新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

令和2年6月2日(火曜日)13時00分~16時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた高等学校における対応について
  2. 新しい時代の高等学校教育の在り方について
  3. その他

4.議事録

【荒瀬主査】 皆さん、こんにちは。荒瀬です。よろしくお願いいたします。
定刻を過ぎましたので、まだおそろいでない方もいらっしゃるんですけれども、委員の人数としては成立しておりますので、始めさせていただきます。
ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループの第8回会議を開催いたします。
皆様におかれましては、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
本日は、感染拡大を防止するため、前回同様、ウェブ会議方式にて開催させていただきます。なお、本日は、ユーチューブによる同時配信という形で公開して行いたいと思います。
それでは、本日の配付資料につきまして、酒井参事官補佐から御説明をお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。参事官補佐の酒井でございます。
本日は、前回に引き続きましてウェブ会議方式での開催ということでございます。この場に傍聴者の方はおられませんが、主査から今ございましたとおり、ユーチューブを通じまして同時配信されておりますので、御紹介をさせていただきます。
次いで、まず、本日から御参加いただきます新たな委員を御紹介させていただきたいと思います。
明治大学農学部教授、小田切徳美委員でございます。よろしくお願いいたします。
【小田切委員】 皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。明治大学の小田切でございます。よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございます。
また、本日は跡部委員が御欠席、牧野委員が公務のため、13時30分頃に一時退出されると伺っております。
また、ウェブ会議を円滑に行う観点からお願いしたい事項でございます。御発言に当たりましては、インターネット上でも聞き取りやすいよう、はっきり御発言いただくなどの御配慮を頂きたいこと、御発言の都度、名前をおっしゃっていただくこと、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと、御発言に当たっては、手を挙げるボタンを押していただくこと、御発言の後は、手を下ろすボタンを押していただきたくなどの御配慮を頂けるとありがたく存じます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
本日の配付資料でございますが、議事次第にございますように、資料1-1から資料3、参考資料1から2-2までを御用意し、事前に委員の皆様にメールでお送りしております。また、会議中に説明する際には、画面上に表示をさせていただきたいと思います。
御不明な点や資料の過不足などございましたらお申しつけください。よろしゅうございますでしょうか。
【荒瀬主査】 それでは、議事に入りたいと思います。
本日は3件ありまして、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた高等学校における対応、それから、新しい時代の高等学校教育の在り方の論点整理、途中、今日は3時間ということでありますので、休憩を挟みまして、3つ目といたしまして、新しい時代の高等学校教育の在り方の制度設計、この3つについて御議論を頂きたいというふうに思います。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた対応につきましては、前回ワーキンググループにおきましても御議論を頂きました。この議題につきましては、5月26日、火曜日に行われました特別部会においても御議論を頂いたところです。本日は、高等学校における対応について、さらに御議論をお願いしたいというふうに思っております。
では、まず、酒井参事官補佐から、5月26日の特別部会の議論の紹介と事務局提出資料の説明をお願いしたいと思います。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。事務局でございます。
資料1と資料1-2を使って御説明させていただきます。
まず、資料1を御用意いただけますでしょうか。資料1は、5月26日に特別部会において御議論を頂いた新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた御議論の内容で、高等学校に関わる主な御意見についてまとめたものでございます。
特に、5月26日の特別部会で高等学校に関わる部分につきましては、大きく2点あったかと思ってございます。1点の御議論は、アフターコロナの時代において高等学校教育がどういう在り方を迎えるのかといった御議論でございます。アフターコロナの時代に、学習指導要領改訂において、いろいろな学び、新しい学びが求められている中でどういった教育が求められているのだろうか。アフターコロナを想定した教育の推進に努めることが必要ではないか。また、ソーシャルディスタンスということがなっておりますが、そういったことを踏まえた教育の在り方というのはどういったものがあるだろうか。そういったことの御意見がございました。
もう1点は、オンラインに関することでございます。前回の本ワーキングでも少し御議論になりましたが、やはり今回のコロナにおいて焦点化されておりますのは、オンライン教育についてでございます。いわゆる対面、登校しての教育と共に、オンラインでの学習保障というのはどういったものがあるのだろうか。また、教育のICT化に関して、どういった考え方の下で高校教育は進めていくのだろうか。また、ただパソコンでオンラインだけの授業ではなくて、やはり集団における、対面における授業の必要性とはどういうものなのか。そういった観点から御議論を頂いたところでございます。
そして、最後にこの資料1の4ページ目の一番最後でございますが、オンライン授業というものについて、あらかじめ制度化していくことも中教審において議論できないかというようなところで御議論があったところでございます。
こういった御議論でありますとか、前回の高校ワーキングの御議論も踏まえまして、資料1-2をお願いできますでしょうか。本日の御議論に参考になるかと思いまして、現在、高等学校で行われております遠隔教育の現状について資料をおまとめしておりますので、御紹介をさせていただきたいと思います。
資料1-2、おめくりいただきまして1ページ目でございます。高等学校におきましては、平成27年4月より、全日制・定時制課程におきまして遠隔授業を正規の授業として制度化いたしまして、受信側に当該教科の免許状を持った教員がいなくても、同時双方向型の遠隔授業を行うことができることとしたところでございます。この認められた遠隔授業というのは、このポンチ絵の中の一番右、教科・科目充実型というものでございます。
従前より、合同授業型、教師支援型と呼ばれるものは認められてございました。これはどういうことかと申しますと、いわゆる教室で、受信側に当たりますが、教室で先生方が授業をされておりまして、例えば合同授業型であります。他の学校の生徒さんと、いわゆるクラスとつないで合同で授業を行うこと。教師支援型については、授業を先生が行う際に、他の場所にいらっしゃるALTでありますとか専門家の方とつないで授業を行うこと。
こういったことは従前から認められてきたところでございますが、平成27年に認められた遠隔授業といいますのは、他の場所、そのクラスではなく、他の場所に先生が、当該教科の免許状を保有する教師の方がいらっしゃって、その方が授業を行うと。そして、授業を行っている場には、当該学校の教師はおりますけれども、その免許状の有無は問わないといった制度が制度化されたところでございます。
2ページ目をお願いできればと思いますが、高等学校における教科・科目充実型の遠隔授業を行う際の主な留意事項といたしましては、こういったことを示させていただいております。1つは、同時に授業を受ける生徒数は、原則として40人以下とすること。配信側の先生につきましては、受信側の高校の身分を有し、学校種や教科等に応じた相当の免許状を有すること。受信側においては、原則として教員を配置するべきとすること。学習評価につきましては、配信側の教員が行うべきとすること。そのほか、対面により行う授業を相当の時間数行うこと。これはいわゆる通信制課程でいいますとスクーリングに近いようなものでございます。さらには、この上限の単位数は36単位を上限とすることでございます。
これにつきましては、昨年11月、そして本年4月に相次ぎまして、病気療養中の生徒に対しまして行う場合には要件を緩和いたしまして、例えば受信側には教員を配置することは必ずしも要しないことであります。修得単位数の上限の算定については、36単位という算定は撤廃すること、こういった改正を行ったところでございます。
おめくりいただきまして3ページ目でございます。文科省におきましては、今後、遠隔教育の導入をはじめとしました教育改革の優良事例の普及を図るために、平成30年度、一昨年度と昨年度、31年度の2か年で、遠隔教育のための優良事例の普及のためのモデル事業というものを行ってきたところでございます。
4ページ目をお願いできればと思いますが、1点は、本ワーキンググループでも10月に御紹介いただきました高知県の事例でございます。高知県においては中山間地域に小規模高校がかなり多くあるというところでございますけれども、生徒数が少なく、教員の配置数が限られる中で、大学受験に必要な科目を全て開講することが困難な場合が多い学校があると。そういった課題を解決するために、遠隔教育システムを活用しまして、小規模高校では対応困難な科目の授業や補習を各校に配信するということで、県の教育センターの中に遠隔授業配信センターを設置しまして、遠隔教育担当職員を配置して配信拠点として確立しているというところでございます。
今年度においては、このセンターから中山間高校の小規模校10校に、習熟度別授業でありますとか、大学進学補習等を配信されているというところでございます。
ただ、伺っております課題につきましては、一番下にありますが、対面授業に係ります担当教員の長距離移動でありますとか、理科・英語の実施時間数の負担があるというふうなこともお伺いしております。
もう1点御紹介させていただきます。5ページでございます。北海道の事例でございます。北海道におきましても、小規模校や離島の高等学校ということが大きな課題になっておりまして、同時双方向型の遠隔授業の実施に取り組んでいただいたということでございます。
この結果としましては、必要とされる、いわゆる対面授業というものは、遠隔授業の実施によって代替することができるというふうに結論づけておられますが、一方で、対面授業の実施が遠隔事業をさらに効果的なものにするというような結論になっているということでございます。
最後、6ページでございますが、北海道におかれては、来年度からということで、高知と同様に、北海道高等学校遠隔授業配信センターというものを立ち上げて、遠隔授業の配信を始められるというふうに伺っております。これについては、北海道有朋高校、札幌市にあるというふうに伺っておりますが、ここの中に遠隔授業配信センターを設置されまして、離島でありますとか中山間地域の道立高校に、配信を希望する学校に対しまして遠隔授業をライブ配信されるというようなところで伺っているところでございます。
いろいろ北海道のほうからもお話を伺っておりますが、やはり高知と同様に、北海道のほうも北海道市内と各地域がかなり遠方でございまして、例えば受信側の教員の配置の要件でありますとか、いわゆるスクーリングのような対面授業の回数というところは、なかなか遠隔授業の実施にはネックになっているといった点もお聞きをしているところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見をお願いできればと思いますが、この件につきましては、13時35分頃までをめどと考えておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。御発言をなさいます方は、手を挙げるのボタンを押していただきますようにお願いいたします。
すみません、ちょっと私がもたもたしておりまして。
では、橋本委員、内堀委員、角田委員、佐藤委員、香山委員、鍛治田委員の順番でお願いしたいと思います。先ほど申しましたように、時間が少し短うございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では、橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】 京都府の橋本です。
それでは、手短に申し上げます。今御説明のありました遠隔教育についてであります。この間、本当に新型コロナウイルスの対応を通じて、リモート学習への機運というものが一気に高まってきたのではないかなと感じております。
遠隔教育につきましては、資料で示されましたように、小規模校の持つ様々な課題を克服し、教育の質を高める効果というのはもちろんありますし、また、様々な学校や機関とつながることで学びの世界を広げられるなど、今後の高校教育の魅力向上につながる手だての一つだと考えております。
とりわけ公立高校は多様な学科や多様な課程を持った学校があり、それに応じて様々な専門性を持つ教員もおります。これまでの1つの学校に閉じられていた学びを、遠隔授業による学校間ネットワークを生かして広げることによって、もっと多様な授業の選択が可能になるなど、公立高校の新たな魅力づくりに大いに貢献できるのではないかなというふうに期待をしております。
1つだけ懸念されることがあるんですけれども、それは、先ほどの高知県や北海道で紹介されましたように、センター発の授業ができるとするならば、それぞれの学校に置く教員が減らせるのではないか、そんな人減らし理論につなげられては困るなということであります。もともとこういったところで遠隔授業をされているのは、人が足りないから、人材がいないからされているわけですけれども、そこがちょっと違う方向へ向かっては困るなと思います。その意味では、教科・科目充実型の取組の中で、受信側の教員配置はネックだという面は確かにあるんですけれども、これを取っ払ったときに、人減らしにつながることも同時にちょっと困るなという思いをしております。
いずれにいたしましても、ぜひ、そういった合理化の方向ではなくて、学びの充実等に向けて遠隔教育が積極的に推進されることを大いに期待しております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、内堀委員、お願いいたします。
【内堀委員】 長野県教育委員会の内堀です。お願いします。
今回のこの点に関しては、2つほど申し上げたいと思っています。
1つは、今おっしゃったように、この休業期間においてICTの整備環境はそれぞれ異なっておりますけれども、一つ見えてきたこととしては、学びの可能性が大きくなってきた、様々な可能性が見えてきたということだと思います。例えば、かつて私が勤務していた上田高校でSGHを推進するときに、一つ、地方の高校が不利だなというふうに思ったのは、そばに大学がないとか、大きな研究機関がないということだったんですけれども、そういったものもオンラインで一定程度フォローすることは可能ではないかというようなことがはっきりと実感として見えてきたということがあると思います。
今回の、学校から休業中に様々な課題が生徒に出されたと思うんですけれども、大きく分けて二通りぐらいの課題が出ていたんじゃないかなというふうに思います。1つは、紙ベースの、これをやって自分の力で解いて出しなさい、場合によってはそれを休業明けにテストをやりますみたいな課題。それから一方では、やっぱりこのオンラインをうまく活用したり、あるいはオンラインが活用できない場合であっても、生徒の自主的な学びや探求的な学びが起きるような課題を出していた学校というのに分かれていたと思います。
結局、こういうピンチの状態になっても、それまでに積み上げてきたものをなかなか超えていくことは難しいというふうに考えます。つまり、探求的なことを重視してきた学校は、そういった方向の課題が出せたでしょうし、どちらかというと一方向的な、旧態依然とした授業を積み重ねてきたところは、そういったところが多かったんじゃないかなというふうに思っています。
家庭でのオンライン学習を成立させる要件として、自分なりには3つぐらい条件があるんじゃないかなと思っています。1つは、まず、ICT環境を整備しなきゃいけない。端末だとか、Wi-Fiだとか、アカウントを取得したり、あるいは、自習用のソフトを導入したりというようなことで、それが必要だと。これについては、今、どこのところも注文しているのに機材が届かないというような状況ですので、ぜひ国のほうでも、御尽力もされていると思いますけれども、一刻も早く各学校、各生徒に届くように、ぜひ御尽力を引き続きお願いできたらと思います。
2つ目の条件としては、やはり教師が、ある程度強制的にやらせるというような形の学びではなくて、自立した学習者を育てていくということが大事だろうというふうに思います。そのためには教師主導の講義型の形式の授業から改善していくと。
それから、3つ目としては、それでも家庭にいれば、いろいろな悩みだとかストレスだとかがたまってきますので、あるいは、分からないところが分からないままになってしまうので、学習者の支援とか伴走という、これら3つのことが必要ではないかなというふうに思っています。
今、オンラインとオフラインがベストミックスみたいなこと、あるいはそのハイブリッドみたいなことを言っていて、それぞれの役割を考えていくことは大事なんですけれども、同時に、どちらか一方になった場合のことを想定して、完全な役割分担という発想に加えて、片方になってもできる状態、つまり、家庭学習だけになっても、学校で行っているようなことがどうしたらそれに近いものができるか、あるいは、学校だけになっても、家庭を通じてやっていたことがどうしたらできるかという発想を持っていくことが大事だろうというふうに思っています。
それから、2つ目ですけれども、先ほど酒井さんからも御説明がありましたところの遠隔教育ですけれども、実はこれ、長野県教育委員会も今般の高校改革の実施方針の中に入れて、自前主義から脱却していって、様々な開かれた中での学び、様々な学びを学校に中に入れていく、あるいは外に出ていって学ぶということが大事だと。
特に、学校間、高校間とか、大学と高校間の学びというところを言っていますけれども、今説明があった、様々な形でオンラインを使って新しい授業の形態を模索されている文部科学省の姿勢、柔軟性があって本当にすばらしいなと思うのですが、ただ、現実的にこれを落とし込もうとしたときに、3つほど、どうなのか、あるいは改善してほしいなと思っているところがありまして、1つは、ここの先ほどの説明の中の教科・科目充実型のところで(2)のところ、2ページのところで、配信側が、受信側の高等学校等、「等」に何が含まれるかはあれですけど、身分を有することというふうになっています。これがもし、同じ、例えば長野県教育委員会というようなことでよければ問題ないんですけれども、あるいは、私立と公立でやるといったときには、多分これ、ちょっと難しくなると思いますので、配信側の身分については、ちょっと厳しいかなというか、外していただければありがたいなというふうに思っています。
また、受信側については、前回、長塚委員さんだったと思いますけど、おっしゃっていましたが、例えばこういうような場合、1つの授業をよその学校にもやるというか、よその生徒にもやるというふうに考えたときに、1人、2人、生徒が学校でその授業を受けられるというときに、幾つかの生徒がいたときに、全部そこに教員がついていくというようなことが一つ厳しい状況としてあるというふうに考えますし、また、双方向で単位認定は配信側が認めていますので、そこに教員がついていなくても十分に単位認定が可能だと思いますので、受信側の「原則として教員を配置する」というところも柔軟に考えていただければありがたいと。
もう一つは、表の記載のところにないんですけれども、実際に対面で行う授業を相当の時間数行うというふうに制約が多分あったと思います。つまり、全部オンラインでは原則として駄目だよというような決まりが、誤解でなければあったと思うんですけれども、それも同時かつ双方向的というようなこととか、あるいは、対面により行う授業に相当する教育効果が上がった場合にはという、一定の条件がついていますので、対面がもし、必ずということになってしまうと、例えば北海道の授業を長野県で受けるというようなことはほぼ不可能になりますので、そういったような……。
【荒瀬主査】 内堀先生、すみません、今、最後の3つ目の途中からちょっと聞こえにくくなってしまったんですけれども。
【内堀委員】 すみません。じゃ、もう一回、3つ目のところですね。
【荒瀬主査】 はい。
【内堀委員】 表には書かれていないんですけれども、実際に対面でも一定数の授業をやらなければいけませんよというような決まりがあったように思います。それで、既にこのオンライン授業をやるときに、同時かつ双方向的に行うというようなこととか、あるいは、対面により行う授業に相当する教育効果を有すると認めたときと。つまり、対面でやっているのと同じような効果が上がらなければ、これは意味ないよということが既に条件として課されているので、あえてプラス必ず対面の授業というふうにしてしまうと、距離が離れたところの学校の授業を、違う学校の生徒が受けるということが事実上不可能になってしまうというふうに思いますので、この条件については、御検討いただくというか外していただければ、よりやりやすくなるのかなというふうに思っております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。大変失礼いたしました。
では、角田委員、お願いいたします。
【角田委員】 角田です。
コロナの影響を踏まえた高校教育ということで、今、話題になっている9月入学について、このワーキンググループでも少し話さなければいけないのかなというふうに思っています。
授業が受けられない、受験が心配だという高校3年生のための議論だったはずが、小学校1年生からの物すごい大移動の議論になって、今の高校3年生の入試をどうするのかということはほかでも話し合われていますけれども、絶対に不利にならないように、不安にならないように、迅速に、こうなるんだよということを伝えてあげるということをぜひしていただきたいというふうに強く求めたいと思います。
その上で、入試がやっぱり少し遅れてしまう、入学が遅れてしまうということはもうありだと思うんですね。そして、その上で大学の初年次入学でしっかりやっていっていただくということと、今後については、早く入学したっていいじゃないですかと思っていて、飛び級もありというふうに、もっともっと入学制度を柔軟にして、受験生が本当に制度変更で不安を持たないような形にしていくということが重要だというふうに思っています。
あともう1点は、この遠隔教育についてもそうなんですけれども、生徒が家庭で受けるオンライン学習については認められないのでしょうか。
先日の特別部会で吉田先生が質問されていましたが、大学は単位認定されるわけですよね。今回のような場合、あと、これから何回もあると思うんですけれども、教室でみんなで受けるのではなくて、家庭で受けるオンライン学習についても、早急に、その質が求められると思いますけれども、単位認定の道をきちんと開くべきではないかというふうに思っています。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
いろいろと議論になるものを御提供いただいたと思うんですけれども、後ほどまた委員の皆様から御意見を頂ければと思います。
それでは、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 戸田翔陽高校の佐藤でございます。
私のほうからは、実際、高校で行われていることに基づいて、大きくは3点申し上げたいと思います。
まず1点目は、双方向通信による授業なんですけれども、本校でも5月の連休明けから昨日までに何回か授業をすることができました。主には卒業年次の生徒たちを対象にした、割合少人数のクラスで、国、数、英の授業を中心に行ったんですけれども、私もはたで見ていてすごく感じたのは、生徒たちが非常に伸び伸びと、画面の向こうで積極的に楽しんで教員と授業をつくっている様子が見られたということがすごくうれしいことでした。
本校は、不登校を経験した生徒が大変多くて、大人数の教室に入ると、小さくなってしまって声も出せないような生徒が非常に多いんですけれども、双方向通信でお互いの声は見えない、先生方や発言する人の顔が時々見えるというような状況の中で、非常に積極的に発言をどの子もしていて、何かちょっと環境が変わるとこんなふうに生徒たちは変わるんだなというふうに思いました。うちの生徒たちには非常に合っている部分が双方向通信の授業の中にあったのかなというふうに思っております。
それから、双方向通信授業に関してもう一つ事例を挙げますと、本校には、今年4月に入学してきた生徒の中に、病院に1学期いっぱい入院しなければいけない生徒がいまして、県の入院時学習支援制度というのを利用して、病室と学校をつないで、あるいは学校の非常勤講師が病院に行って、あるいは病室の中に非常勤講師が直接入れない状況でも別の部屋からオンラインを使って授業を受けると、そういうことを4月から始めております。
まず、しょっぱな入学式をオンラインで教室と病室をつないで、コメント、校長の式辞を聞いてもらいました。お互いにクラスメートと画面でつないで、うまくクラスの中にも入れたんじゃないかなというふうに思っています。
学校のほうは今、こんな状況で授業もできていないんですが、病院のほうでは着々と授業が進んでいて、4月にはもう16時間ほど授業をやったということなので、病状が悪化すると授業も受けられないので、できるときにたくさん受けたいということで、一生懸命頑張っているようですけれども、こういった入院中の生徒にもすごくいい支援ができている、そういう制度を活用できているんじゃないかなと思っています。
2つ目は、ユーチューブに動画をアップして、それを生徒に見させるということをこの期間中にやりました。やはり5月のゴールデンウイーク明けの3週間で本校で教員が上げた動画が100本近くということで、本当は休業期間中限定で動画を見てもらおうと思っていたのですが、これはもしかしたらすごく学校の財産になるなということで、休業期間が明けても生徒の予習、復習に使えるということで、さらに一層、先生方はいろいろ工夫して動画を撮ってくれています。
生徒たちは、ユーチューブを開くと、本校の教員が上げた以外にも、他校さんでいろいろな方が今、学習用の動画を上げてくださっているので、いろいろなものを見て勉強したよというふうに報告してくれる生徒もいます。動画の活用がもっと進んだらいいなというふうに思っています。
3点目なんですけれども、そういったことで本校ではグーグルを使って、グーグルスイートというんですか、グーグルクラスメートを使っていろいろな情報の共有をしているんですが、これは教員の働き方改革にも非常に有効で、とにかく今まで必要だと思っていた会議、これがいつもと同じようなことをやるのであれば、もうGメールで共有して済ませましょうとか、会議も、こういうオンラインを使って実施すると余計な発言もしないで、非常にスムーズに進行できる。朝と昼の職員打合せも、あらかじめ資料をグーグルクラスメートに上げておけば、非常に短時間でできるということで、教員の働き方改革、会議の円滑化、こういったものに非常に有効ですので、その分、生徒の学習支援に先生方は時間を使ってくれている、そんな状況が見られますので。
今後は、やはりいろいろな委員さんから出ているように、設備の拡充ですね。特にWi-Fiであるとか、教員用の指導用のパソコン、タブレット、こういったものがますます学校に配備していただけるとありがたいなというふうに思っております。
私からは以上になります。ありがとうございました。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、あと、香山委員と鍛治田委員なんですが、先ほど清水委員が手を挙げていらっしゃったのではないかと思うのですが、清水委員、いかがでしょうか。手を挙げて……。もうよろしいでしょうか。
【清水委員】 もし時間があればと思って。なければ結構でございます。
【荒瀬主査】 分かりました。ありがとうございます。
では、香山委員、鍛治田委員、清水委員までで一旦この議題につきましては切りたいと思います。大変申しわけありませんが、香山委員、鍛治田委員、清水委員におかれましては、可能な限り、短くお話を頂けると幸いです。よろしくお願いいたします。
では、香山委員、お願いいたします。
【香山委員】 私からは、3点。
1点目は、重なる部分もあるのですが、オンラインの授業の効果というのが全国的に認知されているなというふうに思いますので、角田委員、佐藤委員もおっしゃいましたが、できるだけオンラインによる授業が履修要件の中に入ってくると、この遠隔授業の規定でいいますと、病室等における病気療養中の生徒等に対する要件緩和が、コロナにおける要件緩和へとつながっていくように取り計らっていただけないかなというふうに思います。
と言いますのは、岡山県は夏休みを8月8日から16日の九日間というふうに定めたんですけれども、現場からは、オンラインで本当にがんがんやっていけたので、進度も結構行っているという中で、行っていない学校と一律に扱われるのはどうかなと。やはりそれぞれの学校の特色を生かした教育課程をしっかり校長裁量で判断して、夏休みの期間等も、原則とはなっていますけれども、それを各学校で判断できるというところに持っていけたらなというふうに思いました。それがオンラインに関する1点目です。将来的にはオフ・オンラインのハイブリッド型の学校というのが、もう後戻りできないイメージとしてあろうかと思います。
それから、2点目は、角田委員もおっしゃいましたが、入試のことですね。やっぱり入試の範囲が例年と同じだから皆、焦っている。ついつい量をこなさなくちゃいけないというふうに、オンラインでも、オフとなった学校でも、どうしても詰め込みの現象が加速しているという中で、いわゆる浅い学びに終始して、結局、その学びに向かう意欲、そういったものを阻害してしまうというおそれを非常に感じております。
そういう意味では、入試の範囲をせいぜい9月ぐらいのまでの学習範囲にして、その代わり、深い問いを立てて、深い学びを誘うような、そういう方向でやっていっていただけたら、深い学びをした子は必ずいろいろなところに転移していきますから、むしろ、学びの意欲も上がって、進学後も探求的な学びをしていくというふうに思いますので、ぜひ大学、高校、入試の範囲について、いま一度考えていただけたらなというふうに思います。
最後になりましたが、3点目なんですが、実はオンライン授業等を本当にうまくやって、全国のモデルになっているという学校が幾つかあるわけですけれども、共通点としてみんな、小さい学校なんですね。小さい学校というのは、本当に小回りが利いて、進歩的、創造的な取組ができるということは、これはもう世の東西を問わず、デューイの実験学校とか、デボラ・マイヤーのイースト・ハーレムとかの例はたくさんありますので、今回、小さい学校というところを一つ視点として持っておくということも大事かなというふうに感じております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、鍛治田委員、お願いいたします。
【鍛治田委員】 YMCA学院高校の鍛治田です。
遠隔授業についてですけれども、御覧になられた方もいらっしゃると思いますが、5月24日付の朝日新聞のアンケート結果でした。全米の約1,300人の大学生と大学院生の調査で、オンライン授業の質に満足しているかに対して、76%が「いいえ」。1万4,000人を対象とした別の調査でも、67%が「実際の授業ほどの効果はない」と回答しているというふうに書かれていました。今後、このことを進めていく中では、高校生の声、そちら、当事者の声に真摯に耳を傾けて進めていく必要があると思いました。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】 埼玉県の大宮工業高校、清水でございます。どうぞよろしくお願いします。
先ほど佐藤委員からもお話がありましたけれども、同じ意見でございますので、学校の環境整備のことだけ、触れておきたいと思います。
本校でもオンライン関係の授業を推し進めようということで様々取り組んでおりますけれども、事前に生徒のやはり環境についてのアンケートを取らせてもらいました。かなりの割合で、自宅からのインターネットアクセス、様々なPDFだとか、そういったものの確認ができないというようなこともかなり挙がっていたというのも事実であります。そのためにやはり、同じ内容を進めるに当たっても、様々な手段を使って同一内容をしっかりと生徒のほうに伝えるということに配慮してまいりました。
今、やはり大切なことは、このオンライン云々の内容については、非常に重要なことなんですけれども、やはり子供たちが使える環境をいかに整備できるかというところが非常に重要になってくるのではないかなというふうに思います。教員も生徒も手元にそういった環境があれば、使ううちにだんだんと慣れて、どうとでもなっていくんじゃないかなというふうに感じているところであります。
そのため、各地方公共団体では、いろいろ工面をしながら予算を何とか確保しようとしていると思うんですけれども、やはり体力の違う都道府県ということで、なかなか一気に全てが解決できるわけではないのかなというふうに思います。
お金のかけ方にしてもやはり様々な問題がありますので、違うところにお金が使われていたりということもあるかと思いますので、今回、国のほうで1人当たり10万円というような給付も行われたということもありますので、生徒に対しても、そういった環境整備のための予算を組んでいただくだとかしていただけると非常にありがたいなというふうに考えています。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
いろいろと御意見をお聞きになって、また、それに対するお考えを述べようと思っていらっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、この件、後ほど、最後の時間の関係でその場で御意見がありましたらまたお聞きするといたしまして、次の議題に移りたいと思います。
冒頭申しましたように、新しい時代の高等学校教育の在り方に関する論点整理であります。中央教育審議会への諮問事項に対して、前回ワーキンググループまでは、それぞれの論点について御議論を頂いておりました。今後、このワーキンググループでの審議状況を新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会に報告することとなりますので、本日と次回の会議2回にわたりまして、これまでの議論を事務局がまとめてくださった資料を基にして、全体を通して御議論を頂きたいと思います。
まず、では、酒井参事官補佐から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
香山委員と鍛治田委員は大変恐れ入りますが、手を挙げるボタンを下ろすのほうにお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。事務局の酒井でございます。
資料2を御用意いただけますでしょうか。この資料2でございますが、今、主査のほうから御紹介がありましたが、本ワーキンググループの議論につきまして、今後、新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会に報告していく必要がございます。今後、本日の議論をキックオフに、特別部会への御議論に資するための論点整理ということで御議論を賜りたいというふうに考えております。まず、本日はそのイメージということで資料を作成させていただきましたので、御確認を頂きたいと思っております。
まず1ページ目でございます。この論点整理の構成でございますが、1番が高校を取り巻く現状と課題認識。2番は、今般のコロナの感染拡大を通じて再認識されました高校の役割であります。3点目は、将来の社会像や地域像を見据えた各高等学校の役割の再定義、4点目は、学科・課程の特質に応じた教育実践の充実強化という4本の柱を提示させていただいてございます。
まず1点目は、高校教育を取り巻く現状と課題認識でございます。1ページの後半からでございます。まず、高等学校でございますけれども、既に進学率が約99%に達しているということで、高等学校には多様な入学動機や進路希望、学習歴を持つ生徒が在籍している現状があるということで、在籍する生徒の多様な実情やニーズに応じて各高校において求められる役割を踏まえた検討が必要だというようなところを記させていただいております。
おめくりいただきまして2ページ目でございます。2ページ目の中ほどでございます。特に普通科においては、多くの生徒がいわゆる文系・理系に分かれていて、2年次以降、特定の教科について十分に学習しない傾向があるとの指摘もあるといったところでございます。
専門学科、総合学科も含めて、大学への入学でありますとか、就職等の高等学校の「出口」のみを目標とした学習ではなく、卒業後の進路において学びを深めたり、実社会で様々な課題に接したりする際に必要となる力を身につけるための学習ということが、高等学校3年間で行われなければならないのではないかというような点を記させていただいてございます。
3ページでございますが、3ページは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を通じて再認識された高等学校の役割・在り方でございます。
3ページの2つ目の丸でございますけれども、我が国の学校教育におきましては3月以降、臨時休業措置が取られたということで、地域によっては約3か月の長期にわたって生徒が学校に通えない状況になっているということでございます。このことは、高等学校においては従前より、授業はもとより、例えば地域社会を題材といたしましたフィールドワークであります。海外研修を通じたグローバル人材の育成でありますとか、実習、実験、実技など、各学校の教育活動に応じた様々な活動が展開されてきたところでございます。そして、今回のコロナの状況というのは、こういった高等学校教育における教育活動、あらゆる教育活動全般に影響を及ぼしております。
こういったことで、我々がお聞きしておりますのは、地域社会を題材としたフィールドワークというのが一旦中断してしまっているとか、予定していた海外研修ができなくなった。また、実験、実習、実技なども止まってしまっているという様々なお声を聞いていて、やはり今年度の教育活動というのは非常に大きな影響が出ているという点もお聞きをしているところでございます。
3ページ、3つ目の丸でございます。一方で、高等学校が持つ様々な機能の重要性が認識されたと共に、情報技術を背景としたICTの活用、今御議論を頂いている点でございますが、こういったところが非常に多く垣間見えてきたというのもまた事実であろうというふうに考えております。
オンライン会議システムを駆使した取組が進められてきたというところでございます。今、各委員からも御紹介がありましたように、様々な、クラウドを用いた学校教育活動、生徒とその往復にあって、御家庭においてもそういった学習ができているという学校もあるというところです。ただ一方で、前例のない事態を前にして、全ての学校で十分な取組が行われたというと、またそうとも言えない状況があるということでございます。第二波、第三波が到来する可能性にも備えて、ICTを活用した学びを十分に保障する環境というものがまた必要であろうというふうに考えております。
次の丸でございます。4ページ目の1つ目の丸でございますけれども、オンラインで教師と生徒がつながったり、家庭でタブレットを用いた自学自習をするというような学習方法が注目される一方で、やはり教師から生徒への対面指導でありますとか、生徒同士の関わり合いを通じた学校教育の特質、これが失われることはないだろうというふうに考えております。
今御議論にもありましたが、対面指導かICTかの二元論ではなくて、教室における対面指導が効果的なものであったり、地域社会での学びが効果的なものであったり、また、あるいはICTを活用した学習が効果的なものを見極めて、その最適な組合せ、こういったことを模索していく必要があるのではないかということで記させていただいているところでございます。
4ページ目の3ポツでございますが、そういった御議論も踏まえまして、将来の社会像・地域像を見据えた各高等学校の役割の再定義でございます。ここ以降もこれまでの御議論をまとめたものでございます。20年後・30年後の社会を見据えたときに、我が国の高等学校全体としてどういった役割が求められているのか、そして、将来の社会と高等学校の関係性を検討していくということが重要であろうというふうに記させていただいております。
次の丸でございます。特に域内の高校の在り方を検討する上では、当該地域の人口動態であったり、経済・産業の構造であったり、文化的・地理的要因の特色、これを捉えていかないといけないのであろうというふうに考えております。例えば、三大都市圏であったり、地方の中心都市などのある程度の人口が集積している地域において、やはりこういった地域には多数の高校が通学可能な範囲にあるということで、こういった地域にある高校の在り方というのはどういうことなのか。
また、次の5ページでございます。5ページの次の丸でございますが、一方、中山間地域や離島などと書かせていただいております。こういった地域における高等学校においては、生徒が自宅から通学可能な唯一の高等学校として、多様なニーズに応えるための役割が期待されるというふうに書いておりますが、こういった小規模高校における教育の在り方とはどういうことかということを記させていただいております。
そして、この資料の中では、それぞれ都市圏であったり、地域圏であったりも「自前主義」という言葉、先ほど御議論の中にもございましたが、「自前主義」からの脱却というものをこの中にも記させていただいております。例えば都市部の学校においても、学校間のネットワークの構築というのを記させていただいております。また、小規模校においても、小規模校単独ではなし得ない教育実践を様々な教育資源、他校等の教育資源、地域等の教育資源を活用することで様々な教育活動が可能になるのではないかというところで、そういった取組を可能とする制度的・財政的な取組が必要ではないかというふうに記させていただいております。
また、次の丸でございます。20年後・30年後の地域を考えた際に、特に公立高校においてでございますけれども、域内の公立高校の配置、規模の適正化の観点、こういったことも必要になってこようかと思います。地域における高校教育の在り方に関する検討を行うことが必要であろうと考えております。その際には、総合教育会議の議題とすることで、首長部局とも連携した地方公共団体の総合的な方針として考えていく必要があるであろうというふうに記させていただいてございます。
5ページの下のほう、(2)でございますが、スクール・ミッションの再定義とミッションに基づく学科の新設・再編というところでございます。
おめくりいただきまして6ページをお願いできればと思います。6ページの上からでございますが、やはり20年後・30年後の社会像・地域像を見据えて、各学校の存在意義や各学校に期待されている社会的役割をスクール・ミッションとして再定義することが必要であろうということでございます。
次ですが、高等学校においては、スクール・ミッションの定義に当たっては、単一の役割ではなくて、複数の役割が期待されている学校もあるというふうに、これまでの御議論ではあったというふうに認識しております。また、上述のとおりでございますが、中山間地域、離島などに立地する高校においては、地域唯一の高校として、多くの役割を担っているというところでございます。
次、特に公立高校でございますが、高校が地域振興の核としての機能も有するという意識を持ちながら、地方自治体をはじめとします地域社会の関係機関と意見交換を行って、域内の高校の配置、規模の適正化の在り方を検討していく必要があるであろうというふうに考えてございます。
次、(3)でございます。スクール・ポリシーの策定及びポリシーに基づく教育実践でございます。こういったスクール・ミッションでございますが、これを絵に描いた餅というふうにしないように、各学校において育成すべき資質・能力を明確化・具体化し、実際の教育改善に結実させていくことが不可欠であろうというところで、アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、グラデュエーション・ポリシーという3つのポリシー、これをスクール・ポリシーと総称いたしますが、これを策定し、整合性のある3年間の教育活動の指針とする必要があるのではないかというところでございます。
そして、このポリシーの策定に当たっては、必要に応じて在籍する生徒や保護者、地域住民等の意見も聞きながら検討を進めることが必要であろうということでございます。とりわけ、公立の高校におきましては、学校運営協議会の場で協議を行っていく、そういったことも考えられるのではないかというふうに思います。
高校の入り口から出口までの教育活動を一貫した方針で実施する際には、管理職を中心としましたカリキュラム・マネジメント、これも必要であろうというところでございます。校内の組織編制の改善でありますとか、学校組織の活性化のための教職員体制の構築が必要であろうというふうに記させていただいているところでございます。
さらには、校長の任期についても記させていただいているところでございます。
なお、スクール・ポリシーの具体的な議論につきましては、後ほど本日の後半のところで、より具体化するための論点として、事務局からさらにお出しをさせていただいているところでございます。
次、(4)地域社会や高等教育機関等の関係機関との協働でございます。各学校が掲げるスクール・ミッションや実情に基づいて教育実践を展開する方策としましては、地域社会や高等教育機関、企業等との関係機関との協働が求められるというようなところでございます。
そして、そのスクール・ミッションや実情に応じた協働体制として、以下のような取組が考えられるというところでございまして、具体的な事例として記させていただいてございます。
次、9ページをお願いできればと思います。4ポツでございますが、学科・課程の特質に応じた教育実践の充実強化というところでございます。各学科・課程の特質に応じた取組として御紹介させていただきます。
まず、(1)のマル1、普通科でございます。2つ目の丸ですが、普通科は、ともすれば「普通」という名称から一斉的・一律的・画一的な学びの印象を持たれやすいのですが、生徒や地域の実情に応じた特色化は普通科においても当然に求められるというところでございます。各学校の設置者が参照可能なスクール・ミッションの例を示すということも求められるというところですが、例えばといたしまして、以下の8点のような役割を例示させていただいているところでございます。
また、9ページの最後ですが、現行法令上、「普通教育を主とする学科」につきましては、普通科として一くくりに議論するのではなく、学科の種類の弾力的・大綱的な措置を取ることも考えられるのではないかというふうに書かせていただいております。この点につきましても、本日の後半につきまして具体的な論点の中で御議論、御検討を賜ればと考えております。
マル2番、専門学科でございます。職業教育を主とする学科を置く高校、専門高校においても、スクール・ミッション、スクール・ポリシーの策定とそれに基づく教育の実践というのはとても重要なことでございます。
専門高校において、地域を支える最先端の職業人育成を担っていくためには、加速度的な変化の最前線にあります地域の産業界で直接的に学ぶことができるように、産業界と高校と一体となった、社会に開かれた教育課程の推進が必要であろうというふうに書かせていただいてございます。
そのために、具体的には、産業界と連携した、教育課程の開発・実践が考えられるのではないかというところと、次の丸でございます。これまでスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール等の委託研究に取り組んだ専門高校がございますので、そういった高校においては、ロールモデルとしての取組の進化が期待されます。また、他の高校においては、こういった学校との連携が考えられることや、やはり地域の産業界、地元市町村と一体となった取組、これが考えられるのではないかというところでございます。
さらには、下の丸でございますが、最先端の職業教育を行うためといたしまして、施設・設備のアップデートを絶えず図る必要があるであろうと。その充実のためには、教育委員会等の学校の設置者による計画的な整備や、それを支える国や地方公共団体の財政的措置の充実が必要であろうというところで記させていただいているところでございます。
次、おめくりいただきまして11ページでございます。引き続き、専門高校でございますが、地域の産業界を支える実践的な職業教育を中核としつつも、専門高校においても高等教育機関等と連携した先取り履修等の取組の推進が考えられることであります。次の丸でございますが、専門高校の教育の実態が必ずしも十分に理解されていないという指摘があります。そういった学びの実態につきまして発信の強化が望ましいということを記させていただいています。
さらには、専門学科におきましては、理数、体育、音楽、美術、外国語、国際などの、その他の専門教育を施す学科というのがございますけれども、こういった学科におきましても、スクール・ミッション、ポリシーに基づく教育を行っていくことが必要であろうというところでございます。
11ページのマル3、総合学科でございますけれども、総合学科についても、その充実強化というのが必要であろうということでございます。
次の12ページでございます。12ページの1つ目の丸、地方の高校においては、生徒が自宅から通学可能な唯一の高校として、生徒の多様なニーズに応えるための役割も期待されるところでございますので、多様な科目開設が可能な総合学科としての展開も考えられるのではないかということ。
そして、この多様な開設科目のこの特徴を生かすためには、総合学科の原則履修科目となっている「産業社会と人間」を核とした、他の教科とのつながりであります。2年次以降の学びとの接続を意識した教育課程の編成、こういったことが必要ではないか。そして、3年間の授業を系統的に実施する、そういったことが必要ではないかというふうに記させていただいております。
12ページ、最後、(2)定時制・通信制課程での多様な学習ニーズに応じた取組の推進方策でございます。
13ページをお開きいただければと思います。13ページの上から2つ目の丸、こうした状況を踏まえればというところでございますけれども、定時制・通信制課程においても、今後とも生徒一人一人の学習ニーズに応じた教育活動、このことをより一層推進していくことが期待されるものであるということで、スクールカウンセラーでありますとか、スクールソーシャルワーカー等の専門スタッフの充実でありますとか、大学、専門学校等の高等教育機関や企業、ハローワーク等との連携促進、学び直しなど補習の支援などが考えられるのではないか、そういったことを行うための職員の配置促進が必要ではないかというふうに記させていただいているところでございます。
さらにはということでございますが、定時制・通信制課程においても、いわゆる高等学校ということで初等中等教育最後の教育機関でございます。各学校の特色に応じて、生徒一人一人の学習ニーズを踏まえた、学校教育活動のPDCAサイクルの確立、これが必要ではないかというところでございます。
最後、おめくりいただきまして14ページでございます。高等学校通信教育の質保証方策でございます。通信制高校でございますが、通信制高校につきましては、やはり関係法令の当然の遵守が必要であろうというところで、定められておりますガイドラインをしっかりと踏まえた学校運営や教育活動の実施、これが必要であろうということでございます。
今、不適切な解釈が生じることのないような、改善を図るべき事項を具体的かつ明示的に示すためには、ガイドラインのさらなる改訂等を行うことが求められているのではないかというようなところでございます。
さらには、学校運営、教育活動のさらなる適正化を図る観点から、外部の専門家を中心とした評価者による第三者評価の活用を促進することも考えられるのではないかというふうに考えております。
この点につきましては、前回の会議で認証評価という記載をすべきではないかという御意見もございましたけれども、今、事務局のほうで御提案している案につきましては、認証評価というのは入っておりませんが、その趣旨としましては、大学でいう認証評価というのは、いわゆる大学のピア・レビューの精神の下で行われているもの、いわゆる学問の自由から導き出される大学の自治が背景にあるということで、初等中等教育における評価とは若干違うのではないかというところで、認証評価という言葉ではなく、第三者評価という言葉で今、事務局からは御提案させていただいているところでございます。
次の丸でございます。サテライト施設で行われる教育活動でございますが、やはり、いまだに高校通信教育を担うに適当と考えられる教育環境が確保されるか疑わしいものもあるというところでございまして、15ページ以降に、そういったサテライト施設における基準の在り方、これをさらに議論していくべきではないかということを記させていただいております。
なお、通信制教育の質保証の方策につきましては、今月中に通信制の有識者会議を開催いたしまして具体的に御検討いただきたいというふうに考えております。この記載内容につきましても、次回の通信制有識者会議の議論を踏まえた内容をさらにアップデートいたしまして、次回の高校ワーキングの中で御紹介させていただきたいというふうに考えております。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの御説明につきまして御質問や御意見をお受けしたいと思います。
ただ、非常に多岐にわたりますので、今、御紹介いただきました資料2の1番から4番までありますけれども、まず初めに1番と2番、次に3番、そして最後に4番というふうに区切って御意見、御質問を頂戴したいと思います。
これはまさに、このワーキンググループのタイトルにもなっております「新しい時代の高等学校教育の在り方」ということなんですが、新しい時代というのをどう想定するのかということが非常に重要で、我々の親部会に当たる特別部会のほうでは、こういったことが実現しているということを想定した論点整理が既に出ておりまして、委員の皆さんも御覧いただいているかと思いますが、ここでは、先ほど御説明いただいた4ページの3のところぐらいから、将来の社会像とか地域像を見据えた各高等学校の役割の再定義という項目で説明がなされています。
その際、高等学校教育の在り方ということでありますが、この中で、単純な言い方をしますと抜けているものが幾つかあります。例えば、生徒に対する視点であるとか、教員に対する視点であるとか、そういったことは取り上げられておりません。我々はここで何をするべきかということなんでしょうが、具体的に教育内容に関することは教育課程部会のほうで今、議論が進められておりますし、教員に関しては教員養成部会でありますとか、あるいは特別部会の全体の議論の中で行っていくことになるのではないかというふうに考えております。いろいろと生徒個々の、それこそ障害のある生徒であるとか、貧困であるとか、LGBTであるとか、あるいは今は虐待を受けた子供たちというのもたくさんいるということが言われておりまして、そういったようなことについては、ここでは特に触れておりませんが、そういった状況を踏まえて高等学校の在り方をどのようにしていくのがよいのかということの議論でありますので、その点での御意見をよろしくお願いしたいと思います。
では、また、先ほど申しましたように3つに区切ってお話をしていただきたいと思うんですけれども、大体20分程度ずつということでお願いできればと思っております。
では、まず、この資料の1番と2番に関しまして御意見、御質問のおありの方、手を挙げるボタンをお願いいたします。
それでは、末冨委員、お願いいたします。
【末冨委員】 日本大学の末冨です。
今の荒瀬先生もおっしゃいましたけれども、生徒への視点というものがかなり大事かなと思っています。OECDのラーニング・フレームワークがあったと思うのですが、2030年のゴールは、インディビジュアル・アンド・ソーシャル・ウエルビーイングだったと思うんですよね。ウエルビーイングという言葉をゴールにされながらの学びの変革であったものが、どうも、言い方は悪いですが、文科省の行政の中では置き去りにされがちであったんじゃないかと思っています。なので、ウエルビーイングの議論というのを、視点も入れていただきたいなと思います。
特に、学習意欲に焦点を置かれがちなんですが、学ぶ意欲のベースには、自分が安心していられる学校であり、教室であるか、安心して接してくれる教員がいるかといったことがポイントになってきていて、特に高校段階は、ともすれば、今の多くの高校で起きていることはそうですけれども、やはり受験に向けて授業を消化するみたいなところに学校全体の意識が向きがちであるというところも少なくないはずなんですよね。もちろん変わっている学校も多いですけれども。
そのときに、例えば内閣府の子供の貧困対策でも、子供のウエルビーイングということを意識しながら、学校がケアの機能を持つということもかなり強調されながら議論を進めるわけですけれども、生徒の学習意欲の低下のもっと根本にある、高校の組織体制ですとか、教職員の思考様式の在り方を変えていくためにも、学習者ベースであるというのは生徒のウエルビーイングを重んじることでもあるといった視点を入れていただけるといいのかなというふうに思います。
取りあえず、以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、山口委員、お願いいたします。
【山口委員】 よろしくお願いいたします。上溝高校、山口でございます。
今回のコロナの状況をこの2か月、3か月過ごす中で、今、荒瀬主査のほうで最初にお話がありました、実は高等学校というのは、事によると、今の学習保障というのももちろん大前提なのですが、今回、これだけ生徒が学校に来られない中で不安になっている。何で不安になっているのかなと確認しますと、やはり学校での学校行事であるとか、部活動であるとか、高等学校が実は当たり前のように担ってきた役割というのをもう一度整理していく必要があるのではないかと非常に感じております。
この後、さっきの1のところにございましたように、今後二、三十年の間に一層の少子化が進んでまいります。そのときにある高等学校教育というのが、ただ学習の面だけを言語化して、文字化して捉えていくという時代ではもうないのかなと。もっと社会との関わりを養成していく最終段階の一歩前のところで、高校生に何を提供すべきものなのか。あと、公立学校というのは、実はもうちょっといろいろな役割が明確に今回あるなというのを非常に感じましたので、そこをもう少し文言としてしっかり入れていって、そこの養成であるとか、その面が非常に必要ではないかと思いました。
そして、このICTの利用に関しては、確かに非常に便利なのですが、先ほどのところにございました、2番の真ん中の辺りですね。二元的な議論に陥っては駄目だなと。対面指導かICTかじゃなくて、まさに両方の複合なんですね。生徒にとって、やはり先生は必要ですし、実は先生にとって、教員にとっても生徒はとても必要だというのを今回非常に感じました。両者にとって、やはり両方の組合せが必要だということを非常に感じましたので、今回のコロナのこの時期のことをもう一度整理して、20年後・30年後のものにしていきたいというふうに感じております。
以上でございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、鍛治田委員、お願いいたします。
【鍛治田委員】 前回もどなたかが言われたと思うんですけれども、学校教育が何を目指してやっているかというところの原点に戻るというところが私も非常に大事かと思っています。
今から議論することでも、資料の4ページでも「社会を生き抜くための力を」とありますけれども、生き抜かなければいけないということを考えると、高校生たちを随分追い詰めているのではないかというように思ったりしています。もう少しゆったりと人生を生きられるように、何か大事な価値を見つける高校生活になるためにはどうしたらいいかというふうに思います。将来的に一人一人が社会の一員になり、支え合う環境を構築できるような人になってほしいと思っているので、そのことがやっぱり高校で実現していくという、社会的排除が学校で起こらないような形で進めるような議論ができたらと思います。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、角田委員、その後、岩本委員、お願いいたします。
【角田委員】 角田です。
2番のところになると思うんですけれども、この中にキャリア教育という言葉が入っていないのをとても悲しく思っていまして、高校卒業段階では多分、本当に初めての進路選択をするときだと思うんですね。そのために、その先の社会に生きていく力をつける、そして、社会をよくしていく一員として生きていくという教育がキャリア教育だと思っていまして、本当は全ての上位概念じゃないかなというぐらい思っていまして、その機能、高校段階で一番重要だと思うんですね。それを盛り込んでいただけたらというふうに思っています。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、学校教育はキャリア教育が非常に重要だと思いますので、その視点というのは、もちろん入っているんですけれども、明快に出す必要があるということですね。ありがとうございました。
では、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 そうしたら、ちょっと事務局の方、画面共有できるように1回切っていただいてもよろしいでしょうか。
【荒瀬主査】 岩本委員、すみません、1番、2番のことになりますでしょうか。岩本委員御提出の資料のことでしょうか。
【岩本委員】 いやいや、違います。
【荒瀬主査】 すみません。どうぞ。
【岩本委員】 先ほどあったコロナ禍で見えてきた高校教育の役割というところで、今、画面って共有されているのでしょうか。
前回この場で共有させていただいた、資料の中で書かせていただいていた健やかな学びというところで、当然、学習による学力というところ、大切なんですけど、先ほど委員の方からも言われていました、やっぱりその土台にある部分ですね。この社会的機能、つながりの機能だとか、福祉的な心のケアだとか、健康という、この土台も併せて育んでいくという、そういった視点をやはり明確に述べて、やっぱりその中にキャリア教育は当然入っていますし、あと、オンラインの話とか、そのベストミックスの話があるわけですけれども、それも、例えばですけれども、この中でいうとどの部分に関してどういうふうなベストミックスなのかと。
例えば授業を一つ取っても、実習、実技から講義、演習まで様々、授業の中にも要素があると。オンラインだとかAIドリルとかでできる部分って、例えば演習なんかはAIドリルが使える部分かもしれないですし、講義は様々な、遠隔でも非常にやりやすい部分があるとか、ただ、じゃ、実技はどうなのかとかというところで、十把一からげに授業はもうICTでいいんだとかではなく、どの部分に関してはどういう使い方が効果的なのかとか、そういったところをやっぱりしっかりと議論していくためにも、ちょっとこういった高校がこれからも担っていくものって何なのかというのをはっきりと示して、その上でこれからの時代、Society5.0とかそういった時代において、やはり社会の創り手であり、そして自分自身が幸せに生きていく、「幸福な人生の創り手」と言っていますが、ここでの幸福って、まさに先ほど言われたウエルビーイングとか、そういったものを包摂したところを目指していくんだという、やっぱり理念を打ち出すというところが大事なのではないかというふうに考えております。
ということで以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
大変失礼いたしました。ちょっと先走りました。申し訳ありません。
では、田村委員、お願いいたします。
【田村委員】 すみません、田村でございます。
そもそもの高校教育の目的のところに、18歳で成人になるということについて少し盛り込んでいただいたらどうかというふうに思います。キャリア教育、先ほどの角田委員のキャリア教育というところにも関わると思うんですけれども、成人になっていくというところからの意味合い、意味づけというものも入れていただいたらどうかと思います。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、香山委員、お願いいたします。
【香山委員】 今、キャリア教育の話が出ましたが、私、先ほど小さい学校、小さな学校という話をしたんですけれども、主権者教育という観点も非常に大事な観点だろうなというふうに思っていまして、小さな学校であるならば、声が届きやすいということがあって、民主主義社会における一人一人の責任というものが、本当によく分かる学校ができるんじゃないかなというふうに感じております。そういう意味では、いろいろな学校が、いろいろな特色のある学校が全国にできたらいいなというふうなイメージを持っております。
もう1点、スクール・ポリシーのところについてお話しさせていただいてもよろしいですか。スクール・ポリシーのところなんですが、私は、AP、CP、GPの中でカリキュラム・ポリシー、それからグラデュエーション・ポリシーのところが非常に重要だというふうに思っていまして……。
【荒瀬主査】 香山先生、申し訳ありません。スクール・ポリシー、スクール・ミッションにつきましては、後ほどの議論の中でお願いできればと思います。
【香山委員】 ごめんなさい。では、後ほど。
【荒瀬主査】 先生、小さな学校というのを先ほどもおっしゃいましたけれども、これは、小さな学校ということでマイナスイメージに捉えられることが多いかもしれないけど、実はこういったいい面もありますよという御紹介と認識してよろしいでしょうか。
【香山委員】 はい、そのとおりです。
【荒瀬主査】 学校規模を小さくしろというお話ではないですね。
【香山委員】 はい。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。
では、今、手を挙げていらっしゃる方がいらっしゃいませんので。岩本委員は下げていただきますようにお願いします。
次の話題に入りたいと思います。次は論点整理イメージの3番のところです。ここのところでスクール・ミッション、スクール・ポリシーが出てまいりますので、まず、香山委員からお願いしたいと思います。どうぞ。
【香山委員】 失礼いたします。
CP、GPがとても大事だというふうに思っていまして、先ほどオンライン授業がどんどん膨らんでいくと、人減らし、あるいは合理化に進むんじゃないかという橋本委員の危惧のお話もありました。私も同じように危惧しているのですが、それは例えばコンピューターによるテストであるとか、どんどん進んでいくだろうと思うんですけれども、学習評価の中で、やはり対面による評価というのはとても重要ですし、例えばレポート、それからプレゼンといった評価は、何度も何度もやり取りして、突き返しながらバージョンアップさせていくといったような、本当に手のかかる評価だろうと思うんですね。
そういう意味では、むしろ、コンピューターでできる評価は簡略化して、もっと一人一人の能力を引き出すようなパフォーマンス評価と言われている評価であるとか、そういったものに時間を割いていくような、そういう方向でスクール・ポリシーというものが実現していくならば、本当に誰一人取り残さない学校づくりができるんじゃないかというふうなイメージを持っているんですね。
そういう意味では、スクール・ポリシーのところにもう少し、読んで、なるほど、新しい学校づくりだなというふうに実感できるような記述が欲しいなというふうに感じた次第です。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、小田切委員、お願いいたします。
【小田切委員】 よろしくお願いいたします。
先ほど御挨拶させていただきましたように、私、明治大学で地域再生論を研究しております。その関係で文部科学省でも、高校と地域をつなぐ人材の在り方、今日の資料3の中でもまた御紹介いただいているのですが、その研究の座長もやらせていただきました。地域問題が専門ですので、むしろ、高校を取り巻く状況についていろいろ発言させていただきたいと思います。
簡潔に3点申し上げてみたいと思います。1つは、7ページ、8ページに、地域社会や関係機関との協働ということで、コンソーシアムやコーディネーターの重要性が提起されていること、これは大変前向きですばらしいことだろうというふうに思います。
ただ、注意しなくてはいけないのは、地方創生の中で、ある種のコーディネーターバブル、あるいはコンソーシアムとか、場合によったら中間支援組織とか、コーディネーターというのがある種のバズワードになり始めております。それさえ言っておけば、何か新しいことを言っているようなイメージが付きまとっておりまして、そういう意味では、このコンソーシアム、コーディネーターというのは、具体的な中身を伴って語ることが重要で、恐らくそれが次の3番目の議題などに反映してくるんだろうというふうに思います。繰り返しになりますが、ただコンソーシアムを言えばいいという問題ではないということを改めて申し上げてみたいと思います。
それから、7ページに、自前主義の話が出ておりました。これは私、門外漢ですので、読ませていただいて、やや驚いたのですが、私たちが自前主義を使うとき、そうネガティブに使うことはあまり多くないんですね。というのは、自前で考える、言わばそこに内発性があるということですので、恐らく、ここで「自前主義」の脱却という意味でおっしゃっているのは、書いてあるのは、そこに閉鎖性が伴うということだろうと思います。
つまり、内発性と閉鎖性からの脱却をどのように立脚するのか、同時に追求するのかというのが課題で、例えばヨーロッパの農村開発では、そういった開発方式をネオ内発的発展なんていうふうに言われております。
ただ、問題は、そのネオ内発的発展を目指すにしても、なぜ閉鎖的なのかということについての分析をどこかに加えていただきたいなというふうに思います。そうでなければ、言わばスクール・ミッションを、あるいはスクール・ポリシーを定めることによって、この閉鎖性を開放性に、つまりネオ内発的発展につなげることができるんだと、そういう発想なのか、むしろ、制度をきちんと提案して、そこに財政をつくることによって初めて突破するのかと。つまり、今までの隘路はどこなのかということがきちんと分析される必要があろうかというふうに思います。
特に地域を歩いている研究者としては、より高校魅力化の都道府県格差が非常に大きいというのが気になっております。その点も含めた分析が、あるいは今までされているのかもしれません、あればいいなというふうに思います。
それで最後、3点ですが、5ページに配置や規模の適正化が出ております。もちろんかなり慎重に抑制的に書いてあることを承知しておりますが、先ほど香山先生が小規模校の革新性という問題提起をされました。私も、農山村を中心に歩くと、そのことを実感します。
あるいは、最近では田園回帰というふうに我々は呼んでおりますが、都会から農村部への人口の移動、これは大変興味深いことに東京一極集中傾向と併存しております。そして、恐らくポストコロナ社会になると低密度に対する価値が高まる、そんなふうに思って、この田園回帰もまた加速化する可能性があって、そうであれば、配置、適正化の議論は今、早急にするべきではないというふうに私は個人的に考えております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、内堀委員、お願いいたします。
【内堀委員】 長野県教育委員会の内堀です。お願いします。
この20・30年後というようなことで、新しい時代を見据えてということで、新しい時代を見据えてといったときに、新しいこういう時代になるので、という発想もあると思うんですけれども、どのような時代がやってきたとしても、という発想もあると思うんですね。これからの時代は特に変化が激しいとか、正解がないとか、予想困難とか言われているわけですから、どんな時代がやってきても対応できる、あるいはどんな時代がやってきても新しい価値を見いだせるとか、そういう存在としての学校を考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
そういう意味では、柔軟性が必要、要するに柔軟に対応できる。つまり、社会がこう変わった。それに対して、例えば学習指導要領を改訂して5年たちました、7年たちました、また社会は変わっていますというような考え方ではなくて、できるだけ様々なものを、今度であれば、コロナが出ました、どういうふうに対応できますかというようなことを想定して考えておくのが未来の高等学校であろうというふうに思います。その意味では、先ほど言いましたように柔軟性、つまり、その場で対応できるような柔軟性を持った仕組み、体制、制度を考えてつくっておくことが必要だろうというふうに考えます。
1つは、当然、社会が変化していく、時代が変化していくので、社会、時代といつもつながっている、最先端のものを学べる、いろいろな人と交流ができて、いろいろな人の考え方を高校生が感じたり、学んだりできるという、社会とつながっておくということも大事でしょうし、それから、これまでのようにどちらかというと画一的な人間を育てていくシステムではなくて、一人一人が持っている素質だとか、あるいは個性だとか、特徴に応じて、その子供たち、高校生の力を最大限伸ばしていけるような、一人一人を大事にして、生徒一人一人から立ち上がってくる、一人一人を起点にした学びができるというようなことが大事だと思うんですね。
そういったことを考えていくと、具体的に言うと、ちょっと先ほど荒瀬先生から御注意をされたところにも多少踏み込みますが、例えばですけど、学習指導要領は当然、柔軟化しておくべきだと思います。例えば、必履修科目をもうちょっと枠を減らしておくとか、単位を認定する、1単位当たりに履修する時間を減らしておく、もしくは、履修する時間としていろいろなものがカウントできるようにしておくだとか。
あるいは、高等学校は、前回もちょっと話題になりましたけれども、そもそも一定の履修に基づく修得主義を取っているわけですよね。ところが、学年制というのを併用している学校がほとんどです。単位制ではない。もう単位制の仕組みはできているのに学年制、その矛盾がないかということですよね。だから、履修主義というのを持っていけば、学年である必要はないというふうに私は思っています。ですので、そういったものをもっとちゃんと広げていくとか、あるいは、閉じられたものではなくて、先ほど言った学校外の学習みたいなものをもっと単位認定できるような仕組みをつくっていくとかいうようなことですね。
それから、教員の資質というか免許みたいなものに関していうと、やはり既に探求的な学びの伴奏者としてのカリキュラムというのは絶対必要だと思うのですが、恐らく大学でそういったものをやっているところはまだ少ないんじゃないかと思います。
それから、ICT、もうオンラインは欠かせないと言いながら、全ての教員になる人が、大学生がそういったものを学んでいるかというとそれもどうなのか。そういった既に大事になっているものをまず、入れていくということも大事でしょう。
それからもう一つは、地域との連携を考えれば、現在、非常に大きな話題になっている部活動の問題ですね。学校の中で本来、生徒の主体的な活動として行ってきた部活動が、かなりの学校で教科学習の時間よりも上回っていると、そして教員主導であるというようなところが、よさでもあるんですけど、かなり大きな弊害として様々な御意見が出ています。
本来のやっぱり部活動というのは、生徒の、主体的に自分たちの興味・関心に基づいて同好会的にやっていくものにしていく必要があるだろうと。ただ、生徒の中には、部活動をもうとにかく最優先にして高校時代を送りたいと思っている生徒もいるわけですから、どこかで保障していかなきゃいけない。それは果たして学校の中なんだろうかということです。
地域の連携の中で、やはりやりたい子がとことん、逆に、できるように、学校の縛りを廃してできるように、あるいは教員で、地域にそういう指導者が少ないというような地域については、教員がそういうノウハウを持っていて指導してきたわけですから、例えば兼職をかけて地域の指導者として活躍できるようにしていって、学校の外に、いわゆるコンクールとか大会に出るレベルですね、そういったレベルの活動については、外に出していくというようなことが必要なんじゃないかなというふうに思っています。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
内堀先生、私、御注意申し上げてはおりませんので、よろしくお願いします。
【内堀委員】 すみません。
【荒瀬主査】 要は、視点が幾つもありますが、我々がとりわけ考えなければならないのは、どのような高等学校をつくるのかですので、当然今おっしゃったようなことも、あるいはその規模の話も、様々な点から入ってくると思います。ただし、我々が最終的にここで特別部会に出していくことは、学校を、じゃ、どうするのかということですので、その点で、すみません、私の言い方がまずくて申し訳ありませんでした。よろしくお願いいたします。
【内堀委員】 ありがとうございます。
【荒瀬主査】 では、牧田委員、角田委員、長塚委員、川上委員の順番でお願いします。一旦、川上委員までで、この議論につきましては終えたいと思います。よろしくお願いいたします。
では、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】 牧田です。よろしくお願いいたします。
すみません、私、この話をどこで持ち出せばいいか、分からなかったので、お話しさせていただきますけれども、世間一般に高卒者と言われる呼び名と、それから中卒者と言われる呼び名、あるいは大卒者と言われるカテゴリーがあると思うんですけれども、高等学校の教育を修了したということの社会的な定義といいますか、社会全体の中において高卒者というのはどういったものなのかということについては、私は、今のこのいろいろ御提案を頂いていること以前に、どこかで共通認識みたいなものを示すべきではないかなと思っています。
というのは、現状を踏まえますと、98.8%の子供たちが高校へ進学するわけですけれども、本当に高校に、大変言葉が悪いですけれども、本当に高校へ行って学ぶべきなのかどうかといった子供たちまでもが高校へ進学している現状があるんですね。そこの原因はどこにあるのかというと、恐らく初等教育とか中学校のときに、例えば勉強についていけなかったとかというようないろいろな問題があると思うんですけれども、今現状は、その子たちを全部、高校教育というか、高等学校というカテゴリーの中で引き取っているという言い方はあれですけど、所属させているんですね。
それに対する取組といいますか、きっかけでも構いませんので、どこかにそれを織り込むというか、それが可能なのかどうかも含めて全く分かりませんけれども、ただ、それは現実として看過できないことではないかなと思うので、すみません、ここで言うことが本当に適切かどうかも分からないんですけれども、ちょっとそれを申し上げたかったので、御提案させていただきました。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
今、牧田委員がおっしゃいましたことは、要は高校に行かなくても、中学校卒業段階まででこういった力がついているというものがきちっとあるのかないのかと、そういうお話でしょうか。
【牧田委員】 それもありますし、その逆もあります。つまり、中学校までのきちんとした修得ができていないのに、一応、中学校の教育はここまでやるべきですよとか、高校はそれに上積みするんですよということが示されているにも関わらず、それが、中学校まで終わっていないのに高校へ送られていった子供たちというのがいるという現状についての話です。
【荒瀬主査】 なるほど。
中学校卒業時点で義務教育でつけるべき力が十分ついているかどうかというと、これは人によって早い遅いもあるでしょうし、いろいろな状況がありますので、十分でない人というのもいると思うんですね。そういった人たちは、高校に入ってから、またその部分のいわゆる学び直しとかやり直しも含めて、社会に出てどういう状況である必要があるのかということで、高校教育とか、場合によっては大学教育もそういう部分に関わっていく必要があるということだろうと思います。
ただ、今おっしゃっていただきましたことは、逆に言うと、先ほど田村委員がおっしゃいました18歳で成人になるということで、いわゆる主権者教育であるとか、大人になって社会の一員として生きていくというのはどういうことなのかということの、その力をどうつけるのかということの問題提起を頂いたというふうに受け止めさせていただきます。ありがとうございました。
では、角田委員、お願いいたします。
【角田委員】 角田です。
今、牧田委員のお話、私もそのように受け取りました。この論点整理の中でも、高校卒業時点で目指したい姿が描かれて、そのための高等学校の役割というように構成していったらいいのかなというふうに思いました。
今、言おうと思ったのは、先ほど小田切先生がおっしゃられたことと関連するんですけれども、5ページの中にある「域内の公立高等学校の配置及び規模の適正化」のところなんですが、ここがすごく私、古くさいなと思って、昭和っぽいなと思ったんですね。もう学区がないような高校が本当に何割もあるような、そういったことが20年後・30年後なのかなというふうに思っていまして、こういった観点も踏まえるけれども、もっとダイナミックに高校というものを捉えていったらいいんじゃないかみたいなことを盛り込めたらなというふうに思いました。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】 長塚でございます。すみません。
最初のほうの話題でオンラインの話が出たときにちょっと言い忘れてしまったんですけれども、それらも含めて思っているところなんですが、同時双方向でなければいけないとか、あるいは先生がいなければいけないとかいう、非常に制度が、ある意味堅くというんでしょうか、手堅くといっては手堅くなんですが、つくられているその学びのスタイルというのが、結局は履修主義に陥っているんじゃないかと。結局、形の上で先生がいて、形の上で学んでいるというところが大事だというふうになっているという、日本の特に高校教育の中に、深く、そこが横たわっている問題じゃないかなと。
実際にどのような力が身についたかということを、修得したかということをしっかりと測るようなことが本来大事であって、同時双方向であろうと、オンデマンドであろうと、先生がいようが、あるいはいまいが、制度的には、確かに対面授業と同じだけの効果があればいいよというふうに言っているわけですけれども、それは具体的にどういうことかと言えば、生徒はどういう力が身についたかということをしっかりと測ると、目標準拠にしっかり従った学びになっているか、そういう評価をしているかというところが一番大事なんじゃないかなと思うんですね。
ですから、今回のオンラインでも、制度的には、生徒たちがオンラインで学んでいることは単位の授業時間にはカウントされない仕組みになっていたり、現状では。そういうことのまま続けていては、子供たちがせっかく新たな学びをしようとしても、学びが生きていかないということになると思うのですが、評価をしてあげなきゃいけないと思っています。
どのような力がついているかということについては、新指導要領は資質・能力ということで捉えようとしている。これが2年後に始まろうとしている新しい指導要領に向かって、まだ高校現場が動いていないような気がします。20年・30年後のことよりも2年後のことがもう迫っているのに、子供たちにどんな力をつけようとしているのか、教科・科目別にも各学校が目指す資質・能力を明確にすることになっています。
それから、日本の高校教育で、学校教育で非常に正解に勝ると言っていいのでしょうか、部活動だとか、学校行事とか、他国にはないような優れた教育活動があるわけです。今回のコロナの問題で、生徒たちが非常にそこを残念に思っている。しかし、それらにしても、実はそれらの部活動や学校行事を通してどんな力をつけようとしているのかということはあまり明確になっていない。
でも、次の指導要領や要録では、学校が行う特別活動を通してどのような力をつけようとしているのかということを各学校が明確にすることになっています。遠い将来のミッションやポリシーという前に、まず今現在の、もう目前の子供たちに対する資質・能力はどうするのかということを、一度そこをまずやってみないと、こういう大きな構想を立てる前にそういうことを我々はやらなきゃいけないんじゃないか。
どうしても履修主義になっている、修得主義になっていない、目標準拠型になっていないというところが、高校に限らずかもしれませんが、大きな問題ではないかな。その辺を変えていくことは、将来を見据えても非常に大事じゃないかなというふうに思います。
私からは以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
先生、おっしゃることについては、確かにそういう面もあろうかと思いますが、ただ、次の姿というのを提案していくことで、またみんなで考えていきましょうということにもなろうかと思いますので、またよろしくお願いしたいと思います。
それと、履修主義、修得主義の話は時々出るわけですけれども、この履修主義の悪いところばかりが強調される面もありますが、履修主義のよさというのも改めて見ておく必要もあるのではないかなということを、これは私自身の考えですけれども、思っておりまして、またその辺につきましては、いずれお話しできる機会があればというふうに思っております。
お待たせしました。川上委員、お願いいたします。
【川上委員】 よろしくお願いします。
高校の役割の再定義に関連してになります。資料でいうと5ページから6ページにかけてになるのかなと思うのですが、スクール・ミッションの再定義をするに当たって、社会像・地域像を見据えて再定義しましょうというのは、総論としては非常に分かる話ではあるのですが、恐らく小学校、中学校とかよりも、いろいろな関係者の思惑がここの役割に対してかかってくるというのが高校の特色になるのかなと思うんですね。
もちろん、公立高校であれば、設置者として都道府県はどういうことをこの学校に期待するかというのも思惑の一つでしょうし、進学しない子たちが多い高校なんかで言えば、地域の産業界にとって、この高校はどういう役割を果たしてほしいかというようなことなんかも、社会的役割に対しての思惑の一つになると思うんですね。
一方で、保護者さんたちだったりとか生徒御本人だったりとかというので、ある期待を持って学校に進学するということもあるでしょう。ミッションというのを考えるときに、どの辺を見て、どうつくり込んでいくんだろうかというイメージをあまりまだ持てていなくて、誰の期待かですね。社会的役割の社会は誰を指しているんだろうかというようなところで、もう少し詰めないといけないところがあるのかなというような思いを持ったのと。
それから、現状、こういう期待をしょっているから、今後もこの期待の線でいきましょうという形のスクール・ミッションの形でいくのか、現状、こういう役割期待をされているんだけど、今後、こういうふうになりたいんだという、何かありたい姿みたいなものまでも含めてのミッションみたいなものにつくり込んでいくんだろうかとか、実際にミッションを定義しましょうというふうに言われた高校関係の人たちはどういうことを思うんだろうなというようなことを考えながら、この辺を読んでみると、その辺の精査というか、つくり込みというのが必要かなというのが1点と。
これはちょっと瑣末なことですけど、ある程度のスパンを持って見直しをしていくんだろうかとか、当然、社会も変わっていきますし、学校も変わっていきますから、見直しというようなものをどれくらいのスパンで見ていくことを想定されているのかななんていうのは少し知りたいなというふうに思ったところでした。
それともう1点、これはちょっとここで引き取っていただくような話になるのか分からない中なんですが、社会像・地域像の中で高校の在り方を検討するというのを考えたときに、公立高校だけの話で大丈夫かという点ですね。これも小学校、中学校と少し違うところで、私立というのが学校数でいうと25%ぐらいですか、大体、高校の4分の1ぐらいが私学だということですね。この辺を、私立学校との関係というのは何か想定していくのだろうかということですね。
地域としての高校教育、地域の中で高校教育を供給しましょうという話になるんであれば、私学のことというのをどこか考える必要というのは出てきますし、ただ、それは話をしても仕方のないことだというのであれば、公立高校の枠内で物を考えていきましょうということになると思いますし、その場合は私立と公立で、ある種のミッションを分担するであったりとか、すみ分けるというような物の考え方というのは制約がかかってくることになるだろうなというふうになると、私立というのをどういうふうに見ていくのだろうかというのは少し気になった点でした。ちょっと感想半分なんですが、気になった点をお話しさせていただきました。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
問題提起をしていただいたというふうに受け止めたいと思います。ミッションは設置者と学校との間で諮っていくということでありますけれども、設置者側がよく考えられるような、そういう立て方をしていかなければ難しいのかなというのは思いますので、今後検討してまいりたいと思います。
私学については、多分、長塚先生のほうからまたお話があるかもしれませんが、建学の精神に基づいてやっているという面もありますので、ちょっと公立と同じような形にはならないのではないかというふうに思いますが、また、長塚先生、何かございましたら。
【長塚委員】 ありがとうございます。ちょっと今、席を外したので、少し聞き漏れたかもしれませんが。
私立高校は今32%ぐらいいっていると思いますので、ほぼ3分の1という状況で、年々生徒数が、私立の比率が高くなってきているという実態があるんですね。
私立はそもそも学校法人立でございますので、学校法人ごとの、言わば建学の精神があって各学校ができています。幼稚園から大学、大学院まで一緒になっているというような法人もありますし、様々なんです。小さい学校法人もありますし。それぞれの建学の精神でできていますので、非常に平たく言ってしまえば、公立学校にはできないことを私立学校はするようなところで始まっているというところもあったんじゃないかなと思うんですね。ですから、そもそもの公立とはまた違ったポリシーで、ミッションで始まっていると。ミッションなく始まっている学校はない。建学の精神が私立学校の礎ですので、それはスクール・ミッションなんですね。
ですから、公立学校は、教育委員会の下で地域の全体的な状況や教育政策に基づいて、ある意味戦略的に地域ごとに考えなければいけないのではないかと。私立学校は私立学校の精神の下で考えるということになるだろうと思います。そういう意味では、公立と私立の成り立ちが違うというところで大きく違うんじゃないかなと。
1点だけ、公と私の比率が問題になるんですね、生徒数の比率の問題。これは公と私の連絡協議会というところもあって、各自治体ごとに公と私の人数を適正に受け入れる人数を決めたりしている。そういうところでは一緒の協議をしているという面はございます。
簡単ですが、私のほうからは以上でございます。
【川上委員】 すみません、よろしいですか。
【荒瀬主査】 どうぞ。
【川上委員】 そうなんです。公私立の連絡協議会とかを通して定員の配分をしている結果ですよね。バッファーが大きい公立のほうが再編計画というのが先に進むような側面って、いろいろな地方であると思うんですね。私立については、1校1校が別の法人でやっていますから、学級数を一律に減らすとか、この学校をどうにかしましょうという話はなかなかできないので。そうすると、公私立で定員の配分をすることになると、公立校の学級数の減であったりとか、定員の減であったりとか、それが学校の再編であったりとかというところにつながりやすいのが、公私立で定員配分をしている県の多くの実情だと思うんですね、生徒数がこれだけ減っている中でいうと。
そうすると、地域の中での高校教育の提供というのを考えたときに、私学は私学という切離しをしておいて果たして成立するのかというのは、これからさらに生徒数の減少というのを迎える中であっては、本当に成立するのかなというのについて少し気になるところが出てくる。
学校再編の話でいうと、ある地域から通えるのはこの私立1校だけですというような状況というのも出てきかねないわけですよね。定員の配分というのをしていくと、そういうことも起こり得る。定員の配分上、選択できる学校というのが、公立、私立で極めて限られるということになってくると、当然、そこで1個しかないというか、通い得る範囲が非常に、ある地域から通える選択肢が非常に狭まっている中での私学というのは、建学の精神だけでやっていて本当に大丈夫なんだろうかとか、もちろん私学そもそもの話でいえば、これって大事なんですけど、地域の中での私立学校を通して、公私を通しての高校教育の供給ということを考えたときに、子供がたくさんいて学校の選択肢がたくさんありましたという時代の配分を前提にして考えてしまっていいのかというのは、何か少し課題として残るような気がしていて。
そうなんです。おっしゃるとおり、私学のシェアって年々上がっている中で、私学は私学で切り離しての立てつけで議論を進めてしまうことは、今回、スクール・ミッションもはっきりさせていきましょうという、ここで実現したかったことからかえって遠ざけはしないかという危惧もちょっとありまして、少し発言させていただいた次第でした。すみません、ちょっと差し挟んでしまいましたが。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
大変貴重な御意見だと思います。現実にどのような形で公私の間で話合いをしていくのかといったようなことは、地域によっても相当違いがあるようにも思いますので、今頂きました御意見は、当然、記録もしておりますので、また今後の議論の中で考えていきたいというふうに思います。
それでは、4番目に入りたいと思います。9ページからの学科・課程の特質に応じた教育実践の充実強化という部分につきまして御意見、御質問のおありの方は、また手を挙げるボタンをお願いいたします。
では、末冨委員、内堀委員、橋本委員、それから佐藤委員の順でお願いいたします。
【末冨委員】 じゃ、私のほうからでよろしいですね。
【荒瀬主査】 はい、お願いします。
【末冨委員】 まず、先ほどの議論に関わるのですが、スクール・ミッションの例の示し方のときに、やはり大学もそうなのですが、形式に流れる面があると。特に高校の場合には、中学生に伝わらないと意味がないときに、あまり厳しい要件を定め過ぎてしまうだとか、目的を喪失していって、どんどん形式に流れて高校マネジメントを圧迫する面もありますので、何を目的として、誰をターゲットにしてというようなことを意識しなければ、どんどん形式主義化しかねない政策ミッションなんじゃないかなとは思っています。
それから、併せまして12ページ以降なんですが、定時・通信の在り方のところなんですけれども、私も都立の夜間定時制高校のコミュニティ・スクールの委員をしておりますが、かなり多様な生徒がいる中で、定時も通信もインクルーシブ化というのを一層進めていく必要があるだろうというふうに思います。とりわけ実態として起きているのは、特別支援学校の定員枠に入れずに定時制等が受皿になっており、かつ現場の教員は、かなりベテランの方は支援スキルを身につけていらっしゃる方もいらっしゃいますが、やはり特殊の免許保有者が余りにも少ない中で、あるいは日本語指導ですとか、カウンセラーの配置体制もそうなんですけれども、専門的な支援体制が余りにも手薄い中で一生懸命生徒の支援をされていらっしゃるわけなんですね。
ただ、その実態が果たしていいかと言われれば、恐らく配置基準ですとか、定時制や通信制高校の在り方そのものに、ケアの在り方といったものに対しての望ましい教職員配置の考え方がないんだろうというふうに思っています。それは通信制でも全く同じだろうと思っておりますけれども。という意味では、定時制・通信制課程のところは、やはりインクルーシブな教育の在り方というものとつなげながら、ただ、これは本来は全ての高校段階において、あるいは大学も同様に重要であることを改めて強調させていただければと思います。
併せまして、5ページのほうに戻っていただきたいのですが、先ほどの川上委員の発言とも関わるんですけれども、特に人口減少社会における高校配置ですとか、高校の役割の在り方を考えるときに、日本というのは、できるだけ学校を減らしてしまう発想にいくわけですが、学校が地域社会と共にあるということを考えると、高校も、これ以上、なくしてはいけないんだというような発想に立たないと、おそらく地域が維持できない。
ニュージーランドなんかは大体、コミュニティ・スクール化されていますので、政府の計画があったとしても、それ以上は減らせないということをちゃんと政府と住民とが協議して決めるわけですよね。例えば自治の在り方として、そうしたミニマムに保障しなければならない高校教育、どの地域にもある程度の多様性を持ちながら保障していかなければならない高校教育であるとするならば、それ以上は減らせないといった歯止め規定をつくっていかない限りは、高校生たちはどんどん地域を離れ、あるいはオンラインのみのように、本当にそれで公教育足るにふさわしいかという状況にも置かれかねないということですので、そうした点も配慮されるべきだろうと思います。
取りあえず、以上です。ありがとうございます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
内堀委員、お願いいたします。
【内堀委員】 内堀です。よろしくお願いします。
ここのところ、4番のところでは、各科のことについて書かれていますけれども、普通科に関していうと、先ほど申し上げたんですけど、様々なことが柔軟に行えるようなことを普通科でも、例えば必履修科目を減らすとかということによってやっていくことが大事だと思っていまして、それと併せて3つの方針で特色化、魅力化を図っていくということで、特段何か類型化みたいなこととか、新しい学科みたいなことは、コースみたいなことは、またそれによって枠をはめることになっていくので、どうかなというふうに思っています。
例えば荒瀬先生がいらっしゃった京都の学校、堀川高校でも探究科という名前の、荒瀬先生、あれは普通科ですよね、たしか。普通科を探究科という名前でやっておられます。ほかのところでも、この後ちょっと申し上げますけど、普通科と称しなくてもいいんだと思うんですね。自分たちの普通科の特徴を表す呼び名をその学校が使っていく、今でも使えますので、そういったことをやっていくことによって、何か何々型とかって決めていく必要はないんだろうなというふうに思っています。
それから、専門学科に関してですけれども、専門学科に関していうと、11ページのところの一番上の丸がありまして、そこのところでは、必ずしも3年間に限らない教育課程の開発・実施ということが書かれています。
これは非常に重要なことだと思っていまして、長野県の独自のモデル校でも、地域で、3年間の専門学科の上に専門学校みたいなところ、あるいは地域とどんな協働ができるかというようなことを研究してもらっているわけですけれども、上級学校と連携するということも考えられますが、同時に、この10ページの専門学科の最初の丸の一番下の段落のところで、これまでの県の教育委員会や高等学校主導の、企業との連携等から進化して云々という文言があるんですね。その地域と一体となって、ただの連携ではなく、それをもっと進めていってやっていくことが重要だということが書かれているんですけど、例えば今、研究してもらっているのは、高校3年間で、上級学校に進学するケースと地元に就職するケースとを想定して、片方は上級学校との連携を図り、もう一つは地元に就職するんだけれども、就職する中で地元の自治体、それから商工会なんかと連携して、一定の補助をその企業にすることによって、就職してからも最先端の学びだとか、専門科としての技能や知識を身につけていくということをやっていく仕組みというのを研究しているんです。
ですので、この10ページのところでも、3年間に限らない教育課程みたいなことは、就職した場合でも想定できるんじゃないかと思いますので、入れておいていただけるといいかなというふうに思います。
それから、この専門学科のところでは、どうしても単一の学科のことについて中心に書かれておられますけれども、長野県もそうですし、ほかの都道府県もそうですけれども、総合技術高校みたいなものがいっぱいできています。例えば工業高校とか、商業高校とか、農業高校だけじゃなくて、工業と商業と農業が一緒にあるんだけれども、それぞれの専門性を高めながら横連携をして、つまり、社会の実態に近い形での学びをしていくことによって、より社会に出たときにしっかりと企業人として活躍していけるような学びを構築していくということが、実際にやっているところですので、こういった発想も入れていく必要が、ここに入れておく必要があるだろうということと。
もう一つは、戦後、新制高校ができたときに、3原則ということの中で、その中の一つに総合制というのが入っていたと思うんですね。ところが、それはほとんど実現せずに、長野県なんかの場合は普職併設校となったのですが、だんだんそれが普通科だけになったり、専門学科だけになったり、総合学科になったりしていって、どんどん時代の流れと共に細分化されていく方向に来たと思うんです。
ところが、今の時代はまた、細分化ではなくて、横連携とか、様々なことを身につけていくという方向に来ていると思いますので、さっき言った総合技術高校みたいなところに、さらにそこに普通科みたいなものが入ってきて、例えばそれはどういう理念でその学校を運営していくかというと、その地域をつくっていく。だから、普通科もそのときには、職業科、工業科等があって普通科ではなくて、例えば地方創生学科だとか、地域創造学科だとか、何かそういう名前の普通科にしていって、そういう概念で学校を1つつくっていくということも可能ですので、それをやれってことではなくて。ですので、そういった形での様々な柔軟な形を想定したものをやっていくことが必要だろうなというふうに思っています。
それから、総合学科と通信制に関していうと、やっぱりちょっと人が必要なんじゃないかと思うんですね。特に通信制は、どうしても学校に来ない前提で標準法がつくられているような気がしてしようがないので、全日制と定時制・通信制ということを分けて考えていると思うんですけど、普通は。だけども、実は全日制と定時制というくくりと、通信制というくくりにすることが大事だと思っているんですよ。それはどういう意味でかというと、基本的に学校に行くことを前提とした課程、それと、基本的に学校に行かないことを前提とした課程ですので、そこで分けると。
ところが、それは原則だけれども、例えば全日制や定時制が幅広に、基本的には学校へ行くんだけれども、行かなくても対応できる形をこれからは模索していくことが必要ですし、通信制に関しても、行かなくてもいいんだけど、行きたいという子供の環境を整えた通信制というのがこれからは大事になってくると思っていて、結果的には両端に寄っているんですけど、その仕組みが幅広になることによって、結局、真ん中辺りで近づいていくというような形がこれからの各課程の在り方なのかな、理想的な在り方なのかなというふうに思っています。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
先ほど御質問のようなことだったかと思うんですけれども、古い話ですが、私がおりました堀川高校というところは、今の資料でいいますと資料3の5ページのところに、これは後の話ですけれども、いろいろと設置基準なんかが出ていまして、学校設定科目をどれぐらい置けるかといったようなことがこれは関係しますので、後からまた酒井さんのほうからも御説明いただきますけれども、現行の制度上は専門学科ということになろうかと思います。
以上です。すみません。
あと、今、手を挙げていただいていますのが、橋本委員、佐藤委員、清水委員、香山委員、鍛治田委員、牧田委員です。皆さんに御発言いただきたいと思いますので、大変申し訳ありませんが、短い時間にしていただけますとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
では、橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】 京都府の教育長の橋本です。
短くしろということですけど、1点だけ、先に学校の規模の適正化、先ほど来いろいろな方がおっしゃったので、一言申し上げたいと思います。
人口減少が進む地域において学校をなくしてはいけない、これは本当にそのとおりだと思っておりまして、我々も安易に統廃合をするのではなくて、学舎制といった、一種の分校ですけど、そういう形も取りながら何とか残していきます。
ただし、地元の声というのは、なくしてはいけないと、まとめて大きい学校にしてくれという両方がございます。と申しますのも、やはりスケールメリットを生かしてこそという学びも、中には、様々な学校行事なんかもそうですし、部活も在り方次第ではありますけれども、そういう期待も結構ありますので、我々設置者としては、基本的に安易になくさないという思いを持ちつつも、地域の声を十分踏まえてどうしていくかを考えざるを得ないと、そういう状況にございます。その点、一言申し上げたいと思います。
その上で、11ページの上から2つ目の丸なんですけれども、専門高校の教育の実態、これは多分、職業学科とか、職業学科を設置している高校だと思いますが、その実態については、中学生、保護者、教師の関係者の中で十分に理解されていないとの指摘もありとあるのですが、まさにこれは私が常に強く感じているとおりでありますので、一言申し上げたいと思います。
私どもの職業学科を設置している学校におきましても、本来、そういう学科に行きたいと希望して入学している生徒は一部にとどまっています。そうした中、普通科を落ちて、やむなくそういう学科に入った。しかし、入ったときにはそれほど学習意欲も高くなかった者が、その後の学習で、あるいは資格取得に向けた学びを通じて、本当に卒業していくときには、通常の普通科以上に、大きく一人一人の生徒が成長しているという実態があります。
また、地域、あるいは地元企業との連携で、様々な課題解決的な学習やフィールドワークなんかもしておりまして、率直に申しまして、よほど普通科よりは値打ちのある学習をされているなというふうに思っております。
しかし、そういう実態がありながら、なかなか保護者も生徒も職業学科にほうに目を向けてくれないという厳しさがあります。結構、ホームページなどでも発信しておりますけれども、そうしたありきたりの手法ではなかなか難しいと。
以前に、ある学校で小学生を対象に、企業の方にも一緒に来ていただいて、ある種の工業科関係ですけれども、実験などをした。そうしたことが将来の入学につながったという実例もありますし、あるいは、私どもの教育委員さんと一緒に職業学科の授業を視察したときに、教育委員さんが、こうした授業なら私もぜひ受けてみたい、そんなふうにおっしゃったこともありました。大人が受けるのに堪えられるような授業内容が職業学科の中には結構あるように思います。その意味では一種のエクステンション機能かもしれませんけれども、保護者を対象にして職業学科の学びを体験していただく、そういうことを通じて職業学科への理解というものを一層強めていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
それと、最初のほうで申すべきだったかもしれませんけれども、なかなか中学生が自律的に学校を選んでいないということも書かれていたかと思いますが、やはり高校を知ってもらう、高校を選んでもらうというためにも、中学校との連携というものを一層強化していく必要があるんじゃないかな。あまりそうしたことが書かれていなかったんですけれども、そういうことも大切だと思っております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
中学校との連携というのは非常に大事かと思います。ありがとうございました。
佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 私は総合学科の定時制の校長ですので、総合学科のことを少しお話ししたいと思うんですけれども、先ほど来いろいろな方がおっしゃっているように、中学校 に多様な学習歴の生徒、多様な生育歴の生徒がいて、なかなか自己の進路に対する意識というものが、将来の進路について明確な見通しを持てていない生徒がたくさんいる中で、総合学科という学校は、高校におけるいろいろな学習活動を通じて自分の能力とか適性を見いだしていくとか、積極的に学んでいこうとか、そういうチャンスをたくさん与えられる学科なんじゃないかなというふうに思って、そのように教員のことも指導しているわけなんですけれども。
総合学科を維持していくためには、いろいろな少人数の選択科目がたくさんあるわけなんですが、まず、教員の数というのが、どうしても学校の規模、生徒の数、クラス数で配置されるものですから、ある程度大きな規模の学校でないと、講座数によって教員が配置されるわけでもないので、そこのところが非常にいつも苦慮するところになります。生徒に積極的にいろいろな講座を選んでもらえるように、たくさん講座をつくりたいけれども、教員の数に対してどうなのかというところで、いつもネックになるところがあります。
それから、学校外の人材とか教育資源の活用ということが、やはりそれと関連して必要になってくるわけなんですけれども、なかなか学校外の、内外の人材とか教育資源といっても掘り起こせない部分があります。そういったことで本校では、同じ市内にある普通科、外国語科がある学校さんであるとか、同じ敷地にできる特別支援学校さんとの連携、それから戸田市との連携というものを図っていこうということで模索をしているんですけれども、この辺りをいろいろな方に助けていただけたらありがたいななんていうふうに思っています。
最後に、特別支援学校との連携なんですけれども、先ほど末冨委員さんがおっしゃっていましたように、インクルーシブ教育は今後とても大切な視点だと思いますので、ぜひ、今回の資料の中にもちょっと入れていただけるような場面があったらいいなというふうに思っております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】 よろしくお願いいたします。大宮工業高校、清水でございます。
まず、この論点整理の中で、専門高校に属する者として、10ページ以降にまとめていただいた内容につきまして非常にありがたく思っております。また、先ほど橋本委員、内堀委員のほうから専門高校に関する御意見を頂きました。非常にありがたく思っております。
この論点整理全体を見渡して書かれているキーワードの中に、産業界との連携であるとか、産業界との協働であるとか、産業構造であるとか、産業社会であるとか、本当に多くの「産業」というキーワードがあります。
ただ、この中に、産業に対する興味・関心を高める方策であるとか、産業への理解を深めることであるとか、そういったことを産業についてもっともっとしっかり学ぶべきということについては書かれていないのかなというふうに思います。そもそも産業とは一体何なのかということ、そういったところも整理をしていただく必要があるのかなというふうに思いますし、生徒は、様々な産業をしっかり理解した上で将来どの産業に従事したいのか、どの分野をもっともっと学びたいのか、そういったことを考えるべきかなというふうに思います。
そのため、専門高校であるとか、普通高校であるとかそういうことを問わず、 の産業についてもっともっとしっかりと学ぶ、そういった場面を設定していただきたいなというふうにも思いますし、2番の高校の役割、学校の役割としても、産業についてしっかり学ぶということは非常に重要なことであるのではないかな、こんなふうに考えております。
最後に、関連で、ちょっと別件になってしまいますけれども、本校にも定時制課程の学科、定時制課程がございまして、これが1クラス20名弱ぐらいでの進行をしております。全体的に今回のコロナの状況を見ていく中で、全日制課程の40人の学級というよりも、この20人の学級というのは、全てにおいて非常に速やかに、様々な取組を図ることができたと考えておりますし、こういったところも利点として活用していきたいなというふうに思います。
小さな学校というか、1クラスの、1つの集団をもう少しコンパクトに収めたほうが、様々な場面で対応が可能なのかなというふうなことも付け加えさせていただきたいと思います。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、続きまして、香山委員、お願いいたします。
【香山委員】 私のほうからは、単位制についての言及があったと思うのですが、5ページですかね、マル4番、単位制高校についてはというところなんですけれども、後半に「一部の学校においては、学年による教育課程の区分を設けているかのような取組を行っている事例もあり」と……。
【荒瀬主査】 先生、申し訳ありません。今おっしゃっていますのは、資料3でしょうか。
【香山委員】 資料3です。
【荒瀬主査】 これ、次の論点でお願いしますので、申し訳ありません。
【香山委員】 すみません、間違えました。じゃ、手を下ろします。
【荒瀬主査】 はい。申し訳ありません。よろしくお願いいたします。
では、鍛治田委員、お願いいたします。
【鍛治田委員】 鍛治田です。
先ほど通信のインクルーシブを進めていくということも言われていましたけれども、やはり合理的配慮やカウンセリング、カウンセラー、日本語教師なども私たちの学校で導入しています。昨日は、学校再開に不安を持つ人へということで、ホームページや連絡網で案内しました。このように通信は多様な人がいてます。
その中で、前回も出ましたけれども、15ページの丸、上から4行目のところにサテライト施設のことが書かれてあります。今、広域の面接実施施設について、所轄庁が、広域の場合、サテライトは位置情報ですることになっていて、位置情報に協力を求めています。ただ、認可基準の緩い都道府県では、マンションの一画でするようなことがあります。その辺りの基準はやはり統一したほうが、生徒たちに対して教育の質が保たれるのではないかと思っています。
また、面接指導が設定されているところの都道府県がなかなか関与はできないということがあり、言われていますが、そのとおりなんですが、通っているのはその都道府県の生徒たちなので、やはりよい環境で授業を受けてほしいというところがありますので、ここは必要な方策を講じていただきたいというふうに思っております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
今おっしゃいましたことは、通信制高校の質の保障に関する検討の会議でもっても議論として出ておりまして、またそちらのほうにも反映させていきたいというふうに思います。ありがとうございました。
それでは、最後に牧田委員、お願いします。
【牧田委員】 牧田です。
すみません、大変瑣末なことを申し上げますけれども、10ページのマル2の専門学科の最初の丸の一番最後の段落の2行目なんですけれども、「企業との連携等から進化し、商工会等の産業界を」とあるんですけど、ここで商工会を持ってきている何か特別な理由があるのかなということに疑問を持ちました。というのも、すみません、私、商工会議所の会頭を拝命しておりますので、ここは別に商工会議所でもいいのかななどと思ったりもしております。すみません、それだけです。
【荒瀬主査】 ありがとうございます。
事務局のほうで確認をまた、してもらいます。ありがとうございました。
そうしましたら、私、進行が、毎度のことですけれども、まずくて相当時間が超過しました。ただ、一旦ちょっと水入りということで休憩をさせていただきたいと思います。残りの時間が僅かですので、ちょっと5分程度の休憩でよろしいでしょうか。トイレが混むということはないと思いますので、すみませんが、5分程度休憩させていただいて、続きをさせていただきたいと思います。
先ほど申しましたように、これは今回だけではなくて次回以降もお願いをしますし、また、具体的にメール等で御意見をお寄せいただくこともできますので、その点、御了承を頂きたいと思います。
では、今、私の時計で21分ぐらいかと思うんですけれども、26分から再開をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
( 休 憩 )
【荒瀬主査】 それでは、再開いたします。皆さん、よろしくお願いいたします。
では、あと30分ほどということになりましたが、次の議題に入りたいと思います。
諮問事項の論点全体を通して御議論を頂きました。まだまだ時間が足りないということもあろうかと思いますので、先ほど申しましたように、次回以降、またよろしくお願いいたします。
今後さらに詳細な制度設計について御議論を頂くために、学科の在り方及び多機関連携の在り方についての論点を事務局のほうでまとめていただきました。事務局から説明をまず、していただいて、その後、僅かな時間ですけれども、御議論を頂きたいと思います。
では、酒井参事官補佐、よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。資料3をお願いいたします。これまでの御議論を踏まえましたさらなる制度設計の検討のための論点として御提示をさせていただきます。
1ページ目でございます。まず、スクール・ポリシーとスクール・ミッションの策定に当たってさらに御検討いただきたいところでございます。この点、先ほど御議論もありましたけれども、さらなる御議論を賜りたいと思っております。
まず1点目は、スクール・ポリシーの基本的な考え方についてでございます。先ほど3つのポリシー、グラデュエーション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーについて御議論を頂いておりますが、それぞれ基本的な考え方というのはどうあるべきかというのを改めてここで整理をさせていただき、御意見を頂戴したいと思っています。
グラデュエーション・ポリシーに関しましては、各学校のスクール・ミッションに基づいて、どのような力を身につけた者に課程の修了を認定するのかを定める基本的な方針というようなところで書かせていただいております。
次いで、カリキュラム・ポリシーでございますが、グラデュエーション・ポリシー達成のために、どのような教育課程を編成し、どのような教育内容・方法を実施し、学修成果をどのように評価するのかを定める基本的な方針というふうに書かせていただいております。
アドミッション・ポリシーは、各学校のスクール・ミッションや、グラデュエーション・ポリシー、カリキュラム・ポリシーに基づく教育内容を踏まえて、どのような生徒を受け入れるのかを示す基本的な内容となるものでございます。
(2)でございます。具体的な論点といたします。1つ目のポツでございますが、スクール・ミッションとスクール・ポリシーの策定単位というのは、どのような単位で策定することが望ましいと考えられるのかということでございます。学校全体なのか、それとも課程ごとなのか、学科ごとなのか、合わせ技が考えられるのか。スクール・ポリシーごとに策定単位が異なることはあり得るのか。そういったところを御議論賜ればというふうに考えております。
2ページ目でございます。これは先ほど御議論がありましたけれども、スクール・ミッション、スクール・ポリシーについて年限が必要になるのかどうかということです。仮に年限を設ける場合、何年程度が望ましいと考えるべきなのかというところでございます。
次のポツでございます。スクール・ポリシーに基づいて、教職員が一丸となって授業改善に向けたPDCAサイクルを主体的に機能させるためには、どういった取組を各学校において行うことが効果的であるのかということです。さらに、各学校においてどういった組織体制の構築が必要となるのかといった点でございます。
次のポツでございます。こういったスクール・ポリシーを実効性あるものにするためには、どういった方策が必要になるのかといった点でございます。「社会に開かれた教育課程」の実現の観点から、スクール・ポリシーの策定や運用に当たって、学校は社会とどのように関わるべきと考えるかという点でございます。
なお、これらの取組につきましては、各地域や学校の実情に応じた取組が必要であると考えられます。スクール・ミッションやスクール・ポリシーに関する各論点については、各設置者においてその名称、具体的な方針を検討し、効果的な運用を図っていく、こういったことが必要ではないかということで御提案をさせていただきます。
次、3ページ以降でございます。高等学校の学科(特に普通科)の在り方に関しますさらなる論点でございます。
4ページ目をお願いしたいと思います。ここで、先ほど内堀委員から普通科と専門学科の在り方について少し御意見がございました。少し補足的に御説明させていただきたいと思います。先ほど、例えば具体的な御議論の中で、地域創造学科のようなものを普通科につくることができるのではないかというような御意見がございました。国の法令上、率直に申し上げると、できませんというのが今のお答えでございます。
先ほど探究科のお話がございました。この探究科、いわゆる確かに普通教育のような、まさに普通教育的な教育が行われておりますが、この探究科を設置するためには専門学科として設置しないといけないというのが今の現状の制度でございます。
何が違うかといいますと、5ページの参考1を御覧いただければと思います。普通科、専門学科、総合学科の制度上の主な違いということになっておりまして、仮に探究科であったり、地域創造科というふうに、普通科的なそういう名称の学科をつくろうといたしましても、制度上、専門学科という中でつくらなければならないというような状況でございます。
そういった問題意識があるというところで、マル1番でございますけれども、「普通教育を主とする学科」のさらなる論点でございます。高等学校における普通教育の役割というのは、今後とも重要なものというふうに考えてございます。まさに先ほど御議論にありました、普通教育、これまで普通科と呼ばれていたそういう各学校において、スクール・ミッションを踏まえて特色・魅力ある教育活動を実現するために、その発信を促す観点から、普通教育を主とする学科の種類について、大綱化・弾力化を図ると、そういったことを新たな学科の種類を設けることを検討してはどうかということでございます。
例えばでございますが、SDGsの実現、Society5.0というものにおける現代的な諸課題への対応、STEAM教育による教科横断的な学びの重視であります。地域社会が抱える課題の解決を図り、地域や社会の将来を担う人材育成への対応を図ることに重点を置き、特色・魅力ある教育を実現する学科を、各設置者の判断で、必要な場合には設置できるようにすること、このほかにも、普通教育として求められる教育内容を実現すると認められる学科を、設置者の判断により設置できるようにすることも考えられるのではないかということです。
先ほど御議論にありました、例えば地域創造科とかそういった学科を、普通科の中で、普通教育という中でつくるのは現状では認められておりません。そういったことが認められるようにすることができるのではないかというのが、ここのマル1の趣旨でございます。
マル2番です。仮にそういった学科をつくるとした場合でございますが、例えば地域社会の抱える課題の、そういった学科をもし仮につくるのであればでございますが、地域が抱える課題をテーマとした探求的な学びを3年間系統的に実施することや、例えば「コンソーシアム」を構築すること、さらには高校と地域をつなぐコーディネーター的な人材の配置、こういったことが必要になってくるのではないか。いわゆる現状の普通科との違いとは何かというところでございます。
また、現代的諸課題に対応した学科の設置の際、こういった学科は、いわゆる学際科学的な学科であろうかというふうに考えております。いわゆる従来の普通科が一般的に設けてきた文系・理系の類型ではなくて、いわゆる領域横断的な類型による教育、こういったことの系統的な実施というのが必要になってくるのではないかというところの御提案でございます。
マル3番でございます。そうなった場合に、まさに今ある探究科でありますとか、国際関係、理数、外国語のような、職業学科以外の専門学科との役割分担というのが課題になってくるかというふうに考えております。仮に普通教育を主とする学科の種類を大綱化・弾力化するといった場合に、こういった学科との役割分担というのはどうなってくるかというのは課題になってくるかというふうに考えております。
マル4番でございます。単位制高校についてでございます。この単位制高校については、平成の初頭、昭和63年から導入されておりますけれども、現在、全ての都道府県において公立学校で導入されているところでございます。一部の学校において、学年による教育課程の区分を設けているかのような取組を行っている事例があるところでございます。単位制については、もう御案内のとおりでございますが、学年によらない教育課程の区分というのが前提でございます。なかなか運用でそうじゃないような運用があるのではないかということです。やはり単位制高校の趣旨や意義、これを改めて確認していただく必要はあろうかというふうに考えているところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、時間があまりありませんが、この件に関して御議論を頂きたいのですけれども、岩本委員から資料の提供を受けております。まず、岩本委員から、その資料につきまして御説明を頂くということから始めたいと思います。続いて、香山委員、奈須委員の順によろしくお願いいたします。
では、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 よろしくお願いします。時間も限られていますので、ちょっとポイントだけと思いますが。
1点目は、スクール・ポリシーの策定・運用に関してです。これを実質化させていくための手だてというようなことで、支援策も併せて書き込んでいく必要があるだろうというところです。
ポイントをかいつまんで言いますと、1つ目は、社会に開かれ、対話の過程というところをしっかりと踏んで策定をしていくということが重要であるという点を1点目に書かせていただいています。
2点目は、3つのポリシーというふうになっていますけれども、「社会に開かれた教育課程」の理念をしっかりと考えれば、「社会との連携・協働に関する方針」というものも併せて検討し、これをしっかりとスクール・ポリシー等を実現していくためには、社会の多様な主体と連携・協働していくような、連携・協働の体制というものも併せてつくっていくという過程、プロセスを経ていくということが機能させる上で重要だ。
3つ目ですが、つくって終わりではなく、PDCAサイクルの構築というところです。これ、先ほどありましたけれども、ヒデュンカリキュラムのような、明示的なものだけではなく、学校の土壌や風土だとか、そういったところも含めた教育データをしっかり活用した、「エビデンス」に基づいた「対話」をした形で評価や目標設定をしていく、こうしたPDCAサイクルの構築というところが重要である。
4つ目ですけれども、こういう重要な業務を、今、ただでさえ多忙な学校に追加業務で乗せて、片手間でといっても効果は期待できないというところですので、教職員定数の改善を図りながら、こういったスクール・ポリシーの策定・運用、またはその中核にあるカリキュラム・マネジメントの中核となるような教職員の配置もしていく必要があるということで、学校に業務を増やすのであれば、リソースも増やすというようなことを併せてしないといけないというところです。
5つ目が、教育行政の在り方ですけれども、こうして一つ一つの学校が、地域や社会に合わせながら個別最適なものへ進めていこうというふうになれば、一斉の管理指導型の教育行政だけではなくて、伴走支援型の教育行政や、縦割りだけではないネットワーク型の教育行政という、設置者の在り方も併せて転換をしていかないと、これが本当の意味で機能するものにならないということで。
最後ですけれども、こういうスクール・ポリシーを策定すると、今までと違って「何が具体的にできるようになるのか」ということも併せて明示をしないと、学校としてなぜつくらなきゃいけないのかがよく分からないというところですし、こうした話を進めていくに当たっては、できれば来年度、新年度から、スクール・ポリシーの策定・運用の先導的モデルのようなところをしっかりとつくったり、調査研究なんかもしながら、それを併せてスピード感を持ってやっていくような必要があるのではないかということがスクール・ポリシーのところに関してです。
次のページ、新しい時代の高等学校の学科のところですが、その在り方の方向性というところで、ここは、先ほど事務局のほうで整理していただいたものを表にしたというところでございます。
ちょっと時間もあれですので飛ばしていただいて、もう1枚、詳しくはここに載せさせていただいています。それぞれの学科が名称だけではちょっと分かりにくいというところなので、具体的に、例えばどういう生徒がどういう学習内容でどういう進路に行くというところで、このポートフォリオを組んで、特色化・多様化をしていくのかというところのイメージを載せさせていただいたのと、それぞれにおいて重要なポイントというところを書かせていただいています。
時間の関係でちょっと飛ばしていきますけれども、併せて、ちょっと下のほうに、学科の中身の話と共に重要になってくる点、2点挙げています。これは再三話が出ています、こういう高校の特色化をやっていくに当たって、小・中学校、そして高校につながるキャリア教育はより一層重要であるので、この充実強化をしっかりと併せてやっていくということと、高校においては「入学者の受入れに関する方針」に基づいて、いわゆる多面的・総合的に評価する丁寧な選抜というようなことも併せて改善を図っていくということを明記していかないといけないということは1点目。
また、多様化・特色化していくと、入った後にまた、そうじゃなかったとか、もしくは自分の探究を通じて、より自分の進路や興味・関心に変化というものが当然起きてきますので、その際に、編入・転入・転籍等ができる弾力的な柔軟さを、高校教育全体に今よりもより一層持たせていく必要があるというところで、そこの制度の設計も、例えば学年によらない単位制の話だとかを含めて併せて盛り込む必要があるというところです。
最後、ちょっともう1枚めくっていただいて、最後の資料で、先ほどの話に入っていなかったところを述べさせていただきます。都市部においては、通える高校が幾つもあるところにおいては、それぞれの高校が特色化をしていくことで自分で多様な選択肢から選べるようになるということで、今までの議論でいいというところですが、じゃ、一方、都市部以外の、通学可能な高校が限られている、そういうところに生きている高校生たちの多様な学びのニーズには、果たしてどのように応えていくのかということをしっかりと今回は考えないといけないだろうと思っております。
こういった地域が人口減少や高校再編が進めば、より一層、こういった地域で生きている高校生たちの数というのは、これからどんどん増えていくというところでありますので、例えば、そういった場所での高校や生徒ってどういう状況なのかという例を示させていただいていますが、簡潔に言うと、都市部であれば、普通、専門高校や通信・定時制に行っていたような生徒も、1つの小さな高校の中に集まっているというのがこういった場所で起きてくる、もしくはもう起きている実態であります。
くしくも、教員はよく言っていましたけれども、1つの高校に3つの高校があるかのようだというのがこういった高校の特徴になっていますので、じゃ、そうしたところにどう対応していくのかというところで考え方を述べさせていただいていますが、都市部の場合は、各高校の特色化であるけれども、こういった先ほど述べたような実態の地域や高校においては、1つの小さい高校の中に多様性を包摂するような機能を持たせていくということが逆に必要になってくると。
そうしたときに、ただ、教職員数は非常に少ないというところですので、学科を幾つもつくるとか、多様な科目の開設というのは非常に難しいというのがこういったところですので、そうしたときには、やはり学校というものを社会により一層開いていくという必要があるので、そのときの手段の方向性として、1つは、ICTや先端技術を先導的に導入していくというところで、こういう機動性も高いところですし、遠隔授業も含めて非常にニーズが高い高校だったり、生徒たちがいますので、こういったところに先導的にやっていくというところです。
併せてもう一つは、ただ、専門教育を受けたいというような子たちだって、そういった1つしか高校を選べないときに来ていますので、こういった子たちも取り残さずに教育の機会をといったときには、ただ、実習や実技をICTでやるとか、もしくはその施設・設備なんかも整っていませんので、そういった高校ではできない。そうしたときには、地域社会の資源、施設・設備だとか多様な人材をもっと活用しながら、ある種の専門教育に近いようなものも、そういったところに暮らしている、生きている高校生たちも選択肢として学べるというようなことをしていく必要があるであろうということで、そういったものを、仮称ですけれども、未来科というふうに言っていますけれども、こういったものも併せて学科の多様化のところにしっかりと入れ込んでいく必要があるのではないかというところが意見でございます。
すみません、長くなりました。以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
資料も出していただきまして、丁寧に説明していただきました。ただ、時間の関係ではしょっていただいたのではないかと思います。申し訳ありません。
実は、先ほど香山委員、奈須委員と申し上げましたけれども、今現在、7名の方が手を挙げていらっしゃいます。先ほどから何度も申し上げていますように、次回もこれ、引き続いてやりたいと思っておりますし、次回、日程が決まっていないんですけれども、今日でなければならないという方に御発言いただきたいと思うのですが、そうでない方は手を下ろしていただけると大変ありがたいんですけれども。
ありがとうございます、御協力いただきまして。
分かりました。では、申し訳ありませんが、進行役の権限で、今から順番に行くところまでということにさせていただきます。残りの方は大変申し訳ありませんが、メール等で、また次回、日程が合いましたらぜひ御参加いただいて、よろしくお願いします。
では、香山委員、お願いいたします。
【香山委員】 お願いいたします。
単位制のことにつきまして少し事務局のほうにもお答えいただきたいなと思っておりまして、これは今日でなくていいんですけれども。単位制が多様な生徒に対応するために設置されたんですけれども、単位制を標榜している学校、私も勤めたことがありますので自戒を込めて言うんですけれども、単位制を標榜しているんですけれども、多様化というと、結局のところ、90単位の中で、九十二、三単位の中で、ほとんどが大学入試に対応するために、進度が速い科目、遅い科目みたいな感じで単位制をつくり、そして、学年制の枠の中で、単位制を用いることによって教員の加配を獲得していくみたいな実態が全国、多いんじゃないかなというふうに思うんですね。
単位制につきまして、ここで事務局のほうで、一部の学校においては云々と書かれているんですけれども、この実態がどうなのかなというのは、また次の機会にでも教えていただけたらなというふうに思います。
もし、単位制の本来の働きがされていないのに加配がなされている場合は、その加配の部分を、今、岩本さんが提案された、エッジの利いた普通科をつくっていくという方向で再配分していくといったことが可能性としてあるのではないかなというふうなことからの発言であります。
なお、今日、小さい学校、小さな学校というのをちょっと申し上げているんですけれども、その小さな学校ならば、いろいろな先駆的な、革新的な取組がしやすいのではないかというふうに思いますので、それは多く地方にあるんでしょうけれども、ぜひ、そこへ再配分、再投資をして、実験的にいろいろな学校をつくっていくといったような方向で実現できたらなというふうに思っております。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】 お願いいたします。
普通科の新しい類型等に関する議論ですけど、資料でいうと3ページから4ページにかけてですが、例えば3ページの中で、文系・理系に対抗して、ではできないものとして、例えば生徒の興味・関心という言葉が使われ、4ページのマル2では、文系・理系の類型ではなく、当該課題に対応した領域横断的な類型という言葉が出ています。
私、思うのは、文系・理系でない、オルタナティブを出していくということが一つのタスクだろうと思いますが、文系・理系の類型ではないものが領域横断的なんですかね。それを一度問わなきゃいけないと思います。つまり、文系・理系の類型とは何かということを一度決算しないと、実は先に進めないんじゃないかなと。
僕らは文系・理系を、自分も高校時代受けてきたので、分かった気になっていますが、何なんですか、文系・理系というのは。極めて歴史的なものであって、現在実効性はあるのでしょうか。大学入試がそれに対応してやってきましたので、何となくそれをやっていますが、私は文化系の学部にいますが、文化系で来られるといろいろ不都合が既に生じています。経済学部では数学を普通に使いますし、理工学部だって、倫理的な議論というのは生命的な学科や理工学部でもやりますのでね。だから、文系・理系がまだ本当に生きているのか、将来生きるのかということの問い直しからしないと、文系・理系に対するオルタナティブを幾ら考えていっても、それは弱いのではないかというのがまず1つです。
も含めて進まないと現実には難しいと思いますが、文系・理系というのは、そもそもカリキュラムトータルでどんな子供の学びを実現していて、あるいは、実は大事なことの何が実現されていなくて、既に多くの不都合が生じているのかということを詰めないと、新しい類型を生み出せない。逆に言えば、文系・理系ができたこととできなかったことを総括することによって、これから求められる類型の要件も出てくるんじゃないかと。それは、ひょっとしたら領域横断じゃないかもしれないんじゃないかと。もっと言えば、文系・理系は領域内のことなんですか、領域横断していないんですか。そういうこの辺の言葉についても、一つ一つ丁寧にやっていかないと、言葉が滑る可能性があるのかなと思っています。
そう考えていくと、例えばどんどん増えてくるんですね、文化系と言っている人たちも、もっと数学をやってきてほしいとか、理系と言っている人たちにも、倫理学とか、もっと言葉のことをきちんとやってほしいとか言い出すと、カリキュラムが今度オーバーロードになりますね。それは避けなければいけない。むしろ、多様性を目指すわけで、学校ごとの多様性を目指すにしても、岩本さんが言われたように校内で多様性を目指すにしても、必履修を少し減らしていくというふうな方向は今後考えていくと。この辺の相矛盾することをどう解消するかということが多分、大きな課題で、その中で従来の文系・理系ということを総括して、さらにどうブラッシュアップするのか、あるいは、新しい現代的な課題に対応するような類型を考えるのかということをやらないといけないと思っていて。
ちょっとまず、僕は、これからのさらなる議論の際に、文系・理系というのを一度丁寧に総決算、省内でも、あるいは高校の先生も大学関係者も一度集まって、一種の学問論だと思いますけれども、やらないとまずいんじゃないかなと思っています。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
それでは、牧野委員、お願いいたします。
【牧野委員】 岩本委員から、また大変いろいろと示唆に富んだペーパーを出していただきまして、改めて地域を預かる側から見ていても非常に的を射た話というふうに見ております。
これまで地域人教育をずっと専門学科を中心にして進めてきた当地域の、地方の側から見ていて思うことは、やはり普通科の学科にこういった地域社会を学ぶ仕組みを何とか入れていけないかなというのは、これはもう悲願に近い、そんな状況があります。普通科で大学進学のためのことをやって、大学に行ってからその地域のことを学ぶというのと、専門科として高校のうちから地域のことを学ぶというのが、今、混在しているという状況なんですけど、やはり普通科で高校のうちから地域のことを学んで、さらに大学でその専門性を磨けるような、そういった人材を育成できないかという考え方をずっと持っております。
ただ、普通科にそういった地域とのつながりというものを求めていくということが今まではなかなか難しかった。専門科のほうが、やはり地域との関係というのは、そういった専門領域が地域をフィールドにしているというような場合には、持ちやすかった。それに対して普通科というのは、なかなかそういった地域とのつながりを持つということが難しかったということがあると思います。
したがって、今回こういった形でその在り方を議論するときというのは、普通科の関わっている関係者の皆さん方は、地域との関わりが専門科ほど強くはないということを前提に考えますと、やはり、そういったことを決めていくためには、地域とのプラットフォームをどういうふうにつくっていくかということを考える必要があると思います。こういった議論は高校再編をするときには必ずやってきているわけでありますが、やっぱりこういった普通科の在り方についても、そういった地域とのプラットフォームをつくって考えていくことが必要かなと。
それから、専門学科との領域の話は、私は、地域というのは非常に多面性に富んでいて、また、層が厚いというものでありますから、専門学科の領域から地域を考えていく考え方と、普通学科から地域を考えていく考え方というのは当然あっていいと思っていますので、あまり、そこはこっちだ、これはあっちだというのは、奈須先生と同じなんですけど、そんなふうに分ける必要は私はないかなと、そういうふうに思っております。
以上であります。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
手をお下げいただいた方がいらっしゃいますので、あとお二人ということでお願いいたします。小田切委員、内堀委員の順でお願いいたします。あと、本当に時間がございませんので、大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
【小田切委員】 小田切でございます。
簡潔に申し上げます。岩本委員の御提案に関わることですので、ここでお話をさせていただきたいと思います。岩本委員の未来科という御提案、大変興味深く拝見しました。私もまさにそういったところを歩いておりまして、そういったところで確かに地域社会の崩壊傾向と同時に新しい動き、先ほど田園回帰という言い方がされました、そういったものが出てきているものですから、この未来科というものに可能性を見いだしております。
ただ、岩本委員の報告のこの未来科のボリューム感を共有化する必要はあろうと思います。具体的に言えば、選択する学校が1校程度だというふうに言っておりました。日本全国の1,700の市町村の中で、例えば公立高校に限定するのが分かりやすいと思いますが、それが1校ないしゼロ校という、これがどのぐらいあるのか。かつて論文を書いたときに私、計算したことがあったのですが、意外と多かった。少なくとも1%、2%ではないと、そういうボリューム感だったというふうに記憶しております。そういう意味で、それを共有化することが議論の出発点かなというふうに思いますので、よろしければ、間に合えば、次回まで御検討をお願いできればというふうに思います。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
では、最後に、内堀委員、お願いいたします。
【内堀委員】 すみません。今日発言した私の内容についてちょっとコメントがあったものですから、どうしても今日発言させていただきました。
私が申し上げたかったのは、普通科、普通教育を主とする学科の呼び名として、通称であっても普通科という呼び名しかできないのであれば、新たな学科をつくるという方向性ではなくて、呼べるようにすると。つまり、自由度を増して様々なことができるようにして、普通科でありながら、そういう違う呼び名ができるようにすればいいのではないかという考え方です。
以上です。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
皆さん、大変御協力いただきましてありがとうございました。何度も申し上げますが、御意見、今日、十分に御発言いただけなかった皆さんにつきましては、メール等での御指摘もまたよろしくお願いしたいと思います。
事務局には、新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会への報告に向けて、今日はまだ途中ではありますけれども、今後、具体的に意見を反映したものをつくっていただくことにしたいと思います。
それでは、最後に、次回以降の予定につきまして事務局からお願いしたいと思います。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。
次回の予定につきましては、追って御連絡させていただきたいと思います。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
そうしましたら、冒頭も申しましたけれども、高等学校教育の在り方がどうあるべきなのかということの議論でいろいろなものが関わってまいりますので、御意見を控えていただくというのではなくて、様々な御意見を頂戴した上で高等学校教育の在り方について詰めてまいりたいと思います。
本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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