令和6年9月30日(月曜日)9時30分~11時30分
文部科学省
※対面・WEB会議の併用(傍聴はWEB上のみ)
五十嵐委員、石井委員、梅嶋委員、緒方委員、神野委員、高橋委員、中島委員、中野委員、奈須委員、西端委員、平井委員、藤村委員、堀田委員、森田委員、横尾委員(50音順)
望月初等中等教育局長、森大臣官房学習基盤審議官、寺島学校情報基盤・教材課長/学校デジタル化PTリーダー、神谷GIGAスクール基盤チームリーダー、黄地教科書課長、木村教育DX推進室長、相原学力調査室長
中央教育審議会 初等中等教育分科会
デジタル学習基盤特別委員会(第5回)
令和6年9月30日
【堀田委員長】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会の第5回を開催いたします。本日もまたお忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
本日の会議方式及び資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【太田学校デジタル化PT学校デジタル化総括係長】 本会議は、前回までと同様、対面とオンラインのハイブリッド方式にて開催させていただきます。
つきましては、ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。
委員の皆様には御不便をおかけすることもあると存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
次に、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり資料1-1から資料3-3まで、参考資料が1から2までとなっております。御不明点等ございましたら申しつけください。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは、早速議題に入りたいと思います。本日は議題が3つございます。まず1つ目は、令和7年度以降の全国学力・学習状況調査のCBTでの実践についてになります。議題2として、デジタル学習基盤特別委員会における議論の整理について。議題3として、初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議の検討状況についてということとなります。
本日は、報道関係者と一般の方向けに、本会議の様子をZOOMウェビナーで配信しておりますので、皆様御承知おきください。
では、議題に入ります。議題1、令和7年度以降の全国学力・学習状況調査(悉皆調査)のCBTでの実施についてです。よろしくお願いいたします。
報告事項となりますが、相原学力調査室長よりお願いいたします。
【相原学力調査室長】 学力調査室の相原です。よろしくお願いします。
資料の1-1をお願いします。全国学力・学習状況調査を1人1台端末を用いて行うCBT化について、その工程を御報告いたします。
この資料1-1は先週、9月26日に文部科学省のホームページで公表されました「令和7年度以降の全国学力・学習状況調査のCBTでの実施について」という行政文書の、9月改定版の概要資料ということになります。
昨年度、令和7年度以降の工程を議論いたしまして、4月の段階で、来年度、令和7年度の調査の方向性を決めますとともに、令和8年度以降の工程についてできる限り速やかにお示しすることとしておりましたところ、その部分を今回追加して公表したというところでございます。
この資料のスライドの2にこれまでの経緯もございますけれども、CBT化検討の一つの契機としては、PISA2015で有意に低下したというような際に、このCBTに不慣れであったことについての危機感というのも、当時示されていたというところです。
そのようなところもありまして、GIGA構想と併せて検討が進められ、令和3年7月に学力調査の専門家会議、CBT化検討ワーキンググループで最終まとめがされまして、ポイントにありますような当時の工程に関する考え方、ほぼほぼそのとおりに、これまで進捗してきているという状況でございます。
3ページにCBT等の意義がございますけれども、まず、機械可読な形でデータが蓄積できる。また、動画・音声等で多様な出題が可能になる。また、配慮を要する児童生徒、不登校等の児童生徒にも柔軟に参加できる可能性が広がる。また、学校の現場での配送・回収といった部分の負担の軽減も期待できるといったところでございます。
さらに、このCBTの導入と併せて、項目反応理論、IRTというものの分析を活用していくという方針も示されております。それに伴い、より多くの問題を出題し、幅広い領域・内容で調査ができる、調査日が複数に設定できる、さらには学力の経時・経年の変化を把握できるようになること、そういった期待がされているところです。
次のページに、学力調査におけるCBTの活用の当座の全体の方針が示されております。
1人1台端末を用いて、ダウンロードではなくネットワークを介してMEXCBTのCBTシステムで実施する。また、全国同日一斉の実施から、複数の日時に分散していくという形にしていく。当座は四、五日間の中でということが想定されております。
調査問題については、これまでどおり授業改善のメッセージを出すような公開問題の部分と、先ほど申しましたIRT分析を出題するための非公開の部分から構成されるということになってまいります。
また、特別な配慮が必要な児童生徒に対しては、特にCBTを通じて拡大文字・ルビ振りといった部分が柔軟にできることが期待されております。他方、点字については、当面は障害の特性や技術的な状況を踏まえて、冊子の方式で行うことにしております。
結果につきましては、このIRTに基づいて算出されます学力スコアを基に、適切な粒度でお返ししていくといったことを想定しているものです。
5ページに、4月時点でお示ししておりました来年度の方針がございます。来年度は中学校の調査におきまして、理科でCBTを実施するということでございます。特にマルチメディアを使った出題というのが効果的であるということで、期待をされているところです。
この来年度の詳細につきましては、資料1-2のほうにも資料がございますので、後ほど御覧いただければと思いますが、調査日程といたしましては、紙の部分は全国共通で4月17日、理科のCBT、そして質問調査につきましては4月14から17日のいずれかで実施する、このような日程で検討されているところでございます。
戻りまして、この中学校の理科につきましては、今後、このページの一番下でございますけれども、この10月中をめどにサンプル問題というのをMEXCBTに登載させていただく予定です。児童生徒の端末の練習にも活用できますとともに、私どもとしてもこの1月以降に、実施の当日を想定したデモンストレーション、実施検証というのを各学校にお願いしたいと思っている次第です。
続きまして6ページ、7ページが、この9月に追加いたしました令和8年度以降の工程でございます。
まず、6ページが中学校です。8年度の調査におきましては、国語・数学・英語という年になっておりまして、この8年度は、オペレーションの負担というのも英語は非常にございますので、英語のCBTの実施につき4技能を全て行うということで、この8年度の取組は集中したいというふうに考えております。そして、9年度以降実施する全ての教科につきまして、全面的にCBTでの実施に移行するという計画となっております。その他は理科と同様の考え方でございます。
次に、7ページが小学校でございます。小学校につきましては、令和3年の段階におきましても、操作の熟達といった状況を踏まえて慎重に対応する必要性が指摘されておりまして、私どもとしましても、小学生にとっても力を発揮しやすい出題の方法、インターフェースというのを慎重に検討させていただき、その辺の研究を踏まえて、令和9年度から全面的に、それ以降実施する教科全てについてCBTで実施していくという方針をお示しいたしました。
8ページに、その全体像をおまとめしています。このCBT化と申しますのは、冒頭申しましたようにGIGAスクール構想と共に歩みを進めています。また、次期ICT環境の整備指針に基づく取組等を各自治体でも進めていただいていたり、あるいは、特別支援の子供たちにおいてもカスタマイズした端末というのを使用して、あるいは授業改善の取組、多々進めておられるところと存じます。
そういった大きな変革の中で、このCBT化というのも一歩を踏み出していくというところで、私どもも文科省として全局が連携しまして、学校・自治体へのサポートというのをしてまいりたいと思っております。
資料1-2に今後のスケジュール、準備のスケジュールというのも後半に記載しておりますけれども、例年以上に説明会の開催、先ほど紹介いたしましたようなサンプル問題の活用のお願い等も含めまして、丁寧に現場のサポートを進めてまいりたいと考えておるところです。
以上、よろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
議題1は報告事項ということになりますので、質疑は想定しておりませんけども、この後の議題2でも、CBTに関係することは議事の中で出ておりますので、もし何かございましたら、この議題2の質疑時間のところで対応したいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、議題2に入ります。議題2は、デジタル学習基盤特別委員会における議論の整理ということになります。
これ、少し補足させていただきますと、私どものこの特別委員会――「特別」委員会という名前ですが、中教審の初等中等教育分科会の下にございます。これまで4回開催してきたところで、皆様の多様なお立場からの御意見をいただいてきたところでございます。
そこで、私どもとしては、そろそろこの議論をしっかりと整理して、改めてこのデジタル学習基盤というのがどのようなものなのか、そして、このデジタル学習基盤によってどのようなことが学校現場で可能になるのか、これらについて整理し、今後、教育課程をはじめとする様々な議論が中教審等によって行われますけれども、これの前提になるように、デジタル学習基盤について資料を作成しておこうじゃないかということになりました。これは私が座長として提案して、事務局のほうで大変御苦労いただいて、あちらこちらの各課がやっていらっしゃるようないろんなお取組を全て横で見ていただいて、今回100ページを超える資料として整理いただいたものでございます。
今日、皆様に御意見をいただいて、さらにこの資料をブラッシュアップし、私どもの親委員会に当たる中教審の初等中等教育分科会に、これまでの私どもの議論の経過ということで今後報告を上げていくということをしたいと思っておりますので、今日は御協力をよろしくお願いいたします。
大部になりますので、事務局には丁寧に御説明をいただきたいと思います。
それでは寺島課長、よろしくお願いいたします。
【寺島学校情報基盤・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】 委員長、ありがとうございます。学校情報基盤教材課長の寺島でございます。
今、委員長からこの資料の性格ということは御説明をいただきましたけれども、そういったことで資料が大部になっておりますので、少しお時間をいただきますけれども、簡単にこの資料について説明をさせていただきます。
私は、これから説明のときに資料番号を指し示すときは、右肩のほうに四角で数字が囲んであると思いますので、このスライド番号で指し示したいと思っております。
それでは、スライド番号2のほうにお願いいたします。これはこの資料の目次でありますけれども、簡単に全体の構成を先に申し上げておきますと、1と2で、GIGAスクール構想前後で今のICT環境がどう進んでいるのかというところを簡単に触れたいと思います。
そして3番のところで、現在のデジタル学習基盤を構成している要素と思われるところ、1から7までありますけれども、ここをそれぞれ簡単に触れたいというふうに思っております。それぞれ現状と課題を触れたいと思っております。
それから4番では、このデジタル学習基盤と関連をいたしまして、学習の基盤となる情報活用能力の状況について触れたいと思います。
そして5番目では、3や4を踏まえて、今どういった成果が表れているのかということを簡単に確認したいというふうに思っております。
そして6番目、これは子供たちの学習基盤そのものではありませんけれども、関連して教職員の校務DXも進んでおりますので、関連する取組として6番目を紹介をしたいというふうに思っております。
そして最後に、これら1番から6番をまとめる形で総括、そして今後という形で資料をまとめております。
それでは、早速でありますけれども、スライド番号3番をお願いします。これがGIGAスクール構想前の状況を示したスライドでありますけれども、端末の整備状況というところ、最初のポツでありますが、GIGAスクール構想以前の学校におけるICT環境を振り返っておきますと、平成31年の3月時点では全国平均で5.4人に1台――これは今、「1人1台」というふうに言いますが、1人0.18台というような、そんな状況だったということでございます。
目標は「3クラスに1クラス分」でありましたが、まだ目標には及ばない状況であり、かつ、都道府県別の整備状況を見ても、地域間で整備状況に大きな差があったという状況でございました。
それからその下、ネットワークの状況でありますけれども、ネットワークについても、普通教室の無線LAN整備率は平成31年3月時点で41.0%にとどまっておりました。
スライド4、国際的な状況を見ましても、当時の学校におけるICTの活用は、PISA2018によりますと、OECD加盟国で最下位の水準であったということです。
次のポツでありますが、日本の学校の授業におけるデジタル機器の利活用は短くて、OECDと比べて非常に進んでいないという状況であって、世界から見ても非常に遅れている状況であったということでございます。
5ページ以降、今申し上げたところを少しデータで示しております。
それでは、スライド9番まで飛んでいただきまして、GIGAスクール構想について触れたいと思います。
真ん中の本文のところでありますけれども、1ポツ目の3行目の後半からでありますが、令和元年度にGIGAスクール構想が打ち出されました。このGIGAスクール構想では、1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備をするということが打ち出されました。
このことによって、これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることによって、教師、児童生徒の力を最大限に引き出すということが目指されるようになったわけでございます。
スライド10番をお願いします。このGIGAスクール構想の下で、令和元年度の補正予算から、1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費が盛り込まれまして、整備が一気に進められたところでございます。
また、令和3年1月にはいわゆる令和答申というものが出されましたけれども、ここでは、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには、学校教育の基盤的なツールとしてICTは必要不可欠なものであるというふうに位置づけられたところでございます。
スライドの12番までお願いいたします。今、GIGAスクール構想に従って環境整備が加速化しているところでありますけれども、現時点でのデジタル学習基盤として考えられるところを整理したのがこのスライドでありますが、今申し上げましたように、GIGAスクール構想に基づき、令和3年度から1人1台端末の本格的な利活用が開始されたところでございます。
一方で、地域間や学校での活用に格差が生じているという現状もございます。個別最適な学び・協働的な学びの場面での活用割合が低いという課題も生じているところでございます。
現在、GIGAスクール構想は第2期を迎えるタイミングに来ておりますけれども、改めてデジタル学習基盤が可能とする学びの姿を整理し示すことで、その可能性をさらに引き出す活用の在り方を考える契機となるのではないかと思っております。
国策として整備してきた学校のICT環境は、学校教育における重要な学習の基盤となってきており、このデジタル学習基盤の意義というものは、1人1台端末やクラウド環境等の情報機器・ネットワーク・ソフトウェアなどの要素で構成される一連の学習基盤であって、多様で大量の情報を扱ったり、時間や空間を問わずに情報をやり取りしたり、思考の過程や結果を共有したりするなど、子供の学習活動や、教師の授業・校務における情報活用の格段の充実を通じて、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を可能とするものであり、多様な子供たちにとって包摂的で、主体的・対話的で深い学びの一層の充実に資する学習環境を、教師にとっても持続可能な形で実現するものであると、こういうふうに整理できるのではないかというふうに思っております。
こうした環境は、教師の意図的な指導と併せて、自立した学習者を育成していく上で大いに役立つものであると考えております。
次のスライドをお願いします。13番でありますけれども、デジタル学習基盤は、これまでの取組と方向性を異にするものではなく、これまでの土台の上に、さらに情報技術の特性・強みを持って、学習活動における子供たちの環境をより豊かにし、また、全ての子供たちにその環境をより容易に提供できるという点で大きな意味を持つと言えるのではないかというふうに考えております。
そして、これ以降、現時点において、令和の日本型学校教育におけるデジタル学習基盤を構成する、それぞれの個別の要素として考えられる丸1番から丸7番までについて、それぞれ簡単にポイントを見ていきたいというふうに思っております。
スライド15番をお願いします。まず、1つ目の要素は「端末」でございます。
現状というところに書いてありますように、義務教育段階では、令和5年度末時点で全て児童生徒1人1台端末の整備を完了しているところでございます。
現在、端末の更新が始まっておりますけれども、5年程度かけて、予備機15%分を含めた端末を更新するための基金を都道府県に造成する経費を計上しておりまして、現在、調達に向けた動きが本格化をしているところでございます。
高等学校段階につきましては、令和6年度にはほぼ全ての都道府県で1人1台端末の環境が実現する状況でございます。
次のスライドをお願いします。今後の課題としては、義務教育段階では基金を活用した端末更新を確実にしていくということ、そして高校段階では、学校の設置者においてそれぞれ適切な整備方法を選択して、1人1台端末環境を維持していくこと、こういったことが今後の課題だろうというふうに思っております。
スライドの19番でございます。2つ目の要素、「通信ネットワーク」でございます。
経緯・概要の2行目のところを見ていただきますと、令和元年度の補正予算におきまして、学校における通信ネットワークの整備を支援するための予算が盛り込まれたところでございます。それもございまして、令和6年3月の時点では97.8%の普通教室で、無線LANまたはLTE等によりインターネット接続が行われる環境ができております。
一方、現状では、今年の4月に文部科学省が当面の推奨帯域というものを設定をいたしましたが、これを満たす学校は2割程度にとどまっているという状況でございます。
この水準を下回る場合であっても、全く授業で活用できないというものではございませんが、これから端末のさらなる活用、あるいはデジタル教科書の本格導入、そして今説明がありました全国学力・学習状況調査のCBTへの全面移行などを見据えると、当面の推奨帯域を早急に達成する必要があるというふうに考えております。
このため、文部科学省ではアセスメントに対する支援を実施するとともに、8月末には、文科大臣、総務大臣、デジタル大臣の3大臣連名によって、電気通信事業関連4団体に対して、学校規模に対応したサービスを提供していただくように協力要請したところでございます。
スライド20番をお願いします。今後の課題でありますけれども、各自治体がネットワークアセスメントをしっかりと行っていただき、その結果を踏まえて、校内ネットワークの見直しや適切な回線への切替えを行う必要があるといったことが課題であるというふうに思っております。
それから、スライド飛びまして27番ございます。次の要素は「周辺機器」でございます。
経緯・概要にございますように、周辺機器を含む、学校におけるICT環境整備につきましては、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画を基に進めているところでございます。
この5か年計画、2022年度までの計画が、今、令和6年度まで2年間延長されておりまして、これに基づいて周辺機器を整備をしているところでございます。
現状を見てみますと、1つ目の丸にございますように、大型提示装置・実物投影機の100%整備、それから指導者用端末について、授業を担任する教師1人1台の整備などがこの計画に含まれておりますけれども、この計画に基づいて、今、各自治体において整備が進められているところでございます。
そして2つ目の丸、この計画は今年度まででございますので、来年度以降につきましては、この特別委員会の下に置かれたワーキンググループにおいて検討を行っていただきまして、現在、来年度、次期のICT整備計画に向けて議論を進めているところでございます。
28番の今後の課題というところが今申し上げたところで、このワーキンググループでの方針も踏まえて、来年度以降の計画を今、準備をしているところでございます。
29番のスライドを見ていただきますと、ここに様々な周辺機器の整備状況が載っておるところでございます。
次に、31番のスライドをお願いいたします。31番は「デジタル教科書・デジタル教材・学習支援ソフトウェア」の要素でございます。
経緯・概要の1つ目に書いてありますように、令和元年度から教科書代替教材として学習者用のデジタル教科書が制度化され、令和3年度からは実証事業として、国から提供を開始しているところでございます。令和6年度を本格導入の契機として、現在、段階的な導入が推進されているところでございます。
現状の1つ目の丸にございますように、令和6年度においては全ての小中学校等に英語のデジタル教科書を提供するとともに、約55%の小中学校等に算数・数学のデジタル教科書を提供しているところでございます。
2つ目の丸にありますように、本年7月、本特別委員会の下に新たな「デジタル教科書推進ワーキンググループ」を設置して、9月から議論を開始しているところでございます。
次のスライド32でありますが、このワーキンググループにおいて、次期指導要領の検討やGIGAスクール構想第2期を見据えつつ、児童生徒の学びの充実の観点から、デジタル教科書の推進方策と、「当面の間」以降の在り方について検討を行う必要があるということです。
少しスライド飛びまして、41番のスライドをお願いいたします。「デジタル教材あるいは学習支援ソフトウェア」の要素でございます。
経緯・概要のところに書いておりますように、デジタル教科書以外のデジタル教材・学習支援ソフトウェア等の導入も加速をしておるところでございます。
現状を申し上げますと、学習支援ソフトウェアを導入している自治体は約9割に上っているところでございます。
また、3つ目の丸にございますように、デジタルドリルを使用している自治体は約7割、デジタル資料集などのデジタルコンテンツを使用している自治体は約4割という現状でございます。
今後の課題として、今、様々な教材が活用されておりますが、その種類や性質が様々であり、また、費用負担の実態も自治体ごとに異なっているという状況でございます。
教師の役割を含め、今後の教育課程や学習指導の在り方を踏まえて、我々が別途作成している教材整備指針との関係も留意しながら、さらにここは検討していく必要があるというふうに考えております。
スライドの46番でございます。次の要素は「CBTシステム(MEXCBT)」でございます。
経緯・概要にありますように、現在、学習やアセスメントができるCBTシステムとして、文科省においてMEXCBTを令和2年から開発しているところでございまして、令和6年5月の時点で公立小学校の80%以上、公立中学校のほぼ100%が登録をしているという状況でございます。
現状のところにございますように、全国学力・学習状況調査の問題をはじめ、各自治体が作成いたしました問題を含めて約4万問を、今、MEXCBTに登載しているところでございます。
2つ目の丸にありますように、全国学力・学習状況調査については、先ほど御説明があったように、現在CBT化への移行を順次進めておるところでございまして、来年度は中学校の理科、そして令和9年度には全面的にCBTに移行する予定となっておりますけれども、ここでも、このMEXCBTを活用することが想定されています。
今後の課題のところにありますように、MEXCBTを活用した調査の充実に向けた機能改善・拡充とともに、継続的・安定的に運用していくといったところが今後の課題というところでございます。
48番のスライドでございます。次は「教育データ利活用」の要素でございますけれども、経緯・概要の2行目にありますように、教育データの効果的な利活用を促進するために、必要な取組を進めているところでございます。
具体的には、現状の1つ目の丸にありますように、丸1番にあるようなデータ内容の標準化や共通的なルールの整備、そして丸2番にあるようにMEXCBTあるいは文科省のウェブ調査システム(EduSurvey)などの基盤的なツールの開発・活用、そして3番目、教育データの分析・活用についての実証研究やデータ分析のテンプレートの共有といった取組を進めているところでございます。
また、次の丸にありますように、教育データの効果的な利活用は様々なメリットが見込まれる一方で、個人情報等の観点からは不安の声があるということも事実でございます。
教育データの利活用と安全・安心の両立の実現が重要であることから、文部科学省では教育データの利活用に関する留意事項を公表し、周知を図っているところでございます。
今後の課題のところでありますけれども、2行目の後半以降、教育データの活用状況は地域間で大きな差がある状況でありまして、全国での活用が実現しているとはまだ言えない状況でございます。引き続き、国としても支援をしていく必要があるといったところが課題であろうかと思っております。
51番のスライドでございます。最後の7番目の要素、「情報セキュリティ」でありますけれども、経緯・概要の1つ目の丸、2行目にありますように、自治体の情報セキュリティとは別に、教育情報セキュリティポリシーを定める必要がございます。今、文科省では「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を策定して、このセキュリティポリシーの策定を促してきたところでございます。
また、2つ目の丸にございますけれども、2行目のところ、文科省では令和5年3月にパブリッククラウド環境の運用を前提とした次世代の校務DXの姿を示すとともに、その実現に伴い必要となる、強固なアクセス制御によるセキュリティ対策の考え方を示したところでございます。
スライドの52番のところにございますように、上の丸でありますが、現状では教育情報セキュリティポリシーを定めている教育委員会の割合は半数を満たしていないという状況でございまして、この辺りは課題ということでございます。今後の課題にも書きましたように、今後は、この教育情報セキュリティポリシーの策定を100%にするために、引き続き働きかけが必要だろうというふうに認識をいたしております。
ここまでが、各要素についての説明でございましたけれども、スライドの55番からは、学習の基盤となる資質・能力としての情報活用能力、ここについて少し触れておきたいというふうに思います。
経緯・概要のところの1つ目の丸にございますように、情報活用能力とは、世の中の様々な事象を情報とその結びつきとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して問題を発見・解決したり、自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力というふうに位置づけております。
次のスライドをお願いします。このため、一番上の丸にありますように、現行の学習指導要領において、情報活用能力は、言語能力、問題発見・解決能力とともに学習の基盤となる資質・能力として位置づけられ、教科横断的な視点から教育課程を編成するというふうにされております。
現状のところ、2つ目の丸にありますように、文科省においては、情報活用能力をステップ別に整理をした「情報活用能力の体系表例」を令和5年度に公表いたしているところでございます。
57番でございますけれども、他方で、様々な有識者会議、あるいは教育課程を検討している有識者会議の論点整理においても、1つ目の丸にございますように、このデジタル学習基盤との関係も含めて、情報活用能力、言語能力、そして問題発見・解決能力、それぞれの関係性の整理と具体化を図ることが必要であるということが指摘をされておりますし、また、この情報活用能力については、教育課程全体の中での扱いに加えて、各教科を通じた具体的な充実方策も併せて検討すべきといったような指摘がなされているところでございます。
今後の課題といたしましては、今、指摘があったようなところをしっかりと検討をしていくということが課題になっていると思っております。
その後、資料が続きますけれども、少し飛びまして73番までお願いします。73番からは、今、説明してきましたデジタル学習基盤を土台にした学び、これについて幾つか、少し成果が出始めているというふうに思いますので、ここについて簡単に触れたいと思います。
まず、端末利活用の日常化という、スライドの後半でありますけれども、現在の端末の活用の状況を申し上げますと、令和4年度の時点では「ほぼ毎日」あるいは「週3日以上」というのが小学校では85.2、中学校では80.7%でありましたけれども、令和6年度の時点では小学校で93.3%、中学校で90.8%に上昇しておりまして、各学校での1人1台端末活用は日常化されているというふうに進んできていると思います。
74のスライドをお願いします。こういった中で、全国学力・学習状況調査においても、3行目のところでありますけども、課題の解決に取り組む学習活動を行っている学校ほど、こういった活動においてICTを活用している傾向が見られておりまして、その両方に取り組んでいる、すなわちICTを活用して問題の解決に取り組んでいるといった学校のグループの児童生徒は、それ以外のグループに比べて正答率が高い傾向が見られているところであります。
また、約9割の児童生徒は、「ICT機器は、分からないことがあったときにすぐに調べることができる」、「友達と考えを共有したり比べたりしやすくなる」というふうに考えているところでございまして、子供たち自身がICT活用に高い効力感を実感しているという結果も出ております。
次のスライドをお願いします。次、PISA2022はコンピューター使用型調査、CBTで実施をされましたけれども、このPISA2022において、日本は数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシー共に全てトップレベルでございました。
また、3つ目の丸に書いてございますように、質問紙調査の結果からも、日本の高校におけるICT環境の整備が進んできており、ICTリソースの利用のしやすさ指標はOECD平均を上回っている状況でございました。
他方で、次の丸でありますけれども、まだ各教科での授業での活用頻度はOECD諸国と比較すると低い状況にとどまっている状況も見て取れます。
また、最後の丸でありますが、高校生自身がICTを用いた探究型の教育を行う頻度の指標、これはOECDを大きく下回っており、加盟国中最下位といったところが課題として挙げられているところでございます。
スライド飛びまして89番のスライドでございます。校務DXの現状でございますけれども、令和5年3月、専門家会議における議論を踏まえまして、令和の日本型学校教育を支える基盤としての校務DXの方向性を提示したところでございます。
この方向性においては、教職員等のさらなる負担軽減、それからロケーションフリーでの校務処理といったことによって、柔軟かつ安全な働き方の実現といった教員の働き方改革、そしてデータ連携・可視化による学校経営の高度化、そして大規模災害等発生時の業務のレジリエンスの確保といったことを目指すというふうにされております。
また、この次世代の校務DXを推進するために、まずはGIGAスクール構想の下でできるところから始めようということで、チェックリストを作成して、自己点検を実施したところでございます。
次のスライドをお願いします。90番のスライド、今後の課題というところでございますけれども、今申し上げたチェックリストに基づいて、可能なものから早急に取組を進めていくということがまず一つの課題ということと、それから次世代型校務支援システムの導入、これはまだまだ進んでいない状況でございますので、こういったところをより一層進めていくといったところが課題というところでございます。
そして最後、98番のスライドまでお願いいたします。最後でございますけれども、今申し上げたことを少し総括してみたいというふうに思います。そして、今後についても少しまとめてみたものがこの7番でございますけれども、98番のスライドの1つ目の丸にございますように、今の1、それから2で述べましたように、世界的に遅れていた学校におけるICT環境が、GIGAスクール構想以降、急速に整備をされているところでございまして、今申し上げた1から7の要素、それぞれが段階的に進展している状況でございます。
そして2ポツ目、このデジタル学習基盤によって情報活用能力の育成も進んできておりますし、それから、5で述べましたように全国学力・学習状況調査などでも、この活用によるいい影響が見られているところでございます。
また、3つ目の丸でございますけれど、生成AIなどが登場し、急速に社会に普及しつつあるところでございます。3行目、このような生成AIが教育にどのようなインパクトを与え、資質・能力の在り方や教育方法にどういった影響を及ぼすかを踏まえて、学びの在り方を検討していくことも必要であるといった状況も生まれている状況でございます。
99ページのスライドでございます。こういった生成AIを含むテクノロジーの進化については、引き続き多面的な検討が必要でありますが、ICT活用の特性や強みを生かすことで、情報活用能力のさらなる育成、あるいは従来の学習方法では困難が見られた児童生徒への対応を含めて、今までできなかった学習活動の実施が可能となりつつあるのではないかというふうに考えております。
具体的に申し上げますと、このデジタル学習基盤によって、児童生徒の学びの保障に大きな成果が上がっているのではないか。例えば不登校や特別な支援を要する児童生徒が増加傾向にある中で、リアルタイムで教室の授業をつなぐことで、参加することが可能となる児童生徒もおります。それから、翻訳機能や読み上げ機能を活用することなどによって、これまでは実施が困難であった学びの保障に直結する取組が行われるようになってきております。
また、感染症や自然災害などの緊急時においても、自宅と学校をつないで、学びの継続が可能となっているような状況が生まれております。
そして、3つ目の丸でありますけれども、学びそのものについても変化が生まれているのではないかというふうに考えております。従来は、教材や情報を教師が準備して、教師が教えることが合理的、あるいはそういった選択肢しかなかったという状況でありましたけれども、デジタル学習基盤によって、子供たち自身が、様々な教材から自らに適した教材を選択することが可能になったというふうに考えております。
最後から3行目のところにありますけれども、デジタル学習基盤によって、各自にとって個別最適な教材や情報と出会える可能性が向上し、学びの深化の可能性が高まっているのではないかというふうに考えております。
次のスライドをお願いします。さらに、クラウド環境を生かして他者参照を行うことで、自らの学びの手がかりとしたり、自分では気づかなかった視点を追加したり、学びを今まで以上に深めることも可能になっているのではないかというふうに思います。
児童生徒が個別最適な方法で学び、クラウドの十全な活用によって情報の共有、共同編集、生活の再構築といったことが格段に容易になることで、協働的な学びの実現も可能になっているところであろうかというふうに思っております。
次のポツにありますように、なお、こうした学びを進めるに当たっては、教師が意図的・計画的に指導することが重要であるということは言うまでもないことであります。
次のポツでありますが、クラウド環境を利用することで、従来の机間指導のみでは困難であった、クラス全員の児童生徒の取組状況や考えを教師が瞬時に把握するといったことも一層容易になってきておりまして、教師にとっても、指導のツールとして大きな役割を果たしているのではないかというふうに思っております。
最後の丸にありますように、校務DXも含めて、教師の働き方改革に直結する効果的な実践事例が徐々に生まれつつあって、これにより生まれた余裕が指導の充実に生かされることも期待をされているところでございます。
そして最後、101ページでございますけれども、今、総括してまいりましたが、デジタル学習基盤の整備が令和の学校を支えている状況が生まれつつあります。
デジタル学習基盤の意義、これは3でも申し上げましたので繰り返しませんけれども、ここに書いた3つの点から、非常に意義があるのではないか。
そして2つ目の丸、こうした環境は、教師の意図的な指導と併せて、自立した学習者を育成していく上で大いに役に立つものであるということでございます。
最後のスライド、102番の1つ目の丸のところでありますけれども、これも先ほど申し上げましたが、2行目の後ろから、デジタル学習基盤は、これまでの取組と方向性を異にするものではなく、これまでの土台の上にさらに情報技術の特性・強みを持って、学習活動における子供たちの環境を豊かにするといったものでないかというふうに思っております。
2つ目の丸にあるように、デジタル学習基盤の活用と、そして学びの専門職である教師の役割が合わさることで、主体的・対話的で深い学びが一層加速し、誰一人取り残すことのない、これからの社会を生きる資質・能力を育むことにつながっていくのではないかというふうに考えております。
3つ目の丸にあるように、他方で様々な課題が出ていることも、また事実でございます。
そして、これが一番最後のまとめでありますけれども、今までのことを踏まえますと、これから各種教育課題、様々ございますけれども、こういった教育課題に向き合う際には、デジタル学習基盤の存在を切り離して議論を行うことはできず、常にデジタル学習基盤からの視点を踏まえながら検討を行う必要があるのではないかといったところを、一番最後のまとめとしております。
すみません、説明が長くなってしまいましたけれども、資料2の説明は以上でございます。委員長、ありがとうございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
できるだけ丁寧に説明してくださいと私のほうでお願いしましたが、守備範囲が非常に幅広く、それぞれの内容ごとに様々な審議がなされてきておりまして、これが並べて整理されるということは今まであまりなかったわけです。
一方で、これから中教審では次の学習指導要領に向けたいろいろな検討が進むと想定されますので、その前に私たちのほうで、このデジタル学習基盤がどのように今まで検討され、どのような進捗を見せているかについて整理しておく必要があるだろうということで、このような整理をお願いし、大部の資料をまとめていただき、丁寧に御説明いただいたということでございます。
今日はこの後、御議論いただきますが、目次の2番、2ページ目にあるように、これのどこについて御意見をなさるかを、ぜひ表明してからお話しいただければ、この後、資料に盛り込むときに盛り込みやすいかなと思います。1つに決められないところもあるかと思うんですけど、こことここに関連しそうということをお話しいただければありがたいと思いますし、この特別委員会には様々なお立場の方、学校現場に様々な形で関わっていらっしゃる方々がいらっしゃいますので、それぞれのお立場からぜひ、実際に目にしていらっしゃること、感じていらっしゃることを含めて、このデジタル学習基盤がこれからの子供たちの学びにどのように寄与し得るかみたいなことについて、御意見をいただきますと幸いでございます。
大体45分ぐらい、お時間使えると思いますので、できるだけ委員の皆様には必ず御発言いただけるようにしたいと思いますが、時間に御配慮いただきながら御発言いただければと思います。
会場にいらっしゃる方もオンラインで参加される方も、挙手ボタンを押していただいて、私のほうで指名差し上げたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
では、いかがでしょうか。どなたからでも結構です。
では最初に石井委員、お願いいたします。
【石井委員】 丁寧な御説明ありがとうございました。この会議の委員を引き受けたときに、GIGAというくくりの中に大変多くの内容を含んでいるために、それぞれのワーキンググループ等で成果と課題を挙げていただいて、それを整理していく必要があると考えておりました。そのために使用するのに非常にふさわしい資料ができたと思っております。大変お時間がかかったと思いますけれども、整理いただきありがとうございました。
私のほうから、まずは目次3番の5、CBTシステムについてお話をさせていただきます。私は学校現場から参加させていただいておりますので、学校現場の状況ということをお伝えさせていただきたいと思います。
CBTについては、現場の先生方は、パソコンでテストを受けるというような感覚を持っている方々が半分ぐらい。そして、残りの方は、GIGAの活用が進んでいってデジタルドリルを活用していくと、その延長線上にCBTの活用が出てくる段階。さらに、クラウドの利用を進められている先生方は、ビッグデータの蓄積、また、CBTだからこそ出題できる問題のよさや支援が必要な子供への配慮ができるという利点が見えてきている段階であるという状況であります。
こちらについては、後半のような捉え方は、一部の先生方しか感じられていないことだとも認識しております。文部科学省がCBT化を進めているからやりますということではなくて、各学校や先生方が、良さを認識していきながら、このCBTに取り組んでいければよいと思います。そこで、まだまだ先生方にも周知が必要であると感じております。
また、4番、デジタル教科書・教材についてもですが、学校現場において、先生方は教える道具として、指導者用のデジタル教科書を非常に有効なものだと感じております。
しかし、先生方は、一斉指導の中ですごくうまく教えられたなということで満足されて、複線型の授業の中で子供たちが今度はデジタル教科書を使ってどのように学んでいくかというところについては、まだまだ今、研究中というところかなと思っております。
最後に、総括のところにも絡みますが、校務やネットワーク、端末の整備について、こちらは検討すればするほど、どれも関連が深いものであり、1つ1つの内容は切っても切り離せない状況です。
しかし、整備を進める自治体については、進んでいる自治体はGIGA課のような課を立ち上げたり、課として全体を総括して整備したりという考えで進めている自治体もある一方で、それぞれの部署で整備を進めるところも多くあります。それでは、やはり落ちがでてくると思いますので、今回まとめていただいたような資料をどんどん公開し、単発のものではなくてパッケージ化されている、全て関連したものを網羅しているというものを公開していくことは非常に重要だと思いながら、この資料を見させていただきました。ありがとうございました。
以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
この後ですが、藤村委員、横尾委員、奈須委員の順番で御指名いたします。
では藤村委員、お願いいたします。
【藤村委員】 ありがとうございます。私からは4点申し上げたいと思います。
まず初めに、非常によくまとめていただいて、これは現場に対する大きなメッセージになるということで、大変感謝しております。
まず1点目ですけれども、目次で言いますと7番、スライド番号で言うと101番と102番に関してでございます。
101番の1つ目の丸の、3つ目の矢印のところに「包摂的」という言葉があります。やはりデジタル学習基盤の大変優れている点は、特別な配慮を要するお子さんたち、それから不登校のお子さんたちにとっても学びの機会を保障するという点にあるというふうにも思います。
その時に、ヨーロッパとかアメリカとかでありますと、特別な配慮を要するお子さんに対して、デジタル教科書・教材等が準拠すべきガイドラインというのがございます。
日本ではそこがまだ不十分だと思いますので、例えば、教科書体が読めないディスレクシアという障害をお持ちのお子さんも、特定のフォントを使うとちゃんと読めるんです。そういったことはデジタルなら簡単にできることですし、色弱のお子さんその他、様々な配慮が要るかと思いますので、ぜひ、そんなガイドラインの策定も御検討いただければと思いました。
2点目は、今、石井委員がおっしゃったことともつながりますが、現状どうしてもデジタル教科書・教材が、かつての教師主導の教え込み対応の基本設計のままだという大きな問題点がございます。
今後ぜひこれは、デジタル学習基盤で可能になる、主体的・対話的で深い学び、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実に資するために、どう基本設計を変えたらよいのか、また、どういうことが効果的なのかという実証研究も通して、ある程度長い目で見ながら、また可能なところから、その改善を進めるようなことを御検討いただけると大変ありがたいと思っております。
3点目は、私は教員養成大学に勤めている関係から申し上げます。
残念ながら、デジタル学習基盤に対応した教員養成は不十分だと考えています。うちの大学もようやく、チョークとトークの授業ができないように、わざとデジタル環境で授業できるように教室を変えてしまうという取組をしているのですけれども、そういったことを全国の教員養成系の大学・学部がちゃんとやっていくことを、文部科学省からも働きかけていくことが必要かなというふうに思いますし、教員側に求められる資質・能力がどう変化したのかについても整理する必要が、今後あるのかなと考えております。
4点目は、これを受け止める側のお話です。つまり、自治体側がGIGAスクール以降、何でも国がやってくれる、国が予算を出してくれたものはちゃんとやるけども、そうではないものはしないという文化が蔓延してしまったという部分を心配しています。
本来、教育というのは各自治体が、自分の自治体にいるお子さんの未来のために、主体的に予算もちゃんとつけて行うべきものだと考えていますので、その辺、積極的な推進をというメッセージを、最後のほうにでもつけていただければ大変ありがたいと思います。
以上でございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、お願いいたします。
【横尾委員】 ありがとうございます。幾つか御意見を申し上げたいと思います。
まず、GIGAスクールのスタートからこれまでのことや、いろいろデータも使って詳しく説明いただいてありがたいと思います。
ICT教育に関心を持って、その推進を図ろうとしている市町村長で構成する全国ICT教育首長協議会の会長も務めていますが、その会員に限らず、きっと多くの方々が勇気づけられると思います。ICT教育の必要性は分かるが、予算面で苦労して、推進の判断などに非常に戸惑っていらっしゃる自治体でも、こういった経過が見える化で伝わることはとてもすばらしいと、改めて感じたところです。
では、意見を申し上げます。そういった推進について、まず一つ、非常に首長として重要なのは、この財政をどうするかということなのです。機器の設置、そして更新、それからメンテナンス、さらに今後必要なのがセキュリティであったり新たなコンテンツに関するサポートなど、様々なアプリが出てきますけども、こういったことの財政をどう対処するかというのは、実は首長とその自治体の財政部局はいつも考えています。
そこら辺を、国の今回の基金方式でのサポートは大変ありがたいことなのですけれども、今後とも永続的に配慮していただくことがとても重要だと思っています。
次に、少し具体的な項目ですが、48ページからはデータのことが書かれています。これから申し上げることは、このこととは必ずしも直接関係する訳ではないのですけれども、議会、つまり国会、都道府県議会、市町村議会などで教育関係について急な質問が出て、学校に関する調査をしてくれ、データを欲しいということになりますと、学校現場は大変になるのです。特に教頭先生は忙殺されます。「2日後に出してくれ」というのはかなり無茶な話ですが、ありうると思います。その対応は実に大変なのです。
そういった質問が出ないようにしていただきたいし、例えば、このようなデータについては、日頃の業務の中で少しずつ蓄積をしていき、それがデータベース化して、効果を評価していくための基盤やコンテンツになる、そういったことにできるように、片方では考えていただくと、教職員の皆さんの日常の負担も減るし、教育行政をよりデータに基づいて考えることが可能になると思います。
51ページからはセキュリティのことが、書き始められています。セキュリティについては私も強い関心を持っていますので、OSの会社等にお尋ねして、具体的な事例等も聞きました。Microsoftをお訪ねしたときに教えてもらったのは、世界で一番サイバーアタックがあるのはペンタゴンだそうです。そして2番目がMicrosoftだそうです。
そのようにサイバーアタックの事実は事実として認識する訳ですが、要は、そこにどんな手口や方法で問題が起こり、そのためにどんなリスクが発生するかということも常時見て、対応しているわけですから、こういった先進的な取組を、ぜひ文部科学省の関係のスタッフの皆さんも端的に訪ねていかれて、最先端の話をぜひ聞いていただく必要があると思っています。
ちなみに、今から述べるのは韓国の事例ですが、韓国では日本でいうところの都道府県別のように、何々道という呼称で広域行政の区域があり、たとえば全羅南道があります。その〇〇道別に、情報セキュリティセンターがあり、Ph.D.(博士号)を持っている人たちがかなりの人数いて、常時、サイバー上を監視されています。そして、そのチームが、サイバー上に変な動きがあったら即対応をする。シャットダウン的な対応もするし、アタックに対する防御もする。そういったことも独自で各々やっています。
日本はそこまで全然いっていませんので、ぜひこういったことも戦略的には今後考える必要があると思います。これは単に教育だけでなく行政全般、さらに広い分野で必要です。近年では大阪である病院がサイバーアタックされて困りましたけども、そういったことも一方では考えていく必要があると思います。
55ページからは情報活用能力のことが書かれていますが、一番大事なのは、モチベーションを子供たちにどう持ってもらうか、育むか。つまり、いわゆるやる気の火種をつけるようなことがとても大切だと思います。自分の好奇心を原点やエネルギーにして、いろいろ調べていくと、こんな楽しい、新しいことが分かってうれしい、わくわくすると、それが知的好奇心、学力能力向上につながっていきます。こういったことも直接今回の資料には入っていませんが、そういったことがとても大事だと思っています。ぜひ検討いただくといいのではないかというふうに改めて感じました。
ただ、このデータの中で、63ページで気になったのは、キーボード入力の能力です。正しいトレーニングはぜひ必要だと思います。一番驚いたのは小学生で、これも下級学年から上級まであるので一概には言えないのですが、1分間で5文字というのはあまりにも少ないので、学習に支障も出て、社会的にも混乱していくと思うのです。早めにキーボードタッチを覚えることができるようなトレーニングも必要なのではないかと改めて感じました。
関連して、ICTに関する活用が出ていましたが、ネット情報を全て正しいと鵜呑みにしてしまいがちです。ネット上に出ている情報は全てが必ずしも正解とは限りませんので、きちんとファクトチェックができるトレーニングが必要です。それを全て信じてしまうと非常に限定的な情報の空間の様なことになっていくので、「客観的に見ると、こうなんだよ」という導きも必要だと思います。
ICTが学校教育に導入される前から、フランスなどでは、様々な情報を子供たちも教え、その内容をどういうふうに分析し、どのように考えたらよいのかということも教育的にトレーニングしているということを、フランソワーズ・モレシャンさんから具体的にお話を聞いたことがあります。ぜひそういったことも必要だと思いました。ファクトチェックはぜひお願いしたいと思っています。
75ページからは、探究に関することが述べられています。ぜひ、そこに、深く分析をする、広い視野で見る、そういった知的トレーニングも加えていただくと、よりよい活用になっていくと思います。
84ページのPISA2022について、かつて国々が互いに競争し、それは今も続いているわけですけれども、ぜひ日本もよりよいスコアが出るように、文部科学省を中心に国を挙げて改善、改良していくことが必要だと思いました。
88ページからは校務DXのことが出ています。この議論の際に、いつも行革とともに思うのですが、校務の内容について業務分析を行うことが肝心です。ぜひ、各学校や教育委員会ごとに業務分析をしていただいて、もう無駄なものはしない、不要なものは減らしていく、そういったことを行うべきだと思います。この努力をしていかないと、例えば「こういうソフトがあるからやります」ということではもう遅いのです。本質的に何が問題かということをぜひ考え、お互いにDXに努めていく。それを校務に生かしていくということをぜひ考えていただいて、それに必要な予算については市長部局に御相談いただくとよいと思います。
98ページ以降について、やはりデータを使う、ICT端末を使える能力と、自ら考えて探究するというのは実はちょっと本質が違いますので、先ほどから申し上げているように、探究する能力や、調べて人に伝える能力、そういったこともぜひトレーニングしていくことが、子どもたちが今後社会人となったときの活躍にも通じますので、ぜひよろしくお願いしたいと改めて思います。
そして、このことについて気になるのは、こういったデジタルの学びをしたものが、大学入試のときにどう生かされるのかが重要です。小中高を通しての学びが、大学入試でもいかに必要で重要かという環境をつくれば、自ずとみんながやります。けれども、そういう一連の仕組みがなければ、なかなかモチベーションも途中半端になってしまうのではないか、そういう危惧もしています。このことをぜひ文科省の方でご検討いただければと思いますし、ぜひまた必要に応じ適宜教えていただくとありがたいと思います。
最後に、自発的な研究・探究ということがとても大切と思っています。これは100ページのところにも書かれています。知的生産性の向上のためにも、そういった能力の向上について、これまでの取組をより加速していただくこと、充実していただくことを心からお願いしたいと思います。教育の現場でも、我々行政を担う首長側もしっかり頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは、この後は奈須委員、平井委員、五十嵐委員の順番で参りますので、ほかにも挙手いただいている方は少しお待ちください。大変申し訳ございません。
奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員長代理】 よろしくお願いいたします。私は3のところを中心にと思います。
まず、12枚目のスライドのところで、もうICTは必要不可欠だということ、そしてデジタル学習基盤の意義ということを、3点にわたってとても的確に今回整理いただいたなと。デジタル学習基盤という言葉を使っているわけですが、内実がまだはっきりしなかった。まだ、これをさらにブラッシュアップするのだと思いますが、ここに的確に整理されているということをまず感じました。
さらに13ページ、そのデジタル学習基盤にどんな特徴があるかということで、学習活動における子供たちの環境を豊かにするということと同時に、それを容易に提供できるということ、この2点の整理がなされています。デジタル学習基盤というのは、これまでの取組と異にするものではなくて、土台の上にできるものだと。では、これまでの取組に対して何が貢献できるかということが、ここに的確にまとめられている気がします。
私はまず、やはり省力化、つまり、これまでの環境でもできていたけれども、コストがかかっていてなかなか着手できなかったことが、教師にとってとても容易に、時間も経費もかけずに、いわゆるコスト面、働き方改革にもなってきますが、同じ質をもっと安価に、あるいは省力化して実施できるということが、まずデジタルの圧倒的な強みだと思っています。
もう1つは、質を豊かにする。従来の学習基盤ではできなかったことが幾つかできるようになっているわけです。共同編集や、ネットを使って、先生が準備したものではない情報にアクセスして学ぶということもそうですが、従来の基盤でもできたことが、より低コストでできるということ、あるいはスピードアップできるということと、従来できなかったことの何がどうできるようになって、それがどんなふうに学びの質を上げるかということを、引き続き整理していく必要があるということをここで感じておりました。
次ですが、今のように、デジタル学習基盤というのはこれまでと全く違うものではなくて、その上にありますが、これまでの取組と方向性を異にするものではなく、これまでの土台の上になるものだと。あるいは、12枚目のスライドの一番下に、こうした環境は教師の意図的な指導と併せてやっていくものだということがあります。
この、従来の学習基盤と今進んでいるデジタル学習基盤の関係性、あるいは全体としての学習基盤がどうなっていくのか、その中でデジタルがどんな貢献をするのかということ。つまり、デジタル学習基盤の整理と同時に、学校の今後の学習基盤全体についてやはり構想し、その中でのデジタルのアドバンテージや位置づけということを明確にする。そうすると、何をどう整備するかということが、逆算で見えてくるのだろうと思います。先ほどもありましたが、こう整備して、これができるからやるということではなくて、目的から逆算して戻る必要があるんだろうなと思っています。
ここで難しいのは、これまでの取組と方向性を異にするものではなく、土台を基盤にというんですが、じゃあこれまでのはどうだったんだろうかという、ある種の評価をせざるを得ないと思うんです。
つまり、これまでというのはどういうことなのでしょうか。例えばデジタルをめぐっても、デジタル一斉指導というのをやめてほしいということを、さんざんGIGAの中で言ってきました。つまり、従来の一斉指導の中で、教師が一方的提示に使うような使い方じゃないよと言ってきましたが、すると、これはデジタルだけの話ではないのかもしれません。
今、個別最適と協働ということが言われていますが、一斉指導という、このとても厄介な言葉をどう取り扱っていくか。つまり、一斉指導というのは、明治期以来の教師が一方的に教え込むようなものから、学級を基盤にした極めて高度で協働的な学びも一斉指導と呼んでしまっている、これはとても厄介だと思います。
つまり、学級単位でやる授業を全部「一斉指導」と十把一からげに呼んできた、ここを少しデジタルの角度から整理して、一方的に教え込むようなことは、デジタルであろうがなかろうがもうやめていただきたいと。
と同時に、学級を基盤にした高度な協働学習や、それに必要な情報を的確に教師が伝えたり指導するようなことは決して悪いことではなくて、この辺のことは、この委員会だけの仕事ではないと思いますが、デジタルが入ったことによってこのことがあらわになり、相対化が可能な時期になっているのかなというふうに思っています。
「教師の指導」という言葉も、丸投げするのではないよという意味で「教師の意図的な指導」と書いていますが、またこれが、やはり先生が前に立って厳しく教えなければいけないのだという話になると、違うのかなと思っています。この「教師の意図的な指導」ということが何を指し示すのかということについても、実はどこかで考えていかないといけない。もちろん、あまり教育方法について限定的なことを国が出すことは望ましくないと思いますが、なかなか悩ましいと思っています。
また不思議なことに、難しいのは、デジタルを使うと授業のスピード感がとてつもなく上がってきます。それ自体は望ましいことだと思いますが、それをもって最近、授業が軽々しくなったとか、重みがなくなったという声も聞かれます。
重みがなくなったのか、ただスピードアップして効率化したのか、あるいは、単位時間の情報量が上がるということは質が上がるということにもつながってきますが、この辺りをどう考えるか。やはり何かゆったりとした流れの中で進んでいくと、それが重みだというふうに、みなす動きもまだあるのかもしれません。ある方は、ただ眠かっただけじゃないかと言っていましたけども、この辺のやはり感覚というのは難しいなと思います。
すみません、もう1点。41枚目のスライドのところですが、デジタル教科書・デジタル教材・学習支援ソフトウェアのところです。
ここでまた難しいのが、「学習支援ソフトウェア」という言葉と、デジタルドリル等の「デジタルコンテンツ」ということですが、多分かなり違うのだろうと思います。
デジタルコンテンツと呼ばれているものは、いわゆる領域固有なもの、単元とか教科とかが変われば変わっていくものなのだろうと思います。デジタル教科書等も含め。
こういった個別の対象ごとのコンテンツの話と、学習支援ソフトウェアというのはクラウド支援ツールなども含めた、ビジネスソフトのような一般的なツールなのかなと思いますが、これはかなり分けて議論していかないとまずいのだろうなと思います。
ソフトウェアと言われて領域ごとのコンテンツをイメージなさる方と、ソフトウェアと言われてビジネスソフトのような、いわゆる一般性の高いアプリケーション、道具のほうを思い浮かべる方がいると思うのですが、これ、実はかなり違っていて、これも整理していかないといけないし、どこにどんなふうにお金をかけることが、より質の高い授業を実現するのか。やはり学びの質、授業の質のことを考えていかなければいけない。
それからデジタルコンテンツについては、以前も申し上げましたが、いわゆるティーチャープルーフになるおそれがあって、むしろ教師の意図性とかカリキュラムマネジメントとか授業の学びの質を考えたときに、かえって後退するリスクというのは常にあります。
この辺りが、デジタルが入れば全てがよくなるとは限らない。どんなものをどう提供するかということ、特にソフトウェアの部分はとても慎重に行かなければいけないのだろうなと思っておりました。
すみません、以上です。ありがとうございました。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
たくさん挙手いただいておりますので、この後、手短にお願いしたいと思います。まだ10人ほどいらっしゃいますので、よろしくお願いします。
それでは平井委員、お願いします。
【平井委員】 はい、分かりました。手短に。難しいですね。頑張ります。
まず全体的なところですけが、今回、本当にこれはデジタル学習基盤、まさにこれからの学びを実現するための環境整備が、これからこういう方向でやる、ということで、私はいつも「文科省からのメッセージを受け止めてください」というふうに、学校や自治体にお伝えしています。これをどうやって受け止め、環境、基盤、これらをどの様に学びに生かしていくのかというところが、このメッセージの大事なポイントになるのだと思います。これだけでは難しいにしても、常に、これを使ってこんなふうに変えてくださいねというのをいかに伝えていくかというのが大事だというふうに思います。
その中で、先ほどの全国学調の問題というのは、まさにこういう問題が解けることが学力だよというふうなメッセージかなというふうに思っています。
また、最も大事なのは質問紙調査の部分だと思います。あの質問の中には学びの姿が書いてある。目指す学びの姿が書いてある。ところが、あれが読まれていないということが結構痛いと思っています。
まず先生が解く、そして質問紙調査の問題は全ての先生が回答してほしいと思っています。ぜひ、MEXCBTの中にあの質問紙調査の内容を掲載し、学校の研修などで全員の先生が答えてみると、「こういう学びは私はやってないな」など、気づくきっかけになるのではないかと思います。校長先生はその結果を平均して、学校の回答として出せばいいのではないかという。一部の先生だけの考えでやっていると、皆さんがあれを意識することが、教育改革につながるのではないかなというふうに思っています。
実際、私もいろんな夏の研修でやっていますかと言うと、「やっています」と言うのですが、中身を聞くと、ぱらぱらっとめくって見るだけで終わってしまって、一番解像度の低いのは、正答率だけ見ているケースだと思います。
そうではなく、設問ごとに見る、前年と比較して見るなどして、8月で分かった結果は、あと半年かけて授業を変えていき、次を試してみるという形になるので、その様な活用の仕方というのが、ぜひ伝わってくれるといいというところがあります。
あと、メッセージの点では、今回あまり出ていないのですが、文科省のKPIが出ていました。あれもメッセージですよね。校務のDXと学びのDXを両方出しているので、あれをある学校で徹底的にやってもらった例があります。
堀田先生も御存じの石川県の能美市のある小学校の浜小学校というところで両方取り組んだ結果、なかなか面白いデータが出てきました。ここの中で、児童同士がやり取りする場面がまだ50%でした。80%するためにもっとやろうということで、データ化することによって明確になってくるので、学校で意識してもらうことにつながるのかなと思います。
ああいった文科省のメッセージを生かしていった結果、校務DXの取組を進めたら、結果がコピーの枚数で出てきました。具体的な数字で検証していけばいい。コピーの枚数が、去年の1学期は11万枚だったのが10万枚になった。それでもいいのだと思います。
また、先生方の時間外の在校時間のやつが平均42時間から36時間になったなど、ゆとりを持つようになったら、生徒指導関係の保護者面談、生徒面談の時間数が減った。それも、面談もきちんとカレンダーに入れておき、「生徒指導面談」と書いてあるから、あとから検索するだけで簡単にカウントできます。様々なものをデータ化するようになったことで非常に効果があったというような事例もあります。そういった意味で、メッセージをどの様に受け止めるかというのは大事だというところです。
あと2つ。家庭用の端末の問題について、1人1台と言っていますが、本当にそれで良いのかと思っています。先進的にやっている学校を見ると、1人1台のタブレットのほかにデスクトップがあって、1人1.5台とかそのぐらいの数になったりもしています。
また、今のセキュリティポリシーだと、うちに帰って家庭の端末で学ぶことができないところもあります。家庭にあれば持ち帰りしなくてもいいですよねという話。だから、1人1台を超える、次の方向性というのもありなのではないかと思っています。
また、そうなったときに、校務DXの中でも、先生方が今、仕事で私物のスマホを使っているケースがありますよね。あれ、セキュリティを考えたら、会社と同じように公用携帯を持ってもいいのではないか、持たなくてはいけないのではないかというふうに考えています。一部の自治体でその様な動きが出てきました。
そういったところを、予算化は非常に難しいとは思いますが、これからはそういったものを進めるような方向性を示していただけると、頑張っている自治体が予算化するときに、財政課を説得するときに一つのプラス材料になるのではないかという、これは意見として申し上げます。
以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
では五十嵐委員、お願いいたします。
【五十嵐委員】 ありがとうございます。五十嵐でございます。私のほうからは、ICT支援員の立ち位置から、この学習デジタル学習基盤をどうサポートしていけるかという視点でお話をさせていただきたいと思います。
一番最初に、3番のデジタル学習基盤の整備、ページで行きますと20ページですけれども、自治体職員の専門性の向上というところが、やはりどこの自治体に行っても非常に難しいところだなと思っております。
ICT支援員はまだ今、先生たちの操作をサポートする、子供の世話をするぐらいの扱いになってしまっていますが、やはりここはきちんとサポートする人材のスキルアップということと、そしてそういった適切な人員を確保することで、自治体職員の方々へも支援ができるようになるのではないかというふうに思っております。一部、アドバイスができるレベルの支援員もいますということで、ここをもっと高めていきたいなと感じております。
そして、同じくアセスメント関係については、やはり現場に入って実際に見ている人間としまして、やっている先生にだけ聞いても分からないことがあります。なので、できない先生は遠慮して言わなかったりするところを、ICT支援員が現場に入っていますので、フラットな目線で、今この学校のネットワーク状況はこうです、こんな授業のときに困っていますというようなことを、第三者の目でちゃんと報告できるようになると、より正確なアセスメントができるんじゃないかなと思っております。
そして、52ページ、セキュリティポリシーのところですが、やはり外部から人材を入れるという必要は絶対あるのですが、セキュリティポリシーに関して策定されていない状態で、外部人材をかなり入れているという現実があります。
特に、このICTを触る可能性のある人はICT支援員だけではありません。その中で、何を任せられるのか、どこまで任せられるのかということが、現場の、今の忙しさにかまけて、やってはいけないものを任せてしまったり、逆に任せられるのに任せられていないというようなことも見受けられますので、早急にこのセキュリティポリシーを、教育の面で作っていただきたいと思っています。
それによって、扱える情報、資産の分類というのをはっきりさせていただいて、なるべく現場に沿ったセキュリティポリシーというものができないと、外部からのサポートは受けられない、もしくは受けたときに事故が起こる可能性があるということを、非常に私は心配しているので、ここをぜひ頑張っていきたいなと思っております。
そして55ページ、学習の基盤となる資質でございますが、先ほどもタイピングというお話が出ましたけれども、明らかに小学校4年生あたりで、社会などでレポートのようなものを書くとなったときに、画面のソフトキーボードでフリックで入力している児童、そして、手書きで何とか入れようとしている児童に関しては、画面をキーボードが占有するので、広く画面を見ることができません。
そうなると、先生方が使えるソフトウェア的にも、小さな付箋のようなものに一言書かせて出すのはできますが、大きな文章をきちんと書かせようと思ったときに、やはり外部の入力装置をきちんと扱える、そして早く打てるということはすごく大事なことです。早くきちんと打てることによって、先生が見取ったときに、ここの文章はもう少しこれを足したほうがいいのではないか、ここの文章は反対のほうがいいのではないかというアドバイスをしたときに、簡単にリテイクがしやすいです。
でも、入力にとてももたつく場合には授業が終わりませんので、やはりそこの指摘が少し遠慮されてしまったり、少し無理かな、手でやるか、みたいになってしまったりして、また紙に戻ってしまうことがあります。
この面に関して、私たちICT支援員は休み時間などを利用したり、朝の時間や長い休み時間、雨の日の遊べない日とかを使ってサポートをして、タイピング練習のお手伝いなどをできると思っています。
そのために、ICT支援員はタッチタイピングは絶対にできなくてはいけないと思っていますし、もちろん先生方も、できればこれができるようになっていただきたい。これが普通だよというふうにしていくために、私たちがお手伝いしますと、大体3か月でみんなできるようになります。やったことが何か所もあります。3か月きちんとやると、子供たちの入力速度は圧倒的に上がりますので、先生たちの授業での活用のしやすさが上がってくるかと思います。
ごめんなさい、まだもうちょっとあります。情報モラルの点については、先生方が一番お困りになっている点かと思います。なので、情報モラルに関しても、ICT支援員が少し冷静な目でそこのところをサポートできるように、今のよくあるSNSの使い方などについては、外部人材が冷静な目で先生方にアドバイスができるようになっていく必要があると思いますので、我々はここをもっと勉強していく必要があると思いますし、ぜひサポートさせていただきたいと思っております。
プログラミングに関しても、今、先生方はプログラミングと言われて、必須になっていてもなかなか取り組めていないケースがありますが、ここもICT支援員と連携することでサポートしていくことができます。ページで行きますと71ページになります。
こちらのことに関しても、中学・高等学校に関しても、ICT支援員のサポートによって、プログラミングをする前の段階の準備であったり、それらの機器の準備なんかに関しても裏方をすることができますので、どんどん頼んでいただきたいものだなと思います。
支援員も、この辺のところを事前に自治体で勉強する時間を取らせてもらえたらいいなと思っております。今、自治体によって使っているものが違うということで、サポートが少し遅れている感じはございます。
そして、先のほうに行きますけれども、外部からのサポートによって格差を減らしたいというのが最終的な目標です。
今どうしてもまだ、使っている先生が目立っていますけども、できていない先生も多くなっています。その先生方をネクストGIGAでは、必ず私たちで底上げをしていきたいと思っていますので、まだまだICT支援員の活用を進めていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは、この後、中島委員、中野委員、緒方委員の順番で行きます。皆さん、時間の件、御協力よろしくお願いします。
中島委員、お願いします。
【中島委員】 ありがとうございます。非常にすばらしくまとめていただいて感謝しております。
とても大事なトピックなので期待と共にですが、まず、私としては格差是正の観点を、より強く出してもよいのではないかと思いました。例えばCBTを含め、どこで不安が出るかというと、やはりキーボードの慣れであるとか、御家庭にパソコン環境があるか、また、特に今、日本において、これから海外からもっと人が入ってくると、各特性に合わせた、などそういうところは書かれてはいますが、より政策、方針として格差是正ということ、環境、出会いやコネなど、そういうものの違いによって環境が大きく変わっていってしまうということがあるので、そこをもう少し打ち出されるような見せ方をすると、メッセージが届きやすいかと思いました。
そして2点目、これも先生方が御指摘されているところですが、どんな力をつけたいかというところで、そういう意味では4番目かと思うのですが、ここはとても大事で、情報活用能力ということに特化して書かれていて、それも非常に大事なのですが、この背景で、例えば探究ももともと、調べて、それをまとめていかに発信するかと。それもすばらしいことですが、だんだん今、調べて発信するだけでなく、例えば人と出会って――人と出会うことも情報なのかもしれませんが、やはり「探究」という言葉がもっと出てきてもよいのではないかと思いました。
自分で問いを立てて何かをつくり出していく、つまり、正解となる知識を与えてもらって、それをまとめるとかいうことだけじゃなくて、より自分で問いを立てていったり、それを解決していく、「探究」という言葉が今これだけ文科省さんからも出てきていて、各現場も混乱しながらも進んでいる中で、もう少し、より俯瞰的に、こういう力をもっとつけてほしい、そのための学習基盤としてのデジタルであると。デジタルだけではないと思うんですけれども、でも、あえてそこの大きな視座を持たないと、ちょっと伝わりにくいかなと思いまして、そこの部分をぜひと思っています。
もう少しだけ。そういう意味では3点目として、デジタル学習基盤には大きく私は3つの方向性があるのかなと思っていました。まず1点目としては、「受け取る」という意味での「知る」とか、あと「人と出会う」。
例えば本とかでも、御家庭に本がたくさんある家、そうじゃない家があります。その格差をなくそうと思うと、いろんな本にアクセスできるようなプラットフォームということが考えられるかもしれない。出会いも、校長先生がすごいいろんな人を知っているといろんな人たちが学校に来るけど、そうじゃない学校もある。じゃあ、何かしらの出会いみたいなものをちゃんと打ち出せるようなプラットフォームというの考えていかなきゃいけないかもしれない。「受け取る」という意味でまずあります。
次が「協働」、インタラクティブということがあると思います。かなりここは書かれていて、すばらしいなと思っているんですけど、子供たち同士のインタラクションもそうですし、あと、AIドリルみたいなことは、ある種AIとの対話によって自分なりのものにする。あともう1つ、インタラクティブなシミュレーションというか、ツールみたいなものでより面白いものがあってもいいのかなと思いました。
ただ、この辺りも、やっぱり財政措置とかも含めていろいろ考えなきゃいけない。でも、「協働」という点はかなり書かれているので、すばらしいですし、もっと押し出してもいいかなと思っています。
もう1つが、やっぱり「つくり出す」ということ。ちょっと、その手前のことでいっぱいなのかなと思いつつも、途中、3Dプリンターとかプログラミングとかも確かに出ていまして、正しいことを正しくプログラムできる力以上に、恐らく今は、自分なりに問いを立てて、それを表現していくみたいなことが必要で、そのために例えばロボットだったり3Dプリンターだったり、お金のある家は買えるかもしれないけど、学校はできるかもしれないけど、みたいなことがあります。そういう多様な選択肢を選び取れる機会というものが必要かなと。
だから、つくる、発信するということに、もう少し焦点が当たってもいいかなと思いました。今の、受動的に知るということ、協働ということ、でももう1つ、つくり出すというところが、書かれてはいるんですけれど少し弱いかなと。それを支える格差是正の観点の指針みたいなものが、もっと出てくるといいのかなというふうに考えた次第です。
ありがとうございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
中野委員、お願いいたします。
【中野委員】 資料まとめ、大変ありがとうございました。今後を考える上でとてもいろいろな示唆に富む資料だと思っています。
私からは、主に3番についてです。3番の中の、項目は逆になりますけれども、まず5番のCBTについてです。
今、自治体の学調にNHK for Schoolの動画を使いたいというような声が少なからず届くようになっております。
動画での出題というのは今後どんどん増えていく可能性もありますし、もちろん全国学調のほうでもそういった動きが見られるのかなと思っておりますけれども、それに併せて、ネットワークアセスメントの調査、あとセキュリティ環境の整備というのも併せて進めていただくというのが重要だなと感じています。
また、出題される動画の長さ、データの重さ、品質等々についても、慎重に進めていただければと思うところでございます。
また、4番のデジタル教科書・教材、学習支援ソフトウェアという部分についてなんですけれども、先ほどほかの委員の先生方もおっしゃっていましたけれども、こちらの定義というのがなかなか難しいなというふうに思いました。
中でもデジタル教材というのが、何をもってデジタル教材というのかがなかなか定義しづらいなと思ったところです。と申しますのも、インターネット上には様々な教材となり得るコンテンツがございまして、それを自由に取ってきて、読み解いて学びに生かしていくという時代が来ると思うからです。そうした中でやはり重要なのは、メディア・リテラシーであったり情報リテラシーの育成だったりというのも併せて訴えていただく必要があるのかなと思っています。
なおNHK for Schoolは、およそ9割の先生方が授業利用ありと回答していらっしゃいますので、こういうインターネット上にある無償のコンテンツを有効に使うすべ、それを使う上でのメディア・リテラシー、情報リテラシーの育成ということの普及をお願いしたいと思います。
最後に、私が先生方と接する中で感じている変化なんですけれども、環境整備は確かに御報告のとおり、とても進んだと思っています。私どもと接している先生方の中でも変化があって、端末の持ち帰り、デジタル教材活用を前提として、学校と家庭を併せた授業デザインを考える先生がいらしたり、特に特別支援の先生方は、もともとICTの可能性についてその有用性を感じていらっしゃった部分もあって、非常に前向きに感じて取り組んでいらっしゃるんですけれども、個別最適というのがむしろ当たり前だった人たちが、今、改めて学校や教室という環境を生かして、特別支援の「協働」や特別支援の「一斉」って何だろう、みたいなことを考え始めていらっしゃるグループなども見受けております。
このように先生方のマインドが変わって、いろいろな授業を考えて、どういうふうに児童生徒に還元していけばいいかということを考え始めている先生は確かに増え始めていると感じていますので、やはりこれからは、まずICT環境を生かす教師、児童生徒の育成というのを、一番メッセージにしてお伝えいただくのが重要ではないかというふうに考えております。こうした先生方、児童生徒への伴走支援を引き続きお願いしていただければというふうに思う次第です。
私からは以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは緒方委員、お願いいたします。
【緒方委員】 ありがとうございます。私からは98ページの総括のところについて、2点です。総括の丸ポツの2つ目ですけども、端末が整備されたということでいろいろ好事例が出ているというところで、事例の共有なども図られていると思うんですけども、実際にそれがどういうふうによくなったかということを、やっぱりこれは国民の税金を使って整備させていただいているところもありますので、ちゃんとデータを基にエビデンスを示していくということが大事かなと思います。
これは、データは個々の授業で端末を使って教育学習活動をする中で、自動的に、自然にたまっていくものですので、それをうまく国全体で使える仕組みを、基盤づくりをしていくことが大事ではないかということで、これはずっと言っていることですけども、そういうことを示していただければと思っています。
それから2つ目は、3ポツの生成AIについてですけど、こういったツールはどんどん出てきますが、やはりAIをつくるというのはデータがなくてはできないというのは明確でして、なので、こういったためにもしっかり、先ほどの話に通じますけど、データ活用の基盤をつくっていくことが大事だということだと思います。
以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは、この後4人お願いすることになります。西端委員、森田委員、梅嶋委員、高橋委員、ここまでとさせていただきますので、すみませんがお時間の御協力をよろしくお願いいたします。
西端委員、お願いいたします。
【西端委員】 承知いたしました。私からは2点お話しさせていただきます。
まず1点目、目次の3番、デジタル学習基盤の整備の、児童生徒の端末のところから1つお話しさせてください。
私、この前の一番最初のGIGAの整備のときに奈良県のほうに関わっておりましたが、このときは御存じのとおり、県域で一括導入させていただきました。もちろん、それは初動としては非常に、先生方も非常に助かったというか動きやすかったですし、データの収集も今できておりますし、あと支援員さんのサポートということでは非常に多くのメリットがございました。
ただ、年数がたってみると、いろいろ物事、自分のところを自分で悪いと言っていることでも何でも二面性がありますので、もう1つの面をお話しさせていただくと、やはりちょっと画一的になってしまったと。どこの学校に行っても同じような授業をしている。もしくは、このツールを使って授業しました、このツールを使って授業しましたと。大切なのはツールではなくてこの後でしょうという話になってしまったところも絡まって、やはりそういうところから一歩抜け出すというのは大変だなというのに、改めて年数がたって思う次第です。
では、これをどうしたらいいのかということですが、まず一つは私、コミュニティー活動といいまして、都道府県を超えた先生方とお話しする機会が、多くの先生方も参加いただいているんですが、そういうやり方があったのかというのは、やはりちょっと交流してみないと分からない。
そうすると、なかなか文部科学省の立場では難しい、自治体に任されていることは重々承知の上で、やはりもっとフレキシブルな人事交流であったりですとか、そもそも教員採用であったり、こういうところから考えられることがあるのかもしれないと思う次第であります。これが1点目です。
次に2点目です。これは大きく丸5の、デジタル学習機能を土台とした学びの成果のところですが、正直、74ページの子供たちから出た言葉、「分からないことがあったときにすぐ調べることができる」というのが大きいなというふうに思いました。
ただ、ここは先ほどほかの委員もおっしゃっていましたが、では考えることはどうしたらいいのか。すぐ調べたらいいのかと、これもよくある批判ですが、ここをやはり、そうではないよと言うためには、やはりこのデータの活用のところで裏打ちすることが必要であると考えます。
だから、ぼうっと座っているのではなくて、こう考えて、ちょっと書いて手を止め、書いて手を止めということが、今まで紙で分からなかったことがデジタルで分かってくるというところで裏打ちされてくるということを、やはり進めていくべきではないかと思います。
先生方もブレークスルーが必要だということは重々分かっているのですが、改めてこの74ページのスライドのとおり、No Child Left Behindということをよく言われているかと思いますが、今改めて、No Left Teacher Behindということで、先生方も一緒に進んでいきましょうということを改めて申し上げたいと思います。
私からは以上でございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
森田委員、お願いします。
【森田委員】 森田です。よろしくお願いします。もういろんな先生のお話を伺って、そのとおりであるというか、私の主張も大分お話しされたんですけれども、教育委員会を預かる者としては、やはりICTの活用という前に、今どんな学びが必要なのか。それから、先ほど奈須先生もおっしゃいましたけれども、学びの質を豊かにする、そういう授業をするということが一番大事なことだというふうに思っています。
ですから、その中で個別最適化、それから協働的な学び、そして教え込みではない探究的な学びが必要だと。そして、こんな姿を求めていこうということが、まず前面にあるのかなと思います。
ですから、12番のスライドの3つ目のポツ、「改めてデジタル学習基盤が可能とする学びの姿を整理し」というよりも、私たちからすれば、こういう学びのものを求めたときに、その学びの中でICT枠を活用するとこういうよさがあります、アナログではできない、デジタルならではできることがこういうことですというふうに整理していただいたほうが、きっと先生方には響くんじゃないかなという感じがしています。
それから、石井委員でしょうか、先ほど、デジタル教科書を使いましょうと言ってもなかなか、使われない現状がありますという話もありましたが、これはやはり、使いましょうという呼びかけよりも、デジタル教科書ってこんなよさがあるんですよという呼びかけが、やっぱり大事なんじゃないかなというふうに思うのです。
ですから、今日の資料の中にもたくさん、そのよさ、効果が書かれていますけれども、それが一人一人の先生にどう伝わっていくのかという面は、すごく大事なんじゃないかなと思っています。
ですから、今日の資料も大事ですが、少し話はずれますけれども、この情報発信ということがすごく大事になるんじゃないだろうかなと思います。私も、文科省の通知があったりすれば、これはもちろん学校に回すわけですけれども、それ以上にプッシュ通知みたいな形で、文科省のほうからこんなよさがあります、こんな資料が出ましたみたいなものが、全部の先生方に伝わるような仕組みみたいなものもつくっていくといいのではないだろうかというふうに感じています。
それからもう1点は、先ほど41ページのデジタルドリルのところも話が出ましたが、一概にデジタルドリル、7割入っていますといっても、そのデジタルドリルって様々あるのだと思います。ですから、デジタルドリルとして求められるものといいますか、こういうものがデジタルドリルとして必要ですよねというものをある程度示さないと、聞くところによると、市町村によっては学校任せで、学校が入れているという、そのレベルが大分違いがあるという感じも聞いていますので、そういう点についても、ただ単に数字だけで追えない部分があるんじゃないだろうかというふうに感じています。
以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
梅嶋委員、お願いします。
【梅嶋委員】 ありがとうございます。私のほうからは、まず9ページですけども、GIGAスクール構想という部分に関しては、ヨーロッパでも見ておりますけども、これは世界初の最大規模の取組で、そこはもう少し明示してもよいのではないかというふうに思うところです。世界初の規模で挑戦しているというところだと思います。
続いて12ページは、奈須先生がおっしゃっていただいたとおりで、やはり個別最適化の学びというのは何なのかといったところは、しっかりと明示すべきでないかというふうに思うところでございます。
少し先に進んでいただきまして、20ページでコメントしたいのですが、22ページのほうが分かりやすいので、22ページで説明します。ネットワークのアセスメントはとても大事だと思っておりますが、この結果を共有するということをぜひ進めていただくのが重要じゃないかなというふうに思います。
なぜならば、ここに書かれているとおりで、教育委員会はネットワークのことを専門的には分かりませんので、そういったときにアセスメントの結果が分かると、セキュリティ対応はしたいけど動かない、雇用だけが高騰して必要な、教育サービスを確保出来ないと言う課題のブレークスルーできるのではないかというところを強く思うところでございます。
少し進んでいただいて42ページのところですが、実は私、ある中学生とずっと会話してきまして、小学校までは学校が好きだったのだけど、中学校になって嫌いになってしまったという生徒と1時間会話しました。どのように言われたかというと、タブレットがあることによって、毎週テストの正答が送られてきて、毎日勉強がどんどんどんどん嫌になってしまうと。駄目だ駄目だというようなデータ解析がどんどん進めてきて、それを見ているうちに勉強が嫌いになってしまったと。小学校は大好きだったのに、中学校になったら勉強が嫌になってしまったと。何でといったらタブレットのせいだと。何でだといったら、毎週のように分析結果が送られてくるということでした。私もデータサイエンティストですけども、分析すると見せたくなってしまうのですが、それを見せられた生徒は、もしかするとそれが原因で学校が嫌いになってしまうということもあるということを、もう一つ考える必要があるのではないかというふうに思うところでございます。
少し進んでいただいて、48ページの教育データの活用といったところでございますけども、これは現在の進行としては、ヨーロッパにはGDPRがあって日本にはプライバシー法制がないという、そういう制約条件の中で、何とか子供たちのデータを守りながらの情報活用を考えているというのが今の取組の姿ですので、そこの視点はもう少し入れていただいたほうが、正しい記述になるのではないかというふうに思うところでございます。
続いて51ページについて、多分、私が一番期待されているのがセキュリティであるというふうに思っておるんですけども、現状の設計を大きく、システムやネットワークを守るのではなくてデータを守るということ、データの保有者が非常に多様化しているということ、の2点に対応すべく検討が進んでいます。また、企業システムにはない、学校固有のセキュリティ事故といったところも多々あります。
続いて70ページ、69ページ辺りの情報活用能力の育成といったところについて、私も慶應大学の教員としてベンチャー経営論という授業を担当しているのですが、大学では、同時双方向の遠隔授業というのがすごく活用されていて、学校と学校をつないだり、学校と専門家をつなぐということをすごく積極的にやっています。小中高の状況を見ると、コロナのときには同時双方向の遠隔授業が活用されましたが、コロナの時期が終わったら遠隔授業はほとんど使っていませんというところが増えてしまったと。
これは何なのかといったときには、先ほど奈須先生からもございましたけども、個別最適な学びということであるとか、また、森田教育長のほうからも、ICT活用が全面的に出ていることへの問題提起がありましたが、ICTは、教育目的を常に確認しないといけません。目的といったところがどこかに行ってしまっているというところがあるというふうに思っておりまして、ぜひデジタル技術の活用の、特に情報活用能力の育成というところこそ、高校と大学とか、高校と専門家とか、中学校と専門家というような、同時双方向の遠隔授業というところがとても活用できます。ぜひ同時双方向遠隔授業といった部分に関しては、もう少し項目を割いていただけるといいのではないかなというふうに思うところでございます。
続いて73ページの部分で、本日の議論でも、探究的な学びにICTが活用されていないというのは、多くの委員の先生方もおっしゃられたと思うんですが、今、文部科学省は、DXハイスクール事業ということで、今年全面的にやっていらっしゃると思うので、そこで生まれたよい事例といったところを全国に共有していくというようなことも、とても重要ではないかというふうに思っております。この辺、ぜひ、成果の共有といったところでお願いできればというふうに思うところでございます。
私は今、教育部分では、大学の授業、研究部分では、国際機関IECでサイバーセキュリティの研究です。特に今一番注視している部分のランキングに、スイスIMDが出しています世界の競争力ランキングというのがございまして、どういう状況になっているかというと、オーストラリア、アメリカ、そして例えばアジアの国々というのは上昇傾向にあります。一方で、日本だけが下落傾向にあります。去年35位だったのが、今年38位になりました。ちなみに参考で申し上げますと、オーストラリアは13位、アメリカ12位、韓国20位でございます。
やはり競争力がどんどん下がってしまっているということと、探究の学びがなかなか進まないということ、とても連関性があるというふうに思っておりますので、ぜひ、そのような国際的な視点からの指摘というところもお願いできればというところでございます。
残り、2つになります。まず、88ページになりますけども、校務DXを考えたときに、これは校務を提供しているシステム会社さんへのお願いにもなりますけども、何か調査とかを行ったときに、単一のソフトウェアでないと読み書きできないという状況をぜひ改善してほしいというふうに思っています。
例えばですが、表計算ソフトであれば、エクセルに加え、学校ではグーグルのスプレッドシートなんかも普及しております。ですから、エクセルで提出しなさい、スプレッドシートで提出しなさいではなく、複数のソフトが使えるというような環境を、ぜひシステムのプロフェッショナルのほうでつくっていただくというところが、とても重要ではないかというふうに思うところでございます。
98ページ、AIに関して、この後も議論があると思いますが、AIでとても大事なのはファクトチェックと引用を示すということ、これは文科省のガイドラインで既に出していると思いますけども、ぜひ、活用も大事なんですが、ファクトチェックと引用を示すということは、ある一定の世界共通のルールになっていますので、これは御指摘いただければなというふうに思うところでございます。
最後です。103ページ、一番最後のところですが、ぜひそこに、同時双方向遠隔授業というところ、ぜひ、人と人が触れ合う、先生と先生が触れ合うというところ、とてもみんな、学生が笑顔になりますので、ぜひそこを追加して入れていただければというふうに思うところでございます。
長くなりましたが、よろしくお願いします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは最後に、高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員長代理】 ありがとうございます。もうお時間が来ていると思いますので、簡潔に申し上げたいと思います。
デジタル学習基盤について、デジタル学習基盤とは何であるかということが非常に分かりやすくまとめられたなと思っております。12ページや一番最後のページかと思います。
これらに具体的に魂を入れていくということが、具体的にここを目標にしていろいろなことを考えていくのかなというふうに思っています。
特にですが、例えば3番のデジタル学習基盤の整備、個別に1から7まで並んでございますが、それをしっかり取り組むという意味では、こういうふうに一つ一つ取り組んでいくのだと思います。
しかし一方で、今、デジタル、インターネットによって新しく生まれた価値、例えばSNSのようなものを見れば、コンテンツやツールやデータというものが融合して、包摂という言い方はないかもしれませんけれど、かなり高度な意味で融合をしています。
我々はいつも結合レベルで考えていたりするところもたくさんあると思いますので、そういうふうに、そもそも一つ一つ、教科書をよくする、教材をよくするというお考えも大事だと思いますが、そもそも子供に何が必要なのか、利用者中心設計のような形でやってきたときに、例えば世の中ではSNSみたいなものが生まれてきたというふうに考えれば、学習者中心に、どういうふうに学習情報を提供していくのかというふうに考えていくのかなと思います。
情報活用能力や校務情報化、これは非常に重要なところでございますが、また後でコメントさせていただきたいと思います。
私からは以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
皆さん、御協力いただきましたが、ちょっと時間が今、予定より過ぎており、この後もう1つ議題がございますので、そちらに少し短縮しながらやっていただきますが、予定の終了時間を少し超える可能性があることを最初にお伝えしておきたいと思います。
皆さんからたくさん御意見をいただきまして、これはこれから事務局と一緒に整理してまいりますが、一言、私としてもちょっとお伝えしておきたいのは、まず、デジタル学習基盤とは何かというのを決め過ぎてしまうのも、新しい技術を取り入れにくくなるという意味で難しかろうというところがあります。
かといって何も定義しないでいるのも、次の学習指導要領を含め、いろいろ検討していくときにまた難しいだろうと。この辺り、今やっていることとしてはまとめましたが、これから変わり得る、追加され得る、あるいは高橋委員が今おっしゃったように、融合することで新しいものが出てくると。だから、これは単品ではなくなるという可能性があるということを、まずお伝えしておきたいと思います。
とりわけ、この後の議題にもありますが、生成AIの登場というのはかなり世の中を揺るがしたと思います。これは場合によっては、それをどのように教育場面で用いるかという教育方法の改善の問題だけでなく、そもそも生成AIの登場によって、授業時数のようなものは今までのままでいいのか、学習すべき内容、子供たちが学ぶべき内容の軽重が変わるのではないというようなことが、このデジタル学習基盤なるものの存在によって変わり得ると。
だから、教育課程を別に議論し、それをどのようにデジタル学習基盤で支えるかということだけでなく、この社会の変化、デジタル学習基盤によって教育そのものをどのように変えていくかということも、大きな視野に入れておく必要があるだろうと思います。
この流れの中で、藤村先生がおっしゃったことですが、教員養成大学が出遅れるというのは、中長期的にはかなりリスクになると思います。場合によっては、今までの授業のやり方を学生たちにしっかりと教える、これはこれ大事ですけども、新しい学びを日常的に得られるような形に、教員養成学部がしっかりと向かっていけるような、場合によっては予算措置とか制度設計、修正とかが必要ではないかと。これは今、教員養成大学にいる私としても痛感するところでございます。
皆さん一生懸命やっているので余計に、新しい枠組みで何かをやるということを見せていかないといけないのではないかと思うところでございます。
たくさん御意見いただきましたが、まだ言い足りないところはあると思うので、それについては追加で事務局にメールをいただければと思います。
また、皆さんに今日いただいた御意見、追加メールでいただく御意見を、どのように今日の資料に追加していくか、そしてこれを次、まだ日程は分かりませんけども、間もなく行われるであろう初等中等教育分科会、上の分科会に上げていくということについては、もうこの特別委員会を行う時間はございませんので、座長の私に一任していただけるとありがたいと思うのですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【堀田委員長】 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと思います。
それでは、残り時間が僅かになって申し訳ございませんが、議題3に参ります。議題3は、初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議でございます。
これは、前回第4回のこの特別委員会で、事務局より、こういう会議体を設置するという御報告がありました。私どもの委員会の下にある委員会ではありませんが、非常に重要なことを検討されているところですので、ぜひ私どもの委員会にも御報告をいただきたいというふうに、私のほうからお願いしたものでございます。
それでは、事務局のほうで、よろしくお願いいたします。
【寺島学校情報基盤・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】 それでは、時間もありますので、少しかいつまんで説明をしたいというふうに思います。
まず、資料3-1を御覧ください。今、委員長からもありましたように、前回の会議において、こういう検討会議を設置いたしますということを御報告いたしましたけれども、まさに今、この検討会議で議論が進められているところでございます。
左の真ん中にあるような検討事項について、一番下にこれまでの検討過程というところでありますけれども、これまで4回の議論を重ねてまいりました。この後、まだ議論は続きますけれども、この前半の議論では、有識者あるいは事業者、あるいは委員の先生方からの発表やヒアリングといったものを中心にしながら、議論が進められてきたところでございます。
資料3-2、これはこの検討会議の第1回の会議で出した資料でありまして、こういったところを論点に議論をしていってはどうかということを事務局から提案をしたところでございます。
こういった観点に従って議論を進めた結果、資料の3-3、今まで出てきた御発表あるいは御意見についてまとめたものでございます。
したがいまして、これは議論で出てきたものを取りまとめたということでございますので、ガイドラインの改訂に直接ということではないのですが、こんな意見が出たということで、この場では御紹介をしたいというふうに思います。
それでは、かいつまんで御説明をしたいと思いますけれども、今から私が示すときには、左側に行番号を通しで振っておりますので、ここを指し示しながらお話ししたいと思います。
1ページ目の14行目のところでありますが、現在の技術サービスの点についても議論になりました。現在の生成AIは人間の大学院生レベルまで来ているのではないか。
あるいは、16行目のところでありますけれども、瞬時に処理可能な状態、本物と見分けがつかないもの、そういう動画、数秒の声のサンプルで自由な発声を生成できる状況、こういったところまで技術は進んでいるのではないかという発表でした。
そして23行目、しかし、ハルシネーションを防ぐ方法は見つかっておらず、これは生成AIのある意味での弱点、限界かもしれませんけれども、こういったところはまだ克服されていないという御発表がありました。
そして28行目、開発者・提供者側においても、著作権侵害のリスクを低減するようなプロンプトの入力を防ぐ仕組み、あるいは不適切な言葉・情報を制御して出力する仕組みなど、開発者側でも様々な仕組みの実装をしているという御発表もございました。
そして、35行目の後半ですが、その一環として、生成AIがすぐに答えを言わずに、子供たちが自ら答えにたどり着けるまで徹底的に伴走させるといった設定といったものも、技術的には可能になっているという御発表がございました。
そして2ページに行きまして、現状認識というようなところも幾つかございましたけれども、42行目にありますように、パイロット校で取組はあるけれども、それ以外の学校ではほとんど触ったことも議論されたこともないというようなところが現状ではないかということ。
51行目以降、基本的な情報は知られていないのではないか。名前やうわさしか知らずに怖がっていることが多いのではないか。一方で、そういうことを知れば、利用できるということに気づくという状況もあるのではないかという御意見もございました。
63行目、現状では小学校の段階から、学校外で使ったことのある子供たちもおり、放っておくと学校外で触れることになるので、学校教育で適切に触れる機会が必要ではないかという、現状認識が示されました。
69行目以降は基本的な考え方のところでありますが、これは多くの委員から御発言があり、AIは人間が使うツールである限り、AIを使いこなすためには人間自身の能力が必要であるということ。
73行目、必要なのは学ぶ力をつけることであって、情報の本質を見抜く力、そして自分でしっかり判断できる力を身につけるようにすることが重要だという、これは多くの委員に共通した認識だったというふうに思っております。
3ページ目、86行目まで飛びますけれども、生成AIは社会のインフラの一つになる可能性が高いので、初等中等段階から触れる機会というのは重要ではないか。しかし、AIは万能でないこと、人間中心にAIを使うことを知るといったことが重要ではないかといった御意見。
101行目からは、今日も議題にありましたが情報活用能力との関係について、104行目、そもそもこの情報活用能力の重要性というものが、学校現場で十分理解を得られていないのではないかというような御意見。
4ページ目に行きまして115行目でありますけども、今のガイドラインでも、情報活用能力が十分育成されていない段階において自由に使わることは適切ではないというふうにされているけれども、「十分な育成」というのは一体どの程度なのかということをしっかり示すべきではないか。
123行目、情報活用能力の育成については、学習経験や学習歴といったものが一定必要になるのではないかというような御意見もございました。
そして、少し下のほうに行きまして140行目、安全・安心、プライバシー、透明性などについては、事業者ガイドラインでも挙げられている原則でありますけれども、これは教育現場でも共通して考える必要があるのではないかという御意見がございました。
5ページ目に飛びますけれども159行目、子供たちが利用する場面での留意事項の議論でありましたけれども、生成AIのリスクを指摘し、留意点を指摘し、使うならどういう使い方があり得るのかということを先生たちが腹落ちできるようにする必要があるのではないか。
169行目、基本的な概念が身についていない子供たちが多い中で、本当に生成AIを使えばそういったことが理解できるようになるのかというような御意見もございました。
181行目、182行目辺りですけれども、多くのAIに対する体験を通じて、生成AIに対する冷静な態度といったものを狙うべきではないか。
184行目、経験が浅い子供たちほど素直に受け取ってしまいがちではないか、ある程度の経験が必要ではないかというような御意見もございました。
6ページ目に行きまして208行目のところ、これは先生が校務で活用する場合の留意事項でありますけれども、まずは先生が使ってみるといったことは、順序としては理にかなっているのではないか。
そして210行目、その際、先生が留意すべきなのは、ハルシネーションの見極め、そして情報流出の2点、こういったところにしっかりと留意をすべきではないか。
126行目でありますけれども、教育委員会において、セキュリティポリシーの改定も含めて、一律に禁止をするということを見直すべきではないかというような御意見もございました。
7ページ目のその他移行のところは、このガイドラインの書き方とか在り方そのものの議論も多くなされましたけれども、時間の関係でここは割愛させていただきます。
大変駆け足ですけれども、報告は以上でございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
このように、まだ終わっておりませんが、精力的にこの議論は進んでおりまして、ガイドラインのバージョン2を間もなく出すという段階でございます。
私どものこの特別委員会と、構成員が重複している方々もいらっしゃいます。もし何かコメントがあればと思うのですが、いかがでしょうか。
よろしいですか。何か、あるいは質問等ございますでしょうか。よろしいですかね。
これ、生成AIをどうするかという議論と、そして、それをどのようなガイドラインでまとめて現場に伝えていくかという議論をしているという委員会ですけれども、この有識者会議、委員会がどのように動いているかというのは、デジタル学習基盤の一部として私どもはしっかりと見て、桁を合わせながら議論していくということが必要かと思っておりますので、これらの調整は文部科学省内でしっかりとやっていただければと思うところでございます。
では梅嶋先生、どうぞ。
【梅嶋委員】 セキュリティに関して、やはり真剣に考えなければいけないというふうに思いまして、論点にも入っていますけども、文部科学省のセキュリティガイドラインとの同期が必要ということであれば、セキュリティガイドラインの検討のほうで、AIの部分というところをしっかりと記述するといったところはインプットしてもいいのではないかと思いました。
【堀田委員長】 ありがとうございます。
平井委員、どうぞ。
【平井委員】 ある自治体で、前回のガイドラインは暫定的だからということをうまくつついてきて、これはあくまでも暫定だからまだやらなくていいんだよね、ということを言われました。
だから、もう使うことが前提だというような、一律に禁止するものではないということを強く言っていただかないと、本当にうまく、まだまだ過渡期だというところで使わせないというもののお墨つきみたいにとっている、変な解釈をしているところもあったものですから、よろしくお願いします。
【堀田委員長】 はい。ほかにいかがでしょうか。
前回のガイドラインの段階では、もう利活用が始まるので、暫定であっても方向感をお見せする必要があり、それが今後変わり得るという意味で暫定という言葉が使われていたわけですけども、現場は忙しいのでいろんなやらない理由をつい言ってしまうのかもしれません。貴重な情報ありがとうございました。
特に御意見ほかになければ、ここまでとさせていただきますが、よろしいでしょうか。
では、これにつきましても、時間の都合もありましたので、もし何かありましたら事務局にメールをいただければと思います。
それでは、次回について、事務局からお願いいたします。
【太田学校デジタル化PT学校デジタル化総括係長】 次回の本特別委員会の日程につきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。
【堀田委員長】 分かりました。
それでは、本日、5分延長してしまいまして申し訳ございませんでした。議事は全て終了しましたので、ここまでとさせていただきます。オンラインの方々も御協力ありがとうございました。
それでは、閉会いたします。
―― 了 ――
初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチーム