中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教科に関する専門的事項に関する検討委員会技術・情報ワーキンググループ(第2回)議事録

1.日時

令和5年6月15日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 関係団体からのヒアリング及び意見交換
  2. 教科に関する専門的事項に関する検討について(技術・情報)
  3. その他

4.議事録

【松本教員免許・研修企画室専門官】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教科に関する専門的事項に関するワーキンググループ(技術・情報)の第2回を開催させていただきます。  まず、開催方法につきまして、事務局から説明させていただきます。 会議の進め方でございますが、本日はオンラインでの開催になりますので、インターネットでも聞き取りやすいように、はっきり御発言いただくことの配慮をいただくこと、発言の際はお名前をおっしゃっていただくこと、発言以外はマイクをオフ(ミュート)にしていただくこと、御発言に当たりましては「手を挙げる」ボタンを押していただくことに御協力いただきますようお願いします。
 また、資料についてですが、資料1から4については、順番に一つのファイルにまとめております。参考資料については、1から7ごとにファイルがございます。
 事務局からは以上でございます。
 高橋先生、よろしくお願いします。

【高橋主査】  皆様、よろしくお願いいたします。
 本日も教科に関する専門的事項に関するワーキンググループ(技術・情報)の第2回、よろしくお願いいたします。
 本日の議事は3つになります。まず1つ目の議事は、「関係団体からのヒアリング及び意見交換」となってございます。
 本日は、このワーキンググループでの議論をより深めるために、日本産業技術教育学会の代表理事、信州大学教育学部長の村松浩幸先生に御発表をお願いしております。本日は、お忙しい中、この発表をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、村松先生、御準備ができましたら、プレゼンテーションをお願いできればと思っております。

【村松先生】  それでは、よろしくお願いします。ただいま御紹介いただきました信州大学の村松であります。それでは、進めさせていただきます。
 本日は、「これからの技術教育の枠組みおよび免許外教員への対応」ということでお話をさせていただきたいと思います。
 まず、私自身の紹介は、先ほど座長の高橋先生からお話しいただいたような形で、日本産業技術教育学会という技術教育の学会を取りまとめております。技術教育研究を中心にしておりまして、そこにありますように、会員も1,000人ちょっとぐらいですが、昨今、とりわけ小中高の先生方の会員が非常に増えてまいりまして、ほぼ研究者と同数のような形になってきております。
 これまでも、ここに示したような形で、技術・情報教育に関しましては、様々な意見表明や要望等も展開してまいりました。
 また、技術科教員の研修、免許外への対応としまして、ここに挙げましたような研修教材、これは主に文部科学省の受託事業として展開したものが3つ、それから、JMOOCでの動画研修教材ということで公開しているものが1つ、関係の補助ということで、このような形で対応してきました。
 また、後ほどの話になりますが、免許法認定講習への対応なども検討しているところでございます。
 それから、今回の免許法の議論に関わりまして、あと、私どもの学会で取り組んでいる技術科教員の質保証としまして、技術科教員指導能力認定システムというものを、この15年ほどやっております。ここにありますように、必要な知識、技能、こういうものを証明する認定試験ということですね。コロナ以降オンラインに切り替えまして、受験生が半数ぐらいになったのですけれども、全国いろんな方が、学生、それから、現職の先生も受験しております。オンラインでそれぞれの知識を取って、実際に二次試験ではこのような実技をするということですね。これのベースになってくるのが、現在もこれは免許法をベースにしていますけども、それの各科目での養成の修得基準、こういうものを基にしながら展開しております。また、より学習を進めるためのこういった参考書を刊行して、質保証を後押ししている。これは技術科の教員を目指す学生たちの採用試験の参考書としても非常に多くの学生たちに利用されているようになります。
 さて、前回第1回のワーキングでも技術科教育についての話が流されていますが、大きく分けてこの4つの段階で技術科教育というのはここまで推移してきました。職業教育からスタートしまして、現在は教養としての技術ということで、学習指導要領も構成されているところです。見方・考え方、この辺が、ここの教養としての技術という話になろうかと思います。
 こういった流れに際しまして、私どもの学会では、次世代型の技術教育ということをずっと議論してまいりました。1999年から2012年に対応した『21世紀の技術教育』、ここに示しました材料と加工技術、生物育成、エネルギー変換、情報システム、前回からの学習指導要領の枠組みに当たるものも、本学会の方で提示したこういった考え方がベースになっております。
 こうした技術教育についての私どもの問題意識というのはここにあります。現在、皆様御存じのように、高校では情報科が非常に注目され、そこに力が入れられるところであります。また一方では、小学校のプログラミングですとか、ものづくり、それから、STEAM教育などはあるのですけれども、これが日本の場合は、いろんなこういった技術というのが様々な教科・領域に分散していると。これは諸外国に比べても、こういった体系化が極めて脆弱だということが考えられています。
 こういったものを踏まえまして、私どもでは、これからの技術協力の枠組み、どうやったらいいかということを議論もしてきました。これはその枠組みですね。詳細はまた別紙の資料にございますので、そちらの方を御覧ください。
 大きく分けて4内容で構成しています。これは材料と加工、生物育成の技術、エネルギー変換、情報の技術、現在の学習指導要領の枠組み。そして、それは今回の免許法の科目にも関係するのですけれども、背景学問としてのエンジニアリングサイエンスであると。こういったいわゆる工学や農学等の各分野というのが相当します。また、現在はそれぞれの内容に全て情報が関係してくるということで、ここでシステムという考え方を出しております。こういうことで、例えば、材料、生物、エネルギーというのは、単独の内容だけではなくて、もっと複合的なものになっていくであろうということ。そして、新しい価値を創造するようなイノベーションの話、それから、技術を管理・運用、あるいは、技術倫理にも関わるようなガバナンスの話、こういうような形で構成しております。
 これが実際の例でございます。例えば、生徒が小さなエンジニアとして実社会の問題解決に取り組むということで、赤ちゃんをあやすロボットを作って、お母さんを助けようという、チームで構想して、CADで設計して、3Dプリンタで作って、プログラミング、いろいろな内容を全部複合的にやっている子の例でございます。これは信州大学附属松本中学校の例でございます。
 また、昨今のSTEAM教育などと連動しました技術リテラシーとしまして、高齢や病気・けがなどに身体機能が低下した人の願いをかなえるためのモデル、こういうものを作った岩手大学の附属中学校の例であります。各教科の内容を踏まえながら、ニーズを探求して、製品モデルを提案し、そして解決していくというような例で、これが先ほどの枠組みを具体化したものがこのような事例になります。
 現在の免許法でも、例えば、木材加工では製図及び実習を含むとなっているのですが、従来はどうしても製造の技法を学ぶというのが中心でした。しかし、この新しい技術教育の枠組みですと、エンジニアリングデザインプロセスを学ぶということに重点を置いています。例えばということで、私どもの信州大学教育学部の例をちょっと示させていただきました。
 今までですと、自分のものを設計して、そこをしっかり書くというようなことやったんですが、こういう形で発注者と設計者とペアになって、しかも相互に取り組みながら、こういったいろんなニーズを探求していく。そして、それを構想図にしたり、模型を作るということで、シーズ探究を行う。その上で、こういった製作のプロセス、我々はこれをトリプルループと呼んでいますけれども、こういうような形から展開をしていこうということですね。ですので、製図の技法、こういうものをただ学ぶだけではなくて、エンジニアリングデザインプロセスを学ぶ、こういうことが、これからの技術の免許を取る上でも非常に重要なのではないかと考えております。
 これは、このように幼稚園、小学校、中学校、高校ということで、幼小中高をつないで、発達段階に応じて考えて、中学校はこの段階というところで定義しております。
 また、昨今のSTEAM教育につきましても、技術の学びというのは、ほかのサイエンス、アート、マスマティックスと連携しながら、そして、総合的な学習の中で横断的に学び、新しい価値を創造していく。そのベースになるデザイン思考やテクノロジー、こういうものを学んでいく上で、技術の学びというのは非常に重要だということを考えております。
 ここは教育課程におけるSTEAM教育に関する議論の中でもいろいろ取り上げられております。例えば、今までもテクノロジーやデザインの教育をしっかりしてこなかった、そういうようなことですとか、図画工作(中でも工作)とか技術科、それから、情報科、こんなところとも連携して考えていく必要があると。STEAM教育の枠組みの中で技術科を考える必要性が出てきているというふうに考えます。
 そして、本題であります専門的事項の科目の内容の適切な在り方でございます。私どもの提唱する次世代の学びを創造する新しい技術教育の枠組みの中では、該当する技術の科学と技術のまとまりというものを、内容知と方法知という形で考えていました。
 それから、今回の免許法での課題であります10単位を超える科目数とか内容表記、こういうものを照らし合わせて検討したことをお伝えしたいと思います。
 現在の免許法の科目では、こういう形になっております。これを私どもの提唱する技術教育の枠組みに合わせますと、このような5つの構成、材料と加工、生物育成、エネルギー変換が電気・電子、機械、そして、情報の技術、あとは技術の概念、システムはあるのですけれども、一応この5つを挙げました。
 そして、このエネルギー変換のところが2つに分かれているところをもう少し説明させていただきますと、本当に細かくて申し訳ありません。これはさらに詳細はまた資料を御覧いただければいいんですけれども、このような形で、エネルギー変換というのも電気・電子のところで、科学的側面や技術的仕組み等、1つの体系があると。同じように、機械のところについても、同様に機械としての体系がある。こういった学問体系からも、エネルギー変換の技術については、電気・電子系という機械系の2系統が必要ではないか。また、これを表記としてまとめる方向であれば、これを内容表記で、電気・電子、もしくは機械を含むといった内容表記の対応というのも考えられるのではないかと思います。これは後ほど御説明しますけれども、私立大学が、多くの理工系のところでは、こういった電気・電子とか機械はかなり基礎科目に入っているので、実はここを分けてやるということについても、あまり違和感なくいけるのではないかというのが考えているところでございます。
 具体的な提案に移らせていただきます。
 まず、前提であります二種免許状であっても、やはり教科の特性や質保証、安全指導の観点から、実習自体は不可欠であるということは前提としてあります。
 その上でございます。まず、案の1として、本学会の新しい枠組みに準拠する5つの構成の案、それから、現行の学習指導要領に準拠する4つの構成の案、そこで電気・電子および機械という形で、内容も、注釈はつけておりますが、これは現行の学習指導の準拠案でございます。
 そして、内容の記載ですね。今回論点になっています「実習を含む。」のその部分でございます。従来どおり「実習を含む。」という案の場合には、小修正ですね。先ほどのように、製図の部分を設計とすべきではないか。
 それから、記載内容を変える案というのも考える。これは、多分この部分の議論というのは、技術だけではなくて、ほかの理科とか、家庭科だとか、今議論が進んでいる、そことのいろいろな調整等も必要になってくるかと思いますので、それを踏まえての検討になるかと思います。
 これも2つのことが考えられると思います。例えば、「加工技能を含む。」というように、具体的な内容を示すようなやり方、それから、もう少し広範な手法として、「課題解決を含む。」というように、こうすると実習より幅が広くなるというふうには考えます。また、「実習を含む。」という記述を一切しないという案も考えられるわけですけれども、この場合、実習的な内容の保証、この前提の部分についての対応をどのようにするのかという検討が必要であるとは考えています。
 もう一つの案でございます。実習を統合的にまとめて1つの科目とする構成というのも、提案させていただきます。これは、同様に中学校の保健体育ですと、体育実技という形でいろんな科目の方がまとめられている、それをちょっと参考にさせていただきました。ここは前半の4つは、先ほどの学習指導要領の4構成を踏まえています。そこにプラス5科目目、すなわち、10単位に収まるということを考慮しまして、5科目構成として、「技術総合実習」という形でございます。
 「技術総合実習」、これだけですと、意図が十分伝わらないことが考えられますので、内容記載案というのを考えました。これは先ほどのお示しした新しい技術教育の枠組みでのシステムではないですけども、複数の内容が融合して行われる、こういうイメージでございます。4内容を含むという考え方、それから、4内容から選択をする案、例えば、3内容以上を含む、あるいは2内容以上を含む、これは現在の学習指導要領で、3年生で統合的な問題解決というものが取り組まれていますが、そことも対応する。また、各大学の中でも、現在ですと、例えば、メカトロニクスですとか、いろんな融合したような形での科目構成とか展開があるので、これは実はあまり難しくなく、いろいろな大学で対応できるのではないか、そんなことを考えております。
 こういったことを踏まえまして、技術科の免許を出せる大学の増加とか、免許外教員・免許取得希望者への対応ということで、5点お話をさせていただきます。
 まず2,000人を超えるという免許外教員の多さというものであります。これは、もちろん国立の教員養成が、どんどん運営交付金などの削減等で厳しくなってきたりとか、採用側の問題、それから、教育課程の位置づけ等、様々な複合的な要因があるということは理解しておりますけれども、しかし、この問題は非常に重要な問題だと考えております。免許外で指導されている先生方の御負担ももちろんそうですし、免許外の先生の授業で受けざるを得ない生徒たちの教育の質保証。こういった観点からも、これはやはり早急に対応しなければいけないということで、私どもとしましても、ここのところはできる限りの対応をしていきたいと考えています。
 まず1点目が、現在の科目構成の変更です。これはこの後もお話ししますけれども、材料加工とまとめたり、生物育成に変更することで、かなり多くの大学で対応ができるのではないか。また、情報の部分について、高校・情報科との科目と重ねるなども考えられます。
 それから、私立大学への積極的な働きかけと開設支援。実際に、この後ヒアリングも行いました。未開設の私立大学のとりわけこの会員に対してサポートしていくような体制、これを構築したいと考えております。
 それから、免許外教員や取得希望者教員への免許法認定講習での対応です。これも実地が必須のスクーリング等で保証しつつも、オンラインでも対応可能な実習を積極的に活用することで、負荷を軽減してより受講しやすくするような、そういうところに学会としても関われるような検討を考えています。
 また、4番目として、教員免許を保持していない方への教員資格認定試験制度での対応ということで、現在の幼稚園、小学校、特別支援学校に加えて、技術科二種免許も対象にして、専門的知見は持つんだけども、教員免許を取得していない方、ここにも技術科の免許を授与できるような道は開けないかということで、質保証はこのような形でございます。
 実際に、私どもの会員で、私学で教職課程を担当している会員にヒアリングを行いました。
 まず、事例1として、神奈川工科大学の事例でございます。資料を見ていただくと分かるのですが、授業の読替えは機械の1科目だけで、ほかは教職用の授業設定をしているということであります。ここはやっぱりネックになっているのは栽培ということですが、これは学内に畑があり、かなり本格的な対応しています。
 メモとしましては、やはり栽培が生物育成となることで自由度が高くなると設置はしやすいだろう。ただし、私学を支援しても、実際に課程認定が認められ、卒業生が出るまでに数年かかると。そういうことは、速効的には、免許法認定講習であって、支援や条件があれば、これは積極的に対応したいという話をいただいております。
 もう一つの事例2としまして、大阪工業大学の事例であります。これは今年度、令和5年度、この4月より新規開設した一番直近の事例であります。
 ここは見ていただくと分かるように、学科の授業読替えで大半を行って、木工と栽培だけが非常勤で行っていると。このメモでも、やはり栽培で非常に苦労したという話を聞きました。
 ここの大学で技術の教職課程を開設できたのは、法人内大学に農学部ができたと。そこで申請可能になったというのが大きなわけです。また、既にここでは工業高校の免許を出していたもので、授業科目を共通に開設できる特例を活用するという形で、最小限の形でできたということでございます。また、申請の中心は教職教室ということで、開設の熱意のある教員が必要だというようなコメントもいただいております。
 これらを踏まえまして、認定講習であります。現在ですと、都道府県の教委が地元の大学に開設を依頼するけれども、これを学会として受託して、複数大学で展開するようなことができないかということであります。先ほどの設定は、オンラインもぜひ活用することと、それから、質保証として、免許取得後の質保証に活用するということであります。
 これは実際に放送大学等でも行われているのですけども、見てみましても、実際に実技に関わるような木工、金工とか、こういう授業開設はされていないのですね。課題としましては、本学会のような法人が実施できる仕組みづくりと予算的支援があれば、こういうことは可能ではないかと思っています。
 最後です。教員の資格認定試験制度でございます。
 ここで、もう御存じのように、教職を志すに至った者に対して教職の道を切り開くということで、ここのところ、これが中学校の免許を試験対象にするような制度・仕組みづくりを、予算的支援があればできるだろう。運営組織も、文科省のほうから、専門研究者等の委員会組織という提案がされていました。そういうところに、私どもの技術科教員指導能力認定試験の知見等を生かして、学会も協力できるだろうと。
 そして、採用後の研修につきましても、研修教材等を充実させるとともに、現在も、教職支援機構のこういった事業なども、私どもの学会の2大学が協力させていただいておりますが、こういうものにも学会として対応させていくことで、採用だけではなくて、採用後の質保証、こういうものにも対応できればと思います。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくお願いします。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 それでは、質疑応答も含めて意見交換をさせていただければと思います。各委員から御質問やコメント等をお願いできますでしょうか。
 と言っても、委員がお二人というか、合わせて3人ですので、長谷川委員、いかがでしょうか。

【長谷川委員】  村松先生、ありがとうございました。
 最初、少し感想になりますが、学会でこんなに現場に近い様々な研究をなさっていただいているというのは、ありがたく思っていますし、これからもぜひこうした御提案をいただければ学会のお取組が大変よく分かるなと思ったのが、まず最初の感想でございます。
 
【高橋主査】  ありがとうございました。安藤委員、いかがでしょうか。

【安藤主査代理】  ありがとうございます。大変具体的な御提案いただいて、大変驚いております。
 いろいろヒアリングもしていただき、学会のこれまでの流れも踏まえて非常に緻密にお話しいただいたと認識しております。
 特に、今のお話で、技術の総合実習についての御提案は非常に大胆かつ、そういう考え方もあるなと思いました。
 その理由としては、例えば、工業高校ですと、科目として課題研究というのがございます。中学校の現行の学習指導要領だと、中3での統合的な問題の解決というのがあって、これまで学修したことを踏まえて、統合的に問題を解決するという活動を学習内容としてやっていますので、問題解決を統合的に扱う区分という御提案だと思いました。そういう考え方もあるなと思いました。
 区分については、実際にそれがこれから要検討だと思うんですけれども、御提案いただいた案については、今の流れとしても、そういう考え方があるなと思って聞いておりました。
 この区分についてどう精査していくかということについては、高橋先生、それはこの後また別途論点として扱うことになりますかね。

【高橋主査】  はい。そうなんですけれども、この時点で村松先生の御発表で関係する点があったら、御質問や御意見を頂戴できればと思います。

【安藤主査代理】  それであれば、また後ほど。御提案いただいた区分のどうするかというのは、非常に悩ましい話ですし、前回のワーキングの話の中でも、これまで区分というものが、いろいろな経緯があってできてきているということを踏まえて、ただ、時代に即して学会としてどう考えるかという貴重な御提案だと思いますので、真摯に受け止める必要があるかなと思った次第です。
 すみません。感想になりますが、以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 そうですね。私から村松先生に幾つか御質問というか、少しお尋ねしたいことがあります。
 まず、今回のこの専門的事項について、本当に学会として見解をお示しいただいたということについて、とても感謝しております。また、非常に広範囲にわたる総合的な技術科の教育振興という意味でも、大変貴重な御提案をいただいたと認識しております。本当にありがとうございました。
 この専門的事項の、特に技術科・情報のワーキングで、情報もそうですけれども、技術科も特にですが、やはり一番の問題は、免許外の先生方が毎年2,000人ほどいらっしゃるということ。臨時免許状が450枚ぐらい出ている。臨時というのは3年の有効期限があるそうで、そういうふうに考えると、場合によっては毎年大体400から500程度出ているということを考えれば、1,500人ぐらいが臨時の免許を持っている方々という可能性がある。そうすると、大ざっぱに計算して、3,500人ぐらいの方が技術科の免許を持たずに教壇に立っている、この状況をどうにか改善しようということで本ワーキングがあるんだと、まず思っています。
 つまり、言うならば、本会議のほうで、東京都のほうにも校長先生が、ある技術の先生は1人4校を回っているという御発言もありましたので、それだけ免許外の方や臨時免許の方がいれば、3分の1、場合によっては半分近くの学校において、免許をお持ちでない先生に習っている子供たちがいる、それはもう数万人どころではないだろうという可能性もあると。
 そうなってくると、例えば、私は本当は理科の教師なのに、今年は技術の先生になりましたなんていう、若干やる気のないような発言を聞きながら受けている生徒をどうにかしなければいけないというところが、それは村松先生も御発表の中で何度もおっしゃっていただきましたし、改善策としてお示しいただいた、ここの部分について、我々どうしようかと思っているということだと思っています。
 したがいまして、卵が先か何が先かという話ではありませんが、今、特に技術科が置かれている現状は、教員の質保証ということももちろん重要ですけれども、授業の質が保証されているのかと。免許を持たない人に習う、場合によっては、免許制度そのものも大丈夫なのかというような厳しい状況に置かれている。
 一番のアイデアはというか、解決しなければいけないことは、しっかり免許を持っている先生に技術の授業を受け持っていただきたい、情報の授業を受け持っていただきたい。これは村松先生とお考えは一緒だと思っています。
 そこで、村松先生に質問ですけれども、後半で幾つかアイデアをいただきました。もちろん、今回の会議の範囲内の、予算があればとか、いろいろ御意見いただきましたけど、今、例えば、年間で言うと、2,500人ぐらい免許外とか臨時が出ている中で、ご提出のお取組をするとおおよそ何人ぐらい正規に免許を持った方が技術科の授業を持てそうという見込みでしょうか。

【村松先生】  ありがとうございました。
 まず、大きく分けると3つかと思います。国立だけではなく、私学でどれだけ出せるのかというような話、認定講習、そして、3つ目の認定試験、この3つを提案させていただいたものですけれども。
 1点目の私学については、この2大学にヒアリングも行いましたけれども、やっぱりネックになっているのは栽培で、理工系であれば、それ以外の部分というのは、実はそんなに大きな問題ではないのだと。むしろ現在のところがあれば、ここである程度いけるだろうというふうには考えております。
 2点目の、今の対応でいったら一番大きいのは、やっぱり認定講習かと思います。ただ、これも現在ですと、多分全国でも開かれているのは3つとか、それくらいで、まずそもそもないので、これが各県ごとに行っていくのであれば、三桁台の単位で出すということも可能だと思います。そのときには、当然オンラインの活用だとか、そういうものを条件にして、今までの認定講習だと、1都道府県で1大学、地元の大学ががっちりという形だったのですけれども、それだとどうしてもハードルが高くなってしまうんですね。今回のような形で、これは今回の会議の趣旨は超えてしまうんですけれども、複数大学で対応させていただくような、そんな仕組みができれば、今のようなことはかなり解決できる見通しができると思っています。
 それから、最後の資格認定試験、これは今までも中学校で試験をやっていないということで、多分、今回の提案の中で一番ハードルは高いんです。ただ、例えば、潜在的に企業でエンジニアをやられている方と、やっぱり教育をなんていう方は、一定数、かなりおりますし、そういうような企業で勤めていただいてやっぱり教育のことをやりたいよねということで、頑張って免許を取られる方も、1桁台ではありますけれども、やっぱりおります。最後の3点目のような道が開けると、相当今までいなかったような潜在的なそういうのが、そういったところにも開けるというようなことができるのではないかと思います。
 ですので、今3,500の中でどれくらい解消できるのかという具体的なシミュレーションまではいかないのですけれども、少なくとも前の2つがうまく起動してくると、三桁台の対応というのは可能なのではないかなとは、ざっくりですけれども、想定しております。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。本当に期待したいところではありますが、また続けて質問をさせてください。
 村松先生の御説明の中で、「実習を含む。」の実習については前提としてというようなお話があったかと思います。ほかの教科の中では、当然実習は含むはずなので、明記していない教科もまずあるということと、つまりは、この記述をなくすこと自体が、実習をしなくてもいいというメッセージではなくて、実習しないというふうに誤解されると少し困ってしまうなと。
 つまり、具体的に課程認定の際に、実習があるかどうかをシラバス上で確認しないというだけのことで、それはしないという意味ではないということなんですけれども、そういった意味でも、この実習というのが、ほかの教科で書かれていなくても、技術科としては必ず書くべきだというような御意見だと考えてよろしいのでしょうか。村松先生から御意見伺えれば。

【村松先生】  ありがとうございます。
 実習の表記、実習そのものは、例えば、体育実技ではないですけれども、それは内容として必ず含むだろうということは、おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、懸念点としては、今まであったのがなくなったことで、今のような高橋さんが言われたような誤解を生じる可能性はあるということと、実習云々以上に、やはり今後のことだとか、大学とかでも、いろいろな大学が参入してくるという対応を考えると、既存の4内容とか区分でぼんとやるよりは、こういう複合的な、先ほど提案したような、そういう形で明示するということは、逆に、かなり柔軟な対応ができるようになったりとか、それから、こういう形で実習が別になくなったわけでもないということのメッセージにもなるのではないかというのが、2番目の考え方であります。
 だから、記述がないというようなことで、会議の中でそういうような形になった場合には、例えば、そこの部分をどういうふうに説明するのかというような、丁寧な対応が必要になると思っていますが、実習の表記がないと絶対駄目というようなことで強く言っているものではございません。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 もう1点よろしいでしょうか。科目区分についても、専門的事項の科目のところも、具体的な御提案をいただいたと考えております。これ、様々な視点があると考えています。
 まず、ここは基本的には、まず技術科の指導法という授業が別にあって、基本的な整理では、安全の指導とか、そういう技術科固有の指導法に関しては、おおよそ指導法の科目でやると。ここの今扱っている専門的事項のお話については、学位プログラムとして、工学部の例えば情報を取り扱っている学科とか、電気を取り扱っている学科とか、そういう各大学の中で専門的に勉強している内容が、技術科の教員として認められるかみたいな位置づけで科目構成とか区分を考えていくんだと私は思っています。
 教員養成系の大学であれば、その学位プログラムが目指すべきものと免許を取るということがイコールに近いですけれども、今後、免許をいろんな私立大学で取っていただくというふうになると、その私立大学の中で勉強されている方は、全員が教員になるわけではない中で、ある意味読み替えていくというか、そういうふうにして考えていくと。
 そうなってくると、今回の専門的事項も、技術科の専門性のほうから区分を考えていくという考え方もありますし、もう少し将来を見据えれば、最新の専門的な内容の区分は、大学の学部や学科の構成にある可能性があるわけですよね。
 例えば、村松先生おっしゃったようなSTEAM教育みたいなことを広げていこうと思えば、既存の技術科の専門的な区分、技術科としての教科としての区分で考えるより、むしろ、安藤先生なんて、もう本当に私立の工業大学ですけれども、ああいうところとちょっと一致させていく。どこまで一致させるかというのもありますけれども、そっちのほうの視点もあったりすると、学習指導要領の改訂と含めて、行ったり来たりしながら、村松先生がおっしゃるような技術科教育の発展ということも望める気がするんですけれども。その辺り、科目区分の村松先生のお考えについて、また改めてお聞かせいただけるとありがたいんですが。

【村松先生】  ありがとうございました。
 今、高橋さんおっしゃったところで、もう少し学問領域、例えば、科研費の区分ではないですけれども、そういうような形で網をかけてやったらいいのではないかというようなお話だったかというふうに理解していますけれども。
 ここで出させていただいた材料加工、生物育成とか、エネルギーというのは、これは各学問領域のところで、その学問領域をかなり広範に包含しているという理解であります。
 確かに、今日提示した新しい枠組みというのは、現在の学習指導要領の表記とほぼ変わらない表記でやっているのですけれども、でも、そこに対象になっている学問分野というのは、それぞれかなり幅広いものなので、ここはまたいろいろ御検討いただければいいんですけれども、決して学習指導要領がこうだからこうしたいというような、教科教育の視点というよりも、各領域を支える技術の科学といいますか、学問領域の視点からも、そんなに齟齬はないのではないかというのが私どもの見解であります。
 各大学のほうで、先ほどお示ししたようなヒアリングの結果からも、やっぱりネックになっているのは栽培というふうに、かなりピンポイントにやっていたところが大きいもので、ここがこう広げられれば、ほかのところは、実は各理工系の大学のいろんな学部のでも相当柔軟に対応できたりとか、どれもかなり基礎科目に当たるような内容をみんな包含しているので、そこはそんなに問題ではないのではないかと個人的には捉えております。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 安藤先生、何かございますか。

【安藤主査代理】  ちょっと違う質問になってしまうので、もし今の話で、高橋先生のほうで引き続きとなれば、それが終わってからでも結構です。

【高橋主査】  構いません。安藤先生、お願いいたします。

【安藤主査代理】  恐れ入ります。
 村松先生から御提示いただいた資料の中で、専門的事項の科目区分の話のページが19、20にあったと思います。学会で整理した情報のところで私も関わらせていただいてはいたんですけれども、初めから区分ありきで、どういう中身があるのかということを検討したというふうに理解しています。
 つまり、何が言いたいかといいますと、エネルギー変換という括りの区分の話として検討しているわけではなくて、初めから電気という区分にはどういう内容が体系化できるのか、機械ということはどういうふうに体系化できるのかということを検討したということなので、理解は間違っていないですよね。

【村松先生】  ありがとうございます。
 おっしゃるとおりかと思います。例えば、今お話しいただいた19枚目のところでございますと、詳細はまた別な資料を御覧いただければいいのですけれども、基礎となる学問ということで、電磁気学、電気回路学、電気工学、電力工学、アナログ、デジタル、通信工学、制御工学、センサ工学と、関連の学問の領域をかなり幅広くやっております。これをまとめて、大分類工学とかというふうにやるということもなくはないんですけれども。そういう意味でいくと、決してこれは学習指導要領の表記を基に作ったものではなくて、あくまでもこういった学問との関係も考慮しながら切り出してきたというところは補足させていただければと思います。
 以上です。

【安藤主査代理】  ありがとうございます。
 学問体系からも、エネルギー変換の技術は電気・電子系と機械系の2系統が必要ではないかという御提案は理解できるんですけど、その区分を学会として検討して出ている資料ではないという、そういう理解ですよね。

【村松先生】  えーと……。

【安藤主査代理】  2系統を一つにしましょうという検討は、まだ学会としては十分しておらず、それぞれの内容としての体系化をした結果、2系統が必要ではないかという理解でよろしいですかということなんですが。

【村松先生】  これは最初の段階で、そこの部分は実はかなり議論をしまして、やはり各学問体系とかを踏まえたときに、材料加工というのはかなりまとめることができるだろうと。共通項が多いので。ただ、今の電気系とか機械系というのは、工学としてはまとめられるんだけれども、個別学問として見ると、個別な体系性が非常に強いので、そして、やはり分けるべきだというようなことから、まず大枠を分けて、それをそれぞれの関係の先生方に検討いただいたという、そういうステップを踏んでおりますので、全体としての検討はもちろんした上での枠組みということになっております。
 以上です。

【安藤主査代理】  ありがとうございました。
 当初から分けて検討しており、一緒にすることは学会として議論されていないということが大事かなと思ったので、確認させていただきたかった次第です。ありがとうございます。

【高橋主査】  ありがとうございました。長谷川委員、いかがでしょうか。

【長谷川委員】  村松先生のお話の中で、認定講習というのが有効な策ではないかというお話がございました。その認定講習を各県等でやった場合には、かなりの確保ができる見込みがあるということですが、大学がないエリア、中国地方でもどんどん減っていますが、そういった辺りでの認定講習をする際に、どんなアプローチがあるのかなという辺りを、お伺いしたいなと思いました。

【村松先生】  ありがとうございます。資料で言うと、26枚目の、今お話しの部分をいただいたかと思いますけれども。ここでもちょっと提案させていただいたのですけれども、一番ポイントは、オンラインの積極的な活用かと思うのですね。例えば、情報の演習などはオンラインでもいけちゃいますし、それぞれのほかの内容にしても、例えば、工作機械の何とかみたいな、どうしてもこれは実地でないといけないというものは、一定救う意味で保証する。だから、その部分だけは、例えば、2日間とか何とかをどこどこのところの会場に来なくちゃいけないんだけれども、それ以外はほぼオンラインでやれるよというような、こんな仕組みができるだけでも、これまでよりも格段に敷居が下がると思うのですね。
 放送大学の例なんかでも、あれだけ授業を出しているのだけれども、やっぱり今の技術の免許の部分だけは対応する授業が設定されていないわけです。今、長谷川委員がおっしゃったように、各国立の大学のほうが厳しい状況になってきたときに、技術の教員養成の免許を出せる大学がないという都道府県もございます。そういうようなものが、今のようなオンラインの形をやることで、かなりのカバーは、今のような仕組みは取ったらいけると。
 それから、この一大学で全部負うというのは、非常に負荷が大きいです。実は、昨年、私も工業高校の免許の認定講習をやったのですけれども、こういうようなものを継続的に何科目もやるとなると、やはり教員の負担も非常に大きくなってきます。でも、これを分散、共同で開催できるようになってくると、いろんな全国のところが取れるようなことができるようになってくるという。その辺は、もちろん仕組みづくりとか、予算的支援の話があるので、ここの会議の範疇は超えてしまうかもしれないのですけれども、ぜひ今後の課題として検討していきたいと思います。
 私ども学会としても、積極的にこの辺については協力を考えておりますし、提案できればというふうには検討しております。
 以上です。

【長谷川委員】  ありがとうございました。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 安藤委員、よろしいですか。

【安藤主査代理】  ありがとうございます。
 今の講習の話なんですけれども、宮城教育大学で教職員支援機構の受託をもう10年以上受けておりました。そこはこれまで対面でやっていたんですけれども、コロナ禍でどうやってやろうかというときに、リモートでここ数年実施してきていました。
 それがいいか悪いかという議論は取りあえず置いておくとしても、それで受講生、定員が埋まるくらいの形で実施してきておりました。どういう工夫をしたかというと、例えば、材料と加工のところでは、デジタル工作という形にして、受講者は3DCADで設計して、そのデータを大学に送ってもらって、こちらでレーザー加工機でカットして、そして、それをまた戻すというようなやり方を工夫しました。
 栽培は、宮城教育大学では専任教員がおりませんので、非常勤、外部講師の方にお願いしました。その方は容器栽培というような形で、リモートで何とか実習的なことを含めてやっておりました。
 そして、今の広島工業大学では、神垣先生と松本先生という方が情報コミュニケーション学科にいらっしゃいます。その方もコロナ禍で、情報の実習をリモートでやられており、ちょうどCIECの『コンピュータ&エデュケーション』の最新号に査読付きで出ています。M5Stackというものを学生に渡して、IoTのリモートの実施をしていました。リモートでできる限界というのはあるものの、やりようがあるのではないかなということで、情報提供としてお伝えいたしました。

【高橋主査】  ありがとうございます。
 村松先生、最後に私から質問をちょっとさせていただきたいんですが。今回、技術科について随分お話を伺えたんですが、関連して、高校の情報科についてもし御意見等ございましたら、伺いたいんですが。

【村松先生】  高校の情報科との連携というのは非常に重要だと考えております。例えば、この資料の中にも入れさせていただきましたけれども、高校の情報の科目と技術の科目の情報というのがかなり重ねることができるというふうには考えております。そういうふうな工夫ができると、例えば、現在、高校の情報を出しているところとも検討してもらったりとか、そういった様々な展開ができるのではないかなというので考えております。ここは私どもとしても積極的に検討したいと考えてはいるところでございます。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 最後に、どなたか。なければ、ここで閉じたいと思いますが、村松先生、最後、何かコメント等ありましたら、ぜひ。

【村松先生】  貴重な発表の話の場をいただきまして、ありがとうございました。
 途中でも述べましたように、私ども、やっぱり免許外のこの問題というのは非常に大きな問題であり、担当いただいている先生の御負担や、受けざるを得ない子供たちの教育の質保証という観点からも、何とか解決に学会としても最大限の協力をしていきたいと思いますので、またぜひ御検討のほうをよろしくお願いします。
 本日はありがとうございました。

【高橋主査】  村松先生、ありがとうございました。本当に御多用中にもかかわらず、御協力いただきました。感謝申し上げます。
 以上で、議事1を終了したいと思います。
 続いて、議事2の「教科に関する専門的事項に関する検討」に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】  事務局でございます。資料3に沿って御説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、科目区分に関する論点<技術>についてですけれども、今回の科目区分設定に関して、基本的な考え方を御紹介させていただきたいと思います。
 まず、これまでの繰り返しになりますが、教科に関する専門的事項に関する科目の単位の修得方法は、科目区分1つにつき、それぞれ一単位以上修得するものとされております。この点については、免許法別表第三ですとか、免許法別表第四、これは既に免許を取得している方が、上位の免許を取得したり、他教科の免許を取得したりする場合、このような場合にも適用されるところです。現在の科目区分は、こちらの6項目になっております。
 次、2点目ですが、教科に関する専門的事項は、一般的包括的な内容を含むものでなければならないということです。1つ典型的な例えを出しますと、例えば、社会科において、「日本史・外国史」というのがあるんですけれども、その外国史の部分をフランス史だけで置き換えることができるかと言われると、それはできなくて、少なくともおよそ外国史と言われる部分の概論的なものは押さえていなければならないというのが原則になっております。
 3点目ですが、免許法別表第八の規定により、高校「工業」または「情報」の免許を保有する者は、一定の勤務経験に加え、追加で単位を修得することにより、中学「技術」の免許の取得が可能となっております。この場合において、基本的に高校の「工業」や「情報」で大体いろいろな専門的科目は取っているだろうという考えの下に、木材加工と金属加工、栽培については修得していない可能性が高いので、それぞれ一単位以上を修得する必要があるとされております。
 最後に、科目区分の変更の際の経過措置の考え方ですけれども、現行の科目区分から内容が統合または削減される場合については、基本的に改正による経過措置というのは不要であると考えております。ただし、中身が増える場合、科目区分の仕切りが変わって増えるような場合もありますけれども、このような場合については、施行されるまでに一定の周知及び大学の準備期間が必要であるとともに、現在、現行の科目区分の教職課程を履修している学生がいることから、令和○年度の入学生から適用される。すみません。これ、記述が抜けて恐縮ですけれども、そういう規定を置く必要があります。
 具体的に申し上げますと、例えば、もし新設科目のようなものを設けた場合、先ほどの話で言うと、村松先生がおっしゃった中の「技術」の総合実習みたいなものを仮に設けるとするならば、それは新しい大学に対してのみ適用されるというわけではなくて、基本的には既存の大学にも適用することになる。そうすると、それぞれの部分で再課程認定ないし変更届などの手続が必要になりますので、当然すぐには対応ができないということ。令和○年度から一律適用になってしまうと、既に単位を取っている在学生がもう一回単位を取り直さなければならないというおそれがありますので、増える場合には、令和○年度入学生からの適用となるというように、経過措置を置く必要があるのではないかということを記載しております。
 この基本的な考え方を踏まえて、どのようにに区分編成するのがよいかという、1つの論点案として提示させていただいたのが2.でございます。
 まず、1つは、現在の学習指導要領の内容等を含め、6つの科目区分を、「木材加工、金属加工」グループと、「機械、電気」グループ、「栽培」のグループ、それから、「情報とコンピュータ」のグループ、この4つの区分に科目を再編するのはどうかということです。
 それぞれの科目の表記の仕方についてですけれども、「木材加工」と「金属加工」の選択制とするのはどうかということです。この選択制というのは、例えば、他教科の例では、これも社会科になりますが、「法律学、政治学」という科目がありますが、これは法律学か政治学のどちらかを取ればいい。つまり、包括的一般的な部分についても、法律学概論か政治学概論みたいなものが含まれていればいいということになりますが、そういった選択制とするのはどうかというのが1つの考え方です。
 「木材加工」と「金属加工」というのは、それぞれの学位プログラムで考えると、木材のほうは「森林、水圏応用科学およびその関連分野」ということで、むしろ農学ですとか林業のほうに近い。一方で、金属加工については、「中区分:材料工学およびその関連分野」に含まれるということを考えると、木材加工と金属加工を一つの束にしたオムニバスのようにしてしまうと、結局指導内容としては、その全部をまとめてやるのと変わらないとことから、選択制とするのはどうかというのが1つの考え方としてあり、他の材質の材料加工なども含めた選択制にすることは考えられるかということも1つ提示をしております。
 ほかの科目との選択制という場合は、例えば、「木材加工、金属加工、その他材料の加工」などということが考えられます。これは、例えば、先ほども出てきました3Dプリンタなんかで、プラスチック材料とか、その他の木材とか、金属以外の材料を扱っているような学問体系というのも当然ありますので、そういったものも含めた選択制というのも考えられるのではないか。
 一方で、「材料加工」という包括的な科目名称にするかというのも、もう一つの選択肢としてはあります。ただし、包括的な名称とした場合には、一般的包括的事項を結局材料加工全般についてやる必要があるので、その点について、既存の大学がどこまでついてこれるのかという問題があるということは御指摘をさせていただきたいと思います。
 2点目に、「製図を含む。」について必要があるか否か、3点目に、「実習を含む。」について必要があるか否かという部分になります。
 大きなグループ2番目ですけれども、「機械、電気」グループです。これは「機械」と「電気」の選択制とするのはどうかということです。「機械」と「電気」も、これも同じ工学ではありますが、基本的には、機械のほうは「機械力学、ロボティクス、その関連分野」に、電気のほうは中区分の「電気電子工学およびその関連分野」にということです。先ほど村松先生からの御発表にもありましたように、やはり機械と電気というのはそれぞれ違った学問体系であるということを考えると、これも選択制ではなくて包括科目にしてしまうと、先ほどの金属加工と木材加工の問題と同じような問題が発生してしまいます。したがって、これも選択制とするのはどうか。もしくは、他のエネルギー変換の技術に関わるものを含めた選択制にすることは考えられるかということで、例えば、「機械工学、電気電子工学」のほかに、例えば、この分野で言うと、熱力学などもありますので、そういった科目との選択制にするということも考えられるのではないかということです。
 2点目は、「実習を含む。」について必要があるかということです。
 3点目に、「栽培」についてですけれども、もともとの指導要領に含まれているのは、いわゆる植物栽培の話と、動物飼育の話と、水産生物の栽培の3つに分かれておりますので、これ、それぞれの選択制にするのはどうかということです。
 「栽培」と「飼育」と「水産生物の栽培」については、これも学問区分、脚注にありますけれども、これも実は同じ農学区分の中でも、中区分はそれぞれ分かれているのではないかと推測されますので、これも包括的な学問にしてしまうと、同じような問題が発生するのではないかということです。
 それから、「実習を含む。」について、必要があるかどうか。
 「情報とコンピュータ」について、「実習を含む。」について、必要があるかどうかという、これが技術のほうの論点整理でございます。
 続きまして、科目区分に関する論点<情報>のほうです。
 「情報」についても、基本的な考え方は全て一緒ですけれども、これも中学校の「技術」の免許を持っている人は、免許法別表第八の規定により、一定の勤務経験に加え、追加で単位を取得することにより、高校「情報」の免許の取得が可能。現行は、情報システム(実習を含む。)、情報通信ネットワーク(実習を含む。)、マルチメディア表現・マルチメディア技術(実習を含む。)、情報と職業についてそれぞれ一単位以上を修得する必要がある、そういうふうに記載がなっております。
 科目区分の変更の際の移行措置の考え方も、同じようになります。
 科目区分の見直しに関する論点ですけれども、6つの科目区分の内容を整理し、5つの科目区分にするのはどうかということで、科目区分の名称ですけれども、1つ考えられるのは、「情報と職業」を、「情報社会・情報倫理」に統合するのはどうかということです。これは多分、中区分上も同じものに含まれると考えております。
 その際、「情報と職業」に関する職業の扱いをどうするかということです。これも実は、「情報社会・情報倫理(職業を含む。)」にしてしまうと、先ほどの一般的包括的概念の問題が発生するので、この職業を明記するか明記しないかというところが、1つ論点になろうかと思います。
 それから、現行の2から5の区分の(実習を含む。)を削除するのはどうかということですけれども、これも当然、中身によって実習を削除してもいいもの、しては駄目なものというのがあると思いますので、それぞれについて検討が必要かと思います。
 私のほうからの説明は以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 それでは、今整理いただいた論点や、先ほどの発表等も踏まえて、審議に入りたいと思います。御意見等いかがでしょうか。

【長谷川委員】  よろしいでしょうか。

【高橋主査】  長谷川委員、よろしくお願いします。

【長谷川委員】  御説明ありがとうございました。
 もう少し詳しく教えていただければと思うのが、包括的な科目名称にすることによって、これまでいろいろやってきた大学がどこまでついてこられるかというような御説明があったかと思うのですが、この辺り、もう少し詳しく御教授していただけますか。

【樫原教員免許・研修企画室長】  この点について、例えば、金属加工と木材加工というのを一つにして材料加工とした場合に、材料加工の概論みたいなものを授業内容で設けなければならないということになります。
 そうしたときに、木材加工の概論と金属加工の概論を足したものでいいのか、もしくは、木材加工と金属加工の概論に加えて、他の材料加工も含めた概論のようなものが必要になるのかという点になると、もともと木材と金属しか扱っていなかったところが、そもそも概論的な内容を増やさなければならなくなるという問題がありますし、もう一つは、木材加工と金属加工がそれぞれ概論ということになると、結局、結果的には両方やらなければならないということとほぼ同義になってしまうので、それが今回の検討の方向性と一致するかどうかという論点もあるかと思います。

【長谷川委員】  分かりました。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 いかがでしょう。長谷川委員、ほかにございますか。

【長谷川委員】  よく分かりました。

【高橋主査】  安藤委員、いかがでしょうか。

【安藤主査代理】  今御説明いただいたのはよく理解できました。
 今の御提案の話というのは、既存の区分を、今グループというふうに仮に称していただいたと思います。今回の会議を迎えるに当たって、私のほうでも、どういう区分が考えられるかなということを検討してみました。前回お話ししたように、免許を出しにくいという大学側の問題もあるという話でしたけれども、それは区分の項目が小さいからではないかということをお話ししたと思います。
 そこで、先ほど村松先生からのお話もありましたし、今も御説明いただいたように、技術というものを、仮に工学と農学というふうに2つのもので構成されていると考えるとすると、これ、こういう会議でチャットでリンクを送るってありでしょうかね。
 文科省で出している大学の学科系統分類表というのがあるんですね。今回資料として出していただいたのは、科研の分類表だったんですけれども、僕のほうでは、大学の工学部の分類というのを参考にしてみました。一回そういう学問体系、先ほど高橋先生がおっしゃったように、現在の学問体系としてどうなっているのかなということを検討してみたんですね。
 そうすると、今お送りした資料、リンクのところで言いますと、そもそもの大分類は「工学」というものがあって、その「工学」の中に中分類というのがあるわけですよね。中分類というものの中に小分類があるわけですけれども、中分類でまず見たときに、「機械工学」という分野、「電気通信工学」という分野、そして、木材とか金属というのは内容には特別なっていなくて、「工芸学」ですね。工芸ではなくて、「工芸学」、「学」がついているというのが重要ですけれども、その「工芸学」というもの。そして、工学ではないですけれども、「農学」というものにまず分かれるんだなということを一度整理してみました。
 これを仮にそのまま区分としてしまうという案もあるかもしれませんけれども、さすがにこれだと多くを含み過ぎているので、もう少し小分類まで落とすとなると、先ほど村松先生から御提示いただいた技術リテラシー教育のスコープという、資料の10ページ目、そこに書かれているような少し細かい話、情報工学というものが見えてきます。こういった小分類の中で、何と何が現行の区分で組み合わせることができるのかということを考えてみました。
 その結果、今回、私としては、例えばということですけれども、これまでのような、ほかの教科ですと、何々学というのがついていますので、やっぱりその学とつけられるようなことで言いますと、工芸学というのが難しいようであれば、例えば、木材と金属でプロダクトデザイン学というのが近いかもしれないなと思います。あるいは、電気通信工学というのは、その中に情報も含まれてしまっていますけれども、それですと、やはり範囲が広過ぎてしまいますので、例えば、電気と情報と分けるとしましょうと。
 ただ、電気というところで言うと、先ほどお話しした村松先生のお話ですと、初めから電気と機械というのは別々に検討していて、やっぱり2つ必要ではないかという御議論でした。そうではなくて、機械と電気を一緒にするとすれば、メカエレクトロニクス学というのがこの小分類の中にあるので、それと電気と機械を一緒にするのであれば、これまでのロボコンとか、例えば、そういったようなイメージも含む学問として、そこに近いのではないかというような気がします。情報においては、情報工学というようなキーワードで、これは村松先生の資料にもあります。
ただし、情報工学だけで困るのであれば、例えば、情報科学的なことを含むということも必要かもしれません。いずれにしても名称については、こういった既存の学問体系がイメージできるようなものになっているといいかなと思いました。
 あと、「製図を含む。」についても、一緒によろしいでしょうか。
 製図というのが、基本的には、設計というものを構成する1つの段階だというふうに認識しています。もしやるとすれば、例えば、図学と。僕が大学の教職のときは、図学という名前で履修していましたけれども。製図というのは、そのときに製図では、あるものを作るための手段であって目的ではないというのが書かれていたので、そういう意味では、製図だと細かいですし、作業的な意味合いが強いですので、僕は、「製図を含む。」というよりは、設計というものがイメージするようなことのほうが、今、時代としては合っているのではないかと思います。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 具体的な案が上がってきておりますので、どうしましょうかね。まず技術科のほうを中心にもう少し議論していきたいと思いますけれども。
 改めてですが、今まではちょっと理想的に専門的事項を考えてきましたけど、今の事務局からの説明だと、一つ考えなければいけないのは、何かを書いたら一般的包括的な内容を含まなければいけないと。だから、大きな枠で書いてしまうと、それを端から端まで勉強しなければいけないというので、かえって難しくさせてしまうということがあるので、選択制という考え方を御提案いただいたと思います。
 もう一つは、あまりにも科目区分を変えてしまうと、移行措置等が必要になって、それがかえっていろいろ問題を呼ぶかもしれないと。もちろん、そういうことを気にせずやるというふうに考えることも、必要だったら当然やるべきだと思いますけれども、こういったテクニカルな意味での制約も考えられるというようなお話をいただいたと思います。
 これを踏まえて、ちょっと具体的な、ある意味で先ほどの村松先生の御提案と似ているところもありますし、似ていないところもありますし、今、安藤先生からも御披露いただきましたし、さらに事務局からは制度上の制約ということも御説明いただきました。これらを総合的に踏まえて、具体にどうしたらいいのかみたいなお考えがあれば、ぜひお聞かせいただきたいんですけれども。改めてという感じになるんですが、いかがでしょうかね。
 長谷川委員、何かありますかね。

【長谷川委員】  たくさんの情報をいただきましたが、やはり現場での技術科教育の質の保証という意味で、何よりも早く免許を持っていらっしゃる先生を現場にと思います。これは皆さんに共通していることだと思います。
 また、実習の必要性ということについては、これも皆さん共通した見解だと思います。ただ、やり方については様々あるので、それはその大学の事情とか、あるいは、新規に参入される私立のその実情とか、もちろん強みもあるでしょうから、そういった専門科目の活用とかも考えていただいたらと思います。
 少し悩んでいるのは、包括的にやったほうがいいのかどうか。現場目線でいうと、もう材料と加工ということで幅広くいろいろなものを扱いますが、包括的にしたことで大学のカリキュラムにどこまで影響を与えるのか。例えば選択制にするとか、いろいろな方法があっていいのかなという思いはちょっともっています。
 
 あと、括弧の中身、括弧の中に書くということで、やはり先ほどの話にも戻りますけれど、各大学の志といいましょうか、これまでの方向性を考慮すると、書いてしまうことで制約が出るのであれば、なくてもいいのではないかなというふうには思っています。
 一旦、私のほうからは以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 今の点、事務局にもお答えいただいたほうがいいのかもしれないと思うんですが、今の長谷川委員のお話だと、包括的にやるというのが現場のお答え、気持ちなんだと。だけど、ここの科目区分で包括的みたいなことを書いてしまうと、端から端まで勉強することになって、むしろ参入障壁になるのではないかと。選択制というのが考えられると。そのときの選択制というのは、場合によっては、木材加工、金属加工、先ほど事務局からも提案がありましたけど、プラスチック加工とか、あるいは、その他とか、書きぶりで書きようというのは、事務局的には何かあるんでしょうかね。

【樫原教員免許・研修企画室長】  まず、材料加工のところがありましたけれども、まさにその材料加工の概論というものが、今までやってきた木材加工の概論と金属加工の概論というものと一致するのかというところが最大の問題でして、一致しない場合、むしろそっちのほうが広くなってしまうと、多分、確実に移行措置を置かなければならないというところが一番の悩みなのかなと思っております。
 ただ、選択制にする場合には「木材加工、金属加工」、そこを最後プラスチックと書くのか、その他材料加工と書くのかというのはあり得る話かなと思っております。
 特に金属加工と木材加工のところについては、安藤先生からも一つの工芸学とかという話があったんですけれども、ちょっと考えなければならないのは、本当にこれって一つの学問の中に収まるのか。金属加工と材料加工が同じ学問で収まるのかと。
 一つ、その証左として、少なくとも今開設している技術のところで、木材加工の先生と金属加工の先生って本当に同じなのか。大学で担当している先生がですね。これが同じだったら、一つのところにあり得るというのはあるんですけれども、違っている場合のほうが多分ほとんどではないのかなと。村松先生の資料の中の事例1、事例2を見ていっても、特に事例2のほうでは、金工のほうは学科の読替えでやったけれど、木工は非常勤講師という例があったので、少なくともこれは間違いなく違う先生が対応しているということも踏まえたときに、包括というのが結構難しいのではないのか、選択のほうが現実的ではないのかとは思っております。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 長谷川委員、よろしいでしょうかね。

【長谷川委員】  そうですね。学校では、様々な材料を使っているので、先ほど例示された金属、木材、そして、その他材料といった辺りとか、そういうことにすると幅広に、また地域性も含めた加工の取扱いができるかなと思いました。

【高橋主査】  ありがとうございます。
 安藤委員、ここまでで、先ほども御披露いただきましたが、付け加え等ありましたら。

【安藤主査代理】  ありがとうございます。
 私がお話ししたのは、かなり広い話をすることになってしまうということにはなるんですけれども。その意図は、例えば、免許を出す大学にとって、「栽培」と書かれてしまうと、本学は栽培には関係ないから参画できないんだというふうに捉えられるよりは、「農学」というふうに広げておくことで、それであれば我が大学でも扱えるかもしれないとか。ですから、大学にとって関連する学科が分かりやすいように区分を広げたかったという、そういう趣旨です。
 ですので、すみません、話が分かりにくいですけれども、木材加工とか金属加工というような、内容を直接イメージする名称であると、ちょっと困るのではないかということです。名称については何か検討が必要で、この名称を見たときに、免許を出せそうな大学が参画してくれるような名前だといいかなと思います。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 私からも併せて事務局に伺いたいところですが、名称を変えた場合は、いわゆる移行措置みたいなものがどのぐらいの必要性、多分必要なのかもしれませんし、移行措置というのがどれぐらい大変なことなのかというか、学校に負担がかかるとか、そういうことなのかあたりをもう少し教えていただけると助かります。

【樫原教員免許・研修企画室長】  分かりました。
 多分、移行措置で一番大変になるのは、今まで課していないものを新たに課す場合です。この場合には再課程認定が必要になる場合がありますので、これは大学にとって相当負担が大きいのではないかと思います。
 当然、ある種の既得権益的に、何年までに開設したところが、それは昔の法律で使っていいんだみたいなことをやることは多少は可能ではありますが、ただ、そうすると、旧法に基づくものと新法に基づくものの質保証の考え方が全然違うということにもなりますので、そこは非常に大変なのかなと思っております。
 そういうことをもし避けるのであれば、選択制としたときに、ある種、今の名称と新しい名称の選択制みたいなやり方があって、それは先ほどで言うと、「木材加工、金属加工、材料加工」みたいなものにすると、木材加工のところは木材加工でそのままいきますし、金属加工のところは金属加工でそのままいけますし、新たに参入するところで、材料加工概論みたいなものでやろうとするところは材料加工でいけますし、ということで、こういう場合は経過措置は基本的に不要というふうになると思います。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 安藤委員としては、包括的に書くことがいいのではないかと。

【安藤主査代理】  そうですね。中身というよりは、区分の名称としてということですね。

【高橋主査】  そうですね。いろんな人が見て参入してくださって、でも、中身としては専門的に勉強すればいいということですよね。私もそう思いますし、先ほどの村松先生のSTEAMとか、ああいうものが最終的にうまく実現するには、ここを触るだけではないですけれども、なるべく包括的にというのはあり得ると僕は思うんですけれども。ただ、再課程認定というふうになると、つい先日もやったばっかりじゃないかとか、やっぱりいろいろあるので、なかなか悩ましいところだなと思いました。
 あと、僕は安藤委員のお話を聞いていて思ったんですけど、村松先生も御提案でいただいていましたけど、やはりコンピュータは必ずあるんだろうと。考えていくと、加工のところで、プラスチックの加工といったら、今、3Dプリンタっぽいイメージがあって、そうしたら、そういう授業はどっちに区分するといいんだろうかとか考えていくと、このコンピュータという科目の区分が立つということも居心地が悪いんだけれど、こう書くしかないということなのかななんて思いながら、安藤委員の御提案も伺っていました。
 ちょっと話題を替えたいと思いますけど、括弧書きの扱いについて少し御意見を伺いたいと思っております。
 この括弧書きに関しては、ほかの教科との関係で、技術科だけで考えるよりも全体で考えたいと思うので、2通りあるという御説明の前に事務局からあったと思います。学び方みたいなことと、その内容みたいなことを書くということだったと思いますけど、括弧書きは、ほかの教科との関連でどうなっているか、改めて事務局から御説明いただけますか。

【樫原教員免許・研修企画室長】  括弧書きの書き方ですけれども、基本的には、その内容を補足するものと、方法学を補足するものがありまして、内容を補足するのは、例えば、国語でいうところの国文学(国文学史を含む。)ですとか、地理学(地誌を含む。)ですとか、声楽(合唱および日本の伝統的な歌唱を含む。)とか、そういったものが基本的に内容に関わるものでございます。
 方法に関わるものとしては、今回の技術の「実習を含む。」もそうですけれども、例えば、家庭科でいうところの「食物学(調理実習を含む。)」のようなものが基本的には入ってきます。どちらかというと、実は方法学を置いているものはさほど多くはない。典型的なもので、これは括弧書きではなくて、もう本体に入れていますが、理科における物理学実験とか、実験というものもあります。
 ただ、物理学実験には、括弧して「コンピュータ活用を含む。」という方法学も、実はさらに含まれております。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございます。
 他教科との関係も考えながら、技術科・情報科としては括弧をどうするかということなんですけれども、ここについて、例えば、全部今までどおり「実習を含む。」と書くべきだとか、全部なくすべきだとか、間を取って、こういうものはどうしてもあえて明示しないと駄目なのではないのかとか、いろいろ御意見あると思いますが、それらの方向性について御意見を伺えればと思います。長谷川委員、いかがでしょうか。

【長谷川委員】  そうですね。方向性としては、削除できるところは取ってもいいのではないかなというのが、私の考えですね。

【高橋主査】  長谷川委員もおっしゃっていたみたいに、実習は極めて重要だし、外せないものなんだけど、それを縛りとして書くのかというところは、いろいろまだ考える余地があるのではないかと。

【長谷川委員】  まさにそうですね。

【高橋主査】  安藤委員、いかがでしょうか。

【安藤主査代理】  ありがとうございます。
 これはもう括弧の中に含めたいことを全部入れてしまうと、どんどん増えていくことになろうかと思います。ですから、「コンピュータ活用を含む。」というのも、いずれ当たり前になれば入れる必要がなくなるというものだと考えると、先ほど高橋委員からあったように、材料と加工でも、デジタル設計を含むとか、デジタル工作を含むとか、書きたいことって多分いっぱい出てきてしまうんです。それも内容として扱う一つだと考えるし、実習も、それ無しというのは明らかにないでしょうと。それは例としてどうか分からないですけれども、数学で(計算を含む。)とかも書かないような感じでしょうかね。それはそうですよね、というレベルに早くなってくれるような質の保証とかも一緒に考えると良いと思います。括弧の記述が無くなると何か注目される可能性はあるかもしれませんけれども、教科としての本質を考えると、それは括弧として書くまでもなく、当然そうですよねという議論になるといいかと思います。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 今の括弧書きは、アクティブラーニングという言葉があるより前の記述だと思いますので、技術科に限らず、アクティブに学ぶというのは大前提ですし、その中で実習なんていうのももっともっと当然という中で、この辺り、どう考えていくかなというところだと思います。
 今ちょうど技術科中心に議論してきています。この後、情報についても御意見を伺いたいと思いますが、事務局の提案、御意見等について、何か付け加えとか、こういうところはというのがもしあれば、この段階で伺いたいんですが。よろしいでしょうかね。

【長谷川委員】  はい、よろしいです。

【高橋主査】  分かりました。
 では、情報についても、議論があまり行われていないところもありますが、御意見を伺えればと思います。事務局提案、5つの科目区分にするということで、1つ御提案をいただいております。また、括弧書きについても御提案をいただいております。これについて、いかがでしょうか。
 いつも長谷川委員からなので、安藤委員からいきますか。よろしくお願いします。

【安藤主査代理】  ありがとうございます。
 今日の会議に向けて、情報に関係している方から少しまたヒアリングしてみました。
 お一人は、前回の中教審の情報のワーキングだった先生からです。情報と職業の話を一緒にする等について、聞いてみましたところ、職業ということで幅を広げて教えるということは大切ですよねという話はされていました。
 どうして情報を教えるのかというときに、単に生活に役に立つとか、便利だからということだけではなくて、この辺は技術とも似ているところがあるんですけれども、社会を創造する職業に就くためというような、そういうことも情報とか技術の場合はかなり意識としては持つ必要があります。職業教育ではありませんが、そういったキャリアということを意識したような中身はぜひ扱っていただいたほうがいいというような話をいただきました。
 もう一人は、以前高校の情報の先生をしていて、今は教員養成大学で情報を担当している大学教員の方からお話を聞きました。職業に関する内容は、情報社会について説明する際には、社会の中で扱われている情報技術に焦点を当てるのが一般的で、その使われている情報技術というのは職業と関わっているので、情報社会を説明した上で、その裏で人が仕事として作業しているということを扱えるのではないかということをいただきました。
 そういうことを踏まえて、大学のシラバスを見てみると、東京学芸大学では、情報技術と職業という開講科目があり、情報社会の話から職業について取り扱っているということが、シラバスの中身からもよく分かりました。したがって、今回、事務局から御提案いただいているような、これを一緒にするということについては、可能性としては大いにあるのではないかということを考えました。
 以上です。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 もう1点、安藤委員、(実習を含む。)について何か御意見あれば、付け加えていただきたいんですが。

【安藤主査代理】  ありがとうございます。
 これも先ほどと同じ理屈で言うと、ここにわざわざなかったとしても、当然実習、演習というのを含めて学んでいくという性質だと思いますので、ここについても技術と同じ扱いでよろしいのではないかと考えています。

【高橋主査】  ありがとうございました。長谷川委員、いかがでしょうか。

【長谷川委員】  この御説明を聞く中で、少し原理原則みたいなところで思ったのですが、実際、高等学校で情報を御指導になっていらっしゃる先生の中には、以前、家庭科の免許をお持ちだったりとか、いろんな免許をお持ちの方が、いわゆる認定講習を受けて情報の免許も取得されたという経緯があります。中学校の技術の免許を持っている方もこういう取組をすれば、情報の免許は取得できるということが分かりましたし、御説明の中にあった統合のことについては、安藤先生からも御説明があったような方向性がよいのではないかと。
 括弧書きについても、やはり先ほど申したように、改めて言わなくてもというような面もあろうと思いますので、こういった御提案のような方向性でいいかなと思います。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 私から事務局に少し感触を伺いたいと、まさに感触なんですけれども、統合するのはどうかというふうに御提案いただきましたが、統合したときの表記というのはどんな可能性があり得るんでしょうか。選択制なのか、また、さっきの包括的に書くというふうなことになりそうなのか、この辺り、もしもお考えがあれば教えていただきたいんですが。

【樫原教員免許・研修企画室長】  安藤先生からのお話ともかなりつながる部分が大きいとは思うんですけれども、「情報社会及び情報倫理」という科目がかなり大きな部分を扱っていて、まさに情報社会というものを扱う中で、職業というものを考えていることが多いのではないか。そうすると、科目名称は「情報社会及び情報倫理」というだけにする、もしくは、括弧して(職業に関するものを含む。)ということを入れるのどちらかになろうかと思います。
 前者の場合は問題ないのですが、後者の場合について、科目の取扱いとか、変更届で済むのか、再課程認定まで求めるのかというところで、少し整理が必要になる可能性はあります。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 具体的に決めるタイミングではないと思いますので、今日はまだ幅広に御意見伺いたいと思いますが、今、少し決める方向で御意見を伺っちゃいましたけれども、今日も幅広だと思っていますので、何か付け加え等ありましたら、安藤委員、長谷川委員からいただきたいんですが。よろしいですか。
 全体を通して、調査官お二人の先生にも入っていただいていますので、少しコメントいただいて、また何かあればとは思いますけれども。
 ちょうど今情報なので、順番がなんですけれども、田崎調査官から何か感触というか、コメントございましたら、いただけますでしょうか。

【田崎調査官】  ありがとうございます。教科調査官はオブザーバーですので、その点を踏まえまして発言させていただきます。
 情報科の御議論ありがとうございました。情報と職業、特に職業に関することは、前回のワーキングでも申し上げましたけれども、専門教科「情報科」という、職業に関する教科を指導する免許という側面もありますので、この辺りも勘案しての御議論をいただければと思います。
 つまり、科目区分において、職業という単語を含まないということが、職業に関する教科「情報」の指導をする免許として授与する上で適当かどうかというところは、教科調査官として考えているところでございます。よろしくお願いします。
 私からは以上です。

【高橋主査】  貴重な御意見ありがとうございました。渡邊調査官、いかがでしょうか。

【渡邊調査官】  ありがとうございます。
 田崎先生と同様に、私も、どのようなことについてお話をしようか考えながら聞いていたところになります。
 ちょうど昨日、全国の指導主事の方々に集まっていただく、全国指導主事連絡協議会の、技術・家庭の技術分野の会について開催させていただきました。そこで全国の指導主事の皆さんと、現在の教育課程の実施について、確実に、さらに質の高いものとして進めるために、我々が課題感として持っているものをどう解決していけばいいかということについて協議したり、実際に意見の交換をしたりしたところになります。
 その場では、現在、本会議が開かれているということ、さらに、各自治体の中では、技術の免許がない状態で指導している先生方が多くいらっしゃって、その先生方も困っているという話はたくさん聞きましたが、そのような状況の中で、技術分野の教育課程を確実に実施するために、質の高い授業を展開するために、どうしたらよいのか、という解決策について協議をしたところです。
 解決策としては、一つ目に本会議でも議論しています、まずは技術の免許を持つ先生方を現場に送り出すために、教育委員会のできることとして、各県、政令市、教育委員会が、技術分野の教員の採用数を増やすということ。二つ目に、第1回の会議でも報告された通り、技術分野の免許を持っている先生を探すということ自体にも課題があるという状況があるので、各自治体のほうで免許法認定講習を行うということ。この二つについて、まず教育委員会でできることではないか、ということの共通認識を持ったところです。さらに、その際に私のほうからお願いをさせていただいたのは、改めて教員の免許状所持の割合の把握をすることと同時に、先ほど話題になりました、その県下、または近県で技術分野の教育課程を置く大学の把握、そして、議論した解決策とお願い「採用者を増やすことはできないか」、「大学の教育課程で免許法認定講習等を実施することができないか」といったことについて、教育委員会の採用を担当する部署や、その他の各担当との相談、協力をしてもらえないだろうか、というお話をさせていただきました。
 皆さん、それらのことについては、非常に前向きになって帰っていかれました。ただ、同時に、今この場で話し合われているように、課題も多いことも認識されていますので、この会での議論をきっかけとして、教育委員会の方々が、技術分野の免許を持つ先生を、一人でも多く現場に配置することができるとうれしいなと期待しております。
 以上になります。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 そろそろ時間も来ておりますが、安藤委員、長谷川委員、何か最後に御意見等ございましたら伺いたいんですが。
 安藤委員、いかがですか。

【安藤主査代理】  たくさん発言させていただきましたので、以上で大丈夫です。

【高橋主査】  ありがとうございます。長谷川委員、いかがでしょうか。

【長谷川委員】  
 1点だけ、村松先生のお話の中でもいろいろ出てきましたけれども、中でも、やっぱり認定講習の件はとても有効な手段だと思っています。
 その際に、いわゆる地元に養成大学がない教育委員会にとっては、本当にこれを進めていくというのはハードルだと思います。ですから、その辺りで、いろんな方法で実習も含めて工夫していけば免許取得者も増えてくるのではないかと期待できます。認定講習に関連する通知は文部科学省からも出ると思いますので、その中で、しっかりとフォローアップする旨通知をしていく、また、免許取得後のフォローアップのことなどについても、学会の協力を得ながら、やっていくような方策を検討していくことが大事だということを会の中で感じておりました。
 専門的事項に関する科目の包括的な名称についても、いろんな事情があるなということがよく分かりました。
 以上でございます。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 私も今日、村松先生のプレゼンテーションや委員の先生方の御意見を伺っていて、本当に多岐にわたる検討事項があるなと感じております。
 ただ、特に今日、話題にさせていただきましたけれども、免許を持っていらっしゃらない先生が教壇に立っていると、免許制度そのものをある意味揺るがす可能性すらある。この状況を何とか速やかに直していくべきだろうと、やはりここは皆さんで共通認識できたかなと思っております。
 その方策が、この専門的事項のところの修正だけでは収まることではないということで、村松先生からも幅広く総合的な御提案をいただいて、これは非常にありがたい御意見をいただいたなと思っています。
 一方で、ここは制度を考えるところだと思いますので、制度として持続可能で幅広く続いていくような免許の制度をしっかりここで確立していくということが非常に重要かなと思います。
 私自身も、最終的には、村松先生が御提案いただいたような非常に豊かな技術科の授業、あるいは、情報科の授業というものが生徒たちに提供されるということを心から望むわけですが、急にはなかなかならないということを、また今日すごく感じたところです。
 今日、また事務局、樫原室長からは、書きぶりとして、少しテクニカルなんですけれども、選択にするであるとか、そういうお話もいただいて、安藤委員からは、少し考えるところもあるというふうにおっしゃってくださったような気がします。
 必要であれば、もう少し時間を取って考えを固めたいというふうに思っている、安藤先生や長谷川先生もそう思っていらっしゃるかもしれませんので、もし何か御意見等ございましたら、ぜひすぐにまた事務局に連絡を取っていただければと思います。
 大体お時間参りましたので、今日の審議はここまでとさせていただきたいと思います。事務局においては、本日の意見等を取りまとめていただければと思っております。
 それでは、今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。

【松本教員免許・研修企画室専門官】  ありがとうございます。
 今後のスケジュールの前に、1点補足させていただきます。前回の会議の際に、長谷川委員から、認定講習や認定通信の開設状況がどのような状況かということで御質問がありまして、それについて今回資料を入れてございます。参考資料1にまとめております。
 中学校の技術については、認定講習が3つの教育委員会で実施されておりますし、通信教育としては、放送大学で実施をしております。
 また、高等学校の情報につきましては、下の表になりますが、認定講習として3つの教育委員会、通信教育は、放送大学と愛媛大学の2大学で実施をしているということになっております。
 それ以降のページにつきまして、実際の各教育委員会や大学での開設の状況、科目名称や単位数、また、受講定員などが記載されたリストがございますので、こちらについては参考にご覧いただければと思っております。
 以上、報告でした。
 それでは、今後のスケジュールについては、資料4に記載しております。
 本日第2回が終わりまして、次回第3回でございますが、7月6日の木曜日に予定しておりますので、よろしくお願いいたします。第3回のワーキンググループが最終というようなことで予定しておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【高橋主査】  ありがとうございました。
 では、以上で本日は閉会とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 
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