幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会(第11回)議事録

1.日時

令和5年1月30日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議形式で開催

3.議題

  1. 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会 審議まとめ(案)について
  2. その他

4.議事録

【無藤委員長】  皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第11回中央教育審議会初等中等教育分科会 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 それでは、本日の会議の開催方式及び資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【澤田子育て支援指導官】  本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、Webexを用いたウェブ会議方式にて開催させていただきます。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をお掛けすることもあるかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 なお、本日は、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をWebexにて配信しております。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1から資料2まで及び参考資料1から6となっております。御不明な点等ございましたら、お申し付けください。
【無藤委員長】  ありがとうございます。よろしいですね。
 それでは、議題1に参りたいと思います。昨年度末でありますけれども、本委員会で審議経過報告を取りまとめました。そこで、幼児教育の質的向上及び小学校との円滑な接続に関して、質保障の仕組みを中心にしながら、引き続き審議を行うということにしてございました。このことを踏まえまして、質保障に関して専門的な審議を行うために、幼保小接続期の教育の質保障の方策に関するワーキンググループを設置いたしました。このたび、報告書が取りまとめられた次第であります。
 この特別委員会では、審議経過報告に、今申し上げたワーキンググループの報告書の内容を盛り込み、審議まとめとしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それではまず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  それでは、資料1を御準備いただければと思います。
 まず、「はじめに」のところから御説明をさせていただきます。ページ数では1ページ、2ページを御覧いただければと思います。まず「はじめに」では、幼児教育と幼保小の接続をめぐり様々な課題が生じていること、また、そのため、本特別委員会や検討チーム、ワーキンググループを設置し審議をしてきたこと、そして、このたび、これらの審議を取りまとめてこの審議まとめ案を取りまとめたという審議経過についてお示しをしているところでございます。また、この審議まとめの特徴でもございます、5歳児から小1までの2年間を架け橋期と称して焦点を当てまして、架け橋期の教育の充実を図ることが極めて重要であること、そして、そのためには子供に関わる多くの関係者が立場を超えて連携・協働することが必要であることを示しているところでございます。
 次に、資料3ページ以降を御覧いただければと思います。一番の幼児期及び幼保小接続期の教育に関する法令改正等の変遷でございます。こちらでは、1.から主な経緯といたしまして、幼稚園教育要領や保育所保育指針、そして、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、このまとめではこれらをまとめて3要領・指針と呼ばせていただいております、これらの教育に関わる狙いや内容の整合性が図られてきたこと、また、小学校学習指導要領におきましては、生活科の創設やスタートカリキュラムが位置付けられて、幼保小の接続が図られてきたこと、そして、5ページになりますけれども、こども基本法が成立をいたしまして、全ての子供について教育を受ける機会が等しく与えられることを理念としながら子供施策が行われるようになっていくことなどについてお示しをしているところでございます。
 そして、6ページ目以降が具体的な施策についてお示しをさせていただいております。まず1.架け橋期の教育の充実についてです。現状と課題から申し上げます。まず、一つ目のパラで2行目からになりますが、幼児教育と小学校教育には、他の学校段階等間の接続に比して、子供の発達の段階に起因する、教育課程の構成原理や指導方法など様々な違いが存在しております。
 これらの違いというのは必要な違いではあるんですけれども、子供一人一人の発達や学びで見た場合に必ずしも合致しない場合があります。合致しない場合には、小学校入学当初の子供が小学校での学習や生活に関する自らの不安や不満を自覚して大人に伝えることは難しいと考えられますので、その後の小学校での学びや生活に支障をきたすおそれがあると指摘されております。特に子供にとっては施設や学校種を越えた初めての進学になるため、この時期につまずいてしまうことはその後の学校生活や成長に大きな負の影響を与えかねないことも指摘されているところです。これに関連しまして、3要領・指針や小学校学習指導要領では、子供の資質・能力や学びの連続性を確保し、幼保小接続期の教育を充実することを求めております。
 資料7ページの上から二つ目のパラになりますが、例えば文科省では今、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」という答申を踏まえまして、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善等の取組を進めているところです。
 幼児教育施設におきましては、このような小学校以降の学校教育における授業改善等やそれらを通じて育まれる資質・能力を見通して、遊びを通して学ぶという幼児教育の特性を踏まえつつ、その充実に取り組むことが求められております。また、小学校においては、幼児教育施設においてこういった「主体的・対話的で深い学び」や、「個別最適な学び」、「協働的な学び」に向けた資質・能力の芽生えを培っていることを踏まえ、幼児教育の成果を生かした教育活動に取り組むことが求められています。幼保小接続につきましては、これまでも進められてきており、取り組む幼児教育施設は9割に上っております。しかし、これらの取組については次のような課題も生じているということが指摘され、以下列記をさせていただいているところです。
 次に、8ページ目以降がこれらの現状と課題を踏まえまして、どのような方向性を目指していくかについて書かせていただいております。①で架け橋期の教育の充実が必要であるとうたっています。上から3行目になりますが、義務教育の開始前後の5歳児から小学校1年生の2年間の架け橋期というのは、生涯にわたる学びや生活の基盤をつくるため、幼保小の協働が必要となる非常に重要な時期と考えられること、このため、幼児教育施設と小学校においては、架け橋期の円滑な接続をより一層意識していただいて、教育内容や方法を工夫することが重要であるとしております。
 特に、小学校入学前後の架け橋期は、子供が幼児教育施設において遊びや生活を通した学びや成長を基礎としまして、小学校で主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことを可能にするための重要な時期であります。そのため、小学校入学当初におきましては、幼児期において自発的な活動としての遊びを通して育まれてきた資質・能力が低学年の各教科等における学習に円滑に接続するよう教育活動に取り組むことが求められております。このように3要領・指針や小学校学習指導要領の理念をより徹底いたしまして、架け橋期とそれにつながる時期、更にその後の時期を見通しながら、教育の充実に取り組むことが必要であります。
 9ページ目以降になりますけれども、より具体的な目指す方向性について記載をしております。まず初めに、架け橋期のカリキュラムの作成についてです。こういったことを徹底していくためには、まず幼児教育施設と小学校が相互理解を深めるために、共に架け橋期のカリキュラムを作成することが重要であるとしています。具体的にはということで、3要領・指針の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」や指導要領を参照しながら、幼児教育施設と小学校が協働して期待する子供像を明らかにし、この期待する子供像を基にして、育みたい資質・能力を具体的に明確化していくことが考えられるとしています。
 そして、10ページ目以降になりますけれども、これらの架け橋カリキュラムに明確化された資質・能力をどのように育まれたのかについて、小学校1年生の修了時期、架け橋期の終了時期を中心に幼児教育施設と小学校が共に振り返りまして、架け橋期の教育目標や日々の教育活動を評価していくことが考えられること、そして、そういった評価を踏まえて、幼保小それぞれの教育の充実につなげていくことが期待されることを明記しています。そして、三つ目の丸からは、このようなPDCAサイクルを構築していくためには、幼保小の合同会議などを定期的に開催するなどの工夫が必要であることや、これらの継続的な対話においては、幼児教育施設と小学校だけではなくて、コミュニティ・スクールなどの仕組みを活用しながら、保護者や地域住民の参画を得る仕組みとしていくことが重要であるとしております。
 そして、11ページ目以降になりますが、こういった取組をより実効的にしていくためには、幼児教育の特性に関する社会や小学校での認識を共有していくことが重要であるとしています。しかし一方で、上から三つ目の丸にありますとおり、遊びを通じて学ぶという幼児教育の特性に関する認識が社会的に共有されているとは言い難い状況でございます。そのため、(2)の目指す方向性以下にありますとおり、①の一つ目の丸ですが、幼児期の学びの特性について、様々な研究や実践の成果に基づく知見を活用して幅広く伝え、遊びを通じた学びの教育的意義や効果の共通認識を図っていくことが重要であるとしています。
 また、12ページになりますけれども、これまでも幼児教育施設におきまして様々な取組が行われてきております。②にありますとおり、ドキュメンテーションやポートフォリオといった子供主体の遊びを通した学びの記録で日々の教育実践や子供の学びを見える化し、先生方の教育の意図や環境構成の部分を併せて伝えることによりまして、幼児教育の特性や園の教育方針について家庭や地域の理解を深める、信頼を得る取組が行われてきております。このようなICTを活用した幼児教育のプロセスと子供の学びの見える化、そして、見える化による家庭や地域との連携の好事例を収集し発信することで、社会の認識も高めていくことが重要であるとしております。
 次に、三番の特別な配慮を必要とする子供や家庭への支援についてです。13ページ目の上から二つ目の丸を御覧いただければと思います。障害のある子供や外国籍等の子供など幼児教育施設や小学校におきまして特別な配慮を必要とする子供が多数になってきており、その対応が増加しているとの指摘がございます。幼児教育や小学校教育に携わる方々が、特別な配慮を必要とする子供や家庭への支援の具体のためのデータや事例の共通理解を図るとともに、母子保健、福祉、医療なども関係機関と連携した取組につなげていくことが求められております。
 そのため、(2)目指す方向性にありますけれども、14ページ目の一番上の行になりますが、子供の多様性を尊重し、幼児教育施設や小学校と乳幼児医療、母子保健、福祉などの関係機関との連携が不可欠であります。上から三つ目の丸になりますけれども、特に障害を有するお子さんに対しては、小学校への入学に当たっては、幼児教育施設は、家庭との連携を図りながら、幼児教育施設での子供の様子や過ごし方、また、具体的な支援方法や内容を小学校に引き継ぐことにより、障害のある子供などが一貫した支援を受けられるようにすることが必要であるとしています。
 また、15ページになりますけれども、外国籍等の子供につきましては、幼児教育施設は、家庭との連携を図りながら、日本語をどの程度理解できているのか、また、外国籍等の子供が有する文化的な背景などを踏まえてどのような支援を行ったのかなどについて小学校に引き継ぐことによりまして、小学校においても必要な支援が受けられるようにするとともに、子供の実態に応じた日本語教育を実施していくことが大切であるとしています。また、②のとおり、このような取組の好事例を収集・蓄積をして活用していくことも必要であるとしております。
 そして、四番の全ての子供に格差なく学びや生活の基盤を育むための支援についてです。通園・通学していない子供がいるなど、教育の機会へのアクセスが十分でない家庭もあります。また、自分が育てられてきた環境と我が子を育てる環境の違い、核家族化による子育て応援者の不足や地域とのつながりの希薄さから、親世代自身が苦しんでいるとの指摘もあります。次のページになりますけれども、このため、社会全体で子供や家庭を支援することが求められております。上から三つ目の丸にありますとおり、子供の健やかな成長のためには、幼児教育施設と家庭や地域がそれぞれの有する教育機能や役割を互いに発揮し、支え合いながら、一体となって子育てに取り組むことが必要であります。
 具体的には、17ページ以降の目指す方向性で示しております。まず①にありますとおり、幼児教育施設におきましては、在園児のみならず、地域の子供に幼児教育の機能と施設を積極的に開放することが求められます。具体的には、在園していない0歳から5歳の子供も含めて、様々な体験の機会が得られるように、幼児教育施設の有する教育的な機能を地域に開きまして、様々な家庭や年齢層の子供たちが社会的な学びの環境に参加できるようにしていくことが重要であります。特に幼稚園におきましては、0歳から2歳の未就園児や保護者につきましては、これまで保護者向けの子育て支援という側面が強くありましたけれども、幼児教育施設としてのノウハウを生かして、未就園の子供自体の学びへの支援を積極的に進めていくことが今後は必要であるとしております。もちろん保護者が子育ての喜びや生きがいを実感できますよう、子育て支援の充実も引き続き図ることが求められております。
 そして、一番下の丸になりますが、子供を欲しくないと思う大学生等も一定数存在しているため、中高生や大学生が子供に触れる機会や、親になることを意識する機会をつくりまして、子育ての喜びや楽しさをしっかり伝えていくことが大切であるとしております。
 そして、18ページになります。全ての子供のウェルビーイングを保障するカリキュラムの実現ということです。現在、中央教育審議会で次期教育振興基本計画の策定について議論がされております。このような審議結果を踏まえまして、幼児教育施設や小学校においては、カリキュラム・マネジメントの充実を図りまして、全ての子供のウェルビーイングを高める観点から、組織的かつ計画的に教育活動の質の向上が図られるようにすることが必要であります。
 そして、五番の教育の質を保障するために必要な体制等です。現状と課題の一つ目の丸にありますとおり、幼児教育は、複数の施設類型が存在して、私立が多いという特徴がございます。設置者や施設類型を問わずに幼児教育の質的向上や幼保小の接続などの取組を一体的に推進するために、地方自治体において必要な体制を構築することが求められています。
 また、19ページの上から二つ目にありますとおり、幼児教育における人材につきましては、免許や資格取得者が他業種へ就職する場合も多く、平均勤続年数が短くて離職者が多いといった課題があります。また、人材の需要の高止まりに供給が追いついていないという状況も指摘されているところです。そして、幼児教育の先生は、勤務時間中には先生が集まって話し合う時間や日々の子供の記録を取る時間すらないほど多忙であることも指摘がなされております。これらの多忙な勤務環境が幼児教育施設での勤務を志望する者の減少や離職者の増大に大きく影響を与えているとの指摘もあるところです。さらに、子供の安全・安心な生活が脅かされる事故等も生じておりまして、国、地方自治体、幼児教育施設におきましては、幼児教育施設における事故等の発生・再発防止に取り組むことが求められています。
 (2)の目指す方向性として、まず①では、地方自治体においては、幼保小の担当部局の連携・協働や一元化、幼児教育センターの設置・活用などを推進していくことが必要であるとしております。
 そして、20ページになりますけれども、架け橋期の教育の充実に当たりましては、架け橋期のコーディネーターや幼児教育アドバイザーの育成が急務であるとしています。また、教育委員会におきましては、幼保小接続担当や生活科担当の指導主事の配置、指導力向上をはじめ十分な指導・助言ができるような体制を整備することも重要であるとしています。
 そして、架け橋期の教育を充実するためには、その意義や具体的な方法について知らなければ難しいところがあるため、幼児教育施設の園長等や先生、そして、小学校の校長等や先生方を対象にした研修を実施していくことも重要であるとしています。とりわけ公立の小学校の校長先生方は数年で異動するということもありますので、幼児教育施設と小学校との取組に影響が出ているとの指摘もあります。このため、人事異動によって継続的に取り組むべき幼保小の取組に影響が生じないように、教育委員会においては小学校校長等の研修等においても充実をしていくことが必要であることが期待される旨、提言させていただいているところであります。
 そして、21ページになります。研修を実施するに当たりましては、理論に関する外部研修と園内の教育実践の往還を繰り返す研修など効果的な方法の報告もありまして、このような効果的な研修の実施方法について情報収集を行いながら、研修の充実に取り組むことが必要であるとしております。また、このような体制や取組を進めまして、手引を参考にしながら、幼保小の架け橋プログラムを推進していくことが必要であるとしているところでございます。
 そして、③以下になりますけれども、優れた幼児教育の人材確保・定着のところにおきましては、二つ目の丸のとおり、国においては処遇改善等の必要な施策を引き続き実施するとともに、地方自治体においては幼児教育関係団体や養成校と連携をいたしまして、新規採用の促進や離職防止・定着促進、離職者の再就職の促進といった総合的な人材確保策を推進していくことが必要であるとしています。
 また、22ページの研修の体系化のところですが、幼児教育の研修には様々な研修がありますので、先生に求められるスキルや資質・能力の明確化をし、関連する研修内容を体系的に整理し示していくことも重要であるとしております。また、(ウ)以下のところでは、先生方がワーク・ライフ・バランスを実現しながら、生き生きとやりがいや充実感を持って働ける勤務環境とすることが重要であるとして、まずは管理職等のマネジメント能力・リーダーシップの向上を図ること、そして、二つ目としては、外部専門職等の積極的活用といたしまして、23ページにありますが、心理や福祉、障害などについて専門的な知見を有する外部専門職を積極的に活用していくこと、そして、幼児教育施設におけます事務作業の負担軽減や先生の働き方改革を推進するため、幼児教育施設におけるICT環境の整備を図ることが必要であるとしているところでございます。
 そして、24ページになりますが、幼児教育施設の安全・安心な環境の確保のところでは、一つ目の丸にありますとおり、幼児教育施設におきましては、子供の主体的な活動が促されるように、子供の安全・安心な生活を確保することが必要であります。そのため、三つ目の丸にありますが、過去の事故統計や事故事例の分析、ヒヤリ・ハットを活用していくことも重要であるとしています。
 また、25ページの一番上の丸になりますが、幼児教育施設においては、学校安全計画等の策定・改善や安全管理の実施把握・評価はもとより、各種ガイドラインに基づきまして、送迎バスによる登降園時や園外保育時を含めた幼児教育施設における事故の発生・再発防止のための取組を徹底する必要があるとしております。また、子供の人格を尊重するとともに、子供が権利の主体であるという認識を持って保育に当たる必要があります。そのため、不適切な行為が疑われる場合には、報告を徹底するとともに、行政を含めた組織的な対応が求められること、個人で抱え込まずに関係者と相談して対応することに留意する必要があるとしております。
 最後に、教育の質を保障するために必要な調査研究等についてです。(1)の現状と課題の上から二つ目にありますけれども、教育の在り方については、客観的なデータやそれを分析して得られるエビデンスはなく、自己の経験や思想、身の回りの特定の事例により議論されることも少なくなかったとされています。この点、諸外国では、長期縦断研究の学術的研究が国の政策形成に有効と考えられて、国のプロジェクトとして取り組まれております。我が国におきましても、質の高い教育を保障していくためには、実証データの分析によるエビデンスに基づきながら政策形成に取り組むことが求められていくと考えております。そのため、(2)目指す方向性にありますけれども、幼保小接続期の教育に関する調査研究ということで、架け橋期のカリキュラムに基づく評価や、また、(イ)にありますとおり、幼保小の接続期に係る特別な配慮を必要とする子供への支援に係る調査研究を推進していくことが必要であるとしています。また、これらの調査研究を進めるに当たりまして、(ア)にありますとおり幼児教育の調査研究拠点の整備や研究ネットワークの構築をしていくことも必要であるとしています。
 国立教育政策研究所の幼児教育研究センターがございますけれども、27ページの一番上からにありますとおり、幼児教育研究センターにおきましては、大学や地方自治体、幼児教育研究団体や民間研究機関などとそれぞれの特性や強みを踏まえつつ連携協力を図り、国内外の研究ネットワークを構築することが期待されるところでございます。また、上から二つ目にありますけれども、調査研究拠点や研究ネットワークによる研究成果が関係者間で効果的に情報共有をされまして、更なる質向上に向けた研究推進を図るとともに、家庭や地域へも還元が行われるよう、国においてデータベースやプラットフォームを構築することが期待されるとしています。そして、(イ)にありますとおり、日本におきましても、調査研究拠点やネットワークを生かしながら、大規模な長期縦断調査を国のプロジェクトとして実施していくことが必要であるとしているところでございます。
 最後の28ページになりますけれども、(ウ)を御覧いただければと思います。現在、国立教育政策研究所の幼児教育研究センターにおきまして、ECERSやSSTEWを参考にしながら、日本独自の質評価指標の開発や、園内研修における活用しやすい質評価指標の開発が進められています。このような取組を進めながら、第三者評価を含めまして、指導の改善による幼児教育の質向上に向けたPDCAサイクルに寄与する評価の在り方についても検討することが重要であるとしています。
 駆け足でございましたけれども、事務局からの説明は以上となります。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤委員長】  ありがとうございました。ワーキンググループのもの、また、これまで頂戴した御意見をできる限り網羅的に入れたものですから、相当大部になって恐縮でありました。
 それでは、意見交換に入りますけれども、いつものことでありますが、できる限り多くの皆様から御意見をいただくということで、お一人3分以内ということでの御発言をよろしくお願いいたします。手順はいつものとおりです。希望される方は「手を挙げる」というボタンを押していただくということで、そのお名前を事務局で控えさせていただきます。順次それに沿いながら順番に指名させていただくということを基本と致します。また、指名された場合にミュートを解除して御発言をする、そして、その発言が終わりましたら「手を下げる」ボタン押していただくということで、よろしくお願いいたします。私の方はどうも委員の全員が一覧できる仕組みにうまくなっていないものですから、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、私が伺っているところでは、水野委員が早めに御退出ということですので、水野委員、いかがですか。いらっしゃいますか。
【水野委員】  ありがとうございます。
【無藤委員長】  よろしくお願いします。
【水野委員】  すみません、今日は11時過ぎに中座いたしますので、先に意見だけお話しさせていただきます。
 まずは、全て読ませていただいたんですけれども、これまでの議論を本当によくまとめられたものが上がっているな、本当にすばらしいなというのがまず感想です。しかしながら、やっぱり策定して終わりではなくて、これを基にどう日本の教育をリデザインしていって、そして、現場まで浸透させていくのかという、そういうステージをイメージしていくことが何より大切なんじゃないかなとも同時に感じたところです。
 そういう視点で見たときには、ちょっと総花的にならざるを得ないところもあるのかなと思いつつも読んでおりました。これが幼児教育施設と小学校のためのものであったり、または福祉部局と教育委員会のためのものという限定的なものに終わってしまうのはとても残念だなとも感じますので、従前より意見させていただいている、少なくともこの議論のステークホルダーには保護者が必ず入ってくるべきだと私は思っておりますので、家庭教育への意識共有といいますか、今回のこの内容が家庭にもしっかり共有されてほしいなという思いを持っております。
 細かいところで言いますと、16ページとか21ページに、保護者を主語にしたもの、はたまた、「地域は」というようなものが散見はされておりますが、具体的に小学1年生の環境適応の視点だけではなくて、保護者自身も幼児教育から小学校にお子さんが上がるときにはいわゆる保護者の小1ギャップというようなところも生まれてきます。つまり、幼稚園では、園まで送っていったときに保護者と交流が持てたり、はたまた、子供の様子が見えたりするんですが、小学校教育に上がるとどうしてもそれが、玄関で「行っていらっしゃい」という形で保護者同士の交流もなくなる。そのような視点のところを考えていっても、今回議論を重ねてきた、そもそも遊びから学ぶ幼児教育という視点、そして、小学校教育を前倒しするんだという意図ではないんだというところも含めて、家庭教育への架け橋という意識ももう少し具体的に、1行でもいいのでどこかで触れていただければありがたいなとも感じました。
 以上です。ありがとうございます。
【無藤委員長】  ありがとうございます。家庭教育とのつながりは、意識したつもりなんですが、まだ確かに不足なので、書き込みたいと思います。同時に、保護者に対して今回のものをどうお知らせしていくか、共感してもらえるようにするか、これは以前から申し上げているとおり、具体的に進めたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、これからは御随意に御発言いただきたいと思いますので、挙手をよろしくお願いいたします。どなたか……。
【澤田子育て支援指導官】  今、秋田委員と中山委員が挙げていらっしゃいます。
【無藤委員長】  では、秋田委員、そして、中山委員ということでよろしくお願いします。
【秋田委員長代理】  ありがとうございます。今の水野委員の御意見につながる内容なので、発言をさせていただきます。報告書としては、非常に大部ではありますが、重要なことがまとまった報告書だと思います。これを御家庭の方に分かっていただくための手だてを、この審議のまとめの後になりますが、是非考えていただきたいと思っております。
 例えばこども家庭庁の方では、「こども家庭庁とは」ということで、子供向けや親向けの分かりやすい冊子PDFを作っております。同様に恐らくこの架け橋期とは何かということを、今回の報告書は委員会や御担当の保育者や教師は見てくださると思うんですが、保護者向けにもう少しわかりやすく、架け橋期がなぜ大事なのか、架け橋期とは何なのかということが数ページで分かるようなリーフレットを、子供にも伝わり、保護者も全国どこのところでも、幼保小の連携接続で架け橋期という言葉が分かるというような形での普及啓発を是非お願いできるといいなと思います。現在、こども家庭庁でこども家庭指針の中でもこの架け橋期という言葉に触れようとしておりますので、是非ともリーフレット作成のご検討をお願いしたいということが1点です。
 もう1点だけですが、「おわりに」の部分の最後のページです。大人の責務ということが書かれております。本文の中ではウェルビーイングということが何度も書かれてきているのですが、「おわりに」の最後の28ページの下から2段落目のところですけれども、「大人の責務は、一人一人に高い資質・能力をしっかりと育成していくことが大人に課せられた使命」だとあるのですけれども、資質・能力を育てるのは何のためかといえば、子供や、子供に関わる人々の幸せ、そして、社会のウェルビーイング、幸せを形成していくということが大人の責務だというような形で、終わりの部分にもウェルビーイングということをきちんと埋め込んでいただくことが必要ではないかと考えましたので、この点だけ意見を言わせていただきます。
 以上になります。
【無藤委員長】  ありがとうございます。特に最初の、こども家庭庁でこども家庭指針ですか、お出しになるということを伺ってはおりますけれども、子供、また保護者にもいろいろな形で理解してもらうというか、そういうことの主体者に加わってもらうというかだと思いますので、この報告書にもう少し書き込めるところを考えた上で、先ほど申し上げたように具体的な手だてを、本当は今まさに幼稚園・保育園・こども園から小学校へのつなぎをいろいろな園・小学校がなさっているので、本当は今必要かもしれませんが、ちょっと間に合わないかもしれませんけれども、作っていきたいと思います。
 2番目の、最後のところでウェルビーイングの視点をもっと大きくということは、確かにウェルビーイングということが今、大目的というんですかね、一番大きなフレームワークに入ってきたと思うので、文言をもう一度見直して加えたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、中山委員、お願いします。
【中山委員】  中山です。よろしくお願いいたします。取りまとめ、本当にありがとうございました。全体を俯瞰しながら具体的なところまで踏み込んでいてすばらしいと思いました。
 私からは3点です。まず1点目は、私も、水野委員の保護者のことに触れたことに沿ったところでありますが、やはり前回たしか申し上げたと思うんですが、この架け橋プログラムの実効性において、保護者がどう関わるかというのはかなり中心的な課題になるかなと思っています。17ページに、保護者と幼児教育施設・小学校は一緒になって両輪でということが書いてあります。これをどう実際にそういうふうにしていくのか、保護者をお客様じゃなくて、どう身内、仲間にしていくかという仕組みづくりの研究のようなものも必要かと思います。幼児教育の無償化というのは、少子化対策であり、子育て支援でもありますが、保育・教育の質向上のためにもとても大切なものだと思っています。しかしながら、一部においては、お金が掛からないから質はどうでもいいと、安かろう悪かろうみたいなふうに流れる向きもある中で、そうではなくて教育の現場と保護者が協働的関係を築くという、そっちの方向に持っていきたいなと思うからであります。
 次に2点目で、9ページに教育課程の構成原理等の違い云々というのがあるんですけれども、書き加えていただきたいのは、違いはあるんですけれども、それを越えた先には豊かさがあるんだということを書いていただけたらなと思うんです。つい2日前でありますけれども、栃木県の教育委員会が主催した教育研究発表大会がありまして、幼児教育センターが中心になったのは幼小の接続部会ということで、私も関わらせていただいて、神長先生にもお世話になったんですが、そこで小学校の先生が、長年、7年間取組を続けてきたわけですね。幼児教育のことを知って今思うのは、小学校の先生が幼児教育を知らないのはもったいないとおっしゃったんですね。非常にすばらしいなとうれしくなったんですけれども、その違いをやっぱり越えられるわけですね。子供の姿を対話しながら越えていける。そして、その先に本当に豊かさがあるんだということを是非書いていただきたいなと思うわけです。
 最後、3点目です。5ページにこども基本法について書かれたのはとてもよかったなと思うんですね。なぜかといいますと、一部現場では、架け橋プログラムは、文部科学省が言っているから、我々には関係ないんだと言う方が時々いらっしゃるので、そうではなくて全ての子供の最善の利益のためなんだというところが強調されるためにも、5ページにこども基本法のことがしっかり書かれているのはよかったなと思いました。
 以上、ありがとうございました。
【無藤委員長】  ありがとうございます。保護者にただ伝えるだけではなくて、一緒の仲間になってもらい、主体的に参加できるように、そして、保育の質を向上させることが大事だと理解し、加わってもらうという、これ第1点ですよね。
 2番目は、カリキュラム原理が違うんですけれども、同時に互いの教育の在り方を知ることはお互いを豊かにするというポジティブな視点をもっと強調するということも書き加えたいと思います。
 それから、全ての子供にということはもちろんなので、こども家庭指針はまだ厳密には出来ていないので言及できないんですけれども、できる限りそこが伝わるように。特にこの報告書が実際には年度末に世の中に最終的には出るわけなので、こども家庭庁の発足と極めて近い感じになりますから、おっしゃるように文部科学省の仕事、担当はそうですけれども、単にそういうことではないということが見えるようにしたいと思います。ありがとうございます。
 では、挙手されている方は。鈴木委員からお願いします。
【鈴木委員】  ありがとうございます。御丁寧なまとめをありがとうございました。
 拝読させていただいて、私も水野委員と同じように、家庭との、生活の連続性みたいなことがやっぱりもうちょっとあったらいいかなと思っています。特に登園時刻と登校時刻は違ったりとか、幼児教育施設での1日と、小学校での中での生活の1日というのはやっぱり当然段差があるわけですから。29年度の改訂で保育所保育指針も幼保連携型認定こども園教育保育要領も、午睡に関しては例えば一律にしないという記述をしているにもかかわらず、まだまだやっぱり幼児教育施設の中にはいろいろと散見されますので。そこも含めて生活の連続性みたいなところをもうちょっと意識できるといいかなと思っています。特に家庭教育とのつながりに関して生活習慣は非常に重要ですので、そこを、子供の育ちを踏まえた上できちんと見通しを持って生活をつくっていくんだというところを家庭と教育施設が両輪として培っていけたらいいかなと考えております。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。確かに何人もの委員がおっしゃるように、家庭、また保護者の在り方が、どこまでそこに保護者の方の理解があるかということは大事なんですけれども、単に分かりましたではなくて、幼児教育、また小学校教育への考え方を是非理解を深めてほしいんですけれども、同時に、おっしゃるように生活そのもののつながり、それから、どなたかおっしゃったように、例えば園まで保護者が送迎するという基本の幼児教育と、基本的には子供が独りでもないですが、集団登下校にしてもということで学校との距離感が大分変わるんですけれども、そういうことや、あるいは宿題があったりいろいろするということの生活の違いと連続性も書いて、それで書き込んで、見通しというのが、単に小学校への準備をいろいろしなさいということではない、もう少し資質・能力に関わるところにということで考えながら書き込みたいと思います。ありがとうございます。
 次は、神長委員でいいですかね。
【神長委員】  ありがとうございます。皆さんがおっしゃるとおり、本当に全てのことがここに整理されているなという、まずその感想は持っています。更にこれを具体的に進めていくときにということで3点お話ししたいと思います。
 1点目は、8ページのこの架け橋期ということの目指す方向ですけれども、やはりこれまで「接続」という言葉を使ってきているし、この接続期を充実させていくためにもこの架け橋期という言葉であえて使い、そこでカリキュラムを開発していきましょうという、そういった視点から架け橋期ということを積極的に使っていくということは、やはりこの時期の教育に関する関心をみんなに持ってもらおうということと、そのことによってカリキュラムの質を上げていこうという、そういった視点があってとてもよかったと思っています。
 8ページにまたその目指す方向が書いてあるんですけれども、この最初の丸のところの読み方で、「「架け橋期」は、生涯にわたる学びの生活の基盤をつくるために」という、何か架け橋期という期があるわけじゃなくて、ここを意識して学びをつないでいく、発達をつないでいくということが大事で、そのことがやっぱり基盤をつくっていくんだと思うんですね。発達として基盤が現れるわけではなくて、やはりお互い歩み寄りながら架け橋を架けながらお互いの側からの架け橋の教育を考えることによってこの基盤をつくる。だから、協働することが必要なんだという。何かその辺はもっと、学びをつなぐ、発達をつなぐという言葉を足しながら強調ということも、より分かりやすくするという意味では必要かなということが1点あります。
 2点目は、それと関連してですが、9ページの(ア)の三つ目の丸です。先ほど中山委員がおっしゃったことと非常に関連しているんですけれども、私も同じ研究会に参加させていただきながら感じたことなんですけれども、ここの中にあって、三つ目の丸の真ん中の辺りに「このような具体的な事例による対話を通じて相互理解を深め」、ここが物すごく大事だなという。この対話的な関係の中で互いの事例を見ていくということがすごく大事な時間だなという、ここに時間をかけていくということの大事さということを改めて痛感しました。
 それを越えて豊かさがあると中山委員がおっしゃったことは全くそうだなと思います。そのときに、事例というのは、やはり全然違う事例が、幼児教育はこういうことをやっているよ、小学校はこうだよというような活動を紹介するということで終わってしまうとなかなか相互理解は深まっていかなくて、子供の姿を中心とするんだけれども、そこの中で教師や保育者が子供の経験のどこを大事にしているのか。要するに、大事にしている経験、そこをお互いに交換していくと、ああ、実は同じことを考えているんだなというようなことに気付いていくという、それが対話なんだと思うんですね。
 別の研究会なんですけれども、ビデオを見て、幼稚園はこうだったね、小学校はこうだねというような、ビデオを見て、それが対話的な関係にまで至らないときには、何か遊んでいるねというようなこととか、学習はこうやるんだねというような形で表面で終わってしまうので、一歩深めていくためには、そこの中で教師・保育者が大事にしている経験を交換し合うということによって資質・能力というところにたどり着いていくのかなと思います。そういう意味で、この書いてあるとおりですが、対話を通じての相互理解というところは少し強調してもよいのかなと思っています。
 もう一つ、それと関連してですが、22ページになります。研修の体系化というのは、私はもう本当に前々から大事だなと思っている視点なんですね。そのときに、異校種の研修の中で学ぶことはすごく大きいということを、私自身も体験してなんですけれども、思っています。それは多分初任の時期はもう自らの学校段階、幼児教育なら幼児教育段階の必要な研修を行っていくことが大事なんですけれども、ミドルからミドルリーダーになっていくときには、やはり異校種の中で、異校種がどういうふうに、例えば生活科の中でどういうふうに学びのプロセスを保障していくのかというようなことを情報として持つことによって、幼児教育の段階の中で生活や遊びの充実のことが考えられていくし、多分それは小学校の先生の立場も同じなんだと思うんです。
 なかなか異校種というのは学ぶ機会が限られているんですけれども、中堅の先生たちが学ぶときなどは是非、異校種の研修なども取り入れながら、また、地域の教育団体等が行う研修には、お互いに門戸を開きながら、それぞれの学校種の先生方も参加できますよというようなことをアピールしながらやはり研修を交流していくということも大事かなと思っています。
 以上の3点です。ありがとうございます。
【無藤委員長】  ありがとうございます。一つ目の、架け橋期というのは確かにその時期が重要には違いないんですけれども、なぜ重要かというか、子供の学び、その経験をつなぐという意味でそこが取り上げられるという趣旨を、意味というか、もう少し明確にしたいと思います。
 2番目の、お互いの事例を見ることは非常に大事ですけれども、ただ表面的に見ても、おっしゃるように、幼稚園・保育園では子供が楽しそうに遊んでいいですねという感想で終わってしまうこともあるので、そこでの経験、そこでの学び、それはどういうことなのか、どこなのか、その経験が幼児教育と小学校教育につながるということを具体的に互いに理解するような対話の在り方、そこももう少し明確にしたいと思います。
 3番目の、異校種の研修は大事だということはおっしゃるとおりで、少しずつ広がっているように感じはしますけれど、やはり例えば年に1回というような概論的なことに終わることも多いので、より具体的に。時間をどう工面するかは別として、互いの研修にもう少しオープンにして参加できるようにするだけでも変わっていくと思いますので、そこももう少し強調できるようにしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次は藤迫委員、お願いします。
【藤迫委員】  ありがとうございます。非常に丁寧にうまくまとめていただいているなと思います。
 私からは意見を2点なんですが、1点は以前にも私言いましたけれども、このプログラムをうまく進めていくには、やっぱり小学校側の意識改革というのはかなり大きな要素を占めるのかなと思っています。公民の違い、あるいは施設種別の違い、もっと言いますと、自分の小学校区以外の施設から入ってくる、いろいろな子供たちが入ってくる、だからそれはもう子供が不安や戸惑いがあるのは当然だという割り切り感があると思うんですね。そのままでは多分このプロジェクトがうまく進まないと思っています。そこの意識改革を変えることが大事だと。
 そのためには例えば幼児教育センターに小学校を熟知した者がメンバーとして入るとか、小学校の校務分掌の中に架け橋期のコーディネーターの役割をしっかり位置付けて、人が替わっても校長が替わっても組織として対応できるという、そういう体制が必要なのかなと思っています。
 あと、2点目は保護者の話です。特に支援教育なんかですと、入学までに保護者の方と意見交換して、個別の教育支援計画を作って進むわけですね。そして、その一旦進んだ支援はやっぱり途中で検証して、その検証によって変えるということも必要になってきます。同様に、今回のこのカリキュラムについても、進める前に十分説明して、どこかの点でやっぱり保護者の意見を聞いて検証して、多少バージョンアップするとか変更するとか、そういうことが大切なんだなと思いました。
 以上2点です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。小学校の意識改革というのは本当にそのとおりだと思いますし、全国の自治体に開発をお願いしていますけれども、そこでもかなり大きく考えながら、おっしゃるような、例えば校務分掌の在り方に組み入れることも出てきたようですので、その辺も全国的にお願いしたいということを明確にしたいと思います。
 2番目の保護者に対する説明も、一回、こういうふうに今、制度が、施策が動いていますよで終わりにするのではなくて、より具体的なカリキュラムの説明と、それがまた変わっていったときの更なる意見交換ということで、保護者が、お話を伺うということを超えた積極的な参加をどう可能にするかという辺りを何とか工夫したいと思います。ありがとうございます。
 それでは、宮下委員も手を挙げていただきましたか。
【宮下委員】  はい。宮下です。よろしくお願いいたします。この報告書は、本当に丁寧に整理されていて、かなり踏み込んだ内容になっていて、すばらしいなと思っております。「学びや生活の基盤をつくる幼児教育」という文言が、最初のテーマにも出てきますし、文章の中にもかなりたくさん今回出てきていると思うんですけれども、「学びや生活の基盤」というこの言葉に何となく私自身は違和感を感じています。
 今まで遊びや生活を通した学びという言い方はよくしているのですが、学びと生活というこの二つは並列する言葉ではなくて、質が違うのではないかなと私は感じているんです。解釈としては、学びや生活する力の基盤をつくる幼児教育ということなのでしょうか。あるいは「学びや生活の基盤」という言葉が小学校の方でよく使われているのでしょうか、そのことが気になりました。
 それから、9ページの最後の行なんですけれども、小学校と幼児教育施設との理解を図るために、縦の関係も大事なんだけれども、幼児教育施設間の横の関係の連携強化が大事だということが書かれていて、これは本当にそうだと思います。ここの部分をもう少し、なぜこういう横の連携強化が必要なのかという部分を書き込んでいくと、もっと読んだ人に訴えるものになるのではないかと感じました。
 それから、20ページの架け橋期のコーディネーター等の育成のことですが、こちらは非常に大事で、指導主事の方ばかりではなくて、やはり現場にそういう両方のことをよく分かっている人材が求められていると思います。ここに私立を含む幼児教育施設に小学校教師を1年程度派遣する研修等も具体的に書いてくださっていて、とてもいいと思いますが幼稚園の教諭も小学校の方に学びに行くということもあるといいなと思っております。
 最後に、大規模な縦断調査ということが書かれていますが、これはとても大事な部分だと思います。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございました。学びや生活の基盤というところは、一種のスローガンには違いないんですけれども、幼児教育が生涯にわたる学びの基盤だという言い方は、かなり前の中教審答申等で入ってきた言い方を踏まえています。それでちょっと分かりにくいかもしれませんけれども、要するに、イメージとしては、小学校はある程度特化した教科内容を中心とした、より系統的な学習ですけれども、幼児教育はもっと生きることの基をつくっているという意味合いを持たせているので学びと生活という両面なんですけれども、同時に学びと生活というのが、幼稚園教育要領だと、生活、そして、そこに遊びがあって、その遊びは幼児期における学習の仕方なんだという言い方で、保育指針なども似た言い方ですけれども、そういう意味では1日あるいは半日の生活全般が幼児教育で、その中にとりわけ学びにつながる経験をするという整理だと思いますが、その辺をもう少し分かりやすくするという必要を御指摘いただいたので、工夫したいと思います。
 それから、2番目の横の連携の強調はもう少し書き込んでもいい、なぜかということを書き込んでもいいと思います。
 それから、3番目の辺りは、コーディネーターの育成ということや、それがもちろん幼保・認定こども園あるいは公立私立を問わずということですし、幼児教育センターのアドバイザーというのは比較的少人数での在り方のように思いますけれども、コーディネーターと呼んでいる方は幼児教育側も小学校がかなりいろいろなところでということもイメージとしてはあるので、どのぐらい、あまりきちっと書き過ぎると自治体によってはできなくなるので、ちょっと工夫したいと思います。
 ただ、幼児教育側が小学校側に入ってというのは、委員の発言からはそういう事例は出ませんでしたけれども、もちろんあっていいことだと思うので、相互的にということをもう少し出したいというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは渡邉一利委員が手を挙げていただきました。
【渡邉(一)委員】  笹川スポーツ財団の渡邉と申します。まず、すばらしい報告書の取りまとめ、ありがとうございます。私はスポーツ財団ということなので、専門家でない立場から見ても、非常に多くの勉強をする内容になっているかなと思います。
 2点ほどあります。1点は、先ほど来皆さんおっしゃっているように、この内容をいかに学校そして家庭に届けるのか。ここの実効性というところをよく考えて、その方法論については別途検討いただいて、それを周知徹底していただきたいというのが1点目であります。
 それから、2点目は、ここの17ページに、幼児教育施設の機能と施設の開放といったようなところがあります。よくよく今までの議論を考えますと、働いている方の就労環境は非常に厳しい。さらには、定着率が低いといったような環境の中、果たして機能と施設の開放というのは、実効性を考えたときにどうなんだろうかと読ませていただきました。
 ここには子育て世代の包括支援センターであるとか、自治会、まちづくり協議会等々の連携ということがうたわれておりますが、それぞれの組織においても同じく、マンパワーとか資質とか人材に関する課題がたくさんあると思うのです。
 実は、私スポーツ関係なんですけれども、全国のボランティアのネットワーク組織の代表を務めております。東京2020大会もそうですし、地方のスポーツイベントというのは、ボランティアさんがいないと大会が成立しないというのが今現実なんです。最近では、運動部活動の地域移行というところでもボランティアさんが注目されているんですけれども。恐らく、地域地域を見ると、育児であるとかこういった教育現場を経験されたOGの方、OBの方もたくさんいらっしゃると思うんです。こういった方々を個人のボランティアとしていかに活用するかということを自治体と園が協力しながら考えてもらいたいと願っています。
 その場合には、自治体がベースになって、ボランティアバンク的なものをきっちりつくって、登録、育成、あるいは活用の仕組みをしっかりつくる。それを園と協力しながら、園の開放とかいうところに向かわせていったらいいのではないかなと。このボランティアさんというのは1つ媒体機能でもありますから、ここに書かれていることを園とか家庭に伝達する、それを実行に移してもらう、こういった活動の媒体にもなると思うんです。
 ですから、もし可能であれば、そういう個人のボランティアを活用する仕組みをここのペーパーの中に落としていただく。もしそれが無理であれば、別途、そういう仕組みをつくる働きかけを文部科学省、自治体が中心になっていただく。そんなことを望んでおります。
 以上であります。
【無藤委員長】  ありがとうございました。
 周知のほうは本当におっしゃるとおりなので進めたいと思うんですが、施設の開放に当たっては2つの面があるので。1つは、各種の子育て支援などがあるわけですけれども、もう一つは、子育て支援には違いないんですが、丸の3つ目ですかね、特に幼稚園の場合には満3歳以上という規定ですけれども、その前に、未就園の幼稚園や保育園、こども園に行ってない家庭があるわけです。
 その辺りの方々は子育て支援センターその他に行くことも増えたと思いますけれども、幼稚園の施設を生かす、あるいは、保育所ももちろん子供園もそうですが、ということはかなり具体的なことを見据えての検討が今始まっていると聞いております。
 おっしゃるように、それを幼稚園の先生や保育園の先生にやりなさいと言われても、今でも目いっぱい忙しいですからそれはできないので、どうやって手だて、人を得るか。自治体によっては非常勤職員のような形で配置を多少している場合もあるんですけれども、なかなか厳しい状況もあります。一方で、おっしゃるように、ボランティアなどで、あるいは、時給ベースでお手伝いしたいという方も恐らく地域にはいると思いますので、その仕組みをどうつくるか。
 私が知る限り、まだ登録等の活用のやり方というのはあまり見ていないので、どこまで明確に書けるか幼児教育課と相談したいと思いますが、示唆する方向で行きたいというふうに思います。ありがとうございます。
 それでは、曽木委員、お願いしたいと思います。
【曽木委員】  東京の陽だまりの丘保育園の曽木です。よろしくお願いいたします。資料1、参考資料を読ませていただきました。大変な中、また時間のない中、丁寧にまとめていただき、関わった委員、ワーキンググループ、文科省の皆様、本当にありがとうございました。
 その中で、懸念事項また願いを私からお話しさせていただきます。1つ目としまして、保育所でも教育機関としても、計画や大人の願いは大事だと思っております。しかし、計画をつくり過ぎたり、大人の思いが強過ぎたり、手段だけが独り歩きすることがあります。子供同士や子供と保育者が一緒に織りなしていく過程や、今そのときの子供の声や様子を大事に、都度振り返り、軌道修正していく保育が大事であると思います。そこがおろそかにされがちです。
 資料1、7ページにもありますとおり、半数以上の市区町村において、行事の交流等の取組にとどまり、資質・能力をつなぐカリキュラムの編成・実施が行われていない状況です。これからカリキュラムを編成するに当たり、話し合い、考えていくことはいいのですが、何度もページが飛んで申し訳ありませんが、21ページの「実質的な話合いや実践を重視すること」、そして、「形式的な取組とならないよう、子供の姿を起点とした取組を推進すること」とありますとおり、大人の願いが強過ぎないよう、手段にとらわれ過ぎないように、そのときそのときの子供の姿、声、意欲を大事に、人と人が織りなしていき、身の回りの環境との関わりの中で学びが深まるようカリキュラムを進めていってほしいと願っております。
 そして、「自己を発揮する」という言葉で記載されておりますが、小さいことでもいいので、自分が選択でき思いが形になる経験、思いを認められる経験を考えていただきたいと思っております。
 次に、2つ目としまして、22ページにもありますとおり、国において幼児教育施設における勤務環境の改善を図るとあります。そして、その後に記載されております、管理職等のマネジメント能力やリーダーシップの向上を図ることが保育の質には重要になってまいります。何層にも重なっている保育の質ではありますが、特に方向性の質や人員配置等の構造の質といった向上とともに、園のマネジメント能力向上がしっかりと図れることを願っております。
 3つ目としまして、職員や子供、幼児教育機関と小学校全てが有意義に話し合うこと、そして対話することが大事とお伝えさせていただいておりますが、自治体がサポートした研修を含め、園外と園内を往還的に継続していくことの成果をとても期待しております。この往還型研修もマネジメントと一緒で、まだまだ全国的とは言えない中ですが、ぜひ頑張って広がってほしいと願っております。
 最後に、私の感覚で申し訳ありませんが、たくさんの方とお話しする中で、全国の地域や自治体、また、小学校、幼稚園、認定こども園、保育所で、架け橋に対しての認識が、すごく温度差があるように感じております。幼児教育センターや幼児教育アドバイザーもそうですが、現在も御尽力いただいているところだと思いますが、せっかく進めていく中、この温度差がないよう、波及していくさらなる仕組みを整えていただければと思っております。
 そこには、やれと言われても現状厳しい地域がございます。どうして厳しいのか、現状把握と、各地域と各機関に寄り添い、段階を踏んで本当の意味での架け橋としての機能ができればと思っております。
 私からは以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございました。
 最初の交流にとどまっているということで、カリキュラムに進めようというのはこの架け橋の1つの目的ですけれども、そのカリキュラムをどこかで決めて、じゃあやってくださいというのでは本当に実りあるものになりませんので、現場が、つまり、幼児教育の各園と小学校がより具体的な形で、しかも、年1回の会議という話ではなく、もっと日常的なつながりの中で、そして具体的な子供の姿を共有しながら、一緒に考えてという在り方、それをもっと文章の上で分かるようにしたいと思います。
 それから、研修の在り方については、おっしゃるように、園内外の往還的な在り方ということも必要ですし、また、マネジメントについての研修も少しずつ広がっていると思うんですけれども、管理職の理解、積極的なリーダーシップ、また、勤務状況の改善、それがないと進みませんので、そこもより明確にしたいというふうに思います。
 最後の架け橋などの認識にかなり違いがある、また、熱意といいますか、関わり方の温度差があることは、全くおっしゃるとおりであります。温度差というのは、単にやってないところがサボっているという話では多分ない。いろいろな難しさがそこにはあるんだろうと思うので、まだ把握し切れないところもあるんですけれども、そこに踏み込む、そして、そういうところにもどうやって理解を増すか、また、何らかの支援をどう行うかも触れていきたいというふうに考えております。ありがとうございました。
 それでは、中井澤委員、よろしいでしょうか。
【中井澤委員】  一般社団法人ひととの中井澤です。審議の取りまとめ、ありがとうございました。
 冒頭から議論に上がっているステークホルダーへの周知のところで、「はじめに」の部分が多分メッセージとして非常に重要になるかと思っております。そういう意味で言うと、本文中には記載があったと思うんですけれども、小学校教育の前倒しではないという部分を「はじめに」で明記した上で、しっかりメッセージとして伝えていくことが重要なのかなというふうに思っております。
 3ページ目の一番上の段落のところで、「真に一体となって連携・協働していくことが必要である」というところ、こういうふうなメッセージを打ち出していくことは非常に重要であると思うんですけれども、ここの部分ももっと、例えば、よりよい教育の実現に資するために、幼児教育の関係者にとってはこういうことがいいですよ、これを行うとこのようにいいことがありますよ、小学校教育関係者にはこのようないいことがありますよ、保護者には云々みたいな形で、各ステークホルダーにとってどのようなよい未来があるのか、この架け橋に取り組むことによっていいことがあるのかというところをここで明文化してもいいのかなというふうに思っております。
 最後に、この「はじめに」の最後の段落のところで、「速やかに実行に移していただくことを期待する」というふうに書いてあるんですけれども、連携が重要というふうに結構言及されているところで、最後、この「移していただく」というところだと、共に取り組むみたいなところのメッセージ性が弱くなってしまうかなというふうに思っておりまして、これは各ステークホルダーがちゃんと連携しながら共に取り組んで、全ての子供たちに格差がない質の高い学びを提供していくことを一緒に取り組みましょうみたいなメッセージで締めくくると、メッセージとして非常にいいのかなというふうに思いました。
 以上です。
【無藤委員長】  「はじめに」というところの指摘、ありがとうございます。「はじめに」という部分が一番読まれる可能性が高いものですし、何せこの報告は相当長くなりましたので、どのぐらい全文をどの人も読んでくれるかということは確かにあるので、「はじめに」で明確な趣旨を伝えること、努力したいと思います。
 そういう意味で、小学校の前倒しではなくてということだとか、幼児教育、小学校教育、また、保護者にとってもそれぞれのよさを実現していくこととか、最後の呼びかけも、それぞれ一緒になって、つながり合いながら一緒にやっていきましょうということも確かに重要なことですし、よく考えてみると、文科省も厚労省も内閣もそこに加わって一緒にやっていくわけですので、というふうにしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、溝上委員、よろしいですか。
【溝上委員】  溝上です。よろしくお願いします。この審議のまとめ自体はよくまとめられていまして、私はよく勉強になりました。皆様の御苦労に感謝申し上げます。
 皆様おっしゃっているように、実践にどうつながっていくかというのは私もとても関心を持っておりまして、とにかくここが肝だなと。そのベースになる審議のまとめとしては、結構しっかり書かれているという印象を受けています。審議のまとめですから、あまり具体的な方法とか実践的な取組を書くものでありませんので、私はこれぐらいで、あとは細かいところをちゃんとチェックする体制につなげればいいと思っています。
 私の観点から、大きく1点だけコメントします。8ページに18歳の学びの連続性という言葉が出てきて、これは当初から1つ見出しになってきたところなんですけれども、結局、審議のまとめでここしか出てきません。全体を見ていまして、27ページで、先ほど宮下委員からも御指摘ありましたけれども、大規模縦断調査の実施、ここにひとつつなげて、18歳までの学びの連続性を関連づけたらどうかというふうに思います。
 結局、幼保小の架け橋に関する取組が中心になるんですけれども、この幼児期の育ちというのが高校生あるいは大学生、社会人になってのそういうところにかなり影響を及ぼすという最近の学術的知見があると思うんです。だからこそこういう縦断調査の指摘もあるわけで、そういう点を関連づけることを提案します。
 縦断調査のところ、単に縦断調査としかなってないので、時期を、どれぐらい長い縦断調査を考えていくかというのをちょっとでもいいから書いたほうがいいんじゃないかなと思います。18歳までというのはもちろんなんですけれども、いきなり18歳というわけではなくて、例えば、小学校の終わりとか、中学校、高校という節目というのがありますし、その中に書かれている非認知能力ということで言えば、教育経済学は成人まで長く延ばして取っていますので、理想を言えばくらいの感じでもいいかと思いますが、そこら辺の途中途中の節目と成人期まで延ばしたところまであればくらいの言葉がちょっと加わればいいなと思います。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございました。
 18歳の学びの連続性というのが一番大きな枠として置いてはありますが、確かに、いろいろなところでのそこへの言及はあまりないので、ぱらぱら入れてもしようがないんですけれども、初めと終わり、あるいは、調査につながるところで入れるのと。
 それから、おっしゃるように、研究知見は、主に欧米ですけれども、あるので、そこにも触れるということ。
 それから、縦断調査について、文科省がやるという形で明確に書くのは、正直に言えば難しいんです。予算が伴う話なので、確定的には書けませんけれども、ここが必要であるということは書けると思いますし、それから、縦断調査というときに、新たにやることももちろんあるんですけれども、既に進行しているものが文科省に限らず他の省庁も含めてあるので、その再分析ということも十分あり得ると考えております。その辺がもう少し分かるようにしたいというふうに思いました。ありがとうございます。
 それでは、久保山委員も手を挙げていただきました?
【久保山委員】  ありがとうございます。国立特別支援教育総合研究所の久保山です。本当にバランスよく書いていただきまして、ありがとうございます。特に、12ページからの特別な配慮を必要とする子供や家庭への支援について、ページを割いて書き込んでくださったことを感謝申し上げます。
 私から4点ございます。小さいことも含めてなんですが、1つは、13ページの2つ目の丸なんですけれども、ここで特別な配慮を必要とする子供というのは、具体的に障害のある子供と外国籍等の子供のことを指すのだということが先に分かったほうがいいのではないかと思いますので、この丸を(1)現状と課題の最初に持ってくるというのはどうなのかというのが1つ目の提案です。
 それから、2つ目なんですが、その1つ1つ下の「また、全ての小学校の教師に」と始まる部分なんですが、その2行下のところに、知識が分断されているとの指摘があるというんですが、これが何を指すのかちょっと分かりにくいので、もし事務局のほうで御回答いただけたらというのが2つ目の発言です。
 それから、3つ目なんですが、14ページの一番上の丸になります。大変申し訳ないんですが、全体的にここの部分、一生懸命いろいろなものを盛り込んでくださったのかなと思うんですけれども、主語が分かりにくくなっているなという気がいたします。
 1つ目の丸を読んでいきますと、これは幼児教育担当部局が主語になるんだろうと思いながら、一番下の行に、「日々の行動観察において発達障害等の早期発見・早期支援に努めることが重要」だと書いてある。こうなると、これは保育現場の先生方が主語になるのかなと読み取るわけですけれども、この辺りが、ここまで書き込むことが現場の負担にならないのかどうかということがちょっと気になります。
 あわせて、ここの部分で連携の大切さをたくさんうたってくださっているわけなんですが、そもそも保育所、認定こども園、幼稚園の保育・教育が一人一人の子供の姿を丁寧に読み取って、必要な関わりをしていくのだ、つまり、既にもう保育の現場で一人一人を大切にする保育ができているんですよということをどこかに盛り込んでいただいたほうが、この流れでいくと、保育の現場が十分にできていないというようなニュアンスに伝わりかねないので、それがどこかに入れられたらいいなというのが関連してのお願いになります。
 4番目なんですけれども、15ページの2つ目の丸です。「なお」で始まる部分なんですが、ここも実は、ごめんなさい、主語が分かりにくくて、恐らく特別な配慮を必要とする子供が主語なんだろうと思いながら、最後のほうに、「共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むことが大切である」と。これは幼稚園教育要領の交流共同学習の文言だと思うんですけれども、ここはむしろ特別な配慮を必要とする子供のことではなくて、周りの子供ですよね。周りの子供たちが共生社会の担い手として育っていくということの大切さを書き込んでいただいたほうがよいのではないかなというふうに思います。
 あわせて、先ほども言いましたように、そもそも幼児期の保育・教育というのは、一人一人を大切にする、言い換えれば、多様性を理解して尊重する保育がなされているのだということがあって、それをぜひ小学校以降にも引き継いでほしいというような、そういった趣旨の文言が入れていただけるとうれしいなというふうに思っております。
 以上です。よろしくお願いします。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 主語を明確にするとか、文の順番を考えるあたりのより分かりやすい書き方工夫したいと思います。おっしゃるように、この辺りは中教審答申とか指導要領等を参照しながら書いていて、そのままの部分があって、かえって分かりにくいところがあるかもしれませんで、もう一度検討したいと思いますし、詳細は特別支援教育課とも相談したいと考えております。
 それと、知識の分担というのは、私の把握するところでは、幼児教育のところと小学校教育の障害のあるお子さんの把握とか、指導の在り方の例えば研修とか体制が相当違うというあたりとともに、それぞれのお子さんの把握を幼から小につないで把握するというのは、一応もちろん制度としてはあるんですけれども、あんまり十分でないということを意識しているのでありまして、もう少しそこを分かりやすくしたいというふうに思います。
 それと、周りのお子さんの共生社会への成長、理解もおっしゃるとおりです。
 それから、幼児教育が一人一人をということは、まさに私どもが、私どもというのかな、幼児教育に関わる人間が日頃から意識し強調してきたことをおっしゃっていただいたので、その中での特別支援の在り方を考えるということでありますので、そこが伝わるようにしたいというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは、渡邉英則委員、お願いします。
【渡邉(英)委員】  港北幼稚園とゆうゆうのもり幼保園の園長の渡邉です。よろしくお願いいたします。皆さんの意見を聞きながら、私もこの報告書を読ませていただきまして感じたことをお話しさせていただきたいと思います。
 まずは、本当に幅広い視点から報告書がまとまっていて、それがとてもいいなと思っております。なぜとてもいいかなといったら、幼児教育がすごく大事なんだということが書かれているからです。ゼロ歳から18歳までの育ちの中で、子供真ん中社会をこれからつくろうとするときに、このような架け橋期を中心に改めて子供の育ちを見るということが、それがすごく大事だし、例えばですけれども、それが保護者にも伝わっていったり、それから、中高生が子供と関わる中で少子化対策にもつながるとかというところまで含めて書かれています。そのことって大事だなというようなことが、全部まとまって入れていただいていることがいいかなと思います。
 その中でも特に、架け橋期のことを言ってはいるんですけれども、架け橋期のことだけではなくて、学校教育を大きく変えていく力になるという、「はじめに」とか7ページ、8ページに書いてあるんですけれども、個別最適な学びとか協働的な学びとかそういうことをどう教育の中で実現していくかということに関して、それが架け橋期を考えることによって教育全体を見直すことにつながるんだというような構成に読めたので、そのことのよさを感じてはいます。
 ただ、そのことを実際にどう実現していくかといったときに、この報告書で書いてほしいというか、これからの議論になるかどうか分かりませんけれども、学びとは何か、ということです。今まで学習とか勉強とかと言っていて、確かにその言葉も使うんですけれども、学びとは何かといったときに、やっぱり子どもの主体性だろうと思います。配慮が必要なお子さんもみんなそうなんですけれども、内発的に自分でやりたい、考えたいという学び方、やらされているとか学ばされているカリキュラムの考え方自体をもう一回見直しませんかというのが架け橋の大きな意味だろうと思います。
 幼児教育とは、学び方を学ぶ時期ではないかと思います。子供の育ちって、今までは何かさせてそれができるようにすることが多かったのですが、そうではなくて、いろいろな子供たち、多様な子がいて、ICTも使ったりしながら、自分たちで考えたり問いを持ってそれは何だろうという探求していくような学びが大事になります。そのような授業だったり保育に変わっていくためには、やっぱり子供の声を聞いたりとか、それから、子供が問いを持つことを大事にして、正解を教えてしまうのではないというようなことが大事になります。例えば、幼児教育の実践では、園庭にダンゴムシがいたりとか自然と触れ合ったり、そこで問をもつことで、SDGsも関わってくるし、配慮が必要なお子さんとかがいると多様性にも関わってくる。そう考えると、保育の実践を通して、教師も子供から学んでいくことが大事かなと思っています。
 最後に、横浜でつい最近、横浜市庁舎の1階アトリウムで「探究心を育む『遊び』研究会」という幼保小の先生たち、特別支援学校の先生も来ていただいて実践を発表していただいたんですけれども、探究型の実践になるとみんな同じ方向です。違いじゃなくて、こうやって子供って育っていくということが見えてきました。小学校の授業が子供の声を聞いたらもっと面白くなっていく。そういうようなわくわくするような、子供が生き生きするような保育とか教育というものをこの架け橋からつくり出していくというメッセージが全国に広がっていくといいなというのを感じてはいます。このまとめが本当に、各地の素敵な実践につながっていくことを願っています。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 おっしゃるように、架け橋の2年間で、18年間の教育、特に学校教育全てを変えるというふうに言うとだいそれているんですけれども、少なくともその方向を一緒に見ていこうということは呼びかけたいと考えております。
 そのときの主体性というふうにあまりあちこちで書いてもしようがないんですけれども、「主体的な在り方」は要領指針、それから、学習指導要領でもかなり大きく書かれている言い方ですから、その方向なんだということをもう少しその言葉を使いつつも分かりやすくすること、そして、そういうふうに同じ方向を幼児教育も、あるいは小学校教育側も、特別支援とか保護者なども同じ方向を見ていく。しかも、保育実践の子供の具体的な姿、そこでの経験を踏まえていけば変わっていくんじゃないかという、わくわくするとおっしゃっていただいたその方向をぜひ見えるように、さらに文言を考えていきたいと思います。ありがとうございました。
 さらにお手を挙げて私が把握しているのは、オチャンテ委員と齋藤委員ですかね。オチャンテ委員からお願いします。
【オチャンテ委員】  オチャンテです。報告書をまとめてくださってありがとうございます。とても重要なことばかり書いてあると思います。
 先ほどから様々な委員からの意見として出ていましたが、同じく架け橋とは何なのか、なぜ必要なのかということを保護者の理解が必要だと思います。特に私が関わっている外国で子育てしている外国人の保護者たちはいろいろな情報へのアクセスが難しい環境にあって、ですので、そういった保護者向きのリーフレットとかの提案があったけれども、もしそういうのが行われる場合は、ぜひ外国語の保護者のために多言語に翻訳されるとか、そういった学ぶ機会の提供は必要なのかなと思いました。
 チームとして、保護者、外国籍の保護者、学校、先生たちとか、みんなで子供の教育、保護者を子供の教育に巻き込む必要もあるかと思います。日本の学校に適応できるようにとか、母語継承ができるように、そういった保護者の理解も助けも必要なんです。
 あと、もう一つなんですけれども、私はいろいろな大学生とか外国とつながりのある高校生、大学生と交流、インタビューする機会があるんですけれども、多くの場合は、いじめを体験していると語る若者が多いんです。それは、すごく早い段階から、幼稚園とか保育園とかというときからいじめの体験をしていて、今回の報告書の中では、子供の多様性を尊重するとか、外国籍子供たちの多様な文化とか言語理解を尊重するというような内容が盛り込んでいることに関して、とてもありがとう、感謝をしているんですが。
 外国人が多い集住地域では、これが必要性として感じている、実践しているところもあると思います。しかし、外国の子供たちが少ないと、1人しかないような地域とか、そういったどうしても地域によって差が今でもあるんです。外国の子供がいてもいなくても、こういうことを実践する必要もあると思うし、いじめというのはもちろん外国の子供たちではなく、様々な理由でいじめに遭う子供たちがいます。
 ですので、そういう子供の言葉のコミュニケーション能力とか自己を実現するためのいろいろ言葉の豊かさを遊びを通してもらうというような内容が書いてあったんですけれども、同時に、発言している言葉の重さについて、併せてどこかでそういう内容に触れる必要もあるのかなと思いました。
 絵本や物語を読みながら聞かせを通してそういった言葉たちの楽しい言葉、美しい言葉、そしてやはり、その言葉は相手にどう感じるのか、そういうこともどこかで盛り込むとか取り入れる必要もあるのかなと思いました。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 外国系の方々、特に保護者ですけれども、必ずしも日本語の読み書きが十分でない方もおられるので、そういう方向けの情報をどうやって簡便で、しかも、その方々のもともとの言語ではかなり緊急的な必要があろうと思います。自治体によっては既に取り組んでいるところもある由でありますけれども、その試みに学びながら、全国化が必要だと考えております。
 それから、いじめ体験を含めて、その予防や対応で人間や社会や文化の多様性を理解するだけじゃなくて、そのことがむしろ積極的に大事な意味があるということが分かってもらえるようにしていく。それは先生方側のことでもあるけれども、同時に子供たち自身がそういうことに気づく、そういう経験が必要だと思うので、それについても、触れていきたいというふうに考えております。ありがとうございます。
 それでは、斎藤委員、お願いします。
【齋藤委員】  明治大学の齋藤です。取りまとめ、ありがとうございました。
 2ページなどで書かれていますけれども、架け橋期の教育の充実の前提して、架け橋期という考え方・概念を浸透させることが大事かと思います。この2年間というものがいかに大事であり、どうやっていくかということをみんなが考えるために、この言葉が浸透していくこと自体が審議会としては大事だと思います。
 秋田委員が言われたリーフレットにも関わりますけれども、みんなが架け橋期という言葉を使い、その時期を意識していくということ、これが「はじめに」とかに盛り込まれてもいいかなと思いました。
 11ページ辺りに合同の会議がありますけれども、小学校の先生の積極的な関わりというのが大事です。あまり負担を大きくすることなく、担当の先生だけではなく多くの先生が関わるという観点で考えると、ネット上のやり取り、個人情報に気をつけた上でのやり取りの空間というものも有効ではないかと感じました。
 この報告書は、全部文字なので、この報告書、架け橋という考えが一発で分かるような図というかマークみたいのがあるといいかなと思いまして、別にこれがというわけじゃないですけれども、こんな感じですね。見えないかもしれません。
【無藤委員長】  分かります。
【齋藤委員】  架け橋というのは何なのか、それは、この架け橋2年。5歳から小1までの2年間、ここにまず注目してくださいねと、はっきり図で示すということです。
【無藤委員長】  虹みたいな感じの。
【齋藤委員】  そうです。虹みたいな、橋みたいな感じです。報告書にはなじむかどうかわかりませんが、架け橋期がパッと一発でわかるような形の表現の仕方もあっていいんじゃないかと思いました。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 最後の図のあたりは、中教審答申みたいな中に書いていいのかよく知りませんけれども、概要あたりに、誰もが読むところに入れていただけると、多分、全国的に広がる感じはありました。さらに、架け橋期ということの言葉も、概念といいますか、それをどう浸透させていくか、もっともっと考え、強調したいと思います。
 また、合同会議についての教員の負担を考えながら、例えば、リモートとか、それから、既にいろいろ地域で開発研究をお願いしている中でも、気楽に電話するようになったとか、ほんの短い時間でも大丈夫になったとか、要するに、一度顔を合わせてちょっと親しくなれば、かなり話がつながるという話も伺っていますので、校務の忙しさとの兼ね合いを配慮しながらということを書いていきたいというふうに思います。ありがとうございました。
 さて、あとお手を挙げていただいている方は。二宮委員、お願いします。
【二宮委員】  二宮です。よろしくお願いいたします。皆さんの御意見を拝聴いたしまして、まさにそのとおりだと思っております。
 秋田委員がおっしゃったように、この架け橋期というものを強調して、どういうものかというのを分かっていただくというのが一番。特に家庭に対して、この2年間、国を挙げて、幼児教育を挙げて注目して取り組んでいくということが家庭にもきちんと伝わるようなリーフレットなどがあるといいと思います。
 それと、既に報告書の中にも盛り込まれていますけれど、好事例を収集して共有していくというのが大事だと思っております。特に幼児教育アドバイザーなどの横の連携をもっとできるように、リモートなどを通じて、いい効果があったものをお互いに共有して参考にし合うというような体制づくりというところをもっと深め、広げていければいいなと思っております。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございました。
 家庭への啓発だけではない、主体的な参加をお願いするという意味では、リーフレットなり、あるいは、ネットでのユーチューブ等の手だても十分考えられるというふうに思っております。
 それから、好事例につきましては、19自治体に開発研究をお願いしていますが、さすがに本年度、初年度は準備段階というところが多いので、すぐにというのではないんですけれども、来年度ぐらいには、最初の苦労が少しずつ形になってくると思いますので、その辺りで何らかの媒体を通して、好事例といってもこれだけすばらしいというよりは、こういう苦労があるとか、こういうことをそこを乗り越えていったのかという工夫ですかね、を含めて出せるような形を願っておりますので、それについても言及したいというふうに思います。ありがとうございました。
 そのほかに挙手していただいている方はいらっしゃいますでしょうか。特にはおられないですか。あと10分ほどはあるんですけれども、2度目の発言ということでもよろしいんですけれども、ありますか。
【澤田子育て支援指導官】  榎本委員が挙手をいただいています。
【無藤委員長】  そうですね。よろしくお願いします。
【榎本委員】  東京大学、榎本です。大変な資料のおまとめいただいて、まず、ありがとうございます。御尽力に感謝いたします。
 一通り拝見いたしまして、とてもよく書けていると感じました。内容がかなりヘビーで、読むのが大変ですが、とても平易な日本語で書かれていて、分かりやすい。その中で、あえて客観的に持って読ませていただくと、キーワードとして2つあると感じます。1つは当然「架け橋」ですね。「架け橋」という言葉を一般社会で使っていただいて、こういう幼稚園から小学校への時期や、そこにフォーカスした教育を、一般の皆さんがイメージできるように、「架け橋」という言葉が浸透するようにというのは、今まで何人かの委員の皆様が言っていたこととまさに同じことを私も思い言いました。
 私は、高校から大学への、いわゆる「高大接続」のほうもお手伝いさせていただいているんですが、このステップも、ある意味架け橋といえば架け橋です。ですが、言葉の使い方としては、この幼稚園から小学校へのステップの方が「架け橋」という言葉にふさわしいと思いますので、このステップを「架け橋」という言葉で定義していく、全員でキーワードとして使っていくというのはとても重要だと思います。
 もう一つキーワードとしてウェルビーイングが出てきます。ウェルビーイングは、私たちが脳研究をやっていても便利な言葉ですので、往々にして、色々な意味を含む不明瞭な形で使ってしまうことがあります。この提言書の中でウェルビーイングはいい言葉として使われていることは良く理解できますが、具体的にどういう意味で使っているのか、言葉の定義がちょっとぼやけているというか、しっかり定義がされてないように感じました。
 本報告書の中におけるウェルビーイングという言葉は、教育の対象となっているこの年代のお子様のウェルビーイングという意味であるとともに、現場で教育を担当されている先生方や地域のボランティアの方、さらには御家庭の方など、その全てを含む健康と幸福感のことだと理解しました。それでは、この定義のウェルビーイングとは突き詰めるとどういうことかと言うと、私は時間や心の余裕を生み出す環境だと思います。
 小さいお子さんの教育というのは、現場を担当する人間がある程度の余裕を持って一人一人を見るということができないと、なかなかうまくいかずどうしても十把一絡げみたいな教育方針になってしまうので、よくない方向に進みます。この報告書の中では、現場の時間や精神的な余裕をどういうふうに生み出していくのか、どうやって全ての物事を効率的に進めるのか、アイデアを皆で考えていきましょうという意味の提言として、ウェルビーイングという言葉をうまく定義すると良いのではないかと考えます。
 最初に述べた「架け橋」に加えて、「ウェルビーイング」というキーワードを最初に定義して全体的にうまく使うと、もっと全体の流れが理解しやすくなるのかなと思いました。
 以上です。どうもありがとうございます。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 架け橋とウェルビーイングというのは、おっしゃるように一番重要なキーワードなんですけれども、架け橋については、先ほど齋藤委員にも出していただいた、両方から手を伸ばして渡っていくというようなイメージがもっと出てくるといいかもしれないと思っております。
 ウェルビーイングというのは、おっしゃるように、今いろいろな分野で片仮名語として使われてきていて、かなり多義的になっている感じがするので、この定義というふうに明確な定義がしにくいといいますか、少なくとも中教審の範囲ではそれはまだ出てない感じなんですけれども、子ども家庭指針などが出れば、ある程度そこは文章化していただけると思いますが、今のところではやや曖昧さを含みますけれども、子供の幸せ、また、社会が全体としてどの人たちも幸せになり、格差がなくなるといいますか、減っていくような在り方、同時に、子供、小さい子供ですから、今が幸せであると同時に、今の幸せの中に、未来へ育まれていく未来への力が育つということも含めて考えるんだろうと理解しております。
 そういう意味合いが分かるようにしながら、肝腎なところでのポイントをそこで押さえていきたいと考えております。ありがとうございました。
 そろそろ時間ですけれども、最後に、中山委員、お手をお挙げになっていますか。
【中山委員】  よろしいですか。時間があればということで。
【無藤委員長】  どうぞ。短くお願いします。
【中山委員】  9ページに、教育、教育委員会の教育方針というのが書かれていて、これは読んでいくと期待する子供像のためにすごく重要なものだということが分かるんですけれども、市や町によると思うんですが、私どもの町なども、公立の幼稚園がないこともあって、あまり教育委員会の教育方針というのを恥ずかしながら意識したことがないんです。あるにはあるんですけれども、あまり意識していない。この辺をもうちょっと解説していただけるといいのかな。
 民間ですと、一部に私学の独自性とか建学の精神、もちろんそういう個性豊かな部分というのは非常に大事なんですが、公教育としての役割というのをどう考えるとか、ちょっと難しいところもあるんですが、すごく教育委員会の教育方針って大事だと思うので、ちょっと説明を加えていただけたらなんていうふうに思いました。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 教育委員会というのは、教育長の下で当然その方針を立てているわけなんですけれども、そのベースはもちろん学習指導要領とか3要領指針であろうと理解していますが、今回、特に幼児教育の場合には、民間施設また保育所は、厳密に言えば教育委員会の管轄でないところもありますけれども、そういう意味では、教育委員会として視野を広げて、自分の管轄ではないにしても、そういうところにもつながるということを意識した方針というのをぜひ考えていただきたいというふうに思っています。その辺が分かるようにもう少し書き込みたいと思います。ありがとうございました。
 そろそろ時間ですので、ここまでにさせていただいてもよろしいでしょうか。じゃあ、意見交換をここまでということで、いろいろな意見を頂戴してありがとうございました。
 今日いただいた意見を今後組み込んでいくわけでありますけれども、今日の審議まとめにつきましては、いわゆるパブリック・コメント、国民の皆様からの意見募集でありますけれども、それを行うことになっております。そのパブリック・コメントについては、今日の段階のものにせざるを得ないところがあると思います。
 次回を予定してございますけれども、その次回におきまして、最終的なまとめにしたいと思っておりますが、それに向けて、本日皆様からいただいた御意見を組み入れることとともに、意見募集でいろいろな意見が出てくると思いますので、それを踏まえて私どものほうで修正して、審議まとめの案をさらに今日の分を書き込み、修正して御提示し、御議論いただきたいというふうに思います。
 そして、次回が、本特別委員会の審議まとめの最終審議とするという予定であります。今、見えていると思いますけれども、次回日程について、事務局からお願いします。
【澤田子育て支援指導官】  次回の特別委員会は、2月27日月曜日の10時から12時を予定しています。
【無藤委員長】  その前までに、何とかいろいろな意見を調整して、今日の案を拡充する形を私のほうでつくりたいと考えてございます。ありがとうございました。
 それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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