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新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

令和元年8月30日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂

3.議題

  1. 新しい時代の高等学校教育の在り方について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬主査】  ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ、長い名前でありますけれども、の第2回の会議を開催いたします。本日は御多忙の中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。今日は、100パーセント御出席いただいたということで、本当にありがとうございます。
 まず、会議に入る前に、今申しましたように、前回の会議で御欠席の委員の方がいらっしゃいますので、事務局から御紹介をよろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】  事務局でございます。事務局より、今回から初めて参加される委員の皆様を順番に御紹介させていただきます。
 まず、佐藤成美委員でございます。
【佐藤委員】  佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】  清水雅己委員でございます。
【清水委員】  清水でございます。どうぞ、よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】  奈須正裕委員でございます。
【奈須委員】  奈須でございます。よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】  牧野光朗委員でございます。
【牧野委員】  牧野でございます。どうぞ、よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】  事務局からの委員の御紹介は以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。それでは、本日の配布資料について御説明をよろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】  本日の配付資料は議事次第にございますように、資料1から4まで、及び参考資料1、2となってございます。資料につきましては、審議会等のペーパーレス化の取組を推進するために、原則としまして今後、お手元のタブレット端末等でお願いをさせていただければと考えてございますが、本日はまず初回ということになりますので、書き込み等にも御対応いただくために、資料の1から4につきましては机上にも配布をさせていただいたところでございます。参考資料1と2につきましては、お手元のタブレットの方に格納されてございます。手でダブルクリックをしていただきますと開きますので、御確認いただければと思います。資料の過不足でございますとか、もし万が一機器の不具合等ございましたら、事務局にお申し付けいただければと存じます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。
 まず、中央教育審議会における近年の検討状況、及び議論のための論点メモについて、事務局から御説明、よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】  資料1及び資料2に基づき御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、お手元資料1を御用意いただければと思います。前回の会議におきまして、これまでの中央教育審議会における議論でも特に高等学校に関しまして、重要な御提言が幾つか出ているということで、例えば平成26年の高等学校教育部会の審議のまとめでありますとか、キャリア教育に関するものにつきまして御紹介をという御指摘がございましたので、御用意させていただいたものでございます。
 まず、資料1でございます。まず平成23年1月の中央教育審議会、今後の学校におけるキャリア教育、職業教育の在り方についての概要を添付させていただいております。2ページをお願いできればと存じます。2ページにつきましては、この平成23年答申の概要について記載をさせていただいております。この当時の御議論としましては、若者の現状としまして、1ポツでございますが、大きな困難に直面しているというような御議論がございました。産業構造でありますとか、就業構造の変化、職業に関する教育に対する社会の認識等、社会全体を通じた構造的な問題が存在していると。
 特に学校から社会、職業への移行が円滑に行われていないといった御議論でありますとか、社会的、職業的自立に向けて様々な課題が見られると。その中で学校教育は重要な役割を果たすものでありまして、キャリア教育、職業教育を充実していかなければならないという御議論がございました。2ページの右側でございますが、特にキャリア教育におきましては、幼児期の教育から高等教育まで、発達の段階に応じて体系的に実施をしていくべきというようなことが、御議論があったところでございます。
 次の3ページでございますが、この発達の段階に応じた体系的なキャリア教育ということでございますが、左側、基本的な考え方の充実方策というとことで、基本的な考え方、3点お示しを頂いておりました。社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力・態度を育成する幼児期の教育から高等教育までの体系的な取組が必要であると。2点目は子ども・若者一人一人の発達状況の適格な把握ときめ細かな支援が必要であると。
 3点目は能力や態度の育成に通じた勤労観・職業観等の価値観の自己形成・自己確立が必要であるといったことが、基本的な考え方としてお示しを頂きまして、右側、2ポツでございますが、各学校段階の推進の主なポイントとしまして、資料、下の方にございますが、後期中等教育段階、高等学校段階でございますけれども、後期中等教育修了までに生涯にわたる多様なキャリア形成に共通して必要な能力や態度を育成し、またこれを通じ、勤労観・職業観等の価値観を自ら形成・確立することが重要であるというようなところが、お示しを頂いたところでございます。
 4ページを御覧ください。後期中等教育におけるキャリア教育・職業教育でございます。2ポツ、各後期中等教育機関における推進の主なポイントというところでございますが、この中では高等学校、特に普通科においてのキャリア教育の推進ということを御議論いただいておりました。この中ではキャリア教育の中核となる教科等の明確化の検討でありますとか、職業体験活動の効果的な活用、普通科における職業科目の履修機会の確保、さらには進路指導の実践の改善・充実ということを御議論いただいてございました。
 さらには、高等学校専門学科における職業教育といたしまして、基礎的・基本的な知識の定着と問題解決能力等の育成でありますとか、長期実習、実践的な教育活動の実施、実務経験者の登用でありますとか、地域や産業圏との密接な連携による学科整備・教育課程編成ということが御議論を頂いたところでございます。そして、高等学校の総合学科につきましては、目的意識を持たせる教育活動の充実でありますとか、中学生、保護者や教職員の理解促進のための様々な取組が必要だというところは御議論を頂いたところでございます。
 資料1の5ページを御覧ください。中央教育審議会では、平成23年に初等中等教育分科会の下に高等学校教育部会が設置を頂きました。この高等学校教育部会におきましては、今後の高校教育の在り方に御議論いただき、3年にわたる御議論の末、おまとめいただいたのが平成26年の審議のまとめとなったところでございます。
 6ページ以降、審議のまとめの概要がありますので、御紹介させていただきます。この中では、高校教育をめぐる現状とこれまでの取組ということで、現状でございますが、生徒をとりまく状況の変化が非常に大きく変化をしているというような現状認識を御議論いただきました。例えば生徒の多様化でありますとか、生徒の基礎学力の不足と学習意欲の低さ、さらには大学入試の選抜機能の低下ということを御議論いただいてございました。
 そして、これまでの高等学校教育の取組といたしまして、高校教育の質の確保というところで、公的な制度・仕組み、設置基準であるとか設置認可でありますとか、指導要領でありますとか、そういった仕組みが整えられてきたと。さらには多様な生徒への学習形態や進路希望への対応ということで、高校教育改革の推進、例えば単位制高校の導入拡大でありますとか、総合学科の創設でありますとか、不登校生徒や中退者、特別な支援を必要とする生徒への対応等の取組が進められてきたということが、整理を頂いたところでございます。
 そして、7ページをお願いできますと、この審議のまとめの中では大きく2つの方向性というところで、1つが共通性の確保ということを御議論いただいておりました。この中では全ての生徒が共通に身に付けるべき資質・能力の育成というところで、資質・能力「コア」の把握・評価の必要性が必要だというような御議論を賜っておりました。
 もう1点が多様化への対応でございます。多様な学習ニーズへきめ細かな対応が必要だというところで、各学科・課程等においてそれぞれ対応が必要だというような御議論が頂いておりました。例えば、普通科においては進路意識の向上や、キャリア・職業教育など学校から社会への円滑な移行の推進が必要であるといったことでありますとか、専門学科におきましては社会のニーズにおいた実践的な職業教育の推進が必要であるといったこと。さらには総合学科では、中学校の教職員や保護者の間で認知度を向上させる取組が必要であるといったようなことが御議論いただいたところでございます。
 おめくりいただきまして8ページでございます。こういった大きな方向性の下の具体的な施策として御提言いただいた内容でございます。まず、学習成果や教育活動の把握・検証が必要だということで、達成度テスト(基礎レベル)(仮称)の導入といったことが御提言を頂きました。これは現在、今年度から導入されております「高校生のための学びの基礎診断」ということで、現在制度化されているものでございます。
 次に、学校から社会・職業への円滑な移行推進ということでございます。例えば、社会を生きる上で必要な力を身に付ける教育の推進といったことでありますとか、実践的職業教育の充実、総合学科における特色ある取組の推進といったことが御提言を頂いておりました。この中でも特に実践的な職業教育の充実を図るために、専攻科における大学への編入学の制度化に向けた検討といったところが当時、御議論いただいておりましたが、この平成27年の学校教育法の改正で専攻科から大学への編入学といったことが制度化されたということでございます。
 さらには多様な生徒の学習形態、進路希望に対応した教育活動の推進ということでございます。定時制・通信制等、困難を抱える生徒のための支援・相談の充実でありますとか、高等学校段階における特別支援教育の推進、ICT等の活用による学びの機会の充実、こういったことが御提言を頂いておりまして、特別支援教育の推進については、高等学校における通級による指導の制度化でありますとか、ICTの活用につきましては高等学校における遠隔教育の制度化、こういったことで具体的な施策が実現をしてきているというようなところでございます。
  続きまして資料2をお願いできればと存じます。今後議論を進めていただくに当たりまして、論点的なものをメモとしておまとめをさせていただいてございます。この資料、中身は大きく3点で構成をされております。1点目は今後の高等学校教育を考えるに当たって、立脚すべき基本的考え方の理念というのはどういうところにあるのだろうかと。2点目は高等学校教育の様々な問題がありますが、その背景にある課題というのは一体どういうものだろうかと。3点目はそういった課題を解決するためにどういう施策が必要であろうかといったことの構成ということで、参考の論点メモを、お作りをさせていただいたところでございます。
 1点目は新しい時代、これからの時代の高等学校教育の在り方を御議論いただくために、どういった視点が必要だということでございます。大きな黒線の二重括弧というところの中を御覧いただければと存じますけれども、まずそもそもこれから高校学校教育が目指すべき姿を御議論いただくに当たっての視点でございます。これからの高等学校教育の目指すべき姿をどういうふうに考えていくかというところでございます。
 例えば教育基本法に定める教育の目的・目標、学校教育法に定める高等学校教育の目的・目標の達成を目指しつつ、本来脚注を付けるべきで申し訳ございませんが、こういった各法規の目的・目標の達成を目指しつつ、高等学校学習指導要領の前文に定められております、一人一人の生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の作り手となることができるような教育の実現を目指すということを前提として考えていただくことにつきまして、視点としてお示しをさせていただいております。
 次に、こういった目指すべき姿を具体的に進めていくに当たっての基本的な考え方というところで3点、お示しをさせていただいてございます。1点目でございますけれども、まずこういった今後の改革を実現に向けて、高等学校においてはこれまでも知・徳・体の育成に向けた取組に取り組んでいただいたところでございますけれども、急速に変化する社会の文脈の中で、高等学校教育の現場におきます「不易」たるものと、時代の変化という中の「流行」のバランス、これを、今後検討を進めていただくに当たってどのように考えるべきであろうかということが、まず1点目、あろうかと考えてございます。
 その上で、2ページ目でございますけれども、この社会の変化の中でこれからの高等学校教育がどういった姿を考えていくかという一つの視点でございますけれども、恐らくそれは高等学校が社会と接点を持ちつつ、多様な人々とつながりを保ちながら学ぶことができる開かれた環境となり、社会とつながる中で高等学校教育を展開するということを前提として考えるということはどうでしょうかということで、少し記させていただいているところでございます。
 3点目でございますけれども、これまで中央教育審議会の御議論におきましては、先ほどの平成26年の審議のまとめでもありましたように、高等学校教育の在り方としましては、高校生全てが身に付けるべき資質・能力とそれに対応した教育というところとの「共通性の確保」と、一人一人の生徒の多様な実態にきめ細かく対応する「多様性への対応」、これを図ることを前提としてきたところでございます。これからの高等学校教育の検討におきましても、従前から重要なものと位置付けられてきております「共通性の確保」と「多様性への対応」、このバランスに配慮しつつ進めていただくとともに、一方で「公正に個別最適化された学び」の実現、こういったことも御議論いただいているところでございまして、こういったバランスをどういうふうに考えていくか、そういうことを前提として御検討いただければと考えている次第でございます。この論点につきましては第1回の議論で関連する主な意見を参考としてお示ししておりますので、御参照いただければと考えてございます。
 3ページをお願いできればと思います。これからの高等学校教育の改革を御検討いただくに当たってでございますが、問題の所在、どういったところに課題があるのかといったところで視点をお示ししております。前回の会議でも事務局からデータということで、高校生の学校生活への満足度の低下でありますとか学習意欲の低下の実態といったことを、お示しをさせていただいておりました。また、平成26年6月の高等学校部会、教育部会の審議のまとめの中でも、例えば基礎学力の定着に課題があるとか、そういったような実態も御議論いただいてきたところでございます。
 そういった問題の背景にある課題ということで、大きく3点あるのではないかということで、お示しをさせていただいております。1点目でございますが、各高等学校の教育目標でありますとか、学校運営に関する課題というものが考えられるのではないかというところでございます。まず、高等学校教育の各高等学校の教育目標でありますとか、こういった教育目標を実現するための各学校の方針につきまして、例えば入学を希望する中学生でありますとかその保護者、さらには中学校の関係者、地域の方々の様々な立場から学校教育に関わる全ての大人も含めて、高等学校と社会との間で十分共有されていない学校があるのではないかということでございます。また、こういった教育目標でありますとか学校運営の方針につきまして、学校内に目を向けますと全ての教職員が共通に理解をして一体となった学校運営、これが必ずしも実現していない学校があるのではないかというところでございます。
 課題の2点目でございますけれども、社会が大きく変化し、生徒の興味・関心、能力、適正等が、多様化が進んでいる中におきまして、例えば学習活動でありますとか進路指導でありますとか生徒指導を含めて、様々な学校教育活動の場面において、一人一人の生徒のニーズ、実態でありますとか、学校・地域の実態、学習ニーズにおいた指導、これが必ずしも実現できていない学校があるのではないかというところでございます。
 次、3点目でございます。教育課程の編成に関する課題でございます。特に普通科におきましては多くの生徒が文系・理系に分断されているという実態があるといったことは御案内のとおりかと思いますが、特に高校2年生時以降におきましては特定の教科について十分に学習しない傾向があるというようなことが、御指摘を頂いたところでございます。こういったところに鑑みますと、生徒の特性、進路等に応じた適切な教育課程の編成となる工夫ができていない学校があるのではないかといったことが、課題の3点目として考えられるのではないかと記させていただいたところでございます。
 こういった課題を解決するために今後、御議論いただくべき論点ということで、5ページ以降にお示しをさせていただいたところでございます。まず1点目が、各高等学校の教育理念を具現化するための方策についてどのように考えるかといったところでございます。それぞれの高等学校におきましては、学校教育における一切の事柄については、校長がその責任と権限を有するものでございますけれども、その校長がリーダーシップを発揮しまして、教育理念を明確化するとともに、その具現化を図るためにどのような生徒を受け入れたいと考えているのか。そして、その受け入れた生徒に対してどのような資質・能力を身に付けさせて卒業させるということを考えるのか。さらには特色を有する教育をどのように実施するということを考えていくのかといったことをはじめとする、学校経営に関する方針の在り方について御検討いただくということはどうかと考えている次第でございます。
 これにつきましては、教育再生実行会議の第11次提言の中でも、全ての高等学校に教育理念の明確化と生徒の受入方針、教育課程の編成・実施方針、修了認定方針を定めるというようなことが御提言を頂いたところでございまして、これも受けたようなものでございます。なお、この方針の在り方につきまして、こうした各学校の教育理念、学校経営に関する方針の下で、教職員が一丸となって学校教育活動全体の改善に向けてPDCAサイクルを回し、社会とのつながりの中でも学校が主体的に進化し続けられるような学校運営を実現するための方策、これも併せて御検討いただくこととしてはどうかというふうにお示しさせていただいているところでございます。
 そして、これらの検討に当たりましては、当然学校、学校長が果たすべき役割ということもあろうかと思いますし、その学校の設置をしています、その学校の教育に最終的に責任を持つ学校の設置者が果たすべき役割というのもあろうかと存じます。さらには国が果たすべき役割、全国的な教育の機会均等、水準確保の要請の中で国が果たすべき役割というものもあろうかと考えてございます。それぞれの果たすべき役割を整理しつつ、必要な方策について御検討いただくこととしてはどうかと考えている次第でございます。
 次、6ページをお願いできればと存じます。6ページは議論の方向性、その2でございます。各高等学校の特色化、魅力化の実現に向けた方策といったところでございます。生徒の興味・関心、適正、進路希望等が多様化している実態がございます。そういった生徒の意欲と関心を喚起し、能力を最大限に引き出すことができる各学校の特色化、魅力化の実現に向けた方策といたしまして、普通科の類型の在り方をはじめとしまして、校長がリーダーシップを発揮しまして、特色、魅力ある教育を推進するための制度的な在り方、これを御検討いただくこととしてはどうかと考えております。
 その際には、文系・理系のどちらかに過度に偏ることがない、バランスよく資質・能力を身に付けることができる方策となるというようなことを御留意いただくとともに、先ほど同様でございますが、国、設置者、学校長がそれぞれ果たすべき役割でございますが、これは少し次の3の論点とも関連してまいりますが、当該学校が立地する地元の市町村でありますとか、産業界等が果たし得る役割、こういったことも整理しつつ御検討いただくこととしてはどうかと考えてございます。
 この御検討に際しましては普通科が、非常に焦点が当たっているところでございますけれども、普通科のみならず専門学科、この専門学科も職業学科のみならず、その他の専門学科と整理されている学科、そういった学科でありますとか、総合学科についてもそれぞれの課題等を踏まえてその在り方を御検討いただくこととしてはどうかと考えてございます。こういった御検討につきましては、もちろん各学校の設置者であります、例えば公立の場合は教育委員会が様々な高校改革の取組を推進していただいておりますし、各高等学校においては小学科でありますとかコース等、様々な特色ある教育というのを進めていただいていて、そういった実態を踏まえつつ、各高等学校の魅力化、特色化、これが推進できるような方策ということで御検討いただくことはどうかと考えている次第でございます。
 最後、7ページでございます。論点の3点目でございます。地域社会や高等教育機関等、多様な主体との連携・協働の在り方といったところでございます。社会とのつながりの中で高等学校教育を展開していくというようなことが求められているところでございますけれども、この「社会に開かれた教育課程」という新学習指導要領の理念の中で、生徒の多様な実態でありますとかそれぞれの学校や地域の特性も踏まえまして、例えば地元の市町村や国内外の高等教育機関、産業界、関係機関等の様々な分野の多様な主体との間で組織的、継続的な連携・協働体制を構築するための方策について御検討いただくこととしてはどうかと考えてございます。
 教育再生実行会議の第11次提言の中でも、このような御提言がございました。多くの公立学校におきましては都道府県等が設置をしているというところでございますが、基礎自治体であります市町村との協働、これに課題があるといったような御提言も頂いているところでございます。こういった中で、一方でこの高等学校の設置者自体は県でありますけれども、こういった設置者負担主義でありますとか管理主義の原則もあるところでございまして、そういった中で様々な自治体で、地元の自治体でありますとか産業界、そういったところがどういった担い得る役割があるのか、そういったことを御整理し、御検討いただくということにしてはどうかと考えております。
 2つ目の丸でございますが、「また」以下でございます。離島や中山間地域等の高等学校の小規模化といったような課題がございます。さらには生徒が様々な目的意識に応じて学び、こういったことが実現したいというようなニーズでありますとか実態というのがあろうかと考えてございます。例えば遠隔教育といったものが各学校、各設置者の中で取組まれているような実態もございますけれども、このことは恐らく学校間の連携による教育というのがより進められていくといった実態が進んでいるかと考えてございます。
 そういった、これまでの学校が有する、学校という枠組み、例えば学年・学科・学校等の枠組みに捉われないような学びの仕組みというのも、例えばICTを活用するようなことで実現できるのではないかというような御議論もあろうかと思っております。そういったことについても併せて御検討いただくこととしたらどうかと考えている次第でございます。なお、本ワーキンググループの検討事項で、その3で定時制、通信制教育の在り方といったことも御検討事項となっておりますが、本日のところはまず検討事項1と2について、この議論のための論点メモということでお出しをさせていただいた次第でございます。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。大変多くの内容をコンパクトにまとめて御説明いただきました。今、御説明いただきましたことへの御質問とか御意見もおありかと思うのですが、5ページで説明していただきました3つの方針にも関わって、特色ある取組を進めておられる長野県の状況について、内堀委員に御発表をお願いしたいと思っております。内堀委員の御発表の後、酒井参事官補佐からの御説明も含めて御議論いただければと思っております。
 では、内堀委員、よろしくお願いいたします。
【内堀委員】  内堀です。事務局から依頼を受けまして、パワポの資料を作ってまいりましたので、それに従って発表させていただきます。それではお願いします。直接タッチする形で進めるタイプのパソコンだそうですので、座ったままで失礼します。
 長野県の状況について話をさせていただきます。今日発表する内容としては、1つ目は長野県の高校改革について県教委が出した「実施方針」の概要に触れたいと思います。2つ目は、これと関連して、その「実施方針」の中にある「3つの方針」の策定と運用について。3つ目は今、荒瀬先生からお話がありましたけれども、普通科におけるコース制の取組について、話をさせていただきます。
 まず、長野県の高校改革ですけれども、今各地区で地域協議会を設置するなどして、地域の皆さんに御議論いただいているところですが、その議論のベースとして示した「実施方針」というものがあります。この「実施方針」に至るまでのプロセスですけれども、2013年、もう大分前になりますけれども、県教委の事務局内で今回の高校改革について議論を始め、2年ほどかけて県の産業教育審議会で議論をしていただいて、産業教育に関する部分について答申を頂きました。その後、将来像の検討委員会を立ち上げまして、高校教育全体の議論を行っていただきました。そういったものをまとめて「基本構想」、これは今回の高校改革の骨子にあたるものですけれども、それを県教委で2年後に作り、さらにその1年後に県教委が具体的な「実施方針」を、今手元にあります、この黄緑色の冊子ですが、それをまとめました。同じ内容が県教委のホームページにも載っておりますので、詳細についてはまた御覧いただければと思います。
 この「実施方針」は「高校改革~夢に挑戦する学び」というネーミングにしました。これはどういう構成になっているかと申しますと、二つの大きな柱、一つは新たな学び、それともう一つは新たな学校づくり(再編整備)ですが、この二つを一体的に推進するというようなつくりになっております。実は、1-1のところで「長野県の高校改革」とタイトルを付けさせていただいているわけですけれども、実態としては、これは長野県の第二期高校再編でもあります。
 けれども、2013年以来、県教委としては意識的に高校再編という言葉を使わないでずっと進めてきています。その理由がこれです。高校再編という言い方をしてしまうと、この2番目の新たな高校づくり(再編整備)の話ばかりになってしまって、どことどこをくっつけてどんな学校にする、以上終わり、というような話になってしまうので、まずはこれからの時代にどんな学びが必要かという話をしっかりやろうということで、再編という言葉をあえて使わずにきています。
 この「実施方針」は、合計6つの方針から構成されています。時間がありませんので余り細かく触れられませんが、これがおよそどのようなものかということの概要を申し上げます。今、6つの方針と申し上げました。新たな学びの推進に関して3つ、それから新たな高校づくり(再編整備)に関して3つです。
 新たな学びに関しての方針1としては、これからの時代に必要な力、それを生徒に育むために新たな学びへ転換していく必要があるという、そういう話が述べられています。2つ目としては、夢に挑戦できるような、この新たな学びが実際に機能するような、多様な学びの場、学びの仕組みを整備していくと。これが方針の2つ目です。それから3つ目は、この新たな学びにふさわしい環境を整備していくということです。
 もう一つの大きな柱である新たな学校づくりにつきましては、1つは少子化の進行に的確に対応していくと。それからその2つ目としては、多様な学びの場をつくるのだけれども、それを全県で見たときに適切に配置していく。それから、最後全体の6つ目の方針としては、今冒頭で申し上げましたが、地域での検討を踏まえて再編すべき計画を策定していきますと。ただ、こういった話はとかく再編する学校だけの話になりがちですので、再編対象にならない学校も含めてこの際全ての学校を整備し直していくという考え方に立っています。
 それで、この実施方針の特に学びの部分の3つの方針についてもう少し詳しく触れさせていただきます。1つは、これからの時代に必要な力というのを生徒に育むための新たな学びへの転換ですけれども、この新たな学びというのを今回の改革の一丁目一番地と位置付けていまして、長野県では学びを探究的な学びに転換していくということをうたっています。
 少子高齢化ですとかAIの発達、グローバル化の加速等の社会の大きな変化、それから将来を見通すことが難しくなってきたと。これまでのように蓄えた知識をアウトプットすることによってなんとかなってきたというか、それによって成立してきた時代とは明らかに違う時代がやってきているということで、そういう時代にあたって生徒に育てたい力をまず明確にしました。これは文科省の方で言っている学力の3要素をしっかりバランスよく、知識・技能に偏らないで育てていく。それから、生きる力を育てる。それから、新たな社会を創造する力を育てるといった、育てたい力を明確にしまして、この力を付けるには学びとしては探究的な学びしかないだろうということで、すでに全県で推進しています。そこに、その後、個別最適な学びという考え方を、入れながら進めているところです。
 この探究的な学びについては、第1回の会議でも私から申し上げましたけれども、探究的な学習の時間等における探究活動はもとより、全ての教科、そして教育活動全体で進めていく。一旦学校に来たら学校から帰るまで学校で行われることは全て探究的にしていくと。もっと言えば、学校の外でも子どもたちが探究的な学びを意識して主体的に行うようになっていければ理想的だと考えています。新たな学びへの転換の2つ目ですけれども、学校・課程別に3つの方針を策定し、運用していきます。これについては後で触れます。
 それから、こういった学びへ転換するための方策の1つとして、高校入試を変えていくということで、昨年の3月に外部有識者等による検討委員会から報告書を頂戴し、今年の3月に県教委の案を提示しました。それに対してパブコメ、あるいは意見聴取会等で意見を聴取して今、まとめ上げているところでして、近々こういう意見等を取り入れる形で、修正案を出していくことになると思います。
 学びの改革の2つ目ですけれども、夢に挑戦できる多様な学びの場や学びの仕組みを整備・充実するということです。多様な学びの場としてどのようなものを考えているかというと、1つは総合学科です。長野県の場合は北信・東信・中信・南信という4つの地区に大きく分けることができますが、1地区だけ作られていない南信地区に総合学科を設置していきます。また、六次産業等も視野に入れた総合技術高校、工業とか商業とか農業という単一の専門学科の高校も大切ですけれども、それを越えて相互に乗入れする形で、より現実に合った学科横断的な学びができる総合技術高校を拡大・充実していくと。学びの場の2つ目としては、多部制単位制も北信という地区に設置されていませんので、そこに設置するのみならず、どのような多部制単位制が望ましいかという議論を経て、新しい形の多部制単位制をつくっていきたい。それから、通信制についても、望月サテライト、来年4月に開校しますけれども、そういった新たな通信制をつくっていく方向で改革を進めていきたい。あとは、モデル校方式。県独自にモデル校を指定しまして、先進的な学びの場をつくっていきます。モデル校は現在6種類を考えていまして、研究をしていただいている段階です。来年から実践をしていくという形になろうかと思います。
 多様な学びの仕組みの整備・充実については、どんなことを考えているかというと、1つはICTの活用です。最近ではEdTechという言い方もしますけれども、こういったものを積極的に各学校に取り入れていきたい。それから、特別支援教育を充実していきたいと。長野県の場合は中学校の特別支援学級の生徒の約7割が高等学校に進学します。そういう県ですので、特別支援教育は全ての高校で考えていかなくてはいけない課題です。それを充実していきたいと。通級による指導というようなことも含めてどうしていくかということです。
 それから、高校間連携と高大連携を推進していきたいと。高校間連携については、例として示しているのが、学校の枠を越えた共同学習ですとか、他校の授業を直接その学校に行く、若しくは遠隔通信で受けてそれを単位認定できないかとか、あるいは高校間には限られないですけれども、学校の外で生徒が作ったプログラムを高校が単位認定していくといったようなことができないかというようなことを考えています。
 それから高大連携につきましては、それぞれ独自に単一の高校と単一の大学が連携を結ぶというようなこと、これはもう頻繁に行われるようになってきました。ただ、同時にそこから漏れた学校に所属する生徒が大学教育の恩恵を受けられないということになってもいますので、長野県の教育委員会と知事部局が連携しまして、プラットフォームをつくり、そこに全ての県内の高校生を載せるというような形での高大連携を行っています。そこには将来的にはAPですね、大学の単位を取得するというようなことも入れていきたいと考えています。
 それから、デュアルシステムを拡大していきたいと考えています。専門高校などでは大分入ってきている一方で、普通科高校で導入しているところが少なかったのですが、既に県内で2~3校、普通科でも導入を始めています。これについては強制的に入れるということではなくて、必要だと考えた高校が導入していくというような形で拡大していきたいと思っています。
 新たな学びにふさわしい環境整備ということで、1つ目は学習環境・生活環境の整備を行っていきます。学習環境については、来年度をもって5年計画の5年目になりますけれども、全ての県立高校の普通教室に電子黒板が入ります。それから40台のタブレットが配置され、遠隔会議システムが導入され、大型プリンタが入るということが学習環境としては整ってきます。今後はWi-Fi、それからBYOD、1人1台端末に対応できるような環境整備というものも進めていく予定でいます。
 それから生活環境の整備ですけれども、これは余り言うのも恥ずかしいのですけれども、小中学校や私立高校に比べて、県立高校の住環境というか、学習環境は非常によくない。古い校舎、暗い廊下、そういった感じですので、これも例えばトイレについては、少しずついいものにしていきたいということを予算化している段階です。さらに長野県では学習空間デザイン検討委員会というのを、外部の建築デザイン、官民共同、地方財政、防災教育等の専門家に入っていただいて立ち上げまして、抜本的に学習空間、生活空間、それから教員の執務空間として、どういう形が適切かということで、本当に国を代表するような専門家の方に集まっていただきましたので、そういった方々から知見を示していただく中で、今年の5月に中間報告書をまとめていただき、教育長に提出することができています。知事にも報告しているのですが、これを更にブラッシュアップしていきまして、どの程度までできるかは予算との関係もありますけれども、新しい学びをより効果的に実現するためにも、そういった方向に舵をきっていけたらと考えています。
 ICT環境の整備、これについては先ほど申し上げました。それから、新たな学びの推進のための人的配置、これもなかなかお金が掛かることですので苦しいのですけれども、できるだけ進めていけたらと思っています。
  さて、3つの方針の策定です。3つの方針とは、ということですが、これは文部科学省の資料からですけれども、大学等においてディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーという3つのポリシーを策定するということになっております。これを参考にさせていただきまして、長野県では全ての県立高校において、生徒育成方針…、用語についてはかなり慎重に考えました。この用語が間違っていると間違った印象を与えてしまうので、慎重に検討しまして、ディプロマ・ポリシーに相当するものとして生徒育成方針という名前の日本語にしました。ですので、3つのポリシーではなくて3つの方針でありますし、生徒育成方針は、卒業までに生徒にどのような力を付けるのかということを示したものです。そして2つ目は、教育課程編成・実施方針。これは文科省と全く一緒ですかね、そのまま頂戴したと思います。生徒育成方針という目標を達成するために学校全体として、教育活動、カリキュラムをどのように展開していくのかということです。3つ目は、生徒募集方針です。受入れという言葉は使いませんでした。募集方針ということで、どのような生徒の入学を待っているか。自分の学校はどのような学校で、どのような学びができるかといったことを、入学を希望する生徒へのメッセージとして示していこうということです。これを基に、先ほど言いました高校入試改革の中に各学校が個別対応できる部分がありますので、そこに生かしていくという形を作っていきたいと思っています。
 この3つの方針の策定の趣旨ですけれども、こんなふうに考えています。各高校が、カリキュラムマネジメントの考え方の下に、各学校が定めている大きな教育目標に基づいて、目指す方向や特色、魅力等を明確にした教育活動の体系を示し、自校の生徒、教職員、保護者はもとより、中学校、中学生あるいは地域等と共有することにより、透明性が高くより効果的で充実した教育活動を展開するため、ということであります。
 策定単位は各学校の課程別としています。また、どのようなプロセスで策定していくかというと、作成方針と先進的事例を県教委で示しまして、もちろん校長会とか教頭会ともやり取りする中で、今各校で作成をしていただいているところです。この秋に各高校から暫定版を一旦出していただきまして、県教委も一緒になってそれをブラッシュアップして、来年の3月までに策定をするという予定であります。
 策定、検証方針等、具体的なものについて触れますと、今申上げたとおり、来年の3月までに全ての県立高校において策定します。教職員が徹底的に熟議等を通じて議論を尽くすとともに、教職員だけではなく生徒・保護者、あるいは同窓会、地域の皆さん、学校評議員等と意見交換を行いながら、それを取り入れていくと。それから3つの方針をグランドデザインにして1枚の概念図にまとめてくださいということをお願いしています。文字だけで示しても地域の皆さんとか中学生とか保護者の皆さん、読まないし理解しにくいので、1枚の概念図にまとめると。
 それから、教育関係者にありがちなのが、広く一般の方々に示す文書に教育の専門用語を使ってしまう傾向があって、それでは分かりにくいので、関係者が理解しやすい表現を用いて、なおかつ生徒の視点に立って、生徒の学習意欲、これは在校生もしかり、中学生もしかりですけれども、その意欲が喚起できるようなものにしていきたいと。それから、PDCAサイクルの中で絶えず検証・見直しを行って、かつどのような見直しを行っているのか、あるいはどういう形でやっているのかというということを、情報発信に努めていくと。もう一つ特徴的なのは、卒業生、保護者、進路先とともに各校の生徒育成方針の実効性を評価するフィードバックシステムを構築していくということを考えています。他にもありますが、主なものはこのようなものです。
 最後に、長野県の普通科におけるコース制の取組ですが、今やっているものと御理解ください。これがいいか悪いかということはまた御議論いただければいいと思うのですが、現状を報告してほしいということでしたので。ただこのコースというのもきちんとした定義があるものではないと聞いています。長野県の場合は教育課程を一種類ではなくて何種類か用意して、生徒がそのいずれかを選んで、その選んだカリキュラムの中で学んでいくというものをほとんどの学校でコースと呼んでいますので、コースはこんなふうに設置されていますということを報告したいと思います。
 まず、コースを設けている学校と設けていない学校があります。設けている学校については文系・理系とか、そういう進学先ベースのコース設定にしているところ。それから進学先と就職先といいますか、例えば進学文系・進学理系・ビジネスとか総合とか、そういったような進路先別で設けているところ。それから、一切文系・理系とはうたわない、学びの分野みたいな形で示しているところ。これは非常に少ないですけれども、こういった3つに分けることができます。
 そして、先ほど言いましたように、定義が明確でありませんので、それぞれを何校というふうに示すことはやめさせていただきました。おおよそどのぐらいの割合かということで示しましたが、それでもかなりあいまいな部分もありますので、余り正確に受け取らないでいただいて、大体こんな感じの割合だということで御理解いただければと思います。コース内は全て共通履修ではありません。コース内で選択科目を設置していますし、学校設定教科・科目などを設けることによって、教育課程にバラエティを持たせています。そういう前提でのコースです。
 さて、割合ですけれども、文系・理系といった進学ベースでコースを設けているもの、およそ6割程度。それから進学と就職を合わせた進路別の形がおよそ3割程度。そして設けていないのが1割程度ということです。これで大体10割になりますので、進学をうたわないコース設定をしている学校は本当に少数です。ほとんどないぐらいの感じです。
そして、進学ベース、それから進路先ベースというのが何年次からやっているのかということについて言いますと、進学ベースについては2年次、3年次からです。1年次からやっているところはありません。それから、進路先ベースは1年次、入学と同時にコースに分かれるところも本当にわずかありますけれども、基本的には2年次からです。
 そして、この2年次から設けたものがそのまま継続しているパターンと、2年次から設けたのが、例えば文系・理系という2つのコースだったのが、3年になったときに文系1、文系2、理系1、理系2のように、細分化されている場合と、逆に2年次はコース設定をしておいて3年になったら選択科目だけというように戻している学校も、調べたらありました。進路先ベースについては、継続しているのと細分化しているようなところ以外はありませんでした。
割合ですけれども、進学先ベースで2年次、3年次と継続するのが約3割。2年次から3年次になったときにさらに細分化するのが約2割。それから進路先ベースで2年次、3年次と継続しているのが2割。そして3年次で細分化するのが1割というような、こんな割合です。あと残っているのが2パターンほどありますけれども、それは少数ということになり、合わせて1割程度だと思います。 
こんな形であります。以上、私の方で準備したものです。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  内堀先生、ありがとうございました。大変興味深いお話を頂きました。
 それでは、先ほども申しましたように、酒井参事官補佐から御説明いただきました論点メモと内堀先生の御発表も含めて、御意見、御質問を頂戴したいと思います。
 牧野委員、どうぞ。
【牧野委員】  内容の話はまた、それぞれの委員の皆さん方からお話をしていただきながらと思いますけれども、文科省の事務局の皆さんにお願いをしておきたいのですが、私、御案内のとおり経済財政諮問会議の専門調査会の委員もやらせていただいておりますし、文部科学省の改革実行本部にも関わらせていただいておりまして、これまでもどういう形でこの高校改革の取組を進めていくか、いろいろ議論させていただいてきたと思うのです。けれども、今日この発表において、その中にPDCAが出てくるのですけれども、おっしゃっているこの資料自体がPDCAになっていないということがどうかと思うのですね。
 検討状況の説明をしたとすれば、これは平成26年こういった内容が審議会でまとまったと。だとすれば、それがその後実際にやってみて、どこまで達成できたか、何が達成できていなくて課題になっているのかということは、当然そのPDCAサイクルの中でまとまってなきゃいけない。つまり検討状況だけではなくて達成状況もこの後に出てきて、その後にこういった課題が残っていて、なおかつ環境変化がこういうふうにある中で、今の高校改革についてはこれが課題になるという整理になっていなければ。それもエビデンス付きでですよ。エビデンスベースでそういう整理になっていなければ、議論を深めることはなかなかできないのではいかと考えます。是非、次回以降で結構ですから、そういった考え方で事務局の資料をまとめていただければと思います。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 では、他にございましたら。名札を立てていただけますと、気をつけて拝見するようにいたします。
 では、橋本主査代理、よろしくお願いします。
【橋本主査代理】  長野県の報告、本当に興味深く聞かせていただきました。私も京都府の、新たな学びの推進に相当するようなビジョン作りを来年しようと思っていましたので、概ね共感できるような内容であったと思いました。その上で、3つのポリシーといいますか、3つの方針といいますか、そこに関する意見、感想を述べて、その後質問させていただきたいと思います。
 こういう3つのポリシーを作っていくということは非常に正論であって、これを否定するということはなかなか考えにくいということが一つ。それから、実際に3つをまとめてという形にはなっていないのでしょうけれども、私どもで言うと、例えば入試については特色を生かした前期入試、大体普通科ですと3割ぐらい先取りするのですけれども、それから大方の方が受ける中期、定員が余ったときにやる後期という、そういう分類でやっていますけれども、前期入試のところにはかなりアドミッション・ポリシーに該当するのかというような中身も書いておりますし、あるいは学校評価制度の中でかなり他のポリシーについても書込んでいるということですので、恐らくそうしたものが今はばらばらになっている、また、分かりやすくはなっていないというところに、課題があるのかと思って聞かせていただきました。
 その上で、幾つか気になるところもありまして、例えばこうしたポリシーなり方針ですけれども、ともすれば学校で作ってくれということでやりますと、かなり抽象的なものになるのではないかと。なかなか具体性を持たせた中身、どこまでできるのかということが一つ、気掛かりな点です。大学のアドミッション・ポリシーを見ていましても、かなり立派なことは書いているのですけれど、なかなか分かりにくい。あるいは、あれを基に本当に大学の選択ということはどこまでされているのかということもありまして、作業はあるけれどもどこまでそれが効果を上げるかというところに対する疑問が少しあります。
 それから、長野県さんは、あえて言い換えをされていたと思ったのですけれども、受け入れ方針ではなくて生徒募集方針とされていました。ここは多分、意味があるのかと思ったのですけれども、大学の場合は個別の入試もしてそれでふるい落とせるというところがありますけれども、義務教育化しているような高校の場合に、最終的にどこも行けなくなるということはなかなか難しいことでもありますし、アドミッションではなくて受け入れをしない方針になってしまうと大変なことになります。その意味で、恐らく生徒募集方針という言い換えをされたのかと理解をさせていただきました。
 その上でお聞きしたいのが、先ほど申しました具体性というところ、既に何か長野県さんでは案のようなものを例示されているのかもしれませんけれども、それがどの程度のものになるとお考えなのか。そして、生徒募集方針と入試というものが連動した形になるのか、それぞれの学校ごとでの入試を考えていらっしゃるのか、それについて教えていただきたいと思います。
【荒瀬主査】  他にも長野県の今の御発表に御質問、香山先生はそうですか。角田委員もですか。では、御質問を先に承って、後でまとめて、関連するものもあるかもしれませんので、よろしくお願いしたいと思います。
【香山委員】  私は生徒育成方針というところについて、長野県さんも京都府さんもお尋ねしたいと思っているのですけれども、どう認定していくのかと。育成だけではなくて実際にPDCAを回してチェックするという観点から言えば、単に履修をして終わりではなくて、各学校が掲げる生徒育成方針の中で、こうやったら認定しますよとか、あるいはここまで習得しましたという形で、具体的にその成果を明らかにしていくということが力を付ける上で重要なのではないかと思うのですね。
 これまでは、ともすれば履修主義で過ごしてきたと思うのですけれども、これからはコンピテンシーを習得させたという時代へ舵をきっていくべきだと私は思っていますので、その辺りのところを京都府さん、長野県さん、教えていただけたらと思います。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。では、角田委員、お願いします。
【角田委員】  この3つの方針の策定までのプロセスについてお伺いしたいと思います。先日、横浜市の高校のグランドデザインの中間報告を聞いたのですが、こういった途中段階で公開して、そして意見を受け取るというようなプロセスを含まれているかどうかということを一点お聞きしたいのと、この中に生徒、保護者と関係者との意見交換を行うとありますが、具体的に本当にそういったプロセスを入れていらっしゃるのか、学校作りに関して生徒の参加というものが、書かれているようにきちんと入っているのかどうかをお聞きしたいと思います。お願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。山口委員も同じ、御質問でしょうか。では、お願いいたします。
【山口委員】  発表ありがとうございます。私、公立の立場でどこまでICTの、先ほど御説明ありましたけれども、推進を環境整備も含めてどの辺まで私立とか様々な環境があると思うのですけれども、特に公立でどこまで今の時代に踏込んでいけるのかというところで、取組をもう少し、もしお聞きできる範囲で結構ですけれども、聞けたらありがたいと思いました。以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。他にございませんか。では、またありましたら言っていただくとしまして、橋本委員にも御質問があるようですけれども、後からよろしくお願いします。
 ではまず長野県の取組ということで、内堀委員にお答えいただきたいと思います。生徒募集の具体性について。それから方針と入試との関わり、それぞれの学校ごとでどうかということも。入った後その生徒が教育課程に基づいて学んでいく中で、何を育成するのかということにも関わると思うのですけれども、履修主義ではなくて習得主義的に見ていらっしゃるのかどうかということ。それからまたこういった方針を策定されるに当たってのプロセスを、どこまで生徒や保護者が関与できるのかという点。そして、公立の学校というお立場でICTの推進、どのようにやっていこうとなさっているのか。よろしくお願いいたします。
【内堀委員】  では、私から。一つは、どの程度具体的なものになるかということですけれども、既に3つの方針に近いようなものを作っていた学校もありますが、この形で作るのは初めてですので、余りにも細かいことでいろいろチェックしたりしているとなかなかできていかないので、指針を示した上で、とにかく議論を始めましょうと。そして、ところどころでこんな形はどうですかとか、県教委の方でも言ったりとか、先ほど申上げましたように、先進的にやっているところでこれがイメージするものに近いですというようなものについてもお示ししたりしながら、できるだけ具体的なものになるようにお願いしているところです。
 もう一つは、先ほども触れましたが、例えば文部科学省のモデル校の指定を受けにいくような場合ですとか、あるいは県教委独自のモデル校に手を挙げた場合に、最終的に一番上にくる、こういう生徒を育てていきたいというようなものやそのための方策といったものとこの3つの方針がリンクしていますので、そういう学校では3つの方針の策定プロセスとモデル校案づくりとが一致していまして、そういったこともあってかなり特徴的・魅力的で具体的なものになってきた学校も増えているところです。ですので、どの程度具体的なものになるかということは、全部の学校に関して言えば全部見てみないと分かりませんけれども、現在は、今申上げたような状況にあるということが言えると思います。
 それから入試との関連については、御質問の中でおっしゃっていただいたとおりです。受入れという言葉を使うことによって、それ以外は受け入れませんというメッセージが同時に伝わる可能性があり、それは意図するところではありませんので、その言い方はやめました。募集の観点としてこういう観点ですということを示して、そうでない子は受け入れませんというような誤解を受けないような形にしています。長野県が今案を示している入試制度改革は、パブコメを受けて形を少し変えていく可能性はありますけれども、今の枠組みの中では前期選抜と後期選抜を実施し、後期選抜の中で全県共通のシステムに基づく入試と、それから各学校がデザインできる部分とを併用するという形で考えていますので、全ての学校において前期選抜若しくは後期選抜の特色入試の部分で、生徒募集方針に基づく募集の観点的なものを示すことになっていくと思っています。
 コンピテンシーベースということかどうかという御質問については、具体的にどのような力を子どもたちに、高校の3年ないしは4年間の教育を通じて付けていくかということを明確にしたものが生徒育成方針ですので、当然どのような力が付く、こういう子どもを本校からは送り出したいという形を明示することになっていくと思います。何を学ばせるかということの部分は教育課程編成・実施方針等で示し、育成方針の部分でこんな力を持った子どもたちを卒業させていきたいというものを示すという形になるかと思います。
 それから、ICTの推進については、県教委の考えている理想像と、実際に予算化していくときの折衝によって、実現できるものとの間に差が出てくるかもしれないという前提ですけれども、先ほど申し上げましたが、確実なこととしては、来年度までに全ての県立高校の普通教室に、単焦点型のスクリーンが付いた電子黒板、移動するタイプではなく、何も持っていかなくてもその場でやれるものが入ります。もう既に先駆的に4年前に導入したところは、支援員の導入や校内外の研修、研究授業等を通じて、それを使って授業をどんどん変えています。
 Wi-Fi環境についても、全ての学校で、学校の中ではどこでもWi-Fiが飛んでいる状況を作りたいと考えています。それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、そういうWi-Fi環境の中でBYOD、一人一台、それが公費になるのか自費になるのかということは置くとしまして、一人一台を使っていろいろやっていきたいと。ただ、その場合にWindows型プラスWi-Fi等でやっていくのがいいのか、クロムブック型プラスLTEで、通信料が幾らになるか分かりませんけれども、一定の金額で学校外も含めてどこでもアクセスができるのがいいのかというところを今検討しているところですので、そこはどちらになるかまだ分かりませんけれども、いずれにしても、いつでもどこでもタブレットを使って探究的な学びができるようにしていきたいと考えているところです。答えになっていますかね、全部。
【荒瀬主査】  方針策定のプロセスにつきましても。
【内堀委員】  すみません、抜けました。これについても先ほどちょっと申上げましたけれども、各学校において生徒、保護者、それから、それ以外の地域の皆さんや学校評議員の皆さんともしっかり意見交換してくださいということをお願いしていて、どこまでやっているかということは確認していませんけれども、そういうお願いをする中で、学校が独りよがりにならないことが大事だと思います。当然策定した後は常に地域に情報を開いていって、地域と一緒にサイクルを回して改善していくわけですので、その前提となるものが学校が独断で決めたものだといけないと思っています。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。御質問いただきました委員の皆さん、どうぞ。
【香山委員】  コースの説明、ございましたよね。今のお話をお聞きしながら、結局ここで示されている3つの方針と、それから様々なコースとがうまくつながるというか、論理的な整合性を持たせるという、そういうイメージで理解したらよろしいですかね。
【内堀委員】  香山先生のおっしゃるとおりで、先ほど言った教育課程の編成・実施方針の、どういうカリキュラムを組むかというところで、コースを設けている場合には、育てたい生徒像とのリンケージが図られなければなりませんので、どうしてこういうコースを設けているのか、それがどのような力を付けることにつながるのかということは、学校の外の人が聞いても分かるようにしていくということになると思います。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。牧田委員も御質問ではないですか。では、橋本委員に先ほどの御質問ですが、いいでしょうか。
【橋本主査代理】  京都府も別に卒業認定、ディプロマ・ポリシーとして定めているわけじゃありませんし、一言で言えば教育目標といったような形で掲げています。具体的にどう書いてあったかということはいちいち覚えていないですけれども、社会で自立して生きていける力をしっかり付けるですとか、希望する進路を実現しますとか、そういった抽象的な類にとどまっています。そういうこともありましたので、先ほどお尋ねをさせていただいたということでございます。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。長野県の御発表をいただきましたので、長野県はどうなのかという御質問がたくさんあると思うのですけれども、ここでの議論というのは全ての我が国の高等学校をどうしていこうかという話ですので、今できているとかできていないとかいうことはもちろん大事な話ですけれども、どういう形にしていくことが望ましいのか。それが早くできるものもあれば相当長期的に順を踏んでいかなければならないものもあると思うのですけれども、そっちの方に、もちろん御承知だと思いますけれども、議論が向くようによろしくお願いをしたいと思います。
 では、牧田委員、よろしくお願いします。
【牧田委員】  今の長野県さんのコース選択にも若干関係すると思うのですけれども、今我々が新しい時代の高等学校教育ということを捉えるときに、入口と出口ということは当然意識しなければいけないと思っていまして、ということであれば高校教育を考えるということはイコール出口に対しても要望が出てくるわけでありますし、それから入口に対しても要望が出てくると思います。
 そういったことを考えると、我々、もう少し出口のことをよく知るといいますか、もっと言うと出口のもうひとつ先に出口もあるわけでありまして、そこのところの視点というのは、私自身、経済活動をしていることもあり非常に痛切に感じるところでありまして、その視点を今後是非御議論いただきたいという要望が一つであります。もちろん入口についても、例えば長野さんみたいに折角コースを作ったのに、結局は最後中学校で、偏差値で切ってしまうみたいなことが、往々にして起こってしまうわけでありまして、中学生がその段階でこんなことをやりたいとかいうことはほぼまれだろうと思っていますし、そういったことを少し我々の方でも認識をしておかなければいけないのではないかということです。
 それともう一つ、先ほど牧野市長もおっしゃいましたけれども、PDCAに絡んでくるのですけれども、議論のための論点メモという最後のところで校長のリーダーシップというところがあります。これはなんでもそうですけれども、当然リーダーシップの下、全てのことが運用といいますか、展開されていくわけで、ではその校長先生一人にリーダーシップを負わせる、そのための条件というのは果たしてそろっているのかというのを、実は思っていまして、私にとっては非常に分かりやすい例ですけれども、皆さんにとっては分かりにくい例なのかもしれませんけれども、会社経営で社長には2タイプあるのですね。
 1つのタイプはサラリーマン社長です。一部上場企業なんて3年、4年ぐらいで社長がころころ変わっていくリーダーシップ体制です。それからもう一つは、この前橋本さんもご一緒され、日本電産の永守重信さんのお話を聞きましたけれども、ああいう永守さんみたいにオーナー社長のタイプとあるのですね。どっちがリーダーシップを発揮しやすいかということになると、当然それはオーナー社長でありまして、永守さんに言わせればオーナー社長とサラリーマン社長は能力の差は100倍違うのだとおっしゃいましたけれども、私も100倍とは言いませんけれども10倍ぐらいは違うのではないかと思っているのですね。
 今の校長先生はそれに照らし合わせると、私はまさにサラリーマン社長になっているわけでありますし、もっと言いますとそのサラリーマン社長になったときに同僚が部下になるわけですよね。少なくとも私が知る限り、学校の教員の世界というのはヒエラルキーがそんなに存在していないですね。校長がいて副校長がいて、なんとか部長とかいた後はもう、ほとんどフラットですよね。そのヒエラルキーのない世界で育ってきた人がいきなりリーダーシップをやれと言われて、昨日まで同僚だった人を部下に使えるかといったら使えないわけであります。まずそこの部分がリーダーシップをとれるだけの資質といいますか、準備ができていないということがあるのだろうと思います。
それからもう一つは、もちろん能力的なことですけれども、先ほどPDCAを回すという話が出ましたけれども、PDCAを回すと書くのは簡単です。簡単ですけれども、これを実践するのは物すごく難しいのですね。それは何が難しいかというと、簡単に言うと、私も会社経営をしていますけれども、社員は社長の言うことを聞かないのですよ、はっきり言うと。そこのところを解決してあげないと、我々が校長にリーダーシップ発揮しろ、発揮しろって言ったって絶対できないですよ。絶対と言っちゃいけないですけれども、それはほとんど不可能なのであります。ですから、我々もし校長のリーダーシップを期待するのであれば、そこに踏み込むということだと思います。私立学校の方もいらっしゃいますけれども、私立はそれができるのですね。当然、オーナー社長だからできるのですよね。ですから、くどいようですけれども、そういった体制をまず変える。
 加えて、前回の発言で、「あの人だから問題」というものがありましたよね。私は、これは「あの人だから問題」を無くすのではなくて、逆に「あの人だから問題を」たくさん作るべきだという発想です。あの人だからできるということを、そのできる人をたくさん作る方向へ進むべきであって、あの人だからできるということを無くしてフラットに平準化して、俗人的な要素を排除しようというのは、私は、これは人間の本質からいくと逆に進んでいるような気がします。ですから、中教審で共通性の確保と多様性への対応を挙げていますが、こんなの絶対2つ一緒にできるわけがないのです。自由と平等が同時に成り立つかという話と、私は同じことだろうと思っていまして、そういう意味ではある意味もう少し地に足の着いたところで議論をすべきではないかという意見であります。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。いかがでしょうか。奈須委員、どうぞ。
【奈須委員】  よろしくお願いします。前回失礼したので、ひょっとしたら前回議論があったかもしれませんけれども、まず次回に向けて御確認いただきたいことは、学習指導要領はこれから実施になるわけですよね。それでここの議論がどこまでいろいろなことがやられるのかということです。長期的にということで、荒瀬先生もありましたけれども、だから次の指導要領に向けて時間をかけて制度改革をする中で、次の指導要領改革に、向けての課題を洗い出すという面と、今回の指導要領を実施する枠組みをしっかり考えようという面と、両方あると思っているのですけれども、そう考えると短期的にも長期的にも気になるのは、文系・理系という問題です。
 これを外国の方に話そうとすると絶対理解されないということですね。日本のすごく独自なものだと思います。例えば社会科というのは文系だとされていますけれども、自然地理は理学部にありますし、数学というのは理系ですけれども、数学は自然科学ではないので言語学とかむしろ論理学に近いので、すると国語と重なるじゃないかとか、いろいろ複雑な問題があると思うのですね。
 大学の側の人間としても人文社会学系の、私は学部に身を置いていますけれども、数学的な発想とか科学的な実験の論理とかということを、細かいところはいりませんけれども、リテラシーとしては持ってもらわないと、今人文社会系の学問もできない。経済学部なんかはかなり高度な数学を要するということで、文系というのは既におかしいということだと思います。あるいは理工系でも生命科学系、農学系なんかでは人間の倫理とか社会の思想に関わるような仕事が必ず入ってきますので、そういうことに対するベースの知識だけではなくて、読み解き判断する能力がないと困るだろうということ。
 それが、文系・理系というのはどの科目をどうするかではなくて、まさにどんな能力をどの水準で持たせるか、これが共通性に関わってくることかと思っています。細かくコンテンツを積み上げていく、その時数の取合いをするのではなくて、それぞれの進路、それぞれの生き方、あるいは進路と関係なく市民として、日本の公民として必要な共通性ということも、中学の終わりから高等学校の前期において担保するということは、当然考えられていいし、今回の指導要領も、そういう発想でできていると思います。
 歴史総合、地理総合、それから物化生地の基礎のような科目が典型ですけれども、どこに行こうとも必要な市民としての中等教育段階でのリテラシーということで設置されている科目だと思います。そういう科目を全体にどう運用してコースを設置していくかということが今後考えられるべきだと、まず思っています。そう考えたときに、一つはそういう科目もありますけれども、全ての教科科目について、今回でいう教科等の見方、考え方、その教科ならではの、英語で言うとdiscipline based epistemological approachと文部省、おっしゃっていますけれども、その学問ならではの認識の方法ということですよね。知識や価値や美を生成する独自な方法論を身に付ける。まさにこれが大事な中等教育でのコンピテンシーだと思いますけれども、それが全体のカリキュラムとしてどの段階まで共通に整備され、さらに専門に進む人に整備されるのかということかと思います。
 また、今回探究という話も先ほどありましたけれども、一般的な問題解決のリテラシーとか、学びに向かう力とも関わってくると思いますけれども、どんなふうに関わっていくかということ、探究ですね。そのいろいろな能力であるとか、あるいは今回、数学に入れていただいたデータの活用というのも、どの程度までを共通に求めていくか、あるいはもっと広い意味での民主主義とか、それから前文にありました持続可能な社会の作り手となるということにはどんな能力を求めるのかと、これは一つ一つの教科科目に分かれるものではなくて、まさにカリキュラム全体で有機的に実現するものでしょうし、そのときに事務局の方の整理にもあった共通性の確保と多様性への対応ということが、それぞれについて考えられる必要があろうかと思います。
 つまり、市民一般として全員に持たせたいという意味で、いろいろなリテラシーやいろいろな探究の能力や、持続可能性に関する認識やいろいろな教科等の見方・考え方ということがあろうと思いますし、さらに各進路に合わせたより一段、二段、専門性を高い水準で持つ、それはコンテンツを持つことでもありますけれども、今、申し上げたようなことがより専門に即した形で高度化するということかと思います。
 ただ、現在の文系・理系の選択というのは、ややもすれば受験に有利なコンテンツを、時間をかけて大量にやっておこうということになっておりますけれども、そこからどう脱するか。その意味で、今回コンピテンシーベース、資質・能力ベースで組まれていますので、そうなっている高校の教育課程、学科・科目・教科の趣旨を踏まえて、どんなふうにそれを構造化し、新たな、コース制になるのか分かりませんけれども、全体としての3年間の描き方といいますか、履修の描き方ですね。一定程度の共通性、市民としての在り方を確保しつつ、それぞれの進路とかそれぞれの可能性、その子が持っている能力を最大限に生かせるようなサポートシステムをどう組むかということのグランドデザインをここで考えるのだろうと思います。
 その意味で、この議論の中でもう一度、今回これから実施するわけですけれども、学習指導要領の各教科科目の持つ特質と相互の役割ということを確認しつつ、それを例えばどう組合わせてどう組むことによって何が実現されそうかという、ある種の青写真のようなものを、高校の御専門の先生もたくさんいらっしゃるし、学校経営に関わった人もたくさんいらっしゃるので、こんなことができそうだと、まだやっていませんけれども、こんなことができそうだということを一つ、考えていってくださると、その中で例えばこんなことが考えられるのではないかというプランなんかも出てきそうな気はしています。このタイミングで何が出るか、難しいとは思いますけれども、まだ引き続きの生産的な議論をと思います。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。今おっしゃったことで申上げますと、まさしく相当練られた学習指導要領がこれから実施されるというこの段階で、それが本当に効果を発揮するようになるような高等学校の在り方というのはどういうものなのかということを、多面的に考えていきましょうということではないかと思います。
 では、牧野委員、よろしくお願いします。
【牧野委員】  それでは、内容について私の問題意識について、2つほど申上げたいのですけれども、論点メモに出てきます多様な主体との連携・協働の在り方、これは今回の高校改革を考える上でとても重要なポイントだと、私は思っています。先ほどの内堀参与からお話があった長野県の状況については、あえて私はその内容をどうのと言うつもりはないのですけれども、これ実は長野県では第二次の高校教育改革なんですね。第一次があったのですよ。
 第一次のときの話をちょっとだけしますと、実は私どもの地域、物すごく苦労して高校の統合を実現したという経緯があります。それが旧飯田工業高校と旧飯田長姫高校、県立2校の統合ですけれども、今の統合の姿は当時の県教委の案ではない。県教委は別の案を持ってきたのですけれども、地域の中でどうしてもこの案では嫌だという話になって、そうなった限りにおいては地元として代案を出さなければいけないという話になった。代案を出して、一応その方向で行こうという話になったので、こちら側が責任を持たざるを得なくなったという、私にしてみればえらいことに巻き込まれたという感じだったのですけれども。なにしろ当地の14市町村で構成される南信州広域連合というところがあるのですけれども、そこの広域連合議会は2つの高校を統合するときにどちらに統合するかというところまで決めようという話になって、私はそれはやめてくれないかと思ったのですけれども、議会がそこまでやったものですから。それは県教委に決めてもらえばいいじゃないかと思ったのですけれども、そこまでやるのだと議会で議論して、旧長姫高校への統合を決めてしまった。
 そうすると、統合される旧飯田工業高校の地域の皆さん方に、どうしてそういうことを決めたのか、説明しに行かなきゃいけなかったのですね。私は3日間、7時間半のつるし上げを食ったのですよ。連合議会の議長とともにですね。県教委には物すごく感謝されましたけれども。我々の役割を全部やってくれたとね。ですけれども、結局それが契機になって、旧飯田工業高校の施設の今後の利活用については地元として責任を持ちますという約束までしてこざるを得なかった。それが今の地方創生のモデルになっています産業振興と人材育成の拠点、エス・バードになるのですね。
 そして、統合した方の飯田OIDE長姫高校が今の地域人教育のモデルになるのですが、これは言ってみればその後の地域における高校の在り方の最初の出発点のところを自分たちの地域で方向付けてきた、そういった経緯があります。これは、一つの事例ですけれども、そういうことをやれる地域は、全国を見てもまれだと思うのですね。逆に高校の在り方は、むしろ県教委で考えてくれればいいじゃないかと思っている皆さん方の方が多い。だけれども、今みたいなこういった時代においては、高校教育は地域にとってとても大事なので、そこのところを一緒にやっていきましょうよという、そういったアプローチが、私は必要だと思います。
 ですから、これがある程度まとまった段階で結構ですので、市長会や町村会に、文科省さんの皆さん方が説明に行って、そして実際にどういうふうに進めていったらいいかということを、首長の皆さん方としっかり議論していただくことがいいのではないかと、まず思います。これが一点。
 それともう一つは、今私どもの地域は大学のフィールドスタディ受け入れのシーズンなので、いろいろな大学の皆さんが地域のことを学びにきているのですけれども、最近の傾向として高校生も一緒に入ってやるということを始めています。高大一緒になって地域のことを学ぶということを始めていて、地域人教育をやっているOIDE長姫高校の高校生も来ますし、普通科の高校生の皆さんも来て、大学生と一緒に地域のことを学んでいます。
 それで、この間私が講義をやっているときに普通科の生徒から質問で手が挙がって言われたんですね。どうして私たち普通科には地域人教育がないのですかと。どうしてやってくれないのですかと。私に聞かれても困るのですけれども、もうかなりはっきりと言われました。要はOIDE長姫高校ではカリキュラムの中に地域人教育が入っていて地域のことを学べる仕組みがある、そういったものがなぜ普通科にはないのですと。実際にフィールドスタディを受けている普通科の高校生は、ある意味では危機的な気持ちになったと思うのですね。
 これは、まさに高大連携にかかる話です。普通科の改革をするためにはどうしても大学入試も含めた高大連携をどうしていくかという話が進まないと。今年から飯田女子高校の普通科コースで地域人教育の導入が図られたのですけれども、カリキュラムを組む上でどうしても大学入試の準備期間がいるので、OIDE長姫高校に比べて半年間は短くせざるを得ないという、そんなカリキュラムの検討もされております。
 本来はそんなふうではなくて、3年間ちゃんと地域人教育を受けて、そしてその実績を持って大学に行けるような、そういう高大連携が、私は図られるべきだと思うのですけれども、まだそこまで行っていない。普通科の改革をやっていくには高大連携をどうするかということが、非常に大きな課題になっていると思うので、ここも含めて是非また議論を深めていければと思います。以上、2点になります。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。これはここだけの話では、なかなか今おっしゃったことは決まらなくて、大学入試は各大学がやるわけでありますので、そういったところに我々としてはいろいろな意見は出せますけれども、また別の形で、何らかの形でやっていかなればならないのかと思います。今回の高大接続改革が、本当に今おっしゃったような、地域の中で一生懸命勉強して様々なことを体験した生徒を受け入れるような大学入試の実施につながっていくことは、大学の皆さんにも考えていただかなければならないと思います。ありがとうございました。
 では、続いて佐藤委員、清水委員、そして岩本委員の順番でお願いしたいと思います。
【佐藤委員】  埼玉県の戸田翔陽高校というところで校長をしております、佐藤でございます。本校は埼玉県でも唯一のシステムの学校で、昼夜開講三部制の定時制、総合学科、単位制の学校ということで、一人一人本当に特徴を持った生徒たちが集まっています。入学してくる生徒の4割から5割は小中学校時代に不登校の経験があるとか、発達障害を抱えているとか、様々な課題を抱えている生徒が来ています。埼玉県の南部地域にある学校ということで、今年度特徴的なのは、夜間部の入学生約80名のうち20名ぐらいの子が日本語を母国語としない生徒、本当に中国語しか話せないというような生徒が入ってきているということです。
 一方で、小中学校時代に、ただ学校に行けなかっただけで、能力的には非常に高い能力を持っている子たちもたくさん入ってきています。今630人ぐらい在校生がいるのですけれども、本当に一人一人違う。
 それから他部の選択授業での単位取得や資格取得とかボランティア活動での単位取得を認めているので、普通は卒業に4年間かかるところ、3年間で卒業する生徒がほとんどですね。今4年生が18人ぐらいしかいません。一人一人時間割も違って、いろいろな単位の取り方をして卒業していきます。
 今日の論点メモの中で、まず一人一人の生徒がという言葉が何回も出てきていましたけれども、私のような学校で勤めていると、本当にこれは大事なことだと思います。
 埼玉県では、義務教育の方だけですけれども、埼玉県独自で学力調査をしておりまして、これは一人一人がどのぐらい力を付けたか、一人一人の学力を追っていくような調査をしております。文科省の方は皆さん御存じだと思うのですけれども。
 例えばあるクラスの集団で伸びが非常に高い子がたくさんいたと。そしたらそのクラスでどういう取組がよかったのかということが検証できるような取組をしております。私は県の方にいたこともあったので、是非高校にも小中学校での学力調査の結果を引き継いで、高校でも一人一人をどれぐらい伸ばしたかということは大事なので、やってみたいななんていうことを申し上げたりしております。
 これからの世の中、一人一人どれぐらい力を付けて、どんな力を付けて巣立っていったのかということを見るのは大事なことではないかと思います。
 あと2~3点、申上げたいと思うのですけれども、本校では目指す学校像の中に、人財の育成という言葉を使っておりまして、人財というのは「人」という字に財産の「財」を使って、人財の育成という言葉を使っているのですけれども、学校の中だけではなくて、先ほどもありましたけれども、産業界、あるいは関係機関等がどんな人材を求めていて、どんなニーズがあってそれを学校が育てるのかという視点もとても大事じゃないかと思っています。
 学校の中にいますと、基礎学力の定着であるとかコミュニケーション能力の育成であるとか、つい学校の中だけで議論してしまうのですけれども、社会に目をやってみますと、大学生の就職の解禁日がなくなって、終身雇用制度が崩れていって、大きな企業はどんどん優秀な人材を発掘するためにいろいろな工夫をしています。でも、地元の企業さんでは、例えば本校で簿記検定なんかを一生懸命勉強した子を送ってくださいとおっしゃったり、いやいやそんな資格はいいですからコミュニケーション能力の高い子を送ってくださいとおっしゃったり、同じ業種、同じ職種でも一つ一つの企業さんが求める人材は違うのだということを感じる場面がたくさんあります。
 本校では福祉の教員がおりまして、福祉の授業もしております。今福祉の人材が、足りない、足りないと言っています。例えば介護福祉士という資格があって、これは国家資格です。国家資格を得ていると、お給料の面なんかでも待遇が非常にいいということです。  埼玉県では県立誠和福祉高校というところが福祉の専門学科を置いているので、そちらの学校に行くと3年間で、卒業時点で国家資格を受験する資格が得られるのですね。
 本校でも例えば3年間で高校卒業の単位は全部取った上で、介護福祉士の勉強がもしできたとすれば、わざわざ高校を卒業した後専門学校や大学に行かなくても、高校の4年間で資格を取れるのです。そんなことを私も考えてみたりしたのですけれども、実は資格を取らせるためには施設とか設備とか教員の資格とかに非常に高いハードルがありまして、実現が難しいです。例えば看護師として勤務経験のある方が教員にいなければいけないとか、そういったことがあるのですね。こういったところなんかはもしかして福祉関係の行政の方ともうちょっと連携できれば、うちのような学校だったらもう少し人材の育成ができるのに、と考えます。教員の人材探しも一生懸命しているところですが、そういった意味で教育の現場だけではなくて他の産業界、関係機関等との連携も必要ではないかと思っています。
 あともう一点だけ。インクルーシブ教育ですけれども、本校はたまたま敷地にゆとりがあったために、令和3年度開校を目指して、今、同じ敷地の中に特別支援学校を建設しています。高等部で普通科だけですけれども、それでも240人ぐらいの生徒を受け入れる規模の特別支援学校を同じ敷地内に作ります。校舎を一部つないで相互に生徒が行き来をして、同じ教室で同じ授業を受ける、全員がとか全部の授業がとかいうことは難しいのですが、部分的にはそういうことが可能だということで、今その準備もいろいろ勉強させていただいているところです。
 これからの社会で、例えば一番初めに申し上げたように、いろいろな特徴を持って、特性を持っている生徒がたくさん入ってきている学校ですので、インクルーシブ教育についても、可能性としていろいろ考えていけたらいいのではないかと思っております。以上です。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。清水委員、よろしくお願いいたします。
【清水委員】  埼玉県の川越工業高校の校長、清水と申します。どうぞよろしくお願いします。
 長野県の内堀委員、大変ありがとうございました。たいへん参考になりました。本日いただいております論点メモを拝見させていただき、また説明もいただきまして、ありがとうございました。全体の方向性や大切な内容がたくさん織り込まれていると思います。その中で、今回、配布された論点メモの5ページに書いてある教育理念を具体化、具現化する方策の中に教育理念を明確にするとともに等々と書かれていますが、このような方向性であるとか教育理念などについては、例えば目指す学校像というような形で、全ての県立学校に公開させたり、学校の活性化・特色化の方針をまとめて、公開するよう指示していたり、また生徒の成長物語という形で、3年間でどのような教育をやっていきますということを公開するなど、どの都道府県でも取り組んでいるのではないかと思います。埼玉県においても既に3年目を迎えた状態であるというのが現実です。
 さらにその中で求める生徒像を公開して、このような生徒に是非入学してもらいたい、このような生徒が本校の望んでいる生徒ですということも公開しています。このように一番目の教育理念を具現化する方策の1つ目の丸の部分については、かなり各都道府県でいろいろな考え方を示しながら、実際進めているところであるということを御理解いただきたいと思います。
 それの上で、学校経営に関する方針としてこういったものをどのようにするのかということを、これから先、国として打ち出していくおつもりなのか、各都道府県での取組内容を、調査し、整理して、各都道府県における取組や成功事例などを多く公表していただきたい。教育理念を具現化する方策の取組について、各都道府県では既に真剣に取組んでいるということを御理解いただきたいと思います。時間も時間ですので、私の方はこの一点だけということで、よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。先ほど、牧田委員がおっしゃったのではないかと思うのですけれども、PDCAサイクルを回すという言葉自体は実に簡単に使えるけれども、本当に回すということはどういうことなのかということがあろうかと思うのですね。今、清水委員がおっしゃってくださったように、各都道府県の各高等学校も相当いろいろな形で、こんなふうにやっていきたいということは出しているわけですけれども、そのこんなふうにやっていきたいということをどうしたら具体化するのか。
 例えば、私のささやかな経験ですけれども、小学校とか見にいくと黒板の上に「みんな明るく楽しい学級」とか書いてあるのですけれども、「みんな明るく楽しい学級」というのは目標とするのは誰も否定しないと思うのですけれども、そのためにはどんなことをやっていくのか。SDGsだって17項目達成するために百六十幾つのターゲットを作って、それの評価基準も作っていますよね。そういったことを地道にやっていかなければならない。
 そこのところが多分、なかなか高等学校教育で動いていない面もあるのではないか。努力をしているということを否定するわけでは全くなくて、我々皆、それは肯定しているわけですけれども、ただそれを具体的にどうしていったらいいのかというところに我々の議論がつながっていけばいいと思いながら伺いました。ありがとうございました。
 それでは、岩本委員、よろしくお願いします。
【岩本委員】  論点の1、2のところですね、学校の経営方針、特色化、魅力化というところで、長野県の3つのポリシーの策定の話なんかも非常にすばらしいと感じながら、私自身ももう十数校こういう学校のビジョンとか学校のなんとか計画とか、魅力化や特色化の方向性、そういうところの策定にずっと関わらせてもらってきました。正直その中で、本当の意味で特色や魅力が出て実効性があるものができて動き出すところと、そうでないところというのが正直、大きくあると。
 それを見ていくと、今回ここに来られているような稀有なリーダーシップを発揮する校長先生とかがいない場合、多くの学校はそういう校長先生がいらっしゃらない公立高校が多いと思うのですけれども、正直学校内だけで議論してもほとんど特色化までの議論は出てこないですね。教職員と、PTAの方から話を聞いたりとか、生徒にアンケートやワークショップ的に付箋で書いてもらったとかやっても、ほぼ学力の話、進学の話、部活動どうするか、クーラーはどうだ、トイレが汚いとか、そういう話は出ますけれども、本当の骨太の特色化だとか、中長期的に見てどうしていくのかというような話は、残念ながらそれだけではほとんどの場合出ないケースを、これは島根県だけではなくて多くの公立高校、関わらせていただく中で実感してきたところです。
 逆にそれが結構大きな議論になっていくとか実効性が伴うようになっていくところはどういうところなのかというと、先ほど出ていましたが、策定プロセスにおいて、それが学校内の関係者だけではなくて、地元市町村の首長部局、首長さんの場合もありますし、そういうこの地域を本気でどうしていくのかということを考えていらっしゃるような組織だとか、市町村の教育委員会、幼稚園・小学校・中学校と教育をずっとやってきて、この子たちが高校時代にどうなっていくのかということを本気で考えているような、市町村の教育委員会だとか、あと地元の主要な産業の方だとか、あとは場合によっては出口に当たる高等教育機関とか、こういうところが入って議論が、対話が起きているところはかなり特色化とか方向性で骨太の議論がされていくというところで、この3つの理念を決めていくのは非常に重要ですけれども、そのときにそういう部局というかセクターがちゃんと入った中で対話をしていくというところですね。
 これは結局学校が勝手に作って、これに協力してください、これにお金出してください、人を出してくださいというやり方って、なかなか協働が進んでいかないですが、作るプロセス、まさに市長が言われていたみたいに、作るプロセスに入って一緒に作るから協働が生まれてくると。その後に、ある種組織的なコミットメントの下に、リソースですよね。何で動かないのかというと、学校だけで見るとほとんど自由に使えるリソースって、教員も時間がない、お金もそんなにない中でやれることって限られるけれども、これが他の機関が入って一緒にやっていくとなると、使えるリソースが変わってくるというところで、実効性を生んでいくためにはそういうある種の協働体制ですね、それは文科省でいうコンソーシアムだと思いますけれども、そういった母体の中で議論をし、合意形成をし、そして実行まで担保していくというところで、実際そういった議論をしてから入試を変えて、教育課程を変えて、実際入って、3年生になって卒業する。この結果を見るまで5年、ワンクール5年かかります。
 こういうときにサラリーマン校長で2~3年で変わっていくわけで、終わりが見られないわけですね、多くの場合。香山先生みたいな方は別ですけれども、校長先生、長くいらっしゃる場合は別ですけれども、そうするとそこに参画される方も個人的な意見、個人だけでいろいろ意見をするというよりも、組織的、継続的なコミットメントがある参画の体制というところなんかは、その後の実効性や継続性を見る上でも非常に重要かと感じたところです。
 最後一つだけ言うと、ただそういう組織的、継続的な体制とか協働体制の中で議論をしても、固くなるとなかなか表面的な議論にしかならないとかになりますので、そういうときにコーディネート機能というか、こういう会の前にどれだけ事前にちゃんと情報を共有してとか、場の作り方もどれだけファシリテーシブにというか、本当にいろいろな方の本音が出てくるようにしていくのか。それを踏まえて組織的な意思決定に持っていくとか、そういう調整をどこかがちゃんとしないと、偉い人たちが集まっているけれども全く生産的な議論や対話にならないというところで、そういうコーディネート機能なんかもこういったプロセスを作っていく上でも非常に鍵になるところかというのが、いろいろな学校を見させていただいてのコメントです。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 香山先生、申し訳ないのですけれども、時間の関係で、後から時間があれば必ず御発言いただきますので。では、鍛冶田委員、よろしくお願いします。
【鍛冶田委員】  論点メモから気になる点で、短く4つ、簡単にお話しいたします。1ページ目の中で、持続可能な社会の作り手になるということがありますけれども、下の2行目から急速に変化する社会とあります。急速に変化する社会を持続可能にしていく作り手というのは非常に大変なことで、持続可能というところを重視していってほしいと思いました。
 次、2ページ目のところですけれども、一番下の二重枠の中の、下から2つ目の公正な個別最適化された学びというところです。このことはもう随分議論されてきたことかと思うのですが、この個別最適化というものが自己責任論と親和性が高いと感じています。あなたにぴったりの教材、できる人はできる人なりに、全然分からない人はそこからスタートができるというというぴったりな教材が、いつでもどこでも学べるということにはなると思うのですが、しなかったらあなたはだめね。せっかくいいものがあるのにできないあなたがだめという、個人に責任を持たせるものになるのではないかという、そういったことを助長をしないのかということが、私の中では気になっています。勉強が苦手な子はいくら前に教材があってもなかなかできないですので、ここは支え合う関係というか、勉強を教え合うであったりとか、一緒にやっていこうという視点も必要かと思っています。
 3点目ですけれども、3ページの中で高校生活への満足度や学習意欲が低い、勉強の時間が少ない、社会人はもっと少なくなりますけれども、これはひょっとしたら高校生が将来に希望がないのではないのかということを心配しています。将来安心して働ける場所がない、居場所がないということで、そういう制度に対しての不安があるからではないかとも思っています。それが、教育理念の具現化とか学校の特徴に矮小化するのはどうでしょうか。もう少し広い視点で背景をみる必要があるのではないかと感じています。
 最後に4ページ目のところの上のところですけれども、高校2年生以降はある特定の教科に十分学習しないという例で、大阪府認可のある通信制高校に大阪府の進学校から3年生になって3人、4月に入ってきました。もう十分単位が取れている。あと1年で卒業できる。東大に入るために無駄な勉強はしたくない。だから通信制に来る。あとは予備校で勉強したいという、通信制としては、そういう利用のされかた、活用のされかたは大変不本意ではあります。
 でも彼らの価値観とか考え方、生き方、こういうものをどこで育てるか。高等学校の中で生き方を考えるようなことがいるのではないでしょうか。ですね、勉強ができたらいいみたいな、いらない勉強はしなくていいみたいなような、この考え方を育てた今の教育と、これから高校の中で価値観を育てることも必要かと思います。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。では、香山委員、どうぞ。
【香山委員】  ありがとうございます。発言の時間を捻出していただいた幸せをかみしめながら、簡単にお話させていただきたいと思います。論点メモの1ページ目から、先ほど佐藤委員もおっしゃいましたが、一人一人の生徒が自分のよさや可能性を認識するという表現がよく出てきておりまして、これは学習指導要領の解説の学習評価のところでも、書かれているのですね。
 この解説の学習評価のところで、特に、という表現で書かれているのが、特に他者との比較ではなく生徒一人一人の持つよい点や可能性などの多様な側面、進歩の様子などを把握し、学年や学期に渡って生徒がどれだけ成長したかという視点を大切にすることも重要であると書かれていて、その学習評価の最後には、そういったものをいろいろな教育活動の中で書きためていって、例えば特別活動においてもそういった活動の記録を蓄積していく教材を活用することが大事だというような表現もあり、それを円滑に接続させることが考えられるというような表現もあるのですけれども、こういった解説の文面を見ると、生徒一人一人の個別最適化された学びというよりは、生徒一人一人の主体的な学びの履歴書といいますか、それが非常に重要なのではないかと思うのですね。
 これまで履歴書といったら、どこの学校を出たとか、そういったところで構成されている概念だと思うのですけれども、そうではなくて、どんな学びを幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校と積み上げてきたのかということを、子どもたちが口頭で、あるいはポートフォリオで、いろいろな形で表現していく。それがさらには大学入試、あるいは高卒で社会に出る場合においても、大学院卒で社会に出る場合においても、企業がちゃんと受取っていくというような大きな社会の仕組みをこしらえていくということが、非常に重要なのではないかと思うのですね。
 4年ほど前に、『イギリス教育の未来を拓く小学校』という本が翻訳されて、ロックザム小学校という小さな小学校だったのですけれども、そこに赴任したアリソン・ピーコックという校長さんが、全英学力テストでびりっけつの学校の小学生を奮起させるのに使ったのは、テスト漬けではなくて、ドリル学習ではなくて、子どもたち一人一人にラーニング・レビューをやっていく、ラーニング・レビュー・ミーティングをしていく。日本でいうところの三者懇談とか二者懇談とかいったような場面だと思うのですけれども、そこで子どもたちに自分の学びの履歴、あるいは成長の足跡をしゃべらせるといったことを、小学校全学年で定期的にやっていく中で、3年後には全英トップクラスの学校になっていくということを考えていったときに、あくまでも結果としてトップとか、あるいは大学実績とか入学実績とかがあればいいので、それはあくまでも結果であって、一番大事にすべき目的はどういう力を付けさせるのかということだと思います。
 今日も長野県の事例もありましたように、こういう力を付けさせるために学びの履歴をしっかりためていくのだといった仕組みが、これは恐らく進学校であろうとも専門高校であろうとも、どの学校でもどの校種でもできることではないかと。特別支援教育の考えでも個別支援計画を引き継いていくということがありますけれども、支援される側の子どもたちも自分の学びをためていくと、積み上げていくといったイメージは大事にしたいと思っております。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。今の話なんかあれですよね、キャリア・パスポートの活用をそういう形で是非、積極的にやっていく中で、生徒自身が気が付いていない自分のよさや可能性に教師が気付かせていくというという、そういう取組になっていくといいですよね。ということを思いながら聞きました。ありがとうございました。
 それでは、時間がもうなくなってまいりましたので、御発言いただいていない委員もいらっしゃる……では、跡部委員、よろしくお願いします。
【跡部委員】  今お話伺いながら思っていたのですけれども、高等学校の子どもたちが自分たちの学びに自信がないとか、それから学ぶ意欲がないとかいうところ、すごく深刻に捉えているのですけれども、それは多分、高校時代が何かの通過点というような捉え方しか彼らができていないからなのではないかと思っています。今、皆様がいろいろとおっしゃっていたように、子どもたちをいろいろな場面に置いてあげることというのはすごく大事で、学校と家だけの往復で学校生活が終わるというところに、ひょっとしたら大きな問題があるのではないかと。
 もっと外へ開いて、子どもたちをいろいろな場面に置いてあげて、たくさんの評価軸を持たせてあげるということが、彼らが自分の成長を自分で感じられる部分にもつながるのではないか、とそんなふうに思いながら伺いました。今後いろいろなことを話し合っていかなければならないと分かっておりますので、またいろいろ勉強をさせていただきたいと思っています。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。それでは、御発言はもうここで終わりということにさせていただきまして、今後の予定につきまして、よろしくお願いします。
【酒井参事官補佐】  資料4をお願いいたします。今後のスケジュールでございますけれども、委員の皆様の御日程を調整させていただきまして、第3回につきましては9月24日の火曜日、13時から、10月につきましては第4回、10月15日の火曜日、13時からということで御予定させていただければと考えております。また、場所等詳細につきましては、改めて御連絡差し上げればと考えてございます。
【荒瀬主査】  今日はありがとうございました。社会がどのように変化していくのかとか、あるいは社会がどのように変わらなければならないのかといったようなことも、当然あるわけです。そこには関心を持たなければだめでありますけれども、私たちが社会のありようだけがどうということではなくて、この中で高等学校教育をどうしていくのかということで、また次回以降、議論を深めていければと思っております。現状からしか物事は変わらないと思っておりまして、現状は牧田委員の御指摘のように、サラリーマン校長がやたらいるのかもしれませんけれども、そのサラリーマン校長も動かないと言われている先生たちも、一緒になって変わっていかなければ変わらないので、何が課題なのかということを是非、また明らかにしていただきながら議論を深めていただければと思います。
 若干オーバーいたしました。今日はこれで終了いたします。ありがとうございました。

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