学校安全部会(第1回)議事録

1.日時

令和3年5月27日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 部会長の選任
  2. 学校安全部会の運営等について
  3. 第3次学校安全の推進に関する計画の策定について
  4. 意見交換

4.議事録

※冒頭非公開
○朝倉安全教育推進室長から、配付資料の説明があった。
○義本総合教育政策局長より、挨拶があった。
○委員の互選により渡邉委員が部会長に選任された。
○渡邉部会長から、藤田委員が部会長代理に指名された。
○本部会の運営規則について、原案のとおり了承された。
 
【渡邉部会長】ここから、報道関係者並びに一般傍聴者の傍聴を許可いたします。なお、オンライン配信で傍聴いただいている方々には、傍聴登録者以外への当会議の配信URLを転送することや、他への放映は固くお断りしていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
最初に、一言、私のほうから御挨拶させていただきます。部会長を拝命いたしました渡邉正樹と申します。私は、前々回、前回と、学校安全部会に参加させていただきました。いずれも学校安全の推進に関する計画についての検討でしたけれども、今回も文部科学大臣の諮問により、第3次計画の検討を中心に進めさせていただきます。今後の学校安全の方向性を決めるための重要な部会となりますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 
藤田部会長代理からも、一言お願いいたします。
 
【藤田部会長代理】部会長代理を指名いただきました大阪教育大学の藤田と申します。私もこの学校安全部会には、学校安全の推進に関する計画、第1次のときから関わらせていただいております。今回もこの第3次計画の策定に関わらせていただくことを、大変光栄に思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 
それでは、議事3に入ります。第3次学校安全の推進に関する計画の策定について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
【朝倉安全教育推進室長】それでは、資料4-1と4-2で説明させていただきたいと思います。資料4-1は、3月12日の中央教育審議会総会におきまして、文部科学大臣から諮問されました第3次学校安全の推進に関する計画の策定についての内容でございます。資料4-2につきましては、その概要を一枚にまとめたものでございます。資料4-2で、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 
学校における教育活動が安全な環境において実施され、児童生徒等の安全の確保が図られるよう、学校保健安全法第3条におきまして、国は、各学校における安全に係る取組を総合的かつ計画的に推進するため、学校安全の推進に関する計画を策定することが規定されております。これに基づきまして、平成24年4月に、学校安全の推進に関する計画が、また、平成29年3月には、第2次学校安全の推進に関する計画が閣議決定されております。
 
現行の第2次学校安全の推進に関する計画につきましては、平成29年度から令和3年度までの5年間にわたりまして、国と地方公共団体が相互に連携を図り、各学校において安全に係る取組が確実かつ効果的に実施されるようするための重要な指針として、策定されました。現行計画に基づく取組の結果、先進的な取組が進められた地域がある一方、いまだ十分とは言えない地域や学校も見られます。また、現行計画策定以降、安全に関する新たな課題も生じており、策定から5年が経過するに当たり、これまでの状況を踏まえた計画の見直しが必要となっているところであります。
 
3月12日の中央教育審議会総会におきまして、文部科学大臣から、第3次学校安全の推進に関する計画の策定について、諮問がなされました。第3次計画策定に向けての論点は、大きく3つです。
 
1つ目は、現行計画に基づくこれまでの取組状況を踏まえ、計画策定後の社会の状況の変化に基づき、今後改善すべき点や新たに追加すべき点について、検討を求められております。甚大な被害をもたらしました東日本大震災から10年を迎え、時間の経過とともに、震災の記憶が風化し、取組の優先順位が低下していることが危惧されております。また、今後発生が懸念されております首都直下地震や南海トラフ巨大地震等に対して、児童生徒等の命を守るための対策が喫緊の課題となっております。さらに、近年、豪雨災害が激甚化・頻発化しており、防災教育の充実は喫緊の課題となっております。このほか、児童生徒が登下校中に事件・事故に巻き込まれる事案も発生しており、家庭、地域、関係機関と連携した対策を着実に実施することが求められているところであります。また、スマートフォンやSNSの普及によりまして、児童生徒等を取り巻く安全に関する環境の変化や、学校を標的としました新たな危機事象も懸念されているところであります。さらに、新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、マスクの着用による熱中症リスクの増加など、新たな安全上の課題も懸念されておりまして、こうした新型コロナウイルス感染症対策と安全対策の両立などについても、検討をお願いされております。
 
2つ目でございますが、学校安全に係る取組の全国的な質の向上に向けた方策について検討を求められております。平成20年に学校保健法が改正されて、学校安全が法的に位置づけられたこと、学校安全の推進に関する計画が2次にわたって策定されたことなど、学校安全に関する取組の制度化が進められてきました。これを踏まえて、国・地方の施策も進められてきておりますが、地域や学校における取組は、差が見られるところであります。学校における安全は、学校教育の大前提であり、また、事件・事故、自然災害は、全ての学校で発生し得ることから、学校における安全の取組の質を全国的に高め、実効的で持続的なものとすることが重要となっております。そのためには、学校における組織体制の在り方や学校と関係機関の連携につきましても、検討をしていただく必要がございます。国、地方公共団体、学校設置者、地域が、それぞれの立場から取り組むべき施策・連携の在り方について検討をお願いされております。
 
3つ目でございます。安全教育や安全管理に関しまして、教員養成段階で身につけるべきことや教員研修の在り方について検討を求められております。令和元年度から、教育課程において、学校安全について必ず修得することとされたところであります。自然災害や事件・事故が発生した際に、児童生徒等の命を守るためには、全ての教職員が協力し合って、的確に対応していかなければなりません。また、児童生徒等に対する安全教育の充実を図るためには、教職員自身が自然災害等の安全に関する知見等、指導すべき内容を明確に把握していることが重要であります。また、学習指導要領で示されました児童生徒や学校、地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に、教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと、また、教育課程の実施状況を評価して、その改善を図っていくこと、教育課程の実施に必要な人的または物的な体制を確保するとともに、その改善を図っていくことなどを通しまして、教育課程に基づき、組織的かつ計画的に、学校の教育活動の質の向上を図っていくカリキュラム・マネジメントの中で、体系的な安全教育を推進すること。また、児童生徒等が、安全上の課題につきまして、自ら考え、主体的な行動につながるような工夫など、安全教育の効果を高めていくことが重要となっております。児童生徒等がいかなる状況であっても、自らの命を守り抜き、安全で安心な生活や社会を実現するために、主体的に行動する態度を育成することが求められております。学校安全教育の充実及び教員養成や教員研修における学校安全の在り方について、検討をお願いされているところであります。このほか、今後の学校安全の推進を図る上で必要な取組について、検討をお願いされております。
 
第3次学校安全の推進に関する計画の策定の諮問の概要につきましての説明は、以上でございます。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。
 
諮問の1点目のポイントにありましたように、第2次計画の5年間の取組を振り返る必要がございます。その点についても、続いて、事務局から御説明いただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
 
【中村安全教育推進室長補佐】それでは、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習安全課安全教育推進室室長補佐の中村でございます。私からは、本日の資料の5-1から資料の5-3までの資料を基に御説明をさせていただきます。
 
まずは資料の5-1を御覧ください。第2次学校安全の推進に関する計画の概要でございます。1番の背景とこれまでの取組と課題の部分にございますように、第1次計画期間中の取組を踏まえた課題を基に、第2次学校安全の推進に関する計画を定め、今年度が最終年度ということになってございます。作成当時の課題としては、児童生徒が巻き込まれる犯罪被害や交通事故等が減少しているものの、いまだ児童生徒等の安全が十分に確保されているとは言い難いことや、地域間・学校間・教職員間に差が存在していることを解消した、全ての学校における質の高い学校安全の取組の推進を課題として挙げてございました。
 
2ページを御覧ください。第2次計画のポイントとして、目指すべき姿は2点ございます。1点目は、全ての児童生徒等が安全に関する資質・能力を身につけること。2点目は、学校管理下における児童生徒等の事故に関し、死亡事故の発生件数については、限りなくゼロとすることを目指すとともに、負傷・疾病の発生率については、障害や重度の負傷を伴う事故を中心に、減少傾向とすることを目指したものでございます。
 
第2次計画では、推進方策として、5つを掲げておりました。
 
推進方策の1つ目は、学校安全に関する組織的取組の推進です。管理職のリーダーシップの下、学校安全の中核となる教職員を中心とした組織的な取組を的確に行えるような体制の構築、そして、全ての教職員のキャリアステージにおいて、必要に応じた学校安全の資質・能力を身につけることでございます。
 
次のページを御覧ください。推進方策の2つ目は、安全に関する教育の充実方策でございます。カリキュラム・マネジメントの確立と、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善による系統的・体系的で実践的な安全教育を実施することでございます。
 
推進方策の3点目は、学校の施設及び設備の整備充実です。安全対策の観点からの老朽化対策、私立学校における構造体の耐震化の完了に向けた早急な対策を実施することでございます。
 
次のページを御覧ください。推進方策の4点目は、学校安全に関するPDCAサイクルの確立を通じた事故等の防止でございます。事故等の未然防止や発生後の調査・検証、再発防止のための取組の改善・充実を一連のサイクルとして、実施することでございます。
 
推進方策の5点目は、家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進でございます。保護者や地域住民、関係機関との連携・協働に係る体制を構築し、それぞれの責任と役割を分担しつつ、学校安全に取り組むことでございます。

第2次計画では、以上の5つの推進方策の下に、それぞれ取組を推進しており、そのフォローアップを資料5-2でまとめております。資料5-2を御覧ください。先ほど5点説明したうちの初めの1点目、学校安全に関する組織的な取組の推進については、施策目標を4つ掲げておりました。施策目標については、12個をこの資料で御紹介していきますが、左側の欄で、これまでの取組状況、右側の欄で、文部科学省調査による関連指標を挙げてございます。
 
施策目標1、管理職リーダーシップの下、学校安全の中核となる教職員を中心とした組織的な学校安全体制の構築につきましては、左側にございますとおり、文部科学省から、「学校の危機管理マニュアル作成の手引」や「『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」、「教職員のための学校安全eラーニング」など、指導資料を作成し、周知するとともに、モデル地域の学校における先進的な取組を普及啓発してきました。また、「学校安全指導者養成研修」を実施し、地域や学校における学校安全の指導者の養成を行ってきたところでございます。
 
右の欄の関連指標においても、学校安全計画を策定している学校の中で、中核となる教職員を位置づけている学校の割合も98.9%、中核となる教職員の役職については、それぞれ管理職や主任等の役職について、御覧のパーセンテージとなってございます。また、参考指標の1-2にありますとおり、全ての教職員が理解していると回答できる学校は、全体の9割近くとなってございます。
 
施策目標2、全ての学校における学校安全計画及び危機管理マニュアルの策定につきましては、右側の欄にございますとおり、学校安全計画の策定は全体の96.3%、危機管理マニュアルの策定の割合は、参考資料2の参考指標2-5にありますとおり、全体の97%となってございますが、これらの法律で定める計画や対処要領については、100%の策定を目指していかなければいけない項目だと認識しております。
 
続きまして、次のページの施策目標3、学校安全計画や危機管理マニュアルの評価・検証による改善でございます。こちらにつきましては、先ほど申し上げました文部科学省の指導資料や学校安全指導者養成研修による研修の実施、マニュアル等の見直しに関する通知の発出など、取組を促してまいりました。右側の欄にございますとおり、定期的または必要に応じた見直しを行った学校は、9割以上ということになってございます。
 
施策目標4、全ての教職員の必要に応じた学校安全に関する研修等の実施につきましては、これまで、教育職員免許法の改正や施行規則の改正により、教職課程のコアカリキュラムに学校安全の対応が位置づけられるなど、大学の養成課程における学校安全の取組が行われてまいりました。右側の参考指標の4-1を御覧いただきますと、教職員に対する校内研修を実施した学校は、全体の9割以上、また、校外への研修の派遣を行った学校の割合も約75%となってございます。しかし、参考指標として、計画上掲げました管理職研修において、学校安全に関する内容を取り扱っている地方公共団体の割合につきましては、文科省の取組状況調査の調査項目となっていない関係上、個別の市町村単位での管理職研修の部分については、現在、文科省としての調査が進んでいないところとなってございます。
 
続きまして、推進方策の2点目、安全に関する教育の充実方策については、施策目標は2つございます。施策目標5、学校教育活動全体を通じた安全教育の実施については、先般の学習指導要領の改訂に基づき、安全教育に関するカリキュラム・マネジメントを進めていくということで、文部科学省も様々な学校種ごとの取組を行ってまいりましたし、学校安全総合支援事業など、先進技術を活用した安全教育の在り方の開発と成果の普及などに取り組んでまいりました。右側の参考指標を御覧いただきますと、学校安全について、学校の教育活動で、生活安全、災害安全、交通安全の3領域について指導している学校は、ほぼ100%と言っていい割合となってございますが、その活動の形態は、学級活動・ホームルーム活動や学校行事として行われている学校が多いという調査結果となっております。また、年間に指導する内容を、各教科等において位置づけて実践している学校の割合につきましては、平成30年度の実態を取った取組状況調査の調査項目とはなっていなかったところでございます。
 
次のページに参りまして、施策目標6、全ての学校における学校安全計画の改善については、参考指標は再掲でございますけれども、学校安全計画の見直しを行った学校が94%というところでございます。
 
推進方策の3点目、学校の施設及び設備の整備充実に関する施策目標2つございます。施策目標7、全ての学校の耐震化の早期完了や必要な老朽化対策等の安全対策の実施につきましては、第2次計画でも取り上げたところでございますが、参考指標7、右の欄にございますとおり、国公私立の耐震化の状況は、この5年間で大きく進んだと言っていいのではないかと考えております。
 
続いて、次のページの施策目標8、地域の特性に応じた設備の整備を含めた安全管理体制の充実でございます。こちらについては、防犯監視システムやAED、緊急地震速報受信システム、また、防災機能を有する学校の備蓄の状況などを、参考指標として掲げてございます。学校施設における避難所となる学校施設の防災機能の強化や水防法等に基づく避難確保計画の策定など、新たな国の動きにも合わせた取組を求めてきたところでございます。
 
推進方策の4点目、学校安全に関するPDCAサイクルの確立を通じた事故等の防止につきましては、施策目標の9と10の2つを掲げてございます。
 
施策目標9、通学・通園路の安全点検について、右側の参考指標にございますとおり、学校の施設設備の安全点検や通学路・通園路の安全点検を実施した学校は、ほぼ100%と言っていい状況になってございます。
 
次のページの施策目標10、「学校事故対応に関する指針」に基づく事故発生時の調査についてでございますが、こちらは、平成28年度から文部科学省が示した学校事故対応に関する指針に基づく国への報告等を求めるとともに、学校事故対応に関する指針に基づく詳細調査報告書の横断整理などを行ってきたところでございます。現在、こういった重大な事故が発生した際の基本調査の実施、また、そういった発生した学校に関する調査対象の事故についての基本調査を実施している学校の割合は94.2%ということになってございます。
 
推進方策の5点目、家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進については、2つの施策目標がございます。施策目標11、児童生徒の安全に関する保護者・地域住民との連携体制の構築については、登下校防犯プランによる地域との連携の場の設置促進や、通学路の安全確保のための調査研究やハンドブックの作成・周知などを行ってきたところでございます。右側の指標のところにございますけれども、取組として、学校安全に関する家庭や地域、関係機関との連携は進んでいるように思いますけれども、学校が行っております学校安全計画や安全点検の取組を保護者へ周知までしている学校、危機管理マニュアルの内容を保護者に周知している学校といったところまでの取組については、少し割合が低く出ているところでございます。
 
次のページの施策目標12、児童生徒の安全に関する外部専門家や関係機関との連携体制についてでございます。防犯の観点や学校安全の関係について、警察との連携した情報共有、また、関係省庁と連携した学校防災体制の強化を求めてきたところでございます。参考指標にございますとおり、学校安全に関する外部専門家や教育の専門家との連携を図るなど、学校安全計画、避難訓練等を外部有識者がチェック・助言する体制が整備されている学校は、全体の33.6%。地域の行政機関等との間で、安全に関する情報共有や共同訓練を行っている学校は、全体の87.0%となっているところでございます。
 
ここまで、施策目標12個それぞれについて、これまでの取組や、文部科学省調査から得られたデータに基づいて御説明してまいりましたが、今後、本部会で検討する、取組状況を踏まえた検討課題の案として、資料の5-3も御説明させていただきます。
 
資料5-3は、今回の諮問を受けて、計画を策定後の改善すべき点や新たに追加すべき点、学校安全に係る取組の全国的な質の向上に向けた方策、学校安全に関する教員養成・教員研修の在り方、その他事項、としてまとめさせていただきました。
 
大きな1つ目は、学校安全計画や危機管理マニュアルの策定率の向上、大規模な災害が頻発する中での防災教育の充実について、今後改善すべき点や新たに追加すべき点があろうかと考えております。
 
大きな2つ目の全国的な取組の質の向上に向けた方策につきましては、学校安全計画のカリキュラム・マネジメントの観点からの質の向上や学校安全に関する指導時間の確保について、安全に関する資質能力の評価の在り方や家庭、地域、専門性を持った関係機関との連携の具体策について、事故発生後の取組になりますが、重大事故等の発生後の再発防止策として、学校事故対応に関する指針の在り方や事故データの活用について、議論していく検討課題となり得るのではないかと考えております。
 
大きな3つ目の教員養成・教員研修の在り方につきましては、都道府県・市町村単位の研修の質の向上について、採用1年次から中核となる教職員、管理職、キャリアステージに応じた系統性のある研修内容の水準や教職課程における学修内容について、検討課題となり得るのではないかと考えております。
 
4点目、その他事項については、学校の施設及び設備の老朽化対策や適切な維持管理、新たな危機事象に対する安全教育・安全管理について、検討課題となり得るのではないかと考えております。
 
委員の皆様からも、事務局案について、また、ここに載せられていない視点について、御意見をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。それでは、ここで質疑の時間を10分取りたいと思います。各委員の御意見につきましては、次の議事で頂戴いたしますので、ここでは、今、御説明いただいた内容に関する質問のみを扱いたいと思います。御質問のある方は、挙手ボタンを押してください。御質問よろしいでしょうか。
 
特にないようですので、議事3につきましては、これで終了させていただきまして、次の議事4、意見交換に移りたいと思います。
 
本日は初回ですので、御出席いただいています委員全員に一巡して、御意見をいただけるように進めたいと考えております。私から御指名いたしますので、指名を受けた方は、ミュートを解除して、御発言をお願いいたします。時間の関係上、各委員の御発言は、お1人3分程度でお願いしたいと思います。
 
御意見をいただく順序なんですけれども、第2次計画の策定から関わっていただいております小川委員、藤田委員、𠮷門委員の順に、まず御発言をお願いしたいと思います。その後で、委員名簿の五十音順で、石井委員、大木委員、北村委員、木下委員、木間委員、首藤委員、中井委員、松本委員、南川委員、村山委員、山田委員、渡部佳代子委員、渡辺弘司委員、最後に私の順という形で進めていきたいと思います。それでは、最初に、小川委員からよろしいでしょうか。
 
【小川委員】東北工業大学大学の小川でございます。どうぞよろしくお願いします。
 
先ほど事務局から御説明がありましたように、社会情勢の変化を踏まえて、これまでの学校安全の推進に関する計画に追加や修正する、あるいは変更するということについては、異論ございません。
 
私のほうからお願いしたいことは、一つ、検討が不十分だなと思ったことがあり、それは、評価をどうするかということです。評価には2種類あると思います。一つは、国や自治体が取り組んでいる施策や様々な活動をどう評価するか、いわゆる施策評価です。施策評価をどうするかということ。個々の学校や地域、先生方、そして子供たちが頑張っているその努力、学校安全について頑張っているその努力をどう評価するか、いわゆるフィードバック情報だと思うんですけれども、この2点があるかなと思いました。
 
まず、1番目の施策評価についてですけれども、私、内閣府の第10次交通安全基本計画をどう評価するかという委員会に参加したことがありまして、非常に勉強になりました。そのときのことを申し上げたいと思います。参考にしてください。
 
施策評価は、インプット、アウトプット、アウトカムという枠組みで評価をします。インプットというのは、予算だとか人員だとか、経営資源の投入を意味します。それに対して、アウトプットというのは、取組の結果としての実績量ということになります。例えば、分かりやすい交通安全の例を挙げると、通学路のゾーン30を普及するために、予算を投ずる。この予算はインプットということになって、アウトプットとしては、ゾーン30が設置された道路の総延長、エリアというのが、実績量として出てくるんです。それで終わるのではなくて、次にアウトカムがあります。実際の成果がどうなったかというものも、併せて評価していくことです。具体的に言うと、走行車両の速度が低下したのか、交通事故が減ったのかということが、成果となります。
 
先ほど、学校安全の取組状況の調査報告について御説明がありましたが、これまでの施策を展開していっているということがインプットになるかと思います。先ほど御説明もありましたように、危機管理マニュアルの作成が、どれぐらいの比率であったかとか、AEDの設置がどうであったとか、研修会が何回行われたのか、そこに参加した先生方は何人いたかということは、実績の量、すなわちアウトプットを示しているんではないかと思います。
 
すなわち、学校安全のインフラ、言い換えると、インフラは、ある程度、充実してきたかなという感じはするんですけれども、アウトカム、成果の部分の評価が足りない。いわゆる、子供たちが事故や災害に関わるリスクが本当に下がったのか、あるいは、リスクがコントロールされているのかという評価が足りない。具体的には子供たちの意識や行動が変わったとか、学校の学校安全に関する取組内容が、質的に向上したかどうかなどの評価がない。
 
先ほどからいろいろ御説明がありましたように、学校安全の質の向上ということを考えるならば、このアウトカム、成果をどう評価するかということを、やはりきちんと検討したほうがよいかなと思いました。
 
2番目の評価に関する意見ですけれども、個々の学校や個々の先生方、そして頑張っている子供たちをどう評価するかという視点は、必ず必要かなと思います。なぜなら、子供たちの主体性を強調しているわけですから、主体的に頑張っている子供たちや先生方を、できるだけプラスに評価してあげる。そのことが動機づけを高めたり、自尊感情を向上させたり、PDCAにつながっていったりする。すなわち、継続的な活動につながるかなと思います。頑張っている子供たちを、できるだけ、プラスに評価してあげて、自尊感情を高めていくということが、とても大切かなと思います。ポジティブに評価してあげることの大切さがあるかなと思います。その際、誰が評価するか、どういう基準で評価するかということを検討する必要があるかなと思いました。評価についての検討を盛り込んでいただけたらと思います。以上です。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。次に、藤田委員お願いいたします。
 
【藤田部会長代理】大阪教育大学の藤田です。私は、大阪教育大学で、安全教育学と学校安全の講義を担当するとともに、大阪教育大学における学校安全担当の学長補佐、また、現在、学校安全推進センターのセンター長をやっております。この学校安全推進センターといいますのは、実は昨年、令和2年に、名称改正した組織です。それまでは学校危機メンタルサポートセンターといっておりまして、いわゆる20年前の附属池田小学校事件によって、被害を受けられた遺族の方々、また心の傷を負われた方々へのメンタルケア、さらには学校安全の再構築を調査研究するためにつくられたセンターです。その学校危機メンタルサポートセンターのセンター長をやり、また、引き続き、現在、学校安全推進センター長を務めております。また、その学校危機メンタルサポートセンター長を併任する前に、ちょうど事件6年目から4年間、附属池田小学校の学校長を併任いたしまして、その間、附属池田小学校における事件後の安全教育・安全管理の再構築に携わってまいりました。そういった中で、新しい安全な学校づくりということで、大阪教育大学のほうで、セーフティプロモーションスクールという新しい認証制度を立ち上げて、現在、その普及活動に携わっているところでございます。
 
今回、先ほど事務局のほうから御紹介いただきました、御提案いただいた内容の中で、特に資料5-3の「取組状況を踏まえた検討課題(案)」の中で示されていたことに関わって、私の意見としては、まず、危機管理マニュアルの策定率というものが100%になっていないという課題もあるわけですが、同時に、今後、新たに文科省のほうから出されるかと思いますが、いわゆる危機管理マニュアルの見直しと改訂をどのように進めるのかということが重要になってくるんだろうと思っています。つくって終わりではなくて、それがどのように改善されていっているのかという、それは、まさに先ほどの小川先生の評価にもつながってくるのではないかと思うのですが、そういった視点での評価の在り方、危機管理マニュアルの評価の在り方が大切かと思っております。附属池田小学校では、毎年、危機管理マニュアルの見直しを行っていますが、なかなか、十分な評価ができておりませんので、より客観的で実効性のある評価を進めていきたいと思っております。
 
また、教員養成に関わりましては、やはり、最初にいわゆる中核教員の御説明がありましたが、その中で、管理職が入っている。その辺りを、やはり、管理職のリーダーシップの下に、いかに学校安全を担当する中核教員を養成するのかという形での今後の学校安全の推進にかかわる施策の在り方について、ぜひ議論に参加したいと考えております。私のほうからは以上でございます。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。それでは、𠮷門委員、お願いいたします。
 
【𠮷門委員】高知県蓮池小学校の校長になりました𠮷門と申します。私は、平成27年度から4年間、文部科学省で安全教育調査官をさせていただいて、その前後は高知県の教育委員会で安全担当をしておりました。現場の教員から県教委の安全担当をして、文部科学省を経て、また県教委、そして現場と戻ってきましたので、いろいろな立場から、学校安全を結構見てまいりました。
 
学校に帰ってみて、改めて思いますことは、国の施策や県教委の方針一校一校の学校に、一人一人の教職員まで浸透させるということは、本当に難しいことだなということを実感しております。今、一生懸命本校の学校安全を、どのように進めていくか検討しているところでございます。
 
今回の諮問の内容も先ほどお聞きしまして、第1次計画、第2次計画でもずっと言われてきていることではありますけれども、安全教育の質的向上ということと、学校安全を推進していくためには、中核となる教員の明確化と育成が重要だということは、ずっと言われてきているところであります。
 
これまでの10年間の取組の中で、文部科学省の委託事業でありますとか、様々な施策の中で、一定、安全教育というものが認知されてきているとは思いますけれども、一層推進していくために、最終的には子供たちにどのように安全に関する資質能力を身につけさせるのかということが非常に重要で、それをスローガンだけではなくて、何をどこまで指導をして、子供たちが何ができるようになればよいのかということの共通理解が図れるようにしていくことが重要だと考えています。このことを全国の津々浦々の学校まで浸透させるためには、一定の仕組みが必要で、国において仕組みがつくられ、それを具体的にすすめていくのが地方公共団体、さらには学校でしっかりと実践されるようになることだと思います。ぜひ、安全教育で、これから子供たちは何が身につけばよいのかということを、目指すべき資質能力をもう少し具体的なイメージが共有されるとよいと思います。この推進計画の中で、具体的にということではありませんけれども、そういうことが重要だ、安全教育の位置づけと具体的に何をするのかということを明確にしていくという方向性を、皆さんと共有できればいいなと思っております。それが1点目でございます。当然、それは検証ということが必要でありますので、小川委員の今おっしゃった評価ということと絡めて、評価・検証の方策ということも、非常に重要だと考えております。
 
2点目は、担い手の育成です。学校安全の中核となる教員は、第1次の推進計画から位置づけられ、ずっと言われてきているところですけれども、なかなかに浸透していないとすれば、やはりこれも、その中核となる教員の位置づけをもう少し明確化することが必要だと思います。推進計画の中に方針として書かれているだけではなくて、どういう役割を担うべきかということが認知され、それの実効性が高まるような仕組みが必要だと思っています。例としましては、東日本大震災の後に、宮城県において、主幹制度、主任制度というものができまして、そこでは、一定、人材育成が有効に働いているとお聞きしたこともあります。ほかの県でもそういう制度が始まっているとお聞きしていますので、そういったことを全国の学校でできるようになればよいと考えております。この2点について、私は主に課題意識を持っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。それでは、ここからは、今回初めて委員になっていただいた皆様から、御意見をいただきたいと思います。最初に、石井委員お願いいたします。
 
【石井委員】こんにちは。大分県由布市立東庄内小学校の校長をしております、石井知由美と申します。今回、初めてこの会に参加をさせていただきます。私は、これまで、8年間、教育行政に携わっておりました。最初の3年間は知事部局で、交通安全に、そして、3年間は学校安全全般に携わらせていただきました。学校に戻ってからは、校長としての危機管理、児童生徒への安全教育を行ってきております。学校現場として、この会議において、私の立場はどうなんだろうということを考えたときに、本当に一番、末端という言い方がいいかは分かりませんが、実際、実動部隊として、そこで何をやるのか、やれるのかというところからの御意見を申し上げられればいいのかなと思っています。
 
先ほど、𠮷門委員が言われましたが、国の施策、県の施策が、学校までどれぐらい行き届いているのかということが非常に課題があると、私も感じております。県の教育委員会にいた頃は、やってくださいという立場でした。それがどこまで届いているのか、学校現場に戻ったときに、やはり知らない教員が多いというところに、ある意味、ショックも感じましたし、どうすればよかったんだろうという反省もしたところであります。私は、現場の校長として、一つ思っていることが、教員の安全に対する意識を高めるには、どうすればよいのかというところが、今、課題であると思っています。大分県では、防災教育コーディネーターという制度が位置づいております。ただ、まだ始まったばかりですので、このコーディネーター自身が何をすればいいのか、どういうことが自分の役割なのかというところも、まだまだ、今、本当に試行錯誤をしながらやっているような状態であります。実際にこのコーディネーターが機能をすれば、かなりミドル・アップダウンというんですが、学校の中の組織が充実するなということは、実感としてあります。また、そういうところのお話を今後していけたらいいのかなと思っております。
 
現場としては、何をすればよいのか、どうすればいいのかというところが明確に分かるということが大事なのかなと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。大木委員、お願いいたします。
 
【大木委員】慶應義塾大学環境情報学部准教授の大木と申します。よろしくお願いいたします。今年度から初めて参加させていただきますので、少し自己紹介も兼ねたような形で、コメントをさせていただきたいと思います。私自身は、阪神・淡路大震災が1995年に起きたときに、ちょうど高校1年生で、それをきっかけに、地震学者になることを決めました。その後、東京大学の地震研究所で地震学の博士号を取って、今、専門を地震学、防災教育としています。地震学自体は、地面の中とずっとお話をしているような学問で、そこでの知見を人間や社会に翻訳して伝えるといった部分の人材育成が、まだまだ足りていないということで、そういった連携があれば、救えた命が幾つもあったんではないかというような思いから、今では防災教育を専門に進めています。
 
昨年末から内閣府に、防災教育について集中的に議論する委員会が立ち上がり、つい先日、それが内閣府から発表されました。そこでの詳細はまた、この委員会で御紹介する機会があるかと思いますが、そのときに挙げられた課題は、本日の資料5-3で挙げられている課題の中に、やはり含まれています。内閣府で議論されたことは、学校安全の中の災害安全についてだけですが、例えば、マニュアルや避難訓練が形骸化していて、例えば、地震学者から見たときのリアルの地震に、全くそぐわないことを延々とやっている点。あるいは、それが訓練としてふさわしくないものだということを通常期末試験のような感覚で確認することができない、確認するタイミングはまさに忘れた頃にやってくる災害のときで、もう時既に遅しであるという点。こういった課題は、先ほど挙げていただいた評価の話につながるかと思います。
 
また、人材育成の話と関わるかと思いますが、専門家になかなかリーチできない教育施設はたくさんあります。特に未就学児の施設に関しては、厚労省さんのほうにある保育園、保育施設などといったところは、幼い命で脆弱でありながら、自分たちが今やっている防災教育や訓練が正しいのかどうかも分からないというような状況です。そういったことが課題に挙げられて、その方策が議論されてきました。
 
私自身は、防災教育・環境教育・ICT教育などの○○教育が100以上ある中で、百何個目かに防災教育が足されて、現場がどうやってやればいいのかといった点や、正解があるといについて教えていくというような教育がずっとなされてきた我が国で、どうやって正解のない問いを扱っていったらいいのか苦悩している、といった現場の声を聞きながら、どうしたら防災教育に取り組めるか、防災教育をむしろやりたいと思っていただけるかといった研究を、東日本大震災以前からしていました。現段階では、防災教育というのは「防災の教育」ではなく「防災を通した教育」だというふうに捉えていただくことがいいと分かってきました。つまり、起きるか/起きないか分からない未来の地震や災害でマイナスになってしまうものを所詮ゼロにするための教育なのではなくて、今をプラスにするのが防災教育なんだ、防災教育を通して学級がこういうふうになった、学校はこういうふうになったというように、今をプラスにするのが防災教育です。防災を目的ではなくて、ツールにする、そういう心持ちを持ったところは、うまくいきますし、勝手に継続されていくということが、これまでの研究で、分かってきました。私は災害安全しか専門にしてこなかったのですが、こういったことを項目として整理していけば、評価基準にもなるし、先生方にとっても、ここが足りないんだなということが分かるんではないかなと思っています。それで、同じく命を預かる航空安全や医療安全がどういった指標を持っているのかということを、昨年度、集中的に研究をしてみました。そうしたところ、例えば操縦のスキルや手術のスキルなどといったテクニカルなスキル、災害安全でいうと、地震の知識を持っているなどといったテクニカルのスキルのほかに、状況認識、チーム、看護師の意見を聞いたとか、副操縦士の意見を聞いたなどといったチームとしてのコミュニケーション、これはノンテクニカルスキルと言いますが、この2つに分けて、事故を減らしてきているということがわかってきました。むしろ事故は、テクニカルスキルよりも、ノンテクニカルスキル、コミュニケーションが足りなかったなどといったことで起きていたのです。そういったことは、もしかしたら、災害安全だけでなくて、交通安全や生活安全などといったほうでも成り立ち、学校安全として統一した指標が作れるのではないでしょうか。学校安全とは具体的には何をさすのか、どういった項目で示されるものなのか、といったことを突き詰めていくことができるのではないかなというような期待感を持って、こちらの委員会で、また勉強させていただきたいと思っています。以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。次に、北村委員、お願いいたします。
 
【北村委員】初めまして、産業技術総合研究所の北村と申します。私も、今年、本当に初めて参加させていただいております。今の私の所属は、人工知能研究センターという名前のところに所属をしているんですけれども、バックグラウンドは、どちらかというと、人間工学などといったものを使いながら、いかに子供の事故を予防するかという研究を20年近くしております。範囲としては、本当に家庭内にいるような小さなお子さんから、学校環境で生活しているお子さんたちまでを含めて、どのように予防していくかという研究をしております。私自身は工学エンジニアの研究者なので、科学的な視点を持って、事故の課題を捉えるなどというときに、センサー技術を使うとか、データ分析技術を使うなどということをやりながら、科学的にやるというところを大事にしながらやっています。
 
そういう意味で、今回のこの議論の中でも、一つ、私としては、そういう科学的なデータに基づくとか、科学的な視点で、いかにこう進めていくのかというところを中心に、少しコメントをしたり、皆さんと議論をできるといいなと思っております。
 
そういう意味では、今日御説明いただいた資料で、一番初めに小川委員がおっしゃっていた点、私も同じように感じまして、御紹介いただいたこれまでの評価というのが、まさにそういうマニュアルをつくっていますかとか、策定率がどれぐらいですかというところまでは、今、かなり定着してきているということが分かってきた段階です。これが、やはりちゃんと活用されて、実質、意味がある、安全に対して寄与する状態で回っていないと、結局、意味がないということになるので、その部分の評価というのは、いかにしていくのかということが大事だなと感じました。
 
コロナの影響もあって、いろいろIT化とか、あとはこういうオンラインというものが、今、学校などでも、大分浸透してきていると思いますので、こういう今の時代に合ったマニュアルの運営の仕方や評価の仕方ができるんではないかなとも思っていますので、その辺りも、皆さんと一緒に議論ができるといいかなと思っております。
 
また、私は、そういった形で、個々の事故に関して、いろいろな技術を使って、原因を究明したりとか、予防策を考えたりということをやったりはしているんですけれども、そこで分かってきたことを、実際に現場で、小学校などに協力していただいて、お子さんたちと一緒に、子供の事故予防を考えようという教育のような活動も、同じ研究グループのメンバーとやっています。それをやっていて思ったことは、こういう事故予防をお子さん自身が考えるということは、今よく言われているアクティブ・ラーニングのような形で、自分たちの環境をいかに安全にしていくのかなど、あまりふだん気にしていなかったけれども、ここがこんなふうにされているということは、実は安全にするための対策がされていたから、このようになっていたんだなどという、子供たちが気づきというものも得られているなという感覚もありました。何回か繰り返していると、だんだん子供たちが、こんなところが危ないということに気づいたよなどということを、自分たちで自発的に気づくようになるということも経験をしています。そういった形で、先ほど大木委員がおっしゃったような形で、子供のこういう予防や、そういう安全な教育を、それ自身を目的といったものも、もちろん大事なんですけれども、そういう一つのツールとして、子供たちがいかに安全に対して、気をつけられるかとか、科学的な視点で考えられるかという能力を育成していくというところにも、実はつながる、非常に身近で、いいツールというか、課題です。そういう取組などもしていますので、もし機会があれば、そういうものも御紹介をして、議論の中で、できたらなと思っております。
 
私自身は、こういった形で、事故については、割とやってきたんですけれども、犯罪であるとか、防災などというほうは、あまり詳しくはないので、この機会に、皆さんのいろいろな情報を聞きながら、勉強をさせていただきたいと思っております。以上です。ありがとうございました。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。次に、木下委員にお願いいたします。
 
【木下委員】皆様、こんにちは。私は岡山教育事務所の木下と申します。よろしくお願いいたします。私は、3年間、知事部局に在籍し、県警察の出向者と一緒に、大阪教育大学の藤田先生に御指導いただきながら、子供の防犯対策に取り組んできました。その後、2年間、指導主事として、学校安全に取り組み、学校安全総合支援事業のモデル校では、学校と地域住民が一緒に、防災に関する危険箇所を点検しました。その際に、自治体が作成するハザードマップには記載されていないため池の危険性や、大雨が降ったら、水がすごく湧き出て、浸水しやすい場所などといった地域住民しか知らない情報を把握されていて、学校安全を考える際に、地域との連携というのは、すごく大事だなと感じました。
 
また、平成30年7月豪雨、西日本豪雨をきっかけに、災害は、いつでも、どこでも起こり得ると、比較的災害が少なかった岡山県の防災意識の転換点となりました。学校安全や学校防災の研修会というのは、県教委が一括して行うことが多かったんですけれども、各市町村の教育委員会で研修会を主催して、防災部局と連携するような形で実施するような必要性も感じて、実施いたしました。
 
現在は、岡山教育事務所の生涯学習課で、県教委が推進する子供たちの学びの原動力である夢を育む「夢育」というものに関して、幅広い地域住民の参画を得て、地域全体で子供の学びや成長を支える仕組みづくりの支援に携わっています。
 
今回は、学校と地域の連携の在り方について、子供の安全という視点で、委員の皆様の知見をいただきながら、少しでもお役に立てるように頑張りたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。時間が少し押しておりますので、皆さん、3分という形で、この後の委員の皆さん、よろしくお願いいたします。それでは、次は、木間委員、お願いします。
 
【木間委員】皆さん、こんにちは。私は葛飾区立柴又小学校で校長しております、木間東平といいます。よろしくお願いします。私は、小学校の現場でしか、教員時代からやってきておりませんので、行政のことは、あまりよく分かりません。実は、私は、現在、全国学校安全教育研究会に所属しておりまして、この研究会で、安全教育について研究させていただき、今はその会長をしております。この研究会についてお話しさせていただきますけれども、この全国学校安全教育研究会は、45年続く研究会で、毎年、東京都公立小学校を会場に、全国・東京都大会を開催し、安全教育の取組を全国に発信している研究会でございます。この大会には、文部科学省、日本スポーツ振興センター、日本交通安全教育普及協会、そして日本安全教育学会などから応援をいただき、文部科学省の安全教育調査官様からは、毎年、記念講演をいただいて、今、推進すべき安全教育の在り方について、御示唆をいただいております。𠮷門先生には、その当時、大変お世話になりました。ありがとうございました。また、この研究会の特色の一つとしては、毎年、その大会の会場校で、全学年学級が、安全教育の3領域の公開授業を行い、授業を通して、児童生徒の危険を予測し、回避する能力、他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育む授業の在り方を研究しています。本校、柴又小学校は、今年度、令和4年2月4日に、この研究大会を開催させていただき、中教審の安全部会の協議が、この大会の授業の中に少しでも生かせればなと思っております。
 
また、私が今、学校教育の分野で取り上げていきたいことは、情報モラル教育の一層の充実と考えております。今年度からGIGAスクール構想が進み、一人一台タブレット端末が渡され、もう既に2か月、タブレットを渡された学校において、この情報モラルに関する問題が起こっている学校も、私も、自分の勤める区内の学校で感じているところですので、このモラル教育の視点は、今回の部会協議の一つになるのかなと思っております。
 
また、大阪府池田小学校事件から20年、東日本大震災から10年がたって、学校の安全管理、組織的活動が、改めて問い直されているかなと思っております。そして、うちの現場もそうですけれども、若手教員の中には、もう池田小学校の事件すら知らないという教員がいるわけです。そういう中、教員養成段階で、今までの学校安全を脅かす重大事件から学ぶ、これからの安全教育の在り方をカリキュラムに盛り込んでいくことは、大変重要なことだなと考えております。学校現場においても、より実践的な避難訓練の在り方や、組織的取組が見直されていくべきだと考えております。
 
研究会の紹介とともに、今、安全教育で考えていることをお話しさせていただきました。1年間よろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。首藤委員、お願いいたします。
 
【首藤委員】社会安全研究所の首藤と申します。今回初めて、この部会に参加させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。私自身は、大学時代に心理学を勉強いたしまして、それ以来、事故や災害の防止、防災・減災ですとか、あるいは事故防止、安全対策の特に人的な要因、ヒューマンファクターズといいますけれども、そちらを中心に調査研究をしております。とはいっても、決して研究者ではございませんで、ずっと、民間のごく小さなコンサルタントの立場で、いろいろなことのお手伝いをさせていただいてまいりました。そういうわけですので、学校教育ですとか、そういった教育そのものについては、決して、専門的な知識を十分持ち合わせているわけではございませんので、その点については、この部会に参加しながら、皆様の御意見を伺って勉強させていただきたいと思っております。一方で、ヒューマンファクターズというのは、人がどのように行動したり、心理状態になったりするかということでございますので、主に学校安全の中では、特に安全管理ですとか、組織活動の面が、どちらかというと、比較的、私の専門に近いかなと思っております。もちろん、安全教育、子供さんたちに能力を身につけていただくということも大事ですけれども、それを行うに当たっても、その教育の場である学校が、いかに安全を確保した場であるかということは、とても大事だと思いますので、私はどちらかというと、安全管理ですとか、それを下支えする組織活動という観点から、何が大事なのかということを、見ていきたいなと思います。その点でいきますと、本日の資料5-3の例えば「取組状況を踏まえた検討課題(案)」ですけれども、1つ目の1ポツの中に2つ箇条書が書いてありますが、その2つ目などは大変気になります。例えば、「大規模な災害が頻発する中での防災教育の充実」と書かれておりますけれども、大規模な災害が頻発するのであれば、教育だけが問題なのではなくて、その中で、いかに災害管理、学校としての安全を確保するための管理をしていくかということも大切なのではないかと考えます。
 
皆様御存じのとおり、殊に大川小学校事故の判決が確定する中で、学校の教職員は、地域住民以上の能力を持つというふうなことも言われております。これが、現状、本当にそうであるかということは、大変恐縮ですが、私は甚だ疑問でございまして、一方で、多くの子供さんの大切な命を預かる立場の学校が、そうあってほしい、あるべきだということも、大変よく分かります。ですので、それを実現するために、どうしたらいいのか、組織体制ですとか、教職員の資質能力ですとか、あるいは教職員の養成の在り方ですとか、もしくは、ほかの場所で起こった事故や災害、さらに言えば、事故や災害に至らなかったヒヤリ・ハットの教訓をいかに生かして、次の再発防止につなげるかといった観点も、ぜひ盛り込んでいきたいなと考えております。不十分なところもあるかと思いますけれども、なるべく貢献できるように努めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。中井委員、お願いいたします。
 
【中井委員】大阪大学人間科学研究科の中井といいます。私は、先ほどの首藤様と同じで、もともと、事故防止というものを、心理学の観点から研究をしていました。もともと、交通事故の防止というものに、すごく関心があって、それを研究していたんですけれども、今は、それ以外の様々な負傷予防、特に子供のということで、遊具や体育用具の事故といったようなものについての調査・分析等々を行っております。また、安全教育プログラムみたいなものを、いろいろ心理学の理論に基づいて作成して、実践をして、その効果を見るということで、保健室へ行く児童の数が減るなどということをやっています。
 
ただ、やはり普及や展開というところで、今日、資料5-3にありました「指導時間の確保」など、この辺りがすごく課題かなと思っています。これは思いつきなんですけれども、昨年から始まったキャリア・パスポートというもので、どんな大人を目指すのかなどということが、学校でされていますけれども、今、特に様式がなくて、その中で、キャリアについて考えるというところで、ある意味、職業的なところかと思うんです。多分、命を守ること、安全に過ごすことというのは、人生というキャリアを通じての最大の課題ではないかなというところで、何か、今、特定の決まった様式があるわけではないようなキャリア・パスポートとか、あるいは、高等学校で入ってきている探求とか、もっと言うと、小学校のプログラミングなどといった安全教育とあえて言わないけれども、教育の中で、何か安全が学べるような仕掛けなどといったところを考えていくようなことで、徐々にというか、広く安全について、日常的に考えたり、話題にしたりするような子供たちや先生方というのをつくっていけるような仕掛けというものを考えていけたらいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。松本委員、お願いいたします。
 
【松本委員】中京大学スポーツ科学部におります松本と申します。私は、熱中症の予防という活動を、ここ10年ぐらいやってきておりまして、日本スポーツ協会、日本生気象学会、環境省熱中症保健マニュアル等の資料の作成にも関係させていただいております。そんなことで、今回初めてなんですが、この部会にお声をかけていただいたんだろうと思っております。私自身の背景をもう少し自己紹介させていただきますと、医学部を卒業して、内科医をスタートさせ、その後、医学部の生理学教室で、人の体温調節、発汗の研究などをやっておりました。近年、熱中症の予防、熱中症というものが、社会的にも大きな問題となってきたため、そこから、熱中症の予防という活動に関わるような機会が多くなってきました。
 
もう一つ、実は、3年前に豊田市で小学校1年生の男の子が、校外学習から学校に帰ってきた後に、熱中症で亡くなるという事故がありました。あの時の事故調査委員会のメンバーを務めさせていただきまして、学校の状況、どうやったら、あのとき、あの子を救えたのかななど、いろいろ考える機会を持ちました。そのとき、一つ考えましたことは、非常に暑い日で、それは学校も認識されていた。担当の先生たちも認識されていた。だけど、誰が判断して、今日やめましょうという決定をするのかという責任者が決められていなくて、どなたも決定できなかった。ガイドラインやマニュアルなどの中で、総論はいいんですが、誰がそれを、いつ、どこの時点で決めるのかということを明確にしておかないと、防げないんだなということを、あのとき、感じました。予防という立場で、私は活動していまして、豊田市内の小学校、中学校1校ずつに、運動場と体育館ともう一つ、屋根つきの広いスペースのある学校がありまして、そこのWBGTの実測をやっています。運動場に、そういった屋根があって、側面はオープンになっていて、風がよく通るような運動施設を造っていただくと、恐らく、今後も真夏の厳しい暑さの中でも、比較的安全に体育の授業、スポーツ活動が続けられるんでないかなという実証データを出したいなと思っております。簡単ですが、よろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。南川委員、お願いいたします。
 
【南川委員】岡山大学法務研究科の南川でございます。ロースクールで行政法を教えております。研究テーマは学校事故と国家賠償法で、学校事故の法的責任の在り方、教員の責任などについて研究しております。行政が策定する計画につきましては、これまでのところ、地域公共交通計画や空家対策計画といったまちづくりの計画に関わったり、そういう研究をしてきておりますので、学校分野の計画については、初めての経験になります。国家賠償法で学校事故を研究しているということもありまして、学校安全計画についても大変興味を持っております。法律研究者としての視点を持って、これからの議論に参加させていただきたいと思っております。
 
私自身、今現在、2人の子供を小学校に通わせております保護者でもありますし、また、私の妻は現役の小学校の教員もやっておりますので、そこで、このような様々な立場も踏まえまして、できるだけ学校事故の分配といいますと、利益がかなり対立するという状況になるんですけれども、できるだけバランスの取れた意見を出せればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。村山委員、お願いいたします。
 
【村山委員】千葉県教育庁教育総務課障害者雇用推進班の村山と申します。昨年度まで、千葉県立市原特別支援学校の教頭をしていました。また、教育事務所のほうで、特別支援教育担当として、特別支援学級・通級指導にも携わっておりましたので、特別支援学校、特別支援教育の視点から、意見を述べさせていただきたいと思います。
 
気になることを、簡単に3つ話させていただきます。1つ目は、第2次の文中のほうに「幼稚園や特別支援学校を含めた」という表現が多くありますが、あまり具体的に示されておりませんでしたので、幼稚園、特別支援学校は特に配慮する部分もあると思うので、具体的に少しでも示していただけると、教員の意識も高まると思いました。
 
2つ目は、第2次の取組状況の施策5「指導している教育活動の時間」のところです。特別支援学校は、「教科」での学習がほかに比べて非常に低いです。平成27年度は29%、平成30年度は35%にとどまっていました。反対に、「その他」のところで13.2%で、ほかより多くなっています。特別支援学校では、「自立活動」や「合わせた指導」という学習がありますが、どこで学習しているのかとが具体的に明確になると、先ほど話にありました評価にもつながるのではないかと思いました。
 
3つ目は、管理面です。検討課題に学校施設設備の老朽化対策がありましたが、東日本大震災では、特別支援学校は比較的立地がよく、津波の直接的な被害はなかったと記憶していますが、全国的には沿岸部にある特別支援学校が数多くありますので、老朽化対策等のところに、内陸部への移転等を含めた視点も踏まえていただけるとありがたいと思いました。以上、よろしくお願いいたします。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。山田委員、お願いいたします。
 
【山田委員】お世話になります。公益社団法人日本PTA全国協議会副会長をさせていただいています山田と申します。よろしくお願いいたします。今回、初めて参加となります。
 
【渡邉部会長】すみません。山田委員、もう少し大きい声にできますか。
 
【山田委員】このまま続けても大丈夫ですか。
 
【渡邉部会長】すみません、この後に順番を変えていただいて、その間に調整をさせていただきます。山田委員は、後で、また、お話しいただくとして、先に渡部佳代子委員のほうからお願いしたいと思います。
 
【渡部委員】江東区立第五砂町幼稚園園長の渡部と申します。よろしくお願いいたします。先ほど木間先生から御紹介のあった全国学校安全教育研究会のほうに所属させていただいております。私もずっと幼稚園の現場で仕事をしておりますので、幼稚園でのことを中心にお話しさせていただくことになると思うんですけれども、委員の皆様から様々な御意見を伺いながら、自分自身にも生かせることを、そして幼稚園の中でどうすればいいかということも、しっかり考えていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
資料5-3の検討課題の中で、特に私自身が課題だなと思っていることが2点ありまして、1点は、家庭、地域、専門性を持った関係機関との連携の具体性ということ、2点目が、教員養成、教員研修の在り方です。
 
1点目のことについては、幼稚園では、やはり、子供たちが安全意識を持てるようにというところで、安全指導、避難訓練をしっかり行っているんですけれども、子供だけでは難しいものが多々ありますので、地域の力が必要になったりとか、保護者の力を借りたりというところが多くなってきますので、この辺りをしっかり考えていければなと思っております。
 
もう1点の教員の養成・研修についても、やはり、教員がどう動くかというところが、安全指導については、とても大事というところになってきますが、まだまだ、防災に関する研修の機会が多いとは言えない状況にあるなと、現場では思っております。ですので、しっかりとした研修の体系ができたりとか、そのキャリアに応じた研修というところができるということになっていくと、また、子供たちにも生かせるというところがあると思いますので、その辺をしっかり考えていければと思っております。以上です。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。それでは、渡辺弘司委員、お願いいたします。
 
【渡辺委員】日本学校保健会の評議員で、日本医師会の常任理事をしております渡辺弘司といいます。私は学校医を25年間、医療安全に関して8年間、医師会で携わってきましたので、その視点で、意見を述べますので、皆様の御意見とちょっと違うことを言うかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。
 
そういった視点で、まず、思いましたことは、学校医が学校安全計画の構築に携わっていないなということです。その環境を整備していきたいと思います。
 
また、事務局が出された資料に関して、学校安全計画が100%の学校が設置されないといけないような感じで、お話をされるんですけど、先ほど、小川委員もおっしゃいましたが、どのような内容の計画を策定されているかという、まず、質の課題。職員間で周知されているかという情報共有と理解が大切です。定期的に見直されているかという検証、さらに効果的なものであるかどうかという、評価も確認する必要があると私も思います。
 
私ども医療機関における医療安全という分野がございますが、マニュアルをつくること、単にマニュアルを守ることのみが目的となって、なぜそのマニュアルが必要かということを忘れてしまう医療機関が多々あります。マニュアルの存在を知らない職員もございます。学校においても同様で、学校安全計画は、先ほどおっしゃったと思いますが、つくることが目的ではなくて、その意義を理解して、必要なときに遵守できる体制を整備していることが大事だと思います。
 
資料の中に書かれている地域との連携、学校保健委員会の開催の際に、PTAだけでなく、民生委員の参加を求めるということが重要かなと、実際的に感じております。実際に学校で学校保健安全委員会を開いたときでも、やはり民生委員が来られて、学校との連携を日頃から取っておくということが大変重要ではないかと、現場で感じた次第であります。
 
これはちょっとまた観点が違うんですけど、これまでの学校安全計画を読ませていただくと、ヒューマンファクターズの権威であると言われているホルナゲル氏が呼ぶところのSafety-1に近い考え方だと思うんです。
 
Safety-1というのは、もう御存じの方もおられると思いますけれども、望ましくない事象、つまり、事故や不具合、ニアミスの数をできるだけ少なくすること、定められたことどおりに物事が動く、働くことを目指す。つまり、再発予防さえしておけば、事故は起きないという考え方に近いものでございます。
 
確かに学校における安全管理の多くは、この考えで対応できるように思いますが、東日本大震災のように、想定外と思われるような対応に対しては、このような計画内容だけでは、十分とは言えないわけです。また、新たに生じた事象の対応を加えていけば、マニュアルはどんどん膨れるだけで、遵守するほうも、負担が増えるということになります。さらに、子供の安全に対する対応能力を育てるということを考えますと、これまでの対応だけでは、不十分だと思います。つまり、子供は学校安全のみに習熟する必要はなくて、自分で自分を守る能力を持つことが大事ではないかと感じるわけです。この視点から、先ほど申し上げたホルナゲル氏が提唱するSafety-2という概念を、学校安全に取り込む必要があるのではないかと私は思っております。
 
Safety-2というのは、状況の変化の中で、物事ができる限りうまくいくこと、想定された状況のみならず、想定外の状況でもうまくできることを目指すとされております。不確定要素の多い医療現場では、実は、早くからこの概念が導入されております。また、東日本大震災後にも、想定外のことが生じた場合の対応力の強化、そして、このSafety-2の概念を導入することが推奨されています。
 
Safety-2の概念を実現する方法論は、レジリエンスエンジニアリングと言えます。これまで生じた事故に対する再発防止を行うというSafety-1は非常に重要ということは、私も認識しておりますが、それだけでは完全に事故は防げませんし、想定外の対応には適していないことになります。想定外のことが生じた場合にも、柔軟な対応を行うということを考えれば、ぜひこれまでのようなSafety-1の対応以外に、Safety-2の概念を学校安全計画に組み入れていただければよろしいんではないかなと思います。
 
最後に、簡単に私の希望だけを言うと、子供の教育を考えた場合に、健康教育と学校安全は、あまり明確に分けないほうがいいかなと思うんです。これは、教育委員会というか、文科省の方は分けてしまったんですけれども、例えば、疾病防止やがんの教育の予防などということを考えた場合には、やはり健康教育と学校安全は、できればちょっと連携していただければ、ありがたいかなと思います。以上でございます。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。それでは、山田委員、再度お願いいたします。
 
【山田委員】聞こえますでしょうか。再度、すみません。公益社団法人日本PTA全国協議会の副会長をしております山田と申します。今回初めて、参加させていただきます。
 
全国の都道府県や政令指定都市の64の協議会が所属しています。約800万人の会員を擁しております。こちらの団体で、副会長をしているんですけれども、保護者の1人として、家庭、学校、地域の皆さんと連携・協働です。先ほど、5番の「家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進」とありましたけれども、一応、保護者として、せっかく800万人の保護者とつながっていますので、こちらで決める内容等も、ぜひ、PTAを通じて、子供たちに届けることができるように、参加させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。それでは、最後に、私のほうから、一言、申し上げたいと思います。
 
実は、昨日のことですが、スクール・レジリエンスということに関する論文をいくつか見ていました。スクール・レジリエンスという言葉は、近年、しばしば目にすることが多くなっている用語なのですけれども、事件や事故、災害に強い学校づくりをするということを表す用語になっています。その目標というのは、やはり、児童生徒や教職員の命を守り、教育継続を保障するということが目的になっているわけですけれども、数年前から関心を持って、BCP、事業継続を、学校の中でどう取り組んでいくかということに関心を持って、昨年、私もBCPの本を書いたりしました。ただ、強い学校といっても、例えば地震に強い、耐震化ということだけではなくて、あらゆるいろいろなこと、学校が目の前に起こる様々なことを乗り越えていく、そういう強い学校という意味合いで使っております。それを見ていきますと、やはり、そういう強い学校、スクール・レジリエンスを支える要素がいろいろあります。それは、従来言われているような、例えば施設の管理であるとか、教育ということにとどまらず、例えば、インフラを整備していく、法制度であったり、そして、今回もいろいろ話題になりましたけど、人材育成です。そういうようなことまでも、非常に多岐にわたって、項目が挙がっていました。また、私が読んだ論文の研究の中には、ヨーロッパ、南米、中東、様々な国の人たちが参加しているというものもありました。今回の部会でも、様々な話題が挙がると思いますけれども、従来のものをもちろん見直して、課題を解決していくとともに、やはり、現状のこの枠にとどまらず、皆様の御専門を生かしていただいて、広い視野で、学校安全の取組を見直していければいいかなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 
皆さんの御協力の下、予定どおり進行ができました。ありがとうございました。それでは、最後に、次回以降の予定について、事務局からお願いいたします。
 
【朝倉安全教育推進室長】次回以降の日程について御説明させていただきます。資料6を御覧ください。本日、第1回目ということで、5月27日でございますが、第2回につきましては、6月23日水曜日、10時から12時を予定しております。このときの議題につきましては、安全教育、特に防災教育の充実等について、議題とさせていただきたいと思います。
 
第3回、4回、5回につきましては、それぞれ7月、8月、9月ということで、各月に1回程度を予定しております。第3回以降の議題、日程につきましては、現在、調整中でございます。その後、10月から翌年1月について、月1回程度、4回程度ということでございますので、月1回程度を開催できればと思っております。12月には部会としての取りまとめ、令和4年1月には中教審の答申という形にさせていただきまして、令和4年3月までに、パブリックコメントを経て、第3次計画の閣議決定ということで進めていければと思っています。下の米印になりますが、こちらについては、今後の日程調整によりまして、変更される可能性がありますということを付け加えさせていただきます。以上でございます。
 
【渡邉部会長】ありがとうございました。ただいま御説明いただいた日程について、何か御質問等はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本日予定した議事は全て終了いたしました。
 
オンラインでの会議ということで、いろいろ行き届かないところもありましたけれども、今後もどうぞよろしくお願いいたします。これで閉会いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)