高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第12回)議事録

1.日時

令和6年5月27日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室(WEB会議も併用)

3.議題

  1. 探究・文理横断・実践的な学びのための体制・環境整備について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会 高等学校教育の在り方ワーキンググループ第12回を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 この会議も、ウェブ会議システム(Zoom)を併用しつつ、文部科学省内の会議室で開催させていただいております。また、傍聴者の方につきましては、ユーチューブで御視聴いただいております。
 なお、本日、報道関係から録音及び写真撮影希望のお申出がありました。許可しておりますので、委員の皆様におかれましては御了承いただければと思います。
 それでは、事務局から本日の会議の配付資料について御説明いただくとともに、委員の交代がありましたので御紹介いただきたいと思います。
 度會さん、お願いします。
【度會参事官補佐】  事務局でございます。本日の配付資料は議事次第のとおりとなっておりますので、不足等ございましたら事務局にお申し付けいただければと思います。
 また、委員の交代について御紹介させていただきます。資料1を御覧ください。石崎規生委員に代わりまして、東京都立三田高等学校長であり、全国高等学校長協会会長の内田隆志委員に今回より御参加いただきます。なお、本日は途中よりオンラインで御参加の予定となっております。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。内田委員におかれては、御出席いただいた時点で前後を考えまして御挨拶をいただきたいと思います。
 それでは、議事に入ります。
 前回、各委員から非常に様々な御意見を頂戴したところですが、事務局でまとめていただきました。それが今、参考資料1としてお手元にあるかと思います。こちらは、それぞれ小見出しをつけていただいて、中間まとめの3つの柱につながることを意識して分類していただいています。本日はこの中で特に「探究・文理横断・実践的な学びのための体制・環境整備」、これらについて御議論いただきたいと思っておりますのと、また、それを進める上でも高等学校における働き方というものも非常に重要になっておりますので、財務課にも御参加いただいて、質の高い教師の確保特別部会審議のまとめについても御説明をいただく予定にしております。これらの施策について、さらなる充実や改善を図るためにはどうしたらよいかなどについての御意見を頂戴できればと思っています。それをまた事務局で前回のワーキンググループの意見に足す形で整理をしていただき、今後の方向性を見いだしていきたいと思っております。
 では、資料につきまして事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【度會参事官補佐】  よろしくお願いいたします。まず、荒瀬先生に今、言及いただきました参考資料の1から御説明させていただきます。先生からありましたとおり、それぞれ前回のワーキングの意見をまとめさせていただいておりますけれども、それぞれ小見出しをつけて、中間まとめの3つの柱である少子化が加速する地域での高等学校教育の在り方、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方、探究・文理横断・実践的な学びの推進、それぞれにつながることを意識して、まず分類させていただきました。
 この資料に今日以降のワーキングで出た意見を足していって、議論の積み重ねであったり、議論の過程であったり、今後の方向性というものを見い出していってどういうふうにまとめていくか、この資料を通じて、次回以降もこの資料をまた出させていただきたいと思っておりますので、これで事務局、そして委員の先生方ともコンセンサスをとりながら議論を進めていきたいなと考えているところでございます。
 参考資料1については以上でございまして、本題に入ります。まず私からは、資料2のDXハイスクール並びに資料3の普通科改革について御説明申し上げます。まず、DXハイスクールについてですけれども、前回のワーキングでは事業概要について御説明させていただきましたので、本日は採択結果や取組事例について御説明申し上げます。
 次のページお願いいたします。もともと1,000校程度の採択を予定していたところ、申請が1,097校あったところ、審査をいたしまして採択は1,010校、公立746校、私立264校を採択させていただきました。
 次のページお願いします。学科別の採択コース、普通科が多くなってはおるんですけれども、専門学科についても非常に多く採択させていただいたところでございまして、工業科、商業科を中心に採択が伸びているところでございます。
 次のページをお願いします。次は都道府県別、それぞれの規模に応じてもともと割合があるので、ばらつきはもちろんあるんですけれども、このような一覧となっております。加えまして、学校種別に申し上げます高校や中等教育学校のみならず、特別支援学校の高等部についても採択をさせていただいているところでございます。
 次のページお願いします。こちらは、採択校における情報Ⅱなどの開設学校数や生徒の履修率についてでございますけれども、まず今年度、既に情報Ⅱや数理・データサイエンス・AIの活用を前提とした学校設定教科・科目や総合的な探究の時間を既に開設、今年度から取り組んでいくとしている学校数は採択校中695校ありまして、生徒の履修率についても現状、これは平均値でございますけれども、38.6%あるところを目標として57.7%まで持っていくのが採択校における平均の目標値になっています。
 また、加えまして今年度から始まった取組ではありますけれども、令和8年度までにこういった教科科目を開設していこうとしている学校数、そしてそれに向けて準備をしている学校生徒というのは571校ございまして、目標値としては生徒の履修率を52.2%と半分を超える形に持っていこうとしているところでございます。
 その下、採択校におけるデジタル環境の整備もしていくとともに、最後ですけれども、採択校における大学の理系学部進学率でございますが、こちらのパーセンテージも採択校における平均値でございます。現状といたしましては進学率19.5%であるところを目標値として28.9%まで持っていきたいなと、持っていこうと採択校においても考えているというところでございます。
 次のページをお願いします。いくつか取組事例の御紹介をさせていただきます。1つ目が千代田区立九段中等教育学校でございまして、文理横断実体験型学習プログラム、そして創造型情報実習スタジオの創設に取り組んでいきます。具体的には、探究を軸として数理・データサイエンス・AIなどを含むSTEAM教育の学習を取り入れたプログラム開発ということで、外部講師を招聘して実体験型プログラムを実施していくとしております。
 実習案として校内スマート菜園実習、デジタル作曲音声合成実習、VR空間の体験実習等などに取り組むとともに、右側ですけれども、このデータサイエンス等に十分活用できるスペースなども創設することがDXハイスクールで求められておりまして、高度なデジタル技術を生徒自身が活用できる実習環境の整備を行います。整備する案としてはハイスペックPCやドローン、3Dプリンタをはじめとするデジタルファブリケーション機器、こういったものを整備していくとともに、さらには生徒向けの講習、教員向け研修についても外部講師やICT支援員のお力を借りながら取り組んでいくということにしています。
 次のページお願いします。次が熊本の市立ですけれども必由館高等学校、こちら、文理総合探究科とありますけれども、この後御説明させていただく新しい普通科が今年度から始まっている学校でもあります。取組としては、こちら、必由学とあるんですけれども、これは基礎的な数理・データサイエンス・生成AIの効果的な活用の推進を目指し、取り組んでいる学校設定教科になります。これを基盤として3年間で継続的かつ各教科と横断的に学習を発展させ、あらゆる学習領域におけるデジタル活用の興味・関心を高める取組をしていくということになっています。
 その下、地域の「デジタルものづくり」拠点校とありますけれども、先ほどの九段中等教育学校と同じように、ものづくりスペースを設置するんですけども、この学校や生徒だけにとどまらず、地域のデジタルものづくりの拠点として、また地域貢献として住民のスマホ教室や小中学生との交流学習の場としても開放し、異年齢集団の中でデジタル人材を育成することを目指すと、そういった取組をしていこうとしているところでございます。
 続いて資料3をお願いいたします。普通科改革についてでございます。こちら、高等学校設置基準を改正した令和4年度より普通教育を主とする学科に学際領域学科、地域社会学科、その他普通科について設置することが可能となった制度でございます。
 次のページお願いします。こういった普通科改革の取組を我々としても後押しすべく、予算事業もさせていただいておりまして、大きく3つ、1つ目が普通科改革に取り組む学校を支援する事業、2つ目が教科等横断的な学びや新たな方法による学びの教育手法であったりカリキュラムを開発する事業、そして3つ目ですが、とても大事なんですけれどもコーディネーターさん、普通科改革においてはとても必要不可欠な存在でございますが、コーディネーターさんに対する研修であったり、コーディネーター同士をつなぐ、そういったプラットフォームを構築する事業となっております。
 次のページお願いいたします。新しい普通科の要件として、各学科の特色に応じた学校設定教科科目を設けて、その学校設定教科科目を2単位以上、及び総合的な探究の時間を合計6単位以上、全ての生徒に対し原則として各年次にわたって履修させることであったり、そういった教科科目と総合的な探究の時間について相互の関連を図り、系統的、発展的な指導を行うことなどが要件として掲げられています。
 下には取組事例を掲載させていただいておりますけれども、例えばということで上から3つ目の和歌山の串本古座高等学校の事例ですが、ここは民間ロケットの発射場が近接しているメリットを活用して宇宙探究といった取組をしています。こちらはそういう探究的な学びはもちろんのこと、4行目にあるんですけど運動の仕組みや物理、数学に関する内容を組み込みながら学ぶというところで、まさに教科・科目と総合的な探究の時間について相互の関連を図りながら学んでいる例になります。
 次のページお願いいたします。こちら、連携協力体制の例でございます。1つ目はコンソーシアムの構築ということで、北海道の釧路湖陵高等学校さんの例ですけれども下の図が分かりやすくなっておりまして、下の図の下にプロモーターとあるんですが、こちらは学校の教育活動に対して助言する組織であるプロモーターと、その左上、サポーターとありますが、学校やプロモーターの要請に関して必要に応じてワンポイントで学校の教育活動を支援する組織としてサポーターがございます。こういった組織との連絡調整や、全体の連絡調整を行うのがコーディネーターさんでして、こういった相互に有機的に連携しながらコンソーシアムを形成している例でございます。
 右側が教員とコーディネーターとの連携ということで、兵庫の御影高等学校さんの例ですけれども、こちらは学校の先生がマネージャーとして全体の総括を行い、こちらの学校は3名のコーディネーターに入っていただいておるんですけれども、その3名の方がプレーヤーとして相互に連携協力しながら探究全体の取組をデザインしている例でございます。
 次のページをお願いします。その他にもコーディネーターさんの例として、例えば左から順番にいきますけれども専任で配置されていたりだとか、大学関係者の方、NPOや企業の関係者、そして既に退職された学校の先生がコーディネーターとして活躍されている例もございます。
 次のページをお願いします。これが今年の5月、今月時点での新しい普通科の設置状況でございます。合計で34校ございまして、学際領域学科が8校、地域社会学科が17校、その他普通科が9校といった内訳になっております。
 次のページをお願いします。最後になりますけれども、こういった普通科改革、さらなる発展に向けた課題と論点でございますけど、まず課題からですが、この新しい普通科を設置している自治体に偏りがある、学科新設や学科改編へのハードルが高い、教師と関係機関、コーディネーターが連携・協働する際の知見が不足している、取組の内容が単なる体験や各テーマに関する表層的な学びにとどまっているケースがある、こういった取組について持続可能性については不確定な部分が多い、コーディネーターの人材確保が困難、それから高大接続の充実が求められる、また中学生や保護者、地域住民に新しい普通科が浸透していない課題が挙げられておりますので、今後の論点といたしましては、こういった取組の知見の蓄積及び横展開、また関係機関やコーディネーターと連携・協働する体制の事例の収集・周知及び研修の在り方に関する検討、そして大事になってまいりますのが、コーディネーター的役割を有する教員の育成や、そのコーディネーターの充実に向けた適切な支援措置の検討といったことが大きな論点になってまいります。そのほか先行事例の収集・周知や高校間での交流の促進、広報活動といったものにも引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 私からは以上でございます。次は大久保室長からマイスター・ハイスクールについて御説明申し上げます。
【大久保産業教育振興室長】  引き続きましてマイスター・ハイスクールの御説明をさせていただきます。まず私、4月から産業教育振興室長を拝命いたしました、大久保と申します。何とぞよろしくお願いいたします。
 そうしましたら、お手元の資料を御覧くださいませ。まず、今年度の事業の概要でございますけれども、皆様、ご存じのことかもしれませんが簡単に申し上げますとデジタルトランスフォーメーションですとか6次産業化、これによっていろいろ産業構造が変わっていく中で、専門高校というのは特に生徒が卒業後に就職をする生徒が多いこともありまして、産業界のたゆまない変化に即応していくと、そういった職業人材の育成が必要になっておるところでございます。この事業は令和3年度から行っておりまして、産業界と専門高校が一体となって産業人材育成を行っていく事業でございます。
 令和6年度に関しましてはこの事業の今までの展開から横展開をさらに進めていくフェーズに入ってございます。半分から下が図で簡単に示したものでございますが、まず左側ですが先進的取組ということで、これまで実績のあるような専門高校、自治体が中心となって連携のさらなる広域展開を目指していくものになります。半分から下の丸2のところの連携体制強化、これに関しましては新たな連携に向けて自治体と専門高校が取り組んでいくものでございます。
 右側でございますが取組の支援ということで、この丸1、丸2番の取組に対して民間事業者に委託しまして伴走支援をしていただくようなものでございます。その下の丸4番でございますが、ここで連携の実態調査ということを全国的に行っていくと、これも民間事業に委託していきたいと思っております。これが全体のつくりになってございます。
 次のページにまいります。こちらが全体の事業のスキームでございますが、まず1番上のところで地方自治体、これは教育委員会に限らず、首長部局の産業振興部局等も含めてでございますが、ここが地域における産業界と教育界の連携体制の構築を担っていくということになります。一番重要になってくるのが、その下のコーディネート機能、マイスター・ハイスクールCEOですとか、あと、ここには書いてございませんが産学連携コーディネーター、こういった方に産業界と専門高校をつなぐ形で入っていただきまして、それでコーディネートしていただくことでお互いの価値観ですとか考え方のすり合わせをしていただいて、学校のニーズがうまく企業にも反映できるような形にしていただくものでございます。先ほど申し上げましたように、産学連携コーディネートの機能を果たす人材というのが不可欠な存在になってございます。
 次のページにまいります。次が、実際にこのマイスター・ハイスクール事業をやっていただいた指定校の関係者に実体験として御意見を伺ったところ、まず左から、生徒中心にどんな変化が見られたかというところでございますが、この下の部分がこういう変化があっただろうということでコメントを頂いているものでございます。
 例えば生徒の学びへ向かう態度というところでいきますと、地元事業や大学等と関わることで課題研究に責任感と主体性が生まれたとか、その他、そこに書いてあるようなものがコメントとして出てきております。進路の意識につきましても企業の人と技術と思いに触れて進路選択が具体化したというお話ですとか、教育の内容でいきますと産業人の事業参画による緊張感と一体感が学べて、地域を盛り上げるリーダーを育てるという環境が醸成されたという話も出てきております。
 次のページにまいります。2つほど実際の事業の概要を報告させていただいています。これは令和3年から令和5年に事業をやっていただいた彦根工業高校と、あと滋賀教育委員会、彦根市、商工会議所等々がタイアップしたものでございます。左からいきますと、まず地域企業からの匠の技と先端技術を学ぶということで、それぞれの学年で学校設定科目を設置しまして、その学年に応じた取組をやっていっていただいております。
 その下の本格的にというところでございますが、3年生になりますと学校設定科目のプログレス実習というところで週に1日、実際に企業ですとか、これ、大学も含まれているようでございますが、社内プロジェクトメンバーの一員として働いていただく形をとっておりまして、年間20日間ぐらい実際に現場で働いてもらうと。これによって学校で学んだ知識、技術がどのように社会に使われているのかを理解して、その技術を使う姿勢や考え方も学習していくというものになります。
 これらの取組を通して、右側にございますが、生徒の自己肯定感もアップしているというデータが出ておりまして、これはそれぞれアンケート調査等々をしてもらった結果ですが、例えばこの9割と書いているところですかね。2年生も3年生もそれぞれやり抜く力ですとかコミュニケーション能力、忍耐力がついた、あと、将来の進路選択に役立ったといった回答が高い割合で出てございます。
 半分から下のところが取組による成果ということでございますが、それぞれいろいろな立場の方からコメントを頂いておりますけれども、おおむね、どの立場の方からもよい評価を頂いているところでございます。
 次のページにまいります。2つ目でございますが、これが新潟県立海洋高等学校の取組でございます。新潟県教育委員会、糸魚川の地域で行われているものでございます。左からいきますと、この取組は地域産業の持続可能性を実現する活動というところで、その下に幾つか書いてありますが、例えば低コスト型鮭の放流事業ですとか、モズク育成域マップによる取り過ぎの抑制、これ、水中ドローンを活用してマップを作成していくものですね。あと、豊かな森を作る保安林の育成ですとか、究極循環型の食糧生産アクアポニックス、これは例えば水族館と取り組みを一緒に行って魚の糞尿ですとか餌が残ったものを、それを微生物が分解をして、それを今度は野菜の肥料に回していって、できた野菜で魚の餌をつくるというような循環型の取組を行ったりとか、あとその下ですが新商品・新事業の創出ということでマリンスポーツイベントですとか海洋レジャー体験サービス、こういったものの開発によって観光客の誘客を図っているような例も出てきております。
 右にいきまして、あとはITを活用したということで、これはアンテナショップを道の駅にオープンしたり、ウェブサイトでのオンライン販売などもしていると。これもそれぞれの購入内容ですとか購入者のコメントなどを全員で共有できるような形をとって、その後の展開に役立てていくものでございます。
 その下、こちらも学びみらいPASSという民間の評価システムを使って評価をしたところ、これも2年生から3年生になるに従って、それぞれ情報収集能力ですとか協働力といったものが伸びてきているデータがとれてございます。これも下にそれぞれのいろいろな立場の方からのコメントございますとおり、どれも皆、いい評価が出ているところでございます。この海洋高校に関しましては、令和6年度も今度は農業高校も巻き込んだ形での展開を今、これから図っていく予定で計画が出てきております。
 簡単ではございますが以上でございます。
【堀家財務課課長補佐】  では続きまして、初中局財務課の堀家と申します。私からは質の高い教師の確保のための特別部会に関しまして、審議のまとめについて御報告させていただきます。配付させていただいております資料の5から資料の7まででございますが、主にこの資料5を用いて御説明させていただこうと思います。
 こちら、質の高い教師の確保特別部会における審議のまとめでございますけれども、令和5年の5月に文部科学大臣に対して諮問がございまして、その後、計13回にわたり審議をしてきた、その結果になってございます。その過程におきましては36の団体からの意見書を頂戴しておりまして、全国高等学校長協会様からも御意見頂戴している形になってございます。
 こちらの審議のまとめでございますけれども、まず第1章といたしまして、我が国の学校教育の現状といたしまして左上の部分でございますけれども、知・徳・体にわたる全人的な教育が国際的にも高く評価をされていること、またPISA2022で世界トップレベルの結果を出していると。ただ、そうした状況というものは教師の献身的な努力の成果で支えられているものになってございます。
 そうした中にあって2ポツのところでございますけれども、学校が対応する課題の複雑化、困難化という中で学校や教師の負担が増大してきた実態があること。そうした中で3ポツでございますけれども、我が国の教師を取り巻く現状といたしまして、令和元年に給特法の改正が行われまして、上限指針の策定等によりまして、また学校教師が担う業務の適正化、また定数の改善や支援スタッフの配置充実といった中で時間外在校等時間の減少が進んでいる一方で、右側ですけれども依然として時間外在校等時間の長い教師が存在をしていること、また、報道等されておりますけれども教師不足という課題がある中で、教師を取り巻く環境整備が我が国の未来を左右しかねない危機的な状況にあり、抜本的な改革が必要である、こうした認識のもとで議論を進めてまいりました。
 今回の環境整備の方向性についてですけども、第2章の部分でございます。下の2ポツのところ、教師を取り巻く環境整備の目的というところに書いてございますけれども、今回この環境整備の目的は、学校教育の質の向上を通した全ての子供たちへのよりよい教育の実現ということを目的としてございます。そのために、その右側でございますけれども学校における働き方改革のさらなる加速化、学校の指導・運営体制の充実、そして教師の処遇改善、この3つを一体的かつ総合的に推進することが必要であると提言をされてございます。
 1枚おめくりいただきまして、こちらの第3章が学校における働き方改革のさらなる加速化でございます。先ほど申し上げましたとおり、給特法の改正等を踏まえまして教育委員会における取組も着実に進捗してございます。そうした中で取組が進んでいる中で時間外在校等時間、縮減してまいりましたけれども、一方でというところで、1ポツの3つ目の丸のところでございますけれども、教育委員会や学校における取組状況の差が課題となってきてございます。そうした中で具体的な取組に向けた支援と助言を行っていく段階に移行すべきだとしてございます。
 そうした中で2ポツのところでございますけれども、教師が教師でなければできないことに集中できるようにするために、学校教師が担う業務の適正化をさらに推進をしていくこと、また3ポツ、学校における働き方改革の実効性の向上という中で、具体的な働き方改革の取組状況をしっかりと見える化して、PDCAサイクルの構築を目指していくことが必要だと提言をされております。
 そうした中で、具体的にはというところでございまして、3つ目のポツで国はというところでございますけれども、PDCAサイクルを通じた働き方改革を推進していくために、業務量等の現状であったり、その改善に向けた取組の進捗状況の公表を各教育委員会が行う仕組みを検討することが必要だと提言をされております。また、教育委員会においては定量的な目標を設定すること、そうした定量的な目標の設定の中には時間外在校等時間の目標というのも含まれておりまして、過労死レベルと言われます月80時間超えの教師をまずはゼロにすること、また、全ての教師が、これは上限指針なりますけれども月45時間以内となることを目標としつつ、将来的には平均値として月20時間程度への縮減を目指す必要があることが盛り込まれてございます。
 そのほか、保護者、地域住民、首長部局等との連携・協働であったり、また、メンタルヘルス対策や労働安全衛生管理体制の構築、また勤務時間インターバルの推進といったことも盛り込まれているところでございます。
 続きまして次のページ、第4章でございます。こちらが学校の指導・運営体制の充実というところでございまして、こうした業務の中では、まずは持ち授業時数の軽減であったり、若手教師への支援ということが大きな議論として提言されてございます。
 併せまして(3)多様化・複雑化する課題と学びへの対応というところでございます。高等学校というところでございますと、太書きで3つ目、(3)の2つ目のポツのところでございます。高等学校や特別支援学校の指導・運営体制の充実の検討が必要と概要で記しておりまして、具体的にはもう一つお配りしております資料の6、御紹介させていただきます。38ページ目から39ページ目にかけてでございます。
 この中で具体的に高等学校における指導・運営体制の在り方の検討に当たってはということで記載をしてございます。進学率が99%に達成している中で様々な背景を持つ生徒が在籍をしていること、また、高等学校教育が非常に多様な状況にあること、過程や学科が複数に分かれていることや少子化の影響によって学校の再編が進められていること、一方で高等学校は地方創生の核となる存在であることなどを踏まえる必要があるということ、併せまして、総合的な探究の時間を教育課程の基軸に据えて学びの充実を図る必要が求められており、探究活動を支援するための学校内外のコーディネートを担う教職員の配置が必要であること、また、先ほど御紹介もありましたDXハイスクール事業を通じて文理横断的、探究的な学びが推進されていることや、新しい普通科の設置を含めた普通科改革が進行中であること、こうした改革の状況も踏まえて、より専門的な検討が必要がある旨が具体的に記載されているところでございます。
 また、先ほどの資料5の概要に戻っていただきまして、1の(4)のところでございます。組織的・機動的なマネジメント体制の構築というところでは、学校内外との連携・調整機能の充実や若手教師へのサポートも含めて、新たな職の創設が必要であることも併せて提言をされてございます。
 4章をお願いいたします。また、2ポツの左下ですけれども、支援スタッフのさらなる配置充実や次世代型「チーム学校」の実現、また、社会人の学校への参入促進や様々な強みや専門性を持った教師の養成・採用通じた多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成が必要である旨が提言をされてございます。
 続きまして、第5章でございます。こちらが、とりわけ主とされている部分でございますけれども、処遇の改善というものになります。昭和46年に給特法、49年に人確法が制定をされて以降、昭和55年には一般行政職と比べて教師の優遇分が大幅に確保されていたと、それが現在では僅かになっている状況がございます。
 そうした中で2ポツのところでございます。2つ目の丸ですけれども、教師は我が国の未来を切り開く人材を育成する非常に複雑かつ困難な職務を担っており、専門的な知識や技能が求められる高度専門職であると認識してございます。一方で、教師の仕事というものは日々変化をする目の前の子供たちに臨機応変な対応が必要である中で、教師自身の自発性や裁量性に委ねる部分が非常に大きいところで、教師の職務や勤務態様の特殊性を踏まえ、時間外勤務命令を前提とした勤務時間管理が適さない、そうした前提に立ちまして勤務時間の内外を包括的に評価をした教職調整額を支給する仕組みというものは現在、なお合理性を有していると。したがいまして今回の処遇改善といたしましては教職調整額を支給する仕組みを維持した上で、教職調整額の率を少なくとも10%以上とすることが必要であることが提言をされてございます。
 また、3ポツのところ、2つ目の丸のところですけれども、先ほど御紹介しました新たな職に対応した新たな級の創設や、5つ目の丸のところですけれども、管理職の職務の責務と重要性を踏まえた管理職手当の改善等が必要である旨が提言をされてございます。
 とりわけ今回のこの教師を取り巻く環境整備ですけれども、今、御紹介いたしました3章、4章、5章、それぞれの取組何か一つだけで進むわけではございません。この3つの取組を一体的かつ総合的に推進していく必要があると認識をしてございまして、現在、中央教育審議会におきまして審議のまとめという状況になってございます。今後、集中分科会、総会等に報告をした上で国民の皆さんからの意見募集というプロセスを経て、最終的に答申というところまで議論を進めていければと思ってございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。高校ワーキングとしては少し珍しい感じで、大変丁寧な説明をたくさん承りました。この後は皆さんで議論していただく時間ですけれども、どうでしょう。まず今、御説明いただいた中で御質問がありましたらお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ、岡本委員。
【岡本委員】  よろしいですか。ありがとうございました。幾つかあるんですけれども最後の教員のところで特にお聞きしたい点が幾つかあって、第3章のところの3番目の(2)のところ、保護者などからの2つ目ですね。保護者などからの過剰な苦情に行政が対応する仕組みというのが書いてあるんですけれども、私もいろんなところでそういう話を聞くんですね。例えばこれ、あってはならないことですけれども、教員が少し不適切な指導してしまったと。それが例えば軽微なものだったとしても保護者からとても強い苦情や、そういうものによってメンタルをやられてしまう事例は結構見ているんですよね。
 それって多分教員としては安心して働けないし、恐らく今のこの若い教員不足と言われているときには、そこを仕組みとして、守るというと少し何か語弊があるかもしれませんけれども、安心してそういう指導に行けるような仕組みが僕は必要だと思っていて、それで例えば保護者と教員の間に入る人がある種、僕はできたら法律の専門家だったりが一番適切と思うんですけど、それが難しい場合もあると思うんです。これ、ここで述べられていることというのは、どういう形を想定されているのか、今の話でいうと。スクールロイヤーって書いてあるので弁護士が間に入ることを想定されているのか、もしくは、ほかの行政的に何かできる方法ってあるんですかね。
【荒瀬主査】  お願いします。
【堀家財務課課長補佐】  今、岡本委員から御指摘いただいた点でございます。具体的には審議のまとめの資料の6の27ページ目、併せて御覧いただければと思います。こちらに今、御指摘いただいた点、記載しておりますけれども、まさに保護者や地域住民からの要望や提案等に対して学校だけでは解決が難しい事案に対してですけれども、まずは今おっしゃっていただきましたスクールロイヤーの活用であったり、首長部局に顧問弁護士等もいたりしますので、そうした法律の専門家を活用した法務相談体制の整備構築が必要であることを記載しております。
 併せまして学校に任せてしまうのではなくって、教育委員会等の行政の責任において対応することができる体制の構築が必要であることを記載してございます。したがいまして、法律の専門家の方々とも連携をしながら、学校任せにするのではなくてしっかりと教育委員会であったり、法務相談体制を構築する中で対応できるような体制を構築することが必要であることを御議論いただいております。
【岡本委員】  つまりそれって、要は自治体レベルでそういうふうな仕組みを予算化してつくっていく必要があるということですかね。一応、国としてこういう方針を示しているけれども、それを実際どうやって運営していくのかとか、予算の組立ては各自治体がそれを予算化していってつくっていきましょうということを促進しているということですよね。
【堀家財務課課長補佐】  はい、そうです。首長部局の法務弁護士の活用という手もあると思いますし、スクールロイヤーという形で教育委員会で雇用していただく形もあろうかと思います。
【岡本委員】  あと2点あるんですけれども、同じく第4章の1の(4)、組織的なというところ、副校長・教頭の未配置校の解消や、主幹教諭の配置充実あるんですけど、これ、データとしていただきたいんですけれども、副校長とか主幹教諭の仕組みがない自治体ってどのくらいあるんですかね。これ、僕の住んでいる鹿児島県はないんですよね。だけども僕はこれを入れてくるべきだとは思っているんですけれども、どのくらいの今、割合になっているのか。今、分からなければ、もし後日でも構わないんですけれども。
【堀家財務課課長補佐】  今、手元にデータがあるわけではないのですぐにお答えするのは難しいのですけれども、学教法上の副校長であったり主幹教諭というのは置かなければならないじゃなくて置くことができる仕組みになってございます。各教育委員会の判断等において配置がされている状況であると承知しております。
【岡本委員】  文科省としては、でもそれを充実させていきたいという方向性がここで書かれているんですね。
 あと最後、どこか忘れたんですけど、教員が学び続けるとなったときに今ある制度の中で学校内での研修という形は確かにあると思うんですけれども、例えば若手の教員もしくは例えば今、出ている探究とか、そういう担当になった人たちにとって学校全体の研修よりかは個別な研修のほうが結構よかったりするんですね。その際に自腹でいくのかとか、そういうふうに、たまになってしまう事例が、当然その学校の予算の中でやってくれる場合もあるんですけれども、それをもう少し国なり自治体がしっかりと支援する、もしくは、それがどのような研修を受けたのか、今、レコード、記録に残るんですかね。この先生はこういう。
 そういうものを何かもっと積極的にやっていただかないと、何か結構困っている先生はたまに見るんですよね。この研修に行きたいんだけど予算がなくてとか、学校の予算が足りなくてって結構あったりするので、その辺をもう少し積極的にできるような体制ができればいいなと思った次第です。
 以上です。
【荒瀬主査】  堀家さん、何かありますか。
【堀家財務課課長補佐】  すいません。今、御指摘いただきました学び続ける教師の環境整備というのは非常に重要だと思ってございます。そうした中で直接の研修の、すいません、担当ではないので言及できる範囲が限られているのですけれども、免許更新制の発展的な解消という中で研修履歴の記録と受講奨励の仕組みというものが構築されてございます。そうした中で研修履歴の記録をするための記録システムを今、文科省が構築していまして、その記録システムだけではなくて、そこにオンラインの研修コンテンツ等も提供される仕組みになってございます。まさに荒瀬主査が勤めていらっしゃいますNITSからも様々な研修というものが提供されておりまして、Plantという仕組みですけれども、そこに参画する自治体にとっては様々な研修というのが、今までだと自分たちの範囲が限られていたというものが非常に広い範囲の研修コンテンツが提供される仕組みが今、整いつつありますので、そうしたものも活用していただきながら先生方、これからも学び続けていただくことが必要なのかなと思ってございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。今までよりは学ぼうと思えばすぐにアクセスできるような機会が増えることを整備しつつある、まどろっこしいかもしれませんが、そういう状態ですね。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。オンラインの皆さんも、もし御質問ありましたら。
【田村主査代理】  よろしいでしょうか。
【荒瀬主査】  はい、どうぞ。
【田村主査代理】  丁寧な御説明どうもありがとうございました。最後の働き方改革と、それから学び続ける教員に関しまして、質問と意見も少し交ざってしまうかもしれませんけれどもさせていただきたく、よろしくお願いいたします。
 今、岡本委員から外部の研修を受けることの重要性、そのための時間確保の重要性について、御指摘及び御質問いただいたところではございます。重要性を認識する、それは賛同するとともに校内での先生方の学び合いであるとか、あるいは例えば探究にしても、ともにカリキュラムを研究する、実践を交流し合う中で専門性を高め、そしてカリキュラムをつくっていくと、そういう時間の拡幅も大変重要かと思います。
 またコーディネーター、プラットフォームに私も参画させていただいておりますけれども、コーディネーターの方々が持っていらっしゃる専門的知識であったり、行動力であったり、人間的魅力であったりというものは、学校に対しても大きな刺激や学びを与えてくれるものだと思います。そういう方々と先生方が直接的に学び合うような、そういう時間の確保というものが一方でますます重要になってくるかと思います。
 それを考えた場合、教員の働き方改革という意味で時間外労働の縮減であったりとか、あるいは育休等の取得のしやすさであったりということを確保することは非常に重要で、それを確保した上でなんですけれども、そのように様々な制度が整えば整うほど、一方で例えば生徒たちが帰った後に一緒に校内研修をしたいと、組織的な話合いをしたいといったときに多くのメンバーが、多くのというか、ある一定のメンバーが常に集まれない、そういう状況も生じてきている、あるいはこれから生じてくる可能性がございます。
 それで、私が申し上げたいことは、先生方にその時間を捻出してくださいというのではなく、月曜日から金曜日の例えば10時から16時といった全員がそろえる時間に、週に1時間でも2時間でも研修の時間を確保する、そのことが長期的に見て、どんどん新しいことというのが入ってきているわけで、それに対応していく先生方、もちろんオンラインなどを御自分で時間を捻出してというか、自分で時間をマネジメントして取っていくことも大事なんですが、一方で組織として、あるまとまった時間にみんなが集まれると、そういう条件を確保していくことも一方で重要なのではないかと思います。
 なぜ、ここでこのことを申し上げたかというと、そのためには1人当たりの授業の持ち時間を削っていく、そのためには予算確保がどうしても重要であると、そういう観点からここで質問とそれから意見、そういうことがここでどういうふうにこれから見通されていっているのかということが質問になります。
 以上です。ありがとうございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。大変大事なお話、堀家さん、どうですか。
【堀家財務課課長補佐】  田村先生、どうもありがとうございます。まさに御指摘いただきましたとおり、校内研修等をはじめとして先生方がしっかりと学び続ける環境というものを組織としてつくっていくことは大変重要であると認識してございます。そうした中で今回の審議まとめの中では柔軟な働き方の推進というところであったり、あとまた管理職のマネジメントの重要性というところも併せて記載をしているところでございます。
 また直接、方向というところではございませんけれども、持ち授業時数の軽減というものが先生方の負担の軽減のためには重要であるという認識も第4章の中でも示してございます。そうした中で今、御指摘いただきましたように先生方がしっかりと学び続ける環境整備というものを構築していくことが必要であると認識してございます。
【田村主査代理】  ありがとうございます。
【荒瀬主査】  よろしいですか。
【田村主査代理】  ぜひとも、それを予算計画の中に盛り込んでいっていただきたいなとお願いいたします。
【荒瀬主査】  単純に今おっしゃった、田村先生がおっしゃった非常に具体的なお話で、例えば時間割の中で、この時間帯はこの教科の先生、みんな空いているとか、この学年の担当者、みんな空いているとか、総合的な探究の時間を持つ人がみんな空いているとか、そういったようなことをつくることがとても大事だと思うんですね。それは可能です。実際、やったこともあります、私自身も。
 ところが、そのためには教師の数が必要になってくるんですよね。まさに先生、今おっしゃったことが必要で、堀家さんもそういう方向でぜひともやっていきたいというお気持ちをおっしゃったのだと思いますけれども、この今日のまとめの中でいうと第1章の3ポツのところにあった、課題として教師不足というのが挙げられていますけれども、3つのことを一体的にやっていくことはもうもちろんのことながら、教師不足をいかに解消していくか、そのためにはお金が必要になってくるので、そのお金をどうつけていくのかってなってきたときには、これはただ教育委員会が頑張ればいいとか、学校が頑張ればいいとかいうだけではなくて国もそうですし、あるいは自治体もそうですし、本当に真剣に考えていかないと具体的な学びの豊かさというのは実現になかなか近づかないということも言えるわけですので、ぜひ、そういったことも含めて進めていければと思います。
 その辺りのところは、資料6の審議のまとめの最後のおわりにところに、そういったことを含めて述べられていますので、それが本当に実現するようにみんなで頑張っていければいいなと思います。
 すいません。青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  青木です。質問なんですけれども、コーディネーターについての御説明があったと思います。このコーディネーターについてどういう役割、結構多様な役割を果たしていると思うんですけれども、各学校の状況に応じて。コーディネーターの多様な働き方というんですかね、業務の実態について現時点で文科省として何か情報を把握されているかどうかというのが1点と。
 もう一つ、コーディネーター、私、制度のことを認識不足なので教えていただきたいんですけれども、教員業務支援員ですとか、最近、学校教育法の施行規則に位置づいているサポートスタッフというんでしょうかね、専門職、専門スタッフがあるわけですけど、コーディネーターは今、どういう位置づけになっているのかを教えていただきたいのがもう1点、合わせて2点です。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。これ、いかがでしょうか。
 田中さん、お願いします。
【田中参事官】  高校参事官の田中です。青木先生、御質問ありがとうございます。まず、コーディネーターの実態につきましては、先ほどの資料3の5ページ目において、若干の実例を紹介させていただいておりますが、ほかにも、都道府県教育長協議会でも調査をしていただくとか、あるいは本日も御参加されている岩本委員に実態の調査をしていただいたりしていまして、どれぐらいの人数がいて、そういった方がどういった役割を担っているかというところは、おおむねのところは把握するようにはしておりますけれども、すいません、今日その詳細データを持ってきておりません。
 私ども、この資料3でいうと2ページ目のところに予算、新時代に対応した高等学校改革推進事業、これも先ほど紹介させていただきましたが、この丸3、高校コーディネーター全国プラットフォーム構築事業というのをやっていまして、この中でもかなり多くのコーディネーターの方に、あるいはコーディネーターを支援する教育委員会、関係の学校の方にお集まりいただいて研修会とかやっていただいていまして、そういった中でもどんな特性の方がどんなことをやっていらっしゃるのかというのを把握するようにしておりますが、すいません、それを今、整理したものは手元にはないので、具体の説明はできず申し訳ありません。
 実際いろんなタイプの方がいらっしゃいまして、もともと岩本委員がコーディネーターとして御活躍されていたわけですけれども、そういう外部の人材の方もいらっしゃれば、教員の方がコーディネーター的役割をやっているパターンもあります。あるいは退職された校長先生がやっていらっしゃったり、あるいは地域、特に地方の学校ですと地域おこし協力隊の若い方がやっていただいたりとか、あるいはNPOの方、先ほどこれもマイスター・ハイスクールの場合は、これはCEOと呼んでおりますけれども、かなりハイレベルな調整するということで企業の方が入っている、これも一種のコーディネーターだと思いますね。そういういろんなパターン方がいらっしゃいます。
 それから制度的な位置づけということですけれども、これは学校教育法施行規則の中で、この新しい普通科の弾力化の中で学際領域学科とか、地域社会学科とか、それに取り組むときに、資料3でいうと3ページ目になりますけれども、要件といたしまして、この上の四角のところの(5)、学際領域学科及び地域社会学科においては、関係機関等との連携を行う職員の配置その他の措置を講ずるよう努めることと、このような規程のされ方がしております。これは、こういった新しい普通科におけるコーディネーターの役割を担う方の配置をしてくださいということが書いてあるんですが、ただ一方で、現時点で学校教育法体系の中においてコーディネーターという職について明確に提示して、こういう職性で、こういう業務で、こういう役割を担うんだということを定義する段階まで至っているかというと現状ではそうではなくて、そういったことが必要ではないかという問題意識を私ども持っておりますけれども、現状は今、申し上げたところにコーディネーター的な役割を担う職員について言及されているという状況でございます。長くなりましたが以上です。
【荒瀬主査】  青木先生、どうぞ。
【青木委員】  御説明ありがとうございます。最後のほうで田中参事官がおっしゃったコーディネーター、あるいはコーディネート機能といってもいいかもしれません。そのことについて今後どう位置づけていくかということについての問題意識、御議論されましたが、まさに私もそういった問題意識を持っていましたので共有できたかなと思いました。ありがとうございます。
 もう1点、徐々にコーディネーター、あるいはコーディネーター的な機能を担う教員の方が各高校で配置というか、活動をされ始めている状況だと思いますので、学術的な観点からも、まずは行政的な情報収集って大事だと思うんですが、もう少ししたら実態を整理するような形で学術的な検証の作業という段階も入っていっていいのかなと思いました。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。ほかにはないでしょうか。
 どうぞ。清水委員、お願いします。
【清水委員】  コーディネーター関係ですけれども、私自身は専門高校をずっと長く担当をさせていただきましたが、専門高校は社会の変化に柔軟に対応していくべきと考えております。これまで学校がどちらかというと閉じた状態の中で、社会とかけ離れた状態で学習が展開されてきたのではないかと思います。
 今回の埼玉県でもマイスター・ハイスクールに採択をしていただいております。埼玉県では経営者協会の方々に非常にお骨折りいただいて、CEOを御推薦いただき学校に配置をしていただきました。これにより産業界との連携には心強く思いますし、なかなか教員ができないつながりをしっかりと構築してくださっておりとてもありがたく思っています。
 今後こういったコーディネーターの役割を担う方が、この事業が終わるタイミングで学校からいらっしゃらないようになってしまうことの少し不安を感じているところであります。こういったところをいかに継続して、学校として検討して対応が進めていけるかどうかというところが大きな課題になってくるであろうと思います。
 また、地域と連携をすることによって地域の企業や大学、研究機関との連携がどんどん進んでいきます。これは子どもたちが地域に定着する一つの方法、手法にもなっていくんじゃないかなと思います。子どもたちが地域に定着すれば地域が盛り上がります。地域が盛り上がっていけばさらに子供たちは外に流出しないで地域にとどまってくれると思います。最近は就職して自宅から子供が離れていくことを保護者があまり望まない傾向にあります。地域連携を進めることによってそのような思いを大切にすることもできるのではないかなとも思います。
 また、大学等との連携が進んでいけば、子どもたちの学びに向かう考え方がどんどん変わっていきます。それにより専門高校からの大学進学、理系進学も間違いなく増えていくだろう期待をしているところです。そういった意味ではDXハイスクールもその役目を担ってくれるのではないかと思いますので、今後DXハイスクールがどんな成長を見せてくださるのか、期待しているところです。
 先ほど申し上げたとおり、地域連携であるとか企業連携とかがどんどん進んでいけば生徒が伸びていくことを実感できると思いますが、地域との連携を進めれば進めるほど教員の仕事が増えていってしまうのも事実であると思います。こういったところをどう対応していけばよいのか。働き方改革というものを進めながら地域連携を進めていくところになってまいりますので、その対応策があるとありがたいなと思っています。
 まとまりませんが以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。今日は財務課の堀家さんにも来ていただいていますのでしっかりと聞いて帰っていただいて、また今後、特別部会の議論にも生かしていただければと思いますが。そういったことを本当に多くの方に知っていただいて、学校の学びが細っていかないようにしていく必要が本当に大事な点としてあるなと思いました。
 では岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。意見になってしまうんですけれども。
【荒瀬主査】  どうぞ。
【岩本委員】  DXハイスクールと普通科教育を主とする学科の弾力化に関して、それぞれ2点ずつ意見させていただけたらと思います。1点目はDXハイスクールですけれども、これは非常に重要な事業というか、これからにおいて大事な事業だと思っています。今回1,000校近く、1,000校以上か、採択されたというところですが、今回の申請内容だとか実際やる高校を見て多くの高校はこれでよかったんだと、もしくはこういう形でも申請できたんだ、それだったら、うちもやりたいというような学校って多く出てくるかと思います。
 最初この事業を見たときに、自分たちにはハードル高いというのが第1印象で多くあった中で、大分さまざまなやり方でできるようなことが分かって、しかもやり始めたらうちも、うちも、うちもとなってくるかと思います。この事業の趣旨を考えると、多くの高校でこれ、取り組んでいっていいような取組がかなり入ってきていますので、今年度で終わらせずに来年度以降もこれ、しっかりと続けていく必要があるかと思います。
 その際の一つの考え方として今、1,000万掛ける1,000校とかでやっていますけれども、1,000万って非常に大きい金額ですけれども、これ、例えばですけども、より多くの高校がやっていくと考えたら500万円掛ける2,000校みたいな形で広げていく、そして申請の手続だとか採択の手続みたいなのを非常に簡略化させて多くの高校が申し込める、使えるというような形にして裾野を広げる。
 例えば3年目には250万掛ける4,000校みたいな、ほとんどのところでこういったことをやれるんだというような形で、1,000万というのはすぐなくなってしまうと高校の教育活動の持続性とか、着地が難しい状態になると思いますけども、そうやって少しずつ総額は変えずに1校1校の金額を減らしながら裾野は広げて、日本の多くの高校がこの恩恵を受けていけるような発想もあるのではないかということで、そんなことも今後御検討いただけないというのがDXハイスクールに関して一つと。
 もう一つはこれ、普通科高校がDXハイスクールを活用するときに、特に数理・データサイエンス・AIの活用を前提とした実践的な学校設定教科・科目をやっていくとなると、これ、新しい普通科の話と非常に相性がいいところで、実践事例なんかも出ていましたけども、そうしたときに今、新しい普通科の普通科改革支援事業って1校470万円みたいな形で取り組んでいますけども、場合によってはこれ、事業的に普通科に関しては融合していくような形で、DXハイスクールを取って終わりではなく、それが新しい普通科として今後も継続的にやっていくような流れにしっかり続くような形での政策間連携みたいなこともあっていいのではないかというのがDXハイスクールに関してです。
 最後、普通教育を主とする学科の弾力化のさらなる発展に向けた課題と論点についてというところです。一つ抜けているかなと思ったところが、今までの委員さんの意見でもありましたけど、新しい普通科の教職員の定数の改善配置という視点が一つあるかと思います。総合学科をつくったときなんかも最初は加配で措置をしていったと思うんですけど、その後ちゃんと標準法の体系の中で定数の算定としたかと思います。これ、新しい普通科の場合、総合学科とか専門学科ほどの教職員定数にならないにしても普通科と専門学科の間ぐらいの教職員の定数の算定になるような形で、加配とかではなくてしっかりと措置されるようなことをしていかないといけないと思いますし、それを起点に、そもそもの高校標準法自体の見直しなんかも併せてやっていくような議論もしかるべきではないかというところです。
 最後ですが、そこで書かれているコーディネーター的役割を有する教員の育成というところが中に書いていて。先ほどの議論でコーディネーターの話ありましたけれども、私、ここ結構一つの論点になるんじゃないかと思います。これ今、コーディネーター的役割を果たしている献身的な意欲ある教員は実際にいますが、これを本当に教員の仕事として役割だと言って、さらに役割を乗っけて、その研修だとかということを教員にさせていくのは本当にいいのかと。
 これ、働き方改革の先ほども議論ありましたけど、教員は本来教員じゃなきゃできない、教員だからすべきことになるべく集中させていく、この大きな流れの中で、コーディネーターが今やっているようなことも、教員も日本の教員、優秀ですし、意欲もあるからできる人たちはいますけど、その役割も教員がやるんだと教職員定数の改善だとか配置をせずして役割だけ、さらに教員に増やしていくことを今回認めていくのかというと、私はこれ、やらないほうがいいのではないかと。
 教員の仕事増えちゃいますし、逆にやるってなるとコーディネーター的な人への財政措置は要らないですねと、教員ができるんですもんねという形で、これ、コーディネーターの人件費の部分もさらに措置されないような、もう両方が苦しくなるような構造になると思いますので。これ、教員が本当にやるべきなのかというところは今までの話であれば関係機関等との連携を行う職員の配置と、新しい普通科のところでも職員ってなっていますので、ここをちゃんと職員が配置されるような形で、それは実習助手かもしれないし、別の方かもしれないですが、教員の役割とまた別にちゃんと配置をするということをできるように考えていくべきではないかというのが、最後すいません、私の意見です。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。具体的なお話が出ていましたが、これ、あれですよね。岩本さん、例えばスーパーサイエンスハイスクールって鳴り物入りでスタートして、どんどんお金が減っていって、途中からはどの学校も同じ金額を出すというのはけしからんと財務省に叱られて結果、特別枠みたいのをつくって、どんどん、どんどん学校はいろんなものを申請しなければならなくなって、毎年毎年申請しないとお金がもらえないとなって、でもお金が欲しいというので非常に苦労した経緯がありますね。
 だから一方で、岩本さんのお考えは十分承知していながら、1,000万、1,000校を500万、2,000校にというのはあまり言わないほうがいいんじゃないかなと思って。1,000万、2,000校にしたらいいし、2,000万、3,000校にしたらいいし、もっとお金出したらいいしって思うんですが、それはなかなか難しいのでそういうお話になっているんだと思うんですけども。いろいろ御意見が出ました。ありがとうございます。
 ほかに何かございませんでしょうか。今、実は内田先生がお入りくださったということで内田委員、今日から新しく入っていただくということでどうぞよろしくお願いいたします。
【内田委員】  よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  今、御説明が今日、高校ワーキングとしてはあまりこういう説明たくさん聞いてということはなくて、結構みんなが思っていることを言うということが多い会議だったんですけど、今日は非常にたくさんの説明を頂きました。今日は議題で御確認いただいているかと思うんですが、それについて特に何かございましたらということでも、説明聞いていただいてないので申し訳ないですけど、でも結構ですし、取りあえず、まずは自己紹介も含めて、これからよろしくお願いしますということで、私からもお願いいたします。
 座長をしています荒瀬と申します。よろしくお願いいたします。
【内田委員】  ありがとうございます。このたび5月22日に全国学校長協会の会長に就任いたしまして委員になりました、都立三田高校の内田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 埼玉ソニックシティでは文科省の方々、行政説明等も含めまして本当にありがとうございました。このたびも資料たくさん拝見しまして、非常に課題が盛りだくさんだなと改めて感じているところです。埼玉の総会でもお話をしたんですけれども、本校にも働き方改革ということで実は4月からコンサルが入りまして、今日も午前中、コンサルからの学校の働き方について聞き取りがあって、それを仕分していくんだなんていう話が出ているところです。
 様々、教員については仕事があって、岩本先生もお話いただいたところなんですけれどももう定数を増やしていただくほか、我々の仕事の改善は見られないのではないかなというところまで来ていると思います。今まで学校教育、特に教科教育に力を注いで、それから生徒指導、丁寧に生徒を見ていくところだけ注力していけばよかったんですけれども、様々な施策が全て学校にかかっているので、それについて考えていかなければいけない時期だと考えております。
 人事、臨時的に人材を充てていただいたり、外部人材もいろいろ工夫していただいているところではあるんですけれども、外部からの専門家を充てても調整能力であるとか、あるいは発信力であるとか、生徒への対応というのは教員でしかできないところがあって、その教員だからよりよくできる部分についてカウントしていただいて人を配置していただければ高校教育はよりよくなるし、探究も含めて大学との連携、高大接続もうまくいくのではないかなと思っています。
 何よりも教科専門性というところなのですが、高校教育に関わる教員は様々な分野で教科専門性を持っていますので、そこの教材研究であるとか、様々な研究団体での研究活動ができるぐらいの余裕を財政措置や人的措置をしていただいてやっていけば、より文科省が考えられている施策が具体化、具現化するのではないかなと私は考えておりますので、委員の方々のお知恵を拝借しながら発信、私としての意見も伝えていければなと思っております。
 実はうちの学校もDXハイスクールの予算を頂戴して、理系だけでなく先生たちに教材研究、コンテンツをつくってもらう形で、それを配信も含めて校内の中で有効活用しようというところに注力をしようと考えています。様々な部分で自由度が高く、かつ効果的な予算であると考えていますので、今後ともアイデアも含めまして御支援よろしくお願いいたします。
 すいません、長くなりましたがよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 岩本委員、読めなかったんですけども。読めました。DXに関する御意見ですね。これ、承りました。すいません。簡略化していけということですね。これ、簡略はこれ、文科省はぜひ、それは引き受けていただきたい、聞いていただきたいと思うんですが、これ、なかなか簡略してくれないですね。
 どうぞ、田中参事官から。
【田中参事官】  岩本委員からの御指摘、ありがとうございます。頂いた御意見を受けて予算、対応を考えていきたいと思いますし、そもそも補正予算なので来年も当たり前に付くものじゃないので、まずそこからしっかり。ただ一方で現場からの期待も非常に高いなと感じておりますので、しっかり頑張りたいと思います。
 今回、簡略化ということに関して言うと、DXハイスクールの予算の申請は今までの事業と比較するとかなり簡略です。簡略にはなっているんですが、どうしても学校現場が忙しい時期に公立に限らず私学も含めて募集しているので、本当に忙しい中でやっていただいて大変申し訳ないなというところと、一方で公費を使うわけなので、何か白紙答案みたいなものを出されてお金つけますというわけには行かないところがありますので、一方でこういったものの簡略化というのももちろん働き方改革にも資するところだと思いますので、まずは来年の予算をどうするかというところをしっかり頑張りつつ、もう一度御指摘の点を踏まえて、もちろん、このワーキングでの御議論もありますし、我々も我々として予算の在り方というのを考えていきたいと思っております。
【荒瀬主査】  ということです。岩本さん、いいでしょうか。そんな感覚なんですか。びっくりだな。ただし、本当におっしゃったように、あまりの簡略化というか、民間のそういう補助金の申請の書類なんかを見ても、これで本当にお金をつけろというのはあまりにも大胆過ぎるんじゃないかって思えるようなことも、これまで拝見したこともありましたし、何がしたいのかというのを生徒をまさにベースにして考えるような、そういう申請というのを出していただくことは、これは大事なので、そこのところは簡略は交わせていただく必要ないと思うんですけれども、余計なものがもしあるなら、それは省いていただけるとありがたいと思います。
 すいません。田村委員、どうぞ。
【田村主査代理】  ありがとうございます。1点、今の話に関わってですけれども、申請に当たりまして簡単な申請説明会というか、これまで申請通った学校さんがこういうポイントで作りましたって言ったようなことを説明する機会というのがこれからあると、より、何ですか、申請書も書きやすいんじゃないかなと思いました。
 手を挙げさせていただいたのは、これとは別件なんですけれども、DXとマイスターと両方に関係あるんですけれども、今、私たまたま在外研究中でして様々な国から来られた様々な研究分野の方々とお話しする機会が日常的にございまして、その中で幾つか、日本にいても感じていたことなんですが、より海外の人から言われて強く感じるところがあるんですが、日本はこんなにものづくりにハードウエアをつくるのに大変長けてきたんだけれども、ソフトウエアの分野ではどうしてこんなに目立たないのかといったような御指摘を受けることがございます。複数回、複数の方からございました。
 それで、このたび、せっかくDXであるとかマイスターであるということで情報、それからものづくり、こういったことが組み合わさっていくわけですよね。さらにソフトウエアをつくるっていったときに、これから本当に海外と競争というのが今までもあったわけですが、より一層あるわけですので、求められてくるわけですので、例えば情報とともに英語であるとか、情報とともにグローバルであるとか、情報とともに何かの課題解決であるとか、そういったことが組み合わさっていくことによって、より効果が高まっていくのではないかなと考えております。
 そこで一つ提案というか、お願いなんですけれども、せっかくこのたび、かなりまとまった数の高校様が参加されますので、どういう内容で取り組まれたかの情報を整理していただいて、1年後、2年後、3年後に整理していただいて、それぞれの効果、数量的なものも含めて効果検証していっていただけたらなと思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。それは予定していらっしゃるんですよね、当然ね。
 はい、どうぞ。
【田中参事官】  田中です。御指摘ありがとうございます。取組としては、まだ始まったばっかりではありますけれども、数年にわたって先ほど御紹介申し上げた理系進学率というのもありますが、それだけじゃなくてどういう取組をしているのか、その中には大学とどのように連携しているのか、企業とどのように連携しているのか、そういったことも含めていい事例を横展開していきたいと思います。二、三年後に見えることもあるでしょうし、もう少しして整理できることもあるかと思います。
 現時点では1,010校ありますので、取組のレベルの差は正直あると思っています。現時点では、まずいい例の横展開であったり、あるいは高等教育局とも連携して大学との接続、大学側にとっても高校側にとってもウィンウィンの形になるようなことができ得る事業だと思っていますので、まずはそういったところをやりつつ、今、御指摘いただいたようなところもしっかり検証の上、さらに横展開、発展ができるように努めていきたいと思いますし、また、高校ワーキングでそういう御議論いただければ、それも踏まえてさらに対応を考えていきたいと思っております。ありがとうございます。
【田村主査代理】  ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。今の話に関連して私も言いたいことがあるんですが、その前に青木委員と篠原委員からお願いします。
 青木委員、どうぞ。
【青木委員】  ありがとうございます。荒瀬先生、いいでしょうか、先に。
【荒瀬主査】  どうぞ。
【青木委員】  ありがとうございます。実質的な議論にもなっているような気がしたので、意見を申し上げたいと思います。高校を主として念頭に置いた働き方改革をこの部会、ワーキングでの横串というか縦串というか、表現はどちらでもいいんですけど議論をまとめていただきたいなと思いました。というのも先ほど岩本委員からもコーディネーター的な機能を担う教員について、結構多忙化、多忙な状態を招いているのではないかというようなことをおっしゃっていましたので、確かにそうだなと思いました。
 例えばSSHで大学教員を呼びやすくなったわけですし、私もそういうような関係で呼んでいただくことがあるんですけれども、メールが担当教員から夜に来たりとかするわけですので、なるほど、教科指導だけではない仕事が、特に高校の先生方にはあるのであろうなというようなことは肌感覚でももっています。
 あるいは実習のある専門学科はまた別の忙しさもあるだろうと思いますし、つまり私、教員の勤務実態調査、関わった立場から言いますと小中学校、義務教育の学校を中心とした実態調査でありまして、今回は高校も対象になってはいますが、質問紙調査を企画した人間である私から見ますと、高校は多様な課程、学科がありますので、なかなか平均的な姿というものだけでは、例えば残業、残業的な時間がどのぐらいあるかというような、だけの議論ではなかなか高校の多様な教員の勤務の実態というのは分かりにくいわけですので。
 まずは、このワーキングの場でいろいろ御知見のある先生方いらっしゃいますから、質的な実態把握というものをすることで、このワーキングの狙いである高校教育をこれからどうブラッシュアップ、よくしていくか、それから、より働きやすい先生方にとっての高校という職場をよりよくしていくのかというようなことを通じて、生徒たちのウエルビーイングを向上させていくとつなげていっていただければなと思いました。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。そこのところは本当に大事なことで、これまでも石崎先生も特に強くおっしゃってたところだったと思います。ありがとうございました。
 では篠原委員、長塚委員の順でお願いいたします。
【篠原委員】  ありがとうございます。皆様の御意見を伺っていて3点ほど申し上げたいと思います。
 一つは田村先生がせっかくグローバルな視点でお話をくださったので、高校の話を考えるときに日本と外との比較といいましょうか、世界の中で今、日本ってどうなっているのかということの視点もぜひきちんと持ち合わせているべきだなと思います。そのために何か一番先鋭的なといいましょうか、分かりやすいテーマって私、大学入試改革ではないかとすごく思います。今、Eテレでニュー試という番組をやっているんですけど、御覧になった方がいらっしゃるかどうか。例えばですけど、シカゴ大学の入学試験の問題は新しい単位を考えてください、どういう単位を何のために考えて作るんですかという。彼らが求めているのは破壊的イノベーション力だそうです。
 つまり今、世界ではとにかく、この目の前の課題解決のためにジャンプするというか、ジャンプの程度がもう本当に大きくなっているんだと思うんですね。そうじゃないと、これからの社会とか地球を考えていけないという、そういう危機感が多分大学にあるんだと思うんですね。それと比べたときに日本の大学の入学試験問題というのは、論理的な思考力を求めていたりするという、それに長けている日本人はシカゴ大学には入学、合格できないという、そういう実態がもうあるんですね。ですので、いろいろな意味で高校と接続している大学について、入試改革というのはぜひとも声を上げたいところだと思います。
 この点とも関係するんですけれども、文理横断というのはもう本当に当然やるべきことであって、今さら理系ですとか文系ですと言っている場合ではないという、そういう社会の中で私、最初に御説明いただいた、さっきDXの指標として採択校における大学理系学部進学率、これも理系だけではないですよね。このDXってあらゆる分野に多分、これから必要なことであって、決して理数系の話ではないような気が私はしていました。
 ですので、何かこういうところから日本社会全体がもう少し、何というか、発想を次のステージに持っていかないと、いろいろと社会は理系文系とか、こっちのことは何となく科学的なこと、こちらのことは文科系、哲学的なことみたいな、そういう仕分にまだまだ凝り固まっているのではないかなということを強く感じますので、ぜひその辺りを、それこそ文科省の資料も含めて発信の仕方をいま一度、お考えいただけるとありがたいなと思いました。それが1点目です。
 長くなって申し訳ないんですけど、岩本委員のおっしゃった、教師に新しい仕事を付加するときには増員が必要なのではないかというのは、これはもう何というんでしょうか、一般的な企業でいえば当然のこと。では、もし新しい仕事を頼むのであれば、何を彼、彼女から取り上げるというか、このことはしなくていいよと言うのかと。それとセットでやらないと、仕事はできないですよね。これは一般社会で当然のことだと思うんですが、資料の問題意識の中でも課題が複雑化、困難化する中で、結果として学校や教師の負担が増大してきたという記述がありますが、これもやらなくちゃいけない、これも大切だねって言って、本当に数十年前と比べると先生方がやるべきことの多さというのをとても感じます。
 ですので、じゃ、何を教員のところから、そうではない人たちにお願いしていくのかということの仕分、この資料にもありましたけれども今、新しいことをやるときにそれをもう一度見直す必要があるのかなと思います。
 私、そのときに、もしかしたら可能性があるかもしれないのは学校の事務職員の方たちの働き方も、場合によってはそれこそDXも含めて、もう少し一般の会社でも、何というんでしょう、AIがやってくれたり機械がやってくれたりするような仕事はお願いして、企画的な仕事を学校事務のところでやっていくという、そういう発想も実はあるのではないかなと、学校というところに入ってすごく思いました。
 ですので今までのやり方というのをもう少し外からの意見、さっき内田先生がコンサルが入っていますっておっしゃいましたけれども、そういうことも含めて外からの空気を学校の中にも入れて、さっき清水委員もおっしゃいましたけど、学校を開いていくことが大事なのかなと思います。
 長くなって申し訳ありません。もう一つです。話が違いますが、「保育園落ちた、日本死ね」って覚えていらっしゃいますか。あのすごく過激な言葉の言い方が、でもある母親の切実な声がブログでしたっけ、で広まって、多分、私は保育園が増えていったのは、あれがきっかけじゃないかなとすごく感じているんですね。つまり、要するにああいう過激なことを母親がもう悲痛な思いで、私はせっかく仕事をしたいと思っているのに保育園に入れない、もう結局辞めて、ここにいなさいということねという、その女性の叫び声というのが保育園の数を増やしていったきっかけのような気がしているんです。これは個人的な受け止めですけど。
 学校の中でいろんなことが起こっていたり、文科省がこれだけいろいろ頑張っていることが社会の中にまだ伝わりきれていない。その発信をどうすべきなのかということを、もしかしたらこれも場合によってはプロの意見を聞くのもいいのかもしれませんけど、何かもう少し、何というんでしょうね、少し刺激的なというのが正しいのかどうか分かりませんが、広報の仕方をいろいろな意味で考えていく必要がある。
 それはなぜかというと、予算獲得だと私は思います。最終的に、これだけ教育が今、危機なんだと。小学校に例えば担任の先生がいない状態が東京都でもあるわけですよね。それを校長先生がカバーしている。そんな学校があっていいんでしょうかという、その実態を知ったらば多分、周りの大人たちもびっくりすると思うんです。ただ、単に教員が不足していますという、そういう言葉ではなくて、何というか、ストーリーがあったり、きちんと情に訴えるというか、そういうような発信の仕方も含めて、少しやり方を工夫するということが大切かなと思いました。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。いずれも大切なこと、改めておっしゃっていただきました。ありがとうございました。文理については私も先ほど言いたいことがあるというのがありまして、それは篠原先生が大変柔らかくおっしゃるのでよかったです。ありがとうございました。
 では長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】  後から割り込んだようで。
【荒瀬主査】  いえいえ。
【長塚委員】  今、篠原先生がおっしゃったようなこと、受けながらなんですけれども、質の高い教育を提供できる教師を確保するという、教員の確保とお金の確保がかなり争点になるような、結局はそこに行き着くような話がありました。そもそもそれは日本の産業を高度化できるような、質の高い教育、そしてそれを担う教師の環境を整えるということだろうなと思いながら伺っておりましたが、ここは高校のワーキングですから、3分の1強を占めている私立高校の教員ってどうなっているかという視点でお話ししますと、お分かりのように私学は労働法制が違いますし、教員定数もないわけですよね。
 じゃ、どうなっているかというと、教員が少ないところもあれば非常に多いところもあります。各私学の設置者の判断で行われているということで、多様な教育を生み出している一つの要因ではあるとは思うんですが、労働法制がまず違っていて、年間の変形労働などをしっかりやらないと労基署の指導の対象になります。それから調整手当も含めて、様々に公務員の働き方とは違う立場でやっていますので、ある意味その辺では進んでいると思います。
 つまり、同じ教育をしていながら違った法制であるということなんですね。しかし、先ほど高度の専門職だと、裁量労働の部分も必要なんじゃないかと、そういう説明もあったんですけど、裁量労働は認められていないんですよ。労働法制の中で縛られているので、残業が発生します。大学の先生は基本的に裁量労働の対象になっていますけど、高校も裁量労働という形にしてもいいんじゃないかなと、公も私もですね、そういうふうに私は思います。
 また、PISAの話も出ましたけど、確かに義務教育のレベルまでは日本の教育は世界的にすばらしいという評価が出ているわけですけれども、PISAは15歳の調査ですので、高校生の実力とは違うんですね。確かに高1から、ピックアップして調査しているわけですけど、それは中学までの成果だと言ったほうがいいんじゃないかなと私は思うんです。
 高校は、これまで以上に高度な人材を育てるための、あるいは多様な起業に結びつくような教育ということを考えていくと、先生方の働き方の縛りをもっと柔軟にすることで可能になってくるのかなと思います。国際的に言えば義務教育の段階でも、先生方は3時、4時位の早い時間にお帰りになっていますね。部活動の指導もないようですので。その点、日本の先生がきっちりと何十時間も遅くまでやっているおかげでPISAの結果がいいと言えばそのとおりだと思います。でも高校になると違った目的が発生しているのに、労働法制がそれに対応してないんじゃないかなと思いますね。
 たとえば、大学の先生と一緒になって探究指導をやるというのであれば、大学の先生と同じように、部分的には裁量労働の時間が組み込まれるとか、あるいは、企業の方と一緒になってやれるような労働時間の体制も組み込んでいただかないと、できないんじゃないかと私は感じます。
 総合的な学びを、とにかく探究的な学びをということで随分と長年文科が旗を振ってやっているんですけど、でも先生たちは高校の先生ももちろん、教科の免許制ですので、自分の教科の中での範囲で少し視野を広げたような探究はできるかもしれませんけれども、基本的に教科に結びついているんですよね。ここは相当ハードルがあって、大学で学んできている部分がそんなにないわけですよね。総合性の学びというんでしょうかね。
 その意味でも、大学や企業の方との結びつきなどが本当に必要だと思います。そして、社会の人たちにも参画してもらうには、社会人の方にも何か教員としてしっかりとした資格を付与したり、対価も得られるようなことを確立したほうがいいんではないかなと思います。無理やり先生に何でも全部やってもらえというのは、もう無理なんじゃないかなと私は感じています。
 さらに、国際的に言えばIB、インターナショナルバカロレアの中で、校長の次に権限を持っているのはカリキュラムをコーディネートする人ですよね。これ、専門職ですから、教員とか、あるいは職員の誰かということでは成り立たない。学校の求めている資質、能力を高度に形成するカリキュラムはどうすべきか、あるいは運営をどうすべきかを専門的に資格を持った方がやるわけなんで、そういう方がやらないとコーディネートはできないと私は思いますね。それが国際的な質の高い教育に伍して、日本の教育の質を高めていくことなんだろうと思うんですよね。
 最後に大学との連携ということでいえば、私立高校は1,300ぐらいありますけど、その半分は大学系列の学校なんですよね。ですから大学ともっと本当は結びついた活動すればいいんですが、これからの課題じゃないかなと思います。公立の高校の場合には地域との結びつきが、これはもう本当にしっかりあるので、ここは私立高校ではなかなか難しいところも、やっているという違いがあるんじゃないかなと思います。
 もう一つ最後に、マイスターの話を御紹介いただきましたけど、高校の学びでも十分に、大学を出た人と同じぐらいの、職業的なプライドだけじゃなくて対価が得られる社会の仕組みがあれば、マイスターと呼んでいいんであって、名前だけ格好いい名前をつけられても大学生の下に置かれているようでは、これは違うのではないかなと思いますね。単に技能のレベルを上げる問題じゃなくて職業人としての人生をかけられるような、そういう誇りが持てるような生き方の問題としてマイスターというものを考えていかないと、あまり深い意味で進展しないんじゃないのかなという気がしましたので申しました。
 長くなりました。以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。今、最後におっしゃったお話はかつてキャリア教育についての議論の際に今、先生おっしゃった、どのように将来の自分の在り方を描いていくか、その際、職業というのは非常に重要になってきて、その職業が日本の場合は学歴というものに支えられたものが、より高次で、学歴に支えられていないものは低位に置かれていると、こういった発想はいかがなものかという議論をしたのを思い出しました。
 ところが、そのときにまさにドイツとかオーストラリアとかといったようなところの話が出ましたけれども、なかなか、それがすぐには日本社会にそのまま取り入れることができないこともあって、海外のことをしっかりと見ながらやっていく必要も大いにあると思うんですが、一方でなかなか日本の中に入れられないという、そういう不自由なところもあるのも事実なんで、その辺り、考えながらやっていかないといけないなと思いました。
 ただ、先生がおっしゃった私学が具体的に裁量労働制とかも含めて考えていっていただくと、非常にこれは福音がもたらされるのではないかなと思いますね。
【長塚委員】  ところが現在は、労働法制上は裁量労働の対象の業種になってないんですね。現在はですね。
【荒瀬主査】  ですから、人間が決めたことは人間が変えていけばいいわけで。
【長塚委員】  そのとおりです。
【荒瀬主査】  そこのところを忘れないようにしながら、より良い形というのをぜひ考えていければと思います。
 さっき篠原先生がおっしゃったこととも関わりながら聞かせていただいていたんですけれども、岩本委員がおっしゃった、新しい仕事をするには新しい人を雇わないと駄目だと、今までの先生にまたどんどん、どんどん足していっては駄目だということなんですが、もう既に足してしまっているんですよね。今から新しいものを加えるというんじゃなくて、もういっぱい新しいものを加えてしまって、もうどうにもならなくなって、さらにまた新しいものを加えるというのは、これはもう言語道断というべきことであって、今の状態で本当に教師の数をどうするのかといったことを真剣に考えていく必要があるし、私たちも先ほど青木委員からもありましたけれども、高等学校教育の質ということを考えたときには、ぜひともそういったことについても議論しなければならないと思います。
 さらに、今までこうだったからというのが変わりつつあるという点でいうと、これも篠原委員がおっしゃったことですけれども、事務職員の働き方というか、働く職務について、事務職員は事務をつかさどると学校教育法上、定められていますけれども、その事務とは何かという議論がちゃんと行われていて、これはうちでやっている事務職員研修も単に学校の中の狭い部分をやっていただくというんじゃなくって、学校経営に関わる、そういうところでの仕事というものが本当に強く期待されているところでありますので、そういったことも徐々にではありますけれども広げていけたらなと思います。
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。なければ言いますよ。
【岡本委員】  探究の話をやっておいたほうがいいですか。
【荒瀬主査】  これ、今日は本当は探究についても後で話さなきゃいけない。岡本委員が探究については非常にこだわりを持っていらっしゃる。そことも関わるので前段をしゃべらせていただいて、あと岡本委員につないでいただければと思うんですが。
 思い出すんですけれども、普通教育を主とする学科の弾力化ということで、これは今、ここも高等学校教育の在り方ワーキンググループですけれども、令和3年答申につながる高校ワーキングで議論していた。そこには田村先生も入っていただいていましたけれども、そこでスクールポリシー、スクールミッションといったような話も出たところです。その中で新しい普通科の在り方についても議論されました。その際に出された例示が学際的な学びをする学科、それから地域に関わる学びをする学科、あくまでも例示であるということでした。これ、何度も何度も、この確認はしてきました。
 ところが今、こうして見ると、普通教育を主とする学科の弾力化と言いつつ、地域社会学科、学際領域学科という、こういう名前が冠せられている。ここが、私が文科省が悪いとか、これをおつくりになった教育委員会がどうのこうのとか言う気は全くなくて我々、こういうところから少しずつ変えていくことにもう少し今後は軸足を置く必要があるんじゃないかなと。何もこういう名前を使わなくたっていいわけですね。これが探究科でいいわけです。ところがこういった名前を使わなければならないと思ってしまう、何か悲しい性みたいなものが学校教育の中には流れているような気がします。教育委員会も文科省の言うことをちゃんと聞かなければ駄目なんじゃないかと思ったりする。そうじゃないと思うんですね。
 これまでの例えばスーパーサイエンスハイスクールでいうと、文科省がこういう方針でいくとお決めになって、お金の管理をしていたのがJSTでしたけれども、JSTがこういった方向でお金を使う、例えばですよ。大学の先生を呼んできたときには、大学の先生は授業の準備とか授業中の実験の補助を必要となさるし、後片づけしないでお帰りになるから、そのために大学院生とかをティーチングアシスタントということで雇えることができるという、そういう枠をおつくりになって、これ、申請できますよとされた。ところが、いやいや、大学の先生、呼ばなくても大学院生呼んできて生徒と直接関わることで年齢的にも近いし、もっといろいろと刺激を受けるような、そういうことを実際やったらどうかという申請をしたら、なかなかその申請が通らなかったんだけれども、あるとき通った。今や、高校に大学の先生とは無関係にティーチングアシスタントを置けるとなったと。
 だから、これは全て現場がこうしていったらどうですかという提案をしていく中で、すぐには通らなくても次第に文部科学省がそういったこともあり得るなと考えていかれて、そして動いていただく。まさにコラボをやってきたような気がするんですよね。だから高等学校の在り方を考えていくときに、我々はそういった動きをもっともっと大事にしていくということが必要だと思うんですね。
 それは探究をどうしていくのか。今、やや探究が形骸化している面がなきにしもあらずであると。これについては岡本委員がふだんから非常に危惧を述べられていらっしゃって、やや、何というんですか、パッケージ化された探究というプログラムをどっかから持ってきてもらって、それをやっていたらいいみたいなところがあるんじゃないかということで非常に警鐘を鳴らしてくださっているわけですけれども、そこら辺りも私は関わると思うんですね。
 岡本委員は、ぜひ御発言をお願いしたいと思うんですが、どうでしょうかね。あまり時間がなくて申し訳ないです。
【岡本委員】  御指名みたいな感じで、でもありがとうございます。私が危惧しているというのは政策的にも結構あべこべな部分があるかなと思っていて。去年の8月の段階で学習指導要領の理念に沿っていないんじゃないかというような懸念が中間まとめの中で示されているんですけれども、私、全国の学校現場、もしくは教育委員会などに関わらせていただいている中で、鹿児島の場合はもう教育委員として関わっている中ですごく出てくるのが、もう今、おっしゃったように企業だったり、自治体などでもうテーマを与えて、これを生徒がやればいいというようなものを探究と名前をつけてやってしまっているのが非常に多いんですね。
 あとは、私が申し上げたように教育委員会、もしくは校長会だとか学校向けに研修とかをするときに、総学と総探の違い、何ですかって聞いたときに答えられる先生はほとんどいらっしゃらないんですね。一番違いは、自分自身の生き方、在り方というところから自分でテーマを決めていくってプロセスが探究の中ではコアなのにもかかわらず、教員がなかなか、それをやったことがないというところで、よく何でこんな形にするんですかって聞くと、もうあれですね、インナー会議ぐらい言っちゃいますけど、先生方は生徒がそういうことをやったことないからできないだろうと、だから我々でテーマを与えているほうが一つの形を学べるのでいいんじゃないかっておっしゃるんですけれども、私、いろんな種類の学校に行きますけれども、対話を通していくと生徒は絶対に自分たちのテーマを出してくるんですね、生き方、在り方のところで。それでこの前、この会でも出てきたような宮崎の定時制の学校の子たちというのは、本当にもうがらっと人生が変わったんですね。
 学校教育のよさって何だろうというと教員との対話教育、もしくは他者との対話の中で自分の生き方を見いだしていく、それが成人になる途中の高校段階でとても重要だと思っていて。ですので、どうしてもパッケージ化されて大人のための探究してしまっている。もしくは探究と名前はついているんだけど、全然学習資料に載ってないものに対して結構な補助金が出てしまっていると。別にそれ、しまってという言い方、悪いかもしれませんけども無料なのでということで結構入れている地域が多いですよ。だけども生徒がせっかく高校の中で自分と向き合って、当然、親とか大人からの期待はあるかもしれませんけど、自分で何がしたいんだろう、何して、そういう考える時間を残念ながら奪ってしまっている探究が結構あると。
 例えば先ほどの普通科事業、普通科高校の改革の中に出てきたように、文言として例えば総合的な探究の時間でSDGsだったり、もしくは地域の課題というじゃないですか。その文言をどう捉えるかというのがあって、生徒が自分の生き方、在り方考えたときに改めて僕、私は地域のことでやっていきたい、それだったらいいと思うんですけれども、最初から学校が地域SDGsの中でやりましょうとして最初に下ろしてしまって、そこからの枠から飛び出しにくい。当然、小中学校の中でこういうものをやりましょうと言われたら、生徒はそれの中から出ちゃいけないと思っちゃうわけですね。
 ですので、まず順番が逆で、生徒が本当に忖度なしで何がやりたいのかというところを導くところに対して補助を出していかなきゃいけないし、国の事業とかもそうあるべきだと思うんですよね。要はこういう教育、学習指導でせっかく探究という名前をつけましたと。だけども、やっているのは中はもうPBAでやってます。でも、そこに支援をしていますよってしてしまうと、理念がずれたところに支援してしまっていて、本当はその生徒とかの対話とかを、何がしたいのかというところに対してもっと事例を出したりとか補助金出さなきゃいけないんだと思うんですけど、そこら辺をもう少し僕は危惧というか、こちらで発信していることに対して、逆の流れが生まれてしまっているんじゃないかなとは見ています。
 ですけども、改めてそういうふうにして自己の在り方とか、生き方というものをテーマにしている子たちの伸び方は、大学に入ったら全然違いますよね。先ほど篠原委員がおっしゃったように、大学、私も海外におりましたけれども、自分はこういうふうにしていきたいんだということを高校の段階で受験も通して、探究を通してできる機会というのは非常に僕は、その後の学びの関係してくると思うので、ぜひそこら辺はもう少し文言の整理も含めて進めていただきたいなと思っております。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。これ、議論がいろいろとまだ続くと思うんですが、時間がもう来てしまっていて本当に申し訳ないんですが、御意見おありの方、また事務局にメール等頂ければと思います。今おっしゃったことも含めて多分、無理やりまとめる形になってしまうかもしれませんが、普通教育を主とする学科の弾力化の資料3ですね。この資料3の7ページのところに、新しい普通科のさらなる発展に向けた課題というところで幾つも課題、書いてくださっていて、今後の論点も書いてくださっているんですけれども、この中で課題の中で生徒のニーズを引き出せているのだろうかといったようなことも改めて考えていく必要があるんじゃないかなと。
 私たちは令和3年答申に至る前の高校ワーキングの審議まとめの中で生徒を主語にする学校、高等学校教育をやるんだと、生徒を主語にするという言葉は高等学校ワーキングからスタートしているんですね。それが令和3年答申では子供を主語にすると言い変えたわけなんですけれども。そういう意味でいうと生徒を主語にするような高等学校教育をどうしたらいいのだろうというわけで、チャンスいっぱいあると思うんですよ。総合的な探究の時間も始まっているし、いろんな機会があるわけですし、それをどう生かしていくのか。そういう意味では、マイスターはいいのかという言葉の使い方もあるけれども、でもマイスター制度であったりとか、あるいはコーディネーターを入れるとか、そういったことも含めてチャンスがあるわけですので、ぜひ、その辺りについても今後また議論を重ねていければと思います。
 すいません。いつも時間がなくなってしまって本当に申し訳ありませんが、今日はこの辺りまでとさせていただきたいと思います。繰り返しになりますけれども、御意見はまた事務局にお寄せいただければと思います。
 では、次の日程につきまして、度會さんからよろしくお願いいたします。
【度會参事官補佐】  本日も活発な御議論ありがとうございました。資料8を御覧ください。今後のスケジュールについてですけれども、次回は来月6月20日木曜日の16時から18時で、議題としては全日制・定時制・通信制課程の在り方や遠隔授業配信センターの体制等の在り方、そして高等学校の指導体制の充実のための方策等について、ヒアリングや意見交換をを予定しておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。では、それでよろしくお願いいたします。
 一つ言い忘れました。すいません。岡本委員からさっき出ていました、主幹教諭の具体的な置いている自治体について、あるいは青木委員から出ましたコーディネーターの業務実態等について、資料、あるものでもちろん結構でありますので、資料の御提供をよろしくお願いします。
 では本日、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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