幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会(第7回)議事録

1.日時

令和4年3月23日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議形式で開催

3.議題

  1. 審議経過報告(案)について(審議)
  2. その他

4.議事録

【無藤委員長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第7回中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 本日の会議の開催方式及び資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】  本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、Webexを用いたウェブ会議方式にて開催させていただきます。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外を含め、会議中はオンにしていただくようお願いいたします。
 なお、本日は報道関係者と一般の方向けに、本会議の模様を配信しております。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1、2、別添1、2、資料3及び参考資料1、2となっております。御不明な点等ございましたらお申し付けください。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 それでは、議題1、審議経過報告(案)の審議に入りたいと思います。前回、審議経過の骨子(案)について御議論いただいたわけでありますけれども、その際に頂いた御意見を踏まえて、本日の会議では審議経過報告(案)を議論したいと思います。
 本日いただいた意見を踏まえて、一旦、審議経過報告として取りまとめをさせていただきたいと考えてございます。さらに今後、質の保障の仕組みを中心として、検討チームで検討した上で、本特別委員会において最終的な報告に向けた議論をお願いしたいと考えてございます。
 それでは、事務局より、資料を基に審議経過報告(案)について御説明をお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】  それではまず、参考資料2から説明させていただきます。去る3月14日の初等中等教育分科会では、特別委員会の審議経過の骨子(案)を報告し、その際の委員からの主な御発言と事務局回答をまとめております。この中では、保護者の理解、未就園児への対応、幼児教育アドバイザー、特別な配慮が必要な子供への対応、健診の充実、小学校の生徒指導の課題も視野に入れた検討などに関する御意見がございました。このうち、未就園児や福祉との連携に関する内容などについては、今後のこども家庭庁に関する法案の審議状況も踏まえ、本委員会で議論を深めていただきたいと考えております。
 続いて、スライド投影はいたしませんけれども、資料1は、審議経過報告(案)のポイントの部分について、主な概要として端的に1枚にまとめております。御参照いただければと思います。
 それでは、資料2を御覧ください。前回会議で議論いただいた審議経過の骨子(案)からの主な変更部分を中心に説明させていただきます。
 1ページ目の下から一つ目の丸の部分でございますけれども、「子供に関わる多くの関係者が立場を越えて連携し、全ての子供の学びや生活の質を確保・向上するためには何をすべきか、その本気度を問う内容にもなっている」旨追記させていただいております。
 続いて、6ページの下から二つ目の丸を御覧ください。障害のある子供たちも、園・小学校の大切な一員であり、集団の中で生活することを通して全体的な発達を促していくことに配慮すること、また、7ページの上から二つ目の丸では、障害の有無や国籍等にかかわらず、共に学び生活することが、多様性の中での共生社会の担い手、持続可能な社会の創り手の育成にもつながる旨追記しております。
 続いて、7ページ目の下から4行目からでございますけれども、ESDの視点に立った学習指導で重視する能力・態度の例を追記しております。
 続いて、8ページ目の3ポツの課題の(1)の柱書でございます。もともと「幼児教育の質に関する認識の共有」としておりましたが、「社会や小学校等との認識の共有」という形で追記しております。
 また、下から三つ目の丸の部分では、幼児期の特性は、普遍的に重視すべき視点であり、社会の変化に伴い、重要になってきていること、小学校以降の教育現場に大きな示唆を与えるものであること、さらに、下から二つ目の丸では、ICTの活用、新型コロナを契機としたライフスタイル等の変容の影響などに伴い、小学校以降も改革の時を迎えている。この実情を踏まえ、幼児教育はどうあるべきかを考えなければならない旨を追記しております。
 10ページ目の下から4行目では、小学校における生徒指導上の諸課題への対応も視野に入れた検討が必要である旨追記しております。
 続いて、下から一つ目の丸でございますけれども、「持続可能な社会の創り手の育成を目指す必要があり、持続可能なまちづくりにとっても重要である」旨追記しております。
 続いて、13ページ目の下から二つ目の丸でございます。小学校関係者はもとより、家庭をはじめ幅広い関係者と認識が共有できるよう、自治体がリーダーシップを発揮して、あらゆる機会を活用・創出する旨修正しております。
 続いて、14ページ目の上から三つ目の丸でございます。「言葉の響きやリズムの面白さ、体を使った表現との組合せなどを生かした工夫をしつつ、日本語の伝統にある名文等の豊かな文章や表現の響きに親しむようにすることは、楽しい言葉や美しい言葉との出会いを通じて言葉の感覚を身につけることにつながっていく」旨追記しております。
 また、上から四つ目の丸では、直接・具体的な体験を生かした「道具」としてのICTの活用により、子供たちの体験を豊かにする方策なども検討する旨修正しております。
 続いて、16ページからは、重複していた部分を整理・統合し、構成を見直すなどしております。
 17ページの上から四つ目の丸では、「園・小学校や家庭・地域向けにも分かりやすいパンフレットや動画の配信等の多様な発信に取り組む」と追記しております。
 下から7行目からは、施設類型や設置形態、小学校への入学状況が多様であること、地域特性があることも考慮して開発に取り組む旨追記しております。
 続いて、18ページの下から2行目からでございます。3要領・指針では、「幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培う」旨が盛り込まれていることを踏まえ、互いの専門用語を学び合うことも必要な旨追記しております。
 続いて、19ページの上から二つ目の丸でございます。こちらでは、家庭との連携や保護者の関わりを追記しております。上から三つ目の丸では、架け橋期に子供の学びや生活の全てが決まってしまうという誤解が生じないよう十分配慮する必要があること、さらに、下から二つ目の部分では、更なる課題といたしまして、初等中等教育全体の中で架け橋期をどう位置付けていくのか、更に議論が必要である旨追記しております。
 続いて20ページの上からでございますけれども、先生や保護者のウェルビーイングも目指す必要がある旨追記しております。
 続いて、下から4行目の部分でございますけれども、「都道府県・市町村の首長や教育長等には、乳幼児期の教育がその後の教育の基盤であることの認識を共有いただけるよう、理解・協力を求める。特に都道府県における広域的な体制整備や支援、市町村との連携等も重要である」旨追記しております。
 続いて、21ページの上から二つ目の丸でございます。「全国的な取組への影響も把握するとともに、自治体の好事例を効果的に学び合い、広く共有する手立てを模索する」旨追記しております。
 22ページの下から4行目からは、保護者は、幼児教育施設・小学校と一緒になって両輪で子供を育てていく存在であることを自覚しつつ、取組を進める旨追記しております。
 続いて、23ページの上から一つ目の丸でございます。特別支援学校に進学する子供もいることも踏まえる必要がある。乳幼児健診をはじめ、保健、医療、福祉等と連携を図りながら、就学時健診や行動観察において早期発見・早期支援に努める旨追記しております。
 最後から二つ目の丸では、情報検索サイト「かすたねっと」の有効活用を促す、国際理解の意識の芽生えが養われるよう留意する旨追記しております。
 その他、スライド投影は致しませんけれども、別添1の手引き(初版)については、審議経過報告の内容に合わせて加筆修正するなどしております。また、参考資料の初版については、生活科以外の各教科の事例、障害のある幼児への切れ目ない支援、ICT機器を活用した豊かな体系に関する事例を盛り込むなどしております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【無藤委員長】  ありがとうございました。それでは、残りの時間は質疑応答、意見交換ということであります。ただいま頂いた事務局の説明を踏まえまして、審議経過報告(案)について御議論をお願いいたします。
 いつものとおりですけれども、できる限り多くの皆様から御意見を頂くために、お一人3分以内ということで御発言をよろしくお願いいたします。また、手順もいつもどおりですが、御発言を希望される方は、この後、「手を挙げる」ボタンを押していただきますようにお願いいたします。その後に、押していただいた方のお名前を事務局の方で控えさせていただきまして、事務局より名簿の順番を基本として指名させていただきます。そして、指名された方はミュートを解除いただいて、御発言をお願いします。発言が終わりましたら、「手を下げる」ボタンを押して、挙手を取り下げてください。
 なお、希望いただいた方全員からの御発言が終わり次第、改めて発言の希望をお伺いさせていただきますので、追加がもしあればその際に手を挙げていただきますようにお願いしますけれども、その辺り、終了時間のあんばいを見ながら適宜また改めてお願いいたします。
 承るところ、早めに退出される方も委員の中におられるということでありますけれども、先に御発言いただくのでもいいんですが。田村委員がおっしゃっていたということは。
【田村委員】  田村です。今日は、すみません、半分ぐらいで退出と思っておりますが、途中で挙手させていただきますので、またよろしくお願いします。
【無藤委員長】  いいですか、もう少し後で。では、どなたからでも結構ですので、お願いしたいと思います。
【橋田幼児教育企画官】  今、齋藤委員と吉田委員が手を挙げられています。
【無藤委員長】  それでは、齋藤委員、まずお願いします。
【齋藤委員】  齋藤です。2点なんですけれども、幼児期にデジタル教材とかあるいはiPadとかユーチューブを見続けるとかそういう問題、そのことについての問題性というのが指摘されていると思うんです。『スマホ脳』という本も出ております。その辺り、幼児期あるいは小学校低学年において、今、流れがICT活用となっているわけなんですけれども、そこに幼児の学習が行ってしまうことの問題性については今明らかになってはいないと思うんです。ですから、そのことについて、デジタル教材等については、時間、内容等一定の配慮が必要といったような何かしら文言があってもいいのではないかというのが1点目です。
 もう1点は、絵本の読み聞かせということについて私は非常によいと思っているんですけれども、この報告案の中にそれが入っていたのかというのがちょっと質問にもなるんですけれども、絵本の読み聞かせを軸に幼児教育をしていこうというような本を私も出しておるものですから、そういう文言が入っていなければ、どこかに入れていただけないものかなという、そういう2点です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。絵本の読み聞かせはもちろん幼児教育に関わる人間として極めて重要なものだと恐らくみんな認識しておりますけれども、改めて踏み込んで書いたかというと書いてない可能性がありますので、当然ながら大事にするということは明記したいと思います。
 ICT利用の方もよいとも悪いと明記していないと思うのですけれども、ICTについては、今、幼児教育・保育の現場としては、保育者側の業務の利用の中で広がっているというふうに思われるんですが、子供側がどうそれを活用し得るかは、いろいろな実践が始まったりもしているようですけれども、必ずしも一致した見解がおっしゃるように成立しているわけではないので、その辺は少し、この架け橋特別委員会として積極的に推奨する意思はないんですけれども、ちょっと書き方を、おっしゃる、慎重さを含めて考えて何か入れたいと考えております。ありがとうございました。
 もうお一人は吉田委員ですね。お願いします。
【吉田委員】  本庄市長、全国社会文教委員会の委員長の吉田でございます。
 ちょっと気になったというか、どういう背景があってこういう形になったのかということも含めてちょっとお聞かせいただきたいなと。7ページなんですけれども、持続可能な社会の創り手の育成でございます。ESDの考えがここに示されているところでございまして、二つ目の丸、持続可能な社会を創るために必要な視点ということで、多様性、相互性、有限性、公平性、連携性、責任性と出てくるわけです。ESDの視点に立った学習指導で重視する能力・態度の例として、まず最初にクリティカルシンキングというんでしょうか、批判的思考というのが出てきて、それから、未来像を予測して計画を立てる力、多面的・総合的に考える力、コミュニケーションを行う力、他者と協力する力。全て大事だと思っているんですけれども、この順序というんでしょうかね。
 これ、日本では、批判的に考える力というのは、クリティカルシンキングというのは大事だよ、物事をちゃんと筋道立てて考える思考を養いましょうねという意味で使っていらっしゃるんだと思うんですけれども、どうしても誤解を生んでしまう、批判的という言葉はまだまだ誤解を生んでしまうような状況があるかなと思うわけでございます。実は批判的思考はすごく大事なんだと思うんですけれども、一方で論理的思考と批判的思考というようなこともあったりして、お子さん方に求められる姿として一番最初に批判的に考える力をここに持ってくるという、何かこれ意図があったのかなと思うんですけれども、この順序でいいのかどうかなとかその辺も含めて。
 これを出してきた背景なり理由があって出してきているのであればそれでいいんでしょうけれども、私はやっぱり幼児期ですから、一番最初に求められるのは実は共感力だとかそういったものがまずベースにあって、その上で論理的に考える力とか批判的に考える力が発達してくるのが大事なのではないかなと。他者への共感のようなものがまず土台としてベースにあって、愛される子供、子供をしっかり愛して、共感力みたいなものを作るところから生きる力みたいなものは出てくるんじゃないかなと思うので、この順番がちょっと気になったものですから、指摘させていただきます。
 以上でございます。
【無藤委員長】  ありがとうございます。御指摘は全くそのとおりだと思うんですけれども、ここは正直に申し上げると、改めてSDGsやESDの問題は幼児期あるいは特に架け橋期に即して考えたわけではないのですね。そこに引用されているとおり、国立教育政策研究所の報告をベースにして、言わば引用する形で挙げてありますが、おっしゃるように、それが幼児教育としてそのまんまでいいのかについてはもう一度ちょっと考えて、単なる、そう世の中で言っているよという話ではなく、幼児教育として責任のある形の書き方を多少踏み込みたいと思います。ありがとうございました。
 では、次に挙手されている方。いらっしゃらないですか。
【橋田幼児教育企画官】  藤迫委員が今、手を挙げられました。
【無藤委員長】  では、藤迫委員、お願いします。
【藤迫委員】  ありがとうございます。17ページの下から7行目のところ、今回加筆修正いただいたところなんですけれども、前回のときに私少し、自治体側の課題として述べさせていただいた、特に幼稚園なんか、私立幼稚園なんかは、本市の場合、3割ぐらいが他市の幼稚園に通っているという非常に現実的な悩みがあるところを発言させてもらったところの意をくんでもらってここに書いていただけていたので、ありがたいなと思っています。
 やっぱり箕面市の場合は、特に民間さんに担っていただいている部分がありますので、カリキュラムを作るときに、やはり民間さんのアイデア、それから、民間さん、私学さんならではのいろいろな特徴がありますので、どのように最大公約数で、特徴はそれぞれのところは生かしてくださいよ、でも、ここのコアな部分は共通の、本市の子供たち、小学校へつなぐというのは施設類型や私立や公立や違いなくやりましょうねというところを作り上げていくのにやっぱり民間さん、私立さんのアドバイザーみたいなものに協力してもらうということは非常に大事だなと思っているので、そこは我々もしっかりやっていきたいなということと、やっぱり最終的に小学校への入学状況が多様であるということから考えると、受皿となる小学校の方の意識改革、それから、取組、アプローチというのは、これが大事だと思っておりますので、正にこの委員会でいろいろなことを議論している、このことを一番聞いてほしいのは、私の市でいうと小学校に携わっている教職員、管理職を含めてしっかりここでの議論みたいなのを理解した上で取り組むことが必要だなというのを改めて感じました。
 少し意見というより感想という形になりますけれども、以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。全くおっしゃるとおりなので、それをここに文として記しましたけれども、明確に伝わるように更に加えたいと思います。ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
【橋田幼児教育企画官】  宮下委員と溝上委員が挙げられております。
【無藤委員長】  宮下委員、お願いします。
【宮下委員】  宮下です。よろしくお願いします。15ページの「幼児教育の終わりまでに育ってほしい姿」に関する理解・活用の推進というところですけれども、今回、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」というのが、キーワードとなっており、ここの部分が重要だと思っています。
 その意味から、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の定義、そして、その捉え方や生かし方がしっかりと整理して書かれていることがとても重要で、これを読めば、小学校の先生であっても誰であっても、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」というのはこういうことを表しているということが理解してもらえる文になっていることがとても大事だと思っています。この部分の文を更に推敲していくことが重要と私自身は感じております。
 それから、同じ「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」で13ページの下から二つの丸のところなんですけれども、その1行目に「各分野の知見の集大成である「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」」という表現があるんですけれども、私はこの表現に違和感を覚えております。
 それから、20ページの初めのところ、追記してくださった「子供だけではなく、先生や保護者のウェルビーイングも目指す必要がある」の部分ですが、これも大変重要なところだと思いますので、これが加わって私としてはすごくよくなったなと思っております。
 あと一つ、5ページの新型コロナウイルス感染症流行下の状況の丸ポツの一つ目です。確かに、家の生活の中では子供の外遊びが減ったり、おもちゃ遊びや動画の視聴等が多くなってきているということなのかもしれないですけれども、初めの文が「各園では」という言葉が入っていて、私の園のことを考えると、決して外遊びが減っているわけではなくて、逆にコロナウイルスは換気ということを考えると、外での経験の方がある意味では安全ということもあって逆に増えている感じもあるものですから、この辺ちょっと誤解される心配があるかなという感想も持っております。
 以上でございます。
【無藤委員長】  最後の点は、子供の遊びの変容は家庭における調査の話なので、誤解を招かないように明記したいと思います。
 それから、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、あちこちにかなり、要になるところなので書き込んでありますが、私なども要領・指針のことを頭に置いているので、皆さん分かっている感じについついなって書いておりますけれども、それを特に小学校関係者等は必ずしも御理解いただいていないかもしれないので、もう少し親切に丁寧に書きたいと思いました。ありがとうございます。
 もう一人どなたでしたっけ。
【橋田幼児教育企画官】  溝上委員です。
【無藤委員長】  溝上委員、すみません、お願いします。
【溝上委員】  桐蔭学園の溝上です。大変よくまとめられてきているという印象を受けます。非常に豊富な事例も示されていますし、実践の具体的な進め方が多岐にわたって書かれています。私としては早く実践を作っていきたいなという、そういう気持ちであります。
 1点だけ確認をさせていただきたいんですが、審議経過報告の13ページの「社会に開かれたカリキュラム」という鍵括弧付きの言葉でございます。皆さんよく聞かれてきた質問といいますか、多くの方のとして出される定番の疑問ですが、「カリキュラム」と「教育課程」との関係というのがありますよね。この審議経過報告の中ではあまり教育課程とか指導計画等という言葉が出てきません。もう一つの手引の方ではたくさん出てくるのですけれども、この関係を報告書の中で注で一言、入れておいた方がいいのではないかなと思います。
 私は、カリキュラム論の中でよく言われる4層の議論がありますよね。行政レベルから子供たちの経験レベルまで、その途中にいわゆる行政的な教育課程とか、あるいは授業の中でのいろいろな指導計画とかこういうのが4層の中でありますけれども、そういう意味では「カリキュラム」は非常に広く取られている用語で、その中で「教育課程」は狭く位置付けられていると私は理解して、そういう視点で読んでいくと通ってはいるのですけれども、必ずこの手の議論で質問を受けますので、どこかに注で書かれてあったらいいと思いました。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。「カリキュラム」という用語は意図的に一番広い意味で使っているのですね。というのは、例えば「教育課程」という言葉は学校教育に伴う用語なので、幼稚園と認定こども園と小学校にはございますが、保育園には教育課程というのはないと言うとちょっと変な言い方ですが、「教育課程」という用語はないんですね。統一的には全体的な計画という形で作ってあるんですけれど、いろいろ用語がそれこそ違うというところがあって、この際カリキュラムという言い方をしておりますけれども、おっしゃるように、多少詳しい方はいろいろな意味でかえって混乱するといけないので、注釈を何かで入れたいと思います。ありがとうございました。
 次に、挙手されている方は?
【橋田幼児教育企画官】  今、岡林委員が手を挙げられています。
【無藤委員長】  岡林委員、お願いします。
【岡林委員】  高知県教育委員会幼保支援課の岡林です。よろしくお願いします。今回の資料でも前回の意見を反映していただき、本気度が増してきたなと思って読ませていただきました。
 私の方から2点お伝えしたいと思います。1点目は8ページにあります課題の所ですけれども、下から三つ目の丸のところから、小学校以降の教育現場を意識した内容を記載していただいております。例えば、小学校以降に向けて情報発信をすることや、9ページの学校、家庭、地域に伝えていったように、発信していくことが非常に色濃く出てきたと思います。しかし、藤迫委員がおっしゃったように、受皿となる小学校以上の先生方の意識向上に向けて、受け手側はどうした意識をもって何をしていけばいいのかというところがもう一押し文言として入れていただきたいと思いました。幼児教育の方ばかりが情報発信しているような印象を受けたというところです。
 2点目ですが、13ページに目指す方向性とありますが、(1)の一つ目の丸の下から2行目に「学校、家庭、地域の関係者が3要領・指針や小学校学習指導要領を幅広く共有し活用していく」という言葉があります。これを読んだときに、要領・指針を家庭等が共有し活用するというのは、現実味がないのではないかという印象を受けました。要領・指針を開いてみんなで学ぶという意味ではないのかもしれませんが気になったところとして、2点お伝えさせていただきました。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。いずれもおっしゃるようなことを念頭に置いているので、もう少し文言を丁寧に書きたいと思います。そして、架け橋というのは、幼児教育側と小学校教育側が言うなればパートナーであって、パートナーというのは、対等な関係にあるだけではなくて、それぞれに協力するとともにそれぞれにやるべきことがあるんだよということですので、やはり当然ながら小学校としての1年生を中心とした改革とともに発信も小学校側としてもしていただくわけですので、そこが伝わる形をしっかり書きたいと思います。ありがとうございます。
 では、次の方。挙手されている方はいますか。
【橋田幼児教育企画官】  曽木委員が今手を挙げられました。
【無藤委員長】  曽木委員、お願いします。
【曽木委員】  陽だまりの丘保育園の曽木です。よろしくお願いいたします。
 資料2の審議経過報告(案)、目次も含めてすっきりとまとめてあり、本当にありがとうございます。その中でも、8ページの保育園で大事にしている地域の資源内容や、そのページの下にあります、「子供を主体とした学習環境のデザインが今まで以上に重視」からの大事なこの文章を書いていただいていたり、16ページの「施設類型・設置者・学校種を越えた対話、協働、発信」というところを追加していただいたり、あとは、17ページの「趣旨・内容を的確に周知・普及するところとか、地域特性を考慮して開発」などを入れていただいており、より具体的に分かりやすくなっていると思っております。
 ただ、この内容の中で、実際の保育の現場では、小学校との交流は、現在のコロナ禍の中で停滞若しくは後退しているという現状がございます。幼児教育者側がどんなに望んだとしても、今までやっていた小学校見学なども中止になり、連携の協議会なども中止や縮小のところが多いのが現状です。小学校側の方も自治体の方もコロナ禍の中、動きづらい現状があったと思います。
 会うのが一番ですが、こういったパンデミックの中でも、地方部の遠方の園・小学校との連携でも、また、保育園の数が多くなり小学校の数とのバランスが取れない中でも、オンラインなどのICT化を活用したり、また、それ以外でも様々な工夫をしたりしながら行っていくことが大事だと思っております。そこでは、できれば自治体のリーダーシップの下、行っていただくことがとてもありがたいと思っております。
 5ページから6ページにかけての「新型コロナウイルス感染症を契機として」やICT化のところの文章、あと14ページの「発達の段階に応じた特性を踏まえ」という文章に関連した一つの具体例ですが、職員研修や職員体験、そして、連携協議会等はもちろんのこと、交流として捉えた場合、例えばですが、子供同士で作る学校動画紹介や、子供たち同士での会話ができるオンライン交流などは、目的を持って関わるのであれば、子供たちにとってよりよい学びにつながるものではないかと思っております。
 ただ、これは小学校側のパートナーとしての協力がどうしても必要になってまいります。接続を進めていく中で、義務的に行うのではなく、どういう形でも、子供たちにとって、そして、教育者にとって有意義な時間となるような内容を考えていく、進めていくということがすごく大事ではないかと思っております。そこをもう少し具体的にこれから話し合っていけるような内容になることを切に願っております。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございました。ICT等を活用した交流、連携、もう少し書き込む工夫をしたいと思います。
 それでは、次の方は?
【橋田幼児教育企画官】  鈴木みゆき委員と中山委員が手を挙げられております。
【無藤委員長】  鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  よろしくお願いいたします。本当に丁寧にまとめていただき、ありがとうございました。家庭への発信、それから、子育ての支援、様々なところに記述があり、ちょっとほっとしております。
 また爆弾発言とか言われてしまいますけれども、13ページなんですけれども、先ほどの岡林委員の、学校、家庭、地域の関係者が3要領・指針や小学校学習指導要領を幅広く共有し活用していくというところに私もちょっとどきっとしたんですけれども、これはもしかすると架け橋期だけではないのかもしれないんですけれども、せっかく架け橋期が出来るので、いっときの保育要領的な、みんなで子供を育てていくという、そういう志向のあるものが出来るのかなということをちょっとだけ期待をしておりますということを伝えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。丁寧な資料を作っていただき、本当にありがとうございました。
【無藤委員長】  ありがとうございます。保育要領というのは戦後間もなく出来た、幼稚園教育要領のもとのもとみたいなものですが、そこでは幼稚園と保育園の要領・指針がまだ区別されていなかったのと、かなり家庭教育に関わる論述というんですかね、があったわけなんですね。それ自体をここで作るべきだとは書けないと思いますけれども、御指摘のように、ただ要領・指針を親も読めという話ではしょうがないので、もう少しそこは分かるようにしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、中山委員、お願いします。
【中山委員】  中山からお話しさせていただきます。
 まず資料2、審議経過報告、何人かの委員の方がおっしゃっていましたけれども、いろいろな委員の方の御意見が散りばめられていて、非常に御苦労もあったかと思いますけれども、修正、本当にありがたいと思っています。また、宮下委員でしたかね、おっしゃっていたことですけれども、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」のこととか、あとはさらに私などは、5領域、そして、資質・能力三つの柱との関係とかがちゃんと書かれており、個人的に大変勉強になりました。自分の園で職員に「こういうことなんだよ」と説明したいぐらいです。本当に4月からこれでいよいよ始まるのかなと思うと、本当に事務方の現場の皆さん大変だと思いますけれども、私などはわくわくしてしまうところです。
 そういう一方で、この架け橋特別委員会の話を仲間の先生方と話すんですけれども、意外に温度差がやはりあるというか、「今度また委員会があるんだよ」なんて言うと、「へー」と言って、それでもう会話が続かないんですね。私どもは本当にここに所属させていただいて皆さんのお話聞いているとどんどん心が熱くなっていくんですけれども、なかなかそうではない現状がまだある。これから始まるわけなので、始まればきっといい方向に行くとは思うんですけれども、最初の第1球を投げるところで何かインパクトのあるものが欲しいななんて思うんですね。
 ちょっと画面の共有とかはできないですかね。いいんですけれども。以前たしか秋田先生が、OECDの、今までこうだったけれどもこれからこうなるんだよという、ECEC、幼児教育・保育が小学校の低学年の辺りに位置付いている図を出していただいた記憶があるんですけれども、何かそういう1枚の絵になっていて、今まではこうだったけれども、架け橋期をこういうふうに考えていくんだよということで一つの絵にしていただけるとインパクトがあるのかななんて思っている次第です。
 そうすると、例えば資料8ページの課題(1)の二つ目の丸、いろいろなところに出てくるんですけれども、「幼児教育の質に関する認識が社会的に共有されているとは言い難く」というところで、「早期教育や小学校教育の前倒しと誤解されることがある」と。そういったところからも、先ほどの図がありますと、前倒しにはなっておりませんで、逆に言うと、位置的には幼児教育が小学校の低学年辺りに位置付いているので非常に分かりやすいかなと思うところです。
 あと、同じページで丸の3個目の段落二つ目、下から2行目で「小学校以降の教育現場に大きな示唆を与えるもの」というところで、幼児教育がいい形で小学低学年教育と融合するみたいなことも表現できているのかなと。
 それと、田村先生がよくおっしゃるんですが、小学校の先生をプレーヤーとして引き入れたいというところなどを思いますと、資料2の15ページの丸の二つ目、「子供に関わる大人が立場の違いを越えて自分事として連携・協働」と。本当に小学校の先生が「これ、幼児教育のことでしょう」と架け橋プログラムのことをおっしゃらないためにも、自分事として、前回のこの委員会が本気度がちょっとテーマだったようなふうに個人的には思っていますが、今回は自分事ということで一つ意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
【無藤委員長】  ありがとうございます。端的にここでやろうとしていることを広くアピールするために、多分、特に最初の方での何か書き方、工夫ですかね、必要だという私も感じてはいますので、更にワーキンググループで検討したいというふうに考えます。ありがとうございます。
 次に挙手されている方は?
【橋田幼児教育企画官】  久保山委員、神長委員、また、吉田委員が2回目で手を挙げられております。
【無藤委員長】  では、久保山委員、お願いします。
【久保山委員】  久保山でございます。お願いします。本当に全体的にバランスよく丁寧に書き込まれていて、本当に敬意を表したいところです。
 もう最終段階なので、ちょっと細かいところなんですけれども、恐縮ですが、6ページと19ページと23ページについて、この3か所について意見を述べさせてください。
 まず、6ページなんですけれども、これ、本当にうまく書いてくださってありがとうございます。下から二つ目の丸なんですが、これとても大事なことが書いてあって、集団の中で生活する、全体的な発達を促すことが基本だということと、一人一人のきめ細かな支援が大事だという両方を書いてくださっていると思うんですが、「全体的な発達を促していくことに配慮し」というと、少しぼやけてしまう印象がありますので、「全体的な発達を促していくことを基本としつつも」というふうにしていただいて、そして、一人一人の云々という、そういう書きぶりはどうだろうかと思います。
 その次の行に、「着実に計画を作成し」とあるんですが、この計画が何を指すのか曖昧な気がしますので、個別の指導計画あるいは個別の教育支援計画という言葉を含むのかなと思います。それを小学校に引き継いでいくというような中身を書いていただけるとありがたいなと思いました。
 なお、本当に細かいことで恐縮なんですが、そのページの注18が、通級のことではなくて、特別支援学級のことになってしまっていますので、通級による指導のデータを下に書いていただけると幸いです。お願いします。
 それから、19ページに参りますが、一番上の行です。「幼保小の先生が互いの専門用語を」とあるんですけれども、専門用語を学び合うのかな、どうなのかなというところで、例えばお互いの子供理解とか子供への関わり方、あるいは使っている言葉とか、あるいは言葉遣いといったような、もうちょっと具体を入れ込むと、専門用語を学び合うというのはちょっと具体が見えてこないかなと思ったところでした。
 それから、23ページなんですけれども、一番上の丸、「園・小学校における」で始まるところですけれども、下から3行目になります。「また、乳幼児健診を」というところですけれども、ここを読んでいくと、「日々の行動観察において発達障害等の早期発見」と書いてあるんですが、これを読んでしまうと、何か園の先生方が発達障害の発見をしなくてはならないように読めてしまう気がするのです。日々の行動観察とありますので。ここで言いたいのは多分、多部局の連携ということだと思いますので、もしかすると、「就学時健診や日々の行動観察において」という部分を削除してしまっても大丈夫なのかなという気がします。「保健、医療、福祉等の部局と連携を図りながら、発達障害等の早期発見・早期支援に努める」というふうにしてしまった方が、現場の先生方の負担とか誤解がないのかなと思いました。
 なお、細かいことですけれども、乳幼児健診を行っているのは母子保健、保健ですので、「乳幼児健診をはじめ、保健」というとかぶってしまいますから、乳幼児健診を実施している保健をはじめというような、何かちょっと表現に工夫が必要かなと思ったところでした。
 以上です。ありがとうございました。
【無藤委員長】  ありがとうございます。より正確な情報とともに、特別支援教育を進めている部署がちょっと別にあるわけですけれど、そちらでの報告と矛盾しない形の表現をちょっと工夫しながら、分かりやすくしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、神長委員、お願いします。
【神長委員】  神長です。ありがとうございます。全体はもう本当によく書き込んでいただきまして、非常に分かりやすく具体的になってきたなと思っています。
 1点です。けれども、21ページの下から二つ目の丸の「教員養成大学や専門学校の学生が」というところは、新たに入ってきた項目ですけれども、本当に実態がそうだなと思いながら読んでおりました。養成校の場合にはそれぞれの学校段階で教育課程であったり指導法であったり学んでいきますので、なかなか連携とか一貫性ということを学ぶ機会がないのですけれども、学生が実習に行ったりインターンシップに行って帰ってくると、そのことをきっかけにしながら学びが深まっていくという機会がよくあります。
 これはもうこれから先なんですけれども、やっぱり養成校自体が連携とか接続とか一貫性とかそういった学校段階の課題を積極的に取り入れていく、学んでいく、養成校の先生方が学ぶ機会ということも必要だなと思っています。これは自戒を込めてですけれども、これから先の問題としては、やはりこういったインターンシップの経験が生かせる、そういう学習の深まりということを考えていくことも大事かなと思っています。
 それと関連してですけれども、現職の先生方の研修ということで、これはとても重要なことかなと思っています。22ページの、今回追記していただいた、丸印の上から、「なお」以下のところだと思うんですけれども、やはり新たな教師の学びの姿ということをこの乳幼児期の先生、また、小学校の先生ももちろんですけれども、こういった架け橋プログラムを通して、やはり保育者として、また教師としてあるべき姿という、自ら学ぶ姿勢ということをしっかり身に付けていくということが、一人一人の先生が身に付けていくということが大事なことなのかなと思います。
 ここの中で、先ほどの「なお」以下のところですけれども、「幼児期の教育を担う教員の先生の研修が、これまでの積み上げを生かしつつ更なる充実が図られるよう、幼児期の特質を踏まえつつ関連事業での充実を図るとともに、改めて、研修の機会の確保・充実の必要性の周知を図る」と、非常に気持ちはよく伝わってきて、研修が大事ということを言いたいことはすごく伝わりますが、この辺が難しいなと思うのは、やはり研修体系とか研修の機会とか研修の進め方というのはそれぞれの、乳幼児期の場合には施設によって異なる研修体系等も持っているのでこれ以上はなかなか言い切れないなと思いますが、何が大事かというとやはり保育者として成長していく、それを支えるための研修を体系化していくということが大事なんだと思うんですね。
 本当に教員の、保育者の初めの段階で、いろいろな知識を身に付けながら実践とすり合わせて、ああ、そうだなと学んでいく時期と、中堅ぐらいになったら、そこをコーディネートする力を付けていかなければいけないわけですので、一人一人の保育者の学びをつないでいく力を身に付けていくことも必要ですので、やはり保育者として求められる、乳幼児期を担う教員として求められる、そういう教師像、保育者像に対して、それを支えるような研修ということをもう少し打ち出してもいいのかなと思います。それは「充実」という言葉に係っているというのは十分分かっています。もう少し具体的なイメージが出てくるといいなというふうな、要望を踏まえて思いました。
 以上です。
【無藤委員長】  キャリアに応じた研修の体系の議論は、別な報告、教員養成の方にあるとは思いますけれども、ここでも触れて、より充実したという中身を、方向を示せるようにしたいと思います。ありがとうございます。
 吉田委員が手を挙げていらっしゃいます。
【吉田委員】  申し訳ございません。2回目で大変恐縮なんですけれども、先ほどの中山先生ですか、やっぱり思いをしっかり伝えておくことが必要ではないかという話を、私も本当にそういうふうに思っていまして、もうそろそろまとめに入っていくということでございますので、私の思いもちょっとお伝えさせていただきたいと思うんです。
 13ページ、14ページに目指す方向性等をいろいろ書いてございます。私自身、自治体の長として、例えばお子さん方の就学支援あるいは学習支援等を今行政がボランティアと一緒にやっていたりするわけで、例えばなかなか家庭環境等がいろいろ大変で学校の勉強に追い付いていかないお子さん方の支援等を行政としてもやっているわけでございます。
 いろいろな話を聞く中で私が総合的に感じるのは、お子さんがやっぱり自分自身の感情を表現できる言葉、語彙力というんでしょうか、語彙力が豊富なお子さんほど、非常に大変な世の中だけれども、それをしっかり乗り切って頑張っていくたくましさというか、それが身に付いてくるのではないかなということを感じております。感情をうまく表現できずに、非行に走ってしまったりだとか、問題行動を起こしてしまったりだとかという、そういう状況を見ていますと、どちらかというと、言葉の語彙が非常に貧弱だったり、そういう指摘をいろいろといろいろな方々に聞くものですから、幼児期にやっぱり、小学生になる前に、自分自身の感情を表現するような言葉、語彙力みたいなものをしっかり身に付ける土台のようなことが出来ていくということは非常に大事なのではないかなと。
 もちろんこれ、小学校に入る、中学校に入るというのを通じてどんどんいろいろな言葉を覚えていくわけですけれども、やっぱり大事なのは幼児期でして、幼児期にそういった、幼児期に語彙力という言い方がどこまで適切かは分かりませんけれども、いずれにしても言葉というものに、いろいろな言葉に触れて、御自身の小さいうちから、これは子供だからもう無理だじゃなくて、子供は非常に吸収力があるわけでございますので。だからといって、何か詰込みをしろと言っているわけではございません。そうではなくて、豊かな表現力を身に付けるための基礎的な力というんでしょうかね、そういったものをしっかりと幼児期に身に付けているだけで随分その人の人生というのはそれから変わってくるのではないかなということを常々いろいろな事例を見るたびに感じております。
 保護司の先生方とも話したことがあるんですけれども、保護観察で来る青年期の方々と接していると、やっぱりいろいろな言葉を知らない。非常に語彙力が貧弱であると。そういう中でも、また新たに学んでいこうという意欲を持って頑張っている人もいるけれども、やっぱり小さいうちから言葉に接し、言葉の力を身に付ける。今後、小学校から英語教育等も始まっていくわけですけれども、基本はやっぱり母語だと思うんです。母国語だと思うので、母国語を駆使する力というのを小さいうちからしっかりとその土台を身に付けるということは、これはいくら強調しても私は足りないのではないかなというふうに感じておりましたので、その思いみたいなものをお伝えさせていただきました。語彙力という言葉をどこかに入れてもいいんじゃないかなという、そういう気持ちでおるところでございます。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。語彙力というのは小学校低学年教育については多分使っていると思いますが、幼児教育の方で語彙力そのものは使ってないと思うんですけれども、言葉の教育とか言語の力などは重視されているところなので、それがより具体的に分かるように更に書き込みたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次の挙手されている方は?
【橋田幼児教育企画官】  今、5名の方が手を挙げられています。
【無藤委員長】  では、順番に。
【橋田幼児教育企画官】  田村委員、秋田委員、中井澤委員、二宮委員、渡邉英則委員が手を挙げられております。
【無藤委員長】  では、田村委員からお願いします。
【田村委員】  國學院大學の田村です。どうもありがとうございます。丁寧な取りまとめをしていただきまして、ありがとうございました。
 架け橋期といったものが、幼児期から小学校への架け橋であり、小学校から幼児期への架け橋の両方であるという視点から、二つほど修正が可能であればということで意見を申し上げさせていただきたいと思います。どちらも18ページになります。
 18ページの一番最後の行にかけて、「3要領・指針では、小学校教育との連携・接続に関し、「幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培う」旨が」と書いてあるわけですが、小学校の学習指導要領の方を見ていただいても同様に、小学校の学習指導要領の第2の4に学校段階間との接続のことが書かれていて、その(1)にある文言も示していただくことによって、言ってみれば、幼児教育の方に示されているということとともに、小学校の学習指導要領にも幼小の連携が書かれているということを明確にすることが可能なのではないかと考えました。
 具体的に言いますと、総則第2の4の(1)の冒頭に当たる文章、例えば児童が主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことが可能となるようにすることというふうなことが書かれていますが、こういった部分などを踏まえということも併せて記述していくことによって、より小学校側の参画が望めるのではないかと考えました。これが1個目です。
 2個目は、同じ18ページの上から3つ目の丸のところです。この丸の3つ目のところで、いわゆる主要な中核となる架け橋期のカリキュラム開発の目指す方向としては、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を手がかりとすると書いてあるわけです。このことは当然重要だと思うのですけれども、一方、小学校の側に立ってみれば、いわゆる「育成を目指す資質・能力」といったものが、ここに当然関わってくると思います。となると、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を手がかりとし、育成を目指す資質能力を視野に入れながら策定する」などの言い方をすることによって、幼小ともに参画しやすい状況が生成できるのではないかと考えました。
【無藤委員長】  ありがとうございます。2点とも、意図としてはそういうことを伝えるようにしたいと考えておりましたので、御指摘の方向で加筆を考えたいと思います。
【田村委員】  ありがとうございました。ここで退出させていただきます。申し訳ありませんでした。
【無藤委員長】  はい、分かりました。
【田村委員】  失礼いたします。
【無藤委員長】  次は、どなたでしたっけ。
【橋田幼児教育企画官】  秋田委員、お願いします。
【無藤委員長】  秋田委員。
【秋田委員長代理】  学習院大学の秋田です。ありがとうございます。
 2点、さらに読み込んで発言させていただきます。
 1点は、19ページ目の「更なる課題」というところです。0歳から18歳までの中での架け橋期の在り方を考えるということが書かれているんですけれども、報告の案そのものが、戦後初めて、1971年に46答申というところで4、5歳から小学校の低学年の教育の在り方ということが論じられて51年目になります。そこで、今回これからの幼児期だけではなくて小学校低学年の在り方を初めて体系的に問うということが行われたわけです。そこの核に架け橋期という考え方があると思います。幼児期は教科書がなく、時間割がない。それに対して、小学校以上は教科書というものを使い、基本、時間割というものが考えられてきた学校教育において、これから時間の在り方であったり、それから学びの環境や空間の在り方ということを、架け橋期を鍵にして、多様なリソースとしての学びの財の在り方全体を考えていく、そういうことがさらなる課題ではないかと考えます。幼児期から小中高を通しての課題になるのではないかと思いますので、この辺り、ずっと歴史的に議論をしてきた中での集大成的なというか、一つの大きな転機の時期だと思いますので、その辺りが何か書き込めないだろうかと考えます。単に架け橋期がどういう発達段階の時期かというだけではなくて、そこを問い直すということが、これからの令和の時代の学校教育全体の始まりのありようを問うことなんだというようなところが、もう少し明示されることによって幼児期の教育の重要性や今後の可能性が書けないかと思いました。
 それからもう一つは、ICTのところです。15ページのところで、今回情報を出すというだけではなくて、遊びや生活を豊かにする道具というような形で少しマイルドに書いたわけですけれども、より詳しく今後のICTの在り方というのを書くならば、一つは、今も保育者や保護者の中には、多くの方は例えばデジタルカメラを、子供を被写体にするものだと思ってドキュメンテーションなどを考えられる方が多いと思うんですが、ICTを子供が保育の中で活用することによって、子供が撮り手としての主体として自分で能動的に関わることができる。また、子供は何かを伝えられる存在からお互いに伝え合う、子供同士や大人とも子供が伝え合う、そういう双方向性の道具として使うことができる、それによって保護者も含めいろんな人が参画する一つの大きな媒体となっていく。また、子供自身が、例えば今回、卒園時であったことですが、年少の時に入園してきた子の動画を卒園のときに子供たちがもう一度見直すことによって、大きくなった自分というようなものを、ICTがあることで見ている園というのも私は立ち会わせていただきました。ここではICTは育ちの履歴を確認して振り返るというような道具立てというんでしょうか、これまでになかった新たな可能性を開く道具としての活用があること、それが学びの主体に子供をする道具であるということを、より積極的に書くことも可能かとは思いました。少しそこの表現を膨らませられるかもしれないと思ったので、お伝えいたしました。
 以上です。ちょっと長くなりました。
【無藤委員長】  ICTの部分は、先ほど御指摘もあって、ここにそういえばあったんですけれども、子供にとってはパッシブな受け身としての利用というよりは、能動的な道具としてということでポジティブな意味があり得るという御指摘かと理解したので、そこはより明瞭になるように。とともに、弊害が起こらないということも含めて検討したいと思います。
 第1点のほうは、先ほど架け橋期の教育をもっと積極的に、端的にというお話もありましたので、そういうことも含めながら、さらなる課題であると同時に、ここで目指していること全体をより訴える積極的な位置づけも考えたいというふうに思います。ありがとうございました。
 次に挙手されている方は。
【橋田幼児教育企画官】  中井澤委員。
【無藤委員長】  中井澤委員。
【中井澤委員】  一般社団法人ひととの中井澤です。資料の取りまとめ、ありがとうございました。
 私から1点、7ページ目の上から1つ目の丸の「こうした外国人の子供が」のところで、「指導の充実を図る必要があるとともに、多様性を受容し生かし合う園・学校づくりを推進する必要がある」というふうに書かれていますが、ここの指導の充実を図るというところで、もう少し具体的な文言を入れることが可能であれば、入れていただきたいなというふうに思っております。というのも、具体的に外国人の幼児とかが来たときに何をすればいいかよく分からないという先生方だったりとか、あるいはそもそも言葉が通じないので対応が難しいというようなケースがかなりあるので、例えば母語支援員の配置だとか日本語支援員の配置などの指導や体制の充実を図る必要があるとともに、のような文言を入れていく必要があるのではないかなというふうに思っています。
 加えて1点、幼稚園、保育園、こども園だけではなくて、その後の小学校との連携も重要なところではあると思うので、小学校との連携を図るような体制づくりみたいな文言も1点入れていただければ大変うれしいなというふうに思っております。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。小学校との関連は当然必要なことであると思います。
 最初のほうについては、具体的な名称をここに入れられるかどうかは、幼稚園、保育園、認定こども園、いろいろある中で検討させていただいて調整したいというふうに思います。ありがとうございます。
 次の方は。
【橋田幼児教育企画官】  二宮委員。
【無藤委員長】  二宮委員、お願いします。
【二宮委員】  二宮です。よろしくお願いいたします。
 質問になってしまうかもしれないんですけど。
【無藤委員長】  もちろん、どうぞ。
【二宮委員】  17ページに出てくる架け橋期のコーディネーター。下から3つ目の丸に、「有識者、架け橋期のコーディネーター等から構成される架け橋期のカリキュラム開発会議を構成する」という文言あるのですけど、これは取る教育委員会や園の現場の方々から見ると、「架け橋期のコーディネーターって?」という疑問を持つと思います。17ページの一番下、36番というところに、「幼保小の教育に造詣が深く、助言や支援を行う者」と書かれていますけど、幼児教育アドバイザーや指導主事の方もいらっしゃると思います。その違いはあるのかとか、指導主事が兼任するものなのかとか、三者それぞれ置くものなのか。架け橋期のコーディネーターと、いきなり出てくるんですが、初めて聞く言葉の割に、その役割とか重要性がわかりにくいので、どこかに書き込んでおいたほうがいい気もします。架け橋期のカリキュラム開発会議を構成するという、かなり重要な会議、コーディネーターだと思いますので、具体的にどういう人をどういう扱いで置く、そして具体的にどう進めていくというのが、もう少し分かりやすくなればいいなと思っています。
 同様に、手引きと参考資料の中にも幼児教育アドバイザーとかコーディネーターという言葉が出てくるのですが、もう少し具体性があったほうがいいかなと感じております。例えば参考資料。これはもっとこれから変わっていくかとは思うのですが、ほとんど全部、園の現場でこういうふうにやってみたらという例が載っています。それとは別に、自治体内の連携に幼児教育アドバイザーなり、架け橋期のコーディネーターの役割を現在、こんな工夫をして、こんな成果につながっているという事例もあっていいのかと思いました。参考資料は、園の現場でかなり役に立つ具体例が書いてありますが、教育委員会や幼保小連携の要になるところで、現場以外で役に立つ事例もあったらいいなと思っております。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございました。架け橋期のコーディネーターというのは、架け橋期という言葉自体がここで導入したので、当然、今まではなかったわけですけれども、それに該当するような仕事を何らかの立場でされている方は、自治体によってはいらっしゃると思います。
 それから、幼児教育アドバイザーという名称もそうなんですけれど、自治体によって呼び名が様々でありまして、別に文科省なり何なりが統一的に使っているわけではないので、こうであると、ここで決めて普及するということではないんですが、こういう役割を担う人がいるとか、こういうことが仕事として必要だということは、もう少し手引きにも入れたいのと、御指摘のように、この経過報告の中でコーディネーター、一応注釈は入れましたけれども、当たり前のように書きすぎているので、こういうことが必要だということが、もう少し分かりやすくしたいというふうに考えました。ありがとうございます。
 次に、挙手の方は。
【橋田幼児教育企画官】  渡辺英則委員。
【無藤委員長】  渡邉英則委員、お願いします。
【渡邉(英)委員】  すみません。よろしくお願いします。
 皆さんの話を聞きながら、経過報告がまとまってきたことをすごくわくわくしています。ただ、実際の話、うちの園を卒業していった子たちが小学校に行ってどうなのかなと思ったりすると、いろいろやっぱりあるのではないかとも感じています。
 まず1ページ目の一番下のところに「子供に関わる多くの関係者が立場を越えて連携し、全ての子供の学びや生活の質を確保・向上するために何をすべきか、その本気度を問う内容にもなっている」という言葉があります。「全ての子供」というのは、僕は幼稚園年長児、小学校1年生だけではなくて、本当は小学校も中学校もみんな対象だと思っていて、「学びとは何か」というのが本当に問われてくるような気がしています。学びとは、自分がやりたいこととか知りたいことをベースに、もっとこんなことやりたいとか、こうなりたいとかというなりたい自分を幼児期ってみんな持っていて、それを実現していったときに自己肯定感が出てくる。ところが、小学校に行ったときに、教師から、これをしなさい、これは駄目ですとか、こっちをしなさいとかと言われてしまうというむなしさみたいなのがある。そもそも学びとは、勉強とか学習とやっぱり違って、自分は本当は何を知りたいのかとか、これは本当は何だろうと探求していくというような気持ちや姿勢が大事なのかなと思っています。
 そうすると、秋田先生も言われたんですけど、学校教育を問うというようなことが、この架け橋の中に出てきます。その中で、特に18ページの一番上の丸の中の下から3行から、「また、カリキュラム開発や実施に当たっては、子供の姿から学ぶことを通して、互いの理解や認識を深めながら共に学び合い進めていくことが重要である」という文章があります。大人も子供から学ぶ。だから、どっかに決められた子供像があるわけじゃなくて、子供を味わうという言い方がいいか分からないけど、配慮を必要とする子供含めていろんな子供の姿を受け入れていく。10の姿という言い方もするかもしれない。その見方で子供を見てもいいし、もうちょっと違う見方でもいいんだけど、この子ってこんな力を持っているんだとか、この子はこういうところではなかなか自己発揮しなかったけど、こういうところだとすごい生き生きするんだみたいな、一人一人のよさをきちんと受け止めるんだというような教育に代わっていく。幼児教育のダイナミックさという言い方はおかしいけど、もっと多様さだったりとか、いろんなものを受入れながら、でも、お互いに育っていくという、そういう教育のありようというのは、これからは幼児教育だけではなくて、小学校、中学校、高校、本当は大学もそうかもしれません。そういう教育が求められそこで子供たちは学んでいくし、その中でカリキュラムも、誰か偉い人が決めるわけではないし、先生だけが決めるわけじゃなくて、子供の声を聞いたりとか、対話をして決めていくことになる。その中には家庭も入ってきたりいろんな人が入りながら試行錯誤の中でできてくるのかなと思ったりします。これだけきちんとまとまってきた審議経過報告(案)ですが、架け橋期だけではなくて、乳幼児期から小学校、中学校、高校まで、0歳から18歳までのところのありようというのを、架け橋期を中心にきちんと各地域で議論されていくということが、そもそも教育とか子供の育ちを考えるときの一つのすごく大事な視点なんだということが、ここに示していただけたのではないかなというふうに感じています。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。架け橋期というときに、幼児教育、また小学校教育が隅から隅まで完成して変更しないけれども、移るときにはお互いにどうするか考えましょうというのは極めて消極的な捉え方だと思いますけれども、もう少しそれを拡大して、幼児教育の在り方と小学校区の在り方、全体を見直す中で、その時期を考えるという方向に議論が発展してきたというふうに理解しておりますので、その辺をさらに考えたいと思います。
 次に、挙手されている方は。
【橋田幼児教育企画官】  齋藤孝委員が手を挙げていらっしゃいます。
【無藤委員長】  齋藤孝委員、お願いします。
【齋藤委員】  先ほど吉田委員の言われた語彙力が重要であるということに同意します。架け橋として一番大事なものの一つが、私は日本語力だと思うんです。日本語力が育っていると、小学校への移行もスムーズであるというふうに思います。感情表現ができると、いろいろいさかいも減りますし、いらいらも減ってくるということもありますので、コミュニケーション力の柱も、そういう日本語力である。感情を豊かにするということが言葉を豊かにすることと連動しているわけですね。言葉の数、語彙というものが豊富であると、それに対応する感情も育っていくということなんですね。ですから、言葉を覚えることによって、新たな感情も生まれるということがあります。ですので、日本語の語彙力を高めるとか、日本語の語彙を豊かにするということが入ってくるといいなというふうに思います。絵本のこととも通じるかもしれませんけれども、吉田委員に同感ということです。
【無藤委員長】  ありがとうございます。絵本のことも含めて、語彙、あるいは日本語、言語あたりの書き込みを増やしたいと思います。
 それでは、次の委員は。挙手されている委員はおられますか。
【橋田幼児教育企画官】  今の時点ではいない状況でございます。
【無藤委員長】  そうですか。ちょっと私、今日いらっしゃっている、出席されている名簿がないので。
【橋田幼児教育企画官】  失礼しました。今、榎本委員が手を挙げられました。
【無藤委員長】  お願いします。
【榎本委員】  ありがとうございます。東京大学の榎本です。大変なおまとめ、ありがとうございます。拝見致しました。
 私は、今日まとめて頂いた提言に関して、具体的に加えて頂きたいというポイントはありません。一方で、脳発達の基礎科学者の立場から1点お話しさせて下さい。本会議で私に期待されていることは、科学的なバックグラウンドをベースとして、このような提言を発信できるシステムを構築するお手伝いだと理解しています。実際、客観的な研究事実を踏まえた提言は、みなさまに納得しやすく理解しやすいものができる可能性が高いと考えます。
 今回の提言書にすぐに入れ込む必要はないと思いますが、この先内容を改変していく過程で、科学的なバックグラウンド、科学用語でエビデンスと言いますが、の簡単な記載を盛り込むことにより、なぜその時期にそういう教育を実施しなくてはならないのかということの根拠を理解しやすくなり、さらには重要なことに、その提言をもとに、読者のみなさま自身が主体的に考えられる材料を提供できるようになります。
 例えば、幼少接続期のときに脳に起きる大きな特徴として、幼児の本能的な脳から、人間に特徴的な、いわゆる理性的な脳へと変化する、ということが挙げられます。この時に何が起きているのかというと、脳の中の構造、専門的な言葉でいうと前頭葉の抑制性神経回路が大きく発達する時期なのです。では、その発達を強く促す要因は何かというと、先ほど何名かの先生がおっしゃっていたように、言葉を覚えて会話を交わす、そして集団の中で先生、家族、友達を含む多様な人と相互作用することにより発生する、高次脳への神経入力、さらには五感から感覚脳への神経入力という、まさに幼稚園から小学校にかけて推奨されている相互作用が大脳皮質の抑制性神経回路、言い換えると理性を育てていくことに繋がります。これは一例に過ぎませんが、このような脳科学の客観的な研究エビデンスが加わると、それを踏まえて、では適切な時期に適切な脳の発達を促すためには、現場でどの様な教育活動を行なうことができるのか、という議論へと発展させられるのではないかと期待しています。
 今回おまとめ頂いた提言書は、現場の皆様の貴重な経験や、文科省でこれまで積み上げられた相関研究に大きく基づく提言だと理解しています。この重要な提言に、さらに科学的なエビデンスを加えることにより、理解しやすく、また新たな思考を生み出す提言書にできると考えます。この点では、おそらく日本よりも欧米のほうが先を行っていて、私はアメリカで5年ほど研究活動を行なってきましたが、そのときには、一般の方から、行動規範やルールを作る際の参考にしたいので、関連する科学的エビデンスを教えてくれという要望をよく受けました。欧米のかたにとっては、科学的エビデンスは世界中で何よりも信頼できる根拠であり、それを前提とした建て付けで提言書を作ることは当然であると。ですので、発達期に脳の中で何が起きているのかということを意識したガイドライン、エッセンスを加えて行くと、もっと説得力があり、万人に理解しやすい、さらには新しいアイデアを生み出しやすい提言になると考えます。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。そういうデータというか、エビデンスというか、そういうものもある程度、全然別なところではまとめていると理解しておりますけれども、この報告の中で、それについて多少とも反映できることをもうちょっと考えたいと思います。ありがとうございます。
 ほかにはよろしいですか。
【橋田幼児教育企画官】  秋田先生。
【無藤委員長】  2度目も結構です。秋田委員。
【秋田委員長代理】  2度目ですが、今エビデンスというお話がありましたので、少しだけ発言させていただきたいと思います。
 報告書の中で、教育の質の効果検証ということが出されているわけですけれども、これはこの報告書に含めるものではないと思うんですけれども、何をもって効果検証とするのかというところです。ここに架け橋期の充実ということが、例えば、子供の主体性とか、ウェルビーイングとか、学びがより豊かになったというような個人の問題をアウトプットしていくというようなものが効果なのか、例えば、学校と園の連携接続が各自治体でどの程度のところで行われるようになったということを効果と考えるのか、むしろそれによって、園と小学校の関係性や地域の中で、園と小学校の関わり方や保護者の参画が変わっていったというようなインパクトの在り方を効果検証していくのかというところが大事だと思います。多分個人のアウトプットと、それから長期的なアウトカムと、それからインパクトというところと考えていくエビデンスが、今後必要になっていくのではないかと考えました。
 この辺り、もし、幼児教育課のほうでどのように考えておられるのかということが伺えればいいのかなと思います。この報告書そのものに関わる問題ではなくて、次のステップかもしれませんけれども、ここでは効果検証ということが一言でしか書かれていないんです。しかし、質を捉えるということ自体が大変難しく、今回のところでどうするかということはありますけど、どういう方向を目指していくのかということが、やっぱりこの報告書の中で何らかのニュアンスが書き込まれていた方がいいかもしれないと思いましたので、発言させていただきました。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。その辺りは最終報告が6月ですので、何らかの形でと思いますが、幼児教育課長のほうから何か御意見など。
【大杉幼児教育課長】  ありがとうございます。少し芽出しとしては、手引きの中にも、国の質保障の枠組みの中でこういう視点でやっていこうと、幾つか今例示はさせていただいている状態です。ただ、それを少し具体的にどのような視点をセットして効果検証していくのか、それにつきましては、無藤先生御指摘のように、4月から夏にかけて議論させていただければありがたいというふうに思っております。
【無藤委員長】  ということで、特にお二人の意見というものは、よりいいエビデンスに近づける、組み入れるということとともに、さらにより広く幼児教育、学校教育の在り方を、より、ある意味でデモグラフィックな在り方かと思うんですけれども考えるという、ちょっと大それた問題なので、数か月でどこまでできるか分かりませんが、何とか努力したいというふうに思います。
 ほかに、いかがでしょうか。
【橋田幼児教育企画官】  今、3名の方が手を挙げられております。
【無藤委員長】  お願いします。
【橋田幼児教育企画官】  平川委員、村田委員、渡邉一利委員。
【無藤委員長】  お願いします。平川委員からですか。
【平川委員】  申し訳ございません。別の会議に出ておりまして途中参加でございます。広島県教育委員会の平川でございます。
 もしかしたら既に意見があったかもしれませんけれども、資料2の10ページ目の、丸の下から2つ目に「併せて、幼児教育の成果を踏まえ、小学校教育の質の向上につなげることも必要である」という部分があります。ここになぜ、「いじめ、暴力行為、不登校等」という記載が入るのかがちょっとよく分かりません。むしろこれよりも、小学校から園・所に学びに行くことのほうが大事ではないか。何かすごくスペシフィック過ぎて、よく分からないので御説明いただけませんでしょうか。
【無藤委員長】  この辺りはどういう。
【橋田幼児教育企画官】  参考資料2にあるとおり、先日の初中分科会での審議経過の骨子案に関する委員の御発言も踏まえて少し整理させていただいた部分でございます。当時、初中分科会の委員の方から、小学校段階での暴力行為やいじめなどの生徒指導に関する課題も視野に入れて検討いただきたいという御意見がございました。このため入れられる範囲で、文章を入れさせていただきましたが、入れ方を含めて御意見頂戴できればと思います。
【無藤委員長】  そうですね。流れがちょっと確かに悪いかもしれないので。
【平川委員】  これを読むと、いじめ、暴力行為、不登校を防ぐために幼児教育の成果を踏まえ、小学校教育の質の向上につなげるというふうに読み取れてしまうのではないかと思います。そういうことではなくて、先ほど渡邉委員からもありましたけれども、遊びというのが学びだという、そういう幼児教育ですごく大事にしてこられたことを小学校でも大事にすることがもう少し分かるように修正というか、お考えいただくとありがたいと思っております。
 ちなみに、広島県教育委員会は、来年度から乳幼児教育支援センターと義務教育指導課の連携を図るため、同じフロアに移し、フリーアドレスにいたしました。それから、乳幼児教育支援センターを所管する総括官という職と義務教育指導課を所管する参与という職を兼務にしました。そして、小学校のほうから、園・所に出向き、保育を体験する初任者研修を実施することに決めました。もう本気でやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。広島の実践の方向も反映したいと思います。
 それでは、次の委員はどなたですか。
【橋田幼児教育企画官】  村田委員。
【無藤委員長】  はい。お願いします。
【村田委員】  お願いします。今お話いただいた小学校段階における問題行動というところについて、私のほうで多分お願いをした部分かなと思っているんですけれども、もともと小中の教員ですので、小学校での問題行動でまず挙げられるのが、自分の感情をコントロールできない子供が多い、もう一つが、例えば教室にいられない、席に座っていられない、こういった言葉が真っ先に出てくるんです。そういった子供を見つけたときに、小学校側の教員は、問題児だという捉えから始まってしまうことが多くて、いや、そうではなくて、実は感情をコントロールするための言葉を持っていないよ、先ほどの吉田委員さんのお言葉にもありましたけど、感情をうまく表現できるだけの語彙を持っていない。それから、席に座っていられない子も、もともと体が育っていないので、体幹が弱くてじっと座っていることができない。こういったところに実は課題があって、その課題に対して𠮟責の連続になるので、その結果、暴れるしかないとか、もう学校に行きたくないとか、そういった形になるケースが今非常に多くて問題になっているんです。
 小学校側は、実は今、そういった問題に対応するために、ぜひ幼児期について学びたいという、以前に比べて随分幼児期に対する関心を持っていますので、今ここで架け橋期のこういったものが提案されていくということにはすごく意味があると思いますし、今回の報告書でも、いろんなところとの連携を改めて明記していただけて非常に感謝をしています。
 一方で、先ほどの語彙のことなんですけれども、美しい言葉とか豊富な言葉を教えれば身につくのかというと、ちょっとそこは子供によってというところがありまして、自分の気持ちを受け止めてもらえるという期待があって初めて、言葉で伝えたいという気持ちに変わっていくんです。その伝えたいという気持ちがない限り言葉は出てこないですし、新しい言葉も生まれてこない。つまり、自分がもやもやとくすぶっている気持ちを言語化してくれる大人の存在があるとか、よく、非認知能力を育てるのは環境の整備だと言われるんですけど、人的な環境も含めてそういったところの体験を保障していくことが、子供の育ちを保障していくことになるのではないかなと常々思っています。
 体のほうも、実は全身を動かした粗大運動が滑らかにできるようになって初めて指先を使うような微細運動ができるようになると言われているんですけど、そういった子供の発達、発育ってどういうふうにいくのかというところを小学校の先生方も含めて一緒に学び合うような研修も本当は盛り込んでいただけるといいかなと思いますが、ごめんなさい、報告書から随分ずれましたけれども、ちょっと子供の言葉という部分について、うちに通ってきている子供たちを見ていますと、家庭環境であるとか、自分の気持ちを受け止めてもらえるような大人の存在がいない子供であるとか、そういった子供たちはやっぱり言葉を発しないですし、言葉を獲得しようという意欲すら持っていないので、ちょっとここでお伝えさせていただきたくて発言しました。
 以上です。
【無藤委員長】  大事な点だと思うので、その辺り工夫してちょっと項を立てて明確に入れたいというふうに考えました。
 もう一方、いらっしゃいますか。
【橋田幼児教育企画官】  渡邊一利委員。
【無藤委員長】  渡邉一利委員、お願いします。
【渡邉(一)委員】  渡邉でございます。取りまとめ、どうも御苦労さまでした。
 私は、個別に細かい点の修正とかの要望ではございません。まず、13ページの先ほど来出てきていますけれども、学校、家庭、地域の関係者が3要領・指針や小学校学習指導要領を幅広く共有し活用していくといった文脈でちょっと話をさせていただきたいと思います。
 年代が違うんですけれども、私自身、中学校や小学校のPTA会長をしていた経験から、なかなか共有したい家庭や地域にアプローチするというのが難しい。結果的に全体で共有、活用していくというところが難しいというような経験を持っております。先ほど来いろんな発言がありましたけれども、やはり、そうした家庭や地域にどうアプローチをして、共有し、活用していくかということ、これに関しては、この本文というよりは、手引きであるとか参考資料に、参考になるような事例があれば、しっかり明記していただけるとよろしいのではないかなと思います。これは、特に家庭の問題で申しますと、経済的な問題のある家庭の方、あるいは障害をお持ちの子供を持つ家庭の方、あるいは外国からいらっしゃった家庭の方、いろんな課題があると思うんです。そういったところの人たちをいかに巻き込んで共有できるかということをしっかり参考としてどこかに落としてくれるといいのかなというのが1点であります。
 それともう1点は、私、スポーツ庁のほうの立場から参加しているということもあります。従来、身体活動等子供の発育、発達の話も以前発言させていただきました。先ほど榎本先生のほうからエビデンスという話がありましたけれども、やはり、この架け橋期というのは非常に大事な時期だと思います。したがって、子供の発育、発達、こういったもののエビデンス的なものも、もし手引きとか参考資料に落とすことができるのであれば、載せていただきたいなというのが、もう1点でございます。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございました。対保護者、多様な家庭、多様な保護者との関わりなり、保護者に対する発信、もう少し丁寧にしたいと思います。エビデンスのことも、もう少し時間はかかりますけれども、検討していきたいというふうに思います。ありがとうございました。
 挙手されている方は以上なんでしょうか。
【橋田幼児教育企画官】  今の時点では、挙手されている方はおりません。
【無藤委員長】  皆様方、若干まだ時間はあるんですけど、よろしいですか、取りあえず。
【橋田幼児教育企画官】  平川委員が再度手を挙げられております。
【無藤委員長】  平川委員、どうぞ。
【平川委員】  すみません。せっかくの機会なので、先ほど吉田委員から御発言がありました自分の感情をコントロールできない子供が多いということについては、本県でもこの辺りは非常に問題だと思っております。先日、京都大学の明和政子先生という脳科学者の方から聞いたお話があって、その辺りを御知見があったら榎本先生にお伺いしたいと思います。自分の感情をコントロールできない子供というのは、腸内環境の問題が非常にあって、最近の脳科学は腸内環境からいろいろなエビデンスをはかることが多いということを伺いましたが、御存じのことがあれば、教えていただければありがたいと思っております。
【無藤委員長】  榎本委員は。
【榎本委員】  発言してもよろしいでしょうか。
【無藤委員長】  はい。お願いします。
【榎本委員】  頂いたご質問は、私の研究分野ですので喜んでお答えさせて頂きますが、本会議内容とは多少外れるように思いますけれども、お時間頂いてよろしいですか。
【無藤委員長】  はい。もちろんいいです。
【榎本委員】  おっしゃるとおりで、専門用語で脳腸連関と呼ばれますが、腸内の細菌は、我々人間が自分の体内では生み出すことができないような成分を作り出してくれていて、その成分が、まだ詳しくは理解されていませんが、腸から脳へと運ばれて、脳の発達を促したり、機能を整えたりすることがわかってきています。これはヒトに限った話ではなく、私どもの研究室では、ハエやネズミを実験対象とした研究を行っていますが、ハエやネズミでも腸内細菌が脳の発達や機能に重要であることが見えてきていますので、おそらく多くの生物で腸内の細菌との共生が、脳の発達や機能に重要であろうと考えています。
 研究という立場から申し上げると、腸の中の細菌は発達の段階で入れ替わっていきますし、何を食べるかによっても簡単に入れ替わっていきますので、ヒトを対象とした研究では中々統一した研究データを得にくいというところがあります。しかし、これまで得られている様々なデータを総合的に解釈すると、腸の中の環境は脳に対する、特に発達期の脳に対する影響は非常に大きいと考えられます。その一つの大きな根拠として、発達障害の患者さんと脳内細菌との関連を調べた研究が挙げられます。また、ネズミでは、抗生物質を投与することで腸内の細菌を除いてしまうと、発達障害様の脳機能異常や行動異常を起こしてしまいます。
 先ほど私が少しお話した、本能型の脳から理性型の脳へと変換する時期に起きる脳神経回路の発達においても、腸内細菌の関与が指摘されています。ですので、腸内細菌と脳発達との関係についても、科学的エビデンスに基づいてお話しできるようになりつつあります。
 以上です。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
【平川委員】  ありがとうございました。教育委員会だけではちょっと難しいので、健康福祉局等と連携して、どういうものを幼児期に食べさせるかということが非常に重要かと思うので、お伺いをさせていただきました。先ほど吉田委員からもありましたが、単に言葉がしゃべれるとかという前に、感情とかその辺りのコントロールが非常に難しいと思っております。ありがとうございました。
【無藤委員長】  ありがとうございます。
 ほかに、委員の方で御発言、いらっしゃいますか。挙手されている方はいらっしゃらないですよね。
【橋田幼児教育企画官】  今の時点では。
【無藤委員長】  よろしいですか、取りあえずのところは。
【橋田幼児教育企画官】  もう一度、齋藤委員が。
【無藤委員長】  どうぞ、齋藤委員。齋藤委員で最後にさせてください。
【齋藤委員】  すみません。本当に別なところなんですけど、これに入れるかどうかはともかく、呼吸法の私は研究者なんですけれども、呼吸を整えるということでずっとやってきたんです、教育の柱として。ということで、先ほど出た、座っていられないとか、そういう集中力の問題、あるいは体の軸の問題というのは、臍下丹田といって、おへその下に中心を置くような在り方、私はこれの研究者なんですけれども、そういう臍下丹田を軸にした腰と腹で座る、腰と腹で動くということが日本人の古来の心身の整え方だったんです。その研究をしてきた結果、芦田恵之助という人が静坐と教育ということをやったり、森信三先生という方が腰骨を立てるということを言っています。それと、腰の骨を立てるということと、臍下丹田を意識しながらゆっくりと呼吸するということがセットになって、腰腹文化というのをつくっているんだと思うんです。その辺り、座っていられない子供、集中できない子供が小学校で苦労するという話を先ほど伺いましたので、もしできるならば、私もそれの専門なものですから、入れていただけるなら、それはありがたいなというふうに考えております。
【無藤委員長】  ありがとうございます。その辺も勉強させていただきたいと思います。
 さて、ここまでということで、議論としては、さらにもちろん御意見あれば事務局にメール等でお伝えいただきたいというふうに思います。大変丁寧に御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。
 さて、まとめということになるんですけれども、本日、皆様方から頂戴いたしました御意見を踏まえて、しかるべく、審議経過報告、まとめに組み込みながら、また、残りの数か月の中で議論することの課題として承って、私のほうで事務局と相談して、必要な修正をさせていただきたいと思います。
 その上で、審議経過報告(案)を取りまして、審議経過報告として取りまとめたいというふうに考えてございますが、よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、本日いただきました御意見を踏まえて、審議経過報告をまとめさせていただきたいというふうに思います。これにつきましては、追って事務局から委員の皆様に御連絡をさせていただきます。
 その上で、冒頭で申し上げたとおりでありますが、今後、質の保障の仕組みを中心として、検討チームのほうで検討をしていただきます。それをまた本特別委員会に上げまして、最終的な報告に向けた議論をお願いしたいというふうに考えてございます。委員の皆様には、引き続きの御協力のほどよろしくお願いいたします。
 今日はここで、審議経過報告を受けて、今後の文部科学省としての対応につきまして、伯井初等中等教育局長においでいただきましたので、一言御発言をお願いします。
【伯井初等中等教育局長】  初等中等教育局長、伯井でございます。
 無藤委員長はじめ委員の先生方には昨年7月以来、精力的に御議論いただきまして、誠にありがとうございます。
 今日は、実は教科書・教材・ソフトウェアワーキンググループの会議が、これも中教審の特別部会のワーキンググループでございますが、同じ初中局の会議であるにもかかわらず重なってしまいまして、重なった先生方をはじめ御迷惑おかけして申し訳ございませんでした。
 今回取りまとめていただく審議経過報告は、まさに全ての子供の学びや生活の質を確保、向上するために、何をすべきか関係者の本気度を問う内容となっております。文部科学省といたしましては、昨日ちょうど来年度予算が成立いたしましたけれども、まずは、幼保小の架け橋プログラムの実施に向けての手引き、参考資料の初版の普及を図り、全国的な架け橋期の教育の充実とモデル地域における先進事例の実践をしっかりと推進してまいりたいというふうに考えております。
 特に園、小学校の関係者はもちろん、都道府県市町村の首長さん、あるいは教育長の方々に理解、協力を求め、かけ橋期のカリキュラムの開発、実態の体制整備、こういったことを促してまいりたいと考えております。
 委員の皆様方におかれましては、今後も質保障の仕組みを中心に最終的な報告に向けた御議論をいただくわけでございますが、引き続き、どうか活発な御議論をよろしくお願いいたします。
 本当にありがとうございました。
【無藤委員長】  ありがとうございました。
 それでは、5時ちょっと前ではあるんですけれども、ここで区切りたいというふうに思います。先ほど申し上げたとおり、会議についてさらなる御意見ございましたら、メールなどで事務局までお寄せいただければというふうに思います。
 最後ですけれども、次回の日程につきまして、事務局からお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】  次回の特別委員会につきましては、資料3のとおり、5月23日月曜日、14時からを予定しております。よろしくお願いいたします。
【無藤委員長】  1か月空きますけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会といたします。ありがとうございました。

―― 了 ――
 

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