幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会(第3回)議事録

1.日時

令和3年9月1日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議形式で開催

3.議題

  1. 委員による意見交換等
  2. その他

4.議事録

【無藤委員長】 定刻となりましたので、ただいまから第3回中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会を開催いたします。
本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
初めに、本日の会議の開催方式及び資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】 本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、Webexを用いたウェブ会議方式にて開催させていただいております。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますけども、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。
委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますけれども、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
なお、本日は報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をWebex Eventsにて配信しております。
それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり資料1-1から資料2まで及び参考資料1から2までとなっております。御不明な点等がございましたら、お申出ください。
【無藤委員長】 今日の議題ですけれども、前回申し上げましたけれども、これまで2回議論させていただきましたが、私のほうで事務局と相談させていただきまして、論点整理たたき台(案)なるものを用意させていただいてございます。お手元にあると思いますけれども、本日はこの論点整理のたたき台(案)を基に意見交換ができればと思います。
それではまず、事務局から配付資料に基づいて御説明をお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】 それでは資料1-1、論点整理のたたき台(案)の1ページを御覧ください。ポイントの部分をごく簡単に説明させていただきます。
まず、1ポツの議論の背景として、新型コロナウイルス感染症の下での状況が、幼児の生活や学びなどに影響を与える影響を把握しつつ、幼児教育の振興と小学校教育との接続等について議論していくこと。また、幼児教育の無償化とともに質的な充実も支援していく必要があること。
一方で、その下のほうにございますように、幼児教育の質に関する認識が社会的に共有されているとは言い難いこと。
さらに、この一番下の丸にございますとおり、全ての幼児に格差なく学びや生活の基盤を保障していくため、学校種、設置類型を超えて連携・協働し、質の高い幼児教育の実現に取り組んでいくという、幼児教育スタートプランの問題意識などを整理しております。
次いで、2ページの2ポツの現状と課題ですけれども、(1)幼児教育の質に関する認識の共有として、質の高い幼児教育が早期教育と誤解されがちなど、認識が共有されているとは言い難い。体験など幼児期の特性を研究や実践の知見を活用し伝えていくこと。
また、遊びを通じた学びの教育的意義や効果が、まだ十分に認知されていない。「主体的・対話的で深い学び」について理解を深めていくことなど。
続きまして、3ページの(2)発達の段階に応じた特性に配慮しつつ、0歳~18歳まで見通して学びの連続性を確保するための手だての不足というところですけども、幼保小連携への意識は高まっているが、連携・接続の深まりは地域によって差があること。
「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、到達目標として捉えるのではなく、一人一人の発達していく姿を捉え、学びや生活の質を高めていくための先生の関わりや環境の構成、充実の視点として活用すべきこと。なお、到達目標の概念の捉え方については、意見交換の中で溝上委員はじめ委員の皆さんからも御意見を頂戴できればと思います。
この3ページの一番下の丸にありますとおり、学びのプロセスが幼児期に保障され、小学1年以降との連携・接続により、小学校の教育活動や指導の在り方の改善にもつなげることなどについて整理しております。
続いて4ページの(3)格差なく学びや生活の基盤を育むことの重要性と多様性への配慮というところで、海外の研究では、幼児期の教育が生涯にわたる学業達成、職業生活等で多面的に影響を与えることが明らかにされている。
幼児の発達は個々に目を向ければ異なり、家庭環境、生活経験が異なる。一人一人の特性と経験を踏まえた指導が必要。
また、質の高い教育・保育プログラム、基礎となる環境の整備の充実、個に応じた支援を総合的にマネジメントしていく。
続きまして、このページの下のほうにありますとおり、(4)幼児教育の質を保障するために必要な体制等といたしまして、イギリス等は統一的な評価尺度を整えているが、多様性が失われる懸念が示されている。一方、アメリカ等では、質のばらつきや格差の課題が懸念されている。
我が国では、次の5ページ上段にございますように、各園や自治体の多様性と自律性を尊重しながら格差の是正を図る必要があり、その質と保障の仕組みを構築していくこと。
また、複数の施設類型、私立が多い幼児教育の現場において、人材の専門性の向上等の取組を一体的に推進する体制を各自治体で充実させる必要。その他。人材確保、キャリアアップ支援の体制が必要。
(5)では、教育の機会が十分に確保されていない家庭や子供への支援について整理しております。
次いで、このページの下にございますように、これらの課題に対応して、3ポツでは、目指す方向性を示しております。
(1)「社会に開かれた幼児教育カリキュラム」の実現に向けた、幼児教育の質に関する認識の共有といたしまして、幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、保育所保育指針を手がかりに認識が共有できるよう、あらゆる機会を活用すること。
小学校以降のカリキュラムと連携・接続することで、6ページ上段にございますように、幼児教育カリキュラム自体が社会とつながり、開かれたものとする必要性の共有などについて整理しております。
次いで(2)「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」と各園や地域の創意工夫を生かした幼保小の架け橋プログラムの開発・実践でございます。
一人一人の多様性に配慮した上で、全ての幼児に学びや生活の基盤を育む「幼保小の架け橋プログラム」の開発・実践。この点については、各園等の創意工夫を生かしたカリキュラムや活動の在り方等としてのプログラムが求められる。共通事項等を整理して示した上で、具体的な開発は、モデル事業等を通じて各地域主体で行い、その成果を分析してさらなる改善に生かすということを整理しております。
その下のほうにございますように、(3)全ての幼児のウェルビーイングを高めるカリキュラムの実現といたしまして、質の高い幼児教育プログラム等を総合的にマネジメントできるよう、先進的な事例の形成・普及などを支援。また、カリキュラム・マネジメントの充実を図り、この教育活動の改善・充実を図っていくということを整理しております。
続いて、7ページの(4)幼児教育推進体制等の全国展開による、幼児教育の質の保障と専門性の向上につきましては、組織的・計画的な園内研修、施設類型を超えた研修や小学校との合同研修。幼児教育推進体制等の全国展開の推進。国や大学のセンター、地域の幼児教育センターを活用し、多様性と自律性を尊重しながら格差の是正を図り、質の保障をしていく仕組みを構築。その他人材の養成・採用・定着、キャリアアップに必要な取組を実施。研修についての体系化された取組、デジタル技術の活用、ICT環境の整備等について整理しております。
その下のほうにございますように、(5)の部分では、地域における幼児教育施設の役割の認識と関係機関との連携・協働といたしまして、教育・福祉等との連携・協働、データの蓄積・活用による支援策の改善というところを整理しております。
その一番下でございますけども、4ポツ、今後の進め方のイメージ(案)といたしまして、この論点整理のたたき台の案を踏まえまして、目指す方向性を中心として、本委員会でさらに議論していくこと。
特に「幼保小の架け橋プログラム」の共通事項等の整理、幼児教育の質の保障の仕組みについては、委員長が指名する委員によるチームを編成し、集中的に検討した上で、本委員会で議論いただくといったようなことをお示ししております。
最後に1点、参考資料1を基に概算要求の状況を御説明いたします。
この中では、幼児教育スタートプランの実現といたしまして、概算要求をしております。この資料にございますように、プランの具体化を強力に推進するため、プログラムの開発・推進、幼児教育の質の向上を支える推進体制の活用支援の強化、実践に必要な環境整備に必要な経費を計上しております。
説明は以上でございます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。私のほうで、事務局とともに皆様方の意見をできる限り反映させる形で整理したものでございます。本日は前回も申し上げましたように、専ら委員の皆様の御意見を頂戴する場にしたいと思います。残り時間ざっと100分ぐらいかと思いますので、その全部を委員の皆様との意見交換、質疑応答とさせていただきます。できる限り多くの皆様から御意見を頂戴するということで計算いたしますと、大体お一人が4分以内となると思いますので、そのぐらいで御発言をお願いしたいと思います。
そして、そのやり方は前回と同じでありますけれども、御発言を希望される方はこの後に手を挙げるというボタンがありますので、それを押していただくようにお願いいたします。その後、押していただいた方の名前を事務局で控えていただき、事務局より順番に指名していただくようにいたします。そして、指名された方はミュートを解除していただき、その上で御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、手を下げるというボタンがありますので、それを押していただいて、挙手を取り下げていただくようにお願いいたします。
なお、希望をいただいた方全員からの御発言が終わり次第、時間が多少残ると思いますので、改めて御発言の希望をお伺いさせていただきます。そのときには追加で御発言の希望があれば、改めてその際に手を挙げていただくようにお願いいたします。その場合に終了時間の都合がございますので、時間を短くして御発言いただくといったことも含めて御了承いただきたいと思います。それでは、御協力のほどよろしくお願いいたします。
どういう順番でもよろしいので、御発言のある方、挙手をお願いします。いかがでしょうか。いかがですかというか、ちょっと私のほうから誰が挙がっているか。
【橋田幼児教育企画官】 それでは、中山委員、お願いいたします。
【無藤委員長】 中山委員、お願いいたします。
【中山委員】 ありがとうございます。時間が来ていますので、私のほうから発言させていただきます。
前回2回目のときに、小学校との接続のプロジェクトをお話しさせていただきました。そこで最後に課題が2点あることをお話ししましたので、ちょっとその説明から入りたいと思うのですが、一つの課題が取組を継続させることでした。これは言うまでもなく、相手方の公立学校の先生方の異動があったりとか、教育委員会の先生が異動されたりとかで、なかなかこう積み上がっていったものが振出しに戻るということがよくあることです。
7年目の今年も授業を見に行ってみたら、黄金の3日間的なところが再現されていたりしてびっくりしたような記憶も直近ですが、あります。難しいなと思う、続けていくことは難しいなということの一つであります。
それからもう一つ、広げていく、広がりをつくっていくことが難しいというのは、佐野市というのはそんなに大きくない、人口が12万人弱のまちではありますけれども、やはり幼児教育の施設、それぞれ民間の施設も数が多いところもありまして、非常にセデップの先生方のお力も得て、公開保育などをして勉強し始めているところでありますけれども、よく言えば個性的、悪く言えばちょっとばらばらであったりするものですから、なかなか佐野市全体でそういう取組をしていくのが難しい。
小学校のほうは、学習指導要領で言ってみれば一枚岩で質を上げていこうとしているわけですけれども、送り出す側の幼児教育に携わる我々の現状がまだまだ、金太郎あめみたいになる必要はありませんけれども、土台となるベースがまだまだ確立されてないのかなというところを感じています。
そういう意味で、両方の意味からも前回秋田先生がおっしゃっていましたが、プラットフォームが欲しいなと思います。そのことによって、もちろん各施設の園内研修のサポートですとか、そういったこともしていただけると思いますし、何よりもまちづくりの視点がやっぱりそこから生まれてくることが必要かと思います。
私も一つの認定こども園の理事長やっていますけれども、私のところだけが何か頑張ってやってみても、やはり意味がないことはないですけれども、まち全体、子供たちが元気でいてくれて我々の仕事も成り立ちますので、まち全体の幼児教育の質を上げていくということが必要で、それは結果的にまちづくりだというところは本当に大事だなと思っています。
最近、セデップ絵本のセミナーがありまして、ブックスタートの話なども改めて聞くことができたのですが、ブックスタートが結局まちづくりだという話をお聞きしまして、非常に感銘を受けました。それでいろいろな取組と協働しながら、つながりながら、一枚岩になってまちづくりに取り組んでいけたらいいなと本当に感じています。そのためのプラットフォームが本当に欲しいなと思いまして、前回御発表いただいた先進的な行政の皆さんの取組が本当に日本中に少しでも広まるとありがたいななんて思っているところです。
まずは取っかかりとして口火を切らせていただきました。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次の委員、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 曽木委員、お願いします。
【曽木委員】 では、よろしくお願いいたします。曽木から。こちらを読み込ませていただいた中で、6ページ目にあります(2)の「幼児期の終わりまで座ってほしい姿」と、各園や地域の創意工夫を生かした幼保小の架け橋プログラムの開発・実践、あと(3)のカリキュラムの実現というところ、施設としてはここを具体的にどういったものが、どうなんだろうというところが、保育園施設側としては本当に知りたいなというところで、これから話し合っていきたいなと思っているところです。
その中で、3ページ目の一番下です。遊びや暮らしの中での気づきから探求へという遊びのプロセスというところで、先日科学的な、そして理論的な思考のところが大事だということで、前回実践を発表させていただきましたが、同じように園で大事にしていることを2つお伝えできればなと思いまして、発言させていただきます。
1つ目は、この中を見させていただいた中で、ちょっとプラスアルファでお伝えしたいのが想像力です。想像力は生きる力であり、経験の豊かであるほど想像世界より世界もより豊かになっていくと思います。
園では、0歳児からの積み重ねによって、今、5歳児ペープサートや絵本、紙芝居などの創作活動や模倣遊びなど、様々な遊びが展開されています。より豊かなファンタジーの世界が広がっていく子供もいれば、よりリアルさを求めていく子供もいて、それぞれ探究の姿が見られます。
2つ目は、語彙力です。0歳児からの絵本の読み聞かせや模倣遊び、子供同士の伝え合う対話や表現しようとする中や、保育士が質問したり一緒に考えたりする中で育まれていきます。どうしてだろうねとかなぜかしら、どうしたと思うという保育士の質問や関わり、豊かな絵本体験などの環境設定で、遊びの中で子供主体の保育が幼児教育以降の学びにもつながると思っております。
保育園、幼稚園、家庭、小学校全部に共通して、私が大切だと思っていることは、指示が多い、強制を強いるような関わりより共感型のたくさんの言葉かけがある関わりのほうが、私は大事だと思っております。
それは子供に考える余地を与え、認め、励まし、足場かけとしての質問をすることが大事だと思います。それと同時に子供が主体的に探索し、自立的に考え、行動し、遊びに熱中できる環境を保障してあげる必要があると思います。
親も保育士も保育教諭も、教師も一生懸命子供と接しております。ただ、そういった関わり方を知らなかったり、体験したことがなかったり、置かれている環境によってできなかったりします。だからこそ、いろいろな機会の中で、育成も兼ねて丁寧な関わり方の有意義性を社会全体に発信していくことが大事なのではないかなと思っております。
そして、さきに述べたような丁寧な関わり方をするためには、私たち各施設でも、児童に対する職員の配置の見直し等も含めて、こういったことを考えていければなと思っております。
取りあえず以上になります。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次の方。
【橋田幼児教育企画官】 水野委員、よろしいでしょうか。
【水野委員】 大東市教育委員会教育長の水野です。それでは、3点意見させていただければと思います。
まず、1つ目ですけれども、過去の1回、2回の会議において、幼児教育と小学校教育の架け橋の背骨部分というのが、どうしても家庭教育というところは外せないのではないかなというところで意見をさせていただきました。
その家庭教育の視点をどのようにプログラムに盛り込んでいくかというところですけれども、大切なのは、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿と、しっかりと連動した形での園種を超えた共通のアセスメントシートの作成が、プログラムの議論を進めていく中での土台におのずとなってくるのではないかなと考えています。
このようにアセスメントシートというと、まるで子供の能力を評価するようなイメージがありますが、決して幼児教育で求められるのはその能力評価ではなくて、その幼児がどんな体験をしてきているのかというところを現状しっかりと見取れるものであることが大切かなと思います。
そのアセスメントシートを共通のものを踏まえて、保護者と幼児教育の先生が現状その子供にとって体験済みのもの、また、これから体験することが望まれるものというものをしっかり見える化することが大切かなとも考えております。
もちろんそのリストの中の項目は、各園にて、園の中での体験によって既にもうチェックマークがつくようなものも多々出てくるかと思いますが、おのずと未チェックのところというのが家庭教育、つまり保護者視点で言えば、家庭教育の中で親として、家庭として体験させていくべき項目になってくるのかなというのも見えてくるかと思います。
しかし、懸念すべきところはそういう項目をつくると、うちの子供は全然体験してないな、体験させないと、というまるで保護者を責めるような形の論調になってくると、これまたちょっと違う方向かなと思うので、チェック項目というのは多様なものをつくっていって、小学校1年生に上がるまでには、このような体験が求められるのではないかなという指標のようなものがあればいいかなとも感じています。
議論の出だしに小1段階でのばらつき、ばらつきがあるのはもちろん個性、能力もろもろございますので、当然あろうかと思いますが、ばらつきの是正のところに寄与していけるのではないかなと思っております。
2点目ですけれども、小学1年生の環境適応の視点だけではなくて、実はこの保護者の視点で言っても、幼稚園と幼児教育と小学校教育というのは恐ろしい段差があると感じております。
幼保と小では親同士の関わり方が変わってくると言われていまして、幼保では園に連れていったり、スクールバス、お迎えのバス、そこに連れて行くところでほかの保護者と交流があったり、ほかの園児を見て今こういう雰囲気、この年ではこういう感じなんだなというのが見えますが、小学校に上がると多くのところは玄関先で保護者は見送るのみになるので、先ほど申し上げたような交流の機会、保護者側の幼小の連携においての交流機会が減るというところがございます。ですので、保護者側の環境変化の要素を考えていく視点で、小1特有の母子分離不安のところだけではありませんが、お母さんと一緒じゃないと学校に行きづらいというのも実際、母子登校という形で近年では課題視もされておりますので、5歳児プログラムの策定の際にはそのような保護者視点での小1ギャップといいますか、そういうところもイメージできればいいのかなと思います。
最後3点目ですけれども、地域によって様々それぞれかと思いますが、多くの自治体では当然保育園、幼稚園、認定こども園、3種ありまして、さらにそれぞれ公と民で分かれていると思います。プログラムの策定で考えていかないといけないのは民業への配慮というところかなとも感じております。私自身も今こういう教育委員会で教育長させていただいておりますが、ほんの1年半前まで民間の経営者、家庭教育支援の経営者でございましたので、民業の考えというのは、公教育の隙間をどうぬってニーズに応えていくかというのが結構ございますので、この共通のプログラムを考えていく上では、多くの私立園においては創業者の思想とか建学の精神とかいうのが多々あろうかと思うので、公の同じプログラムを下ろすとなると、難しさというのも出てくることが想定されます。
しかしながら、これまた地域によって様々ですけど、例えば本市大東市においては、8割ほどの小学校1年生が民間の園から小1に上がってきておりますので、この民間を外してしまうというのももちろん骨抜きになってきますが、なかなかここ難易度高いのではないかなという想定をしております。
長々となりましたが、以上です。ありがとうございます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次は。
【橋田幼児教育企画官】 続きまして、溝上委員、お願いします。
【溝上委員】 桐蔭学園の溝上でございます。1点感想と1点コメントしたいと思います。
まず論点整理、非常に分かりやすく整理されていまして、無藤先生、事務局の方々大変お疲れさまでございます。1点感想ですけれども、論点整理の3ページ目のところに「0~18歳」という言葉が入ってくるということが私にはとても意義深く感じております。
幼保小ですから、そこの充実ということはもちろん大事ですし、架け橋ということですから、その接続ですけれども、決して小学校以降のプログラムを下に下ろすという意味での0から18歳、特に18歳あたりのところという意味ではなくて、後々起こることが幼保小のこの活動の中にどう表れるかという認識をやっぱり指導者側は持ってないと指導の充実というのが図れないと思います。
私も幼稚園、うちの学園にも持っておりますけれども、幼稚園の先生方が後々学習課題となるようなことが実は理解できてないという、研修の中でそういう場面が何度かありまして、そういうことを思い浮かべながらこの0~18歳までという言葉に、非常に意義深さを感じております。これは感想です。
もう一点は同じく3ページ目のところで、先ほどのお話の中にも能力評価の話がありましたけれども、到達目標という言葉の理解が、学習指導要領もそうですけれども、非常に単純に捉えられているという印象を受けます。幼保小になってくるとこれはもっともっと大事な話で、私は教育評価論では、梶田叡一先生、学生時分から随分いろいろ教えられることが多くて、その梶田先生がその評価論の中で、非常にいろいろ多くおっしゃった一つに、この目標の捉え方というのがあります。到達目標というのは何々ができるというような達成目標的なもので皆さん、御理解されていることが多いと思いますが、到達目標はそれだけではないんですね。昨今のように能力とか、あるいは幼稚園の期待される10の姿の中にあるような、例えば感性や生命尊重などは達成目標というよりは、例えば向上目標とか体験目標として捉えた方がいいと梶田先生はおっしゃっていました。梶田先生は到達目標の中に達成目標、向上目標、体験目標の3つを挙げておられましたが、そのうちの2つが皆さんの議論の中にありません。
向上目標というのは、何々ができると到達するわけではありませんけれども、今までできなかったことができるとか、多くの人たちに比べてできるとか、こういう形で成長を捉えていく目標です。もう一つ体験目標というのは、感動とか気づきとか、これも何々に達するというよりは、いろんな活動、幼児の活動を通して感じていくような、体験していくような目標です。そういうこのような到達目標の、もう少し精緻なカテゴリーがあれば、例えば3ページ目に「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は到達目標として捉えるのではなくと、こういう言い方にならないはずです。到達目標で私はいいと思っています。これは1回目に秋田委員がイギリスの例を紹介して、プロセスアセスメントの話をされたと思いますけれども、あれにも結果的には通じてくるものです。昨今の学習評価はプロセスアセスメントが非常に大事になってきますので、この到達評価の考え方、到達目標の点、少し御検討いただければと思います。
【無藤委員長】 検討課題もいただきました。ありがとうございました。
【橋田幼児教育企画官】 それでは、堀田先生、お願いします。堀田委員、よろしいでしょうか。
【堀田委員】 堀田です。よろしくお願いします。取りまとめ、ありがとうございます。2つ意見を申し上げます。
まず1つ目ですが、2ページの下から3つ目の丸かな、幼児期の特性を踏まえ、ICTの効果的な活用を含め云々と書いてあります。幼児期というのは体験を通して、遊びを通して学ぶことが何より重要だということは承知しております。
ICTはそれに対して体験を奪うもののように見られることがありますけれども、実際保育の様子で見ていますと、小学校低学年もそうですが、体験したことを写真に撮ってみんなでお話しするとか、動画で物語づくりをするとか、誰かに伝えるような動画をつくるとか、あるいはどこかにある動画をまねして自分たちも何かつくってみるとか、そういうふうな効果的なICTを活用した遊びというのはあると思います。ですので、そういう意味で幼児期の特性に合ったICT活用・遊びのレパートリーみたいなことを整理して、例示をするようなことをしてはどうかと思います。
2点目ですが、7ページの(4)最後の丸のあたりに、デジタル技術の積極的な活用とかICT環境の整備とか書いてあります。同じく(5)にも、データの蓄積・活用による支援策云々と書いてあります。これらは学校の場合は校務の情報化という言い方をしているカテゴリーになると思います。ですので、この場合は園務の情報化と言えばいいんでしょうか。働きやすさにつながることだと思います。
ICTがいつでも利用できるような環境があれば、活動の記録の蓄積とか成長の記録を残したり、保護者への密な連絡や発信したりも可能ですし、あるいはお忙しい中で保育者の方が在園のままオンライン研修を受けるとか、ほかの園と保育の実践交流をするとか、オンラインでできることたくさんあると思います。
先生方の資質向上の観点からもあるいは保護者連携の観点からも、ICTインフラの整備、具体的にはそれはパソコンとかカメラとか高速ネットワークの整備だと思いますけど、そういうことをしっかりと進めるということを書き込んでいただくということが大事かと思っております。
私からは以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは次は。
【橋田幼児教育企画官】 荒瀬委員、お願いします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。おまとめ、本当にありがとうございました。大変分かりやすく、議論がこれから進んでいくことが期待されると思っております。ありがとうございました。
私は前回欠席をしてしまっておりますので、ちょっととんちんかんなことを申し上げるかもしれませんが、3点申し上げたいと思っております。
順番が逆になりますが、まず、5ページの上から3つ目の丸でありますが、これは4ページから続く幼児教育の質を保障するための必要な体制等の中で、人材について書かれています。これは7ページの(4)の4つ目の丸のところにも人材について書いてありますけれども、本当に大事なことだと思います。どうしたらそういう人材を育てていけるのか、どんな力をつけることが必要なのかといったことを考えていくということが一つと、もう一つは、幼少の人の関わりというのでしょうか、連携というのを隣り合っているわけですので、成長の連続性を考えると、そこはとても大事ではないかなということを思いました。
2点目は、戻りまして3ページです。先ほど溝上先生もおっしゃいましたけれども、0歳から18歳までというスパンで考えていくというのはとても大事だと思います。ただ、気をつけないといけないのは、幼児期にできてないと、いつまでたってもできないと捉えられないように気をつけていく必要があると思っています。
また、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」って、私はいつも読むたびに、大人だって本当にできるのかということを常々思いますけれども、これに関して先ほど溝上先生がおっしゃったこと、到達目標という言葉とかこういった言葉の定義というのをしっかりとしておく必要があるのだろうなということを思っていました。
私はこれを3ページの丸の3つ目ですけれども、これを読んだときに、決して到達目標として捉えるのではなくて、これができているかできないかだけで見るのではなくて、子供が成長していくそのプロセスを大事にしていくという視点として持つべきだという、これは大事な発想なのだということを思いました。ですから、ぜひどういった言葉でどういった内容が表されるのかという定義が大事ということを思った次第です。
この同じページの一番下のところ、その意味でなんですけれども、一番下の丸のところに「幼児期から児童期への学びの連続性の観点から、遊びや暮らしの中での気づきから探求へという学びのプロセス」という表現があって、何かもう今ちょっと言葉が不適切かもしれませんが、探究というのはあちこちで言われていますので、ここでも探究と出てきたかという感じはありますが、これはもう皆さん御承知なのかもしれませんが、今年の7月19日に国立青少年教育振興機構が出した、「青少年の体験活動等に関する意識調査」という、令和元年度分のまとめですけれども、この中に大変興味深い結果が出ておりまして、例えば自然体験や生活体験、文化芸術体験が豊富な子供、お手伝い多く行っている子供は自己肯定感が高く、自立的行動習慣や探究力が身についている傾向があるという、こういう結果が出ているということになっています。
ここで言う探究って何なのかというのは、これまた詳しく見ていく必要がありますが、外遊び、就学前から外遊びを奨励する保護者の働きかけに注目すると、その後の探究力の向上に肯定的な影響を及ぼすということが書かれています。
さらに興味深いのは、社会経済的背景の相違にかかわらず、自然体験が多い子供ほど、こういった傾向が強いようだということが書かれていますが、ただ、社会経済的背景によって、そういったところに参加する子供の率というのは違ってきているので、やっぱりこの格差の問題というのは非常に重要でしっかりと見ていく必要があるし、これは我々だけの議論ではなくて、国全体で考えていく必要があるなということを思った次第です。
探究って多分不思議だなとか、なぜだろうとか、面白いなって思うところからのスタートで、これは何も幼児期だけじゃなくて、高校生だって大学生だってそうだと思います。こういったような機会がどれだけたくさんあるかということが大事かなということを思いました。最後すいません、1ページに戻りまして。
【橋田幼児教育企画官】 荒瀬先生、そろそろまとめていただければと思います。
【荒瀬委員】 すいません、1ページの丸の3つ目ですけれども、「諸外国では」と書いてありますが、この諸外国というのが必ずしもたくさんではないような気がします。個人的な話で申し訳ありませんが、私の娘がスウェーデンで幼児教育に携わっておりますけれども、聞くと面白いことをいろいろやっていまして、ゆったりとした中で遊びが中心であるようです。そういったようなデータをたくさん集めて、その上でいいものは取り入れていくといったことも必要なのかなと思いました。
長々と失礼しました。以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次に。
【橋田幼児教育企画官】 宮下委員、お願いします。
【宮下委員】 静岡豊田幼稚園の宮下です。よろしくお願いします。
幼児教育と小学校教育の接続ということを考えるときに、幼児教育と小学校教育にその質に違いがあるという、そのことをしっかりと押さえた上で、子供の発達という視点に立って、どう接続していくのかということを考えていくことがとても大事ではないかと思っております。
目指す方向性について幾つか述べさせていただきます。幼児教育施設と小学校教育の教員が互いの教育について理解する方法として、例えば互いの保育や授業を参観して、協議し合う機会をつくったりとか、幼小の合同研修会等を行ったりすることは、これまでにも行われていると思いますが、さらに一歩進んで、幼児教育施設の保育者と小学校の教諭が公私立問わずに数日間でも入れ替わって現地研修をする、そういう体制が構築できればすばらしいと思っております。
なぜかといいますと、ある限られた時間だけ参観したのでは、その本質というものはやはり分からないと思うからです。幼稚園であれば子供の理解から始まって、そこで理解したものの上に教師のねらいや願いが重ね合わされ、それをもとに環境を構成する。そして実際にその環境に子供が関わって遊びを展開するところに教師が援助をしその振り返りをすることで次の日の保育に生かしていくという幼児教育のプロセスは、やはり数日その場に身を置いて一緒に体験していただくことで分かるのではないかと思っております。
それから、今回幼小の架け橋プログラムの開発や実践の参考となるモデル事業をしていくと思いますが、やはりこれも同じ公立の幼稚園、小学校だけではなくて、ぜひ私学の幼保と公立の小学校との取組というのも増やしていく、そういうことが必要ではないかなと思います。
また、地域の関係機関との連携・協働していく上で、データの蓄積やそれを活用した支援策が大事だと思うのです、各自治体の条例等で個人情報の壁があるのも事実ですから、この課題を解決していくことも考えていけたらなと思っております。
そしてもう一つ、教員の資質向上ということについては、全国展開していくことがとても大事だと思うのですが、そういう取組とを一体的に推進して、その履歴を正確に残していく体制というのは、各自治体というよりは、国として充実させていくということが必要ではないかと思っております。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次。
【橋田幼児教育企画官】 大竹委員、お願いします。
【大竹委員】 ありがとうございます。私は前回欠席したので、流れがよく分かってないかもしれませんが、この論点整理での本文でも、幼児教育の重要性について、それが事実であるということを前提に議論がされていますが、海外の研究が多く、日本でのエビデンスが少ないと思っています。
そのために論点整理の7ページ目、それから本文の14ページ目に、データの蓄積・活用による支援というところがあるのだと思います。そこで、この本文でも様々な事例がきちんと紹介してあって、先進的な事例を広げていけるという形にうまく整理されていると思うのですが、例えば市が保有するデータをうまく統合すると、かなり豊富なデータで子供を追跡することが可能だという御指摘もありました。
確かに私が関わっている尼崎市でも、それはある程度可能になっています。尼崎市の場合、小学校1年生から中学校2年生まで統一の学力テストを継続的に行っていて、それを個人で追跡できるようになっていますし、体重や身長などの学校のデータ、あるいは保健所での出生時の状況や乳幼児の健診に関わる情報、それから、世帯情報、生活保護、就学援助といったものは、市役所の情報をうまく統合して追っていけるようになっています。
ただし、大きな問題2つあって、一つは所得情報が市役所にはあるのですけれども、住民税の情報であるため、その情報を使うことができないというものが一番大きな問題です。これは生活保護や就学援助を受けているかなり苦しい子供たちについては把握できるのですが、その少し手前のボーダーにあるような子供たちについては、今のところ全く情報がないということで、そこを分析できないということが大きな課題です。
それからもう一つは、幼児教育に関する情報が十分にはないことです。尼崎市では公立保育園については、1か月の調査で質的評価を行っていますが、公立保育園以外のところの子供たちについては、全く質が分からないということです。
問題としては、質評価をきちっとやっていくという場合も、その質の評価の費用負担をどうするかということと、調査の受入れをどのように義務づけていくのかということが課題かなと思っています。
それからあと、今までも御指摘あったかと思いますが、幼児教育のカリキュラム、教育内容の記録をきちんと取っていくことも重要ですし、それからクラスの担任、小学校も中学校もそうですが、誰が担任したかという情報も重要なことで、そういったものがうまく整理されていません。これはやはり特に恵まれない家庭の子どもで幼児教育の効果が大きいという研究がありますので、所得情報や幼児教育の質の情報というのを充実させていくということが今後必要だろうと思っています。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは次をお願いします。
【橋田幼児教育企画官】 黒木委員、お願いします。
【黒木委員】 全国町村会の行政委員を務めております宮崎県西米良村町の黒木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私のほうから3点について申し述べたいと思います。
まず、第1点でございますが、幼保小の架け橋プログラムの開発・実践についてでございます。第2回目の会議で申し上げましたが、実は私どもの村では、ITCを利用して「時と距離」を超える教育というものに力を入れております。これは地理的条件不利地域だからこそやらなければならない教育の一つの手段ということでもございます。
しかし、一方では、都会とは別に豊かな自然に触れ合いながら、昔ながらの伝統文化、そして山村文化等に触れる機会や、また、地域コミュニティーの中で人の温かさやつながりを感じることができる教育ができるのは、私たち地方の強み、特性でもあろうと思っております。このことから教育の機会へのアクセスが不十分であるものを補完しつつ、地域の資源を活用しながら、教育の質を高めていくことが重要であると存じます。
これから検討される幼保小の架け橋プログラムの開発に当たりましては、その視点、観点を踏まえて御検討いただきたいなと思っておるところであります。
次に、教育・福祉連携・協働についてでございます。現在、社会全体で少子化や、また核家族化が進んでおります。そのことから、地域とのつながりなどの希薄化が大変懸念されているのも事実であります。特に今新型コロナウイルス感染症の蔓延によりまして、親世代がさらに孤立して、その結果、子供にストレスの矛先が向かうケースが散見されるようになってまいりました。家庭教育は全ての教育の原点であり出発点であります。家庭に教育の基礎をしっかりと築くことが、あらゆる教育の基礎として極めて重要であると存じます。
学校、家庭、地域それぞれの役割分担において、特定の部分に過度な負担を強いることがないよう、また、それぞれの分野の有する特性や専門性を生かして、強みを持ち寄るような、それぞれの異なる視点を生かした役割分担、連携と協力の関係の構築が必要であると思います。
支援を必要とする子供や保護者、現場の専門職の不安を軽減させるためにも、福祉と教育がより一層連携・協働して、情報共有や共通理解を図り、適切な支援を行う必要があると考えております。
最後に、幼児教育の質の保障と専門性の向上について申し上げます。教育の質の向上には、現場の専門職の方々がやっぱりやりがいを見いだしながら学び続けることができる環境を整備することが必要だと思います。
施設類型を超えた研修や、先ほども出ましたが小学校との合同研修など、その仕掛けづくりや、好事例の情報発信などを国や県が中心となってぜひとも強力に進めていただき、この架け橋事業がうまくいくようになることを願ってやまないところであります。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次。
【橋田幼児教育企画官】 神長委員、お願いいたします。
【神長委員】 神長です。よろしくお願いいたします。私は3ページの発達の段階に応じたというところを中心にお話をしたいと思います。
この中で特に、ここを中心になんですけれども、ちょっと前後して、(1)と(3)の話が多少入ることはお許しください。
特にその(1)のところでは、幼児教育に関して社会的な認識が共通化されてないというお話が書かれています。もちろんそうですが、私は幼児教育の中におりましていつも思うことは、同じ幼児教育、例えば幼稚園の場合ですと満3歳から5歳までおりますけれども、満3歳や3歳のクラスと5歳のクラスというのは本当に雰囲気が異なっています。幼児教育というと大体三、四歳の子供たちの、いわゆる一人一人の思い思いの持っているものを発揮していく、そういう場面を大事にすることを特に満3歳や3歳のところでは集団という初めての集団の中で、自分の思いをいかに表現にしていくのかということを保育の中で大事にするわけです。
ただ、人間関係がだんだん深まってくると5歳や4歳の後半あたりからですが、5歳の後半ぐらいになりますと、人と関わりながら考えを深めていくとか、友達と共有しながら活動を広げていくという、人と関わる力が伸びてきて、考えを深める過程がすごく友達と集団の中の人間関係の中で行われてくることが顕著に見られています。
指導計画で言えば、言葉で伝え合いながらみんなで一緒にやろうとか、今日の活動を振り返りながら、とか相談しながら遊びを進めていこうという先生方の指導計画などを見ると、そういう言葉がたくさんふんだんに出てくるのは、もう5歳になってからなんです。
私はここの中で、物との関わりって物すごく大事だなと思います。つまり考えを深めるとか、友達と考えを共有する過程というのは、どうしてもその言葉で伝えるとか何か一緒に活動するという見える形で言いがちですけれども、この時期の子供たちというのは、遊びの中でそれを実現していくので、物と考えながら試行錯誤しながら考えをまとめていく、それを表現することによって友達が反応したことに対してさらに深めていくという、その試行錯誤、物と関わりながら試行錯誤しながら考えが深まっていきます。
教育要領や保育所保育指針の中に教育の目的を見いだして、協力、工夫するという言葉がありますが、実際は協力、工夫しながら、工夫しながらそして協力しながら、共通の目的になって、見通しが立っていくというこの5歳の姿ってあるわけです。
ただ、そのことというのは、保育をしている方々は日常の保育の中で実感できますが、どうもその保護者にも幼児教育というとこうですよねという一つの形で伝えてしまったり、また、小学校の先生から見ると、3歳と5歳の違いが分からなかったりというようなことはあります。
だから、共通の認識というのはもう少し5歳の後半の保育というものを物との関わりを深めながら考えを深めていく。また、共有していくその過程をとても大事にして、小学校教育の中に、時間割に基づいて学習していくというスタイルの前の段階をしっかりと行っているということを伝えていくことが必要かなと思います。
そういった意味では、やはり5歳の後半の遊びの姿であったり、集団のクラスの中での過ごし方であったり、子供たち一人一人のそこの中で自分をどう表現しているかということをしっかりと伝えながら、その時期にこんな教材が、物との関わりが子供たちの内面をさらに豊かにしていくという、それは(3)のことに関連してきますが、多様であるけれども、そういったプログラムに近づいていくということが大事でないかなと思います。特に子供同士で考えを深めるとか共有していくその過程が大事かなと思いました。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次。
【橋田幼児教育企画官】 鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 私は資料を使わせていただきます。
取りまとめありがとうございました。私のほうは様々な関係機関との連携ということと、やはり直接的、具体的な体験がいかに重要かということを話させていただこうと思っています。
先ほど実は荒瀬委員から、国立青少年教育振興機構の調査のことを御発表いただいて、ちょっと冷や汗が出たのですけれども、実は私、3月末までこの国立青少年教育振興機構の理事長を務めておりましたので、調査をいたした本人でございます。それでは、説明をさせていただきます。
国立青少年教育振興機構というのは全国に28、体験活動を通した青少年の自立を目指すという施設を持っております。私、2017年に着任して、幼児教育のほうにがんと舵を切りました。なぜかと言いますと、今、海辺で育っていても海に入るという体験をしていない。これは国立若狭青少年自然の家の調査ですけれども、今、若狭では小浜市とか若狭町の子供たち、幼稚園も保育所もこども園も、皆さんライフジャケットをちゃんとつけて安全安心で海に入るという体験をしています。体験する前は、海というのは見ているものというイメージですが、実際に入ってみると、海の中にいる私、自然の中にいる私に子供たちの絵が変わっていきます。この資料は機構のHPからダウンロードが可能でございます。
それで、もう一つ大きかったのは保育者自身が変わっていく。園で活発でなかった子が生き生きしているとか喜んでいるとか、会話が多いとか積極的に動くとか、先ほど神長委員もおっしゃっていましたけども、ものとの関わり、人との関わり、自然との関わり、様々なところで子供たちは工夫をします。大人から見ると、下から2番目ですけど、そんなにないのではと思っていたけれど、実に多様な遊びを生み出していけるというような姿を見せてくれる。これによって子供感が変わる、幼児理解が深まる、保育者自身が育っていくということにつながっていくと思っています。
当然、日常生活に戻ったときに子供たちも変わっていきます。ほかのお友達の話をちゃんと聞くとか、園庭で生き物を見つけたときに非常に関心を持つ、それを調べようとする、それから、これ、行ったねというようなところで盛り上がる、絵を描く、工作で作る、体で表現するということに、保育に生かされてくる、そういう体験につながっていきます。日常保育への影響がとても大切だと思っております。同時に、実は山野教授(大阪府立大学)の調査で、困窮度が高い御家庭というのは就学前の子供たちに何を諦めさせたかというと、家族旅行であったりとか、テーマパークなどのお出かけであったりという、どこかに出かけて体験するという非日常的な体験が非常に限られてくる。その点、国立のような施設ですと、当然利用料は今のところ無料ということになっておりまして、子供たちの体験活動を支えていく、こういうことが実際にできる。ここで最後、まとめて言わせていただきたいのは、就学前の教育の中で直接的、具体的な体験というのがいかに大切か、ここを踏まえるということが幼児教育の実践というものに合致していくのではと思います。これは幼児教育の場の先生方には御理解いただけるのではないかと思っております。
もう一つは、園だけではなく、いわゆる就学前の教育施設と呼ばれるところだけではなく、地域を含めて、こうした様々な機関とのつながりを大切にしていく。線をつないで面をつくっていくということが論点整理の中に加えていただけたらありがたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。
【橋田幼児教育企画官】 平川委員、お願いします。
【平川委員】 広島県教育委員会教育長の平川でございます。こちらの論点整理は本当によくまとめていただいて感謝いたします。ありがとうございました。3点ほど感想も含めまして、お伝えしたいと思います。
1点目は、3ページ目のいろいろな方がおっしゃっていますけれども、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿ということを到達目標として捉えてしまうと、いやいや、こんな幼児期の終わりまでに育ってほしい姿なんて大人だって無理でしょうということで、ここは、本来であれば「幼児期の終わりまでに、体験により育ってほしい具体的な姿を明確化」と、「体験により」と本当は書いていただきたかったぐらいですが、時既に遅しということで、これについては感想でございますけれども、そのように思っております。
2点目です。5ページから6ページ目の目指す方向性でございますけれども、幼児教育と小学校の連携、これはすごく大事だと思っております。水野委員からも幼稚園・保育所と小学校1年生では、保護者の中でも大きな段差があるというお話がございましたけれども、幼稚園とか保育園の様子を見ておりますと、ラスト1年の年長さんになった途端、遊びや学びということが忘れられてというか、親も不安に思って、これはまさにもう少しで小学校になるというときに、保護者のほうから、うちの子は小学校でちゃんと座っていられるでしょうかと、必ず小学校目線に合わせてしまうというところがあると思います。それも一昔前の生活指導のような、そういう架け橋プログラムになってしまうということが、随所でまた全国各所で見受けられるということを大変懸念しておりまして、これはむしろ小学校のほうが幼児教育の要素を取り入れてほしいと思うぐらいでございます。新しい学習指導要領でも主体的、対話的な深い学びとか、個別最適な学びということを書かれていますが、現実なかなか画一、一斉授業から小学校のほうが抜け出せずに、例えば不登校の数を見ましても、ここ5年間で2倍になっております。それぐらい子供のほうからボイコットされていると思ったほうがいいのではないかと思っております。
そこで、目指す方向性の部分に小学校への要望、あるいは注文事項を必ず書き添えていただきたいと思っております。現場で着実に新しい学習指導要領に合わせた学びのスタイルに変えていくよう努力していただきたい。努力というかやらなければならないということを書いていただきたいと思っております。
もう1点、これはどこに書けばいいかということは分かりませんけれども、私も教育長になる前は民間人校長で、その前は会社の経営をやっておりましたけれども、とかく教育業界というのは、KKDで、勘と経験と度胸の中で話しているような気がいたしまして、そういった点では、今回、榎本先生に入っていただいたのは非常に大きなことだと思っております。サイエンスの力もお借りして、幼児期の育ちについて分かりやすく、脳科学とサイエンスの形でお示しするのも、これは必要じゃないかと思っております。
以上です。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。次は、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 渡邉一利委員、お願いします。
【渡邉(一)委員】 笹川スポーツ財団の渡邉と申します。
まずは委員長、事務局の皆さん、論点整理ありがとうございました。当然、この文章の中には幼児教育、あるいは遊びといった中に身体活動、運動といった要素も含まれていると思いますけれども、立場上、私は幼児期の身体活動や運動量の確保の重要性について触れておきたいと思います。認識した上で、また整理につなげていただきたいと思います。
実は、幼児期の身体活動の全国調査というのはありません。スポーツ庁でもそれは取れていません。したがって、私が申し上げますのは、笹川スポーツ財団が2009年から、4歳から9歳までのスポーツライフに関する調査というのをベースにしながら、また、先行研究を参考にしながら報告されていることを説明させていただきます。
まず、幼児期の外遊びの実施頻度が高いほど、小学校に入学して以降の運動、スポーツの実施頻度が高いという結果が報告されています。言い換えれば、幼児期の遊びを通じた身体活動量が多いほど、入学後の身体活動量が高いということが言えます。また、幼児期の身体を動かす習慣、経験というのは、青少年期の習慣への持ち越し効果も報告されておりますし、成人期の習慣に影響を及ぼすといった研究成果もあります。ただ、一方で、園外、家庭や地域においての余暇時間では、スマートフォンや携帯電話などのスクリーンタイム、あるいは読書などが増加する一方で、外遊び、身体活動時間は減少しています。先生方は皆さん御承知だと思いますが、スキャモンの研究、成長曲線によりますと、人の脳、脊髄、視覚器など神経系、感覚器関係の器官は5歳までに80%、12歳までにほぼ100%が形成されると言われています。
そのため、6歳までが神経発達のゴールデンタイムとも言われます。2012年に文科省から幼児期運動指針というのが出されました。そこでは、幼児は様々な遊びを中心に、毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことが奨励されています。そして、この指針のポイントは3つです。多様な動きが経験できる様々な遊びを取り入れること、楽しく体を動かす時間を確保すること、発達の特性に応じた遊びを提供することです。幼児期における運動の意義というのは、体力、運動能力の向上のみならず、健康的な体の育成、意欲的な心の育成、社会適応力の発達、認知的機能の発達を促すと言われています。これは先ほど来、出ていますが、幼児期の終わりまでに育ってほしい具体的な姿にも連動するかと思います。
そこで、お願いではありますが、1つは幼稚園、保育所等での活動の中に、積極的に外遊び、身体活動、運動の機会を取り入れてほしいということであります。ただ、ここにも書かれているように、保育者の方が年少というか、年が若かったり、経験が浅かったりといったこともございますので、そこはスポーツ分野ともうまく連動させながら、スポーツ分野の中では幼児期のアクティブチャイルドプログラムというのが作られておりまして、理論や意義とともに、具体的なプログラムや指導方法などもそこには備えられております。こういったものが、幼児教育の中に取り入れられること、そして保育者の方が経験浅くとも、子供たちに遊びを通じて、しっかり身体活動量を確保してもらうと、それが成長につながるといったところにつなげていただきたいと思います。
また、家庭や地域におきましては、行政が主体になってスポーツ団体とうまくつなげていただく、そこには推進プラットフォームというのが必要になろうかと思いますけども、そういった工夫を各自治体ごとに展開していただきたいと、そのように思います。
スポーツの立場から、簡単ではございますが発言をさせていただきました。以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。
【橋田幼児教育企画官】 久保山委員、お願いいたします。
【久保山委員】 まとめていただいてありがとうございます。前回の私の分かりにくい発言をうまくまとめていただいて、感謝申し上げます。私からは、できれば2点申し上げたいと思います。
1つは、今回の論点整理の中に、一人一人の幼児の姿を小学校、あるいは特別支援学校の小学部にどのように伝えていくかという点をぜひ加えていただきたいと思っています。前回、申し上げましたように、その手段はたくさんあるわけです。一番大事なのは要録だと思いますけれども、就学支援シート、あるいは、サポートファイルとあるわけですけれども、保育所、子供園、幼稚園の先生方は一生懸命書いているわけですが、残念なことに、例えば小学校で、これは個人情報であるからといって校長室の金庫の中に大事にしまわれていて誰も見ない。あるいは、これも残念なことですけれども、保育所、幼稚園、こども園でできているからといって、小学校でそういう支援はできませんと、せっかく書いたものが門前払いを食らっているという現実が残念ながらあります。先ほど平川委員からもありましたけれども、ぜひこの辺り、小学校が幼保から上がってくる要録等をしっかり活用するということを考えていただきたいと思います。
加えて申し上げれば、保護者の方々が、我が子に障害があるということを認めるということやら、あるいは、我が子に障害があるということを小学校に伝えるということは相当な葛藤があることだと思います。その葛藤を経ても、それでも情報を渡すということは相当な覚悟でやっているわけで、そういったことを小学校の先生方には十分理解していただければと。そのために教育行政、保育行政のお力を発揮していただけたらと考えます。
それから、2点目ですけれども、7ページのところ、あるいは6ページ、7ページに幼保小の連携、あるいは合同の研修ということがありました。これはそのとおりですけれども、実はそう簡単ではありません。例えば、保育所の研修ができる時間帯と小学校の研修ができる時間帯というのは大きく異なっていて、いざやってみると保育所が来ない、小学校が来ないという話になる。この辺りについては、かなり戦略が必要だと思います。この辺りも教育行政、保育行政のお力で、うまく時間帯を合わせていくということが必要かと思います。
それから、先ほど宮下委員の発言の中にありましたが、ある都道府県では、小学校の先生が丸々1年間、地元の保育所、子供園、幼稚園に研修出向することができると。そして、そこで学んだことを小学校に活用するということがずっと行われています。そういったことが広く行われていくことが幼保小のつながりに大切なのではないかと考えます。
私からは以上です。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次の方。
【橋田幼児教育企画官】 藤迫委員、お願いします。
【藤迫委員】 ありがとうございます。皆さんのダイナミックな話からしますと、ちょっとダイナミックさに欠ける話で、我々が今、抱えている、直面している課題を通して、2点ほどお話しさせてもらって、共有したいと思っています。
1点は、もともとは公立の幼稚園、保育所の再編整備から話は始まっていますが、小学校教育への架け橋という観点から見ると、箕面市の全体の就学前の幼児教育、保育がどうあるべきかというところを見なければならないにもかかわらず、先ほど大東市の水野委員からもお話があったように、私立と公立の違い、もっと言うと、ほとんどが私立に担っていただいていると、こういう現状がある中で、しかも早くから私立幼稚園に幼児教育を担っていただいて、人口の増に伴ってそれを補完する意味で公立が立ち上がったという成り立ちも含めまして、一定、私立と公立と役割分担をされてきています。特に顕著なところは重度の支援のお子さん、あるいは医療的ケアが必要なお子さんというのは、どちらかというと公立で担ってくださいみたいな、また私立のほうでは、建学の精神に基づいていろいろな特徴を出したような幼児教育をしていただいている状況です。そのような中、まさに7ページの(4)番のところに出てきます、幼児教育推進体制の一つの取り組みである幼児教育センターを今、立ち上げようとしています。
立ち上げの際については、もうこれはもちろん、この段階から私立幼稚園の方に入っていただきながら、どうあるべきかということを議論して整理していきたいと思っています。そこは立ち上げながら、ここに何かヒントがないのか、箕面市の幼児教育、保育をどうしていくか、というのをお互いに高め合いながら、さらに質の維持向上を図っていきたいという取組を今しているところで少し悩んでいますということが1点と、2点目が、その課題もさることながら、今、「箕面市の全ての就学前児」ということで説明しましたが、実は近隣市の私立幼稚園に、箕面の場合は4分の1もの数の子供たちが行っている。ここがどうしても我々の視野の中になかなか入ってこないということで、これについては、どちらかというと、小学校には校区がありますので、小学校が自分の校区に住んでいる就学前の子供にどうアプローチする、それが市内の私立の幼稚園に行っているのか、公立の幼稚園に行っているのか、もしくは保育所に行っているのか、はたまた市外の幼稚園に行っているのかというところを、どちらかというと、小学校のほうから何かアプローチしていくことを考えていかないと、隙間ができてしまうのではないかというところが、今、我々が抱えている課題ということで、少し小さな話になりますけども、具体的に悩んでいる話ということで共有させていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次は。
【橋田幼児教育企画官】 オチャンテ委員、お願いします。
【オチャンテ委員】 桃山学院教育大学のオチャンテです。まずは委員長、事務局の皆さんに論点整理をまとめてくださってありがとうございます。私から2点について、お話ししたいと思います。
まず、4ページの(3)の6つ目の丸に外国人幼児や外国につながる幼児たちへの配慮が必要ということが書いてあります。ありがとうございます。これについて、確かに配慮が必要ですけれど、どういった配慮なのかということ、恐らくこれを読む人は、実際、いろいろな悩みを抱えながら現場で動いていると思いますが、様々な今まで出てきた、「遊びながら」とかいろいろな工夫と書いてありますが、そういう項目の中に、例えば遊びを通じた学びの中で日本語の指導が必要な幼児たち、子供たちへの日本語で遊ぶという項目・内容があればと思う。例えば前回、このような表現が出ました。遊びながら日本語力を身につけていく、例えば絵本の読み聞かせとか、そういった分からない言葉だったら絵なんかを見せながら言葉の意味を説明するとか、そういった日本語の語彙を増やしていく活動もできるのではないかと思います。いろいろな工夫もしながら、全ての子供たちにとっての支援にはなるかと思うので、そういったことをどこかで入れてくださればと思いながら読みました。
そのまま日本語に課題を残したまま、小学校に入学をしていく子供たちは、学年が上がるにつれて、どんどん学力の差がばっと広がっていきます。そういうことは、中学校、高校などにも影響していきます。進路についてとかにも影響していくので、幼児教育における日本語の習得、それは遊びながらでもできるので、工夫をしてもらえるのではないかと思います。
あと、もう一つは、ここに書いていないけれど、どこかで母語の重要性について、子供たちが母語を習得することの重要性、意識すること、保護者にそういうことを進めることができると思います。母語は保護者とのコミュニケーションのツールになりますね。母語を使えなくなっていくというのは、結局大きくなっていくと保護者とうまくコミュニケーションが取れなくなることもあり、いろいろなことにつながっていくので、親とのコミュニケーションを保つためにも母語は重要でありますし、あとは日本語習得にも、日本語が取得しやすくなるということも言われているので、そういう現場で母語を使いましょう・学びましょうと勧める環境は重要であります。せめて異文化体験を通して、様々な言語に触れる機会を持つとか、または、担当者自身が母語は大切だということを保護者たちに伝えることはできますし、そういった子供たちが母語に恥じることなく、幼稚園とか保育園で話すことができるような環境づくりはできると思います。そういう担当者の共通理解などが必要だと思うので、そのための研修は必要になってきます。そのようなことも、どこかで書いてくださればと思いながら読みました。
すいません。まとまっていない話ですが、以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次は。
【橋田幼児教育企画官】 吉田委員、お願いします。
【吉田委員】 市長会の社会文教委員長の埼玉県本庄市長、吉田でございます。
まず、こちらの論点整理につきまして、いろいろと今まで私も様々言わせていただきましたけれども、しっかりと書いていただいておりまして、ありがとうございます。実は、現状と課題の中で、前回も申し上げましたが、今日のお話も聞いていて本当になるほど、もっともな話ばかりでございまして、5歳のときにお子さん方に学んでほしいこと等々がたくさんあるということは、本当に私もそのとおりだと思っております。
ただ、それは誰がやるのかということになりますと、幼稚園、保育園だけにこれを任せる、あるいは、その後の小学校だけに任せるということはなかなか大変でございまして、前も申し上げましたけども、これをしっかり子供たちの学びの場を確保するためにも、家庭がしっかりしていてほしいですし、全体を支える地域の力というのも非常に大事かということを感じております。特に、家庭については、自分の子供に向き合う時間を確保するというのはもちろんですけども、自分の子供に向き合っている仲間づくりというのでしょうか、お父さん、お母さん方は、地域において同じぐらいの世代のお父さん、お母さんとのつながりが希薄な方々というのも多いわけでございます。幼稚園や保育園はいろいろな催しものをしてくれますけども、それがいつもあるわけではございません。運動会ぐらいだったりするわけで。そうなってくると、地域の力等があって、例えば土曜日だとか日曜日だとかに、地元で、お子さん連れで、お父さんやお母さんがいろいろなことを体験できる、そういう場面というのは、私はたくさんあっていいのではないかと。実際、実はうちの町でも、今はコロナ禍でございますので、なかなか活動が思うようにできていませんが、読み聞かせのサークルであったり、スポーツのサークルであったり、あるいは子育ての支援のサークルが、小さなお子さん連れでも聞ける音楽会を開催していたりだとか、いろいろな活動やっています。
こういった地域の力というのは、非常に私は大事じゃないかと思っております。幼稚園だけに任せる、保育園だけに任せる、学校だけに任せるのではなくて、親は親として、なかなか核家族の中で、親学といいましょうか、親として成長するという場面も、それこそ会社と家庭を行ったり来たりで、なかなか子供に触れ合う時間もないという中で身につけていく機会というのが非常に少なくなっている。これを何とか地域の力を使って、親も親として成長していく。私は子育てしている喜びを親が感じられないような社会というのは、どこかで詰んでしまうのではないかと感じております。子育てに生きがいを感じられるような、例えばどんなに経済的に大変であっても、子育てに生きがいを感じられるような場面を地域でもってサポートできないかと。その地域の地域力というのでしょうか、そこをもう少し、こういった論点というか今後の方向性に書き加えていっていただけないかと思っています。
特別委員会の役割としては、社会的に5歳児に学んでほしいことはこうですということを訴えていく、そういう力もある特別委員会だと思っておりますので、単に文科省、あるいは厚労省であるとか、そういう省庁の垣根をも超えて、これからの若い世代の働き方の問題にまでちゃんと踏み込んで、しっかりと子育てをして子供と一緒にいる時間が確保できて、また、子供と一緒にいるお父さん、お母さんの仲間づくりもできながら、自分たちも親として成長できるような、そういう社会をつくるためには、現在の経済情勢であるとか就労をめぐる課題であるとか、こういったものにもしっかりと提言ができるものであってほしいと考えております。これは社会全体で子供を育てていくということが、親にとっての喜びになるような、そういう社会づくりをしていかなきゃならない、こういう視点をぜひ、今後の提言等にしっかりと盛り込んでいっていただきたいということを思っております。
現実、具体的に言いますと、例えばうちの町でも……。
【橋田幼児教育企画官】 そろそろまとめていただければと思います。
【吉田委員】 すいません。幼稚園などでボール投げの指導をする方がいますが、まさに幼稚園の先生だけではできないお子さんの体力作りをしっかりサポートしていただいていて、これは完全にボランティアでやっていらっしゃいます。そういうボランティアを自ら買って出て頑張っている地域の方々に、もう少し光を当てて、そういう方々がさらに活動しやすいような体制をみんなで考えていくということも大事ではないかと思っております。
いろいろと言いたいことを言わせていただきましたけど、私からはぜひ地域力を高める、そして、親が親として子育てに生きがいを持てる、そういう社会づくりということを、ぜひ盛り込んでいっていただきたいと思っております。以上でございます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。次はいかがでしょう。
【橋田幼児教育企画官】 岡林委員、お願いします。
【岡林委員】 こんにちは。高知県教育委員会の岡林です。よろしくお願いします。
非常に分かりやすい取りまとめをありがとうございました。私の方から主に3ページと7ページに関して、また、直面している課題からお話しさせていただきます。
前回、少し説明もさせていただきましたように、県では保幼小連携接続について、プロジェクトチームを立ち上げて取り組んでいるところですが、その中で、国が示してくださっていますステップの2から3、3から4と、より取組を進めてくださっている地域などを見ますと、市町村教育委員会が中心になって体制づくりをして、現場の先生方をリードしてくださっているという点が大きいと思います。ゼロから15歳、もしくは18歳を見通した一貫した教育を掲げて、子供の育ちがつながっているということを理解し、子供の力をさらに引き出そうとしてくださっています。
しかし、残念ながら、現状と課題にもありましたように、各市町村でも改定された保育所保育指針に示された、「保育所が幼児教育の一翼を担う施設であって、幼稚園や認定こども園とのさらなる整合性が図られている」ということが、まだ十分理解されていないといったことや教育に関わる側面のねらい及び内容や、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の理解もまだ十分ではないところが見受けられ、地域によって差がますます広がっているという現状を感じているところです。
ですから、現場の保育者や教職員の先生方に対しても、接続の重要性や10の姿を手掛かりにして、互いの教育を理解し合う交流会や合同研修会などの機会が今後も大切ではないかと思います。幼保支援課が7月から8月に接続に関する調査を全保育所・幼稚園・認定こども園と小学校、教育委員会などにご協力いただき実施したところ、まだ暫定ではありますが「連携・接続の取組を進めるに当たって困っていること」の所見を見てみますと、各市町村教育委員会などは、教職員同士の合同研修会などの研修会の体制づくりや、日程や場の設定に非常に困り感をもっていらっしゃるということが窺えました。また、要因としましては、先ほど久保山先生もおっしゃっていましたように、幼保と小の働き方などの違いによるものが大きいと思います。けれども、現場の中には前向きに接続について取り組もうと考えてくださっている先生方も非常に多くなっており、そういった意味でも、「地域によって差があるので、大切なところは学ぶ機会などを必ず確保できるように統一していってもらえたら」という願いをお持ちの方も見受けられました。地域によって格差があるという点を克服していくためにも、幼児教育や保幼小接続の重要性を具体的に分かりやすく言葉で伝えていくことが重要であります。先ほど神長先生や鈴木先生もおっしゃっておられましたけれども、そういった具体的に何をつないでいくのかというところをしっかり説明をしていくことが必要だと思いますので、今後は、都道府県が中心になりながら各市町村教育委員会などでも指導主事等がしっかり学ぶ機会を確保して、幼児教育の重要性を周知していく、そして、現場の先生方を支える役割を担っていただけるよう国全体として打ち出していければいいのではないかと考えているところです。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次の委員、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 中井澤委員、お願いします。
【中井澤委員】 一般社団法人、ひとと代表理事の中井澤と申します。
まず、無藤先生、事務局の皆様、論点整理をまとめていただいてありがとうございました。私のほうから2点、コメントさせていただきます。
1点目が、遊びのICT化という面で、先ほど堀田委員からも指摘があったかと思いますが、新型コロナウイルスの影響で、遊びとか、その前にある生活の概念そのものが変容しつつあるというところに配慮をすべきだと思っております。例えば、今でも幼児の間でRSウイルスがたくさん流行して保護者のほうに負担がいったりとか、保育園の方々に負担がかかったりとかという中で、そもそも変化の中にいるということを認識した上で、カリキュラムだったりとかプログラム自体も柔軟であるべきだというところの姿勢は持っておいていいのかなと感じました。
2点目については、論点整理の中で度々指摘されている認識の共有というところに関してなんですけれども、例えば小学校教育の前倒しですとか、スタートプランで一斉にやりましょうみたいに受け取られてしまう背景に何があるのかというところは、少し敏感になってもいいのかと感じております。そのように受け取られてしまうということは、何かしら、例えば、その人なりのロジックですとか背景や文脈がある中で、ただ単に伝えるだけではなくて、一旦立ち止まって、その人たちの目線に立って、そもそもなぜこれが早期教育と受け取られてしまうのかとか、教師目線で立つとどういう文脈の場合に接続とか架け橋といったものが実現されたと感じられるのかというところに、もう少し認識をすり合わせていくという作業が、私たちの委員会の中でも、これは非常に重要な論点であるかと思います。
溝上先生がおっしゃっていた評価のところにもつながる話だと思いますが、例えば評価という言葉を言うことによって、私たちはどのような認識を持っていて、現場の今まさに幼児教育、保育に携わられている方々はどのような認識を持つのかというところを、一旦目線を移すではないですけれども、そういうところを横断していきながら、いわゆる押しつけとか共有という姿勢ではなくて、違いを生かしながら統合していくような方向性というのも模索していけるのではないかと私は今回感じました。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、次の委員、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 田村委員、お願いします。
【田村委員】 皆さん、こんにちは。國學院大學の田村です。今日は遅れての参加で申し訳ありませんでした。
まずは、論点整理、たたき台の整理をありがとうございました。前半のところの現状と課題の中に、「ゼロから18歳」という言葉が出てきますけれども、まさに幼児期から小学校にかけての時期が、「ゼロから18歳」、あるいは、人生を豊かなものにしていく重要な時期であるということの確認を丁寧にしていただいていることをありがたく思います。これからもその辺のところを意識して進めていくことが大事ではないかと感じました。その上で、主要なポイントとなる目指す方向性について2つ、考えることを申し上げたいと思います。
目指す方向性の中の(2)と(3)のところに出てくる「架け橋プログラム」というプログラムの言葉と、その次に出てくる「ウェルビーイングを高めるカリキュラム」のプログラムとカリキュラムをどのように理解し、整理をしていくかということが今後のポイントになってくるかと思いました。カリキュラムが教育課程と考えれば、学校や園の指導計画の総体と言えるでしょう。プログラムというのは、どちらかというと手順的なもののイメージがありますので、カリキュラムを編成するための手順、あるいは運用するための手順が考えられ、編成の手順としては、例えば編成の視点やポイント、あるいは作成の手順、参考例みたいなものが出るかもしれない。運用の手順としては、例えば組織をどうするか、体制をどう組むか、システムはどうあるべきか、あるいは研修をどうするかといったものが入り込んでくるかもしれないということを考えましたどちらにせよ、架け橋プログラムのプログラムなるものの内実を明確にしていくことが今後、求められるかと思いました。
架け橋プログラムがあれば、園や小学校等において豊かなカリキュラムが創造できるとするならば、その創造に向けて、具体の園や学校が何をするのか、自治体は何をするのか、家庭がどうあるべきか、地域はどのようにしていくかといった実施主体ごとのアクションがそこに付随してくれば、それらも含めて架け橋プログラムといったものが構成できるのではないかと考えたところです。
2つ目は、(4)のところに出てくる幼児教育推進体制等の質の保障、専門性向上の中ですが、小学校と幼児教育の関係者との合同研修の話がありました。こういった中で、小学校の管理職の意識の変容が重要になってくるのではないか、トップリーダーの校長先生が、どちらかというと、中学校を見るよりも幼域の教育もという意識の面も大事ではないかと思いましたので、1つ付け加えさせていただきました。
最後に、おまとめいただいたたたき台はもちろんですが、もう一つの資料1-2に出てくる主要な意見の整理に重要なことがたくさん上手にまとめてありますので、意見の整理の資料も日の目を浴びると言いましょうか、同時に資料として提供していくようなことができると、より厚みのある確かなものになっていくのではないかと感じました。
御準備いただいた皆さんに御礼を申し上げるとともに、意見を申し上げさせていただきました。以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。次の委員、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 秋田委員、お願いします。
【秋田委員長代理】 ありがとうございます。学習院大学の秋田です。
今、御意見が多々ありましたように、論点整備をうまくまとめていただいてありがたいと思っております。その上で3点、お話をさせていただきたいと思います。
1点目は、7ページにございます、幼児教育推進体制等の全国展開ということでございます。実際に現在、配っていただいた参考資料を見ますと、都道府県の一定以上の規模で幼児教育センターを設定できているというところがございますが、まだ日本全県ではございません。また、市区町村では少ないということもデータから示されています。これを来年度の概算でも、国2分の1、自治体2分の1で実施していくとしたときに、ロードマップというものが具体的にどのようにあるのかということが示されることが必要ではないかと考えております。というのは、幼児教育の推進体制を、例えばセンターを立ち上げるという場合に、それは準備にも結構な時間もかかります。また、幼児教育アドバイザーの配置に関しても、24都道府県とあり、まだ全体に行っていないということが書かれております。実際には、幼児教育のアドバイザー、それから、そこにセンター付きの専門の指導主事などの人の配置というのは、その自治体の予算とも直接関係してきますので、それなりの展望を持って進めていくということが必要になってきます。その意味では、これからそうした具体的に、いつ頃までにどういうレベルで、各都道府県に幼児教育センターが全国にあるということが国としてのビジョンなのか、政令指定都市や置かれているところもありますが、どのような姿というのを思い描いていくのかということが重要なのではないかと思います。
また、実際には、幼児教育アドバイザーという方が大体、公立の幼稚園等を1回退職した方が非常勤でやっているという状況が多いというのも現実であります。このような形の中で、持続可能な今後の幼児教育推進体制というものをどう考えていくのかというところについての展望や議論ということも、幼児教育を展望していくときに大事ではないかと思います。
実際には、まだまだ福祉部局と教育部局はそれぞれ別々ということがあったり、それから研修情報も、合同研修等も進んではきていますけれども、合同研修がその自治体の何のために、どういう研修で、どういう人材を育てていきたいのかというビジョンを1つにして組み立てられているわけではないということも現実であります。いろいろ研修のメニューはあるけれども、人員不足で忙しくて参加できるどころではないという現場の先生方の声もある中で、今後、どのような形で推進を行っていくのか、研修の体系を構築していくのかというところも、考えていくべき重要な点ではないかと思います。ここにも広島県の平川教育長がおられますが、私は、無藤先生もですが、広島県の幼児教育センターに関わらせていただいています。非常に早期から、5つの力という育てたい姿のビジョンを持って、計画を立て、一次が終わり、さらに練り直して考えていくという形で、よりよいものへと改定を進められています。そういう先進的な都道府県の県もある一方で、これから何かしなければならないというような県があり、非常に県監査とか自治体監査が大きくなっているということを肌で感じております。この辺りについて考えていくことも重要だろうと思っております。
また、一方で、地域の特色を生かしていく、先ほど黒木先生がICTを遠隔地と使っているというようなお話がありましたが、今後、推進体制の中で考えていくときに、そうした研修の方法や配置ということも重要だろうと思います。私どものほうで、今年の6月、7月に幼児教育センターを既に設置、あるいはこれから設置予定の自治体に問合せをし、質問を行ったところで、都道府県は全てオンライン研修を実施していますけれども、市区町村の自治体全体は3割程度であり回答数の7割であります。オンライン研修をやれていないところほどオンライン研修のデメリットを意識している、始めるとメリットも感じられるということもありまして、こうしたところも今後大事だろうと思います。
それから、2点目です。架け橋プログラムに関しまして、先ほど溝上委員や荒瀬委員からもありました、形成的なプログラム、新プロセスとして捉えるということに賛同するものです。5歳の終わりまでに育ってほしい10の姿がありますが、今後小学校の始まりにおいて引き継ぎ、生かしてもらいたい子供たちの姿は具体的にどうあったらいいのかということを一緒に検討していくということが重要になると思います。
特にスタートカリキュラムは過去に調べたことがありますが、2週間程度から1か月、2か月間とかなり自治体によってスタートカリキュラムそのものの設定のありようも違っております。この辺りを整理しながら、プロセスとして架け橋をどうかけていくのかというところについて、到達目標ではないとすると、それをどんな見通しを幼児教育に関わる人たちも見ることができるのかというところを考えていくということが重要ではないだろうかと感じるところです。もちろんスタートカリキュラムでも地方自治体の柔軟性が大事だと思っています。今、カリキュラムマネジメントということが言われていますけれども、まさにスタートカリキュラム、架け橋のプログラムからスタートカリキュラムというところは、まさにカリキュラムマネジメントのスタート地点が小学校ではそこにあるという、幼児教育ももちろんカリキュラムマネジメントはありますけれども、そういう発想も重要なのではないかと考えるところです。あと、架け橋のところでは田村先生が言われましたが、私も小学校長や管理職がどれだけ架け橋に理解を深めるかということの手だても今後、必要だろうと思っています。
最後に、3点目です。保育、幼児教育の質の評価を行っていくことがエビデンスベースなポリシーをつくっていくためには必要であろうと思っています。ただし、それは大竹先生が言ってくださったように、特に個別のデータをいっぱい集めていくのか、あるいは、私は園を評価ではなく、各自治体で子供がどういう経験が今、少ないのかということについて、全国や各地域の傾向を捉え、それを次に生かしていくための評価、決して園をランクづけたりするための評価ではないけれども、一定の全体傾向を捉えていく、そういう評価の検証の在り方を今後、考えていくことが幼児教育の質を考えていく上では不可欠ではないかと考えております。
早口ですけれども、以上、3点の点をお伝えしたいと思います。以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、次の方。
【橋田幼児教育企画官】 現時点で榎本委員、村田委員、渡邉英則委員からまだ御発言がございませんが、いかがでしょうか。
【渡邉(英)委員】 渡邉でいいですか。よろしいですか。
【無藤委員長】 はい。
【渡邉(英)委員】 私は今日の話を聞きながら、自分は今、港北幼稚園という幼稚園と、認定こども園ゆうゆうのもり幼保園というところの園長をやっている中で、私立幼稚園の置かれている立場というか、構造というのが気にはなっていました。中井澤委員が言われたみたいに、私立幼稚園のそもそもの成り立ちは、園舎もほぼ自己資金で建てたり、土地も法人として購入したりするとかという制度になっています。そうなると、園を持続させるために、どうしても他園との競争、子供の数をどれだけ増やすかというような競争によって質が保たれているみたいなところがあります。本来、保育の質というのは幼稚園教育要領とか、ここで議論されているように、本当に子供にとって何が大事とかというところの話ではなくて、目先のことで、保護者に見栄えがよいとか、保護者受けがいい保育は何かという競争から抜け出せないという構図を持っているような気がします。
ただ、それは私立幼稚園だけの問題かといったら、私学の独自性はとても大事ではあるのですが、その一方で、小学校でも何かを教え込むことが教育だというような流れですっと来たときに、教育の考え方そのものが、一人一人の子供を大事にするというより、みんな同じようにさせるという教育の勢いが強くて、前回、久保山先生が一斉的な園と遊びの園というところで、保育の質が高い園は多様性をきちんと大事にしているということもありましたが、このことをきちんと保護者とか社会に訴えていかないと思っています。小学校の先生と話していても、生活科とか総合の教科を一生懸命取り組んでいる先生たちは、授業が遊んでいるみたいできちんと教えてくれていないと保護者が言い出すという話を聞きます。質の高い保育・幼児教育を一生懸命やろうとすることの本当の価値や意図が、保護者に伝わっていないという現状があるとすると、横浜では、横浜市と一緒になって『保育☆教育宣言』を、座長の無藤先生も関わっていただいてつくりました。どんな子供を育てようとするのか、そこではどんなことが大事なのかというのを、少なくとも保護者レベルで分かっていただいて、その中で一人一人の子供がちゃんと輝いていくことか、それが親が親になっていくことにもつながるし、そういうことが本当は幼児教育の中でものすごく大事なことだというメッセージ性を出そうという動きができてきています。そうでないと、幼稚園教育要領が平成元年から改訂されて、ずっとそのことを実践してきて、本当にそれはいい内容で、すてきだと思っているのですが、現場レベルになると、遊びではなくて、教師が何かをさせたほうがいいとか、子ども達のしている形がそろっていたほうがいいとなってしまっている現状もあります小学校以上の教育でも、本当にきちんと幼児教育を受けた子供が、資質・能力みたいなのを伸ばしていく、そしてそのことがこれからの世の中を生きていく子供たちにとってもすごく大事だというようなことを、どのように社会に発信していくか。少なくとも子供を持つ親たちがどうやってそのことを理解してくれるかが問われているのだと思います。それがなければ、多分障害のある子供とか、それから外国籍の子供とか、貧困の子供などを、みんな受け入れるだけの親になってくれないことになってしまいます。社会というのを誰がつくっていくかといったら、一人一人の親がそういう意識を高めていかなかったら子どもを大事にする地域や社会はできていきません。そういうところをきちんと伝える1つのきっかけとしては、幼児教育施設はすごく意味があるということが、改めてこの中で議論されてきたのではないかと思っています。このことをどうやって実現していくか、このことをきちんと進めていかないと、結局、子供が減ってきたときに、過激な競争が起こったり、お金がないからといって人材育成もままならない。理想はあっても、実際の現場では保育者も集まらない、子供も集まらないとかというような悲惨な状況になっていく感じもあります。公的な施設であるなら公的な施設であるということがきちんと制度的にも確立されていく必要があります。本当に困っているとか、一人一人の子供たちが持っている問題や課題を、きちんと受け止め向き合えるような保育の体制をつくっていかないと、保育の質は実際にはなかなか上がってこないのではないかと、今日の皆さんの議論を聞きながら改めて感じました。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。村田委員はいかがですか。ありますか。よろしいですか。
【村田委員】 論点整理ありがとうございました。最後のほうになって申し訳ありません。
もともと小中学校の教員ですので、現場感覚の感想で終わってしまうかもしれませんが、申し訳ありません。今、渡邉委員さんが言われたことと本当に同感ですけれども、私たちが教員になった当時に、「子供たちは誰もが『できるようになりたい』、『分かるようになりたい』と思っているから」と指導を受けてきました。ところが現場に行ってみると、本当にそう思っていない子が目の前にいます。どうしてだろうと考えたときに、何かできるようになった、分かるようになった瞬間に、その喜びを共有してもらった経験がないのではないかということを最近考えるようになっています。
例えば幼児を連れたお母さんがこちらに相談に来られます。子供は1人で遊ばされていますので、積み木を積もうとしてもなかなか積めません。でも、積めた瞬間にお母さんの顔を見ます。その瞬間にお母さんはスマホを見ていて、子供がこっちに目線を向けたことすら気がつきません。こういう経験が10年続いたとしたら、その子供は学校で「分かるようになりたい」と思うのかなと。逆にすごくよく頑張る子なのに、常に私は駄目だと言い続ける思春期の子供がいます。そういった子たちはどんなふうに育ってきたのかと考えると、恐らく積み木が詰めた瞬間にお母さんが掛けた一言が「もっと高く積みなさい、もっときれいに積みなさい」という言葉だったのではないかと感じています。どちらも「できた喜び」を共有できないまま育ってきた子供たちです。
であれば、先ほど委員さんが言われた関わり方という部分で、お母さん方に「幼児期に大切にしたい関わり方」をきちんと教える場を確保していきたいです。お母さんたちも、知らないからこそできないと思います。中学校の校長をしていたときに、実は中学校3年生の男の子で、自転車に乗ったことがない子がいました。驚いたことに、それが1人や2人ではありませんでした。生活困窮という理由で、自転車を買ってもらったことがないということです。生活困窮家庭の子供は生活体験そのものも貧困になりがちであると言われますが、こういう体験を全て保育所とか幼稚園で補完していくということには限界があるので、先ほど言われたように、地域全体で子供が生まれたということは本当にうれしいことであり、みんなでこの子を育てていこうという雰囲気の中で、親が学べる環境であるとか社会的な何か大きなうねりがつくれたらということをすごく強く今、感じています。それには文科省だけではなくて、いろいろな省庁を超えて、社会的に子供が宝であるのであれば、その宝をどうやって育てていくのかというところの啓発であるとか、仕組みづくりに何とかつないでいただけたらと思っています。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。最後になりますが、榎本委員、いかがでしょうか。
【榎本委員】 いろいろなお話をありがとうございます。私は基礎の科学者ですので、脳の発達メカニズムや基礎神経科学の立場からお話しさせていただくと、脳の発達メカニズムという視点で考えると、生後から10歳までの発達と、その後の10歳から20歳の発達、という2つのフェーズで起きている事は全く違います。10歳までのフェーズでは、神経回路全体が、外からの影響を受けやすくて大きな再編が起こりますが、その後の10歳から20歳までの発達では、全体の構造は安定して大きく変化しませんが、引き続き局所の再編が行われます。したがって、それぞれのフェーズの異常で生じる病気も全く異なります。
皆様に議論して頂いている幼小接続というのは、まさに前期のフェーズ、生後から10歳というところの一番ど真ん中に当たりますので、脳発達においても非常に重要な時期に当たります。本日、現場のお話を伺って、私が提案したいことは文科省のレベルのお話かとは思いますが、前回、お話ししたように、脳の発達を促すためには多様な選択肢を与えてあげることが重要です。子供の脳発達は一人一人全く違うので、これをやれば良いという正解がありません。ですので、こちらは多様な選択肢を子供に与えてあげて、そこから子供が自主的に選べる環境を作ってあげることが重要になります。このとき、その取り組みを個々の人間や担当部局に任せてしまう、さらには現場の経験・体験という貴重な情報がローカルな情報で閉じてしまうことは、とても非効率的になり、どうしても限られたアイデアしか出ないし、個々人にかかる負担も大きくなります。そこでシェアという概念が大事になってきます。
1つは、大竹先生にお話し頂いたような、それぞれの子供たちの成長パラメーターを記録していくという、客観的な、いわゆるエビデンスを取っていくというデータプラットフォームを作るとりくみが非常に大事です。もう一つは、今日現場のみなさまからお話しいただいたような、異なる環境に応じて個別に取り組んでいる貴重な経験に基づいて、何をしてあげるとどういう子がどのようになったという、ある程度主観が入った情報もシェアできるプラットフォームも非常に有用では無いかと考えます。実際に、今どのようなプラットフォームがあるのか、私自身は不勉強で、詳しい取り組みを理解せずにお話ししているのですが、政府や文科省のレベルでプラットフォームを整備して頂けると良いのかなと。もっと言えば、バラバラの情報が集めるだけでは、どうしてもビッグデータ化して使い勝手が悪くなるので、そのデータを整理できる、マイニングなどデータサイエンスができるような人材をどんどん使ってデータベース化していくと、現場でもかなり使いやすくなり、いろいろなアイデアが効率的に出やすくなるのでは無いかと思います。
日本は、実は世界で最も光ファイバーなどの高速ネットワークが整備されている国であり、情報の高速通信が可能です。一方で、この素晴らしいリソースをうまく使えていないという現状もあり、この辺りのリソースを有効活用することが必要です。一方で、この素晴らしいリソースを上手く使えていないという現状もあり、て、この辺りのリソースを有効活用することが必要です。私は、個々の患者さんの臨床データをシェアしたり、青年期の子供さんたちのコホート研究をデータベース化するプロジェクトにも関わっていますが、今日お話に出ていたような発達期の子供さんのデータをどうやって効率的に集めて、どうやってマイニングしていくかというヒントや、それをシェアしていくためのネットワーク構造のヒントがあると思いますので、その辺のところを、文科省を中心として整備していただくと素晴らしいと思います。以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。
今日は各委員の御発言を頂戴して、一通り発言していただきまして、5分過ぎてしまいましたけれども、ここまでにさせていただきたいと思います。
そして、最後でありますけれども、お手元の論点整理のたたき台案の最後に4番で、今後の進め方のイメージ案というものがございますけれども、そこに幼保小の架け橋プログラムの共通事項等の整理及び幼児教育の質の保証の仕組みについては、専門的かつ詳細な検討が必要となる。そこで、別途チームを編成し、集中的に検討していただく必要があると考えております。ということですので、言わばワーキンググループにつきましては、特別委員会と並行する形で進めさせていただければと思います。また、その人選につきましては、委員長である私に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、メンバーを決定いたしましたら、追って皆様方に御連絡を差し上げたいと思います。
また、毎回申し上げてございますけれども、本日御議論いただいた論点整理のたたき台案につきましても、今後とも委員の皆様方の御意見を伺いながらブラッシュアップしていくということで、まだまだたたき台のたたき台みたいなものですので、よろしくお願いいたします。
最後に、次回の日程につきまして、事務局からお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】 次回の特別委員会につきましては、資料2のとおり、10月7日、木曜日、10時から12時の開催の予定としております。詳細につきましては、追って事務局から御連絡させていただきます。
【無藤委員長】 ありがとうございます。
それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会といたします。皆様方、ありがとうございました。

―― 了 ――


 

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