個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会(第4回)

1.日時

令和5年4月26日(水曜日)16時30分~18時00分

2.場所

文部科学省 (対面・WEB会議併用)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 部会長の選任等について ※非公開
  2. 部会運営規則の制定について ※非公開
  3. 各ワーキンググループの論点整理及び設置について
  4. 誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「COCOLOプラン」について
  5. その他

4.議事録

【前田教育制度改革室長】  定刻となりましたので、ただいまから、中央教育審議会初等中等教育分科会、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会(第4回)を開催させていただきます。
 本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 第12期の中央教育審議会初等中等教育分科会におきまして、本部会の設置をお認めいただいてから、本日が初めての会議でございます。部会長をお選びいただくまでの間、私の方で議事を進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本会議は、対面・ウェブ会議の併用ということで開催しております。ウェブ会議から御参加されている委員の先生方におかれましては、会議を円滑に行います観点から、大変恐れ入りますけれども、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料でございますけれども、議事次第にございますとおり、資料1から資料7-2までございます。加えて、参考資料といたしまして、参考資料1から参考資料5までとなっております。
 また、本日の議題のうち、議題1及び2の一部につきましては、人事等に関する議題のため、現在、非公開で行っております。それでは、まず、本特別部会に御就任いただきました先生方の皆様を御紹介させていただければと思います。資料2の名簿順に沿って御紹介をさせていただきます。
 まず、秋田喜代美委員でございます。

【秋田委員】  どうぞよろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  荒瀬克己委員でございます。

【荒瀬委員】  よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  今村久美委員でございます。
 岩本悠委員につきましては、本日は御欠席でございまして、金丸恭文委員につきましても、本日は御欠席ということでございます。
 続きまして、貞廣斎子委員でございます。

【貞廣委員】  よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  神野元基委員でございます。
 戸ヶ﨑勤委員でございます。
 冨塚昌子委員でございます。
 中川一史委員でございます。
 奈須正裕委員でございます。
 堀田龍也委員でございます。

【堀田委員】  よろしくお願いします。

【前田教育制度改革室長】  ありがとうございました。
 それでは、議題に移りたいと思います。
 まず、本部会の部会長をお選びいただきたいと思います。部会長の選任でございますけれども、どなたか御推薦をいただけないかと思います。
 奈須先生、お願いします。

【奈須委員】  中央教育審議会の会長でもいらっしゃいますし、それから初等中等分科会の部会長でもいらっしゃる荒瀬委員に引き続き御就任いただくのが適切ではないかと考えます。いかがでしょうか。(「異議なし」の声あり)

【前田教育制度改革室長】  ありがとうございます。
 荒瀬委員ということで、皆様、御了承いただけたと思いますので、以後の議事進行につきましては、荒瀬部会長にお願いいたします。

【荒瀬部会長】  ありがとうございます。荒瀬でございます。奈須先生、御推薦いただき恐縮でございます。では、まず、部会長代理を御指名いたしたいと思います。
 私といたしましては、本部会の設置の目的と第11期、前期からの議論の継続性を鑑みまして、引き続き、堀田委員、それから本日は御欠席ではございますが、金丸委員にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。(「異議なし」の声あり)

【荒瀬部会長】  ありがとうございます。それでは、部会長代理として、堀田委員と金丸委員を御指名させていただきます。
 次に、本会議の運営規則(案)につきましてお諮りしたいと思います。
 事務局から、原案の御説明をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  よろしくお願いいたします。資料3に基づき御説明させていただければと思います。本特別部会の運営規則(案)でございますけれども、中央教育審議会の運営規則に基づきまして、特別部会の運営規則を次のように定めるとしてございます。
 第一条からございますけれども、第一条は、この部会の規則の趣旨、規則を定めるということが書いてございます。
 第二条、専門部会等でございますけれども、部会には、部会の決定により、専門部会その他の審議組織を置くことができるとしておりまして、専門部会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、部会長が指名するとなってございます。それから、専門部会に主査及び主査代理を置き、当該専門部会等に属する委員等のうちから部会長が指名する者がこれに当たる。それから、専門部会等の主査は、必要に応じ、専門部会等に属さない委員等を会議に出席させることができるということで、部会の設置の事項が記載されております。
 第三条でございますけれども、会議は原則として公開ということを定めております。ただ、先ほどございましたように、人事に関する事項、議決については除かれているというものでございます。
 第四条でございますけれども、会議の傍聴でございますが、ここは手続や会議傍聴の約束事などを記載したものとなっております。
 それから、第五条でございますけれども、会議資料の公開といたしまして、部会長は部会の会議において配付した資料を公開しなければならないということで、原則公開。ただし書で例外を設けております。
 また、第六条、議事録の公開につきましても、部会の会議の議事録を作成し、これを公開しなければならないということで、原則公開。ただし書で除かれる規定を置いております。
 七条は雑則ということで、部会の議事の手続、その他部会の運営に関し必要な事項については、部会長が部会に諮って定めるというふうにしてございます。
 こちらが資料3の運営規則の案でございます。よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 ただいま前田教育制度改革室長から御説明がありましたとおり、運営規則につきましては、案のとおりといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。(「異議なし」の声あり)

【荒瀬部会長】  ありがとうございます。それでは、運営規則を資料3のとおりといたします。
 では、運営規則に基づきまして、これからの議事を公開にしたいと思います。
事務局のほうでよろしくお願いいたします。では、これからの議事を公開いたします。
本日は、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をユーチューブで配信しておりますので、御承知おきください。では、改めまして、部会長を務めることとなりました荒瀬でございます。本部会の発足に当たりまして、部会長として、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 もう御承知のとおり、この部会は、第11期に設置されまして、引き続き懸案を第12期においても議論していくというためのものでございます。この間、令和3年答申と、令和4年答申が出されたわけでありますが、令和3年答申は、学習指導要領に基づいて、一人一人の子供を主語にする学校教育を展開していく、それによって、これからの社会を生きていく自立した学習者に一人一人の子供を育てていくんだということが述べられていたわけであります。
 また、令和4年答申は、そのための教師の新たな学びの在り方を追求して実現していくというものでございました。一人一人の子供を主語にする学校というのは、子供が学び、学び合う学校を作ることだと思いますが、そのためには、教師が学び、学び合っていくということが必要ではないかと考えております。これらを踏まえて、子供一人一人の現状をしっかりとみつめつつ、誰一人取り残すことのない幸福で豊かな学校教育の在り方をいかに実現していくかということを模索してまいりたいと思っております。その際、いろいろと私たちが常に意識していきたいと思いますのは、子供から見てどうなのか、子供にとってどうなのかという視点であるというふうに考えております。
 委員の皆様と議論を重ねてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、この今日の会議は、第12期におきます特別部会の初回ということでもございますので、藤原局長から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤原初等中等教育局長】  ただいま御紹介いただきました初中局長の藤原でございます。
 このたびは、御多忙のところ、本特別部会の委員をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。
 この特別部会は、令和3年1月の令和答申を受けまして、デジタル化などの社会変化が進む次世代の学校教育の在り方について、多様かつ専門的な見地から横断的に御議論いただく場として、令和4年1月に設置をされたわけでございます。
 第11期におきましては、この特別部会の下に三つのワーキンググループが設置され、3月には義務教育と高等学校教育の在り方に関する論点整理がまとめられました。
 これらの論点整理について深掘りの議論が必要であるということから、4月4日に開催された初中分科会において、この特別部会を引き続き設置することが決定されたところでございます。
 今後もワーキンググループを中心に、個別の論点について具体的な議論を進めていただきたいと考えておりますが、本特別部会の委員の皆様方におかれましても、ワーキンググループの垣根を越えた横断的、俯瞰的な視点から御意見をいただきますよう、お願い申し上げます。
 改めまして、第11期に引き続き、委員の皆様方に、大所高所からの精力的な御議論を賜りますことを心よりお願い申し上げまして、私からの挨拶といたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】  藤原局長、ありがとうございました。
 それでは、審議をいたしたいと思います。
 まず、議題の3でございます。各ワーキンググループの論点整理及び設置についてということで、これはただいま藤原局長の御挨拶の中にもありました。このことにつきましては、11期において、「義務教育の在り方ワーキンググループ」、そして「高等学校教育の在り方ワーキンググループ」、それぞれにおいて論点整理が取りまとめられているわけでございます。この内容につきまして簡単に御説明をいただき、その後、ワーキンググループの設置につきまして、委員の皆様に御審議いただきたいと思っております。では、両方のワーキンググループの論点整理及び設置に関する御説明を、義務教育ワーキンググループのほうは前田教育制度改革室長、続きまして、高等学校教育ワーキンググループのほうは水田文部科学戦略官から説明いただきたいと思います。
 では、まず、前田室長、よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  では、改めまして、義務教育ワーキンググループの論点整理、3月に取りまとめたものでございますけれども、御説明させていただければと思います。
 一番初めが論点整理の趣旨でございますけれども、第2パラグラフにございますように、令和4年10月に特別部会の下に、このワーキンググループを設置しまして、計6回の議論を重ねてきたということで、検討事項はそちらに記載のとおりでございます。
 この論点整理でございますけれども、議論を通じて出された問題意識や課題を基に、今後、本ワーキンググループにおいて深めていくべき論点を取りまとめたものが、この論点整理の趣旨として位置づけております。
 次のページでございますけれども、それぞれ論点がございますが、本ワーキンググループにおきましての全体を通じた検討の視点として、四つを記載させていただいております。
 一つ目でございますけれども、不登校、特別支援、特異な才能、そういった子供たちを含めて、全ての子供が、得意分野、特性に応じて活躍できる機会や出番をつくることが必要だということと、それから、困難を抱える子供たち個人に問題があると考えるのではなくて、困難の背景にある学校や社会の在り方を問い直すという観点が大事ではないかということが示されております。
 二つ目としまして、日本型学校教育の「強み」や「弱み」を改めて分析した上で、「弱み」を補うために、従来型の「あるべき論」に過度にとらわれずに、未来志向での姿を検討することが必要であるということ。
 三つ目としまして、そうしたあるべき姿を実現するためには、教育内容、教材、指導方法、以下、それぞれ記載してありますような教育環境の整備が不可欠であると。あわせまして、ICT環境の整備が、これまでの学習基盤や教育環境に大きな変革をもたらしたことを念頭に置くとしてございます。
 最後に、いろいろな文科省の施策がございますけれども、これが今どの程度活用・実現されているのかといったデータにおける把握に加えまして、義務教育に関する社会の意識調査、文部科学省で昨年度実施しております、今まだデータをまとめ中でございますけれども、そういった義務教育に関する社会の意識の把握も必要であるということを書いてございます。
 3ページ目以降が具体的な論点でございますけれども、構成としましては、左側に問題意識や課題、右側に論点としてございます。
 まず、義務教育の意義、子供たちに必要な資質・能力と学校が果たす役割でございますけれども、意義の検討の視点・留意点の中で、問題意識には今御覧いただいておりますようなことが記載されておりますけれども、論点の中を御覧いただきますと、多様な同世代の子供たちが集い、また、一人一台端末をはじめとしたICT環境が整備された学校、集うということであれば、ネットでございますとか、いろいろな手段がありますけれども、あえて学校に集うということの意義について、歴史的な学校の成り立ちを踏まえながら、現代的な整理が必要ではないかということ。
 それから、個人の成長と共生社会や持続可能な社会の創り手の育成という観点の双方のバランスに配慮する、それから、ICT環境の整備で義務教育の提供方法の在り方が劇的に変わったということも念頭に置くことが必要だということを論点として掲げております。
 次のページでございますけれども、日本型学校教育の強みと弱みとしまして、論点でございますが、強みと弱みを整理した上で、義務教育として何を継承していくべきか、あるいは何をもうやらなくなるのかということも含めて、その検討が必要だというのが論点でございます。
 二つ目の子供たちに必要な資質・能力でございますけれども、ここでは、問題意識の中で、学びと将来のつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けた資質・能力を育むということと、特に学びに向かう力については、教師の支援も得ながら、子供たちに学びを委ねるということが大切である、これをメッセージとして強く発信することが重要だというふうに書いてございます。論点としましては、現行の学習指導要領において育成を目指す資質・能力を踏まえて、これまでの施策の振り返りと、今後の取り組むべきことについて検討が必要としてございます。
 次のページでございますけれども、学びの目指す方向性でございますが、問題意識のところを御覧いただきますと、できないことをできるようにするということは義務教育として引き続き重要なことではありますが、一つの学級に多様な子供たちがいることも踏まえて、一人一人の「良さを徹底して伸ばす」という考えの優先度を上げていくことも必要ではないか。
 二つ目として、主体的に学びを選択する、機会を確保する、そういった授業改善、学習内容の重点化が重要ではないか。それから、教室の中の支持的風土の醸成というものも必要ではないかというのが問題意識・課題でございます。
 論点としましては、一つ目の丸の3行目あたりでございますけれども、ICTも最大限活用した授業実践、教科書・教材、授業時数を含めた教育課程、教員研修の在り方を一体的に検討して、全体像を分かりやすく伝えることが必要だと。その際、例えば、一人一人の子供が自分に合った学習の計画を作成したり、発展的な学習、あるいは振り返りを求める子供は補助的な学習、そういった柔軟に実践したりできるような学びの実現についても検討の視点に含めることが必要というふうにしてございます。
 次の6ページでございますけれども、そういった学びを実現するための環境整備としまして、学校現場のリソースが十分ではないのではないかという問題意識や課題に基づきまして、右側の論点でございますけれども、教師として行うべき業務の整理や支援、校務のデジタル化など、学校における働き方改革。それから、教師を取り巻く環境についての検討。さらには、ハード面としまして、そういった創造的な学習を実現できる学校施設の在り方についても検討が必要ではないかという論点でございます。
 それから、校種間の円滑な接続としまして、幼稚園から小学校、小・中、中・高といったようなところの接続、特に「架け橋期」ということで、幼児教育と小学校の円滑な接続。加えまして、中学校と高等学校の接続ということも重要であるということ。ここは高校ワーキングとの連携ということも意識したような書きぶりになってございます。
 論点としましては、校種間の接続を推進する上での課題となっている点を整理、解消のための取組について検討が必要というふうにしてございます。
 次のスライドでございますけれども、2の学びの多様性にまいりまして、個別最適な学びと協働的な学びの具体化というところでございますが、主体的な学び手を育成する。子供は全てが主体的な学びだという前提に立った上で、子供自身が学びの見通しを持って、学びの方法や進度を選択して、自己の学習を振り返り、学びや生活を共有するということ。
 二つ目の丸としまして、一斉指導を維持するための、これまでの学習規律の概念を発展させる必要があるのではないかということ。それから、家庭の社会経済的地位の差にも留意しながら、子供の現状を把握することが必要だというふうなことを書いてございます。
 論点としましては、全国で横展開していくために、国において、これからの学びや授業の具体的イメージを提示していくことが必要ではないか。その際、客観的・定量的データだけではなくて、子供たちの学びがどう深まって変容したかの事例も併せて示すことが必要というふうにしてございます。
 それから、学びのビジョンの共有でございますけれども、校長等の管理職がリーダーシップを発揮しつつ、学びのビジョンを共有することが重要である。教育委員会につきましても、新しい時代の学びについてのビジョンを持たなければいけないということが書いてございます。
 そのために、論点としまして、校長等の学校運営に関する裁量の在り方、学校の主体性を支える組織としての教育委員会はどうあるべきか。また、管理職の育成・登用する仕組みの構築・充実についても論点として掲げてございます。
 次の8ページ目でございますけれども、主体的に学び続けるICTの活用ということで、ここは考え方が、丸が1、2、3と続いておりますけれども、知識伝達中心の従来のやり方にICTを当てはめるのではなくて、子供たちに求められる資質・能力を実現するためのツールとしてICTがあるという認識を教師自身が持つことが重要である。その上で、子供の学びの状況を把握しつつも、学びを委ねて、ファシリテイトすることが重要。さらには、膨大な情報を学びの教材として提供することで、個別最適な教材を通じた学びの深化が可能となるというようなことを書いてございます。またあわせて、教育委員会の指導主事についても、そういった新しい学びを支える授業を学ぶ機会が必要ではないかということでございます。
 論点としまして、これまで教育委員会、学校・教師が制御するというような面もあったかと思いますけれども、そういったICTの活用から、主体的に学び続けるICTの活用への転換。
 二つ目の丸としまして、教師同士の学び合いの促進や教育委員会の指導主事も含めた研修の実施などということを論点として掲げております。家庭・地域における学びでございますけれども、ここにつきましては、学校だけではなくて、家庭学習、社会教育施設、地域における学びということで、学びのシームレス、この実現についての議論が必要だというふうにしてございます。
 9ページ目でございますけれども、多様性と包摂性に基づく学校文化ということで、授業や学校経営等に関する視点。二つ目の丸でございますけれども、日本の子供は、学ぶ内容について情報提供が十分なされていないのではないかということで、子供自らが主体となって考える機会が重要だと。
 それから、子供は全て何らかのニーズを有している、これを当たり前のこととして捉えていくべきだというようなことが書いてございます。
 論点としましては、学校行事の運営、授業づくり、こういったものに子供たちが関わったりする機会の確保でございますとか、心理的安全性が確保された対話や協働を可能とする学級経営の在り方についても議論が必要ではないかといったことを論点として掲げてございます。
 それから、多様な人材の参画でございますけれども、学校運営の自前主義からの脱却も必要であるということ。それから、外部の力を入れることに対しての教師の抵抗感を少なくする。そういったマインドチェンジも必要ではないかということと、民間企業との連携の在り方についても問題意識のところに書いてございます。
 論点としましては、多様な人材が円滑に参画できるようにするための運用の工夫でございますとか、民間企業や関係機関との連携についての、何が障害となっていて、その解決策としては、どういう方策が考えられるのかということを論点として掲げております。
 次のスライドでございますけれども、学びにおけるオンラインの活用としまして、オンラインの意義・活用用途、地理的・空間的制約を乗り越えることができるということで有効であり、また、働き方や生活スタイルが多様化しているので、そういったことにもオンラインの活用用途があるのではないか。また、学校と学校だけではなくて、子供同士の接続ということも学びを深めるという意味で重要ではないかということを書いてございます。
 論点としましては、遠隔教育特例校制度も含めた制度面や運用面の課題の整理、柔軟な活用の在り方についての検討。
 それから、義務教育におけるオンラインの活用でございますけれども、オンラインについて、今後更に当たり前のインフラとなる中で、学校に登校して学ぶという原則に加えて、オンラインでの学びをどのように活用すると有効かということについて、論点としても掲げてございます。
 それから、次のスライドでございますけれども、学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障としまして、安心して学べる学校づくり。全ての子供についての効果を行き渡らせることができるのが義務教育ならではの学校の果たす役割ではないか。それから、教職員や学校内外の多様な人材が専門性を生かしながら関わることが重要ではないかということを書いてございます。
 論点としましては、授業、それから学校運営の改善策についての検討が必要ではないか。また、オンラインの活用を含めたスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置促進やケース会議の活用等々、有効な方策について議論するということを書いてございます。
 体制整備としましては、公と民、ばらばらになっているものをつなぐという視点が必要。それから、オンラインの活用についてのメリット・デメリット、両方があるということを認識。それから、学校以外の様々な学びを活用することは重要であるけれども、安易に外部に委託することのないように留意が必要だということが書いてございます。
 論点としましては、不登校特例校、教育支援センター、学校内別室、フリースクール、様々な学びの場の抜本的な拡充。それと、そういったものが有機的に連携する姿を国において提示することが必要だというふうにしてございます。
 最後のスライドでございますけれども、学校以外の学びの場ということで、いわゆる一条校以外における学びの質の保証、そこでの学びをどう評価していくのかという論点。それから、エビデンスの整備・要因分析につきましては、様々な調査、特に問題行動調査をやってございますけれども、もう少しエビデンスの整備が必要ではないかということを最後に書いてございます。
 以上が、この義務教育ワーキンググループの論点整理でございますけれども、資料5-1を続けて御覧いただきますれば、こちらが義務教育の在り方ワーキンググループの設置の要綱でございますけれども、設置の目的、それから検討事項を書いてございますが、三段目の令和4年10月のところが少し更新をさせていただいておりまして、令和5年3月に論点整理を取りまとめたということで、第12期の中央教育審議会においても、特別部会の下、「義務教育の在り方ワーキンググループ」を設置するとしてございます。
 2の検討事項につきましては、前期の中教審における検討事項と同じものを掲載させていただいております。
 資料5-2でございますけれども、これを受けまして、特別部会としまして、特別部会運営規則第二条に基づきまして、特別部会に次の審議組織を設置するということで、「義務教育の在り方ワーキンググループ」、義務教育の在り方に関する重要事項を調査審議することというふうにしてございます。
 義務教育に関する資料の説明については以上でございます。

【水田文部科学戦略官】  それでは、引き続きまして、高等学校教育の在り方に関するワーキンググループについてでございます。
 資料は、4-2の中で横長になっている資料で御説明させていただきます。次のページを御覧ください。一番最初の丸にございます四つの柱につきまして、これまで御議論いただいておりまして、今後更に御議論を深めていただくこととされているところでございます。次のページを御覧ください。この四つについて、順次御説明いたします。
 まず、高等学校教育の在り方についてでございます。
 高校教育の実態は、皆様御案内のとおり、地域・学校により非常に多様な状況となっております。こうした中で、全ての生徒が社会で生きていくために必要となる資質・能力を共通して身につけられるよう、共通性の確保を図りつつ、生徒一人一人の特性等に応じた多様な可能性を伸ばすための多様性への対応を併せて進めることが必要でございます。一番下の今後深めていくべき主な論点を御覧いただきますと、特に共通性の確保に向けて、生徒が成人として社会の一員となるために共通で必要となる資質・能力とは何か、また、生徒が在学中に成年に達するということを踏まえ、どのような高校教育が求められるか、こういったことを今後議論することとしております。
 次のページを御覧ください。
 二番目ですが、少子化が加速する地域における高校教育の在り方についてです。
 現在、少子化の影響により、多くの地域で統廃合が進行しておりますが、今後も15歳人口の減少は一層加速し、令和18年には、現在より24%減の約81万人となることがほぼ確実な状況となっております。
これを見据えまして、小規模校の教育条件の改善につながる方策を考えていくことが必要だということで、そのために、遠隔教育の活用や、学校間連携を進めること、スクール・ミッションやスクールポリシーを踏まえた各学校の特色化・魅力化を進めていくことが重要である、こうした議論が行われているところでございます。
 今後深めていくべき主な論点としましては、御覧のように、今申し上げました問題意識・課題を具体化する取組として、どのようなことが必要かという形で整理をしているところでございます。
 次のページを御覧ください。
 三つ目が、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方についてでございます。現状として、義務教育段階において、不登校児童生徒数が近年大幅に増加をしております。これが高校段階では、特に私立の通信制課程に在籍する生徒数の大幅な増加として表れているところでございます。他方、高校でも一人一台端末環境の整備や、同時双方向型のメディア活用も普及していることを踏まえますと、今後は、全日制・定時制・通信制いずれの課程にあっても、いつでも、どこでも、どのようにでも学ぶことが等しく認められるようにしていくことが重要でございます。このため、全日制・定時制においては、多様な生徒が柔軟で質の高い学びを実現して卒業できるようにしていくこと、そして、通信制においては、その教育の質の確保・向上を図ることを進めていくべき、こうした議論となっております。
 今後進めていくべき主な論点としましては、これも今申し上げました議論について、それぞれ課題を具体化するための方策について、どうしていくべきかということで、5ページまでにかけて整理をされているところでございます。この中で、下にありますように、学校間連携ですとか、課程間併修の推進、更には学期ごとの単位認定ですとか、実効的な単位制への移行促進、全日制・定時制・通信制という課程の区分について、などについて論点としているところでございます。
 次のページを御覧ください。
 最後に、四つ目の、社会に開かれた教育課程の実現、探究・文理横断・実践的な学びの推進についてでございます。現状としまして、高校では約3割の生徒が家や塾で全く学習をしていなかったり、学校での学び・授業の満足度・理解度が、学年が上がるとともに低下傾向にあったりするといったデータが御覧のように示されているところでございます。こうした課題を踏まえて、生徒が高い意欲を持って学習し、自身の可能性や能力を最大限伸ばすことができるよう、社会に開かれた教育課程の実現や、探求的な学び・STEAM教育等の文理横断的な学び・実践的な学びの推進が必要でございます。このために、先進的な事例を今後全国に広げていくべく、指導側の体制・環境整備や関係機関とも連携・協働した教育活動の展開を推進していくことが重要である、こういった議論となってございます。
 今後深めていくべき主な論点としまして、今申し上げました取組を全国的に推進するための方策、あるいは、そういった中でコーディネーターの配置、国内外の関係機関との連携・協働した教育活動の展開、こうしたことが挙げられているところでございます。
 この論点整理を踏まえまして、実施すべき施策の具体化に向けた検討を引き続き行っていく必要がございまして、資料6-1、6-2にございますとおり、高等学校教育の在り方ワーキンググループを設置して、義務教育の在り方ワーキンググループをはじめとする関係会議とも連携を図りながら議論を深めていただきたいと考えているところでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

【荒瀬部会長】  お二人、ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました内容についての調査、審議を行うために、資料5-2及び資料6-2のとおり、本部会の運営規則第二条第1項に基づきまして、本部会の下に「義務教育の在り方ワーキンググループ」及び「高等学校教育の在り方ワーキンググループ」を設けることにいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。(「異議なし」の声あり)

【荒瀬部会長】  ありがとうございます。それでは、二つのワーキンググループを引き続き設置するということで、よろしくお願いしたいと思います。
 特に今、事務局から御説明いただきました論点につきまして、更に検討をいただければと思っております。議論の状況は、本部会にも随時御報告をいただきまして、こちらでも、それを受けて審議を深めてまいりたいというふうに思っております。
 なお、ワーキンググループに属する委員につきましては、本部会の運営規則第二条第2項の規定に基づきまして、部会長が指名するということになっておりますので、私のほうに一任いただきたく思います。よろしくお願いいたします。
 では、続きまして、議題の4に移りたいと思います。
 議題の4は、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「COCOLO(こころ)プラン」についてであります。既に御存じかと思いますが、近年、不登校児童生徒数は増加の一途をたどっております。直近、令和3年度でありますが、その調査では、小学校・中学校・高等学校の不登校児童生徒数が、総計でおよそ30万人に上り過去最高となるなど、正にこの件は喫緊の課題となっております。こうした状況を受け、本年3月31日に永岡文部科学大臣の下、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLO(こころ)プラン)」が取りまとめられたとのことであります。
 本特別部会や、義務教育の在り方ワーキンググループ、高等学校教育の在り方ワーキンググループの議論におきましても、不登校児童生徒への対応は極めて重要な論点となっています。そこで、本プランに関しまして、事務局から説明をいただき、それを基にワーキンググループでも議論いただく、また、本部会でも議論していくということにしたいと思います。
 では、伊藤児童生徒課長から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【伊藤児童生徒課長】  御紹介ありがとうございます。資料に基づきまして御説明を申し上げたいと思います。
 先ほど荒瀬部会長のほうから御紹介いただきましたとおり、令和3年度の問題行動等調査における小・中・高等学校の不登校の児童生徒が約30万人に上っており、課題といたしましては、90日以上の不登校である状況にもかかわらず、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けられていない小・中学生が4.6万人、これは90日以上の不登校の児童生徒のうちの約35%に上りますが、4.6万人が何らかの相談・指導が受けられていないという状況であるということが明らかになったということでございます。こういった状況を受けまして、文部科学省では、永岡大臣の下に、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにするということを目指しまして、大きく三つの柱、一つ目としては、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保して、学びたいと思ったときに学べる環境を整えるということ、二つ目といたしまして、心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援するということ、三点目といたしまして、学校の風土の「見える化」を通じて、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする、そういった大きな三つの柱に基づきまして、積極的に転換していくための対策として、誰一人取り残されない学びの保障を社会全体で実現するためのプラン、「COCOLOプラン」を3月31日に取りまとめて公表したところでございます。この推進に当たりましては、今後、文部科学省だけではなく、こども家庭庁とも連携して取り組んでいく必要があり、3月31日にこの対策を発表した後、早速4月13日に、文部科学大臣を本部長といたします対策本部を省内に設置しまして、こども家庭庁の渡辺長官にも参画していただきながら、この対策についての実行体制を確保したところでございます。今後、進捗管理や取組の不断の改善を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
 引き続きまして、この三つの柱ごとに主な事項を御説明したいと思います。
 一点目の柱としまして、全ての児童生徒に学びの場を確保して、学びたいと思ったときに学べる環境を整備するといった観点では、不登校特例校を全ての都道府県・指定都市に設置し、また、将来的には全国300校を目指して設置を促進していきたいと思っております。
 また、不登校特例校という名称に関しましても、より子供目線に立ったものへ改善すべく、関係者に意見を募って改称を行ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、二点目でございますけれども、不登校特例校のみならず、不登校傾向のお子さんに対しても学びの場の確保ということで、校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)の設置も促進してまいりたいと思っております。
 三点目でございますが、教育支援センターの機能強化といたしまして、オンラインによる広域支援機能の強化、NPOやフリースクール等の民間機関との連携等強化等も促していきたいと思っているところでございます。
 四点目といたしまして、先ほどご報告のあった高等学校のワーキングの中でも課題として挙げられておりましたけれども、義務教育段階で不登校の経験をした者が、その後も安心して学びを続けていけるよう、高等学校における柔軟で質の高い学びの保障についても引き続き検討・取組に移っていきたいと思っております。
 一点目の柱の最後でございますけれども、多様な学びの場の確保について、こども家庭庁と連携しながら進めていきたいと思っておりますし、これらの場における学習について、成績に反映されるような取組を推進してまいりたいと考えております。
 続いて、二つ目の柱、小さなSOSを見逃さない対策の充実といった観点でございます。こちらに関しましても、一人一台端末を活用した健康観察等により、心や体調の変化について早期発見を推進していくということ。また、「チーム学校」ということで、教師のみならず、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等、こういった関係者、専門性を発揮しながらチームによる対応を強化していくということ。また、こども家庭庁との連携という観点からも、一層、教育委員会と福祉部局との連携強化を促していくということ。
 また、三点目といたしまして、保護者への支援ということにつきましても推進してまいりたいと考えております。
 次に、三つ目の柱でございます。学校風土の「見える化」を通じた安心して学べる環境づくりというところでございます。
 ここに六つ項目がございますけれども、学校の評価の仕組みの改善。これを生かして、学校の風土、雰囲気を把握するための取組、ツールの整理ということと、情報提供を行うこと。また、いじめ等の問題行動に対しては毅然とした対応の充実、「授業」の改善、こういったものについても進めていきたいと思っております。また、実効性を高める取組といたしまして、不登校の要因や学びの状況を分析し把握すべく、問題行動等調査の見直しを行い、学校における働き方改革等も通じて対策の充実を図っていきたいと思っております。
 簡単ではございますが、概要は以上でございます。よろしくお願いします。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 それでは、このプランにつきまして、あるいは、今後の各ワーキンググループにおける議論への期待とかといったようなことにつきまして、委員の皆様から、御質問を含め、御意見を頂戴いたしたいと思います。御発言なさいます方は、「手を挙げる」のボタンを押していただきますようにお願いいたします。いかがでしょうか。会場にいらっしゃる方は、具体に手を挙げていただければと思います。
 それでは、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】  戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。引き続きまた御指導、よろしくお願いします。
 この「COCOLOプラン」についてですが、印象的には、本当に国の不登校対策への危機感と、その熱い思いを大変感じられるプランになっていると感じました。
 私のほうからは、本市の不登校対策のささやかな実践や、また、それに基づく課題に触れながら、今後に期待することや諸課題について述べさせていただければと思います。
 まず、一つ目の柱である「学びの場の確保」についてです。私はかねてから、学校教育の場をできるだけ多様で柔軟な形にしていくことが何よりも重要だと考えています。一人一人のニーズに応じた「多層的な学びの場」を確保して、継続的に支援を行っていくということです。本市においては、昨年度から市内の全ての小学校に、教室に入りづらい子の支援教室である「ぱれっとルーム」というものを設置しました。小学生からの支援は、結果として大変効果的であり、学校や保護者からは好評を得ております。また、先ほどもお話があった心の健康をエビデンスベースで効果検証して指導助言を行うために、不登校対策等の研究者を委嘱して、「ぱれっとラボ」というものも設置しました。また、不登校支援は、自前主義から脱却していくことが大事だと考え、産官学の多様な知見を取り入れています。例えば、これまでは退職校長が中心であった市の教育支援センターの運営を、フリースクールなどを運営している民間企業に業務委託をしました。また、令和4年度からは、今村委員が代表を務める認定NPO法人カタリバと連携をさせていただき、シェア型のオンライン教育支援センターの活用も進めているところであります。さらに、教育委員会と連携して、市内の県立高校に生徒支援室を設置し、そこに市内の中学校の教師も加わって、学習や生活をサポートする学びの場を用意しました。これも大変好評です。
 このような産官学の連携によって、今まで経験や勘に頼りがちであった支援が、より専門的・科学的な知見によって支援を継続的に行えるようになっていると考えております。
 次に、大きな二つ目の柱である「小さなSOS」についてです。これまでは、子供の小さなSOSをキャッチするには、どうしても保護者や教師の気づきに頼らざるを得ませんでした。そこで、本市では、「生徒指導を科学するをモットーに、様々なトライアルを行ってきました。その一つとして、データを活用した不登校支援がございます。例えば、学校生活を把握するアンケートについては、従来は紙のアンケートにより実施してきましたが、デジタル化しました。生徒がタブレットで回答し、臨床心理士による査定を行い、速やかに学校に返却する仕組みがあります。特に心配な要素のある子供には、フラグをつけて返却することから、教師の気づきのサポートにもなります。また、パネルデータとして経年の観察を行うことも可能になってきています。さらに、教育データを積極的に利活用し、学習上のつまずきが見られる児童・生徒に対して、徐々に指導や支援を行って、その反応を測ることにより、どのような支援が必要になるのかを客観的に判断するRTIシステム導入しています。そのデータを基にして、一人の子供を全教師で見つめ貫く、「ケース会議」を充実させていく取組を行っています。
 さらには、昨年度はデジタル庁で、今年度はこども家庭庁での実証事業を受けて、教育委員会と市長部局に分散している子供に関わるデータを、教育分野を軸にした「教育総合データベース」を整備・分析しています。小さなSOSなどをデータにより早期発見することで、プッシュ型の支援を行う、言わば「先手」の対応に転じることを目指してやっています。各自治体における各部局の今までの不連続な連携から、切れ目のない連続した連携への深化が、「こども基本法」を具現化する鍵であり、不登校対策の鍵でもあると考えています。その実現には、眼となる「学校の役割が重要」であって、子供が学びに集中できるような環境調整や、育ちの支援などに関係部局がコミットしていく、このような双方向の関係性を持続可能につくっていくことが大事だと思っています。
 最後、三つ目の柱、「学校の風土の見える化」等についてです。本市では、小学校4年生から中学校3年生まで、全学級で年二回、例外なく「授業がわかる楽しい調査」を行っています。そのアンケート結果を教育委員会の中で分析し、学校にフィードバックしています。ある意味、先生の通信簿のようになってしまいますが、この調査結果からは様々なことが分かります。そして、「楽しさや理解度の学級差が大きい」ことが毎回課題になっています。そういう中にあり、現在、「非同期型の学びと協働的な学び」の重要性を校長会とも共有しています。非同期型の学びによって、一人一人の子供が自分の学びの時間を自分自身で刻み、自立した学習者となるように努めていくことが大切です。
 また、協働的な学びにより、共に学ぶ仲間の考え方というものを積極的に受け入れることや、様々な配慮や気遣いができるようになることで、学級の支持的風土の醸成や、多様性と包摂性に基づく令和の時代にふさわしい学習モラルの構築ができていくのではないかと思います。
 最後に、課題についてですが、かつて私たちが若かりし頃は、「教師たるもの五者たれ」と言われ、教師はマルチな役割を期待されていました。しかし、近年は、学校の働き方改革とともに、仕事の「分業化」が当たり前のように進んでいます。格差や不平等が膨らむ時代において、学校はどうしても福祉的機能を担い得る場としての重要性も帯びざるを得ません。専門機関との連携が大前提になりますが、やっぱり教師はそうした専門的なスタッフに丸投げにならないように、全ての教師が当事者意識を持って子供たちの小さなSOSを見逃さないで支援につなぐことがますます重要であると考えます。
 不登校対策には、文科省をはじめとして、国のイニシアティブの発揮に強く期待をしています。一方で、文科省だけがその宿題に向き合うのではなく、教育委員会や学校をはじめ、教育に携わる全ての主体が向き合っていくことの必要性を改めて強調したいと思います。何よりも急ぐべきことは、追い詰められている子供とともに、今追い詰められそうな子供たちを救っていくことです。将来に希望を持つこと自体を諦めなければならないような状況を一刻も早くなくさなければなりません。そのために、私はこれを強調していますが、ほぼ全ての子供に、効果を行き渡らせることができるのは、やはり義務教育の学校だと思っています。改めてその自覚と誇りを持って、実践の歩みを進めていくべきだと思います。
 ちょっと長くなり過ぎました。申し訳ございません。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 戸ヶ﨑教育長の戸田市でのお取組を、COCOLOプランに則する形で御説明をいただいて、更には課題も御提示いただきまして、ありがとうございました。ワーキンググループのほうでこういったことの議論もまたやっていただきたいというふうに待っております。
 それでは、今、手を挙げていらっしゃる委員の方が、中川委員、今村委員、冨塚委員、あと、会場の方もいらっしゃいますので、また御発言もよろしくお願いします。
 では、中川委員、お願いいたします。

【中川委員】  放送大学の中川一史です。引き続きよろしくお願いいたします。
 事務局の先ほどの御説明で、これまでの主な論点がクリアにまとめられていると思いました。私からは二点お話しします。
 これはたしか第11期の際にも話題に上がっていたと思いますが、それぞれのワーキングで、それぞれの独自の課題、論点があることは十分に理解していますけれども、二つのワーキングでの課題や論点を横串にして検討していく必要もあるかと思います。それが本特別部会の役割なのかもしれませんけれども、一つのテーマに対して、義務教育ならどうなのか、高等学校ならどうなのかと、小学校から高等学校という発達段階を見据えて横断的に検討していく視点を更に意識していくべきかと思います。
 先ほど不登校児童数の増加の話題もありましたけれども、ほかにも例えば学びの多様性の件とか、デジタル教科書をはじめとするICT活用の在り方など、多岐にわたると思います。
 それからもう一点なんですが、これはこれまでも議論されてきたことではありますけれども、教員がどうやって授業改善に関する意識改革を行っていくのかという議論にもっと重点を置く必要があるということです。そして、子供主体の学びの実現のキーパーソンは教師だからです。私自身は20年以上にわたって教員のコミュニティづくりを草の根的にやってきましたが、それぞれの立場によって、地域や学校によって、教員の意識改革にどうリーチできるのか、やり方はいろいろあるかと思います。これは教員研修の問題だけではないと考えますので、何をどうすると実現するのか、そこまで踏み込んだ議論が必要に思います。是非今後御検討いただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 以上です。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 二つのワーキンググループに横串を刺したような議論をやっていくということで、11期でも一度だけ合同でやったということがあるんですけれども、今後またそれは、中川委員おっしゃるように、しっかりと考えていかなければならないと思っております。ありがとうございます。
 それともう一つ、教員の意識改革ということで、本当に教師が子供の教育条件の最大のものであるということのお話かと思います。それも含めて、どういう研修の在り方、研修というのは単に受け身で、単に知識技能の習得だけではない、伝達だけではない、そういう研修の在り方というものも、また模索していきたいと思っております。
 ありがとうございました。
 それでは、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】  発言させていただきます。今村です。今年度、ここからまたよろしくお願いいたします。
 二つ発言させていただきます。一つ目が義務教育ワーキングと高校ワーキングの議論の共有についてお話をいただきました。前回の初中分科会と総会が3月8日に最後の会が開催されたと記憶しているんですけれども、3月15日に生成系AIのChatGPT-4がリリースされて、それから世界中が同時に、私もミーハーに早速使ってみたんですけれども、もう物すごい勢いで、全く違う社会や未来を想起する体験を世界中が一気にしているというのが今起きていることで、それは前回の3月8日の段階では想定していなかったスピード感と大きな変化だと実感しています。
 東大の太田副学長が、人類はこの数か月で後戻りできないルビコン川を渡ってしまったのかもしれないなどということをおっしゃっていて、いや、東大の副学長がそうおっしゃるぐらいということは相当なことなんだなと思いながら見ていたんですけれども、ここからの中教審の議論においても、この短期間に、そんなことを東大の副学長が発言するぐらいの変化が起きているということを大前提にして、勇気を持って、学校の在り方とか指導要領の在り方とか、履修の考え方、修得の在り方とか、全てにおいての変化を想定して議論していかなければいけないのではないかということが、ここから重要な視点なのではないかということをまず一つ目に発言させていただきます。具体的なことは申し上げられなくて申し訳ありませんが、そういう気持ちだということをまず発言させていただきました。
 二つ目なんですけれども、COCOLOプランについてです。COCOLOプランについて、これまで類を見ない、非常に踏み込んだ、そして具体的なビジョンを示していただいていると思っています。同時に、もっともっと深めていきたい論点として、設置や配備すべきものについての論点に対する対策が書かれていると思っているんですけれども、やっぱり不登校の子供たちと関わっている中で、どうしても、こちらのほうで十分に自治体として、または学校として、こんな教室を準備したよ、自治体としてこんな適応指導教室、教育支援センターにしたよ、いろいろなことを準備して、このNPOと連携したよということを公式に認めてやっても、定員割れするぐらい不登校の子たちがそこには行きたくないということがどうしても、どこの自治体でも起きています。たとえそこが充実して退職教員の方々がたくさん待っていてくれたとしても、もう一つの学校みたいなところには、学校へ行けないなら行かないというふうに思うという声もよく聞きますし、配置するとか整備していくという観点で充実させていくことは大切なんですけれども、実は子供自身が既に別の形での学びの場を見つけていたり、自分で自分らしいと思える居場所を見つけていたりということだってあるわけなんですよね。なので、その多様性をどう認めていくのか、また、承認すれば良いという問題ではなくて、そこは本当に安全なのかとか、子供たちが危険にさらされていないかとかという視点を確認することも含めて、こちらが準備する居場所の利用者とかを集めていくという考え方と同時に、子供たちの側にアウトリーチしていきながら、その子の状況を真ん中に置いて支援をしていくということを、こども家庭庁的な視点と、文部科学省的な視点、両方の立場から、どんな子供たちにも安心で安全な学びの機会があるという当たり前をつくっていくということが、ここから必要だと思っています。COCOLOプランに期待をしつつ、そういった視点でも、ここからまた議論を重ねていけたらと思っております。
 以上となります。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 おっしゃるように、ChatGPTというとんでもないと言いますか、本当にルビコン川という、その例え自体がもう通用しないような、そんな状況が現実のものになって、本当にこれ、どうしていったら良いのかということで、恐らく文部科学省のほうもいろいろと御検討になっているかと思うんですけれども、大いにそういう大きな変化の中でどう考えていくのかという議論を重ねていきたいと思います。
 それから、COCOLOプランに関しましても、ついつい見落としがちなところの具体的に取り組んでいらっしゃるお立場から見ていただいての御指摘かと思います。これから是非そういった視点もまた我々に共有していただいて、その中で議論を深めて、おっしゃるように、本当に一人一人の子供、どの子にとっても、息をつけると言いますか、安心できる場所が確保できるようにということを考えていきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、冨塚委員、お願いいたします。そして、神野委員、お願いいたします。
 冨塚委員、お願いいたします。

【冨塚委員】  千葉県教育委員会教育長の冨塚です。今回初めてこの部会に参加いたします。これまで高等学校の在り方ワーキングのほうで、チーム員として参画させていただいておりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど中川先生のほうから、二つのワーキンググループでの横串にというお話がありました。私もそれを踏まえまして、義務と、高校のほうとつなげて考えたいテーマを三つほど考えましたので、本日はそれを少しお話ししたいと思います。
 一つ目は、ただいま今村委員の中にもありましたChatGPTに代表されるデジタルとの付き合い方というところでございます。よく最近は、テレビや新聞などで、学校現場でこのChatGPTとどう付き合うかであるとか、拒絶していったほうが良いのかみたいなことは話されておりますけれども、どう考えても教育現場でChatGPTを拒絶するということは非現実的です。では、入ってくるのがしようがないというときに、これをどうするかというときに、モラル、道徳教育というものが、今だからこそ必要なのではないかと、ちょっと道徳と言いますと時代錯誤的に受け取られてしまうかもしれないのですが、進化した情報通信技術を使いこなす人間である以上、それを正しく使いこなすモラルというものを併せて教育していくということが必要ではないかと感じております。これはまさに幼稚園から学んでいくべき、身につけていくべき力であるというふうに思います。
 そして二つ目に、キャリア教育という視点でございます。これまでも中央教育審議会答申の中で、社会性、そして市民性、また自立して生きていく力というものを備えていくべきということで、そのようなものを目指す教育ということでございますが、なかなか現実には、キャリア教育というものが十分に浸透していないのかなというふうに、生徒たちを見ていて感じております。本県におきましては、高校を卒業して就職をする生徒の就職率が全国平均よりも低い。そして、高校を卒業して就職し、3年以内の離職率の高さが全国平均よりも高いという課題があります。これらを踏まえまして、今年度当初予算の中で、系統的、組織的なキャリア教育に関する調査を実施することを計上いたしました。小学校、中学校、高等学校、大学というそれぞれの児童生徒たちにアンケート調査を行い、職業に関する意識といったものが、どこでどう変わっていくのか。例えば、小学生のとき、多くの男の子はサッカー選手や野球選手になりたい、ユーチューバーになりたいと、そういう夢を描きます。それがだんだん変わってきて、そしてサラリーマンに落ち着くというような、その意識の変化というようなものが、どこでどういうことをきっかけにして起こっていくのか。そして、就職した後、社会人になった後、高校時代、あるいは大学のときに、どんな勉強をしておけば社会に出てもっと役立ったと思っているか。そしてまた、企業側にもアンケートを行い、企業は、どんな教育を高校や大学で行っておいてほしいか、どんな力を身につけた子を採りたいと思っているかというようなところを系統的に調査し、今後の施策に結びつけたいというふうに思っております。
 キャリア教育については、正に幼稚園から高校まで一貫して発達段階に応じて進めていくということを、これまでもそのような取組がなされてはおりますが、実態を踏まえて、子供たちにとって効果的に働きかけるには、どの段階でどんな働きかけが有効なのかということを探ってまいりたいというふうに思いますし、この部会での議論がそうしたことにつながっていく、あるいは、本県の調査の中で、もしも参考になりそうなことがあったら、その都度先生方に御報告をしてまいりたいというふうに思っております。
 そして最後にもう一つなのですが、やはり義務、高校を問わず、教員の働き方改革というものをまず、やらなくてはならないと思っています。不登校の生徒、そして今、発達障害など特別な支援を必要とする子がたくさんいます。小学校の先生に聞きましたが、確かに一学級の中に二人から三人、発達障害と思われる子、あるいは診断を受けている子がいるということで、正に国の調査どおりの先生の肌感覚というものがあります。
 そしてまた、外国語を母国語とする生徒などもたくさんいます。そういった現実と、現在の教員の定数や加配に関する概念、考え方、基準というものが恐らく合っていないと思います。校務の省力化であるとか、校務のデジタル化を進めるのと同時に、この定数であるとか加配といったものに対する在り方というものも、この部会での議論の中から具体的な改善に結びつけていくことができれば、とても良いことになるのではないかなというふうに思います。
 そのようなことを義務、高校の隔てなく、共通して考えていけたらということを考えております。どうもありがとうございます。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 具体的に三つのテーマを頂戴いたしました。キャリア教育がなかなか浸透していないというお話で、多分あまりにも形の上、就職をしたらどうなるのかといったような、もちろんこれは権利とか義務とかそういったことを学ぶことは大事なんですけれども、御承知のように、2016年の学習指導要領改訂に向けた中教審答申の中に、キャリア発達に関する記述があって、社会の中で自分の役割を果たしながら自分らしく生きていくことをキャリア発達というんだということを言っていますけれども、正に自分の役割とは何なんだろうとか、あるいは自分らしく生きていくというのはどうなんだろうという、そういうものの見方であるとか考え方であるとか、こういったものも自分自身で育てられていく、正に自立した学習者になっているかどうかということが問われるわけで、そうなってきますと、今、冨塚教育長がおっしゃったような、デジタルとの付き合い方も関わってきますし、またそれを支える教員の働き方改革というものも非常に重要になってくると思います。ありがとうございました。
 では、神野委員、お願いいたします。

【神野委員】  よろしくお願いします。
 先ほどのルビコン川並みに、ちょっと勇気を出してお話をさせていただくと、本当に勇気を出して言ってしまえば、Society 5.0になったのではないかというところが、我々が実は一つ考えてみて良い立場だと思っています。今日の冒頭の文章にもあった「Society 5.0時代に向けた社会変化の加速度的な進展や」と書いていますが、もうSociety 5.0になったという認識の中で、私たちがこの学校改革ということに向き合う姿勢というものを改めて捉え直す必要があるのではないかなというふうに、ちょっと勇気を持って言ってみようかなと思います。
 一つ目に、ChatGPT、今、本校では、私の独断で全先生に配りました。一人一台、ChatGPT-4という月額20ドルのサービスを配っています。今日も業務改善というお話がありましたが、確かに加配もすごく大切なんですが、実はChatGPT-4を全教員に配ると、とてつもないことが起こって、正直、使いこなしているのはまだ、1割ぐらいなんですけれども、例えば、偏差値55の子が65点取れるための高校1年生の1月期末テストを国語で100点満点で作ってくださいと言ったら、20秒で作ってくるわけです。模範解答を作ってくださいと言ったら、模範解答を書いてくるわけです。とか、この子の課題ということを、このような生徒に対して、例えば、このような狙いを持った課題を作ってくださいと言ったら、それも20秒で作ってくれるわけです。その子の過去のトラブル履歴などということを参照しながら、今回起こったトラブル履歴を書いて報告書を作ってくださいと言ったら、20秒で作ってくれるわけです。というように、結局、この生成系AIを使えた先生方の業務は、今まで負われていた部分が物すごく一気に改善していく。一方で、当然そこに、どのようなデータ、つまり、個人情報も含めてどのようなデータを打ち込んで良いんだっけというガイドラインは、もう一方で考え直さなければいけないものの、正直、その破壊力はとてつもないというふうに今感じ始めています。
 またもう一つ、生徒にとってChatGPTがどういう存在になるかという話をさせていただきますと、これも結局、宿題や様々なレポート等々を一瞬でChatGPTで書けてしまい、かつ、そのChatGPTで書いたかどうか我々は判断ができないという中で、そのようなことに対する考え方をまず教員の中でも一定程度周知しておいてほしい。いきなり来てびっくりしてほしくないというつもりで、まずChatGPTを配ったという背景もありますが、ある意味でいうと、この後の社会は、ChatGPTが書けるレベル以下の文章を書いていても、全てもう使い物にならず無視される社会というふうに言うことができると思います。
 つまりは、ChatGPT-4が書いてくる文章のレベルは当然で、その上に何か人間が手を加えたいのであれば、オリジナルのエピソードを加えるとか、自分なりの文体にしていくとか、そういうようなものが求められるのであって、あれ以下の文章ということは、そもそも、もう求められていないというような時代になるということを鑑みた際に、先ほどもありました、生成系AIの使用を認めず、子供にゼロから文章を書かせるという時間をどれほど取るべきなのかということも、また改めて検討しなければいけないようなものになると思います。
 そしてまた、ChatGPTが、今、使われ方としては、文書を生成するような形の使われ方が非常に多いんですが、今は別の使い方も様々、それこそ落合陽一さんをはじめとしたAIの研究者の方々が、ごりごりといろいろなことを開発する中で、ゴールシークプロンプトと言われるような使い方をすると、どういうことが起こるかというと、あるゴールに対して、その子がそのゴールにどのような進捗で向かっているか、また、そのゴールというものに対してどのようなプロセスで進んでいけば良いのかということを、ChatGPTが質問してくれて、その質問にずっと毎日のように答えながら進んでいく、目標達成に対して進んでいくというような使い方。つまりは、パーソナルコーチのようにChatGPTをしていくというような使い方ができたりします。これができると、実は我々、ある種私としても悲願だった個別学習計画のような、子供たち一人一人の学習計画ということをしっかりと生成系AIが常にフィードバックをしながら見ていくというようなことも可能になる可能性があるというふうにも思っています。
 というように、このChatGPT、今後もいろいろな生成系AIは出るでしょうが、我々が今まで議論してきたことの中で、ある種、人力で回さなければいけないとか、そこまでのテクノロジーで手が回っていなかったよねと、それはできなかったというような部分も含めたところを、もう一度見直せるくらい強烈なテクノロジーになっているということを前提に、子供たちをどのように取り残さないのかということを、今後、あらゆる事例を基に審議させていただきたいなというふうに思っております。
 今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 いや、神野さんがChatGPTのお話をなさるのは、極めて具体性があって、非常に参考になりました。どう使うかということが我々の手にちゃんと届いたときというか、つかめたときがSociety 5.0ではないかなと思うんです。あの発想は、人間が大事にされるということがやっぱりあって、今、人間が、まだ大事にされているとは言い難い面もなきにしもあらずかと思いますので、ではどうしたら良いのかということを本当に考えていく上で、恐らく学校で先生がみんな持っているという学校は、日本の中でもそんなに多くないというか、まずないような気がいたしますので、またいろいろと、そういったところの実践からの御報告とか御提言とかもいただければと思います。ありがとうございました。
 いかがでしょうか。では、堀田先生、お願いいたします。

【堀田部会長代理】  失礼します。これからもよろしくお願いいたします。東北大学の堀田でございます。
 最初なのでちょっと大きいことを言いますけれども、我が国の学校教育の制度というのは非常に堅牢で、国とか任命権者とか設置者とかいろいろなところが、いろいろなことをきちんと安定的にやる仕組み、がっちりした仕組みがあるわけで、そのことと現在の社会の流動性、子供たちの多様性みたいなことが、いろいろなコンフリクトを起こしているんだと思います。
 これから、社会がもっと安定していくかというと、ちょっと僕は微妙な気がしていて、そう考えると、ある意味、学校教育のこの堅牢な仕組みをどれだけ柔軟にできるかが大事なのかなと。そのこととデジタルは非常に大きく関係していると思います。例えば、教育内容を考えたときに、先ほどの神野委員の話で分かるように、ChatGPTのようなものが出てきたら、そのツールをどう使うかという話のレベルではなくて、そもそも今までの教育内容がこのままで良いのかというレベルの議論が必要になると思います。
 またさらに、この二つのワーキングの報告とCOCOLOプランにも書いてありますけれども、ICTとかオンライン、いっぱい書いてあって、一方で現実は、先生のパソコンは持ち出してはいけないとか、あとは、これはインターネットにアクセスできないとか、やたら制約が入っていて、インターネットとかが、ICTが入っているんだけれども、実は先生たちは働き方はあまり楽になっていないという現実があります。
 こういういろいろな制約、これをどうするかというのは、教師の働き方にとって大きな問題だと思いますし、例えば、先ほど冨塚教育長がおっしゃいましたけれども、情報モラルも、そもそも情報活用能力の一部なので、適切な使い方、判断力、態度みたいなことが情報モラルという言葉の概念ですけれども、それを何かこう、携帯を使わせないみたいな禁止教育に使ってきた、そういうふうに制約として使ってきたという歴史があって、今ちょっといびつな形になっているんだと思います。そういう意味では、これからの学校の在り方を、我が国の良さとしての堅牢さをある程度残しつつも柔軟にして、それぞれの持ち場で判断できるような、様々なことを連携できるようなやり方を具体的にどうするかということを考えたときに、次の学習指導要領とか、それに向かっていく指導体制とか、教員養成の在り方とか、いろいろなところに大きなメスを入れるということが必要になるのではないかなと思います。
 1回目で具体的な話ではないんですけれども、大目標としては、多分皆さん、合意できると思うんだけれども、じゃあ、どこをどうするかという議論になると、やっぱりどうしても今までの安定を変えたくない形に戻りがちなので、特別部会ですから、最初ですから、大方向を皆さん確認しましょうということを今お伝えしたいと思って発言しました。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】  大変ありがとうございました。
 正にそういった方向で考えていかなければならないということだけ申し上げて、秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】  学習院大学の秋田です。
 このCOCOLOプランを大事だと思う一方で、本当に子供目線なんだろうか、子供たちが学び始めるには、生活とか遊びということが、学びとともに、大人になってもそうなんですけれども、必要なんだけれども、一つは、学校に戻すとか、学びに戻すことを急ぎ過ぎていないか、もう一度そこを考えてみることが必要な気がしています。子供たちの学ぶ権利や遊ぶ権利を、こどもの基本法ができて、いろいろなところで子供たちと話し合う中で、子供が言うのは、僕たち、遊ぶ権利があるんだというような声が出てきたり、それから、この間の不登校の特例校の先生が言っていた、夏でもバーベキューをすると、みんな戻ってくるんですよ。子供にとって、学びやとか学校という場が、子供目線においてどういう意義を持っているのかということを、もう一度考えていくということも重要なことではないだろうかと、文部科学省にいながら、とてもとんちんかんなことを言っているようにも思うんですけれども、学習ということに、学びの保障は最終的には極めて重要ですが、学びの保障に至るための子供の育ちや動き出すプロセスというものを子供の目線から考えたとき、逆に言えば、ChatGPTとか、新しくて面白ければ、子供たちは何かやってみたい、探求してみたいというふうに動き始めるんだと思うんです。そういう発想が一つ大事なのではないかと思いますし、それから、先ほど戸ヶ﨑教育長が、学校の見える化をしているということを言っていらしたんですけれども、風土の見える化、後になって不登校の子をどうするかという話よりも、不登校になる前に、子供たちが居場所を持って生活の場としていくにはどうしたら良いのか、日本の学校教育の良さの一つは、担任がいて、生活まで面倒を見たり、給食の面倒を見たり、そういうところが義務教育の間で、やっぱり生活というものを生活指導という言い方ではなくて、一緒に生活を創ってきた、そして、もしかすると高校に行っても、大学とか学力という問題ではなくて、自立した市民として働いたり、成人になっていくために何が必要なのかというところを、もう一度議論してみるということも必要なのではないかと、ちょっと時間の関係で、はしょりたいと、思っています。
 実は、不登校の子供の親も疲れています。それから、それに関わる教師はもっと疲れています。定数とか難しくなくても、せめて残業代はちゃんと払ってほしいとか、みんなそう思うのではないでしょうか。それから、保護者だって、やっぱりケアしてもらったり、つながってほしい、そういうコミュニティをどう作るのかというような議論がないと、特定の子供をどう対応するのかというような個別の議論だけでは、もう難しいのではないかと私自身は思っていて、ここでも、例えば、自宅の学習を成績に反映するとか、成績の議論の前に、もうちょっと、「君の居場所はそこで良いんだよ」と保障してあげるというような感覚が大事かと思っています。エビデンスも必要です。でも、大人目線のエビデンスだけではなく、子供の生の声をもっと取り上げていくという方向も必要ではないかと思います。
 以上です。ちょっと長くなってすみません。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 今、既にいろいろ出ていることをまとめてお話しいただいたかと思います。
 人間国宝だった西岡常一さんは、木のことは木に聞けとおっしゃった。でないと、その木が生きないとおっしゃるんですね。子供のことについても、今、秋田先生のお話を聞いていて、その言葉を思いました。子供のことは子供に聞くということを、どれだけ私たちがこれまでやってきたか。もちろんそういう努力はあったわけですけれども、今後もっと聞いていかなければならないなということを思いました。
 いかがでしょうか。
 では、奈須先生、お願いいたします。

【奈須委員】  先ほど堀田先生がおっしゃったこと、とても大事だと思っていて、これまでは選択肢があれしかなかったから、こういう授業やこういう学校運営をしてきたわけで、選択肢、つまり、本当に良かったからそれをやってきたのではなくて、それしかなかったからそれをしてきて、選択肢がいろいろ出てきているということだと思うんです。ChatGPTまでいかなくても、もうちょっと手前で考えると私は面白いと思っていて、翻訳ソフトを例えば英語の授業でどんどん使ったらどうなるかと思うわけです。すると、例えば三単現の「s」がついていないからマイナス一点とか、本当は不規則動詞なのに「ed」をつけてしまったから二点引くとか、ここは定冠詞なんだけれども、不定冠詞にしているから二点引くとかということは全部なくなりますね。すると、英語は大分よくなるかなと思うんですけれども。
 うちの学生が使っていて、この間、日本語を入れて英語にしたら、言いたい意味ではない英語になってしまうんですね。日本語の表現とずれるから。そこで英語を直すという手もあるんだけれども、翻訳ソフトを使って、私が欲しい英語が出るまで日本語を頑張るというのをやっていて、面白いなと思いますね。そのほうがむしろ日本語と英語の言い回しとか、文化的背景の違いとか、構文構造の違いとかということが、つまり、より教科の本質に関わるようなことが学べるかもしれませんね。
 また、そう考えると、これまで本当に基礎と言いながら極めて断片的で要素的なこと、しかも減点主義でやってきたななどということも思うわけです。テクノロジーが入るということは、そういった瑣末なところからより本質的なところに移行する、つまり、そういう授業づくりの可能性を持っていて、電卓を入れるということもそうですよね。だから、僕らは、例えば、「3.14とかはもう良いから電卓を使って」と言ったら、一切小学校で3.14を掛けなくなるんですけれども、そうしたら「大変なことになりませんか」と言うんですけれども、中学校へ行ったら全部「π」ですから、一切困らないという。だから、なぜそれが困ると思っていたのかということをやっぱり問い直すということが、授業の本道をどうするかということになってくるような気はするんですね。
 作文で、今、三年生から僕らはワープロを原則使っています。長い文章は手書きを一切やめました。すると、みんな作文好きになりますね。文章を作ること、表現をすることは、みんな子供は大好きなんです。でも、字がきれいに書けないとか、丁寧に書いてもうまくいかないとか、ちょっと間違ったら作文用紙を全部ごしごし消しゴムで消さなければいけないとか、すると作文用紙が破れるとか、そこで嫌になっているんですね。つまり、作文が嫌いな子供は本当にいないんです。つまり、僕らがこれまで引っかかっていたところが、テクノロジーの利用によって全然引っかからなくなって、より本質的なところに直截に行けるということ、多分、ChatGPTはちょっとどうなのかなと、今、そこを悩んでいるんですけれども、きっとそういう使い方、あるいは、そういうふうな学びの質の在り方、そして、それが僕らのカリキュラムとか授業とかを改善する。
 先ほど神野委員が言われたようなこと、多分そっちに向かうことをいろいろ御提言くださったと思うんですけれども、もうちょっとローテクで考えると、その原理原則が見えてきて、それをChatGPT、生成AIなどに代表するような、もっと高度なものに適用するとどうなるのかなということを思っています。だから、素朴な話をすれば、まずとにかく電卓、ワープロ、翻訳ソフトあたりを徹底的に使い倒すということから義務教育を始めてみようかななどということを伺って思っていました。
 あともう一つ、COCOLOプランのことなんですけれども、不登校もそうなんですが、小学校高学年の学級崩壊というのは、子供が悪くて起こるのではなくて、子供が優秀過ぎて起こることが多いんですよね。子供が優秀過ぎて、もっと面白い授業、もっと進んだ本格的なことをやりたいのに、先生がちょっとずれた手前のことをやってしまうので、やっていられなくて崩壊するということもあって、だから、その辺り、つまり、不登校とか学級崩壊というのがどういうことなのか、やっぱり僕ら学校や教師側がちゃんと問い直していかないといけない。こういうのは逸脱と言われていましたけれども、本当に逸脱なのか、逸脱ではないのではないか、もうそういうことを考えないと、30万人という数はそのことを僕らに突きつけているような気はしていました。
 すみません。以上です。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 問い直すということを二回おっしゃいましたけれども、本当にこれ、大事だなと思いながら聞いておりましたが、時間の関係で、ちょっとだけ延長させていただいて、最後、貞廣先生から御発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【貞広委員】  千葉大学の貞広と申します。座長に御配慮いただきまして、もう今日は発言しないで帰るのかなと思っていたんですけれども、ちょっと時間の関係がありますので、大きなことを一つと、小さなことを一つだけ申し上げたいと思います。
 どちらのワーキングの議論でも、もちろんこの部会でもそうですけれども、Society5.0に入ったか入らなかったかという話は別として、どのような社会でも、公教育の社会的意義の価値を決して低く見積もらず、諦めないで全ての子供が包摂されるような議論をしたいと思っています。言うまでもなく、教育は個人に対する意義だけではなく、我々全てにとっての意義になるので、決して諦めたくないということをベースにしたいということが一点です。これはとても大きなことですみません。堀田先生になぞって、ちょっと大きなことを言ってみました。
 小さなことです。COCOLOプランのほうで、こうしたものが出たというのは、社会的メッセージも含めて、本当にこういう段階まで来たんだなと思うからこそ、ちょっとまだ先もお願いしたいというふうに思う部分があります。それについては、また今後申し上げたいと思いますが、一点だけ、ちょっと気になっているのが、SOSなんですよね。これ、訴求力ということを考えると、「SOS」という言葉を使わざるを得ないのかもしれないんですけれども、SOSは救難信号ですよね。そこまで追い詰められないと先生に見てもらえないのか問題、ちょっと気になってしまって、ちょっと小さなサインでも見逃さずにチームで対応するということなんだと思うんですよね。そういうミスリードはないと思うんですけれども、本当に小さなそういうことに気がつく先生方の教育を保障するためにも、働き方改革も、という問題もありましたけれども、本当に、決して一人も取り残さないということが、この部会の検討の使命かなと改めて考えたところです。
 以上でございます。お時間ありがとうございました。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。御配慮いただきまして、まとめてお話しいただきました。
 諦めないというのは本当に大事なことで、諦めないからこそ議論をし続けていきたいと思いますし、我々の議論が本当に諦めないという思いを持って、しかも、今、小さなこととおっしゃいましたけれども、それは決して小さなことではなくて、本当に大事なことで、そういう大事なことを我々が正にChatGPTで代替ができるような会議をやっているのでは駄目なわけですから、いかに我々が人間として公教育について諦めないで取り組んでいけるかということを議論してまいりたいと思います。二つのワーキンググループに属していただく皆さんにも、そのことを託していきたいと思っています。
 それでは、大変申し訳ありませんでした。少し時間がオーバーしてしまいました。この辺りにしたいと思います。
 最後に、次回以降の予定につきまして、前田室長、よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】  先生方、ありがとうございました。次回の日程につきましては、また追って事務局から御連絡させていただきます。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】  ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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