新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第12回) 議事録

1.日時

令和2年10月6日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 審議まとめ素案について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬主査】 皆さん、おはようございます。聞こえますでしょうか。荒瀬でございます。ありがとうございます。
定刻となりましたので、ただいまから、中央教育審議会初等中等教育分科会、新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会、新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループの第12回会議を開催いたします。皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日も、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を踏まえまして、オンライン会議システムによる開催といたしました。
また、傍聴席を設けず、Webexを通じての視聴という形で公開して行います。御承知おきいただきたいと思います。
では、議事に入る前に、前回の会議以降で、事務局に人事異動があったとのことですので、御紹介をお願いします。
【酒井参事官補佐】 失礼します。前回の会議以降、10月1日付で、塩見みづ枝が大臣官房審議官に就任いたしました。
【塩見大臣官房審議官】 失礼いたしました。10月1日付で文部科学省大臣官房審議官(初等中等教育担当)を拝命しました塩見と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。塩見審議官、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の会議の開催方式、配付資料等につきまして、事務局の酒井参事官補佐から御説明をよろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。本日についても、主査から御説明ありましたとおり、Webexでの会議進行となってございます。傍聴者の方は、本日、会議場にもおられませんけれども、Webexには視聴のみという形で傍聴者の方も参加されているところでございます。
本日は、牧田委員が遅れての御出席と伺っております。その他の委員の皆様は、全員御出席の予定でございます。
本日もでございますけれども、ウェブ会議システムを併用して御議論いただく観点から、お願いしたい事項でございます。5点ございます。
1点目は、御発言に当たっては、インターネット上でも聞き取りやすいよう、はっきりと御発言いただくなどの御配慮を頂きたいということ。
2点目は、御発言の都度名前をおっしゃっていただくということ。
3点目は、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくということ。
4点目は、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただくということ。
5点目は、御発言の後には「手を下ろす」ボタンを押していただくということ。
この点について、いつものことでございますけれども、御配慮いただけるとありがたいと存じますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
本日の配付資料でございます。本日の配付資料は、議事次第にございますように、資料1と参考資料1-1、1-2、参考資料2を御用意いたしまして、昨日夕方、委員の皆様にメールでお送りさせていただいてございます。会議の中で説明する際には、画面上に表示させていただきます。
御不明な点等ございましたら、お申し付けください。
以上でございます。
【荒瀬主査】 それでは、議事に入ります。
7月17日に「論点整理」をまとめて以降、スクール・ポリシーと新たな学科の在り方についての御議論を頂きました。本日は、「論点整理」にこれまでの御議論の内容を反映したものを「審議まとめ素案」という形で事務局において準備していただいています。
また、前回ワーキンググループから本日までの間に、教育課程部会において、本ワーキンググループの審議経過を紹介し、教育課程の観点から御意見を頂きましたので、その際の議論の紹介も併せてお願いしたいと思います。
酒井補佐、よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 それでは、失礼いたします。事務局から御説明させていただきます。
まず、参考資料1-2を御用意いただければと思います。参考資料1-2、中教審の関係分科会・部会における意見の概要という資料でございます。
今、主査から御紹介ございましたけれども、9月24日の教育課程部会において、本ワーキンググループの検討状況について事務局から御紹介をし、御議論を頂きました。その際、教育課程部会から高校ワーキングに対して、本資料に記載のとおり御意見がございましたので、御紹介させていただきます。
まず、1つ目の丸でございます。各高校におけるスクール・ミッションの再定義、スクール・ポリシーの策定が、各学校におけるカリキュラム・マネジメントを行うに当たって重要になるということで、これが全国の高校に広まることを期待していると。一方で、現在、各高等学校の状況としては、それぞれの各学校の生徒について、3年間でどのように資質・能力を育成すべきかというカリキュラム・マネジメントの考え方になかなか至っていないという傾向があるといった御意見。
2つ目の丸でございますけれども、高等学校の入学を許可するに当たっては、特に公立学校における入学者選抜試験は、現在も多くの県が統一問題によって行われている。スクール・ポリシーに即して各学校独自の主題をすることを公立高校でも検討する時期に入っているのではないかとする御意見。
3つ目の丸ですけれども、普通科高校、専門高校という部分は今後も適正な区分かということを検討してほしい。専門高校も今までの農業、工業、商業という産業区分ではなく、SDGsのように価値区分にしたほうが、生徒の目標設定や、思考力・判断力を高めることにつながると思うといった御意見。
次の丸ですが、専門高校に進学する生徒は、15歳の時点で自分の進路を決めるが、進路を固定化することなく転学が可能なカリキュラム・ポリシーや、入学の間口を広く取るアドミッション・ポリシーの設定、卒業時のグラデュエーション・ポリシーで卒業を厳格にするなどが必要ではないかという御意見。
このページの最後の丸ですけれども、「卒業の認定に関する方針」という用語は定着しにくいのではないか。高等学校がグラデュエーション・ポリシーといったときに、卒業の認定を指すとなると、卒業の単位数や科目の履修、習得ということになってしまうのではないかといった御意見。
次のページ、2ページでございますけれども、1つ目の丸、新たな学科の生徒の卒業後のイメージはどのようなものか。例えば、大学が新たな学科の生徒を受け入れる環境、制度を組み込む必要があるのではないかという御意見。
次の丸ですが、現状の多くの中3が自信を持って進学先を選択できるかというと、現状ではギャップがあるのではないか。高校の普通科の多様化を進める上で、中学校からの接続についても手立てが必要ではないかという御意見。
次の丸ですが、高校教育を豊かなものにする試みは大変重要であるが、学習指導要領も変わったため、豊かな学びをした生徒たちが大学に入学できるルートについても考えるべきではないかといった御意見があったところでございます。
併せて、9月28日には初等中等教育分科会が開催されまして、こちらについては、本ワーキンググループを含め、全体の御意見があったところでございます。その中で、関係する御意見を御紹介させていただきます。
1つ目の丸ですが、教育行政の在り方についての御意見でございます。内向きで縦割りの教育行政から社会に開かれた教育行政・ネットワーク型行政への転換が必要ではないか。管理指導型の教育行政というところから、伴走支援型の教育行政への転換が必要であるのではないかという御意見。
次の丸ですけれども、スクール・ポリシーのうち、卒業の認定に関する方針については、単位数や科目履修に限定された形になってしまうのではないか。卒業後も含めた、高校生の将来の未来を見据えた観点が必要ではないかという御意見があったところでございます。
こういった御意見も踏まえまして、本日御用意させていただきましたのが、資料1、審議まとめ素案とするものでございますので、御用意いただければと思います。
この資料1の審議まとめ素案につきましては、7月17日におまとめいただきました「論点整理」に、その後、2回高校ワーキングを開催いたしました、8月19日と9月7日の御議論を踏まえた内容を加えて、事務局において作成し、本日提出させていただいたものでございます。
なお、標題につきましては、審議まとめ素案と記載させていただいております。7月17日の際は、新時代に対応した高等学校教育の在り方というふうにまとめさせていただいておりましたけれども、どういった標題がよいかという点も、併せて御検討いただければと考えております。
内容につきましての御説明でございます。おめくりいただきまして、1ページ、目次を御参照いただければと思います。
7月17日の「論点整理」から、章のタイトル、章題を少し変更させていただいております。これにつきましては、本ワーキンググループの親部会であります特別部会の議論、中間まとめにおいて整理されたものを踏まえて、修正させていただいたものでございます。
具体的には、第3章の章のタイトルを、高校生の学習意欲を喚起し、能力を最大限に伸長するための高校の特色化・魅力化に向けた方策、第4章、定時制・通信制課程等における多様な学習ニーズへの対応と質保証といったところで、中身を明確に表すために章のタイトルを修正させていただいているといったものでございます。
あとの細かな各章以下のものについては、同様のタイトルとさせていただいております。
続きまして、2ページ以降でございますが、「はじめに」というところです。おめくりいただきまして、3ページをお願いいたします。
「はじめに」の3ページの一番最後の段落であります。「本審議まとめにおいては」以降でございますが、ここにつきましては、教育課程部会の委員の方々から、新しい学習指導要領との関係についても明示したほうがよいのではないかといった御意見も別途頂いたところでございます。そういった御意見を踏まえまして、スクール・ミッションの再定義やスクール・ポリシーの策定、新しい学科の設置など、本ワーキングの新たな提言につきましては、これらは全て、新学習指導要領が目指す「社会に開かれた教育課程」の実現、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善、「カリキュラム・マネジメント」の実現、「総合的な探究の時間」や「理数探究」等の新たな科目等の実施といった方向性について、高校教育の現場において着実かつ強力に推進しようとするものであるといったところを明記させていただきました。
続きまして、4ページをお願いいたします。4ページ以降が、第1章、高校教育を取り巻く現状と課題認識といったところでございますが、4ページの1つ目の丸の4行目以降、「このため」以降でございます。ここは今回新たに追記をさせていただいておりますが、高校教育の前提といたしまして、これまでの御議論でもありました「共通性の確保」と「多様性への対応」といったところ、そこを改めて明示するといったところで、記載させていただきました。
次、5ページをお願いいたします。5ページの3行目から、「高校における教育活動を」というところですが、今回の高校改革の趣旨、本ワーキングの取りまとめの趣旨を明確化するために、追記をさせていただいております。高校における教育活動を、高校生を中心に据えるといったことを改めて確認し、その学習意欲を喚起するためのものへと転換することが急務である。そのためには、これからの各高等学校には、それぞれに高等学校において特色・魅力ある教育を実現することが求められている、そういったことを追記をさせていただきました。
続きまして、ちょっと先へ行きますけれども、12ページをお願いできればと思います。12ページにつきましては、中山間地域や離島等に立地する高等学校における多様な教育資源の活用といったところでございます。12ページの一番最後の段落であります「こうした」というところからですけれども、こうした学校間ネットワークを構築し、複数の学校をいわば一つの大きな学校として捉える試みについて研究開発を進め、地理的な制約を超えて多様かつ質の高い学びを提供するための措置を講じることが必要である。これは実証研究を行っていくといったことを、これまでの御意見を踏まえて、明記させていただいたものでございます。これにつきましては、令和3年度の概算要求の中でも、文科省のほうで、調査研究のためのコアハイスクールネットワーク構想というところで提出させていただいているといったところでございます。
続きまして、15ページをお願いできればと思います。15ページ、ここはスクール・ミッションに関する記載の箇所でございます。15ページの2つ目の丸、各都道府県等においてはというところでございますけれども、ここにつきましては、スクール・ミッションの導入時期について、新たに記載させていただきました。教育振興基本計画のほかに、各都道府県教育委員会等においては、設置する高校の改革、振興に関する各種の計画を定めていることが一般的であると考えております。スクール・ミッションの再定義については、こうした計画の策定・見直しを通じて行っていくことが望まれるのではないかといったところで、また、こうした計画の対象の期間とか始期・終期については、各都道府県等によってかなり多種多様なものになっているといったところでございますので、スクール・ミッションの再定義については、各地域の実情に応じて、適切な時機を捉えて行われることが望まれるといったところを軸として記載させていただきました。
16ページをお願いいたします。16ページの一番下でございますが、一番下の丸の2段落目、「その際」というところです。スクール・ミッションについてのこれまでの御議論の中で、学校運営協議会に関する御意見があったところでございます。御意見を踏まえまして、学校運営協議会の設置が努力義務化されていることも踏まえ、学校運営協議会を設置している高校においては、学校運営協議会の場を活用して地域社会の参画・協力を得て、協議を行うことが望ましいといったところを記載させていただきました。
続きまして、18ページをお願いいたします。18ページについては、スクール・ポリシーに関する御議論でございます。3行目、マル1でございます。スクール・ポリシーの議論につきましては、教育課程部会初中分科会の御意見の中で、従来、「卒業の認定に関する方針」という用語を用いておりましたけれども、少し修正したほうがよいのではないかという御意見がございましたので、今回、「卒業時に身に付けておくべき資質及び能力の育成に関する方針」という言葉で御提案させていただいているところでございます。
その趣旨でございますが、少し下の四角囲みの中にあります1つ目の丸でございます。いわゆるグラデュエーション・ポリシーですけれども、この内容としまして、各学校のスクール・ミッション等に基づき、生徒の卒業後の姿を見据えて、学校教育活動を通じて生徒にどのような資質・能力を育成することを目指すのかを定める基本的な方針となるものといったところ。これも教育課程部会のほうで御意見があったことを踏まえて、定義として少し修正をさせていただいているところでございます。
前後しますが、少しその上でございます。「高等学校における教育活動の方向性が明確に定められ」というパラグラフであります。明確に定められ、それが学校全体で組織的に共有されている高校においては効果的な教育活動が進められているといったところ。これは前回の御議論の中で御意見がありましたので、反映をさせていただいているところでございます。
次、19ページをお願いいたします。19ページのまず1行目からです。前回、スクール・ポリシーに関する御議論の中で出た御意見を踏まえて、修正させていただいたところでございます。スクール・ポリシーについては、当該高校の教育活動の指針を言語化するというプロセスそのものにも意義があるといった御意見がございましたので、記載させていただきました。
また、4行目以降、「また」以降ですけれども、また、様々な期待や要請によって、ともすれば肥大化しがちな教育活動や高校の業務内容について、スクール・ポリシーを基準にして精選・重点化を図ることにより、学校における働き方改革に寄与することが期待される。こちらも前回の御議論を踏まえて、追記をさせていただきました。
1つ丸を飛んで、このページ2つ目の丸、「一方で」以降ですけれども、一方で、一度策定したスクール・ポリシーを固守することが目的化することは本来の趣旨にかなうものではない。スクール・ポリシー自身も各高校の教育活動の検証や社会・地域の状況変化に応じて見直されていくことが重要であるといった点。
次の丸ですけれども、国において、スクール・ポリシーの策定、運用に関する好事例、課題の収集・検証について、こちらは併せて前回の御議論を踏まえて、追記をさせていただきました。
20ページをお願いできればと思います。20ページの1つ目の段落、「また、スクール・ポリシーは」というところですが、その2行目です。全教職員が日常的に参照可能であることが望ましいといったところ、この点も、前回の御議論を踏まえて、追記をいたしました。
1つの丸を飛んで、「スクール・ポリシーの期間については」というところですけれども、例えば学校評価における目標・指標の見直しの期間と連動させることも考えられる。この点も、前回の御議論を踏まえて、追記をしてございます。
20ページ、一番下の丸でございます。スクール・ポリシーについてですけれども、校長がリーダーシップを発揮しながら、全教職員が当事者意識を持って参画し、組織的かつ主体的に策定を進めるというプロセスが重要であるといったところ。こちらも、前回の御議論を踏まえて、記載をしているところでございます。
21ページですが、2つ目の丸です。2つ目の丸の2段落目、「新しい学習指導要領が」と書いているところですが、ここはスクール・ポリシーの導入時期について記載をしております。新しい学習指導要領が令和4年度から年次進行で実施されること等も踏まえ、令和4年度までにスクール・ポリシーの策定・公表に取り組むことを基本としつつ、一定の準備期間も考慮した制度設計を行う必要があるといったところ。これまでの御議論を踏まえて、こちら、記載をさせていただいたところでございます。
続きまして、24ページをお願いいたします。卒業時に身に付けておくべき資質及び能力の育成に関する方針、グラデュエーション・ポリシーですけれども、そのポリシーに関しまして、前回の御議論を踏まえまして、各教科・科目の単位の修得と離れて、このポリシーが独自の卒業要件となるものではないといった旨、追記をさせていただいたところでございます。
続きまして、少し先に行きますけれども、31ページをお願いします。31ページの一番下の丸です。こちらは、普通科改革のところになりますけれども、普通科改革でも、新たな学科の設置に向けた記載の箇所になってまいります。前回の御議論を踏まえまして、普通科の特色化・魅力化に伴って、学ぶことができる内容は多様化することになりますけれども、生徒が積極的な進路変更を希望する場合には、学校間、学科間の異動を柔軟に行うことができる、そういう積極的な対応が求められるといったところを追記をさせていただきました。
続きまして、33ページをお願いします。33ページの一番下の丸の一番最終行です。5行目になりますけれども、「新たな学科では」というところです。新たな学科の教育の特色としまして、前回の御議論を踏まえて、追記しております。新たな学科では、教育課程全体を通じて探究を重視し、各教科・科目等と総合的な探究の時間を往還する学習が行われ、他の学科における取組を牽引・先導する存在となることが期待されるといったところでございます。
同じく、34ページの2つ目の丸です。従来の普通科、専門学科、総合学科との比較というところの2つ目の丸の2段落目、「このほか」というところですけれども、新たな学科の特色としましては、義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るといった点、この点も重要ではないかという御議論が前回ございましたので、記載をさせていただいているところでございます。
35ページをお願いいたします。新たな学科を設置可能とする時期についてでございます。35ページの3つ目の丸ですけれども、新たな学科を設置可能とする時期については、都道府県立高校の学科の新設・再編、これは多くの都道府県において、高等学校の改革・振興に関する計画等に基づいて行われているといったところで、現在でも、域内の高校の在り方について検討されている自治体というのは数多くあるところです。各設置者の判断において適切な時期に新たな学科の検討・設置を行うことができるようにする制度化が必要ではないか。また、そういった制度設計を早急に講じる必要があるという観点から、令和4年度から新たな学科の設置を設置者の判断により可能とすることが望ましいのではないかといった点を追記させていただきました。
先に行きまして、46ページ以降が第4章の定時制・通信制課程の記載になりますけれども、47ページをお願いします。47ページの一番上の段落です。2行目ですが、「また」以下ですけれども、都道府県教育委員会においては、中途退学者や不登校経験がある生徒等を主に受け入れる学校、昼夜開講制の定時制高校などを設置して、生徒の多様なニーズに対応した高校教育の実現を図ってきた、これまでの取組について御紹介させていただいているところでございます。
最後ですけれども、50ページをお願いできればと思います。50ページの1つ目の丸の5行目です。「また、これらについては」というところなんですが、これは通信制高校の質保証に関する箇所につきましての導入時期についてでございます。令和4年度から各学校において取組が講じられるよう、必要な措置を講じることが必要であるといったところを記載させていただきました。
以上、資料の御紹介とさせていただきます。御議論のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、この後の時間、委員の皆様から御意見をお願いできればと思います。
御発言がおありの方は、先ほど御説明がありましたように、「手を挙げる」のボタンを押していただき、終わりましたら下げていただくということで、よろしくお願いいたします。
なお、毎度申し上げて大変恐縮ですが、御発言は可能な限りまとめていただきまして、たくさんの方が複数回御発言いただけるように思いますので、よろしくお願いします。
併せて、御発言いただく箇所について、今の資料1は大変大部でありますので、ページ数と大体の位置を御紹介いただいた後で御発言いただければと思います。
では、まず内堀委員、よろしくお願いいたします。
【内堀委員】 長野県教育委員会の内堀繁利です。よろしくお願いいたします。
2回に分けます。1回目の発言ということで、2分程度で発言したいと思いますが。21ページのところです。
2つ目の丸、先ほど御説明があったところですけれども、令和4年までにというお話があって、基本的には、私はこれでいいのではないかなと思っているわけですけれども、同時に、スクール・ミッションについては、15ページのところで、必ずしもスクール・ポリシーに先行して定めるものではないというような話があります。これも理解できるところですので、これで結構なんですけれども。
ただ、そのときに、スクール・ポリシーの策定を令和4年までにやるに当たって、関係者とはいろんな相談をしながら進めると思うんですが、とりわけスクール・ミッションを定めることとなっている各学校の設置者との連携というのをうんと重視しないと、スクール・ミッションとの整合性が取れない可能性があるかなと思っておりますので、その文章を入れていただいたほうがいいのかなと。
また、15ページに入れるか、ここに入れるかは別として、逆にスクール・ミッションがスクール・ポリシーよりも策定が後になった場合、その場合については、やっぱり双方向の関連性を取って、スクール・ミッションとスクール・ポリシーの整合性が取れるような形にしていかないといけないなと思っています。それが1点です。
とりあえず、そこまでにしておきます。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。御協力、どうも感謝いたします。
それでは、続きまして、跡部委員、川上委員の順番で、よろしくお願いいたします。
【跡部委員】 成蹊中高の跡部です。よろしくお願いいたします。
私も、今の内堀委員の御発言のところです。早ければ早いほどいいし、それから、指導要領の改訂と合うというのは賛成です、現場に下ろして皆さんで自分事として物事を動かしていくのに、令和4年で大丈夫なのかなというところが1点気になっています。
多分、この後、早々に公表して、それを現場に下ろしてみんなで考えるというのには、ちょっと時間がきついのかなという気がしています。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。
では、川上委員、お願いいたします。
【川上委員】 兵庫教育大の川上でございます。
すみません。場所が今の御発言の流れと違うところになるんですが、13ページから14ページにかけてのところで、繰り返しお願い申し上げているところではあるんですが、学校間のネットワークをしていくことについて、13ページの上のところについては非常に大事なことかなと思うんですが、複数の高等学校が協働的に活動するというときに、申し上げていたことですが、学校の整理・再編の動きというのをきちんと牽制していただいた上で、こういう書きぶりをしないと、恐らく学校間での連携が進まないだろうと思っています。
自分の学校の生き残りの大事な手段となっている特色ある試みというのを、何で近隣他校と共有しなければいけないんだという話になってしまうと、恐らく趣旨どおりの展開というのはしなくなるだろうと。そうなったときに、やはり地方でずっと進んでいる、特に公立学校の再編について、少し歯止めをかけるような何かが準備される必要があるかなと思っています。
それに関連して、14ページの上のところなんですが、2行目から3行目、都道府県は域内における高等学校教育の普及、機会均等を図るために公立高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければならないというところは、当たり前のことではあるんですが、今の時世とこういう学校間ネットワークのことを考えたときに、規模の適正化という言葉を今残しておく必要があるのかというのは、ちょっと御検討いただきたいなと。
過大規模で困るというような地域は、もうほぼないだろうと考えると、規模の適正化の話はもうしなくていいのではないか。それよりも、適切な高等学校教育というのが偏在なく受けられるように、適正な配置を維持するということを重視すべきだろうと考えると、先ほどの再編の話と併せて、規模の適正化の文言については、もう今引っ込めてもいいのではないかというような気がしております。
1点目として申し上げたいのは、以上でした。ありがとうございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、続きまして、鍛治田委員、そして、長塚委員、お願いいたします。
【鍛治田委員】 よろしいですか。YMCAの鍛治田です。
資料1の5ページの上のパラグラフのところで、学習意欲を喚起するために特色ある教育の実現であるとか、意欲が高くない生徒に個別最適な学びを提供するということで書かれているんですが、学習意欲のなさは、小中学校の延長と考えています。もう既に学習が分からない、自信がない、自分が大事にされている実感がない、無力感などを持っていて、高校入学時点のところでスタートに立てていない状況の生徒がたくさんいます。ですので、こういった特色とか魅力ある教育や個別最適な学びも大事ですが、その前に、生徒たちが自分らしく過ごせる場所であったりとか、学校の今ある価値観を押し付けないということも大事ではないかと思っています。
2点目に、6ページの丸2と丸3のところで、特別な支援を必要とする生徒が一定数在籍する、また、少子化が進行するということが想定されています。少子化なのに、8月24日の朝日新聞にも書かれていたように、特別支援学校の新設が相次いでいます。ということは、支援学校に入学はしないけれども、グレーゾーンの生徒が普通学校にも多く入ってきているという実態です。通信制高校も入学者が増えている、そのような高校生の実態と、この今進んでいることがどうしても私はギャップがあるように感じて、高校生の実態を見ながら、何度か出ていますけれども、中学までの学び直しであったり、一度失った学びへの関心を取り戻すというようなところも、普通科のところで要るのではない……(音声途絶)
【荒瀬主査】 鍛治田先生、すみません。鍛治田先生、聞こえますでしょうか。
後からまた続きの御発言をお願いしたいと思います。
では、一旦次の方にお願いしたいと思います。長塚委員、よろしくお願いいたします。
【長塚委員】 長塚です。27~28ページにかけて、スクール・ポリシーに基づく入学者選抜の実施・改善という項目があります。実は、日本私立中高連の調査では、全国の高校の入学者選抜で推薦入試を実施している県は、令和2年度は、公立高校が24県、私立高校が44県という具合で、特に公立高校で減少傾向が顕著だということが分かっています。
公私立高校で推薦入試が始まったのは、たしか平成5年の偏差値問題以降だと思うんですが、入学者選抜の多様化とか、評価尺度の多元化ということについて、当時、文科省の次官通知で求めたということもあって、推薦入試が普及したというふうに記憶しております。
しかし、定かな理由は分かりませんが、恐らく学力向上策が県単位で進められるようになって、公立の高校入試にも影響して、推薦入試が減少したのではないかと推察しています。ということで、選抜の多様化が後退してはいないかと若干危惧しているんですね。
そこで、28ページの2つ目の丸で、公立高校の入学者選抜について言及されています。全県で同一の入試方式から各校の受入れ方針に基づく入学者選抜を可能とする方策の工夫を提案しているわけですけれども。ただ、各校の受入れ方針に比重を置く際には、いわゆる知識・学力だけに偏ることがないように留意する必要があるのではないかと感じているところです。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
鍛治田先生、聞こえますでしょうか。切れましたか。
では、鍛治田先生、また後ほどお願いしたいと思います。
それで、手を挙げている方もいらっしゃるんですが、少しここで今出ました御意見、御指摘につきまして、事務局の酒井補佐のほうからお話を頂きたいと思います。
【酒井参事官補佐】 失礼します。事務局でございます。
ただいま頂きました御意見のうち、まず跡部委員から頂きました、スクール・ポリシーの策定時期、21ページのところでございます。今、跡部委員おっしゃっていただきましたとおり、やはり学校の状況によっては、実際には4年度に準備をする学校が大変難しいのではないかといったところもあろうかと思います。そういった意味で、ここの文章は、一定の準備期間も考慮した制度設計を行うといったようなところで、そういった学校の状況に応じた制度設計というのが必要ではないかというところで、一応記載はさせていただいているといったところでございますので、少し御覧いただければと思います。
また、川上委員から御意見を頂きました学校の規模の適正化、配置の適正化といった点でございます。こちらにつきましては、学校の規模の適正化、配置については、様々な御意見があるところかと思ってございます。当然、設置者管理主義の下で、設置者において考えられるものでありますが、規模の適正化というのは、大規模校の是正とともに、やはり小規模校の是正という観点もあって、ここは小規模校の教育、いわゆる高校教育の質を維持するためには、どのような規模が必要かというのは、様々な御議論があるところかと思っております。そういった中で、今、各地域で行われているところ、それはやはり高校の教育の質の維持のために、そういった規模適正化に取り組まれているところ、自治体があるといったところ、そういった状況も踏まえたところの御検討というのは必要ではないかと事務局としては考えているところでございます。
とりあえず、説明は以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
今の御説明に対して、また何か御意見がありましたら、お願いしたいと思います。
では、田村委員、小田切委員の順でお願いいたします。田村委員、お願いいたします。
【田村委員】 田村でございます。よろしくお願いします。
このワーキンググループの大きな問題意識として、高校生の学習意欲が低いこと、それから、6ページにありますように、我が国の若者が自分を大人だと思うとか、責任がある社会の一員だと思うといったような意識が低いこと、といった問題意識があったかと思います。その一方で、選挙権年齢は既に、それから、成年の年齢も今後18歳に引き下げられて、社会の担い手として非常に期待されているというところがあるかと思います。
そのことを前提として、やはり全体の論調として、高校生たちが将来の社会の担い手であると同時に、高校生である現在にあっても、学びの場である高校や生活の場である社会において影響力のある構成員であることを自覚したり実感できたりするような学習活動に、今まで以上に積極的に取り組む必要があるといったような論調がどこかにあるといいのではないかと思いました。
例えば、21ページに、スクール・ポリシーの策定への生徒の参画といったようなことが書かれています。それから、28ページからは、地域や高等教育機関等、関係機関との連携・協働による学習を進めること、そうしたことが書かれているんですけれども、そういったところにもそのような意義づけということをしていただけるとありがたいと思いました。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、小田切委員、お願いいたします。
【小田切委員】 ありがとうございます。明治大学の小田切でございます。
私、地方創生とこの高校魅力化といいましょうか、特色化、どういうふうに橋渡しをするのかと、そんな立場でこのワーキンググループに参加しております。そういう点で、今回の文章を見ると、いわばパッケージでその点を満たすような、大変いいものができ始めているというふうに感じております。
そういう点で、非常に細かい点、2点ほど申し上げたいと思いますが、30ページになります。30ページ、2に学科の特質に応じた云々かんぬん、この直前の2つの丸なんですが、まず下から2番目の丸の中に、高大連携といいましょうか、大学の単位の先取り履修の話が出ております。地域に対して、地域社会学科を想定した場合、この点が大変重要になると思いますが、御存じのように、現在、国公立合わせて20以上の地域系の学部が各地にできております。それとの連携を特に意識するということも考えていいのではないかと思っております。
それから、一番下の丸なんですが、在籍する高校以外の場における学修の成果を云々かんぬんなんですが、これ、実は、コロナ禍において大変重要なポイントとなり始めているのではないかと思っています。地方移住がかなり活発化する兆しが出てきております。その中で、サテライトオフィスなどの動きもございまして、そういう意味で、高校生が、例えば短期間とか1年間、今居住している以外のところに親と共に住むということも十分考えられると思います。先駆的には、徳島県のデュアルスクールの取組がありますが、これは小中学校ですが、高校でああいった取組ができれば、そういう意味で、制度的にさらに一歩進めて、そういうことを考えることができれば、現在の状況にも適してくるのかなと思っております。
当面、以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、この後、末冨委員、岩本委員、橋本委員、角田委員、山口委員の順によろしくお願いしたいと思います。では、末冨委員、お願いいたします。
【末冨委員】 日本大学の末冨でございます。
今日の頂いた資料1の前に御説明いただきました参考資料1-2の中に盛り込んでおいたほうがいい文言があるかなと考えます。それは参考資料1-2の2ページ、下のほうから5行目ぐらいにありますが、学校が主体的に取り組むということを伴走支援していくという発想に変わらなければならないという教育行政についての視点がありますけれども、これは学びの反応についても全く同じなんですよね。教育行政が学校管理を統制するのではなく、伴走支援をする。
それから、学びについても、主体的な学びというのは、教師というのは指導者ではなくて伴走者であるというふうな、学習観、教師観の変革というのは今世界中で起こっているわけですので、その伴走型の教育行政、そして、伴走型の学校像というものについては、キーワードとして盛り込んでおいたほうがいいのではないかなと、参考資料1-2を拝見しながら考えたところでございます。
それから、先ほどから話題となっておりますスクール・ミッションのスクール・ポリシーの部分ですけれども、まず17ページの一番上の行ですが、学校運営協議会の場を活用し地域社会の参画・協力を得て協議を行うことが望ましいというのがスクール・ミッションになっておりますが、特にやはり川上委員がおっしゃられた学校配置の問題ですとか、あるいは、特に人口減少地域における高校の役割といったものを考えれば、これは「望ましい」という文言ではなく、「重要である」ぐらいの書き方をしておかないと、恐らく意志決定の在り方について誤解を生じかねないということですので、少し強調が必要ではないかと考えます。
そして、17ページ以降のスクール・ポリシーの部分についてですけれども、先ほどやはり御指摘がございましたが、令和4年度という期限を区切ることが適切であるかどうかは、ここにいらっしゃる委員だけではなくて、もう少し広く高校の声を聞くべきであろうと思われます。
と申しますのも、大学でもカリキュラム改革はしばしばいたしますけれども、スクール・ポリシーのようなものを作ったとしても、やはりカリキュラム改革をしていくと、事前に想定していたのと違ったことが起きます。特に高校の新指導要領は、かつてない規模での改革になりますので、令和4年度に同時にすることが本当にそこまで大事なのかどうか。むしろ1年目の導入を経てスクール・ポリシーを考えることのほうが、教職員にとって共有されやすいものになるという学校もある可能性もあります。1年やって見えてきたことからスクール・ポリシーを考えることも、また大事だと思われます。
スクール・ポリシーというのは、特に導入コストが高いだけに、令和4年度に無理やって、令和5年度に見直しということになれば、働き方改革に逆行するどころではなく、そこで辞めてしまう教員も出てくるのではないか。特に教務運営のストレスを考えれば、それぐらいの心配をしなければならないと考えています。
併せて、スクール・ポリシーですが、これなら学校でも共有されやすいし、改革が進むかなというふうには思われるんですけれども、特に前半部分で、居場所だとかウェルビーイングに触れられているんですが、そのことについて書かれていないんですね。
例えば、学校は子供の居場所機能でもあり、安全を守る場所でもある。これは中教審の初中分科会での前提になっているはずなんですが、イギリスのスクール・ポリシーに相当するものを考えたら、こうした居場所や安全に関する学校の役割は、きちんとスクール・ポリシーを盛り込むべきなんですよね。恐らくこの書き方だと、カリキュラム偏重になっていってしまい、学校が生徒に対して、あるいは地域に対して発揮している多様な機能、例えば、地域のコミュニケーションの場である、あるいは居場所でもある、ケアの場でもあり、地域全体のウェルビーイングを高める場でもあるといったような、多様な学校教育活動の側面が見逃されがちになりますので、カリキュラム偏重になっていいのかという懸念が、改めて今回の案を見たときに思ったことです。
ですから、例えばですが、アドミッション・ポリシー、もしくはカリキュラム・ポリシーの含むべき内容について、もう少し豊かな内容を含めるようにというふうな方向性での役割づけも必要であると考えます。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 よろしくお願いします。岩本です。
まず1点目ですが、30ページ目の丸の下から2つ目、「また、現行制度においても」というところです。先ほど小田切先生からも意見があったところですけれども、今、海外留学がなかなか難しい中で、ほかの国内の地域に留学する、地域留学というようなところも始まっています。これにやりたい、関心があるという高校生、私の関わっている中でも、200人以上、そういったところに反応があるというような状況です。
ただ、海外留学に関しては前例があって、仕組みもある程度できているわけですけれども、国内の留学というところは前例がほとんどないがために、そこでの単位の扱いというところを、やはり高校側が、前例がないとなかなか難しいというようなことで、生徒のそういった主体的な動きを止めるというような事例を幾つも聞いていますので、こういった形で、自分の在籍している高校以外の高校での学びとかをちゃんと活用できるというようなこともここに明記していただけると、そういった生徒が不利益をこうむらずに、主体的なそういった様々な学びとか、ほかの高校での学修というところをできる体制になっていくということで、ぜひお願いしたいというのが1点目です。
2点目が、41ページ目の下から2つ目の丸です。「特に、「地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科」においては」のところです。ここが、まずは学校運営協議会の設置、その上で、関係機関との協働体制と、こういった順序が書かれているわけですけれども。
全国の事例を見てみると、この順番ばかりではなく、実質的な協働の体制が作られて後に、学校運営協議会を活用しようというようなケースももう非常に多くありますので、こういう順番はそもそも明記する必要はないのであろうと思いますし、いずれの上り方というか、順番もあるわけですけれども、いずれにしても、学科という教育課程を介して、持続的・組織的な協働の活動とか教育活動を展開していくというのが学科でありますので、こういう新しい地域社会に関する学科を入れる高校においては、運営協議会だけを入れればいいということではなくて、運営協議会と併せて、地域・学校協働の活動が一体的にできる体制がちゃんと構築されているというのは必要だと思いますので、ここを併せて担保した上での学科というような形の書きぶりにしていただければいいかなと思っています。
そういった協働体制の概要とか事例等について、ここで詳しく説明する時間がないので、資料を送らせていただきましたので、詳しくは、そちらのほうを御参照いただければと思います。
一旦、以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。
岩本委員、資料は、これは見ておくだけでいいんですか。御説明はなさらないですか。
【岩本委員】 そうですね。もう完全に2分を過ぎてしまうので、資料はぜひ見てくださいということで。
【荒瀬主査】 せっかくですので、少し御説明いただいたらどうでしょうか。
【岩本委員】 よろしいですか。
【荒瀬主査】 資料をせっかく頂いていますので、読み方も含めて、御賛同いただいている委員の方、たくさんいらっしゃいますので、どうぞよろしくお願いします。
【岩本委員】 それでは、資料を3つほど出させていただいています。地域社会に関する新学科を設置する高校における協働体制のイメージというところです。
これ、スクール・ミッション等に基づいて、高校と地域社会の関係機関が持続可能で実質的な協働体制を構築していくことが大事だと。その協働体制を、仮称というか、通称コンソーシアムというような呼び方にしていますけれども。ここでは、個対個のボランタリーな関係性とかに加えて、関係機関との合意形成と協働活動、これを一体的にかつ継続的・持続的に行えるような組織体制であるということが、1つ、関係機関と協働していく上で非常に重要であるというところです。
特に、学校運営協議会の話が出てきていますけれども、こういった協働体制の合意形成の場を、学校運営協議会を兼ねるというような形にすることで、協働の体制、合意形成と活動というのが一体的に図られるということで、幾つもの会を乱立させるということなく、一つの形として、こういった体制というのが考えられるだろうというところです。
スライド2においては、それの具体的なイメージで、実践されている高校とかのものを基に作らせていただいていますが。いずれにしろ、新しいものをただたくさん作るというより、今ある会とか組織を見直して、活用したり再編したりとか兼用するということで、負担を軽減しながらこれを構築していくということと、形骸化するところとしないところの1つの大きな分かれ目は、評価を含むPDCAをちゃんとしっかりと回しているかどうかが、こういった体制とか会のポイントになってきますので、ここをしっかり含めながら、できれば生徒会なんかも含めて、やっぱり高校生も一つの主体として参加・参画できるような形での協働の活動とか体制を作っていくということも、これからはやはり望ましいというところで、合意形成の場と実際のそれに伴う教育活動を、それぞれ両輪のように回していくという体制です。スライドの3枚目は、実際の事例というところで、ほかにも様々ありますけれども、ちょっと大きめの高校と小さめの高校で、どういう協働体制を構築してやっているのかというようなところなんかを付けさせていただきました。
すみません、お時間頂きました。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、お待たせしました。橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】 ありがとうございます。京都府の橋本です。
私のほうからは、スクール・ミッション、ポリシーの関係で、2点だけ申し上げたいと思います。
まず14ページの下のほうに、20年後・30年後の社会像・地域像を見据えて、目指すべき高校像をスクール・ミッションとして再定義することが必要とあり、理屈はそのとおりだと思いますが、幾らこれから高校間のネットワーク化を進めたとしましても、恐らく今後20年から30年といったうちには、決して少なくない数の高校統廃合等をせざるを得ないだろうと思っております。
その意味では、15ページに、各府県の計画との関連で、スクール・ミッションの再定義は、各地域の実情に応じて、適切な時機を捉えて行うと、こんなふうに書かれていることは非常に適切ではないかと思います。
とは言いましても、計画にまだ示されていないけれど、近い将来廃止する可能性の高い高校について、期待される役割等を示すという、このミッションの策定は、我々、設置者にとってはなかなか厳しい仕事でもあると思います。ミッションの書きぶりに苦労されるところも多いのではないかという感想が1つです。
それから、2点目ですけれども、16ページの上から5~6行目のところに、スクール・ミッションを再定義して発信していくことは、中学校の進路指導の充実や中学生の学校選択に資するとあります。17ページの1つ目の丸では、偏差値的な学力で高校をグルーピングするような趣旨ではないとされております。
これもそのとおりであるわけですが、実態を見てみますと、通塾率の高い都市部の中学校においては、教員の進路指導より学習塾の偏差値に基づく指導を保護者がより信用するといった傾向が見られます。多くの保護者や学習塾にとっては、当該高校にまず受かるかどうかが大切であり、また、その高校の大学進学状況に関心が持たれがちです。
社会から期待される役割等を表現したスクール・ミッションや3つのポリシーが、進路選択の上で有効に機能するためには、こうした保護者や学習塾の認識が変わっていくことも必要ではないかと思います。少なくとも、せっかく作ったミッションやポリシーが、中学校の進路担当や保護者に正当に理解されるといったことが大切だと考えております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、角田委員、お願いいたします。
【角田委員】 角田です。私も、15ページからのスクール・ミッションの再定義、スクール・ポリシーの策定について、少しお話しさせていただきたいと思います。
既に何人かの現場の高校の先生と会話してみたんですけれども、非常に反応が様々といいますか、新しい学習指導要領に向けて、学校のグランドデザインをちょうどまとめ上げたところで、これについて設置者が後から言ってくるんだろうかと心配するような意見があったり、学校としては、実は設置者が上から決めてくれたほうが楽ちんだというような、ちょっと本音の意見ですとか、あとは、まだ議論のスタート地点にも着いていないので非常に期待しているといった、そんな意見もありました。
1つの県の中でも、学校によって、取組をもう始めたところとそうでないところの差が激しいんですね。そういったさまざまな段階の高校に対して、伴走という言葉が出ましたけれども、設置者側がそれぞれの学校が自分事としてミッション、ポリシーを考えていくにはどう関わっていくかについて、かなりきめ細やかにやっていただく必要があるのではということを実感しました。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、山口委員、お願いいたします。
ちょっと接続が悪いようですので、この後、牧野委員、香山委員、佐藤委員、清水委員に御発言をお願いしたいと思うんですけれども、今の時点で、また事務局の酒井補佐のほうに一旦お預けしたいと思います。よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。
様々な御意見、ありがとうございます。頂いた御意見について、基本的にこの中で修正、反映させていただきたいと思いますが、1点、末冨委員から、スクール・ポリシーについて、広く高校の意見を聞くべきではないかという御意見がございました。この点につきましては、今後、特別部会のほうでパブリックコメント等も実施されていくことになりますけれども、本ワーキンググループといたしましても、実は荒瀬主査と御相談させていただきまして、この高校ワーキングには全校長のほうが入られていないんですけれども、まず全校長のほうにヒアリングが必要ではないかということで、主査と私ども事務局で一旦ヒアリングをさせていただくような形で、今調整をさせていただいております。この点、御指摘いただいた点も、実施可能かどうかという点を含めて、意見をお伺いするようにさせていただきたいと思ってございます。
以上でございます。
【末冨委員】 1点、よろしいでしょうか。
今の点、ありがとうございます。ですが、私立高校さんのマネジメントについては、常々参考になる部分が多いと思っておりますので、こちらのほうも何らかの形で御意見を頂戴できるようなことが望ましいと思っております。
以上です。
【山口委員】 山口でございます。回復いたしました。
【荒瀬主査】 山口委員、申し訳ありません。ちょっとお待ちいただきまして、今、末冨委員からの御発言がありました、私立の中高連のほうなんですけれども、長塚委員、御発言いただくのはいかがでしょうか。
【長塚委員】 長塚でございます。
分かりました。全校長の組織と私立中高連の組織は、やはりちょっと違っていまして、必ずしも全校長のほうには私立の意見が反映されているとは限りませんので、私立のそのような先進的な事例とか経験を私立側から意見をするということについては、ぜひさせていただければと思います。
あと、近々、私立学校に対して、中高連に対してもヒアリングなどがあるというふうに聞いておりました。親部会のほうでですね。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 長塚先生、ありがとうございました。末冨先生の御指摘、そういう形で進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、今、順番がややこしくなってしまいました。申し訳ありません。鍛治田委員がつながったようなので、鍛治田委員、後ほど御発言いただきますが、ちょっとお待ちいただきまして、山口委員、お待たせしました。御発言、よろしくお願いいたします。
【山口委員】 申し訳ございませんでした。神奈川県、山口でございます。
21ページの、先ほど末冨委員がおっしゃっていた内容について、まさに今、学校現場で、新しい新学習指導要領を基にしたカリキュラムの作成等を行っているところでございます。
その中で、先ほど岩本委員が提出していただきましたコンソーシアムの、まさに協働体制のイメージの図がございますが、このようなものを作成しないと、実は、それぞれの学校のカリキュラムを作成できない。考え方の順番としては、こちら側が先なのではないかと。それぞれの学校が、今、社会の中でどういう位置にあって、それぞれの地域の中でどういう役割を担っていて、その中で、次の新しいカリキュラムを作成していくことになります。そのようなことがとても必要だと感じて、そのような手順で今作業をしているところでございます。1つの学校の例としてお伝えいたします。
そして、今回の資料の、一番最後の部分、この取りまとめの審議まとめ素案の別紙2のところを御覧ください。別紙2のスクール・ポリシー策定手順の一番最後の(7)のところに今回明確に入れていただいた、スクール・ポリシーの再確認・見直しというところがございます。
新学習指導要領の実施に伴い、先にカリキュラムができていくかもしれません。ただ、その後にも、それぞれの時機に応じて、これを見直して行っていくということを書いていただき、とてもここはありがたいなと思っております。
以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
実際に学校で具体的に新学習指導要領への対応を考えたカリキュラム策定というときには、どんな力を付けるのかということがまずあった上でお作りになるわけですから、必ずしも別のことをやってくださいということにはならないという御意見であるというふうに承りましたが、よろしいでしょうか。
【山口委員】 ありがとうございます。そのとおりです、よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。
それでは、続きまして、牧野委員、香山委員、佐藤委員、清水委員で、この順でお願いいたします。牧野委員、どうぞ。
【牧野委員】 私からは、29~30ページ、それから、41~42ページの地域社会との関わりにおける学びのことについて、少し私見を述べさせていただければと思います。
29ページの一番下の丸で、文部科学省においてはということで、文部科学省の役割をこういった形で書いていただいたこと、それから、41~42ページの「地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科」に関しまして、しっかりとコーディネート機能につきましても書き込みをしていただいたことについては、大変ありがたく思うところであります。
ただ、文部科学省において、こうした国の役割のところは、29~30ページの中に、今までやってきたことと、それから、令和元年度に新たに取り組んだ2つの事業の話と、そして、今後の話として、高度かつ多様な科目内容のカリキュラム開発を含め、更なる支援策を検討することが必要というような形で、ここにコンパクトにまとめられているんですが、ちょっとコンパクト過ぎまして、逆に、文部科学省の役割が少し分かりにくいのではないかという気がしております。
むしろ、地域社会との連携・協働等も含めて、文科省がどういう役割をしていくかということは、もう少しそれぞれの新しくやるところ、例えば、41~42ページのあたりに書かれているような話というのは、これからどうやってやっていくかということを考えていかなければいけないところですので、先ほど岩本委員からも話がありましたように、評価を含むPDCAサイクルを回すというようなことも含めて、文部科学省の役割をもう少し書いていただいて、更なる支援策の検討というような話も含めて、どういった書きぶりにするかについて明確にしていただきたいなと思います。
私からは、以上であります。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、香山委員、お願いいたします。
【香山委員】 岡山の閑谷学校の香山です。3点申し上げます。
まず1点目は、スクール・ミッションについてなんですけれども、今回、スクール・ミッションについて詳しく書いてくださっているので、とても心強いなと思っているんですが、16ページの部分につきまして、先ほど末冨委員のほうから、「望ましい」ではなくて、「重要である」といったような記述が望ましいという御発言があったと思うんですが、これは私も全く同感です。
ついては、別紙で、高等学校におけるスクール・ポリシーの策定の手順の例というのが挙がっていますが、これに準じて、高等学校におけるスクール・ミッションの策定手順の例というものをぜひ作っていただけないかなと思います。それについては、学校運営協議会設置の学校の場合は、どういう手順が考えられるのかといったような形で事例があれば、より強力望ましいかなと思います。それがスクール・ミッションについてです。
併せて、岩本委員、角田委員のお話をお聞きしながら、学校運営協議会を必ずしも設置できていない都道府県もあって、岡山県も昨年度やっと設置できたわけです。そういうことを考えますと、学校運営協議会の前に、29ページの記述にもありますように、コンソーシアムを設置し、そして、それから学校運営協議会ができ上がっていくというふうなプロセスについても、もう少し記述があってもいいのかなと感じています。
それから、コミュニティ・スクールというふうに表現をし直した場合に、得てしてそのコミュニティは、地域住民、地域といったような具体的な地理的なコミュニティを指すことが主なんですけれども、都市部の大規模校の場合、そうなると、なかなかコミュニティを特定しにくいといった問題もあります。そういう点では、都市部の大規模校にとって、コミュニティは具体的な地域、又は、共同体のようなものであるといった大規模校にとって示唆のある表現があれば、学校運営協議会の設置が進むのではないかと感じております。それが1点目です。
それから、2点目は、先ほど長塚委員が入試のお話、アドミッション・ポリシーについてお話しされたと思います。28ページですけれども、私も長塚委員のお話に賛同するものです。1つは、やはり学力検査の独自問題ということについて、これは教育課程部会でも言及がありましたように、考えていかないといけないと思いつつも、28ページの36番の注ですが、調査書と学力検査の成績の比重の変更とありますが、その次に、まずは面接の工夫というのも加えておいたらどうかと思います。
独自問題を作るとなりますと、かなり負担感が大きいと思いますので、まず、面接について工夫していく。具体的な工夫としては、例えば、キャリアパスポートを活用するといったことも考えていっていいのではないかなと考えております。それが2点目です。
それから、最後に3点目なんですが、39ページ、40ページをお開けいただけたらと思います。新たな学科についてですけれども、40ページの一番上の段落の最後のところに、「そのため、国及び設置者においては、人的又は物的な資源の確保・活用を支援するための検討が求められる」という記述があります。
今、少人数学級編制について、知事会とか、市長会とか、町村会長等からも要望が出されていると思うんですけれども、いきなり全部のところでやるというのは厳しいかもしれませんが、まず、この新たな学科で少人数編制を可能とするといったようなことが、国及び設置者において、人的な云々のところの書かれていないところにあるのかどうかというのが私は知りたいなと思います。
最後については、意見というよりは質問ですが、よろしくお願いいたします。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 戸田翔陽高校の校長の佐藤でございます。よろしくお願いします。
今回の資料は、事務局のほうでグラデュエーション・ポリシー等、すっきりと分かりやすい資料にまとめていただいて、本当に感謝しております。
私は定時制高校の校長なので、46ページからの定時制・通信制課程における多様な学修ニーズへの対応と質保証というところで、1つお願いしたいことがございます。46ページの下の注の62番の説明の4行目からのところ、「平成28年度において」の次の行です。外国籍又は日本語を母語としない生徒が定時制課程では6.6%、通信制課程では2.8%ということですが、この3~4年で、皆さんも実感していらっしゃると思いますけれども、外国籍の生徒、あるいは日本語を母語としない生徒はどんどん増えていまして、本校では六百数十人の在籍のうち60人は、もう今すぐ日本語の指導が必要、日本語が分からなければ授業の内容が分からないという生徒でございます。
したがって、スタッフに関して、現在、本校では多文化共生推進員という方を県で2人配置してもらっていますけれども、教育課程の中で日本語を学ぶのではなくて、高校で授業を受けるために、今すぐ日本語の学習が必要な生徒たちがたくさんいるということで、スタッフの配置、あるいは、育成ですかね。そういったことが進むとありがたいなと思っています。
例えば、47ページの1つ目の丸のところに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフの充実ということで、スタッフの充実というところに触れているんですが、ここと、それから、53ページの下から2つ目の丸のところにも、やはり専門スタッフの充実という言葉がありますけれども、その中に、どういう言葉が適当なのか分からないんですが、例えば「多文化共生推進員」といった日本語教育をサポートしてくれるスタッフが今すぐ必要だということをちょっと加えていただけるとありがたいなと思っております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】 それでは、よろしくお願いいたします。埼玉県の大宮工業高校、清水でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
14ページからのスクール・ミッションの再定義についてお願いいたします。本校は昨年度、学校運営協議会を設置するコミュニティスクールとして、県から指定をされました。いろいろと協議も進めているところでありますけれども、この運営協議会そのものの重要性についてしっかりうたっていただきたいというのが、お願いが1点ございます。
その上で、今後、子供たちの数が大きく減少していく状況の中で、学校設置者の役割は、これまで以上に重要になってくると思います。なかなか書きにくい部分もあるのかもしれませんけれども、学校設置者の役割の重要性についてももう少し強めに押し出していただければありがたいと思います。その上で、学校運営協議会を動かしながら、よりよい学校づくりを全県を挙げて取り組んでいくことができるのではないかなと考えます。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
鍛治田委員、聞こえますでしょうか。
【鍛治田委員】 聞こえます。御迷惑かけて、すみませんでした。
【荒瀬主査】 先ほど普通科の改革の関係と現実とがなかなか合致していない面があるのではないかというような御指摘の途中で消えてしまいましたので、そのあたりからもう一度お願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
【鍛治田委員】 申し訳ありません。失礼しました。
6ページのところでお話ししたかと思うんですが、特別支援の生徒が増えていることと、少子化が進んでいる。今、特別支援学校の新設も増えているということは、支援学校には入学しないけれども、高校のほうに、普通科にたくさんグレーゾーンの生徒たちがいるという状況があるかと思います。
ですので、何度かこの中でも議論にあったかと思いますが、やはり中学までの学び直しであったりとか、一度失った学びへの関心、それを取り戻すようなことも含めてはいかがでしょうかということを申し上げました。
次に、4章のところでお伝えいたします。通信制・定時制のところでありますが、47ページの丸2のところです。高校生が身に付ける知識や技能、どんな力を付けるか、人間性を確実に育成し、ということが書かれてあります。
このことは非常に重要ではあるかと思うんですが、実は、通信制に入ってくる生徒は、中学校や高校に一旦入ったけどうまくいかなかった生徒ですので、まず学校への不安を取り除くという心理的サポートからスタートして、学習のところまで行くのに時間がかかることがあります。また、分数も分からない生徒たちもたくさんいる中で、限られた時間の中、ここに重要であるとは書かれていますが、実態とはギャップがあると感じています。このことが学校評価につながっていくのだろうかという、そういう心配もいたしました。
2つ目としまして、50ページ、先ほど酒井参事官補佐から御説明がありましたが、2つ目のところです。高校の通信教育の質保証の徹底のために、4つの対応策があり、必要な措置を講じる必要があるとありました。
通信制の学費は非常に安価でして、本校でしたら、例えば、1年間25単位で授業料25万円、施設設備費4万で、1年間29万円になります。質保証することを考えますと、補助金が必要になります。この措置を講じるためには、各学校に任せるだけではなくて、やはり国から費用を出していただくということが必要かと思っています。
最後に、51ページの下から2つ目の中黒です。観点別学習状況の評価が可能となる報告課題の作成を求めることとありまして、うーん、これは非常に難しいなと思いました。
通信の場合、例えば国語でしたら、1単位ですと、スクーリングが1時間、レポート3枚だけです。それで評価を出していく。実際は、スクーリングはもう少し多く設定はしていますが。これだけで観点別、学びに向かう力などの評価をすることは非常に困難であると思っていますし、そこから評価が出せると思えない。評価が生徒たちを縛るといいますか、負わせてしまうということがありますので、この観点別学習状況の評価を本当に進めていっていいのか危険なのではと感じますので、ここは検討いただければと思います。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、またここで酒井参事官補佐からコメントを頂きたいと思います。よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】 失礼します。御意見ありがとうございます。
先ほど私のほうから御説明が抜けていた部分があるんですが、岩本委員から御発言がありました中で、いわゆる国内への地域留学についての御発言がございました。この点につきまして、今、内閣府のほうで、地域留学に向けたいわゆる推進事業みたいなものを実施をされていて、今、岩本委員から御指摘のあったような、いわゆる学校教育制度の中でいかに実現していくかといったところを研究いただいているところですが、私ども文科省のほうでもそれと連携、協力させていただきまして、その制度の中でどういった形があるかというのを、まさに今協力しながら、ガイドラインのような形を作らせていただいているといったところでございます。そういった中で、まず分かりやすく、どういった形で導入できるのかといったことをお示しさせていただくようにしていきたいということ、これは動きの御紹介ということで御発言させていただきます。
次に、香山委員から御指摘がありました点でございますが、2点御発言させていただきたいと思います。
1点、スクール・ミッションの策定の手順についてといったところでございます。こちらについては、少し御検討いただければと思うんですが、本文の中でも記載させていただいておりますように、スクール・ミッションについては、特に国立高校については、各設置者の方々が、教育振興基本計画とか、様々な高校改革計画、高校魅力化計画といった中で策定をされているというのが現在でも一般的であると思っております。その中で、改めて再定義をしていただくということになりますので、こういったことで、いわゆる国の審議会でそういった手順をお示しすることが果たして適切かどうか、むしろ設置者と各学校の協議の中で決めていただくといったことがこれまでの御議論だったのではないかなというふうに私は受け止めておったんですけれども。そういった中で、こういった手順が必要かどうかというところは、改めて御検討いただいたほうがよろしいのかというふうに、少し僭越ながら思っている次第でございます。
また、併せて、香山委員から御質問がありました、新しい学科のいわゆる人的・物的な措置についての記載、40ページに関する記載といったところでございます。いわゆる少人数学級について念頭に置かれているものかどうかといった御質問でございました。
今、国のほうで、少人数学級について、来年度の概算要求で事項要求ということでさせていただいていますが、こちらについては、小中学校から要求をさせていただいているといったところでございます。これは、やはり財政的な事情等もございますので、まず発達段階等を考慮して、義務教育の段階から実施していくことが現実的な姿ではないかといったところで考えているところでございます。
新たな学科につきましては、当然、その学科の教育内容に基づいて、必要な様々な人的・物的な資源の支援措置というのを考えていかなければならないといったところ、その必要性というのは考えておりますが、少人数学級、いわゆる学級編制の引き下げといったところは、そういった点からは、特に公立高校は地方に財政負担をお願いする話でございますので、なかなか難しいのではないかといったところで、今、事務局としては考えているところでございます。
最後、鍛治田委員から御指摘いただきました点でございます。通信制教育のPDCAサイクルとか、また報告課題に対します観点別学習評価の導入といったところでございます。ここは、まさに様々な論点かと思っておりますが、通信制高等学校であっても、高等学校の学習指導要領に基づく教育を行っているといった点は大前提ではないかと考えております。もちろん、今、鍛治田委員から御指摘がありましたとおり、入ってこられている生徒さんの実態に応じて、その実態を踏まえた対応というのは必要かと思いますが、新しい学習指導要領では、学習評価として、高等学校においても観点別学習状況をしっかりと徹底していくということがうたわれているところでございますし、様々なPDCAといったところで導入していかなければならないということは、また通信制高校においても、新しい学習指導要領は同様に規定がかかっているところでございます。
そういった点で、通信制高校を、もし学習指導要領の例外措置を講ずるということであれば、これはまた新たないわゆる学習指導要領の制度設計というのを考えていかなければならないのではないかといったところを考えているところでございまして、今の新指導要領の検討の議論の流れとは少し違う御議論なのかなというふうに、私としては受け止めているところでございます。
以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、この後、手を挙げていらっしゃる方のお名前を申し上げます。奈須委員、牧田委員、川上委員、田村委員、角田委員、内堀委員、長塚委員、山口委員、この8人の方に手を挙げていただいております。時間の関係がございますので、また冒頭申し上げていたことの繰り返しになって恐縮ですが、まとめていただきまして御発言を願えればと思います。
奈須委員、では、よろしくお願いいたします。
【奈須委員】 よろしくお願いいたします。上智大学の奈須です。小さなことを1点と、少し大きな話1点の2点をお願いします。
まず小さいほうですけれども、今日の資料の34ページになります。普通科改革の新しい学科の新設に伴って、3行目ですが、現代的な諸課題に着目した学びが、単なる体験やテーマ学習にとどまり、「活動あって学びなし」と批判されるようなものであってはならずと、これ、とても学びの質にとって重要なことだと思いますけど、このテーマ学習という言葉はちょっと誤解があるかなと思います。
テーマ学習というのは、欧米などでよくやられる学習ですけれども、主題に基づいて教科等を学ぶ、日本でいうと、合科的・関連的な指導、あるいは教科等を横断的に学ぶもので、むしろ主題に即して学ぶことによって、各教科等の内容が文脈を伴った深い学びになるという意味合いで用いられているので、ここでテーマ学習が「活動あって学びなし」というふうにつなげてしまうのはまずいかなと思います。
つまり、ここでおっしゃりたいのは、多分、課題にまつわる表層的な学習にとどまりというようなことだと思うんですけど、何かそういう表現に改めていただいたほうがよろしいかと思います。
もう一つ、少し大きなことですけれども、例えば5ページのところに、以前から出ている普通科の問題としての文系・理系類型というのがありますけれども、中段から少し下のところ、特に普通科において、多くの生徒が文系・理系に別れて、2年次以降、特定の教科について十分に学習しないと。「出口」のみを目標として学習になっていると。今後、今度の指導要領の理念からしても、高校教育全体を通じてその改革が必要だということが出ています。
注のところにも、文系・理系のコース類型というのが所与のものでもないと。また、歴史的な御議論、前にありましたけれども、唯一絶対のものでもないということは、確認されたところかと思います。
また、10ページでも似たような話は繰り返されておりまして、10ページの一番下の丸ですけれども、「このような現代的な諸課題に対応するために必要な資質・能力を育み、将来の社会を牽引する人材を育成するためには、いわゆる文系・理系に分かれ、特定の科目について十分に学習しない傾向にある実態を改める必要がある」というふうに、かなり明確にきちんと出ているかと思います。
これは何も新しい学科に関わる話ではなくて、高校教育全体、あるいは、少なくとも普通科全体に関わる論点だと思われます。つまり、結構大きな話だと思うんですけれども、今回の普通科改革の議論の中の主眼は、2つないしは3つの新しい学科の新設可能性ということに最終的には収れんしたかと思うんですね。それ自体はよろしいと思うのですけれども、結局、この文系・理系とか、履修モデルの問題、つまり、子供たちの学力の質の偏りとか不足感に関わる問題は、従前の普通科を続ける限り、今回は特に触れない、実質的な改革はしないということで終わるのではないかなという気がして、この点はとても残念に思います。
類型自体は履修のモデルなので、学習指導要領そのものに抵触するわけではありません。むしろ今回の学習指導要領を各学校が、今検討しているスクール・ミッション、スクール・ポリシー等に基づいてカリキュラムを編成し、子供たちに履修モデルを提起する中で、重要になってくることだと思うんですね。それがやっぱり従前の文系・理系類型に沿ってなされるとすれば、教科・科目自体は学習指導要領の改訂があって良くなっていくと思うんですけれども、カリキュラム全体としての学力の質は、相変わらずあまり変わらないということにとどまるのではないかな。
つまり、普通科改革が、新しい学科に移行する学科については、奏効すると思うんですけど、従前どおりの学科のままいく、大多数はそうでしょうけど、すると、そこの学力の質というのはそう変わらないという気がしています。だから、改める必要があると書いている割には具体策が出ていなくて、今回、そこまで大きく踏み込めないなというのは分からないでもないと思うんですけれども、今後の課題のような形で、普通科改革のところの項に、少し踏み込んで書いていただいたほうがよろしいのではないかなという気がしております。
ただ、この辺に関しては、類型に関する委員の先生方の御認識、御理解、問題意識等の差があるのかもしれません。私はそんなふうに思いましたので、申し上げました。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
大変参考になる重要な御指摘だと思います。今日の記事も拝見いたしましたが、同じように、生徒を主体にして考えていくとどうなっていくのかということが一番基本線だなと思いながら承っておりました。ありがとうございました。
では、牧田委員、お願いいたします。
【牧田委員】 牧田です。17ページの最初の丸のところで、スクール・ミッションの再定義についてのところです。先ほど橋本委員の発言にも関連するんですけれども、今、高校全入時代になっていて、これまでの皆さんの御議論をいろいろ拝聴して考えるに、高校生のニーズといいますか、高校の役割というのは、私は3つに集約されていくのではないかと思っています。
その3つというのは、1つ目は、高等教育機関、大学等へ進学したいという子供たち、それから、もう一つは、専門学校とか、いわゆる社会に出る一歩手前の機関への進学スキルを身に付けるための義務教育内容の学び直しといったこと、それから、3つ目は、いわゆる職業教育に代表されますけれども、社会に出るための準備をするという、私は、この3つに集約されていくような気がしていまして。
その観点から考えますと、ここに書かれている――もちろん偏差値偏重というのは私はよくないとは思いますけれども、大学に進学したいという意志を強く持っている子供たちにとっては、どういった大学に行けるのかということは、やっぱりある程度示してやることは重要ではないかなと思うので、非常にこの辺の表現は難しいところだと思いますけれども、全て平等みたいな考え方で、当たり障りのないようなことになっていくと、高校生の学習意欲をそいでしまうのではないかというふうに懸念を覚えました。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、川上委員、お願いいたします。
【川上委員】 川上でございます。先ほど事務局のほうから御説明いただいた件について、少しさらにというのが1点と、もう1点お話しできればと思っております。
学校の適正配置、規模の適正化の件、過小規模、小規模校の問題も含むよというお話を頂いたんですが、今回の提案しようとしていること全体の流れに関して言えば、そこを何とかするための学校間ネットワークとかではなかったのかということが思ったところでした。
それから、ほかの部分でも出てきますけど、学校単位の自前主義を脱出しましょうとか、立地自治体と連携しましょうとか、地域と連携しましょうというのは、規模よりも配置を重視しましょうという大きなメッセージだと思うんですね。特に縮小社会においては、規模の問題と配置の問題というのはトレードオフになりやすいわけですよね。規模を重視していると、適正に配置されなくなる。適正な配置というのを重視していると、適正な規模が守れなくなるというようなことが、特に縮小社会だと出てくると。
この中で、自前主義にこだわりませんと。立地している自治体、地域との関係を重視していきましょうと。足りない部分は学校間でも連携しましょうという話をしているということは、恐らく規模よりも適正配置のほうを重視しましょうという全体の流れなんだと思うんですね。
そう考えたときに、規模の話にちょっとこだわりすぎるというのは、あんまり筋のいい話ではなく聞こえてしまうので、そこの整理はちょっとされたほうがいいのかなと。全体のメッセージ性に係る話かなと思いましたので、御指摘申し上げましたというのが1点目です。
それから、もう一つが、20ページからの話なんですが、20ページの下から2つ目の丸で、スクール・ポリシーの策定プロセスの中で、3行目から4行目にかけて、「最初に教育活動を通じてどのような資質・能力を育むことを目指すのか」となっているんですけど、その後の表現が、「卒業時に身に付けておくべき資質及び能力」、急に生徒を縛りだしているので、ちょっと表現として適切ではないなという印象を持ちました。
縛るべきは学校なんだと思うんです。こういう力を付けたいんだよ、付けさせてやりたいんだという意味での方向性なら分かるんですけど、うちの高校を出る以上は、この能力を身に付けてねというメッセージ性を持ってしまうというのは、あまりいただけないなという印象を持ちました。
これは、アドミッション・ポリシーについて書いていただいているところで、27ページの下から2つ目の丸なんですが、生徒の資質・能力は可塑性に富んで、あんまり入学時の資質・能力を厳格に定めると意欲を持った生徒に対して高等学校教育の門戸を閉ざす――これは非常にいい書きぶりで、これはグラデュエーション・ポリシーについても同じことが言えないかと思うわけですね。だからこそ、あんまり生徒を縛るようなグラデュエーション・ポリシーの書きぶりというのはちょっとどうなんだろうということを思いました、というのがもう1点です。
すみません、以上になります。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
今の点、酒井補佐から発言を求めたいと思います。ちょっとお待ちください。
【酒井参事官補佐】 失礼します。今、川上委員から御発言いただきました点の1点目でございますが、今、川上委員から、規模よりも配置を重視しているのではないかという趣旨の御発言であったかと思っております。
学校間ネットワークについては、当然、こういう小規模校のいわゆる教育の水準、教育の質の維持・確保のために、こういった手段を新たに導入しないといけないのではないかといったところでの御提言かと思っておりますが。今後の方向性として、規模よりも配置を重視すべきという御意見、そういった御意見もこのワーキングであったかとは思いますが、一方で、本日も、例えば、橋本委員から御発言ありましたとおり、現実的な姿としては、なかなかそうもいかないのではないかという様々な御意見があったかと思っております。
本ワーキングでも、今回の御議論は様々な御議論があったというところでお考えいただくということなのではないかなというふうに受け止めておるという次第でございますが、いかがでございましょうか。
以上です。
【川上委員】 ありがとうございました。
私見に近いところですので、この辺については、ほかの委員さんはどういうふうにお考えなのかなというところになるかなと。私と事務局のやり取りでどうこうという性質のものではないかなというふうに理解しておりますので、御説明ありがとうございました。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。
次回の話になってしまいますけれども、最終的にまとめますので、その際、今のお話、非常に重要な点で、現実問題ということもありますし、理念の問題ということもありますし、あるべき姿というのをどう求めていくのかというのを考えていければと思います。
それと、卒業時に身に付けておくべき資質・能力は、これは誰が身に付けておくべきということで考えていくと、学校として身に付けさせることを目指す資質・能力という意味で書かれているんだろうと私は理解していたんですけれども、先生のような読み方が当然できるわけですので、十分注意しなければならないなと思って承りました。ありがとうございました。
では、引き続き御発言をお願いしたいと思います。田村委員、お願いいたします。
【田村委員】 すみません。田村ですが、「手を挙げる」を間違って押していましたので、次の方にお願いいたします。
【荒瀬主査】 分かりました。ありがとうございます。
では、角田委員、お願いいたします。
【角田委員】 角田です。このまとめにタイトルをというオーダーがメールにありましたので、それから、先日の教育課程部会での荒瀬主査の御発表にすごく感激していまして、「生徒を主語にする」という言葉をタイトルに入れられないかなと思っていました。
「全ての高等学校が生徒を主語にした高等学校教育を実現するために」といったショルダーフレーズを付けられたらいいなと思って、自分で付けて読んでみたんですけれども、生徒を主語にするところが後ろに行くにつれてあまりないなと思ってしまいました。田村委員が最初におっしゃられたような、構成員としての生徒の姿を表すような、目指すような、そういった記述がもっともっと盛り込まれてもいいのかなと思いました。
グラデュエーション・ポリシーにつきましても、「身に付けておくべき資質及び能力」を、「卒業時に身に付けておきたい」とか、生徒が主語の文章でもよいのではと思いました。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、内堀委員、お願いいたします。
【内堀委員】 長野県教育委員会の内堀です。お願いします。
12ページのところの下の丸ですけれども、中山間地や小規模の高校に関して、他校との大きなネットワークを作って、1つの学校というよりは、幾つかの学校で大きな学校をつくっていくというようなイメージを示されているのは、非常にいいことだなと思っています。
ただ、他の高校や高等教育機関を含めた他の機関、それから、社会と一体となったような、しかも、それをオンラインと対面、両面を通じて探究的・協働的に行っていく学びというのは、別に小さい学校に限らず、大きな学校でも、それから、この後記述がありますけれども、総合学科や通信制でも大事なことだと思いますので、そういうことが全体として分かるように少し変えていただけるとありがたいというか、追加的に記述していただけるとありがたいかなと思います。
そういったことによって、子供たちが社会とつながっていきますから、リアルで、かつ、わくわくするような、そういう学びが行われて、それが学びの意欲の向上につながったり、学びによって身に付けられるものが多くなったりとか、学びを自分事にしていったりということにつながっていくんだと思います。
それで、こういう他校とかほかの機関と連携した学びというのが大事なんですが、その仕組みの担保の仕方として、例えば地域と協働していくといったときに、学校の中に何かがないと、いつも出ていくみたいな、あるいは、その都度誰かと相談する必要があるみたいになるんですけど、例えば1つの在り方として、地域連携協働室みたいなものを学校の中に置くというようなことも1つのアイデアでしょうし、もっと進んだ形で言えば、例えば、企業のサテライトオフィスみたいなものを校内に置くことによって、そこのリアルな活動や学びを日常的に子供たちが見られる、あるいは体験できる、あるいは協働的に学べるということも大事ではないかなと思うので、もし記述が可能であれば、そんなふうなことをお願いしたいと思います。
それで、質問が3つほどあるんですけれども、もし今回答えられなければ次回で結構ですけれども。
1つは、オンラインを使った他校の授業の視聴、受講とそれにかかわる単位認定の件なんですが、以前、少し議論したことがあったと思うんですね。そのときにも申し上げたんですけれども、単位認定に当たって対面の部分が必要であることによって、遠くの学校、あるいは遠くのところの単位が取得しにくくなっているというようなことについては、この後議論されるのかされないのかということが1点目です。
2点目は、通信制に関する部分ですけれども、今回、ワーキングからの報告の章立てが質保証になっています。調査研究協力者会議のほうに参加させていただいて、そちらでは、1回目の会議のときに確認させていただいたんですが、質保証の議論をした後に、これからの望ましい通信制教育の在り方ということを検討することになっているんですが、それは今回は、時間的なことだったりとか、諸事情により、この中には盛り込まれないということでいいのかということが2点目です。
それから、3点目は、前回も申し上げたんですけれども、これからの高校教育の学びについては、一層多様化・柔軟化していくことが大事だと思っていて、その文脈においては、39ページの新たな学科における教育の特徴の下の丸のところですけれども、学校設定教科・科目、これも前回も申し上げたことなんですけれども、それを開設することが求められるというようになっているんですね。開設が求められてしまうと、柔軟性というよりは、縛りに転換していくと思うんですよね。これ、非常に有力な方法だと思いますけれども、求めちゃっていいのかという、そのところの以上3点についてですけれども、今回でなくても結構ですけれども、質問させていただきます。
以上です。
【荒瀬主査】 分かりました。内堀委員、時間の関係で、今日お答えいただくか、次回に回すかを考えたいと思います。よろしくお願いします。
【内堀委員】 はい、結構です。
【荒瀬主査】 では、長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】 ありがとうございます。長塚です。
11ページの地域の実態に応じた多様な高等学校教育の実現に関してということになるかもしれませんが、先ほどの岩本委員の御意見に関連してです。
内地留学のような仕組みは、生徒たちに対して、国内外に目を向ける機会を提供することになるわけですので、良い取組だと思うんですが。本校でも1人応募しようとしたんですけど、この内地留学、受入れ先の公立高校のカリキュラムに1単位でも整合しないと難しいんですね。ですから、海外留学の場合のような緩和といいましょうか、それこそ生徒にとっての教育課程の弾力化が必要な気がします。
一方で、公立高校による県外生徒の新入生の受入れが相当進んでいます。日本私立中高連の調査では、令和2年度で、公立高校で全国募集をしている県というのは、31県、223校に及んでいます。私立高校はもとより広域募集ですから、その意味では全国募集なんですけれども、公立も私立も留意しなければならないのは、入学者選抜の日程が各県ごとに公立・私立とも決められているということなんですね。もしその日程の前に他県の受入れが積極的に行われるようになると、少なからず混乱が生じます。県を越える連携とか接続の際には、各県の入学者選抜日程などに十分に留意するように注意喚起ができたらいいなと思います。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。
では、山口委員、お願いいたします。
【山口委員】 よろしくお願いします。31ページのところでございます。
普通科の特色化・魅力化のところで、生徒が積極的な進路変更を希望する場合に、学校間、学科間の異動を柔軟に行うことができるように対応していくというところ、そこが、普通科の改革に伴って、柔軟にしていただくことが必要になってくると、現場として、非常に多くの生徒たちが、課程間を含めた異動等を今希望しておりますので、お願いしたいと申し上げます。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、あと手を挙げていらっしゃるのが、橋本委員と岩本委員ですが、今日は時間の関係で、このお二人までとさせていただいてよろしいでしょうか。ほかにはいらっしゃらないですね。
では、橋本委員、岩本委員の順に御発言をお願いいたします。まず、橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】 ありがとうございます。橋本です。
新設学科のところで1点だけ申し上げます。39ページに、新たな学科の教育の特徴が示されておりますが、学校設定科目の開設や総合的な探究の時間との関連付けを行った探究的な学び、また、単位制による教育課程の導入など、いずれも現在の普通科の枠組の中で取り得る手法というものが示されていると思います。
他方で、先ほど酒井参事官補佐から、新設学科に関して、人的・物的支援措置の検討について少し触れていただきましたけれども、今回の新設学科については、今後の普通科の魅力向上を先導する役割があると同時に、実施に当たって、それなりの労力といったものも伴うというふうに考えておりますので、例えば、教育課程上の更なる弾力化を図るといったこと、専門学科のように、定数上の加配措置等を講じていただくこと、また、コーディネーター等の配置の支援など、様々な国による支援というものも我々としてはぜひ考えていただきたいなと思っております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、本日最後ということで、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 2点です。簡潔に。
24ページ、25ページあたりのカリキュラム・ポリシーに関してです。今回、全体を通じて、このカリキュラムが、教育課程とか全体計画といった明示的なカリキュラムのことが入っているわけですけれども、一方で、我々の調査研究からも、この明示的なカリキュラムに併せて、やはり隠れたカリキュラムというか、ヒドゥン・カリキュラムと呼ばれるところの重要性ということが非常に指摘されているところです。土壌とか、風土とか、関係性みたいなところですね。
そこに教員自身の学習観や教育観という、ものの見方、考え方、在り方、もしくは、その言動というものが、ものすごくそこに影響しています。このカリキュラム・ポリシーを検討していくに当たって、明示的な部分は当然重要で、基盤としてやりながらも、それだけにとどまらない、こういう学習観とか教育観とか、この土壌という、いわゆるヒドゥン・カリキュラムの部分にも少し触れていただくと、ここでいうカリキュラムの深みが実際出て、ただ計画さえあればいいんでしょ、文字としてあればできたということでしょという、表面的な話に終わらない、本質的な深みというのを出す上でも、ちょっと触れていただくだけでも違うかなと思いますというのが1点目です。
2点目が、14ページの上の段、「特に公立高校の配置を含めた在り方については、設置者である……」、ここの部分ですけれども、今、公立高校の設置も、都道府県立だけではなく、市町村立や組合立、あとは、公設民営というような形なんかも出てきているというところです。多くは都道府県立なわけですけれども、都道府県が設置者でありながらも、例えば、各地域の実態に応じた個別最適な運営とか経営をしていくというふうに考えると、場合によっては、市町村が運営の主を担っていくような、公設民営ではなく、都道府県の県設市町村運営みたいな、そういう在り方も含めた、多様な運営や経営の形態というのが今後考えられると思います。
今回、ここまでの議論というのはできないわけですけれども、今後、将来的な課題として、そういう設置や運営・経営形態の在り方についても検討が必要であるとか、そういったような形で、今後、少子化になっていく、もしくは、地域との連携や協働ということ、個別最適な学校の経営ということを考えたときに、その在り方の部分に関しても、最後、今後につながる一言を入れていただけるといいかなと思います。
一旦、以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、時間が少しありますので、酒井補佐から、先ほどの内堀委員からの御質問にお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。
先ほど内堀委員から3点御質問を頂きました。
1点目、オンライン授業、いわゆる遠隔授業を実施するに当たっての対面授業の必要性についてといった点でございます。こちらについては、本ワーキングの議論も踏まえまして、こちらのワーキングの親部会である特別部会のほうで、いわゆるICT、オンラインを使った教育の状況について詳しく御議論を頂いているというところでございまして、その中で、高等学校における遠隔授業の活用についても御提言を今頂いているところになりまして、その中で、対面による授業の実施などの要件の見直しを行うという旨も盛り込まれているところですので、そういった御提言、また、今の内堀委員のこれまでの高校ワーキングの御議論も踏まえて、少し文科省のほうで実際の見直しに向けて検討させていただきたいと思っているところでございます。
2点目の御質問、通信制の有識者会議との関係についてでございます。今回、中教審のほうは、どうしても答申に向けての御議論ということでありますし、まず早急に対応しなければならないといったところで、この質保証のところを中心的に御議論いただいているところでございます。通信制会議のほうは、この高校ワーキングとは別途、まだ議論も続いていくところでございますので、その中で、御議論、御検討いただければと思っておる次第です。
3点目でございます。新しい学科の教育の学びの部分で、学校設定科目が必要かどうかといった点でございます。この点は、まさに新しい学科の教育の特色との関係というのが出てくるのではないかと考えております。前回の会議の資料で提出させていただきましたけれども、私どもでも、文科省の指定を受けている学校さんが特色・魅力ある教育を実施するに当たって、様々な科目を設けられているような例があろうかと思っています。そういった例というのは、1つ参考になるのではないかと思っておりますが。ただ、そこは、恐らく、どの程度科目が必要なのかとか、単位数が必要なのかというのは、併せて議論が必要なのかなと思っております。
前回の提出させていただきました資料の中でも、例えば、10単位とか12単位とか、かなりそこに労力をかけてやられている学校もあれば、恐らく単位数自体は2単位とか4単位なんだけれども、総合的な探究の時間と併せて、特色・魅力ある教育に取り組まれているというような学校の事例もあります。そういった様々な事例も踏まえて考えていくべきであろうかと思いますが。ただ、学科と特色ある教育内容とは何かというのを併せた検討が必要なのではというふうに今考えている次第でございます。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、本日はここまでとしたいと思います。
最後、次の予定につきまして、酒井さん、よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 本日も長時間御議論ありがとうございました。
次回のワーキンググループは、現在11月2日月曜日10時から12時で開催を予定してございます。詳細については、改めて御連絡をさせていただきます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
今日頂きました御意見を参考にさせていただいて、必要な修正を事務局のほうでやっていただいたものを次回また議論していきたいと思います。
最後に、岩本委員がおっしゃっていましたけれども、カリキュラム・ポリシーというものが、やっぱり学校の中では一番大事だろうと思うんですね。その際、カリキュラムとか教育課程というのは一体何なのかと考える上で、今回の学習指導要領前文の教育課程についての記述というのは、単にコマ数をどうするのかという話でなくて、一人一人の生徒が自分の良さや可能性を認識することができるといったようなところにまでいくのがカリキュラムなんだということを明記していただいておりますので、そういったことも踏まえて、次回また議論をよろしくお願いしたいと思います。
では、少し延びてしまいましたが、本日はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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