中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教科に関する専門的事項に関する検討委員会理科ワーキンググループ(第1回)議事録

1.日時

令和5年5月22日(月曜日)13時30分~15時30分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 主査等の選任
  2. 教科に関する専門的事項に関する検討について(理科)
  3. その他

4.議事録

議事(1)主査等の選任(非公開)

【森田主査】  それでは、理科の教科に関する専門的事項に関するワーキンググループの立ち上げに必要な手続が全て終了いたしましたので、これより議事を公開させていただきます。
 改めまして、主査を務めることになりました立命館大学、森田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本ワーキングの発足に当たり、一言御挨拶を申し上げたいと思います。過日開催されました教員養成部会のもとに置かれました、教科に関する専門的事項に関する検討委員会での御議論によりまして、委員会のもとに4つの教科に関するワーキングを立ち上げることを決定いただいたところでございます。
 本ワーキングは言うまでもなく、その中の理科に関するワーキングということになります。私自身、理科ではありませんが教科教育を専門にしておりますので、教科の特性に応じたことを考えていく重要性は一方で理解しながら、教科を考えていく場合には、こういったものが要るんじゃないか、これが足りないんじゃないかと、どうしても求める内容が増えていってしまう、そういった傾向があるのではないかと思っております。
 本ワーキングに課された課題というものは、法令上の20単位ほどの教科に関する専門的事項の中に具体的にどのような科目を置くのかいう議論ではなく、法令上の枠組みが他教科とのバランス等も勘案して、現状の枠組みでよいのかを特に重点的に考えていくことだと思っています。
 また、これも私自身の課題でもあるかもしれませんが、4年制大学の一種免許状課程だけを前提にするのではなく、昨年度の答申でも提言されているような、現職の先生方が複数の校種教科の免許を取得する場合、また二種免許状を活用した得意分野を持った教員を養成していく場合、そのような視点から考えていく、それから先ほど申しましたような法令上の枠組みにおける他の教科のバランスとか、一般大学の開放制の教員養成出身の教員も、特に中高の場合は多いと思いますので、その辺りも加味しながら、どういった形が今、求められているのか、今後適切なのかという議論ができればと思っております。
 ワーキング自体、数回になると思っておりますが、委員の皆様から様々な御意見頂戴し、意見交換しながら、この法令で定める理科の教科に関する専門的事項の在り方ということについて検討を進めてまいりたいと思っております。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本ワーキングの主査代理をお願いしております甲斐委員からも一言いただけますでしょうか。お願いいたします。

【甲斐主査代理】  主査代理を任命いただきました、福岡教育大学の甲斐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 このワーキングでは、先ほど森田主査からも提案がありましたけれども、教科の中の科目のバランスが他教科と比べて異なっている点や今、教員不足だとか免許の取得者を増やしたりというようなこととか、免許を持っていなくて免許外で教科を教えないといけないような教員がおられるような実態だとか、様々なそういう問題がありまして、これの親の検討委員会になりますけれども、教科専門科目の検討委員会で理科も含めて検討していくことが決められまして、このワーキングが開催されております。
 私自身は理科教育の教科教育が専門で、理科の実態とかそういったところを踏まえながら、また他教科とのバランスということで少しでもお力になれればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【森田主査】  ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは続きまして、文部科学省の樫原室長から御挨拶をお願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  改めまして、文部科学省教育人材政策課教員免許・研修企画室長をしております樫原と申します。中央教育審議会初等中等教育分科会、教員養成部会、教科に関する専門的事項に関するワーキンググループ(理科)の第1回に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 このたびは本ワーキンググループの委員に御就任いただき、誠にありがとうございます。また、日頃から我が国における教育の振興に様々なお立場から御尽力いただいていること、重ねて御礼申し上げます。
 本ワーキンググループは、令和4年12月19日の中教審答申において提言された教科に関する専門的事項に関する科目の必要な見直しについて検討するため、本年5月12日に開催された教科に関する専門的事項に関する検討委員会での議論の結果、検討委員会のもとに設置されたものでございます。理科の専門的科目区分の内容の適切な在り方について御検討いただくことを予定しております。委員の皆様におかれましては円滑な教員免許状取得に向け、そして教員の質保証、その両立に向け、闊達な御議論を頂戴いただきますようお願い申し上げて、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【森田主査】  樫原室長、ありがとうございました。
 それでは早速、議事の2について審議をしてまいりたいと思います。まず、事務局から本ワーキンググループの設置について、また本ワーキングで検討する事項全体についての御説明をお願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  失礼いたします。資料1を御覧ください。こちらが教科に関する専門的事項に関するワーキンググループの設置についてでございます。設置の目的ですが、教科に関する専門的事項に関する検討委員会の設置について、2に基づき委員会のもとに教科に関する専門的事項に関するワーキンググループを次のとおり設置するというところでございます。
 検討事項としましては、以下の教科について専門的事項の科目区分・内容の適切な在り方を検討するということで、理科、技術、家庭、情報ということになっております。ワーキンググループについては3つ設けておりまして理科で一つ、技術と情報で一つ、そして家庭で一つということになっております。
 3の設置期間ですが、ワーキンググループは2の検討事項に関する検討が終了したときに廃止するものとするとされております。
 4の委員会への報告ですが、ワーキンググループの検討状況は適時に委員会へ報告するものとする、委員会からの求めがあったときはワーキンググループの検討の経緯を委員会に報告するものとするとされております。
 続きまして、資料の3を御覧ください。資料の3は、今回の検討事項に当たる基礎的な資料をまとめたものでございます。こちらに沿って説明をさせていただきます。
 まず、背景ですけれども、先ほど御挨拶させていただいたときにも申し上げましたように、令和4年の12月答申における提言というのが今回の議論の出発点でございます。この中で、既に小学校や中学校等の免許状を有する現職の教師等についても、免許法認定講習や大学での科目等履修等により、複数校種・複数教科の免許状保有を促すことも重要である。教科に関する専門的事項に関する科目についても、学習指導要領等との整合性について改めて確認することも重要である。教育職員免許法施行規則に掲げる事項が多い教科について、中学校二種免許状を取得しようとする場合、同規則で定める最低単位数を超える単位の取得を要するケースが生じている。このため、教科に関する専門的事項に関する科目について、専門的事項の数が多い教科を中心に必要な見直しを行うべきであるということが提言をされておりまして、今回の検討に至ったものでございます。
 続きまして、免許状の授与に必要な単位数でございます。そもそもの問題として、中学校の場合には専修免許状、一種免許状、二種免許状とございますが、このうち一種免許状については学士の学位を有すること、プラス59単位、二種免許状につきましては、短期大学士の学位を有することに加えて35単位ということ、高校については二種がございませんので、一種が学士の学位を有すること、プラス59単位とされております。
 続きまして、これの内訳ですけれども、教職課程の中には教科専門、教科指導法による科目と、あとは教職系の科目の2種類がございます。このうち、教科及び教科の指導法に関する科目についてはこの表の一番上の色が付いている部分になりますが、こちらが教科に関する専門的事項と教科の指導法合わせて、中学校でいえば一種28単位、二種12単位、高校で言えば一種24単位とされております。そのうち各教科の指導方法につきましては、一種については8単位以上、二種については2単位以上、高校については4単位以上とされておりますので、それの残った部分というのが教科に関する専門的事項に充てられる単位になっております。
 これについて具体的な内訳ですけれども、先ほどの繰り返しになりますが、教科の専門的事項に関しては一種であれば最大20単位、二種であれば最大10単位の履修が必要ということになっております。これは、大学の教職課程によって取る場合というのは今、申し上げたとおりですけれども、免許法別表第四が適用され、同一校種の他教科の免許状を取得する場合には単位数は下記のとおりとなっております。
 具体的に申し上げると、こちらは教職科目の部分はございませんが、一種については教科の専門的事項が20、二種については教科に関する専門的事項が10、それから免許法別表第八という、これは隣接校種の免許状を取得する場合についても、例えば小学校であったら小学校の免許をもともと持っている方は3年以上の勤務経験プラス、教科の専門的事項が10単位、高校であれば3年以上の勤務経験プラス、大学独自科目の中に一部教科の専門的事項の内容を含みますが、こちらの単位を取得することによって中学校の普通免許状が取得できることになっております。
 この教科の専門的事項の総単位数というのはどの教科であっても共通ですが、実はこの教科に関する専門的事項に関する科目区分数というのは、かなり教科によって異なっています。一番多いものは4とか5と言われる科目区分数のものが標準的では、一部保健ですとか、宗教ですとか、職業指導で3というものがありますが、多いものですと理科の8、それから技術の6というところがございます。
 続きまして高校ですけれども、高校については、これも3とか4とか5というのが割と標準的になっております。理科につきましては、実は高校につきましては8ではなくて5ということになって、実験のところがいずれかの実験を選択する形になっております。
 続きまして、これが専門的科目ですけれどもその次、理科の科目区分の変遷を御覧ください。理科の科目区分につきましては、中学校は当初は物理学、化学、生物学、地学、それから、物理、化学、生物、地学のそれぞれの実験の選択という形になっておりました。これが昭和37年のときに物理学(実験を含む)ということで、それぞれの分野に括弧して実験を含むということに整理がされました。その後、平成の元年、30年以上前になりますが、こちらで物理学と物理学実験(コンピュータ活用を含む)ということで分割をされたところでございます。
 一方、高校につきましては、ほとんど内容は変わっておらず、物理、化学、生物、地学にそれぞれ実験系の科目の選択という構成がずっと続いており、平成元年からはそれぞれの実験にコンピュータ活用を含むという文言が新たに追加をされたところでございます。ちなみにこのコンピュータ活用を含むというのは他の教科専門の区分にはない表現で、理科の実験のところだけ、このコンピュータ活用を含むという表現がなされております。
 続きまして、課程認定大学数でございます。これは、教職課程を置いている各大学の数を表すものですが、大学単位でいうと中学校は514、高校は542となっております。これは一つの大学で、例えば教育学部と理学部でそれぞれ理科の免許を出せるという場合にはそれぞれを1とカウントするのではなく、大学単位で1のカウントをしているところです。
 その内訳ですけれども、教科別に見ますと、中学理科については大学では166、大学院では146、高校理科については、それぞれ173、154ということで、一部の大学は高校の免許しか取れない大学がございます。数としては国語や社会とかに比べればやや大学数は少ないですが、数学とかに比べると大学数は若干多い状況になっております。
 続きまして、教員免許の授与件数ですけれども、中学校と高校全体の授与件数は大体中学校が4万7,000、高校が5万6,000となっております。これは臨時免許状の数を含みますので、普通免許状だけでいうと中学校が4万5,000で高校が5万3,000というのがその数になっております。
 これを教科別に見ますと、理科については一種免許状の大学等における直接養成によるものというのが3,668件となっております。これを教科で並べたときに単純に比較するわけにはいきませんので、一つの目安として標準授業時数との比較で考えてみました。一つの目安をまず国語におきますと、国語は一種免許状の大学等による直接養成が4,648、授業時数が中学校3年間で385コマ、理科については国語だったり数学だったりと時間数は変わりませんが、免許の数は国語に比べると大体2割ぐらい少ないということになっております。この相対的な比較をしますと、実は標準授業時数との相対比較では保健体育が免許状の授与件数が圧倒的に多い。ついで音楽、社会の順で授与件数が多く、一方で技術、理科、数学がやや少ないとなっております。
 この授与件数のところで1点注目すべき点は、この理科の特に他教科の免許状の取得、先ほど申し上げたような別表第四等で取るような方の人数でございます。例えば数学ですと、後から取る人というのは35人になっていますが、理科については6人、これは一種免許状の数がさほど大きく変わらないのに、この後から取る部分では実は数学と理科で大きく差がついている。これは国語とかとの比較においても同様と言えます。
 高校ですけれども、高校については免許状の授与件数は直接のもので4,761となっております。これも注目すべき点がございまして、これは中学校との比較になります。例えば数学であれば、数学の中学校の免許を取る人というのは3,928、これに対して高校は4,204ということで、数でいうと高校のほうが1割弱多いということです。中高同時に免許を取られる方が多いですけれども、若干高校よりも中学校のほうが教育実習の期間が長かったり、必要な単位数が多かったりということで少し差が出てきています。
 一方で理科については、中学校が3,668に対して高校が4,761となっておりますので、つまり割合でいうと20%ぐらい高校のほうが多い。つまり、中学校の免許を取らず、高校だけ免許を取る人というのが大体1,000人程度いるのが現状でございます。
 次のページを御覧ください。採用の状況ですけれども今、教員採用試験の倍率につきましては中学校が4.7倍、高校が5.4倍となっております。一部中高分けずに募集している場合につきましては、この注にあるような計算にしております。これを教科別で見ますと、実は保健体育、社会、音楽という先ほどの授与件数が多い科目が比較的倍率が高くて、技術と家庭科と理科が低いということになっております。これが中学校です。一方で高校の理科については倍率が5.9倍ということで、先ほど申し上げましたように高校の平均が5.4倍ですので、高校については平均を上回る、一方で中学校については平均を大幅に下回るところでございます。
 続きまして、臨時免許状の授与件数でございます。こちら、中学校については理科はおよそ200件程度で、高校については100件程度ということで、ほかの科目と大きくは変わらない。それから免許外教科担任につきましては、中学校が200件、高校が80件ということで、これについてはそこまでほかの教科と比較して多いとは言えない状況でございます。
 免許状等を取り巻く状況の説明は以上です。

【森田主査】  樫原室長、ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、委員の先生方から何か御質問等あればお願いをいたします。いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。それでは、後ほど議論をする中で質問等あればまた上げていただければと思います。
 ただ今説明いただいた資料3の後に資料4として幾つかの大学でのカリキュラムのイメージというようなものがございます。こちらにつきましても事務局から何か御説明はありますでしょうか、資料の4でございます。

【樫原教員免許・研修企画室長】  1点補足させていただきますと、この資料4の中学校、高校のカリキュラム、教職課程のうち、前半の中学校、高校についてはある国立の教員養成課程のものでございます。もう一つ、後半の2つにつきましては、これもそれぞれ同一大学ですけれども、私立の理学部系の大学のものでございます。以上です。

【森田主査】  ありがとうございました。委員の先生方、また御覧いただいて、おおよそ御承知の部分があるかと思いますけれども、今後の議論の参考にしていただければと思います。特に開放制の大学の事例である2つ目の大学のところは多分、どの学部なのかによっても、実際に置かれる科目はいろいろと違うと思いますけれど、あくまでも一つの事例だということで御参照いただければと思います。
 それでは今の御説明を踏まえまして、資料5を御覧ください。この資料5につきましては、本ワーキングでの論点例ということで事務局で整理をいただいたものでございます。こちらにつきましては、私から簡単にその趣旨等を説明させていただいて、これからのワーキングの議論の参考にしていただければと思っております。具体的には、資料の表の下にありますような3点について論点例として挙げさせていただいています。
 まず、1つ目につきましては、この専門的事項に関する科目区分の区分数の在り方ということでございます。これは過日の親委員会である検討委員会でも御議論いただいたところでございますし、先ほどの樫原室長からの御説明にもございましたとおり、この教科ごとにかなり数が違っているということでございます。特に理科につきましては、最大と言っていいのでしょうか、特に中学校の場合は8つに区分が分かれていますし、理科の場合のもう一つの特徴というのは中学と高等学校で区分の仕方が変わっていることかと思います。他の教科の場合、およそ中高で同じ教科であれば、学習指導要領などとの関係で、何々を含むというような部分が一部違ったりするケースがありますが、中高で同じ区分であるにもかかわらず、理科の場合は非常に大きく違っています。このような特徴がある理科の区分の在り方等をどう見直していくかといいますか、考えていく必要があるんだろうと思います。ここは大きな論点になるかということで1点目に挙げております。
 それから2つ目のところです。科目区分の内容と学習指導要領との関係についてということで、理科の場合は大きくは物理、化学、生物、地学という枠が変わっているわけではないと思いますが、最新の学習指導要領の内容等との関係も踏まえまして、必要があれば見直していくことを2点目に挙げております。
 それから3つ目になりますが、こちらは教科に関する専門的事項に関する科目区分全般における記述の在り方についてです。分かりにくいと思いますので、次のページにあります資料を少し御覧いただきながら簡単に補足させていただきます。施行規則の中で枠組みが定められていますけれども、それぞれの科目区分のところに、2つ目の丸になりますが、丸々を含むという、括弧付きのものが記載されております。先ほど室長の御説明にも何度も出てきた部分でございます。
 3つ目の丸になりますが、この丸々を含むという記述の部分につきましても幾つかの記載の方法が混在しているのが現状でございます。①としまして、1つ目の方法が具体的に含めるべき内容といいますか、こういった部分については、こういう内容を特に含んでくださいというような記述になっているもので、それが下の表で言いますと①のところにありますような、例えば国語でしたら国文学という区分に国文学史を含んでくださいと、こういう記述があるのが1つ目でございます。
 それから2つ目のところで、これは表でいうと②の例になりますけれども、その科目区分の授業等を実施していく上の手法等の要素を記述しているということで、理科が該当する部分で言いますと、先ほど室長の説明にもありましたような、例えば物理学実験のところでコンピュータ活用を含む、それから技術のところですと機械という枠組みに実習を含むと、こういう記述があるということです。
 特に検討委員会のところでは、この①の部分は教科の学習指導要領等との関係で、そのままでよいだろうという御議論もいただいたのですが、特に②の記述の仕方については、この含むというものが規定されてから時間的にかなり経過していますし、先ほどの理科のコンピュータの活用を含むという文言が入ったのは、30年ほど前になりますので、はたして今の時代的な状況を考えたときに、あえて記載するのが必要なのかという点も議論をいただきたいということでございます。
 少し長くなりましたが、1ページ戻っていただきまして資料の5になりますけれども、今、御説明したこの3点について、委員の先生方からご意見をいただきながら、このワーキングで議論していきたいと思っております。もちろん、これはあくまでも論点例ですので、これ以外の論点がありましたらまた適宜、委員の先生方からも補足いただいたり追加いただければと思っております。簡単ですけれども、この資料5の論点例についての説明は以上でございます。
 それでは、今の論点例の内容、それから先ほどの樫原室長の御説明等を踏まえまして、委員の先生方から御意見を頂戴していきたいと思っております。先ほどの説明につきましての御質問等も含めて御発言いただければと思います。と申しましても、委員として私を含めて3人しかおりませんので、先生方から様々な御指摘を頂戴できればと思っております。まず主査代理をお願いしました甲斐委員から何か御発声いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

【甲斐主査代理】  甲斐です。よろしくお願いいたします。まず、論点の1に関しては、教科に関する専門的事項の科目区分の区分数ということになって、中学校理科が突出して多いところがありますよね。実際は単位数として、二種免を取るに当たって10単位が必要なわけですけれども、物理、化学、生物、地学、これは概論ということで講義という形になるので、大体どの大学でも2単位の扱いで、ここで8単位となるんですけれども、実験に関しては2単位ということではなくて、基本的に1単位という枠組みなので、全部4つ取ると12単位になってしまうのが大体どこの大学でも現状かと思います。
 実験に関して、例えば先ほど他教科の数学の免許を取っている方が理科を取ろうといったときに、この教科の部分で専門が12単位取らないと免許にならないということでどうしても避けられてしまうとか、複数免許を取得するに当たって理科が候補から外れてしまいがちということは確かに問題がある部分かと私も感じています。
 それの取りにくさというのは単位数だけの問題ではなくって、実は実験というのが1単位の扱いではあるんですけれども、普通、講義なんかで1単位という扱いは45分の授業を講義を受けて、その分90分間の自宅学習時間ということで135分で1単位という枠なので、実際時間割上は2単位だとして90分の枠を取られるだけですけれども、実験の場合は135分で自宅学習時間なしということなので、どうしても時間割上90分プラス45分なので2コマ分を押さえてしまうんですね。2コマ分を押さえてしまうので、ほかの講義が取れないということで、時間割の調整区分上、とてもやりにくいことが他教科からどうしても取りにくい部分があるだろうと思います。
 それはもしかしたら、私もあまり詳しく分かりませんけれども、実験実習がある技術なんかも、そういった傾向がもしかしたらあるのかもしれなくて、2コマ枠をどうしても取ってしまう。大学も実験実習って何があるか分からないので、どうしても135分で、はい、終わりました、じゃ、次の135分で3コマ押さえて2つの科目という形で次の授業に行ければいいんですけど、どうしても実験だと片づけだとか何かトラブルが起きるということがあるので、どうしても2コマは押さえられてしまうと。だから大学としても、もうそうなると2単位出して3時間で同じ科目の中で取らせたほうがまだ収まりがいいとか、いろいろ大学の中でもカリキュラム設計、時間割の設計とかもあるんだと思うんですね。だからそういったところも一つ、問題があるのかなとは思います。
 そして中学校と高校でこんなふうに科目数が違う理由としてもう一つ考えられるのが、高校の場合は免許としては理科として一つですが、実際、現場に出てからも自分の専門ということで物理であれば物理の教員として実験もやりますけれども、あと少し化学もやるかというぐらいで、この中で物理、化学、生物、地学を全てオールマイティーやるようなことはあまり現実としてはなくて、せいぜい2つの科目ぐらいなんですね。だから実験として、一つの科目だけ専門性が強ければ良いところがあるので、一つになったとしてもいいという、少し言い方が悪いんでしょうけど、そういうところがあったのかと。
 一方、中学だともう確実に物理、化学、生物、地学、全ての実験をしないといけませんし、今、現場の指導要領との関係、これは2つ目の論点になりますけれども、もう実験は全て教科書にある部分はさせましょうというところが強いので、その指導法として学ぶ以前に自分自身のスキルとしての実験の技能がないと厳しいところがあって、それもあって一々全ての科目の物理、化学、生物、地学それぞれ1個ずつちゃんと分けてそれぞれやりなさいという位置づけになってしまっている部分が現状としてあるのかなとは思います。現状の説明といいますか、私が考えられる状況というところですね。
 コンピュータ活用を含むということに関しては、これはもう30年ぐらい前に入ってきた、当時はコンピュータ活用をあまりせずに実験なんかも手書きレポート、手書きグラフというような形だったと思うんですけど、現状もう手書きでグラフを書くようなことがなく、パソコンで書くのが一般的なので、特にこれは指導法にもないわけですし、ここのコンピュータ活用を含むという部分はもう今の時代にはそぐわないのかなと思ったりはします。
 3つの論点に関して私なりのお話をさせていただきました。

【森田主査】  ありがとうございました。理科の御専門の立場から様々な点につきまして話題提供いただいて、今後のワーキングにおいても参考になる御意見いただきましてありがとうございました。
 それでは江崎委員、発言をお願いいたします。

【江崎委員】  今、甲斐委員がおっしゃるように中学校と高校での理科の取得単位数については、私もそうだなと思います。それで、このワーキングの中での方向性として中学校、高校の免許を比較的取りやすい方向にシフトしていこうということなのか、あるいは現状の単位数は減らしたときに、授業の内容がより良く各大学に求めていくということなのか、どのような方向になるのかという質問があります。
 例えば、単位数を少なくして教員免許を取得しやすくする方向はたくさんの人が教員免許を取りやすくなりますが、その分、人材の質が担保できるかということになるとまた違うだろうと思います。ですから取得する単位数が多くても、本当に教師を目指している人は当然それをこなすだろうという議論もあり、トレードオフのようなところもあります。基本的に取得単位数を減らすなりしながら、例えば数学の免許を取ろうとしている人が理科も取りやすくするとか、理数系の単位は共通にして取りやすくするとか、そういう方向で検討するのか、あるいは、あくまで単位数よりも教員の質を担保することになるのか。
 ただ、教員の質を担保するとなると教員免許だけじゃなくて働き方改革を含めて教員の待遇の問題も出てくるので、このワーキングではそこまでは議論する対象ではないと思いますから、ある程度枠を決めて議論することになると考えます。その辺りは親部会としてはどのような方向なのか、教えていただけるとありがたいと思います。

【森田主査】  ありがとうございます。私から現時点で分かる範囲で1点だけ、また後ほど樫原室長から補足をお願いしたいと思いますが、要するに取得をする総単位数自体を減らす議論ではなくて、総単位数の中身をある意味で縛っているといいますか、科目を配置していくときの枠組みですね。その枠組みが非常に理科の場合は多いので、そこまで細分化して分けておく必要があるのかというのが大きな論点かと私は理解をしています。
 ですから、あくまでも枠組みの議論ですので、冒頭の私の挨拶の中でも発言させていただきましたが、それぞれの大学が具体的にどういう科目を置いて理科の教員養成をしていくかというのはまた別の論点になるかと思っています。あくまでも枠組みの議論ということで私は理解しているところですが、樫原室長、補足をお願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  事務局でございます。先ほど森田先生からもおっしゃっていただいたように、総単位数そのものは変えることにはなっておらず、あくまでもその中の内訳の表現方法、区分方法に特化した議論です。そして確かに江崎先生がおっしゃったように理科と数学を共通化するのかという話とかもありますが、基本的には一つの教科に対応して一つの免許を出す、また一つの教職課程ということについては、そこは基本的な枠組みというものは今回の議論の対象にはなっておりませんので、その部分は維持をされる。つまり理科であればその理科、ほかの例えば数学とかそういうことは無関係に、理科についてどうしていけばいいのかというところに特化した議論になろうかと思います。

【森田主査】  江崎委員、いかがでしょうか。

【江崎委員】  ありがとうございます。総単位数はそのままにおいて、中学校の場合には8科目に対して、高校が5科目という辺りの、すり合わせるかどうかという理解でよろしいでしょうか。

【森田主査】  まずは中教審の提言を受けて、本ワーキングで重要なテーマとして議論するのはその点だと御理解いただければと思います。江崎委員、それ以外の点で何かこの間の御説明なども含めて御質問や御意見はございますか。

【江崎委員】  今のところそこまでで大丈夫です。議論の中で疑問があればまたお聞きしたいと思います。

【森田主査】  ありがとうございます。あまり主査が発言すべきではないのかもしれませんが、私が先ほど冒頭に申しました教科ごとのそれぞれの特性というのがありますので、そこは当然議論していかないといけないし、本当に必要なものは残すようなことは大事だと思っておりますが、ただ、今回の議論は法令上の枠組みの在り方になりますので、それを踏まえて、各大学がどういった判断で科目を置くかという話とは少し違うと思うのですね。
 法令上の枠組みとして、ある意味で規制される点といいますか、そこが細かければ細かいほど大学としては細分化された科目をたくさん置かざるを得なくなります。それから私が勤務しておりますような開放制の大学の、一般学部では当然この教科に関する専門的事項につきましては学部の専門科目が並んでくるわけですよね。それは、もちろん、中高の教科内容をある程度、意識しながら配置されるわけですが、例えば生命系の学部でありますとか理工系の学部ですとか、そういった学部の専門科目が並び、専門的に学んでいる学生たちが履修することを考えたときには、あまりにも細かな枠組みを設定していることのデメリットもあるのではないかとは個人的に思っているところです。そういった意味では見直すことが可能であれば枠組み自体は少し整理をしてみる必要があるかもしれません。
 それから、確かに中と高で学校の状況が違うのは、私も理解しているつもりですので、確かに高校では、それぞれの科目ごとに、何といいますか、その担当者が違うと思いますので、例えば生物の御専門の先生がほかの科目をたくさん持つことはないのかもしれません。ただ免許として考えたときにはどの科目も教えてもよいということになっているわけなので、そういう意味では高校は大丈夫だけれども、中学校は無理であるということは、なかなか言いづらい部分もあるかもしれません。その辺り、どう足並みそろえるかということは課題ではないかとは思っているところです。
 すいません、主査が発言してしまいましたが、それでは今のことを踏まえまして甲斐委員、2巡目ということになりますが、先ほど御指摘ありましたような今後ワーキングの方向性として括弧のコンピュータ活用を含むというところについては、委員の視点から見たときには特に必要ないような御理解でしょうか。

【甲斐主査代理】  コンピュータ活用に関してはもう当たり前に使っているので、実験をしていればもう確実にグラフもそうですし、今、データの処理なんかもパソコンを使わないことはあり得ないので、これをわざわざというところはもう必要ないのかと。
 それから教職の授業でも情報機器の操作みたいなのも必須でありますので、そのもの、そこはもちろん情報に関するいろいろな知識というのも含むでしょうけれども、情報倫理とかそういうのも入るのかもしれませんけれども、もうかなりいろいろなところで網羅できるのではないかと私個人は考えます。
 樫原室長に質問ですが、この高等学校の場合、物理、化学、生物、地学の実験が一つの科目になっているんですが、これってもちろん全てこれを書いているということは全部少し、大なり小なりは触れなければならない位置づけではありますよね。

【樫原教員免許・研修企画室長】  これ実は結構、書き方によってかなり特殊になっておりまして、資料でいうと資料3の6ページを御覧ください。これは実は、少し法令上のややこしい話ではあるんですけれども、このかぎ括弧がついて点がついているもの、句読点の読点ですよね、についているものにつきましては、これは選択制になっております。ですので物理学実験か、化学実験か、生物実験か、地学実験のいずれかとなっております。これを両方含むという場合には、例えばこの左側にあります地理歴史のところのように人文地理学・自然地理学、これが両方を含むという表現になっております。
 ほかのところでも結構分かりにくいものがありますが、例えば公民も哲学、倫理学、宗教学、心理学は、どれか一つになりますし、保健体育のところの上から2番目のところは、体育原理、体育心理学、体育経営管理学、体育社会学、体育史、ここは選択になっていて、中黒で運動学になっているので、ここは必ずやるように、表現ぶりがかなりややこしくなっております。

【森田主査】  ありがとうございました。甲斐委員、いかがでしょうか。

【甲斐主査代理】  そこが今のところでネックであって、高校に全く同じでそろえてしまうとなるのが懸案事項としてはそこなんですね。どれか一つだけ実験をすればいいというわけには、中学校の場合だとそれでは質が担保できない。今、本当に中学校の実験なんかでもかなり高度なこともしていきますので、そもそもの物理、化学、生物、地学の内容の最低限のところの、例えば顕微鏡が使えないと、ここで生物を選択しなきゃ、生物の実験を選択できないと顕微鏡が使えないまま一応、中学校理科の免許が取れてしまうようなレベルになっていくと、さすがにそのレベルは、もちろん教科の指導法でも扱えばいいじゃないかということもあるんでしょうけど。
 私、教科の指導法専門ですが、そんなあまりにも基礎的な実験の部分はもう当たり前にできて、それを生徒にどのように指導するかということなので、今度はそこで使う、要するに試料ですね。試料の中身について検討するようなところが我々の科目の指導法というところになるので、せめて実験ではそういう本当に物理の中で使う最低限の実験器具、化学で使う最低限の実験器具について一通り触れることはやってほしいというところがありまして。
 それがこの中黒にするか、カンマにするかってところで、これを中黒にしてしまうとして単位を2単位にすれば、10単位でちょうどいいんでしょうけど、ただ中黒にすると、例えば15回ぐらい授業あるうちの数回ずつは物理、化学、生物、地学やりなさいねということになるので、アラカルトというか、何人かの先生で担当していかなきゃいけないので、そうなってくると開放制でも厳しい部分が。それならもう別々でも一緒だよと、教員が物理、化学、生物、地学、4人必要ということになるならば、もうそんなでもないよって言うのか、それとも概論で物理、化学、生物、地学の単位を取るので、その先生が実験に少し数回分なら手を出せる範囲なのか。それは、むしろ森田先生というか開放制の大学の先生、状況がもしかしたら御意見があるのかと思います。
 私は教育大なのでもう特化した大学ですので、それはもう、そこがもし科目区分が8から5になったとして、それが中黒であれば何も問題ないというか、今までと何も変わらない。二種免であまり出すということないので、一種免で出すことが基本的に想定されるから、そんなにそこに大きな問題ではないですけど、今、開放制の大学でより取りやすくっていった場合、それはいかがでしょうか。

【森田主査】  ありがとうございます。私も全ての開放制の大学を知っているわけではないですが、例えば私が知っている限りで言いますと、一つは理工系の学部ですが、免許法との関わりあるなしに関わらず、そもそも実験というのは当たり前のようになされていると思います。もちろん、ある程度の実験は様々な分野でやっていく必要はあるのだろうとは思います。
 ただその内容は、中学校や高校でやっている実験ではなくてもっと高度な実験を当然やっているのだと思います。逆に言うと学校で使うような顕微鏡を使って実験してくださいという指示を出すほうが対応が難しいのかもしれないかと思っています。そこは少し置いておくとしてもそういった状況にありますし、もう一つ課題があるとすれば理工系といっても分野が広うございますので、例えばある学科で理科の認定を受けていたとしても割と物理に近いとか、生物に近いということがあると思います。
 そういう専門学部の学生にどこまで、中学レベルの実験の在り方みたいなことをあえて科目区分として分けておく必要があるのかというのは私も分からないところがあります。ただ、考え方としては、枠組みを一定整理するとしても、甲斐委員がおっしゃったような、いろいろな整理の仕方があると思います。例えば概論的な科目の中に実験を含んでもらうような形もあり得るかもしれませんし、実験だけ別に置くというのであれば、高校のようなやり方もあると思います。ただ、その際に、繰り返しになりますけれども開放制の大学でいいますと、そもそも学部の専門としても様々な実験をしているという前提に立った場合に、ここまで全てを細かく分けておく必要があるのかというところは個人的には疑問にも思っているところで、もう少しそこがうまく整理できないかと思っています。
 もう一つは各大学の判断でできる余地を残すという手もあるように思います。これは課程認定の考えになるかもしれませんけど、例えば各大学の認定を受けている学科等が、この学科の学生は、この分野が弱そうだということがあれば、そこについては大学の判断でその分野の実験を入れるという方法もあるように思いますので、その辺りの選択の余地がないような形で、今のように全部について枠組みが設定されているところは見直してもよいのではないかというのが今の思いでございます。
 以上でございます。甲斐先生、その点について何かございますか。先生の知っている状況でも構いませんけれども。

【甲斐主査代理】  ありがとうございます。多分、理科の場合は高校免しか今、出していないところが、できれば中まで手を伸ばしたいようなところなのか、それもあると思います。それからあと、小学校免許しか出してないところが理科でもそれだけ科目をするのが厳しいのでというのはあまりないですね。小学校、教育学部系で中高までという手の伸ばし方よりも、高校で中学までとか、あとは理工系で数学の免許も出しているんだけど理科まで出したいかとか、そっちに向けての今回議論になりますよね。どちらかといえば。

【森田主査】  樫原室長、現状で言いますと小学校課程をメインで置いているところに理科の免許状課程がついているようなイメージのところは結構ありますか。小学校課程の場合は、私学では文系が多いですかね。もしその辺の情報があれば、お願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  正直私たちも、それぞれ小学校課程を持っているところが網羅的にどこまでできるのかというのは、少し悩ましいところではあるかと思っております。確かに理科となると物理学とか化学とか生物学とか地学の、これはどちらかというと指導法ではなくて、あくまでも教科に関する専門的事項というのはそれぞれの項目に、科目における大学レベルでの教育内容を指導することが前提になりますので、全くゼロのところからこれを立ち上げるのはなかなか考えにくいかもしれない。
 ただ、同じ大学の中で例えばほかの学部とかの授業とかをうまく活用しながら進めるということであるならば、そういった可能性はなくはないのかと。先ほど甲斐先生がおっしゃったように現在高校のみ設置して、新たに中学まで授与するという話であると、確かに実は高校だけしか設置してない大学というのもありますので、今、例えば教員採用試験なんかを実際にやって高校で入ろうとしても、実際に採用の枠のところで実は中高両方持っていることを、例えばそれを義務にしているとか、もしくは加点対象とかにしているところがあれば、中学校までスコープを広げることは大いにあり得る話かと思います。

【森田主査】  ありがとうございました。甲斐委員いかがでしょう、よろしいでしょうか。

【甲斐主査代理】  そうなってくると高校と中学、ある程度そろえていくか、少し重なりをかなりもうちょっと持たせていく方向性は考えていかないといけないのかとは思います。
 ただ、高校しか出していない大学も実習の単位数だとか、あとは道徳の指導法だとか、中学の免許を取るために、あと教科の指導法もそうですけど最低限の部分が増えてしまうので、そこが理学部なんかではネックなっていて、私もとある理学部のある大学で非常勤やっていますけれども、理学部で高校免を取ろうという学生なんかは今現状でも60名ぐらいおられるんですけど、その中で中学校まで取るってなると20名にいかなくなるんですね。それがたった実習の3週間が2週間になるのかどうかというところとか、道徳の指導法があるとか、介護等体験があるだとか、あとは教科の指導法を4単位でいいところ8単位取らないといけない、一種免を取るに当たりですけれども、そういったところがネックになっている部分もあるので、この教科の専門の部分だけではないんだと思いますが、ネックになっている部分もあるのかとは思いました。すいません、ありがとうございます。

【森田主査】  ありがとうございました。委員御指摘のとおり、全体としての免許を取るわけですので、以前の教職に関する科目との関係もあると思いますけれども、もしかすると、一般学部の視点からしますと、あまりにも細分化されていることによって科目自体が置きにくいという点はあるのだろうとは思っていますので、その辺は大きな論点かと思います。
 今、甲斐委員からは御発言いただきました。江﨑委員、今までの御議論を聞いていて何かございますでしょうか。

【江崎委員】  不勉強なものですから、高校の免許は取得できるが中学校の免許は取得できないところは、甲斐委員がおっしゃったように道徳に関する単位取得などがあると思います。専門に関するところで高校の場合に実験は物理、化学、生物、地学どれか一つ取ればいいけれど、中学校の場合は1個ずつ取得しなければいけないということで、例えば物理の実験をやる御担当の先生はいるけれども、生物の実験をやる御担当の先生がいないので、中学校の免許は出せないという、そういう現状があるのでしょうか。
 そうだとすればば、甲斐委員がおっしゃるように高校と中学で、例えば東京都の場合も中高両方で採用試験やっていますので、両方の免許取れているほうがいいと言えるでしょう。高校と中学校での専門教科の区分というのはある程度同一型にしていく。ただ、学習指導要領では高校は物理、化学、生物、地学それぞれの領域があるので、それについては物理、化学、生物、地学4つの単位は必要なのか。実験に関しては、昭和37年の4月1日からのように各領域の中で実験を含むという形に戻してしまうのか、あるいは別途、理科実験のような形で一つ項目を出して、その中で各大学が、あるところは物理なり生物なりというような形にするのかという方向が考えられるのかと思います。
コンピュータ活用を含むというのは、今の時代は皆さん、おっしゃっているように、もう要らないだろうと思います。今、大学1年ぐらいの子たちは高校の段階で1人1台端末で学習支援ソフトによる授業を経験してきている世代です。日常的にタブレットを使っているので、あえてコンピュータの勉強をするんですかという話になってきます。
基本的には中高共通で採用しているところが多くなる点では、中高両方の免許を取りやすくし高校と中学校はすり合わせていく方向なのかと個人的には考えます。

【森田主査】  ありがとうございました。江崎委員、御指摘されたのは、中高免の両方をもって採用されることが、これは理科だけではないかもしれませんけども、理科の場合も多くなっているということだったと思いますけれども、それは今後も増えていくような状況でしょうか。

【江崎委員】  東京都の場合は以前から中高共通で採用し、その際に合格後、A先生は中学、B先生は高校というような分け方になっています。採用枠の中では学校枠ごとに採用するより、一緒の枠にして採用しておいて、その後、校種別に振り分けるといい人材が入ってくるのではないか。中高一緒の枠というのは増えるんじゃないかと個人的には考えております。

【森田主査】  ありがとうございました。承知しました。そういう意味では、もちろん中高での独自性はあるというのは大前提でありますけれども、確かに理科の場合、あまりにも枠が違い過ぎているところがありますので、その辺をどう考えていくのかについては重要な論点になるかと思っています。
 それから、もう一つは、これは私の観点になるかもしれませんけど、あくまでも一つの案として、例えば、法令上、物理学(実験を含む)としたとしても、具体の科目として物理学(実験を含む)という科目を置くこととは必ずしもイコールではないように思います。仮に、法令上で、物理学(実験を含む)という枠組みがあったときに物理学概論と物理学実験という科目を置いて両方必修にするような形というのは、課程認定との関係でいうと大丈夫じゃないかとは思っていますから、この辺りは各大学の判断で自立的に考えていただくというような方向性もあるのかと個人的には思っているところです。樫原室長、課程認定との関係でいうと今のような理解で間違いはないでしょうか。

【樫原教員免許・研修企画室長】  課程認定との関係では先生おっしゃるように、仮に例えば物理学(実験を含む)とした場合であっても、例えば物理学概論と物理学実験を併せて読むこともできますし、逆の考え方として物理学実験と化学実験と生物学実験と地学実験をそれぞれ別々の教科として、もしこの項目のところが中黒で結びついたとしても、それぞればらばらに取ったものを一つでまとめることができると思います。
 多分この部分の書き方についてはある程度、大学側の開設の事情というものも考えながら議論していく必要があるのかと思っております。特に中学校と高校って、逆に言うと中学校の免許を出しているところはほぼ必ず高校の免許は出しておりますので、そういった部分のところのやりやすさ、やりにくさというのが大学側の事実上を通じてどうなのかというところは御検討いただけると非常にありがたいと思っております。

【森田主査】  ありがとうございました。甲斐先生、もし御存じのことがあればで構いませんが、中高免を一緒に出していくときに科目の区分が違っていることによる、何か御苦労のようなことを聞かれたことはありますか、他大学の先生とかに。

【甲斐主査代理】  基本的にはもう理学部であれば、基本的に学部だと大学の最低限の実験として物理、化学、生物、地学はさせているところが現状だと思います。中高まで出しているところは、スタッフも基本的には物理、化学、生物、地学がおられて実験もしてということなので現状、今の形でも、むしろ中学に高校の部分を合わせたとしても問題ないだろうとは思います。
 ただ、気になるところは今、高校しか出していないところで5番、今、5個目のところにあるように中ポツではなくてカンマになっているところですよね。カンマになっているところは物理、化学、生物、地学の実験を一つでいいと。実験というのはなかなか非常勤の先生に依頼しにくいところがあって、そこにいるスタッフがやることが基本ということになってくるんです。
 そうなると、先ほど理工学系というんですけど、結構、理工学系(生命分野系)というようなところだと、生物の実験系ができる先生は潤沢にいて化学も少しできる、だけれども物理はほぼいない、地学もいないようなところだと、今、高校免許だけ出しているという場合であれば今、生命系、生物系と化学系の実験をさせることでそれぞれ1単位ずつ取らせて、それで物理、化学、生物、地学で8単位プラス生命系、化学系で2単位分で10単位、二種取る場合の最低限を埋めているようなケースはあったりするんだろうとは思います。
 そこがもし中学校取りたいと、免許取らせたいといったときには、あれと、地学と物理の実験をプラスでしないといけないねって言ったときに実験を別で非常勤雇うのは厳しい、実験というのはその場でそこのあるものでいろいろやらないといけないので、予算のこともありますし、外から非常勤の先生をお願いしてと、手伝ってもらう形でやる分にはいいんでしょうけど、そこに実験できるスタッフがいるプラス2つに分けてやるとか、人手のためにというわけでやるんだったらいいんでしょうけど、そうじゃない場合はかなり厳しいだろうと。スタッフがいないといけないので。
 それが他学部から、例えば生命工学系とかとこっちの物理工学系とかが何か違う環境生命とか、なんかいろいろ学部が違う形あって、そこが互換で物理地学系をやりますよとか、そういうことができてればいいんでしょうけど、なかなかそんなに理系で毛色の違う部分をいっぱい混在してというようなことはないと思うので、どちらかに偏っているってなると中学まで取らせるのは厳しい現状があるんじゃないかと思います。
 私も私立系でそういうところの非常勤に行っていますけど、ここは生命系だとかいうところがあります。ただ、割と中まで私が行っているところは出しているところが多いので、どこかからスタッフを借りてこられているのか、非常勤の先生に実験をもうお願いしているのかということかと思っています。ただ、新しく新規参入となると厳しい部分はあるだろうとは思います。

【森田主査】  ありがとうございました。室長がおっしゃったこと、それから甲斐委員がおっしゃったことで、実際の大学がどう対応しているのかというところも、今日の時点ではこれ以上の議論が難しいと思いますけれども、論点の一つというか視点として、今後の検討に向けて必要にもなるように感じます。
 それでは江崎委員、何か御意見とか補足的な御発言はございますか。

【江崎委員】  実験のことが話題になっていましたので、甲斐委員のお話聞きながら、例えば理系の大学の場合に、その学生さんが入っている学科が生物系であれば生物の実験を当然やっていると。物理系だったら物理の実験をやっているということで、専門的事項に関する科目に読み替えるような形でいいかもしれません。実質的にその学生に力がついているならば、高校のようなカンマの形の実験を中学でもいいのかと思います。だから現行の高校の5科目の流れを中学校にもそのまま適用してもいいのかという気がいたします。
 今、今年採用した先生方で、理系の学部出身の先生方の授業を見ているのですが、大学卒業ですぐに新規採用の場合には大学で実験やってきていても身についているとは言えなくて、一応単位は取ってきたけれども、教員をしながらもう1回やり直すことが多くなっています。逆に講師経験のある先生だと、実際にそこで1回やってきているので一応手慣れている部分はあります。ですから大学の授業の中で例えば物理実験とか化学実験というときに、中学校の授業で実際行われている実験をその授業の中でやられていることはあまりないのではないかと思います。
 例えば生物であれば顕微鏡の操作は入るかもしれないけれども、それ以外の生物に関する実験、中学校の教科書に載っているような実験ですね。学習指導要領で例示として出されているような実験を一つ一つ、その大学の授業の中でやっているのか、もし行っていないのであればそのレベルは維持していただきたいとは思います。しかし、各大学の事情というのがおありでしょう。その担当の御先生の専門性も含めながら、例えば物理といっても力学系の実験が多くて電磁気学系は少ないとか、そういう傾向が出てくると思います。そういうことを考えると中学校で4領域の実験を独立に設定しなければいけない必然性は薄いのかという気はいたします。
 
【森田主査】  江崎委員ありがとうございました。科目区分の見直しの方向性の一つについて、重要な御示唆をいただいたかと思っております。課程認定との関係にもなると思いますが、この理科の免許科目のところだけ抜き出してこのワーキングで議論していますけれども、前回の検討委員会でも委員から御発言ありましたが、例えば学科自体が当該の免許を出すに値するような教学内容になっているかという、相当性のところもしっかりとチェックはされていると思いますし、理科の認定を受けるのであれば、理科に関する様々な科目が置かれているのかというところも確認の視点には入っているとは伺っています。そういった少し視野を広めにして考えるのであれば、枠が減るからそれでもう実験がなくなるぞということでもないような気はしますので、その辺りについても今後議論を深めていければと思っています。
 それでは委員の先生方、いろいろと御意見いただきましたけれども、時間も一定経過しておりますが、特にお二人の委員の先生方から何か最後に補足といいますか、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 甲斐委員、お願いいたします。

【甲斐主査代理】  すいません。私も中高そろえていくことは構わないと思っています。ただ、実験に関して物理、化学、生物、地学の実験を本当に、例えば今、言ったように理学部で基本的には読み替える形で課程認定受けていると思うんですね。理工学部で物理の実験をやっているところを一応この物理学実験に読み替えて単位を出しているところあると思うんですが、そこが例えば生物系とか、それこそ地学の実験なんかあまりやれているところが少ないんだと思うんですけれども、そこが読み替えられる科目を実際にその学部の中で設置してない場合に、高校の場合は一つを選べばいいのでよしとするんですけど、中学の場合はそれをやっていなくても免許を出してしまうと。
 そうすると、ただでさえ今、そんなに実験ができない学生が多い、もう本当に現状そうなんです。私も初任者研修なんかとかでも講義に行きますけれども本当にできない方が多くて、基礎的なことも知らないことがあって私も困っているところですけれども、なので最低限というところがあるので、そこだけが1個懸案事項といいますか、単なるこの高校の今、点の形でどれかを選べばよい形じゃなく中ポツにするとか、少なくてもいいからせめてその中の中心的な実験のやるような部分はするようにしてほしい。
 でも、それをすることによって、それこそ開放制の大学はそのためのスタッフを準備するのがどれぐらいきついのかというところが懸案としてはありますけれども、少しそこは、もう全く同じという形で物理、化学、生物、地学どれかできればいいというわけにはいかないかと思うところもあります。
 一種免許を出す場合はもう、特にそれぞれの実験でもやりますし、江崎委員が言われたように中学校、高校の実験そのものをやるわけではないんですけど、ただ学校によっては学校の方針として中高の実験をするに当たってベースになるための実験をやっているところもあるし、もう全然専門的過ぎて、すごくコアな専門の部分だけをやって、この物理学実験に読み替えているケースも実際ありますので、そこは現状でも今、問題がありますので、この枠であっても問題があるところなので、それは何とも言えませんけど、枠組みとしてそのどれかだけでいいと言ったときに絶対、物理、化学、生物、地学の実験をしなければならない中学校で安全面等を担保できるかというのは怖いんですが。
 ただ、現場に行ってからそこはするから、もう1個だけやっとけばいいよということがあるならば、それこそ江崎委員に聞きたいんですけど、もうそれでいいよということであるならばとは思うんですけど、実験は事故が怖いので、どうしても本当に安全面的なことに関しての基礎的なことも幾つかそれぞれ物理の実験での安全面、化学での安全面、生物での野外実習とかでの気をつけるべきこととかも違ってくるので、自分自身がそれを経験、路頭に行って観察するだとか、そういう最低限のことを専門であってもしているかどうかで、当たり前に身についている部分が表立って見えなくても、ある部分ではあるので、少しそこだけが気に留めていただきたい部分です。
 すいません。しつこくて申し訳ありません。

【森田主査】  ありがとうございました。江崎委員、お願いいたします。

【江崎委員】  甲斐委員の心配されるところは全くごもっともで、例えば物理の非常に専門的な実験をやったから中学、高校の物理学系の実験がオーケーというわけじゃない。新規採用で現場に来られた先生「漏斗」を見たことない先生はたくさんいます。また、解剖をやったこと先生とか、いろいろいます。
 ですから実験の安全のところも含めたときに学校現場から新規採用の先生に対して理科の実験が最初から上手にできることはあまり期待していないだろうと思います。むしろ現場に入って実験の準備をしながら初任者研修とか2年、3年以上の研修の中で実験の操作をしていき、先輩の先生から教えてもらって、ある面、徒弟制度みたいですね。そのようにやっていくことが多いので、もう採用の段階で全ての実験がオールマイティーということはもう誰も期待してないというか、本人も期待されては困るのではと思っています。
 ですからそういう点でいったときに、実験に関する感覚というのですか、探究的な学習を進めていく点ではどう実験を進めていくのか、その感覚的なところが分かっていてほしいと思います。高度な実験であろうと簡易な実験であろうと、課題の設定からずっと探究的な流れに沿って進めていく、その一連の流れを理解してもらうほうがはるかに重要なのかという感じはいたします。

【森田主査】  江崎先生、ありがとうございました。甲斐委員からも今後のワーキングの議論につながるような御意見、頂戴したかと思っております。
 それでは、今回はいろいろな課題を洗い出すという意味で、いろいろと御意見を頂戴できましたので、本日の議論を今後事務局でまとめ、第2回のワーキングに向けての論点整理をいただいて、第2回のところでまた深めていければと思っております。この議題の2につきまして、何か事務局から補足等ございますでしょうか。樫原室長、お願いします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  委員の皆さん、どうもありがとうございました。ただ最後の議論につきましては科目として設ける話と、その科目区分としてどう分けるかという話と、内容としてどこまでカバーをするのかという話が多分複雑に絡み合っている部分もございますので、森田先生がおっしゃっていただいたように次回のワーキングに向けて我々としても少し分かりやすく整理をしたものをお見せできればいいと考えております。どうもありがとうございました。

【森田主査】  ありがとうございました。科目区分の在り方について、特にこのワーキングでは議論していくことは、繰り返し発言させていただいたところですけれども、実際にどういう科目が置かれるかというところと区別しながら議論を進める必要があるという課題は確かにあるかと拝聴いたしました。ありがとうございました。それでは、今回は先生方から多くのご意見を頂戴できましたので、この議事の2につきまして本日の審議はこれまでとさせていただきたいと思います。
 それでは、今後のワーキングのスケジュールにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  それでは、今後のスケジュールにつきまして、資料6を御覧いただければと思います。今後6月から7月にかけまして、第2回、第3回のワーキンググループを開催予定でございます。第3回でございますが、教科専門科目の改正の案を取りまとめていただきたいと思っております。各ワーキンググループで審議いただいた案につきましては、その後、親会議である検討委員会に報告することとしております。
 ワーキンググループの次回の日程でございますが、資料の真ん中にございますとおり、6月のみ決定しております。理科については6月26日を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。7月につきましては、未定でございますので、決まり次第、改めて御連絡をいたしたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【森田主査】  ありがとうございました。それでは、本日予定していた議事は全て終了いたしましたので、これをもちまして理科のワーキンググループを閉会とさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
 
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