新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第13回) 議事録

1.日時

令和2年11月2日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 審議まとめ案について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬主査】 皆さん、おはようございます。荒瀬でございます。定刻となりましたので、ただいまから、中央教育審議会、初等中等教育分科会、新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会、新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループの第13回会議を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。

本日も新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を踏まえ、オンライン会議システムによる開催としております。また、傍聴席を設けず、Webexを通じての視聴という形で公開して行いますので、御承知おきいただきと思います。
それでは、本日の会議開催方式と配付資料につきまして、事務局、酒井参事官補佐から御説明をよろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 おはようございます。事務局、参事官補佐の酒井です。それでは私から本日の会議形式と配付資料を御説明させていただきます。
まず、本日はこの会議の場に傍聴者の方はおられませんが、主査から御説明がありまたように、Webexのほうに視聴のみという形で御参加いただいております。
また、本日は、主査からございましたようにWebexを通じてのオンラインとこちらの対面を併用しての会議の開催となってございます。
本日でございますが、清水委員、長塚委員、奈須委員、牧田委員の4名の委員が御欠席と伺っております。また、まだ一部の委員の皆様が御準備中の方もいらっしゃいますが、お時間になっておりまして、定足数を満たしておりますので始めさせていただきたいと思います。
ウェブ会議システムを併用して御議論いただく観点からお願いしたい事項でございます。これまで申し上げさせていただいたことでございますが、5点申し上げさせていただきます。1点目は、御発言に当たって、インターネット上でも聞き取りやすいよう、はっきりと御発言いただきたいということでございます。2点目は、御発言の都度、名前をおっしゃっていただきたいということでございます。3点目は、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと。4点目は、御発言に当たって「手を挙げる」ボタンを押していただくこと。5点目は、御発言の後は「手を下ろす」ボタンを押していただくこと。この点、御配慮いただけるとありがたく存じます。御協力のほど、よろしくお願いします。
本日の配付資料でございますが、議事次第にありますように、資料1-1から参考資料2までを御用意し、事前に委員の皆様にメールでお送りしております。また、会議の中で御説明する際には画面上で表示させていただきたいと思います。御不明な点等ございましたら、お申しつけください。
以上でございます。
【荒瀬主査】 それでは議事に入ります。
前回ワーキンググループにおきまして、「審議まとめ素案」について御議論いただきました。その場での委員の御意見等も踏まえて、「審議まとめ案」という形で事務局において準備していただいています。本日、できましたらこの「審議まとめ案」につきましては、本ワーキンググループとしての取りまとめをさせていただければと考えております。
それでは、酒井補佐から御説明をよろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 失礼します。資料1-2を使って御説明させていただきますが、御説明の前に、参考資料2をお願いできればと思います。
すいません。画面共有ができておりませんが、説明をさせていただきます。参考資料2を御用意いただければと思います。前回の高校ワーキングの後に、全国高等学校長協会に対しましてヒアリングを実施いたしました。こちらは荒瀬主査と事務局において実施いたしました。その概要についてまず御説明させていただきたいと思います。
この高校ワーキングの審議まとめ素案を用いて御説明をさせていただきましたが、全体につきましては、この審議まとめ素案を読むと施策の背景などが理解できるといったことに対しまして、しかしながら一部分だけを切り取って見てしまうと正しい理解が得られないと。校長先生、教育委員会などに対してワーキンググループでの議論の趣旨についての説明を丁寧に行い、周知していくことが必要であるといった御意見をいただきました。
また、普通教育を主とする学科の種類の弾力化・大綱化については、高等学校卒業後の進路と各学科での学びをどのように接続させていくかが重要であり、新たな学科を卒業後の大学等との連携や接続について明確化していく必要があるといったこと。3つ目の丸ですが、多様な学科を新設する場合、当該学科に対して人的・物的な支援が不可欠になるといった御意見をいただいております。
また、スクール・ポリシーの策定・運用についてでございますけれども、3つのスクール・ポリシーを策定することは適切であると。目新しいものというよりは、従来やり切れていなかった部分、注視されてこなかった部分にしっかり取り組むという方向性だと理解しているということ。
グラデュエーション・ポリシーについては、例えば卒業に必要な単位が何単位であるいかというような狭い範疇で捉えられてしまうのではもったいない。グラデュエーション・ポリシーをどのように捉えるかについて、高等学校にも分かるように示していくことが必要であるといった御意見。
また、本来はカリキュラム・ポリシーを基にして教育課程を編成することが望ましい。一方で、令和4年度からの新たな教育課程に向けて各学校では準備を進めており、今年度中に多くの学校では決定されることを考えると、今すぐにスクール・ポリシーの策定に取り組まなければならないが、それでも趣旨の徹底、校内で具現化するまでには一定の時間を要することも事実である。他方、策定を先送りすることはよいことではない。
2ページ目に行っていただきまして、1つ目の丸でありますけれども、時間を置くことは望ましくないが、設置者次第としつつ、各学校が自ら動くようにすることが必要ではないか。その上で、3年間で教育課程が一巡したときに見えてくることもあるのではないかといった御意見。
また、中山間・離島等に立地する高校における多様な教育資源の活用に関しましては、配信側・受信側双方の教室で生徒の様子・体調や理解度等を適切に確認・判断しながら指導できる体制、これはICTを活用した遠隔授業ということでございますけれども、指導できる体制を整備することが当然必要となるといった御意見をいただいたところでございます。
また、本日は資料を御用意しておりませんけれども、このワーキングの親部会に当たります特別部会においても各団体から御意見を賜っているところでございます。10月28日には全国都道府県教育委員会連合会から、中教審の現在の審議状況に対して御意見をいただきました。その中で高等学校の関係に関しましては、基本的な考え方として、社会や経済のありようを踏まえた高校の在り方の検討とともに、地域の実態に応じた各高校の役割や目標に合った在り方を考える必要があるといった御意見。
また、普通教育を主とする学科の弾力化・大綱化に関しては、現在設置されている専門教育を1つの学科、特に理数科や外国語科との整理をする必要があるといった御意見。さらには、専門学科改革として、地域・産業界を支え、地域の持続的な成長を支える人材を育成するためには、産官学の関係者が一体となり、地域の実情に合わせた最先端の技術の修得や、地域課題解決への取組などが可能となる教育課程の開発・実践が必要であるといった御意見。
さらに、総合学科における学びの推進として、総合学科の特徴の一つである幅広い選択科目から自分で選択する機会を確保するため、他の高等学校の科目を履修する仕組みやネットワーク環境の充実が必要であるといった御意見。
さらには、高等教育機関、地域社会等の関係機関と連携・共同した高度な学びの提供の関係として、学校運営協議会の設置・充実とコーディネーターの役割を果たす専門人材とその確保のための予算措置が必要である。こういった御意見をいただいております。
また、日本私立中学高等学校連合会からの御意見といたしまして、スクール・ポリシー、スクール・ミッションに関しましては、高等学校におけるスクール・ミッションの再定義やスクール・ポリシーの明確化を一律的に求めることとしているが、私立高校としては、自主性や独自性を旨とする私立高校の教育の特質を損なうようなことがあってはならないといった御意見。
また、高等学校通信教育の質の保証に向けて、特に広域通信制高校では自分自身のやりたいことの実現を求める生徒や、予備校に通いながら高校卒業資格の取得を目的とした生徒の受入先となり、サポート校による不適切な教育が実施されたり、近年では本来の通信制高校の目的からかけ離れた全日型通学コースが設置され、塾と連携し、大学受験対策に特化した教育を行うなどの事例も見受けられる。例えばサテライト施設も含め、明確な設置基準を策定するとともに、教育課程を全面的に見直す必要があるといった御意見をいただいたところでございます。
こういった御意見も踏まえまして、そして前回の本ワーキングの御議論、その後、各委員より寄せられた意見を踏まえまして、修正させていただいたものが「審議まとめ案」になってまいります。資料1-2を用いて御説明させていただきますので、お手元に御用意いただければと思います。
資料1-2でございますが、タイトルについては「多様な生徒が社会とつながり、学ぶ意欲が育まれる魅力ある高等学校教育の実現に向けて」という副題を付させていただいております。
前回からの主な修正点を中心に御説明させていただきます。
まず、6ページをお願いできればと思います。高校生の多様化でありますけれども、1つ目の丸であります。特別支援学校等との連携、いわゆる高校にも通級による指導を受ける生徒が増えてきていて、特別な支援を要する生徒が増えているという文脈のところでございます。こうした現状等を踏まえ、高等学校においては義務教育段階で作成されている個別の教育支援計画について適切に引き継ぎ、障害のある生徒に対する切れ目のない支援を行っていくことが重要であるといったことを追記させていただきました。
次の丸でありますけれども、また、外国籍の生徒に加え、日本国籍であるが日本語指導を必要とする生徒も増加しており、日本語指導が必要な高校生が自己肯定感を高め、将来のキャリアや職業、生活などに夢や希望を持って学習を続けられるようにするためには、高校・大学等への進学や就職等の進路選択を支援することが重要である、といった一文を追記させていただきました。
続いて15ページをお願いできればと思います。15ページはこれからの高等学校というところで、高等学校の有する持続的な地方創生の核としての機能の一文であります。2つ目の丸になりますけれども、「各設置者においては」のところの文章になります。教育水準の維持とさらなる向上に向けて高等学校への伴走支援に取り組む。これは設置者においてということでありますが、この一文を追加させていただきましたのと、その際ということで、学校運営協議会等の場において、高等学校だけでなく地域社会の参画・協力を得て協議を行うことが重要である、という一文を追加させていただきました。
続いて16ページにかけてであります。スクール・ミッションの再定義についての総論に関してであります。16ページ目の1つ目の丸を追加させていただきました。これからの高校の役割としまして、全ての生徒の可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの実現が求められるといったこと。高等学校においては、個別最適な学びについて、個々の生徒の特性や学習進度、学修到達度等に応じた指導方法、学習時間等の柔軟な提供・設定を行うとともに、生徒が自ら学習を調整しながら取り組む態度を育成する「指導の個別化」という側面のみならず、生徒の興味・関心等に応じ、その生徒ならではの課題の設定等の探究のプロセスに取り組む等、主体的に学習を最適化することを教師が促す「学習の個性化」の側面も重要である、といった一文を追加させていただいております。
続いて18ページをお願いできればと思います。上から3つ目の丸、「公立高校については」で始まる一文であります。2段落目の「その際」のところでございます。設置者について、特に公立高校についてですが、学校運営協議会の設置が努力義務化されていることも踏まえまして、学校運営協議会の場を活用して、地域社会の参画・協力を得て協議を行うことが、従前は「望ましい」と書いていたのを「重要である」と修正しております。
続いて19ページでございます。18ページの一番最後の丸からのスタートでございますけれども、公立高校のスクール・ミッションを再定義する際の留意事項でありますが、その一文で、高校卒業後の進路や将来像を見据えつつスクール・ミッションを再定義することが必要だという旨を追記させていただきました。
19ページの下からで、スクール・ポリシーの策定についてであります。19ページから20ページにかけてを御参照いただければと思います。前回の本ワーキングでもいわゆるグラデュエーション・ポリシーについての文言について御意見がありました。それを踏まえまして現在御提案する案でございますが、「育成を目指す資質・能力に関する方針」という名称でいかがかと思っておるところでございます。
続いて、少し先に参りまして23ページをお願いいたします。23ページ、スクール・ポリシーの策定に関する年限について記載させていただいております3つ目の丸でございます。「第3章1.」で始まる文章の2段落目であります。前回の御議論でありましたり、全校長からの御意見も踏まえて修正をさせていただいたものであります。新しい高等学校学習指導要領が令和4年度から年次進行で実施されることも踏まえまして、令和4年度までにスクール・ポリシーの策定・公表に取り組むことを基本としつつ、その後であります。全教職員が当事者意識を持ってスクール・ポリシーの策定に取り組むことが可能となるよう、各高校の準備状況等も勘案した一定の準備期間を設置者ごとに設定可能な制度設計を行う必要がある、といった一文を追加させていただきました。
続いて、25ページでございます。2段落目に脚注36、キャリア・パスポートの一文がありまして、少し小さくて恐縮ですが脚注36がございます。この脚注に関し、キャリア・パスポートに関する記載におきまして少し留意事項を追加させていただきます。キャリア・パスポートの例示資料や指導上の留意事項を平成31年に文科省から示しておりますが、その際ということで、指導上の留意事項として、日常の活動記録やワークシートなどの教材と同様に指導上の配慮を行うこととし、例えば、生徒個々の状況を踏まえ、本人の意思とは反する記録を強いたり、無理な対話に結びつけたりしないように配慮すること等も示している、といった一文を追加させていただきました。
27ページをお願いできればと思います。スクール・ポリシーの中でも教育課程の編成及び実施に関する方針に関する記述であります。下から2つ目の丸で、「また」から始まるものを追記いたしました。また、生徒の育成・能力の育成においては、何をどのように学ぶかといった教育課程による明示的なカリキュラムに加え、どのような関係性や環境の中で学ぶかといった生徒の学習環境や学校文化等の影響も大きいことを踏まえ、教育課程の編成及び実施に関する方針の策定・運営に当たっては、こうした観点も考慮する必要がある、といった一文を追加させていただきました。
続いて、27ページから28ページにかけてです。スクール・ポリシーに基づく教育活動の実施・改善に関しての留意事項に関する記載であります。28ページの1つ目の丸を御参照いただければと思います。「そのためには」で始まる一文であります。スクール・ポリシーを実施するに当たっては教職員体制の構築が必要であるという一文でありますけれども、「その際」以下の追記であります。特に大規模校においては管理職の役割が重要だといったところに追記しまして、ミドルリーダーの役割も重要であるといったことを追加させていただきましたのと、2段落目であります。加えて、各設置者においては、各高校において特色・魅力ある教育に向けた自主的・自律的な取組が進められるよう、各学校の教育活動をはじめとする学校運営に関する裁量の拡大を図ることも求められる、といったことを追加させていただきました。
次、30ページをお願いいたします。一番下の丸であります。これはスクール・ポリシーに基づく入学者選抜の実施・改善に関する記載であります。一番最後の丸で「なお」以下を追記させていただいております。なお、学力検査の問題作成については、教育委員会による作問、各高校の独自の作問のいずれにおいても、単に知識の量を問うような問題はできるだけ避け、思考力や分析力などを問う問題の出題を一層工夫することが必要であるといった旨、追記させていただきました。
続いて、32ページをお願いしたいと思います。32ページは、31ページから地域社会や高等教育機関等の関係機関と連携・協働した学びの実現に関する記載の箇所でございます。1つ目の丸、「関係機関との連携・協働」と書いた段落に追加をしておりますが、高等学校内に地域連携協働室といったような関係機関との連携・協働に関する組織・校務分掌を設けること、といった一文を追加させていただきました。
次、34ページをお願いいたします。33ページから普通科改革に関する記載を追加させていただいておりますけれども、34ページには1段落を追加させていただいております。各普通科における特色・魅力ある教育を行うに当たっては、従来の文系・理系の類型分けを普遍的なものとして位置づけるのではなく、文系・理系にとらわれて、一人一人の生徒にとって将来のキャリア形成に必要となる科目の学習の機会が確保されない状況を改め、総合的な探究の時間を軸として教科等横断的な学びに取り組むなど、生徒が多様な分野の学びに接することができるようにすることが重要である、といった一文を追加させていただきました。
続いて少し先に行きますけれども、43ページになります。下から3つ目の丸になります。これは新たな学科、普通科で大綱化・弾力化した際に設置する新たな学科における学びを実現するための組織体制といったところでありますが、「また」という3行を追加しています。また、新たな学科の特色・魅力を生かした教育活動を行うためには、必要に応じて校長の在籍年数を一定程度確保することや教師の公募制など、新たな学科の特色・魅力を生かした教育活動を行うための体制整備に向けた工夫といったことが考えられるのではないか、といったところでございます。
44ページをお願いいたします。新たな学科において各学科の特質に応じた関係機関との連携・協働に関する記載をさせていただいておりますが、脚注の57番、58番であります。脚注57番、地元の市町村に注記ということで留意事項を記させていただいておりますが、高等学校によっては当然通学圏が複数の市町村で構成される高校が多数あるところであります。そういった学校の実情、地域の実情によっては、連携・協働する関係機関は必ずしも高校が所在する市町村に限られるわけではなく、周辺の市町村も考慮されるといったことで、その旨を追記させていただきました。高等教育機関に関しては、とりわけ地域協働学を専攻分野とする高等教育機関、いわゆる地域協働学部と言われるようなものですが、そういった連携・協働が考えられるのではないかといった旨、記載させていただきました。
続いて45ページになります。1つ目の丸で「その際」のところであります。いわゆるコンソーシアムでありますけれども、必ずしも新たな組織を設けることは必要なく、各高校や地域の実情に応じて、学校運営協議会や地域学校協働本部の活動を一体的に推進するといったことを追記させていただきました。
また2つ目の丸、「加えて」のところの段落でありますが、最後の2行であります。コーディネート機能の充実が重要でありますという一文ですが、その際、国及び設置者、地元自治体においては、こうしたコーディネートの機能の充実に向けた必要な措置を検討することが求められる、といった一文を追記させていただいております。
46ページであります。専門学科改革に関する記載のところですが、一番下の丸、「こうした最先端の職業教育を行う上では」の一文でありますが、新たに追記しております。教師の資質能力の向上と施設・設備の充実を図らないといけないという一文でありますが、教師の資質能力の向上のためには、個々の教師が実社会において求められる知識及び技能が絶えず変わることを意識して、継続的に新しい知識・技能を学び続けていくことが必要であるといったところであります。多様な知識・経験を持つ外部人材との連携の強化でありますとか当該人材を組織内に取り入れる、といった一文を追加させていただきました。
49ページをお願いいたします。総合学科の取組の評価に関するところですが、下から2つ目の丸であります。総合学科の強みの多様な科目開設の実現に関する記載でありますが、ここにつきましてもICTの活用を伴った各高校のネットワーク化によって、といった一文を追加させていただきました。
51ページをお願いいたします。50ページからが定時制・通信制課程の在り方に関する記載になっています。51ページの1つ目の丸でありますけれども、「こうした状況を踏まえれば」で始まる段落であります。定時制・通信制課程においては、家庭・地域等と連携しながら、多様な課題を抱える生徒一人一人に寄り添った指導・支援を行い、生徒の状況に応じて、学校生活への不安を取り除き再び学びに向き合えるよう、といった一文を追加させていただきました。専門スタッフの充実に関します例示としまして、日本語指導補助者といった一文を追加させていただいたところであります。
最後でありますけれども、55ページをお願いできればと思います。通信制課程の質保証に関する記載であります。3つ目のポツであります。多様なメディアを利用した際の面接指導に際しての面接指導時間数の免除に関する記載であります。前回の御議論を踏まえまして、いわゆる観点別学習状況の評価は最後の学習評価の際に当然できるようにするといった点で、その旨を明記させていただいたところになります。
すいません。少々長くなりましたが、以上、修正点の御説明とさせていただきます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、今御説明いただきましたもの、会議でもそうですし、その後各委員からいただきました御意見に基づいて修正していただきましたものです。これにつきまして、この後、御意見をまたいただきたいと思います。いつものように「手を挙げる」のボタンを押していただきまして、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
では内堀委員、お願いいたします。
【内堀委員】 長野県教育委員会の内堀です。よろしくお願いいたします。
前回見せていただいたものからさらに整理され、メッセージ性もさらに加わってきて、全体としては大枠これでよろしいかと考えます。とりわけ、例えば5ページのところですけれども、一番上のところ、学校の教育活動を高校生を中心に据えるという非常に重要なことについて述べているところですけれども、高校の特色化・魅力化という大人の側がやっていくことだけでなくて、生徒の主体的な学びを実現、という生徒の側からの目線が入ったところがいいなと思っています。
ただ1点、例えば学校における学びや学校の教育活動へ生徒が当事者意識を持って参加していくとか、当事者意識が醸成される、というような言い方のほうが個人的にはもっと踏み込んだ形でいいかなと思いますが、そこのところはまた御返答いただければと。
それ以外のところでは、19ページ以降のスクール・ポリシーのグラデュエーション・ポリシーのところで日本語が「育成を目指す資質・能力」と変わり、アドミッション・ポリシーも、どのような生徒を受け入れるのかという表現から、入学時の期待される生徒像というような表現になっていて、適切ではないかなと思っています。
また、28ページの1つ目の丸の付け加えですけれども、各学校に裁量権を拡大することについて触れたのは非常に重要だと思います。学びというのは、基本的には生徒において起きるものですので、より生徒に近いところの裁量権が拡大していくことが重要だと思っています。
また、46ページの一番下の丸のところに付け加えて、教師の不断の研修、特に社会とつながった形での研修や、多様な知識及び経験を持つ外部人材との連携や当該人材を組織内に取り入れることについて触れています。教員というのは、ともすれば責任感から自分自身がいろいろな力とかスキルを身につけてから生徒に向かうことを考えがちです。でも、これだけ変化が激しく、どんどん変わっていくときに、教師が身につけたものしか生徒に提供できないのであれば、どんどん時代や社会から学校教育が後れていってしまうだろうと思います。ですので、これは専門学科について触れていますけれども、普通科を含めて全ての学科において、教員が、様々な人を学校内外で教育に結びつけて、その中で生徒とともに学び、成長していくことが、これからの時代の教師像として非常に重要な部分かなと思っていますので、これもすごくいい点だと思います。
最後に1点だけ、どうしても違和感が拭えないところがあります。御説明いただければもしかしたら納得できるのかもしれないのですが、4ページの1つ目の丸の一番最後のところ、「個別最適な学びと協働的な学び」という、この2つの学びが対比したような形で出てきます。それ以降も同じパターンで何度か出てきますし、親会の特別部会とか初中教育の分科会も、この2つが対比的に出てきているのですけれども、そもそも個別最適な学びというのも明確な定義があるのかどうか、それも人によって違うのかもしれませんけれども。
個別最適な学びについて、一番誤解されてまずいと思うのは、生徒がタブレットに向かって孤立した形、一人で学んでいく形を個別最適と言っているかのように受け取られてしまうのが一番まずいと思っていて、一人一人の生徒に合っているという、その生徒が一番自分に合うと考える学びが成立することが一番重要なことだと思うんです。その中には、ほかの生徒やほかの誰かと学び合うとか教え合うとか、それが当然に入っているはずではないかと思うのですが、こういうふうに並べて示してしまうことによって、個別最適な学びの中に協働的な学びがないかのように誤解されてしまわないかという懸念があります。
そこのところ、もしこんな考えでこういう2つを並べていますということを今回御説明いただければありがたいと思っているところです。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。今、最後におっしゃってくださったことは、それこそ特別部会でも初中分科会でも大変話題になっているところであります。この2つが対立しているということではないので、ですからそこのところの誤解が生まれないようにしっかりとやっていく必要があると。要は、個に応じた指導をやっていくことの中で、生徒の側からすると、個別最適な学びとか協働的な学びをどうしていくのかということの本来は議論だったわけです。それが伝わるような形にしっかりと伝えていくことを今後していかなければならないのではないかと思います。後からまた事務局からお話があるかもしれませんが、取りあえず一旦はお預かりさせていただきます。まとめて後から酒井さんからお話をいただきたいと思います。
では続きまして香山委員、よろしくお願いいたします。
【香山委員】 香山です。1点、御意見を申し上げ、2点、御質問申し上げたいと思います。
まず23ページです。上から2つ目の白丸の最初の段落の一番最後のところ。「学校運営協議会において協議を行うことが望まれる」と書いてありますが、スクール・ミッションについては「重要である」という表現だったと思うのですが、ここが「望まれる」となっているので、ここも「重要である」と直していただけたらというのが意見でした。
2つ目の質問ですけれども、27ページの今回新たに加えたヒドゥン・カリキュラムについての記述に関しての質問です。この27ページのヒドゥン・カリキュラムについての御指摘はこれでいいと思っているのですが、これを受けて、28ページに上から2つ目の丸の中に、「一例としては以下のような取組が考えられるが、各高等学校においては、各学校の風土や土壌を踏まえながら」というのが入ってきていると思います。これはヒドゥン・カリキュラムを27ページに書いて、それと連動する形でこういう表現が入ってきたのだろうと思うのですけれども。では具体的な例として学校の風土や土壌を踏まえた事例の表現がどういうものが考えられるのかがあれば、27、28のこのヒドゥン・カリキュラムについて、どんなふうに意識したらいいのかということが分かりやすくなるのではないかと。ここのところについて具体的な例を教えていただけたらと思います。
私が感じたのは、例えば最近、校則の問題であるとか宿題の問題であるとかということが中学校の教育において話題になったりしているわけです。これは高等学校でも同じような問題はあろうかと思います。校則を厳しくしたりとか、宿題を強制したりとかといったようなことは風土としてあると思うのですが、今回、生徒を主語にした高等学校教育を進めていく上で、そういった風土・土壌といったものをこの機に、スクール・ポリシーを定める機に見直し、改善を図るといったような内容が具体的な一つの例としてあってもいいのかなとは感じておるのですけれども。どういった具体例が考えられるかにつきまして教えていただけたらと思います。
最後に43ページ。一番上の丸、「新たな学科における学びを実現するための組織体制」の1つ目の丸の一番最後ですけれども、「そのため、国及び設置者においては、人的又は物的な資源の確保・活用を支援するための検討が求められる」という表現になっています。この「検討が求められる」という表現は、45ページにも「必要な措置を検討することが求められる」と同じように書かれているのですけれども。確かに高等学校の場合は国庫負担ではないこともあって、すごく遠慮がちな表現になっているのだと思うのですけれども、この普通科における新たな学科については、ぜひチャレンジしてほしいと思っているんです。その時に、やはりここは「支援することが求められる」といったような少し前向きな表現のほうが、各都道府県教委あるいは各学校が「よし、やってやろう」といった勇気づけになるのではないかと思いますので、この43ページは「支援することが求められる」とし、45ページも「必要な支援をすることが求められる」といったようなところでどうかなと思うですが、この点についてはいかがでしょうか。
以上3点、よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 岩本です。よろしくお願いします。
今回の中身に関しては、今までいろいろ意見させていただいてきて、反映していただいた部分なんかもある中で、この段に及んでは中身のところから、最後、まとめ方に関して3点ほど意見をさせていただけたらと思います。
1点目は、今回この中身をやはり関係機関と連携・協働して社会全体で実現していくことが求められて、高校や設置者だけの問題ではもうないことが多くありますので、ぜひこれは最後かどこかに、関係機関への期待をちゃんと明示・共有することをメッセージとして載せるべきではないかというのが1点目です。
例えば中学校です。高校に上がる前の中学校ではキャリア教育のこともより一層重要になりますし、特に今回の普通科の話を含めて、各高校がより特色化・個性化していくとなれば、中学校における進路指導も併せて変わっていく、より充実していくとか、そういったことが求められてきますし、例えば関係機関の2つ目でいけば、高校の先にある高等教育機関、特に大学ですね。普通科も変わっていくときに、こういった新しい学科での学びを評価する入試だとかの工夫だとかそういったところも求められてくるかと思います。
そのほか、場合によっては市町村だとかPTAだとか、文科省の初等中等教育局と都道府県の教育委員会と学校という、このラインだけではないところに対して、この改革の影響が及ぶところが多くありますし、周りも一緒に変わっていっていただかないと連携・協働もできないし、高校だけが単独で変わるのは難しいですので、そういったところにこの改革がどう影響していくのかとともに、どうここに一緒に取り組んでいってもらうのかということを、全部読まないと分からないとか、隠されているのではなく、ちゃんとその対象に対してのメッセージをそれぞれ分かりやすく書いていくというか載せていくというようなことは、まとめの部分に、これは最後なのかに、必要ではないかというのが1点目です。
2点目は、今回書いた中身は、スクール・ミッションやスクール・ポリシーの国版みたいなものだと思いますけれども、これはスクール・ミッション、ポリシーと同じで、つくって終わりではなく、これはつくってからようやくここからマネジメントプロセスに入っていくところです。ですのでこの先、このマネジメントプロセス、PDCA、いわゆる運用して評価して改善して見直していくという、これが今回のつくったものに対して国レベルで行われていくマネジメントプロセスに関しても、あらかじめこの中にちゃんと表記、記述して、そのプロセスが途絶えないように、「つくって、はい、終わりました。制度を変えました。以上」ではなく、不断の見直し、PDCAが各学校、そして都道府県レベルだとか設置者レベル、そして今回審議をしたこの国レベルで、それぞれちゃんと行われるようなプロセスまでやることを、これも最後のまとめなのかどこかにしっかりと記述が必要だろうというのが2点目です。
3点目は、こういった中身をやった先に学校が、そして生徒がどうなるのかという、どうなってもらいたいのかという、ここに込めた願いだとか希望だとかその意図だとかということを、分かりやすく生徒の姿で何か示すみたいなことができないものかと思いました。
これは荒瀬座長がよく言われる、生徒を主語にしたという表現、この文書の中にも書いていますけれども、基本的にこの文書自体は設置者だとか学校がやるべき内容とかが書かれているわけですけれども。ではこの結果、生徒を主語にしたときにどういう状況に変わっていってほしいと思ってこれを書いているのかということを、それこそ生徒を主語にして、目指したいこれからの高等教育の姿だとか、その中での生徒たちの学びの姿を、生徒主語で何かイメージが持てて、設置者を含めて、学校の教員も含めてみんなでこういう姿を目指すために、この中で書かれている内容を一緒に連携・協働しながらやっていこうと思えるようなところがぜひあると、よりよいのではないかというので。せっかく生徒主語というのがさんざん出てきて、そこはこだわりだと思いますので、何かそういったところもあっていいのではないかというのが3点目です。
1点目と2点目に関しては、ぜひこういった答申をつくる際にはやったほうがいいと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。3点目につきましては、岩本委員もちょっとトーンを変えておっしゃいましたが、あまり、みんなが同じ生徒像を持ってそれに向けてというのも、ちょっとまた考えなければならない点もあるような気がいたしますので、それこそ、そういったことを各学校が主体的に、生徒が主語になるということは、すなわち内堀委員がおっしゃっていたように、一番生徒に近いところが主体的にやっていく。責任は当然伴うけれども、権限も持ってやっていくという、生徒を主語にするためには学校が、教職員が主語にならなければならないと思いますので、この辺り、また考えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
ではこの後、橋本委員、角田委員、田村委員、末冨委員、牧野委員、川上委員の順によろしくお願いします。
では橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】 京都府の橋本です。荒瀬座長並びに事務局の皆さんには本当に多様な意見を丁寧に拾い上げ、おまとめいただき、感謝を申し上げたいと思います。
高校の特色化・魅力化に向けた方策につきましては、現在の高校の課題を踏まえた内容や方向性が示されており、基本的に賛同するものであります。
ただ、ここで示された様々な方策が今後学校で実際に実行されていくことが大切でありまして、そのためには学校側の条件が整わないとなかなか難しいと思われる点もあるかと思います。
例えば、スクール・ポリシー策定については大変丁寧に記載していただいており、考え方とか留意点を含め、各学校でも理解されやすいと感じております。その一方で、大幅な定員割れが継続しているような厳しい環境にある学校では、策定に向かう教職員の意欲が出にくく、形骸化の懸念があるほか、策定過程における学校外の関係者との連携・協働は非常に重要だと思いますが、多忙な環境の中でかけられる時間に限りはありますし、特に学校の思いと大きなそごが出たような場合などは調整に負担もかかります。このため、校内体制の拡充に向けた支援が必要ではないかと思います。
また、地域社会等、関係機関と連携・協働した学びの実現は今回のまとめの中でポイントの一つになっておりますが、32ページに記載されている地域連携協働室を設けたりコーディネーターを配置しようとすれば、何らかの定数措置等がないと、より充実した取組はなかなか難しいと考えます。これは新設学科への物的・人的支援も同様だと思いますけれども、先ほども香山委員がおっしゃったとおり、国の支援が期待できるような表現がさらに加わればありがたいと思っております。
加えまして、最先端の職業教育を行う上では、47ページにありますように、施設・設備の充実が不可欠ですけれども、地方財政に係る三位一体改革以降、国の補助制度がなくて、地方公共団体による財政措置の拡充は極めて難しいことから、これについては特に国による財政措置が強く望まれます。
このほか、文系・理系の類型にとらわれずにということが新たな学科のところを含めて各所に書かれております。これは本当にそのとおりだと考えますが、いまだ大学の入試科目において文系・理系の違いがある中、高校としては希望進路実現への期待に応える必要もあり、カリキュラム上どこまで対応できるか、なかなか難しい問題だと考えます。その意味では、今も議論されておりますが、大学入試における多面的評価も含め、高校の学びと大学入試や大学での学びとの一体性を確保することが重要だと考えます。
最後に、普通教育に関する新たな学科を設けられるようにしたことは、特色の見える化にもつながる新たな選択肢が加えられたということで評価いたしますが、同時にこれがゴールではないと思っております。まとめ案の中では理数とか国際関係などの専門学科に関し、新設学科の枠組みに統合することについて将来の検討課題としていただいております。その上で、今日の資料の1-2の別添1の教育課程のイメージ図においては、点線の部分も含めますと、いずれの学科も普通教育と専門教育にまたがっており、学科ごとの教育課程上の差をどこまで基準として固く設けていく必要があるのかとも感じます。
その意味では、以前にも申し上げたのですが、学科間の差をグラデーションのように捉えて、将来的にはもっと大胆に学科の垣根を下げてしまう、あるいは一層の教育課程の弾力化を図っていくことも含め、検討を今後も継続すべきだろうと考えております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。橋本委員から最初に過分のお言葉を頂戴しましたが、事務局の皆さんの御努力はもちろんそうですけれども、それはひとえに委員の皆様からの御指摘・御意見・お考えが基になっているということでありますので、私たちでつくったということで認識をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
では角田委員、お願いいたします。
【角田委員】 リクルートの角田です。感想と少し質問をお話ししたいと思います。
今回つけていただいたタイトルですけれどもすばらしいと思っていまして、高校段階だからこそ社会とつながりという言葉は絶対欲しいと思っていましたので、こちらが入ったことと、そのことにもよって全てに筋が通ったかなと思っています。
そしてもう一点お話ししたいのがやはり個別最適な学びのことでして、高校の先生方が今まで目指して試行錯誤して取り組まれてきたこととつながっているのだとぜひお伝えしたいと思っているのです。生徒がそれぞれ自分の分かっていたり分かっていなかったり、分かり具合もそれぞれ違うことに応じて、先生方は指導してくださいということと、生徒自身がそのことを自覚しましょうという、2つのことが指導の個別化なのだと思っています。
その後の学習の個性化、これは生徒の興味・関心からスタートするという、これも以前から先生方が取り組んでこられたことだと思います。論点整理の時には「生徒の興味・関心等に応じた学校選択や科目選択を可能・容易にするという側面」という記述があったと思うのですが、これが消えてしまったんですよね。例えば探究的な学びの課題設定についても、自分の在り方、生き方と一体的で不可分にしましょうという文章がありますので、ここに自らの進路を選択していくというような色合いの文章が復活したら、さらに高校ならではの個別最適な学びという記述の納得さにつながるのではないかと思っています。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは田村委員、お願いいたします。
【田村委員】 田村です。失礼します。ここまで多様な意見をおまとめいただきまして、ありがとうございました。3点申し上げます。
1点目は内堀委員が最初におっしゃられたとおり、生徒に近いところが主体的になるべきだという御意見がありました。これに賛同するところでありまして、その観点から、すみません、私、資料1-1のほうのページで申し上げさせていただきたいと思うのですが、31ページにコンソーシアムの話が出てくるのですけれども、そのコンソーシアムの中に、例えば、「生徒の自治組織を加えることも考えられる」といった程度でいいかと思うのですけれども、生徒の自律性がさらに発揮されるような場が想定されるとよいのではないかと考えました。
さらに、例えば33ページに「生徒が多様な分野の学びに接することができるようにすることが求められる」とあるのですが、そういったところに、そもそもこの高校ワーキングの問題意識として生徒の学ぶ意欲が育まれるということが重要でありますので、生徒たちが探究の過程において、多様な分野に触れるだけではなく、十分に活躍することができるカリキュラムが充実し、そこで多くの達成感を感じること、経験することができる、そのようなカリキュラムの充実が望まれる、といったようなことを入れていただいてはどうかと考えました。これが1点目です。
2点目ですが、27ページにミドルリーダーの役割が一層重要になってくると述べられているのですが、それに対して42ページでは、校長をはじめとした管理職がリーダーシップを発揮し、そして全教職員が協力してカリキュラム・マネジメントに取り組むことが必要になると書かれております。ここのところでミドルリーダーのリーダーシップにも触れられてはいかがと考えました。以上が2点目でございます。
それから3点目、27ページに、先ほどのヒドゥン・カリキュラムということと関わりまして、風土や土壌にも言及がありましたけれども、例えば風土や土壌の例としましては、その学校の伝統であるとか実績であるとか、そういったことも含まれると思いますので、そういったポジティブな風土や土壌といったところも言及されるとよいのではないかと思いました。
以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では末冨委員、お願いいたします。
【末冨委員】 日本大学の末冨でございます。まず、お取りまとめをありがとうございました。
改めて様々な委員の御発言からも、この審議まとめが高校改革に継続して影響していってほしいという願いがあると思うんです。最後に1つ付け加えるとするならば、やはり検証し続けながらの改善を繰り返していくと。PDCAだとかプランをつくるというのは、それ自体が自己目的ではないというのは、このワーキングで何度も繰り返されてきた議論であろうかと思いますので、改めて、継続しながら改善を促すことが国の役割として重要なんだといったことを、例えば第1章もしくは第2章のような総論の部分で述べておくことが非常に重要かと思われます。
それから、もう一度全体を見回しましたときに、先ほどから出ている、「生徒が主語になる」ということの関連で申し上げますと、資料1-2でいうと60ページ目の図表が気になります。イメージ図のところで出てくるのですが、「学習者中心の教育活動」あるいは「学校教育への主体的な参加」というのは、この高校ワーキングでしようとしていることの趣旨を非常に分かりやすく説明しているのですが、意外に本文にはまだ出てきていません。
この整理が実はとても大事でして、中教審の初中分科会では個別最適な学びと協働的な学びを中心に議論が進んでいるのですが、それを高校段階での学習観に落とし込んでいった際に、例えば「学習者中心の教育活動」にするのか、あるいは「生徒が主語になる」だとか、あるいは生徒を主体に据えたというような表現に落とし込むのかについては、最終的に座長にお任せいたしますけれども、高校の改革でこういうふうに生徒が学習者として前向きに学んでほしいというメッセージを表すような用語として、本文中に統一していくほうがいいかなと思われます。
特に、このワーキングの出発点の一つが高校生の学びの意欲が決して高くないという現状について、4ページの注の4番に示されています。高校生が学ぶことがだんだん楽しくなくなってくるのと、それから単純に詰め込む学習を生徒のほうがやってしまっていたり、やらせてしまっている学校現場はどうなんですかという状態への危機感からこのワーキングが立ち上がっていると理解しておりますので、改めて「学習者を中心にした教育活動」のような言葉を、統一感を持たせながらどのように位置づけるのかが肝要かと思われます。
特にスクール・ポリシーの議論を拝見しておりますと、確かに変革するきっかけにはなるのですが、大学生と高校の時にどういう学びをしてきたかということを考えたときに、下手をするとグラデュエーション・ポリシーが新しい生徒の管理統制の手段になってしまう学校もまだある。しかも、少なからずあることを懸念しております。もちろん、変革している高校も非常に多いことについては、本当に変化しているんだなということを大学生を通じながら実感していますけれども、そうではない学校も多いことを考えれば、特にスクール・ポリシーの部分において、学習者中心の教育活動あるいは主体的な学校教育への生徒の参画を促すためのものなんだということを相当強く強調しておかないと、恐らく誤読され、学校側のヒドゥン・カリキュラムは何も変わらないままということになるのではないでしょうか。ゴールはクリアにということで、60ページの図のこのメッセージは私としては非常に分かりやすいと思っていますので、例えば「学習者中心の教育活動」という表現を本文にも、ということです。
併せまして、スクール・ミッションについては、16ページの部分ですが、やはり様々に議論して工夫していただいたので、割と地域の実情に即して、あるいは学校の設置者、学校法人さんの実態に即して検討しやすくはなっています。ただし、特に16ページの一番下の丸ですけれども、設置者の責任とは何なのかということももう一回確認しておく必要があると。特に人口減少に伴う学校の統廃合で高校がなくなってしまう地域が出ないようにと。これは日本だけではなくて世界的に共通の課題ですけれども。その時に、例えば、ですが地域における教育機会の継続的な提供など、学習者に果たすべき責任を設置者が踏まえていくという表現も残しておかないと、やはりスクール・ミッションが学校統廃合を、地域の声を聴くことなくトップダウンで進められる懸念をゼロにはできないと考えますので、この辺りのもう少し慎重な書きぶりについては最後にお願いしたいことです。
併せまして、先ほどから出ております43、45ページ辺りの教職員の配置体制ですとか、あるいはコーディネート担当職の方については基本的には増員をしなければなりません。特に新しい学科だけではなくて、普通科の中で恐らく文理を飛び越えて新しい取組をするときに必ず必要になってくる新しい職が出てくるはずなんです。そういった人たちの増員ですとか、それから適切な待遇をきちんと明記しておいていただかなければ、ただの搾取されるボランタリーな人材を大量に生み出してしまうだけですので、適切な待遇も併せて明記いただきたいと考えます。
併せて、キャリア・パスポートのところは私も意見を申し上げたのですが、やはり学習者を中心に据えた学びであるときに、キャリア・パスポートのような形で系統立ってキャリアを整理することが有効に作用するタイプの生徒が多いと。
ただし、例えばですがスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの方に私も確認しましたが、今、コロナの中で家族に非常な困難が生じている場合ですとか、過去に虐待歴がある、あるいは外国につながっていて必ずしも日本で育っていない子供たちの場合には、必ずしもこうしたキャリア・パスポートを通じた系統的なキャリア観というような指導がむしろマイナスに作用する場合もあり得るだろうということですので、キャリア・パスポートのところにもぜひ学習者中心の、あるいは学習者の適性に応じた、のように、一人一人のバックグラウンドを尊重しながらの指導というところを入れておいていただければいいかなと思います。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。今おっしゃった最初の、学習者中心というところは、今回新たに書き加えていただきました、1-2でいうと21ページの一番下、赤字になっている部分ですが、「自立した学習者」という大変すてきな言葉が入っているわけですけれども、これをもっと進めていくことですよね。
【末冨委員】 そうですね。全体として統一した表現にしていただくといいかなと考えます。
【荒瀬主査】 分かりました。ありがとうございます。
では牧野委員、お願いいたします。
【牧野委員】 では私から。牧野です。
経済財政諮問会議の専門委員会でずっとこうした高等学校の教育改革について申し上げてきた立場からしますと、こうした形で審議のまとめがされたことは、大変いい方向に向かっているなという思いを持っているところであります。
先ほど岩本委員からも話がありましたように、このまとめたものをどういった形でこれから展開していくかということがとても大事になってくると思います。そういった意味で、文科省の担当の皆さん方の役割は大変大きなものがあると思っていまして、一つは、やはりしっかりと現場でどういった浸透がなされるかをモニタリングしていってもらって、その現状把握にしっかり努めていただくということです。先ほどから出ていますようにPDCAを回していくためには、経済財政の立場で言うと、改革工程表をつくってやっていくようなイメージもあるのですけれども、その時に一番重要になってくるのはやはりエビデンスだと思います。何をもってそのエビデンスにしていくかということをしっかりと捉えてやっていかないと、先ほどから出ておりますように財政措置を充実させていくことにはなかなか繋がっていかないのではないかと思います。
やはりこの改革を進めるためには、私も国の財政措置は必須と思っておりますが、それをやるためには、しっかりと改革工程表を回していく、PDCAを回していくという考え方と、エビデンスをしっかり取って、それに基づいた予算要求をしていくことが必要になってくると思いますので、ぜひそうしたことを念頭に置いた形でこのまとめ案を受け止めて、次のステップに進んでいっていただきたいと思うところであります。
私からは以上であります。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、この後、川上委員からお願いしたいのですが、その後、跡部委員、佐藤委員、小田切委員の順で御発言をお願いしたいと思います。
では川上委員、お願いいたします。
【川上委員】 川上でございます。おまとめいただきましてありがとうございました。
既に多くの委員の先生方がおっしゃっていることとあまり変わらないところになるかもしれないですが、まず1点目は、この方針自体の評価と見直しの必要性です。きちんと組み込んでおくことと、各学校、各設置者について不断の見直しをとしているわけですから、この方針自体の成否を含めた不断の見直しも、メタな意味でもう一段階用意しておく必要があろうということがまず1点目です。
それから、この1-2で言いますと恐らく17ページ辺りになろうかと思います。これも既に御発言があったとおりかと思うのですが、高校教育を安定的に供給すると。機会均等をしっかり図っていくのだと。機会均等を維持していくことについても、ぜひ引き続き力を入れていただきたいところかなと思うところです。
この文書、取りまとめを出すわけですが、文部科学省自体が直接の高校の設置者というわけではないので、伝達する中では必ず、ずれだったり、齟齬だったり、抜け落ちだったり、過剰な読み込みだったりとかということが、まあ、生じ得ると思うんです。なので、そこをいかに低減していくか。
ここでの議論の趣旨がきちんと伝わるような工夫であったりとか、あとはフリーハンドでというか、特に何も武器を与えずに「さあ方針を出したぞ、守れ」というのではなかなかに酷なところがあるので、やはり守れるような支援であったりとか、情報提供であったりとかということについてしっかりしていく必要があろうということ。
この辺は少しふわっとした話で、最後、やや瑣末な話なのですが、若干御指摘申し上げたいというのが、資料1-2の20ページです。ミッション・ポリシーの中で3つのポリシーを一部修正していただいて、育成を目指す資質・能力に関する方針と教育課程の編成・実施に関する方針が、ある種接合していく形で、近づいていく形で取りまとめになっているのは非常に望ましい変更だったかなと思います。
一方で、入学者の受入れに関する方針については、全入どころか定員のほうが余っているような高校の現況であったりとか、それから大学生に比べてまださらに可塑性が富んでいる高校の特質を考えたときに、大学で言うアドミッション・ポリシー、入学者選抜方針というのではなくて、受入れ方針だという書き方については非常に大事なところかなと思うのですが、ここの20ページの枠囲いでいうと、3番目の白丸の下から2行目でアンダーライン、今回新しくしていただいた「入学時に期待される生徒像」。ちょっとまだ何か選抜味のある用語になっているかなという感じがしてしまう。
むしろ、「受入れが想定される生徒像」とか、多分3つのうち、このアドミッション・ポリシーについては少し学校は受け身にならざるを得ない。こういう生徒は来てはいけないとか、こういう生徒だけ来てほしいという話ではないので、若干受け身な表現になるのが適切なのかなと。受け入れた生徒に対してこういう力をつけたいんだと。そのためにこういう方針で頑張っていくんだという意味では、上2つについては学校にとってはやや能動的な表現となろうかと思うのですが。
そう考えたときに、「期待される生徒像」と工夫して書いていただいているところかとは思うのですが、「受入れが想定される」というような、少し受け身感を出したような表現をお考えいただいてもいいのかなと。ちょっと細かな表現に係る瑣末な指摘ではあるのですが、少し御検討いただければと思う次第です。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では跡部委員、お願いいたします。
【跡部委員】 成蹊中学・高等学校校長の跡部です。このたびは分かりやすいまとめにしていただきありがとうございました。私からは2点申し上げたいと思います。
1点目は23ページで、下から2つ目の白丸の「令和4年まで」という表現。前回非常に気になって、どうなのかと申し上げましたが、追加していただいた文章が分かりやすく、この「令和4年までに」の「までに」の部分が少し和らいだ感じがします。
今回の改革はできればみんなでちゃんと考えてほしいというところがメッセージだと思っています。教員も生徒も含めて自分たちの学校をこういう学校にしていきたいという夢が語られるチャンスだと思ってます。その時に、年限が強調されすぎると間に合わないからトップダウンでいこうとなってしまうことが危惧されます。そこが非常に私は気になっていたので、うまくおまとめいただいたと思っています。
2点目は、コーディネーターとかコンソーシアムという、これも非常に魅力的な、学校を変える上では核になっていただける方だと思っているのですが、イメージとして公立は地域の皆さんというイメージがおありになるのだろうと思っています。私立は地域とうまくつながることが難しい部分もあったりするので、こういう時に卒業生を結構活用させていただいています。
卒業生の中で、これは先ほど岩本委員が最後に願いをとおっしゃっていたので申し上げるのですが、コーディネーターの方がもし卒業生であれば自分がこれから成長していく先の姿が子供たちに見えて、一つのモデルになる部分もあるのではないかと考えています。ティーンエージャーは非常に難しい年頃で、教員の呼びかけには反応しなくても、先輩の言葉だとすっと入ることが割にあります。
ですから、そういう意味でも、自前主義という表現もありましたが、教員だけが学校の中を動かすという考え方ではなく、もっといろいろな人の力を借りながら、その中には自分がかつて育てた生徒が大きくなって戻ってくるというものも、願いの中に込められたらいいかなと、思いました。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 戸田翔陽高校の校長の佐藤でございます。私も皆様と同じように、このまとめについては本当によくまとめていただいてありがたかったと思っております。
私は定時制の高校の校長なので、50ページ以降の定・通のところで1つだけ、うんと細かいところで恐縮なのですけれども、指摘をさせていただければと思います。
50ページから定・通の質保証ということで定時制・通信制課程についての記述がございます。50ページの2つ目の丸で、平成30年度の定・通校長会の研究から5点、これは不登校生徒のことであるとか、特別な支援を必要とする生徒のことであるとか、外国籍、日本語の指導が必要な生徒のことであるとか、経済的に困難を抱える生徒のことであるとか、非行・犯罪歴を有する生徒のこととか、校長会でまとめた課題に基づいて定・通の課題を整理していただきました。ありがとうございます。
この5つの課題は定・通の校長会としては非常に喫緊の課題、今まさにどんどんこれについての問題が増えていて、学校としても対応に追われているところを5つ取り上げたことになります。
それを受けて、51ページで「こうした状況を踏まえれば」という段落と、「さらには」という段落が作っていただいてあるのですけれども、ここの51ページの表現にどうも文末に「考えられる」という言葉が多いかなと思っていまして。例えば、1つ目の丸の「こうした状況を踏まえれば」のところの下から4行目、「職員の配置促進等を更に図っていくことが望ましいものと考えられる」。それから最後の行、「必要な方策を講じていくことが考えられる」。次の丸の「さらには」から始まるところの下から4行目、「最大限引き出していくことが重要であると考えられる」。最後の行の「重要であると考えられる」。これらについては、「考えられる」という言葉を取ってしまって、「望まれる」とか「重要である」とかと言い切ってしまっていただいたほうが、喫緊の課題を抱えている定・通の質保証と改善に向けては、スピード感を持って対応していただけるのかなと思いました。
同じ定・通教育のところで54ページ以降は前回の原稿から「考えられる」という表現を改めていただいています。課題解決が一層促進されるように、51ページについても文末表現を検討していただけたらありがたいと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では小田切委員、お願いいたします。
【小田切委員】 明治大学の小田切でございます。取りまとめ、どうもありがとうございます。
私は地域政策、農村政策の専門家として、この高校改革と地方創生をどのように結びつけるのかという視点で発言などをしてきました。その意味でいうと、非常にイノベーティブ、御存じのようにイノベーションは新結合という言葉が原義なのですが、その両者が結合したまさにイノベーティブな方向性が示されたと考えております。その点で異論はございません。ただ、3点ほど確認をさせていただきたいと思います。
まず1点目は、盛り込んでいただいて大変ありがたいと思ったことを2点共有化させていただきたいと思います。
13ページの脚注ですが、ここに学校基本調査でわざわざ調べていただいた、公立高校が0ないし1である市町村が国内調査の63%を占めているという数字を入れていただきました。これは先ほど川上委員からも教育の機会均等という議論がありましたが、改めてこの数字を共有化する、特に国民的に共有化するのは大変重要ではないかと思って、その意味でこの注が入ったことを改めて確認させていただきます。
また、44ページ、これも脚注なのですが、コンソーシアム等について学校の魅力化あるいは特色化についてですが、コンソーシアムについて複数の市町村で対応する可能性が出てくるという、現に島根の実態などを見ても、複数の市町村で対応しているところがほとんどなのですが、やはり複数市町村での対応は、自治体ではありますので大変困難があります。ここに課題があることも含めて認識を新たにする意味でこの注が書かれていることは大変で重要であるという、そんな認識を持っていることを確認させていただきます。
そして大きな2番目ですが、前回のワーキンググループで川上先生と酒井補佐との間で配置と規模の訂正化、この文言をめぐってやり取りがあったと思っております。特に規模については相対化が考えられるのではないかということについて、私は賛同しております。特に先ほども申し上げましたように、地方創生と高校の魅力化、この好循環がいよいよ始まったという段階においては、規模の適正化、すなわち小規模校がそのままさらに小さくなり廃校になっていくプロセスについては、何かメッセージがあったほうがいいのではないかと思っております。
その点でいうと、改めて全体を見渡してみれば、中山間地域・離島という限定的ではありますが、ICTを使って複数の市町村、複数の高校が連携することが明確に書かれております。その意味では私の理解は、文部科学省としてのメッセージはむしろこの辺りにあると理解させていただいております。
そして3番目、これは委員各位既におっしゃっていることなのですが、私も地域政策について各省庁の大きな答申等に関わっているのですが、やはりつくって終わりではなく、つくったことが出発点だという認識が本当に重要なのだろうと思います。その点で、先ほど牧野委員がおっしゃったように、工程表を意識することが重要だと思いますが、ただ、その工程表のベースはエビデンスであると同時に、もう一つは現場との継続的なコミュニケーションだと思います。ある意味工程表をつくると、逆にそれ自体が自己目的化してしまって、これをやればいいというふうになってしまいますが、場合によったらその工程表自体もさらに継続的に見直していくような、現場との継続的なコミュニケーションが大きな方針を出したときに大変重要だということを、様々な省庁で確認しております。
その意味で、このことを実施していただきたい。その際2つの点、一つは説明会という形ではなく、むしろ双方向のやり取りが原則だと思います。それからこれは別の機会にも申し上げたのですが、何らかの形で先発的な事例を横展開するときには、その事例のプロセス事例集、その事例がどのようにして現状に至るのかというプロセスを分析して、それを共有化することが大変重要になります。説明会であってもそのプロセス事例集を文部科学省の皆さんが、あるいは都道府県の皆さんが手元に置いて、現場との絶えざるコミュニケーションをしていただくことを強く願っております。
以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
一通り皆さんから御発言をいただきました。山口委員もお入りいただいているのですが、ちょっと音声の状態がよろしくないということで、山口委員、今お聞きいただきまして御意見等ございましたら、またメールなどで事務局にお届けいただければと思います。
全体、今、様々御意見をいただきましたが、お聞きいただいた上で、さらにということがございましたら御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
どなたか御発言、よろしいでしょうか。
では末冨委員、どうぞ。
【末冨委員】 最後に通信制高校の質保証について述べさせていただきたいと思っています。私立学校からも御意見があったということではあるのですけれども、やはり私自身も、例えばですが生活困窮状態の子供が不登校になって通信制高校にもアクセスしていくことはしばしばあるのですけれども、51ページに書いてございますように、例えばスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、それから日本語指導補助者等の専門スタッフの充実も重要ではあるのですが、特に特別支援教育においてキャリアを有する教員が学校さんによってはかなり手薄です。そもそもカウンセラー、ソーシャルワーカー、それから日本語指導補助者だけではなく、教員側の専門性もやはり蓄積がおありの学校さんと、もちろん新設でも意識が高い学校さんもおありですが、そうではない学校さんもおありだということですので、できれば特別支援教育の専門性だとか、あるいは多分将来的な配置基準の在り方も、これは全日制の学校と同様に踏み込んでいくことが重要ではあろうかなと思います。
どの学校にアクセスしても、やはり自分自身の、例えばですが発達障害を持っているとか、あるいはこういうことは得意だというような、自分自身の適性に向き合って生きていくことができるような学校教育であることが当然望ましいし求められている状況ですので、この点を最後に追加させていただければと思います。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では鍛治田委員、お願いいたします。
【鍛治田委員】 YMCAの鍛治田です。
今、末冨委員がおっしゃったように、非常に通信制のほうは特別支援が必要な生徒が多くおります。ただ、通級のシステムが通信制では使えないということで、通級ができないと言われています。通級のシステムが使えますと補助金もあります。ですので、この辺はぜひお願いしたいところです。
前にも言いましたが、非常に通信制は安価になりますので、こういった専門的な、専門家を入れた場合はやはり補助金についてぜひお考えいただきたいと思っております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。鍛治田先生、失礼しました。御発言がなかったのに申し訳ありませんでした。気がつかないですみません。
ではあと、岩本委員と内堀委員が手をお挙げになっていらっしゃいます。順に御発言をお願いしたいと思いますが、ほかにはよろしいでしょうか。
では岩本委員、内堀委員の順にお願いいたします。岩本委員、どうぞ。
【岩本委員】 よろしくお願いします。岩本です。
この高校教育改革だとかこの政策の評価だとかPDCAに関して、牧野委員や末冨委員からもいろいろ御発言があったところに追加というか意見の補足です。
私、3点目の最後に申し上げた、生徒の姿だとかをはっきりともうちょっと示したほうがいいのではないかというところですけれども、これが何につながっていくかというと、この取組だとか改革のアウトカムは何なのかというところです。
アウトプットとして学校がこういうことをやるとか、スクール・ポリシーをつくった学校が何割だとかというのは、それはそれで大事かもしれませんが、その結果、それを通して我々が本当に目指している、実現してほしいと思っているアウトカムは、やはり生徒が中心の教育活動が行われたりとか、生徒自身が主体的に学校教育に参画して、で、学ぶ意欲にあふれた、学習意欲の問題というのがやはり最初の背景にあるわけですけれども、学ぶ意欲を持って一人一人が自分の生き方、進路を実現していってほしいだとか、それをかなえていくようにつながっていってほしいだとか、誰一人取り残されずにどんな子であってもちゃんと社会とつながりながら社会的な自立を果たしていってほしいだとか、やはりそういう願いに基づいて、今回のものが方策というかが来ている中で、やはり現場の声を聴いていると、どうしても一つ一つの方策の賛否というか、そういったところについて本当に何を目指していっているのかという、そのアウトカムだとか、手段の先に目指したい共通の高校生たちへの願いですね、意欲を持ってとか、そういうところがやはり伝わっていないということは、この答申のまとめが出たときの教職員だとかの反応とか声を聴いているとやはりあるので。
高校生たちのこういうものを目指してというか、こういう姿をみんなでつくっていきたいという中で、社会全体でこれをやっていくんだというところはもうちょっとはっきりと、生徒主語でなのか、できるといいなという思いで3点目の発言をさせていただいたところです。
すいません、以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。すいません、私が余計なことを申し上げたのかもしれませんが。ただ、先ほども申し上げたことを私は、高校教育に長らくおりました関係で思っておりまして、生徒自身が自分で決めていくことができるというのが大事で、どういう姿であるのかというのは、それはぜひ現場の先生方にいろいろと考えていく中で、それこそ生徒と一緒に考えていく中で、その生徒像を明らかにしていただくのが大事なのではないかなと。それができるための条件整備をしていくことが私たちの提案の趣旨ではないのかなと思っておりまして、これはまた岩本委員とやり取りをさせていただければと思います。すいません、また余計なことを言いました。
では内堀委員、お願いいたします。
【内堀委員】 内堀です。お願いします。
この審議まとめが成案になった後の扱いですけれども、当然親部会の特別部会にはこのまま出されると思うのですが、そのさらに上の初中分科会にもこの審議まとめそのものが資料として出されるのかということを確認したいのです。ぜひ出していただきたいと思っています。
いろいろなつくりの事情で、例えば特別部会で審議して、特別部会から分科会に出す形を取っているので、ワーキングの報告は添えないという形を取っているのかもしれないですが、実は初中分科会の内容についていろいろな方がコメントされていて、その中に高名な大学の先生がおられまして、その方がこうあるべきだと、あるところで書かれているのですが、それがワーキンググループ報告にほとんど書かれていることだったんです。ということは、読まれていないのだと思うのですけれども、それが非常に残念だと思いまして。
会議の場にポイントだけ出してしまうと、どうしても背景だとか理念だとか目指すところだとかが欠けてしまう傾向があるので、検討資料としては出せないのかもしれませんが、ぜひできるだけ出せるところまで、この審議まとめそのものを参考資料として活用していただくことをお願いしたいと思います。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、酒井補佐から、今御指摘いただきましたこととか御質問について、まとめてお話をいただければと思います。酒井補佐、お願いします。
【酒井参事官補佐】 事務局の酒井です。
様々、御指摘ありがとうございました。いただいた御意見につきましては、荒瀬主査とも御相談の上、どのように反映していくのか、可能性があるのかといった点を相談して、盛り込みを検討させていただきたいと思います。
その中でいただきました御質問でありますとか御指摘に対して、一部コメントをさせていただきたいと思っております。
まず、冒頭の内堀委員から御意見がございました、個別最適な学びと協働的な学びの関係についてでございます。これについては、荒瀬主査からも少しコメントをいただきましたけれども、個別最適な学びと協働的な学びが相反するものというような考え方を、このワーキングだけではなくて中央教育審議会全体の今の議論の方向性でありますけれども、必ずしもそういうふうに対立するものとして考えている概念ではないものであります。途中、内堀先生がおっしゃっていただいたように、例えばタブレットに向かって学んでいくのが個別最適な学びだというようなことは、決して中教審全体でそのような議論にはなっていないことは御紹介させていただきたいと思います。
その上で、荒瀬主査からも御紹介がありましたように、これは今、中教審の初中分科会、教育課程部会、特別部会全般で、この個別最適な学び・協働的な学びの関係はどうなのかという整理をしているところでございます。この高校ワーキングの解釈についても、その整理に基づいて今後解釈していくことにさせていただきたいと思いますが、繰り返しになりますが、必ずしもそれが相反する概念で使っているものでないことを御紹介させていただければと思います。
続いて、香山委員から御指摘をいただきました点で、ヒドゥン・カリキュラムの例示についてであります。27ページについて御紹介いただいたものと理解しております。これにつきましてでありますけれども、このヒドゥン・カリキュラムに関する追加については、前回の会議の後、委員の方から具体的に御意見をいただいて追記しているものになってまいります。
少し意見交換をさせていただいた中では、個別の何か特定のものについてヒドゥン・カリキュラムの例があって、その項目をつくってそれをつくっていくというよりは、むしろ先ほど田村委員からも御紹介がありましたが、各学校の伝統や文化に基づいて様々な検討を進めていくわけで、そういった伝統・文化を考慮していく、そういった意味合いではないのかと私自身は理解しているところでございます。とりわけ香山委員から少し御意見がありました校則の話自体は少し個別具体の話になっておりまして、それは必ずしもここで妥当するものかどうかという点は、改めて主査含めて議論させていただくようにしたいと思いますが、少しそういう趣旨ではなかったのかなと私自身は理解しているところでございます。
ですので、田村委員の御紹介いただいたような内容を踏まえまして、ここについてどういった書きぶりが可能かどうか検討させていただければと思っております。
また、岩本委員から御意見をいただきました1回目の御意見、2回目の御意見に関することであります。とりわけ3点目の御意見であった、少し先ほども御議論がありました、どういうふうなこのワーキングでアウトプットをしていくのか、そしてそれが生徒の姿に落とし込んで示していくべきではないかという点であります。これは先ほど主査からもありましたように、少し御相談させていただきたいと思いますが、私自身も今お話をお伺いいたしまして、主査と同じような懸念を持たれる可能性も、この審議会で書き込むことによって、恐らく学校現場、教育委員会に対してどういうメッセージがあるのかということも懸念して、恐らく審議会の中でまとめていただく必要があるのではないかと思っています。
一方で、岩本委員がおっしゃるように、アウトカムをどうしていくかという点も大変重要な点であります。そういった点を踏まえて、少し御相談をさせていただくようにできればと思っております。
また、全般を通じまして財政的な措置、人的措置が必要ではないかという御意見であったかと思っております。この点について大変重要な視点かと思いますので、どういった記載ぶりが可能かを検討させていただきたいと思っておりますけれども、1点御紹介させていただきたいのは、我々としても当然国として必要な人的措置は措置していかないといけないと考えています。
一方で、現状では、特に公立高校においては、特に定数に関しては、一部の県というか多くの県で定数が未充足になっている、いわゆる国で定めている標準定数が配置されていない実態があるということでございます。したがいまして、この人的措置・物的措置は国として措置されていても、実際自治体のほうで措置されていない現状があって、そういったところで自治体、特に公立高校の場合は設置者である都道府県がいかに本気で高校政策をしていくか、これを併せて考えていかないといけないことではないかと考えておりますので、そういった点も含めて国としての必要な措置は考えていきたいと考えております。
また、鍛治田委員から先ほど御紹介いただきました通信制課程の特別支援に関する御意見でございます。末冨委員からもありましたけれども、1点だけ御紹介させていただきたいのは、通信制課程であっても通級指導は必ずしもできないわけではなくて、一応許容はされていて、私どもといたしましても、モデル事業という形で公立高校において通信制課程における通級指導の在り方は現在検討させていただいているところであります。ただ、実態としてはなかなかこれはできないのではないかというようなところで思われているのは確かでありますので、まさに今回の御意見の中でも事例の展開、プロセスも含めた展開というような御指摘をいただいていたと思います。まさに通信制課程の特別な支援を要する生徒に対しては大変重要なことだと思っておりますので、この点、御紹介させていただくようにしたいと思っております。
最後、内堀委員から御指摘いただきました高校ワーキングのこの審議まとめそのものを中教審で御紹介する点につきましては、非常に重要な点かと思います。一方で、もともとこのワーキングが設置された役割分担もありますので、この点は少し事務局で御相談させていただいて、初中分科会と特別部会の主査でもあられる荒瀬主査とも御相談させていただきたいと思っております。
すいません、早口で恐縮ですが、以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
まだまだお話をという方もいらっしゃるかもしれませんが、この辺りで今日は区切りをつけさせていただければと思っております。たくさん御意見をいただきました。これまでもいただきましたし、今日もまたいただきました。こういったことを一旦お受けさせていただいて、事務局と相談しながら、最終的には私のほうにこのまとめを御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」との声あり)
【荒瀬主査】 ありがとうございます。それでは御一任いただいたものと受け止めさせていただきます。
昨年の夏から今日まで13回にわたりましてワーキンググループの議論を進めてまいりました。この取りまとめは新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の議論に反映されるわけであります。今日これでお預かりして、最終的に取りまとめの形を取らせていただくということでありまして、今日がこれで最後の会議になろうかと思います。本当にありがとうございました。
最終回ということでもありますので、一言御挨拶なり御意見なりを頂戴できればと思います。塩見審議官、よろしいでしょうか。
【塩見大臣官房審議官】 初等中等教育局担当審議官の塩見と申します。
委員の皆様には大変お忙しい中、昨年7月から13回にわたりまして熱心な御議論を賜りまして、誠にありがとうございました。特に荒瀬主査におかれましては、高等学校教育の全般にわたる重要な課題につきまして審議を円滑に取り進めていただきまして、深く感謝申し上げます。
今回、ワーキンググループにおきましては、スクール・ポリシーの策定、普通教育を主とする学科の弾力化・大綱化をはじめとしまして、高校生が社会とつながりながら学ぶ意欲を育んでいける、魅力ある高等学校教育の実現に向けた具体的な施策につきまして御議論いただきました。文部科学省としましては、今回お取りまとめをいただくこの審議まとめ、また、今後中央教育審議会において取りまとめられる予定の答申を踏まえまして、詳細な制度設計あるいは関係者の皆様への周知などを行いながら、施策の実現に取り組んでいきたいと考えておりますが、その際、本日の御議論にもありましたように、実現させるということだけではなくて、どうPDCAサイクルを常に回しながらよりよいものにしていくかという点、また、その際に常に現場とコミュニケーションを取りながら考えていくという視点、こういったことも重視しながら取り組んでいければと考えております。
皆様には今後とも高等学校教育の充実に関しまして、それぞれのお立場から引き続き御指導を賜りますようお願いいたします。
以上、大変簡単ではございますが、私からの御礼の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
これからまとめを踏まえた制度設計が行われることになろうかと思いますが、文部科学省におかれましては、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
途中から入っていただいた4人の委員の先生がいらっしゃって、最初から加わっていただいていました先生と一緒になって、議論をどんどん進めてきていただきました。本当にありがとうございました。
今日出た御意見の中にもありましたけれども、なかなか我々の議論の趣旨が広く伝わっていない面があるということでありますけれども、忘れてならないと思っておりますのは、実は2022年度から、既に一部は先取り実施をしているわけですが、高等学校の学習指導要領が新たな形で展開していくという、これが一番の主軸であります。その学習指導要領の目指すものが、実際に学校の中で一人一人の生徒に対して実効あるものになるということの、まさしく様々な条件整備をしていく必要があるということでの議論が進められたものではないかと私は認識しております。
皆さんと御一緒にこういった議論を進めることができたことを本当にありがたく思っております。改めて感謝申し上げたいと思います。
今日も御意見の中にもありましたが、様々な課題を乗り越えて、生徒を主語にする高校教育が展開していくこと、そしてそれが常に見直されて、よりよいものにさらになっていくことを心から願っております。新学習指導要領の前文には、一人一人の生徒が自分のよさや可能性を認識することができるようにするのが教育課程であるということがうたわれております。本当にそこのところが学習意欲の基にもなるだろうと思いますので、本当に一人一人の生徒が自分のよさや可能性を認識することができるような高等学校での学びが具体化していくことを期待しつつ、今日で会議は終わりですけれども、何度もいろいろな委員がおっしゃったように、これで全て終わるわけではなくて、全てがこれから始まっていくということで、私たちもその実質的な動きをしっかりと見ながら、またそれを支えていければと思っている次第です。本当にありがとうございました。
これをもちまして本日の会議を終了いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――
 

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初等中等教育局参事官(高等学校担当)付

(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)