幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会(第10回)議事録

1.日時

令和4年12月16日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議形式で開催

3.議題

  1. 幼保小接続期の教育の質保障の方策に関するワーキンググループにおける審議状況について
  2. その他

4.議事録

【無藤委員長】  定刻になりましたので、ただいまから第10回中央教育審議会初等中等教育分科会、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 それでは、本日の会議の開催方式及び資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【澤田子育て支援指導官】  本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、Webexを用いたウェブ会議方式にて開催させていただきます。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 なお、本日は、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をWebexにて配信しております。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1から資料2まで及び参考資料1から5となっております。御不明な点がございましたら、お申しつけください。
【無藤委員長】  よろしいですか。
 それでは、早速、議題1に入りたいと思います。
 昨年度末、3月末ですけれども、本委員会で審議経過報告を取りまとめいたしました。そこで、幼児教育の質的向上及び小学校との円滑な接続に関して、質保障の仕組みを中心としながら、引き続き審議を行うということにしてございました。このことを踏まえまして、質保障に関して専門的な審議を行うため、幼保小接続期の教育の質保障の方策に関するワーキンググループを設置し、審議を行ってまいりました。
 本日は、まず初めに、事務局より、このワーキンググループの審議状況の報告を行っていただき、その後に皆様方から御意見をいただきたいというふうに存じます。
 この特別委員会としては、ワーキンググループの、今日は最終報告ではなくて、審議経過報告、途中報告なんですけれども、ほぼ9割方完成のものです。それを皆様方にお聞きしていただいて、本特別委員会の審議経過報告の中にワーキンググループの報告書の内容を盛り込みながらブラッシュアップするということを考えてございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  それでは、資料1を御覧いただければと思います。
 まず、「はじめに」のところを御覧ください。資料、1ページになります。
 令和4年3月に、中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会におきまして、「審議経過報告」を取りまとめていただきました。
 この審議経過報告におきましては、幼児教育の質的向上及び小学校との円滑な接続について、さらに質保障の仕組みを中心として検討を行うとされたことを受けまして、参考資料1のとおり、ワーキンググループを設置して審議を重ねていただいてまいりました。
 幼児教育の質につきましては、OECDのStarting Strong4によりまして、幼児教育の質は多様な側面が含まれるものとされておりまして、なかなか一義的に定義をすることは難しいというふうにされております。
 したがいまして、このワーキンググループにおきましては、今後求められる幼児期及び幼保小接続期の姿をまず明らかにし、そして、その姿を実現していくことこそが質の保障であると考えまして、現状と課題、そして具体的な方策について取りまとめを行ってきていただいているものであります。
 次に、資料、2ページからになります。
 まず初めに、今後求められる幼児期及び幼保小接続期の姿をまとめております。
 まず、幼児期及び幼保小接続期の教育としては、教育の一貫性ということで、我が国では教育基本法等の目的や理念に基づきまして、幼児期の教育から高等教育まで教育の一貫性、継続性を確保した教育体系が構築されております。
 幼稚園教育要領や学習指導要領では、学校教育全体を通じて育成すべき資質・能力が明確化されておりまして、幼児教育におきましては、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が見られるように、小学校以降の教育を見通しながら、その基盤となる資質・能力を育成していくことが求められております。また、小学校は幼児教育施設で育まれた資質・能力を踏まえて、教育活動を実施することが求められております。
 特に小学校入学前後の接続期、架け橋期と呼びますけれども、生涯の人格形成の基礎を培う重要な時期であるとともに、子供が幼児教育施設における遊びや生活を通した学びや成長を基礎として、小学校において主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことを可能にするための重要な時期でもあります。幼児教育施設と小学校が架け橋期の教育の重要性について認識を共有しながら連携することで、架け橋期の教育の充実を図っていくことが求められるとしています。
 また、全ての子供の育成ということで、幼児期の教育が、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を担っているということで、家庭や地域の環境、障害の有無に関わらず、全ての幼児を育成していくことが求められるとしています。
 そして、3ページですが、幼児教育を支える教育・保育者と環境として、幼児教育の質については幼稚園教諭、保育士、保育教諭等の質と言っても過言ではないということで、これらの者が教育に対する使命感や責任感、そして教育的愛情や幼児教育の専門的知識などの資質・能力、また、豊かな経験を有することが求められるとしています。
 また、これら優秀な教育・保育者が、精神的、時間的余裕を有しながら、生き生きとやりがいや充実感を持って幼児教育に取り組める環境とすることが求められます。
 また、子供からすると、幼児が安心して自己発揮できる安全な環境とするとともに、様々な環境と関わることができるように整理をすることが求められます。
 次に、家庭や地域との連携におきましては、子供の健やかな成長のためには、幼児教育施設や家庭・地域が、子供は社会の宝という認識の下、子供の成長から得られる幸せと喜びを分かち合いながら、一体となって子供の育成に取り組むことが求められます。
 特に家庭との関係では、保護者が安心して子育てができるように支援すること、また、地域との関係で言えば、日頃から教育活動を園内に閉じずに、教育理念や方針を地域と共有し、運営に参画を求めるなど、開かれた幼児教育施設づくりを進めることが求められます。
 そして、国や地方自治体としては、教育委員会と保育担当部署が連携して、小学校と幼児教育施設の連携体制を構築していくことや、また、令和4年6月に「こども基本法」が成立したことを踏まえ、特に未就園児のいる家庭に対する積極的な支援を行っていくこと。地方自治体においては、幼児教育センターの設置や、幼児教育アドバイザーを配置するなどの体制を整備すること。そして最後に、国や地方自治体においては、データを収集し、その分析を通してエビデンスに基づいた政策を形成することが求められるとしております。
 5ページ以降が、そのような姿から見た場合の現状と課題、そして必要となる具体的方策についてお示しをしたものになっております。
 まず、幼児期及び幼保接続期の教育の現状と課題についてですけれども、上から4つ目の丸になりますが、3要領・指針や小学校学習指導要領では、子供の資質・能力や学びの連続性を確保することとしており、架け橋期の教育の充実が求められている。しかし、管理職も含め、相互理解を深めるまでには至っていないところが少なくないということや、下から2つ目の丸にありますとおり、相互理解を図ることなどを目的に合同研修が行われた場合でも、一度行って安心してしまって、その後の対話が難しいというような指摘もございます。
 さらに6ページになりますが、架け橋期の教育の充実に取り組もうとしても、幼児教育施設や小学校に指導・助言できる人材がほとんどいないという課題も指摘されています。
 また、特別な配慮を要する子供への教育につきましては、障害のある子供や外国籍の子供など、幼児教育施設や小学校において特別な配慮を要する子供が増加しており、こういった子供たちに対して切れ目ない支援を行うことが必要であるとしております。
 そして、ページ下の半分になりますが、今後の方向性ということで、まず、架け橋期の教育の充実につきましては、幼児教育施設と小学校が共に架け橋期のカリキュラムを作成することが考えられるとしています。
 作成に当たりましては、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を活用いたしまして、次のページに続きますけれども、期待する子供像をまず明らかにし、この期待する子供像を基にして具体的な育みたい資質・能力を明確化していくことが考えられるとしています。
 そして、評価のところになりますが、上から2つ目にありますとおり、架け橋期のカリキュラムにおいて明確化された資質・能力が、どのように育まれたかについて、小学校1年生の修了時期を中心に、幼児教育施設と小学校が共に振り返りをしまして、架け橋期の教育目標や日々の教育活動を評価することが考えられます。そして、この評価を踏まえて、幼保小それぞれの教育の充実につなげていくということが期待されます。
 また、幼保小の合同会議等を定期的に開催するなど、幼児教育施設と小学校の対話を継続するための工夫が必要であります。そして、この合同会議に保護者や地域住民の参画を得て、「社会に開かれたカリキュラム」の観点から仕組みづくりをすることが望ましいというふうにしております。
 次のページになりますが、人材育成としては、幼児教育施設や小学校に対して専門的な指導・助言等を行う架け橋のコーディネーターや幼児教育のアドバイザーの育成も必要であるとしています。人材育成に当たっては、幼児教育施設と小学校における人事交流などが行われているとしています。
 また、教育委員会におきましては、幼保小接続担当や生活科担当の指導主事の配置や、力量向上を含め、体制整備をしていくことなどが重要であるとしています。
 また、架け橋期の教育を充実するためには、やはり幼児教育施設の教育・保育者や、小学校の管理職、教師を対象にした研修を実施していくことが重要であるとしております。
 次のページになります。
 特別な配慮を要する子供への教育につきましては、子供の多様性を尊重し、幼児教育施設・小学校と乳幼児医療、母子保健、福祉との連携が不可欠であります。地方自治体におきましては、子育て世代包括支援センターや乳幼児健診の機会の活用などの取組を推進しまして、医療情報連携ネットワークとの連携を進めるなど、幼児教育施設と小学校、そして母子保健、福祉、医療などの関係機関との連携強化を図って、切れ目ない支援を行っていくことが必要であるとしております。
 また、10ページ以降になりますけれども、ここからは幼児教育を支える教育・保育者と環境といたしまして、上から2つ目の丸になりますが、地方自治体や各幼児教育施設において研修の充実が求められておりますけれども、地方自治体や幼児教育施設における取組の差が大きい、そして研修に参加しても必ずしも実践に還元されていないという課題が生じているという指摘があります。
 そして、自己研鑽に努めることができる時間的・精神的な余裕のある勤務環境を確保する必要がありますが、実態としては、勤務時間中に教育・保育者が集まって話し合う時間や、日々の幼児の記録を取る時間すらないほど多忙であるということが指摘されています。
 そして、この多忙な勤務環境が、幼児教育施設の勤務を志望する者の減少や、離職者の増大に大きく影響を与えているとの指摘があり、勤務環境の改善が急務となっているところでございます。
 11ページ以降が今後の方向性ですが、まずは、上から2つ目にありますとおり、幼児教育・保育者の処遇改善等の必要な施策を引き続き実施するとともに、地方自治体が幼児教育関係団体や養成校と連携をしまして、新規採用の促進や離職防止、定着促進、離職者の再就職の促進といった総合的な人材確保策を推進していくことが必要です。
 また、研修につきましては、関連する研修内容を体系的に整理し示すことが重要であること、また、一番下の丸にありますが、管理職が研修の重要性を理解するために、その重要性を周知するとともに、働き方改革による研修時間の確保や、遠隔地や隙間時間に視聴できるオンライン研修の開発等の工夫を進めていくことが必要であるとしております。
 12ページになりますが、効果的な研修方法といたしまして、外部研修で受けた内容を現場で実践をし、それをまた次の研修に持ち帰って研修を行うという、理論と実践の「往還型研修」の取組が進められているところもあります。特に園内での実践の様子を公開保育や公開授業で見せ合うと、さらに効果的であるとの指摘もあります。
 その際は、ファシリテーターの育成も合わせて取り組むことが必要であると言われております。
 次に、幼児教育施設の勤務環境の改善でございます。
 教育・保育者がワーク・ライフ・バランスを実現しながら、生き生きとやりがいや充実感を持って働ける勤務環境とすることが必要です。そのために、管理職のマネジメント能力やリーダーシップを向上していくことが重要であること
 次のページになりますけれども、貧困、虐待、障害、外国籍の幼児など多様な背景を持つ子供が増加していることから、幼児教育施設においては、心理や福祉、障害などについて専門的な知見を有する者を積極的に活用して、幼児教育施設の取組内容の充実を図っていくことが重要であること。
 また、地方自治体においては、そういった保健福祉など専門職をはじめとした人的体制の充実を図ることが重要であるとしています。
 また、事務業務の多さが教育者の大きな負担につながっているということも指摘としてありまして、ICTの環境整備を進め、働き方改革を推進していくことが急務であるとしております。
 14ページになりますけれども、幼児教育施設の安全・安心対策の推進として、幼児教育施設においては、幼児の安全・安心な生活を確保するために、幼児教育施設の安全に関する在り方を不断に見直していく必要があること、そして、次の下にありますとおり、ヒヤリ・ハットの活用をしていくこと。
 15ページになりますけれども、学校安全計画等の策定・改善や安全管理の実施把握・評価はもとより、ガイドラインに基づいて、幼児教育施設における事故の発生、再発防止のための取組を推進する必要があるとしております。
 家庭や地域との連携におきましては、一番下の丸にありますけれども、家庭や地域の教育力が低下していると言われている中におきまして、安全・安心な居場所であるとともに、子供の成長を保障する幼児教育施設の役割の重要性が一層増しているとしております。
 そのために、16ページになりますけれども、幼児教育施設においては、在籍児のみならず、地域の子供に幼児教育の機能と施設を積極的に開放することが求められること。
 4つ目の丸にありますけれども、その際に、保護者にとっても保護者同士がつながりをつくり、子育ての不安や喜びを互いに分かち合えるような関係づくりの場とすること。そして、幼児教育施設に預けることが、子供にとってもよい影響があるという実体験を得ていくことが非常に重要であるとしています。
 また、下から2つ目の丸にありますが、乳幼児と触れ合う経験がほとんどないままに親になる人が増加しているということで、中高生や大学生が子供に触れる機会、親になることを意識する機会が必要となっているとしております。
 次のページになりますけれども、家庭や地域と信頼を得ながら取組を進めていくためには、幼児教育の特性や教育方針について理解を得ていくことが重要であるとしています。
 その理解を得るためには、幼児教育施設においては、ドキュメンテーションなどにより「見える化」を行った取組が進められています。このような取組を進めまして、保護者や地域の関係者等の幼児教育施設運営への理解を促進しまして、「社会に開かれたカリキュラム」や「社会に開かれた幼児教育施設づくり」につなげていくことが期待されています。
 また、こういった見える化による家庭や地域との連携の好事例を収集し、発信することによりまして、幼児教育の特性について、社会の認識も高めていくことが重要であるというふうにしております。
 最後に、地方自治体と国の役割でございます。
 17ページにありますが、我が国の幼児教育施設が、幼稚園、保育所、認定こども園といった複数の施設類型が存在し、また、地域によって、少子化の進行や、家庭の就労等の状況、また、幼児教育・保育の在り方等につきましても異なっていることから、地方自治体の役割が非常に重要であるとしています。
 今後の方向性といたしましては、地方自治体内において、幼保の担当部局の連携・協働や一元化、また、幼児教育センターの設置が進められておりまして、こういったことをさらに進めていくことが必要であります。
 また、幼児教育アドバイザーにつきましても、近年増加傾向にありますけれども、幼児教育アドバイザーの人員配置の充実や、資質・能力向上のための研修等の支援体制を構築していくことが重要であるとしています。
 19ページになります。
 国の役割ですけれども、国としては、今後、子供に関するデータエビデンスに基づいて幼児教育の政策形成に取り組むことが必要となっております。
 施策の方向性につきましては、幼児教育の調査研究拠点の整備を推進していくことや、また、国立教育政策研究所の幼児教育研究センターを中核とした研究ネットワークの構築を進めていく必要があるとしています。
 また、こういったネットワークを生かしながら、大規模な長期縦断調査を国のプロジェクトとして実施していくことが必要であるとしています。
 最後に、21ページになりますけれども、諸外国では、幼児教育の質保障の方策として、幼児教育の質や子供の発達と成果のより客観的な評価に向けまして、具体的な評価指標を開発し、活用がされています。代表的なものとして、ECERSやSSTEWがあります。
 現在、国立教育政策研究所の幼児教育研究センターにおきましては、このECERSやSSTEWを参考にしながら、幼児教育におけるプロセスの質評価と、その活用の在り方について研究が進められておりまして、日本独自の質評価指標の開発を引き続き進めていくことが求められるとしております。
 以上、簡単ではございますが、現時点でのワーキンググループの報告書となります。
 13日にワーキンググループが開催されまして、このワーキンググループの報告書(案)につきまして、ワーキンググループの委員から様々な御意見を頂戴しておりますのでご紹介いたします。
 1つは、この報告書が架け橋期の接続も含めまして、幼児期から児童期への連続性と接続を真に考えた報告書としていくためには、より一層、架け橋期についての記述の加筆が必要であるという御意見をいただいております。
 特に、小学校にこの報告書が関わっていることが明示的に一目で分かるような記述の工夫が必要であると御意見をいただいております。
 また、資質・能力を育成していくために、0歳から18歳までの教育の一貫性を考える上で、接続の問題が極めて重要であるということ、また、架け橋期2年間に何をするのかということだけではなくて、どのような意味合いを持つのかについても書き込む必要があるという御意見をいただいております。
 また、合同研修につきましては、語りあう職場風土をどう形成していくか、同僚性が極めて重要であるということや、理論と実践の往還型研修については、小学校と幼稚園、保育所、認定こども園においてもチャレンジしてほしいといった御意見をいただきました
 そして、特別な配慮を要する子供に関しては、小学校の先生が、事前に子供の様子を幼児教育・保育施設に見に行くという記述があるのですが、これをぜひ普通級の子供たちにも進めていただきたいといったような御意見、
 また、自治体の力の差があればあるほど、都道府県や幼児教育センターの役割が大きくなってくるので、この点を強調していただくことによって、どの自治体においても、いい教育を受けられると思えるようにしていただくことが必要ではないかといった御意見、
 さらにい、幼保小の架け橋プログラムが、ステークホルダーが非常に多いということで、誰が責任主体となり、どう進めていくのかをより記載したほうがいいのではないかという御意見、
 また、幼児期に培ったものではなく、幼児期にどのような取組をしていたのかということを小学校の先生方につないでいくことが必要であるといった御意見をいただいきました。
 現在、このワーキンググループの報告書については、いただいた御意見を踏まえながら修正案を作成中でございます。本日の特別委員会には間に合っていないため、このワーキンググループの報告書を踏まえた御審議をお願いできればと思っております。
 そして、資料2になりますけれども、審議経過報告です。こちらは、本年の3月に取りまとめをいただいたものですが、この審議経過報告を最終報告として、取りまとめに向けてブラッシュアップをしていただくということになりますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、御報告となりますけれども、参考資料5になります。
 静岡県裾野市の保育所におきまして、不適切な保育が行われていたという事案が発生しております。また、同様の事案が相次いでいるということもありまして、12月7日付で厚生労働省、内閣府より、保育所や認定こども園等に対しまして、「保育所等における虐待等に関する対応について」という事務連絡が発出されております。
 文部科学省におきましても、12月8日付で、「幼稚園及び特別支援学校幼稚部における不適切な保育に関する対応について」という事務連絡を発出しております。
 多くの幼稚園においては適切な保育を行っていただいているものと考えておりますけれども、改めて、幼稚園等における不適切な保育に関する対応についての留意事項をまとめまして発出をしておりますので、御報告をさせていただきます。
 事務局からの説明は以上となります。
【無藤委員長】  ありがとうございました。
 ワーキンググループからの報告を伺ったわけですけれども、追加の口頭の御説明にありましたように、今日お手元に書類として示したものが経過報告、私の見積りとしては、9割方ぐらいだと思うんですけれども、それにさらに付け加えて、そこでの議論を説明していただいたわけです。その両方を合わせながら、ぜひ御質問、また御意見を頂戴したいと思います。
 そして、今日いただいた議論も含めて、ワーキンググループのほうの報告もさらに加筆修正するわけですけれど、一番大事なことは、この特別委員会として、審議経過報告をどこかの段階で出して、中央教育審議会初等中等教育分科会に上げたいと考えておりますので、それに向けて、どういう論点が必要か、ふさわしいか、あるいは、特にワーキンググループの場合には、幼児教育の専門家と評価の専門家が集まっているので、ちょっと分かったつもりで説明が足りない可能性もありますので、ぜひ新鮮な目で御検討いただきたいというふうに思います。
 それでは、意見交換なんですけれども、1時間半弱あるんですけれども、できる限り多くの委員の皆様から御意見をいただくということで、いつものとおりのやり方ですけれど、お一人3分以内という短い時間で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 やり方としては、これもいつものように、「挙手」ボタンを押していただく。私のほうからは、ちょっと委員の数が多いので一覧できませんので、事務局のほうから、どの方が手を挙げていると、その順番で指名させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、どなたからでも結構でございますので、挙手をお願いします。いかがでしょうか。
【澤田子育て支援指導官】  藤迫委員が手を挙げていらっしゃいます。
【無藤委員長】  そうですか。では、お願いします。
【藤迫委員】  ここまでワーキンググループでまとめていただいてありがとうございます。
 私は教育委員会を代表しておりますので、どちらかというと、地方自治体の立場からということでこれを読ませていただいたんですが、ページでいうと4ページあるいは18ページに当たると思うんですけれども、今回の架け橋の議論の肝は、点でなくて線で子供を見ていこうということだと思うので、やはり組織というのは一元化するほうがいいだろうなというふうに思いますし、子供を取り巻くいろいろなデータを収集して、それをデータベース化して、それも子供の成長の様子が見える変化を見られるような、継続してデータを見られるというようなことが大事なのかなというのは、これは感想としてあります。
 もう1点は、最後にワーキングの意見として紹介があったように、我々も進めているんですが、課題は小学校側の教員の意識改革だと思うので、できたら、我々、全ての小学校に調整役として、校務分掌にしっかりとコーディネーターとして位置づける、こういうことをしないと、なかなか進まないのかなというふうに思っている、実感と感想です。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 自治体の役割が非常に大きいというのは、いろいろな意味で痛感しております。
 また、小学校側の参加が恐らく鍵になるということもおっしゃるとおりで、現在、19自治体に開発研究をお願いしていますが、やはりそこでも小学校側の参加は様々な感じですけれど、どの小学校においても課題意識を持って、責任を持っていかに関わってもらえるかの工夫を、今の藤迫委員の考えも1つですので、進めていきたいというか、事務局とも相談していきたいと思います。
 それでは、次の方はいかがでしょうか。
【澤田子育て支援指導官】  中井澤委員、岡林委員、宮下委員が手を挙げていらっしゃいます。
【無藤委員長】  では、お三名、順次、中井澤委員から。
【中井澤委員】  一般社団法人ひととの中井澤です。私から、2点ほど意見を申し上げたいと思います。
 最初の事務局からの説明もあったと思うんですけれども、この架け橋期の委員会ということなので、その架け橋期に焦点を当てた記述があっていいかなと思うのと、あと、これ、架け橋期だと、やっぱり幼児教育、小学校教育、両方関わることなので、重要なのでやってくださいというメッセージとともに、これをやったら各ステークホルダーにとって具体的にどういう変化があるのかとか、具体的にどういういいことがあるのかというメッセージをもうちょっと前に打ち出さないと、やってやってと義務感だけでやると、やっぱり苦しいと思うので、その辺りは小学校の教員も含めて、こういうふうに改善していくと、こういうふうないい未来が待っているよみたいなメッセージがあってもいいのかなと思いました。
 2点目が、報告書(案)の11ページから13ページにかけての管理職のマネジメント能力・リーダーシップの向上のところなんですけれども、やっぱり我々若手側からすると、管理職だったりとか、上の世代の意見がどうしても正しいというか、現場でやっぱり忙しいと、それに従ってオーケーみたいな感じの雰囲気になりがちだと思うので、この辺は何かうまくいっている事例みたいなものをちょっと挙げて、若手と上の世代、あるいは管理職が融合することによって、こういうふうな具体的にいい事例が進みましたみたいなものがあると、ほかの自治体だったりとか、ほかの現場で参考にしやすいのかと思ったので、何かそういう事例があると、この辺は進みやすいのかと思いました。どうしてもやっぱり管理職がマネジメントするという話になると、若手はそれについていくみたいなニュアンスが持たれがちなので、その辺りは若手の力ももっと生かしていきましょうみたいなメッセージは欲しいところかなというふうに思っています。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございました。
 非常にポジティブなメッセージを出すといいますか、特に小学校側かもしれませんけれども、小学校教育にとって大いにプラスになる方向だというメッセージを明確にすることと、管理職のマネジメントにおいて、特に若手との協働、若手からの意見を十分聴取して一緒にやっていく方向。ありがとうございます。非常にプラスの方向が見えたと思います。
 それでは、もう一人、2人目の方はどなたでしたか。
【岡林委員】  岡林ですけれども、よろしいでしょうか。
【無藤委員長】  はい、お願いします。岡林委員。
【岡林委員】  少し遅れました。申し訳ございません。高知県の岡林です。
 ワーキンググループの先生方による話合いを取りまとめていただきまして、ありがとうございました。セッションごとに分かりやすくまとめていただいて、それぞれの立場の目指す姿や役割が明確になってきているのではないかなと思いました。
 私からは、2点お伝えしたいと思います。
 1点目は、8ページにあります、管理職等の研修の充実にありますように、管理職の方たちの御理解が重要であると思いますが、それと同時に、幼保小接続担当者、もしくは架け橋担当者が、各園、各小学校にしっかり位置づけられて、役割が明確になっていくことが重要ではないかと思います。
 現在もほとんどの園や学校で、そういった担当の方がおいでかと思いますが、単に5歳児の担、1年生の担任だからということではなく、組織全体で接続を考えて、0歳から18歳までの育ちを見通した取組を願っているところです。
 また、教職員の異動があっても継続的に取組が引き継がれるためには、やはり担当者の役割が大きいかと思いますので、今後、担当者の位置づけや役割が明確化されるよう働きかけていけたらなというふうに思いますし、そういったところが具体的に示されるといいのではないかなと思います。
 2点目は、10ページの(1)の現状と課題の2つ目の丸にあります地方自治体や幼児教育施設による取組の差が大きいということや、研修につきましては、本県でも見られる現状だと受け止めております。
 特に研修については、関心の高い方には参加していただけるのですが、そうでない方、まだまだそこに理解がない方、意識がない方も多いため、取組の差ができているのではないかと思われます。これについても、先ほどの管理職の理解によるところも大きいですけれども、接続や架け橋については、小学校以上の道徳教育等と等しく、教職員全員が理解すべきことなのではないかと思いますので、何とか全ての教職員に学ぶ機会が保障されることができないか、その点を模索しているところです。これが国全体でもそういった働きかけができないかというふうに願っているところで、やはり小学校の先生方にも、もっともっと一緒に学んでいただきたいという思いがあります。
 今、本県でも架け橋プログラムの取組もしていますけれども、語り合うことのよさというのはたくさんあると思いますので、管理職と若手の先生、また、その間を取りもつミドルの先生方といった組織の在り方というものを見直していくためにも、その語り合いのよさ、効果というものを、もっともっと前面に出していけたらと思います。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 組織として取り組むというところだと思うんですけれども、特に、全ての幼児教育施設、また小学校で、接続あるいは架け橋の担当者、実務的には多分置くんですけれども、もっと実質的にということと、園全体、学校全体、つまり、組織としての責任を取る人ということだと思います。そして、関心が必ずしも全教職員共有できていないのが恐らく現状なので、そこをどういうふうにしていくか。ただ機械的な悉皆研修では、多分薄いので、いろいろな形でのアプローチとともに、各学校、園でのテーマをめぐっての話合いとか、往還型と呼ばれるような研修とか、さらに工夫するとともに、その工夫を自治体、また様々に研修を行うところにもお願いしていくということを考えていきたいと思います。ありがとうございました。
 3人目は。
【宮下委員】  宮下です。
【無藤委員長】  宮下委員、お願いします。
【宮下委員】  静岡豊田幼稚園の宮下です。よろしくお願いいたします。3点ほど、お話をさせていただきたいと思います。
 まず1つ目が、3ページにも載っているんですけれども、架け橋ということを考えたときに、幼児教育の豊かさをどう小学校につなげていくのかというところだと思いますが、質の高い幼児教育を進めていくには、やはり優れた保育者の確保というのは本当に重要だと思っています。ここに優秀な教育・保育者が、精神的・時間的余裕を有しながら、生き生きとやりがいや充実感を持って取り組む環境をつくっていくということが書かれていて、ここは本当に大事なところだと思っております。
 やはり今、対コロナであったりとか、特別支援を含めた一人一人に応じた指導であったりとか、また、対保護者等を考えると、精神的な余裕が保育者の中で失われてしまっていると実感しております。
 ただ、そういう中でも先生たちは、生きがいとか高い志等を持って頑張っています。処遇改善等も、もちろん大事だとは思うんですけれども、社会として、小学校も含めた先生たちに対する信頼であったりとか、温かな目というものが、今後広がっていくと、先生たちは、生きがいややりがいを持ってやっていけるのかなと考えたりしております。
 それからもう1つは、特別支援に関する専門的な知識を持った、アドバイザーのような人が、各園に定期的に入っていただけて、自分たちの子供への関わりについて、相談に乗っていただいたりとか、保護者との面談の場にその人が一緒に入ってくださって、一緒になってその子のことを考えて、小学校につなげていくというような、そういう環境が進んでいくといいなというふうに思っております。
 3つ目は、管理職の研修なんですけれども、やはり管理職が勉強するということは、非常に重要だと思います。幼稚園と小学校の管理職の合同研修が定期的にできるような環境も必要ではないかなと思っております。
 以上でございます。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 最初の幼児教育に関わる仕事、保育者を社会的にもっと肯定的というんですかね、その専門性を高く見ていく風土とでも言いますか、逆に、小学校教諭もそうだし、保育士、幼稚園教諭もそうなんですけれど、否定的に捉える報道と言って報道機関に文句を言ってもしようがないんですけれども、ということも懸念はしているので、それをどう変えていくか、なかなか架け橋という小さい枠では難しいところも多いんですけれども、ぜひ考えたいと思います。
 それから、特別支援についての巡回相談等々については、どうやら自治体間の差というんですか、非常に大きいようなので、これは特別支援課とも相談して考えるべきことだと考えております。
 管理職研修については、本当に強化していく必要があるので、どういう形でそれが可能なのか。そして、その中に当然ながら架け橋も広く接続の問題を盛り込んでいただかなければいけないので、これも事務方と一緒に考えたいというふうに思います。ありがとうございます。
 それでは、さらにお手を挙げていただきたいと思いますが、いかがですか。
【澤田子育て支援指導官】  今、4名の方が挙げていらっしゃいます。曽木委員、中山委員、二宮委員、渡邉一利委員が挙げていらっしゃいます。
【無藤委員長】  最初に曽木委員からですか。はい、お願いします。
【曽木委員】  東京にあります陽だまりの丘保育園の曽木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 教育の質保障の方策に関するワーキンググループに関しましては、乳幼児教育、または現場に精通されている委員の方が多く、安心しているところではあります。資料1、報告書をまとめていただき、ありがとうございます。読ませていただき、どの部分も大事な言葉が入っておりますので、特に強調したいところ、少し宮下委員の発言とかぶるところがあるのですが、お伝えさせていただければと思います。
 まずは、質向上のためには、特に3ページ、あと10ページから15ページの2の幼児教育を支える教育・保育者と環境の部分が現場では大事だと思います。優れた教育・保育者の確保、豊かな学びを保障する教育環境として、子供の姿や指導方法について語り合い、切磋琢磨しながら学び続けることや、精神的・時間的余裕を有しながら、生き生きとやりがいや充実感を持って幼児教育に取り組めること。あと、子供が、人、自然、物との関わりなど様々な環境と関わることができるよう、願いを持って環境を整えること。そして、自己研鑽に努めることができる精神・時間的な余裕のある勤務環境が大事だと、教育現場からもそう感じております。
 また、研修の体系化、往還型研修、ファシリテーター、管理職のマネジメント能力、外部専門職等の活用、ICT化、子供の学びの見える化など、大事なことは私自身も、ここは園長として身に染みて感じているところであります。
 園の保育の質向上として、とても大事なこととして、職員同士が語り合う場と時間を設けることを重視していただきたいと思います。ノンコンタクトタイムを増やすためにも、園の自助努力はもちろんですが、昨今、教育・保育者に求められることが多く、国といたしましても、11ページ、12ページにありますとおり、一緒になって人材不足の問題、配置基準などの構造の質などを改善していただき、勤務環境の改善、充実を図り、働き方改革を推進して、現場を一緒になって支えていただければと思っているところです。
 また、7ページの初めにあります「教育・保育者と小学校の教師が子供の姿の事例を通して具体的に対話」というところで、やはり中にもありましたとおり、継続的に行うことの大事さを痛感しております。
 あと、4ページの「こども基本法」や「子どもの権利条約」に関連しますが、子供は大人が思うよりたくさん考え、発言しております。子供の力をもっと信じて、真摯に耳を傾けられるよう、時間や場の確保、大人側の育成も含めて必要だと思っております。
 ほかに関しましては、時間もありますので、メール等でお伝えさせていただければと思います。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 この架け橋プログラムを広げるという意味でも、かなり考えなければいけないと自覚しているのは、幼児教育施設、また小学校に、また新たな仕事が降ってきて、今でも忙しいのに、もう1個仕事が増えるのかと、ただそう思われるのは困るというよりも実効性を持たないと思いますので、そういう意味では、職場環境の整備といいますか、ワーク・ライフ・バランスの実現とともに、この架け橋が単にもう1個仕事なんだよではなくて、今なさっている保育や小学校教育のより中身のある充実した方向といいますか、今、現場の先生方がなさっていることを、もっとよくするためにこれがあるというメッセージを伝えていきたいと。そのためにも、おっしゃるように、様々な形での研修とか話合いの場をどうつくるか。時間をどう確保するかをさらに他部局と連携しながら進めたいというふうに思います。ありがとうございます。
 それでは、次の方はどなたになりますか。中山委員、お願いします。
【中山委員】  ありがとうございます。ワーキンググループで御議論、そして取りまとめ、ありがとうございました。それから、今の委員の皆様の意見も、なるほどなるほどというふうに聞いておりました。
 私からは、報告書、そして架け橋プログラムそのものの実効性、ひいては持続可能な社会の担い手としての子供たちの育成、そしてウェルビーイングの実現、それを本当に実現したいと思う立場から意見を申し上げます。
 本当に報告書にもありますように、小学校の教師、そして幼児教育施設の教育・保育者、それぞれが学び合って、自分たちの教育・保育を見直すことが必要だと思うんです。そのためには、報告書の10ページあたりにも書いてありますが、研修などが重要になってきます。
 ここで1つ心配なのは、研修を受けない、受けたがらない、受けさせない園があるということです。小学校のほうは、私は比較的楽観視しておりまして、教育委員会がグリップ力を発揮してくださって、校長先生方が、それは大事なことだからやろうと言えば、一定進むと思うんですが、私どものことになりますけれども、幼児教育施設側では、なかなか進まないのではないかという心配をしています。それは、自分たちの教育・保育を変えると、子供が減るのではないかということがきっとあるんだと思うんです。園児募集に支障が出ると。実際、私も、大分昔のことになりますけれど、若い頃ですけれども、先代のやり方をがらっと変えました。遊び中心に保育計画を変えたところ、たくさん園児が減りました。しかし、現在は、親たち、保護者たちが味方になってくれて、園の様子を発信してくれたりして助けてくれています。
 なので、結論を言いますと、ここにおいては家庭や地域との連携、とりわけ親、保護者との連携、親、保護者たちをどう味方につけるかというところが鍵になるのではないかと思っていまして、自分なりに戦略的に三段構えを考えたんです。
 1つは、親、保護者たちをいかにお客様にしないで身内にするかです。本当に我々と親たちの関係を、サービス提供者と消費者の関係にしないために、いろいろ仕組みが必要ではあります。それは今日は時間がなくてお話しできませんけれども、そういったところを親たち、保護者たちを味方につける。
 同時に、報告書17ページの丸2の下にありますような「見える化」ですとか、「社会に開かれたカリキュラム」ということを不断に努力していく必要があると思う。本当に保護者会という組織の必置にするといいますか、位置づけを義務づけるぐらいしてもいいかなというふうに思っています。親たちは、時には助けを必要とする弱い存在でありますけれども、本当に有能な方たちが多いので、親たちを味方につけるというのが鍵になる。
 三段構えの2つ目は、小学校の先生たちの発言力というのは相当あるというふうに思っています。小学校の先生たちが、地域や親たちに、保護者たちに、これからはこういうふうに教育が変わっていきますとおっしゃってくれるだけで、相当世の中が変わりますし、小学校に在籍する親御さんは、兄弟で下の子もいますから、幼児教育にもいい影響が出るのではないかと思います。
 三段構えの3つ目は、その前の段階です。例えば3歳児健診などで、これはワーキンググループにも話題になったように聞いていますけれども、3歳児健診などで架け橋プログラムのことをもっとPRするような、チラシですとか、ポスターとか、とにかく見える化をして伝えていく必要があると思います。今のところ、保護者たちに配れるチラシが見当たらないので、早く欲しいなと思っています。もしできていたらごめんなさい。ここでお願いするのがどうかと思いますけれども、架け橋プログラムのチラシ、ポスター、ポンチ絵などが本当に必要かなと思います。そういったことが実現していきますと、実効性が高まるのではないのかなというふうに思っています。
 すみません。時間が延びてしまいました。ありがとうございます。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 本当に現場に即した御意見、貴重なんですが、研修をあまり受けない園もあるというところは、19自治体を指定してヒアリングを今進めていますけれども、そこでも出てくることなんですね。特に幼児教育施設というのは、設置形態は多様、単に幼稚園、保育園、こども園というだけではなく様々で、それぞれの理念でやっていますので、一概に強制できないところもあるわけなんです。そこをどういうふうに参加してもらうか。様々なアプローチと、広報と、それから全国団体を通しての周知を今している最中ですけれど、もっと考えなければいけないと思っています。
 それから、対保護者については、必要は最初から考えてはいるんですけれども、まだ手だてとしては十分進んでいないところがあるので、これも来年度と言わずに進めるようにしていきたいと考えております。
 YouTubeで文科省としても、幼児教育課としても広報を始めてはいますが、正直に言えば、あれは専門家向けな感じなんです。保護者のような方々に分かってもらう工夫とか、まずはホームページとか、チラシとか、自治体によってはかなり一生懸命やっていただいているところもあるので、その辺りの情報を得ながら、どの自治体でも可能なこと、どこの場でどういうふうにするか、さらに具体的に始めたいというか、進めたいと思います。ありがとうございます。
 次の委員は、どなたでしたか。
【二宮委員】  二宮です。
【無藤委員長】  二宮委員、お願いします。
【二宮委員】  私も、今、先生方がおっしゃったところを少しお話ししたいと思います。
 特に表現の面で申し上げます。今回の報告書は、いろいろな観点から、いろいろな段階、いろいろな機関に対して、とても丁寧に指摘をしたり、求めたりしていて、ワーキンググループの方々に感謝いたします。
 その中で、ワーキングでの御意見にもありましたが、「架け橋期」というもののもっと強調というか、架け橋期の重要を強調してほしいと思います。小学校や保護者に対してのメッセージというか、「主体ですよ」と伝える。特に小学校に関して、小学校も主体なんですというところがもう少し伝わればなと思っております。
 具体的な表現ですと、例えば、2ページ、3ページ目がほとんど全て文末が「求められる」で、何々することが求められているという表現になっているんですが、「求められる」というにも多分段階があって、こうしなければならないとか、こうする必要があるとか、こうすることが重要であるとかという、その重要性に応じて、もう少し表現を変えたりできると思います。また、ほとんどが「求められる」とか「重要だ」とか「必要だ」とか「大切だ」と書かれていますけれども、本当の理想的な形まで「求められる」みたいになってしまうと、恐らくそこまでやるのか、そこまでやらなければいけないんだというプレッシャーにもなりかねないので、もっと大くくりの目指すべき視点に対しては、例えば、何々することが望ましいとか、もう少し大くくりの理想も語っていいのではないかなと思っております。
 あと、別のことですが、少し盛り込まれてはおりますが、職場環境改善、勤務の改善に対しては、もう少しボリュームを持って書いてほしいと思いますし、あと、教員や保育士の志望者を増やすことも、きちんと書き込んでいくことは必要だと思います。特に、私立や自治体の対応に関しても、全体的に幼保小に関わるあなたの志望者をもっと増やしていかなければいけないということを厚めに書き込んでいただければと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
【無藤委員長】  どの点もポイントなんですけれども、架け橋期の重要性をもっと明確になるように何とか直したいと思います。
 それから、特に小学校が主体的な関わりをするパートナーであるということを、もっと見えるようにするということ。
 それから、文末表現は、我々もというか、ワーキンググループでもちょっと気になってはいまして、あまり同じ言い方で単調過ぎるということもあるんですけれども、このニュアンス、重要性、緊急性がもう少し使い分けられるということと、ポジティブな方向が示せるといいなというようなことを考えております。
 最後の勤務環境、志望者増については、幼児教育課だけの話ではないんですけれど、特に幼児教育・保育者に関わって、これは内閣府、それから厚労省とも関係するんですが、一緒に力を尽くす方向を望んでおります。ありがとうございます。
 それでは、次の委員は、どなたになりますか。
【渡邉(一)委員】  渡邉一利でございます。
【無藤委員長】  渡邉一利委員、お願いします。
【渡邉(一)委員】  ワーキンググループの皆さん、すごくよく報告書がまとまっていると思います。私は専門家ではありませんので、これを読ませていただくと、現状の課題と、これからやるべきことがよく分かります。ありがとうございました。
 その上で、やはりこういった施策を展開する、あるいは成果を獲得するという観点からすると、地方自治体、国の役割というのが非常に大事になってくるんですけれども、質問を2点ほどお願いします。
 まず、国の役割につきましては、施策の方向性ということで、3点ほど載せられております。この点については、2023年度の予算要求の中で取り扱われているのかどうかというのが1点。
 そして、これは単年度だけの話ではありませんので、中長期的な観点から、どのようにお考えになっているのかというのが2点目です。
 それから、もう1つ大きな問題、もう1点だけ質問させていただきます。この報告書の中にもありますけれども、実際に架け橋期の対象にならないお子さんたち、具体的に言うと、未就園児の方、それから、未就園に絡みますが外国籍の子供、あるいは障害のある子供、こういったことも含まれてくると思います。そうすると、小学校に入学して以降の教育、施しが非常に大事になってくると思うんですけれども、この辺の議論というのは、別の会議体であったり、あるいは文部科学省の別の部署なりで実際に行われているのかどうか。そして、行われている場合には、そこでの議論と、この架け橋期の議論というものをどのように重ねて議論が行われているのか。その辺を教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【無藤委員長】  ありがとうございました。
 今の点は、事務局から教えていただくほうがよさそうなんですが、いかがでしょうか。
【横田幼児教育企画官】  それでは、事務局よりお答えいたします。渡邉先生、御質問ありがとうございます。
 まず1点目の予算措置との関係ですけれども、具体的には、例えば大規模縦断調査の実施につきましては、現在令和5年度予算要求をしているところでございます。もちろん縦断調査ですので、複数年度にわたり実施していきたいと考えております。しかし、どうしても単年度予算ごとの予算になっていますので、毎年度毎年度要求をしていくということになります。
 また、丸3番の指標の研究開発につきましては、国研のほうで現在進めているところでありまして、こちらにつきましては、今年度に一定の取りまとめが行われる予定であるというふうに聞いているところでございます。
 また、さらに未就園児の子供とか外国籍の子供とか、多様な子供についても御質問があったと思います。もちろん文部科学省内におきまして、外国籍の子供の教育の在り方ですとか、また、障害を有する子供の教育の在り方につきましては、他の委員会等で議論が行われているところであります。
 この架け橋期との関係につきましては、文科省内において、こういった審議、委員会の報告書等につきましては、関係課と必ず共有をいたしまして、互いの施策の方向性等につきまして、情報共有や意見交換を行い、審議を取りまとめていっているところでございます。施策の整合性や調整・協議につきましては、省内でしっかりと連携をさせていただきながら進めているところでございます。
 説明としては以上になります。
【無藤委員長】  ありがとうございました。
【渡邉(一)委員】  ありがとうございました。
【無藤委員長】  それでは、次に、挙手されている方は。
【澤田子育て支援指導官】  今、4名の方がいらっしゃいます。石戸委員、神長委員、水野委員、渡邉英則委員になります。
【無藤委員長】  では、順にお願いします。石戸委員から、どうぞ。
【石戸委員】  石戸でございます。
 幼児教育と小学校教育の円滑な連携に向けて、そのベースとなる考え方が網羅的に分かりやすく整理されていて、すばらしくまとまっていますので、広く多くの方々に読んでもらえるような工夫をぜひしていただきたいです。
 コメントと質問が3点あります。1点目が、教育、家庭、地域、行政、医療、福祉、ありとあらゆるステークホルダーの連携が大事という話は、口頭の説明の中でもありましたが、、報告書の書き方としては、家庭、地域の連携の項目があったり、行政の役割の項目があったりと分かれています。どこかしらで子供を中心としながら全てのステークホルダーの連携が大事であること、そして、おのおのの役割と相互作用について、何らか1枚図があると、それぞれの項目が読みやすのではないかと思いました。
 2点目ですが、細かいことですが、資料2の目指す方向性のところで、カリキュラムにフォーカスした書き方になっているのは、敢えてそうしているという理解で正しいでしょうか。
 例えば、目指す方向性は「社会に開かれた教育課程や、教育環境づくり」であり、「そのためのカリキュラムの開発」という位置づけではなく、目指す方向性が「社会に開かれたカリキュラムの実現」でいいのか、他にも、目指す方向性は「子供のウェルビーイングを保障する教育環境」であり、「その実現のためのカリキュラム開発」ではなくて、目指す方向性が「子供のウェルビーイングを保障するカリキュラムの実現」でいいのか。このように、あえて「カリキュラム」を前面に出しているという理解でいいのかを念のため確認したいと思いました。といいますのも、全体が1枚で整理され、なおかつ項目として上がっていると、やはり皆さんはそこに注目されると思いますので、細かい指摘ではありますが、文言がきになりました。
 なお、「社会に開かれたカリキュラム」の定義は、「社会に開かれた教育環境づくりに向けたカリキュラム」ということかも併せて確認したいです。
 3点目ですが、この報告書に直接的な関係はありませんが、特別な配慮が必要な子供ということに関して、いま発達障害の可能性がある小中学生が学級に8.8%というニュースが話題になっています。これは医療機関による診断ではなくて、特別な配慮が必要な子供だと先生が認識している子供の割合だと理解していますが、同じような調査は、幼稚園、保育園の先生方にもなされているのでしょうか。私は専門ではないんですが、発達障害は個人の特性と環境の両面で判断がなされる。つまり、特性があったとしても、適切な環境があり、そこに適応できていれば、発達障害とは診断されないということだと思いますが、もし小中学校の先生、それから幼稚園、保育園の先生の調査による結果にギャップがあるとするならば、それは環境調整で救われる子供たちがいるということを、ある種、示唆するのではないかと思うと、この会議に何らか役に立てるヒントがあるのではないかなと思いまして、質問してみました。いかがでしょうか。
【無藤委員長】  最後の点は、事務方にもちょっとコメントをもらいますけれども、子供を中心として様々なステークホルダーの連携が、もっと明確に見えるようにしたほうがいいというのは、ちょっと書き方を工夫して入れてみたいと考えます。
 それから、この架け橋では、カリキュラムの改革を目指していると最初から明記はしているんですけれど、それらと、例えば、社会に開かれたこと、ウェルビーイングとか、教育課程とか、似た用語がちょっと重なり合いながら使っているところがあります。その辺はもう少し分かりやすく整理したいと思います。
 そして、「カリキュラム」という言葉は、実を言うと、例えば小中学校の学習指導要領では「カリキュラム」とは言っていなくて、どちらかというと、「カリキュラム」というのは、ややインフォーマルな意味合いを込めています。したがって、子供にとっての園の、あるいは小学校の教育環境の在り方を含めて考えているわけです。
 それともう1つは、現在の幼稚園、保育園、こども園の要領・指針とか、小学校の学習指導要領は数年前に改定されて、それが生きているわけで、その枠の中で考えているということもありますので、別なところではカリキュラムの重点的な、重点化とか、そういうことも言っています。そういう意味で、全く新しいカリキュラムとか教育課程をつくり直すという話をしたいわけではない。そこがもうちょっと見えるようにしたいというふうに考えております。
 3番目の発達障害の可能性のある子供の幼児レベルでの調査はあるかという、多分、大規模調査はしていなくて、私の考えでは、幼児期というのは、なかなか担任の教諭、保育者レベルで的確に判断するのは難しいといいますか、例えば、多動性と言っても、かなり多くの幼児が多動は多動なのでという辺りの難しさがあるから、多分、大規模調査はしていないような気がいたします。小規模な研究者による調査はありますけれども。
 最後の点は、事務方としては、どう理解しておりますか。
【横田幼児教育企画官】  今、無藤先生がおっしゃってくださったとおり、大規模調査については、現時点では把握をしていないのですが、お時間をいただきまして、次回の特別委員会のとき等に、補足させていただければと思います。
【無藤委員長】  ありがとうございます。新しい情報をお願いします。
【石戸委員】  ありがとうございます。
【無藤委員長】  それでは、次の委員、お願いします。どなたでしょうか。神長委員、お願いします。
【神長委員】  大阪総合保育大学の神長です。よろしくお願いいたします。
 私は、3点、資料1を読んで、感じたことをお話しさせていただきます。
 本当に全領域にわたって、きめ細かく意見が出され、整理されていると思っております。委員の先生方がお話ししてきたことと少し重なりますが、それを強調するような形で、気づいたことを3点お話しさせてもらいます。
 1つは、5ページにあります、いわゆる相互理解を深めるための合同研修のことで、1回きりで終わってしまうという、残念だなという思いは、私も何度か経験はあります。このことについてなのですが、やはりそこで幼児教育と小学校の先生との対話が面白いとお互いに感じるような研修の工夫が必要だなといつも感じながら中途半端で終わってしまうことがよくあります。そのときに、10の姿を活用するということは、皆さんなさっているかと思います。10の姿の中で、ほとんどの文章が、5歳の最後頃になると、「何々するように」という表記になっていることに注目すべきです。そこがとっても大事なところで、これが見えてきたとか、見られるとか、育っているとか、育っていないとか、そういう言い方で研修をすると、小学校の先生は何を言っているか分からないという形になってしまうことがよくあります。そのときに、何々するようになるということは、こういう条件があればうまくいくんだけれども、例えば環境が足りなかったとか、教師の働きかけが足りないと、実はうまく子供たちの学びを深い学びに誘えなかったという、その失敗例も含めながら話していくと、指導として共有できていと思います。そういえば、そういう視点からすれば、「小学校の場合も」というようなことも、時々あります。ですから、対話を引き出す研修の工夫ということが継続性につながっていくのかなということが1つあります。
 そのときに、カリキュラムの考え方が全く異なるという言い方がありますが、私も構成の仕方は、つくり方は全然違うと思いますが、子供理解と環境構成、子供理解と教材研究という、環境構成と教材研究を1つの枠の中に入れると、その比率の問題だと、架け橋期のこの時期は思うんです。だから、対話が盛んになってくると、子供理解が非常に共通になってくる。すると、環境の問題とか、指導の問題とか、教材の問題が共通に語られるということがあるので、ここのところはやっぱり対話を引き出すために、資料2のほうではなくて、参考資料のところにこれから書いていくことだと思いますが、やっぱり研修が面白くなることが、小学校の指導の改善につながるんだということが、そこの研修から分かるような書き方が必要ではないかということが1点です。
 2点目は、それと関連していますが、11ページのほうに、自己のキャリア形成から見たときの研修というようなことで、とてもいい研修だなと思います。やっぱり自分が架け橋期の教育を実践していく際に、何が足りないのかということを自覚するということは必要だと思いますが、現実には、今なかなかそれはできにくいと思います。研修を受けてみて、ここは分かっていたけれども、ここは知らなかったということに気づいていくので、やはり架け橋期の教育を実践するためには、どういう資質や専門性が必要なのかということを少し具体的に出しながら、では、その研修はどこでやっているのかということを選べるような体系が必要だなというふうに思っています。それぞれの団体とか教育委員会とか、私どもが入っている研究会もそういう架け橋期の研修をします。すごく多くの方が関心を持って参加してくださいますが、やってみて、これは前にもやったとか、やはりそこに満足感がなかなか得られないという現実にあります。この研修では、どういう力というか、資質に力を入れているかということを、ある程度共通にしながら明示して選んでいくというような、まさにオンラインでやる研修の場合には、参加者にそれほど左右されないので、オープンな研修があってもいいのではないかなと思います。架け橋期のカリキュラムに関してです。
 3点目は、ここにはないんですけれども、養成の問題は物すごく大事だなというふうに思っています。こういった小学校のカリキュラムと幼稚園のカリキュラムや、保育所のカリキュラムは、それぞれの教育課程論やカリキュラム論の中で学ぶんですけれども、今、新しく改定されて、今実施されているコアカリキュラムの中には、教育課程論を学ぶ際には、幼小を問わず、やはりカリキュラムとは何かということを学んだ上に、幼児期のカリキュラム、小学校の教科カリキュラムを学んでいくようなことは、一応、文科省のほうから提示されていて、それに合わせながら、それぞれの養成校ではシラバスを立てながら実施しています。それを実践していくときに、なかなか幼児教育のカリキュラムが、5歳近くなってくると架け橋期のカリキュラムとして徐々に移行していくといいますか、いわゆる環境構成の問題であったり、教材の問題なりが非常に重視され、子供の学びということをきめ細かく見ていくんだというようなこととか、小学校の1年生のカリキュラムの中には、やはり子供理解というものがないと、子供たちの学びが深まっていかないという、やっていることは同じだけれど、別々に学んできて、その養成の中で別々の専門性があるように思われてしまうので、もう少し何か養成の、架け橋期のカリキュラム論のようなものが位置づいてもいいのではないかなと、これは本当に希望ですけれども、感じております。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 3点ですけれども、幼と小の間の対話、特に小学校側にとって、指導の改善に役立つことが分かっていくようにするにはどうしたらいいかとか、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿についても、その意味を具体的に考えてもらう。つまり、ここまでできていますというチェックリストにして、その報告を幼児側から小学校にするのとは違うことなので、そこら辺がもう少し理解してもらう必要があるというのが、なるほどというところですけれども。
 2番目の架け橋として、どういう知識や理解や、あるいは資質が必要かについては、それをもう少し明示化していく必要が確かにあるというふうに思うんです。そのことが、多分、養成課程での問題と御指摘のところとつながるんでしょうけれど、通常、幼稚園教諭と保育士の養成と小学校の教諭の養成というのは別々で、両方取る人もいなくはないですけれども、少ないわけです。そういう意味では、お互いにあまり理解しないまま卒業して現場に行くということの問題、そこをどうするかというのが1つと、実は今、学生である人は、来年度、再来年度と、どんどん現場に出ていくので、全く教わっていないことが、現場に行ったら、今、問題になっているということに直面するわけなので、今の養成課程を担当する先生方にどう伝えていくかということも課題意識としてあるんです。手だてまでは至っていないところで、非常に重要な点、ありがとうございました。
 それでは、次に、水野委員、お願いします。
【水野委員】  大東市教育委員会の水野です。
 ワーキンググループの報告書は、背景と課題と望ましいことというものがしっかりまとめられていて、すごくすばらしいなと感じました。
 私のほうからは、当事者との共通理解を深めるというテーマとして、2点、お話をさせていただきたいなと思います。
 まず1つ目は、家庭です。これはほかの委員の皆さんもおっしゃっていましたけれども、そもそもこの議論の当事者というのは、たくさんいるんですが、私はこの家庭という当事者意識をいかに高めるかというのが、そもそもの土台で必要だなというふうに感じております。家庭、親が、保護者がステークホルダーのひとつであることは間違いがないとは思うんですが、どうしても意識として、幼児教育においても、小学校教育においてもそうなんですが、アウトソーシングの意識、教育をアウトソーシングして、保護者が園や、時には私立、公立を選んでいるというところの意識が強くて、共に子供をこのように育てているんだという当事者意識、協働の意識というものを、どのように家庭に協働意識をつけさせていくか、感じさせていくかというのが私は大きなポイントだと感じております。
 そのためには、やはり今回の架け橋のプログラムもそうですが、保護者がそれを知ったり、学んだりすると、我が子や自分にとってとてもポジティブな要素になるんだというところをいかに見せていくかがポイントになるかと思います。
 このような議論をすると、具体的に、じゃあどうすんねんという話になるんですが、例えば、先生がつくっている指導案の意図、目的というものが、保護者と共有できていれば、よりその子供たちの姿から幼稚園や保育園でしていることが見えるだろう。これは小学校も一緒かなと思います。
 2点目の共通理解を深める視点が、幼保小の職員の共通理解です。研修のところを具体的に書いていただいていましたが、オンデマンドでしたらというICTのところも、これも大事かと思いますが、何より私は対話だと思うんです。この対話の機会をどのように設けるかというのも、私も今回の議論に参加させていただいて、民間の保育園の園長さんや、民間の幼稚園の園長さんと対話の機会を実際に設けてみたんですが、おのおのそんな景色を見てたんやというところを随分気づかされた経緯もございます。
 例えば、そういう職員間、園種を超えた、小学校も巻き込んだ職員間の対話を深めていこうと思ったときに、じゃあ、何時にみんな集まって研修できるかなという話をしたときに、小学校は3時からがベスト、幼稚園は5時半がベスト、保育園は7時以降じゃないと無理みたいな、こんな情報が結構出てきて、私自身とても勉強になった経緯もあります。
 ですので、こういう対話をどのように深めていくかというのが、研修とちょっと切り分けて議論されてしまうと、ややもすればICTでいいんじゃないか、オンデマンドでいいんじゃないかという形になるのではないかという懸念もひとつ表明をさせていただきます。
 そして最後に、対話の必要性というのを手法論まで落とし込んでいったときに、例えば「こどもかいぎ」という豪田トモ監督の映画が、今、幼児教育でもすごく大事だよねなどという議論をされておりますが、それはまさに架け橋期、小学校1年生でもこのような対話を通じて子供の意思決定、自己決定を広めていくというのは、小学校教育にも必要であって、それはなぜだというと、小学校が、主体的、対話的で深い学びというのをこれから進めていくとなっているからです。このような何か幼児教育のジャンルと小学校教育が大切にしていたジャンルののりしろとなる細かい手法論のところを、各市町村等の架け橋プログラムを検討する開発会議で議論を進んでいけるようになれば、取っかかりにはなっていくのかなというふうには感じます。
 以上でございます。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 各関係する人たち、あるいは組織、それぞれに主体的に関わっていただき、1つは、保護者、家庭に対してということで、幼児教育あるいは小学校教育からの発信というのはまだまだ足りなかったかもしれない。保護者が、言うなれば、受益者意識といいますか、お任せしてやってもらうという意識からもっと身を乗り出してもらうにはどうするか、もっと考えなければいけないと思います。
 それから、職員などの対話をどう広げるかの具体的なやり方、1つ出していただきましたけれども、これも自治体での開発研究の中でもかなりいろいろと工夫されているようなので、それらを聞き取りながら、少し整理し、全国的な発信も考えたいと思っております。ありがとうございました。
 それでは、次の委員は、どなたでしょうか。渡邉英則委員。
【渡邉(英)委員】  横浜にあります港北幼稚園とゆうゆうのもり幼保園の園長の渡邉と申します。よろしくお願いします。
 今回の取りまとめなんですけれども、幼保小接続期の教育の質保障がこういった形でまとまったというのは、すてきなことだなというふうには思っています。
 ただ、これを報告書で終わらせないで、どう実現していくかということがすごく大きいかなと思っています。1ページ目の最初のところに、「教育基本法の目的や理念等に基づき、幼児教育から高等教育まで教育の一貫性・継続性を確保した教育体系が構築されている」と書いてありますけれども、いやいや、構築されてはいるんですけれども、幼児教育も多分、幼保の縦割りもあるし、公私もあったりとか、いろいろあります。また小学校もいろいろあって、実践する立場からすると、やっぱり学校の教育全体が、継続性もあるし一貫性もあるかもしれないけれども、でも、子供、大人、そして今、水野委員のほうからも話していただいたように、保護者もですけれども、誰もが主体性を大事だとする教育の体系としてほしいです。そうであるならば、保育や教育の質保障も、やらされているとか、やらなければいけないのではなくて、みんなでやろうという流れになっていかなければいけないかなと思ってはいます。
 そういうようなことがこのワーキングの報告書で1つの方向性を示してもらえたらいいかなと思ってはいますし、それをやるためには、乳幼児期から小学校教育と、ここのところが本当に大事なんだということも言えたらいいかなと思ってはいます。
 そのときに僕が今、やっぱりすごく大事にしているのは、小学校の授業、特に事例が変わってくるとか、すてきな授業があるとか、小学校の意識が変わってくるというような流れがどう出てくるかです。もちろん、幼稚園とか保育園とか認定こども園の保育者もそうです。それから教師もそうです。先生たちが授業とか保育を変えようというような主体性をどう育てていくか、そのような人をどう育てていくかといったときに、11ページに載っている往還型研修というものの重要性につながってしています。研修を1回聞いてきましたというのではなくて、研修を1回受けてみて、自分の園の保育とか授業を、じゃあ、こういうふうにしよう、次はこうしてみたらどうだったとか実践し、2回目の研修へつなげるとか、自分で変えてみたことで、子供たちがどう変わったかという手応え感みたいなものをどこかでみんなが持っていくと、研修が終わった段階で、結構自ら発表したいとか、自分はこんなことをやったとかというような発言が出てくる。
 今、横浜では、探究心を育む「遊び」プロジェクトというのをやっていて、幼保小の先生たちと、事例を持ち寄って一緒に研修をやっています。小学校も、幼稚園も、保育園も、認定こども園も、みんな子供とやり取りしながら、発見的に子供の姿から授業とか保育を変えていけるのではないかと感じています。ただ、そのときの一番の問題点は、ファシリテーターがどれだけいるか。現場の問題も分かりつつ、でも、子供とのやり取りの中で、保育者とか教師とかに寄り添いつつ、こうやってみたら面白いかもとかというふうに、教えるというよりは、そこをファシリテートする人たちの人材の発掘というのが必要です。どうしても先輩とか、僕らみたいに年を取ってくると、教えたくなります。でもそうではなくて、一緒にやっていくという、その保育者や教師の育ちみたいなものが、多分、保育とか教育にも出てくるんだろうと思ったりすると、その流れをどうつくっていくかというのを、これからは本当に丁寧にやっていく必要があります。そう考えると、各地方とか、いろいろなところで好事例が出てきて、それが全国に広まっていくといいなというふうに思って、この報告書を読ませていただきました。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 本当にこのきれいな文章でまとめれば終わりではないので、どう実現していくかなんですけれども、何人もの委員がおっしゃっていただいたように、それぞれの関係者の主体意識をどう持たせて継続的なものにしていくかなんですが、そのための研修とか対話とかを実りあるものにどうすればいいか。往還型というのも1つの有力な方法なんですけれども。
 最後のファシリテーターが大事なんだけれども、なかなかそれができる人は少ないということについても、呼び名は何でもいいんですけれども、幼と小の間をつなぐことについて、かなり熟知して、かつ、対話を促進できるような人たちの育成をどうするか、そのための研修も多分必要になりますので、その辺もかなり具体的なところで考えたいと思います。ありがとうございました。
 次に、挙手をされている委員はどなたですか。
【澤田子育て支援指導官】  秋田委員、齋藤委員、平川委員が挙手をいただいています。
【無藤委員長】  お願いします。
【秋田委員長代理】  それでは、学習院大学の秋田です。私は、ワーキングのほうにも出ておりますので、できるだけ終わりのほうにて発言と思っておりました。
 今日、御報告の最初にもございましたけれども、また皆様からもありましたが、これが架け橋期の教育の充実というところになりますので、その報告書の全体の構成としまして、ぜひお願いしたいと思うところが、あります。それは1番目は、2番のところで、1番で全体像を書いていただくところにおきまして、その教育の一貫性というところに、やはり18年間の教育の中の、これが幼児期から小学校の低学年ということが大変重要である、一貫性の基礎になるというようなところをお書きいただくことが重要であろうと思っております。
 そして、全ての子供の育成というところにおきまして、小学校低学年教育の重要性ということも、やはりここに1つポチ丸を入れられないのかと考えます。2番目は、「幼児教育を支える教育・保育者と環境」と、ここでもう幼児教育になっているんですけれども、これが「架け橋期の教育を支える教育・保育者・教員と環境」というような表現にならないでしょうか。例えば、優れた教育・保育者の確保は、教員の確保の重要性というのも、教員養成部会のほうでは、令和の日本型学校教育を支える教師の新たな学びの姿の報告書の方で、今回うたわれております。そこでも幼児期の教育も、小学校以上の教育も、全て教員養成部会では同じように扱われていきます。ですので、ぜひここは教師も含めて、優れた人材を確保することが架け橋期の教育において重要であるというようなことが書かれ、先ほど神長先生も言われましたけれども、保育者養成並びに初等教育の教員養成の中で架け橋期カリキュラムについて講じられることによって、これからを担う保育者、教員が、架け橋期をさらに展開していくことが重要であるというところを強調してお書きいただくということができるといいのではないかと思ったところでございます。
 また、今回、「はじめに」のところで、教育の全体の重要性ということが書かれているんですけれども、「おわりに」の部分にでも、この保幼小連携接続ということは、実は昭和44年の中央教育審議会の46答申以来、ずっと議論をされてきて、いろいろ報告書も出されてきている。それが初めて今回は架け橋期として一体になって、低学年教育まで含めて出すのだというようなところの、本報告書の価値や意義というものを、ぜひここの最終の報告書の中では入れていただくというような価値づけが必要なのではないかと思っております。
 以上、少し長くなりましたけれども、全体像として、もっと架け橋期の教育を、小学校、それから、可能ならば、保幼小だけではなく学区で、中学校区、子供の少子化の中で、この一貫した義務教育へとつながる幼児教育の基盤を一緒につくっていくというようなことをお書きいただけるといいのではないかというふうに思うところです。
 以上になります。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 報告書の具体的なところに踏み込んで提言していただいて、どれもぜひ生かしたい方向です。この架け橋というのは、18年の教育の基盤的な部分だし、接続というのは、幼小、小中、中高、いろいろあるんですけれど、その始まりの部分ということと、幼児教育の重要性と小学校低学年の重要性ともにということ、また、その架け橋期を支える教育・保育者、小学校教諭の大切さを訴えること。そして最後に、この架け橋というものが、幼児教育を基盤的に考え、同時に小学校の低学年を含めてという歴史的な流れが、中央教育審議会の議論の中で展開してきて、1つのある意味では仕上げ、完成ではないんですけれども、仕上げ部分があるということを訴えたほうがいいという、非常に本格的な報告になることを期待できると思います。ありがとうございました。
 次、齋藤委員、よろしいですか。
【齋藤委員】  明治大学の齋藤です。ワーキンググループの方々、ありがとうございました。
 報告書にできれば入れていただきたい要素としてですけれども、家庭と園からの経験値の申し送りという要素です。
 どういうことかというと、この架け橋というものができたとして、その架け橋を何が渡るのかいうと、個々の子供たちに関する経験値が渡っていくということが主だというふうに私は思います。ですので、家庭の今までの育ててきた経験値と、園での教育の経験値というのをすり合わせた上で、その申し送り事項をメールで小学校の担任のほうに届くようにするということです。小学校の代表の方が何となく園を見学したとしても、ぼんやりしてしまうことがある。研修会も、何となく勉強になるということはあると思います。しかし、やっぱり担任が意識を明確にして個々の子供に関する経験値を手に入れるということは、授業のやり方に直接いい影響を与えるというふうに思うんです。ですので、ぜひ園と家庭がすり合わせた上で経験値を申し送る、そういう提言を入れていただきたいということです。それが多様性の確保につながると思います。
 とりわけ特別な配慮が必要なお子さんのいる家庭の方は、真剣にこれを書くと思うんです。その上で園でやってくれているこの教育がよかった。ですので、ぜひこれも生かしてほしいというような声を直接届くようにするということです。それに呼応した小学校の先生が、このような経験値の申し送りがあったおかげで、このように対応することができたというようなポジティブな声を、この委員会でも外に発信していく、そのことによって、この委員会の提言した意味、積極的な意味が明らかになると思います。
 中井澤委員が先ほど言われた、ポジティブな事例というものがあると、やっぱり小学校の参加が積極的になるのではないかと思うので、非常にいい御意見だというふうに思いました。
 以上です。よろしくお願いします。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 いわゆる10の姿と何度も出てきますが、それはある意味で、園での子供の経験を集約する1つの暫定的枠組みなんですけれど、そこに十分家庭での経験値も組み入れているかというと、必ずしもそうではないところもありますので、御指摘のように、あるところはやはり家庭の保護者とも相談しながら、どういうことを小学校に申し送っていくかも考える必要があります。
 それについて、今、手だてがないわけではなくて、一応制度的に可能なところもあるので、それをどう拡充するかということは、何度も出てくる幼と小の対話を、より広い形で、どの子供についてもするということになると思うので、もう少し明確にそこを出したいということで、ありがとうございました。
 それでは、平川委員、お願いします。
【平川委員】  広島県教育委員会教育長の平川です。
 今回、この幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会が、文科省で設置されて、そして、ワーキンググループからこのような報告書を出すということがすごく意義深いことと思っています。私は自治体としての立場で申し上げると、やはり何かきら星のようなものがあると、非常にやりやすいというか、動かしやすいというところで、感謝しております。
 ただ、一方、現実としては、先ほど冒頭の説明にもありましたが、参考資料5のような、今、マスコミなどでも、非常に不適切な保育とか、虐待等、いろいろなことが、日々ニュースになっていると、本当に自分の子供を安心して預けられるのか、大丈夫かというような不安に陥ってしまうというところもあると思います。宮下委員がおっしゃったように、これは別に幼児教育だけではないのですが、小学校、中学校、高校、先生方に対しても、非常に厳しい御意見をいただくことが多くて、たたきやすいところをたたくという、今の日本は、不安で不安で仕方がないので、蹴落としてやる、たたいたらスカッとする、そういうものが見え隠れしているように思います。もう1つは、やっぱり対話が大事と水野委員からもお話がございましたが、先生方一人一人の人生がどう充実するのかという、これは公私共々ですが、ここがやはりすごく大事かなと思います。
 保育園とか幼稚園でも、やる気満々ありますというような先生がいる園に、やはり親としては預けたいと思うでしょうし、そういった不安は解消されないかもしれませんが、今、どうやったらそこができるかというように思います。これも対話していくしかないですが、先ほど、ファシリテーターというお話もございました。育成するのではなくて、私たち一人一人が、ここにいらっしゃる方全員とは言わないですけれども、私たちシニアがファシリテーターになっていくというように思っていかないと、事をなせないと思うので、ファシリテーターとして、私も自戒の念も込めて、やっていきたいと思っています。
 もう1点、小学校教育が変わらないとというお話がありましたが、私も本当にそう思います。現場を見てそう思うのですが、広島県の事例でお話しすると、常石ともに学園で「イエナプラン教育」を取り入れてみたところ、今年の学力・学習状況調査で、「自分には、よいところがあると思いますか」という設問と、「先生は、あなたのよいところを認めてくれていると思いますか」という設問に対して、100名ちょっとの児童全員が、100%「当てはまる」、「どちらかといえば当てはまる」と回答しており、誰も「ノー」と言っていないのです。どうやったらこのようにできるか。これは別に「イエナプラン教育」を入れたからというわけではないのです。「イエナプラン教育」を入れると言ったら、先生たちが本気になったということで、どうやったら先生たちが本気になって、子供たちにとっていい環境づくりができるかということを、幼児教育だけではなくて、小、中、高、特別支援学校、全部がやはり考えていかなければいけないことだと思います。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 保護者が、本当に園、小学校を信頼してもらえるには、やはり教育・保育者、教諭の仕事の充実、生き生きと学び、保育・教育するということがあって、それがしかも保護者にも見えてくることだろうと思うので、その辺りのこと、広島県の先進的な事例も出していただいて、大いに学んで、さらに詰めて考えたいと思います。
 さて、まだ御発言がない委員がいらっしゃると思うんですが、村田委員、お願いします。
【村田委員】  お願いします。ごめんなさい。意見が全然まとまっていないんですけれども。
 幼児教育施設を選ぶ際に、今、保護者の方々がやはり関心を持っているのは、先取り教育であるとか、習い事教育というところが非常に大きくて、そういったものを売りに出しているような幼児教育施設は、自分たちのやり方を変えていく必要性はあまり感じていらっしゃらないのかなというところが実はあります。働くお母さん方は、以前は保育所を選ばざるを得なかったところが、私立幼稚園等が預かり保育という形で習い事を充実させたことによって、今は幼稚園を選ぶ方が非常に増えているといったような報道発表もありました。
 実は、岐阜市の公立の幼稚園は、そういったことを全く取り入れずに、主体的な遊びを重視している園なんですけれども、希望される幼児が非常に少なくなってしまって非常に危機的な状況だったときに、園の中の園長が一大決意をして、いや、本当にこの幼稚園の子供たちに大切なのは、それではないんですよといったところを、子供の生き生きとした姿をYouTube配信することによって、僅か数分なんですけれども訴えたところ、応募された幼児の数が2倍に跳ね上がったというような事例があるんです。
 そういった非常に分かりやすいものもどんどんいろいろなところが配信することによって社会の認識を変えていっていただきたいと思いますし、なかなか変えようとしないとか、研修に参加させようとしないような園については、保護者からの要求であるとか、小学校側からの要求というところで変えざるを得ないように持っていくとなると、やはり架け橋期のこの内容を、もっともっと小学校の先生方に知っていただく必要があるかなと思いますし、個人的には、思春期に壊れていく子供たちとか若者を見ている中学校とか高校の先生方に、いやいや、子供にとって大事なことは、先取り教育ではないよというところを、もっともっと声を大にして言っていただきたいなと思っています。
 また、保育所等の先生方は非常に忙しいので、研修の時間がないということなんですけれども、例えば、お昼寝の時間とか、それから、今、食事が黙食なので、指導上、なかなかお話しできないのですけれども、そういった時間を介して、ICTを使って研修動画を見るということを上手に使ってみえる園の方とかが見えるんですよね。
 一方で、そういったところの時間を厚くすることによって、対話ができるような研修を充実させていくということも必要かと思うので、ぜひぜひ幼児教育現場のICT環境の整備を早急にお願いしたいと思います。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 保護者に子供の具体的な生き生きとした様子をどう伝えるかということと、ICTその他を使っての研修の拡充、対話の可能性という御指摘、ありがとうございました。
 さて、まだ御発言のない委員はいらっしゃいますか。
【横田幼児教育企画官】  佐川町長、いかがですか。
【無藤委員長】  お願いします。
 いらっしゃらないかな。いらっしゃらないのかもしれませんね。
 ほかに発言のない委員はいらっしゃいますか。
 見える範囲の名簿では、ほかにはいらっしゃらない気がする。
【澤田子育て支援指導官】  ほかの方は、皆さん、御発言いただいております。
【無藤委員長】  そうですか。
【澤田子育て支援指導官】  何名かの方が挙手をまだいただいたままなんですけれども、こちらの先生方は、もう一度御発言を御希望される方は、そのまま挙手を維持していただいて、そのほかの方は、一旦挙手を下ろしていただいてよろしいでしょうか。
【無藤委員長】  あと、多分、時間的に2人ぐらいは御発言いただけるんですけれども。
 では、あとの方はよろしいですか。おおむね時間は時間なんですが。
 では、そろそろ本当に時間になりましたので、ここで一くくりとさせていただきますが、いろいろ短い時間ということで、無理やり短めにということで発言を整理していただいたので、不足していること、あと追加で考えたことなどがあれば、ぜひ事務局に、メールでも、電話でもよろしいんですけれど、お伝えください。といっても、割と急いでいるところがありまして、できれば、今週、来週、来週の前半ぐらいだと本当に助かるんですけれども、お願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、時間ということで、ここで区切りを入れますけれども、本年度中に審議まとめを取りまとめるというのが予定なんですけれど、次回の会議におきましては、本日の意見を踏まえた審議まとめ案というものを私どもで整理してお示ししていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次回の日程につきまして、事務局よりお願いいたします。
【澤田子育て支援指導官】  次回の特別委員会につきましては、改めて御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。
【無藤委員長】  ということで、ちょっと一言添えると、今日の議論については、先ほどのワーキンググループのほうに、またフィードバックをします。それで、先ほどの経過報告をさらに練っていく予定で、できれば12月中に仕上げようと考えておりますけれども、それを受けながら、適宜、日程を事務局と相談したいというふうに思います。
 それでは、本日予定した議事は全てここで終了いたしました。御協力ありがとうございました。これで閉会いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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