高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第8回)議事録

1.日時

令和5年7月21日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省5F1会議室(WEB会議も併用)

3.議題

  1. これまでの議論を踏まえた、これからの高等学校の在り方について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬主査】  皆さん、こんにちは。定刻になりました。ただいまから「中央教育審議会初等中等教育分科会 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会 高等学校教育の在り方ワーキンググループ」第8回を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の会議も、ウェブ会議システムを併用しつつ、文部科学省内の会議室での開催と併せて行います。
 また、傍聴者の方におかれましては、YouTubeにより御視聴いただいております。
 なお、本日、報道関係者から、録音及び写真撮影の御希望がありました。これを許可しておりますので、委員の皆様におかれましては、御了承いただければと思います。
 それでは、本日の会議の議事、配付資料につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【松田参事官補佐】  本日は、前回に引き続きまして、「これまでの議論を踏まえた、これからの高等学校の在り方について」を議題として、論点整理を踏まえた政策の具体化に向けた御議論をいただきたいと思っております。
 配付資料については、議事次第のとおりとなっておりますので、不足等ございましたら事務局にお申しつけいただければと思います。
【荒瀬主査】  では、議事に入ります。
 資料につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
 松田参事官補佐、よろしくお願いいたします。
【松田参事官補佐】  それでは、説明させていただきます。
 前回、「多様な生徒が学ぶ高等学校において求められる共通性の確保と多様性への対応」、こちらについて御議論をいただいたところでございます。そのため、今回は、残りの各論点について御意見をいただきたいというふうに思っております。
 資料1でございます。
 こちらの資料、箱書きのほうで論点整理に示された今後の論点、そして、その下に、それぞれ、これまでの主な意見というものを記載させていただいております。
 まず、「少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方」関係でございます。
 これまでの主な意見でございます。
 COREハイスクール・ネットワーク構想では、特例的に、教員ではなく学習指導員を受信側の学校に置くことが可能となっているが、学校の話を聞くと、それにより受信校の教員の負担はかなり減っている。
 受信側の教員配置要件の緩和については、すぐに取り組むべき課題として、小規模校や山間部の学校に限らず見直していただきたい。
 受信側の人員配置については、その趣旨・目的を達成しつつも、受信側に過度な負担が生じないようにするため、具体的にどのように配置するのかは、校長の裁量判断に委ねるなどの要件緩和を特例的に認めて、その効果・影響を分析する実証研究を進めるとともに、その在り方について検討を深めていくこととしてはどうか。
 遠隔授業の実施に当たり、現行制度上、対面授業を年間2単位時間以上実施する必要があることから、配信側の教員の過大な出張負担が敬遠されている。安易に対面授業を不要とすることには反対であるが、離島・中山間地域における多様な科目開設を妨げてしまっている限度においては、その特殊性を踏まえつつ、「対面授業の要件」に関し、緩和を認めていく必要があるのではないか。
 高等学校への遠隔授業の配信を実施するために都道府県が設置する「配信センター」について、設置・運営に関する財政的な支援を検討すべき。
 遠隔授業の推進に当たっては、対面授業と比較した際の教育の質の確保が十分にできているかどうかということに注意しながら進める必要がある。
 1学年1学級の高校において高校教育の専門性を確保するためには、現在の国からの定数では、なかなか専門性が確保できないため、国からの配慮をいただきたい。
 小規模化していく高等学校を残していく上で一番必要なのはマンパワー。生徒指導や地域との連携等もある中で、教員が教育に専念できるようにするためには、外部人材の活用について国からの予算支援があればありがたい。
 高等学校もいずれ教員が大量に退職する世代が訪れ、教員不足となることが見込まれる中で、教員の業務というものをもう少し精選させていく必要がある。事務作業員やコーディネーター等の人材の拡充について、国からも支援を行うと、学校の多機能化、1つの学校に対する仕事の役割が増えることに対応できるようになるのではないか。
 生徒が地域社会の一員として、地域課題を自分事として捉え、主体的に地域での活動に取り組むためには、教員ではない存在、コーディネーターの配置が不可欠。加えて、高校生の地域活動に係るプログラム開発や評価分析等について支援や協力がほしい。
 「総合的な探究の時間」という新しい学びが始まっている今、生徒同士のつながり、同じ志を持っている同世代から学ぶといったことも重要な観点。そのときに、同じ地域に住んでいる人たち同士で学ばないとそれが実現できないという時代ではなくなっている。小規模校の生徒や特別支援学校の生徒等が、地域や学校を超えてつながり合って学ぶということも、今後の議論の中では重要な論点であり、それを可能とするようなプラットフォームを実証的に置いてみるということも考えられるのではないか。
 そうしたところが主な意見として上がってございます。
 続いて、「3.全日制・定時制・通信制の望ましい在り方」関係でございます。
 今後の論点については、箱書きの中に示してございます。
 これまでの主な意見でございます。
 不登校については、小・中学校段階の手厚い支援に比して、高校入学後は心もとなくなるという声がある。高校で不登校の状態になった生徒を安易に通信制に転学させたり、中途退学にしてしまったりするのではなく、そのような生徒が自校で学びに接続し、学びを続けられる環境を整えていくべき。また、高校においても、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を促進すべき。
 学校における単位認定において、授業時数の3分の2以上の出席を必要としている慣例があるが、当該要件を満たせなかった場合でも、その他の学びの方法により履修・修得が認められる場合には、形式的な出席要件にとらわれず単位を認めてもいいのではないか。
 不登校特例校や定通併修等の制度を普及するべく、活用しやすい仕組みに変えていくべき。定通併修は、仕組みがあるが、科目の履修登録をして使う必要があり、年度途中で不登校になると活用できないなど使いづらい側面がある。
 ICTやオンラインを活用した効果的な支援を進めていくための体制・環境整備が必要ではないか。教員が教室で授業をしながら同時に自宅にいる生徒に配信していくことはできるようでいてなかなかできない現状があり、また、通信で学んだことを単位認定するためには、実態を把握してどう記録し、評価するかをコーディネートする者が必要。そういったものを担う選任スタッフの配置を学校に行うことが効果的なのではないか。
 高校入試に関し、例えば都立のチャレンジスクールでは、学力検査も調査書の提出も求めない選抜を行っており、不登校経験を持つ生徒を積極的に評価する選考基準を設けている学校もある。小中学校段階で不登校の生徒が安心して高校に進学できる選択肢を示していく観点から、高校入試の在り方についてもより具体的に議論すべき。
 自分が駄目だと思っている子に勉強を教えても入っていかない。教員との関わりの中で、生徒が自分には価値があるということを感じながら、社会性等を身につけていくということが、不登校の減少にもつながっていくのではないか。
 多様な背景を有する生徒にきめ細かく対応できるよう、教員が必要な資格を取得して生徒を支援する体制づくりに力を入れて取り組んでいる学校もあるが、国として支援を行っていくべきではないか。高校の全ての教員が、不登校の生徒へのサポートの方法を理解できるように、初期研修や人事配置を工夫することも考えられるのではないか。
 不登校に関し、特に通信制高校に入学した生徒の入学後の実態を把握する必要がある。
 公立の通信制高校は、地域の生徒にきめ細かな対応が期待できる。今後少子化が進行する地域においては、高校の統廃合が進まざるを得ない場合もあると思われるところ、特に中山間地域にある全日生高校は分校的役割、あるいは通信制高校の学習センターとして、サポート体制の機能を期待できるのではないか。
 高校教育では、障害児・病気療養児を除いてオンデマンド型の遠隔授業が想定されていないが、学校間連携によって地域留学を1年間するような生徒等もやむを得ずリアルタイムでの同時双方向型の遠隔授業に参加できないことから、そういった生徒に関しての同時双方向型の授業の要件の緩和、オンデマンド型の授業の活用も検討すべき。
 全日制・定時制・通信制、全部を併修できるような学校をつくるなど、生徒自身が定時制スタイルで通ってみる、通信制でやってみるということを自身の選択肢として認識し、積極的に選択できるようにするのが良いのではないか。
 そうした御意見が上がっているところでございます。
 最後、「4.社会に開かれた教育課程の実現、探究・文理横断・実践的な学びの推進」関係でございます。
 これまでの主な意見でございます。
 高等学校は、卒業後には生徒は就職か進学というステップになっていくことに鑑みれば、学校が自前主義で閉じた環境の中で教育を行っていくのではなく、学校を開いていくことが大事であり、教員や生徒がそうした意識を持っていけるような方策を考えていくべき。
 学校を今以上に開くには、外の力を借りなければ難しい。マイスター・ハイスクールのように、企業等の外部の方が学校運営に参画し、教育界と産業界をつなぐ役割を持った人材が伴走しながら、協働して社会に開かれた教育課程を実現していく取組は非常に良いが、こうした取組を全国に広げるためには、優良な先進事例を発信していくとともに、横展開に向けた支援を図っていくことが極めて重要。
 関係機関との連携協働体制を構築し、多様な地域・社会資源の活用及び地域・大学・企業等と連携した探究やSTEAM教育等を推進できるようにするためには、高校と関係機関等との連携・協働を推進するコーディネーターの配置が非常に重要。
 探究学習は教員の負担も大きいため、持続可能なものとするためにコストを考えていくことも重要。この点、コーディネーター等のスタッフ配置は有効であるが、自治体や設置者ごとに一からリソースを調達していくことは難しく、国が果たすべき役割は大きい。現在も普通科改革支援事業等により配置支援が行われているが、引き続き支援を行っていくべき。その上で、将来的には、教職員の配置基準の見直しも視野に、指導体制の充実方策を検討していくべき。
 高校と関係機関との連携・協働を推進するコーディネーターの配置促進を早急に実現していく上では、法令等におけるコーディネーターの位置づけを明確にすることも重要。
 学校運営協議会の設置促進に加え、高等学校と地方公共団体、産業界、高等教育機関、NPO法人等との連携・協働体制(コンソーシアム)を構築し、これらが有機的に連携しながら、探究的な学び・STEAM教育等の文理横断的な学び・実践的な学びを実現していくことが重要。
 総合的な探究の時間においては、学習指導要領の趣旨・内容を教員が理解し、教員が生徒に対して期待を持ち、機会を与えていくことが重要。また、意欲のある教員だけが行うのではなく、校内の多くの教員が関わることが重要。
 今般の高等学校学習指導要領は書かれている内容は素晴らしいが、学校現場に浸透していないのではないか。今後の改訂の在り方を考える上で、内容をさらに大きく見直そうとするのではなく、学校現場への浸透に時間をかけていくことも良いのではないか。
 探究学習を指導する教師自らが探究心を持ち、授業における探究的な学びをデザインすることが可能となるようにしていくことが必要。現在、様々な業種におけるリスキリングが話題になっているが、教員・管理職も同様であり、ICT活用や総合的な探究時間の設計、カリキュラム・マネジメントに向けたリスキリングの重要性が高まっており、これらを学ぶ機会を整えていくことが重要。
 リスキリングを可能とするために、校務DX等の働き方改革を進めていくことも必要。学校・教員が多くの業務を担っていることが学校の負担増、教員の成り手不足の遠因になってしまっている面もあるのではないか。
 高等学校教育に与える影響が大きい大学入学者選抜の改革等も併せて進めていくも重要。大学入学者選抜において、入学志願者の思考力・判断力・表現力等を適切に評価するなど、学力の3要素の多面的・総合的な評価への改善を進めていくことなどに取り組んでいくべき。
 そうした意見が上がっているところでございます。
【白川参事官補佐】  続きまして、私、白川のほうから、関連する現行制度について、改めて説明をさせていただくとともに、前回のワーキングで少し話題になりましたことについて、事務局から報告することになっていたものですから、その点について簡単に報告をさせていただきます。
 資料を共有させていただきます。
 まず、現行制度、関連するものとして、高等学校における遠隔授業の仕組みと、通信に関する特例の説明をさせていただければと思います。
 高等学校における遠隔授業に関しましては、受信側と送信側の両方に、その教科に関する免許を持った教員がそれぞれ配置されながら、2つの学校が合同で授業をやる合同授業型であったり、真ん中ですけれども、受信側の教員が主としては指導を行いつつも、ALTであったり、ゲストティーチャーのような専門家が、オンラインでつながりながら教師を支援するという教師支援型、これらは全ての学校種で可能なわけですけれども、さらに高等学校に関しては、一番右側の教科・科目充実型というものが認められております。こちらは学校教育法施行規則に基づいて制度化されているものですけれども、上の箱書きにございますとおり、平成27年4月より、高等学校の全日制・定時制課程における、この教科・科目充実型遠隔授業を正規の授業として制度化し、受信側に当該教科の免許状を持った教員がいなくても、同時双方向型の遠隔授業を行うことができるというようにしているものでございます。
 この要件についても簡単に御説明をさせていただきます。
 まず、生徒数に関しては、同時に授業を受ける生徒数は、高校の設置基準に照らして、原則として40人以下とすること。
 さらに、配信側、実際に授業を行う教員ということになりますけれども、配信側の教員は、受信側の、つまり、その授業を受ける生徒が在籍する高校の身分を有すること。そして、その授業の学校種や教科等に応じた相当の免許状を有すること。これが配信側の教員の要件となってまいります。
 受信側に関しては、現行では、原則として教員を配置するべきであることというふうになってございます。
 また、学習評価に関しては、単位認定等の評価は、配信側の教員が原則として行う。これは、先ほど申し上げたとおり、配信側の教員は受信側の学校の身分を有するということになっておりますので、その前提の下で配信側の教員が受信側の教員の協力を得ながら行うということになってございます。
 その他、遠隔授業を行う教科・科目等の性質に応じて、対面により行う授業を相当の時間数行うこととなってございます。この対面により行う授業の数というのは、教科・科目の特質に応じて考えていただくべきものなんですけれども、教科・科目にかかわらず、最低限のラインとして、年間2単位時間以上を確保していただくというルールになってございます。
 また、話が戻りますけれども、受信側に関して原則として教員を配置するべきとなっておりますが、これは前回取り扱わせていただいたとおり、現在、COREハイスクール・ネットワーク事業において、教員ではない、職員であったり、学習指導員などの配置によって対応が可能かどうかということを実証してきたという状況でございます。
 続きまして、高等学校における不登校特例制度、通信の方法を用いた教育の仕組みについて説明をさせていただきます。
 高等学校の全日制・定時制の課程においても、学校生活への適応が困難であるために不登校の状況、相当の期間、高等学校を欠席していると認められる状況にある生徒や、病気療養等のために相当の期間、高校を欠席すると認められる生徒を対象として、全日制・定時制の課程でありながら、自校において通信の方法を用いた教育を行い、36単位を上限として単位認定を行うことを可能とする仕組みがございます。
 こちらは、現行制度上は、教育委員会や、学校を設置する法人のほうから申請をいただいて文部科学大臣が指定をするということによって、特例が使えるという仕組みになってございます。令和5年4月から1校増えまして、現在、9校でこの制度を活用していただいているという状況でございます。
 制度に関しては、簡単ではございますが、以上でございます。
 最後に、報告でございます。
 前回の第7回のワーキングにおいて、各学校における履修の認定に当たって、出席日数がどのように要件化されているかということが議題になってございました。こちらは、事務局において状況を確認するということになってございましたが、履修の認定に当たって、全国的な統一の決まり、ルールというようなものはなく、単位認定は校長が行うものであるということから、出席日数の要件に関しても、各高等学校長が基本的にはその権限において学校の教務規程等において定めていることが一般的でございます。
 要件について、どのように定めているか網羅的に把握することは困難でしたが、私ども事務局で確認した限りにおいては、3分の2というふうに設定している場合が多く、一部5分の4などというルールも見受けられたという状況でございます。
 その際に、その規定の定め方として、単に欠席の時数が全体の時間数の3分の1未満の場合は、つまり、3分の2以上出席していれば、当該科目を履修したことを認定しますということだけ規定しているような事例もございましたけれども、一方で、特別な事情がある場合には、それによらずに算入をすることができると、補習などを行って、その時間を算入することができるなどというふうに弾力的に規定をしているような事例もございました。
 先ほど松田からご説明したこれまでの主な意見の中にも、授業時数の3分の2以上の出席を必要としている慣例について、そこを形式的な出席要件にとらわれずに認めてもいいのではないかという御意見も書かせていただいておりましたところ、履修要件をどのように設定するか自体は、最終的には校長の判断ということにはなりますけれども、要件が柔軟に規定・運用されることが在り方として望ましいのではないかなどの御議論については、引き続きいただければというように思ってございます。
 最後に、前回、岡本委員から、高知県におけるオンラインの授業と、それから東京都における別室からのオンライン授業参加とで、出席扱いになるかどうかが違っているのではないかというお話もいただきましたが、それらの各学校の取組における運用については、先ほど説明をさせていただいた高校の遠隔授業のルールに照らして、正規の授業として取り扱っているかどうかというようなところも関係をするのではないかというふうに思っております。
 私からの報告は以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 松田さんと白川さんから御説明をいただきました。後半の白川さんのほうの御説明は、参考資料3の62、63のスライド、また、73のスライドを中心にお話をいただきました。ありがとうございました。
【白川参事官補佐】  ありがとうございます。大変失礼いたしました。
【荒瀬主査】  いえいえ。それで、今日は、次回がいよいよ中間まとめの議論に入るということでもございまして、そこに反映しておくべき各論点に関する御意見、あるいは具体の政策を進めていく上で必要になってくるようなことに関する御意見を頂戴したいと思っております。
 資料1が、2、3、4というふうに3つの大きなまとめがありますので、順番にやっていって、最後、時間の関係で、また全体を振り返ってということでお願いしたいと思います。
 まず、2番、1ページからの部分でありますけれども、この部分は、少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方の関係のものであります。
 さっきも御説明がありましたように、枠囲みが今後の論点ということで、それについて、これまで皆さんからいただいた意見を事務局のほうでまとめていただいて書いているわけであります。
 特に、後から白川さんのほうからも御説明いただきましたけれども、COREハイスクール・ネットワークの関係も含めて、少しここで実際にやっておられる高知県の濱田委員から何か補足をしていただくとか、実際にやっていかれる中で、今も受信側の要件についての話もあったわけですけれども、そういったことについて御意見がございましたら、お願いしたいと思うんですが、濱田委員、今、急に申しましたけれども、よろしいでしょうか。
【濱田委員】  よろしくお願いいたします。
 遠隔授業について、改めて意見を述べさせていただきたいと思います。
 高知県や北海道で先進的に取り組んでいます同時双方向型遠隔オンライン授業は、先ほどの御説明にもありましたように、平成27年度から実証研究を開始し、高知県では、令和2年度から、教育センター内に遠隔授業配信センターを設置して、単位認定を伴う遠隔授業を本格実施してございます。高知県では、現在、その配信センターから遠隔授業を16校を対象にして実施していますが、これまでにシステムダウンを一度も起こすことなく、順調に運営されています。画面は鮮明で、非常にスムーズであり、双方向のコミュニケーションなど、対面授業と同程度の質が担保されていると考えております。
 特に、遠隔授業を受講している生徒たちの満足度は高くて、授業の質、内容とともに、受講生徒からの評価は高く、授業の進度が自分に合っているとか、授業は分かりやすくて、レベルの高い授業を受けられると高評価でございます。
 高知県のように、人口減が急速に進む地方の、特に中山間地域の高等学校では、離島と同様に、そこに高校がなくなれば自宅から通えないという状況でございます。高校進学率が99%になり義務教育化している現状において、高等学校に対する考え方や在り方をさらに柔軟にし、様々な方法を活用して、誰一人取り残されない教育を実施していくべきというふうに考えております。
 遠隔授業は、過疎地域の高等学校においては必要不可欠でございます。今後、さらなるデジタル化の進展により、同時双方向型遠隔オンラインもさらに使いやすく、機能も高まるに違いありません。ぜひ遠隔授業、遠隔教育を中山間地域を多く持つ県、少子化が加速する地域の高等学校の重要なツールとして、国の主要事業にも位置づけて強力に進めていってほしいとお願いいたします。
 また、COREに関係しても、COREでは、配信センター以外の、せんだって荒瀬主査のほうからも紹介していただきましたように、小規模の農業科と農業専門高校で取組をしたり、それから、芸術の配信を小規模校にしたりと、その地域の学校の強みを生かしながら、お互いに学校の交流を含めながら子供たちの学びを促進しているところです。
 ですので、高知県では、配信型の拠点型の教科・科目と同時に、COREという地域でのネットワークを強固にしながら、互いの強みを生かしながら子供たちの学びを充実させていく、そういう方向で進めておりますので、ぜひ国の主要事業にも位置づけて、今後、強力に進めていってほしいとお願いいたします。
 それから、繰り返しになりますが、3点ほど、ここにも先ほど御説明のありました要件の緩和です。対面授業の要件の緩和ですけれども、高知県では、受信校の6割で往復の移動時間が4時間以上かかりまして、対面授業の実施日は他校への授業を配信できないという状況でございます。授業開始の対面授業は、オリエンテーションとしても重要であり実施するとして、年間の対面授業は1単位以上とするなど、その要件の緩和を検討していただきたい。それも学校に委ねていただきたいというふうにお願いします。
 2点目、受信校側に配置される教員につきましても、実証研究からも遠隔授業は非常にスムーズに進んでおりまして、受信校側の教員の役割は、教科にもよりますが、主に安全管理で、特段、教員である必要はないというふうに、今のところ考えております。
 受信校側の人事配置については、先ほどのまとめにございましたように、校長の裁量に委ねる方向で検討を進めていただきたいとお願いいたします。
 最後に、これも先ほどのところにございましたけれども、配信拠点型の遠隔授業における配信センターについては、遠隔授業、遠隔教育のキーとなっております。ぜひ配信センターを一学校として認めていただいて、教員の配置等の財政措置を進め、遠隔授業をさらにバックアップしてほしいと重ねてお願いしたいと思います。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。最後、具体的に3点、大変重要な御指摘をいただいたと思います。
 まず、この点について少し皆様の御意見をいただければと思いますが、どうでしょうか。
 私、ちょっと質問していいですか。濱田先生。
【濱田委員】  はい。
【荒瀬主査】  すみません。さっき、今、実際、高知県でやっていらっしゃる内容で、対面授業と変わらない大変高い評価が生徒から得られているというお話でありました。これは非常に御苦労をいただいていると思うんですけれども、例えば、対面授業と同じような効果を上げるために、配信側の先生の御努力というところで、何かこういったようなところを十分注意しているんだとか、あるいは、さっき最後に3つ言われた1つ目の対面指導の要件緩和で、オリエンテーションは重要だけれども、あとは、やっぱり学校にもっと任せていただいて、2単位時間というのは必ずしも必要ない。ただ、ゼロではないということですよね、オリエンテーションが必要だということは。1時間でもいいのではないかという、そういうお話かと思うんですけれども、こういったところで、どんな指導というのか、これからの年間の学びの計画をどう立てていくかということを生徒とやり取りしていらっしゃるとか、その辺り、少しお話しいただけると、もう少し分かりやすくなるのかなと思うんですが、いかがでしょうか。
【濱田委員】  まず、配信型の遠隔授業については、遠隔授業を受講するかどうかということは、保護者も含めて本人たちに説明してございます。ですから、これは最終的に遠隔授業を受ける対象校の校長の判断になりますが、教科書も遠隔授業専用の教科書でございます。皆様方も御存じのように、高等学校においては、数学1の同じ教科書であっても、レベルが、全然内容が違うわけです。しかしながら、中山間の小規模高校では、教員が少ないためにその子供たちに合致した授業が、いわゆる習熟度別ができない状況です。ですから遠隔授業では、大学進学や、ちょっとレベルの高い授業を受けたいという生徒たちに教科書も、練習問題も違いますし、それから反転学習等、1人1台タブレットを活用した、そういった授業をしておりますので、そういう意味で、レベルが合った授業が楽しい、意欲が出るということになっているというふうに思います。
 それから、対面オリエンテーションについてです。確かに遠隔授業では少人数でございますし、非常に精度も高いので、画像もよくて、ダウンもしませんし、双方のコミュニケーションが非常によく取れています。ですが、やはり一度会っているかどうかということが大事で、一度会って、その生徒たちに、これからの1年間、どういう授業をしていくのかということを示すかどうかというのは、それは対面だろうが遠隔授業だろうが同じだということです。したがって、そこでしっかりと遠隔授業の方法ですとか、授業への臨み方ですとか、そういったことを伝える、そういうふうな貴重なオリエンテーションとして1時間は大切にしているところでございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 いかがでしょうか。どなたか御意見、御質問ございましたら。
 石崎委員、お願いいたします。
【石崎委員】  よろしくお願いします。今、遠隔授業がすごく成果も上げているし、学校がなくなってしまった地域については必要不可欠だということはすごくよく理解できるんですけれども、結局、遠隔授業をやれば、どんどん統廃合してもいいんだみたいな間違ったメッセージを受け止められてしまうと、また、どんどん統廃合が進んでしまうのではないのかなと思うんです。
 この間、ある地方の校長先生方の集まりに行ってきたんですけれども、ある学校で、やっぱり少子化に悩んでいて、昭和50年の頃は800人以上の生徒がいた高等学校が、今は全校生徒は31人しかいません。そんな状態なんですよね。それで、今年は16人入学者があったんですけれども、来年20人入学しなければ廃校ですとかというお話をされていたんですけれども、でも、その学校もすごく町ぐるみで本当に応援していて、後の「開かれた教育課程」のところにも関係するのかもしれませんけれども、そういう取組がすごく進んでいる、80年の歴史があるような学校なんですよね。だけど、そういう学校が、まさに今、閉校の危機に瀕している、そういう学校が全国にたくさんあるのではないかと思うんですよ。そういう学校をやっぱり残していこうということを、まず最初に考えられないだろうか。それがさっき申し上げた遠隔教育をやれば、どんどん学校を統廃合していいんだみたいな間違ったメッセージに伝わってしまうというのがすごく怖いなとに思います。
 ちょっと話が長くなって恐縮なんですけれども、この間、全国の都道府県の校長先生方が集まったときにも同じような少子化の話をしたんですけれども、結局、今、県外募集とかと言って、ほかの県から生徒を集めようとかと努力されている県もたくさんあるんだけれども、結局、ほかの県から集めようとしても、今度はそれをお互いに奪い合うだけになって、本来解消すべきなのは、少子化、過疎化という問題そのものなのではないか、そのことを解消しない限りは、どうやっても結局は本質的な解決に向かわないのではないかという意見をいただいて、全くそうだなというふうに思いました。校長先生方も、中教審でもぜひそういうメッセージも発信してほしいという声がありましたので、お伝えさせていただきます。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 石崎先生、今の、例えば高知県のお取組とかは、逆に学校を残すために、1つの学校だけではなかなか残しづらいんだけれども、こういう配信センターを使うことによって、その学校を残すことができるという1つの例というふうに……。
【石崎委員】  そうです。だから、誤ったメッセージとして受け取られないようにしたいということです。
【荒瀬主査】  ということですね。分かりました。
【石崎委員】  遠隔教育をやれば、学校を統廃合してもいいんだといった誤ったメッセージに受け止められないような発信の仕方が大事だという意味です。
【荒瀬主査】  そうですね。分かりました。丁寧に発信していくことが必要だということですね。ありがとうございました。
【石崎委員】  はい。
【荒瀬主査】  では、岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】  ちょっと質問みたいになるのですけれども、先ほどちょっと濱田委員のほうからあったのですけれども、より高度な授業が受けられるからということで、すごく満足度が上がったというようなお話をお聞きした。これ、以前からこういう話もこちらの議論の中に出てきたんですけれども、どの授業を受けるのか生徒自身が選べるようになると思っていて、そうしたら、高校入試の選抜機能はどう関わってくるのかなというところが気になりました。僕は、個別最適という話があったと思うんですけれども、自分はもっと高度なことを勉強したいんだと。でも、高校受験をしてここへ来たんだけれども、もっと高度なものを受けたいから、この授業に関しては他の授業を受けたいみたいな、そういう流れは出てくる。でも、高校入試の選抜的な機能があるので、それはまた不公平感を生んでしまうのかどうか。一方で、確かに高校とか中学校、小中も全部一緒ですけれども、生徒は受ける授業を選べないんですよね、受持ちの先生も。なので、高知県の中で、もしそういう事例、高校の、ここの学校なんだけれども、ここの学校の授業を受けたいみたいな、そういうことは認めているのか、濱田委員にお聞きしたいです。
【荒瀬主査】  なるほど。御質問はその1点ですね。
【岡本委員】  はい。
【荒瀬主査】  濱田委員、いかがですか。
【濱田委員】  そこまでは進んでおりません。配信側の教員は、配信している側、受講している側の教員としての兼務をしておりますので、だから、どの教科、どの科目でも受けられる。それはそうなんですけれども、そこの教育課程上にある科目です。それは遠隔授業の科目を受けたいか、それとも同じ数学を学校で受けたいのかという選択は最終的には生徒です。そういう選択はできます。遠隔授業ならではのやり方もありますので、それをきちんと理解した上で選択しているということです。
【岡本委員】  自分の学校にいながらリモートの授業を受けられて、そのほうが自分に合っているという流れは、別にこのへき地以外にも絶対ある問題だと思うので、多分、二、三十年後はその辺もオープンになっているか分からないですけれども、そういう方向性も今後出てくるのかなと聞いて思ったところでした。ありがとうございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 さっき石崎先生がおっしゃった遠隔をやれば統廃合をしていってもいいんだという、安易にそういう流れにならないように、むしろ今の話だと、選択肢を広げるということで充実した学びの機会を増やしていくという方向で考えていける、それが、その学校にいながら遠隔授業も受けられるということがそういうことであるならば、これは大変いいことですよね。これまでの皆さんの御議論でも、いろいろ選べるというのは大事だというお話でしたから。ありがとうございます。
 では、冨塚委員、お願いいたします。
【冨塚委員】  すみません。ちょっと話を戻してしまって大変恐縮です。先ほど石崎先生のお話を聞いていて、荒瀬委員がまとめてくださったので、ちょっと繰り返しになってしまうのですが、千葉県も、離島とか中山間ではありませんが、県の南部や東部の郡部において少子化が目立つ中で、もう適正規模を欠きそうな学校がたくさんあります。それらを何とかして残してくださいというのが地域の要望です。我々は、地域の要望に応えて小規模校を残すためには遠隔教育は必須であると思っておりまして、濱田委員の御意見に全面的に賛同いたしますし、本県としても高知県を参考に進めていきたいと思っております。
 以前に、たしか岩本委員がおっしゃっていたと思うのですが、小規模校を残すという上で、1つは、必須の条件として遠隔教育をより柔軟に認めていただくということと、もう1つは、市町村、地元の自治体の協力、たしか岩本委員は、県立市町村営の高校みたいなものを御提案されていたと思うのですが、そのような在り方について、やはり検討が必要かなと思います。
 先日、全国教育長教育委員連合会の総会の中でも、やはり小規模の郡部の学校を残すということを検討していらっしゃる県がたくさんありまして、その中で、県の教育委員会と地元自治体の市町との間で、例えば、寄宿舎であるとか、あるいは通学費の支援であるとか、あるいはICT機器端末の整備であるとか、経済的な支援も含めて様々な支援策での協力について、協議・検討しているような事例を伺いました。
 市町の地域の振興というか、今後の地域活性化、地元の持続可能性を検討する上で、高校の存続というものがいかに大きな意味があるかという視点から考えますと、学校の設置と運営の在り方、県と市町村の関係のようなものについても、何か国単位で検討がいただけるとありがたいと思います。
 以上です。すみませんでした。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 この点については、また場合によっては事務局のほうから御説明があるかもしれませんが、ちょっと具体的に、各県とかに、こうしてくださいというのは、国としては言うことができるんですか。
 お願いします、田中参事官。
【田中参事官】  御意見ありがとうございます。
 今、冨塚委員からもありましたように、高校というのは、都道府県立が多いですが、一方で、特に地方では市町村にとって非常に大事な存在であって、先ほどおっしゃっていただいたような、市町村が様々な協力をしている例は増えてきていると思っています。
 また、それ以外にも、市町村立に移行している例も出てきておりまして、特に北海道などはそういう例もあると認識しておりますが、道立として維持するのはなかなか難しいのであれば、交付税措置等もありますので、地元が望むのであれば、市町村のほうで市町村立に移行すると。ただ、本当に市町村だけで高校を運営するというのは、市町村による教員の採用などは基本的に困難ですので、そういった人事的な面の協力とか、施設などは都道府県から市町村に無償で譲渡するとか、そういったような例も出てきていると承知しています。
 その中で、岩本委員がおっしゃられたような、今また冨塚委員からも御指摘のあったような、新しい道というか、県立学校に対して市町村が協力する、あるいは、市町村に移すだけではなくて、両者協力してやるようなやり方もあるのではないかと、一部そういったことの検討を始めている自治体もあるということは私ども承知しております。これを実現するために、既存の地方自治法の枠組み、あるいは地教行法の枠組みの中でも、ある程度できる部分もあるのではないかとは考えていますが、ただ、まだ実例はありませんし、具体的に動いているわけではございませんので、その辺り、どういったやり方ができるのか、特に国に期待されるのは制度的な面だと思いますので、今回、御提案いただいたようなことで委員の中で御議論いただければ、そういったことの研究は、私どもとしても進めることが必要かなと思っているところでございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 これは前から御意見がいろいろ出ているわけですので、ぜひその点、よろしくお願いします。
 岩本委員、お願いします。
【岩本委員】  よろしくお願いします。今の点に関しては、ぜひ研究を進めていただけたらと思います。いろいろな市町村の首長さんからこの声を強くいただいていたりとかしますので、ぜひお願いします。
 ちょっとそれに加えて3点ほどあります。
 1点目は、先ほど岡本委員を含めて出ていた学校間の併修だとか、学校間の留学のような動きです。また、そういったものを通しての越境的な学びの意義だとか、そういうものをもう少しちゃんと今後明記していく必要があるのではないかというのが1点目です。
 それで、このVUCAの時代において必要な資質・能力を育んでいくという上で重要な学びというのは、やっぱり探究的な学びと、もう1つが越境的な学び、いわゆる越境学習というような、そういう異質性の中に飛び込んでいくとか、そういったところが重要だと言われているわけですけれども、少子化が進む小規模高校になると、多様な価値観との出会いとか、生徒の出会いがなかなかない、同質性の非常に高い少人数集団での学びの環境になっていくという傾向があります。ここに地域留学とか国内留学みたいな形での越境をしていくだとか、それを受け入れるというようなことの教育的価値というのは、社会性だとか、協働性の高まりみたいなところでも数字も出ていますので、こういったところをできるようにしていく。
 今日も、ある地域留学というか、1年間、ほかの高校に留学して戻ってきた生徒から連絡が来ていたんですけれども、やっぱり自分がこれによって人生が変わったと。自分の元の高校に戻ってきて、自分の高校でもそういった1年間の留学とか、ほかの学校からの学びたい、来たいという子たちを受け入れるようなことを、うちの学校でもできるように、これから学校長に提案をしていきたい、そのために必要なデータとか仕組みとかを教えてほしいとか、そういったような連絡なども結構来ているようなところもありますので、やっぱり生徒にとって、生まれた地域だとか場所というのは誰も選べないですけれども、これから学ぶ場所だとか環境は自分で選べるという、そういう越境の自由を認めていけるような日本の高校教育のために必要な、海外留学などに認められているような弾力的な運用などもできるような環境というのは、今後必要ではないかというのが1点目です。
 2点目は、遠隔教育、またそれに伴う配信センターの議論に関してです。私もこれは非常に重要で、絶対進めていくべきだと思っているところですけれども、とかく今の書かれ方だけだと、配信センターも都道府県単位を全て前提にしているかのように見えなくもない。北海道だとか、高知県も大きい県ですけれども、北海道ほどのところで1つの配信拠点というのは分かるんですけれども、小さい県などもあります。人口が少ない県もあります。これ、47個の配信拠点を全国につくる必要性が本当にあるのかどうかということはさらに子供の数が減っていく時代ですので、検証が必要ではないかというふうに思います。
 各都道府県でもう進めているところは、当然、各都道府県でやっていく、それを止めるということは全くないですし、それは応援すべきだと思うんですけれども、国としては、本当に各都道府県がやるだけなのか、広域における遠隔教育だとか、広域の配信拠点みたいなことがないのかということを実証しながら検証をしていく必要性があるのではないかと。
 例えば、あるエリア単位には、教員養成の拠点大学とかがありますけれども、そういった大学だとか、そこの附属、国立の附属もあります。そういったところが場合によっては広域のセンター機能を担っていくだとか、放送大学みたいなものも大学にはありますけれども、そういったものの高校版みたいな、本当に全国スケールで見たときに、効果的、効率的なやり方の検証ということも併せて研究みたいなところは、一方で進めていく必要があるのかなと思います。これも総合的な探究の時間の時間だけで生徒同士がほかの県と交流するとか、そういう次元の話ではなく、遠隔授業とか、そういったところを含めてという意味です。
 最後、3点目は、ちょっと論点が1つ前にというか、戻ってしまうんですが、私、前回の会議に参加できなかったので、それに関して一言だけ言わせていただいて終わりにしたいと思うんですけれども、前回の議事録を見させてもらって、教務規定とか内規の話が最後のほうに出ていたかと思います。それに関してなんですけれども、卒業や進級とか、履修、修得の認定を含む教育課程に関する規定というところは、今、実態は、まだちゃんと見直しがされていない学校だとか、なかなか生徒が参照できる状況になっていないという学校も、東京都はしっかりされているという話でしたけれども、中にはあるという中で、やっぱり新学習指導要領だとか教育振興基本計画とか変わってきていますので、そういったものに基づき、また、各学校がスクール・ミッションとともにスクール・ポリシーを策定したと。その中にはカリキュラム・ポリシーだとかあります。それぞれの学校がつくったスクール・ポリシーに基づいて、教育課程の規定だとかがちゃんとそれにひもづいた見直しを図っていく。変えるべきものがあればスクール・ポリシーに基づいて変えていくということは、スクール・ポリシーの実質化にとっても重要な観点だと思いますので、校則もこれからは見直しとか、公表、公開ということは言われていますけれども、こういった教育課程に関しても、ちゃんと見直しを適宜、特にスクール・ポリシーに基づいてしていくということと、教育課程に関する内規に関しては、基本的には、原則的には社会に開いていく、生徒も、場合によっては保護者も含めて参照できるようにしていく、いわゆる公開というか、原則的には東京都のように公開していくというようなことを、やっぱりこれは原則論として、周知や通知をしていくというところは必要ではないかというふうに思います。
 最後は前回の話に戻したので、ちょっと今日の議論のあれではないですけれども、補足でした。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 最後のお話は、前回も、今、岩本委員のおっしゃったような方向でまとまったというふうに思っておりますし、それに基づいて、今日、先ほど白川さんのほうからも御説明をいただいたというふうに受け止めております。ありがとうございました。
 長塚委員、どうぞ。
【長塚委員】  よろしいですか。すみません。
 この第2の論点の丸1 です。これ、数行書いてあるんですけれども、遠隔教育とあって、最後のほうに全国的な体制という、ここだけ簡単に結びつけたような話をして恐縮なんですが、全国的な体制でということを意識したときにネックになっているのは、この遠隔教育は、まず同時双方向式でなくてはいけないというところ、ここに相当引っぱられ過ぎているのではないかなと私は感じているんです。
 前回もこれは話題になって、今、岩本委員もおっしゃいましたけれども、例えば放送大学のような全国レベルの仕組みがあればいいなと。高校教育に対応したようなオンデマンド方式でも、対話型で深い学びを促すようなレベルで、質の高い、映像教材になるかとは思うんですが、それを活用する遠隔授業を、もっと認めていったらいいのではないかなという気がします。そうすることで、いろいろなことの可能性が広がるのではないか、また、教員の働き方や、いろいろな意味での制約もかなり解消されてくるのではないかなというふうに思うんです。
 そもそもほとんどの教科学習というのは、学習指導要領があって、教科書が用意されて、学習の基準も共通的になっているわけですから、各地域の学校、各都道府県の教育委員会、あるいは通信制の学校がそれぞれで独自に教材を作成するとか、配信する内容を制作していくというようなこともないので、オンデマンド方式はコスト削減にもなるし、教員も、その間、いわゆる探究的な学習指導のほうにも力を注ぐことができるようになるのではないかなとも言えます。
 もちろん、オンデマンドだけでいいというものではないとは思うんですけれども、実は、双方向と言いながら、その中でオンデマンドの教材を使ったり、対面授業でも使ったりしているわけですよね。そういう方法をもっと意識して使えるようにしていったらどうかと思います。
 ちなみに、既に参考資料3の83ページにもありますけれども、病気などで登校できない生徒に関しては、オンデマンド方式で単位認定することを今年度の4月から認めるように改正されていますから、ある意味、始まっている部分もあります。つまり、「病気などで」と「など」というのがついているんですけれども、これは例えば、心理的な理由などで不登校になっているというような場合も、少し広い意味で考えれば、これも「病気など」というふうにも言えなくはないわけでして、もしかすると、この改正で、もうある意味、織り込み済みで、今、始まっているのかもしれません。
 また、この論点の中心にある少子化への対応ということで言いますと、遠隔地から通学できない場合などには、むしろこれは積極的に適用すべきではないかなというふうに思います。いろいろなところで、オンデマンド方式も活用した授業が受けられるということをしないと、現実的に制約がかなりある中でしかできない遠隔授業というのは、苦しいなという気がします。
 あと、3番目の論点である全日・定時・通信制の課程における学習の共通化、あるいは学習単位の認定にも、これはかなり有効な方策になるのではないかなというふうに思えるわけです。
 後でちょっとまたできればお話ししたいと思うんですけれども、遠隔授業に関する研究開発の取組の報告では、同時双方向の方式というのは、少人数がいいということは、この前も御報告ありましたけれども、同時双方向方式は、むしろオンデマンド方式を補うような位置づけで活用できていったらいいかなと、様々な課題解決につながるのではないかなと思いましたので、ちょっと意見を言わせていただきました。
【荒瀬主査】  分かりました。ありがとうございました。
 いろいろな選択肢がある状態の中で、最もその生徒にふさわしい、生徒の学びにふさわしいやり方を考えていったらどうかということと受け止めさせていただいてよろしいでしょうか。
【長塚委員】  そうですね。広い意味でそういうことになりますね。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 では、塩瀬委員、お願いいたします。
【塩瀬委員】  2点あります。1点目は、先ほどおっしゃった石崎委員が御心配されていたようなオンラインや遠隔授業の導入が、へき地の過疎化をさらに加速するのではないかという懸念に関してなんですけれども、このオンラインと遠隔を入れる文章の枕部分に、先ほど岡本委員もおっしゃっていたみたいな、へき地以外での導入理由をちゃんと明言しておけばよいのではないかなと思いました。これは、例えば、都市部の進学校においても、理科の科目で、物理、化学しか選択ができなくて、地学がそもそも選択できない学校も決して少なくないという事情にあります。さらに、社会の分野では地理を教える先生がいらっしゃらなくて、歴史の先生が急遽勉強して地理を教えている学校、しかもそれが進学校でも起きているとうかがっています。そういう意味では、現時点において高校生の多様な興味にはすでに対応できていないし、個別最適な学びを支えるといった標語は、高校生からすると、既に「何の話をしているんだ」というぐらいに選択肢がせばまった状態で学校運営がなされているという事実を踏まえる必要があります。
 そこでオンラインや遠隔の導入時においても、そういったすでに選択肢をせばめられてしまった生徒たちにとって、本当に多様な興味に応えるだけの授業科目が、オンラインや遠隔の採用によって解決できる可能性も出てくる。へき地や過疎地域に限らず、全ての高校生に対して、本来手元にあるはずの最低限の選択肢を確実に提供するというのが何と比較しても必要になるはずだと思いますので、そのことに触れてから、先ほどのへき地での過疎化にともなう学校の授業数不足というものに対応する選択肢であるという順番で記載しておけば、先ほど石崎委員が御心配されていたような誤ったメッセージの発信という誤解は回避できるのではないかなと思います。
 もう2点目は、土佐の濱田さんからご紹介いただいた配信センターからの集中的なシステムもすばらしいと思います。そこでご活躍の先生方におかれましては、本当のオンラインスペシャリストみたいな追加資格のような評価ができないものでしょうか。看護師さんにとっての助産師資格のようなイメージで、そもそも教員養成の中でも、オンラインが得意な先生を育てていくインセンティブにもつながるのではないでしょうか。なんでもかんでもオンンラインや遠隔が良いというのではなく、一定の授業の質以上を維持できる先生であれば、40人規定も外したようなオンライン、遠隔授業を実施できる可能性があります。そういったオンラインスキルに長けた先生をしっかり評価できれば、オンラインスペシャリストを積極的に採用、ないし育成するということもできるでしょうし、先ほどの配信センターのような機能があれば、そういった先生が活躍しやすく、結果として高校生にとって提供される授業科目数の不足にもしっかりと質を担保した上で対応できるのではないかなと思います。
 そういう意味で放送大学の規定には、15歳以上が受講できることとなっています。これを拡大拡張するなりして、放送高校というものがあってもよいのではと。あるいは放送大学の枠組みの中に、さきほど高校生向けにもしっかりとトレーニングを積んだうえで授業配信できる先生がいればよいのではないか。現状は、日本語リテラシーとか、高校では体験できない授業などを受けられることが放送大学授業のメリットの一つになっているとは思いますが、その中に、地学や地理の科目がしっかり入れば、生徒の多様な興味を最短で充足できる可能性があります。今、本当に生徒たちが求めているものをまず提供するというところに、今のオンラインや遠隔講義をちゃんと質を担保したうえで提供できれば、生徒たちからすれば、自分たちが勉強したいものを本当に提供してくれているんだとメッセージが伝わるのではないでしょうか。
 それができると、カリキュラム・マネジメントにおいても、オンラインや遠隔通信のために担当の先生とやり取りする事務作業などのご負担は結構少なくないでしょうから、これもエリアごとにでも「通信の日」みたいなものが金曜日とか仮に全国共通で決まっていれば、その日に提供されている科目群のなかから生徒たちの興味にあわせて割り当てられるのではないかと思います。先ほど出てたように、文科省からも旗振りができるとしたら、「通信の日は積極的に皆さんでオンラインを使いましょう」とか旗振りがあると、皆さん動きやすいのではないかと思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 発想を、これまでは、それこそ今、1つ目の話でおっしゃった地歴公民の先生で、本当は地理は専門ではないんだけれども、頑張って勉強してよみたいなことを校長先生は頼んで、その担当の人が一生懸命苦労して勉強して、でも、御本人も納得できないし、生徒たちもなかなか学びが充実しないというふうな、そういうことを何とか、しかし苦労してやるというのが当たり前みたいな、そんな状況が学校の普通というか、当たり前だったと思うんですけれども、そういうものをやっぱり変えていくチャンスがあるのかもしれないなということですね。ありがとうございました。
 では、青木先生、どうぞ。
【青木委員】  青木です。遠隔教育について、まずお話しさせていただくと、もちろんその意義については認めるんですが、その上で、やはり上限規制というか、留学のときに36単位を上限とするというのが学校教育法の施行規則にあるわけですので、一旦、上限規制を組み合わせての、なるべく遠隔教育を導入するということで、制度化に向けて議論を進めていくといいのではないかなと思います。
 理由は幾つかあるんですが、例えば、選抜の意義というもの、高校は選抜されて入学するということが前提ですので、やはり選抜の意味を消失させてしまってはいけないという、無用な批判を受けてはいけないということでもあるんですが、あと、統廃合を加速してはいけないというのも理由の1つになるかと思います。
 他の行政サービスでいうと、介護保険でも地域密着型サービスはあって、やっぱり地域というのは、どうも人々の情念に刺さる概念で、やはりその地域で勉強するという意味というんですか、あちこち行くということもいいんですけれども、どうも批判を受けやすい、上限規制なくて、地域もあちこちまたぐということは、必ずしも全面的な賛同を得られないということを感じています。
 ということで、まず制度を少しでも前に進めるということが大事なのであれば、今のような上限規制のようなものは必要ではないかなと思います。
 プラス、職員というか、人のことについて絡めて言いますと、遠隔教育についてまず絡めて言いますと、やはり学校教育法の施行規則では、職員という章がありまして、部活動指導員ですとか、教員業務支援員、情報通信技術支援員というのがあります。そうすると、ここで話題になっている遠隔教育に関して、例えば情報通信技術支援員というものではまるのであれば、はまればいいですし、はまらないのであれば、新たに項を立てて、職員というか、スタッフを位置づける、それによって十分な遠隔教育が実現できる見込みがあれば、そういうふうにしていけばいいのではないかなと思いました。
 これは余談ですけれども、中学校の部活動指導員もどんどん増えてはいるんですけれども、これ、せっかく学校教育法の施行規則に入っているんですけれども、配置の実態がよく分からないんですね。なので、ゆくゆくは学校基本調査などに入れてしっかり把握しなければいけないのではないかなと思いますが。
 最後の部分はちょっと余計でしたけれども、以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 進めていく上で、やるとしたら丁寧に進めていかなければならないと、そこのところの大変重要な御指摘をいただきました。ありがとうございました。
 そうしましたら、たくさん御意見をいただきました。こういったことを最終、また盛り込んでいただいて、その上で中間まとめに生かしていければと思います。
 ほかにもまだおありの方もいらっしゃるかもしれませんが、次の部分に移りたいと思います。
 資料1でいいますと、3ページ、3番の「全日制・定時制・通信制の望ましい在り方」関係ということで、あと、ちょっとまとめてしまうというのもよくないかもしれませんが、残りの時間が半分を切りましたので、5ページ以降の4番の「社会に開かれた教育課程の実現、探究・文理横断・実践的な学びの推進」関係も併せて御意見を頂戴できればと思います。いかがでしょうか。
 長塚先生、さっきちょっとおっしゃった。
【長塚委員】  では、よろしいでしょうか。
 3-丸1 に示されている全・定で学びを継続できるような制度の見直しということに関してなんですけれども、確かに全日制では、出席日数とか、先ほどからも報告がありました出席時数について学校ごとに決めがあるわけで、それで一定の欠席をすると、進級ができないとか、あるいは、単位が認められないという、そんなことが実態としてあるわけですけれども、それが全日制・定時制から通信制に行かざるを得なくなっている生徒も増えている要因の1つにはなっているんだろうというふうに思うわけです。
 ただ、不登校だということで通信制に向かう生徒などを見ていますと、このコロナの3年間で分かったんですけれども、オンラインによる学習というのは非常に有効だったなというふうに思うわけです。これは出席扱いを同時双方向だけではなくてと、先ほどの話につなげてしまうんですけれども、別室で学習しているような生徒も、そしてオンデマンドで学習した成果も出席時数として認めていくとか、そして出席日数に加えていくというようなことをしていくことで、実質的な学びが成果としても確認できれば、それは全・定の中でも学びを継続できるのではないか。その際には、在籍のまま、少なくとも36単位までは認めるというようなことが必要なのではないか、それで学びを継続できるということに対しては随分と対応できるのではないかなと、そういうふうに思ったわけです。
 その際、くどいようですけれども、学習基準がしっかりしている、例えば、国がつくった放送大学のような全国共通のシステムが確立していて、そこで学習成果もしっかりとはかれる仕組みがあるということが大事ではないかなというふうに思うわけです。そうすれば、全・定・通の課程を超えて活用しやすくもなるし、対応しやすくなるのではないかなというふうに思うわけです。
 以上です。
【荒瀬主査】  分かりました。ありがとうございます。
 成果がしっかりと認められるということが大事だということですよね。一時期、本当に広域通信制で、そういったことなしで単位認定をしているという実態が見えて大変大きな問題になったわけですけれども、そういったような、要は、生徒の学びが確かなものになっていくということを外すということは、もちろん一切してはならないわけで、その中で考えていくこととしては、我々の今まで思っていた範囲をもっと広げる必要があるのではないかということですね。
【長塚委員】  だと思います。論点1の、いわゆる共通性の学習の部分についても、それはつながる話だと、非常に重要だと思います。
【荒瀬主査】  なるほど。ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 鍛治田委員、お願いいたします。
【鍛治田委員】  こうして私たち大人が、子供たち、生徒のために、どうやったらいいかと考えながらも、不登校が増え、自殺者が増え、何か欠けていることがあるのかなと、今の議論の中に何を入れたらいいかなと思いながら、この協議に入っています。
 3-丸3 の公立の通信制の魅力についてなんですけれども、ここについて具体的な方策のことが出ているんですが、卒業率と進路決定率を上げることが必要ではないかと思います。
 例えば、大阪の通信制でいうと、令和4年で1,800人いた中で、令和3年には卒業生364人、ここから考えると、卒業率が随分低いのではないかと見受けられます。学校のホームページを拝見していますと、進級、就職、非正規雇用を入れて、208人、卒業生のうちの57%が進路が決定している状況で、これは私立の通信制に比べると低いので、上げていくことが必要ではないか。そのことによって、もっと魅力がでるのではないかと思います。
 例えば、合理的配慮のシステムやユニバーサルデザインに取り組むことも大きいと思います。通信制は非常に課題のある生徒たちも多いです。本校も600人中170人もの合理的配慮申請が出ているような状況で、サイレントロビーとか、UDフォントなど、ユニバーサルデザインも取り組んでおります。
 例えば、本校例によりますが、学習や心のケアをやってきました。でも、体のケアをしていなかったのですが、今、通信制には起立性調節障害の生徒が非常に多くなっております。それで卒業ができないとか、学びを諦める生徒がいますが、そこに対して、医科大学と連携して、オンラインの健康講座や、親と子の別々のピアサポートグループやキャンプなどをすることをしました。それによって退学者が、一時60人以上いたところが、去年、一昨年、20人とか、22人と激減をしております。進路決定率も、未決定が3%から10%になっていますので、ぜひここへの取組が公立の通信制高校には必要ではないかと思っています。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 学校として、生徒からすると、学べるということと、その後もちゃんと考えることができるかどうかということが非常に大事だということで、当然のことながら、在籍している間とその後と両方の充実が重要で、非常に大切なことを御指摘いただきました。
 ほかはいかが……。
 篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】  今の鍛治田委員の公立の魅力化ということですけれども、公立の先生方は、恐らく今おっしゃったことを十分に理解されているのではないかなと。その上で、実はできない状況といいましょうか、例えば、それこそ先生が足りないとかという話をよく公立の先生方から私は聞く機会がございました。ですので、分かりませんが、定数法のことなのか、やはり人員の配置の在り方を、公立の通信制であっても、何十年か前の基準をもはや見直すべきときなのではないかなというのが1点目です。
 そのことは公立の通信制の先生方の話だけではなくて、全体の中間まとめの中で、政策的な意味合いで申し上げると、高等学校の教員だけではなく、地域コーディネーターとか、いろいろな話が出ていますが、やはりここに人を割く、人件費を積み上げるということが、ぜひ国がすべき大きな一歩なのではないかなというふうに思います。
 石崎委員から、少子化を食い止めることという大きなテーマがありましたけれども、やはり親の立場からすると、別に産んで保育園の時代だけではなくて、高校、大学まで、育て上げるまで、この国は大変だという思いがあるということが私は少子化の結構大きなポイントではないかと思います。ある意味、経済的な余裕がないと、高校、大学まで行かせられないかもしれないと思っている若者がすごく多いように感じていますので、そのことも含めて、やはり人にお金をかけたいというのが1点目です。
 それから、先ほど長塚先生からもありましたけれども、全・定・通の在り方という、この3-丸6 の話の中で、皆さん御承知かとは思うのですけれども、例えば、神奈川県立厚木清南高校では、全・定・通、3課程が一体となって単位制の普通科の高校を、これ、全国で唯一と確かホームページで書いてあったと思うのですけれども、実はもう存在しているんですね。ですから、今の制度の中でも、このことが多分できているのではないかなというふうに推察いたしました。
 ですので、もし、このことがあまり人口に膾炙していないのだとすれば、こういう学校のインセンティブと言ったら変ですけれども、それこそ今の人員配置、加配の在り方について、こういう総合的な課程を持つ学校については、プラス加配置をするとか、よく分かりませんけれども、その辺りのインセンティブをつくって、このことを広めていくというような現実的なやり方もあるかなというふうに感じました。これが2点目です。
 3点目、前段の遠隔とリアル、対面のお話が、やはりずっとこの会議でも続いていると思いますし、今日、長塚委員のほうから、オンデマンドでもいいのではないかというようなお話もありました。私たち、ずっと対面かリアルかということの二項対立はコロナのときにやめようねという話になっていたと思うので、よいところを取り入れながら、お互いに、その両方のやり方を見つけていこうというのが、この前のこの資料の中にもありましたけれども、国の方針として出されているのだと思います。もしそこが、何となくまだやはりぼやっとしているのであれば、もう少しそれぞれのメリット、デメリットみたいなものをきちんと整理する研究なのか、調査なのかというものがあった上で全体で進んでいくという方向に持っていったほうが、何となく皆さんが疑心暗鬼になったままこのことを進めるのはあまりよくないかなというふうに思いました。
 ただ、いろいろな条件の中で、遠隔というのは、もう日本の中では必須のやり方ではないかなと思います。ですので、そこを全国民が納得するためにも、こういうやり方で遠隔をやれば何も問題がないよねとか、あるいは、リアルではなくてオンデマンドであったとしても、例えばこういうことでフォローしていくと、リアルのこういう面を補足できるだとか、何かそういう、恐らく各大学がつくっていたであろうやり方のマニュアルがあるのかもしれませんけれども、そういうことも含めて、どこかでまとまるといいなという希望を持ちました。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 インセンティブというのは非常に大事な話だと思いますし、1つ目のお話も、結局、条件整備がきちんとできていないと少子化にも影響するのではないかというお話でありました。
 3つ目のお話は、おっしゃるように、もう二項対立は乗り越えたはずなんですけれども、やっぱり結局ずっと引きずっている部分があるわけなんでしょうね。どこまで、どちらにはどういう利点があってとなるのか分からないですけれども、学校というところが、多くのいろいろな考えを持った文脈の異なる人が集まる場所であるならば、その集まる場所に来るという、そこに集まって何かを一緒にするということの意義というのは、これは決して軽々しく見ることはできないものだと一方では思いつつ、しかし、何を学ぶかによっては、決して集まらなくても学べるものもたくさんあるということも事実なので、その辺りをしっかり分けていく必要があるということですね。
 そんなに詳しく知りませんけれども、それこそヨーロッパのある国では、集まらなければできないことしか学校ではしないみたいな、だから、議論したりとか、1つのものをつくっていくとか、そういったようなことに学校での時間を全て使うみたいな、勉強は、それこそタブレットを使って勉強するのは家ででもできるという、そういうふうな合理的な発想もまた考えなければならないなということを思いました。ありがとうございます。
 岡本先生、どうぞ。
【岡本委員】  定時制の学校に関わっているという中で見えてきているのが、自分たちは、変わりたいという声や言葉でした。社会の中で生きていくために、今まで学校には行けなかった、もしくは周りとうまくなじめなかった、けれども、そのような状況を変えていきたい、だから学校でみんなと一緒に、一人では変えられないから、みんなと集まって変わっていくんだという話をしていて、さっき社会性の話がありましたけれども、学校というのは社会の中の一つの居場所をつくる場所となるということがまず1つあると思うんですけれども、一方で、定時制の中で行われている授業の全てが、過去の状況に合わせてつくられたものをベースにしてしまっているものも結構あるかなと思っていて、つまり、どういうことかというと、大学への進学を考えている生徒にとって、授業数が十分ではなかったりもするんですよね。それで高校1年生ぐらいのときに、やっと学校に楽しく通えるようになってきて、じゃあ、自分のことを考えたときに、もう少し授業をたくさん受けたいなという場合に、多分難しくなってしまう現状が出てくると思うんです。そういうときにもそういうオンラインの授業というのはそういう可能性やニーズにとって重要だと思うので、なので、そういう定時制の学校に行って、途中で自分の進路も変わってくるわけではないですか。そのとき果たして多様な個別最適な、それこそキャリアへのパスになれるかどうかというのは結構重要なポイントかなと思っています。、その一方で、自分は高校受験で受験をしてこの学校に来て、これだけたくさん授業を受けられるんだというところとの選抜的な機能との整合性というか、公平性をどう捉え、考えていくのかをも議論すべきなのだと思います。ですけれども、定時制に行ったけれども、もっともっとたくさん勉強したいのだというニーズに対しても、オンライン授業というのは、僕はもっともっと広がって認めていくべきなのかなとちょっと思っています。
 以上です。
【荒瀬主査】  なるほど。ありがとうございます。
 ほかには。
 沖山先生、どうぞ。
【沖山委員】  この3番目のテーマの、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方ということについて、学びづらさとか、生きづらさとか、学校へのつらさを抱えている生徒は、全日制にももちろんいるわけですが、定時制・通信制の生徒に多いことから、どうしても「在り方」の検討が、定時制・通信制の学校の在り方として捉えられがちです。しかし、もともとこのワーキングの議論の初めにあったと思いますが、何か課題を持っている子供たちの学びやすさを考えていくということは、どんな学校に学ぶ子供たちにとっても等しく意味のあることだという方向性があったと思います。そういった意味では、今、学校の在り方のあれこれを考えていく上では、何かいろいろな「枠」を付けるということが必要な部分もあると思いますけれども、特定の子供たち、地域には認めるけれども、しかし、それは限定的なものだという議論というのは、やっぱりちょっと違うのかなというふうに感じながらいつも考えています。
 それからもう1つここまでの主な意見のまとめを読ませていただいて改めて思ったこととして、学校の在り方を考えるワーキングとして、学校の制度について考えていくことは当然のことだと思いますけれども、しかし、学校あるいは教室以外の学び、多様な学びということについても検討していくワーキングであるという観点から、学校、教室以外の学び、さらに言えば、高等学校段階において、なかなか生徒が活用する機会に恵まれていない、例えばフリースクールみたいな学校外の学びの機関と、そこで学んでいる生徒の学習の成果、そういったものを学校という制度の中にどのように取り込んでくるかとか、そういう視点が、やっぱりちょっと足らないのかなというふうに思いました。
 学校間連携の話は盛んにしていますけれども、学校外との連携については、その学びの成果をどうやって学校の制度の中に取り込んでくるのかということが、もう少ししっかり整理されなければいけないかなというふうに思いました。
 それからもう1点だけ、5番目のところに高校入試に関する記述がありますが2026年4月から、愛知県の日進高校が不登校の中高一貫校をつくっていくという報道に最近接しました。他にもこうした例はあるのかもしれませんけれども、とても注目しています。
 なぜかというと、やはり小・中、特に中学校の不登校生徒の最大の関心事というか苦しさは、しっかり学習ができていないので、自分には進学できる高校がないのではないか、ということがあると思います。そういうことを苦しむ必要がないよということで、都立高校ではチャレンジスクールで学力検査を行わないという特別な入試を行っているわけですけれども、ただ、もっと積極的に不登校の子供たちに対して、中学校を卒業した後に、きちんと自分の居場所があるということを制度的に示してあげること、こういう学校や学び方が用意されているということが、もっと積極的に示されていいのかなと思っています。そういった意味で、高校入試の在り方ということについて、いろいろ考えさせることが最近増えています。
 都立のチャレンジスクールには、不登校を経験した生徒ばかりが入学しているわけではなく、今年度本校では84%の生徒が不登校を経験している生徒で、16%は不登校を経験していない生徒が入学しています。そして、不登校ではない16%の生徒が入学していることにより、不登校の生徒が16%不合格になっています。不登校を経験した生徒のために、かなり手厚い専門職の配置とか、様々な指導の工夫とかをしている学校であるわけですから、この現状は、何とか是正していきたいと私は思っています。あまり極端なことを言うと誤解も招くかもしれませんが、不登校ではない生徒には、都立高校においてもたくさん選択肢はありますので、それぞれの生徒が必要とする環境が保障されるような入学者選抜制度の仕組みにしていかないと、いろいろな意味でのミスマッチが学校に起きています。そこで最近は思い切って、私の学校では、不登校を経験している生徒を合格させていく学校だということを説明しています。時々受験生や保護者から誤解を受けることもありますけれども、「高校進学に希望がもてる」という賛成意見のほうが非常に多いです。
 そういった意味で、入学者選抜の在り方ということも非常に大きな課題であるということは間違いないので、これをもう少ししっかり考えていくということが残っているかなと思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 いずれも重要な御指摘ですが、特に最後の入学者選抜については、今日初めて御意見として出ました。今の話は、ちょっとこれ、これなかなか難しいことで、先生もおっしゃったように、誤解を受けることもあるというお話でした。
 一方で、不登校の子だから、中学校レベルの学力が必ずしも高くないかというと、そんなこともなくて、自分で勉強して十分高い学力を持っている人もいるわけです。そういう人が行く学校が決められている。ここは受け入れますけれども、それ以外は受け入れられませんというのも、またこれも変な話であるので、本当に子供を主語にして考えるということをしっかりしないと駄目だなということを思いました。
 入学者選抜、今日は残りの時間、まだ30分ぐらいありますけれども、もし御意見があれば、ぜひお願いしたいと思います。
 ちょっとその前に、塩瀬先生、お願いします。
【塩瀬委員】  前回第7回会議をやむなく欠席させていただいたのは、ちょうど同じ日に不登校特例校の生徒向け、保護者向け、先生向けと講演3本を同じ日にしゃべっておりました。それぞれの方々とお話をしてきましたが、多くの生徒さんの意見が、こういうふうに学校を楽しめるんだということは知らなかったとおっしゃっていました。同じように保護者の方も、こんなに学校を楽しめるんだというのが意外であったし、子どもたちが学校が好きだということを実は知らなかった、気づかなかったとおっしゃっている。さらに先生も、こんなふうに生徒と向き合えるんだなどと、生徒も保護者も、先生も全員が知らなかったとおっしゃる。それほど学校のことは嫌いでもなかったし、勉強を嫌いではない子たちも不登校児とくくられた生徒のなかには、たくさんいらっしゃるんですよね。ほんのちょっとしたボタンの掛け違いがあっただけで、勝手に学校が嫌い、勉強が嫌い、人間関係の構築が苦手などとレッテルを張ろうとする。多くの場合、それは生徒自身にとってはほとんど最初の学校1校しか知らない、2校以上の学校を知っている生徒が少ない。そうなると、いま在籍している学校以外の選択肢に関しては、生徒にとっては周囲の大人から教えてもらう「先入観の塊」から語られる言葉しか聞けない。その先入観の影響を生徒自身が知らないあいだにずっと引きずってしまうというのが一番の問題だなと思い至りました。例えば、資料1の中でも、3ページ目のところで、「生徒を安易に通信制に転学させたり」という表現のなかに、「安易に」という形容がついてしまうところが、通信制に対してのネガティブな部分を引きずってしまっていると思います。もちろん行政として社会として苦い経験があるというのは分かりますので、それは丁寧に避けなければいけないとは思うものの、もう既にしっかりとしたすてきな通信制学校もあることは事実だと思います。サポート校も含めて、多分そういった良い方の学校の存在を知らない先生や周囲の大人の言葉が、多分こういう「安易に」という消極的な表現にひっかかってしまうと思うのです。
 そういう意味で大事だと思うのは、全日制・定時制・通信制の全併修に向かっていくような形を一つの将来像だとしたときに、それぞれの学校にも小さく前もってチャレンジできたらいいのではないでしょうか。定時制とか通信制の部分を、それこそ校内フリースクールの形でも結構ですし、どんな形でも通信制とか、ちょっとずつ足がかりをつけていって、それぞれ生徒も先生も自分自身で体験してみて知る機会があればいいのではないか。いわゆる全日の学校の中でも通信の日とかがあって、通信でも学びやすい科目や単元もあるものなんだなどと、いい部分にも触れてほしいと思います。資料1の6のところでも、例えば、「探究学習を指導する教師自らが探究心を持ち」というのは、探究指導するときに、探究したことがない先生に向けてのメッセージですよね。それは、「俺たちの頃は習っていなかったから仕方ない」という、最近の昭和だから許してくれみたいなことと同じ方便で、「習っていません」で言い訳にされないようにしたい。それよりは、例えば様々な探究活動のなかに地域の方々との協働を取り組んでおられる学校も増えてきていますが、多くの場合は生徒だけに閉じてしまうことが少なくありません。むしろ、先生自身も本当は地域のいろいろな人たちと関わる機会を生徒と一緒に持てばいい。地域との結びつきだけでなく、通信などの学び方も一緒で、先生も通信型で学ぶ機会を設けてみればいい。先生自身が経験していないことは、やっぱり昔の経験から見聞きしたことに頼ってしまいます。いまだに定時制のある、とある高校では、全日制と定時制の高校生が顔を合わせないように下校時間が明確に決まっていて、とにかく関わらないようにと通達がある。一体、いつの時代のつっぱり映画を想定して定められた校則なのでしょうか。今の通信制も定時制もぜんぜん状況が異なっていて、先生自身も知らなければ、知らない先生や大人がこぼすその消極的なイメージが生徒にも伝わってしまう。全日制も通信制も定時制も、生徒も先生も全部一度は経験すればいいのではないか。高校の間でも入って通信制も定時制もやればいいし、中学のときにもいろいろな学校があることを知ってもらう機会をもっと増やすことが大事だと思います。その体験時間がどうやっても捻出できないほどにお忙しいのであれば、先ほど話題にあがったような、6ページ目4番にあった「学習指導要領の変更に対応するのが大変です」と現場の先生がおっしゃることに関わってくる。例えば今回思い切って学習指導要領の変更はせずに一休みします。そのかわりに、すでに学習指導要領に書かれていることを咀嚼し、各校で生徒に届けられることに時間を費やしてくださいと。そうすれば、先生の時間も確保できるし、先生自身も探究の一環で地域の社会活動、多様な人たちにも出会える時間も増えるし、先生自身も地域の多様な人と出会えば、生徒たちにこんな人たちに出会ってもらいたいなと肯定的に捉える関係性も増えてくる。生徒にとって必要だと、先生自身が納得できるものであれば、先生方皆さんはきっと生徒に届けたいと思うと思うはずです。それが今まで自分が経験したものだけに範囲が限られてしまうと、もったいない。今この会議でも議論しているような多数のアイデアについては、全部、生徒だけではなくて、先生方にも体験してもらいたい、というメッセージを打ち立てることができれば、全日制・定時制・通信制についても、もっとフラットに迎え入れられるのではないかなと思います。そのメッセージをぜひこの分科会から発信する報告書のなかに、しっかりと残すことができたらと願います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 道は多分遠いと思うんですけれども、しかし、大変大事な御指摘であったと思います。
 ただ、地域だけではないですよね。塩瀬先生、探究ということで考えるならば。地域に出ることで探究ができるというのは、ちょっと……。
【塩瀬委員】  もちろん違います。
【荒瀬主査】  違いますよね。
【塩瀬委員】  地域のリソースも身近なリソースに目を向けるという力自体が不足しているという意味で、何かというと、どこかの大学の先生に来てもらわないと探究授業ができないと思い込んでしまっている先生や学校も決して少なくありません。いや、すぐそこにすごい人がたくさんいるのに、わざわざ遠くの大学の先生にまで声をかけるというのは一度立ち止まって考え直してもらいたい。探究≒スーパー・サイエンス・ハイスクールとか、大学の先生の講義を聞くのが探求だとなどと、間違ったメッセージが伝わっているとするなら、それは払拭しなければならない。
【荒瀬主査】  そうですね。
【塩瀬委員】  もっと自分の周囲に目を向ければ、たくさんの資源があるはずで、それを見つける練習不足が多くの原因ではないかという気がします。
【荒瀬主査】  なるほど、分かりました。おっしゃる意味がよく分かりました。
 これは、そのためにも先生の学ぶための時間の確保というのは非常に重要なので、そういったことも含めて、ちょっとアピールできるような形になるといいなと思います。ありがとうございました。
 では、青木先生、どうぞ。
【青木委員】  青木です。3番の論点に関しまして、私は、ここまで出ていなかったかと思いますが、修業年限について少し言及したいと思います。どういう方向性がいいのかということは、まだ十分考えが定まっていないところもありますが、今の段階で論点出しはいいかどうか分からないんですが、ちょっと提起したいと思います。
 学校教育法の施行規則、今日はそればかりなんですけれども、102条に修業年限に関わって、定時制と通信制の修業年限については、「勤労青年の教育上適切な配慮をするよう努めるものとする」と書いてあります。今日、配付資料の参考資料3の17枚目のスライドには、通信制高校に在学する生徒の就業状況の変化とあって、少なくはなっていますが、やはり働いている方もいらっしゃるということです。
 他方で、不登校経験を持つ方も増えているということですので、施行規則の102条に「教育上適切な配慮をする」と書いてあるということは、やはり修業年限というのは、教育上の何らかの効果が期待されている制度なんだと思うんです。
 そうすると、当時は、勤労青年という存在が主だったと思うんですけれども、今はそうではないタイプの生徒さんももちろんクローズアップしなければいけないわけなので、ここは、現代風に応じた書き方に変えるということも1つ選択肢としてあるのではないかということです。
 さらに、ちょっと大学のことを考えると、長期履修制度というのが今大学にはありまして、例えば、2年間の学費で修士課程に4年間在学できるという仕組みが、これは大学によって違いますけれども、そういうことがあります。これは私も実際に指導している学生でそういったケースがありますが、留年をするというスティグマにならずに4年間在学できるということですので、もしかしたら、高校にも似たような制度があれば、本当はみんな3年で卒業したいのは分かります。ただ、3年よりも長くかかってしまうことの社会的なスティグマが今あるのだとすれば、それを多少でも緩和できる仕組みがもしかしたらあり得るのかもしれないなと思っています。
 この点については、3番の論点については以上です。
 時間もないので、4番の論点についても申し上げてよろしいですか。
【荒瀬主査】  はい、どうぞ。
【青木委員】  これも、施行規則の97条、98条、100条に「校長は、教育上有益と認めるときは」云々という規定がありますので、これはやっぱり最大限活用して、多様な学びを提供しつつも、ちゃんと校長の単位認定権の下にしっかりそれぞれの生徒さんたちの学びを、それこそ個別最適につくり上げていく。制度上、校長の単位認定権があるわけですから、これを改めて定着し、より発揮できるような方策が考えられればいいなと思います。
 ただ、それ以上の考えはまだ今のところ持ち合わせていませんので、先生方の御議論をいただければなと思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 ちょっとここに書いていないことも含めて、しかし、非常に重要なことではないかと思いました。次回まとめの中にどこまで盛り込めるかというのはちょっと別としましても、考えなければならないことは非常に多く御指摘いただいたと思います。ありがとうございました。
 石崎先生、お願いします。
【石崎委員】  私の学校は、今日まで授業をやっています。それで、また教の会議にオンラインでの参加になってしまって、なかなか会議の空気感が分からないというか、やっぱりオンラインは難しいなと思っているんですけれども、それはさておきとして、4-丸3の「大学入学者選抜を見据えて文系・理系のコース分けを実施する学校が多くある現状にあって」というところなんですけれども、ここのところは、この会議として、文理コース分けをしないほうがいいというように思っていらっしゃるのか、それとも文理コース分けは仕方がないけれども、その中でそれぞれ文理横断的な学びを進めていくべきだという話をしようとしているのか、そこのところがどちらなのか分かりにくいなとちょっと感じています。前者ならば、コース分けしないほうがいいと言っても、大学入試などの関係で単位数的に収まらないという話は前にしたと思いますし、それぞれのところで文理横断的な学びを進めたほうがいいという話であるならば、前段の「文系・理系のコース分けを実施する学校が多くある現状」でというのは要らないと思いますし、どちらなのかなということをお伺いしたいと思いました。
【荒瀬主査】  これは多分、今、おっしゃったような読み方が妥当ではないかと思いますが、そういうことですよね、これ、書いていただいていることとして。現実そういうところが、よいか悪いかという評価はちょっと置いておいて、現実にあるということを踏まえた上で、しかし、教科等横断、あるいはSTEAMといったことを考えるべきだということですよね。ということだと思います。
【石崎委員】  考えるべきなんですけれども、それはもう全く同意なんですけれども、その方策として、文理コース分けをやめるべきだというトーンなのか、それとも、それぞれで文理コース分けするのはやむを得ないけれども、文系でも理系でも文理横断的な学びをそれぞれで進めるべきだという話なのか、その方向性がちょっと分からない。
【荒瀬主査】  方向性というと、それはやめたほうがいいのではないですかということなのではないですか。ただ……。
【石崎委員】  中間まとめにどういうふうに表現するのか。
【荒瀬主査】  中間まとめね。現実的に今の入試の形に対応するとなると、どうしてもそうならざるを得ない面というのはあるということがあって、大変つらいというか、こういう表現にならざるを得ないということなんだと思うんですけれども、結果的に、この一番後ろに書いてある大学入試についてもぜひもっと考えてほしいよということになっていると思うんですが、そういうところの理解では駄目ですかね。
【石崎委員】  私は分かっているつもりですけれども、ちょっと、全体をどうお考えなのかなと。
【荒瀬主査】  なるほど。
 はい、どうぞ。
【石崎委員】  ちょっとそちらの空気感が伝わっていないので、すみません。
【荒瀬主査】  では、事務局から。
【松田参事官補佐】  御指摘について、国としては、文理のコース分けをしてはいけないといった打ち出しはなかなか難しいかと思っております。学習指導要領には必修科目と選択科目がございまして、教育課程は各学校において定められますが、大学進学を目指す生徒が効率的に学べるよう文系・理系のコースを設けるということは現状としてございますし、これに規制をかけるようなことはなかなか難しいと思っております。
 ただ、文系の生徒が文系科目しか学ばない、理系の生徒が理系しか学ばない、そうした現状は、やはり変えていかないといけないと思っておりますし、その辺りは、参考資料でも経団連のアンケートをお示ししておりますが、いわゆる産業界も文理の枠を超えた知識・教養や、課題設定・解決能力等を大学卒業者に求めているところがございます。それと、高校の探究的な学びは、方向性としては合致しておりますので、そういった学びがより広がっていくように、コース分けを直ちに禁止すべきということの打ち出しを考えているというよりは、むしろSTEAM教育・文理横断的な学びをいかに進めていくかということに主眼を置いているというところでございます。
【荒瀬主査】  石崎先生、何か代案というか、こういう表現にしたらどうかということがもしあれば、またお聞かせいただけると。
 どうなんですかね。全国を見ると、やっぱり現実的には文理横断にしていらっしゃると思うんですけれども、経団連が大学を出てくるときに、文とか理とかではなくて、もっとちゃんとやっておけよということをおっしゃるのは、それはそれでそうなんでしょうけれども、現実問題、大学入試をどう変えるべきだというところにまで踏み込んでいただかない限りは、なかなか難しいところはあるとは思いますが、しかし、大学入試によって高等学校教育が規定されているというのも、これもまたあまり楽しい話ではないので。
 よろしいですか。
【石崎委員】  まあ、難しいんでしょう。現状に合ってというのが、高等学校が否定的に捉えてしまうといけないかなと思うので……。
【荒瀬主査】  なるほど。ちょっと表現を考えるということですね。
【石崎委員】  そうですね、はい。
【荒瀬主査】  では、これは事務局のほうにお願いをしておきたいと思います。ありがとうございました。
 では、岩本委員、お願いします。
【岩本委員】  私のほうから、先ほどの全・定・通の垣根を越えて、総合課程的な形で生徒の個別最適にという方向だとか、論点4の言われているようなことも、私、基本、絶対的に賛成というか、やっぱりそういう方向に進むべきだと思っています。
 その上での条件整備だとか、具体的に、じゃあ、どうしたらそれができるのかというときに、制度面に加えて、今までもさんざん出てきていますが、やはり人の配置というところが重要です。それができないのであれば、指導する内容を大幅に削減するという。教職員定数だとか、コーディネーターとかを含めて、配置がこの程度しかできないということであれば、今回書かれているような方向性を実現するためには、学習指導要領の次の改訂だとかで、理念はとてもすばらしいので、それをさらに継承とか進化させていく。ただ、指導すべき内容を思い切って削減して学びの質を高める。今の教員の働き方改革のように、教員の働き方改革を進めながら、生徒の学び方改革、どんどんやることを積みあげいくというよりは、そこをより変えていくための余白だとかを、生徒にも教員にもつくっていくという、そこは今までも議論はありましたけれども、そういった指導要領のカリキュラム・オーバーロードの話だとか、その先には大学入学者選抜の話も、ここはやっぱり改めて高校の方向性を進めていく上で大事な条件整備として書き込んで次につないでいく必要があるのではないかというふうに思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 学習指導要領については、どこまで書けるかという点があると思うんです。我々、ここで学習指導要領についての研究とか検討はできていないので、だから、そこは中教審で言えば教育課程部会でまた考えていただくことになると思うんですけれども、しかし、実際に御意見として出ている、理念的にはすばらしいのだけれども、またまた変えていくとなると、大変そこのところには、学校が実際についていけないという表現が正しいのかどうかは別として、現実的にそぐわないのではないかということかなと思うんですけれども、その辺りは、皆さんの御意見がほぼ一致していると思いますので、そういったことについては、中間まとめの中にもぜひ盛り込んでいただきたいなと思っております。ありがとうございました。
 冨塚委員、お願いします。
【冨塚委員】  また議論を戻してしまってすみません。先ほどの石崎委員のお話を聞いていて、少し発言をさせてください。
 文理横断やリベラルアーツについてなんですが、私、このワーキングでの議論を千葉県教育委員会の教育委員の先生方と共有しようと思いまして、先日、そのような時間を設けていただきました。そのときに、企業人でいらっしゃる教育委員、企業の社長さんがいらっしゃるんですが、その方が、「社会人としての教育を高校でやるべきであるとか、キャリア教育であるとかということを言っているけれど、文部科学省がそんなに経済産業省や経済界におもねる必要はない。職業教育は就職してから私たちがやります、それよりも哲学をやってください。」ということをおっしゃっていました。「リベラルアーツというのは、本来、自由人になるための学びである、それは哲学である。高校で哲学をしっかりとやってほしい。」ということもおっしゃっていました。総合的な探究の時間、探究の学びというのはまさに哲学なんだと思っております。ただ、全ての高校で本来目指す探究的な時間が設けられているかというと、恐らく通り一遍の探究的な学習みたいなことで、荒瀬先生が京都でやられていたようなことを全ての学校で体現できたらいいなというのが今、夢なんですけれども、そんなことで、教員に対する探究的な学びの指導方法といいますか、好事例の発信みたいなものを今も文科省にもやっていただいていますけれども、そういうところをもう少し。あと、我々としては、やはり探究的な学びについて先生方が学べるような機会、研修ですとか、あるいは研修を受けていただく時間をつくること、そこが教育委員会としてもっともっとやるべきところだと感じております。
 もう1点だけ。すみません。先ほどの大学入試との絡みなのですが、千葉県で120の県立の高校があります。半分ぐらいの生徒は大学等に進学いたしますが、国立大学、国公立や難関の私学を目指す高校でない進学校においては、多くの生徒たちが、受験をするのではなく、AO入試だとか、推薦入学だとかで希望の大学を決めて進んでいるというのが実態です。その推薦入試などにおいては、ふだんの成績というものから割り振られるといいますか、大体そんな感じで決まっていくようなのですが、観点別の評価というものが導入された中で、絶対評価と相対的な評価という、その違いの中で、今後、推薦入試みたいなところでの評価みたいなものはどうなっていくのかと、ある校長先生が疑問を私に投げかけまして、ちょっと私には分からないので、もしこの中で、今日でなくてもいいので、そういうことで、後ほどでも御教示いただける先生がいたら、ぜひお願いしたいと思います。大学入試の在り方と高校での教育というのは、確かにすごく密接なものであるので、ぜひその辺も含めて、この中で何か提示していけたらと思います。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 総合的な探究の時間は本当に大事なことであると思いますし、その企業の方というのは非常にバランスの取れた御発言をいただいたんだなというふうに思いました。
 観点別評価につきましては、ちょっと今日はもう時間的に無理ですので、また後ほど何らかの形で御連絡を差し上げるようにお願いをしておきます。
 では、最後になると思います。今村委員、お願いいたします。
【今村委員】  本当に何を発言したらいいかなとずっと思いを巡らせながら皆さんのお話を聞いていました。
 まず、高知県の実践については、もういらっしゃらないのかな、大変勉強になったんですけれども、改めて、未来、どんなに少子化になっても、キャンパス制という形にしても、やっぱり学校という箱を残していくということの意思決定を地域と国と県がどうにかするということを、社会づくりの前提にして、いろいろなことは議論していくべきだと私は思っています。
 というのは、私は、もしかしたらここにいらっしゃる皆さんの中で誰よりもオンラインでの授業を、このコロナ以降、進めてきた立場かなと思っているんですけれども、オンラインはすごく有用だし、傷ついた子供たちの心のケアにはなることは確かなんですけれども、摩擦は起きないんです。摩擦が起きたら、そこからはもう画面を消して逃げられるというところなので、やっぱりそれだけの高校生活が、いや、全ての人がそれだけを高校生活のベースとしていくようなデザインにするというのは、社会としての維持が難しくなるのではないかということすら感じます。
 今の若い子たちは、本当に恋愛すら避けるという、もう本当に人と摩擦して、告白して傷つけられるのは嫌だという、当時の18歳には考えられないような感覚を持っている子たちもすごく増えてきている中で、やっぱり箱があって、嫌でもそこに人と集って、偶然に会いたい人でなくても会うという空間があるということは、やっぱり学校という場所の重要な、これを居場所というと、また子供家庭アジェンダになってしまうかもしれないんですけれども、重要な機能だと思うので、そこの上でどう学ぶかというところは、やっぱり先生の多忙、カリキュラム・オーバーロード、いろいろな問題があることを前提にして、全部の機能を各学校に持たせるということは、特に小規模化したら無理ということを前提に、もちろんオンラインを駆使して、対面で学ぶ、オンラインで学ぶ、同時双方向でもオンデマンドでもいいんですけれども、やっぱり学校という箱に残る人の役割は、生徒それぞれが個別指導計画に近いものを持っていて、いろいろなものを駆使して学んでいることのモチベーションの維持と、その学習集団のファシリテーションというふうになっていくのだと思います。ですので、やっぱり今の先生たちの役割とは全然違うんだと思うんです。もしかしたら、特別活動とか、ロングホームルームでやっていることに近いかもしれないですけれども、少なくとも生徒一人一人が、先ほど岡本さんの質問に、そこまでは高知ではまだやっていないという話でしたけれども、やっぱり次第になっていくんだと思うんですよね。もっと勉強したい子は、同じ箱の中にいても、ここの学校の教育課程外のところの授業も取るみたいにしていかないと、1町村1校という学校が今後も増えていくわけだから、やっぱりそうなっていくということを前提に、先生のファシリテーター化、先生をファシリテーターとしていく、場にいる先生が個別学習計画の策定と支援、そしてオンラインの配信センターをどうするかというところ、そこをベースに先生の在り方というところを変えていくということが、この全・定・通のところに関してもそうですし、中山間地域の小規模自治体の件についても、やっぱりそういうデザインにしていくということかなと思っていろいろなお話を聞いていました。
 取り留めもないんですけれども、時間もなくなってきた中で、まず一旦そこまでにさせていただきます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 今日の議論のある部分をまとめていただいたように思いました。学校の機能というものについて、やっぱり改めてまた考えなければならないということが、今日のこの会議を通しても問われているのだなということを思っております。
 ただ、一方で、この会議としては、次回、中間まとめに向けた議論をしていくということで、現時点でまとめられることをまとめていく。引き続きやるべきことがたくさんあるのであれば、それはこの会議としてどうしていくかというのは、また別途検討したいというふうに思います。実際にそういうお話も今日も新たに出たものもありますので。
 とりわけ高校入試についても、今日はそんなに長く議論できませんでしたけれども、考えていかなければならないということは多分間違いないと思いますので、その辺りも次回以降、どうしていくか考えたいと思います。ありがとうございました。
 では、今日の議論はここまでとさせていただきます。
 では、今後のスケジュールにつきまして、松田さんのほうから、よろしくお願いします。
【松田参事官補佐】  本日はどうもありがとうございました。
 今後のスケジュール、資料2でございます。第9回でございますけれども、8月24日木曜日の13時から15時でございます。主査からただいまいただきましたとおり、中間まとめに向けた議論をしていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 そういうことで、次回の日程、よろしくお願いします。
 では、本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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   初等中等教育局参事官(高等学校担当)付