新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

令和2年5月21日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 新型コロナウイルス感染症対策に係る学校の臨時休業の状況等について
  2. 新しい時代の高等学校教育の在り方について(1.時代の変化・役割の変化に応じた定時制・通信制課程の在り方について 2.生徒の学習意欲を喚起し能力を最大限伸ばすための学科の在り方等について)
  3. その他

4.議事録

【荒瀬主査】 では、よろしいでしょうか。それでは、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループの第7回会議を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参加いただきましてありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、このような形で、試行的にウェブ会議方式を取るということで開催いたしたいと思います。
それに伴いまして、会議の公開をウェブ上などで行うべきところでありますが、技術的な理由によりまして、本日は困難であるということですので、初等中等教育分科会新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会運営規則第3条第2号の定めによりまして、やむを得ず、本日の会議を公開しないことといたします。
ただし、会議資料、議事録につきましては、速やかに文部科学省ホームページにおいて公開するよう、事務局において御対応くださるよう、よろしくお願いしたいと思います。
さて、今回から新たに4人の先生方に、本ワーキンググループの委員として御参加願うことにいたしました。また、本日はオブザーバーの参加についても認めております。
新しい委員の御紹介、オブザーバー参加、そして、本日の配付資料等につきまして、酒井参事官補佐から、御説明をよろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 参事官補佐の酒井でございます。
まず冒頭、今回会議より新たに4名の委員の皆様に御参加いただくことになりましたので、御紹介させていただきます。お手元、資料1をお願いいたします。
まず、兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授、川上泰彦委員でございます。
【川上委員】 川上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 続きまして、日本大学文理学部教授、末冨芳委員でございます。
【末冨委員】 末冨です。よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 続きまして、大阪教育大学連合教職実践研究科教授、田村知子委員でございます。
【田村委員】 田村でございます。よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 また、本日御欠席でございますが、明治大学農学部教授、小田切徳美委員にも御参加いただく予定となってございます。
また、本日はオブザーバーといたしまして、新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の神野元基委員にも傍聴いただいております。
【神野オブザーバー】 よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】 続きまして、配付資料の御説明をさせていただきます。
本日配付資料は、資料1から資料4-2また、参考資料1から4までを御用意しております。事前に委員の皆様にメールでお送りさせていただいておりますが、過不足ございませんでしょうか。
また、本日説明中に該当する資料の部分につきましては画面に映し出させていただきたいと思いますので、適宜、お手元の資料、または画面上を御参照いただければと思います。
本日、試行的にウェブ会議ということで開催をさせていただきます。初めての試みでございます。大変御不便をおかけすることもありますが、何とぞ御理解いただきたいと思います。
また、冒頭、主査からございましたように、本日、ウェブ会議方式の開催で、傍聴者がおられないところでございます。 大変申し訳ございません。公開  というところが、少し技術的なところで本日、かなっておりませんが、主査から御指示がありましたように、会議資料、議事録、速やかにホームページに公開させていただきまして、また、お問合せがありましたら、事務局から詳細に御説明をさせていただきたいと思います 。 よろしくお願いします。
また、長くなって恐縮でございます。ウェブ会議を円滑に行う観点からお願いをしたい点、4点ございます。
1点目でございます。御発言に当たりましては、インターネット上で聞き取りやすいよう、はっきり御発言いただくように御配慮いただきたいと思います。
2点目は、発言の都度、お名前をおっしゃっていただければと思います。
3点目は、御発言時以外は、マイクをミュートにしていただきたいと思います。
4点目は、御発言に当たっては、「手を挙げる」ボタンがございますので、そのボタンを押していただきたいと思います。
意見交換の際の御発言者につきましては、システムの都合上、「手を挙げる」ボタンに基づきまして、荒瀬主査に代わりまして、事務局の私のほうから御指名をさせていただきます。順番に御指名をさせていただきますので、どうぞ御了承ください。御協力のほど、よろしくお願いします。
私からは以上でございます。
【荒瀬主査】 どうもありがとうございました。
新しく委員に御就任いただきました川上委員、末冨委員、田村委員、どうぞよろしくお願いいたします。また、神野委員、いつもありがとうございます。今日もよろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、本日の進行につきまして、今もございましたが、それに加えて、少し申し上げたいと思います。
まず、本日、議題3件ありますが、それぞれに時間の設定をしております。ただし、いずれも非常に重要な案件でありますので、場合によって、時間が不足する場合、その後のほうにつきましては次回以降に持ち越しということも考えておりますので、御承知いただきたいと思います。
それと、先ほどございましたように、私も今日は自宅におりますので、進行は、具体的には酒井参事官補佐にお願いするということでありますので、その点、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
今般、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止が我が国の最重要課題となる中で、4月30日、初等中等教育分科会と新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の連名で、全国の学校教育関係者に対するメッセージを発出いたしました。
最初に、新型コロナウイルスによる感染が拡大する中で、また、その後の収束を見据えた高等学校教育の在り方について、御議論をいただきたいと思います。
まず、事務局から資料を御説明いただき、また、本日は岩本委員から、参考資料2-1ということでありますが、御提出いただいておりますので、岩本委員より資料の御紹介を、大変申し訳ありませんが、手短にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】 事務局の酒井でございます。
それでは、私のほうから簡単に御説明をさせていただきたいと思います。お手元、画面上も映し出させていただいておりますが、資料2を御参照いただければと思います。
新型コロナウイルス感染症拡大の状況を踏まえまして、文部科学省といたしましても、全国の臨時休業の状況、そして、それに対します対応ということで、本日、参考資料2-2から2-7まで随時、通知でありますとか事務連絡で、様々な、臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒に対します学習指導でありますとか学習の保障等について、御連絡をさせていただいているところでございます。
また、中央教育審議会におかれましては、先ほど主査からございましたように、4月30日付で、初等中等教育分科会と新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の連名で、「全国の学校教育関係者のみなさんへ」と題しましたメッセージを発出していただいております。そのメッセージの概要を簡単に御説明させていただきたいと思います。
大きく3点でございます。一つ目は、多様な手段による子供の状況把握、学びの保障、心のケアなどの対応、2点目は、文部科学省による教育現場への徹底した支援、3点目は、子供たちの学び合う場の確保というところでございます。
1点目でございますが、ページにしますと2ページ目でございます。
今回、臨時休業等になったことによりまして、子供たち、保護者、地域の方々にとりまして、社会のセーフティーネットとしての役割を果たしている学校、この存在の持つ役割、意義の大きさ、そして教職員の日頃の取組の重要性、これが改めて浮き彫りになってきたのではないかという御認識でございます。
特に、子供たちの学びの保障や、心のケアを含む心身の健康保持については、格差の拡大を防ぐという観点を含めまして、学校への期待は大きいものがあるというところでございます。このため学校においては、電子メール、ホームページ等のICTや電話、郵便等のあらゆる手段を活用して、できる限り子供たちや保護者とつながることを意識していただくようにお願いしたいというような旨をおまとめいただいているところでございます。
2点目は、文部科学省による教育現場への徹底した支援というところでございます。
3ページ目に入っていただきますと、2行目以降でございますが、「文部科学省におかれては」というところで、中教審からのメッセージということで、子供たちが学びを継続でき、それぞれ着実に進級・卒業と次のステップに進むことができるよう、入試の在り方も含め、学校現場の声を聴き、そのニーズをしっかりと受け止め、子供たちや保護者、教職員に寄り添った徹底的な支援を行うことが必要ですとしていただいた上で、学校の設置者や関係団体と密に連携を図り、学校現場における創意工夫が進むよう、制度の柔軟な運用・改訂や必要十分な財政措置を含めた思い切った対応を行うことを文部科学省に求めますといった旨を御提言いただいたところでございます。
最後、3点目は、子供たちの学び合う場の確保という点でございます。
今般の臨時休業等によりまして子供たちが学校に登校できない、これは特殊な事情下というところでございます。こういったところで、自宅学習を含めICTを活用すること、これは有効な手段でございますというところで、このため、「GIGAスクール構想」を加速化し、学校のICT環境の抜本的な充実と教職員のICT活用能力の向上、更に踏み込んで家庭のICT環境の充実を支援することが不可欠ですとおまとめいただいております。
4ページ目でございます。「一方」というところでございますが、ICT環境が整備された場合にも、教師の対面による指導は不可欠であり、学校という場や教職員が必要でなくなるということは、決してありませんといった点も御指摘を頂いております。学校教育とは単に授業によって知識を学ぶだけではなく、学校という場や地域社会で様々な集団行動を行い、多様な他者と関わるとともに文化や社会と対話することを通じて人を育てる営みであり、人との関わり合いや対話などじかに触れ合うことでしか得られない様々な気付きが人を育てる面があるということに留意が必要ですとしていただいております。
最後に、まとめとしまして、新型コロナウイルス感染症の収束後の学校教育においても、多様な子供たち、誰一人残さない個別最適化された学びの実現のため、各自治体においてICTの整備を確実に進めていただくとともに、チーム学校の観点から教職員のみならず様々な学校のサポーターが学校を支えるなどの指導体制の充実を図り、子供たちの学び場を確保することが重要であるということを、全国の教育関係者と共有し、私たちも議論していきたいといったことをおまとめいただいたというものでございます。
まず、4月30日のメッセージについては以上でございます。
続きまして、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 それでは、私のほうからは、今日ここで説明させていただく資料についてですけれども、これは、先ほどの「全国の学校教育関係者のみなさんへ」というものの考え方を土台に、この休業期間中に、オンラインを通じて全国1,000人以上の教職員、保護者、生徒、あと、行政だとか大学、企業の方を含めて、そういった方たちとの対話、熟議を通して聞こえてきたものを、複数の委員の中でまとめ、整理させていただいたというものです。
これは、コロナのこうした状況において、生徒たちの学びを保障するという観点での提言であるとともに、その先の新しい国語教育の在り方についての方向性だとかその内容という視点に立っているものだと思っています。
中身をかいつまんで紹介させていただきます。
最初、「成り行きの未来」と書かれていますけれども、3点だけ、現場の声で見えてきたことは、ICT等の活用を通じた生徒の学びを止めないというようなものも、一部の高校では、もしくは一部の非常に意識、感度の高い教職員の中で進んでいる中で、まだ大多数の中では、うまく動けなかったというようなことが多かった。
二つ目は、今、再開に向けて準備をしている学校の声、状況を聞いていくと、やはり止まった分をふだん以上の速さで、講義詰め込みで取り戻そうというような形で、なっています。今、既に9こま、1日詰め込んだというような学校も、そういった声も聞いているような状況です。これが始まって、また土曜日、夏休みも削って、こういった形での詰め込み、内容を終わらせるということに躍起になる学校の中で、恐らく生徒の中で、時間的・精神的な余白なく過ごす中で、置いていかれる生徒だとか学校、生徒間のトラブルだとか、問題行動等々の発生だとか、あと、家庭もストレス状況が高まっていくということも想定される中で、貧困だとか様々な問題も起き得るリスクがあるということも見えてきました。
3点目は、やはり大多数の教員は、今までどおりの授業に戻りたいということを願っている方が非常に多いというところです。それが必ずしも主体的、対話的でとか、個別最適な学びをということではなく、今までの形でというところで、このままいくと、GIGAスクールでインフラ等の整備をしても、また今までどおりの形でというので終わってしまう。逆に、大量のデバイスだとかインフラの維持のコスト、その先に想定される財政難による教育予算の削減、また、教職員定数の大幅な削減、そういったようなことも、リスクとしては今後考えられるということが見えてきているというところです。
次の資料ですけれども、こうした中で、やはり社会も、教育も今、歴史的な分岐点、岐路に立っているという中で、これから、政策総動員で手を打つ必要があるということです。
次のページへ行っていただくと、そうした中で、学校教育で守るべき、「本質」と書いていますけれども、多様な生徒を誰一人取り残すことなく、健やかな学びで、この三つの機能を保障していくというのが、ここまでの議論で確認されたところかと思います。
次に、では、それをやるためにというところですが、そのためには、学校はまさに社会に開かれ、そして、開かれるだけではなく、社会と生徒たちがつながっていく、包摂されるような教育環境の実現ということが急務である。
その中でも、大きい方向性としては3点あります。一つ目は、情報社会に開かれつながるということで、いわゆるGIGAスクール構想の取組ですね。2点目が、地域社会に開かれつながるということで、PTAをはじめ産学官民協働の中でやっていく。3点目が、そういったものを生徒のためにつなぎ、活用するカリキュラム・マネジメントといったところが重要になってくる。
では、具体的にはというところで、そのために国がすべきことというところでは、学校の創意工夫を支えるために、また、いわゆる現場が主体的に考え、判断し、動ける、そのための教育環境を、教育行政、文科省を含めて実現をしていくということが基本的に重要である。やはり現場はそれぞれ状況が違いますし、生徒のことを一番分かっているのは現場ですので、そこをどう支えるのかというのが基本的なスタンスです。
そのための施策をいろいろ書かれていますが、ちょっと時間がないので、3点だけ紹介をしたいと思います。一番下の、「社会に開かれつながる教育行政」というところの3点になります。
1点目が、全国の高校の関係者の声を聞いていると、現場ではやりたいんだけれども、都道府県の教育委員会のところで止まるとか、そこがボトルネックになっているという声が非常に多く聞こえてきた。私自身、県の教育委員会の中にいますので、県の教育委員会もみんな、現場のために頑張りたい、やりたいという思いはありますが、正直、それを一つ一つ個別の学校に対応できるだけの今、人材だとか、余力だとかキャパがないという状況で、だから一斉一律にしかできないとか、一つ一つのルールをちゃんと見直すというキャパがなくてできていないというのがこの状況です。
これからの施策で、現場にたくさん人的・物的支援をしていくって、本当に重要で、やる必要があると思っています。ただ、それをうまく活用するための支援を、今の教育行政、都道府県教委が今のキャパで、これ以上、更にできるのかというと、きめ細かい対応は、はっきり言って難しいというところで、現場に入れるとともに、この中間に入っている設置者のところにも、それをちゃんと活用し現場に届けられる、現場に個別に伴走できるような体制の強化を併せてしていかないと、再び都道府県で止まるとかそういったことを言われてしまうような状況になるということが、1点目に上がっております。
二つ目は、今、学校を再開しました。そこで、新しい教育様式で、今までどおりではなく、これからのということを見据えてやっていくということが重要ですし、もう一つは、これから、また休校になる可能性はある。コロナがまた、いつ来るか分からないという状況の中で、次にコロナが入ってきて休校になったとしても、今回の反省を踏まえて、たとえ休校になっても、生徒たちの学びを止めないためにどうするのかということが、ここで言う、「学習継続計画」と書いていますけれども、これは企業で言うと、有事の事業継続計画、行政で言うと、有事における業務継続計画、これの学校教育版のようなイメージを持っていただけたらと思いますが、次の臨時休校で学びを止めないためのこうした計画、いわゆる防災計画のようなものになるかと思いますけれども、今、学校現場とか管理職の中でも、そういったものをこれから準備していきたいというような声が出てきています。
ただ、それをゼロから現場が作るとか、都道府県もゼロから作るというと、非常にこれは大変で、なかなかどこからやっていいのか分からないというところがありますので、ぜひ、サンプルだとか、どういうふうに作っていくのかというような事例の共有だとか、こういったところの支援なんかも併せてやっていくというのが、現場にとってこれから重要になってくるというのが2点目です。
最後、3点目は、これは文科省だけでどうこうできる問題じゃない部分もあるというので、まさに省庁横断で政策総動員で取り組んでいく、要は資源を確保していくということが重要だと思います。例えばイメージとしては、「トビタテ!留学JAPAN」というのが、文科省の中に事務局もあって、やっていますけど、そういった形で文科省の中に、場合によっては、官民協働のこういう、コロナだとか、その中でも、GIGAスクールを進めていくような体制をしっかりと作って、そこに、今で言うと経産省の未来の教室だとか、そういったところの人員だとかリソースなんかも併せて一緒に活用して、現場を守っていく、支援していけるような体制強化が今後、望まれるというところが、教育行政のところです。
最後のページは、こうした新しい教育の様式を通して、新学習指導要領の理念にあります、よりよい教育を通してよりよい社会を創る、そういった社会の目標だとかビジョンのイメージをここに描いているところです。
その後、参考資料としてつけさせていただいています。「新しい教育様式」だとか「学習継続計画」に関しての参考資料と、あとは、全国の今、コロナ禍における社会に開かれつながる取組の事例というものも、全国の事例を紹介させていただいています。
詳しくはまた見ていただけたらと思うんですけれども、ここで見えてきたことは、地域社会との連携だとか協働と、GIGAスクールのような情報社会とのつながりというものが、二項対立の話では決してなく、見ていただくと、地域社会との連携や協働をやっているような高校が、地域社会の力を使ったり借りたりしながら、ICTとかを活用して、情報社会とかGIGAスクールの方向性を効果的に進めているというようなことが見てとれるところです。
やはりこういった地域社会と情報社会、両方をうまく学校が、現場が中心になってカリキュラム・マネジメントをしていくということが、これからの新しい高校教育においての非常に重要なポイントであろうということが示唆されるのではないかと見てとれますということです。
ちょっと長くなりましたけれども、以上で説明を終わらせていただきます。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。とりわけ岩本委員は、膨大な資料を用意していただきまして、短時間で大変申し訳ありませんでした。
ちなみに、岩本委員の資料につきましては、来週5月26日に予定しております新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会でも、議論の際に資料として出していただくということになっておりますが、今日は高等学校教育ということに限って、いろいろと御意見を賜れればと思います。
時間があまりなくて恐縮ですが、一応のめどといたしましては、3時40分頃までということで、ぜひ多くの御意見を頂きたいと思います。これについて御意見をたくさん頂く上では、酒井参事官補佐の進行もその辺を考慮していただきまして、よろしくお願いしたいと思います。
では、酒井参事官補佐、よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】 それでは、御意見ある委員の方は、画面上の「手を挙げる」ボタンを押していただけますでしょうか。手を挙げた順番に、こちらの画面に出ますので、御紹介させていただきたいと思います。
それでは、香山委員、お願いいたします。
【香山委員】 香山です。
岩本さんの資料の6ページ目を御覧いただきたいんですが、私からは、この6ページ目の未来に開かれつながるカリキュラム・マネジメントについてというところに焦点化してお話ししたいと思うんですが、特に上から二つ目の、科目・単位・時数・履修要件等の弾力化及び指導内容の精選といったところについて考えてみたいなと思うんですが、履修要件ということにつきましては、各学校の教務内規で定められているのが高等学校の現状だと思うんですね。
大体、1単位に関して、50分授業ならば35週、1単位掛ける35週と。そのうちの、多い学校は大体、3分の2は出席しないと履修要件をクリアできない。中には、2分の1出席しないといけないといったような形で、教務内規に定められているんですけれども、今回のコロナの状況の中で、果たしてこの履修要件、コロナの後も含めて、このまま現状維持でいいのかなというのが私の考えです。
地域社会に子供たちが出ていく、そういったことも、保障していく学びの環境をつくっていくというために、履修要件をもっと各学校が弾力化して、学校には出席していなくても、積極的な不登校みたいな様々な活動ができる、そういった弾力化が必要なのではないかなと思います。これが1点です。
それと関連しますのが、一番下に書いてあります、学校外の学習も含めデータとエビデンスに基づく修得主義的な学習評価の一部導入というところなんですが、勝手に生徒が活動しているのを評価する、どうしたらいいのかということなんですね。これには、やはりパフォーマンス課題を与えて、滞空時間の長い問いを与えて、それに対してレポートとか、論文とか、そういったものを生徒が提出することによって、こちらが求める学びの質をちゃんと確認をして、単位認定に結び付ける、こういった仕組みを積極的に導入することが、いよいよ必要になってきたのではないかなと思っています。
まずは、そのことについて強調しておきたいと思います。以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
続きまして、牧野委員、内堀委員、角田委員、奈須委員の順番でお願いしたいと思います。
まず、牧野委員、お願いいたします。
【牧野委員】 ありがとうございます。
岩本委員から、大変中身の濃い、今後の新しい学校教育の在り方について御提示を頂いた、まず、それに対しまして敬意を表させていただくところであります。
私も、6こま目の具体的な施策案のところについて、少しコメントしたいんですけれども、これまで、新型コロナウイルスの対応に、地域一丸となってやってきて、その中で、教育委員会と市長部局も一緒になってやってきて、本当に思うことなんですけれども、学校教育というのが地域の中で非常に大きな位置付けがされているということを改めて感じるところであります。
そういった中で、コロナ対策については、もちろんGIGAスクール推進をしているわけですから、情報社会に開かれるような教育環境というところにスポットが当たりがちなんですけれども、岩本委員はさすがにそこは、ちゃんと地域に、社会にも開かれてつながるところも並列して書いていただいているというところは、地域の現場を預かる者としては、大変ありがたいことだと思います。
文科省の皆さん方には常々申し上げているところでありますが、やはりそうした地域の現場に、今こそ寄り添っていく、そういった心構え、気構えが重要な時期だと思います。地域との関係を、せっかくここまで作っていこうという中で、高校教育改革も進んできて、えてしてコロナの話で、情報社会の話ばっかりがスポットを、意識が行きがちになってしまうということがないように、ぜひバランスを取った形で、情報社会と地域社会を両方つないでいけるような教育環境をつくっていただきたい。
そのために、岩本委員が全国を回ってでもというような思いを持っていた、その思いを、ぜひ文科省におかれましても大事にしていただいて、現場に寄り添う文科省であり続けてほしいということを申し上げて、私のコメントとさせていただきます。よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
続きまして、内堀委員、お願いいたします。
【内堀委員】 内堀です。よろしくお願いします。
今年度から、小学校の新しい学習指導要領が始まるという年で、中学、高校という、新しい考え方で新しいことをやっていこうという矢先のコロナで、最初は、先ほど牧野市長さんもおっしゃいましたけれども、ICTのほうへぐっと振れたと思うんですね。それは、学校に来られないということで、それに代わるものとして何が考えられるかというような考え方で始まったと思うんですけれども、それで今、また学校が少しずつ、地域によってですけれども、再開が始まって、それがまた戻ってしまうのではないかという懸念が出始めている状況なのではないかなと思っています。
こういう状況の中で、膨大ないろいろなものが出てきて、それぞれのお考えがあって、それぞれ御主張があって、やっているわけですけれども、一番大事しなければいけないことは、こういう状況下で、何かなと考えたときに、結局、特に学校教育というのが、一体何を目指してやろうとしていたのかという、原点にもう一回戻るということがうんと大事なことではないかと思っているんですね。
原点というか、方向性というのは何だったかというと、変化の激しい時代だとか、先が見通せない時代だとか、昨日の状況が今日もあしたも続くとは限らないような時代になってきた。そういう時代背景の中で、子供たちにどんな力をつけていくということが、今の時点で正しいと思われる方向なのかという、一定の共通理解の下の方向性だったと思うんですね。
それは、例えば自立した学習者を育てていく、アクティブラーナーを育てていくだとか、混沌とした中から課題を見つけて、ほかの人と協働して、納得解というか、見つけ出していく力とか、あるいは、主体性を身に付けていくとか、自分の頭で考えられる子供を育てるとか、様々な言い方はありますけれども、そういう方向に行こうとしていたんだと思うんですね。
それは、どんな状況であっても目指すべき方向性だということをもう一回、確認しておくこと、しかも、それを全ての学校教育に関わる皆さんが共通認識として、もう一回持つということが大事なことなのではないかなと思うんです。
まさに、こういう子供たち、こういう若者を育てたい、こういう方向に教育があるべきだと言っていた状況が今、コロナという状況で生まれているわけですよね。長野県について言えば、昨年の秋に台風も来ました。学校へ通えない子供たちも出ました。そしてまた、今度はコロナと。遡れば幾らでもそういう事態はあったわけです。
その状況下でどうしていくのかということが、実は大人たちも求められていて、そこが子供たちも、大人たちも、どういう方向を目指していくのか、どういう力が今、必要になっているかということを実感しているわけですから、その方向にもう一回、学校教育が進むべきだということを改めて認識する必要があるだろう。
その認識が、若干忘れてしまって、とにかくやるべきというか、進まなければいけないところまで教科学習を進めるみたいな、手段だったものが一番大事な目的であるかのように受け止められている部分があって、先ほど岩本さんも言ったように、そっちの方向に動いている学校だとか教育委員会、教育行政もあるということなのではないかと思うんですね。
ですので、そういう方向に行かないことが重要で、その点では、「学びの保障」の方向性等という文部科学省から出された通知は物すごく見識が高いなと思って、読んだときには、すごいなと思って読んだんです。同時に、長野県もちょっと前に、そこまで深くないですけれども、似たような方向性を打ち出して、こういう方向でいこうというふうにやって、今回、文科省も大分踏み込んでいますよね。
これまでだったら言わないようなことも踏み込んでおっしゃっていて、それを、若干行政的な文章なので、しっかり理解できているかどうかというところも、人によって理解度が違うと思うので、本当はもうちょっと安易な、易しい言葉で言えればいいんでしょうけれども、文科省もお立場があるので、なかなか難しい面もあると思うんですけれども、方向性としては物すごくすばらしいなと思っていて、そういった方向をまず確認するということと、これからの方向性としては、絶対にオンラインとオフラインというか、対面と、それをどういうふうにベストミックスでやっていくかということを考える以外にはなくて、それぞれが今、皆、試行錯誤なんですよね。
だから、そういう方向性に従って、それぞれのところで知恵を出し合って試行錯誤していくんだという方向性で、そのことによって、もし間に合わなければ云々というようなことを文科省もおっしゃっているので、そういったところも上手に使いながらやっていくということが重要だろう。そうすれば当然、特別活動をやらないとか、朝から晩まで全て教科学習で組み立てられたものを、ひたすら一方向の講義型の授業が続くなんてことはあり得ないんじゃないかなと思っています。
もう1点だけ申し上げると、岩本さんのおっしゃったことで言うと、やっぱり学校の中で、今度、GIGAで、環境整備が大分進むと思います。ハード面が整ったときに、次は何かというと、学校とか教育行政の自前の努力だけではなかなか進まない部分があるので、やっぱり専門家が入ってきて、一緒になって考えていただくという、人の部分ですね。それから、いろいろな形での地域の協働が求められると思います。また、学校が休みになったときに、地域の公民館を開放してもらって、学校へ通えない子供が何人か集まるということも、もしかしたら必要なことなのかもしれないですね。
そのようなことも含めて、地域ICTということの、人というものが求められているということと、もう一つは、方向性を見失わないという、先ほどちょっと長めにしゃべった部分において、学習継続計画ということを打ち出したことは非常に有意義だと思っています。そうしないとぶれてしまって、また元に戻ってしまうということがそのたび起きるような気がしていますので、そのようなところをちょっと思っているところです。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
続いて、角田委員、お願いいたします。
【角田委員】 角田です。よろしくお願いいたします。
岩本委員の御提案に、本当に全面的に賛成です。私が関わっています専門誌のほうでも、コロナ禍の下での高校教育の取組の取材を進めているんですけれども、そこでいろいろな問題が起きているんですけれども、今回、やむなくオンライン授業を始めたところもそうですし、元からやっていたところもそうなんですが、すばらしい点が本当に明らかになってきたなと思っています。
先生と生徒がオンラインホームルームとか始めていて、そうすると、つながりとか、いたわっている気持ちだとかそういったもの、あと、クラスメート同士の様子が分かるということがどれだけありがたいことかということが確認されたり、あとは、活動が止まるかと思った地域連携の活動、探究活動が、オンライン遠隔によって物すごくスケールが大きくなっているんですね。全国レベルだったり、海外にまで行ったりということで、そういった意味で、地方の小さい高校と都市部の高校での体験格差など、言われていたと思うんですが、今回のことで逆転は全然可能だなというような、いい面が現れてきたなと思っています。
あと、今回のように、時間割に縛られなくても、どんどん活動できる生徒というのがたくさんいるんだということも明らかになったかなと思っています。
それから、オンライン授業ですけれども、つまらない一方向の授業というのは、オンラインでも対面でも全然駄目で、学びのモチベーションを上げないんだということが再認識されたと思うんですね。ですから、今後は、授業改革は、オンラインとリアルを組み合わせた形でもっともっと進んでいくだろうと、私は期待を持っています。
カリキュラムなんですけれども、1日何時間やるのではなくて、もっと柔軟なカリキュラムを認めて、その方法をすぐにほかの高校が、こういった形でもいいんだと周知していくということを、再開移行期間でやれたらなと思っています。今後のもっとすてきになる教育課程への転換点になると私は期待しています。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございます。
続いて、奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】 奈須です。よろしくお願いします。
時数がやっぱり不足するということが大きな問題だと思いますけれども、先ほどの9時間を埋めるとかというのは、かえって駄目だろうと思います。学習時間と学力が正の相関があるという素朴な認識でそういうことをなさるんだと思いますが、OECDのデータにもあるように、学習時間が必ずしも学力と正の相関は持ちません。場合によっては負の相関さえ報告されています。
つまり、学習の質と授業の質ということが圧倒的に重要で、このところ議論されている履修主義から修得主義への重心の移行ということも考えると、少ない時数でも十分な学力を保障する、そのための学習の質を上げるということが、やっぱり一番大事だろうと思います。
そう考えたときに、やはりまだ教科書を全てやり終えるということを前提にどこかで考えているんでしょうけれども、学習指導要領と教科書は全く別物です。教科書は主たる教材ですから、あれをやればいい、あれを全部やらないといけないということは全くないわけですけれども、そこのところを今後どう考えていくかということだろうと思います。もちろんこのことは、大学入試がどう対応するかということにも関わってくるんだろうと思います。
その意味で、今回の問題というのは、先ほど先生方がおっしゃったように、原理的なところを取り直す、また、今度の新学習指導要領の資質・能力主義という考え方にもむしろつながるような、ピンチですけれども、チャンスかもしれないと思っています。
それから、もう一つなんですけど、岩本先生の話で、地方教育委員会はなかなかリソースとかが厳しいんだという話で、そこを国にという話ですけれども、どうなんでしょうか、国にはリソースの余裕が十分にあるんでしょうか。国も大変なのではないかなと僕は今日、思っていて、下のほうで難しければどんどん上に上げていって、最後は国に何とかしてほしいといっても、国も今はあっぷあっぷなのではないかなと、いつも思っているんですけど、その意味では、もう少し自立的に地教委がやれるような、むしろ方策をどう考えるかというのもそろそろ必要になってくるかなと思います。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
今、挙手いただいておりますのが田村委員、川上委員でございますので、恐れ入りますが、田村委員、川上委員に御発言いただきまして、主査のほうに進行をお返ししたいと思います。
では、田村委員、お願いいたします。
【田村委員】 田村です。岩本委員、ありがとうございました。
岩本委員が描いていらっしゃる2種類の未来のうち、前者の未来については、成り行きの未来というのが十分あり得るなと感じております。といいますのも、私もいろいろ、オンライン授業をされているような先生方とのミーティングなどにも入ってみたんですけれども、ICTであっても、対面であっても、かなり従来型の授業というのをしている。ICTであっても、単に講義を長くするような取組もあるなということを感じております。
今、不測の事態でこういうことになったわけなんですけれども、前例踏襲とか今までなされてきたことを、ちょうど見直すというよい機会になるのではないかと思います。したがいまして、対面であれ、オンラインであれ、授業というよりも学びの場と言ったほうがいいのかもしれませんが、これを根本的に問い直していくという機会に変えていければと思います。
これは文部科学省が主催するのがいいのかどうか、分からないんですけれども、例えば生徒も入って、オンラインにしろ、対面にしろ、授業を受けている、あるいは、課題を出されて、そのままほったらかされている生徒というのも中にはいるわけで、そういった生徒たちも入って、全国の先生たちと率直に意見を交流するような場づくりというものができないものかと思います。
今やるべきことは、やはり学校でしかできないこと、つまり対面でしかできないこと、そして、対面ではなくて、代替も利くこと、あるいは対面以上の効果が期待できるもの、こういったものを整理していくことも必要ではないかと思います。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
川上委員、お願いいたします。
【川上委員】 川上でございます。御発表ありがとうございました。
ちょっと申し上げたいなというのが、高校教育を考えたときに、お話の中で、現場の主体的な判断をどうするというお話があったと思うんですけど、恐らく、高校教育を考える中で言うと、教育委員会も立派な現場のうちで捉えていく必要があるのかなと。学校というものだけを現場と見ていくよりも、いかに教育委員会が一緒になってそれを支えていけるかとか、一緒に考えていけるかみたいなところを、むしろ大事にしていく必要があるのかなと。
これまでの資料を読ませていただいて、高校はかなり状況が、学校によって様々なので、そうすると、この状況での生徒たちの学習の課題というのも、学校のタイプ、状況、環境によって様々なものが出てくると思うんですね。それに対して、どう対応していこうかというところを考えたときに、学校一個で、個別学校で集積されない試みを単発でいろいろなところでやってというのが、果たしていいことなのかというので言うと、きちんとそれをつないでいったり、一緒になって考えていくような教育委員会の姿勢というのがむしろ大事になってくるだろうと。
特に、小中学校と違って、高校の場合、学校のキャラクターが1校1校でかなり違いますから、その中で、例えば管理職で言うと、一つの学校を2年やら、3年やら、長くて4年ぐらいでいろいろ動かれるのが当たり前の状況で言うと、各学校の状況について、どれだけ深く知れているのか、それから、解決の知恵というのをどれぐらい持ち得るのかというのを、各学校に、簡単にお願いする、ただそれだけでお願いするというのには若干の無理があるのではないかということを考えると、教育委員会、この場合で言うと都道府県教委になると思うんですが、に期待するところというのは非常に大きくなるのではないかなと思っています。
それから、もう1点言うと、教育委員会で学校支援に当たる方も、多くの方が高校の現場からいらっしゃる方ですし、そこで経験を積んだ方が、管理的な立場、リーダーとして等々、各高校に出ていくということを考えると、結局、一緒にやっていくことを考えないと、物事はなかなか進まないのではないかと考えると、高校にとって、現場というのを各学校単発で捉えるというよりは、教育委員会を含めたものとして捉えていく必要があるのかなということを、ちょっと聞いて思った次第です。
感想みたいなものですが、以上です。ありがとうございます。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
それでは、主査、お願いできますでしょうか。
【荒瀬主査】 どうもありがとうございました。いろいろと大変貴重な御意見を頂戴しました。
一つ、時間がない中で、私も発言させていただいて、大変恐縮ですけれども、実際にオンラインの授業をなさっていらっしゃる先生方のお声の中に、不登校の生徒が参加できるようになったという声がありまして、これは非常に大きなことだなということを思いました。だから、学校のありようというのを考えていくときに、それぞれの人が学ぶ場であるということを考えたときに、その場をどのような形で設定するのか、広げていくのかということを考える上でも、今回の事態を、先ほど奈須先生もおっしゃっていましたけれども、ピンチであるということを捉えて、どう対応するのかを考えるとともに、チャンスであると考えて、どうこれからに生かしていくのかということも、重要な視点ではないかと思いました。
それと、最後、川上委員がおっしゃった、現場の話ということですけれども、この点、これまで我々が議論してきましたスクール・ミッションとスクール・ポリシーということをどのように設定していくのかということは、これはまさに各学校の主体性とともに、その学校を設置する側、公立の場合、教育委員会がどう関わるのかということでありますので、それについても、私たちの議論の流れの中で、また今後、詰めていければと思っております。ありがとうございました。
それでは、次の議題に入りたいと思います。
新型コロナウイルスの感染防止、拡大というのが大変大きな事柄でありますので、御意見を頂きましたが、次の議題は、実際に中央教育審議会への諮問事項につきまして、具体的に検討していただきたいと思っております。
一つ目は、時代の変化・役割の変化に応じた定時制・通信制課程の在り方ということであります。二つ目といたしまして、生徒の学習意欲を喚起し能力を最大限伸ばすための学科の在り方等ということで、まず、定時制・通信制課程の在り方につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。
酒井さん、よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】 資料3-1をお願いいたします。画面上も出ておりますけれども、3-1、定時制・通信制課程の在り方に関します論点をお示しさせていただいております。お時間が限られておりますので、簡潔に御説明させていただきたいと思います。
本日御議論いただきたい視点、2ページ目に記させていただいておりますが、2点でございます。定時制・通信制課程で多様な学習ニーズというのがあるというのは、これまでも御議論、御説明等をさせていただきましたけれども、そういった多様な学習ニーズに応じた取組の推進方策、これをどのように考えていくのかということ。 もう1点は、高等学校通信教育の質の保証方策について、どのように考えていくのかといった点でございます。
まず、1点目の多様な学習ニーズに応じた取組の推進方策でございます。
資料3ページ目で、(1)でございますけれども、定時制・通信制課程につきましては、制度当初には、勤労青年のための学校という制度化をされておりましたが、現在においては、全日制課程の中退者でありますとか、多様な理由によります不登校経験がある生徒、外国籍の生徒、精神疾患、発達障害などの特別な配慮を必要とする生徒、非行・犯罪歴を有する生徒など、多様な生徒が在籍をしているところでございます。
こうした中で、これらの課程におきましては、多様な生徒が入学している実態にきめ細かく対応して、個々の生徒の状況に応じた学習活動や日々の生徒指導、教育相談、将来を見通した進路指導などの多様な教育活動が行われてきたというところがございます。
おめくりいただきまして、4ページで、(4)でございます。少し事務局からの御提案というところで記させていただいておりますが、定時制・通信制課程においては、今後とも生徒一人一人の学習ニーズに応じた教育活動、このことをより一層推進していくことが期待されるところでございまして、例えば、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等、専門スタッフの充実でありますとか、大学、専門学校等の高等教育機関や企業、ハローワーク等との連携促進、学び直しなど補習等の支援、さらには、外部との連携・協働を行うための職員の配置促進を更に図っていくことが望まれているのではないかというところを記させていただいております。
(5)で、「さらには、定時制・通信制課程は」というところで、高等学校でございます。
 初等中等教育最後の教育機関として、高校生が身に付けるべき知識、技能や思考力、判断力、表現力等の確実な定着を図るということもまた重要ではないかと考えてございます。生徒一人一人の学習ニーズを的確に踏まえた上で、各学校の特色に応じた学校教育活動のPDCAサイクルの確立、これが非常に重要ではないかと考えております。
また、通信制課程においては、(6)でございますが、時代の変化・役割の変化に応じて満たすべき教育環境の水準が変化しているということも考えられるかと思います。非常に多種多様な生徒が入学している実態を踏まえた教育環境が十分整備されているとは言い難い学校もあると考えております。 必要な教育環境が確保される基準の在り方について検討を行って、必要な方策を講じていくことが必要ではないかと考えてございます。
続きまして、5ページでございます。高等学校通信教育の質保証方策についてでございます。
(1)でございますけれども、通信制高等学校においては、各種法令を遵守するということは当然でございます。 また、文部科学省で定めております通信制高校のためのガイドライン、これをしっかり踏まえた上での学校運営や教育活動の実施ということが求められているところでございます。
しかしながら、ガイドラインの策定でありますとか周知、点検調査の実施によりまして、多くの高等学校で、学校運営や教育活動の改善に向けた取組を進めていらっしゃるというふうに、その取組が浸透しているという一方で、いまだに不適切な学校運営や教育活動を行っている学校も少なからず見られるところでございます。
例えば、不適切な運用例としましては、括弧を記させていただいていますが、添削指導の実施に当たりまして、十分な添削指導ができていない学校があったり、面接指導の実施に当たりまして、添削指導の完了前にもかかわらず添削課題の解答を教えるなどの、その意義を損なわせてしまっているような事例、さらには、ガイドラインを自校に都合のよい形で解釈してしまったり、ガイドラインに明記されていない事項は学校運営改善の対象ではないものと解釈して、学校運営の改善に向けた取組を勝手に放棄しているという事例も見受けられるところでございます。
(2)でございますが、こうした現状を踏まえますと、改善を図るべき事項を具体的かつ明示的に示すよう、文部科学省で示しております 。ガイドラインにつきましては本日、資料3-2で御用意させていただいております。大部で恐縮でございますが、こういったガイドラインを今、定めているところでございますが、より現場の課題に応じた、ガイドラインの改訂というものが必要ではないかと考えてございます。
さらには、通信制高校の教育活動の基本的な状況について、情報の公開を各学校に義務付けてはどうかと考えております。
続きまして、6ページでございます。
(3)でございますが、広域通信制高校の中には、全国に多数のサテライト施設を展開しまして、所轄庁の区域を越えた教育活動を実施しているという学校がございます。これらの学校の中には、一部報道等でも報じられておりますけれども、高等学校通信教育を担うに適当と考えられる教育環境が確保されていないというような事例があるというところでございます。
(4)でございますけれども、サテライト施設に対します実施校としての責任、これを明確化するとともに、その責任を全うするために、例えば実態調査や連絡会議を、通信制高校においても、実施校においても定期的に実施していただくというのがまずは重要ではないかと考えております。
各サテライト施設に対します活動状況の把握・管理、これが必要ではないかと考えております。
さらには、(5)でございますが、いわゆるサテライト施設のうち、面接指導でありますとか試験を実施する施設につきましては、都道府県ごとに独自に設置認可基準を設けているところもあれば、そうでない都道府県も存在しております。こういった状況がございますけれども、学習指導要領に規定されています面接指導を十分に行うためにふさわしい教育環境を確実に整備する観点から、その基準の在り方について、必要な方策というものの検討が必要ではないかと考えております。
さらには、面接指導実施施設が設置されることになります都道府県側も何か関与ができるような方策についても、併せて検討が必要ではないかと考えております。
(6)でございますが、通信制高校においては、繰り返しになりますが、抱える課題、生徒の状況は様々なものになっております。初等中等教育最後の教育機関としてふさわしい教育環境を確実に担保することとともに、質保証を大前提とした上で、新しい効果的な学びの在り方についても、通信制高校について、考えていく必要があるのではないかと考えております。
なお、通信制高校に関しましては、7ページ目に参考で記させていただいておりますが、このワーキンググループと同時に、通信制高校の質の確保・向上に関します調査研究協力者会議というのを設けて、ただいま御議論をいただいているところでございます。同様に、コロナウイルスの感染症拡大のため、開催できていないところでございますが、こちらでもあわせて、具体的な基準の在り方について御議論いただいているという状況でございます。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 ありがとうございました。
今、最後におっしゃっていただきましたように、こちらのほうは調査研究協力者会議というのが立ち上がっておりまして、また、次の会議は6月に予定しております。二つのことを中心にやっておりまして、一つは、質の確保と向上ということで、今、御説明がありましたように、十分な教育活動がなされていない学校が現にあるということも、大変問題でありますので、それについての対応とともに、本当に今、通信制高校も多様でありますので、高等学校の在り方ということを考えたときに、どういった学びの場が必要なのかというのも含めて考えていこうという、二本立てでやっております。現在のところでは、質の確保・向上ということで進めているところであります。
それでは、この件に関しまして、委員の皆様の御意見を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
ではまた、酒井さん、よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 それでは、たくさんの方から挙手をいただいております。順番に当てさせていただきたいと思います。
まず、長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】 ありがとうございます。今、酒井参事官補佐から御説明いただいた最後のほうで、設置の基準の検討みたいなものが必要ではないかという文言もございました。私は、通信制課程の、とりわけ広域通信制高校に関して、その基準の問題などについて少し述べたいと思います。
資料3-1の8ページ以降に、通信制課程に関する関係法令がございます。この第2条には、通信教育の方法などとして、通信教育は、添削指導、面接指導及び試験の方法により行うことが決められています。その上で、多様なメディアを利用することができるというのが、その下にもあるわけです。また、第5条以下に、教員は5名以上でよいことなどが決められています。
その上で、同じくこの資料の10ページ、学習指導要領として、添削指導や面接指導の時間数が具体的に決められております。面接指導については、1単位につき1単位時間、つまり50分を行う。例えば、国語で4単位の科目があれば、年間で4時間だけ面接指導といいますか、スクーリングを、授業をすればいいわけです。実技や実験を伴うような科目はもう少し多く設定されていますが、面接指導の代わりに、先ほど言いました多様なメディアを利用することも認めておりまして、面接指導の6割の時間、全体として最大8割の時間まで、メディアで学習ができるとなっています。
ということで、学校に行く本来の面接指導というのは、最少でいいますと、年間5日程度で卒業単位を取得できるということになっているわけです。これが決めなんですね。ところが近年は、いわゆる通学型という、通信制本来の趣旨とは異なる生徒が増えてきている実態があります。多様な生徒たちにとって、その必要性があることは十分理解できます。しかし、学習指導要領上の面接指導ではなくて、サポート校での補習指導であったり、予備校の受験指導などに充てるケースも随分と見られます。
そこで、同じく資料3-1の最後、11ページの末尾にございますように、いわゆる通学コースにおいて、実施校や連携施設で実施されている教育活動と面接指導とは明確に区別されるものでなければならないということが強調されているわけです。しかし、特に広域通信制高校では、その区別が不明瞭ではないかと考えます。
そういうことで、本来とは異なる面接指導に相当な時間を充てているという実態がある一方で、教員体制は5名以上でよいといった基準、あるいは施設・設備が必ずしも十分とは、通学型に対応できるようなものと必ずしも言えない実態があるのではないかと危惧しております。
私は、通学型が主流になってきたという広域通信制の教育環境を整えるために、生徒たちのためにも、通信制の設置基準を、その実態に合わせて、全日制のようにすべきではないかと思います。
なお、もう1点、同じく基準の問題ですが、現在ほとんどの学校が休校中ですが、通信制高校では、メディアを用いたオンライン学習が当然のようにできるわけで、面接指導の代わりに単位として認められるわけです。全日制課程でも、遠隔授業が36単位まで可能と、決め上はなっていますが、通常は受け手側、つまり、生徒側にも教員がいるという意味での、例えば、島のほうの学校で遠隔授業を受けるというような条件ですから、もとより通信制高校では可能としている、単位も認めているという遠隔授業でも、全日制高校ではその取扱いが違うわけですね。
今は緊急事態ですから、別な対応をするということも、この期間に限って認められているわけですが、通信制や定時制も、あるいは、全日制と同じように、対面授業の重要性と遠隔授業の今日的な重要性は同じだと思いますので、先ほどの議論にもありました、オンラインも対面授業も、両方とも意味のある授業で、そのような制度上の基準についても見直しを図るべきではないかと思います。
私からは以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
続きまして、橋本委員、その次、山口委員の順番でお願いします。
橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】 先ほど御説明がありましたように、定時制・通信制課程は、かつてのように勤労青少年はほとんどいない。また、アルバイトさえもしていないという子供が増えていく一方で、大変多様な生徒が入学をしているということで、京都府の場合におきましても、定時制課程の51%、通信制課程の59%の生徒が、中学時代に長期欠席をしている生徒です。また、定時制課程の13%は、中学時代は特別支援学級に在籍しておりまして、これ以外にも発達障害など、特別な支援を要する生徒が相当おります。しかも、これが年々、比率としては増えている傾向が見られますので、一方では、こうした生徒たちの定時制・通信制へのニーズの高まりというものを強く感じております。
本府では、こうした状況の変化を踏まえまして、資料3-2でも紹介いただいておりますが、昼間定時制、多部制の清明高校という学校を平成27年度に新設いたしますとともに、今年度、また2校目となる、清新高校という学校を新たに設けたところであります。
1校目の清明高校をつくったときに、非常に強く感じたことなんですけれども、とにかく当初の想定をはるかに上回る保護者、また、生徒の相談というものがありまして、これは学習や生活面、障害の面、幅広いわけですけれども、これに対応するために、年度途中にスクールカウンセラーや養護教諭など、急遽加配をすることになりました。
一回こういう経験をして、よく分かったんですけれども、こうした生徒の特性を考えた場合には、資料にも書いていただいておりますけれども、様々な指導体制の拡充を図っていく必要がある。とりわけ、支援を要する子供たちも多いわけですので、言ってみれば特別支援学校に準じるような指導体制を拡充していく必要がある。あるいは、専門性の高い教員の配置というものが必要ではないかと考えております。
具体的には、ここに記載があるスクールカウンセラー等の専門人材、これをできたら常時配置していくことが望ましいと思っておりますし、自閉等の傾向の強い生徒というのは、なかなか小さい集団の中でしか学習もしにくいという状況があります。個々の生徒に対応ができるような教員の加配といったものも必要ではないかと思いますし、清明高校においては通級指導も行っておりますが、こうした学校への通級指導教員の配置ということも必要かと思います。
あわせて、カウンセリングマインドを持った教員、あるいは、特別支援教育に係る専門性の高い教員の配置というものが必要でして、これについては、都道府県による特別支援学校との人事交流を促進していくこと、あるいは、研修を通じて人材育成を進めていく、こういうことが大切だと思いますし、あわせて、ここに書いてあるような体制拡充に向けた国の支援をしていただくことも大切ではないかと思っております。
また、非常に様々な事情を抱えている生徒が増えていく中で、京都府におきましても、一部の定時制課程設置校においては、ICT機器、清明高校もそうですけれども、これを活用した授業を積極的に取り入れております。
4ページの(4)のところにも書いてあります、授業進度、あるいは授業内容等が、多様な生徒一人一人に合ったICT教材の活用というのは、自ら学ぶ姿勢のある生徒にとって大変有効だと、学校からも聞いております。
また、資料6ページにありますように、通信制課程においても、新しい学びの在り方として、ぜひ進めていくべきであろうと思っております。
ただ一方で、不登校や中途退学の経験のある生徒が多いわけでして、そもそも学習習慣の確立や自ら学ぶ姿勢といったものに課題を抱えている生徒も多いわけでありますので、ICTの活用を進める一方で、同時に、対面での丁寧な指導をしっかりと行っていく、このことも恐らく必要だと思いますので、この面についても少し触れていただくほうがいいのかなと思っております。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
続いて、山口委員、お願いいたします。
【山口委員】 こんにちは。神奈川県の上溝高校の山口でございます。
昨年まで神奈川県の厚木清南という学校におりまして、そこでは定時制が400名の生徒、通信制が800名の生徒ということで、定時制に関しては神奈川県内最大規模の生徒が在籍しておりました。
今、見ていただいている資料の7ページでございますが、そこで、いらっしゃる委員の方々とも、やっぱり通信制のほうで、全国の通信制の授業部長をしておりましたので、通信制でのこともお伝えしたいと思います。
先ほどの前段の議論のところで、まさに新型コロナウイルスに伴う今の学校教育の現状というのが、実は、定時制・通信制における今までの取組と非常につながるところが、今、異動したところで非常に感じております。今の橋本委員からのお話で、清明高校は全国の定時制・通信制でも、皆さん拝見して、非常に勉強させていただきました。非常に参考になって、いろいろな取組が取り入れられていると思います。いろいろな学校で、取り入れられるところを学んでおります。
その中で、先ほどのお話のとおりで、ICTの利活用というのが、実は定時制・通信制において非常に有効であるということは、ずっと個別の生徒の指導の中で、とても役に立ちました。実際の授業の中で、まさに対話的な、また、取組というのが非常にICTを通じて、逆にできました。
そして今、橋本議員の御指摘のとおりに、でも、通信制の生徒については、ICT、また、添削の部分だけではどうしてもうまく回復しないところがございます。生徒さんの様々な状況の中では、やはり教員、またはほかの生徒とのコミュニケーションの中で、様々な課題が徐々に回復していくという体験をたくさんいたしましたので、まさに今のコロナの状況と非常に近いところがございまして、ICTを利活用して、例えば、Google Classroomを通じて、非常にたくさんの課題を出すことができます。そして、それを回収することもできます。
しかし、それだけではこぼれてしまうところが確実にございますので、ぜひ、そこの両面をうまく活用できるといいというふうに、私のほうでは今の現状とともに思っております。
以上でございます。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
続いて、佐藤委員、鍛治田委員、跡部委員の順番でお願いしたいと思います。
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 戸田翔陽高校の校長の佐藤でございます。
本校については、これまでの会議でも度々御紹介させていただいていて、本日の資料3-1の3ページに紹介されております、平成30年度の文科省委託事業の「定時制・通信制課程における多様なニーズに応じた指導方法等の確立・普及のための調査研究」、こちらの冊子にも私、原稿を書かせていただいたので、もしよろしかったら、機会がありましたら目を通していただければと思っております。
本校も、非常に多様な生徒に対応するために、3ページ、4ページに書かれているような様々な人材、あるいは外部機関との連携を通じて、生徒への対応をさせていただいているところです。
4ページの(4)にありますように、一層きめ細かく対応していくことができるように、教職員の配置促進、これはぜひお願いしたいなということと、それから、ICT機器、先ほどから話題になっておりますけれども、これの利活用は非常に有効だということが、私も今回のコロナの関係で、先生方にお願いをしていく中で、非常にその有効性を感じております。本校でも、5月の連休明けぐらいからなんですけれども、Google Classroomを使ったオンライン授業を少しずつ始めております。
その中で、特に強く感じるのは、今までのような、1人の教員が40人を相手に授業するということは、このような生徒たちに対してはあまり有効ではないんだなということですね。Google Classroomで5人とか6人、せいぜい8人、10人ぐらいまでの生徒と教員がつながって、お互い意見交換しながら理解を深めていくというところで、すごくいい授業が行われているのを目の当たりにしておりますので、そういうことを進めていくためには、やはり教職員の配置促進、それから、ICT機器の物理的な整備というものが今後もますます必要になっていくんじゃないかなと考えております。(4)番のところは、ぜひ進めていっていただければありがたいなと思っております。
以上でございます。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございます。
次、鍛治田委員、お願いいたします。
【鍛治田委員】 YMCA学院高校の鍛治田と申します。
大阪府の認可校8校、今年度から11校になりましたけれども、その実態をお話しさせていただきます。
私たちは、中高連、私立高校中学連合会の中に、研究会として組織をしておりまして、しょっちゅう情報共有をしております。生徒の進路指導の説明会を合同で行ったり、中学校の教委に対しての通信制理解のための合同説明会を行ったりということで、その質を担保しようとしております。
大阪府の設置基準が厳しくて、先ほど出ておりましたけれども、他府県認可で、大阪府内でサテライトでされている学校に対して、大阪府が何も言えないというところがございまして、この辺りは、国全体でという希望はございます。
今回、いろいろ御提案いただいていますけれども、ガイドラインのとおりしていったら、そのままだなというような印象を受けております。
先ほどから面接指導の件について出ておりますけれども、このことは、私たちは非常に重要性だと思っています。いろいろな課題があって、多様な生徒たちが来ております。その子たちが、教育基本法にもありますように、人格の完成とか、平和で民主的な国家を作る形成者となるということで、ここはやはり集団でしかできないという部分がある。それで、面接時間ではどうしても足りないので、そこに足すということもたくさんあります。人格の完成には、五感に訴えるということが必要だと思っています。
ですので、オンラインで全て授業を進めているという学校もあるんですけれども、それをして本当に子供は育っていくのかなという疑問を持っています。
ただ一方、さっき佐藤先生も、橋本委員もおっしゃっていたように、今回、オンライン授業を、私たちもGoogle ClassroomやMeet、Zoomを使ったりして、授業と心理的サポートをし始めていますが、これが非常に有効であると感じています。
ただ、これを全部できるか。GIGAスクールで、小中学生に端末が1台ということもあると思いますが、私立の高校で通信に来ているというところで、独り親が多いというようなデータもあったと思うんですが、本校で言うと、生徒の24%が非課税世帯になります。大阪府が認可の中の学校では、70%が非課税世帯でありまして、やはり教育格差を非常に通信制は感じるところがあります。
この人たちに、全て端末を持ってきなさいということは言えない。学校が用意するとなりますと、基本法8条の助成のところで、私立学校教育の振興にというのがありますので、この辺りもぜひ考えていただきたいと思っています。
特別な支援が必要な生徒数が、広域制では3%になっておりましたけれども、本校は550名、あと、連携校、広域ですけれども、YMCAとしては例年していませんけれども、550名に対して、合理的配慮は必要かという申請書をこの春に出してもらいましたら、60名以上おりました。
これが連携校になりますと7割ぐらいになりまして、先ほど橋本委員がおっしゃったように、本当に特別な支援が必要な子たちがたくさんいる、そこに私たちはやっていくという、グローバル人材養成から逸脱した子供たちのセーフティーネットになっている、全日制に合わなかった子供たちのセーフティーネットになっているというところで、これ以上、教育格差が広がらないような形で支援していきたいと思っています。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
続いて、跡部委員、お願いいたします。
【跡部委員】 成蹊中学・高等学校の跡部と申します。
今までお話を伺わせていただいて、私も同じようなことを感想として持っているんですけれども、まず最初に、荒瀬委員が、機器を使うことによって不登校の子供たちがうまく吸収できたというか、やれている部分があるというお話をされていたと思うんですが、まさにそのとおりで、本校でも、非常に生き生きしていて、ふだんだと見られないような様子が見られて、よかったという話が出てきたんですけれども、課題もちゃんとやっているという話が出てきました。
定時制とか通信制、5パターンに生徒さんたちをグループ分けして、こういう感じの子供たちがこのぐらいの人数というお話が出ていたと思うんですが、普通、多様性という言葉は、多様性のよさを享受できる、そういう部分で使われることが多いんですけれども、学校の中で、本当にいろいろなタイプのお子さんたちがいらっしゃって、お子さんたち同士が正の感情、負の感情、そういったものを持ち合わせながら、そのよさを享受できるためには、非常に先生方は大変なんじゃないのかなというふうに、寛容な心で受け止めるには、すごくお子さんたち同士も、先生方も大変な、ふだんから教育されているんだなということを改めて感じました。それだけに、個々への、生徒たちに寄り添うというお気持ちを非常に強く持たれているんだと思っております。
私たちのような、例えば全日制の学校でも、不登校の生徒たちというのは結構な数がいて、そこがうまく、信頼関係を教員と築きながらというところに苦労することがあるんですけれども、これからは、こういった機器をうまく利用することによって、私たちのような全日制のところでも、もっとやれることがあるんじゃないか、不登校の生徒たちに対する指導がもう少し手厚くできるんじゃないかというようなことを感じております。それが1点です。
もう1点は、通信制の質の保証のところで、いろいろな広域制の、通学型のものが出てきたりということで今、話題になっているところだと思っています。そちらに移りたいという生徒も一定数いて、これから人数はますます増えていくんじゃないかなという危惧を持っているんですけれども、例えば外国の学校なんかですと、教員1人当たりの生徒の数というのを、必ず何かの形で公表したり、発表したりするんですけれども、そういったことなどもうまく、適正人数というか、やっぱりキャパというものがあるんじゃないかなと思っておりますので、一つ質保証のところで触れていただけるといいのかなと思いました。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
今、挙手いただいておりますのが、香山委員、川上委員でございますので、香山委員、川上委員に御発言いただいた後、主査に進行をお返ししたいと思います。手短に、大変恐縮でございますが、お願いできればと思います。
香山委員、お願いいたします。
【香山委員】 コロナの状況の中で、皆さんおっしゃったように、オンラインを用いた学習というのが主流になっていて、その観点からすれば、全日制も通信制も同じような状況に置かれていると、差は何だろうと考えるわけですね。
今、お話をお聞きしながら、面接指導の重要性というのが改めて浮き彫りになる。それは全日制においても、多様な子供たちとのコミュニケーションというのが非常に重要になるという点で、非常によく似ていて、共通性のほうが印象深く受け止めて、お聞きしていたんですが、私は、通信制において様々な問題が起こっている中で、やはり通信制においても質の保証という観点、それをしっかり制度化していくということが必要かなと思っていまして、全日制のところでも、先ほど申し上げたんですが、単位の履修、履修主義から修得主義へと移って、こういったことができたら本当に習得したことになるといったような仕組みを明文化していくことが必要かなと思っています。
そもそも小中で、単に履修はしているんだけれども、本当に習得できていない。そういった子たちが置き去りにされて、高等学校に上がってくるから、全日制においても、通信制においても大変なわけですから、小中も含めて、いま一度、コロナの状況の中で、制度の変更ということを今後、考えていったほうがいいかなと思いますし、今回何ができるのかという点で、書けるところはしっかり書いて、弾力化という表現でも構いませんし、考えていただけたらなと思います。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございます。
川上委員、お願いいたします。
【川上委員】 よろしくお願いします。申し上げたいことというか、疑問というか、ちょっと御存じの方、教えていただければという面も含めてなんですが、御説明いただいた5ページから6ページにかけて、通信教育の質保証に関連してのところなんですが、入り口が多分、6ページになるかなと思うんですね。
通信制の中では、教育環境が微妙なところもあるよと御説明いただいていたと思います。これが公立、私立のうち公立であれば、設置者による結構厳格なコントロールみたいなものができて、質の保証というのがしやすくなるわけですけど、私立になると、御存じのとおり、都道府県の私学をやっている部門の、例えば運営がどれぐらいチェックできる体制にあるかというと、多くの県でそれほどの体制にないというのも現実のところかなと思います。
私学部門のスタッフの数とか考えると、非常に限定的で、要は、ちゃんとした教育活動ができているかどうかについてのチェック機能というのを、都道府県の県庁の私学部門にお願いしても、なかなか難しい状況というのが今あると思いまして、そうした中で、その前の(2)のところで、ガイドラインの改訂を図るというような話だったり、自己点検チェックシートの策定であるとか、最後、第三者評価という話が出てきたりというので、いずれの策も、各学校の自発性に基づいている施策ばかりになると思うんですね。
こうした中で、これが出てきた経緯というのがよく分からないというところの一つなんですが、アイデアとして、例えば認証評価のようなものを考えることはなかったのか、既にお考えになった後で、認証評価という案が引っ込められてこの状況になっているのか、外部的なチェックの在り方について、この文書になるまでの経緯等があれば教えていただきたいなというのと、認証評価という考え方もあるのではないかという意見です。
以上になります。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
今の川上委員からの御質問に対しまして、私のほうから回答させていただきたいと思います。
資料につきましては、ちょうど今、大学であります認証評価のようなことということでございますけれども、資料につきましては、5ページの一番最後の行、私が説明の際、ちょっと長かったので読み飛ばしている部分でございますが、外部の専門家を中心としました評価者によります第三者評価の活用、これを促進していくことが必要ではないかというふうに、資料の中では記させていただいております。
この点は、先ほど主査からも御紹介がありました 。通信制高校の調査研究協力者会議の中でも議論になっておりますし、実は、通信制高校をめぐる議論の中でも、第三者評価というようなやり方が非常に効果的ではないかというところで、これまでも実は御議論があったところでございまして、引き続きこの重要性というのも考えております。
文部科学省といたしましても、こういった第三者評価の在り方については、調査研究なども今しているところでございますので、この辺の有効性についても、併せて検証というものが必要ではないかと考えております。今の御議論も踏まえまして、我々としても考えていくべきですし、今回の御議論の中でも、より充実というのが必要かなと思ってございます。
【川上委員】 ありがとうございます。
第三者評価というのが結構、重みが違ってくる。評価意見は評価意見として、学校経営者がどう判断するかは自由ですというていの第三者評価というのも、一方である。小中学校とかで試行的に実施されていたような第三者評価というのは、そういう性質のほうがちょっと強かったかなという気がしています。
なので、認証評価、要は学校としてやっていけるかどうかの許認可の部分を含めての評価というところで、多分、今まで日本でやってきた第三者評価よりも若干重いものをイメージして、認証評価という言葉を今回使って質問をさせていただいた次第で、ぜひ議論をまた詰めていただければなと思います。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
それでは、主査に進行をお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 最後、川上委員、ありがとうございました。御指摘をしっかりと受け止めまして、また、会議のほうで進めていきたいと思います。
今おっしゃったこと、酒井参事官補佐から説明をしていただきましたけれども、要は、私学担当が学校にいるといっても、おっしゃるように、人数が非常に少ないのと、高等学校の経験者が必ずしもいないという面があったりして、不備が指摘されています。それは、実際に各都道府県でやっていらっしゃる方からもそういうお声が出ておりまして、監督庁じゃないんですよね。所轄庁という表現ですので、権限が非常に小さいということがありまして、そういう意味でも、今、御指摘いただきましたことをしっかりと受け止めて、今後検討してまいりたいと思います。ありがとうございました。
それでは、最後の議題に移りたいと思います。
学科の在り方等ということで、事務局から御説明をお願いしたいと思いますが、本日御欠席の清水委員から、参考資料4ということで御意見を提出していただいておりますので、併せて御説明をよろしくお願いいたします。
では、酒井さん、またよろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】 資料4-1を御用意いただければと思います。
おめくりいただきまして、2ページ目でございますが、今回、こちらで御議論いただきたい点でございます。
これまで普通科を中心としまして、スクール・ミッション、スクール・ポリシーを踏まえました様々な教育活動の展開について御議論を賜ってきたところでございますが、これらの御議論につきましては、普通科のみならず専門学科、総合学科についても当然必要ではないかと考えております。 専門学科、総合学科の特質に応じて必要な方策についても、今回、御議論賜れればという趣旨で、資料をおまとめさせていただいてございます。
まず、1点目は専門学科の在り方についてでございます。
資料3ページで、(2)でございます。専門高校の教育でございますが、様々な社会の変化、例えば後継者不足といった産業別の課題でありますとか、科学技術の進展、グローバル化、産業構造の変化、こういって、専門的な知識・技術の急激な変化というのが、直面しております。そういった中で、専門高校の教育は、こういった課題に対応した内容の充実というのが強く求められているのではないかと私どもも考えてございます。
(3)でございますが、新指導要領の中でも、そういった中で、学校教育を通じてよりよい社会を創るという理念が掲げられておりますけれども、こういったことは専門高校においても同様ではないかと考えております。
おめくりいただきまして、4ページをお願いします。
(4)でございます。そういった中で、専門高校においては、地域を支える最先端の職業人としての資質・能力の育成を担うためには、最前線の産業界が学校と一体となった教育課程の進化を図るといったことが、こういった学校におきまして、社会に開かれた教育課程の実現ではないかと考えてございます。例えば言い換えれば、企業からの外部講師の招聘でありますとか、インターンシップといったこれまでの産業界との取組、こういったことを更に進めまして、そして、デュアルシステムから更に進んで、地域の産業界と学校が一体となって、職業に関する専門教科の授業、これを全面的に推進していくことが重要ではないかと考えております。
(5)でございますが、例えばということで、地元の商工会等が県・市町村行政と連携、そして一体となって、将来の地域産業に必要不可欠な、高校段階における専門職業人育成の在り方を検討しまして、それに基づいて高校改革のプランを策定し、互いに育成すべき人材を把握するとともに、それぞれの分野で身に付けるべき専門的知識・技術を明確にしまして、教育課程の開発段階から地元企業を巻き込んで、真に地域の将来にとって必要な人材育成を地元産官学が一体となって考える、教育課程の開発・実践を行う仕組みが必要ではないかと考えております。
また、(6)でございますけれども、これまで国の指定事業、スーパープロフェッショナルハイスクール等がございますが、取り組んできた高校については、その成果を生かしまして、更に進化させて、地域のロールモデルとしての取組を進めること、また、国の指定事業を受けていない高校においても、こういった国の指定を受けた学校との連携を図って、社会に開かれた教育課程の推進、こういったことが期待をされているところでございます。
(7)でございますが、こういった地域の産官学が一体となった教育課程の進化においては、その基盤となる教師の資質能力と施設設備のアップデート、これが絶えず必要であると考えております。国、地方公共団体、産業界の支援は必要不可欠であろうと考えております。教育内容の向上に資するためにも、20年後、30年後を見据えた、地元自治体、産業界が高校と高校の設置者とともに進める体制、こういったことが必要ではないかと考えております。
(8)でございます。一方、専門高校をめぐる変化としまして、生徒が卒業後、すぐに就職するのではなくて、より高度な知識・技術を身に付けることを求めて、大学や専門学校等の高等教育機関等へ進学する者も一定程度存在しているというような状況に なってございます。そういったことからも、高等教育機関との円滑な連携、これが専門高校においても求められているのではないかと考えております。
地域の産業界、行政が一体となって考える将来構想によっては、専攻科の活用であります。 高専への改編を行うといったことも視野に入れました 。専門高校と進学先の高等教育機関等が連携して、一貫した教育課程の開発・実施を検討するこういったことも必要ではないかというところでございます。
(10)、(11)でございます。産業教育施設・設備の整備・充実でございますけれども、(11)でございますが、教育再生実行会議の第11次提言の中でも、専門高校において、基盤となる実験・実習に必要な施設・設備のアップデート、これは不可欠であろうと御指摘を頂いたところでございます。国が行う施設・設備支援の一層の充実を図るとともに、地方自治体において、施設・設備の計画的な整備に努め、早急に教育環境を整えることであります。地域産業界との連携によって、地元企業等の施設を学びの場で活用し、生徒に、最先端の施設・設備に絶えず触れることができるよう、企業と一体となって学ぶ場、これを積極的に取り入れていくことが必要ではないかと考えております。
6ページをお願いいたします。
(12)でございますが、専門高校の魅力発信についてでございます。専門高校の教育内容については、中学生や保護者、教師等において、その実態、内容が必ずしも理解されていない実態があるのではないかというのが、これまでも指摘があったところでございます。こういった中学生を含めた生徒、教師、企業等が、教育内容、教育活動、そして卒業後に身に付けられる専門的な知識、技能、資格、そして何よりも生徒の学ぶ姿、これをしっかりと理解していただくような場、これが重要ではないかと考えております。国や都道府県教育委員会において、産業界等の関係団体も適宜連携して、魅力ある専門高校の姿を発信するそういったことが必要ではないかというところでございます。
(13)、(14)でございます。職業教育を主とする専門学科以外の専門学科でございます。具体的には理数であったり、体育であったり、音楽、美術、外国語、国際関係といった専門学科がございます。これまでも様々な専門的な教育を行ってきたところでございますし、近年においては、「探究」という名を冠しました学科、〇〇探究科というような学科は数多く設置されていて、いわゆる普通教育という範疇に入るんですけれども、より高度で特色ある内容を履修する教育課程の編成・実施が今、進められている状況でございます。
こういった学科においても同様に、スクール・ミッション、スクール・ポリシーに基づく教育、これを学科全体で進めていくことが必要ではないかということで、論点として記させていただいているところでございます。
おめくりいただきまして、8ページをお願いしたいと思います。2.総合学科の在り方についてでございます。
総合学科につきましては、平成6年に制度化されたところでございます。その特色といたしましては、(2)にございますように、「産業社会と人間」を原則として1年次に履修させることでありますとか、多様な開設科目や科目選択が可能であること、さらには、学年制によらない単位制による課程を原則とすることなどが記されているところでございます。
(5)でございますけれども、論点としましては、今後、各高校で生徒数の減少が見込まれる中で、教育的観点から高校の配置、規模の適正化という論点が出てまいりますけれども、総合学科を一体どういうふうに位置付けていくかということが非常に大きな論点になってくるのではないかと考えております。一方、例えば地方部においては、通学可能な範囲に高校が多くないという場合もあります。 こういった場合には、大学進学のための教科指導等多様な職業教科の開設が求められる。総合学科の教育活動の展開、これも非常に重要になってくるのではないかと考えております。
9ページを御覧いただければと思いますが、資料の中ほどに、公立高校の教育課程の編成・実施状況調査という調査結果を記させていただいております。繰り返しになりますが、総合学科の原則の履修科目というのは、「産業社会と人間」ということになります。3年間の授業の中で、生徒の目的意識、将来の進路、自覚を高めつつの授業の改善というのが必要になってまいりますけれども、総合的な学習の時間というのがその鍵になってまいりますが、総合学科の多くの高校では、履修単位数自体は実は3単位ということで、学習指導要領に定めます標準単位数のようなところになっております。 こういった状況を踏まえながら、どういった特色、例えば卒業年次の課題研究を行うなどの取組、こういったことを検討していくということが必要になろうかと思います。
ただ、(7)でございます。総合学科の強みというのは、多様な科目を開設されるというところでございます。その一方でその反対でございますが、他の学科の教員と比して担当教員の負担感が大きくなりがちということでございます。 こういった負担感を解消するための取組はどうあるべきかというところでございます。 おめくりいただきまして、10ページ、(8)でございます。過去の調査では、総合学科に関する研修を必ずしも実施されていないということもありますので、研修の在り方がどうあるべきかということが論点かと考えてございます。
もう1点、先ほど主査から御指摘いただきました、参考資料4をお願いできればと思います。
本日、専門学科の在り方について御議論いただくことになっておりますが 、大宮工業高校の校長であられます清水委員が、本日御欠席ということでございます。 意見を書面にまとめて提出をいただいているところでございます。清水委員の御意見、エッセンスを簡単に御説明させていただきます。
産業教育は極めて重要な教育であるというところを御指摘いただいております。社会に開かれた教育課程の実現を位置付けるということを 新学習指導要領に位置付けられたことは大変意義深いということでございます。これを専門高校で実現するためには、従来の専門高校と企業との連携を更に進めて、地元の産業界と専門高校のみならず、大学や教育機関とも一体となったカリキュラムの開発・実践を行う仕組みを構築するという考え方は非常に必要であると御指摘を頂いております。特に、国の強力な指導・支援の下に、産業界と県、市町村が一体となって、魅力ある専門高校の改革プランを作成して、育成すべき人材を明確化するということは大変重要であるという御指摘を頂いております。
後段でございます。専門高校の施設・設備についても言及をされているということでございますが、専門高校の施設・設備は老朽化しているものが少なくないというよりも、そのほとんどがあまりに老朽化しているというところでございます。施設・設備の整備に対する国の支援のさらなる充実が必要だと御指摘を頂いております。
おめくりいただきまして、2ページ目の中には、特に設備については、国庫補助が一般財源化されているということを捉まえまして、都道府県において、実験・実習に必要な施設・設備の整備を計画的に進めていくことも重要と御指摘を頂いているところでございます。
さらには、地元企業や大学・研究機関等の最先端の施設・設備の活用を生徒の学びに取り入れるということも有効ということを御指摘を頂いているところでございま今回の事務局からお示しさせていただいている提案について、方向性に賛成をして、強く推し進めていただきたいということを御意見として頂戴しているところでございます。
少々長くなって申し訳ございません。説明は以上でございます。
【荒瀬主査】 どうもありがとうございました。
専門学科、総合学科というのは、とりわけスクール・ポリシー、スクール・ミッション等が一番明確であるはずのように思うわけですけれども、実際のところ、そういう教育課程が本当に実現しているのかとか、あるいは今、清水委員からの御指摘もありましたけれども、施設・設備がどうなのか、あるいは教員はどうなのかといったような課題が多々あろうかと思います。
あるいはまた、先ほども御発言の中にありましたけれども、専門学科、総合学科にかかわりませんが、管理職の実際の就任している年限というのが必ずしも長くなくて、なかなか学校としての取組というのが継続しないということも指摘を受けているところではないかと思います。
そういったことを含めて御議論いただくわけですけれども、時間があと僅かでありまして、冒頭申しましたように、今日、全て御発言いただくということにはならないかとも思いますので、また次回に向けて、事務局とも相談いたしますので、今日、特にこの点はということがございましたら、御発言を頂ければと思います。
では、酒井さん、またよろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 それでは、岩本委員、牧田委員、奈須委員の順番でお願いしたいと思います。
まず、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 簡潔に、施設・設備の整備・充実のところです。産業教育において、施設・設備は非常に重要なものであるんですけれども、清水委員のペーパーにもありました、国、都道府県の計画的なというところに加えて、市町村や産業界、高等教育機関との協働とか、それによる充実をしやすくするような仕組みだとかを検討する必要があるのではないか、そこも検討する必要が、いいのではないかと考えています。
例えば一つ目でいけば、企業、産業界でいったら、企業版ふるさと納税で施設・設備を充実させて、ふるさと納税で1億ぐらい出して、やっているような事例もあります。こういった形で、ふるさと納税とかをもっと使いやすく、もしくは、そのインセンティブが産業界に働くような形に、よりしていくだとか、あとは、都道府県の高校であっても、例えば市町村が本気になれば、その気になれば市町村が施設・設備の充実もできるようにするとか、そうした場合、例えば高校だけではない、高校生だけではない人間も、そういった施設・設備を使えるようにするとか、そういった形で、市町村もそこにしっかりとコミットして一緒にやれるとか、あとは、大学等もありますけれども、そういう施設・設備のシェアリングとか、貸し借りというか、共有でやっていくとか、そのような形も含めて、施設・設備は非常に重要ですので、整備・充実しやすい制度を幅広に検討する必要があるのではないかと思います。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
次に、牧田委員、お願いいたします。
【牧田委員】 牧田です。
職業科についての意見なんですけれども、日本版デュアルシステムを更に踏み込むというようなお話があったと思うんですけれども、私は、更に一歩進めていただいて、デュアルシステムの特徴というのは、実際に働きながら、そこで賃金を得て、理論的なことを週末に学校で学ぶというのが真骨頂ではないかなと思っているわけで、少なくとも職業科については、より地元の経済界と連携することは不可欠でありますけれども、その連携の中で、実際に働いて、いろいろな技能的なことを経験したものの理論付けを学校で教えるというような形にしていったほうが、本来、職業科としての技能を身に付ける上で有効ではないかと思いますし、それから、先ほど出ていました設備の問題についても、そうであれば学校で設備を準備する必要はないわけでありまして、それぞれの企業がそれぞれの設備を使って学ぶこと、学ぶといいますか、実際に仕事に従事することができるので、私はそちらのほうを有効ではないかなと思っています。
以上、意見です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
次に、奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】 奈須です。よろしくお願いします。
今回の資料の中で、進学、就職、進路のデータを見て少し思っていたんですけれども、大学、専門高校の進路の中で、大学等が27.9%、専修学校が21%で足すと48.9%と、かなりの生徒たちが、就職ではなくて、いろいろな形の進学に行くということですね。私なんか古い人間なので、専門高校というのは就職ということが、進路として想定してしまうんですけれども、今はかなり進学をするということですね。
大学でも、工学部なんかでも、学部を出てすぐ就職するのではなくて、今、大学院に、修士ぐらいまで行ってからというキャリアパスが、かなり想定された学部教育がなされているかと思います。専門高校についても、そういうことを考える段階にそろそろ来ているのかなということを一つ感じました。
もう一つは、大学とか専修学校の進学ですけれども、高等学校の専門の内容のところに進学しているのかどうかということです。大学は多分そうだと思いますが、専修学校は、かなり違うところに進んでいる生徒さんも多いのではないかと思います。これは、合わなかったとか、必ずしもそこで専門を見いだせなかったので、別なキャリアパスを目指すということもあるかもしれません。この辺りをどう考えるかと思います。
専門高校で、ある意味で狭い専門に来るわけですけれども、それと、ある種、後期中等教育としての広い意味の市民教育といいますか、幅広い資質・能力を育成するということの、どの辺りに折り合いをつけるかというところが、この子たちの進路を見ていると、いろいろ考えるべきかなと思いました。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
今、挙手いただいておりますのが橋本委員、香山委員でございますので、順番にお願いしたいと思います。
橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】 私のほうからも、職業学科の設備に関してだけ申し上げたいと思います。
清水委員の資料の中にも書かれていますけれども、職業学科、とりわけ工業学科の設備につきましては、一般的には高額なものが多いということもありまして、かなり陳腐化、老朽化したという状況があるのかなと思っております。
そうした中で、先ほど岩本委員がおっしゃったように、あるいは企業や市町村との連携も考えながらという、これは本当に大切かなと思っておりまして、特に最先端の設備というのは、多額の投資をしても、すぐ陳腐化する可能性もありますので、京都府においては、そういった設備、機械類というのは、企業に行って、実習の中で使わせてもらうということを原則にしたいと考えております。
その一方で、企業で使わなくなった計器類とかそういった備品は、企業からの寄附を受ける。そのような工夫や苦労をしているところでありますけれども、とは申しましても、やはり一定の基礎的な設備、備品については、府として本来、整備をしていきたいなと考えております。
資料にもありますように、以前、国庫補助金の一般財源化が図られた。これは地方の側から、地方分権の取組の一つとして求めていたものでもありますので、ちょっと我々からすると申し上げにくいのでありますけど、一般財源化に伴って、恐らく多くの都道府県の財政当局の財布のひもがとても固くなっている、そんなふうに想像しております。
一般的な備品類については当然、地方のかい性で、一般財源の中で何とかすべきであろうと思いますけれども、十数年に1回更新する、あるいは新規のものを入れる、そういった高額な備品などについては、今後の担い手対策、特にものづくりの人材が不足しているという状況の中で、担い手対策や産業振興にもつながっていくと思いますので、私は文部科学省に限らなくてもよいと思っております。経産省や農林水産省でもいいんですけれども、何らかの形で、国からの財政支援が検討いただけるとありがたいなと思います。
この間、特に補正予算を通じて、農林水産省のほうがかなり実習設備の助成をやっているようなことも聞いておりますので、ぜひそういった広い視野から、国の支援というものを考えていただけたらと思います。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
続きまして、香山委員、お願いいたします。
【香山委員】 私からは、2点です。
今日は、修得主義という言葉について、何度も口にしているんですけれども、今回の資料の中に、スクール・ポリシーという言葉はあるんですけれども、グラデュエーション・ポリシーという表現が見当たらないんですよね。これについても記述をしていくという方向で、ぜひ考えていただいて、その趣旨としては、卒業時にどんな力をつけて出すのかということについて、しっかりと各学校が、あるいは県教育委員会と相談しながら、書き込んでいくということがとても重要だということを改めて強調していただきたいなというのが1点です。
2点目につきましては、私も3月まで高等学校の校長をしていまして、デュアルシステムのカリキュラムを作って、出たんですけれども、作るに当たって産業界、企業といろいろと話をする中で、重い腰が上がらないところもあるんですね。長期インターンシップと変わらないというか、受ける企業側にメリットがないというところがあるわけです。地元の高校だからと引き受けてくれているようなところがあって、そういう意味では、企業さんが積極的にデュアルシステムを考えて、先ほど橋本委員も、牧田委員もおっしゃいましたけれども、高度な設備をしっかりと子供たちに体験させてやるといったような仕組みを、企業のほうからもやりやすいような形で、省庁横断型の支援策をぜひ考えていただけたらなと思います。地方創生推進交付金なんかも一つの手かなと、岩本委員の話を聞きながら思い浮かべました。
逆に学校側から、教育委員会のほうも、1週間のうち1日ぐらい、あるいは2日ぐらい、学校に来なくてもいいよといったような面白いカリキュラムを作っていけるような弾力化を、ぜひ考えていけるような後押しを文章の中に盛り込んでいただけたらなと思います。
以上です。
【酒井参事官補佐】 ありがとうございました。
今、挙手いただいた委員は、これで御発言、全てでございます。 そのほかの委員、よろしゅうございますでしょうか。
では、進行を荒瀬主査にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】 どうもありがとうございました。
先ほど奈須委員がおっしゃった、専門高校の卒業後の進路の話ですけれども、これは場合によっては、地域的に少し違いがあるのかもしれないなと思いますので、これは酒井さん、そういうデータがありましたら、お示しいただければと思いました。
それと、香山委員は十分御承知の上でおっしゃっていることかと思うんですけれども、履修主義と修得主義について、これは間違えると、学校というのは修得主義なんだから、力をつければ別に学校に行かなくたっていいじゃないかという、結構乱暴な話も出てこないとも限らない面もなきにしもあらずだと思いますので、教育課程部会なんかで履修と修得について、専門的な見地からいろいろと御意見を頂いているというケースもありますので、こういったこともこの高校ワーキングで共有できればなと思っております。
香山委員、どうもありがとうございました。
それでは、今日、時間のほうも終わりになりましたので、これで終了したいと思います。
冒頭の岩本委員の資料提出に基づきまして、いろいろと御意見を頂きました。岩本委員、本当にありがとうございました。また、神野委員も傍聴して頂きまして、ありがとうございました。それから、酒井さん、どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。
皆さんも、今日は初めてのワーキングのウェブ上の会議ということで、お疲れになったかと思います。大変ありがとうございました。
あと、次回以降の日程につきまして、酒井さんのほうから御説明をよろしくお願いしたいと思います。
【酒井参事官補佐】 本日はありがとうございました。また、初めてウェブ会議ということで、何かと御不便をおかけしたかと思います。大変申し訳ございませんでした。
次回のワーキンググループにつきましては、6月2日、火曜日、13時からを予定しております。恐らく再度、オンライン開催ということでお願いをさせていただくことになろうかと考えておりますが、詳細につきましては、また改めて御連絡をさせていただきたいと思います。
【荒瀬主査】 それでは本日、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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