デジタル学習基盤特別委員会(第1回)議事録

1.日時

令和5年5月16日(火曜日) 16時00分~ 18時00分

2.議題

  1. 委員長の選任等について ※非公開
  2. 委員会運営規則の制定について ※非公開
  3. GIGAスクール構想の現状について
  4. 次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループの設置について
  5. 生成AIの学校現場での取扱いに関する今後の対応について
  6. その他

3.配付資料

4.出席者

委員

五十嵐委員、石井委員、植阪委員、梅嶋委員、緒方委員、高橋委員長代理、中島委員、中野委員、奈須委員長代理、西端委員、平井委員、平田委員、藤村委員、堀田委員長、森田委員、横尾委員(50音順)

文部科学省

藤原初等中等教育局長、寺門大臣官房学習基盤審議官、武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー、髙本GIGAスクール基盤チームリーダー、酒井学校デジタル化PTサブリーダー、安井教科書課長、藤原教育DX推進室長

5.議事録

中央教育審議会 初等中等教育分科会 デジタル学習基盤特別委員会(第1回)

令和5年5月16日

 

※冒頭非公開

 
【堀田委員長】それでは、これより議事を公開いたします。なお、本日は報道関係者と一般の方向けに、本日のこの会議の模様をオンラインにおいて配信してございますので御承知おきください。
 本日はたくさんの傍聴者に来ていただいております。ありがとうございます。改めまして、本特別委員会の委員長を務めることになりました、堀田でございます。本特別委員会の発足に当たりまして、委員長として一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 まず私、今まで中教審の委員、特に初等中等教育分科会の分科会長代理ですとか義務教育ワーキングにも所属してございます。そのほか、これまで一つ前の期の第11期では、教科書・教材・ソフトウェアのワーキングの座長をやらせていただいておりました。そのほかに中教審ではありませんが、教育データの利活用ですとか端末の整備指針のことでありますとか、情報活用能力調査のことでありますとか、いろいろなお仕事をさせていただいてきておりました。それぞれは全て文部科学省内のいろいろな課の方々が動かれて、各論としてずっと議論を進めてまいったわけでございますけれども、いよいよこれからはデジタルの学習基盤が今後の教育を考える上で不可欠なものだということになってきまして、これからの教育の在り方に向けて、もう各論で議論するだけでは足りないだろうと、中教審の中にしっかりと総論をちゃんと議論するような、この特別委員会をつくろうとなったのだと思っております。
 ですので、この総論の委員会は、端末のことですとか、ネットワークのことなどももちろんですけども、その上で動くデジタル教科書や様々なデジタル教材、様々なクラウドツール群、あるいはそれによって学習指導をどのように行っていくかということや、子供たちの情報活用能力をどうするかということ、さらには教育データの利活用で子供たちにどのように効果的な指導を教師側が打っていくのかということとともに、校務DXで先生方がもっと働きやすくなることが非常に重要なことかと思っております。
 これらの整備の問題、あるいは活用の問題、能力育成の問題、制度や構造の改革の問題、あるいは利用時の留意点の問題、様々なことがございますが、それを総論として中教審の中で議論し、初中分科会に上げていくのが私たちのお役目かと理解しております。非常に重要な役目の委員会でございますので、皆様の御協力をお願いしたいということと、もう一つは、この先には中教審の諮問とか答申とかがございますので、次の学習指導要領に向けた大きな流れの基盤になるところを私たちが環境の在り方として議論していくということを、皆さんに御理解いただき御協力をお願いしたいというところでございます。
 私からの御挨拶は以上とさせていただきまして、本日はこの特別委員会の第1回目でございますので、事務局より御挨拶をいただきたいと思います。初等中等教育局長の藤原局長がお見えですので、御挨拶をお願いいたします。
 
【藤原初等中等教育局長】失礼いたします。文科省の等中等教育局長の藤原でございます。皆様方におかれましては御多忙のところ、委員の就任をお引受けいただきまして、誠にありがとうございます。
 GIGAスクール構想に基づき整備された1人1台端末の本格的な活用が始まっている一方で、活用状況につきましては地域間、学校間で格差が生じており、現状と課題を整理し、第2期に向けて必要な施策を検討していく必要があると、こういった段階にあると考えております。
 また、文部科学省ではGIGAスクール構想も含めた教育のデジタル化に関わる幅広い政策課題について、様々な会議体での検討を踏まえながら取組を進めてきたわけでございますけれども、今後はそれらの施策相互の関係について、これまで以上に整合性を持った形で検討実施をしていく必要があると考えているところでございます。
 さらに、急速に普及している
ChatGPTをはじめとした生成AIの学校での利用について、様々な議論や懸念の声がある状況でございます。こうした点につきましても、今後学校現場の参考となる資料をまとめていきたいと考えているところでございます。
 本特別委員会におかれましては、以上申し上げたような観点も踏まえまして、委員の皆様方から精力的な御議論を賜りますことを心よりお願いを申し上げたいと考えております。
 以上、開会に当たっての挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございます。大変重たいお仕事をいただいたと理解しております。ありがとうございます。
 それでは、審議を始めます。議題3、GIGAスクール構想の現状につきましてということで、事務局より少し丁寧に御説明いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】失礼いたします。資料の4-1と4-2、まず、その4-1で本特別委員会の当面の検討事項、今日第1回目ということなので事務局から御提案させていただきます。これに加えて資料の4-2でGIGAスクールの現状について御説明したいと思います。
 まず4-1です。当面の検討事項、背景ということで今ほど堀田委員長、それから藤原局長からもあったような背景が1ポツで記載をされております。本格的な端末の活用がある一方で格差も出ている、現状課題を整理して次に向けた検討する必要があるんだ、幅広い政策課題があるのでそれら政策の相互の関係について整合性を持ってやっていきたい。こういうことも踏まえて個別最適、それから協働的な学びの一体的な充実を図るために、「令和の日本型学校教育」におけるデジタル学習基盤について総合的に検討をお願いしたいということです。
 具体的な視点の(1)総論ということです。端末を学校現場に導入したことによる成果と課題はどんなものなのか、その成果と課題を踏まえて、今後の端末更新も見据えて目指すべき教室像、それから実現すべき新たな政策はどんなものなのかということが(1)、それから(2)が非常に具体的ですが、現行の学校のICT環境整備に係る地方財政措置、単年度1,805億円ございます。この根拠となっている教育ICT化に向けた環境整備計画、この計画の期限が令和6年度末でございます。令和7年度以降に向けた新たな方針の策定について、令和6年度中に結論を出す必要があると考えております。なので(1)の総論のこれを深めつつ、速やかにこのことについても議論を行っていただきたいということでございます。
 具体的にもう少し申し上げると、次のページに①と②とございます。1人1台端末を導入した際の各自治体の調達方法、あるいはコストについてどのような評価ができるのか、その評価を踏まえましてGIGAスクール構想第2期における環境整備の方向性についてどのように考えていきたいのか。その際、例えば端末の故障のリスクも念頭に置いた整備の在り方ですとか、今後の通信負荷の増を視野に入れたネットワークの在り方、あるいはそれらに関する調達方法の在り方、この中に端末の買取りとリース、あるいは圏域の共同調達もあろうかと思います。
 さらにはこの第1期、まだ途上でございますけれども、この間のいろいろな成果と課題を分析する中で地方自治体の責任において確実に実施すべき事柄はどのようなものなのか、この辺りも含めて御検討をお願いしたいと思っております。
 それから(3)、今後の検討課題についてということでございます。 ①から⑤までいろいろなことが書いてございます。これらについては、既に各種会議体での議論が進んでいるもの、それから一定の方向性がまとまっているものもございます。ですので、この本委員会においては必要に応じてこれらのそれぞれの事柄に関する論点整理ですとか、あるいは中間的な報告ですとか、あるいはある程度まとめができたものについては、そのまとめを踏まえた事務局である文部科学省における施策の検討状況を折々にこの特別委員会に御報告を申し上げ、それを聴取していただいて全体のデジタル学習基盤の整合性に留意しつつ、必要な御検討、あるいは必要な御指摘をお願いしたいということでございます。教材、それからデータの利活用、セキュリティー、そして情報活用能力の在り方、校務DX、そして行政調査そのものの電子化・クラウド化の推進方策、こういったものがあろうかと思います。以上が4-1でございまして、これについても足らないところとか、こういう観点もとあったら、ぜひお願いをしたいと思います。
 その上で、4-2でございます。GIGAスクール構想の現状について御説明を申し上げます。最初の2ページに、これは、全国学力・学習状況調査の結果が出ております。1人1台端末を授業で活用している学校の割合、これは小学校、都道府県別ということを代表的なものとして持ってきております。全体見ていただくと黄色いところにありますように、ほぼ毎日と週3回の学校で約8割、全国平均となっております。
 しかしながら見ていただくとこの青いところ、濃い青いところと薄い青いところを足し上げて見ていたときに、かなり地域差が顕著になっているということでございます。これは同じ傾向が中学校、あるいは政令市においてもあるということでございます。
 その一方、青いところと薄青いところを見ると全体としては青い部分が多い状況になっているわけですけれども、実はもう一枚めくっていただいて、場面場面で見ていきますと例えば3ページ、自分で調べる場面で使用している学校の割合、週3回以上が大きく下がること、それから4ページに見ていただくと教職員と生徒がやり取りする場面、こちらは月1回未満というオレンジ色のところが大分増えてくること、そして5ページにまいりまして、自分の考えをまとめ、発表・表現する場面、月1未満が相当数存在して、ほぼ毎日と週3回以上合わせても4割以下になると。そして6ページ、生徒同士がやり取りする場面、こちらも大分オレンジ色のところが増えてくるということがあるかと思います。
 そしてもう1枚めくっていただくと、1人1台端末を家庭で利用できるようにしている学校、すなわち持ち帰りして学びに使ってもらっている、こういう学校の割合が非常に低くなっていて、特に非常時のみ持ち帰りで天井のところ、黄色いところ、それからオレンジで持ち帰ってはいけないと禁止をしているところ、さらに紫色で持ち帰らせていないと、この辺りは大体一つにくくっているわけですけれども、そういった学校がまだまだ多数派であることが言えるかと思います。
 戻っていただくと、例えば4ページや、あるいは6ページから言えることは、教職員と生徒がやり取りする、あるいは生徒同士でやり取りする、この辺りがまだ低調であることは、恐らくクラウド環境を十全に使っている学校がまだまだ少ないんだということが見てとれるのではないかと思っています。
 非常にまだまだ始まってそんなにたたないわけですね。今年でGIGAスクール構想3年目ではあるんですけれども、3年目が始まったばかりということ、それから徐々に徐々に整備が進んできたことを踏まえると、かなり学校現場に頑張っていただいている一方で、まだ授業改善というところに踏み出せていない学校も相当数あるということで、私どもこれは伴走支援を強化していきたいと考えております。
 それからその次、8ページ以降に校長先生にアンケートをとった成果認識、課題認識がございます。いずれも昨年の8月時点でとったもので、悉皆調査の結果でございます。まず9ページ、10ページ見ていただくと個別最適な学びに関する効果とあります。濃い青いところにありますように、各自の学習速度等に応じた指導の個別化、これについて必ず一つ一つの質問について現時点で積極的な変化が生じていますかということと、今後さらに端末の活用が進んだときに期待がどの程度持てますかということ、この両方を必ず聞くように設計をしたものでございます。
 ここを見ていただくと、現時点の積極的な評価が、とてもそう思う、そう思うを足すと8割弱ぐらいになると。中学校、若干少ないですけど同じような傾向があって、今後の期待ということでいけばかなり青いところが伸びていく、こんな傾向がそれぞれございます。少しスピードアップしてまいりますと、児童生徒の関心や課題に応じた課題の提供ですとか、一人一人の学習状況の詳細な把握、自ら学習計画を立てて行う活動、御覧いただいたとおりのような状況でございます。
 それから次のページ、11ページ、12ページにまいります。効率化による指導の改善、ここから先少しスピードアップしますが対話的な学びの時間が増えた、実験観察に充てる時間が増えた、家庭学習の状況が容易に把握できるようになった、長期休業中の宿題が効率的にできるようになった、この辺り御覧いただいたような感じでございます。
 一方、13ページ以降、探究的な学びの充実ということで情報の収集、整理・分析、まとめ、表現、この辺りがかなり青いところがそのほかの質問と比べて多くなっていると。いずれもこの探究のサイクルにICTが非常に効いてきていることが言えると思います。
 また、一番下14ページですけれども、子供同士で相互に参照しながら学びを深める学習活動、この辺りも大分青いところが多くなっているということかと思います。
 それから少し飛ばして17ページ、18ページにまいります。教師の働き方改革への寄与ということで、教師間での教材、ワークシートの共有、授業展開の効率化、採点時間の減少、授業準備時間、負担の減少、こういったところ御覧いただいたような感じでございまして、私どもからすると、例えば採点時間の減少みたいなところはもっとクラウドツールを十全に活用してもらえれば、もっと増える余地があるんじゃないかと思っております。働き方改革、まだまだGIGAで進められると思っています。
 それから次のページ、その次のページにまいりまして21ページ、学びの保障に関する効果ということで、自宅待機中の子供、あるいは不登校の子供に対するオンライン指導、非常に青いところが増えています。特別支援の子供に対する指導、この辺りも青いところが大分高くなっております。この辺りは端末があるかないかで、ゼロか1かみたいな、非常に大きな効果が見てとれるところかと思います。
 続いて23ページ以降に今度は課題でございます。まずは研修・サポート体制が十分ではないとか、効果的な指導方法が分かっていない、端末の操作方法が分かっていない、あるいは端末の利活用の意義が分かっていない先生が多い、この辺り、赤いところとピンクのところ御覧いただいたような感じになっております。
 また、続けて整備面の課題というのが24ページにございます。端末の故障、指導者用端末が足りない、ネットワーク環境が十分でない、起動に時間がかかる、この辺り、そんなに多くはないですけれども、まだ相当数残っていて、この辺りも私たち、働きかけ、それから支援を強めていきたいと思っております。
 それから少し毛色が違う資料ではあるんですが、26ページに今回GIGAスクール構想で1人1台端末の導入に伴って、約45%の小学校の校長が教育課程外でプログラミングに取り組む子供が増えていると回答しております。これは、今まで御覧いただいた資料と同じ調査結果から持ってきております。それに加えて、プログラミングサイトのScratchの利用者数等々を分析した結果、利用者数も世界シェアもGIGA以降大幅に増加をしていることが見てとれましたので、御参考までにお付けいたしました。
 いずれにしてもこういう成果も出ている一方で課題も出ているということで、27ページ、28ページにありますように様々な予算措置を使って今、取組を進めているところでございます。
 そしてその次に30ページ以降、校長の成果・課題認識の利活用頻度別というのがございます。これは非常に大部にわたるので、要はポイントだけ申し上げると、31ページのところにサマリーがございます。例えば1ポツの個別最適から7ポツの学びの保障、今までずっと先ほど御説明してきたようなところについて、いずれも授業での利活用頻度が高くなればなるほど校長の効果認識、成果認識が高まる傾向が見られた。例えば33ページを見ていただくと一目瞭然で、ほぼ毎日、毎時間と言っている先生、それから一番少ないところで月1回以上と言っているところ、上に行けば行くほど青いところが増えていることが、これは全ての項目について言えるところでございまして、後ほどまた御覧をいただければと思っております。
 その上で66ページに大分飛びます。端末・ソフトウェアの整備・導入に関する状況というのがございます。ここに先般の整備方法・更新時期等々の様々なデータを掲載しております。まず、1人1台端末の整備方法、購入が67%強、リース・レンタルが32%強ということでございました。
 その一方、更新時期、今、様々な関係者がこれについて懸念をしている、あるいは議論をしているところでございますけれども、令和7年度以降が8割近くある一方で令和6年度中が7.8%あるということでございました。
 そして一方、69ページにまいりまして、1人1台端末の保守管理のデータがあります。破損時の対応ということで見ていきますと、これは破損・紛失率全国平均でこの段階では2.2%でございましたけれども、これに対する対応として予備機を活用しているところが40%以上あった。設置者で購入・修理しているところが30%ちょっと、それから保守契約で代替機を手配しているところが23.3%あったわけでございますけれども、なかなか予算の都合だったり、あるいは契約の関係でうまく予備機をスムーズに手配できていないような自治体も多々あると聞いております。この辺も含めて、次を検討するときの検討事項だろうと思います。
 また、バッテリー交換を準備している自治体の割合というのは70ページにございます。この辺り、必要と考えているけど、まだ今後検討だというところとか、必要と考えていない、必要か否か不明、あるいは対応済みとか対応予定のところは7%あると。こんな状況でございましたが、これ、使えば使うほど当然バッテリーが悪くなってくるので、これから加速度的にバッテリーの傷みが増えてくるということで、交換ができる端末もありますけれども、交換すると余計コストがかかる端末もある中でそろそろ更新の時期どうしていくのかって議論になっているということだろうと思います。
 めくっていただいて71ページ、指導者用端末の整備状況とございます。これ、全国平均というのが右上に四角で囲ってあります。109.5%とございます。これは全国の教員数に占める整備の割合、すなわち全国の先生100人と仮定すると、109台から110台ぐらいあると、こういう計算になるわけでございます。
 一方、その円グラフを見ていただくと100%以上、すなわち1人1台になっている自治体が相当数、半分以上ある一方で、100%を切っているところも相当数あるということでございます。90%から100%ぐらいであればいいんだと思いますが、例えば70%切るようなところですと、本当に子供たち1人1台に対して指導に当たる先生に端末が行き渡っているのかという問題が依然として相当数の自治体においてあるということでございます。その更新の時期の見込みは72ページでございます。
 一方、ソフトウェア・コンテンツ、これも重要な課題でございますけれども、73ページを見ていただくと学習支援ソフトウェアを導入している自治体の割合、有償のところが73%、無償というところが22.8%、導入していない自治体も4.2%ございました。それからデジタルドリル、デジタルコンテンツということでいきますと、デジタルドリル、この中にAIドリルにも入っておりますが7割近くの小中学校で導入がされている。それからデジタルコンテンツのところは4割4分、あるいは4割3分ぐらいで導入をされているということでございました。
 最後、参考資料ということでGIGAスクール構想の実現、4,819億円、この中に端末もあればネットワークもあれば、いろいろなサポーターとかいろいろなものがあったわけですけども、累次の補正予算で非常に多額の税金を投入して今、1人1台ということにやっとなってきたということでございます。そして成果も出てきているけれども課題も出てきている、そして差が顕著になってきている部分があって、ここを何とかスピーディーに改善をしていくことが重要になっているということでございます。
 それから78ページに、先ほど来何度か申し上げている地方財政措置というのがございます。2つ目のパラグラフのところにありますように、29年度に整備方針を取りまとめて、それに基づいて5か年計画を策定いたしました。これは2018年度から2022年度だったわけでございますけれども、これを2か年延長して令和6年度までになっているということでございます。この中に、その下のボックスにありますように、3クラスに1クラス分の学習者用の端末、指導者用の端末、これは教師1人1台ということでございます。大型提示装置、インターネット無線LAN、校務システム、ICT支援員等々、様々なものが入っていて単年度で1,805億円ということです。これは2年延長しましたけれども、その先の議論をしていただく必要があるのが先ほどの話でございました。
 大体以上でございます。ありがとうございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。それでは、ただいま文部科学省側で最新の情報を御提供いただきましたので、ここから先は委員の皆さんにぜひ全員御発言をいただきたいと思います。このたびはこの特別委員会の委員に様々なお立場の方々に御参加いただいておりますので、ぜひ今の御説明を受け、必要なら質問は事務局にお答えいただきます。さらに、当面の検討事項のところにあるような、この会議体のミッションとして既に出ている成果やこれからの課題について検討していき、次の整備、あるいは次の学習指導要領につなげていくということがありますので、そういう観点からそれぞれのお立場から御意見をいただきたいと思います。
 オンラインの方もいらっしゃいますし、会場にいらっしゃっている方もいらっしゃいますので、私どもで適宜御指名差し上げますが、全員にお話しいただく関係もありますので、1人長くても3分以内とお守りいただければと思います。
 オンライン参加の方は挙手ボタンを押していただいて、指名されたときだけミュートを解除していただいてと思います。
 会場にいらっしゃる方は、慣例として名札を立てるのが慣例になっているんですけど、挙手ボタンでも大丈夫です。できるだけ満遍なく指名していきたいと思いますので、よろしくお願いします。大体、時間的には1時間弱、こういう最初の意見交換に取りたいと思いますので、それぞれのお立場からよろしくお願いいたします。
 では、どなたか口火を切っていただく方、いらっしゃいますでしょうか。横尾市長、お願いいたします。
 
【横尾委員】ありがとうございます。多久市長の横尾と申します。全国ICT教育首長協議会の会長をしています。ICT教育首長協議会は7年前に発足しました。なぜスタートしたのか、と言いますと、これからの時代、ICT教育が重要だと認識している首長約10人で発足しました。今は約130人います。協議会ではICT教育充実について提案をし、毎年文部科学大臣にこの分野の教育推進を強く要望をさせていただいています。
 なぜそのような活動を行うようになったかといいますと、私は10年から8年ほど前に海外のイギリス、アメリカ、シンガポール、韓国などの教育現場、あるいは教育政策を視察する機会がありました。そこで一番ショックを受けたのは、「日本が遅れ過ぎている」ということでした。そして、これからどうするのか、この先どうなるのかと危機感を持ちました。何とかしなきゃいけないと思い、帰国後に首長有志の勉強会を立ち上げ、そのときのテーマは21世紀型スキルでした。その先に立ち上げたのがこのICT教育首長協議会なのです。それらの活動を通じて感じたことなどを、少しお話をしたいと思っています。
 今、政府では、総理もおっしゃっている異次元の改革を非常に重視されていると思っています。例えば子育てがそうです。しかし、このGIGAスクールに関して言いますと、もう既に異次元に入っている訳です。世界も注目するICT教育端末の整備が一気に進められたのです。問題はここで失速するのか、ちゃんと巡航速度に乗って改革を進めていくかが極めて重要と思います。世界トレンドから見ますと、先ほども言いましたように、これはもうとても大切な改革でありまして、重要ということはもう何度言ってもきりがないぐらい感じています。
 ICTはいろいろな言い方があると思いますが、私は「ICT= I Create Tomorrow」と理解し、提唱しています。「僕が、私が、未来を創る」、「I Create Tomorrow」、つまりICTです。そんな教育を子供たちに提供するのが一番大事だろうと思います。
なかには、これに走り過ぎると、いや、道徳とか人間性とかどうするのって議論は必ず起こりますが、人間は知識を学んだことを型どおりやるのではなく、そこにミッション、使命感を持って、誰かのために、みんなのために、家族のためにという熱い思いを持ってやっていくのが極めて重要です。そのきっかけをICT教育が作ってくれます。
 例えばオンラインが可能になり、明快に分かったことですが、先ほどのデータでも出ていました不登校ぎみの子供たち、あるいは特別支援学級の子供たちについても、実はこのICT端末を使って個別最適化を進め、各自が自分なりの表現ができるようになっていますし、飽きることなく探究心、好奇心を持って学ぶことができています。こういったことを促進する必要があると思います。
 また、同時に私どもの多久市や全国の仲間でも調べてみましたが、働き方改革にも大変意味があります。特に私が感心したのは、御家族にハンディキャップやけがの手当てや介護、介助を必要としている家族のいらっしゃる先生方にとってテレワークやオンラインはとても助かるものです。最も助かるのはテレワークです。今までは、学校に一々行って、かぎを開けて機材を取って仕事をして戻らなきゃいけなかったのですが、自分の空き時間で対応が可能です。どれだけ負担が減ったかというのはぜひ学校現場で聞いてみてください。大きく変わっています。こういったことでデータを取ってみても、働き方改革のプラスになっています。
こういったことを考えていきますと、学力向上にもプラスですけど、今、申し上げました人間性とか、特別な環境に対する対応が十分可能です。そして特に今回は感染症で日本のこのオンライン並びにテレワークの教育が遅れているのがはっきりしたものですから、加速した訳です。私自身の認識は10年ほど前から世界に比べると大変遅れている日本の情報教育、ICT教育を加速したのがこの数年であり、特にそのキーだったのがGIGAスクールだと思います。これを加速することがとても大切だと強く思っています。
 インドでは、この教育部門の省庁名を何と表現するか、皆さん御存じですか。Ministry of Human Resource Developmentです。日本語で言いますと人間開発、人材開発省です。ここには国として明確な目標を持っているのです。日本は文部科学省となっていいますか、これは伝統と経験に基づくのものです。名称はともかくも、世界がSociety5.0、デジタル社会の時代になるのが当然という変化の中で、そこに即応できる、対応できる、自己実現もできる、そして人々とともに喜びもできる、そういった教育の環境を整えるためにも、このGIGAスクールを今後とも国策としてぜひ進めていただきたいと思います。
 同志であります仲間の首長さんたちにアンケートを取らせていただき、さらに教育長さん、教育委員会にもアンケートを取りました。そこで一番に困っていることとして分かったのは予算と情報のことでした。GIGAスクールスタートで、何とかここはクリアしてきているわけですが、今後、関係者みんなが注目しているのはこれからリプレース、更新の時期を迎えるようになっていきますので、そこにいかに対応するか、これを国策としてぜひやっていただきたいという期待が大変大きいとともに、そのことをより良くするためにお互いに切磋琢磨し、ベストプラクティスを共有し、そしてより良いものをつくっていく、そんなミッションを持ちながら、全ての学校や全ての自治体でより良い、いい意味での競争が働く、そしてより良いものに向かっていく、そんなICT教育の今後の進展を心から願うものです。
 ぜひ文部科学省並びに財務省を含めた政府御当局におかれては、こういった自治体のニーズを強く認識いただいて、御支援をいただければありがたいと思います。
既にICT教育分野で異次元に入った子供たちが全国の小中学校、義務教育学校におりますので、このGIGAスクールの流れを止めてしまうと、もう石器時代には戻れませんから、ぜひぜひいろいろな知恵を出し、力を出してやるのが我々現在を預かっている大人の世代の大変大きな役目だと思っています。
皆様とご一緒に、この委員会に参加をさせていただくことを大変ありがたく思います。また皆様から、そして文部科学省から、いろいろ御指導いただきながら、より良い活動につなげていきたいと心から願っています。ありがとうございました。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。大変熱い思いでお話しいただきました。多久市は自治体の一つですけれども、義務教育の学校のほとんどは市町村立でございますので、首長のこういう御理解というのは非常に重要かと思っております。
 では石井委員、お願いいたします。
 
【石井委員】青森県八戸市立江陽小学校教頭の石井一二三でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 学校現場に一番近いということで、こちらに参加させていただきたいと考えております。さらに、昨年度まで教育委員会に勤めておりました。教育委員会ではGIGAスクール構想に関する整備、物品の購入、先生方への普及・活用促進のための研修等を実施してまいりました。そしてGIGAスクール構想3年目の今年は現場に戻りまして、管理職としてこのGIGAの整備環境をどのように活用していけるのかというところを研究し、皆さんに現場の声を届けていくのが私の役目かなと思っております。
 実は教育委員会側として「このような機械等を整備しましたよ、こういう活用ができますよ。」ということを先生方にお伝えしてきて、今年現場に転勤してみたら、「一部聞いていないところがある」「これ、知らないよ」という声も聞こえており、教育委員会としては各学校にしっかり周知したつもりでも、学校まで届いていないこともあるということを実感しております。しかし、学校にとって、働き方改革、GIGA端末、GIGAの環境を使ったこの改革が非常に重要だと思っています。本校でも、欠席連絡のところに学校DXの視点を取り入れたことで、先生方からすごく便利になったという声をいただいております。こういう生の声と、今回のこちらで議論させていただくことがしっかりフィットしていくことで、学校の先生方、学校、地域、保護者の皆さん、笑顔で学校に通える、そして学校を理解していただくことができるような環境が実現できればいいかと思っております。
 また、先ほど説明していただいた内容については、令和4年度の報告になっております。今年度4月に行われた調査により、もっと学校では活用しているというような結果も集まってくるのではないかと思っておりますので、そちらもベースにしながら今後の内容を検討していければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。それはこの後、藤村委員、それで次に平井委員の順番でまいります。
 藤村委員、お願いいたします。
 
【藤村委員】鳴門教育大学大学院の藤村でございます。先ほどからの背景のお話をお聞きして、本委員会が設立された趣旨に基づいてぜひ検討を進めたいと考えております。と言いますのは、私も文部科学省の課もまたがって様々な委員をさせていただいて、座長、座長代理をさせていただいていますが、本委員会が中教審に導いていることはとても大事だと考えています。
 つまり教育改革の目標目的を踏まえて、この検討をぜひ進めたいということですね。個別の技術論に陥ることなく、例えば持続可能な社会のつくり手の育成、先ほど横尾市長さんもおっしゃっていましたけれども、これからできることに何が必要なのか、ICTは授業のためのツールですって捉えていると、授業はちゃんとできてれば、なくてもいいよねって議論になります。それは違うんですね。諸外国はICT活用能力を含めた情報スキルは21世紀型学力間において読み書きそろばん、数量スキル、言語スキルと対等な情報スキルは基礎学力です。ですから、これを整備しないことはあり得ないんだと、そういう大局的な話から行きたいですし、一人一人の子供のウエルビーイングの実現、そして教職員のウエルビーイングの実現という大きな目標も考え、次期教育振興基本計画の案もできてきておりますので、それを踏まえて検討したいのが1点目でございます。
 2点目は、デジタル学習基盤としてというと一見学習系だけに見えますけど、本委員会の先ほどの説明であるとおり、決してそうではありません。法務系とか自治体の情報基盤システムの連携とか、そういう全体最適を図って全体としてこれをどう設計すればいいのか、情報連携を図ればいいのかということをぜひ明確に意識して、全体最適、エンタープライズアーキテクチャーを考えた在り方というのをぜひ御検討いただきたいと考えております。
 3点目は、単なる電子化ではなくて教育DX、つまりデジタルトランスフォーメーションによる教育改革を目指してほしいということでございます。情報化にはアナログそのもの、アナログなものを電子化して効率化するデジタイゼーション、デジタル技術やデータ活用により指導や教育行政を改善するデジタライゼーション、そして学習モデルの行動等が質的に変化し、変革し、新たな価値を創出するデジタルトランスフォーメーションの3段階があると言われていますけれども、本特別委員会ではデジタイゼーション、デジタライゼーションの2段階目は着実にやりながらも、3段階目を目指しませんかということをお考えいただきたいと思います。
 そのときに国際標準仕様等も大事ですが、目指したいのは従来、部分静的な把握であったものから全体的な動的把握できるようになるとか、それから経験や勘による個々の職員の属人知に頼っていた、そういうものからみんなの知恵を集約して集合知を生かせるようにするですとか、それからゼミで一斉指導を行う標準モデルアプローチから個別最適アプローチへ転換するですとか、いじめや不登校なども後手後手対応だったものが未然防止を図ることができるとか、そういう質的転換をどう図るのかというDXの観点で御検討いただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。それでは次、平井委員ですが、その後、挙手がある方は早めにお願いいたしたいと思います。では、平井委員お願いいたします。
 
【平井委員】音声大丈夫でしょうか。今、鳥取にいるものですから、今日、実は鳥取県の要は仕事で、学校CIを高校の校長先生方のリーダーの研修を昨日やって、今日は学校事務職員の研修ということで、すごく地方が頑張っているところを今、肌で感じながらで、飛行機の時間がありますので途中で退席するものですから早めに発言させてもらいました。
 今、合同会社未来教育デザインの代表しております。ほとんどの学校のコンサルというか、学校や教育委員会の支援に当たっている仕事なものですから様々な地域の実態を見て、特に小規模校、小規模自治体なんかと関わっているものですから肌で感じるところがありますので、その中での意見で述べさせていただきたいと思います。そういった地方の代表という形で参加させてもらえればと思っております。
 今回、先ほどの武藤さんの御発表の中でデータに基づいて様々なことが言われていましたけれども、あそこの中でこれから目指すべきところで、私の感覚でいうと学びが変わらなければ仕方ないという、そこが本質にあると思います。今、これまでの教師主導のやつがなかなか変わり切れていない。先ほどの調査の中でも今、ICT使っていますよと言っても、学びの本質がまだ旧型の学びの中でのICT活用にとどまっているケースがあります。
 ここから変わっていくのが、先ほどの児童生徒のやり取りの場面があるというのは大きな違いかと思います。今までの旧型の、先生と子供たちの縦の学びのラインからやり取りとなると横の学びに変わっていきます。これだけでも子供たちに学びが委ねられているところがある。こういったところの変化がまだまだ弱いところがありますので、そこら辺が次の整備に当たっても、こういったところを目指すものは何なのかというところ、学校に落とし込みやすい形でやっていくことが大事かというところがあります。
 ここがなぜ横のやり取りが大事だというと、それをやるためにクラウドを活用しなきゃならないわけですから、テクノロジーの活用の点でもワンステップ上がっている状況になります。まだ、そこにたどり着いていないところがある。そういったところがこれからの課題となっているところ、それを改善するためにはGIGAスクール、当初の段階の整備では足りなかったものが今どんどん、どんどん見えてきておりますので、そこを指標として示していくことが大事かというところがあります。
 ただ、もっと言わせてもらうと、管理職の研修というのはとても大事かというところがありまして、学校を引っ張っている管理職の方々の意識改革が先生方よりもすごく重要であるかというところもありますので、そういったところに皆さんに指標として目指すべきものを、本来の本質を語れるような、そういった会議体に担ってくれたらというところで、意見として述べさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。お忙しい中、御協力ありがとうございます。
 続きまして西端委員、その後、中島委員にお願いしたいと思います。西端委員、お願いします。
 
【西端委員】失礼いたします。奈良県にあります畿央大学の西端でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日は3点お話をさせてください。まず1点目、奈良県はGIGA端末を県域で導入したということで、かなり当時有名になったかと思います。当時の県の教育委員会はもちろん、市町村の教育委員会の方は非常に御苦労されましたが、その後、教員研修であったり、あと校務の統合であったり、教員養成であったり、また転校、転勤への対応など、その後非常にスムーズにいっているのではないかと個人的には感じております。奈良県の事例をまた皆さん御存じだと思いますが、また御参考にいただければと思って一つお話をさせていただきました。
 また私、ふだん奈良、大阪、関西を中心とするいろいろな学校の支援をさせていただいておりますが、その中から一つお話をさせてください。いろいろ文科省さんでデータをまとめていただいてありがとうございます。そうやな、と思いながら聞いていたんですけれども、学校に入っていると先生方、困っているんだけれども、どうやって解決したらいいか分からないようなことが多ございます。
 例えば、大型ディスプレイないんだけどどうやったらいいのかですとか、単純に机の大きさの話ですとか、あとは教師と児童との端末が違うですとか、あと持ち帰りをさせると家庭の状況が浮き彫りになるということで非常に難しいなどと、いろいろな御相談を受けることがあって、それに対応させていただいている感じでございます。もちろん全てに対応できるわけではございませんが、ここではこういう事例をしているようですとか、例えば小さい自治体ですとどの学校にもお邪魔していますので、教材を共有しましょうみたいな形で、一つ、先生方とは違う目線でGIGAの活用の様子を拝見しているところでございます。ただ、どこに行っても同じ悩みを抱えているところでもあり、こうしたところの悩みの共有や課題解決の様子を何か次の代では共有できればいいと思っております。
 最後に3点目でございます。私、特別支援学校や特別支援学級でのICT活用にも非常に御支援させていただいておりますが、大きく2つ視点があるのは、文部科学省の資料でも明らかになっているとおり、もちろん情報活用能力の育成と、あとは合理的配慮の2点がございます。
 ただし現状、お話をお伺いしていると指導者用端末がない事例、先ほどの資料でも71ページにもございましたが、学級の担任はもちろんだけれども、私たち持っていないんです、え? というところもございましたし、また前々から合理的配慮でアプリを使っているので、どうしてもそちらを使っていてGIGAはとおっしゃる場合もあります。ここをうまく今後、特別支援教育の中では全部と申し上げませんが往々にして、例えば保護者の見立て、担任の見立てのような形で今までの経験やそういうところが非常に優先してきましたけれども、これからは端末による学習データでその子供をどう個別に支援していくかという視点が必要かと考えております。
 私からは3点以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。中島委員の次に森田委員にお願いしたいと思います。中島委員、お願いいたします。
 
【中島委員】本日、本来、顔を出すべきところがカメラの表示がない状態でお目にかかりまして大変恐縮ですけれども、委員の中島さち子です。STEAM教育などを推進しております。サイエンス(科学)、テクノロジー(技術)、エンジニアリング(工学・ものづくり)、マスマティクス(数学)、といったSTEM教育にアートあるいはリベラルアーツが加わったSTEAM教育が世界で推進されていることの背後には、先ほど平井委員もおっしゃっていましたように、学びの本質が変わってきているということがあると思います。
 学びとデジタルということに関して、3点述べさせていただきたいと思います。あえて課題を一度忘れてより積極的に考えてますと、第一に、学びとは、「作る」ということ、何か価値を作り出す、自らのアイデアを作り出す、いろいろなものをアイデアを形にする、何か作るという側面が子供たち、子供たちのみならずですけれども、重要になってきているところがあると思います。なので、まず1点目、その学びの本質というものが知るというだけじゃなくて作るということに徐々に移行してきている。それに伴って大きく環境とか、整えなくてはいけないものが変わってきていることがあると思います。
 2点目としては、学びの本質が「知る」から「作る」に激しく変わってくるに当たりまして、環境として不足しているものが何かということ。いろいろな学習環境にとって4つ大事なものがあると。それは場というか環境と人、道具、そして活動と言われています。
 変革の中で何が難しいかというと、特にこの中でも、まず人の育成ですね。新しいものを作り出すときに必ずしもデジタルを使わなくてもいいんですけど、デジタルというのは何かを作り出す、アイデアを作り出すことに対して大きく可能性を広げてくれる側面がありまして、なのでせっかく手元に入ったデジタルのツールを積極的に使って、何か自分のアイデアを作る、全員じゃなくてもそういう可能性があるんだということを知りたいわけですが、そのためにはそれを支えてくれるような、ICT支援だけではなくてより広く人が育成されてくることを積極的に行う必要があるかと思っています。
 そのために場とか道具の整備も含めて、そこは財政措置も含めて総合的に行っていくことが非常に重要で、そうでないとどんどん格差が開いてしまう。本来は、デジタルという新しいツールを使ってよりポジティブな、本来学びにとってこういうことが必要だということに積極的に生かすことが大切で、そういう機会が格差なく開かれるためには、さまざまな財政措置があくまでも格差是正のためにされるということを意識した上で、積極的に人の育成であるとか道具の環境設備であるとかをしていく必要があると思っております。
 3点目として、同じような話でもあるんですけど、先生方がかなり疲弊している話がもう至るところであるかと思いますけれど、特にデジタルにおいてもかなり先生方の中での格差であったり、心理的負担であったりと凸凹に働いてしまっているのがまだ今、過渡期の状況かと思います。
 先ほど申し上げたような、そういう積極的な「作る」への学びへの支援になると、まだまだその段階ではないと言われる方が多いのではないかと思います。そういう意味でもむしろ、子供たちもですけれども、特に私は今後、今本当に重要だと思っているのは先生であるとか、周りの大人の人たちも、ある意味で時代が変わってきて、そういう「作る」とか、何か自分たちがある意味で学びが遊びのようになることを体験できるような、簡単に心理的にも軽やかに体験できるような場というものを積極的に準備していく必要があるのではないかと思っています。3点目は先生への支援ということになるかと思います。
 デジタルと言いますと、もちろん作るということだけではなくて横のコミュニケーションであるとか、何かを効率化するとか、いろいろな側面はあるんですけれども、何か価値を生みだすような観点、価値を生み出すというのも少し難しく聞こえるかもしれませんが、やはり何かを「作り出す」という学びの積極的な観点でもぜひ考えられることがたくさんあるんじゃないかと思っております。皆様と今後ここで多角的にお話しできること、非常に今後楽しみにしておりますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。それでは森田委員、お願いいたします。
 
【森田委員】つくば市教育委員会の教育長の森田と申します。よろしくお願いいたします。
 今、私もいろいろな委員さんの御意見を伺っていて、平井委員とか中島委員がおっしゃっていただいたように学びという、授業を変えるところが非常にポイントかと思っています。確かに使うことによって授業が効率的になったのはまず最初に言えることだとは思うんですけれども、従来の一斉授業をしていると、どうしてもどこでコンピューターを使うかと、先生が主になって考えると、そんな感じがするんですけれども、私のつくば市では教えから学びということを合い言葉にして今、授業づくりをやろうとしておるんですが、探求的な学びを先生が構築できるような、そんな授業にすると、どこで使うかじゃなくて子供が自分から使わなきゃいけないというか、使う必要が出てくるんですね。問を立てる、追求、交流、発信、これ、どこでも使わなきゃいけないと。そういう探求的な学びを構築していくことが今、つくばでは一番課題じゃないかと思っています。
 これができたところでは子供たちが自己選択して決定できる、そういう場面、それから学びたいときに学びたいことを学ぶこと、それから校外学習でももうどんどん使っていきますし、外部の方と交流したいということも子供たちの声から出てきます。それからこういうことを行うことによって子供たちがしっかり思考しているということを感じますし、本物の学びじゃないかと思います。
 うれしいことに、つくば市では教員以外も、教育局の事務の事務局の職員たちもこのGIGAスクールを使っていることを生かそうと、つくばではちびっ子博士といって研究所を訪問する、そしてそこでかつてはスタンプを押してくる、行ってきましたと押しただけですけども、それをデジタルスタンプにした上でGIGA端末を持っていって、そこで取材をすると。そしてそれを発信する。そんな発想も事務局職員からも出てきているということで、非常にうれしいと思っています。
 それから昨年度、GIGAスクールでいろいろ御家庭からの意見などもありましたので、ルールメイキングを全校で取り組みました。自分たちで意見をつくるということで、子供たちが非常にやりがいを持ってルールをつくりました。そして全校でつくったルールをお互いに交流する場面もつくって、お互いがいいところを取り入れたり改善したりと、そんな作業もしたんですけれども、それが良かったのか、本当に子供たちってすごいなと思ったのはトルコ、シリアの地震の救済募金、これが各学校でスタートしたんですね。そうしたら、ある中学校の生徒会で、いや、ばらばらにやるより、みんなでやったほうがいいんじゃないのということを言い出して、先生にぜひ全中学校の生徒会をオンラインでつないで会議をしたいという申出があって、それはいいねと校長先生方が同意をして、そういう生徒会同士が協議をする時間をつくって、どんな募金をしよう、どこに寄付しようなんていうことを相談して全中学校が小学校も巻き込んで募金活動をしたと。234万円集まって、それを寄付したようなこともありました。
 ですから、子供たちが使わなければならないような探究的な学びもそうだろうし、使うことを子供に委ねるような、そういう心構えが一番大事じゃないかと、先生が何とかしようと思っているうちは、これは進まないんじゃないかと私は感じております。ですから今、つくば、今年の合い言葉は探求的な学びづくりだと今、言っているところです。以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。ではこの後ですが奈須委員、平田委員、植阪委員、中野委員の順番でお願いしたいと思います。では奈須委員、お願いいたします。
 
【奈須委員長代理】上智大学の奈須でございます。委員長代理を御指名いただきましたので、高橋先生とともに堀田先生を支えて、円滑で実りある議論になるように尽力したいと思います。よろしくお願います。
 今回、デジタル学習基盤という言葉がとても私は画期的かと思っています。逆に言えば、これまで150年やってきた学習基盤がどのようなものだったのかということを、総ざらいで徹底的に問い直すことが大事かと思っています。それはどんなものだったのか、望ましいのか、いや、それしかなかったから仕方なくやっただけで本当は良くなかったのか、その辺りのことを新たな選択肢としてのデジタル学習基盤が登場したことによって問い直していく、それが藤村先生もおっしゃった、何のためにデジタルを使うのかということにも返っていくかと思います。
 2つ目として、デジタルの話は主に方法に関わるんだと思いますけれども、内容の編成にも関わるんだろうと。教科等横断というところが一つかかってくると思いますけれども、今回、学習指導要領、いい形で学力論を変えたり、いろいろやってきましたけど、従来型の学習基盤のもとでの資質・能力主義であるとか、いろいろなことを出したわけですが、これがデジタル学習基盤になったら学力論辺りから問い直す必要があるのか、あるいは教科内容編成とかカリキュラムの構造にはどう影響するのか、そんなことも一遍しっかりと考える必要があるかと思っています。
 それから3つ目として、授業となると教材、教具ということになると思うんですが、既にこれも堀田先生のもとでデジタル教科書に関する周到な議論が進んでおりますけれども、デジタル学習基盤ということを本格的に考えたときに教材というのはどういう意味、位置づけ、質が求められるかということを、従来こうであったということからの変化ではなくて根こそぎで問い直す必要があるのかと思います。
 一つは、教材というのは教えるための材料、先生が前に立って、先ほど、つくば市でも教えから学びという言葉がありましたけれども、子供たちが学ぶことをベースに考えたときの材料というのはどういうものかということを見直していく必要があるかと。
 それから最後にテクノロジーということが大きく関わってくるわけですけれども、ほかの部分にも影響を与えるだろうと思います。従来の学習基盤に合わせて現在の校舎、施設、設備、家具というのはあるんだろうと思いますし、いろいろな経営形態とか枠組みもあるんだろうと思いますが、それが学習基盤が変われば変わってくるんだろうと思います。学校建築やその周辺をめぐっては、かなり以前からいろいろな御提案が建築サイドからもなされてきていますけど、今回の動きの中でさらにそれがどう変化し発展するのかも考えていく必要があるかと思います。
 また学校のことでいうと同期型から非同期型という変化がデジタルは非常に大きいと思うんですけど、それと前から少し議論なっていますが学習規律というのは本当に必要なのかと。あれは同期型の、つまり一斉指導だからそろえなきゃいけなくて学習規律というのが必要だったんじゃないかなんて私も思うわけですね。すると本当に教師の仕事、あるいは子供の置かれている環境、在り方も全部変わってくるかと思うわけですね。
 本当に今回、デジタルをどう使うかって話だけじゃなくて、デジタルを学習基盤にした学校、授業、そしてカリキュラムというのをどう構築するかというスケールの大きな話をここでしていくんだろうと思っています。本当に楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございます。奈須先生におかれましてはこのたび、委員長代理をお願いしたわけですけれども、奈須先生は義務教育の在り方ワーキングの主査をされておりますし、そういう意味では中教審の中でこれからの学校教育をどうするかという大きな話と、この学習基盤、デジタルになってどうするか、どう支援できるか、これをもとにどのように新しい義務教育を考えていくかと、非常に大きな関係を持って進めてまいりたいと思うところでございます。ありがとうございました。
 では平田委員、お願いいたします。
 
【平田委員】平田郁美と申します。私は群馬県の教育長をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 広域の教育委員会の立場から発言をさせていただければと思うのですけれども、群馬県は、そもそもGIGA以前は一部の市町村とか学校を除いては、学校のDX化というのはほぼゼロからのスタートでした。2年間で、先ほどの文部科学省のデータを拝見すると、足りないところはいっぱいもちろんございますけれども、それでも随分頑張ってきたというのが正直な、自画自賛的な感想でありました。
 こんなことができたのは、もちろん活用を促す仕組みづくりであったりとか、それの促すための担当の努力であったり、そして学校や先生の頑張りによるものなのですけれども、そのベースとしては先生方がGIGAはすごいとか、これは子供のために良い、業務改善もつながるということが腹落ちをしたからだと思っています。
 先ほどは、どちらかというと個別最適な一人一人に合わせた学びのほうが、協働的な学びよりか優位に進んでいるような御説明でありましたが、群馬はどちらかというと協働的学びのほうが先に進んでいるような状況であるのかと思います。先生方からよく聞くキーワードとしては、教わる、教えるという関係性とか、情報の流れる矢印が一方方向から両方向であったりとか、あるいは多方向に変わった。例えば子供が先生に端末の使い方を教えたりとか、あるいはロイロノート等を使って子供たちが自分の意見を発表していきますけれども、そのときに今まで目立たなかった子供の考えのすばらしさが、先生はもちろんほかの子供たちに伝わったですとか、あるいは職員室で今まで年配の上の先生が若い先生を教えていたのが、それが若い先生がむしろ教えたりとか、あるいは学年とか教科を超えて教え合ったりというような職員室の学び合いが活発になったようなお話もよく聞きます。
 それからまた高校においては、どちらかというと生徒が先導して学校のDX化が進んでいって、先生方がこれは使えると思って進んでいるのかと思います。生徒たち世代はICTが非常に得意ですので、なかなか自己肯定感が育む機会のないコロナ禍にあっても、大人ができなかったような学校や社会の課題解決にICTを使うことで、自分も何か関われたということで自己肯定感を育む機会となって、ICTがあって本当に良かったと思います。
 一方で課題としては、先ほどお話にありましたように地域差、学校差が生じていることはもちろんそのとおりです。2年間で蓄積していった先行事例を分析していく中で、ある程度、活用が進んでいくと、活用が加速されていくことが分かりました。それが、ある意味の地域差につながってしまっているのかもしれない。
 先生は子供のためになると腹落ちをすると、自分たち自身で工夫をして取組は急に活性化していくのですけれども、したがって活性化させていくために今までの先進事例から基盤となる取組、これができていると先生たちが自走していくことを県でリスト化していって、教育DX推進センターという仕組みを持っていて、各学校に県からアドバイザーとかアシスタントを派遣して、お悩み相談等をしているのですけれども、そのときにこれは最低限やっていきましょうというリストを持って回っていくように取組を始めました。これによって学校が自走していくことで、自ら新しい活用を生み出すようになっていけば、あとはそれを共有する仕組みを県として整備していくのかと思います。
 次の時代、次のGIGAの、この次の時代を考える、この会に参加させていただいて本当にありがたいと思うのですが、そういう意味で活用がある程度進むと先生たちは自走していくので、次の基盤づくりにおいてもそこをどこにしていくかで、ある程度それをそろえてあげることが必要じゃないかと思うところです。ですのでリプレースも含めて、全て任せてしまうのではなくて、ある程度、財政基盤も含めてサポート支援をしていくことで今のこの良い流れが進んでいくかと考えます。
 また、群馬県の場合、個別最適なところが教育データの利活用も含めて、協働的なところに比べると少し取組が少ないかと思っているところも確かであります。生徒一人一人を主語にした学びをどうやって進めていくかが、そもそもGIGAの目的でありました。それをこれからどうやって実現していくかというところがポイントになると思っております。
 以上です。よろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。それでは植阪委員、お願いいたします。
 
【植阪委員】初めてお目にかかる方が多いかと思います。東京大学の植阪と申します。どうぞよろしくお願いいたします。内閣府のGIGAスクール構想のEBPMに向けた効果検証のアドバイザリーボードに入っていた関係で、お声をかけていただいたのかと思っております。ふだん、学校の先生と一緒に、心理学を生かした授業づくりをしておりますので、その視点から少しお話しさせていただきたいと思います。
 まずほかの先生方もおっしゃっていましたが、今、国が目指そうとしている深い理解ということと、このICTというツールは非常に相性がいいことは、とても良いことと感じております。つくば市で実践されている探究学習におけるICT活用というところはもちろんですけれども、ふだんの習得的な学習の中においても説明を促す、ですとか、学習者自身がアウトプットする時間を設けるということと非常に相性が良いと思っておりまして、その意味で大変良い機会だと思っています。
 EBPMでも、決して学力を1つの指標として捉えるだけでなく、「深い理解」、「普通の計算力」など、細かく分け、ICTがそれらの獲得に効果を持っているのかを検討しようとしております。「深い理解」にICTが効いていることがうまくアピールできて、先生方がこうやっていけばいいんだという具体的な目標を持つことにつながっていけば、大変良いかなと思っております。
 武藤様が作ってくださった資料が網羅的で非常に良いなと思って拝見しておりましたが、すこし別の視点もあるかもしれないと思いましたので1点、お話しさせていただければと思います。特別なニーズの子に対しても、GIGAスクール構想は大変良い、ということです。日本の子どもは、教科書が全員無償で配布されていて、重要なリソースであったわけですけれども、そのリソースにICTが加わった形になっていると思います。学校現場で見ておりますと、例えば、書字障害の疑いもあるかと思いますが、連絡帳を取ることもしんどいといった子が一定程度います。書字障害の割合は日本においては海外に比べると少ないのですが、書字的な障害がある子に頑張ってノートを一から取らすのは必ずしも効果的ではありません。みんなが誰でも持っているツールであるタブレットをノートがわりにして、情報を打ち込んでメモを取るとか、写真を撮ってパソコン上に貼るなどの工夫ができたとしたら、負担が大きく減って、本来的な深い学びに集中できると思っています。ただ、私が見ているお子さんについて申し上げると、学校の先生の抵抗が大きくて、なかなか入らないという現実もございます。ですので、こうした中央教育審議会で議論していただき、良い例として発信していただくのが大事かと思っております。
 ただ、例えばパソコンでメモを取るという状況一つを取り上げましても、タイピング力が必要です。また、短くまとめてメモする力がなければ、当然パソコンによるノートテイキングは機能しません。ですので、ICTを入れればいいという話ではなくて、それを支える学び方とセットで入れていく必要がありますので、その辺一体どういうような学び方を支援していくかというようなことも含めて、議論していく必要があるかと思っております。私自身、とても楽しみにしている次第です。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。それでは中野委員、お願いいたします。中野委員、マイクをお願いします。
 
【中野委員】NHKの中野と申します。NHK for Schoolと言います学校放送番組とそれに付随する学習教材等々の集合体のポータルサイトの編集長という立場で、今回参加させていただくことになりました。デジタル教材という側面で呼ばれたのかと考えております。
 今日の先生方のお話をお伺いしておりまして、まさに私どもがNHK for Schoolをどのように学校の皆さんに使っていただくかという悩みとリンクしている部分があると感じております。まず私どもは、学習指導要領の改定からGIGAスクール構想が始まりにかけて、新たな学びに向けた番組づくり、コンテンツづくりというのをしてきております。
 ただ、そういった新たな学びに向けたコンテンツというのが、必ずしも学校の先生にとって使いやすいものとして知られていないような状況、どのように使ったらいいのかというところも含めてお話ししていかなければ、番組自体の利用率が伸びていかないところが、まさにDXが進んでいかないところに近いかと思っているところでございます。
 私どもとしては、まず間違いなくこの時代のニーズに合わせた良質なコンテンツをつくるということをやっておりますので、今後もデジタル教材として良質なコンテンツが増えていくことが大切だと思いますし、良質というのがどういうものかも検討していかなければいけないと思っています。
 そして、先ほどもお話ししましたけれども、その良質なコンテンツをどう届けるか。私どもで言えば放送であったり、インターネットということがあると思いますけれども、デジタル教科書が出てきたり、デジタル教材とのリンクが進んでいく中でどう各教材に結びつけて有機的に子供たちがそれを取りに行くことができるようになるのかという辺りを検討しなければいけないと考えております。
 また私ども、学校の先生方への研修もしております。NHK for Schoolの新しい番組をどのように使うと今、GIGAスクール構想に合った授業を進めていくことができるのかといったことを研修させていただいております。ここにいらっしゃる先生方にも大変御協力いただきながら研修プランをつくったものでございますけれども、そうした研修で学校の先生に伝えるように、どういう形で、先ほどの群馬の教育長さんのお話のように腹落ちしてもらって、理解して、どんどん子供のために使っていこうと思ってもらえるか。そこの仕組みづくりを考えなければいけないと思います。
 また、先生方は学校、家庭の皆さんにも御家庭の事情に配慮してなかなか足を踏み出せないところもあるようですので、そういうのはもうNHKなどは、番組などを通して新しい学びの姿というのを広く世の中に知ってもらう必要があろうかと考えております。今このように教育が変わっていかなければいけませんよ、こう学校って変わっていくんですよということをどうすれば世の中に伝えていけるのかという辺りも、先生方にお考えいただけると大変ありがたいと思っております。
 大変若輩者ではございますが、お力になれるように頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございます。皆さんの御協力で着々と進んでおりますので、この後ですが緒方委員、梅嶋委員、五十嵐委員、高橋委員長代理にお話しいただいて、そこまでとしたいと思います。では緒方委員、お願いいたします。
 
【緒方委員】ありがとうございます。私、研究としては教育データの利活用のための情報基盤というのをずっとやってきていますので、そういった立場で3点ほど意見を述べさせていただければと思います。
 まず、1点目は先ほどの資料4-1のGIGAスクール構想の現状というところでありましたように、ほぼ毎日とか週3日使っている学校、約8割ということですので、これはもうなくてはならないところだと思います。こういう端末を使って学習をすると、これ自然とログデータというのは蓄積されてきて、学生さんがどう学習しているかが如実にそこに残ってきます。これをうまく活用すると教育効果を高めたり、教員、先生方の負担を軽減することができることは我々の研究ではもうたくさん事例として示していて、全国にも幾つかの学校に導入したりとかしているところであります。
 ですので、こういう基盤をぜひこの会議で議論していただければというところと、GIGAスクールの端末というのは引き続き、これはなくてはならないものだと思いますので、継続して配付といいますか、そういうことを続けていていただければと思います。
 それから2点目が、そうですね、そこをGIGAスクールでデジタル化を進めて、その効果が上がるということを示すためにもデータが必要だというところで、そのデータを集めると、これ全国でいろいろな使われ方をすると思うんですが、その効果検証をしてこういう政策立案のためにもそういうデータを使って立案をすると、効果を検証する、そういうサイクルを回すEBPMというやつで、そのためにもデータをうまく、何ですかね、活用できるような基盤というのをつくっていく必要があるのではないかと思っています。
 そういう意味でも、特に教育データの標準化というのは今、進められているところだと思いますが、これは非常に重要で、データを単に集めただけではなくてフォーマットとか意味とかそういったものを、何ですかね、ある程度標準化が行われていないと、これ、分析できないことになりますので、そういったところも非常に重要かと思っております。
 それから3点目がデジタル教科書とか教材のことですが、これ、端末も無料で配付されますし、それから教科書は紙の教科書無料ですので、ある程度義務教育においては無償で必要なソフトウェアといいますか、ものは配付されるべきかと思っていまして、そういう意味ではいろいろなツールがありますが、ある程度はAIドリルとか、いろいろな必要なものというのはそろってきたと思いますので、ある程度は無償で、もちろんお金を払って特別な予算をかけてというのも必要でしょうが、ある程度セーフティーネットとしてそういうデータが集まるような基盤というのを無償でつくるというのは大事かと。隣の台湾とか韓国とかシンガポールというのはそういうことを、既に日本を見て進んでいるだろうと、見てやっているということ、あまりコロナ禍で日本が進まなかったというか、だから議論が遅いところがあって。もうどんどん抜かれている状況もありますので、日本、こういうことをどんどん進めていっていただければと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では梅嶋委員、お願いいたします。
 
【梅嶋委員】本日は、長崎県の離島の遠隔授業環境や、GIGAスクール開始以降は富山県高岡市における遠隔授業環境、学校ネットワークの高速化、端末持ち帰り、校務学習の完全クラウド化を支援、その設計図を全国の教育委員会で公開させていただく取組を進めてきた、慶應大学の教員として任命されていると思っております。
 ただ、ふだんは私自身はサイバーセキュリティーの国際標準をつくりますIEC、国際電気標準会議でシステム委員会のプロジェクトリーダーを拝命しております。その意味では、専門分野としてはサイバーセキュリティーの専門家ということができると思います。そうしたバックボーンにおきまして、私が未来を担う子供のために教育ICTに関して低コストでかつ、地理的差異なく早期に実現したいと考えるのは、以下の5つの点です。
 1つ目は、先生や学生が貸与されたGIGA端末を学校から自由に持ち出せる環境の実現です。学校から持ち出すことができないと、楽しい学びというのが実現できないと思いますので、それをぜひ実現していきたいと思っております。2つ目は、先生や子供たちが場所を選ばずに校務や学習に活用できる完全クラウド化の実現だと思っております。3つ目は、全国のあらゆる学校の教室で、国内や海外の専門家や先生とつないだ同時双方向遠隔授業ができる通信品質を満たす学校のインターネットアクセスの高速化だと思っています。ここに実は来週から遠隔授業を始めたいというところの、そのネットワークのスピードを計測した図があります。今、何に僕が直面しているかというと、来週このまま突っ込むと大変なことが起こるのでやめましょうということを言うか、このまま障害があるかもしれないけれどもやっていこうという、その決断です。学校のネットワークというのは、遠隔授業を先生主導、学生主導でスムーズにできる通信品質まで持っていかなければいけないと思っています。以上が、ネットワークの環境の部分です。
 残り2つは、セキュリティーの専門家として、ぜひ御検討いただきたいと思うものです。1つ目は、教育情報システムを販売する側の情報開示の質と量の改善です。現在はどんな専門家であったとしても、今の情報開示ではセキュリティーが担保された情報システムというところを判断することはできません。その意味では、情報開示の質と量の改善というところを行っていかないといけないと思います。
 そして最後5つ目ですが、ぜひこれは、例えば電力システムとかでは当たり前になっているんですが、教育情報システムの脆弱性情報の仕組みを共有することをぜひ御検討いただければと思います。システムにおいては、完全に安全なシステムというのを最初からつくることは不可能です。その意味では、脆弱性や様々な問題といったところを情報として共有する仕組みが最も有効なセキュリティー手段です。このような仕組みが、ぜひこの大きな中身を検討する場において御検討いただけると、非常に子供たちにとっても安心安全な情報システムの活用ができるのではないかと思っています。以上になります。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。続きまして五十嵐委員、お願いいたします。
 
【五十嵐委員】それでは私、教育ICT環境アドミニストレーター協会の理事長と、そしてあと合同会社かんがえるの代表を務めております、五十嵐晶子と申します。よろしくお願いいたします。
 多分こういった席で皆さんとお話をすることは、なかなかない立ち位置かと思っております。それも私の会社は基本的にはICT支援員の育成を専門とした会社で、3年前に立ち上げたばかりの会社でございます。私自身がもう20年、このICT支援というお仕事をずっと続けておりまして、ICT支援プラス、そして支援員さんの育成、そして教員研修、その他にもほかにもいろいろ、いろいろな企業が学校にICT機器を入れるときのアドバイスをしたりとか、そういった立ち位置でずっとお仕事をさせてきていただきました。
 そして今日、時間がそんなにたくさんございませんので、今日いただいたお題からいきますと、武藤さんが作ってくださったグラフ、こちらを拝見してすごく思うのが私、今グラフ逆さまにして拝見しているんですけれども、逆さまにして拝見するとすごく印象が変わるというところです。
 正直私、非常に現場にいる人間です。物すごく現場にぴったりいて、特に代表校でもなく、正直な話、やりたくないって言っている先生を目の前にしている、そういう支援員さんたちとネットワークで話をふだんからしている人間なので、データに出ているのはかなり学校の、普通のって言ったらいいですかね、普通の学校の縮図という感じはしています。なので、イメージでいきますと、この始めてこの3年、先生が使うようになったというイメージはすごく正直あります。各教室に行ったときに先生が提示しているシーンをとてもよく見るようになったねということは、支援員同士でもとてもいろいろなお話が出ています。
 ちなみに私、1か所の実態を見ているのではなくて、現在LINEというソフトがあると思うんですけど、あのLINEのアプリの中にオープンチャットという機能がありまして、匿名で誰でも入れる掲示板のようなところで日々、支援員さんたちの声を聞いています。今、640名ほど入っていまして離島の方も北海道からもう沖縄までいろいろな方、そして教育委員会やあと、いろいろな企業の方、そして一般の保護者の方も入っているので誰だか分からないですけど、いろいろな意見が飛び交うところなので、かなりリアルかと感じております。
 その中ででも先生がよく使うようになったよねという声はとても出ているんですが、子供に対してまだ禁止というのがとても多いです。また、導入した際にアプリケーションをかなり禁止している状態で導入しているところも多いので、あれがやりたいなって支援員さんが提案しようと思っても、悪いけどそれ、うち禁止なんでって言われて提案ができないことはまだまだすごくたくさんあります。
 なので今、すごく考えているのは、最初に私が自己紹介したときに申し上げました、教育ICT環境アドミニストレーター協会というのをつくったのが何かといいますと、いろいろなシステムが入ってきたり、あとソフトが入ってきたり、今、デジタル教科書なんかも、あとはeポータルが入ってきていますが、これは管理をしているのが全部学校なんですね。
 学校の先生が全部子供たちの名簿を登録しなきゃいけなかったり、転入転出をしなきゃいけなかったり、もう何本その世話をしなきゃいけないのかなって。それがもうアップアップなので、逆にそれがもう我々支援員に来るんですが、最近特にICT支援員はあれをしちゃ駄目、これをしちゃ駄目というのがすごく厳しくなってきまして、個人情報を触ってはいけませんという一言で、これ名簿データなので登録、私はできませんというんでお断りすると、何が頼めるんですかって怒られてしまうって、そういうような状態で、この管理をする、子供のアカウントもそうです。そしてあと機器の端末管理もそうです。棚卸しなんかも結局、全部先生のお仕事になってしまっている。ここを担うちゃんとした安心して任せられる人というのはまだいないんです。なので、このアドミニストレーターを置きたいというのが一つ。
 そしてもう一つが、このICT支援員は現場にぴったりいますので、先生方が使っている、使っていますって言っていますけど、じゃあ、何に使っているんですかという本当の姿は目で見てこれるのは私たちだけだと思います。どれだけ使っているかは多分ログを取ればいいんです。どれぐらい電源入れたかなんて、絶対こんなのはログで取れるんですが、ログで取って分からない、どんな教科でどんなシーンでどんなふうに使っていた、先生はここが使いにくいと思っている、楽しいと思っているというようなところは、多分私たちが提供できるところじゃないかと思っています。
 なので、そういった視点でもICT支援員を今後、ただの手伝いだけではなく、もちろん手伝いもしたらいいんじゃないかと思っています。なので手伝いもしながら、先生方のところの本当のデータというのを持ってこれる、そしてそれを共有できる立ち位置として、この環境アドミニストレーターとICT支援員の育成と、もっと充実ということを目指していきたいと今、考えておる次第でございます。以上でございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では高橋委員長代理、お願いいたします。
 
【高橋委員長代理】東京学芸大学の高橋でございます。よろしくお願いいたします。私が考えるGIGA端末の基本的な活用の方向としては、様々な子供たち一人一人に対応していくんだと考えております。様々な子供、たくさんいろいろな興味を持っていたり、いろいろな特長がございます。特別支援教育、特別支援が必要な方、不登校、外国語が母国語の子供たちとか、様々な特別な支援を要する子供たちもいます。こうした子供たち一人一人に対応していくための、まずは1人1台なんだと考えております。
 つまり、これまでもそういうことは重要だと考えられてきたわけですが、扱うべき情報量が増え過ぎて紙や鉛筆ではできなかった、素手では対応できなかった、いい武器が手に入ったんだと考えております。特にクラウド等々で非同期、分散かつ協働という少し矛盾するようなことが簡単に実現できる、個別と協働みたいなことが簡単に実現できるような、そういった仕組みが入ってきたと私は感じております。うまくいっている学校では一斉から複線型の授業に変わり、深い時短と私、呼んでいますけど、深く学んでいるのに短い時間で済むみたいな、そういった授業が出現しておりますので、こういったことを応援できればと思っております。
 2つ目は、子供だけではなくて先生も保護者もみんな情報端末を持ったんだと、正確に言えばいろいろありますけれども、大体持ったんだと考えております。これらをつなげて、いつでもどこでも使えるように考えていくと。関係者全員が情報端末を持ったときは、これまでの情報のやり取りとは全く別次元の可能性があると思っております。まずはコミュニケーションを加速させ、質を上げていくんだと思っておりますし、この辺りの基盤にデータの利活用という考え方が私あるんだと思っています。現状ではGIGAの端末は授業で、教師の1人1台は校務でと分けて考えていくところに課題があると考えております。
 3つ目に、似た話ですけども、制度では考え方というところに幾つか課題があると考えております。ルールや制度、情報セキュリティーとか技術的な設定とか、そういったものがこれまでのままであったり、一斉指導を前提とした厳しい規制が課せられていることがすごく多いと思っております。クラウドネイティブな時代に合わせた、そういう制度やルール、考え方を考えていくんだと思っております。
 なかなか、どういう段階を踏んでやっていくのかは非常に難しいわけですが、たまに私思うのは30年ぐらい前にあった、どこの駅にもあったチョークで書く伝言板というんですかね、黒板です。あれをデジタル化しようって考えてデジタル伝言板をつくった場合、ほとんど意味がなかったと思うんですよね。全く別のものに変わったということです。なので、ごく初期段階ではデジタイゼーションとかデジタライゼーションという考え方は重要かもしれませんが、結局のところ、今あるものをデジタル化したものの延長上に同じものが存在しているのか、奈須委員もおっしゃっておりましたが、根本的には何なのかということを考えていかなきゃいけないと。
 ただ生成AIなど、ああいうこれまでの延長上にないものができたときに、まず感覚的に違和感や嫌悪感みたいなことを感じる方がいらっしゃると。その辺りに、でも実はDXのゴールがあると思うといろいろ難しいことがありますので、そういったことを心得ながら進めていくのかと感じております。私からは以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。皆さん、御発言いただきまして本当にありがとうございます。時間が押していますので、私の発言は割愛したいと思います。
 続きまして、議題4のワーキンググループの設置についてお願いしたいと思います。事務局、よろしくお願いいたします。
 
【髙本GIGAスクール基盤チームリーダー】事務局でございます。それでは、資料5-1、5-2に基づいてワーキンググループ設置について説明いたします。まず、資料5-1でございます。こちら、次期ICT環境整備の在り方ワーキンググループについてということで、本特別委員会の設置を御承認いただくための資料であります。
 まず、1つ目として設置の目的です。1段落目ですけれども、本日のこの特別委員会の設置について触れております。続く段落におきまして、こちらですが、これまで学校におけるICT環境整備については、平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針に基づく教育ICT化に向けた環境整備5か年計画のもとで整備が進められ、その後のGIGAスクール構想の実現に向けた取組によって大幅に整備が推進された。GIGAスクール構想を踏まえた成果や課題等を検証し、特に専門的に議論すべき事項について審議をするとともに、現行のICT環境整備方針に替わる新たなICT環境整備方針を策定し、引き続き教育のICT環境整備を進めていくためにも、令和7年度以降の新たな学校におけるICT環境整備方針の策定に向けた検討審議を行うことが求められている。このため、特別委員会の下に次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループを設置する。以上が設置の目的であります。
 続きまして2ポツ、主な検討事項でございますが、(1)次期ICT環境整備方針の在り方について、(2)その他としております。
 以上、ワーキンググループを設置する目的と検討事項について示した資料でございます。設置を御承認いただけるということになりましたら、資料5-2がワーキンググループの設置を特別委員会が決定するための資料でございます。
 先ほど特別委員会の運営規則を御承認いただいたところですが、こちらの第二条で専門部会等において、特別委員会の下に専門部会その他審議組織を置くことができると規定されております。この規定に基づき、初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会に次の審議組織を設置する。1、次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ、そして所掌事務ですけれども、次期ICT環境整備方針の在り方に関する重要事項を調査審議することとなっております。
 以上、ワーキンググループの設置について、それから設置された際の設置の資料について御審議をいただければと存じます。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。現行の整備方針はGIGAの前に、もっと言うとコロナの前に整備されたものでございまして、現状では周辺機器も含めて、それにのっとって進んでいるわけです。このたび2年間延長しているわけですけど、この2年間の間にGIGAの成果をちゃんと評価し、次なる整備方針を決めるということになります。その整備方針を決めるためのワーキンググループを設けたいということでございまして、これは地財措置の関係とかいろいろな細かい話が関わる関係で、この特別委員会の下でワーキンググループとして専門的にやっていただこうということでございます。
 この設置につきまして、お認めいただくことできますでしょうか。ありがとうございます。それでは、このワーキンググループを設置いたしまして、この議論の状況はこの特別委員会に随時御報告いただいて、この委員会でも特別委員会でも審議を深めていくと進めていきたいと思います。
 なお、このワーキンググループの委員につきましては、先ほどの運営規則の第二条第2項の規定に基づきまして部会長が指名するということになっておりますので、これを文部科学省と相談しまして私に一任させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、今日もう一つ議題がございます。議題5です。議会5は、生成AIの学校現場での取扱いに関する今後の対応についてということで、これは非常にこの1か月ぐらいでしょうか、特に数週間といったらいいでしょうか、大変注目を浴びているところでございまして、これについて私どもの特別委員会でも検討していくということになってございますので、これにつきまして、まず事務局から御説明をお願いいたします。
 
【酒井学校デジタル化PTサブリーダー】資料6に基づきまして、ChatGPTをはじめといたします生成AIの学校現場での利用に関します今後の対応について、御説明を申し上げたいと存じます。
 学校現場での生成AIの利用に関しましては、大きな期待が寄せられている一方で様々な議論や御懸念の声もあるところでございます。特に、子供たちの批判的思考力や創造性に影響があるのではないかといった御議論や、AIによる誤回答やAIの生成物か否かが見分けられないといったような御指摘があったり、さらには個人情報や著作権保護の観点等についてもリスクを整理する必要があるといったような御指摘があるところでございます。
 一方で今次の学習指導要領では、学習の基盤となる資質能力として情報活用能力を位置づけているところでございます。その観点から申し上げれば、新たな技術である生成AIをどのように使いこなすのかといった視点や、また子供たちが自らの意見を形成するのに生成AIを生かしていく視点も重要ではないかと考えております。
 こういった点を踏まえまして、文部科学省では学校現場の参考となりますガイドラインの策定に向けまして、4月下旬から学識経験者や現場教員からの書面でのヒアリングを実施しているところでございます。また制度全体といたしましても、関係省庁によりますAI戦略チームを設置し、先週、教育利用の在り方についても議論を行ったところでございます。また岸田総理のもとで、関係閣僚と有識者で構成するAI戦略会議も先週設置をされたところでございます。さらには、先週末にG7教育大臣会合も開催されたところでございます。採択された富山・金沢宣言の中でも、生成AIを含めた近年のデジタル技術の進展では、学習や指導に好機をもたらすと同時に教育システムに対して課題を提示していることを認識するといった旨が確認をされたところでございます。
 これらを踏まえまして、文部科学省では生成AIの学校現場の利用に際して参考となりますガイドラインを夏前を目途に策定、公表してまいりたいと考えているところでございます。ガイドラインの具体的な内容につきましては、本日の御議論や、また有識者の方々の御意見を踏まえながら検討してまいりたいと考えておりますが、現時点でのイメージということで資料に記載のとおりでありますけれども、例えば生成AIについての説明であったりとか、情報活用能力との関係の整理、年齢制限や著作権、個人情報の取扱い、活用が考えられる場面、これは学習指導の場面のみならず、例えば教員の働き方改革の観点からの校務での活用といった点もあるのではないかと考えてございます。
 また、禁止すべきと考えられる場面、さらには生成AIに関する授業デザインのアイデア、これは生成AIそのものを学ぶ授業というアイデアに加えまして、生成AIを活用した具体的な授業方法といった点も含まれるではないかと考えております。
 これらの内容につきまして、項目として盛り込むことも含めまして検討しているところでございます。また、このガイドラインにつきましては、まずは暫定的なものとして公表させていただいて、今後、機動的に加除修正していくことを想定してございます。本日はこのガイドラインの大きな方向性について御議論賜りたいと考えてございますが、今後、本特別委員会でも具体的な案についてさらに御議論をお願いしたいと考えております。
 簡単でございますが、説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。というわけで、文部科学省としての現状の見通しといいましょうか、考え方の大枠はこういう状況で、これは今朝も永岡大臣が御発言されたところでございます。一方で、政府全体として動いていることもありますし、いろいろなG7の大臣会合でも、デジタルの大臣会合でも生成AIのことは話題ですし、様々なところで話題になっておりますので、文部科学省だけで何かというわけにもいかないところでございます。
 私たちはこのデジタル学習基盤の委員会として、これについて私たちなりの見解をしっかりと提出する必要があるだろうと考えております。この本格的な審議はまた後ほど、書面ヒアリング等の結果を受けて私たちで審議していくことになると思うんですけれども、これは喫緊の課題ですので、今日の段階でぜひ何か一つ二つ御意見がある方は御意見を承っておきたいと思うんですけれども、御発言いかがでしょうか。
 梅嶋委員、お願いします。
 
【梅嶋委員】ChatGPTですけれども、どちらかというと教育というよりもインフラストラクチャーとかそういう、私、電力ですけど、そういう報道のほうが活用が進んでいるところがあるんですが、一つ重要な論点としてはChatGPT自体を人間がコントロールできるか、できないかというところの、これが一番大きな議論でして、コントロールできないことになった場合にはどうやってリスクアセスメントするかという、次のフェーズになるところがありますので、まずここはベースとしてお考えいただくことが重要じゃないかと思っています。
 一方で、利活用はどんどん進んでいくところはもう止められない事実ですので、これを禁止することはできなくて、いかに要するに人間の活動に合わせていくか、もっと言うと人間がコントロール可能な状況で使っていくかというところが、ChatGPT全体の世界的な議論の趨勢だと思っています。
 その上で、少し気になっている点を3つぐらい述べさせてもらえればと思っております。一つは、多分このままいくと生成AIというのは透明性が高い生成AIと透明性が低い生成AI、2つに分かれてくると思っています。その意味では、透明性が低いということになりますと何が起こるか分からないAIということになりますので、ここは透明性が高いシステムというところを選択することは、人間においてすごく重要になってくるのではないかと思っています。それが1つ目です。
 2つ目は、著作権との動機で書かれていますけれども、あらゆるものに関して、例えば創造で使う、創造性で活用するにしても引用元を明らかにしない形で他人の著作物を勝手に使った場合はそれは捏造ですので、これはChatGPTが作ったからといえども引用元をしっかりと明示しないものに関しては、それは教育活動で使った場合には捏造ですよということをしっかりと明示するところは必要じゃないかと思っています。
 そして最後ですが、このChatGPTの最大の問題といったところが、フェイクデータとリアルデータの区別ができないところでございまして、要は世の中で多数の人が例えばアクセスしているような情報というのを、イコール正しいデータとして認識する傾向があるところが最大の問題でございまして、その意味ではガイドラインを書かれるときにChatGPTはじめとして生成AIで作り出してくるものというところに対しては、時として間違ったフェイクデータを引用する可能性があるところは、明確に明示する必要があるのではないかと思っています。
 逆に言うと、全部が正しいデータのデータプールの中でChatGPTを動かすと、これは最近出ている医師の国家試験や大学入試なんかもほぼ多分ChatGPTのほうがうまく解くんじゃないかと思いますので、ポイントはそのデータの真正性、正しさというところが担保できるところがポイントじゃないかというところで、産業界では正しいデータを先にデータクレンジングしますので、その結果としてどんどん普及が進んでくるところはあると思います。
 
【堀田委員長】ありがとうございます。持続的な専門家の観点からいただきました。ありがとうございます。
 奈須委員、先に挙げていらっしゃいますので、奈須委員の次に横尾委員と思います。時間があまりありませんので御協力をお願いいたします。奈須委員、お願いします。
 
【奈須委員長代理】ありがとうございます。生成AIに特有なこともあると思うんですけど、もっと今後またいろいろ出てくるでしょうから、今回のことは、新たなテクノロジーが出てきたときにどんなふうに対応するのかの試金石だと考えたいと思います。
 テクノロジーを利活用する際の一般原則として、禁止という発想はできるだけ持たないで、十分な知識やスキルのあるスタッフ、教師がいる限られた状況、パイロット校のような形で例えば規模を限って、しかしとにかく可能な使い方は全て試してみるような、少し実験的なことなんていうのは必要だろうと思っています。
 もちろんその様子を丁寧にモニターして、得られた多様な事実が指し示すものを専門性を有するチームで多面的に分析することかと思うんですね。そうすることで何が留意事項で、何が禁止にまで踏み込むべき事項かということが網羅的に見えてくるのかと思います。
 いずれにせよ、あまり試していない時点で消極的な利活用をすると本当に危険なこと、特に長期的に悪さをするようなことがどこに潜んでいるかがいつまでたっても判断できないので、まずはパイロット校のような一定の安全性を確保した状況下で果敢に使ってみることを考えてはどうかと思います。
 例えば今日御欠席ですけど、神野委員の学校では既にかなりいろいろ大規模に使っていらっしゃるとおっしゃっていたので、神野委員の学校の御様子など、あるいは果敢に挑戦されていらっしゃると思いますのでどんなことが見えてきたかということを共有し、進めていくことがいいかと思います。
 また、私自身は生成AIのような最先端テクノロジー以前の問題として、もっとローテクなものが使われていない、あるいはどう使われるかということも大事かと思います。例えばまだ電卓がちゃんと使われていないんじゃないかと思うんですね。あるいはワープロもちゃんと使われているんだろうかぐらいのことです。AIに近いものとしては、翻訳ソフトというのは今、外国語の授業でどのぐらい使われているんですかね。まだあまり使われていないと思うんですけど、何かその辺りのことも同時に検討していかないと、生成AIのことだけを議論していってもデジタル学習基盤の全体構造を議論することにはならないかとも思っています。
 逆に言うと、生成AIのような本当に緊急性のある、あるいはちゃんと考えていかなきゃいけない事態が生じてきたということは、ある意味でチャンスだと思っていて、少なくとも翻訳ソフトぐらい、きちんと日常的に使ってみようと。すると何が起こるのか、あるいはどんな外国語授業の変革が起こるのか、そういったことを併せて試してみることは大事なことかと思っています。以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。では、横尾委員。
 
【横尾委員】ありがとうございます。ChatGPTそのものについてはいろいろな意見あると思いますが、私は個人が持っている芸術性とか、創造性とか、感性とかいうものをちゃんと生かせるようにしていきながらルール化するとか、ガイドラインというのがとても大事じゃないかと思います。
 あと併せて思うのが、子供たちのいる学校現場だけのことに関するガイドラインではなくて、大人もばんばん使っていきますので、そうするとどういうことが必要かというと、私は超高齢化社会に向かう中でデジタル教育を全ての世代に早くやっていかないと間に合わないという意識を強く持っています。このこともそうですし、あとセキュリティーについても非常に認識が足りないまま大人になって対応してしまうと犯罪に巻き込まれたり、トラップにかかったりしますので、そういったことも僕はやるべきだと思います。
 例えばデンマークでは、高齢者団体が国民のデジタル教育を担ってやっている話を若宮さんの情報でも聞いたことがあります。もっとそういう意識が必要だと思います。
 あと身近の例で言いますと、私自身の経験ですが、学生のときにカナダに留学したのです。そこで一番驚いたのは最初のレポート課題が出たときに、学会用のマニュアルを全員に配られました。このグラマーでもって書きなさいと。このグラマーに則ってなかったら私は見ないと教授が言われたのです。これが大学1年生への指導です。ということは標準的なものを最初にしっかり覚えて、そのことにより大人になっていつでも使える技術、スキルを身につけていく訳です。そこには良からぬ情報をコピーして使うのは駄目とか、そういうマナーやルールは当然入ってきます。そういったことも一方では学校のみならず、一般社会人も含めて教育していかないと、モラルの部分も脆弱化を露呈してしまうと心配を持っています。以上です。
 
【堀田委員長】ありがとうございました。意見が尽きないかと思いますが、時間の関係で今日はここまでとさせていただきたいと思います。この上の会議体にあたる初等中等教育分科会でも、このChatGPTを教育でどう使うかとか使わないかとかいう話ではなくて、これはこういうものが出てきた時代の教育内容とか、学習指導というのはいかにあるべきかという、もっと根本的な問題を突き詰めているんだということが出されています。これは奈須委員もおっしゃったことですけれども。
 私たちが今、考えなければならないのは、新しいものを使うとか使わないとかいう話ではなく、これは検索エンジンが出てきたときも似たような議論がありましたが、これはもう多くの人がいずれ使いますので、どのように使うかの心得みたいなことをどうやって教育していくか、それが新しい教育内容だということかと思います。
 お時間、大体来ておりますのでこの辺りまでにしたいと思いますが、最後に次回の予定につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
 
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】先生方、今日は本当にありがとうございます。次回の本特別委員会日程については、また追って御連絡を申し上げたいと思います。様々なChatGPTも含めて、御議論ありがとうございます。御指摘いただいたことを、また有識者からのいろいろな本当にこれ、多岐にわたっている御意見が出ております。なので、この夏前という一定のスケジュール感の中で整理していくことと、今まさに堀田委員長からあったような、この先のカリキュラムみたいな話は、それはそれで整理してまた引き継ぐ部分とか、それと一度出た、出したものをまた修正していくとか、その辺も含めて柔軟に考えたいと思っております。ありがとうございます。
 
【堀田委員長】ありがとうございます。この書面ヒアリングは、AIの専門家だけに聞いているという話ではなくて、あらゆる方々に聞いていらっしゃると聞いておりますので、いろいろな立場の御意見がまた上がってくるかと思います。私どもでそれをまた議論したいと思います。
 また、このデジタル学習基盤特別委員会は、先ほども申し上げましたように中教審の中にこの分野の総合的な議論をする委員会ができたという、非常に重要な存在であると同時に、各論についてはほかのいろいろなワーキングとか各種委員会で検討されてまいりますので、それもここで皆さんに御開陳しまして、その上でいろいろ御議論をいただきたいと思います。
 本日予定した議題はここまでとなりますので、オンラインの方々も十分に御発言いただけなかったところもあるかと思いますが、意見の不足分につきましては事務局にメールでお寄せいただければと思いますので、今後ともこれは重要な委員会ですので、何とぞよろしくお願いいたします。傍聴の方々も、本当にありがとうございました。今日はここまでといたします。閉会いたします。
 

―― 了 ――

 

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