個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会(第3回)・義務教育の在り方ワーキンググループ(第6回)・高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第6回)合同会議議事録

1.日時

令和5年2月20日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 ※WEB会議
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた教科書・教材・ソフトウェアの在り方について(審議経過報告)
  2. 義務教育の在り方ワーキンググループ及び高等学校教育の在り方ワーキンググループにおける審議状況について(義務教育の在り方ワーキンググループ論点整理案について/高等学校教育の在り方ワーキンググループ論点整理案について)
  3. その他

4.議事録

【荒瀬部会長】 皆さん、こんにちは。荒瀬でございます。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会(第3回)、義務教育の在り方ワーキンググループ(第6回)、そして高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第6回)の合同会議を開催いたします。御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、本日の会議開催方式と資料につきまして、事務局、前田教育制度改革室長から御説明をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 教育制度改革室長の前田でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、ウェブ会議にて開催をさせていただいております。ウェブ会議を円滑に行います観点から、大変恐れ入りますけれども、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の先生方には御不便をおかけすることと存じますけれども、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。今、画面上に次第を共有させていただいておりますけれども、本日の資料は、資料1から資料2-4、それから参考資料1と2でございますけれども、議題2で事務局より御説明するワーキンググループの論点整理案について御議論いただく際に、関連資料として御覧いただければと思います。また、参考資料3・4につきましては、各ワーキンググループの委員の名簿について、御参考としてお配りしているものでございます。
 事務局からは以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では、議題に入るわけでありますが、その前に、私から1点お伝えしたいと思います。
 第11期中央教育審議会の任期についてでございますが、3月8日までとなっておりまして、本日は、特別部会とワーキンググループそれぞれ今期最後の開催となります。委員の皆様におかれましては、これまでの議論も振り返りつつ、今後中央教育審議会においてどのように議論を引き継いでいただくかという視点から、活発な御議論をいただければ幸いでございます。
 それでは、議題に入ります。本日の議題は二つございまして、まず議題1が「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた教科書・教材・ソフトウエアの在り方について(審議経過報告)」、そして議題2が「義務教育の在り方ワーキンググループ及び高等学校教育の在り方ワーキンググループにおける審議状況について」といたしまして、義務教育の在り方ワーキンググループと高等学校教育の在り方ワーキンググループの論点整理案について、それぞれ事務局から御説明いただき、御議論いただければと思っております。
 なお、本日は報道関係者と一般の方向けに、この会議の模様をユーチューブで配信しておりますので、御承知おきください。
 では、まず議題1でございます。教科書・教材・ソフトウエアの在り方ワーキンググループにおいて今月取りまとめられました審議経過報告について、本特別部会の部会長代理でいらっしゃってワーキンググループの主査でおられる堀田委員から御発言をまずいただき、続いて事務局から御説明いただきたいと思います。では、堀田委員、お願いいたします。

【堀田委員】 東北大学の堀田でございます。
 教科書・教材・ソフトウエアの在り方ワーキングの主査として発言をさせていただきます。この後、事務局から審議経過報告について御報告いただきますけれども、その前に、主査として一言申し上げます。
 昨年10月のこの特別部会におきまして、私どもは一度中間報告をしてございます。その中間報告の内容としては、デジタル教科書の在り方の検討の結果と、その結果、英語をはじめとして段階的に導入していくというようなことの方向性について御報告をしたところでございました。その中間報告の後、今度は、デジタル教科書ではなくてデジタル教材やソフトウエアの在り方を中心にワーキンググループでは審議をしてまいりました。今回御報告する審議1の審議経過報告につきましては、前回の中間報告のときに出した資料に加えまして、このデジタル教材やソフトウエアの在り方について審議内容を追加したものとなってございます。
 一言申し上げたいのは、ワーキングで出された論点で重要なこととしては、この教科書・教材等のワーキングは、教科書や教材の在り方、デジタルになったらどうすればいいかということを議論しているわけですけれども、それは、これからの学習指導がどのようにあればいいかという義務教育の在り方や、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた授業の在り方に大きく規定されるものだというふうに考えております。今後の学習指導の基調となる、この個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実という観点におきまして、内容が質保証されているデジタル教科書というのは非常に重要であること。また、それに加えて、多様なデジタル教材があることで、学校や児童生徒の実態に応じるということ。したがって、そういう教材が不可欠であるということ。また、そのデジタル教材がデジタル教科書と上手に連携しているということが重要だというようなこと。あるいは、個別最適な学びの進捗状況の把握や、協働的な学びにいざなうためにも、子供たちのお互いの学習状況が可視化されるようなクラウドツールが上手に活用されることが必要であるというようなことが議論では出ております。
 資料1においては、11ページ辺りにこれらのことを論点として整理しております。
 今後、1人1台の情報端末や、高速大容量ネットワーク、いわゆるGIGAで整備されたようなもの、さらに、このデジタル教科書・デジタル教材あるいは学習支援ソフトウエア、クラウドツール、こういうものはどんどん進展していくものと思います。これらは、令和の日本型学校教育において不可欠な学習基盤だと思います。これらはすべて学習基盤だということを念頭に置いて、今後も学習基盤の環境整備について、学習ログの活用も含めた総合的な議論がやはり引き続き必要だと考えております。
 事務局に対しましては、私、主査として、この審議経過報告を踏まえた議論や取組のさらなる推進をお願いしたところでございました。
 私からは以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では続きまして、山田修学支援・教材課長から御説明をお願いしたいと思います。

【山田修学支援・教材課長】 修学支援・教材課長の山田でございます。今、画面に資料1が出ていると思いますけれど、審議経過報告を御説明させていただきます。
 1枚おめくりいただければと思います。今までどのような審議をしてきたかということにつきまして、まとめさせていただきました。第5回まで、先ほど堀田主査よりお話ありましたとおり、主にデジタル教科書について議論をしており、それをこの特別部会に中間報告という形で報告しております。その後、第6回、第7回と、デジタル教材、ソフトウエアについて主に議論をさせていただき、本日、この特別部会に審議経過報告をさせていただくということでございます。
 次、5ページをお願いしたいと思います。デジタル教材・学習支援ソフトウエアに関する委員の主な意見ということで、2ページにわたりましてまとめさせていただきました。
 まず、デジタル教材等の機能等の充実に関する視点でございますが、機能の充実といたしまして、幾つか主な意見を紹介させていただきますと、実社会で広く用いられているビジネスソフト等との連続性の観点から、ガラパゴスにしないことが大事である、学習支援ソフトウエアも既によいものが開発されている一方で、汎用性が大事という御意見がございました。また、デジタル教科書だけでなく、教材・ソフトウエアのアクセシビリティーやユニバーサルデザイン化に向けて、ガイドラインなどを明確にしていくことも必要である。アクセシビリティー等は機能面だけでなく、コンテンツを作成する際や教材を選定する際の視点としても必要であるという御意見もございました。また、教材は、検定のある教科書とは異なり、質保証等の観点から法的な制約や強制力があるものではない点に留意が必要とのコメントもございました。
 下半分のところ、活用の在り方ですが、主な御意見を紹介させていただきますと、デジタルの導入により、児童生徒は膨大な情報と直接的に向き合うことが可能となった、これにより、個別最適な教材等に出会える可能性も飛躍的に高まる、無償のデジタル教材は膨大にあり、今後も無償で児童生徒が入手できる質の高い学ぶための情報や材料は増加するものであるという御意見がございました。また、教師は、デジタル教材等の活用に際して、児童生徒の発達段階に応じた活用の在り方を示すことも大事であるとのコメントもございました。また、教材を選ぶことはカリキュラム・マネジメントと関連するものであるという御意見もございました。
 6ページに行きまして、今度はデジタル教材の多様な在り方に関する視点でございます。こちらにつきましては、まず、多様な提供の在り方といたしまして、児童生徒に個別最適な学びや協働的な学びを届けられるようにしていくためにも、教材や学習支援ソフトウエアなどの組合せを自治体や学校が選択できるような支援の在り方について検討していくことが必要とのコメントがございました。また、今までは教材のほとんどを学校や教科単位で選んでいたが、デジタル教材においては自治体単位で選ぶものもあり、自治体や学校の教育理念や独自性、スケールメリット等の観点も含めて整理することが必要との御意見もございました。デジタル教材は今後ますます進化していくことは間違いないが、紙の教材がなくなるわけではないことから、紙とデジタルのベストミックスが必要であるとの御意見もございました。
 連携の在り方についてです。シングルサインオンや学習履歴の利活用の観点から、学校で使われるデジタル教材や学習eポータル等についても、規格や環境等について、可能な範囲で公共的・標準的な視点での議論が望まれるとの御意見がございました。また、今後、学習データの利活用が進むことが想定される中で、学習指導要領コードや学習eポータル等との連携が重要、特に、教科書と教科書に準拠する教材との連携が必要であるとの御意見もございました。また、現状では、学校や教師の主観を問うようなアンケートの調査が多いが、児童生徒の端末の利活用を通じて収集できる学習ログは、学びのプロセスの可視化や調査の負担軽減の点で有効であるとの御意見もございました。
 次、11ページをお願いいたします。先ほど堀田主査からも御紹介がございましたが、デジタル教材・学習支援ソフトウエアについての今後の方向性ということで、この11ページにまとめさせていただきました。自立した学習者として、児童生徒一人一人が自ら学びをデザインし、互いに学びを深めていくためのツールとしてデジタル教材・学習支援ソフトウエアの活用を促進する環境を整えることが必要ということで、デジタル教材・学習支援ソフトウエアの今後の活用の促進に向けて必要となる方向性を3点示させていただいております。
 一つは、機能の充実と活用の在り方です。「令和の日本型学校教育」に合わせて、個別最適な学び、協働的な学びの観点や多様な児童生徒の円滑な利用の観点からのデジタル教材・学習支援ソフトウエアの機能の充実(アクセシビリティーやユニバーサルデザインを含む)などにより、主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善につなげることが必要。
 二つ目の方向性ですが、多様な提供の在り方です。児童生徒に豊かな学びの選択肢を提供する観点から、デジタル教材・学習支援ソフトウエアの学校・自治体単位での選定の在り方や、児童生徒に応じた教材等を選択できる提供の在り方等についての検討が必要。
 三つ目の方向性ですが、デジタル教材等の連携の在り方です。教材間の円滑な接続や学習データの利活用を促進する観点から、学習指導要領コードや学習eポータル等のLMS(学習管理システム)の機能を通じた、デジタル教科書・デジタル教材・学習支援ソフトウエアの多様な連携の形が必要とまとめさせていただきました。
 主査からもコメントがございましたとおり、今回、教材・ソフトウエアに関する議論を2回に分けて行いましたが、まだ議論すべき点は残されているということは共通の認識となっております。今回の議論を今後の議論に生かすためにも、会議のときに事務局から、まとめていただきました審議経過報告につきましては、今後どのような体制で議論が進んでいくかは現時点では決まっておりませんが、しかるべき検討ができるよう、円滑に引き継いでまいります、と発言させていただきました。
 事務局からは以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等ございましたらいただきたいと思います。御発言いただく方は、いつものように手を挙げるのボタンを押していただきまして、その上でこちらが指名をいたしますので、ミュートを解除して御発言いただくということでお願いいたします。御発言が終わりましたら、手を下げるのボタンを押していただいて、挙手を取り下げていただくようによろしくお願いいたします。
 それでは、岡本委員、お願いいたします。

【岡本委員】 高校部会のほうに入っております岡本と申します。よろしくお願いいたします。
 今の御説明をお聞きしながら、すみません、私の不勉強かもしれませんけれども、これだけデジタル教材とか学習支援ソフトウエアが出てきたときの、学校や教員の役割みたいなものを併せて明確にする必要もあるんじゃないかなと思っております。恐らく一部では、これは教員の仕事と今までなってきたものをこういう教材が担うような形になると思うんです。そうすると、より教員はどういう立場で学校の中で教育に携わるべきなのかというところも、この資料に合わせた形で示すことも必要なんじゃないかと思うのですがその辺りの議論はどのようなものがされているか、お伺いしたいです。お願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。黒沢委員は関連するような御発言でしょうか。また別ですか。

【黒沢委員】 別の質問です。

【荒瀬部会長】 分かりました。ありがとうございます。今の岡本委員の御質問ですけれども、どうでしょう。山田課長。

【堀田委員】 堀田が答えます。

【荒瀬部会長】 では、堀田先生、どうぞ、お願いします。

【堀田委員】 すみません、その後、山田課長お願いします。
 今の話は非常に重要な話でございまして、もちろん議論の中では出ましたが、その教師の役割は、どちらかというと、これからの授業の在り方、学校の在り方みたいな話の中に出てくる話で、それを受けて私たちの教科書や教材やソフトウエアの活用が検討されるという理解で、ここの活用の在り方のところにはそこまで書き込んでいないという状況です。ただ、岡本委員がおっしゃったように、先生方の多忙化をこれによって一部軽減しながらも、学習指導においては個別最適な形に近づくように実施することができる、そのためにも、このデジタルの教科書や教材等がきちんと整備され、各学校が選択権を持って選べるということはそれなりに大事なことだろうという意見は出ております。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。山田課長、付け加えていただけますか。

【山田修学支援・教材課長】 堀田主査からおっしゃっていただいたとおりでございますけれど、補足させていただきますと、我々、教科書・教材・ソフトウエアの在り方に関するワーキンググループということで、それに関する議論を進めていくと、先ほど主査からお話ありましたとおり、教科書・教材・ソフトウエアの在り方だけでなく、学びの在り方のような議論というのも多く出てきました。その中で、先ほど御指摘のような教員の役割ですとか、教員が役割を担っていた部分を教材に任せる部分が出てくるとか、そういうことも出てきたと思います。ですので、これはまさにこれからしっかり議論させていただくべきことだと事務局としても認識しております。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。岡本委員、大変重要な御指摘ありがとうございました。今後に生かしていくということで、御了解いただければと思います。
 では、今、黒沢委員と秋田委員が手を挙げていらっしゃいます。大変申し訳ないですが、この件は一旦、このお二人の御発言までとさせていただいて、後ほど時間の関係でまた戻って、御質問等ございましたらお願いするということで進めさせていただきたいと思います。では、黒沢委員、お願いいたします。

【黒沢委員】 私からは、質問というよりも、これからの議論の中に、またやっていっていただけるといいなと思ったところが1点だけです。
 最近、チャットボットをはじめとしたAIの活用は普通にいろいろなところで使っていると思います。その中で、ChatGPTみたいなAIを高度に応用できるような、あるいは使えるようなものが出始めてきていると思います。今後、そういうAIがますます発展する中で、ChatGPTみたいなものですとかチャットボットみたいなものをどう活用していくのか。うまく使えばいいツールになりますし、そういうツールに自分の考えや質問を丸投げして全部回答させちゃうなんていうことも今後できるようになってくると思います。その場合の利活用の仕方はどうするのかとか、あるいはその位置づけですね、全面禁止とするのか、あるいは使えるところは使っていいとするのか、こういうものは今後議論の中で深めていただくといいのかなと思った次第です。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。御意見として承っておきます。ありがとうございます。
 では、秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】 ありがとうございます。大変的確なおまとめをいただいたというふうに考えております。
 その中で1点だけ、どういう議論が起こったのかというところを伺いたいのは、デジタル教科書・デジタル教材やソフトウエアの連携ということが言われているわけですけれども、デジタルの多様なものが出れば出るほど、カリキュラム・オーバーロード、学習指導要領と教科書や教材との関係というものが問われてくると考えられます。そこについて、自治体や学校が主体的に選択できるということが報告されていて、それはそれですごく大事なことだと思う一方で、その間の選択の原理とか、その方向性というのでしょうか、学習指導要領を基準とした場合に、どのようにこれらの学習環境があったらよいかというところについての、ある種の方向性や御議論がどのようにあったかというところを伺いたいと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。では、堀田先生、お願いいたします。

【堀田委員】 必要であれば、事務局がまた付け加えてください。
 秋田先生、御質問ありがとうございます。まず、教科書の選択については、今の段階では現行の教科書採択と同じ仕組みになっていまして、これは学習指導要領にちゃんと対応できているかという意味で検定がある、そういう意味で質保証されていると私たちは今申し上げました。
 それに対して、デジタル教材については、紙の教材の頃と同じように、各学校が主体的にこれを選択し、教育委員会等に届出をするという形になっていまして、ところが、デジタルの教材は教育委員会ごとに採択するみたいなことが結構出てきているものですから、学校の選択権みたいなことをどうするのか、学校で選べるようにしてほしいという意見や、いや、教育委員会で責任を持って教材をそろえるんだとかいう話があって、この採択の方法の在り方については、今後もちゃんと審議を続けるべきだという意見が出ております。
 もう一つ、学習指導要領との対応において、教材選択の原理については、そこまで議論が及んでおりませんが、現状においては、デジタル教科書から学習指導要領コードをつけて各デジタル教材等にリンクしている場合は、学習指導要領にある程度準拠した内容の補充的な学習だったり、発展的な学習だったりするというふうに考えられると思います。しかし、今のところ、単独で出ているデジタル教材、これはこれで体系的でいいものがあるわけですけど、学習指導要領コードでデジタル教科書とうまく連携できているかというと、まだそこまで行っておりません。この背景には、学習指導要領は非常に大綱的につくられているので、教科書の、あるページや問題と教材をリンクさせるのには、ちょっと桁が大き過ぎるという現実がありまして、ここについてどういうふうに粒度合わせをしていくかということについては、技術的な観点からも、今いろいろ検討がされているところです。
 私たちのワーキングで、今回の範囲では、まだ現状を御報告する段階までとなりますが、今後も、これは学習基盤ですから、非常に大事なことですので、総合的にいろいろ議論していくことが必要だろうということになったということでございます。
 私からの説明は以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。山田課長、何か補足はございませんか。

【山田修学支援・教材課長】 ございません。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。秋田先生、今、堀田先生から御説明ございましたが、特に何か、秋田先生のお考えを聞かせていただくということがありましたら、是非お願いしたいと思いますが。

【秋田委員】 ありがとうございます。
 お答えいただいて、さらに今後検討いただくということでよろしいかと思いますが、今でも、カリキュラム・オーバーロードというか、教師にとっても、生徒にとっても、やはり教える内容を深く学ぶには量が多い感覚というのを皆さんがお持ちの中で、さらにその連携によって様々な情報が増えていくということが、いい面と両義的であろうと思いますので、その辺の原理をやはり議論していく必要があろうかと思いましてお尋ねいたしました。どうもありがとうございます。

【堀田委員】 ありがとうございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。確かに、両義的な面というのをどうよい方向に持っていくかということはなかなか難しいと思うんですけれども、是非また次期においてもその議論を進めていただくということでよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。二つ目の議題といたしましては、義務教育の在り方ワーキンググループ及び高等学校教育の在り方ワーキンググループにおける審議状況についてでございます。義務教育と高等学校について、一体的な議論をできればと思っておりますので、まず、義務教育の在り方ワーキンググループ、そして高等学校教育の在り方ワーキンググループの順で、論点整理案について続けて御説明をいただいて、その後、まとめて意見交換の時間を取りたいと思っております。
 ではまず、義務教育の在り方ワーキンググループの論点整理案につきまして、主査をお務めいただいております奈須委員から御発言をお願いした後、事務局から御説明いただきたいと思います。では、奈須先生、お願いいたします。

【奈須委員】 よろしくお願いいたします。義務教育ワーキンググループに課された課題は、Society 5.0時代に向けた社会変化の加速度的な進展や、それに伴う今後の新たな教育の可能性を見据え、学校を中心とする学びの在り方の基本的な考え方を整理するとともに、1人1台端末等の活用を含めた、多様で柔軟な学びの具体的な姿を明確化するというものでした。
 これに対して、検討に際しては、議論の枠組みを思い切って幅広に設定し、学制150周年を迎えた今日における義務教育段階の教育とはどのようなものであるべきか、また、あり得るのかについて、現状を踏まえつつも、それにとらわれることなく、自由で創造的な議論を積み上げてまいりました。
 これまでの段階では、多様性と包摂性が実現された環境の中で、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通して、子供たちが自らの学びを自己調整しながら進め、自立した学習者として育っていくという視点を大切に、学校外の教育機関あるいは地域社会との関係性の構築、また、それらを適切にコーディネートする教育委員会等の役割も含めて、誰一人取り残さない、全ての子供が幸せになる教育環境の創造の原理と実際を求めていく上で、今後具体的に検討を要する論点の洗い出しに努めてまいりました。
 本日は、論点整理案ということで、中間的な取りまとめを御提示申し上げるわけですが、さらに多くの皆様から御意見をいただき、お知恵をお借りすることで、今後につなげていくことができればと考えているような次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。それでは、資料2-1を御覧いただいて、前田教育制度改革室長から御説明をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 よろしくお願いいたします。
 資料2-1は、論点整理案でございます。論点整理の趣旨でございますけれども、先ほど奈須先生から御説明がありましたように、上二つがこれまでの設置の経緯でございます。この検討事項として、黒ポツが六つございますけれども、この6つをこのワーキングでは御議論いただいております。最後の丸でございますけれども、本論点整理の位置づけとしまして、「これまでの議論を通じて出された問題意識や課題等(別添「検討事項ごとの委員からの主な意見」」とございますが、こちらも論点整理と一体のものとして委員からいただいた御意見をつけさせていただいております。元に戻りまして、そういった問題意識、課題を基に、今後、本ワーキンググループにおいて深めていくべき論点を取りまとめたというのがこの論点整理の位置づけでございます。
 それから、次のページでございますけれども、検討事項を議論するに当たっての、このワーキンググループで全体的な包括的な視点ということを四つ挙げさせていただいています。一つが、不登校、特別支援、特異な才能を持つ子供も含め、全ての子供がそれぞれの得意分野や特性等に応じて活躍できる機会や出番を意図的に作ることが必要だとしております。学校に行きづらいと思っているが、しかし、見かけ上は通常どおり学校に来ている子供、そういった子供も含めて機会や出番を意図的につくることが必要としております。その際、学びに何らかの困難を抱える子供たち個人に問題があると考えるのではなくて、困難の背景にある学校や社会の在り方を問い直していく観点から、学校や社会が何ができるのか、どうあるべきかについて検討が必要というのを一つ目として書いております。
 それから、二つ目としましては、これまでの日本型学校教育の強みと弱みを改めて分析するとともに、従来型のあるべき論に過度にとらわれずということで、様々なあるべき論、教師が子供たちをリードすべきであるとか、学校の中で教育活動は全て完結すべき、いろいろなべき論に過度にとらわれずに、未来志向でのあり得べき姿について検討が必要だとしております。
 それから三つ目として、そうしたあり得べき姿を実現するために、教育内容、教材、指導方法以下の環境整備が不可欠であり、その際には、1人1台端末をはじめとしたICT環境の整備がこれまでの学習基盤や教育環境に大きな変革をもたらしたことを念頭に置くこととしております。
 最後に四つ目としまして、これまでの施策についての活用・実現、それから把握・評価、原因の追究と書いておりますけれども、それに加えまして、義務教育に関する社会の意識の把握ということで、今私どものほうで義務教育に関する保護者あるいは子供たちの意識について、委託をして調査していただいておりまして、それはまた4月以降に取りまとめていきたいと思っております。
 それから次のページ以降が、論点整理ということで個別の論点でございますけれども、構成としましては、左に問題意識・課題、それに伴っての主な論点ということで、表形式で示させていただいております。
 一つ目は、子供たちに必要な資質・能力と学校が果たす役割ということで、義務教育の意義の検討の視点・留意点。一つ目が、9年間の長期的な視点に立って、学年・学級という生活を共にする集団の中で、公共性・多様性の意義を学ぶことができる。それから二つ目としまして、個人の成長の促進だけではなくて、共生社会を支える市民の育成、社会の持続性を支える人材の育成という公的な役割がある。それから三つ目として、学校には社会の分断を防ぎ、平等や公正を実現するという機能が求められるが、子供を守るシェルターといった歴史的な学校の成り立ちを振り返ると、今の時代の義務教育の意義について問い直すことができるのではないか。それから最後に、1人1台端末に象徴されるようなインフラの整備によって、柔軟な学びや校務DXを通じた働き方改革が可能となるなど、義務教育の提供方法に劇的な変化があったというのを左に書いております。
 右の論点でございますけれども、多様な同世代の子供たちが集い、また、1人1台端末をはじめとしたICT環境が整備された学校で学ぶ、この「多様な同世代の子供が集い」というところでございますけれども、集まるということだけであれば、ネット上、SNSとかで集まるわけでございますけれども、毎週、月曜日から金曜日まで、朝8時に登校してくるということの学校の意義について、歴史的な学校の成り立ちを踏まえながら現代的な整理が必要であるとしております。その際には、個人の成長と共生社会や持続可能な社会の創り手のバランスでございますとか、義務教育の提供方法、これはICT環境整備に伴っての変化を念頭に置くことが必要としております。
 それから次のスライドでございますけれども、日本型学校教育の弱みと強みということで、全人的な教育や他者との関わりを重視するといった強みがある一方で、同調圧力、それから主体的に学ぶ意欲をそいでしまったり、教師の多忙化につながってしまったりという弱みもある。
 右に参りまして、そうした強みと弱みを整理した上で、令和の時代に生きる子供たちのために、義務教育として何を継承していくべきかの検討が必要であるとしています。この義務ワーキングでの議論の中では、この継承していくべきということについて何を学校でやって、これからは学校では何がもうできないよということについても含めて御議論いただいたほうがいいという御意見もございました。
 それから、子供たちに必要な資質・能力の問題意識に戻りまして、生涯学び続けるための基盤となる資質・能力や、学びと将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要となる基盤となる資質・能力を育むこと。それから、教師の支援も得つつ、主体的な学びを実現するため、子供たちに学びを委ねるということが大切であるというメッセージを強く発信することが重要だという御意見でございます。
 論点としましては、現在の指導要領において育成を目指す資質・能力を踏まえて、これまでの施策の振り返りと、今後取り組むべきことについて検討が必要としております。
 それから次のスライドでございますけれども、全ての子供たちの可能性を引き出す学びの実現としまして、学びの目指す方向性でございますけれども、一つ目の丸、同等同質神話からいかに抜け出せるか。できないことをできるようにすることは、義務教育として引き続き重要なことであるが、一人一人のよさを徹底して伸ばすという考えの優先度を上げていくことも必要ではないか。それから二つ目として、主体的に学びを選択し、自立した学習者になれるよう、機会の確保、授業改善、学習内容の重点化。それから最後に、教室の中の支持的風土の醸成によって、学び合い、思考することが可能。ICTはそのためのツールとなり得るとしております。
 右の論点といたしまして、義務教育として共通に学ぶべき内容は保障しつつ、それぞれの特性に応じて資質・能力を伸ばすために、ICTを活用した授業実践、教科書・教材、授業時数を含めた教育課程、研修の在り方等を一体的に検討し、全体像を分かりやすく伝えることが必要である。例えば、一人一人の子供が自分に合った学習の計画を作成したり、深い学びを求める子供は発展的な学習、振り返りを求める子供は補充的な学習を柔軟に実践したりできるような学びの実現について視点に含めることが必要としています。
 それから最後に、指導要領が目指す学びと、コロナ禍の経験、それから1人1台端末、ICT環境の整備という3者の関係を整理して、未来をどのように展望するかといったような議論も必要だとしております。
 それから次のスライドでございますけれども、実現のための環境整備、学校現場のリソース不足でございますけれども、論点としまして、教師として行うべき業務の整理、コロナもございまして、それからICTという環境整備もございますので、そういったことも踏まえての教師として行う業務の整理や支援、それから校務のデジタル化など、学校における働き方改革が必要。それから、教師を取り巻く環境についても検討が必要だと。それから三つ目として、学校施設につきましても、柔軟で創造的な学習を実現できる具体的な整備内容やその効果について検討が必要だというふうにしております。
 それから、校種間の円滑な接続としまして、幼稚園・保育所・こども園から小学校、小学校から中学校、校種が変わる際の環境の不適応、それから特に、架け橋期における幼児教育と小学校の円滑な接続というのは、学びや生活の基盤を培うためにも重要であるとしております。
 右の論点としまして、教師の連携や情報共有を進めることが求められるが、課題の整理と解消の取組について検討が必要であるとしております。
 それから次のスライドでございますけれども、学びの多様性として、主体的・対話的で深い学びの具体化。一つ目が主体的な学び手の育成でございます。学びの見通しを持ち、学びの方法・進度を子供が選択し、自己の学習の振り返りを行う。仲間と学びや生活を共有して、互いに成長できる機会。それから二つ目として、教師にとっての学び手としての子供観や、一斉指導を維持するためのこれまでの学習規律の概念を発展させる必要がある。それから三つ目として、家庭の社会経済的地位の差にも留意しながら、子供の現状を把握することが必要だとしております。
 右の論点に参りまして、全国で横展開をしていくためには、まずは国において、学びや授業がどうあるべきかの具体的イメージを提示していくことが必要。それに加えまして、客観的・定量的なデータだけでなく、全国学調で児童生徒の質問紙調査がございますけれども、そういった客観的・定量的データだけでなくて、子供たちの学びがどう深まったのかの事例も併せて示すことが必要だと。それから三つ目として、一斉授業か、個別学習かの二項対立ではないということや、社会の創り手としての子供たちが身につけるべき資質・能力、コンピテンシー・ベースといった学びの在り方を検討することに留意が必要だとしております。
 それから、学びのビジョンの共有としまして、管理職がリーダーシップを発揮して学びのビジョンを共有すること、これは、地域、保護者も含めて共有することが重要であるとしております。また、教育委員会についても、同じように新しい学びについてのビジョンを持たなきゃいけないとしております。
 右の論点でございますけれども、校長のリーダーシップを発揮するに当たっての学校運営に関する裁量の在り方、それから、やろうとしている学校についての主体性を支える組織としての教育委員会はどうあるべきか。また、管理職を育成・登用する仕組みについても論点として挙げております。
 それから、次のスライドでございますけども、ICTの活用についてでございますが、一つ目の丸として、知識伝達中心の従来のやり方にICTをはめるのではなくて、子供たちに求められる資質・能力を身につけることができる授業を実現するためのツールとしてICTがあるという認識を教師自身がまずは持つことが重要だと。その上で、子供に学びを委ねてファシリテートすることが重要。また同時に、子供たち自身の情報活用能力の育成も重要だというのが二つ目でございます。
 それから三つ目としまして、子供の見取りが飛躍的に可能になる。これは、これまでは授業名人と呼ばれるような先生しかできなかったようなことが、ICTの活用でできるのではないかということと、膨大な情報を学びの教材として提供する、これについても、これまで先生が自分で資料を準備して、たくさんの情報を持って用意をしなきゃいけなかったことが、ICTで、それがより簡単にできるんじゃないかというようなことで、子供たちの学びの深化が可能になる。
 それから四つ目として、学びを支える授業の在り方についても、教師だけでなくて指導主事も学ぶ機会が必要ではないか。
 これを受けまして、論点として、教育委員会や学校・教師が制御するICTの活用から、子供が主体的に学び続けるためのICTの活用への転換。それから二つ目として、教師同士の学び合いの促進、研修の実施など、ICT活用指導力の向上やICTの活用に関する意識変革のための有効な方策について検討が必要としております。
 それから最後に、家庭・地域における学びとして、ICTによって、学校・家庭・地域みんなシームレスな学びが実現するんじゃないかということで、学校における学びと家庭学習あるいは社会教育施設等の地域の学びの連携についても議論が必要だというのを論点として挙げております。
 それから次のスライドでございますけども、多様性と包摂性ということで、一つ目が、多様性の名の下に、単なる個人の放置にならないよう留意が必要だということと、学ぶ内容についての情報提供が不十分ということ。これは単元の見通しでございますとか、目標を持たせるためには情報提供をもっとしっかりやったほうがいいという御意見でございました。それから、学ぶ権利という観点からも、子供自らが主体となって考えるような機会が重要。三つ目として、誰もが特別な存在であり、ニーズを有しているということを当たり前のこととして捉えていくべきであること。また、四つ目としまして、そういった特別なニーズを発している子供たち向けにいろいろな配慮をした場合であっても、学びや配慮に対する負の印象をなくすための取組が必要であること。
 論点としまして、合意形成の図り方でございますとか学校行事の運営、授業づくりについても、子供たちが関わったりする機会を積極的に取り入れる。それから、心理的安全性が確保された対話や協働を可能とする学級経営の在り方。三つ目としまして、ケース会議などにおいて子供の状況を効果的に共有する仕組みでございますとか、計画的な研修。それから四つ目としましては、異学年や異年齢集団の協働学習的な、交流するような方策を講ずることが必要だとしております。
 それから、多様な人材の参画といたしまして、人口減少社会で学校が地域とともにつくられていくという視点が必要であるし、教師が全てを担う学校運営の自前主義からの脱却も必要。外部の力が入った場合には、教師の抵抗感を少なくするためのマインドチェンジも必要ではないか。それから三つ目としまして、民間企業が学校と連携したいというときに、教育委員会の中で内部手続をきっちり整理しておいたほうがいいという御意見でございます。
 これを受ける形で、様々な知見や経験を有する多様な人材、スクールカウンセラーでございますとか地域の人材の円滑な参画。それから、民間や関係機関と学校の連携についてのさらなる連携を図るための方策の検討としております。
 それから、学びにおけるオンライン、(3)でございますけれども、次のスライドでございますが、オンラインの意義・活用としまして、山間(さんかん)・離島の小規模校で地理的・空間的制約を乗り越えることができ、協働的に学ぶ上で有効であること。それから、人々の働き方や生活スタイルが多様化しているということで、これは、テレワークとかを我々大人はやっているわけでございますけども、そういった働き方や生活スタイルが多様化していることについて、学びの充実という観点から、オンラインの活用用途は様々あるはずであろうこと。それから、学校と学校だけではなくて、子供同士の固定的な人間関係を解消する観点から、子供たちが他校の子供と接続して学びを深めるという活用もあるのではないか。四つ目として、自治体の中では、オンラインの活用用途について、実践事例の創出を示すことが必要じゃないかということで、論点としましては、オンラインの活用について、学びを行う者が置かれている状況や属性、これは地理的な制約もございますし、それぞれ属性が異なりますので、ニーズも様々ということで、いろいろな制度面・運用面の課題の整理と、もっと柔軟に活用できないかということについて論点として挙げております。それから、実践・優良事例について、全国で共有する仕組みについても検討と書いております。
 それから、義務教育におけるオンラインの活用でございますけども、オンラインは今後さらに当たり前のインフラとなる。学校に登校して学ぶというこれまでの原則に加えて、オンラインでの学校、学びをどのように活用すると有効かという、議論が必要ではないか。これにつきまして、義務教育の意義を踏まえ、どういう状況下で、どういう子供を想定して考えるのか、整理が必要としております。
 それから最後、(4)の学校教育になじめないでいる子供たちの学びの保障でございますけども、一つ目が、安心して学べる学校づくりということで、授業がつまらない・分からない・行きづらいという子供は潜在的に多いのではないか。誰一人取り残されない包摂性のある学校の取組の一層の充実ということが一つ目でございます。
 論点でございますけども、安心して学べる学校づくりのための授業、学校運営の改善策。それから、ケース会議の活用、教育データの利活用、ふだんの授業におけるクラウドやチャット等のICTの活用など、有効な方策についての検討と書いております。
 それから、体制整備といたしまして、現在不登校の子供たちを支援する公と民の様々な組織がございますけども、ばらばらに動いているのが現状ではないか、つなぐという視点が必要ということ。それから、メタバースなども含むオンラインの活用はメリット・デメリット双方ある。ドリル型のコンテンツで自分で学習できるというメリットでございますとか、あるいは家庭環境で支援、オンライン環境が違いますので、そういうデメリット、そういった両方があることを認識して、バランスを取ってということで二つ目の丸でございます。それから三つ目としまして、学校以外の様々な学びや支援の場所を整備・活用することは重要であるけれども、支援を安易に託すことのないように留意が必要だとしております。
 論点としましては、全ての子供たちの学びの場を確保して、学びを継続できるように、オンラインの活用も含めたスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置促進と、不登校特例校、教育支援センター、学校内別室、フリースクール、様々な学びの場の抜本的な拡充をした上で、そういった組織体が有機的に連携する姿を国においてモデルを提示するとしております。
 それから、次のスライドでございますけれども、学校以外の学びの評価としまして、学校以外の場所での学びを積極的に評価していくような仕組み、いわゆる一条校以外における学びの質の保証と、その学びをどのように評価していくのか、議論が必要だというふうにしております。
 最後に、エビデンスの整備・要因分析として、不登校や不登校以外の長期欠席、不登校以外の長期欠席は、病気や経済的理由、その他ということでございますけども、教育機会の喪失だけではなくて、雇用形態の変化や世帯収入の減少など、労働力の減少や社会的自立への影響を引き起こしている。それから二つ目として、不登校傾向の子供や長期欠席の子供を含めた学びの保障についても把握することが必要。それから、問題行動調査につきましては、「無気力・不安」という項目が、かえって不登校の要因をつかみにくくしているんじゃないか。
 それから、それを踏まえまして論点でございますけども、不登校傾向の子供や不登校以外の長期欠席の子供について調査を行うなど、エビデンスを整備することが必要。それから、「無気力・不安等」について、問題行動等調査の調査設計の改善も含めて、現状の丁寧な要因分析を行って、その結果に基づいた方策の検討が必要ではないかということを論点として挙げております。
 以上が論点を、検討事項ごとに整理させていただいたものでございます。事務局からは以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では続けて、高等学校教育の在り方ワーキンググループの論点整理案につきまして、まず、主査を私が務めておりますので、私からごく簡単に申し上げたいと思います。
 もう御承知のように、令和3年答申で、スクールミッションの再定義と、それに基づきまして、スクールポリシーの策定をしていって、本当に魅力的な高等学校にしていくということが必要であると。それを具体化する中で、生徒の主体的に学習に取り組む態度をいかに引き出していくのかということが、高等学校教育においても大変重要な課題であるということでございます。
 一方で、昨年4月から成年年齢が引き下げられたということで、初等中等教育の最後の段階で、生徒が大きな子供ではなく小さな大人になっていく、その際に、どういった資質能力を養っておく必要があるのか。これまでの高等学校教育に関する議論においては、共通性と多様性ということが言われてきたわけでありますけれども、どういったことで生徒の学びを豊かにしていく高等学校教育を実現できるのかという議論を進めてきているわけでございます。
 具体的には、資料2-2から2-4に基づいて、田中参事官から御説明をいただきたいと思います。田中参事官、よろしくお願いいたします。

【田中参事官】 高等学校担当参事官の田中でございます。
 今ほど、荒瀬先生のほうから御説明がございましたけれども、高校ワーキングに関しましては、資料2-2、2-3、2-4の3点を用意してございます。このうち、本日は2-2の概要のほうで御説明申し上げたいと思います。ちなみに、こちらにつきましては、2-3が論点整理ということで、文字の形で報告書のような形にしたものでございまして、資料2-4というのは、前回1月27日に第5回のワーキングを実施した際に論点整理の素案をお示ししたのですが、そこからの見え消しという形になってございます。
 それでは、資料2-2に基づきまして、御説明申し上げます。
 まず1ページ目を御覧いただければと思います。論点整理の趣旨について書いてございますけれども、高等学校におきまして、2年前の、いわゆる令和答申で示されました「令和の日本型学校教育」を構築するために、高等学校教育の在り方ワーキンググループを、本日を含めて6回開催しまして、これまで、この4点の検討事項について御審議をいただいたところでございます。その際、教育委員会、学校・生徒等からのヒアリングも行い、議論を重ねていただきました。この論点整理につきましては、まさに本日の特別部会、義務教育ワーキンググループと合同開催ということになっておりますけれども、こういった他の学校段階との接続・連携というのも意識しながら、生徒を主語にした高等学校教育を実現すべく、今後、本ワーキンググループにおいて議論をさらに深めていただくための論点を取りまとめていただいたというものでございます。
 なお、今後議論を深めていくに当たりましては、国及び高等学校の設置者それぞれが実施すべきことを明確化するとともに、必要となるリソースの確保を含め、施策の実現に向けた見通しを立てることが必要である、こういった御指摘をいただいているところでございます。
 続きまして、2ページ目を御覧いただければと思います。ここから、4点の各検討事項に関する問題意識・課題と今後の論点ということで整理をしてございます。この中で言いますと、上のほうが問題意識・課題でございまして、矢印がありまして、下のほうが、今後具体化していくための論点ということでございます。今後深めていくべき主な論点ということですので、具体策までは至っていないのですけれども、こういったところを詰めていくべきであるというところをおまとめいただいたものでございます。
 まず、この1番目、高等学校教育の在り方(「共通性」と「多様性」の観点からの検討)というものでございまして、これは言うまでもなく、最も根本的で、高等学校教育の在り方を考える上で基盤となる論点ということでございます。まず、問題意識・課題でございますけれども、高校教育の実態は、地域・学校に非常に多様な状況であると。これは、先ほど義務教育の説明がありましたけれども、義務教育との比較でいいましても、高校教育というのは、まずもって義務教育ではない。進学率は99%に及んでいるわけでございますけれども、入試を経て、生徒が自分の通う高校を選んでいくということもございます。また、その学ぶ内容も、義務教育段階というのは、基本共通のことを学ぶわけでございますけれども、高校はいわゆる普通科だけではなくて、例えば職業に関する教科を学んだり、あるいは総合学科というのもございますし、また、仕組みとしても、全日制、定時制、通信制といったものがございます。また、高校になりますと、通学する範囲も広くなるので、これは地域によって、人口密度といったものなどによりまして、学校の在り方が義務教育段階に比べても非常に多様になってくる、こういう状況でございます。
 このように、高校を一つ一つ見ると、全く違う教育が行われていることもあるわけでございますけれども、そういった中で、全ての生徒が社会で生きていくために必要となる資質・能力を共通して身につけさせられるようにするための、つまり、多様な中でどこが共通なのか、この共通性の確保を図りながら、生徒一人一人の特性などに応じた多様な可能性を伸ばすための、現実に今広がっているこの多様性への対応、これを併せて進めることが必要だということが、まず基本的な意識として御提言いただいております。
 その上で、この共通性の確保につきましては、平成26年6月の高校教育部会の審議まとめがございまして、この中で、社会・職業への円滑な移行に必要な力、市民性、これを全ての生徒が共通に身につけるべき資質・能力、コアを構成する要素として重視しております。この視点を引き継ぎつつ、この頃と違うのは、民法改正によりまして成年年齢が18歳に引き下げられた。つまり、高校3年生は成人になる、こういった状況の変化も踏まえて、生徒が大人となる上で必要な資質・能力を身につけていけるようにすることが重要ではないかということでございます。
 これに向けまして、いわゆる資質・能力の三つの柱をしっかり生徒が身につける。なおかつ、知・徳・体のバランスの取れた成長を図っていく。こういった中で、生涯自立した学習者として学習を続けていく、こういった基盤を培っていけるようにすることが、高校における共通の命題ではないかという御意見でございます。
 こういったことを踏まえまして、今後深めていくべき主な論点といたしましては、一番下ですけれども、生徒が成人として社会の一員となるために共通で必要となる資質・能力とは何か。また、生徒が在学中に成年に達するということを踏まえて、どのような高校教育が求められるかということについて、しっかり論点を深めていくということでございます。このことは、全てのベースになりますし、当然、高校の教育課程の在り方の根本ということにもつながるのではないかという議論がなされているところでございます。
 続きまして、3ページ目を御覧いただければと思います。二つ目の検討事項、少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方についてでございます。これは、人口減少・少子化という我が国の大きな社会構造の変化、こういった中で、高校教育を全国的にどのように維持して、それだけではなくて、質の向上を図っていくかという、そういった論点になろうかと思います。
 問題意識・課題でございますけれども、近年の少子化の影響によりまして、多くの地域で、小中学校と同様に高校の統廃合も進んでおります。高校に入学する年齢、15歳でございますが、この15歳人口というものの減少は一層加速することがもう既に予測されておりまして、既に生まれている子供たちの数からいいますと、現在、令和4年は107万人の15歳人口がいるんですが、これは令和18年には約81万人と24%減る。これは令和3年の赤ちゃんたちの数を数えれば分かるわけですけれども、このことがほぼ確実であると。
 こういった中で、公立高校の適正規模、それから適正配置ということが、当然各設置者、特に都道府県において大きな議論となっております。この中で、人口が減ったから、学校規模が小さくなったから、では学校は統合だということではなくて、一定の小規模校を地域に残す必要がある場合が当然ございます。そうした場合に、小規模校のメリットを最大化するとともに、課題を最大限解消し、教育条件の改善につなげる方策を考えていくべきだということが議論されております。
 その際に一つ肝になりますのが、遠隔教育の活用や学校間連携でございます。これは、少子化が加速する地域において、それ以外の地域においても有効なツールになりますけれども、特に重要ではないかと。
 他方、こういった連携等を進めていきますと、授業時間や教育課程の各学校間の不一致、体制上の課題等もございますので、教育の質の確保・向上に留意しながら、必要な制度の見直しや体制・環境の整備などの支援策を考えていくべきという御意見でございます。
 その上で、生徒の教育条件の改善という視点、これは非常に重要であると。スクールミッションやスクールポリシーを検討し、生徒が行きたいと思える学校づくり・特色化・魅力化を進めていくことが必要であると。その際、コミュニティ・スクールの導入や、コーディネーター等の専門的な人材の配置など、体制環境を整備していくべきである。
 また、高校の多くは都道府県立でございますが、都道府県と市町村が連携協力した学校運営や、小中学校等との連携・一貫した教育も有効ではないかという御意見でございます。
 こういったことを踏まえまして、今後深めていくべき主な論点として4点挙げられてございます。まず一つは、遠隔教育の活用や学校間連携の推進を通じまして、多様な学習ニーズへの対応や特色ある教育の展開、生徒の学びの充実などを可能とするために、具体的にどういう方策を講じるべきか。その際、設置者を超えて、都道府県や学校設置主体の別を越えた全国的な連携・推進体制の構築といったことも視野に入れて、どういう取組が必要かということでございます。
 2番目といたしまして、地方には豊かな地域資源がございます。こういった地域資源を活用して、その協働的な学校運営を実現するには、どういう取組をすべきか。
 3点目として、少子化が加速する地域における高校の特色化や魅力化に向けてどういう取組が必要か。
 4点目として、そのほかどういった議論があるかということでございます。
 続きまして、4ページ目を御覧いただければと思います。全日制・定時制・通信制の望ましい在り方ということで、先ほど申し上げましたように、ここも義務教育段階と大きく異なる点でございます。定時制・通信制というのは、もともとは勤労青年のために、働きながら学ぶ青年のためにつくられた制度でございますが、これから申し上げますように、そういった実態が変わってきている中でどのように考えていくかということでございます。
 まず一つ目でございますけれども、義務教育段階におきましては、不登校児童生徒数が近年大幅に増加しているわけでございますけれども、高校段階は、おおむね不登校中退率等は横ばいで推移しているわけでございますが、一方で、通信制課程に在籍する生徒数が、特に私立の大規模な学校等で、近年大幅に増加しているという状況がございます。通信制には、義務教育段階で不登校を経験したような子供、あるいは、自分のやりたいことがはっきりしていて、通信制でしっかりその時間を確保したい、そういう多様な生徒がおりますけれども、特に不登校を経験したような生徒のセーフティーネットになっている面があると考えられるわけでございますが、一部の私立、特に広域通信制では、違法・不適切な学校運営や教育活動が展開されている例も残念ながらまだございまして、こういったところにつきまして、引き続き質の確保・向上を図ることが必要でございます。
 また、公立の通信制は、生徒数が近年あまり増えていないわけでございますが、特に経済的な面で考えますと、学費も非常に低廉で済むということもございまして、経済的に課題を抱える生徒にとって重要でございますので、一層の魅力向上・機能強化を図ることが必要ではないかという御意見がございました。
 また、生徒は自立した学習者である勤労青年という前提が大きく変化しているというのは、先ほど述べたとおりでございますが、そうしますと、定時制も含めた在り方を考えることが必要ではないかということでございます。
 その次でございます。高校も令和6年度までには、1人1台端末環境整備が完了する予定でございます。同時双方向型のメディアの活用も普及していますので、全定通、いずれの課程にあってもいつでも、どこでも、どのようにでも学ぶことが等しく認められるようにするなど、生徒の状況に応じた学びへの実現が重要ではないかということでございます。
 こういったことを踏まえまして、全日制、定時制におきましては多様な生徒が現籍校での学びを継続しながら多様な学びを実現して卒業できるよう、支援の充実、単位の柔軟な認定、通信の方法を用いる不登校特例制度の活用促進、学校間連携、課程間併修の促進、ICT活用の体制・環境整備などを考えていくことが重要であると。併せて特別な教育的支援を必要とする生徒や、外国にルーツのある生徒などに対する校内体制の整備も進めていくことが必要ではないかということでございます。今後深めていくべき論点というのは、まさに今申し上げたようなところを論点として、この3点整理しているところでございます。
 さらに、この点につきましては、5ページ目に続きがございます。まず問題意識・課題でございますけれども、実際、高校は同年齢の生徒でも学習状況は非常に多様でございますので、こういった多様な生徒の状況に応じてできる限り柔軟に対応できるように、学校間連携や課程間併修を進めるためにも、例えば学期ごとの単位認定への移行、学年による教育課程の区分を設けない単位制への移行、これは現状でも可能なわけでございますが、こういったことの取組を進めていくことも有効ではないかということでございます。
 さらに根本的な点でございますけれども、全定通という課程の区分につきまして、全定通でそれぞれどのような学びの実態があるのか、あるいは卒業後どうなのかと、そういった実態も踏まえつつ、その在り方自体を見直していくことも考えられるのではないかと。学ぶことと学校に行くことを同一視することなく、学校という場で対面でしか学べないことや得られない効果とは何なのかを議論していくことが必要ではないかと、こういうことでございます。このことを踏まえまして、今後深めていくべき主な論点というのも、今申し上げたような点が、ここ4点にわたりまして論点として挙げているところでございます。
 続きまして、6ページ目を御覧いただければと思います。社会に開かれた教育課程の実現、探究・文理横断・実践的な学びの推進でございます。こちらは高校教育の中身になりますけれども、まず問題意識・課題といたしまして、高校ではここに5個挙がっておりますが、平日・休日ともに約3割の生徒が家や塾で学習しないと回答している実態がある。それから学校での学び・授業の満足度・理解度についても、中学生以降、学年が上がるとともにどんどん下がっていく傾向がありますと。また国際比較によりますと、高校生自らの参加により社会現象が変えられるかもしれないという意識が他国に比べて低いデータもございます。
 また高校入学段階で、これは入試というものが、我が国では高校入試というのが非常に大きな存在感を持っているわけでございますけれども、実際、その高校によって入試難易度というのは異なったり、またいろいろ属性というものが異なります。こういったことに対して大人の価値観などの影響を受けて自身を評価する、これはなかなか表現が難しいですが、進学校みたいな学校に行ったらすごいねとか、ここに行ったらちょっと学力面でいまいちだねと、そういう大人の価値観が現実に世の中にございまして、そのことが生徒の自己認識というか、この高校に入ったら自分は駄目なんだとか自信がないとか、そういったようなことにつながりかねない、そういう現実があるところは見なくてはいけないということかと思います。
 また経団連などのアンケートなどを見ましても、企業がこれからの大学生に対して文理横断型の教育、そういったものを身につけた学生、若者を求めていると。そういった一方で高校におきましては、これは大学入試の影響が大きいわけでもございますけれども、約3分の2の高校におきまして、例えば高校2年生から文系理系にクラスを分けるようなコース分けなどを実施している、そういう現状がございます。
 こういった課題点を踏まえましたら、生徒が高い意欲を持って学習し、自身の可能性や能力を最大限伸長できるよう、社会に開かれた教育課程の実現や探究的な学び・STEAM教育などの文理横断的な学び・実践的な学びの推進が必要ではないかと。こういった先進事例というのは既に存在しているわけでございますけれども、これがまだ広がりが十分持っているとは言えない中で、これを今後いかに全国に広げていくかが課題ではないかということでございます。
 このことに向けまして指導側の体制・環境整備や、コミュニティ・スクール、コーディネーター配置の推進などによる国内外の関係機関とも連携・協働した教育活動の展開が重要ではないか。また、専門高校におきましても企業などの人材が教育・運営に参画して、教育課程の刷新・実践を行う取組、これはマイスター・ハイスクールという事業を文部科学省でも実施しておりますが、こういった取組を引き続き支援するとともに、今、専門高校でも進学希望の生徒が増えておりますが、こういった生徒への支援充実なども検討すべきではないかということでございます。
 こういったことを踏まえまして、今後深めていくべき論点として以下の三つがございます。これも今ほど申し上げたような問題意識を論点としてまとめているものでございます。
 私からの説明は以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それぞれのワーキンググループにおいてはこれまでずっと議論をしてきて、それをまた各委員の皆様で確認もしていただいた上で今日、出していただいていることかと思いますが、この今日の会議の趣旨は次期につなぐことが大変重要な趣旨でございますので、こういったことも併せて考えていくことが必要ではないかといったような御意見を賜れればと思います。御意見のおありの方は、手を挙げるボタンを押していただきますようにお願いいたします。いかがでしょうか。
 では岡本委員、お願いいたします。

【岡本委員】 ありがとうございました。
 これは少し議論を引き続きやっていただきたい部分ですけれども、今回、高校のワーキンググループで定時制の方々、生徒の皆さんにお話し頂きました。その子たちの多くが不登校ぎみだったのですけれども、今、こういう文章の中で出てくる言葉の中で社会性って言葉が僕には何か分かるようで分からないですよね。つまり不登校の生徒という対象と社会性という言葉がどう結びつくのか。もしくはさっきの同調圧力という、これらのある種のキーワード同士の結びつき方、もしくはそれぞれの言葉の定義をもう少し議論をしてもいいのかなと思っております。
 つまりどういうことかというと、一般的に見て社会性があるかないかというのは、例えばグループで集団行動ができることを指すとなった場合は、不登校の子たちは社会性がないみたいに捉えられてしまいますよね。一方で、私は定時制の高校の子たちと話をすると、僕から見ると社会性はあるんですよね。なので、その辺の社会性というキーワードと、あとは不登校、同調圧力、この辺の一つ一つの言葉の定義とそのつながりの部分というところは、ここはそんなに簡単にできることじゃないと思うので、是非この辺の議論は今後もしていただければなと思いました。以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。 
とても重要なお話かと思います。言葉の定義ができないまま話をしていても空回りになってしまう可能性がありますので、ありがとうございました。
 それでは今、手を挙げてくださっているのは岩本委員、平川委員、沖山委員、そして戸ヶ﨑委員、4人の方でいらっしゃいます。この順で御発言をお願いしたいと思います。岩本委員、お願いいたします。

【岩本委員】 岩本です。ありがとうございます。
 私からはこの義務教育のワーキングと高校のワーキングの両方を合わせてみたときに見えてきた、抜けている観点というか、そろえてみたときに分かったことになるんですけど、3点ほどこの観点は今後引き続き議論いただけるといいのではないかということで述べさせていただきます。
 1点目が義務教育に関してで、学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障のところです。私、高校で地域留学などの受入れとかをやってくる中で、不登校の生徒たちが家を出てとか、環境が変わって自然の中で、そして少人数の学級や地域の体験交流から、本当に不登校だったのと思うぐらいに変わっていく姿というのを本当に数多く見てきました。そうした観点でいったときに、義務教育でもオンラインとか別室とかそういったところも当然、重要でやっていくべきだとは思うんですけれども、小中学校でもデュアルスクールに代表されるような、ほかの地域の例えば小学校、中学校への留学とか就学、学校間連携みたいなものもちゃんと円滑にできるような仕組みの設計だとか、今、子供の農山漁村交流プロジェクトなんかもありますけれども、あれは短期間でやっていますけど、そういったところを例えば不登校等の児童生徒が何週間かとか数か月間、場合によっては1年間とか、そういう農山漁村の学校、地域なんかに行けるとか、そういう仕組みの設計も含めて今後、併せて議論していけるように、どこかに論点とか課題感とかで入れていただけるといいのではないかというのが1点目です。
 2点目は、これも義務教育ですけれども、全ての子供たちの可能性を引き出す学びの実現で、校種間の円滑な接続というところがあるかと思います。ここが幼保認定こども園から小学校、そして小学校から中学校などとあるんですけれども、中学校から高校というところがここは書かれていませんが、実は中学校と高校の間にも不適応だったりとか、入学者のニーズと、例えば通信制はじめ学校側の受入れ体制のミスマッチというのが起きていますので、ここは中学校から高校もというのは明記すべきだと思います。
 特に例えば外国にルーツがある生徒だとか、不登校の生徒たちに対して多様な進路の選択肢の提供だとか、例えば高校のそういったこと、体制がある学校の情報を集約して、そういった生徒たちに選択肢を認識してもらってアクセスしやすくするようなプラットフォームの構築だとか、マッチング機能の充実といったようなところも併せて重要になってくると思いますし、一方、高校ワーキングの議論では多様性とか共通性の観点なんかを見ながら、そういった包摂的な高校入試の在り方なんかも今後の論点として明示しながら検討していくべきではないかと思いました。これが2点目です。
 最後、3点目です。3点目は義務でオンライン、高校でいう遠隔教育の推進のところです。特に高校ですけれども、義務教育のワーキングでは学びにおけるオンラインの活用というところで、オンデマンドというのもしっかり入って今後議論されていくとなっていますけれども、高校教育では遠隔教育の推進に関してオンデマンドというのは想定されていないというか、中には入ってきてない。あくまで同時双方向型を前提としてなっています。一方で、高校においても今パブコメ中だと思いますけれども、病気療養中等の生徒に対するメディアの利用に関するというのに関しては、遠隔教育の同時双方向型の要件の緩和というのも今、入っています。
 今、事情によって教育の機会が狭まってしまっているような生徒は、病気療養中の生徒だけではなくて、前のワーキングでも言いましたけれども地域留学を1年間していくような生徒だとか、親の転勤に伴う、海外に行っているような生徒なんかも、例えば海外の生徒であれば時差の問題なんかもあって、やむを得ずリアルタイムでの同時双方向型の遠隔というのができませんので、そういった生徒に関しての同時双方向型の要件の緩和、オンデマンド型の授業の活用も高校教育のワーキングで今後、それも含めた検討を議論をしていくべきではないかというのは、義務のやつを見てちょっとずれている点というところで思ったところです。
 以上3点です。すいません、長くなりました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では平川委員、お願いいたします。

【平川委員】 広島県教育委員会の平川です。
 先生、個別最適もそうですし、義務教育、それから高校のお取りまとめをいただき、ありがとうございました。どれも非常になるほどと思うような視点でまとめていただいているなと思うんですけれども、そろそろこの理念とか考え方もいいんですけれども、どうやって具現化していくかをやっていかないと、例えばお近くの学校に行って、何だ、私たち子供のときと一向に変わらないじゃないかと思われる全国の方もいらっしゃるんじゃないかと思っています。
 例えば先ほど高校のところで、先行事例もあるということですけど広がってないんじゃないかというお話もあって、これは個別最適もそうですし、義務も高校もどの観点でもそうだと思うんですけど、こういう学校は既に一歩進んでいるんじゃないかとか、あるいは具現化しているんじゃないかとかというようなこと、具体案集って言うんですかね、そういうものを文科省でまとめていただいて、全国津々浦々そういう試行的にやっているところとか、あるいは具現化しているところがあるかと思いますので、それを示していくことが重要じゃないかと思います。ショールーム的に置いて、これぞ、まさに個別最適とか、これぞまさにというようなところを全国の皆さんに知ってもらい、そしてこれだったら一歩踏み出せるかもしれないというところを背中を押していく、そういう政策が必要なのではないかと感じております。
 次に引き継ぐとしたら、これは非常に難しいこととは分かりつつも、標準法の問題です。標準法は人口の増加がベースとなっておりますので今、起こっている問題というのは全て人口減少ですとか逆のことが起こっておりますので、標準法をどう変えていくのか、ここの視点を次のところに引き継いでいただきたいと思っております。以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では、続きまして沖山委員、お願いいたします。

【沖山委員】 よろしくお願いします。
 最初に感想ですけれども、先ほど岩本委員がおっしゃったこととほぼ重なってしまうので、その点をかいつまんでと思うのですが、岩本委員からオンデマンドの取組について書かれていないというお話がありました。学校現場で今、ICTを活用した授業の推進をしていますけれども、教員の意識の中には同時配信の授業の活用ということは認められても、オンデマンドというのは認めにくいという発想が本当に強いです。これはログの活用とか、いろいろな方法があると思うのですが、本当に勉強しているかどうかを把握するのが難しいという発想から同時双方向の授業配信しか認められないといった議論になりがちです。したがって、どうやって学校外での学習、生徒の学びということを把握していくか具体的な方法が確立してこないと、なかなか難しいと感じています。
 それから、あとの中高の接続についても岩本委員からありましたけれども、そのことも大事な指摘だと思っています。中高の接続ということで言えば当然、これは入試が大きな問題になると思いますけれども、高校入試において例えば都立のチャレンジスクールでは、学力検査も調査書の提出を求めない取組をしているわけですけども、これをもっと進めて、本校は今年度から不登校の経験を持っている子供たちを積極的に評価していく選考基準なんかを設けるようにしました。このような方策により小中で不登校でいる子供たちが将来の進学に向けて不安を感じる必要がない、子供たちに安心して高校進学、選択肢を示していく意味で、高校入試の在り方についてももう少し具体的に御議論されていいのかなと感じました。
 最後、質問ですけれども、義務のワーキンググループの説明を大変興味深く拝聴しました。1点伺いたいのは、ICTを活用した義務教育の提供の在り方を今後議論していく必要があるという御説明がありましたが、その議論の中には、例えば義務段階において通信とかオンラインを活用した学習の保障みたいなことも視野に入れた議論があったのかということです。以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。義務教育ワーキングでの議論についての御質問でありますが、これは後からまとめてお答えいただきたいと思いますので御準備をよろしくお願いいたします。
 それではこの後、戸ヶ﨑委員に御発言いただきますが、その後、石崎委員、そして貞広委員に続けてお願いしたいと思います。戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 遅参して失礼いたしました。私から大きく二つほど申し上げます。
 一つ目は、義務と高校の両者に関わることとして、日本型学校教育の「強み」や「弱み」を踏まえた議論が必要と考えますが、このところ「弱み」を補うことに論点がシフトしているように思えてなりません。義務WGの資料には入れていただきましたが、日本の教育はある意味、良さを徹底して伸ばすことを最優先にせず、できないことをできるようにすることを最優先にしてきたと思います。今後、その優先順位を入れ替えていくべきと常々思っていますが、それと同様にこの両方のWGにおいて、これまでの日本型学校教育の「強み」を一層伸ばすことの議論ももっと深めていくべきと思います。
 二つ目は、これはあくまでも一般的な話にはなってしまいますが、ICTを積極的に活用した授業展開や総合的な学習の時間、高校は探究の時間が、小、中、高と上がっていくに従い教師主導の予定調和的な授業が増え、言い方は厳しいですが学びの熱量や質が下がっていっていないかという問題意識がございます。このところ全国の多くの自治体の教育関係者の方々と話す機会がありますが、皆さん、ほとんどの方が同じ問題意識を持っています。これでは、「生徒を主語にした」教育とは真逆のものになってしまいます。
先ほどの高校WGの論点(案)の中では、様々な新たな仕組み、システムの提案がなされており、今後に大きな期待をしたいところです。一方でこれは義務教育も同様ですが、現在の仕組みの下でも「生徒を主語にした」先進的な教育や優れた教育が実践されているところもあります。つまり、そろそろ事例集からは脱し、高等学校は「多様な中で共通した優れた実践」を広げていく具体的な方策や逆に広がらないボトルネックになっているものなどを深掘りしていく必要があると思います。
 その際、視点として義務WGの論点整理(案)には登場してきている校長のリーダーシップや教育委員会の役割などの文言が、高校WGの論点整理(案)の中には、登場していませんが、これは現状において特に問題がないと捉えてよいのか疑問を感じました。
 また、この資料2-3の2ページに「義務教育において育成された資質・能力を更に発展させながら」とありますが、「生徒を主語にした」高等学校教育の実現には、義務教育との接続に関わる在り方は極めて大事だと思います。先ほど岩本委員も言われていた中高の接続連携などについても、視点を変えると、市町村教育委員会と高校の設置者である都道府県教育委員会との具体的な行政連携の在り方まで含めて、早めに何らかの方向性を明確にする必要があると感じました。以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では石崎委員、お願いいたします。

【石崎委員】 よろしくお願いいたします。
 私は高校教育の在り方ワーキングに出させていただいておりますけれども、その会議のときにもお話しさせていただいたんですけど、今お話があったような義務教育で身につける力と高校等の接続が必要だということを何回か申し上げてきましたので、こうして並べてみると、そこのところが大事だなということを改めて感じた次第です。
 それはさておきまして高校教育の在り方、それから義務教育の意義というところでそれぞれ資料の中に記載があるんですけれども、義務教育のところで持続可能な社会のつくり手の育成、そして高校教育では成人として社会の一員となるために共通で必要な資質能力ということには私も全く異論のないところです。今後の議論の在り方として、この資質・能力の中で、学校で学ぶべきこと、学校で身につけなければならないことは何かということをもう少し明確にしていただくようなことはできないかと思いました。
 こういう大きいくくりで書くと、最後は何でもかんでも学校でやることになってしまいがちなのがこれまでの学校教育の在り方というところで、そういう部分で今はなかなか教員の成り手がいないとか、学校が大変だとかという部分の遠因になっているのかなとも思います。もう少し学校で身につけなければならないことは何なのかを明確にできないかなということを、次の論点のところで是非考えていただけたらありがたいと思います。
 今日のお話の中でも義務教育段階でとか、高校段階でというような御説明があったかと思うんですけれども、発達段階として身につけるべきことと、その中で学校の中で身につけなければならないことというのを分けて議論できるといいのかなと思いました。以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞広と申します。
 私は義務教育のワーキングに籍を置いておりますので、本日、高校ワーキングでお示しいただいた資料を基に今後の議論への方向性ともう一つ、全体的なことについて意見を申し上げたいと思います。
 まず、一つ目でございます。今お示しいただいています資料の4ページ目の、スライドの上の問題意識の一番最後の丸のところでございます。全日制・定時制においては多様な生徒が現籍校での学びを継続しながら多様な学びを実現して卒業できるように、もろもろの対策を今後考えていくという文言のところでございます。これは恐らくは全定通という学校の種のくくりというよりも、それらをシームレスにして、それぞれの子供たちに応じた学びのありようを保障するシステムをつくっていくことであろうかと理解をいたしました。この点については、義務教育についても重要な考え方であろうと思います。是非高等学校の段階で先行して、蓄積した知恵を義務教育の段階でも将来的には適用するような方向性を持ちつつ、議論ができればと思います。
 具体的には、義務教育の段階においても、先ほど前田室長からの御説明にもありましたとおり、24万人という学校に行かない子供たち、または学校にいたとしても非常に居づらい思いをしている子供たちがいるわけです。そうした子供たちが一条校に限らず、一条校と緩やかにつながりながら地域や市町村や、場合によっては県の教育委員会や、またはNPO等が提供するプログラム等も履修しつつ、それらを総合的に全体として子供たちの学びが保障されていくシームレスな学校の学びのありようも、義務教育段階でも検討する可能性があるのではないかということです。これが1点目です。
 2点目でございます。今日お示しいただいた両ワーキンググループの論点整理も、論点があまりにもあり過ぎて私、おなかいっぱいという感じです。戸ヶ﨑委員は弱みをどうするかというようなことに論点が移り過ぎているんじゃないかとおっしゃいましたけれども、いずれにしても、かなり多いなという印象です。多いからといって少なくしろと言っている意味ではありません。これらに一つ一つ地道に対応していくと、いわばちょっとずつバンドエイドを貼っていくと、部分的には最適になっても、一番大事な土台の部分はすごくゆがんでしまうようなことが起きかねないのではないかということを懸念しています。1個1個の課題に対応するのも確かに大事ですけれども、その総和としては恐らく学校制度の在り方であるとか、公教育の在り方自体を大きく転換したり考え直したりするような、根本的な検討がなければ、全体的なひずみを生みかねないと思います。よかれと思ってやったことの総和が、全体として大きなマイナスになるイメージです。
 具体的には、今の日本の公教育というのは就学義務、対面履修主義というものが基本になっていますし、学びは学齢期に押し込められています。また、リソースの配分の様式というのも人口が増え、先ほど標準法のことについてもコメントがありましたけれども、標準法がその対象になるかどうかは議論があるところだと思いますけれども、リソースの配分のありようもこれからの人口動態のありように本当に適合しているのかどうかも含めて、ここのワーキングじゃないと思うんですけれども、学校制度そのもの自体をしっかりと、こうした多くの対応をしたときにそのひずみが起きないように見直すのはどうしたらいいのかということを、検討する場所が必要なのではないかと強く感じました。
 以上2点でございます。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。今おっしゃった学校制度についてという議論、中教審ではもちろんやっていくわけですけれども、その中でとりわけ今、義務教育と高等学校教育と分けてやっていって、その中でどういうひずみが出ているのかが主にどんどん書き出されてきている状態かと思います。先生の御発言をお借りすると、バンドエイドが貼り切れないぐらいいっぱい出てきているということかと。
 そういう中で必要に応じて、場合によってこのワーキンググループではなくてもう少し違った段階でやったほうがいいんじゃないかとなってきた際には、中教審の中でまたそういった議論の場をつくっていくことが大変重要かと思います。ありがとうございます。
 では続きまして中川委員、堀田委員、そして鍛治田委員、青木委員の順でお願いしたいと思います。中川委員、お願いいたします。

【中川委員】 ありがとうございます。放送大学の中川です。資料をおまとめくださり、ありがとうございました。これは先ほどの義務教育ワーキングでも議論されてきたことは理解しましたけれども、三つのどのワーキングにも関連すると思いますので、ここで発言させていただきたいと思います。
 これまでの一斉指導中心、それから一律な活動中心からどのように子供主体の学びに移行していくのか、もちろん、これらは二項対立ではないと考えていますけれども、子供にどこまで学びを委ねられるのかをさらに前面に出すべきかと思います。つまり、端末1人1台環境やデジタル教科書、教材、ソフトウエアの活用について申し上げますと、いつも一斉に端末を出して一斉にしまうことの活用がまだ大前提になっているかのように思いますけれども、子供自らが適切な活用方法を判断する、使わないことも含めてですけれども、こういう姿を検討することも必要に思いますし、これは1人1台端末が入っただけでは変わらないこともありますので、学びの在り方との議論とつながってくることだと思います。横断的な議論事項かと思います。
 そして、そのためにはコンテンツベースからコンピテンシー・ベースへの移行、つまり情報活用能力など学習の基盤となる資質能力に関して、全校を挙げて、あるいは自治体を挙げて児童生徒に身につけていくことが重要だということが肝だと思いますので、さらに強調していただきたいと思いますし、好事例も出していかないと広がらないと思います。引き続き、発展的に議論をこの点についてお願いしたいところです。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では堀田委員、お願いいたします。

【堀田委員】 ありがとうございます。私は義務教育ワーキングにおりましたので高等学校教育ワーキングの御報告を伺いまして思うところを述べます。
 今の中川委員の御発言とも随分絡むところでございますが、高等教育の在り方ワーキングの論点整理案、資料2-3の6ページのところ、ICTのことです。義務教育の在り方ワーキング、あるいは先ほど私が御報告申し上げたデジタル教科書等のワーキングでも、学習基盤という考え方でGIGAの端末が、義務教育段階ですけど全ての子供たちに行きわたったということは、学習指導の前提となる環境が大きく変わるということであり、これは今、中川委員がおっしゃったように学習とか授業とか学びを考え直すタイミングであるということだと思います。
 この学習基盤をこれからどうやって持続していくかは非常に大きな課題だと思います。旧来の授業のやり方にICTが要らないような言い方でICTを拒む例もまだ少なからずあるように思いますが、これから児童生徒一人一人が情報端末を使っていろいろな学習リソースにアクセスし、多様な方々とコミュニケーションをとりながら学んでいくのは、これからの学びの姿だと思いますので、その学習基盤となる端末のことを義務教育ワーキングでは割と強目に書いていますが、高等学校教育においては義務教育ではない分、この端末の整備をどのように財源とか整備の方針とか学校種、専門か普通高校かとかによってもいろいろ違うと思いますので、この辺りを今、提示いただいている真ん中あたりのことでうまく書いてあるんだと思います。
 義務教育段階で学習基盤としてこういう端末を用いてきて学んできた子が、自分の適性や将来に合わせて高等学校を選んでいくんだと思いますので、選んだ先でも同様の学び方が続けていけると同時に、より高度な、やや専門性の高い学びが高等学校で提供されると理解しています。高度で専門的な学びに必要な情報処理は自分の持っている端末では無理かもしれないので、そういう意味でもっと高度なコンピューターが学校に配備されるべきだと思いますし、こういうような辺りの書き分けをうまくしていただいて、繰り返しますけど学習基盤としてこれらをどのように持続的に整備を続けていくかは、財源の問題もあって難しいのは分かりますけれども、これから非常に重要な課題だと思います。高等学校を中心にお話ししましたが、これはもちろん義務教育としても大事なことだと思って発言しております。以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では鍛治田委員、お願いいたします。

【鍛治田委員】 通信制単位制高校のYMCAの鍛治田と申します。現場からお話しさせていただきます。
 先日、入試を行いました。約150名の受験生がありましたが、ほぼ全員不登校経験のある生徒たちです。志望理由のその9割が学び直しをしたい、そして先生が優しそうだからということでした。逆に言えば、学びたかったけれども何らかの理由で学べなかった人たち、そして先生にゆっくり話を聞いてもらえなかったのではないかと、先生方の忙しさや負担増を感じておりました。
 まず一つ、1点目、学校間連携の話が出ておりますが、その中で単位互換まではまだ出ていないかと思います。時々、私学の全日制の方から相談されまして、何とか不登校の子をしばらくの間、通信制で見てもらって、また戻って自分の学校で戻れるような、そしてその学校を卒業できるような、そんな仕組みはないだろうかと尋ねられています。私たちも全日制の履修の単位に通信制の分が当たるかどうかという議論もあるかとは思いますが、今後そのような単位互換であったり学校間連携ができないかという点で検討いただけたらと思っています。
 2点目は岩本委員もおっしゃいましたが、校種間のミスマッチですが、小学校から中学校に上がるときも生徒たちによっては苦しいようです。毎時間、先生が変わるとか、テストがあるとか、随分、小学校と、担任の先生が教室にずっといるわけではないということで、この辺りも大事なときではないかと思います。
 3点目です。現行の学習指導要領について、目指す資質や能力についてずっと話されております。知識技能以外の能力のところで二つ新たなポイントがありますが、いずれにしましてもこの点数で測れる能力と点数で測れない能力、そこに私はもう一つ、足さないといけないのではないかと思うものがございます。それは生徒の命といいますか、生徒の存在そのもの、あなたには価値がある、そういったものを今後、生徒に感じてもらう。そうすることによってバランスのとれた成長ができるのではないかと思っています。
 最後に、先ほど端末の話もありました。令和6年に高校にもとありますが、これは公立のことになるかと思います。私立も無償化になったために経済的に厳しい生徒が多くおります。特に通信制の生徒たちも経済的に厳しい家庭も多いですので、その辺り、私学への助成についても検討いただきたいと思います。以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では青木委員に御発言いただきますが、今、黒沢委員も手を挙げてくださっていまして、黒沢委員、塩瀬委員ですか。誠に申し訳ありませんが、時間の関係で塩瀬委員までとさせていただきたいと思います。
 では青木委員、お願いいたします。

【青木委員】 青木です。ありがとうございます。私の画面からだと今村委員と田村委員もお手が挙がっているようですが、後でお取扱いは部会長にお任せします。私は高校ワーキングに所属しております。どうぞよろしくお願いします。
 三つの取りまとめ、それぞれ、今のタイミングでは合理的な内容が議論されて、それがまとまっているんだなと思いました。今後につながるようにという部会長のお申し越しですので、それについてだけお話ししたいと思います。
 学びの主体を主語にするようなスタイルでいずれも書かれていて、それは最近のトレンドでよろしいかと思うんですが、つまりデマンドサイド目線が結構含まれているんだと思うんですが、他方でサプライサイドについて、特にリソースの確保とか支出、サプライサイドの例えば教員とか教育委員会とか国の在り方については、まだ十分議論されていないように思いました。
 例えば情報教材というんですか、新たな教材についても仕様書を満足に書ける教育委員会が1,700のうちどのぐらいあるんだろうかと考えると、非常にお寒い状況ではないかなと思います。あるいは国についても学制150年というお話がありましたが、掛図なんていうのは教育史の授業でやりますが、当時として最先端で、恐らく国がかなり意識的に情報収集して普及を図ったんだと思います。ということを踏まえれば、こういう新たな形のデジタル教材等についても国が積極的に情報を収集して、認証制度でも何でもそのぐらい踏み込んで適切な普及を図るのが必要になってくるんじゃないかなと思います。
 高校については、例えば探究の時間というのが新設されて、それはとてもいい方向だと思うんですが、探究を教える先生をどう養成するかということのロジスティックスの面で今後議論がまだ必要ではないかと思いますし、高校については参事官付きの形である意味、これまで国としては高校教育に、コミットメントは緩やかだったわけですが、一つの課に近い組織で制度やカリキュラムや定数やいろいろなことを一体的にワンストップ的に所管しているわけですので、そういう強みを生かして今後も一体的な高校教育の在り方についての議論が必要になってくるのではないかなと思いました。
 感想でありますが、以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。私がスクロールをできてなくて、今村委員、田村委員までお願いいたします。したがいまして、大変申し訳ありませんができるだけ短くお話をいただくようによろしくお願いをいたします。
 では黒沢委員、どうぞ。

【黒沢委員】 私から手短に。今後、不登校特例校の設置が増えてくると思います。この議論というところで不登校特例校としての在り方、特に公立の特例校はどうあるべきかとか、設置の基準等は柔軟な教育課程を組めるということだけだと思うので、その辺り、どの程度どうしたらいいのかとかを、あるべき姿を少し今後議論していただければなと思っています。
 加えて、30日欠席しないと特例校って転校してこれないですけど、30日じゃなくても来たい子が来てやって、その中で自分のペースで学べる、そんな学校にしていってもいいのかななんて思ったりしますので、是非特例校の在り方というのを今後議論していく必要があると考えます。これが一つ。
 もう一つが人材の確保です。特例校といっても特別に何か研修を受けた教員が来るわけじゃなくて通常の教員が回ってきますから、研修の仕組みですとか、あるいは特例校に向けてというわけではないですけど、全体として特例校の取組をしっかり学べるような仕組み、あるいは人材を確保する仕組み、または一歩踏み込むと配置基準もどうするのかとか、その辺りも今後議論していただけると、なお良いと感じます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。それでは失礼いたしました、今村委員、田村委員の順でお願いいたします。塩瀬委員、お願いします。

【塩瀬委員】 ありがとうございます。京都大学の塩瀬と申します。高校ワーキングに参加させていただいております。
 コメントとしては、三つのワーキングの今後に共通してつながるところでお話ししたいと思ういますけれども、もう単純で、もう「学びたければいつでも、どこでも学べるんですよ」というのを改めて言葉にするだけかなと思います。そのことをちゃんと児童生徒に伝えてもらいたいし、学習権という、権利を持っているはずのことをしっかりと児童生徒に伝え、それを自ら選んでいいことを、小学校1年生からちゃんと伝えていただけるような学校であって欲しいと思います。
 そこが、例えば先ほど話題にあがっていた不登校特例校に関しても、不登校特例校の前に、そもそも不登校の人数を数えるときの「問題行動」、「問題調査」という表現をやめてほしいと思っています。心を痛めるほど無理をしてまで、学校に行かなくてもいいはずですので、問題行動という捉え方がそもそも違和感を覚えます。ただ学校に行くか行かないかは、これからの政策運用上、把握しておいたほうがよいので人数を数えるのはやっておいたほうがいいとは思います。しかし、せめて「問題行動調査」という表現をやめていただいて、本当に「どこでもいつでも学んでいい」と大人たち真剣に思っているんだということを伝えていく必要があるのではないかなと思います。
 そういう意味で、これからの本当に児童生徒に必要な学びの中からそれぞれの分科会として落としていった具体的な政策、その推進体制が必要だと思いますので、それがどうしても今までの過去の学校の姿に引っ張られて議論をする限りはアイデアにも限界があります。例えばデジタル教材についてもそうですが、せっかく自分たちで内容や進め方を選べるはずなのに学年主義や、課程主義に支配され過ぎると、それ以上先に進んではいけませんとか、生徒によって違うものを受け取ってはいけませんって言って、せっかくのデジタル教材の価値が毀損されてしまうのは非常にもったいないと思います。せっかく新しい教材を手に入れたんだからこそできる新しい学びから新たな運用の方法を紐解いていただきたい。
 そういう意味でいうと、学校における「平等と公平」の議論についても本来は更新すべきところ、今までの学校に基づいた議論に肩より過ぎな気がしますす。先ほど平川さんがおっしゃっていた標準法の観点もそうですけれど、教室には人数がこれだけいないといけないという数字の設定も過去の議論の延長線上でしかないため、実態と合わなくなっている。結局、学校を無くすという判断は実行しにくいことから、毎年標準学級を下回る統廃合基準を見直しながら、場当たり的にやるのは本当にもったいない気がします。教室は1人だろうが100人いようが「学ぶ場所は自ら選べる」という新しい学びを前提として、それぞれの部会でご議論いただけたほうがよいかと思います。「学びたければいつでも、どこでも学べるんですよ」というのを何よりも 前にそれは自分で選べることそのものが絶対的に子供たち自身の権利であるというところを、是非皆さんで伝えられたらなと思います。以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。大変失礼いたしました。では今村委員、どうぞ。

【今村委員】 ありがとうございました。私は義務と高校、両方参加させていただきながら、すごく共通した議論だなと思いながら勉強させていただいておりました。
 その中で、この義務にも最後の辺りに明記いただきましたけれども、これは先ほどの貞広先生の議論、今の塩瀬先生の議論とも重なりますけれども、一条校以外の場所をどう本当に正式に子供たちにとっての学びの場としていくのか、その在り方はどうなのか。
 高校では既にそれが先んじて通信制が、面会指導の時間だけではなくて通信制に通いながらサポート校に行くという、実質的にフリースクールといいますか、民間施設が子供たちの学びと心の伴走をしている実態を踏まえると、それら家庭がそこを選ぶならそこのサポートに行けるけどという状態ではなくて、あくまで学校で学ぶことの一貫した必要要件としての場なんだということをどう位置づけていくのかということ、これを義務教育でも在籍校としての一条校にいながらも、フリースクールにも行って心を支えてもらっている、学んでいる状態をどう捉えるのかということ、通信制に行きながらサポート校で学んでいること、学校に在籍しながらその他施設で学んでいること、これらというのはすごく共通した部分があるんだと思います。
 子供の学びのデマンドサイドに立ったときに、学校をもちろんよくしていく、全員にとっていい学校をつくっていくことの努力はきちんとしていくべきですが、でも学校という場所の価値の軸が違う場所があるということ、それも認めていくことを同時に進めないと、全ての子供たちの学習権保障を社会としていくことはなかなか進んでいかないんだと思います。それがもう子供たちの状態として見えているんだと思います。ここについて次回、深い議論を重ねていくところでは、そこにも踏み込んでいきたいと思いました。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では田村委員、大変失礼いたしました。よろしくお願いいたします。

【田村委員】 では簡単にまとめさせていただければと思います。大阪教育大学の田村と申します。
 私は高校ワーキングにおりますが本日、義務教育ワーキングで子供たちの多様性ということを踏まえてDE&Iの考え方に立って個別最適な学びのあり方を検討する中で、子供自身に委ねていくとか、子供自身が選んでいく、子供の個別のカリキュラムを子供自身の手でもつくっていくことが非常に力強く議論されていることを知りました。
 その際に2点考えたんですけれども、個別最適な学びだけでなく、もう一つの協働的な学びがありますがということで、これをつくっていくのも子供たち自身の力の影響というものがあると思います。協働的な学びにおける子供の関与をどう考える、していくのかも議論に是非加えていただきたいと思います。ことと、そしてそのように子供たちに委ねていくことは、先生方はこれまで御自身がそういう教育を受けてこられていないので、なかなか難しいことだと思います。私自身、1,000人以上の規模の調査をしたことがありまして、学習づくりに子供たちを、参加させることについてどう思いますかということをお尋ねする趣旨の調査だったんですが、6割以上の先生方がやってみたいと答えられたんですが、その一方で子供の発達段階や能力差、個人差によって実際は非常に難しいのではないかとか、あるいは、それを整えるための事前準備のための教師の時間や指導技術といったものに非常に課題があるのではないかという意見が自由記述にたくさん書かれました。つまり、やってみたいけれど、できない理由というのがかなりたくさん出されておりました。したがいまして、このような学びを実現していくために教師をどのように支援していくのかを議論を深めていければと思います。
 それからもう1点です。このたび、高校ワーキングでは生徒さんに直接声を聞きましたし、義務ワーキングでもアンケートを参照されているところですけれども、どんどんこういうことは国民的な議論としていくためにも、子供たちを始め、当事者たちの声もどんどん聞いて議論を進めていきたいと思いました。以上です。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。それでは、まだ御意見のおありの方もいらっしゃるかもしれませんが、時間の関係でここまでとしたいと思います。本日いただきました御意見を踏まえて、事務局におきまして必要な修正を行っていただいて、論点整理として取りまとめることになりますけれども、その論点整理の取りまとめはそれぞれのワーキンググループの主査である奈須先生と私にお任せいただくことで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。それではよろしくお願いいたします。
 また、後ほどそれぞれの事務局から各委員には、御意見がございましたらいついつまでにということで、メールでお答えいただけるようにしてもらうことをお願いしたいんですけれども、ワーキンググループに入っていらっしゃらない委員の方もこちらの教育制度改革室に御意見を頂戴できればと思いますのでよろしくお願いいたします。それらを受けて、先ほど申しましたように奈須先生は義務教育、高等学校教育は私でということでまとめまして、また御提示をしたいと思っています。よろしくお願いいたします。
 事務局には次期中央教育審議会に引き継いでいただきたいと思っております。今日もたくさん貴重な御意見をいただきましたので、それを踏まえた論点整理にして引き継いでいただくということでよろしくお願いいたします。
 では時間が超えているんですけれども、最後に事務局の堀野初等中等教育企画課長から御発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【堀野初中企画課長】 委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ活発な御議論いただきまして誠にありがとうございました。
 昨年2月に特別部会を設置してから約1年の間、教科書、教材、ソフトウエア、義務教育、高校教育の在り方という広範かつ教育の根幹に関わる非常に重要なテーマについて議論を進めていただき、感謝を申し上げます。特にデジタル教科書の段階的導入やデジタル教材、関連ソフトウエアの活用促進について方向性を打ち出していただいたことは、今後の文部科学行政にとっても大きな意味があると感じております。
 また義務教育、高校教育の在り方ワーキンググループにおいても、ワーキングを設置してから4か月という短い期間で様々な重要な論点を整理していただき、感謝申し上げます。文部科学省としてはおまとめいただいた審議経過報告や論点整理の内容について、来年度以降もしっかりと引継ぎながら、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。
 改めて特別部会、ワーキンググループの委員の皆様、そして部会長、主査の立場から議論をおまとめいただいた荒瀬部会長、堀田委員、奈須委員の御尽力に感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。本当に活発な御議論いただきまして感謝申し上げます。ありがとうございました。
 本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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