デジタル学習基盤特別委員会(第2回)議事録

1.日時

令和5年9月1日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省
※対面・WEB会議の併用(傍聴はWEB上のみ)

3.議題

  1. 1人1台端末の活用状況について
  2. 次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ(第1回)の主な意見について
  3. 令和6年度予算概算要求の概要について
  4. 教育データの利活用に関する有識者会議の検討内容について
  5. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

五十嵐委員、梅嶋委員、緒方委員、高橋委員長代理、中島委員、中野委員、奈須委員長代理、西端委員、平井委員、平田委員、藤村委員、堀田委員長、森田委員
(50音順)

文部科学省

矢野初等中等教育局長、浅野大臣官房学習基盤審議官、武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー、神谷GIGAスクール基盤チームリーダー、黄地教科書課長、藤原教育DX推進室長、酒井学校デジタル化PTサブリーダー、渡辺学校デジタル化PTサブリーダー

6.議事録

中央教育審議会 初等中等教育分科会 デジタル学習基盤特別委員会(第2回)

令和5年9月1日

【堀田委員長】おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会の第2回を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 議題に入ります前に、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をお願いいたします。
 
【渡辺学校デジタル化PTサブリーダー】おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局に8月8日付の異動がございましたので、御紹介させていただきます。初等中等教育局長に矢野、急遽遅れてでございますけれども、学習基盤審議官に浅野、教科書課長に黄地が着任しております。事務局を代表いたしまして、矢野より一言御挨拶をさせていただきます。
 
【矢野初等中等教育局長】8月8日付で初等中等教育局長に就任いたしました矢野でございます。GIGAスクール構想、堀田先生よく御存じですが、まさに初代のときからチームリーダーとして携わってまいりましたので、このデジタル学習基盤特別委員会、まさに特別な思いで参加させていただきたいと思います。
 この委員会、多分一番のポイントは、地方の取組の格差というのをどう埋めていくかということになろうかと思うのですが、当時、GIGAスクール構想を始めたとき、例えばパソコンの保有というか、1人何台かというときに、佐賀県が1.7人に1台ぐらいだったでしょうかね。一方で、大きな県の幾つかは7人に1台とか、そういう格差がついておりました。
 今、もう本当、1人1台ということが、そこは一気に縮めることができたのですが、ただ、やはり義務教育の精神というのは、日本中どこであっても、誰であっても、妥当な規模と内容の教育を受けることができるというのが基本義務教育の真髄でございます。そういう状況はやはり耐え難かったというのが、我々の思いでございました。
 一方、PISA調査2018でも明らかなように、電子デバイスのその使用が、日本は残念ながら、家庭での学習、学校での学習で使われてない、ところが、遊びにはたくさん使われている。こういう状況はやはり看過できない。実は、堀田先生よく御存じだと思いますが、どちらかというと私、その年の1月ぐらいには、やや否定的な感想を持っておりましたが、君子豹変するで、宗旨替えしたのは、やはりそういう実態をしっかり見たからでございます。その思いは今でも全く変わってないところでございます。
 当時はどうしても、やはり迅速に進めないといけないという行政上の事情がございました。それは予算上の問題であるとか、コロナであるとか、そういったような問題がありましたので、なかなか万全の体制でもって進めるということはできなかったわけですが、今、もう丸5年ほど経過いたしまして、これからは、まさに丁寧に、しかし迅速に進めたいというふうに考えております。何とぞ御指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。
 それでは、続きまして、本日の会議開催方式及び資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
 
【渡辺学校デジタル化PTサブリーダー】本会議は第1回同様、対面とオンラインのハイブリッド方式にて開催させていただきます。つきましては、ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、カメラにつきましては、御発言時以外も含めまして、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。
 委員の皆様には御不便をおかけすることもあろうかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。本日の資料、議事次第にございますとおり、資料1から資料4まで、参考資料が1から3までとなっております。御不明な点等がございましたらお申しつけいただければと存じます。
 以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。
 それでは、早速議題に入りたいと思いますが、本日の議題は4つございまして、議題1は、1人1台端末の活用状況について、議題2としては、次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ、この私どもの特別委員会の下にできているワーキンググループですけども、ここの主な意見について、議題3は、令和6年度の予算の概算要求の概要につきまして、議題4としては、教育データの利活用に関する有識者会議の動向の御報告につきまして、進めてまいりたいと思います。
 また、本日は、報道関係者と一般の方々向けに本会議の模様をZoomウェビナーにて配信しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の議題に入ります。議題1、1人1台の端末の活用状況についてですが、今年度の全国学力・学習状況調査が、先般、結果が公表されたことから、最新の状況につきまして御報告をいただきます。では、事務局より御説明をお願いいたします。
 
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】おはようございます。委員の先生方、学校デジタル化プロジェクトチームの武藤です。資料1に基づきまして、御説明申し上げます。
 今堀田委員長からありましたように、今年の4月の全国学調の結果、端末の活用に関わる学校質問紙の部分を、なるべく分かりやすいようにビジュアライズしたものでございます。
 まず、この今画面に映っているのが、政令市を除いている、小学校の県別です。1人1台端末授業で活用している学校の割合で、濃い青の「ほぼ毎日」、薄い青の「週3回以上」を合わせると約9割まで上がってきました。昨年比7ポイント増とということでありますが、御覧いただいて分かるとおり、地域差がかなり存在をしているという状況です。分母になっている数は、学校の数です。学校の割合ということでございます。
 次のスライド行っていただくと、同じく中学校も同様で、昨年比6ポイント増えておりますけれども、地域差が大分出ていると。
 次、お願いします。今度は指定都市です。同じようなデータ、指定都市で見ているものの小学校版と中学校版、いずれも青いところと薄い青いところを見てください。
 ここまでが一般的に授業で活用しているかという聞き方なのですけれども、その次のページから、自分で調べる場面で活用できているかどうかということになりますと、大分濃い青のところが下がってきています。「ほぼ毎日」、「週3回以上」を足すと7割、昨年より10ポイント増えていて、着実な進捗は認められますが、やっぱり一般的にというよりも大分数値が下がっているということ。
 次の中学校に、スライドをお願いします。同じような傾向が次の中学校にもあります。これ9ポイント増です。
 また、その次になりますけれども、政令市の小学校、それから中学校と、同じような傾向が出ているということでございます。特に政令市はもう基礎自治体ですから、本当に差が顕著になっているということが言えるかと思います。
 その次のスライドをお願いいたします。次に、自分の考えをまとめて発表・表現する場面ということで、さらにその濃い青いところが下がってきている。ただ、全体として言うと「ほぼ毎日」、「週3回以上」で4割、昨年より6ポイント増えております。他方、「月1回未満」という一番上の天井のところのオレンジのところが結構、一定数存在をしているということが小学校でも言えますし、次に、中学校を御覧いただくと、同じような傾向が出ているということであります。
 政令市についても、見ていただけると、こんな感じで結構大きな差が出ている。新潟市とか熊本市みたいに、青いところが結構高い数字を示しているところから、そうでないところまで、相当差が出ていると。中学校のほうも同様でございます。
 その次に、もう一つ、場面ごとということで、教職員と児童がやり取りする場面、「ほぼ毎日」と「週3回以上」で5割、9ポイント増えております。
 次に、中学校見ていただくと、やっぱり5割、5ポイント増えています。
 そして、政令市、こんな感じでございます。やっぱり特に熊本と新潟は高いということが小学校でも言えますし、次に、中学校はこんな具合でございました。結構オレンジが多い感じのところもあります。「月1回未満」ですね。
 その次にいっていただいて、今度は児童同士がやり取りする場面ということです。こちら大分青いところが減ってくるんです。「ほぼ毎日」、「週3回以上」で4割、9ポイント増えてはいるものの、まだこの辺りが進んでおらず、オレンジがすごく多いということ。
 次に、中学校です。これも同じような傾向があり、政令市の小学校、それから中学校、こんな感じになっているということであります。
 次に、今回新しく聞いたこととして、子供たちの特性とか理解度あるいは進度に合わせて課題に取り組むということで、まさに個別最適というところに適合する質問を今回から新しく取っております。「週3回以上」と「ほぼ毎日」合わせて4割強というのが小学校の結果でございまして、中学校につきましては、約3割、3割強という状況でありました。
 政令市の小学校、こんな見ていただいたような具合でありまして、中学校もこんな感じと、結構オレンジが多いというところがあるかなと思っております。
 今申し上げた、特性や理解度・進度に合わせるとか、児童同士がやり取りをするとか、あるいは先生と児童がやり取りするとか、この辺りというのは、クラウドがどれだけ活用されているかというところの、代理変数みたいな話なのではないかというふうに思っていて、せっかく、GIGAスクールはやっぱりもうクラウド・バイ・デフォルトということで始めたものですから、その辺りもっとさらに活用を進めていくことが大きな課題だというふうに思っております。
 最後に、その次のスライドに移って、端末を家庭で利用できるようにしている学校の割合、小学校・都道府県別でいきますと、「毎日持ち帰り」がまだ3割弱ということで、昨年より5ポイント増えてはいるものの、天井のほうを見ていただくと、非常時のみ持ち帰りとか、「持ち帰ってはいけない」という持ち帰り禁止とか、あるいは紫のところの「持ち帰らせていない」とか、その辺りのほうがむしろ多いみたいな状況があるところであります。
 特に、非常時のみ持ち帰りというと、家にいる間に非常時が起きてしまったら、じゃあ、非常時にもかかわらず学校に端末を取りに行くんですかということで言えば、本来はそれはワークしないんじゃないかということも思っていまして、私たちとしても指導とか助言とか援助というのを強めていかなきゃいけないなというふうに思っています。
 1枚おめくりいただくと中学校、これも同様でございます。4割弱ということでございまして、10ポイント増えているということで着実な進捗は認められるものの、まだまだということ。
 その次の指定都市、ここも結構差が出ています。先ほど来何度も出てきている熊本、それから新潟はもうほとんど青いところなわけですけども、そうでないところとも大きな差が出ている。同じような傾向が中学校のほうのスライドにも見てとれるかなというふうに思っています。
 こういう、全体としては非常に進捗してきているということはあると思っております。コロナ禍で、本当に除菌等々、学校現場大変な中でということも差し引いて考えれば、一定の進捗は認められますし、この1年でもまた上積みがなされているということでありますけれども、そもそもの理念、理想として、令和の時代の文房具ということで始まったということを考えれば、さらに加速させていく必要がある。そのときに、一つ一つの自治体、ないしはその自治体の中の学校のそれぞれの課題感に応じて、私たちとしても伴走支援をしていきたいと思っています。
 結構、その背景にある課題は様々でありまして、そもそもそのGIGAスクールの意義、その前提として令和の改革の意義、さらに言えばその前提として指導要領の趣旨、こういったものがまだ浸透してないということであれば、それは私たち幹部も含めて、なるべく、お伺いして直接お話しすることも含めて頑張っていきたいと思いますし、ネットワークが問題であれば、それはアセスメントをしっかりやっていただく予算もつけてございます。また、指導者用端末が足りないとか、整備面に問題があるところというのは、やっぱりお金も絡んできます。私たちとしては、地方交付税で1人1台というのはもうつけてきているわけですけど、にもかかわらず整備がなされていないというところ、子供に1人1台があるのに先生に1人1台がないということであればなかなかこれは進んでいきませんので、ハイレベルでの働きかけも含めて考えていきたいというふうに思っているところでございます。私から説明は以上です。ありがとうございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。先ほど矢野局長から、GIGAの整備は全国的に義務教育でしっかり進めることはできたと。それで今、武藤課長からは、全国学力・学習状況調査の結果から行くと、利活用については、進捗はしているけどもまだ格差が大きい。なかなかその理念が浸透していない、利活用に思い切って進んでいないところもあるということでした。その原因等、いろいろ考えられると思いますし、この会議はデジタル学習基盤をどう整備すれば令和の日本型学校教育がちゃんと進むようになるかという検討の会議でもございますので、そういう観点からこれからの御意見、御質問等いただきたいと思います。
 御発言がございます場合は、手を挙げるのボタンを押していただいて、その上でこちらから御指名させていただきたいと思います。御指名いたしましたらミュートを解除いただいて御発言いただき、御発言が終わりましたら手を下げていただいて、またミュートにしていただくという形にしたいと思います。それでは、時間的には20分ぐらいでしょうか、ちょっとございますので、ぜひいろいろと御意見をいただければと思います。
 早速、平井委員が挙げていらっしゃいます。平井委員、お願いいたします。
 
【平井委員】平井でございます。今日はよろしくお願いします。ちょっと私ごとで早めに出ないといけないので、最初に発言したいと考えております。
 今現在、先ほどの結果というのを、その基盤の整備という点で言うと、やはり制度的に、各自治体がセキュリティポリシー等で、この子供たちのやり取りということ、クラウドの活用についての制限を加えているというものが、制度的な問題としてあるのかなというところが一つあります。
 もう一つの部分としては、やっぱり教員側の意識の部分ですよね。やはり、どうしても子供たち同士のやり取りをするということになると、子供たちに任せないといけないから……。
 
【堀田委員長】 平井委員、声が聞こえなくなりました。こっちの問題かな。
 
【平井委員】 だから自分のペースでやるとか、うちに持ち帰っての活用というと、子供たちに任せないといけない。自分たちの管理から外れるということに関しての教員の意識のほうが、教師主導の学びから学習者自体への学びへの転換という当たり前のところに対するところの意識を変えないといけないというところが、学習基盤のメンタルの部分というのはあるのかなと考えております。
 以上です。
 
【堀田委員長】 平井委員、大変恐縮なのですけども、先生方の意識のところ、子供同士のやり取りをするためには子供に任せなきゃいけないという辺りから、こちらの文部科学省側の音声がちょっと途絶えまして、聞こえなくなってしまいまして、申し訳ございません。いま一度、御発言いただけますか。本当にすみません。
 
【平井委員】 どこから伝わっているか、ちょっと分からなかったものですからあれですけれども、結局、制度的なシステムの部分として、やっぱりセキュリティポリシー等で、子供たちのやり取りとか、任せるという部分ができていないというのと、それから、先生方の意識の部分で、学習者主体ということに対して、今までの自分たちの古いスタイルの授業デザインから脱却できていないというところが大きな部分なので、この両面でいかないと、やはりここの問題は難しいなと思います。
 やっぱり、先ほどのやり取りの部分、それから自分のペースで学んでいくということ、そして家庭で学んでいくということは、結局子供たちに任せないといけないということですよね。そこの部分がどうしてもやっぱり引っかかっているのは、これは日本中の課題、世界中といえば世界中なんですけども、OECDの生徒エージェンシーの中でも、共同エージェンシーの段階というところで、その主体的な学びというところをやっぱりコントロールしたがるというのが、別な意味でいうと操っているという言葉を出していましたけど、まさに操り状態になっているというところからの脱却というのが、そこの意識転換が一番必要かなというところでございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。繰り返して御発言いただきまして、ありがとうございました。
 では、続きまして、藤村委員、その次に中島委員に参ります。藤村委員、お願いいたします。
 
【藤村委員】どうもありがとうございます。今、平井委員お話しいただいたように、GIGAスクールというのは、ただ単にICT使わせる、タブレット使わせるためじゃなくて、教育改革なのだということを強く意識する重要性は私も全く同感です。
 あとほかに2点、ちょっと考えていることがありまして、実は北海道から沖縄まで全国助言に歩いていて、劇的に先生方が変わる、意識が変わるポイントが分かりました。それは何かというと、先生方みんな、ICTはツールだから、必要感を感じなければ使わなくていいとか、うちはそこそこ学力高いから、何も無理して使わなくていいというふうに考えている方が多いのですが、欧米諸国は、ちゃんと基礎力、基礎学力として認めているから、教科も小中高とあるわけです。つまり、実はこれ、21世紀を生き抜く子供にとって、掛け算の九九や漢字等と全く同じように、基礎学力なのですという見方が日本の場合欠けているのかなという気がしております。
 そこで、ぜひ、ここは中教審の特別委員会ですから、その学力観の転換というものを次期学習指導要領で明確に、さらに強く打ち出すと、もう既に打ち出してはいるのですが、ICT活用スキルですとか情報モラルも含め、デジタルの情報スキルと、問題発見解決能力ですとか思考力といったアナログの情報スキル含めて、その情報スキルがまさに基礎学力だと、変化が激しく予測困難な時代を生きていく上で必要不可欠なんだということで、ちょっと広報していく必要があるかなというのを大変強く感じています。
 私が行ったところでは、この話をして、諸外国の様子、基礎教科として小中高みんな教科があって、先生方が苦労しなくても指導できるように専科の先生がいたり、教材も全部そろっている、教科書もあるのですよって話をすると、あっ、それはいいですね、それはやらなきゃならないですねと言ってくださるので、ぜひその学力として明確に打ち出すようにお願いしたいというのが1点目です。
 2点目はその裏返しです。実はなぜ学力として認識していただけないのかというと、全国学力・学習状況調査に、これらICTスキルを測定する項目ですとか、デジタルの情報スキルやアナログの情報スキルに関する問題が、やや薄いというか、大幅に欠けていると考えています。PISAの国際学力テストのような感じになれば、ちゃんとやってないところは確実に学力落ちますので、PISA2018で落ちたように、これはまずいとなるはずですから、やっぱりそういうようなことも中教審としては考えて、次期学習指導要領に打ち出すとともに、学力テストの在り方も変えるということが必要ではないかなというふうに考えました。以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では中島委員、お願いいたします。
 
【中島委員】ありがとうございます。ちょっと似ているところもあるのですけれども、3点あります。
 1つ、まずいろんな目的別調べるとか、いろいろコミュニケーションをするとか、そういうふうに取っていただいたのは非常にいいなと思っているんですけど、より詳しく、何かいろんな効率化に役立ったとか、やっぱりプログラミングとかロボット、遊んでみたら面白かったとか、あるいは宿題をこれでやることでいろんな人とやり取りができたとか、結構どういう目的でどういうふうに利用されたかということが、より解像度が上がってくると面白いかなと。一概にICTといっても結構皆さん、学校によってとか、先生によってとか、子供たちによって使い方はいろいろあるのかなと思いました。
 なので、自由記述とかでも、どんな目的の利用が先生にとっても生徒にとってもよかったか、わくわくしたかとか、場合によってはうまくいかなかったかというようなことをちょっと取っていくことで、もう少し見える部分があるのかなと思ったのが1点目です。
 2点目、ちょっとこれは追加でなんですけど、今のお話にすごく近いのですが、確かにそのコミュニケーション、調べる、効率化、振り返りなどに使われていることが多いと思うんですが、私も、今、御発言いただいた内容と非常に酷似しているんですが、やっぱり世界でつくる力の拡張みたいな意味で、コンピュテーショナル・スキルズって日本語に訳しちゃうと、計算力みたいな感じで、全く違う意味に捉えられそうなんですけれど、やっぱりコンピュテーショナル・スキルズ、コンピューターと、ある種、より創造的にどう会話していくかみたいなことが本当に大事だというのが、これは21世紀の学習者全員にとって大事だよというようなことが出ています。
 それで、私自身も五感とかアナログなものも大好きなんですけど、ただ、やっぱり今のICTというか、技術とかを使って、今までできなかったことで、学校で教科書だけで見ていたことが、自分で試してみたりとかすることがよりできるようになっていて、その辺りの、今でいうと情報スキルなのかもしれないんですが、そういう部分、何かつくり出すような部分というのはもう少し大事にされてもいいかなと思いました。目的いろいろあると思うんですけれども、その一つの要素として、やっぱりそういう部分がもう少し解像度高く見えてくるといいなと思いました。
 3点目、今私たちもそうなんですけれど、いろんな学校と外部の人がやり取りをするということが増えてきていると思います。そのときの、クラウドは、学校で閉じているのは非常にいいことだし、セキュリティ的にも大事なことだと思うんですけれども、ただ、もう学校とか教育委員会とか認めた状態で、少しだけこの期間だけ外部の人とよりスムーズにやり取りする、先生が一々ダウンロードして、メールで何か送るとかやっていると、逆にセキュリティ的にも危なかったりするので、何かそういう外部とちょっと協働することが、地域の方とか、出てきたときに、どういうガイドラインでできるかということを少し整理が進むと、よりいろんな、今、探究とか、いろんなことが進んでいますので、そういうことが面白いこともできるかなと思いました。
 あと、子供たちも同じように利用ガイドラインのところ、デジタル・シティズンシップの言葉とかもありますけれども、やっぱり子供たちは、どうしても楽しい方向に流れる部分、何がいけないのかとかいうのはよく分からずにまだまだ使っているところがあるので、大人のいろんな研修と同じように子供たちの研修というかガイドラインみたいなものが、より策定されてくるといいのかなというふうに思っています。
 すみません。長くなりました。ありがとうございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。この後、西端委員、次に、奈須委員長代理の順番でまいります。西端委員、お願いします。
 
【西端委員】失礼いたします。今回新しく取られた、特性や理解度・進度に合わせてというところで発言をさせていただきます。
 まず、特性ということなんですが、やはり先生方の中で、こういう特性を持った子供にはこうした活用が合っている、もしくは、こうした子供にはこうした活用したらよりその子供に分かりやすくなるという蓄積がまだちょっと足りていないのかなとも思います。
 というのも、先週、ちょうど特別支援教育に関する学会に出ていたのですが、やはりICTの活用、プログラミング教育についての御発表も多数ございました。その中で先生方が情報共有をされているのですが、そうした場をもっとつくっていくべきではないかと。もちろん、教育の情報化の手引きには掲載されておりますし、今まで特別支援教育の中での連綿とした歴史もございます。また、合理的配慮の観点からICTの活用というのもまとめられていますが、こうしたものをもう少し一体化して何か伝えられる場があるといいのかなと思います。
 また、進度・理解度に関してですが、こちらも現場の先生のお話を聞くと、やはり今までの授業と同様、何となく大きな真ん中の部分に合わせて教材を作ってしまっているが、そのほかの子供たちについてはどうしても手が回らない。そうしたところは学校の中もしくは学校間で共有をしたいというお話も聞いております。この辺りも自治体で何かそうしたサポートができればいいのかなというふうに考えました。
 以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では、奈須委員長代理、お願いいたします。
 
【奈須委員長代理】よろしくお願いします。先ほど藤村先生おっしゃったように、デジタルというのは新しい学力だということだと思いますが、それは結局、現行の学力論とかカリキュラムに追加する、その形でやってはいかんのだろうと思うんです。
 まず一つは、デジタルが新しい学力だといったりその教育改革だといったときに、内容面で、その情報活用能力のように、これまでにはないもので新たに必要なものというのは一定程度出てくるんだと思います。それをどうやるか。教科でやるのかいろんな形でやるのかということをまず、議論する必要があるんだろうと思うんです。
 でも、これ、どうしても積む部分になるので、慎重に考える必要があるけれども、同時にそれを積むことで、従来やってきたものが効率化されたり再整理されたり、場合によってはもう割愛できるということがあるんだろうと思います。このことをここの場とかデジタルを推進する側できちんと言っていかないと、従来の教科あるいはアナログを前提にした授業開発を考えている側からすれば、そこは考えられないと思うんです。
 だから、そのデジタルを導入し推進し、授業の在り方とか学校の在り方とか学力論の構造を再構成するということが、伝統的な基礎学力とか伝統的な教育内容とか、伝統的な授業の在り方をどう変える可能性があるかということを整理して構造的に打ち出して、そこで、時数的にとか作業的にとか、内容的に再整理ができたり、場合によっては減るということがあるので、その部分を使って、情報活用に関する新しい内容や方法を載せることが可能だと。つまり、再構造化の提案をここで長期的にしていく必要があるんだろうなということを考えました。
 また、そこの認識が進んでこないから、先ほど御報告あったように、やっぱり数字が伸び悩んでいるということがあるんだろうなというふうに思うわけです。それで、まさにそのデジタルの導入によって、一般社会の中で仕事の在り方とか思考の在り方とか人の関わり方とかコミュニケーションの原理が変わってくるわけですよね。それが全部学校に来るわけではないと思いますけど、それがどの程度学校に来て、どの年齢の子供にどういうふうにしていくことが、子供の発達からしても問題なく、また、むしろ効果的で、将来の社会に生きていく子供たちに資するようなカリキュラム構造になるのかという議論を、次の教育課程に向けてしていくんでしょうけど、その予備的な議論をここで集中的にしていく必要があるんだろうなという気がしています。
 その辺のことをしっかり打ち出していくと、そのカリキュラム・オーバーロードということもありますので、そのことに抵触しないでしっかりやれると、そして未来を展望できる子供を育てられるという、何かその青写真を出す必要があるんだろうなと思います。
 最後にそうなってきたときに、やはり、かなりその伝統的な教科等の基礎学力の部分に対して、くさびを打っていくというか、変革を求めていくという大胆な提案をせざるを得なくなってくるんだろうと思います。それは、次の教育課程全体の構造化の一番出発点の議論で大切なことだと私自身は思っていますけれども、そこについて、海外の状況あるいはいろんな先行事例のエビデンスもお示しいただきながら、こういうことはできるし、こういうことは既に安全であることが確認されているし、こういうことをやることで、これだけの変革が達成でき、そして伝統的な教科学力も含めて十全に実現可能なんだという、なかなか難しい注文だと思いますけど、何か少し大きいところでこのことを進めていかないといけないんだろうなというふうに、先生方のお話を伺っておりました。以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では、今挙手いただいている方々までとさせていただきます。この後、平田委員、中野委員、森田委員、梅嶋委員の順番でお話しいただきたいと思います。
 それでは、平田委員、お願いいたします。
 
【平田委員】平田です。どうぞよろしくお願いいたします。私は、広域自治体の立場から、市町村の教育委員会さんに御協力いただきながら、GIGAスクール構想を進めていく立場にあります。そのときに、先ほど来出ている、地域差というのはどうしても起きます。ただ、地域差がどうして起きるかというところを考えてみると、やはり、いろんな段階での腹落ちということがあるのだと思うんです。
 例えば、群馬県の場合も、先ほど武藤課長さんから御説明いただいたところを見ていただくと、自分の考えをまとめ、発表・表現というようなこととか、あるいは、教員と生徒、あるいは生徒同士というところは比較的高いのですけれども、いわゆる個別最適な学びのところはまだまだの状況が見えます。
 これがなぜかというと、例えば自分の考えをまとめ、というのは、例えばGoogle formsであったりいろいろなことを使って、授業中に子供たち一人一人の意見がほかの子供たちにすぐ見えて、実は、いつもおとなしいんだけど、あの子、すごいというようなところに、教員も子供たちも目が向くというような、教員にとってこれはいいという体験を積んできたからだと思うんです。
 そうすると、例えば先生たちにとって一番身近なのは、例えば中学校区の同じ小学校であったり、あるいは同じ市町村の中の他の小中学校というふうに、すごく自分の身近なところで、あっ、こんなことができて、こんなことがやっているということが分かると、わーっと広がっていきます。先生たち、腹落ちするとどんどん自分たちで新しいこと考えて、いろんな使い方をしてくださるので、そこで物すごく増えていくということを経験してきました。
 個別最適な学びについては、まだまだ群馬県として打ち出せてないというか、市町村の中にやってくださっているところもあるのだけれども、あるいは研究の中で考えるということもあるのだけど、それがまだまだ腹落ちする形で、あるいは具体的にこんなことをやるとこうできるよというところまで、先生方の身近にないということがまずあるのかなというふうに思います。
 もう一つは、困ったときに教えてもらえる仕組みとか、あるいは、こんなことを授業やあるいは行事等でやってみたいんだけど、どうしたらいいんだろうみたいなものについて、アドバイスを身近で受けることができる仕組みというのがとても大事だと思います。
 先生方忙しいので、恐らく、今までは、先生方同士で教え合うことができていました。今も、順調にいっているところであると、それがすごく順調な形でできると思うのですが、なかなかできてないと、お互いにちょっと遠慮してしまうというようなところがあるので、それが、県であったりというところで、市町村を支援する仕組みをつくっているところです。
 あともう一つは、トラブルが起きにくいということが一つあるのかと思います。ネットワークの強さということにも関連するかと思うのですが、やはり授業の中でトラブルが起きて授業が止まるというのは、先生方物すごく怖がります。ですので、安定して運用ができることであったりとか、あるいは物すごい高いソフトを買わなくても、自分たちの手持ち、あるいはちょっと手を出すと使えるようなことができるということが分かると、本当にわーっと広がっていくということを経験しました。なので、ハード面での整備ということももちろん大事なことであって、それがもちろんベースになるのですが、先生方にとって身近な事例をいかに伝えていくかというような視点もとても大事だというふうに思っている次第です。以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。続いて、中野委員、お願いいたします。
 
【中野委員】NHKの中野でございます。この今回の調査を拝見いたしまして、私が一番注目いたしましたのは、家庭への持ち帰りという部分でございます。恐らく、調べてまとめて伝える活動というのは、先生方、日頃から教科の指導の中で大変取り込んできたところに、どういうふうにICTを取り入れていくかということが上手にできるからこそ、先生方の能力があるからこそ、活用が広がっているんだろうなと思うのですけれども、やはり家庭へ持ち帰りという部分での不安、子供たちが勝手に触ることによって何が起きるんだろうと、今まで先生方がなさってこなかった部分に対する御不安があるのかなというふうに思っています。
 卵と鶏の関係のようですが、持ち帰りをしていただければ、もしくは子供に端末活用を委ねていただければ、実はNHK for Schoolのほうでも、お子さんが一人で見て学びにつながる、端末活用のスキルや情報モラル、リテラシーといった番組、多く取りそろえてございます。もちろん先生方が学校で連携している教材の会社さんもよいコンテンツをたくさん出していらっしゃいます。
 そこを、子供たちに勝手に触らせる、おうちでも使ってみるというようなことができるようになると、先生が負担なく、多分、スキルやセキュリティ、モラルみたいな部分も、子どもたちがどんどん自分自身で身につけていくことができるのではないかと思っています。そして、そういう姿を家庭で見ることによって、保護者の皆さんの御不安というのも取り除かれていくのではないかというふうに思いますので、そこは本当に御不安を乗り越えて壁を取り除いていくという必要があるでしょうし、我々もそういう不安を取り除くための、端末活用を促進するためのコンテンツというものを提供していきたいと考えています。
 それがあってようやく、その先に個別最適な学びみたいなものが見えてくるのではないかというような気がしていまして、まずは、家庭に持ち帰って端末を活用して学ぶということに対する社会の理解の醸成も含めて前向きに進めていただければ、必要性を訴えていただければというふうに思います。以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では、森田委員、お願いいたします。
 
【森田委員】よろしくお願いします。もう皆さん、大体意見おっしゃったので、その繰り返しになるところもあるんですけれども、一つは子供がコンピューターをいつ使うか、どう使うかというのは、先生が決めるものじゃないと、子供自身が決めるという意識を、やっぱり先生方がしっかり持つ必要があるのかなと。さあ、じゃあここでコンピューター出しましょう、こういうことをやりましょうという、まだまだ教師のコントロールの中でパソコンを使うということが多いんじゃないかなと思いますので、子供が決めるということをもっと徹底したほうがいいのではないかなというのが一つ。
 2つ目、スキルについて、情報活用能力を基礎学力としてというのは私も大賛成であります。そして、それが新しく付け加えられたという意識にさせないこともすごく大事だと思うんです。つくばでは、これ、ちょっと見えるかどうか分からないのですが、背景ぼかしになっているか……、ちょっと見づらいかもしれませんが、学年ごとに、各教科、そして時期、何月というところで、やっている単元の中でどんな情報活用能力を身につけられますということを一覧表にして、先生方に示しています。それによって先生方は今やっている授業の中での情報活用能力というのを意識しながら授業が進められるようにしているんですけれども、これは一つの例ですけども、こういう考え方があるのではないかなというふうに思っています。
 3つ目、持ち帰りがなかなか伸びないというのは、故障とか家庭のWi-Fiの問題もありますけれども、学校だけの問題として捉えるのではなくて、これはやっぱりGIGAスクール構想を広めるためには社会全体がそういうものを支える仕組みにならなきゃいけないんじゃないかと。つくばでは前にも話しましたが、ちびっこ博士といって、研究所に行ってスタンプラリーのようなものをやっていました。
 それを今年からデジタルスタンプラリーとしまして、みんな端末を持ってそこに行くようにしたんですけれども、そこにWi-Fi環境がない場合にはうちでWi-Fi環境を用意して使えるようにしたところ、研究所のほうでは、展示以外にも、子供たちが興味を持つだろうというところをQRコードなどで動画とか資料として配信してくれるようにしているんです。そうすると、子供たちは、動画を見ながら、展示を見ながら、動画を見ながら、いろんなことに興味を持って調べていく。そして、今見て感じたことをクラウド上にまとめていくと、そういう活動ができるようになる。もうこれだったら、持ち帰る気持ちが子供たちの中にすごく強くなると思います。
 ですから、家庭の普通の持ち帰りも、先生が「今日の宿題、これだから持って帰って」ではなくて、子供たちが何をやりたい、家に帰ったら何ができるのかということを子供たちのアイデアをどんどん引き出して、それを生かすような、そういう組立てをしたらいいんじゃないかなというふうに思っています。以上です。
 
【堀田委員長】 ありがとうございました。では最後に、梅嶋委員、お願いいたします。
 
【梅嶋委員】発言の機会いただきまして、ありがとうございます。私からは4点意見を述べさせていただければと思います。
 1点目は、自分の考えをまとめ、発表するためにICTを使うという、こういった使い方の支援促進というのは、さらに重要になってきているのではないかと思っています。理由としては、そうした手法というのが学習のノーマルになりつつあるのが、大学教育である思っておりますけども、まだまだ、初中教育の現場を観察しますと、そうした学習手法は特別であったり、新しいものとして受け入れられている現状があります。どうしたらそうした学びがノーマルな学びになるのかということに関しまして、こうした学習手法がICTを介して行われる取り組みの促進が重要であると思っています。
 2点目は、ICTの利活用・促進といったところにおいて、校務においても学習においても端末のスペックには大きな問題はないことを意見させていただきたいと思っております。これは、私が所属します慶應義塾大学SFC研究所が支援させていただいている富山県高岡市における校務及び学習の全面クラウド化の実装がエビデンスになります。令和2年3月に文科省が策定いたしましたGIGAスクール構想の実現の標準仕様書で学生の1人1台端末の仕様が決まっております。この端末を使って、現在、高岡市のほうでは、全ての学生が学習システムへのクラウドアクセス、全ての教職員が校務システムへのクラウドアクセスを行っており、十分に活動ができております。その意味では、いつでも、どこでもアクセスできるクラウド化のボトルネック、課題が端末にあるのではないといったところに関しては、意見させていただきたいと思っております。
 3点目の意見といたしましては、学校ネットワーク側に多くの問題があるといったところを述べさせていただきます。具体的には、学校からインターネットへアクセスする際に、ボトルネックが存在しています。その結果として、インターネットのアクセスに遅延、レイテンシが存在しまして、端末に過剰な負荷がかかる原因となっています。また、クラウドサービスが本来の品質を表現できないというような問題が発生します。これらの学校におけるネットワークアクセス問題を解決することが、学校におけるICT利活用のさらなる発展につながると思っております。
 4点目は、先ほどから議論に出ているセキュリティに関してでございます。セキュリティ設計に関しては、考え方の大規模な転換というのが必要だと思います。ネットワークを閉じるであるとかシステムを閉じるというような旧来の手法ではなく、子供たちの情報資産を守る、そういった手法への大規模転換が今、必要になってきている思います。
 しかし、逆に言えば、新しく学校教育に参画されるシステム側にも、子供たちの情報資産を守るために必要な対策を取っていただくということが前提条件になってきますので、その意味では、新たな使い方においては新しいセキュリティ設計が必要になると考えています。以上、私からは、4点、意見を述べさせていただきました。
 
【堀田委員長】たくさん御意見をいただきまして、この後の議題とも関係しそうなところがいろいろ出てきてまいりました。
 私からも一言ちょっと申し上げておきたいんですけども、このGIGAの端末がやってきた頃はちょうどコロナで、学校現場は一番大変だった時期でしたが、そんな中で利活用に積極的に取り組まれたような学校は非常に挑戦的にいろんなことをやられたわけですけど、結果として子供たちがどんどん使えるようになって、情報活用能力が育っていって、その結果、一人でも調べられる、一人でもまとめられるみたいなことができるようになったおかげで、個別最適な学びに近づいていく。そういう実態を踏まえて、様々なレギュレーションをかけていたんだけど、ルールを変更していくというようなことを学校や教育委員会が柔軟に行ってきている。そういうところがやっぱりだんだん進化しているなという感じがします。
 これは平田委員がおっしゃった腹落ちの部分ですけど、この腹落ちというのは使ってない人には起こらないことなので、使ってみないと、それがなかなか腹落ちしない。そして特に、先ほど武藤課長もおっしゃいましたけど、強いレギュレーションがかかってしまって、クラウドのよさを享受できないような場合、なかなか腹落ちに至らないと。それがこの学習状況調査の結果でも出ているように思います。
 もう一つは、梅嶋委員が冒頭におっしゃられました、その学び方、学習の方法、方略みたいなことを学習者がどういうふうに思っているかということです。これ、平たく言えば学び方そのものが、これからの時代、重要な学力の一部であるということです。これはコンピテンシーベースになっている学習指導要領から考えれば、当然のことではあるんですけど、その学び方を支える基盤となる資質能力として情報活用能力があって、この情報活用能力は1人1台の端末を使うことによって身についていくということを考えたときに、これは鶏か卵かって話になっちゃうわけですけど、こういうようなことを考えたときに、情報活用能力のことが重点化されるような教育課程なり、あるいは学力調査なり、そういうようなものをトータルにいろいろ仕掛けていかないと、先生方の意識を変えるというだけでは、なかなか変わらないのかなというところを感じるところでございました。
 奈須先生からは宿題をいただきましたが、いろいろ、私どものこの特別委員会でも、情報活用能力のいろんな整理とか、それがこの教育課程にどのように反映されていくべきかというようなことについて、さらに検討をしてまいりたいと思います。
 私、委員長としてちょっといろいろしゃべり過ぎましたが、武藤課長、何か一言お願いします。
 
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】先生方、本当に貴重な御意見たくさんありがとうございます。
 若干、私から補足というかコメントさせていただくと、最初に平井先生、それから今、堀田先生からあったような、セキュリティあるいはクラウドに過剰な制限をかけているということは本当にそのとおりでございます。今、私たちとして、学校と教育委員会、それぞれの校務だったり、取組の、DXの状況というのを、何らかの形でチェックリストみたいにして自己チェックできるようなものを考えたいと思っていて、その中にもクラウドの制限の話というのは盛り込みたいなと思っています。
 その後の私たちの打ち出しなのですが、文科省ってどうしてもよい例ばかり出すんですけれども、悪い例というのもあるはずで、悪い例を名指しですることはもちろんしませんけど、良い例と悪い例というものの差をもっと可視化していくことによって、ここはスピード感を持って進めたいなと思っております。
 それから、中島先生からあった、もう少し解像度を高くというところ、全くそのとおりなんですが、全国各地はちょっと全体のサイズの問題もあるので、そこはまた別途の調査で私たちとしても対応していきたいと思いますし、事実、昨年の8月段階でやったものというのは、前回の会議でもお示ししましたけども、また、もう少し適切な時期に、もうちょっとアップデートしていくということですとか、あるいは進んでいる学校から、もっと生の声、先生方の手応え、こういったものを出していくとか、ちょっと組合せで考えたいと思っています。
 また、西端先生からあった、子供たちの特性というところです。ここもなかなか、まだまだ蓄積が足りてないというところ、全くそのとおりだと思っていて、私たちとしても様々、取組を進めたいと思っています。幾つか、例えば新潟市とか京都市みたいなところというのは、かなり今、様々な特別支援のニーズに対応したアプリが、有償だけじゃなくて無償のものも相当いいものが出ています。新潟なんかはもう70、80ぐらい、それをリストにして、ガイドして、子供たちが使えるようにしているんですよね。
 その後、じゃあ、いっぱいあるので、どれを使ったらいいのかみたいなガイダンスの機能とか、サポートの機能とか、その辺りも大事ですし、そういうことを考えていくときにやっぱり特別支援学校のセンター機能とか、こういったものも大事になってくるのかもしれません。私たちとしてもそこは頑張って取組を進めたいと思っています。
 それから、平田先生から、アドバイスを身近で受けられる環境が必要だとお話がございました。全くそのとおりだと思います。教育委員会の中にはエバンジェリストとか、何か伝道師的な人を身近なところに任命をしてやってもらうなんていうこともありますけど、私たちとしてもそのアドバイザーを全額国費で派遣をしておりまして、これはもう少しプロアクティブにプロモーションしていきたいと思っています。これも結構使っているところと使ってないところが、全部国で見ているにもかかわらず、差があるんですよね。押しかけたりはしませんが、もう少し頑張っていきたいというふうに思っています。
 また、NHKの関係で中野さんから、持ち帰りのお話がございました。ここも好事例をもっと出していこうと思っていますし、Wi-Fiないというところで思考停止するのではなくて、例えば放課後児童クラブには入れましたとか、公民館でやりましたとか、いろいろ工夫している学校の例もありますから、ぜひここも進めていきたいというふうに思っております。すみません。ちょっと長くなりましたけど、以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。大変活発な議論いただきまして、ありがとうございました。議題があと3つございますので、次に進めたいと思います。
 続きまして、議題2は、次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループの第1回が行われておりますので、これにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
 
【神谷GIGAスクール基盤チームリーダー】GIGAスクール基盤チームの神谷と申します。よろしくお願いいたします。
 資料2を御覧ください。この特別委員会の第1回会合におきまして、このワーキンググループの設置を御了解いただきまして、委員の人選等を堀田委員長に御一任いただいたところでございます。
 この1ページ目の右側に記載の方々に委員に御就任いただきまして、主査をこの特別委員会の高橋委員長代理に、また、主査代理を堀田委員長に務めていただいております。
 改めて、このワーキンググループの設置目的等に関しましてですけれども、現行において、教育のICT環境整備は平成29年度に取りまとめられた5か年計画の下で進められております。この結果、期間が、当初は令和4年度末までの5年間でしたけれども、昨年12月にこれを令和6年度末まで2年間、延長されたところでございます。このワーキンググループでは、この延長された計画の次、すなわち令和7年度以降の新たな学校におけるICT環境整備方針の策定に向けた検討審議を行うというものでございます。6月8日に、このワーキンググループの第1回会合を開催いたしましたので、そこでの主な御意見等を簡単に御紹介させていただきます。
 2ページ目をお願いいたします。まず、GIGAスクール構想の成果と課題に関する意見といたしまして、まず、成果、1ポツ目ですけれども、子供の日常的な学習基盤としての端末の活用、単線から複線への学び、また、一斉授業から子供が自ら情報を取りに行き、協働して頭をフル回転させる授業に、学びの姿が変わってきているという御意見がございました。
 これは、クラウドと1人1台端末という学習基盤があったからこそ実現したものであって、この整備が継続されて、新たな学びの姿をさらに浸透させていくことが最も重要であるという御意見がございました。
 また、2ポツ目ですけれども、不登校の児童生徒も参画してのグループ活動など、学びの保障も可能になってきているという御意見。
 また、3ポツ目ですが、端末整備が端緒となって、個別最適な学び、協働的な学びの一体的な充実という理念の実現が非常に進んできたという御意見がございました。
 また、この固まりの最後のポツですが、校務についての御意見もございまして、クラウドを活用して校務と研修を行うということで、これが子供の学びのスタイルの相似形であると。校務と研修のスタイルをクラウドベースに変えることが、先生方の授業のイメージづくりになって、それによって学びも変わっていくのではないかという御意見がございました。
 課題に移りまして、1つ目のポツですが、今、現行の学習指導要領や令和の日本型学校教育答申が目指す学びについて十分な理解が追いついていない自治体では、ICTが学習の基盤になっていなくて、活用率が上がっていないのではないか。つまり、標準仕様によって端末等の整備はしたものの、学びを変える手段とは位置づけておらずに、既存の学びへの付け加えという考えで運用されているのではないかといった御意見がございました。
 また、2ポツですが、前回の整備、非常に新しい中でのものでございまして、その整備に精いっぱいで、活用の具体的イメージがなかなかつかめず、例えば持ち帰り学習のイメージが十分でなかったがゆえに、セキュリティ、フィルタリング、利用時間の制限といった環境の整備が不足したという反省がありますというお声もございました。
 次の3ページ目ですけど、こちら、今後の整備に向けた意見ということでございまして、まず、総論です。中教審の他の部会、また、ワーキンググループの動きも踏まえまして、今後の学習活動がどう望まれているのか、一歩先の教育のステージをイメージして整備方針を検討していくことが必要ではないかという御意見。
 また、端末整備の指針なりスペックが出て、それに合うものを整備して終わりということではなくて、これからの新たな学びや仕事の仕方をどのようなインフラで支えるか、そのためにどのようなネットワークが必要で、セキュリティポリシー等はどう判断すればよいかなど、この運用面も含めたことを総合的に示していくことが必要ではないかという御意見がございました。
 また、GIGAスクール構想への「対応」という言い方がよくされていて、それに象徴されるものとして「既存の学びの形にICTを付け加える」という捉え方ではなくて、あらゆる学校教育のレイヤーにデジタルが溶け込むことで、もっと質が高く、また、より働きやすくなるような学習の基盤を検討していく必要があるという御意見がございました。
 次は、端末等についての御意見でございますけれども、新しい学びの姿を浸透させていくために1人1台端末の学習基盤の継続は最も重要であると。
 また、2ポツ目、少しコストを削減するといったようなことで、せっかく生まれてきた、この自立した学習者を育てるクラウドベースの授業というものが旧来型のものに後戻りするようなことは絶対にあってはなりませんと。
 また、3つ目ですけれども、MEXCBTやデジタル教科書なども入ってきている中で、端末がボトルネックになってはいけないと。このために、予備機や故障時の費用も見ていくことが必要ではないかという御意見がありました。
 標準仕様に関しまして、標準仕様でしか整備ができなかったけれども、それがかえってよく、学びが変わった部分があって、標準仕様はとてもよく考えられたものであるという御意見がございました。
 他方で、子供の可能性に蓋をしない学びを実現可能にするために、もう一段上がった環境整備も視野に入れていきたいという御意見もありまして、その次のポツも関連してですけれども、そういった場合に、負荷の高い処理を行うことができるコンピューターをコンピューター教室に配置することも考えられるのではないかという意見がございました。次の高校の話も、それと同じようなことが書いてあります。
 この固まりの最後ですけども、高校の端末整備に関しまして、費用負担の在り方について検討が必要で、仮にBYODを進める場合には、経済的に厳しい家庭への支援も同時に進めていくことが必要という意見がございました。
 最後のページにお移りください。サポート体制、ネットワークなどについての御意見です。まず、GIGAスクール運営支援センターの費用の継続的な担保が必要という御意見です。設定等が高度化していって、自治体の担当者、学校職員の負担が極めて大きくなっているということでございまして、ここへの、特例的なものではなく、運営支援センターによる組織としての支援が必要であるという御意見でございました。
 また、ネットワークに関しまして、2ポツ目ですけれども、このネットワーク関係のトラブルは、校内のアクセスポイントでありますとか、学校からのネットワークの帯域等に起因するものもありますが、それだけでなくクラウドサービス側に原因がある場合もあるという御意見がございました。
 次は、ソフトウエア等に係る経費の負担感が出てきているという意見や、また、学習系、校務系を一元した校務の環境をつくっていくことについての期待というものも示されております。簡潔ですが、私からの説明は以上となります。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。このワーキンググループは私どもの特別委員会の下でつくられたものでありまして、とりわけ、次の整備指針、方針について検討するものでございます。こちらの主査は、高橋先生にお願いしておりますので、高橋先生、何か付け加えをお願いいたしたいと思います。
 
【高橋委員長代理】  高橋でございます。私から一言、付け加えさせていただきたいと思います。
 委員会では、まだ第1回目ですが、GIGAスクール構想の立ち上げから運用まで第一線で御活躍された先生であるとか、毎日のように活用している先進的な地域の先生などから、機器の整備や、そうしたノウハウ、留意事項などについて活発に議論ができたというふうに思っております。
 また、加えてですが、デジタル学習基盤にという視点ですね。なので、単に学習にとどまらず、環境整備なのですけども、研修や校務など、学校教育全体のデジタル化を視野に入れながら、多くの人から御意見が伺えたというふうに思っております。特に象徴的な御意見は、学びが変わってきているんだと、一人でも学べる子、協働しても学べる子、特性や理解度に応じた進度に合わせた学び、こういったことがかなり見られるようになってきている地域もあると。なので後戻りは絶対できないんだと。安心して活用したり、持ち帰りを一層積極的に行うためにも、予備機等を含めた、そういうサポート体制も重要ではないかといったことが、大きな意見だったかなというふうに思っております。
 私自身も、1人1台環境は、一時的なことではなくて、今後もずっと続くんだということが、先生方はもちろんのこと、教育に関わる、ICTに関わらない機関も含めて、国民全体に伝わっていくということが、授業が結果的に変わっていくことになると思いますし、社会全体に大きな影響を及ぼすんじゃないかというふうに感じております。こういう環境が定着することが、新たな教育、産業の創出は当然のこととして、ICTを空気のように扱った子供たちが卒業後、活躍してくれることで、本当に未来の日本につながっていくんじゃないかなと。こうした大きな意義を感じながら、皆さん、活発に御意見、御答弁いただけたんじゃないかというふうに感じているところです。 私からは以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。この議題は次の議題3とも関係しますので、質疑については、議題3の後にお願いしたいと思います。
 それでは、議題3、令和6年度予算の概算要求につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
 
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】御説明いたします。学校デジタル化PTの武藤です。資料3をお開けください。
 まず、一番最初のページですけれども、GIGAスクール構想の着実な推進~1人1台端末の更新~ということでございます。これについて、現状・課題のところの2つ目の黒丸にありますように、端末の利活用が進むにつれて、故障端末の増加、それからバッテリーの耐用年数がそろそろ来ているというようなことがございます。こういった中で、早い自治体では令和6年度中の更新をするというようなこともあります。
 こんな中、その右側の四角に囲ってあるところ、骨太の方針、最後の2行ですけど、国策として推進するGIGAスクール構想の1人1台端末、公教育の必須ツール、更新着実に進めると、閣議決定がなされております。この決定に基づきまして、私たちとして3つ目の黒丸ですが、GIGAスクール構想の第2期を念頭に置いて、三、四年程度かけて端末を計画的に更新する。もともとの整備の年度が少しずれてきているということですとか、活用の状況にずれがあるということも踏まえて、三、四年程度かけて計画的に更新をする。その際、端末の故障時、子供たちの学びを止めないという観点で、予備機の整備も進めたいと、こういうふうに思っています。まさに先ほど神谷室長からあった、ワーキンググループでの御意見なんかも踏まえつつ、私どもとして要求する。
 その内容が左下のほうにありまして、児童生徒数全体の3分の2台分、残りの3分の1は地方交付税が出ております。この計画も2年間延長されております。ですので、残りの3分の2の分について、10分の10、定額で4万5,000円、1人1台ということでやりたいということでございます。ここは第1期と同じスキームですけれども、これに加えて、丸の2にあるように、予備機として、子供の数の5%に当たる部分を上乗せして補助金を出せるような、そんな仕組みにしていきたいということでございます。
 1点、前回から若干加えているのが、このページの一番右下のほうにある補助要件というところであります。日常的な利活用計画を立てていただく、それから補助対象の端末だけではなくて、残りの3分の1の端末をしっかりとこれは買っていただく。その際予備機もちゃんと整備していただく。それから、指導者用端末も確実に整備をしていただく。これも交付税で措置がされております。この辺りしっかりやるというコミットをしていただいた自治体に補助金が出ていくような、そんな仕組みにしたいということでございますし、加えて、アダプターをつければまだ活用可能と、子供の使用には耐えないけれども、それ以外にいろんな形でまだ、もう1年、2年使えるということも可能性としてあるものですから、リユースの徹底、リサイクルの徹底、こういうことをお願いをするということと、最後、これ全体に総括するような話ですが、1期の整備、それから、1期の運用で、相当様々な課題が出ているはずでありまして、その課題について十分踏まえて、何ならその現場の先生方からも御意見を伺って、そして、整備計画・運用計画をつくっていただく、そういう自治体に対する補助事業ということで組んでいきたいと思っております。
 1枚進んでいただきまして、GIGAスクール運営支援センター整備事業、これは今年もやっているやつで、40億円の要求になっています。中身は先生方御承知と思いますけども、中ほどの赤いところ、端末活用の日常化を支える支援基盤構築ということで、ヘルプデスクとか、ネットワークトラブル対応、あるいは支援人材の育成みたいなものが入っていたわけでございまして、これについて広域でやるセンター事業をやっていただけるところに補助をしていきたいということで、これ基本的には変わってないんですけども、もう1枚おめくりいただくと、ネットワークのアセスメント実施促進事業というのがあります。これ新規なんですが、もともとGIGAスクール運営支援センターのメニューにあったわけですけど、これ相当緊急度が高いと思っておりまして、事業として独立をさせております。
 現状・課題のところの2行目にありますように、今、取組がなかなか進んでない最大の阻害要因の一つは、先ほども梅嶋先生からありましたけど、ネットワークの遅延と不具合ということであります。今後、デジタル教科書の本格的な導入、令和6年度からとか、全国学調のCBT化とか、動画教材、あるいはクラウドベースのデジタル教材、充実の一途をたどってまいっております。こんな中で、DXを加速させる上でも、通信環境がうまくいってないというのは致命的になるというふうに判断をしておりまして、この事業は独立させて、2分の1補助ということで要求をして、これから折衝したいというふうに思っております。
 それから、もう一枚おめくりいただいて、GIGAスクールにおける学びの充実と、これちょっといろんなものがたくさん入っているんですが、全体6億円ということでありまして、大きく、中ほどの四角にあるGIGAスクール構想の加速化事業ということで、先ほどもちょっと話題に出しました学校DX戦略アドバイザー、これ今、百四十、五十人ぐらいの本当にもう一流の有識者の方々に入っていただいております。これを引き続きやって、徹底的に集中的に伴走支援をしていくんだということ。
 それから、今年から始めているリーディングDXスクールというもの。今年も継続で100か所程度、まさにクラウド環境、それからGIGA端末の徹底的な活用で、教育活動の高度化等々をやっていただく学校です。
 これのTYPE2ということで、生成AIの活用ですとか、あるいは高度なプログラミングやデジタルものづくりみたいなものの実践研究の指定校というのも、若干追加をしたいと、こんなふうに思っています。
 それに加えて、情報モラル教育の推進事業、これ当然のことながら、活用を前提として、情報活用能力の一部に情報モラルがありますから、そこをしっかりと、基本に立ち返りつつ、最近の生成AIとか、そういう状況にも対応できるような、様々な取組を進めていきたいということ。
 それから、先ほどこれもちょっと話題に出ましたけども、情報活用能力自体が、全国学調との関係も少し強化していくべきではないかという御意見もあったところですけれども、情活に特化したような調査というのをこれまでもやっておりまして、次期の調査に向けた調査研究というのも、これもしっかりと進めていきたいというふうに思っております。
 もう一枚おめくりをいただきまして、次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用の推進ということで、2億円の要求になっております。事業内容の1にありますように、学校が抱える課題の解決に向けて、センシングとかメタバース、AR・VRみたいな、そういった先端的な技術の利活用の実証研究を引き続きやっていきたいと思っておりますし、特に生成AIのガイドラインを先般出させていただきましたので、これを踏まえて、取組を進める一環として、学校現場向けのアプリの導入とか利活用に向けた実証的な研究というのも思っているところでございます。それから3として、諸外国の動向等々の調査研究、こういったものも取り組んでいるところであります。
 それからもう一枚、次のスライドに行っていただきまして、次世代の校務デジタル化推進実証事業、これは継続事業でございます。①にありますように、統合型校務支援システムが非常に大きく校務効率化に寄与してきましたけど、ネットワークの分離のオンプレミスでございます。これからの教育DXにこれではなかなかもたない部分がありますから、ネットワークを統合して、クラウドベースで、ゼロトラストでデータ連携もできる、あるいは、ダッシュボードみたいな機能もある、こういった新しい次世代型のモデルをつくるということで、引き続き今年に続いてやっていきたいというふうに思っております。
 それから、生成AIの校務での活用ということで、もちろん一般的に出ているものをそのまま使うというのも当然あり得るわけですけれども、今は、個別の契約によるセキュアな環境での実践例というところまでは行ってなくて、あくまで約款の外部サービスみたいなものをどういうふうに気をつけながら使うかということで、それはそれで推進しつつも、きちっと契約をして、セキュアな環境を用意した上で使うというモデルについても考えていきたいというふうに思っていて、この二本立てで要求をしているものでございます。
 その次に、学習者用デジタル教科書の導入ということでございます。令和6年度から、小学校5年、中学校3年で英語、それからその次に、ニーズが高い算数・数学、段階的に導入していくという方針をお決めいただいております。そのために必要な、丸1のデジタル教科書の購入費、それから、その教科書の効果・影響に関する実証研究事業についてもしっかりと進めていきたいと思っております。
 最後の1枚が、教育DXを支える基盤的なツールの整備・活用ということで、様々な事柄が入っておりますけれども、事業内容の(1)、MEXCBT、CBTシステムの改善と活用推進。これが1点と、(2)、EduSurveyというふうに私たち呼んでおりますが、文部科学省のWEB調査システムも、非常にだんだんと調査集計の迅速化、それからその対象になる調査が拡充してきております。3つ目の丸ですけど、令和5年度は80の調査でやる予定でございますけども、さらに上乗せで、令和6年度は120の調査をこのデジタルの仕組みを通じてやっていきたい。そのためのシステムの開発にさらにお金をかけていきたいというふうに思っております。
 最後は、データ利活用の推進ということで、データの標準化の推進、それから自治体におけるデータ分析の、分析のフォーマットの活用支援とか、様々な取組をここで進めていきたいと、こんなふうに思っております。
 以上、令和6年度の概算要求の説明でございまして、これから財務省との折衝が始まりますので、全力で取り組んでいきたいと思っております。以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。ただいま、ワーキンググループの意見交換の結果の御報告と、概算要求の、これから予算がちゃんとつくかどうか、これから折衝なわけですけども、これについてお話をいただきました。この2点につきまして、つまり、整備が多いわけですけども、そういうことにつきまして意見交換できればと思います。御発言いただく場合にはまた、挙手ボタンを押していただいてというふうに思います。
 いかがでしょうか、委員の皆様。緒方委員、まいりましょう。お願いします。
 
【緒方委員】  緒方です。ありがとうございます。まさしくいろんな、先ほどの予算の話では、校務の話それからデジタル教科書の話、それから、教育データ利活用の話ということだったのですけども、これが本当ばらばらに進んでいくのではなくてお互い連携して、うまく教育DXが進むように、ワーキンググループの中で調整してほしいなというのは切に思っています。
 例えば、デジタル教科書ですと、単に導入するだけではなくて、ログデータが蓄積できるように、しかも共通のフォーマットで蓄積できるようになっていかないと、なかなか、その学習者がどういうふうに学んでいるか、どこでどう困っているかとか、お互いに教え合うとかということをしようとすると、そういうデータが必要なんですが、そういうところの枠組みをちゃんと決めていく必要があるのかなと思っておりますので、ぜひワーキンググループの中で活発に議論していただければと。以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。それでは、藤村委員、梅嶋委員の順番で参ります。藤村委員、お願いいたします。
 
【藤村委員】私からは、ワーキンググループの検討と、そして今、武藤課長から説明のあった内容に大変感謝したいなというふうに思います。これまでの成果と課題を大変受けていただいて、非常に適切なものが出来上がったなと思っております。
 1点だけ、もしよろしければなんですけど、財務省に出すときと、それから各都道府県教育委員会、市町村教育委員会に出すときも、修正していただけるとありがたいなというのが、こちらの概算要求資料の2ページ目、GIGAスクール運営支援センター整備事業の、GIGAスクール運営支援センターの青い図の下のところでございます。ここの学校の中に、ICT支援員と書かれていて、情報通信技術支援員と括弧書きがされています。実はこれを改正すべきではないかと考えておりまして、各市町村とかに行ったときに、ICT支援員予算が真っ先に切られるということがあります。
 それはなぜかというと、慣れてきたら、もう技術的なことだから要らないだろうというロジックなんです。そうではなくて、今現場のほうから声が強いのは、ICTの使い方は慣れてきても、授業の中でどう使うとか、この教科の教材はどこにこんなものがあって、例えば、NHK for School見たらこんなすばらしいものがあるから使ってみたらいいんじゃないですかとか、最近の先生方の声では、ICT支援員に授業の相談に行っても聞いてもらえないんですと、技術的なことは支援できるけど、それは私たちに聞かないでくださいと言われるという、そういうニーズのミスマッチが起きているように思います。
 したがって、ここは、まずは名前を変えることから始めて、育成のコンピテンシー、研修プログラムを変えるということが必要だと思っていまして、ICT活用教育支援員と、ICTを使った教育を支援するというふうに、ぜひ変えていただけるとありがたいかなと思っております。コスト上がるというのは非常に避けなければならないので、大阪市は、実はそのために従来のICT支援を雇用する一つ上に、退職校長で、ICTも得意で、授業についても非常によくお分かりの方を再雇用、再任用で雇用して、低コストでありながら2階層で育成した上で学校に派遣するとやって、非常にうまくやっていらっしゃいます。そんなことも含めて、まずは名前を変えて、目的、意義を変えるということをしていただければ大変ありがたいと思いました。以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございます。では、梅嶋委員、お願いいたします。
 
【梅嶋委員】私から1点意見を申し上げます。学校内の、学校のICT支援員、教職員や学生が、簡易に端末を初期化できる、端末を立ち上げること、キッティングができるいうところに関しましても、本ワーキングで注目して検討していただけると助かります。学校現場を見ていると、この2つの問題がなかなかクリアできなくて困っているところをたくさん見ますので、ぜひ、この点に関して情報収集等お願いできればと思います。以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。ではこの後、五十嵐委員、中島委員、森田委員の順番でいきます。ここまでとしたいと思いますので、お願いします。
 では、五十嵐委員、お願いします。
 
【五十嵐委員】ありがとうございます。今、ICT支援員のお話が出たので大変ありがたいなと思っているんですが、私としては、今のお話全体を通しまして、まず、最初に端末の整備については、破損率が非常に高いということを皆さんきっと御存じだと思います。予算をつけることも大事なんですけれども、やはり大切に使っていただくというようなことに関して言及していないところが非常に多いなと感じています。
 なので、ICT支援員にも関係するところなんですが、やはりコンピューターというのは精密機械なので、精密機械の正しい取扱い、例えば、USBの口とかに何かを突っ込んじゃいけないよとか、ケーブルは引っ張ったらちぎれちゃうんだよというような基本的なことを大人が分かっていないというのが正直なところです。これは別に学校に限らなく、一般社会でもちょっとそういう印象があって、乱暴に扱っているということによっての破損というのは非常に大きいなと思っています。
 そうした基本的なコンピューターの取扱い、精密機器の取扱い、最初のお話にも出ましたよね、コンピューターの取扱い自体もきちんと教科にしているみたいな話がありましたが、その部分が欠けているために、かなり破損率が高まっている。そのせいで保険のお金も、多分次回はそんなに安くは済まないだろうという話が実は出ています。なので、もう1回目のような安い保険はないと考えているので、そうなったときに、まず、ちゃんとコンピューターって精密機械なんだ、精密機械の基礎ってどういうことなのかということも併せて学んでいくというような機会を持ちたいなとすごく思っております。
 それをぜひお願いしたいとともに、いきなりそれを先生にやってくださいというよりは、私どもICT支援員が今、かなり人数増えてまいりましたが、残念ながらまだその支援員に対する方向性を示したり、その支援員にどんなスキルをつけさせるかということが明確にならず、やはりそれこそキッティングのために欲しい、そうかと思えば授業のために欲しい、もうスーパーマンのようなものを求めているようなケースがすごくあります。スーパーマンを求めるのであれば、それなりの国としての研修体制のようなもの、極端に言ってしまえばもう、ナショナルトレーニングセンターくらいの勢いで、きちんとした人材を育てて、その人たちが積極的に先生方にそういう知識を差し上げたり、あと、授業について聞かれたときも一緒に考えられるというレベルのものにしていけたらいいなというふうに思っております。
 今、実際人数はやっと増えてまいりましたが、残念ながら待遇が非常によくないということと、そして、何を目指したらいいか分からないというところで、1年目はまだ言われたままにやっていますが、2年目ぐらいになるとだんだん分かってきますので、一体どこを目指したらいいんですかという質問が今、増えてきています。そうしたところに対して、国として、あなたはこういうサポートをするべきなんだというようなトレーニングセンターや、そういう勉強する場というのは、ぜひ予算の中にも入れていただきたいですし、そのようにして、もっと積極的にICT支援を使っていただきたいなと思う次第でございます。
 ほかにもたくさん、いっぱい言いたいことはあるんですけども、私の専門としましては、そのICT支援について、せっかくそのような予算がつきましたので、もっと国として役に立つ、そういう人材として、そしてあと、お名前の話もあったんですが、もう支援員という言葉をつけないようにはできないかなと、私的には思っております。なぜなら、今、学校には何とか支援員がすごくいっぱいいて、私ども行ったときに、何の支援員ですかみたいな感じなんです。なので、先生と肩を並べて伴走していく職員として規定されたのですから、もう支援員という言葉ではなくて、何かちょっと別のお名前がいただけたら、そのために、やっぱりそれに見合うスキルをつけた人間をそれなりの待遇で雇うという体制ができたらいいなと思う次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では中島委員、お願いいたします。
 
【中島委員】皆さんとかぶるところもあるんですけど、順番に行きます。まず、ハード面、こうやって予算をつけたりとか対応してくれるというのはいいと思うんですけれども、その中に例えばロボットであるとかセンサーであるとか、3DプリンターとかVRとか、何かそれに合わせたものとか、いろんなタイプのハードがあると思っています。あと空間をつくるということです。
 何か、そういうところにもちょっと多様なオプションがあって、選び取れるというようなタイプの予算措置があるといい。それで、こここそ本当に結構格差が生じてきやすいところなので、特に、ちょっと後でお話ししますけど、人の支援も含めてなんですが、対応していただけるといいなと思いました。
 併せて、今もありましたけれど、取扱い方の教育をするというのは非常に面白いなと思っていまして、あとはやっぱり今後、壊れていくときにそれをただごみとして出すというより、そのリサイクルであるとか、そういうものに対する意識向上であるとか学びというものも必要なのかなと思っていました。
 次に、併せてソフトの支援、先ほどワーキンググループからもありましたけど、やっぱりソフトの負担が増えてきているとか、あと例えば、ちょっとプログラミングとかだけではないんですけど、今どうしてもやっぱりそういう意味で文科省さん、プログラミング教育も言い始めているが、Scratchとかにとどまっていたり、Scratchでも十分なんですけれども、十分にそれの意図が伝わってやれているかというと、やっぱりかなり難しいところがあるというふうに思っています。なので、もっとソフトの支援も必要なのかなというふうに思っています。AIとか生成AIを特に中心にというのは、いいとは思うんですけれど、非常に使い勝手はいいものの、生成AIのところはどうしても使うという意識になることが多くて、そこからつくるに至るにはもう少し、かなり踏み込んでいかなくちゃいけないところがあります。もっともっとつくるという側面のところを支援するということが非常に大事なんじゃないかというふうに思っていまして、生成AIに限らずに、もう少しソフトの支援というものもしっかり入れていただくことが必要じゃないかと思っています。
 でも、併せてやっぱり人の支援、今ICT支援員の話かなり出ていて、本当にそのとおりだなというふうに思っているんですけれど、場合によって、ICT支援員が、今あったように、支援員という言葉を超えて、もっと学校で一緒になってやるという存在としていくかは、やっぱり教員の研修ということもより必要になってくるんじゃないかと思います。今、どうしてもなかなか怖いからということで、そうやって外部から来ていただいたという形であったり、情報の先生が情報のことはまだあまり知らないという状態で、負担多くやっているという学校の声というのは非常によく聞きます。
 学校の中で、だから、非常に分断されている状態、分かっている方あるいは支援員の方のみ、それ以外の方はもう遠巻きに見ているみたいな状態が非常に多いかなと。先生方がやっぱりそういうものに触れる機会というのを、本当に残業とかが多い中でなので、どういう形で負担なく研修を楽しくできるようにするかというのはあるんですけれど、でもやっぱりそういう教員研修であるとか、あと支援員の方もそうですけど、外部の方、ICTに限らず、いろいろ協働するときの何か謝金であるとか協働であるとか、そういうことも含めて、実証なのか、何かしらのルールづくりなのかがあるといいのかなということをワーキンググループのことも見ながら思っておりました。
 総合的な意味で俯瞰して、そういう支援が長期的に出てくると、初めて抜本的にどんどん、初めてというか既に動き始めているんですけれど、より抜本的に動くのではないかというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では森田委員、お願いいたします。
 
【森田委員】まずは、本当に丁寧な課題に対する予算の仕組みを今、構築していただいたなと思って本当に感謝しております。特に、更新について国策でというところで、しっかり補助をしていただけるということは、教育長協議会も大変喜んでいるのじゃないかなと、そんなふうに思います。
 ただ一つ、私も心配したのは、パソコンの物価といいますか、値段が大分上がってきているのではないかと。そういう中で従前と同じ4万5,000円というのが大丈夫なのかなというのが、一つ非常に私たちは心配しているところではございます。
 それからもう1点は、今のお話にも続くんですけど、各学校にあったコンピューター室、これを維持したり発展させていきましょうという方針が出されているわけですけれども、市の財政などはもう、1人1台ですから要らないんじゃないですか、もう潰してもいいんじゃないですかという発想がどうしてもあるんですよね。そういうときにやっぱり私たちとしては、STEAM ROOMみたいな形で、より高度な学びができる部屋にここをつくっていきたいというふうに考えているんですけれども、そういうところにロボットであるとか、高度なコンピューターであるとか、もっと高度なプログラミングができるとか、中にはサーバーなんかを構築しようとする子供なんかも今いるわけですから、そういう高度なことができる部屋というものが必要なんだと。これが日本の発展のために必要なんだという発想を予算化していただくような働きもあるといいんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、私の主な考えです。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。
 たくさんの意見いただきました。では高橋主査、いかがでしょうか。
 
【高橋委員長代理】ありがとうございました。いつもはこうした議論は子供の学習面ばかりに着目されるところでございますが、ワーキンググループでは、スムーズに授業ができるとはどういうことかとか、学校経営がスムーズに進むとはどういうことかというような大きな観点からも、しっかり議論がなされてきているなというふうに思っております。
 先ほどから話題のキッティングやインストール、破損率の高さや、ソフトウエアの操作の負担度などは、それらの選択の仕方によって、先生や教育センター、ICT支援員とちょっと言わせていただきますが、支援員さんや事務職員の方々、多くの学校関係者への負荷が大きく変わることや、予算も全く変わっていくということは、毎回ワーキングでも話題になっていたかなというふうに思いますので、今回の話題をしっかり受け止めて、また、進めていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。特に私も、ICT支援員という用語をどうするかということも含めてですけど、どちらかというとこの授業の支援という形で入り始めたこの役割ですけども、この先生たちの働き方改革で、チーム学校みたいなものの中での重要な存在と、これからデジタル学習基盤が普及していったときに、先生たちは慣れていくだろうけども、それとは別にそもそもデジタルのいろんなことを深く理解した人が学校に1人いる、あるいはいつでも来てくれるということの安心感というのは、働き方としても非常に重要な観点かなと思っておりました。
 それでは、武藤課長、いかがでしょうか。
 
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】本当に貴重な御意見をたくさんありがとうございます。この令和6年度の概算要求の中で、工夫してやっていく部分と、それからまさに今、高橋主査からもあったように、ワーキングの議論も踏まえつつ、また、ワーキングもワーキング単独ではなくてまた、個々にやり取りしながら進めていただくというしつらえになっているものですから、その議論、まさに先生方と、及び先生方との議論みたいなものも含めながら、令和7年度からの地方交付税の大きな計画、今、単年度1,805億円ということで進んでいますけども、その次の在り方の中で、対応すべき部分とか、あるいは、教材に関してもまた、別途、相当な規模の交付税がなされております。その辺りとか、様々なところでいただいた御意見というのをなるべく加味しながら考えていきたいと、このように思っております。
 
【堀田委員長】  よろしいですか。分かりました。ありがとうございました。
 それでは、議題4に参りたいと思います。議題4は、教育データの利活用に関する有識者会議の検討内容についてということで、事務局からお願いいたします。
 
【藤原教育DX推進室長】  それでは、総合教育政策局教育DX推進室の藤原より御説明をさせていただきます。
 まず、本日の参考資料2に、この特別委員会の当面の検討事項についてという資料が入っているかと思いますけれども、その2ページ目、(3)に今後の検討課題についてということがございます。その中の丸2に、教育データの利活用というキーワードが入っておりますけれども、この観点で、私ども、この後、御説明します有識者会議のほうで議論をしておりますので、このどういった議論をしているかという御報告をさせていただくというものでございます。
 資料4で御説明をさせていただきます。
 まず、最初に「経緯等」というところがございますけれども、この教育データの利活用に関する有識者会議の背景といいますか、どういう議論をしているかことを書いてございます。この会議は、児童生徒の1人1台端末環境において、誰一人取り残すことなく全ての子供たちの力を最大限に引き出すことに資するように、教育データの利活用を促進するために必要な方策について検討しますということで設置をさせていただいております。
 令和2年度から御審議をいただいておりますけれども、その設置紙、それからメンバーというものは3ページ、4ページ目にございますので、適宜御参照ください。4ページ目の名簿を見ていただきますとお分かりいただけますが、座長を堀田先生、座長代理を藤村先生にお願いしておりまして、こちらのほうで議論をさせていただいておりますし、また、メンバーも、学校に直接向き合っている教育委員会の方ですとか、あるいは大学等の研究機関の方、それから法律、個人情報という観点などもありますので、法律に関するような方にも御参画いただいておりまして、多様な観点から御議論をいただいております。
 すみません。1ページ目に戻っていただきまして、「経緯等」の2つ目の丸でございますが、昨年度までは、データの利活用の在り方、それから、そのために必要な、推進するための方策といったような、かなり具体的な議論をしてまいりました。例えばデータ標準を定めるとか、eポータルの標準モデルを定めるといったようなこともこちらでやっております。
 今年度につきましては、こういった専門的な観点につきましては、専門家の方に、より技術的な観点も含めて議論いただくこととしまして、この会議自体では、もう少し大きな観点から議論をしましょうということになってございます。
 主な意見につきましては、この1ページ目、2ページ目に、大きく3つの区切りにして御紹介をさせていただいております。
 7月19日に第18回、今年度第1回目の会議を開いたんですけれども、そこでの御意見としましては、総論的な観点で申し上げますと、データ利活用の意義や目的について、改めて教育現場を含めた関係者で共通認識をできるようにすることが必要であるといったような御意見。それから、GIGAスクール構想の次期フェーズに向けて、端末の整備だけではなくて、端末で使うデジタル教科書や教材、それからGIGA構想を通じて取得したデータをどう使っていくかというところまで含めて考えていくことが必要であるといった御意見。それから、国全体として進めるこの構想の全体像を教育関係者に見えるようにしていく必要があるのではないかといった御意見。それから、この会議も含めてでございますけれども、中央教育審議会の関係する会議とよく連携しながら共通理解を図っていく必要があるといった御意見をいただいております。
 それから、データの利活用の必要性・重要性という観点で申し上げますと、誰一人取り残されないという教育のためには、多様な情報を使うことで、今まで先生たちの経験や勘と言われてたものを可視化して、それをエビデンスとしながら、教師が支援を行うといったようなことができるようになることを期待するといった御意見。それから、このデータの利活用で主体的な学びをサポートしていく、それから個別最適な学びの実現をしていくということは非常に意義深いことであるといった御意見。それから、様々な課題や問題を抱える子供たちがいる中で、こういったデータを使って子供たちを支援する取組というのは非常に効果的であるという御期待。また、教材から集められたデータというものを可視化して、子供たち、先生たちにフィードバックをしていくというエコシステムをきちんとつくっていく必要がありますよねということ。また、いろいろ今まで教育委員会であったり首長部局であったり、あちこちに分散している、子供に関わるデータということを統合して、総合データベースを構築していきたいという思いの教育委員会が増えているよといった御示唆もございました。また、ICTの活用については、自治体によって今、様々なんですけれども、先生たちはリアルタイムに動的なデータを求めているという中で、いかに先生たちが使える形のデータを取って、保管して使えるようにということが非常に大事であるといったような意見がございました。
 資料の2ページ目に入っております。
 最後、3つ目の大きなくくりとしましては、このデータの利活用の促進に向けて今後必要なことということでございますが、教育データの収集という観点では、環境が整備されているかどうかということが、次に進んでデータ分析に着手するかどうかというところの一つのハードルになってきますということで、このデータ分析に向けた環境整備ということが重要ではないかといったようなこと。それから、先ほども生成AIの話がございましたけれど、こういったAIがパーソナライズされてくると、いろいろなビジネスモデル、変わってきます。こういった中で、学校においての教育データの連携、活用ということをどう基盤を整えていくかということを急いで、早めにスピード感を持ってやる必要ということも御指摘としてございました。また、データ利活用ということ、今、eポータルをハブにしたデータの学びの環境ということをやってきておりますけれども、この役割ということを明確化した上で、各種の教材、教科書も含めてですけれども、連携してデータを利活用していくことが必要であるということ。それから、いろんな民間企業が提供するツールがありますので、その民間企業のほうが別々のルールになっていると学校現場がやはり使いづらいというところもございますので、国と民間企業でモデルというものをしっかりつくって、共通なルールの下で多くの事業者が参加していけるような枠組みといったものも、学校の利便性という観点からは大事だよという御指摘をいただきました。
 こういったような御意見をいただいてきております。この会議につきましては、今年度中、あと2回程度、開催予定でございますけれども、先ほども申し上げましたように、こちらの会議とも連携を図ってまいりたいと思いますので、こちらでの意見は、この有識者会議のほうにも持ち込んで、議論に活用させていただければと思っておりますし、また、適宜御報告をさせていただければと思います。
 加えまして、こういった、これまでこの有識者会議でやってきました議論の結果につきましては、例えば、データ利活用に向けた留意事項といったような形でまとめてホームページで公表したりですとか、必要によって教育委員会に通知を出したりといった形で周知を図ってまいりましたけれども、このような取組も今年度も引き続き続けてまいりたいと思っております。私からは以上でございます。
 
【堀田委員長】御報告ありがとうございました。この議題4については、御報告をいただいたわけですけど、この教育データの利活用というのは、非常に重要な点でもございますので、ぜひ皆さんから何か御意見、あるいは、こういう方向で進めていくべきではないかというようなことございましたら御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。
 緒方委員、お願いいたします。
 
【緒方委員】ありがとうございます。教育データの利活用、まさに本当にこれは教育DXの一丁目一番地でございまして、非常に重要な課題だと思っております。データは単に集まればいいものではなくて、やはりその標準化といいますか、ちゃんとフォーマットや意味も考えて、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、しっかり設計をして集めていく必要があると思いますので、そういった予算も先ほどの資料の中では組まれているということですので、ぜひこういったことを強く進めていってもらえたらと思っております。私から以上です。ありがとうございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございます。高等教育、大学等では、緒方委員もそうなんですけども、こういう研究は随分進んでおりまして、初等中等教育でそれを応用しようとしたときに、そもそも教育データが集まっていなかったり、形式が整ってなかったり、ツールによっていろいろ違ったりというようなことが改善されれば、研究の応用をいろいろできて現場の先生も子供たちも便利になるということが見込まれておりますので、この辺りをどうするかということをさらに検討していただきたいということかと思います。
 この後ですけど、西端委員、平田委員、梅嶋委員の順番でまいります。西端委員、お願いいたします。
 
【西端委員】では、教員養成の立場から一言、発言をさせていただきます。
 データ活用教育はこれからだということかと思いますが、並行して、教員養成、少なくとも3年後、4年後に教員になる者についても、こうした教育が必要ではないかと考えています。例えば、教員免許状の新しい科目としてICT活用の議論と方法というのが昨年度から設置され、早ければ来年度から現場に出ることになります。でも、そのためには数年前から準備されていたと思いますので、こうしたデータ活用になったとき、どうしてもデータに振り回されてはいけないみたいな意見が出てきますので、そうではなくて、きちんとデータサイエンス教育を受けているんだと、そうしたエビデンスを学生の間から養成していくことも必要かなと思いました。以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございます。平田委員、お願いいたします。
 
【平田委員】ありがとうございます。データの利活用は本当に非常に大事なことであって、こうして有識者会議で御意見をいろんな方々からいただいたのをこうやっていただくことができて、大変ありがたいと思います。
 例えば、子供の見取り、ちょっと心に傷を持っている子供であったり、様々な子供の見取りをしていく上で、先生方の、ある意味の感性から知るところもあると思いますし、また、データから見るところもあって、両面から見ることによって、先生方同士の、ある意味の情報共有もできていくと思うので、そんな意味からでもすごく大事だなというふうに思います。
 それから、教育行政という意味でも、やはりエビデンスに基づいたというのはとてもとても大事なので、その意味でも本当に大事なことだと思います。
 1点、データを収集する上で、保護者の理解ということがとても大事になることがございます。教育委員会等でも、学校でもとても気を遣いながらやるところでありますが、この教育データを収集して、それを活用することの、どんなすてきな学びが生まれていくかであったり、あるいは先生方の業務が大変だというのは皆、保護者は御存じなので、こんなふうになりますであったりだとかというような、よさというようなことを保護者や地域に対しても、もちろん私どももしなくてはいけないのですけど、国からもしていただくことができるとありがたいかなというふうに思います。以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では最後に、梅嶋委員、お願いします。
 
【梅嶋委員】私からは、データ利活用の促進は、やはり児童生徒のデータが守られるということがセットだと思っています。その意味では、データ利活用側は、データを提供する学校による、セキュリティアセスメントに必要な情報開示への対応をお願いしたいと思います。
 データ利活用できますよ、というところはすごく重要だと思うのですが、学校現場に入ってみますと、学校から渡したデータはどういうふうに活用されるのか、逆にどのように守られるのかというところの情報開示をできない、不十分な教育情報サービスも事業多く、その結果として、データ活用が進まないというところもあると思っています。データを利活用する側が、データを提供する側が行うアセスメントに対して協力的に情報開示を行う、それをぜひとも検討に入れていただくことをお願いしたいと思います。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。
 私、この今の報告がありました有識者会議の座長も務めておりますけど、今皆さんから出たような、例えばユースケースをどうするか、どう提供するかというような話や、データをどういうふうに守れているかをちゃんと開示できるようにするかというようなこと、あるいは、データの形式が世界標準もいろいろありますので、こういうのと、どういうふうに乗っかっていくかというようなこと、様々な技術的あるいは倫理的、様々な点で、それぞれ専門性の高い方に御協力いただきながら調整していくことが必要で、そういう意味で、この有識者会議、18回も去年までやったんですけど、なかなか一つにまとめて議論するのは難しい各論が、この下にいっぱいあるということが分かってまいりました。今年度も、それぞれの各論についてしっかりと御議論いただいた上で、この有識者会議で整理し、例えば、私どもの今いるデジタル学習基盤特別委員会に上げていくというようなことで、連携を取って進めていくということになるかと思います。
 藤原室長、何かありますか。
 
【藤原教育DX推進室長】御意見ありがとうございました。今、座長からもお話ありましたけれども、例えばデータのフォーマットをどうしていくかというようなお話ですとか、一般の方も含めて、このデータ利活用の意味とか、効果と意義といったものをどう伝えていくかといったようなところ、それから先ほどセキュリティという話もありましたけれども、セキュリティをどう考えてどう担保していくかといったところ、こういったところはこの有識者会議、それからその下にといいますか、そこから専門に分かれて議論をする会議の場で、改めて議論をしていきたいと思っております。また、未来の先生たちにどうデータサイエンスを取り入れていくのかといったところにつきましても、ちょっとまた考えてまいりたいと思います。ありがとうございました。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。
 というわけで議題4まで終わったわけですけど、先ほど横尾委員、ちょっと今日は別の会議があって、御意見だけいただいているようですので、武藤課長、お願いいたします。
 
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】横尾委員から、今ちょっと議会中で、今日、一部しか出られないので、意見をということでございました。読み上げさせていただきます。
 報道にあるように、文部科学省におかれては積極的予算を編成され、GIGAスクールのたゆみない進展を図る意思と熱意を表されたことに感謝いたします。頂きました資料で気づいたのは、端末整備は進んだものの、その利活用についてさらなる推進が期待されているということです。日々の授業、学校活動などで創意工夫して活用することが肝要です。このことの推進に向けて、人的なサポート、それから市民の協力者なども含む工夫が大切なように感じられますし、教職員によるベストプラクティスの共有が重要と感じます。せっかくつけた予算が有効に活用されている実態を早期に醸成したいと感じます。
 次に、今後の技術革新やセキュリティの向上に鑑みれば、よりよいGIGAスクール進展には、さらなる充実も必要になるだろうと思われます。これらについてもOSベンダー企業にも率直に情報収集されて、対応が必要になっていくのではないかとも感じますので、事務局での調査や検討に期待します。
 こういった御意見を頂戴いたしました。
 
【堀田委員長】大変ありがたい御意見だと思いました。ありがとうございました。
 というわけで、今日も活発な御議論をいただきました。私、この特別委員会の委員長を拝命しましたけど、この特別委員会、中教審の中にできたというのは、私は非常に大きなことだと思います。中教審の初等中等教育分科会の下にこれがありますので、私どものこの議論は、初等中等教育分科会に上がっていくということになります。
 初等中等教育分科会には、ほかにも個別最適な学び等の特別委員会もございまして、これはその下にも義務教育のワーキングとか高校教育のワーキング等がございまして、これからの在り方を同時に今、検討しているところで、これは奈須先生、御活躍ですけども、そういうところでこれからの教育の在り方、未来像、それに向けてデジタル学習基盤をどういうふうに整備していくかという、大事な特別委員会かというふうに理解しております。
 これまでも、文部科学省内では関係各課において、端末整備ですとかデジタル教科書、あるいはデジタル教材、あるいは教育データの利活用、あと情報活用能力の育成、校務のDXをどうするか、先生方の働き方改革をどうするか、こういうようなことを様々に議論してきたわけですけど、これはいずれもデジタルの基盤がどういうふうに充実していくかということと関連する話でございまして、それぞれの課でしっかりとやっていただくと同時に、トータルな方向感をつけていくことが重要だろうと、これがこの特別委員会が中教審の中に発足した大きな背景かと思います。これから中教審は、次の学習指導要領に向けて、この令和の日本型学校教育をどのように推進していくかということを様々に議論されていくというふうに思いますので、その次の未来像を見たデジタルの学習基盤というのはどうあるべきかと、課題は山積しておりますが、これを私どもは丁寧に議論してまいりたいと思います。
 今日は時間の都合で御意見をいただけなかったような場合には、事務局宛てに追加の御意見、メール等でいただければ、議事録にもある程度反映させたいと思います。
 それでは、次回の予定につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 
【渡辺学校デジタル化PTサブリーダー】次回の日程につきましては、追って事務局から御連絡させていただければと存じます。
 また、本日の会議中、音声が途切れるなどして、発言し直していただくなど、そういったことが生じてしまいまして、申し訳ございませんでした。
 以上でございます。
 
【堀田委員長】文部科学省のデジタル学習基盤がいつも気になるところでございまして、これはなかなか難しいところですけど、これからも気をつけてまいりたいと思います。
 本日予定した議事は全て終了しましたので、ここまでといたしたいと思います。皆さんどうもありがとうございました。
 

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチーム

(初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチーム)