高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第2回)議事録

1.日時

令和4年12月1日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省内会議室 ※オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 少子化が加速する地域における高校教育の在り方について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬主査】  ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会、高等学校教育の在り方ワーキンググループ第2回を開会いたします。お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日も新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点からウェブ会議システムZoomによる開催とさせていただいております。また、傍聴者の方につきましては、YouTubeにより御視聴いただいています。
 それでは、本日の会議開催方式と配付資料などにつきまして、松田参事官補佐から御説明よろしくお願いいたします。
【松田参事官補佐】  皆様、よろしくお願いいたします。
 本日の会議の開催方式でございますけれども、主査から冒頭御紹介がありましたとおり、ウェブ会議システムZoomによる開催とさせていただいております。委員の皆様に、ウェブ会議システムを利用する観点からのお願いでございます。御発言に当たっては、インターネット上でも聞き取りやすいよう、はっきり御発言いただくなどの御配慮をいただく。御発言の都度、名前をおっしゃっていただく。御発言時以外はマイクをミュートにしていただく。御発言に当たっては、手を挙げるボタンを押していただき、御発言の後は、手を下ろすボタンを押していただくなどの御配慮をいただけるとありがたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 本日は、少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方について御議論いただきたいと考えております。資料1は、前回の会議においていただいた御指摘を踏まえまして、データ等を追加するとともに、本日、御議論いただく際の論点例をお示しした資料となります。追って、担当より御説明させていただきます。
 そして、本日は、長崎県教育委員会と北海道教育委員会からのヒアリングをさせていただきますけれども、御発表いただく際の資料をそれぞれ資料2、資料3として配付しております。不足等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 本日は、進行を務めます荒瀬も遠隔で参加ということでありまして、ちょっといつも事務局の皆さんにいろいろと直接助けていただいているんですけれども、今日はスタンドアローン状態ですので御迷惑をかけるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。まず、資料1につきまして御説明をいただきたいと思います。白川参事官補佐、よろしくお願いいたします。
【白川参事官補佐】  参事官補佐の白川です。
 それでは、資料を共有させていただきます。前回、第1回において、岩本委員から、議論のための基礎的なデータについてのお求めがございましたので、今回は、お求めのあった資料に関して、関連のものを御説明させていただきます。
 まず、1枚目でございます。公立高等学校の立地が0ないし1である市区町村について、第1回で参考資料をお示ししておりましたが、これを0と1に分けた場合にどのような形になるかという資料が1枚目でございます。令和3年5月1日時点で、全国の市区町村のうち公立高等学校の立地が0ないし1であるものが1,129。令和元年度の1,088より増加しております。内訳をお示ししますと、0が489、1が640という数字になりました。
 2枚目でございます。現状の高等学校の学級規模、こちらは1学年当たりではなくて、1校当たりの学級規模の数字でございます。推移とともに今回お示しをしております。全体の傾向として、公立の高等学校の学級規模は、徐々に縮小傾向という形になっております。少し事務局として着目しましたのが、平成18年度から平成23年度に関しまして、こちらは学校数全体として約300減しておりまして、その結果としてということだと思いますけれども、小規模の学校の割合が減っております。
 一方で、平成23年度から令和3年度にかけては、学校数としては約200減っている一方で、小規模の学級については割合はむしろ上がっており、高等学校の統廃合を各都道府県として進めるにしても、小規模の学校をなくすことに限界が近づいてきているということがあるのかなと受け止めております。
 資料の下のほうには、令和3年度において、1校当たり3学級以下の学校の数を都道府県別でお示ししております。
 3枚目でございます。岩本委員から、将来的なシミュレーションに関してということで、例えば将来の少子化を学級数の減で対応していった場合と、それから学校数の減で対応していった場合と、それぞれどういう将来予測になっているかという御質問がございました。これに関しては、都道府県によっても、また、その都道府県内の区域によっても状況が異なってまいりますので、今回は、2つの都道府県について、それぞれの都道府県で分析されている資料を引用させていただいております。
 1枚目が岡山県の資料でございます。各学区の1学年当たりの学級数別の学校数がどのようになっていくかということを平成43年まで、つまり令和13年までの分析をされている資料でございます。こちらを拝見しますと、1学年当たり1学級というようなところには至らないまでも、それぞれやはり小規模の学校が増えていくというような分析になっております。また、次のページ、長崎県の分析を拝見しますと、こちらについては、1学年当たり1学級の学校というのが現状よりも増えていくという分析をされております。
 小規模校のメリット・課題というところになります。こちらもなかなか各学校がどのような教育課程を提供するかということによって、一概には言えない部分はございますけれども、一般論としての小規模校に存在するとされるメリット、それから学級数が少ないことにより生じ得る学校運営上の課題に関して、小学校、中学校の適正規模・適正配置に関する議論ではございますけれども、参考として引用しております。
 また、各都道府県の中で、それぞれ地域の関係者、つまり中学生や高校生、保護者、学校長などがどのような考えを持っているかということも重要な視点かと考えまして、今回、高知県と岡山県でそれぞれ分析されているものを参考までに掲載しております。
 最後に、本日、長崎県教育委員会、北海道教育委員会に御発表をいただいた後、委員の皆様に御議論いただきますが、その際の視点として、このようなことが議論の中心になっていくかというものをお示ししております。今後、各都道府県において、高等学校の適正規模・適正配置に関する議論が一層加速することが少子化により考えられますが、基本的な考え方として、全ての高等学校に維持されるべき機能がどのようなものか。また、今後、高等学校の一層の小規模化が全国的に進む可能性があるが、小規模校におけるメリットを最大化し、課題を緩和するための方策としてどのような取組が必要と考えられか。例えば小規模校においては、遠隔教育の活用や学校間連携の推進に取り組むことが考えられますが、そうした取組の推進のためにどのようなことが必要と考えられるか。その他、各都道府県での少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方に関する議論に資する取組として、例えば情報の提供など、どのようなことが必要と考えられるか。このようなことを一例として、皆様に本日も御議論いただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 今、前回、出ました要望に基づいていろいろと資料を集めていただきまして、御説明いただきました。また、これ以外にもこういった資料が欲しいというようなことがございましたら、事務局にお伝えいただければと思います。
 既に松田さんからも御説明ありましたし、今、白川さんからもありましたけれども、今日はこの後ヒアリングをお願いしております。長崎県教育委員会と北海道教育委員会にお願いをしているわけです。そのお話をまとめてお聞きした後で、質疑応答を含めまして皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 それでは、まず、長崎県教育委員会からお願いいたします。高校教育課長の田川様、高校教育課ICT教育推進室長の岩坪様に御出席いただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。まず、15分程度という本当に短い間で恐縮ですが、御発表いただきまして、その後、北海道教育委員会につないでいただきたいと思っております。
 では、田川様、岩坪様、どうぞよろしくお願いいたします。
【田川課長】  委員の皆様、はじめまして。長崎県教育庁高校教育課の田川と申します。本日は、このような機会、説明の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。本県の中﨑教育長も、大変ありがたいことであると感謝している次第でございます。これからの説明は、前半は私が、後半はICT教育推進室長の岩坪が担当させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、早速でございますけれども、長崎県の資料1ページをお開きいただけますでしょうか。青の棒グラフが県の総人口になります。緩やかに減少しているように見えますが、長崎県の人口減少ランキングは全国でワースト5に入るのが現状でございまして、県政上最大の課題となっております。そして、その減少率をはるか上回る形で減少しているのが、オレンジ色の15歳未満の子供の数ということになります。
 2ページを御覧ください。その子供の数の減少に合わせて、黄色で示した小中学校数は減少していますが、公立学校の数はピーク時から減少しているものの、地域で高校教育を受ける機会を確保するために、近年は一定数を保っているのが現状でございます。
 そうするとどのようなことが生じているかといいますと、資料は一旦5ページに飛んでいただけますでしょうか。5ページの大きな表は、この20年間における長崎県の公立高校の募集定員に対する入学者数の割合である充足率の推移を示したものになります。表の一番下を御覧いただくと、この20年間でその充足率が96.0%から83.1%へと大きく減少し、その右に記載しておりますように、令和4年度の充足率は82%で、募集定員を満たしている高校の数は55校中僅か10校で、残りの45校は不充足の状態になっております。
 こうした状況になってまいりますと、高校の再編整備をどう進めていくかという問題になってきますが、資料は4ページにお戻りください。本県では、県立高校の改革基本方針を10年ごとに定めており、ページ中央の表の3段目に記載しているとおり、現在は、令和12年度を終期とする第3期の基本方針の期間中となっております。黄色の枠の中に記載しておりますように、適正な学校規模は1学年3から8学級としておりますが、現状としましては、弾力的な運用により、左下の表で示していますように、令和4年度においては1学級の学校は6校、2学級は9校といった現状で、平成23年度から比較しますと、この10年間で学校の小規模化が進行していることがお分かりいただけるかと思います。
 基本方針では、生徒数の減少が著しい場合は、表の右下の吹き出しに記載していますように、活性化協議会を設置することとしており、2つ目のダイヤマークのところですが、協議を開始した年から起算し3年目以降、2年続けて募集定員の2分の1未満という状態が続いた場合、原則として統廃合を検討することとしています。
 資料は、6ページを御覧ください。本県の高校の中でも特に深刻な状況となっているのが、本県特有の離島半島地域に位置する学校になります。右側の地図で赤で丸囲みをした数値は、どの程度の中学生が地元の高校に進学しているのかを示したものになります。
 例えば図の中央左の赤丸、37.3%とある西海市においては、37.3%の生徒が地元の西海市の高校、ここには3校ございますがその学校に進学をし、残りの62.7%が南部の長崎市の高校や北部に位置する佐世保市などの高校へ進学している状況ということを示しております。また、北部に目を移していただきますと、松浦市は28.4%しか残らず、また、南部の島原南部においても35.1%しか地元の高校に残らないといった深刻な状況にあります。また、離島においてもおおむね2割から3割の生徒が島外の高校に進学するといった状況にあります。
 今後、子供の数の急減に加えまして、今、説明しましたように、離島半島地域の中学生が都市部の大規模校へ流出していく流れが止まらないとすれば、短期間の間に統廃合を進めなくてはならないといった現状に陥りますし、地域から高校がなくなれば、当然のごとく一挙に過疎化が進行し、地域が衰退していくことが予想されます。
 そこで、私たち県教委としましては、生徒・保護者の高校選択、いわゆる高校選びの価値観に一石を投じたいと考えております。つまり、都市部の大規模な学校に行きたいという考え方はもちろん認めなければなりませんが、それだけでなく、小規模校であっても地元の学校で地域の方々から応援され、一緒に学んだりすることのすばらしさを、あるいは地域の資源を活用した特色ある教育を行う学校のよさを発信し、そうした学びと環境の中で、自分らしい生き方が成就されるような学校づくりをしていくべきではないかと考えています。
 そのように小規模校が選ばれる学校になるためには何が必要か。その答えの一つは、より一層の高校の魅力化だと考えています。資料は7ページをお開きください。高校選択の価値観に一石を投じる、いわゆる高校魅力化構想につきましては、現在協議中でございまして、最終的なものではございませんので、現状の説明ということでお聞きいただけたらと思います。
 では、左下の図を御覧ください。まず、高校の魅力化は、学校や設置者である県だけでなく、これからの時代は、社会に開かれた教育課程を念頭に置きつつ、地元の市町と一緒になって考えていくべきものだと認識していますし、実際にこの考えに賛同していただける市町は多数ございます。ですから、市町と学校の両者を結び、協創という文字で結んでおります。
 具体的な話を交えながらお話しします。本県の農業高校の中には、徒歩圏内に動物園がある学校があります。その動物園と何らかのコラボができないかという話を地元市と協議している農業高校があります。現在はアイデアベースの段階ですが、今後は専門的な知見を有する外部アドバイザーを活用して、具体的にどんな学びの環境づくりができるかを考えていきたいと思っています。
 例えば、動物やペットに関する探究的な学び、あるいは資格取得につながるような学びを導入できないかといったことです。そうした特色ある学びが体制的に出来上がれば、全国募集ができるようになるかもしれません。その際には、学校だけでなく、マンパワーとして支援員や様々な形の援助が必要不可欠になるため、右側の丸印で示しているコンソーシアムを立ち上げる必要も出てこようかと思います。また、この学校で学んだ生徒が将来、地元の市へ帰ってくるような、人材が環流するような魅力ある学校づくりをすることで、少しでも地域の活力につながるような取組を教育の側面からできればと考え、現在、体制づくりをブラッシュアップするとともに、各高校の校長先生方とこうした考えの共通理解を図っているところです。
 以上が本県の高校魅力化構想になります。
【岩坪室長】  続けて失礼します。長崎県教育庁の岩坪と申します。
 資料は8ページになります。私からは、本県のもう一つの取組である遠隔授業配信センター開設構想について、御説明いたします。あくまでも構想段階のものですので、その点をお含みおきいただければと思います。
 長崎県では、特に離島部・半島部の高校の生徒減少に伴い、教員数が限定的であり、多様な選択科目の開講や習熟度や進路希望に応じた授業が難しいという状況があります。また、生徒が多様な意見に触れたり人前で自己表現をしたりする機会が少ないという現状もあります。それらの課題を解決する一つの手段として、遠隔授業の活用というものが考えられます。
 現在、本県では、文科省のCOREハイスクール・ネットワーク構想において、離島の小規模校3校が遠隔授業の相互配信を行っている状況です。その成果を生かし、また、この後発表される北海道や高知県の先進的な取組等も参考にさせていただき、長崎県教育センター内に遠隔授業配信センターを開設したいと考えております。そこで小規模高校などに対して多様な学びを提供したいと思っております。
 具体的には、まず、図の左下にあるように、小規模高校に対して、学校単独では難しい選択科目の開設や習熟度等に応じた授業の配信を行いたいと考えております。既に生徒に配備している1人1台端末や授業をサポートするエドテックサービスも最大限に活用して、単なる対面授業の代替ではなくて、複数の学校の生徒が一緒に授業を受け、オンラインで共同学習するなどICTをフル活用し、学校を結ぶ最先端の学びを提供したいと考えております。授業の配信は、まず1学年1学級の学校を対象として、取組が軌道に乗れば2学級の学校にも広げていきたいと考えています。
 また、図の下段の真ん中にあるように、通常の授業配信だけではなく、小中高を通じたキャリア教育や探究的な学びの推進拠点として、外部人材を活用したコンテンツを配信したり、学校を超えた生徒の交流を生み出したりする場にしたいと考えております。加えて、教員の働き方改革に資するため、学校DXを進める拠点としての機能も持たせたいと考えております。
 離島・半島に多くの高校が所在する本県で、ICTというのは特に大きな力を発揮すると、私たちは考えております。遠隔教育を通じて、長崎ならではのつながる学びを推進していきたいと考えておりますので、御助言等よろしくお願いしたいと思います。
 長崎県からの説明は以上です。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。大変分かりやすい御説明をいただきました。
 では、続きまして、北海道教育委員会からお願いしたいと思います。先ほど申しましたように質疑はその後で一括してお願いいたします。北海道教育委員会からは、高校教育課課長補佐の小倉様、同じく高校教育課課長補佐の田原様に御出席いただいております。本日は御多用のところ本当にありがとうございます。
 では、今、長崎県からやっていただいたのと同じように、15分程度で御発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【小倉課長補佐】  北海道教育委員会で高校配置を担当しております小倉と申します。本日はこのような説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。これから若干の時間をいただきまして、北海道における高校配置の現状や遠隔授業など、北海道が行っている取組について説明させていただきます。画面共有いたしますので、少々お待ちください。
 1ページ目は北海道の中学校卒業者数と道立高校数の推移です。中卒者数は昭和63年の9万2,222人をピークに減少傾向にあり、令和4年3月の中卒者数はピーク時の約45%である4万1,845人でした。中卒者数は今後も減少が続く見込みであり、現在の小学校1年生が中学校を卒業する令和13年には3万6,312人と令和4年よりも約5,500人減少して、ピーク時の39%程度となる見込みです。
 なお、道立高校数、こちらは棒グラフですけれども、平成8年度の244校をピークに減少しており、令和4年度までに56校減少しております。中卒者数はピーク時から6割程度減少しているんですが、学校数は2割程度の減少となっております。
 2ページ目ですが、中卒者数の減少に伴いまして高校の小規模化も進んでおります。高校の学校規模を学校数のピークだった平成8年度と現在を比較しました。平成8年から令和4年にかけまして、中卒者がピーク時の人数を大きく下回る一方で、学校数は2割程度の減にとどまっておりまして、総じて小規模化が進んでおります。
 上の表にありますとおり平成8年度は1学年が10学級の高校も31校ございましたが、その後1学年9学級以上の大規模校の解消や少子化による学級減が進みまして、令和4年度は、最も大きな学校でも1学年8学級規模となっております。逆に、1学年1学級の高校は増加しております。平成8年度は20校8.2%だったんですが、令和4年度は55校29.3%まで増加しておりまして、全体の約3割の高校が1学年1学級規模に小規模化しております。また、3学級以下を小規模校と捉えた場合、4学級以上の高校は平成8年度は全体の59.4%だったんですけれども、令和4年度は45.7%に減少しており、道立高校の半数以上に当たる学校が小規模校となっております。
 3ページ目は高校が存在しない市町村の状況です。途中で市町村合併がありましたので市町村の数は違うんですけれども、高校がない市町村、これは募集停止となって新1年生が入学できない学校も含んでいるんですが、平成14年度は32校だったんですが、令和4年は55市町村ということで、23市町村増えている状況です。高校がない市町村につきましては、ほかの町の高校に公共交通機関ですとか親の送迎ですとか、または下宿などにより通学せざるを得ない状況になります。北海道の広域性を考えますと、高校の配置を検討するに当たりましては、こういった地理的状況にも十分配慮することが必要となります。
 
 4ページなんですけれども、道教委では毎年度、公立高等学校配置計画を策定しております。この配置計画はいわゆる標準法に基づいて策定しているんですけれども、この高校配置を検討する際の基本的な考え方となる、「これからの高校づくりに関する指針」というものを策定しております。
 現行の指針では、本道の課題として2点挙げています。1つ目は、中卒者数の減少が見込まれる中、活力ある教育活動などが可能となるよう、望ましい学校規模の維持に努める必要があること。2つ目は、人口減少社会への対応や地方創生の観点から、高校の配置が地域に与える影響、高校に対する地域の期待なども勘案しながら、適切な高校配置に努める必要があること。
 これら2つの課題を踏まえまして、高校進学希望者数に見合った定員を確保するとともに、教育水準の維持・向上と教育の機会均等を図る観点から高校配置計画を策定しております。この計画につきましては、中学生の早期の進路選択を考慮して、3年分の具体的な計画とその後4年分の見通しという形で記載しております。この指針につきましては定期的に改定を行っており、現在も改定作業を進めているところです。来年3月には改定版の新しい指針を公表する予定です。
 次の5ページ目ですが、指針では、一定規模の生徒及び教職員の集団を維持し、活力ある教育活動を展開する観点から、可能な限り1学年4から8学級の望ましい規模を維持することができるよう、再編整備を進めることとしております。その場合、広域な本道における都市部と郡部の違い、地域の実情や学校・学科の特性などを考慮しながら進めることとしております。
 また、1学年3学級以下の小規模校は再編整備の対象としております。特に第1学年2学級以下の高校につきましては、様々な中卒者の状況なども踏まえ、順次、再編整備を進めることとしております。ただし実態といたしましては、1学年2学級であっても機械的に再編統合ができるものではなく、地域の実情により判断しておりますので、生徒数の減少と比較すると学校数の減少は少ない状況です。
 次に、6ページ目は1学年1学級規模の高校の取扱いについてです。現在、3割程度を占めておりますが、地理的状況から再編が困難であり、かつ地元進学率が高い高校につきましては、地域連携特例校として、1学年の在籍者数が20人未満となるまでは存続を図っているところです。右側ですけれども、離島にある高校、現在、利尻高校、礼文高校がございますが、そちらについても1学年の在籍者数が10人未満となるまでは存続を図っております。このほか北海道の基幹産業である農業科や水産科、看護科、福祉科がある高校につきましても特例を設けております。
 下段になりますが、これらの高校につきましては、所在市町村をはじめとした地域における高校の教育機能の維持向上に向けた具体的な取組とその効果を勘案し、1学年の在籍者数が20人未満となっても再編整備を留保することとしております。具体的には、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき市町村が定める計画の中で、入学者数の確保に向けた取組を記載してもらうなどし、再編留保を行っております。ただし、この場合であっても、2年連続して10人未満と1年生がなった場合につきましては再編整備を進めておりまして、今年度1校が該当となっております。
 7ページです。指針では、地元の市町村から要望があった場合は、道立高校から市町村立高校への移管について協議を行うこととしておりまして、市町村立移管要望に対する方針を定めているところです。移管を認める場合といたしましては、中高一貫教育を目的とする場合ですとか、移管により一層地域に密着した特色ある学校づくりが可能となる場合などがございます。移管に当たりましては、もともと町から道へ移管したものであれば土地・建物の譲与を検討するほか、教育環境の低下を招かないよう、移管後数年間の教員の加配なども検討しております。これまで奥尻高校、大空高校の移管を行っているところです。
 8ページです。道教委では、高校配置計画の策定に当たり、地域に丁寧な説明を行うとともに、多くの意見をもらうように努めております。年2回、19通学区域ごとに地域別検討協議会を開催しており、行政関係者や私立学校も含めた学校関係者、PTA、経済団体など、幅広く参集いただき、高校配置や高校の魅力化に関して説明を行うとともに意見を聴取しております。
 いただいた意見の一部を参考として記載しております。例えば北海道らしい特色ある教育を行うべきだとか、都市部に高校が集中しないようにし、できる限り地域にも高校が存続するにしてほしい。公立と私立高校が切磋琢磨できるような配置計画としてほしい。少人数学級を実現してほしい。ICTの導入・活用を促進してほしいなど、意見をいただいているところです。このほか、地元から要望があれば現地に赴き、地元の関係者の方々と意見交換、説明等を行っているところです。
 9ページですが、現在、北海道教育推進計画の改定に合わせまして、「これからの高校づくりに関する指針」の改定作業を行っております。9月に素案を公表したところですが、上段に挙げておりますとおり、様々な課題がございます。下段ですが、指針の方向性といたしましては、今後、中卒者数が減少し、学校の小規模化が進む中、学校規模も含め、それぞれの高校の機能や特色、求められる役割などを明らかにし、地域全体として生徒の多様な学習ニーズに応えることのできる教育環境を実現することとし、望ましい学校規模につきましても地域により異なると考え、これまで指針で示していた望ましい学校規模4から8学級につきましても、その記載は本文から削除し巻末に掲載することといたしました。
 次の10ページには、生徒の学習ニーズと高校配置の例についてのイメージ図を記載しております。このように、学区内で可能な限り生徒が多様なタイプの高校を選択できるようにしていきたいと考えております。
 9ページに戻るんですけれども、一番下です。将来的な高校配置の在り方について、これは公共交通機関でおおむね1時間程度と考えているんですが、通学可能圏内など、一定の圏域の中で、今後、地域別検討協議会とは別に関係市町村と協議を行い、その結果を配置計画に反映することも検討しております。また、地域連携特例校の入学者数が減少していることから、再編留保に集中取組期間を設け、PR活動など入学者を確保するための取組を集中的に実施することも検討しております。
 11ページ、ここからは小規模化が進む高校についての魅力化と北海道における特色ある教育について説明いたします。まず、高校の小規模化に伴う影響についてですけれども、こちらは、先ほどいろいろ説明が文科省さんからもございましたので、省略させていただきます。
 12ページですが、道教委では、小規模校の教育環境の充実を図るため、平成19年に地域連携特例校制度を導入しております。具体的には、地理的状況から再編が困難で、地元からの進学率が高い高校を、当時は地域キャンパス校と言っていましたが、キャンパス校に位置づけ、学校行事や部活動の実施の難しさ、協働的な学びの機会の不足、教員同士の交流不足といった特例校における課題に対応するため、学区内である程度規模の大きい高校、4学級以上を想定していますが、協力校を定め、協力校からの出張授業や遠隔授業など、連携に取り組んできております。
 13ページですが、北海道の特色としては、道内の各市町村から道立高校へ様々な御支援、御協力をいただいていることがあります。北海道には179市町村ございますが、通学費や下宿費等の補助など、保護者等への経済的支援を行っていただいているほか、高校の魅力化を考える協議会等を設置している市町村などもございます。
 道教委ではこうした支援をいただく一方、各高校の特色化、魅力化に取り組んでいるところです。14ページですが、例えば、これは令和2年度に作成したものです。高校魅力化の手引など、様々な資料を作成しております。各校にこれらの資料を活用しながら、指導・助言を行っているところです。
 15ページですが、道立高校における遠隔教育について説明いたします。スライド右側を御覧いただきたいんですが、道教委では、少子化により統廃合や小規模化が進行することによる教育環境への影響を懸念して、平成18年度に策定した指針において、学校間における遠隔授業の充実という方向性を打ち出しました。平成20年度から一部の高校で遠隔授業を開始いたしましたが、新しい取組でありまして、様々な課題があったところです。そのため、平成25年度以降、研究開発学校制度やCOREハイスクール・ネットワーク構想事業を活用させていただきながら、遠隔授業における単位認定の在り方などの研究を進めているところであり、こうした取組を経て、令和3年度に遠隔授業配信センターを設置したところです。
 16ページは、遠隔授業配信センター開設に当たってのイメージ図です。いろいろ研究を行っていく上で課題も生じてまいりました。やはり大学進学など生徒の多様な学習ニーズに応えるためには、質の高い授業を配信する必要がございます。遠隔授業の指導スキルの育成などが課題となっておりまして、さらに今後も地域連携特例校などが増加していく見込みでした。そういったこともあり、遠隔授業の集中化、効率化を図ることとし、「夢は、地元でつかみ取る。」をキャッチフレーズに遠隔授業配信センターを開設したところです。
 17ページが、具体的な遠隔授業配信センターのイメージですが、上のほう、赤で書いたのが、実際に遠隔で行っている交流。あと、黒の文字で書いているところが、実際に学校を行き来して行うような交流活動です。
18ページですが、現在、遠隔授業配信センターにつきましては、令和3年度から実施しておりまして、年次進行で配信を行っているところです。実施体制としては、センター長を含め18名で業務を行っています。
 遠隔授業の取組については、最初、平成20年度、24年度間でこれぐらいの規模で行っていたんですが、それがどんどんと拡大して、平成29年度にはこのような形で配信が行われるようになっております。さらに令和5年度には、札幌から一括でこのような形で配信を行う予定となっております。
 19ページですが、遠隔授業配信センターの取組に係る役割分担としては、教育委員会、T-base、受信校、それから地元中学校・教育委員会、それぞれ役割を分担して行っているところです。
 最後に20ページは、道外からの入学者の受入れについてです。これまでも道外からの入学者の受入れを行っていたんですけれども、来年の入学者選抜から基準を緩和し、受入れを拡大する予定です。主な内容の丸の2つ目ですが、地域の教育資源を活用した教科・科目の設定では、単位数をこれまでの10単位から3単位とし、より多くの高校で実施できるようにしたところです。道外から入学者を受け入れるためには下宿等の受入態勢が整備されている必要がありますが、この点につきましては、市町村ともいろいろ御相談しながら進めているところです。
 今年度、新たに道外からの入学者の受入れを行う学校が6校増加したところであり、来年度は合計で27校が道外入選を行う予定でございます。
 道教委からの説明は以上です。高校の主役は子供たちです。今後とも地域の方々と一体となり、高校の特色化、魅力化に取り組み、生徒の多様なニーズに対応した高校づくりを進めていきたいと考えております。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 それでは、先ほど申しましたように、長崎県教育委員会と北海道教育委員会からの御説明に関して質疑応答を、今から30分程度と考えておりますが、お願いしたいと思います。どなたか、御質問おありの方、手を挙げるのボタンをお願いいたします。
 では、岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】  長崎の皆様、北海道の皆さん、本当に御発表ありがとうございました。本当に2つの道県ともに先を見越して、かつ正面からどう対策していくのかということを考えていらっしゃる。敬意を表したいと思います。
 2点お聞きしたいのですけれども、今、私の住んでいる県とかでも、やはり充足率というのはすごく低くなっていると。先ほどの長崎でもありましたけれども、ほとんどの学校が充足率を満たしていないというふうになったときに、それが学力と言うとちょっとすごく狭い範囲の話になってしまうんですけれども、学習習慣とも言いましょうか、そういう生徒の学習面における格差、差がそれによって生じていないのかというところをお聞きしたいです。つまり、充足率が低い、つまり倍率の低い高校がある地域の子供たちの学習が遅れていないか。もしくは、高校入試は別にしなくても全員入るからというようなことで、学習への意欲が失われているような事例がないのかというのは、多分データはないとしても、例えば学力テストの相関とかでも良いと思うんですけれど、何かそういうものがあるのかというのが、まず1点目です。
 2点目に関しても比較的似ているのですけれども、先ほど各学校が魅力化をしていくという。これはとても重要なことだと思うのですが、この点は昔からあったと思うのですが、地方のより地方の地域において、地域間移動を高校進学で行う子たちのほとんどが、大学への進学を考えている場合が多かったと思うんですね。つまり、地元の高校で大学への進学への指導が十分できているかどうかというところに不安を持ってしまって、それで地方のさらに地方都市のほうから県庁所在地のような大きな都市のほうに移動するという例は昔から結構あったと思うんですけれども、今の各地域で小規模校で取り組まれている中で、大学進学に関する機会を十分に果たせるというか。取組として、工夫とかされている例がもしありましたらお教えいただきたい。
 この2点について、よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。もう少し御質問いただいた後でまとめてと思いますが。
 では、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  ありがとうございます。私は大きく2つで、1つはちょっと共通する点における感想みたいなところですね。2つめに質問というのがあります。
 まず、今回学ばせていただいたところでいきますと、小規模化していく高校の今後の課題に対応する戦略が、共通して3つあったかなと思います。どれも学校というもの自体の中だけでやろうとするのではなく、学校を開きつなぐというところがキーになっているのかなと。1つ目は、学校を地域に開き、地域とのつながりの中で地域連携・地域協働の中で、地域リソースを最大限使っていくという戦略。2つ目が、地域の外の学校だとかセンターだとかとオンラインでつなぎ、生徒同士の学びだとか外にいる教員からの学びを得るという、オンラインを活用していくという戦略。3つ目は、都道府県外を含めた多様で異質な生徒の受入れというようなのが共通しているのかなというふうに学ばせていただきました。
 その上で質問は、そうした取組をそれぞれ都道府県でされていますけれども、一方で、そこだけではなかなか難しいから国にお願いをしたいというような部分というのは、どういった部分なのか。要は、都道府県や現場がこういった取組をさらに進めていくために、もしくはやりやすくなるために国ができること。それは制度面なのか、人員なのか、財源なのか分からないんですけれども、そういったところで国がやるべきことというのはどういったところだとお考えなのかなということをお聞かせいただけたらと思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。岩本委員、御質問は1つだけということでよろしいんですね。
【岩本委員】  はい。質問は1つです。
【荒瀬主査】  分かりました。
 では、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】  よろしくお願いいたします。埼玉県の清水です。参考になる情報をありがとうございました。
 伺いたいのは1点でございます。教員不足が非常に大きな問題になっています。遠隔で授業を配信する北海道の遠隔授業配信センター構想は、教員不足にも十分対応できるシステムかと思いますが、学習評価の方法等について、何らかの手だてをお考えになられているのかどうか。その点について、参考にさせていただければと思いますので、教えていただきたいと思います。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。今の件は北海道ということでしたけれども、今、長崎県でも配信センターを御計画であるということでありますので、両方へお尋ねしたいと思います。
【清水委員】  お願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 では、青木委員、鍛治田委員、田村委員、長塚委員の順番でお願いいたします。青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  ありがとうございます。東北大学の青木と申します。本日は、教育委員会の皆様におかれましては、御報告ありがとうございました。
 2つの報告を伺いまして、現状、少子化の中でフルセット型のかつての都道府県立の高校というビジネスモデルの存立が難しくなってきている中での必死のお取組というふうに、懸命なお取組というふうに受け止めました。他方で、小ぢんまりとしたミドルスクールというのが中等教育においてもあり得ると思いますので、こういった取組が進むといいんではないかなと思いました。
 その上でなんですが、まず長崎県教委の皆様に伺いたいのが、私立の充足率と公立の充足率の比較がありました。シンプルに考えると、私立に事実上、高校教育を代替させればいいのではないかという議論も成り立つかと思うんですが、やはり、私立の場合には立地が都市部に集中していて、県土均衡ある高校教育の提供は難しいということであまり好ましくない状態だと御認識かどうかという点と、もう一つは、市町村の移管の議論が北海道と比較してあまり出てこなかったように思いますが、この点について、市町村移管が政策手段として採用しにくい事情がありましたら伺えればと思います。
 北海道教委の皆様に伺いたいのが、市町村への移管後の中学校ですね。御地元の中学校と移管された高校との関係について伺えればと思います。
 さらに共通問題として2つの教育委員会の皆様に伺いたいのが、広域行政の制度の活用についてです。御報告ではあまりそういった点について、例えば広域連合ですとか一部事務組合ですとか、そういった政策オプションを採用されていないように伺いましたが、あまり使い勝手がよくないから使っていないのか。現状、そこまで踏み込まない何かの理由があれば伺えればと思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。青木先生、2つ目の北海道にお尋ねの市町村への移管後の中学校との関係というのを、もう少し御説明いただけますでしょうか。
【青木委員】  ありがとうございます。町立の中学校があるわけですので、町立の事実上の中高一貫の教育が提供されるようになって、やはり町立移管の果実というものが、そういう面で、教育の内容の面であるのかどうか。そして、それが大学進学というところへも、大学進学ということも視野に入るような教育が提供されているのかというようなことを伺えればと思います。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。それでは、これも後ほどお願いしたいと思います。
 では、鍛治田委員、お願いいたします。
【鍛治田委員】  YMCAの鍛治田です。
 単純な質問ですが、1件目が、青木委員もおっしゃっていたように、公立のほうが私立よりも減少幅が大きいというところで、公立が私学から何か学ぶことがあるのではないかと思いまして、その辺り、何かヒアリング等を行っていらっしゃるかという点が1点です。
 2点目としまして両方にお尋ねしたいのですが、魅力ある高校づくりで、地元の人たちにも聞いているという話を伺いました。誰にとって魅力があるかといいますと、やっぱり中学生や子供たちだと思いますので、その子供たちからの声を聞くようなことをされているかどうかです。
 最後の3点目で、北海道の市町村立のところも非常に魅力的だと思いました。この中で全寮制で他府県から受け入れ、ここは全日制しか想定はされていないと思うのですが、全寮制の通信制高校など、そういったことの御議論をされたことがあるかどうか。この辺りお尋ねしたいと思いました。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 それでは、田村先生、お願いいたします。
【田村主査代理】  大阪教育大学の田村と申します。第1回目は欠席しまして、大変失礼いたしました。
 今日の発表どうもありがとうございました。
 幾つかお尋ねしたいのですが、1点目は単純に、学区制はどのように区切られていらっしゃいますかということです。
 2点目ですけれども、特に北海道様では遠隔授業が随分進んでいらっしゃると思いますが、現行の法令では、受信者側は必ず教員がいないといけないということになっているかと思います。そういったことを含めて受信者側の課題、もし法令の変更を期待するようなことがあればというところで教えていただきたいです。
 もう一点が、かなり下宿をする高校生というのが今後増えていくようにも思えるのですけれども、そういった場合、高校生たちの生活をケアしていくために、特に配慮されているということを教えていただければと思います。
 4点目が鍛治田委員の御質問と重なりますけれども、学校に通うのは生徒たちですので、中学生や高校生たちが、この魅力ある学校づくりというのにどれぐらい関わっていくチャンスがあるのか、あったのかというところを教えてください。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 では、長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】  長塚です。
 長崎の方にお聞きしたいんですが、長崎はたしか7学区になっていると思うんですが、島嶼部の生徒さんが島の間を行き来して通学するというのは非常に困難な状況にあるんだろうなと思うんですが、それだけでなく、希望する高校がその学区内に必ずしもないというようなこともあって、他地域に移動せざるを得ないというようなことがあるのではないかなと推測したんですが、その辺の状況についてお伺いできればなと思います。
 北海道のほうにお伺いしたいんですが、学校数が非常に多い北海道、小規模校が増えているという実態をお聞きして、本当に大変な中で連携する仕組みをいろいろとおつくりになっているなということで、未来を先取りしているような小規模化に対応する仕組みができつつあるなというふうに非常に感心させていただきました。
 お聞きしたいのは、7ページのところに、市町村に中高一貫校などを設置するということで、移管を希望している場合には検討しているんだということなんですが、中高一貫で、併設型はともあれ、中等教育学校となると、これはむしろ道立で考えないとなかなか運営など難しいんじゃないかと。区市町村にそれを移管してしまっていく方向は、むしろ反対なのかなというふうに思えるのですが。それがうまくいっていればいいんですが、その辺の状況についてお聞きしたいことと、もう一点だけ。
 最後の20ページで、道外からの受入れを推進していく方向だということですが、私どもの知る範囲では、今現状では合計で140名ぐらいの募集をしているんですけれども、たしか20名ぐらいしか入学していないという実態があろうかと思うんです。道外からといった場合には、近隣の道外ですと、やはり過疎地域の県から北海道にやって来るというようなことが十分考えられるのであって、その辺、生徒数が少なくなっている地域間の移動のようなことになりはしないか。実際にはどの辺の地域からの生徒が道内にやって来ているものかなと。その辺のことについてお伺いできればと思いました。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 では、沖山委員、お願いいたします。
【沖山委員】  今日のテーマは、少子化と学校の小規模化が進む中における高等学校の在り方ということですが、これはあえて質問したいのですが、高校の魅力化とか特色化を図っていくということは本当にそのとおりだと思いますし、そういう取組がもう既に始まっているわけですけれども、少子化がますます進んでいく中での高校の特色化・魅力化を図っていくということが、子供の奪い合いというか、生徒募集の競争をどんどん図っていくということのように聞こえてしまうのですけれども、この少子化・小規模化というのは、言ってみれば高等学校の中のとりわけ定時制ではもっと早い時代から進んできたわけで、かつて30年ぐらい前までは統廃合していくという形で対応してきたという歴史もあるのです。
 でも、今後については、単純に統廃合していくのではなくて、特色化・魅力化をますます進めていくことで、小規模であっても魅力ある学校づくり、教育づくりを行っていくのだという方向性に、長崎県も北海道もお考えだというふうに理解してよろしいでしょうか。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】  では、塩瀬委員、お願いいたします。
【塩瀬委員】  京都大学の塩瀬と申します。
 先ほどいろいろデータを見せていただいていて、各地域の中での学校当たりの学級数がどんどん減ってきているというのを伺ったときに、これ、事務作業が、学級当たりの相対的な量が余計増えているんではないかなと思いまして、校数が変わらずに学級数が減っているということは、相対的に事務作業が増えるということだと思いますので。そうなると、文科省から来る通達とか告示とか依頼とか確認とか、大体、教育委員会さんからの枕文を書き足して、それぞれ学校に通知されていると思うんですが、それが相対的に物すごい量が増えているんではないかなと思いますので、DXするなら多分そこが一番。送る時点で、最初から通達とか確認とかもう押しちゃえばいいはずだと思うので、何かそういうのをしてもらえたらいいなとかって、多分、後々言いにくそうな気がするんで、今この場で言ってしまえばこの全体で言った話になるから、ごにょごにょっと言いやすいかなと思ったんで、カメラをオフにしてでもいいので、もしよろしかったら、これ、減らしてくださいと、今のうちに言っちゃったらどうかなと思って。そうすると、結構、仕事が減るんじゃないですかね。すみません。それだけです。
【荒瀬主査】  大変建設的な御意見、ありがとうございます。
 田村委員、加えてですね。お願いします。
【田村主査代理】  もう一点だけ、すみません。
 統廃合をされていた歴史があると思うんですが、その際に、普通科と専門学科を組み合わせるとか、あるいは複数の農業と水産を組み合わせるとかいったように、1つの学校の中に幾つかの学科が併設するような学校が増えていっているんでしょうかということを1点教えてください。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 たくさん御質問をいただきました。少し時間が延びてもお答えをいただければと思います。お答えいただける範囲でもちろん結構でございます。長崎県と北海道両方に同じ質問もありましたし、北海道だけ、長崎県だけというのもありました。今お受け取りいただいた形で、それぞれお答えいただきたいと思います。
 では、まず長崎県からよろしいでしょうか。
【田川課長】  失礼いたします。長崎県でございます。
 たくさん御質問いただきまして、全てに御回答できるか分からないんですけれども、主立った質問について、少しずつお答えしていきたいと思います。
 まず最初に岡本委員から、倍率が下がってきて、いわゆる学力との相関についての御質問がございました。実際、いわゆる倍率と学力との相関については、想像のレベルでは、恐らくそういったことも進行しているのではないかという、その域でございまして、しっかりとした調査に基づいた相関関係を出しているというような実態はございません。
 特に進学校ではまだ倍率1倍を超えるという実態もございますので、競争性といった意味では担保ができていると思っています。また一方で、学びの在り方も随分変化をしてきております。学力の3要素と呼ばれますように、いわゆる学力試験で測れない非認知能力。そういったものがやっぱり必要になってきている時代ではなかろうかと思っております。学力検査だけではなく、高校に入学してきたら、そういった部分も含めて育て上げていく。そういったものは、大規模校ではなく小規模校でもやっていけるものではないかと思っております。
 また、大学進学につきましては、本県では、小規模校の中には、小規模校だからこそ手厚い指導ができて、自分の行きたい学校に進学ができているというような小規模校もございます。進学校を経験した者が、小規模校、特に離島あたりを経験することで、そういった進学指導のスキルあたりも身につけている状況もございますので、大学進学については、進学校のみならず、そういった小規模校からも大学進学しているという状況があるという状況でございます。
 また、岩本委員から国にお願いしたいことということで、ありがたい御質問をいただきました。小規模化そしてそういった学校を残していく上で、私たちが一番欲しているものは、やっぱりマンパワーということになります。学校が小規模化していく。そして、生徒指導などの問題も一方で起こっている。そういう中で、やはり教員が教育に専念できる。あるいは地域との連携は、またそちらのほうでお願いできる。そういうような外部人材の活用といったところに予算等を頂ければ、大変ありがたいなと思っております。
 また、国の御支援としましては、これまでの中教審のワーキングの中でも、令和2年度に審議まとめという形で、高等学校が地方創生の核であるべきだというような御議論をいただいております。そういうような審議していただいたことを我々は後ろ支えにしながら、学校の魅力化、地域の活性化といったことを学校が担うべきなんだということでやってきております。ぜひ、そういう後ろ支えを物心両面からお願いできればなと思っているところでございます。
 また、教員の数ということでも御質問をいただきました。教員の数は、小規模化していくと確かに厳しい現状もございます。教員定数の中でのやりくりというのは非常に厳しいものがございます。長崎は、大変ありがたいことに離島加配をかなりたくさんいただいております。それによって離島の教育が充実し、例えば理科で言うと1名のところが、複数配置によって複数の科目の講義ができる、授業ができるという状況もございます。そういった点については、文科省の皆様には感謝申し上げたいと思います。
 また、私学との関係というようなところも御質問いただいたところです。私学から学ぶべきものですとか、あるいは私学の充足率が高いといった現状。そこら辺のところは、もう皆様御存じのとおり、就学支援金の関係で、実質授業料無償化といった流れが非常に大きいのかなと思っています。
 また、私学が立地している部分は、御指摘のあったとおり都市部にございますので、離島にはございません。我々はやはり公教育を担う担当ということで、様々な生徒、グレーゾーンの生徒も含めまして、通級指導の導入も含めまして、離島にも導入をしておりますし、私学とは違う公立学校としての使命、ミッションといったものを我々は実感をしながら、高校の存続を考えているというところでございます。
 また、教育長も中﨑教育長に今年度から替わりまして、私学と協議をする場を今後設けながら、学ぶべきものは学んでいきながら、そして私学と協調できる部分があるとすればどんなところなのか。そういったところは今後、連携を深めながら、中学生あるいは高校生全体にとって、何が一番子供たちにとっていいのかということを、公私立問わず協議をしていかなければならないと思っているところです。
 ちょっと時間の関係もありますので、一旦これぐらいの御回答でよろしいでしょうか。
【荒瀬主査】  分かりました。ありがとうございます。
 それでは、長崎県から今お答えいただきました。北海道、よろしくお願いいたします。
【田原課長補佐】  北海道教育委員会高校教育課の田原でございます。御質問ありがとうございました。
 まず、岡本委員からいただきました学力差についてでございます。充足率が低い、定員割れをしている学校においては、やはりどの学校も生徒の学力差については課題として持っております。特に学校からは、数学、英語の学力差が非常に大きいということで、習熟度別授業を設定して対応している学校が多い状況でございます。先ほどの説明では遠隔授業配信センターの話もさせていただいたんですけれども、この配信センターからは、習熟度クラスのいわゆる学力層が高い子たち向けに授業を配信している状況です。そういった取組も遠隔授業の強みかなと考えているところでございます。
 続いて、同じく岡本委員からいただいた魅力化を進める上で、地方の子供たちが都市部に移動するというような話がございました。これは北海道においても同様の状況がございます。ただ、遠隔授業配信センターができてからは、そのPRがうまくいった地域については、生徒の立場になってみると2つ選択肢ができます。ちょっと通学時間を延ばして大規模校の進学校に行くか、地元に残って遠隔授業配信センターからの授業を受けて大学進学を目指すか。地元に残ると選択した生徒がいるんですけれども、そういった子たちの話を聞きますと、自分はやはり少人数で、手厚く、先生と密な関係を取れる学校のほうがよかったということで、遠隔授業配信センターのほうが向いているということで、実際に地元の学校を選んで、自分の選択は間違っていなかったというような声が届いております。
 続きまして、岩本委員からいただきました国にお願いしたい内容ということで、地域の方からお話をいただいているのは、やはり先ほど長崎県教委の方からもありました、教員数の話ですね。最近多いのは地域コーディネーターについて。ここを道教委はどう考えているのかというような御質問を地域別検討協議会でよく受けます。私からは、それぞれの市町村が任用している地域コーディネーターと学校のコンソーシアムを担当する教員が連携を図りながらやっていくのが望ましいのではないかというようなお話をさせていただいております。こちらについても、もし道教委でコーディネーターを配置することが可能であれば、それは学校の取組はますます充実していくのではないかなというふうには考えております。
 また、制度については遠隔授業配信センターの設置場所。遠隔授業配信センターは、札幌市内にある有朋高校という高校に設置しております。開校前、センターをどこに設置するかを検討する際、先生方を置くのは生徒がいる学校でなければならないということで、既存の学校の中にそうしたセンターをつくったんですけれども、北海道は学校数が減っていっている中で、様々な箇所に空き校舎等がございます。そういったものも活用できれば、遠隔配信センターの複数校化も進めやすいのかなというふうには考えたりはいたします。
 続きまして、清水委員からいただきました学習評価についてでございます。遠隔授業配信センターの教員が評価規準やテスト等を作成し学習評価を行っています。例えば数学の習熟度別授業ですとクラスが2つありますが、一方はセンター教員、もう一方は受信側教員が受け持っています。生徒は同じ学校の生徒であり、同一の評価規準で評価する必要があるので、受信校教員が受け持つもう一方のクラスについても、センターの評価方法に合わせていただいているというような状況でございます。
 続きまして、青木委員からいただきました市町村移管後の中学校との連携については、これはケース・バイ・ケースと考えております。以前から中学校と高校の連携ができていた学校。そんな高校が市町村立に移管した場合は、引き続き中高の連携がしっかり取れていると思いますけれども、市町村移管時に、それまで中学校と高校の連携があまりなかった高校については、移管後、取り組み始めていると思いますが、具体的に内容までは伺っていない状況でございます。
 続いて鍛治田委員からいただきました、再編の際に地元の子供たちに意見を聞いているかどうか。例えば一例を挙げますと、今年度の高校配置計画において、学科を再編する。募集停止じゃなくて学科ですね。例えば工業学科。4学科を3学科にするとなると、それまで1学級ずつ小学科があったんですが、それを3つにしなければならない。こうしたときに、生徒や保護者向けのアンケートを実施しております。例えば、ある生徒は高校入学時点でもう将来のイメージが決まっていて、高校入学と同時に電気を学びたいですとか機械を学びたい。こういったケースもあると思いますし、一方の生徒は、工業全般に興味があるけれども、まだ専門的な道までは見えていない。広く浅く学びたいか、深く狭く学びたいかといったようなアンケートを取っているところでございます。
 続きまして、田村委員からいただきました遠隔授業に関して、受信側には必ず教員を置かなければならないということで、こちら、現在、道教委が参加させていただいておりますCOREハイスクール・ネットワーク構想では、学習指導員を受信側の学校に置くことで対応が可能だというふうに特例的にしていただいております。学校の話を聞くと、それにより受信校の教員の負担はかなり減っているという話を伺っております。そういったことも今後、実証研究を進めながら、いい報告ができればと考えているところでございます。
 また、同じく田村委員からございました、下宿生が増えたときに、そういった下宿生に対する配慮のほうがどのようになされているか。こちらについては、なかなか学校の教員が生徒の学校外での生活まで配慮するというのは少ないケースかとは思います。ただ、ある高校において、地域コーディネーターの方が学校外の生活について配慮しているというようなケースを伺っております。それら生徒は、地域みらい留学に参加している生徒でございます。そういった生徒については、ケアが行き届いているというふうに考えております。
 続きまして、中高生が学校の魅力化に関わるチャンスがあるかどうか。こちらについても、基本的に私どもの立場としては、学校に対し、学校の魅力化について、生徒に積極的に関わってもらいたいというふうに伝えているところです。実際、総合的な探究の時間等において、高校の魅力化を生徒が課題として設定して、探究していくというようなことを行っている学校もございます。
 続きまして、長塚委員からいただきました道外受入れについてでございます。地域ですけれども、地域みらい留学に参加している生徒さんは、学校から報告を受ける中では、やはり都市部の生徒が多いと思います。東京ですとか関西のほうですね。過疎地域から過疎地域というのはあまり多くはありません。参加する生徒さんたちの動機の多くが、やはり北海道ならではの体験をしたいということで来ています。似た地域からの生徒さんは少ないのかなという印象でございます。
 続きまして、沖山委員からいただきました生徒の取り合いというような状況ですね。これは市町村からよく話を伺っております。ただ、方向性といたしましては、魅力化を進めることでそれぞれの高校の役割が明確になれば、同じ小規模校であっても異なる学びができ、生徒の選択肢が増えますので、魅力化をさらに推進していきたいと考えております。
 また、塩瀬委員からいただきました、教員の仕事を減らすということについても、検討していきたいと考えております。ありがとうございます。
 田村委員からいただきました統廃合において、学科の組合せ。これは増えております。例えば工業、普通、商業、農業ですね。そういったものが統合により1つの学校になっていくというのは増えますし、あと、総合学科を設置するケースにもつながっております。
 残りについては、小倉から説明いたします。私からは以上です。
【小倉課長補佐】  長くなって申し訳ございません。続きまして、ほかの御質問に対しまして、でき得る限り、答えられる範囲で御回答したいと思います。
 田原も先ほど言っていたんですが、国にお願いしたいことというのは、まだちょっと実はございます。北海道で今1学年1学級の高校はかなり増えている状況ですが、やはり高校教育の専門性を確保するためには、今の国からいただいている定数では、なかなか専門性が確保できないという部分がございます。道単独で、1校当たり原則的に教員を2名、さらに事務、職員につきましても1名、合計3名の道単独での定数加配を行っているところです。できましたら、何とかこういった部分につきましても御配慮いただければ、北海道としては助かるなと考えているところでございます。
 また、次の広域行政の関係なんですけれども、確かに北海道は、大きな町とその周辺の市町村といったような形で広域行政を行っている部分があるんですけれども、高校配置につきましてはどうしても総論賛成各論反対みたいな部分もございます。なかなか集まって話をしても決まらない部分というのがあるのかなというふうには感じております。
 ただ、これからの高校配置というのは、道教委だけで考えても、あと個別の市町村と一対一で話をしていってもなかなか決まらないというか、いいものができていかないというふうにも考えております。例えば通学範囲の中の市町村の皆様にお集まりいただきまして、その場合、高校がある市町村もない市町村も両方ですけれども集まっていただきまして、中長期的な視点に立って、今後、地域にいる子供たちの高校教育をどうしていくのかということについて議論する場をつくることを検討しているところです。
 また、私学との関係の部分でございます。北海道につきましても私学の充足率というのは上がっていて、公立の充足率はちょっと下がっているところです。私学につきましては、建学の精神に基づき特色ある取組をかなり前からやっているということで、やはり子供たちにとっても魅力がある状態なのかなというふうには感じております。
 北海道では19の通学区域のうち、10通学区域ぐらいしか私立高校はございませんが、やはり1つの学区に公立と私立が共にあって、共に切磋琢磨できるような環境づくりというのが一番大切なのかなと思っております。そこは道教委としてもしっかり頑張っていかなければならないと感じているところです。
 全寮制の通信制高校などの検討というのも今後必要なのではないかというようなお話もございましたが、今のところは、そこにある学校でまずは対面で学べるような環境をどうつくっていくのか。それができない部分については、今やっているようなT-baseのようなものを活用しながら、また、T-baseにつきましても今は地域連携特例校と離島だけですけれども、将来的にはもっと拡大していくことも、必要になってくるかもしれません。そういったことも含めまして、将来的な通信制高校の在り方というのも考えていかなければならないのかと思っております。
 通学区域につきましては、平成17年に55学区あったものを拡大して、今は19学区です。それと併せて学区外就学枠。ほかの学区から来られる生徒の割合ですが、そういったものを増やすとともに、選抜方法につきましても改正を加えまして、学力競争、受験戦争にならないように配慮しながら拡大したところでございます。
 それから、市町村立移管の要件です。要件としては中高一貫という項目があるんですけれども、現在、奥尻高校につきましては中高一貫教育を行っております。やはりメリット・デメリット両方あると思うんですけれども、設置者が一緒になるということで、町が設置者となることによって、高校と一体となって地域に根差した教育というものができるようになるのではないかなと考えております。
 最後ですが、小規模化が進む中での事務作業という部分です。事務職員の部分につきましては、北海道に14の教育事務所があり、そちらに道立学校運営支援室という組織をつくっておりまして、学校の事務については集約化を図っているところです。高校の小規模化が進みますと職員が減少していきますが、学校では、小さくても大きくてもやることは変わらない部分もございます。小規模校の教育環境の充実、生徒もそうですし、教職員の職務環境の充実といったものについても、しっかり道教委としても考えていかなければならないと感じているところでございます。また、国からも何か支援が可能でしたら、よろしくお願いしたいと思います。
 長くなりました。以上です。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。大変丁寧にお答えいただきました。
 まだ御質問がおありかも分かりませんけれども、その場合は事務局にメールを送っていただいて、事務局から、お手数ですが、両教育委員会に改めて尋ねていただくということでお願いしたいと思います。
 長崎県教育委員会そして北海道教育委員会の皆さん、本当にお忙しい中、今日はお越しいただきまして、しかも質問にも大変丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。ヒアリングはここまでといたします。両教育委員会におかれましては、このままいていただいても結構ですし、御退室いただいても結構でございます。本当にありがとうございました。
 それでは、残りの時間、これまでのお話も含めまして、委員の皆さんから御意見をいただく時間にしたいと思います。冒頭、白川補佐から御説明いただいた資料の最後のページ、7ページにありました、少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方に関する論点例というものも出ております。これも含めまして御意見を頂戴できればと思います。また、御発言の方は、手を挙げるのボタンを押していただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
 では、石崎委員、お願いいたします。
【石崎委員】  ありがとうございます。私どもは全国高等学校長協会でございまして、先月も47都道府県の代表の校長先生方が集まった研究協議会があったので、そのときにも少子化についていろいろ御意見を伺いましたので、その声を紹介させていただければと思います。
 大別すると、ある程度一定規模の学校を維持するためには統廃合もやむを得ないというような声と、どんなに小規模になっても学校は残してほしいというふうに大別されるんですけれども、やっぱり一定規模の維持が必要だというお声の中では、高校は小中学校とは異なって、一定規模の中で多様な人間関係だとか多様な学びを経験することが必要なのではないかと。ただし、その際には、学習保障の点でどうしても統廃合してしまって学校のなくなった子に対しては、ICTなどを活用して学習保障は必要だろうしというような声はありましたけれども、高校は一定規模必要かなという声が1つでございました。
 実は、私の学校も24学級あるんですけれども、中等教育学校なので1学年にならすと4学級なんですね。そうすると、学年ごとに集まってみると、4学級が規模としてやっぱり少ないなというか、最低限かなというような肌感覚はございます。先ほど北海道、長崎県で3クラス、4クラスが適正規模だというお話がございましたけれども、それは私は肌感覚としてはすごくよく分かるという感じがします。
 もう一方で、どんなに小規模でも地域に学校は必要なんだという声もございました。山間部などでは、地域社会に根差した学校として、統廃合は不可能なんだというお声もございました。そういう学校では、先ほども御紹介あったような、似ていると思うんですけれど、都市部の学校と遠隔授業を行っている。それから、通学できる範囲に学校があることが大事で、一番印象に残ったのは、コンビニと学校は地域には必須なんだという声が印象的でございました。
 じゃ、少人数の学校、小規模の学校を残していくためにはという中では、やっぱり遠隔授業などの取組を行っているという例は多数紹介されました。もう一つの考え方として、地域人材ですとか地域連連携、外部人材の活用といったことで、小規模の学校を残していくというような取組も紹介されました。それから、小規模の学校を残していくためには、先ほど北海道からもお声がございましたけれども、定数のところで何とか教員を配置してほしいというような声もございました。
 ちょっとまとまりのない話になったんですけれども、なかなか1つに意見がまとまるということはなくて、やっぱり一定規模が必要だから統廃合もやむを得ないという声と小規模でもぜひ残していくべきで、ICTの活用とか地域連携、外部人材の活用といったものを進めているという声に大別されたところです。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。石崎先生、本当に現場でもそれぞれの校長先生方が大変真剣に考えられて、その結果、悩んでいらっしゃる方もきっといらっしゃるんだろうなということがよく分かる御説明でした。ありがとうございました。
 今、手を挙げていただいていますのが、濱田委員、岡本委員、岩本委員、塩瀬委員、青木委員、そして長塚委員です。あとの時間を考えますと、長塚委員までで、一応、一旦区切らせていただきたいと思います。今、申し上げただけで6人いらっしゃいますので、残りの時間の関係もございますので、大変恐縮ですが、手短にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、濱田委員、どうぞ。
【濱田委員】  ありがとうございます。
 私は、先ほどの長崎や北海道と同じような状況でございまして、同じような遠隔授業の取組を進めているところでございます。少子化が加速する地域において、学校の存続は地域の存続にも関わる重要な課題です。ほとんど高等学校が義務教育化している状況では、できる限り地域に学校を存続させる。そういった方向で進めるべきではないかと思っています。
 全ての高等学校で充実されるべき機能というのは、まずは子供たちの進路保障だろうと思います。本県の遠隔授業は、そういった子供たち一人一人が多様な進路を獲得するための補完的な機能。小規模校ではできない習熟度別の授業を展開したり、大学進学の多様な科目を、その学校では開けない科目を配信するといった形で実施しています。そういった形で、地元に残ってもどこの地域にいても、子供たちが自分の希望に沿った進学ができるというようなところを補完する。そのために遠隔授業をしています。遠隔授業を補完的な機能としながら、全ての高等学校の生き残り策として取組を進めていけるのではないかと思っているところです。
 もう一つは、やっぱり地域の子供たちを18歳までにどうやって大人にしていくのかという話があります。小規模校は、一番身近に地域を感じられるところです。そういった地域との連携、地域との協働、地域の中で大人にしていくような活動、そういった取組をしていく。それらも全ての学校で重視されるべき機能として明確に打ち出していただきたいと思っています。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 では、岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】  ありがとうございます。
 これは、地方の問題と、あとは定時制や通信制の話にもこれ通じるんですけれども、この地域もしくはこういう種類の学校に行くとこういう進路になるよねということが固まってくるとよくないと思います。つまり小規模校に行くと大学進学が難しい。定時制、通信制へ行くと学習面が少し足りないんじゃないか、そういう多分イメージをまず変えていかなきゃいけないんですけれども、進路先の多様化に対応できるような、ある種の学校の多機能化が必要なのだと思っております。
 そのためには教員の質と数の担保というのと、プラス、あとは先ほどのお忙しいという話。やはりこれもあって、小中学校で教員が足りなくなっているという話は現在既にあるのですけれど、これ、高等学校も多分、もう近い将来出てくると思うんですよね。大量に退職される世代が来ますので。そうしたときに業務というものをもう少し精選させていく必要があって、事務作業員とかコーディネーター等の人材の拡充みたいなものは、国からも支援や拡充を行っていただくと、多機能化だったり、1つの学校に対する仕事の役割が増えることに対応できるようになってくるのだと思います。
 以上となります。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 では、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  ありがとうございます。私からは3点です。
 1点目はデータのところに関して、今回、資料を出していただきまして、本当にありがとうございます。本当に貴重なものが入っているかと思います。今後に向けて、もし可能であれば、もし見つかればということなんですが、小規模化におけるメリットと課題のところですね。ここのデータだとかエビデンス。全学年1学級の場合どうなのか。2学級の場合、3学級の場合。こういったところを、どの程度それによって本当の意味で課題だとかメリットが出ているのかというところで、何かデータだとかエビデンスみたいなものがあれば。感覚値だけではなく、本当に考えていくために、もしあればというので1点目です。
 2点目は、小規模化していった学校のところで、あまりここまで出てきていなかった観点かもしれないです。私も全学年1学級もしくは2学級の高校でやっていたときに、本当に教職員が少ない中で多様な仕事があると。しかも地元出身の教員というのはほとんどいない。多くの場合、都市部から来ていて、かつ異動が早い。異動のスピードだとか講師率が高いというので、教員もどんどん変わっていくというような実態があります。
 そうした中でも、今回出ていた地域との連携だとか協働、中学校とかもしくは他校につながっていくとか。こういったところをやっていくに当たっては、やっぱり外部人材。あと、先ほども出ていました、やっぱりコーディネートする人材の配置というところは、本当に必須で重要なところだと感じています。ここら辺はしっかりと仕組みの中で、すぐできるようにしていく必要があるかなと思います。
 最後3点目、生徒の取り合いみたいな。私、この言葉が本当は好きではなくて、私がずっと過疎地域にいたときの視点で代弁させていただくと、今までは一方的にそういう言葉でいけば取られてきた。地元の子たちの半分以上は、都市部に一方的に取られてきた。都市部には大規模校もある。私立もある。様々な通信制も含め、ある。生徒たちが、子供たちがどんどんそっちに。一方的に取ってきたじゃないかと。
 逆に、今度、取り合いというよりは、自分たちも本当に魅力や特色をつくって、一方的に取られるだけではなくて、本当に来たいという子たちを受け入れられるようにしていくということなんだと思います。生徒を主語に考えたときには、取り合いではなくて、多様な選択肢が生徒たちにとって増えていくと。都市部の子にとっても、都市部で学ぶ選択肢もあれば、多様なほかの地域で、通学圏じゃないところにもあるような、多様な文化を持った地域や高校で学ぶ選択肢が、生徒たちに増えていくという。そういったものなのではないかなと思います。
 過疎のところで見てきた中では、小学校、中学校1学年1学級、人生で一度もクラス替えがない中で学んできて、やっぱりどうしても少人数の中で同質化していく。人間関係だとか価値観が。そういう中で多様な地域から入ってくる子供たちの存在というのは、そういった地元でずっと同じ人間関係で来た子たちにとって、やっぱり異質な価値観だとか異なる考え方といったものに触れて、切磋琢磨するような貴重な機会になっているということもあります。何かそういった機会がまた否定されることなく、環境として整っていくというようなことが、やっぱり小規模校の生徒たちにとって、また地域にとっても大切なことなのかなというふうに思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  塩瀬委員、お願いいたします。
【塩瀬委員】  ありがとうございます。京都大学の塩瀬です。
 一番大切なことは、学校が生徒のために維持するのか、地域のために維持するのかといったときに、やっぱり生徒のためにというところが多分抜け落ちてしまうと意味がなくて、何か元の学校をそのまま残そうというふうにしてしまうような気がするんですけれども、大事なことは、古いスタイルの学校を取り戻すことではなくて、生徒にとって多様な同級生と交流できる機会を維持することですし、多様な大人の背中に触れて、自分のキャリアを考えられるような機会を維持することだと思います。
 そうなると、今ある学校のイメージを一回捨てたほうがいいんではないかなと。本当に生徒にとって必要な交流が維持できるというところに絞ったときに、例えば建屋もそうですし事務作業もそうで、先ほども話に出ていた、文部科学省から送る通達とか。同じ量だと多分いけないと思いますので、ぜひそこはDXを一番最初にしていただいて、がらっと変わったなという雰囲気が教育委員会にも学校にも伝わるといい気がします。
 学校の建屋に関しましても、現状の建設の中の基準で言うと、やっぱり60年とか47年とか維持するという形になりますので、必要だったときに、統廃合するにしても、もう一回造ろうと思うと、またこれ60年を前提として学校を造るというのは、大きな矛盾だと思うんですよね。本当に居場所が機動的につくれるためにも、以前の学校を残すではなくて、今の生徒たちにとって必要な交流をどう残すかという観点から、新しい学校のイメージができたらなと思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 それでは、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  ありがとうございます。青木です。
 塩瀬委員がおっしゃったことを引き取りますと、やっぱり先ほど申し上げたようにフルセット型の、中学校よりも大きな規模の高等学校教育というのは、あまりにも固定的に捉えられていたんだと思います。これからは、小ぢんまりとしたミドルスクールでもういいんだ、それも選択肢の一つとしていいんだということをこの会議でもぜひ打ち出していければなと思います。
 その上でなんですが、やはり両教育委員会の皆様からの御報告を伺うと、現状の設置形態、設置主体を前提とした中での賢明なお取組だと思います。これからはちょっと中期的な話になるんですが、都道府県か市町村かという二択とか、公立か私立かという二択ではなくて、やや設置主体の緩和みたいなものも考えていいんではないかなと思います。行政の中で言うと、都道府県と市町村の共同設置のような形もあり得ると思いますし、NPOや株式会社立の学校の枠組みをちょっと生かして、公設民営のような形で小ぢんまりとしてミドルスクールを提供する。そうすれば、中山間地や離島でも、公立ではない形の高校を設置しようという社会のリソースが目覚めるんではないかなと。引き出すことができるんではないかなと考えています。
 もう一つは、論点案の7ページにありました、資料1の論点案の1つ目に対してだけ申し上げます。これはやはり後期中等教育後の進路を保障するということに尽きると思います。それさえあれば、離島や中山間僻地で地域に根差した教育を提供しても、そういう進路があるということが非常に重要なことになるかと思います。それがなければ、逆に不当にそこで生まれ育った子を地元の学校に、高校に縛りつけるということになりかねませんので、そこが押さえられるべきことかなと思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 では、最後に長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】  長塚です。ありがとうございます。
 今回もいろんなデータが学級の数というものを基礎にして検討されているわけですけれども、そもそも欧米などでは、高校でも20名台の半ばぐらいが1学級の上限のようになっているのが普通だろうと思うんですね。財政的な問題がネックにはなるだろうとは思うんですが、私は少子化の中で最大のメリットは、施設もあるし教員も現状あるわけで、生徒が少なくなると、1学級当たりの人数を、サイズを小さくするということは非常に理にかなったというか、この時代に必要なことではないかなと。双方向で個別最適化の教育などと言う場合には、
まさにその方向をしっかりと世界的な教育の動向に合わせるような形に高校もすべきではないかなと。小学校のクラスのサイズを小さくするという方向は現在出てきていますけれど、高校も本当に必要なんではないかなと思っておりました。
 そういう中で、小中は義務教育学校という制度もできて、一体化するというようなことができるんですけれども、小中までの義務教育は全国的にというか、学習指導要領のもとでどこの学校も均質の教育を提供しているわけで、教育課程は基本的にどこの学校でも同じわけです。しかし、高校は入学者選抜によって、いわゆる振り分けをします。これは、ある意味極めて日本的で、これによって生徒は他の地域に行かなきゃいけないとか、遠く離れたところに行かなきゃならないというような宿命になっているとも言えます。
公立の高校教育の根幹に関わりますけれど、高校教育を選抜型にすることで多様性を生み出そうとしているわけですけれど、少し全体的に人口が少ないところでは、豪州などではとエリアスクールというのがあって、小中と高が一緒になっているようです。そこで多様な年代の生徒が一緒におり、それでしっかりと地域に根差した初等教育から中等教育の終わりまでちゃんと面倒見られるようになっているわけですね。
 しかしそのためには、高校の振り分けるという仕組み、あるいは高校の在り方そのものをもう少し緩和しないと、さきほどミドルスクールというお話もありましたけれども、地域に根差したような高校がなかなか育っていかないんじゃないかなと。その辺が非常に重要だと感じております。
 小学校が全国に2万、中学校が1万、高校が5,000というような中で、それをどのようにミックスしていくか、あるいは一緒になって各地域でやっていけるようになるのかは、高校の入り口の問題が大きなネックになっているんではないかなと感じているところです。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 皆さん、進行に大変御協力いただいて、逆に少し時間の余裕が出てまいりました。今の御意見をお聞きいただいた上で、さらにということがございましたら、お一人かお二人になりますけれどもお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
 では、清水先生、お願いします。
【清水委員】  ありがとうございます。
 今、長塚委員のお話をいただきましたけれども、1クラスの人数については、様々な観点からも20人とか30人とか、もう少し少人数の学級編成にしていただきたいと思います。
 また、先ほど外部人材などのコーディネーターというお話もありましたので、ぜひ文科省からも御紹介いただければありがたいのが、今、専門高校では、マイスター・ハイスクール事業という事業が進められています。これは、様々な特にデジタル人材の育成ということを観点に置いていますけれども、先端産業分野の人材の育成であるとか、実践的な教員の指導力の向上といったものを目指して、実際に、地域の企業や大学、研究機関の方々に学校の中に入っていただいて、直接生徒に授業していただく。教員と一緒になって授業していただくような取組です。
 この中で、マイスター・ハイスクールCEOという方に学校の中に管理職として入っていただいて、学校のマネジメントも一緒になって行っていただいている事業がございます。先ほど申し上げたとおり、企業技術者や大学研究者など様々な方々に学校に入っていただいて、一緒になって生徒の育成を目指していくという事業が昨年度からスタートしています。こういったすばらしい取組も行われているので、御紹介をいただけるとありがたいと思います。
 本校でもこの取組について今年度から指定をしていただきました。まだまだこれからの段階ですけれども、先日、中間発表会というものが行われて、全国の取組校が集まりましたので、その状況もお伝えいただけると、小規模化した学校の取組の支援であるとか、様々な情報提供が行われるかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 今、清水委員からありましたマイスター・ハイスクール事業は、事務局でちょっと御検討いただいてお願いをしたいと思います。
 それで、申し訳ありません。またたくさん手を挙げてくださったんですけれども、時間がございませんので、私が認識しました順番であとお二人だけということで、本当に手短にお願いします。ほかの方はメール等でまたよろしくお願いいたします。議事録にも載せさせていただきます。
 鍛治田委員と今村委員、このお二人までとさせていただきます。申し訳ありません。
 では、鍛治田委員、どうぞ。
【鍛治田委員】  ありがとうございます。
 少子化が加速する地域ということですが、日本全体で大きな問題だと感じていました。その中で、やっぱり特色ある学校が必要だと思って聞いておりました。これからの学校づくり、特色づくりで、例えば広島県の全寮制の国際バカロレアの公立学校に関しましては、通常は非常に高い学費を払わなければ行けない学校が公立で学べるというのは非常に魅力的だと思いました。
 青木委員もおっしゃいましたけれども、当法人も公設民営でつくった中学、高校の運営を委託されています。このような形で民間やNPOとかのノウハウを使っていることは、これからの学校づくりには必要かと思います。学校はこうあるべきだという価値観ですね。この辺は崩していって、新しいタイプの学校づくり。子供たちの声を聞きながらやっていくのが要るんじゃないかなと思いました。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 今村委員、どうぞお願いいたします。
【今村委員】  今村です。
 ちょっと出ていない論点なんですけれども、子供たち、高校生たち、これは小中学生も同じだと思うんですが、何をもって学ぶのかというと、教科として設定されている学びを教師から学ぶのみならず、せっかく探究ということで新しい教科が始まっている今、生徒同士のつながりから学ぶとか、同じ志を持っている同世代から学ぶとか。そういったことも実は高校生活の学びの質という意味では、とても重要な観点だと思います。
 そのときに、じゃ、同じ地域に住んでいる人たち同士で学ばないとそれが実現できないのかというと、そうでもないということが、このギガスクール時代には来ていると思っています。今、NPOカタリバでは、8つの小規模校、全国の小規模校をつないで、中には特別支援学校も入っているんですけれども、同じテーマや関心を持っている人たちがチームを組んで、それをそれぞれの教員の方々が、この横断のグループをどこかの教員が担当するみたいな感じのファシリテーションをするという形で、学びの関心やテーマを小規模校の中でシェアして、それを探究的な取組で率いていっているという学び方を実証しています。
 特にこれ、小規模校だけのニーズではなくて、特別支援学校の、例えば病弱だけれども学ぶ意欲はとてもあるみたいなお子さんにとっても物すごくいい機会になっているということがもう見えてきています。涙を流すぐらい喜んで、こういう同世代の方々と議論するということをしたかったということを、特別支援で参加している方がおっしゃっています。その子が放置されているじゃないですけれども、そういった人とのつながりが持てていないということすらも普通級の子たちには伝わっていなかったということがその場で明らかになって、とてもいい学び合いになっています。というようなことを生徒同士が学ぶ。生徒同士がつながり合って学ぶということも、今後の議論の中では重要な論点なんじゃないかと思っています。
 ただ、これをやるにはやっぱりすごく事務局が必要で、学校を超えるので中間的に仕切っていくというか支援していく事務局が必要なので、そういったことも学校同士で連携するためのプラットフォームをつくっていくという中間支援的な組織というのも、何らか実証的に置いてみるということも、今後の文科省さんの政策の中で実証してみるほうがいいんじゃないかなと。今回のコアスクールでは、あくまで生徒同士がつながるじゃなくて、教科の学びを先生と生徒が学ぶという形になっているので、そういったことも実証する必要があると思いました。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。今、今村委員からありましたことは、ちょっと全体の今後のスケジュールに関しての我々の共有がまだ不十分であるということかと思います。今村委員の今の御指摘は、当然のことなから我々の議論の非常に重要なポイントであると思うんですが、今日は、少子化が進む、特に加速的に進んでいるところについての学校の在り方ということについて、若干意見交換したということでありますが、今後のスケジュールについて、松田補佐からまずお話をいただけますでしょうか。
【松田参事官補佐】  本日も大変精力的に御議論賜りまして、誠にありがとうございました。
 今後のスケジュールにつきましては、資料4にてお示ししておりますけれども、今月12日に全日制・定時制・通信制の望ましい在り方に関してヒアリング・意見交換を予定してございます。また、年明けに1月12日に、社会に開かれた教育課程、探究、文理横断、実践的な学びなどの推進についてヒアリング・意見交換をさせていただきます。その後も引き続き御議論いただき、2月中をめどに論点整理という予定でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。今はまだ3回、4回の予定だけですけれども、今後、先ほど清水委員からありましたマイスター・ハイスクール事業等についても、これも御意見をいただくような機会を持ちたいと思っていますし、高校生と具体的に話ができることが何とかできないかということ。今、事務局で相当御苦労いただいているところでありますので、どうぞ乞う御期待というんでしょうか。よろしくお願いいたします。
 今日はありがとうございました。ちょっと進行がまずくて、十分にお話をいただけなかった委員がいらっしゃって申し訳ありません。何度も繰り返しますが、メール等で事務局に御連絡いただければと思います。
 今日、とりわけ長崎県と北海道というのはCOREハイスクール・ネットワーク事業にも入ってくださっていますので、つい最近、両県の御発表なんかもお聞きしているんですけれども、とても一生懸命、取り組んでくださっています。その中で大変印象的であったのは、対面授業の代替ではない遠隔授業をしていく必要があると。遠隔授業には遠隔授業の特色があって、それをどう生かしていくのかということが今後求められていくということです。これ、言うのは簡単で、しかし実際するのは非常に難しいと思うんですけれども、しかしそういったことをしていく中で、遠隔授業の進み具合が、どの地域においても、高等学校教育の質の担保ということを考えたときに非常に重要になってくるなということを思いました。
 あと、いろいろお聞きしていて思うところはあったのですけれども、これまでの学校のイメージだけで考えるんじゃなくて、本当に一からというわけにはいかないわけですけれども、今ある学校が本当にちゃんと機能しているんだろうかという問いをしっかりと持つ中で、それは単に学校だけの問題ではなくて、学校を取り巻く様々な環境があって、その中には当然、文部科学行政というのもあるんでしょうけれども、そういったことも含めてこのワーキングでは議論していきたいと思います。そういった先にどんな学校の在り方が見えてくるのかというのを、ぜひ一緒に描いていきたいと思っております。
 時間を少し延長してしまいました。今日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
※会議終了後の追加意見
【濱田委員】
1 全ての高等学校で維持されるべき機能について
まず、高等学校の「共通性」は何かを明確にしておく必要があると思う。少子化が加速する地域においては、学校の存続が地域の存続に直結していることや、高校教育がほぼ義務教育化している現状では、教育の機会均等や子どもたちの学びの保障の観点からも、できる限りの学校存続が必要と考えている。そのために、高知県では、「地理的条件や学校の規模に左右されず、国公立大学等への進学など多様な進路希望を実現できる教育環境の整備を図る」という観点から、遠隔授業配信センターを教育センター内に設置し、令和2年度から単位認定を伴う遠隔授業に取り組んでいる。この遠隔授業によって、小規模校では教員数の少なさから、開講できない教科科目や自身の進学に必要な科目、あるいは習熟度別学習による高度な授業が成立しており、小規模高校の補完機能として、生徒の進路選択の幅を広げ希望進路を実現させている。
一方、成年年齢が18歳に引き下げられたことから、高校卒業までには自立した大人として振る舞えるようにしておく必要がある。特に、地域社会の課題を自分事として捉え、それらを地域の大人たちと一緒になって解決しようする意欲や主体性を身に付けさせることが重要であると考えている。
したがって、高等学校での3年間は、子どもから大人になるための準備期間と位置付け、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質能力、また、社会の形成に主体的に参画するために必要な資質能力の育成が不可欠で、それらを「共通性」として、全ての学校で維持されるべきではないかと思う。

2 小規模校における遠隔教育の活用や学校間連携等の推進のために必要と考えることについて
小規模校において、遠隔教育の活用や学校間連携等の取組を進める上で課題となっていることが教員の配置である。第2回参考資料96ページの加配定数を見ると、「学校が個々に抱える問題解決等のために、基礎定数とは別に特例的に定数を加算」とある。是非、その項目の中に、小規模校における特色ある取組として遠隔授業等を位置付けてほしい。
また、生徒が地域社会の一員として、地域課題を自分事として捉え、主体的に地域での活動に取組ためには、教員ではない存在、コーディネーターの配置が不可欠である。加えて、高校生の地域活動に係るプログラム開発や評価分析等について、地元の国公立大学等からの支援や協力がほしい。
 
3 その他、小規模校への支援として必要と考えられることについて
○交流人口増に向けての取組の推進
小規模校におけるデメリットとして、少数でしかも固定化された人間関係のなかで、多様な意見が出されにくいという課題を解消するために、都市部との交流人口を増やす取組を進めたい。
 特に、小規模高校が立地する地域では、大学等高等教育機関がほとんどなく、大学進学を検討する際にも、生徒にとって等身大のモデルが少ない状況である。それらを解消するために、大学生等が一定期間、地方、特に少子化が加速する地域に中長期間滞在して、高校生支援や、高校生たちとともに地域活動に取り組む等のプログラムを進めていけないか。また、地方の国公立大学のミッションとして、少子化が加速する地域への貢献活動を重要課題として位置付けられないか検討してほしい。
 

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   初等中等教育局参事官(高等学校担当)付