中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教科に関する専門的事項に関する検討委員会家庭ワーキンググループ(第2回)議事録

1.日時

令和5年6月20日(火曜日)13時30分~15時30分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 教科に関する専門的事項に関する検討について(家庭)
  2. その他

4.議事録

【岡本主査】  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教科に関する専門的事項に関するワーキンググループ(家庭)第2回を開催させていただきます。  本日もオンラインでの開催です。
 それでは、事務局から会議の開催方式と資料について説明をお願いいたします。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  事務局から説明させていただきます。
 まず、会議の進め方について確認させていただきます。本日はオンラインでの開催となっていますので、インターネットでも聞き取りやすいように、はっきり御発言いただくことなどの御配慮をいただくこと、御発言の際はお名前をおっしゃっていただくこと、発言時以外はマイクをオフ(ミュート)にしていただくこと、御発言に当たっては「手を挙げる」のボタンを押していただくことに御協力いただきますようお願いいたします。
 また、資料についてでございますが、資料1から3につきましては順番に1つのファイルにまとめてございます。参考資料につきましては、1から6ごとにファイルがございます。
 事務局からは以上でございます。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 それでは、早速ですけれども、議事に入らせていただきます。
 本日の議事は、次第にあるとおりですが、まずは議事1、家庭科の教科に関する専門的事項に関する検討についてでございます。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  皆様、本日もよろしくお願いいたします。教員免許・研修企画室長、樫原です。
 まず、資料1を御覧ください。資料1は、教科専門科目に関するワーキンググループ(家庭)第1回の主な御意見です。
 まず総論の部分がございまして、その次に学習指導要領との関係がございます。その次に家庭経営学、それから被服、栄養、保育、家庭電気・家庭機械・情報処理、そして全体的な記述の方法についてということで、御意見を整理させていただいております。
 これを踏まえまして、資料2としまして、科目区分に関する論点をお示ししております。
 まず、科目区分に関する論点(家庭)の1つ目は、基本的な考え方です。これまでの繰り返しになりますが、教科に関する専門的事項に関する科目の単位の修得方法は、科目区分につき、それぞれ一単位以上修得するものとするということになっています。免許法別表第三、免許法別表第四による取得の場合も同じということで、例えば二種免許状を持っている人が一種免許状を取る場合の考え方ですとか、例えば同じ中学校でも、数学や理科の免許を持っている先生が家庭科の免許を取る場合などの考え方、この場合も同じように教科に関する専門的事項の履修が必要になっております。
 続きまして、教科に関する専門的事項は、一般的包括的な内容を含むものでなければならないということです。この一般的包括的という概念が少し分かりにくいと思いますが、例えば源氏物語の授業をしただけで国語の文学の部分を満たすだとか、例えばフランスの歴史をやっただけで外国史を修得したとか、そういうことにはならなくて、あくまでも記載されている分野の概論的な部分がカバーされていないといけないということをお示ししております。
 続きまして、免許法別表第八の規定により、中学「家庭」の免許を保有する者は、一定の勤務経験に加え、追加で単位を修得することにより、高校「家庭」の免許の取得が可能となっております。この場合、追加で、「住居学(製図を含む。)」、「保育学(実習及び家庭看護を含む。)」、「家庭電気・家庭機械・情報処理」について、それぞれ一単位以上を修得する必要があるとされております。
 この理由としては、中学校の4番を見ると「住居学」となっておりますが、高校のほうは「住居学(製図を含む。)」ということで、この「製図を含む。」の部分を履修しなければならないということです。それから、中学の保育学は「(実習を含む。)」ですが、「保育学(実習及び家庭看護を含む。)」と高校のほうでは家庭看護の再度修得が必要です。それから「家庭電気・家庭機械・情報処理」については、これは中学校にはない科目ですので、高校を取る場合には改めて修得する必要があるということになっております。
 一方で、高校の免許を持っている人が中学校の免許を取る場合については、必要な単位を取らなければならないということはありますが、少なくとも教科専門の内容に関して何か制約があるということはございません。
 続きまして、これは経過措置の考え方ですけれども、科目区分の変更により、現行の科目区分から内容が統合又は削減される場合は、改正による経過措置は基本的に不要であると考えております。ただし、増える場合においては、施行されるまでに一定の周知及び大学の準備期間が必要である、つまり、例えば新しい基準をやりますとなると、各大学はその内容に見合うように指導内容を変更する必要があります。そして、そのための手続がございますので、こうした観点から、一定の周知及び準備期間が必要であるとともに、現在、現行の科目区分の教職課程を履修している学生がいることから、令和◯年度入学者からの適用となるということで、例えば令和7年度から新基準にしますよということになったときに、令和5年度に入学していた学生について、もう1回、旧基準で取っていたものを新基準で新たに取り直す必要があるのかという問題が発生しますので、こういった場合に、中身が増える場合については令和◯年度入学者からの適用となると記載する必要があると考えております。
 続きまして、科目区分の見直しに関する論点でございます。
 まず1点目は、現在の6つの科目区分の取扱いでございます。このうち、「家庭電気・家庭機械・情報処理」については削除し、5つの科目区分に再編するのはどうかということです。
 この点につきましては、前回の会議においても、資料1にも書いてありますように、基本的には、中学では削除されたけれども、高校は残っていて、大学としてこの区分の内容をどう教えるかの難しさがあるということや、こういった部分についてはほかの部分に溶け込ませるほうが実質的な学びにつながると考えるという御意見もいただいたものですから、ここの部分については削除し、柱は5本で行うのはどうかということを考えております。
 続きまして、各科目の内容ですが、まず被服学ですが、「被服学(被服製作実習を含む。)」の「被服製作実習を含む。」について、必要があるかというところです。仮に実習が必要だといった場合に、どの程度の実習まで必要になるのか。そして、その程度の実習が必要になったときに、果たして「被服製作実習」という名称にする必要があるのかという点も含めて、御検討いただく必要があるのではないかと思います。
 続きまして、食物学ですが、「食物学(栄養学、食品学及び調理実習を含む。)」について、「調理実習を含む。」について、そもそも必要か否かというところが論点になると考えております。
 続きまして、住居学ですが、これは高校についてだけある「製図を含む。」について、本当に必要があるのかという論点がございます。
 最後、保育学の部分ですが、中学校は「保育学(実習を含む。)」、高校は「保育学(実習及び家庭看護を含む。)」について、この「家庭看護を含む。」の表現は、今、保育学の中に括弧書きで書いておりますが、これを保育学の一部として記述しているように見られるけれども、このことについてどう考えるかということです。一方で、「実習を含む。」の部分について、こちらも必要があるか否かというところが論点になろうかと思います。
 資料の説明は以上となります。

【岡本主査】  樫原室長、ありがとうございました。
 それでは、事務局から御説明いただきました論点を基に、これより御意見をいただきたいと思います。
 1番目は基本的な考え方、2番目は科目区分の見直しに関する論点ということです。いかがでしょうか。
 鈴木佳子委員、いかがですか。

【鈴木(佳)主査代理】  ありがとうございます。鈴木です。まず、これはあれですか、基本的な考え方みたいなところも申し上げるということなんでしょうか。これは科目区分の見直しに関する論点についてということでよろしいんでしょうか。

【樫原教員免許・研修企画室長】  この基本的な考え方というのは、まさに今回の実際の各論、つまり、2ポツを考える上での所与条件みたいなものですので、1は、どちらかというと論点ではなくて、論点を議論する上での前提になります。

【鈴木(佳)主査代理】  分かりました。ありがとうございます。
 そうすると、例えばですけれども、基本的な考え方の3つ目の丸に、中学校家庭科教員が高校家庭科免許を取るときに、今だとこういうふうに、それぞれ一単位以上習得する必要があるけれども、今後、見直しによって、例えば「住居学(製図を含む。)」の「製図」というのが取れたとすれば、今後、中学の先生が高校の免許を取ろうというときには、もうそこは履修しなくていいという、そういうことのためにこの基本的な考え方があるという理解でよろしいですか。

【樫原教員免許・研修企画室長】  御指摘のとおりです。規定が別のところにありますので、本体のほうを改正したときには、連動して別表第八の部分も改正する必要がありますし、先ほど申し上げた、別表第八に何を書くかという考え方は、中と高で何が足りて足らざるかの関係を基に書いていく必要があるということです。

【鈴木(佳)主査代理】  よく分かりました。ありがとうございました。
 そうすると、大きな方向として、「2.科目区分の見直しに関する論点」の最初のポツのところで、高校の6つの科目区分のうち、「家庭電気・家庭機械・情報処理」を削除し、そして中・高ともに5つの区分にするというのは、前回、そういうお話があったかと思いますし、免許の取りやすさみたいなことも考えると、そういう方向でよろしいのではないかと思います。
 また、私は、学習指導要領との関連というのはすごく大きな見直しの要素になっているのかなと思いますので、現在の学習指導要領の、内容を踏まえれば、家庭電気とか家庭機械のところは特に、あえて取り出してまで学ぶ必要はないのではないかなということから、大きな方向として、この5つでいいのかなと思います。
 そしてもう一つ、中・高一緒に課程として設置している大学が多いみたいなので、基本的には、今ちょっと違っちゃっている部分というのが一緒になったほうが、免許の取りやすさというところから考えれば、よろしいのではないかなと思うんですけれども、そう考えたときに、学習指導要領でどのように扱われているかということを、やっぱりもう一度改めて見る必要があるのかなと思います。私も実は義務教育に専門で関わってきたものですから、高校での教育課程の組み方というのはあまりよく承知していなかった部分があるんですが、高校では、いわゆる普通科と言われるような科ですよね、そういう学科で共通する教科としての家庭科というのと、家政科みたいな、専門学科として開設される場合の家庭科で、内容が異なっているという現状がございますよね。
 その辺で、今申し上げた高校の普通科というところで扱われる家庭科ということを考えれば、中学校と、ある程度同じようなというか、例えば製図とかも扱っていないのかなと思うんですけれども、専門学科というところまで視点を当てると、どういうふうにそこを考えるかによって、「製図を含む。」とか「被服製作実習を含む。」というところの考え方が違ってくるのではないのかなと思うところがあります。
 なので、学習指導要領の関連で、高校で学科によって学ぶ家庭科が違うというところをどの程度まで考慮するかとか、そういうところが考える視点として必要なのかなというふうに、改めて自分も勉強して、思いました。
 もう一つなんですけれども、「実習を含む。」というふうにあるということは、やはり実習を通して、技能的な部分で、身につけるというんですか、習熟を図らなくてはいけないようなことがあるから、わざわざ「実習を含む。」と書いているのかなと思うと、その実習の中で身につけるべき技能とは何なのかみたいなところがあって、それを考えたときに、この「実習を含む。」を残すか残さないかというところも見えてくる部分があるのかなというふうに、大きく3点、考えました。よろしくお願いいたします。

【岡本主査】  鈴木明子委員、よろしくお願いいたします。

【鈴木(明)委員】  お世話になっております。鈴木佳子主査代理の御意見を伺いまして、同意させていただけるところと、ちょっとまた、前回の委員会での、先ほど説明いただきました総論とか学習指導要領との関係について、私自身も様々な専門の方の御意見も伺いながら再考したところです。それについて意見を述べさせていただきます。
 まず、高校の6つの科目区分を5つにする、その際に「家庭電気・家庭機械・情報処理」を削除、これについては前回から皆さんも恐らく合意しているように、これは削除でいいと思います。しかしながら、残りの5つの枠組みを、5つにするということは前回委員会での御説明で承知しておりますが、この5つの枠組みがこのままでいいのかどうかという点。
 その背景として、⑤の保育学というこの枠組みが、学習指導要領の枠組みでいうとAということになるのですけれども、家庭科で扱う「ひと・もの・こと」という、その枠組みで考えると、今、「ひと」を対象にする家庭科として、子供だけではない、生涯発達を捉えて、高齢期の学習も非常に重要になってきているということを考えると、ここで保育学だけを特出しすることはどうなのだろうかということが、一つ課題としてあるかと思います。
 そう考えたときに、①の家庭経営学の中に、家族関係学と家庭経済学、この2つが入っているということも、前回の議事録にもございましたけれども、括弧の前にある家庭経営学も、括弧の中の家族関係学、家庭経済学、この3つともに、それぞれベースになる専門性が違う、異なるということも考えると、ただ、5つの枠しかないということも考えると、先ほどの保育学の特出しのことと絡めて、家族関係学というのを特出ししてはどうか。そうすると、家庭経営学の中に家庭経済学のみが残るということ。
 この2つも違うといえば違うのですけれども、「ひと」に関わる家族関係学、最も保育学と、合体というか、絡めて、もう一枠つくるのにはふさわしいんじゃないかなということを一つ考えております。
 ですので、5枠、5区分、5つの科目区分というところは、当然というか前提としてあるのですが、保育学を削除、そして家族関係学を科目区分として出し、括弧の中に保育学、あるいは保育学(実習を含む。)というようなことを入れていく。これは保育学という科目区分が非常に弱くなるというような御意見もありますので、例えば家族関係学かつ保育学というような区分にするということもありかなとは思います。
 先ほど言いました高齢期に関わる言葉、関わる表記をどうしていくかということ、今、新しく家族関係学、保育学として出した、そこに一つ、高齢期に関わる内容を含めていくのか、生涯発達というような表記をそこに含めていくというような、そういうことも一つ、案としてあるかなと思います。
 ですので、5つの科目区分を再考するというところを、提案といいますか、案として提示させていただきたいと思います。
 それから、鈴木佳子先生から、その下の黒ポツについてもいろいろと御意見いただいたところなんですけれども、まず表記の問題として、1つ目のポツの中だけで申し上げると、マル1の家庭経営学の「家庭」という表記を、今、家政学会の中では「生活経営」という表記をしていますので、「生活」に変えられないだろうかという意見も見られます。生活経営学。家庭経済のほうはそのまま家庭経済でもいいかなと思います。
 それから、もう一つ、これは表記の問題になるのですが、非常に大事なことだと私自身は考えております。まとめていただいた資料1の総論の2つ目の白丸に、家庭科の背景学問として家政学があるということで、そこでは生活を総合的に捉えることが課題となっているのですが、今の科目区分の名称に全て「学」がついている。これは、家政学の中の内容の縦割りを非常に強調した表記になっているかなと思います。この「学」というのを削除したらどうかなという意見もあります。
 ですので、先ほどの①ですと「生活経営(家庭経済も含む。)」、②は「被服(被服製作実習を含む。)」で、食物、住居と……、ごめんなさい、2つ目に新しいところとして「家族関係」という、そういう表記はどうだろうかということを一つ提案させていただきたいと思います。
 ごめんなさい、長くなって。もう一つだけ。③の食物学なんですけれども、現在、括弧の中が「栄養学、食品学及び調理実習を含む。」となっているんですが、被服学との整合性がちょっとない。これはこれまでのいろいろな経緯の中でこうなっていると思うのですけれども、食物学とした場合も、その中に栄養学、食品学というものを含むということは必然で、総論として食物学というものがあるということですので、「調理実習を含む。」だけでいいのではないかと。そこの表記も下で問題にはなっているんですが、そういう意見もあります。
 先ほど佳子先生から、高校との絡みでしたか、「実習を含む。」、「被服製作実習を含む。」という表現について、技能的なものを習得するためにこれがあるとすればというような御意見があったのですけれども、もちろんそれも指導する教員として必要だとは思うのですが、家庭科の中でこの実習というのは、それは技能習得のためばかりではなく、やはり認識的な内容を総合的に実習というものを通して学んでいく、それを家庭科の中で実際にそういう指導方法をとるわけですから、やはり教える教員としては、個別の技能習得も大事なんですけれども、実習として総合的な当該の内容を習得するという、その場というのは非常に大事かと思いますので、衣食住ともに、単に「実習を含む。」だけではなくて、「被服製作実習を含む。」、「調理実習を含む。」、「製図を含む。」という表記が必要かなと考えております。
 被服じゃないといけないのかというところの、先ほどの意味なんですけれども、確かに中学校では、いわゆる着るものは作らなくなっていますけれども、やっぱり教員としてそこは必要かなと。単に「実習を含む。」としちゃうと、ちょっと不足かなと思います。かといって、じゃあ、被服に代わる何かそこに言葉を置く、あるいは製作実習だけにするとなると、内容が分からないので、小学校では「布を用いた製作」というような表記もしていますけれども、やはりここは「被服製作実習」でよいのではないかと考えております。
 「製図を含む。」についてもいろいろと課題があるところですけれども、全て衣食住ともに、先ほど佳子先生言われたように、専門科での指導も含む高校の免許ということになりますと、やはり基本的な実習は衣食住ともに含んでおくほうがいいのではないかと。そのために中学校と高校の免許が複雑になるということはあるんですけれども、実際、高校の先生方は、専門科に御勤務になった場合に、とても御自身が大学時代に習得した知識・技術だけでは対応できない大変な状況にもあり、御自身で勉強されている、あるいは調理などは調理師の方が実際にそこに入られるというようなことも聞いております。そのことがいいのかどうかということもありますが、様々な対応をしていけるわけですけども、やっぱり高校の教員としては、実習というものを括弧の中で含んでおくほうがいいのかなと思います。
 取りあえず以上です。長くなりました。よろしくお願いいたします。

【岡本主査】  鈴木明子委員、どうもありがとうございました。
 ただいま鈴木佳子委員、鈴木明子委員から、お二人のお考え、背景に基づいて御意見を頂戴したところでございます。
 高校の6つの科目区分のうちの家庭電気・家庭機械・情報処理は科目区分から削除して、内容については、それ以外の科目区分に溶け込ませていくという考え方でいいのではないかという御意見いただいたと捉えさせていただきますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 中学・高校とも、科目区分が5つになりました。次に、各科目区分のありよう、構成について御審議いただけたらと思います。
 先ほど鈴木明子委員から、5つの科目区分の再考についてご意見をいただきましたが、鈴木佳子委員、いかがですか。

【鈴木(佳)主査代理】  ありがとうございます。鈴木です。前回のときも、私、家庭経営学の中に、学習指導要領でいくとAとCの内容が入っていて、それはくくりとしてどうなのかみたいなお話を申し上げたかなというふうに自分の記憶としてあります。
 実は私も、ちょっと話が飛んじゃうかもしれないんですけど、「家庭看護を含む。」というのが保育学の中ではなくて、家族みたいになっていて「家庭看護を含む。」ということであればいいのかなと思ったんですが、保育学の中に「家庭看護を含む。」ってあると、この後の話として、じゃあ、家庭看護はわざわざ特出ししなくてもいいのではないかなというふうに思っていて、もしこの後、発言の機会があったら、そのようなことを申し上げようと思っていました。
 この①から⑤を再構築というようなところまで、私、大学で専門的に勉強しているわけではないので、ちょっとよく分からなかったので、その辺のことは申し上げなかったんですけれども、考え方としては、もしそういうことが可能であるのであれば、家族関係、「学」がつくかどうかはあれですけれども、そこは出して、いわゆる家族というような視点で、その中に、子供ですよね、乳幼児と、それから高齢者というような勉強が入るという、そういう考え方については、基本的に私は、もしそういうことが可能であれば、そういう方向で検討するのでもいいのではないかなと思っています。
 このことについては、これで大丈夫ですか。お願いします。


【岡本主査】  ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。

【樫原教員免許・研修企画室長】  事務局でございます。今、扱いを順番に考える必要がありますが、まずは、家庭経営学、家族関係学、家族経済学と保育の扱いをどうするのかという問題かと思います。
 御指摘いただいたように、今の指導要領だと中学校はA、B、C分類になっていますが、確かにAの分野とCの分野が一つのものになっていて、Bのものが3つに分かれていてという、指導要領との整理学でいうと、確かにちょっと一致はしていないという印象があります。
 一方で、教職課程のまさに教科専門的事項というのは、ある程度、学位プログラムによるものでありますので、必ずしも指導要領と完全に一致している、特に分類方法が必ずしも一致している必要はないと思っております。
 その上で考えなければならないのは、もし家族経営学とかこの部分を再編する場合、大学がどういう対応をされるのかなというのが正直一番気になるところでして、といいますのは、今まで家族経営学を見ていた先生が、同じ先生が家族関係学を教えていたにもかかわらず、今度、家族経営学は別の先生になって、保育学の先生と一緒になりますとかいうことになったときに、大学側が対応し切れるのかなというのが疑問なところではあります。
 これはむしろ、大学の開設とか、あとは科目の組替えになると、課程認定上の問題とかも発生し得るので、現場で実際に、特に大学においてどのような対応をされるのかというのは、事務局としてはお話を伺いたいと思っております。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 鈴木明子委員、大学の立場からお願いいたします。

【鈴木(明)委員】  ありがとうございます。私も国立大学に限って、法人大学に限って、全国の調査をさせていただいたことがあるのですけれども、そういう中で、各大学、担当者が非常に減っておりまして、非常勤の客員の先生方にも頼りながら対応しているという部分も大きいかと思うのですが、ただ、保育学を担当される先生が、今、その授業の中でどのような内容を扱っているのか。当然そこには家族、家族関係というのは、なくてはならない内容かなと思っています。
 先ほども申しましたけれども、やはり家庭経営あるいは生活経営と家庭経済というところは恐らく、これも別々の方がされているかもしれませんが、多くはお一人の方がされている、あるいは客員の方にお願いしているというような状況もある。これが家族関係も含んで一枠になると、これが全ての総論ということになって、逆に非常にやりにくい形が起こっているのではないかなと。やりにくいというのは、例えば経営学とか経済学を専門にされる先生が、家族関係の図の中に入れてやっていらっしゃるというようなところも見受けられるのかなと思います。
 先ほど言いましたように、「ひと」に関わる内容であるAの部分を、再構築する中で、別枠にしていくという方向は必要じゃないかなと考えています。大学の現状を考えても、それは対応していくべきだと思います。

【岡本主査】  ありがとうございます。「対応すべき」という観点と、「対応できるでしょうか」、という観点がありますが、現状として、いかがでしょうか。

【鈴木(明)委員】  私自身がその専門じゃないので何ともあれですけれども、対応していくべきと私は思っております。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか、事務局から何かアドバイスとか御意見とかはございますでしょうか。

【樫原教員免許・研修企画室長】  この点については、岡本主査からも、まさに大学側の立場から、お話を伺えればありがたいと思っております。

【岡本主査】  私自身は、教員養成課程の所属ではなかったのですが、以前、家庭経営学領域は、本学の専任が担当し、家庭経済はスポット講師をお願いしていると聞いたことがございます。非常勤も加えながら、専任が対応しています。家族関係学を切り離したら大学の対応が難しくなるかということに関して、お詳しい方いらっしゃいませんか。
 本学の対応としては、現状はできているということ、たとえ変わったとしても、大きな困りごとにはならないのではと考えております。

【樫原教員免許・研修企画室長】  ありがとうございます。今の話を事務局なりに整理をすると、家族経営とか家庭経済の経済学的な部分は、誰かを呼んできてやっている場合があると。そうしたときに、もしそこを家庭の部分と人間的なもので分けるとなると、鈴木先生からの御提案からすると、保育学のほうに家族関係が入るという整理なのですか。そうしたときに、保育学の先生が家庭関係学を教えられるかというところに話は尽きそうかなという印象がございます。

【岡本主査】  ありがとうございます。本学の場合は、保育学専門の方が専任でおられ、その方が家族関係学も担当しています。広島大学はいかがですか。

【鈴木(明)委員】  私どもの場合は、一応、現在の現行の区分で、それぞれ最低2単位の概論的な科目を置いております。ですので、現在の「家庭経営学(家族関係学及び家庭経済学を含む。)」、この全ての内容を2単位物の1つの授業の中で、時間を分けるなりして担当していただいている。
 ただ、別に保育学の担当者がいるのですけれども、保育学の担当者は専任です。残念ながら、先ほどの経営学は客員でお願いして、3つの内容をやっていただいている。
 ただ、保育学の専任の教員は、先ほどもちょっと言いましたけれども、やはり子育て、それから今、表記のない高齢期の様々な問題、それらも含めて、生涯発達的な捉えの中で、保育実習も含んで、保育学を位置づけている、そういう状況です。
 そういう担当者の、一つ考え方で、新しい授業をつくっていく必要もあるし、そうなればいいなと思っているところです。

【岡本主査】  ありがとうございます。鈴木明子委員、先ほど樫原室長から、学習指導要領の分類方法と一致する必要が必ずしもないというような御発言がございましたけど、これに関しまして、いかがですか。

【鈴木(明)委員】  私も完璧に一致する必要はないと思っています。それは、今回、A、B、Cの内容に小・中・高ともにきれいに整理されましたけれども、Cの「消費・環境」の「環境」というところ、「消費」も含めてですけれども、これが先ほどの家庭電気・家庭機械・情報処理のように、Bの内容の中に溶け込ませていってもいい部分があると思っています。ただ、やっぱり「消費・環境」の「消費」の中の契約とか経済に関わる部分というのは、一つ、枠として必要かなと。
 そう考えたときに、粗々、Aが家族関係、保育、高齢期に関わるもの、そしてBは、3つになりますけれども衣食住で、Cが家庭経営、経済というような、A、B、Cをそんなふうに当てはめていくのも、家庭科としては無理があるかなと。やっぱり家庭科って他教科と違って、学習内容を包括的に捉えていくというのが一つ、教科の特徴としてありますので、分断的にだけ捉えていくのでは、科目区分の見直しをするときに、ちょっと家庭科としてどうかなと思います。
 ただ、やっぱりそれぞれの学問の専門性、学の専門性というものは残しつつ、現在の学習指導要領に沿っていくというところで、先ほどのような御提案をしたところです。「ひと・こと・もの」というものです。Aが「ひと」、Bが「もの」、Cが「こと」、そういう対応にはなっているのかなと思います。
 お答えになっていますでしょうか。

【岡本主査】  ありがとうございます。今は中学校の学習指導要領のA、B、Cでお話しいただいたと思うんですけども、高校でも同じように家庭経営学、括弧の中が「家族関係学及び家庭経済学を含む。」となってございますが、高校の場合も、中学校と同じような観点でよろしいですか。

【鈴木(明)委員】  続けて失礼します。高校も、先ほど佳子委員がおっしゃったように、普通科といいますか、共通科目と言われますけれども、普通教科としての家庭としては、小・中の義務教と同じ枠組みで、もちろん発達段階に応じて展開されるわけですので、いいと思います。
 ただ、専門教科としての家庭、20科目ございますけれども、それに対応するということも高校の家庭科の免許には必要になってくるわけですよね。だから、そこをどうするかというところが課題なんだろうと思いますが、いろいろな課題を総合しますと、中・高の枠組みというのはほぼ一緒で、その表記もほぼ一緒にしておくということが私は必要かなと。だけど、住居に関しては、「製図を含む。」、これがちょっと私自身も悩んでいるところなんですけれども、専門科目20項目の中に、住居関係の、住居デザインでしたか、というような科目が入って、その中に製図がある、製図が求められているというところで、やはりここに入れておく必要はあるのではないかなと思っていますが、被服の実習や調理実習とはちょっと異なる感じもしますので、さっき言いました、内容を統合的に学んでいく、その課程を教師としてしっかりと身につけている、そこで言うと、製図はまたちょっと違うのかなという感じもしております。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 一旦、整理をさせていただきますと、6つの領域を5つというところは合意ができました。その5つの科目区分の内容について、今、1番目の家庭経営学のところの家族関係学を特出ししては、というような話がございました。
 例えばそうした場合、大学が対応できるでしょうか、というご意見がございました。このことに関しては、この領域の専門家が本日の参加者にはいないので、適切な意見の集約が難しい状態でございます。
 ということで、本日は、「家族関係学」を特出しするという議論はペンディングにさせていただいてよろしいですか。科目区分の見直しに関する次の論点に進ませていただいて、時間がありましたら1番目の科目区分に戻ってくるという取り運びにさせていただければと思います。
 
【鈴木(明)委員】  ちょっと一言だけ。私の言葉が足らずにあれだったんですが、家族関係学を特出しする場合に、そこに保育学をどう入れていくかということも問題なんですけど、私が保育学を特出ししないほうがと言ったのは、高齢期の内容を新しい科目区分の見直しの中でどう扱っていくかというところに課題意識を持って、そのようなことを申しましたので、高齢期のことも一緒に課題としていただければと思います。

【岡本主査】  失礼いたしました。特出しにする場合は、幼児期だけに限らず高齢期の内容も考えていくということでございますね。
 それでは、「2.科目区分の見直しに関する論点」の黒ポツの2つ目の被服学に進めさせていただきたいと思います。
 現在、被服学については中学も高校も記述は一緒でございます。論点は実習が必要かどうかということ、それから、服を作ることをイメージさせるような「被服製作」という表現が必要でしょうかということについて、御意見頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。
 鈴木佳子委員、お願いしていいですか。

【鈴木(佳)主査代理】  鈴木です。私は多分、現場というか、教育委員会とか学校現場の代表というか、そういう立場で参加させていただいているので、そっちの立場からお話を申し上げたいと思うんですけれども、何度も申し上げているように、やはり被服製作をする機会が、今、少なくとも小中学校はないような状況になってしまっていて、昭和の終わり頃と全然違っている状況があります。現状は「被服製作実習を含む。」と書いてあるんですけれども、じゃあ、今、大学で学んできた人が被服製作実習に必要な技能がちゃんと身についているかどうかということを考えると、「ん?」と思うところもあったりはします。そうなっているのに、もしここでなくしてしまったら、もっとそういう傾向に拍車をかけるのかなというような、そういう懸念はあるのかなと思います。
 ただ、これは前からの話なんですけど、この専門的事項という位置づけが、その人の、ある意味、資質向上というか、家庭科の先生としての資質を高めるという意味で、具体的な指導法に関わるようなところは、家庭科指導法みたいなところで扱えばいいのではないかという話も出てきていたのかなと思うと、どっちのスタンスでお話し申し上げているのか自分自身もよく分からなくなってしまっているところがあるんですけれども、直接的に被服製作をしないというのが、先ほどの高校の専門学科において開設される家庭科以外ではほとんどされていないということを考えると、少なくとも被服製作実習はなくてもいいのではないのかなというような気がしています。
 ただ、じゃあ、製作実習、さっき、どういう言葉にするか分からないですけど、布を用いた何か身近な小物の製作みたいなことをするんだとすると、それは、もしかしたら専門的事項ではなくて、指導法の中で扱えばいいことなのかなと思うと、そうすると、この製作実習というのを残す必要があるのかなと思うところもあって、どこに一番力点を置くかという、できるだけ免許を取りやすくするみたいな、そういうところに力点を置くとすると、少なくとも中学校にとっては、被服製作実習までしなくてもいいのではないかなと思うところはあります。
 すみません、自分でもよくまとまらなくなっちゃったんですけど、よろしくお願いします。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 鈴木明子委員、いかがですか。

【鈴木(明)委員】  先ほどと重複するかもしれないのですけれども、本当に佳子委員の言われたこと、現場の状況とか、私もすごく感じるところです。
 ただ、被服という、被服学になるか、被服になるかという科目区分がある中で、やはり衣服や被服そのものや着ることということ、あるいは、それらをどう調達し管理していくかということを学んでいく、環境との相互作用とかを学んでいくということを考えると、やはり複雑な人体を覆う、その衣服がどういう構成になっているのか、それはもちろん理論上でも学べるんですけれども、やはり簡単なものでも作ってみるということは非常に重要だと私は思っています。
 今、小学校では、製作のところで袋を作るというのが、指定教材ではないけど多く行われているのですが、なぜ袋かというと、何か入れるものを作ることで、着衣する、衣服ではないんだけれども、中に入れるものの形とか大きさによって、どういうデザインというか、形だったり、物の素材だったりが必要かなという基本的なことを学ぶ。だから、単に平面的なフェルトで終わらず、立体的に何か物を包んだり入れたりするものを作るというのは、次の段階で、人体を覆う被服という、そこにつながっていったらなという思いもあるわけです。
 ただ、中学校ではそれも難しいという状況ももちろん承知しています。
 そういう中で、中・高の家庭科の教員になられる方々が、やはり1回は、簡単なものでもいいので、体を覆うものを作る経験をして、その中で、素材のこと、デザインとか、なぜその形になっているのかということを実際的に学ぶということは、私は大事かなと思います。
 それと、先ほども言いましたけれども、やはり高校の免許の中には、専門科で教えるという部分も入っているわけですので、中・高の免許は多くの大学が同時に出しているということであれば、なおさら、高校で必要な製作実習は必要かと思います。
 ですので、単なる製作実習ではなく、被服製作実習ということでいけたらいいなと思います。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。中学校では、平成元年以前は、被服実習ではなくて、衣服実習になっています。衣服と被服の違いですが、衣服は人が身にまとう服のことで、被服は身につけるもの全てを指すので、帽子やマフラーも被服です。私は、被服製作実習は、服を作ることだけと捉えなくてもいいと思うのですが、一般的には、被服製作というと服を作ると思われがちではないでしょうか。実習は必要だとしたら、「被服実習」というのはいかがかなと、個人的には考えております。
 「被服実習」には、先生の裁量によって、簡単な服作りまで入れてもいいでしょうし、時間のゆとりや、スキルの問題がある場合は、補修やメンテナンスを取り上げたり、リユースの分野を扱ってもいいのではないかと考えます。
 それと、高校の場合、普通教科としての家庭と、それから専門教科としての家庭についてですが、1回目のワーキングの際に、平成2年以降、「家庭基礎」を選ぶ高校が多くなっていることを踏まえますと、衣服を作るという意味の被服製作実習でなくてもいいのでは、とも考えます。
 本日の段階で、この被服学で「被服製作実習を含む。」という表現をそのまま残すのか、あるいは、実習はあったほうがいいけれども、表現方法を修正するのか、この辺りに論点を絞っていけたらなと思いますが、いかがですか。

【鈴木(明)委員】  それで結構かと思います。岡本先生、先ほど被服という言葉のほうがと言っていただいたんですけれども、被服実習、「製作」という言葉は除くということですか。

【岡本主査】  はい。なぜかと申しますと、被服実習ですと、メンテナンスも入ってくるんですね。汚れの落とし方とか、日常着にどういう素材を選べばメンテナンスがしやすいかというようなことも含まれます。アイロンがけも、実習に入ってきます。ですから、実習で扱う範疇が広がるという捉え方です。いかがでしょうか。

【鈴木(明)委員】  失礼しました。私は、食のほうが調理という言葉を当てているんですけれども、行為的な言葉が入るといいかなと思っていたので、被服製作実習がいいかなと思っていたんですけれども、確かに先生がおっしゃるように、製作だけではないということを伺うと、それもよい案だなと思いますが、何か行為に関わる言葉がそこに欲しいかなと。でも、ないですね。難しいですね。
 ありがとうございます。

【岡本主査】  御意見ありがとうございます。
 鈴木佳子委員、被服学に関して、いかがですか。

【鈴木(佳)主査代理】  ありがとうございます。私も、先ほど申し上げたように、今ちゃんと被服製作実習ってあるのに、全ての人にきちんと身につけられているのか、そこがちょっと首をかしげるところもあることを考えると、全くなくなってしまうと、ちょっと心配だなと懸念するというのが先ほど申し上げたかったことで、でも、一方で、やはり現状でなかなか被服製作はしていないということを考えると、何らかのここの表現が工夫できるといいのかなと思っていました。
 それで、一般的な高校でどんなことをやっているかと言ったときに、被服の計画・管理に必要な技能と書いてあって、そうすると、被服の有効な活用や補修、生活者として必要な技能を身につけるみたいなことが高校の指導要領で望まれていることだと考えると、今、岡本先生が言ってくださったように、そこに広く、製作だけじゃなくて、補修とか洗濯とか、そういうのも含めて、何か実習が入るといいのかなと思いました。製作にこだわらずに何か実習ができると、そのことがもしかしたら環境に配慮するとか、そういうことにもつながっていくかなと思ったので、基本的には、このままではなくて、何らかの形で見直すという方向で、なくすのではなくて、いい言葉があればという、そんなところです。よろしくお願いします。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 被服学に関しては、本日の時点では、やはり実習はあったほうがよい。ただし、「被服製作実習」という表記に関しては考えてみましょうということで、本日は、被服学に関しては、ひとまずここまでということでもよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 次に食物学へ進みたいと思います。
 こちらも中・高同じ表記でございます。先ほど鈴木明子委員からも調理実習について御発言をいただいておりますけれども、食物学、括弧の中に「栄養学、食品学及び調理実習を含む。」、この表記に関しては、このままでよろしいでしょうか。そもそも栄養学、食品学を含んで食物学だという御意見も頂戴したところですけれども、食物学の表記について、御意見いただければと思います。
 どうでしょうか、鈴木佳子委員。

【鈴木(佳)主査代理】  私はこういうことを専門的に学んでいるわけではないので、入れるのか入れないのかというのはちょっとよく分からないんですけど、ただ、一般的に、被服学のほうは「被服製作実習を含む。」とあって、食物学のほうは、調理実習、その前にいろいろ入っているのは何でなのかなと思うところはあります。
 食物学と言ったときに、そのことが栄養学とか食品学も含んでいるということであれば、先ほどと同じように、何らかの形で「実習を含む。」というのが残るだけでもいいのではないのかなと思います。
 ここは、でも、専門ではないのでちょっとよく分からないんですけど、ただ、一般的に、衣食住を一つのまとまりというふうに、学習指導要領でいくとBの仲間と考えると、ここだけをこういうふうに入れるのもどうなのかなと思うところはあります。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 鈴木明子委員、いかがでしょうか。

【鈴木(明)委員】  この部分については、本当にいろいろな経緯があって、今現在、この表記に至っていると思いますので、なかなか難しいのですが、被服との整合をとるという意味で、「調理実習を含む。」だけでもいいのかなと思います。
 ただ、食物学、食物が御専門の方からすると、栄養、食品、調理というこの3つの内容は、食物学の3本柱ですので、それが非常によく分かるという意味では、この表記はよかったかなと。過去形にしてしまった。よいのかなとは思いますけれども、どちらをとるか。
 ただ、先ほどちょっと申し上げたように、総論のところで、家政学の特徴、それを踏まえた家庭科という教科の特徴を考えたときに、栄養学、食品学という表記があると非常に分析的になって、先ほど源氏物語の話をいただきましたけれども、やはり部分的なところで終わってしまっているような、もちろんそれを踏まえてというところもあるのかもしれませんけれども、逆に家庭科という教科のありようを考えさせられる表記かなとも思います。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 食物学の括弧の中を、栄養学、食品学、調理実習を並べて現状のまま表記するか、もしくは表記の方法を変えましょうかということだと思います。食物学が専門でない立場から見ますと、表記されていたほうが、免許を取ろうとする学生にとって分かりやすいのではと思います。それと、衣食住の領域で、今、人間生活で重きが置かれているのは食領域かと思います。食の領域は、他の専門とバランスをとった表記である必要は必ずしもなくて良いと考えますが、いかがですか。

【鈴木(佳)主査代理】  前に頂いた資料で、家庭の科目区分の改正の変遷というのがあったかと思うんですけれども、昭和48年ぐらいを見ると、栄養学、食品学及び調理実習となっていて、被服学、衣料学及び衣服実習となっているんですが、それが平成元年の改正のときに、食物のほうは、食物学となって、「(栄養学、食品学及び調理実習)」という今の表記になって、被服学のほうは「被服学(被服製作実習を含む。)」となっているんですね。
 そう考えると、昭和の時代は同じような、栄養学、食品学、調理実習、被服学、衣料学、衣服実習となったのが、平成元年のときにそういう表現になったということは、多分このときに何らかの理由があったのではないのかなと思うんですね。
 なので、さっき、私が発言したことと逆になっちゃうんですけど、ぱっと見たときには、やっぱり衣食住なので、同じような形で被服学とか食物学となって、「実習を含む。」となっているほうが分かりやすいのかなと思って、先ほどはそういう発言をしたんですけど、一方で、こういう過去の変遷を見ると、何らかの理由があってこのときにこういうふうになったのかなと思うと、食物学と被服学のところの表記が違うというのも、あるのかなと、今、考えました。
 また、今、岡本先生がおっしゃったように、やっぱり家庭科も中学校の時数が大分少なくなっちゃったんですけど、その中で食物という内容に関わる勉強って、やっぱり時間的にもある程度多いのかなと思います。確かにそこは本当に健康とかというところと切っても切れないところもあるので、かなり重きが置かれているのかなというのは、学校現場の実情としてもあるのかなと、御意見をお聞きして、改めてそういうふうに思いました。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。鈴木明子委員、御発言はありますか。

【鈴木(明)委員】  今共有していただいている資料を拝見してみると、なるほどなと。食品学に対応して衣料学だったんだなというのが理解できました。要するに、材料的なところは衣料学ということで対応させていたのかなと。それがなぜ被服学だけになったのか。そこは、私もこの時代はまだ勤務していませんでしたので分かりませんが、本当に推察なんですけれども、やっぱり被服学として、昔は被服材料学、家政学会の部会でいいますと、被服を冠して、材料学、整理学、管理学、構成学、心理学、本当に様々部会があるのですが、そういう被服に関わる様々な学問的なアプローチを、一つ被服学として統合するということに重点が置かれたんじゃないかなというふうに、全く推測ですが、思います。
 材料学、材料に特化するのではなくて、やっぱり人が着る服、衣服、被服、それと環境との相互作用というようなところに、被服学として総合的にアプローチしようという。材料だけに特化している、特出ししているということの課題が一つあったのかなと思います。
 そう考えると、食のほうはどうなんだろうって。やっぱり栄養学と食品学は、さっきの被服学と衣料学との関係ではなさそうな感じもいたしますし、食物学の中に統合されるもの、統合といいますか、の中にある要素という感じがしますので、それが明記されていることの必然性というのをもう少し議論していただければなと思います。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 食物学でまとめ、内容が栄養学、食品学、調理実習であることの必然性についての御発言でした。室長、お願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  事務局でございます。まず、過去の経緯のお話からさせていただきます。
 過去の経緯ですが、昭和48年は、実は中学校と高校では、表記の方法が異なっております。
 実は「栄養学、食品学及び調理実習」となっているのが、これが中学校ですので、これは栄養学、食品学、調理実習、全てを修得してくださいという意味合いになっています。一方で、高校は、「食品学、栄養学」となっておりますので、食品学か栄養学か、どちらかを修得してくださいという意味になっていて、規定ぶりは違っております。それを、むしろ平成元年改訂のときに統合して共通化したというのが経緯ではないかと思われます。
 その上で、食品学と栄養学というのが学問体系としてどれぐらいの位置関係にあるのかというのが、鈴木明子先生のお話からもありましたけれども、参考資料1を御覧ください。これは科研費の審査の目ですので、大体学問体系を見るときにはこれを見るのが一番分かりやすいのではないか、一つ客観的なものとして捉えられると思いますが、食品科学は、中区分38番の38050の食品科学となっております。ですので、どちらかというと、学部でいうところの農学部とかの系統にあるものをではないかと思います。一方で、栄養については、中区分59の59040というところにありますので、こちらが栄養学および健康科学ということで、どちらかというと、医科学の系統にあるものなのかなと思っております。
 ですので、この医科学のほうの栄養学という観点と、農業科学という意味での食品科学というものを両方カバーしてくださいというのが、現在の考え方の表し方で、一言で申し上げると、岡本先生がおっしゃったように、分かりやすい表記になっているのと思います。現在の形が、むしろ食物学という中に栄養学のニュアンス、栄養学の要素も食品学の要素も両方含んでくださいということを示しているという意味で、ある種、分かりやすい表記方法になっているのではないかと思います。以上です。

【鈴木(明)委員】  確かに、今御説明いただいたこと、納得、理解できました。
 ただ、最初に言いましたように、家庭科の特徴として、生活を総合的に捉えるといったときに、食生活も、中学生・高校生が自分の食生活を総合的に捉えて課題を見つけていくということが必要になってきます。
 今、教員になる人の資質・能力を問うているんですけれども、やはり教員養成の中でも、分析的に食品学、農学ベースの食品学、生理学ベースの栄養学、それだけで終わってしまうと、教員として、部分は見えているけれども、食生活全体が見られないという、そういう教員が育たないでしょうかということが私としては懸念するところです。
 だから、もちろん学問ベースでそれらのことをしっかりと捉える、高校の専門科ではそれも必要だと思いますけれども、特に中・高の家庭科教育というところで捉えるならば、その表記をするのならば、もう少し総合的に捉える食生活というような、それは科研の枠にはないかと思うんですけれども……、あ、でも、栄養のところにくっついていましたかね。そういうところもあっていいのかなと。
 ごめんなさい、岡本先生の御意見に異を唱えるようなんですけど、分かりやすくはあるんですが、逆に、家政学の縦割りを強調してしまうような、そういう表記にも見えるかなと私は思っております。
 以上です。

【岡本主査】
 室長、お願いします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  事務局より補足をさせていただきます。まず、これ、教員養成の大原則に戻ってしまう話になりますが、日本の場合には、いわゆる師範学校制度をとっているわけではなくて、大学による養成ということが大原則、かつ、開放制であるということが大原則でありますので、ある意味、家庭科の教員を養成するための専門のプログラムというよりは、大学の学問体系を生かしながら家庭科の教員を育てていくということです。これは他の部会での議論にもなっていたんですけれど、同じような議論があったんですが、指導要領というか、その部分の、家庭科としての網羅性ということもさることながら、ある学問体系について、大学教育としてそれなりの深さをもって学ぶということが重要ではないかというのが、日本の免許制度の立てつけでございます。
 ですので、そういう意味で、カバーしているカバーしていないとかという話になって、例えば先ほどもちょっとお話があったかもしれませんけれども、ある部分を全部網羅しているのかどうかというところにこだわり過ぎてしまうと、多分、今の免許制度との立てつけがちょっとずれてしまう。具体的に申し上げますと、例えば社会科において、同じ系統のところで、例えば中学校の社会科で、「法律学、政治学」となっている部分があって、その下に「社会学、経済学」ということになっています。ですので、例えば本当に社会の先生を目指すならば、法律のことも少しは知って、政治のことも少しは知ってというふうにやるということが一つは考えられます。しかし、その考え方を基本的には採らずに、法律学なら法律学についてちゃんと深く学ぶ、政治学なら政治学について深く学ぶというところを大原則として、だけれども、そのどちらかでいいということの立てつけになっておりますので、指導要領というのは、ある種、可変なものであって、これは時代に応じて区分の方法というのも、変わっていったのに対して、大学の学問系統というのは、ある程度固定的に、当然学問の深化によって変わる部分はありますが、ある種、固定的になっていた部分もあります。したがって、どちらかというと、網羅的になっているからいいとか悪いとかという議論よりは、ある程度、学問体系に即して合致しているかどうかということです。先ほど話でいうと、食品科学だけをもって、深く学んで調理の部分を修めた人と、栄養学だけを深くやって修めた人の、実はどちらかの選択制でもいいという考え方も、先ほどの社会の例を申し上げればあります。しかし、今回の部分については、あくまで両方の視点を持った、かつ、調理実習までやった人にしたほうがいいということで、そういう意味ではどちらかというと網羅的な部分というものを、むしろ今のほうが重視しているのではないかという話になっています。
 学を取る、学を取らないという話も鈴木明子先生がおっしゃっていましたけれども、この話、実は技術のワーキングでも同じ話があります。技術は全く逆の議論があって、技術は、ほかの科目が「~学」と書いているのに、技術だけ「~学」と書いていないので、むしろ全部、学を入れられないかということをおっしゃった先生がいらっしゃいました。
 ただ、技術については、正直、学というには若干細かいようなものや、内容が合致しないものがあるので、そこは全部を「~学」とするのはなかなか難しいんじゃないですか、という議論が先週行われたばかりです。その点も踏まえて御検討いただく必要があるのかなと考えます。
 少なくとも、ある程度、「~学」というのは、まさに学問体系が、ある種、あるものに対して乗せているんだと。そこに指導要領との完全なる一致性というものは求めないですし、ある程度、大学教育の中で、いわゆる教員養成系ではなく、開放性というものが参画することを前提につくっている制度ですので、基本的に、学問、いわゆる学位プログラムにどこまでマッチするかというところも考える必要があると思っております。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 ただいまの室長のお話を伺いまして、食物学の表記は、中・高ともこのままでいかがでしょうかと、本日の段階では考えますが、いかがですか。

【鈴木(佳)主査代理】  さっきの室長さんのお話を伺うと、結局、被服のほうは、かぎ括弧になっていて、被服学か衣料学かどっちかを選べばいいといったときに、衣料学が消えたということは、じゃあ、被服学を取ったのかなと思って、被服学の中で、被服材料的なものも扱うというような、そういう整理になったのかなと、私はそういうふうに捉えました。逆に、食品学と栄養学は、ある程度、両方とも必要だから、そこは両方とも残そうというふうになって、栄養学、食品学となったのかなと思います。
 なので、そういう歴史的な流れを考えると、このままでいいのかなと思うし、逆に、もし被服学の中で、被服の手入れとか着方というのが大事になってくるんだとすると、衣料学みたいなほうも大事になってきて、もしかしたら衣料学を含むみたいなことを、逆にそっちを入れるほうが分かりやすいことなのかなというふうにちょっと思ってしまったところもあります。
 ただ、冒頭の話で、内容を増やすみたいなことはなかなか難しいということも理解しましたし、そもそもが免許の取得のしやすさみたいなところからもスタートしているんだとすると、このままの形でいいのではないのかなと思います。
 以上です。

【岡本主査】  鈴木佳子委員、ありがとうございました。
 鈴木明子委員、お願いします。

【鈴木(明)委員】  ペンディングにしていただいてもよろしいでしょうか。やはり学問体系が重要ということは私もとても理解していますし、多様性の中でやっていくという現状も非常に理解していますけれども、やはり家政学というものの特徴を考えたときに、先ほどの源氏物語の、それを例に出すといけませんね、生活を総合的に、包括的に捉えていくという、その学問がベースにあるのだというときに、食品学、栄養学をどこに位置づけるのかというところを私は重視していきたいなと思っていますので、でも、先生方のおっしゃることも理解できますので、ペンディングにしていただけたらなと私自身は思います。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 今日のワーキングは2回目ということで、まだ3回目の機会がございます。本日は、住居や保育まで検討を進めたいと思っておりますので、委員の意見が一致したということではございませんが、食物学については、ここで止めたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、住居学へ進ませていただきます。
 「住居学(製図を含む。)」という表記の高校に対して、中学では「(製図を含む)。」が消えています。前回、説明をいただいたところです。ここについて、高校の住居学、括弧の中、「製図を含む。」は必要でしょうかという点について、御意見いただけたらなと思います。いかがでしょうか。
 鈴木佳子委員、お願いします。

【鈴木(佳)主査代理】  まず、私は何度も言いますけど、本当に一般の学校現場の立場から申し上げるんですが、高校の、先ほどから話している専門的に家庭科を学ぶところだけが、しかも、その中で、住居というか、住生活のスタイルみたいなことを、専門的に学ぶというときに、多分、製図を扱っているのかなと思います。そうすると、指導内容の全部をやらなくてもいいというようなお話が今までもあったので、免許の取りやすさとか、それから今の実態を考えると、「製図を含む。」は要らないのではないのかなと、私は個人的には、今の段階では思っています。またぜひ御意見を教えていただければと思います。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 鈴木明子委員、いかがでしょうか。

【鈴木(明)委員】  今、ここの住生活デザインを見ております。私も、先ほど申しましたように、本当にこれは揺れるところでして、被服実習や調理実習とはちょっと違った意味合いを持っているなというところで、教員養成の中でこれを残すかどうかというところは本当に揺れるところです。今、佳子委員のお話を聞いていて、ないほうに傾いているところですけれども。
 先ほども言いましたけど、高校の専門科を担当する教員の資質としては、できるだけ衣食住、ほかの内容も含めて、深く学んでおくほうがいい、どこかそれが一部、網羅的でなくても、深く学んでおくほうがいいというところはあるのですけれども、どこまでいっても切りがないところもあり、さっきも言ったように、食デザイン科とかはプロの調理師さんを呼んできてやっている、福祉もそう、専門的なところはそうだということを考えると、この住居の製図もそういった位置づけていいのかなと思っているところです。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 室長、お願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  事務局でございます。実は製図の話というのは結構似たような話が技術のほうでもありまして、技術のほうでもあった議論を御紹介させていただきますと、技術の場合は、どちらかというとプロダクトデザインということで、物をつくるということがある程度重視されますが、何でそのうちの一工程である製図だけわざわざ取り上げなければならないんだということが技術のほうでもあって、技術で、本当に製図って少なくとも特記する必要はないのではないかという議論が技ございました。
 それからもう1点、高校の学習指導要領の取扱いについては、調査官のほうから補足して説明させていただきますので、よろしくお願いします。

【田邉調査官】  調査官の田邉です。よろしくお願いいたします。
 今室長からありました住生活デザイン、専門のほうの教科、科目なんでございますが、こちらの中に住空間の構成と計画というところがございまして、その中のエとしまして、住空間の平面計画実習というものが実はございます。解説の173ページ、もしお持ちでしたら御覧いただければと思うんですが、ここに出てくるところでは、平面表示記号を用いた平面図の作成ということでこちらが出てきております。今御覧いただいているところになるんですが、こちらのところの2行目に「平面表示記号を用いた平面図の作成を扱う」ということで書かれておりまして、製図というのが皆さんどういうイメージになっているとかというところがあれなんですが、製図の実習をやるというところまで言及しなくても、これはこの記号とレイアウト等の知識さえあればできるところではあるかなと思います。
 併せて、家庭総合のところでも少し計画のところは出てくるんですが、逆に、この住生活デザインのところがかなり深い内容になってくる中でも、そこまで製図が必要かどうかというところは、議論いただくべき内容かなと考えております。
 私からは以上です。よろしくお願いいたします。

【岡本主査】  調査官、ありがとうございました。
 ただいまの室長と調査官からの御発言を受けまして、住居学、括弧の中の「製図を含む。」というのは、今回、削除してもいいのではないかと思います。お二人とも、うなずいていらっしゃいますけど、それでよろしいでしょうか。
 そうしましたら、住居学は、私たちのワーキングでは「製図を含む。」を削除という方向で意見がまとまりました。
 あと20分弱になりましたが、保育学に移りたいと思います。
 現在、保育学は、中学と高校では括弧の中の表記が違います。
 一番最後の黒ポツの矢印のところで、高校の「家庭看護を含む。」を保育学の一部として記述することについてどうお考えでしょうか。論点の2つ目の矢印で、「実習を含む。」について、必要があるでしょうか、ということでございます。
 まず、中学校の保育学に「実習を含む。」がありますが、この「実習を含む。」は必要でしょうか、というところについて検討をお願いします。高校の保育学については、家庭看護の扱いが、先ほどの家庭経営学(家族関係学を含む)との関係で難しい部分がございます。保育学を切り出した場合に、中学校の「実習を含む。」は要らないのではないかということがまず1点、それと、高校保育学、括弧の中が「実習及び家庭看護を含む。」とございます。これについては、内容的には高校で「家庭看護を含む。」があっていいのではないかなという考えもございます。保育学の中学校での括弧の表記、高校の括弧の表記について御意見いただければと思います。
 鈴木佳子委員からお願いしていいですか。

【鈴木(佳)主査代理】  先ほどの改正の変遷を見ると、保育学の中は、今までずっと、逆に言ったら、「家庭看護を含む。」が中学校も入っていて、平成12年のときから「(実習を含む。)」となっているみたいなんですけれども、そもそも保育実習というのはどういうことを大学のほうでやられているのか。調理実習とか被服実習というのはイメージできて、その中で実習を通していろいろな技能を身につける部分も、それだけじゃないですけれども、あるかなと思うんですが、保育実習というのは、実際に幼稚園とか、そういうところに行って子供と遊ぶとか、そういうことが保育実習という理解でしょうか。
 これはどなたに御質問すればいいか分からないんですけど。

【岡本主査】  鈴木明子委員、お願いいたします。

【鈴木(明)委員】  また私どもの大学での扱いになるんですけれども、先ほど申しました保育学の担当者が、うちの場合は附属幼稚園に、授業内ではちょっと難しいので、授業内の一部の時間を切り取る形で、幼稚園との話合いの中で、学生を連れていって、一緒に遊んだり、生活を見ている、その時間をつくっています。多くの大学の今現在の保育学の担当者の方がそういう時間をつくっているのではないかなと推察いたしますが、いかがでしょうか。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 鈴木佳子委員、いかがでしょうか。

【鈴木(佳)主査代理】  そういうことであれば、多分今、実際の中学校でも保育実習とかいって幼稚園に行ったり保育園に行ったりしていることは多いので、そういうことが、これから指導する側として、やれればいいことにこしたことはないと思うんですけれども、少し軽くしていくというか、軽減をしていくということであるとすれば、絶対必要かっていうのが、どうなのかなと。例えばビデオを見るとか、そういうことでもいいし、というような気持ちもあって、今、はっきりどちらの意見って申し上げなくてすみません。よろしくお願いします。

【岡本主査】  ありがとうございます。

【鈴木(明)委員】  確かに佳子先生がおっしゃるように、あるにこしたことはないと思います。今の大学生、あるいはこれらが指導することになるであろう中・高生を考えたときに、人と、他者との関わりというところの体験・経験が本当に少なくなっている中で、短時間であっても、特に小さい子供と触れ合うということはあまりない中で、この経験は貴重かなと私は思っています。
 また、男子も学ぶようになって、家庭科教員を目指す男子も、少ないながら、若干ながら増えてきている中で、衣食住ではなく、人の関わりというところに関心を示す男子がとても多いと感じています。その体験があって教員にというところも感じていますので、すみません、岡本先生にまた異論をあれするみたいなんですが、私は必要だなと。
 でも、確かに負担のことを考えると、本当に若干の迷いはあります。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 室長、お願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  ここの部分、少し補足をさせていただきますと、調理実習や被服製作実習というのは、〇〇実習ということで、行為を書いてありますので、少なくともやることが決まっていますが、ここの実習は、単に実習とだけ書いてありますので、実習の内容には程度がございます。したがって、実習の方法まで規定していないので、実は必ずしも子供と触れ合うというところまで求めていないというところです。
 例えば典型的な例ですと、コロナ禍において、子供と実際に触れ合うような機会が難しいということであると、子供向けにやるような手遊びみたいなことをやるとか、多分そういうことで今まで実習として、各大学の創意工夫によって満たしていたのではないかということは考えられます。
 その中で、多分鈴木明子先生がおっしゃったように、確かに子供と触れ合う機会は大事という話がありますが、多分ここの「実習を含む。」という文言で、全員それが子供と触れ合うというところとイコールになっているかというと、実は必ずしもそうではない。調理の場合は調理と書いているので調理しなければならないんですけれども、保育の実習が必ずしも子供と触れ合うというところまでを求めるものではないという点は補足させていただきます。

【岡本主査】  ありがとうございました。

【鈴木(明)委員】  そうでしたね。自分で新しく見直した案の中は保育実習としてしまっていたので、もうすっかりそういうイメージで捉えていましたが、今は単なる実習ということなので、確かに。
 さっきの被服と同じで、自由度を設けていくほうがいいのかどうかというところで、また検討の余地があるのかなと思います。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 中学と高校の科目区分の表記について、必ずしも統一する必要はないと思いますが、いかがでしょうか。「実習を含む。」という表現、例えば中学校での括弧の中が「実習を含む。」という表記のままでいいでしょうか。それとも削除しますか、もしくは表現を変えましょうかなどについて、高校の表記も鑑みながら、御意見、お考えをいただければと思います。

【鈴木(佳)主査代理】  鈴木佳子です。もし「実習を含む。」がなくなっちゃうとすると、保育学というのはすごく座学的になってしまうということでしょうか。「実習を含む。」があると、例えばよく中学校でもやっているようなおもちゃづくりをするとか、先ほどちょっと言っていただいたように、絵本の読み聞かせみたいなことを学生同士でやるとか、そういうような体験的に子供を遊ばせるとか、そういうものを含みますというような意味になって、もしそれがなくなっちゃうとすると、そういうことは全然やらないという感じになっちゃうんでしょうか。
 だから、逆に言ったら、さっきの被服製作実習のところに、製作を取っても、被服実習となると、何となく被服に関わる手入れとか補修とかいろいろな実習なのかなというイメージはあるんですけど、「実習を含む。」だけだと、多分私が思ったように、イメージがあまりにも膨らむのかなと思うんです。逆に、ある程度、「実習を含む。」でうんと幅を広げて、体験的に学生さんが学ぶようなものをみんなオーケーなんですよということで、座学だけじゃなくて、実習を含んで、そんなに負担なく学ぶということであれば、「実習を含む。」があってもいいのかなと思うところありますけれども、でも、じゃあ絶対それが必要なのかとなると、うーんというところもあるので、やっぱり実習の中身をどう捉えるのかということによって、あるかないかというのが違ってくるのかなと思います。
 できれば、何度も言いますように、中・高の免許を取るのにあまり差がないような形になるといいのかなと思います。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 室長、お願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  今、御質問でいただいた件ですけれども、仮に実習という言葉がなくなって、それは実習をやるなということではなく、体験的な学びをするなということではなく、あくまでも、どのような内容や方法で行うじゃは、大学の創意工夫の話だということです。むしろ大学がちゃんと学問として提供して、それを学生に身につけさせるときに体験的なものが必要と考えれば、当然体験的なものをすればいいし、ある意味、そこは大学の裁量ということになろうかと思います。
 なので、その大学の裁量だというところを踏まえた上で、この部分は、どちらかというと、調理とか被服とかの話と違って、行為までは限定していないときに、改めてそこまで実習というものを設ける必要があるんでしょうかというところで御議論いただければよいのかなと思っております。

【鈴木(佳)主査代理】  分かりました。ありがとうございます。

【岡本主査】  鈴木佳子委員、よろしいですか。

【鈴木(佳)主査代理】  そういうことであれば、あえて「実習を含む。」って入れなくてもいいのかなというような気がいたしました。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 どうでしょうか、鈴木明子委員、1番目の「家庭経営学(家族関係学及び家庭経済学を含む。)」との兼ね合いで、保育学をどうしましょうかというのはペンディングになっておりますが、今は、この保育学だけに絞って、中学校保育学の「実習を含む。」を削除というのは、いかがでしょうか。

【鈴木(明)委員】  保育学の授業が完全に講義だけになってしまったら、やっぱり家庭科教員としてどうだろうというのはあります。なので、多様な実習を保証するというか、  するという意味で、この表現のまま残していただきたいかなと私自身は思います。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 そうしましたら、高校の保育学、括弧の中が「実習及び家庭看護を含む。」との関係についてはいかがでしょうか。

【鈴木(明)委員】  家庭看護という内容が、保育学だけが切り出されている中では非常に意味を持っていたとは思うのですけれども、先ほど最初の、全体の枠組みの中でもし家族関係ということでまとめられていくのだとすれば、ちょっと今すぐに結論は出ないですけど、逆にあったほうがいいのか。でも、前回、介護と看護の違いという話もちょっと出ていますように、今の家庭看護だけを残すというのも問題があるかなとも思っていますので、全体の枠組みの中で考えていくということでお願いしたいと思います。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 この時点で事務局から補足なりアドバイスなりございますでしょうか。

【樫原教員免許・研修企画室長】  ここの部分は確かに、結局、家庭看護の扱いをどうするかという問題ですので、中・高が一致したほうが、先ほどの免許法別表第八の問題とかではいいのですが、どうしても一致しないようなもの、特に内容面に関しては、当然指導内容も違いますので、そこはこだわる必要がないのかなと思っております。ただし、手法面はどちらかというと一致したほうがいいと思います。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 そろそろ時間が近づいておりますけれども、本日、様々な観点でいろいろな御意見を頂戴したところですが、次の会に継続審議になりましたのが、1番目の、家庭経営学、括弧の中が「家族関係学及び家庭経済学を含む。」、ここの部分を、この表記のままでいくのか、内容を保育学との関係性で修正するのかというところが、継続案件になったと思います。
 そのほかの被服学、食物学、住居学に関して、それと高校の6区分のうち、「家庭電気・機械・情報処理」を削除することについては、一定の方向性がまとまったと考えております。委員の皆さま、よろしいでしょうか。
 時間になりましたけど、事務局から御指摘いただくことがありますでしょうか。

【鈴木(明)委員】  ごめんなさい、一つだけ言わせていただいてもいいでしょうか。

【岡本主査】  はい。

【鈴木(明)委員】  先ほどいろいろ御意見、御説明いただいたところなんですけど、やはり家庭科は、他教科とは違うというところを私は主張していきたいと思います。社会科とも違いますし、技術とも違った考えに基づいて、学のありようを問うていくというところ、それが今、必要かなと思っております。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 室長、いかがでしょうか。

【樫原教員免許・研修企画室長】  今日、様々な御意見、宿題をいただいたところでございます。特に科目の組替えとなってくると、実務上、どのようなことができるのかとか、経過措置をどう置かなければならないかとか、それによって各大学にどれだけの影響を与えるのかというところも考えなければなりませんので、その辺も整理して、次回お示しできればと思っております。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 そうしましたら、ちょうど時間になってまいりましたので、審議はこれで終わりとさせていただきます。事務局におかれましては、本日の御意見等を取りまとめていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いいたします。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  資料3に今後のスケジュールについて記載をしております。
 次回第3回の家庭科のワーキンググループは、7月18日で予定をしております。こちらの第3回が最終回ということになっておりますので、この時点でまとめていただきまして、それを第2回検討委員会に報告させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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