令和7年4月24日(木曜日)16時00分~17時30分
文部科学省
※対面・WEB会議の併用(傍聴はWEB上のみ)
石井委員、亀田委員、高橋委員、利根川委員、中川委員、奈須委員、西端委員、平田委員、堀田委員、森田委員、横尾委員(50音順)
日向大臣官房学習基盤審議官、寺島学校情報基盤・教材課長/学校デジタル化PTリーダー、神谷GIGAスクール基盤チームリーダー、黄地教科書課長、相原学力調査室長、渡辺学校デジタル化PTサブリーダー、稲葉教育DX推進室長補佐
中央教育審議会 初等中等教育分科会
デジタル学習基盤特別委員会(第7回)
令和7年4月24日
※冒頭非公開
【堀田委員長】
これより議事を公開いたします。なお、本日は、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をオンラインにて配信しておりますので、よろしくお願いいたします。
一言、改めまして、私、先ほど委員長を拝命いたしました東京学芸大学の堀田でございます。本特別委員会の発足に当たりまして一言御挨拶を申し上げたいと思います。
この委員会、デジタル学習基盤特別委員会は、期で言えば第2期に当たります。この特別委員会は、前期の中央教育審議会の下で初等中等教育分科会の下に置かれていました。初めてデジタル学習基盤に関する特別委員会が置かれたのは、ある意味、歴史的なことだと思います。これは中央教育審議会において、とりわけ次なる今後の学校の在り方あるいは今後の学習指導要領の在り方を検討していくに当たりまして、このデジタルの学習基盤が従来の学習基盤に加えてどのように機能するか、この特性をどのような形で発揮させることによって、本来の目的である子供たちの多様性に対応し、子供たちにしっかりと力を付け、育んでいくということに対して有効に機能するような形を提案していくというのがこの委員会の役割かと思っております。
中央教育審議会の中にこの委員会が出来たわけですけれども、現在、年末に大臣から諮問があったことを基に、教育課程企画特別部会で非常にスピーディーに次期学習指導要領に向けた様々な検討が行われております。その中で毎回必ずデジタルの話が話題に出ております。それだけデジタルが学習基盤として定着しつつあるということかと思いますが、まだGIGAが始まって四、五年ですから、道半ばでございます。次の学習指導要領、それは教育課程の弾力化の方向に向かって検討されておりますけれども、一人一人に、あるいは学校の特色に応じて子供たちの学びを提供していくといったときに、このデジタル学習基盤の特性をどこまで前提とできるかというようなことを私どもの委員会もしっかり考えていく必要がありますし、逆にこれからの時代に求められる教育を行うためには、このデジタル学習基盤がどのようにあればいいかということ、これも私どもの検討の課題かと思っております。
この後も審議いたしますけれども、デジタル学習基盤の中には幾つかの種類がありますので、それぞれに必要に応じてワーキング等が作られてまいります。そちらでより専門的な議論が進んでいくと思いますので、それらをまとめる役目としてこの特別委員会が機能してまいります。様々な角度からの検討が必要ですので、皆様の専門的な御知見からの御意見をいただく必要がございますので、是非積極的に御意見いただければと思うところでございます。少し長くなりましたが、私の挨拶はここまでといたします。
本日は、中央教育審議会で言えば第13期の特別委員会の初回でございますので、事務局からも御挨拶をいただくことになっております。大臣官房学習基盤審議官の日向審議官、よろしくお願いいたします。
【日向大臣官房学習基盤審議官】 文部科学省学習基盤審議官の日向でございます。初回ですので、事務局を代表して一言御挨拶をさせていただきます。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。GIGAスクール構想は、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現する上で不可欠であり、「令和の日本型学校教育」の基盤であると考えております。
前期の特別委員会においては、GIGAスクール構想による環境整備を踏まえたデジタル学習基盤に係る現状と課題について整理をいただきました。デジタル学習基盤によって様々な成果が出ている一方、学校における通信ネットワークの着実な改善、伴走支援の強化、教育データ利活用の推進などに対応する必要があり、デジタルの力でリアルな学びをより一層支えていく必要があると考えております。
この特別委員会では、デジタル学習基盤の整備・充実や、それを活用した教育のデジタル化の推進につきまして、幅広い視点から総合的に御議論いただくことが極めて重要と考えております。委員の皆様方におかれましては、大所高所からの精力的な御議論を賜りますよう心よりお願いを申し上げます。
以上、簡単ではございますが、事務局からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
それでは、議題3、デジタル教科書推進ワーキンググループの設置につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【黄地教科書課長】 教科書課長の黄地でございます。どうぞよろしくお願いいたします。資料4に基づきまして御説明いたします。デジタル教科書推進ワーキンググループの設置についてでございます。
1ポツの設置の目的を御覧ください。1段落目にございますとおり、令和元年度からデジタル教科書が制度化されまして、その後、実証事業や、国からも特に英語、算数・数学を中心に配布させていただいている中で、現場でもかなり活用が進んできている状況でございます。
こうした中で、先ほど委員長からもお話がございましたが、次期学習指導要領の検討、あるいはGIGAスクール構想の第2期を見据えながらデジタル教科書の在り方を、特に児童生徒の学びの充実の観点から検討いただこうということで、昨年の7月に本特別委員会の下にこのワーキンググループが設置されたところでございます。その後、6回審議を重ねていただきまして、本年2月に中間まとめを取りまとめたところでございます。これに基づきまして更に必要な論点を検討いただくということで、是非またこの第13期におきましてもデジタル教科書推進ワーキンググループを設置するという趣旨でございます。
2ポツにございますように、主な検討事項としては、デジタル教科書の在り方と推進方策、また、これを踏まえた制度的な位置付けや、その他関連する論点でございます。
よろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。ただいま事務局より御説明がありましたが、デジタル教科書の中間まとめにおきまして今後また各論点がございますので、これについて更に検討していくということを前提にですが、この資料4のとおり、本特別委員会の運営規則第2条に基づきまして、本委員会の下にデジタル教科書推進ワーキンググループを設けたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【堀田委員長】 それでは、本ワーキンググループを設置いたしまして、そのワーキングでの議論の状況はこの特別委員会にも随時御報告いただき、こちらでも審議を進めてまいりたいと思っております。
なお、このデジタル教科書推進ワーキンググループの設置が今決まりましたが、その委員につきましては、この運営規則の第2条第2項の規定に基づきまして部会長が指名するということになっておりますので、私に一任していただくということになります。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは続きまして、議題4、デジタル学習基盤に係る現状と課題の整理に移りたいと思います。こちらの議題について補足させていただきますと、本日が中教審の第13期のデジタル学習基盤特別委員会の初回でございますので、事務局より、第12期での成果物、とりわけデジタル学習基盤に係る現状について御説明いただきまして、その後、委員の皆様から、事務局の説明も踏まえて、本委員会への意気込み等につきまして皆さんからコメントを一言ずついただくということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
【寺島学校情報基盤・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】 それではまず、私の方から資料5に基づきまして、今委員長から御紹介がありました現状と課題の整理について説明をしたいと思います。
これは表紙でございますけれども、この資料は、昨年令和6年11月に前期の本特別委員会でまとめられたものでございまして、それを初等中等教育分科会に報告いたしました。
次のページが目次になっております。GIGAスクール構想前のICT環境から始まりまして、GIGAスクール構想、そして、現在デジタル学習基盤を構成していると考えられる1から7の各要素について、経緯あるいは現状、課題、これを一つずつ整理したものです。そして第4章として、学習の基盤となる資質・能力としての情報活用能力の育成についても整理をしております。また、5章において、デジタル学習基盤を土台とした学びの成果、今までに成果として現れてきたものをまとめております。そして、第6章として校務DXに関する取組について整理をし、最後に、これまでの総括と今後ということでまとめております。
この資料自体は100ページを超える大変大部なものでございます。今日はお時間の関係もございますので、この第7章において第1章から第6章を全てまとめて書いてありますので、ページが大分飛んで恐縮でありますけれども、99ページまで飛んでいただければと思います。
99ページの一番上の丸、1行目のところからですが、世界的に遅れていた学校におけるICT環境がGIGAスクール構想以降、急速に整備をされたということであります。具体的に申し上げると、義務教育段階における1人1台端末の整備が完了するとともに、学校における通信ネットワークや周辺機器の整備が進み、CBTシステムの開発・運用や教育データ利活用の促進、デジタル教科書の本格導入、デジタル教材・学習支援ソフトウエアの活用、情報セキュリティーの確保等についても段階的に進展をしてきております。
そしてこのデジタル学習基盤によって、学習の基盤となる資質・能力である情報活用能力の育成にもつながっているものと考えられます。そして、GIGAスクール構想が始まって数年ではあるものの、全国的に見れば、端末の利活用が促進されるとともに、全国学力・学習状況調査の結果からも、ICT活用による学習へのよい影響が見られ始めているところでございます。
三つ目のポツ、「また」のポツでありますけれども、生成AIが登場してまいりました。下から2行目、このような生成AIが教育にどのようなインパクトを与え、資質・能力の在り方や教育方法にどういった影響を及ぼすのかも踏まえて、学びの在り方を検討していくことも必要であると整理をされております。
そして、100ページ、ここからがこのデジタル学習基盤の成果あるいは効果について述べられたところであります。一つ目の丸の終わりの方からでありますが、ICT活用の特性や強みを生かすことで、情報活用能力の更なる育成や、従来の学習方法では困難が見られた児童生徒への対応を含め、今までできなかった学習活動の実施などが可能となりつつある。具体的には、例えば不登校や特別な支援を要する児童生徒が増加傾向にある中、リアルタイムで教室の授業をつなぎ、参加することが可能となり、翻訳機能や読み上げ機能の活用も可能となるなど、1人1台端末の整備前には実施が困難であった学びの保障に直結する取組が行われるようになってきていること、また、感染症や自然災害などの緊急時においても学びの継続が可能となるなど、このデジタル学習基盤は令和の学びに不可欠なものとなっているということであります。
そして、学びそのものについても変化が見られるということで、デジタル学習基盤が整備されたことで、児童生徒自身が様々な教材から自らに適した教材を選択することが可能となっております。そして、最後から3行目、デジタル学習基盤によって各自にとって個別最適な教材や情報と出会える可能性が向上し、学びの深化の可能性が高まっている、というようにまとめられております。
101ページでございます。クラウド環境を生かした他者参照を行うことが可能となっております。このポツの下から3行目、このように、児童生徒が個別最適な方法で学び、クラウドの十全な活用により、情報の共有、共同編集、成果物の再構築などが格段に容易になることで協働的な学びの充実が可能になっているという状況も見られます。
三つ目のポツ、今は子供の側から見た学びの変化でありますが、教師の側から見たところが三つ目のポツであります。「クラウド環境を利用することで、従来の机間指導のみでは困難であったクラス全員の児童生徒の取組状況や考えを教師が瞬時に把握することが一層容易になっており、これによって、教師が最適なタイミングで支援できるようになるなど、教師にとっても指導のツールとして大きな役割を果たしているということでございます。
そしてその下のポツ、「同様に」というところでございますけれども、2行目、教師の働き方改革に直結する効果的な実践事例も徐々に生まれつつあり、これにより生まれた余裕が指導の充実に生かされるということも期待をされているところでございます。
102ページでございます。ここから少し総括的な記述がございます。一つ目のポツにありますように、デジタル学習基盤の意義として三角三つでまとめております。一つ目の三角でありますけれども、デジタル学習基盤は、1人1台端末やクラウド環境等の情報機器・ネットワーク・ソフトウエアの要素で構成される一連の学習基盤であって、多様で大量の情報を扱ったり、時間や空間を問わずに情報をやり取りしたり、思考の過程や結果を共有したりするなど、子供の学習活動や教師の授業・校務における情報活用の格段の充実を通じて、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を可能とするものである。そして、それは多様な子供たちにとって、包摂的で主体的・対話的で深い学びの一層の充実に資する学習環境を教師にとっても持続可能な形で実現するものであるというふうにデジタル学習基盤の意義が整理されております。
そして、二つ目の丸でありますけれども、一方で、デジタル学習基盤による情報活用の充実は、それ自体が子供たちの資質・能力に直結すると考えるのは早計である。多様な子供たち一人一人の主体的・対話的で深い学びの実現を通じて、子供たちの資質・能力の育成につながっていくものである。そのように考えるのであれば、適切な指導計画や学習環境の設定、子供の丁寧な見取りと支援といった学びの専門職としての教師の役割は極めて重要であり、不可欠であると指摘をされております。
最後、103ページでございます。二つ目のポツ、「以上のとおり」というところで今まで述べてきたことがまとめられております。デジタル学習基盤の活用と学びの専門職である教師の役割が合わさることで、主体的・対話的で深い学びの実現が加速し、全ての子供たちを誰一人取り残すことなく、これからの社会を生きる資質・能力を育むことにつながっていくと考えられるとまとめられております。
その次のポツ、他方で、様々な調査結果から見ますと、地域間をはじめ、様々な格差が生じていることも事実であります。例えば1人1台端末を限定的に活用したり、過剰にセキュリティーを掛けている、こういった事例も見られるところであります。また、通信ネットワークの整備、これが不可欠でありますけれども、通信ネットワークが不十分であるといったような課題も生じているところでございます。したがって、後ろから2行目でありますが、各自治体では、国による伴走支援も活用しながら、域内の教育環境の向上に向けた更なる取組が期待されるという課題も指摘をされております。
一番最後の丸、下から3行目のところを少し御覧いただきますと、先ほど委員長から、学習指導要領の改訂の議論もございましたけれども、各種の教育課題に向き合う際には、本特別委員会も含め様々な検討の場が想定されるが、デジタル学習基盤の存在を切り離して議論を行うことはできず、常にデジタル学習基盤からの視点を踏まえながら検討が行われるべきであるということで最後取りまとめられております。
以上簡単ではございますが、前期の本特別委員会でまとめられた現状と課題について御報告させていただきました。以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございます。
続いてお願いいたします。
【黄地教科書課長】 続きまして、資料6-1を御覧ください。こちらはデジタル教科書推進ワーキンググループで取りまとめていただきました中間まとめの概要でございます。こちらにつきましては、先ほど少し御紹介申し上げましたように、本ワーキンググループを設置して、6回の会合を重ねて、今年の2月14日に取りまとめていただいたものでございます。もう既に報道等で周知されつつございますが、改めて御説明させていただければと思います。
1ポツにございますように、デジタル教科書を取り巻く状況としては、社会全体の中でICTが急速に浸透していく中で、学びの在り方としても、主体的・対話的で深い学びなどが求められるようになっております。国としても、GIGAスクール構想が進められ、さらには、次期学習指導要領に向けた検討も今始まっているところでございます。こうした中で、新しい学びにふさわしい教科書の在り方として、デジタル教科書が一つ論点になっているところでございます。
2ポツが現状でございます。制度的な位置付けとしては、令和元年度に制度化されたものでございますが、現行制度では、紙の教科書の内容の全部をそのまま画面上表示されるという形でデジタル化した、代替教材としての位置付けでございます。したがって、本来の意味での教科用図書ではございませんので、使用義務・検定・採択・無償給与などの対象とはなってございません。当面の間は紙と併用であるという前提で、国の方からも、中ほどに書いてございますように、英語、算数・数学を中心に配布させていただいているところでございます。活用の状況でございますと、6割以上の学校におきましては、4回に1回程度あるいは毎回の授業で活用していただいているというところでございます。
そうした中で、今まではやりづらかった主体的・対話的で深い学びなどが進んできたという声もいただいており、また、中ほどに書いてございますように、実際、学力調査の得点が向上したなどの事例も挙げられているところでございます。一方、課題感として、アカウント設定やフリーズ対応などの環境面の問題、あるいは効果的な活用方法に関する情報がまだまだ不足しているのではないかといった活用面での課題も指摘されていると同時に、また、健康面での課題も指摘されているところでございます。
こうした中で、2枚目でございますが、今後のデジタル教科書の在り方として、まず基本的な方向性として共通認識としてありましたのが、新しい学びの実現のためには、まずは現場の創意工夫を最大限生み出すような環境が重要であろうと。そのためにも関係者の納得と共感が得られて、様々なニーズに対応できるような柔軟な制度設計が適当であろうということが基本的な方向性としてございました。
それを前提に今後の制度的な在り方としては、先ほど申し上げましたように、現在は教科書代替教材としてという位置付けでございますが、これにつきましては、無償給与の対象となる教科書として位置付けるべきではないかといった意見や、また、紙の教科書と同一内容という要件がデジタルならではの可能性を狭めているという意見もございました。こうした御意見などを踏まえまして、今後の在り方としては、教科書の形態として、紙だけでなくデジタルの場合であっても認められるということを制度上明確化してはどうか。その場合、デジタルでも教科書として認められるようになりますと、それは検定・採択・無償給与などを対象になるということになります。
一方でこれらについては、全国一律の対応ではなく、様々な選択肢の一つとして、紙に加えてデジタルによる教科書も認められてはどうかということも整理させていただいております。そうしますと、教育の場が全てデジタル一辺倒になるのではないかという御懸念もあり得るところではございますが、この中間まとめの中では、そうしたデジタル一辺倒ではなく、教育課程・授業全体としては、紙のよさ、デジタルのよさ、リアルのよさを適切に組み合わせてデザインすることが重要であろうということでございます。すなわち、紙かデジタルかといった2項対立に陥ることなく、どちらのよさも考慮しながら適切に生かしていこうという考え方に立つべきであろうという整理でございます。そうした中で、御提案いただいたアイデアとして、一部が紙、一部がデジタルで作られた、言わばそれぞれの特性のいいところを組み合わせたような形でのハイブリッドな形態の教科書も認めてはどうかということもこの中で触れさせていただいてございます。
そうしますと、教科書の範囲・内容・構成等は実際どうなるんだろうかということです。教科書としては、まず、こちらに書いてございますように、検定を得ることが前提になりますところ、学習指導要領に基づく必須の内容が活字や図表などによって系統的・組織的に記載されたものが該当するものであろうということでございます。その場合、出てくる論点の一つとして、現在の紙の教科書の大部分、多くはQRコードが付いてございますが、その先のコンテンツは現行は教科書でないという位置付けでございます。先ほどハイブリッドな形態の教科書を紹介させていただきましたが、今後教科書としてデジタル媒体が可能になった場合には、こうしたQRコード先のコンテンツは、教科書に相当、教科書の一部として認められるものであれば、教科書として位置付けて掲載することを可能にしようということが整理されています。
具体的な内容、どのような教科、どのような学年でデジタルによる教科書があり得るべきかについては、更に学習指導要領の議論を踏まえながら、教科特性、児童生徒の発達段階、その他実態に応じた検討が重要であろうということでございます。
3枚目を御覧ください。今後のスケジュール感でございます。先ほど紹介申し上げましたように、次期学習指導要領を見据えての御議論でございますので、遅くとも次の学習指導要領が進むときには、それに対応した教科書が配布できるようにということで進めていこうということになってございます。それに向けて今後の推進方策としては、現行の課題を改善しながら制度改正を見据えた取組が必要であろうということと、その下にございますように、仮に次期学習指導要領に合わせるということで言えば、今、2025年でございますが、この後5年以上ございますので、その間は現行の紙とデジタルの併用を当面の間継続するということでございます。その際、現在は英語、算数・数学を中心に配布させていただいておりますが、ほかの教科も含めて更なる推進方策を検討してはどうかということでございます。
その具体的な内容につきましては、今後更に御議論いただくべきではないかということで、3ポツで整理させていただいております。まず、当面の間の推進方策として、段階的な導入の在り方、効果的な活用方法の発信、教育の指導力の向上、アカウント管理などの負担軽減、健康影響への対応、通信環境の改善、また、更なる論点として検定、採択、発行・供給、著作権、あるいは教科用特定図書との関係など様々な論点がございますので、この辺りも含めて更に御議論いただければと考えております。
なお、2月に本中間まとめを出した後に、3月中に一般や各団体からの意見募集をさせていただいているところでございます。それを取りまとめたものを次回のワーキンググループでまた御説明させていただければと思いますので、これも踏まえて更に御検討いただければと存じております。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。
続きまして、学力調査室長、お願いします。
【相原学力調査室長】 学力調査室長の相原です。よろしくお願いします。資料7に基づきまして、全国学力・学習状況調査のCBT化の進捗状況を御報告します。
まず、最初に参考資料4をお願いします。本資料は、前期の2月の委員会でも御説明した資料になりますけれども、こちらを基に、まず令和7年度調査の概要と準備の状況を御説明します。
1点目は、実施の日程です。2ページのとおり、令和7年度の調査におきまして初めて、教科調査として中学校理科にCBTを導入しまして、文部科学省のCBTシステムMEXCBTを利用して、4月14日から17日まで4日間の分散実施といたしました。また、ページ一番下の四角の欄にございますように、後日実施の期間におきましては、中学校理科と児童生徒質問について、インターネットの接続環境があれば学校外から調査に参加できるという取扱いといたしました。
3ページをお願いします。2点目はサンプル問題でございます。CBTの導入に際して、生徒や教師が円滑に調査に取り組めるように、昨年10月にサンプル問題を公開しまして、本年1月から3月まで各中学校において調査当日と同様の環境でこの問題に取り組む事前検証作業を行っていただきました。問題の1例が4ページにございますが、動画・アニメーションの利用など、CBTならではの出題が可能となったところです。
5ページ目をお願いします。3点目として、今年度調査から自動採点を活用していくこととしております。CBTの導入教科におきましては、答案が機械可読データとなることから、採点の工程の一部にこのように自動採点を活用しまして、採点期間の効率化を図るとともに、その短縮期間を生かして、新たにIRTスコアの分析を行ってまいる予定でございます。
6ページをお願いします。4点目は質問調査の改善となります。生徒質問につきましてもMEXCBTを利用するということで、その機能を生かして、同類の質問項目群からランダムに選ばれた質問を出すランダム方式を一部で試行いたしました。例えば今回で申しますと、5項目をランダム方式として割り当てまして、生徒は5項目の回答負担をする一方で、実際には16項目につきまして、抽出調査相当の回答データが得られるということで、分析を深めていく予定としております。
続きまして、資料の7-1をお願いします。今年度の中学校理科の問題から出題の一部を御紹介いたします。まず、1ページ目、水を加熱して蒸留する実験の様子でございますが、そこに自動のアニメーションが使われた例でございます。文字や切り取られたイラストよりも格段に実験の仕組みが理解しやすくなったところです。
また、次のページは、マグネシウムを燃焼させる実験の様子を動画で示した例となります。化学変化の時系列や激しさ、実際の色もよく分かります。また、解答におきましても、原子や分子のモデルを何度も移動させて試行錯誤することもできる仕様となっております。このように、教科の特性に合わせた出題の工夫が可能となりまして、今回の問題、特に理科についても現場から好意的な評価をいただいておるところです。
また、本日配付資料にはございませんが、今年度の児童生徒質問におきましては、昨年度行いましたICT使用の効力感に加えまして、具体的なICTの活用の場面に関する自信についても質問をしまして、教科の結果や学びに関する他の質問回答との関係も含めて分析を更に深めたいと考えております。
資料7-2をお願いします。こちらは先週18日12時までの時点での各学校からの調査終了報告に基づきまして、中学校理科に係るCBT調査の実施状況を御報告したいと思います。まず、調査期間中は、MEXCBTや学習eポータルの障害など全国的なトラブルは幸い生じませんでした。
2ページ以降にCBTの報告をまとめております。まず、2ページですが、CBT固有の事情によって学校全体として調査が完了しなかった学校は、全国で45校、0.5%ございました。その内訳は、サーバーの不具合、セキュリティーソフトの意図しない影響で動画や画像が表示されなかった等の理由によるもの、これが19校ございました。また、事前の問題配信がうまくいかなかった、実施指定日を誤って認識していたなど、準備面の理由によるものが26校ございました。
次に、学校全体としては調査を終えたものの、一部の生徒がCBT 固有の事情により調査が完了しなかったというケースを3ページにまとめております。CBT固有の事情により調査が完了しなかった生徒は、ネットワーク・端末等の理由によるものが1,689人、0.19%、準備・操作面の理由によるものが69人、0.01%ございました。この中では、ネットワーク・端末等の理由として、特に、調査問題が表示されなかった、解答データの提出が未完了だった、eポータルやMEXCBTにアクセスできなかったというのが特に多く見られました。
全体としまして、ほぼ全ての学校と生徒が調査を正常に終えることができまして、計画的な御準備と当日の円滑な実施に御尽力をいただきました教育委員会、学校関係者の皆様に改めて感謝をお伝えしたいと思っております。
最後に資料の7-3をお願いします。先週18日から今月30日まで、調査当日に参加できなかった学校・児童生徒向けの後日実施が行われます。令和7年度調査に関する実施要領には、中学校理科と児童生徒質問につきまして、後日実施の期間は学校外から調査に参加できる取扱いを初めて明記いたしました。その上で、4月8日付で全国に配布し、文科省ホームページにも掲載したのがこの資料7-3となります。
ここでは、ログインの方法や調査の流れ、トラブルへの対応などを具体的に記載しております。インターネットの接続環境さえあればどこからでも参加できるというオンライン方式のメリットを生かしまして、学校では本調査に参加しにくかった児童生徒にも、それぞれの状況に応じて、御自宅、教育支援センターなどから参加いただけるということを期待しておるところです。
本調査終了後、5月には、各学校にアンケートを行うことを予定しております。このアンケートにおきまして、CBT化に係る御意見、御要望をしっかりと吸い上げまして、さらに来年度以降のCBT化の工程の準備を着実に進めてまいりたいと考えております。
説明は以上となります。よろしくお願いします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。大変詳しく御説明をいただいたところでございますが、少し確認しておきますと、資料5の104枚のこの資料は非常に大部に及んでいますけれども、関係の委員会で議論されたものをデジタル学習基盤というくくりで全部整理し直したものでございまして、最後の方の総括、本日寺島課長が御説明いただいた辺りは非常に重要なことがたくさん書いてございます。今画面に出ている最後の図もいろいろなところで御利用いただいている図でございまして、デジタル学習基盤の整備がこれから求められるいろいろな学びやあるいは働き方、データ利活用等に大きく寄与するのだという前提になるのだということがここに表わされてございます。
黄地課長から御説明いただいたデジタル教科書につきましても、まだ議論は途中ではございますけれども、様々な課題がはっきりしておりますし、パブリックコメントでも様々な御意見をいただいたところでございます。従前の教科書制度の中で教科書会社が丁寧に教科書を作っていただいているわけですけれども、先々どうなるかということを少し先まで見通して情報提供しないと作る側は大変困る。だからといって、急に未来の形になるわけではないので、それまでの当面の間どうするかということも一緒に提示していく必要があると、こういう2段構えで検討を進めてまいっております。そういう意味では御担当の教科書課は非常に大変な思いをされているわけですけれども、丁寧に議論しているというところでございます。
最後の学力調査の件で言えば、とうとう学力調査にCBTが利用されたという、これはある意味、非常に大きな出来事かと思います。今年度は中学校の理科のみですけれども、来年度、再来年度とどんどん拡張されてまいりますし、99%を超える率というのは極めて高い率でございまして、残念ながらまだうまくいかなかった端末やうまくいかなかった学校が少しだけあるということですが、このデジタル学習基盤の整備を各自治体がしっかりとやっていただくということにつながることかと思います。99%以上うまくいったということは、それだけ整備を頑張っていただいた証でもあろうかと思います。今後CBT化は、学力調査以外でもどんどんいろいろなことで取り入れられていくのかなと思いますし、MEXCBTが動き始めてもう随分たちますので、たくさんの方々に慣れていただいた結果かなと思っております。
それではここから先は、委員の皆様より、今の事務局の説明を踏まえまして、この特別委員会、第13期のこのデジタル学習基盤特別委員会において、皆さんの方でどのようにお考えかということを、意気込みも含めてお話しいただければと思います。
今から名簿順に御発言をお願いしたいと思いますが、委員長代理の高橋委員と奈須委員は最後にお話をいただきたいと思っております。大変恐縮ですけれども、1人2分程度ということでさせていただきますので、時間配分につきましては御協力をお願いしたいと思います。
それではまず、石井委員からお願いいたします。
【石井委員】 青森県八戸市立長者小学校の石井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。このたびデジタル学習基盤特別委員会で皆様と共に議論させていただくことは非常に光栄なことであり、また、このような重要な時期に委員に就任させていただいたことは非常に重責であり、身が引き締まる思いであります。
私は教育委員会でファーストGIGAの環境整備と研修を行ってまいりました。また、令和5年度からは、教頭としてファーストGIGAの環境を使った実践に取り組んでまいりました。昨年度は、働き方改革、学校DXを柱として、GIGA環境を中心に据えて、授業、校務ともにクラウドを活用するということを頑張ってまいりました。また、今年度からは校長として、セカンドGIGAを見据えて、学校経営の柱にデジタル学習基盤を位置付けております。
デジタル教科書の活用、CBTの活用による授業改善、そして校務支援システムの活用と採点システムの導入というところで業務改善を行ってまいります。特に当たり前を見直すということを職員で取り組んでいこうということで頑張っております。本校のキャッチフレーズは、やればできる、やったらできたということで、前向きな気持ちで学校DXと向き合っていく所存であります。
このような現場の取組と、そして国の施策をうまくつなぎ合わせていくというのが私の役目かなと思っておりますので、どうぞこれからよろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。続きまして、亀田委員、お願いいたします。
【亀田委員】 石川県能美市教育委員会の亀田と申します。このたびはこのようなデジタル学習基盤特別委員会委員を拝命しまして、石井委員がおっしゃったと同じように身の引き締まる思い、重責を感じているところであります。また、GIGAスクール構想は第2期を迎えるということと、学習指導要領が改訂に向けて審議が始まっているという中で、本当に重い責任を感じている次第であります。
そこでまず、私は教頭時代にもファーストGIGAで少し端末を使った授業もやってまいりまして、そして令和4年からこの能美市の教育行政に入っているわけですが、第1期のときに現場と教育行政で端末導入に込めた思いが大きく2点ございます。まず、1点は、家庭でも端末を使って子供たちの学びの世界を広げたい。石川県は地方でありますので、都会と地方のいろいろな差がございました。その中でも、地方にいても、あるいは経済格差のある状況であったとしても、子供たちの家での学びの世界も広げたい。これが1点目。2点目は、やはりデジタル教科書の御説明もありましたが、デジタル教科書やクラウドを活用した学び、こういうものの可能性、こういう豊かな学びを令和の時代に作りたい。これが2点目でございます。この思いの下、整備に努めてまいりました。
そして、現在CBTということで理科のテストが終わったばかりですが、子供たちの声をちょっと聞いてまいりましたところ、子供たちは、やはり動画が再生される中で非常に考えやすくなったと。視覚的に捉えやすい。色も分かるということの声が上がっている。そして記述するときも、鉛筆で紙に書くよりも、タイピングスピードがやはり上がっておりましたので、非常に自分の考えを表現しやすくなったという声が上がっておりました。一方で、スクロールに、まだ読解力といいますか、その辺りで負荷が掛かったという声も若干入っております。
そしてもう一つ、デジタル教科書の可能性ですが、本市は国語と音楽も昨年度頂戴しておりまして、実証をさせていただきました。ここら辺りも非常に有効だということで、子供たちは今年も欲しいというような声も上がっているところでございます。家庭に帰っても音源が聞けるといったメリットを言う子供たちの声が上がっておりました。
そこで、第2期を迎えるに当たり私が一つ課題としてお伝えさせていただきたい点として、やはり自治体によっていろいろな差、活用の差が生じている。これはどうすればその差が解消できるんだろうかと考えましたときに、やはり教育行政に携わっている指導主事のリテラシー、そして自治体職員、この辺りに専門家がいるとは限らない。指導主事自身もGIGA端末の授業を体感せずに行政に入って、指導主事になってしまっている人たちがいらっしゃる。その人たちが実感を伴わないでどうやって現場に伝えていくんだろうか。これは非常に指導主事も苦しんでいると思います。この辺りの指導主事のリテラシー向上に私も何か寄与することができないか。そして、地方自治体に勤める基礎自治体の行政職員に説得力を増す指導主事の在り方、こういう予算が要るんだ、こういうものの導入が必要だ、ネットワーク環境を整えるんだというところで説得力を増せるような教育現場からの指導主事の養成、この辺りも専門性の向上ということで課題を感じているところです。少しでもこの辺りに貢献できますと幸いです。
以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。それでは、利根川委員、お願いいたします。
【利根川委員】 NPO法人みんなのコード代表の利根川です。私どもは、情報教育を支援するNPOとして、小中高校の先生の研修やプログラミングの教材、学校向けの生成AIの環境の無償提供などを行っております。今回、委員の中では唯一事業者としての参加になります。私どもは、様々な現場を広く見てきた経験に加え、私自身が社会起業家や、あるいはソフトウエアエンジニアであったという観点からも議論に貢献してまいりたいと思っております。
3点申し上げたいと思います。一つ目は、委員の皆様も体験して驚かれていると思うんですけれども、直近の生成AIの進歩はすさまじいものがあります。各種Deep Researchや推論モデルの進化は、人間は何を思考すべきなんだろうか、学習はどうあるべきなんだろうかということを根本的に再考する必要があると感じております。また、そういった機能は今は有料で限られた人しかリーチできませんが、これは近い将来無料ないしごくごく低廉な価格でアクセス可能になるという前提で、教育の制度・基盤を考える必要がある時代だと認識しております。
一方で、二つ目、足元の学校現場でそういう生成AIがどうなのかという点ですが、昨年12月に示された改訂版ガイドラインは、暫定版からは進歩したんですけれども、検討会議の最後の会で触れたように広がりを考える必要あるかと考えています。半数以上の先生が校務で生成AIを活用している学校は、最新の調査でも2.6%。ちなみに、ファクスの方は77.1%と。この現状がありまして、私自身も今回のガイドラインの検討に参加させていただき、「令和の公教育の責務」でないかと申し上げたんですが、この数字からするとまだまだ道のりは長いなというところです。では、それをどうやったら進められるんだろうかというのを委員の皆様や関係各方面の皆様と議論し、進められたらと思っております。
三つ目が情報活用能力の育成についてです。意欲的な学校が増えている一方で、地域内などでの取組の差があり、子供の目線に立つと、小学校で良い情報の学びがあったとしても、中高と続かないという姿を多く見ています。12年間を通じた体系的な情報活用能力育成のために、学校の裁量権を拡大していくというところは大切なんですけれども、まだまだ発展途上にある情報教育においては、例えば卒業時にこういうところを身に付けていく必要があるんじゃないか、そういった枠をはめていく、共通項を見付けていく、そこら辺が必要ではないかと感じます。
また、今回デジタル学習基盤の上での情報活用能力というところでございますが、先進的な学校を見ますと、児童生徒の情報活用能力が充実してくると、整備したデジタル学習の活用がスムーズに進むという姿を見ています。なので、この二つ、学習基盤の整備と情報活用力育成というのは掛け算なのではないかと考えております。それによって児童生徒の学びが充実してくるのではないかと考えています。本件は学習指導要領改訂の議論で扱われていると承知していますが、デジタルに特化した本委員会でも皆様と議論できたらと思っております。
今回委員の末席に加えていただきましたが、どんなことを成し遂げたいかと考えますと、2030年代に「何でこんなデジタル学習基盤なんだ」という批判を各方面、現場の皆さん、国民、児童生徒からいただかないように未来の視点に立って、どのようなことが必要なのかバックキャストして考える議論ができるといいかと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。続いて、中川委員、お願いいたします。
【中川委員】 放送大学の中川です。よろしくお願いします。先ほどの事務局の御説明を聞いていて、とても大事な委員会であるということがしっかり伝わってきました。もうこれはデジタル学習基盤を前提とした新しい時代にふさわしい学びを推進していくということに尽きると思っています。特にこのことを実践の面から具現化していくことが今後すごく大事だと思いますので、私の立場から推進していきたいなと思っていますし、貢献していきたいと思っています。
先ほど御説明のあったデジタル教科書の活用についても、そのような事例が蓄積しつつあることを私は実感しています。一方で、これは個人的に全国の学校や自治体をこの頃回っていて気になっていることは、表面的な自己調整っぽい学習指針とか、ICTは頻繁に使っているんだけれども実は教師があまり把握してないというか、そういった状況も時折見えてきて、前段に述べた新しい学びが重要なだけに、だから駄目だと言っているのではなく、これからの教師の役割等についても更に周知しつつ、うまくランディングさせていく必要があるなと思っています。
いずれにしても、本委員会で貢献できるように頑張っていきたいと思っています。よろしくお願いします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。西端委員、お願いいたします。
【西端委員】 奈良県にあります畿央大学の西端でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私からは2点お話をさせてください。
1点目は、今のまとめていただいた資料にもございましたが、やはりデータの可視化というところが今後ポイントになるのではないかと思います。というのは、現在、特別支援教育の分野の実践をよく指導させていただいていますが、やはりその中で、今年担当した子供の知見が次の子供に生かせるとは限らない。要は、特別な支援を必要とする子供たちは一人一人違うというところに基づいてそういうことになるのですが、やはり先生方の経験知がなかなかたまりにくいということがございます。そうすると、データでどこまで支援できるかというところをやはりこちらから示していかなければならないのではないかと考えています。それは生成AIにもつながっていくのかなと思っております。
2点目は、非常に卑近な例で申し訳ございませんが、今、大学1年生の担任をしておりまして、初年時教育やオリエンテーションをやっておるんですが、大体、教育社会学とか教育心理学とか教育何とか学という、そういった授業がたくさんございます。「どう違うんですか」と聞かれるのですが、前の教育が目的で、後ろが方法ですよというふうに、長い言葉は切って考えましょうということをよく言います。さて、ではここで、デジタル学習基盤はどこで切ってどういう意味を持つのかというのを、2期目に当たるに際しまして私自身がいま一度考えていきたいなと思っております。
以上2点でございます。
【堀田委員長】 ありがとうございました。平田委員、お願いいたします。
【平田委員】 私は都道府県の教育委員会の立場から発言をさせていただきたいと思います。まず、例えば高校生の学び方を見ていると、少し前と全然違うな、デジタル学習基盤を彼らは本当に使いこなしているな、それが毎年変わっているなと思う次第です。これはやはり小中学校の学びが変わってきたととても実感しているところです。
例えば都道府県にとって、市町村での義務教育諸学校に対する、例えばGIGAであったりということを考えたときに、やはりいかに市町村に御理解いただいて御協力いただくかということがとても大切になってきます。例えば私たちは今、新しい次世代の校務支援システムのクラウド化を、1年、国の事業を利用させていただいて1年先に進めています。このときに、例えば校務支援システムを全くない未使用の町村さんの方が御理解はいただきやすくて、もう既にあって、だけれども、更新の時期もあるし、文科省さんの方針もあるから変えなきゃいけないのだけれどというところが一番、特にコストが最近高くなっているので、そこの関係であったり、あるいはもちろん首長部局、それから首長さんの御判断によりますので、そこのところの御理解を得るのが難しいところであります。
それに対して、やはり首長部局、首長様の御理解が得られやすいように、市町村にとってそれぞれに、子供が一人一人自分の学びを、一番自分にとって適していて、目を輝かせて深い学びができていくということがどういうことなのか、これがなぜ役に立つのかとか、校務支援システムであれば、先生方の時間がこれで空くことによって子供により注力できるというようなことをそれぞれの市町村のそれぞれの場面で御説明していくという、結構丁寧にやっていかないとなかなか御理解を得られるのが難しい状況にあります。
今後このデジタル学習基盤が進めば進むほど、恐らく先生方には腹落ちしていただいて、これが子供の目の輝きにつながるんだということであったり、また、各市町村、特に首長部局、首長様に、これは予算をかけても本当に子供のためになるんだという御理解をどうやって得ていくかというところがとても私たちに課せられているところだと思います。恐らく文科省、レベルは違うけれども様々なところでそういうことが考えなくてはいけないことなのだと思って、たくさん学ばせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。続きまして、オンラインですが、森田委員、お願いいたします。
【森田委員】 茨城県つくば市教育委員会教育長の森田でございます。よろしくお願いします。
事務局の方の説明にありましたように、児童生徒の学び、それから教員の教育という面についても大分変わってきているという中で、このデジタル学習基盤が重要なものであるということには間違いない、これからこれを一層進めなければいけないというふうに、今、気持ちを強くしているところです。
そういう中で資料を見ますと、大分環境整備という面ではまだまだ自治体によっての差が大きいのではないかなと。ですから、この差をなくすことも非常に大事なことであると思うんですけれども、そういう意味では、各自治体の理解を促すという面、それから予算の面での苦しさもあるのではないかと思いますので、そういう整備を促すための予算措置など、そういった面も考える必要があるのかなと1点、思っています。
また、いくら環境が整っても、やはり私たちから考えているのは、先生方の授業づくりという面が基本になっているのではないかなと思います。ICT、デジタル学習基盤を生かす授業づくりの力を先生方に付けていくということが私たちの教育委員会にとっては非常に大きな課題であると思いますので、そういう面で今後どうしたらいいのかというところについても是非議論をしていきたいなと思っています。
そういう中で、脱デジタルというのが最近どうも多く聞かれるようになりまして、中には脱デジタルがあたかも先進的であるかのようなそんな議論さえもされるようなそんな心配もされておりますので、しっかりデジタル学習基盤の中で学ぶ学びのすばらしさというものをしっかり説明できるようにしていきたいとも思っています。
また最後に、よい情報というのがかなり発信されているように感じるんですけれども、それが先生方一人一人に浸透しているのか。そういう面での浸透させるための工夫とか仕組みというものも今後必要なのではないかなと考えています。そういった面で積極的に皆さんのお考えもお聞きできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。続きまして、横尾委員、お願いいたします。
【横尾委員】 佐賀県多久市の市長をしています横尾俊彦といいます。よろしくお願いいたします。首長としては一人で参加させていただいていますので、現場のことをしっかり踏まえながら、また、マネジメントを預かっている立場を踏まえながらいろいろな意見を今後言わせていただくとありがたいなと思いますし、文科省はじめ専門の方々に大いに学びたいと思っています。
私は持論として、ICTとは、I create tomorrowの略だという提唱をしています。子供たちが、僕が、私が未来を創るというようなことができるように支えるのがICT教育の環境づくりだと思っています。そういう意味では、1人1台、また、通信環境の整備がやっとできたわけですけれども、この環境のキープというのは極めてもう今では基本的に重要なことだと思っています。併せて、ちょうど端末の更新期を迎えていますので、更新に関してのルールあるいは基準、そして予算が重要です。幸い、今回は都道府県単位で基金を配慮いただいています。また、併せて今後必要になってくるのは、廃棄に対してもセキュリティーを高くしながら無駄のないやり方をしていくべきだろうと思っています。
これらを踏まえつつ一方で思っているのが、時代のトレンドとして、ウェルビーイング、SDGs、そしてライフロングラーニング、これはユネスコでよくおっしゃっているLLEですけれども、生涯学習的な視点、こういったことも踏まえる中に実はこの初等中等教育があると思っています。ここの課程でしっかりスキルを付けていけば、ムーンショットができるようになります。いろいろなことに可能性が開けていくと思っています。
併せて重要だと思っているのが、本来の教育というのはどうあるべきかということを一方では考えておくべきだと思っています。個人的に思っているのは、人格を形成していく教育にちゃんと資するようにしなければいけないと思っています。併せて、自ら学ぶという熱意やスキルを子供たちに身に付けてほしいなと思っています。そういった意味では21世紀型スキルというのは日本であまり言われませんけれども、私はとても大事な視点を提供いただいていると思っていまして、クリティカルシンキングやクリエイティビティーやコミュニケーション、コラボレーションは本当に大事だと思います。
そして併せて、最近の事件を見ているといつも思うんですけれども、ファクトチェックのスキルも高めていかないと、大人も子供も事件に巻き込まれてしまいますし、フェイクニュースで踊らされて、とんでもない判断をしたり、政治が変な方向へ走ったりしますので、こういったことの素養を高めることも必要だろうと感じています。そういったことを含める大前提にリテラシーがあると思っています。デジタルのリテラシー、ICTのリテラシー、そして科学的な物事を考えるというリテラシーも含めて、どう養成していくかということをしていかないといけないんじゃないかなと思います。
こういったことが相まっていくと国民全体のリテラシーが上がっていきますので、例えばデンマークが公文書等は一切郵便で送らないで全てメールあるいはネットで配信、フィンランドは生涯学習ということもきちんと戦略を立てて国家経営の中でやっているというのを聞いていますので、そういったことも参考にしながら考えるべきと思っています。
私ども多久市には実は孔子廟がございます。孔子が弟子に聞かれたことがあります。「一生を通じて大事なことは何ですか、先生。一言で答えてください」。孔子は、私は中国語では言えませんけれども、「恕」というのを言っているんです。心の如しと書きますけれども、思いやりを持って物事に当たっていくこと、配慮することがとても大事ですし、一方では正しくこういったスキルを生かせるような素養を付けていくことも大事ですので、そういったベースになることも大切に考えながら、この特別委員会でいろいろな学びをさせていただくとともに、提言もできればありがたいなと思っています。
なお、全国ICT教育首長協議会の会長もしておりますので、いろいろな自治体の現場からの視点あるいは悩みも聞きながら、参加をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【堀田委員長】 ありがとうございました。それでは、委員長代理のお二人にお話しいただきます。高橋委員、お願いします。
【高橋委員長代理】 東京学芸大学の高橋でございます。よろしくお願いいたします。私はふだん大学では教員養成を担当しております。特に研究は教育の情報化でございまして、私自身は、子供も先生も一人一人がベストを尽くす、自分なりのベストが出せるような学校づくりをデジタル学習基盤の力を借りて実現したいなと思って日々研究を進めているところです。
その観点で、授業づくりに一番興味があるわけでございますが、いろいろな学校を回っていますと、最も課題があるのは校務DXなのではないかと感じることがあります。この課題も幅が広いんですが、例えば校務情報化と言っていた時代と校務DXと言っていた時代の違いが認識されていないんじゃないのかと。これは先ほど平田委員がおっしゃっていたように、実は前に入れていたところの理解が乏しいというこの質の違いみたいなところが、単にコンピューター使えばいいんでしょう、校務支援システム、昔のシステムを入れたからもうそれで十分でしょうといったことが起こっているのではないかと思います。
しかし、これについては、文部科学省の方で対策が進んでいると勝手に思っております。例えば校務DXのチェックリストを見ると、過去から積極的に情報化を進めていたけれども意外と低い自治体や、そのまま依然として高い自治体があったり、非常にそういうものを、あぶり出すと言ったら怒られてしまいますけれども、明確にするのに非常に優れたチェックリストがあるなと思います。これの改善や改良やその結果を踏まえたいろいろな積極的な活用、評価・改善みたいなことを進めていかなければいけないと思っています。
また、校務DXパート3ぐらいかもしれませんけれども、私としては、子供が柔軟に学べるような教育課程、今こういったことが話題だと思いますし、常勤や非常勤や様々な立場の先生方が柔軟に働ける、産休・育休を取った方も昼間だけ働きたいとかいったら働けるような、そういうような様々な事情を抱えている方がベストを尽くせるような学校づくりを目指そうと思うと、教育課程の編成、時間割づくり、人の配置、時数についてのきちんとした予実の管理、非常勤等への連絡調整や、場合によっては報酬等の計算といったものが一元的に、少しいじったら、案を作って、今日はこの時間割でやるんだぞとか、それはもうこのままいくと時数が足らなくなるぞとか、足りているぞとか、そういうような校務の中核的なことについて担うような仕組みづくりをいよいよ始めないといけないのではないかと思っています。
こういったシステムが出来る、そういうデジタル学習基盤が整うことで、学校教育全体のベースラインが上がっていく。本当に義務教育にとってベースラインを上げていくということは非常に重要なことだと思いますので、このデジタル学習基盤に私自身も貢献して、よりよい学校教育の実現に尽くしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田委員長】 ありがとうございます。それでは、奈須委員長代理、お願いします。
【奈須委員長代理】 上智大学の奈須です。デジタルというのはテクノロジーです。それ自体は手段なんだろうと思いますけれども、同時にテクノロジーによって僕らの世界観が変わることはよくあるんだろうと思います。私自身は40年前、多目的スペース、いわゆるオープンスペースが入っていたときに、授業が変わるなという実感をとても持ちました。閉じた、前向きの机で授業をしていたのが、そうじゃない空間をもらって、そこでどんな授業をするかと考える中で、今の個別最適とか協働につながるような実践が生まれてきたわけですけれども、あれはあのテクノロジーがなければ多分考えられなかったんですね。デジタルも同じだし、もっと規模の大きな徹底したものをもたらしてくれているんだろうと思います。
従来やっていたことが省力化するとか効率化するということもとてもありますけれども、やはりどういうふうに僕らの概念を変えるか、あるいは僕らがやってきたことがこういうことだったんだというふうに本質的に問い直していくことが大事だと思うんです。私自身は、1人1台端末が入ってきたときに、社会科資料集って何だったんだろうと悩みました。あんないびつな教材はないです。学校を出たら社会科資料集はどこにもない。私自身、教科専門は社会科ですけれども、社会科資料集の活用能力を資料活用能力と僕らは呼んできたけれども、それはどうも違ったんじゃないかと。でも、昔は他に手段がなかったですから、ありがたく社会科資料集を使わせてもらったし、それをどう生かしていい授業をするかを僕ら社会科の人間は頑張ってきたわけですけれども、1人1台端末がやって来た途端にそういった観念が吹き飛んだという感じがしております。
もちろん1人1台端末をただ与えればいいわけじゃなくて、私はガードレールという言い方をしていますが、むしろ子供が遭難したりしないようにどんな適度なガードレールを想定するかが新しい技術になってくるんだろうと思いますけれども、でも、それは、社会科資料集のように、この資料集のどこかに必ず答えがある、宝探しのような学習とは全く学びの在り方というのは変わってくるだろうと思います。
また、クラウドもやはりすごくて、高橋先生がお進めくださっていますけれども、話し合いの授業、社会科とか国語科でもやりますが、一人一人が手元のノートに書いてあることを教師が適切に計画指名して、1時間掛けて板書にみんなの考え方を構造的にまとめて上げていく。それを僕らは話し合いの授業と呼んでいましたけれども、クラウドがあれば、子供のノートは瞬間的にそこに全部出てしまうわけですね。すると、従来のあれは話し合いだったんだろうか。手元のノートをただ黒板に出すのに1時間掛けていたんじゃないかと悩みました。もちろん、すぐれた授業はそれだけではなくて、先生がどの子をどの順番で指名して、あの板書という中にどう立体的に構造化するかという高度な技術があるわけで、多分ただクラウドで並べたのでは気付かないようなことをしてきましたけれども、本当にどれくらいの教室でそれがやれていたのかということ、あるいはそこでやれていた技術を今度クラウドの環境の中でどう使うかというようなことが、新たなテクノロジーとの融合の中で考えられるのではないかと思っています。
最後にもう1点、諮問文の中に出ているんですが、手軽に質の高い翻訳も可能となる中で、外国語を学ぶ意義をどのように考えるかという、私はこれはすさまじい質問だと思います。僕らは日常的に機械翻訳を使っています。上智大学は外国人が多いので、メールや文書は原則英語併記、もうそれは翻訳ソフト使わないととてもじゃないけれども、仕事ができません。毎日使っていますけれども、それが普通に英語の授業で使われるようになるとどうなるだろう。欧米では研究がありますけれども、翻訳ソフトを使った方が外国語の学力は上がるという調査結果は山ほどあります。でも、なかなか今日本の先生は使ってくださらない。それを今後どう考えていくかということもあると思います。
翻訳ソフトを使わせてみると、例えば3単元のSとか、これが規則動詞か不規則動詞かとかはもうどうでもよくなります。それにより、3単元のSを間違ったからマイナス1点、規則動詞にしちゃったからマイナス2点というふうな英語教育を乗り越えられるのではないかと楽しみにしています。むしろ英語とは何か、コミュニケーションとは何かという、より本質的なところに行く。まさに優れた道具が僕らの世界観を変えて、僕らの仕事を変えると。だから、その辺りのこと、つまり、学ぶとはどういうことか、知識とは何か、評価の本質を何かということを考える、そこにいろいろな問いをデジタル学習基盤というのは投げ込んでくれるんだろうと思います。
その意味で、デジタル学習基盤をベースにした学習指導要領を今回作っていかなければいけないわけですが、デジタルがもたらしたものにいろいろアイデアを得て、学習指導要領はどうあるべきかという一番根っこの部分、本質的な部分の議論が進むことを期待していますし、こちらは特別委員会ということで、いろいろな問題提起、投げ掛け、資料作成をいただけるとありがたいなと思っています。以上です。
【堀田委員長】 ありがとうございました。今日は植阪委員は残念ながら御欠席でございますが、最後に、委員長である私からも一言述べたいと思います。
皆さんのお手元の資料5、2ページに目次がございます。中身は読んでいただければと思いますけれども、この目次を見ると大事なことが結構伝わると思っております。この目次の丸3番にデジタル学習基盤の中身といいましょうか、一つ一つが書いてあります。これは一応便宜上分けたもので、実際は重なり等があります。レイヤーが違うようで同じ部分もあります。見方を変えれば、あるものは教育データの利活用であり、それはデジタル教科書とつながっておりみたいなこと、そういったことがいろいろあります。これまではこれらの検討は文部科学省のそれぞれの課のそれぞれの室のところで行われてきました。それらが今こうやって統合して議論され、そして今日のCBTのように実用化し、十分に機能するところまで来たと思いながら今日はお話を聞きました。
これらのデジタル学習基盤が有効に機能するためには、当然ながら、子供たちの情報活用能力が極めて重要になります。なので、丸4番には情報活用能力育成が書いてありまして、この情報活用能力を抜本的に向上させるんだというのが今回諮問文に書いてございます。そうすると、そういう向上させるような利活用はどうあればいいか、あるいはそれは教育方法としてどうあればいいか、あるいは教育課程としてどのようにあればいいかということが教育課程企画特別部会で議論されていくわけですけれども、そういう教育課程を施していくときに必要となるデジタル学習基盤、便利な整備や使われよう、そしてそうやって身に付いた子供たちが使うデジタル学習基盤はどうあればいいか。この鶏が先か卵が先かみたいな話が常にある。だから、不断の見直しが必要なんだと思います。
一方で、これは教師にも関係していまして、子供たちがそれぐらい自分の力で学べるようになって情報を集めてこられるようになったときに、そして情報を読み取ることができて整理できるようになったときに、どのように授業をするかというのは、恐らく今までの授業の仕方と決定的に変わるはずで、したがって、私たち大人の側が今までの概念を一部改めることも必要になる、そういうタイミングにあろうかと思います。
これは先ほどから出ている校務のDXでも同じで、今までのやり方をどう効率化するかというためにICTを使ってきた時代から、そもそもデジタルを前提として、やり方から見直しましょう、そもそもその仕事は要るのか、といったところから見直しましょうといったことが起こっているということです。これはもう大きなパラダイム転換だと思いますし、これを全国の学校でやっていくわけですから、そう容易ではないと考えています。制度の中には法律で決まっているものもありますから、これらを変更しながら進めていくということになるので非常に大きなお仕事かと思っております。
最後に申し上げたいんですが、最近のGIGAでどんどん学んでいる子供たち、さっき平田委員からも出ていましたけれども、高校生などを見ると、もう僕らの頃とは違う学び方になっている感じがしていて、ああいう人たちの評価を僕らの枠組みでしてしまうことは適切とは限らないと思うことがあります。つまり、私たちが思っている、例えば学力や能力といったものが、もしかしたら新しい時代にそれを当てはめていい悪いと言ってしまうことが、彼らの芽を潰す、あるいは場合によっては新しい我が国の発展を妨げる可能性すらあるかと思います。
一方で義務教育に代表されるような学校教育は、全ての国民に最低限しっかりと知識や学び方、態度を与えていくものだとすれば、ここの考え方は非常に難しいと思うところでございます。地域や子供による違いも様々ある中で、どのように私たちが教育をしていくのかということと、それを実現しやすくするためのデジタル学習基盤の在り方というのは非常に大事に関わってくると思っております。
これから何度か会議を進めてまいりますけれども、教育課程の改訂あるいは教員の働き方の議論、そういったものを横目で見ながら、私たちはこの特別委員会で議論していくことになりますので、皆さん御協力のほど、これからもよろしくお願いいたします。
それでは、時間が間もなく参りますので、この辺りにしたいと思うんですけれども、最後に、次回の予定につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
【渡辺学校デジタル化PTサブリーダー】 次回につきましては、追って事務局から御連絡させていただきます。
【堀田委員長】 分かりました。
それでは、本日予定した議事は全てここで終了いたしましたので、これにて閉会といたします。
皆さん御協力ありがとうございました。
―― 了 ――
(会議終了後、書面で提出のあった意見は以下の通り)
【植阪委員】東京大学の植阪です。本日は欠席となりまして大変申し訳ありません。
事務局からのご報告と、また皆様からのご発表を議事録で拝読した上で、今後への期待ということでごく簡単にコメントを残させていただきます。こうした貴重な機会を与えてくださった事務局にも感謝申し上げます。
デジタル学習基盤が深い学びを保障することや、自らの学習を調整するような側面を刺激するようなものとして活用されるように期待したいということです。今、デジタル教科書についてはご報告の通り分厚い議論をしていただいておりますが、最終的にはこれらが子どもたちの深い学びに結びついて欲しいと願っているということです。また、デジタルはそれに向けて大いに可能性があると思っております。例えば、私が関わらせていただている学校での実践では、説明型宿題という実践が行われ、先生が行っていた公式の成り立ちなどを学習者自身にも説明させようとする試みが始まっています。1分ほどの動画もしくは音源なのですが、提出も容易で、先生方はご自身の携帯で行き帰りに聞きながら理解状態を把握していると聞いております。このように、深い理解に基づく学力や学習力の向上にデジタルがどのように寄与するのかについても本会議を通じて発信されていることを願っています。
初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチーム