令和8年6月30日(火曜日)16時00分~17時30分
文部科学省
※対面・WEB会議の併用(傍聴はWEB上のみ)
石井委員、植坂委員、亀田委員、利根川委員、西端委員、堀田委員、森田委員、横尾委員(50音順)
堀野大臣官房学習基盤審議官、浅原参事官(デジタル学習基盤担当)、出分参事官補佐、菅野参事官補佐、谷合教育DX推進室長、喜屋武室長補佐
中央教育審議会 初等中等教育分科会
デジタル学習基盤特別委員会(第10回)
令和8年6月30日
【堀田委員長】 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会の第10回を開催いたします。本日もまた御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
いつものことですが、本日も報道関係者と一般の方向けに、本会議の模様をZoomウェビナーにて配信しておりますので、御承知おきください。
それでは、本日の会議の開催方式及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【出分参事官補佐】 堀田先生、ありがとうございます。
本会議につきましては、前回までと同様に、対面とオンラインのハイブリッド方式で開催をさせていただきます。
ついては、ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、オンライン参加の委員におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含めて会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。対面参加の委員におかれましては、お手元の端末について特に操作していただく必要はございませんが、何か不具合がございましたら事務局の者が対応いたしますので、お呼びください。何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
次に、資料の確認をさせていただきます。本日の資料、議事次第にございますとおり、資料1から3まで、また、参考資料1と2となっております。御不明な点などがございましたら、お申しつけください。
続きまして、本年4月に事務局の組織再編と人事異動がございました。これまで本会議の事務局は学校情報基盤教材課でしたが、組織再編により、参事官(デジタル学習基盤担当)付となっております。
また、4月より新しく浅原参事官また谷合教育DX推進室長が着任しておりますので、御挨拶をさせていただきます。
【浅原参事官(デジタル学習基盤担当)】 失礼いたします。4月1日付けで着任いたしました、参事官(デジタル学習基盤担当)をさせていただきます浅原と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【谷合教育DX推進室長】 同じく本年4月1日付けで教育DX推進室長に着任いたしました谷合と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。浅原参事官、谷合室長、これからよろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題についてでございます。本日の議題は三つございまして、一つ目が、学校におけるAI活用の現状等について、二つ目は、地方自治法の施行規則の改正等に伴う教育情報セキュリティポリシーの改訂等について、三つ目が、次世代校務DX環境の整備の現状等についてということになっております。
それぞれの議題ごとに、事務局より御説明をいただいた上で質疑を行う、意見交換を行うという形で進めさせていただきます。
なお、最初に申し上げておきますが、現在、中教審の教育課程部会では次期学習指導要領の議論が進められております。次期学習指導要領は、令和12年度、2030年度から全面実施となる見通しでございまして、2030年はGIGAスクール構想が始まって10年経っていますので、このデジタル学習基盤の活用を前提とした学びという方向性で次期学習指導要領の議論が進められているところでございます。
そのデジタル学習基盤として、それをどう用いて深い学びをみたいな話は、この特別委員会と非常に深い関係になりますし、また、子供たちがデジタル学習基盤の機能をうまく使いこなしながら学びを進めて深めていくというふうになったときに、情報活用能力が非常に大事になります。情報・技術ワーキンググループで情報活用能力の抜本的向上について議論が進められている最中であり、現在、取りまとめに向けた大詰めの議論を行っているところでございます。
これらが今日までには完了しておりませんので、次回以降の会議で御報告をさせていただくということになりますが、今後、こういった次期学習指導要領の動きを踏まえて、デジタル学習基盤についての現状や追い込み等をしっかりやっていく必要がありますので、この特別委員会でそのことも議論していくということになると思っております。よろしくお願いいたします。
今日の議題の一番から入りたいと思います。「学校におけるAI活用の現状等について」ということでございます。これは、生成AIの活用のガイドライン等、一つ目、二つ目と今出てきておりますが、技術の進展が大変早うございますので、それを踏まえて、子供たちに、あるいは教員が適切に活用するということを各学校、パイロット校を中心に進めているところでございます。これについて、現状及び今後の取組の方針について、事務局からまず御説明いただいて、それから皆さんに意見交換をお願いしたいというふうに思います。
それでは、事務局からお願いいたします。
【浅原参事官(デジタル学習基盤担当)】 それでは、私より学校教育におけるAI活用に関するこれまでの取組と今後の方向性として御説明をさせていただきます。
まず、これまでの生成AIに関する取組を御紹介させていただきます。生成AIの利活用に関する文部科学省のこれまでの取組でございますけれども、生成AI、御案内のように、この数年で急速に進化した先端技術でございますが、様々なリスクも存在するということでございまして、初等中等教育段階におきましては、生成AIの適切な利活用に向けて、ガイドライン策定など取組を実施しているところでございます。
右側のほうになりますけれども、生成AIの利活用に関するガイドライン、令和5年の7月に暫定的なガイドラインを公表いたしまして、その後、令和6年12月にガイドラインバージョン2.0という形で改定をしております。こうしたガイドラインの策定、また、研修の実施、教材作成、また、生成AIパイロット校の指定を通じた事例創出、そのほか生成AIの利活用に関する実証事業、こうした取組に文科省はこれまで取り組んできたところでございます。
1枚おめくりいただきまして、生成AIの利活用に関するガイドラインでございます。こちらのガイドライン、教職員や教育委員会等の学校教育関係者を主たる読み手として、学校現場における生成AIの適切な利活用を実現するための参考資料となるようまとめたものでございます。
次のページですが、こちらがガイドラインバージョン2.0の概要となってございます。構成といたしまして、大きく、生成AIについての概要、そして、2番目に基本的な考え方をお示ししております。基本的な考え方といたしましては、あくまで人間中心の利活用を行うということです。リスクや懸念を踏まえた上で、最後は人間が判断し、責任を持つことが重要、また、学習指導要領に定める資質・能力の育成に寄与するか、教育活動の目的を達成する観点から効果的であるかを吟味した上で利活用をするといったことを規定しております。
また、情報活用能力の育成強化といった点で、情報モラルを含む情報活用能力の育成を一層充実させていくことが必要であるといったことも明記しております。
右側に行っていただきまして、3ポツ、学校現場において押さえておくべきポイントでございますけれども、教職員が校務で利活用する場面と児童・生徒が学習活動で利活用する場面と別に書き分けております。
教職員が校務で利活用する場面につきましては、校務において利活用することで、校務の効率化や質の向上等、働き方改革につなげていくことが期待される。また、教職員自身が新たな技術に慣れ親しみ、利便性や懸念点を知っておくことは、児童・生徒の学びをより高度化する観点からも重要であるといったことを明記しております。
一方、児童・生徒が学習活動で利活用する場面につきましては、発達段階等に留意しつつ、リスクや懸念に対策を講じた上で利活用を検討すべき、また、教育活動の目的を達成する観点から効果的であるかを吟味することが必要としております。
また、教育委員会等が押さえておくべきポイントといたしまして、二つ目の丸でございますけれども、各学校の実態を十分に踏まえた柔軟な対応を講じることが必要であり、一律に禁止・義務付けるなどの硬直的な運用は望ましくないとしております。
そして、共通して押さえておくべきポイントとして、安全性を考慮した適正利用、情報セキュリティの確保などを規定しているところでございます。
そのほかパイロット校の取組でございます。生成AIガイドラインを遵守するといった形で、学校現場における生成AIの適切な利活用の実践事例を創出し、その成果・課題の検証、好事例の創出・普及を行うといったことで実施をしております。
取組内容につきましては、大きく三つ、教育利用で、学習場面における生成AIの利活用、校務利用として、校務における生成AIの利活用、そして、教材実証として、AIを含む情報活用能力の育成に向けた教材実証と、こういった三つの区分で実施をしております。
その上で、パイロット校につきましては、夏季学習会であったりオンライン座談会であったり、また成果報告会といったような形で取組・実践を共有し、また、その普及・展開を目指しているというような状況でございます。
次のページ、こちらが令和8年度の生成AIパイロット校の一覧ということになってございます。
続いて、生成AIについて学校教員が学ぶことのできる機会を様々提供しております。ウェブサイトやイベントなどを通じて教員向けに研修機会の提供を行ったり、また、イベントを通じた研修機会の提供を行っているところでございます。
次のページですが、パイロット校における学習場面の利活用の事例を幾つか御紹介しております。例えば左下、中学校ですが、話し合いで問題を検討するといった場面で、グループごとに設定した問題について話し合う活動を行う際、新たな視点や自分たちの意見について、別の視点を生成AIから得て検討を深めるといったような活動実施がなされております。
生徒たちの様子としても、生成AIから得た視点もグループで話し合った内容に加えた上で再検討して、最終的な結論を出していたというような、そういった様子が見られております。
また、AIを活用したグローバル人材育成のための英語教育強化事業ということも実施しておりますので、併せて御紹介をさせていただきます。英語教育におきまして、教師やALTによる指導とAI活用との効果的な組合せを実証研究するといった事業で、約200校のモデル校を指定して実施をしております。各モデル校の取組を通じて、AIを活用した英語教育を普及するといった取組も実施をしているところでございます。
続きまして、校務での利活用の事例になります。幾つか事例を御紹介しておりますけれども、例えば、左の上から二番目、奈良市鼓阪小学校におきましては、外国にルーツを持った子供が多く在籍している中、生成AIとその他の翻訳ツールを使い分けながら学級通信や学校便りを翻訳しているといったような活用例、また、右上のかすみがうら市の小学校の取組ですが、生成AIを活用して学校ホームページの記事作成の負担を軽減しているといったような校務での利用も見られているところでございます。
次のページになりますが、校務における生成AIの利活用の状況ということでございます。左側、御覧いただきますように、活用の状況、令和5年度、6年度、7年度と増加をしているという状況でございまして、全く活用していないといったパーセンテージは16.3%というような状況になってございます。
また、右側になりますが、実際に教職員の半数以上が活用した学校のうち98%が働き方の改善に効果があったと実感していると、そういった効果があったと思う学校が非常に高い割合になっているという状況でございます。
続きまして、今御紹介をさせていただきましたように、一般向けの汎用的な生成AIサービスを用いた事例というものが様々創出されているところでございますが、一方で、一般的な汎用的な生成AIサービスというものは各自治体の制度や環境、実態を考慮したサービス設計にはなっていないということから、例えば、成績情報などの重要性の高い情報を入力できずに、特に校務を実施する際の利活用の障壁となっているといったような現状も見られるところでございます。
この令和6年度、7年度の実証研究事業におきましては、セキュアな環境における生成AIの校務利用ということも実証研究をしておりまして、例えば、左側でございますけれども、学校現場における実証ということで、セキュアな環境の構築に係る課題を整理、また、生成AI等ダッシュボードの活用方法等に係る課題の整理などを実施しております。
実際に実証研究において創出された生成AIの活用事例というところで、左側になりますけれども、赤枠に囲っておりますが、セキュアな環境下における生成AIの活用として、単に生成AIとの壁打ちを通じた所見案の作成ということではなくて、先生方の日々の見取りデータに基づく所見案の作成といったこともセキュアな環境の中では行うことができるといったことになってございます。
そのほか生徒指導記録を用いた校務分掌の方針案の作成でございますとか、校内アンケートを用いた分析・示唆の取りまとめ、そういったことも可能になってございます。こうしたセキュアな環境下におきましては、業務の更なる効率化はもちろん、業務の質の高度化にも寄与するといったことがこの実証研究事業を通じて想定されるところでございます。
次のページですが、実際に校務における生成AIの利活用を通じた業務時間の削減ということにつながっている事例でございます。例えば、児童・生徒の指導に関わる業務の支援といったところでございますけれども、所見の素案を作成して、そして、特別支援学級では個別の教育課程が組み込まれており、プロンプトを生徒ごとに工夫することで、これまで以上に各生徒の様子を細やかに見ることができるようになった、これまでは一か月以上かかっていたものが生成AIの活用により1週間程度に削減されたといったような事例も見られているところでございます。
そのほか教育課題の解決に向けた教育分野特化の生成AIの実証研究事業も実施をしているところでございます。汎用型モデルを活用したものではなく、教育分野に特化させるための参照データの整備や、また、モデルのチューニング、現場での実装の在り方など様々な検討を行い、学校現場実装への知見を体系化するといったことを目的として実施をしております。
テーマは三つに絞っておりまして、個別最適・協働的な学びの深化の実現、誰一人取り残されない教育の実現、また、データ利活用の促進といったようなテーマで実施をしております。
例えば、テーマ2の誰一人取り残されない教育の実現といったところでは、特別支援における支援計画等の作成支援による教員の負荷軽減・指導力向上、自立活動の深化の実現といったことで、過去の教育支援計画や指導計画等のデータも活用して、生成AIが流れ図や個別の教育支援計画等を生成するといったような取組も行われているところでございます。
また、データ利活用の促進といたしまして、教科書データの活用基盤の構築による学習サービスの品質向上の実現といたしまして、中学校の数学と一部教科の教科書を意味単位で構造化し、メタ情報が付与されたデータベースによるRAGを基盤として提供するといったようなことも取組として行っているところでございます。
これまで御紹介したような内容が、次のページ、予算事業として実施をしているということをまとめた資料でございます。
次のページは今後に向けた取組でございます。生成AIの技術進展が進む中で、様々な国際的な知見、データというものも蓄積がなされつつあるというような状況でございます。例えば、こちらはOECDのTALISの調査でございますが、中学校教員のAI活用率とそして専門的な学習の割合というふうなことでございます。AIの活用に関する専門的な学習を行った割合が高いほど、AIを使用したと報告している教師の割合が高いといったようなデータが見られておりまして、日本については、その割合が各国と比較して低い状況ということが見られております。
また、次のページは、OECDによりまして「Digital Education Outlook 2026」として今年の1月に公表されたものでございます。教育分野における効果的な生成AIの活用に関する最新のエビデンスをまとめた報告書となっております。
内容をいくつか御紹介させていただきますと、例えば、生成AIにつきましては、より一人一人に応じた支援の拡張、フィードバックの質の向上、評価の一部自動化を可能にしている。他方で、生徒や教員の主体性、いわゆるエージェンシーと言われるものですけれども、そういったものや、また、学習過程を省略すること、いわゆる認知的オフロードによる学習効果を低下させるリスクも指摘されているとされています。
そして、進むべき道は、技術を拒絶することではなく、深く意味のある持続的な学習を育むためにどう活用できるかに焦点を当てる必要があると指摘をしております。
また、教師が学生の主体性を促し、学生の成果物よりも思考や学習プロセスを重視することが求められ、また、構造化された指導戦略や評価設計といった明示的な教育モデル等を組み合わせたシステムは、汎用モデルよりも有望であると指摘をしています。
また、汎用的な生成AIか教育分野特化な生成AIかに関わらず、生成AIサービスは教師による教育的な意図の下に学習場面の中で活用されることが重要であるといったことも指摘がなされているところでございます。
続きまして、こちらもOECDの「Digital Education Outlook」からの学術研究の例になりますけれども、こちらは教育分野特化に関連する学術研究の例となってございます。
例えば左上、学習成果と汎用AIに関する研究例ということでございます。トルコでの実証事例で、授業ノートと教科書、汎用LLM、教育用LLMを使用して比較を行った学術研究でございますが、学習成果といたしまして、AIを使用した②と③、つまり汎用LLMと教育用LLMのグループは、①のグループより、授業ノートと教科書よりも正答率が大幅に高く、特に教育用AIが最も顕著な向上が見られているといったような結果が見られております。
またその下、汎用AIを活用した場合に、学習課程に関する研究例というものも示されているところでございます。例えば、エッセイを修正する際に人間の行動パターンを比較した学術研究でございますけれども、人間の専門家と対話した学生は、診断、支援要請、評価、反復、実施といった段階的なプロセスを踏む一方で、汎用LLMを利用した学生の一部は、AIが提示した解決策をそのまま即座に実行し、診断、評価、反復といった思考プロセスを頻繁に省略していたと、そういった汎用AIの活用の事例になってございます。
それから右上、フィードバックに関する研究例といったものも示されております。AIが生成したフィードバックと人間のフィードバックは統計的に類似した学習利得をもたらすが、学習者は人間のフィードバックをより信頼性が高く意味あるものと認識をしているといったような、そういった研究例も示されているところでございます。
そのほかAIに関するリスクや懸念に関する学術研究の例といったものも蓄積されつつあるところでございます。例えば、右側の批判的思考やメタ認知等の学習過程への影響といったところでございますけれども、AIツールの頻繁な使用と批判的思考能力との間に有意な負の相関があり、若年層はAIツールへの依存度が高く、批判的思考スコアが低い傾向といったようなことも見られているところでございます。
以上を踏まえまして、今後の取組の方向性ということでございますけれども、安全かつ主体的にAIを活用できる学習環境の構築といったことが取組の方向性として考えられるのではないかと考えております。
左側、現状や課題といったところですが、これまでの説明と重なる部分もございますけれども、ルールが明確でなく、リスクを恐れ適切な利活用が広がらないといった課題があるのではないか。例えば、ガイドラインが原則論にとどまっており、具体性が乏しいのではないかといったような御指摘もあるところです。また、AIのリスクを過度に感じていたり、有効な活用方法が浸透していないといったような課題も聞かれるところでございます。
また、下でございますけれども、汎用AIでは学習や教師の専門性を支えられないといったような指摘も、先ほど御紹介を幾つかさせていただきましたが、指摘されているところでございます。
それから、偽誤情報の出力リスクなどを防ぐためのデータがないといったところも課題として指摘がなされております。例えば、偽誤情報や児童・生徒に有害な出力や、児童・生徒の発達段階を踏まえていない難し過ぎる情報、大量の情報を出力してしまうといったような課題が見られるところでございます。
また、校務系の重要性の高いデータを活用できないといった課題については、実証研究で取り組んでおりますけれども、十分なセキュリティが担保されていない場合、AIに児童・生徒の成績データ等を踏まえた状態で、AIを活用して業務を行うことができないといった課題が指摘されているところでございます。
こうした左側の現状と課題を踏まえまして、今後の目指す方向性というものを右に書かせていただいております。
まず、①のところにつきましては、ガイドラインの改定、また、研修を通じた周知・広報ということが必要ではないかということです。AX時代に必要な情報活用能力の考え方を踏まえ、ガイドラインで効果的な場面と活用すべきでない場面を、具体例を明示することが必要ではないか。また、リスクを踏まえた研修機会を拡充し、教職員のAI活用を促進する必要があるのではないか。
②でございますけれども、汎用AIでは学習や教師の専門性を支えられないといった点を踏まえて、教育分野に特化したAIの実証研究というものが必要ではないか。例えば、校務支援システムへのAI実装などを通じて働き方改革を推進することや、多様な個性・特性への対応、また、深い学びの実現に向けた活用といったこと、また、新技術の検証等などが必要ではないかといった点。
また、③でございますけれども、基盤的なデータの整備とAIのリスク評価といった点でございます。偽誤情報などの出力リスクがあるといったような課題を踏まえて、実装に必要な指導要領や参考資料、教科書等の公共的かつ質の高いデータのAI-Ready化が必要ではないか。また、有害な出力をさせないガードレールとなるリスク評価データ等を整備する必要があるのではないかといった点。
また、最後になりますけれども、④で、学校現場で安全にAIを使えるインフラ整備が必要ではないかといった点でございます。セキュリティの担保された環境を整えることで、校務における保有データの利活用を推進し、教職員が校務でAI活用できる環境を実現することが必要ではないか。こういったことが目指す方向性として考えられるところでございます。
最後になりますけれども、そのうちAIガイドラインの改定に向けてでございます。先ほど来御説明申し上げましたように、現状のAIガイドラインにつきまして、一定学校現場でも御活用いただいているところでございますが、更なる具体化を図るといったことも必要ではないかといったことを先ほど申し上げました。また、リスクやその利活用に関する国際的・学術的な議論が蓄積をされているといったことも御紹介をさせていただいたところでございます。各学校における具体的な実践事例が蓄積されてきているといった状況もございます。
こうした状況を踏まえまして、あくまで一律の禁止や義務付けを求めるものではない参考資料という位置付け、また、現在の人間中心の利活用といった考え方を基本としつつ、専門家の皆様、また教育関係者、事業者の皆様にヒアリングを行いながら、本委員会で報告を行いながら、学習指導要領の改訂を待たずにガイドラインを改定してはどうかと考えております。
主な検討項目といたしましては、技術の進展に関する現状認識、リスク関連の学術研究、また、教師の役割、AIサービスの提供者に求められる視点、こういった様々な検討項目が考えられるところでございますけれども、こういった点を中心に専門家の皆様、関係者の皆様にヒアリングを行いながら、また、本委員会でも御議論いただければと考えているところでございます。
事務局からの御説明は以上でございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました件につきまして、委員の皆様から、挙手ボタンを押していただいて、御意見等を賜れればと思うところでございます。
今日は、先ほど申し上げませんでしたが、委員長代理の高橋先生や奈須先生は御欠席でございまして、また、中川委員や平田委員も今日は御欠席でございます。オンラインと対面の方々がいらっしゃいますけれども、私がオンラインだという関係もありまして、すいませんが、皆さん、挙手ボタンを押した上で、こちらから御指名させていただきたいと思います。時間の関係もありますので、一人当たり手短にお話しいただければと思います。
では、石井委員、横尾委員の順番で参ります。石井委員、お願いいたします。
【石井委員】 石井でございます。よろしくお願いいたします。
AIに関して、このように的確にガイドラインのこと、そして活用の実際のこと、また学術的な内容についてまとめていただいたこと、大変ありがとうございます。
様々な自治体のお話を聞くと、AIのガイドラインについては国のガイドラインに準拠することが多いということを聞いております。特に指導主事のいない自治体においては、このガイドラインが非常に役に立って、何もないよりは国のものがあるということで、大変有効であるという話は聞いております。
ただ、AI活用について、その有効性とかリスクについて十分に自治体で検討して、そして方向性を示していくのが重要かなと思っておりますが、なかなか、自治体のそれぞれの判断でアクセルを踏んだり、そしてブレーキを踏んだりしている状態であるということを聞いております。
国の方向性のとおり対応していると、あたかもうまくいっているように感じられますけれども、実際には、各自治体において、セキュリティ面だったり整備面等について同じ環境の自治体はないと思いますので、やはりしっかり吟味して学校に通知していくことが大切かなと思っております。
実は、本校でも校務の効率化をどんどん進めていくという形で、週予定を、クラウド化していこうとか、AI所見というシステムを使ってみようとか、採点システムと連携するとどうかなということで、AIをうまく中に入れて活用していこうとすると、セキュリティの関係でスムーズに連携できないという事態が発生しております。
資料の13ページで示されているように、セキュアな環境が全国どこでもGIGA環境のように整備されていくことで、AI活用のみならず、データ利活用も推進していくものと考えております。
このような中、今回のこれまでの取組、22ページのように、方向性とこれまでの課題等を整理していただいたこと、こちらを今まで出ているガイドラインとともに再度自治体に共有されていくことで、GIGAの活用において、校務でうまくいったことが授業で活用された、また、その逆が行われたという成功事例が、AIの活用でも進んでいくことを願っております。
以上、感想になります。ありがとうございました。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
横尾委員、お願いします。
【横尾委員】 ありがとうございます。意見を申し上げます。
一つは、世界のAI事情はどんどん進化しているんですけれども、これがどんな状況かということも片方ではフォローされながら、こういったガイドラインや今後の施策をぜひ充実してほしいと思っています。
まず、ガイドラインについてですけれども、必須で大切だと思います。今の御意見にもあったように、ローカルな地域においては、これが1つの大きなメルクマールになると思います。そういった意味では、ぜひ、冊子化されると思うのですが、そのサマリーというんですかね、章ごとにここには大体こんなことが書いてある要約も添えていただき、それを一回読めば全体も大体分かるというぐらいの配慮があれば、読者となる教育関係者の理解の速度もモチベーションも生き生き上がるように工夫していただくと、随分伝わり方も効果も違うと思います。
もう一つは、伝える内容が、緻密すぎて、あまりにもタイトな感じで重荷に感じられそうなイメージになりますと、学校の先生方もお忙しい訳ですから、心理的に毛嫌いされても困ってしまうので、ぜひその辺はちょっとした工夫が必要かなと思います。そのためにもということもあって、資料の中にも書いてありましたけれども、レクチャーの機会が大事です。せめて指導役あるいは助言役の人をブラッシュアップするような、そういったことをぜひやってほしいなというふうに感じました。
2つ目はパイロット校です。資料に見れば、全国で県が入っていないんです。岐阜、山梨、秋田、岩手が多分入っていないかと思います。これは入れたほうがいいと思います。それらの県で「うちの県は入っていないよ」というふうに言われてしまいますので、何か工夫されてもよかったのかなという印象を持ちました。それが7ページについてです。
8ページはウェブサイトのビデオが紹介されていたので、早速、昨日の夜、視聴してみました。大人バージョンは割とコンパクトに作ってあるなと思ったのですが、子供バージョンはとてもよくできていると思いました。ただ、ちょっとスピードが速くて、ゆっくり理解したいお子さんにとってはちょっとスピードが速いかなという印象を持ちました。
また、その中に、ChatGPTをはじめとしたAI等に尋ねる場合の、プロンプト的なものを打ち込む場合、「それが残ってしまってウェブ上で拡散されてしまうので、いいかげんなことを書かないほうがいいよ」というふうな助言も実はあったのです。そういったことを明快に言っていただいた説明は、ひょっとしたら、私は初めて見たようにも感じましたので、そういうマナーとモラルのみならず、今後にどのようにインフルエンスするかということを御指導いただくのもとても大切だと思いました。そうしていかないと後々トラブルになると思いました。
続いて、13ページの英語学習のことが書いてあったのですが、ぜひ根本的に英語力が伸びるようにぜひ工夫してほしいという希望を申し上げます。グローバル時代に欠かせません。
また、14ページには業務時間の削減のことが書いてありますけれども、AI利活用による業務時間の削減は、民間でも当然ビジネスでもされています。そういった意味からすると当然のことと考えられますので、どこをどのように本当は変革したらイノベーションが起こるかということも考えてみる。テキストどおりやるのが必ずしもいいわけじゃない場合もある訳ですからね。それももちろん一つですけれども。ぜひそういった柔軟かつ創造的な対応のことも勇気付けていただいたらいいのかなと思います。
最後に、校務の考え方はそういうことでございますが、AIの活用の状況が出ておりました。22ページですかね。国内各分野でどんどん今進化していますので、ぜひそういったことをうまくつないでいただく必要があると思います。民間は本当に、今月も来月もそういうセミナーとかオンラインセミナーとかがオンラインも含めて、頻繁に行われていますので、いろいろな形でビジネスマンの方も、あるいは先生方や先生を志している人もアクセスの機会があると思うのです。そういう時代状況ですから、情報を提供する知恵をアドバイスしていただく、文部科学省から見劣りしないような発信とか情報フローをお願いしたいというふうに感じました。
以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
では、この後、亀田委員、森田委員、植阪委員の順番で参ります。亀田委員、お願いします。
【亀田委員】 ありがとうございます。先ほどの丁寧な御説明、ありがとうございました。私は現場の立場から少し意見を申したいと思います。
まず、6ページから御説明のあった生成AIパイロット校の取組の御説明のところですが、本校も実はパイロット校の指定をいただいておりまして、大変ありがたく思っております。学ぶ機会が豊富であること、そして、横とのつながり、全国各地の方々とつながって学び合えること、非常にいい事業をいただいているなというふうに思います。
その中で私が感じますのが、最初の頃のICTが導入されてDX化が進んでいく中での校務の効率化が、またAIが導入されたことによってワンランクアップしているという感じを受けております。具体的に申し上げますと、例えば、もうそろそろ学期末ですので、個人懇談の希望時間を保護者にアンケートを取る際に、これまで紙だったものを、アンケートフォームを活用して調査し、希望時間を基に担任が組むという段階が一段階目だったと思います。
AIを活用するようになって、そのアンケートフォームのデータをAIに読ませて、時間割を作成してくださいというふうにすれば、一気に時間割が作成されるという段階に行っております。恐らくパイロット校では、そういう活用事例がたくさんあろうかと思います。
つまり、どんどん業務も効率化されています。本校の事例で言いますと、去年と比べて時間外在校等勤務時間が4月、5月と月平均6時間ずつ、更に減少し始めました。一旦下がるのが止まるのかなと思ったんですが、AIが入ったことで更なる校務DXが加速化していることが数値からも読み取れております。肌感覚でも、職員の働き方からも分かります。
二点目ですが、22ページにありました教育分野に特化した生成AIの活用ですが、もしかしたら現場の先生にとって安心感を生むことになるのではないかという点と、エネルギー問題も考えますと、もしかしたらコンパクトなAIが使えるといいのかなというふうに思っておりまして、事務局の御提案には賛同いたしております。
あと、指導案の作成の事例がパイロット校からたくさん出ておりました。11ページでありますとか14ページに、学習指導要領解説や、指導と評価の一体化の資料をAIに読ませ指導案を作成する。その中で時間の削減が、あるいは質の向上が事例として挙がっておりましたが、本校においても生成AIパイロット校の責任を感じておりまして、いろいろな事例をつくって横展開したいということで、全教科の全教員で生成AIを使いながら学習指導案を作成してみました。老若男女といいますか、全員が活用したわけですが。
ここで、実は明暗を分けたところがありました。以前作っていたときよりも高度化した教員と、ちょっと陳腐化してしまった教員がいました。その明暗を分けたのは何かといいますと、AIとの対話の量と質でした。何度も何度もAIと対話する中で、あるいはループ化させる中で、改善を複利的に重ねた教員は、指導案が高度化して、精度の高い、よりよいものが完成していきました。
ですので、最後に私が申し上げたいのが、23ページです。今後のガイドラインの改定に向けて、6番のところの校務場面における活用ですが、そもそも効率化させるべきものと、効率化で止まってはいけない高度化させる業務とがあろうかと思います。高度化させる、質の向上を狙うものは効率化で止まってはならぬということで、分けて示してもいいかと思います。この後、AIのより良い活用が、現場で失敗事例も経ながら改善されていくといいなというふうに思っております。ガイドラインを改定していくという事務局の御提案の方向性も大賛成であります。
以上になります。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
森田委員、お願いします。
【森田委員】 お願いします。
この報告を読みながら、本当にこのとおりだなと思うところがたくさんあって、大変納得した部分です。生成AIの活用が大分進んできているという中で、校務DX、校務の利用に比べて、児童・生徒が活用する場面というのはまだまだ進んでいないのではないか。それというのは、19ページのところにOECDのエビデンスがまとめられておりましたけれども、このとおりではないかなというふうに思うんです。
先生方もそうですし、市民の方々がまだまだ不安を持っている。そういう中で、先生方が自信を持って活用できる環境整備、そういうものが必要なのではないかというふうに思います。そういう意味でも、データ保存、個人情報の取扱いの留意点などを共有する、そして持続可能な環境づくりを進める、そういう意味で、早急にこの生成AIのガイドラインの改定は必要なのではないかというふうに思っています。
9ページにもありますけれども、つくば市の活用事例が、先ほど紹介していただきましたが、つくば市では、生成AIを答えを出す道具ではなくて、多角的な視点を得て検討を深めるためのパートナーであるという、そういう考え方の活用が大変多いんですけれども、そういう活用をしていると子供たちが、生成AIどうなのとインタビューしたところ、生成AIは自分と違った考え方をしますと、それを吟味して生かして活用するためには自分を高めなければいけないと感じていますと、そのためには精進しなければいけないと思いますなんて。「精進」なんて古風な言葉を使ったのでびっくりしたんですけれども。
そういう形で、子供がしっかり、正しく活用するといいますか、よりよく活用できる、そういう力を身につけさせてあげるべきなのではないかなと。そういう考え方で、先生方の授業構築もしていかなければならないのではないかと思います。
特にそこで大事にしたいのは、なぜ学ぶのかという学ぶ意義とか、それから、結果を求めるのではなくて、先ほどのOECDにもありましたけれども、結果を求めるのではなく、AIの活用も含めた学び方のプロセスですね。これを意識した指導ができるようになっていくことがすごく大事なのではないかなと、そんなふうに感じながら、今、学校を回っているところです。
以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
植阪委員、お願いします。
【植阪委員】 お世話になります。よろしくお願いします。
今月、教育におけるAIとか教育テクノロジー分野に関する研究をテーマとする国際学会に参加してまいりました。そういうことを踏まえますと、今回出していただいた内容というのは非常に共感できる部分が多々ありますし、研究として紹介していただいたこともとてもよかったなと思います。
国際学会においても、生成AIなどのリスクなどを、子供自身も意識していかなければいけないということが、基調講演などにおいて強調されていました。エシカルな利用、倫理的な利用、Responsible for AI Useみたいに、責任のある利用みたいなことをきちんと認識する必要があるという議論がかなり上がってきています。私自身も、改めて今回の御提案を見てみますと、意識されてきていると思います。ただ、教師向けにこうした情報提供は行われているものの、子供にまでそれを明示的に届けるという視点はちょっと弱いかもしれないと思いました。
先生が生成AIの危険性を認知するだけではなくて、子供、児童・生徒、大学生自身が、認識するということはすごく大事ではないかというふうに思っています。
例えば、生成AIの回答が必ずしも正確ではないという話もそうですし、あと、自分自身の回答であると自信を持っているような、誠実さということですとか、いろいろな観点が出ていますので、その辺をきちんとレクチャーするような、子供が学べるものというものがあってもいいんじゃないかと思います。現在開発されているYouTubeは、横尾先生からも、教師向け教材としてはよいが、子供にはちょっと難しいかもしれないと言っていたので、児童、生徒、大学生がきちんと学べるものがあったほうがいいのではないかと思いました。
実際、大学生でも、生成AIの不適切な利用によって、学生自身が不利益を被ってしまう事例が発生しています。例えば、研究紀要において文献リストを生成AIで作らせて、結果として不適切な引用文献がたくさんあり、最終的にはその論文自体が取下げになるという事態も発生しています。最終的には本人が不利益を被ってしまうので、それは何とか避けたいなと思う次第です。
それから、二点目ですけれども、英語にフィードバックを考える上で生成AIはとてもいいツールと思います。従来はすごく時間がかかっていた部分ではないかと思います。学校の英語の先生も多くはネイティブではありませんのでとても助かると思います。ただ、学習者にとっては、きれいな英文が全部出てしまうと、丸乗りしてしまいたくなるのは理解できるところです。
今、大学生を対象とした生成AIの研究などにおいて、生成AIを使っても、アドバイスがもらえるだけで、実際の最終的な英文の出力まではしない、という便利なツールも大学教育の中のニーズを踏まえて開発されてきています。研究者が開発しているものについては、オープンソースのような形で、周りの人にも使ってもらえるというようなものもあるんじゃないかというふうに思っています。そういったものをリソースとして皆さんが利用できるように1か所に集めてもらえると私としてはいいかなと思っています。
生成AIというのは答えを出すツールではなく、対話相手だと感じています。対話相手としてうまくチューニングされたようなものとして機能しているのか、そのクオリティーチェックは必要かと思うんですけれども、社会的なリソースとしてある程度使えることも嬉しいかなと思っています。ただしどんどん古くなるので、その点は課題ですが・・・。
最後一点です。生成AIと学習指導要領との関係ですが、学習指導要領に事細かに書き込んでしまうと難しいことも生じるようになっています。なぜかといえば、学習指導要領は、5年後に発行して10年間使うような類のものです。学習指導要領で生成AIなど発展が著しいことを細かく書き過ぎると、アップデートについていけないという課題が生じます。その点、デジタル学習基盤特別委員会のようなところで、ガイドラインを別建てで出すのはとても良いことだと思います。逆にいえば、別建てできちんとガイドラインを設定し、いつでもアップデートできる柔軟さというのをどう保証していくのかというのは大事なことだと思っています。学習指導要領には大きな枠組みについては記載しても、細かい点については書き過ぎず、時代に応じて必要なことを発信していくことが、重要だと思った次第です。
以上です。長くなってすみません。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
では、西端委員、利根川委員の順番で、ここまでとさせていただきます。時間の関係もありますので、御協力をよろしくお願いします。西端委員、お願いします。
【西端委員】 ありがとうございます。適切におまとめいただいて、ありがとうございました。私からは2点お伝えしたいと思います。
まず1点目は、資料の29ページでございます。私も日頃、小学校の教員養成課程におりますので、非常にこの辺が気になっているところでございますが。小学校の情報の領域で、今、ワーキングで議論されているとは先ほど座長からお伺いいたしました。このときに、自ら適切な距離を取る必要があるというふうに29ページにございますが、ここはかなり難しいなというところでございます。
小学校に上がってくると、既にもう生活の中で使っているかと思いますので、その中で適切に距離を取るというのは、小学校の先生方の力量が非常に問われるところであるなと思います。そこに全振りするというのは少々難しゅうございますので、議論されていると思いますが、副読本のような形で、それも本にしてしまうと先ほどもおっしゃっていただいたとおりアップデートできませんので、少しずついろいろなものがアップデートできるような形で、何かよりどころとなるようなものがあればいいかなと思うのが1点でございます。
2点目は、関連してではございますが、長い間ICTとかプログラミングでいろいろなところで検証させていただいたところで、ツールの使い方というのを先生方はよく学ばれて、こうすればいいんだなというのはお分かりいただけているかと思うのですが、それを使ってどう子供たちが学習して思考していくのかというところは、どのツールでも基本的には変わらないところではあるとは思います。
そうなってくると、研修のどのように使っていくかというところについては、今まで議論があったように、セキュアな環境を御用意いただければいいなというところと、子供たちがどのように変わっていくかというのは経験則的なところもございますので、そういうところも踏まえ、ただ、生成AIは思考や学習まで踏み込んでくるというところも加えて研修が必要かなと思っております。
以上でございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
利根川委員、お願いします。
【利根川委員】 みんなのコード理事会長の利根川です。
バージョン2のガイドラインから約2年、国際的な知見の深まり、技術的な進歩、現場における事例の広がりの三つの観点を踏まえて、ガイドラインの改定にはよいタイミングだと考えています。
国際的な知見については、今回の資料でも様々論文等引用されているとおりかと思いますので、省きます。
技術的には、新たなモデルが次々と誕生し、性能も飛躍的に進化しています。難関大の首席合格に相当する点数をAIがたたき出すという報道もありました。今回の資料にあるように、自律的に目的を達成するAIエージェントも登場していますし、例えば、いわゆるバイブコーディングの浸透によって、非エンジニアであっても自分の欲しいアプリが作れるようになってきています。
現場の実践としても、初期からのAIパイロット校の積み重ねによって様々な事例が創出できていると思いますが、個人的には、今日、浅原参事官の説明でもあった、外国ルーツのお子さんとか特別支援教育の文脈、この実践がもう少し広がってくることが大事かなと考えています。
このような現状を踏まえて、今後のガイドライン改定に向けて押さえていただきたい方針を三つ申し上げます。
一つ目が、冒頭、堀田委員長からもありましたように、この間、AIに関する様々動きがあったのと同様に、学校教育全体としては次期学習指導要領に向けた議論が進捗しており、そこでの議論を踏まえたガイドライン改定を行う必要があるというところです。様々なワーキンググループで、AI時代にその教科等を学ぶ意義ですとか、それぞれの教科等でAIを含むデジタル学習基盤の活用を議論していると承知しています。こうした議論ときちんと接続したガイドラインになるようにお願いしたいと思っております。
二つ目です。一点目とも重複しますが、留意点を踏まえつつも、AIを含むデジタル学習基盤があれば実現できる学びの可能性が示せるものになることを期待しています。OECDのフィードバックの研究例もありましたが、我が国はOECD平均よりも学級規模がかなり大きいので、AIに適切に向き合う必要が出てきます。適切に使えば、ブランソンの学習モデルのような世界を実現することにもつながると考えています。
また、繰り返しになりますが、その中でも特に、外国ルーツ、様々な認知特性の児童・生徒の可能性を広げるものになるというメッセージをぜひ打ち出していただきたいです。
そのように様々な可能性が広がることを考えると、例えば、小学生にAIを一律利用禁止するなど、年齢で何らかを制限するのは有効とは考えておりません。特に中高生以降においては、彼らの利用は教師の指導より先行しているとの調査も多く、先ほど植阪先生から児童・生徒にもResponsible Useという話がありましたように、単純な禁止ではなく、適切な生成AIリテラシーを育成する方策が必要だと考えています。
三つ目、これまで生成AI活用にチャレンジしてきた、あるいは、興味を持ってこれから活用に踏み出そうとする先生方が、わくわくするような要素もぜひ入れていきたいです。生成AIによって省力化・効率化が進むことは、働き方改革の文脈からもとてもよいことだと思いますが、先ほど亀田委員から高度化も、というお話もありましたように、AIを使うと今までできなかったこんなことができるのかと、先生方に可能性を感じていただけることもAIの広がりを考えると大事だなというふうに考えております。
例えば、先生方が独自のデジタル教材を作れるようになったことで、やりたい授業ができるようになったというような声を聞くこともありました。こういった教務におけるバイブコーディングの可能性というのもぜひ押し出していただけたらと思っております。
その上で、今日の資料についての具体的なコメントを幾つか申し上げます。今の改定の方向性については、23ページの検討項目案には賛同いたしますし、参考資料になっていたんですけれども、28ページのところ、このフレームワーク、今、外国の高等教育だと思うんですが、我が国の初等中等教育に適した形で類型化する方向も必要ではないかと考えています。
その際、各学校段階の探究ですとか、次の学習指導要領の中学の情報・技術科での特に最後の生産技術と情報技術の「技術の統合」のところなどは、生成AIを使わないと授業ができないんじゃないかな、生成AIを用いることが前提となるんじゃないかなというふうに思っておりますので、このフレームワークを当てはめると、こういう場面でAIが有効だよということを、積極的に広めていくところもそろそろ示せるんじゃないかなと思っています。
また、今年のAIパイロット校の取組で、研修パッケージ体験も施策に入っていますが、パイロット校以外の先生にも、ぜひAIの本格的な利活用の前にAIについて慣れ親しみ、特性を理解するAIの学習についても設計が必要であるということを申し添えます。
また、細かいですけれども大事だと考えているのが、先ほど亀田校長の学校での話もありましたが、校長、管理職の意識、リーダーシップは非常に重要です。研修の際、ぜひ管理職の方も入るような方策をお願いできたらと思っています。
最後、23ページのところにAIのサービス提供者に求められる視点とあります。みんなのコードは無償で教材を提供していますが、事業者の対応が示されることは大事だと思います。その際に対応を示すだけでなく予算も併せて措置がされる必要があるというふうに考えています。
総じて、今後、具体的な改定の検討が進むと承知しますが、私としても、みんなのコードとしても、全国の学校の先生との知見や我々の教材からの利用データも含めて、改定に貢献できたらというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
たくさん御意見をいただきまして、今後詰めていくことに対して大変有用な御意見を賜ったと思いますが、事務局のほうで何か御発言はありますか。
【浅原参事官(デジタル学習基盤担当)】 ありがとうございます。簡潔に様々御意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
特に、現場の先生方、学校での適切な利活用という観点から、先生方に分かりやすいようにということももちろん留意をしていきつつ、また、子供の主体性といったお話もございました。そういった点も留意をしながら、いただいた御意見を踏まえまして、このガイドラインの改定、また、AIの適切な利活用の取組を進めてまいりたいと考えております。ありがとうございました。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
私からも少しコメントしておきますが。先ほど植阪委員からも御指摘がありましたけれども、技術の進展が大変速くなっておる段階で、特にこういう分野については、学習指導要領に細かく書き過ぎるリスクというのは当然出てきます。しかしながら、生成AIの特性の理解も含めて、情報活用能力の学年が上がっていけば、これは非常に重要な部分になりますので、そういう意味で、学習指導要領にどのぐらい書くか、あるいは解説にどのぐらい書くか、あるいはガイドラインのようなものでどこまで規定するか、教材を国が中心になって作るということに今なっていますので、その教材でどのぐらい具体的に書いていくかというようなこと、そういう議論も情報・技術ワーキングのほうでされているということをお伝えしておきたいと思います。
あと、もう一つ、教師による利用については、パイロット校で盛んに利活用が進んでいて、これは3年目なんですけれども、かなり体感としては広がっている感じがあります。もちろん地域格差はあろうかと思いますが。
先生がうまく使って業務が効率化するということは、働き方改革であると同時に、次の学習指導要領を実装していく際のフィージビリティーにつながる問題だというふうに考えているところでございまして。つまり、業務が効率化することによって、先生方の負担が軽減されることによって、次の時代の学習指導を適切に行っていく余白みたいなことができるということになるかと。
なので、このデジタル学習基盤の特別委員会の役割というのは非常に大きい。教育内容と教育体制に関わる非常に重要なものだということになります。というわけで、特別委員会というのができていて、ここでいろいろ審議されているということになります。皆さんの御指摘で、また今後、ガイドラインのバージョンアップも含めて、私どもの特別委員会に御報告いただきながら、文科省のほうで整理をしていただくという形になりますが、よろしくお願いいたします。
では、議題の2番にいきましょう。「地方自治法の施行規則改正等に伴う教育情報セキュリティポリシーの改訂等について」ということで、こちらも事務局のほうから御説明をいただきまして、それから皆さんに、挙手いただいた方にコメントいただこうかと思っております。
では、これは谷合室長でしょうか。よろしくお願いいたします。
【谷合教育DX推進室長】 教育DX推進室長の谷合でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料の2をお願いいたします。情報セキュリティ対策の基本となるべき教育情報セキュリティポリシーですけれども、真ん中の図、三角形の図にありますように、基本方針と対策基準からなっております。その点で、教育版というのと首長部局版とありますが、いずれも基本的には同じような構造をしております。ただ、学校という教育の現場におきましては、やはり首長部局とは異なる特性がございますので、教育委員会はそういった教育現場独自の対策基準の策定見直しを実施する必要があるのではないかというのが基本的な考え方でございます。
では、教育の現場というのは首長部局とどういう特性があるのかということについて、大きく二つあるのではないかと考えております。
一つは、現行のGIGA環境を活用した教育現場では、既にクラウドの活用というのがもう始まっているということです。首長部局のほうは、自治体によると思いますけれども、基本的には閉域網での活用が多いと伺っておりますので、教育のほうが既にクラウドが進んでいるものと考えております。このため、四つ目の矢羽根で書いてありますけれども、セキュリティ対策を講じる上では、情報資産を取り扱う当事者のルール遵守などを通じた対策である人的セキュリティの確保というのが重要であるというふうに考えているところでございます。
もう一つの教育の特性ということですが、学校には当然ながら子供たちというプレーヤーが存在しているわけでありまして、この「一方で」のところの二つ目の矢羽根に書いてありますけれども、児童・生徒がコンピューターを活用した学習活動の実施などにおいて、日常的に情報システムにアクセスする機会があるということでございます。
こうしたような違い、地方公共団体の他の行政事務とは異なる特徴を有することから、地方自治体の情報セキュリティポリシー、これを単に準用するだけでは十分ではないのではないかと考えているところです。
しかし、現状はといいますと、棒グラフがございますが、自治体のセキュリティポリシーとは別に教育情報セキュリティポリシーを教育委員会独自に策定していますかという質問に対して、「策定している」というのは56.3%。「策定していないが自治体ポリシーを準用している」というのが34%、「策定していない」が9.7%ということで、この右の2つ、合わせて4割以上が不十分と考えておりますので、文部科学省では、教育委員会独自のセキュリティポリシーを策定するようこれまでも働きかけておりますけれども、今後も呼びかけていきたいと考えております。
そうした中でございますが、国のほうで新たな動きがございました。地方自治省自治法の一部を改正する法律が令和6年6月26日に公布されておりまして、教育委員会を含めた普通地方公共団体は、情報システムの適正な利用を図るために必要な措置を講じなければならないとされたところです。
この法律を受けて、このたび、黒い太字で書いてあるところですけれども、サイバーセキュリティの確保等の情報システムの適正な利用を図るために必要な措置について、今般、総務省令が新たに制定されまして、6月26日付け、先週の金曜日に自治体宛てに通知をされております。施行は来年7月ということでございます。
その総務省令の内容はその次に書いてありますが、基本的には、従来ガイドラインという形で示されていたものとそんなに大きくは変わっていないわけですけれども、従来はガイドラインであったものが今般省令に格上げされておりますので、それだけ法的拘束力といいますか、発生しておりますので、これからはよりしっかり守っていかなければならないということになっており、これは教育のほうも同様ということになるわけでございます。
次、4ページは飛ばして、5ページをお願いいたします。文部科学省では、学校におけるセキュリティ対策が適切に行われるように、ガイドラインを従来から策定しております。最初は平成29年10月だったわけですけれども、先ほどAIのところでも議論がありましたが、非常に進展が早いので、29年に制定して以降、5回にわたってアップデートをしてきております。直近では令和7年3月、昨年3月に行いましたが、今般、総務省令の改正もありましたし、そのほかにも改定すべき事項もありますので、最後の行に書いてありますように、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを令和8年度、今年度末までに改定したいと考えているところでございます。
では、どういう点について改定を考えているかということで、論点例として五つ取り上げております。一番上は、先ほど申しました総務省令が制定されたことを受けてのことですけれども、それだけではなくて、例えば、三つ目、四つ目に、ガイドラインでこれまで表記されていなかったセキュリティ対策の充実として、例えば、BYODの場合のセキュリティはどうするのかとか、四つ目は、生成AI活用時のセキュリティ、先ほども御意見いただいていましたけれども、生成AI活用時のセキュリティはどうしていくのかといったようなことも今回のガイドライン改定で盛り込んでいきたいと考えておりまして、現在、有識者の先生方の御意見なども伺いながら検討を進めているというところでございます。このガイドラインが文科省としてはセキュリティ対策の最も重要な対応の一つということになっているところでございます。
そのほか文科省がこれまで講じてきた支援策でございまして、7ページにあるのは、そのセキュリティポリシーをよりかみ砕いて解説したハンドブックの作成ですとか、あるいは、次、8ページは、これは学校の教職員の方向けに動画教材なども作って、できるだけ分かりやすく理解していただけるように努めております。
最後、9ページ目ですが、この予算事業でも、一番下の赤枠で囲っておりますけれども、セキュリティポリシー改訂に取り組もうとする自治体を支援するということで、例えば、自治体がコンサルタントに相談したいというようなときの経費を措置しているということでございます。
こうした取組によって、学校における情報セキュリティがより一層確保されますように、今後とも努めていきたいというふうに考えているところでございます。
説明は以上でございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
ただいま御報告いただきました件について、御意見等ございましたら、あるいは質問等ございましたらお願いいたします。横尾委員、お願いします。
【横尾委員】 意見を申し上げます。一つは、ルールの策定、教育情報セキュリティポリシーということです。ここに書いてあるように半分ちょっとぐらいですから、徹底してやったほうがいいと思います。
ちなみに参考に申し上げますと、例えば、国内の例ですけれども、外資系の会社の方に頼まれて講演をされた知人がいるのですが、よく聞いてみたら、講演の前にセキュリティポリシー的な個人情報の扱い、その他の情報の扱いについてちゃんと契約書にサインをするそうです。情報の扱いは、それぐらいデリケートであるということですね。ヨーロッパは特にその感覚が強いようですから、そういうことをなされている、そういった時代がもう来ているということで、そのような記述を公式文書で読むことによって、また書くことによって、サインすることによって自覚も高まる。同じことが多分教職現場でも起こると思います。
過去に情報漏れが色々な問題を提起しています。ある自治体の場合、ではいったいどこでトラブル発生の原因があったかというと、実は教育委員会や学校で支援に尽力されたALTさんが差し込んだUSBのPC端末だったのです。ほかを調べても全く出てこなかったけれども、その可能性しかないなということで調べたらあったようです。多分そういうことが起こるし、時々新聞に出ているのも、そういった本当に小さなミスというか、まさかという事象が起こっているので、これらの発生がないようにする啓発が必要だと思います。
それと、ぜひお願いしたいのは、サイバーアタックをかけてくる側のやり手、やり口、手法があります。たまたま幾つかの会社から事例を聞いたことがあるから知ってはいるのですけれども、やっぱりそのような知識も知っていたほうがいいと思うんです。こんなやり方でトラップをかけてくるのかと理解する。というようなことをしておかないと、単純にフィッシングとかいろいろ言われてもよく分からないままに、取りあえずガイドライン読むかじゃなくて、本当に大変なんだなと認識する。その認識や知識があれば、子供たちへの指導も効果的になっていって、良いものになるかと思います。
可能だったら、これらについてもまとめていただくルールブックを、小6から中2ぐらいの読解力で分かるような記述による別の冊子も作っていただくと、一般の国民の方にも刺激にも参考にもなっていいんじゃないかなと感じました。
以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
ほかに何か御意見ございますでしょうか。
特にないようであれば、あるいは、また今後お気付きのことがあれば、メール等で事務局にお伝えいただければと思います。
これは非常に重要な問題で、教育委員会が教育情報セキュリティポリシーをしっかりつくる、そのときに、先ほど石井委員でしたかね、おっしゃったように、教育委員会としてしっかりと検討していただくということが重要ですが、一方で、教育委員会といってもサイズがいろいろありまして、担当の方がいらっしゃる場合、いらっしゃらない場合もありますので、国としての基本的な方針というのを出しておくということがとても重要なことになっているということでございまして、これはほかの法律あるいは規則等とどう連携・連動しておくかということが今日の御報告でございました。
石井委員、一言お願いします。
【石井委員】 申し訳ありません。よろしくお願いします。石井です。
現在、自治体のセキュリティポリシーに準拠し、教育委員会では独自につくっていないという自治体さんも見られるということですが、それでは、現状と今後の活用とはかけ離れたセキュリティポリシーになっているということを改めて見直すということをしなければ、何か問題があったときに、現場で違う使い方をしていたら、それは対応できないということになってしまうという非常に危険な状態であるということもしっかり各自治体に伝える必要があると考えます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは、次の議題に参ります。最後になりますが、議題3です。「次世代校務DX環境の整備の現状・取組について」ということでございます。
これは、ネットワーク統合も含めて、クラウド上で様々、校務系も学習系も接続できるようにすると、これが次世代校務DXの方針ですが、自治体によっては、総合しているところと総合できていないところがまだあります。これを加速するための取組を文部科学省として行っているということについて御報告をいただくということでございます。
それでは、谷合室長、お願いいたします。
【谷合教育DX推進室長】 教育DX推進室長の谷合でございます。
校務支援システムでございますけれども、実は今、もう既に学校の教育の現場では、多くの学校で校務システムというのは入っているのが現状なんです。ただ、例えば、システムが閉域網になっているとか、あるいは、そのためほかの学習系のシステムとの連携がしづらかったりとか、あるいは、教職員の方が複数の端末を使い分けなければいけないといったような使い勝手の悪さとか、そういったような課題を抱えているところでございます。
そこで、文部科学省では、次世代校務DXと銘打って、そういった課題を乗り越えられるような新しい校務システムの導入を推進、推奨しているところでございます。
具体的には何を目指すのかというのは、1ページ目でございますが、大きく三つありまして、一つは、学校における働き方改革です。汎用型クラウドツールを積極的に活用することによって事務負担を軽減するとか、あるいはロケーションフリー化によって場所や時間を選ばない働き方を実現していく。こういった働き方改革の側面。
それから、二つ目が教育活動の高度化ということで、今、学習系システムには、児童・生徒のいろいろなデータがありますけれども、そのデータ連携によってダッシュボード実装などをして、個別最適な学び、あるいは、きめ細やかな指導に生かしていけるようにしたいということ。
それから、三つ目が教育現場のレジリエンス確保ということでございまして、クラウドを活用するときに、万一の災害時などにデータ損失を防ぐといったようなことを目指している。それが次世代校務DXでございます。
先ほど堀田先生からもありましたけれども、現在、少なからぬ学校では、恐らくこの左側のような形で、いわゆる三層分離という形になっているところがあるのではないかと思っております。そうしますと、教職員の方は3つの端末を操るとか、職員室からでないとアクセスできないとか、いろいろな課題を抱えているわけでして、これを右側のアフターのほう、クラウドを前提にしてネットワークを統合し、1台の端末で場所を選ばずにアクセスできるような環境をつくっていきたいということでございます。
3ページ目、そのため文部科学省では、都道府県教育委員会の主導の下で、関連システムを共同調達・共同利用しながら、次世代校務DX環境が整備・運用されるように現在支援を行っているというところでございます。
なお、現状はどうなっているのかというのがこの右上の円グラフになっておりまして、これは市町村ベースでの割合ですけれども、次世代校務DXシステムを導入済みであるというところが14.4%、導入はまだ済んでいないけれども具体的な導入時期まで設定されているというのが27.0%ということで、これを合わせておよそ4割ぐらいが次世代校務DXのめどが立っているという状況にあります。したがって、残り6割はまだこれからというところでございますので、更に取組を加速させていきたいと考えております。
次の4ページ目ですが、文科省として具体的な支援策として、校務DX等加速化事業を実施しております。赤枠で囲いました②のところです。教育委員会が次世代型校務支援システムを整備しようとしたときに、やはりそんなに詳しい職員の方ばかりではありませんので、校務支援システムを調達するに当たって、技術の良し悪しが分からないとか、あるいは、担当職員が一人しかいなくて何からやっていいか分からないというようなことも当然あり得ますので、ゴシックで書いてありますように、次世代型校務支援システムの仕様書の作成ですとか調達プロセス等について、教育委員会が常時相談できるような相談窓口を文部科学省のほうで設置しているということ。
さらに、もう一つの丸、次世代型校務支援システムの調達時において、教育委員会と一緒に仕様書を作成するなど、技術的な知見を有した専門人材の派遣を行うということで、既に11件の派遣を決めているという状況にございます。
それでは、時間の関係で、5ページ、6ページ、7ページ目は、飛ばさせていただきまして、8ページ目をお願いいたします。これはこの次世代校務DX環境の導入までのプロセスを可視化したものでございまして、47都道府県が今現在どの位置にあるかというのを整理したものでございます。右側のほうに47都道府県を現在地で割り振っておりまして、一番上の運用段階に至っているところが12都道府県。ただ、この12都道府県も、県内全部がそろったとは限らず、少なくとも一部の市町村では始まっているというところが12都道府県になっております。
それぞれいろいろな段階にあるんですけれども、問題はこの下二つといいますか、一番下が体制整備、その上が現状把握となっていますが、この辺りはまだまだ努力が必要なところということでございまして、この辺りを重点的に支援していきたいと考えています。
次の9ページが、私たちの努力目標ということでございますけれども、この見方としては、先ほどの47都道府県を白丸で割り振っていまして、それを色のついている丸のところまで令和8年度中に引き上げたいというようなものでございまして、特に下のほうに今位置している県をできるだけ上のほうに引き上げたいということで取り組みたいと思っております。
最後、10ページ目が、これは予算事業として、GIGAスクール構想の支援体制整備事業の中でも、赤枠で囲ってありますけれども、次世代校務DX環境を整備するため、導入のためのイニシャルコストの支援なども行っておりますので、こういうのも活用して取組を進めていきたいと考えているところでございます。
簡単ですが、説明は以上でございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
では、今の御説明に対しまして、御意見案等ある方、お願いいたします。森田委員、お願いします。
【森田委員】 次世代校務DXの推進というのは本当にありがたい話だなとまず思っています。
そんな中で、茨城県でも進んでいるんですけれども、各教育長方と話をしていると、各市町村の予算の確保が結構難しいなと。中には、なかなか予算確保できないかもしれないなんていう話もあります。そういうときに、県内完全統一ということが本当にできるんだろうかということも考えるので、ある程度は、基本的なシステムは同じでも、ちょっとコース分けができるとかとか、あとは、今まで使っていたシステムとの変更に合わせたコースができるとか、そういう柔軟性も必要なんじゃないかなというふうに感じています。
それにはまた予算がかかってしまいますので、ぜひそういうところに国の援助がいただければ、県としてはありがたいのではないかなというのが一点です。
それから、二点目に関しましては、ダッシュボードが大分整備されるだろうというふうに思うんですけれども、今まで教育は、先生方は勘とか技に頼っていた部分も結構多いですので、そういう先生方が本当にデータって有効なんだという、データの有効性を感じられるような、そういう仕掛けがきっと併せて必要なんだろうなというのは感じています。
それから、三点目としましては、先ほどのセキュリティポリシーの話とダブるんですけれども、せっかくつくっても、一人一人の先生に浸透させる、職員に浸透させるというところが一番大事な肝だと思うんですが、そこが一番難しいというふうに思いますので、浸透させるための望ましい研修の在り方とか、こんなふうにするとうまくいくというような事例とか、そういうものも発信していただければ、きっと各市町村教育長としてはありがたいのではないかなというふうに思っています。ぜひよろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
では、亀田委員、石井委員の順番で参ります。亀田委員、お願いします。
【亀田委員】 ありがとうございます。まず、1ページの目指す姿としまして、高度化、レジリエンスの確保、そして教員の働き方改革、これを目指す姿として掲げて、このようにお示しいただけていることは、非常に現場を預かる者としてはありがたい限りです。
そこで、まず、3ページの都道府県と市町村の関係のところ、お願いいたします。ここに明らかに都道府県教育委員会の主導の下でということでお示しいただいたことや、丁寧な対話と適切な役割分担ということで、太字になっておりますが、こうやって共同調達する際に、今、各基礎自治体でやろうとしていることが、例えば、共同調達することで制限がかかってしまう可能性もある自治体もあろうかと思います。
この辺り、みんなで高みを目指すような考え方で、丁寧な対話を持って、みんなで共同調達をする、共同利用をすることでこんないいメリットがある、こんな姿が描けるということをポジティブに都道府県教育委員会が音頭を取っていただく中でお示しいただけるといいなというふうに思うところです。丁寧な対話というのは非常に大事だなというふうに感じている次第です。
そして、最後ですが、8ページや14ページにお示しいただいております検討体制の協議会についてなんですが、先ほども室長からGの体制整備やFの現状把握、この辺りを重点的にする必要があるというふうにお話がございました。
Gの体制整備の協議会の設置というところですが、この協議会にどんなメンバーを入れるのかというところが非常に重要ではないかなというふうに感じます。DXとかそういうことに精通している人であるとか、学校現場の業務のワークフロー等に精通している人とか、どういうメンバーを構築することで適切な選択、整理ができていくのかということで、メンバーの選定が非常に重要であるというふうに思う次第です。
以上になります。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
石井委員、お願いします。
【石井委員】 森田委員が言われたように、共同調達を柔軟にできないかというところの提案です。同システム、同メーカーでなくてもデータの連携ができるということが重要だと思いますので、共同調達に関してもっと柔軟性があればいいなと思っております。
また、今回は、相談窓口について、丸々1ページ使って説明しているというところで、自治体の安心感が違うと思っております。すばらしい取組だと思います。ありがとうございます。
【堀田委員長】 ありがとうございます。
横尾委員、お願いします。
【横尾委員】 二点申し上げたいと思います。
このDX、当然必要なツールまた方法論として、PCの活用とかシステムとかクラウドの活用は当然あると思うのです。過去、行政のほうのシステムなどの統合化を試みたときに分かったことなんですが、各自治体それぞれにカスタマイズしたり、それぞれのタイミングで予算を組んで導入しているものがありますけれども、放っといたらばらばらのままになります。
これは多分、都道府県が仲介してまとめようとされると思うのですけれども、ざっと見ても、大きく三つぐらいの取組の山があるのです。10年ぐらいのスパンで見るとですね。それをじっくり10年間の間に統合していく。最初はAとB、次はCを入れますとかというふうなことをやさしくお話いただいて、当然、そこで予算くれという話になってしまいますけれども、単純にお金をもらえればいいという話じゃなくて、仕事のやり方とか効果がどうかということを考えるということをぜひ考えてほしいと言ったほうがいいと思います。
あわせて、民間ベンダーがそれぞれサポートされていますけれども、仮に私がベンダーの関係者だとしたら、マーケットが縮むなとか歳入が減るなと考えるというおそれがありますので非常に危機感を持つんですけれども、実はそうじゃなくて、この部分は合理化して、少しすっきりとしたシェイプアップするけれども、その分の取り組みで残ったお金を消すのではなくて、新たな創造に向けてのシステムやアプリ、あるいはほかのICT教育に関係するところへも展開するから、ぜひそこも協力してくれというふうなことをしていけば、少しは先が見えますので、協力も得やすいのかなというふうに感じたりしています。
そういった本音の部分は、なかなかお話ししにくい部分があるかと思いますけれども、でも、みんなで、官民合わせて、力と知恵を合わせていかないと、世界のトレンドに負けますし、AI、先ほど話題になっていましたが、本当に各国すごい勢いで今進化をしていますので、ぼーっとしていたら、チコちゃんどころか、地球に、世界に叱られるような状況になってしまう。ぜひそこは、今回のサッカーワールドカップでも頑張った侍ジャパンのように、不滅のところに負けないような勢いでこういう分野を走ってほしい、それをしっかりサポートいただきたい、リードいただきたいと思っています。
以上です。
【堀田委員長】 では、西端委員、お願いします。
【西端委員】 奈良県で日頃活動しておりますが、奈良県はこの分野、非常に先端を走っているというふうに理解はしております。その中で教育委員会さんとの調査研究等させていただいております。そうすると、データとして見えてくることと、あと先生方を対象に悉皆の調査をした調査結果と少々違いが生じているんです。
これはどういうことかというと、先生方が大変さを熱意とか情熱とかで埋めてしまっているというか、埋めて頑張っているというような状況もありますので、また機会がございましたら、こういうデータも披露させていただきつつ、どのような方向が全国的に考えられるのかということをお伝えできればと思います。
以上でございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは、最後に、利根川委員、お願いいたします。
【利根川委員】 ありがとうございます。
すいません。どちらというと議題2の話かもしれなかったんですけれども、本件、セキュリティとか学校を支えるシステムをつくろうという非常に専門性の高い内容だと思っております。
これまでのプロセスに、セキュリティとか、学校のシステムをつくる側、あるいは運用する側の専門家というのは入っていたのかなというのが気になりました。今日の委員の名簿を見ても、教育とか学校情報の専らの専門の方はいらっしゃるんですが、セキュリティとかシステムそのものをど真ん中にしている方はいらっしゃらないのかなというのがちょっと気になっていて。そういったメンバーでこれをよしとしたというのが、その一員として、一般の人よりは詳しいつもりではあるんですけれども、プロセスとして、どうやってその辺りを担保しているのかなというのが気になったところでございます。
【喜屋武室長補佐】 非公式ではあるんですけれども、専門的な知見をお持ちの方にもちろん御意見を伺いながら進めているところでありますので、御安心いただけたらと思います。
【利根川委員】 ありがとうございます。
【堀田委員長】 これは文部科学省として策定を進めておりますので、文部科学省として適宜ヒアリング等をしながら進めていらっしゃることだと思いますが、利根川委員の御指摘はごもっともで、私どもはデジタル学習基盤を広く捉えておりまして、関係する知識を全部持っている人を集めると50人とかの会議体になってしまいますので、そういう意味でそろっていない部分はあるかもしれないということでございまして、そこの部分は文部科学省のほうで上手に調整いただいているという理解でございます。ありがとうございました。
それでは、ここまでとしたいわけですが、事務局のほうで何かございますか。よろしいですか。
【浅原参事官(デジタル学習基盤担当)】 特にございません。ありがとうございます。
【堀田委員長】 分かりました。ありがとうございました。
それでは、本日予定した議事はこれで全て終了しましたので、以上をもちまして今日の会議は終了したいと思うんですが、次回の予定につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【出分参事官補佐】 次回の本特別委員会の日程は、委員の皆様に御連絡を始めているところですが、詳細については、近くなりましたらまた御連絡させていただきます。
以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
初等中等教育局参事官(デジタル学習基盤担当)付