学校安全部会(第3回)議事録

1.日時

令和3年7月14日(水曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 安全教育(生活安全(防犯含む)、交通安全)について(委員からのヒアリング)
  2. 意見交換
  3. その他

4.議事録

【渡邉部会長】それでは定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会学校安全部会第3回会議を開催いたします。本日の会議は、報道関係者並びに一般傍聴者の傍聴を許可します。オンライン配信で傍聴いただいている方々には、傍聴登録者以外へ当会議の配信URLを転送することや、他への放映は固くお断りしていますので、よろしくお願いいたします。それでは、最初に事務局より資料の確認などをお願いいたします。

【朝倉安全教育推進室長】それでは資料の確認をさせていただきます。会議資料は議事次第のとおりで、資料1から資料7まで、参考資料は1、2がございます。お手元に御用意いただきますようお願いいたします。本日は、大木委員を除きます17名の御出席を頂いて、定足数を満たしております。
事務局からは、総合教育政策局長義本博司、社会教育振興総括官寺門成真、総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長石塚哲朗ほか、関係室長・関係補佐等が出席しております。

【渡邉部会長】それでは、議事(1)に入ります。
まず、文部科学省から、生活安全と交通安全に関する安全教育に係る取組について御説明いただきたいと思います。続いて、4名の委員から、安全教育、中でも生活安全、交通安全について話題提供していただいた上で、今後の安全教育の質の向上について議論したいと思います。
各発表に関する御質問は、全員の発表が終わった後に、意見交換の時間で頂けるようにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、文部科学省より御説明をお願いいたします。

【朝倉安全教育推進室長】それでは私から、資料2で生活安全と交通安全に関する安全教育に係る取組について御説明させていただきますが、その前に、先般6月28日、千葉県八街市において発生いたしました事故につきまして、改めて謹んでお悔やみ申し上げます。文部科学省といたしましては、このたびの事故の発生を受けまして、参考資料1として付けておりますが、7月9日付で「通学路における合同点検の実施について」を発出させていただいたところでございます。国土交通省、警察庁からも同日付で関係機関に通知されております。関係省庁とも連携を図りながら、通学路の安全確保に取り組んでまいりたいと思います。
それでは、資料2の御説明をさせていただきます。資料を御準備ください。私からは、文部科学省における安全教育(生活安全、交通安全)の取組について、5分程度時間を頂戴いたしまして、簡単に御説明させていただきます。
スライドの2ページを御覧ください。学校における安全教育に関する指導につきましては、体育科(保健体育科)、家庭科、特別活動の時間はもとより、各教科、道徳科、総合的な学習の時間など、教科等を横断的に指導することとなっております。
例えば学習指導要領の特別活動の学級活動・ホームルーム活動におきまして、安全に関する指導について、御覧のように示されております。また、生活安全に関する指導といたしまして、御覧のようになっております。
3ページを御覧ください。交通安全に関しましては、交通安全対策基本法第24条第1項に基づきまして、文部科学省では毎年度、交通安全業務計画を作成することとなっております。業務計画では、学校において、交通安全教育を計画的かつ組織的に行うことになっております。
交通安全教育の施策につきましては、例えば交通安全教育に係る指導者の養成があり、国においては学校安全指導者養成研修を行っております。また、県におきましては、学校安全教室推進事業や県独自の研修を行っているところであります。また、国におきましては、交通安全教育に関する資料・教材の作成・配布を行っております。また、下にございますように、幼稚園教育要領、学習指導要領におきまして、交通安全に関して系統的に指導する内容が示されております。
4ページを御覧ください。こちらは登下校防犯プランの概要でございます。平成30年5月、新潟市におきまして下校途中の児童が殺害され、未来ある貴い命が奪われるという事件が発生いたしました。政府におきましては、このような事件が二度と発生しないよう、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議を開催し、6月22日で登下校防犯プランとして対策を取りまとめております。
5ページを御覧ください。こちらは国の事業の1つ、学校安全総合支援事業です。本事業は平成24年度より実施しており、モデル地域による防犯教育や交通安全教育をはじめとした先進的な取組を支援しております。
6ページを御覧ください。こちらは、学校安全総合支援事業における安全教育、特に生活安全の取組例です。北海道と新潟県の事例を紹介させていただいております。北海道では、小学校の特別活動において、児童が担当エリアごとにグループに分かれまして、気になるところを探し、白地図に記録して、どの学年にも役立つオリジナル安全マップづくりを行っております。児童が通学路の安全について主体的に考える活動を取り入れた授業を行うことにより、防犯教育の向上が図られております。また、新潟県では、地域安全マップづくりを通して、危険予測能力が大幅に向上したという成果が報告されております。
7ページを御覧ください。こちらは、学校安全総合支援事業における安全教育、特に交通安全の取組例でございます。北海道と秋田県の事例を紹介させていただきます。北海道では、自転車の安全利用に係る公開授業を行っており、自転車と車の運転手の2つの視点から考える取組を行っております。これによりまして、交通事故防止に向けた生徒の視野の広がりが見られたという報告を頂いております。また、秋田県では、歩行環境シミュレータによる体験学習を通じて、危険予測・回避能力の育成につながったという御報告を頂いております。
最後ですが、8ページを御覧ください。こちらは、セーフティプロモーションスクールについての概要であります。セーフティプロモーションスクールについては、6月18日に閣議決定されました「経済財政運営と改革の基本方針2021」、いわゆる骨太の方針に盛り込まれているところです。
セーフティプロモーションスクールとは、学校の組織的な活動、PTA・地域との連携、年間計画の実施・改善など、学校安全に係る7つの指標を設定いたしまして、学校に係る中長期的な活動計画を策定し、関係機関が連携して科学的実証的な安全対策に取り組むというものでございます。大阪教育大学内にある日本セーフティプロモーションスクール協議会が認証を行っております。
私からの説明は以上ですが、文部科学省といたしましては、引き続き関係省庁や関係団体と連携を図りながら、安全教育の充実に取り組んでまいります。

【渡邉部会長】ありがとうございました。続いて、本日は中井委員、小川委員、渡部佳代子委員、村山委員の順番でそれぞれ御発表いただきたいと思います。最初に、中井委員、小川委員のお二人に御発表いただきまして、その後に少し時間を取って意見交換をしたいと思います。その後で、渡部佳代子委員、村山委員から御報告いただくという形にしたいと思います。各委員、15分程度でお願いいたします。それではまず、中井委員からお願いいたします。

【中井委員】大阪大学の中井です。よろしくお願いいたします。資料3という形で、事務局に映していただきますけれども、こちらで御説明をさせていただきます。
次、お願いします。まず、学校安全の考え方としまして、こちらは「「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」の改訂2版より、安全管理・安全教育を両輪とし、組織活動でそれらをうまく連携しつつ、子供の安全を進めていこうということが書かれております。
こちら、皆様方御存じと思いますので、青い丸のところを御覧いただきたいんですけれども、今の学習指導要領の中で、いわゆる学力、どういった能力・スキルを身に付けていくかという3要素のところに、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性というのがございますけれども、この中で私が実践している安全教育と関わるところを太字で示させていただきました。
まず知識・技能につきましては、子供たちの身の回りには様々な危険性がございますので、それを理解させると。また、真ん中のところだと、安全な生活を実現するために、どこが危ないということだけではなくて、どのようにすればいいのかということを考えさせるというのが2点目。最後は、自分の安全を守るということはありますけれども、他者の安全も含めて主体的に実現していくといった、3つの観点を取り入れた安全教育を実践してきました。
名前ですけども、次のスライドにございますように、ひとまず「ひなどり」という名前を付けさせていただいております。ネーミング自体の意味合い、語源は、そこにありますように、標識(ひょうしき)作ってなくそう事故を「どこでどうする?」理解(りかい)して、ということなんですけれども、こちら、一番最初にやりましたのは大阪府内の公立小学校で、しかも最初は、学校の外へ行くというのは安全面でも少し心配なところがありましたので、一番最初のとき、実は2014年ですけれども、そのときに実施したものを紹介いたします。
次、お願いします。概要ですけれども、基本的には担任の先生に一任をして、進め方は、専門家といいますか、我々のような大学の人が行かなくても実施していただけるようなものをお願いしたということです。
冒頭、1つ目としては、まずは学校の中ですけれども、危険箇所を見つけようと。そこの場所で事故をしたり、あるいはけがしたりというのを予防する具体的な目標ですね、自らがどうすればけがなく過ごせるのかという目標を、できるだけ具体的に立ててもらうと。その目標を表すピクトグラム、これは案内用図記号、よくあるのはトイレのマークとか非常口のマーク、そういったようなものを考えて、描いてもらう。最後にそれを、自分たちで作ったものを自分たちの手で貼るといったような、一連の流れとしてはそのような形になってございます。
次のスライドからは実施の風景があるんですけれども、すみません、この資料には付けていませんでした。これはワークシートです。「安全な学校作り」ということで、学校の中にどんな危険な場所があるかということの意見を挙げてもらって、そうした場所で、では、どういうことをすればけがをしないで済むのかということをクラスの中で考えていくということになります。
次、お願いします。子供たちは、これは4年生なんですけれども、例えば遊具のところであるとか、運動場、それから階段、あと給食の時間にこんなことがあるよねとか、図工の時間であるとか、本当に幅広いものが出てくると。それこそ右の列の「校舎外その他」というところなんかだと、熱中症とか、特に何も、どういった意見も制限せずに出していくと、結構幅広い場所で危険があって、それを子供たちが自分たちでもいろいろと見つけることができるのかなと。4年生ぐらいになるとこれぐらい出てくるのかなというのが、まず1つ目のステップです。
次、お願いします。これらの場所でどういったことに気を付ければいいのかということを今度は考えるんですけれども、例えば廊下のところだと走らないということ、階段は右側通行するとか、そういったようなことが出てきたり、ジャングルジムの下を通らないようにするとか、いろいろな意見が出てくるんですけれども、それらを、漢字を使うとかになると、漢字を習っていない1年生とかそういう人もいるので、できるだけみんなに分かりやすいようにということで、ピクトグラム、標識にしましょうということで、ここにありますのはトイレ、非常口、それから禁煙というマークですけれども、こういったのが世の中にたくさんありますねということで、ひとまず例示をします。
次、お願いします。これらを基に、子供たちはまず最初は色鉛筆で下描きをしているんですけれども、それを基に、2日目ですね、この学校ではこの回は図画工作ではなく総合学習の時間だったんですけれども、マーカー、マジックで画用紙にこのような子供たちのデザインを描いて、先生にアドバイスを求めながら、こんなのはどうでしょうかということで各自が作業を進めていくというふうになります。
次、お願いします。こちらが作品の一例ということで、これは比較的どういう意図があるのかということが見やすい、ちょっと言葉はあれですけども、上手な作品になるかなと思いますが、こういったものを子供たちは作っていくということになります。その次も一例ですけれども、御覧いただければと思います。これも非常に上手なものとか意味が伝わるようなものかなと思います。
この次のスライドにありますけれども、漫画風といいますか、2コマ漫画ですね、真ん中は分かりにくいかもしれないですけど、真ん中は準備体操をすると上手に跳び箱を飛べるけど、準備運動をサボるとけがするよというメッセージなんですけども、中には今のように注釈が必要なものもありますが、基本的には全部の子供たちが時間内に少なくとも1つは作品を作り終えて、時間が余った子は、左下の矢印のように、これはあちこちの廊下に、右側通行しましょうというところに貼るためのものなんですけども、こういったものを作った子供たちもおりました。
続きまして、次のスライドでこれをまとめると、基本的には64名が105個の作品を作ったと。ただし、下側にありますとおり、やはり絵の上手だとか下手だとかというところで影響があったり、あとは、私がトイレとか禁煙とかというピクトグラムをあらかじめ例示しましたので、それに少し引っ張られたかなということで、実は1日目に危ない場所ってたくさん出てきて、具体的な行動目標もいろいろなのがありました。例えば机の横に、小学校とかですと給食の袋を掛けるところがありますけれども、あそこからひもがだらんとたれていると足を引っかけるとか、そういうこともあったんですが、絵を描きやすいかどうかというところで、反映されなかったものもあったということになります。
続きまして、2日目に作った作品を私の方で大学に持ち帰りまして、さっきみたいに写真撮影したんですけれども、それをラミネートして、クラスの前で、全員ではないんですけども、こんなのを作りましたということで、左上の写真のように全体に発表して、その後、学校のあちらこちらに自分たちで貼りにいくということをします。ここは校長がどこに貼ってもいいということだったので、階段の蹴上げの部分とか、比較的目に付くようなところにも貼らせていいただいたということになります。
効果が次のところなんですけれども、これは少し期待とは違っておりまして、教育の前後で、今回は4年生が教育対象でしたので、本来だと教育後に、例えばこれは4が危険な方で、1が安全な方なんですけれども、教育を受けると、廊下や階段を走ることが減ったり、机や椅子とかに上らなくなったりということを期待していたんですが、実はこの効果は余り認められなかったということになります。
しかし、次のスライドなんですけれども、この学校の養護教諭が記録を付けておられるものによると、けがをして保健室に行った児童の数というのが、今回4年生だったんですけども、教育前に比べて、教育後、これは20登校日ですね、登校日が20回ある中のデータを数えていますが、かなり減ったと。
もちろん学校というのは、運動会の影響とかそういうものでけがをする人の数というのは季節によって変わるので、その前の年の同じ時期と比較したり、あと学年のカラーというのもあって、ちょっと大人しい学年とやんちゃな学年というのがあるので、ほかの学年も示したのがこちらになります。
必ずしも我々が行った教育の影響だけでこうなるということではないですけれども、教育を行った4年生では負傷者が半減し、全体としても、前年の同時期に比べると、この学校ではけがをする人が減ったのかなと思います。
また、次はあくまでも主観的な評価ですけれども、担任の先生とかのコメントを聞くと、掲示した直後に、ほかのところにも貼っておいたらよかったなと言ってくれていた、非常にうれしい声があったりとか、誰々君がここは、大阪の小学校なので「走ったらあかん」と書いていますけれども、そういうことを、貼っているので、立ち止まるという児童、あとは、同級生の誰がどこに貼ったのかということですね、これは秋に貼っている、10月に貼っているんですけれども、3月の修了式まで誰のがどこにあるといったようなことを把握していたというコメントがありました。
この年は学校の中だったんですけども、その翌年度以降、同じような課題を学校の外でも実施しまして、この次のスライドにございます、これは学校区の中ですね。また、絵が上手だとか下手だというところが少しありましたので、デジカメを持っていって学校区内を写真撮影して、コンピューター、小学生が使う、パワーポイントの小学校版みたいなものを使って、これも基本的には例えばドライバーとかに対して注意喚起を促すのではなく、自分たちがここで何をしたらいいのか、自分たちが何をしてはいけないのかということを目標として立たせるといったことをしているというふうになります。
我々としては、実際にはこれぐらいのことをいろいろなところでやっているに過ぎないんですけども、すいません、次、お願いします、これは私がちょっと思っているところとしては、例えば最近だと、この地点は海抜何メートルなんだということが電柱等々に貼られたりしているところもあるんですけれども、こういうものが例えば子供の作品であれば、地域の大人とかというのも注意を引くんじゃないかと。目に映ってくるんじゃないかなと。そうすると、あっちの場所よりこっちの方が海抜が高いですとか、この場所で遊んでいて、大地震に巻き込まれたら、どこへ避難すればいいんだろうと。そういったことにつながるのかなと。
また、これは私自身はやったことがないんですけども、以前にインタビューをさせていただいた小学校さんでは、グリーンベルトですね、通学路の路側帯を緑に塗るというところを、児童が塗るとかというようなことをして、一番左下に「とまれ」とあるんですけど、そういったようなことをすると、子供たちというのはそこで止まったり、この後、多分小川先生のもので「止まってね」マークというのが出てくるんですけども、そういったようなところと通ずる部分があるかなと思います。
すいません、時間があるのでもうちょっと巻いてくださいということなんですが、2つ飛ばしていただいて、安全教育をいつやるのかというところで、これは先ほど文部科学省の資料の中でも保健体育科とかというのがありましたが、これ以外のところでいくと、これは私がちょっと思っているのが、現在スタートをしているキャリア・パスポートですね、これは基本的にキャリア教育という中ですけれども、そこの中で、地域の中でどのように生きるかと。安全に命を守るというようなことを含み入れることができないかとか、高等学校では探究の時間というのがあって、探究の時間は基本的に生徒たちが自分でテーマを見いだすということですけれども、そんな中で交通安全というのを考えてもらうことができたらいいかなと思います。
すいません、次、お願いします。これは、キャリア教育でという中です。この次に文部科学省の例示資料があるんですけど、今、実は文部科学省のホームページにあるいろいろな例示資料の中には命とかという言葉が入っていないので、24枚目に行っていただいていいですか。ここで、なりたい自分とかを考えさせるときに、安全というのを文部科学省の例示資料の中にそういったことを含み入れてはどうかということと、時間なので本当に最後ですけども、最近、アクティブラーニングの効果評価というときに、ルーブリックに基づいて、この次のスライドにあります、これに基づいて教育学習成果を評価しようと。私が知る範囲では、この中に安全教育に特化したルーブリックが余りなくて、ただ、こういうことを示すことで、教育をする側も何を教えればいいか、また、学んだ側もどういうことを身に付ければいいのかということを整理して、この中でやる側も受ける側もどのようなことをしていけばいいかということを考えていくことができるんじゃないかなと。
最後の方は提案になりましたけれども、以上です。

【渡邉部会長】ありがとうございました。続いて、小川委員より、よろしくお願いいたします。

【小川委員】東北工業大学の小川です。どうぞよろしくお願いいたします。私の方では、発達段階に応じた交通安全教育の方法と子供の主体性ということで、教育実践の事例などを取り上げながら、解説していきたいと思います。共通して子供の主体性とは何かということを今日、問題提起していきたいと思います。
まず基本的な考え方なんですけども、安全教育の目的を定義して私は進めています。端的に言うと、リスクある環境にどう適応するか、その資質・能力の育成というふうに位置付けて教育を進めています。
そのときに大切なのは、教育上の課題としては、子供自身の自尊感情や自己肯定感を大切にしたい。それから、今日のテーマでありますように、主体的な学習を中心に進めていく方が、態度変容や行動変容を導きやすく、教育効果は高いということです。
今どういう研究をしているかというと、先ほど中井先生がおっしゃったように、主体的な活動をどう評価するか。子供たちが主体的に活動するので、やっぱりきちんと評価してフィードバックする必要があるということで、今、中井先生からルーブリックのお話をしていただきましたが、そこが私たちの研究グループでは大きな課題になっています。
それから中井先生から先ほど御説明ありましたように、キャリア・パスポートという話があります。やはりキャリア発達、キャリア教育とも連動性があると思っています。私自身、交通安全教育を交通安全に限定しないということで、市民性教育やESD、SDGsとの関連性なんかも意識しながら進めていっています。なぜなら、この右下にありますように、まず自分の命を守るということなんですけども、守ることができたら、他者の命を考え、そして地域の安全を考えていく、そういうふうにリスクマネジメントや危機管理の意識を拡大発展していくこと、まさしく地域や社会との関わりの中で自分が果たすべき役割を考えていく。そういう方向性で安全教育を位置づけております。
それでは、具体的な教育実践の例を挙げたいと思いますが、これは小学3年生を対象とした教育実践です。この授業を担当していただいた学年主任の先生は、非常に独創的な活動を展開してくださいまして、地図を作るということで、フィールドワークを通して地域の中の危険箇所の探索を行いました。
それから子供たちの方からの意見として、自分たちが学んだこと、なぜこういうことを学ぶのかということを問いかけたら、2年生に教えてあげたいという意見が出た。そういう子供の主体性を大切にして進めていったということです。
それから、これは先生から提案されたんですけども、止まろうという気持ちが生まれるための標識を作ってごらんと。先ほど中井先生からピクトグラムのデザインという話が出ましたが、ここでも子供たちに止まれのデザインを考えてもらって、それをステッカーにして危険な交差点に貼るという、こういうデザインを考えてもらったんですね。
これが総選挙の中で一番に選ばれたデザインなんですけども、私たち大人はキャラクターを使いがちなんですが、子供自身は、これを見たら止まろうという気持ちになるというデザインを、こういうふうに足をそろえる絵を描いたということです。本当に目からうろこで、これが子供の主体性なのかと思いました。幼稚園から小学校にかけて、止まれというと足をそろえること、多分運動会とか体育の中でそういう経験を積んでいるので、これを見たら止まろうという気持ちになるんだなと。こういう学習経験の延長上に教育を持っていく、これも1つの子供の主体性かなと思った次第です。
それで、こういう活動を通して子供の主体的な教育を展開するということは、それ自体、効果があると思うんですけども、もっと根本的に交通事故を防ごうと思えば、確認行動を促す必要があるので、それは併せて進めていっています。
普通、口頭でこういう指導をするんですけども、口頭の指導だと、実際に私たち、危険な交差点に立って子供の様子を観察していたんですが、2割、3割ぐらいしか確認しないんです。こういう子供主観の写真を示して、どこで止まってどこを見るという具体的な内容を指導していくと、こういうふうに確認率が上がっていって、6割、7割の子供が見るようになりました。これは1年以上たってからの結果です。これは高過ぎて不思議な値なので、注釈を入れて解釈しないといけないんですけども、挨拶運動を今展開していると。だから周りの地域の人に会ったら挨拶しようという指導をしているので、それで周囲をよく見るようになったと。効果を持続するためには、こういった挨拶運動なんかを兼ねるということも大切かなと思った次第です。
いずれにしても、子供主観の写真を使って、子供の視点で指導すると効果が上がるということで、今現在、学校安全の指導者講習会では、現場の先生方にはこういう指導をしてほしいということで、子供視点のアングルの写真を撮ってきて、危険予測・危険回避の議論をし、そして代表の子がこうして左右を見て後ろも見るんだよと写真の前に出てきてお手本を示します。これを写真シミュレーション学習と私は勝手にネーミングしたんですけども、こういう指導をして、ほかの子がそれを見て学習する。例えば私の息子が幼稚園から小学校に上がるときに、私がお手本を示して、子供がそれを観察して学習している様子を後ろからビデオを撮ったんですけども、止まる位置から説明している映像なんですが、ここは見通しが悪くて車が来るということで、まずこの位置で止まるんだということを私が指導しているところなんです。
止まる位置の説明に時間がかかったんですけども、それで私がお手本を示して、あなた、やってごらんと。こんな指導ですね。これが観察学習です。これは私の息子がちょっと先読みして、見るまでやってしまったんですけれども、こんなふうに一緒に学習する。5分もあればできる教育なので、こういったことを各現場で展開していったらどうかということを先生方に指導者講習を通して伝えているところであります。
次は中学生の教育プログラムの開発です。私は、学習経験はつながっていくということが、一つ、主体性の大きなテーマだと思います。
ここでは1年生、2年生、3年生の系統的なプログラムを作りました。まず1年生は、とにかく交通事故を防がないといけないので、自分たちの自転車の走り方はどうなのかを振り返る。それから自分たちの内面にある判断力ですよね。判断の意思決定も、内面の問題も振り返るという教育をやっています。それから地図を作って、仲間同士で情報共有します。
それから3年生になったら、2年生に指導したらどうかと。2年生に教えてあげたらどうかということを展開しました。ここで私たちは、2か所ぐらい危険箇所を取り上げて、そこがどう危ないかというのを教えてくださいと。ただ伝えるだけだとすぐ終わるので、それを分かりやすく、興味深く伝えてほしいということを提案したら、危険予測クイズを考えながら、3年生の子が2年生の子に教えている、こんな場面ですね。ここの真ん中の子は3年生ですけども、2年生の子に熱心に教えていたし、それから寸劇の練習をし始めて、車役の子、歩行者役の子とかに分かれて、事故はどういうふうに起きるかということを、寸劇で示して、2年生の生徒さんたちに事故はどう起きるかということを解説していました。生徒さんたちが自分たちで伝える方法を考えてくださったということです。
それから、最初のミラーリングとか悪魔と天使という教材なんですけど、もう少し簡単に御説明しますと、ミラーリングというのは、他人の姿を鏡にして自分を振り返る、人の姿を見て我がふり直せというやり方で、文部科学省のホームページ、学校安全ポータルサイトに動画がありますので、これを使って、高校生の横断の仕方なんですけども、確認をせずして横断する。いろいろな危険な横断の仕方を示して、それで自分たちはどうかなというふうに、他人の姿を見て自己評価する、こういう振り返りの仕方です。
それから、意思決定の振り返りについては、悪魔と天使ということで、悪魔のささやき、これは、行っちゃえ行っちゃえとか、信号が点滅し始めても、まあ大丈夫だからという、危険な方向に誘う声と、それから、もし事故に遭ったら部活ができなくなるとかおいしい御飯食べられなくなるよとか、やっぱり事故がないように安全にいこうねという、こういう天使のささやきと、2つの心の声を定義します。どっちの声が強いかということで、いろいろなシチュエーションを設定して、黄信号になったときはどうかとか、あるいは急いでいるとき、友達が先に行ったらどうなのか、自分の気持ち、心の葛藤を自己評価して、グループで討議するというやり方です。
こんなやり方をすると、自分の心の状態、安全確認を忘れた自分にはっと気づくとか、スピードを出し過ぎていないかという、自己モニタリングですよね、メタ認知の意識が上がります。同じプログラムを山形県の中学校で行ったところ、実際、車とぶつかるという事故が減ったという効果も出ています。こんな教育を展開しているところです。
そして最後、高校生の教育実践ですけども、高校生は自分の問題は自分たちで解決するというふうに私は生徒さんたちに投げかけています。それで、生徒会とか交通安全委員会といった中心的なメンバーとなる生徒さんたちに問題提起をして、みんなで考えていこうと。自由討議から入るようにしていて、この間もある宮城県の高校で生徒会の皆さんに考えていただいたんですけども、とにかく解決方法はいろいろあるから自分たちで考えてごらんと。ただ、そのときの議論の仕方については、ちょっと条件があります。一部の生徒さんだけでなく、できるだけ生徒全員が関わる方法を考えてほしい、それから下級生や次の年の新入生に伝える方法を考えてほしいということで、縦横の広がりを意識してください。それから、楽しくないと続かないから、やっていてやっぱり楽しい、一人一人が楽しいと思えるような活動にしてほしいということをお願いしています。例えばCM動画を作るとか、シンポジウムを開くとか、近隣の小学校中学校に伝えるとか、こんなことがあるからみんなで考えてごらんということで、大人はどちらかというとサポートする側について、生徒さんたちが主体的に活動することを支援します。こんな活動を展開しています。
これは具体的な例ですけども、ある高校で、シンポジウムを生徒会が中心となって企画運営した例であります。この学校の生徒さんの自転車の走り方は非常にやんちゃで、その典型的な場面をイラストに表して、こんな場面、みんなどう思うと。みんなこういう走り方しているけどどうなのという問いかけ方をしています。
あえて議論を活発化するために、生徒指導部の先生から、小学生・中学生の安全を確保してお手本を示せと。斜め横断禁止だ、並走禁止だ、追越し、これが結構議論が活発化したんですけども、前に遅い生徒さんが走っていると、後ろから急いで行きたい生徒さんが追越しをかけるために車道にぱっと出るんですね。これがすごく危ない。この問題を取り上げて、禁止だと提案し、これが実現できるかできないか、できない場合は何が理由かということを問いかけたんです。
そうすると、生徒全員が集まっている、100人、200人という大勢の中で発言するというのはなかなか勇気がいることだと思ったんですけど、ぱっと手を挙げる生徒がいました。この追越しの問題ですよね、前方の遅い自転車ではなく、小学生と擦れ違うとき、小学生の安全を確保するために自分は車道に出ると。これも禁止なのかという非常に鋭い指摘があって、それに対して我々専門家、たまたま東京大学の同じ研究会のメンバーの先生が参加しておられたので、それについてアドバイスしてくださいました。こういうふうに小学生の安全を考えるということはとても大切なことだねと。だけど、追い越したいとかそういう急いでいる自分というのは、自分中心に考えて、自分のことしか考えてないんじゃないかなと。追い越すにしても、黙って追い越すんじゃなくて、すいませんと声をかけたらいいわけだし、みんなで安全に道路という公共空間を使うにはどうしたらいいか、それをみんなでこれから考えていこうじゃないかという、まさしく市民性というか、みんなで公共の空間を安全に使おうねというふうに提案したんですね。こんなシンポジウムが実現しました。
次の年は生徒会がもっと頑張りまして、新入生のためのCM動画を作ろうということで、教習所で自転車の走り方について動画を今作っているところです。それから、生徒全員をどういうふうに関わらせるかということで、「マグロのおすし」という提案がありました。「いかのおすし」というのは生活安全でもう定着していて、「マグロのおすし」というのは生徒さんからのアイデアで、「マ」というのはマナーアップ、「グ」というのは安全運転でグッジョブ、「ロ」というのは路面注意、「の」はノーイヤホン、「お」は先ほど説明しました追越し禁止、「す」はスマホはかばんへ、「し」というのは周囲の人のことも考える。そういうキャッチフレーズを作って、生徒会ではなく部活、例えばラグビー部、野球であれば「マ」を担当し、バスケット部は「グ」を担当するというふうに、部活ごとでそれぞれメッセージを動画にして、「マ・マナーアップ」というふうに、ワンショットの動画を作って、それをつなげてCM動画を作るという非常に面白い活動をされたんですね。こういう動画作りをしたということです。
こんな活動を今度はほかの学校にも伝えていこうということで、宮城県の高校と、これは岩手県の高校の活動ですけど、岩手県の高校と、昨年、ビデオメッセージの交換をして、ウェブ上で会議を行っているところです。今年はさらに発展させて、他県の高校生と一緒に、高校生主体の活動についてそれぞれいい事例報告して意見交換しようということを、8月に企画しているところということであります。
こんなふうに子供の主体性を大切にしながら教育を実践していったらどうかということで、今日は子供の主体性とは何かということで提案させていただきました。以上です。ありがとうございました。

【渡邉部会長】ありがとうございました。ただいまの中井委員、小川委員の御発表を受けまして、ここで一度、意見交換の時間にしたいと思います。20分程度時間を設けますので、皆様から御意見を頂きたいと思います。
本日の議論は、学校安全の3領域から、生活安全と交通安全の安全教育についてフォーカスした議論にしたいと思います。御発言のある方は、チャットの方で発言されると言っていただきたいと思います。画面ですと分かりにくいものですから、チャットに御発言されるという御意思を出していただければと思います。既に御発言ということで渡辺弘司委員から来ていますけれども、では、まず渡辺弘司委員からお願いします。

【渡辺委員】文部科学省の方と中井先生と小川先生に一言ずつ発言させていただきます。文部科学省の方に関しては、新潟県の事例で「わたりジョーズ君」を使って対応しているということだったんですけど、確かに幼稚園・保育園から小学校に入ったときに、それまでは通園バスとか自家用車で送られている子供が突然歩いて行くようになるケースが多いので、すごく大事なポイントだと思います。こういうコロナの時代だと、なかなか実践の交通教育、訓練ができませんが、その場合にこういうDVDとかリーフレットというのは非常に重要だと思います。「わたりジョーズ君」というのはどうも子供向けに作っているわけではなさそうですし、かといって、文部科学省が作っている「安全な通学を考える」というのはトレーニング画像としてはまだ十分じゃないように思うので、是非子供専用のもので、実践の代わりになるようなものを作っていただくか、その活用促進していただきたいというのが文部科学省に対してのお願いでございます。
中井先生に関してお聞きしたかったのは、時間がないから後日で結構なんですけど、4年生を対象に行われたその児童たちが、1年後、2年後にどのような行動変容が継続されておられるかということが、もう以前の結果なので恐らく持っておられるんじゃないかと思うんです。問題なのは継続性だと思いますので、1年行った教育がどの程度反映されて行動様式が変わったかというところを、もし御検討されていたら教えていただきたいと思いました。
それから小川先生に関しましては、非常によい試みだと思います。やはり小学校・中学校・高等学校の連続した働きかけ、介入が大切だと思います。小学校若しくは中学校の近隣の学校との連携は取っているという文章がありましたが、高校は県立なので、なかなか小中高の連携は取りにくいと思うんですけど、できればそこは連携して共通認識を持ってやっていただくほうが効果的だと思います。そのような機会を考えておられるかどうかということがもしありましたら、教えていただきたいという点でございます。回答は、恐らく時間がないので、後日、機会がありましたらでも結構でございます。以上でございます。

【渡邉部会長】ただいまの御質問に対して、お時間の関係もあるんですけれど、御回答いただければ。

【朝倉安全教育推進室長】文部科学省でございます。渡辺委員、御質問ありがとうございました。今、先生から御依頼のあった件につきましては、3ページにもございますが、児童生徒向けの指導用教材、リーフレットやDVDも作成しておりますので、子供たちにとってよりよい教材となるよう取組を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。

【中井委員】先ほど御質問いただきました件ですけども、実は学年の子たちは、5年生になったときに校外版という教育をしまして、そのときに教育効果がこの子たちに限ってどういうふうになったかというのを比較するために、お隣の公立小学校の同じ5年生と比較をしました。
行動がどう変わったかというところまでは残念ながら追えていないんですけども、地域の中に潜む危険を発見する、しかもなぜ危ないのかというところの自由記述なんかを求めたときに、その質ですよね、様々な観点からのハザード、地域の危険を発見する能力が増えたことは確認しています。以上です。

【渡邉部会長】引き続き、小川先生からもし何かございましたら。

【小川委員】小中高連携のお話がありましたが、確かに大事な視点だと思います。学校は交通安全教育だけを行っているわけではないので、もう少し広く教育活動全般を通して地域とどう連携するかということ、その位置付けを考えていく必要があるなと思います。宮城県のある町では、町全体が1つの学校だというふうに考えて、高校をトップにして、その下に中学校、それから小学校、特別支援、幼稚園を位置づけて、児童会・生徒会の交流を行っている町もあります。
こういうふうに、地域の中に高校をどういうふうに位置付けていくかというのは大きなテーマになっているし、それから文部科学省が進めている高校のコミュニティスクール化というのも1つの流れであるので、そういった流れの中で位置付けていって、小中高連携というのを考えてはどうかと思いました。以上です。ありがとうございました。

【渡邉部会長】次は、首藤委員から御質問が来ているようなので、お願いします。

【首藤委員】ありがとうございます。社会安全研究所の首藤です。大変興味深い御報告をどうもありがとうございました。中井先生が御報告くださったところで非常に興味深いなというところがございまして、スライドの15ページ目でしょうか、校内版ひなどりの効果測定で、アンケートだと余りいい結果が出なかったけれども、実際のけがを調べてみると大分効果が出ていたみたいなことが分かったということで、こういったことをすごく興味深いなと思っております。
やはりアンケートというのはあくまでも主観でありますので、我々も防災ですとか安全について啓発をしていて非常に悩ましいのは、それ以前は全く考えてなかった方々が、考えるようになったから逆のような結果が出るとか、そういったことがすごくよくあって、アンケートでは実は効果評価って難しいなと思っていたところです。
逆に、こういった形で実際の物理的な結果、お示しの数字だと分かるということが顕著に表れているんですけれども、もし御存じであればですが、こういった防災とか安全教育の効果を大学の先生方が実践される中で測った方法論というのはいろいろあるかと思うんですけども、そういったいろいろな先生方がやられた実践で、こういう測り方だとうまく評価ができるとか、実践研究例を横並びにして、どういう評価方法がいいかみたいなことを整理して体系化したり、そういうことがあったらと思うんですけども、そういった研究例はあるんでしょうかというのを一つ教えていただきたいと思います。お願いいたします。

【渡邉部会長】御質問は、まずは中井先生ということでよろしいですか。じゃあ、中井先生、もしお答えいただければと思うんですが、いかがでしょう。

【中井委員】非常に難しい御質問で、私より小川先生の方が詳しいんじゃないかと。教育効果を測る物差しというのを、すごく難しいんですね。あと、アンケートは回答がゆがむとか、今まで危険を考えたことがなかった人が、はたと思い返して、ヒヤリ・ハットが実はたくさんあるということを報告したりとかというのはあって、心理学の中では、潜在的な態度というのを測定するような、少しパソコンなんかを使うような実験をするんですけど、よく偏見とか人種差別だとか高齢者差別みたいな意識を持っているかどうかというのをアンケートで測ると、みんな、いい子ちゃん回答をしちゃうんですけど、そうではなくて、本人が中に持っている潜在的な態度を、反応時間なんかを使って測定するような検査は、あるにはありますが、安全教育でそこの効果を調べたものというのは、医療安全だと私がした研究もあるんですが、余り一般的ではないと思います。すいません、小川先生、補足があればお願いします。

【小川委員】小川から補足説明させてください。まず、アンケートだけでの評価は、やっぱり不十分だと思います。研修の効果や教育効果には4水準モデルというのがあって、4段階に分けて評価すべきだろうということで、まず最初は、興味を持つかどうか、関心持つかどうかということですね。これはいろいろな研修会や教育の効果を測るときによく使われている考え方で、興味を持たないと前に進まないわけだから、まず興味を持つかどうかを測ります。それからその次は、知識・技能を身に付けたかどうか。そして3水準目が、行動レベルですね。行動が変わったかどうかということ。4水準目は、結果です。交通安全の場合は事故が減ったかどうか、違反が減ったかどうか。この4水準トータルで考えて評価すべきだということです。
自己評価については、V字効果というのがあり、教育を行うと自己評価は一旦下がるんですね。なぜかというと、教育を受ける前は皆さん楽観的で、自分は大丈夫、大丈夫と。自分は知っている、知っている、できる、できるという楽観的な評価なんですけども、学ぶと、案外難しいもんだなとかいろいろ課題があるなというのに気づいて自分の評価が厳しくなるので、一旦下がります。それを実践していく中で、また上がっていく。やっぱりできるようになったということで上がるので、自己評価が下がるというのは1つの傾向として共通しているということです。今、簡単に説明できるのはこの2点です。

【渡邉部会長】今、評価の話が出ておりますけれども、ほかにこのことについて何か御発言いただける方がいらっしゃいましたら、いかがでしょうか。また、次の別の機会でもよろしいんですが、今この場で。よろしいですか。それでは、ほかに中井委員、小川委員の御発表について御質問のある方、いらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。後で少し時間が取れれば、そのときにまたお願いしたいと思います。それでは、先に進めさせていただきます。次に、渡部佳代子委員と村山委員から御発表いただきたいと思いますが、まず渡部佳代子委員からお願いしたいと思います。では、お願いします。

【渡部委員】江東区立第五砂町幼稚園園長の渡部佳代子と申します。本日は、幼稚園の現場で行われている安全教育についてのお話をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。スライド2枚目をお願いいたします。
初めに、幼稚園での安全教育の目標についてお話をさせていただきますが、幼稚園は学校の1つと位置づけられていますので、学校教育法の中にも資料に記載したような目標が掲げられています。そして、小中学校の学習指導要領に当たる幼稚園教育要領にも、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿、10項目が挙げられているんですが、その「健康な心と体」の項目に安全に関するねらいが入っていまして、自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせて、見通しを持って行動し、自ら健康で安全な生活を作り出すということが挙げられています。次のスライドをお願いします。
教育要領には領域があるんですけども、「健康」の領域にも安全に関するねらいが入っています。さらに、資料に細かく書いたんですが、教育要領の解説書に安全上の配慮点ということが出ているんですが、そこでも、個々の情緒の安定の下に、日常生活の中で十分に体を動かして遊ぶことを通して、危険な場所や状況、どのように行動したらよいか、体験を通して学び取っていくことが大切であると示されているように、幼稚園の場合は、安全教育だけ取り出して行われることではなくて、生活全般の中で行っていくということが特徴的なことだと思います。
そして、現在、保育園の保育所保育指針、それから認定こども園で使われている幼保連携型認定こども園教育・保育要領にも同じような内容が書かれていますので、就学前教育の中では、同じ目的を持って安全指導が行われているということになります。次のスライドをお願いします。
「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」にも、記載のような内容が目標として掲げられています。次のスライドをお願いいたします。
幼稚園での安全教育の考え方なんですけれども、幼稚園教育自体が、幼児の自発的な活動としての遊びを通して総合的な指導をする、幼児期の特性を踏まえ環境を通して指導を行うという大きな狙いがありますので、それを受けて、安全指導も一体的に展開される教育活動の中で行うということ、そして、教師や保護者など、身近な大人との信頼関係を基に行っていくということを大切にして進めています。次のスライドをお願いいたします。
安全教育の計画自体なんですけども、教育課程、そして安全教育の全体計画、年間指導計画を基に細案を立てて、日々の保育の中に下ろして行っていますが、行いながら反省・評価・修正というところで、幼児の実態に合った指導内容ができるように検討して進めています。
次のスライドに、安全指導全体計画と年間指導計画の例を挙げています。ちょっと見づらくて申し訳ないんですけども、書かれている内容としては、小中学校でも作られている計画と同じような項目になっていると思います。次のスライドをお願いいたします。
このような目標計画に沿って安全指導を行っていますけれども、その中で、幼児期の特性から、次の3件に配慮しています。
1点目が、日々の生活や遊びの中で繰り返して指導を行うということです。年間計画に基づいて行事計画の中に安全指導の日を位置付けていますけれども、その日だけで身に付くということは幼児には難しいので、必要に応じて指導していくことで、段階を追って身に付けさせていくということ、繰り返しの指導を大事にしています。
2つ目が、視覚教材を利用した指導なんですけれども、幼児期は、語彙が増えてくるので、話を聞いて理解する力も高まってきますが、まだまだ耳で聞いて理解するよりも、視覚からの情報の方が理解しやすいという発達の特性があります。そのため、イラストなどを利用した視覚教材を取り入れて、安全指導を行っています。
3点目は、発達に応じた段階的な指導ということなんですけども、計画の内容はもちろんですが、遊びに使う遊具や場の使い方も変化を持たせて、安全な遊びができるように、発達に応じた指導を行っています。次のスライドをお願いいたします。
次に、幼稚園での安全教育の具体例をお話ししたいと思います。まず生活安全指導ですけれども、生活安全指導のねらいは、ここに記載したような内容です。遊び方や遊具、場の使い方を知らせて、自分で安全な行動ができるようにすることを大切にしているとともに、自分たちの生活の場を整える、つまり片付けの指導も大切に行っています。次のスライドをお願いします。
幾つか表示の例を出させていただきましたけれども、物の片付け場所、それから置き方が分かりやすいような絵表示を示しています。その表示を見ることで、子供たちが自分で出したり片付けたりということが自分からできるようにするということと、きれいになった場の心地よさを味わうことで、遊んだ後、自分たちで片付けて、安全な場所を整えるという意識を高めることにもつなげています。
写真の左上は、ちょっと分かりにくいんですけども、個人のロッカーに入れている道具箱の使い方で、中にこういうものを入れますというところが視覚で分かって、自分たちもこれを見ながらやっていくという例です。
それから椅子の例では、たくさん重ねてしまうと崩れてしまうので、幾つ重ねればいいかということ、それから置く場所にビニールテープの線を引いていますので、そこにしっかり収めるというようなことを示しています。これは下にある写真の積み木の場所でも同じような示し方をしています。次のスライドをお願いいたします。
発達に応じた段階的な指導の例としては、積み木と、それから巧技台という遊具を使った例を出させていただきました。本園が4歳児・5歳児の2年保育の園ですので、ここでは2年保育の例でお話をさせていただきます。
まず積み木の指導なんですけれども、4歳児、積み木を使い始めたときには、左上、カラーの積み木が写っていますが、ウレタン製の積み木を初めに導入しています。これは柔らかくて軽い素材であるということで、持ちやすく安全に遊べるということから入れているんですけども、その素材の積み木を使うことで、遊び方や片付け方をしっかり身に付けてから、木製の中型積み木に移行していきます。木製ではあるんですが、中型積み木はウレタン積み木と同じ大きさですので、扱い方はそれほど変わりませんが、しっかり安全な遊び方ができるようになって、5歳児になったときに大きな積み木が使えるようにしています。右側の写真が大型積み木を使っている年長児の写真なんですけども、友達と一緒に運んだり片付けたりというところも、安全面を考えながらできるようにしています。次のスライドをお願いします。
これは積み木の遊び方を示したイラストなんですけれども、遊びの中で指導していくだけではやっぱり身に付けにくいということもありますので、積み木置場にこのように視覚で訴えるような表示もして、遊び方を繰り返し知らせるような指導をしています。次のスライドをお願いいたします。
ここからが巧技台を使った遊びなんですけども、巧技台というのは、このピンクと緑の積み重ねられる枠型のものを重ねて、高さに変化を付けるのと、そこに滑り台やはしごとかビームを組み合せて遊びの場を作れるような遊具です。
この遊具は、4歳児の導入の時期には場を教師の方で作って、この遊具で遊ぶ面白さを味わわせ、段々に片づけを教師と一緒にしたり場を作ったりすることで、使い方にも慣れていくようにしています。5歳になってからは、右上の写真のような場を、子供たちが運んで場を作っていくんですけれども、友達と一緒に運ぶというところができるようになってきているというので、このような場も作っていますし、片付けの場所も、安全な場に片付けられるように確保して、指導しています。次のスライドをお願いいたします。
続けて、交通安全指導です。交通安全指導のねらいもここに記載をしたとおりです。そして、生活安全指導と同じように、やはり視覚からの指導を大切にすることとともに、園内だけでは難しいことがたくさんありますので、園外保育を利用したり、警察や保護者の方との連携もしながら指導を行っています。次のスライドをお願いします。
視覚を通した指導としては、既成のDVD・紙芝居を使うことはもちろんなんですけれども、状況によっては子供たちの生活の中で必要なものを教師の方で作ったりも使っていますが、やはり聞くことだけではなく、目で見ることで、しっかり子供たちが理解できるような工夫をしています。
そして、園外保育というのは交通安全指導でも大きな機会になっているんですけども、幼稚園の場合は、近隣の公園に散歩に行ったり図書館のような公共施設を利用したりする機会もありますし、バスや電車を使って遠足に行くような機会もありますので、事前に視聴覚教材を使って指導することはもちろんなんですが、実際に自動車やほかの人たちが通っている場所を使うことで、安全を把握できるような指導を行っています。次のスライドをお願いいたします。
保護者と連携した指導というのも幼児期の交通安全指導にはとても重要な意味があるんですけども、幼児は1人で外出することはまだありませんので、必ず大人が一緒に出かけています。ですので、一緒にいる大人がどのような交通安全意識を持って子供たちに手本を示せるかというところが大きな課題になっていますので、保護者に対する交通安全を指導する機会も大事にしていますし、自分だけが安全に歩くのではなく、子供に指導する意識を保護者の方にも高めてもらえるような機会を作って指導しています。
そして、警察と連携した指導というところでは、実際の道路、それから横断歩道を使って、子供たちが自分で安全を分断して、青信号を判断して道路を渡ったりするような実地訓練をお願いしているんですけれども、先ほどもお話ししたように、子供たちが1人で出かけることはないということと、それから最近の子供たちは自転車の後ろや前の座席に座って移動することが多いので、歩いて横断歩道を渡るような機会が以前に比べて少なくなっています。ですので、自分で判断をするというところが難しく、警察に指導を行っていただいて、就学前に自分で判断して渡る機会がとても貴重な機会になっています。
そして、保護者の方にも警察の方からお話をしていただくんですけども、どういう指導をしたらいいかというお話とともに、子供が巻き込まれている事件・事故の具体例も話をしていただいて、保護者の危機管理の意識も高めていただいています。
次のスライドに交通安全指導の写真を出させていただきましたが、実際に外に出る前後に、警察の方から保護者も一緒にお話を聞く機会もあるんですけども、待ち時間が長くなり過ぎないように、少人数のグループになって指導する機会も行っていますし、子供が実際にどんな渡り方をするのかを保護者が見ることで、自分の子供の実態を把握して、家庭での指導にも生かす機会になっています。次のスライドをお願いいたします。
次、スライド2枚で幼稚園での安全管理の内容について書かせていただきました。交通安全指導、生活安全指導のほかに安全管理も行っているんですけども、施設の管理、登降園時の安全管理、次のスライドで健康・衛生管理、それから災害時の対応というところを挙げさせていただきました。大まかなものを書かせていただいていますが、詳細はスライドの方で確認をしていただければと思います。
最後になりましたけれども、幼稚園での安全指導の課題をお話しさせていただきたいと思います。申し訳ありません、スライドの方、「安全管理の課題」になっているんですが、「安全指導の課題」ですので、訂正していただければと思います。
3点挙げさせていただきましたが、1点目は、保護者・地域との連携の充実です。先ほどもお話ししましたけれども、安全指導だけではなく、幼稚園生活そのものが保護者や地域との密接な活動の連携を図っていますので、安全指導も、より保護者や地域との連携を図りながら、大人の目で子供たちがどのように安全を身に付けていくのか、どのような指導が必要なのかというところをしっかり連携して充実させていくことが1つ目の課題であると思っています。
2つ目が、教員の研修内容・機会の充実なんですけれども、今、様々な教員の研修の機会や内容の計画がされているんですけども、安全教育に関する機会というのが、機会としては少なく、自分から聞いてみたいと思わないとなかなか聞く機会が少ないのではないかなと思っております。ですので、自園の実践を通して教師が学んでいくことが主になるんですけども、そうするとやっぱり視野が狭くなってしまうということがありますので、やっぱり研修内容の機会、それから内容の充実というところが大きな課題ではないかなと思っています。
3点目が、小学校の安全教育との連携なんですけども、今、保幼小連携プログラムであったり、スタートカリキュラムであったり、小学校との教育の連携、滑らかな接続というところでかなり図られていますけれども、安全指導の具体的な連携というところは本園も含めてなかなか行われていないという実態があるのではないかなと思っていますので、そこも、幼稚園・保育園でどんな指導をしているのか、そして小学校でこういう指導をしているので、前段階としてこういうところが大事というところをしっかり共通理解して、子供たちに下ろしていくことが大事なのではないかなと思っております。以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

【渡邉部会長】ありがとうございました。それでは引き続き村山委員から発表をお願いいたします。

【村山委員】では、よろしくお願いします。千葉県教育庁の村山です。次のスライドをお願いします。
今回、第1回の部会で示された課題について、特に強調下線部分について、特別支援学校・教育全体の視点から改めて考えてみました。次回以降に予定されている内容も少し含んでおりますので、御了承ください。よろしくお願いします。次、お願いします。
以前申し上げたのですが、第二次の文中に、「特別支援学校を含めた各学校種の特性に対応したもの」という表現や、「発達段階及び学校種の特性やつながりを踏まえた」という文言がいくつか出てきますが、特別支援学校・教育について具体的な記述というものが見られませんでした。
学校にいると、どうしても遠く感じてしまうこともあるので、特別支援学校の学校現場にも伝わる具体的な内容や、項立てのようなものが入ると非常にありがたいと思います。
参考に数字を入れましたが、特別の教育課程ということで、特別支援学校や特別支援学級、通級の指導による児童生徒についての人数を挙げさせていただきました。少子化と言われていますが、特別支援教育、特別な教育課程を受けている子供は増えているということを改めて事実として載せさせていただきます。次のスライドをお願いします。
交通安全について、生活安全と管理面も混ざっておりますが、冒頭にもありましたけれども、痛ましい交通事故が千葉県でもありました。例えば、スクールバス停狙いの不審者対応で、特別支援学校ではスクールバスを利用しているところが多いのですが、そういった場合において、バスの中に介助の職員がいます。そういった職員がホイッスル等を所持し、また、訓練をしているかというような視点も管理面においては非常に重要になってくると思っております。
途中、丸の部分になりますが、特別支援学校の学習指導要領の中に「自立活動」というものがあります。その中に、自立活動の「個別の指導計画の作成と内容の取扱い」ということで、「学校近辺の安全な道路における白杖を用いた歩行指導」という内容が示されています。これは、将来、1人で登下校できるようになりたいという児童生徒の思いをどう学習させていくかということになります。具体的には、「心理的な安定」というようなことで、段階的に学習をしたり、「環境の把握」ということで、視覚障害の方ですので、音をどう聞き分けるか学習したり、あと白杖を使うので、「身体の動き」ということで、どう操作を覚えるかということで、細かく分けて学習したりして、トータルとして1人で登下校できるようにということで、学習を積み重ねていきます。
こういった学習をできる場というのは、安全に訓練できる道路環境がないとできないということになりますので、先ほどのいろいろな交通事故、痛ましいものありますが、こういった学習もできるような道路状況づくりというのは、社会の方で作っていただくと、特別支援学校の子供たちが、安全に歩行訓練ができる環境も整うことになると思います。
あと、教科での学習の割合が低いということで、第1回で指摘させていただきましたが、例えば知的障害の学習指導要領では、生活科というところで安全に関するものが示されていて、「イ安全」ということで危険防止、これは生活安全になりますね。あと、交通安全、避難訓練、防災ということで具体的に示されております。こういったものが先ほど述べた特別な教育課程の中できちんと学ばれているものか。あと、知的障害の方では、合わせた指導ということで、いろいろな教科を合わせて学習するものがあるのですが、そういったところで、きちんと生活科の内容となる生活安全、交通安全、災害、防災含めた学習内容を網羅しているかということの確認をして、学習していくことが必要と考えています。次、お願いします。
生活安全ということで、高等部では、AEDの使用について、AEDの使用の条例を都道府県等で作っているところもありますので、かなりの数、学習しているのを見たことがあります。取扱いは保健教育であったり、防災の授業であったり、自力通学の対象生徒であったり、様々な形で取り組んでいます。
ただ、高等部だけではなくて、小中学部でAEDの大切さを知るとか、場所が分かるという学習に取り組んでもらいたいです。具体的には、学校中の消火器が全部で何個あるかというような学習に取り組んだケースもありますが、大切さを知るとか、場所が分かるというような内容の学習を、発達段階という形でできるのではないかなと思っています。
防犯の学習については、いじめに関連させて、「助けて」ができるようにというような学習は通常の方でもあると思います。特別支援学校でも、生徒指導や道徳で、「受援力」と同じですね、福祉の方では、「助けて」ということを言える力を養うということで使うことがありますが、そういった力を養ってもらいたいです。特別支援学校の生徒は、卒業後、在校中も含めて、金銭をたかられたり性犯罪に巻き込まれるということが現場にいるときにも非常に多かったので、身を守るということで、こういった力も身に付けてもらいたいと思います。
交通安全の方に戻ってしまいますが、これは実際にあった例ですが、車にぶつかって、運転主に「大丈夫?」と言われて、そのまま、おうむ返しで「大丈夫」と言ってしまって、そのまま車が行ってしまったということが、過去に実際ありました。こういったことにならないように、何かあった場合には、正確に伝えられるような力を身に付ける必要があります。
こういったことは、左の四角のところにありますが、先ほど伝えた自立活動のコミュニケーションという学習領域があるので、そこで個に応じて学習することができます。例えば通級指導教室(ことばの教室)で、吃音のお子さんでなかなか言葉が出ないようなところでも、こういったことは学習ができます。近年、高等学校にも、心理学等ということで通級的な指導を取り入れている学校さんもありますので、これもお願いしたいって思っています。次、お願いします。
具体的に伝えることも大事なのですが、ただ伝える学習だけを繰り返しやればということではなくて、これは平成25年に出された防災教育の展開のものから抜き出したものですが、当時、防災教育を東金の特別支援学校で取り組んでいて、これは自分が実際に授業した事例を提供させてもらった内容です。
どうしたら子供たちに緊急時のコミュニケーションということで、身に付くことができるかということで、いろいろ悩みながら取り組んだ記憶があります。当時、ただ単に発信するということではなく、倒れた人の気持ちはどうなのだろうということで、実際に倒れている役と助ける人の両方の役割演技をしました。特に、倒れている人の気持ちを学ぶようにしたことで、生徒たちの意識はとても高まったと感じています。
右の丸の下の方の授業のときに、釜石東中学校さんの生徒の発表を録画させてもらったものがあったので、それを導入に使いました。これを見たことで、とても命について考え、意識して学習に臨めたと記憶しております。次、お願いします。
ワーキンググループ、前回の資料の中に防災教育チーム提言というものがありました。釜石小学校の例から、障害がある友達をおんぶして走って避難した子供というような記述がありました。実際、ほかにもリアカーを使って避難訓練をしている取組等もあります。
大規模災害が起こる前に、避難のマニュアルに支援が必要な児童生徒のことを加えることが当たり前になってほしいと思います。
評価につながればと思って例を挙げさせてもらいましたが、これは小川先生、森本先生からお聞きした話ですが、釜石東中学校の卒業生が、当時、中学校のときに学んだものがどう生き方に残っているかということでヒアリングなさったということを聞きました。
自分も高等部の卒業生について、当時、防災教育を行ったものが、どう生徒の中に残っているかということで、二十歳過ぎてからですかね、聞いたことがあります。当時、防災教育で「あたりまえ防災」という替え歌を作ったのですが、そういったことに取り組んだこととか、体験を通じて、地域の長寿会の高齢の方と交流したこと、みんなの前で発表したこと、あとは教師の姿勢、防災について一生懸命先生方が取り組んでいたというものが、その卒業生にも残っていることが分かりました。次のスライドをお願いします。
安全管理ということで、どんな障害がある児童生徒であっても、命を守るために主体的に学習に取り組むことはできると思っておりますが、基礎的環境整備として、適切な安全管理は必要だろうと思っています。例としては、附属池田小学校事件のことや相模原障害者施設殺傷事件のこと等で、防犯カメラ等々のハード面がきちんとされているかということは、各設置者の方で確認をして、安全な学校になってもらいたいと思っています。
あと、医療的ケア児支援法が成立するなど、特別支援学校を取り巻くものがいろいろ変わってきております。医療的ケア児の訓練に限らず保健の方で特別支援学校では、てんかん発作とか誤嚥とかの緊急対応訓練を行っている学校が非常に多いです。これは全校ではないので、できれば全校で実施してもらいたいのですが、そういった保健領域と生活安全の連携という視点を含めることも特別支援の方では必要かなと思います。次、お願いします。
組織活動・連携ということで、時間もあるのでさらっと流しますが、例えば熊本地震では、手話ができる心理士さんがいなくて、他県に協力を得たということをお聞きしました。都道府県をまたいだ専門家の広い協力体制も必要になってきます。
現在、特別支援学校の設置基準の制定ということが議論されていますが、大川小の教訓を生かしたり、福祉避難所の確保・運営ガイドラインということで、これも先日改定がされました。また、視覚・聴覚障害者への情報保障、そういったことも含めて、こういった縦糸を、本取組が横糸となってつなげればいいと思っています。次、お願いします。
具体的に、例えばということで書かせてもらいましたが、5番に家庭、地域、関係機関と第二次の方に文言がありましたので、そういうところに、阪神淡路大震災からずっと続いている課題等が解決されていませんので、そういったことに対して具体的に、特別支援教育の視点の文言を入れられると、とてもよいかと思いました。次、お願いします。
学校安全計画、この辺はさらっと伝えますが、現在、「「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」には、知的の高等部の例のみが示されています。総合支援学校ということで、いろいろな障害がある学校も増えておりますので、こういったところをどう具体的なものにしていくかということを、三重県のように各支援学校が集まって事例を紹介し合うようなものが当たり前になるといいと思います。
あと、右下の四角に書かせてもらいましたが、つい最近ですか、危機管理マニュアルの評価・見直しガイドラインが文部科学省から出されましたが、ここに「教育活動の継続」という項目があり、これが、要配慮者がいる学校で実際どれぐらい作られているかということは検証されていないと思いますので、こういったことを検証していただいて、どの学校でも継続計画、BCPが、福祉施設では令和6年より義務化されていますので、こういったことは義務化でもいいかなと思っています。次、お願いします。
学校事故検索データベースの活用例ということで、これは資料を御覧ください。時間になりますので、あと3枚は御覧いただいて、申し訳ありません、最後の資料をお願いしていいでしょうか。16ページ。
近年、防災教育チャレンジプランやぼうさい甲子園で特別支援学校の取組が非常に評価されているところです。埼玉県の支援学校ではオンラインを活用した実施もしてくれています。
西日本豪雨のときに、聴覚障害の児童が、寝ているときに「おねしょ?」というようなことで、何か違和感に気づいて、家族を起こして助かったという例があります。自立活動の学習の視点から、どの子でも本当に学習ができると思っているので、そういったことを支援が必要な子供たちにもしっかり学習してもらいたいなと考えております。以上で発表を終わります。ありがとうございました。

【渡邉部会長】ありがとうございました。それでは、今の渡部佳代子委員と村山委員の御発表につきまして、御質問、御意見がありましたら、お願いしたいと思います。まずチャットの方に。では、渡辺弘司委員、お願いします。

【渡辺委員】日本医師会の渡辺でございます。渡部委員に2点と、村山先生に何点かお聞きしたいんですけど、渡部先生の方に関しては、幼稚園、5歳未満、当然そうなんですけども、以下ですね、弱視とか発達障害の軽度のものというのは結構まだ存在していることになりますので、ついていけない子供に対して、このような障害があるということを十分把握して対応していただきたいというのが医療者としての希望でございます。
これは渡部先生にお聞きしていいのかどうか分からないんですけど、幼稚園の就園率というのは今でも半分以下だと思うんです。認定こども園を足しても60%少し過ぎぐらいなので、幼稚園のこういう安全学習を受けた子供というのは、就学する子供にすると半分ちょっとしかいないということに対して、お立場が違うのにお聞きするべきことかどうか分かりませんが、もしよろしければ、教育者として渡部先生がどのようにお考えかというのを後でお聞かせいただければと思います。
それから村山先生の方に関しましては、特別支援学校は障害の程度と種類が個々違うので、大変難しいと思っております。私が特に気になるのは特別支援学級で、特別支援学校というのはある程度文部科学省が認識していますけども、特別支援学級というのははざまに入っていて、一般校ではそれを認識できる教員が少ないという点があります。特別支援学校と一般校というふうに分けた考え方じゃなくて、広い視野で見ていただきたいと思います。
特に今、資料でお示しになられたように、特別支援学校の子供というのは突然死の発生率が一般校より数倍高いです。突然死の発生率ということを考えた場合に、AEDの存在というのを皆さんおっしゃるんですけど、AEDを使う前に、BLS、ベーシックライフサポートというのが基本的にあって初めてAEDは成り立つわけです。BLSの子供への習熟を十分していただくことが基本になると思います。教員もそうです。それがあって初めてAEDを扱えるわけですので、AEDがあるからとかAEDのことを知っているという形で、それで済んでしまうというのはやっぱり片手落ちになるかなというのが気になるところでございます。
最後に、特別支援学校の中に自閉症の方もおられると思うんですけど、環境が変わるとパニックになったりして対応に非常に困られる。さっき、具体的な方法を示していただきたいと村山委員がおっしゃっておられたと思うんですけど、全くそのとおりと思いますので、どのようなことを対応したらいいかというのを文部科学省も考えていただきたいなと思います。以上でございます。

【渡邉部会長】じゃあ、渡部佳代子委員への御質問と村山委員への御質問があったと思いますので、まず渡部佳代子委員への御質問に対して、いかがでしょう。お願いします。

【渡部委員】御意見ありがとうございます。弱視等、特別な支援が必要な子供たちへの配慮というお話だったんですけども、幼稚園の場合も様々な特別支援が必要な子供たちが入園してきているというところがありますので、そういう子供たちには今ももちろん個別に配慮していますけれども、しっかりそこも考えながらやっていきたいと思っております。
そして2点目に幼稚園・こども園から小学校に行く子供たちの割合が少ないというお話があったんですけれども、これまで幼稚園教育要領と保育園の保育所保育指針の内容って違うものがたくさんあったんですが、今改定されて使われているものはほぼ内容が共通化されていますので、安全指導に対してもこれからその辺は共通になっていくと思いますし、していかなければならないというところだと思いますので、小学校との連携も含めて、保育園との連携というところもしっかり考えていかなきゃいけない課題だと思っております。ありがとうございました。

【渡邉部会長】じゃあ、村山委員、お願いします。

【村山委員】ありがとうございます。私は、特別支援学校とともに教育事務所というところにいて、特別支援学級の授業もたくさん見させていただきました。そういう中で、特別支援学校の立場ではありますが、特別支援教育は非常に大事だと思っています。
特別支援学校の免許の保有率というのは、支援学級の方ではまだかなり低いというようなこともあるので、特別支援の免許を持っていらっしゃる方が、その安全面も含めて、きちんと特別な教育課程を組む中で、安全についてきちんと学ぶということは必要だと言えると思います。
あと、特別支援学校はセンター的機能ということで、地域のいろいろな支援学級等を支援するという機能を持っているので、センター的機能に安全の視点を加えたり、コミュニティスクールのテーマとするようなことも必要ではないかと思います。

【渡邉部会長】すいません。今、村山委員がうまくつながっていない状況ですので、先に、藤田先生、御質問があるということなので。よろしいですか。

【藤田部会長代理】大阪教育大学の藤田です。幼稚園の発表を頂いた渡部委員にお伺いしたいと思います。大変興味のある発表を頂き、ありがとうございました。
それで私、保護者の方々への幼稚園における指導のことについて確認させていただきたいんですが、私も以前、犯罪から子供の安全を目指してeラーニングシステム開発ということで、パソコンを使った学習で、保護者に後ほど学習履歴を確認いただいて、学校における安全教育活動がちゃんと家庭に伝わっているのかどうか保護者に確認いただいたり、どういう安全教育の防犯活動があるのかというのを理解してもらうという教育活動をやっていたんですが、そういった中で、保護者の方になかなかコメントの回答が頂けなくて、参加児童の30%か40%ぐらいにしか返していただけなかったんですが、保護者の方が、家庭における教育活動、子供への指導が確認できたとか伝わっていないことが分かったとか、また場合によっては、防犯でしたので、防犯教育でのスクールガードの方の活動について理解することができたなんていう感想を頂いたんですが、今回、先生が交通安全の領域で保護者の方に一緒に参加いただいた中で、保護者の方々、そういった活動に参加されて、具体的な効果として、先生が観察された中で、こういう教育効果が保護者の方にあったとかという感覚をもしお持ちであればお聞かせいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

【渡部委員】ありがとうございます。交通指導を保護者の方と一緒に行うときには、先ほどもお話の中で言ったように、子供たちが実際に信号があるところ、ないところの横断歩道を自分で判断して渡っている姿を見ていただくんですね。そうすると、横断歩道が青になっても、右左右を何回も見て、なかなか踏み出せず、青信号を三、四回見送る子が出てくるんですね。そういう姿を見たときに、自分の子供は判断ができないんだというところが分かったという感想を頂いて、その後、出かけたときにそういう指導をするというお話があったり、あとは、自転車でどうしても行き帰りすることが多い保護者の方は、そこを見直して、少し歩くことを増やしたというような効果は実感したことがあります。

【藤田部会長代理】ありがとうございました。

【渡邉部会長】村山委員、回復したようですので、すいません、もう一度お願いできますか。

【村山委員】途中で申し訳ありませんでした。途中になりましたが、特別支援学校と特別支援学級等が連携して、広く確実に安全教育を行っていただけるようにしていただきたいと、同じように思います。
あと、AEDに関してですが、高等部で実際に学習して、しっかり身に付け、「この生徒にだったら自分は命を助けてもらえる」というぐらいしっかり学んでいました。その方は自閉症の方でしたが、段階を追って繰り返し学べば、他者を助けることもできるという学習ができると思っています。職員の研修ということも途中書きましたが、できれば是非この後のところで検討していただければと思います。
また、具体例ということで、防災の方で出させてもらったものを是非生活・交通も含めて、具体的な自閉症等の障害種別ごとに防災生活安全ということで例を示していただけると、非常に参考になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。途中、通信状態が悪くなり途中ですいませんでした。以上です。

【渡邉部会長】ありがとうございました。ほかに何か御質問、御意見ございますでしょうか。私から渡部佳代子委員に1つだけお聞きしたいんですが、先ほどの御発表では屋内の遊具の話があったんですけど、屋外の例えば固定遊具についての安全教育なり安全管理なり、何かそういうことがございましたらお話ししていただきたいんですが、いかがでしょう。

【渡部委員】屋外、園庭の滑り台とかジャングルジムのような遊具については、入園当初に、少し慣れた頃に園内巡りとか園庭巡りを行って、まず学級全体で歩きながら、ここにこういう遊具がある、それからこうやって遊ぶというのを話して、実際に滑り台を順番に滑ってみるとかということも含めてやっていきます。
あとは、その都度、毎月、遊び方を見ていて、今こういう実態があるので、ここはちょっと指導した方がいいというところを園内で共通にして、日々の保育の中だったり安全指導の中で繰り返し指導して、身に付けていくということを行っています。

【渡邉部会長】ありがとうございました。それと、これは質問ではないんですけれど、村山委員の今日の御発表でとても大事だなと思ったことがあったので、私の意見なんですけれど、先ほどの御発表の中で、学校事故検索データベース、スポーツ振興センターのものを御紹介していただきましたけど、私も実は特別支援学校で検索したことがあって、例えばてんかん発作がきっかけで大きなけがをしているとか、そういうのが載っているんです。
これまでスポーツ振興センターでは、そういった特別支援学校に特化したようなもの、例えば安全の手引きみたいなものは出たことがないと思うんですね。ですので、スポーツ振興センターの会議で、そういうものを是非やっていただければという意見を出したことがあるんですけれど、改めて見てみますと、やっぱりすごく重要な課題だなと思いましたので、文部科学省もスポーツ振興センターにしても、こういう特別支援学校のことについてもっと日を当てて取り組んでいただければなと、個人的にはそういう意見を持ちました。
ほかには何かございますか。先ほどの中井委員、小川委員の御発表も併せて御質問、御意見いただいても結構です。いかがでしょう。北村委員が手を挙げられていますか。よろしくお願いします。

【北村委員】中井先生と小川先生にそれぞれ質問をしたいと思います。中井先生のお話で、今回、4年生に向けた安全授業をされたという御報告だったんですけど、それ以外にもいろいろやられているということだったので、4年生以外、もう少し下の低学年のお子さんとかにもしやられた例があったら、そのときの効果とかそういうのを教えていただけるとうれしいなと思いました。
なぜかというと、私の研究グループで、以前、小学校で自転車のヘルメット着用に関する教育をやったときに、教育をしてから数か月ごとに着用率を測ったときに、着用率が高いのは低学年の方が高くて、定着率というか、何か月後になっても着用率が割と高い数値をキープできたのが、低学年の方が高くて、高学年は余り効果が出なくてというのがあったので、ひょっとすると、こういう安全教育というのは、小さいときからやっておくと、そのベースができていいのかなと思ったことがあったので、今日お話しいただいたような、危険を見つけて、予防策を考えて、ピクトを作ってという、全部はちょっと難しいかもしれないですけれど、もし低学年向けにやられた取組があったら教えてほしいなと思いました。
もう1点、小川先生の方で、確か高校生のところの取組で、学校側に検討してほしいということで、下級生とか新入生へどのように伝えていくかということも考えてくださいということを挙げられていたと思いますが、この点って学校現場での安全教育とか知識というところで非常に大事な課題だなと思っていまして、学校は、せっかく教育して安全知識を学習した生徒さんたちが、どんどん卒業して入れ替わってしまうので、そこが一つ難しいというのもありますし、あと先生方も定期的に入れ替わってしまうので、それぞれ学校の周囲とか学校自体の環境もいろいろ違うので、そこの現場での安全の知識というものがなかなか定着しにくいということがあると思うので、もしそういう伝え方とか次の世代にうまく引き継ぐやり方で、これまでのところで何かいいやり方とかがもしありましたら教えていただきたいなと思いました。すいません、ちょっと長くなりました。よろしくお願いします。

【渡邉部会長】それでは、中井委員、小川委員の順でお答えいただければと思いますが、いかがでしょう。

【中井委員】中井です。御質問ありがとうございます。ヘルメットという話題でしたので、ヘルメットに関してというところでいきますと、自転車の教育を大阪とかでやろうと思うと、どうしても3年生、4年生ぐらいにしてくれという声があるんですね。他方で、調査をすると、実際に自転車を利用しているのは就学前という子とかもいたりして、ヘルメットを着用させていますかとか何歳までかぶらせていましたかというような調査をすると、山が2つできて、比較的長期、ヘルメットがサイズアウトしたらもう一度購入し直して、するような家庭もあれば、最初に与えたもので終わりとか、あるいは最初から与えないというのもあって、今回は学校の中でということですけれども、そこがすごく難しいのと、学校の先生がおっしゃるのは、3年生、4年生ぐらいじゃないと、自転車に乗れない子がいると、それがいじめの対象に、本当かなと思うんですけど、教頭先生とかおっしゃるのが、ある程度学年がいかないと、乗れないことが周りに分かってしまうので、余り低学年にはしてくれるなというような声があるのが実態です。すいません、これはデータを取ったちゃんとした調査ということではないんですけども。以上です。

【渡邉部会長】じゃあ、小川委員、お願いします。

【小川委員】御質問ありがとうございました。今御指摘いただいた点、実は私たちも目指しているところでありまして、伝統として残したいなと。そのためには生徒会の活動や交通安全委員会の活動のテーマの1つの中に盛り込んでいくことによって、それが引き継がれていくだろうということを期待しています。
高校にはやっぱり伝統ってありますよね。応援団の伝統だとか、いろいろな行事で伝統があって、それは脈々と受け継がれていますよね。そんな感じでつながっていけば、先生や生徒が入れ替わっても続いていくかなと思います。そのためには取りあえず3年間は続けていこうということで、今、プログラムを作っているところなんですけども、岩手県の高校だと、今年3年目になるので、1年やると、その成果を先生方も実感として感じ取っていただいているし、生徒もやろうとしています。2年目は私たちがそんなに働きかけなくても行われたし、今年もテーマを変えてやろうとしているので、何かやっぱり1つ成功例ができると、続いていくのかなと思っています。そういうふうに伝統として残すように、そのための1つの課題が、下級生や新入生に伝えていくというのは1つの大きな提案かなと思います。
先ほどヘルメットの話が出たので、ヘルメットの話をさせていただくと、最近、お二人ほど高校の先生とお話しする機会があったんですけども、今、自転車条例で、ヘルメット着用が求められているんですが、高校1年生が結構着用しているらしいんです。ところが、上級生はかぶっていないので、だんだんかぶらなくなるということなんです。だから、ここも在校生の先輩たちが考えてほしい1つのテーマになって、そういったことを伝統として提案していく、要するに、私たち大人が問題提起していくという、何かそういう仕組みができたらいいかなと思います。どうも御質問ありがとうございました。

【渡邉部会長】あと木下委員からの御質問と、山田委員からの御発言がございます。時間の関係で、このお二人で終了させていただきたいと思います。まず木下委員から御質問をお願いします。

【木下委員】岡山教育事務所の木下と申します。中井委員に質問ですが、一番最後の表でルーブリックが出ていましたが、交通安全教育のルーブリックということで例が示されています。このルーブリックというのは、例で示されているのは高校のものでしょうか、中学校のものでしょうか。
委員さんの発表の中で、キャリア・パスポートの中に安全とか命ということも踏まえて登場させてはどうかということもありましたので、このルーブリックを学校種を超えたものに、例えば交通安全、生活安全、防災安全、災害安全の面でできるかどうかというところをお伺いしたいです。

【中井委員】御質問ありがとうございます。最後のスライドのものは私の思い付きなので、何かを想定したものというよりは、ざっくり何段階で評価を、S、A、B、Cと大学の単位みたいな形になっていますけれども、その中で具体的にどういうものを組み込むことができるか。
本来だと、多分ルーブリックを考えること自体が1つの研究になり得るぐらい大変なことだと思っていまして、そういう意味では、ここは思い付くものを載せたということなので、いろいろな御意見とか、実際にやること、身に付けさせたいことというのを集めながら作成していくのが本来のことだろうと思っております。
キャリア・パスポートにつきましては、その中身、何を学習させればいいのか、学年によっては、例えば10歳で小学校4年生だと2分の1成人式とかというのをキャリア・パスポートに書いたりとかあるんですけど、何を書けばいいのかなって悩んでいる声が、やっぱり始まったばっかりなので、あると。
例示資料を比較的よく使っておられるというか、実際に働いておられる先生方はよく見られているので、そういった中に、安全というものもこのキャリア教育の中であるということを示せば、いつ安全教育をやればいいのかという中身を考える際に、参考にしていただけるんじゃないかなと思っています。最後の方は提案です。

【木下委員】ありがとうございました。

【渡邉部会長】それでは、山田委員、よろしくお願いします。

【山田委員】すいません、活発な御議論、御意見が飛び交っている中で恐縮なんですけれども、日本PTAの全国協議会に千葉県のPTA連絡協議会の会長さんが所属されていまして、その方が6月28日の千葉県八街市で事故に巻き込まれた児童の小学校のPTA会長さんを6年間されていて、今現在、同学区の中学校のPTA会長をされているということで、その濱詰会長さんとお話しする機会がありましたので、発言をさせていただきたいと思います。
通学路の危険箇所について、毎年PTAで、地域や児童生徒の声や保護者の見守り活動を通して、改善を必要とする場所の洗い出しは実際に行っているんですけれども、市に対しての要望書も毎年提出させていただいています。ですが、今回事故が起こったところ、以前から危険箇所という認識がありましたので、要望書の提出もしていましたが、結局、残念ながら目に見える改善等は行われておらず、今回のような痛ましい事故が起こってしまいました。
PTAとして要望書を出し続けるということは必要であり、今、信号機やグリーンベルトの設置、道路の拡幅など、少しずつ改善はされているんですけれども、学区内全ての危険箇所についてすぐ改善することは難しいということが分かってはいるんですが、行政とか地域、学校とかの関係機関と強く連携を取って、継続的な、細く長い活動ができるシステムの構築を是非していただきたいということでした。
濱詰会長からのお話はもうちょっと長かったんですけど、ちょっと短めに報告させていただいています。各単位PTAで通学路の安全点検は毎年、多分各学校行っていると思うんですけれども、継続的に国としてもその改善を是非していただくように、強く推し進めていただきたいなと思います。以上です。ありがとうございました。

【渡邉部会長】貴重な情報を頂き、ありがとうございました。本日の議論も、活発に御意見いただきまして、ありがとうございます。そろそろ予定の時間に近づいてまいりましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。最後に、次回以降の予定について、事務局から御説明をお願いいたします。

【朝倉安全教育推進室長】事務局から、次回の日程についてお知らせいたします。資料7を御覧ください。今後の日程でございますが、その前に、第1回につきましては5月27日に開催いたしました。第2回については6月23日に防災教育について御議論いただき、また本日、生活安全、交通安全につきまして御議論いただきました。
ここにありますように、第4回につきましては、8月4日10時からということで、安全管理、学校施設について御議論いただくこととしております。第5回については、8月26日、組織活動、教員研修について。第6回については、9月20日、家庭・地域との連携、事故対応指針などについてということでございます。それ以降につきましても、あと3回ほど開催できればと思っています。
委員の先生方につきましては、大変お忙しい中でございますが、御協力のほどよろしくお願いします。以上でございます。

【渡邉部会長】本日予定した議事は全て終了しましたので、これで閉会いたします。ありがとうございました。

――了――

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)