中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教科に関する専門的事項に関する検討委員会家庭ワーキンググループ(第1回)議事録

1.日時

令和5年5月25日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 主査等の選任<非公開>
  2. 教科に関する専門的事項に関する検討について(家庭)
  3. その他

4.議事録

議事(1)主査等の選任(非公開)

【岡本主査】  家庭の教科に関する専門的事項に関するワーキンググループの立ち上げに必要な手続は終了いたしましたので、これより議事を公開いたします。
 改めまして、主査を務めさせていただきます岡本でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、令和4年度より大阪教育大学の学長を拝命しております。昨年度より第4期中期目標期間がスタートしておりますが、それに加えまして、本学は、教員養成フラッグシップ大学としての取組も進めております。
 現在、フラッグシップ大学特例制度を用いた教職課程の編成の取組として、教科及び教科の指導法、それぞれ二種免許相当まで圧縮するとともに、大学が独自に制定する科目において、フラッグシップ指定大学が加える科目の履修方法として、12単位を必修としまして、共通開設の準備を行っているところでございます。
 本日が第1回目であります、教科「家庭」に関する専門的事項に関する検討について、委員の皆様の活発な御意見をいただきながら進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、主査代理の鈴木佳子委員からも一言いただけますでしょうか。

【鈴木(佳)主査代理】  失礼いたします。主査代理ということで承りました鈴木佳子と申します。どうぞよろしくお願いします。
 私は、名簿にもありますとおり、群馬県の教育委員会に勤めておりまして、教育委員会では、義務教育課長ということで指導行政のほうにも携わり、また、学校人事課長ということで人事行政にも関わらせていただきました。
 そして、この4月からは、共愛学園前橋国際大学の教職支援室長ということで、教員を目指す学生さんたちを支援するお仕事をさせていただいております。
 今回、縁あって、こういうお仕事をさせていただくことになりました。微力ではございますが、これまでの経験を生かして、自分のできることを一所懸命やりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 次に、文部科学省、樫原室長から御挨拶をお願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  改めまして、文部科学省の教育人材政策課教員免許・研修企画室長をしております樫原と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、委員の皆様におかれましては、こちらの委員会の委員に御就任いただきまして、誠にありがとうございます。
 本委員会は、もともと中央教育審議会の昨年の12月の答申の中で、教科に関する専門的事項について見直しを図るべきという御提言をいただいたことを踏まえまして、教科に関する専門的事項に関する検討委員会を設けまして、その下に教科ごとのワーキンググループ、これは実際には3つですけれども、家庭科、情報・技術、理科、この3つのワーキンググループを設けさせていただいたところでございます。
 教科の専門的事項に関する在り方というのは大変重要でございまして、これの影響によって、また各大学における教員養成、免許の授与、そして教員採用に至るまで、様々な影響を与えるものでございますので、ぜひ自由闊達な御議論をいただきまして、できるだけ質を保証しながら、多くの学生が取りやすい、そういった形での御検討をお願いしたいなと思っております。
 御挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 それでは、早速ですが、議事の2につきまして審議をいたします。
 まずは、事務局より、本委員会の設置について、また、検討事項全体について説明をお願いいたします。


【樫原教員免許・研修企画室長】  画面に資料1が映っていますでしょうか。
 まず、教科に関する専門的事項に関するワーキンググループの設置について御説明いたします。こちらは今年5月12日に開催されました教科に関する専門的事項に関する検討委員会で決定をされた事項でございます。
 設置の目的につきましては、教科に関する専門的事項に関する検討委員会の設置について、2ポツに基づき、委員会の下に、教科に関する専門的事項に関するワーキンググループを次のとおり設置する。
 検討事項としましては、2ポツにありますが、理科、技術、家庭、情報となっております。このうち、技術と情報につきましては、1つのワーキンググループで、残りの2つについては、それぞれの教科ごとにワーキンググループを設けているところでございます。
 設置期間につきましては、ワーキンググループは、2ポツの検討事項に関する検討が終了した時に廃止するものとされております。
 4ポツの委員会への報告ですけれども、(1)としまして、ワーキンググループの検討状況は適時に委員会へ報告するものとする。(2)としまして、委員会からの求めがあったときは、ワーキンググループの検討の経緯を委員会に報告するものとするとされております。
 ワーキンググループの設置については以上でございまして、続いて、今回のテーマに関する背景資料など、具体的な検討に資する資料の御説明をさせていただきます。
 まず、令和4年の12月答申についてですけれども、これは昨年12月の答申の中で、具体的な記述としましては、マーカーがついておりますが、既に小学校や中学校等の免許状を有する現職の教師等についても、免許法認定講習や、大学での科目等履修等により、複数校種・複数教科の免許状保有を促すことも重要である。「教科に関する専門的事項に関する科目」についても、学習指導要領等との整合性について改めて確認することも重要である。教育職員免許法施行規則に掲げる事項が多い教科について、中学校二種免許状を取得しようとする場合、同規則で定める最低単位数を超える単位の取得を要するケースが生じている。このため、「教科に関する専門的事項に関する科目」について、専門的事項の数が多い教科を中心に必要な見直しを行うべきである。このような提言がなされているところでございます。
 続きまして、この背景となります、そもそもの教員免許の制度について御説明いたします。
 中学校におきましては、いわゆる大学卒業程度の一種免許については、学士要件に加えて59単位、2種免許につきましては、短期大学士の学位を有することに加えて35単位が必須単位となっております。高校につきましては、一種免許状プラス学士の学位を有すること、59単位が要件となっております。
 この一種免許、二種免許の59単位、35単位の内訳についてですが、次のページにございますとおりになっております。
 このうち、大きな科目分類としては、いわゆる教職系の科目、教育学ですとか、その実践に関する科目、それから、教科に関する科目、この大きく2つに分かれるところですが、このうち、教科及び教科の指導法に関する科目、この色のついている部分については、一種免許は28単位、二種免許は12単位、高校であると、一種免許は24単位となっております。
 一方で、この28単位、12単位のうち、各教科の指導法に当たる単位が、一種では8単位以上、二種では2単位以上、高校では4単位以上となっておりますので、実質的には、それを差し引いた部分というのが、いわゆる教科専門の単位数でございます。
 この点につきましては、次のページも御覧いただければ分かりますが、免許法別表第一による取得ということで、大学の教職課程によって取得した場合というのは今申し上げた数字ですが、例えば、中学校の免許を持っていて、さらに教科専門を学んでほかの教科を学ぶ場合ですとか、他校種の免許を持っている場合など、これは様々な取り方がございまして、いずれにせよ、教科専門を学ぶということになるということです。
 その科目区分ですけれども、教科の専門的事項につきましては、例えば、一種は20単位、二種は10単位ということがありますが、各科目の区分に応じて1単位以上の履修が必要となっております。
 次のページは、区分が示されておりますが、こちら、今回話題になっております家庭科ですけれども、家庭科が5区分ということになっております。ですので、2掛ける5で10単位というような設置の仕方をしている大学が多いのではないかと推測されます。一方で、高校につきましては、6区分となっております。
 この点につきまして、中学校と高校を比較したのが次のページでございます。これは中学校と高等学校の比較、そして、昭和29年の時からの推移を示しているものでございます。
 まず、家庭科の中学校につきましては、当初、5区分、食、被服、家庭管理と住居が一つ、育児、それから、調理実習、衣服実習と、こういうところから始まりまして、昭和34年に、調理実習、衣服実習は、それぞれ食との衣の部分に再編され、家庭機械及び家庭工作というものが新たに加わりました。その後、住居と育児と家庭経営が、2つを3つに分割するような形の編成が昭和45年にございましたが、その後、平成元年には、家庭経営学、被服、食物、住居、保育、家庭機械・電気という編成になっております。
 なお、この後、教科調査官のほうから指導要領についても御説明がありますが、この平成元年のところから男女共修ということになりまして、それを意識した改正になっております。それから、平成12年の改正では、中学校からは家庭機械・電気がなくなったところでございます。
 一方で、高校についても、類似のことになっておりますが、中学校との大きな違いは、平成元年に設置された家庭電気・機械及び情報処理が、現在に至るまで残っているというところでございます。それから、住居学のところに、括弧して(製図を含む。)という文言がある。それから、保育学のところに、括弧して(実習及び家庭看護を含む。)、この家庭看護という部分が入っているというのが、中学校との違いとなっております。
 続きまして、課程認定大学数ですけれども、中学校全体で見ますと、大学単位で514、高校では542の大学に教職課程が設置されているというところです。これは1つの大学で、例えば、複数の各部で免許を出すことができるというのもありますが、あくまで大学単位の集計では、このような数字になっております。
 教科別に見ますと次のページですが、家庭科は102の大学、大学院が89ですけれども、高校に至っては103、大学院レベル89となっております。
 続きまして、教員免許状の授与件数ですけれども、中学校の授与件数、普通免許状で言いますと、中学校が4万4,648、高校が5万3,072ということで、高校のほうが若干多いという傾向がございます。
 続きまして、教科別になりますが、実は、ここの部分、家庭科というのは、1,078件が一種免許状、それから、短大における二種免許状が172件授与されているところです。
 これを単純に比較するわけにはいきませんので、ある種の目安としまして、中学校の標準授業時数との相対で比べるのが適切ではないかということで、数字を出させていただいております。
 例えば、国語ですと、一種免許、二種免許合わせての授与件数が大体5,000件で、これに対して、中学校の3年間の標準授業時数が385コマとなっております。
 家庭科につきましては、国語の大体23%ぐらいの割合で免許の授与件数が出ているというところですけれども、授業時数についても23%ということで、割合としましては、国語と同じ程度なのかなと考えております。
 こういう意味で、相対で見ますと、比較的多いのは保健、音楽、社会であって、一方で、相対的に少ないのは技術、理科、数学となっております。
 続きまして、高校になりますと、高校には標準授業時数みたいな考え方がなく、かなり学科等によっても置き方は多様ですので、なかなか比べることはできませんが、大学等における直接養成のものが1,060件となっております。
 この部分で多少興味深いデータを御紹介させていただきますと、直前に申し上げました中学校と高校で高校のほうが多いというのは、大体どの教科にも共通するところでございます。例えば、ちょっと戻っていただきまして、数学は、一種免で中学校が3,928、高校が4,204となっております。理科についても、同様に3,668と4,761ということで、高校のほうが免許の授与件数は多いということがございます。
 その背景には、大抵の人は中学校と高校の教員免許を一緒に取るということが常ではあるんですけれども、一方で、中学校と高校に必要な教育実習の単位数が異なったりですとか、もしくは、高校のほうには介護等実習が課せられていなかったりですとか、そういった違いがあるということで、普通は高校のほうが多いという傾向にあるんですが、一方で、こちらのほうを見ていただきますと、今回の家庭科については、中学校が1,078で、高校が1,060ということで、中学校のほうが多いという、ほかの教科にはない珍しい特徴があるということを御紹介させていただきます。
 続きまして、公立学校の教員の採用状況ですけれども、今、中学校4.7倍、高校5.4倍となっておりますが、今回の対象となっております家庭科につきましては、下のほうを見ていただきますと、実は、中学校では2.7倍ということで、全教科平均よりは低い。
 続きまして、高校につきましても、3.5倍ということで、こちらも全教科平均に比べたら低い数字にとどまっているということが言えるということになっております。
 それから、臨時免許状ということで、これは普通免許状を授与された人がいない場合に、臨時に交付することができる免許ですけれども、家庭科が大体毎年300前後、高校ですと250前後、それぐらいの数字になっております。
 それから、免許外担任、こちらは同一学校の先生が当該教科について免許を持っていないけれども、1年に限り指導ができるというところですけれども、こちらについては、中学校家庭科1,989ということで、技術に次いで2番、高校の家庭科につきましても、231ということで、このような数字が出ております。
 この後、各指導要領の扱いの変遷につきましては、教科調査官より御説明いただきます。

【田邉調査官】  よろしくお願いいたします。教科調査官の田邉と申します。
 資料3-2を御覧ください。
 こちら、1枚目が高等学校家庭科の科目の変遷、2枚目が高等学校家庭科の共通科目について特に取り上げさせていただきまして、科目及び学習内容の変遷となっております。
 高等学校家庭科については、各学科に共通する共通科目としての側面と、主として専門学科において開設される専門教科としての側面、この2つの側面を持ち合わせております。1枚目の資料上段には共通科目としての家庭科の科目の編成を、その下、中ほどから下段にかけては専門教科としての家庭科の科目の編成を示させていただいております。
 それでは、説明をさせていただきます。2枚目を御覧ください。
 まず、平成元年告示のところあたりから御覧ください。それまでの女子のみが学んでいた家庭科を、平成元年告示の改訂で、男女問わず学んでいくこととなりました。
 この背景としましては、学校を取り巻く社会状況の変化や、学校教育の現状と課題に対応するとともに、社会の変化と、それに伴う生徒の生活や意識にいかに対応していくかという観点が重視されました。併せて、産業に関する各教科・科目について、技術革新の進展や経済社会の変化等に対応する観点から、情報化の急速な進展に対応し、情報に関する教育の充実を図ることとしました。
 この改訂では、全ての生徒に、「家庭一般」、「生活技術」、「生活一般」、これら全て4単位ものでございますが、このうちから1科目を選択し、履修させるようにいたしました。これは、その前までの「家庭一般」に加えまして、新しい科目として、「生活技術」及び「生活一般」を設けました。
 この3科目について少し説明をさせていただきます。
 「家庭一般」につきましては、社会の変化等を考慮し、消費生活、親としての役割、高齢者の生活などに関する内容の充実を図るとともに、家庭生活に必要な衣食住、保育などに関する知識と技術を、家庭経営の立場から総合的、体験的に習得させることができるようにする。
 「生活技術」につきましては、家庭生活に関する基礎的な知識とともに、生活の管理に必要な衣食住などの技術や、家庭生活で用いられる電気・機械及び情報処理に関する知識と技術を習得させるよう、内容を構成されております。
 なお、電気・機械または情報処理に関する内容については、園芸などに関する内容で代えることができるようにしてあります。
 「生活一般」については、内容を前半2単位、後半2単位に分けて構成されておりまして、前半では、家族の健康な生活を管理する能力を育成することに重点を置いております。
 そして、後半につきましては、生徒の興味関心に応じ、衣食住や保育、情報など、家庭生活に関する内容の中から2から3の項目を選択して履修させ、家庭生活に関する知識と技術をさらに深めて習得させるとされております。ただ、状況により、施設、設備、教員の確保への対応として、「生活一般」と関係の深い技術や情報など、もしくは、「体育」の履修をもって代替を可としていたような状況でございました。
 平成11年告示を御覧いただければと思います。
 このときですが、「可能な限り小さい単位数の科目を設ける」という教育課程審議会の答申に基づき、新たに「家庭基礎」2単位が設けられました。
 また、少子高齢化等への対応から、「家庭一般」から「家庭総合」に名称が変わりましたが、こちら、(3)として、高齢者の生活と福祉という項目が置かれております。
 平成21年告示、こちらの改訂で、「生活技術」が「生活デザイン」に名称が改められました。このタイミングで、家庭生活と電気・機械の学習中内容が含まれなくなりました。平成20年1月17日中央教育審議会、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」によると、改善の基本方針として、「「生活デザイン」においては、実験・実習を通して生活の技術的、文化的な意味や価値への理解を深め、将来の生活を設計し創造する力を育てるとともに、食育を推進するための実践力を高めることを重視した上で、一部の項目については選択して履修できるように構成する」とされたということでございます。
 このような変遷をたどり、現在の状況に至っております。
 私からは以上です。よろしくお願いいたします。

【岡本主査】  樫原室長、田邉調査官、ありがとうございました。
 ただいまの説明に関して、御質問等ございましたらお願いいたします。
 この後、論点に移るわけですけれども、ただいま説明いただいた範囲内で御質問がございましたらお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 今の時点ではよろしいですか。
 それでは、資料5を御覧ください。
 事務局において論点例を提示していただきましたが、私からも説明をさせていただきます。さきの説明とちょっと重複するところがあろうかと思いますけれども、論点に関係するということで、お許しをいただきたいと思います。
 まず、今御覧いただいております資料の上の表ですけれども、中学校、高等学校での科目区分数が示されております。先ほどの説明にもございましたけれども、中学校の科目区分が5つ、高等学校が6つとなってございます。
 樫原室長の御説明にもありましたが、資料3の「令和4年12月答申における提言」で、教育職員免許法施行規則に掲げる事項が多い教科について、中学校二種免許状を取得しようとする場合、同規則で定める最低単位数を超える単位の取得を要するケースが生じている。このため、「教科に関する専門的事項に関する科目」について、専門的事項の数が多い教科を中心に、必要な見直しを行うべきであるという提言がございました。
 それを受けて、資料1にありますように、教科に関する専門的事項に関する検討委員会が設置されました。教科専門科目区分における中学校の理科、技術、高等学校の家庭、情報など、科目区分数が多い科目として挙がっている4教科について、科目区分や内容の適切な在り方を検討することが決定されまして、本日の家庭の教科に関する専門的事項に関するワーキングで検討の運びとなった次第です。
 資料5の表の下、1つ目の黒ポツ「教科に関する専門的事項に関する科目区分の区分数の在り方」について、田邉調査官の御説明にもありましたが、中学校家庭科においては、平成12年(2000年)から「家庭機械・電気」が科目からなくなっております。一方、高等学校家庭では、平成元年(1989年)、ちなみにこの年は「家庭」が男女共修になった年ですけれども、「家庭電気・家庭機械・情報処理」が新たに6つ目の科目区分として加わり、現在に至っております。
 このことから、科目区分の区分数の在り方について、御意見をお願いしたいと思っております。
 次に、2つ目の黒ポツは、「科目区分の内容(学習指導要領との関係)について」でございます。先ほど資料3-2で、田邉調査官から御説明いただきましたが、現在の学習指導要領における科目群の見直しの必要性について、御意見をいただきたいと思います。
 例えば、高校の科目区分にあります「家庭電気・家庭機械・情報処理」につきましては、現状の生活実態に合った内容となっているか、あるいは、「家庭電気・家庭機械・情報処理」以外の他の科目群に吸収することは可能でしょうか。また、「保育学(実習及び家庭看護を含む。)」とありますけれども、看護の分離の可能性についてはいかがでしょうか。これら以外のことでももちろん結構でございますので、御意見を頂戴できればと思います。
 ちなみに、事務局からは、多くの高校が平成2年度より家庭基礎をとるようになっているという情報もいただいております。
 3つ目の黒ポツ、「教科に関する専門的事項に関する科目区分全般における記述の在り方について」ですが、資料5の裏面を御覧ください。
 白抜きの丸が3つありますが、2つ目の丸を御覧ください。「また、教科専門科目区分における記述内容は、時代の変化等を受け変遷してきており、例えば、学習指導要領で取り扱うべき新たな内容等も踏まえ、各科目区分に、「(▲▲を含む。)」という記述が追加されてきた経緯がある。このため、改正によって、「(▲▲を含む。)」の記述は増える傾向がある。」と記載されております。
 このことに関して、科目の性質によっては、「(▲▲を含む。)」という記述が消えてもよい科目区分があるのではないか、というような観点から御意見をいただければと思います。
 ちなみに、高校の「家庭」では、6つの科目区分のうち5つで、中学校「家庭」では、5つの科目区分のうちの4つで、「(▲▲を含む。)」の記述があります。特に高校「家庭」では、「(含む。)」科目の専門の内容が複数記載されています。
 それから、資料5の裏面の3つ目の白抜きの丸をご覧ください。「なお、科目区分における内容の記述は、概ね、それぞれの学問分野や領域に対応した区分名称となっているが、これに加え、①当該科目区分に、特に含めるべき詳細の内容を記述しているものと、②その科目区分を実施する上での手法的な要素を記述しているものが混在している。」ということで、表の②の例で、「家庭」は「保育学(実習を含む。)」とあり、その科目区分を実施する上で手法的な要素を記述している教科となっています。①、②ともに、記述では、括弧の中が「(▲▲を含む。)」という表現になっております。このように、「科目区分全般における記述の在り方」について御意見をお願いします。
 私からの説明は以上です。それでは、論点例を参考に、御質問も含め、活発な御意見をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【鈴木(佳)主査代理】  ありがとうございます。
 では、1つ質問というか、論点の中の一番上の黒いポツのところに、区分数の在り方についてとなっているので、これは、例えば、幾つにするかとかという話ではなくて、区分数を、例えば、中学と高校を同じにしたほうがいいのではないかとか、そういうようなお話になるんでしょうか。この辺は、区分数の在り方というのは、どういうふうに捉えればよろしいんでしょうか。

【岡本主査】  これは事務局から説明をお願いします。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  それでは、事務局のほうで補足させていただきます。
 先ほどの資料3で、事務局から説明させていただいたところでございますが、高校家庭科の科目区分が6ということで、赤囲みにしているんですけれども。これを見ていただくと、科目区分数は家庭科と福祉と情報が非常に多くなっているところです。ほかの教科では3であったり、4であったり、5だったりというような状況でございます。
 中学校のほうを見ていただきますと、家庭科は5になっていますが、こちらも同様に、5ぐらいまでの教科は多いですが、例えば、技術が6であったり、理科が8であったりということで、一方では、3だったり、4だったりという教科も存在していまして、教科によって科目区分数のばらつきが相当あるということがありますので、そういった観点で、今回、科目区分が6以上になっているものについて、ワーキングが立ち上がっているところです。
 ただ、一部、福祉については、これまでの改正の経緯、これは介護福祉士等の関係の法改正等に合わせて科目区分をそろえてきているというような経緯がありますので、今回、見直しの対象とはしなかったんですけれども、福祉を除いて、科目区分が現状6以上になっているものが教科として今回挙げられて、ワーキングの設置になっています。
 また、先ほどの免許を取得する際の説明にもありましたとおり、特に中学校の二種の免許状の関係で見ていきますと、二種免許状のほうで、教科及び教科の指導法、一番上のオレンジ色のところですけれども、二種免ですと12単位でいいんですけれども、そのうち教科の指導法は2単位以上となっていますので、そうしますと、教科の専門科目に関しては10単位取るわけですけれども、その際に、通常大学の科目というのはセメスターで実施されて、基本的には2単位科目で設定されることが一般的でございますので、科目区分数ごとに、例えば、1科目2単位で取っていった場合に、5科目区分であれば、2掛ける5ということで10単位で収まるんですけれども、これが6区分ですとか8区分とかということになってくると、通常取るべき10単位というところよりも多い単位数で結局取らざるを得ないというようなことが生じてきます。
 そういった観点からも、おおよそ5区分ぐらいまでが標準的なものなのかというような観点は、事務局しては、前回の12日の委員会で資料を提示をさせていただきまして、委員会のほうでも、それを勘案して、今回見直しの教科を対象としてきたところです。事務局として、何区分でなければならないといった案があるわけではございませんが、現在見ていただいている状況などから、それを踏まえた上で御議論いただければと思っております。
 あと、もう1点、鈴木佳子先生からの中学と高校での並びといった観点、それも検討委員会と、他の教科のワーキングでも話題として出ておりました。
 教職課程を設置する際には、やはり大学としては、中学と高校をセットで開設するというところが非常に多いものですから、大学側からの視点でいきますと、中高がなるべくそろったほうが、基本的には大学として設置がしやすいのではないか、教職課程の開設がしやすいのではないかというような観点もございました。
 以上でございます。

【岡本主査】  鈴木佳子委員、いかがでしょうか。

【鈴木(佳)主査代理】  ありがとうございました。大変よく分かりました。
 そうすると、一つは、やはり高等学校のほうが6区分ありますので、少し高等学校のほうを減らしたらどうかというようなところと、もしそうだとすると、中学と高校と、数がある程度そろったほうがいいのではないかというようなところが、今回の家庭のワーキングの中では大きな一つの視点になるというような、そういう理解でよろしいですかね。

【岡本主査】  そういう観点をこのワーキングで御検討いただくということになろうかと思います。ありがとうございます。

【鈴木(佳)主査代理】  ありがとうございます。

【岡本主査】 鈴木明子委員、いかがでしょうか。

【鈴木(明)委員】  ありがとうございます。
 論点からも改めて見まして、中にしても、高にしても、かなり科目区分というものが家庭科の現状に合わなくなってきているということは、もう本当に私も近いところですけれど、関係者では不思議にといいますか、課題に思っていたところもあります。
 特に、数合わせということは考えたくないのですけれども、もっと教科の本質とか、家庭科という教科の在り方を考えて、この区分というのは考えていくべきであると私は考えています。
 そのためには、家庭科の背景学問、ベースになる学問が何なのかということを考えたら、それはいろんな考え方があるかと思うんですけれども、一つ、家政学というものがある。日本の家政学と海外の家政学とまた違うところもあるんですけれども、教科の目標にもありますように、生活を総合的に捉えてという、その視点が一つ、今の日本の家政学会でも課題になってきている。これまで各分野で分断されて研究して、それももちろん大事なんですけれども、それを統合して生活の複雑な課題を追求していこうという、その部分が今注目されているところだと思います。
 そういうところに鑑みますと、今現在の家庭科の内容枠、小中高ともにA、B、Cとなってきて、整然として非常にきれいになったんですけれども、そのいわゆるA、B、Cに関わる、今、免許法のこの区分というのも大事なんですけれども、それらを総合的に捉えるような枠も私は大事なのかなと思っています。それを区分として新たに設けるのか、それとも、先ほど岡本先生からも説明いただきましたように、「(▲▲を含む。)」という形で表記していくということも、一つ考え方なんだろうなとは思っております。
 全体的にそのように思うんですけれども、一番気になっているのが、高等学校の6番目の枠、家庭電気・家庭機械・情報処理、ここでございます。ここは、先ほども田邉調査官からも御説明いただきましたように、これまでの家庭科の教科の経緯の中で、もともと中学校の技術分野・家庭分野で別学だったときの名残のような気が私はしておりまして、それが中学校は男女ともに両分野で学ぶということで、途中で技術分野のほうでということになったのかな。でも、高校のほうは残っているということで、大学の教員養成としても、この区分の内容をどのように教えるかというのは、学生たちに伝えていく、その意義から非常に難しさを感じております。
 もちろん担当者によっていろいろ違いがありますし、特に情報処理などは、いわゆる他の教科や教養的なところでも十分学べる状況であり、特に家庭科の中で学ぶことが必要であるかと考えれば、それはほかの区分の中で扱うことも可能かなとも思います。それは家庭電気・機械も同様かなと思っているところです。
 なので、さっきも申しましたが、数合わせというところではなくて、もうちょっと本質的に考えていくという意味では、家庭科のような教科の場合、できるだけ多くの専門性を身につけたいということで言えば、区分を減らすということを一概に推すことも私自身難しいのですが、6番目のこの区分だけは、今、もうほかへ吸収していってもいいのかなと思っています。
 ちょっと長くなるんですが、もう一つだけいいでしょうか。
 それと、一番上の家庭経営学のところ、これは括弧の中に(家族関係学及び家庭経済学を含む。)と。この区分についても、関係者の中で、いろいろと課題があると伺っているところです。それは、この枠に該当する科目を担当する方の専門によって、この内容が随分違ってくるという。もちろん、カリキュラム的に概論を置いて、この経営学、関係学、経済学を別にもう少し専門的に深めるというようなゆとりがあれば、それはいいんだと思うんですけれども、例えば、経済学が御専門の方であれば、そこに偏ってしまうというようなところもちょっとあるのかなと思っていまして。
 この括弧の前にある家庭経営学という、この区分は、家政学の中で言えば、狭義の家政学的な意味合いを持っているところもある。これは個々考え方は違うと思うんですけれども、生活を設計していくというところにおいて、この経営学の内容というのはとても核になるところかなと思って考えています。ですので、1のこの区分に3つの内容を全部盛り込んでいるというところが、ちょっと課題には感じているところです。
 すみません。長くなりました。以上です。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 今、様々な御意見を頂戴したところでございます。「家庭電気・家庭機械・情報処理」についてですが、「家庭」は複合領域であるからこそ、他の専門分野に溶け込ませる可能性があるのではないでしょうか、その方がむしろ実質的な学びにつながっていくのではないかという感じがいたします。
 それと、例えば、消費生活自体が随分変容してきております。私は被服領域が専門ですけれども、ふだん着用している服を自分でミシンを使って作るという方はいらっしゃるとは思いますけれども、学校教育で学んでいるから作れる、学んでいないと作れないというものではもうなくなっている。もちろん、人間生活を合理的、科学的に行っていくためには、基礎知識は必要だと思います。例えば、ミシンの仕組みや、アイロン掛けの適切な温度はとても大切ですが、個別に学ぶというよりは、被服製作や被服管理などの科目で学ぶということも考えられるのではないかなと、自身の体験から感じているところでございます。
 科目区分数について、中学校と高等学校で必ずしも数合わせをする必要はないということですが、中学校と高等学校の免許をセットで出す大学が多いということもありますので、学びの内容は中学校、高等学校で違っても、科目区分に関しては、差別化しなくてもいいのではないか、という捉え方もあるのではないかと考えております。
 それから、家庭経営学の科目区分について、特に含めるべき内容として、「(家族関係学及び家庭経済学を含む。)」とあります。この科目区分は、担当者によって、教える内容に軽い重いの差が生じる可能性が考えれらますが、このまとまり自体は、科目区分数を増やさないという観点からすれば、現状の区分名称で良いでしょうか。一方で、資料5の裏面の「(▲▲を含む。)」が増えていく傾向にあるというような観点からも考えていく必要があると感じた次第です。
 委員の皆さまの意見、考えが出たところで、御質問ですとか、御意見とか、御感想とか、何でも結構でございますので、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【鈴木(佳)主査代理】  この区分を考えていくときに、2番目のポツにある学習指導要領との関連というのがやっぱり必要不可欠なのかなと思っているところです。
 私は、先ほど最初に教育委員会に勤めていたというお話をしましたけれども、もともとは中学校の教員からスタートした者でございまして、昭和の終わりの頃、中学校に勤めたときに、家庭科は1年生でも2年生でも3年生でも調理実習と被服実習があったという、そういう時代でございました。
 群馬県の県内の中学校の様子を見ていると、もう中学校で被服実習、いわゆる着る、スカートだとか、そういう体を覆うような衣服を製作しているところはないのかなと思っています。つまり、岡本委員が12日の検討委員会のときにも、かなり学習内容が生活に直結していて、生活スタイルの変化とともに変わってきているという、そういう御発言をされていたかと思うんですけれども、私も全くそのとおりだなと思っています。
 一方で、教科の指導法という部分と教科の専門的事項というのは違うんだというような、お話も検討委員会の中ではありましたけれども、専門的事項というのは、子供たちに教えるに当たって、直接的に先生がより深く知っていることが大事かなと思ったときに、やっぱり2番目のポツにある学習指導要領との関係というのが必要不可欠で、家庭科の場合に、非常に変遷してきているところがあるので、この区分を考えていくときに、2つ目と切り離せないのかなというところがございます。
 それで、今回の平成29年、高校は30年ですけれども、学習指導要領の改訂のときに、Aが家族とか家庭生活に関わることで、Bが衣食住の生活、そしてCが消費生活と環境というふうに、小中高が系統的にそういう区分で整理されたということは、すごく大きな改訂の中身かなと、教育委員会に勤務していた者としては思っています。
 そう考えたときに、この今の区分で見ていったときに、消費生活と環境みたいなところが、一つの大きな内容になっているにもかかわらず、全然見えてこないなという部分と、それから、先ほど鈴木明子委員がおっしゃられた、家庭経営学の中に家族関係と家庭経済学を含むというふうになっていると、多分、家族関係というのは、学習指導要領の内容でいくとAになっていて、家庭経済学というのは、どっちかというと消費生活のCのところになっていて、同じ区分の中に、指導要領的に言うとAとCの内容が入っているというような、そういう感じがどうなのかなともちょっと思います。
 話があちこちへ行っちゃって申し訳ないんですけれども、いずれにしても、この区分を考えるときに、やはり学習指導要領との関係というのが、家庭科の場合は特に切り離せなくて、そういう流れの中で、免許を取るときの負担軽減ということも考えながら、区分を考えていけるといいのではないかなと、そんなふうに思っているところです。
 すみません。まとまらないんですけれど、よろしくお願いします。

【岡本主査】  ありがとうございました。
 本日は、科目区分の在り方について、いろんな考え方、視点を出していただいて、次につなげていきたいと考えているところでございます。
 いかがでしょうか。


【鈴木(明)委員】  今、鈴木佳子委員がおっしゃったように、家庭経営学の区分の中には、学習指導要領の内容で言えば、AとCが含まれているということなんですけれども。私たちが検討していく上で、学習指導要領との関係も、それはすごく大事なんですけれども、一方で、コアカリのときに表現されていましたベースにある学問との関係性、そこの枠組みとの関係性というのも同時に考えていく必要がある。
 他教科と違って、家庭科の内容の学習指導要領での枠組みは、例えば、Cの消費のところですと、学習指導要領の記述の中に、AやBと関連づけて扱うことという部分がある。一方で、C独自で扱う経済のところもあるというところで、その例から見ても、免許法のこの区分をどの視点から分けていけばいいのか。より基本的なところで、学問ベースでも実践的な展開でも扱っていけるようにするということであれば、この家庭経済学というのは、一つ、ほかの、例えば、衣食住なんかでももう既に扱っていると思うんですけれども(消費と環境)、扱いながらも、やはり一つ独立して立てていただく、あっていいのかなというふうには思います。
 一方で、環境は、これは消費に関わる内容よりも、もっと家庭科の内容全体に関わってくる。もちろん他教科でも環境教育は展開するんですけど、家庭科で環境に関わる展開をする場合には、まさに私たち生活者としての日々の生活とどう関わっていくのかというところで扱っていくことになると思うので、それがどうまた広い世界とつながっているのかというところも実際話させるんですけど。
 そうすると、さっき岡本委員が、家庭電気・機械・情報処理を、例えば被服学の中で扱うという事例をお話しされましたけど、それと同様に、環境については、ほかの区分の中で、それこそ溶け込ませてというか、扱うというほうがいいのかなと。それは、この家庭経営学の中でもやはり言えると思うんです。どういう生活を我々がつくっていくのかというところでの環境への影響、ライフスタイルとの環境というところも大事かなとは思います。
 家庭経営学の括弧の中にある家族関係学というところは、5つ目の区分にある保育学、これとの関係性というところをちょっと考えていかないといけないのかなと。高齢者という区分も、最近すごく指導要領の中でもクローズアップされているところで、その部分が、保育だけが特出しされているような感じがあって、もう少し家庭科で扱う人である家族だったり、ちょっと外側にある地域の人も含めて、その辺は全部家庭経営学の枠の中にぼーんと入って、別枠で保育学があるというところも、ちょっと気になるところではあります。高齢者というターム、言葉を出していくのかどうかというところも含めて、検討が必要なのかなとは思います。
 すみません。中途半端な意見ですが、以上です。

【岡本主査】  様々な視点からの御意見を頂戴していると思います。ありがとうございます。
 このワーキングでは、最初、科目区分の区分数の論点から入りました。高校の「家庭」が6区分であるというところからスタートしております。これまでのお話の内容からしますと、区分内容や関係性の再検討、例えば、現状に即した科目区分の在り方について検討する必要があると受け止めさせていただきましたけれども、よろしいでしょうか。

【鈴木(佳)主査代理】  はい。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 本日予定しております内容について、多岐にわたる御意見を頂戴したと思いますけれども、この時点で、事務局のほうから何か補足いただくようなことはございますでしょうか。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  ありがとうございます。
 今のところ、補足というのはございませんけれども。次の3ポツ目の視点につきましても、この後また御議論いただければなと思っています。よろしくお願いします。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 資料5の3ポツで、「教科に関する専門的事項に関する科目区分全般における記述の在り方について」、御意見頂戴できればと思います。
 資料5の裏面に、改正によって、「(▲▲を含む。)」の記述は増える傾向があるとの記載もございました。ただ、明記をしておかないと、学びから外れてしまうという心配も生じてきます。必要だからこそ記載されているとも言えると思います。
 この論点につきましては、いかがでしょうか。

【鈴木(佳)主査代理】  1つ質問というか、あれなんですけど、「(▲▲・▲▲及び▲▲を含む。)」というのは、書いてあることが3つあれば、その3つのことを必ず全部やらなければいけないという理解でよろしいんですか。つまり、どっちかをやればいいとか、どれかを選択してできるということではなくて、この括弧の中で「(▲▲を含む。)」と書いてあるものについては、基本的には全て学習するという、そういう理解でよろしいでしょうか。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  事務局からお答えいたします。
 基本的に、「(▲▲及び▲▲を含む。)」といったときには、必ず含んでいただく必要があります。ですので、例えば高等学校家庭科は、書いてあることは全て学習する必要があるということになります。
 紛らわしいのですが、免許法施行規則のほかの科目区分で、かぎ括弧がついていて、「▲▲・▲▲・▲▲」という、そういった記載になっているものは、そこから選択するというものが、別の教科ではあるんですけれども、家庭科に関しては、そういった書き方になっておりませんので、これらは全て学習するということになります。

【鈴木(佳)主査代理】  すみません。鈴木ですけど、よろしいですか。

【岡本主査】  お願いします。

【鈴木(佳)主査代理】  そういったときに、保育学というところに、例えば、「(実習及び家庭看護を含む。)」というふうになると、保育学というのが大きな枠組みとしてあって、その中に、例えば、実習というのは多分保育実習のことかなと思うんですけれども、そういう実習及び家庭看護を含むとなると、保育学という大きな括りの中で家庭看護を含むという理解になるということでよろしいんでしょうか。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  こちらの記載については、その御理解でお間違いありません。 そこが学習指導要領で目指していることと若干ずれがあるのではないかという御指摘もあります。
 こういった記載になっているので、法令上は、保育学の中での実習や、保育の中での家庭看護というふうに捉えられてしまいますので、家庭看護であれば、乳幼児や子供を対象にしていたり、そのような内容が想定されることになってしまいます。

【鈴木(佳)主査代理】  分かりました。
 一方で、今度の新しい高等学校の学習指導要領とかを見ていると、Aの中身として、高齢者介護みたいな内容が入ってきているかなと思うんですけれども、介護と看護は違うという、そういう理解で、この中で言うと、特に介護みたいなものを扱いなさいと言っているところは、基本的には、今の記述だとないという理解でよろしいんでしょうか。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  大学の教育の中で、この科目区分に対応する科目として、さらにより深めるというような観点から、内容として含めるということは往々にしてあることかと思いますので、実態として、全く介護を含めてはいけないということにはならないんですけれども、最低限は、やはり保育学の中での家庭看護をやるべきというような法令上の記載になっているので、そこは必ず押さえていただくことになります。
 大学として実際にやる分には、大学によって判断するということになってくるかと思います。

【鈴木(佳)主査代理】  ありがとうございました。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 そのほか、黒ポツの3つ目、「全般における記述の在り方」について、いかがでしょうか。
 鈴木明子委員、お願いします。

【鈴木(明)委員】  先ほどから家庭経営学のところでも申しているのですが、それ以外のところで、例えば、被服学ですと、「被服製作実習を含む。」というのが中にも高にも記述されているということで、ここに関しては、先ほど岡本先生もおっしゃられたように、現代社会でこの製作実習を内容として必ずしも学ぶ必要があるのかというのは、よく問われるところですけれども、やはり様々なほかの内容と関連づけていく。例えば、環境配慮で、エコ的に学んでいくようなときに、家庭科教諭がこの製作に関わる専門性をちゃんと身につけているということは、とても大事なことだと思いますが。
 先ほど来先生方おっしゃっているように、特に中学校では、もう身に着けるものを作らなくなっているというところもあり、その状況の中で、被服製作実習、ここは絶対必要だと思うんですね。専門科目がたくさんありますので、専門学科を御担当する、そういう免許ですので、これは必ず要ると思いますが、中学校のほうは、この被服製作という、何がしか絶対必要だとは思うんですけれども、この表現でいいのかというところは課題かなと思います。
 あと、食物学を例に取って考えたときに、ここでは栄養学、「食品学及び調理実習を含む。」とあるんですが、ちょっと語弊があったら申し訳ないんですけれども、この区分に該当する1つ2単位ものの授業を用意するときに、例えば、15コマの中で、栄養学です、栄養学を学ばせます、食品学を学ばせます、次、調理実習もしますということで終わっていいのかなというのが、いつも私の疑問で。
 何が言いたいかというと、それらを統合して、食生活というものをどんなふうに今の時代捉えていけばいいのかなという。そう言うと、1の家庭経営学ともまた連なってきてしまって、ボーダーがどんどんぼやっとしてくるんですけれども。被服学にしても、食物学にしても、住居学にしても、いわゆる生活をつくっていく、クリエートしていくという中での食の追求とか。個別に物質を追求していくのではなくて、食生活、人としての食に関わる行為、行動、そういったところを捉えるような内容が、この被服学、食物学、住居学の中には必ず含まれないといけないと私は思っているのです。
 でも、今のような記述だと、栄養学専門の方が栄養学しました、食品学しなさいというところで、ぶつぶつと切れた形で、非常に個別の情報を学んで。本当に何度も言いますけど、それも大事なんですけれども、それらをちゃんと生活課題につなげていくというところも、最低単位のこの食物学の中で扱ってほしいなと考えたときに、この括弧の中の記述にもう少し何か工夫があってもいいのかなと思いました。
 住居学にしても、「製図を含む。」のみになっているんですけれども、これもさっき申し上げたとおりです。いわゆる箱ものとしての住居の理解ではなく、これも家族関係学なんかとも関わってきてしまうんですけれども、人が住む空間とか、あるいは、環境との関わりでの安全性とか、そういったところを扱ってくださっているとは思うんですけれども、住生活、身近な住まいというのをどうしていくのかという内容が必ず含まれてほしいかなと。多くの大学でそうなさっていると思うんですけれども、免許法の記述として、その辺がもうちょっと工夫されたらいいかなと思いました。
 保育学については、先ほど申し上げたとおりで、要するに、子供だけではなく、高齢者、人の生涯発達における様々なステージの中で、今、看護か介護かというお話が出ていましたけれども、いわゆる家庭の中でケアしていくという、そこに関わる具体的な考え方とか、スキルとか、そういうのを学ぶ区分であっていいのかなというふうにも思います。だから、これは括弧の前の保育学という、そこの表現をもう少し工夫できたらいいのではないかなと、個人的に思っています。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 黒ポツの3つ目の視点に関しても、多くの御意見を頂けたと思います。
 私たちは教師を養成する大学で教鞭をとっています。学生たちは、将来、学校教育の現場で児童や生徒の教育に携わるわけですが、大学が教員免許を出すためには、やはり専門的、学術的な背景は押さえるべきということが、まずあります。だけども、それだけでは、現場で子供たちの教育はできない。「家庭」は、より生活に密着した、子供たちが楽しく幸せで、健康かつ充実した生活を送ることができる、そういうところに落とし込んでいける教員免許であるべきと考えます。資料5の論点例を参考にしながらいろいろと御意見を頂いてまいりましたが、言い忘れたこととか、1回目のワーキングで発言しておいたほうがいいかな、というようなことがございましたら、ぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【鈴木(佳)主査代理】  鈴木です。
 すぐすぐという話ではないんですけど、先ほどから、中身が多岐にわたっていて、いろんな分野があって、それをどんどん入れていくと膨らんでいってしまうというような話もあったじゃないですか。だけど、そこを書いておかないと、やるべきかどうかが分からなくなっちゃうというところもあるので、これは一つの、こんなことができたらいいなということでお話しさせていただいているんですけど、何かもう少し選択できるような形の表現ができないかなと。
 さっき違う教科でかぎ括弧があって点点となっていれば、その中から選択できるというお話があったと思うんですけれども、例えば、この括弧の中、今の書き方だと、この3つを必ずやらなくてはいけないというお話だったんですが、こういう区分の在り方とかも含めて、見える化してあるんだけれども、そのことが、大学さんとかのいろんな状況によって、選択で選べるような形になるような表記の仕方はできないのかなと思いながら、お話を聞かせてもらいました。
 あと、私、最初に、学習指導要領とこの科目区分の関連というのができるだけあったほうがいいとは申し上げたんですが、例えば、消費生活と環境ということで区分をつくると思っているわけではなくて、そのことは被服学とか食物学とか、そういうことと関わらせながらやっていく部分はすごく大きいと思うので、そのことを区分として特出しをしてほしいとか、そういう話ではないんです。ただ、このままだと、さっきの消費生活とか環境問題をどう考えるのかというのが全然見えないので、環境的な視点を持って衣食住を考えるというようなことが、何かこういう中に見える化できないかなと思いました。やっぱり今時の家庭科の先生には、そういう視点を持ってもらいたいなと、教育委員会に勤めていたときから思っていたので、だけど、このままだと全然見えないので、これは希望というか、そういうことで発言させていただきました。
 よろしくお願いします。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 3つ目の論点についていろいろと御意見頂戴したところですけれども、事務局の方で何か補足いただくことがありますでしょうか。


【松本教員免許・研修企画室専門官】  ありがとうございます。
 御意見のほうはいろいろと出していただきまして、ありがとうございます。参考にさせていただきます。
 先ほど鈴木佳子先生から、環境のお話などで、御希望というか、御提案みたいなことがありました。例えば、各教科の指導法という科目が、中学校であれば8単位、高校であれば4単位が必須になっておりますけれども、そういった学習指導要領の目指していることと各教科の専門性とのつながりとか、それを学校現場でどのように結びつかせながら指導をしていくのかといったところというのは、各教科の指導法の中でも取り扱っていくことにはなるのではないかなというところは、教職課程の担当としては思ったところです。
 また、もしこの改正の案などを決定して、これはいずれ省令の改正につながっていく話なんですが、それを通知する際に、そういったところを留意点として示していくというようなことは可能ではないかと感じたところでございました。
 あと、3ポツ目の論点例では、資料5の2枚目のところで書いているように、内容として含めてくださいというものと、実習とか、コンピュータ活用とか、手法的なところでこういうふうにやってくださいという、2つの要素があるので、手法的なところというのは本当に記述が必要なのかどうかというところは、どうお考えか、もし御意見がさらにあれば、お願いできたらと思います。

【岡本主査】  鈴木明子委員、お願いします。

【鈴木(明)委員】  今言っていただいた部分なんですけれども、家庭科の場合、目標に実践的、体験的な活動を通して学ぶということ、ここでも10分の5以上というような文言がずっとあるわけですので、それを考えると、ここでの記載は、内容的なものでいいのではないかなと私は考えています。
 いずれにしても、実践、体験を通して学んでいくということですので、それに関わる資質・能力というのは、当然教員として持っていないといけないということだと思います。ちょっと暴言かもしれませんが、そのように思います。
 逆に、それ以外の内容のところで、鈴木佳子委員がおっしゃったように、物すごく社会や生活が複雑になる中で、あれもこれもというところ、精査もしていかないといけないんですけれども、ここの免許法の括弧の中とかには「含む」表現ででも入れておくべき重要なタームというのはすごく増えてきているような気がするんですね。その扱いは少し自由度が必要だとしても、やはりさっきのように、教科専門の授業の中で、あまりにも深掘りして、専門の深いところだけで展開していくというようなことではなくてということが分かるような表記の仕方ということを考えると、その内容の記述というほうを提示したほうがいいかなと思います。
 以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 本日は、貴重な御意見をいただき、有難うございました。
 最後の「科目区分全般における記述の在り方について」ですが、例えば、高等学校の「家庭」で、「保育学(実習及び家庭看護を含む。)」とあります。①特に含めるべき詳細の内容を記述するのであれば、「保育学・保育実習・家庭看護」とし、②手法的な要素を記述する場合には、「保育学(実習及び家庭看護を含む。)」など、記述の在り方についても、考えてもいいのではないかと思いました。
 本日の審議は一定の成果を得られたのではないかなと思いますけれども、よろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、これで本日の審議は終了とさせていただきたいと思います。
 事務局において、本日の御意見等を取りまとめていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いいたします。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  ありがとうございました。
 それでは、今後のスケジュールについて確認をさせていただきたいと思います。資料6を御覧いただければと思います。
 今後、6月から7月にかけまして、第2回、第3回の開催を予定しております。第3回には、各教科の専門的科目の案を取りまとめていただきたいと考えております。各ワーキンググループで御審議いただいた内容につきましては、親会議でございます検討委員会のほうに報告することにしております。
 次回、第2回のワーキンググループでございますが、6月20日に決めておりますので、またどうぞよろしくお願いいたします。第3回の日程は未定でございますので、そちらについてはあらためて御連絡させていただきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

【岡本主査】  それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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