新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会 (第18回) 議事録

1.日時

令和2年11月13日(金曜日)14時00分~17時00分

2.場所

文部科学省(WEB会議)
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 新たな学びの実現に向けたICTの活用について
  2. 関係部会等からの検討状況の報告
  3. 答申(素案)について
  4. その他

4.議事録

【田中教育制度改革室長】 すみません,トラブルがございまして,やや遅れましたが,これから会議を始めたいと思います。
 まず,荒瀬部会長,お願いいたします。

【荒瀬部会長】 皆さん,大変お待たせいたしました。事務局の皆さんの獅子奮迅のお働きで回線を変更しての開会ということになりました。
 では,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会第18回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会を開催いたします。御多忙の中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 今回も新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式で開催させていただきます。
 まず,本日の会議開催の方式と資料につきまして,田中教育制度改革室長から御説明をよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 事務局,教育制度改革室長の田中でございます。今,部会長からもございましたように,本日Webexで開催を予定しておりましたが,Webex自体のトラブルのため,急遽Zoomに切り替えさせていただいたところでございます。御不便をお掛けしまして誠に申し訳ございません。
 委員の皆様,それから,傍聴の皆様にも事務局よりメールをさせていただいておりますけれども,まず委員の皆様におかれましては,今回御発言いただくときは,挙手ボタンを押していただければと思います。その後,部会長からいつものとおり順次御指名をしていただきますけれども,御発言いただくときは,こちらの方からミュートの解除をいたします。それに対して許可をしていただいた上で御発言をいただくという流れになりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それから,傍聴の皆様におかれましても,今回,同じように入っていただくようになりましたけれども,カメラとマイク,傍聴の皆様におかれましてはオフということでお願いいたします。今回大変御不便をお掛けしておりますけれども,御理解のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の資料でございますけれども,議事次第にございますとおり,資料1から資料6まで,加えて参考資料1-1から2となっております。御不明な点等ございましたら,お申し付けください。

【荒瀬部会長】 それでは,本日の会議の進行につきまして御説明を申し上げます。本日は議題が3つございます。
 議題1といたしまして,新たな学びの実現に向けたICTの活用について,堀田委員と白水国立教育政策研究所総括研究官から御発表をいただきます。この後,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。9月28日に開催されました初等中等教育分科会におきまして,天笠分科会長代理から,ICTの活用に関する考え方について総論部分において改めて整理すべきではないかとの御指摘があったことを踏まえまして,本会議の議題と致したものでございます。
 続いて,議題2といたしまして,教育課程部会,新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ,そして,新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議から検討状況の御報告をいただきます。
 その後,議題3といたしまして,答申素案を取り上げたいと思っております。意見交換は,議題2と議題3をまとめて行いたいと考えております。
 本日の会議は3時間を予定しています。議題3の前に休憩を少し取りたいと思っております。長時間にわたりますが,よろしくお願いいたします。
 それでは,議事に入ります。議題1といたしまして,新たな学びの実現に向けたICTの活用について,まず堀田委員から資料1に基づきまして御発表をお願いいたします。堀田先生,よろしくお願いいたします。

【堀田委員】 失礼いたします。東北大学の堀田でございます。
 今回は,「新しい時代の学びに向けたICT活用に関する考え方」というタイトルでお話を差し上げます。ICTがすごい勢いで今導入されそうなところになっているがために,ICTが来たら何ができるかというような観点でよく議論がされますけれども,そもそもICTが来たら何ができるかというよりも,これからの時代に必要な資質・能力を育てるのにICTがなくてできますかという話が先にあって,だからICTの導入が決まっていったという,そういう部分がございますので,その観点からお話をさせていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。いわゆるコロナ禍で学校が臨時休業をしていたときに,どれぐらいオンラインでの学習が学校から提供できたかという数値でございます。同時双方向型のオンライン指導においては,小学校で8%,中学校で10%の設置者しか実際できなかったと。この設置者の管下の学校が全てやれたというわけではないことを考えますと,市民から見れば,スマホでテレビ会議ができるこの時代に,学校現場からオンラインで授業も提供してもらえなかったということに対しては,やはり随分非難があったところでございます。これは学校現場のICTインフラ,これは端末の問題でも高速ネットワークの問題でもありますけれども,そういうところが不足していたということは否めないかと思います。
 次のスライドお願いします。OECD諸国では,既にICTの授業での活用あるいは家庭での活用について調査がされておりますが,御存じのとおり,PISA2018でも我が国はOECDで最下位でございまして,子供たちは,ネットでチャットをするとか,1人用ゲームで遊ぶとかいうのはOECDでトップなんですけれども,学習においてICTを使う,学校内外,どちらもそうなんですが,それはOECDで最下位ということになります。したがって,学校のICT環境の整備が不十分であるということが,子供たちにとってICTを用いて学ぶという経験の不足に既につながっており,これはもしかしたら将来,ICTを用いながら仕事をしていく,そういう人材のコンピテンシーに影響する可能性があります。
 次,お願いします。既に今期の学習指導要領では,学習の基盤となる資質・能力という観点で,言語能力や問題発見・解決能力と共に情報活用能力が入ってございます。したがって,これらは,各教科等の学びにおいて,言語能力とか情報活用能力とかが基盤となって各教科の学習をするんだという考え方ですね。つまり,学びのベースになるスキル・能力として情報活用能力があって,それを生かして授業をやっていくんだという考え方に学習指導要領が既にそうなっているわけです。そのためのICT環境の整備がようやくGIGAスクール構想で追い付いてきたと,そういうふうに考えることができます。
 その次のスライドに参ります。スライド5です。これはよく見るグラフだと思いますけれども,我が国は急速な勢いで人口減少が進んでおります。一方で人生は100年時代と言われます。人生のいろいろなステージで,そのときそのときの働き方を学び足しをしながら常にやっていくと。常に学ぶ時代がやって来ているということになります。そう考えますと,学ぶスキルと学びに向かう力の重要性というのはこれまで以上に強く求められているところでございます。
 OECDからLearning Frameworkが出ていますけれども,世界的にもこういう能力が重要だと言われています。その中には,丸1番の最後にあるように,自己調整,自分のペースで自分の学び方で学んでいくというようなこと,あるいは協働性のような協働的な学びが重要であるということは世界的に言われています。また,最後に,3つ目にある,実用的で身体的なスキルとしてICTの活用が入っているということで,これらは全て学習指導要領に想定されている内容として含み込まれていますけれども,こういう能力を身に付けるためにGIGAスクール構想で端末が入ったのだというふうに理解することができます。
 次,お願いします。間もなくGIGAスクール端末は各地に到着するという調達の状況です。黄色いところは年度内に納品,青いところは年内にもう入るところでございまして,一部の赤いところを除いてはほぼほぼ行き届くということになります。
 その次お願いします。これ,GIGAスクールで求められる端末というのは,上のようなものではなくて,下のようなものだという文部科学省の図式です。左側にあるように,端末そのものはどちらかというと空っぽに近い感じで,端末の中にいろいろなものが入っているというよりも,各端末から高速ネットワークを通じてクラウドにアクセスし,クラウドの様々なサービスを,ツールだったり,データだったり,AIだったりしますけれども,そういうものをいつでも使えるようにするのだという,これがGIGAスクール構想の考え方ですので,逆に言えば,端末が来ても,ネットワークが高速でない場合とか,あるいはクラウドにつなぐことを禁止しているような場合は,これはうまく機能しません。使えない端末が税金でたくさん導入されたみたいに見える可能性があります。したがいまして,今,端末のことを多くの自治体は躍起になるところなんですが,本質的には高速ネットワークとクラウドの活用が本当のポイントということになります。自治体の意識をそちらに向けてもらう必要があります。
 次お願いします。1つ動画をお見せします。これは30秒の動画なんですけれども,私はこれを学習動画と呼んでいますが,学習で必要になりそうな動画,短い動画クリップと言ってもいいでしょうか,これは小学校5年生で習う算数の三角形の面積の公式がなぜ底辺掛ける高さ割る2になるかということを非常に短い動画で上手に説明している例です。こういう学習動画をたくさん作って,今後ネットワークで共有すべきではないかという考え方で,実は平成13年度に文部科学省の委託事業が動いております。こうやって作られたものは,ネット上に無料で今も使えるものもありますけれども,ほとんどはもうなくなってしまっています。こういうようなことを意図的に国が開発することを後押しするようなそういうことが本当に必要ではないかと思うのです。この動画は,三角形の面積の公式を考えていく授業のときには不要ですけれども,忘れてしまった子が思い出すとかそういうようなときには非常に有効でして,こういうような良質な学習動画が体系的に整備され,デジタル教材として学習指導要領のコードを通じてデジタル教科書とリンクしていくようなことが今後求められるのだというふうに思います。
 次お願いします。続いて,これはCBTの概算要求の資料ですけれども,オンラインで学習診断ができるようなCBTです。こういうものがあれば,学校としては,指導の状況を時々評価し,PDCAサイクルを回すのに非常に役に立つということです。学習ログとよく言われますけれども,いろいろな教材の学習ログはどちらかというとミクロなデータですので,毎回毎回の授業中の形成的な学習評価につながりますけれども,そして,それは本人のリフレクションにつながりますけれども,こういう学習診断のCBTのようなものは,単元を超えた大きさのテストになりますので,どちらかというと総括的な学習評価につながって,指導法改善,指導体制の見直しにつながりやすいと思っております。
 次お願いします。私たちは,教室で対面で授業をやっているので,先ほども話題にしましたが,オンラインの学習は同時双方向をつい求めがちですけれども,インターネット上のリソースを必要に応じて参照するという考え方は,どちらかというとオンデマンドといいます。動画を自分のペースで見る。例えば分かっている子は速く見るし,分かっていない子は,止めて見たり,戻って見たりするということができる。レポートを作るのも,速い子は短い時間で終わるけれども,長い時間を掛けてじっくりやることもできる。学習ログも含めて,あと,家庭学習の端末持ち帰りも含めて,オンデマンド学習が教室での対面学習と同じように尊重され,組み合わせて指導されていくということがこれからの学習の姿ではないかと思います。
 次お願いします。身に付けるべき資質・能力については,この図がありまして,知識・技能と,思考力・判断力・表現力と,学びに向かう力・人間性と書いてあります。それぞれのこととICTの活用について少し紐付けてみました。
 知識及び技能につきましては,最近よく言われているような,先端技術を用いれば,個別最適な学びというのはそれなりに期待できます。それなりにと申し上げたのは,これはどちらかというと知識・技能の習得や習熟を確認するような場合に非常に期待できると。それはそれで非常に重要なことですので,そこを個別最適なペースで行うということは,それは意味があることかと思います。
 一方で,右側にあるような思考力・判断力・表現力というのは,自分の考えを発信し,友達の考えを聞いて,そして,自分の考えを更新していくというプロセスで身に付いていくものだと思いますので,学校での学習の意義であると同時に,友達の考えと自分の考えの違いが可視化されるような道具としてのICTというところに期待されるところだと思います。
 さらに,上の学びに向かう力,これは人生100年時代において更に重要になると申し上げましたが,自分の学びを自分のペースでロングレンジで考えていくというようなことを考えたときに,ICTで学習の履歴が蓄積されていくとか,自分の伸びが可視化されているとか,そういうようなことは非常に重要だと思います。一方で,長い目で見たときに君の学び方は非常に良い方向になっているよというような点で,教師の丁寧な見取りと助言,人間の教師が人間の子供たちに指導していくということの意味がここにあろうかと思います。
 次のスライドお願いします。そのようなきめ細やかな指導を,ICTで得られるデータも用いながら行っていく際に,やはり学級における先生と子供の数の比が非常に大変になろうかと思います。現在では,小学校は30人以上の学級が37%,中学校では70%というデータがあります。このことを考えたときに,個別最適な学びを指導するということ,データに基づいてやっていくということをやるとしても,先生たちの御負担は非常に多かろうと思います。さらに,世の中ではSTEAM教育とか外国語の教科化とか道徳の教科化とか様々なものがありますし,小学校高学年の教科担任制も含めて様々な指導体制を有効な形で機能させるようなそういう人事配置というのは,今日非常に重要なことになっているかと思っております。
 次お願いします。学校の働き方改革のことをちょっと申し上げておきます。これについては,働き方改革答申でこういうものが出ているわけですけれども,今,赤字でちょっと私の方で付け足してみましたけれども,もう既に一般的に世の中の民間ではよく使われているようなもので,あるいは家庭で使われているようなそういうものを使うだけで,先生の仕事は随分楽になる部分があります。残念ながら,学校にはそういうものが導入されていないし,利用が禁止されていたり,クラウドがつなげなかったりするのでやれていないだけなんですね。
 なので,そういう意味で,校務の情報化の部分をどんどんデジタルにしていくということは,働き方改革の観点からも非常に求められるべきかと思います。しかも,それは特殊なものを作らなくても,一般的なシステムで代替できる部分がたくさんございますし,そういうものが当たり前になってくると,先生たちの意識も次第に変わってくると思います。また,そのためには,校務支援システムが学校にはいろいろ入っていますけれども,いろいろな校務支援システムがありますし,校務支援システムとほかのデータのやり取りみたいなことが今後はたくさん起こってくることを考えると,データの統一化とか,クラウドでの情報伝送の仕組みとか,そういうことを整備していくことはこれから求められることかと思います。
 最後,お願いします。最後の1枚,教員養成の話です。教員養成大学は,これから学校の先生がたくさんの教育課題の中に入っていくことを前提に教員養成をされているかと思います。一方でGIGAスクールが実現した後の教師を考えたときに,子供たちが全員端末を持っているという状況で授業ができる若い教師がたくさん求められるようになりますが,さて,教員養成大学でそういうことが十分に指導されているのだろうかということについては今後の課題かと思います。
 教員養成大学はいろいろな課題にチャレンジされていると思いますけれども,こういう観点から考えたときに,教員養成大学の授業が学生が1人1台持っていることを前提にした授業だったり,あるいは子供たち自身が情報活用能力を身に付けていく指導法をどういうふうに教員養成のカリキュラムに入れていくかですね。プログラミングもあるし,情報モラル教育もあるし,校務の情報化も個人情報の保護の話もあります。様々なそういうところについては,何らかの新しい教職科目の設置や必修指定とかが必要ではないかと私は思います。
 また,教員養成のフラッグシップ大学というのが少し前に検討されましたけれども,これ,令和2年度中にモデルになる大学が指定される予定であったわけですが,多分コロナのためにいろいろな遅延が起こっているんだと思いますけれども,とにかく教員養成においてこういう教育をしているというモデルケースがこれからもっとどんどん出てくる必要があろうかと思います。
 私の発表は以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 堀田先生,ありがとうございました。
 続きまして,白水国立教育政策研究所総括研究官から,資料2に基づきまして御発表をお願いいたします。白水先生,よろしくお願いいたします。

【白水国立教育政策研究所総括研究員】 白水です。よろしくお願いします。今ほど堀田委員から学びの基盤としてのICTの使い方・在り方についてのお話がありましたので,私の方は,実践寄りの,学習指導要領に基づいて教員が果たすべき役割ということを中心にお話をしていきたいと思います。
 お手元の資料の1ページ目にお伝えしたいことをまとめました。1点目としては,国立教育政策研究所では,各国のICTの利用の仕方のガイドラインというようなものを研究しているのですが,その1つとして,教育活用というのは各国各様でお国柄がある一方で,それを使うときに,「テクノロジーが先に来るのではなくて,ペタゴジー,教育学,どう使いたいかということが先に来なければいけない」という話が共通しているということでございます。2点目は,我が国のお国柄を踏まえて日本型モデルをどうやって確立していくかというときに,学習指導要領が今現場に及ぼしつつある実践の芽を開花させていく方向でICTを活用できるといいのではないかということです。3点目は,モデルを確立していくために,子供たちがどんなふうに学んでいて,それをどう支えていくか,その問い直し,授業研究と言ってよいと思いますけれども,それがICTの活用に非常に大事な部分ではないかということです。
 それでは,2枚目をお願いします。先ほどお国柄という言い方をしましたけれども,各国のEdTechガイドラインや,その基礎資料を検討し,作成者と対話しますと,アメリカの場合は,Personalized Learningと言われるものとPBLの組合せ,あるいは国を挙げてGrowth Mindsetという学び方の学び,非認知能力への着目など,アクションリサーチに基づいた先進的なモデルが提案されています。その中で,学校だけではなくて,外部リソースも積極的に利用していこうということでいうと,商業主義とも反りが合うモデルが提案されています。
 一方で英国の場合は,それぞれ学校を中心にSchool-basedでやってきておりますので,たとえ先生方が,教えれば子供たちが分かるというふうな教授主義に寄っていても,そのまま現場に寄り添って,それにICTを利用するとどういう効果があるかというエビデンスをランダム化比較試験等を通して出していく。そこから,テクノロジーを使うときには教員研修も必要だというような知見も見いだす。その意味で,それぞれ国によって在り方が違う。その前提を踏まえると,日本というのはどこに向かっていくかが非常に大事なところかと思います。
 次のスライドお願いします。先ほどエビデンス重視と言いましたけれども,例えばイギリスの頼りにしているEEFが出しているモデルでは,それぞれ読み書きあるいは計算のドリルの一覧がございまして,右側のオレンジ色とかブルーの色がそれぞれ,このドリルを使うと学習進度が何か月分先に行けます,あるいは使った方がマイナスになりますということを示しております。南京錠はそれぞれのセキュリティの強度を示しております。こういうふうにエビデンス重視のイギリスの方のガイドラインも。
 次のスライドお願いします。じゃ,それを取りまとめて,どういう原則が大事かというのをまとめているときには,やはりテクノロジーよりも先に教授法や学習の質がそれでどう向上するかというのを検討していこうと。それによって,先生の質の高い説明,モデリングが実現できるのではないかといった使いどころを探していく。アメリカの場合は,ICTを活用の大原則は,とにかく良い機会を選んでちゃんと使っていくことが必要なんだと。どちらの国にも例えば評価の改善というのが出されているように,共通しているところもあるんですけれども,それぞれの学校が自分の現状を踏まえて,良いところに使っていくことが必要。そう考えますと,「何のために/何がしたいのか」が先にあって,ICTの選び方・使い方が決まる。これを「Pedagogy First, Technology Second」と言います。
 次お願いします。それでは,こういった国としてのICTの使い方のモデルを確立していくのに向けて,我が国の学習指導要領,今次の学習指導要領の狙いは何かということをもう一回立ち戻って考えたいと思います。先ほど堀田委員からも説明があった,育成を目指す資質・能力の3つの柱が強力に今回打ち出されました。その理念というのは,この3つというのがとかくばらばらにされがちなので,ばらばらにしないでいこうと。子供たちが潜在的に持っている思考力等を発揮して知識・技能を深めた先に,次はこんなことを学びたい,こんなことをしたい,こんなことをやりたいということが一体的に見えてくるのではないか。だからこそ,知識・技能がないと思考力は働かせられません,という話ではないだろうということで,段階論で考えないということが重視されたかと思います。
 そのための主体的・対話的で深い学びというのは,前次の学習指導要領からの流れを振り返ってみますと,習得と探究というのがどうしても分離されがちなところを活用でつなごうと。言語活動を中心に,先生が何を話すのではなくて,子供たちの活動が大事だと見えてきた。そうすると,今回の指導要領では,活動の背後に,子供たちが一体何を学んだかという学びを注目しよう,見取ろうというのが,この主体的・対話的で深い学びだったかと思います。
 そういう意味では,杞憂かと思いますけれども,個別最適な学びをAIドリルで,協働的な学びをテクノロジー拡張のPBLでというようなモデルでは,再度,知識と意欲を分断して段階論的に指導して,習得と探究が泣き分かれになってしまうような活動主義になる可能性はないか。これを注意深く見ていく必要があるだろうと。このモデルに1回立脚してしまうと,そこから生じるのは,例えば「知識の蓄積というのは本当に探究を生むのか」,あるいは「探究しておくと知識が欲しくなるのか」というような問いとか,「個人と協働の学びをどうベストミックスするか」という問いです。それに答えを出さざるを得なくなる。けれども,これは結構答えを出しにくい問いです。二項対立で考えてしまうと,どっちが良いかというのは結果としても非常に揺れているところだからです。けれどもそもそもばらばらにしたところで学びの質が落ちているので,それよりは一体的な学びで効果が生まれるんだとすれば,そこを追求するということが非常に大事なのではないかと。そう考えると,子供が資質・能力を総動員して学ぶに値する問いは何か,内容は何か,その授業のデザインはどういうものかということを先生方がしっかりと考えていく,そこに労力を集中できるといいのではないか。
 次のクリックお願いします。そう考えてみますと,日本の先生方は,授業の質を見分ける潜在力をこれまでの日本の授業研究の伝統・蓄積の上に持っておられると思います。私も年間2,000人ぐらいの先生と協働しながら授業作りをしております。授業は最初からうまくいくわけではないんですけれども,先生方が協働で話し合うと,授業の失敗に気付いて,作り直していく,その力を日本の先生は持っているのではないか。その力を信じてみるといいのではないか。
 一例,非常に簡単なものを挙げます。初めてICTを使って授業をしなければいけないという中学校の先生が,黄道12星座は誕生月に見えるかという課題で授業をなさいました。黄道12星座というのは誕生日の星座ですけれども,それが誕生月に見えるかという問題です。ICTを使うというので,先生はちょっと慎重に,春夏秋冬の星座を決めて,何座が見えて,何座が見えないかというのを発表してもらった。
 そうすると何が起きたかというと,それぞれの班は非常にカラフルなボードの発表をしてくれました。けれども,前の電子黒板でそれぞれのグループの発表を共有してしまったので,あとの班は,「全部これ,答え写せばいいんだ」というので答え合わせになってしまっていたのですね。暇になってプレゼンを工夫しているという。それではいけないだろうということで,先生,次の授業では,グループの星座を自由に探究してごらんというのをやりますと,それぞれのグループで対象にしている星座が違いますので,それをまとめ上げていって,バリエーションが電子黒板で共有されていきます。そうすると,ある班は,右下にあるように,実は見えないんだという一番大事なポイントが見えてきます。電子黒板はシンプルでも,答え合わせではなくて,答え作りにICTが使われるようになってくる。
 こんなふうに先生方は協働で授業を作り変えていく力があるんだと。それによって,電子黒板をどんなふうに使うかが見えてきて,子供たちが考えのバリエーションを統合して理解を深めて,「見えるわけないだろ」と書いたグループなどは,その先に「誕生月に自分の星座が見えないんだとすると,何で古代の人たちはそれが大事な星座だと認定したんだろう,天体の運行の理解というのはあったんだろうか?」という,次の授業につながる問いを見付けていきます。同じICTでも,何のために使うかで価値が変わってくる。Pedagogy First, Technology Secondというのを言い直してみますと,学習観・授業観によって,電子黒板1つの使い方も変わってくるということです。その使い方を探していきたい。
 スライドお願いします。では,そのときに,先生にとって何よりも学びの質が大事だというふうになりますと,子供たちは先ほどあったようにデジタルテクノロジー自体は使えますので,ICTはどういう役目を果たすべきかというので,「ICTはおはしだ」という考え方もございます。おはしが御飯を食べるためにあるように,ICTは学びのためにあるんだと。おはしも使い方を教えてもらったり,練習したりする必要はあるんですけれども,あとは使いながら身に付いていく。いずれおはしで食べているのを忘れるように,ICTも忘れられていって,大事なのは,学ぶためにこれを使っているんだと。GIGAスクール構想を考え直してみますと,ICTを忘れるぐらい当たり前にしてくれるためのものではないかと思います。そうなってくると,その先の学びの質の向上のところに全先生方,子供たちが集中して進んでいけるはずです。
 最後のスライドお願いします。そう考えますと,これからの,先ほど堀田委員からあった教員養成大学が果たすべき役割も含めて,ICTを使って新たな学びの姿をどうやって実現していくかというモデルが立ってくるかと思います。
 まず第1に,子供の学ぶ力を最大限引き出す授業をデザインしてみる。そのときには,この写真にカメラとICレコーダーがあるんですけれども,ICTを学習支援だけではなくて,学習プロセスの記録に使う。そのプロセスから,個人情報を保護した上で,教員・教職希望者,研究者皆がICTで時空間を超えて学ぶ。
 そうなってきますと,(これは子供たちのグループの発話を自動的に起こしているソフトですけれども)全部こんなふうに言葉が音や声を聞きながら見えるようになってくると,子供たちの学びをどう見取れるか。あるいは,右下の写真は,Zoomで小グループで子供たちが学んでいるときに,そこの小グループに研究者が,あるいはほかの学校の先生から他地区から入って,遠隔から入って,子供たちの会話を聞きながら,あそこであんなふうにつまずいているので,次の授業こうしようというようなプロセスから学んでくことができるんじゃないか。その先に,子供の学ぶ力をより信じるような学習観・ペタゴジーを構築して,次のデザインに生かしていく。この全過程をICTが記録・活用を可能にしていくというのが非常に日本の伝統に基づいた有望な使い方ではないかということです。
 文部科学省の方でもこのような先端技術を導入したモデルをやっております。その中で1例ですけれども,今日いらっしゃっている安芸太田町の二見教育長のところでなさっている実践の中でも,こんな過程をICTでずっと記録を取っていると,ある先生が,自分が授業作りのメーリングリストに7年前投稿した自分のポストを見直してみて,私は大分成長したので,「昔書いたのが恥ずかしい」というコメントをされて,それを隣の先生が,「私は1年前に書いた自分のコメントだって恥ずかしい」というようなことを言いながら,自分たちの成長を感じ取っている。こういうふうに先生が授業についての考えを変えながら良い授業を作っていく。そこにICTをおはしのように自然に子供も先生も使っている。その過程というのを,教員養成大学がそれぞれの地域,あるいは地域を超えてネットワークとして作っていく,その中核になることができるのかということが問われていると思います。
 最後,まとめますと,教員養成系大学のやるべきことは,このような学びのネットワークの中核になることで,そのために,教員養成系大学の先生方の理論,そして,研究というのが本当に現場の役に立っているか。そして,現場の先生方が一緒にやりたいと思うような研究をできているか。そして,そのフィールドに学部生・院生が携わりながら,授業作り,あるいは授業の記録の整理,そして,振り返り,それを支えながら,次の先生になるための周辺的な参加ができるような場を作っているか。このような学びのネットワークの中核になっていくということが,先ほどあったような教員養成系大学,フラッグシップ大学の役目かと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 白水先生,ありがとうございました。お二人から大変興味深い御発表をいただきました。それでは,今の御発表につきまして,委員の皆様から御発言をお願いしたいと思います。毎度のことで恐縮ですが,必ず挙手のボタンを押していただきますように,先ほど田中室長から御説明ありましたように,今回はこちらの方でミュートの解除をさせていただいた上で御発言をいただくということになりますので,よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では,まずお三人の方にお願いいたします。毛利委員,神野委員,清原委員,この順でお願いしたいと思います。毛利委員,お願いいたします。

【毛利委員】 つくば市みどりの学園の毛利と申します。今日のお話は,本当は日本中の先生とか教育委員会の方とかがお聴きになるとすごく参考になったのかなと思いながら聴いておりました。堀田先生と白水先生の,堀田先生の4ページと白水先生の9ページに情報活用能力についてお話しされていましたけれども,よく私もいろいろなところでお話しすると,必ずICTはツールであって,それそのものを覚えるようなことであってはならないみたいな話をする方がたくさんいらっしゃいまして,今日お話をお聴きして,やっぱりそうではないなと思ったんですね。
 機器そのものはツールかもしれませんけれども,ICTの,例えばこの学習ではインターネットを使おうとか,この学習ではテレビ会議でほかの人に聞いてみようとか,防災マップを紙で作るんじゃなくて,ほかの学校にも見せたいからデジタルマップにしようとか,何かICTのどういう機能を使ったらこの学習は更によくなるのかというのを,子供がそれを選べるような力が身に付くことが大事なので,僕は,何かツールだから使ってもいいけど,やっぱり使わない部分,良いところだけに使ってみたいな,何かそういう言い方は誤解があるのかなと。もうそういう,昔とは違う,ICTを使うこと,そのものの機能をどうやって使うかというのが能力になっているのかなと聴きながら思いました。
 あと,堀田先生の10ページにCBTのことのお話がありました。私も先日の中教審でもお話し,中間まとめでもお話ししましたけれども,OECDのテストのときだけCBTをやるというのは反対で,やっぱり普段から,堀田先生のこのスライドにあるように,まとめのときにも使うとか何かそういう,普段から,せっかく1人1台になるわけですから,使うと便利なのかなと。コロナのときにうちの学校でオンラインをしたときに,子供たちが本当に5問問題を解いたら,それが一瞬にして集計をして,点数も出て,グラフになって返ってきて,これだったら,コロナじゃなくても学校でもできるねという話になりました。
 あと,最後,15ページのところで教員養成で,我々も大学のときはパーソナルコンピューターありませんでしたので,今の若い人はすごく良いなと思ったんですけれども,若い人もいいんですけれども,あと,ミドルリーダーみたいな方が是非学び直しを,大学に行って学び直しをするみたいなシステムを,1日2日の研修ではなく,長くできるシステムがあるといいなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。御説明ができていなくて申し訳ないんですけれども,実は堀田先生が途中で御退席になるということを承っております。この後御予定がおありです。それで,今,手を挙げていただいている神野委員,清原委員,二見委員,天笠委員,この中で堀田先生への御質問のおありの方は先にお願いをしようかなと思っております。お尋ねいたします。神野委員は堀田先生への御質問はおありですか。それから,清原委員はいかがでしょうか。二見委員,いかがでしょうか。
 すみません,では,順にお願いいたします。何度も調整していただいて申し訳ありません。では,神野委員,お願いいたします。

【神野委員】 神野です。よろしくお願いいたします。
 まず堀田先生の方からお話しさせていただきますと,8ページ目の方に書かれている,正に校外ネットワークに対するようなところなんですが,私自身,幾つかの自治体でもう既に先行的に始まっている自治体で,インターネットが全部パンクしてしまったということを見ていたりします。それとまた,現状,自分たちで,私自身,Qubenaというものをやっていましたが,その中においてでも,1端末当たりに必要な通信量から換算したときに,現状の自治体のネットワークでは耐えられなくなっているような自治体を幾つもまた目の当たりにもしております。その中において,校外ネットワークというところを,これについてどうしていかなければいけないのかということは私も思っているのですが,堀田先生自身も何か入られている自治体とかでそのような実例をもし見ていらっしゃったりしたのであれば,そこに関して今どのような問題があるかということについて御意見いただけたらと思っております。
 また,白水先生にも御質問させていただきたいのですけれども,資料の6ページ,7ページ辺りに書かれています,3つの資質・能力をばらばらにしないというお話だったかと思うんですけれども,もちろんそこの理想・理念というところはそのとおりだと思いつつ,今,私,島根県にいまして,一昨日小中学校で,昨日,本日と県内いろいろな高校を回ってきました。その中で,GIGAスクール構想の果たすべきものということを,今,私,島根県自体のICTアドバイザーみたいなこともやっているので,それでもって現場の先生方と共にいろいろ話をしてきたんですけれども,やはり皆さんおっしゃるのが,島根県はかなり協働的な学習に関しても,スクール・ポリシーとかも高校では考え始めていますし,すごく先進的な取組をしている一方で,やはり皆様方おっしゃるのが,多様な子供たちがいると。知識・技能も相当ばらばらであると。そのような中において,思考力を問うていったり,学びの姿勢を作っていくということがやはりすごく難しいという御意見もいただいています。
 やっぱり私自身,個別最適化ということをICTでということでやってきた立場からの話でもありますが,やはり個別最適化したAI化した教育というものは,もちろん吹きこぼれていた子供たちがどんどん前に進んでいく力もありますし,ただ一方で,いろいろな多様化してしまった子供たちが,ちゃんとある一定程度の最低限の知識・技能をすぐ獲得し,それでもってグループでみんなで学習するというような学級運営ができる力もあると思っています。
 そういった意味で,3つをばらばらにしてはいけないというのが強い言葉だったので,僕は堀田先生の整理というところと,白水さんがおっしゃられていることの中庸ぐらいのところに何かが形があるんじゃないかということを思い,このような質問をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。では,続けてお願いいたします。清原委員,お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。清原です。堀田先生,白水先生,ありがとうございます。
 さて,堀田先生がお作りいただいた資料で11ページでございます。「オンデマンド学習の分野が極めて重要である」という御指摘,とりわけ,動画視聴とか,デジタル教科書とか,繰り返し随時,適時使えるということが,オンライン学習とともにむしろ重要であるということを重く受け止めました。
 そこで,次のページに整理をしていただいた事柄でございますが,私たちが提案している「個別最適学習」については,とりわけ知識及び技能の面で,ICTの機能が重要な役割を果たす可能性を整理していただきました。続けて,「思考力・判断力・表現力」などについては,クラスメートと「協働型学習」をする中で培われるという方向性も示していただきました。先ほどの神野委員の御質問と類似した問題意識を持っているんですが,必ずしもICTがなくても思考力・判断力・表現力を培う協働型学習はできますが,しかし,「ICTを活用しながらの協働型学習も効果がある」ように堀田先生のお話も受け止めたところです。
 したがって,この3つの柱というそれぞれにおいて,やはりそれぞれにICTが生かされる可能性があることが,単にGIGAスクールを端末の設置や高速ネットワークの整備にとどまることなく,むしろ「授業の質の向上に不可欠な基盤である」というふうに先生から本日メッセージをいただいたように受け止めておりまして,今回の答申の方向性に,ICTが特別扱いではなくて,むしろ「個別最適学習にも協働型学習にも欠かすことができない」,「その主体的利用によって子供たち中心の授業が向上する」,そういう何か総合的視点をいただいたように思うんですが,そういう受け止め方でよろしいでしょうか。更に理念的な点で加えていただくことがあると,何か答申に厚みとか深みが出るような気がしまして,感想と質問とさせていただきます。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,二見委員,続けてお願いいたします。

【二見委員】 ありがとうございます。堀田委員,また,白水先生,ありがとうございました。私,少し視点を変えて意見と質問にさせていただきます。ここまでずっと子供たちの学びとICTということでずっと議論が進んでおりますが,今日も堀田先生の最後のところでの教員養成課程の問題,また,白水先生が,遠くに離れたお互い研究者や教員の研修・学びということについても話されました。そういう意味で,大学生あるいは大学院生の皆さん,教師の卵の皆さんたち,また,若い先生方と日々悩んでいること,それらについて,学校現場と教職大学院などと連携をして,生の授業を見ながら学び合うというふうなことが可能なのかどうか,また,それについて先生方の御意見があれば教えていただきたいと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,天笠委員,よろしくお願いいたします。

【天笠委員】 お二人の先生,どうもありがとうございました。少し観点を変えてからの質問と意見を絡めるような形でお願いしたいと思います。
 それはこの後の答申に関わる話ともちょっと関わってくるかと思っているんですけれども,ICT環境を整備するってどう捉えたらいいのかどうなのかと。目下,1人1台の端末という,そこのところがICT環境整備の中心になっていると思いますけれども,そういう形での整備というのは,そこにとどまらないわけで,全体的な,言うならば,学校の環境にある種の影響を及ぼすと思いますし,更に言うならば,いわゆる学校文化とか,教員を中心とした組織文化とか,そういう側面にも様々なインパクトを与えていくということが考えられるかと思います。
 そういう点について,先ほど御発表いただいた,そういう学習のスタイル等が入っていく,あるいはそれに伴ってICT環境が整備されていくということによって,学校全体のインパクトというんでしょうか,その辺りのところについてはどんなお考えをお持ちなのかどうなのかということを聞かせていただければということなんです。
 私はICT環境の整備というのは,ただ単に物的な部分を整備すればそれで話が済むということではなくて,またそういうふうなところに恐らくとどまらないで,プラスマイナスいろいろなものを含めて,既存の学校の持っている文化ということについて,様々なインパクトを及ぼしていくことが今後考えられるんじゃないかと思っています。ですから,そういう点で,ICT環境を整備するというのは一体どういうことなのかどうなのかということを,我々はある意味で懐深くというんでしょうか,あるいはいろいろ複眼的な捉え方で捉えていくということが大変大切なんじゃないかというふうに思っています。
 例えば紙の文化と,それから,デジタルな文化の融合というんでしょうか,少なくとも現状はいろいろな調査等があって,デジタルが後れているということはこれは言えることだと思っているんですけれども,それは紙が幅を利かせていてデジタルが云々という,そういう整理の仕方ではなくて,デジタルと紙の新しい文化という,そういう創造性というんでしょうか,そういうものもこの国のこれまでの学校の歩みからするとすごく大切なことなんじゃないかというふうに思っています。
 この度の答申案の中にあるのも,いわゆるこれかあれか,それかこれかという二者択一の陥穽に陥らないようにとある。大変大切なところで,これまでの実践とこれからの提起とをどう融合させていくか,直結するのがこのICT環境の整備ということではないかと思っています。そういう意味でいうと,多くの方々の,とりわけ現場の理解を得ることがICT環境の整備にとっては欠かせないものだと思っていますし,そこのところをどういうふうに豊かに作っていくかどうかということについて,我々は知恵を絞っていくべきじゃないかと思っております。そういうことにつきまして,お二方の方,この点について何か御意見というかありましたら,聞かせていただければと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。今,5人の委員の皆さんから御発言をいただきました。では,堀田委員と白水先生にお答えをいただきたいと思います。では,堀田先生,先にお願いいたします。

【堀田委員】 皆さん御意見ありがとうございました。ちょっと順番を変えてお話を差し上げたいと思います。
 1つ目,まず清原委員の,非同期とか協働とかそういうお話なんですが,私のスライドの12枚目に,先ほどばらばらにしてはいけないと白水先生がおっしゃった3つの柱,これ,私は別にばらばらにしたいわけではなくて,分けて整理しているという話なんですけれども,ICTはどこに効くかというのはちょっと書き損なっている部分もありますが,ICTは全部効くと思うんです。全てにおいてインフラとして有効に機能すると思っています。
 そのうち,思考力・判断力・表現力のところは,教室での協働的な学びでは非常に重要である一方で,それは一時間一時間に途切れるものではないので,どうしてもICT,記録され,友達と協働で何かをやるみたいなことがやりやすくなるようなクラウド上のICTの協働型のツールがあると非常に便利であると。そのことをスライド11の上の方に青い字で書いているところに,「非同期に向いている協働的な学びもある。」と僕は書きましたが,そこで一応説明しているつもりでございました。
 いずれにしても,清原委員おっしゃったように,ICTが入ってきたら何ができるかみたいにどうも考えがちなんだけれども,私はこれからの時代に必要な資質・能力を育てるのに,今後も人口減少で先生たちは多忙なのに,今後もICTなしでやるんですかというのは,それは無理ですよねと。だから,強い動きでたくさんのお金を投じてICT環境を整えているんですよという,そういう理解でGIGAスクール構想を捉えております。
 今の話につなげますので,天笠先生のところにお話を向けますが,ICT環境の整備の意義というのは,そういう意味では,教育活動を順調に行うための学習のインフラであり,教師の職場環境でもあると私は考えております。そして,ハード整備の次には,データがどのように動けばうまく組織で機能するかというレベルのデータ活用の話に行くと思いますし,それぞれのシステム,例えば校務支援システムとか,学習ログを取るシステムとか,そういうものが全部ばらばらに動いていてはうまくいかない。そのデータ連動のところがこれから鍵になると思います。
 そういうところで働いている先生たちの働き方は,恐らく今までのICTがなかったときと比べると,だんだん変わっていくものかと私は思います。その変わりようは,ICTによって変わったというよりも,新しいインフラを使って仕事の仕方を先生方が組み替えていくという話であって,文化がだんだん変容していくプロセスだと考えております。そのプロセスにおいては,当然ながら紙とデジタルは融合しますし,どちらがいいかではなくて,どちらも使うということで,次第にデジタルの割合が多くなっていく,それがデジタルトランスフォーメーションなんだというふうに理解しております。
 神野委員の御意見にちょっとお話しします。ネットワークが止まっている例というのは私も幾つか見ました。1つは,ICTが余り使われない前提で回線速度が決まっていて,あるいはこれを,回線速度,帯域を上げるとお金が高くなるから上げられませんみたいな理由で,これは渋滞が一杯あるのに,そこをお金がないから道路を広くできませんと言っているような感じですね。なので,そこはお金を掛けてでもしっかりと広くするのが住民のためではないでしょうかみたいなそういう話だと思います。
 その1つは,ネットワークの帯域だけではなくて,過剰なフィルタリングツールとかそういうものが一杯動いていて,それで結構重くなっているという現実もあるし,あと,クラウドが禁止というのは今どきまだありますね。これは個人情報保護条例の関係があるので,ここは非常に大きな問題だと思いますが,これから様々なサービスは,当然ながらビッグデータを前提にいろいろ動いていきますので,クラウドが使えないといったら,ほとんどのサービスが使えない。でも,安い端末でほとんどのサービスがクラウドで使えないとなると,これ,大変な無駄な投資だったということになると思います。ですから,これはネットワークの高速化とクラウドを使えるようにするというのはもうマストです。そのことはGIGAスクールの整備のところにいろいろ書いてあるんですけれども,端末を入れることに躍起になってしまってそこまで追い付いていなかった自治体が幾つかあるかもしれないというところを感じております。
 続いて,二見委員のおっしゃった,生の授業を教員養成大学の学生や教職大学院の学生さんと一緒に教育委員会や,あるいは学校現場が一緒に学び合うことはできるのかということについては,できるようにすべきだと思います。今までは,授業というのは,その場に行かないと見られなかったわけですが,オンラインでいろいろ介入できたり,いろいろなことができるというのはこれから可能になるかと思いますし,そのぐらいのインフラは,学校は整備しておかないと,例えばプログラミングのエキスパートに手伝ってもらうといったときも,その人に来てもらわなきゃいけなくなる。でも,来ていただくことは仕事の上でできない。したがって,先生たちだけでやらなきゃいけなくなるというふうになり続けると思うんですね。ですから,社会に開かれた教育課程という観点から見ても,こういうインフラは私は必要かと思います。
 そうはいっても,その場にいないと分からないことも実はあります。授業をオンラインで見ても分からないことはたくさんあります。ですから,そこは使い分けの問題だと思いますので,どっちがいいかじゃなくて,どっちもできるようにしておく。行けるときは行くし,行けないときはオンラインでできる範囲でやるというふうに考えるべきかと思います。
 最後に毛利委員なんですが,これまでの学校でのICT活用というのは,先生もICTを余り使えない,子供もICTを余り使っていないから,情報活用能力を身に付けていない前提でいろいろな授業実践が行われてきたと思います。したがって,できるだけ簡便な,できるだけワンタッチなツール,そして,この教科のこの場面で効きますみたいな,コンテンツに依存したツールが一杯開発されてきたんだと思います。
 しかし,これからは,子供たちの能力として,基盤となる資質・能力として情報活用能力が求められる時代で,そのスキルが身に付いているかどうかは生涯にわたって大きな影響を与えるんだと私は思っております。コンピテンシーとしての情報活用能力と考えたときに,そういうものを各授業でICTを使いながら身に付けさせていき,自分の情報活用能力がどこまで身に付いたかということを子供がリフレクションし,学校がカリキュラムマネジメントで確実に情報活用能力を育てていくような,そういうことが必要かと思います。残念ながら,我が国は,いろいろなことが教科主導で動いていて,やっぱりコンテンツ縦割りになっていると思うんです。情報活用能力のような横断的な資質・能力についてしっかり育てていくような体制や仕組みを私たちはこれからはしっかり考えていかなきゃいけないんだなと思っております。
 長くなりましたが,以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,白水先生,よろしくお願いいたします。

【白水国立教育政策研究所総括研究員】 ありがとうございました。神野委員,清原委員の御質問にお答えして,その後,二見委員,それから,天笠委員にお答えするという流れで行きたいと思います。
 まず,例えば「オンデマンドというのは,随時適時学べる」,あるいは「AIドリルで知識が獲得できる」といった言説というのは,真実そうに聞こえるんですけれども,実際にそれがそうなっているか,「何を学べるのか」「知識が獲得できるのか」というのを常に評価していくということがこれからの時代は非常に大事になります。先ほどの神野委員の発言で,「知識・技能を獲得して,それでもってグループ学習,協働の学びに移る」というふうにおっしゃったときに,本当にAIドリルで何を学んで,それをグループ学習でどう使っているかという,こういうデータが集まってくると,神野委員の実践から非常に貴重な,現場に役立つ知見が得られるのではないかと思います。
 こういう見取りが現場でできるようになりますと,その先に,目標として,例えば知識・技能というのはこのドリルで身に付けて,こういうグループ学習をするんだという全体の単元のデザインがあるのであれば,一案ですけれども,そのメインの課題が早めに設定してあって,子供たちがまず解いてみて,「これできないから,俺ちょっと家でドリルで勉強してくるわ」といった組合せをやってみることも可能。そんなふうにイメージを広げてみると,それによって,このデザインの方がもっとQubenaも使えるんじゃないかと現場での先生が実践して結果を見取って新しい使い方を見付けていく。そういう学びを全体の長いスパンで捉えたときの一体性ということが非常に大事になってくるんじゃないかと思います。その意味では,学びの見取り,そのための私たちのICTの使い方のイメージ,デザインの仮説をしっかり自覚し広げて,豊かにしていくことが必要かと思います。
 余談ですけれども,数学・算数のAIドリルが先行しているアメリカの方でも,今,結構バックラッシュが起きていまして,使えそうだという人は理想として語っているだけで,実態はどうなんだという人たちとの間のバトルがあります。そうしたことを踏まえながら,本当にそうなのかということを現場の先生らが判断していく。そのための手だてを渡していくということが非常に大事かと思います。
 その意味では,先ほどの堀田委員の,学習動画というのを忘れた頃に見直す,しっかりした説明を1つ聞くよりは,実は自分が学んだときに,子供たち一人一人が自分のまとめをどこか動画に入れておいて,忘れたらそれを思い出すというような使い方もできるかもしれませんし,子供の数だけいろいろな説明に触れてみるともっと理解が深まる。そんな使い方もできるかもしれない。そう考えていくと,ICTの使い方というのをもっと幅広く,豊かなものにしていけるんじゃないか。
 二見委員の方の御質問に入りますと,そんなふうに学びのイメージを広げていったときには,本当にそれでうまくいくのかという評価が必要になってきます。この見とりというのが非常に大変なので,その学習評価,実践の支えと学習評価というところに教員養成系大学の学部生・院生が手伝いをすべきではないか。一案なんですけれども,例えばある授業のあるグループの真ん中にカメラを1台置いて,そこから聞こえてくる子供たちの発話を起こすだけで,先生の話って聞こえてないなとか,あるいはほかのグループの先行った説明というのはこんなにやっぱり難しいんだということが子供の立場になって身にしみて分かる。そういう書き起こしを例えば学部生・院生が,授業をやっているところを遠隔でつないでもらって起こして,それを授業者の先生にフィードバックするというような学び。対面で現場に行っている学部生・院生は,実際に教室で使おうと思えばいろいろなトラブルが起きるICTの障害の記録,レポート,原因特定といった授業づくり・実施・振り返りのための支援を学んで,この役割を交代しながら統合してICTを学びにどう使っていけばいいかということを学んでいくというようなプログラムは非常に大事だと思います。
 最後,天笠委員にお答えしますと,そうなってきますと,遠隔での学び合いにICTを活用するというときに,私たちのイメージも変えていく必要があります。例えば島の学校と都会の学校をつないで授業を遠隔で行うみたいなことは結構考え付くんですが,実は授業を遠隔でやるんだとすると,授業作りのための先生方の事前の協議や,やってみてどうだったかという事後の協議も一緒に遠隔でつないでやってみてもいいかもしれない。そう考えると,ICTの基盤の整備というのは,私から見ると,子供たちの学びについて学ぶというネットワークを全国に張り巡らせていくことではないかと思います。先生が授業づくりで困ったときに相談したり,実際にやってみた授業をみんなで見直したり,見直しから学んだことをお互いに共有したり,そこにICTが普通に使えるようになってくると,それこそが「基盤が整備された」というふうに言えるんじゃないかと考えております。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。御質問いただきました先生方,よろしいでしょうか。お二人,本当に興味深いお話もそうですし,丁寧にお答えいただきまして,ありがとうございました。
 それでは,議題2に進みたいと思います。議題2といたしましては,3つの関係部会等からの検討状況の御報告をいただきたいと思います。まず教育課程部会における検討状況につきまして,資料5-2に基づいて,板倉教育課程企画室長からお願いをいたします。

【板倉教育課程企画室長】 教育課程企画室長の板倉でございます。それでは,私から,教育課程部会の審議の状況について御報告させていただければと思っております。
 教育課程部会からは,9月11日に行われた特別部会において審議の状況を報告させていただいたところでございますけれども,その後も2回部会を開催しまして,その主な審議の状況について報告したいと思っております。審議の主な内容につきましては,本日の資料として配付されている答申素案に反映しておりますので,資料5-2,修正履歴付きに従って,関係部分を説明させていただければと思っております。
 なお,答申素案の全体像につきましては,議題3において改めて説明させていただければと思っております。
 まず資料5-2の14ページをお開きください。14ページの子供の学びのところでございますが,まず(1)の初めの数段落では,個別最適な学びは,個に応じた指導を学習者視点から整理した概念であるという中間まとめの記載を前提としまして,個に応じた指導について記載を充実しております。具体的には,2,3ポツ目になりますが,今般の学習指導要領改訂に際して,個に応じた指導の充実を図ることについて指摘されており,これを踏まえて新学習指導要領の総則「第4 児童(生徒)の発達の支援」が規定されていること,また,その中でICT活用についても位置付けられていることを記載しております。
 15ページの1ポツでございます。急速に整備されているICT環境を最大限活用し,個に応じた指導を充実していくことの重要性を記載しております。
 15ページ目の2つ目のポツでございます。併せて,今般の学習指導要領改訂に際して,思考力・判断力・表現力等や学びに向かう力等が家庭の経済事情による差が生まれやすい能力であるという指摘にも留意しまして,主体的・対話的で深い学びの実現により,家庭の経済事情等に左右されることなく,子供たちに必要な力を育んでいくことが求められるとされていることや,これらも踏まえた上で,新学習指導要領の総則「第3 教育課程の実施と学習評価」において,主体的・対話的で深い学びについて規定されていることを記載しております。
 15ページ目の3ポツ目でございます。新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業の経験も踏まえまして,これからの学校教育において,児童生徒が自ら学習を調整しながら学んでいくことができるよう,個に応じた指導を充実する必要性を記載してございます。
 また,4ポツ目,5ポツ目のところの,指導の個別化,学習の個性化の概念について改めて整理をさせていただいたところでございます。
 続いて,16ページ目でございます。16ページ目の1つ目のポツでございますが,個に応じた指導を学習者視点から整理した概念が個別最適な学びであることを一層明確化しました。
 また,16ページ目の2つ目,3つ目のポツでございますが,個別最適な学びを進めるため,教師の専門職としての知見を活用することや,ICTを活用して教師の負担を軽減することの重要性を明確化したところでございます。
 16ページ目の4ポツ目でございます。児童生徒がICTを日常的に活用することにより生まれる学習効果について追記しております。また,国において,学習者やICT活用の視点を盛り込んだ個別最適な学びに関する指導事例を収集・周知する必要がある旨を追記してございます。
 17ページ目の1つ目のポツでございます。協働的な学びにおいては,集団の中で個が埋没しないよう,主体的・対話的で深い学びの実現に向け,児童生徒同士の異なる考え方が組み合わさり,より良い学びを生み出していくようにすることが大切である旨を記載してございます。
 また,同じ17ページの4ポツ目でございますが,学校における授業作りに当たっては,個別最適な学びと協働的な学びの要素が組み合わさって実現されていくことが多いことや,個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実していくことが重要であり,その重要性について,関係者の理解を広げていくことが大切であることを記載してございます。
 少し飛びまして,26ページをお開きください。26ページ目は,履修主義・修得主義等を適切に組み合わせるというところでございます。この3ポツ目でございますが,履修主義・修得主義の具体的な組合せ方について,個別最適な学び,協働的な学びとの関係で整理し,追記したところでございます。
 続きまして,少し飛びまして,37ページでございます。学力の確実な定着等の資質・能力の育成に向けた方策についてでございます。37ページの4ポツ目でございますが,学習の進め方を自ら調整する力を身に付けさせることを1つの柱として授業改善を進めることが考えられる旨を記載したところでございます。
 続いて,STEAM教育の52ページでございます。52ページの(4)STEAM教育等の教科等の横断的な学習の推進による資質・能力の育成についてでございます。52ページをお開きください。(4)の1つ目のポツでございますが,今日におけるSTEAM教育の意義として,文系・理系といった枠にとらわれず,課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成が求められている旨を記載したところでございます。
 53ページの1つ目のポツでございます。STEAM教育は,実社会での問題発見・解決に生かしていく高度な内容となるものであることから,高等学校において重点的に取り組むべきものであるが,小学校,中学校においても,子供の状況に応じて取り組むことも考えられることを追記してございます。
 53ページの2つ目のポツでございます。高等学校においては,総合的な探究の時間や理数探究等を中心としてSTEAM教育に取り組むことが期待されることを明確化したところでございます。その際,これまでのスーパーサイエンスハイスクールなどでの教育実践の成果を生かしていくことが考えられることを追記したところでございます。
 53ページの3ポツ目でございます。STEAM教育による創造性等の育成に関する記載を追記するとともに,文理の枠を超えて教科等横断的な視点で資質能力の育成を図ることを記載したところでございます。
 53ページの4つ目のポツでございます。STEAM教育の推進に当たって,探究学習の過程を重視することや,自己の成長の過程を認識できるようにすること,学校内外の関係者による多様な視点を生かし,生徒の良い点や進歩の状況などを積極的に評価することを追記したところでございます。
 めくりまして,54ページの1つ目のポツでございます。国においてSTEAM教育に資する教育コンテンツの整備,事例の収集・周知を進める必要がある旨を追記したところでございます。
 私からの報告は以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,引き続きまして,新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループにおける検討状況について,資料3-1に基づいて,酒井参事官補佐から御説明をお願いいたします。どうぞ。

【酒井参事官補佐】 失礼いたします。高等学校担当参事官補佐の酒井と申します。私からは,資料3-1を用いまして,概要を用いまして御説明をさせていただきます。
 新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループにつきましては,11月2日に最終回のワーキンググループを開催いたしまして,審議のまとめを取りまとめいただいたところでございます。この審議のまとめにつきましては,生徒を主語にした高等学校教育を実現するべく,全ての高等学校における特色・魅力ある教育の実現に向けた方向性を示すものとしておまとめをいただいているものであります。そのための具体的な方策について御説明をさせていただきます。
 1ページ目の第3章というところを御参照いただければと思います。まず前提といたしまして,現代的な諸課題に対応し,20年後・30年後の社会像を見据えて必要となる資質・能力を高等学校は育成していくことが必要であるといたしまして,そのために,国内外の大学,企業,地元市町村等の関係機関と連携した高度かつ多様な学びの提供が必要であるという考え方に立っております。
 そのため,(3)でございますが,各高等学校の設置者においては,各高等学校の存在意義や社会的役割,目指すべき学校像をスクール・ミッションとして再定義することが必要であるというふうにされております。
 また,(4)でございますが,各高等学校は,高等学校教育の入り口から出口までの教育活動を一貫した体系的なものに再構築するため,育成を目指す資質・能力の育成に関する方針,教育課程の編成及び実施に関する方針,入学者の受入れに関する方針,これらを総称としていわゆるスクール・ポリシーと呼んでおりますが,これらを策定・公表することとされております。
 このうち,育成を目指す資質・能力に関する方針については,各高等学校のスクール・ミッション等に基づいて,生徒の卒業後の姿を見据えて,学校教育活動を通じて生徒にどのような資質・能力を育成することを目指すのかと定める基本的な方針となるものと整理をさせていただいております。
 また,教育課程の編成及び実施に関する方針については,育成を目指す資質・能力に関する方針を達成するために,どのような教育課程を編成し,実施し,学習評価を行うのかを定める基本的な方針となるものとして整理をされております。
 さらには,入学者の受入れに関する方針については,各高等学校のスクール・ミッションや育成を目指す資質・能力に関する方針と教育課程の編成及び実施に関する方針に基づく教育内容等を踏まえ,入学時に期待される生徒像を示す基本的な方針となるものとして整理されております。
 これらのスクール・ポリシーにつきましては,令和4年度までに策定・公表に取り組むことを基本としつつ,各学校の準備期間も勘案した一定の準備期間を設定可能な制度設計を行うというふうにおまとめいただいております。
 次に(5)でございます。地域社会や高等教育機関等との関係機関と連携・協働した学びの実現というところで,各高等学校の目的を踏まえ,関係機関との連携・協働を推進することが必要であるとされております。例えば地元市町村等との協働体制であるコンソーシアムの構築などが考えられるとされているところでございます。
 その上で,少しお戻りいただいて,(2),地域の実態に応じた多様な高等学校教育の実現というところでございます。特に中山間地域や離島等に立地する小規模な高等学校につきましては,ICTを活用して教育課程の共通化・相互互換を図ることで,地理的制約を超えた教育資源を効果的に活用することが考えられるとされております。これによりまして,これまでの小規模高校では十分実現できていなかった,多様な科目の開設や,習熟度別指導を可能にすることが考えられるのではないかと整理されております。
 おめくりいただきまして,2ページ目をお願いいたします。各学科の特質に応じた教育活動の充実・強化に向けた方策についてでございます。まず普通科についてでございます。普通科につきましては,このワーキンググループの議論の中では,ともすれば「普通」の名称から一斉的・画一的な学びの印象を持たれやすいというところがございますが,生徒や地域の実情に応じた特色化・魅力化というのは,普通科においても当然に求められるものであるということがその前提として考えられるのではないかと御指摘をいただいております。それを踏まえまして,各設置者の判断により,普通教育を主とする学科といたしまして,下記のような特色・魅力ある学科の設置を可能化することの御提言をいただきました。
 1つ目は,学際的な学びに重点的に取り組む学科であります。この学科では,SDGsの実現やSociety5.0の到来に伴って生じる諸課題に着目し,国際社会及び日本社会における課題の発見・解決に資する資質・能力を育成することが考えられるのではないかと考えられております。その上で,この学科の教育といたしましては,社会的課題に関連する新たな学問領域や複数の学問分野から再構築された統合的な知見に関する学びに取り組むことが特徴として考えられるのではないかとされるとともに,その教育の実施に当たっては,国内外の高等教育機関であったり,国際機関,国の機関等との連携・協働により,大学教育の先取り履修や高大連携講座の仕組みの構築などを実施することが考えられるのではないかというふうにおまとめいただいております。
 次に,地域社会に関する学びに重点的に取り組む学校の創設についても御提言をいただいております。この学科では,地元市町村を中心とする地域社会の有する課題・魅力に着目し,地域社会の持続的な発展や価値の創出に資する資質・能力を育成することが目的とされているところでございます。そのために,この学科の教育といたしましては,地域社会の課題や魅力に関連させた実践的な学びに取り組むことが特徴としてされているところでございます。そのために,地元の市町村,高等教育機関,企業・経済団体等との連携・協働により,フィールドワークや事例研究,社会人講座などを実施することが考えられるとされております。また,この学科では,地元の市町村はじめ,関係機関とコンソーシアムを構築するとともに,地域と高校をつなぐコーディネート業務を担う者を位置付けることも望まれるとされております。
 さらには,この2つの学科以外にも,その他特色・魅力ある学びに重点的に取り組む学科といたしまして,学際的な学びに重点的に取り組む学科,地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科を参照しつつ,育成を目指す資質・能力を設定し,関係機関との連携・協働した教育を実施することがうたわれるところでございます。
 これらの新たな学科につきましては,令和4年度から設置者の判断により設置可能とすることが望ましいとされるとともに,また,新たな学科における学びを実現するための人的・物的な資源充実のための必要な措置を国や設置者に求めるということにも御提言いただいたところでございます。
 次に,(2),専門学科改革というところでございます。専門学科においては,産業界を核として,地域の産官学が一体となって将来の地域産業界,高等学校段階での人材の在り方を検討し,それに基づく教育課程を開発・実践することが必要ではないかというふうに御提言をいただいております。そのためにも,産業教育施設・設備の計画的な整備や,これを支える財政的措置の充実,さらには,地元企業の施設の活用等の工夫による最先端の施設・設備に触れる機会の創出,こういったことが御提言をいただいたことでございます。
 さらには,総合学科についてでございます。総合学科については,多様な科目開設を実現するために,ICTも活用して他校の科目を履修して単位認定する仕組みの活用や外部人材の活用を推進することをおまとめいただいたところでございます。
 最後,定時制・通信制課程についてでございます。第4章でございます。定時制・通信制課程においては,多様な学習ニーズへの対応を図るために,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー等の専門スタッフの充実や関係機関との連携促進,ICTの効果的な活用,少年院在院者への高等学校教育機会の提供等を推進することをおまとめいただいたところでございます。
 中でも,高等学校の通信制課程については,その質保証の方策についてとりわけおまとめをいただきました。まず1点目は,教育課程の編成・実施の適正化に向けた方策であります。各年度における添削指導・面接指導・試験の年間計画等を通信教育実施計画として策定・明示することを義務付けるとともに,面接指導を少人数で行うことを基盤とすることや,集中スクーリングにおいて,1日に実施する面接指導の時間数を適切に定めることなどをおまとめいただきました。
 (2)でありますが,サテライト施設の教育水準の確保であります。実施校の責任下においてサテライト施設の把握・管理,情報開示の徹底を図るとともに,面接指導等実施施設の共通の基準に関しまして,実施校と同等の教育環境を確保するための基準の設定といったところをおまとめいただいたところでございます。
 次に(3),多様な生徒にきめ細かく対応するための指導体制の充実といたしまして,養護教諭,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー等の専門スタッフの充実や,関係機関等との連携促進を図るとともに,きめ細かく指導・支援を実現するための教諭等の人数を明確化することが整理されております。
 最後,(4),主体的な学校運営改善の徹底に向けた方策といたしまして,法令に基づく学校評価の実施・公表の徹底とともに,自己点検チェックシートに基づく自己点検の実施・公表や,学校の基本情報の開示を義務付けることなどが整理されたところでございます。
 この審議のまとめの趣旨・内容につきましては,本日配付の資料5-1,5-2にあります答申素案にも内容として反映をさせていただいているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,最後に,新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議における検討状況につきまして,八田特別支援教育課長から資料4に基づいてお話をいただきます。よろしくお願いいたします。

【八田特別支援教育課長】 特別支援教育課長の八田でございます。資料4に基づきまして,新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議における議論につきまして御説明させていただきます。
 7月17日に開催されました本特別部会におきまして,その時点までの議論の整理につきまして御報告させていただいたところでございますけれども,それ以降,有識者会議といたしまして3回開催いたしまして議論を行っているところでございます。本日,その主な議論の内容につきまして,御説明させていただきます。
 2ポツの主な議論のところを御覧いただきたいと存じます。まず関係機関の連携強化につきましては,小中学校で特別支援教育を受けていた生徒につきまして,個別の教育支援計画等を活用し,小中学校までの指導や合理的配慮を高等学校での指導につなげていくことが重要であり,国は,共通して引き継がれるべき事項をより明確とするとともに,環境整備を行うことが必要という意見がございました。
 また,特別支援学校の設置基準につきましては,特別支援学校を設置する上で必要な最低基準とすべきであり,また,設置基準が策定されることにより,現存する特別支援学校が使用できなくなることがないよう,必要な手当てを講じるとともに,設置者は基準を満たさない施設等についても可能な限り基準を満たせるよう努めることが重要という指摘がございました。
 次に,教員の専門性の在り方につきましては,管理職向けの研修の充実が強く求められること,さらに,各都道府県におきまして,発達障害を含む特別支援教育に係る資質を教員育成指標に位置付け,体系的な研修を実施することが必要という意見がございました。また,大学の教員養成段階の学生に対し,特別支援学校の教職課程の一部の単位の修得を推奨するとともに,都道府県教育委員会に対しまして,その修得を教員採用試験の加点要素として考慮することを促すことも考えられるという指摘がございました。
 次,2ページを御覧いただきたいと存じます。現職の特別支援学級や通級による指導の担当教師につきましては,免許法認定講習等を活用し,例えば自立活動や発達障害に関する事項など資質向上に資する知識技能等の修得を促すことが必要という意見がございました。
 これに関連しまして,特別支援学級や通級による指導,発達障害に係る新たな免許状を創設するということにつきましては,免許保有者の人事配置上の課題や,通常の学級における指導の充実の観点等から課題があり,まずは今申し上げました,免許法認定講習等の活用等に取り組み,その後,新しい小学校等の教職課程の成果等も踏まえて検討を行うことが考えられるという議論がございました。
 さらに,特別支援学校教諭の免許状所持を当面猶予する教育職員免許法附則第15項の規定につきましては,直ちに廃止することは困難であるが,引き続きその廃止を見据え,国においては優れた取組事例を収集し,各教育委員会へ情報提供するとともに,免許法認定通信教育の実施主体の拡大についても検討することが必要という議論がございました。
 次に,障害のある子供の教育内容につきましては,国語,算数・数学,音楽以外の教科につきましても,各教科の指導の状況を踏まえつつ,著作教科書を作成することが求められること,さらに,障害のある子供の就学相談や学びの場の検討等の支援につきましては,市町村教育委員会における子供たち一人一人に応じたきめ細かい支援をより一層充実させるため,国が作成している教育支援資料の内容を充実する必要があるという意見があったところでございます。
 なお,本有識者会議におきましては,11月16日にも第12回の会議を開催したしまして,有識者会議としての報告案を議論することを予定しているところでございます。
 私からの御説明は以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。冒頭に申しましたように,ここで休憩に入りたいと思いますが,その前に,堀田先生から御発言がおありということですので,堀田先生にお願いをしたいと思います。どうぞ。

【堀田委員】 失礼いたします。議題の順番を変えてしまいまして大変申し訳ございません。私,この後の議題3に入る頃には別な会議がありまして中座する関係で,1点のみ御意見を申し上げます。
 板倉室長がおっしゃった資料5-2の53ページ,STEAM教育の辺りについて1つだけ御意見を申し上げます。これと関係するんですが,小学校のプログラミング教育が導入されるときの検討会議の座長を私はやりました。小学校のプログラミング教育の導入というのは,これからの時代,テクノロジーと共存していく社会である以上,テクノロジーの仕組みを小学校の段階からある程度理解させようと。そのためには,プログラミング等を体験させながら,プログラムで動いているものが世の中には一杯あるという,そういう目線を持たせようと,こういう話だったわけです。
 これは正にSTEAM教育の考え方だと私は思います。そのこともあって,総合的な学習の時間だけでなくて,算数(M),理科(S)に,5年生の算数と6年生の理科に入っていったと理解していますし,それがプログラミングの経験が,中学校の家庭科・技術領域にその後つながっていく,つまり,TやEにつながっていくんだというふうに理解しております。
 今回の答申について修正案が出て,そこの53ページの3つ目の丸かな,プログラミング的思考という言葉が情報活用能力に含まれるという,これはそのとおりなんですけれども,そういうふうに入っているのは僕はいいと思うんですが,同じ53ページの1つ目の丸に小学校,中学校と書いてあるんだけど,そこには,総合的な学習の時間と,あと,教科横断的云々という感じで書いてあって,これ,算数や理科に入ったということの意味,あるいは中学校の技術科でそれを受け取っているということの教育課程上の意義がもう少し正確に書かれた方が,私としてはつながりがあって,先生方が,なぜ小学校でプログラミングをやらなきゃいけないのか,それは高校の理数探究とかそういうところまでつながる話なんだなということが理解しやすいのではないかと思った次第でございます。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。この後,退室をされるということですので,先に御意見をいただきました。
 神野委員は御発言おありということでしょうか。

【神野委員】 今の意見についての質問は,後であれば,休憩後お話しさせていただきますし,今して良いのであれば,今させていただきます。

【荒瀬部会長】 後からで,よろしいですか。

【神野委員】 はい,大丈夫です。

【荒瀬部会長】 そうしましたら,今,3時45分頃かと思います。10分程度の休憩ということですので,55分から再開いたします。またお席の方にお戻りいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【荒瀬部会長】 皆さん,聞こえますでしょうか。荒瀬でございます。会議を再開いたします。
 神野委員は,この後,答申素案の説明がありました後,皆さんから御発言いただきますので,その冒頭によろしくお願いいたします。
 では,資料5-2に基づきまして,田中教育制度改革室長から,答申素案について御説明をお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 教育制度改革室長,田中でございます。よろしくお願いいたします。
 資料5-2を御覧いただければと思います。本答申素案は,10月16日の中教審総会において中間まとめを報告した際にいただいた御意見,10月中旬に計4回,10時間以上にわたり,本特別部会において実施した関係団体からのヒアリング及び書面により関係団体から寄せられた御意見,さらには本日,先ほど議題の2として報告がなされました各部会,ワーキング,有識者会議等における検討状況などを踏まえまして,事務局において中間まとめを基に加筆・修正案を作成したものです。なお,関係団体からの意見聴取の概要,書面によるヒアリングの対象となった各団体からの御意見については,資料6としてまとめさせていただいております。
 時間も限られますので,中間まとめからの主な修正点について,先ほど議題2において報告があったこととの重複を避けながら,ポイントを絞って御説明申し上げます。
 まず,13ページを御覧いただければと思います。「3.2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿」のところでございますけれども,まず1つ目の丸で,第2期,第3期の教育振興基本計画で掲げられた「自立」,「協働」,「創造」の3つの方向性を実現させるための生涯学習社会の構築を目指すという理念,このことを追記させていただきました。
 また,その下の丸でございますけれども,ここの部分を修正してございます。これは総会において御指摘がございましたが,学校教育の在り方を改革していくつもりがないのではないか,そういった誤解を招きかねないという御指摘もございましたので,この13ページから14ページにかけまして記述を修正させていただきました。
 続きまして,14ページからの部分は,先ほど教育課程部会の報告であったとおりですので割愛させていただきます。
 続きまして,19ページを御覧いただければと思います。ここの部分は,実現を目指す学びの姿のところで,「④特別支援教育」というものをこのとおり追記をさせていただいたところです。
 続きまして,21ページを御覧いただければと思います。「4.「令和の日本型学校教育」の構築に向けた今後の方向性」ですけれども,ここの下から3つ目の丸になります。学校だけではなく地域住民等と連携・協働し,一体となって子供たちの成長を支えていくことが必要であることを追記してございます。
 続きまして,23ページを御覧ください。(2)連携・分担による学校マネジメントを実現する部分の下から2番目でございますけれども,学校内において,事務職員が専門職としての役割を果たすこと,主幹教諭,指導教諭をはじめ,ミドルリーダーとなる教師がリーダーシップを発揮できるような組織運営,また,養護教諭,栄養教諭,部活動顧問等の役割を適切に分担することなど,記述を追記させていただきました。
 続きまして,26ページを御覧いただければと思います。一番上の丸でございますけれども,ここは履修主義,修得主義等を適切に組み合わせることに関する記述でございますけれども,ここの部分,義務教育において,年齢主義が取られていること。それを原級留置等を行った場合への懸念であったり負の影響,そういったことについて記載を追記させていただいております。
 続きまして,32ページを御覧いただければと思います。ここから先は各論部分となりますけれども,幼児教育の質の評価の促進に関しまして,学校評価に関しまして,各幼稚園等が評価疲れを起こさないよう,効果的・効率的に実施できるようにするよう留意することについて追記をいたしました。
 続きまして,35ページをお願いいたします。これは「2.9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について」になりますが,このうち(2)の①学力の確実な定着等の資質・能力の育成に向けた方策につきまして,記述の具体化を求める御意見があったことを踏まえまして,以下のとおり追記しているところでございます。例えば,35ページの下のところですけれども,言語能力と情報活用能力の育成について,具体的な記述を追記してございます。
 次の36ページ,上から3つ目の丸でございますけれども,特に小学校低学年において,「学びの自覚化」が必要であること。また,言語能力の育成を図る必要があること等を追記しております。
 続きまして,43ページを御覧いただければと思います。(5)生涯を通じて心身ともに健康な生活を送るための資質・能力を育成するための方策につきまして,組織的な学校保健を展開するため,養護教諭の無配置校をなくしていくべきであることを記載いたしました。
 続きまして,44ページを御覧いただければと思います。一番上の部分ですけれども,食に関する資質・能力を定着させるため,食育の推進を担う栄養教諭等の専門性に基づく指導の充実を図ること,栄養教諭の配置促進を進めることを追記してございます。
 その下の部分でございますけれども,いじめ,暴力行為,自殺者数等について最新の数字を記入するとともに,書きぶりを整理してございます。
 続きまして,45ページを御覧いただければと思います。真ん中辺りの丸ですけれども,教育相談体制の整備,それから,スクールロイヤー等を活用した教育委員会における法務相談体制の整備について追記をしてございます。
 その下から「3.新時代に対応した高等学校教育等の在り方ついて」ですが,これは先ほど報告があったワーキングの内容を踏まえて修正したのと,課程部会からのSTEAMの部分を修正したものですので,説明は割愛させていただきます。
 続きまして,54ページを御覧いただければと思います。「4.新時代の特別支援教育の在り方について」でございますけれども,これにつきましても,先ほどの有識者会議の報告を反映させている部分以外のところを説明申し上げます。
 57ページを御覧いただければと思います。57ページの一番下の部分でございますけれども,学校施設のバリアフリー化について,学校設置者の取組が進むよう支援していくこと,公立小中学校等でバリアフリー化の目標設定について検討すべきであることを追記してございます。
 59ページを御覧ください。高等学校において,上から2つ目の丸ですけれども,個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成・活用し,適切な指導及び必要な支援を行うことが重要であることを記述してございます。
 続きまして,66ページを御覧いただければと思います。66ページの一番上の部分,これは「6.増加する外国人児童生徒等への教育の在り方について」の部分でございますけれども,日本語指導に関しまして,日本語教師の積極的な活用の方策について,その必要性を含めて検討することが求められる,そういった旨を追記してございます。
 続きまして,69ページを御覧いただければと思います。上から2つ目の丸でございますけれども,高等学校において,外国人生徒等に対する指導・支援を円滑に実施するために,小・中・高等学校が連携し,外国人児童生徒等のための個別の指導計画を踏まえて必要な情報を整理し,情報共有を図るよう促すことが望ましいことを追記してございます。
 また,一番下の部分でございますけれども,外国人の児童生徒等のアイデンティティの確立や日本語の習得のため,母語や母文化の習得が重要である旨追記してございます。
 続きまして,70ページでございます。「6.遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方について」でございますけれども,この1つ目の丸,これからの学校教育を支える基盤的なツールとして,ICTは必要不可欠なものであることなどを追記してございます。
 また,続きまして71ページでございますけれども,下から3つ目の丸となります。ここの部分,この丸の後段でございますけれども,学校教育においては,教師が子供たち一人一人の日々の様子,体調や授業の理解度を直接確認・判断することや,安全管理への対応にも万全を期す必要があるといったことを追記してございます。
 続きまして,76ページを御覧いただければと思います。これは「7.新時代の学びを支える環境整備について」の記述となりますが,上から2つ目の丸,(2)の部分でございますけれども,障害のある児童生徒の学びの環境の整備も極めて重要であるということを追記してございます。
 最後になりますが,80ページを御覧いただければと思います。「9.Society5.0時代における教師及び教職員組織の在り方について」というタイトルでございましたけれども,これにつきまして,教員という部分を教職員組織というふうにタイトルの部分から変えてございます。また,中の文章も,もともと教職員組織,教員組織と2つの記述がございましたが,教職員組織という形で統一をさせていただきました。
 また,真ん中の部分の丸でございますけれども,特別支援教育の充実やアクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善,ICTを用いた指導法が新たに教職課程に加えられたところであるという事実関係を追記してございます。
 簡潔でございますが,以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,残りの時間,先ほど休憩前に御説明いただきました3つの部会等からの御報告,そして今御説明いただきました答申素案に関する御説明,これに基づきまして御意見を頂戴したいと思います。まず,神野委員,どうぞよろしくお願いします。

【神野委員】 よろしくお願いいたします。新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループまとめと,あともう一つ,今お話しくださっていました中間まとめからのところからの資料,この両方についてのところにあるんですけれども,高等学校においても,1人1台環境というのは必要であろうということを,改めてちょっとお話しさせていただきたいと思っています。
 GIGAの環境で,中学校3年生が来年度からフルで勉強して,その中で,例えば1つAIドリルもそうですし,それ以外の教務支援的なところの教育を受けて,ICTをフルに活用した個別最適な学びを受けてきた子供たちが,やはり高校に入ったときに同じような環境で受けられるかということは,今,高校の先生方もすごく気にされていることだと思っています。
 また,データ利活用というところも幾つか文章の中に入ってきておりますが,データを利活用するときにも,義務教育段階9年間だけを見通すのではなくて,ちゃんと義務教育段階9年間受けてきたデータというのをしっかり高校側にも引き継ぐ。しかもこのときには,このデータというものは,もしかしたら地域が変わってしまうこともあるので,地域ということを越えてちゃんとデータを,もちろんそれは保護者,生徒の許可でもって学校側は見られるようになるわけですが,そのようなこと。そのようなデータ利活用の在り方も含めた1人1台,そしてデータの在り方ということを,このような中に盛り込んでいくべきではないかと考えます。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,続きまして,清原委員,そして加治佐委員,香山委員,天笠委員の順にお願いしたいと思います。清原委員,お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。清原です。資料5-2の内容に沿って申し上げます。
 1点目でございますが,45ページ以降の,高校に関する記述についてでございます。「新時代に対応した高等学校教育の在り方」については,ワーキンググループの熱心な御検討を反映して,大変内容が充実していることに感謝いたします。特に(2)で,「高校生の学習意欲を喚起し,能力を最大限に伸長するための各高等学校の特色化,魅力化」というところが充実しました。例えば,「専門学科改革」であるとか,「総合学科」のことなどです。
 その内容を読んでいるうちに,1つ気づきがございました。と申しますのも,私,三鷹市長在任中に,お隣の武蔵野市にあります学校法人武蔵野東学園の事業を視察し,学ばせていただいたときに,武蔵野東高等専修学校の存在を知りました。これは修業年限3年の専修学校高等課程の学校です。大変ユニークな教育をして,職業教育の成果も上がっているようでございますが,気がつけば国立でも公立でも,高等専修学校というのがございます。今回,その点についての記述がないことに気づきまして,大変遅ればせでございますが,(1)の最後に,「後期中等教育機関としては高等学校のほかにもある専修学校高等課程,すなわち高等専修学校がある」ことにも触れるとともに,「特別支援学校の高等部がある」ということにも触れておくべきだと考えます。いずれも高等学校と同様に,重要な役割を担っています。特に専修学校の高等課程は,生徒の興味や関心や,将来の進路希望等に応じて実践的な職業教育を担っておりますし,最近では大変幅広い分野の選択の幅をカリキュラムでも広げているようでございまして,今回,高校生の意欲を喚起するということで,充実した(2)との関係でも,(1)の最後に,「高等専修学校(専修学校高等課程)及び特別支援学校高等部の存在を書き込んではいかがかと思います。
 それに関連いたしまして,高等専修学校について,記述をもし加えていただけるのであれば,この高等学校の部門の最後に,例えば(5)として,「高等専修学校の機能の強化」に関するような項目を加えて記述してはいかがかと思います。このことは,(2)に書いていただいた,各高等学校の魅力とも関係する内容だと思います。例えば,「高等専修学校は,中学校卒業者に対して興味関心や将来の進路希望等に応じた柔軟なカリキュラムを編成して,とりわけ職業教育には重要な役割を果たしている」とともに,聞くところによりますと,「最近では不登校や高校中退を経験した生徒が比較的多く学んでいる」ということです。
 調べましたら,令和2年度の学校基本調査の速報ですが,全国で405校あるということで,生徒数は3万4,000人余りということで,中学校卒業者の0.2%にしかすぎないわけではございますが,先駆的な取組をしていて,「学びのセーフティーネット」になっている。すなわち「不登校や中退者の受け皿」にもなっているということについては一定の認識をし,評価する記述があればと思います。
 ただし,課題がないわけではなくて,やはり一般の普通科や,あるいは専門の課程の高校と同様に,「高等教育や就業につながる教育カリキュラムの開発」,あるいは「高等専修学校等の地域の企業,あるいは自治体との関係等の教育体制については支援する」ということが必要だと思います。これは(2)の最後の記述とも関係する,地域や企業等との連携は,高等専修学校,専修学校高等課程にも同様に必要と思われますし,「好事例の共有も必要」になってくると思います。
 そこで,「全国の高等専修学校や,あるいは中学校等へ好事例を紹介していくという仕組みも必要」だと思いまして,私としては,高等学校の内容が極めて充実したものですから,それにさらにお願いでございますが,高等専修学校の高等学校の課程について加えることで,さらなる「誰一人取り残さない」という理念に基づいた記述の充実が図れるかと思いまして,御提案をさせていただきます。
 最後に2点目です。特別支援教育についても大変充実をしていただいて,最後のほう,78ページぐらいだと思うんですけれども,ごめんなさい,ちょっとページが見つからなくて恐縮ですが,特別支援教育のところで,「バリアフリー」という言葉が使われました。いわゆる「合理的配慮」というのは,もちろん理念的に多様に存在するのですが,具体的にこれから,先ほど神野さんもおっしゃいましたし,今日の前半御議論いただいたICTの活用が,小中学校,高等学校のみならず特別支援学校の中でも充実していく中,「情報のバリアフリー」,「物理的なバリアフリー」だけではなくて「心のバリアフリー」,そうした記述が充実することが望ましいと思いまして,こうした記述の増加について心から敬意を表し,歓迎いたします。
 以上,高等学校の部分の充実の御提案と,特別支援学校におけるバリアフリーの理念の展開について,賛同の意見を申し上げました。どうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。
 では,加治佐委員,よろしくお願いいたします。

【加治佐委員】 たくさんの団体にヒアリングを行っていただきまして,それをこの中間まとめに取り入れていただいて,本当にありがとうございました。また,御苦労さまでした。
 私からは1点のみ申し上げたいと思います。25ページからの履修主義と修得主義を適切に組み合わせるという部分なんですが,ヒアリングを受けまして,26ページの最初のところで,年齢主義,課程主義,これを制度としては今と変えないということだと思います。原級留置のみではなくて,飛び級も意味が含まれていると思います。飛び級は今ありませんけれども,飛び級は創設しないということを意味しているんだと思います。ただ,これまで個別最適な学び,そして協働的な学びということが言われてきた。もちろんこれが答申の中間まとめの基調になっているわけですけれども。これまではここのところが個別最適な学び,協働的な学びによって,こういう制度的なハードルも克服されるというか,そこを超えていくのかなと。そういう飛び級や原級留置があっても,それをカバーできるようないろいろな条件整備をしていくんだというふうな意味合いで,私,読んでいたものですから,ちょっとこういうふうにはっきり言われたということですね。これはヒアリングで保護者等の理解が得られない。私もいろいろな団体からはそういう意見があったということは確かに承知しておりますので,分からないではないんですが,要するに,今とどこが変わるのかなというふうな思いもあります。
 それで次の丸のところで,これは従来から一番核心のあるところですけれども,履修主義と修得主義を適切に組み合わせるということですよね。両方の長所を取り入れた教育課程の在り方を目指すべきだ。それはもちろんおっしゃるとおりなんですが,制度的な措置が講じられないとなると,ここが今後どうなるのかというところが非常に注目されるわけです。ヒアリングの中では,なかなかここのところのイメージが湧かないというふうな御意見もあったように思います。
 次のところに書いてある,個別最適な学びと協働的な学びの関係とも関わってくるんですが,これは教育課程部会になるんでしょうか,是非もう少し議論していただいて,何か答申ではもう少し具体的なイメージが湧くような表現を加えていただくと有り難いと思います。例示でも結構なんですけれども,そういうことをお願いしたいという要望であります。以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,香山委員,お願いいたします。

【香山委員】 岡山の香山です。大きく2点,御質問と意見を申し上げたいと思います。
 まず1点なんですが,資料の3-1と3-2の扱いなんですけれども,今回の答申の素案ですと,高等学校に関する記述が随分簡素化されていると思います。高校のワーキングは,13回でしたか,随分議論をして,侃々諤々いろいろな議論のプロセスを経てここに来ておりますので,清原委員もおっしゃいましたが,随分中身が充実していると思うんですね。小学校,中学校のその先に高等学校がありますので,そういう点ではこのワーキンググループの審議のまとめを答申に付していくとかいったようなことは可能なのかどうか。世に出すときの形ということにつきまして,方向性がもう既に決まっているのであれば教えていただきたいと思いますし,決まっていないのであれば,意見として答申に付していっていただけたらなと思います。
 それからもう1点は,資料5-2の本文に関わるお願いであります。20ページを御覧いただきたいんですが,20ページに(2)教職員の姿というのがございます。教職員の姿の2つ目の丸について,これは本当に細かいことなんですが,「教職員と」と来て,その次に「事務職員」というふうに書いていまして,事務職員協会からの御要望もあって充実させているんですけれども,となれば,教職員のところは教員にしたほうがすっきりするのかなというふうに感じました。それは非常に細かいことです,ごめんなさい。
 申し上げたかったのはその次の丸,「さらに」のところなんですけれども,教員を目指す人が随分少なくなっていて,非常に危機的な状況であると。特に小学校は希望者が少ないといったような状況があると思うんですけれども。そこで「学校における働き方改革の実現や教職の魅力発信により」というだけだと,答申の全体像からすると,ちょっと物足りないかなというふうに思います。答申の全体像の中には,やはりICTや少人数学級も含めて,新時代の学びを支える環境整備について,随分踏み込んだ御提言もあったと思いますので,新時代の学びを支える環境整備という言葉も入れていただけたらなと思います。
 それから,21ページにつきまして,4番の「令和の日本型学校教育」の構築に向けた今後の方向性のところの上から4つ目,今回新たに加わった部分なんですが,ここの書きぶりなんですけれども,高校のワーキングでも,学校運営協議会の重要性について何度も言及してあります。これは小中も変わらないと思いますので,この部分のおしまいに,例えばその際,学校運営協議会の設置が義務化されていることを踏まえて云々といったような形で,コミュニティ・スクールの制度を十分活用していくことがとても重要なんだ,地域に根差した学校として魅力を増すということがとても大事なんだということを書き加えてはどうかと考えました。
 以上です。よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,天笠委員,お願いいたします。

【天笠委員】 失礼いたします。1点のみ申し上げさせていただきたいと思います。
 76ページのところなんですけれども,ここのところに何が書いてあるかというと,学校の環境整備ということについてですけれども,先ほども発言させていただきましたけれども,ICT環境の整備ということをどう捉えていくのかどうなのかと。確かに物理的に,量的に整備していくという,その視点というのはあるんですけれども,状況はもうそういう段階じゃなくて,質的なものというんでしょうか,そういうものを含めた環境という視点というのも大切なんじゃないかと思うわけなんですけれども,そういうことと正にここのところが,学校の施設整備の環境の76ページの部分については,それが言及されているところであって,ICT環境の整備において云々というようなことがいろいろあるわけですけれども,1点加えさせていただきたいのは,図書館,図書スペースの整備,充実ということを,ICT環境の整備なるがゆえに図書室,図書館,図書の整備ということを,全体として学校の環境整備という中に位置づけていくということの必要性があるんじゃないか。そういう意味において,私はここの76ページのところに,その種のことについての言及をしていく必要があるんじゃないかと思います。
 私は今回のコロナ対応ということにおいて,どちらかというと私どもはデジタル環境の整備に後れをとったということが多く指摘されているわけなんですけれども,こういう視点もまた私はあったかというふうに思っています。それはどういうことかというと,学校の持てる資源を十分使いこなせなかったというか,状況が状況でしたのでということでしたけれども,持てる資源の中心的な部分というのは,私は図書室,図書の蔵書等々ではなかったかと思っております。それがいろんな事情によって使いこなせなかったと,制約等々があってということも含めてなんですけれども,学校の環境整備ということ,あるいは学校の持てる資源を活用していくという,そういうバランスの取れた環境整備の在り方からするならば,デジタル環境の整備というのをバランスの取れた在り方というふうに求めていくならば,申し上げているような視点というのもこの中にしっかり組み込んで,そして環境整備を進めていくということが必要なんじゃないかというふうに考えたときに,この76ページの記述というのは,申し上げたような視点からするとやや足りないんじゃないかというふうに思いますので,そこら辺のところについて御検討いただければということをお願いしたいと思います。
 私のほうからは以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,続いて,貞広委員,橋本委員,吉田信解委員,今村委員の順にお願いしたいと思います。貞広委員,お願いいたします。

【貞広委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞広でございます。それぞれのワーキンググループや部会での丁寧な議論や御意見をバランスよくおまとめいただきましたことに,まずは感謝申し上げたいと思います。その上で,2点意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目でございますけれども,これらの新たな政策の進捗の確認や,可能な範囲での効果の検証,またその方法やタイミング,その必要性に関する記述の必要性があるのではないかということです。例えば,ICT環境の整備に関してですけれども,コロナ禍の前にも地財措置されていたわけですけれども,自治体によっては活用状況と整備状況に格差があり,その状態のまま休校措置に突入したことで,学びの継続に地域による違いがあったということが指摘をされています。もちろん教育政策というのは必ずしも定量的な検証になじまない部分も多いですし,質的な検証すらも難しいところもあります。また,地域によって事情は多様ですけれども,やはり今後のさらなる展開を考えて,必要な検証というものは見通しておく必要があるというふうに考えます。
 2点目ですけれども,非常に盛りだくさんな印象がある答申案でございます。というふうに考えますと,さっきの概要版をどのように作成し,皆さんの理解を調達していくかということが,丁寧な答申であるからこそ求められると思います。私から申し上げるまでもなく御配慮いただくことかとも存じますけれども,特に教育課程に関わる部分については,先ほど加治佐委員からも御指摘ありましたとおり,今般の学習指導要領との重なりと新たな部分というのが混在していて,現場の先生方にも必ずしも理解しやすい状態になっていないかもしれないという懸念もございますので,この部分は追加的な練り上げも含めて,丁寧な説明というものが必要であろうかと思います。答申案自体ではございませんけれども,それを説明していくプロセスにおいて,かなり配慮していただく必要があるのではないかという意見でございます。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,橋本委員,お願いいたします。

【橋本委員】 ありがとうございます。京都府の橋本です。3点ほど申し上げたいと思います。
 まず全体にわたりまして,本当に大変広範で数の多い検討テーマについて上手にまとめていただいておりまして,まず感謝を申し上げます。その上で1点目は,新時代の特別支援教育の在り方のところで1つ意見を申し上げたいと思います。ひょっとすると私が見落としているのかもしれないんですが,特別支援学級の教員配置基準に関してであります。支援学校と障害の程度の差はあるものの,今の教員配置基準が子供8人で1学級という,大変大人数の編成がベースになっております。現場のほうからは,これは何とかしてくれということで,実際には府県によっては独自に措置をされているところもあるかとは思うんですけれども,ここは結構大事なところかなと思っておりまして,もし書かれていないなら,この点には触れてほしいなと思います。
 それから2点目は,これはこの素案に対する意見じゃありませんが,今後年明けになれば,やがて答申案としてまとめられることになると思うんですけれども,今回,初等中等教育全般にわたる大きな改革の姿を示したものになっておりますので,これにつながる高等教育機関等,ここにしっかりとバトンを受け取ってもらうということが大変重要だと考えます。そこで恐らく書かれるんだと思うんですが,答申においては高等教育機関に向けたメッセージのようなものを,最後に是非記載をしていただきたいなと考えます。
 3点目は,答申も出た後の話になります。先ほど貞広委員がおっしゃったことと重なる内容になるんですけれども,私ども教育委員会としては,この答申を受けて,趣旨や内容をきちんと学校現場に伝えていくという役割があります。学校現場のほうは非常に多忙で,ゆっくりと文章を読む余裕がない。特に分厚い資料はなかなか目を通していただけない,こんな事情がありまして,その一方で,大きなこういう改革になりますと,きっと新聞で取り上げられますので,改革のキーワードについては広く先生方も承知されることになると思うんですけれども,そうなりますと結果的に言葉だけがひとり歩きをして,一人一人の理解が違う,あるいは誤って認識されるという可能性があるように思います。
 その意味では,特に今日お話のありましたICT活用に対する考え方もそうだと思いますし,一番心配するところは個別最適な学び,この辺りは人によってはタブレットに向かって子供が一人黙々と学習を進めている,そんなイメージを持たれる方もおられるかもしれないということで,この辺をきちんと押さえておく必要があるだろうなと思います。
 今回修正されました答申素案を見ていますと,14ページ以下の子供の学びの記載,かなり手を加えていただいておりまして,この辺りをきちんと読めば正しく理解できるんじゃないかと思うんですけれども,そういった余裕のない先生方も多いわけでありますので,なるべく簡潔でありながら共通の理解が得られやすいような説明資料を作成いただけますと,私どもも周知をしていく上で有り難いなと考えております。
 また,16ページの下から3つ目の丸に,学習者やICT活用の視点を盛り込んだ個別最適な学びに関する指導事例を収集し,周知することが必要ということを今回加えていただいております。こうしたものが実践者である先生方にとっては非常に求められるだろうなと思っております。加えて申しますと,個別最適な学びといった中で,指導の個別化は比較的理解されるかなと思うんですが,学習の個性化について,なかなかイメージしにくいようにも感じております。したがいまして,これは正に学習者の視点になるのかもしれませんけれども,この点について先生方の腹の中にすとんと落ちるような,良い指導事例集の作成を期待しております。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,吉田信解委員,お願いいたします。

【吉田(信)委員】 お世話になっております。前回,全国市長会を代表して,各市長から寄せられた意見等も踏まえて,そちらの側から意見を言わせていただきまして,今回また委員ということでございますけれども,前回いろいろと申し上げたことについて,かなりいろいろと踏まえていただいていることに感謝を申し上げたいと思います。
 例えば,いじめの問題等について,スクールロイヤー等を活用した教育委員会における法務相談体制の整備というような文言が入っているとか,こういったところは本当に評価させていただきたいと思っています。
 幾つかちょっと気になる点がございまして,まず31ページなんですけれども,教科担任制の導入という,これは非常に議論のあるところではあると思いますけれども,これをしっかりやっていく中で,文言が以前のものは,教科担任制の導入に必要な教員定数の確保に向けた検討の具体化を図るという言葉が,今回検討を進めるというふうに変わっているんですけれども,この辺はどんな議論があったのかなというのがちょっと気になるところでございます。
 それから,55ページについては,特別支援教育支援員の配置促進であるとか,あるいは特別支援教育コーディネーターの研修機会の充実等々,こういうところにお願いしてあるようなところが入ってきて良かったかなと思うんですけれども,実は先ほど橋本先生のお話の中にもあった,特別支援学級等の人数に応じた先生の配置の基準,人数をどうするのか,先生の配置をどうしていくのかという課題については,学校現場からやはり先生の数を増やしていかないとなかなか対応できないという声をたくさんいただいておるわけなんでございますけれども,全般見ていて,人数というより,むしろ質の向上ということに結構重きが置かれているような記述になっているかなと。それも大事だと思うんです。大事だと思うんですけれども,やはり現場からは人数のことについて非常に声が上がっているところなので,先生の数というものと先生の専門性の向上,両方これは見ていく必要があるわけで,最適化というのはどうあるべきかということについてはより議論が必要で,人数は言及せずに,専門化を進めていくんだということで済ませては,私はならないのではないかなと思っていますので,この点,もう少し踏み込んでほしいなということを申し上げたいと思っております。
 実際いわゆる一般の小中学校においても,今,少人数学級の議論が進んでいるわけで,こちらにつきましては,全国市長会等でも,昨日も社会文教委員会で,きちんと法的に先生の数というのを決めていくべきだという意見が出ておりました。そうでないと加配,加配ということになってしまうのでよくないだろう。やっぱり法的にきちんと決めていくべきだ。通常の学級でそういう議論が起きているわけでございますので,特別支援学級,あるいはこれは実は外国人の児童生徒に対する先生の配置という点にも関わってくるんですけれども,どうあるべきなのかというのをもう少ししっかりと現場の声を聞いていただきたいということをお願いしたいと思っております。
 それといわゆる自治体立の小中学校にある特別支援学級と,特別支援学校ですね,設置者が違うところの機関の連携を図っていただきたいというようなことをこの間申し上げたんですけれども,これは56ページを見ますと,上からの丸2の障害のある子供の就学相談云々という,これは新しく赤くたくさん書いていただいてよかったんですけれども,その際,例えばというところの2ポツ目ですか。「必要に応じ,都道府県教育委員会や特別支援学校が市区町村教育委員会等の求めに応じた専門的助言等を行うこと」という言葉があるんですけれども,私がイメージしているのは,必要に応じて市町村がお願いして,都道府県から求めに応じて何か答えが返ってくるというよりも,もう少しフラットな連携というのが,特別支援学級,それから特別支援学校の間には必要なのではないかなと。お互いの支援をもう少しフラットな形で情報交換ができるような仕組みが,私は必要ではないかということを申し上げさせていただきたいと思います。
 それと最後になりますが,私がずっと主張しております,主権者教育についてであります。序論のほうでしょうか,この中では18ページ。これは以前にも評価させていただいているところでございますけれども,選挙権年齢,成年年齢が18歳に引き下げられて,「生徒が高等学校在学中に,主権者の一人としての自覚を深めることを含め,自立した「大人」として振る舞えるようになることが期待されている」という,この言葉がしっかり入っている,これは評価しているんですけれども,今度各論になりまして,高等学校の段になりますと,何と言いましょうか,そういう言葉がちょっと見えなくなってくるんです。
 実はこのワーキングの皆様方に大変御努力いただいていろいろと書いてあるんですけれども,こちらの資料なんかも。私はワーキングに入っていないのでとやかく言うのもどうかなというふうに思うんですけれども,あえて申し上げますと,テクニックをしっかり学ぶということについての言及はあるけれども,もう少し主権者,主体者というか,社会を担っていくんだというような自覚をしっかり身につけようよというようなことを,各論のほうでももっと入れていただきたいなということを,この際強く申し上げたいと思います。
 私は一市長,首長として,やはり地元においても高校生諸君にも向き合うことがあるんですけれども,いろいろテクニックの上達というのは一生懸命頑張っているんだけれども,やっぱり地域もそうですし,日本社会もそうですし,あるいはそれこそ今,温暖化の問題というのは非常に大変でございます。人類の一員として,一体我々はこれからの社会に何ができるのかという,その自覚を是非高等学校の生徒の皆さん方には,これは普通教育だけじゃなくて全ての高等学校教育の皆さん方,教育を受けている皆さん方に持っていただきたい。そのためには,前の中学校,あるいは小学校での学びというのもあるんですけれども,社会の一員なんだという自覚,主体性というんでしょうか,それを是非しっかり位置づけていくというのが,私は大事だろうなと思っておりますので,いささかちょっと哲学的なお話になっておりますけれども,やっぱりそういう魂のこもった教育であるべきだということをあえて強く主張したいと思います。各論においても,やはりそういう言葉は是非入れていただきたいな。主権者なんだ,社会を担う主体なんだということですね。是非この点はお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,今村委員にお願いしたいと思います。今,手を挙げていらっしゃる方は,ほかにはいらっしゃいませんので,時間のこともありますので,また後からもしありましたら,お一人お二人は御発言いただけるかと思いますが,なければ今村委員を最後にさせていただきたいと思います。では,今村委員,よろしくお願いいたします。

【今村委員】 発言させていただきます。
 資料3-2の高校ワーキングの取りまとめを拝見させていただきまして,本当にすばらしい内容がたくさん記載されているなと思いました。その中で,特に資料3-2の3ページ目に強調されています,スクール・ミッションの再定義やスクール・ポリシーなどの新たな提言は,全て新学習指導要領が目指す,全ての高校生の学びを支え,より良い学校教育を通じてより良い社会を創るという目標に向かうものであると,この点を強調されている点がとても重要だと思いました。このスクール・ミッションの再定義とかスクール・ポリシーなど新たな提言が,やっぱり各学校とか校長先生たちにもすごくプレッシャーになっているようなお話も聞きますし,また新しいことを言い出したみたいなことで,既にネットで書いている方もちょっと散見されるんですけれども,でも私は,教員を多忙化させるとかそういうことでは,あるかもしれないんですけれども,ただ,今起きている,特に普通科高校の現場でよく見られる,不登校ではないけれども,学校に行ってもただ座っているだけの不学習状態の生徒がとても多いということの風景を変えていきたいということで,きっと先生方が皆さんで検討されて,スクール・ミッションとスクール・ポリシーからの新学習指導要領が目指すカリキュラム・マネジメントを全ての学校で実現していくということを設定されたのだと理解しています。
 特に今回,1人1台という点で,先ほど堀田先生からもお話があったような,いろいろな形の1人1台パソコンをどう実際に活用するのかというところをどのように実現していくのかというところは,絶対にやり切らなきゃいけないタイミングに来ている。全ての,ちょっと優秀な校長が突然たまたま出会ったからとか,民間の方に突然出会ったからとかじゃなくて,日本中全ての高校でこのミッションを整備して,カリキュラム・マネジメントまで実現するということを,実際に実現していく環境を作る必要があると思います。
 そのために,このままではできないと思います。こういったことは,民間企業で言うところの経営企画的な仕事に見えます。それはもしかしたら,学校の先生で指導するという役割を担ってきた方々にとっては,やったことのない仕事であると思いますので,今までも議論の中でありましたけれども,スクールリーダーの育成というところで,もしかしたら校長先生だけではなくて,指導主事さんとか事務長さんとかに対してのスクールリーダーのそういったポリシーメーキングとか,経営企画の観点でのカリキュラム・マネジメントをどのように行うのかということの育成,検討が必要だと思います。
 ただ,それでもとても時間がかかると思うので,もっと手早くやるためには,学校経営のコーチング,コンサルタントを各学校で配置できるような,例えば企業で働きながら兼業で特別なポジションを持って,新しい校長先生が配属されたときに,そういったことのスクール・ポリシーの設定からのカリキュラム・マネジメントを行うようなコンサルタントを配置できるとか,そういったことを答申資料の5-1の19ページ,教職員の姿のところに明記する必要があるんじゃないかなと思うんです。そういった人を自治体ごとの判断で既に配置しているようなところもあると思うんですけれども,各学校そういった違う力を持った人を雇用できるような,そういうような施策も同時に検討しないとこれは実現できないと思うので,確実なものにするためにも,是非とも御検討いただきたいと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは,今,幾つかの御指摘,御質問もございましたので,事務局のほうでお答えをいただきたいと思います。まず,田中室長,よろしくお願いします。

【田中教育制度改革室長】 教育制度改革室長の田中でございます。
 1点目,香山委員から,高校ワーキングの報告と答申のまとめ方について御質問いただきました。まず,高校ワーキングの報告自体は,これは単独のものとして,それ自体で世の中に出て行く形になるということになってございます。
 それから,この答申をおまとめいただいた後ですけれども,どのように冊子にするとかといったことは,現時点で決めているわけではございませんけれども,今回,この答申に関しましては,ほかにもいろいろな有識者会議であったり,関係する部分がございます。そういったものがある意味合わさった形になっていますので,分厚くなるかもしれませんけれども,読んでいただく方に伝わりやすい形にしたほうがいいと思いますので,御指摘を踏まえて,どういうふうにまとめるかは検討していきたいと思っております。
 それから,吉田信解委員から御質問いただいた,41ページの必要な教員定数の確保に向けた検討,具体化を進めるというふうにしたところでございますけれども,ここはヒアリングでも意見のあった部分もございますし,また現に先月から,教科担任制の実施に向けた有識者会議を文部科学省のほうで立ち上げまして,検討を進める段階に入っております。そういったことで,一歩進めたという意味で,このように記述を書き換えさせていただいたと,そういう意図でございます。

【吉田(信)委員】 ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 では,次に,酒井補佐,よろしくお願いします。

【酒井参事官補佐】 失礼いたします。高等学校担当の酒井でございます。高等学校関係につきまして,多くの御指摘,御質問ありがとうございました。
 御指摘につきましては,いずれも大変重要な御指摘であるというふうに受け止めてございます。また,吉田委員からございました主権者教育につきましては,高校ワーキングについても大変議論になったところでございます。少し答申素案のほうでは書きぶりが薄かったかもしれません。いずれの御指摘につきましても大変重要な点かと思っておりますので,まず検討させていただきたいと思ってございます。この点は,先ほど清原委員から御指摘いただきました専修学校高等課程につきましても,併せて検討させていただければと考えております。
 その上で,香山委員から御質問がありました資料3-1,3-2の扱いでございますが,今,田中室長からもコメントがございましたけれども,補足させていただきますと,高校関係につきましては,高校ワーキングの報告につきましては,高校ワーキングのまとめといたしまして,各教育委員会や各私学の所轄庁に対しても周知をさせていただきたいと思っております。もう今月からそういった説明会といいますか,御説明させていただく協議会なんかも予定をさせていただいておりますので,その趣旨が丁寧に伝わるようにさせていただければと思ってございます。
 私からは以上でございます。

【荒瀬部会長】 よろしいでしょうか。八田課長からよろしくお願いいたします。

【八田特別支援教育課長】 吉田委員から,56ページのところの記述に関しまして,必要に応じてということではなくて,もっとフラットな関係の中でやるべきではないかという御指摘をいただいたところでございます。実は56ページのところの記述に関しましては,障害のあるお子さんの就学相談や学びの場の検討ということでございまして,主として市町村の教育委員会が行う教育相談等をイメージして,ここは記載しているところでございます。
 委員から御指摘があった,小中学校の特別支援学級や通級指導と,特別支援学校との関係におきましては,例えば58ページのところなどでございますけれども,従前から特別支援学校が小中学校におけます特別支援教育に関しまして,専門的な支援を行うというようなことが重要だと考えているところでございまして,センター的な機能の更なる充実が必要だということを記載しているところでございます。
 また,これと関連して,62ページの中で,特別支援学校の教師に求められる専門性の向上というところで,特別支援学校の教員養成課程の中で,発達障害など全ての学校種で課題となっている内容についても学べるよう,内容を再検討することが必要だと記載しているところでございます。これは正に特別支援学校の先生方が小中学校の特別支援学級に対しましても専門的な支援を行えるようということを念頭に置きまして,このような記載をしているところと認識しているところでございます。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。ほか,よろしいでしょうか。
 御質問いただきました委員の皆様,よろしいでしょうか。今,この場で全てお答えができるということばかりではございませんが,いただきました御意見,御指摘を受け止めさせていただきまして,答申の案ということでまとめていきたいと思っております。本日御覧いただきまして,御議論いただきました答申素案につきましては,今日,今申しましたように,いただきました御意見を踏まえて,天笠部会長代理,加治佐部会長代理とも御相談の上で,適宜文言の調整等を行いまして,12月4日に予定されております中央教育審議会初等中等教育分科会で御報告し,御審議いただこうと思うところでありますが,よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。頷いていただいている方がたくさんいらっしゃるということで,お認めいただいたというふうに受け止めさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは,ちょっと冒頭,なかなかスタートできないというふうな事態がありましたが,何か情報によりますと,13時20分から14時の間に,まさしくWebexのシステムで障害が発生していて,まだ当該のCiscoの本社も原因が分からないということで,そういう情報が流れているそうであります。大変御迷惑をおかけしました。ただ,冒頭も申しましたように,本当に事務局の皆さんが大変御苦労くださいまして,今日また無事にこうして会議が開けました。ありがとうございます。拍手をいただいております。ありがとうございます。
 それでは,時間もちょうどまいりましたので,この辺りにしたいと思っております。
 最後に,次回以降の予定につきまして,田中室長からお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 ありがとうございました。次回の本特別部会につきましては,来年1月14日木曜日,14時半から17時半で開催予定としております。また,先ほど部会長からもございましたけれども,初等中等教育分科会を12月4日金曜日,15時から18時で開催予定となっております。

【荒瀬部会長】 そのような日程ということであります。新型コロナウイルスの感染拡大が大変懸念される状況になっております。皆様,どうぞくれぐれも御自愛くださいますようお願いいたします。
 それでは,本日予定しました議事は全て終了いたしましたので,これで閉会いたします。本日は,ありがとうございました。

―― 了 ――

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