはできる環境にあるのかとか、その辺りも課題なのかと思います。
 次に参りまして、学習意欲・学力への影響ということで、意欲の向上、それから、より多くの児童生徒の積極的な授業への参加は、非常に青いところが多くなっています。プレゼン能力の向上、それから、基礎・基本の習得の促進、この辺りも非常に青と水色が多くなっているという状況にございます。
 それから、15、16ページに参りまして、学びの保障です。自宅待機中の児童生徒に対するオンライン指導、あるいは不登校のお子さんに対するオンライン指導は、非常に青いところが多くなっております。特別な支援あるいは特定の分野に特異な才能を有する子供に対する指導、こういうところも御覧いただいたような感じでございます。特に上二つ、オンラインで指導が可能になったということは、言わば0か1かみたいなところでございまして、まさに端末を一人一人に整備したということで、従来であればつながれなかったところがつながるようになったということで、学びの保障に非常に大きな意味があるインフラ整備になっているんだと思うわけでございます。
 それからその次に、少し毛色が違った資料になっていますが、17ページです。同じ資料から持ってきているのが最初の黒丸で、約45%の小学校の校長先生が、教育課程外でプログラミングに取り組む子供が増えたと回答しております。これは先生方の認識なので、もうちょっと調べてみましたら、プログラミングサイトのScratchの利用者数、世界シェア、共に非常に大きく伸びていまして、特に利用者数は、ビフォーGIGAと今とを比べると3倍ぐらいに増えているんだということが見てとれるかと思います。
 それからその次、18ページ以降で、今申し上げた校長先生方の成果認識を端末の利活用の頻度別にクロス集計したものが19ページ以降にたくさん並んでいるかと思います。これは基本的に、19ページの黄色いところにありますように、全ての項目について、授業での利活用頻度が高くなればなるほど校長の効果認識が高まる傾向が見られたと。例えばで言えば、21ページ22ページで、各自の学習速度に応じた指導の個別化とあって、一番下の月1回以上からほぼ毎日毎時間に至るまでだんだん青いところと水色のところが上がってくるということが見てとれるかと思います。基本的に同じ傾向でございますので、ここから先は少し飛ばして、次に参りたいと思います。
 そうしましたら、次に、54ページ以降に今度は課題について整理をしております。端的に言えば、端末の利活用格差が出てきているということでございます。55ページを見ていただきますと、これは全国学力・学習状況調査の学校質問紙から取ってきているものでございます。オレンジのところ、1人1台端末を授業で活用している学校の割合。これは小学校のものでございますが、見ていただくと、「ほぼ毎日」、これは濃い青、それから、「週3回」、これは薄い青、これを足すと全体でいうと約8割の学校が使っているとお答えになっています。しかしながら、見ていただいたとおりで地域差がかなり顕著になっているということでありますし、特に「ほぼ毎日」に着目をすると、濃い青の8割近いところから2割ちょっとのところまで結構大きく差が出ているという状況がございます。同じことが56ページ、中学校でも同じような傾向があり、それから、57、58ページで政令指定都市の小学校、中学校が出ていますけれども、これも結構大きな差が出ているということでございます。
 ただ一方で、全体として見ると、授業で活用している学校の割合、使っていますかどうですかということを聞けば、青いところ、それから、水色のところも含めれば、かなり青いグラフになっていると思いますが、これを一皮二皮めくってみますと、例えば59ページ、自分で調べる場面で使っていますかということを聞くと、「週3回」以上が大きく下がるということが見てとれると思います。60ページの中学校も同様、それから、61ページ、62ページの政令指定都市もこれもまた同様でございます。
 また、63ページを見ていただきますと、教職員と生徒がやり取りする場面、これも非常に青いところがシンプルな設問と比べると下がっているということと、天井のところのオレンジのところの「月1未満」、ほぼ使ってない学校が大分多いということが見てとれるかと思います。同じ傾向が中学校も政令指定都市もあります。
 それから、67ページに飛んでいただきまして、自分の考えをまとめ、発表・表現する場面。これもオレンジ色の天井のところが相当数存在するというところがあるかと思います。飛んで、71ページを見ていただくと、生徒同士がやり取りする場面というところでかなりオレンジが増えているということがあるかと思います。逆に青いところが大分少なくなっている。こんな状況があるかと思っています。
 この辺りを総括すると、特に生徒同士がやり取りする場面とか、あるいは教職員と生徒がやり取りする場面なんかは、これは多分クラウドをしっかりと活用、十全に活用できているかどうかということとの代理変数というか、関わっている部分が大きいのではないかと。冒頭、高橋主査から、使いやすい環境ということがありました。クラウドがせっかく導入されたのに十分使われていないという背景にどのようなことがあるのか。整備面もあれば、いろいろなレギュレーションの問題もあるんだと思うわけでございます。
 それから、75ページに参りまして、今度は、紫の帯のところですけれども、家庭で利用できるようにしている学校の割合ということであります。これは「非常時のみ持ち帰り」という天井の黄色いところがかなりあるのと、それから、黄色の下のオレンジとか紫が「持ち帰ってはいけない」という禁止、あるいは「持ち帰らせていない」という紫、この辺りが大分多くなっているということがあります。家庭への持ち帰り、それを授業での学びと家庭や地域での学びをできるだけシームレスにつなげて学びを深めていきたいと、こういう思いで今、デジタル教科書も含めていろいろな政策を打っているわけですけれども、残念ながらまだそこまで至っていない状況が見てとれるのかなと思います。
 いずれもこれは昨年の4月の全国学調のデータでございます。その後それぞれの都道府県、それから、自治体でいろいろお取り組みいただいているので、その結果がまた、この4月にまた全国学調をやりました。そして、その結果が通例であれば7月ぐらいに出るということもありますので、これはきちんとアップデートして、先生方の議論の材料としてまたお届けをしたいと思っております。
 それから、79ページ以降に、GIGAスクール構想の課題。これは校長先生の課題の認識を、さっきは成果の認識でしたけれども、同じ調査で課題も聞いているということでございます。大きく3点あるんですが、まず研修・サポート体制に関する課題ということで、青い白抜きのところを見ていただくと、研修やサポート体制が十分ではないとか、効果的な指導方法、あるいは端末の操作方法をよく分かっていない先生が多い、端末の利活用の意義や必要性を分かっていない先生が多い、いずれもの濃い赤と、それから、ピンク色のところが御覧いただいたような感じの割合になっております。
 一方、まさにこのワーキンググループの主たる検討課題である整備面の課題ということでいきますと、81ページですけれども、学習者用端末の故障が多い、指導者用端末が足りない、ネットワーク環境が十分に整っていない、端末の起動に時間が掛かり授業に支障が生じている、御覧いただいたような赤とピンクのところの割合になっております。
 それから、児童生徒の活用・保護者に関する課題ということでいえば、目や心身の健康の懸念とか、子供が授業と関係のない目的で端末を利用しているとか、あるいはセキュリティー面で閲覧できないサイトが多い、あるいは保護者の理解が十分に進んでいない、この辺り、御覧いただいたような感じでございました。
 資料5の説明は以上でございます。

【高橋主査】  ありがとうございました。先ほど事務局から御説明があったとおり、本ワーキンググループでは、資料4にございます、(2)新たなICT環境整備方針の策定等についてを中心に議論してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日は、後半に皆様からの御意見を頂戴する時間を設けておりますので、現時点では事務局の説明に対して確認したい点を中心にお願いできればなと思います。
 なお、御質問の際には挙手ボタンを押してください。オンライン参加で御発言がございます方は、必ず「手を挙げる」ボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから指名させていただきますので、ミュートを解除して御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたら、「手を下げる」のボタンを押し、挙手の取下げをしていただけますようにお願いいたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、御発言のある委員の先生がございましたら、よろしくお願いいたします。柴田委員、お願いいたします。

【柴田委員】  柴田です。貴重な資料の御説明ありがとうございました。今回調査対象が小中学校の校長先生ということでしたので、高校はどんな感じなのかなというのを補足したいと思います。私の印象なんですけれども、小中に合わせて大体同じような調査結果になるのではないかなというような印象を持っております。ただ、大きく違うのは、家庭で利用というところは、高校においては自宅に持って帰るということができる自治体が多いのではないかなと思います。特に保護者負担で1人1台を実現している自治体と自治体が整備しているところがありますが、保護者負担のところは基本持って帰るわけですから、そこが大きく違うなという印象を持ちました。
 高校の印象を補足させていただきました。以上です。

【高橋主査】  柴田委員、ありがとうございました。何か事務局から補足等はありますか。

【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】  これは全国学調の結果を今お示ししたのに加えて、もう一つの校長先生の成果・課題の認識については、昨年の8月時点でやった調査でございます。その時点でまだ高校の方の端末が整備の途上だったということもあって調査の対象には加えなかったところでございますが、今後どのようにその辺りのデータを取っていくのかも含めて、また先生方のお知恵もいただきながら考えてまいりたいと思っています。

【高橋主査】  ありがとうございました。柴田委員から貴重な現状を御報告いただけたかなと思います。
 ほかに何かございますでしょうか。

【堀田主査代理】  堀田でございます。最後の54ページ以降にある学校の割合、赤い天井が下がってくる辺りの話ですけれども、これは全国学力・学習状況調査の結果ですし、ということは、全国で見るとこうなるんだけれども、ICT環境の整備は義務教育段階ではほとんど市町村がやっている割合が高いわけですね。ですからこれを市町村別に見るとどうなるかというふうに見ると、しっかり進んでいるところとそうでないところの色はもっとクリアに出るのではないかと思っております。私たちは今、すぐ都道府県で見るのに見慣れてしまっているけれども、県立が多い高校はそれでいいのかもしれないけれども、小中学校の場合は本当は市町村別にしっかり把握していく必要があるかなと思っております。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。ほかには。何か補足はありますか?

【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】  全く堀田先生おっしゃるとおりで、それがある意味如実に分かるのが指定都市のところでありまして、余り深めることはしませんけれども、非常に差が出ているということです。最後はやっぱり、小中学校は基礎自治体に十分な責任を果たしていただく。そして、そこを国と都道府県がしっかりと伴走支援していくということでございますので、その辺りの格差というか、これを生じさせないようにするとか、そのために整備のときにどんな工夫があるのかとか、そういったことも含めて御議論をいただけたらありがたいと思います。

【高橋主査】  ありがとうございました。ICT環境でいえば、基礎自治体で大体統一されていますので、そういった意味では基礎自治体で見ていくというのが本会議と整合性が高いかもしれないと、そういう御意見だったなと思います。ありがとうございました。
 ほか。では、中川委員、お願いできますか。

【中川委員】  中川です。資料の81ページでネットワークの環境が十分に整っていないという声があります。GIGAスクールの標準仕様を見ておりますと、クラウドを使うことが前提となっているように我々は理解しておるんですが、実際どのぐらいのネットワーク環境を整備しているところが足りないと感じているのか、そこは実際クラウドをしっかり使っているのかというところが興味のあるところというのが1点目です。
 あとは、端末の起動に時間が掛かるというのは、これもまた各自治体、我々も含めてですけれども、GIGAスクールの標準仕様に則って端末の整備を行ったわけですけれども、これがハードウエアに依存するものなのか、オペレーティングシステムに依存するものなのか、標準仕様を満たしているものでもあるものは起動速度が遅いのかといったようなことは、今後更新を考える我々にとっては非常に知りたい情報だなと思う一方、そこをどれだけ分かりやすく出すのかというのも難しいことだとは思うんですけれども、必要な情報かなと思います。ありがとうございます。

【高橋主査】  ネットワークや端末についてより詳細なデータがあればということかなと思います。
 ほか何かありますか。オンラインの委員の先生方も特にないですかね。
 それでは、この後本格的に意見交換するお時間がありますので、先に進ませていただきたいと思います。現行のICT環境整備方針を踏まえた整備状況について、事務局から御説明をお願いできますでしょうか。

【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】  では、続けて御説明いたします。資料6「現行ICT環境整備方針下での整備の実態」という資料でございます。これは会議時点のデータですので、今後更新とか増補とか、まさにこの会議での御議論、御指摘も踏まえながら、私どもとしてもできる限りやっていきたいと思っております。
 まず、現行の整備方針についておさらいでございます。3ページを見ていただきますと、2018年度以降の学校におけるICT環境整備方針ということで、色が塗ってあるところの2行目ですけれども、2017年12月に通知をしております。二つ目の、その次の次の行ですが、最低限必要とされ、かつ、優先的に整備すべきICT機器等の設置の考え方、それから、機能の考え方について整理をしたものでございます。骨子ということで第1、2、3、4、5とこんなことが書いてあるということであります。
 この方針まで作って、それを踏まえて、この後は政府の部内で文部科学省と総務省との折衝とか協議とかいろいろある中で、4ページにあるような地方財政措置が講じられていると。これは平成30年、環境整備、まさに今申し上げた5か年計画を策定し、それを踏まえて単年度1,805億円の地方財政措置をしてきたということであります。これが令和4年度で切れたので、次は、先ほど髙本リーダーからもあったように、令和7年度に向けて次のものを決めていこうという中で、当面2年間延長していると、こういうものであります。その中に含まれているものということでいうと、その下に青い丸が一杯書いてありますけれども、学習者用コンピューター3クラスに1クラス分とか、指導者用コンピューターは教師1人1台ということだったり、大型提示装置100%、インターネット・無線LAN100%、統合型の校務支援システム100%、ICT支援員4校に1人、こういう考え方で措置をしてきたところでございます。
 実際にその整備が具体的にどのぐらいまで進んだのかというのが5ページ以降になります。6ページを御覧いただくと、まず児童生徒の教育用のコンピューター、これについてはGIGAスクール構想で大きくブーストされたこともあって、1人1台環境の整備はおおむね完了しております。その他、ネットワーク環境、校務用PCも含めて、大きくこの間整備が進んだということはあるんだろうと思っております。
 それから、特に端末の標準仕様ということでいきますと、7ページになりますけれども、さっき中川委員からあったように標準仕様を提示しております。本来調達は学校で柔軟に行われるべきという前提はある中で、簡便な調達に向けてモデル例を示したというのが当時の考え方です。3OSごとの標準仕様を提示し、十分な通信ネットワークとクラウド活用の下でブラウザベースで活用するということを前提に考えた。当時、米国の300ドルパソコンというものがあったので、それを念頭にして大量調達の実現もやっていこうということも含めて4.5万円程度の価格帯だということ、それから、デジタル教科書・教材、これの操作性の向上ということがありましたので、タッチパネルとかキーボード、それから、QRコードの読み込みを想定したカメラ、これを共通仕様にしたというようなことでございました。それぞれのOSごとの仕様はそこに書いてあるとおりでございます。基本的にメモリは4ギガバイトということで、ストレージはそれぞれちょっと違うんですけれども、御覧いただいたようなとおりになっております。
 そしてその次に、8ページ、1人1台端末の保守管理と書いてあります。この間――この間というのは令和4年8月時点ですけれども、破損・紛失率は全国平均で2.2%でございました。破損したときの対応方法ですけれども、保守契約等で代替機を手配というのは2割で、予備機を活用が4割で、購入・修理が3割と、かなりいろいろとばらついているということでございます。この辺りのやり方がどうだったのかということと、その後の学校現場での使い勝手というか、スムーズにこの活用が進んだのかどうかとか、こういうことも先生方から御意見をいただき、次どうするのか、どこまでを国として決めていくのかとか、こんな議論を是非お願いをしたいなと思っております。
 9ページに参りまして、同じようなテーマなんですが、今度は保守管理の丸2ということでバッテリー交換です。これが対応済みとか対応予定だったり、あるいは必要と考えるが今後検討というところが4割ぐらいあって、不明も結構ある。あるいは、必要と考えてないというところもあると、こんな状況でありました。
 それから、10ページ、指導者用端末の整備状況ということであります。全体として見ると、右上の方に四角く囲ってあって、全国平均で109.5%ということでした。全国の先生が仮に100人だとすると109台分以上あるんだと、こういう計算になるわけですけれども、よくよく基礎自治体レベルで見ていくと、これは分母は1,812自治体なので、その分母で見ていきますと、青いところとか水色のところは先生たち1人1台になっているということですが、それ以外のところは1人1台になってないということであります。交付税で1人1台と言ってきたにもかかわらず、まだこういう状況が少なくとも昨年の8月時点であるんだということでございます。
 それから、次のページ11ページに参りまして、大型提示装置、これも100%を目標にやってまいりました。令和4年3月時点ですが、全国平均で約8割の割合で普通教室への整備がされているということで、まだ目標まで至っていない。もう一旦の計画年度は終わって2年延長ということに入っているわけですけれども、まだこういう状況であったというのが昨年3月時点の状況でございました。
 それから、12ページに参りまして、ICT支援員です。これは4校に1人を配置目標にしてやってまいりました。配置数は、赤い数字で見ていただくと、だんだん配置数は増えてきておりますけれども、最新のデータで5,620人、5.8校に1人ということでありまして、右上にあるような4校に1人、8,200人というところまではまだ至っていないということでございます。これは決算のデータを使っているので、これは令和3年度末時点の数字です。
 この間かなりいろいろな取組をしてきておりました。加えて、この上のボックスの矢印のところにありますように、昨年の11月から自治体ごとの配置数を、これは自治体のお名前入りで可視化して公表してきておりまして、国としては配置を強力に今促しているところでございます。非常にこれ、もっと増やしてくれという御要望は多いんですが、結果的にまだ交付税分が使い切られてないという状況の中で、いろいろと次のことを考えていくためにも、それぞれの自治体の配置というのもこれは本腰を入れていただくということが前提条件になってくるんだと思います。
 こういうばらつきを可視化した資料が13ページ、14ページにございます。これは県ごとにまとめたもので、この裏にはもちろん自治体ごとがあって、それも全部公表しているわけですけれども、県ごとに見ていくと、こんな、御覧いただいたような感じです。真ん中の赤いところで4校に1人のラインを示していますけれども、大幅に超過しているところもあれば、かなり少ないというところもあると、こういう状況があります。同じような傾向が14ページ、政令指定都市についても、ゼロというところもあれば、非常に高い数字になっているところもあると、こういう差が出ているという状況でございます。
 ただ、地域によってはなかなかICT支援員の適格者がなかなかいないんだというお困りの自治体もあるということもあるので、GIGAスクール運営支援センター、こういう事業の中で、ICT支援員になってくださるような方々の研修・リスキリングの類い、こういったものも補助を付けて、今、強力に推進をしているところでございます。
 それから、15ページに参りまして、ネットワークの関係でございます。現行の整備方針ではインターネット100%を目標にしていて、この段階では、これは令和4年10月時点の調査結果、右下にあるとおりでございますが、全国の9割以上の普通教室でネット接続の環境が整備をされていると、こういう状況になっております。ちょっとでこぼこはありますけれども、全体としてはこんな状況なんだというのが見てとれるということでございます。
 しかしながら、現実は、16ページに参りまして、実際にハイスピードになっているのか、使い勝手はどうなんだということでいきますと、16ページの最初のボックスのところにありますけれども、令和5年2月の調査の結果を見ていきますと、接続速度の実測値を見ていくと、ちょっと見にくいんですが、児童生徒の半分以上が同時に端末を使う場合に、1人当たり2Mbps、この帯域を確保できる学校の割合が40%未満ということになっているという状況でございます。その下のボックスは、ローカルブレイクアウト等あるいはセンター集約を左と右でそれぞれ比べていると。こんな状況になっております。ピンク色のところですけれども、今後更に活用を進めていく上では、ネットワーク環境の強化は非常に重要で、強化をする前提としてアセスメントを強力に進めていかないといけないという状況がございます。
 17ページに参りまして、令和4年4月以降に発生した主な不具合を聞いてございます。ちょっと細かいんですけれども、円グラフが六つあって、一番左上を見ていただくと、ログインに時間が掛かって授業の開始が遅れるというところが、これはグレーが未発生、青が解決済み、そして、だいだい色みたいなものが未解決ということでございますが、未解決のところを見ていただくと、例えばその次に動画の視聴時に映像の乱れが生じる21.8%、それから、その右側で全校生徒が一斉に端末を利用すると接続しにくくなる、まさにデジタル教科書だったり、学力調査のCBT化だったり、こういうところに非常に関係してくるところですが37.6%。左下に参りまして、クラスで一斉にオンライン教材を利用するときに一部の生徒が接続できない29.3%、そして、真ん中で授業中にまれにネットワークの接続が切断される25.1%、右下、特定の時間にいずれの端末からもネットに接続しづらくなる、これは13.3%、こういう状況でございました。
 注意しなければいけないのは未発生というところです。未発生というのも、端末の活用がまだまだ進んでいないから未発生ということも当然あるんだろうと思っておりますので、その辺りにもちょっと目配りをして御議論をいただく必要があります。
 それから、18ページ。若干さっきの説明とかぶりますけれども、絶対何よりも先にやらなければいけないアセスメント、これについては、これは令和4年9月1日時点ですけれども、未実施がグレーのところで46.6%だった。その右側に1年前のものがあって、未実施は54.2%だったんです。これは大分減りましたけれども、大分といってもまだまだ減ってないというのが昨年の9月の状況であったと、こういうことでございます。とにかく私どもとしては、アセスメントをしないことには次のステップに進めないので、とにかくこれを100%にするべく今いろいろな取組をしているところでございます。
 それから、19ページに参りまして、今度は校務用コンピューターの整備状況というデータでございます。教員1人1台環境の整備が目標ということで、これは全ての都道府県で1人1台以上整備。さすがに校務の方は整備がされているという状況でございました。
 そして、その校務のコンピューターの更新時期が20ページです。御覧いただいたように、かなりばらついているということです。5年度中が21.4%とか、時計回り見ていただくと、こんな具合になっているという具合でございました。
 次に参りまして、21ページです。統合型校務支援システムの整備状況。これは全国の学校で整備しようということを目標にやってきたんですが、8割まで上がりましたが、8割にとどまっているということも言えるかと思っています。これも県によってかなり大きな差が出ていると、こういうことでございます。
 そんな中、GIGAスクール構想が始まって、1人1台端末がもう行き渡って、そこから膨大な量の学習系データが日々生成をされていると。こういう状況の中で、新しい次世代の校務のDXが必要なんじゃないかということで、22ページでございますけれども、レポートが出ております。まさに堀田先生や高橋先生をはじめ、多くの先生方に御参画をいただいて、レポートを今年の3月に出していただきました。このレポートの中で、最初の背景・課題というところがありますが、統合型のシステムは81%まで上昇して大きく寄与してきたけれども、そのほとんどがネットワーク分離になっているということでございまして、校務の端末が職員室に固定されているとなかなかGIGA時代、クラウド時代に適合しなくなっているというような問題意識から、大きく7点、問題点を整理していただきました。
 1点目、小さい字ですけれども、学習系のデータと校務系のデータが連携が困難である、あるいは高コストである。あるいは、教育行政のデータ、福祉系データとの連携を視野に入ってないとか、転校・進学時にデータの引渡しができない。あるいは、クラウドベースではないので、自宅とか出張先で校務の処理ができない。大規模災害時なんかに業務の継続が困難であるとか、あるいは6番目、利便性の高い汎用のクラウドサービスが出てきたことで、まさに統合ということですけれども、統合型に入っているいろいろな機能との重複が生じている。あるいは最後で、教育データを学校とか行政向けに可視化するようなダッシュボードみたいなものがないということでございます。
 こういう中で、こういう課題を解決するような新しい次世代型のモデルを作っていこうじゃないかということで、令和5年度も予算を、令和5年度予算は0.8億なんですが、補正予算込みでいうと十数億になっておりますけれども、こういうことで実証事業を今、進めようとしているところでございます。
 それから、23、24ページで同じ話が続くんですけれども、校務のDXに関する財政支援の在り方ということも、先ほど申し上げた堀田先生、高橋先生が座長、副座長でおまとめいただいたレポートの中で、財政支援というところも書いていただいております。3つ目の丸ですけれども、財政支援は当然必要だけれども、まずモデルケースを作っていくということが大事なんだと。これを踏まえて、中期的にはネットワークの統合とか、あるいはクラウド化とか、こういったことを前提にして、例えば指導者用端末は、いわゆる指導者用と校務用、これを合わせて1台で済むんじゃないかということでいえば、コストが減になる部分もあるだろう。また逆に、ダッシュボードとかこういう新しい要素はもしかしたら増える部分もあるかもしれないと。こういうことも勘案しながら、次の計画においては、次世代の校務DXも相応の投資対象として位置付ける検討を行うべきであると、こういった御提言をいただいております。
 全体として、24ページにありますように、しっかりロードマップを作って進めていこうということでございます。表1にありますように、統合型校務システムはもう8割以上の自治体は入っているという中で、大体5年に1回ぐらいリプレースがあるという中で、次のリプレースはいつですかと聞きましたら、R7からR11までにかけて大体御覧のような割合でございました。是非このリプレースの段階で新しいモデルに移行してもらえるように、まずはモデルケースをこの2年とか3年で作っていきましょうと、こんな状況にあるというところでございます。
 長くなりましたけれども、説明は以上でございます。

【高橋主査】  ありがとうございました。本ワーキンググループでは、次期ICT環境整備方針の策定に向けた議論を行うことにしておりますが、ただいまの御説明のとおり、その議論の前提として、まずは当面の検討課題にあるように、1人1台端末導入による成果と課題、それらを踏まえた上での今後の更新に向けた議論を行って、夏をめどに一定の整理を出したいと考えております。
 本日は第1回目ですので、GIGAスクール構想の成果と課題も含めて、委員の皆様から幅広く御意見を伺いたいと思っております。皆様からまた挙手でいただきたいと思っております。いかがでしょうか。
 では、小髙委員、よろしくお願いします。

【小髙委員】  小髙と申します。どうぞよろしくお願いいたします。この調査についてお話しする前に、昨日マスコミでもありましたけれども、経済財政運営と改革の基本方針、骨太方針2023の原案が示されておりました。その39ページから40ページにかけて教育について触れられておりまして、そこには、基盤となるGIGAスクール構想について、1人1台端末の更新も見据えつつ次のフェーズに向けて強力に推進するとか、ICTを効果的に活用してインクルーシブな学校運営モデルの構築など特別支援教育の充実を図ると言及されておりました。
 飽くまで原案とはいえ、GIGAスクール構想について国が強いイニシアチブを取って進める覚悟が記載されていたものと私たちは認識し、私は学校現場でGIGAを進める者として、大変大きな後ろ盾をいただいたような感じでありがたく思っています。本日市教委でも、市教委の指導主事がみんなこの話題で盛り上がっておりまして、今までいろいろなことで苦労しているのですけれども、国が後押してくれるというので力強いうれしさを持ったところでございます。
 ただ、その中で、この喜んでいる中で、本当に手前みそなんですけれども、2月10日本市に岸田総理に御訪問いただきまして、戸田東小中のICTをマストアイテムとした学びを御覧になっていただいたり、また、若手教員から直接生のICT教育についての意見を聞いていただいたりしたことも一役買ったのではないかと本当に手前みそですがうれしく感じているところでございます。
 それを踏まえまして、改めてGIGAスクール構想の成果と課題を見ましたときに、まず成果として、戸田市においてということで私は見ているのですが、ここ2年間で本当に1人1台端末の文房具的な活用が進んでいることは実感しております。それに伴いまして、学校現場でも学びの質の変化とその効果、子供たちにとって学びの効果を認識し始めているところです。つまり、ICTの活用のよさを、スティーブ・ジョブズが知の自転車という話をしていましたが、知の拡張、そういう活用のよさが個々職員に腹落ちし始めているというところを捉えているところです。
 他方でやはり課題といたしましては、この調査を見ても分かりますように、パソコン1人1台端末は魔法のつえではない、整えただけでは1人1台端末を生かした学びが自然発生するということは厳しいというのは誰の目から見ても分かることです。このことは現場でも強く感じているところであります。活用場面を見たときに、まだまだ教師の教具的活用から脱却できない授業も散見されておりまして、本市においても学びの質の向上というところを強く感じているところです。また、コロナ禍で必然としてオンライン授業等への活用が進んだところなのですが、ポストコロナの今、やはり対面のよさに加え、引き続きオンラインのよさも継続して実現していくことが必須ではないかと捉えているところでございます。
 その上で、私個人としてなんですが、次期ICT環境の整備方針について3点お願いしたいなと思っているところがあります。まず1点目は、やはり複線的な学び、本市では非同期型の学びといっているのですけれども、子供が主語で、教師は伴走する学び、子供が本当に自分でコントロールする学びを日常的に実現するためのICT環境。やはりネット環境とか、あと、クラウド、加えて学習ツール等を全国標準としたいなと思っています。
 2点目は、GIGAスクール構想第2フェーズに入りますので、GIGA端末スペックでは実現できる学びは非常に限られております。動画編集とかプレゼンとか、いろいろな意味であのスペックでは子供の可能性を引き出す学びが非常に限られておりますので、GIGA端末ではできない学び、そして、子供の可能性に蓋をしない学びを実現可能にする環境整備、1段階上がった環境整備も視野に入れて方針を立てていきたいなというところが願いになっています。
 最後、3点目は教師側のICT環境整備です。先ほど校務の方の統合型校務支援システムのお話がありました。教師の働き方改革が最大の課題となっておりますけれども、その視点としても、やはり学習系、校務系を一体化した統合型校務支援システムを標準としていくことを方針として考えることは喫緊の課題だと思っておりますし、その環境が整備されてこそ、戸田市でも現在肝煎りで進めております教育データの利活用、子供たちのデータのダッシュボード化を全国的に進めることが実現されることを期待しているところでございます。本当に方針としては非常に高いところがあるのですけれども、そのような方針をこの場で検討していきたいなと思っているところです。
 すみません、雑駁で、長くなりました。以上失礼いたします。

【高橋主査】  小髙委員、ありがとうございました。
 石井委員がマイクが直ったという話なんですけれども、大丈夫ですかね。聞こえますかね。ということで、また次に行きたいと思います。すいません。
 それでは、先に、今挙手されている木田委員、片山委員、中村委員をお願いしたいというふうに思います。まず、木田委員、お願いできますでしょうか。

【木田委員】  木田でございます。今いただいたお題が、1人1台端末を学校現場に導入したことによる成果ということで、私のほうから何点かお話を申し上げたいと思います。
 実は先日、地元の新聞記者さんとお話をしました。この記者さん、前は文教にずっと教育分野の取材を続けていた方で、3年間ぐらい、ちょうどGIGAが始まった頃ぐらいに別の部署に移られて、また帰ってきて教育の取材をされている方です。
 「どうですか、最近の授業は」と聞いたときに、その記者さんが第三者的な視点からお話くださったのが、「いや、随分と先生たちがしゃべる時間が減りましたね。授業中に」。つまり、子供たちの学習活動が非常に増えて、先生たちがしゃべる割合が減っていますというふうなことをおっしゃいました。これは何かというと、授業自体が学習者主体、学習活動が主体となった授業に変わりつつあるというふうなイメージを持っていらっしゃったということでした。
 関連して、これまでの授業、1人1台がある前の授業というのを考えた場合、恐らく、数人の子供たちの意見とか考えを中心に進められていた。「みんなで意見を出してね」と言われていても、なかなか数人の子供の考えしか引き出してあげられなかった部分がありましたけれども、ただ、1人1台端末が入ったおかげで、数人しかもともと子供たちの意見を取り上げられないので、大抵の子供たちは自分に当たらなきゃいいということで、多少傍観者的な授業の参加の仕方が多かったというふうなことだろうと思うんですが。
 今では、1人1台端末があって、それを集約するようなアプリや仕組みがありますので、一斉に子供たちが書いたことを一覧表示できたりとか比較できたりするようにする。すると、子供たち一人一人が、「もう俺当たらないから大丈夫だ」みたいなことではなくて、常に自分の考えを友達に見られる、比較されるということで、多少なりとも自分は授業に参画しているんだというふうな思いを持って授業に参加できるようなったというふうなことをよく授業で子供たちの中から聞きます。油断できない。
 つまり、これについても、子供たちの学習観が、これまでの座って聞いておけばよかった授業から、1人1台端末があって自分の意見を常に発表しなきゃいけないというふうな形に変わってきたんだ。これは学びの転換が実際に起きているというふうなところだろうと思います。
 もう一つだけお話しすると、これまでできなかった授業が随分できるようなってきた。例えば、不登校のお子さんがいました。この子は授業を受けたい。だけど、教室には入れない。そういったお子さんに対して学校はどうしたかというと、グループ活動をする中で、その子のタブレット端末をグループの真ん中に置いて、その子はそこから参加できるんです。これまでだったら、教室に入れない子供は授業に参加できなかったんですけれども、タブレット越しにその子供たちは友達と普通に話ができるし、学習もできる。こんなことはこれまで1人1台端末がなければできなかったと。これができるようになってきた。
 つまり、多様な学びの形が生まれてきた。多様な学びの保障が可能になってきた、こういったことが1人1台端末の成果だろうというふうにして思うところでございます。
 取りあえず、私は成果として今の3点を述べさせていただきました。以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。続きましては、片山委員、よろしくお願いいたします。

【片山委員】  お願いいたします。新潟市の片山です。私からは、3年間GIGAの整備をやってきた行政職員という立場と、それから、今、校長1年目なんですけれども、その立場からGIGAスクール構想とICT環境整備の重要性について最初述べさせていただいて、それから、次期ICT環境整備について、3点提案という形でお話をさせていただきたいです。
 まず、重要性の部分なんですけれども、今、私の勤務する新潟市はGIGAスクール構想がとてもうまく機能しているほうだなというふうに思っています。実際、当校におきましても、毎日、授業とか家庭との連絡だとか家庭学習とかで、1年生から6年生、特別支援学級、みんなほぼ全クラスで毎日ICT活用がなされています。数時間なされているような形ですし、職員にもその端末を使って、ビジネスチャットを活用しながら、校務のほうも大分変わってきたなというふうに思って、とても効果を感じています。
 令和日本型学校教育で述べられている個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実ということで、そういったような話が出ているんですけれども、自立した学習者を育てるクラウドベースの授業への変革というのが確実に進んできているなというふうに思っています。もうこれが、ICTの環境が教育の基盤としてなくてはならないものになっていると感じています。
 端末の活用については、どうしても、つい自治体間の差のほうにフォーカスがされてしまう。そこが大きな課題だと思うんですけれども、一方で、先ほどの戸田市だとか鹿児島市のように有効に活用できている自治体や学校も実はかなり多くて、そういうところは確実に成果を上げてきている。外せないようになっているということなので、次の更新には、今以上に高度なICT環境を実現して、教育の質をさらに上げていくということが大事だというふうに積極的に私は思っています。
 生成AIの爆発的な発展とかいろいろありますけれども、決して後戻りすることのないような、次のときに、少しコストを削減したりして、それによって逆に戻ってしまうようなことが、これは絶対あってはならない。今やってきたことを進めていきたいと思います。
 その解決すべき方向性について、3点です。1つは、全国的にはかなり格差も生まれているので、先を見据えた標準仕様の質の担保というところが1つ大きな鍵かなと思っています。自治体とか学校間で差が出ている主要な要因は、長期的な視野で環境整備をできない基礎自治体がたくさんあったということだと思っています。
 ネットワークとか帯域のこととかは、今、順次増強して年々解決できているんですけれども、端末そのものについては途中で変えることは困難で、今2年で、あともう3年ありますけれども、ここはもうどうにもしようがないというのは、自治体担当者をやっていたのでよく分かります。
 ですので、次のときの導入のときには、安価で脆弱な端末を選択するということが絶対にないようにするために、あるいは、故障率が高くなってしまうので、そういうところはバッテリーも駄目になるしということで、そういうことでの費用を結果的に後々かかってしまうということを考えると、毎日日常活用しても十分に使えるような、堅牢で固まりづらいようなスペックの標準仕様というものは、3OSどれにおいても描く必要があると思っています。
 それから、今回、GIGAで途中からMEXCBTとか学習eポータルとかデジタル教科書というものがどんどん上積みされていったときに、なかなか端末のところがボトルネックになっているところというのが結構大きいので、次の改訂のところは、そこのところを、予備機や故障時の費用も見ておくことも含めてやることが大事だなと思っているのが1点目です。
 2点目は、端末の配当基準の拡張です。前回の地財措置で、指導者用の端末の配当基準が授業を担任する教師というふうになっていました。そこで、学校をマネジメントする校長に端末が配当されないんですよね。ので、結果的に、校長自身が端末の効果を実感できずにいたというところが、GIGAが大きくうまく前に進んでいかなかった1つの大きな要因だというふうに私は思っています。
 ちなみに、新潟市は児童数がちょっと減ってきたので、その端末を、予備機を校長に先に回して、校長先生にきちんと体験をしてもらいながらという形を取ることによって、校長先生の意識も変わってきたなというふうに思っています。ただ、それはあくまでも予備でできたことなので、今度は配当基準を最初から拡張していく。
 それから、チーム学校という観点でいうと、ビジネスチャット、Teamsを使って情報のやり取りをしていくときに、例えば、養護教諭や事務職員や栄養教諭にも情報が行かないと、結局、紙でやらなきゃいけないに戻ってしまいますので、そういったところまで、今、予備機で指導者用端末を配付しているんですけれども、その辺りまで含めたような形でやっていくと、校務と学習を一体的に進めていけるような形で進める。地財のところの書き方を変えていくことが大事だと思っています。
 最後です。3点目、GIGAスクール運営支援センターの費用の継続的な担保です。今、テクノロジーが進展して、かなり設定等が困難に高度化していることと、あと、働き方改革が進んでいるということで、GIGAスクールにおける特に基礎自治体の担当者とか、あるいは、学校のICT担当職員にかかる負担が物すごいことになっていると思っています。
 とりわけ、地方の自治体の担当者が追いつかない。それは、必ずしもICTのプロパーがその自治体にそもそもそんなにいなかったり、あるいは、異動等によって年度更新業務が滞るなんてことが実際に物すごく起きておりますので、文科省が頑張ってくださったように、GIGAスクール運営支援センターが設置されて、組織としての支援をしていく。クラウドでできる管理業務の多くを民間に移譲していくということをうちは積極的に取り入れたところ、それによって大変効果的に機能して、先生方も楽になったし、自治体担当者も楽になりました。
 ただ、その国費の補助が、現在令和6年度で終わります。それではちょっと、自治体で今後続けていくときに、地財に特に載っているだとか国費の担保がずっとあるというふうにならないと、幾らお金が用意されていても、それって何年度まででしょうというふうになって、財務と話をしたときに、長期的な支援がないと、そこは通りづらいんですよね。
 そういう苦労をされている自治体がたくさんあるので、ぜひ、ソフト面の恒久的な充実をしていくということが大事だということ、これが3つ目になります。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。続きまして、中村委員、よろしくお願いいたします。

【中村委員】  失礼いたします。まず、御礼からということで、このようにGIGAスクール構想で1人1台端末、環境整備基盤というものを整えていただいたことで、非常に子供たちの学び、つくば市も子供たちの学びが自立的になり、また、創造的になり、探究的になりというところにチャレンジしやすくなっている。本当にありがたかったなというふうに思っております。
 また、コロナ禍におきましても、臨時休業中の学びの保障ということも、しっかり行政としても担保できたということの実績もありますので、今回のGIGAスクール構想にまずは御礼申し上げるというところです。その上で、また、令和7年度、もう来年、再来年という段階で更新を迎えるこの時期にこういった会議に呼んでいただけたこと、大変ありがたいなと思っております。
 私からは本当に端的に1点、令和7年度の更新に向けたこの会議の議論の中でぜひお願いというか、お願いになるかと思うんですけれども。
 令和7年度の更新のときに、先ほどからも出てきているようなコンセプト、更新のときにどういった学びの姿を実現していきたいのかというところが、自治体の指導主事や先生たちが明確に、こういう世界を、こういう学びを求めているんだ、そのために、例えば、先ほどあったデータ利活用であったりとか、また、校務支援システム、もちろん、働き方改革といった部分で、先生たちにもいい世界が広がっているんだよというようなメッセージとか、そういったものを併せて、この方針の議論の中で、こういう次の方針的には、こんないいことが、こんないい世界が、そして、こんなよりよい学びが広がっていくよというメッセージ性とともに、それを具現化するような議論をしていきたいなと思っているところです。
 例えばなんですが、校務用パソコン1つ取ってもなんですけれども、先ほど、1人1台でも法律的にいいのではないかという言葉もあったかと思うんですが、では、データ利活用を進める上で、教室に校務用パソコンを持っていくことが本当に現実的なのか。例えば、タブレットを手に持ちながら、子供のデータを見ながら、適切な支援をするといった場面を描くのであれば、本当は、校務用PC、デスクトップのもの以外にもタブレット端末が必要なのではないか。そこに対する資金援助といった部分は考えていただけるのかとか。
 もしくは、データ利活用の部分で考えますと、行政のデータと連携をするんだというところまでセットとして描いている場合、今の先生方も、端末が行政のネットワークに入っていくには、行政側から言うと、ゼロから作り直さなくてはいけないんだよとかというようなこともあったりしますので、そういったところ、どこまでを確実に実現するのかというビジョンがすごく分かりやすいと、行政も、そこまで求めるのであれば、うちの現状であれば、こういうようなところにメスを入れていくべき、ここにはお金をつけるべき、こういったところはこういったソフトウエアを入れていくべきというのが選べるようになっていくのかなというふうに私も思っているところです。
 ぜひ、具体的な学び、今いろいろな取組をしているものが、全体を俯瞰して、次の更新のところで実現できる明確なイメージというものを、私たちもこの議論の中で具体のイメージを見せていきたいなと思っていますので、ぜひ、そういったところまで御指導いただければと思っております。
 お願いとなります。以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。それでは、石井委員、今度は大丈夫でしょうか。

【石井委員】  すいません。御迷惑をおかけしました。
 私ですけれども、平成28年度から令和4年度まで教育委員会におりましたので、平成30年度からの5か年計画の整備方針を受けて整備をしてきて、そして、その後、GIGAスクール構想の実現に向けた整備を行ってきました。そして、今年度からは、学校で活用しているという状況を基にしながらお話しさせていただければと思っております。
 教育委員会時代には、先ほど片山委員からもお話があったように、指導主事のいない、専門家のいない近隣の自治体と協力しながら、整備をしてきました。
では、整備の成果についてお話しします。まずは、3人に1台のグループの端末が1人1台になったというところが成果の1つ目だと思っております。
 また、学校にあるサーバーがデータ保存の基本だったものがクラウドになり、そして、学校だけで使えたというものが家でもどこでもつながるというような状況になったというのが成果だと思っております。
 このGIGAスクール構想実現のための整備時に、まず、1人1台端末を整備するので精いっぱいであり、ネットワークは1人当たり2Mbpsの帯域を確保するのに精いっぱい。そして、壊れたときにどうするのか。取りあえず予備機を買って対応しよう。その3つを考えて整備するので、精いっぱいだったということを覚えております。
 しかし、本当は、もっと持ち帰りというところをイメージすればよかったなというところを反省しております。授業で使うということ、そのときはコロナ禍の中であったために、オンライン授業というところはイメージができていました。ただ、子供たちが持ち帰って自由に活動していくというイメージが不足していたところで、セキュリティーやフィルタリング、または、利用時間の制限とか、子供たちがどこでも安心して利用できる環境づくりについての整備というのがちょっと自分の中では不足していたと思っています。
 また、これは本市だけではなく近隣の町村、さらに他県においても、セキュリティー、フィルタリングについては、本当は導入時に端末と一緒に入れればよかったのに、ただ、それを逃したがために、その後、自治体としての予算がつかなかった。そして、今も整備することができないという自治体が多数あると思います。
 また、クラウドの活用やデータ利活用、そして指導者用端末、校務との連携、ICT支援員、どんどん新しく次々と加わったものに対しての視点、そこについての整備側の知識、今後どうなっていくのかというのがイメージできないために、何を整備すればいいのか迷ったという経験もあります。
 今回更新するときには、そこが明確になるような、最低限これを整備しなければいけないというところを明確にしていく必要があると思っております。
 今後は、このような課題をクリアしていきながら、最初、高橋主査が御挨拶でお話しされていたように、使いやすいとか世界をリードするという視点で議論していければと思っております。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。それでは、続いて、水谷委員、柴田委員、中川委員というふうにお願いしたいと思います。それでは、水谷委員、よろしくお願いします。

【水谷委員】  お願いします。愛知県春日井市の水谷でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 これまでの委員の皆さんが御発言なさっていることと重なる部分が多いですが、今回、GIGAの整備で1人1台端末とクラウドが使えるようになって、学びが変わっている状況ですので、これがなくなってしまったら大変なことです。この環境はもう必須。学習の基盤になっているという状況だと思います。
 ただ、学習の基盤になってない地域もあるということで、活用率を上げるということですが、学習の基盤だということを理解していただいてないからそうなっているような気がしますので、整備ではなくて整備後のことが一番問題になっていると感じます。
 ここに御出席、そして、今まで御発言されたところは、クラウド・バイ・デフォルトでどんな学びを目指すかということをきちんと理解されて整備して、それで運用されているところだと思います。しかし、そうでなかったところは、ICTは付け加えのものだという考えで運用してみえる。整備はGIGAの標準書がありますので、それでやったけれども、運用上、プラスアルファのものというような考えなのかと思います。
 完全に学習の基盤になったという前提で今までのお話がありましたが、本市の場合でも、文科省公式チャンネルで動画を公開していただいたように、子供の学びが単線から複線になり、そして、一斉授業であったことが複線になってきました。そして、先生が今まで一斉に話をしてというところが、子供が自ら情報を得てというような形になり、頭がフル回転になってきました。また、先生から学ぶだけではなくて、これまでも言われていましたが、簡単に友達同士で学ぶことができるようになるので、学びの姿が変わってきたところだと思います。
 これは、クラウドと1人1台端末の整備ができたからこそと思っています。この整備が同じように続く、そして、この考え方がさらに浸透できるようにということが一番大事なことかと思います。
 なお、本市の場合は、いろいろな事情があって標準仕様でしか整備ができませんでしたが、それがかえってよく、学びが変わった部分があると思います。だから、今回、標準仕様はすごくよく考えられたものだと、振り返って思うところです。
 ただ、授業ばかりに注目するわけではなく、実は、校務と研修をこのクラウドを活用していくというそのスタイルは、学びのスタイルとほとんど同じというか、同じというよりも似た形、相似形で、学びのスタイルを変える以前に、先生たちの校務と研修のスタイルをクラウドを使って変えていくことが結局は先生たちの授業のイメージづくりになり、特に難しいことをやるわけではなく、同じ活動を授業の中で展開すれば学びは変わるということが理解されるのが重要と思います。
 本市の場合、このような過程で進んできましたし、先ほど校長が理解できないというところがありましたが、実は春日井市の場合は、校長が最初にクラウドを使って、簡単だということを知ったことが非常によく、管理職自身がやると、これは便利だから、よく分からないけれども、こういうことやろうよというような呼びかけで動いていきます。このような管理職の働きかけ、管理職に浸透するような仕組みづくり、仕組みだけではうまく行かないと思いますが、そのような働きかけがすごく大事かと思います。本市の場合は、校長会が一番DXが進んでいると思います。一番リードしているのが校長会で、そこが動いているので、ほかも動きやすいということがあるのかと思います。
 最後にですが、こうやって学びのスタイルが変わってくると、教室の中で必要になるICTも変わってきたと感じます。大型提示装置の話は、また今後になると思いますが、それはそれで必要ですが、先生が持つ端末についても同じ大きさでいいのかというところがあります。
 本市の場合は、実は個人のスマホをクラウドにつなぐことを許可していますので、多くの先生たちが子供たちの様子をぱっと手元で見るために、もう先生たちは前に立ってないわけで、同じChromebookは前に置いてありますけれども、教室の中をぐるぐる回っているときに、Chromebookを持ちながら学びの間に入っていけませんので、みんな小さな自分のスマホとかモバイル端末を持って、そこから子どもたちの作業などを見ているので、このように授業のスタイルが変わってくると必要なものも変わってくるので、その辺りの予算化ができないかどうか考えているところです。
 いずれにしましても、GIGAの整備が進むきっかけをつくっていただいて、コロナ禍ではありますが、環境整備ができて、進んできたことについては本当にありがたいことで、これをこれからも継続するために、周辺部分をどうするかということも含めて考えていければと思っております。
 以上です。ありがとうございました。

【高橋主査】  ありがとうございました。それでは、続きまして、柴田委員、お願いいたします。

【柴田委員】  私からは高校ならではの課題と小中高の共通の課題を少し述べたいと思います。
 まず、高校は、高校生はほとんどスマートフォンを持ってきて、学校にスマートフォンがある状況です。ちょっとした学習活動はスマートフォンで済ませてしまう学校が多くなっており、それでかえって1人1台端末が進んでいない自治体もあるというふうに聞いています。だから、学習活動をもっと自分で何か価値をつくり出す、何かデータを分析するとかという活動が進めば、1人1台端末が活用が進むのかなと思います。
 あと、高校は、保護者負担で1人1台端末を実現している自治体が多い。一方で、自治体が整備しているところもある。ここが日本を大きく二分している。これがどちらがよりいいのかというのは、これから比較していくところかなと思います。
 神奈川の場合は、BYOD、保護者負担でやっていますが、家でも使えるというメリットもありますが、経済的に厳しい家庭の支援という部分では、厳しい方針になってしまっているのかなと思います。ですから、経済的にいろいろな支援をする生徒にはしっかり支援をし、それでいてBYOD、保護者負担というのを進めるというのが私はいいのかなというふうに思っています。
 それから、小中高共通の課題としては、先ほどの16ページの資料のところは重要だと思うんですけれども、ネットワークが遅くて使わないという自治体はすごく高校は多く感じています。ローカルブレイクアウト、教育委員会ネットワークに集約せずに、学校から直接インターネットにつなぐ設定にしていないと、学校の端末を一斉に使うという授業が難しいのではないかなと思います。そこがクラウドを使うことのネックになっていると思います。
 それはなぜ起こっているかというと、自治体のセキュリティーポリシーが教育委員会に適用されて、そのままになっている。本当は教育委員会は別のセキュリティーポリシーをつくり、お役所と県民の方の関係とは別に、先生と生徒の関係のポリシーを別につくらなきゃいけないと思うんですが、それがつくれていない自治体があり、結果的に1か所に集約し、結構厳しいセキュリティーで、1人1台端末を買わせたけれども、自由に使える環境にない。結局、なかなかBYODを進められる環境が学校でつくれていないという課題があるのかなと思います。
 そういった高校ならではの課題と小中高共通の課題があるかなというふうに思いました。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。続きまして、中川委員、お願いできますか。

【中川委員】  中川です。4点あります。
 まず、1点目が、GIGAスクール構想の成果として、子供たちが1人1台端末を持ちましたので、教科書にある二次元コードから教科書以外の様々な教材に子供たちが触れることによって、例えば、5年生の社会の公害の授業で、教科書に載っている公害の例は一例ですけれども、インターネットに出ていくと様々な公害の学習用の教材なんかがあり、自分の興味・関心に合わせたものを子供たちが調べていくというような様子が見られるんですが。
 こういった活動をしていく際に、調べるだけではなくて、それをまとめたり、比較したり、共有したりしながら共同作業を行っていくわけなんですが、今まで、ネットワークにつながらないのは学校のアクセスポイントが悪くて教室からネットワークにつながらないのか、それとも、今、柴田委員がおっしゃったような、ネットワークのセキュリティーなり、それから、帯域が細かったりして学校からインターネットにつながらないのかの問題のその先にもう一つありまして、実は共同編集するためのサイト、サービスが、我々学校は、子供たちが35人一斉に1つのサイトにアクセスして共同編集を行ったりすることがあるんですけれども、これが35人同時にはつながらないというか、つながっても共同編集ができないみたいなケースがあり、教育で利用する際に、我々、教室が35人学級を想定していますので、そういった部分が1つ課題として見えてきていまして、GIGAスクールで使う際には、そういうことを今後は考えていかないといけないというのが1つ。
 2つ目は、これは小髙委員もおっしゃいましたけれども、子供たちが調べて自分たちの分かったことを発表していく際に、動画で発表したいなんていうことが現れたときに、GIGAスクールの端末が少しスペックが足りないみたいなことがあった際に、それを子供たちの全て持っている端末でやるのかということも1つ考えないといけないことだと思っていまして。
 課題としては、実はGIGAスクール構想で子供たちに端末を渡したことによって、学校のPC教室がなくなってしまうというか、パソコンは子供たちにあるので、PC教室なしでいいよねというような措置をされるケースがあって、負荷の高い処理を行う高性能な――そこまで高性能でなくていいと思うんですけれども、パソコンをPCルームに配置して、今までのパソコンルームではない、さらに高次なことができるようなパソコンルーム。これも小髙委員のいらっしゃる戸田市に私も視察をさせていただいて、高性能なPCと3Dプリンターがパソコンルームに配置されているみたいなこともありましたので、そういったことを次の課題として捉えて整備ができるといいな。これも国としてお考えいただけるといいなと思うところです。
 3つ目は、プログラミングについて武藤リーダーからアフターGIGAでScratchの利用率が伸びていると、すごく私どもとも実感とも合うようなデータをお示しいただいているんですけれども、冷静に1.68%のシェアと考えたときに、日本の社会的、国際的立場を考えると、10%程度のシェアがあってしかるべきかなと思うと、まだまだここは、もちろん上がってきたことは成果として捉えたいんですけれども、課題としては、まだまだなんだろうと思います。
 とりわけ小学校の現場を考えたときには、センサーがついたロボットだったりとか、プログラミングで動かせるような教材というものがまだまだ足りないのではないかなと。プログラミング教育が立ち上がった際に、理振での手当てができるというところがありましたけれども、ここをもっともっと伸ばしていく必要があるのではないかなということを課題として思っています。
 最後になります。4点目は、校務のクラウド化は、保護者との連絡も含めて積極的に行っているところなんですけれども、これまで、教職員のセキュリティーに対するトレーニングというところがそんなにしっかり行ってこなかった経緯もありましたので、ここを今後の課題として捉えて、しっかり行っていく必要がありますし、国としてもガイドをしっかりいただけるとありがたいなと思うところです。
 これを実際に行っていく際に、民間企業なんかを見渡しますと、文部科学省もそうだと思いますけれども、スマートフォンを持っていて2要素認証するというようなことがありますが、教育現場で、まだそういった教員にスマホを持たせて2要素認証を行っているなんていうことはあまり見られず、フルクラウド化していく際には、教員にそういった――水谷委員から、教室に持っていく学習指導用の端末としてスマホというところもありますけれども、校務の利用としても、スマートフォンというのは、教員においては積極的に利用を考えていってもいいのではないかなと思っています。
 この校務のクラウド化を進めていったときに、我々が捉えないといけない課題として考えているのは、今まで、教育委員会の教育センターのサーバーにオンプレミスで置いていたサーバーというのは、その中に含まれるデータも含めて全てシステムとして買い取って、実際には、業務委託契約をしてベンダーさんに管理をしていただいているものの、我々教育委員会のガバナンスの下にあるというところから、これから、SaaS型の共有型のクラウドアプリケーションを使った場合には、データの持ち主や管理主体というものがどのようになっていくのかというのを我々教育委員会ではしっかり見るようにしていまして、こういったところもまだまだ理解が薄い部分ではありますので、課題として捉えていきたいなと思っているところです。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 大体ここまでで、堀田主査代理を除き、皆さんから御発言をいただきました。ひょっとして、また委員同士でお話を聞いてさらに深めた発言がされたい委員もいるんじゃないのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。最初に御発言された小髙委員は何回か話題に出ておりますが、いかがでしょうか。

【小髙委員】  皆さんがおっしゃっていることをうなずきながら私も聞いておりました。戸田市では、2016年からICTを3クラスに1台というところで入れてきて、既に8年目となる中で次のフェーズに入っているわけですが、これまで皆さんが通ってきている道が同じというところで、そこを皆さんとこの場でシェアしながら、次期の方針を一緒に、1つフェーズが上がった状況をつくれるというところが非常に価値のある、意義のある会だと思っております。ぜひ皆さんでいろいろな知恵を出し合って最適解を出していきたいなというふうに思っておりますし、堀田先生や高橋先生から御指導いただきながら、日本の次期ICT環境整備を進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【高橋主査】  ありがとうございました。ほかに何か付け足しとか御発言ございますか。柴田委員、どうですか。比較的短めだったので、ぜひよろしくお願いします。

【柴田委員】  高校ならではの課題、1つ言いそびれたんですけれども、教科情報があるということなんです。教科情報は、1人1台端末で授業をやるのは厳しい学習内容になっています。具体的には、データ分析であったり、コンテンツの作成。動画作成とかですね。そういった活動が授業の中に入ってきますので、1人1台端末のこのスペックでは厳しいので、むしろ、高性能なパソコンがそこに行くと使えるという環境は残しながら、それ以外の教科は1人1台端末でやっていくというこのめり張りを残していくことが大事かなと思っています。
 これは高校でだけじゃなく中学も小学校も言えることだと思いますので、ぜひ、1人1台端末とパソコン教室の共存、それを使い分けを進めていただきたいなと思います。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。中学の技術科とかもそうかもしれませんね。貴重な御指摘ありがとうございました。
 中村委員、いかがでしょうか。

【中村委員】  すいません。2回目の発言申し訳ありません。先ほど少し言い忘れた部分がありまして、1点だけ。
 次の令和7年度の更新の時期に盛り込んでいただきたいなと感じていた視点が1つありまして、ライセンスに関することです。これまでは環境整備基盤ということで、ハードウエアだったりとか機械類、ネットワークといったところに財政措置というものを非常につけていただいて、そこは非常にありがたかったんですが、その環境を使って学びが進むと、今度、ソフトウエアに意識が行くとなると、ライセンス料だったりデータを見るためのお金だったりとかというところに、ソフトウエアのほうにかかってくるお金というのは、非常に自治体にとっても負担感が出てきたなというふうに感じているところがありました。
 そういった意味で、学びが深まる中で、どういったソフトウエア、または、どういった学びの中のアプリケーションの使い方をするということの内容が見えてくると、そこに付随していって必要になってくるライセンス料だったりとかといった部分で、今までにない、例えば、クラウド環境の中で必要な経費とかという部分も含めて、そういったところにも視点を置いていっていただけると、自治体の財政としては非常にありがたいなと思ったところです。
 すいません。1点、よろしくお願いいたします。

【高橋主査】  中村委員のそのライセンスというのは、例えば、具体的に言うと、データ分析用のとかそういうような感じですかね。

【中村委員】  お金がかかる状況になっております。

【高橋主査】  ちょっと最初発言が聞き取れなかったので、もう一回お願いできますか。

【中村委員】  すいません。まさにデータを見るためのライセンス料というのだけでもお金がかかってきたり、あとは、プログラミングの部分で言えば、プログラムをつくって、それをクラウドに保存しておくためのサーバー料だったりとかという部分で、そういったソフトウエアのほうでもかかってくるお金というのが顕著に出てきた。前回のハードウエアだけではなくて、ソフトウエアを使いこなす中で出てくる付加価値的なお金というのも、だんだん大きくなってきたなというふうに実感しているところです。そちらの視点をいただければありがたいなというところです。

【高橋主査】  ありがとうございました。進んでいっている自治体の御意見と感じました。ありがとうございました。
 それでは、木田委員、いかがでしょうか。

【木田委員】  1つだけお願いになると思いますが。自治体の立場から考えますと、令和7年度に大きな更新が入るとして、自治体で考えると、1年前から予算を上げないといけない。令和6年度にある程度どういう方向でいくかというのを自治体で考えておかないといけないんです。そうしますと、よく考えると1年ぐらいしかもうないというふうなことになってきます。
 そうした場合に、今後、毎回月1ペースでこのような形で協議を進めていくわけですけれども、いろいろな課題があるのは各委員のお話の中からよく分かったんですが、その中からある程度視点を絞って、その辺の方向性をある程度見えるようにしていくというほうが、自治体としては、これから進もうとしている方向性が果たして本当にこれから国が指し示す方向に合致しているのかどうなのかというのを非常に不安でいるところは結構あると思うので、そういう面については、少し絞りながら進めて協議ができればいいのかなと思うところでございました。
 以上でございます。

【高橋主査】  ありがとうございました。それでは、ほかにないようでしたら、堀田主査代理からコメントいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【堀田主査代理】  主査代理を拝命いたしました堀田でございます。私は資料4をもう一度確認しておきたいなと思っております。
 資料4というのは、デジタル学習基盤特別委員会の検討事項が書いてあるものです。デジタル学習基盤特別委員会というのは、この私たちが今やっているワーキングの1つ上の委員会になります。ですので、ここに書いてあること全部を私たちのこのワーキングがやるわけではないわけですけれども、これが裏面に①、②と書いてあって、ここがこのワーキングのメインミッションだということを先ほど事務局から御説明いただいたわけです。
 とりわけ、故障リスクとか、通信負荷とか、あとは自治体の責任できちんとやっていただかなきゃいけないことが示されており、これと背中合わせで地方交付税交付金の話があるわけです。財政措置されていることをきちんとやっていただかないと、せっかくの端末も生きないという話になるわけです。
 その下、今後の検討課題というところ、(3)ですね。これは私どものワーキングのメインミッションではないんですけれども、1つ上の委員会では、デジタル教材、教科書は主たる教材ですから、このデジタル教材の在り方というものの中には、もちろんデジタル教科書も含まれているわけですけれども、そういうものとか、あるいは、それらで記録される学習ログ、教育データ、それをどう利活用するかということと、個人情報のあたりの話。子供たちが情報活用能力をしっかり身につけて、これは学習指導要領に学習の基盤となる資質・能力として書かれているわけで、各教科の学びを支える情報活用能力をどうやって育てるか。先生方の働き方改革としての校務DX、あと行政調査。こういうのがあって、こういうものがしっかりと行われる前提になる端末や環境基盤を整備するというのが私たちのワーキングのミッションなんだと。
 先ほどから何人もの方に出ていらっしゃる、御発言に出ているように、大方針としては、ハードウエアのスペックの話をしたいわけではなくて、これから起こる学習や仕事の仕方をどのようなインフラで支えるかといった時のインフラをどうやって整備するかという話なわけです。
 だから、何か端末の整備の指針のスペックが出て、それと合うスペックを入れたら終わりとかいう話ではなくて、どのようなネットワークの調整が必要かとか、あるいは、レギュレーション、制約ですね、教育委員会等による制約をどのように自治体が判断すればよいのか、国の標準的な制約のイメージはどのぐらいかみたいな運用のことまでをしっかりと示していくということが大事なのかなと思います。
 現に、先ほど水谷委員がおっしゃいましたけれども、制約が少ない自治体では、校務をクラウドで結構やっているんです。あと、スマホ持込みとかやっているわけです。そうすると校務が楽になるので、先生たちに余裕ができて、働きやすくなって、そして、授業改善も進む。当然、端末の活用も促進されるわけです。
 そして、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向かうわけです。
ところが制約が強過ぎるところは、ICTを便利に感じないので先生たちは使わないし、何でこんなものが必要なんだみたいになって、これが先ほどの格差につながっているように思いますので、私はこの制約、自治体の責任においてやっている制約ですけれども、そこのところは、ちゃんとこのワーキングと1つ上の委員会でしっかりと方向感を出していかないといけないと思います。
 そのときに、これらの情報端末が導入されてきた経緯を考えると、現行の学習指導要領に、既に学習の基盤となる資質・能力として情報活用能力が入っていたり、1人1台をイメージした総則の書き込みがあったりするものの、実際の端末はその後に行きましたし、コロナもありましたし、それの後に令和答申が出て、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実という概念が出てきて、そういう意味では、石井委員もおっしゃったように、後追いでいろいろな考え方が出てきて、整備をそのたびにやり直して、これどこまで行くんだろうみたいな不安が教育委員会にあるのは現実そうだと思います。
 中教審は第12期になって、義務教育ワーキングや高等学校教育ワーキングが動いていますし、個別と協働の特別部会も動いていますし、さらに、この私たちのワーキングの1個上であるデジタル学習基盤特別委員会というのが中教審の中にできて、その下で、私たちは中教審の中で整備を考えるという立場に今あるわけです。
 そういう意味では、次の学習指導要領に向けてどのような学習活動が望まれているのかということを前提に整備の方針を考えていく、現状で先生たちがこれが欲しいとかということとはちょっと違うもう一歩先の教育のステージをイメージして整備していくという、そのときの整備と制約のことを一緒に提案していくということが私たちの役目かなと思って聞いておりました。
 私の発言は以上です。

【高橋主査】  堀田主査代理、ありがとうございました。
 親委員会の委員長で堀田先生はいらっしゃいますし、そもそも中教審の総会の委員でもありますので、大きな方向感でこのワーキンググループで検討していくように御指示を受けたのかなと思っております。今日は第1回ですので、幅広く御意見を頂戴したんじゃないかなと思っております。
 それで、私からも最後一言。一言じゃないかもしれませんけれども、皆さんの御意見を伺いまして、いろいろ思うことがございます。
 この1人1台端末というのは、我々にとっても未知の体験をこの数年間やってきて、もちろん、堀田先生も石井先生もおっしゃったとおり、途中でいろいろ後追いというのもあったんですけれども、我々もたくさん学習して、考え方が変わってきたところはすごくあるなと思っております。
 理念も非常に重要なんですけれども、理念を実現するのにツールというのがいいスイッチになっていて、個別最適な学びとか協働的な学びの一体的な推進みたいなことも、この1人1台パソコンというものが相互に関係して非常に進んできたなと思っております。
 堀田主査代理からも、一歩先を進んだというか、少し未来を見据えて考えなさいという御指示を受けましたが、まさにそういうふうにして考えていくと、個別とか協働で既に教室でやっているところでは、複線型で授業が進んできて、それらに対応をしたICT環境が重要であるとか、そうなっていくと、複線というのは単線に比べて、一斉に比べて、35人いれば35倍の情報量がやり取りされるわけで、そういうときに情報処理するコンピューターというのが非常にパワフルなツールとしてあるんだけど、そういうふうにしてデータがたまってくると、今度、データ分析のためのICT環境が必要だとか、そういう話が中村委員からもお話があったなと思っています。
 その一方で、柴田委員からも貴重な高校のお話で、スマートフォンで勉強しているんだとか、スマートフォンがツールになっているんだというお話を聞いたときに、ああ、そうだと。つまり、高校生はアプリで勉強したり動画で勉強したりする、そういうのは結構当たり前の世界感の中で生きていて、学校に行くと先生が一生懸命しゃべって、先生がコンテンツなのでしゃべるんでしょうけれども、そういうところで勉強している子供たちと学校での、いくら複線型で少し新しくなったとはいえ、少し感覚の違いとか未来観みたいなところをもう少し考えていかないといけないかなとも思っています。
 実は私自身も最近、アプリでいろいろな勉強を実際にしてみると、わざわざ人から聞いたり習ったりする必要はどこまであるのかと自分自身も疑問に思うときがありますし、習ったことを人に披露したくて人に会うということも当然ありますし、そういう意味で、学びの形は今後、デジタル学習基盤として整っていくと、どんどん変わっていくんだなと。
 今教室にあるものを単純にデジタル化して、それをデジタルだと考えていたり、よく言われる、いろいろな教育委員会で言われることですけれども、「GIGAスクール構想への対応」という言い方、私にとって非常にこれは違和感のある言い方で、対応とか付け加えみたいに考えていくのではなくて、まさにデジタル学習基盤で、校務だろうが、これは水谷委員もおっしゃっていましたけれども、校務とか学習とか研修とか、あらゆる学校教育のレイヤーにデジタルが溶け込んで、だから、もっと質が高くて、働きやすくなるような、そういったようなデジタル学習基盤としてのICT環境ということを今後ここで検討していかなきゃいけないのかなと皆さんの意見を聞きながら感じたところになります。
 大体お時間が迫ってきておりますので、以上で閉じたいと思っておりますが、最後に、もしも委員の先生方御発言あればと思いますけれども、大丈夫ですか。それでは、この辺りで閉じたいと思います。
 最後に、次回の予定について、事務局から御説明をお願いいたします。

【髙本GIGAスクール基盤チームリーダー】  ありがとうございます。次回の本ワーキンググループの日程につきましては、追って事務局から御連絡をさせていただきます。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日予定した議事は全て終了しましたので、これで閉会といたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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