令和6年12月12日(木曜日)10時00分~12時00分
文部科学省(WEB会議も併用)
【荒瀬主査】 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから高等学校教育の在り方ワーキンググループ第15回を開催いたします。
本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会議も、ウェブ会議システム、Zoomを併用しつつ、文部科学省内の会議室にて開催とさせていただいております。また、傍聴の方につきましては、YouTubeで御視聴いただいています。
ちなみに、私も今日は文部科学省ではなくて、よそから入っております。その関係で、御指名をする際は、私のほうで気がつかないケースが多いのではないかと思います。いつもも気がつかないケースが多くて、事務局の方に大変お世話になっているんですけれども。今日は、御指名のほうは事務局からしていただくということでよろしくお願いしたいと思います。
また、本日は報道関係者の方から録音及び写真撮影の御希望がありました。許可しておりますので、委員の皆様におかれましては、御了承いただければと思います。
それでは、まず配付資料につきまして、度會参事官補佐から御説明ください。よろしくお願いいたします。
【度會参事官補佐】 よろしくお願いいたします。本日の配付資料は議事次第のとおりとなっております。資料について不足等ございましたら事務局にお申しつけいただければと思います。以上です。
【荒瀬主査】 よろしいでしょうか。それでは、議事に入ります。
本日は、高等学校の在り方に関するワーキンググループ審議まとめ(素案)について御議論いただきたいと考えております。まず資料1、高等学校教育の在り方ワーキンググループ審議まとめ(素案)について、度會参事官補佐から御説明をいただきまして、続きまして、義務教育段階と高等学校段階の接続という観点から、資料2の義務教育の在り方に関するワーキンググループ審議まとめ(案)について、事務局、これは教育制度改革室の渡邉室長から御説明いただきます。その後、残りの時間を意見交換に充てたいと考えております。では、まず度會参事官補佐から、資料1につきまして御説明ください。よろしくお願いいたします。
【度會参事官補佐】 よろしくお願いいたします。資料1を御覧ください。こちらは中間まとめからの赤字見え消しとなっておりまして、本日は主な変更箇所を中心に御説明申し上げます。なお、審議まとめにつける参考資料などについては、今後整えていきたいと思っております。
1ページをお願いします。まず、「はじめに」のところですけれども、こちらは冒頭、令和3年の令和答申を踏まえた記載となっておりまして、そのため続けて、ICTの活用に関する基本的な考え方についても触れさせていただいておりまして、これまでの実践とICT等を最適に組み合わせることで、これからの学校教育をよりよく変化させ、教育の質の向上につなげていくことが必要と書かせていただいております。
その下の赤字でございますけれども、高校は地方創生の核ともなる存在であるという観点から、「また、高等学校に対しては、地域の特色を生かした新しい価値を創造し、地方創生の核となる存在として期待されている側面もある。生徒が地域の課題意識や貢献意識を持つとともに、地域を知り、親しむ機会を創出することが重要であり、地域の多様な関係者が知恵を出し合い、地域の可能性を最大限に引き出しながら、地域づくりを進めるといった実践を通じて、これからの我が国を担う高校生が社会の一員となるための多様な資質・能力を身に付け、持続可能な社会の創り手として様々な分野で活躍していくことも期待される」と追記させていただいております。
次のページをお願いします。次のページの中段のところです。「現行の学習指導要領の趣旨も踏まえた教育活動を着実に実施しつつ」と加えさせていただいておりますけど、こちらは学校において取り組むべき当たり前のことをしっかり着実に取り組んでいくことが大事という観点も含めようということで追記させていただいております。
次のページをお願いします。こちらのローマ数字Ⅰのこれからの高等学校の在り方に係る基本的な考え方についてでございますけれども、この下の部分、3ページの下のところで、多様な学習ニーズに対応する観点から、「一つの学校の中だけで教育活動や期待される機能・役割の全てを果たそうとするのではなく、他校・他課程・他学科のリソースも活用していくという考え方が重要であり」ということを加えさせていただいております。
基本的な考え方は以上でございまして、次、7ページをお願いします。ここから各論点に入ってまいりますけれども、最初が、少子化が加速する地域における高校教育の在り方についてで、8ページをお願いします。
この8ページから11ページにかけては、今年4月から可能となった遠隔授業や通信教育に関する制度改正に係る修正でございまして、例えば1つ目の丸については、遠隔授業の受信側の話ですけれども、教師に代えて職員を配置することが可能となるよう要件の弾力化を行ったところだとか、その下の丸で言えば、対面授業を年間1単位時間以上とすることも可能となるよう要件の弾力化をしたこととか、その下の丸の一番最後からですけども、9ページにかけてです。国内の他の高等学校に一定の期間、留学する際に、通信教育が活用可能となるような制度改正を行ったところでして、これらの制度の見直しについては今年度から適用されておりまして、「実際に進めるに当たってのノウハウ等の構築や共有も不可欠であり、体制環境の整備などの支援策と併せて考えていく必要がある」と書かせていただいております。
その後削除しているところは時点更新でございまして、今の御説明に取って代わる部分となっております。
10ページお願いします。加えているのが、遠隔授業や通信教育の活用、学校間連携等の推進による学びの機会の充実ということで、我々としても予算事業をやらせていただいておるんですけども、その地理的状況や各学校、課程、学科の枠にかかわらず、いずれの高等学校においても多様な学習ニーズに対応していくことが必要であるというところで、最後下の3行ですけども、「遠隔授業や通信教育を活用した積極的な学校間の連携・併修ネットワークの構築に関する実証研究に取り組んでいるところであり、優良事例の創出や、その普及を図っていくことが必要である」と書かせていただいております。
11ページをお願いします。この遠隔授業と通信教育の絡みですけれども、例えばですが、その配信センターを中心拠点として整えている地域も結構ありまして、その体制・環境整備に係る話ですけれども、実証研究を通じて財政的な支援を行っているところでありますけれども、その体制を維持し、さらに充実していくことが必要であると書かせていただいております。
12ページをお願いします。12ページは留意すべき点を書かせていただいていて、加えて「引き続き」というところですけども、遠隔授業や通信教育の実践で明らかになる成果や課題を踏まえ、その妥当性や対面指導の重要性も考慮しつつ、このような手法を用いる場合であっても、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善や、生徒同士による学び合いをはじめ協働的な学びを実現していくことが求められるということを書かせていただきます。
13ページ以降は具体的方策になりまして、今、御説明申し上げたところと対応する形で書き加えさせていただいておりますが、補足として、14ページの「また」で始まるところですけれども、「学校間連携は」のところで、どうしても学校間連携は、小規模校などで多く行われていたりとか、地域留学の関係でやられているところもあるんですけども、ここの4行目です。「小規模校のみならず、いずれの高等学校においても、学びの機会の充実を図るための方策として有効なものである」ということを書かせていただいております。
次、16ページをお願いします。16ページからは、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方に入ってまいります。
17ページをお願いします。17ページの追記させていただいているところは、こちらも今年4月から可能となった制度改正についてでございますけれども、中間まとめを受けまして、全日制・定時制課程における不登校生徒の学習機会の確保に向けて、自宅などからの遠隔授業であったり通信教育を可能とするために必要な制度改正を行ったところでございます。
この制度は、学習意欲はありながら登校できない生徒さんが、原級留置、転学、中途退学することなく学びを継続し、在籍校を卒業することができるようにすることを目的として、今年度から適用されております。
対象となる生徒さんの範囲については、不登校の定義を一つの参考としつつ、相当の期間、高等学校を欠席し、引き続き欠席すると認められる生徒さんであったり、断続的な不登校や不登校の傾向が見られる生徒さんも対象となり得るものでありますので、実際の運用に当たっては、各学校において適切に御判断の上、取り組むことが望まれますし、また、実際に進めるに当たってのノウハウなどの構築や共有が不可欠でありますので、我々としてもそのための取組を進める必要があると書かせていただいております。
18ページの下から19ページにかけては通信制高校の話に入ってまいりますけれども、19ページをお願いします。通信制高校の質の確保・向上を一層図っていくことが必要ですけれども、そこに書かせていただいているとおり、不適切な教育活動の例というものは見られるところでございまして、依然として一部の通信制高校においては引き続きこういった事例が見られるところでございます。
我々としても、「このため」の丸のところですけども、ガイドラインであるだとか、設置認可基準の標準例を定めたりしております。「所轄庁や設置者、学校において、これらに則りながら、適切な学校運営や教育活動が行われるとともに、学習指導要領等の教育課程に関する法令などに従い、適切な教育課程の編成及び着実な実施が図られるよう、国としても継続的に指導していくことが必要であり、今後更なる質の確保・向上を図るための方策を講じていくことが求められる」としております。
20ページをお願いします。一番上ですけれども、通信制高校についても、高校の入学者選抜の日程についてですが、各都道府県において公立・私立の高等学校及び中学校の関係者による協議を経て定められていたりだとか、中学校の教育活動の成果を十分評価することができる資料や時期において行われるよう特に配慮することが必要であることを踏まえて、入学者選抜やその結果の公表は適切な時期に行うことが求められると書かせていただいております。
その下、学校間連携の推進と課程間併修等の活用というところで、3つ目の丸で「さらに」のところです。課程間併修、定通併修などございますけれども、3行目の最後「例えば」からです。「例えば、同一校内に全日制・定時制・通信制課程が併置されている場合、課程間相互の併修を可能とし、通信制課程に入学しながらも、全日制・定時制課程の科目を履修し通学することに慣れていったり、また、全日制課程に入学しながらも定時制・通信制課程の科目を履修したりするといったやり方も、今後、学びの多様化を図っていく上で有効なものとなっていく」と書かせていただいております。
その下、高校における特別支援教育の充実のところで、もともと記載させていただいたところでもありますけれども、4行目の終わり辺りからです。「通級による指導の充実に向けた体制の整備や、よりインクルーシブで多様な教育的ニーズに対応した障害のある生徒の学びの場の連続性を高めるための取組が求められている」といったことも書かせていただいております。
その下、日本語指導は、事実関係の記載なども追加させていただいたところでございます。
21ページ下から具体的方策が始まりますけれども、今し方申し上げさせていただいた御説明と対応する形で追記しております。
24ページをお願いいたします。高校における特別支援教育の充実に向けた体制の整備というところで、2行目です。通級による指導の制度、必要性や意義について、高校のみならず、中学校等の教職員や生徒・保護者等が正しく理解できるように国などが責任を持って分かりやすく情報を発信していったりだとか、その下、2行後ですけど、「あわせて」の文章の次です。管理職を含む教師の理解啓発・専門性向上、特別支援教育支援員や外部専門家の活用も含め、校内支援体制の充実を図る。また、病気療養中の生徒においては、令和5年度から同時双方向型の授業を原則とした上で、オンデマンド型の授業についても可能となっていることについて引き続き周知していくことや、特別支援学校と高等学校を一体的に運営するインクルーシブな学校運営モデルの構築も行っていくということを書かせていただいております。
その下、外国につながる生徒の受入れに向けた体制整備ですけれども、令和3年の報告なども踏まえまして、3行目です。日本語指導等の指導体制整備やキャリア教育、キャリア支援に取り組むべき、また、日本語指導補助者や母語支援員の派遣、オンライン指導等のICTを活用した教育への支援、高校がNPO法人や企業等の地域の関係団体と連携して行う支援など、外国につながる生徒の日本語指導や包括的な支援に取り組む教育委員会への支援を一層充実すべきであるといったことを書かせていただいております。
次のページをお願いします。25ページからは、社会に開かれた教育課程の実現、探究・文理横断・実践的な学びの推進に入ってまいりますが、26ページをお願いします。
上から3つ目の丸のところが、学習指導要領の理解や着実な実施を加えさせていただいていて、その理念や趣旨の一層の浸透、定着を図るための取組を進める必要があることや、その下は、総合的な探究の時間に関わるところですけれども、赤字の部分ですが、中学校までの総合的な学習の時間での探究的な学習との違いを意識し、生徒が取り組む探究をより洗練された質の高いものとしていくことが求められる。質の高い探究とは、その探究の過程が高度化するということと、探究が自律的に行われるということであって、その実現のための支援も必要でありますし、こうした考え方の下、生徒さんが探究の見方・考え方を働かせながら、総合的な探究の時間を中心とした探究活動に取り組むことを通じて、自律的な学び手となり、そして、これからの社会を創り手としての自覚を涵養することが期待されると書かせていただいております。
1つ飛んだ丸で、「その際」のところです。こういった教育課程のことを考えていくに当たっては、スクールポリシーに照らして取り組むことも重要でございまして、育成を目指す資質・能力に関する方針であるグラデュエーション・ポリシーを踏まえたカリキュラム・ポリシーになっているかとか、カリキュラム・ポリシーを踏まえ、カリキュラム・マネジメントを行っているかとか、それにより、各学校が目指す生徒の資質・能力の育成に当たってふさわしい教育課程になっているかを意識しながら教育課程を編成し、そして継続的に見直し、着実な実施に取り組むことが望まれると書かせていただいております。
28ページをお願いします。下のほうです。高等学校における指導・運営体制の在り方の検討について書かせていただいております。高校への進学率が約99%に達する中で、様々な背景を持つ生徒さんが在籍していたりだとか、高校教育も地域や学校により非常に多様であること、あと課程や学科が複数に分かれていること、少子化の影響により多くの地域で学校再編が進められていること、高校は地方創生の核となる存在であることなどを踏まえる必要がある。また、このワーキングにおいても様々な意見をいただきまして、教師が教職生涯を通じて探究心を持ちつつ主体的に学び続けることができるようにするためにも、必要な財政支援や教職員の配置をすることが重要ではないか。さらには、既存の体制に新たな業務を追加するのは難しく、教師の数について今後どのようにしていくのか検討する必要があるのではないかといった指摘もいただきましたので、こうした様々な事情や背景を考慮しながら、高等学校教育の質の向上を図るための施策の実施状況等も見据えた上で、より専門的な検討を行うことが求められると書かせていただいております。
次のページです。専門高校の実践的な学びの充実ということで記載を膨らませていただいております。専門高校においても、地方の成長の根幹である農林水産業をはじめ、工業や商業などの地域の発展を担う人材や、医療や福祉などの地域を支える人材を育成し、輩出していくことがこれまで以上に求められているというところで、特に、ロボット技術やICTなど新技術を活用したスマート農業やスマート水産業、デジタルものづくりをはじめとした各産業のDX化に対応できる最先端の職業教育を実践するとともに、次代における我が国の産業の中核となり得る半導体やAI、コンテンツ産業など新しいタイプの産業分野についても教育課程の中で積極的に取り入れていく必要がございますし、また、地域に古くから受け継がれている伝統工芸品や伝統的な建築物の修理・保全等に携わる産業などといったことにも配慮していく必要があると書かせていただいております。
下の丸に行くんですけども、そういったことを進めるに当たっても、赤字の部分の2行目、教育施設設備や教材等の整備を計画的に進めるとともに、そうした技術に精通した企業人材、研究者、職人、はたまた官公庁の職員等を外部人材として活用したり、あとは生徒がインターンに参加するといったことも充実していく取組が一層推進する必要があると書かせていただいております。
29ページから30ページにかけてですけども、こういった産業界と専門高校の連携・協働に当たっては、教育委員会としても学校の取組を後押しすることが期待されます。
1つ丸を飛びまして、あとこういった様々な取組が専門高校において展開されているところですけれども、そういった取組について産業界はもちろんのこと、大学や小中学校といった教育機関、地域住民や保護者等へしっかりと発信して、専門高校の魅力を社会に広く理解してもらえるよう広報活動を強化すべきだと書かせていただいております。
その下です。社会の変化に対応した高等学校教育の実現に向けてということで、一番下の丸は高校入試のことを書かせていただいておるんですけれども、3行目からです。アドミッション・ポリシーにおいて示された入学時に期待される生徒像と整合性のある高等学校入学者選抜の実施が必要でありまして、義務教育段階と高校段階の接続も踏まえ、多様な高校入学者選抜の在り方についての検討を行うことが重要であると書かせていただいております。
その下は、高校における1人1台端末の活用についてでございまして、引き続き活用を進める必要がありますし、端末活用の推進に当たっては、教師に対して、その意義や授業における活用方法について理解を促すことが重要であるといったことも書かせていただいております。
その下からは、DXハイスクールの話です。昨年度の補正予算において、約100億円計上させていただいて、ICTを活用した探究的・文理横断的・実践的な学びを強化する学校に対して、必要な環境整備の経費を支援させていただいたところでございまして、その下の丸の中段においてです。今年の6月の骨太の方針においても、DXハイスクール事業の継続的な実施ということが明示されておりまして、我々としても本事業を強力に推進することが必要であるといったところも書かせていただいております。
その下は、共生社会に係る話を追記させていただいております。4行目、グローバルにもローカルにも活躍する人材を育成するためにも、国際的な教育を行う高校への支援や、留学をはじめとする国際交流を促進する必要があるといったことも書かせていただいております。
32ページの中段です。こちらは教育費の負担軽減の話でございます。これまで国においても、教育の機会均等を目指して広く高校生に対して高等学校等就学支援金による授業料の支援や、特に低所得者世帯に対して、高校生等奨学給付金による授業料以外の教育費の支援の充実を図ってきたところでございます。また近年ですけれども、一部の都道府県において、高校生に対する授業料に係る独自の支援が大幅に充実されているといった状況もございます。
こうした支援が充実される一方で、例えば低所得者世帯において入学時の支出が重なる時期の学用品に係る教育支出が困難であったり、1つ飛びますけれども、都道府県独自の支援に関し、その仕組みによっては私立学校の特色ある多様な教育の担保の観点から懸念があるとか、自治体により独自の支援が異なることで、都道府県の圏域を越えて通学する高校生に不公平感が生じるといった課題が指摘されております。
また、更なる支援の必要性についてですけども、高校においても1人1台端末が必要不可欠になるなど、求められる学習環境が変化している状況であったりだとか、3行目ですけども、経済的な支援を充実することで授業料徴収や問題行動等といった経済的困難に起因する対応が減少することも考えられるとか、また、教育費負担軽減に係る取組に限られるものではないですけれども、地域格差や経済格差、体験の格差をなくし、学びを充実することを目指した高等学校教育の質を高める様々な施策が、結果として教育費負担軽減につながるといった指摘もございました。
このようなことを踏まえまして、引き続き、高等学校の教育費の負担軽減の取組を進めることが重要であります。将来に負担を先送りせずに取組を進めるには、限られた財源の投資先や支援内容といった具体的な施策を丁寧に検討する必要がございます。それに当たっても、まず緊急性の高いものから優先順位を明確にしつつ取り組むべきであり、中長期的な観点からも、教育費のさらなる負担軽減に向けて検討を深めていくことが重要であるとさせていただいております。
施策の検討に当たっても、根拠となるデータを活用したりとか、効果検証を行う必要がございますし、教育費負担軽減の拡充に伴い、手続きの簡素化といった配慮も求められると書かせていただいております。
具体的方策については、先ほどと同じように、御説明申し上げたものと対応するような形で加えさせていただいておりますけれども、「例えば」というところで、33ページの下、普通科改革の話も書かせていただいておりますけれども、続けて34ページです。普通科改革とかコーディネーターの配置という取組を通じて、高等教育機関や産業界、地域の行政機関等との連携・協働の下、高校における各地域の特色を生かした多様な教育活動の展開が促進され、高等学校の魅力化・特色化に貢献することが期待されるといったことを書かせていただいております。
1つ飛びまして、留学をはじめとする国際交流の促進のところですけれども、留学や海外研修、対面やオンラインでの国際交流等、多様な国際経験の機会に誰もがアクセスできるよう、環境整備に取り組むとともに、留学生の受入れに関し、日本語指導等の指導体制整備やキャリア教育・キャリア支援に取り組むべきであると書かせていただいております。
その下などは、専門高校の話だとか、35ページに行っていただいて中段、DXハイスクール事業の更なる推進というところで、35ページです。6行目あたりです。取組を進めるに当たって、グローバルな視点だとか、学校の特色化・魅力化を進める視点、あと最先端の職業人材育成などプロフェッショナルな視点から取り組む学校を重点的に支援するといったこともやっていくべきではないかというところを書かせていただいております。
36ページに行っていただいて、教職員の配置を含む高等学校の指導体制の充実についても書かせていただいておりますし、36ページの下ですけども、大学入学者選抜を含む高大接続改革の推進がありまして、37ページのところで加えさせていただいている丸が、こうした取組を踏まえて、大学と高校の架け橋となる大学入学者選抜を含む高大接続改革に関して、これからの時代に求められる在り方について、大学・高等学校の関係者を含めた議論を進めていくことが重要であると書かせていただいております。
38ページは、先ほど御説明した教育費負担軽減です。先ほどの御説明に加えて、2つ目の丸の最後、例えば給付金の支給時期の早期化を進める必要があるとか、3つ目の丸の最後ですけども、義務教育段階から分かりやすく、継続的に制度や仕組みについて周知を充実させるべきであるといったことも書かせていただいております。
最後、39ページです。「おわりに」でございます。中間まとめの際も、継続的な検討が求められる事項を書かせていただいて、先生方からも御意見いただきましたけれども、そういったものを中心に中間まとめ以降も議論をさせていただきました。審議まとめ以降も、高校教育の在り方について、様々なところでも議論を続けていくことが必要でありまして、2点書かせていただいております。
1つ目が、指導体制の関係でございます。生徒の多様な興味・関心に沿った探究活動を支援するための学校内外のコーディネートを担う人材の配置や、探究的・文理横断的・実践的な学びの推進、新しい普通科の設置も含めた普通科改革、遠隔授業の推進、専門高校における指導の充実等の実施状況や、学校における働き方改革の推進状況等も見据えた上での、教職員の配置を含む高等学校の指導体制の充実のための方策について。
もう一つがその下、読みにくいところではあるんですけども、高等学校学習指導要領の理念や趣旨の一層の浸透・定着が求められる現状や、多様な個性・特性を有する生徒たちに応じた適切な支援・指導を行うための柔軟な教育課程編成の必要性等を踏まえた、最後からですけども、今後の望ましい高等学校における教育課程等の在り方について。教育課程の在り方については、別の会議で議論されているところではございますので、その議論を踏まえて、また記載ぶりについては整理したいと考えてございます。
長くなってしまいましたが、事務局からの説明は以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。大変丁寧に御説明いただきました。これまでの皆さんの御意見が相当に盛り込まれていると思います。これについて議論をいただくわけですけれども、その前に、冒頭申しましたように、義務教育の在り方ワーキンググループの審議まとめ(案)が出ておりますので、このことにつきまして、教育制度改革室の渡邉室長から御説明いただきたいと思います。渡邉さん、よろしくお願いいたします。
【渡邉室長】 初等中等教育企画課の渡邉でございます。よろしくお願いいたします。
個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会におきましては、本ワーキンググループのほか、義務教育の在り方ワーキンググループが設置され、並行して審議が進められていたところでございますけれども、先月28日に開催されました会議におきまして、審議まとめ(案)の審議が行われまして、今後の取りまとめについては主査一任となっている状況でございます。
義務教育の在り方ワーキンググループにおきましても、高等学校との連携・接続の観点からの御意見をいただいているところでございまして、本ワーキンググループにおける御審議に資する観点から、本日はその内容を御紹介させていただくものでございます。先月28日の会議での御意見を踏まえた修正がまだ未了でございますことから、本日は修正前の審議まとめ(案)に沿って説明をさせていただければと思います。
まず、資料2-1でございます。審議まとめ(案)の概要についてであります。この中で、目指すべき義務教育・学校教育の姿及び取組の方向性を丸1から丸6の6本の柱で整理をしております。
まず1つ目、義務教育の中核としての学校教育の役割でありますけれども、社会の分断や格差を防ぎ、民主的で公正な社会を形成する基盤としての学校こそが、引き続き義務教育の中核を担うべきということをまず確認をしております。
次に丸2番ですけれども、公教育としての共通性の担保と多様性の包摂ということで、公教育として必要な共通性を最低限担保しつつ、一人一人の「よさを徹底的に伸ばす」ことに対応できる学校教育の実現を目指すべきであるとした上で、現に不登校となっている児童生徒に対することとしては、個々の状況に応じて様々な形態の学びに資する環境整備や関係機関の連携を図るとしております。
丸3番ですけれども、児童生徒と教師が集い、共に学び、生活する場としての価値の最大化ということで、児童生徒や教師が学ぶ楽しさや期待を感じながら共に学びに向かうことができるよう、「魅力ある学校づくり・授業づくり」を推進していくべきとしております。
丸4番、生涯学習社会を生き抜く自立した学習者の育成ということに関しましては、自立した学習者の育成のために、子供たちが好きや強みを生かしながら主体的に学べるように、多様性を包摂する柔軟な教育課程の編成・実施を進めるための方策の検討も重要としております。
丸5番、義務教育の目的を達成するための創意工夫の発揮ということでございますけれども、学校現場において創意工夫を凝らした教育活動が展開できるような環境整備を推進していくことが重要であるとしております。
丸6番、公教育を支える学習基盤に係る一体的な検討・充実ということで、働き方改革のさらなる加速化など、関連の諸施策につきましても、学校現場における創意工夫を引き出し、子供たちの学習意欲や創造性を育むものとして、それぞれの専門的な見地から検討を深め、充実を図ることが重要であるとしております。
次に、概要の2枚目を御覧いただければと思います。審議まとめの後半では、特に学びにおけるオンラインの活用についてまとめているところでございます。上半分が基本的な考え方ということでございますけれども、赤枠囲みの中にありますように、オンラインは学びのツールの一つであり、教育の質の向上や子供たちの学びへのアクセスの保障を実現するための最適な手段は何かという観点から、選択し、活用することが適切であるとしております。
下半分はそのための必要な方策ということでまとめてございますけれども、まず、(1)の丸1番、義務教育段階における活用方策ということで、1人1台端末の着実な更新などの取組を進めていく必要があるとしております。
丸2番、小中学校の連携・接続におけるオンライン活用も重要であるということでありますとか、丸3番、中山間地域や離島等に立地する小規模校における活用も進めていくということでありますとか、丸4番でありますけれども、中学校におきまして、受信側の教員が相当免許状を有していない場合でも遠隔授業を行うことを可能とする遠隔教育特例制度の活用を進めていくということを示してございます。
その右側でありますけれども、(2)番はオンラインを活用した学びへのアクセスを保障するための取組ということでまとめておりまして、丸1番、不登校児童生徒への対応ということにも活用していくことであるとか、丸2番、義務教育未修了者・形式卒業者への対応ということで、夜間中学におけるオンラインの活用といったことについても示しております。
(3)番、働き方や生活スタイルの多様化への対応ということで、二地域居住等に伴う場合のオンラインの活用につきましても、具体的な課題や解消方策例等の把握を進めていくというようなことを示してございます。
次に、資料2-2で、本文におきまして特に高等学校との連携接続について言及している箇所について御説明をさせていただければと思います。
最初に20ページになります。公教育を支える学習基盤に係る一体的な検討・充実の部分のところでありますけれども、20ページの1つ目の丸でございます。学校段階間の円滑な接続も重要な課題であるということで、義務教育段階と高等学校段階の学びの接続を念頭に置きつつ、子供の主体的な学びの過程や成果を踏まえた学習評価の改善や、高等学校入学者選抜の在り方について検討することが重要であるということを記載させていただいております。
次に、29ページでございます。29ページはオンラインの活用の中で、中山間地域や離島等に立地する小規模校におけるオンラインの活用について記載しているところでございますけれども、このうちの一番下の丸の部分になります。広域自治体としての都道府県による小規模自治体への支援が必要不可欠であるとした上で、4行目、「例えば」ということで、県立の遠隔授業配信センターを設置するに当たって、高等学校に対する遠隔授業の配信の拠点とするだけでなく、小学校・中学校に対して、キャリア教育や探究的な学びを推進する拠点とすることが目指されているという事例もあるということで、中学校と高等学校の連携・接続の観点からも注目されるとしてございます。
次に38ページです。「おわりに」の部分になりますけれども、一番下の丸からになります。多様化する高等学校段階での学びをより充実したものとするためには、ここまで述べてきたように、義務教育段階での学びを改めて問い直すとともに、例えば中学校段階の子供が持つ進学への不安への対応という観点からの高等学校段階との連携・接続も見据えた検討が必要となるなど、義務教育段階と高等学校段階の議論の連携も求められると記載しております。
以上、かいつまんででございますけれども、御審議に当たっての参考としていただければ幸いでございます。私からの説明は以上でございます。
【荒瀬主査】 渡邉室長、ありがとうございました。我々の高校ワーキングの今日の議論の対象は素案という段階ですけれども、義務教育ワーキングのほうはもう一歩進んで案ということで、現在、最終的なまとめに向けて検討をなさっていらっしゃるということでございました。
では、ただいまの御説明を踏まえまして、意見交換に残りの時間を使いたいと思います。皆様から御意見ございましたら、よろしくお願いします。冒頭申しましたように、本日は事務局から順番を指名していただきますので、よろしくお願いいたします。
【石田参事官補佐】 それでは、恐縮ですが、事務局から先生のお名前をお伝えさせていただきます。まず内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 素案をまとめていただいてありがとうございます。非常に、今までの様々な議論が盛り込まれた深い内容ではないかなと思っております。
高校ワーキングにおきましても、義務教育ワーキングにおきましても、遠隔地教育あるいは不登校というキーワードの下、オンラインの配信というところが取り上げられているところだと思います。こういった記載については非常に重要な視点であると考えておりますが、一方で、配信、今回のオンライン配信の会議においてもそうですけれども、実際にその授業をやる先生以外に、配信の際にはそれをサポートするスタッフが必要になるかと思います。
配信センターや、あるいは授業をやる際、サポートティーチャー、場合によっては支援員などの人的なサポートも配信側には必要だと思われますので、これは高校ワーキング、義務教育ワーキングともに、配信をする際の留意点というところも含めて御検討いただければありがたいと思っております。
一方で、受け手側ですけれども、不登校ですと、家庭内で受信をするということがメインになるかと思いますので、家庭あるいは本人を何らかの手段でサポートしていただくというところは、学校側でないことも十分あり得ると思いますけれども、これが遠隔地教育になりまして、複数の生徒、あるいは島嶼地域の生徒等のケアということになりますと、何かしら指導を受ける側にも、生徒の状況を把握して配信側に伝えるような手だてやスタッフが必要であると考えられます。
通常の講演会等で専門家を招いて、例えば大学の先生を招いて講演をしていただく場合も、受け手の側の教員あるいはスタッフが生徒にかみ砕いて解説をしたり、生徒の討論など意見交換を推進したりという場面が設定されておりますので、受け手についてもそういった視点がどこかで盛り込まれれば、より具体的かつ効果的な遠隔地オンライン配信になるのではないかと思いましたので、発言をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。今のお話は、条件といいますか、そういう環境を整備したらおしまいではなくて、その環境においての不十分な点とか、さらにこうすればもっと効果的になるといったような、そういったことについて気をつけていかなければならないという意味合いで、今お聞きしておりましたが、これは多分、まさに高校参事官付のほうで遠隔教育についてのワーキンググループといいますか、有識者会議をやりましたよね。そのときにいろいろと御指摘があったかと思いますので、その辺りに参考資料として読み進めることができるような橋渡しをしていただけるといいなと。資料の脚注をつけるとか、そういったようなことも含めて御検討いただけるといいかなと思いました。ありがとうございます。
それでは、次はどなたにお願いしましょうか。
【石田参事官補佐】 そういたしましたら岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】 本当にこの膨大な量の取りまとめ、お疲れさまでした。ありがとうございました。
前回のインナーでもお話ししのですが、僕は、この「はじめに」のところに、側面と書いてはいるんですけれども、「地域創生の核となる存在として期待される側面もある」と書いてある。僕は、ここだけこんなふうに具体的に書くのはすごく違和感を感じます。ここにいらっしゃる委員の方も含め、私もそうですけれども、地域創生、そういうものの重要性はとても強く認識していますし、実際に担い手として活躍されている方々もたくさんいらっしゃることは熟知しておるんですけれども、そういう方々も高校時代に、担い手になるんだと思ってやってきている方というよりは、高校を出て、高校を卒業して、いろんな人と出会ったりとか、いろんな気づきがある中で、自分は地域に帰ったりとか、地域の創生とかに携わろうというふうにしてきたわけですよね。
総合的な探究の時間も含めて、自分の生き方、在り方というところを見つめていくという段階の中で、ですのでまだこれからですね、高校生の場合。その段階でこういう文章を「はじめに」に書いてしまうと、地域創生の担い手の核にならなければいけないんだと読んでしまう方も結構いらっしゃると思うんですよね。生徒の生き方在り方は別として、ち法行政にその意はもともと強いんですね、高校の場合。ですので、「はじめに」のところに、ここだけ具体的に書いてしまうと、地域創生の担い手とかいう言葉を使ってしまうと、すごくミスリーディングを僕は生んでしまうと思います。
僕が個人的に書きたいのであれば、自然科学だったりだとか、社会科学もしくは国際機関とか、人文科学でも、僕はそういう担い手でも価値がとても高いと思うので、別にわざわざここに地域の担い手と書くのは、僕はとても違和感を感じてしまっております。ですので、各論のところで書くのはいいと思うんです。「はじめに」のところで書くのは少しどうかなと。なので、いろんな生き方とかを経験していく過程がとても重要だと思うので、ここに書かないほうがいいかなと思っています。
2点目ですけども、この前のインナーでもこれを言おうと思って忘れていたのですけども、これだけ情報があふれている社会の中において、正しい情報というものを、正しい情報の真意みたいなものをしっかりと理解する力ということは、この高校段階において非常に重要だと思っております。
例えば、ちょっとした科学に関することであれば、高校の科学の知識だけでもかなり、だまされないというと言葉はあれですけど、そういうものに惑わされないこともできますし、あとは例えば総合的な探究の時間で情報を集めたりするときとかにも、本当にバイアスがとてもかかった情報みたいなものとかを断片的に取り上げてやっている高校生が結構多いと思うんですよね。ですので、ぜひその情報に関する、正しい情報の真偽を確かめる力みたいなものは共通として重要なのかなと思いました。
あと最後、3点目です。この会議自体の一つの重要なキーワードとして、多様性と共通性みたいな話があったと思うんですけれども、これがどういうふうにここに反映されているのかなと。今は素案の段階なので、そういうふうにまとめられていないのかもしれませんけれども、できればこういうものを、この前申し上げたように、こういうものはやめようとか、今すごく、こうあるべきみたいな部分がたくさん並んでいて膨大な量になっていますけれども、こういうものには配慮しようとか、こういうのはやめようねというようにやったほうが、むしろ多様性とかは生まれるし、共通認識として、こういうものは留意しなければいけないんだなと出てくると思うので。
これはまとめ方の問題ですけれども、多様性と共通性というのを最初に出しているのであれば、それも少し加味したまとめ方もありなのかなと思いました。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。いよいよ素案を案に変えて議論をしていくということで、具体のお話をいろいろいただきましたが、「はじめに」の表記の中に、岡本委員から違和感があるのではないかということで、これはまた皆さんの御意見を頂戴できればと思います。確かに地域創生のみが意味があるということになってしまっては、真意が伝わらなくなってしまって、そこのところは十分注意する必要があると思いますので、また御意見がございましたらお願いします。
2つ目については、これは情報活用能力で、多分これは義務教育ワーキングのほうでも相当議論されてきたことかと思います。高等学校のほうでも、情報活用能力、とりわけその中では情報の真偽も含めた適切な把握、理解、活用といったようなことについて考える必要があるということで、まだ記述が十分でないのであれば加えていただく必要があるのかなと思いました。
3つ目については、これは具体的に岡本委員、どういうふうに考えましょうか。多様性と共通性については、項目的には書かれているわけで、それをどこまで具体的に書くかということだと思うんですけども。どんどん具体化していくと、書いていないことはしなくてよい、みたいなことになってしまっても、これもまた真意ではありませんので。その辺りはどうでしょうか。御意見がございましたら。
【岡本委員】 この多様性と共通性みたいなところの話をしていく中で、取り下げるじゃないですけども、それは重要なコンテンツとしてあるけれども、結果的にこうなりましたとして、見えない形でまとめてもいいとは思うんですけど、でも、僕は前申し上げたように、こうあるべきというものが記述されて羅列されている状況より、こういうのに留意しましょうねというまとめ方のほうが、共通性と多様性が生まれやすいんじゃないかと思ったところです。ですので、まとめ方の問題なのかなと思いますけれども。
【荒瀬主査】 これはまた皆さん、御意見ございましたらお願いするとして。3点いずれも具体の内容、記述等に関することでありますので、事務局のほうでも受け止めていただければと思います。ありがとうございました。
では、次はどなたにお願いすればいいでしょうか。
【石田参事官補佐】 濱田委員、お願いいたします。
【濱田委員】 では、私は、8ページでしょうか、遠隔授業と、それから学校間の連携・ネットワークについて意見を述べたいと思います。
同時双方向型の遠隔授業において、研究指定校や各県の取組の成果等を踏まえていただいて、特に教科・科目充実型の遠隔授業における受信側の教室の体制や対面授業に係る要件の緩和等、積極的に進めていただいていることに非常に感謝申し上げます。遠隔授業を推進してきた者としては、大変うれしく感じているところでございます。今後も一層の弾力化に向けて取り組んでいただきたいと思います。
また、現在、遠隔授業に取り組んでいる多くの学校は小規模校でありますので、遠隔授業、教科・科目の充実型だけではなく、協働的な学びや多様な意見に触れる機会が少ないわけですので、さらに遠隔授業を使いながら、遠隔教育システムを使いながら、協働的な学び、多様な意見に触れる機会を多くしていただくと。そういう意味でも、学校間の連携やネットワークをさらに進めていく必要があると思います。
しかしながら、実際、学校間の連携・ネットワーク化について、研究授業も進められているようですけれども、各校自校で完結できる教育課程を持っている学校においては、学校間の連携とかネットワーク化というものが割合と自分のところの課題ではないわけです。ですが、教育課程が自分のところで完結できる学校においても、これから必要なのは、協働的な学び、多様な意見に触れる機会というのはどこの学校でも必要だと思いますので、これをさらに進めていっていただきたいと思いますけれども、それがその学校の管理職や教員の意識がそこまでいっていないと言いますか。
ですので、ぜひ今後は、この協働的な学び、多様な意見に触れ合う機会を進めるためにも、遠隔授業を通じた学校間の連携やネットワーク化を強化していただくために、その前提として、各県の学校の管理職や教員の研修にそこを位置づけていただいて、これの趣旨とか狙いをきちっと正確に知らしていくということをお願いしたいと思います。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。審議まとめ(案)なのか、あるいは、ひょっとしたら我々教職員支援機構への御注文のようにも聞こえましたが。研修はとても大事な話かと思います。ありがとうございました。
これは度會さん、具体的にこういったことについてはどこかで触れていただいているのではないかと思うんですけれども、後から出た御意見について、まとめて、具体の御意見に対してもコメントいただければありがたいと思っていますので、御準備のほうをよろしくお願いいたします。
【度會参事官補佐】 分かりました。ありがとうございます。
【荒瀬主査】 お願いいたします。
それでは、次はどなたに御発言いただいたらいいでしょうか。
【石田参事官補佐】 塩瀬委員、お願いいたします。
【塩瀬委員】 ありがとうございます。塩瀬からは4点、コメントとして案をさせていただけたらと思っております。
まず最初に、3ページ目のポツ2のところです。今回のワーキンググループ全体の議論が全部盛り込まれていて、本当に感謝をしております。その中でも特に多様性への対応と共通性の確保という順序の組み換えに関して踏み切ってくださったことには本当に大きく感謝をしています。そのうえで、義務教育改革のほうのワーキンググループの文章は、当然ながら共通性の確保と多様性の確保という元の順番になっていますので、ここがちょうど小中と高とでずれている状態にありますので、先ほども出ていた、橋渡しに相当する部分が一行挟まるとよいかなと思いました。
そのうちの一つの提案ですと、このポツ2のところで、「そうした状況を踏まえ、各高等学校において生徒一人一人の個性や実情に応じて」という文章があるんですけど、ここに「各高等学校においては、義務教育段階以上に生徒一人一人の個性や実情に応じて」といったものを書き加えてみることによって、義務教育段階以上に、この多様性への対応がより重要であるということを付け加えることができれば、義務教育段階の改革ワーキングの議論からそんなにそれずに今回の改革の話を盛り込めるのかなと一つ思いました。もし御検討いただけたらと思います。
2点目は7ページ目になるんですけど、7ページ目のポツ2の中段あたりです。ここに「学校の存続は地域の存続にも関わる重要な課題ともなり得るものである」と書いてあるんですけど、これは当然今まで、学校統廃合の基準の中で維持されてきた議論だと思います。しかし、ちょうどこの2週間ぐらいに富山県や新潟県であった高校の数の話を踏まえますと、これはその問題の先の話に既になりつつあるのかなと考えますと、この学校の存続の話をここで書いている時点ではもうないのかなと思いました。
そうなると、先ほどの義務教育段階の改革ワーキングのほうの概要の2-1の3に書いてあったことですけど、「中山間地域や離島などにおいては広域自治体としてどのように対応するか」という文言がありましたので、もはや高校に関しても、広域自治体として期待するような高等学校教育の在り方も検討する必要があると書き変えないと、多分学校の存続の話が地域の存続という、もう次に現状移りつつありそうな気がします。この10年15年の高等学校教育の立ち位置は、これまでも都道府県単位で議論されてきたとは思いますが、各市町村との関係よりは広域自治体との関係として考え直さないといけなかったり、県境などに住む高校生にとっては都道府県の括りと距離感とにギャップも感じていたりするそうです。もし書き込む余地があるとしたら、この7ページ目のポツ2のところかなと思いました。
次に、同じ7ページ目のポツ3のところです。ここの2行目で、「遠隔教育などを利用して、生徒が履修できる教科・科目等の種類を増やし、生徒の多様な興味・関心や」というところの文言ですけど、ここは遠隔で提供して選択できるとかというレベルの話ではなくて、現状、最低限必要な科目をすでに選べていない生徒が大勢いるという事実があります。
そういう意味では、「生徒が履修できる教科・科目等の種類を」の後ですけど、「最低限度の選択を保障して、生徒の多様な興味・関心や」と続けないと、現状の改善ができたらいいねぐらいの弱い打ち出しになってしまいそうだと危惧します。ここは急ぎ、生徒たちが本当に学習指導要領に書かれている全ての科目が、現状の高校では必ずしも自由に選べていない状況だと思いますので、この「最低限度の確保」というのは強めに加えておいたほうがよいかと思います。
最後の4点目です。29ページ目のポツ4です。専門高校の話題について。「また、地域の魅力やニーズを捉えた実践的な人材育成を行うために」というところです。これは実際に幾つかの専門高校の新しいカリキュラム改革をお手伝いしたときに、先ほども書かれていた生成AIとかロボットとか、先端技術をという文言ですけど、それに相当するような3Dプリンター云々という記載をお手伝いしたことがあります。しかし、そのときに地元の商工会議所などからは、「俺らが分からんものを教えるな」というクレームがついたことがありました。学校のほうが最近は進んだ技術指導を取り入れていることがあるんですよね。しかし、地元の産業界の中には繊維産業でもデジタルミシンが入っていない場合があるんですが、むしろ地元の専門高校のほうにはデジタルミシンや3DCADがすでに入っていたりするため、生徒のスペックの方が高すぎて地元にそのスキルを活かす場がないというギャップが生じている地域もあります。
なので、ここは、「地域の魅力や、将来を見据えたニーズを捉えた実践的な人材」と書き加えておかないと、現状の産業界のニーズに引きずられてしまいます。せっかく専門高校などで育てた、ちゃんと先端技術や知識を学校教育のほうがカリキュラムをアップデートさせているのに、地元の産業界が受け手としてその環境をアップデートできていない場合もあります。そこは「将来を見据えたニーズ」みたいに、受け手の地元産業界の変革も見越して書き加えておいたほうが適切だと思います。「将来」と書いてあったら、まぁしゃあないなと受け止めてももらえるかなと思いました。せっかく学校が進んだ教育をやろうと意欲的な場合の学びを守りたいなという趣旨ですので、この観点をお認めいただけるようでしたら、御検討いただけたらと思います。以上になります。
【荒瀬主査】 塩瀬先生、ありがとうございました。そういうことがあるんですね。なかなか。
【塩瀬委員】 めっちゃあります。
【荒瀬主査】 そうですか。ちょっとびっくり。文言修正については、どのような形になるのかというのは、これはほかの方に。
【塩瀬委員】 お任せします。
【荒瀬主査】 そうですけど、事務局のほうでまた御検討いただきます。もし何かいろいろとアイデアがありましたら、皆さんメールを含めてお届けいただきたいと思います。
1番もそうでした。確かに義務と高校とは、見ようによっては反対にしているので、ちゃんとこちらのほうが義務のほうに目配りしながら書いていく必要があるということだと思いました。
広域自治体に関しては、これはなかなか大きな話になってきますので、どう受け取って考えるかというのは検討させていただかなければならないかと思って聞いておりました。あと、要は選択科目の置き方ですけど、ここのところは非常に学校の状況によって難しいところがあるんですけど、これは塩瀬先生、例えばこんなふうにしたらどうかといったようなアイデアとかお持ちですか。
【塩瀬委員】 現状で言うと、本当に理科と社会の少なくとも選択科目については、生徒は自由に選べていません。それこそ土佐の遠隔配信の例なんかを本当にみんなでまねするような形はいかがでしょうか。地域ごとに、広域地域で最低限の選択科目の配信を全部網羅して、所属の高校で受講できない科目があるならば、そのセンターから配信されている授業から選択してもよい、という風に担保しておかないと、自分がどの高校に入学するかによって、実質的に文系の生徒は化学は選べないとか、理系でも地学を担当できる先生がそもそもいないために履修すらかなわない、社会でも倫理政経を教えてくれる先生がいないとか、本当にもう高校の入学時点で決まってしまっているというのは放置された深刻な問題です。事前に調べればわかることもありますが、そんなことは普通はしない。おおくの生徒が入学してから、せっかく好きだった科目なのに高2,高3と進学する過程で選べないんだと後悔する高校生だらけです。県上位の進学校でも、どこでも起きている状態ではないかと思いますので、そこは多分地域単位で、土佐の遠隔配信の例などを模倣するのはすごく大事ではないかと思います。
【荒瀬主査】 なるほど。ありがとうございます。先ほど濱田先生がおっしゃっていました、それこそ自分のところはできているので、オンラインを使って連携する必要はないと思っていらっしゃる管理職とか先生方もいらっしゃるのではないかという御指摘にもつながるところですよね。ありがとうございました。
では、次はどなたに御発言いただいたらいいでしょう。
【石田参事官補佐】 田村委員、お願いいたします。
【田村主査代理】
よろしくお願いいたします。1点質問と、それから2点意見を述べさせていただきます。
1点目の質問ですけれども、20ページ目のところで、入学者選抜の日程のことが出てきていますが、ここが前後のつながりから、なぜここでこの話になるのかというのが私はなかなかすっと入ってきませんでした。ここを教えていただければと思います。
それから、意見につきましては、1点目は、初めのところの課題意識のところに入れたらいいのかもしれないですけれども、例えば少子化が急激に進んでいくといったようなこととともに、教員不足ということは入れなくてもいいでしょうかということです。例えば臨時免許状で教えていらっしゃる方が、令和4年で2,518人ですか、そして、免許外の教科を担当されている方が3,000人以上ということで、これは単純に47で割れば、1都道府県当たり120人ぐらいの先生方は、臨時免許状あるいは免外の教科を教えていらっしゃると。そういう背景が現実としてあると。もちろん教員養成のところに力を入れるとともに、先ほどの遠隔というところによる一つの解決策のバックグラウンドとなるのではないかというのが1点目の指摘です。
それから、2点目としましては、これは少し大きな言いぶりになるかもしれないですけれども、3つ目の論点の社会に開かれた教育課程のところですが、社会全体で高校教育や高校生を支えていくという機運を醸成したいと思います。様々な教育の充実について、国民的な参与を得ていくために、というところが私としては目的としてありまして。
例えば、探究的な学習の実践を通してであるとか、コミュニティースクールの実践を通して、あるいは、文科省をはじめとして様々な発信、これらを通して、高等学校教育の目的や目標を共有し、社会全体で高校生と高等学校を支えていく機運を高めていくということも同時に、意識的に行っていく必要があるのではないかといったような趣旨のことを入れていただいてはどうかと思います。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。2つ目の御意見は全体に関わる、非常に重要なポイントであると思いました。1つ目もとても大事な話で、これは、委員から御質問いただいたことに対して事務局で調べて、我々にこういう状況になっていますという臨時免許のこととか、あるいは情報科の担当の話もありましたけれども、そういったことでいただいたところからの御指摘であったかと思います。遠隔をどう活用していくかということでした。
1つ目の質問は、これはどうでしょう、度會さん、今お答えいただけますか。あるいは後から。
【度會参事官補佐】 今お答え申し上げます。
【荒瀬主査】 お願いします。
【度會参事官補佐】 御指摘ありがとうございます。20ページのところは、実は、ここは通信制高校のことを書かせていただいている流れでございました。言葉足らずのところがあったかもしれないので、書きぶりは検討しますけれども、一部の通信制高校において、例えば都道府県で、公私間協議などで入試日程を定めているところではあるんですけれども、それよりも早く入試を実施してしまっている状況があるという、その御懸念だとか、その課題に御指摘をいただいたこともありましたので、入試の時期については適切に行うことが求められるといったことを書かせていただいたという流れでございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。田村先生、どうでしょう。よろしいでしょうか。
【田村主査代理】 今、趣旨が分かったんですけども、ここは読むだけでは分かりにくいかとも思いますので、書きぶりをもう一度考えていただければと思います。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。では度會さんのほうも確認、検討するとおっしゃっていましたので、よろしくお願いします。
では、次はどなたにお願いしましょうか。
【石田参事官補佐】 冨塚先生、お願いいたします。
【冨塚委員】 冨塚です。御指名ありがとうございます。たくさんあって申し訳ないのですが。
最初に1点目はお礼でございます。高校の通級の話、それから外国ルーツの生徒への指導の支援の話、お願いしましたところを書き加えていただきまして、具体的な取組のところにもしっかりと「体制の整備が必要である」等の記述を入れていただいたこと、24ページあたりからになるかと思いますが、お礼を申し上げます。
29ページあたりにもあります専門学科のことにつきましても重要性に触れていただきました。その点で一つ、義務教育の在り方のほうの審議まとめ(案)を御紹介いただいたので、そのことで義務教育のほうにこういう記述があるのかどうかを、もし教えていただければと思いまして、これは1点質問でございます。
義務教育のほうの審議まとめの39ページの一番上のところに、高校へのつながりのことを書いていただいております。例えば中学校段階の子供が持つ進学への不安への対応という観点から、ということで、高等学校段階との連携・接続も見据えた検討が必要となるなど、などの記述をしていただいているのですが、現在、県として、農業・工業・商業・その他の産業系の様々な専門学科の志願倍率が、どうしても普通科に比べて低いところがあるものですから、専門学科のPRというのを一生懸命やっております。
中学校の進路指導の先生方に、専門学科の高校の授業を実際見ていただいて、在学中に取れる資格なども紹介をして、こういう学科に向いている子がいるはずだから、進路指導の選択の幅を広げて指導してくださいということをお願いし、中学の先生方からは、自分たちは普通科出身だったので知らなかったが、これは自分のクラスにもこういうところにとても向いている子がいると思うから提案をしてみるという言葉をいただいたり、進路指導の選択の幅が広がったということで非常に好評を得ております。
それで、もし今回の義務教育の在り方のほうの審議まとめの中に、普通科に限らず、様々な多様な高校の学びを広く進路指導に当たって提案していったりというようなこと、あるいは中学の進路指導の先生方に対して、そういった幅広い高校のことを周知を図ることも都道府県教育委員会の役割であるといったことであるとか、何か専門学科の高校に対する理解を深める、それから保護者や中学生に選んでいただけるということで、高校へのつながりの一つのパーツにすぎないんですけれども、そこを少し何かもし書いてくれているところがあるとうれしいなと思いまして、これはもしあれば教えていただきたいということでございます。
それで、あと2点ですが、一つは岡本委員御指摘の「はじめに」のところの地域の担い手の記述のところでございまして、ここは正直、文科省はここで地方創生に触れたいんだなというのを今日改めて感じたところはありました。
それで、私はここに入るのが違和感があるとかそういうことではなくて、もともと高校教育は社会の担い手の育成であるとか、国家社会の形成に主体的に参画する人を育てていくというところであるので、地域の担い手を育てるということ自体は悪いことではないだろうというか、むしろそれをやらなければいけないので、今、千葉県では、県の第4次となる教育振興基本計画をつくっておりますが、その中でも、基本目標とか基本理念とかその辺りに、地域の未来を支える人づくりであるとか、人材の育成であるとか、そういったような大体お決まりのフレーズが入ってくるんですけど、そこを入れるときに、人材という言葉に対する抵抗感であったりとか、我々は産業の担い手を育てているんじゃないというような、一人一人の可能性と個性を育てるために子供を育てているのであって、産業を支える人、言葉を悪く言えば道具をつくっているのではないと、そういう意見も必ずありまして、そこの部分で結構議論はあるかと思います。
私のほうでは、すごくいろいろ考えた末、人づくりの人というところをかぎ括弧で囲みました「人」づくりとしました。決して機械をつくるわけではない。まして、AIとかIoTとかICTの社会になる中でも、人間本来の創造性とか感性を豊かにしていきたいという、そういう心を込めたつもりで「人」というところにかぎ括弧をつけたのですが。
そういうことで、我々は決して地域の担い手をつくるということを掲げたとしても、それは決して人を育てるというところをおろそかにしていることではないので、多分受け止め方はいろいろあると思うのですが、本来の目的であるとか、そういったところに立ち返ったときに、この場所にこういう言葉があることが適切かどうかというのは、多分先生方の御意見も聞いて考えていったらいいのかなと思いました。
決して、地域の担い手の育成ということは否定する必要もないし、地方公共団体として、それは重要な役割だと思っておりますので、誤解を受けないような書き方がきっとあるのかなと思いました。
あと一つは、塩瀬委員のおっしゃった「広域自治体としての」という記述のところですが、恐らく多くの小中学校は市町村立であって、だから義務のほうでは、あえて広域自治体として市町村の枠を超えて県がやるんだよということで入れたのかなと。対しまして、高校のほうは、ほとんどが都道府県立でございますので、それは学校設置者として当たり前のことだから、あえて高校のワーキングのほうでは、広域自治体の役割という「広域自治体」という言葉は外したのかなと私は想像しました。
長くなってすいません、以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。岡本委員が11時20分頃に退出されるということで、今、冨塚委員から御意見がありましたけれども、岡本さん、まだいらっしゃいますか。
【岡本委員】 もう本当におっしゃるとおりで、私も本当に同意です。僕も地域に住んで教育委員もやっているので、その担い手になってほしいという気持ちはあるんですけれども、「はじめに」にそういう書き方をしてしまうと、要は、制限したりだとか、そのためにやっているみたいな感じになってしまうので。ですので、もうそこは各論のところで書いたほうがいいかと思っているところです。ありがとうございました。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。岡本委員の今のお話に対して、冨塚委員がおっしゃったことで、言葉の使い方も、千葉県ではかぎ括弧で「人」をくくって、そこのところに意味を込めているというお話もありました。また、塩瀬委員の御発言の中に関して、広域自治体というのは、高校はもう既にやっているからじゃないかということですけれども、これは都道府県教委がやっているからということではあるんですけれども、都道府県教委だけでは収まらない、例えば県境を挟んでどちらの県のほうが近いのかといったこととかも考えていくと、県の枠組みというのは一方では大事にしながら、もう一方では学校に通うというところでは、もう少し幅広く考えてもいいのではないかということも御意見としてはあるのかなと思うんですが、その辺は冨塚委員、どう思われますか。
【冨塚委員】 ありがとうございます。荒瀬先生のおっしゃるとおりだと思います。実際、千葉県も隣接する茨城県であるとか、東京都であるとかというところとの連携というか、そういったこともこれからは必要かと思っておりますので、おっしゃるとおりだと思います。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。そういったことを盛り込めるかどうかは分かりませんけれども、塩瀬委員の御意見、また冨塚委員の御意見も含めて検討させていただきたいと思います。
御質問がありました、義務教育のほうでこういった記述があるかどうかということですけれども、渡邉室長、いかがでしょうか。
【渡邉室長】 ありがとうございます。専門学科や普通学科の進路指導に関するような記述ということでございますけれども、特に前半部分の審議まとめ(案)、基本的な考え方をまとめるというところで、そういった具体的な進路指導の在り方とか、そういったところまで具体的に記述しているところはないというのが現状ではございます。
一方で、基本的な考え方という中で、丸4番がまさに生涯学習社会を生き抜く自立した学習者の育成ということでございますけれども、その際にまさに生涯にわたって自立した学習者になっていけるよう、本人の好きとか強みとかを生かして主体的に学んでいけるようにする必要があるということでございますので、そういったあたりが御指摘いただいた部分の考え方に通ずるところなのかなと思ってございます。以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。私も委員なので、私が聞いておいて、また改めて申し上げればいいのかもしれませんが、多分、冨塚委員の御心配というのは、そういった選択肢の中に入らないケースというのがたくさんあって、子供が知らない中で選んでいる、あるいは知らない中で指導に従って、ついつい普通科ならいいかという判断になっているというようなことが多いのではないかということだろうと思いましたので。その辺はまた渡邉室長と御相談したいと思います。
冨塚委員、それでよろしいでしょうか。
【冨塚委員】 ありがとうございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。では、次は今村委員でいいですか。今出ている順番でお願いしていいのであれば、もう私のほうで見えますので、それでお願いします。
【石田参事官補佐】 申し訳ありません。今村委員でお願いいたします。
【荒瀬主査】 今村委員、お願いします。
【今村委員】 今村です。発言させていただきます。私も多いんですけれども、簡潔にいきたいと思います。
まず、今回のワーキングでは、ずっと全日制・定時制・通信制の役割分担についても、第1回目から何度も議論してきて、その内容がこのように反映していただけたことに本当に感謝をしております。特に、高校においても、困難を背負った子供たちが不登校状態になって苦労しているんだということをきちんと踏まえた、高校は別に、そこについていけなかったら中退してしまえばいいんだという前提ではない、高校でも学びを支えていくべきであるということを、ちゃんとこのように触れていただいていること、17ページに、学習意欲がありながら登校できない生徒がちゃんと学び続けていけるように支えるべきなのだということを、高校ワーキングの論点整理において明記されたということは、とても本当にすばらしい、ありがたいことだなと思って見ていました。ありがとうございました。
その上で提案ですけれども、まず1つ目ですが、見え消し版の16ページです。公立の教育通信制の在り方について見直していくというところです。通信制高校についてですけれども、まず通信制高校、特に広域通信制においては、実態としてサポート校がフリースクール状態で、子供たちの日常を支えているという実態があるということは、もう公然の事実になっているかと思っていて。この資料の中に、サポート校についての言葉が一言も入っていないというのが、現状、現存している存在なので、ここについてどう捉えていくべきなのかを、調査するということだけでもまず触れたほうがいいのではないかと思いました。
18ページに、校内教育支援センターや校内フリースクールといった機能を居場所としてつくっていくべきだということは書いてあるんですけれども、もちろん校内にそういったことをつくっていくべきことは大切ですが、実際、もう今、広域通信制のサポート校がフリースクール状態で、その役割を担っているということがちゃんと認知されずに行われることが、子供たちにとっても安全管理においてリスクにすらなっているところもあるのではないかということについても、きちんと調査していくべきことだと思いますので、それについてはどこかに入れたほうがいいかと、見落としていたら申し訳ないですけれども、そう思いました。
あと、23ページの具体的方策の公立の通信制高校の機能強化、学校間連携の促進という項目の中ですけれども、ここに触れてあるのが、公立の通信制高校を機能強化して、域内の中心拠点、配信センターとして方向性をということが書いてあるんですけれども、もちろんそのことは大事ですが、例えば横浜修悠館のように、公立の通信制高校の在り方をちゃんと見直して、すぐ私立の広域に流れるだけじゃなくて、公立の通信制高校も魅力的で選択したい選択肢にしていくということ自体の努力もきちんとサポートしていくべきじゃないかと思いますので、そういった、この項目の中にそのようなことも書いたほうがいいんじゃないかとも思いました。これが2つ目です。
3つ目ですけれども、次、別の論点ですが、24ページの外国につながる生徒の受入れに向けた体制整備というところです。これについてかなり詳しく踏み込んだ提言をいろいろと書かれていて、これもすごく前進したポイントだったと思うんですけれども、その前の項目のところに、学校間連携の項目があったんですが、まさにこの外国につながる生徒の受入れのところも学校間連携によって子供たちを支えていくということは、言語の対応スタッフがいないという現実を踏まえると、とても重要じゃないかと思います。
大変多くの外国につながりがある生徒が、日本の高校に入るんだけど、物すごく速いスピードで中退しているという実態があるということも聞いていますので、まず、そこの実態調査も行うべきだと思いますし、ここに書いてあるような、もちろん資格を持った人たちを増やしていくということも大事ですけど、現状は、そのどんな地方にも多様な言語のスタッフを置くということは不可能だと思うので、学校間連携の中で、オンラインで、とにかく日本の学校にせっかく入学したなら支えてもらえるということを実現していくべきじゃないかと思うので、それについても書いたほうがいいかと思いました。
次の項目です。早口ですいません。見え消しのほうの32ページの教育費の負担軽減のところです。1つ目が、この項目の中の、学校では教師がスクールソーシャルワーカーと連携して生徒に対応したりと書いてあるんですけれども、私の認識では、スクールソーシャルワーカーという仕事を持った人材の人数が圧倒的に足りないと思っているので、まずその人材が極めて少ないということ、予算措置も足りないということは踏まえるべきじゃないかと思うので。まるで各学校にスクールソーシャルワーカーがきちっと配置されていて対応しているかのような書きぶりというのは実態に即していないと思いました。人材不足も含めて指摘すべきだと思います。
この項目の中の教育費負担軽減についての、この中の2つ目ですけれども、制服や学用品に関して、学校生活を受ける意味や地元企業に与える影響を関係者と連携しつつ検討していくべきみたいなことが書いてあるんですけれども、なぜその制服と学用品の件だけ、いきなり地元企業と調整が必要なのかということをあえて書く必要があるのかというところについては大変違和感を感じました。
学校の、もちろん給食とかいろんなものが地元企業の支えによって相互扶助の関係にあるということは事実だと思うんですけれども、あえてこの論点整理に書くということは、地元企業とちゃんと調整をしなさいと書いているようにも読めるので、これについてあえて触れる必要はないのかなと思った件も重ねさせていただきます。
私からは以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。最後の御指摘は、御指摘であると同時に質問のようなことでもあるのかなと思いましたので、これらも含めて後ほど、度會さんから御回答いただければと思います。
【今村委員】 よろしくお願いします。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。調査するとか、あと今おっしゃった中で、日本の学校で外国ルーツの子供たちが学ぼうと思うところを支えていくんだというのは、本当に大事な考え方ではないかと思ってお聞きしていました。ありがとうございました。
では、続きまして鍛冶田委員、お願いいたします。
【鍛冶田委員】 鍛冶田です。よろしくお願いします。たくさんのおまとめ、ありがとうございました。義務教育在り方ワーキングのほうにも、1番に書かれているように、人間性を涵養すると丸1のところにあるんですが、これは高校のほうでも人格の涵養というのは非常に大事ではないかと思っています。社会の一員になっていく高校生たちを育てる中で、次世代の親を育てるという意識が私たちには必要ではないかと思っています。
例えば、そのためにはボランティアをしたり、運動を定期的にするとか、熱中できる芸術的なものとか創造的なもの、知的な趣味があるとか、親以外に頼れる人がいるとか、そういった保護的、保障的体験が学校でできると思っているんです。ですので、探究だけじゃなくて、特別活動や学校生活そのものに、次世代の親を育てていける、いくような意識、人格の涵養を促している意識が要るのではないかと思っています。
18ページの下の丸ポツの2つ目のところですけど、あらゆるところに学校間連携とか地域と連携するようなことが書かれているんですが、特に通信制のスクーリングの回数が少ない学校は、そういったものが難しいと思われますので、社会教育団体とも連携するなど、スクーリング以外のところで生徒たちが選べる、選択できるようなものを、日数が少ない学校こそ、こういうものを、強制という言い方はできないかもしれないですが、そういう場を提供するようにと案内していけないか、要請していけないかという形をとるのはどうかと思います。
先ほど今村委員がおっしゃったように、サポート校の実態の調査は非常に重要かと思っています。来年度、大手の塾がたくさん通信制高校のサポート校とか、高校ですという形などでスタートされます。これが高校なのか、実は塾なのか、非常に分かりにくい。また費用も非常に高いということもあるので、保護者や中学校の先生方が、そのことがはっきり明確に分かることが必要かと思います。
最後に、岡本委員もおっしゃいましたけれども、5ページの下の生成AIのことがありますが、ここに書かれているような期待どおりになれば一番いいんですが、私も生成AIのことがよくまだ分かってはいないですが、全部、適切な答えが出てくるように今は思えてしまっていて、子供たちが生成AIを正しい先生みたいなように思わないか。そこから出てくるものが正しいもの、自分の回答が合っているか合っていないかを生成AIを基準にするようにならないか。これはもう学校だけではなくて、家でも家庭でも、どこでもいつでも調べられる、それも子供も大人も、どちらかというと正解主義から脱却しようとしているところから逆行しないかという、生成AIのことがまだ勉強不足なので、それとは違うかもしれないですが、若干危惧しているので、このような期待どおりになればいいと思っています。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。サポート校の調査については、先ほど今村委員からもありましたけれども、鍛冶田委員からも、大変重要ではないかというお話でした。とりわけ来年度以降の動きといったようなことも御紹介くださいました。
人格に関しては、これはもう教育基本法の1条でありますので、ですから、当然のことながら、書く書かないにかかわらず、あるというのはもう間違いない。これこそが教育の大目的であるのは間違いないわけですけれども、しかしながら、そこのところの取扱いについて、どうしていくのかというのは、また事務局と御相談したいと思います。ありがとうございました。
それでは青木委員、お願いいたします。
【青木委員】 まず17ページです。素案の17ページで、36単位の言及があります。学校間連携に関しても23ページに言及があります。私が言いたいことは、この36単位など、多様な学びを、自分の在籍している学校以外の学びを卒業単位にしていくということ自体、非常にすばらしいわけですが、これはボトルネックになりそうなのが校長の判断で、校長がちゅうちょしてしまうとなかなか進まないのではないか、あるいはその背景に、保護者の不安感みたいなものや、あるいは設置者の判断というのもあるのではないかと想像します。
そうした場合に、そういうボトルネックを解消するために、例えば国がお墨つきをするとか、あるいは、国としてはこういうプログラムで卒業できるよ、みたいな相談窓口をつくるとか、なるべくこのボトルネックが生じないようにするのがいいのではないかと考えました。
さらに、文科省の調査で、「公立高等学校における教育課程の編成・実施状況調査」があって、卒業に必要な修得単位数の設定状況を見ますと、全日制の普通科では74単位である高校は34%にとどまっていまして、95単位以上が12.3%もあるということで、36単位の意味合いが高校によっても違ってくる。もっと言えば少し多い卒業に必要な単位設定になっているのではないかという問題意識を、取りあえずはここで述べておきたいと思います。
次ですが、27ページです。制度上、各ポリシーが整備されてきているわけですが、先ほど申し上げた、多様な学びをプログラム化していくという動きも踏まえますと、学校評価、それから政策評価の段階で、事後的なチェックの工程をかませておくということが重要になってくるかと思います。そういったことを、この部分かどうかは別として、記述いただければと思いました。
それから29ページ、32ページで、これは私が申し上げた施設整備のことなどを言及いただいてありがとうございました。ただ文脈的には、29ページ、32ページに言及はあるのですが、もう少し踏み込んでいただいて、特出しで施設、設備、備品、教材をセットにして、多様な高校生の学びを支えるような、そういう側面が必要だということを書いていただければと思いました。
あと細かい話ですが、29ページで、一番上の丸でありますが、人材の話ですけれども、医療・福祉などの地域を支える人材とあるんですけども、これは確かにそういう側面はあると思いますが、一般的な市役所とか町役場みたいなところの公務労働も必要な人材なので、あまり特化しないで、公務労働という言葉をどこかに入れていただければと思いました。
あと最後、これは素案に対する意見とまでは思っていないんですが、ある県で高校改革に関わった経験からの発言です。31ページに関わります。確かに新しい社会の動きに対応して、高校の学びを変え、それからコースとか学科を編成していくということは大事だと思います。とはいうものの、現実に高校標準法の縛りがあって、40の倍数でしかプログラムの収容人員を規定できないと恐らく県教委は思い込んでいるんだと思います。
この辺り、例えば40人の新しい芸術系に関するコース・学科をつくって人気が出たと。この御時世で倍率が1倍を超えていると。もう少し増やしたいんだけれども、次増やすとしたら80人になってしまうという問題があろうかと思います。これを例えば50人ぐらいの収容にすると、結局それは単に先生を1人増やすということになるかもしれませんので、どういう突破口があるか、今は思いつきませんが、くくり募集がいいのか何なのか分かりませんが、少し問題意識として申し上げました。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。最後の問題意識というのは、なかなか実際にはいろいろ具体的にあちこちで起きているような気がいたします。
時間がなくなってきましたので、もう細かなことはもう私は申し上げないことにいたしまして、御発言を、あと4人いらっしゃいますので、よろしくお願いいたします。
では岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 岩本です。よろしくお願いします。今回、このような形でまとめていただいて本当にありがとうございます。私も、時間もないので、全・定・通の望ましい在り方のところに絞って何点かコメントさせていただけたらと思います。
1つ目が19ページ目の通信制に関するところです。不適切な教育活動の例とかは本当にもう論外だと思いますが、こういった事例もまだ氷山の一角だということを言うような通信制の方たちがたくさんいる中で、通信制、本当にすばらしい取組やっているところはたくさんあるわけですけど、こうした一部の例で、通信制というもの自体に不信が広がっていくというところがありますので、ここに関して、今19ページの下のほうで、国として今後さらなる質の確保・向上を図るための方策を講じていくことが求められると。これが入ったというのは非常に重要なことだと認識しています。
ただ、この、さらなる質の確保・向上を図るための方策のところが、この後の具体的方策の中に書かれていないという、そっち側がまだ抜けていますので、ここをこの後、書き足していく必要があるかと思います。そのときに4点ほど、こういった観点の今後の検討というのも入れていただくのがいいのかなと思うところがあります。
1つ目は、連携協力施設についてです。先ほどサポート校とかそういった話もありましたけども、せめてこの連携協力施設に関しては、連携協力施設ごとの評価とか適切な情報公開というのはちゃんと徹底していくという在り方だとか、こういったところの検討が1つ目です。
2つ目は、所轄庁の権限と責任、そして所轄庁を中心にした調査・点検の在り方の見直しというところで、所轄庁が広域通信も含めて認可して終わりではなく、その責任をしっかり持って、質の維持・向上とかのところの調査・点検というところは所轄庁がしっかりと責任を持ってやっていくような体制だとか在り方、それができないのであればもう認可をしないとか、認可を取り消していくとか、そういったところも含めて、所轄庁の関わりの在り方の見直しなんかも今後の検討の一つだと思いますので、これが2点目です。
3つ目が、通信制における特別活動の扱いについてです。特別活動の目標としては、この社会の形成者として生活及び人間関係をよりよく形成する態度を育てるとか、内容も日常の生活や学習への適応や健康で安全な生活態度の育成に資する活動といった、非常に社会性を育んでいく上で重要な活動である時間というものが特別活動だと考えられます。
今回のまとめの中でも、社会性の育成というのが通信制のところで書かれましたけども、これをしっかりとやっていこうとしたときに、通信制における特別活動の在り方の見直し、これが今例えば、全日制や定時制に比べて、特別活動は、通信制はもう3分の1以下の扱い、短い時間数でいいとなっていますし、さらにメディア減免もこれが使える、というような扱いになっているというのが今現在です。
これは本当にメディア減免とか、この特別活動とかは本当に必要なのかとか、そもそもこんなに少なくて、全日・定時に比べて、特別活動、本当はもっとこういった時間が必要であるはずなのに、こういうのでいいのかというところの在り方の検討、見直しというところも、今後検討すべきところかと思います。
4つ目は、多様なメディアの活用による減免、この通信制にのみ認められている指導要領上での教育課程の特例ですけども、ここの在り方も、当時は一方向的なラジオとかテレビの時代においてのやり方をイメージしたものがずっと書かれているわけですけど、メディア減免の中で、もう今は同時双方向型、デジタル基盤を使って同時双方向型だとかで協働的な学びもできるようなのが普通になってきていますので、せめて複数メディアの利用による減免のときの一つのメディアは同時双方向だとか、そういったものをちゃんと活用するだとか、そもそも10分の6とか10分の8なんかを減じてしまうという、これだけの減ずる必要というのが本当にあるのだろうかということの見直しだとか検討についてです。
それと、デジタル基盤がこれだけ出てきている中で、このメディア活用、多様なメディアを活用したこの制度というのが、通信制だけで必要なのか、定時制や全日制においても、多様なメディアを活用し、組み合わせた個別最適と協働的な学びというのが求められていく中で、通信制だけのメディア減免なのか。全・定も含めた多様なメディアの活用というところなのか、こういった骨太というか議論も、今後、具体的な方策として検討していく必要があるかと思いますので、こういったところも踏まえて書き足していく必要があるかと思います。
最後、時間がもうあれですので、細かいところに行きますが、20ページ目で課程間併修のところです。これは同一校内の話が、「例えば」で出ていて、この「例えば」の例はいいなと思うんですけども、この「例えば」の例の中で、全日制課程に入学しながらも定時制・通信制課程の科目を履修したりするといった在り方でありますけども、これなんかも、別に同一校内である必要性もないですし、同一校内に全・定・通があるというようなところはそんなに数多くないので。
でも、全日制に入学しながらも定時や通信の科目を履修していくということが、非常に特別なことだけではなく、今後、広域で連携しながらやっていくというのにとっては当たり前になっていく、セーフティーネットになっていくというところだと思いますので、ここの中に入れるというよりは、こういった例、同一校内のためだけに見えてしまうので、もっとしっかりと全体で使えるやり方として書き込んでいいのかなと思います。
あともう一点、23ページ目に、通信制課程に係る情報発信です。優良事例を創出するというのと情報発信というのがここら辺にあるわけですけども、通信制課程を正しく理解できるための情報発信といったときに、いい事例だけを発信するということよりは、ちゃんとデータとかエビデンスを含めて、ちゃんとした、いい部分もあればリスクもあるということだとか、先ほど不適切な例とかも出ていましたけども、生徒や保護者も何が適切で何が不適切か分からない可能性もありますので、そういった例も含めて、ちゃんとポジティブもネガティブも出して、しっかりとリスクも踏まえて判断できるような情報発信をしっかりしていかないと、いいことばかり言ってとなってしまうと、結果的にミスマッチだとかが起きてしまうと問題だと思いますので。
最後は24ページ目です。外国につながる生徒の受入れに向けた体制整備のところ、ここは非常に充実して大切だと思います。今後を考えると非常に重要なポイントで、私も昨日視察というか現地を見てきましたけども、ここを進めていく上では、この受入れの事例の収集だとか共有、もう既に積極的に受け入れたりとか、うまくやっているところはありますので、こういった事例をしっかりと集めて共有していくとか、外国からの生徒の入学とかが、今どのくらいあるのかとかという正確なデータとかも、入学とか留学のところも取れていない部分もあります。データのしっかりとした整備だとか、あとは高校だとか自治体に向けた受入れの手引とか、そういったところの情報面でのまず支援というか、も併せて書き込んでいただけるといいのかなと思います。
長くなりました。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。短く。通信制に関しては、さっきも言いましたけれども、通信制のワーキンググループでまとめたものが、相当細かいところまで書き込んだものがありますので、そちらにも、我々が今つくっている審議まとめができた段階でつながるようにしていただけるとよいのではないかと思いました。
あと具体的に、学校が異なるところでの全・定・通の併修というのは、これはもちろんそれがあるべき姿ということで議論してきたわけですけれども、それをすぐにできるかどうかといったことについてとか、あるいはまた最後におっしゃった、外国につながる生徒に関する事例の共有とか正確なデータとかいったことについて、どういう形で書き込むかについては預からせていただきたいと思います。ありがとうございました。
では清水委員、お願いいたします。
【清水委員】 よろしくお願いします。時間もありませんので1点だけお話をさせていただきたいと思います。
内容につきましては、岡本委員からもお話がありました「はじめに」の部分のところでございます。課題について触れられたあとに、「また」で続けて、「高等学校に対しては、地域の特色を生かした新しい価値を創造し、地方創生の核となる存在として期待されている」というように、一つの解決策のようにいきなり書かれているのが少しは気になってはいたところです。例えば、この「また、高等学校に対して地域の特色を生かした新しい価値観を創造し」、この部分については、当然のことながら地域成長であるとか地域創生についてはすごく重要なキーワードだと思いますので、この辺は残しつつ、その前段に、「おわりに」のところで書かれている、「一つの学校の中だけで教育活動や期待される機能・役割を果たそうとする閉ざされた考え方からの脱却し」につながるような文を入れていただくと、つながった流れになっていくのではないかと感じます。
書きぶりについてはいろいろと御検討いただけるかと思いますけれども、この後、進めていただければありがたいと思います。素案のまとめ、本当にありがとうございました。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。検討させていただきます。
では沖山委員、お願いいたします。
【沖山委員】 よろしくお願いします。時間がないということなので簡潔にお話をしますので、言葉足らずだったら申し訳ありません。
3つありますが、1つは書きぶりについてです。この審議まとめが、学校の現場でどのように読まれるかというところを校長としては意識しています。具体的に申し上げると、「おわりに」の冒頭の「このまとめに掲げた具体的方策については」というところで「速やかに必要な取組を行うことが望まれるが、今後さらなる検討を要する論点も引き続き存在する」と書かれているわけですけども、私はこれは逆じゃないかと思っています。
つまり、こう書かれてしまうと、「まだまだ検討しなきゃいけない論点がたくさんあるので取り組めないよね」という学校現場の受け止めにつながり、まさに先ほどの青木委員のお話じゃありませんけども、ボトルネックになってしまうと思ったりもします。つまり逆にして、様々検討を重ねていかなければならない事柄も存在するけれども、速やかに必要な取組が行われることが望まれると書いていただきたいというのが一つ意見です。
2つ目は、夜間定時制についての言及です。定時制や通信制についての言及の中に、あるいは小規模校という表現の中に、入学生徒の減少によって小規模化が全国的に進んでいる夜間定時制のことも含まれているのだと思いますが、今日、夜間定時制が担っている役割の大きさを考えるならば、夜間定時制についての言及があってほしいと思います。
私が見落としていたら申し訳ないですけれども、見落としてしまうぐらい、夜間定時制の存在意義とか役割ということについての言及がないのかなと思っています。
例えば不登校の生徒の学びの保障だけを考えても、夜間定時制が果たしている役割というのは非常に大きいので、その辺りを触れていただいて、小規模化が進む夜間定時制で学んでいても、それこそ他校と連携することで、学びたいものをたくさん学ぶことができるというような書きぶりにしていただけるとありがたいと思っています。
3点目は、これは単なる感想です。中間まとめでは、児童生徒にも伝わるようにという目的で概要版がつくられて、その表紙には、「生徒を主語。にした学校づくりを」という表現がありました。その「生徒を主語にした学校」というメッセージはどこに行ってしまったのかなという印象がしています。
これもニュアンスとして読み取れる部分はたくさんありますけれども、大きなメッセージだったと思うので、そのことが審議まとめから抜けてしまうというのは残念な気がしました。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。生徒を主語にした学校づくりという言葉は古くなってきていますけど、まだ大事だということかと思います。ありがとうございました。
最初の書きぶりですけど、これの順番は、先生のおっしゃるように、後になればなるほど意味が重くなるのが日本語の特徴かと思いますが、一方では、これは全体の文脈の中で、次の段落につなげるためにこういう表現になっているかと思いますので、釈迦に説法で申し訳ないですが、どういう順番であっても大事なことは大事だと受け取ってもらえるような、そういう書きぶりを全体で考えていかなければいけないなということを思いました。ありがとうございます。
夜間定時制につきましては、あと具体的にもう少し、こういうことでもっと必要だ、こういうことで必要だという、先生がお気づきの点は御指摘いただけると検討させていただく際に大変助かりますので、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
では篠原委員、お願いいたします。
【篠原委員】 ありがとうございます。簡潔に数点申し上げたいと思います。
5ページ目の3つ目の丸に、共通して取り組むべき項目が列挙されておりますけれども、改めて読みまして、もし可能ならばですけれども、レジリエンスといいましょうか、想定外の困難やストレスをしなやかに乗り越える適応力の育成というような、つまり今、不登校の問題、それから社会人になっても様々な精神的なダメージを受けるような大人が多い中で、頑張る方向もたくさん必要ですけれども、そういうようなニュアンスのこともあったらどうかということを感じました。
2点目は、16ページ以降の全・定・通の在り方のところです。先ほど来いろいろなこの書きぶりについて、これはどこのことを言っているんだろうかというようなお話も出ていましたので、全・定・通の在り方と1項目にまとめてくださったのは大変ありがたいと思いますが、順番として、例えば全・定だけに限ること、その次に通信制に必要なこと、そして3課程共通のことというふうに、順番を一回組み立て直していただけると、もう少し分かりやすくなるのかなということを感じました。これは具体的な対策のところについても同様です。
次は26ページですけれども、探究の高度化と自律的にということについて、27の脚注に書いてあるんですけれども、この探究の大切さということを、何回も繰返し議論になりましたが、私は本文に入れてもいいのではないかと感じましたので、御検討ください。
それから29ページ以降、専門学校のことについて書かれています。先ほどから御発言にもありましたけれども、専門学校のところを読んでいくと、産業を支える人の育成ということに、とても学校の役割を矮小化しているように感じてしまったんです。専門家の皆様がそういうふうにお感じになっていないのかもしれないですけれども、冒頭の地域の話も含めて、高校時代というのは、いろいろな可能性を持った人材を育成していくということだと思います。
例えばこの審議まとめの中には、起業、業を起こす、起業という言葉が全くないですけれども、今の若者は、どこかの組織に入るよりは起業したいと思っている人がとても多いと思いますし、これからの社会は、もしかしたらそういう人たちがある意味、変革を起こしていくかもしれない。例えば専門学校の人材というのは、私はそういう可能性がとてもあるのではないかと思うんです。
ですので、全体の書きぶりとして、今のことプラス将来と、この日本がどうなっていくのか、先ほど親の世代を育成するというコメントもありましたけれども、全体的に、例えば地方も必要ですけど、グローバルな観点も必要だったり、今までの産業構造ではないところへの人材の育成ということもあったりすると思いますので、キーワードとしては、いろいろなところに出てはいるんですけれども、全体のトーンとして、もう少し将来的な意味合いのキーワードが必要かなと思いました。
その意味で、現状認識として、子供の貧困ですとかヤングケアラーというようなキーワードもこの部会で出ていましたが、そういうキーワードも落としてはいけないのではないかと感じました。
最後に検討項目ですけれども、39ページ以降、教育費の負担軽減については入らないのかどうかというのが私の疑問でした。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。いずれも大変重要なポイントで、言葉が抜けているのではないかという御指摘についても考えていただこうと思います。ありがとうございました。
それでは長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】 時間がありませんので、できるだけ簡潔にと思っております。
今回の高校ワーキングの議論は、多様性と共通性ということを基本的な軸にして論議を進めて、そしてまとめていただいて、大変整理がついているなという思いをいたしました。特に今日は、義務教のほうのまとめの御報告もいただきましたが、義務教というのはもとより、発達段階的にも、あるいは指導要領的にも教科・科目も共通のもので、共通性のまさに基本段階であると言えます。その共通性はしっかりと確保した教育が行われているということだと思うんです。
一方で高校のほうは、ここは生徒の様々な実態、あるいは社会の変化などで多様性が重要であるということで、多様な教育をいかに生徒に保障するかということが、まずは第一になっているということで議論が進められてきたなという思いを改めていたしました。
そういう中で特に、広域通信制の話題が今日も各委員の中から出ましたけども、実は先般、広域通信を含めた私立学校の設置認可などを議論する私学審議会にかかる会議のところで、ある方から、日本のこの肥大化した広域通信制のような制度は諸外国にあるんですかという問いかけがあったんです。例えばドイツではそういうのはないようで、生徒は基本的に学校に通ってきている。不登校生はいるけど、通信制制度というものを国としてここまでがっちりとつくっている国はないのではないかと指摘されました。私もよく存じないのですけれども、もし文科のほうで諸外国の様子なども分かれば御紹介いただきたいとそのとき思った次第です。
そういう中で、令和の日本型教育という高校教育の在り方として、高校の段階で必要な共通性をしっかりと持ってもらうための制度としてそれが実現していないといけないんじゃないかなという思いをしたわけでございます。そこのところが、ほころびが様々に見えている広域通信のサポート施設での学びとか、指導要領で求めている共通性じゃないところを主眼にした学びのほうを、言わばそれを売りにして、学校教育が展開されているとすれば、これが令和の日本型の教育として十分かどうかというような大きな観点で、ぜひもう一度しっかりと現状を見直して、制度をしっかりとしていっていただきたいと。抽象的になりましたが、そんな思いがしたものですから、意見を言わせていただきました。以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。また、今日も進行がまずくて時間が延びてしまいました。
長塚先生が最後おっしゃったことについて、私も海外のことはよく知らないですけども、自分の家族がいる関係で、一部の国については必要以上に学校の様子について知っていまして、それは羨ましいなと思う一方で、歴史とか文化とかが違うので、外国のことがどんなによくても、それをそのまま受け入れることができないので、文科省のほうでは、ぜひ諸外国の様子も調べていただくと同時に、我が国の現状の中で、どういった高等学校教育が望ましいのかといったようなことを考えていくとすると、これもいろんな方がおっしゃったように、広域通信制に触れないわけにはいかないわけで。
十分でないところは改めてもらわなければいけませんけれども、現実に存在している中でどうしていくのか、ここで生きがいを感じて学んでいる生徒がいるというのも事実なので、その辺りを含めてどうしていくのかというのを考えていくことが、多様性と共通性を担保するということで、重要なのかなと思いながらお聞きしました。ありがとうございました。
いろんなお話があって、余計なことを申し上げましたけれども、度會さんから、時間が延びてしまっていて申し訳ないですけど、聞かれた中で、今コメントいただけることがあればお願いしたいと思います。
【度會参事官補佐】 ありがとうございます。時間が過ぎておりますけれども、遠隔授業の関係の御議論いただいたときは、例えば13ページで、我々も予算事業でやらせていただいているので、その中での事例の周知だとか、学校間を調整するコーディネーター的な人の配置にかかる費用というのは措置させていただいておりますし、岡本委員からあった情報の真偽を確かめる力とかは、5ページのところにも書かせていただいて、鍛冶田先生からも御指摘いただいたとおりです。これらの情報を主体的に捉えながら、いろいろ見い出していく力というところも書かせていただいています。
今村委員からありましたとおり、サポート校に関する言及がないので、何かしら工夫はしたいなと思ったところでございます。岩本委員からも御指摘いただいたとおり、方策についても何かしら通信制のところは書きぶりを足していければと思っております。
取り急ぎ以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。そういたしましたら、そういったことを含めて、また田村先生と共に、次は審議まとめ(案)になるのかどうか分からないですけども、まとめることができればと思っています。
2つだけ簡単に申し上げたいんですが、今回の素案の中で、今回必ずしも触れられた方がいらっしゃったのではないんですけれども、4ページから5ページにかけてキャリア教育のことが書かれています。ここの辺りが、実は私も非常に大事だと思っていまして、このキャリア教育に関わってスクールポリシーについても述べられています。この点については、改めてしっかりと私たち自身が共有していく必要があるなと思いました。それが1点です。
もう一点は、いろいろあるんですけれども、課題の一つは、義務教育のほうで出ていた高校進学といった言葉があるならば、我々高等学校ワーキングのほうでは、高大接続であったりとか、社会とのつながり、これはもちろん先ほどのキャリア教育のところでコアという言葉は使われてはいませんけれども、社会への円滑な接続については書かれているわけですが、高大接続についてどう取り扱うのか、これは委員の皆様からいろいろ出ていましたので、その辺りも含めて最終的に検討をさせていただきたいと思っています。
大変すみません、もう10分オーバーしてしまいました。
では、今日の議論はここまでとさせていただきます。次回以降につきまして、度會さんからお願いいたします。
【度會参事官補佐】 本日も様々な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
次回は年明けになりますけれども、1月31日の金曜日の午前中、今日と同じ時間帯です。そして場所も本日と同じ3F2特別会議室を予定しております。以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、本当にたくさんの御意見を頂戴いたしました。本日の会議を閉会いたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
初等中等教育局参事官(高等学校担当)付