学校安全部会(第8回)議事録

1.日時

令和3年11月26日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申素案)
  2. その他

4.議事録

【渡邉(正)部会長】定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会学校安全部会第8回会議を開催いたします。
本日の会議は、報道関係者並びに一般傍聴者の傍聴を許可します。オンライン配信で傍聴いただいている方々には、傍聴登録者以外への当会議の配信URLを転送することや、他への放送は固くお断りしていますので、よろしくお願いいたします。それでは、事務局から資料の確認をお願いします。

【朝倉安全教育推進室長】お手元に資料を準備願います。会議資料は議事次第のとおりでございまして、資料1から資料3まで、参考資料は1から3までございます。お手元に御用意いただきますようお願いします。
本日は、嵯峨委員、渡部佳代子委員を除く16名の御出席をいただいて、定足数を満たしております。
事務局からは、主任教育企画調整官、小松悌厚、男女共同参画共生社会学習・安全課長、石塚哲朗ほか、関係室長、課長補佐等が出席しております。

【渡邉(正)部会長】それでは、議事1に入ります。「第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申素案)」について、文部科学省から御説明をお願いします。

【中村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】総合教育政策局安全教育推進室室長補佐を務めております中村でございます。皆様のお手元の資料1-1、資料1-2に基づきまして御説明をさせていただきたく存じます。よろしくお願いいたします。
まず資料1-1ですが、「第3次学校安全の推進に関する計画について」(答申素案)のポイント(案)ということでお示しをさせていただいております。こちらに挙げておりますのが、資料1-2のポイントになると考えられる部分を抜粋したものとなっております。
この資料1-1では、大きな構成として、まず第1章として総論を置くこと、そして大きな構成の第2章として学校安全を推進するための方策を書いていくという2章立てになっているところを御覧いただきたいと思います。
このポイントに挙げた具体的な内容は、資料1-2を追いながら御説明していきたいと思いますので、皆様のお手元には資料1-2を御用意いただければと思います。
資料1-2のこの答申素案の位置づけについてでございますが、学校保健安全法の第3条に基づいて、国は、各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するため、学校安全の推進に関する計画の策定その他所要の措置を講ずるものとされております。
これまで、第1回から第7回まで、委員の皆様からいただいた御意見や審議の内容から、今回の答申として、どういった内容を打ち出していくのかというところの中身、そして答申素案の構成について本日は御議論いただきたいと考えているものですので、まだこれが途中段階のものということで御理解いただければと考えております。
目次を御覧ください。目次の構成の「はじめに」の部分は、これまで第1次、第2次の計画にも含まれておりましたが、今回の答申素案の時点では、内容として含めておりません。
第1章の総論は、これまでの取組と課題について記載をした上で、基本的な方向性を示すという構成にしております。
第2章につきましては、学校安全の活動としては、主要な活動が、まず安全教育、そして安全管理、それらをつなぐ組織活動という3つの主要な活動がございますけれども、今回の第3次計画では、安全教育や安全管理を進めるための校内組織や学校外との組織体制の構築というところを上に出すような形で、2章の1ポツと2ポツが校内体制と校外との連携・協働、そして3ポツが安全教育、4ポツが安全管理、5ポツがその他、横断的な事項を記載するということで、構成を考えております。
ページをおめくりください。まず総論部分です。学校安全の活動の3領域についての記述と組織活動、安全教育、安全管理、この3つの主要な活動について記載をしております。
3段落目からは、学校保健法の一部改正による学校保健安全法の成立から、第1次計画の計画期間中の取組、そして第2次計画の計画期間中の取組について振り返る記載を入れております。次のページ、上から6行目、「一方」で始まる段落のとおり、「第3次学校安全の推進に関する計画」の策定に向けた課題を記載しております。様々な計画やマニュアルが整備されつつも、必ずしも実効的な取組に結びついていないこと、地域、学校設置者、学校、教職員の学校安全の取組内容や意識に差があること、東日本大震災の記憶を風化させることなく今後発生が懸念される大規模災害に備えた実践的な防災教育を全国的に進めていく必要があること、学校安全の中核となる教職員の位置づけ及び研修の充実について学校現場の実態が追いついていないこと、様々なデータや研究成果が学校現場で実際に活用されていないこと、計画自体のフォローアップが不十分なため十分に進捗が図られていない事項があることなど、こういった課題がこれまでの審議で指摘されてきたのではないかと考えております。
その下ですけれども、これまで各学校において学校安全計画と危機管理マニュアルが作成され、それに基づく取組の蓄積を踏まえて、第3次計画の計画期間においては、学校管理下における児童生徒の死亡事故の発生件数について限りなくゼロとするということと、負傷・疾病の発生率については障害や重度の負傷を伴う事故を中心に減少させることを目指すということを掲げたいと考えております。このため、学校及び学校設置者において取組がより実効的なものとなるよう、学校安全計画・危機管理マニュアルを見直すサイクルの構築を全国的に推進すること、そして必要な取組を実効的に進めるための国の施策の充実、計画における主要な指標の設定や進捗管理の改善に取り組まなければならないということで、第3次計画の方向性を出していきたいと考えております。
その下の「また」以下の部分については、前回第7回で小川委員からも御意見をいただいていたところだと思いますけれども、学校内部の努力だけではなかなか解決できない学校安全の課題があるということを御指摘をいただいておりまして、社会や地域に対するメッセージの発信が必要なのではないかといった御意見もいただいておりました。
4ページ目の後半、「しかしながら」以降ですけれども、児童生徒の通学時に発生する事故・事件など、学校の教職員の努力だけでは防止できない事案も発生しているということから、様々な学校安全の各領域に関わる多様な主体と学校の協働を継続的に進めていかなければならないということを、5ページにかけて記載をしております。
続いて総論の2番、基本的な方向性です。これらを踏まえて、第3次計画期間において取り組むべき施策の基本的な方向性としては、現在6つを列挙しておりますが、この辺りについても、ぜひ御意見をいただければと思います。
1つ目は、先ほどもございました、学校安全計画や危機管理マニュアルを見直すサイクルを構築して、学校安全の実効性を高めること。2つ目は、地域の多様な主体と密接に連携・協働して安全対策を推進すること。3点目は、全ての学校における実践的・実効的な安全教育を推進すること。4点目は、地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育を実施すること。5点目は、事故情報などデータを活用し学校安全を「見える化」すること。6点目は、学校安全に関する意識の向上を図るということです。
ここから先の第2章は、具体的な方策について記載をしていく部分になります。
まず1ポツ、学校安全に関する組織的取組の推進の中で、(1)としては、学校経営における学校安全の明確な位置づけということで記載をしております。
学校安全に関わる活動を校内全体として行うためには、安全教育・安全管理を担当する教職員にその重要性や進め方が共通理解されていることが大切であり、何よりも校長のリーダーシップの下で、学校安全計画に基づく学校全体としての活動や役割分担が整えられている環境をつくらなければ、実効的な取組を進めることは困難でございます。
このため、各学校においては、校長が学校安全を学校経営に明確に位置づけて、学校安全計画に基づく組織的・計画的な活動を進める環境が整えられるように、必要な校内体制を設置したり、役割分担に基づく対応が共通理解されるような校内体制を設けるとしていまして、主要指標としては2点を挙げてございます。
続いて(2)は、学校安全計画に基づく実践的な取組内容の充実と書かせていただいております。
これは6ページ目をおめくりください。第1次計画及び第2次計画においても、学校安全計画を実施するに当たっては、その内容や手段、学校内の取組が適切であったかなど定期的に取組状況を振り返り、点検して、次の対策につなげていくことが重要ということを指摘されてまいりました。
第3次計画期間においては、セーフティプロモーションスクールの考え方も参考として、学校安全計画自体の見直しを含めたPDCAサイクルの確立を目指すと記載をしております。国は、各学校の学校安全計画の内容に関して学校設置者が定期的に点検・指導し、改善を加えるPDCAサイクルを確立することができるよう、好事例等を収集・発信すると書かせていただいておりますが、これは、学校安全計画に基づく取組を各学校が年間で振り返るだけではなく、安全計画自体に足りないところがあるような場合には、外部の目を入れるというようなことを意識した記載でございます。
続いて3点目は、危機管理マニュアルに基づく取組内容の充実でございます。
危機管理マニュアルの作成後、学校を取り巻く状況の変化を踏まえて、自治体の担当部局等の協力を得ながら、学校で実施した訓練、また国内外で発生した事故・災害事例の教訓、先進的な取組事例などを基に、常に実践的なものとなるように改善を行う必要性を書いた上で、国の取組として、学校が作成した危機管理マニュアルが、「危機管理マニュアル」等の評価・見直しガイドライン等を活用して見直しを学校と学校設置者に対して求めていくこと、また外部の有識者等の知見を加えて見直しを行う都道府県・政令指定都市単位の取組を支援するとしております。また、国は、その見直しのチェックのポイントや評価のポイントを示すガイドラインを適時更新するということにさせていただいております。
この点については、主要指標の数も何点か多く記載をしておりますけれども、具体的に想定される災害や実践的な対応に結びつけるためには、危機管理マニュアルの見直しについて、主要指標を取っていく必要があると考えております。
4点目は、学校における人的体制の整備についてです。
学校において、学校安全計画を立案し、実行していくためには、校務分掌において学校安全に係る業務が位置づけられるとともに、それを担当する教職員が明確にされていることは不可欠でございますが、学校現場の実情として、担当となった教員が学校安全に関する知識や経験に乏しかったり、学校安全に関わる幅広い活動の総括や教科等横断的な安全教育の実施を牽引することが困難な場合も想定されます。
このため、学校安全の中核を担う教職員の位置づけを明確化すること、学校安全の中核を担う教職員に対する講習会の開催等により、学校安全に関わる意識・能力の向上や各学校等の実践活動に生かす、こういった取組が各地で行われているということも踏まえまして、各学校における安全計画の内容やそれに基づく取組の実効性を高める取組を全国的に推進する必要がございます。
国の取組として、学校設置者等と連携を図り、各学校における学校安全の中核を担う教職員の位置づけや学校安全の中核を担う教職員対象の研修に関する実態を把握し、その中核を担う教職員の位置づけの明確化、そしてオンラインを取り入れた効果的な研修の充実について、必要な取組を強化するとしております。
(5)については、校長・教職員の研修、訓練の充実について記載をしております。これは審議会のこれまでの中でも多く意見をいただいていたところでございますけれども、まずは校長先生の役割が大きいということ、また学校安全の中核を担う教職員に対する研修も必要だということで、この校長対象、そして中核を担う教職員に対する対象の研修について、一層の充実を図らなければならないということを記載しております。
国は、教職員支援機構や各都道府県等と連携をしながら、これらの方に対する学校安全に関する研修の充実を図ること、また「教職員のための学校安全e-ラーニング」を文部科学省としては作成しておりますが、適時更新していくこと。
そして、こういった校内研修については、学校安全計画の中に位置づけて実施するということを、校長や学校設置者に対して行うこととして記載をしております。
続きまして(6)番は、教員養成における学校安全の学修の充実でございます。
教員養成段階において、リスク・マネジメントを含む学校安全について、子供たちや教職員の生命・心身を脅かす事故・災害等にふだんから備えて、様々な場面に対応できる危機管理の知識や視点を備えた人材育成が求められております。一方、大学等の教員養成機関では、学校安全の3領域全てを深く理解するための十分な学修が確保されていない点が懸念をされております。
教員養成段階において、学校安全の3領域を全て取り扱う中で、扱う内容について例示をした上で、国は、大学等の教員養成機関に対して、学校安全に関する学修内容を充実するように促す。例えば、カリキュラム・マネジメントに関する学修科目で学校安全を取り扱うことや、全ての学生に応急救命措置の知識をつけさせるための実習を、教育の基礎的理解に関する科目以外の科目であっても外部講師を招いて実施するなど、教育課程の内外を通じて学校安全の学修の充実を推進するということを記載しております。
ここまでは、校内の組織や教育研修、そして教員養成に関する内容でございます。
2ポツが家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進とさせていただいておりますが、まずは(1)番は家庭、地域との連携・協働の推進でございます。
これは、これまでも地域学校安全委員会や学校警察連絡協議会等の設置・活用によった日常的な関係者との情報共有、意見交換はされているところでございますし、コミュニティ・スクール等の仕組みを活用した、学校安全の観点を組み入れた学校運営、そして地域ぐるみでの防犯・交通安全・防災等の取組が行われてきております。引き続き必要であるということを記載した上で、国は、コミュニティ・スクール等の仕組みを活用した地域協働による防災教育の充実が図られるよう、防災に関する知識・経験を有する地域人材の育成を支援すること、また、学校安全の専門的な知見をさらに活用することを推進するために、地域の大学等の研究機関や専門機関と連携した、外部専門家の活用に関するモデル的な取組を支援すると記載をしております。
続いて、関係機関との連携による安全対策の推進でございますが、まず1つ目は通学時の安全でございます。
通学時の安全については、交通安全の観点に加え、生活安全や災害安全の観点からの対策が必要でございますが、昨今の通学時の交通事故の発生も受けまして、通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進について、関係省庁が連携した取組、そして市区町村別に行われております通学路交通安全プログラムに基づく対策をより一層推進するということを記載をしております。
また、その他、国における具体的な取組や登下校防犯プランなど、防犯の観点からの通学時の安全についても記載を追記したいと考えております。
マル2の防犯でございますけれども、近年増加傾向にあるSNSに起因する児童生徒等への被害への対策、また性被害対策、これは通学時の痴漢対策などを含むものとして考えておりますけれども、関係省庁における取組を推進し、また関係省庁、関係団体も相互に連携した効果的な取組の推進を図るとしております。
続いて3点目は、学校における安全教育についてでございます。
こちらは大きく4点挙げておりますが、1点目が安全教育に係る時間の確保でございます。
安全教育に関する時間の確保がなかなか難しいということについては、これまでの審議の中でも御意見をいただいていたところでございますけれども、ページを10ページにおめくりいただきまして、各学校におけるカリキュラム・マネジメントを推進する一環として、学校安全計画に安全教育を取り扱う時間を位置づけ、年間の指導時間の確保に取り組むことを推進するとしております。学校安全計画の位置づけや定期的な見直しに関連する内容として記載をしております。
そして、「特に」として、教育課程編成を柔軟に行いやすい幼稚園等において安全教育を推進することは、保護者の意識を高める観点からも重要であることから、幼児期からの発達段階に応じた安全教育の取組の充実を図るということと、国の役割としての取組の好事例等を収集、情報発信を実施することを記載しております。
(2)は、地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育の充実でございます。
東日本大震災から10年余りが経過し、震災の記憶が風化して取組の優先順位が低下することも危惧されております。日本国内は、いかなる場所においても大きな地震が起き得るものであり、学校の所在地にかかわらず備えを進める必要がありますし、また南海トラフ地震など今後広域的な被害が想定される大規模災害、水害、火山災害など、地域の災害リスクを踏まえた事前防災体制の推進強化は喫緊の課題として求められております。
また、その下の段落で、地域に密着して「共助」の役割を担っている消防団や自主防災組織の活動と、学校における防災教育を関連づけることや、防災・減災に専門性を持つ大学・NPO等が学校における避難訓練をはじめとする防災教育に参画するなど、地域の実情に応じた防災教育を進めることも重要でございます。
そして、避難訓練については、児童生徒等が様々な場所にいる場合にも自らの判断で安全に対処できる。
失礼いたしました。今、説明の途中でございますが、委員の皆様にお送りしている資料について、資料のページ数が抜けている部分があるということで御指摘をいただいておりました。大変失礼いたしました。審議会の最中でございますが、資料について事務局からメール送信させていただきます。
それでは、実践的な防災教育の充実についてでございますが、児童生徒が様々な場所にいる場合にも自らの判断で安全に対処できる力を身につけさせるような、より実効性のある訓練になるよう見直しを図る必要があること。
そして、防災分野におけるデジタルの活用も進んでおります。これまで以上に専門機関の知見を活用した防災教育を進められる可能性について記載をした上で、国の取組として、まず防災教育の手引、全国全ての学校で地域の災害リスクや正常性バイアス等の必要な知識を教える実践的な防災教育や実践的な避難訓練を実施できるような手引を作成すること、また、幼児向けの防災教育の教材を作成し、幼児期からの防災教育の充実を図ること、専門機関の保有する知見を学校現場で活用しやすい教材として作成し、その普及を図ることを記載しております。
また、実践的な避難訓練の実施状況をはじめとする全国の学校の防災教育に関する実施内容を定期的かつ具体的に調査し、主要な指標を設定して、その状況を公表するとしております。
そして、地方公共団体は、教育委員会や学校と連携しながら、児童生徒等が将来の地域防災力の担い手となるよう、消防団員や自主防災組織員等による講演や体験学習、防災訓練等の防災教育を推進するとしております。
ここで、赤字の部分ですけれども、仮に実践的な防災教育を行っていますかというような少し抽象的な調査のかけ方では、実践的な防災教育をしているとか、していないというような答え方になってしまいまして、現実的に学校現場の取組が進んでいるのかどうか、なかなか判断し難いところが出てくると思います。実践的な防災教育が実施されているかどうかを取っていくために、どういった項目を押さえていく必要があるのか、今後の調査の見直しにも関わるところでございますので、様々な災害リスク別ということもあろうかと思いますし、こういった指標を取っていくことで、実践的な防災教育を進んでいるか、また進めなければならないのだというところを意識していただくようにするためには、どのような指標が考えられるかというところについて御意見を頂戴したいと考えております。
(3)は、学校における教育手法の改善でございます。
これまでの審議の中でも、安全教育として身につけさせたい資質・能力に関することや主体的に行動する態度の育成の重要性を、御意見をいただいておりました。そういった育成したい資質・能力を高めるための教育手法の開発・普及を行うためのモデル的な取組の支援や、また最後の部分ですけれども、安全教育に関する効果の検証、安全教育の評価の在り方について検討を進めるということを記載させていただいております。
また、赤字で記載しておりますが、学校現場に普及が図られているICT端末、またICT環境を活用した安全教育や、デジタル技術を活用した防災教育について追記をしたいと考えております。
(4)の現代的課題への対応でございますが、2段落目、学校安全の3領域に関する従来の学習内容に加えて、児童生徒等が被害に遭うSNSに起因する犯罪や、犯罪性・性暴力への対策については、現代的な課題として、安全教育の中で柔軟に扱うことも重要であるとしております。政府が取り組む性犯罪・性暴力対策の強化に関する取組もございますし、教育職員等による児童生徒性暴力の防止に関する法律の制定など動きもございましたが、次のページをお願いします。児童生徒が生命を大切にするとともに性被害・性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないための「生命の安全教育」の一層の推進を図ることとされております。
こうした現代的課題への対応に関する指導内容、指導計画については、各学校において、関連する教科等における指導内容との関連を意識しながら学校安全計画に位置づけ、児童生徒等に必要な知識等を身につけさせるというように記載をしております。
続きまして、学校における安全管理につきましては、安全点検と施設・設備の安全性の確保のための整備の(1)、(2)、そして(3)に学校における安全文化の醸成と、(4)に事故等の検証と再発防止等という4点を掲げております。
まず安全点検につきましては、学校設置者による対策の必要性としておりますけれども、施設・設備の点検について、教職員による日常的な点検だけでは専門的な視点からの判断は困難である。そのことから学校設置者は、首長部局との連携や民間のノウハウの活用などにより点検の強化に努めるとしておりますが、こちらは学校の教職員のみの日常的な安全点検以外の部分について記載をしたいと考えているところでございます。
マル2の安全点検に関する手法の改善については、こちらは日常的な点検の中でも、こういった評価基準、こういった点について確認をしていくというような標準化が必要ではないかといった御意見もいただいておりましたが、安全点検の手法の改善について、どのような取組を行うべきかということで、御意見を頂戴したい部分でございます。
(2)の施設及び設備の安全性の確保のための整備については、まずポイントとしては、2段落目から始まります老朽化対策が喫緊の課題であり、長寿命化改修を中心とした計画的な整備を図ることの必要性でございます。
そして次のページになりますけれども、つり天井以外の非構造部材の耐震対策を進めていくという、その推進の方向性でございます。私立学校についても同様でございます。
そして、さらに水害対策の必要性でございます。そして災害時において、地域住民の避難所としての役割も担う学校の職員室、特別教室や体育館の空調、洋式トイレ、バリアフリー化、自家発電設備等の防災機能の整備の推進について記載をしてございます。
そして最後に、学校設置者における技術的ノウハウの不足の課題も抱えていることから、首長部局との連携による体制強化、民間のノウハウ活用による整備の事例・手法の蓄積と発信について記載をしております。
(3)、学校事故の予防のための学校における安全文化の醸成でございます。
過去に発生した事件・事故、災害を教訓とした、類似の事故の再発防止が重要であることは言うまでもありませんが、それを他の事例から学んで未然に防ごうとする関係者の意識や具体的な行動が伴わなければならないということから、学校設置者そして学校管理職が、学校管理下におけるヒヤリハットの事例を次の活動に生かすために情報共有することや、他校の事例が自校でも起き得るということを想定した校内研修を進める機会をつくり、未然に防ぐように努めることで、ヒヤリハットを取り扱っていくということについて、第3次計画に記載をしたいと考えております。国は、学校設置者や学校が安全計画や危機管理マニュアルの見直しをする際に必要な指導資料の作成・普及に努めるとしております。
(4)番は、事故等の検証と再発防止等についてでございます。
国が作成した「学校事故対応に関する指針」、それに基づく再発防止や発生後の対応の指針に基づく対応が進められてきたところではございますが、次のページになりますけれども、「しかしながら」というところですが、この事故対応指針の作成当初に想定していた取組が進んでいない状況にございます。
このため、事故対応指針に沿った児童生徒の死亡事故等の発生に関する国への報告については引き続き徹底を求めるとともに、学校管理下において発生した事故等の検証や再発防止に関する実効性を高めるため、事故対応指針の内容の改訂やその他必要な措置について、早期に検討を開始するとしております。
そして5ポツ、その他、横断的な事項としては4点を掲げております。
まず1点目は学校安全の「見える化」としておりますが、日本スポーツ振興センターに災害共済給付に関する数多くのデータが蓄積されております。これらのデータ等を活用して、学校に対する定期的な情報発信の強化と、事故情報を共有することによって学校安全の「見える化」を図ること。
そして(2)は、データの活用という意味では関連もございますけれども、AIやデジタル技術を活用した、科学的アプローチによる事故予防に関する取組を推進すること。
(3)については、学校安全を意識する機会の設定の推進として、既に各地で行われている取組もございますけれども、学校安全の意識を高めるための毎月の学校における「学校安全の日」の設定や、安全に関わる週間、日など、そういった機会を捉えて、教職員や地域社会とともに学校安全の推進を意識化する取組を推進すること、そして学校安全に関する情報発信を国としても毎年、定期的・継続的に行うとしております。
最後に、学校安全に関する施策のフォローアップとして、第3次計画に基づく取組状況についてフォローアップを行うとともに、計画期間中における成果や課題、情勢の変化等を踏まえ、必要に応じて計画の見直しを行うとしております。
中央教育審議会の安全部会の中でも、過去の取組を振り返る審議の機会となりましたけれども、こういった中央教育審議会の部会の定期的な開催ということも考えられるのではないかと考えております。
資料の2は、これまでの委員の皆様からいただいた主な御意見を記載した資料でございます。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

【渡邉(正)部会長】ありがとうございました。本日御出席の委員の皆様から御意見をいただく時間を取りたいのですけれど、事務局の説明内容に関する質問を、まず受け付けたいと思います。渡辺弘司委員から最初に来ていますので、渡辺弘司委員お願いします。

【渡辺(弘)委員】渡辺です。2点だけ質問させてください。
1点は、5ページの学校経営における学校安全の明確な位置づけのところの下から3行目、「校内安全委員会を設置したり」という書き方なんですが、設置していただいたほうがいいんじゃないかと思うんですね。つまり、学校保健安全委員会と同じような感じで、やっぱり安全委員会というのも恒常的に開催していただきたいということから、この「設置したり」という表現に、あえてされた理由がどうかなと。「設置し」でいいんじゃないかなと思ったんですけど、こう表記された理由が、しなくてもいいよという意味を含めておられるかというのを1点お聞きしたい。
もう1点は、12ページの学校における安全管理の安全点検のところなんですけれども、民間のノウハウの活用とか、例えば13ページには、民間のノウハウの活用等による整備の事例とかと書いてあるんですが、12ページには赤字で安全点検の手法の改善と書いてあります。民間の業者は、やはり委託とか契約をしないと、ノウハウをボランティアで教えることはないと思うんですね。
だから、これは、ノウハウだけを無料で頂きたいという意味じゃないとは思うんですけど、これだけだと、学校側が負担をして、業者のほうにお金を払ってというような形なのかどうかというのが分かりにくい。もし専門家とか業者とちゃんと、やっぱりノウハウを共有するというのだったら、委託をするとかいうような書きぶりのほうが分かりやすいし、それから、例えば手法の改善というのが一番簡単なのは、民間業者が頻繁ではなくても定期的に検査をして、教職員がされた検査との結果を照合することによって、学校側の教職員の能力が上がってくると思うんですね。
そういった意味で、もう少し具体的にお書きになられたほうが、現場が混乱しないのではないかと思ったので、その2点に関して、この書きぶりにされた理由を教えていただければと思います。以上でございます。

【中村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】まず1点目は、5ページ目の「校内安全委員会を設置したり」と記載をしておりますので、これは「設置し」というふうにしっかりと書いたほうがいいのではないかという書きぶりの御質問ということでよろしかったでしょうか。この書きぶりにした理由ですけれども、「学校規模に応じ」と書かせていただいているのは、現在、非常に小規模な学校も増えておりまして、特に児童生徒の数が少ない学校においては教員の数も非常に少ないということになっておりまして、様々な委員会が実質的に同じ方が入ってくると。1人の教職員に様々な役割が重ねて入ってくるということもございます。
ですので、例えば高等学校のように教員の数が多い学校であれば、委員会ごとにしっかり組織するケースもあるでしょうし、場合によっては、学校規模が小さければ、様々な委員会、保健と安全を合同で開催するとか、そういったバリエーションが、恐らく学校規模によって発生するだろうと考えてございまして、例示として記載する意味で「設置したり」という書き方としたものでございます。
また、2点目の12ページの安全点検に関する手法の改善や、あとは施設・設備に関する民間のノウハウの部分については、今回の書きぶりが少し分かりにくいというような御指摘だと思いますので、御意見として承って、また分かりやすい記載について検討していきたいと思います。

【渡邉(正)部会長】それでは次に、首藤委員お願いします。

【首藤委員】社会安全研究所の首藤です。御説明どうもありがとうございました。ここまでまとめるのは事務局さんとして大変御苦労があったかと思いますので、まずは感謝申し上げます。
その上で1点だけ質問なんですけれども、これはもしかしたら私の理解不足かもしれないんですが、現在の第2次計画を拝見したときに、目指すべき姿というのがすごくはっきり書かれていて、その下に施策目標というのが明示的に書かれていたことがすごく印象に残っております。
それを踏まえて今回の素案を拝見しますと、目指すべき姿の一部が、総論のところですか。例えば死亡事故をゼロに近づけるというようなことは書かれていますけれども、はっきり目指す姿というふうな形で目立つようにといいますか、記載がされているわけではありませんし、施策目標ではなくて、5ページ目ですか、基本的な方向性のような形で6点書かれています。
一般的な計画では、何か目指す姿とか、それを実現するための目標というのがあるのが割と当たり前かなと思うんですけども、そうではなくて、このような書きぶりにされた理由を教えていただければと思います。以上です。

【中村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】今回、第3次計画の策定に当たって、例えば第2次計画から目次の構成をどういうふうに見直すのか、それとも変えないのかというところについても事務局で検討させていただいたのですが、第3次計画においては、これまで取り組まれてきた第1次計画と第2次計画の10年間を振り返った上で、国として、あるいは学校や学校設置者など関係の方が何をするんだという部分をしっかりと打ち出したいと考えております。目指す姿や目標については、首藤委員がおっしゃっていただいたとおり、総論の本文中に記述として入れている状態ですけれども、第2章以降に書かれるような学校安全に向けた具体的な取組を、何々が重要である、何々が必要であるという記述よりも、何々をする、誰々がするというようなところを意識して原案を作成しているというのが御質問へのお答えになります。まだ、これが最終的な姿ではありませんので、この後の時間でも御意見をいただければと思います。

【渡邉(正)部会長】それでは次は、松本委員お願いします。

【松本委員】中京大学の松本です。大変細かいところで恐縮なんですが、10ページの一番下の辺りにあります消防団員、自主防災組織員等による講演や体験学習。ここが消防署員ではなくて消防団員になるのは、なぜなんでしょうか。
消防団員、私の理解では、一般の方で消防署に協力されているような方で、それほど専門的な知識がないような気がするんですよ。むしろ消防署員のほうが、市の職員として、研修だとかそういう機会、たくさん受けているんじゃないかなと思いますが、わざわざ消防団員とか、もっと下の自主防災組織員となっているので、この辺はいかがでしょうか。お願いします。

【中村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】いただいた御指摘を踏まえて、また関係の省庁とも協議をしてみたいと思います。

【松本委員】お願いします。

【渡邉(正)部会長】それでは次に、𠮷門委員お願いします。

【𠮷門委員】高知県蓮池小学校の𠮷門でございます。おまとめいただきありがとうございます。私、1点だけお尋ねしたいと思います。8ページの家庭、地域、関係機関等との連携の項目のところで、(1)の2段落目、8ページの一番下になりますでしょうか。学校は、例えば、地域学校安全委員会や学校警察連絡協議会等の云々のところで、主語が「学校は」というところの文末は「学校安全の観点を組み入れた」と書いてあって、そこは学校全般が見えると思いますけれども、その次の段落に「国は」と、国が行うところで書いてあるところが、「防災に関する知識・経験を有する地域人材の育成を支援する」というふうに防災にここは限定されていまして、ここは何か意図があって防災だけに限定されているのかというのが少し気になりまして、意図がおありであれば少しお聞かせいただきたいと思いますし、その次のところでは、学校安全の取組の質的向上に向けたというようなことがありますので、ここ特出しされているとも読めたのですけれども、少しお聞かせいただければと思いました。以上でございます。

【中村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】第2回の審議になりますけれども、内閣府防災がまとめたワーキンググループの報告書の中で、防災教育コーディネーターの設置についてワーキンググループの提言がされていたことを踏まえたものでございます。防災だけに特化しているような文章の流れになっているところについては御指摘のとおりかと思います。

【渡邉(正)部会長】それでは、中井委員お願いします。

【中井委員】大阪大学の中井です。私、8ページの教員養成の中で、2段落目なんですけども、3領域を扱う中で、過去に発生した重大な事件・事故の事例を用いて正常性バイアスなどの認知バイアス。この5が本当は上つきなのはあれなんですが、権威勾配などの心理的な側面についてというところなんですが、ちょっと私が不勉強なだけかもしれませんが、学校で過去に発生した重大な事件・事故の事例の中で、特にこの権威勾配というのが密接に関係した事例、これを大学で教えろと言われたとき、具体的にこういうものがあるというのは、比較的たくさんあるのか、あまりないんだったら教えろと言われても困るなと思うんですけれども、この辺いかがですか。

【森本安全教育推進室安全教育調査官】事務局、安全教育調査官の森本でございます。今の点について少し補足説明をさせていただきます。
権威勾配は一例なんですが、大川小学校事故のことを教訓として、今後の災害リスクに備えていくというところも少し検討していきたいということで、こういった言葉を入れさせていただいているところでございました。
御指摘いただいたように、もう少しここについては補足説明が必要なところがあるかと思いますが、そこはまた今後検討していきたいと思います。

【中井委員】分かりました。ありがとうございます。

【渡邉(正)部会長】では、木下委員から御発言ということで、これは御質問というふうに捉えてよろしいですかね。

【木下委員】はい。

【渡邉(正)部会長】お願いします。

【木下委員】よろしくお願いします。私からは1点、11ページの(3)、学校における教育手法の改善というところで、3段落目、「学校や学校の設置者において、発達段階に応じて被災地でのボランティア活動の経験を活かして、防災教育を広げていくことを促す」と書かれていますが、ボランティアをするなど防災教育を体験的に学ぶということには賛成ですが、「被災地での」という表現に少し懸念があります。被災地に実際に赴くとなると、水害の場合は感染症、地震の場合は余震など二次災害の被害に遭うリスクがあると考えると、「被災地でないとできないか」という点に疑問を感じます。
例えば災害に応じてボランティア活動をさせるということであれば、後方支援でも可能ですし、もっと言うと、災害が起きてからのボランティアではなくて、平素から地域合同防災訓練などに子供たちが関わるということも非常に有意義だと思いますので、この「被災地での」というところの記載には何か意図があって書かれているのか、その点を質問です。

【中村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】この「被災地でのボランティア活動の経験等を活かして、防災教育を広げていくことを促す」という記載については、実は第1次の学校安全の推進に関する計画の時点で同様の記載がされていたものです。現在これをそのまま「被災地でのボランティア活動」というふうにつなげて書くことはどうなのか、という御趣旨の御指摘と受け止めております。記載内容の見直しに関する御意見として承知いたしました。

【木下委員】ありがとうございます。

【渡邉(正)部会長】次で、それでは北村委員お願いします。

【北村委員】産業技術総合研究所の北村です。初めのほうのポイントということでまとめていただいているところを見たときに、多くは、このポイントが出てきたときに、学校だったりとか教育委員会とかが取組を何かできるという感じの内容になっているかなとは思うんですけども、5番のその他の3つ目の丸にある、「AIやデジタル技術を活用した、科学的なアプローチによる事故予防に関する研究の推進」という項目があるんですけれども、これについては、学校とかが何かやるというわけではないような気がするので、あと、この本文のほうもあまり具体的に書いていなかったので、この推進というのが、具体的に誰が何をやるということを意図しているのかとか、その辺りがよく分からなくて、位置づけがどういう位置づけなのかなというのがちょっと気になりました。

【中村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】この科学的なアプローチによる事故予防に関する取組の推進という項目自体は第3次計画として打ち出していきたい方向性ですが、次年度以降、また今後5年間で、誰がこれをこうするというところまで書けていないというのが率直なところでございます。これまでも日本スポーツ振興センターの災害共済給付データを活用した取組が行われていたり、審議会の中で北村委員からも御説明いただいた内容も、これは現場と連携してこれからやっていくことが必要だというような御意見も含まれていたかと思いますが、そういった事故予防に科学的なアプローチを生かしていく観点での記述を具体化させていきたい部分であるということで御理解いただければと思います。

【北村委員】分かりました。今後、具体的な記述が増えていくということであれば、そういうふうに理解をしました。ありがとうございました。

【渡邉(正)部会長】次に、大木委員お願いします。

【大木委員】10ページの(2)の地域の災害リスクを踏まえた防災教育のところなのですけれども、下から3分の1ぐらいのところに「国は、全国すべての学校で地域の災害リスクや」という段落があって、この2文目ですね。「また、幼児向けの防災教育の教材を作成し」の後、防災科学技術研究所をはじめとする、これこれの保有する知見をというふうにあるのですが、これの主語は『国が』『国は』ということでよろしいんでしょうか。
というのは、防災科研さんは防災教育を専門とする方はいらっしゃらず、主に科学技術の方々で構成されています。ですので、防災科研さんの保有する知見を、すぐに教材として活用することを現場の先生に求めるのはかなり難しいのではないかと思うんです。ですので、『国が』とか、そういった形であれば、主語を明確に入れていただくといいかなと思いました。以上です。

【中村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】主語の明確化の部分は、御指摘を踏まえて修正したいと考えております。
防災科学技術研究所の専門機関が保有する知見と学校現場での活用というところに少し距離があるというところについて、もう少し踏み込んでいけたらいいのかなと、御指摘を踏まえて考えております。

【渡邉(正)部会長】それでは、小川委員お願いします。

【小川委員】2点ほど、細かい表現で質問があります。
14ページの学校安全の「見える化」という言葉はちょっと気になりました。ここは「情報の共有と活用」でいいんじゃないかなと思います。個人情報の問題がありますし、知るべき人が知っておくということで、どこまで公表するのかという問題もあるので、見える化というのが気になりました。事故情報の共有と活用でいいのかなと思いました。
それから、同じ14ページの下の(3)の学校安全を意識化する機会ということなんですけども、既に全国規模で何とかの日、何とかの日といっぱいある中で、さらにということが気になって、少なくとも、地域のリスクの実態に応じた日でいいんじゃないかなと。あるいは学校の実態に応じた日であってもいい。例えば、東日本だったら東日本大震災という問題が意識にのぼりますが、西日本だと、また少し意識が違ってきますし、九州、熊本だったら熊本地震であり、兵庫県でありましたら、阪神淡路大震災の日になる。やっぱりその地域地域のリスクとか、過去の災害や事故の実態に応じた日として設定するという方がいいんじゃないかなと思いました。以上です。

【中村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】まず学校安全を意識する機会の設定は、それぞれの学校の取組の意識の高い低いとか、それをどれくらいの頻度で意識するかが現れてくる部分だと思います。例えば今後の取組状況調査においてこういった設定の有無について確認していくことによって、全国的な取組を意識化することにつながるのではないかという意図でございます。地域によって、どの日付がメモリアルな日になるかが変わってくるのは、ご指摘のとおりだと思っております。
また、この「見える化」という表現については、これまで国で取っている調査からは全国の取組状況が具体的に分かるようになっていなかったのではないかというところからの表現として考えたものでしたが、ご指摘を踏まえて検討していきたいと考えております。ありがとうございます。

【渡邉(正)部会長】御質問の時間は、ここまでにしたいと思います。
次に、この答申素案に関する討議を行いたいと思います。本日御出席いただいている皆様からの御発言をいただきたいと思いますので、こちらのほうで順番を決めさせていただき、私のほうから指名させていただくという形でよろしいでしょうか。
皆様の御意見をいただいた上で、追加で、また御発言したいというようなことが出てくるかもしれませんので、その場合は2巡目に、また、できれば時間を取りたいと思いますので、そちらのほうで、またお願いしたいと思います。
最初の1巡目の御意見は、時間の関係で、お一人3分程度で収めていただくようお願いします。それではまず、石井委員、大木委員、𠮷門委員の順で御発言いただきたいと思います。それでは、石井委員お願いいたします。

【石井委員】よろしくお願いいたします。私からは2点、意見を述べさせていただきます。
1点目は、7ページの学校における人的体制の整備についてです。ここには、学校安全の中核を担う教員の位置づけを明確にということが書かれてありますが、中核を担う教員という表記では若干、何か弱く聞こえて、これまでとあまり変わらないのではないかと思います。
例えば、学校安全主任ですとか、学校安全主事とか、学校安全コーディネーターなどと位置づけるという文言です。
(※回線の不具合により、音声が中断)

【渡邉(正)部会長】すみません。石井委員、今お話、ちょっと途中になってしまったんですけれど、後で、回復した段階でまた聞きたいと思いますので、申し訳ありません、先に進めさせていただきます。それでは、すみません、また後でお願いします。大木委員、お願いします。

【大木委員】私からは災害安全について大きく3点ですね。1つ目が訓練について、2つ目が学校施設に導入するべきハードウエアについて、それから3つ目が防災を通した教育としてのソフトウエアについて、お伝えします。
1つ目の訓練についてです。まず、なぜ訓練について言及するかというと、低頻度大災害ですので、防災の教育とか教職員のオペレーション確認としては、もう基本的には避難訓練で賄うしかないわけです。それ以外に時間を取っていただくということは学校現場には難しいと思いますので、その意味で訓練をしっかり充実させると。
現時点で、科学的に見てかなり違和感があるのが、余震を想定していないということです。余震を伴わない大地震というのは地球上に一つもありませんので、余震を想定しない、それから停電を想定していない、こういう訓練を行っている時点で、かなり非現実的であるということをしっかり盛り込んでいただきたいと思います。
大地震は低頻度な分、学校管理下で発生したケースが非常に少ないんですね。ですので、学校管理下で過去に起きたものだけを拾っていては次の災害に対応できないということで、この辺りは専門家も含めて考えていく必要があります。特にけが人が発生し得る場所から順に点検するようなオペレーションで安否確認をやっている学校というのがほとんど見られませんので、そういった点を検討していく必要があります。
2つ目の学校施設に導入するべきハードウエアについてですけれども、1つは緊急地震速報システムですね。これは携帯電話を持ち込めないため緊急時速報が受信できないところというのは、もうかなり数少ないと思うんですが、そのうちの一つが学校です。ですので、学校現場に緊急地震速報端末を導入する。
それからもう一つは、遠距離に届くトランシーバーです。停電を想定した訓練を行っていないという要因の一つです。現在、多くの学校は安否確認を放送で行ったり、放送で次の集合場所を伝えたりしています。しかし現実的には停電しますので、そういうことはできなくなるわけです。
両者を兼ねて、緊急地震速報を受信できて、なおかつ1キロぐらいまで届くトランシーバーというのがありますので、そういったものを導入することで、逆に、訓練自体も変わっていくんじゃないかなと、1つ目に申し上げた訓練についても改善されていくんじゃないかなと思っています。
3つ目の防災教育については、既にたくさん盛り込んでいただいていますので、簡単に申し上げますが、『防災の教育』という意味での防災教育ではなくて、『防災を通した教育』というスタンスで書いていただくという点です。また、未就学児の命を守り抜く幼児の防災教育というのは、保護者への教育効果を考えるとかなり効率的だという点も盛り込んでいただけたらと思っています。以上です。

【渡邉(正)部会長】では次に、𠮷門委員お願いします。

【𠮷門委員】蓮池小学校、𠮷門でございます。私から大まかに3点になりますでしょうか。
まずは、この委員会が始まった、部会が始まったときに、今回の第3次計画では、これまでよりも一歩向上させたい、もう少し明確化させたいものとして、学校安全に関する人的体制の充実のところで、中核となる教員の位置づけをもう少し明確に。今まで最初の計画から、中核となる教員の明確化というふうなことがずっと書かれてきていて、同じ書きぶりだと進まないので、この第3次計画では、そこをもう少し踏み込んでということを最初から申し上げてきたつもりです。石井委員の先ほどの御発言も同じようなお気持ちだったというように承りました。
そこで、何となく今の書きぶりでは、これまでの書きぶりとあまり変わらない、もしくは一層ぼやっとしたような感じに見えるかなというように受けますので、この先に、施策としてどういう位置づけをすることが念頭に置けるのかということによって書きぶりは変わっていくのだとも思いますけれども、特にこの学校安全部会の議論だけで全部の施策が動いていかないということは当然、承知はしていますけれども、少なくともここの推進計画の中にどう書き込むかということで、ここに書き込んでいる以上のことは進められないわけだと思いますから、もう少し全ての学校にきちんとこういう役割として、その学校によって位置づけを委ねているということではなくて、必ず何か位置づけましょうというようなことをきちんとしていくのかどうかということを、そこはもっとはっきりさせる必要があると思っています。
それからもう一つ、2点目は安全教育についてもですけど、これも安全教育の位置づけを、全ての学校でしっかりと安全教育が行えるようにするためには、仕組みづくりだというふうに申し上げてきたと思いますので、書きぶりとしては、ここの安全教育のところに、国はということで、9ページですけれども、時間が確保できるように検討する必要があると書かれていますけど、既に検討する必要があるというのはずっと言われてきていて、それぞれの教科の中で、どういうふうにやっていくことが、要するにカリキュラム・マネジメントは具体的に言うと、どういうふうにやることが実現性の高いものですよということを、今、実践事例集も作られているということを、これまでの部会でもお話があったかとは思いますけれども、こういうところをきちんと見せて、そういうふうにやっていきましょうということを例示しつつ、それをやるんだということをどこかに書くということではないかなと思います。
例えば、これまでお話出たかどうかですけれども、学校保健安全法の中には、安全に関する資料ということでふわっと書いてあるだけなのですけれども、やり方とか、それはそれぞれ地域の実態に応じる必要がある、発達の段階を踏まえる必要はありますけれども、具体的にどこまで、一定そろえてどこまではやりましょうということを国としてしっかりとそこを示して、それを指標として示していくかということも、ここに書かれていると思うので、もう少し具体的なことが書けるとありがたいなと思いました。それが2点目でございます。
それから、1点目と2点目に関わってですけれども、多くのことで記載が、学校安全計画に位置づけるというふうに書かれていますけれども、学校安全計画もどのように書くことが、それが実効性のあるものなのかということも、もう少し具体的に示されていくとよいのかなと思いました。
そして3点目は、全てのことに通じるのが、施設のことも書かれていますけれども、老朽化、長寿命化対策と併せて、それから避難所機能を持った学校の施設の在り方として、バリアフリーとか、それからいろんなものを備えましょうということがありますけれども、これを地方の自治体が、自分たちで設置者が賄えるとすると、財源の確保ということが非常に重要だと思いますから、ここはこの中に、国が財源確保するまではなかなか書けないとは思いますけれども、一方で、やろうと思ってもできない実態があるということをお酌み取りいただいた上で、水面下で、国のほうでの財源の確保というところも併せて、ぜひ御検討を、これまで以上にお願いしたいなと思いました。すごい漠然とした発言になって恐縮です。以上でございます。

【渡邉(正)部会長】ありがとうございました。それでは続いて、小川委員、中井委員、村山委員、首藤委員の順で御発言いただきたいと思います。それでは最初に、小川委員お願いします。

【小川委員】まず、私のほうから2点申し上げたいことがあります。
1点目は、ここでいろいろまとめられた文言がどんどん増えていくと、あれもやらないといけない、これもやらないといけないということで、学校側に対して、あるいは一人一人の教員に対して、負担感というのが増す感じがしました。この中で最も重要というか、まずやらないといけないことは何なのかということを見ていったときに、5ページ目の学校経営の中に学校安全がちゃんと位置づけられるかどうか、やはり学校全体で取り組むことが、まず一番最初かなと思いました。
事故の多い現場へ赴く機会が何回かあったんですけども、事故が多いということと共通して、不登校の子が多かったり、あるいは子供たちの言葉遣いがすごく攻撃的であったりとか、あるいは学力の問題があったりとか、何か共通しているような感じがしています。学校全体で取り組めば、この学校安全の問題も解決していくだろうし、不登校やいじめ、暴力、学力の問題も解決していくような感じがして、何か共通の基盤があるように思っております。
そういう意味で、まずは学校全体で取り組むことが学校安全の質の向上につながっていく。その中には教職員だけじゃなくて、子供たちも含まれ、また地域の人たち、保護者の方も入ってくるので、一人一人が自分には何ができるかということ、自分の役割を意識していく環境を整えていくことによって、よりきめ細やかな対応ができるんじゃないかなと思っております。
そういう意味で、全体で取り組むということが何よりもまず大切なことであり、そこから始めていく必要があるのかなと思いました。これが1点目です。
2点目は、安全教育の充実化ということなんですけども、何のために学校安全を学ぶのかという、子供たちへの投げかけが、もう一押し二押し必要なのかなと思いました。自分の命を守るということで始めていくんですけども、成長とともに、特に青年期に入ってくると、もう分かっているよと思う子供たちが増えていきます。特に高校生なんか、そういう意識が強くなっていくので、何のために学校安全を学ぶのかという、もう一押し二押し、新しい視点が必要かなと思っています。今SDGsなんていうことが広く言われておりますので、例えばSDGsの目標3でありましたら、全ての人に健康と福祉をとうたっていますし、その中に交通安全の問題も関わるし、生活安全の問題も関わってくる。持続可能な社会を実現するための教育の一環として、あるいは社会をどうしていくか、自分の役割をどう考えていくかということを考える機会として、キャリア教育と連動させながら進めていく方法もあるかなと思います。
防災教育も、目標11、住み続けられるまちづくりだとか、目標13、気候変動に対する具体的な対策ということで、少しSDGsの視点とかアプローチなんかも入れながら、持続可能な社会をつくっていくために一人一人やっていくことがある。その一環として安全教育は位置づけられていくということを、成長とともに、そういう視点も含めながら安全教育を進めていったら、より充実するんじゃないかなと思いました。以上です。

【渡邉(正)部会長】ありがとうございました。次は、中井委員お願いします。

【中井委員】大阪大学の中井です。私はちょっと気がついたというか、言おうと思ったことは既にお話出たと思うんですが、やはり安全教育に関わる時間の確保であるとか、あるいは他校の事例を自校のこととして、自分たちのこととして捉える、こういうことが必要だということは既に、ある程度前から言われていて分かっている部分であるので、そのためには具体的にどうすればいいのか。そこまでを答申の中に示す必要があるのかどうか分かりませんけれども、具体的に安全教育に係る時間をどんなふうに確保するのか、あるいは、よその学校で起こった事例を我が校のことに捉えるためには何が必要かというところを踏み込んで示さないと、恐らく、ここで議論したことが現場に役立ててもらえないんじゃないかなと思ったりします。
それから、随所に好事例の収集、それを共有ということが書かれていて、これは大事だと思うんですけども、恐らくグッドプラクティスを集めようとなると、何か全校的に大々的な活動、大がかりな取組、それを報告する書類を書くのも現場の方には面倒だということが往々にしてあろうかと思うので、身近なことからできるためにはというところで、恐らく初回か2回目の委員会で御発言がありました、セーフティー1とかセーフティー2という観点から、日常的にうまくいくためのコツとか工夫というもの。日常的な取り組みで「本当に報告書に書くの、これ?」という程度のお手軽なものから集めて、何かそれを展開できるような、そういう仕組みというのも。好事例の収集って大がかりなものばかりじゃないんだという、何かそんなニュアンスのところをいただくと、使いやすいとか、報告を上げやすいようになるのではないかなと感じました。
あと最後は、すごい細かいところなんですけども、交通安全とかで、通学路の安全の確保というのが随所あるんですけれども、結構今でも多くあるのが、通学路を安全にしようとすると、信号機をつけてください、信号機をつけると安全だよねというような、結構そういうお考えの人多いんですけど、実際には交通量が少ない箇所に信号を付けることによって、却って信号無視を誘発するとか、あと、これは日本は借金が多いので、信号機のメンテナンス、更新の費用とか、考えていないような現状もあったりする。これは安全とは関係ないかもしれないですけど、そんな中で、何か持続可能な交通安全設備、そういうようなことで知識、学校区の安全を考えましょうというときに、信号以外の交通安全施設に関する知識をどこかで、先生方も含めて提供できるような、そんな機会も必要なんじゃないかなと思いました。以上です。

【渡邉(正)部会長】それでは次に、村山委員お願いします。

【村山委員】大きく1点だけです。特別支援学校、特別支援教育のことで、いくつか意見させてもらい、資料2の主な意見でも、10ページに特別支援学校・教育の部分で、特出しで1ページ分、記入していただいていますが、見させてもらった中には全く入っていませんでした。例えば、幼稚園の部分で、特に幼稚園において安全教育の取組事例を発信するという文言が10ページにありますが、特にという書き方でもいいと思いますが、特別支援学校・教育の部分について、できればメインの文中に何かしらの形で入れていただけないでしょうか。第2次では、具体的な方策と書かれた部分があったので、そこに入ってくるのか、分かりませんが、もし方向性を考えているものがあれば教えていただきたいし、そういった部分が全く入らないのであれば、入らない理由をお聞きしたいです。
今回、幼稚園のことが入って、発達段階に応じた縦の部分はすごく網羅されたと思いますが、特別支援学校・教育は横の部分だと思うので、ぜひ入れていただきたいと感じます。以上です。

【渡邉(正)部会長】それでは、首藤委員お願いします。

【首藤委員】ありがとうございます。社会安全研究所の首藤です。私からは3点申し上げたいと思います。
まず1点目は、先ほど御質問をさせていただいて、事務局から回答いただいた件に関してです。事務局のほうで書きぶりを検討されて、何を実施するかというところの書きぶりをすごく明確にする一方で、目指すべき姿や目標については記載を見送られたというふうなお話がありました。実施することについて、より明確に書くということ自体は、私は賛成ですので、これが大事だ、あれが大事だではなくて、これをするというふうに書いていただいたことは大変いいことだと思います。ただ一方で、多くの人が、この答申案にのっとって、これから歩んでいく上で、何を目指すのかとか、目標は何なのかということは、やはり共有する、共通の認識を持っていくことも大事なのではないかと思います。実施することを実施しながら迷うときとか、どうやったらいいだろうとか、どの方向に進むべきだろうかというときに、その目標とか目指す姿に立ち返って議論をしたり考えたりするということがあり得ると思いますので、できれば目指すべき姿とか目標というものは、もう少し明示的にお書きいただいたほうがいいのではと思います。
それから2点目は、既に石井委員とか𠮷門委員とかがおっしゃられていたことと全く同じでして、私も中核を担う教職員という表現では、これまでと同じで変わりがなくて大変残念だと思います。具体的にどんなネーミングかは、私自身には、よい案があるわけではありませんけれども、やはり名づけるということは、それをしっかり位置づけるという意味でも、とても大切だと思いますので、しっかりと名前をつけて、そういう役職を学校現場に置くんだということをはっきりとお書きいただきたいというふうに私からもお願いしたいと思います。
それからもう1点は、13ページの「学校における安全管理」の(3)のところで、「学校事故の予防のための学校における安全文化の醸成」とお書きいただいている場所についてです。ここに内容として書かれていることは、私は大賛成でして、事故の教訓とか、あるいはヒヤリハットも活用しましょうということは非常に賛成なんですけれども、安全文化の醸成がここにひもづけられていると、安全文化というのはもっと広い概念なのに、ヒヤリハットや事故などから学習してそれを生かすということだけに特化されてしまうようで、ちょっと違和感を感じました。こういった形で学んでいってそれを生かすということは、もちろん安全文化の一つ、学習する文化ということで大事ですけれども、安全文化自体がもっと大きな概念で、安全というものを非常に大事なものだと位置づけて、そういった価値観とか、それをベースにした態度とか行動様式が、個々人と組織全体に根づいているということが安全文化ですので、ちょっとここに安全文化の醸成というのを位置づけるのは、安全文化という言葉自体がもったいないと思います。
それで、提案なのですが、5の「横断的な事項」の(3)に意識化する機会の設定の推進とありますけども、これが多分、意識する機会を必ず設定するということを通じて、安全がとても大事なものだと皆が再認識して、常にそういった価値観を持っていろいろな行動をしていくということにつながりますので、安全文化の醸成という言葉自体は、5の(3)のほうの見出しに位置づけていただけたらいいのではないかと思いました。以上です。

【渡邉(正)部会長】先ほど、ちょっとうまく通信がいかなかったんですけど、石井委員がつながったようですので、先ほどのお話、すみません、石井委員、続きをお願いします。

【石井委員】よろしくお願いします。聞こえておりますでしょうか。ありがとうございます。
首藤委員、それから𠮷門委員からフォローしていただきまして、ありがとうございます。私も、まさにそこでございます。やはり中核を担う教職員という表記では本当に弱いな、これまでと変わらないなというのが正直な感想でした。
私は例えばということで、学校安全主任、学校安全主事、もしくは学校安全コーディネーターというような文言を発言させていただきます。
逆に言えば、中核を担う教職員とすると、結局、教頭など管理職がそれに当たるとなっている学校も実際ありますので、学校安全に関しては、やはり管理職には管理職の役割がありますので、きちんと主事、主任などと明記することで、管理職ではない教職員がその業務に当たります。そのことによって教職員のレベルアップも図れるのではないかなと考えています。
主任とすることで、やはり安全教育、安全管理、組織活動の3つをしっかりと掌握をして、コーディネートをして、確実に校内の安全に関する事項を推進していけるようになるのではないかなと思っています。
個人的ですが、本当に教務主任などのように、手当を出す主任であってもいいというぐらい思っています。やはりそれぐらい重要な役職だと思いますし、そうすることによって先生方にも本当に重要な役職であるんだということが意識できるのではないかなと思っています。
実際、6月の部会で私が報告させていただきましたが、本県では防災教育コーディネーターという名称で位置づいていて、その役割も示されています。私が報告した内容も、そのコーディネーターである職員がしっかりと自分の立場を認識して役割を果たしたからこそ、できたものであると思っています。単なる担当とかでは、やっぱりここまではやれていないなと感じています。
2点目です。2点目は研修についてです。これも以前発言させていただきましたが、免許更新制度の廃止に伴う研修の充実ということが出されている中ですので、そこで各教職員のステージにおいての研修にしっかりと学校安全に関する研修を位置づけるということを国レベルで、やはり他部署と横断的な連携をしていただきたいということであります。
今後は、安全教育を受けて育った子供が教職員になっていくでしょうし、養成段階での教育も充実していくだろうと思います。でも、直近の課題は、やっぱり現在教員として勤務している先生方の研修だろうと私は思っています。
本計画が今後5年間のことであるということですので、そこもぜひお願いしたいなと思うところです。
蛇足でございますが、先ほど質問に上がっていた消防団員についてです。私も読んだときにちょっと違和感があったので、改めて消防団について調べてみました。その結果、原案には、地域とともにという意図があって消防団にしたのかなという私なりの解釈をしたところでした。以上です。

【渡邉(正)部会長】ありがとうございました。それでは続いて、松本委員、北村委員、南川委員、藤田委員の順でお願いします。では、松本委員お願いします。

【松本委員】松本です。私は多くの委員の方と違って、学校安全全体の専門家というわけでなくて、偏った意見をどうしても出してしまうように思いましたが、今日の全体のまとめを見まして、何を求められているのか少し分かった気がしました。
愛知県に住んでおりまして、愛知県では先日、中学校3年生が同級生を刺して死亡させてしまうという事件が起きまして、学校安全というのも強烈に意識させられた次第です。ただ、一部マスコミも書いていましたが、じゃあ学校で持ち物検査やるのか、毎日やるのか。とても大変なことで、これの解決がとても難しいと思います。
命というものを考えましたときに、通学時の安全。一番最後に、「国は、関係省庁が連携した通学路における交通安全の確保に係る対策をより一層推進する」、これでは弱過ぎるように思います。もっと具体的に、主要な通学路全てにガードレールを設置して人と車とを分けるくらいの要望を掲げてはいかがでしょうか。あるいは、もっと進めると、ドイツでは住宅街の道路は30キロ制限にするということが行われています。こちらのほうが抜本的だと思います。子供が通るところを平気で60キロで、何のバリアもなく、車が走ってしまっているのが日本です。そんなことを思いました。
もう一つは、皆さん意見出されている中核を担う教員の話ですね。何か名前をつけたほうが私もいいと思います。
それに関連して、安全教育に関わる時間の確保のところに、保健体育をはじめ関連する教科で指導するとなっていますが、ここでも、中核を担う教員、主事、主任の方が授業されてはいかがでしょうか。保健体育の教員がすぐその内容の授業を担当できるのか、とても心配になります。以上です。

【渡邉(正)部会長】それでは次に、北村委員お願いします。

【北村委員】産業技術総合研究所の北村です。私のほうから、まず素案のポイントのところで、死亡事故の発生件数を限りなくゼロとすることとか、障害や重度の負傷を伴う事故を中心に減少させるというような、事故の観点では、そういうことが書かれているんですけれども、それに対して、ここちょっと表現が私自身もはっきり分かっていないんですけれども、ポイントの4番のところで、重大事故に至らないヒヤリハット事案と書かれているものの、このヒヤリハット事案というのに込められている意味がちょっとまだはっきりしていないですけども、これ重大事故に至らないような、日々起きているようなけがの事故のことを言っているのか、事故のさらに手前のぶつかりそうになったとか、そういうものを含めているのか、ちょっと分からないんですけども、もし後者のほうの事故にまだ至っていないようなヒヤリハットという意味だとすると、そういうのを活用するのはいいことだと思うんですけれども、残念ながら、まだ今その段階にないんじゃないかなと思っています。重大事故がまだ防げていない現段階で日々のヒヤリハットまで扱うというような話になると、なかなか現場への負担もありますし、難しいのかなと思って、現時点で事故として起きているものを対象にしていくのが、今の段階はそういう段階なのかなとちょっと思いました。
次に、このポイントの3番で、学校における安全に関する教育の充実というところで、丸の2番目で、地域の災害リスクであるとか防災教育の推進ということが書かれているんですけれども、ここがなぜ災害とか防災だけになっているのかというのは少し気になっていまして、ここは防犯であっても、事故であっても、必要なことだと思いますし、この正常性バイアスみたいな話は、防犯であっても事故であっても起きる話なので、ここはぜひ防犯も事故も含めていただく必要があるのかなと思っております。
それから、5番のその他のところに、学校安全の取組であったりとか、災害共済給付データを活用した事故情報の「見える化」とあるんですけども、これ、既に多分、取組の紹介をしている文科省さんのページであったりとか、日本スポーツ振興センターのほうでいろいろな取組を、事故の状況なんかを報告している資料なんかはあると思うんですけども、それがなかなか現場で活用されていないというのは、見える化するだけでは不十分で、それが現場で使うときに、その現場の、それぞれの学校であるいろんな役割だったりという、その現場の仕組みの中で、どうそれを活用される形なのかというところまで考えて、発信だったりとか、ツールの準備をしておかないと、結局、そういう情報を載せました、使ってください、誰も使いませんで終わってしまうのでは意味がないので、やっぱり現場での活用も考慮した情報発信とかツールの準備が必要じゃないかなと思います。さらにそこに効果評価も併せてやっぱりやる必要があると思っていて、そういう取組をやって、やっただけで、やった気になって終わるんじゃ意味がないので、それで本当に防犯ができているのか、防災ができているのか、事故が予防できているのかというような、効果評価も含めてやっていく必要があるかなと思っております。
そこにもちょっと関連するんですけれども、今回の資料の中でも、ところどころ主要指標ということで幾つか挙がっているかなと思うんですけれども、この会議の、たしか1回目のときに、様々な委員の方から、指標がアウトカムの評価にはなっていないんじゃないかというような御指摘があったかなと思うんですけれども、現段階で主要指標に挙がっているもので、例えば学校安全を学校経営に位置づけている学校数というものが挙がっていたんですけれども、これは何か実際やっていなくても、学校経営として学校安全をやっていますと書けばカウントされてしまうというので、ちょっと実態を評価する指標にはなっていないなと思っていますので、この辺りは今後も議論をしないと、本当のアウトカムを評価するような指標にならないのかなと思っております。
最後に、12ページの4番の学校における安全管理のところで、マル2の安全点検に関する手法の改善のところについては、今後増やしていくということだったと思うんですけれども、この安全点検というのが、いろんなところでよく使われるんですけれども、安全点検というのがそもそも何なのかというのを、どこまで含むのかという整理も、実はあまりされていないのかなという気がしています。そこの整理を含めてやる必要があるのかなと思っています。
何となくイメージされるのは、いろんな機器とか設備が壊れていたりとかしていないかという点検をするというようなイメージもあるかなと思うんですけども、それ以外に日々の活動の中で受けるような何か、電源をつなぐようなものであればコンセントが抜けかけているとか、あとは窓の近くに子供が上れるような台を置かないみたいな、ある意味、点検というか、日々の中で先生が、安全に関する知識があれば、ある程度実施できるものとして、分類ができると思うので、その分類を含めてやった上で、さらにそこを役割分担が必要なのかなと思っています。
いろんな安全点検を全てまるっと教員にやりなさいというのは多分無理なのでという話は、これまでも御指摘がありましたけれども、例えば先ほどのコンセントの話だったりとか、窓際にそういうものを置かないというような話なんかは、日々の運用の中で教員の方ができるようなお話かなと思うので、そういうのを例えば教員の方にやっていただいて、日々使っている環境だったり設備なんかの破損とか、そういうものについては多分、児童とか生徒のほうが日々使っているので、よく気づくので、そういうものは児童生徒から気づいたら教えてもらうというような仕組みにしましょうとか、あとは本当に機器自体の安全点検みたいなのは専門家にしましょうみたいな感じで、安全点検を少し整理をしてあげると、役割分担もできるのではないかなというので、そんな辺りも整理をして検討できるといいのかなと思いました。以上です。

【渡邉(正)部会長】次に、南川委員お願いします。

【南川委員】よろしいでしょうか。

【渡邉(正)部会長】お願いします。

【南川委員】3点発言させていただきます。まず今回の答申案ですけれども、学校設置者、それから子供及び保護者、そして教職員の3者にとってどうかという観点を重視して、私、見させていただいたんですけれども、その3点からは、現実的でバランスのよい計画案になっていると感じています。
それから第2点目ですけれども、14ページで事故対応指針の改訂に言及されている点がありますけれども、これも非常によかったと思っております。今回盛り込まれるこの計画案を踏まえまして、今後は、この部会でも議論ありましたように、事故調査で相手方が黙秘した場合の法的な評価とか対応のような、事故調査委員会の権限と、それから限界を、法的位置づけなどを明確にするなどの事故調査に対する信頼性や評価を高める工夫が今後なされていくように期待しているというところであります。
最後、第3点ですけれども、今回、学校安全の話としては少しずれるので取り上げられない問題だと思うんですけれども、教員に対する生徒の暴力問題というのもあると思っていまして、これは今、現状では、もう教員が一方的に泣き寝入りしているという状況ですので、ぜひ行政当局の皆様には、この問題についての問題意識を持ち続けていただきたいと考えている次第です。以上です。

【渡邉(正)部会長】ありがとうございました。では、藤田委員お願いします。

【藤田部会長代理】大阪教育大学、藤田です。私のほうからは2点、意見を述べさせていただきたいと思います。
まず第1点目は、どこの部分に入るのかというのは分からないんですが、学校安全の推進に関する計画の中で、学校とか、国とか、学校設置者という観点なんですが、例えば学校安全総合支援事業等において、学校間の連携を促進する取組として、学区という考え方、いわゆる学区で、中学校区などを想定し、学校が協働しながら安全推進を進めていくというような、中間的な学区的な考え方というのを新たに取り入れていくことが必要になるんじゃないかなということを考えております。
それと第2点目は、今までいろいろ出ておりますが、安全教育の観点なんですが、安全教育の中で、教育手法の開発に関わるかと思うんですが、いわゆるデジタル教材、ICT等の活用を伴いながら、生命の安全教育という、既に性教育の観点はあるんですが、今回の防犯、学校管理下での事件等も踏まえながら、やはり子供たちの、そういった自尊感情、自己効力感等の育成を通じたソーシャルサポートであったりピアサポートのような視点を取り入れて、いわゆる命を大切にするというような安全教育の手法開発が重要じゃないかと思っています。特に学校の管理下で発生する事件や事故において、いわゆる被害者、加害者、また傍観者をつくらないように、協働して学校の安全を推進していくという取組を支援するような教育活動、そういった教育手法の活性化というものを、やはり今後、国として取り組む必要があるんじゃないかと考えておりますので、その辺りについても、ぜひ御検討いただきたいと思います。以上でございます。

【渡邉(正)部会長】ありがとうございました。それでは続きまして、木間委員、木下委員、山田委員、渡辺弘司委員の順で御発言いただきまして、最後に私のほうで発言させていただきます。それでは、木間委員からお願いします。

【木間委員】ありがとうございます。柴又小学校の木間です。今までいろいろと議論ありがとうございました。幾つかお話しさせていただきます。
まず、現場で私はずっとやってきたので、現場で安全教育を考えると、やはり、安全教育を学校現場に根づかせるためには、さらに学習指導要領に位置づけた明確化というのが必要とは本当は思っているのですが、まだ学習指導要領の改訂は先ですので、そうなってくると、安全教育を学校現場でさらに根づかせていくためには、東京都の例かもしれませが、東京都では安全教育の年間計画の提出が求められています。しかし、年間指導計画の提出は求められていません。例えば、オリンピック・パラリンピック教育の年間35時間の年間指導計画については提出が求められて、学校現場においてオリンピック・パラリンピック教育を年間35時間実施してきました。
同じように、安全教育の年間指導計画も学校に位置づけていくことで、意識して学習指導要領との関連の中で教員たちが指導をしていくようになると考えると、年間指導計画の作成、そして提出を求めていくことが必要と思います。
また、研修の充実という点では、これも東京かもしれませんが、東京都では、校長、副校長、主幹教諭・教諭を対象とした人権教育については毎年1回、研修会が必ずあります。しかし、東京都では毎年度、安全教育プログラムは作られ、全教員に配布されても、安全教育の校長、副校長、主幹教諭・教諭を対象としたような研修会は設けられていません。
ですので、そういう研修会を位置づけていくというようなことも今後必要と思います。
さらに、安全教育の指導に関する事例集を作っていくというのはとてもいいことで、私も全国学校安全教育研究会で研究を一緒にさせていただいて、現場の指導案というのはたくさん事例を持っていますし、避難訓練の方法なども、そういう事例を、先生方が安全教育でどう授業していっていいか分からないというときに提供し、事例集を参考にして授業や指導、避難訓練に生かし進めていただきたいと思います。
次に、安全点検に関する手法の改善という点では、私は安全点検については第2次計画でも、冊子の中に安全点検の表があり、この表に基づいてやっていくといいと思います。本校でも実施しています。また、もう前から言われていることですが、複数の目で教員たちが点検していくとか、ローテーションを組む、1か所で同じ教員が年間を通してずっと見ているというような安全点検では、見落としや、もう見なくても安全だというふうな意識を持ってしまいますので。また、児童、保護者も授業参観に来たときに安全点検表を持たせて、保護者の目線で安全点検させるとか、児童にも環境委員会等に安全点検させるという、違った立場の人たちにも安全点検をさせていくということが必要だと考えています。
次に、組織については、皆さんが言われているとおり、安全主任を位置づけていくならば、教務主任、生活指導主任と同じように必置化していただきたいと思います。そうしないと、何々主任というのは我々現場としては、校長として配置しますが、安全主任が必置化されていなければ、初任をあてたり、3年目ぐらいの若い教員をあてたりということが、多くの学校で起こるように思います。これだけ大事だということを明確にするならば、必置化ということが求められていると思っています。
また、防災教育の指標という話が出ていて、幾つかちょっと考えてみましたが、これが当てはまっているかどうか分かりませんが、やはり実践的な防災教育と考えた場合には、その学校の避難訓練の数だけじゃなくて、消防署と連携した避難訓練が行われているのか、保護者、地域を入れた避難訓練等がどの程度行われているのかとか、あと2次避難をしているのかとか、3次避難までやっているのか、また、どのような避難訓練、防災教育しているのか。火災なのか、水害なのか、地震なのか、土砂災害なのかという、そういう項目ごとの数とか、そういうことを調べていき、推進していかなければいけないと思います。また緊急地震速報を使った避難訓練が本当に行われているのかどうかとか、そういう項目を具体的に挙げることが、学校が正確な数字を出していくことにつながっていくと思っています。
また、教員をめざす大学での研修に対してですが、10月に日本安全教育学会の東京大会が開かれたときに、研修体制の話がありました。その中で、やはり大学においても、3、4年生になると、自分の専門性を高める学習のほうに推移していくと。そういうことを考えると、やはり1、2年生の大学入門期に、この安全教育をしっかりと位置づけたカリキュラムをしていくことが、安全教育の教員養成にとっては必要なのではないかと感じましたので、お伝えをしたいと思います。
また、学校ではICT化がどんどん進んでいますが、やはり教材化となると、なかなか我々教員は作れないと思います。そうすると、やはりそこは企業と連携して、企業のものをどう有効化していくか、またそれを紹介しながら、我々が身近なものにしていくか。安全マップなどもタブレット化したものを損保協会などが作っているように、そういう利用できるものは活用していくことも大切かと考えています。しかし、どういう教材があるかという知識がないだけに、そういうことを広めていくことも必要と思っています。
また、このICT化によって家庭との連絡体制の安全分野に対する連絡体制や、登下校の登校アプリなどは、既に本校でもやっていて、登校すれば親に、保護者が、子供が登校した、下校したときは下校しましたということが分かるようなことが一般化されていますので、そういうものを具体的に示していくことが、現場にとっては利用し、実効性があるものになっていくと考えています。早口で申し訳ありません。以上です。

【渡邉(正)部会長】それでは、木下委員お願いします。

【木下委員】岡山教育事務所の木下です。よろしくお願いします。私からは、子供の安全は誰が担うのかという点について、申し上げます。今回の3次計画で、学校の取り組む事項が結構たくさんあって、本当にこれを全ての学校でできるのかな、負担感が大きいような気がしております。
その中で、やはり学校だけが子供の安全を担うのではなくて、地域や保護者の方がそれぞれの役割を果たして、子供の安全をみんなで考えていこうという考え方が必要なのではないかなと改めて思っています。その点において、コミュニティ・スクールという仕組みを活かして、みんなが子供の安全について話し合うという場が必要だと考えております。
10ページのほうに、防災教育の中でカリキュラム・マネジメントという表記がありますが、コミュニティ・スクールの場を使って安全について皆が議論する中で、例えば安全教育を学校ではどう取り組んでいるか知ってもらうことが大事だと考えています。「社会に開かれた教育課程」で、学校の教育課程に位置づけてこの部分まで教室で教えるので、実践的に地域のことを学ぶのであれば、地域で学ぶ場、体験する場を地域の方に設けてもらい、更に、地域で学んだことをまた学校に生かしていくという学びを往還する仕組みがあったらよいと考えます。カリキュラムマネジメントに加え、「社会に開かれた教育課程」という文言が、どこかに入ったらいいなと思っています。
加えて、学校と地域をつなぐ橋渡し役として、地域学校協働活動推進員の委嘱が進められていますので、学校や地域の方をよく知っている、このキーパーソンの方に、子供たちの安全について理解を深めていただけるような仕組みができるといいなと感じております。
余談かもしれませんが、「幼稚園において安全教育を推進する」という文言に関して、就学前の安全教育を充実することは大賛成ですが、保育所など教育委員会が所管していない、この就学前の子供たちへの教育については、どう担保していくかというのを懸念しております。以上です。

【渡邉(正)部会長】ありがとうございました。それでは、山田委員お願いします。

【山田委員】日本PTA全国協議会、山田です。9ページのところの安全対策の推進のところですね。推進についての文言があったと思うんですけれども、通学路のところのですね。「それに基づく取組を継続して推進するための関係者による推進体制の構築を推進している」というところで、推進が3つ重なっているので、ちょっと読みにくいなと思いまして、そこをもうちょっと整理して、推進を1つにした文章にしたほうが分かりやすいのではないかなと思いました。
それと、今回、「文部科学省、国土交通省、警察庁が連携し」という文言を入れてもらったんですけれども、日本PTAが、その3つの機関に要望書を提出した内容としては、必要な予算を確保して、道路の環境改善に向けての対策を講じていただきたいということと、交通ルールの違反者、とりわけ飲酒運転に対する厳罰化及び飲酒運転の防止に向けた対策強化を一層推進していただきたいということと、その啓発活動を恒常的に、1回ではなく、何回も何回も広報活動を広く展開していただきたいということを入れています。
こちらの警察庁とかに強く、やはり厳罰化を求める文言をちょっと入れていただけるといいのかなと。先ほど30キロのところを60キロで走る車はどうしても、幾ら言っても減らないですし、やっぱりある程度罰則を設けないと難しいのかなと思います。
あと、2番の防犯のところの子供に対する被害と性被害対策ですね。こちら、あまり深くは議論されなかったとは思うんですけれども、やはり通学時に子供が巻き込まれるという被害も後を絶ちませんし、交通だけではなく、そういうところも、もう少し深く書いていただけると、やはり保護者としてはありがたいのかなと思います。
マル1、マル2に絡んで、やはり警察庁に対する、厳罰をもうちょっと大きくしてほしいという言葉を入れるというのは大事なのかなと思います。
あと11ページのところの、先ほどおっしゃっていただいたICTを活用した取組を既に大分されているということだったんですけれども、このICT環境を広く使って、せっかく1人1端末、児童生徒持っていますので、提案としては、限られた授業時間の中で、実際の防犯の訓練をするのがやはり一番大事だとは思うんですけれども、そこを補うために、宿題として、企業さんとかが提供していただけるような、防犯に対する、子供たちに実際に映像とかで見てもらえるような教材を準備していただいて、それを宿題で、家にICT端末を持って帰ったところで、子供たちに見てもらう。そうすれば、宿題となると、ちょっと時間取られるんですけれども、授業中だけではなく、子供たちにそういう提供をできるような環境にしていただけると、保護者としても安心かなと思います。以上です。

【渡邉(正)部会長】ありがとうございました。少し時間が過ぎておりますけれど、このまま進めさせていただきます。渡辺弘司委員、お願いします。

【渡辺(弘)委員】
3点ほど確認をさせていただきます。
1つ目は、学校医と学校安全の関わりについて、当部会の初回でも意見を述べさせていただきましたけれども、学校保健安全法上、学校医は学校保健計画だけでなく、学校安全計画の立案にも参画すること、参与することが規定されています。しかし、日本学校保健会の調査によりますと、学校安全計画の立案に参与している学校医は極めて少数です。学校医の参画についても、ぜひ答申に持ち込んでいただきたいと思います。
また、学校安全に関して、事前、県の事故発生率、それから事後の、どのような場面に学校医に意見を求めるのが望ましいのか、文科省におかれては一度整理をしていただいて、事例を全国に周知していただきたいと思います。このままでは、学校保健安全法の規定が空文化してしまうのではないかと危惧しております。
2点目は、今回発生したような、学校内での生徒間での殺傷事件、暴力事件もそうですけど、どのように取り扱われるのか。外部からの防犯は学校安全、内部の防犯は生徒指導、こういうふうにきれいに区切れるようなものではないように思います。学校安全の観点から今回の事件をどう捉えるか、事務局、ぜひ御検討いただきたいと思います。
それから3点目なんですけど、これは当部会で取り扱うのが適切ではないということであれば、現状どうなっているか後で教えていただきたいんですが、サイバーセキュリティーの問題。GIGAスクール構想でも、研修や教材の提供にネットの活用が推奨されている中で、ネット依存やSNSの適切な使用はもちろん、サイバーテロや情報流出への対応も、外部からの防犯という観点で言えば、広い意味では学校安全の範疇のようにも思います。
例えばランサムウエアに感染した場合、学校業務に支障が出ます。ウイルスの感染が学校のパソコン自体に起きた場合もそうでしょうけど、児童生徒のデジタルデバイスが感染した場合は、児童生徒間に対しても問題が生じるということになります。
サイバーセキュリティーに関して、防御と予防と初期対応というのは大変重要だとは思うんですが、この答申に書かれていないことは、担当部局が違って、ほかで対応しておられるというように考えてよろしいのかという点を、教えていただければと思います。以上でございます。

【渡邉(正)部会長】ありがとうございました。
それでは最後に、私のほうからも少しお話しさせていただきたいと思います。今日、多くの委員の方から御発言がありました、中核となる教員をもっと明確化してほしいということだったと思うんですね。例えば安全主任とかそういうことですけど、全く私もそのとおりだと思っております。
例えば、この第1次計画の段階で既に安全主任という言葉が出てきているんですが、それがだんだん消えて、何か後退しているような印象をちょっと持ってしまいました。
しかし諮問の中にも、学校安全の取組の思想を全国的に高めて、実効的で持続的なものにすることが重要だと大臣もおっしゃっております。
つまり、それをやるためには、きちっとそういう役割を担う人、つまり、やはり安全主任なり、そういう人を明記して、先ほど必置化というお話もありましたけど、そのようにしていくということが大事だと思いますし、それが、この第3次計画の中で特に重要ではないかなと思っております。
少し要望になるんですけれど、今回のこの記載の文章を見ていきますと、連携とか協働という言葉があちこちにたくさん出てくるんですが、割と具体的に書かれているところもあれば、何となくさらっと書かれているところもあって、ちょっと具体的にどんな連携があるのか、協働なのか見えないような部分も、少し気になりました。
やはり、どこと連携するのか。例えば関係省庁としか書いていないところもありますので、少し具体性を持たせてほしいということですね。何となくきれいな言葉なものですから、連携、協働というの。何かそれでよかったみたいな形になってしまうと、それで終わってしまうともったいない。具体的にどんな取組をするのかが明らかになってほしいと思います。
例えば連携のところで、先ほど消防団員の話が出ていましたけど、結構具体的に、あそこは書かれていますよね。それに対して、あまり書かれていないところもあるので、その辺のバランスというか、濃淡が随分あるなという感じを、印象を持ちましたので、できるだけ具体性を持たせていただければと思っています。
もう一つは、気になっているのは、大臣の諮問の中に、新型コロナウイルス感染症の安全対策のことが、実は書かれているんですよね。新型コロナウイルス感染症対策と安全対策の両立などの検討も必要ですと書いているので、それに対する答申が、やっぱりどこかあったほうがいいと思います。
具体的に、既に学校の衛生管理マニュアル、国が出しているマニュアルの中には、例えばマスクと熱中症の関係とかのことが書かれているんですけどね。要するに、この感染症対策の中に、安全対策も盛り込むようにというような、そういう内容が必要かなと思いました。それが3点目ですね。
あと、先ほど御発言の中で、北村委員の御発言になるんですけれど、ヒヤリハットまではちょっと負担が大きいんじゃないかというようなお話があったんですけど、私はやっぱりヒヤリハットは重要だと思っています。というのは私、時々事後検証で調査とかやるんですけれど、まず、これはお話ししたかもしれませんが、サッカーゴールが倒れて死亡したという事故があり、調べてみると、その前にも倒れているんですね。だけど、けがが大したことなかったものですから、そのまま何の対策もしないで放置している。そして、その後、死亡事故が起きたというケースがありました。
学校内でのそういう重大事故の調査も見てみると、やっぱりあるんです、ヒヤリハットが、その前に。だから、そこで見つけて対策をしないと、死亡事故につながってしまうということが多々あるんだと思う。ですので、そこが気になったものだから発言させていただきました。
以上で、僕はこれだけなんですが、この後は、できればまた追加の御意見とかいただきたかったんですけれど、もう時間が過ぎておりますので、ほかに御意見がある場合は、後からメールなりで送っていただくということでよろしいでしょうか。皆さんの御意見を聞いた上で、また追加の御意見があるかと思いますので、そういったことについては、メールでまた連絡を、できるだけ早くいただければと思います。
それでは、本日の議事は以上といたします。本日の意見、そして後でまた御意見をいただいたものを踏まえて、事務局と修正を加えて、次回の学校安全部会では、答申に向けた第3次計画の案について審議したいと思います。
29日月曜日までにメールで頂きたいということですので、来週の月曜日で時間もあまりないんですけれど、どうぞよろしくお願いします。最後に、次回以降の予定について事務局からお願いします。

【朝倉安全教育推進室長】事務局でございます。資料3を御覧ください。今後の日程ということで、本日の第8回の会議を書いております。事務局の案につきまして、本日、皆様から多くの御意見をいただきましたので、これらを踏まえて修正してまいりたいと思っております。
12月になりましたら、安全部会の上位になります初等中等教育分科会、またそれの上にあります総会で、これまでの進捗状況の報告及び審議という形になっていきます。
第9回につきましては、ここにお示しさせていただきますように、12月22日、16時からということになりますので、引き続きよろしくお願いします。
1月になりましたら、最終的に分科会、総会ということになりまして、令和3年3月までにパブリックコメントを経て第3次計画の閣議決定を行えればと考えております。事務局からは以上でございます。

【渡邉(正)部会長】本日予定しました議事は、これで全て終了しました。これで閉会といたします。本日も積極的に御審議いただきありがとうございました。

――了――

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)