義務教育の在り方ワーキンググループ(第3回)議事録

1.日時

令和4年12月21日(水曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 (※WEB会議)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 検討事項について(学びにおけるオンラインの活用について/学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障について)
  2. 委員からの御発表
  3. その他

4.議事録

【奈須主査】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、中央教育審議会初等中等教育分科会、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会、義務教育の在り方ワーキンググループの第3回を開催いたします。
 皆様、御多忙の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、本日の会議開催方式及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 教育制度改革室長の前田でございます。本日も、どうぞよろしくお願いいたします。
 本会議は、コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、ウェブ会議で開催させていただいております。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、カメラにつきましては、御発言時以外も含め会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。議事次第にございますように、本日の資料は、資料1から資料2-2まで、加えて参考資料が1から3までとなっております。このうち、参考資料2は、本ワーキンググループの第1回と第2回の御意見をまとめたものとして、御参考までに配付させていただいております。また、参考資料3につきましては、前回もお配りいたしました令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果となりますけれども、この後、事務局から資料1を御説明させていただく際に、一部の内容について御紹介いたします。
 以上でございます。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、議題に入りたいと思います。本日は議題が三つございまして、まず、議題(1)は、検討事項についてとして、学びにおけるオンラインの活用と学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障についてということです。次に、議題(2)として、この2点の検討事項について、委員より御発表いただき、意見交換としたいと思います。
 なお、本日は報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 それでは、まず議題(1)について、事務局より関連資料の御説明をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 資料1について、よろしくお願いいたします。
 この後、有識者の先生方の御発表を控えておりますので、事務局説明として、やや早口になるところがございますけれども、御容赦いただければと思います。
 1枚目のスライドでございますが、本日のワーキンググループの検討事項として、学びの多様性の中の学びにおけるオンラインの活用、4としまして、学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障、これを今回の検討事項のテーマとして掲げております。
 次のスライドでございますけれども、黒沢先生と今村先生に御説明に当たってお願いしたい事項ということで、オンラインの意義と留意すべき点、公と民それぞれの役割、つながることのできない子供たちのために必要な支援でございますとか、つながりを継続するために必要な対応、それから、学校に行きたいけど行けないという子供にとって望ましい学校教育の姿ということで、本ワーキンググループでは、学校の役割ということが大きなテーマでございますので、こうしたことについても御説明をお願いしているところでございます。
 次のスライド以降が、オンラインを活用した学びとして、令和答申から抜粋しているものでございますけれども、一つ目が、学びにおける時間・距離などの制約を取り払うこと、それから、下の枠に参りまして、教師が対面指導と家庭や地域社会と連携した遠隔・オンライン教育とを使いこなす、いわゆるハイブリッド化ということで、そういった学びを展開することが必要であるとされております。
 次のスライドでございますけれども、遠隔・オンライン教育を活用した学習について出席扱いとする制度や、学習の成果を評価に反映することのできる制度の活用の促進でございますとか、一番下でございますが、特別な配慮を必要とする児童生徒について、多様なメディアを効果的に活用し遠隔教育を行うことといったことが提言されております。
 次のスライドは、人口動態を踏まえた学校運営や学校施設の在り方ということで、二つ目の丸でございますけれども、山間・へき地や、小規模校などの学校で児童生徒間の多様な交流や専門家による対面での指導が困難な場合に、遠隔授業を積極的に活用するということが提言されております。
 これに関連しまして、次の資料以降が規模に関するものでございますけれども、一つ目は、公立小中学校数と児童生徒数の推移ということで、過去10年間で小中学校の学校数は約9.7%、児童生徒数も9.5%減少しているという資料でございます。こちらを御覧いただきますと、平成11~22年がちょうど平成の大合併の期間でございますので、学校数については、それはその中で減っていくということでございましたけれども、それ以降もそれを上回るペースで減少しているということがお分かりになるかと思います。
 次のスライドでございますけれども、こちらは小学校・中学校が各1校しかない市町村、あるいは、小学校1校のみ、もしくは中学校1校のみといった市町村が、全体の市町村のうちの14%を占めているという資料でございまして、今後、この数については恐らく増加していくだろうという資料でございます。
 次に参りまして、学級の標準規模でございますけれども、現在、学校教育法施行規則では、小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準という規定がございますけれども、公立小学校につきましては、約4割が標準規模に満たない学校でございます。同様に、中学校につきましても、約5割が標準規模を下回るという状況になっております。
 次のスライドでございますが、こうした小規模校についてのメリットでございますけれども、一つが、一つ目の丸にございますような、一人一人の学習状況や学習内容の定着状況を的確に把握でき、補充指導や個別指導を含めたきめ細かな指導が行いやすいですとか、三つ目にございますような、一人一人がリーダーを務める機会が多くなる、六つ目の教材・教具などを一人一人に行き渡らせやすいといったメリットがあると、私どもが作っている手引の中で整理をさせていただいております。
 次のスライドですけれども、一方で、小規模校の課題といたしまして、一つ目のポツでございますけれども、運動会・文化祭等々の集団活動・行事の教育効果が下がる。三つ目としまして、集団学習の実施に制約が生じる。下から二つ目でございますけれども、児童生徒から多様な発言が引き出しにくく、授業展開に制約が生じるといったような課題を挙げられております。
 次のスライドでございますけれども、こうした小規模校の課題を解消する方策の一つとして遠隔教育がございますけれども、その類型として、三つ記載させていただいております。一つは、合同授業型ということで、多様な意見は考えに触れたり、協働して学習に取り組んだりする機会の充実を図るもの。それから、真ん中、ALTや専門家の参画により、学習活動の質を高める、教師支援型という類型でございます。最後に、教科・科目充実型ということで、多様な科目選択を可能とすることなどにより、学習機会の充実を図るというものでございます。
 こういった類型があるわけでございますけれども、次のスライドが、遠隔教育の活用場面・効果ということで、一つが、教育の質を大きく高める手段として、教師の指導や子供たちの学習の幅を広げるということですとか、学習機会の確保を図る観点から重要な役割を果たすというふうに位置づけております。特に、左側の下、小規模校の課題解消に向けた合同授業、こういった活用場面も実際には行われるところでございます。
 次のスライドでございますけれども、先ほど御紹介した左側の合同授業の深掘りをしたものでございます。これはそれぞれの学習活動はどんなものがあるかとか、どんな効果があるかというものを整理したものでございますので、御覧いただければと思います。
 次のスライドでございますけれども、中学校につきましては、遠隔教育特例校制度というのがございまして、受信側の教員が当該免許状を有していない状況でも、遠隔にて授業を行うことを可能とするという制度がございます。配信側につきましては、例えば、英語であれば、英語の免許状の先生が行うわけですけれども、受信する側については、そういった英語の免許状を保有していなくてもよいとするものでございます。
 ただ、指定の要件といたしまして、例えば、下の点線の枠囲みにございますけれども、上から二つ目にありますような、遠隔で授業を行うことが、当該授業の内容や教科等の特質に照らして適切であることといったことですとか、下から二つ目のポツでございますけれども、対面により行う授業を相当の時間数行うことといった一定の要件がございますけれども、こういった制度があるという御紹介でございます。
 次のスライドですけれども、これは小柳委員が高松市の教育長を務めていらっしゃいますが、高松市の離島におけるオンラインを活用した学習支援の事例といたしまして、香川大学の学生とのワークショップ形式の交流ですとか、本土の小学校との毎朝30分程度の交流、こういった取組もされているという御紹介でございます。
 次のスライド以降が、学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障といたしまして、平成28年に成立いたしましたいわゆる教育機会確保法でございますけれども、こちらの3の不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等にございますように、不登校特例校及び教育支援センターの整備ですとか、学校以外の場における不登校児童生徒の学習活動といったものが規定されております。
 次のスライドは、小中学校における不登校の状況ということで、問題行動調査のデータでございますけれども、24万4,940人ということで、9年連続で増加し、過去最多となっているという状況です。
 次のスライドですけれども、学校内外で相談・指導を受けた不登校児童生徒数は15万6,000人、その割合につきましては、63.7%ということで、緑色のグラフがございますけれども、一方で、学校内外で相談・指導等を受けていない生徒が8万8,931名ということで、割合にして36.3%の児童生徒が相談・指導等を受けていないというデータでございます。
 それから、下のグラフについて、これは自宅におけるICT等を活用した学習活動を、校長の判断で指導要録上出席扱いするというものでございますけれども、コロナ禍での端末の整備などを背景に、令和2年、令和3年で増加しているという数字でございます。
 次のスライドでございますけれども、不登校特例校の特色と教育上の効果ということで、今日、黒沢先生から御発表いただきますが、各校での特色ある教育課程がございます。ここは教育上の効果といった声をまとめたものでございます。
 次のスライドですけれども、現在、不登校特例校は21校(公立12校、私立9校)ということで、まだこの日本地図上の空白地域が多いという状況でございます。
 次のスライドでございますが、教育支援センター、いわゆる適応指導教室でございますけれども、集団生活への適応や情緒の安定、基礎学力の補充等のため、児童生徒の在籍校と連携を図りつつ、組織的、計画的に支援を行う組織として、教育委員会や首長部局において設置しているものでございます。令和3年は、不登校児童生徒の10%がこの教育支援センターを活用しておりまして、活動としましては、教育、相談活動、教科学習の指導、体験活動、グループ活動といったものを活動例として挙げております。
 次のスライドでございますけれども、これは平成29年度間、やや古い資料でございますけれども、教育支援センターに関する実態調査ということで、4ポツにございますように、市町村による設置がほとんどということで、広域をカバーする都道府県の設置としては、割合はかなり低いという状況になっております。
 次のスライドでございますけれども、民間団体と施設の連携に関する実態調査ということで、教育委員会や知事部局が民間団体・施設とどのように連携しているかという現状を把握している資料です。4ポツにございますように、フリースクールが約72%で最も多い。それから、団体からの要望でございますけれども、経済的な支援を求める要望等も上がっております。
 次のスライドでございますけれども、教育委員会との連携内容で一番多いのが、赤枠にございますような、通所の実績や支援の状況等に関して、文書等による定期的な情報共有を行っているとか、教育委員会等が主催する会議に、民間施設・団体の職員が参加しているという例が多いということでございます。
 次以降が、令和2年度の不登校の実態調査の結果でございますけれども、最初に行きづらいと感じ始めたきっかけとして、小学校では「先生のこと」、あるいは「身体の不調」、「生活リズムの乱れ」というのが一番多くなっております。一番右にありますように、「きっかけが何か自分でもよくわからない」というものも2割強を占めている。
 中学校につきましても、「先生のこと」、それから、「勉強がわからない」、「身体の不調」とございますけれども、2割強が「きっかけが何か自分でもよくわからない」という回答で、よく分析をしていく必要があるかと考えております。
 次のスライドでございますが、これはクロス集計でございますけれども、不登校になっている子供が振り返ったときに、いつで、きっかけが何であったということでございますけれども、小学校につきましては、低学年で不登校になった児童のほうが、勉強が分からないことが最初に行きづらいと感じ始めたきっかけの割合が高いのと、きっかけが自分でもよく分からないという回答割合が多い。
 中学校につきましては、中学校1年生になって不登校になった場合には、身体の不調が最初に行きづらいと感じ始めたきっかけと挙げる割合が高くなっております。
 また、赤枠で囲っておりませんけれども、勉強が分からないとか、先生のことというのも高い数字を示しておりまして、恐らく中学入学での環境変化ですとか、教科学習ということで、学習内容が高度化してまいりますので、そういったことも要因としてあるのかなと考えております。
 次のスライドでございますけれども、学校を休んでいる間の気持ちにつきましては、小学校、中学校ともに、勉強に対する不安というのはございますけれども、一方で、「ほっとした・楽な気持ちだった」、あるいは、「自由な時間が増えてうれしかった」というものも高い割合を示しております。
 次のスライド以降は、この実態調査の資料で御参考ということでございますけれども、最後の35ページにあります、学校に行きづらいと感じ始めた時に相談した相手について御紹介させていただきます。小学校、中学校とも、最初に相談した相手は、圧倒的に家族でございます。その他、誰にも相談しないという割合もございますけれども、相談された家族についても、情報がなければつなぐこともできないと思いますし、どこにつないでいいのかというような手続的なことについても、家庭への支援というのも必要であろうかと思っております。
 以上が、今回事務局のほうで御用意させていただいた資料の説明となります。
 事務局からは以上でございます。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 ただいまの御説明の中に、高松市の離島における遠隔教育の取組がありましたけれども、小柳委員から何か補足ございましたら、お願いできればと思いますが。

【小柳委員】
 離島と申しますのは、高松市沖の男木小・中学校で、昨年度は小・中学生9人の学校でした。この研究は、学校が中心となって行った研究ではなくて、市長部局が行ったものです。瀬戸内海には離島が幾つかありますので、学校では普段から豊島であったり、直島との交流があったり、それから、本土の学校とオンラインでつながった合同の授業の後、一緒に遠足をしたりした、そういうこともありました。
 児童生徒数が少ない中で、多様な友達と出会って、様々な意見に触れ合うことで、協働的な学びにつながっている実践に加え、教師が意図した授業の交流だけではない、こういう休み時間を通して、たわいもない会話で子供たちがつながるという体温が感じられる例かなと思っています。
 以上です。ありがとうございます。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、議題(2)のほうに移っていきたいと思います。
 本日の検討事項、学びにおけるオンラインの活用と、学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障について、黒沢委員と今村委員より御発表いただきます。
 事務局より御説明いただいたとおり、不登校の子供たちの学びの継続におけるオンラインの意義や留意事項、あるいは、公と民の役割などについて、それではまず、不登校特例校である八王子市立高尾山学園の校長である黒沢委員より御発表をお願いいたします。

【黒沢委員】 今回発表ということで資料を作りましたので、画面共有させていただきながら説明させていただきたいと思います。ちょっとお待ちください。
 皆さん、見えていますかね。うちの学校の外観なんですけれども、御覧のとおり、通常の学校と何ら変わらない風景になっています。
 では、うちの学校、高尾山学園についてということなんですけれども、今から20年近く前に、当時の八王子の市長が、不登校対策を何とかやろうということで、決断してつくった学校です。2004年に構造改革特区の制度を使って開校しています。今年で18年目になります。既に767名の卒業生を送り出しています。
 校内に適応指導教室も設置して、多くの教職員がいる学校です。在籍は現在105名ですけれども、本校は毎月不登校の子を受け入れていますので、1月にはさらに5~6名増える予定になっています。平均の登校率が大体70%、授業参加率が60%ぐらいです。進学率は96%です。それから、1年後の高校に在籍している率なんですが、大体85%という数字が追跡調査の中で出ております。
 では、不登校の理由についてですけれども、本校に来ている子供たちの様子を見ていると、大きく分けると三つに分類できます。ただ、一人一人理由が違うので、必ずこうだということではなくて、大別するとこんな感じになるということです。
 まず一つ目が、学校の生活が不安。様々な不安を持っているんですけど、学校生活が不安。勉強ですとか、友達とか、そういうのに不安を持っている、こういう子たちには教育的な支援が必要かなと思うんですけれども、2番目と3番目が、なかなか学校(教員)が手出しがしづらい領域になります。
 二つ目が家庭生活が不安なケース。家庭内環境があまり良くないことなんですけれども、こういう部分に福祉的な支援を入れています。本校の場合ですと、スクールソーシャルワーカーさんにいろいろお願いして、家庭と学校、支援機関や医療などともつないでいただいています。
 三つ目が、本人の不安ということなんですけれども、いわゆる医療的な支援が必要な子たちになります。特別支援学校へ行くほどではないんですけれども、やはり強いこだわりがあったりとか、発達の偏りがあったりとか、あるいは、境界領域で難しいなんていう子もいたりするので、大体大別すると三つ、このパターンの子たちが来ていると思ってください。
 では、本校の主な教育活動の特色になるんですが、まず一つ目が、居場所づくりをしています。無理に勉強へ出なくてもいいよと。つらいときや気持ちが向かない時などにはプレイルームでも、相談室でも、保健室でも、大人がいるところは授業中いつでも利用可にしています。ただし、休み時間は利用禁止にしていて休み時間は教室で過ごすようにしています。休み時間を利用禁止にしているのは連続で入りびたりにするのではなく、教室での
会話や次の授業に出るきっかけづくりとするためです。
 学習については、中2からは、BasicコースとChallengeコースと二つに分けまして、習熟度で勉強できるようなコースにしております。英数国については、複数教員で対応したりしています。それ以外に、体験講座学習という時間を週2回、2時間ずつ取っています。
 あとは、学校生活をいろいろ支援するために支援スタッフがたくさんいるんですけれども、特に指導補助員というのを各クラスに1人ずつ配置していますので、この役割は大きいかなと思っています。
 あと、毎朝のことなんですけれども、児童生徒情報を情報共有しています。朝の会を使いまして、そこで職員全員が、「今日この子はこんな状態だよ」とか、「昨日こんなことあったよ」とか、そういう情報も交換したり、「今度、来月からこういう子が体験に参加しますよ」なんていうことも情報交換したりしています。とにかく、徹底して子供たちの状況を把握していくということに心がけております。
 いろいろうちの学校、細かく説明するともっとあるんですが、取組のポイントと課題というところを少し説明させていただきます。
 まず、不登校対策として重要なことは何か。本校で特に重要だなと思っているのは、基本的に少人数で指導していくということです。あわせて、時数も軽減してあげる。あまり詰め込まないということですね。本人のペースでというところもあります。
 あらゆることを強制しないということです。基本的に、宿題もやりたい人だけどうぞみたいな形にしています。何事も強制しない。学びたいと思った子には、学べる環境を整えてあげて、なおかつ、居場所をつくっておいてあげることです。
 次が、三つ目のポチですけれども、大人の数が非常に多いので、担任だけに頼るのではなくて、補助員やほかの学年の教職員、あるいは、小学生が中学部の教員、中学生が小学部の教員みたいな形で、いろんな人に相談できる体制を整えておくということと、一人一人に手間と時間をかけられる体制を取っているということです。
 先ほど言いましたように、情報共有を徹底してやっていますので、児童生徒理解をした上で、授業を行いつつ、居場所を含めていろんな対応をしているということです。
 では、課題は何かというところなんですけれども、本校を支える教職員を確保するのが非常に難しいというのを感じております。人材育成には時間がかかる。それから、いろんな人を市のほうで雇っていただいているんですけれども、その人件費負担が大きいなということです。また正規教員に関しては通常校と同じ異動のルールがありせっかく本校にや
っと慣れてきて力を発揮できる頃に必異動となるなど人事構想上難しさもあります。公募
の制度も使っていますが不登校のスペシャリストは少なく人材発掘も難しさがあります。
 あと、福祉や医療との連携も大変ですし、その後、高校へ進路を選択していくわけですけれども、高校に行くときに、また不登校にならないように進路指導をちゃんとしていくところも難しいなと感じているところです。
 そうは言いながらも、近年、不登校の数は増加しているので、うちの学校もキャパシティには限界があるので、そもそも不登校をなくすにはどうしたらいいのかなというのが課題かなと思っております。
 では、うちの学校への転入についてというところで、少しここだけ説明させてもらいますけれども、高尾山学園に入るためには、適応指導教室「やまゆり」というところを経由してうちの学校へ入ってきます。このやまゆり教室は本校の校舎の中に併設していますので、高尾山学園を目指す子は、在籍校から不登校になった状態で、一旦このやまゆり教室へ入っていただきます。やまゆり教室に在籍しながら、高尾山学園での授業体験活動を通じて、高尾山学園への転入を目指していく。いろんな体験をしていくんですけれども、最終的にクラスの中で一日過ごせるかという生活体験をするんですが、これをある時間以上できた子は、毎月ある転入学審査会にかかり、年間で10回ほど転入の機会を設けその子のペースに合わせてうちの学校に転入していく、こんな仕組みにしています。短い子で大体1か月半、かかる子はもうちょっとかかるんですけれども、転入してきます。
 やまゆり教室には、今現在100名以上が在籍していますので、本校と合わせると200名以上の児童生徒が高尾山学園の門をくぐっているということになります。
 やまゆり教室だけでも、スタッフは今32名ほどいる状態です。
 転入の条件は、八王子に在住していて、他害行動もなく、高尾山学園に入りたいという気持ちがあるというのが第一条件になります。その上で、体験活動を通じて、本校に転入しても大丈夫だろうと判断された子が入ってくるということになります。
 うちの学校の中の体制なんですけれども、一つの校舎の中に二つの組織が入っています。一つが、八王子市教育委員会の登校支援室、適応指導教室やまゆりを支えるメンバーになります。左下に心理士、社会福祉士とか、いろいろメンバーが書いてあります。
 右側が、僕が校長をやっている、いわゆる学校としての高尾山学園で、小学部と中学部、別に特別支援教室も備えています。都職と市職、合わせていろんな職員がたくさんいるということになっております。お互い同居することで連携し合えるので、メリットは大きいかなと思っています。
 では、オンライン学習はというところなんですけれども、本校もコロナ禍においてオンライン学習を取り入れたんですけれども、やはり不登校の子供たちにとって、オンライン学習は諸刃の剣だなというのを感じています。いい部分というか、メリットだなと感じる部分は、不登校の子供たちだからこそ、ほかの子供と関わらなくても勉強できるとか、活動できるというところがあります。
 登校しなくても、家から出なくても学ぶことができるとか、いろんな支援ツールがありますので、それで子供たちと教員が直接つながれるというところもありかなと思っています。
 あと、ドリル型コンテンツを八王子は配布しているんですけれども、これを使うことで自学自習もスムーズにできるかなというところがメリットと感じるところなんですけれども、その一方で、ちょっと難しいなと思うところが、教員の指導力が、オンラインを通じてやることで、その力量に依存しがちで、やっぱりベテランの先生と若い先生との差はすごく現れます。ICTが得意な先生とそうではない先生でも、やっぱり差が出ちゃうなと思っています。
 あと、家庭内の環境が保護者のICTを支援する力の違いで、随分利用状況に差が出て、うまく利用できる家庭とそうではない家庭との差が大きく開いちゃっているなという感じはあります。
 あと、ここは一番問題なんですけど、クラスメートとの関わり方を学びにくいなと。オンライン同士でつながっていると、実際会ったときに、あなた、誰みたいな感じになっちゃうときが結構あったなと思っています。
 その一方で、オンラインそのものを嫌う児童生徒がいます。もうとにかく顔を見詰められるのが嫌だとか、カメラで写されるのが嫌だという子はいたなと思っています。
 結論というわけではないんですけれども、やはりオンラインとリアルを偏ることなく、うまくバランスさせていくことが大切なんだなというのは、実感として持ったところです。
 次に、不登校の子供たちを支援する不登校特例校の役割というところなんですけれども、上に四つキーワードを並べていますけれども、とにかく不登校状態の改善、学校に来れるということ、学ぶ機会の保証、それから、信頼できる大人や友人をつくってあげる、それから、高校とか、そういうのを含めた上級学校へちゃんと接続していくということが一番の役割なのかなと思っています。
 下に幾つか書いていますけれども、安全安心な場所ですよとか、集団で学びをしますよとか、教育委員会にちゃんと教育課程届を出していますので、それに基づいて教育活動をしていますよとか、正規の教員がいますよとか、いろいろありますけれども、こういうところが不登校特例校のアドバンテージなのかなと思っています。
 では、そもそも不登校を出さないためにはというところなんですけれども、もちろん、実践経験を踏まえた上でのお話になるんですけれども、やっぱり学校の役割としては、子供をよく知る。一つのクラスにたくさん子供がいて、教員1人ではなかなか面倒を見切れないという部分はあるんですけれど、それでも、子供のことをよく知るというところが大切かなと思っています。やっぱりいろんな子たちがいるので、これは苦手、これは得意、いろいろあると思います。そういうところをよく把握することが大切だと考えます。
 あと、人手をかけるというところですね。1人の先生ではやることが限られてしまうので、やっぱり複数人いたほうがいいかな。チームでやるといっても、人数的に少し支援できるメンバーもいないと、実は大変なのかなという気はします。
 あと、心に寄り添っていくということ、それから、居場所づくりをしていく、無理強いをしないとか、外部との連携も大切なのかなと思っております。
 下に教育委員会の役割、学校を支えるためにということで、幾つか書きましたけれども、やっぱり人、人的支援というところが一番大切なのかなと思っています。
 不登校特例校から見た公や民への期待というところですけれども、僕の個人的な意見も少し入っていますけれども。まずは、原籍校でしっかり対応できる体制を整えるということ。それから、福祉や医療との連携、あるいは、地域との連携をしっかりやっていかなければいかんなと思っています。
 あわせて、NPOさんですとかフリースクールさん、いろいろあると思うんですけれども、そういう学校とうちの学校とで連携していくとか、ノウハウを共有していくとか、人的交流をするとか、そういう仕組みづくりも必要かなと思っております。
 今のを若干図にしたところなんですけど、左側に不登校の状態、軽い状態から、下が重い状態になっています。上の軽いほうの子は、別室登校で原籍校へ戻っていくんですけれども、不登校状態がだんだん深くなっていくと、原籍校へ戻ることが難しくなっていくので、こういうところを、教育相談ですとか、適応指導教室とか、あるいは、オンライン教室みたいなところで拾っていく。または、フリースクールさんみたいなところで拾っていく。それで、学校へつなげていく。学校の選択肢の一つとして、不登校特例校がありますよということかなと思っています。あと、どうしても医療ですとか福祉が必要な人は、そこへの支援とつないでいくということだと思います。
 真ん中より下のところに、どこにもつながっていないケースとありますけれども、八王子市は、不登校の数が今1,500人ぐらいいるんですけど、そのうちの400人ぐらいが、このどこにもつながっていないケースとなっていますので、ここをSSWで掘り起こしてはいるんですけれども、なかなかつながっていかない。ここをどうするかというところが課題かなと思っているところです。
 右のほうに、いろんな団体との連携などということで、図として書いております。
 ここまでが大体内容です。少し時間あるので、うちの学校の様子をちょっと写真で紹介したいと思います。
 肖像権等あるので、少し解像度を落としていますけれども、左上が、小学部で国語をやっているところです。これ、4・5年の複式学級の教室なんですけれども、この日は4人来ていて、教員が国語の授業をやっているところです。
 右側が、英語の授業をやっているところなんですけれども、これはBasicコースといって、個別指導ですね。教員3名体制で、子供たち、この日は5人来ていて、一人一人机間指導しながら、個別に面倒を見ているところです。
 単元別教材とあるのは、これは英語の全単元のプリントが全部用意していて、一人一人これを持ってきて個別の学習をするということで使っている教材です。
 真ん中下が、Cコース、これはChallengeコースといって、教科書どおりに進んでいくコースの子なんですけれども、中3の国語のCコースは、この日は14~15人が参加して、一斉授業で授業をやっている風景です。
 これは、今ちょうど面接の指導の季節なんですが、中3は、高校進学に向けて、特に面接練習にうちは重点を入れているんですけれども、多い子は1人当たり7回ぐらい練習をしてあげるんですけれども、何で高校へ行きたいのとか、志望する理由は何なのかとか、根掘り葉掘りいろいろ聞いていく中で、本人の気持ちを高めていくということと、人前でしっかり話せる子を増やしていくということに取り組んでおります。
 この写真は、プレイルームですとか相談室、保健室、いわゆる居場所として、うちの学校で使える場所の様子をちらっと撮ってきたんですけれども。左上にプレイルーム日誌なんてありますけれども、子供たちの様子をしっかり日誌として記録していただいて、これを子供たちの状況(プレイルームでの様子)ということで、全職員で共有しております。
 これは情報共有の一例なんですが、これは何日か前の情報交換会の様子なんですけれども、クラスごとに、気になる子ですとか、昨日こういうことがありましたみたいなものを全体に説明しているところです。左下に校務支援システムで児童生徒一人ひとりの顔を見ながら、「あ、この子ね」、「この子ね」ということで、全職員が確認しながらやっているところです。
 簡単ですけれども、本校の紹介と、不登校をなくすためにどうしたらいいかというところを、私の私見も入れて御紹介させていただきました。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 御発表について、御意見、御質問等ございましたら頂戴したく存じます。いつものことですが、御発言がございます方は、必ず「手を挙げる」のボタンを押していただきますようお願いします。こちらから指名させていただきますので、ミュートを解除いただいて御発言をお願いします。また、御発言が終わりましたら、「手を下げる」のボタンを押して挙手を取り下げていただきますようお願いします。
 それでは、まず戸ヶ﨑委員からお願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。黒沢委員の御発表、さすが18年の歴史を持つ学校だなと、大変参考になりました。
 この不登校の背景というのは、お話の中にもありましたが、やはり複雑、多岐にわたるわけで、教育的支援に加えて、大事なことは、福祉や医療などの総合的な支援も加わっていかなくてはいけないのだと思います。そのために、この高尾山学園のように、支援の拠点の存在は大変重要であると感じました。
 一方で、教育機会確保法によって、特例校設置の努力義務が課せられて5年になりますが、現在、国内公立で12校というのは、明らかに少なく、その背景にある「継続的な予算と人員の確保」という二大課題の解決の必要性を、お伺いしていて、強く感じました。
 不登校対策には、「人と時間をかける」ことの大切さに加えて、「学びの場や居場所の選択肢」の少なさも現在大きな課題です。こうした特例校の設置など、各自治体ごとでできる居場所の拡充、そして、やはり大事なことは、「民間教育と公教育の壁」や「教育と社会の壁」をもっと溶解して、融合させていく必要性も強く感じました。
 この後、今村委員のカタリバの「room-k」の御発表があると思いますが、これを一つの自治体が設置することになると、大変膨大な時間と労力を要し、費用対効果を考えると、全国的な展開は非現実的な話になってしまいます。今回のように、専門的な知見やシステムをプラットフォームとして御提供いただけることは、自治体としては大変ありがたく思っています。今後、こういうコレクティブインパクトでこういった支援スキームがもっと広がっていくことを強く期待しています。
 さらに、「学校に行っても行かなくてもいい」という「選択」を通じて、オルタナティブな共同性を生み出してきたわけですが、「選択」とは、「自己責任」に結びつき、ここにある意味別の「きつさ」が生じてきます。だからこそ、考え方を変えると、義務教育の重要性は一方で高まっていると思っています。何より急ぐのは、追い詰められている子供とともに、今、追い詰められそうな子供たちを救うことです。将来に希望を持つこと自体を諦めなければならないような状況を、取り去ってあげなければなりません。そのためには、学校内外での様々な施策や環境整備が考えられます。ほぼ全ての子供にそういう効果を行き渡らせることができるのは、義務教育の学校の役割だろうと思っています。
 格差・不平等が膨らんでいく時代にあって、学校は福祉的機能を担いうる場として、重要性を帯びざるを得ません。しんどい状況にある子供も、学校にいる間は、本人にその気がなくても、誰かが気づいて支援につないでいく可能性が高くなっています。学力の保障や進路指導をきちんと行えば、SESの格差を埋める可能性も十分あると思います。
 もちろん、そのほかの子供たちにとっても、多様な人々との出会いに開かれる場として、学校というのは大変重要な場であり続けると思います。
 ただ、教師の多忙さや、学級の大きさなど、構造的な問題に取り組まないで、これ以上学校に負荷をかけていくことも逆効果だと思っています。
 教師に教育相談や生徒指導の多様な専門的スキルを求めることは酷です。一方で、専門的な機関との連携も、口で言うほど簡単ではありません。まず大事なことは、全ての教師が、より客観的な生徒理解に基づく指導ができるように、「生徒理解力」のスキルアップが何より大切だと思っています。
 そのためには、昔はどこの学校でも行われており、また先ほどの御発表の中にも子供を理解するという話がありましたが、一人の子供を全ての教師で見詰め抜く「ケース会議」が改めて重視されるべきだと思っています。
 それも、「令和の日本型学校教育」では、教育データを積極的に利活用していくべきと考えています。これは本市の全ての学校ではありませんが、一部の学校で、RTI( Response To Intervention)というものを導入しています。まず対話や相談の記録などの定性的なデータと、学力調査や心のアンケートなどの定量的なデータを一元的に管理し、共有できるようにします。それを活用して、児童が指導や支援に対してどれだけスピーディに反応したかを測定し、この結果を根拠として、追加の支援や指導法の見直しを、スピード感を持って行っていくというシステムを導入しています。
 それと同時に、本市教育委員会と市内の他部局とで連携して、一人一人の子供のデータベースの構築も現在進めています。そのデータベースを導入して分析をすることで、子供のSOSを事前に予知・予測するということが可能になり、教師の気づきをサポートできるようになるのではと考えています。
 今村委員にも、そのアドバイザリーボードの委員として御指導いただいております。今後は、不登校を含め、「生徒指導を科学する」という視点もますます重要になってくると考えています。
 少々長くなりました。以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、この後、荒瀬委員、野田委員と、続いてお願いしたいと思います。
 まず荒瀬委員、お願いいたします。

【荒瀬委員】 ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。
 今、戸ヶ﨑先生おっしゃったことと若干重なるところがあるんですけれども。私のほうは、感想のようなことで申し訳ありませんが。黒沢先生、ありがとうございました。
 5ページと10ページが、これは非常につながっているなと思って、お話を承りました。5ページのお話を聞いているときにそう思っていまして、10ページを見て、ますますそうだなと思ったんですけど。こういったことを学校でなぜできなくなってしまっているのかということです。
 今、画面で示していただいているところです。上の部分は、学習指導要領の問題とかもいろいろあるとは思うんですけれども、あるいは、教員の定数の問題とかもあると思うんですが。要は、下の課題の部分、この辺りは、本当に何とかできないか。できないかではなくて、していかなければならないのではないかと思います。
 今、5ページを示していただいていますが、10ページに書いてある部分で言うと、特に学校の役割というのは、これは本当にいろんな学校でやっていたように思うんですね。それがなぜできなくなってしまっているのか。
 黒沢先生の御発表、5ページのほうでお示しになった最後に書いてあったのは、そもそも不登校をなくすにはということで、そのためには、こういったことをしていったらいいのではないかということですから、正にこれができるような条件整備をどうしていくのかが重要だと。国としても、あるいは、学校の設置者としても大変大きな責任があって、そこがクリアできれば、随分と助かる子供たちがいるのではないでしょうか。今、学校に行っている、不登校特例校には行っていない、そういった子の中にも、やっぱり学校に行くのはちょっとしんどいなとか、今の状態では厳しいなと思っている子もいるでしょうから、そういった子供たちに、学校のことを考えると本当にこの国に生まれてよかったなというふうに子も親も思えるような状況にしていくのは、これはやっぱり設置者や国の大きな責任ではないかと思っています。
 私、今、高校ワーキングのほうにも所属しておりますけれども、そちらのほうでは、高等学校の在り方を議論する際に、今の高等学校って、課程で言うと全日制課程、定時制課程、通信制課程とあるわけですけれども、その全・定・通を生徒自身が選べるようにしてはどうかという意見があります。そのために、今具体的に出ている意見としては、あくまでも意見ですけれども、中学校の何年生かは別として、どこかの時点で、全日制・定時制・通信制について学ぶ機会、実際に行って学ぶ機会も含めて、それを子供自身が選ぶ。選んで、これを選んだからあんたの責任だというふうにするのではなくて、またやり直しが利くようにする。そういったようなことを何とか制度面で支えられないだろうかというふうなことも、今話し合っているところです。何か結論が出たわけではもちろんないんですけれども、やっています。
 また一方で、私、岐阜市の草潤中学校を作るにあたって関わった方に聞いたことですが、草潤中学校は不登校特例校なんですが、これが特例校というのではなくて、当たり前にこういう学校が増えていくことが重要ではないかということです。普通にそういう学校が存在しているんだということで、どこにも行けないからここに来たんだではなくて、みんながそういった教育を最初から受けられるというふうにすることが大事なのではないかと聞いて、本当に思いましたし、京都市に2校ある学校、実は私も行ってみて、子供たちの様子も見て、同じように思ったこともありました。
 ちょっと長くなって申し訳ありません。それで、先生、質問があるんですけれども。4ページにお書きの学習についてのところで、2時間掛ける週2回の体験講座学習とあって、これ、大変興味深い、どんなことをなさるのかなと思ってお尋ねしたいということと、もう一つ、その下の支援スタッフの指導補助員ということなんですけれども、さっきのメンバー表みたいなものを見ると、学生とかが入っていらっしゃるのかもしれませんが、こういった人が、とりわけ資格があるなら教えていただきたいんですが。ないのであれば、どういったことに留意して指導の補助をなさっているのか。どんなことを黒沢先生としては期待なさって、この指導補助員という人をお願いしていらっしゃるのかというのを教えていただけると有り難いです。
 すみません。長くなってしまいました。

【奈須主査】 ありがとうございます。
 野田先生までお話を伺ってから、黒沢先生にお戻ししたいと思います。
 野田委員、よろしくお願いいたします。

【野田委員】 恐れ入ります。立命館大学の野田と申します。黒沢先生、本当に分かりやすく、ありがとうございました。
 私は不登校の調査研究協力者会議のほうにあずからせていただいて、今年の6月にも出しました不登校関係の報告の中でも、不登校の特例校を各県に置くようにという方向性をプッシュする文になっていたかと思うんですが。
 一方で、そういう学校があるから、とにかく不登校の子供を何でもかんでも押し込めみたいな方向になるというのが、一方で危惧を持っておりまして。先ほどもおっしゃっていただいた、児童生徒理解に基づくという、そして、正に個別最適が当たるかどうかはともかくとして、最適なルートをある意味でコンシェルジュ的に組み合わせて、学び、あるいは支援ということをするのが大事だと思っているんですが。
 そこで非常に参考になりましたのが、不登校特例校と適応指導教室を段階的にというか、組み合わせて運用していただいていると。そこで、もうちょっとそこに関連して教えていただきたいんですが、学校から何でもかんでも適応指導教室という話でもないでしょうし、それから、そこからもう一歩踏み込んで、不登校特例校のほうに移行する。移行しない児童生徒もいるんだろうと思うんですね。その辺りの特徴的な、あるいは、押さえるべきところというのを御教示いただけたら有り難いと思いました。
 取りあえず質問だけにしておきます。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 お三人の先生の御意見、それから、特に荒瀬先生と野田先生からの今ほどの御質問について、黒沢先生、では、お願いいたします。

【黒沢委員】 では、私のほうで、まず荒瀬先生の御質問等から受けたいと思いますけれども。
 体験学習というところ、2時間・週2回、体験講座というのをやっているんですけど、いわゆる総合の学習の時間を使って、子供たちがやりたいこと、昔でいうクラブ活動みたいな時間を設けています。全教員がそこに対応するわけですけれども、火曜講座が大体11種類、木曜講座が10種類以上あって、全部で27種類あるんですけれども、運動したい、あるいは、もっとゲームやりたい、あるいは、物を作りたい、いやいや、もっと勉強したいんだという、それぞれの要望に応えるような形で講座を開いています。
 例えば、伝統陶芸講座なんていうと、プロの陶芸の方に来ていただいて、本格的な陶芸をやったりですとか、逆に、勉強したいという子は、学習講座というのを開いて、図書室で静かに勉強するなんていうことをしたり、運動したい子は、もちろん運動する。
 ただ、同じことを繰り返しやるとネタも尽きてくるというのと、先生方もなかなかそこまで専門的な指導はできない場合もあるので、複数の講座を一つに合体させて、例えば、理科実験講座とパソコン講座を併せて一つの講座にしたりだとか、野球とサッカーを合わせて運動講座としたりですとか、最近面白いところですと、近くを散策して近所のことを知ろう、ブラ高尾講座なんていうのをつくったりとか、テッパンでよくはやっているのが、鉄道研究講座。鉄道研究といっても、撮り鉄が多かったらみんなで写真を撮りに行くとか、模型が好きな子だったらジオラマを作るとか、そんなことをやったりもしています。
 体験講座が好きで、この日だけは来るという子供と、体験講座が苦手で、この日だけは来ないという子と両方います。大体平均で参加率が6割ぐらい、そんな感じです。
 それから、指導補助員ですとか支援スタッフということなんですけれども、指導補助員については、教員免許を持っていることというのが条件です。教科は問わず、校種問わずということで、とにかく教員免許は持っていてくださいということだけです。
 あとは、ホームページでいつも募集して、希望する人は必ず校長に連絡して下さいというふうになっているんですけれども、一人一人書類を見せていただいて、実際に会って面談して、子供たちに寄り添えるかなとか、厳しい指導ではなくて、その子のために頑張れる人なのかなというのを見て採用しております。
 僕としては、うちの学校の名前が最近よく売れてきているので、ホームページに募集と載せると、「興味を持ちました。空きありますか」なんていう問合せが結構多いんですね。10年前に僕が来たときは、なかなか職員を見つけるのは大変だったんですけれども、最近、次から次へと応募が来るので、逆に、断るほうが大変だななんていうのを感じたりしているところもあります。
 それから、野田先生の御質問のやまゆり教室との連携のところなんですけれども、地域の学校で、不登校になったから高尾山学園へ行かせりゃいいやみたいな、厄介払い的な学校さんがあるのも事実です。
 そうならないように、僕も校長会の役員として、そういうことを校長会の中で情報を出したりとか、やまゆり教室に最初につながってくる子供は、最初からうちにいる心理士が不登校の背景ですとか、不登校の状況を全部聞き取るんですけれども、その聞き取った中で、在籍校でこんなことがありましたとか、在籍校の子供とこんなことがありました、教員とこんなことがありましたというのは全部聞き取るんですけれども、それを見た瞬間に、指導課経由でその学校に問合せを入れます。「こういうことで来ていますけど、御存じですか。学校ではどういう指導をしていましたか」というのをやって、それをやまゆりに来た時点、それから、うちへ転入で入ってくる時点の2回チェックを入れるような形で、必ず不登校の子供たちを見放していないですよねというのは、僕のほうで聞くようにしています。
 原籍校の先生方もいろいろ大変ではあるんですけれども、もう厄介払いだ、高尾山学園に入れりゃいいよということではないよというのは、いつも口を酸っぱくして言っているところです。
 あと、プラスアルファでちょっと情報を入れておきますと、個別最適という意味では、今の学習指導要領一本槍というところよりも、あるいは、うちでコース制を取っているように、少しやわらかいコースと、中くらいのコースと、高度なコースと、三つぐらいに分けて、それぞれに集団で何か学習できるようなものもいいのかななんて、ふだん子供たちを見ていて感じているところです。
 中2ぐらいまではなかなか勉強に向かないという子も、高校進学という言葉と、自分の体が大人に変化してくると、やっぱりそれなりに考えてくるんですね。そうなったときに、タイミングよく手を差し伸べて、ここ勉強しようよ、こうしようよとやると、子供たち、すごく伸びますので、面接指導もそうなんですけれども、何のためにうちの学校に来たの、将来どうしたいのというのを、子供たちにもよく聞いて、それがプレッシャーだという子ももちろんいるんですけれども、やっぱりそのプレッシャーをはねのけられるような子供たちにしていきたいなという思いもあったりします。
 回答と感想みたいなことも申しました。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 よろしいでしょうかね。

【荒瀬委員】 ありがとうございました。

【奈須主査】
 もう大分前の話ですけど、不登校の子がこんなことを言ったなんて話を聞いたことがあって、「あそこには」と言うんですが、学校のことですね、「あそこにはやらなきゃいけないことと、やっちゃいけないことしかない」と言うんですね。つまり、学校には自分がやりたいことがない。あるいは、自分に合ったやり方でやらせてもらえないという訴えだったかなと思います。
 今の黒沢先生の御報告では、そこを本当に丁寧に工夫されて、支えてくださっているなと。やりたいことや、自分らしいやり方でやれるとなると、どんどんできるようになって、お友達ともつながっていけるのかななんていうふうに伺っておりました。ありがとうございます。
 黒沢先生、どうぞ。

【黒沢委員】
 ちょっと蛇足ですけれども、うちの学校、夏休みがあるんですけれど、夏休み中の登校日って、子供たちはほとんど来ないんですね。誰一人来ない時期がしばらくあったんですけれども、ある教員から、「校長先生、登校日にバーベキューやっていいですか」と言うから、「バーベキューか。この真夏の炎天下でバーベキューやるの」と言ったら、「ええ、是非やらせてください」。
 バーベキューを実施したら、全員が来ました。全員。それを見たほかの学年が、じゃ、うちも、うちもと言って、今、全学年が、夏休み中の登校日はバーベキューとか、それに似たようなことをやっています。そうすると、子供たちは「バーベキューだ」と。あの暑い中でよくバーベキューやるなというくらい、みんな汗流しながら、楽しそうにやっている姿を見ると、やっぱり学校に来たいという気持ちをどう作るかというのは、今後の教育の課題なのかななんていうふうにちょっと思ったところです。すみません。蛇足でした。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございます。
 従来の学校がどういう場かということの問い直しのヒントかなと思って伺いました。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、今度は民間のお立場から不登校の子供たちへの支援に取り組まれている今村委員から、御発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【今村委員】 プレゼンをさせていただきます。
 お手元の事前に送らせていただいた資料なんですけれども、ちょっとそこから追加をしてしまっているので、画面のほうを御覧いただければと思います。
 では、私のほうから、黒沢先生とこういった場で一緒にお話することが多くて、日本中の学校が、本当に聞けば聞くほど、学習指導要領って本当にどういうふうにしていけばいいのかなということを考える機会を毎回いただいています。私の立場はあくまで教育支援センターの立場から、学校の代替ではなくて、それを支援する立場から、どのように子供たちを誰一人取り残さないことを実現していけばいいのかということについてお話をさせていただきます。
 まず、ここから、できれば、この中央教育審議会を含めて、扱っていきたいのは、不登校の子供の24.5万人ではなくて、長期欠席41万人という子供のこの数字を、やっぱり国家的なアジェンダにしていくべきなのではないかということを、まず初めに申し上げたいなと思っています。
 特に、その他5万2,000人という数字が入っている以上、長く休んでいる子供たちが、一体本当にどういう理由で休んでいるのかということに全体として目を向けるべきで、これを24万4,000人の問題とすると、約半分とは言いませんけれど、それぐらいなので、まず、この数字を教育振興基本計画でも、また、こども家庭庁のほうのこども大綱でも、きちっと位置づけていくのは、この長期欠席41万人なのではないかと。その実態が見えてきていない以上、まずそこなのではないかと考えています。
 その上で、私のほうからは、3点、カタリバの現場の活動も含めて、御提案をさせていただきたいと思います。
 まず一つ目なんですけれども、現状、先ほどもお話しになった問題行動等調査、こちらの調査をやり直す、もしくは、これに追加して深掘り調査をするということをセットで是非御検討いただけないかと。これは文部科学省の方々へのお願いなんですけれども。まず、そこをセットにしてもらえないかと思うんです。
 というのは、これはちょっとnが少な過ぎて申し訳ないんですが、現場の感覚だと、先ほどの国のほうでなさった別の不登校調査でも、こちらの教育委員会や学校からの回答の不登校の要因と、御本人たちが感じている要因には確実にずれがあるということが、いろんなところでもう既に語られています。
 さらに、これは日本財団さんが2018年になさって、それから最新のデータがないので、ずっと国の様々な審議会でも、こちらの不登校傾向の子供の調査についての結果がいろんなところで発表されているんですけれども、それだけ発表するということは、やっぱり活用価値がある、アジェンダにすべきところだと思いますので、不登校の要因調査を、深掘り調査という形でもう一度きちっとやるということと、それに加えて、不登校傾向の子供の実態についても、きちんと把握していくべきなのではないかと思っています。
 その数字がある上で、量的に政策が足りているのかどうかということをみんなでモニタリングしていき、その上で、不登校特例校の設置率とか、教育支援センターの設置率、あとは、利用者の相談指導がどう足りないのか、何が原因で相談支援につながらないのかというところなども検討していくという、政策の過不足について、過はないので、不足についてを検討していけるのだと思います。
 私はとにかくこれを国家的なアジェンダというふうに、中央教育審議会を超えて、骨太の議論なんかにも入れていただくくらい重要な議論だと思っているんですけれども。その理由が、不登校というのは、子供の学びが子供たちに届かないよねというところ、テーマのみならず、お子さんが不登校になることによって家庭の貧困にもつながるということが、私たちの支援の現場につながっている家庭から悲鳴のように聞こえてきています。
 実際、405名ではあるんですけれども、聞いてみると、親御さんの雇用形態が変わったとお答えになっている方は非常に多いですし、中には、本当に収入がかなり減ったということをお答えになっている方も多いということは、これは本当に労働力が減っているという側面でも、また、その家庭が自立して社会・福祉のお世話にならなくても、自立した親子で居続けるためにも、とても重要な論点だと思うので、この不登校及び不登校傾向、そして、長期欠席者、全ての子供の実態をきちっと把握し、政策を適切に打っていき、誰一人取り残さないということをきちっと実現していくということは、国家的なテーマというふうにアジェンダセッティングしていただきたいということを要望します。
 二つ目です。教育支援センターの在り方をアップデートしていく必要があると思っています。
 今、全国各地にある教育支援センターは、教育支援センターと言っても、本当にいろんなものが教育支援センターです。一番多いのは、学習支援室になっているところです。そこにもともと教員だった方々が再雇用されているケースが多いかと思うんですけれども、そこで学習の部屋があって、待っているという形が多くの教育支援センターです。同時に相談室も併設されていることが多いので、カウンセラーの方もいらっしゃることもあるんですけれども、それでは子供たちの利用はなかなか進みません。学校に行けないんだから、別の学習室が準備されていても、そこに来ることはできないわけです。なので、会いに行く教育支援センターにならなければいけないというのが、まず私が感じていることです。
 まず大前提として、不登校の子供たちの支援は手がかかります。多分、別の学級運営をするよりも、一回心のエネルギーレベルが下がってしまった子供たちに、もう一度伴走して、もう一回育ちと学びに再接続するということは、先ほどの黒沢先生のお話の中でも出てきましたけれども、とても丁寧なケアが必要になります。つまり、それはコストがかかるということです。人件費がかかるんです。その支援人材が本当に地域の中にいるのかということも含めて、とても供給量が足りないというのが、財源・人材を含めて起きている実態だと思います。
 今カタリバでは、島根県の雲南市で2015年からずっと、教育支援センターをどのようにすれば、東京都23区と同じぐらいの大きさの大きな自治体の中に100人点在している不登校の子供たちを誰一人取り残さずに、支援にもう一度つなぐことができるんだろうかということを、地域で教育支援センターを担いながら、ずっと考えてきました。
 その結果、まず重要なのは、行政と教育支援センターが毎月のように、今誰が不登校傾向になっているのか、どの学校の誰が担任の先生との関係があまりよくない状況になりつつあるのかという不登校傾向のデータと、不登校になってしまった子供のデータを、行政と教育支援センターが同じように持つということ。
 そして、その子に対して、今誰が手を差し伸べればいいのか。先生が困っているのであれば、先生と打合せをして、教育支援センターのスタッフがおうちの家庭訪問を一緒にしましょうかとか、登校支援をしましょうかとか、また、オンラインだったらつながってこれるかもしれないとか、そういったことで、会いに行くということを一緒にする。例えば、学校に会いに行って、別室を先生方と一緒につくり上げたり、家庭に会いに行ったりする。ただ、これは別に、嫌がっているのに無理に会いに行くということではないんです。どうすれば手を差し伸べたときに受け取ってもらえる手になるかということを模索しながら、丁寧に関わっています。
 こういった学校・家庭へのアウトリーチを重視して支援をしてきたんですけれども、私たちが教育支援センターとして使わせていただいているのは、廃校になった学校施設です。山間部にあるんですけれども、物すごくきれいな川と山があって、近くには田んぼもあるすてきなところなんですが、そこの自然体験活動を地域の方々と一緒にやったり、また、そこで保護者の方の居場所をつくったりということもするんですけれども、やっぱりここに来てもらうということが何よりも難しいことです。
 なので、まずは会いに行く。そして、ここに来ても認められるんだということを全力で子供たちに伝えていくということをやって、定期的にこちらにやってくるためのステップに伴走します。
 もちろん、私たちのほうで子供を抱えるのではなくて、学校に戻すのが不登校の支援としてどうなのかということを言われることもあるんですけれども、地域によっては、学校以外、子供支援資源が全くないという地域もすごく多いのが現状です。この地域にも、子供支援のNPO団体は私たちしかいません。なので、できるだけ学校の先生と私たちが一緒になって支援を行います。
 それによって、子供たちは、学校に行きたくないのではなくて、行けないんだな。その中で70%ほどの子供たちが学校に再接続していく。それは毎日行けるという子もいれば、たまに行くという子もいるし、併用している子もいるんですけれども、そういった子供たちが確実に出てくるということが、いろんな実証の中で見えてきています。
 そんな意味で、教育支援センターが、教育支援センターにいるスタッフによる学習支援施設ではなくて、そこから、その子供たちがいる場所に会いに行く、また、先生方と連携する。この教育支援センターが支援ハブとなって、自前資源だけではなくて、オンラインや、例えば、公営の図書館がその子にとって居場所となるなら、そこだって学びの場になるかもしれないとか、民間のNPOとも連携できるなら、それもいいかもしれないというような、ハブとなって、子供たちがどのような資源とマッチングしていけば、もう一度学ぶということを楽しめる状態になっていくのかということを考えるハブとなっていくような在り方を検討していくことがとても重要だと感じています。
 もう一つは、先ほどの不登校の子供たちの支援には手がかかる、リソースが足りないという問題についてなんですけれども、もう一つ取り組んでいることは、オンラインを活用するということです。教育支援センターが地域に設置されていないという自治体がまだ3割以上あるということは、文部科学省の方からも共有なさっているんですけれども、やっぱり本当に今年不登校の子が出るか出ないか分からない小規模な自治体にとっては、施設を造るということが先行するというのは、すごく政策の意思決定として難しい、財源措置として難しいことだと思います。
 なので、オンラインでシェアすることができる教育支援センターの形を模索して、その地域の不登校政策全体の中に、オンラインを駆使した形のオンライン部分を私たちが担うような形で、こういう民間団体が政策の一部に参画をしていくという形があるのではないかということで取り組んでいます。
 これについては、ちょっと動画を御覧いただいて、様子を見ていただこうと思います。

(動画上映)

【今村委員】 今のは、ある1日の出来事みたいな感じなんですけれども、戻します。
 こんな形で、いろんな子供たちの、例えば、本当に受験対策がしたい子もいれば、まずは、興味のあることから深めていきたい子もいる。中には、結構多いのは、まだ人と話すということをもう一度やるという、親御さん以外の方とお話をするということ自体に慣れるということが今の現在地という方もいらっしゃいます。
 なので、そういう意味でも、こういうシェア型の教育支援センターの機能があるということは、様々な細かな支援を世界中の支援者をリソース化して、その地域に住んでいる方々だけではない支援の形が実現できると思っています。
 先ほど戸ヶ﨑先生からもお話しいただきましたけれども、戸田市の方々の中でいち早く連携してくださいまして、戸田市は既に私たちが参加する前から不登校政策はかなり丁寧につくり込まれているんですけれども、おうちから外に出てこれない子たちに対しての策がないということで、そこに今私たちもジョインさせていただいて、子供たちはRoom-Kを選択肢にしてくださっています。
 ということが、不登校の子供の支援の資源が足りないということについての点でした。
 最後に、もう一つ、スクールカウンセラーをもっと有効な存在として位置づけていくことを再検討すべきではないかということについてもお話しさせていただきます。
 スクールカウンセラーの方々は物すごく頑張っていらっしゃると思っているんですけれども、平均すると、時給単価が1時間5,000円掛ける大体5時間ぐらいの滞在で、多くても週に1回、もしくは月に2回のような形が、全国各地のスクールカウンセラーの方々の働き方になっていると思うんですが。スクールカウンセラーさんの仕事は、子供の相談に乗るだけではなくて、親の相談に乗るだけではなくて、先生方のコンサルティングとか、いろんな役割があるので、今回、私が今御提案しているのは、子供の相談の部分だけなんですけれども、もしかしたら、スクールカウンセラーさんが滞在している時間以外にも、おうちから人に聞かれないところで、学校でないところから相談したい人もいるかもしれないと思うんです。これもオンラインでできると思います。
 今、企業が活用されている事例なんですけれども、これはNPOカタリバも、今、職員が140人、その他スタッフが350人と、大変大きな組織なので、やっぱり人が集えば、心の問題というのは起きます。なので、今、私たちは、この右側のマイシェルパさんという企業さんと連携させていただいて、これはオンラインカウンセリング、臨床心理士・公認心理師を持たれている方が、精神科医の方のディレクションを受けながら、相談に乗れますというサービスなんですけれども。これ、驚くことに、その場所に常勤しているわけではないので、シェアリングサービスになっていて、相談があるときだけその企業のために働くという仕組みになっているんですよね。
 大体1人単価、1か月数百円で契約できて、相談してもしなくても、そのお金はそれという感じなので、大体200人の組織で、7万円とか、それぐらいで契約できるんです。今、現状はですね。
 なので、例えばですけど、スクールカウンセラーさんが時給単価5,000円で、5時間滞在して、月に4回いて10万円かかっているんだとしたら、それプラス、もしくは、そこと連携する形で、オンラインでもいつでも相談できるという人たちとの連携をして、その上で、常勤として対面のカウンセラーさんができること、オンラインだったらできることを情報共有していきながら、子供たちをみんなで支えていくという体制も取れるかと思います。
 カタリバも、今、相談チャットというサービスをやっていて、これもたくさんの方々から、保護者の方から相談を受けているんですけれども、こういったオンラインの活用というのも、スクールカウンセラーの新しい在り方として活用できると思います。
 これは全国スクールカウンセラーを、心理士としての心理職のトレーニングをされた方だけが今スクールカウンセラーを担っているわけではないという現状があります。多くの方が、退職教員の方々がなさっているというケースもあって、それが悪いとは言わないんですけれども、やっぱり心理の側面で子供たちの伴走ができる方々をちゃんと活用できるということはとても重要だと思うので、それはもうオンラインを活用する以外ないという地域はあるのではないかなと思います。
 これが、今、文部科学省さんもオンライン勤務は駄目とは言っていないんですけれども、可能ともそんなに積極的に発信されていないように見えるので、それを導入している自治体さんが二、三個聞いたことはあるんですけれども、あまりないという現在地だと思うので、子供の自死が増えているみたいなこともある中で、こういったことも検討の必要があると思います。
 ということで、私からは以上となります。ありがとうございました。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、今村委員の御発表について、御意見、御質問のある方、挙手をお願いします。いかがでしょうか。
 では、まず黒沢委員からお願いします。

【黒沢委員】 今村先生、発表ありがとうございました。
 カタリバのこと、よく分かってきて、うちと連携したら最強になるななんて思いながら聞いていたところなんですけれども。
 私からの質問は2点だけです。一つのルームに最適な大人と子供の数の割合はどの程度なのかなというのと、もう一つ、利用している小学生の割合がどのくらいなのかなというのだけ教えてください。
 以上です。

【今村委員】 ありがとうございます。
 今すぐに答えられないので、スタッフに聞きながら、次の質問をしていただいてもいいでしょうか。
 スタッフと子供の最適な割合。今は、スタッフ、これ、みんなリモートワークで働いていて、兼業で働いていらっしゃる方々が多くて、1人20人の子供を担当している方もいれば、3人だけ担当していらっしゃるという方もいて、一番遠いところだと、アフリカから、もともと児童相談所で働いていた方が、旦那さんの仕事の都合でアフリカに行かれているという方が今担当してくださっているとか、ベトナムとか、いろんなところからつながってきている方々が、それぞれの働き方でやっていただいているので、1人の考え方がすごく難しくて、様々な働き方で働いていただいていますが、必ず子供に1人のメンターがつき、必ず保護者に1人の支援計画コーディネートアプリがつくという体制にはしています。ただ、そのスタッフが何人持っているかは、人によるというところです。
 利用者は半分ぐらい小学生だという現場感があるので、これは聞いてみます。今、全部で140人ぐらいが利用しています。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、荒瀬委員、秋田委員、鍵本委員の順番でお願いします。
 まず荒瀬委員、お願いします。

【荒瀬委員】 何度も申し訳ありません。
 さっきお話をしていました中でも、自分でも感じているんですけど、私はもともとずっと高等学校の教員をやっていたということもありまして、ある意味、学校至上主義みたいなところが自分にはあるなと思っています。学校が主体的にいろんなことをやることが、今こそますます大事になっているというふうに思うような傾向が強くある人間です。
 学校至上主義の意味としては、児童生徒が学び、学び合って、教職員が学び、学び合って、さらには、児童生徒と教職員が学び、学び合ってという、そういう関係があって初めて私の思う学校至上主義みたいなものに近づいていくわけなんですけれども。
 それはそれとしまして、以前、教育課程部会だったかと思うんですが、今村さんの御発表を伺うの中で、私自身も、それまでは学校の外とか内とかいうふうな線を引いていたけれども、子供たちを中心に考えたら、学校の内か外かということよりも、子供にとって意味があるかどうかというのをもっと考えていくべきだということを申し上げたのを記憶しています。
 それは変わりませんが、しかし、やっぱり私は学校が今こそ何とかすべきで、そのためにはいろんな条件を整えないといけないので、さっき国とか設置者に是非ともお願いしたいということを申し上げたわけなんですけれども。今、今村委員がいろんな形で学校と関わっておられて、学校の主体性というんでしょうか、学校としての意思というんでしょうか、そこのところについては、どのように感じていらっしゃるか、それとも、今、学校は相当疲れ切っているから、このままでは放っておけないよと思っていらっしゃるのか、その辺りの感触というんでしょうか、それをお聞かせいただけると有り難いです。
 以上です。

【今村委員】 ありがとうございます。
 この辺りは、正に戸ヶ﨑先生が、学校にこの取組を御案内されたときに、どのような反応だったかも是非補足いただけたらうれしいんですけれども。
 私自身は、多くの先生方は、学校至上主義という意味ではなくて、やっぱり自分が担任である以上、自分でこの子を何とかしなければということを物すごく一所懸命捉えていらっしゃる方が多いなというふうな感覚があって、だからこそ、問題が先送りになっちゃうということも同時にある。
 例えば、スクールカウンセラーさんにつながるためには、スクールカウンセラーさんがいるんだということをちゃんと周知されていない学校もたくさんあるわけなんですよね。要は、入学の段階でです。不登校になっちゃったときに、お母さんがまず担任の先生に相談なさって、まずは、そこでその相談を引き取りますよね。スクールカウンセラーさんに相談がつながるまでにも相当時間がかかるし、当然、外部につながるなんて相当時間がかかるということは、現在地起きている地域はすごく多いし、先生は多いなと思います。
 ただ、一方、最近荒瀬先生の御懸念かもしれないんですけれども、もしかしたら負の側面なのか、いい側面なのか分かりませんが、中には、先ほどの黒沢先生の話でもありましたけど、学校で受け入れられないから、もう外を頼ろうみたいな人も確かにいらっしゃって、「いや、先生、もうちょっと頑張ろうよ」とか、先生の在り方を変えないと、この学級、不登校の子がすごくたくさん増えていますよみたいなケースももちろんあるんですけれども、でも、やっぱり多くは、抱えようではないですけど、何とか自分がしなきゃという方のほうがまだまだ多いのかな。そういった先生をこそ応援できる方法がないかなと思っているところです。

【荒瀬委員】 すみません。ありがとうございます。
 奈須先生、しゃべっていいですか。ありがとうございました。
 今のお話を聞いて、ちょっと安心したところがあって、何とかしようとしているというのは、一人で動いてできることって限られているので、本当は学校全体でやっていかないといけないし、そうなってくると、それこそ中教審で議論しているみたいに、学校のありようとして、校長のリーダーシップを本当に発揮してもらわなければならないだろうし、また、そういったリーダーシップを発揮できるように、設置者がしっかりとした研修とかをやっていっていただく必要があるだろうし、我々もそうだと思うんですけれども。
 さらには、学校の中で情報共有ですよね。さっき黒沢先生のお話を聞いていて、1人の児童生徒について、どれだけの人が何を知っているのかというのをお互い出し合って、それで共有していくことが、実はその学校として、その子供たちにどんな力をつけていくのかという、正にカリキュラムマネジメントの要諦だと思うんですね。そこがまだまだ十分機能していない。しかし、先生たちには、しっかりと受け止めてやっていこうという気持ちはあるんだというふうに今村委員も思っていらっしゃるということをお聞きして、本当に安心しました。
 だからこそ、学校の周りにいる我々も含めて、内部・外部とかいったようなことではなくて、やっぱり学校に子供たちは通っている、あるいは、通えないことをつらいと思っているということであるならば、いかに学校が変わっていくのかということを考えていかなければならないんだなということを思いました。
 すみません。ありがとうございました。

【奈須主査】 ありがとうございます。
 では、続いて、秋田委員、お願いします。

【秋田主査代理】 秋田です。黒沢委員も、今村委員も、刺激的なこれからの在り方をお話しいただけたと思っています。
 まず最初に、今村委員が言われた長期欠席等を含めて、エビデンスをもっと調査をすべきということが、私も思うところです。
 実は、今、こども家庭庁のほうで、幼児教育で、既に3歳から5歳無償化なんですが、1.3万人の子供は園に通っていません。そういうことも分かっています。
 無償なんだけど通えていないというのは、家庭の様々な問題等がやはりそこに関与している場合がとても多くて、そういう子供たちが義務教育に進んでいくわけです。それで、先ほどの不登校とか、その傾向の子供の、もう低学年から学校に行けないというような子供がいて、そういう子供たちが今度雪だるまのように膨らんでいく。それによって、子供たちが、もう小学校の段階で希望の格差が生まれて、自分の見通しを失っているというようなことが生まれるということは、義務教育段階であってはならないことだと思うんです。
 そのためには、そのエビデンスとかデータを共有しながら、そのありようと考えていくことがとても大事だと思います。また二つ目に、今村委員が言われたアウトリーチ型の支援というものが大変重要だろうと思っています。
 一方で、スクールカウンセラーの方々からのお話を聞くと、スクールカウンセラーは、なかなか常勤で正規雇用の職員として学校に関わることが非常に難しく、働き方に課題を抱えておられるわけです。そういうところとこれからネットワークをうまく結びながら、アウトリーチ支援であったり、オンライン型の支援にもフルに関わっていくというような、人材支援の配置の仕方ということについて考えていくことが非常に重要なのではないだろうかというふうに、専門家が生かしきれていない部分を感じますので、それが大事だと思います。
適応指導教室は頑張っておられると思うんですけれども、割と退職された先生とかが結構たくさんおられるということもよく存じ上げています。それが子供たちにとって、居場所ではあっても、なかなか行きづらいというようなところの中で、どうやったらいいのかということを考えていくことは今日の支援としてはとても大事だと思っています。
 先生たちは、とても真面目だからこそ、自己責任で自分で考え、学校も自分たちでなかなか外に開けない。そういう中で、戸ヶ﨑教育長も言われましたが、どういう支援の仕組みを自治体が考えていくのかとか、国が考えていくのかというような形で今後考えていくことが大事だろうと思っています。
 その中で、今村委員に2点聞きたいことがあります。
 1点は、オンラインのような形で、全国で支援をしていくということと、地元だからこそ、長期的に困難な子供に寄り添ったり、その地域のことをよく知っているからこそ、その子がその後の選択をどうやったらいいのかというようなところが分かるような地域の支援というのもあると私は思っています。この辺りについて、それぞれの役割というのがあるのではないかと思いまして、それをどうやったらいいんだろうというところを1点伺ってみたいということです。
 2点目は、専門家の支援というところです。教員とか、教員免許を持っている方たちが支援するということの意味合いと、それから、カタリバの方は、全員そういう方を雇用しているわけではないと思いますし、むしろ教師という目線ではないからこそ子供に伴走できるところも、専門家としてのほかの知識を持つことでできるところがあるのではないかと思っています。この辺りについて、伴走型で子供を支援し、学校とつながっていく、そういう教育支援の専門性とは、どういうふうに育成していったらいいのかを是非伺いたいと思っています。
 以上、ほかの委員のお話と後でまとめて回答で構いませんけれど、是非伺いたいところです。
 以上になります。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 鍵本委員、柏木委員が、手を挙げておられますので、まずお二人から御意見をいただきたいと思います。
 では、鍵本委員、お願いします。

【鍵本委員】 お二人の委員、ありがとうございました。大変参考になるお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
 特に今村委員からお話があった部分で、雲南のお話がありましたけれども、これ、私、非常に興味を持ちました。
 と言いますのは、多様な学びの場が学校になじめない子供たちにとって様々にあるということが大切であるということは、申し上げるまでもないと思うのです。ところが、都市部でなくて、中山間の地域、本県も大変中山間の地域があるわけですけれども、そういったところになりますと、この選択肢が非常に限られてくる。フリースクールはもちろんない。それから、教育支援センターも非常に遠方にあって、通えない子供たちもたくさんあるということもありまして、そういう中で、先ほどの教育支援センターが、そちらから出向いていくというような形、こういう形もあるんだなということで感心いたしました。
 私が今日お尋ねしたいのは、本県では不登校の子供たちが増えていく中で、まず学校に設置する別室の在り方というところなんですけれども、本県では、生徒の居場所として、この別室を設けていくという取組を進めているわけなんですけれども、実は、この別室を担当する教員がおるわけですけれども、ここが学校外の機関、例えば、今お話があった教育支援センターでありますとか、家庭ときめ細かい連携を取って、この担当者のほうがむしろその要としての役割といいますか、学級担任やスクールカウンセラーも含めて、全体でいろんなリソースをつなぎながら要の役割を果たしていくことで、子供たちの状況の改善につながっているケースが本県で見られるようになってきているというところがあります。
 この教員が動いていくことによって、どこともつながっていない子供たちを、黒沢委員がお話しになったように、どこかにつなげていくということもしっかりやっていかなければいけないと今考えているところなんですけれども、今村委員がお話しなられた教育支援センターというお話の中に、学校内の別室のお話も少し出てきたと思うんですけれども、本県では、この別室の教員のほうがむしろ支援センターと関わっていくという、そのつながりをつくっていくということをしっかりやっているわけなんですけれども、この辺りで、支援センターと学校の別室の関わりということで、気をつけられていることとか、取り組まれていることがありましたら、お話しいただければと思いますし、本県でやっていることの中で重要なのは、やはり別室に通っているということを、その学校の中のほかの生徒でありますとか、保護者も含めて、教員はもちろんなんですけれども、しっかり共通理解をしていくということがとっても大事。先ほどの黒沢委員がお話しになったように、学校の中で情報共有を図る面での要にもやっぱりここはなっているというところがありまして、その重要性であったり、あるいは、こういったところが今のいろんなリソースを子供たちが自由に変われるような状況をつくっていく必要があるのではないかと。
 ただ、本県におきましても、この別室というのは、そもそも別室がまだない学校もありますし、別室があっても、教員が入れ替わってしまうような状況で、何とか回しているような学校もありまして、やはりこういった辺りに余裕のある教員配置ができるような体制ができれば、不登校の対応というのは、学校においてももう少し充実したものができるのではないかと思っているところであります。
 お尋ねは、先ほどの校内にあります別室と支援センターとの関わりという辺りがどうなのかということでございます。もし分かりましたら、よろしくお願いいたします。

【奈須主査】 ありがとうございます。
 柏木委員まで御意見いただいて、一旦お答えいただいて、また引き続きと思います。
 それでは、柏木委員、お願いいたします。

【柏木委員】 御発表ありがとうございました。いろいろ学ばせていただきました。
 私のほうからの質問は、まず今村委員に対してですけれども、メタバースの可能性というのを教えていただきたいというところです。
 個別最適な学び、在り方を考えるというところでは、今後、メタバースで学習に参加したいという子供が出てくる可能性があると思っています。そのため多様な学びの在り方を保障するところで、メタバースというものがどのような可能性を持っていて、もしそれをいろいろな子供さんが選択したいと言った場合に、どのような条件整備を整えていけばいいのか、それがどのように必要なのかというのを教えていただきたいというのが1点です。
 それから、カタリバさんの中でもリアルという言葉が結構出てきたんですけれども、やはり子供さんの不登校傾向というものを回復するときに、オンラインを契機にして、そこでリアルという伴走を伴いながら、最終的に対面というところで人と関わるというところを重視されて戻そうとしているような気はするんですけれども、そういう解釈で合っているのかというところ、それから、もしその解釈で合っているのであれば、やっぱりリアルとか対面の意義をどう捉えていらっしゃるのかというところを教えていただきたいなと思っております。
 すみません。書面での御回答でいいんですけれども、先ほどの黒沢先生の御発表に対して、もし可能であれば、ちょっと質問をさせていただきたいというところがあります。
 黒沢先生も、オンラインを諸刃の剣というふうにおっしゃっていて、いろんな側面があると考えていらっしゃると思うんですけれども。そこで対面の重要性というものをどう考えていらっしゃるのか。そして、御発表の中で、子供にどんなふうに育ってほしいと願っているのかというところが、私のほうでは感じ取れはしたんですけれども、書面でなかったので、もし教えていただけたらと思います。
 また、高尾山学園であれば教員の応募が増えているということは、こういう学校が増えれば、日本の教員不足も次第に解消して、教員になりたいという人が増えてくるのではないかというような予測も立ちますので、日本の全体の仕組みとして、教員の応募を増やすためにどういうような学校の仕組みとか、教員養成とか、教員の研修が必要なのかということも教えていただきたいなと思っております。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 ここまでのところで今村委員にお答えいただいて、それから、黒沢委員に係ることが出ましたので、続いてお答えいただければと思います。
 では、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】 ありがとうございます。
 今の柏木先生の対面の意義のところと、秋田先生からの地域の資源、地域のほうが子供たちと向き合える可能性もあるのではないか、そこにも価値があるのではないかという話について、まずその辺りについてなんですけれども。
 私たちも全くそこは同意といいますか、私も昭和なのかもしれないんですけど、基本的に、やっぱり人は人との関係性の中で自分になっていくと考えていますので、できる限り家族以外の誰かと対面で会えるということは、むしろ推奨したいというか、それができるなら、そっちのほうがいいに違いないと考えています。
 なので、カタリバにつながってくる、うちの場合はですが、うちにつながってくるまず相談チャットというもので、オンラインで相談が入るんですね。そこで、うちの相談員の方は、一番最初に、その地域の中でその方を支える資源がないのかを一緒に探すというところから始めるんです。最初からこっちに子供をつないでこないんです。というのは、こちらにキャパもあって、全員が全員オンラインで受け取れないというのもあるので、基本的には地域の中で、例えば、お金を払えるならフリースクールもあるかもしれないとか、教育支援センターの存在も知らない方も多いので、まず、その地域の教育支援センターというのがあるんですよというところで、そんなのがあったんだと言って、じゃ、行ってみますとか、そういうほかのものが本当にないのかを探します。
 また、行政からつながってくる方々も、戸田市さんとの連携のような形でつながってくる場合もあるんですけれども、行政からつながってくる場合は、多分、行政の中でオンラインのほうがいいだろうという方をこちらにつないでこられているのであって、ほかのトライを何かされた上での接続だと思っています。
 なので、基本的な考え方としては、対面で関われる何かが地域にあるとか、その子が行けるのであれば、私はそっちを先に検討すべきだと思っています。
 ただ、中にはやっぱり一旦もう心のエネルギー値が下がってしまっていて、人が怖くなってしまっているとか、おうちから日中の時間に外に出るということが、学校以外のところに歩いていくということがすごく怖い、地域の方の目が怖いという方もいらっしゃるので、多いんですよね。そういった方は、まずメタバースのほうに入ってくる。
 確かに、メタバースのほうが大好きになって、ここにずっといるという子もいるんですけれども、かなり多くの子たちが、もう一回対面というか、学校に行きたいというようなことを言うんですよね。だから、これは私たちの中では、ここだけではない、オンラインのフリースクールをやっているつもりはないという感じですね。どちらかというと、ステップを踏む場所だと捉えています。
 あと、秋田先生から、先生じゃないほうがいいのではないかというお話があったんですけれども。私は大事だと思っているのは、一人一人の力量、資格も大事だと思っているんですが、マネジメントのほうが大事と思っています。どんな方が来ても、やっぱりヒューマンエラーって起きるし、個性とかが強い方もいらっしゃるので、もちろん採用のときに対面でこちらの考え方に合う方を選んでいますけれども、元教員という方もたくさん働いてくださっているんです。元教員の方々で、うちのスタッフをやってくださっている、校長先生だった方もいらっしゃるんですけど。でも、全体のマネジメントのほうが大事かなと考えているので、これはすごく重要かなと思っています。
 鍵本先生がおっしゃっていた別室という話も、すごくつながりがあるなと思うんですけれども。今、結構不登校の政策が、別室登校の政策、教育支援センターの政策、学校の先生が頑張ってやっている政策、全部がばらばらになっちゃっているんですけれども。やっぱり教育支援センターが、この政策の司令塔になっているような形で、ハブになっていって、学校の別室のスタッフとも精通しているというか、そういう形がいいと思っていて、まずやるべきことは、実は情報インフラを整えるということが重要かなと思っています。
 カタリバも、実は雲南市で教育支援センターを始めたときに、今日うちのほうに子供が来てますよということを担任の先生に御連絡するということが物すごく大変だったんですよね。授業と授業の合間に電話をするとか。やっぱり今日の変化について伝えたいと思っても、なかなか難しいので、今はビジネスチャットみたいなものを共有して、この子が今日ここに来ましたよということを担任の先生とつなぐとか、その子の学習履歴みたいなことも共有できるようにするとか、この情報インフラが、電話とファックスを卒業するというのは、不登校政策はいろんなところで1人の子供のことを見るという意味で、実は、人を立てるより先にやるべきことかもしれないなと思っています。
 なので、鍵本先生のお話にちょっとつながらなかったかもしれないですけど、別室はすごく重要だと思うんですけれども、みんなで一緒にやるという体制や情報インフラが重要かなと思っています。
 柏木委員のメタバースの意義というところでは、一つだけ最後にここだけお伝えすると、担任の先生もメタバースの空間にやってくることができるということが、これがすごくメタバースを使って良かったなと思っていることです。今まで担任の先生と会うんだったら学校に行かなければいけなかったから、学校という空間で会うというのが嫌になっちゃっていて、その先生自体が嫌いなわけではないということもあるんですけど、メタバースの空間の中に担任の先生も顔を出してくれて、いつでも学校に来ていいんだよと言いに来てくれるだけで物すごく学校に戻りやすいという意味では、空間が、教室がもう一つできたという、オンラインと教室がドアでつながっている感覚がすごくいいなというふうに、メタバースの可能性は、まずそこにあるなと思っています。
 以上です。

【黒沢委員】 じゃ、私から、柏木委員からの質問に幾つか答えたいと思いますけど。
 まず、対面の重要性というところなんですけど、本当に人との関わりが苦手な子とか、人と関わりたくない状態になっちゃって不登校になっている子が多いので、そういう子たちに、対面ってこれだけ楽しいんだよ、重要なんだよということを、遊びを通じてでも何でも分かっていってもらうということを大切にしています。
 事例で言うと、オンライン期間中に授業が大分短縮されて、一時的に不登校の子たちは減ったんですね。半日授業だったら元の学校に戻れると言って、戻っていった。通常授業に戻ったら、またうちの学校に戻ってきたなんていう例もあるくらいで。
 典型例が、例えば、修学旅行はうちの学校はコロナ期間中に行けたんですけれども、オンラインで授業をやっていて、さあ修学旅行へ行くぞと言ったときに、3割の子供が「行きません。修学旅行へ行くくらいだったら、学校へ行って勉強します」。何でと聞いたら、「知らない子と泊まるのが嫌だ」。同じように、中1の子たちが校外学習でバーベキューをやりに行くという話になったんですね。そうしたら、やっぱり3割の子供が「嫌だ。行きたくない。勉強したい」、「何で行きたくないの」、「知らない子と御飯を食べるのは怖い」。
 こういう状態になっちゃうと、やっぱり人と全く関わらないで生きていくという選択肢を選んだように僕は見えるので、そうじゃないよ、世の中もっと楽しいことはあるんだよということを、別にオンラインを否定はしないんですけれども、リアルもやっぱり大切にしたいなという思いが強いです。
 それから、教員研修とか、人を育てるというところなんですけれども、先生方って、僕が見ている限り、やっぱり人に教えるのが大好きなんですね。ある意味、自己満足の中で子供に授業をやっているという部分があるんです。そうではなくて、受ける側がどう受け止めるかというところを考えて授業をやってほしいなと常に思っています。先ほど子供たちに手をかける、時間をかけるというのはあるんですけれど、それ以前に、先生方に少し余裕をつくってあげるというのが僕は大切だなと思っています。とにかく、かつかつで働いている先生は結構多いので、うちへ来ると、時間軸が変わりましたと言う先生は結構多いです。部活動、うちはないので、中学校の先生は特に部活動がないだけで随分負荷が違いますと言われます。
 一人一人の子供が結構重たいというか、手のかかる子が多いので、じゃ、先生方は暇かというと、そんな暇ではないんですけれども、部活をなくしてあげることで、部活にかけていた情熱を全て授業や学校生活の中で子供たちに注いでもらえるので、そういう意味で、すごく効率よく教育活動をやっていただいているなと思います。
 本校では、子育て期間中の先生方がたくさんいるんですけど、高尾山学園はいろいろバックアップしてくれるメンバーがいるので安心して子育てができますなんて言う先生もいますし、うちの学校にいる間にもう一人つくっていいですかとか僕のところに言いに来たりとか、「いいよ、いいよ。人を増やすのは日本のためになるんだから、頑張りなさい」というふうには言ったりするんですけれども。
 そういう意味でも、先生方に自分のプライベートな部分についても少し余裕をつくってあげられるようなことをしてあげると、高尾山学園へ行くとこうだよみたいなことが口伝えで広がって、結構うちを希望する先生が増えてきているというのはあります。
 ただ、楽しようとか、定年近いから、あとあまり頑張りたくないなという先生は、全部公募ではお断りしています。そんな状況です。
 以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 すみません。私の段取りが悪くて、残り時間が少なくなってきましたが、5名の方が手を挙げておられますので、手短にお願いできればと思います。
 小柳委員、水谷委員、堀田委員、若江委員、貞広委員の順番でお願いします。
 まず小柳委員、お願いします。

【小柳委員】 黒沢先生、今村先生、本当にありがとうございました。私もお話を伺いながら、教育委員会の役割って何だろうということで、すごく考えさせられました。
 不登校の問題というのは本市にとっても大きな課題である中で、やはり様々な子供を支援してくださる方々、団体がありますが、そういった方々とどれだけ連携を図れるかということだと思います。今年4月に高松市では、フリースクール等を含む「不登校児童生徒が学校外の施設において相談指導を受けている場合の取扱いについて」という通知を全ての学校に出しました。
 そうした中で、民間施設についてのガイドラインを示したり、指導要録上の出席扱いにするのはこういった場合ですよという条件として重きを置きましたのは、子供を中心に、保護者と学校と施設、三者がどれだけ適切に連携できているかという、その辺りを一番の基準にいたしました。そして、市教委の指導主事が学校の職員とともにそういった民間施設にも訪問させていただいて、子供の支援について相談をするというような体制を整えたところでございます。
 いずれにいたしましても、今日のお話を伺いながら、今後教育支援センターでアウトリーチ型相談やオンライン相談も是非進めていきたいと思いますし、今村委員がおっしゃった、情報インフラを整えるというところに今後力を入れていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、水谷委員、お願いします。
【水谷委員】 水谷です。よろしくお願いいたします。
 実は、高尾山学園、できてすぐのときに一度見せていただいて、でも、本市はその後全然できていません。ただ、カタリバさんとは、今お話を進めていて、本市も来年度からいろんなことができるというようなところに差しかかっているというふうに把握しています。
 先ほども話がありましたが、まず自分も、荒瀬先生からさっき言われましたけど、学校で何とかしなきゃということでやってきたんですが、やっぱり限界を感じていて、最近は、もうとにかくできることを何でもやってみて、それをつなげていくしかないなということを思っています。
 でも、そのときやはり大事になるのは、先ほどお話があった、どういうふうにつなげていくかということのコーディネーター役と、実際に動き出したときに、情報をどうつなぐかがすごく難しくて、本市は、実は全部の中学校に今年度から校内の支援室ができて、本校もおかげさまで全休の子はいなくなりました。必ず今も誰か来ているんですけど。
 どうやってやり取りしているかというと、やはりチャットでやり取りをしていて、今、この会議中も、この子、もう帰るかだとか、この時間だけど来たからとか、そういうのが流れて、それを担任の先生が把握したら、なるほどと思える、それだけでも随分変わったなということを思います。
 それと、やはり子供の情報の共有をしっかりして、ほかのことをとにかく減らして、子供たちの情報を共有することができる時間を確保するということも、管理職にとっては非常に大事なことだと思っています。
 先回お話ししたような授業をやっているので、子供の様子はよく見えるようになって、ちょっとした変化を先生たちがつかむようになってきたとは思うんですが、それをどういうふうにいろんなところにつなげるかというところはまだまだできていませんし、子供の見取りについても、子供たちはどうして最近気が乗らないのかと聞いても言えないんですが、よくひもといていくと、単純にうるさいから嫌だとか、教室は人数が多いから嫌だとか、それから、勉強が難しくなったから嫌だとか、いろんなことで嫌な部分があって、それをどうやって私たちが引き出してあげるか。引き出して、それを解決してあげると、何でもなかったようにはなってくるんですね。その辺の小さなところの本人の困りをどうやって見つけていくかというようなところは、我々教員にはまだまだ必要なことだなということを思います。
 ただ、御家庭が厳しいとかが多くて、お子さんのことを、こういう心配があるんですけどと言っても、やはりそこに気を向けたくても向けることができない家庭が多くて、そういう子たちが今ちょっと苦しいことになっているのがすごく残念だなということを思っていますが。いろんなところを教員だけでは支えられないので、いろんな力を得て、そして、上手につなぎながら、自分たちもつなぎ、そして、外部の力もお借りして、つなぎながらやっていくしかないかなということを思っています。
 ただ、子供たちが前よりも見えるようになって、子供たちの活動がさせやすくなって、やりたいことができるような状況を少しずつ作ることができたなということは思っているので、いろんなリソースを組み合わせながら、さらに頑張りたいなということを、今日お二人のお話から感じました。
 感想です。以上です。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 ぼつぼつ時間が来ているんですが、5分ほどの御延長をお含みおきいただければと思います。
 では、堀田委員、お願いします。

【堀田委員】 お時間のない中、すみません。お二人の発表を聞きまして、考えたことを一つだけ申し上げます。
 遠隔・オンライン教育という言葉をこれからどうしていくかということについてです。
 まず遠隔教育というのは、かねてより文部科学省は取り組んでおりまして、離れていても教えてもらえるとか、一緒に学べるというものとしてあった言葉です。遠隔教育の活用場面や効果のスライドが今日、前田室長の御説明にありましたけれども、海外とつなぐとか、病気療養時とか、あるいは、離島や中山間地などの小規模校では遠隔合同授業とか、これ、一定の効果を上げております。これは正に距離をインターネットで超えるという話で、これはコロナ前から注目されていたやり方で、今日ようやく端末が1人1台になって、現実的になったのかなと思います。
 もう一つ、オンライン教育ですけど、オンライン教育というのは、何となくオフライン、つまり対面の対義語として使われているように感じられます。最近、GIGA端末でいろんな学習活動が行われているわけですけれども、それぞれの子供たちの学びの状況が可視化されて、お互いが協働的な学びがやりやすくなっていますが、これはオンラインでクラウドを使うからこそ、実現しているわけで、そういう意味では、対面だけどもオンラインなわけで、このオンライン教育とかオンライン学習という用語を再定義するタイミングにあるのかなと思います。
 先ほどオンライン勤務という話がありました。教員の働き方は非常に大きな問題ですけれども、オンラインで対応できる範囲なら、在宅勤務をできるようにするということだと思います。あと、不登校の児童生徒がオンラインで在宅で学ぶということもあると思いますし、一定の範囲で認められています。今となってはオンラインは学びのインフラであり、働き方のインフラなので、そういう意味では、来る来ない、出席とか出勤とかを学校に来る来ないだけで判断しない仕組みというのか、制度というのか、そういうものを見直すところも一緒にやらないといけないなと感じました。
 以上でございます。

【奈須主査】 ありがとうございます。
 それでは、若江委員、お願いします。

【若江委員】 ありがとうございます。端的に申し上げます。
 今日のお二人のお話、そして、直近の堀田先生のお話にもつながるところなんですが、正に居場所という場所から場面にというような、その二つのことが今日は述べられていたと思います。高尾山学園のことであるとか、支援センターの教室、そして、今村委員からお話のありましたオンラインRoom-K、アウトリーチという、要するに、今までの場所から場面をどうつくっていくかという、そんなところへの広がりをすごく感じました。
 つまり、機会をどうつくっていくかということに皆さん取り組んでおられて、その原点はというと、不登校もしくは不登校ぎみになっている子供たちが、どんなふうに人と関わりたいかという、そこを大切に考えて、いろんなことを展開していくべきだなと思いました。ですので、冒頭、荒瀬先生のお話もありましたように、学校がというときに、こういったことを俯瞰で見てマネジメントをするということがまずやはり不可欠でしょうし、それを支えるいろんな仕組み、行政の仕組みであるとか、予算化とか、新しい調査、いろんなことが本当に全てつながっているんだなということを学ばせていただきました。
 感想になります。ありがとうございました。

【奈須主査】 ありがとうございました。
 それでは、貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】 千葉大学の貞広です。私だけちょっと外づけの時間になってしまって申し訳ありません。
 大変優れた取組の御報告をいただきまして、大変勉強になりました。
 2点、意見として申し上げます。
 1点目は、今村委員もおっしゃったデータの問題です。今日の御報告にもありましたけれども、問題行動調査で出てきているものを見ますと、不登校の6割ぐらいが本人起因と言われています。今村委員からは、本人起因ではないのではないかというようなお話もありましたけれども、この本人起因のところで使われている選択肢のワーディングが、無気力、不安とか、生活のリズム乱れ、遊び、非行とか、内実が十分には分からないものになっているんですよね。ですから、調べていても実情に迫れていないという課題があると考えています。
 経年比較するという意味で、なかなか調査項目を変えられない部分があるのであれば、この全く見えなくなっているブラックボックスの部分にちゃんと迫るような調査を別途行わないと、一体どうなっているのか、誰がなぜなのかというのが分からないままであり、こんな状態で合理的な手だてを講じられるわけがないので、やみくもになってしまうわけですよね。
 このブラックボックスになっている部分を、構造解明するというのが必要だと思います。そんなに簡単ではないと思います。多様なので、構造などという把握はできないかもしれませんけれども、やはりこれをこのままにしておいては、優れた、合理的手だては講じられないのではないか。これが1点です。
 2点目でございます。本当に今日お二人の御報告、大変優れた御報告ではあるんですが、その一方で、やはりこれを全面に横展開していくと、今ですら足りない財源も人材もリソースが全く足りない。もうこれ以上どこから持ってくるんだということも問われてくると思います。
 かつ、一見普通に学校に通っていらっしゃるお子さんよりも、より1人当たりのリソースがたくさんかかるわけですよね。本会議にいらっしゃる方々は、私も含めてそれが大事だと思っていると思いますが、社会で広く、その子たちに傾斜的により多くのリソースを振り分けるということを納得・理解していただけるかどうかが大事だと思います。
 こうした制度政策オプションがあった上で、じゃ、それをどう皆さんが確かに必要だよねというふうな社会的な理解を調達していくための論理的な立てつけをいかに考えるのか。これも恐らくここの委員会の役割になってくるのではないかと思います。
 以上2点でございます。ありがとうございました。

【奈須主査】 どうも、先生方、御協力いただきましてありがとうございました。とても立体的な深い議論をしていただけたように思って、喜んでおります。
 それでは、今日はこの辺りにしたいと思います。
 最後に、次回の予定について、事務局からお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 ありがとうございました。次回の本ワーキンググループでございますが、1月24日火曜日を予定してございます。詳細につきましては、また追って事務局より先生方に御連絡を差し上げます。
 以上でございます。

【奈須主査】 それでは、本日予定した議事は全て終了しましたので、これで閉会といたします。ありがとうございました。 
―― 了 ――
 
 (会議後に事務局に寄せられた意見)
【野田委員】
 児童生徒の課題が多様化する中で、先進的な取り組みを進めることは歓迎されるが、一方で困難をかかえる児童生徒や対応の難しい教師と学校、自治体などによる格差が拡大することが想定され、そのための手当を十分に検討する必要がある。 特に、困難を抱える場合への対応のメニューを増やすことも大切だが、そもそも困難の内容が正確に理解できないままにメニューを増やすことだけが進むのは、効果的ではなく、現場に負担をかけるだけとなる。個別最適化をすすめるには、個別の困難状況を把握し、適切なメニューが選択できることが必須となる。 そのためにも、アセスメント充実のための体制作りと、効果検証の充実が重要だと考える。 不登校に関しても、今一度長期欠席の増加の意味を個別レベルから課題整理する必要があると考える。

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