義務教育の在り方ワーキンググループ(第5回)議事録

1.日時

令和5年2月1日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 (※WEB会議)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 論点整理素案について
  2. その他

4.議事録

【奈須主査】 定刻となりましたので、ただいまから、中央教育審議会初等中等教育分科会 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会 義務教育の在り方ワーキンググループ(第5回)を開催いたします。第4回をやったばかりですけれども、よろしくお願いをいたします。お忙しい中、御出席ありがとうございます。
 それでは、本日の会議開催方式及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 教育制度改革室長の前田でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、ウェブ会議方式にて開催をさせていただいております。ウェブ会議を円滑に行います観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。御不便をおかけすることございますけれども、よろしくお願いします。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。今、画面共有で議事次第を掲載させていただいておりますけれども、資料1「義務教育の在り方ワーキンググループ論点整理素案」でございます。参考資料が2つございまして、前回お配りしたものと同じでございますけれども、義務教育の在り方ワーキンググループにおける当面の検討事項、それから、参考資料2としまして、検討のための関連資料というふうになっております。
 以上でございます。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、議題に入りたいと思います。本日の議題は論点整理素案についてということで、事務局から御説明いただいた後、意見交換に入りたいと思います。
 なお本日、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をユーチューブにて配信しておりますので御承知おきください。
 それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 資料の1、論点整理の素案でございます。今、画面を共有させていただきます。
 論点整理素案ということで、これは表紙でございますけれども、次のページからが中身になっております。
 2ページ目は、論点整理の趣旨ということで、上2つの丸がこれまでの経緯を書いております。1つ目の丸としまして、令和答申を受けまして、デジタル化などの社会変化が進む次世代の学校教育の在り方について検討するため、令和4年1月に特別部会を設置いたしております。
 「特に」といたしまして、学校を中心とする学びの在り方の基本的な考え方を整理、それから、1人1台端末等の活用を含めた多様で柔軟な学びの具体的な姿を明確化するため、昨年10月に義務教育の在り方ワーキンググループを特別部会の下に設置しております。検討事項はここに掲げるものでございまして、この検討事項について議論を重ねてきたというふうにしております。
 最後の丸ですが、この本論点整理は、これまでの議論を通じて出されました先生方からの問題意識や課題等を基に今後、本ワーキンググループにおいて深めていくべき論点を取りまとめたものであるという位置づけにしております。
 次のページでございますけれども、個別の論点整理に入る前に、検討事項を議論するに当たりましての包括的な視点について、以下4つ整理をしております。まず1つ目でございますけれども、不登校、特別な支援を必要とする子供、特異な才能、これまでクローズアップをしてきたところでございますけれども、そういった子供たちも含めて全ての子供、学校に行きづらいと思っているんですけれども、見かけ上は普通に登校していると。そういった子供も含めて、それぞれの得意分野や特性等に応じて活躍できる機会や出番を意図的につくることが必要。そのために学校は何ができるのか、どうあるべきなのかについて検討が必要であるとしております。
 2つ目、そのためには、これまでの日本型学校教育の「強み」や「弱み」を改めて分析するとともに、「弱み」を補うために従来型の「あるべき論」、例えば学校で全て完遂すべきとか完結すべき、あるいは教師が子供を常にリードすべき、いろんなべき論がありますけれども、そういったべき論に過度にとらわれずに、未来志向でのあり得べき姿について検討が必要であるとしております。
 そのあり得べき姿を実現するためには、教育内容、教材、指導方法以下の教育環境の整備が不可欠であり、併せて検討が必要。その際には、1人1台端末の導入がこれまでの学習基盤に大きな変革をもたらしたことを念頭に置くこととしております。
 最後に、同時にこれまでの施策がどの程度活用・実現されていて、どういうふうに把握・評価していくのか、活用・実現が困難になっている場合の原因の追究、それに加えまして、義務教育に関する意識調査、社会の意識でございますけれども、今、私どものほうでそういった一定の意識調査もしておりますので、そういった資料も踏まえながらの検討が必要であるというふうにしております。
 次のページ以降が個別の論点でございますけれども、構成といたしましては、検討事項ごとに、左にこのワーキンググループで出されました意見についての問題意識や課題、それから右側に、それに対応する形での主な論点という構成にしております。
 1つ目でございますけれども、全人的な教育や他者との関わりを重視するといった日本型学校教育の強みがある一方で、同調圧力、あるいは主体的に学ぶ意欲を削いでしまったり、教師の多忙化につながったりしてしまっているという弱みもあるというふうにしております。この主体的に学ぶ意欲でございますけれども、前回、今村先生のほうから、「個人の内発性の火を消す」という御指摘がございまして、こういった言葉で書かせていただいております。
 それから、義務教育の強みとして、9年間の長期的視点の中で、学年・学級という生活をともにする集団、公共性と多様性の意義を学ぶことができるという点を押さえておくべきというこの2つについて、右側の論点でございますけれども、令和の時代を生きる子供たちのために、義務教育として何を継承していくべきかの検討が必要としております。何を継承指揮していくべきかでございますので、学校は何をやって、何を学校ではもうできないのかということも含めた論点としております。
 それから、次の問題意識、リスキリングの時代でございますけれども、人生100年という中において、単なる知識の内容や量ではなくて、生涯学び続けるための基盤なる資質・能力を育むことが重要。特に学びに向かう力の姿をより具体化するとともに、教師の支援の下、子供たちに学びを委ねるということが大切である。これをメッセージとして強く発信すると書いております。
 右側、論点にまいりまして、現行の指導要領においての目指す資質・能力を踏まえて、施策の振り返りと、今後取り組むべきことについて検討が必要としております。
 次の問題意識でございますけれども、学校には社会の分断を防ぎ、平等や公正を実現するという機能が求められる。それから、貞広先生から前回、御指摘ありましたけれども、個人の成長の促進だけではなくて、社会を支える人材育成という公的役割を軸として持つべき。それから、最後に歴史的な学校の成り立ちを振り返ることで、義務教育の意義について問い直すことができるのではないかというこの3つにつきまして、右の論点でございますけれども、多様な同世代の子供たちが集い、集うだけでありますればネットなどでも集える時代でございますけれども、今も毎朝月曜から金曜まで、決まった時間に子供たちが登校すること、学ぶ意義。また、1人1台端末が整備され、学校で学ぶことの意義について、歴史的な学校の成り立ちも踏まえながら、現代的な整理が必要。その際に個人の成長、それから、公的な人材育成という観点の相互のバランスに配慮することが必要としております。
 次のページでございますけれども、全ての子供たちの可能性を引き出す学びの実現といたしまして、1つ目が、過度の同等同質神話、それから、子供たちが主体的に学びを選択し、自立した学習者になれるよう、機会の確保、授業改善、学習内容の重点化。3つ目としまして、教室の中の支持的風土の醸成、ICTはそのためのツールとなるとしております。
 右の論点にまいりまして、義務教育として共通に学ぶべき内容を保障しつつ、それぞれの特性に応じて資質・能力を伸ばすため、ICTも最大活用した授業実践、教科書・教材、授業時数を含めた教育課程、教員研修の在り方等を一体的に検討することが必要としております。
 その次の丸は、中谷先生、水谷先生からのプレゼンにもございましたけれども、例えばといたしまして、教師の支援の下、一人一人の子供が自分に合った学習の計画を作成したり、より深い学びを求める子供は発展的な学習を、学習の振り返りを求めるような子供は補充的な学習を柔軟に実践したりできるような学びの実現について検討すると書いております。
 それから、次の問題意識は、学校現場のリソースが十分ではないというものでございますけれども、これにつきましては、1つ目の論点が、教師として行うべき業務の整備。前回、戸ヶ﨑先生からも御指摘がございましたように、平成31年の中教審のほうで3類型というのを示しておりますけれども、コロナ前ということもあり、また今、1人1台端末ということでICTの導入が進んでおりますので、改めての業務の整理が必要じゃないか。それから、業務に対する支援、校務のデジタル化。2つ目が、教師に優れた人材を確保するため、教師を取り巻く環境について検討が必要。3つ目としまして、学校施設について、柔軟で創造的な学習を実現できる学校施設、個別最適な学びと協働的な学びを実現する上では空間ということも大事でございますので、そこについても論点として挙げております。
 それから、次の問題意識は、「幼稚園」以下から始まるところでございますけれども、幼児期から小学校、小学校から中学校、校種が変わる際の環境の不適応、幼児教育と小学校教育の円滑な接続は、その後の学びや生活の基盤を培うためには重要であるとというものについて、校種間の接続を推進する上で、課題となっている点の整理と解消について検討が必要というふうにしております。
 次のスライドでございますけれども、学びの多様性(1)としまして、深い学びの具体化というものについての問題意識、最初の3つでございますけれども、子供自身が学びの見通しを持つ、学びの方法や進度を選択する、自己の学習の振り返りを行う、学びや生活を共有し、互いに成長できる機会を有していることが重要であるとしております。本来全ての子供は有能な学び手であるというお話もございましたけれども、一斉指導を維持するためのこれまでの学習規律の概念を発展させる必要があるんじゃないか。また、3つ目としまして、ICTの発達に伴い、家庭学習においても探求的な学びが行えるようにすることが重要ではないか。この点につきましては、教科書・教材等のワーキンググループでも、家庭での1人1台端末の活用による学びの連続性ということが指摘されておりますけれども、それについての論点としまして、学校における探究的な学びと家庭学習の連携の在り方としております。
 それから、次の問題意識と課題で、校長などの管理者がリーダーシップを発揮して、学びのビジョンや、どのような子供の育成を目指すかについて学校全体として共有することが重要ということにつきまして、学校運営に関する裁量の在り方、そこで学校が進めたいという主体性を支える組織として、やはり教育委員会の役割というのも重要だろうという論点と、そういった管理職を育成・登用する仕組みの構築・充実というのを論点として挙げております。
 それから、次の問題意識のところでございますけれども、前回、堀田先生からも御指摘ございましたけれども、ICTを使っていく教育ということについてのストーリー、話の流れということを整理したほうがいいんじゃないかという御指摘がございましたので、知識伝達中心の従来のやり方にICTを当てはめていくのではなくて、資質・能力を身につけることができる授業を実現するためのツールとしてICTがあるという認識を教師自身が持つことが重要。その上で、個々の学びの状況を把握しつつも、子供に学びを委ねてファシリテートすることが重要である。同時に、子供自身の情報活用能力の育成も重要であるというふうにしております。それから、次の丸は、膨大な情報を学びの教材として提供することで、子供たちに個別最適な学びの進化が可能になるというふうにしております。
 これらを受ける形で、右の論点でございますけれども、教育委員会や学校・教師が過剰に制御するICTの活用から、子供が主体的に学び続けるためのICTの活用への転換、障害の整理と解消に向けた検討というふうにしております。
 次のスライドでございますけれども、多様性と包摂性でございますが、1つ目の丸が、多様性の名の下に、単なる個人の放置にならないよう留意が必要。2つ目としまして、学ぶ内容について、単元の見通しでございますとか目標、こういったことを子供たちに持たせるために、学ぶ内容についての情報提供が不十分ではないか。子供の学ぶ権利という観点からも、子供自らが主体となって考えるような機会が重要であるということにつきまして、右の論点でございますけれども、他者と関わりながらの合意形成、それから学校行事の運営、授業づくりなどについても子供たちが関わったりする機会を取り入れることが重要であるというふうにしております。
 それから、次の問題意識でございますけれども、子供は誰もが特別な存在であり、何らかのニーズを有している、このことを当たり前のこととして捉えていくべき。それから、特別なニーズに応じた学びや配慮に対する負の印象をなくすための取組が必要である。「スティグマ」という御指摘がございましたけれども、ちょっとスティグマですと、読み手にとって分かりづらいところもあろうかと思いますので、こういった表現にしております。これについて、教師の理解促進のための計画的な研修の機会、それから、学年や学力、属性などが異なる者同士のつながりと交流ということで、異学年、異年齢集団での協働学習というようなことになろうかと思います。
 それから、次の問題意識でございますけれども、人口減少社会、学校は地域とともにつくられていくという視点。教師が学校運営の自前主義からの脱却も必要だということについて、外部人材の兼職・兼業は可能であるが、としております。今、特別非常勤講師とか特別免許状で、教師としてのそういった登用がございますけれども、そういった方だけではなくて、様々な知見や経験を有する多様な人材が、学校運営に参画できるように、どういう運用の工夫が求められるのかという点と、民間企業や関係機関と学校のさらなる連携についての方策としております。これはつなぐというコーディネーターが必要なのかと思いますけれども、そういった論点について挙げております。
 次のスライドでございますけれども、学びにおけるオンラインの活用としまして、1つ目が、山間地域や離島等の小規模校では、オンラインの活用で、地理的・空間的制約を乗り越えることができ、協働的に学ぶ上で有効。2つ目が、対学校だけでなくて、子供たちが個々の関心に応じて、他校の子供とグループでつながって学びを深めるといった活用も考えられる。3つ目としまして、学びの充実、固定的な人間関係の解消という観点からも、様々な活用用途はあるはずであるということを書いております。
 右の論点でございますけれども、オンラインの活用については、以下のところでございますが、地理的制約の観点もあれば、学びの充実というところもありますので、受け手によってニーズは様々であろうかと思います。学びを行う者が置かれている状況や属性等を考慮し、制度面や運用面の課題の整理と、柔軟な活用の在り方について検討することが必要。2つ目としまして、不登校や特別な支援を必要とする子供へのオンラインを活用した支援として、例えば、実践・優良事例をまとめるなど、全国で共有する仕組みについて検討が必要というふうにしております。
 最後の問題意識でございますけれども、オンラインは今後さらに当たり前のインフラとなる。学校に登校して学ぶというこれまでの原則に加えて、オンラインでの学びはどのように活用すると有効か、議論が必要じゃないかというふうにしております。これは先ほど御紹介した1の(1)の中でも、現代的な学校で学ぶことの意義についての整理ということも関係してくると思いますけれども、オンラインでの学びと学校に登校して学ぶことの関係について、義務教育の意義を踏まえて、どういう状況下で、どういう子供を想定して考えるのか、整理が必要というふうにしております。
 次のスライドでございますけれども、学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障ということで、1つ目が問題行動調査の「無気力・不安」の項目でございますけれども、これがかえって不登校の真の要因をつかみにくくしているのではないか。これについての論点でございますけれども、調査設計の改善も含めて、現状の丁寧な要因分析を行い、その結果に基づいた方策の検討が必要。
 それから、次の問題2つでございますけれども、不登校生徒24.5万人だけでなくて、長期欠席、不登校傾向の児童生徒も含めた学びの保障。授業がつまらない・分からないなど、学校に行きづらいと思っている子供は潜在的に多いのではないかと。こうした子供への対応として、学校における取組の一層の充実を図るべきではないか。
 これにつきましては、右側にまいりまして、子供の状況の評価・分析や支援策の検討を、教職員・関係者で行うケース会議の活用、教育データの利活用やふだんの授業へのICTの活用など、有効な方策について検討が必要。また、次の丸は、授業や学校運営の改善策について検討が必要ということで、これは全ての子供たちの可能性を引き出す学びの実現という検討事項とも関連してくるところだろうと思います。
 それから、次の問題意識でございますけれども、いろんな公と民の支援組織がありますけれども、ばらばらに動いているのが現状ではないか。つなぐという視点が必要である。また、メタバースなどを含むオンラインの活用があるが、メリット・デメリット両方があることを認識しておくべきという問題意識と課題につきまして、まずは子供たちが自分に適した環境を選択できるように、不登校特例校、教育支援センター、学校内別室、フリースクール、こういった様々な場の抜本的な拡充が必要。その上で、こうした組織体が有機的に連携する姿など、国においてモデル(オンラインの活用を含む)を提示することが必要としております。
 最後の問題意識でございますけれども、学校以外の場所での学びを積極的に評価していくような仕組みが必要ではないか。いわゆる一条校以外における学び、フリースクールもあれば民間やNPOの多様な教育プログラムもございますけれども、一条校以外における学びをどのように評価していくのか、議論が必要というふうにしております。
 以上が、これまでのこのワーキンググループでの御議論を踏まえましての論点ということの素案として、資料1として準備させていただいたものでございます。事務局からは以上でございます。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。事務局から御説明がありましたとおり、先ほどの論点整理素案では、各検討事項について、左側にありましたが問題意識や課題ということと、それから、右側にそれに対応する論点という形でおまとめをいただいています。まず、問題意識や課題について不足しているものはないか、改めて御確認をいただきたいと思いますし、それに対応する論点としてどういったものがあるか、可能な限り具体的にお話をいただけますと幸いです。
 進め方として、検討事項ごとに分けて御意見をいただくことも考えられるんですけれども、それぞれの検討事項は密接に関係しております。全体を通じていろんなところに行って構わないと思いますので、御意見をいただければと思います。この後、90分、もう少しありますかね、随分今日は長く時間が取れていますので、いろんなところで活発な御議論をいただければと思いますし、また、先に出た論点に戻ってというようなことでお深めいただいてもいいかと思います。
 それでは、御発言ございます方は手を挙げるのボタンを押していただきまして、こちらから御指名をさせていただきます。ミュートを解除して御発言をと思います。いかがでしょうか。お願いいたします。今日はどこからでもと思いますけれども。それでは、戸ヶ﨑委員、堀田委員、貞広委員の順番で、まず進めてまいりたいと思います。
 では、まず戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 それでは、複数にまたがるところも一遍に、ちょっと長くなっちゃいますけれども、申し上げさせていただいてよろしいでしょうか。

【奈須主査】 お願いします。

【戸ヶ﨑委員】 それでは、1つ目の1の(1)の、子供たちに必要な資質・能力と学校が果たす役割という部分について大きく2つほどあるんですが、1つは、考えてみると日本の子供たちというのは、PISAの学習到達度調査とか、協同問題解決能力だとかこういうもので、ペーパー上ではかれる知識・思考力というのは世界でトップレベルにあるわけですけれども、自己肯定感とか自己効力感とか、また幸福度、こういったものというのは、世界的に見ても低い現状になっているということがございます。いうなれば賢さというのはあるわけですけれども、一歩踏み出して、自ら未来を切り開いていく力だとか、そういったマインドが低いということが、日本の若者の閉塞感だとか諦めだとか、また、社会への無関心というんですかね、そういうのにもつながっているということが考えられますので、こういったことをもっと問題視して議論していくという必要もあるのではないかなということが1点です。
 それから、2つ目が、これからの時代を切り開いていく子供たちに求められる資質・能力では、例えば、対話とか協働を通じて、知識や、またアイデアを共有して、新しい解だとか、また納得解を生み出す力など、こういう多くのものについては、やはり良好な人間関係、こういうものを築いている学級集団の中でこそ育成されるものなわけですので、心理的安全性なんていう言葉がいろいろ出てきていますけれども、この個別最適な学びとか協働的な学びを支えるであろう令和の時代にふさわしい、望ましい学級経営の在り方というようなことについても、なかなかそこまでの深掘りはできないにしても、何らかの議論が必要ではないかなというふうに考えています。それが1つの大きな柱です。
 それから、2つ目の柱として、全ての子供たちの可能性を引き出す学びの実現という部分についてですけれども、これは1つだけ申し上げておきますと、学校現場から最近、ある悩みの声が聞こえてきています。それは何かというと、IQが伴わない発達の特性に係る不適応の疑い、こういったことに対しても、保護者のほうで、うちの子はギフテッドなんだということを主張してくるケースがあることがある。そういう子供たちとか保護者に対しての面談等で大変学校の苦労があるということ。また、日本の学校教育には、同年齢の学習集団と学年の一体及び一斉授業、また助け合いや勤勉や勉学の奨励など、独特の学校観とか教育観などに彩られた仕組みというのがあります。
 それゆえなのかどうか分かりませんけれども、特定の分野に抜きんでている優れた資質・才能を有しているとしても、なかなか学校になじめないで、授業には興味を示さない、また孤立しがちで指導が困難な子供に対する指導というのには、まだまだ学校現場が対応できてないというのが実情であります。
 よく1学級の中に多様な子供たち、たくさんいるんだというような資料が最近出ていますけれども、こういう多様な子供たちに対して、従来のように、学級担任が何でも1人で担うということについては、既に無理が生じているというような現状を踏まえますと、やはり外部人材の活用推進や、学級外の子供たちの居場所づくり、こういったことについても、これを参照するには昨年度まとめられました、特定の分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議の審議のまとめがありますけれども、これを受けて、今後行われる実証研究といったものに大いに期待をしたいなというふうに思っています。
 次に、長くなって恐縮ですが、大きな柱2の(2)の多様性と包摂性に基づく学校文化の醸成ということについて、1点だけ申し上げておきたいと思います。これは前にもちょっと話したことと一部重複することがあるんですけれども、多様性というのは、子供たちをあくまでも集団として見るのではなくて、やっぱり個で見ることの最たるものというふうに考えています。また、包摂性というのは、多様な子供たちを受け入れて認めて育むということにあるわけで、ここで課題になるのが、そこの限界というか、どこまでが限界なのかということが問題になって、対応できる教師の人数の限界とか、教室という場所の限界とか、保護者、またほかの子供の理解の限界とか、様々な限界ということがあるわけですけれども、どうも実際学校現場ではできないということを探しがちになってしまっている。どうしたら今の現状の中でもできるのかと考える、そういう文化というのが醸成されれば、おのずからその限界点というのはどんどん下がっていくのではないかなというふうに思っています。
 一例で、保護者等の特別支援教育への知識と意識ということについての二極化も進んでいるように感じていて、積極的に情報を収集して、知識を習得して、正しい理解の下で自分の子供ができるだけ力を一番伸ばせたらいいんじゃないかということで、あえて特別支援学級等を選択する保護者がいる一方で、特段こだわりもなく、通常の学級を強く希望するという保護者の方もいらっしゃるということで、今後大事なことというのは、学ぶ場というものを、障害の有無ですとか、子供の違いで大人が分けていくのではなくて、誰もが自分に合った学びを得る、これがまさに個別最適な学びなんだろうと思いますし、また、異年齢とか、異なる学力とか、異なる属性というんですかね、そういうものが緩やかに交わえる協働的な学び、こういうものをうまく組み合わせていくということが大事なんだろうなというふうに思っています。
 1つの例として、協働的な学びの例で、本市ではスクールワイドPBSというのをやっているんですけれども、子供たち自身が既存の社会や学校がマジョリティー中心につくられているということを知って、どうしたらより多様な人々が過ごしやすい学校や社会になるのかとか、そのために自分にはどんな行動ができるんだろうかということを考えて、実際に行動する機会を意図的につくるということも、今後は大切なんだろうなというふうにも思っています。
 そのほかにも、最後ですけれども、多様なマイノリティーの属性の子供がいるということを前提とした教職員の養成の研修だとか、一人一人の学びを保障するための仕組みとして、指導要録に記載されている学習の様子や生活の状況などの情報をしっかりと指導に生かしていくということの必要性を、最近特に強く感じているところであります。実はもう御案内のとおり、指導要録というのは、ちょうど今頃が作成の時期に入ってくるんだろうと思いますけれども、学級担任の大変な労力を要する仕事の1つになっているわけですけれども、本来は、指導の機能と証明の機能という、こういう2大機能があるにもかかわらず、指導機能ということについては極めて弱い。つまりほとんど、本音で言うと活用されていないのではないかなというふうに思っています。
 例えば、そういう面で考えると、指導要録に記載されている情報を教育総合データベース化するなどして、先ほど来出ているケース会議等の場で活用するなどすれば、今後求められているGIGAの時代の教育データの利活用、こういったもののきっかけ、トリガーにもなるのかなというふうにも考えているところであります。
 ちょっと長くなり過ぎました。すみません。失礼します。

【奈須主査】 御意見ありがとうございます。
 改めて学級という伝統的な枠組みをどう考えるかという大事な御提案もいただいたと思います。また、普通という言葉も難しいですよね。普通、人並みという言い方が、かえってサービスや分断や排除の源泉になるなんていうことも気をつけなきゃいけないんだろうと思いますし、その子が幸せになるというのはどういうことかという、ずっと言われていることだと思いますけれども、御指摘いただいたと思います。
 また、特別支援に関する御理解ということでは、大学の教職課程で、先回の改定でこれが必修化されましたけれども、逆に言えば、その前はあまり通常学級の担任をする人にはそんなにしっかりとやられてこなかったわけで、今後に期待したいわけですけれども、このあたりも考えないといけないということかなと思って伺いました。
 それでは、貞広委員、よろしくお願いします。

【貞広委員】 先生、堀田先生のほうが先でいらしたかと思います。

【奈須主査】 すみません、失礼しました。では堀田先生、よろしくお願いします。ごめんなさい。

【堀田委員】 割り込んだみたいになってすみません、東北大学の堀田です。
 私は、3ページにある義務教育の意義、(1)のところをちょっと改めていろいろ考えてみたんですけれども、その辺の話を、私の専門分野である情報化と絡めながらちょっとお話をしたいと思います。そして、このお話をすることが、私たちは義務教育の在り方について検討してきたわけで、これを論点を整理して成果を伝えていくに当たり、今からお話しするようなことを明確に書いてもいいんじゃないかなと、ある程度。そういうふうに思っているということです。
 まず、義務教育ってそもそも何なんでしょうかというところを改めて思うわけです。日本国憲法には、教育を受ける権利とか就学の義務みたいなことが書かれてたり、学校教育法には、義務教育として行われる普通教育と書いてあるんです。普通って何だという話が出た後で恐縮ですけど。普通教育というのは、つまり専門的な教育とは別に、全ての子供たちに我が国では義務的にしっかりと提供する、そういう教育だというふうに考えられると思うんですよね。
 そういう意味で、全ての子供にちゃんと施さなければいけない教育というのは、社会が変化すれば、やっぱり内容は変わらざるを得ないと思いますし、今までもそれで学習指導要領は改定されてきたんだと思うんですよね。だから、義務教育を施すということは変わらなくても、それをどんな内容と、あとどんな提供方法で提供するのかということは、時代によって柔軟に対応していくということだと思います。
 私の専門分野であるICTとか情報化というのは、この内容にもちろん関係しますけど、提供方法のところに非常にインフラとして機能するというふうに考えています。内容のほうからお話しすると、先ほども前田室長がわざわざの私の名前を使って言及していただきましたけど、今までの授業で、これから情報化が進むから、ICTを使わなきゃいけないみたいな、これはそういう単純な話では全然ないと思うんです。これからは、生涯学び続けるような基盤となる、そういう資質・能力を育むということが要求されていて、だから学びに向かう力が重要だということになっていて、子供たち自身が自ら自立して学ぶように育てていくんだということが私たちのやらなきゃいけないことで、そのために授業を変えていくか、学校経営をどのようにしていくか、どのようにカリキュラムマネジメントしていくかということが今、問われているわけで、それを実際に実施していく提供方法のところに、GIGAスクール構想によってICTが学習のインフラとして、全ての子供のところに義務教育では行き渡っているわけで、それによって個々の子供たちの学びの状況を見取ったり把握したりしやすくなったと。これによって、児童生徒の多様性に対応できるとか、知りたいこと、学びたいことに応じて様々な学習リソースに当たることができるとか、例えば、外国人児童生徒でも翻訳ツールとかを使って学びやすくできるとか、まさにこれが個に応じた義務教育の提供形態だと考えれば、ICTがあることによって、いろんな個に応じることができる、まさに個別最適な学びに近づくことができるということだと思います。
 また、山間地域の話とか小規模校の話のように、地理的な制約とかそういうのがあるところには、義務教育の提供方法として、例えば、遠隔授業があったり、遠隔合同学習があったりしているわけだし、あと不登校児童生徒への義務教育の提供方法としては、例えばオンラインでとか、あるいは様々な関係の人材とか機関とうまくオンラインで連携しながら、学びを保障していくということができるということだと思うんです。
 ちょっと観点が違いますけど、義務教育に当たる教師の多忙化、働き方改革にも、公務のDX等が機能するというふうに考えます。ですので、私は義務教育というのの在り方を今考え直すに当たり、私たちはインフラが今、大きく変わって、これによって柔軟化すればできるようになることがいろいろあるということを検討してきたんだということを、最初の段階で明確に書いてもいいんじゃないかということです。
 最後にごめんなさい、4ページ目の1つ目の丸に、ICTのことにも関係ありますけど、ICTを最大限活用した授業実践とか、教科書・教材とか授業時数を含めた教育課程とか、教員研修の在り方を一体的に検討すると、これが非常に重要だと思います。GIGA前のやり方では当たり前だったやり方が、GIGAで端末が来て、今、先生たちが多忙な中で、もうちょっとみんな大きく見直すときに、やっぱり部分だけの見直しではトータルソリューションにならないと思います。ですから、様々な観点で大きく見直すことが必要だということがここにうたわれているんだと思いますし、そのことが今、私たちが義務教育の在り方として検討しなきゃいけないことだと思います。
 長くなってすみません、以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 そもそも義務教育って何だったんだろうというあたり、本当に戻ってやらなきゃいけないなということですね。そして、おっしゃるように提供方法というのは本当に劇的に変わった、また、それとの関係で内容ということの意味も変わってくるんだろうと思います。大きな課題を引き受けているワーキングだと思います。
 今、先生おっしゃったように、全体の前提の部分をしっかりと確認して、そしてこういう議論になったんだということの御報告、上の委員会への報告においても大事だなと思って伺いました。
 すみません、それでは貞広先生、お願いいたします。

【貞広委員】 ありがとうございます。
 千葉大学の貞広と申します。では資料に基づいてちょっと細かいこと、リクエスト的なことを1点と、全体の書きぶりのトーンについて意見を1つずつ申し上げたいと思います。
 まず、1つ目ですけれども、スライドの3枚目の義務教育の意義の部分、一番下の段に、学校の意義として、「個人の成長の促進だけでなく社会を支える人材の育成という公的な役割があること軸として」という、前回の私の意見をこちらに反映していただいてありがとうございます。ただ、これを見ますと、若干誤解を受けそうな気がして、外に出していくときに御配慮いただきたいという点が2点あります。
 1つは、学校の意義というよりも、もう少し広い教育、義務教育の意義としてという意味で申し上げましたので、いわゆる既存の一条校だけを想定して言っていることではないということが1点です。
 更に、社会を支える人材というと、お国のために的な感じになってしまいますので、右側にあるように、または今検討されている次期の教育振興基本計画などで使われている単語の使われ方などになぞらえて、例えば、公的という物事も、共生社会の創り手や、持続可能な社会の担い手の育成というような言葉とともに、出していただきたいと思います。伝統的な公にとどまらない、公的なありようという意味で発言をさせていただきましたし、恐らくここにいらっしゃる方々も、同じような御意見をお持ちだと思います。ちょっと細かいことで申し訳ありませんが、1点目です。
 2点目でございます。全体のトーンに関してです。今、学びの困難性を抱える子供たち、学校から離れていってしまう子供たち、学校の中にいるんだけれども、実はすごく居づらい思いをしている子供たちも含めて、何らかの学びの困難性を抱えている子供たちへの対応を、その子たちに責を帰すような個人モデル的な考え方ではなくて、学校のありようや社会こそがそういう障壁をつくっていて、それを取り除くのは学校や社会の責務であるという、社会モデル的なトーンを全体に貫いていただきたいと思っています。
 もちろん今でも、かなり御配慮いただいているように見えますけれども、例えば、これは今回の論点ではないんですけれども、以前、問題行動調査の不登校の原因のところの理由の選択肢について意見を申し上げたときに、「無気力・不安」というこの言葉遣い自体、またはこれがいろいろな物事を見えなくしているというようなお話をさせていただいたんですけど、こういう言葉の選択というのは、見えなくしているだけではなくて、典型的な個人モデル的な調査設計に私からは見えるんです。調査については、社会モデル的考え方がある以前からずっと経年的にやっているものですので致し方ないところはあるというのは十分理解できますけれども、ぜひ今回の全体的な書きぶりについては、社会モデル的な考え方を貫くような形で書いていただきたいと思うところです。
 以上2点です。ありがとうございました。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 義務教育を考えていく上で、公という言葉が何を指し示し、意味するかというところは本当にデリケートな問題ですし、しっかりと議論していかなきゃいけないということで、いい御指摘をいただいたと思います。
 それから、後段の困難性ということを、個人モデルではなくてというのは、これも国際的な動向ですけれども、ユニバーサルデザイン・フォー・ラーニングなんて言い方をアメリカでもして、うまく学べない子供がいたら、それはその子に障害があるんじゃなくてカリキュラムや制度の側に障害があるんだと、少なくとも改善の余地があるんだと考えようと、これも国際的な動向かと思いますし、日本もようやくそこを少し標準的な考えにするというところに動きつつあるのかなと。期待したいし、また、動かしていかなきゃいけないなと思いました。ありがとうございます。
 それでは、黒沢委員、お願いいたします。

【黒沢委員】 お世話になっています。私からは2つほど、若干感想めいたところもありますがお願いします。
 (4)の学校教育になじめないでいる子供たちに対する学びの保障というところで、ここに不登校特例校という言葉が幾つも出てくるわけですけれども、それ自身は良いと思っているんですけれども、毎日のようにうちの学校、視察ですとか取材の申込みとか、そういうのがいろいろ問合せがあって、関心がすごく世の中高まっているんだなというのは感じています。そこで、果たして不登校特例校というところがどういう基準で、一体各学校がどういうふうに取り組んでいて、そもそも全国に今後300校と展開していくとなったときには、一定の基準か何かが必要ではないと思います。前回の議論ではモデルケースみたいな話も出ていたと思いますが、そのあたりも含め基準などをもう少し文章として明確に入れておいたほうがいいのかなと思います。どういう基準でどう設置していくのが良いなどの議論が別途必要だと思うんですけれども、やっぱり一定のレベルの教育の質を保障するという意味では、不登校特例校の果たす役割というのはとても大きいと思うので、そういうことを考えると、やっぱりある程度こうですみたいなのがあるといいんじゃないかななんて思いました。
 ちなみにうちの不登校を経験した子供たちが一番この学校に来てよかったとか、元気になりましたというものの1つが、やはりクラスのみんな、あるいは学年を超えたお友達と、協力して何かをやり遂げるという経験をすると、すごく不登校の状態から自信もついて、自己肯定感も上がり、信頼できる友達もできるなんていう、いい正のスパイラルになっていくように見えていますので、何かそういう機会を特例校だけじゃなくて、通常の教育の中でも、やはり協力してみんなで何かを成し遂げるというところも、何か1つどこか入れておくといいのかなと感じた次第です。
 私からは以上になります。

【奈須主査】 貴重な御指摘、ありがとうございます。日本の学校教育というのは、特別活動が今、海外で注目されているなんていうこともありますので、割とみんなで協力してというようなことはやってきたほうだと思いますし、それがむしろ同調圧力を生んでいるんじゃないかという御懸念もあると思うんですけど、やっぱりある子供たちにとってはまだまだ足りないし、いい経験をしてない、またそれが子供の救い、助けになるということで、大事な御指摘かと思います。ありがとうございます。
 それでは、小柳委員、お願いいたします。

【小柳委員】 私のほうからは、教育委員会が見た学校現場の実態ということでお伝えしたいと思います。
 まず、1の(1)に関わることで、1回目の会のときにもお伝えしましたが、新学習指導要領が全面実施になりまして、小学校では2020年度からスタートしました。ただ、それまでの移行期間中には、新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業が進みつつありました。そうした中で、一番大きな変化というのは、新型コロナウイルス感染症だったと思います。コロナ禍で教育活動に様々な制約が出てくる中で、やはり停滞してしまった部分というのはある程度あったと思います。感染状況に応じて一斉授業をしなければならなかったということです。密を避けるというのは、新しい学習指導要領の趣旨の反対を向いていくようなことですのでそういう中で、今度5月から五類扱いという話もあり、ここに来てもう一度、指導要領の趣旨に沿った学習というのはどういうものであるかという確認、学校現場でその確認が必要かと思います。その役割は教育委員会がするべきだと思っています。
 例えば、学習の指導法もそうですけれども、子供たちが中心となる学校行事や特別活動、また、地域に根差した総合的な学習の時間の在り方というのを、もう一度思い起こすと同時に、コロナ禍で実際やってみて、これは必要なかったなというものもあったと思いますので、そういったものを整理・精選した上で、児童生徒主体の教育活動に戻していく必要があると思います。それを今から教育委員会は、しっかりもう1回捉え直しというか、今からまたスタートしましょうというような契機をつくっていかないといけないかなと思っています。
 それから、2つ目は、2番目の項目の(2)に関係することですけれども、前回、ある先生が、学校が安心して学ぶことができる場所となるためには人的支援が不可欠だというようなお話をされていましたけれども、先ほど戸ヶ﨑先生のお話にもありましたが、今の学校現場の状況を申し上げますと、特別な支援が必要な子供、また発達に課題がある子供がどんどんどんどん増えています。そうした中で、例えば、特別支援学校相当と就学判定された子供であっても、本人や保護者の希望で、通常の学級で学習している子供もいます。そうした中で、担任だけではなかなか難しい状況も生じている中、人的支援の確保が不可欠だと考えます。市としても、特別支援教育の支援員の数を少しずつ少しずつ予算も人員も増やしていっていますけれども、これはちょっとやっぱり国を挙げて考えていくべきことかなというふうに感じています。
 それから、これは付け加えになりますが、2の(3)の学びにおけるオンラインの活用のところで、ここには記述はないですが、文科省のほうでつくっていただいている関連資料の中に言葉がありましたので、学校現場の実態をお伝えします。学習機会の確保ということで、病気療養中の、例えば長期入院を余儀なくされている児童生徒の学びの保障として、オンラインを活用している事例がどんどん増えてきています。例えば、これまでだと、院内学級で学ぶために転校を余儀なくされていた子供たちが、オンラインを活用して病室で遠隔授業が受けられることによって、なれ親しんだ学級の友達と続けて学ぶことができる環境がつくれるため、病院の先生にお伺いしますと、そのことが治療の励みになったり、自分の生きる希望につながっているような子供もいるというお話も伺いました。そういったことを現場の状況としてお伝えします。ありがとうございます。

【奈須主査】 ありがとうございました。本当に多様なお子さんの多様な文脈に、僕らが丁寧に目配せをしながら議論していかなきゃいけないんだなということを、今、再確認させていただいたような次第です。
 それから、前段のほうは本当に難しい問題ですね。今回の学習指導要領は大分大きな変革をしましたけれども、それが当初目指していたものは何だったのか、そして、それとの関係で、コロナがもたらしたもの、その中で僕らが経験し、考えたこと、そしてGIGA端末、ICTということが導入され、また学校の学びの基盤が大きく変化する可能性が出てきたわけですが、この3つの関係を今どんなふうに整理して、未来を展望するかということが問われているんだということを確認させていただいたような気がいたします。ありがとうございました。
 それでは、この後、水谷委員、若江委員の順番でお願いします。水谷委員、お願いします。

【水谷委員】 水谷です。よろしくお願いいたします。私は、4ページと5ページの内容について、これまで発言したことや第2回目で報告をしたことをもとに発言いたします。先ほどご紹介頂きました4ページの右側のつめで第2回に報告した点を取り上げて頂きまして、ありがとうございました。
 自分たちがやろうとしたことは、コロナで休校の際に学びが止まってしまったことから、自ら学ぶことができるようにということを大きな目標に取り組んできたことで、この大きな目標を共有したことで、大きく進みました。4ページの左側つめにあるように自立した学習者をめざして取り組んできたら、4ページ右側つめの同等同質ということではなく、5ページ左側つめの一斉指導を維持するためでもなく、同じく左側下からつめの知識伝達中心の従来のやり方ではないものが実現できることに気づき、今では、1人1台端末とクラウド環境を活用して、子供自らの学びになってきています。さらに、5ページ左側一番下にあるように、子供たちの見取りが十分にできるように変わってきたと思います。
 そのような授業のイメージをページの右側一つめにあるようにいろいろなところへ伝えていくことは大事なことであります。しかし、なかなかうまく伝えることができません。また、ICT活用教育アドバイザーとしていろいろな自治体に関わらせて頂いた際に第2回会議でご報告したような実践内容を説明してきましたが、そのような授業を行いたいけれど、できないということをよく聞きました。校長たちはやってみたいのですが、STOPをかけているのが教育委員会ということがよくあります。
 指導主事の皆さんも1人1台端末とクラウドを実施に使って授業をした経験がなく、今までの教科指導のイメージから、どうも制御が必要と考えるケースが多いようです。5ページ下からつめの管理職の学び以上に、教育委員会の指導主事やリーダー層の学びを進めていかないと、これ以上前進しないのではないかと、いろいろな自治体の状況から感じた次第です。
 もう1点ですが、先ほど堀田先生が言われた4ページ右のつめに関連したことです。同じページの左側4つ目に個別最適な学びと協同的な学びを実践するための現場のリソースが十分ではないのではないかとありますが、確かにまだまだ完全ではないと思うのですが、不十分というよりも、全体像の変化を捉え切れていないのではないかと思います。デジタル教科書はどうなっているのかや、校務の情報化はどうなっているのかなど、各論だけで検討を進めているだけで、全体像をつかむことができていないのではないかと感じます。全体として、どのように動いているのかを十分に理解できていない、全体像の変化が捉え切れていないことによる悪影響があるのではないかと感じています。全体像がもう少しわかりやすくなるようにイメージ図などで伝えることで、もう少し進展するのではないかと思います。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、引き続き、若江委員、お願いします。

【若江委員】 キャリアリンクの若江でございます。
 私は民間のコーディネーターの立場でのお話になりますが、このワーキングスタートのときに、教育のあるべき姿の実現に向けて、表面的な理解ではなく、深い理解が各ステークホルダーにおいて重要であり、そこに大きなギャップがあるということが問題だということを提起させていただきました。
 これまでの間にずっと論点整理がされてきて、何々が必要であるということがたくさんまとめられて、方向性がいろいろ見えてきたんですが、一番重要なことは、堀田先生が最後に述べられたように、これらがばらばらではなく一体的にどう取り組んでいけるのかという、そこが一番重要なことだと思っております。
 加えて、私は民間の立場ですこし述べさせていただきますと、6ページのところにあります一番下のところの、民間企業では外部との連携というようなところなんですけれども、ここの論点に書かれているような外部人材の兼職・兼業というふうな、そういった次元のことだけではまだまだ本質に迫られていないと思いますので、もっともっとここのところで議論を深めていく必要があると思っています。
 また、民間との連携について何が障害になっているかというところについてはまさに障害となっているのは、ここで議論されているようなICTのことであったりだとか、いろいろな意思決定の問題であるとか、そういったところで、教育委員会や学校現場の社会的スキルアップが不可欠であり、それを埋めることが求められていると思っています。今後民間が積極的に公教育と連携しようとしたときに、契約の在り方など教育行政に関わる独特な決まり事や仕組みについて、教育委員会等が明確に主導できないと民間企業が様々なトラブルに巻き込まれることが懸念されます。このようなことは県教委レベルでも生じることですから、市教委、ましてや学校との関係においてはそのリスクはもっと大きいと言えるでしょう。せっかくの民間連携のムーブメントに水を差すようなことにならないためにも教育委員会にはその機能のレベルアップを強く求めたいです。
 一方で、産業界にいろいろと教育の変化のことを理解してもらうという、その手だても必要ですが、やっぱり私はそれ以前に、冒頭、戸ヶ﨑先生のお話にもありましたように、日本の義務教育で一番重要なところは親の意識改革、つまりペアレンティング・エデュケーションが必要だと思っています。これまで中教審でも何度か申し上げてきましたが、親が親としてどのように教育に関わっていくのかという、これを企業人として以前に、保護者としての教育への関わり方みたいなことまでを含めて議論をしていかなければならないのではないでしょうか。今回まとめていただいているところを見て、新たな課題として、私自身はそういうところを感じた次第でございます。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございます。
 社会がどんどん変わっているというんですけれども、その社会のただ中にいる保護者の方もたくさんいるにもかかわらず、殊、学校教育というと極めて伝統的で保守的で、自分たちが受けた世代のものが繰り返されればいいと疑っていないという。本当にその辺りをどう揺さぶりをかけるかというのは難しい問題だなと思いますけれども。これまでしっかりアプローチしてきていないんだろうとも思いますね。この辺り、若江委員など民間のみなさんの知恵も借りながら、しっかりやっていかなきゃいけないんだろうと思っています。
 それでは、鍵本委員、お願いいたします。

【鍵本委員】 岡山県教委の鍵本でございます。
 今回のまとめも読ませていただきながら、全体を通して、県教委という立場で、今回の議論をどう日本全体の学校の隅々までしっかりと広げていくかということを考えた場合に、3ページの一番最初の丸のところにまさに書いてある、日本型学校教育の弱みとして挙げておられた「同調圧力を高め主体性を削ってしまっている」というところ、ここが大きな日本のこれから変えていかなきゃいけない課題なんだろうなというふうに思っているところがあります。
 一方で、学校現場を考えてみますと、講義調のスタイルではいけないということは多くの学校現場の教員は理解をしておりまして、このワーキングでも、中谷委員や水谷委員がお話になったような先進的な取組も各地で見られているというのが実態かなというふうに思いつつ、そして、意欲的な学校や教員から改善に向かいつつあるというのも、これもあろうかと思いますけれども、ただ、全体的に見ると、先ほど御指摘があったような、残念ながら古い授業スタイルから脱却できていない教員もまだ多いという状況があります。
 そういう授業の中で、依然として、このワーキングの中でも出てきた、子供たちに委ねるという部分が圧倒的に少ない状況があって、これは小中高と校種が上がるほどその傾向は強くなっていくというふうに私は思っておりまして、こういった教員に対してどう授業改善を進めていくかということが重要な課題であるというふうに思っております。
 こういった授業の中では、子供たちのほうも、授業中に当てられたり目立たないようにして思考停止しておいたほうがいいというふうに思っているような子供たちもいて、そういう状況になってしまっている子供たちも多いという状況があります。
 一方、教師の側も、教えなくてはならない内容はとにかく終わらせなきゃいけないと。そのために子供たちは授業中おとなしくしてもらっているほうがありがたいと思っている教員さえいるというのがとても残念なことであるというふうに思っておりまして、本来、そういった子供たちにも一人一人に当然輝く個性はあるわけでありますし、自分なりの強い思いがきっとあるはずなんですけれども、それを表に出すことなく、それに蓋をしてしまって日々の授業を受けているという状況がある、そういった子供たちも多いという状況があります。
 これはこういった子供たちの思いや問題意識を引き出すことをしていない、おとなしくしているほうが楽だというふうに思わせてしまっている教員や我々教育行政の責任が大きいというふうに思っておりまして、これは資料に書いてあります、「主体性を育て、生涯学び続けるための基盤となる資質・能力を育てること」とはまさに真逆にある状況にあるというふうに思っています。
 こういった状況は変えなくてはならない、教師主導の授業を変えなくてないと頭では分かっている教員が、どうして授業観の転換が進まないのかということを今回の中を読ませていただきながら、私ももう一遍考え直してみると、大きく2点あるように思っております。
 その一つは、その必要性が十分理解できていなくて、目指す授業の進め方のイメージが持てない。先ほど水谷委員もおっしゃっていましたけれども、イメージを持っていない学校現場の教員や、先ほどお話があった、教育委員会の職員もいるんじゃないかなというふうに思っております。
 そして、もう一つは、そのことへの理解はあっても、実際に進めていくような余裕がないということがもう一方ではあるかなというふうに思っております。
 1点目については、教員や教育委員会の職員に対しても、この授業改善の必要性に対する理解を進めて、授業観を変えていけるような具体のイメージを、授業のイメージをしっかり持たせていくこと、そして、子供たちの変容を様々な方法、場面で見せていくことということが大きいかなと。子供たちが変われば教員は変わっていくんだろうなというふうに思っています。
 それから、2点目については、教えなければいけない内容が多くて、実際、我々が話をしましても、言っていることは分かるんだけど、そんなことをする準備の余裕もないし、やっていると教育内容全体が終わらなくなってしまうんじゃないかというふうに考えている教員の声も聞きます。こうした教員も多い現状があるんじゃないかなというふうに思っておりまして、こういった状況に対しましては、現在進んでおりますICTの活用、これによって授業であるとか、あるいは、先ほどお話がありました業務改善の効率化も図りながら、教員の時間を生み出していくということをやっていかなきゃいけないかなと、そして、さらには、教科等の本質を踏まえた教育内容の重点化ということを進めていくことで、教員の時間的な余裕を生み出していくことで、先ほど一番最初に申し上げた、今、日本の教育としてやっていかなきゃいけないことが前に進んでいくのかなというふうに思っております。
 教員の働き方改革にもつながる話でありますけれども、教育を一番望む形にしていくためには、こういったことがぜひ必要というふうに考えているところでございます。読ませていただきながら、私が考えたことを少しお話させいただきました。
 以上でございます。

【奈須主査】 ありがとうございました。イメージが持てないという話は繰り返していますけれども、なかなか難しい問題です。
 教育内容の話は、今回、そんなにカリキュラムオーバーロードの話というのは表立っては出していません。もう少し大きいところで義務教育の意義から今回議論を始めましたので、ちょうどある意味で、結果的には落ちているのが教育内容という意味でのカリキュラムの話かなと思いますけれども。
 先ほど若江委員それから堀田委員もおっしゃったように、全体を構造的に関連づけて議論していく、そのもちろん中核にカリキュラムの話題もあるわけですけれども、カリキュラムがオーバーロードになっていて余裕がなくて、また、この内容を終わらせなければいけないという脅迫感で授業改善が進まないという今の鍵本委員の御指摘、まさにそのとおりで、すると、何かそこのことも議論していかざるを得ない。
 これは教育課程の根幹に関わる問題なので、ここですぐにどうという話ではないわけですけれども、方針とか考え方とか、あるいは、既に今回の学習指導要領が、資質・能力を実現することとの関わりの中で各指導内容を教えるということ、いわゆるコンテンツべースからコンピテンシーベースへの移行が図られていますので、今委員おっしゃったとおりに、見方・考え方に沿って統合的に整理していけば、実は余裕が出たりするということはあるんだと思うんですけれども、なかなかそういう議論になってこなかったということ、本当にそのとおりだなと。
 その意味では、先ほど来あったように、もう一度、今回の学習指導要領が何を目指したかという原点に帰るということも改めて大事なんだなと、今、思わせていただいたような次第です。ありがとうございました。
 それでは、中谷委員、お願いいたします。

【中谷委員】 すいません。1点質問させていただいてよろしいでしょうか。事務局に。

【奈須主査】 お願いします。

【中谷委員】 今回の論点整理素案と、前回出していただいた論点整理に向けた総括的議論についてという資料この関係というか、今後これらがどういうふうに収れんしていくのか、私は今回初めてなので教えてください。

【奈須主査】 そこは丁寧に確認をしてなかったかと思います。事務局のほうから御説明いただければと思います。

【前田教育制度改革室長】 中谷先生、ありがとうございます。
 前回、第4回お示しした総括的議論に向けたというあのペーパーは、第1回から第3回で先生方の御議論を、検討事項ごとに意見を整理したものです。今回は、そこの1回から4回までの御議論を問題意識や課題と主な論点ということで整理したのが今回の論点整理素案という形になります。
 この論点整理素案は、次回の話でございますけれども、2月20日に特別部会と義務、それから高校ワーキングの合同開催を予定しておりますが、そこで、論点整理素案ではなくて、今日の議論を踏まえて論点整理案としてお出ししたいと思っております。
 その後、初中分科会にも通じますけれども、この期が中教審の委員の改選もございますので、特別部会・義務ワーキンググループとしては、まずはこの論点整理をおまとめいただいて、それから、主な論点に掲げてあるものについて、具体的な施策でございますとか、あるいは、運用上の工夫でございますとか、何か仕掛けをつくっていくようなことについて、引き続き、年度以降、明けた以降も議論いただきたいということで、その前哨戦としての論点をまずは整理したという位置づけにしております。

【奈須主査】 ありがとうございます。中谷先生、よろしいですか。

【中谷委員】 はい。ありがとうございました。
 少しだけ、私も話をさせていただきますと、まだまだ、学校現場だけというわけではなく、教育界全体にも、例えば、本校で言う自立した学習者を育てるための自由進度学習か一斉指導かといったような、二項対立といいますか、そういった議論になってしまっているところがあり、学校ではそういう学びが必要なんだよといったときに、じゃあ全部をそれに変えなくてはいけないんだ、それはさすがにしんどいなというような思いもあるのではないかなと、これまでやってきて思うところです。
 本校でも、いわゆる個別最適な学び、指導の個別化、学習の個性化を合わせて、年間時数で100時間取れればいいぐらいかなと思いながら、今やっています。そういった意味で言いますと、これは令和答申にもちゃんと書いてあるのですが、二項対立100かゼロかみたいなところがあるので、そうではないんだということを、さっきの具体的なイメージも含めて示すことが必要かなと思ったところです。

【奈須主査】 ありがとうございます。
 それでは、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】 すいません。今、中谷先生が最初に御質問なさったことと重なった質問になってしまうんですけれども、私の理解力のなさでもう一度お聞きしたいんですが。
 私は前回、テキストの、ワードの資料で論点整理に向けた総括的論についてという資料が、これまでの中教審の各部会では踏み込んでこなかった点についてもかなり細かくといいますか、議論の背景、ここのワーキンググループでの議論の背景も丁寧に拾った資料になっているように感じていまして、今回の横置きの資料というのが結構重要というか、主な論点のところに詳しく書いてある項目と、すごくシンプルになったがゆえに文脈がそぎ落とされてしまった部分があるように思っていて、もしこの横置きのといいますか、この資料1がその次の上の2のところに引き継がれるのであれば、もうちょっと具体的にしたい部分がたくさんあるんですけれども。
 前回の資料はどういう位置づけで、この資料はどういう位置づけなのか、もう一回教えていただいてもいいでしょうか。

【奈須主査】 事務局、お願いします。

【今村委員】 すいません。

【奈須主査】 いえいえ。

【前田教育制度改革室長】 ありがとうございます、前回の第4回の資料、これは論点整理に向けた総括的議論についてということで、これまで出された意見について検討事項ごとに整理したという位置づけです。
 今おっしゃられたように、いろいろ文章を書かせていただいておりますけれども、今回お示ししているのは、これまで出された意見を、いろいろな先生方の表現での違いというのがあろうかと思います。こういうことをおっしゃりたいということについて、いろいろな角度からおっしゃられていることがあろうかと思います。それをコンパクトにまとめさせていただいたのが今回の論点整理素案という形になります。
 中教審の文章として、こういったパワーポイントじゃなくて、ワード形式でどんどん言葉を継ぎ足していくことももちろんそれは可能でございますけれども、より問題意識や課題についてどういう論点があるかというのをお示ししたいということで、今回、こういった横表の形式で示しております。
 それで、今日御議論いただくことをまたこれに継ぎ足していくわけでございますけれども、できる限り先生方からの文脈に外れないように工夫したいと思いますが、事務局としては、これを、論点整理素案を御議論いただいた後に、論点整理案としてこの形式で、今考えておるのは、この形式で次回の2月20日の特別部会にお示ししたいというふうに思っています。

【今村委員】 なるほど。分かりました。ごめんなさい。当てられてないのに答えてしまった。申し訳ないです。
 ということは、ここの主な論点のところに盛り込むことがとても大切ということになるということですよね。こちらの資料。

【前田教育制度改革室長】 はい。

【今村委員】 分かりました。先ほど、貞広先生が御指摘なさった8ページ目の学校になじめないでいる子供に対する学び保障の項目の、例えばなんですけれども、無気力・不安等の項目がかえって不登校の真の要因をつかみにくくしているのではないかに対しての論点として、もうちょっといろいろと出てきていたと思うんですよね。私自身も発言させていただいたんですけれども。
 もしかしたら、長期欠席というふうにくくられている人たちについても含めて要因分析をするべきなんじゃないか。それは確かに、調査設計の改善を含めというところに含んでいるのかもしれないんですけれども、どう改善するのかの議論がどう出たかということが具体的に入っているほうが、せっかくここでしてきた議論を抽象度高い言葉にしてしまうと今までの議論がなかったものになってしまいそうで、また、次、そのキーワードを出すための議論をしなければいけなくなるように思うので、そこは盛り込んでいただきたいなというふうに思いました。
 長期欠席の子供についても、また、不登校傾向の子供についても、きちんと状況を把握していくための調査が必要ということをぜひ盛り込んでいただきたいなと思いました。昨日、大臣発言があったので、もしかしたらもう既に御検討になっていることなのかもしれないんですけれども、この部会としてもきちんと声を上げていくという意味でも必要かな。具体的にしていくということを明確に書いていただきたいなと思いました。
 もう一点、論点がまた変わってしまうんですけれども、第1回目の10月17日のときに示された、義務教育の在り方ワーキンググループにおける当面の検討資料、今回の資料にも入っていましたけれども、そのときからずっとお示しになられた資料の中に、一番下に、まさにこの4番の学校教育になじめないでいる子供の学びの保障のところに、フリースクールなど学校内外の学びについてもどうしていくべきなのかを考えていく必要があるのではないかということも話題になりました。
 不登校特例校300というのが振興基本計画の議論というか、その中でも数字が出てきたので、もしかしたらそういう民間施設も特例校扱いしていくという方針が既にあるのかもしれないんですけれども、私はやっぱり、先ほど不登校の問題を個人モデルと捉えるか社会モデルとして捉えるか、この現象をどうしていくべきなのか、本当に学習指導要領1本でいいのか等いろいろと検討していく中で、本当に日本もうこういうほかのセクターが、ビジネスセクターや医療も、ベンチャーの存在が停滞を少し突破していくような明るい兆しを提供しているように、日本も学校をフリースクールなど、全てフリースクールならいいという問題ではないんですけれども、フリースクールというような十分そこで学校教育を代替する場での学び、人間関係をつくりながら、きちんと人格の形成につながるような学びをしているようなオルタナティブスクールみたいなものをどのように位置づけていくのか、そして、それを学校外なんだというふうに切り捨てていいのかということについてももう少し検討の必要もありますし、質の保証について、設置してからの質の保証については、まさに強く同時に議論すべきと思って。
 この議論は、あまりこの議論の中でも出てこなかったところで、8ページの一番下に少し書いてはいただいているんですけれども、そこも継続議論としてとても重要だということは深めて書いたほうがいい部分かなと思いました。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。どうしても論点を整理してまとめていくというのは、情報を落としていく、すると、その中で文脈が落ちていくことがある。でも、文脈を落とすことによって、論点の本質が弱くなるんじゃないかということで、もう一度その辺りも確認しながら、どういう文脈でどういう御意見として出たものが整理されてきたかというそのプロセスを確認しながら、丁寧にまとめていきたいなと思いました。
 それから、後半のところは、今もう今村委員がおっしゃったということで、ここはいい形で反映をするということにさせていただければと思います。まさに今のは、学校ではなくて義務教育をどう考えるかという、先ほど来、堀田先生からもありましたけれども、義務教育イコール学校と考えるのではなくてというスタンス、とても大事なことだろうと思いますし、また、そういう意味で、学校を再定義するということですよね。
 その辺り、法律上は学校教育法第1条のということでしょうけれども、それでいいのかという。そこに学校という言葉と義務教育という言葉の違いというか、意味合いの大事なところがあるんだなと、その辺りからやろうというのが今回のワーキングの趣旨だと思いますし、そこの確認が今できたかなと思います。
 いかがでしょうか。まだ大分お時間ありますけれども、特段よろしいですか。御感想のようなことでも構わないと思いますし。中谷委員、お願いします。先生、ミュートを外してください。

【中谷委員】 先ほどは大変失礼しました。
 先ほど申し上げた二項対立ともう一つ申し上げたかったこととして、例えば、5ページの一番上の横展開ということについて、本校の実践についてお話をしたときに、若江委員などからお話がありました。実は、昨日まで自由進度学習の視察をずっと受け入れていたんですけれども、来られて見られた先生、校長先生や特に研究の中心となる先生方は、ぜひこれをやってみたいということで、その後もいろいろ問合せをいただいて、少しずつではありますけれども、火がついているなという思いはあります。
 ただ、それは多分、圧倒的な小学校数の中で言えば、まだまだ微々たる動きだと捉えており、それを広げるためにどうしたらいいかというのは、我々自身といいますか、これは行政も含めて考えていかなくてはいけないと思っています。
 そのときに、先ほど来ありますように、授業のイメージがない、具体のイメージがないというのは、先生方にとってこれは非常にマイナスでして、見たらこういうふうにやってみよう、こんなこともできるんじゃないかというような声がたくさん聞こえますので、具体のイメージを提供するというのは一つ重要な鍵かなと思っています。
 それから、もう一つ、こうした学びの成果の普及といったところで言うと、どういう伝え方がいいのかというのは我々すごく悩んでいまして、いわゆる客観的、定量的な成果として伝えるというだけではいけないんじゃないか。先ほどのいろいろな子供たちに着目するという観点から言いましても、そこにはかなり限界というか、例えば、アンケートで主体的に学ぶ児童が何%でしただけでは、なかなか伝わらないのではないかと、いろいろ視察の応答をしながら思っているところです。
 そういった意味で言いますと、例えば、質的といいますか、ナラティブで質的なエビデンスといった言葉も聞いたことがありますけれども、どのように成果の普及の仕方をすればいいのかというのは、なかなか学校現場として専門的に研究するわけにはいかないところもあり、その辺のところも、いろいろ教えていただく、それらを活用してまた我々の実践を発信していくといったようなことができないかなと思っています。
 例えば、全体の子供たちだけではなくて、どんな層の子供たちに効くのかとかいったようなことも、いろいろな方から御意見を伺いながら、成果の普及について、具体のイメージプラスアルファが必要なんじゃないかと思ったので、5ページに関わりまして申し上げました。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございます。
 イメージがないというのは、その料理を食べたことがないみたいなものですからね。食べたことのない料理を作れるはずがない。食べたことのない料理をレシピだけ与えて作れるかというのは、なかなかの難問だと思いますけれども、見たことのない授業を話だけ聞いてつくれるかというと、私はつくれないと思います。
 それから、データと言いますけれども、それは料理で言えば、たんぱく質が何%、何グラムとかいう話で、それでは料理の本質は分からない。エビデンスは大事ですけれども、エビデンスだけでイメージはできないのかなと思ったり。またこれも考えなきゃいけないですよね。動画とか教材もクラウドに載せるとか、昔と違っていろいろな発信方法もあるんだろうと思うんですけれども。
 秋田先生が来られたので、秋田先生。

【秋田主査代理】 すいません。遅れまして申し訳ありません。

【奈須主査】 いえ、とんでもありません。お願いいたします。

【秋田主査代理】 今、中谷委員のお話を伺っていて、この点に関してのコメントと、それから、その前の話について、的外れでだったら申し訳ありませんけれども、発言させていただきます。
 まず、データの話ですけれども、今、義務教育の前の幼児教育との架け橋の特別部会のほうでも議論していることではありますが、例えば、幼児教育は見えない教育といわれているわけです。ただ、そこでは質的に物語というか、ラーニングストーリーやドキュメンテーションというような形で出来事の記録を通して子供の学びがどう深まっているのかということについての事例を出していくことによって御理解とか普及しています。教育の質にその場限りと深いものがあるということの事実は出るわけで、ぜひ自由進度学習も、先ほどのやるかやらないかというよりも多様な在り方で、そこにおける深さというんですかね、こういう形の環境やこういうことがこういう子供たちの深い学びを生み出していっているというようなところをぜひ出していただくとよいと思います。それによって多くの先生方がその事例から学ぶというのが専門家の学びの在り方でありますので、ぜひ、そこに大いに期待したいということです。
 それから、もう一点です。最終のまとめをこの横置きの形で行うということだったんですけれども、私も前の縦の紙のストーリーに比べて見えにくくなっていることの1つに、この横で区切られていることに見出しがないので、これは何について語っているのかというのが分かりにくいのだと思います。大きい枠のところに個別最適な学びとということは書かれているんですが、この線が引かれた中がどのようなトピックとして、イシューとして捉えられ、それに対してどういう論点があり、そこから、例えば、どういう施策が示唆し得るのかという、そこまでは全部は書けないかもしれないんですけれども、そのような形で少しまとめをより見える化していただくページと、倍量にはなるかもしれないんですが、この表の次のところに、もう少し詳しく論点の文脈がそれぞれに書かれたものを挟み込むとか、前の7枚はその論点なんだけれども、補足でそれに対してどういう議論があったのかということをもう少し分かるような形にしていただくとよいと思います。事務局の御苦労もたくさんあると思うんですけれども、より目指されている分かりやすさというところと、一方で、文脈が落ちてしまって見えにくいというようなところを何とか克服し、もちろん紙のものもあったらいいと思いますが、いいのではないかなと思います。
 この前の教育再生実行会議のときにそういう形の書類の作りというのは、今村さんとか一緒に出ていたんですけれども、あったような気がいたしますので、少しこの辺り事務局でも御検討いただいて、より論点が明確に、文脈が一目で分かるような工夫ということもできないのかなと思った次第です。
 ピントがずれていたら誠に申し訳ありません。以上です。

【奈須主査】 ありがとうございます。御専門の立場から御示唆いただけたかと思いますし、まとめ方のほうは、今いただいたお知恵を生かして、また事務局のほうで御検討いただくということにしたいと思います。
 いかがでしょうか。今日まだお声を聞いてないのが荒瀬委員と柏木委員ですが、もしよければ御意見、御感想等お願いできればと思いますが、いかがでしょうか。じゃあ、柏木委員、荒瀬委員の順番でお願いします。柏木先生、お願いします。

【柏木委員】 ありがとうございます。立命館大学の柏木です。
 私の今から話す内容というのは、この論点素案に関係がないような話でしたので、すみません、その他のところで述べさせていただこうかなと思っていたんですけれども、最後のほうの順番になってきましたので、途中で挟ませていただきます。
 これは論点かどうかの御判断はお任せいたしますが、私からのお願いこととして1点ございます。それは個別最適な学びの概念構築を図っていただきたいという点です。個別最適な学びという言葉に関しては、何を意味するのかが不明で実態が分かりにくいという現場の教員からの声を聞きますし、私もこのワーキングでかなり理解が違ってきました。前回お伝えしたことと重なるところがございますが、それは主に4点ございます。
 1つ目は、個別最適な学びには協働的な学びの要素が含まれる点です。自由進度学習と一口に言いましても、1人でするもの、複数でするものがございます。また、多様な他者と関われることが学びの意味であるなら、子供が最適と選択し得る学びのスタイルには、相互作用のある一斉学習やグループ学習が含まれます。そのため、個別最適な学びには多様な学びのスタイルがございます。
 2つ目は、全ての子供にとっての個別最適な学びを同時に保障することが必ずしもできるわけではない点です。なぜなら、上記のように多様な学習スタイルが含まれる上に、それらが教科、単元によって異なります。さらに、1時間単位の中でも、最初の10分は自由進度、その後はみんなで一斉に問い作りをし、その後、グループ学習が最適というAさんもいれば、最初の30分自由進度がよくて、その後15分は3人で自由進度をしたいというBさんもいますし、45分間を4人でグループ学習がしたいと、それが最適と考えるCさんもいます。Aさん、Bさん、Cさんの最適を同時に保障することは現実的ではありません。
 そして、3つ目は、個別最適な学びを学習スタイルの問題に収れんさせず、子供が何を学び身につけるのかという資質・能力の育成から考えなければならない点です。例えば、野球選手になりたい場合と社会起業家になりたい場合とでは求められる資質・能力が異なり、最適な学びのスタイルが違ってきます。また、今後の社会をつくるための資質・能力とは何かから考え、学びのスタイルを考える必要があります。つまり、子供の将来から考えて、あるいは、社会をつくる担い手として、子供がどのような学びをすればいいのか、どのような力を身につけるべきなのかという視点から学習スタイルを導き出すという順序が大切になります。
 4つ目は、そうであるからこそ、学習が行われる時点において何が最適かを確定することは難しい点です。理由は次の3つを挙げることができます。
 第1に、その子供がどのような人生を送るかによって必要な資質・能力は異なってきますが、それは一義的に決められるものではありません。第2に、今後社会が変化しようとも必ず求められる資質・能力とそうではないもの、あるいは新たに創発される資質・能力があります。第3に、授業の中での子供たちの思考と探究の深まりによって、最適な学びの内容とスタイルは移り変わります。例えば、自由進度学習でも、途中から協働的な学びを始め、そして、クラスみんなで運動場に出て、どの単位で測ればいいのかを探究し始めた事例を先日お伺いしました。
 これらから、これはあくまで私の個人的な見解でございますけれども、個別最適な学びは、子供に育みたい資質・能力に基づき、多様な学びのスタイルをバランスよく柔軟に組み合わせる学びと言えるのではないかと思われます。それを子供とともに考え、子供が選択できるようにすることが大切になります。ただし、全ての子供の最適が同時に保障できるとは限りません。また、最適なスタイルを事前に決めることは難しくもあります。
 したがって、個別最適な学びをあらかじめ定める理想形としてではなく、子供がどうすればよりよく学べるのかを状況応答的に考える認識枠組みとして捉えることが重要になるのではないかと思っております。
 学びとは不断の人格の更新と私は考えております。皆様が思いを込めてこのワーキングをされて、そして追求されていらっしゃる個別最適な学びというのが、他者と切り離された固定化した学びに陥ることのないよう、動的で創造的な学びになるよう、概念精査を図っていくことが必要ではないかと思います。
 それとともに、子供の社会経済的背景によって学びの成果は違ってくると思われ、こうした個別最適な学びで行われる学習の実態調査も今後必要かと思います。
 以上になります。ありがとうございました。

【奈須主査】 ありがとうございます。まだ未整理な部分というか、詰めていかなきゃいけない部分がたくさんあるんだろうと思います。御指摘の点、また検討していきたいなと思います。ありがとうございました。
 それでは、荒瀬先生、お願いします。

【荒瀬委員】 ありがとうございます。まず、先ほどの奈須先生の料理のレシピのお話がとても分かりやすくて、非常に納得感が私の中にあります。いいお話をありがとうございました。感謝申します。
 具体的に論点の中に入れる話ではないかとは思うんですけれども、教育委員会に対してこれからどういうことをお願いしていくのかということが私はとても大事だと思っています。教育委員会は学校に対して、あるいは、校長や教師に対して働きかけをしているわけですけれども、どういう働きかけによって子供一人一人の豊かな学びが実現していくのかということが結構決まっていくと思うんです。
 半分宣伝みたいになってしまいますけれども、我々教職員支援機構としてもその点について相当問題意識を持っておりまして、来年度、新たに教育行政リーダー研修というものを中央研修として取り入れたいと思っていまして、これは今、様々な関係の方々、有識者の方も含めてですけれども、お話を聞きながら研修の在り方を模索しています。
 また、先生方の研修ということを考えても、今もいろいろと先生たちがまだまだ十分ではないんじゃないかというようなお話もありましたけれども、そういったことについて学んでいくということの時間の確保と、それとともに知識は当然必要ですから、知識伝達型の研修が要らないということは全くないわけですけれども、一方で、各学校の課題を掘り下げて、それを単発ではなくて、1年を通して探究のサイクルを回しながらやっていく探究型の研修みたいなものも考えていく必要があると思って、これも来年度実施したいと思っています。これ実は1年コースと2年コースというのを今検討していまして、2年コースのほうは、校長先生と一緒に中堅の先生が手を組んで、あるいは、グループを組んで取り組んでいただくようなことも考えているというところです。
 こういったことを通して、どういう学びが重要なのかというのを各県の研修センターであるとか教育委員会の皆さんにも発信をしていきたいし、それが結果的に子供たち一人一人の豊かな学びにつながっていくといいなということを思っています。ただ、今、まだ本当に手探りでやっているような状態なので、1つ言えば、1年間とか2年間とかの研修に、あるいはまた、教育行政リーダー研修にどれだけの方が来てくださるんだろうかという不安もあるんですけれども、そういったようなことを考えています。
 最後に一言。私、教科書をどのように考えていくのか、これは非常に重要になってくると思います。学習指導要領とももちろん関わってきますので、ここでどれだけ議論をすることになるか分からないんですが、やっぱり教科書を教えるんじゃないといっても、教科書がある以上は教科書の影響をとても強く受けるのは当然でありますので、教科書をどうしていくのかということは、これは本当に今後議論していく必要があるのではないかなということを思っております。
 以上です。ありがとうございました。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 これは秋田先生がお詳しいと思うんだけど、2時間の研修なんてやっているのは日本ぐらいですよね。もっと長時間で、もっと具体的で、もっと実技というか、実際に開発したりとかということを伴いますよね。秋田先生は海外の御様子もよく御存じだから、少しコメントいただけるとありがたいですが、いかがでしょうか。すいません、急に。

【秋田主査代理】 ありがとうございます。私が詳しいわけではないですが、長期的に探究して、それを教師自身が自分の探究をレポート等にまとめていって、それがその研修の達成として出されるような、そういう形の研修であったり、それから、本当に理論と実践、シンガポールなんかそうだと思うんですけれども、いろいろなところにも実際に行きながら、新たな理論と自分でまとめたものを時間をかけてまとめていくことで高度化していくというような、そういうような研修みたいなものも持たれたりしているというふうに実際見てきて思います。そういう意味でも、先ほど荒瀬委員が言われたような形が必要だろうなというふうに私自身が思っているというところであります。
 また、それと直接関係ありませんけれども、教科書ではなくて教材というものをどう教師が探究しながら、カリキュラムに必要なものを開発しながら、それを共有していくのかという仕組みを考えていくという、もちろん日本の教科書は大変レベルが高いということもまた世界的に見て事実な部分もあるわけですけれども、教科書だけを教えるんじゃなくて、どういうパッケージとかどういうデザインが学びを深めていくのかというようなところが、これはICTを使えばいいんじゃなくて、トランスメディアとしていろいろなメディアやいろいろなものをどう組み合わせると探究的に深まっていくのかというような視点を教師が考えていくというようなところともつながっていくのかなというふうに思いますと、こうした点も今後、特に義務のところでは教科書の無償ということがあるので、検討がここで行われるのか、堀田委員が代表でやってくださっているところからの御意見で進むのか分かりませんけれども、お話伺って思いましたので、補足させていただきました。
 奈須座長の振っていただいた意向と合っているか分かりませんが、以上です。

【奈須主査】 すいません、急に。いいお話をいただきました。
 今言っていただいたように、これは教科書・教材ワーキングというのが堀田先生の下で動いていて、活発な、また、画期的な議論をしておりますけれども。すいません、急に。もしよければ、堀田先生、何かこの件コメントいただければ。

【堀田委員】 今、秋田先生が僕の名前をおっしゃったので、来るかなと思っていました。ありがとうございます。
 教科書・教材・ソフトウエアの在り方ワーキングというのは、この義務教育ワーキングと同じように特別部会の下に設置されておりまして、これは具体的に言うと、私が座長をしていることもからも分かるように、教科書がデジタル教科書にどの程度、どのぐらいのスピードで、どの教科から移行あるいは併用していくのかということの議論、これは無償供与との関係もありますので、そういう議論が急がれる必要があったということです。結局、段階的に英語、そして次が算数、数学で当面は行きましょうとか、あるいは、配信の仕組みをちゃんと整えましょうとかということで補正予算がついたりとか、いろいろなそういう形で、要は、学習リソースの多様性みたいなことを教科書のレベルでまず保障しようということです。
 次に、教材がデジタルになると、いろいろな形で個別最適な学び、特に指導の個別化のところに対応がうまくいく部分があるので、これをじゃあ誰が負担するのかという措置の問題も含めて、保護者負担なのかとか教育委員会負担なのかとか、提供形態をどうするのかとか、サブスクなのかとか、今までの商習慣とは違う習慣がデジタルの世界では起こっていますので、これをどういうふうに教育委員会の枠組みで購入していくのかみたいな話もありますし。
 あと、ソフトウエアで言えば、学習の基盤となるようなLMSのようなものとかそういうものはいろいろもうできてきて、学校現場でも頻繁に使われているわけです。例えば、グーグルクラスルームのようなものですね。そういうようなものが使われていて、それで子供たちが見通しを持って学べるように、様々な学習リソースを教師が意図的に、先ほど秋田先生が開発とおっしゃいましたけれども、カリキュラムの開発と学習リソースを見つけてきて、子供にどのように提供すればいいかということを上手に考えて先生方がお取組になられている。
 そういうことが出てきたときに、これ著作権の問題だとかいろいろなことがまた横断的に関係するんですけれども、教科書のデジタル部分をどうするか、教材のデジタル教材をどうするか、ソフトウエアとの連携をどうするかみたいなことを国レベルでちゃんとある程度論点を明確にし、今後、財政措置も含めて検討しなきゃいけないということの入り口をやったというのがこのワーキングなんです。
 議論の結論は、これからどのような授業を目指すのかということをちゃんと私たちが議論し、これは義務教育の在り方とも含めて、学校のみならず義務教育というものをどのように提供していくのかということをしっかり議論して、それに併せて教科書や教材やソフトウエアの在り方を議論しないと、今、急いでデジタル教科書の在り方みたいな話になると、紙が効果があるのか、デジタルが効果があるのかとか、その効果というのは学力調査の結果が上がれば効果なのかみたいな、そういう議論に持ってかれてしまうので、そもそも私たちがこれからの時代の資質・能力を考えたときに、どのような学習を子供たちに提供していくべきなのか、それが義務教育としてどのようにあるべきなのかということの議論がもうちょっと上流で行われるべきだというところまでがようやく私たちが今まとめたところです。
 すいません。解説が長くなりました。奈須先生、以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 このワーキングとの関係性とか、あるいは親部会との関係性ということで、ずっと今日議論に出ていましたけれども、だから、部分でやるんじゃないんですね。柏木委員もおっしゃったけれども、何のためかとか、どんなものを目指すのか、本質的な議論との関係でやっていく。
 どうしても、教材もそうですし、この個別最適もそうですけれども、具体的な形、形態、教育方法、道具立てに議論が向かいがちなので、すると、ただどうするのだという話になってしまって、何のためだとか、そこにどんな子供がいるんだということがついつい見えなくなっていく。先生方にすれば、どうすればいいんですか、何をすればいいんですかという質問になってしまいますよね。でも、そうではないんですよね。
 そこで、多様なとか、まだ見ぬ選択肢を新たに生み出していくということも含めて、何のためということを据えなきゃいけないということ。今日ずっと底流のように出てきた議論だと思うけれども、そのことを確認しながらまとめに進みたいと思います。
 荒瀬先生、いかがでしょう。今のような議論。最後に、何かあれば。どうぞ。

【荒瀬委員】 すいません。聞こえますか。

【奈須主査】 はい。お願いします。

【荒瀬委員】 すいません。今、出張先にいて、機械がいつもと違うので。すいません。
 今の奈須先生のおまとめが次回の全体の会議につながっていくんだというふうに思いました。3つのワーキングが具体的に、今、ばらばらでやっているわけなんですけれども、それは最初の段階から必ずつながっていくということですので、ですから、その議論も、次回1回だけになりますから、どれだけ深められるかというのはあるんですけれども、ともかく、次期につなぐための議論になるということを大いに期待しております。
 次回、人の数も相当たくさんになりますので、御発言の機会とかもなかなか取れない可能性があるわけなんですけれども、ぜひ活発な御議論をよろしくお願いしたいと思っています。
 ありがとうございました。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 ちょうどいい時間になりましたので、今日はここまでとさせていただきたいと思います。
 今ほど荒瀬先生からもありましたけれども、次回以降の予定等について、事務局からお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 先生方、ありがとうございました。
 次回ですけれども、今日、秋田先生、今村先生から資料の作りについての御指摘もございまして、表に小見出しをつけて、これまでの意見、この間総括的議論としてお示ししたようなものも後ろに添付しながら、論点が漏れ落ちないような形で、奈須先生とも相談しながら作っていきたいというふうに思います。
 ただ、横表のこの形式自体は、ワード形式だけでばらっとあるのも意見集という形で作らせていただきますけれども、どことどこが関係するのかということも見て分かるということが読み手にとっては大事かと思いますので、これはこれで作らせていただきたいというふうに思います。
 次回でございますが、2月20日の13時から15時を予定しております。荒瀬先生からも御紹介がありましたけれども、特別部会と高校ワーキング、それからこの義務ワーキングとの合同での開催とさせていただきたいと思います。また、詳細につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 以上でございます。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、議事は全て終了しましたので、これで閉会とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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