高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第7回)議事録

1.日時

令和5年6月30日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省5F2会議室(WEB会議も併用)

3.議題

  1. これまでの議論を踏まえた、これからの高等学校の在り方について
  2. その他

4.議事録

【松田参事官補佐】 定刻となりましたので、ただいまから「中央教育審議会初等中等教育分科会 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会 第7回高等学校教育の在り方ワーキンググループ」を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は第12期の中央教育審議会の初回となりますので、少しの間、事務局のほうで進行させていただきます。私は高校参事官付で参事官補佐をしております松田と申します。よろしくお願い申し上げます。
 本日の会議は、ウェブ会議システム(Zoom)を併用しつつ、文部科学省内の会議室にて開催とさせていただいております。
 本日の配付資料は議事次第のとおりとなっておりますので、不足等ございましたら事務局にお申しつけください。
 その上で、まず資料1でございます。こちら、本ワーキンググループについて、第12期においても引き続き具体的な検討を行う必要があるということでございまして、4月26日の特別部会において、その設置が決定されたところでございます。
 資料2、本ワーキングの運営についてでございます。本ワーキングの主査及び主査代理は、特別部会の運営規則第2条第3項の規定により特別部会の部会長が指名することとなっておりまして、この点については、主査は荒瀬部会長に、主査代理は田村委員に引き続き御就任いただくこととなっております。
 また、資料3で委員名簿をお示ししておりますけれども、こちらも11期から委員の変更はございません。改めまして、皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 そして、本ワーキングの公開についてでございますけれども、運営規則第3条に基づきまして、公開を原則としております。本日は報道関係者や一般の方向けにユーチューブにて配信しておりますので、御承知おきいただければと思います。
 また、会議の傍聴につきまして、同規則の第4条によりまして、会議を撮影、録画、録音する場合は、主査の許可を受けるとともに事務局が定める手続により申請する必要がございますけれども、本日の会議についても報道関係者より録音、写真撮影の希望の申出をいただきまして、事前に荒瀬主査にお諮りして許可をいただいておりますので、委員の皆様におかれましては御了承をいただければと思います。
 それでは、ここからの議事進行につきまして、荒瀬主査にお願いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  改めまして、皆さんこんにちは。荒瀬でございます。第7回ということで、中教審の11期から12期にまたがって、会議がそのまま続くということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、議事に入りたいと思います。本日は、「これまでの議論を踏まえた、これからの高等学校の在り方について」を議題といたしまして、皆様と議論を深めてまいりたいと思います。資料の説明を受けた後は全て御議論いただく時間としておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず松田参事官補佐から、資料につきまして御説明をよろしくお願いいたします。
【松田参事官補佐】  ありがとうございます。それでは、資料に基づいて御説明させていただきます。
 資料の4と資料の5、こちらは本年の3月、11期の最後に論点整理としておまとめいただいたものでございます。説明は割愛させていただきます。
 その上で、資料6、こちらが本日の議事のメイン資料になるかと思いますけれども、「多様な生徒が学ぶ高等学校のこれからの在り方について」と題しまして、論点整理のうち、特に高校の共通性・多様性を中心に、今後の議論の具体化に向けて少し書き下しをさせていただいたものでございます。また、その関係で、それ以外の論点である、少子化が進む地域における高校教育の在り方、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方、社会に開かれた教育課程、探究・文理横断・実践的な学びについても少し記載をしてございます。こちらの記載について、荒瀬主査、そして田村主査代理に御相談させていただきながら作成をさせていただいているものでございます。
 まず背景でございますけれども、今日の高校の進学率は約99%と。それゆえ、高校生それぞれの有する入学動機、進路希望、興味・関心、学習経験は非常に多様なものとなっており、中には、中学校段階までで不登校経験を有する生徒、特別な支援を必要とする生徒も一定数在籍していると。そうした生徒の多様な状況を踏まえて、義務教育段階の学習内容の学び直しに取り組む学校、そして発展的な教育に取り組む学校など、教育の実態も地域・学校により大きく異なっている状況でございます。
 そうした状況を踏まえまして、各高校において、生徒一人一人の個性に応じた多様な可能性を伸ばす「多様性への対応」を図りつつ、高校教育の質の確保・向上を目指すに当たっては、義務教育において育成された資質・能力をさらに発展させながら、全ての生徒が社会で生きていくために必要となる資質・能力を共通して身につけられるよう、「共通性の確保」を併せて進めることが必要でございます。
 この「共通性の確保」につきまして、教育基本法、学校教育法等の各種規定によりまして、制度上、一定程度図られているところでございますけれども、平成26年の中央教育審議会初中分科会高等学校教育部会におきましては、社会・職業への円滑な移行に必要な力と市民性が全ての生徒に共通して身につけるべき資質・能力「コア」を構成する重要な柱として特に重視されたというところでございまして、この議論も踏まえつつ、平成30年に改訂された高等学校学習指導要領の前文では、幼児期の教育、義務教育の基礎の上に、高校卒業以降の教育や職業、生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら、生徒の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して、学習指導要領を定めるという趣旨が明記されているところでございます。
 この学習指導要領の改訂と前後する形で、平成28年に選挙権年齢、そして令和4年に成年年齢の引下げという変化が生じております。これに伴って、高校の役割として、生徒自らが自己決定を行い、自分の人生をよりよいものへと切り開いていくことができる自立した市民、社会の一員としてよりよい社会の実現に主体的に参画しようとする資質・能力を育むことが一層強く期待されることとなっております。
 こうした動きについては、生徒が学校で学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を育むことを目指すキャリア教育ともその方向性は同じでございまして、一人一人の生徒のキャリアの発達を促す役割の発揮が高校教育において一層求められる状況にあると捉えることもできます。
 また、生成系AI等のデジタル技術が目まぐるしく発展し、将来の予測が難しい社会において、これからを生きる人間には、社会における膨大な情報の中から好奇心を持って自分らしい問いを見いだし、その問いを探究する中で新しい価値を生み出していくことが重要となります。そのために、情報を主体的に捉えながら、何が重要かを主体的に考え、見いだした情報を活用しながら他者と協働し、新たな価値を創造する資質・能力を育むことが期待されるようになっております。
 そのような今日の状況に鑑みれば、多様な背景を有する高校生が存在し、それぞれの高校において、多様な生徒の状況、地域の実情等を踏まえてスクールミッション・ポリシーに即して特色ある取組を推進している中で、いずれの高等学校の、いずれの課程・学科にあっても、共通して取り組むべき特に重要なことにつきまして、以下のとおり挙げております。
 まず、自己を理解し、自己決定・自己調整ができる力の育成。そして、自ら問いを立て、多様な他者と協働しつつ、その問いに対する自分なりの答えを導き出し、行動することのできる力の育成。そして、自己の在り方・生き方を考え、社会に当事者として主体的に参画する力の育成。そして、それらの土台となる知・徳・体のバランスのとれた資質・能力の育成(とりわけ、義務教育段階において習得すべき資質・能力の確実な育成)。これらが特に重要なこととして挙げられるのではないかとしております。
 そして、これらの力の育成が全ての高校において着実になされるよう、学習指導要領の理念の各高校への一層の浸透を図りつつ、これからの教育課程の在り方として2つ挙げてございまして、まず、生徒が自己の在り方・生き方を考え、主体的に社会に関わったり、自ら学びを調整したり、自己決定したりする場面を積極的に取り入れていくこと。そして、生徒が各教科等の学びで習得した資質・能力を相互に関連づけ、生かしながら、実りある探究活動を進めることができるよう、「総合的な探究の時間」を教育課程の基軸に据えて、各教科・科目との相互作用を強めていくこと。こうしたこと等によって、各教科等における学びの充実を図ることが今後特に重要となるのではないかと。
 そして、こうした学びの充実に向けては、教師の資質・能力向上、そして指導側の体制・環境整備、さらに、高校教育に与える影響が大きい大学入学者選抜の改革、これらを併せて進めていくことも重要であるとしております。このために、教師自らが探究心を持ち、授業における探究的な学びをデザインしていくことが可能となるよう、全ての教師に対して、校務DX等の働き方改革等を進めながら、継続的な学びの契機と機会を提供する環境を構築していくこと、そして、コーディネーターの配置促進など指導側の体制・環境整備を進めていくこと、また、大学入学者選抜において、入学志願者の思考力・判断力・表現力等を適切に評価するなど、学力の3要素の多面的・総合的な評価への改善を進めていくことなどに取り組んでいくべきであるとしてございます。
 また、生徒一人一人の特性等に応じて多様な可能性を伸ばす「多様性への対応」として最も重要なものの一つが、在籍する生徒の希望する進路の実現に必要な学習経験の提供であると言えると。
 しかしながら、現状では、学校の立地、リソース等に伴う制約により、学校が生徒の多様な学習ニーズに対応し切れていないといった課題があります。また、各課程に関する制度等により、不登校経験など多様な背景を有する生徒の受入れが特定の学校・課程に偏っていたり、生徒の在籍する学校・課程・学科により、その後の進路の固定化が生じやすかったりするといった課題もございます。
 こうした課題を解消するために、地理的状況や各学校・課程・学科の枠に関わらず、いずれの高校においても柔軟で質の高い学びを実現して、全ての生徒の可能性を最大限引き出すことができるようにしていくべきであると。そして、このための方策として、遠隔授業や通信の方法による教育の活用、学校間連携の促進、関係機関等との連携・協働等が特に有効であると考えられることから、これらを一層進めていくべく、例えば実施要件の緩和等を通じた教科・科目充実型遠隔授業の推進、特別の事情を有する生徒の学習機会の確保に向けた、自宅等での同時双方向のオンライン授業の受講や、全日制・定時制課程における通信教育の実施要件の緩和等、また、学校間連携・課程間併修を促進する高校間のネットワークの強化、優良事例創出に向けた支援、そしてコーディネーターの配置促進、こうしたことに取り組んでいくことが重要であると考えられると。
 結びに、以上のようなことを通じて、多様な生徒が学ぶ高校において求められる「共通性の確保」、「多様性への対応」を果たしていくことにより、高校教育全体の一層の質の確保・向上、各高校のスクール・ミッション、スクール・ポリシーを踏まえた多様で特色ある教育活動の展開など、「生徒を主語にした」高校教育の真の実現が期待される、そのように記載させていただいております。
 4ページ以降で、学校教育法の規定や高校学習指導要領の全文を記載させていただいておりますので、参考に御覧いただけたらと思います。
 続けて、資料7の説明をいたします。COREハイスクール・ネットワーク構想の遠隔授業における調査研究の成果の中間報告をこの機会でさせていただけたらと思います。株式会社内田洋行に委託をして実施させていただいているものでございます。
 まず、COREハイスクール・ネットワーク構想でございますけれども、事業内容としては大きく2つありまして、うち1つが、同時双方向型の遠隔授業などICTも活用した連携・協働であり、これによって、免許外教科担任制度の利用解消を狙うものでございます。そして、事業の検証のための調査研究、こちらも実施しているところでございまして、このたび内田洋行に成果の中間報告をまとめていただいたものでございます。
 COREハイスクール・ネットワーク構想は令和3年から5年にかけて実施しているところでございまして、13道県において実施をしているものでございます。こちらの、13道県の実施状況でございますけれども、まず遠隔授業におけるICT活用方法については、受信側の教室で2台以上の大型提示措置を利用している、複数台の大型提示装置の活用が一般的な状況となっていると。
 そして、1人1台端末の活用もなされているところでございますけれども、それについて、資料の提示として活用しているパターン、そして、生徒の一人一台端末を活用して生徒の見取りを行っているパターン、そして、その一人一台端末を使って対話的な学びを活用しているパターン、それぞれのパターンがございまして、その段階に応じて利用実態が少し変わっているというデータでございます。
 そして、遠隔授業に適している教科・科目について、まず、実践されている状況でございますけれども、数学、理科、外国語、地理歴史、芸術、公民の順で、遠隔授業の取組数が今のところ実証校においては多いという状況になってございます。これらの教科・科目で主に遠隔授業事業が利用されている理由について、数学、外国語では、習熟度別の指導のニーズ、理科、地理歴史、公民では、より専門性の高い教員からの指導のニーズ、そして芸術、情報では、免許外の教科担任制度を解消するためというところで活用されているというところでございます。
 実際に遠隔授業を実践した教師の意見でございます。細かくは下に書いてございますけれども、大きくは四角囲みのところでございます。体育など実施困難な教科があったり、また、実験、実習、実技の指導は別途対応が必要であったりするものの、多くの教科・科目で遠隔授業は実施可能ではないかという意見が多く出てございます。そして、遠隔授業が効果的な教科・科目としては、一つは対象生徒数が少ないもの、そして自立した生徒を対象とするもの、そして実験や実技が少ないもの、こうしたものが適しているのではないか、そうした意見が上がっているところでございます。
 遠隔授業に適している規模について、比較的小規模での実施が多いという状況でございまして、生徒数は10人以下が約6割、20人以下が約8割というところでございます。
 生徒数の状況によって、生徒の見取りというのは変わってくるというところがございまして、上のほうに細かく書いてございますけれども、大型ディスプレイ越しに生徒を見取るのか、1人1台端末を通して1人を見取るのか、そして受信校側が配信校側と協力しながら見取りを行うのか、そうしたところの意見を集約すると、下の図にあるように、大型ディスプレイ越しと1人1台端末、そして受信校側の教員の協力を得る、それぞれの形で見取り可能な生徒数というのは変わってくるだろうというところで、それぞれ最大5名、最大20名最大40名というように、これはあくまでもおおよその目安でございますけれども、そうした意見が出ているところでございます。
 また、遠隔授業における対面指導について、遠隔授業は対面により授業を行うことも現行制度上必要でございまして、基本的には年間2単位時間以上行っていただくことが原則になってございまして、いつ対面指導すべきかについては、生徒の関係性構築のために、4月、5月頃に対面授業を行って、直接コミュニケーションを図ることが望ましいという意見が出ております。また、実験・実技等は対面指導の際にまとめて実施するということも上がっているところでございます。
 実際に遠隔授業を実施した教師の意見としましては、対面でないことから生徒と先生の距離が遠く感じる、一対一で会話ができない、向こうの様子を必ずしも見きれない、居眠りをする生徒がいた場合には画面越しの指導は難しい、そうしたところの課題はございます。また、これらの課題を改善するべく、人間関係の構築をしていく、実際に対面を取り入れることで授業の質が上がるという意見も出ているところでございます。
 下のほうに※で書いておりますけれども、他方でそれ以外の意見もございまして、配信センターから受信校の距離が遠い場合に、出張をする必要がありますけれども、その負担が大きくて、授業配信が困難な例もあると。一定の要件のもとでは対面授業をなくても可としてもいいのではないか、そうした意見も上がっているところではございます。
 続きまして、受信校で授業に誰が立ち会うべきかについて、この事業上では、現状、受信側に教員以外の職員が配置されている例は3割ぐらいにとどまっているところでございます。また、立会者が行っている作業で、色つきのタスクというものは教員でないと難しいが、逆に、色のない白抜きのものについては教員ではなく職員でもいいのではないか、そうした意見が上がっているところでございます。実際にそれぞれ細かく個別の教員側からの意見というのも載せておりますので、説明は割愛させていただきますけれども、適宜御参照いただけたらと思います。
 そして、どこから授業を配信すべきかについて、配信センターから各学校に授業を配信するパターンと、学校同士でつないで配信するパターン、それぞれございます。配信センター型は北海道、岩手、新潟、愛知、高知、熊本と6道県で行われていて、学校間連携型がそれ以外のところで行われているところでございます。
 実際にそれぞれの教育委員会の意見を確認させていただきましたところ、学校間連携型を採用する地域でも、配信センター型を望ましいとする意見が多くございます。学校間連携だと配信校としてのメリットが見出しにくい、両校での時程の統一というのが必要になってしまう、他校への配慮が必要、配信教員が自校と受信校の兼務となって負担感が大きい、そうした課題があることから、配信センターの方を望ましいとする意見が上がっているところでございます。
 簡単ではございますけれども、説明は以上でございます。
 そして、資料8が岩本委員からの御提出の資料でございます。すみません、冒頭で御紹介をしそびれておりましたけれども、本日、岩本委員と塩瀬委員と冨塚委員が御欠席でございまして、うち岩本委員からは、今回の会議に向けて書面にて、少子化が加速する時期における高校教育の在り方に関して意見を上げていただいてございますので、適宜御参照いただけたらと思います。
 駆け足ではございますけれども、説明は以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 資料6の、「多様な生徒が学ぶ高等学校のこれからの在り方について」という文書は、これまでの議論をおまとめいただいたものであります。これにつきまして、また御意見をいただければと思います。
 それから、資料の7の「COREハイスクール・ネットワーク構想における遠隔授業に関わる調査研究の成果」、これも今、大変丁寧に御説明いただきましたが、いろいろな点でICTを活用することによって、生徒がどこにいるかという条件を超えることができるという一つの証明ではないかと思います。これは委員の濱田先生のところもやっていただいているわけですので、また後ほど御紹介をいただければと思います。
 それでは、どなたからでも御意見をお願いしたいと思います。こちら、会場にいらっしゃる方は、名札を立てていただくということでお願いします。それから、オンラインの方は「手を挙げる」ボタンですけれども、どうぞお願いいたします。
 岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】  共通性と多様性の議論をしていた中で、制度に関するところに関しては少し見えてきた部分があるのですけれども、学校の体制のところに関しての共通性と多様性というのもまた必要なのかなと思っております。本当に都道府県ベースもしくは市町村ベースで違ったりすると思うので。先ほどCOREハイスクールのところでもいくつかあったので、共通性・多様性のところで、少なくともこういうことは進めていったほうがいいという共通性の部分と、多様性の部分においては、もしある条件下になったときはこういうところを、このような条件を基にして中山間や離島などの地域ではやりましょうというような、何かそういう具体的な条件出しや議論を行いたいなというのと、あとは、資料6の9番目のこれを知りたいのですけれども、学校が生徒の多様な学習ニーズに対応し切れていないといった課題があるとここに示してあるんですけれども、これは具体的な何か内容みたいなものというのは集計されているんですか。何となくそうだと思うんですけれども、どういうニーズが上がっているのかというのがもしデータとしてあれば、知りたいなと思ったんですけれども。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。これ、データって今、具体に何か出せるものってありますか。
【田中参事官】  御指摘ありがとうございます。今ここで書いているものは、結論から言うと、何らかの具体のデータを基にというものではございません。特に地理的なハンデのある小規模校とかでは、教科・科目が高校の場合は全部合わせると200以上あると言われておりますけれども、どうしても教員配置の限界などから、その高校でいろいろな関心がある生徒が集まっても、数多くの教科・科目を教えられるかというと、そうではないという現状はあるだろうという、若干定性的なところから案として書かせていただいたものでございます。
【岡本委員】  こういうのはニーズがなかなか見えにくい部分があって、例えばもう諦めて入学している場合もあれば、もうここの学校になったからここはもう無理だよねと思って行ってしまっている場合だったりとか、どういうニーズがあるのかってどうやったら調べられるか分からない、中学校の段階で行えば良いのか分からないですけれども、これって要は生徒が主語でという話が結構あったので、知らない間に諦めて声を出せなくてそのまま進めてしまっているということはあると思うので、何かここはもう少し知りたいなと個人的に思ったわけです。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。今のお話、これは実際にCOREハイスクール・ネットワークをする上で、生徒の希望って聞いているんですよ。そういうところでいうと見えるものもあるんですけれども、ただ、実は生徒が諦めるというよりも、そもそも希望するためにはいろいろなことを知っていないと駄目ですよね。こんなことができるはずだ、あんなことができるはずだという。そういう情報というか、あるいは生徒自身の自分の希望の発掘というか、そこは十分では多分ないのではないでしょうか。だから分からないので、何か用意されたら、あ、こんなのがあるのかというので、そこで初めて気づくという、そんなケースのほうが多いと思いますので、だからよほど小学校・中学校の間にいろいろな学びをやっていて、高校に行ったらないので、何でこれできないのということになる。持っている経験とか知識というのは非常に大きいと思いますね。それが多分乏しい状態だと思うんです。だから希望が出ない。出ないと我々も気がつかない。我々というか、学校も教育委員会も気がつかないという、そういう感じじゃないですかね。
【岡本委員】  そちらのほうが何か深刻な感じはしますよね。
【荒瀬主査】  そうです。どちらかというとそっちのほうが。
【岡本委員】  確かにそうですね。そういう選択肢がないと思っていますものね。
【荒瀬主査】  そうですね。だから、ここにいるならこれがもう全てだと、100%だと思って。
【岡本委員】  知らない間にそういう差はスタートのところからあるんですよね。
【荒瀬主査】  はい。だからそれは相当深刻な格差というのが実はあるんだと思います。
【岡本委員】  ありがとうございます。
【荒瀬主査】  今のお話も大変重要な点で、じゃあ学校の体制としてどういうことをやっていくのが必要なのかとか、生徒自身がどう希望できるようにしていくのかという、そういった点も難しいですけれども考えていく必要があると思いました。ありがとうございます。
 沖山委員、お願いいたします。
【沖山委員】  よろしくお願いします。今の岡本委員のお話にも関連すると思うのですが、改めて資料6を今回読み直して、これまでの議論というか、話題がきちんと整理されていると思いました。ただ今回、改めて振り返ってみると、このワーキンググループが学校の在り方をめぐるものであるので、これは当然なのですけれども、学校の在り方が「学校のことのみ」で論じられているという印象がしました。今、岡本委員からも、学校が多様なニーズに対応し切れていないのではないかとかいうお話もありましたが、学校が生徒の多様なニーズに全て応えるというのは無理な話であって、学校ができること、できないことということはあるわけで、そういった意味では、学校外の例えばフリースクールであるとか様々な支援機関であるとか、社会の中には様々な資源がありますけれども、そういう学校外の機関とか仕組みとの連携みたいなことと学校の在り方ということが論じられていくべきじゃないのかなという印象です。ですから、この後、そうした議論が必要だと考えます。
 ちなみに東京都では、今年度から16校において校内別室指導推進事業が始まり、本校においても結構な予算を充てていただいて、別室指導が6月の中旬から始まりました。まだまだ本当に手探りで動き始めたばかりですけれども、私たちの学校は、校内のフリースクールという位置づけで別室の指導、つまり教室以外の学びを推進していこうということで取組を進めています。学校の教員ばかりで別室の指導を担っていくのではなくて、私の発想としては、全く学校の教員はタッチしないで、別室の中における支援については地域の人材を活用して、100%その人たちで生徒支援してもらうと。学校が引き受けるべきところは、別室の中における学びをどのように成果として認定していくか、出席扱いや単位認定をしていくかということは、学校が引き受けて考えなきゃならないことですが、別室の運営は学校の教員だけで回していくのではないという発想で今進めていこうとしているところです。そういった意味で、学校の在り方を論じるという視点の中に、学校外の機関との連携みたいなところも落とし込まれるべきじゃないかなと感じました。すみません、長くなりました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。ちょっとお尋ねしたいんですけれども、学校内のフリースクールということで、学校の先生はノータッチだということはよく分かりました。ただ、それを出席扱いにするとか単位認定をしていくということでいうと、それって学校内のフリースクールなのか、学校の中の取組なのか、その辺のどういう位置づけになっているのか、もっと言うと、単位認定とか出席扱いがとれるように東京都が認めていらっしゃるということの理解でよろしいですか。
【沖山委員】  説明が十分でなくてすみません。どこまで言っていいのかなと思いますが、方針としては、別室での学びということが、例えば教室の中から授業をオンラインで配信して、それを別室にいる生徒が受信して学んだとしても、それを授業の出席扱いにはできません。だけれども、別室において様々な方法を使って学習していった努力の成果は学校の判断で単位認定を積極的にしていきなさいという目標で、各校の工夫で今取り組んでいるところです。
 したがって、別室で勉強しているということが授業の出席の代わりにはならないけれどもそれを単位認定するというのは、現在ある「学校外の学修認定」の仕組みの一環と認めることができるように別室での学びが中身のきちんとあるものだ、努力の成果として認めることができるものとして認定できる取組にしていくことに、今、各学校が苦労しています。どういう学習ならば、どういう成果が上がったならば、それを学校が単位認定してあげられるかというところで、それは16校各校によって全然違うと思います。中には一切を単位認定はできないと考えている学校も、実態としてはあります。
【荒瀬主査】  すみません、私ばかり聞いていて申し訳ないですが、これって一体何のためにやっている取組になるんですか。結局学校の教室の中には入れないけれども、その子たちの学びをちゃんと認めて単位認定していくということであれば、単位認定できないと言っている学校は趣旨から何かずれているような気がしたりするんですが、どうでしょうか。
【沖山委員】  単位認定できないというか、どのように単位認定するかということが、まだ校内的に合意ができないという学校もあるということです。実際動き出したのは今年度に入ってからですから、それはまだまだ学校が議論しているところだということなので、いずれ最終的には、どういう形であっても単位認定していくところに揃ってくると思うのですが、まだ手探りで検討しているという段階です。
【荒瀬主査】  なるほど。こんなことを言い出すとややこしくなってしまうかもしれないんですが、留学の単位って単純明快に認めているんですよね。何やっているかって全然中身分からないのに。出席しているかどうかも実のところ分からないですよね。1年行っていましたと言ったら認定して卒業できるようにしているわけですからね。それは認めているわけです。
 だから我々の議論自体は、いろいろな学び方があるだろうと。学ぶということと学校で教室の中でしか学べないということとは違うだろうという議論をしてきたわけですよね。そういう流れの中で考えていくということを、これからも多分、メンバーは変わらないわけですから、続けていくと思うんですけれども、その際に、何か具体的なそれぞれの学校の取組とあまり乖離したところで議論していても、それって何か絵空事になりますよね。その辺も十分注意しながら、今、沖山先生におっしゃっていただいたような具体的な教育委員会の取組、現場の取組みたいなものも参考にしながら議論をしていく必要があるなということを改めて思いました。すみません。
 では、会場のほうで清水委員が手を挙げてくださっているのと、田村委員も手を挙げてくださっているので、清水委員、田村委員の順にお願いをいたします。よろしいでしょうか。では、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】  お願いいたします。清水です。資料4の最後のページのスライド6についてですが、この中に、国内外の関係機関とも連携・協働したという記載があります。資料6にある「社会・職業への円滑な移行に必要な力」をどのような関係機関と連携・協働することが考えられるかなどもう少し具体的なものが必要なのかなという気もいたしました。コアを構成する重要な力だということで力強く訴えているわけですので、この辺の社会・職業への円滑な移行に必要の力というものをどう身につけさせられるのか、どこと協働することによって身につけさせるのかということは、もう少し議論が必要だろうと思いました。市民性については場合によるとこれまで取り組んできた内容でもかなり対応ができているように思いますけれども、コアを構成する重要な力ということをうたっているわけですので、この2つについてもう少し議論を進めながら、すばらしい事例があれば御紹介もいただけるとありがたいなとも感じたところです。
 もう1点、資料7のことでもよろしいですか。こちらの遠隔教育に適している教科・科目、これらの実践数ということで、赤枠で囲われた状態で記載されているわけですが、赤枠で囲ったところが適していると受け取れるものなのか、全部が適しているんだけれども実践数はこういう状況であるということなのか、少し教えていただきたいなということと、あと、ここはなぜこの差が起こってしまっているんだろうかと。例えば数学などかなりの実践数が高くなっていますが専門性が本来高い教科・科目はもっと遠隔授業の実践があってもおかしくないのかなと思ったんですが、何でこのような差が起こってしまっているんだろうかというところを検討すべきというか、確認をしておくべきかなと思いましたので、もしお分かりになれば教えていただければなと思います。場合によると教員の積極性の問題なのか、なかなか相手が見つからなかったとかいうようなことなのかどうなのかというところも少し疑問に思ったところなので、御教示いただければと思います。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。2つ目のほうは。
【田中参事官】  御質問ありがとうございます。御質問いただいたところは、資料7の2ページ目にある、要は実践校での実践の結果、取組の結果というのを4ページに集約しているものでありまして、これが適しているかどうかという判断は、これだけでは単独にはできません。実際に行われている取組が多いと。これに関しましては、文部科学省のほうから、この教科がいいだろうとか、この教科をやるべきだと示しているわけではありませんので、この13の教育委員会さんの、恐らく現場の学校とも意見交換した上でやってみようというものがこれだったという、その結果というものであります。ですから、必ずしも適否を表しているわけではありません。
 その下、5ページのほうに理由というのは書いていますので、ここからなぜこれが上がってきたのかが見えてきますけれども、例えば数学などについていいますと、5ページのほうで習熟度というのがありまして、一般的に数学というのはそういう習熟の差が生じやすい可能性が実際高いのだろうとか、あるいは例えば社会科でいうと、これはどうしても免許との関係で、地理歴史を持っても、理科もそうですけれども、実際にはそれぞれの先生に得意とする教科があるので、免許上は教えられても苦手意識があったりするときに、遠隔でほかの学校あるいは配信センターの授業を受けたほうがいいのではないかと、そういうニーズがあるだろうということで、各教育委員会でニーズがあるというものが取組数として表れてきているというものでございます。ですから、これが適否ではありませんが、考え方としては、教育委員会において、ニーズがあると思ったものがそのまま上がってきていると、そのように捉えていただいてよいかと思います。
【清水委員】  ありがとうございます。
【荒瀬主査】  むしろタイトルが問題。
【田中参事官】  すみません。それはタイトルが確かに「適している」と書いていますので、それは結果として適しているというよりは、ニーズがあったと。手を挙げた教育委員会・学校からニーズがあったと確かに書いたほうが正しかったかとは思います。申し訳ありませんでした。
【荒瀬主査】  今、田中さんおっしゃったように、教育委員会とか学校からのニーズであって、これはさっきの岡本さんの話とも関わるんですが、生徒のニーズかどうかというのは必ずしも言えないところが実はあるんですよね。ただ、段取りでいうと、生徒にはどんなニーズがありますかということを教育委員会や学校に尋ねた上でやっているんですが、私のこれは印象ですけれども、どちらかというと学校として習熟度をしたいとか受験対応したいとかいうところがあるんじゃないかと。この辺り、具体は濱田委員が実際やっておられるので一番詳しいと思います。後ほどまたお話しいただければと思いますが。
 清水先生、どうぞ。
【清水委員】  遠隔授業については、生徒の人数、そういったことも非常に重要ですけれども、かなり学校現場で教員が足りないという、厳しいという状況が、かなりもう起こってしまっていて、場合によると協働しながら事業展開をしていかないと追いつかなくなってしまうのではないかというところまで来ているんじゃないかなと思っていますので、この取組をうまくそういったところにも反映させられれば、教員不足の少し解消にもつながってもらえるんじゃないかなという期待を込めて、そんなことも発言させていただきました。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
【岡本委員】  すみません、ちょっといいですか。関連するので。この事業って、単位認定するかどうかの授業の話をしていると思うのですけれども、いろいろな学校を回っていく中で感じることとして、スクールカウンセラーとかあの辺の部分が、地方に行けば行くほど、あまりいなかったりだとか頻度が低かったりだとかということも結構あって、例えばLGBTの子とかが、僕が行くと大体声をかけてくれるんです。そうすると、学校内に相談できる場所がないということはすごい数聞こえてきていて、そのときによく考えるのが、サードプレースというか、学校に関係し過ぎる人の中に対しては言いにくかったりだとか相談しにくかったりしていて、スクールカウンセラーの方もいいんですけれども、そうすると学校に知れちゃうという怖い感情があるみたいで、そのときに、こういう学校は関係しているけれども遠くにいる人たちのカウンセリングが受けられたりするとすごくいいのかなとも思ったので、追加として、すみません。
【荒瀬主査】  今の話は大変重要な話だと思いますので、ただ、その際、きっと考えなければいけないのは、学校でどこまでやるのかという話も併せて考えていく必要があると思うんですけれども、しかし現状、今、実態として、そういう子供たちに対する対応ができているかできていないかというと、おっしゃるようにできていないんでしょうから、それを学校で引き受けるのか、あるいは学校で引き受けないで、もっと外に持っていって紹介するのかといった、その辺の、しかし学校としての対応は考える必要がありますよね。
【岡本委員】  そうですね。日常ですからね。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 では、手を挙げてくださっている方、ほかにいらっしゃるので、すみません、田村先生、お待たせしました。お願いいたします。
【田村主査代理】  田村です。よろしくお願いいたします。大きくは2点、細かく言うと4点申し上げたいと思います。
 まず1点目ですけれども、全ての生徒が共通に身につけるべき資質・能力、コアを構成する重要な柱、2本示されているんですけれども、これらのうちの「社会・職業への移行」というところについて、1点考えていることを申し述べたいと思います。
 「社会・職業への移行」といったときに、それが高校卒業した後の1回だけという捉え方にならないように我々は気をつけないといけないなと思います。『ホモ・サピエンス』を書いたユヴァル・ノア・ハラリさんが『21 Lessons』の中で言っていらっしゃいますけれども、人生100年以上生きる時代において、そして職業がこれから10年後も大きく変わると言われていますけれども、それが1回10年後に変わるだけじゃなくて、その後の10年後にまた変わり、また10年後にで変わりというように、絶えず職業が大きく変わるかもしれない、そういった中で、新たな職業、そういったものに移行していくということに対応する力という意味でも、ここの一つの柱というのは考えられるのではないかと思います。そうしたときに必要なのは、例えばレジリエンスであったり、柔軟性であったり、変化に対して面白がったり、あるいは希望を持ち続けたりするといった力、そして学び続ける力などが必要だと思います。そういうときには、先ほど、生徒たち何があるかまず分かっていないという話が述べられていましたが、これは大人になってもそうで、学び続けるためにはどこにアクセスしたらいいんだろうとか、どうやって情報を得たらいいんだろうという、人とつながったり教育とつながったりするそういう力というのも、この「社会・職業への移行」というか、それを続けていくという、そういう意味で必要なのではないかなと思いました。それが1点目です。
 大きい話の2点目ですけれども、今回改めていろいろと読み返してみますと、令和答申の中で、学校の福祉機能ということについて触れられておりました。確かにコロナの経験で、福祉機能というものが求められるというのは分かるのですが、学校は本来的には学習権の保障というのが一義的な目的を持った機関であろうと考えます。もちろん学校は、先ほどの話にもありました生徒の日常ですから、子供たちの福祉につなげていくセーフティーネットとして大きな役割を果たすことは間違いないですけれども、その際、岩本委員の資料にあるように、福祉機関との強固な連携といった形で、教員が担うべきところと、ほかの機関としっかり連携する部分というのを併せて考えていくということが必要かと思います。
 そして、学習権の保障についてですけれども、学校に行くということには大きく2つ理由があるかと思いますけれども、1つは単位を認定して卒業資格を取って、その後の社会で生きていくための資格を取るという意味、そしてもう1つが、学びを実質化して、実質的に資質・能力をつけてというものです。この両者が本当はイコールでないといけないと思います。下位の話になっていきますけれども、その学びの実質化について、今、本当に少子化であるとか、それからテクノロジーの進化によって、新たな学びの方法というのが開発されている。それがCOREネット・ハイスクールの話にもなってくると思うんですが、そうした場合、現場が開発に取り組んでくださる、そしてそこで得られた知見を適用していくためには、条件を緩和していく方向での制度の改正が出てくるかと思うんですが、その際に注意が必要かと思います。つまり、開発の際に様々な細やかな配慮をしながら取り組むと思うのですが、新たな仕組みが制度化された後で運用していく際、その仕組みを適用していく学校において、正しく開発の意図であるとか効能であるとかといったものを維持できるように、制度を運用していくために何らかの歯止めというものも併せて考えていくということが必要かと思います。
 特に個別最適な学びということが令和答申で強調されているんですけれども、学校のよさというのは、それが対面であろうとオンラインであろうと、人が人とともに学ぶということであり、個別最適というのが、例えばオンデマンドであったりAIドリルのように、もちろん令和答申の中でも孤立的な学びにならないようにということがしっかりと書かれているわけですけれども、人と学ぶ中でも個別最適な学びがあるというところですので、人が人とともに学ぶ機会を、たとえオンラインを使うにしても、どのように保障していくかということを、常に考えていく必要があるかと思います。以上でございます。長くなりました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。先ほどの資料6をさらに補強するというんでしょうか、深めていく上で、大変重要なお話でありました。特に働き方改革との関係でいうと、どこまで学校がやるのか、あるいは外とつながることによって学校から外に出していくのかという、これをつなげるということは本当に働き方改革を進める上で非常に重要な話ですので、非常に大事なことを言っていただきました。ありがとうございました。
 では、この後、石崎委員、濱田委員、鍛冶田委員、青木委員も手を挙げてくださって、石崎委員、濱田委員、鍛冶田委員、青木委員の順でお願いしたいと思います。石崎委員、お願いします。
【石崎委員】  よろしくお願いいたします。2つ大きくお話しさせてください。1つは資料7の遠隔授業の関係ですけれども、いろいろな地域だとか教職員の事情だとかといって、遠隔教育を充実させていこうという趣旨は分かるんですけれども、遠隔教育でやった場合と対面教育で授業をやった場合の学びの成果というか、もうちょっと平たく言うと学力に同じような成果が得られているのか、それとも差異があるのかといったような、そういう検証というのはあるんでしょうか。もしあれば教えていただきたいですし、ないのであれば、そういったことをしっかりと検証していく必要があるのではないかと思います。具体的に言えば、遠隔教育で対面教育と同じ成果が得られるのかどうかというところはしっかり押さえておく必要があると考えます。さもないと、地域によって教育格差につながっていくおそれも出てくるんじゃないかと心配しております。それが第1点です。
 それから第2点は、資料の6ですけれども、資料の6で、特に高等学校の共通する部分で最低限学ばなきゃいけないことは何かというところを押さえるべきだと思います。これまでの会議でも申し上げたかもしれないんですけれども、全体的に資料6が、最低限やらなきゃいけないことは何かというよりは、こういったことが必要です、学びの充実を図っていくことが大事ですというトーンになっていて、今、本当にこれがメッセージとして出すものなのかなと。今、求められているのは、私は出ていないですけれども、別の部会でも緊急のメッセージを出されるそうですけれども、高校で最低限やらなきゃいけないことはこれだけですということだと思います。さっき荒瀬先生もおっしゃっていましたけれども、こういったことは学校の中でできるんでしょうか、できないんでしょうかというところもしっかりと打ち出していって、高等学校の中で最低限共通性としてやることはこれだけですということを明確に出していくことが必要じゃないかと思います。学びの充実という言葉は聞こえはいいんですけれども、学びの充実って学ぶことが増えていくイメージしかないんですよね。だからまたそれで「〇〇教育」が増えていくということにつながったのでは元も子もないとは言いませんけれども、今の求められているものとは違うのかなという気もするので、そういった検証が必要だと思います。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。1つ目におっしゃった、具体的にオンラインでやっている、遠隔でやっていることの成果がどうなのかというのは、これはCOREハイスクール・ネットワーク事業の中でも出しているところですし、後から、濱田先生、この次、御発言いただく際に、高知県でどういったことがあるのかというのも、大変申し訳ありませんが、併せておっしゃっていただきたいと思います。
 2つ目の最低限というのは、これはなかなか、石崎先生、難しい、これは本当にいろいろと議論していく必要があるということも思いました。ありがとうございます。
 では、濱田委員、お願いいたします。
【濱田委員】  よろしくお願いいたします。私のほうからは、2点お願いをしたいと思います。まず、1つは先ほどの遠隔授業に関してです。学校の希望なのか生徒たちの希望なのかという話でしたけれども、そもそも本県でやっている遠隔授業というのは、少子化が加速する地域においては、生徒数や学級規模によって教員数が配置されていることから、それによって例えば自分が大学に行きたい、受験科目が必要だ、物理とか数Ⅲが必要だといったときに、その学校では講座が成り立たない。そのために県としては、どこにいても一律同じような公教育を提供するために遠隔授業を使うということで始めています。ですので、本県にとって、小規模高校で子供たちが学んでいくためには、その子たちの進路保障が大事であって、その進路保障のためには今の遠隔授業はなくてはならないということです。
 したがって本県にとっては、全ての地域に公平に公教育を提供できる遠隔授業、それが大事ということです。次に、対面の授業がいいのか、遠隔授業がいいのかという話になると、それは対面授業がいいわけですけれども、小規模校にあっては対面の授業が成り立たないので、一律に、教育センターに設置している配信センターから、物理や数Ⅲ、たった1人や2人の生徒のために授業を配信しています。それによって子供たちが、小規模校であっても自分の望みをかなえることができるということが、今、高知県で行われています。高知県だけではなくて、他県でもそのような状況だろうと思います。ですから、同時双方向型の遠隔授業については、ぜひ、本県のような地域にとっては必要不可欠ですし、一定、遠隔授業の効果とかシステムも構築されているところですから、どんどん拡充というか、推進をしていただきたいとお願いしたいと思います。
 それから2点目は、資料6の6番のところに、「総合的な探究の時間」を教育課程の基軸に加えて、各教科・科目との相互作用を強めていくというところがございます。私も非常にこれが大事だと思っていまして、ただ、それと同時に、これを行うためにはカリキュラムマネジメントが必要で、それと同時に、「総合的な探究の時間」の中だけで探究するのではなくて、各教科の科目の中で一律AIとかICTを使えば、もうちょっと知識理解のところは短縮化できるはずなので、1年間の中で個別の探究的な学びの時間を増やすとか、そういったカリキュラムマネジメントを徹底してやっていただきたいということをお願いしたいと思います。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。2つ目の話はあれですよね。それこそ各学校で設定される「総合的な探究の時間」の中身に関わる話ですので、これはそういったことをぜひ皆さん頑張ってやっていきましょうねというアピールをするということかと思いますが、1つ目のお話、濱田先生、どうですか。実際見ていらっしゃって、とても言いにくいお話だったと思うんですが、対面か遠隔かと言われると、対面がいいに決まっているけれども、でも成立しないんだから仕方がないんじゃないか、仕方がないんじゃないかとはおっしゃっていませんが、そういう中で少しでも条件を整えるということで意味があるということですよね。
【濱田委員】  意味がある。高等学校もそもそも義務教育化していますので、そうすると、どこにいても生徒のいる場所で、生徒数や学級規模とか地域の状況に関わらず、一律公平な授業とか教育課程を提供できる仕組みというのが必要で、それはまさしく本県がやっている、北海道でもやっている遠隔教育だと認識しております。
【荒瀬主査】  だからそれはとても大事なことをやっていただいているというのはもう十分理解しつつ、本来でしたら、学びたいという子がいるなら、いかにして学べるような状況にするのかというときに、オンラインでなく先生を配置するという、それこそ定数法であるとか、そこを変えていくということができれば一番いいわけですよね。たとえ1人しかいないんだけれどもやるんだ、学校として設置している間はやるんだみたいな、それぐらいの発想で、そこには金をかけるんだとなればいいんですけれども、残念ながらそうはなっていない、そうはいかないというので、実際の対応策を探すしかない。少し残念な気がしますが。
【濱田委員】  それと、先ほど、すみません、対面授業のほうがよいと言ったのは、本県の遠隔授業、北海道でもやっている遠隔授業を見ていただいたら、それから、どんどんこれからデジタル化が進んでいきますでしょうから、さらに大型のプロジェクターの中で同時双方向型だと、結構教室にいると同じような感覚では授業が学べるんですよね。だけれども、それを例えば40人を相手にしてどうですかと言われると、それは対面のほうが当然、机間指導もできますし、いろいろなところで目配り、気配りできるでしょう。ですけれども、十分、今の大型プロジェクター双方型、それから1人1台タブレットによる見取りによって、かなりの授業、我々の考えているような授業に近くなっているし、それを違和感なくやっているという感じであります。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。高知県のやっていらっしゃることに対して何か言っているわけじゃなくて、むしろ、国に対してもっと金かけられるようにしないと駄目じゃないですかということを言いたいということです。
【濱田委員】  私も一つだけお願いがあるんですよ。この拠点型の配信センターの、岩本委員の中にもありましたけれども、法的に位置づけを明確にすることは、ぜひ進めてやっていただきたいとお願いします。
【荒瀬主査】  それはまたCOREハイスクール・ネットワークの事業のほうで、明確化されていないところの不利益というんでしょうか、デメリット等について、ぜひおっしゃっていただいて、また向こうのほうでも検討していくということができればと思います。よろしくお願いします。
【濱田委員】  ありがとうございました。長くなりまして、すみません。
【荒瀬主査】  いえいえ。ちなみに高知県は農業の授業の配信なんかもなさっていて、カメラをつけた先生が農場に入っていって、土触って、植物触って、それを生徒がじーっと見ていて、ものすごいんですよ。これ、もっと進んでいくと、土触った感触は、もちろん偽物ではありますけれども、得られるような。これ、実際医学部なんかで、心臓って触れないじゃないですか。心臓に触っているかのような感触を医学生に持たせて、そうしておかないと実際に手術のときに困るからという、そんなのをやっているのと同じようなことを、農業を学ぶ生徒たちに何かできるとかいうようなことができていくと、本物ではないですけれども相当な体験ができていくと思いますし、そういった技術も一方で開発を進めつつ、でも根本的にそれもお金かかるので、本当にお金かけるようにしていくことで、これは何も文科省が悪いというわけではなくて、文科省の皆さん頑張ってくださいね、私たちも言いますしという感じになると思うんですけれども。すみません、余計なこと言いました。
 では、鍛冶田委員、お願いいたします。
【鍛冶田委員】  鍛冶田です。資料6の5について、共通して取り組むべき重要な課題について拝見していました。一人一人の生徒の個々の成長について、非常によく書かれていると思っているんですが、田村委員もおっしゃったように、人と人がつながる力とか、人間関係を構築する力とか、こういったものが、多様性を受け入れるだけじゃなくて、一緒にやっていく、一緒に生きていくというのが、これからの地域社会・国際社会で必要ではないかと思っています。この部分は特別活動の中でも吸収できるところがあるかと思っていまして、特別活動についてほとんど話をされていないんですが、ここの在り方、人との関係性のところについては重要な部分があるのではないかと思いました。
 7の教師の資質・能力の向上があって、これが上がると多くのことが改善すると思っています。でも、先ほど清水委員もおっしゃったように、教員不足であることや、求められることが非常に多くて、教員は苦しんでいる。分掌の分散化ができないかとか、チームでやれないとか思ったりはするんですが、意識を変えるというところで、せめて呼び捨てをしないとか、男女ともにさん付けするだけで随分変わっていくんじゃないか。各論にはなりますが、何々と呼び捨てすると「持ってこい」になりますけれども、何々さんというと、「持ってきなさい」、「持ってきてください」になるので、仕事量が増えるわけではなく、意識を変えるだけで随分生徒たちにとって安心できる学校になっていくのではないかと思います。先日も、男女でグループ分けてくださいと何気なく言った教員の言葉で、LGBTQの子がつらかったということで後で訴えてきてしまって、配慮がなかったこともありました。
 3番目で、7のところで、コーディネーターの配置に関しまして、岩本委員が法令上の位置づけを何とかしないといけないと書かれていましたが、コーディネーターの質・能力、役割の明確化が要るかと思っています。コーディネーターが頑張ってやろうと思っていても、教員にとったら急に入ってきた人に、何をやってもらったらいいんだろうとか、うまく協働していける形の役割の明確化が必要だと思いました。
 最後に、どこまで学校でやるかという話が先ほども出ておりましたが、医療・福祉につなぐところまで非常に大変ですし、つないでからもずっと学校も関わっていきますので、本校ではSSWを今年はフルタイムで雇いました。でないと担任も教頭も責任者も非常に苦しい状況になります。そういったことが各校で起きているのではないかと思います。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。1つ目の部分、特別活動の中でというのは、これは本当に大事な話で、多分そこを意識していただいて、4番のところでキャリア教育について書いていただいていますけれども、キャリア教育は特別活動を軸としてやっていくという記述が学習指導要領なんかにもあったかと思いますが、要はいかにして人とつながるか、物とつながるか、自分の学びを自分でデザインするか、その辺りも相当キャリア教育と関わるところなので、もう少し書き込むというんでしょうか、丁寧に説明をしていく方向が大事なのかなと思いました。ありがとうございました。
 スクールソーシャルワーカーとかこういったことは、さっき石崎先生がおっしゃっていた、別の会で緊急提言が行われるようだけれどもというのは、要は先生不足と、それから先生の資質・能力をどう上げていくかということで、新しく中教審に諮問があってつくられた特別部会で緊急提言を出さないといけないという話が今会議の場で出ているわけですけれども、その中で非常に重要なポイントというのは、学校の取組を支援する体制をいかにつくっていくかということで、これまでは学校に対してああしろこうしろということがどちらかというと強かったように思うんですけれども、そういう意味でいうと、スクールソーシャルワーカーのフルタイムというのは非常に大事なことかと思います。それによって教師は教師の仕事をしっかりやっていくということができるようにもなると思いますので、大変重要な点を御指摘いただいたと思います。ありがとうございました。
 では、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  青木です。よろしくお願いいたします。先ほども荒瀬主査が国の役割について踏み込んで御発言なさったので、私も大船に乗った気持ちで発言したいなと思います。
 資料の6ですけれども、7が非常に私の立場からするといい記述だなあと思っています。私、今、所属大学で部局の広報委員長をやっているので、出前授業のようなものをやっています。そうすると、先日も秋田県の、先方の御担当の先生が博士号教員という名称で、既に博士号を持っている方が採用されているという、そういう秋田県の取組があるということを知りました。そのように採用時点で大学院学歴を持っている方を採用するというのも一つの方法でしょうし、7で書いてあるように、働き方改革をきっちりした上で、すなわち学ぶ、あるいは学び直す時間的な余裕をつくった上で、言わば採用後のリスキリングをできるような職場環境・勤務環境というのを提供することで、積極的に大学院でまた学びたいという教員の思いがあれば、それに応えられるようにする。こういうような将来構想が書かれていると理解しましたので、非常にいいなと思いました。
 資料7について幾つか申し上げたいと思います。こうすべきというよりは、検討する方向性のようなニュアンスでお話ししたいと思いますが、1つ目は、今日頂いた資料7を見ると、どうも教科分立的な発想がまだ強いです。もちろん同時双方向型の現状からするとそうだと思うんですが、例えばラポール形成みたいなことも課題に出ていたわけなので、それは別途考える、同時双方向型のこういう仕組みを使いながらどうやってラポールを構築するかというのは、例えばホームルームをやればいいんじゃないかとか、そういうようなこともありますし、岡本委員がさっきおっしゃっていたカウンセリングというのも、こういうインフラを使って何ができるのかというのを考えたほうがいいかなと思いました。
 次ですが、配信教員の勤務状況が苛酷だということが書かれていましたので、そこから延長線上で考えると、資源が集中できるので、効率化は進むんだと思います。一方で、必要なところにちゃんとした資源が割り当てられるようにするという研究も必要で、ひいては、高校の標準法の在り方というのをどう考えるか。つまり、現状の高校標準法というのは、1校1校に先生が配置されていて、1校の中で仕事が完結するというモデルですから、そうじゃないことが今始まっているわけなので、どう教職員配置を考えるかというのは考えなきゃいけない課題だと思います。
 3番ですが、現状、県境を越えた配信というのは考えていないんだと思いますけれども、場合によっては、現状の1県完結主義というんじゃなくて、県境を越えて事務委託とかでやり切れるものであればやれるという仕組みの面での検討はしたほうがいいかなと思います。
 その次ですけれども、生徒のニーズというのは情報の非対称性があるから、なかなかニーズはすくい取れないというお話が冒頭ありました。私もそう思います。1校の完結型でカリキュラムが提供されるモデルで中学生は高校入試をやるわけなので、現状、今、高校の政策ではスクール・ポリシーなどを策定するように求めていますので、例えば入学前にカリキュラム説明会をするとか、スクール・ポリシーにどんな授業を保障するのかというのを、各校が、どのぐらい枠づけるかという問題はありますが、そういうようなことを考えてもいいかなと思いました。
 ここまでが同時双方向型の教育コンテンツの提供の話ですが、岩本委員の資料に触発されて1個だけ違うことを言いますと、放送インフラを使った教育活動の提供、教育コンテンツの提供以外に、例えば一定期間、拠点校的なところに滞在して、対面型で短期集中でやることによって効果がある教科とか単元があるんだったら、そういうものはそのようにやればいいし、例えば僻地なところで学校施設に余裕があれば、滞在施設を造って交流人口みたいなものを増やすというのも、地域おこし・地方創生的な観点からも十分検討の余地があるかなと思いました。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。1つ目で、資料6の7の秋田県の例をお示しいただいてお話がありました、学ぶとか学び直しとか採用後のリスキリングという話ですけれども、これはぜひ盛り込んでいけるといいなと思いました。具体的に別の特別部会のほうでも議論していく中で、その1回目のときにも出ていましたけれども、要は教員に時間をとか、教員がもっと学べるようにとかなってくると、何か先生のことばかり考えているみたいなイメージというのがどうもあります。しかし、、実はそれは回り回ってといいますか、相当直接的に、あまり回り回らずという場合もあるでしょうが、生徒の学びの豊かさにつながっていく。その意味でいうと、高等学校の教育をどうしていくのか、生徒たち一人一人を主語にする教育をどうしていくのかということを考えるときに、まさに先生がちゃんとそれができるような人でないと困るわけだし、質もそうだし、数もそうだし、あるいは働き方もそうだしという、そういうことを考えていくと、これ非常に重要な点だろうなと思いました。
 それと、これは今村委員がまた後からおっしゃっていただけるかもしれませんが、カウンセリングをオンラインを使ってやるというのは、多分、今村委員のところでやっていらっしゃると思います。そういうところで大変効果が上がっていると聞いていますので、ぜひ、次に御発言いただきますので、併せて御紹介いただければありがたいと思います。
 青木先生がおっしゃった県境を越えた検討というのは、これは実は話題には上がっていまして、最も進めば、放送センターみたいなというか、NHK学園か何かに日本高等学校みたいなのをつくって、それで全ての学校に配信するということもできなくはない話になってくることも可能性としてはあり得ます。ただ、この話と同時並行で絶対進めないといけないのは、対面でやることの意味は何なのかということです。実際に生徒たちが高等学校で何を学ぶのかというときに、知識を学ぶだけであるならば、ひょっとしたらもうオンラインでいいのかもしれないけれども、それだけではないものがあるんじゃないか。例えば、みんなで何か一つのものをつくっていくことであったりとか、議論を膝突き合わせてすることであるとか、相手の息遣いを感じながら話を聞くことであるとかという、そういったようなことも含めて、改めて高等学校って何をする場所だったんだろうということをしっかり配慮しつつ、おっしゃるように、できるところはやっていくということも大事かなと。
【青木委員】  御指摘ありがとうございます。私が県境を越えた教育コンテンツの提供といった場合に想定していたのは、オンデマンドの配信ではなくて、今回の同時双方向型の教育の提供ということを考えています。オンデマンドの配信を突き詰めると、先生がおっしゃるように一元化できてしまう可能性がありますので、そこは今は考えていないです。
【荒瀬主査】  すみません、私の発想の中には、同時双方向型で日本中の高校生が月曜の朝1時間目はこれやっていますみたいなことが、あるいは選択科目が用意されていてというのができることだって可能じゃないかなと思っていまして、だから私はややずれた発想をしているのかもしれませんが、オンデマンドではなくて同時双方向型でやろうと思えばできなくもないという気もしまして、よってそこに簡単に行ってしまわないで、高等学校は何する場所かというのをもう一度考える必要があるんじゃないかなと思ったので申し上げたのです。すみません。
【青木委員】  先生の構想力の広大さに、ちょっと今、圧倒されてしまいました。
【荒瀬主査】  いやいや、広大じゃなくて、これをすると本当に安く上がるんですよね。多分、本当に相当安く上がるので。ちょっと私が余計なことを言いました。すみません。
 今村委員、お願いいたします。
【今村委員】  ありがとうございます。発言させていただきます。今、荒瀬先生から振りをいただきましたので、まず、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど多様な支援者の方々を、これから特に高校においてもどのように充実させていくのかというところにおいての、資料からのつながりではないところでの発言ですけれども、発言させていただきます。
 まず、今のところ義務教育のほうが、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが充実して配置されているほうという実感を私としてはしているんですけれども、それであっても、各地、その財源が、ほぼ国費を使っていなくて自治体負担になっているという認識なので、かなりばらばらな配置になっているということが重要です。スクールカウンセラーもスクールソーシャルワーカーの人たちも、当然ながら専門職の方なので自分の生活をきちんと立てながら、自分のやりがいのある仕事がやれる場所で仕事を選びたいと思うわけなので、ほぼ非正規雇用に近いような形でのスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの方々が、都市部のフルタイム雇用に近い、特に名古屋市なんかは一つの中学校に指導主事級の雇用をして、平均年収700万で中学校に1人、スクールカウンセラーを配置しているという状況があるんですけれども、またスクールカウンセラーさんは何校かを回っているということで、あと家庭訪問支援員とか、かなり充実して配置している。ただ、これは財源がある地域で、特に市長さんの思いを持って配置されているということでそうなっているんですが、スクールカウンセラーの方々に聞くと、そういうところに引っ越してでもそういう仕事がしたいということをおっしゃる方が多くて、どうしても地方の地域、特に高校からは、高い支援ができる人たちがいなくなってしまうと。人によっては、車で3時間もかけて3時間帯在の学校でスクールカウンセラーを週に1回やって、また3時間かけて帰ってきても、本当にいい仕事ができなくて、先生とも関係性をつくれなくて、自分は何やっているんだろうと、次の年からは病院のカウンセラーになりましたなんていう声もよく若手の方からは聞く中で、いかに高い支援ができる方々を教育資源にしていくのかというところは、人材の取り合いという意味でもとても重要だし、子供にとって大切だと思います。
 そういう意味でも、国庫をきちんと使って、特にどのようにすれば心の支援を人材不足の地域でもきちんと充実させていけるのか、ここは国が手を入れていくべきところかと思っていまして、そのときに、本当に対面での支援だけではなくて、オンラインで、しかもカタリバのほうで実証しているのは、特に今年度からとある自治体と実証して踏み込んでしていくんですけれども、週に1回、この時間5時間スクールカウンセラーさんがいますよということではなくて、相談があったら予約を入れて24時間以内に対応ができますよという形のスクールカウンセラーさんの活用をリモートでやっていくということが、どのようにそこの地域に住むスクールカウンセラーさんとの連携でなし得るかというところを実験しようと思っています。そんなこともあり得るなと。
 これはスクールカウンセラーの話で、スクールソーシャルワーカーさんというのは今度、社会的資源といろいろなものをつないでいくという役目で、こっちがすごく手薄だということも問題意識を感じています。家庭に対して回り込んでいくということまではスクールカウンセラーさんはあまりなさらないんですけれども、家庭の様々な困難さがあって、困難な家庭ほど孤独になっているという中で、ヤングケアラーも探しづらいという意味では、スクールソーシャルワーカーこそ充実させていくということもとても大切で、ここも大変難しいんですけれども、オンラインでやること、対面でやること、もしかしたら資格を持っている、持っていないに関わらず、学校とオンラインとリアル、みんなが手をつなぎながら、どうにか生徒たちをサポートし、支えていくということにも、国費を使ってリソースを投入していくということはとても大切なことだと思います。これは何らかの形で方針として書いていただきたいなと思っています。
 あと、2つ目の論点ですけれども、資料6の10番目の「地理的状況や各学校・家庭の学科の枠にとらわれず、いずれの高校においても柔軟で質の高い学びを実現し」の件りですけれども、例えばの事例ですけれども、岩手県では中学3年生の人数が今年度1万1,000人いるんですけれども、15年後には6,000人を切るということが既に予測が立っていて、15年後なので、本当にすぐ先の未来で半分以下になるということが見えています。今63校ある学校を半分にすればいいというと、そういうことではなくて、何としてでも経営をもうちょっと効率化しながらも、生徒たちが自転車で行けるところに学校があるということは、福祉的機能においてもとても重要なことだと思っているので、そういう意味で、高校という場所をどのように経営をしていくのかというところが重要だと思います。
 例えば、今までも何度か話題に出てきていると思うんですけれども、幾つかの学校、これがまさにCOREスクールに近いものかもしれないんですけれども、キャンパス制にする、本校を造ってキャンパスが幾つかあるという形にして、学校施設はそこに生かしながらも、校長先生、教頭先生や副校長先生、また事務スタッフの方は効率的に共有し、カウンセラーさんなんかもちゃんと巡回してチームになっている、教科を教える先生方もチームになって、オンラインも踏み込んで使っているという状況なんだけれども、キャンパスがいっぱいある一つの高校であるということをちゃんと経営するということは、子供たちのことをきちんと大切にしていられる対面の人たちをワークさせるという意味でもとても重要かなと思っていまして、これは遠い未来そうなったらいいなということではなくて、もう都道府県教委が行う取組を、近い将来にやるということを積極的に応援していくということも、そろそろというか、今まさに考えなきゃいけないところだと思っています。そういったことが最適な学びの充実でもあり、探究活動の学びでもあり、個別の福祉支援を充実させていくことにもなるということにつながると思っているので、学校経営としてそういったことを考えていくということを、ここに明記していただくようなところがあるといいなと思っています。一旦、以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。具体的に御説明をいただいて、スクールソーシャルワーカーが手薄であるというのは、まさにそうでしょうね。歴史的に見ても、スクールカウンセラーというのが早くに入るというか、なかなか十分には入っていないんですけれども、スクールソーシャルワーカーは後回しになっているという感がありますから、いかにそれぞれの状況の中で自分の人生をつくっていくかということで、必要な機関であったりとか人であったりとかとどうつないでいくのかということを考えるためにも、スクールソーシャルワーカーは大事だと思いますね。
 学校の先生って、進路指導とかいう研修とかはあったとしても、スクールソーシャルワーカー的な仕事ができるようなことって、そこまではやれていない面がありますよね。ですからそういう意味では、本当に専門職として入っていただいて、学校をサポートしていただくというのは重要だと思いました。
 どうぞ、篠原先生。
【篠原委員】  ありがとうございます。篠原です。今の皆様の御発言で、通信制の立場で、しかも広域でいろいろと今やっていることと重なる部分があると思って、発言をさせていただければと思っています。
 まず、今の直近の話で申し上げると、スクールソーシャルワーカーは本当に私たちの学校ではとても大切です。いろいろな要素が学びを妨げているということがたくさんございますので、カウンセラーとワーカーが一緒になって、そして担任と、場合によっては進路指導の分掌の先生たちと、ということで、本当にチームで生徒を見るということを心がけていかないと、1人の生徒が見られない。1人の生徒を全人的に見るというところの大切さというのが、これは別に通信制に限ったことではなくて、学校に求められているのかどうかということだと思います。
 最後の「かどうか」のところですけれども、ワーカーの皆さんとお話ししていると、次から次へと支援の手を大きくしていくということをよく言うのですが、本当に私たちのところでそこまでやるのかしらと、要するに経営の立場として思わざるを得ないことがいろいろとあります。ただ実態的には目の前に生徒がいますので、そういう生徒たちに寄り添うことをやっておりますけれども、どこまでが本当に学校がやるんだろう、どこからだと例えば社会福祉協議会と一緒になって、その子供を地域で受け入れられるんだろうみたいな、そういうところが難しいなというのが率直な感想でございます。
 遠隔云々の話で申し上げると、通信制はほとんどが遠隔でございます。ですので、まず、学力がつくのかつかないのかと言われると、私はつくと思っています。その学校が、何というんでしょう、まさに高校って何なのかという話だとは思うんですけれども、高校の営みの中で学ぶべきことと、先ほど荒瀬先生もおっしゃいましたけれども、自分の学びをデザインするという、そのデザインの中には、学校外の自分でデザインする学びも、場合によっては高校生世代だったらばできる可能性があるんですよね。ですので、それは確かにレールに乗っかって学校に行こうと思っている生徒は難しいと思うんですけれども、とても意識のある生徒たちは、学校は学校でこのぐらいで、ほかのところでこういう活動をやっているので、こういう形でというような形で、本当に自分の学びをデザインしているので、逆に言うと、遠隔で学べることと対面でしか学べないことというのが何なのかということを、もう一度本当に考えるべきかなと思っています。
 このコロナで、例えば大学ではほとんどがリモートだったわけですよね。そうすると、この3年間の卒業した大学生たちというのは、大学の学びをやっていないんじゃないのみたいなことというのは言えないはずですよね。それは彼らは彼らなりに必死になって、そこを埋めようとして努力をしていたはずなので。あるいはコロナ世代が社会に出ていったときに、何か別の特性を持っているかもしれない。その辺りのことというのは、二項対立で対面かそうじゃないのかということだけで割り切ることはできないのかなと思います。
 私たちの学校でも、特別活動も、それこそ日本全国、遠隔でやるときがあります。例えば、先輩たち、あるいは社会的にも有名な人たち、場合によってはそれは台湾の人だったりとか、いろいろな外国の場合もありますけれども、そういう方たちの話を聞いて、生徒同士が、それに対してどういう受け止め方をしたり、自分はこんなことを思ったということを例えばやり取りして、それから自分なりの結論をつくっていくみたいな、そういう一連のあるカリキュラム的なものをつくって、特別活動を例えば600人規模でやるみたいな、そういうことも今実際やっておりますので、そこがやっぱり対面のほうがいいでしょうということでは必ずしもない。場合によっては世界の人とつながれるということもあります。
 それからもう1点、次のことは教員の仕事の話です。学校の世界、先ほど今村委員からもありましたけれども、人材の取り合いということをもっと意識すべきかなと思います。つまり、学校教員というのが若い人たちにとって魅力のある職場であれば、今の人たちはそこに流れていくはずですよね。そこが魅力的に映っていないとすれば、そこはどうすべきかということは考えるべきで、例えばですけれども、今回の資料7ですと10ページにありました立会者が行っている作業、これは教員でないと難しい作業とそうでないものとありましたけれども、立会者が教員じゃなくてもできる仕事を教員がやっているからこそ、遠隔授業に対する負担感が大きいのではないかなと思ってしまうわけです。ですので、ここでカメラアングルの調整だとかそういうのは、何かそういうことが得意な人を補助員でつければ全く問題ないはずで、教員は本来、教科の中身のことに専念すべきですよね。ですので、そこで教員がやるべきことというのが何なのかというのを、もう一度学校文化の中全体で本当は考えるべきなんじゃないかなということを感じます。これは私自身が、今のNHK学園の中でも、先生たちはこういうことまで自分たちの仕事だと思っているんだということを経験したので、あえて申し上げるんですけれども、そういうことを思いました。
 あと、今村委員がおっしゃったキャンパス制ということですけれども、これは本当に私たち広域通信制ではまさにそれをやっていて、本校があり、各県に協力校というキャンパスがあって、自分の学舎に通ってスクーリングを受けるというやり方をやっているわけです。ですので、本当に教育の在り方というのをもっと柔軟に考えていける可能性というのはいろいろな角度からあるのかなと思いまして、今回の資料6についても、先ほどから何人か御意見が出ていますけれども、多少具体的なイメージができるコメントなり、施策の面みたいなものが盛り込まれてもいいのかなということを感じました。この辺を具体的に、ということをなかなか申し上げられる力がないので申し訳ないのですけれども、多少踏み込んだ書き方を皆さんのキーワードを基にできたらいいのではないかなと思っております。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。これは最終的には我々の議論のまとめとして出していく必要がありますし、今の時点でも、そこを事務局のほうで検討していただいて、いいものになってきていると思います。さらによりいいものにどうしていくのかというところで、今、篠原先生もおっしゃってくださいましたけれども、どこまで、これ全体のトーンがあると思いますので、片一方だけ、ある部分だけが妙に具体的であるというのもいかがかと思うんですけれども、かといって、何か、ちょっとこれ、やや不規則な発言をいたしますけれども、コアの発想をしたあのときの議論でコアという言葉は出てきたし、その際、社会・職業への円滑な移行とか市民性ということは、これは私もとても大事な話だと思うんですけれども、その書き方というか、書いている内容が十分に学校にも伝わらなかった面があるのではないかということを思っています。そういう意味でいうと、今回はもう少し踏み込んだといいますか、伝わりという意味ですよね、踏み込むかどうかというよりも、ちゃんと伝わる形にしていかないと、生徒を主語にする学校をつくっていくということですから、何らかの生徒に対する応援ができるような形のものにしていきたいなということを思います。
 すみません、長塚先生、お願いいたします。
【長塚委員】  今、篠原先生がお話しいただいたので、併せてお話ししたいんですが、通信制のことを考えると、過去と、現状、そしてこれからのことを考えると、全定通においても共通するような、言わば遠隔授業を含めた、ICTの活用に関して新たな面が見えるのかなと私個人は思っているものですから、触れさせていただきます。そもそも広域通信制は、まさにNHKさんが始めた、先ほど荒瀬先生がおっしゃった日本高等学校の全体がカバーできるようなものとして実際にあったんですね。もちろん初めは勤労学生が対象で、そのときは教科書に準拠したような放送教材をNHKさんが作っていらっしゃいました。当初はラジオ、そしてその後テレビに置き換わって、手元にある教科書に準じた教材を使いながら学習ができていた。これがまさに広域通信制の原点であるし、厳然とその形は出来上がっていたわけです。その後、インターネットを活用したり、特に不登校の生徒が増えてきました。それでも、放送で自分で学習するって結構大変です。勤労学生は社会人でしたから、生活指導を不要とするような対象者だったんですけれども、現在はそうではないということで、自分で学習できないからこそ通学型にならざるを得ないという非常に矛盾したところがあるわけです。
その中で、今後はどうなるかということですけれども、今、義務教育までの教科書のデジタル化が始まり、これからさらに進もうとしているということが見えてきました。やがて高校の教材もデジタル化していくと思われます。そのときには、特に高校の場合には、非常に幅の広い多くの内容を、また深い内容を動画にして教科書会社や教材会社が提供するようなことは、ある意味当然のようにされてくると思います。つまり、デジタル教材を用いた学びというのが、高校の中でも多く行われるようになるだろうと思います。そうすると、これは遠隔授業にもちろん活用できるんですが、普段の授業の中で、ICTを活用する場面が増えてくれば、学び方は全定通を通じて、ネットを通じた学び方も含めて、ICTを使った学びにどんどん変わっていくんだろうなと思うわけですね。ですから、今、全定通という課程の違いの問題にしていますけれども、実は学ぶシチュエーションそのものが共通化してくるんじゃないかなと私は感じています。
 また、ここで大事なことは、評価の仕組みというんでしょうか、コンピューターベースでテストするというような仕組みが併せてできていく中で、オンラインで学んだものが、あるいはデジタル教材で学んだものが、CBTで評価できる。自分も評価して、先生も評価できるという仕組み、これは意外ともうそこまで来ているんじゃないかと思うんですよね。学んでいることの到達度というものが測れないと、例えばセンターから配信されている学校でもいろいろな生徒が学んでいるわけですけれども、どこまでそれが到達したかなどということ、これも随分と気になるところだろうと思うんですよね。遠隔授業というだけじゃなくて、遠隔のオンラインの中でもそういうものも確認されていくような時代が、もうすぐそこまで来ているのではないか。特にデジタル教科書・教材というのは、そういう要素を含んだ意味を持っていると感じているものですから、これからの高校教育を語るときには、そこも視野に入れておく必要があるだろうと。そんな思いもしたものですから、意見をさせていただきました。以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。先生おっしゃるように、本当に近づいてきているというか、まさにそういう状況であろうかと思います。遠隔というときに、単に授業が遠隔であるというだけじゃなくて、テストもCBTになっていくとか、あるいは教材そのものが紙のものを使わないことも出てくるだろうし、評価もその中でできるようになっていくといったことも含めて、考えることがいっぱい増えて大変ですけれども、しかし考えなければならない重要な点を御指摘いただきました。ありがとうございました。
 岡本委員、どうぞ。
【岡本委員】  すみません。2つあったのですけれども、1つは教員のリスキリングの話をしようと思ったのですけれども、流れ的にも内容的にももう片方の方が重要だなと思って話をしたいと思うんですけれども、さっき高知の話と東京の話を聞いて、ずっと考えていたのですけれども、学校とか先生によって、同じ行動をしていても、単位認定されるかどうかが違うということが多分生じていると思うんですね。それってどうなのかなというのがあって、さっきの高知の話で、このCOREハイスクール事業は、基本的に考えているのは、物理的に通うことが難しい学校の授業を受けるというもので、それは比較的積極的に単位認定していきましょうという話があって、一方で、保健室で授業を遠隔で受けるに関しては基本的には単位認定が難しいとなったときに、物理的に行けないのは単位認定するけれども、ある種、直接的にメンタル面のところから行けないというものは単位認定し難いと考えるのは、今後、もっと多分出てくる問題なのかなと思っていて、どこまでが単位認定するのかというところの基準が学校によって違うとかというのは、果たしていいのかなと思っています。例えばメンタルが認められにくいとなったときに、何かここの在り方のところで議論している中で、市民性という言葉が出てきます。でも市民性はメンタルの問題で教室に行っていないから市民性がないわけじゃないでしょうし、メンタル的に行きたくないというのも多分、未熟な発達段階ならあると思うんですよ。だから、そこら辺の部分の取扱いはガイドラインを示さないといけないのかなと思っています。そこから田村先生の話があって、僕が頭の中に浮かんだのは高卒認定と高卒資格の違いだなと思っていて、高卒認定って習得主義でいいじゃないですか。高卒資格って学校に通わなきゃいけない前提になっているじゃないですか。これって今の議論に似ているなと思っていて、だから高校があるべき姿というのを議論するときに、まとまっていないかもしれないですけれども、多分、突き詰めて考えたときに、そこの単位認定の基準というものをどこに定めるのかというところは、この話し合いの中である程度の何か具体例とかを出していったほうがいいのかなと思います。今の高知と東京の話だと、メンタルは駄目だけれども、物理的に行けないんだったら単位認定するよというところで、本当に大まかな枠としていいのかなと少し思いました。なので、意見というか、皆さんはどう考えられるのか、少しお聞きしたいと思います。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。具体的に今、単位認定というのをどう捉えるのかというのは、今日の残りの時間では少しあれなので、文科省というか、事務局のほうも、具体的にどういう形で単位認定というのがなされているのか、なされていないのかといったことも何かありますか。修得主義と履修主義というと、単位認定するわけだから、本来は修得主義なはずですよね。ところが、相当部分履修しているという状況でもって、単位が認定されるかされないかの前提みたいになっていますよね。欠席数がこれになると、もう自動的に修得していないので単位は認定しませんみたいな。でも、例えば力がついていたら、何で認定しないんですかという、そういう話も出てくるので、その辺りのデータも見ながら考えないといけないんじゃないかなと思いますし、その辺りのことを少し調べていただけますか。
【松田参事官補佐】  事務局でございます。大変重要な御指摘であると思いますし、実際にその辺りのデータがあるかどうか、確認させていただきますけれども、いずれにしましても、今おっしゃっていただいたことについて、制度上の制限はないものの、慣習的に認められていないものもあるかと思いますし、履修主義・修得主義というところのバランスもまた難しいところではありますけれども、このワーキングで御議論いただいて、例えばそれに向けての改善策を打ち出していく際には、あくまで制度上では各学校の判断ではあるんですけれども、先ほどガイドラインというお話をいただきましたように、何かしら留意事項を示すなどして、その辺りの扱いについて共通理解が得られるような形で進めていきたいと思っております。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。いろいろとお願いばかりで申し訳ないんですけれども、これ、ひょっとしたら石崎先生、全高長とかで何かデータとかを集めていらっしゃったりしませんか。
【石崎委員】  基本的に卒業単位数は学校ごとに校長が定めているものですから、学校の実情に応じて校長が定めているはずです。履修は学校の校長の裁量で、それが例えば1単位当たり35時間のうち、3分の1休んだら駄目だというところもあれば、7分の2というところもあるだろうし、5分の1というところもあるだろうし、それも学校ごとにばらばらだと思います。
【荒瀬主査】  じゃあ取りあえず、どんな状況なのか、今みたいな話だと、それこそ学校ごとになってしまうのでどうにもならないというか、学校に対してお考えくださいみたいなことを言うのか言わないのかという話になるのかもしれません。文科省のほうで何か分かることがあれば、教えていただければ。
【岡本委員】  じゃあ、履修主義に関しても学校によって違うということですね。何%出席とかいうところも。また、同じぐらい授業を受けていても、留年しちゃうか進級できるかというのが違う基準になっているということですね。学則で決まっているんですね。
【荒瀬主査】  これ、だから石崎さん、あれですよね。海外留学をしたときの単位の認定だけが、これは共通しているということですよね。
【石崎委員】  これも共通というか。
【荒瀬主査】  ではないんですか。
【石崎委員】  法律で定められているのは36単位まで認めることができるというところだと思うんですけれども、それぞれ留学先の学びの内容だとか、当然向こうから成績が来ますから、そういうものを加味して、どれが何の科目という読替えはする必要はないんですけれども、36単位まで、いわゆるパッケージ認定と俗に言われるやつをするわけですよね。だけれども、例えば自分の学校が週に32単位しかないのに36単位認めるということはあまりないですから、だからその辺りは36をめいっぱい認めるわけではないということになります。在校生より多い単位を認めるというのはあまりないんじゃないかなと思うので、36「まで」という理解だと思います。
【岡本委員】  コア事業において、さっきの単位認定するかどうかの基準って、どこの学校に属するんですか。学則によって決まると言っていましたけれども。
【安彦審議官】  在席校。
【岡本委員】  在籍校で違う。じゃあ、同じ授業を同じだけ受けていても、変わるということが制度上は起こり得るわけですね。
【安彦審議官】  起こり得ると思います。
【岡本委員】  すみません、確認したかったので。
【荒瀬主査】  それは起こり得ます。
 じゃあ、今村委員が手を挙げてくださっているので、今村委員、お願いします。
【今村委員】  ありがとうございます。今の議論ではないんですけれども、できれば次回以降、もし今の議論を多少続けて深めていくのであれば、学校における内規が生徒に開示されていないというところも、卒業に必要な考え方というものの合意が入学時にできていないということが結構重要で、校長どころか先生の運用に任されているという実態もあるということも聞くので、内規の取扱いというのも調べていただけたらうれしいなと。全部が全部公開すればいいというものではないということもあるかもしれないんですけれども、公立の学校は特にそこも、自由化だとか、校則の問題でもよく、校則に書いていないけれども内規で定められているから駄目だよみたいなことがよくあるんですけれども、そこもぜひ調べていただければと思います。
 私が発言したかったのは、残り時間の中で少ないんですけれども、論点として、ぜひこの取りまとめ、今回は高等学校のこれからの在り方についてなので論点違いかなとは思うんですけれども、でもこれからの高校の学びの在り方が、探究というものを柱にカリキュラムマネジメントしていくということに本腰を入れる段階に来たということも踏まえると、大学入試に関する要望みたいなものも何かここで叫べないものかなということで、そこのところも考えたいなと思っています。昨日、筑波大の永田先生が記者会見なさって、筑波大が新しい受験の方式にして、共通テストで基本的なことは分かるから、学校の個別な入試のほうは才能を見出すほうに振りますみたいなことを発信されて、筑波大がそれをなさるということは相当新しいところに踏み込むんだなとお見受けしたんですけれども、ただ、共通テストがあるということ自体で学校のカリキュラムオーバーロードは起きているし、共通テストがあって、自己推薦的なものの対応をするものも準備するということに、よっぽどハイスペックな能力のある子はできるかもしれないんですけれども、指導者の先生方も本人たちも、やること純増という状況にただ単になっているというところもあって、創造的にゆっくりじっくり物事を考えて、捉えて、自分の言葉にしていくということをするような時間を高校生たちに与えられてないというところは、大学入試が期待していることの結集の共通テストの在り方そのものだと思うので、ここも、この議論、違うかもしれないんですけれども、ちょっと入試のことも書いてありましたけれども、もうちょっと踏み込んで書いていただきたいなということをお願いしたくて発言しました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。非常に重要な御指摘であることは間違いないと思います。ただ、入試のことについて意見を言おうと思うと、入試についての検討と、それこそ、今の状態になっているのも、この間いろいろな議論があって、これも言葉選ばず言うと、あっち行ったりこっち行ったりしながらやってきた中で今の形があるわけで、同じレベルのことを言おうと思うと、同じレベル以上の時間とそれから検討を重ねるということも必要になってくるかもしれませんので、ただ、我々の議論の範囲で、入試に対する要望というんでしょうか、あるいは高等学校でやっている学習内容に基づいて考えていくと、入試ってこうであってほしいといった、そういったようなことはもちろん重要な論点であることは間違いないと思いますので、考えていきたいと思いますし、ぜひ今村さんのほうからも御意見として出してくださることをお願いいたします。
 時間がないので、一つだけ質問。内規が公開されていないとか、それってどういうことですか。そもそも内規って何の内規ですか。
【今村委員】  学校の先生方が持っている内規。内規って各校にありますよね。
【石崎委員】  いいですか。
【荒瀬主査】  どうぞ、お願いします。
【石崎委員】  東京都の例で言うと、もう内規というものは平成17年か18年かのときに全部なくしてます。
【今村委員】  それはすごい。それは地域間格差ですね。
【石崎委員】  全部規程として整備して、誰でも窓口で見れるように置くとなっています。私の学校も内規としてあり、隠している内規のようなものは何もないですし、さっきお話ししたような履修の条件とか卒業単位数だとかというのは、全部教務規程として公開しなきゃいけないことに東京都はなっています。沖山先生の学校も、同じですけれども。
【今村委員】  清水先生が首を振っているということは、埼玉もということでしょうか。なるほど。
【石崎委員】  あくまで今お話ししたのは東京都ではという話なので。
【荒瀬主査】  私の思い出話で申しますと、内規という名称はありましたけれども、それが今村さんのおっしゃったような示威的にいろいろと使われるということは、それは、私、長らく高校の教員をやっていましたけれども、一度もなかったですね。むしろ生徒の不利益が生じないようにと先生たちは考えて、逆に仕事を増やして苦しんでいるというところがあるみたいな気がするんですけれども。
【今村委員】  なるほど。じゃあ、それはもうちょっと調査して発言させていただきます。
【荒瀬主査】  それでは今村委員、改めて確認していただいた上で、取りあえず今、我々今日のワーキンググループとしては、単位認定に関する何らかの資料を、文科省、事務局のほうに入手していただく、ないしは確認をしていただくということをお願いしたというところで、今回、これはとどめておいていいですか。必要であれば、またやるということでね。
 すみません、時間がもう超えてしまっています。大変中途半端な形で終わってしまうのをおわびいたします。ただ、非常に具体的に御意見が出て、また次回もよろしくお願いします。次回も含めまして、スケジュールにつきまして、松田さん、お願いします。
【松田参事官補佐】  改めまして、本日はありがとうございました。今後のスケジュールについて、お示ししております。次回が7月21日金曜日13時からでございます。そしてその次、第9回が8月24日木曜日の13時からというところで、この2回、また議論を重ねていただきまして、8月中に可能であれば中間まとめという形で、政策の具体化を進めていただけたらと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。この中間まとめのほう、義務教育のワーキンググループと足並みをそろえることも大事かと思いますので、その辺も見ながら何とかまとめができればと思っておりますので、よろしくお願いします。
 そうしましたら、本日、ちょっとまた延長してしまいまして、申し訳ありませんでした。これで終了したいと思います。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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